第186回国会 国土交通委員会 第20号
平成二十六年六月十日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     北村 経夫君     山谷えり子君
     金子 洋一君     前田 武志君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     山谷えり子君     北村 経夫君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     田中 直紀君     金子 洋一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤本 祐司君
    理 事
                赤池 誠章君
                渡辺 猛之君
                田城  郁君
                広田  一君
                魚住裕一郎君
    委 員
                青木 一彦君
                江島  潔君
                大野 泰正君
                太田 房江君
                北村 経夫君
                酒井 庸行君
                豊田 俊郎君
                中原 八一君
                野上浩太郎君
                森屋  宏君
                金子 洋一君
                野田 国義君
                前田 武志君
                河野 義博君
                室井 邦彦君
                田中  茂君
                和田 政宗君
                辰已孝太郎君
                吉田 忠智君
   国務大臣
       国土交通大臣   太田 昭宏君
   副大臣
       国土交通副大臣  野上浩太郎君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       中原 八一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 利幸君
   政府参考人
       外務大臣官房地
       球規模課題審議
       官        香川 剛廣君
       国土交通省総合
       政策局長     西脇 隆俊君
       国土交通省海事
       局長       森重 俊也君
       国土交通省港湾
       局長       山縣 宣彦君
       海上保安庁長官  佐藤 雄二君
       環境大臣官房審
       議官       奥主 喜美君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
 )
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○委員長(藤本祐司君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、金子洋一君が委員を辞任され、その補欠として前田武志君が選任されました。
 また、昨日、田中直紀君が委員を辞任され、その補欠として金子洋一君が選任されました。
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○委員長(藤本祐司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省海事局長森重俊也君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(藤本祐司君) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は五十分いただきまして、この海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案ということで御質問を申し上げたいと思います。
 まず、このバラスト水規制管理条約につきましては、これもう既に二〇〇四年、平成十六年に採択されておるというふうに聞いております。海洋保護に関する条約でもありますし、我が国とも非常に密接に関連の強い、関連のある条約でありますが、その法律の整備に約十年掛かっているわけですが、これはもっと早く措置すべきではなかったかと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) バラスト水の規制管理条約実施のための法整備につきましては、御指摘のように十年掛かっているわけでありますが、大きく言いまして二つ問題がございました。この排出基準を満たすバラスト水処理設備の供給体制が整っていなかったということが一つ、既存船に対する処理設備設置の猶予期間、直ちにすぐやれと、こう言ってもなかなか金額も掛かりますからできないというようなことで、猶予期間が十分でなかったと、この二点が大きな要素だったと思います。
 しかし、現在、処理設備の開発が進みまして十分な供給体制が整うという、技術革新ができたという状況になりましたということ、そして、昨年十一月のIMO総会におきまして、既存船への処理設備設置の猶予期間ということに対しては、今まで二年半であったものが五年に延長するということが合意されまして、既存船の処理設備設置がまだある意味ではできるという余裕が定められたという、この二つの新しい事項がございました。
 これらによりまして締結可能な環境が整ったということから、政府は今国会で条約の締結に係る国会の承認を求め、これは五月十六日に御承認をいただいたわけですが、関連して私たちはこの法案を提出をさせていただいたということでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 二点御説明をいただきました。まず、その最初の点の処理設備の供給体制についてもう少し具体的にお尋ねをいたしますが、大変目的についてはいいものですけれども、やはり国内で改造できなければ、改造能力を超えれば、中国、韓国に仕事を奪われてしまうかもしれない、海外の造船所に持っていかれてしまうかもしれないということでありまして、大変もったいないわけであります。そこで、具体的に我が国で適切に改造をするということになりますと、その処理設備の改造の供給体制が整っている必要があると思うんですけれども、具体的に言って我が国のメーカーの供給体制はどういうふうになっているのか、お知らせください。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 我が国におきましては、五社の国内製造メーカーが六種類のバラスト水処理設備を製造いたしておりまして、国土交通省でこれらの予備的な承認を行っております。これらのメーカーの供給能力につきましては年間で約二千台となっておりまして、十分な供給体制が確保されていると考えております。
○金子洋一君 年間で二千台ということでしたら十分だろうと思います。
 もう一点ですけれども、既存船について猶予期間が昨年二・五年から五年に延びたということであります。年間二千台の処理能力があるということですが、また一方で、船をお持ちの業者さん、船主さんたちが果たして金銭的に賄うことができるのかと。これ賄わなかったら動かせなくなっちゃうわけですけれども、そういったことも含めて現実的に設置が可能かどうか、その点について御所見を伺いたいと思います。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の現存船への処理設備の設置につきましては、昨年十一月のIMO総会において最大五年間の猶予が与えられることになったところでございます。
 これにつきまして、まずこの定期検査でございますけれども、全ての船舶は五年ごとに受検しているものでございます。また、これに要する設置工事、つまりバラスト水処理設備の設置工事でございますけれども、この工事はこの五年に一回の定期検査のドックに入っている実施期間内に行うことが可能でございます。したがいまして、対象船舶への設置につきましては問題がないというふうに考えております。
 また、設置対象となります現存船に対しまして、委員御指摘のように、処理設備の供給能力の点でございますけど、先ほど御答弁申し上げましたように、年間二千台という供給能力がございますので体制も整っておるというふうに考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 やはり、海運業者、船主さんの負担というところも大変気になるところなんですけれども。
 もうちょっと具体的なお話をお尋ねしますけれども、この法案が成立をすることによって日本国内で、国内でというとちょっと、日本船籍でというと簡単なんですが、日本国内でというちょっとやや曖昧なお尋ねの仕方になりますけれども、バラスト水処理設備をこれは設置しなければならない義務が生じてくる船舶の台数というのは一体何隻程度なのかということと、そして、平均的に見て、その処理設備の改造費用と申しましょうか設置費用というのは大体どのくらい掛かりそうなのかということについてお答えをお願いします。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 本法案によりましてバラスト水処理設備の設置義務が生ずる日本船舶は約三百四十隻となっております。また、処理設備設置のための費用につきましては、船舶の大きさにもよりますけれども、一隻当たり一億から三億程度と聞いております。
○金子洋一君 それは、やはり日本船籍しか今回は対象にならないということなわけですよね。
○政府参考人(森重俊也君) この法案は日本籍船を対象として規制するものでございますので、約三百四十隻というふうになります。この条約の発効に伴いまして、各国が自分の国の船舶、旗国としてそれぞれ検査を行っていくということになります。
○金子洋一君 そうなりますと、最初に少し申し上げたんですけれども、日本の海運会社が持っているけれども日本船籍ではないものというのはたくさんあると思うんです。こういったものに関しては、そのそれぞれの国々がその条約に入って、そしてそれに応じた法律を発効させることによって初めて対応が義務付けられるという、そういう解釈でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 ちょっと私の説明が不十分なところがあったかもしれませんので、補足も含めてお話しさせていただきたいと思います。
 この条約発効に伴いまして設置義務を負うのは船舶所有者でございます。したがいまして、例えば、日本商船隊の中で日本が所有している船舶、これ約二千隻ございますけれども、これが日本の船舶所有者として対象になると。そのうちの、いわゆる日本の法制として、旗国として見るのが三百四十隻ということでございますので、商船隊の船舶所有者としては約二千隻というふうになります。
○金子洋一君 かなり数が多いわけですけれども、やはり今、海運業界というのは余り景気がよろしくないという状況があると思いますので、そういった処理設備の設置というのはそれぞれの会社に対して過度な負担を強いることになるんではないかというふうに思っております。もちろん、それをやらないわけにはいかないんでしょうけれども。そのためには、また様々な負担を軽減をするような措置というものが必要になってくると思うんですが、その点についてはどういうふうに配慮をなさるんでしょうか。
○副大臣(野上浩太郎君) 外航船舶から排出されます有害なバラスト水による生態系破壊を防止することは、これは極めて重要な問題でありますが、ただ、この問題につきましては、海運事業に伴って発生するものでありますので、基本的には船舶所有者がその防止を図るべきものであるというふうに考えております。
 ただ、今、先生から御指摘があったとおり、我が国の国際海上輸送を支える海運業界にとってこれは相当な投資になりますので、政府としても設置費用について一括損金経理が可能となるように措置をしておるところでございます。
○金子洋一君 その設置費用というのは、既存船の設置費用、まあ改造費用も含んでいるんでしょうか、それとも新たに造る船の設置費用の分だけなんでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) 既存船を対象としてやっております。新船の場合は元々造るときに組み込んで造りますので、船の一部としてですね。現存船をドックに入れて改造すると、いわゆる設置工事、いわゆる改造工事的なものを対象にして先ほどの措置を講じておるものでございます。
○金子洋一君 となりますと、改造費用だけ取り出して金額が幾らになるのかというのはちょっと計算の仕方が難しいかもしれませんけれども、改造費用だけを取り出して考えたときに、既存船とそして新造船と見た場合に、改造費用について既存船についてはそういった配慮があると、新造船の部分についてはそういった配慮がないという解釈なんでしょうか、それともほかのもっと大きなスキームの中に入ってくるという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) 新造船の船の価格と申しますのは、個々の機械設備等の価格、あるいは鉄材とかいろんな原料の組合せが一つと、あと国際価格が大変上下いたしております国際マーケットということで、なかなか一概に見通すことが難しゅうございますので、その中で、新船の場合は投資のタイミング、そして船価の契約の中で船舶所有者が判断していくと、その中で対応していくということで一応分けて考えております。
○金子洋一君 実質的にぶれが激しいのでなかなかその分が出せなくて、手当ても難しいのかというようなふうに受け止めさせていただきました。その分を取り出して見るのが難しいということであれば致し方がないのかなという気もいたしますけれども、何とかほかの手段で見ていただければいいなという気はいたします。その点、もう少しいろんな検討をしていただければというふうに思っております。
 あと、ほかの国の動向についてお尋ねをさせていただきたいんですけれども、まだ中国なりなんなり、他国は、条約を締結をしていない、そういう国がございます。そういった国の船舶が我が国やあるいはほかの国の間を行き来する間で、何か有利なことが起きてしまわないかどうかと。そして、我が国に入ってきたときにはきちんとチェックをするんだろうと思いますけれども、しっかりと入港してきたときに規制ができるのか、外国船舶への立入検査についてはどういう体制でどのように我が国として行っていくのかと。特に非常に重要な面として、人員的にそれで足りるのかと、つまり人員が足りませんとおざなりなチェックになってしまうと思いますので、その辺り、いかがでございましょうか。
○大臣政務官(中原八一君) 条約を締結していない国の船舶に対する取扱いにつきましては、条約締結国の船舶と同じように規制を適用することが条約で定められております。本法案におきましても、条約締結国の船舶であるか否かにかかわらず、バラスト水処理設備の設置等の規制を適用するとともに立入検査を実施することとしておりますので、条約を締結していない国の船舶が有利になるようなことはありません。
 また、PSCの体制につきましては、現在、十二の条約に関連した立入検査を四十一の地方運輸局等に配置されております百四十名の外国船舶監督官により実施をいたしております。
 今回のバラスト水規制の導入に伴い、PSCにおいて確認すべき事項が増加をすることになります。PSCの具体的内容につきましては、排出基準への適合性を証明する有効な証書を備え置いているかどうか、二番目に、有害水バラスト汚染防止措置の手引書及び水バラストの記録簿に条約で定められている記載事項が適切に記載されているかを確認することにいたしております。また、状況に応じまして、排出されるバラスト水のサンプル検査も行うことにいたしております。
 PSCの実施する要員につきましては、従来より、研修、訓練による技術の向上とともに要員の増加に取り組んできておりますが、今後とも十分な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 要員の訓練をしてあるいは増員をしてということですけれども、例えば、私は神奈川県ですけれども、関東でそういったことを御担当になる方の人数というのは、たしか二十名とか三十名とかそのくらいの人数だったというふうに記憶をしておりますけれども、それが一気にこういうお仕事が増えると。それで、通常のお仕事もあるわけですよね。となると、果たしてきちんとチェックができるのかなという感じがいたしますが、その辺は自信を持って大丈夫だというふうにおっしゃれるんでしょうか。
○大臣政務官(中原八一君) 今回のバラスト水規制の導入に伴いましてPSCの確認すべき事項が増加するわけでございますけれども、国交省といたしましても、外国船舶監督官、この研修、訓練による技術の向上、そしてまた要員の増加の方でありますけれども、平成二十一年、二十二年に比べまして、若干ではありますけれども、要員の確保に努める努力をいたしているところでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 私も霞が関出身ですが、なかなか要員を増やすというのは難しいのはよく分かっておりますけれども、なるべくそういった人数は増やしていただいて、現場の皆さんの苦労を減らしていただきたいと思います。
 続きまして、また他国の動きなんですけれども、この条約の締結国の中に米国がまだ入っていない、まだというか、入っていないわけですね。独自の規制をしているということで承っておりますけれども、そういった米国の独自の規制というものが我が国の海運業界にとって不利な影響を与えるのではないかということを私は大変危惧をするんですが、その辺りは大丈夫なんでしょうか。
○大臣政務官(中原八一君) 委員御指摘のように、米国では独自規制を実施しているわけでありますけれども、米国の実施している独自規制は排出基準が条約と同じであるため、海運事業者が講ずべき措置に大きな影響はまずございません。
 他方、米国では、米国沿岸警備隊による処理設備の承認を義務付けておりますけれども、他国が承認した処理設備を搭載することも認めておりまして、また、我が国の処理設備メーカーに確認をいたしましたところ、米国規制に対応が可能であることから、機器の仕様を変更する必要はないと聞いております。したがいまして、米国独自規制につきまして、我が国にとって対応可能なものであり、特段な問題はないものと考えております。
 今後とも米国の動向の把握に努め、我が国事業者が不利益を被ることのないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 このバラスト水の法律につきましては、大体このくらいお尋ねをさせていただいておしまいにさせていただきたいんですが。
 もう一件、環境に関わる条約で未発効なものとして、シップリサイクル条約がございます。これは条約によりますと、船舶における有害物質の使用の禁止、制限、あるいはその制限された物質をどういうところにどういう種類のものが使われているのかというのを示すインベントリーを作っておくということ、あるいはシップリサイクル施設、つまり船を解体をする場所で有害物質の管理をきちんとやるとか、あるいはそこで働いておられる皆さんの安全を確保するということ、そういったものが条約の内容になっているんですが、ただ、このシップリサイクルというのは非常に人件費やあるいは土地代の安い国で行われておりまして、インドとかバングラデシュとかパキスタンとか、あるいは中国でもやっているんですけれども、そういった国が中心になっているというふうに聞いております。
 そして、こういった発展途上国での解体作業は労働環境としても非常に劣悪で、危険な物質が、何ていうんでしょうね、いろいろ拡散をしてしまう、環境汚染の状況も非常に多くなっているというふうに聞いております。我が国も海運国ですから、そういったところで解体をされる船というのは将来的にも多いことになると思いますので、我々としてもそういった状況を見過ごすことはできないと思うんですけれども。一つの例を挙げますと、国際的な労働団体でありますインダストリオールというところも、できるだけこういう状況からは抜け出してほしいということで各国政府に声掛けをしているということであります。
 この条約、発効条件が三つほどありますけれども、解体をしている国の締結が不可欠になっているということでありまして、国交省としてこれ具体的に、そういったインドとかバングラデシュとかパキスタンとか、劣悪な環境で解体作業をしている国々の締結を促進するような取組をこれは行っておられるんでしょうか。是非とも行っていただきたいんですが、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) シップリサイクル条約の発効のためには、委員御指摘のように、まず締約国の数、二番目に締約国の商船船腹量に加えまして、三点目に締約国の船舶解体能力に関する要件を満たすことが必要となっております。インド、バングラデシュなどの主要な船舶解体国、その締結が不可欠となっていると、そういう点が特徴でございます。
 このため、これらの主要解体国が条約に適合した安全で海洋環境に問題のない実施体制を、解体体制でございますが、整えることが条約の発効のために必要となります。国土交通省におきましては、世界第一位の船舶解体国でございますインドにおきまして、その施設を条約に適合させるために改善策を検討いたしまして、インドに対しまして助言などをいたしております。また、民間におきましても、安全環境対策の実施のための専門家の育成、こういう育成を支援するなど、官民連携した支援を行ってきているところでございます。
 国土交通省といたしましては、早期にこうした主要な解体国におきまして条約の実施体制が整うよう、引き続き支援を行ってまいる所存でございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 実際、これ中国だとちょっと状況は違うようなんですけれども、パキスタンに実際に行ってこられた方のお話を聞いたことがあるんですが、パキスタンで解体をされるというときには、大きな船を砂浜の上に引いてきて、その上で解体をしていくということでありまして、例えば、保護具の着用もしていない人がおられたり、船の中でいろんな有害物質が使われておりますけれども、そうしたものが管理をされていない状態であったりということである国もかなり多いということであります。
 是非ともそういった面について我が国が音頭を取っていただいて、この条約の早期発効に向けて動きを強めていただきたいと思います。
 あと、この解体ということなんですけれども、我が国の中でも船舶の解体というのを採算ベースに合わせて何とかやることができないのかといういろんなパイロットモデル事業というものがあるようであります。
 具体例を一つ挙げますと、二〇一〇年に室蘭で大型船舶解体実証実験というのが、これは国交省もバックアップをされて行われたということでありますけれども、これ、アフロート方式と申しまして、岸壁に、普通、船が入港して岸壁につながれますけれども、そのままの状態で浮かしたままで上から簡単に言うと切っていってスクラップにしていくという方法なんですが、これを何とか国内でも採算ベースに合わせていくことができないかどうか。できたらこれは、非常にこの造船業界というのは厳しい状況にありますので、いいニュースになると思うんですが、この辺りはいかがでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) 委員御指摘のように、日本におきましても、室蘭におきましてシップリサイクルのパイロットモデル事業を実施いたしました。おっしゃったようにアフロート方式で実験をしたわけでございます。それで、技術的にどういう対応をしたらいいか、そういう浮かべてやることがどの程度可能かということ、それからコストでございますね、採算に乗るかどうかということも併せてモデル事業として調査を行ったわけでございます。
 こういった事業の内容も参考にしながら、先ほどの主要解体国であるインド、バングラデシュへの働きかけも含めまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そのときの携わった方の報告などを見ていますと、かなりコスト的には厳しかったというようなことでありますけれども、国交省の方とちょっとその話をさせていただいたときに、廃船の国際価格と鉄スクラップの国内価格との比較という表をいただきました。現時点では、二〇一三年辺りでは国内の鉄スクラップの価格と廃船の国際価格が大体同じぐらいで人件費分が出ませんということでありましたけれども、それで、諦めると言うとちょっと失礼ですね、余りポジティブなことは国交省の方はおっしゃいませんでしたけれども。
 これ、そのグラフをいただいているんですが、二〇〇六年、七年辺りから二〇〇八年の中頃ぐらいまでは鉄スクラップの価格の方が随分高いこともございました。これは、今思い起こしてみますと円安の時期です。円安の時期になると、こうした採算に合わなかったことも採算に合うようになるのではないかというふうに思っております。
 そのいい具体例が、つい昨日公表されましたデータで見ますと、旅行収支がございます。これは四十四年ぶり、大阪万博以来四十四年ぶりに、日本の方が海外に行って旅行で使われるお金と海外の方が日本においでになって旅行で使われるお金、そのプラスマイナスで百七十七億円ほど海外の方が日本国内で旅行で使われるお金の方が多かったというのがございました。これも大きな要因は円安でありますし、また、旅行ということになればまさに国交省の中のお話です。
 そういった可能性もあるのではないかなと、つまり円安がプラスに働いてくるというようなこともあるのではないかなというふうに思いますので、そうしたことに備えて基礎的な研究というのも是非進めていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(森重俊也君) まず、委員御指摘のように、船舶を解体する事業の採算という観点で申し上げます。
 解体事業と申しますものは、まず解体をするための老朽化船舶を購入する、そして解体をする、そして出てきた鉄スクラップを売却して収益を得るという事業でございます。この事業を採算ベースに乗せるためには、船舶の購入価格と解体に要した経費、この合計を上回る価格で鉄スクラップを売ることが必要ですので、委員御指摘のように、鉄スクラップの価格というのが大変重要なポイントになってくるわけでございます。
 最近の船舶の購入価格を見ますと日本国内での鉄スクラップの価格とほぼ同様となっておりますので、人件費等の解体に必要な経費を賄うことは難しゅうございまして、現在の市場環境では日本国内において解体事業を設立させることは困難な状況ではございますが、国際的ないろんな諸要因の影響もあり、全体的にこれから将来の価格の変動でありますとかいろんな解体技術の進展等将来の変化の要素もございますので、条約全体として各国への働きかけとともに、私どもとしてもこういった検討を進めてまいりたいと思います。
 実は、このシップリサイクル条約は我が国が世界有数の海運・造船国といたしまして策定を主導したメンバーの国でございますので、そういう流れを大事にいたしまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○金子洋一君 是非ともよろしくお願いいたします。
 このシップリサイクル、そしてバラスト水の問題につきましても、これ以外にも船舶の燃費でありますとかCO2の排出の問題、あるいは地球温暖化の防止対策といった事柄、こうした物事につきまして、海洋環境に関わる基準作りですけれども、これについては是非とも我が国が先導役となって取り組んでいただきたいと思います。
 先ほどから名前が出ておりますIMO、国際海事機構ですか、日本語で申しますと。こちらの方も関水さんという国交省御出身の方が事務局長をなさっているということですし、そういった場でもリーダーシップをきちんと取っていただきたいと思いますし、また、それ以外、我が国の非常に進んだ造船などの技術をきちんと生かして国際競争力を更に強化をしていくという観点からも、これ、国交省に是非ともきちんと取り組んでいただきたいと思いますが、将来どういうふうに取り組んでいかれるおつもりか、お伺いをいたします。
○国務大臣(太田昭宏君) 輸出をめぐる国際競争という中で、国際ルールに積極的に関わって日本の作ったルールというものを世界のルールにするという、これは非常に大事なことだというふうに思っています。ISOが全ての社会インフラを対象とするアセットマネジメントに国際規格を定めるなど対象分野を拡大をしているところでありますし、あらゆる産業分野がそうしたことに出ていくということが大事だと思いますが、この海事ということにつきましては、今御指摘のように、IMOにおける国際的な基準作りをリードしていくという必要があると思います。それで、国際社会への貢献ということもありますし、国際競争力の強化ということが非常に大事な面になってきます。
 特に日本の場合は、二酸化炭素の排出削減基準というのは省エネ技術力で優位に立つわけでありまして、IMOの議論をリードして二〇一三年一月から導入されたということもございます。IMOにおいて世界最多の提案文書を提出をしているという状況もありますし、今御指摘のように、事務局長も国交省出身の人がなっているという状況にもございます。
 今後とも、世界トップレベルの技術力を生かして、海事分野において国際社会が抱える課題の解決をリードしていくということに努力をしたいというふうに思っているところでございます。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 あと、これちょっと話が変わってしまいますけれども、大体二〇一六年以降ですか、北米、アメリカでのシェールガスの産出量が非常に増えると。増えたものをどうやって運ぶのかと。それは船で運ぶということになってくるだろうと思います。そういった海上エネルギー運送など、こういう新しい動きにも、これ、我が国の造船業あるいは海運業というのはきちんと対応をしていかなきゃいけないと思いますけれども、これについて国交省としてはどういうふうに今後取り組んでいかれるおつもりでしょうか。
○副大臣(野上浩太郎君) 今お話がございましたとおり、例えばシェールガスにつきましてはアメリカで開発が進んでおりまして、それに伴って、拡張されたパナマ運河を経由する新しい輸送ルートなど、新しい展開が見込まれております。
 国際的なエネルギー輸送はこれから大きな変化が予想されますので、その世界の成長を取り込んで我が国の海事産業の発展を図ることは大変重要と考えております。このため、私が座長となりまして、船社、造船事業者はもとより、電力、ガス、金融、商社、有識者、経産省等の関係省庁等で構成するエネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会を四月に立ち上げたところでございます。
 この検討会におきまして、パナマ運河の通航料改定の手続の透明性確保ですとか、あるいは、船舶の建造に当たっての投資リスクというものもありますので、こういうことなどを課題として対応を検討することとしておりまして、官民一体となってこれはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○金子洋一君 まだいろんな状況が新たに出てくるんだろうと思いますので、なかなか今すぐ特効薬のようなものを作るというのは難しいと思いますが、是非とも、その点、きちんと政府の方で御検討をいただきたいと思います。
 ちょっとこれは造船業からは外れるかと思いますけれども、今エネルギーのお話が出てまいりましたので。
 エネルギー価格が非常に上がっておりますので、従来こんなところで掘っても採算に合わないよというようなところでも、エネルギーの発掘と申しましょうか、採取が行われるようになってまいりまして、例えば海洋で、海の底で石油を発掘をするとか天然ガスを発掘するとか、そういったことも多く行われているというふうに聞いております。
 こういった分野で新たな成長産業をつくっていくというのも我が国の海事産業の振興の観点から非常に重要になってくると思うんですが、この点について国交省としてはどういうふうに取り組んでいかれるおつもりか、お聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) 非常に大事だというふうに思って、私も呉を始めとしていろんなところに行きまして造船所で視察もし、お話も聞かせていただきますと、海で石油、天然ガスの開発というような、こうしたことに進出をしていると。
 日本の優れた技術というものを、例えばブラジルにおきまして、関連船舶の建造に参画をして大規模な石油、ガス開発を進めているという状況にもございます。そういう意味では、我が国の海運会社が石油の生産や貯蔵や輸送などのオペレーション事業に参画をしているというのは現実あるわけでございまして、私は、そこのかなり技術力が優れているなという印象を持ちました。
 これから海洋資源の開発ということが非常に大事な分野になってきますし、日本でも渥美半島沖でメタンハイドレートとか、秋田沖でもそうでありますが、そうした状況がありますから、造船業で蓄えられた技術というものがそうした海洋石油、天然ガス開発市場等に参入していくということが極めて重要だというふうに認識をしています。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 なかなか、こうした海洋でのエネルギー開発といったものは一社だけで技術的にも資金的にも対応するのが難しいということがございますので、是非とも国交省の積極的な関与をお願いをしたいと思います。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。やや、船つながりは船つながりでございますけれども、ちょっと色合いが変わってまいります。
 尖閣諸島に中国公船の侵入がもうずっと続いてきております。これへの対処策というのがこれは非常に大切であると私は常々思っております。これは与党も野党も関係ない非常に重要な案件だろうと思っております。
 そこで、例えば海上保安庁の巡視船、それもいわゆる大型巡視船、七百トン以上の大きなものを増強していく、あるいは、船を造っただけではどうにもなりませんので、人員を増強をしていただくということをやっていただいて、恐ろしいことが起きないようにきちんとした手を打っていただきたいというふうに思っているんですが、この点につきまして、今日は海上保安庁長官に来ていただいておりますので、御所見と申しますか、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上保安庁では、尖閣諸島周辺海域の領海警備に万全を期すため、現在、大型巡視船十四隻相当による専従体制を構築すべく、大型巡視船の整備や要員の確保、養成などを平成二十七年度末までに完了するよう進めております。このうち四隻が平成二十六年度中に就役する予定となっております。
 海上保安庁では、引き続き領海警備に万全を期すべく取り組んでまいりたいと思っております。
○金子洋一君 ありがとうございます。
 もちろん、現状ではその数で十分なのだろうと思います。しかし、中国というのが一体どういうことを考えてくるのかというのはこれは全く予想も付かないところもございますので、やはり更なる増強というのが必要になるのではないかなというふうに思っておりますし、また、こういったこれまでにない状況におきまして、長官、海上保安庁長官として戦後初めて生え抜きの方が今長官としてなっておられるということは非常に意義が大きいことだろうというふうに思っております。特に、現場の皆さんが非常に大きな目標を持てるようになったんではないかなと思います。是非とも、大変な予測不可能な厳しいお仕事だとは思いますけれども、きちんと取り組んでいかれたいと思いますし、また、こういった人事をなさいました太田国交大臣の御英断というのは、これは、私は野党ですけれども、すばらしいものだなというふうに思っております。
 ちょっと時間が早いですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○河野義博君 公明党の河野義博でございます。
 まず、太田大臣にこれまでの海事政策の評価と今後の決意に関しまして伺います。
 我が国は言うまでもなく海に囲まれておりまして、海運、造船、そして舶用工業といった海事産業の重要性といったものは言うまでもございませんで、金融、そして保険を含めた海事産業クラスターというのは雇用の裾野が非常に広く、国の成長産業の、成長戦略の中心に位置付けられるべき重要な産業でもあると考えております。
 私自身も、銀行員時代に外航船舶への融資に携わってまいりまして、このクラスターの中で仕事をしてきた一員でもございます。今回、この質問に当たりまして、大手、中堅造船所を回り、また、昔取引のあった船主さんも回りながらヒアリングをしてまいりました。過度な円高が是正をされまして、ようやく息を吹き返しつつあるところもあれば、まだまだその傷が癒えていないというところもございました。
 一つだけ明るかった話題は、円高が進んでいって、造船所でございますが、海外に移転をもうほぼ決めておったんですけれども、それを取りやめて、円安になったので日本で生産を続けることにしましたと、そういったお話も聞くことができました。
 一方で、我が国の日本商船隊、約三千隻と言われております。二千トン以上の外航船は約二千隻と言われておりますが、御案内のとおり、その九五%は外国に籍を置いております。税金が高い、諸般の手続の問題、そういった観点から、パナマやリベリアを中心に我が国の船というのは籍船を海外に移して、我が国に籍を置く船というのは僅か五%、百五十隻程度と言われております。
 先ほどの御答弁の中で、今回の対象船籍は三百四十隻ということでございましたが、これは二千トン以下の小規模な船も含むということで対象船籍は三百四十隻であったと承知をしております。
 また、造船業に関しましては、長年五〇%超で世界最大のシェアを誇っておりましたけれども、近年、中国、韓国の造船量拡大で、二〇〇九年には僅か二五%のシェアというところにとどまっている状況でございます。
 こういった状況を踏まえまして、国土交通省のこれまでの取組に対する評価、そしてまた今後の海事産業の発展に向けた大臣の決意をお聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) これまで造船業といいますと、すごく造船がいいというときもあり、また急に悪くなると。円高、円安、あるいは経済状況、そしてまた中国や韓国との争いの中のこと、そして鉄が上がる、上がらない、いろんな状況がありまして、かなり上下が激しかったというふうに思いますが、やっとこのところで、今御指摘になりましたように、円安ということに振れる中で造船業が息を吹き返すという状況が出てきているというふうに思います。そういう意味では、国民生活を、経済を支える重要な柱の一つだというふうに位置付けなくてはならないというふうに思っています。
 経済安全保障の観点から重要な日本船籍の確保ということですが、従来からの政策税制に加えまして、トン数標準税制の創設、拡充によりまして増加に転じてきているという状況にございます。
 造船につきましては、国際競争力強化のためにこれまで進めてきた技術開発の支援によりまして、省エネ船など、技術力と品質の両面で世界から高い評価を得るという状況にございます。
 今後とも、こうした我が国の海事産業のトップレベルの強みというものを生かしながら、量的にも、そして質的にも増加していけるようにということを私たち考えまして、海洋資源開発の進出支援等も含めて、世界の成長を取り込むことによって海事産業の更なる発展に努力をしたいというふうに思っているところです。
○河野義博君 海事産業、まさに世界の闘いの中で皆さん仕事をされておられまして、そういった今までのお取組、また今後の引き続きましてのサポートを心よりお願いをしたいと思っております。
 続きまして、今回の条約発効要件に関する他国の動向を外務省に伺いたいと思います。
 今回の発効要件といたしましては、締約国三十か国以上、そして船腹量の三五%以上というのが要件として課されておりますけれども、締約国は既に三十か国を超えております。問題となりますのは船腹量の三五%以上でございますが、既に三〇%以上は加入をしておりますので、便宜置籍船を含めた他国の動向というのが非常に重要になってまいります。日本商船隊の中でもパナマ船籍であったりリベリア船籍であったり船があるわけですので、その海外の状況というのは注視していかなければならない。それによって今回の猶予期間が変わってくるわけでございます。
 特にパナマ、今回、船腹量でいきますと二〇%を超えております。香港も七%、シンガポールも五%を超えております。また、バハマ、マルタ、ギリシャ、中国といった五%前後の国であっても、加盟が決まりますとそれは発効要件をすぐに満たしてしまうということで状況の注視が必要であると思いますけれども、各国の見通しも含めて御認識をお聞かせください。
○政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきましたとおり、この条約は三十か国以上が締結し、かつ商船船腹量が三五%を超える場合に、締結した場合に効力を発生することになっておりまして、五月末時点でこの条約の締約国は四十か国、それから商船船腹量の合計は三〇・二五%でございます。現在、商船船腹量についての発効要件は満たされておりませんけれども、御指摘いただきました船腹量の大きいパナマ等が締結の準備を開始したという情報にも接しております。したがって、このような他国の状況を踏まえますと、本条約、本年中にも発効要件が満たされるのではないかというふうに考えております。
 我々としては、我が国がこの条約を締結した後は、パナマや香港、シンガポールとか、今御指摘いただきましたようなそういう主要な船主国に対して、この条約を締結するよう積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
○河野義博君 その状況を造船業も船主も非常に注目をしておりますので、タイムリーに情報開示をお願いしたいと思っておりますが、本年度中にも満たす見込みということでございました。ありがとうございます。
 そして最後に、今回、設置の義務のございます船主へのサポートに関しまして一点伺います。
 リーマン・ショック後の海運市況の大暴落、続く超円高によりまして、日本船主のほとんどが深刻なダメージを受けておりまして、円安に振れたからといっても、その傷が癒えた船主はほんの一握りであると私は認識をしております。
 そのような中、設置費用が一億から三億円という中で、手元の資金で設置ができるような船主というのは非常に限られているのではないかと思いますけれども、この船主に対するサポート、ほかの委員からも御質問がありましたが、重要な点でございますので、どのようなサポートを考えられておられるのか、当局の見解をお聞かせください。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 バラスト水排出によります環境問題、これにつきましては海運事業に伴って発生するものでございますので、基本的には船舶所有者がその防止を図るべきものでございます。したがいまして、設備の設置費用につきましては船舶の所有者であります船主に負担していただくのが基本でございます。
 しかしながら、御指摘のように、私どもも対応を進めてきておりまして、一つは、処理設備の設置が相当な投資になることが見込まれますので、その費用につきまして一括損金経理を可能とするように措置したこと、これが一点でございます。もう一点は、船主の皆様からの要望を受けまして、現存船への設備設置の猶予期間でございますが、猶予期間の延長につきまして我が国主導でIMOで議論を調整を行いまして、二年半から五年の猶予期間の延長が実現したところでございます。
 このように、日本としてはいろんな円滑な設置を進めている措置を進めてきたところでございます。したがいまして、委員御指摘のように、環境はまだまだ厳しいということで経営状況の厳しい船主さんもいらっしゃると思いますが、こういった船主さんにおかれましても、バラスト水の排出によります環境問題に国際社会が一丸となって対処していくと、そういう御趣旨を御理解いただきまして、この猶予されました期間の間に設備の設置を行ってくださればというふうに考えております。
 もとより、国交省といたしましても、関係業界の声はしっかりと受け止めながら今後とも対応してまいりたいというふうに考えております。
○河野義博君 今のお話で、IMOに日本が働きかけていただいて二・五年の猶予期間を五年に延ばしていただいた、これは非常にすばらしいことだと思いますし、感謝を申し上げます。
 一方で、一括損金計上といったことでございますけれども……
○委員長(藤本祐司君) 申合せの時間が来ていますので、まとめてください。
○河野義博君 はい。
 御承知のとおり、船主は償却負担が非常に重く、税制面で一括損金計上をできたからといって、そのメリットを感じられる船主さんというのはほとんど大手の船主に限られると思います。中小船主は一杯船主、二杯船主の方が多くて、この不況で金融円滑化法を使ってリスケをしているところもございます。資金繰りに、三億円の資金調達ができないところというところも往々に考えられると思いますので、引き続き中小船主にも目を向けていただいて、しっかりとしたフォローをお願いをしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○室井邦彦君 日本維新の会・結いの党の室井でございます。
 PSCの体制について御質問をしたいと思います。
 この度のバラスト法の改正、IMOにおいて採択をされましたバラスト水管理条約の取り入れに伴い実施されます。先ほども金子議員からも少し触れられましたけれども、二〇一二年一月の一日よりIMOの事務局長として旧運輸省の関水康司氏が就任をされ、任期五年ということでまだまだ十分期間がございますが、初めての日本人としての事務局長ということで、私もお会いしたことございますけれども、なかなか精悍な積極的な方でありまして、私も非常に期待をしているところであります。
 こういうときにこそ、この停滞した日本の国の海事また国際競争力を付けなくてはいけないということで、太田国土交通大臣を筆頭にあらゆる施策を取り入れながら頑張っていただいております。特に日本の安全基準というのは非常に高いものがございますし、そういう意味におきましても、国際規則、国際基準の意思決定過程において更なる積極的にリードをしていっていただきたい、そして、我が国の技術の基準、こういう国際基準を更に積極的に進めていただきたい、また、世界に伝えていただきたい、こういうことを期待をしておるところであります。
 今般新たに設けられるバラスト水の排出規制により、そのバラスト水とともに排出される外来の水生生物によって影響する海洋生態系の破壊防止をすることが目的であります。本法律案では、日本に寄港する外国船舶が条約に適合しているか確認することができますポートステートコントロールを実施することが可能となります。
 そこで、平成九年に創設されたPSCに従事する外国船舶監督官は平成二十五年末で全国四十一官署で百四十名ということでありますが、現在はその体制で十分に能力を発揮されておられるのか。また、あわせて、今回のバラスト水の規制に伴い、PSCを行う際に確認すべき事項がかなり増加されていることとなります。数多くの外国船舶が入港してくる中、効果的にPSCを実施するため、人員の配置を含め体制をどのように構築しようとしておられるのか、まずはお尋ねをいたします。
 あわせて、我が国のみが立入検査を行ったとしても、各国が適切にこのルールを守りながら実施しているのか、また、していない場合、まあ手抜きというんですか、実効性のあるものにならないと思われますが、その点をどのように対応していこうとされているのか、お聞きをしたいと思います。
○大臣政務官(中原八一君) ただいま委員が御指摘くださいましたように、PSCの体制につきましては、現在十二の条約に関連した立入検査を地方運輸局等の四十一官署に配置されております百四十名の外国船舶監督官により実施いたしているところでございます。
 今回のバラスト水規制の導入に伴いまして、PSCにおいて確認すべき事項が増加することとなります。PSCの実施要員につきましては、従来より研修、訓練を通じた技術の向上とともに要員の増加ということに取り組んできておりますが、今後とも十分な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、実効性あるPSCの実施につきましては、PSCの結果をIMO加盟国や地域間で情報共有し、国際的な連携の下で実施いたしております。具体的には、アジア太平洋地域におきまして、我が国を含む十九か国で国際的な協力、連携を行っているところでございます。これにより、地域全体で入港船舶の七〇%に対しましてPSCを実施をいたしております。また、基準不適合の可能性が高い船舶の重点的な検査を実施いたし、量、質の両面で効果的な実施が可能となっているところでございます。
○室井邦彦君 中原政務官、ありがとうございます。
 少し懸け離れた話かも分かりませんが、私の心配するところは、皆さん方御記憶にあろうかと思いますが、韓国のセウォル号ですね、これ沈没しました。バラスト水が基準の四分の一しかなかった、こういうことでありまして、本来ならこの程度の規模の客船はバラスト水が二千トンなくては復元能力が出てこない。まさに、事故当時、調べるとバラスト水は五百八十トンだったと。こういうえげつない手抜きをしておると。これは日本のことではないですから、まあよそ事ですから、よそ事だからいいというわけじゃありません。そういうことになりまして、ですから私は、そういう日本の国はきちっとルールを守る国だけれども、いろんな国があるので、その点は正直者がばかを見るようなことがないように、しっかりとそういうふうに目を行き届かせていただきたい、このようなことを一言要望として申し上げておきます。
 続きまして、バラスト水の管理条約、この発効についてお尋ねをいたします。
 いわゆるバラスト水管理条約の発効要件である三十か国以上の国が締結と。私はここで疑問を感じるんですが、なぜ三十か国なのか。五十か国であってはいけないのか、二十か国であったらいけないのか、この基準がちょっと私もよく理解できないところで、後で御説明いただきたいと思いますけれども。
 そしてさらに、商船船腹量が世界商船の船腹量の三五%以上と。この数字も、別に二五%でもいいんじゃないのか、いや三五%では少ないから五〇でいいんじゃないのかというふうに、素人でありますからついついそう思ってしまうんですけれども、その辺の少し理解できるような御説明をお願いしたいと。
 世界には百九十五か国という国がありますし、私も、スイスも海運王国の一つだということで、スイスは海がないのになぜなのかなと、こんな単純な疑問を感じたこともあるんですね。ですから、そういう意味におきまして、是非この根拠を御説明をいただければと思います。
○政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。
 本条約の発効要件、三十か国、それから商船船腹量三五%以上ということになっておりますけれども、これは必ずしも国際的にこの種の条約の基準が定められているわけではございません。
 ですから、本条約をまとめましたときに、他の安全や海洋汚染防止などの様々な海事条約の要件やその内容を踏まえて各国で議論を行いまして、締約のための採択会議を行った際に、締約国数については三十か国程度が適当ではないか、商船船腹量については約三分の一程度の三五%、全体のですね、そのぐらいがいいのではないかというふうに最終的には投票によって決めた経緯がございます。
○室井邦彦君 そういうことで今回の海洋汚染を、守っていけるのか、また、それを解決することができるのか、私がなかなか理解できないところではありますが、この三問の質問の中にそれの関連が触れておりますので、十三分まで私の時間はございますので、じゃ、これを最後の質問にさせていただきますけれども。
 本法律案の具体的な効果について、有害水バラスト処理施設の環境面や安全性についてお尋ねをするわけでありますが、IMOにおいては最も顕著な環境影響をもたらす水生生物として特に十種類挙げられております。もう細かくは申し上げません。これらの有害な水生生物を含むバラスト水により、これまでどのような環境被害、経済的被害があったのか、できる範囲で結構でありますので、御説明をしていただきたいと思います。
 あわせて、このバラスト処理設備は、一般に大型プランクトン等はフィルターにより除く、小型プランクトンは細菌類は薬剤を使用する、紫外線等により殺滅するというふうに書かれておりますけれども、逆にまた薬剤が、一定の薬剤を使用するというその薬剤の種類が決められておるのか、それぞれ国々がそれぞれのそういう細菌を殺滅させるために自由な薬品を使われるのか、この点について環境面に対しても非常に敏感にならなくてはいけない、このように思うわけでありますが、この二点についてまたお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(奥主喜美君) お答えいたします。
 被害のことについてお答えさせていただきます。
 バラスト水などにより顕著な影響をもたらす水生生物としてIMOは十種類を挙げているところでございます。
 これらによる代表的な被害といたしましては、欧州原産の淡水貝であるゼブラ貝の事例がございます。この貝は一九八〇年代半ばに船舶のバラスト水を通じて北米五大湖に移入されたと考えられておりまして、五大湖の在来の貝類に付着して窒息死や成長阻害をもたらしたりしたほか、魚類等の生物相を大きく変化させるなど、生態系に被害を与えております。さらに、発電所や浄水場の取水施設に付着し通水被害を起こしております。例えば、一九九〇年代、ミシガン州の浄水場では年間十五万ドルの損害が発生したとの報告がございます。
 一方で、日本や朝鮮半島など北アジア原産のワカメがほかの海域へ運ばれまして被害を発生させている事例もございます。ワカメは一九八〇年代にニュージーランドやオーストラリアなどへバラスト水によって運ばれたと考えられておりまして、カキなどの養殖籠に付着し収量の低下を引き起こすなど、漁業への被害を及ぼしております。
 今般新たに設けられる有害水バラストの排出規制によりまして、バラスト水とともに排出される外来の水生生物の侵入を防ぎ、このような生態系被害や産業などの経済的被害を防止する効果があると考えているところでございます。
○政府参考人(森重俊也君) 後半の薬剤についての御質問にお答え申し上げます。
 薬剤を用いますバラスト水処理設備につきましては、これは例えば、我が国では次亜塩素酸ナトリウムなど殺滅力のある次亜塩素酸系の薬剤が用いられております。こうした薬剤を用いて処理したバラスト水を排出する際には、生物の殺滅力を取り除きまして無害化して排出する必要がございます。このため、処理済みのバラスト水につきましては、残留塩素などの殺滅効果を持つ物質の濃度を無害なレベルまで落として排出することとなっておりまして、この点につきましては、処理設備の型式指定の際に試験を行ってしっかりと確認をすることとしております。
 また、この薬品につきましては、薬剤を用いる場合の薬品でございますが、これは薬品の品目指定の方式ではなくて、殺滅の力、それから中和する力という能力主義で用いられることになっております。
○室井邦彦君 終わります。
○田中茂君 みんなの党の田中茂です。
 早速ですが、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律一部改正につきまして質問をいたします。
 まず第一なんですが、北極海の商業運航の可能性と海洋汚染についてお聞きしたいと思います。
 近年、北極海の海氷が減少し、北極海における夏季の商業運航も増加しており、北極海ルートは重要な航路となる潜在的可能性を秘めています。一方、北極海の航行船舶、商業運航の利用増加に伴い、同海域において事故や汚染も高まるのではと懸念されます。国交省は北極海ルートに関する省内検討会を設置し、北極海航路に関する自然的、社会的状況の把握、技術的、制度的課題、経済的課題及び当該航路の実現に伴う影響等を検討、整理するとしていると伺っておりますが、現在の取組状況について国交省の御見解をお伺いします。
○政府参考人(西脇隆俊君) お答えいたします。
 まず、北極海航路につきましては、委員御指摘のように、まず北極海の海氷が減少していること、それからスエズ運河経由と比較いたしまして航行距離を約六割に短縮できることのほか、海賊多発地帯を回避できるというようなことがございまして、欧州と東アジアを結ぶ新たな選択肢となる可能性があるというふうに認識しております。
 北極海航路の利用件数及び輸送の貨物量でございますが、平成二十二年以降急激な増加傾向にございます。我が国への輸送動向につきましても、平成二十四年の十二月にLNGが北九州に運ばれたほか、平成二十五年におきましてもナフサ、LNGなど三件の輸送実績がございます。
 一方、北極海航路の航行は依然として夏場の数か月に限られています。また、沿岸国であるロシアが航行の安全確保や海洋汚染防止の観点から砕氷船の同伴等の規制を課しており、その運用実態にも留意する必要があるというふうに思っております。
 今御指摘のように、国土交通省といたしましては、まず平成二十四年八月に省内の関係部局をメンバーといたします北極海航路に関する省内検討会を設置いたしまして、北極海航路の利活用の可能性、それから利活用に当たりましての技術的、制度的、経済的な課題等につきまして調査検討を進めているところでございます。さらに、本年五月には、海運事業者や荷主並びに関係行政機関が集まりまして、それぞれの持つ情報の共有を図ることを目的とする官民連携協議会を設置しております。
 引き続き、北極海航路の利活用の促進に関する調査を進めますとともに、官民連携協議会を通じまして積極的に関係者間での情報共有を図り、その得られた情報を分析することによりまして利活用に関する検討を更に進めてまいりたいと考えております。
 なお、北極海を航行する船舶の航行の安全、それから海洋汚染の防止のための技術基準につきましては、現在、国連の専門機関でございます国際海事機関、IMOにおきまして、低温で氷に囲まれるという極海の特有の事情を勘案した追加的な技術基準を定める極海コードというものの策定に向けて検討が進められておりますので、国土交通省といたしましても、持続可能な北極海航路の利活用に向けまして、IMOの加盟国等と連携いたしまして極海コードの策定に積極的に貢献してまいりたいというふうに考えております。
○田中茂君 ありがとうございます。
 ロシアとは外交上様々な不安定要素はあるんですが、北極海ルートは欧州との海運のみならずロシア北部の資源の輸送上も重要な航路となる可能性もありますので、先ほど答弁でありました安全基準、この辺の策定も含め、更なる取組をお願いしたいと思います。
 次に、海上災害対策と体制について御質問させていただきます。
 二〇一〇年四月二十日、メキシコ湾沖で米国史上最悪とも言われる原油流出事故が発生したことは記憶に新しいところであります。原因は、イギリスのBPの石油掘削施設で掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火、爆発したことによるものでありました。BPの賠償額は二百億ドルにも上り、賠償基金も払底しているとされています。
 日本においてはこのような掘削中の事故が発生する可能性はほとんどないと思いますが、タンカー事故は十分に想定されます。現に、先々週、五月二十九日に播磨灘でタンカーの炎上事故が発生し、死傷者五名という痛ましい結果となりました。
 このような状況を踏まえて、我が国において海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づく油流出事故に対する防除資機材、防除体制、関係機関との連携は十分であるのか、海上保安庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律におきまして、油の排出があった場合、必要となる防除措置については原則として原因者の責任により行うこととしており、これら防除措置義務者が必要な措置を行わない場合には、措置を講ずるべきことを海上保安庁長官が命じることができるようになっております。
 他方、委員御指摘の災害の発生直後や大規模な油流出事故が発生した場合には、海上保安庁は、警察、消防機関、地方整備局、地方公共団体、排出油等防除協議会などと連携し、必要な防除措置を実施することとしております。
 防除資機材につきましては、タンカーの船舶所有者等に対し、オイルフェンス、油処理剤等の資機材の備置きを義務付けております。また、全国十六の海域ごとに必要な資機材の整備目標を定めた排出油等防除計画により、海上保安庁のみならず、海上災害防止センター、石油業界、関係事業者等が連携協力し、全国に所要の資機材を確保しているところでございます。
○田中茂君 ありがとうございます。
 今のお答えに関して更にちょっと質問させていただきたいんですが、確かに日本ではメキシコ湾のような原油流出事故の可能性は低いと思います。が、しかし、地震が発生したときの海上火災の可能性を考えれば十分な対策を講じることが喫緊の重要課題であると、そう考えております。
 東日本大震災の際には、千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所のLPG貯蔵タンクが爆発、炎上しました。また、東京湾や仙台港で発生したこのようなコンビナート火災発生以外にも、破壊した船舶や石油タンクなどから流出した油が海上で火災を引き起こし、流れ着いた家屋の残骸などにも燃え移り、被害を大きくしました。
 このような被害を想定することは容易ではないとは思いますが、可能性としてどの程度の被害規模を想定し、日頃からいかなる緊急時危機管理計画を練っているかが極めて重要であると思っております。
 外洋における油流出事故対策として現場燃焼処理という方法が効率よいという話も聞いております。が、しかし、東京湾ではそのような対策を講じることは不可能であります。南海トラフ地震の可能性に加え、首都直下型地震が発生する確率が七〇%であると現在言われておりますが、東京湾における災害時の海上火災、湾岸火災等へのシミュレーション、海上保安庁の災害対策計画、訓練の実施などの対応はどのようになっているか、海上保安庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 震災による東京湾の被害想定といたしまして、平成二十五年十二月に中央防災会議のワーキンググループにより、首都直下型地震に伴い、東京湾沿岸において流出約六十施設、破損等約七百三十施設の被害が発生するとの想定がなされたほか、南海トラフ地震による自然災害など、様々な被害想定や計画の策定等が政府レベル及び関係する地方公共団体において行われております。
 海上保安庁では、海上保安庁防災業務計画によりこれらの想定を踏まえた災害応急対策を定めており、災害発生時には全国から巡視船艇、航空機を派遣するなどし、人命救助、海上火災消火、油防除、緊急物資輸送などを実施することとしております。
 また、これらの海上災害の想定を踏まえまして、東京湾において、関係機関と連携し、流出油事故対策訓練、石油コンビナート消火訓練、津波漂流者救助訓練などを実施しているところでございます。
○田中茂君 ありがとうございます。
 さらに、関連して質問させていただきます。
 米国では、ICSと呼ばれる非常時指揮システムが一九七〇年代から開発されており、先ほど言いました二〇一〇年の原油流出事故でも有効に機能したと聞いております。元々山火事対策で整備されたものが、その後、広く事故や災害、そしてテロへの対応に利用され、さらに今から二十五年も前に、一九八九年ですが、OPA90という法律では、三段階に分かれておりまして、第一段階が連邦政府による直接指示、第二段階が地域特有の危機管理計画、第三段階が施設、船舶所有者等の対応計画の策定と、このように構成された緊急時の危機管理計画があります。このような事故や災害などに、非常時に対応できるものと、この三段階アプローチがあると聞いておりますが、日本もこの三段階アプローチと同様の制度になっていると伺ってはいます。
 そこで、海上に流出した油の除去等、海上防災業務を行う中核機関として設置された独立行政法人海上災害防止センターが昨年十月に解散し、一般財団法人となり、引き続き、民間の防除事業所と連携した体制、ノウハウ、資機材等も継承しているとは思いますが、油流出等の事故、災害への対応については今後もこの体制で十分なのか、また、消防庁など各省庁との連携はいかに行うか、今後どのような面の施策において拡充が必要であるか、お考えなのかを海上保安庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 油流出事故災害が発生した場合に大切なことは、直ちに可能な限りの勢力を投入し的確な対応を図る必要がありますことから、海防法においては指定海上防災機関を指定し、官民を挙げた総合的な海上防災体制を構築しているところでございます。
 一般財団法人海上災害防止センターは、独立行政法人から承継した専門的知見、技術等を駆使するとともに、民間法人化によって可能となった弾力的な業務運営により、これまで以上に海上防災体制の中核的な機能を発揮しているところでございます。
 また、政府としては、油等汚染事件への国家的な緊急時計画を策定し、当庁を始めとする国土交通省、消防庁、水産庁、経済産業省、環境省等から成る関係省庁連絡会議の開催や合同訓練の実施などを通じて、災害対処能力の向上や連絡体制の確立に努めているところでございます。
 海上保安庁では、これらを踏まえまして関係機関との新たな協定の締結やマニュアルの見直しを随時行い、災害現場における組織的な対応を強化しているところでございます。
○田中茂君 ありがとうございます。
 我が国では、大災害時に確かに災害対策本部や緊急災害対策本部等が設けられますが、横の連携が十分ではなく、あるいはうまく連携できないまま作業を進めるようないわゆるサイロ型の体制では、スピード感が求められる事故対応にはうまく機能しないと言われてもおります。危機管理には何よりも初動の早さとリーダーシップ、そしてそれを具体化できる権限と指揮命令系統の明確化が必要だと思います。
 私は、日本でも米国のICSを参考にしてこのような指揮命令系統を明確化したシステムの法整備をすべきときではないかと考えますが、他省庁との絡みもありますが、是非とも国交省としてイニシアチブを取っていただいて、その辺、御検討をお願いしたいと思っております。
 あと一点、時間がありますので、バラスト水についてお聞きしたいと思います。
 有害バラスト水による水質汚染や生態系への悪影響は以前から指摘されていたことから、今国会、法改正による対策強化は非常に歓迎すべきものであると考えております。
 二〇〇四年のIMO採択を批准していない国もまだ多数あり、今年度中に見込まれる要件充足による条約発効でどの程度効力が発揮できるか若干疑問の余地はあるものの、今回の法改正で一定の効果は期待できると見込まれ、日本としても積極的に支援していただきたいと考えております。
 そこで、有害なバラスト水の処理設備の設置義務は環境面からも必要であり評価できますが、一方で、バラスト水処理設備が基準に適合しているかということも検査等に、明確に確認する必要があると考えます。その点、国交省としてどのように処理設備の基準への適合を担保しようとしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 バラスト水処理設備の基準適合性につきましては三点で担保しております。
 まず第一に、バラスト水処理設備そのものにつきまして、IMOで定めた基準に適合し、適切に機能するものを型式指定いたします。この型式指定に当たりましては、陸上試験や船上試験を行いまして適合性を確認いたします。
 第二に、船舶に設置された状態で船舶検査を実施することとしております。船舶検査におきましては、この処理設備につきまして、型式指定を受けたものであるか、有効に稼働するように適切に設置されているかを確認いたします。
 第三に、入港する外国船舶に対しまして立入検査、PSCを実施することとしておりますが、このPSCにおきまして、排出基準への適合性を証明する有効な証書を備え置いているかを確認いたします。また、状況に応じまして、排出されるバラスト水のサンプル検査、これを行うこととしております。
○田中茂君 ありがとうございます。
 バラスト水処理装置の需要の高まりで我が国の技術開発を支援し、国際的なイニシアチブを取ることにより海事産業の国際競争力の強化や市場の確保、拡大にもつながると、そのように思っておりますが、さらに環境面での貢献もできると思われますので、引き続き対応をよろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと時間は余っていますが、ここで私の質問は終わりにします。
○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
 今法案は、一定の船舶からの有害なバラスト水の排出を禁止し、また、船舶所有者等に対し技術基準に適合する有害なバラスト水の処理設備の設置を義務付けるもので、我が党としては賛成でございます。
 今日は、関連して、海洋の環境や安全を確保するための施策について質問をいたします。
 一九九七年の一月、ロシア籍のタンカー、ナホトカ号が、隠岐島付近の沖合で船首が折れ、船尾部が沈没し、六千二百四十キロリットルもの重油が流れ出すという深刻な油濁災害がありました。流出した重油は島根から新潟の海岸に漂着をいたしまして、一府八県に被害を及ぼし、被害総額は三百六十億円にも及びました。また一方で、百万人とも言われるボランティアの方々も活躍したと言われている事故でございます。
 国交省に聞きますけれども、このナホトカ号の事故では油回収船清龍丸も駆け付けたと、こういうふうにも聞いておりますけれども、国交省の油回収の体制についての教訓は、この事故以降、どのように生かされているんでしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、平成九年に発生いたしましたナホトカ号油流出事故におきましては、当時、唯一の大型しゅんせつ兼油回収船でございました名古屋港配備の清龍丸が出動いたしまして、流出油の回収に当たったところでございますけれども、太平洋側から日本海側の現場へ到着するまで若干時間を要したということもございました。
 この事故を契機といたしまして、出動後おおむね四十八時間以内で我が国周辺海域の現場へ到着できるように、新たに二隻の大型しゅんせつ兼油回収船を増強いたしまして、名古屋港に加えまして北九州港と新潟港にも配備いたしたところでございます。
 また、これらの船舶は、国内の防災訓練に参加するとともに、日本とロシア、日ロ合同油防除訓練、NOWPAPと申しますが、これにも参加するなど、他機関と連携した実践的な訓練を行っているところでございます。
 さらに、設備面では、油の回収に応じまして粘性の低い場合と高い場合の二種類の油回収装置を搭載するなど、油防除体制の強化を行っているところでございます。
 以上です。
○辰已孝太郎君 海難事故が起きますと当然海洋汚染が生じると。ナホトカ号のときでも、重油といわゆる海水が混じってエマルジョン化して、なかなか回収も大変だったというふうに聞いております。ですから、当初は日本海側には船が設置されていなかったけれども、名古屋だけだったけれども、新潟にも設置をしたと、こういうことでありました。
 大きな事故でなくても、廃棄物等が故意に投棄をされたり、海洋保全の必要性というのは私は常にあるというふうに思っております。海上保安庁の調べによりますと、二〇一三年における海洋汚染発生確認件数は、油で二百五十七件、廃棄物で百八十七件、有害液体物質で三件、またその他八件で、合わせて四百五十五件もあったということであります。
 そこで、このような事態に際して海上保安庁の船舶と協力し、そして重要な役割を担っているのが海洋環境整備船であります。
 国交省にお尋ねいたしますけれども、海洋環境整備船とはどのような船で、そしてどのような役割を果たし、そしてこの海洋環境整備船の配備の状況はどのようになっているのでしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 海洋環境整備船でございますけれども、船舶の航行安全の確保や海洋の汚染を防除するために、現在、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海の海域に計十二隻を配備いたしまして、当該海域の海面の清掃業務、いわゆるごみの回収業務を行っております。
 また、船舶等からの油流出事故が発生した場合には、海上保安庁からの要請に基づきまして、流出油の回収作業も行っているところです。最近では、先月の二十九日ですけれども、姫路港沖で発生いたしました、タンカー聖幸丸が爆発、炎上いたしまして燃料油等が流出した事案におきましては、近畿地方整備局の保有する海洋環境整備船二隻が出動いたしまして、流出した油の回収や放水拡散を実施したところでございます。
 以上です。
○辰已孝太郎君 非常に重要な役割を果たしていると。
 続けて聞きますけれども、それでは大規模災害時にはどのような役割を果たしているんでしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 東日本大震災のケースでございますけれども、海洋環境整備船四隻が被災地に派遣、四隻を派遣いたしまして、仙台湾及び三陸沿岸海域におきまして漂流瓦れきの回収作業を行っております。
 この東日本大震災を踏まえまして、昨年、平成二十五年度でございますが、港湾法の改正を行いまして、緊急確保航路及び開発保全航路におけます航路啓開作業を国として行うというふうにしたところでございます。大規模災害時におきましては、海洋環境整備船の業務といたしまして、この緊急確保航路等におけます障害物の除去、啓開作業の指揮等の航路啓開作業を担うものとしております。
 以上です。
○辰已孝太郎君 この油の流出事故は、油が海岸線に、先ほどもありましたが、漂着する前に対応することが非常に大事で、取り返しの付かなくなる前により早く対応するということが重要だと私も思っております。
 日本だけではなくて海外でも、二〇〇七年、ソウル南西約百キロの泰安におきまして、これは香港船籍のヘベイ・スピリット号の事故が発生をいたしました。事故発生後十三時間で流出した原油が海岸線に漂着し、その後十日間のうちに百五十キロメートルを超える海岸線がこの流出をした原油の汚染を受けることになったということであります。
 素早い対応のためには、海洋環境整備船そのものを増やしていくということも必要ではあると思いますが、これはもちろんのことなんですが、同時に、そこで職務に当たる職員の体制がどうなっているのかということも大事だと思っております。
 確認しますけれども、この海洋環境整備船の職員の配置の状況はどうなっているのでしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 先ほど説明いたしました大型しゅんせつ兼油回収船、全国で三隻ございますが、これにつきましては全国で八十三名の職員が配置されているところでございます。それから、海洋環境整備船でございますが、これにつきましては全国で五十三名の職員が配置されているところでございます。
○辰已孝太郎君 続いて聞きますけれども、そのうち正規職員は何人で、非常勤の職員は何人でしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 海洋環境整備船の職員でございますけれども、構成は、職員五十三名のうち正職員が二十四名、非常勤職員が二十九名となっております。
○辰已孝太郎君 ですから、海洋環境整備船で働く職員の方々というのは、非常勤の職員の方が正規の職員よりも多いということであります。
 続けて聞きますけれども、その非常勤の職員の契約年数と平均の年収というのは一体幾らになるのでしょうか。
○政府参考人(山縣宣彦君) お答えいたします。
 海洋環境整備船の非常勤職員の日当でございますけれども、最大のもので一万二千四百七十円、最少のもので七千六百三十円、平均で一万九百七十円となってございます。
 雇用期間でございますけれども、一会計年度を任期としているところでございます。
 以上です。
○辰已孝太郎君 この海洋環境整備船は日常の業務と同時に緊急の対応が必要な仕事でもありまして、災害時には昼夜通しての仕事も出てくると。先ほどの東日本大震災のときにも大活躍をしました。震災の翌日から大型ドラグしゅんせつ兼油回収船の三隻は被災地にも向かったと、災害支援物資も詰め込んだと。そして、この海洋環境整備船の四隻も同様に、被災地の港湾機能の復旧のために、海上を浮遊する瓦れきなど障害物の除去も行ったと。これは一か月にも及ぶ長期の派遣がされたというふうにも聞いておりますし、これにはやはり正規も非正規もなく、彼らは復旧のために働いたと聞いております。
 一方で、そういう人たちの中に、日当七千六百三十円で働いて、しかも三年で雇い止めをされるというふうにも聞いております。清掃や油の回収作業というのは当然技術も要求をされるでしょうし、経験の蓄積も大事です。せっかく仕事も覚えてチームワークが形成されたような時期に三年で解雇されてしまう、上限で解雇されてしまうというのは、私は作業効率の面からもマイナスだと思いますし、このようなことでは技術や経験というのが継承されていかないということにもなるのじゃないかと思っております。
 最後、大臣にお聞きをしたいんですが、やはり海路の環境や安全を守る、確保するためには、非常勤ではなく正社員、正規の職員で職務に当たってもらうことが必要だと思いますし、やはり体制の充実というのが何よりも必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 全国には海洋環境整備船が十二隻あって、三隻が運航委託を実施をしていて、それ以外の九隻が正職員二十四名と非常勤の職員二十九名で構成されていると。
 この九隻のうちに、港湾法を昨年改正させていただきましたものですから、緊急確保航路等、これが指定されまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾に配備された四隻の乗員は、業務内容を勘案して順次正職員化をしているという状況にございます。これは非常災害時に、発生した直後に出動して、緊急確保航路等において公権力の行使を伴う障害物の除去等に従事するということも勘案されているということです。
 それ以外の五隻の乗員につきましては、国家公務員の定員、なかなか定員をめぐる状況が厳しいという全体の状況がありまして、正職員化を直ちにするということについては困難な状況にあることは事実です。しかし、いずれにしましても円滑な職務執行が行えるように取り組んでいかなくてはならないというふうに思っております。
○辰已孝太郎君 大臣からもやはり円滑な職務の執行と。この三大港湾については非常に公権力の行使が必要になってくるということもあるので、緊急確保航路ということで正規職員を順次入れていくということでありました。
 緊急災害というのは、私は、やはり東京で起こるのか、大阪で起こるのか、名古屋で起こるのか分からないわけですし、実際、東日本の大震災ではこの三港に所属する船以外も駆け付けて、物資の運搬など復旧の作業にも当たってもらいました。
 二〇一二年には災害対策基本法も改正されたと。同年の防災基本計画でも、災害の応急対策において、自治体からの要請を待たずに、国が必要な物資又は資材の供給を開始するとしております。やはり真に必要な場合というのは、まさにこういう災害対策こそ私は真に必要な場合であると思いますし、そこでの人員の補充というのが何よりも大事だと思っております。
 言うまでもなく、海はつながっておりますし、南海トラフのことを考えれば、先ほど緊急確保航路ということがありましたが、三大港だけではなくて、瀬戸内海や、また関門海峡なども重要な航路となってくるだろうと思います。
 残念ながら一部は運航委託もされているという話もありましたけれども、このような非常時、災害時において国の役割、責任が明確になるように、私は直轄直営体制というのが大事だと思いますし、何よりも、誇りを持って仕事をされている方々が続けて職務を遂行できるように国の職員による直轄直営運航の体制の確立が急がれる、求められるということを求めて、私の質問を終わります。
○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智です。
 本法案は、国際条約を踏まえ、海洋汚染防止の観点から有害バラスト水の排出を規制するもので、必要な法改正であります。そして、賛成をいたします。
 本法案では、規制を担保すべく、日本籍船への船舶検査と証書交付、外国船舶への立入検査等が規定されております。
 平成二十五年度末現在、船舶検査官は全国四十九官署に百五十二名、外国船舶にポートステートコントロールを実施する外国船舶監督官、いわゆるPSC官は全国四十一官署に百四十名配置されております。
 船舶検査官やPSC官の業務量は今後とも増大が予想されることから、体制整備、人員増強を行うべきであります。また、人材育成にも重点的に取り組む必要があると考えますが、御所見を伺います。
○政府参考人(森重俊也君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の船舶検査官そして外国船舶監督官につきましては、全国にそれぞれ百五十二名、百四十名を配置して業務を行っております。
 これらの職員が行う業務は、我が国周辺海域の環境の保護や船舶の安全運航の確保を図るために重要かつ不可欠なものでございますので、これまでも必要な要員の確保を図ってきたところでございますけれども、今後とも十分な執行体制の確保に努めてまいりたいと思います。
 また、人材育成についての御指摘ございました。これらの業務の実施に当たりましては、国際条約や国際規則などの極めて専門的な知識が必要でございまして、加えて、特に外国船舶監督官につきましては語学力も必要となります。これらの点に関しまして、船上での訓練や語学研修も含めた各種の研修の実施、それらの充実を通じまして、より高度な専門性を持った人材の育成や資質の向上に今後とも取り組んでまいる所存でございます。
○吉田忠智君 是非、本法案の趣旨が生かされるように体制の充実強化をしていただきたいと思います。
 次に、関連して、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設に関する海上保安庁の活動についてお聞きします。
 政府が強行しようとしている辺野古移設については、自民党以外の県政主要政党は県外移設を主張、名護市では辺野古移設反対の市長が再選をされ、最近の世論調査でも沖縄県民の七四%が県内移設に反対するなど、県民の辺野古反対の民意は明らかであります。民意をじゅうりんする移設強行に抗議行動が起こるのは、民主主義社会ではむしろ当然のことであります。
 海上保安庁は、辺野古警備に全国部隊を応援投入するとか、ブイを設置し、侵入者に刑特法を、刑事特別法を適用するなどと報道されており、不測の事態に至らないか懸念されているところであります。
 お手元に新聞報道や関係資料を配付させていただいておりますので、御覧いただきたいと思います。
 海保は米軍キャンプ・シュワブ内の防衛省施設を拠点として使用していることが、二〇〇八年五月の我が党の山内徳信議員の質問主意書でも明らかになっています。報道によれば、数十人規模の保安官が常駐でき、三十隻ほどのボートを収容、整備する倉庫、出動する港湾機能があるとのことであります。
 そこで、まず海上保安庁長官に伺いますが、この建物は防衛省が平成十九年度補正予算から約三億三千七百万支出し設置した仮設物であり、プレハブ二階建て二棟だそうであります。この秘密拠点の名称、使用権限等、詳細を明らかにしてください、お尋ねします。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上保安庁では、海上の安全及び治安を確保するための業務を迅速かつ的確に行うため、米側からキャンプ・シュワブの使用についての許可を得ております。当該施設の詳細については、これを明らかにすることは米側と交わした文書の具体的な内容を明らかにすることとなり、米側との信頼関係が損なわれるおそれがありますので、お答えを差し控えさせていただきます。
○吉田忠智君 あらかじめ予算を支出した防衛省にも聞きましたが、お手元の資料にありますように、明らかにできないという回答でございました。なぜ明らかにできないのか。民主主義にあるまじきことであります。国有財産の不正流用の疑いすらあると言わざるを得ません。
 海上保安庁と警察庁、防衛省等は、抗議活動で立入禁止水域に侵入すれば刑事特別法による海上犯罪と認定し、海上保安庁法十八条一項に基づく強制措置をとる方針を固めたとの報道もあります。また、立入禁止水域には及ばない場合でも、船舶の外観等から合理的に判断して犯罪が行われることが明らかな場合や公共の秩序が乱されるおそれがある場合の強制措置を定めた十八条二項を適用し、従わない場合に公務執行妨害罪等により逮捕するなど、広く予防的に抗議行動を排除できないか協議しているとも言われています。
 従来、十八条二項は、憲法三十一条の適正手続保障の下、あくまでも他に適当な手段がない場合、すなわち海上保安官による警告等によっていては当該事態の解決にならない場合に初めて強制措置の発動が許されるものであると解釈されてきました。実際、二〇〇〇年の沖縄サミット事案や九七年の尖閣事案など、一部の極めて特異な事例で非常に抑制的に運用されてきたと承知をしています。
 長官に伺いますが、協議を受けて十八条二項の認定基準が変更されたのでしょうか。海保の辺野古警備においても十八条二項については従来どおりの解釈で運用すべきと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 委員御指摘の関係省庁による協議を受けて適用基準が変更されたのかという御質問でございますが、お尋ねのような協議の事実はございません。一般論として申し上げれば、海上保安庁においては個別具体的な事情に応じて国内法に基づき適切に対処していくこととしております。
○吉田忠智君 協議の事実はないということを確認をさせていただきました。
 愛される海上保安庁と申し上げたいと思いますが、そのこととは裏腹に、基本的人権の制約を伴う海保の拠点整備や活動が余りに秘密裏に行われているのではないか、非常に危ういものを感じるわけであります。
 戦争ほど残酷なものはない、戦争ほど悲惨なものはないという言葉にあるとおり、公明党の平和主義は沖縄が原点だと聞いております。公明党沖縄県本部も昨年十二月、県外移設を提言をされています。
 そこで、大臣に伺いますが、辺野古での海保の運用に当たっては、くれぐれも過剰警備、人権侵害にならないよう、慎重の上にも慎重に対処していただきたいと思います。さすが公明党出身の太田大臣だと称されるような是非御英断を期待したいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 海上保安庁におきましては、過剰警備とか人権侵害とかそういうような観点ではなく、あくまで現場海域の安全確保を最優先に考えて、関係機関と連携しながら、法令に基づいて適切に対処するものであるというふうに私は認識をしております。
○吉田忠智君 大臣、先ほど私が申し上げましたように、やっぱり沖縄県民の皆さんの世論というのは、多くの皆さんが辺野古の、辺野古移設ではないと私は思っています、辺野古の新基地建設ですよ。これに多くの皆さんが反対をしているわけであります。是非そのことに思いを致していただいて、やっぱりそのこともおもんぱかってしっかり海上保安庁が慎重の上にも慎重に活動するということを、そのことをしっかり大臣として御指導いただくということをもう一言いただきたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 全体的な普天間の移転ということについては政府全体としての方向性は明確に出しているということでありますけれども、海上保安庁の任務としましては、先ほども申し上げましたように、現場海域の安全確保ということが最も大事な課題でありますので、そこにしっかり留意していきたいというふうに思っているところです。
○吉田忠智君 海上保安庁が本当に私は厳しい人員体制の中でよく御努力されているというのは認識をしております。そして、先ほど来お話がありましたように、初めて現場の生え抜きの長官が就任をされたわけでありますし、本当に厳しい状況の中で現場の皆さんの士気も上がっている、仕事の張り合いになっているというふうに聞いております。尖閣の状況も含めて、尖閣の守りも私はやっぱり海上保安庁が対応するべきだと思っています。いたずらに防衛省などが出ていきますと相手を刺激するだけでありますから、そういう点でもまた大変厳しい勤務の状況がありますけれども、是非この名護辺野古沖においても慎重な上にも慎重な対応をしていただきますように強く強く要請をいたしまして、私の、ちょっと早いですが、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(藤本祐司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(藤本祐司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤本祐司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十九分散会