第186回国会 外交防衛委員会 第20号
平成二十六年六月三日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     山本 順三君     脇  雅史君
     竹谷とし子君     山口那津男君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     高野光二郎君     牧野たかお君
     大野 元裕君     藤田 幸久君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         末松 信介君
    理 事
                佐藤 正久君
                松山 政司君
                三木  亨君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                宇都 隆史君
                岡田 直樹君
                小坂 憲次君
                島尻安伊子君
                牧野たかお君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                白  眞勲君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                山口那津男君
              アントニオ猪木君
                小野 次郎君
                中西 健治君
                井上 哲士君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣     小野寺五典君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  加藤 勝信君
   副大臣
       外務副大臣    岸  信夫君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  牧野たかお君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       武藤 義哉君
       警察庁長官官房
       審議官      荻野  徹君
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       警察庁刑事局組
       織犯罪対策部長  室城 信之君
       法務大臣官房審
       議官       和田 雅樹君
       法務大臣官房審
       議官       杵渕 正巳君
       外務大臣官房審
       議官       金杉 憲治君
       外務大臣官房審
       議官       和田 充広君
       外務大臣官房審
       議官       山上 信吾君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   北野  充君
       外務省アジア大
       洋州局長     伊原 純一君
       外務省北米局長  冨田 浩司君
       外務省中南米局
       長        山田  彰君
       外務省領事局長  三好 真理君
       経済産業大臣官
       房審議官     後藤  収君
       環境省水・大気
       環境局長     小林 正明君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       放射線防護対策
       部長       黒木 慶英君
       防衛省運用企画
       局長       中島 明彦君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○核物質の防護に関する条約の改正の受諾につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブ
 ラジル連邦共和国との間の条約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協
 力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国
 政府との間の協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、竹谷とし子君、山本順三君、大野元裕君及び高野光二郎君が委員を辞任され、その補欠として山口那津男君、脇雅史君、藤田幸久君及び牧野たかお君が選任されました。
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○委員長(末松信介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(末松信介君) 核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○三木亨君 おはようございます。
 大変暑くなってまいりまして、今日は自民党の先生方、佐藤筆頭、また沖縄の島尻先生を始め、かりゆしファッションで、外務大臣もかりゆしで来ていただいております。
 かりゆしまで華やかではないんですが、我が徳島県にも藍染めファッションというのがございまして、藍染めの麻のシャツを……(発言する者あり)福山先生の御指摘どおり、今日着てこようかと思ったんですが、一着だけあるそれがどういうわけか私の体にフィットしなくなりまして、今日は断念してまいりました。家で眠っております、残念ながら。体形に合うように頑張ってまいりたいと思います。
 では、核物質防護条約について質問させていただきます。
 東日本大震災に伴う福島第一原発事故について、その結果強く認識されたのが、もし放射線を伴うという被害が起こった場合には、周辺住民はおろか国民に多大な影響を及ぼし、そしてその損害は計り知れないということでございまして、その原因が自然災害を起因とするものか、あるいはテロリズムを原因とするものかの違いはありますけれども、結果としては大変重要な、重大な結果が引き起こされるということ、その可能性を目前で見せられまして、核テロリズムに対する脅威に対してこれまで以上に真剣に取り組んでいかなければいけないなということを再認識したところでございます。
 そこで、我が国が現在行っている核セキュリティーの対策について政府にお伺いしたいと思います。この際に、福島第一原発事故の後に、原子力安全の確保とともに核セキュリティーについてどのような強化策というものを施したのか、併せてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(黒木慶英君) 我が国の原子力発電所等に対するセキュリティー対策につきましては、従来より、原子炉等規制法に基づきまして、事業者に対しましてテロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。
 福島第一原子力発電所事故以降は、その教訓を踏まえ、関係規則の改正を行い、建屋の外にある重要設備等の防護措置を求めるとともに、防護措置を国際的水準に引き上げるため、IAEAの核物質防護に関する勧告文書、これ、INFCIRC二二五、いわゆるRev5と言われるものでございますが、を踏まえた防護措置の強化を求めているところでございます。
 具体的には、まず、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた強化策として、建屋の外にある重要設備を大きな衝撃から守るため、周辺への防護壁の設置、次に、IAEAの勧告を踏まえた強化策としまして、立入り制限区域の設定、サイバー攻撃に対する対応、防護本部の監視機能と連絡機能等の二重化、無停電電源対策及び不正傍受対策、重要設備周辺で作業する場合の二人以上での実施等を、これはいわゆるツーマンルールと申しておりますけれども、このツーマンルール等を我が国の国内規制に取り込んでいるところでございます。
 これらの措置につきましては、原子力規制委員会としては、原子炉等規制法に基づきまして、事業者が核物質防護措置の内容や体制について定めるいわゆる核物質防護規定の改定を審査しまして認可するとともに、その有効性について定期的に検査し、確認をしているところでございます。
 なお、我が国の核物質や関連施設の防護体制につきまして、来年春までにIAEAによる核物質防護専門家からの評価ミッションを受け入れることとしておりまして、こうした国際的な観点からの評価を踏まえまして、原子力規制委員会におきまして継続的にセキュリティーの強化に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○三木亨君 ありがとうございます。
 放射線の漏出による災禍というのは非常に重大な結果を及ぼしますので、非常に細かい点まで目を配っていただいて、セキュリティーに努めていただきたいと思います。
 続きまして、本条約の改正の内容についてお伺いしたいと思います。
 核物質防護条約は、元々、一九七九年に採択されまして、一九八七年に発効したとされております。締約国に対して国際輸送中の核物質について防護の措置をとることを義務付けたものでありましたけれども、二〇〇五年に採択された本条約の改正によって、条約に基づく防護の義務の対象が、国際輸送中の核物質に加えて、国内で平和利用のために使用、貯蔵又は輸送されている核物質及び原子力施設というものに拡大されました。
 そこでお伺いしたいのですが、本条約について、現行条約の防護措置の適用範囲が国際輸送中の核物質にこれまで限定されていたことと、そして、本条約の改正に当たって、その適用範囲が国内の核物質、原子力施設までに拡大されたこの理由と経緯というものをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 今委員からも御指摘ございましたように、現行の条約の作成をされたのは一九七〇年代でございます。このときの時代背景といたしましては、原子力の平和的利用というものが進展をいたしまして、プルトニウムを含みます核物質の取扱量、それから国際輸送量というものが増大をしたということがございました。このような動きを踏まえまして、核物質の不法な取得、それから使用の危険性が高まったということで、このような行為から核物質を防護するための国際協力の必要性というものが認識をされ、現行条約が作成をされたという、こういう経緯でございました。
 この現行条約におきましては、犯罪とすべき行為をどうするか、それから防護措置をどうするかというのが重要な論点でございましたけれども、現行条約におきましては、前者の核物質の窃取等の行為を犯罪とするという、犯罪とすべき行為につきましてはそのような考え方を取りまして、締約国に対して裁判権の設定などの義務付けをしているところでございます。
 この現行条約を作成するに当たりまして、その対象を国際輸送中の核物質だけではなくて、国内においても使用されているものについても適用するということが有益であるというふうに考えられたところでございます。
 一方、もう一つの論点でございます核物質防護につきましては、国内についての核物質防護ということにつきましては、当時の意識といたしましては、各国が国内の状況に応じて対応すべき問題である、条約で国際的なルールという形で規定すべきではないというふうに考える国が当時多数を占めていたということでございまして、現行条約におきましては、前文において、国内において使用などされている核物質の防護の重要性について言及されるにとどまったということでございます。
 一方、その後、核テロの脅威などの認識の高まりというものを受けまして、この条約上のルールとして、核物質の防護の対象を国内の核物質、それから原子力施設にも拡大をする必要性が認識をされるというふうな形になって、現在の改正に至っているという次第でございます。
○三木亨君 ありがとうございます。
 続けて、もう一つ疑問に思うことがあるのでお伺いしたいと思います。
 この条約は国際的な核セキュリティーの強化への取組のために大変重要な条約であるというふうに考えていますけれども、本条約の改正というものは二〇〇五年に採択されていますけれども、我が国としてはもっともっと早く、この条約が改正されたこと、この改正を受諾して、国際社会に対しても我が国がこの分野の取組を重視していること、これは唯一の被爆国でもある我が国の責務だと思いますけれども、アピールする必要があったのではないかというふうに考えております。ただ、本条約の改正の締結が二〇〇五年から現在までちょっと時間が経過していた、この理由についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 今お諮りしておりますこの改正につきましては、現行の条約の締約国の三分の二が締結した後に発効するということでございます。
 IAEAの最新の情報によりますと、九十九か国の締結後に発効するということでございまして、これまでに七十六か国が締結をしてございますので、改正の発効には更に二十三か国による締結が必要であるという状況でございます。我が国といたしましては、この改正の重要性を十分に認識をして、またそれと同時に、他国の締結状況、それから発効見通しというものを踏まえながら締結に向けた作業を進めてきたというところでございます。
 改正の締結につきましては、特に、新たに犯罪化が義務付けられることとなった行為について、既存の国内制度との整合性、それから必要な立法の範囲などを慎重に検討する必要がございました。この検討を行う中で、いずれの国内法によってこの改正で追加をされました条約上の義務を実施すべきかということについて関係省庁間で様々議論をしてきたということで、一定の時間を要したというところでございます。
 今般、この点につきましては、放射線発散処罰法に必要な改正を加えることが適当であるという結論が得られたことを受けまして、この核物質防護条約の改正と放射線発散処罰法の改正法案を併せて国会に提出をさせていただいたというところでございます。
○三木亨君 ありがとうございます。
 少し、最後にこの核物質防護条約について、大枠のことについてお伺いしたいと思います。
 核セキュリティーそのものについてお伺いしたいと思います。核セキュリティーという言葉が初めて注目されたのは、二〇〇九年の四月のオバマ大統領のプラハで行った演説、核兵器のない世界というものが表明された。そこで核セキュリティ・サミットが開催されるに至ったことも大きく関係しておりまして、核セキュリティーという一つの分野に対して各国首脳が集まる機会が意義深いということで、国際社会に大きなインパクトのあるメッセージを送る機会となりました。
 今年の三月には第三回のサミットがオランダのハーグで開催されましたけれども、このサミットに至るまで、我が国がサミットの議論に資するようなどのような取組を行ってきたのか。これをまず政府参考人の方からお伺いさせていただくとともに、今回のサミットの評価と今後の展望について、外務大臣の方からお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 まず、私の方からは、サミットに至る準備の部分につきまして御答弁をさせていただきます。
 今委員からも御指摘ございましたように、本年三月二十四日、二十五日の両日、ハーグにおきまして核セキュリティ・サミットが開催をされまして、安倍総理御出席になられました。
 サミットに向けての我が国の取組といたしましては、例えば、準備会合におきましてサミットの成果文書の取りまとめということに積極的に貢献をしてきたということのほかに、輸送セキュリティーという分野がございますけれども、この強化に向けて、フランス、韓国、イギリス、アメリカとともに机上演習などの活動を行って報告書にまとめたということが挙げられるところでございます。
 また、サミットにおける我が国としての立場、それから姿勢の表明ということにつきましては、安倍総理から今申し上げます三つの観点から我が国の関与、貢献について表明をいたしました。
 第一の点が、核物質の最小化と適正管理という点でございまして、日本原子力研究開発機構、JAEAにございます高速炉臨界実験装置、FCAと申しておりますけれども、ここにあります高濃縮ウランとプルトニウムの全量撤去、処分を含む日米首脳共同声明を発表いたしました。また、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を堅持をするということを表明をいたしております。
 二点目が、日本国内の取組の強化ということでございまして、原子力規制委員会の設置などによる体制強化というものを紹介をいたしまして、核物質や関連施設の防護体制につきまして国際的な知見を得るためのIAEAのミッションを受け入れる、先ほど御説明あった点でございますけど、この点などを表明をいたしました。
 三点目は、国際貢献の強化という点でございまして、輸送セキュリティーに関する有志国の取組の主導、また東海村にあります核不拡散・核セキュリティ総合支援センターによる各国の人材育成、能力構築への一層の貢献を表明をしたというところでございます。
 私どもといたしましては、このような取組によって我が国としてのリーダーシップを示すことができたのではないかというふうに考えているところでございます。
○大臣政務官(牧野たかお君) 三木委員の後半の質問に対してお答えをいたします。
 核セキュリティ・サミットの評価と今後の展望でございますが、まず、核セキュリティ・サミットというのは、首脳レベルで、世界的な核不拡散、核軍縮の推進のため、核テロ対策強化に関する各国の基本姿勢や取組状況、並びに国際協力の在り方について議論する場であります。
 第三回となりました今回のサミットでは、前回のソウル・サミット後の各国の取組の進展を評価しつつ、核セキュリティー強化の重要性について改めて首脳レベルで確認をいたしました。特に、プルトニウムなどの核物質の保有量を最小化すること、そして国際的な核セキュリティーへの取組におけるIAEAの中心的役割の確認、さらには国内及び国際輸送におけるセキュリティーの一層の強化、また核セキュリティーを強化するための国際協力の強化の必要性などが盛り込まれましたハーグ・コミュニケを採択いたしました。
 我が国といたしましては、このコミュニケでうたわれましたこれらの諸課題について、関係各省庁と連携して引き続き取り組むとともに、核廃絶に向けた世界的な核不拡散、核軍縮の推進のため、世界的な核セキュリティーの強化について貢献していく所存であります。
○三木亨君 牧野政務官、ありがとうございました。何だかうれしいです。
 では、次に、日本・ブラジル受刑者移送条約に移りたいと思います。
 まず始めに、本条約の締結の背景として、なぜ我が国とブラジルとの間で受刑者移送を実施する必要があるのか、その背景を伺うとともに、本条約の締結が開始されるに至った事情につき、具体的に御説明いただきたいと思います。
 あわせて、我が国とブラジルで、二国間でこの条約を結ばなければならなくなった理由として、ブラジルがいわゆるマルチの受刑者移送条約、CE条約に加入していないということがございます。なぜブラジルはこのCE条約に加入していないのか、分かりましたらこの理由も併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山田彰君) お答え申し上げます。
 条約の必要性の背景と締結交渉開始に至った事情でございますが、日本におけるブラジル人受刑者数は、本年三月末現在、二百四十九人であります。これは、国籍別の外国人受刑者としては三番目に多いものであります。また、日本には約現在十九万人のブラジル人がいることから、今後とも、我が国で刑罰を科されるブラジル国民の数が一定数存在するということが予想されます。
 日本とブラジルの間では、過去三回の司法分野作業部会における議論を行いました。この議論を経た結果、受刑者移送に関する協力を具体的に前進させたいという姿勢が確認されました。これを受けて、二〇一〇年十二月に日本からブラジルに対して本条約の締結交渉開始を提案し、二〇一二年三月、ブラジル側から開始に応じる旨の回答を得ました。このことで交渉開始に至ったものであります。
 引き続きまして、ブラジルがいわゆるCE条約、欧州評議会が作成した多国間条約である刑を言い渡された者の移送に関する条約に入らない理由でございますが、このCE条約では、裁判国及び執行国の双方が特赦等を認めることができると規定しております。これに対してブラジルは、受刑者移送においては裁判国のみが特赦等を認め得るとの方針を取っております。このため、CE条約のこうした規定がブラジルがCE条約に加入しない主な理由になっているというふうに承知しております。
○三木亨君 ありがとうございます。
 では、背景をお伺いしましたので、内容について少しお伺いしたいと思います。
 まず、移送の手続についてお伺いしたいと思います。
 本条約は、移送の要請及び回答は各締約国の中央当局が行うというふうに定めております。CE条約やあるいはこの条約に先立って締結されております日・タイ受刑者移送条約には中央当局に関する規定はありませんけれども、本条約でなぜ特に中央当局を設置することにしたのかということ、そしてまた各締約国の中央当局が行うとされる移送の要請等について、我が国に緊急その他の特別の事情がある場合には中央当局、我が国の場合は外務省でございますけれども、この場合は外務省ではなく法務省が行うことができると規定されていますけれども、それはどういう場合を指すのか、少しちょっとイメージが湧かないので具体的に御説明いただけたらと思います。
○政府参考人(山田彰君) 中央当局を指定した理由でございますが、日・ブラジル受刑者移送条約では各締約国が中央当局を指定しております。これは、締約国間で移送の要請、回答等の連絡先を指定することで連絡をより円滑にすることができるというブラジル側の提案を踏まえて盛り込まれたものでございます。
 一方、委員御指摘のとおり、この条約第六条の三には、緊急その他特別の事情がある場合には、日本国の法令に定めるところにより、法務省が移送の要請並びに文書及び情報の発受をすることができる旨定めております。このうち緊急の事情とは、例えば我が国が裁判国の場合は、国際受刑者移送法第三十八条に規定する再審無罪の判決、恩赦等があったときに執行国へ連絡することが考えられます。また、我が国が執行国の場合は、裁判国の方から、移送犯罪について再審無罪判決が出たというような連絡を裁判国から受けたとき等が考えられます。また、そのほかの特別な事情に当たる例としては、裁判国が送付する情報の中で施設の保安警備に関するものが含まれ、関係省庁限りで提供したいと要請があった場合等が考えられます。
○三木亨君 ありがとうございます。
 ここでちょっと実績といいますか、CE条約の発効以来のこの移送条約についての実績を見てみますと、少し気になる点が、我が国から送出移送した外国人の受刑者が二百五十一人に対し、外国から受入移送された日本人の受刑者の実績は六件と非常に極端に少ない数字になっていますけれども、これは何か特段の事情とかあるいは傾向みたいなものがあるのでしょうか。法務省の方にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 移送の実績に関しましてはただいま御指摘があったとおりでございますが、受入移送の実績が少ない事情として考えられるものといたしましては、送出移送の対象人員、すなわち我が国で受刑している締約国の国籍を有する受刑者の数と比べまして、受入移送の対象人員、すなわち締約国で受刑している日本人受刑者の数が非常に少ないということに加えまして、移送の申出をした人数が少ないことにあるというふうに承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、受入移送の実施が相当と認められます案件につきましては、できる限り早期に移送を実現することができるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
○三木亨君 多少予想はしていましたが、実数的な違いということで、特に告知等とかに不備がなければそれで結構かと思います。
 ブラジル受刑者移送条約について最後に質問させていただきますけれども、これからのことということで、我が国では、来日外国人の受刑者数で一番多いのは、もう断トツで中国でございます。ブラジルと同様、CE条約を中国の方は締結しておりませんので、受刑者の移送を行おうとしますと中国との間で独自に条約を締結しなければなりませんけれども、この交渉が開始されているというふうに聞いておりますけれども、二〇一一年の十一月に第二回の会合を開いた後進展がないというふうにも聞いております。
 現在、この交渉がどのような状況になっているのかということ、また、ほかに外国人受刑者の多く、CE条約を締結していない国との間で二国間の受刑者移送条約を締結していくという考えがあるのかどうか、具体的な働きかけを行っているのかどうかということを併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(金杉憲治君) 先生の御質問の前段の中国との関係について、まず私の方からお答えさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、中国との関係では、二回の交渉を受刑者移送条約について行いましたけれども、第三回について、私どもから交渉の早期実施を求めておりますが、中国側から現時点でこれに応じる回答が寄せられておりません。
 この点も先生から御指摘がございましたけれども、来日外国人受刑者のうち最も多いのは中国人ということで、やはり日中の受刑者にお互いの母国において刑に服する機会を与え、これら受刑者の改善更生、社会復帰を促進するために、条約締結交渉の再開に向けて引き続き中国側に働きかけていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○政府参考人(山上信吾君) 後段のブラジル、中国以外との国の状況についてお答え申し上げます。
 まず、基本的な考えでございますが、国際受刑者移送、これは外国人受刑者の改善更生、そして円滑な社会復帰を促進する意義があるということから、できる限り多くの国との間で実施するようにすることが望ましいと考えております。
 しからば、国際受刑者移送をどういう方法で実現するかということでございますが、いわゆるCE条約を締結していない国が相手になる場合、受刑者移送を行うためには二つの方法がございます。一つは、相手国がCE条約に加入するということでございます。それからもう一つは、相手国と日本との間で二国間の受刑者移送条約をCE条約とは別途結ぶという方法がございます。
 このため、我が国としましては、これまでにアジア諸国等のCE条約未締結国に対しては、まずはCE条約に加入するよう、CE条約の締結を働きかけてきているという事情がございます。こうした観点から、例えばインド、ベトナムといったような国に対しては、CE条約締結の可能性を照会してきている経緯がございます。
 他方、CE条約締結の見込みがない国との間では二国間条約を結ぶということでございまして、実績としては、もうタイと結んだことがございますし、今お諮りしているブラジルが二本目としてあると。そのほか、中国とは今交渉中ということは先ほど申し上げたとおりでございます。これらに加えまして、今、イランとの間でも交渉を行っているという現状がございます。
○三木亨君 ありがとうございました。
 では、最後の日米重大犯罪防止対処協定についてお伺いします。
 まず、本協定についての背景についてお伺いしたいと思いますけれども、この協定について、米国の国内法改正を踏まえて米国からの求めがあって協定の交渉が行われたというふうに承知しておりますけれども、まず、その背景について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇〇一年九月十一日の同時多発テロ以降、テロ対策の一環として、テロリスト等の入国を水際で防止するための国際的な情報共有に対する関心が高まりました。こうした中、米国議会は、二〇〇七年ですが、九・一一委員会勧告実施法という法律を制定しまして、移民国籍法を改正いたしました。これによって、相手国が米国とテロ対策等に係る情報共有のための協定を締結していることを査証免除の要件といたしました。
 こうした背景を踏まえまして、米国は、我が国を含む米国査証免除プログラム参加国、二〇一四年四月時点で、我が国も含めて三十七か国・一地域に上りますが、こうした国々に対しまして、同プログラムの安全性を強化するための新たな措置としてこの協定の締結を提案してきた次第です。
 現状、我が国以外の国あるいは地域は全て署名、締結を終えております。この協定は日米間の査証免除制度を維持するという観点から重要であるということは、これは言うまでもありませんが、テロといった重大な犯罪から国民を守る、こういった観点からも有意義だと認識をしております。
 我が国としましては、こうした観点からこの協定に署名するに至った次第であります。
○三木亨君 ありがとうございます。
 テロ防止という観点から、米国と、また米国との間で査証免除を行っている国にこの協定をしていってもらうことにするんだというふうなアメリカの事情があるということなんですが、そして、日本以外の国ではこのPCSC協定というものが締結され、行われてきているということでございますけれども。
 そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、我が国と米国との間のPCSC協定と、その以前に米国と他の国・地域との間で行われた協定、これの共通している点、あるいは異なっている点、あるいは我々がこれからこの協定を活用していく上で参照していけるような点等ございましたら御指摘願いたいと思います。
○政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。
 我が国と米国との間のPCSC協定と、米国と第三国との間の協定の比較についてのお尋ねでございます。
 まず、大きな共通点といたしまして、米国が各国と締結しているPCSC協定は、いずれもテロ等の重大な犯罪に迅速に対処できるよう指紋情報の自動照会を可能としているわけでございます。
 その一方で、日米間の協定におきましては、個人情報の保護等により配慮した内容とするために、米国と第三国との協定には一般的には含まれていない独自の要素を盛り込んでおります。
 具体的に申し上げますと、第一に、自動照会の対象となります重大な犯罪の範囲を米国と第三国との協定よりも限定をしている点、第二に、我が国が米国に利用可能とする指紋情報の範囲を米国と第三国との協定よりも限定している点、それから第三に、自動照会の結果、適合する指紋情報がある場合におきまして追加的な情報の要請がない場合に照会の目的について説明を要することができるとしている点、これらが日米間の協定の独自の要素として挙げられるというふうに考えております。
○三木亨君 ありがとうございました。
 あと三問あるんですが、実は、ちょっと時間の関係上、もう二問飛ばして最後に行きたいと思います。済みません、ちょっと最初ゆっくりやり過ぎました。
 最後の質問ですけれども、本条約の締結後の取組についてお伺いしたいと思います。
 来る二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、東京に世界各国から人が集中されることが予想されます。この場合、テロ対策を含む治安対策に万全を期していくことが国際社会の日本というものの信頼を得るためにも我が国に求められておりますので、この協定に基づく情報交換の仕組みもより重要性が増すというふうに考えられます。
 そこで、本協定の四条の七で規定している自動照会に関する実施取決め等の策定を含め、この協定の運用開始に向けた今後の取組や、協定に基づく情報交換が実際に開始される時期の見通しというものを外務省の方にお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) この協定に基づく自動照会を開始するに当たりましては、協定第四条七に規定するとおり、自動照会の技術的及び手続的な細目を定める実施取決めを作成することになります。また、日米間における技術的な協議を行って関連システムを整備する、こういった作業も必要になってきます。
 こうした作業が必要であるのに加えまして、他の国々、米国からこうした提案を受けた国々も、運用に至っている国はまだ存在いたしません。各国の運用の開始状況等もしっかり見た上で、我が国としまして、できるだけ早くこの運用を開始するべく努力をしていきたいと存じます。
 先ほど申し上げました様々な準備、そして各国の運用状況等も勘案し、適切に判断していきたいと考えます。
○三木亨君 ありがとうございます。
 個人の情報にも関わることでございますし、国際協力にも、日米同盟という上でも大変重要な意味のある協定だと思います。運用に関しては非常に難しい点もあるかと思いますけれども、これをうまく両国間の利益となるように、また、国際社会のテロの防止という観点からも利益になりますようにうまく運用していただけたらと思います。
 最後に、二問飛ばしてしまいまして申し訳ございませんでしたということを再度謝らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○白眞勲君 おはようございます。民主党の白眞勲でございます。
 まず、ブラジルとの条約の締結、刑を言い渡された者の移送に関する条約の締結に関して御質問したいと思うんですけれども。
 この条約の場合には、受刑者がブラジルに移送されるということが条約の基本的なポイントだとは思うんですけれども、そうすると、仮に受刑者がブラジルに移送されてしまって、その後、日本国内において新たな犯罪をその受刑者が犯していた、よくある話ですよね、受刑者の中に別の容疑で実はあったんだというやつが、日本国内でもよくあるパターンなんですけれども。しかしながら、もう受刑者はブラジルに行ってしまっている、でも、ブラジルの憲法上、一回受刑者が向こうに行っちゃうと戻すことができない。そういった場合、これはどういうふうになるんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(山田彰君) お答え申し上げます。
 日・ブラジル受刑者移送条約に基づいて日本がブラジル人受刑者をブラジルに送出移送するに当たっては、日本において捜査中の余罪がないか等も含めまして法務大臣が個別の事案ごとに移送の相当性というものを慎重に判断することというふうにしております。移送が相当でないと判断される事案には日本として同意を与えないということになりますので、御指摘のような事態が生じることは実際にはなかなか想定し難いというふうに考えております。
○白眞勲君 いや、想定し難いだけで済まないんじゃないかなと私は思うんですね。
 今のお話というのは、別の容疑が絡んでいるかどうかを、その時点においては出ているわけですけれども、その後ですよ。要は、何かの拍子に、刑務所にいた受刑者が別の犯罪の犯人だったというのが後で分かるじゃないですか。そういった場合に、日本では、国内であるならばそれはまた調べることも、容疑者として取調べもできますけれども、もう行っちゃってからということで、今想定し難いというふうに軽くいなしているんだけど、それで済むんですか、それ。
○政府参考人(山田彰君) 移送の判断に当たっては慎重な対応を取りますが、このような慎重対応を行ってもなお万が一、御指摘のように移送後に余罪が判明すると、そうした事態が生じた場合には、ブラジル憲法が原則として自国民の引渡しを禁じているということを踏まえて、ブラジル国内でしかるべく処罰が行われるよう国外処罰規定の適用を行う、それを要請するなど適切な対応を取ることが考えられます。
 申し上げたとおり、我が国がブラジル人受刑者を送出移送するに当たっては、捜査中の余罪がないかも含めて法務大臣が個別の事案ごとの移送の相当性を慎重に判断することになっております。なお、CE条約、それから二国間の条約である日・タイ受刑者移送条約の下でも、現在までにおいては御指摘のような事態が生じたことはございません。
○白眞勲君 もし私が犯人か何かであるならば、早めに自分の国に帰っちゃいたいという気持ちになっちゃうと思うんですよね。ですから、やっぱりその辺は慎重に慎重な上を重ねた上で今後の対応を求めたいというふうに思います。答弁は要りません。
 それでは、ちょっと拉致問題について私どうしても気になっているのでお聞きしたいというふうに思います。
 この前、今日は伊原局長も来ていただいたわけですけれども、スウェーデンで北朝鮮側と協議を重ねたわけですけれども、文書が、合意文が出てきたということですが、この合意文はハングル版とそれから日本語版に、両方あるようですけれども、サインはしていないようですね。確認です。
○政府参考人(伊原純一君) 今御指摘のとおり、署名等はしておりません。
○白眞勲君 これは外務省のホームページから、お手元に資料はもう配られていますね。この「双方は、」から始まるこの文書の三パラグラフ目の、「北朝鮮側は、過去北朝鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努力を日本側が認めたことを評価し、」というふうになっていますよね。お手元にありますか、大丈夫ですね。
 私、ここで気になったんですね。北朝鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努力とは一体何なんだろうと。拉致は明確な犯罪行為なんですよ。それを、何の努力を認めたんですか。これ、まず伊原局長、お話しください。
○政府参考人(伊原純一君) 今委員御指摘の箇所は、その後に続く、「従来の立場はあるものの、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、」というところに続いていくものでございますけれども、北朝鮮に対して、拉致問題は解決済みと言っていた従来の立場を変えて、こういった包括的、全面的な調査を実施することを今回確約させた、そういった一連の議論の中でこういった文言が入ったということでございますが、ここに書いてございますように、努力を認めたということは、決してその結果を容認したとか結果について日本が受け入れたということは意味しないということでございます。
○白眞勲君 全然答えていないですよ。努力をしていたんでしょう、北朝鮮側が何か、拉致問題に関して傾けてきた、それを私は今聞いているんですよ。ちゃんとお答えいただきたいと思うんですね。傾けてきた努力というのを北朝鮮がやってきたと、私が見たところ何もないです。何もないのにここに努力と書いてあるのは、これはどういう意味なんですか。それを聞いているんですが。
○政府参考人(伊原純一君) 先ほども申し上げましたように、このパラグラフ全体を見ていただきますと、ここで私どもが北朝鮮から確約を得たかったことは、これまで拉致問題は解決済みといった立場を取っていた、そのことを、従来の立場はあるものの、包括的、全面的な調査を実施するという言いぶりにする、そういった中で、二〇〇二年のこの拉致問題が表面化して以降北朝鮮がやってきたことについて、それを評価するということではなく、努力を彼らがやったことを認めたということで、従来の立場はあるものの、こういった包括的、全面的な調査をするということを今回確約させたと、そういうことでございます。
○白眞勲君 いや、今、伊原局長が言いましたよね、彼らがやってきた努力とは何ですかと私聞いているんですよ。彼らがやってきた努力を具体的に言ってくださいということを言っているんですよ。お答えください。
○政府参考人(伊原純一君) 二〇〇二年以降の日朝の協議の中で、小泉訪朝、それから二度目の訪朝を通じて、彼らとしてやった調査、あるいはそれによる拉致被害者の帰国、そういったことを含めて、これまで北朝鮮がやってきたことを事実としては認める、ただ、結果を受け入れたり結果を認めるわけではないと、そういうことでございます。
○白眞勲君 全然納得いかないですよ、それは。彼らがやってきたことというのは、めぐみさんの骨だと言ってでたらめな遺骨を持ってきたことぐらいじゃないんですか。違いますか。
 ですから、それを、何かまるで、そういったことを努力というふうな言い方をして、日本側が認めたことというふうに言っているということは、その努力を認めたことになっているんですよ、今これを見ると。一体どういうことなんだろうなという感じがするんですけれども。
 もう一つ、私が不思議でしようがないのは、まだ何も出てきていませんよね、今回。制裁を解除するというところですよ、それでいて。つまり、拉致というのは明確な犯罪行為だ、そういう中で、犯罪を犯した者に対して、何も出ていないのに相手方の要求をのむという意味が分からない。それについてお答えください。
○政府参考人(伊原純一君) 日本といたしましては、これまでもあらゆる機会を捉えて拉致問題の進展のために努力をすると、そういう姿勢で北朝鮮とも折衝をしてまいりました。そういう観点からは、やはり北朝鮮に、これまでの立場はあるものの、もう一度全面的な調査をさせるということが必要だということを考えて協議をした次第でございます。
 北朝鮮との関係では、六者協議もそうでございますけれども、行動対行動の原則で物事を進めるというのが基本的なアプローチでございます。したがって、今回、北朝鮮がそういった調査を開始するという行動に対して、日本としても限られた制裁措置の部分解除をすると、そういうことで合意をした次第でございます。
○白眞勲君 でも、調査を開始の時点でというのは、行動対行動にはなり得ないと私は思っています。何かの結果が出ることに対するそれぞれの、我々としての対応ということだったら話はよく分かるんですけれども。
 そういう中で一つお聞きしたいのは、御家族の皆様に、人道的な支援は後回しだというのが何か報道で出ているんですけれども、この辺は、今これを見ると、人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除する、調査を開始する時点でと書いてありますね。そうすると、その人道的支援というのは後だということとちょっと話が分からないので、その辺についてちょっと御説明願いたいと思います。
○政府参考人(伊原純一君) 政府としての人道支援につきましては、今委員がお配りになった合意文書の一枚目の一番最後の第七のところに書いてございますように、適切な時期に人道支援を実施することを検討すると、つまり、今の時点で実施するわけではなく、適切な時期になれば人道支援を実施することを検討すると、これが政府としての人道支援でございます。
 それに対して、今回、その第二のところで、人道目的の北朝鮮船舶の日本への入港禁止措置の解除につきましては、この北朝鮮船舶によって日本から北朝鮮に運ばれ得る人道目的の物資というのは、政府による人道支援ではなくて、日本の国内における民間の人道支援物資を念頭に置いたものでございます。
○白眞勲君 そうしますと、確認ですけれども、第二のパラグラフの人道目的というのはあくまでも民間であり、第七のところは政府がやることだということでよろしいんですか。
○政府参考人(伊原純一君) 今回、第二のところで、日本の制裁の部分解除で行います人道目的の船舶の入港禁止措置の解除につきましては、今の時点で政府として人道支援をすることは考えておりませんので、したがって、あり得るとしてもこれは民間からの人道支援物資を北朝鮮に持っていくために限られるということだと思います。
○白眞勲君 そうしますと、例えば万景峰号でそれを運びたいんだといった場合に、それは許可するということでいいんでしょうか。それとも、官房長官だったかな、万景峰号については違うと言っていますけれども、その辺についてはどういうふうになっているんでしょうか。
○政府参考人(伊原純一君) 現在、万景峰号の入港については申請されておりませんので、入港を認める予定はございません。
 また、申請されたとしても、今認める予定はございません。
○白眞勲君 第三パラグラフの、今申し上げた「北朝鮮側は、」のこの文書の一番最後に、「最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した。」というふうに書いてありますけれども、その解決の中に拉致実行犯の引渡しというのは入っているんでしょうか。
○政府参考人(伊原純一君) 日本政府としての拉致問題に関する基本的立場は変わっておりませんので、そういったことも含まれているというふうに日本としては考えております。
○白眞勲君 つまり、「最終的に、日本人に関する全ての問題」の中には拉致実行犯の引渡しも当然含まれるということで、外務大臣、お答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点も含まれていると認識をしております。
○白眞勲君 そうしますと、この第五のパラグラフになりますけれども、第五のパラに調査というのが書いてあるんですよね。第五番目、次のページの「第五に、」というやつです。「第五に、」の「拉致問題については、」というのがありますよね。拉致問題についての中に調査という言葉が書いてありますけれども、この調査の中には真相究明というのが含まれるんでしょうか。この調査というのは拉致被害者を捜すという意味での調査なのか、それとも真相究明まで含めた調査なのか。その辺について、伊原局長、お答えください。
○政府参考人(伊原純一君) 拉致問題について全面的に調査をするということでございますから、当然、そこには真相究明が含まれているものと考えております。
○白眞勲君 菅官房長官は、この調査が一年を超えることはないと記者会見でお話しになり、かつ、北朝鮮側がこの文書で、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施して、最終的に日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明したということですよね。そうすると、この全ての問題の解決の中には、真相究明と実行犯の引渡しが今の御答弁からすると入っているということでよろしいですよね。
○政府参考人(伊原純一君) この点についての日本政府の立場は変更ございません。
○白眞勲君 日本政府の立場は変更ないんですけれども、今回のこの合意の中に、それは北朝鮮側としても納得したものであるということでよろしいんですね。
○政府参考人(伊原純一君) 北朝鮮は全面的な調査をすると言っており、日本政府としてのこれまでの立場に変わりはありませんので、日本政府としては、真相究明も含めて、これまでの政府の立場に沿って北朝鮮側に求めていきたいというふうに思っております。
○白眞勲君 そうすると、それは、菅官房長官がおっしゃっている、この調査が一年を超えることはないというふうになると、その調査、一年以内に真相究明、拉致実行犯、それから当然拉致被害者の帰国、全員の帰国も含めて一年以内ということで考えているのかどうか、これについてお答えください。
○政府参考人(伊原純一君) 調査につきましては、できるだけ速やかに開始をし、進めていく必要がございますが、今、北朝鮮との間で具体的な期限について合意しているわけではございません。これは、今後の調査の進め方を協議していく中でそういった時期的なめどについても交渉していきたいというふうに思っております。
○白眞勲君 じゃ、菅官房長官がおっしゃった調査が一年を超えることがないというのはどういう意味なんでしょうか。
○政府参考人(伊原純一君) 長官としての見通しをおっしゃったのかと思いますが、今私が申し上げましたように、この点について現時点で北朝鮮との間に明確な目標、期限についての合意はまだございません。
○白眞勲君 外務大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、菅官房長官は、調査は一年を超えることはないと明確に記者会見でおっしゃっている。しかし、今、伊原局長は、いや、北朝鮮側とはそんな合意していませんよと言っているわけですね。その辺のそごについてどういうふうに考えたらいいんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 菅官房長官は、この問題についての御自分の見通しを明らかにされたものだと承知をしております。一方、日本と北朝鮮との間においては、この調査が完了する時期等について具体的なものを確認しているものではない。実態につきましては、今、伊原局長から御説明したとおりだと認識をしております。
○白眞勲君 ちょっともう一回答えてくれませんか。さっぱり言っている意味が分からないんですね。
 つまり、もう一度聞きますけれども、一年を超えることはない、調査はというふうに言っている調査の意味と、今、伊原局長は、真相究明、それから犯人の引渡し、それも含めた形が日本政府の立場であるということをおっしゃいましたよね。ですから、そういう部分における調査のニュアンスが僕は菅官房長官と違っているんではないかということがあるんですけれども、その辺について、伊原局長、しゃべりたそうな顔をしていますから、じゃ、伊原局長、お願いします。
○政府参考人(伊原純一君) 私は、最終的に日本人に関する全ての問題を解決するというとき、すなわち、拉致問題も含めて最終的に解決するという際の日本として求めるべきことについては、真相究明あるいは実行犯、そういったことも含まれるということを申し上げましたけれども、この調査につきましては、この調査の終わった時点の姿については、これから北朝鮮と調査のやり方も含めて更に議論をしていかないといけない。ただ、先ほども答弁で申し上げたとおり、日本政府の基本的な立場に変更はないと、そういうことでございます。
○白眞勲君 そうすると、その調査というのがその場その場によって変わっているんですよ、今のお話ですと。
 つまり、先ほど伊原局長は、第五のパラグラフの調査というのは間違いなく入っているとおっしゃったじゃないですか、拉致被害者の帰国はもちろんですけれども、実行犯、真相究明というこの三点について。お答えになっているにもかかわらず、今、菅官房長官がおっしゃった調査の意味、一年を超えることはないというふうにおっしゃっている。その部分での、私は何度も聞いているんですね、どうも何か意味合いが違っているんじゃないかと。これから話をするんですということになったら、一年という意味は何だったんだというふうに思うんですけど、外務大臣、どうなんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) いずれにしても、一年という期限につきましては、官房長官御自身の見通しであると承知をしております。
 そして、日本と北朝鮮との間のやり取り、そして今現在確認していることについては、先ほど伊原局長から御説明したとおりだと認識をしております。
○白眞勲君 いや、だけど明確におっしゃったんですね、北朝鮮の調査は一年を超えることはないとおっしゃっているんですよ。だけど、今見ると、いや、これから話すんですと。というと、これはちょっと変じゃないですか。どういう意味での一年なんですか。さっぱり私は分かりませんよ、それ。
 もう一回答えてくださいよ、その辺は。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほどからお答えしているように、一年という期限につきましては、菅官房長官の個人的な見通しだと承知をしております。これは、明確ではないという御指摘ですが、それに尽きていると承知をしております。
○白眞勲君 個人的な見解だったんですか、じゃ、官房長官の考え方というので。考え方なんですか、それは。それはちょっと変ですよ。
 今、伊原局長ははっきりと、そんな期限定めていないようなことも言っているわけで、非常に大きな私は外務大臣としての言葉だと思いますね。じゃ、外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) この問題に関わる人間として、この見通しを表明する、発言する、これはあってもいいことではないかと存じます。
 いずれにしましても、日本と北朝鮮との間のやり取りについては、伊原局長から御説明させていただいたとおりだと承知をしております。
○白眞勲君 ですけど、北朝鮮の調査は一年を超えることはないと、国民はみんな期待しているんですよ。ところが、今の話ですと、いや、それは個人的な見解でございますとか、そういうふうなことを言われると、少し何か残念だなという私は感じがするんですね。
 それで、ちょっともう一つ聞きたいんですけれども、北朝鮮側が出してきた内容で向こうがこれで解決だと言っても、こちらが納得しなければそれは解決したことにはなりませんよね。これは外務大臣、ちょっとお答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の協議の結果として出された文書、両国間における一致については、両国間の合意に基づいて進められるべきものであり、その結論についてもしっかりと両国間で合意されるものであると認識をしております。
○白眞勲君 ですから、私が申し上げているのは、これが解決といって、こちらが被害者なんです、この拉致問題については。ですから、こちら側の被害者、被害を受けている国、被害を受けている方が解決したねというふうに思わない限りは解決したことにはならないんではないかということを私は申し上げているわけなんですね。
 ですから、今もう一度、お手元のペーパーの一番最初のページの三パラグラフ目の一番最後に、「最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した。」というふうに、「北朝鮮側は、」という主語でなっていますけれども、意思を表明するのは意思を表明したとしても、それに対して、受けるこちら側としては、全ての問題を解決する意思は日本側が示さなきゃいけないというふうに私は思うわけですね。それについて外務大臣としてはどういうふうに思っているのか、お答えください。
○国務大臣(岸田文雄君) いずれにしましても、解決したということについては、我が国自身がしっかり納得した結果を得た上での話だと認識をしております。
○白眞勲君 私もそのとおりだと思うんですね。
 そういう中で、今、菅官房長官は一年を超えることはないというときに、片や、随時通報という言葉が二か所に出てきているんですね、この文書の中に、随時通報という言葉が北朝鮮側の方に書いてあるんですけれども。随時通報と書いてあるんですけれども、この随時というのは頻度としてどれぐらいを考えているのか。常識的には、一か月にせめて一回ぐらいはやるんじゃないのかなという感じがするんです。一回以上やらないと、これは随時にならないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、外務大臣としての御認識はいかがでございますか。
○国務大臣(岸田文雄君) 随時通報という文書について、私もやり取りについて確認をさせていただきましたが、具体的に二週間とか一か月とか半年とか、そういった具体的な期限については確定はしていないと聞いております。
○白眞勲君 もちろんそうでしょうけれども、相手もいることですけれども。
 今、半年とかおっしゃったんですけど、でも、やっぱり随時といったときの常識的な範囲内というのが私はあると思うんですよね。それは、外務大臣としての御認識としてはどの程度だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、この調査特別委員会につきましては、しっかりと実効性を確保しなければなりません。そのための随時通報であり、そしてそれ以外にも、北朝鮮の滞在ですとか関係者の面談ですとか様々な措置をこの文書の中に確定をしたわけであります。
 調査特別委員会の実効性を確保するために、適切な間隔で随時通報を受けていかなければなりません。ですから、調査の進み具合等において、その頻度等は当然いろいろ柔軟性を持って考えていかなければならないものだと存じます。
 いずれにしましても、我が国として納得いく調査特別委員会の実効性を確保するために、適切にこの通報頻度についても考えていきたいと考えます。
○白眞勲君 まあ別に考える必要もない程度の話なんだと私は思うんですよ。その実効性、随時の実効性について考えていくということではなくて、随時とは大体こちらとしてはこの程度だぐらいのことを向こうにアナウンスしても私はいいと思うんですね。二週間に一遍はやってくれないかというようなことを私は言ってもいいというふうに思いますよ。
 そういう中で、もう一つ、この二ページ目の、北朝鮮側の文書の中ですけれども、「第三に、」というところに、「特別の権限が付与された特別調査委員会を立ち上げる」というふうに三番目に書いてあって、第六番目のところですけれども、調査の進捗に合わせて、日本側の提起に対し、それを確認できるよう、日本側関係者による北朝鮮滞在、関係者との面談、関係場所の訪問を実現と、この関係場所の訪問の中には、これは強制収容所は含まれるんでしょうか。
○政府参考人(伊原純一君) 先ほども申し上げましたが、この調査を具体的にどのように北朝鮮が進めていくのか、そして、日本として、今御指摘のこの第六に掲げてあるような約束を日本として手段としてどのように使っていくのか、こういった点については、これから北朝鮮側と更に折衝、交渉していかないといけないというふうに考えております。
○白眞勲君 しかし、全てのと書いてあるんですよね。全ての機関を対象とした調査を行える権限は持っているという中で、強制収容所はその中に、当然全ての中に含まれるのが当たり前であるというふうに考えました場合に、当然、それをこちらから要求することは可能だと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(伊原純一君) 繰り返しになりますが、その調査の具体的な進め方、それに対する日本の関与の仕方等については、今後、国内のそれぞれの関係者、役所等とも協議しながら、北朝鮮側と折衝、交渉して明確にしていきたいというふうに考えております。
○白眞勲君 最後に、外務大臣にお聞きしたいと思いますが、安倍総理がいずれ訪朝するのではないんだろうかという報道も出てきております。もちろん、何にもないのに訪朝するわけないと私は思いますけれども、何らかの条件があった場合に訪朝する可能性というのは当然あるだろうかとも思います。この辺の条件について、どういう前提条件があったら訪朝できるんだろうかということについて外務大臣としての御見解をお願いいたします。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回、日本と北朝鮮との間で協議をし、調査特別委員会を立ち上げ、調査を進めていくことにおいて合意をしたということにつきましては、貴重な第一歩であると認識をしております。
 今後は、こうした取決めに従って実効性のある調査が進むことがまず重要であると認識をしております。そして、調査を進めながら、先ほど来この質疑の中でやり取りしていただきましたように、全ての日本人に関わる問題について大きな成果が出されること、北朝鮮から前向きな行動が示されること、これが重要であると認識をしております。
 拉致家族の皆様方も高齢化が進む中にありまして、時間は限られていると認識をしており、政府としましても全力で取り組んでいかなければなりません。この具体的な成果を上げるために最も効果的な対応、方法が何であるのか、我々は絶えず考えていかなければなりません。その中にあって訪朝の件についても考えていくということかと存じます。
 具体的な、訪朝等については当然今の段階で何も決まっているものではありませんが、今申し上げました考え方に基づいて最も効果的な対応をしっかりと考えていきたいと存じます。
○白眞勲君 今、牧山先生の時間にちょっと掛かっちゃったんですけれども、一問だけ、牧山先生から御許可をいただいて、ちょっと伊原さんにお聞きしたいんですけれども。
 今回、何か向こう側から拉致被害者についての消息について、何らかの向こう側からの提示とか、何かそういった示唆に富むものというのはあったんでしょうか。それだけお答えください。
○政府参考人(伊原純一君) そういった事柄については、今後、調査の中で明らかにすべきことだというふうに考えております。今、特段の情報はございません。
○白眞勲君 終わります。
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 本日の審議対象であります刑事関係三条約のうち、まず、核物質防護条約についてお伺いしたいと思います。
 今回、国内にある核物質や原子力施設に核物質防護の対象が拡大されましたけれども、それは平和目的利用の核物質に限られているんですが、すなわち、改正条約の第二条五項の規定にはこのように書いてあります。「この条約は、軍事的目的のために使用され、又は保有される核物質及び当該核物質を保有する原子力施設については、適用しない。」とされています。
 核兵器保有国については軍事目的の核物質が多く国内に存在しているはずですけれども、これに対して防護措置の対象から外したのはなぜなんでしょうか。その理由や交渉経緯などをお伺いしたいと思います。
○副大臣(岸信夫君) 今委員からも御説明ございましたとおり、現行条約においては、この条約は平和的目的のために使用される核物質について適用されることと規定がされておるわけでございます。この改正におきましても、その適用範囲を維持することについて各国が合意し、第二条の五においても軍事的目的のために使用される核物質については適用しない旨が明示されることとなりました。
 現行条約の作成交渉におきましては、軍事的目的のために使用される核物質を条約の対象とし、効果的な防護のための具体的な措置を義務付けることは、各国の安全保障にも関わる問題であり、実際上様々な困難を伴うことなどが考慮されました。
 この結果、前文において、軍事的目的のために使用される核物質及び原子力施設の効果的な防護は各国の責任であること、及びこれらが今後とも厳重に防護されることが了解されたことに言及することとなった経緯がございます。
○牧山ひろえ君 次に、日・ブラジル受刑者移送条約についてお伺いしたいと思います。
 外国での服役は、言葉の問題ですとか文化の違い、親族などとの面会の難しさなどから、受刑者にとって精神的な負担が大きく、十分な更生効果が上がりにくいとされているんですね。そのような考え方から、欧州評議会が作成した受刑者移送条約、いわゆるCE条約ですが、日本も二〇〇三年からこれに加入しています。今回のブラジルとの条約は、CE条約に加盟していないブラジルとの間で同じような趣旨の二国間条約を締結するというものです。
 受刑者の移送には、元々の趣旨であります受刑者の更生、社会復帰のほかに、受刑者の母国での恣意的な減刑を抑止しながら裁判国のコスト削減にもつなげられるという、そういったメリットがあると思います。
 配付資料にも記載させていただいておりますとおり、どの国との関係においても、海外で服役する日本人受刑者は少なく、日本で服役する外国人受刑者は多くなっているということが分かります。特に、ブラジルの場合、日本国内でブラジル人受刑者は二百四十人とこれに書いてありますが、その横を見てください。ゼロです、日本人の受刑者はゼロなんですね。条約の趣旨からいっても、これまで以上に積極的に移送に取り組むべきだと思います。ですが、移送に関しては受刑者本人の同意が必要とされているため、どの程度移送が進むか、実効性に問題が生じるようにも思えるんです。
 実際に、受刑者移送条約締結国の受刑者のうち、移送がなされたのは十数%にすぎないということが分かりました。これは運用面に関わる問題なんですが、外国人受刑者の母国移送の促進に私は努めるべきだと思います。
 具体的には、現在、受刑者に対してこの移送の説明が収監時に行われているそうなんですけれども、この説明の、すなわち帰国の意思の確認の回数を計画的に増やしていく、例えば、必ず年に一回ないし二回は最低でも意思の確認を行うなどの対応を取られたらいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 締約国の国籍を有する受刑者につきましては、刑事施設におきまして、刑が確定した後、速やかに受刑者の理解する言語により記載されました条約の内容に関する書面を貸与することによりまして条約の内容を告知しているところでございます。当該書面につきましては、引き揚げるのではなくて、その後も引き続き受刑者に貸与しております。
 したがいまして、受刑者が条約の内容を理解し、関心を表明する機会というのは、当初だけではなくてその後も保障されているというふうに考えているところでございますが、また、そのような受刑者に対しましては、必要に応じまして刑事施設の職員でありますとか外国公館の領事等から送出移送についての働きかけがなされているものというふうに承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、先生の御指摘もございましたところでございますし、今後も、個別の状況に応じまして、送出移送につきまして積極的に働きかけてまいりたいと思っておるところでございます。
 以上です。
○牧山ひろえ君 そうはおっしゃっても、やっぱり日本の刑務所は長らく過剰収容、すなわちパンクの状態にあるわけですね。現在は多少緩和されておりますけれども、コストの側面にも配慮した運用が必要だと考えております。
 受刑者移送条約の対象国を増やすことなども併せてお取り組みのほど、お願いいたしたいと思います。
 続きまして、前回に引き続きまして、集団的自衛権について、安保法制懇での議論や報告書について質問をさせていただきたいと思います。
 安保法制懇の報告書には、我が国と密接な関係にある外国に対して武力攻撃が行われた場合、その戦争に武力行使をもって参加する集団的自衛権を現憲法の下でも行使できるとしています。国連決議などを根拠に武力行使を行う多国籍軍など、軍事的措置を伴う集団安全保障への参加についても憲法上の制約はないとし、さらに、武力行使と一体化した戦闘地域での後方支援活動もできるとしているんですね。また、国連PKOや在外邦人の保護、救出、国際的治安活動の任務遂行のための武器使用、これもできるとしております。武力攻撃のない場合でも、必要に応じて自衛隊が武力行使できるようにすべきとも提起しているんですね。まさに、今までの平和主義の要請による歯止めをないものにして、あらゆるケースの紛争、そして戦争に武力行使をもって日本が参加できる道を開いている、そういった報告書だと私は思うんです。
 この報告書では、今まで議論のあった部分はほぼ全てについて無制限に容認してしまっていますけれども、この論理構成ですと、憲法九条に残る規範性は一体どこにあるんでしょうか。すなわち、憲法九条がないのと一緒の結論になってしまうのではないでしょうか。
○内閣官房副長官(加藤勝信君) 牧山委員にお答えいたします。
 政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が大変厳しさを増す中で、集団的自衛権の行使は認められないとする現在の憲法解釈を含め、現行の法体系のままでいかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守ることができるのかということを真剣に検討する必要があると考えております。他方、政府の憲法解釈は、論理的整合性や法的安定性の確保が必要であると考えておりまして、憲法第九条の規範性を解釈によって失わせるというようなことは一切考えておりません。
 なお、今お話がございました安保法制懇の報告書では、二つの異なる考え方が示されているわけでございます。一つは、個別的か集団的かを問わず自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないという考え方でありますが、この考え方については、これまでの政府の憲法解釈、すなわち武力の行使や実力の保持が認められるのは自衛のための必要最小限度に限られるという政府の解釈とは論理的に整合しないということで、政府としては採用できないという立場を既に明らかにしております。
 その上で、報告書のもう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方でありますが、政府としては、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方について更に研究を進めたいとしております。
 ただ、いずれにいたしましても、今申し上げた、総理から示された基本的方向性に基づき、現在、与党協議が進められております。また、その結果に基づき、政府としての対応を検討し、憲法解釈の変更が必要と判断されれば閣議決定をしていくということを申し上げておるところでございます。
○牧山ひろえ君 今の御説明ですと、九条の規範性に疑問を感じざるを得ないんですね。例えば、安保法制懇の報告書には、集団的自衛権の行使に当たって示される歯止め要件の一つとして、日本と密接な関係にある外国に対して武力攻撃が行われた場合と記載されています。この密接な関係にあるとはどの国を想定しているんでしょうか。日米安保条約を結んでいるアメリカ以外にもあり得るということでしょうか。
○内閣官房副長官(加藤勝信君) 集団的自衛権においては、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と一般的に解されているところでございます。
 そういう意味で、その密接な関係にある国ということでございますけれども、現在、集団的自衛権そのものは、与党協議が行われておりますので、予断を持って申し上げるのは差し控えるべきと思いますが、今の御質問に対して、米国については、我が国の平和と安全を維持する上で日米同盟の存在及びこれに基づく米軍の活動が死活的に重要であるという認識を持っているところであります。
 米国以外の外国に対する武力攻撃については、安保法制懇の報告書の考え方にあるような、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときとされているわけでありますが、現実にどのような状況が想定されるのか、十分に検討していく必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について、与党協議、そしてさらに政府においても研究を進めていきたいと考えているところでございます。
○牧山ひろえ君 全然答えていないですね。
 集団的自衛権は、自国は攻撃されていない場合でも他国が攻撃されたら一緒に戦争をするという、そういった権限です。仮に日本が集団的自衛権を発動するとすれば、その相手は日米安保条約を結んでいる米国以外にあり得ないはずだと思うんですね。歯止めというならば、軍事同盟ないし相互防衛協定を結んでいる国と具体的にすべきだと思うんですけれども、密接な関係にあるなどという、これ、何とでも解釈可能な表現だと思うんですよ。こういった言葉を用いるのは、集団的自衛権の発動について言わばフリーハンドを持ちたい政府の方針としか思えないんですね。
 問題はこれだけではございません。次に、専守防衛と限定的集団的自衛権との関係についてお伺いしたいと思います。
 この専守防衛は、日本の防衛の基本的な方針であると認識しております。この専守防衛は、防衛白書によりますと、こう書いてあります。「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう。」。この解釈は、例えば昭和五十六年三月十九日の参議院の予算委員会における大村防衛庁長官の答弁でも同じ内容の説明がなされているんですね。文字どおり、定着した解釈となっているわけです。
 この専守防衛概念に関し小野寺大臣は、当委員会の中西委員の質問、すなわち、集団的自衛権を行使することとなった場合にも専守防衛の考え方に変更はないですかと、そういった質問がありましたけれども、それに対し、安保法制懇の議論を待ちたいと答えているんですね。その後、安保法制懇の報告書が提出されました。それに対して安倍総理自身が記者会見の中で、報告書で示された考え方のうち、必要最小限の中に集団的自衛権の行使も含まれるべきとの一解釈を採用しております。政府としてこの考え方について研究を進めたいと明言されているんですね。
 この集団的自衛権の考え方と、相手から武力行使を受けたことを前提とした受動的な防衛戦略であります専守防衛との考え方は明らかに一致しないものと思うんです。この点に関し、小野寺防衛大臣は四大臣会合で発言を行ったのかどうか、また、現時点で限定的集団的自衛権を認めることで専守防衛の考え方が変わるのかあるいは変わらないのか、防衛政策の要を御担当する小野寺防衛大臣、是非御見解をお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(小野寺五典君) 専守防衛につきましては、今委員の方から御指摘がありました内容のとおりで、定義はそのとおりでございます。
 その上で、五月十五日、国家安全保障会議の四大臣会合、これが開催されましたが、そこで、安保法制懇からの報告書を受け、政府としての検討の進め方についての基本的方向性について議論をいたしました。議論の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、会議の結果等を踏まえた政府としての基本的な方向性については、その後に行われた記者会見において総理から説明があったと思います。
 政府としては、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢であります専守防衛を含め、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持してまいります。
 集団的自衛権等の問題については、このことを前提として、まず与党と十分に協議していくとともに、内閣法制局の意見を踏まえつつ、政府として検討を進めてまいります。
 なお、このことについては、先日行われた日米韓三国間の会談においても説明しており、今後とも、関係国等に対して累次の機会に説明をしてまいりたいと思っております。
○牧山ひろえ君 何か、御答弁を聞いていますと一致しないですね。
 では、集団的自衛権、すなわち自国が攻撃されていないのに発動する自衛権と、相手から武力攻撃を受けたときに初めて行使される専守防衛との不一致、この矛盾についてはどのように解釈されるおつもりでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 済みません、質問の意図がよく分かりませんが。
○牧山ひろえ君 今の御答弁と、総理が、認める方向で研究をすると、方向性は示していつつ研究を進めるという何か逃げているような発言がこの間されたんですけれども、今防衛大臣がおっしゃっている専守防衛は維持するということと全く一致していないと思うんですが、このそごについて御説明いただきたい。
○国務大臣(小野寺五典君) 政府としましては、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢であります専守防衛を含め、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持してまいります。
○牧山ひろえ君 今申し上げたばかりなんですけれども、総理がおっしゃっているのは、認める方向で研究を進めるという何かちょっと曖昧な言い方、逃げているんですけれども、でも、認める方向でと方向性を示しているわけですね。今防衛大臣がおっしゃっていることと全く矛盾しているので、おかしいなと思います。
 今度は外務大臣にお聞きしたいと思います。
 また、岸田外務大臣は衆議院の外務委員会においてこう明言されています。専守防衛は憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいい、専守防衛に徹して、他国に脅威を与えるような軍事大国にならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた、こうした我が国の姿勢は今後も変わらないとされているんです。
 しかし、限定的にせよ集団的自衛権を認めるとの考え方を採用し、検討を進めるという政府の判断が示された以上、専守防衛の要件は崩れると思うんですね。そして、平和国家、軍事大国化の否定、また非核三原則、こうした日本の国際社会における平和ブランドを失うことを意味すると考えますが、現時点でも、集団的自衛権を容認したとしても専守防衛を維持できるとお考えなのか、お伺いしたいと思います。もし維持できるとの御見解の場合には、集団的自衛権、すなわち自国が攻撃されていないのに発動する自衛権と、相手から武力攻撃を受けたときに初めて行使される専守防衛とのこの不一致、矛盾についてはどのように解釈されるおつもりでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国としまして、この専守防衛も含めた平和国家としての歩み、これは今後もしっかり堅持すべきものだと考えております。この点につきましては、昨年の十二月十七日の国家安全保障戦略の中にもこれは明らかにされていると認識をしております。
 そして、我が国は、今、国民の命、暮らしを守るために、我が国としての安全保障の法的基盤について議論を進めているわけです。その中にあって、集団的自衛権の議論につきましても、限定的な場合において集団的自衛権が認められるかどうか、こうした研究を進めていくということになっております。
 集団的自衛権の議論につきましては、まだ結論は全くどうなるか分かりませんが、いずれにしましても、これは自衛権の議論であります。我が国の国民の命、そして平和な暮らし、これを守るためにどうあるべきかという議論を進めるわけでありますから、このことは専守防衛を始めとする平和国家の歩みと矛盾しない形で進められていくものだと承知をしております。
○牧山ひろえ君 今のお二方の御答弁を聞いていますと、すごく苦しいなと思うんですね。やっぱり一致させた方がいいと思います、発言を、政府の中で。
 前回の外交防衛委員会で我が党の白委員が、歴代の法制局長官が何名も今の憲法解釈の変更への流れについて厳しい批判をしているということ、それから、憲法を改正しなければ集団的自衛権を容認するのは無理としている点について所見を問いました。それに対して、法制局長官からはこのような答弁がありました。特別の扱いということではなくて、いろいろございます意見の一部として拝聴はさせていただきますけれども、それによって左右されるということはございませんとのことでした。
 いろいろな意見の一部、一般の意見と同じ扱いとのことですが、それで本当によろしいんでしょうか。憲法解釈に関する政府の答弁書には次のような文言があります。議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきとされているんです。これは、行政の一貫性維持の観点から、過去と現在との解釈の整合性への配慮を述べたものとされています。これについて、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 議論の積み重ねと申し上げておりますのは、内閣法制局の部内での議論の積み重ねという意味ではございませんで、政府としての議論はもとより、この国会における法案の御審議等における議論等の積み重ね、その全ての議論の積み重ねという趣旨でございます。
○牧山ひろえ君 先日おっしゃっていたこととちょっと矛盾すると思います。
 終わります。
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、私からは、核物質の防護条約の改正案について御質問させていただきたいというふうに思います。
 核物質防護条約は、核テロ防止条約や安保理において大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散に関して採択された決議一五四〇と並んで、核セキュリティーに関する国際ルールの中心的な条約でございます。今回、二〇〇五年七月にその改正が採択されまして、防護措置について、これまで、現行の条約においては国際輸送中の核物質のみが対象でありましたけれども、今回、その防護の義務の対象が、これに加えて各国の国内にある核物質、そして原子力施設まで拡大されました。
 これまで、国際輸送中における核物質窃取などに対して非常に脆弱であることから、いち早く条約上の防護措置をとるように各国に義務付けていたことは大変意義あることでございましたが、今回改正におきまして対象範囲が国内にある核物質と原子力施設にまで拡大されたということは、各国の国家主権、原子力施設の防護措置など国家主権に関わる非常に厳しい各国の立場もあったかと思います。そうした中で、我が国が外交的な努力をなされて今回締結しようとするところまでたどり着いたこと、政府の御努力に対して敬意を表したいというふうに思います。
 私は、本日は、この核物質防護条約の改正された部分、特に新たに防護措置をとられるようになった国内の核物質、そして原子力施設、この義務の履行性がどの程度実効性を伴うような改正案となっているのか、この点を中心に御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 現行条約は、先ほど申しましたとおり、国際輸送中の核物質を対象としていたわけでございますが、この国際輸送中の核物質の防護の在り方につきましては、附属書Uにおいて核物質の防護区分がなされておりまして、それぞれの核物質の種類ごとに規定がされる、あるいは附属書のTにおいて取るべき防護の水準、出入の規制、常時監視、物理的障壁あるいは連絡体制など、事細かにこの防護の水準というものが定められております。
 それに対しまして、今回新たに防護の対象範囲になされました国内の核物質と原子力施設の防護の措置の義務の履行につきましては、残念ながらそれほど細かい規定がなされておりませず、条約上の第二条のAの三におきまして、「義務を履行するに当たり、締約国は、この条約の他の規定の適用を妨げることなく、次に掲げる核物質及び原子力施設の防護に関する基本原則を合理的かつ実行可能である限りにおいて適用する。」とされ、各国の裁量に委ねた部分が多くございます。ここで掲げられているその基本原則というものは、IAEAの核セキュリティーに関する勧告、INFCIRC二二五のRev4の内容を更にエッセンスにしたもの、これが基本原則として挿入されたことになります。
 そもそも、その基となるIAEAの勧告でありますINFCIRC二二五のRev4というものを見てみますと、例えば、もっと詳細にこの防護措置というものが記載されておりまして、核物質の防護区分に関しましては、プルトニウムやウランなど核物質の種類ごとに危険性に従って量的にも区分されておりますし、また、それぞれの施設につきましても防護区域の在り方、内部区域の在り方、あるいは貯蔵区域の在り方、それぞれ区域別に出入口の数、あるいは侵入検知機の取付け、こうしたことについて詳細な記述がこのIAEAの勧告Rev4には記載されているところでございます。
 この詳細な勧告自体が今回の改正に盛り込まれることなく、そのエッセンスだけが抽出された基本原則のみが挿入されることになりまして、もちろん、そのエッセンスにも、段階的な手法に基づくでありますとか、あるいは防護について構造的、技術的、人的にも複数の層及び方法に関する深層防護の概念を反映すべきとか、こうした概念的な規定はあるんですけれども、詳細な、実際に、じゃ具体的な防護水準をどうするのかといったような規定が挿入されない結果となりました。
 こうした交渉結果になったことについて、政府の御見解、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございました点は、委員言及されましたINFCIRC二二五と題されております文書の性格にも関連するところでございます。このINFCIRC二二五という文書につきましては、核物質防護についての勧告の文書、勧告文書として作成をされておりまして、法的拘束力を持つものではないという形で作られております。
 どうしてそのような形で作られているかというふうに申し上げますと、この文書の中身である核物質の防護について、テロの脅威、それから妨害行為ということに対応するために、その時点での最新の知見を反映すべく随時改訂をされるという、そのような形で作っているということで、この条約作成のときには第四版というものが最新版でございましたけれども、現在は第五版が最新版になってございます。また、この文書を参照して各国がそれぞれ自国の状況を踏まえながら核セキュリティーの向上を図るための指針という、そのような性格付けのものとして作成をされているということでございます。
 したがいまして、このようなINFCIRC二二五の性格を踏まえまして、条約を改正をする交渉の際に、これをそのまま条文とするのではなくて、今先生からも御指摘ございましたように、エッセンスを抽出した基本原則の形で反映をする、そして、これを合理的かつ実行可能な限りにおいて適用するという、そのような規定ぶりとなったところでございます。
 このことによりまして、その時点におけるテロの脅威、それから想定される妨害行為などに対して柔軟に対応することができ、核セキュリティーの不断の向上につながるという、そのような考え方であったというところでございます。
 以上でございます。
○石川博崇君 確かに、条約で詳細に規定してしまいますと、その後の技術革新、あるいは新たな脅威に対して柔軟に対応できなくなると、そういう要素はあるかとは思いますが、その時点で少なくとも最新の勧告水準でありましたRev4をできるだけ具体的に規定するですとか、あるいは、その後もRev5が今出されておりますけれども、そうしたそのときそのときの最新の勧告に従って行動するようなことをより締約国に対して拘束力の強い形で規定するなど、もう少し工夫の余地があったのではないかというふうに思っております。
 今部長から御指摘をいただきましたが、このエッセンスに対する各国の義務履行の考え方につきましても、合理的かつ実行可能である限りにおいて適用すると、非常に各国の裁量の範囲が広い形で規定されておりまして、果たしてこの後、実際にこの条約改正案が実行されたときに各国の履行状況が確認していけるのかということを、懸念を思いますし、また、しっかりと日本として今後の条約履行確保に向けて御努力をいただきたいというふうに思っているところでございますが、この基本原則について、合理的かつ実行可能である限りにおいて適用すると規定されて義務付けとならなかったことについて、政府はどのように評価されているんでしょうか。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 この改正におきまして、各国が自国の管轄下にある核物質、それから原子力施設について防護の措置をとるわけでございますけれども、その際、国際的な決め事をどのレベルまでにするか、それから各国にどの範囲を委ねるのかというところについての考え方でございますけれども、この改正におきまして、今の点につきましては、各国が自国の管轄下にある核物質、原子力施設について適当な防護の制度を確立をし、実施をし、維持をするという義務を履行するに当たりまして、具体的にどのような措置をとるかということについては各締約国の裁量に委ねるという、そのような基本的な考え方を取ってございます。別の言い方を申し上げますと、基本的な部分につきましては条約の決め事とし、具体のところについては各国の裁量に委ねると、そのような基本的な考え方がこの改正の基本的な哲学ということになっております。
 今委員から御指摘がございました第二条のAにおきます基本原則ということにつきまして、合理的かつ実行可能である限りにおいて適用するというふうにしているということも、このようなこの改正の基本的考え方に沿ったものであるというふうに受け止めているところでございます。
 今、裁量に委ねられているということを申し上げましたけれども、各締約国は、自国での原子力の平和利用の状況、それから想定されるテロなどの脅威についてのそのときの評価、妨害行為に関連して生じ得る結果というものを考慮して必要な国内措置をとるということでございますので、必要な措置が国により異なり得るというような状況ではございますけれども、基本原則について合理的かつ実行可能な限りにおいて適用するというふうにされているということが基本の考え方を示しているということも併せ考えますと、妥当なものであるのではないかというふうに考えております。
○石川博崇君 条約の交渉過程におきましては、IAEAで示されているこの基本原則あるいは勧告を法的義務として導入しようというような立場の国もあったというふうに聞いております。核テロの脅威に対抗するためにはできるだけ多くの国に本条約改正を受諾してもらうことが必要で、この防護の網を広げるという必要性との間の中で各国の裁量の余地を残したという結果になった、要するに、より多くの国にまず加盟してもらうということを優先した結果であろうというふうに私自身認識しております。
 ただ、今回、この基本原則に従うことは、先ほどの御答弁でもありましたとおり、義務、拘束力のない規定にはなったわけでございますが、我が国としては、核セキュリティーの分野においてどの国よりも先んじて国内の実施体制を強化していくということを、この率先した姿勢を示していくことで今後の国際社会におけるルールメーキングのリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。
 この条約改正案にはINFCIRC二二五のRev4のエッセンスが盛り込まれておりますが、今既にINFCIRC二二五のRev5という最新版が、勧告が出されているところでございます。現在、我が国は、このRev5に従って我が国国内の防護措置の在り方を検討し、また実施を進めておられるというふうに認識しておりますが、今回のRev5におきましては、内部脅威対策をどのように実施するのかということが注目されておりました。
 この核物質あるいは原子力施設に関わる方々の適性評価、昨年、特定秘密保護法案の審議の際にも、特定秘密に関与する公務員の方々の適性評価についての議論が大きくこの国会でも取り沙汰されましたけれども、核物質にアクセスする方々の適性評価をどのように行うのか、内部脅威対策についても我が国としてどのように行っていくのか、このことをRev5を受けて我が国としてどのように取っていくか、これも含めて、現在の取組状況について御説明をお願いをいたします。
○政府参考人(黒木慶英君) 原子力規制委員会としましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子力事業者に対し、テロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。これらの措置は、基本原則を踏まえて二〇一一年に発行されました今御指摘のいわゆるRev5と言われる、INFCIRC二二五のRev5でございますけれども、それを踏まえた内容となっております。
 具体的には、立入り制限区域の設定、サイバー攻撃に対する対応、防護本部の監視機能と連絡機能等の二重化、無停電電源対策及び不正傍受対策、重要設備周辺で作業する場合の二人以上での実施等の措置につきましては、既に平成二十三年に規則改正を行いまして、国内規制に取り組んでいるところでございます。
 それから、御指摘の信頼性確認につきましては、現在、まさにINFCIRC二二五Rev5の水準を満たすべく検討を行っているところでございます。
 若干具体的に申し上げますと、個人の信頼性確認制度につきましては、原子力規制委員会におきまして有識者から成る核セキュリティに関する検討会を開催しまして、警察等の関係行政機関と連携を取りつつ検討を行っているところでございますが、幅広い観点から実務上の検討を行うべきことが多いため、検討会の下に更にワーキンググループを設置し検討を行っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、信頼性確認を行う者、行われる者ということになりましょうか、誰に対して行うんだという行う者の範囲の問題が一つ。それから信頼性確認の項目、どんな項目を確認するのか。さらに、信頼性を確認するというけれども一体誰が確認するのか、事業者なのか、それとも規制当局なのか、あるいは治安当局なのかと。いろんな問題がありまして、この点に関しましても、実は各構成員ばらばらでございます。そういったことも含めまして検討を行っているところでございまして、また、事柄の性質上、個人のプライバシーに関わる問題もありますことから、慎重な検討が必要であると認識しておるところでございます。
 いずれにしましても、個人の信頼性確認は、潜在的脅威の事前排除という面で内部脅威対策の一手段として認識しておりまして、まずはワーキンググループでの実務上の課題に関する検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○石川博崇君 今、様々有識者の会議において検討が進められているという御説明でございました。是非、精力的に検討を進めていただきたいということを御要望申し上げたいというふうに思います。
 また、あわせまして、この条約義務をどのように各国が履行していくのか、それを国際社会においてどのように確認をしていくのかということが重要であろうかというふうに思います。
 この条約には、第十四条の一に、「締約国は、この条約を実施する自国の法令を寄託者に通報する。」という通報制度が盛り込まれておりますけれども、この報告書の提出内容、あるいは締約国間における相互評価、ピアレビューというんでしょうか、お互いに締約国間同士でどのように履行しているか、この確認をしていくような制度というものは採用されていない状況でございます。テロリストから見ますと、核物質防護の実施が甘い国、これがきちっと取られていない国を狙っていくということがあり得ることを考えれば、各国がよりこの核セキュリティーについて政治も含め強い意識を持って取り組んでいく、その各国の義務履行を確保していく必要があろうかと思います。
 この条約義務履行確保の制度が具体的に記述されていない状況の中で、しっかりと条約義務履行確保に向けた制度を設けるように日本から今後提起していくことが大事なのではないかというふうに思っておりますが、今後、日本として、改正案を締約するに当たってどのように取り組んでいくのか、御説明をお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、同条約十四条におきまして、条約の履行確保を目的として、条約を実施する自国の法令を通報すること、これが義務付けられております。また、十六条におきまして、改正発効の五年後に、条約の実施状況やそのときの状況に照らして条約の規定の妥当性を検討するため、締約国会議を招集すること、これが規定されております。
 我が国としましては、まずは本件改正の発効に向けてしっかりと努力をし、そして発効後は、この締約国会議において検討される実施状況等も踏まえ、必要に応じて他国への働きかけ、あるいは履行確保の在り方の検討、こういったものを行うなど、改正後の条約の履行が確保されるようしっかり努力をしていきたいと考えております。
○石川博崇君 また、この核セキュリティー分野で各国の行動を促していく上で、是非外務大臣を始め意識を持っていただきたいなと思いますのが、この核物質を含む大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散に関する安保理決議一五四〇というものがございますが、この安保理決議一五四〇は、憲章第七章に言及した、拘束力を持つ形で、適切で効果的な防護措置を策定し維持することということを各国に、これは国連加盟国全体に拘束力を持って義務付けております。その上で、この決議の実施のためにとった又はとろうとする措置に関する最初の報告を委員会に提出するように要請するとしていまして、報告も、この一五四〇の下にあります一五四〇委員会というところに提出をすることが広く国連加盟国全体に義務付けられているところでございます。
 これはニューヨークで行われている一五四〇委員会ですけれども、ここで扱われている、核物質防護条約よりもより履行確保が期待できる報告制度をどうこの核物質防護条約の今後の運用の中で位置付けていくかということが私は重要なのではないかと思いますけれども、今後、こうした一五四〇委員会に報告された内容、これはそれぞれの国がどういう措置をとりましたという措置内容だけが報告されているようでございますけれども、この内容をより精査し、そして核物質防護条約の履行確保につなげていくよう、日本として作業をリードしていただきたいと思いますけれども、この点、外務省の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の国連安保理決議第一五四〇号ですが、非国家主体への大量破壊兵器等の拡散防止を目的として、二〇〇四年に国連安保理で採択されました。また一方、御審議いただいております核物質防護条約ですが、平和的目的のために使用される核物質の防護及び関連犯罪の防止を目的としてIAEAが開催する政府間会議において一九七九年に採択されました。その後、二〇〇五年には今回御審議をお願いしている改正が採択されたということであります。この安保理決議第一五四〇号と核物質防護条約、作成の背景は異なりますが、テロリストなどによる核物質の不法な使用等を防止する、こういった意味におきまして共通の目的を有していると承知をしております。
 本年三月の核セキュリティ・サミットにおいて採択されたコミュニケでは、この安保理決議第一五四〇号等の完全な実施を求めております。また、同サミットに出席した潘基文国連事務総長は、IAEAと協力して同決議を実施する必要性を述べております。
 このように、御指摘の決議一五四〇ですが、この重要性が国際社会において認識高まっております。是非、この決議とそして核物質防護条約、両者がより良く連携できるように貢献をしていくべきだと考えております。
○石川博崇君 是非よろしくお願いします。
 ちょっと時間も少なくなってまいりましたので、日米重大犯罪防止対処協定、PCSC協定につきまして一点だけ御確認をさせていただきたいと思います。
 このPCSC協定におきましては、日米両国が利用可能とする指紋情報の範囲が定められておりますが、このときに、日本側が利用可能とする、要するにアメリカから照会を受けて、このときに利用可能とする指紋情報の中に、個人から採取された指紋の中で逮捕されたことのある成人、その中で無罪判決が既に確定している方の指紋についても、第一次照会に対しては米国側が利用できるという、利用可能とするというふうになっているところでございます。衆議院の審議におきましても、この点は極めて慎重な判断を要するというふうな御答弁を、第一次照会には照合対象には含まれるものの、その後、具体的な照会、第二次照会があった際には、個人情報を提供することについては慎重な判断を要すと。
 例えば、アメリカから、テロリストのアジトから採取されたような場合の遺留指紋が照会されてきた場合のようなケースについては人定事項を提供することはあり得るというふうに述べられておりますが、私も、無罪判決が既に確定している方の指紋、そしてそれにまつわる個人情報を提供するということは極めて慎重に対応すべきだというふうに考えておりますが、具体的にじゃどういう案件のときにこの第二次照会に応えるのか、人定事項等の個人情報を提供するのか、具体的な基準についてどのように今お考えなのか、政府の見解をお聞かせください。
○政府参考人(荻野徹君) お答え申し上げます。
 御指摘の第二次照会に対して回答する内容でございますが、これにつきましては、先日、この協定の実施に関する法律が成立しておりますが、その実施法の第四条第一項におきまして、必要かつ適当と認められる情報に限定して提供するということになっております。
 この必要かつ適当と認められるかどうかでございますけれども、これは、まさに個別の事案に応じて個別的、具体的にしっかり判断をすべきものでございまして、一般的、抽象的な基準を設けるということにはなかなかなじまないものではないかと考えておりますが、いずれにしましても、御指摘のとおり、お尋ねの無罪判決確定者の人定事項等を提供することにつきましては慎重な判断を要するものと考えております。
○石川博崇君 このことについてもしっかりと、アメリカと今後ガイドライン等を策定することになろうかと思いますので、認識の共有を図っておいていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、元気があれば一寸先は闇という言葉がありますが、一寸先はハプニングということで、人生を変えていかなきゃいけないかなと。
 ちょうど、宮本武蔵の昔本を見たときに、花に嵐のたとえがあるように、さよならだけが人生だという言葉が気に入っていまして、調べたら、井伏鱒二さんというのが中国の言葉を訳したそうですが、いろいろ私の言葉の裏を考えていただくといろんな意味があると思いますが。
 ちょうど今回の、またブラジルの資料をいろいろ集めていて、ちょっと昔のことを思い出しまして、かつて日本のシリーズが終わりまして、外人組とそして日本人組でブラジルに遠征することになって、さすがに一緒に座るわけにいきませんので、外人組が後ろの方で我々が前の方。
 離陸してから、かつてアンドレ・ザ・ジャイアントという、二メートル二十七センチ、体重が二百六十キロという、本当にお化けというか怪物がいましたけど、どういうわけか、飛行機のスチュワーデスを口説いたのか、彼がビールを全部買い取ってしまいました。彼が缶ビールを入れると、本当に手の中の小さな感じで。二人のやり取りを後で聞いたんですが、スチュワーデスがアンドレに、一体あなたはどんな職業なのと聞いたら、アンドレはしばらく答えなかったんですが、実は、大きな声で言えないんだけど俺は競馬のジョッキーなんだよと。アンドレを知っていたらみんなあれなんですけど。その後のスチュワーデスの切り返しがまたすばらしいというか、へえ、私も世界中いろんなところ旅をしましたけど、馬を担いで走るレースは聞いたことがないという。今回の資料を集めながらそんなことを思い出しました。
 それで、今日は本題に入る前に北朝鮮の問題をちょっとお聞きしたいと思うんですが、もう既に各議員からも質問がありましたが、前にもお話ししたとおり、九四年に師匠の思いを届けるということから北朝鮮の関係ができまして、二十八回の訪朝と回を重ねましたが、今回の日朝交渉の、まあ進展なんでしょうかね、取りあえず話合いの窓が開かれたということは、大変私は心より歓迎いたします。
 今回の、そして北朝鮮の、前にも申し上げたとおり、総連の会館の問題はセットだということでお話をしたことがありますが、北朝鮮政府の本音や意向をこの中で、新聞や何かで見ている限り、どうもその辺が擦れ違っているような気がします。
 日本政府は総連の問題は含まないと言っています。北朝鮮政府は含まれていると発表しています。このような解釈の違いがどのようなことなのか、お聞かせください。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、現在、裁判所の下で手続が進められている朝鮮総連中央本部不動産の競売問題ですが、今回の合意には含まれません。
 今回の協議におきましてもこの問題について議論は行われたわけですが、その際に、朝鮮総連中央本部の競売の件について、政府としてこれに介入することはできず、この点については先方に明確に説明をしたところであります。
○アントニオ猪木君 その辺の食い違いが、やっぱりこれからの話の難航しそうな私は予感がしますけれども、とにかく、一歩踏み出した以上、話が前に進むように願っております。
 次に、日朝合意文書についてお伺いをいたしますが、日本がとる行動措置の中に、調査開始時点で、人的往来の規制や人道目的の北朝鮮船籍の日本への入国禁止措置の解除とあります。普通に考えれば、この文言で万景峰号が定期的ではなく単発で入国することができるように読み取れるのですが、菅官房長官は会見で否定しています。
 具体的にはどのような事例を挙げられるのか。非常に、次のやっぱりこれは決まったこと、それを、やはり壁を一つ一つ崩していかなければ、日朝交渉がスムーズにこれから進むためには万景峰号の問題も大変大事な部分だと思います。ひとつ見解をお聞かせください。
○国務大臣(岸田文雄君) 今次政府間協議で確認した合意に従い、北朝鮮側は、全ての日本人に関する包括的、全面的調査を実施するための特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、我が国は、他の措置と併せ、人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置を解除することといたしました。本措置は、民間の人道支援物資を日本から北朝鮮に運搬するために北朝鮮の船舶を我が国に入港させたいとの希望が出された場合に、人道的観点から、現在の入港禁止措置の例外として取り扱うものであります。
 そして、御指摘の万景峰号の入港ですが、現在、北朝鮮から申請も出されておりません。そして、我が国もこの入港を認める予定は現在ございません。
○アントニオ猪木君 次に、受刑者移送条約についてお聞きをしたいと思いますが。
 かつて私のやっぱり仲間だったんですが、マリオ高倉という、日本で保険金殺人事件というのが起きまして、そしてブラジルに逃げた、七九年ですかね、まあテレビドラマにもなった事件ですが。いつも、彼らは仲間なので、私がサンパウロに行くといろんな形で私の護衛をしてくれたりしていたんですが、彼がアマゾンに犯人を追い詰めまして、そして射殺したという事件がありました。結構ブラジルにはそういうような、ブラジルに行ってしまうと捕まえ切れない。広いのと、また非常に、アマゾンに逃げ込んだというのは逆に彼にとっては悪かったみたいで、サンパウロの町の中にいればもっと雑踏の中で分からなかったかな、そんな意見もありましたが。
 この度、日本とブラジルの条約ですが、日本国内におけるブラジル人受刑者の数が、先ほどもう出ましたが、二百四十九人に対して、ブラジル国内の日本人受刑者がゼロです。受刑者移送に係る費用をどちらが負担するのか。私がこの質問文を作ったら、いやいや、これは小さい話かなと。でも、ひとつその中で、条約の中でそういうようなことも大事かなと思います。お聞きします。
○政府参考人(山田彰君) この日本・ブラジル受刑者移送条約上、移送に要する費用については、専ら裁判国の領域において要する費用以外は執行国がこれを負担する旨の規定が置かれています。
 これはすなわち、日本からブラジル人受刑者を送出移送する場合、日本の刑務所から最寄りの国際空港までの移送、国内の移送に係る費用については日本側が負担、国際空港でブラジル側護送官に引き渡した後のブラジルまでの移送及びブラジル国内での移送に係る費用については全額ブラジル側が負担します。ブラジル側護送官の渡航費用もブラジル側が負担するということになっております。
○アントニオ猪木君 次に、外国人犯罪者海外逃亡についてお聞きしたいと思いますが。
 日本で罪を犯した後、海外に逃亡する外国人の犯罪者の逃げ得が問題視されています。国内最多のブラジル人が住む静岡県の浜松市では、信号無視による自動車追突事故、女子高校生ひき逃げ事故など、ブラジル国籍の容疑者が帰国したため未解決となる事件が相次ぎました。
 この度、大阪の准看護婦殺害事件の被疑者であるブラジル国籍の女性が中国へ逃亡し、解決が難航しております。これらの解決に向けてどのような手段を取り得るのか、お聞きします。
○副大臣(岸信夫君) 我が国は、逃亡犯罪人の不処罰は許さないとの考えでございます。逃げ得は許さないという考えにおきまして、既に発生した個別事件につきましては、ブラジルにおいて国外犯として処罰するようブラジル政府に対して要請をしてきておるところでございます。その結果、これまで七件が起訴に至っているということでございます。
○アントニオ猪木君 次に、ブラジル犯罪者引渡しについてお聞きします。
 かつて、ちょっといろんな、ブラジルは、世界的なそういう大きな事件を起こしたのがブラジルに逃げるということで、第二次世界大戦が終わり、ドイツから多くの避難民がブラジルに移住しました。その中にナチスの高官もおり、私がかつて暮らしていたサンパウロでも、元ナチス親衛隊の将校が、ジョセフ・メンゲーレという人間が潜伏していました。結構ドイツ村というのがあったので、まさかということで皆さんがびっくりしていましたが。
 さて、ブラジル憲法の中で犯罪者の引渡しが行われない趣旨が記載されていますが、かつてイギリスの列車強盗も引渡ししませんでした。一方、ナチス党員に対しては、モサドなどイスラエルの機関がブラジルで逮捕、拘束をしています。
 イスラエルがブラジルとどのような協定で逮捕、拘束に当たっているのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(山田彰君) このイスラエルの関係でございますけれども、御指摘のイスラエルとの関係を含め、ブラジルと第三国の間の事例の詳細についてコメントする立場にはございませんが、しかしながら、御指摘の犯罪人引渡しとブラジル憲法との関係について申し上げれば、ブラジル憲法五条第五十一項は、自国民の引渡しにつき、同国への帰化以前に犯した犯罪及び麻薬取引に関与している場合を除き、いかなる場合もこれを行わない旨規定しております。一方で、ブラジル人でない外国人の引渡しについて憲法上は特に規定はないというふうに承知しております。
○政府参考人(金杉憲治君) 猪木先生の前の御質問に対する岸副大臣からの答弁にちょっと補足をさせていただければと思います。
 猪木先生お尋ねの件というのは、現在、警察において鋭意捜査が行われております。捜査に支障を来してはなりませんので外務省として今申し上げられますのは、捜査当局と連携しつつ適切に対応していくということに尽きますが、その上で、一般論として申し上げれば、日本で犯罪を犯して第三国に逃げた者について、当該国の当局と緊密に連携し、結果的に日本で捜査が行われるように努めていくということは可能であろうというふうに思っております。
 以上でございます。
○アントニオ猪木君 次に、犯罪者引渡条約について。
 日本は、現在、アメリカと韓国の二か国とのみ犯罪者引渡条約を締結しています。アメリカやフランスが数十か国と締結していることに比べても非常に日本は少ないと思いますが、その理由についてお聞かせください。今後、日本は締結国を増やしていくべきだと考えますが、見解をお聞かせください。
○副大臣(岸信夫君) 我が国は、逃亡犯罪人引渡法に基づき、犯罪人引渡条約がない場合であっても、相互主義の保証の下に外国との間で引渡しを実施することが可能となっております。
 いずれにせよ、犯罪人引渡条約の締結につきましては、各国との犯罪人引渡しの具体的必要性の有無、相手国・地域の刑事司法制度等を総合的に勘案の上、判断していくことになります。
 今後、いかなる国との間で犯罪人引渡条約を締結するかにつきましては、次の点を含めて、諸般の事情を総合的に勘案しつつ検討していきたいというふうに考えております。
 すなわち、人の往来や犯罪の発生状況に照らして現実に犯罪人の引渡しの要請が多い等、犯罪人引渡しの具体的必要性があるか否か、また、相手国刑事司法制度が我が国と同様に基本的人権を十分に保障し、民主的かつ文化的で一般的に安定したものであるか否か、さらに、それが適切に運用されることにより我が国から引き渡された者が不当な扱いを受けることがないかどうか、そして三番目に、条約を締結した場合、相手国が自国民を引き渡すことができるか否かなど、犯罪人引渡しに係る相手国の国内法制から見て条約締結の効果がどれくらい期待できるか、こうしたことを総合的に勘案しつつ検討していきたいと考えております。
○アントニオ猪木君 次に、インターポールについてお聞きいたします。
 これもやはり、ブラジルの本当に我々の友人、仲間でしたが、ホメウ・トゥーマという、もう亡くなりましたが、インターポールの世界の副会長をやっておりましたが。このインターポールという、映画やテレビに、国際警察のようなイメージがありますが、実態はそのような組織ではなく、捜査活動をする国際捜査官も存在せず、捜査権や逮捕権もありません。
 日本においても、インターポールから国際指名手配を受けている人が普通に生活していると聞いています。どのような実例があるのかお聞かせください。また、我が国が国際犯罪を取り締まる上で、インターポールとどのような連携をしていくのか、お聞かせください。
○政府参考人(室城信之君) インターポール、国際刑事警察機構の加盟国の警察は、事務総局に要請をし、被手配者の逮捕と身柄の引渡しなどを求める赤手配、被手配者の所在発見等を求める青手配などの国際手配を行っているところであります。
 このうち赤手配につきましては、殺人、強盗、テロ関連犯罪等により、平成二十五年中は八千八百五十七件手配がなされているところでありますが、具体的な事例につきましては、捜査上の支障や相手国との信頼関係の問題等があり、答弁は差し控えさせていただきます。
 なお、我が国においては、日本国憲法第三十三条により、現行犯として逮捕される場合を除き、令状によらなければ逮捕されない権利が何人に対しても保障されているため、他国からの赤手配のみをもって被手配者の身柄を拘束することはできないことになります。したがって、警察としては、我が国内でインターポールの赤手配を受けている者を発見した場合は、手配国に手配者を発見した旨連絡をすることとしております。
 また、我が国とインターポールとの連携につきましては、我が国は、捜査協力の実施のほか、分担金の拠出、職員の派遣などを通じてインターポールの活動に貢献をしているところでありますが、今後とも、国際犯罪に対処するため、インターポールとの連携を強化してまいる所存でございます。
○アントニオ猪木君 質問も控えさせていただきます。いやいや、必ずそういう答えが出てきますけれども。
 次に、日米重大犯罪防止協定についてお聞きをしますが、ちょうど九・一一のときに私もニューヨークにおりまして、その前夜がマイケル・ジャクソンのショーがありまして、大勢のマイケル・ジャクソンのファンが、また私の知り合いも行っていまして。朝起きて、それで、国連で平和の鐘を鳴らすというイベントだったんですが、テレビを見ていなかったので、五番街から見ると黒い煙が出ていて、何だろうと思ったら、何か事故があった程度しか分からず、国連に行ったら、とにかくもう早く帰ってくれというので、追い返されるように帰ってきて、それで事情を知ったんですが。
 本当に、それ以来、非常にアメリカの飛行機や何かでも厳しくなりました、チェックが。このような本当に事故が起きないように願いたいんですが、そのために非常に観光客が嫌な思いをするというか、せんだっても言いましたように、観光客がグアムに入ると、とにかくチェックに、二時間ぐらい荷物のチェックがあるとか。私どもも、昔を思うと本当に良かったなと、足の先から全部チェックされて。
 そういうことであれば、もうちょっと、これから二〇二〇年にも東京オリンピックがありますし、多くの外国観光客もやってきます。やはり旅行というのは一生に何回かの楽しみですし、海外から来られる観光客も心地よく来てもらいたいために、いろんな日本はハイテクの技術を持っていますから、その辺の技術でそういうチェックの簡素化を図ってもらえないかなと思います。その辺の技術についてちょっとお聞かせいただければと思います。
○政府参考人(杵渕正巳君) お答えいたします。
 法務省入国管理局におきましては、平成十九年から、外国人に対しまして入国時に指紋等の提供を義務付け、水際におけるテロ対策、不法滞在者対策及び出入国審査の迅速化、円滑化対策を取っております。また、日本人と在留外国人を対象に自動化ゲートの利用を認める制度も導入しており、これらにおきまして高度な指紋認証技術及び機器、いわゆるハイテク技術を活用しているところです。
 このうち自動化ゲートにつきましては、日本人と在留外国人を対象としておりますが、その利用促進によりまして入国審査官に生じた余力を審査ブースに振り分けることができ、観光客を含む一般外国人につきましても、審査待ち時間の短縮等が図られ、審査の迅速化が図られるというものでございます。
 今後とも、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、自動化ゲートを含むハイテク機器の一層の活用などで、大幅に増加することが見込まれる外国人入国者に対しまして、厳格さを維持しつつ、迅速かつ円滑な出入国審査の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○アントニオ猪木君 最後に、核物質の防護に関する条約。
 我が国における核物質の陸上輸送は、高速道路や一般道路が使用されています。輸送の際、一般車両を通行止めにしてはならないために、核物質を積んだワゴン車にライトバンが追突するという事故もありました。また、核燃料の輸送車両が首都高速を使用し、東京都内を通過することに疑問を感じます。輸送車両の警備は警察と警備会社が行っており、そこに自衛隊は参加しておりません。なぜわざわざ人口密集地である東京都心を通過するのか、なぜ無防備に近い状態で輸送するのか、陸上輸送の警備に自衛隊を活用する考えはあるのか、外国であれば必ず軍隊がそれを守っていくのが常識だと思いますが、そのことについてお考えをお聞かせください。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 原子力事業者などは、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染されたものを工場などの外において運搬する場合は、法令で定める技術上の基準に従って、その物に応じて、核燃料物質の種別等に応じて定められた輸送容器の使用、コンテナの施錠、封印、防護のための必要な連絡体制の整備、運搬責任者及び見張り人の配置など、保安及び防護のために必要な措置を講じなければならないとされております。これらの措置が講じられた上で、法令により、運搬の実施について都道府県公安委員会に届出がなされております。
 警察においては、テロ情勢などについて平素から情報収集、分析を行っており、こうした届出を受けたときは、事業者に対して、災害の防止及び核燃料物質の防護のため、運搬の日時、経路などについて必要な指示を行うとともに、情勢や運搬される物質の危険性などに応じて必要な体制により警備を行っているところであります。
 御指摘のあった核燃料物質の輸送経路に関する具体的な情報につきましては、核物質防護上の観点からお答えを差し控えさせていただきますが、今後とも、警察の対処能力の強化及び情報収集に努めるとともに、関係省庁などとも緊密に連携し、核物質の防護に万全を期してまいりたいと考えております。
○アントニオ猪木君 時間が来たので質問を終わります。
 ありがとうございます。
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 いつものことではありますが、質問の順番が六番目となってまいりますと、これまでの同僚の質問でかなり重複をしてきてしまうということがございます。質問通告をしてある中で完全に重複してしまったものについては落として、そして、完全ではないようなものについては少し観点を変えて工夫をしながら質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、核物質防護条約についてでありますけれども、今般の条約改正において、日本が共同提案を始めとして行ってきた関係方面の御努力にまず敬意を表したいというふうに考えております。
 みんなの党も本条約改正には積極的な立場でありますけれども、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 まず、この条約の各国の締結状況についてでありますけれども、イギリスやドイツ、ロシアや中国、フランスは締結済みでありますけれども、肝腎のアメリカが、この条約は承認はしているものの、それを担保する国内法の改正、これが未整備となって、そしてまだ未締結ということになっているというふうに理解しておりますけれども、このアメリカの議会における状況及び国内法整備が進んでいない理由についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 今委員からも御指摘ございましたように、米国におきましては、この改正の締結につきまして、二〇〇八年に議会の承認が得られている状況でございますけれども、同時に、この改正を実施するための国内法案というものも国内の手続を了する必要がございます。そちらの方につきましては、議会でまだ審議中であるという、そのような状況であると。関連の幾つかの条約とともに、これを実施をするための国内法案というものを準備がされているということでございますけれども、それについて様々改正案というものも出されておりまして、議論の集約を図っている状況というふうに承知をしております。
○中西健治君 本条約で定める防護措置対象についてお伺いしたいんですが、この防護措置対象となる核物質にいわゆる原子力発電所の使用済核燃料が含まれるのかどうか、確認したいと思います。
○政府参考人(北野充君) お答え申し上げます。
 この条約におきまして対象となる核物質ということについて、条約上の定義というものがございます。その中に、定義を参照いたしますと、プルトニウム、それから濃縮ウランというものを含みます使用済燃料というものは防護措置の対象となるということでございます。
○中西健治君 そうしましたら、六ケ所村にある再処理工場、ここにも貯蔵施設があるかと思います。あと、むつ市の中間貯蔵施設、こうしたものもできてきているわけでありますけれども、こうした中間貯蔵施設は防護措置の対象となるんでしょうか。
○政府参考人(北野充君) この条約、今回改正で追加をされる部分でございますけれども、その中で原子力施設についての定義がございまして、原子力施設とは、核物質を生産し、処理し、使用し、取り扱い、それから貯蔵し、又は処分する施設というふうな形で規定をされているところでございますので、今お尋ねがございました核物質を含む使用済燃料を貯蔵する中間貯蔵施設というものに関しましても、これも防護措置の対象となるということでございます。
○中西健治君 そうしますと、六ケ所村、そしてむつ市の貯蔵施設などは防護措置の対象となるということでありますけれども、それでは、今回地元説明会を実施した福島県双葉、大熊町の除染した土などを貯蔵する、これもやはり中間貯蔵施設という言葉になっていますけれども、ここは防護措置対象となるのかどうかについてお伺いいたします。
○政府参考人(北野充君) 先ほど、中間貯蔵施設につきましては、これは使用済燃料を貯蔵するということで、使用済燃料には、これはプルトニウム、濃縮ウランというふうな核物質の含有ということが当然想定をされるということで先ほどのような形でお答えをさせていただきました。
 今委員からお尋ねがありましたのは、除染に伴って生じた土壌というものを含むもの、これが防護措置の対象となるかということでございますけれども、この点につきましては、この土壌というものが核物質、今申し上げましたプルトニウム、それから濃縮ウランの含有がどのぐらいあるかということを考慮しつつ、個別に判断をするということになろうかというふうに考えております。
○中西健治君 そうしますと、濃縮ウラン、プルトニウムの含有量が少なければ、こうした中間貯蔵施設というのは防護措置の対象とならないだろう、こういうことだということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(北野充君) 今お答え申し上げましたように、個別具体的な含有の状況によるということでございますけれども、一点補足をさせていただきますと、この条約の二条のAの四項というところにこのような規定がございます。「この条の規定は、核物質であつて、当該核物質の性質、量及び相対的な誘引の程度、当該核物質に対する許可のない行為に関連して生じ得る放射線の影響その他の影響並びに当該核物質に対する脅威についてのその時の評価を考慮して、」「防護の制度の下に置く必要がないことを締約国が合理的に決定するものについては、適用しない。」と、このような締約国の判断ということも許容されておりますけれども、それを行うに際しましても、先ほど申し上げましたような含有量の程度というものについての個別の判断というものが重要になってくるというふうに考えております。
○中西健治君 改正条約上の規定は分かりました。
 それでは、今日は環境省も来ていただいているかと思いますけれども、この中間貯蔵施設、この間説明をしたときにいろんな図なんかも出ていたと思いますけれども、全体の大まかなコスト見積りというのもあるというふうに伺っておりますけれども、この防護という観点ではどういう前提で施設を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(小林正明君) 除染によって発生をいたします放射性物質を含む除去土壌など、これを搬入するのが中間貯蔵施設でございますが、現在、現地調査なども踏まえまして、地元の皆様に受入れをお願いしているという段階でございます。そういう段階ではございますが、当該施設の防犯、警備につきまして、施設周辺にフェンスを設置し立入りを制限したり、あるいは警備員などによる施設内の見回りを行うということを検討しているところでございます。
 除去土壌を安全に集中的に管理、保管するということが大変重要でございますので、防犯、警備についても万全を期していくということが重要であるというように考えております。
 ただ、現在、今申しましたように、地元の皆様方に受入れをお願いする住民説明会がようやく週末から始まりました段階でございます。詳細な設計とか工事計画など未確定な部分が多うございますので、具体的な防犯や警備についての費用の切り出しなどはまだ行っていないところでございます。
○中西健治君 先ほど、条約の説明がありました。濃縮ウラン、プルトニウム、こうしたものの含有量が少ないということであれば国内法に基づいての防護ということだと思いますけれども、セシウム等についてもやはり不安に思っている方が大変多いと思いますから、そこの説明はしっかりしていただきたいと思います。
 続きまして、警察の方にお伺いしたいと思います。
 現在の原発の警備では、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備をしているというふうに伺っておりますけれども、あの三・一一の事故の後どれぐらい増強して、その警備に要する費用はどれぐらい増えているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 一般に、警察活動に係る費用としては、警察官の人件費、装備資機材に係る費用のほか、教育訓練、管理運営などに要する費用など様々なものが含まれており、その中には、警察官としての幅広い活動全般にわたって用いられる費用も含まれておりますので、原子力発電所に対する常駐警戒に係る費用だけを切り離して算出することは困難であります。
 今委員御質問の、三・一一の後どのような強化を行ったのかということについて御説明させていただきますと、警察では、三年前の福島第一原子力発電所の事故により原発の脆弱性が明らかになったことを踏まえ、銃器対策部隊二百十六人の増員配置、放射線防護車や防弾盾、爆発物処理用具やNBCテロ対策用資機材などの整備拡充、施設内の脆弱な枢要設備を含めた警戒要領の見直しなど、原子力発電所に対するテロ対策の強化を図っているところであります。
 警察としては、引き続き、原子力規制庁を始めとした関係省庁、事業者などとも連携し、各種訓練の実施や警備体制の強化などを図り、原子力発電所の警戒警備に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○中西健治君 警備に要する人員を二百十六名増やしたということでありました。あと、伺っているところでは、サブマシンガンですとかライフルですとか耐爆・耐弾仕様の車両等も装備しているというふうに伺っておりますけれども、かなり大きな費用が掛かると思います。
 これは、こうした費用については電力会社に求償を行っていないんでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) 行っておりません。
○中西健治君 それでは、警察以外で事業者が自ら委託している警備費は事故後どのくらい増えているのか、そしてそれは電気料金の原価に入っているのか、エネ庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(後藤収君) お答え申し上げます。
 原子力発電所の警備につきましては、事業者が自ら必要な範囲で外部の事業者に対して警備を委託しながらやっているわけでございまして、実は、震災以後に料金値上げをした七社につきましては、その際、電気料金の審査の際に警備費用というのをちょっと把握させていただいております。七社合計で約百三十五億円程度ということになっておりまして、これらにつきましては電気料金の原価の中に含めているという状況になっているところでございます。
○中西健治君 そうしますと、民間の事業者がまた自ら委託している警備費については百三十五億円あって、それは電気料金の中に含まれているということでありました。
 一方、警察が行っている警備が増えている分については全くの無償で行っていると、無償で行っているということだけちょっと警察の方に確認したいと思います。
○政府参考人(塩川実喜夫君) 警察官の活動そのものに係る経費につきましては、警察の方の費用負担でございます。
○中西健治君 ということは、電力会社としてはどんどん警察に警備をしてほしいと、こういうことになるのだろうというふうに思います。ここについて問題点があるのではないかなというふうに思いますが、これは、今日の段階では、ここでこういったことを確認させていただくことにまずはとどめておきます。
 もう一つ、先月、国内の原発の使用済核燃料をイギリスで再処理した際に出た高レベル放射性廃棄物のガラス固化体が六ケ所村に搬入されましたけれども、報道によると、一本当たりの輸入価格、輸送されて戻ってくる価格が一億三千万円弱と、海外委託処理の返還が開始された九五年当時と比べて三倍に膨れ上がっているということでありました。
 防護条約上も、再処理した後のこのごみは対象となっておりますけれども、輸送費は増えているかどうか把握しておりますでしょうか。
○政府参考人(後藤収君) 今御質問のあった件でございますけれども、海外で再処理をし、海外というのはイギリスとフランスでありますが、そちらで再処理をいたしました高レベル放射性廃棄物が国内に戻ってくるときには、事業者が税関で輸入申告書を提出した上で消費税等の納入をするという手続になってございます。
 その際の課税標準というものは、海外の事業者にガラス固化体処理をお願いしたときの製造原価、それから保険料、及びそれから海外から国内への輸送費等が含まれるという状況になってございます。
 これらにつきましては、現在、七社、先ほど申し上げましたように電気料金の値上げの認可申請がございましたので、その際の私どもが把握した数字ということで申し上げれば、その保険料及び海外からの輸送費、それから港湾から国内の保管先への輸送費等合計四十三億円になっているということで、電気料金一キロワットアワー当たりおおよそ〇・〇〇六円、〇・六銭ということになっているというふうに伺っております。
 それが今、報道では確かに上がってきているというお話でございますけれども、その要因として考えられますのは、当初、ガラス固化体をフランスから運んだときというのに比べまして、現在は再処理の海外委託というのはやっておりませんので、例えば、その使用済燃料を海外に輸送するときと、それから入ってくるときに船を共用していてコストを下げていたというところがなくなってきたということと、それから、輸送船自身も老朽化し、新増設をしたというようなこと、それから、当然のことながら、油価が値上がりをして輸送コストそのものが上がっているというような様々な要因があるというふうに伺っております。
 そういう意味で、追加で申し上げれば、製造コスト自身については過去の料金原価というものに含まれていたという状況でございますが、現在では、今、追加で処理をしていないという状況でございますので、料金原価の中に処理そのものの費用というのは入っていないというふうに考えてございます。
○中西健治君 外務大臣に何もお聞きしていないので、ちょっと一つお伺いしたいと思いますけれども。
 アジア安全保障会議、週末、総理が行かれたわけでありますけれども、この総理のスピーチ、そしてヘーゲル国防長官のスピーチ、それに対して中国側、中国の制服組ということだと思いますが、日米を激しく非難しつつも、ヘーゲル氏の態度の方がどちらかといえば好きだ、こんな発言をしておりましたけれども、日本とアメリカの間に差を付けようとする意向ものぞかせているようにも思えます。
 外務大臣として、こうした中国の発言の日米の温度差について見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 安倍総理は、今回の基調演説におきまして、世界の成長センターたるアジア太平洋地域がその潜在力を十分に発揮し、平和と安定を確固たるものにするためにも法の支配が特に重要である、こういった点を強調いたしました。
 中国との関係では、日中防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期の運用開始、あるいは話合いの重要性について講演において触れるとともに、質疑応答において日本の平和国家としての歩みは今後も変わらない旨述べ、多くの聴衆の方々から理解を得たところであります。
 そして、御指摘の中国の反論についてでありますが、この王冠中副参謀長が発言したセッションの終了後、日本側から中国側に対しまして、安倍総理の演説は中国を名指しにしておらず、法の支配の重要性を訴えたものであるにもかかわらず中国側が公の場で安倍総理の演説を名指しで非難すること、このことは遺憾であるということを伝えさせていただきました。
 いずれにしましても、安倍総理の発言は中国に対する挑発を意図したものではありません。
 また、日米の間の分断云々の意図についても御質問をいただきましたが、その中国側の意図について、私の方から申し上げる確固たるものは持ち合わせておりません。
○中西健治君 私自身は、中国の力による現状変更の試みに対して毅然として意見を述べるということは正しいことであるというふうに思っております。それに対してどう対応していくのかということについては、まあ対応はしていかなきゃいけないと思いますけれども、大臣の御答弁でよく分かりました。
 これで私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 日米重大犯罪防止協定、PCSC協定についてお聞きいたします。
 この協定の協議は日本からの要請で始めたものではないと承知しておりますけれども、どういう経過だったのか、まず外務大臣からお願いいたします。
○国務大臣(岸田文雄君) 経緯ですが、二〇〇一年九月十一日の同時多発テロ以降、テロ対策の一環として、テロリスト等の入国を水際で防止するための国際的な情報共有への関心が高まりました。こうした中、米国議会におきましては、二〇〇七年、相手国が米国とテロ対策等に係る情報共有のための協定を締結していることを査証免除の要件といたしました。こうした背景を踏まえ、米国は、我が国を含む米国の査証免除プログラム参加国、二〇一四年四月時点で三十七か国・一地域に上りますが、こうした国・地域に対しましてプログラムの安全性を強化するための新たな措置として、この協定の締結を提案してきたものであります。
 我が国としましては、この協定が日米間の査証免除制度を維持するという観点から重要であるということのみならず、テロといった重大犯罪から国民を守る観点からも有意義であると考え、この協定を署名することに至った次第でございます。
○井上哲士君 協議の途中の二〇一二年の十月に、日米間で意図表明文書に署名が行われております。
 協定や条約の締結に当たってこういう意図表明文書を締結するということがどの程度あるのか、また、今回こういうものを交わした理由は何だったんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 二〇一二年十月の意図表明文書についてですが、政府要人間の会談の機会などに作成する二国間の文書において国際約束の交渉開始や締結に向けた意図を表明する事例、こういった事例は過去に幾つも存在いたします。本年においても幾つか存在する次第です。
 PCSC協定については、二〇〇七年、米国議会がテロ対策等に係る情報共有のための協定の締結を査証免除の要件としたことを踏まえ、日米間で協議を行ってまいりました。その結果、日米間の査証免除制度の下で安全な国際渡航を一層容易にしつつ、テロ等の重大な犯罪に係る情報を交換する枠組みを設定する意義について認識を共有するに至った次第です。これを受けて日米両政府は、プライバシーの尊重を始めとする今後の取組の方向性を確認するため、御指摘の二〇一二年十月十二日に意図表明文書を作成した次第です。
 その内容につきましては、透明性を確保する観点から、同日、対外的にも公表した次第であります。
○井上哲士君 それを見ますと、米国政府が二〇一三年六月三十日までに協定をまとめる必要を強調したことを踏まえと、こうなっておりまして、アメリカ側が日にちを切って強く求めてきたことがこの意図表明文書からも分かるわけであります。
 アメリカが求めてきたのはPCSCだけではないんですね。三つの条件を示しております。一つは紛失及び盗難パスポート情報の共有、もう一つはテロ被疑者及びテロを起こすおそれのある者に関するリストの共有、そしてこのPCSCですが、残り二つについては日米間ではどのように取り決めたんでしょうか。
○政府参考人(三好真理君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、米国政府は、米国議会に対しまして、PCSC協定、さらにはテロ情報交換のための取決め、紛失・盗難旅券情報を共有するための枠組みによりまして米議会の要求している要件を満たすことができると証言していると承知いたしております。
 紛失・盗難旅券情報を共有するための枠組みにつきましては、我が国は、二〇〇四年のシーアイランドのG8サミットの結果を受けまして、二〇〇四年十一月から、国際刑事警察機構、ICPOに対して紛失・盗難旅券の旅券番号、発行年月日及び失効年月日を提供いたしております。
 一方、テロリスト情報の共有等のテロ対策協力の具体的な取組につきましては、それを明らかにすることにより公共の安全と秩序の維持に支障を来すおそれがあるということ、それから相手国との信頼関係を損なうおそれがあることから、恐縮ながらお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 いや、アメリカは三つの条件を示して、その一つとしてこのPCSCを結んだわけですね、それがなければビザ免除が継続できないという理由でありまして。相手国からの信頼関係と言うけれども、向こうが求めているわけでありますから、このリストの共有については、米国の要求どおりやったということがなければこのビザ免除が継続されないんじゃないんですか。明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(三好真理君) アメリカ側との協議を通じまして、アメリカ側の要望を取り入れた形で協定を交渉してまいりました。
○井上哲士君 アメリカからの要望はまさにリストの共有なわけでありますが、それをなぜやったこと自身も明らかにできないのかと。実際にやっているんだと思うんですね。
 昨年の秘密保護法の質疑の際に、警視庁の公安部が作成した国際テロ対策に関するデータを我が党議員が取り上げました。二〇一〇年にネット上に流出して大問題に国会でもなりました。
 都内在住の四万人のイスラム諸国出身者を狙い撃ちにして調査をしたデータで、およそ千人の個人情報と約六百三十の団体情報が流出したわけですね。この中では、モスクを監視をしたり、それからイランの大使館のレセプションにまで公安警察が潜入して報告をしていたという資料まであるわけであります。
 このときの答弁で、古屋国家公安委員長は、公共の安全と秩序の維持のために必要な情報を収集し分析していると答弁いたしました。それから岸田大臣は、政府としての対応は国家公安委員長の説明のとおりだと、こういうふうに答弁をされました。
 この流出文書の中には、氏名、生年月日から日本への出入国歴、それから旅券の番号まで含めた洗いざらいの個人データを作った調書があり、それがしかも英文で流出をしております。これは明らかにそういうリスト交換のものではないかと思われますが、こういうテロを起こす可能性がある者として、イスラム諸国出身者のリストの共有というのが既に行われているということではないんですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) テロリストの情報共有など、テロ対策協力の具体的な取組については様々な取組が行われております。
 ただ、詳細については、相手国との関係等もあります、信頼関係等も鑑みて控えさせていただくというのが我が国政府の対応であります。
○井上哲士君 しかし、やっているのは日本政府でありまして、この流出した情報の中には、イラン大使館の大使以下八十人もの大使館員の銀行口座情報、出入金も含めて詳細に記録をされているわけですね。こういう重大なプライバシー侵害と一体として、この三条件の一つとして締結が迫られたのがこの協定ではないかと。
 アメリカとPCSC協定を結んだ他国で、人権侵害などへの懸念、そういう訴えというのは起こっていないんでしょうか。
○政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。
 PCSC協定の締結に際して、プライバシーあるいは人権の保護というものが重要な課題であることは委員の御指摘のとおりでございます。米国と第三国との間のPCSC協定につきましても、様々な検討や議論が行われたというふうに承知はしております。
 しかしながら、各国とも、プライバシー、人権等をめぐる法制度は様々でございまして、結果として、締結された協定の内容も一様ではございませんので、各国の議論の一々についてコメントすることは控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 ドイツの市民が欧州人権裁判所に対してこの協定への不服申立てを提訴しております。申立人は、ネオファシストに反対する抗議行動に参加した後にドイツの警察から指紋とDNAを採取、登録されたと、これが、米国に渡航した際に様々な、飛行禁止リストへの記載であるとか監視対象に置かれるなど、そういう結果を招くのではないかということで、これはプライバシーに対する基本的権利を侵害するものと主張して、欧州人権裁判所に提訴をしているという例があるわけであります。
 日本の指紋制度をこのヨーロッパと比べますと、プライバシー保護は更に遅れております。その下で指紋の自動照会によって個人情報を制度の異なる外国との間で共有するということは、プライバシー保護の観点から重大な問題があると思います。
 警察庁にお伺いしますが、特定の者を識別しないで行われる第一次照会の場合は、被疑者指紋の全て、保管されたものの全て、千四十万人分が対象になりますが、このうち起訴猶予以外の理由による不起訴処分者、それから無罪判決確定者は何人分になるでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) お答え申し上げます。
 警察庁が保有をしております指紋のうち、指紋の画像と犯罪経歴を一体的に記録をしているものについてのお答えということになりますが、起訴猶予以外の理由による不起訴を受けた者、それから無罪判決確定者でございますが、一定の推計を交えた数字ということになるわけでございますが、それぞれ約十一万人と約一千人でございます。
○井上哲士君 これ以外に保護処分を受けた少年の指紋というものもあるわけで、私は重大だと思うんですね。
 国家公安委員会が指掌紋取扱規則というのを定めておりますが、指紋情報を抹消、廃棄をする場合に関して、被疑者指紋については、指紋を採取された被疑者が死亡したとき、それから指紋情報等を保管する必要がなくなったときとされております。先ほどのようなものが残っているということは、保管する必要があるという判断をされているということだと思うんですが、どういう必要があるんでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) お答えを申し上げます。
 指紋の制度ということになりますが、都道府県警察は、被疑者の同一性を特定するということを目的といたしまして、刑事訴訟法の規定に基づきまして指紋を採取し、及びこれを保管してございます。起訴猶予以外の理由により不起訴となったり無罪判決が確定したというだけで直ちに指紋の採取自体が違法となるというものではございません。
 そういうことから、刑事訴訟法の規定に基づき、これらの被疑者から採取した指紋を引き続き警察が保管し、利用することには法的な問題はなく、これらの者を含めて、被疑者から採取した指紋を犯罪の捜査の必要により引き続き保管をしているというものでございます。
○井上哲士君 採取が法的に問題がないことと保管を続けることは別だと思うんですね。今の答弁でいいますと、例えば無罪になった人の指紋情報を他の犯罪の捜査にも利用すると、そういうことなんでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) 警察では、繰り返しになりますけれども、刑事訴訟法の規定に基づきまして指紋を採取しているわけでございます。
 刑事訴訟法の規定でこのような指紋の採取といったものが規定されておりますのは、人物を特定をするためということでございます。そして、被疑者の特定ということは犯罪捜査上非常に重要な事柄でございまして、こういった事柄のために、現在、刑事訴訟法に基づいて採取したものを保管をし、利用しているということでございます。
○井上哲士君 被疑者の指紋を採取しても、その後無罪判決などを得れば被疑者でないわけですから、本人特定をする必要はないわけですね。にもかかわらず、結局他の犯罪に利用されていると。これ、指紋は重要な個人情報なわけで、それが不起訴処分とか無罪判決を受けても一生涯保管をされて蓄積をされると。自分の知らないところで利用されて、極めて重大な私はプライバシー侵害だと思います。
 警察庁の個人情報開示請求等事務取扱要綱では個人情報の利用停止請求の手続が定められておりますけれども、この手続を使って、例えば無罪判決を受けた人が自分の指紋情報については削除、抹消してくれと求めることはできるんでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) お答えを申し上げます。
 ただいまお尋ね、御指摘ございました取扱要綱でございますが、これは行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づきまして保有個人情報の開示請求等を処理をすると、そういったことにつきましての必要な手続等を定めているものでございます。
 お尋ねの被疑者指紋でございますが、行政機関個人情報保護法第四十五条第一項の規定によりまして、こういった情報につきましては、開示請求や利用停止請求をすることのできる対象から除外をされているといったことでございます。したがいまして、この取扱要綱の適用はございません。
○井上哲士君 そうしますと、無罪判決を受けた人が、捜査の過程で採取された自分の指紋がいつまでも捜査当局に保管をされて、自分の知らないところで利用されるのは我慢ならぬ、削除してくれと、こういう場合の行政手続はないということなんでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) 御指摘のような手続は、基本的には行政機関個人情報保護法の規律するところでございまして、行政機関個人情報保護法につきましては、繰り返しになりますが、第四十五条で刑事事件等の処分に係る情報につきましては適用しないということになっておりまして、現在は、そういうことで、そういったことについての手続は存在しないということであろうと思います。
○井上哲士君 まさにそういうことなんですね。
 ですから、裁判で無罪になって、自分の指紋はもう消してくれと言っても、それをやるような手続は何もないということであって、一生涯保管をされ続けるわけですね。
 イギリスでは、指紋が原則無期限で保管されることになっておりましたけれども、二〇〇八年に欧州人権条約第八条プライバシー保護違反の判決が出たことを受けて、二〇一二年に自由保護法が成立をして、この指紋の記録について、軽犯罪では不起訴処分や無罪判決があった場合は記録を破棄すると、重大犯罪でも、有罪判決を受けなかった場合は保管期間は三年以内にするということをしております。
 ヨーロッパ各国でも様々なそういう流れがあるわけでありますが、こういうプライバシー保護という世界の流れから見れば、日本の指紋取扱いの抜本的な私は改善が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(荻野徹君) 指紋の取扱いその他刑事手続につきまして、いろいろな国でいろいろな考え方があると。御指摘のとおり、一部に、無罪又は不起訴になった者の指紋情報の保管について法律で特に保管期間を定めるといったような国があるということもございますが、一方、そうでないような国もあるということであろうというふうに承知をしております。
 そういう意味からいいまして、そういった一事をもっていずれの国の指紋情報の保管管理の在り方がどうだというような評価をすることは、直ちにそういった評価を行うことは難しいのではないかと思われます。
 いずれにしましても、現行刑事訴訟法の下で現在の指紋制度は一つの定着した制度として運用されているということでございます。
○井上哲士君 定着された制度と言われました。
 内閣委員会では、古屋国家公安委員長は、我が国の指紋制度は百年、明治時代に導入されて以来の歴史と実務の積み重ねで成り立っていると、こういうふうに言われました。私は、驚くべき時代錯誤だと思うんですね。被疑者の人権など認めていなかった時代のやり方が、今の憲法の下で、しかも個人情報保護法などが作られた時代にそのままでいいとお考えなのかと。私は、とんでもない遅れた人権感覚だと思うんですね。
 こういう指紋の制度のままで他国とこれを自動照会をするということで果たして人権が守れるのかということを厳しく問いまして、時間ですので、質問を終わります。
○委員長(末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより、核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件及び刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の両件について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、核物質の防護に関する条約の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とブラジル連邦共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、日米重大犯罪防止対処協定の承認に反対の立場から討論を行います。
 本協定は、米国政府から同国に渡航する日本人に対するビザ免除を継続する条件として締結を迫られたものですが、日米間においては、既に、共助の迅速化のために外交ルートによらず捜査当局同士で共助を行えるよう刑事共助条約が結ばれております。その下で指紋に関する照会実績が大変少ない事実を踏まえれば、現状において指紋照会のための新たな措置をとる必要があるとは全く認められません。
 本協定による協力の内容は共助条約の範囲を大幅に超えるものです。そもそも、指紋の自動照会は、国民の個人情報について制度の異なる外国との間で事実上の情報共有を行うものであり、プライバシー保護の観点で重大な問題があると言わざるを得ません。捜査共助は、事案ごとにその捜査の具体的な必要に即して個別に判断され、その際にもしかるべき手続を経て行われるべきです。
 協定による協力は重大な犯罪が対象だとされておりますが、その犯罪類型は附属書にあるとおり極めて広く、かつ、それらの未遂、共謀、幇助、教唆、予備まで含まれています。自動照会により日本から米国に提供される指紋の範囲には、個人が特定されていない指紋の照会の場合には、無罪確定者、嫌疑なし又は不十分による不起訴、保護処分を受けた少年の指紋まで含まれます。
 米国が自動照会を行うには、重大な犯罪を実行するか又は実行したかについて調査をする理由があることが要件とされていますが、自動照会の性質上、日本はその要件の当否をチェックすることができません。また、二次照会によって得られた人定、犯罪歴の情報は、同意を得れば出入国管理や公共の安全に対する重大な脅威の防止など目的外にも利用できることとされていることから、情報の利用について濫用の懸念は全く排除できません。
 本協定には、法曹界からも、本年四月十八日付けの日弁連意見書に見られるように、協定への懸念が具体的に示されるとともに、このまま承認すべきでないという意見が出されていることも重く受け止めるべきだと考えます。
 以上申し述べ、反対討論を終わります。
○委員長(末松信介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(末松信介君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 外務大臣は御退席いただきまして結構でございます。お疲れさまでした。
    ─────────────
○委員長(末松信介君) 次に、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。小野寺防衛大臣。
○国務大臣(小野寺五典君) ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、内部部局の職員に自衛官を加えるための規定の整備、防衛審議官の新設、航空自衛隊の航空総隊の改編、自衛官定数等の変更、早期退職募集制度に対応するための若年定年退職者給付金の支給に係る規定の整備等を行う必要があります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。
 第一に、文官と自衛官の一体感を醸成しつつ、防衛大臣の的確かつ迅速な意思決定を確保するため、内部部局の職員に自衛官を加えるための規定の整備を行うこととしております。
 第二に、防衛省における対外関係業務等の増大に鑑み、政務の補佐体制に万全を期すため、当該業務等を総括整理する防衛審議官を新設することとしております。
 第三に、自衛隊の部隊の改編等に伴い、自衛官の定数を変更することとしております。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 これは、航空自衛隊の部隊の改編等を行うこととするもので、具体的には、航空総隊の編成に航空戦術教導団を加えるとともに、航空開発実験集団司令部の東京都への移転等を行うこととしております。
 最後に、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部改正について御説明いたします。
 これは、早期退職募集制度に対応するため、若年定年退職者給付金の支給に係る規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(末松信介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十一分散会