第187回国会 厚生労働委員会 第4号
平成二十六年十月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     石田 昌宏君    三原じゅん子君
 十月二十二日
    辞任         補欠選任
     高階恵美子君     太田 房江君
     高野光二郎君     酒井 庸行君
    三原じゅん子君     井原  巧君
 十月二十三日
    辞任         補欠選任
     太田 房江君     高階恵美子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         丸川 珠代君
    理 事
                大沼みずほ君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                津田弥太郎君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                井原  巧君
                石井みどり君
                太田 房江君
                木村 義雄君
                酒井 庸行君
                島村  大君
                高階恵美子君
                滝沢  求君
                足立 信也君
                石橋 通宏君
                西村まさみ君
                白  眞勲君
                藤田 幸久君
                山本 香苗君
               薬師寺みちよ君
                山口 和之君
                東   徹君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   参考人
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会労働法制本部
       統括主幹     鈴木 重也君
       日本労働組合総
       連合会総合労働
       局長       新谷 信幸君
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      岩村 正彦君
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  本日の会議に付した案件
○専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関す
 る特別措置法案(第百八十六回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
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○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、石田昌宏君、高野光二郎君及び高階恵美子君が委員を辞任され、その補欠として酒井庸行君、太田房江君及び井原巧君が選任されました。
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○委員長(丸川珠代君) 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席をいただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹鈴木重也君、日本労働組合総連合会総合労働局長新谷信幸君及び東京大学大学院法学政治学研究科教授岩村正彦君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず鈴木参考人にお願いをいたします。鈴木参考人。
○参考人(鈴木重也君) 経団連労働法制本部の鈴木と申します。
 先生方におかれましては、日頃より我が国の雇用労働環境の改善に向けて御尽力をいただいておりますことにつきまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げたいと存じます。
 本日は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案について、これを賛成する立場から使用者側の考え方を説明させていただきます。
 御案内のとおり、二〇一三年四月一日に改正労働契約法が全面施行されました。とりわけ同法第十八条の無期転換ルールは、企業の経営、人事労務管理に大きな影響があるため、経団連では、これまで延べ約一千六百名の企業担当者に対し説明会、セミナーを開催し、法令の周知徹底をお願いしているところでございます。
 また、本日、配付資料の中に経団連が毎年取りまとめております経営労働政策委員会報告の抜粋を入れさせていただきました。ここでも、法律の円滑な施行に向けて改正法の留意点を盛り込むなど、広く呼びかけを行っているところでございます。
 労働政策研究・研修機構の調査によりますと、企業の対応方針として、フルタイム契約労働者を何らかの形で無期転換にしていくとする回答が四二・二%と最も多くなっております。対応方針は未定、分からないとする回答も三八・六%ございますので、確とは申し上げられませんが、多くの企業は無期転換に積極的と言うことができるかと存じます。特に、有期雇用労働者から勤務地や職務、職種を限定した無期雇用労働者、いわゆる多様な正社員へ転換する仕組みを導入する企業が増えております。これは、無期転換後の働き方として、典型的な正社員のように転勤、配転があり、また一年ごとに徐々に難しい役割が与えられるとなると、結果として無期社員として就労がしにくくなる方がいらっしゃるかと存じます。多様な正社員制度はこうした課題の改善策として有益だというふうに考えております。政府におかれましてもその普及拡大に推進をされておりますが、経団連としても、積極的に多様な正社員のメリットなどを説明するなど、無期転換の推進を支援しているところでございます。
 さて、今回の特別措置法案は、国家戦略特別区域法附則第二条に基づき、労働政策審議会での議論を経まして、閣法として提出があったものでございます。労働政策審議会におきまして使用者側は、労働契約法の改正趣旨あるいは高年齢者雇用安定法の改正趣旨を逸脱しないことを大前提として、その見直しの提案をさせていただいたところでございます。本法案は、高度専門労働者と定年後継続雇用者を対象に、適切な雇用管理の措置とセットで無期転換ルールの特例措置を設けることにより、我が国の産業競争力の強化やグローバルな経済活動拠点の形成促進、加えて雇用機会の創出に大きく寄与することが期待されており、労働者、使用者の双方にメリットのある法案だというふうに思っております。
 まず、高度専門的知識等を有する有期雇用労働者に対する特例措置についてでございますが、世界規模の企業間競争の激化と少子高齢化による市場変化への対応を背景といたしまして、魅力ある商品、サービスをいかに提供できるかが企業間競争の勝敗の分かれ目になっております。各社ではイノベーションを通じた付加価値の創造に真剣に取り組んでいるところでございますが、こうした付加価値の創造の担い手は人材であり、とりわけ高度な専門的知識等を有する労働者に負うところも大きいというふうに考えております。企業競争力の向上を通じて処遇の改善、雇用機会の拡大、ひいては経済の好循環につなげていくためにも、高度専門労働者がその持てる能力を十分発揮していただける環境を整備することが重要だというふうに考える次第でございます。
 大企業一社で数名程度と少ないものの、現在でも、優秀な人材に働いていただくため、一千万円を超える年収で有期契約を結んでいるケースがございます。具体的に申し上げますと、新規事業を立ち上げる際の研究者、技術者、大型資源プロジェクトを受注した際の専門家、さらにはインフラ金融に関わるファンドマネジャー、PFIによる事業のプロジェクトマネジャー、世界規模の大型イベントのプロジェクトマネジャーなど、専門分野は多岐にわたっております。また、事業のグローバル化に対応するため、特定の国・地域で市場開拓を行うため当該国・地域の法律やビジネス慣行などの知識を持つ方を積極的に採用する企業は今後増えていくものと想像をしているところでございます。
 一方で、有期プロジェクトの実態は必ずしも五年未満に限られるものではございません。高度な専門的知識を有し、比較的高い年収を得ている方は国内外からヘッドハントされる対象で、交渉力を持っているというふうに私どもは理解をしておるところでございます。こうした方々を対象に無期転換ルールの特例を設けることは、企業にとりまして五年を超えるプロジェクトを立ち上げやすくなり企業競争力の維持強化に資するとともに、高度専門労働者にとりましては有期プロジェクトを通じた能力発揮やキャリア形成の場が広がることになりますので、労使双方に有益なものと考えるところでございます。
 また、第一種計画におきます能力の維持向上を自主的に図る機会に関する措置その他につきましては、専門的知識、技術、経験を最大限発揮してもらったりブラッシュアップしてもらう必要から、重要な仕組みであるというふうに理解をしております。ただし、有効かつ適切な措置内容は、例えば長期雇用を前提にキャリアを形成をする労働者などとはおのずから異なる面もあるというふうに考えております。例えば、必要な機材の導入や専門雑誌などの購入、学会への参加奨励、弾力的な労働時間制度の適用など、現状行っている施策内容を基本に各社が選択できることが適切ではないかというふうに考えております。
 続きまして、定年後の継続雇用者に対する特例措置について申し上げたいと存じます。
 我が国が対応を迫られている大きな課題といたしまして、労働力人口の減少への対応というものがございます。そのため、女性労働者に活躍をしてもらえるよう、仕事の効率化や職場の意識改革を通じ、短い時間でも働ける環境を整えていく、あるいは多様な就業形態の選択肢を増やしていくことが重要になってまいります。そうした施策と併せまして、六十歳以降の高齢者への活躍支援が不可欠な政策になろうかと思っております。
 六十歳以上の就業者数は、二〇一三年平均で一千二百五十一万人、就業者全体の約二割を占めます。高齢従業員の雇用機会を拡大することは、社会保障の担い手を増やし、社会保障制度の安定にも寄与すると期待されております。企業といたしましても、高齢従業員が持つ知識、経験、技術を職場で十分発揮していただくとともに、次の世代への着実な技術継承を図るため、高齢従業員を重要な戦力と位置付け、積極的に活用を図っているところでございます。
 労働契約法第十八条の無期転換ルールは、全ての有期労働者を対象とするため、定年後の継続雇用者にも適用されます。もとより、無期転換ルールは、若者を中心に、不本意な形で非正規労働に従事されている場合、そうした方々を対象に、より安定的な雇用機会を提供することを目的として創設されたものであると理解をしております。
 二〇一三年度の総務省労働力調査によりますと、六十五歳から六十九歳層の雇用者は百九十四万人いらっしゃいますが、このうち非正規雇用者は七割となっております。これは、高齢者の場合、加齢により健康面あるいは業務遂行能力などにおいて個人差が広がるということを踏まえ、働き方を確認しながら一年ごとに契約を更新することが高齢者の就業実態に合っているからということが言えるかと存じます。すなわち、定年後の継続雇用者に対しまして無期転換ルールの特例措置を設けるということは、労働契約法第十八条の趣旨を没却するものではないというふうに理解をしておるところでございます。
 事業主は、企業現場の実態を踏まえ、六十五歳以降も働いていただきたいという気持ちを持っておりますので、本法案により高齢者の雇用機会を広げるという意義は大変大きいというふうに考えております。
 次に、第二種計画における配置、職務及び職場環境に関する配慮その他の雇用管理について申し上げます。
 各社における定年後の継続雇用者に対する雇用管理は、例えば健康状態などに応じて仕事の負荷を軽減すること、さらには仕事内容や評価に応じて適切な処遇を行うことなど、実に多様な取組が行われております。多くの定年後の継続雇用者の就労の場を提供するため、職域の拡大にも各社取り組んでいるところでございますので、こうした企業の実情を十分踏まえたものとするということが必要ではないかと考えております。
 最後に、認定の手続について申し上げたいと思います。
 本法案は、国家戦略特別区域法附則第二条を契機として議論が始まったところでございますが、厚生労働大臣の基本指針の策定、行政機関による計画の認定、さらには認定を取り消すことができるという一連の行政機関の関与がスキームに盛り込まれており、このことは使用者側として十分理解をしているところでございます。ただし、民事上のルールである労働契約に対する特例を設けることから、例えば認定に係る基本指針や審査の基準は可能な限り明確にしていただくということをお願いしたいというふうに思っているところでございます。
 有期特別措置法案は、労働者の多様な働き方の選択肢を用意することで、雇用機会の拡大と企業競争力の強化の双方を促進することができるものというふうに考えております。とりわけ、高度専門職の能力発揮を促すとともに、高齢者が働き続けられる基盤整備として大変重要なものと考えておりますので、法案の早期成立をお願いしたいと存じます。
 私からの意見陳述は以上でございます。
 御清聴いただきまして、ありがとうございました。
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、新谷参考人にお願いいたします。新谷参考人。
○参考人(新谷信幸君) 連合で労働法制を担当しております新谷と申します。本日はお招きいただきましてありがとうございます。
 私は、この有期特措法のベースになりました労働契約法の三か条の改正、二〇一二年に成立をいたしておりますけれども、この法改正の際の労働政策審議会の委員も労働者側代表として務めさせていただきました。また、この有期特措法の審議をいたしました部会の委員も務めさせていただきましたので、本日は、資料も提出をさせていただいておりますが、この労政審で我々労働側が主張をした点を中心に意見の開陳をさせていただきたいと思っております。
 まず、この有期の特措法でございますけれども、私ども労働側といたしましては、雇用の安定を図る、かつ全ての民事ルールに適用される労働契約法がこういう形で例外、特例扱いが設けられるということに対しては反対という立場で労働政策審議会、意見を申し上げてきた内容でございます。
 まず、めくっていただきまして、一ページのところでございます。
 二〇一三年の四月にいわゆる無期転換ルール、労働契約法の十八条が施行されたわけでありますけれども、昨年の年末にこの有期特措法の論議が始まったわけでございますけれども、この時点では、本当に施行されてから間もない中でこういう見直しが行われるということに対して非常に遺憾であったということをまず申し上げたいと思っております。また、その見直しの論議の経過についても、私どもとしては非常に違和感があったということを申し上げたいと思います。
 その一つが、この見直しの契機になりましたのが、国家戦略特区のワーキングというところで検討が始められたわけでありまして、九月の二十日に産業競争力会議の課題別会合の中でこの国家戦略特区ワーキングからの意見というものが出されておりまして、それが、元々がこの十八条の無期転換権を事前に放棄をさせるという提案がなされたということが契機でございました。この事前放棄の問題は、元々、国会での審議の中で、公序良俗に反して無効であるという立法趣旨が説明されたものでありましたけれども、それを見直すという方向でまず出されたということが非常に違和感を持った点でございます。
 また、この国家戦略特区ワーキングというのは一部の有識者から構成される委員会というふうにお聞きしておりますけれども、私ども労働側の代表が一人も入っていないという中でこういう重要な見直しが行われたということについても、ILOの三者構成原則に反するのではないかということから、非常に違和感を持ったわけでございます。
 また、今回の有期特措法の対象者となっております定年後引き続き雇用される者ということにつきましても、元々、国家戦略特別区域法の附則の第二条の中には、高度専門労働者を対象にということで法律の授権があって労政審での検討が始まったわけでございますけれども、使用者側委員からの提起がございまして、この定年後引き続いて雇用される者についても特例扱いとするという提案がなされ、それがまとめられて法案につながってきたということについても、国家戦略特別区域法が要請していた範囲を逸脱しているということは、これ主張をさせていただいた内容でございます。
 続きまして、二ページの方を御覧いただきたいと思います。
 有期労働契約に関する基本的な考え方ということでございます。
 非常にいい資料をお作りになられておりますので、せっかくですから御覧いただければと思いますが、この調査室でお作りになられた資料の百十二ページに有期契約労働者の現状という資料がございます。これは元々厚生労働省がお作りになられた資料でございますけれども、役員を除く雇用者五千二百万人のうち非正規労働者が一千九百万人いると。実は、一千九百万人のうち約一千四百万人が有期労働契約で働いておられるという現状でございます。実は、この有期労働契約の労働者の数はなかなか把握できなかったわけでありますけれども、昨年の一月からこの数字が統計として表れてくるということでございます。
 この有期労働契約でございますけれども、私どもとしては、雇用の原則としては期間の定めのない直接雇用であるべきというふうに考えてございます。有期労働契約で働いておられる方の中には、雇用の不安定さであるとか処遇が低いといった様々な問題が指摘をされておりますし、また、いわゆる契約期間が満了したときに次の契約がなされるかどうか、いわゆる雇い止めの恐怖の中で、年次有給休暇であるとか産前産後の休暇、あるいは時間外労働の支払といった、労働者として当たり前の権利の行使がなかなかできないといった課題が指摘されていたわけでございます。
 私どもとしては、この有期労働契約については、雇用の原則に対する例外的なものとして、入口の規制を設けるであるとか、繰り返し有期労働契約を反復更新して濫用的な扱われ方がされると、こういったものを規制するべきであるということで労働契約法の改正に至ったということでございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。
 まず、労働契約法十八条の無期転換ルールについてでございます。
 この労働契約法の十八条は、まさしく労働契約に関する基本的な民事ルールとして定められた法律でございますので、その規定は労働契約関係にある全ての労働者にひとしく適用されるべきであるということがまず原則としてあるわけでございます。
 この無期転換ルールは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期労働契約者の雇用の安定を図るために二〇一三年四月から実施されたばかりでありまして、これは施行から五年を経過する二〇一八年の四月以降に基本的に無期転換が発生するということでございますので、いまだにいわゆる見直しを必要とする立法事実が存在していないのではないかということでございます。
 また、現行の労働基準法の十四条の第一項によりまして、一定の事業の完了するまでの間に必要な労働契約の期間を設けられるわけでありまして、特例を設けずとも契約期間五年を超える有期労働契約の締結は可能でございまして、わざわざこういった短い労働契約の期間を設けるということは雇用の安定とは反するのではないかということを主張させていただきました。
 また、この無期転換ルールに特例を設けるということの問題につきまして、個別法によって特例で穴を開けていくと、こういう仕組み、枠組み自体が民事ルールの在り方に照らして問題があると私どもは考えてございます。
 続きまして、四ページでございます。
 今回の特別措置法の中に設けられました第一種計画に定められる高度専門労働者でございます。この高度専門労働者につきましても、特例措置を講じる場合にあってもこれは慎重であるべきというふうに考えてございます。
 この特例措置を講じるのであれば、元々労働契約法の十八条が法目的としておりました、濫用的な利用を抑制する、また労働者の雇用の安定を図るという無期転換ルールの本旨を損なわない範囲に限定されるべきであるというふうに考えてございます。そのために、高度専門労働者の範囲、無期転換の申込権が発生するまでの期間の長さ等々については、元々国家戦略特区法で定められておりました産業競争力の強化に直接貢献できると言えるような、真に高度な専門能力を有する労働者に限定するということが必要ではないかというふうに考えてございます。
 また、この要件、特に年収要件等々については法律に規定をされてございませんので、この要件を設定するに当たっては厳格な歯止めを設けるべきであるということを考えているわけでございます。また、万一この特例措置が濫用的に利用されるということであれば、この原則であります無期転換ルールに復するということを明確に定めるべきであるということを考えてございます。
 続きまして、五スライドでございます。
 これは、もう一つの類型、第二種計画の類型でございます、定年後引き続いて雇用される者についてでございます。これにつきましても、特例措置を講ずるということについては慎重であるべきであるというふうに考えてございます。
 これは高年齢者雇用安定法の適用を受ける労働者ということでございますが、その高年齢者雇用安定法が定めております対象者、すなわち、定年退職後に引き続き同一の事業主の下で有期労働契約を反復更新している労働者ということに限定されるべきであるというふうに考えてございます。これにつきましても、濫用的な利用が行われた場合には、原則に復するということを明確に講じなければならないと思ってございます。
 それと、四つ目のところでございますが、有期労働契約者を含めました希望者全員の六十五歳までの雇用が確実に確保されるための対応も取られるべきであるということでございます。
 これにつきましては、ちょっと分かりにくい点もございますので、ちょうどいい資料をお作りになられておりますので、これも資料を御覧いただきたいと思います。済みません、二十八ページを御覧いただきたいと思います。
 ここに今の対象者の類型が三類型書いてございますが、特にこのAの類型、六十歳の定年を迎えまして、六十五歳までの無期転換が生ずるまでの図示がございますけれども、今申し上げておりますのは、多くの企業では、定年六十後、一年ごとの有期労働契約で六十五歳まで雇用を継続するというパターンが非常に多いわけでございますけれども、問題は、その六十一歳、六十二歳、六十三歳といったところのいわゆる雇い止めの基準、更新基準が、今法律の中ではこれを必ず更新するということが規定をされてございません。
 ですから、無期転換権が発生するまでの六十五歳までの雇用を必ずこれ継続させるということでないと、使用者側がこの特措法の中に設けるべきであるということについてはなかなか実現が難しいのではないかと考えておりまして、必ずこの六十五歳まで雇用が継続する、更新基準についてもこれは明確にしなければならないというふうに考えてございます。それが次のページに記載をしてございます@の部分でございます。
 それと、二つ目のところでございます。
 実は、この高年齢者雇用安定法はいわゆる定年がある労働者にのみ適用されますので、いわゆる六十歳時点で定年ではない方、すなわち有期契約を反復更新されて六十歳をお迎えになられた方には、この高年齢者雇用安定法の適用はございません。そういった意味では、定年扱いと同じような扱いをしている有期労働契約者につきましても、高齢法の趣旨を踏まえた雇用安定措置を明確にするべきであるということでございます。
 三つ目につきましては、六十五歳までの雇用確保措置の対象外となるところ、これはAの適用にもならない労働者でございますけれども、有期契約で六十歳を迎える方についても雇用安定措置を講ずべきであるということを申し上げたいと思っております。
 それと、七ページでございます。
 これは、行政が関与するという形での仕組みについての見解でございます。今回、事業主が作成した計画に対して厚生労働大臣が認定という形で関与する仕組みが設けられております。この点につきましては、二点指摘を申し上げたいと思っております。
 労働者が有する民事上の権利について行政庁が認定を行うというのは非常に異例な取組ではないかと思っておりまして、我が国の法体系の中では極めて異例であるということをまず指摘を申し上げたいと思っております。認定に関する基準につきまして法律上に明記せず、行政庁の裁量に委ねるということにつきましては、この高齢者の対象者が非常に多いということからいっても異例であるということを申し上げておきます。
 それと、無期転換ルール、これは民事ルールでございますので、特例を講ずるということにつきましても、行政が関与する仕組みとすることについては慎重であるべきだというふうに思っておりますし、万一、行政庁が関与するこの認定という仕組みに対して、行政庁の判断によって私人の権利保障が損なわれる事態とならないように、適切な手当てが必要であると。また、その認定が適切じゃないとなった場合に労働者はそれをどのように争うことができるのか、いわゆる紛争解決のシステムについてもこれは十分な手当てが必要であるということでございます。
 最後、八スライドでございます。
 今回、計画の作成、申請ということが行われるわけでございますけれども、私どもとしては、こういった労働者の権利を特例扱いにするということにつきましては、使用者が、事業主がその申請を出す、計画をするといった段階であらかじめ過半数労働組合の意見を聴取するということが労使のコミュニケーションからいっても必要ではないかということでございます。
 また、この法律には入ってございませんが、私どもが非常に懸念いたしますのは、元々、労働契約法の十八条の五年の無期転換ルール、これの期限の到達直前での雇い止め、これに対する手当てが十分になされるべきだというふうに考えてございます。
 以上、私からの意見の開陳とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、岩村参考人にお願いをいたします。岩村参考人。
○参考人(岩村正彦君) 私は、東京大学の大学院法学政治学研究科に所属しております岩村と申します。本日は、意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。
 私は、今回の特別措置法案の制定を建議しました労働政策審議会労働条件分科会の有期雇用特別部会の部会長を務めさせていただきました。この有期雇用特別部会は、昨年の臨時国会で成立しました国家戦略特別区域法の附則二条が、高度専門職で比較的年収の高い方などを対象としまして労働契約に基づく無期転換申込権の発生までの期間の在り方であるとか、その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置について労働政策審議会において早急に検討を行うこととされたことを踏まえて設置されました。こうした措置の検討が労働者代表、使用者代表そして公益代表から成る労働政策審議会に委ねられたということは、非常に適切なことだというふうに考えております。
 有期雇用特別部会は、昨年の十二月二十五日に第一回を開催しまして、以後、今年の二月二十日までの短期間ではありましたが、集中的に合計六回の審議を行い、建議を取りまとめたところでございます。その上で、特別措置法案の要綱に関する厚生労働大臣の諮問に対しましておおむね妥当と考える旨の答申を行っております。
 まず、今回、特例法案の対象となっている労働契約法の無期転換ルールの内容と制定の経緯について簡単に述べさせていただきます。
 社会経済の構造的な変化に伴いまして有期雇用労働者の数が増加してきた折に、二〇〇八年九月のリーマン・ショックの影響で雇い止めの問題が社会的に大きくクローズアップされました。この状況を受けまして、厚生労働省が学識経験者を参集しまして有期労働契約研究会というものを開催し、二〇一〇年の九月にその報告書がまとめられております。
 これを踏まえて、労働政策審議会労働条件分科会が有期労働契約に関する議論を行いまして、その結果として、二〇一一年の十二月には、有期労働契約の在り方についてと冠する報告を取りまとめ、厚生労働大臣に建議を行っております。大臣からは、二〇一二年二月に労働契約法の改正案要綱の諮問が労働政策審議会にございまして、同年三月にこの審議会でおおむね妥当と答申をしております。これを受けまして、法律案が同じ三月に国会に提出され、八月に成立したところでございます。
 こうした経緯をたどって成立した法律でございますが、大きく三つの内容を含みます。
 一つ目は、有期労働契約の更新を使用者側が拒否する雇い止めについて、一定の場合に解雇権濫用法理を類推する判例を条文化するという雇い止め法理の法定化でございます。二つ目は、同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件の違いがある場合にはその違いが不合理と認められるものであってはならないという、不合理な労働条件の禁止というものです。そして、最後の三つ目が、今回の特別措置法案に関係する無期転換ルールです。
 この無期転換ルールは、同一の使用者との間で有期労働契約が通算で五年を超えて繰り返し更新されたときには、労働者の申込みにより、その有期労働契約を無期労働契約に転換するというものです。このルールは、労働契約の濫用的利用というものを抑制し、雇い止めの不安のない無期雇用への転換を促進することによりまして労働者の雇用の安定を図るということを目的としております。なお、通算契約期間のカウントの対象になるのは、このルールの施行日である昨年四月一日以降に開始した有期労働契約となります。この無期転換ルールは、雇い止め法理の法定化、不合理な労働条件の禁止とともに、有期雇用の労働者に対して一定の保護を与えるものと言うことができます。
 こうして採用され、施行されました無期転換ルールでございますが、現政権の下で設けられました国家戦略特区ワーキンググループで無期転換ルールの特例を設けるべきとの議論が出てまいりました。この議論を受けて、その後、政府部内で様々な議論と関係閣僚間の調整というものを経まして、昨年十月の日本経済再生本部の決定で、特区に限らない全国規模の規制改革ということで無期転換ルールの特例を検討することとなりました。
 具体的には、新規開業直後の企業やグローバル企業を始めとする企業などの中で重要かつ時限的な事業に従事している有期雇用労働者であって、高度専門的知識等を有している者で比較的高収入を得ている者などを対象に、無期転換申込権発生までの期間の在り方と、その間に有期労働契約が適切に行われるための必要な措置などにつきまして労働政策審議会で早急に検討を行い、その結果を踏まえて今年の通常国会に所要の法案を提出するということとされました。この内容が、初めに申し上げた国家戦略特区法の附則二条に盛り込まれたということになります。
 こうした経緯を経まして、私が部会長を務めました有期雇用特別部会におきまして、昨年十二月から今年の二月にかけまして、先ほど申し上げましたように、無期転換ルールの特例についての議論を行ったところでございます。
 部会では、先ほどそれぞれのお立場から意見が述べられたところではありますけれども、やはり同じように、労働者代表の側からは、労働契約法の民事上の基本ルールについては労働契約を締結する当事者についてひとしく適用されるべきであり、特例を設けることについては慎重であるべきといった意見とともに、無期転換申込権発生前での雇用の雇い止めの抑制策の検討を行うべきといった意見を述べられました。他方で、使用者側代表の意見は、高度専門職だけでなく、高齢者についてもその雇用実態などに即して能力の活用や雇用機会の拡大につながるよう特例を設けるべきであるといったものでございました。
 先ほど申し上げました集中的な議論の結果としまして、特別部会では、厚生労働大臣に対する建議としまして、有期労働契約の無期転換ルールの特例等についてというものを取りまとめております。以下、その内容のポイントを六つお話しさせていただきたいと思います。
 第一のポイントは、特例の枠組みというものであります。
 建議では、有期労働契約の濫用的利用というものが行われて雇用の安定性が損なわれるといったおそれの少ない二つの類型の労働者について、その能力を十分に有効に発揮できるよう、それぞれの特性に応じた適切な雇用管理を実施するとともに、無期転換申込権が発生するまでの期間の特例を設けるべきとしております。
 対象となる一つ目の類型は、一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術又は経験を有する有期契約労働者、二つ目の類型は、定年後引き続いて雇用される有期契約労働者です。
 第二のポイントは、特例の対象となる労働者の具体的要件であります。
 高度な専門的知識などを有する労働者は、まず、企業内の期間限定のプロジェクト業務のうち、高度な専門的知識等を必要とするものなど、一定の範囲の業務に従事する者といたしました。さらに、年収や高度な専門的知識などの要件は、現行の労働基準法第十四条第一項に基づく告示が一定の国家資格などを有する者や一定期間の実務経験を有する年収一千七十五万円以上の技術者、システムエンジニア、デザイナーなどを定めていることを参考としまして、法案成立後に改めて労働政策審議会で検討の上、厚生労働省令などで定めることが適当というふうにしております。
 もう一つの、定年後引き続いて雇用される労働者は、定年後、同一の事業主やその事業主と一体となって高年齢者の雇用機会を確保する高年齢雇用安定法上の特殊関係事業主に引き続いて雇用される者としております。一方で、その他の高齢者につきましては、引き続き無期転換ルールによって雇用の安定が図られることが重要と述べております。
 三番目のポイントは、特例の対象となる事業主の具体的な要件でございます。
 特例の対象事業主は、特例の対象労働者がその能力を有効に発揮するための適切な雇用管理を実施すべきであるとしております。例えば、高度専門的知識などを有する労働者は、労働者が自ら能力の維持向上を図る機会の付与を、また、定年後引き続いて雇用される労働者につきましては、高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえた高年齢者の配置、職務などに関する配慮をそれぞれ行うべきということになろうと思います。
 そこで、厚生労働大臣は、対象労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定すべきこと、また、その指針に沿った対応が取られると厚生労働大臣が認定した事業主をこの特例の対象とすべきことを併せて建議では述べております。
 ポイントの四番目は、特例の具体的内容でございます。
 無期転換ルールに基づく無期転換申込権は、高度の専門的知識などを有する労働者に関しては、プロジェクトの完了までの期間は発生しないが、十年を超える場合は発生すべきこと、次に、定年後引き続いて雇用される労働者については、継続して雇用されている期間は通算契約期間には算入しないこととすべきとしております。
 五番目のポイントは、労働契約が適切に行われるために必要な具体的措置です。
 無期転換ルールの特例の適用を明確にするために、事業主は、労働契約の締結、更新の際に、特例の対象となる労働者に対して無期転換申込権発生までの期間を書面で明示すべきとしております。また、高度の専門的知識などを有する有期契約労働者に対しましては、モデル労働条件通知書の見直しと併せて、特例の対象となる業務の具体的な範囲も書面で明示する仕組みとするため必要な省令改正、つまり労働基準法施行規則の改正を行うことが適当であるとしております。
 最後に、六番目のポイントとなります。この六番目のポイントは、無期転換ルールの円滑な施行でございます。
 無期転換ルールの施行に際して、無期転換申込権が発生する直前の雇い止めについての懸念があるということを踏まえまして、厚生労働行政において、好事例や留意点を紹介しながら効果的な周知を行うべきこと、また、有期労働契約に関する関係法令の遵守徹底を図るべきこと、さらに事業主を支援する助成金を効果的に活用すべきことを提示しております。
 有期雇用特別部会は、その集中的な審議の過程におきまして、労使それぞれの意見をきちんと伺いまして、さらにそれをしんしゃくした上で、以上を内容とする建議を厚生労働大臣に行ったところでございます。そして、その内容が反映されました今回の特別措置法案の要綱につきまして厚生労働大臣から諮問を受けて、審議の上、おおむね妥当と考える旨の答申を行ったという次第でございます。
 したがいまして、私といたしましては、公労使の三者構成である労働政策審議会の意見というものが反映されました本法案は適切な内容のものであると考えているところでございます。したがいまして、本委員会における迅速な御審議をお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、私の意見の陳述とさせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
    ─────────────
○委員長(丸川珠代君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、太田房江君が委員を辞任され、その補欠として高階恵美子君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(丸川珠代君) これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほでございます。
 本日は、お忙しい中、参議院までお越しいただき、貴重な御意見賜りましたことを心より感謝申し上げます。
 私からは、この特別措置法案について、まずもって、安倍政権に替わりまして、日本のデフレ脱却を目指してグローバル社会の中でやはり産業力の強化、また経済力を向上させるために、今後、柔軟な働き方、グローバル社会に適応した働き方というものはどんなものであるかということを考えていく際に、本法案は非常にそういう意味でもグローバル化された社会の中で必要な一つの法案であるというふうに考えております。
 終身雇用が当たり前でなくなった今、私が学生時代からインターンのようなものが始まって、多くの学生が早くからキャリアに対して意識が高くなってきていると思いますし、私自身、四つの職場を経験して今ここの席に座っている状態でございます。
 今回、この法案、とはいっても、いろいろな特例措置の中で、高度専門労働者の範囲、まあ知識であるとか収入の要件といったものについて多くの議論がなされたと承知しています。
 そこで、鈴木参考人と新谷参考人にそれぞれお伺いいたします。
 今回の特にこの高度専門労働者に関しまして、知識及び収入の要件というものに関しまして、使用者側また労働者側の立場からこの範囲についての取決めについてどのようにお考えか、まずお聞かせいただければと思います。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 まず、先生の冒頭の御発言で、グローバルへの対応のためにも措置が必要ではないかということは御指摘のとおりだというふうに思っております。
 御質問いただきました高度専門的知識等を有する労働者に対する業務要件あるいは年収要件についての中身についての御質問かと存じます。
 まず、業務についてでございますけれども、先ほど申し上げたところと重複するところがございますけれども、新規事業立ち上げ時の研究者、技術者、それから大型支援プロジェクトを受注した際の専門家等々の方々、そしてグローバル化対応ということでは、これは会員企業のニーズも大変強うございますけれども、海外の特定の国・地域の知見を持つ専門家といった方々を想定をしているところでございます。
 年収水準につきましては、一千七十五万円を参考として議論するということとなっておりまして、私どもこれをベースにしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 私からは以上でございます。
○参考人(新谷信幸君) 今先生のお話の中にありましたグローバル社会の中での働き方ということを目指すべきだということにつきましては異論はございませんが、安倍政権として今目指すとされております、世界トップレベルの労働環境の実現ということが政府の方針で決められておりますけれども、私は、本当にグローバルな基準の中で我が国の働き方の基準が設けられるべき、本当にイコールフッティングという形で世界の基準が一体どこにあるのかということをよく見ていく必要があるというふうに思ってございます。
 その上で、御質問のございました高度専門労働者の要件ということでございますけれども、私の先ほど開陳いたしました資料の四ページのところにも記載をさせていただきましたが、この特例措置を講じる範囲についてもやっぱり慎重であるべきだというふうに考えてございますし、元々の労働契約法十八条にございます無期転換ルールの本旨を損なうおそれのない範囲のものに限定するべきであるというふうに考えているところでございます。
 かつ、この要件につきましては今後また労政審において具体的に策定するということでございますが、これは省令に委任するということでございます。私どもとしては、今参考にとされる一千七十五万というのが例示で挙がっておりますけれども、こうした要件については法律できちっと明定をして歯止めを掛けていくべきではないかというふうに、これは労政審でも主張しておりましたし、その方向であるべきだというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、岩村参考人にお尋ねいたします。
 諸外国におきましては、有期雇用に対して、解雇補償金、金銭解決の仕組みというものが導入されております。日本は民法上解雇は原則自由でありますけれども、解雇権濫用法理は、不当解雇をその権利の濫用と捉え、解雇そのものを無効にする、つまり原職復帰を使用者に義務付けているものと理解しております。
 やはり、雇い止め法理の法制化というものも非常に重要で、それがまさに二〇〇八年のリーマン・ショックの後に議論になって法制化への歩みになったと思いますけれども、やはり将来的には有期雇用にも金銭的解決を導入し、将来的にも無期雇用と金銭解決の仕組みを統合化することも視野に入れるべきという意見もあると承知しております。
 特に、高度専門知識を持つ労働者の方々がそのプロジェクトが終わった後に更なる飛躍をしていくという意味においても、こうした金銭解決の仕組みを導入して、また、そのことをステップに自分自身もキャリアアップ更にしていくというようなことも将来的には考えていくべきではないかなというふうに私個人としては思っております。
 つまり、雇い止めの法制化よりも自分自身のスキルアップをどういうふうにしていくのかと。国といたしましても、そこのスキルアップ、ジョブ型の仕事に対して積極的に様々な支援をしていくと。そして、それも、民間もそれができるような形にしていくというようなことに関してはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(岩村正彦君) ありがとうございます。
 雇い止めを法制化した大きな理由は、有期労働契約で雇用されている労働者というものがどうしても交渉力が弱く、したがって、労働条件の交渉の面においても、あるいは労働法の様々な法規が定めている権利行使という面においても非常に弱い立場に置かれ、しばしば権利が行使できない状態になるというようなことから、これを防止するという観点で設けられたものでございます。したがいまして、金銭解決というものについては、余り安易に持ち込むということは私としてはやや消極的に考えております。
 ただ、最終的に紛争になったときにそれを金銭で解決するということは実務上行われているところであり、そのこと自体を否定する趣旨ではありませんが、立法化するということについては私個人としては慎重に検討すべきではないかというふうに考えているところでございます。
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 最後に、もう時間もありませんので、鈴木参考人にお尋ねいたします。
 昨日、政府は政労使会議の中で年功の見直しと賃金の両立をということで、特に子育て世代に力点を置いた賃金の在り方というものを提示しております。今後、日本において、やはり少子高齢化の中、また賃金体系というものに関して既にいろんな会社ではこういった取組もなされておりますけれども、子育て世代に力点を置いた賃金体系の在り方について最後に御意見賜ればと思います。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 ただいま先生おっしゃられた、時代の変化に伴って、そのあるべき賃金制度の見直しということが今話題になって、それを各社でも模索をしているということ、大変重要な御指摘だというふうに思っております。
 私ども経団連では、賃金に関しましては様々な職種、就業形態、属性などを持っている方々に対して公正で納得性の高いものにするということが重要ではないか、そのためにも、年功ですとか、あと勤続年数ということではなくて仕事、役割に応じた賃金ということを模索すべきではないかということを申し上げております。そのことが、ひいては活躍される女性の方にもプラスになるものだというふうに思っております。
 私からは以上でございます。
○大沼みずほ君 これで質問を終わります。本日はどうもありがとうございました。
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。冒頭、会派を代表いたしまして、本日おいでをいただきました三人の参考人の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 その上で、皆様方にいろいろとお聞きしたいことがあるんですが、時間が十分と限られておりますので、鈴木参考人に質問が集中してしまうかもしれないことを冒頭お許しをいただきまして、進めさせていただきたいと思います。
 まず鈴木参考人に、高度の専門職の労働者について幾つかお伺いをしたいと思います。
 現状でも、当然、五年以上のプロジェクトというのはあるはずです。労働契約法施行後現在に至るまで、この五年以上の長期のプロジェクトについて、企業というのはどのように具体的に有期、対応されているんでしょうか。若しくは、経団連として具体的にどのような指導をそれらの企業に対してされているのか、まずお聞かせください。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 現状認識ということでは、私どもちょっと十分承知をしていないところがございます。
 その五年を超えるプロジェクトということに関しましては、例えばでございますけれども、あるメーカーのところでは、新規のプロジェクト、それまでやっていなかった医薬品の分野に進出をするということで、自社の方にはいらっしゃらない薬事、医療の専門家に中途で来ていただくというようなこと。そのために、五年、事業が軌道に乗るかどうかということを経営者としては判断をするわけでございますけれども、その判断が必ずしも五年未満には限られないというようなことで、五年を超えた有期のプロジェクトを一年の更新の中でしていくということが行われているというふうに聞いております。
○石橋通宏君 今、鈴木参考人から、まだ余りどのような実態があるか分からないという御発言があったので、まさにそこが、今回残念ながら立法事実がないのではないかという我々の懸念にもつながるところなんですけれども。
 その上で、先ほど来、この特定の高度専門職の労働者については大変交渉力もありというようなお話もございました。
 鈴木参考人にお伺いしたいんですが、今、現状で大変交渉力のある、年収も非常に要件高い職種が十年後にどうなっているのか、我々はそこの予測が付くんでしょうか。十年後にも同様に高度であって、一千万円以上の高収入を保障されているような職種というのが一体どれだけあるのか、経団連の立場でどのようにお考えですか。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 御指摘のとおり、時代の変化によって何が高度かというのは変わり得るところもあるというふうには十分理解をしておるところでございます。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 しかしながら、とりわけ研究職、技術職、そういった方々というのは、その分野の先端性というところについては変わり得るかもしれませんけれども、基本的には今後ともその専門性というのが担保されるというふうに思っております。
 この前提は、あくまでも外形標準的に相当程度年収が高いというところのセットでこの問題を考えていくということが必要ではないか。そのため、先ほど申し上げましたけれども、今回議論の中では、労働基準法十四条の対象業務となっております年収要件一千七十五万円を参考に議論をするということでございますので、そのことと併せて議論をするということが適切ではないかというふうに考えておるところでございます。
○石橋通宏君 我々も、これまでの歴史を振り返ると、十年たったら全然状況が変わってしまった業種、職種というのは多数あるわけです。そういう意味では、今回の例外措置によって、今は大変競争力、交渉力があるかもしれないけれども、しかし、十年の長きにわたって無期転換ルール、申込権という権利を剥奪される方々が出てきてしまうということについて大変懸念を持っているので、今お伺いをしたわけであります。
 今、鈴木参考人もおっしゃられました今回の法案でも、国家戦略の附則の二条で、一般労働者、これ一般の同等の正規の労働者という比較だと思いますが、年収がはっきり明確に高いということを要件とすべしということが決まっているわけですが、そうしますと、一般の正規の高度専門職の労働者であれば、当然十年、五年以上十年という長きにわたれば、その間に昇進があり、昇格があり、昇給があり、それがまた様々な、退職後の年金なりそういったところにも直結をしてくる、それだけ大きな影響が生涯賃金ベースで出てくるわけです。
 ところが、今回の例外措置によって、今現在その高度な知識なり、高収入を得られている方でも、十年近く有期として反復更新でされてしまうと。それによって、長期的に見れば、これらの方々には相当な不利益が結局生じてしまうのではないか。それを考えれば、この十年、じゃどうやって同等以上の待遇を保障するかといったときに、単純に年収だけを比較をして、いや、年収が高いからということでは駄目であって、むしろ総合的に、一般労働者であれば十年たてばどれぐらいの年収見込みを含めた待遇があるのかということも勘案した上での年収換算ということで保障されなければいけないと私は理解をいたしますが、経団連としてのお考えあればお聞かせください。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 先生御指摘のとおり、将来的な雇用の問題も踏まえてこの問題は考えていくということが重要な視点だというのは私どもも理解をしているところでございます。
 ただ、先ほどとちょっとスタンスが違ってしまうかもしれませんけれども、都度都度総合的に労働者の保護に資さない、言い換えますと、労働契約法十八条の趣旨を没却しないということをするためには、その要件の改廃ということも場合によっては考えられるところでございますが、これは安易に改廃を行うということの趣旨ではございませんでして、あくまでも労働政策審議会という労使の代表が入ったところでその都度都度必要な見直しというのを考えていくということがよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 その点についても本当はお伺いしたいんですが、ちょっと時間がありませんので。
 高度専門職の最後に、今回、先ほど岩村参考人のポイントにもございましたように、契約締結時に書面で無期転換権発生までの期間を明示すべしということがありました。これはつまり、無期転換、例えばそれが七年なのか九年なのか、それぞれにあると思いますが、その明示された無期転換権発生までのその前に雇い止めになるようなことはないと、それが経団連の思いであり、決意であるということでよろしいでしょうか。
○参考人(鈴木重也君) 先生おっしゃるように、労働契約で明示された期間というものを基本に、例えば高度専門的な知識等を有する方については、そのプロジェクトの期間ということが基本的には雇用の保障の対象になるというふうに方向性としては思っておるところでございます。
 ただしということでお聞きいただければと思うんですが、どうしても有期事業の場合には何らかの事情でそのプロジェクトが終了するというようなケースがあるところでございます。そういう意味では、その都度都度、毎年毎年更新をしていくということの仕組み自体は担保するということが必要ではないかというふうに思っております。
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 それでは、もう時間もないのですが、高齢者のところについても二問だけお伺いできればと思います。
 一つは、新谷参考人からございました、もしこの例外措置を定年後の再雇用継続労働者について例外規定を設けるのであれば、まずはその六十五歳まで、高年齢者雇用安定法に基づく六十五歳までの雇用の確実な施行を担保すべしという御発言がありました。この点について、経団連として、確実に六十五歳までまず担保されるべき、それについて取り組むという決意でおられるのか、お聞かせください。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 現行高齢法の六十五歳までの継続雇用をしっかり徹底するということはそのとおりだというふうに思っておりますし、私どももセミナーですとか説明会等で会員企業に周知を図っていきたいというふうに思っております。
 ただ、一点だけ補足させていただきたいと思いますけれども、更新基準というのは対象者基準と異なりまして就業規則等により定めることができ、厚生労働省のQアンドAの中でも、「六十五歳までは、原則として契約が更新されること」とされた後に、括弧書きで「ただし、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。」というふうにされておるところでございます。高齢者の場合、加齢により健康面、業務遂行面での個人差が大きいということもございますので、企業の中には、毎年毎年就業状況を確認しながら更新することが実態に合っているという声があるということでございますので、その点も十分御理解をいただきたいというふうに思っております。
○石橋通宏君 時間が参りましたので終わりにいたします。ほかの二人の参考人の皆さん、済みません、質問できませんで。おわびを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○長沢広明君 公明党の長沢広明です。
 本日は、参考人の皆様、大変お忙しい中、本院までお越しをいただき、大変貴重な御意見をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
 早速質問に入らせていただきます。まず、岩村参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の特措法が、いわゆる労働契約法に定められている無期転換ルールについていわゆる特例を定めるということで、これはもう、民事上の基本ルールと言える労働契約法に行政の関与の下に特定の労働者を適用除外とするということについては批判の声もあったというふうに聞いております。先ほど、鈴木参考人も新谷参考人もこの点についてそれぞれのお立場で触れられておりました。一方、新谷参考人からは極めて異例と、こういう御指摘もございましたけれども、これまでにも、民事ルールに行政が関与して一定の特例を認めるという例が決してなかったわけではないというふうに思っております。
 そこで、今回の法案で、これは岩村参考人に、座長というよりはいわゆる学識者のお立場としてお考えをお伺いしたいわけなんですが、今回の法案で、いわゆる民事上の基本ルールである労働契約法について行政が関与することの必要性、またあわせて、この特例を実施するに当たって、関与する行政の側の、そちらに求められる役割というものはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○参考人(岩村正彦君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、今回の特別措置法では、二つの類型についての特例を認めるに当たって、行政が関与するという仕組みを取っております。
 このような仕組みを取ったことの必要性ということを端的に申し上げますと、やはり、この労働契約法の基本ルールから外れる類型を認める、それについて適切な労働者の地位の確保、先ほども申し上げましたけれども、雇用の安定であるとか、それから濫用の抑制といったような観点から、行政が介入することによってそこをしっかりと見ていくということにあるのだというふうに理解しております。その意味では、行政の役割というのは、私自身は非常に重要であるというふうに考えております。
 というのは、こういった仕組みがありませんと個々の労働者が個々の事業主と個人で向かい合わなければいけないということになり、場合によっては必ずしも十分な、適切な雇用管理等が行われないという、そういうおそれがあると。そういう意味では、行政としても、この特別措置法で認められている例外的な二つの類型についてきちんとした雇用管理その他が行われているか、法の目的に合致した雇用管理等が行われているかということについてやはり見ていくということが、監視していく、監督していくということが求められるというふうに私は考えております。
○長沢広明君 ありがとうございます。
 まさに適切な雇用管理という、計画をきちんと認定するというこの手続は非常に大事な部分であるというふうに思っております。
 ちょっとこれに関係をして、鈴木参考人と新谷参考人にお伺いしたいと思います。
 今申し上げたとおり、今回の特例を利用するに当たっては、事業主に作成が義務付けられている雇用管理に関する計画、これについて、その認定手続は法案が成立した後に省令で定められるということになっております。今回の特例で特に私どもも大変注目をしているのは、定年後引き続き雇用される労働者、つまり高齢者に係る特例の部分。この部分は、いわゆる大企業だけではなく、高齢者が勤めてきたところで定年を迎えてその後の雇用ということに関わりますので、中小企業が非常に大きく関わってくるわけなんです。中小企業が関わってくるという中で、いわゆる雇用管理に関する計画を出し、そして認定を受けるということになりますが、中小企業にとってはその認定手続については余り煩雑なものであっては良くないのではないかというふうに思っております。この点について、まず鈴木参考人に使用者側のお立場としての御意見を伺いたいというのが一つ。
 それからもう一つは、あわせて、計画を作成し申請する段階で、今回の法案では、法律上では、労働者側の意見を聴取するということは法律上の要件になっておりません。その上で、望ましい対応、いわゆる計画を作成し申請するという段階で労働者側の意見を聴取するという段取りはこの法案の要件にはなっていないんですが、望ましい対応について、鈴木参考人、新谷参考人、それぞれのお立場でどうお考えになるか、御意見を伺いたいと思います。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 先生おっしゃられましたとおり、認定に関わる雇用管理の措置への対応、とりわけ人員等の体制が十分でないところも少なくない中小企業にとっても、自治対応で、リーズナブルと申しますか、現実的に対応が可能なものにするということは大変重要なことだというふうに思っております。全くそのとおりだというふうに思っております。
 とりわけ、高齢者に対する雇用管理というのは様々でございます。例えば、私どもが承知をしている範囲でも、健康状態に応じて仕事の負荷を軽減をするでありますとか、あるいは体力が落ちたときに短時間や隔日勤務というような制度を入れる、あるいは処遇の面で比較的、定年後継続雇用者だから一律幾らというような企業もございますけれども、やはり意欲と能力を持って働いていただくために、その仕事内容等あるいは評価に応じて適切な処遇を行うというような様々な取組をされておるというふうに聞いております。また、新しい仕事を提供するというような場合には親切に丁寧に教育をする、上司からのアドバイスをするということも重要なことでありまして、企業で様々な形でやっているものをベースに、こういった雇用管理の仕組みについて議論を深めていくということが重要ではないかというふうに思っております。
 それから二点目の御質問でございますけれども、今回、労働者の方からの意見聴取ということについての法的な措置というのはございませんでしたけれども、一般論といたしまして、労働条件については労務管理上、労使でよくよく話合いをして納得のいくものをつくっていくということが大変重要だというふうに思っております。そういった労務管理上、労使で話合いの場を持っていくということは大変重要だというふうに思っております。
 私からは以上です。
○参考人(新谷信幸君) この特措法によって民事上の基本ルールであります労働契約法の特例扱いをするということでございますので、その扱いについては慎重であるべきであるというのは繰り返し申し上げてきた点でございます。
 事業主がこの雇用計画を策定するという行為は、当該事業所に働く労働者にとって極めて重要な計画となるわけでございます。それが事業所で働く労働者に全く知らされずに、労働者の意見を聞くことなく事業主が計画を出すということはあってはならないと私どもは考えておりまして、十分な労使のコミュニケーションを取るということからも、この雇用管理計画の作成、申請に当たっては、あらかじめ過半数労働組合等の意見を聴取するということを法律に義務付けるべきであるということは労政審の場においても私どもが主張した点でございますけれども、残念ながら法律には今回盛り込まれていないということでございます。
 私どもとしては、少なくとも意見聴取を行うべきだということは重ねて申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○長沢広明君 ありがとうございました。
 終わります。
○山口和之君 みんなの党の山口和之でございます。
 すぐ質問に入らせていただきたいんですけれども、まずちょっとはっきりしていないので全員の方にお伺いしたいんですが、想定されている一千七十五万円あるいは国家資格等々が出てくるんですけれども、一千七十五万円かつ国家資格なのか、又はなのか、ちょっとはっきりしないんですけれども、岩村参考人さんの資料からすると、一定の国家資格等を有する者や一定期間の実務経験を有する年収一千七十五万円以上の技術者、システムエンジニア、デザイナー等を参考に定めることが適当であると言われているんですけれども、これについて全員の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 私どもといたしましては、年収一千七十五万円を参考にした高い水準の年収要件かつ高度な専門的知識、技術、経験を有する方というふうな要件だというふうに理解をしています。
 ただ、先生おっしゃられた国家資格ということについて、ちょっとテクニカルで恐縮でございますけれども、例えば先ほど申し上げました特定の国・地域における法律ですとかビジネス慣行に熟知した方というのは、実は国家資格ということではなかなか拾い切れないというようなところがございますので、そこは現場実態に応じて高度専門職たる方々というのは幅広に広げていただきたいというふうに考えているところでございます。
 以上です。
○参考人(新谷信幸君) 私どもも、この年収要件というのは、全ての例示で挙がってございます国家資格、システムエンジニア、デザイナー等の例示が挙がっておりますけれども、全ての要件に共通するルールとして年収要件を定めるべきだというふうに考えてございます。この年収要件の例示の一千七十五万以上というのがございますけれども、これはやっぱり労働市場においてやはり使用者と対等な交渉力を有するという、代理変数的にこれは使われているものでございますので、これは全ての要件に共通するルールとして設けるべきだということは私どもも考えているところでございます。
 以上です。
○参考人(岩村正彦君) 建議のところにおきましては、労働基準法の十四条第一項第一号の規定に基づく告示というもの、それが今御質問の中で触れられた具体的中身を持っているわけですけれども、その告示の中身というものを参照して改めて労働政策審議会で議論をするということでございます。
 したがって、現時点においてどのようにその年収とあるいは国家資格を定めるかということについての明確な方針が決まっているわけでは必ずしもないというふうに理解しておりまして、今後これは労働政策審議会の方で議論させていただきたいというふうに考えております。
○山口和之君 それでは、岩村参考人にお伺いしたいんですけれども、その一千七十五万という年収水準というのは先生の考えの中では妥当性はどうなんでしょうか。
○参考人(岩村正彦君) あくまでも今これは告示の中で一千七十五万という金額が挙がっているということでございます。ただ、統計的には一千七十五万以上の労働者の方、年収を持っている労働者の数というのが非常に限られておりますし、また当然のことながら、一定の交渉力というものをお持ちであるということも十分考えられるわけで、一つの指標になるだろうというふうには思ってはおります。
○山口和之君 新谷参考人にお伺いしたいんですけれども、この同じく一千七十五万についてはボーダーラインとして極めて重要なのか、またそれ以上を求めるのかということをお伺いしたい。
○参考人(新谷信幸君) 先ほども申し上げましたけれども、労働契約法の十八条が目指した雇用の安定、濫用的な有期契約の防止ということからいえば、当該労働者が使用者に対して対等以上の、対等の交渉力を持っていないと駄目だと私は考えてございます。そのときに、測る目安としては年収が一つのメルクマールになるというふうに考えてございますので、ここでは労基法の十四条の基準を例と挙げておりますけれども、私はやっぱり交渉力の強さということからいえば、より高い年収であるべきだというふうに考えているところでございます。
 以上です。
○山口和之君 それでは、もう一度、鈴木参考人にお伺いしたいんですけれども、この一千七十五万円のラインというのはしっかり守られて、もしこれで通れば守られていくものなのか、もっと低い要件でというのは希望されるのか、お伺いしたいんですけれども。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 繰り返しとなりますが、年収要件に関しましては、あくまでも一千七十五万円を参考に議論するということになっておりますので、その労側の意見も十分踏まえながら検討させていただきたいと思います。
 ただし、使用者側の意見ということでの御質問でしたので申し上げたいと思いますが、議論では、この労働基準法第十四条の告示に書かれている業務に係っているこの一千七十五万円、これを定めた根拠というものを改めて確認するという作業が必要だというふうに思っておりますし、また、労働基準法の十四条に係る告示業務では年収が課せられていない業務もございます。これに対して、先ほど申し上げましたように、有期特措法の対象業務、高度専門的な知識等を有する方の業務というのは、年収があまねく対象になるということもございますので、そういったことを総合的に勘案していきたいというふうに思っているところでございます。
○山口和之君 国家資格等々、ここには出てくるんですけれども、なかなかイメージができないところがあるんですが、鈴木参考人の方にお伺いしたいんですが、国家資格等々と出てくるところでのイメージを教えていただければと思います。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 もちろん、国家資格を有する方に対しての業務も認めていただきたいという気持ちはございますが、ただ、グローバル競争への対応ということで、先ほど来申し上げさせていただいておりますけれども、新規事業立ち上げの研究者、技術者、大型資源プロジェクトを受注した際の専門家、インフラ、金融に係るファンドマネジャー、そして、繰り返しですが、海外の特定の国や地域の知見を持つ専門家といった方々が網羅されるような対象としていただきたいというふうに、このように思っておるところでございます。
○山口和之君 鈴木参考人にお伺いしたいんですが、ボリューム感で、その高度専門労働者というのはニーズとして今お話しされている内容があるんだと思いますけれども、どれぐらいあるものなんでしょうか。どれぐらいと言われてもちょっと難しいかもしれませんけれども、想定しているのはどれぐらいのボリューム感なんですか。
○参考人(鈴木重也君) これは、先ほども申し上げましたように、大企業でも一千万円を超えるような高度専門職で有期の方というのは数名程度でございます。そういう意味では、それほどボリューム感としては多くない現状にあるというふうに認識をしておりますが、ただ、将来的にこうした方々が企業の成長を引っ張っていく、そういう存在ということになりますと、より対象者は増えるんではないかというふうに思っているところでございます。
○山口和之君 新谷参考人にお伺いしたいんですけれども、いただいた資料の四ページのところに、高度専門労働者の範囲、万が一特例措置を講じるのであればということであるんですけれども、真に高度な専門能力を有する労働者に限定することができるような制度設計ということなんですけれども、この辺具体的に、あるいは期間についても、もし御意見があればお聞きしたいんですが。
○参考人(新谷信幸君) 元々この特措法の検討を始める契機となりました国家戦略特別区域法並びに産業競争力会議等々の論議では、産業競争力の強化に資する人材を対象にするということでございますので、まさしく我が国の競争力に直結するような人材といえば、本当に高度な専門能力を持った方々に限定されるべきではないかというふうに考えている次第でございます。
 その測る目安が、やっぱり労働市場におけるその労働力の価値ということでいえば年収というものが具体的な数値として出てくるのではないか、だからそれはより高い水準であるべきではないかというのが私どもの考え方でございます。
 それと、期間につきましても、これは極力短くする、今十年という数字になっておりますけれども、短く限定するべきであるということは私どもも労政審で主張してきた内容でございます。
 以上でございます。
○山口和之君 時間となりましたので、どうもありがとうございました。
○東徹君 維新の党の東徹でございます。
 本日は、参考人としてわざわざこの参議院の方までお越しいただきまして、ありがとうございます。
 私も、先ほどからほかの委員の先生そしてまた参考人のお話も聞いておりまして、一つは、やはりこれからの産業の競争力をやっぱり高めていく、寄与していかないといけないというふうな中で、新規開業直後の企業及びグローバル企業等が優秀な人材をやっぱり確保していく、そういったことにおいて今回の法改正、非常に重要だというふうに思っております。
 是非、鈴木参考人の方にお聞きしたいんですが、これまでそういったニーズの把握とか例えばアンケート調査とか、何かそういったことをしてきたことがあるのかどうか、もしあるんだったら、どの程度の回答があったのかとか、その辺のところについてまずお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(鈴木重也君) 特に調査等はしておりません。経団連事務局が十五社程度の企業にヒアリングをさせていただきますと、ほぼほぼ数名程度のその一千万を超えるような有期の専門労働者の方がいらっしゃっていたという事実を把握したところでございます。
○東徹君 その辺がいつもちょっとなかなか本当にあるのかなと腑に落ちないところもちょっと若干あるんですけれども、よく今回の中で、これまでも時々例えばというふうな中でオリンピックの話とか出てきたこともあったかというふうに思っておるんですが、ただ、オリンピックももう間近になってきてはいるわけでして、五年を超えて一体どうなのかなというふうに思ったりもするわけなんです。
 じゃ、この法律が施行されるのがこれ来年の四月一日というふうな今この法律になっておるわけですけれども、まず一つは、四月一日の施行に向けてこれ周知が果たしてどうなのかなというふうに思っておるんですが、その点、鈴木参考人、最初に、冒頭にちょっとお話もありましたけれども、その点についてちょっと感想を、思いをちょっと詳しく述べていただければと思うんですが。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 先生方に早期にこの法案を成立していただきますれば、その後、労働政策審議会の特別部会で詳細の議論が進められるところでございますので、そこも早く集中的に議論をしていただきまして、私どももこういった特例措置を望んでいらっしゃる企業に直接説明会等も開きながら周知を徹底を図っていきたいというふうに思っておるところでございます。
○東徹君 非常に時間が短いというふうには思わないでしょうかね。
○参考人(鈴木重也君) 私の理解としましては、これまでの六回の労働政策審議会の中でその公労使の方向性というのはある程度見えてきている中で詰めの作業をするということで、集中的な議論で対応できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○東徹君 続きまして、新谷参考人の方にお伺いをしたいと思います。
 私、定年後も引き続いて雇用される者という方についても今回の適用、なるというふうなことで、これからの本当に少子高齢社会、やっぱり高齢者の労働力というのは非常に大事だと思いますし、また高い経験、能力を持った方というのはやっぱりたくさんおられると思いますので、できるだけそういった方が年齢に関係なく仕事ができる環境を整えていくということは非常に大事だというふうに思っておるんですが、ここについても、新谷参考人の方からは慎重であるべきということで先ほど三点お話があったというふうに思うんですが、やっぱりここは一歩前進しているんじゃないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(新谷信幸君) 我が国の高齢社会の現状からいえば、能力と意欲を持った方が生き生きと働き続けられる環境をつくるというのは重要な政策だと思っております。ただ、これは、申し上げておりますように、民事上の基本ルールである労働契約法に特別な扱いをするという例外扱いを設ける仕組みでございますので、その例外の在り方については慎重であるべきというふうに申し上げているわけでございます。
 先生がおっしゃったように、定年後も引き続き働き続ける環境をつくるということでございますけれども、私申し上げたように、この高齢法、いわゆる高年齢者雇用安定法という法律の適用になりますのはいわゆる無期雇用、正社員の方だけでございます。ですから、いわゆる有期雇用の方で六十歳を迎えられる方は定年という扱いが元々ございませんし、そこから引き続き雇用するというのが法律的に実は担保されていないんですね。ですから、そういう方々が実は全労働者の三割ぐらいおられますので、実はこの法律は七割しか適用されていないわけでございます。ですから、申し上げたように、正社員じゃない方で六十歳を迎える方をどうやって六十五まで雇用をつなげていくのかというところの手当てが十分になされておりませんので、そこの手当てを同時にやっておかないといけないというふうに私どもは考えています。
 それともう一つは、高齢法の適用は六十歳で適用されるわけでありますけれども、その瞬間の切替えのところは高齢法で担保されておりますけれども、申し上げたように、六十一歳のとき、六十二歳のとき、六十三といったような有期契約を更新する際の、必ず更新しないといけないというところが法律的に何も決まっておりませんでして、これがいわゆる更新基準とかいうところでございまして、ここの手当てをやっぱりしておかないといけないということを先ほど意見として申し上げたところでございます。
 以上でございます。
○東徹君 もう一点、新谷参考人の方にお聞きしたいと思うんですが、事業主が行う計画の作成、申請というところなんですけれども、ここは非常にこの法律が施行されるのであれば大事だというふうに考えておられるというふうに思うんですが、こういった内容、中身、どういったことをやっぱり重視すべきというふうにお考えなのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○参考人(新谷信幸君) この計画は二種類、第一種と第二種がございます。特に私が問題とするのはこの第二種の先生から御質問のあった高齢者の部分の計画がどうなるかというところで、非常に気にしてございます。それは、今申し上げましたように、高齢法で担保されていない有期契約を更新されていくときの更新基準が、その会社の計画の中にきちっと六十五まで雇用をつなぐということがやっぱり明確に書き込まれないと、元々これ、冒頭に申し上げたように、国家戦略特区法の授権を受けた高度専門労働者じゃないところで使用者側からの求めに応じて中に組み込まれた問題でありますから、必ず六十五まで、要するに無期転換するところまで必ず雇用を継続するんだということがあって初めて検討に値する内容でございますので、必ずこの計画の中には六十五までの雇用をきちっと確保するということが書き込まれるべきだというふうに考えてございます。
 以上です。
○東徹君 ありがとうございます。
 続きまして、鈴木参考人の方にお伺いしたいと思うんですが、今回、法律の中に教育訓練を受けるための有給休暇の付与ということも入っておるんですけれども、実際にそういう能力向上の機会の付与ということを義務付けておるわけですが、これ、そもそも高度専門職で非常に能力の高い方、こういった部分というのは必要なのかどうか、ちょっと参考までにお聞かせいただければと思います。
○参考人(鈴木重也君) 先生御指摘のとおり、高度専門的知識を有し、高い年収を持って働く方でございますので、企業側といたしましても、期待する役割をすぐに発揮をしていただくというところを期待するところでございます。そういう意味では御指摘の問題点というのはあろうかというふうに思っております。
 しかしながら、高度専門的知識を有する方、その専門が先端性を有するようなことになれば、当然知識とか技能といったところのブラッシュアップをしていくというようなことも一方では必要だというふうに思っております。先ほども申し上げさせていただきましたけれども、企業では、学会参加への奨励というようなことでの配慮とか、実態に合った形での支援をしているところでございまして、そういった雇用管理をしっかりやっていくということは一つ重要な点ではないかというふうに考えております。
○東徹君 ありがとうございました。
 これで終わらせていただきます。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 新谷参考人にお伺いしたいと思うんですが、この無期転換権のルールというのは実際には発動していないわけですよね、一年半しかたっていないわけですから。私、政府に質問して、こういう実際に効果が現れる前に法改正というのはあったのかというふうに聞いたらば、これは、そういうものは今までありませんでしたと。同時に、労働者派遣法については、これは施行効果が及ぶ前の制度改正が含まれていると。やっぱり、ちょっと最近のやり方はおかしいんじゃないかなと。実際に国会で法改正して、その効果が現れる前にまた変えてしまうと。
 こういうノンルールのやり方がはびこっていることについて、連合は派遣法も厳しく批判されていますけれども、そもそも最初に特区法で枠にはめる、あるいは労働代表が参加しない場で大枠を決めるというやり方も含めて、こういう昨今の労働政策立法の在り方についてどのようにお考えか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(新谷信幸君) これは先ほど国家戦略特区法のワーキングの検討の進め方の際にも申し上げましたけれども、元々、労働政策、労働立法においては、国際労働機関、ILOの中に三者構成原則という考え方がありまして、もうこれは御承知のとおりでございますけれども、これが国際標準、いわゆるグローバルスタンダードになっているわけでございます。そういった意味でいきますと、最近の政府の労働政策に対する政策決定プロセスに労働者の代表が少なくとも入っていない中で大きな枠組みがどんどん決められてくるということに関しては、非常に違和感を持っておりますし、ILOの原則に反するのではないかということは常々私どもも主張しているところでございます。
 そういった例は、この有期特措法もそうですし、労働時間の法制、今労政審でやっておりますけれども、あれも枠組みをはめられて細部を検討せよという指示が来たわけでございますけれども、本当に、そういった意味では、ILOの原則に従った三者構成原則を貫いていただきたいというふうに思ってございます。
 さて、立法事実がないではないかという御質問もいただいたわけでございまして、まさしくこの法律は昨年の四月に施行されたばかりでありまして、この無期転換ルールは基本的には五年ということでございますので、二〇一八年まで基本的には発生しないと。これ特殊な例は多分あって、例えば三年契約を三年たったときにもう一回契約しますと、三年と一日で無期転換権が発生しますので、そういう特殊な例はありますけれども、基本的には五年待たないと無期転換権、具体的には発動されないということでありますので、そういった、どうして法改正が必要なのかという全く立法事実がないというふうに私どもも認識をしております。
 以上です。
○小池晃君 岩村参考人にお伺いしたいんですけれども、二〇一二年十二月のジュリストの座談会で、五年経て更新されてからということになりますのでまだかなり時間がありますと、それまで労使が向き合って新しい有期労働契約労働者の処遇の在り方について再検討していく必要があるというふうに参考人はおっしゃっているんですけれども、まさかこの時点で例外規定を作るような法案が出るというふうにこの時点ではお考えになっていたでしょうか。
○参考人(岩村正彦君) 私としましては、閣議決定されて、こういうものを議論せよということで労働政策審議会の方に話があったということでありまして、それに基づいて議論をさせていただいたということだというふうに理解はしております。
 あと、もう一点、ちょっと大変申し訳ないんですが、先ほどの山口議員の御質問を私余りうまく理解できておりませんで、年収要件というのは全ての専門的知識のある労働者に関わります。申し訳ございませんでした。
○小池晃君 立法事実という点でもう一つ、立法事実というか、その閣議決定の土台になったような議論の中で、これは新谷参考人にお伺いしたいんですが、日本経済再生本部は、有期雇用の特例をつくる理由として、オリンピックなどのプロジェクトの場合は七年限定で更新する代わりに無期転換権を発生させることなく高い待遇を提示して優秀な人材を集めることは現行制度上はできないと言っているんですけど、これ労基法の十四条の一項で、一定の事業の完了に必要な期間はこれは有期雇用契約五年を超えて結べるわけで、そもそもこの日本経済再生本部なるところの認識は僕は事実誤認ではないかと思うんですが、この点いかがお考えですか。
○参考人(新谷信幸君) その点は、労政審において私ども労働側代表としても政府の見解をただしたところでございます。
 先生御指摘のとおり、労働契約法の十四条によれば、一回の労働契約の期間が五年を超える有期プロジェクト、有期事業について五年を超える契約が締結が可能ということになってございます。確かに御指摘の点は昨年の十月の十八日に出された内容でございますけれども、これは現行ではできないという認識は事実誤認ではないかなと、私どもはそういう理解をしているところでございます。
○小池晃君 もう立法事実もない、事実誤認に基づく、そういう方向で出されてきて、それで閣議決定で、ちょっとこういうやり方は本当にいかがなものかというふうに思うんです。
 今朝の朝日新聞には、有期雇用契約の労働者の同僚が退職したという四十五歳の女性の投書が出ていて、こういう五年の申込みと、しかし、皮肉にも法を骨抜きにするように五年未満の期限付で募集する企業が多くなっているという、そういう実態も出されているし、私は、やっぱりやるべきことは、五年後のことを、いまだに立法事実もないことをやるんじゃなくて、やっぱりこういう有期雇用労働者の権利をどうやって守っていくか、同一労働、同一賃金の問題も含めて。
 それから、新谷参考人が言われたような定年後の問題も、六十五歳以降のことをやるより、まず六十五歳まできちっとやっぱり雇用を確保していくために何が必要なのかということこそ議論すべきであって、それを全部やらないで飛び越えたところばっかりやっても、私は、これは労働者の権利が次々と奪われていくだけだというふうに思うんですが、新谷参考人、いかがお考えでしょうか。
○参考人(新谷信幸君) 先生御指摘の点も、私ども労働政策審議会で主張してきた点と重なる部分が非常に多くございます。そういった意味では、思いは同感でございます。
 以上です。
○小池晃君 岩村参考人には、是非、今日は学者、研究者としての御発言ということでお願いしてはいるんですが、公益委員ということでも参加されています。是非、労使双方の、特にやっぱり労働契約法というのは労働者は弱い立場なんですから、やっぱり労働者の声をしっかり酌み取って、労働政策立法に力を尽くしていただきたいというふうに思うんですが、今後、これから労政審に委ねられている部分が多々あります。例えば、労働組合の関与、計画決定に当たってどうするか、あるいはその対象をどうするかということも議論がございます。きちっとやっぱり現場の労働者の実態、声に耳を傾けて進めていただくということを私は強く希望したいというふうに思いますが、御意見をお聞かせください。
○参考人(岩村正彦君) 私の意見の陳述でも申し上げましたように、労働政策審議会というのは、公益委員、それから労働者代表、そして使用者代表という三者で構成され、とりわけそこにおいて労使の御意見を伺いつつ様々な法案その他のものについて審議をさせていただいておりますので、今後も、労使の委員の御意見というものを酌み取りつつ議論をさせていただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 とりわけやっぱり労働者の声にしっかり耳を傾けていただくことが大事ではないかなというふうに思いますので、そういう役割を果たしていただきたいというふうに思います。
 終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は本当にありがとうございます。
 私は、この法案は、ホワイトカラーエグゼンプションのような年収が高いということで例外規定を設ける、あるいは派遣法と一緒で専門職、限られた業種、年収が高いといって法律を作り、今どんどん拡大をしている、例外が原則を食い破っていくということになるのではないかというふうに危惧を持っているんですが、まず鈴木参考人にお聞きをします。先ほど、年収要件が高ければ交渉力があるとおっしゃいましたが、なぜ年収が千万で交渉力があると言えるんでしょうか。
○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
 先生御指摘のとおり、年収だけでこの交渉力というのを考えるべきではないというふうに思っております。総合的に勘案するということが必要でございます。技術者、研究者を中心に有期で高い年収を持っていらっしゃるという方は、新規のプロジェクトをベースにキャリアを形成をされていくというような方もいらっしゃるというふうに思っております。
 そういう意味では、高度専門的な業務、知識を有するという方についての対象について、今後、先生の御意見も踏まえながら検討していきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 先ほど、鈴木参考人は特例措置を望んでいる企業とおっしゃいましたが、どういう企業が望んでいるんですか。
○参考人(鈴木重也君) これは、例えば海外の市場開拓をするということでは、例えばメーカーでありますとか商社といったようなところからの希望というのが出ておるところでございますし、研究者、技術者についてはメーカーからの御要望があるところでございます。
○福島みずほ君 私も、この法案の立法理由、立法趣旨がどこにあるのか。一条の目的のところで、専門的知識等を有する有期雇用労働者等の能力の維持向上及び活用を図ることがその専門的知識等を有する労働者の有効な発揮になるというふうに書いてあるんですが、本当にそうなのか、この法律の目的は何なのか。
 それほどまでに優秀でそれほどまでに知識があってそれほどまでにグローバルだったら、その人は勝手に辞めることも、あるいはどこかに行くことも、あるいは、何だってできますよね、そんな交渉力ある人。そんな限られた人は何だってできますよ、だって引く手あまたなんだから。ところが、ほとんどの労働者はそうではない。この立法理由が本当におかしいと思っているんですね。
 新谷参考人、いかがでしょうか。
○参考人(新谷信幸君) 今先生御指摘の点は、私どもも、これもまた労働政策審議会で立法の理由が分からないということを申し上げました。これは、経緯でもございますように、元々が国家戦略特区ワーキングの中から無期転換権の事前放棄というものが出されて、それが政府の中で、十月十八日に方針が高度専門職については特例扱いをするというふうに変わってきた経緯からいえば、まさしく政府の方で決定をされてきた内容でございますし、労使でこれを改正してほしいということを望んだわけではございません。
 それと、先生が冒頭におっしゃられました例外が原則を食い破っていく。私は、今回のこの有期の特措法はそれ自体が問題だと思っております。基本的な民事ルールをこういった特別法によって例外でぼんぼん穴を空けていくという、この枠組み自体が大きな問題を抱えているというふうに考えております。
 労政審の場においても使用者側から、今回はまあ高齢者でございますけれども、労政審の場で使用者側から特例で設けるべきだという主張をされたのが、オリンピックに向けて企業が雇用する有期契約のスポーツ選手についても特例扱いにするべきだという主張がなされてきたのもまた事実でございまして、こういう枠組みをつくれば、これもこれもということで歯止めが掛からないことになりかねないということでございまして、この点も十分御論議をいただければというふうに思っております。
 以上です。
○福島みずほ君 そのとおりだと思います。
 先ほど鈴木参考人は対象者が増えていくというふうにおっしゃいましたが、どういう意味ですか。
○参考人(鈴木重也君) 例えば、海外の市場進出する企業というのはこれから増えていくのではないか、それに伴って、専門的な知識を有する方に中途採用なりで来ていただくという方が増えるのではないかという趣旨で申し上げたところでございます。
○福島みずほ君 これ、プロジェクト事業というのは問題ではないか。これ、条文では「五年を超える一定の期間内」とありますので、十年以内とは言われていますが、これ二十年、三十年もあり得るわけですよね。ただ、私がもし経営者だとしたら、社内で正社員なんか雇わずに、プロジェクト事業と銘打って八年とかやりますよ。というふうにやって、でもプロジェクト事業そのものが危ないじゃないですか。
 例えば、新谷参考人、いかがでしょうか。女性で七年のプロジェクト事業に入った、育休取れるでしょうか、産休取れるでしょうかという問題も起きてくる。要するに、プロジェクト事業が終わったら首ということがどんどん広がっていったらどうなるのか。企業側は、じゃプロジェクト事業、条文には五年以上しかありませんから、二十年のプロジェクトチームというのを社内に立ち上げてやる、皆さん二十年ですよ、もしかしたら八年ですよ、全員発令が終わったら首、しかし優秀な人材だけは有期雇用で雇っていきますなんということも可能となってしまうんじゃないか。プロジェクト事業期間中は産休、育休取れない、こんなことになっちゃうんじゃないか。
 新谷参考人、いかがでしょうか。
○参考人(新谷信幸君) 冒頭に申し上げましたように、私どもとしては、雇用の原則は直接雇用の無期と限るべきであるという原則からいえば、有期雇用については本当に例外とするべきであると。しかも、これは例外の例外をまたつくるということでございますので、その範囲については限定するべきであるということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。
 それと、有期事業についても、現行の労基法の十四条で非常に長期にわたる契約が可能になっておりますので、今枠組みが、それがあるのになぜ使わないのかということが非常に不思議でございます。あえて有期雇用の中で反復更新させるという、契約の細切れを誘発するような例外をなぜつくるのかということを労政審の場で申し上げてきたところであります。契約が細切れになりますと、やはり先生御指摘のような労働者の権利の行使に対してやっぱりこれはマイナスにしかなりませんので、より安定した雇用をやっぱり実現するべきであるというふうに考えてございます。
 以上です。
○福島みずほ君 人は人生の中で働いて、その間に子供を産んだり育てたりというのは、これは必然的に起きると。
 鈴木参考人にお聞きします。こういう形で無期雇用の転換を認めない例えば八年プロジェクト、十年プロジェクト、二十年プロジェクト、三十年プロジェクト、女性が産休取ったり、男女とも育休取れる、こんなことはできるんでしょうか。あなたは八年で雇っているんだから、その間は働け、八年間は会社に奉仕せよ、そんなことにならないでしょうか。
○参考人(鈴木重也君) そういったところも含めて、懸念を払拭する形で制度設計なり運用を考えていかなければいけないというのは御指摘のとおりだというふうに思っております。
 まず、その期間についてでございますけれども、私どもは、法案にございますとおり、十年が適当というふうに考えておるところでございます。
 また、育児・介護休業が取れなくなるんではないかということにつきましては、これ育児・介護休業法、使用者の義務でございますので、そういったことのないよう徹底することが重要ではないかというふうに思っております。
○福島みずほ君 先ほど新谷参考人が、事前に無期雇用転換を事前放棄することが公序良俗に反するということで、この委員会でのことを教えていただいたんですが、そのとおりで、これ、うっかりすると、国会でもし立法が成立すれば、国会と政府によって事前放棄を組織的、構造的に行うことになっちゃうんじゃないか、これ公序良俗に反するんじゃないか。優秀で、もう私はこの会社から去りたいという人はそれでいいです。しかし、無期雇用の転換権をあらかじめ奪ってしまう、国会が、内閣が、これについていかがでしょうか。
○参考人(新谷信幸君) その点は、労働契約法の十八条を創設した際の労働政策審議会でも問題視いたしまして、交渉力が労と使では格段の差がございますので、使用者側の強い圧力の中で事前放棄をさせられる懸念というのがあったわけでございます。その点は、国会での法案審議の中で、政府の方から、そうした事前放棄については公序良俗に反して無効であるという立法に際しての見解が示されておりますので、そのとおりに従って法が運用されるべきであるというふうに思っております。
 いずれにしましても、この事前放棄の点は国家戦略特区ワーキングで出された内容でありまして、ほかにも、実は解雇ルールの契約条項を裁判規範にするといったようなことも出されておりまして、本当にこの辺の論議はかなり乱暴ではないかというふうに私は考えております。
 以上です。
○福島みずほ君 ちょっと初歩的なことで済みませんが、条文の二条の三項の一号では「五年を超える一定の期間内」と書いてあるんですね。どうしてこれを、私はこの法案、問題だと思いますが、よく十年に限るとか言われていますが、先ほど鈴木参考人も十年が上限だとおっしゃいましたが、この法律でそういうふうに読めるんでしょうか。
○参考人(鈴木重也君) 訂正をさせていただきたいと思います。
 私ども使用者側の思いとして、今回の特例措置、高度専門的知識等を有する有期労働者に対する特例措置の上限は十年だと考えているということで訂正をさせていただきたいと思います。
○福島みずほ君 よく十年と言うけど、条文は五年以上なんですよね。そうすると、プロジェクト事業というのがはびこっていくんじゃないでしょうか。あっ、岩村参考人、何かおっしゃりたいんですか。いいですか。というふうに思っております。
 じゃ、時間ですので終わります。どうも本当にありがとうございました。
○委員長(丸川珠代君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会をいたします。
   午前十一時五十六分散会