第189回国会 本会議 第23号
平成二十七年六月三日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二十三号
  平成二十七年六月三日
   午前十時開議
 第一 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式
  会社に関する法律の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、地域の自主性及び自立性を高めるための改
  革の推進を図るための関係法律の整備に関す
  る法律案及び地域再生法の一部を改正する法
  律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
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○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国務大臣石破茂君。
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。
 本法案は、平成二十六年から新たに導入しました地方分権改革に関する提案募集方式に基づく地方公共団体の提案等を踏まえ、本年一月に閣議決定した対応方針に基づき、地方公共団体への事務権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、住民に身近な行政を地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、農地転用の権限移譲を始めとして、国から地方公共団体又は都道府県から指定都市等への事務権限の移譲等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。
 第二に、地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務付け・枠付けの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。
 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。
 次に、地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国は、二〇〇八年をピークとして人口減少局面に入っております。また、東京一極集中と地方からの人口流出が急速に進行する中で、地方においては、人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥るリスクが高くなっております。このため、人口減少を克服し、地方創生を成し遂げることが喫緊の課題となっております。
 こうした課題を解決し、地方において、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立するとともに、町の活力を取り戻し、人口減少と経済縮小の悪循環を断ち切るための政策パッケージとして、政府は、昨年末に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定したところであります。
 この法律案は、同戦略を踏まえ、各種生活サービス機能の提供を維持するコンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点を形成することにより、中山間地域等における持続可能な地域づくりを推進するとともに、地方への本社機能の移転を含む企業の地方拠点の強化を行うことにより、地方での安定した良質な雇用を確保するために提出するものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、次の措置を追加することとしております。
 第一に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画の作成並びにこれに基づく独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務保証及び認定事業者に対する課税の特例等を追加することとしております。
 第二に、地域再生土地利用計画の作成並びにこれに基づく農地等の転用等の許可及び開発許可の特例等を追加することとしております。
 第三に、自家用有償旅客運送者による貨物の運送の特例を追加することとしております。
 第四に、農村地域工業等導入促進法に基づき整備された工場用地等のうち遊休工場用地等において、同法に規定する工業等以外の産業を導入可能とする特例を追加することとしております。
 また、地域再生の担い手となる地域再生推進法人として指定できる法人の範囲を拡大することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに成立いたしますようお願いを申し上げます。
 以上であります。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。野田国義君。
   〔野田国義君登壇、拍手〕
○野田国義君 民主党・新緑風会の野田国義です。
 ただいま議題となりました地域創生二法案につきまして、会派を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 まず冒頭に、先週の金曜日、まさしくこの参議院本会議の途中でございましたけれども、鹿児島県の口永良部島の新岳の噴火によりけがをなされました方、被害に遭われ避難されております住民の皆様方に対しまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 初めに、安倍内閣は、去る五月十五日、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案を国会に提出をいたしました。我が党は、安全保障法制については、平和主義の下、専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的にとの方針で法整備を行っていくべきであると考えます。こうした点からすると、安倍内閣が集団的自衛権行使を認める武力行使の新三要件は、基準が曖昧であり、自衛隊の海外での活動の歯止めとはならず、危険が増し、容認できません。衆議院安保特別委員会でのごたごたを見ていると、法案を撤回された方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 他方、我が国の領海や離島などへの不法な侵入などへの対処について、政府は運用面の改善にとどめようとしておりますが、それでは不十分であり、我が党は新たな領域警備法案を提案することといたしておるところであります。
 いずれにしても、戦後の安全保障の大転換を一国会の僅かな審議で強行することは、国民不在の国会軽視であり、絶対に認められません。政府・与党には、期限を切ることなく、しっかりと説明責任を果たし、十分な法案審議が行われることを強く申し上げたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 まず、安倍内閣の財政健全化に向けた取組についてお伺いいたします。
 国及び地方の長期債務残高は、平成二十七年度末に千三十五兆円に達する見込みであり、対GDP比では二〇〇%を超え、主要先進国では最悪の水準となっているところであります。内閣府による試算では、中長期的に名目で三%、実質で二%の経済成長率を実現したとしても、二〇二〇年度時点で九・四兆円もの基礎的財政収支赤字が発生をいたします。
 安倍内閣は、歳出歳入両面にわたる取組により、二〇二〇年度までに基礎的財政収支の黒字化を達成すると大見えを切っておりますが、しかしながら、高齢化の進展に伴い更なる増大が見込まれる社会保障関係費について、抜本的な改革案が示されていないほか、経済成長による税収増の予測も余りにも楽観的であり、実現性は願望に近く、本気で財政健全化を実現するという姿勢が見られません。
 このような状況の下では、財政健全化目標の達成は到底不可能ではないでしょうか。また、六月末までに策定するとしている財政健全化計画は実効性あるものとなるのでしょうか。財政健全化に向けた政府の取組姿勢、目標の実現可能性について、本気度を麻生財務大臣にお伺いいたします。
 安倍内閣の成長戦略、日本再興戦略の中身は、民主党政権時の日本再生戦略のアイデアが踏襲されているようでありますが、安倍内閣は経済に対する基本的な考え方が民主党政権と異なります。まさしく、地方に真摯に向き合い、国民一人一人の生活向上に取り組む理念、発想が非常に乏しい限りであります。
 また、安倍内閣は、株価の引上げに血眼になり、国民へのアピール材料にするばかりか、公的年金の株式市場での運用割合を拡大し、リスクにさらそうとまでしております。しかし、株価が上昇したからといって一般の国民が豊かになったと言えるものではなく、そもそも株価が必ずしもそのときの実体経済の状況を反映するものではないことは、かつてのバブル経済で痛いほど経験したことではありませんか。
 私も毎週地元に帰り福岡県民の声を聞いておりますが、地方経済はまだまだ厳しい厳しいとの話ばかりであります。株価ばかりを気にしていては、どうしても企業業績の向上に目が向いてしまい、地域で暮らす人々一人一人の生活の質を高めるという観点が欠如してまいります。
 そこで、この際、経済運営で重視する指標を考え直してはどうでしょうか。ブータンの提唱により、国連は三月二十日を国際幸福デーに指定し、国民総幸福量、GNHに基づくランキングを発表しております。日本は、GDPこそ世界で三位でありますが、幸福度では四十六位と低い水準に甘んじております。こうした幸福度の考え方こそ大いに検討すべきではないでしょうか。
 また、政府は、二〇六〇年に人口一億人程度を維持することを目標に様々な施策を展開しようとしているように見受けられますが、一億人という数字にどれだけの意味があり、本当に実現可能性があるのでしょうか。もちろん子供を産みたくても産めない状況を解消することは必要ですが、人口減少自体はマイナス面ばかりではありません。むしろ、生活の質を高めるチャンスであるということを考えるべきではないでしょうか。
 我が国の幸福度についての現状認識と対策、そして、人口減少社会のポジティブな側面について、石破大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 地方行政に携わった経験も踏まえて、地方の活性化についてお伺いいたします。
 地方の活性化は、歴代政権が取り組んできたものの、ことごとく十分な成果を上げることはできなかった重要で難しい課題であります。振り返ってみますと、竹下内閣による昭和六十二年からのふるさと創生における一億円交付税措置を一つの契機として、それまで国の方針に地方が従うだけだった上下主従関係が変わり始めました。地方も自ら考え行動するようになり、政府の地域政策も地域の主体性を重視するものが徐々に主流を占めるなど、地方分権、地域主権へと大きな流れが形成をされ始めたのであります。
 しかし、残念ながら今日まで地方の活性化は思うように進んでいるとは言えません。昭和六十二年のふるさと創生の後、昭和六十三年に地域総合整備事業債、ふるさとづくり特別対策事業が創設され、平成十四年から地域活性化事業へと続きました。
 また、この間、平成六年には、ガット・ウルグアイ・ラウンドの対策費といたしまして、何と六兆百億円ものお金が全国にばらまかれたのであります。これらの多くによって、結果的に必要以上の箱物が造られ、地方自治体の財政の悪化につながり、夕張ショックに象徴されるように、自治体の破綻をも招きました。
 また、十一年から、三位一体の改革、政府主導の平成の大合併により、平成十七年前後をピークとして地方自治体の合併が進み、自治体数も三千二百三十二から千七百十八となりました。こうした政府主導による合併の推進は、お役所仕事が見直され、効率的な役所、職員の意識改革などの効果もある一方で、住民サービスや地域の自治の面から見て問題も多く残したのではないでしょうか。
 過去の政府の取組についての評価、今後に向けた課題について、石破大臣の見解を求めます。
 次に、農地転用についてお伺いいたします。
 今回、農地転用許可に係る事務権限を都道府県へ移譲することが実現します。これにより、都市、農村を通じた総合的な町づくりの推進に地方が主体的に取り組むことが期待をされ、今回の権限移譲は一定の評価ができます。
 しかしながら、この権限移譲については、長年にわたる地方からの強い要望があったにもかかわらず、なぜ今まで実現できなかったのか。これまで農林水産省が必要以上に地方への移譲に抵抗してきたということはないでしょうか。また、なぜ今回は移譲の実現に至ったのでしょうか。加えて、今後、基礎自治体への権限移譲の検討はなされるのでしょうか。林農林水産大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、地域再生法改正案についてお伺いいたします。
 昨年末に閣議決定をした、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、中山間地域等の現状について、人口減少に伴い、住民の生活に必要な生活サービス機能の提供に支障が生じているという認識が示されています。
 実際に、地元を回っていると、小学校が統合をされ、農協が撤退をし、残っているのは郵便局だけという全国と同様の状況が生じておりますし、地域の商店街やスーパーも閉店し、生活用品の購入にさえ困るという買物難民が増えている現状であります。
 総合戦略では、この中山間地域の対策として、基幹となる集落に機能、サービスを集約化し、周辺集落とのネットワークを持つ小さな拠点において各種の生活支援サービスを維持することとしており、今回の地域再生法の改正案で規定をされております。
 私自身も、この小さな拠点のような考え方は、経験から、基本的には必要であると考えます。一方で、小さな拠点の中でも、機能、サービスが集約化される地域再生拠点から離れているところに住んでいる住民は、集約化されることで、自分の集落は逆に公共サービスが低下するのではないかという不安を多く抱いております。
 行政としてこの不安を払う努力は欠かせません。そのためには丁寧な説明が必要であると考えますが、国としてどのような対応を考えていらっしゃるのか、石破大臣にお伺いしたいと思います。
 また、今回の改正案は、企業の拠点が地方に移転、若しくは拡充することを支援するものであります。拠点が移転した時点では、一時的に地方の人口が増えるかもしれませんが、恒常的に東京から地方へと人が移動するような仕組みではありません。総合戦略の目標からすれば、今回の改正では目標達成には足らないと考えます。
 加えまして、私は、今後国会においても、思い切って首都機能の移転、分散も含めて、大いに議論が必要であると考えるところであります。いかがお考えでしょうか、併せて石破大臣にお伺いいたします。
 最後に、一極集中の是正を図るとともに、更なる地域主権改革を進め、魅力ある地方を再生することが喫緊の課題であります。
○議長(山崎正昭君) 野田君、時間が超過しております。
○野田国義君(続) これらの法案が地方の再生にどのように寄与するのか、今後、各委員会において十分な審議が必要であることを指摘し、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 野田議員から合計四問の御質問を頂戴をいたしました。
 まず、経済運営で重視する指標としての我が国の幸福度についての現状認識と対策、また、人口減少社会のポジティブな側面についてのお尋ねをいただきました。
 国民の幸福度あるいは満足度につきましては、価値観が多様化する中、様々な要因によるところではありますが、その前提としては、安全、安心であること、頑張る人が報われるという社会の信頼の基盤が維持されていること、国民一人一人が豊かさを実感できることなどが必要であると認識をいたしております。
 これらのことを踏まえ、人口減少と地域経済縮小の悪循環というリスクを克服する観点から、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立により、活力ある地域社会の維持を目指していくことが必要であると考えております。
 御指摘のように、人口減少により経済規模が縮小しても、国民一人当たり所得を維持することができれば悪影響を与えないとする御意見があることは承知をいたしております。しかしながら、我が国における現在の人口減少局面は、その過程において高齢化を伴います。既に我が国では二〇〇八年をピークとして人口減少局面に入っており、今後、減少スピードがますます加速すると見通されております。長期ビジョンにおきましては、日本の人口はこのままでは約百年後の二一〇〇年には五千万人を切るとともに、高齢化率は四〇%を超える水準まで高まるとしております。
 したがいまして、この高齢化によって総人口の減少を上回る働き手の減少が生じ、その結果、総人口の減少以上に経済規模を縮小させ、一人当たりの国民所得を低下させるおそれがあると認識をいたしております。
 人口減少に歯止めを掛け、人口の安定化と人口構造の若返りを実現させるためには、昨年末、国の今後五か年の目標や具体的な施策メニューを盛り込んだ総合戦略を取りまとめたところであります。ここにおきましては四つの基本目標を設定し、これらを総合的に実施し、地方創生を進めることで、人口減少、超高齢化という構造的な課題に正面から取り組むことといたしております。これらの取組を通じて、地方創生の流れが不可逆的かつ自立的に動き始めることが重要であり、国と地方とが手を携えて課題に取り組んでまいります。
 次に、過去の政府の取組についての評価、課題についてであります。
 ふるさと創生事業を始めとして、地方振興に関し、これまでの政策はその時々の状況を踏まえて実施されたものであり、一定の成果は上げてきたと考えております。しかし、これまでの政策は、縦割り、全国一律、ばらまき、表面的、短期的といった点で課題もあったと考えております。この反省に立ち、今回の地方創生に当たりましては、これまでの政策検証を行い、政策五原則を定め、これに基づき、昨年末、総合戦略を取りまとめたところであります。
 今後は、総合戦略に盛り込んだ政策の効果を検証するPDCAのメカニズムを着実に機能させることで効果を不断に検証し、ばらまきや重複を排除しつつ、時代に合わない制度や組織の見直しも含め、目標達成に向けて必要な改善を行ってまいります。
 次に、小さな拠点の中で、地域再生拠点区域から離れたところに住んでいる住民の方々に対する対応についてのお尋ねをいただきました。
 小さな拠点の形成に当たりましては、複数の生活サービス機能を集約し、そこに行けば歩ける範囲で必要なものが手に入る拠点を形成するとともに、周辺集落と交通ネットワークでこれをつなぐことにより、一体的な日常生活圏を形成する地域全体の住民の暮らしを支え、持続可能な地域づくりを推進することとしております。
 したがいまして、離れた集落の住民の方々に安心して暮らしていただきますためには、その集落と拠点を交通ネットワークで結ぶことが重要であります。そのため、拠点と周辺集落をつなぐコミュニティーバス、デマンドバス等が、人だけではなく貨物も運べるようにするなど、交通ネットワークを確保するための措置を地域再生法改正案に盛り込んだところであります。
 また、小さな拠点の形成に当たりましては、市町村において本法案の趣旨を地域の住民の皆様に十分に御説明するとともに、地域再生計画作成の際に、公聴会等を活用して積極的に住民の皆様方の声を取り入れさせていただくことが肝要であり、政府としてもその旨、よく心して周知をいたしてまいります。
 地方への企業移転と雇用創出に関する目標についてであります。
 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯止めを掛けるため、地方での安定した良質な雇用を創出することが重要であります。
 そこで、地域再生法改正案におきましては、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や、地方における新増設を促進するための枠組みを整備することといたしており、こうした取組も含め、今後五年間の目標として、総合戦略におきまして、拠点強化、移転、拡充のことでありますが、拠点強化の件数で七千五百件、雇用者数について四万人増と掲げております。こうした動きが恒常的なものとなりますよう取り組んでまいります。
 これらに加え、国としては、地域における起業や人材育成を促進する施策にも取り組むとともに、移住する方や御家族にとって重要となる教育、医療、介護などの生活環境整備等を自治体において進めていただくことを通じ、東京から地方への新しい人の流れを生み出すことを目指してまいります。
 またあわせて、政府機関の移転についても、地方自らが考え、国に御提案いただくことで進めてまいります。なお、首都機能の移転につきましては、一貫して国会主導で検討が行われてきたところであります。政府といたしましては、国会での御議論が進むことがまず大事であると、このように考えておる次第でございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化に向けた政府の取組姿勢と目標の実現可能性についてのお尋ねがあっております。
 現在検討中の財政健全化計画につきましては、デフレ脱却・経済再生を確実に進め、できる限り税収増を図った上で、それでも残る基礎的財政収支の赤字につきましては、歳出改革等を通じて黒字化を図るとの考え方で策定をいたしてきているところであります。
 この歳出改革につきましては、現内閣のこれまでの三年間の取組を継続、強化する中で、特に、社会保障につきましては、公的保険の給付範囲の見直しや、医療・介護サービスの負担の在り方の見直しなどの具体的な改革に取り組んでいく必要があると考えております。
 こうした取組を通じ、二〇二〇年度の財政健全化目標の達成をしっかりと目指してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
○国務大臣(林芳正君) 野田議員の御質問にお答えをいたします。
 農地転用についてのお尋ねがありました。
 四ヘクタールを超える農地転用については、農地がまとまって失われるだけではなく、周辺農地における効率的な農業経営の展開に支障が生じるおそれがあることなどの影響を考慮し、農林水産大臣が許可を行ってきたところであります。
 他方、地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における喫緊の政策課題となっております。
 こうした中、昨年八月の地方六団体の提言では、地方が農地を含めた土地利用について権限と責任を担うことにより、真に守るべき農地を確保するとの考え方が初めて示されたところであります。
 今回の地方分権改革における農地法の改正は、これらを踏まえ、優良農地の確保を図りながら地方分権を推進する観点から、農林水産大臣の有する農地転用の許可権限について、都道府県や農林水産大臣が指定する市町村が農林水産大臣に協議した上で許可を行うこととしたものであります。
 なお、お尋ねの基礎自治体への権限移譲の検討については、まずは今回の農地法改正後の制度運用の状況を注視していくことが重要と考えております。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) 新妻秀規君。
   〔新妻秀規君登壇、拍手〕
○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。
 ただいま議題になりました地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案について、自由民主党、公明党を代表して質問をいたします。
 先月、我が党では、地方創生の課題についての全国会合を開催し、北は北海道、南は九州鹿児島から集まった六十名の地方議員とともに、国の方向性そして現場の課題を議論いたしました。本日は、地方議員からの現場の声も交え、質問をさせていただきます。
 まず、地域再生法について伺います。
 地域再生法は、自治体が作成し、政府が認定した地域再生計画を支援するとされています。今後、昨年十二月二十七日に閣議決定をされた国の総合戦略に基づいて、各地域で作成されていく地方版総合戦略との関係はどうなるのでしょうか。石破大臣の答弁を求めます。
 地方創生人材支援制度及び地方創生コンシェルジュ制度についての自治体からの要望について伺います。
 この両制度については、被災地を始め、自治体職員に聞き取りを行ったところ、この制度をつくってくれたことは画期的だとたたえる声がありました。
 地方創生人材支援制度について、今年度から国の職員の派遣を受けることになった被災地のある町長からは、大変に助かる、地方単独では地方版総合戦略の策定はなかなか難しい、町役場の職員、民間、派遣される国の職員の知恵を総動員して良い総合戦略を作りたいと、期待の声が上がっています。
 その一方で、要望も上がっております。
 被災地で復興事業に忙殺されている、地方創生人材支援制度について、知った頃には応募期間が終わっていた、周知期間をもっと長く取ってほしい。地方創生人材支援制度では、派遣可能な職員総数が余りにも少ない、もっと規模を拡大してほしい。コンシェルジュ制度は、電話かメールをいただけたら相談に乗るという事業であり、受け、待ちの姿勢とも言える、国の方から、例えば、利用できる補助金や制度を分かりやすく説明してくれたり先進的な事例について情報提供をしてくれたりという、攻めの相談体制を築いてほしい。コンシェルジュは現場を知っているのか不安、是非現場を見に来てほしい。同じ県を担当するコンシェルジュ同士で横の連携を取り、情報共有に努めてほしい。
 こうした声は、どれも大切な御意見だと思います。内閣府地方創生推進室では、どのようにして自治体からの要望を吸い上げているのでしょうか。そして、それをどのようにして今後両制度に反映していくのでしょうか。先ほど紹介した自治体からの要望への御所見も含め、石破大臣の答弁を求めます。
 地方版総合戦略作成への自治体の主体的な取組と地方議会の関与について伺います。
 地方版総合戦略の作成について、戸惑っている市町村もあります。外部コンサルタントへの丸投げを懸念する指摘も地方議員から上がっております。少なくとも、KPIの設定のように、地方版総合戦略の肝となる部分については、外部コンサルタントに丸投げせずに、自治体が主体的に検討をすることが必要と考えます。
 また、地方版総合戦略の策定段階、効果検証段階において、地方議会での十分な審議が行われることが重要、このように内閣府地方創生推進室作成の地方版総合戦略策定のための手引きにございまして、こちらも重要と考えますが、これは必ずしも義務化まではされておりません。地方版総合戦略の策定への自治体自身の主体的な検討、そして地方議会の積極的な関与をどのようにして促していくのでしょうか。石破大臣の答弁を求めます。
 次に、地方分権一括法についてお尋ねをいたします。
 平成二十六年度対応方針においては、地方からの提案九百三十五件のうち、提案の趣旨を踏まえて対応するとされたものは三百九十二件です。このうち、手挙げ方式は九件にとどまっていると承知をしております。これについての評価及び課題について、石破大臣の御所見をお願いをいたします。
 手挙げ方式についてもう一問お尋ねをいたします。
 地方分権改革の総括と展望では、国から地方への権限移譲においての新たな突破口として、手挙げ方式を導入すべきとする一方で、地方公共団体の間で制度が異なることにより、住民に不自由が生じないよう留意する必要があるとしております。
 政府においては、手挙げ方式のメリット及びデメリットをどのように評価し、どのような事務権限が手挙げ方式による権限移譲に適するものと考えているのか、また、それを踏まえ、平成二十七年度以降の提案募集にどのように臨む方針なのか、石破大臣の御所見をお願いいたします。
 新型交付金についてお尋ねいたします。
 今、平成二十八年度以降の新型交付金の検討がされていると承知をしております。地方交付税という土台の上に、様々な事業を自治体が展開をする上で、その事業の間の隘路を克服するためにこの新型交付金を活用するといった取組が計画をされていると聞いております。昨年の交付金のうち、地方創生の事業に使用されたいわゆる真水は千七百億円、このうち上乗せ分は三百億円でありました。地方創生を深化させるためにも、自治体にとって使い勝手の良い交付金を二千五百億円程度の規模で確保してほしいとの自治体の声がありますが、石破大臣の御所見をお願いをいたします。
 移住・交流情報ガーデンの活用についてお尋ねいたします。
 地方への人材の流れをつくるため、本年三月二十八日、総務省は、移住・交流情報ガーデンを東京駅近くに設立しました。私も、さきの機会に地方議員とともにこの施設を視察いたしました。開所二か月余りで既に二千五百人を超える来場者でにぎわっているそうです。北は北海道、南は沖縄まで、都道府県も市町村もこの施設を活用できるのですが、自治体によって活用の度合いに幅があるそうです。この施設を使ったイベントの開催や、そして移住を促す情報のポータルサイト、移住ナビへの情報掲載など、積極的な活用を是非促していただきたいと思います。高市総務大臣の御所見をお願いいたします。
 以上、地方議員からの声を交え、お尋ねをいたしました。これからも地方創生のために働き抜くことをお誓いをし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 新妻議員からは合計六問の御質問を頂戴をいたしました。
 まず、地域再生計画と地方版総合戦略との関係についてであります。
 地域再生計画は、それぞれの地域において地域再生を図るために取り組もうとする個別の事業や、それを実施するために活用する国の支援措置等について具体的に定める実施計画であります。
 一方、地方版総合戦略は、人口減少克服、地方創生の実現のため、国の総合戦略を勘案しつつ、五か年計画として、各分野における政策の目標や基本的方向性等を明示し、地域の実情に応じた政策全般にわたる戦略を定めるものであり、全ての公共団体に対して平成二十七年度中の策定をお願いしているものであります。
 このように、政策の大きな枠組みを示す地方版総合戦略について、その中に盛り込まれている事業を実施していくための具体的な実施計画が地域再生計画なのであり、両者が相まって各地域において地方創生の取組が進められるものと、かように考えております。
 地方創生人材支援制度と地方創生コンシェルジュ制度についてであります。
 地方創生人材制度につきましては、昨年十月三十一日に私より制度を公表いたしました上で、約一か月間、都道府県を通じた周知、募集を行いました。平成二十八年度の派遣に係る募集に当たりましては、御指摘を踏まえ、より長い募集期間を確保する方向で考えてまいります。
 派遣規模に関しましては、平成二十八年度の民間人材の派遣については、民間シンクタンクに限定することなく、募集対象を拡大することを検討しながら、できる限り市町村の御希望に応えられるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 地方創生コンシェルジュ制度についてですが、コンシェルジュ同士の横の連携、情報共有と現場のニーズの把握を図るため、全ての都道府県において、地方公共団体と地方創生コンシェルジュとの顔合わせ会を開催いたしましたほか、先月には、まち・ひと・しごと創生本部の各地域の担当が当該地域に出向き、市町村地方創生担当部課長との意見交換会を開催し、地方創生において重要な役割を担う市町村の担当者と膝を交え、地方版総合戦略の策定等について話合いをするなど、直接御相談に対応する機会をつくっておるところであります。
 また、都道府県知事、市町村長と地方創生コンシェルジュとの懇談会を随時開催をしており、まち・ひと・しごと創生本部等からも政務四役を始めとするメンバーが参加をいたしておるところであります。
 今後とも、機会を捉えて地方公共団体との意見交換を行い、御要望の把握に努めつつ、地方公共団体からの御相談に対して、単に回答するのみならず、前向きに具体的な提案ができますように、議員の言葉を借りれば、攻めの相談体制を確立をしながら、親切、丁寧、正直に対応をいたしてまいります。
 次に、地方版総合戦略の策定についてであります。
 地方版総合戦略は、各地方公共団体自らが客観的な分析に基づいて課題を把握し、責任を持って地域ごとの処方箋を示すものであります。こうした観点から、民間コンサルティング企業等に地方版総合戦略の策定全てを委託するようなことはせず、地方公共団体自らが起草作業を行うようお願いをし、助言をしておるところであります。
 また、執行部と議会との関係は団体により様々でございますので、一律的な考え方はお示ししておりませんが、議員御指摘のとおり、地方版総合戦略の策定に当たり地方議会の関与は極めて重要でありますことから、執行部と議会が車の両輪となって策定を進めていただきたいと考えております。
 このようなことにつきましては、私から、本年一月、知事、市町村長、議会議長宛てに書簡を発出をいたしました。五月中旬には全国八か所で市町村の幹部等との意見交換会を開催するなど、様々な機会を通じてお伝えをしてきたところであります。
 各地方公共団体におかれましては、執行部と議会が知恵を出し合い、その地域ならではの地方版総合戦略を作成していただきたい、このように考えております。
 次に、地方分権改革における手挙げ方式の実績に対する評価等であります。
 平成二十六年の対応方針において、手挙げ方式により移譲することとしている具体的な事務権限としては、農地転用許可の権限や市町村水道事業の認可、監督権限などがございます。これらについては、調整過程では、各省から、団体によって執行体制等に差異があり全国一律の移譲は困難との意見が出されていたものの、手挙げ方式の活用によって事務権限の移譲が実現でき、これまでの懸案を解消することができたと考えております。
 地方分権に手挙げ方式を導入して間がないものの、今後、この方式による実績を一つずつ積み重ねて関係者の間に定着することにより、全国の多様な行政需要に対応するための選択肢となっていくのではないかと考えております。
 今後の活用方策等についてでありますが、手挙げ方式のメリットとしては、意欲や執行体制を備えている地方公共団体に対する事務権限の移譲が可能となり、移譲後も円滑な執行が期待できること、全国一律の移譲が困難な場合にも対応でき、地域の多様性に応ずることができることなどがあります。
 他方、デメリットといたしましては、手挙げ方式により移譲を受けた団体とそれ以外の団体とで、担当する機関が異なることなどにより事業者が申請等を行う場合には注意が必要なことなどが想定をされます。
 これらを踏まえますと、手挙げ方式に適した事務権限としては、全国一律の移譲が困難であり、地域特性や事務処理体制等に差があるものを考えております。
 今後とも、地方からの御提案を踏まえながら、移譲する事務権限の性質に応じて手挙げ方式も選択肢としつつ移譲を推進するとともに、導入した手挙げ方式の運用状況については必要に応じて検証を行ってまいります。
 次に、地方創生を深化させるための新型交付金についてのお尋ねをいただきました。
 現在、まち・ひと・しごと創生基本方針の策定に向け、地方創生の深化の在り方について議論を深めているところであります。その中で、地方の稼ぐ力を引き出す、地域の総合力を引き出す、民の知見を引き出すという方向性の下、様々なテーマについて具体的な検討を進めております。
 この中で、新型交付金につきましては、地方創生の深化を図る先駆的、優良な取組を支援し、KPIの設定とPDCAサイクルを組み込み、従来の縦割り事業を超えた取組を支援するものにしたいと考えております。
 新型交付金の規模につきましては、まずは、これらの議論を尽くし、新型交付金のコンセプト、これをしっかりしたものにすることが重要であります。その上で、必要な財源の確保も含め検討し、執行する必要がある、このように考えております。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
○国務大臣(高市早苗君) 新妻議員から、移住・交流情報ガーデンの活用についてお尋ねがありました。
 移住・交流情報ガーデンは、全国の仕事や住まいなどのデータを一元的に分かりやすく提供する全国移住ナビとともに、地方自治体などの移住、交流に関する情報を総合的に取りそろえ、各々のニーズに応じて移住希望者と地方自治体をきちんとつなぐために開設した施設です。
 三月二十八日のオープンから二か月余りが過ぎましたが、この間、三千人を超える方々が来場しておられます。新妻議員にも御視察をいただき、感謝を申し上げております。
 週末を中心に、移住、交流に関するフェアや相談会の会場として多くの地方自治体に活用していただいておりますが、いまだに活用しておられない地方自治体にもイベント開催の場として活用いただけるよう、積極的にPRを行ってまいります。
 また、全国移住ナビにつきましても、各地方自治体において、データの更なる充実を図っていただくとともに、地域の魅力を発信するためのプロモーション動画の登録を進めてまいります。
 移住・交流情報ガーデンや全国移住ナビの魅力を一層高め、積極的に活用していくことで地方への新しい人の流れをつくってまいります。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) 寺田典城君。
   〔寺田典城君登壇、拍手〕
○寺田典城君 維新の党の寺田典城であります。
 私は、ただいま議題になりました法律案について、会派を代表して質問いたします。
 質問に先立ち、一言申し上げます。
 やはり安倍総理はどこかおかしいと思います。
 安保法制については、国民に説明もせず、議会に法案を提出していないのに、ワシントンまで出かけてアメリカの議会で夏までに成就させますと約束してきました。
 また、集団的自衛権についても、安倍総理の考えているところまで踏み込むためには憲法改正が必要ではないでしょうか。後方支援であっても、相手国からすれば武力行使と一体と見られるのは当たり前であります。
 登山に例えれば、エベレストに二人が登頂するために、ベースキャンプでは五十人近くが後方支援をしています。登山隊は、登頂する二人だけでなく、後方支援の五十人も含まれます。後方支援部隊も突然の雪崩に巻き込まれて犠牲になることだってあります。
 東日本大震災では、在日米軍が約二万五千人動員されてトモダチ作戦が実行されました。アメリカとの同盟関係を強化することは理解できますが、安倍総理の想定するやり方には無理があるのではないでしょうか。
 安保法制もさることながら、今の日本の財政は存立危機事態にあります。
 例えば、昭和五十六年から始まった土光臨調では、昭和五十九年度赤字国債発行ゼロが公約とされ、公約が果たせなかった当時の鈴木善幸首相は退陣することになりました。八月までに策定される財政健全化目標については、土光臨調のような覚悟も伝わってきません。
 議員の方々も、歳出総額を減らさなければならないことは分かっていても、自分のことについては歳出を増やす要求をしています。いわゆる利益政治を捨て、まず議会自らが痛みを感じて、その上で、地方自治体や国民に対し、地方交付税や社会保障費などの歳出削減について理解を求めなければ、財政健全化は達成できないのではないでしょうか。
 国会に来て五年近くになりますが、揺り籠から墓場まで、言い換えると、幼稚園、保育園から介護施設に至るまで、中央集権的に省益や既得権を守り、前例、慣例を重んじるシステムには驚いております。
 制度を変えることができるのは、国権の最高機関である国会です。この国のシステムを根本から変えてみるおつもりはありませんか。石破大臣にお聞きします。
 次に、コンパクトビレッジについてお聞きします。
 これまでもコンパクトシティーの例はよく聞きますが、成功事例については余り聞こえてきません。一つ二つの成功例が出てきたからといって、その処方箋は全ての地域に有効なものではありません。ところが、国が全国的に展開を始めると、どの地方自治体も流行に走り、模倣し始めます。
 コンパクトシティーを一回り小さくしたコンパクトビレッジも、結局は財政支援措置の中で、全国各地で国の決めた規格どおりの公共施設を整備することになります。今までも各自治体は財政力以上の施設を持ち過ぎてきました。物を持たない豊かさへと考え方を変えていかなければなりません。
 地方の農山村を訪れ、そこに住んでいる方々に話を聞きますと、今住んでいるところを離れて町に移住したいという人は少ないのです。山村で暮らしていた人が農業をやめて町に住んでも、生きがいをなくすだけです。住む人がいなくなれば、農地や里山はすぐに原発の被災地の農地のように背丈ほどもある雑草が生い茂り、荒れ果ててしまいます。人口が減少していくのは自然の流れであります。自然の流れに逆らおうとしてもうまくいかないのではないでしょうか。
 コンパクトビレッジなどといって人工的に活性化するのではなく、最低限の福祉を維持し、自然の姿に任せ、集落をみとっていくという考え方はいかがですか。石破大臣にお伺いいたします。
 これから超高齢化社会を迎えるに当たって、地方よりも心配なのはむしろ都市部です。例えば、六十五歳でリタイアしたサラリーマンは、そこから二十年も生き続けなければなりません。リタイアしてから本当の人生が始まります。組織を離れて自分の生き方をコントロールしていくのは大変なことであります。
 これから十年後には、団塊の世代の方々が後期高齢者となります。高齢化率が三〇%、後期高齢者は一八%になると見込まれています。今から対策を考えなければ、医療費や介護費で国家財政がパンクしてしまいます。
 都市部に住む高齢者に生きがいを持って暮らしてもらい、介護を必要としない健康な人を増やしていくためには、どのような施策を考えられるでしょうか。石破大臣にお尋ねいたします。
 また、高齢者が増加すると、高齢者をターゲットとした消費者被害も拡大することが懸念されます。現在、消費者被害はおよそ六兆円規模であると言われています。おれおれ詐欺などに引っかかりやすいのは、公務員や銀行員といった堅い商売の方が多いというデータもあるそうです。判断能力が低下した高齢者でも安心して消費活動が行える環境を整備する必要性は地方よりも都市部の方が高いのです。
 これから十年後に向けて、高齢者の消費生活の安全、安心を確保するために、消費者庁ではどのような施策に取り組んでおられますか。山口消費者担当大臣にお伺いします。
 次に、地域活力向上についてお尋ねします。
 地方に人口を定着させるためには、安定した良質な雇用確保が必要であることは確かであります。しかし、税制優遇措置や中小企業基盤整備機構による債務保証を行っても、人や企業を移動させることは困難であると思います。それよりも、地方で起業を促す施策と人材育成を優先させるべきであります。個の能力を高めれば、いろいろな形で活用することができます。優秀な人材が集まれば、自分たちで事業を起こすだけでなく、都会の企業も自然に進出してくるのではないでしょうか。
 例えば、子育て支援を徹底したり、義務教育等のレベルを引き上げたり、あるいは、高度な経験や技能を持ったリタイアした人材を講師に招き、専門学校等を設置して若者や中高年に高度なスキルを身に付けさせるということも考えられます。
 しっかりとしたコンセプトを持って町づくりをすれば、自然と人や企業が集まり、地域が活性化するのではないでしょうか。石破大臣の御見解をお伺いします。
 また、グローバル化に対応できた企業は地方でも生き残っています。そのためには、地方でも積極的に海外にインターンを派遣したり、留学させるなど、グローバル人材の育成を行っていくべきであります。地域活力向上特定施設整備事業の所要額の一部を人材育成に振り向けることは考えられませんか。石破大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、第五次一括法案に関連してお尋ねいたします。
 平成五年の衆参両院における地方分権推進に関する決議から始まった地方分権改革ですが、平成十七年の合併特例法により、約三千二百の市町村が千七百になり、平成二十二年には道州制まで一気に進むものと期待していました。その当時、私は秋田県知事をしておりましたが、北東北三県が一つになるのではないかと思い、人事交流も始めました。
 市町村合併についていえば、少子高齢化や人口減少が進み、重複行政を廃止し、行政コストを削減しなければ財政がもたないという危機感を各自治体が持っていたから合併が進んだのだと思います。危機的な状況にある我が国の財政を立て直すためには、地方分権を進め、各地域を自立させていかなければなりません。ところが、地方分権については、市町村合併以降、目立った動きが見られません。何のための市町村合併だったのでしょうか。石破大臣にお尋ねいたします。
 地方分権によって県から権限を移譲された市町村は、小さな町であっても中核市に近い事務をこなしてきました。やろうと思えばできるのに、なぜ一気に地方分権を進めようとせずに、毎年小出しに法案を出してくるのでしょうか。石破大臣にお尋ねします。
 地方創生と地方分権は中央集権との闘いであり、既得権との闘いでもあります。役人と政治家が日本の財政を破綻に導こうとしています。解決が困難な課題に立ち向かわれる石破大臣に敬意を表しまして、私の質問を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 寺田議員から七問いただきました。
 まず、中央集権的なシステムの打破についてであります。
 地方分権につきましては、国は外交・安全保障など国家の本来的任務を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体が担うということを基本としつつ推進していくべきものであります。
 しかるに、これまで我が国は、行政上の事務権限の多くが国に留保され、国の法令等による地方への義務付け・枠付けが広く行われるなど中央集権型の行政システムとなっていたため、地方分権改革の取組により、地方に対する事務権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し等について数多くの改革を実施してまいりました。昨年からは地方からの提案を募る提案募集方式を導入しており、今後とも、地方の発意に根差した改革を着実に進めるため、最大の努力を重ねてまいります。
 このように、地方分権改革を進めることにより、国、地方を通じた財政健全化にも寄与したいと考えております。
 コンパクトビレッジについて、最低限の福祉を維持し、自然の姿に任せ、議員の言葉をそのまま引用すれば、集落をみとるべきではないかとのお尋ねをいただきました。
 中山間地域等において、特に人口の減少や高齢化が進んでおりますが、引き続き同じ集落に住み続けたいという御希望を持つ地域住民は多く、これらの地域において住民の安心な暮らしを守ることは重要な課題であります。
 このためには、生活サービスを集約し、そこに行けば歩ける範囲で必要なものが手に入る拠点の形成、拠点と周辺集落をつなぐネットワークの形成等が効果的と考えられ、地域再生法の改正案において、コンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点の形成に必要な支援を盛り込んだところです。
 集落生活圏の在り方については、住民の方々にも自らの地域の将来の問題として十分に御議論をいただきたいと考えており、このような住民の皆様の意向を踏まえた市町村の取組を国としても支援をいたしてまいります。
 都市部の高齢者の退職後の生活に関する施策についてであります。
 東京都、千葉県、埼玉県及び神奈川県の一都三県は、今後、ほかの地域にも増して急速に高齢化し、後期高齢者の数は、今後十年間、すなわち二〇二五年までで百七十五万人増加することが見込まれております。
 このため、一都三県におきましては、高齢者医療・介護の総合対策について、広域的視点に立ち早期の対応を図ることが重要と考えており、昨日、東京都知事や神奈川県知事等の参加の下、一都三県と国との連絡会議を開催し、高齢化問題等について、今後連携して取り組んでいくことで認識が一致をいたしました。
 また、東京都在住者のうち、五十代男性の半数以上、五十代女性及び六十代男性、女性の約三割が地方への移住の意向を示しておられることから、都会から地方へ移住し、健康でアクティブな生活を送りたいという高齢者の御希望の実現を図るとともに、地方への人の流れを推進するため、現在、日本版CCRC構想について検討を進めており、一昨日、有識者会議において素案を取りまとめていただきました。
 この素案におきましては、地方に移住した高齢者が目標志向型のプランに基づいて、就労や社会活動、生涯学習などに積極的に参加をし、地域の中で支え手としての役割を担っていただくことなどを通じて、できるだけ長く健康で活躍できる仕組みを基本コンセプトの一つとしてお示しをしておるところであります。今後、この構想の実現、普及に向けて更に検討を進め、年内に成案を得たいと考えております。
 地方での起業促進、生活環境整備による雇用の確保についてであります。
 御指摘のとおり、地方に人口を定着させるためには、地方での安定した良質な雇用を創出することが重要であります。
 今回の地域再生法改正案におきましては、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や地方における新増設を促進するために、各地域の計画的、戦略的な企業誘致の取組と相まって、事業者にとって大きな負担となる施設整備や雇用に伴う初期費用を軽減する枠組みを整備することといたしております。
 こうした取組も含め、今後五年間の目標として、総合戦略におきまして、移転、拡充の拠点強化の件数で七千五百件、雇用者数について四万人増と掲げております。総合戦略には、地域における起業や人材育成を促進する施策も盛り込んでおり、例えば創業スクールを全国各地で開催するとともに、新たな事業分野に挑戦する創業、第二創業の支援などを行うこととしております。
 他方、企業の移転に伴い地方へ移住される方やその御家族にとっては、教育、医療、介護などの生活環境が整備されているかという観点も極めて重要であり、これらの政策を総合的に推進し、国と地方と民間とが一体となり、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる環境を地方においてつくり出してまいりたいと考えております。
 地方におけるグローバル人材の育成についてであります。
 地域において企業が活躍するためには、地域経済を担う人材育成の促進や、地域の企業等の優れた技術、サービス等の海外展開を図るなど、グローバル化に対応することが重要であり、昨年末に取りまとめました総合戦略におきましても、地方における人材育成や地域の企業が海外販路を拡大するための支援策を重点施策として盛り込んでおります。
 議員御指摘のグローバル人材育成につきましては、経済産業省において中小企業等の人材を海外へ派遣するインターンシップ事業や、厚生労働省においてキャリア形成促進助成金によるグローバル人材育成の支援に取り組んでおるものであります。
 今後とも、委員の御意見を踏まえ、関係省庁と連携しながら総合戦略を着実に実行することで、地域での企業で活躍するグローバル人材の育成に取り組んでまいります。
 市町村合併の意義と地方分権についてであります。
 平成の合併により、市町村の規模が拡大し、専門職員の確保など、地方分権の受皿としての執行体制が整備されつつあるものと認識をしております。
 これを踏まえて、平成二十三年以降の四次にわたる地方分権一括法では、都道府県から市町村への事務権限の移譲に限っても、延べ七十四法律の改正を行っており、例えば、未熟児の訪問指導の事務を全ての市町村に移譲し、子育てに関する相談窓口を一元化しているなど、市町村への事務権限の移譲を進めておるところであります。
 今回の第五次地方分権一括法案を含め、今後とも、地方からの御提案をいただきながら、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が担うことを基本として、地方分権改革を推進してまいります。
 地方分権一括法についてでありますが、第四次までの一括法は、平成二十年から二十一年にかけて出された地方分権改革推進委員会の広範な勧告を受け、義務付け・枠付けの見直しや権限移譲など、一定のテーマごとに各年度順次取り組みましたため四次にわたったものでありますが、それぞれ数多くの法律改正を行ったところであります。
 今回の第五次地方分権一括法案は、こうしたこれまでの改革の基盤の上に立ち、地域の発意や多様性を重視した提案募集方式に基づき改革を進めるものであります。地方六団体からは、地方分権改革の力強い前進が図られたとの評価もいただいており、今後とも、一歩一歩着実に地方分権改革を推進してまいります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣山口俊一君登壇、拍手〕
○国務大臣(山口俊一君) 寺田議員にお答えをいたします。
 高齢者の消費生活の安全、安心の確保についてのお尋ねがございました。
 六十五歳以上の高齢者の消費生活相談件数、これは全体の約三割と大きな割合を占めており、高齢者人口の伸びを大きく上回るペースで増加をしてきているなど、高齢者の消費生活における安全、安心の確保は重要な課題と認識をいたしております。
 政府は、長期的に講ずべき消費者政策の大綱等を定めた消費者基本計画を、平成二十七年度からの五か年を対象として、本年三月に閣議決定をしたところでございます。
 本基本計画におきまして、高齢化の進行を主要な環境の変化と課題の一つに位置付け、高齢者の消費者被害防止の観点から、最新の手口や発生状況を踏まえた被害に遭わないための注意喚起、どこに住んでいても質の高い相談を受けられる体制の整備、高齢者等の地域の見守りネットワークの構築、推進、高齢者を含む消費者被害の実態を踏まえた対応を図る観点から、特定商取引法、消費者契約法の見直しなどの内容を盛り込んでおります。
 消費者庁としても、関係省庁と連携をしつつ、消費者被害の防止に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) 吉良よし子君。
   〔吉良よし子君登壇、拍手〕
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、日本共産党を代表し、地域再生法改正案と地域改革推進整備法案、いわゆる第五次一括法案について質問いたします。
 初めに、口永良部島の爆発的噴火によって避難を余儀なくされている住民の皆さんに心からお見舞い申し上げます。
 梅雨や台風などの迫る中、家畜も家も車もそのままに、着のみ着のまま避難した皆さんの住まいやなりわいの基盤を守ること、家族で安心して住める避難所を確保することは急務です。避難生活が長引くことも予想される中、民間住宅や民宿をみなし仮設住宅として借り上げること、また、最大限の安全対策を確保した上で可能な限り一時帰島を実現すること、そのために、火山専門家も加わった総合的評価と住民への十分な説明などを含む監視体制の強化が必要ですが、防災担当大臣、国土交通大臣の答弁を求めます。
 それでは、石破大臣にお尋ねします。
 昨年十一月、私は本会議の質問で、地方創生の真の狙いが、集約と活性化により安倍内閣の成長戦略を進め、小泉内閣以来の地方構造改革を更に推進するものと指摘しました。今年に入り政府は、住民に身近な施設などを一つのエリアに集約する小さな拠点や連携中枢都市圏構想の推進に躍起になっています。
 しかし、集約される地域とは、ただ単に人が住んでいるだけではありません。伝統や文化もその地域に根付いています。例えば、宮崎県椎葉村では村内二十六集落、高千穂町では町内二十集落にそれぞれ別個の神楽、夜神楽が残されています。これらは収穫への感謝や一年の生活の安定を祈る祭りですが、町村外へ出た人の帰省を待ってまで続けている集落もあるといいます。そういう集落が人口減少や効率化を理由に集約されれば、こうしたそれぞれの伝統や文化も無慈悲に切り捨てられてしまうのではありませんか。地域、文化の切捨てにつながる集約はやめるべきです。答弁を求めます。
 井戸敏三兵庫県知事は、四月、本院の国の統治機構に関する調査会で、コンパクトシティーや小規模拠点は、一極集中のピラミッド構造を全国津々浦々にまではびこらせようとする発想、中心部だけが繁栄して周辺部の衰退を加速させる、一強成って万骨枯るということにつながると批判されています。石破大臣はこの声をどう受け止めますか。
 続いて、石破大臣に地域再生法改正案について具体的に伺います。
 本改正案は、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、中山間地等において生活・福祉サービスを一定のエリア内に集め、周辺集落と交通ネットワーク等で結ぶ小さな拠点の形成を支援することにしています。
 衆議院の審議で、過疎地における交通の確保について、コミュニティーバスなど、今ある手段だけではカバーできると言い切れないことが明らかとなりました。交通の確保、維持のために、関係省庁との連携の下に急いで支援していかねばなりません。
 ところが、財政措置について問われた石破大臣は、地域に合わせていろいろな制度を組み立てていくという逆の発想が地方創生には必要と述べる一方、財政が厳しい中で、財政重複の排除あるいは縦割りの排除は優先して考えるべきものと答弁されました。
 生活に欠かせない交通ネットワークの整備、維持に係る施策が、財政重複の排除、縦割りの排除によって削減されるということはないと断言できますか。答弁を求めます。
 本改正案では、小さな拠点づくりを含む地域再生土地利用計画を作成することとしています。この計画の作成には、公聴会の開催など住民の意見を反映させるとされていますが、住民の同意は求めていません。住民らが暮らす集落の再編に関わる問題だからこそ、同意を必要とすべきではありませんか。答弁を求めます。
 企業の地方拠点強化について、昨年十二月に閣議決定した、まち・ひと・しごと総合戦略では、多様な正社員の普及、拡大を掲げ、キャリアアップ助成金を活用し、地域限定正社員化を進めるとしています。しかし、限定正社員の場合、普通の正社員に比べ待遇に格差が生まれます。地方でこそ、安定した良質な雇用、正規雇用を拡大していくべきではありませんか。地方創生を労働条件の格差の拡大、雇用の流動化に利用することは許されないと思いますが、いかがですか。
 次に、いわゆる第五次一括法案に含まれている農地法、農振法の改正案について農水大臣に質問します。
 農地は、いわゆる普通の土地とは違い、食料生産の基盤です。この農地の確保と保全は、国民の食料を確保する上で最も基本的な課題です。
 食料・農業・農村基本法七条では、食料の安定的供給の確保を国の責務と定めていますが、その責任を果たすために、農地の確保についても国が責任を持つべきです。だからこそ、転用については国の許可を必要としてきたのです。
 しかし、その農地法の下でも、かつて六百万ヘクタールあった耕地がこの半世紀の間に四百五十三・七万ヘクタールへと減少し、その間、食料自給率もカロリーベースで七三%から三八%へと半減してしまいました。
 既に、農用地区域の設定、変更については、この間の地方分権の流れの下で市町村が自治事務として行うとされています。これに加え、今回の農地法の改正で転用許可権限も市町村に帰属させたら、農地の転用や権利移動についての権限は市町村に集中してしまいます。
 また、農振法の改正で、農業振興地域整備計画で定められた農用地区域における宅地の造成、土石の採取又は建築物の新築、増改築などの開発行為についても、都道府県知事の許可を条件としていたのを指定市町村長に移譲するとしています。こんなことをすれば、地元の地権者や進出企業の開発の意向に引きずられて、農地の壊廃は一層進み、食料生産の基盤が大きく損なわれることになるのではありませんか。そうならないという保証はありますか。
 さらに、農振法はこれまで、農用地確保のための国の責任が明確にされていたのに、本改正案では、関係市町村の意見、都道府県知事の意見を聞かないと農用地確保の基本方針を農水大臣は決められなくなります。
 農水大臣にお尋ねします。今ある農用地等の確保に関する基本方針では、平成三十二年に確保すべき農用地等の面積を四百十五万ヘクタールと定めていますが、これを見直すというのですか。国が持つべき目標を地方からの積み上げに委ね、国が果たすべき食料の安定的供給と農地の確保という責任を本当に果たすことができるのですか。
 農地の転用は、九〇年代のリゾート法など、バブルをもたらした開発ブームの中で急速に進みました。今、地方創生の名で地方版総合戦略の作成が全ての自治体に求められています。この戦略の中身によっては、農地に関する規制緩和と相まって、一層の農地の壊廃をもたらすことにはなりませんか。
 国民の命を支える食料の安定供給の土台であり、国土や環境、伝統文化を守る役割を果たしている農業を、この法案を含めた政府の農地改革で掘り崩すことはあってはなりません。石破大臣の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 吉良議員より六問御質問いただきました。
 まず、集約により集落の伝統や文化を切り捨てることになるのではないかという御質問であります。
 中山間地域等におきまして、特に人口の減少や高齢化が進んでおりますが、引き続き同じ集落に住み続けたいという御希望を持たれる地域住民の方々は多く、これらの地域において、住民の方々の安心な暮らしとともに、その地域の伝統や文化を守ることは重要な課題であります。
 一方、少子高齢化や人口減少、厳しい財政状況を踏まえると、このまま手をこまねいていれば地域の安心な暮らしを支える生活サービスの維持が一層困難となるおそれがあると考えております。
 このため、地域再生法改正法案では、地域住民の合意の下、日常生活に必要なサービスを提供する施設を集約するとともに、周辺集落と交通ネットワートで結ぶコンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点を形成することを盛り込んでいるものであります。これにより、その地域に住み続けながら生活サービスを享受できるようにするという考え方であり、それがひいては地域、文化、伝統を守ることになると、そのような考え方にのっとっておるものでございます。伝統や文化を無慈悲に切り捨てるようなことは絶対にいたしません。
 井戸敏三知事の御発言についてであります。
 知事からは、コンパクトシティーやコンパクトビレッジという発想は、一極集中のピラミッド構造を全国にはびこらせるものであるとの御意見があったことは承知をいたしております。
 しかしながら、これらの政策によって我々の目指すところは、人口減少に伴い住民の生活に必要なサービス機能の維持が課題となっている中にあって、これらの機能を拠点に集約するとともに、周辺との間を交通ネットワークで結ぶことにより、中心部のみならず周辺部の住民の方々も一体となって安心な暮らしを享受できる持続可能な地域をつくることにございます。
 したがいまして、コンパクトシティーやコンパクトビレッジという発想は、中心部だけが繁栄して周辺部の衰退を加速させるものであるとの御批判は当たりません。
 次に、交通ネットワークの整備、維持に係る施策の財政措置の削減の有無についてであります。
 過疎地域等において住民の方々が安心して暮らしていけるようにするためにも、交通ネットワークが確保、維持されることが重要であります。その上で、今回の地方創生におきましては、これだけしか予算がないのでそれに合わせて取組をしてもらうということではなく、その地域に最もふさわしい交通ネットワークの整備、維持に係る取組をその地域にお考えいただき、それに合わせた形で財政措置を組み立てていきたいと考えております。
 なお、財政が厳しい中におきましては、重複の排除、縦割りの排除を進め、真に必要な取組を進めるための財源を確保することは必要なことであります。
 地域再生土地利用計画の作成に当たって住民の同意を必要とすべきではないかということでありますが、小さな拠点の形成を進めるに当たりましては、当該地域に生活しておられる住民の方々の声を反映させながら進めていくことは重要であります。
 このため、地域再生法改正法案では、市町村は、地域再生土地利用計画の作成に当たっては、公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものといたしております。この手続では住民の同意までは求めておりませんが、今回講ずる措置により、計画作りに当たる市町村は、できるだけ多くの地域住民の御参加を得ながら、多様な意見を酌み取り、粘り強く住民の合意形成を図っていくことになります。
 次に、地方における安定した良質な雇用の拡大についてであります。
 地方創生の推進には、若い世代が地方で安心して働くことができるよう、相応の賃金、安定した雇用形態、やりがいのある仕事を満たす、以上の雇用の質を重視した魅力のある仕事を地域につくっていくことが必要であると考えており、国の総合戦略にも明記しておるところであります。
 地方における雇用の場の創出に当たりましては、雇用の量ばかりではなく、魅力ある職場づくりや労働環境の整備に取り組み、質の向上を図ることが必要です。このため、総合戦略におきましては、若い世代の経済的安定を柱に据え、若者や非正規雇用労働者の安定雇用の実現に向けた取組を進めることといたしており、引き続き、地方での質が高く安定した雇用の実現に向けて取り組んでまいります。
 農地転用許可の権限移譲についてでありますが、今般の制度の見直しは、地方分権と食料の安定供給等に必要な農地の確保の両立を図る観点から地方に権限移譲を行うものであり、転用許可基準の規制緩和を行うものではございません。
 また、地方への権限移譲に併せて、農地の総量確保の仕組みにつき、市町村の意見聴取手続を創設するなど、国と都道府県、市町村が相互に協力して、国全体として農地の総量確保が図られるよう充実強化することとしております。
 地方団体におきましては、先般、農地転用の権限移譲に当たって、転用許可の適正な運用を徹底するとともに、農地の確保に関して国とともに責任を担っていく旨の申合せを行っており、地方版総合戦略の策定に当たりましても、必要な農地を確保しながら、農林水産業、農業の成長産業化に向けた取組を進めていただけるものと、このように考えておる次第でございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
○国務大臣(山谷えり子君) 吉良よし子議員から、住民の一時帰島についてお尋ねがありました。
 噴火時に着のみ着のままで緊急避難された口永良部島民の切実な要望に応えるため、屋久島町長の判断により、消防団員等が住民代表として一時帰島して、各住戸の戸締まり、ガス、電気の点検、貴重品の持ち出しなどを行いました。火山活動が依然として高まった状態下での上陸となることから、政府としても、気象庁、火山専門家による助言、緊急時の避難収容に備えた自衛隊等のヘリコプター、海上保安庁巡視船の配備などの支援を行い、安全確保に万全を期したところです。
 引き続き、火山活動をしっかり監視し、正確な情報提供を行うとともに、避難者の要望にできる限り応えられるよう、鹿児島県、屋久島町とも連携して取り組んでまいります。
 次に、口永良部島から避難してきた住民の方々に対して、民間住宅や民宿をみなし仮設住宅として提供すべきではないかとのお尋ねがありました。
 全島避難が決定した先月二十九日以降、屋久島の避難所等に島民の方々全員が避難しており、避難の長期化も懸念される中で、避難者の方々の不安を取り除き、安心した生活が少しでも取り戻せるよう、住まいの確保に努めていくことが重要だと考えております。
 そうした思いを共有しながら、現在、鹿児島県及び屋久島町において、避難者の方々に対して住宅に係る意向調査等を実施していると承知しております。国としましても、その結果なども踏まえて、県や町と緊密に連携しながら、二次避難所としての民宿等の活用や災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供も含め、避難者の方々の住まいの確保が迅速に図られるよう努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
○国務大臣(太田昭宏君) 口永良部島の総合的な評価、住民への十分な説明及び監視体制の強化について御質問がございました。
 口永良部島につきましては、昨年八月の噴火以降、気象庁が監視体制を強化するとともに、火山の活動状況の鹿児島県及び屋久島町への提供、住民への直接説明を行ってまいりました。
 今回の口永良部島の噴火につきましては、火山噴火予知連絡会は、今後も今回と同程度の規模の噴火の可能性があるとの評価を行っています。この見解については、鹿児島県や屋久島町にも説明しています。
 このような状況を踏まえ、気象庁では、屋久島町に職員を常駐させ、上空からの火口観測を行うとともに、地震計を増設するなど観測体制の強化を図っているところです。また、火山噴火予知連絡会においては、火山の専門家や関係行政機関が一体となって口永良部島の観測及び総合的な評価を行う体制を整備しています。
 火山活動の状況については、引き続き厳重な監視を行うとともに、地元自治体と連携して、適時に住民に対ししっかりと説明を行ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
○国務大臣(林芳正君) 吉良議員の御質問にお答えいたします。
 農地法に基づく農地転用許可及び農振法に基づく開発許可に係る市町村への権限移譲についてのお尋ねがありました。
 今回の第五次地方分権一括法案における農林水産大臣が指定する市町村への農地転用許可及び開発許可の権限移譲については、市町村の申出を受けて、農地転用許可や開発許可の基準に従って、制度を適正に運用すると認められることなどの基準を満たす、農地の確保に責任を持って取り組む市町村を指定することを基本的に考えております。
 また、これらの権限の移譲に当たっては、優良農地の確保を図る観点から、許可基準の緩和は行わないこととしております。さらに、農林水産省として、指定市町村におけるこれらの制度の運用状況を把握し、必要な場合には所要の是正措置を講ずべきことを求めること等も考えております。
 このため、農地法及び農振法の改正により、農地の壊廃が一層進み、食料生産の基盤が大きく損なわれるとの御懸念は当たらないものと考えております。
 農用地等の確保等に関する基本指針についてのお尋ねがありました。
 現行の基本指針における確保すべき農用地等の面積の目標である四百十五万ヘクタールについては、平成二十二年に閣議決定をしました食料・農業・農村基本計画において、平成三十二年の農地面積を四百六十一万ヘクタールと見通したことを踏まえ、定めたものです。
 この基本指針については、本年三月に閣議決定した新たな基本計画において、平成三十七年の農地面積を四百四十万ヘクタールと見通したことを踏まえ、今後、見直しを検討していく考えです。
 また、この確保すべき農用地等の面積の目標については、今回の第五次地方分権一括法案における農振法の改正によって、都道府県及び市町村から意見を聞くこととしており、都道府県及び市町村と十分議論をした上で国が定めることとしております。
 このような制度の適切な運用を通じ、国、都道府県及び市町村が、共通認識の下、食料の安定供給の基礎である優良農地の確保に取り組んでいくこととしております。
 以上です。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第一 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長広田一君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔広田一君登壇、拍手〕
○広田一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、九州旅客鉄道株式会社の自主的かつ責任ある経営体制の確立等を図るため、同社を旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の適用対象から除外するとともに、同社が完全民営化した後も配慮すべき指針の策定等、国鉄改革の経緯を踏まえた経営を実施することを確保するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、JR九州の完全民営化の在り方、赤字路線の維持及び輸送の安全の確保に向けた取組、税制特例の取扱い、JR北海道・四国・貨物三社の将来展望等について質疑がなされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して辰巳孝太郎委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十四  
  賛成           二百二十二  
  反対              十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会