第186回国会 内閣委員会 第14号
平成二十六年五月十五日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     羽生田 俊君     北村 経夫君
     江口 克彦君     山口 和之君
     荒井 広幸君     浜田 和幸君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         水岡 俊一君
    理 事
                上月 良祐君
                松下 新平君
                芝  博一君
                田村 智子君
    委 員
                岡田  広君
                北村 経夫君
                鴻池 祥肇君
                佐藤ゆかり君
                山東 昭子君
                福岡 資麿君
                山崎  力君
                山谷えり子君
                大野 元裕君
                神本美恵子君
                蓮   舫君
                秋野 公造君
                山口 和之君
                山本 太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   参考人
       自治医科大学学
       長        永井 良三君
       名古屋大学総長  濱口 道成君
       兵庫県保険医協
       会副理事長
       神戸健康共和会
       生田診療所所長
       全国保険医団体
       連合会副会長   武村 義人君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○健康・医療戦略推進法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○独立行政法人日本医療研究開発機構法案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(水岡俊一君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、荒井広幸君、羽生田俊君及び江口克彦君が委員を辞任され、その補欠として浜田和幸君、北村経夫君及び山口和之君が選任されました。
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○委員長(水岡俊一君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(水岡俊一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に田村智子君を指名いたします。
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○委員長(水岡俊一君) 健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 本日御出席いただいております参考人の方々を御紹介いたします。
 自治医科大学学長永井良三君でございます。
 名古屋大学総長濱口道成君でございます。
 兵庫県保険医協会副理事長・神戸健康共和会生田診療所所長・全国保険医団体連合会副会長武村義人君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、永井参考人、濱口参考人、武村参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手していただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず、永井参考人にお願いいたします。永井参考人。
○参考人(永井良三君) 自治医科大学の永井でございます。本日はこの機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、新たな医療分野の研究開発体制への期待ということでお話をさせていただきます。
 現在、日本が実用化研究が遅れていると言われておりますけれども、しかし考えてみますと、三十年ほど前は実用化研究ばかりで基礎研究ただ乗り論というのがあったわけです。こうした実用化と基礎研究というのは時代によって大きく変わります。
 この二ページ目は、御参考までに、発明唱歌、明治四十年にこうした歌があったと。「工風に人のさちは増し 発明に世は開け行く」という、こうした時代がかつてはあったということで提示させていただきました。
 三ページ目、こうした医療分野の開発研究のパイオニアは北里柴三郎博士でありまして、明治二十三年にジフテリアの抗血清療法をベーリングと一緒に開発しています。基礎研究から臨床への応用が成功した極めて有名な例であります。
 この当時は、四ページ目見ていただきますと、研究所で製造から販売までしておりました。これは、帰国後、伝染病研究所における抗血清の作製風景でありますが、しかし考えてみますと、これ、今の基準からいいますと、品質管理という点では非常に問題があるわけです。これが今の一つのキーポイントになるということであります。
 そうは申しましても、五ページ目、成功例はたくさんございます。特に有名なのは胃カメラ、内視鏡であります。これは昭和二十五年、戦争直後の東大分院、東大病院の分院で外科医の先生方、一番左の宇治先生という方がオリンパス工業と一緒に開発した胃カメラの風景でありまして、吉村昭さんの「光る壁画」という小説に紹介されております。
 なぜこれが、こうした開発体制が問題になってきたかというのは六ページ目にサマライズしてございます。要するに、実用化研究というのは社会を巻き込んでいきますので、倫理とか社会システム、全てを含めた総合的戦略がないと停滞してしまうということであります。
 欧米では、戦後、ニュルンベルク綱領とかヘルシンキ宣言、こうした宣言が採択されまして、これに基づきましてコスト、人材、法規制、ガイドライン、そうした整備が行われてまいりました。これがグローバル化し、世界基準となってきますと、国内の基準だけで開発していると立ち行かなくなるということであります。
 七ページ目に、その例として薬事法、薬剤師法の変遷を記載しております。日本で薬事法が制定されましたのは昭和三十五年でありますが、米国では、これに対応するFDC法は昭和十三年に既に定められております。二十二年の遅れということになります。
 八ページ目には、そのほか、臨床開発研究に関する日米の規制の年代の違いということを一覧にしております。製造・品質管理に関するものは、GMPですが、六二年に対して七四年通知、八〇年公布と。そのほか、安全性試験管理、臨床試験管理、倫理委員会、個人情報保護、これ、ことごとく十年、二十年の遅れになってまいっております。
 九ページ目に、これがいかに非常にシビアな現実をもたらすかということを治験を例に挙げております。新GCP法が九七年に公布されましたけれども、それまで活発に行われておりました治験が一気に停滞いたしまして、今やや上昇傾向あります、回復傾向ございますが、なかなか元のレベルには戻っておりません。
 十ページ目、これは当然、医療産業にも影響が出てまいります。左上が医薬品で、赤い線が輸入額、青い線が輸出額、緑のバーが差額でありますけれども、この十年間、輸出入額の差額が輸入超過になっているということは歴然としています。医療機器についても同様であります。
 十一ページ目には一番最近のデータをお示ししておりますが、医薬品については、輸出一千三百七十六億円、輸入が二兆八千百七十四億円。医療機器についても非常に大きな差額がございます。
 十二ページ目、これは特に医療機器、医薬品産業で、日本の産業の中でも非常に問題が大きいということを示しております。国際競争力指数を輸出、輸入の差で示しておりますけれども、特に医療機器の落ち込みが大きいですし、医薬品は従前から非常に輸入超過になっているということを示しています。
 十三ページ目に、こうした一つの動向を表す例といたしまして、平成十九年、アメリカのファイザー社が韓国の臨床開発研究に三億ドルを投資したという話題がございました。この同時期に、実はファイザー社は日本の二つの研究所を閉鎖し、二百五十億円で売却したということがございまして、明らかに研究動向、開発動向が日本離れが起こっていたということであります。
 十四ページ目を御覧ください。こうした基礎から臨床への開発研究、橋渡し研究と申しますが、ややもしますと、メカニズム解明、動物実験、臨床試験、そして死の谷を越えて薬事承認ということを一直線のように考えがちで、言わば百メートル走のように考えがちなんですが、しかし、薬事承認というのは非常に狭い範囲で適応を獲得いたします。それでゴールなわけではなくて、その後、臨床研究によって適応拡大、差別化をして、いわゆる育薬という作業が延々と続きます。そして、そこで企業は資本を蓄積して、今度は新たに基礎研究あるいは別の医薬品の開発に向かっていくという非常に大きな循環をつくっております。そのために、小手先の体制づくりではなくて、こうしたことまで視野に入れた大きな総合戦略が必要であるということが今回の法案の背景にあるのではないかと思います。
 十五ページ目、こうした状況を外国からいろいろやゆされておりまして、正確な年代は忘れましたが、十五年前だったと思いますが、エコノミスト誌の風刺画の中に、「ドラッグズ・イン・ジャパン ツー・スモール・ツー・コンピート」というふうにからかわれております。ビッグファーマがなぜ吸収合併を繰り返してきたかというのは、まさにこの大きな総合戦略をつくるために、基礎研究から臨床研究まで含めて非常に大きな開発費が掛かるということで対応してきたわけですが、日本ではやはり立ち遅れたということです。
 十六ページ目、御覧ください。そうした中でも、日本の開発研究、幾つか成功例もありますし、また、そこから教訓を学ばないといけない事例もたくさんございます。
 これは、私が卒業したばかりのときからずっと見守っていた白血球増多因子、今、G―CSFと言いますが、それの発見から開発に至る話であります。
 これは、東大病院に入院していたある患者さんの肺がんのリンパ節、転移したリンパ節をマウスに植えたところ、十七ページ目、御覧ください、マウスに植えたところ、普通は一万以下である白血球が五十万まで増えたということで、また、その腫瘍を取り除くと白血球が元に戻ったということがございました。これがまさに白血球増多因子を産生する、つくる腫瘍であると。そうしますと、この細胞から白血球を増やすことのできる、例えば抗がん剤を使った後に白血球は減りますけれども、あるいは重症感染のときに、そういうときに白血球を増やす夢のような、まさにペニシリンに匹敵するような薬剤開発ができるだろうということは昭和四十九年に我々は考えていたわけであります。
 その後、十八ページ目に、製薬企業の支援あるいは試薬として発売、また、東大医科学研究所で長田先生、浅野先生らがネイチャー誌に一番乗りでこの白血球増多因子のことを報告いたしました。九一年に薬価収載されております。
 基礎研究では、これは日本が世界に一番乗りしたわけでありますが、しかし、いろいろな知財の管理とかマーケティングで必ずしも成功したわけではございませんで、十九ページ目、御覧いただきますと、外国の企業も追ってこれを開発してきたわけであります。国内市場を見ますとほぼ同等でありますけれども、明らかに国外市場では外国社、外国の企業の製品が席巻しているということで、これは、基礎研究、開発はある程度はうまくいったけれども何か足りなかったという例ではないかと思います。
 二十ページ目、これはJSTからいただいた資料でありますが、JST、科学技術振興機構が支援してきた研究費の中で薬事承認まで至ったのは四%、しかしながら、ほとんどは診断薬で、治療薬に至ったのは一例のみということだそうであります。
 その一例のみの例が二十一ページ目に提示されております。これは、自治医科大学にいらした間野博行教授が、EML4とALKという二つの遺伝子ががん細胞の中で融合していると、これが、全てではありませんが、一部の肺がんで起こっているということを見出し、その薬の開発が現在行われているという例であります。
 二十二ページ目に、その薬の例でありますが、こうした例は実は慢性白血病で知られておりましたけれども、肺がんあるいは固形がんで見付かったのは世界で初めてで、世界的な業績として知られております。
 しかしながら、この薬剤開発はまたしてもファイザー社に先行されまして、左上、奏効率八一%と画期的な薬が外国で治験が先行し、間野教授の患者さんも実は韓国で治療を受けたという、そういう実例がございました。しかしながら、間野先生たちは更にこの薬の耐性を起こす機構を解明し、耐性、つまり薬が効かなくなった患者さんにも効く薬という、奏効率九四%というものを開発し、現在、中外製薬で開発中ということであります。
 二十三ページ目、似たような例で、それほど画期的ではありませんけれども、いろいろ良い薬が必ずしも外国で売れないという例をお示しいたします。
 これは、私自身も開発に関与しましたけれども、短時間作用型で血圧降下が少ないベータ遮断薬という、臨床家にとっては非常に使いやすい薬であります。ところが、こうした良い薬が日本にあるので外国で販売できるかというと、かつての開発時の条件が国内と海外で違っていたということのために、今海外に持っていこうとするともう一度基礎研究、安全性試験等をやり直さないといけないという、そうした国際的な基準から外れていた時代が長く続いた影響が出ております。
 二十四ページ目に参りますが、要するに、こうした医療の応用開発、実用化研究というのは総合戦略が必要で様々な角度から検討しないといけないということであります。
 この状況に対して、もちろんアメリカのNIHはその先頭でありますが、ヨーロッパ各国も非常に綿密に考えています。イギリスには、左の真ん中辺りにNIHRというのがございます。NIHというのは各国にございまして、このNIHRというところでこうした総合戦略を考え、また研究費の補助も行っているということであります。大体予算規模は年間千五百億円ぐらいと聞いておりますけれども、詳細は現在調査中であります。
 まとめに入りますが、二十五ページ目の下の図を御覧ください。この医療開発というのは、基礎研究から臨床へ橋渡しして、それで終わりではないわけです。臨床現場で少数例で検証し、今度は、有効性、副作用の評価、新たな課題の設定を多数の患者の中で、集団の中で検証しないといけないという、こうした大きな循環を描きませんと、また社会と一緒に倫理の問題、社会との協働を踏まえて行っていきませんとできないことであるということであります。そういう意味で、上にあります循環型研究開発であるとか、あるいは、いろんな利害関係が出てまいりますので、この運営に当たっては科学的合理性、透明性に基づく判断、これを尊重しないといけないということが明らかであります。
 以上でございますが、大体まとめとして、二十六ページ目、同じようなことが書いてございます。今日特に私が申し上げたいのは、人間を対象とする医療分野の研究開発というのはやや独自性があるということ。これは基礎研究の延長では必ずしもなくて、厳密な品質管理、目的、目標、研究期間の明確化、国際基準に沿った十分な体制、こうしたものが必要であるということであります。もちろん、研究には自由な発想と好奇心というものが必要でありますが、そのまま人を対象にして研究してはいけないんだと、そこに国際基準が今設けられていて、そのハードルがどんどん高くなっているということであります。
 そのため、二十七ページ目に、そのマネジメント、研究費、データ管理、知財、支援人材、利益相反の管理・支援体制、こういうものが必要になりますし、企業ももっとリスクを取らないといけないと思います。国の行政も縦割りの弊害がいろいろございます。しかし、何よりも国際基準への対応という、いわゆるレギュラトリーサイエンスという言葉で言われておりますが、そうした問題があるということであります。
 二十八ページ目以降、これももう繰り返しでありますが、体制の構築、仕組みの構築、エビデンス、それからICTがこれから重要になると思います。情報が非常に重要になるという、ビッグデータ時代への対応、再生、ゲノム、これはもう言われているところでありますし、二十九ページ目、人材育成ということが大事になります。それから、公正な研究を行う仕組み、倫理、法令、ガイドライン、知財のマネジメント、もちろん基礎研究は重視しないといけないということ。しかし、特に強調したいのは、科学的合理性に基づかないとこのシステムは危ないですよということを特に強調したいと思います。
 また、臨床あるいは医学だけではなくて、工学、ナノテク、ICT領域の研究者との連携が極めて重要であるということを強調したいと思います。
 以上でございます。
○委員長(水岡俊一君) ありがとうございました。
 次に、濱口参考人にお願いいたします。濱口参考人。
○参考人(濱口道成君) 濱口でございます。本日は貴重なお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。
 また、今回の健康・医療戦略、あるいは機構の発足は、予算の一元化やプログラムオフィサー、プログラムディレクターの導入など、政府として一貫性のある健康・医療分野の研究開発政策に向けた取組が図られることを見ておりますと、今後の革新的な成果の創出に向けて大きな前進であると思います。
 一方で、私の資料二ページ目にございますように、これらの取組がより実を結ぶためには、三点申し上げたいことは、限られた予算を最大限効果的に活用するための仕組みの工夫がまず大変重要であると思っております。それから、病院、研究機関をつなぐネットワークの構築、それから人材のより一層の活用、特にプログラムオフィサー、プログラムディレクターの育成とその活用は、この人材の育成のみならず、予算を最大限効果的に活用するための仕組み、あるいは病院、研究機関をつなぐネットワークの構築の実施においても非常に有効なシステムになってくると考えております。これらを実施することによって、この新しい構想に魂を入れることができるのではないかと期待しておりますので、何よりも重要な三点だと考えております。
 三ページ目を見ていただきますと、現在のこのシステムの問題点といいますか、課題を米国のNIH方式と比較すると、幾つか浮かび上がる点がございます。
 米国のNIHのシステムは、機能集約型医療創出基盤とでも申し上げることができると思いますが、単なるファンド機能のみならず、システムの中に研究機能と病院機能が入っております。集約型の組織になっているということが一つ特徴であります。もう一点は、ファンド自体が三兆円を超えるものがあると。
 一方、今回の構想は戦略推進室のファンド機能にまず焦点が当たっております。ただし、予算がまだ二千百三十億と、こういう数字がございます。現在の日本の状況を考えると、この米国型をそのまま導入するというのは不可能であります。ですから、効率的、効果的な運営というものをどう図るか、日本型のシステムをつくり上げる重要性があるのではないか。
 もう一点は、研究機能、病院機能をどういう形でつくり上げていくか。これは、一つは、右の図を見ていただきますと、臨床中核病院等日本にいっぱいありますので、そこのネットワークによる地域医療の底上げを図りながら研究機能、病院機能の改善ができるのではないか、この連携によりまして臨床研究及び医療データの信頼性の確保等の課題が確保できるのではないかと思っております。
 四ページ目を見ていただきますと、実際、そのNIHというのは非常に巨大な組織でありますが、日本はNIHのような組織にはなれないのかと思うと決してそうではございません。実は、日本の既存の組織は多種多様なものがありまして、経済産業省、厚生労働省、文部科学省を始め、いろんな現場で多種多様な研究センターあるいは病院が機能しております。要は、これをいかに効率的、機能的に医療技術の開発や研究に連携させていくか、その組織をつくっていただくことが今大きな課題ではないかと私は実感しております。
 左側、米国NIHの図を見ていただきますと、まず所長室というところがございますが、実はここには非常に大きな調査機能がございまして、戦略調査を決めております。俯瞰的に健康・医療研究の開発をどう進めるか、将来を見据えた分析がされているということが一点ございます。
 それから、いろんな臓器あるいは疾患別の研究所とともに、ヒトゲノムの研究所あるいは画像あるいは先進トランスレーショナル科学センター、こういうものがございまして、横断型あるいは新しい科学技術を使った医療技術の開発に向けたセンターが幾つか樹立されています。一方、情報技術センターだとか科学審査センターという、こういうセンターもつくられて、実際のプロジェクトがきちっと動いているかどうか、有効なプロジェクトが立案されているかというのを常にチェックしているシステムがあるんです。日本は、それと比べますと基本的には疾患オリエンテッド、それから研究オリエンテッドとずっと来ております。ここに少し弱点があるのではないかと。
 それからもう一点、四ページを見ていただきますと、今、創薬手法が劇的に変わりつつあります。
 私ども、大学出た頃の抗生物質の開発などとかいうのは、微生物とかあるいは、時には草や木の有効成分を分離して、それを例えば細胞に掛けてみると何か変化がある、そこから低分子の化合物を分離して精製して、それを構造を決めたら化学合成して薬として使えますねと。これが従来の古典的な薬の作り方であったんですが、八〇年代後半から九〇年にかけてこの手法が大きく変わってきました。その原因は、分子生物学が非常に激しく展開してきたことにあります。
 私も実はがん遺伝子をずっと研究してきたんですけど、我々の現場でも見ておりましたものの一つにerbBというがん遺伝子がございます。これは、鶏のエリスロブラストーシスバイラスという赤白血病を起こすウイルスから分離された、東大の医科研におりました豊島先生が分離されたがん遺伝子ですが、その遺伝子からできたたんぱくは、細胞の膜にあるたんぱくであります。先ほどの永井先生がお話ししていたお話とよく似たお話でありますが。これが、八〇年代後半になりまして、HER2という人間にも同じような遺伝子が見付かりまして、これが上皮細胞の増殖を刺激するレセプターとよく似ていると、EGF―Rとよく似ているということが分かったんですが、その後、アメリカは劇的な展開をしていきます。
 そのたんぱくに対する抗体をつくるんですね。抗体を細胞に掛けてみると、がん細胞が増殖しなくなるというのが分かりました。さらにその次に彼らがやったことは、マウスでやっていた実験を人間型の抗体に変えるわけですね、アレルギーが起こらないようにして。それで、人間のがんに掛けてみると、効くと。これが実は、いろいろ更に臨床現場のがんの患者さんの分析から、乳がんだとか卵巣がんにこのHER2というのがたくさん出ている、特にリンパ節に転移するような悪性のものに出ているというので、ハーセプチン、化学名ではトラスツズマブという名前になっていますが、こういう抗体、ヒト型の抗体が使われるようになりました。これが大きな変化を起こす、創薬の手法の変化になるきっかけになってきたと思いますね。
 八〇年代を見ていますと、日本の創薬は、新薬開発は二八%ぐらい世界のシェアを持っていたと思います。一方、アメリカが三二%ぐらいだったんですが、二〇〇〇年を超えた時点で見ておりますと、日本は八%、一方、アメリカが五〇%、新薬の開発の力を持つようになった。その主な違いは、この手法の違いが劇的に変化してくる中で、アメリカはそれに迅速に対応する組織、研究体制があって、それを臨床化していく力があった。一方、日本は、永井先生もおっしゃっているように基礎研究に終始してきてしまったと。これが大きな開きになってきているというふうに思います。
 この経験から、過去を後悔しているだけでは不十分でございまして、今本当に必要なことは、人の症例管理というのが必要であるということが分かってきているわけでございます。
 その症例管理の問題でいきますと、決して日本は今は最先端ではございません。アジアには巨大な病院が激しく展開しております。中国に行きますと、例えば北京大学は十関連病院を持っていまして、第七病院というのを見に行きましたが、眼科だけで一日六千人の患者さんが来られる。眼科だけです。名古屋大学病院は十どころか一つしかございませんし、一日の外来患者は二千人です。この体力差が、恐らく症例管理の現場での体力に、恐らく差にここ数年先を見据えますと出てくると思います。もう余り猶予はないと私どもは思っております。
 じゃ、どうするかということでございますが、私ども名古屋大学では、次の表にございますように、中部地域の大学病院をネットワーク化することによって、この症例数の限界を何とか克服しようということを考えております。大学病院というのは実は全国展開をしている組織でございますので、大学病院をきちっとネットワーク化していけば、全国津々浦々まできちっとした症例管理ができると。日本の今の弱点をむしろ力点に変えることができる組織になると考えております。
 まとめますと、今後の重点課題としては、私は、全体を俯瞰した重複の排除、たくさんの組織がありますから、よく似た研究をやっていますので、そこはやはり調整をしていただくことが必要ではないか。
 それから、重点分野を絞り込み、調整を行うメカニズムの構築、この仕事はやはり本部だけでは不可能であると思います。現場の調整を図りつつ、データをよく見ながら連携をさせる機能を持った組織をつくる必要があると思います。それには、やっぱりPO、PDですね、プログラムオフィサー、プログラムディレクターを育成して、育て上げ、連携を進めるという組織をつくる。それから、その現場の情報を本部に上げて、本部がリアルな判断ができるような体制をつくることによって、限られた予算でも非常に効率的な日本型のシステムができるんではないかと期待しております。
 もう一つは、今やっぱり疾患オリエンテッドになっている分野では、分野横断型の研究体制や新規分野の開拓など、こういう戦略的な研究推進を図る組織が必要であると思います。これを、例えばその実例として、超高齢化社会の下での社会での健康寿命を延伸するためにどうするかというのは特定疾患に限らない課題ですので、もう少し幅広い、俯瞰的な目でそういう研究推進をする、司令するような司令塔が必要ではないか。
 それから、同じ問題が輸入超過の問題でありますし、研究倫理の問題であると思います。永井先生もおっしゃっておられました、この輸入超過の問題は非常に厳しいものがあります。
 次のページへ。改めてお示しするまでもなく、永井先生のデータにもありましたように、現在、三兆三千七百八十一億円の輸入超過であります。しかもこれが毎年増え続けている、プラスになっている、増加傾向にあると。これをどうするかということは喫緊の課題であると思っております。
 じゃ、どうするのか。私ども名古屋大学の体験をお伝えしたいんですが、特に医療機器はただ輸出するだけでは技術が伝わりませんので使えません。アジアの各国へ行きますと日本の機器がいっぱい支援で置かれておりますが、使われずにそのままほこりをかぶっていたり、壊れたままになっていたり、それを支援する技術をパッケージで伝える必要があります。
 私ども考えていますのは、一つは医療行政、厚生労働省に当たるような医療行政の核になる人材を、世界の人口の七割が集まるアジアに、日本型の考え方を持った人を育成するということをやっております。それが次のヤング・リーダーズ・プログラムというものでございますが、ちょうど十年たってきまして、卒業生百七名を秋入学で一年間英語で教えてアジアに帰しております。その結果、こちらの写真にございますように、カザフの副大臣、バングラデシュの首相室長、ミャンマーの保健大臣秘書官長、モンゴルの政策局長、ラオスの県知事や政治局員、タイの保健省健康促進局長、こういう人材がたくさん育っております。現在、各国の部長級の人材が十八名おります。
 これを更に、私どもは今年の秋から名古屋大学のアジアキャンパスというのをスタートさせる中で、十年たったらアジアに大臣、副大臣、局長級の人材を百人育てようと。日本型の医療の利点と効率性の良さ、それから国民に対する効果、そういうものをよく分かった人材をアジア全体に広げることによって、恐らく日本の医療というのはもう少し展開できるのではないか。
 もう一つは、医療技術でございます。フエに今、内視鏡センターを開設してちょうど半年になります。昨年九月から始めまして、現在まで五十名の医師のみならず看護師も派遣しておりますし、現地に三十歳の医師を常駐させております。給料二万五千円で二年間おります、本人は本当に喜んでおりますが。月二百例の症例を扱って、一月から胃がんの内視鏡手術を開始しました。これはベトナムで初めてであるというので、現地では非常に高く評価されております。ベトナムのみならずラオス、カンボジアからも今患者さんがお見えになっている。
 今後、私どもはこれをハノイ近郊のバクマイ病院、それからホーチミン近郊のチョーライ病院に展開する。それから、タイのチュラロンコン大学と連携して、ラオス、ミャンマーへ広げていこうということで、日本型の医療のパッケージ輸出を構想する時代になってきているんではないかと。そのポイントは、どの技術が一番優れているか、永井先生がおっしゃるように、内視鏡というのはやっぱり日本が断トツですので、これをアジアの標準にするという作業が必要ではないかと考えております。ここに私どもは一寸の光明を見出す思いがしております。
 今後のアジア戦略としては更にいろんなことを考えておりますが、これは省かせていただいて、もう一点だけ。
 今、本当に日本の科学技術あるいは研究に対する信頼ががた落ちになっている状況がございます。これは、研究倫理の確保を何よりも今喫緊の課題として確保する必要があると思いますので、この点を、是非、仕組みと人材育成を御支援いただければと思います。
 もう一点は、米国のNIHの科学研究費の審査は非常に優れていると思います。ピアレビューで評価書が来ますが、こんな評価書が来るんですね。私の同僚も出しましたが、まるでその実験をやったかのような評価が書いてある。しかも最後に点数が出てくるんです、八十何点とか。イエスかノーではないんです。あなたはここがいけない、ここがいけない、これは信用できるとはっきり書いてあります。
 そういうきちっとした評価が日本で確立ができるかどうか。これのコアになるシステムは学術振興会が一般的な基盤研究で今随分展開しておりますので、それをコアにしながら医療研究の現場にも是非そういうシステムを確立していただいて、透明性、公平性、それから国民に対する説明責任のある研究展開ができるような体制を是非実現していただきたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。
○委員長(水岡俊一君) ありがとうございました。
 次に、武村参考人にお願いいたします。武村参考人。
○参考人(武村義人君) 兵庫県保険医協会副理事長の武村義人でございます。
 兵庫県保険医協会は、兵庫県下、医師、歯科医師約七千百人で組織される団体であります。開業保険医の経営と生活、権利を守るとともに、国民医療の充実と向上を図ることを目的としております。こうした保険医協会は全ての都道府県にございまして、全国で十万五千人程度の会員を持っております。私はその全国保険医団体連合会の副会長もしております。
 また、ふだんは、神戸市にございます小さな小さな診療所です、生田診療所といいまして、の所長をしております。そこで地域医療に従事しております。非常に貧しい地域でございます。
 本日は、国権の最高機関たる国会でこうした見解を述べさせていただくことを非常に光栄に思っております。よろしくお願いいたします。
 本日は、健康・医療戦略推進法案と独立行政法人日本医療研究開発機構法案に関して意見を述べさせていただきます。資料等については、スライドがありますが、お手元にプリントアウトしたものがございますので御参照ください。
 さて、私は、日々内科の医師として地域で様々な疾患を抱える患者さんを診ております。そうした観点から、今回の二つの法案が地域医療にどういった影響を及ぼすのか、お話しさせていただきます。
 まず、法案資料十四ページ、十五ページですね、地方公共団体の責務(第四条)。地方公共団体の自主的な施策の具体例で神戸医療産業都市構想が挙げられております。これは言わば先取りみたいなものでありまして、ここ数年ずっと行われておりますが、この舞台はポートアイランドという神戸市中央区の人工島、私の診療所のある中央区でありますが、位置しております。ここで一体どういうことが起こっているのかということを見れば、参考になるかと思います。
 神戸市の医療産業都市構想は、そこに記載されていますように、高度医療技術の研究・開発拠点を整備し、医療関連産業の集積を図ることによる神戸経済の活性化、市民福祉の向上、国際貢献を目指しているとされております。その特徴は、研究施設とともに病床を必要とすることであります。
 実際に高度医療技術の研究・開発拠点として、二〇〇三年ですね、十年前に、四月に先端医療センター病院、略称IBRIが六十床で、二〇一三年、去年の四月には神戸低侵襲がん医療センターが八十床で、今年も、まあ予定ですが、神戸国際フロンティアメディカルセンター、私たちの間ではKIFMECといいますね、ローマ字でありますが、呼んでおります、これが百二十床で開設されようとしております。これらは民間で整備されております。
 しかし、こうした医療機関の隣接地に、二〇一一年、神戸市立医療センター中央市民病院、長たらしいので神戸中央市民、市民病院の中央ですね、九百十二床から七百床にベッドを減らした上、新築移転をされました。また、来年二〇一五年には県立こども病院、山の方にあったんですけれども、これをまた隣接したところに新設移転をされることが決まっております。
 ここでは中央市民病院の新設移転についてお話をさせていただきます。
 中央市民病院の新築移転が発表された際、市民から、中央病院が市の中心から更に沖に遠くなる、沖というのは海の方ですね、病床も減る、二百床ぐらい減ります、ということで、いろんな声が上がりまして、一万三千七百ぐらいの新築移転反対の署名が集まる市民運動にまで発展しました。
 また、地域医療を担う医師からも、病床数が減れば救急の受入れ、市民の最後のとりでがなくなるということで、非常に危惧をしておるということであります。地元神戸市の医師会からも懸念を表明されました。
 しかし、神戸市は、市民や医師会の反対を押し切って、専門家も現地改修が十分可能だとする建物をほっぽり出して、三百八十二億円もの税金を使って移転させてしまいました。これについて神戸市は、医療産業都市構想の臨床部門の核とするために先端医療センターの隣に移転する必要があると説明しております。
 また、先端医療センターを運営する公益財団法人先端医療振興財団の理事長であります井村裕夫先生も、これは移転が決まる五年前の話ですけれども、中央市民病院の患者などを対象に最先端の応用研究を進めていると、このためにも、また救急事態への対応に対しても市民病院があると便利であるということで、移転させることになっていると述べております。つまり、先端医療センターで開発を進める医療技術の臨床研究などの被験者を集めるという目的、先端医療センターで臨床研究を行っている最中に患者さんの容体が急に悪化した場合救急医療を施すという目的のために中央市民病院を先端医療センターの隣接地に持ってきたということであります。
 実際に、現在、先端医療センターが理化学研究所と進める眼科疾患の一つ、今はもうエポックになっていますが、滲出型加齢黄斑変性症に対するiPS細胞から作製した網膜色素上皮シートの移植という臨床研究では、中央市民ですね、中央市民病院の眼科が患者さんの臨床研究の窓口となっており、中央市民病院の患者さん向けホームページでも、先端医療センター病院眼科では、中央市民病院と連携して保険適用外診療となる最先端の診療を行っていますとしていますし、先端医療センターのホームページでも、神戸市立医療センター中央市民病院は、術中術後の緊急時対応を行いますということも明記されております。
 これは、法案にあります世界最高水準の医療を開発するために公立病院を利用しているということにほかなりません。そのために、建築費として三百八十二億円という市税、毎年毎年五十億円という市税を運営費として投入し、市中心部から更に離れた場所への移転による一般患者さんへの利便性の低下、移転に伴う病床削減と、地域の救急などが犠牲になっているのが実態だということを報告しておきます。
 実際に、跡地に民間病院を誘致するために病床枠を付けて、そのために新病院は二百十二床の病床削減まで行って移転をしたということであります。これに伴いまして、新中央市民病院、新しい中央市民病院では、二〇一二年度の、二千七百十八時間が二次救急の受入れ停止であります。二〇一〇年の、そのときは千二十一時間ですから二・七倍に増えたと、二次救急の受入れ停止時間が。この理由について、神戸市民病院機構の菊池晴彦理事長は、病床数が減ったからこのように救急の受入れができなくなったということを認めております。
 さらに、法案参考資料十三ページですね、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を図るとともに、それを通じた我が国経済の成長を図ることが重要と述べられており、経済成長のために医療分野での先端研究開発を行おうとしております。
 私は、医師として、医学の進歩があること、進歩することは当然必要なことだと思っております。しかし、その目的は人々の健康を守り病気から救うことだと思っております。ですから、医学の発展が結果的に経済発展に資するということであれば非常に有り難いということでありますけれども、経済発展のために医学研究を推し進めるというのは非常に違和感を覚えるわけであります。さらに、それが、神戸の医療産業都市で行われているように、一般の患者さんの犠牲の上に進められているということになれば、大変倫理上の問題があるというふうに思います。
 法案参考資料十七ページ、研究開発の環境整備、第十一条ですね、この説明の部分では、臨床研究中核病院で十の病院が選定されていますが、神戸の事例から、こうした病院で臨床研究に力を入れる余り、現在担っている地域医療、市民のため、県民のための医療、普遍的な医療、その役割がないがしろにされてしまうのではないかと非常に危惧をしております。
 二点目ですが、参考法案資料二十ページです。新産業創出及び海外展開の促進という部分で、医療分野の研究開発の成果の海外における展開の促進とありまして、医療機関と医療機器メーカーの海外展開の支援、外国人患者受入れ支援などを行うMEJをその中核組織として機能させると説明してあります。
 神戸医療産業都市では、KIFMEC、生体肝移植ですね、二〇一六年度に開設が予定されていますアイセンター、目のセンターです、眼科病院を国際展開の中核施設として海外からの患者の受入れや医師の海外派遣を行う計画、いわゆる医療ツーリズムであります。KIFMECでは当初、海外からの患者を対象に年間五十例の生体肝移植を行うとしておりました。それはそれなりに医の倫理の問題で別の問題がありますが、それはおきます。また、アイセンターでは、iPS細胞を使った先ほども述べました目の網膜の再生医療や、日本での安全性の高い白内障や緑内障の手術を行うということになっております。
 生体肝移植は既に日本では保険適用されていますし、白内障や緑内障の手術も保険適用されており、公定価格が決まっております。しかし、海外からの患者さんの場合は当然全額自費診療となります。そうなれば、医療機関の判断として、医療機関が自由に価格を設定できる海外の患者さんを公的医療保険による一定の診療報酬しか得られない国内の患者さんよりも優先する、そういった可能性があると思われます。この点は地元の医師会などからも懸念が表明されております。
 やはり、医療の国際展開を急ぐ余り、国民、地域住民の共有財産です、病院、医師、医療体制その他は共有財産だと思っています、この医療資源を海外の患者に優先的に振り向けることになればこれは本末転倒でありまして、医師不足を始め、かなりまだ日本は医師不足であるということでありますが、医療スタッフなど医療資源が不足している現状ではなおさら強い懸念を抱かざるを得ません。
 もう一点、神戸医療産業都市で起こった事例を紹介しておきます。この法案の問題点を指摘します。
 先ほども御紹介いたしました先端医療センター病院と中央市民病院では、二〇〇四年、今から十年前です、狭心症の患者さんに対して再生医療を含む最適な治療法を判断するという目的でバイオセンスウェブスター社が製造しているNOGA、心臓ナビゲーションシステムという電極の付いたカテーテルですね、動脈に入れるんですけれども、心臓内に通して心筋の動きを把握し、冠動脈に血管幹細胞を入れるんでしょうかね、医療機器を使用したのですが、そのときにカテーテルが心臓の血管を突き破って心肺停止になりました。緊急手術で一命を取り留めたという医療事故が起こりましたけれども、先端医療センターも神戸市も患者の同意がないとして事故を公表しませんでした。神戸新聞がこの情報をつかんで取材を申し入れましたが、事故は再生医療と無関係ということで突っぱねられました。
 その後、この事実を公表しないまま、また二〇〇七年十一月に同じことを実施しました。二〇〇七年一月、神戸新聞が神戸市に対して事故報告書の公開請求を行い一時は非公開とされましたが、神戸市の情報公開審査会で答申が出され、事故隠蔽が公開され、五年後の二〇〇九年になってやっと市民の知るところになりました。やはり、再生医療など新たに医療技術の実用化を余りに急げば、医療事故を起こしたり、その事実を隠蔽するということが起こるということであります。
 法案資料の十四ページの基本理念、十七ページ、研究開発の推進など、この中に目立つ言葉があります。実用化という文言が入っております。法案参考資料の一ページの部分では、我が国の基礎研究力は国際的にも高い競争力があるとされていることから基礎研究の成果を実用化につなぐ環境を整備しと、実用化が強調されております。
 また、先ほども御指摘させていただきましたが、経済成長を医療分野での先端研究開発の目的の一つに定めますと、どうしても実用化を急ぐ必要が出てくるということになります。しかし、余りに実用化を急げば、先ほど述べましたように、医療事故の発生、事実の隠蔽など、医学の発展どころか医学への不信、本当の安全性は何かというような疑念を持たれるような事態になるのではないかというふうに思っております。
 最後に、経済成長という目的のために医療分野での先端研究を行ったり医療分野での海外展開が行われたりすれば、現在地域医療に振り向けられている公立病院を始めとする医療資源が臨床研究に動員されることになります。ただでさえ医師不足や医療費抑制政策の下で疲弊している地域医療は更に疲弊され、地域の患者に多大なる犠牲を強いる可能性があります。
 医療分野での国際展開の一環として外国人受入れが広がれば、外国人による自費診療が横行し、診療報酬が低く抑えられている公的医療保険を使う国内の患者が後回しになる可能性があり、世界に冠たる国民皆保険制度の根幹を揺るがす大きな問題です。
 また、医療分野での先端医療開発がとにかく早く実用化させるという観点で行われれば、医療事故の発生や情報公開がないがしろにされるというおそれがあります。
 現在、神戸医療産業都市で起こっている課題から、この法案についての問題点を三点指摘させていただきました。
 御清聴ありがとうございます。
○委員長(水岡俊一君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○上月良祐君 自由民主党の上月良祐でございます。
 今日は、三人の先生方に大変本当にためになるお話をたくさん聞かせていただきましたことを心より御礼を申し上げたいと存じます。
 最後にお話をお聞かせいただきました武村先生、私も実は神戸の出身でございまして、友人からも先生のお話はいろいろ聞いてございます。大変一生懸命やっていらっしゃる熱心な先生だと聞いております。
 先生がおっしゃるように、確かに、経済優先といいますか、やっぱり医療のことが経済につながる、そういうふうな意識が大切なことだと思いますし、また透明性の問題、そういったことは大切にしていかなければいけない問題だというふうに私もそのお話を聞かせていただいて感じるところはございます。
 その上で、それをもちろん前提にしてということでございますけれども、やはり社会保障はどうしても、景気といいますか、経済、それによる税収、そういったものがなければ、社会保障にも更なる、何というんでしょうか、医療の発展にもなかなかつながらないというような問題もあろうかと思いまして、やはりそういう意味では経済の成長といったようなことにも強く意識をしながら、これまで以上に意識をしながら、先生の御指摘のようなことを十分念頭に置きながら取り組んでいかなければいけないかなというふうに感じた次第でございます。
 永井先生にまず最初お聞きしたいんでございますけれども、先生からいろいろお話をいただきまして、日本の今までの例えば創薬あるいは医薬品や医療機器の輸入超過が激しい、日本でなかなか実用化の部分がうまくいっていない、基礎研究はうまくいっていたけれども、そういう例があるというふうにお聞きいたしました。
 いろんな部分がまずいところがあったんだと思います。そして、ただ、それには何か原因があるんだと思うんですね。ただそうなっているという現象には、私、直すときにはやっぱりその原因のところから直していかなければいけないんじゃないかなと思います。それは例えば、役所の縦割りといったような問題もあるかもしれない、政治家の方の継続性が足りなかったというような問題もあるかもしれない。企業がリスクを取らなかったのは、何か税制上の問題があったのかどうか分かりませんが、何かあったのかもしれない。先生がお気付きになっているような原因というんでしょうか、これからいろいろな部分を前に進めていく上で気になっている点がありましたらば、お聞かせいただきたい。
 そして、今回新しい独立行政法人をつくるわけでございます。主として、独法ですから、企画立案をするというよりは、実際に予算を執行する、研究費を配分するといった機能がどうも主であるようでございまして、取りあえずスタートはそれでいいのかなと思いますけれども、その研究費の配分等に当たって気を付けるべき点、これまでの悪かった点を改めていく上でこういう点を特に気を付けた方がいいのではないかという点がありましたらば、お考えを教えていただきたいと思います。
○参考人(永井良三君) 大変難しい御質問ですけれども、こうした医療の実用化、開発研究というのは非常に広範囲にわたる要素が関係してまいります。ただ成果を積めばいいというわけではないんだということをやはりまず考えておく必要がありまして、また時代によっても変わるわけです。明治時代はかなり開発研究をやっていたわけです。三十年前は日本は基礎研究ただ乗り論ということで非常に国際的にも批判を受けていたわけですから、これかなり時代とともに変わるということをまず知っておく必要があると思います。
 それから、開発して成果を得るということはもちろん大事ですけれども、分かった上でやっていただかないと、社会的な影響が非常に大きいわけですね。ややもすると日本は科学技術で実学先行になりがちですが、やはり科学というのは一体どういうことなのか、成果を積むというのはどういうことなのかということをしっかり教育した上で、その上で成果を追求する。また、成果を積むことによって起こるいろいろな二面性ですね、ネガティブな面もいろいろあるわけです。そういうこともよく教育した上で、そして開発に向かうという、そうした科学教育というようなことも非常に大きな要因ではないかと思います。もちろんシステムとか国の縦割りとかいろんな問題はございますけれども、まず基本はそうした教育だろうというふうに思います。
 それから、期待されるところでありますけど、確かに総合的に見ると、まさに今回うたっているのは総合戦略でありまして、ただ開発すればいいということでは必ずしもないと思います。ですから、総合的な開発が、あるいは研究ができるように、それから何よりも、もちろん、先ほど武村先生がおっしゃったように、産業振興のために我々はこういうことを推進しているわけでは必ずしもなくて、やはり社会と協働して、倫理を踏まえて、こうしたことが非常に重要な学術であるということ、単なる何か人体実験をやっていくようなことになってはいけないわけですから、きちっとした位置付けをしていただきたいということが今回の法案に期待する大きなところでございます。
 もちろん研究費の配分においては、やはり基礎研究というものを決してないがしろにすべきではないと思います。これは科学研究費できちっと保障されているところだと思いますし、今回は必ずしもそこまで含めているわけではございません。ただ、病気の基礎研究というものはしっかりやっていかないといけないだろうというふうに思います。
 以上です。
○上月良祐君 ありがとうございます。
 成果を急ぎがちな我々といいますか私なんかも、やっぱり成果を一生懸命出さなきゃいけないんじゃないかという、思いは大切なんでしょうけど、急ぎ過ぎちゃいけないという御指摘、本当に身にしみて、改めて踏まえさせていただきたいと思います。
 研究を進めていくときに、何というんでしょうか、先ほど、四%だった、しかも実際の治療に使ったのは一件だったというようなお話も例として出ておりました。研究費の配分とかをするときに、やっぱりもちろん財源は限られている。NIHに比べれば少ないかもしれないけど、それでも大きな財源ですが、それでもやっぱり限度があるわけです。将来の可能性を見てもちろん配分をするんだと思いますけれども、どこかでの段階では泣く泣く切らないといけないような場面もあるんだと思います。無限にあればそれはどんどん付ければいいけれども、そういうわけにもいかないんだと思います。
 そういう意味で見極め、要するに、これが成果につながるかもしれないという見極め、かなり遠い先まで見通して見極めないといけないんだと思いますし、そして、淘汰というんでしょうか、絞り込みというんでしょうか、それもきちんとしなければ本来付くべきところに、もっと回すところに回せないというような問題があるんじゃないかというふうに思うんです。
 これは、今回のでいうと、プログラムディレクターとかオフィサーとか、こういう人たちの仕事でもあるんだとは思いますけれども、もっと言うと、お役所さんなんかももちろんそういったところ、あるいは学校なんかもそうかもしれません、ちゃんと見ていかなきゃいけないと思うんですけど、これは大変難しいことだと思うんですね。医療だけじゃなくて産業技術でも、つくばなんかにたくさんそういうのがあっていろいろお話を聞いたり議論すると、そこすごく思うんです。大変いい技術ができた、これはもう何十年も前からやっていたんだと聞くと驚くこともあります。その将来に向けての、何というんでしょうか、見極め、付ける方も削る方も、その辺、先生のお考え、どんなものか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(永井良三君) これは先ほど私の資料で二十五ページ目に、PDCAサイクルということをお話しいたしました。単に開発するだけではなくて、必ず評価を受ける、検証を受ける、そして新たな課題を抽出するということ。この四番目のところがやはり非常に重要でありまして、だらだらと研究は続けない。あるいは、現に今行われている様々な治療法、検査法にしても本当に意味があるかどうかということを常に検証しないといけないということであります。
 ですから、ややもすると開発というのは一直線のように考えがちですが、これは循環しているんだということをこの二十五ページ目の図で示しているつもりでありますけれども、その評価、検証ということ。その中で意味のないものを排除していくという作業は極めて重要でありまして、それは常に現場からの情報を集めて分析していくということ。どういう人に効いて、どういう人に効かないのか、そもそもほかの治療法と比較して意味があるのかないのかという評価、検証のシステム、これは非常に重要なことで忘れがちになるところではないかと思います。そのためにPD、POという人材育成も必要ですし、社会全体のシステムとしても評価、検証システムをしっかりつくっていくということではないかと思います。
○上月良祐君 ありがとうございます。
 そういう意味で、何というんでしょうか、人材というのが私、もうどこの分野でもどんなことでも人材が全てではないかというふうに思っておるんでございますけれども、学長も来られていらっしゃいますけれども、永井先生に、そういう意味では、POとかPDみたいな人たち、要するに幅広い視野を持って、そしてきちんと適切な判断ができる、現場との連携、専門に特化し過ぎないで、コミュニケート能力というんでしょうか、そういうのもあって判断できる、そういう人たちを育てるというのは大変な難しいことだと思うんですが、逆に言うと、しかしそういう人がいるかいないかが日本の将来にも大変重要ではないかというふうに思います。
 今、学長もやっていらっしゃるわけですけれども、学生さんを見て、あるいは中高時代から、まあ小学校からかもしれませんけれども、そういったところから見て、人材育成に関して気になっていることがございましたら教えていただきたいと思います。時間が余りありませんので短く教えていただいて、もし時間があれば濱口先生にもお願いしたいと思います。
○参考人(永井良三君) 同じ場所でずっと勤務していると、やはり価値観というのは固定化してきます。こうした幅広い問題に対応するには、人材の流動性ということをよく考えないといけない、そのための支援するシステムをつくっていかないといけないと思います。現場も知っているし、本当の基礎研究も知っているし、マネジメントもできると、これはやはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングでありますので、社会全体として、研究界全体としての流動性の問題ではないかと思います。
○上月良祐君 ありがとうございます。短く、済みません、総長にもお願いしたいと思います。
○参考人(濱口道成君) 二、三点、気付くことをお話ししたいと思います。
 従来の大学は、高等教育は、純粋科学の塔の中へこもっていたと思います。これが社会との連携がなかなか弱い原因になっていて、大学の改革で、今、リーディング大学院というのがございます。私どもも六プログラムを推進しておりますが、社会の一線で活躍されている方のお話を大学院の講義の中へ入れていくと、これが非常に効果があるということが分かってきました。
 もう一点は、講義型の授業ではもう駄目ですね。やはり、主体的に考えさせて意見を言う、それから多様な価値観をしっかり押さえる、理解できる人材をつくる。これは、海外へ送ったり自分で物事を考えさせる、こういうチャンスをどれだけ大学の現場で増やせるか、そういうこと。
 それから三点目は、産学連携を大学の組織にどこまで埋め込めるかということがかなり大学の現場から見ていると大きなファクターになってくると考えております。
○上月良祐君 どうもありがとうございました。
 今後ともどうぞよろしく御指導いただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○蓮舫君 民主党の蓮舫でございます。
 三人の参考人の先生方、大変お忙しい中、今日はお越しいただけたこと、そしてそれぞれのお立場、それぞれの角度から両法案に対する御指摘をいただいたこと、心から感謝を申し上げます。非常に勉強になりました。
 まず、武村参考人にお伺いをしたいんですけれども、まさに御指摘、御懸念されている点というのは私もよく分かります。特に、今、日本は医師不足というのも進んでいる中で、地方は過疎化が進んで、高齢化が進んで、やはり地域医療がその地域の人の命を大変支えてくださっている大切さというのは、これは否定してはいけないと思います。
 その部分で、今回の両法案を見ていると、どうしても、経済の優先であるとか実用化というところに仮に重きが置かれた場合には、その人命との間でどちらが優先されるのかという御懸念はよく分かります。ただ、他方で、基礎から実用化までがシームレスで支援されることによって、世界に先駆けて医療機器やあるいは医薬品等が開発され、そしてそれが実際に販売され、そして患者さんが使われることによって患者の命が助かりますし、長寿化、健康寿命も延びることにつながりますので、この両法案に対して、ある意味で武村先生のお立場で期待できるところがあるとすれば、それについても一言伺わせていただければと思います。
○参考人(武村義人君) 民主党さんが医師をちょっと増やしていただきましたけど、まだちょっと、OECD千人当たり三・二で日本が二・二。偏在か少ないかということですけれども、私どもにとりまして、地域医療の中で地域が非常に疲弊していると、それをやはりひとつ回復させなければならない。病院でお産ができるような公立病院というのもだんだんだんだんなくなって、子供が入院できるような病院施設もどんどんどんどんなくなってきているというような状況。
 この間も東京で、小児科の病院で何人かまとめて辞めたというような、そういう現在状況が起こっておる中で、私としては、町医者ですから、研究開発その他いろいろとやって医学が発展することは非常に頼もしいことだと思っておりますけれども、やはり医療のインフラの整備ですね、やっぱりそこを重点した上でやっていかないと、どうもここら辺でのお話になりますと、医療そのものはやっぱりお荷物であるということだというふうに僕は感じてしまうわけですけれども、決して医療そのものはお荷物ではないと。医療そのもの、医療に従事する人間がしっかり生活すれば、やっぱり景気が回復すると思っておりますし、経済も回復するというふうに信じておりますので、研究の方は私、ここがええなというのはなかなか、それはちょっと、要するに、情報をちゃんと公開して、倫理性、安全性をちゃんと担保した上でやられるのであれば僕は別に問題はないと思っていますけれども。
 現場の方が大変ですので、私もこう見えて診療所で在宅の患者さん五十人抱えていまして、今携帯電話に五十人いつ掛かってくるかという、今はちょっとほかの人に預けていますけれども、開業医もそういう時代に来て二十四時間待ったなしの態勢でおらなければならないという、非常に非人道的な制度に今なっていることを御存じいただきたいというふうに思います。
 以上です。
○蓮舫君 ありがとうございました。
 やはりその地域で、現場で医療を頑張っておられる方たち、その関係者の方たちも、あるいは実用化に向けて汗をかいておられる関係者の方たちも、実際に研究の現場で本当に御努力をされている方たちも、やっぱりこの方たちの意識が一つの方向性を見ていただくということが私はとても大事だと思います。
 そして、産学連携がうまくいかない、医療イノベーションが、例えば文科、経産、厚労のいわゆる省庁の縦割りの弊害で、なかなか諸外国、先進国に比べて日本は、基礎研究は一流だけれども、死の谷というものがあるというのは、これは古くて新しい問題で今に始まったものでもない。我々の政権のときにも今の現政権も、手法は違うけれどもやっぱりそれを進めなければいけないという意識はあるんですね。
 濱口参考人にお伺いをいたしますけれども、今回のこの両法案が通って内閣に総理大臣を長とする本部ができて、そこが司令塔機能の計画を作って、中核を担うために独立行政法人がファンディング等をしていく。これは、うまく機能するといいますか、今まで言われた死の谷をやはり一足飛びで越えるような期待というのはあるものでしょうか。
○参考人(濱口道成君) 死の谷をいかに越えるかというときに、いろんなファクターはございますが、日本はやはり安全、安心の基準が非常に高いので、時間を掛けてそれを検証しなきゃいけない、これは我々の責任でございます。ですから、まず時間が掛かるということと、もう一つは、見過ごしてならないのは、従来、研究が全て個人の責任で行われてきたことにある。何かコンパウンドを見付けたとしますね、抗体を作ったとしますね。それを臨床現場に使えるようにするためにも、パテントから治験から全部その個人が中心になってずっと動いていかなきゃいけない。これが疲弊を生む原因なんですね。
 例えばパテントを取ると、十年間ほとんど論文を書かずにそちらに集中しなきゃいけない。これは、基礎研究中心で動いてきた研究者にとっては命取りになるんです。自分のプロモーションを図るためにはやっぱりしっかりしたエビデンスを出さなきゃいけないですから、論文を書かなきゃいけないんですけれども、パテントを申請してそれが認められるまではそれを発表できないとなりますと、大学院生の発表もできないわけですね。そこの部分をどうクリアしていくかの知恵がまだまだ足りない。
 今必要なのは、我々名古屋大学でやっていますのは、治験等の後半の部分は個人に任せない。大学病院に臨床研究のセンターをつくりまして、そこで五十人のスタッフを雇って、今百人近くになってきていますけれども、それがマネージしていくと、治験から何から。これは実は、我々のオリジナルなアイデアではなくて、アメリカでいきますとデューク大学が一番先行しておりまして、デュークでは大学の外に千人規模のそういう組織を持っております。それで初めて現場へ届くんですね。それが、いかにも我々の今の作業はクラシカルな個人の責任に全てが懸かるシステムになっている。これをファンディングの中で組織的に行うということをPO、PDも含めて実現していただくことが、まず第一関門突破ではないかと思います。
○蓮舫君 濱口総長が以前雑誌のインタビューを受けておられて、政治家や経済人は早稲田と慶応に任せて、そして官僚は東大、京大に任せて、科学者は名古屋大学がつくっていくと。極めて目標がはっきりしている大学だなと私は思っているんですが、一点これ、聞かせていただきたいんです。
 今回の法案が通って機構ができると、科学研究費のパイは限られています、その中で実用化、シーズが明確にピックアップされたものに対しては、一気に予算付けの優先順位がこちらに傾倒します。そうなると結果として削られる研究分野があるということも、おとといの答弁のときに官房長官はお認めになりました。結局、その限られた中の優先順位を、資源を、あるいは資金をどういうふうに分配をしていくか、そしてそれをどうやって総合戦略で支えていくのか。ただそれは、基礎研究の実用化に向かないものをおろそかにすることではないんだけれども、ここに対しての懸念というものは関係者から様々表明されています。
 他方で、大学というのは競争的資金を取りに行きますから、そのときに、今でもやはりある意味人気があるといいますか、どうしても脚光を浴びやすい研究に人が寄せられやすいといいますか、その部分のアカデミアの役割としてのバランスというのはどういうふうに取られるおつもりでしょうか。
○参考人(濱口道成君) 大変鋭い御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 私どもは今、率直に言って危惧しているのは、基盤研究がしっかり確保されることが大前提で今度の医療戦略が進むだろうと考えています。基盤研究そのものは文部科学省の科研費の基盤研究で、これは幅広く薄く長くサポートをする。この裾野があって、何百、何千という中から立ち上がってくるものがあります。
 例えば、医療ではございませんが、うちの大学で出ました青色発光ダイオードという発明があります。赤崎先生の発明でございますが、これがなかったら今のパソコンもディスプレーも全然できないんですね、カラーディスプレーも。これ、初期は科学研究費の基盤研究で十年以上ずっと薄くサポートされていた。先生自体は、一人荒野を行くごとくだと、すごい孤独感の中で実は研究者はもう前を見詰めてやっていくんですね。そこのところの細い命脈を保っていただく、言わば裾野を担保していただく基盤研究を維持していただかないと、この構想は土台なしの上部構造だけになってきて壊れやすいものになると思います。そこを是非担保していただきたいというのが切なる願いでございます。
○蓮舫君 ありがとうございます。
 永井参考人も先ほど人材の育成の大切さに言及をされておられましたけれども、今回の法案通って実際に動き出すときにやはり一番大きなキーとなるのは、私はプログラムディレクター、プログラムオフィサー、その目利きという部分に随分と力が出てくるんだと思うんですね。
 ただ、今現在、例えばPMDA、JST、理研、産総研、それぞれ研究をしていて、それぞれもプログラムディレクター、プログラムオフィサーを持っているんです。参考までにJSTなんかに聞きますと、PDは十九名おられてPOは百九十九名おられる。それぞれ独法を持っているんです。ただ、それでも自分たちの研究の中でも縦割りを排してそこからシーズを実用化に持っていくというのが難しかったと。
 私はこれ、独立行政法人制度の限界だと思っているんです。独法というのは行政改革の一環でつくられたものですから、むしろ効率化であり、国よりも費用対効果を安く抑えるという。今回一つだけ懸念しているのは、私たちの政権のときには政府の直轄の下で政府内にこうした新しい機構の能力を持たせようとしていたんですが、今回の政府はそれを外出しにして独立行政法人制度にする。
 そのときにPM、PDをどうやって獲得するかといったら、やはり人件費の魅力であるとか労働環境の良さというとき、ただ、そのときに独法というのは、人件費というのはラスパイレス、国家公務員の給与よりも安くしなければいけないという方向性が出ておりますので、人材獲得がやはりちょっと難しいのではないか。あるいは、これからもし教育をされるとしても時間が掛かりますから、経験豊富で、あるいはその専門性にたけている方等を見付ける、つくっていくというのはすごく、私はここでまた時差が生じるのを若干懸念しているんですが、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(永井良三君) 従来の枠組みというのはやはりそれなりに限界はあったし、このような総合戦略という意味では限界があったんだろうと思います。もちろん、優れた人材、JSTを始め産総研等にたくさんいらっしゃいますし、随分いい人材が増えてきたということを私自身感じております。しかし、より広い視野で総合戦略を考えるという意味では、今回取りまとめていったというのは非常に重要なことではないかと思います。
 ただ、これはどこかに任せればうまくいくということでは、御指摘のようにうまくいくわけではないと思います。これは、もう社会と研究者とマネジメントする人たち、アドミニストレーター、あるいは政治の方々が一体となって協働してつくり上げていく大きな彫刻のようなものだというふうに考えておりまして、また、ほかの国はみんな事情が違いますから、我々なりに日本としてその作業を連帯してやっていくというその手始めで、やはり多少時間が掛かっても進めていかないといけない作業であろうというふうに考えております。
○蓮舫君 時間がもう限られているんですが、最後になりました、濱口参考人には、私たちの政権のときからもこの医療イノベーションの推進に大変な御尽力をいただきましたので、今回の両法案に対して、改めて最大限ここは注意して見ていただきたいというような箇所があれば一つ。
 それと私、これは質問でも確認をさせていただいたんですが、この独立行政法人の現住所を東京とすると条文に書いてあるんですね。私は、こういうふうな首都重視の考え方は、これは本当できれば変えてもらいたかった、名古屋に置いてもよかったと思いますし、それこそ兵庫、神戸でもよかったと思いますし、こういう部分も含めて何か注文があれば一つだけ教えていただければと思います。
○参考人(濱口道成君) 注文は二つ。
 一つは、PO、PDをどう育成するかということを本当に真剣に考えていただきたい。この点は、実は人材あるんですよ。日本はポスドクたくさん育成してきまして、今一万七千人、隠れポスドク入れると七万人、このうちの一〇%が四十以上なんです。その四割が実は生物学、分子生物学の研究者、非常に近いんですよ。それから、企業側も残念なことに製薬会社がどんどん研究所を閉めております。研究の現場にいた人材がどんどんどんどん放出されている。こういう人たちを吸収すれば短期的にもこれかなり実現可能だと思っております。
 それから二つ目は、効率的に進めるキーポイントはネットワークだと思います。お金のないと言ってできないというのは、これは弱音にすぎないんですね。なきゃないでやってきたのが戦後の日本であると、それを今私たちはもう一回戦後の魂を呼び起こして、どういうふうにしてこのシステムをつくり上げていくか。弱音を吐かずにシステムをつくるためには、全国の大学病院がネットワーク化されると、こういうことが一番力になってくると思います。是非これも御支援いただければと思います。ありがとうございます。
○蓮舫君 ありがとうございました。
○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。
 今日は、ドクターの先輩、三人の諸先輩方に胸を借りるつもりで様々質問をさせていただきたいと思います。
 私は、この医療・健康二法の成立しますれば、新しいものの開発というものはどんどん進んでいくということを期待をしています。しかしながら、これまでのものをどう整理していくかという視点も重要で、恐らく武村先生が地域医療を守っていく、そういったものを両立していくことの重要性をお述べになったんだろうと思います。すなわち、これまでの研究成果も評価しながら、これまでの医学の常識と医療の間に横たわっていた乖離といったものを埋めていく作業をしないと、シーズというのはやっぱり見付からないんじゃないかという思いを持っています。
 今日、永井先生、濱口先生、内視鏡の話をされましたので、ちょっと私も例に出したいと思うんですが、例えば胃がんの原因がピロリ菌であるということは、ある意味では医学の常識でありました。しかしながら、それが長い間患者さんに提供されるということはありませんでした。胃がんの原因がピロリ菌であるということの意思決定が行われていなかったからそれが提供できなかったという整理になるわけでありますが。
 だから、こういう立場にさせていただきまして、国会で胃がんの原因はピロリ菌ではありませんかと質問をさせていただいて、そこで認めていただければこそ、それから、外では例えば薬事承認、適応拡大を製薬会社等々に様々な医学界の支援も賜りながら働きかけて、申請が行われ、薬事承認が出され、同日付けで、提案をしっかりしますれば厚生労働省の対応というのは非常に早くて、結果として、胃がんの原因がピロリ菌であるということを認めていただいてからたった二年間で保険適用が実現をするという運びになり、昨年だけで出荷ベースで百十万人の方が除菌をしたということになりますれば、多くの方が胃がんが予防ができるようになり、かつ、胃カメラをしないと除菌が保険適用になりませんので、結果として多くの早期の胃がんというものを見付け出す効果がたったこの一年の中でもあったんだろうと思います。しかしながら、WHOが胃がんの原因がピロリ菌であると認めたのは二十年前の話であります。保険適用まで二十年間掛かってしまいました。
 こういった状況を考えるときに、NIHもできました、医学の常識を医療に反映をさせるために、この間に横たわる乖離というものを今後どのように埋めていかれることになるのか。恐らく、大学が果たさなくてはならない役割、研究所が果たさなくてはならない役割、そして医学界が果たさなくてはならない役割というのは極めて大きいと思います。お三人の先生方に伺いたいと思います。
○参考人(永井良三君) ただいまの例は、まさに慢性疾患に対する治療をどう評価するかということとも関係がございます。
 従来、開発ばかり考えていますと、先ほど話したPDCAサイクルのチェックとアセスメント、これが必ずしも皆さん目が向かない。こういう慢性疾患というのは、非常に低い確率でがんが発生したり脳卒中が起こってきます。これを評価するためには、きちっとした臨床研究、臨床疫学というものが必要になるわけで、これがコストと時間が非常に掛かるわけです。あるいは人材も必要になります。そうした体制が必ずしも十分でなかったんではないか。
 ですから、今回の法案の中でも、PDCAサイクルということをかなり打ち出していただいておりますけれども、まさにその問題ではないかと考えております。
○参考人(濱口道成君) 複合的な原因はいろいろあると思いますが、一つは、症例の管理、永井先生もおっしゃっておられる、これをある程度の数をしっかり固めて、フォローアップをして、エビデンスをきちっと出すというシステムがまだまだ足りないんではないかと、そういうふうに実感しております。
 数がやっぱり足りないですね。それは、理由は、先ほども申し上げましたように、大学病院といっても、外来患者が千人、二千人のばらばらになった状態で、特定の疾患に対してしっかりした数のエビデンス出すのにはネットワークが必要なんですね。それができていないところが一つの弱点になっている。
 もう一つは、あえて申し上げますと、やはりこういう未踏の分野へ入っていく場合、ピロリ菌の場合はかなりソリッドなエビデンスはありましたが、一般的に考えると、未踏の分野に入っていく場合にはかなりの検証が必要でありますし、安全管理も必要でありますが、責任を誰が負うかという問題が常に付きまとうんですね。
 それから、予測しない事態が起き得る。例えばサリドマイド、昔、睡眠薬がありましたが、あれ、予測しない、マウスではちゃんと大丈夫だったんですけれども、人間で妊婦が飲んだら奇形が生まれる。ところが、またそれをずっと後でフォローアップしていったらがんに効くということが分かった。こういう、二転三転してくる。
 人間というのは実に複雑な対象でありますので、検証は確実にやっていかなきゃいけない。それをどういうふうに科学的にやるか。キーポイントは、ピアレビューで複数の人間がきちっと組織的にやるということと、責任体制をどうするかということであります。誰か決めた方が刑事的な責任を負うようなシステムであったら、これは前へ進まない。ディシジョンメーキングのところは、これは日本国としてやるという腹を据えた決定を政府の側でしていただかないと、現場は尻込みするだろうと。それを、メッセージをしっかり現場に伝えていただくことを是非お願いしたいと思います。
○参考人(武村義人君) 私はあくまで臨床家でありまして、研究の方は全くお粗末な頭をしておりますが、現場で、特にピロリ菌、胃カメラ等に関して言いますと、もうはっきりしているのが、技術者の、医者のカメラができる人が少なくなったということで、昔は診療所でも週に二回やっておったのが、どうも人が確保できないということで人が一人になっちゃいまして、やはりその人も兼務であちこち回っておられるので、やはりそういう症例を集めたり管理したり、例えばピロリ菌の除菌が成功してどうなったかとか、失敗してそれがどういうふうながんに発展していったか、そういうところまでは、多分やりっ放しになっている可能性がやっぱりあるやろということで、その場しのぎ、診療もそうなんですけれども、その場しのぎその場しのぎになってしまっていてやっぱり積み重ねがないというのは、臨床をやっておってそれは非常に感じるところであります。
 以上です。
○秋野公造君 ありがとうございます。
 ちょっと追加して申し上げますと、今回のピロリ菌の保険適用までの道筋というのは、既存の薬で適応を拡大するという作業、これは公知申請で行われることになりましたので、そういった意味では大規模な治験も必要とせず、ある意味では発想の転換をしていただくということが多くの胃がんの予防につながるということになったということで、図らずも、何でもかんでもそれを国会で意思決定していくことがいいかどうか私はよく、今回はそうなったわけでありますが、その意味では、濱口先生の言われたディシジョンをしっかり国が行っていくということの重要性は、結果としてそうだったのかなということを思いました。
 その上で、永井先生からも育薬という御表現もありましたので、そういった意味ではこれも、既存の薬を適応拡大をさせて多くの命を救う結果になったと思いますので、この育薬について、どういう取組、これは恐らく全部見直していくような形になるのか、これもやっぱり目利き、あるいはそういう、医療と医学の間に横たわっているものというのは多くあるだろうという前提の下にお進めになるべきなのか、ちょっと一言だけコメントをいただけたらと思います。
○参考人(永井良三君) これも非常に総合的な対応が必要だろうと思います。従来の医薬品というのは、薬事承認のときは非常に狭い範囲でしか取得しておりませんので、やはり臨床研究、疫学等を通じて適応拡大、それから差別化ですね。例えば、有効性は同じでも副作用が少ないというだけで非常に価値が生まれるわけですので、そうした研究を推進するとともに人材とか支援システムを作る、また企業の方もそういうことをちゃんと意識してやっていくという、そうしたこれも総合戦略なんだろうと思います。
○秋野公造君 ちょっと内視鏡について、せっかくですからお伺いをしたいと思います。
 先生方が今日言及されましたように、粘膜切除術を始めとする内視鏡を使ったがんの切除術というのは、ある意味では、北海道から沖縄まで全国津々浦々、同じ質でどこででも多くの方が提供できる国というのは日本だけであります。だからこそ、海外に展開をされていらっしゃる先生方の努力というものを本当にすばらしいと思いながらも、一方で、たくさんの研修生が日本に来ていただいてはお帰りになって、例えば機械のメンテナンスが行えないだけでなく支える人材も育っておらず、医療全体をパッケージとして輸出をしていかなくてはいけないということもよく理解をした上で、しかしながら、これだけ質が高い医療ができるのは日本だけであるというメッセージは世界になかなか伝わっていないんじゃないかと思っています。
 もうちょっと言いますと、私は例えば国家戦略の中にこういったものを位置付けて、早期胃がんで見付かったとしても開腹手術しか選択肢がない海外の人たちに、日本に来てくだされば内視鏡を使った医療を受けることができますよというような形で日本に来てもらうような方向性というのは恐らくあるんじゃないかと思っているんです。
 千三百万件の症例が、胃カメラ、大腸カメラ等行われており、百万人の観光客としてそういう治療を受けたいとして来ていただいたとしてものみ込み得る範囲じゃないかと。そこについては、目については難しいようなお話もありましたが、内視鏡については、一千万人の観光客といいながら百万人の方がそういう形で治療を日本に受けに来ていただいてものみ込み得る範囲じゃないかと思っています。
 外に展開することも大事である一方、日本に呼ぶという形で海外の方にもこの日本の高い医療というものの恩恵に浴させるという考え方について、三人の先生から短いコメントをいただけたらと思います。
○参考人(永井良三君) これは程度次第ではないかと思います。本来の日本の医療が損なわれてしまっては元も子もございませんので、やはり国際的な人材育成ということを図りつつ、できるところでお手伝いをしていくということが筋ではないかと思います。
○参考人(濱口道成君) 三点申し上げたいと思います。
 一点目は、私ども国立大学病院は国民の税金で賄われている病院でございます。ですから、我々の使命は日本国民に支援をする、支える、奉仕する、これが第一義的な責任でございます。それ以上のことはできないと思います。
 二点目としては、内視鏡をなぜベトナムで始めたか。我々、長期構想としては、日本人によるベトナム人の指導の次にはベトナム人によるベトナム人の指導、それからベトナム人によるラオス人、カンボジア人の指導、こういう展開をずうっと考えております。裾野が広がります。日本の医者が足りない足りないという現場で一人二人受けるという、そういう小さい構想ではなくて、大きな組織的なシステムをつくり上げれば、自然と日本の医療は海外へ広がっていくだろう、しかもそこで自立が図られるだろう。
 もう一つは、ラオス、カンボジアの現場を見ますと、日本でもそうでありますが、日本へ来て日本の医療を受けられる人は限られています、中東ならいっぱいおりますが。中東の人は今実は日本へ来ないんです、もう。バンコク病院というのに行ってきましたが、先々週、タイで展開しております、中東からいっぱい来ています。三十か国対応できる通訳がおる。一泊百万円の病室があるんですね。中東からどんどん健診に来ております。そんなことは例えば大学病院では構想外でありますし、やはり医療の本質は全ての人に隔てなく均一に最高の奉仕ができるようなシステムをつくらなきゃいけない。ミャンマーだとかベトナムの普通の人が受けられる医療を現地で実現するためにはやはり現地にそのシステムをつくる必要があると、これが私の今の実感でございます。
○参考人(武村義人君) 今内視鏡でがんの切除のお話は日本のどこでもとおっしゃいましたが、私の診療所は神戸大学病院の横でありますし、その市民病院の近所でもありますし、神鋼病院という、ローカルな話ですけれども、大きな病院もあります。どこでもできるわけではないです。やっぱりあの先生がおるからあそこへ行けということで、まだまだ技術の普遍化は、私の直感ですけれども広がっていない、神戸市内の中でも。ましてや、ひとつ田舎へ行ったら、多分それはもう手術、切開するしか方法がないという形で選択は多分取られるだろう。
 兵庫県というのは日本海から瀬戸内海まで広いんですけれども、下手すると北側のスキー場で骨折したら整形外科がないからもう南側まで、神戸の方まで下りてこなあかんというような状況の今医療の、日本のインフラなんです。だから、正々堂々とどこへ行っても胃の内膜のがんは胃カメラで切除できるという今の日本の医療供給体制にはないということを、私はそういうふうにはっきりと感じ取っておりますので、その技術を外国の方に提供するというのはいかがなものかなというふうに思っております。
○秋野公造君 最後にしたいと思います。
 保険適用という背景がありますので、全国ひとしくというのが前提だと思いますので、永井先生の言われたできるところからという部分ということかと思います。本当に勉強になりました。ありがとうございました。
○山口和之君 みんなの党の山口和之でございます。ふだんはこちらの方におるわけではなくて、厚生労働委員会の方におりますが、今日は出向してこちらの方に参りました。
 先ほど来、すばらしいプレゼンテーションを三人の先生方、参考人の方々にお聞きしました。まずは、医療分野での先端的研究開発というのは経済を優先するべきではなく、まず医療、人のための地域の医療から、そこ犠牲になってはいけないということから始まって、それから、限りある医療資源で少ない、医師不足がこういう現状にあると。西日本で医師不足が現状にあると言われたら、私は福島県ですので、東日本はもっと足りないと。正直言って非常に少ないところで、ましてや福島県ですので、非常に医療が少ない状況のところにおります。
 先ほど来、先生方のプレゼンテーションをお聞きさせていただいたんですけれども、ちょっとシンプルな、基本的な質問になってしまうかもしれませんけれども、日本医療研究開発機構は世界最高水準の医療の提供に資する研究開発及び環境整備の実施ということで、目的に多分つくられるんだと思いますけれども、そうであれば、日本は自動車で、歴史の中では自動車が世界一すばらしいと、車もすばらしい、それからソニーで代表される電気製品もすばらしかったと、あるいはゲームでもすごいすばらしかったというふうになっておりますけれども、新たな世界ブランドとしての医療あるいは薬、医療機器等が世界ブランドとして出てくれば、日本にいる国民はすばらしい医療を受けることができる世界になるんだと思いますが。
 先ほど来お話の中に出てくるんですけれども、これは毎日新聞のものなんですけれども、日本版NIHは尻すぼみという話が出てきます。しっかりと世界水準に持っていくためのものになっているのかということを、これをどういうふうに評価されるのか、永井参考人、濱口参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(永井良三君) NIHといいますと、まずアメリカのNIHを想定するわけでありますけれども、アメリカの経済、医療というのはまさに市場原理でありまして、果たしてそれが日本に当てはまるかどうか。国の歴史、システムが大きく違いますので、これはアメリカのNIHに比べれば比較すべきもないということは事実かと思います。
 しかし、世界の状況を見ますと、アメリカが例外でありまして、イギリス、ドイツ、フランス、スイス等はそれぞれの国に応じたNIHというものをつくっております。したがいまして、アメリカと日本というだけではなくて、グローバルな見方を考えれば、それぞれの国に合った、日本に適したシステムとしては、特に第一歩としてはこれはしっかりしたものに、期待できるのではないかと考えております。
○参考人(濱口道成君) 全体として感じておりますことは、随分今の医療機器や医薬品の承認は前進してきたと思うんですね、ここ数年。問題は、グローバルスタンダードになるかどうかというところでありますが、これはやっぱりFDAなりの基準なりも横でよく見ながら、それとすり合わせするようなプロが必要であろうと、法律の隅々までですね。
 それからもう一つは、やはりまだ研究が足りないなと思っているのは、医療機器で特に思うんですけど、日本の承認の場合、まだまだ、これからマイルストーンをきちっと確実に設定していただくようなプロセスが必要なんではないかと。大分今進んでいるというお話は聞いておるんですけれども、アメリカの場合、審査が非常に分かりやすいんですね。これとこれとこれをクリアしたら承認しますよとはっきりしている。そういう透明性の高い審査というのをシステミックに確立するような研究をしていただきたいというのが一つございます。
○山口和之君 ありがとうございます。
 濱口先生の資料の三ページなんですけれども、アメリカと比較してはという話もありましたけれども、例えば日本の場合はファンディング機能のみのようなイメージがあるんですけれども、米国のNIHはファンド機能のほかに病院機能、研究機能が一つの組織内に入っているわけですけれども、これのメリット、デメリット。つまり、日本の場合は入っていないと。アメリカの場合、まあ比較しちゃあれなんですけれども、入っている入っていない、メリット、デメリットがあると思うんですけれども、そこを濱口参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(濱口道成君) 日本型のメリットといいますと、ボトムアップが利きやすいだろうと。うまくPO、PDが働けば、現場の意見を幅広く全国隙間なくカバーできる形は、組織はありますので、例えば大学病院、各県にあります、それからいろんなセンターがございます。これをうまく、そこからの情報をどれだけうまく中央に吸い上げれるかに懸かっておりますが、それをやれば、別に弱点ではなくて、むしろ日本の方がきちっとした均てん化ができるシステムになり得ると思うんですね。そこは魂を入れれるかどうかのところに懸かっている、人材に懸かっていると思います。
 デメリットは、やっぱり従来から分かっておることでありますが、縦割りになっているとか、それからばらばらになっているということ、まだ現状でですね。それから、最初のところでも申し上げましたが、横断型あるいはバックキャスト的に二十年後日本が何が必要かというところから見て今どういう研究開発をするかと、こういう発想がまだ立ち上がっていないんです。
 そのバックキャストの典型は、例えばハイブリッドエンジンがそれでございます。名古屋で開発されましたが、二十世紀末にトヨタ自動車は、二十一世紀に何が必要か、車として、クリーンなエンジンで環境に対して負荷が少なくて、資源を使わないエンジンと、これでハイブリッドが出てきたんですね。三年で開発しております。
 医療の現場ではやはり患者さんの安全、安心をきちっと守っていかなきゃいけないので三年というのは無理でありますが、こういうバックキャスト的な、戦略的な分析をして、この分野に投資をするというような機能が全体像としてはまだまだこれからだと思います。是非御検討いただければと思います。
○山口和之君 今、ばらばら、縦割りという話も少し出ましたけれども、類似の研究を行う文科省の科学技術振興機構あるいは経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構の健康・医療関連部門及び医薬基盤、健康・栄養研究所、今度統廃合になるところがあるんですけれども、こういうものを統廃合すべきではないかとは思うんですけれども、そのことについて濱口参考人にお聞きしたいと思うんですけれども。
○参考人(濱口道成君) 統廃合したときにどこが所掌するかというのが大きな問題であります。
 今の日本政府のお考えは内閣府がやられる場合が多いと思いますが、これは現場から見ますと、余りにも内閣府に負荷が掛かり過ぎて中央に集中し過ぎであると。むしろ、二十一世紀の科学技術の今の開発のスピードは、現場に基づいて、それをICTを使ってあるいはビッグデータを使って解析しながら流動的に動いていく要素がないと今のスピード感に勝てないですね、世界全体の展開に。集中化するということは、それだけプロセスが増えますし、意思決定も時間掛かります。それから、一つ一つの案件に掛ける時間も掛けれないですね。ですから、そこをいかに効率的に無駄なく組織全体が動くような、そういう工夫が要ります。
 これは私ははっきりまだ明確に申し上げるまでの力はございませんが、ICTはキーワードになってくると思います。それで、現場としっかりしたつなぎ方をする。
 例えばカルテ、これ、電子カルテ、全国の病院持っていますが、それが実はそれぞれの病院単位になっていますね。これを例えば個人情報をきちっと守った形で全国のカルテをざっと統一化して情報管理ができれば、どんな病気があったって、すぐ何万人というオーダーで分かるわけですよ。この薬使っておったらどれぐらい治って、この人にはこういう効果あるけどというのも、それもすごい数でスピード感を持ってできるんですけど、全然そういうシステムができ上がっていない。これが日本の弱点だと思っております。
○山口和之君 ありがとうございます。
 先生方のパワーポイント資料を見ますと、各々課題が載っておるんですけれども、解決には相当時間を要するのか、もうちょっとこういうふうにしていただければ解決の道は近くなるというものがございましたらお願いします。三名の先生方。
○参考人(永井良三君) この問題というのは、やはり横断的な人材が必要だということではないかと思います。そういう意味で先ほど、大学、企業における人事の流動化ということが大事かと思いますが、日本の組織、アカデミアでは特にタコつぼ化というのが大きな問題になります、その中で抱え込んで人を育成するということが行われがちですので。
 例えば、欧米見ていますと、病院でPhDの方々がたくさん研究しておられます。医師はより医療の方に専念し、一緒に医師とノンメディカルな生命科学系の方々が病気の研究をし、メカニズムを明らかにして薬のターゲットを決め開発をしていくという、その辺の連携の仕方が日本は非常に弱いと思います。そうすれば、そういう人たちがもっと医療の現場で、オン・ザ・ジョブでメディカルな人たちと一緒に研究すれば医療への影響も場合によっては防止できるかもしれないと思います。
 人材育成という意味でも、タコつぼ化を排除するということと横断的な人事交流、これが非常に重要だと思います。
○参考人(濱口道成君) 永井先生のお言葉どおりだと思いますが、私なりのキーワードで申し上げれば連携でございます。
 先ほどのお話の中でもこの医師不足というのは繰り返し語られておりますが、愛知県のことを少し申し上げたいんですけれども、愛知県は十万人当たり全国平均より二十人医師が不足しております。ですから、七百四十万人おりますので千四百名全国平均より少ないんですが、自慢するわけではございませんが、救急車を五分以上待たせるようなことはございません。たらい回しも一件も起きておりません。それは、愛知県下の病院の連携が非常によく進んでいるということ、人事交流もよく進んでいるということ。
 それからもう一つは、医師が三十を超えたところでの更に高度なトレーニングを大学を中心として図っていくシステムができ上がっていますので、先生がずっと年を食ってきて自分が時代遅れだなということを認識しなくても現場で踏ん張れる。今の医師不足というのは、実は公立中核病院の医師不足が一番の大きな原因です。そこはシステムを改革すればちゃんとできるんですね。キーワードはやっぱり連携だと思います。この問題でも連携をきちっとできるかどうかはPO、PDの育成に懸かっていると私は思います。
○参考人(武村義人君) アカデミズムに関して、私はもう分かりませんけれども、医師不足の話が今ちょっと出ましたけれども、やはり実際に私のこの身、還暦は過ぎましたけれども、やはり地域医療を守っていく人材ははっきり言って今不足しています。
 救急車がどうのという話もありましたけれども、この次この地域を今後どういうふうにして守っていくかということでいきますと、医者はもう一人所長の診療所の時代でなくなってくる可能性がある。そこは情報交換とか、それで乗り切れということですけれども、やはり相手が住んでいる人間ですから、やっぱりなかなかそういうわけにもいかぬということで、やたらと先進国に比べて数が多いのであればそれは考えるべきだろうと思いますけれども、そうでない場合はやっぱりそうではないんだろうというふうに思いますし、この先のもうほんまに住民の医療についてどう責任を持っていくかいうことについては、非常に大事な岐路に立たされているんだろうと思います。
 この研究開発等につきましては、僕の考えではやっぱりどうも新薬創出とか新医療技術という問題、医療機器の問題も含めますと、どうもやっぱり企業が自由に活動しやすいということが根底にあるような気がして仕方がないので、国民負担のことを考えるならばやっぱり医師不足を解消すべきであろうなというふうに思っております。
 以上です。
○山口和之君 済みません、時間がちょっと過ぎちゃうんですけれども、永井参考人に。
 被災地東北は、今医療産業あるいは医療のメッカにしていきたいと、とりわけ福島県ではそういうアピールがなされているんですけれども、全く無関係なのか、それとも復興の未来は日本の未来だということでどれだけ関係してくるのか、簡単に一言だけいただければ。
○参考人(永井良三君) 被災地でなければ、あるいは地域でなければできない研究もございます。
 例えば、マウスからいきなり人へ行くことは難しいわけで、間に大型動物を使うような研究というのもこれからますます重要になります。そういう意味で、福島県にそういう施設が造られていると聞いておりますので、うまく復興と地域でないとできない研究を結び付けていくということが非常に重要ではないかと思います。
○山口和之君 ありがとうございました。
 福島県は世界でも有名な県ですけれども、世界一安全で世界一医療がすばらしい県、そういうふうになるように仕掛けていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今日は、大変この法案についての考えを深めることができるお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
 医薬品、医療機器、再生医療を成長戦略に位置付けて、実用化までの研究開発を国策として進めると。そうなっていくと、臨床研究や治験ということが今まで以上に大規模に行われていくことになるんだろうと思っています。その点で、お三人とも、倫理の確保の問題とか、これが人体実験であってはならないということをお話しいただいて、是非これは、法案が成立すれば司令塔となる総理大臣とか大臣にこそ聞いてほしい話だなということを改めて思ったところですが、今日は武村参考人に、まず、こうした先行事例ともなっている神戸のことでお話をお聞きしたいと思うんです。
 神戸で進んでいることというのは、大阪、京都、兵庫が関西圏医療等イノベーション拠点、チャレンジ人材支援の国家戦略特区として指定をされて保険外併用療養制度の範囲も拡大をされていると、そういう中で進んでいることだというふうに理解をしています。先ほどのお話では、中央市民病院が臨床研究の窓口になっているとか、臨床研究の過程で発生する救急患者の受入れを期待されて、その近くに移転がされているというお話で、これはちょっと衝撃を受けてお聞きをしていました。やはり患者の側や国民にとって何がもたらされるのかということを、法案審議の際にもよくよく見ることが必要だというふうに思っています。
 今後、この神戸市の取組というのは先行の経験として教訓化されて、更なる規制緩和を可能とするスーパー特区につなげていくということが考えられます。一方で、先進医療の拡大とかあるいは選択療養制度ということも、これはトップダウンで今政府が検討を始めていると。そうすると、国家戦略特区で臨床研究を大規模に行える、これは混合診療の拡大ということにつながっていくと思うんですけれども、このことについて武村参考人の御意見をお聞かせください。
○参考人(武村義人君) おっしゃるとおり、医療産業都市、二〇〇三年、先端医療特区として申請を行って、高度先進医療制度の弾力的運用と、要するに具合よう使いなはれということでやったということでありますが、今、神戸医療産業都市、この度認定された国家戦略特区の中で保険外併用療法の拡充を行う、これははっきりと混合診療であります。
 混合診療はかつて二つありまして、選定医療と評価療養というのがあります。選定医療というのは、差額ベッド代とか料理がええのが出てくるとか、そういうアメニティーの問題ですけれども、評価療養というのは、保険収載、安全で有効性が確立すれば保険収載するという前提で行われて、結構今は一定の枠がはめられていますので、比較的、何というか、無制限に広がることはなくて、たかだか百億、二百億、そのぐらいの費用ですかね、の中で進んでおります。
 それではなかなか進まぬということで、もっと弾力的な運用ということでこの度出てきていますのが選択療養制度ということで、これの特徴は、患者さんと医者が相談して、これがええということになれば、その部分だけを混合診療として認めると。これが行われますと、非常に無原則かつどこまでも広がってしまうということで、混合診療の完全解禁ということになろうかと。その中では、安全性と安全性でないものということの二つが分かれるんですけれども、その安全性をどうやって担保するのか、誰が判断するのか。
 安全性で有効であれば保険収載すればいいわけです。安全だけれども効かないやつ、これは横行するやろうと思います、何か訳の分からぬまやかしの医療が。安全ではないけれども効かないというやつは、これはもう傷害罪ですね。安全ではないけれども効くかもしれぬというのは、これはちょっとギャンブルみたいなもので。いずれにしても、こういう選択療養というのは規制がある程度掛からないと、これはちょっとかなり大きな問題を起こすやろうというふうに思います。
 混合診療の一番の問題は、やっぱりお金がない人がその治療を受けられないということが問題であります。それと、混合診療が認められますとその部分の保険収載がなされない。ということは、それは自費診療がずっと続くということで、保険診療の幅がだんだん狭くなっていくということですね。
 あとは、混合診療は、今さっきも言いましたけれども、安全やけど効かへんとか、安全でないけれども効くかもしれぬという、そういうややこしいやつが横行して、いわゆる信頼のある医療という、安心、安全の医療を担保できなくなるということが、これは一番危惧されることでありますし、今後、今の法案の中で弾力的な運用が行われるとするならば、その面がかなり加速するんではないかと。そうすると、国民皆保険、我々が担っている医療制度というのは信頼が崩されるんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
○田村智子君 今の点で濱口参考人に関連でお聞きしたいんですけれども、先ほどのお話の中で最後に日本の医療研究の信頼はがた落ちであると研究倫理についてお話をされて、ちょっとショックを受けました。この点、もう少し補足してお話しいただけないでしょうか。
○参考人(濱口道成君) やはり今の論文の信頼性の問題がかなり出てくると思うんですね。ここは、踏み込んで発言するのは大変ちゅうちょするんですが。
 歴史的に見ると、私どもが研究者になった七〇年代というのは、日本の論文というのはなかなか通らなかったんです。それは、日本という後進国でどれぐらいフェアな研究がやられているのかということがありましたが、たくさん研究者が育って、余り有名でない雑誌にしっかりした論文が通るようになって、日本というのは割としっかりしたことをやっているという評価があって、八〇年代、九〇年代ぐらいからビッグジャーナルにどんどん通るようになってきた。そこがもう一回根幹が揺らぐ可能性があるなということを実は実感しております。
 これは、実はアメリカにもそういう時期がございました。八〇年代ですが、私がアメリカにおった頃に、ロックフェラー大学におりましたが、私が帰った後、デビッド・ボルティモアというノーベル賞学者が学長になりましたが、その部下のイマニシ・カリという人がやっぱりデータの改ざんがありまして国会に呼ばれるという、そういう厳しい試練を経てアメリカの研究というのは公正であることが保たれていると。
 日本も、今ちょうどそのフェーズを迎えているんであると、大変苦しいんですが。ここで、個人の責任に任さないきちっとした審査体制あるいは評価体制を全ての分野で確立する、ピアレビューを原則とするということをやる中で私たちはこの困難を越えていかなきゃいけないと、そういうふうに現状認識しております。
○田村智子君 そうしたチェック体制の問題というのは、本当に今回の法案の中でも私なかなか見当たらないんですよ。加えて、今の選択療養というような話が規制改革の中でどんどん出てくると。私、そういう中で実用化、応用化ということが非常に重点化されるということにちょっと実は危惧を持っているところですが。
 次の問題で、もう一度武村参考人にお聞きをしたいんですけれども、私がそういう懸念を法案審議のときにも言いますと、官房長官からは、いや、この法案は国民の健康増進のためなんだ、最高水準の医療を提供していくんだということなんですが、神戸市における医療クラスター、本当に医療や研究機関をごく一部の地域にぎゅっと集約している。こういうやり方が医療特区で行われていって、果たしてそれが市民にとって、あるいは県民にとっての医療水準の向上であるとかあるいは経済への効果であるとか、特区ですからね、そういうのがあるんだということも宣伝されるんですけれども、それはどのように現れているのか、あるいは逆に問題があるならばお聞かせください。
○参考人(武村義人君) 確かに、神戸市ポートアイランドに医療産業都市のクラスターとして非常に集積しています。地震があったときやっぱり人工島はちょっとアクセスがあかんようになりまして、そこに重要なものを一遍に集めるのは、これはいかがなものかなということであります。それと、やはりいろんな実験が行われています。バイオハザードという問題がありまして、いろいろ病原菌がどのように広がっていくか、これもやっぱりノーチェックに今なっております。
 経済の問題でいきますと、研究成果を市民にいち早く還元し、市民の健康、福祉の向上ということを掲げています。神戸市のホームページを見ますと、健康が楽しめる町づくりというのがずっと十年間変わらずにあります。神戸に行こう、神戸に行けば病気が治る、神戸に行ったら健康になる、こういううそみたいなスローガンがいまだに飛び交っておりまして、これはちゃんとあります。そこにはSTAP細胞も使おうということも載っております。
 そういうことですけれども、今やっていることは骨、血管の再生、下肢の足の血管、ASOというんですが、あと膝の軟骨の問題、先ほど言いました網膜の再生の問題、これも全て臨床研究や治験の段階です。それが神戸市民とか兵庫県民でなければ受けられないという医療などではないわけでありまして、そういうことのために市民病院の患者さんの利便性が損なわれておると、救急受入れが少なくなるというデメリット、こっちの方が大きいんじゃないかなということです。
 経済効果につきましては、ちょっと調べてみました。神戸市は、二〇一〇年度の経済効果について一千四十一億円、約一千億円としていますが、これはあくまで推計であって、これまで国や市が投じた千三百億円との関係で、果たして大きな経済効果が上がっているかは難しいと。企業進出が増えたと言うていますが、日経新聞、二〇一〇年ですが、この十年間で進出した医療関連企業の三割が撤退したということで、神戸市が強調するほどのものではなかろうと。国の補助金も含めて二十二億円を投じまして研究ラボを、レンタルラボを造ったんですけれども、一年もたたぬ間に倒産しまして、そこも市の外郭団体が引き取らざるを得ぬような状況になっておるというのが実情であります。
 それ以上に、神戸市の福祉・医療、福祉の問題ですね、生活保護も含めて。市民に負担というのは非常にどんどん掛かってきておるということで、この十年間で市民負担は累計で二百七十六億円になるとも言われているということで、経済効果は一部の住民しか恩恵を受けられない神戸医療産業都市に巨額の市税を投じるよりも、やはり市民生活に密着した医療・福祉政策が重要かなというふうに思いますし、行政はもう少し丁寧に親切に真実をやっぱり市民に伝えるべきであろうというふうに思います。
 以上です。
○田村智子君 そうした医療特区の実態というのもよく見て今後の政策を考えていきたいというふうに思います。
 続いて、永井参考人にお聞きをしたいと思います。
 先ほど、基礎研究が臨床研究につながっていくと、そこで終わりじゃないと、また新たに基礎研究にフィードバックをして発展的なサイクルがずっとつながっていくんだというお話は大変勉強になりました。この法案の前の日本版NIHというのが言われたときに、やっぱり基礎研究の部分がどうなるかということが相当に危惧をされたと思うんです。利根川進博士がやはり相当に異議も唱えて文科省の予算、科研費は確かに別建てになったと。しかし、その他では予算は増えたか、橋渡しの部分を強化するとか予算や人を強化する、体制を強化する、予算が膨らむということではなくて、その他は寄せ集めたというのが予算上は形だと思うんですね。
 そうすると、重点化が行われるとやっぱり基礎研究部分が薄くなることが生まれてくるんじゃないかということを、私はやっぱり危惧せざるを得ないんです。また、永井参考人のお話をお聞きすれば、維持すればいいのかと、文科省の科研費も維持されるかどうかも危惧があるんですけど、そうではなくて、そうやってフィードバックしてまた基礎研究ということになれば、本来、基礎研究部分も拡充が求められていくのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(永井良三君) おっしゃるとおりだと思います。基礎研究は極めて重要でありますし、基礎研究なくして実用化研究というのは私はあり得ないと思います。
 ただ、これは時代によって随分その割合は変わっていくのではないかと思います。最初にお話ししましたように、三十年前は日本は基礎研究ただ乗り論と、基礎研究していないではないかということで、この三十年にわたって充実が図られたと思います。
 しかし、今考えてみますと、臨床現場から出る問題、それに対する回答の仕方、技術というものが今度は逆におろそかになってきた。あるいは、当時はよかったとしても今は国際基準から許されないという、そういう時代になってきております。また、臨床現場から出る研究が今度基礎研究にフィードバックするということもございますので、これは時代を見ながら当面はここをまず強化しましょう、また四、五年たったときにはこうしましょうというようなことをこの機構の中で考えていくべきではないかと思います。
○田村智子君 最後に一点、濱口参考人にお聞きしたいんですが、その基礎研究といったときに、そうはいっても科研費や、今度集約されたのは競争的資金であって、独立行政法人の大学や研究所の基盤のところの予算というのはやはり運営費になると思うんですね。それがずっと削られ続けている。競争的資金は、どうしたって研究者を雇うときには、プロジェクトですから、三年とか五年とか長くても十年というような雇い方になってしまう。果たしてこれで人が育つんだろうかと。やっぱりその基盤のところの予算の拡充が求められていると思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(濱口道成君) 大学の現場を預かっている者として、今の御指摘は二つの側面がございます。
 一つは、持続的に効率化係数を負荷されてカットをされることによって現場は大分疲弊をしております。特に、運営費交付金というのは、これは言わば大学のお米でございます。主食でございました。ただ、今は人件費払うだけでもうほとんど手いっぱい、それも払えない大学も増えていると。これはかなり危機的な問題がございます。
 一方で、日本の十八歳人口がまた減ってきます。この現状と、それから膨大な借金をしている現状、これに対して大学の現場がどういう責任を果たすべきかというところで、我々もう少し工夫をしなきゃいけないという現実もございます。これはもう少しお時間をいただきながら、現場の努力を理解していただけないかなというふうには思っております。
○田村智子君 ありがとうございます。終わります。
○山本太郎君 参考人の先生方、本日は本当にありがとうございます。
 現職の国会議員は私独りぼっちでございまして、五人以上の国会議員という政党要件をいまだに満たしておりません、新党ひとりひとりの山本太郎と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、健康・医療戦略推進法案第十二条、研究開発の公正かつ適正な実施の確保に関して質問させていただきたいと思います。参考人の先生方お一人お一人に同じ質問に答えていただきたいと思います。
 前回の質疑でも質問いたしたんですけれども、医療分野の研究開発では、最近、ノバルティス社のディオバン問題、武田薬品工業のブロプレス問題などの重大不祥事続いていますよね。この背景には、製薬協会、この加盟している七十社が、医療機関などへの研究開発費用、二〇一二年度では一年間に総計で約四千七百六十五億円もの資金提供をしていると。一方で、厚生労働省の科学技術研究費、科研費と呼ばれるもの、これ、その十分の一の四百六十億円ぐらいしかないんですよね。
 ディオバンとかブロプレスなどの重大不祥事、このような事実が、背景というものがあるんじゃないかなと思っているんですけれども、医療分野での研究開発の不祥事をなくして研究開発の公正かつ適正実施を確保するためには、日本製薬工業協会の自主的な透明性のガイドライン、それに任せるだけではなく、資金提供の情報公開と透明性確保のための法律、これ制定しなきゃいけないんじゃないかなと思うんですけれども、参考人の先生方の御意見、伺えればと思います。
○参考人(永井良三君) この臨床研究にまつわるいろいろな不正の問題、まず、もちろん教育、倫理に対する教育ということが必要かと思います。また、透明化ということかと思います。ただ、あわせて、その臨床研究を行うためのシステム整備ということも重要でありまして、利益相反等の問題を早くからキャッチするためにはモニターをしないといけないと思います。そうした監視機構ということがまず非常に重要になってくるんではないか。
 そのためにも、この臨床研究というのは基礎研究よりも実は膨大なお金が掛かってまいりますので、その研究費の用意、あるいはその受皿というものをどうつくるかということ、これも実は戦後日本で非常に遅れてきた分野でございます。我々の世代の時代は産学連携粉砕という時代で、大学は目的を持った研究費を受け入れられないと、そういうことで委任経理制度というのは発達してまいりました。委託研究的なものが発達したのは法人化以降、あるいはこの数年ではないかと思います。そうしたシステム整備の遅れということもこの問題の背景にあるのではないかと思います。
 それから、諸外国では臨床研究が法制化されておりまして、治験と同じ基準でされていることが多いと聞いております。そういたしますと、臨床研究のデータがそのまま治験データに使われるために、薬事承認が早まるわけです。そうした体制を日本もつくらないといけないと言いつつ、実はそれは極めて膨大な大変な作業になりますので、現場も行政もちゅうちょしていたということではないかと思います。
 しかし、この一連の事態を見ますと、大きな研究については、恐らく欧米と同じような法制化の下に行われる必要があると思いますし、モニターもしっかりしないといけない。しかし、どこまでそれを広げるか。本当に数例の、ちょっと検討するようなことまで法制化で行うのかということについては、その範囲、カバーする範囲については十分議論が必要ではないかと思います。
○参考人(濱口道成君) 御指摘のとおりの問題が起こっておりますし、現場を預かる者としては深い責任を感じております、この間の経緯ですね。じゃ、その予算を増やせばいいのかといいますと、これは、私はそれでは問題は解決しないだろうと思っております。
 今の臨床研究は、一つ、片方で、永井先生のおっしゃったように大変コストが掛かります。一方で、主任研究者に対する負担が非常に大きい。その臨床現場の例えば医師が、患者さんを診る、病棟を管理する、場合によっては手術もしながら治験管理をして実用化をしていくと、これを全て一人、あるいは小さなグループが背負ってやっていくというのはもう現代的ではないんですね。非常にクラシカルなスタイルです。それをいかに組織としてサポートするのか。それから、安全管理をピアレビューで第三者が入れるのか、それを現場に近いところでいかにその構造をつくるのか、これが大きな課題であると思います。
 それから一方で、全ての病院に、現場に近いところでそういうのをつくると、またこれはコストが掛かります。ですから、一定の拠点病院できちっと管理をできる体制をつくって、全国くまなく、面で押さえるような組織化、連携をつくりながら、特定のセンターに管理の責任をしっかり負わせて、そこで専門家を養成するという時代になってきているのではないか。臨床データを統計できるような人材であるとか、治験管理をできる存在で、倫理をきちっと管理できる、あるいはパテントの管理ができる人、こういう専門家を一定の地域に確実に養成する組織体制を抜きにしては、特定の研究にコストをどんと掛けて、コストが掛けられなくなったらその研究は突然死を迎えるような、こういう個人ベース、プロジェクトベースのシステムはもう遅いんではないかというふうに実感しております。
○参考人(武村義人君) 二人の研究の先生の方のお話、もっともだと思いますし、このように文章にこう書かれますと、そのとおりであるなというふうには思いますけれども。
 現実問題として、この下に書いてありますね、ヒトゲノム問題、東北メディカル・メガバンク。これの説明の仕方、同意の得方、趣旨、本人にきちっと分かるように、これってどのようになされておるのか。これは現場のお話を聞いていただいたら、かなり乱暴な状況で、いわゆるヘルシンキ宣言とか、いろんな宣言に反するような状況で行われているということがあります。
 現にまだ、もう一つ大きな問題としてはビッグデータですね。これから医療供給体制の問題でそのデータがいろいろ活用されるとは言われていますけど、今でも保険会社にレセプトのデータが売り買いされたりとか、個人情報がいろんな意味で、名前は出るかどうかは別として漏出しております。
 その辺のことをさておいて、このきれい事を上に積んでもらっても、私たちはこれはちょっとなかなか納得しづらい問題があるんじゃないかなと、現場の人間からするとそういうふうに思います。
 以上です。
○山本太郎君 ありがとうございます。大変勉強になりました。
 もう一つ、三人の先生方にお伺いしたいことがあります。
 最近、小学館のビッグコミックスピリッツという雑誌の「美味しんぼ」という作品で大きな反響を呼びました。どういう内容であったか。東電の福島第一原発事故で、東日本一帯にまだら状にばらまかれた放射能被害による低線量被曝の問題ですよね。私も議員になる以前から、原発事故以降、多くの人々から鼻血を始め多岐にわたる体調不良の話を聞いており、強い関心を持っておりました。被曝による影響で鼻血が出たとも取れる作品中の表現に対しまして、デマだという説が一部ネット、一部メディアを通して流されまして、永田町かいわいでも風評被害だと断定するコメントも散見されました。
 私が思うに、これは風評被害でも何でもないと思うんです、実害じゃないかと思うんですよね。何の実害なのか。詳細な東日本一帯の多核種に及ぶ土壌汚染調査や広範囲に及ぶ健康調査などをほとんどやらずに放置した、行政が生み出した実害だと思うんです。本当の風評被害を生み出さないためにも、多くの人々の不安、心配に応えるためにも、国連人権理事会の健康に対する権利の特別報告者の報告、いわゆるグローバー勧告にもあるとおり、一年間に一ミリシーベルト以上の被曝をする地域に生きる人々、希望者全員に対して無料の健康調査を継続的に実施していくしかないと思っているんです。
 先日、当委員会の質疑で、私の健康・医療戦略推進法案はアベノミクスの成長戦略法案ですかという問いに対して、菅官房長官は、成長の産業として育成していくということもその一つであることは間違いないわけでありますけれども、ただ、その前提として、やはり多くの国民の皆さんが健康で安心をして長生きをすることのできる社会を形成するということがその大前提としてあるわけでありますと菅官房長官もおっしゃったこの法案の審議、参考人として来ていただいている先生方お一人お一人に御意見を伺いたいと思います。
 この低線量被曝の問題、あるいは年間一ミリシーベルト以上の被曝を受ける地域にお住まいの人々、希望者全員に無料の健康調査をして、データを当事者と共有して、それを蓄積していく必要があると思われますか、若しくは必要ないと思われますか。
○参考人(永井良三君) 科学というのは、理屈で進める部分と、ばらつきということをどう捉えるかという二つの側面がございまして、今の低線量被曝の問題は、非常に確率が低いけれども重大な結果をもたらすかもしれないという、この辺の事実をやはりしっかり押さえるという問題ではないかと思います。
 理屈の問題とばらつきの問題と両方ありますので、私は、まず事実、言わば疫学でございますね、PDCAサイクルのチェック、アセスメント、これをしっかりするということで、この調査をすることは非常に大事だと思っております。
○参考人(濱口道成君) 永井先生と同意見でございますが、この放射線被曝による被害の問題で一番よく分からないのが低線量被曝だと思います。従来の研究は、高濃度で短期間掛けたらどういう影響が出るかという研究がほとんどでありますし、広島、長崎の結果も高濃度被曝、瞬間的なもののフォローアップであります。ですから、実態がよくまだ見えていないというところが正直なところである。
 鼻血が出るという問題というのは、これは血小板が減ったと考えると、従来の概念でいったら高線量被曝だと思うんですね。そこのギャップはあるんですけれども、体質によってそういう反応が起きる方も見えるかもしれない。つまり、人間というのは多様性が基本ですので、平均値では測れないものがあります。それが医学研究のまた難しさでもございます。
 現時点では、大事なことは、政策的に判断するとすれば、国民の不安を解消するために最小限何をやるかということを御決定いただくことは効果があるだろうと。これは、科学的に分析したり判断する領域を超えているように実は感じております。
○参考人(武村義人君) お二方がおっしゃられたとおりですし、やっぱり責任を持って正しい情報をきちんとそこの部署が伝えていくと、日々刻々ですね。それと、起こった事象は事象として、うそかうそでないかは別として、やはりそれはきちんと受け止めていくと。甲状腺のがんの数の問題、最初少なかったですけれども、多くなってきたらちょっと影響あるんかなという話が、そんなことはさておいて、やっぱりそれぞれ個人個人の方の命と健康を第一にしながら状況を見詰めていくということに尽きるんじゃないかなと思いますし、大きな目から見ますと、やっぱりあの地域は閉鎖せにゃいかぬのかなという学者の先生もいらっしゃいますけれども、これはもう小さなことからの積み重ねであろうと思います。
 でも、何にも増して私が今ちょっと関係ないかもしれぬけど腹が立つのは、首相がオリンピック招致のときにおっしゃったあの言葉は、あれは福島県の県民の方はどのように感じられているのか知りませんけど、やっぱりああいう立場で物を言われると、どうもデータが信用できなくなっちゃうということでは、やはりもう少し科学の目でちゃんと追求していくべきだろうなと思います。
 以上です。
○山本太郎君 ありがとうございました。
 この低線量被曝という部分に関しましては、確定的被曝と違って確率的ということで個人差があるんだよと。それはそうですよね、ライフスタイルがみんな違うわけだから。食べているもの、暮らしている場所、みんな違うわけだから、それぞれにどのような変化があったかという、そのデータをしっかりと取っていくということが一番重要だと思うんですね。
 本当に、事故を起こした事業者、そしてそれを後押しした国の責任というものをしっかりと見詰め直して、それを広い範囲で事故前の基準というものに立ち返って、だから年間一ミリシーベルト以上の人たちに対して無料で健康診断というものが必要であるしということをもっと深く考えていただければなと思うんですけれども、この問題につきまして、次回の質疑で取り上げたいと思っております。
 「美味しんぼ」の作品中に登場します福島県の双葉町の前町長、井戸川克隆さんを参考人として是非お呼びしたいということを今朝の理事会でお願いをいたしました。先生方の御協力と御理解、是非よろしくお願いいたします。
 ということで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(水岡俊一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼の御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べをいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会