第189回国会 法務委員会 第6号
平成二十七年四月十四日(火曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
     矢倉 克夫君     山口那津男君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     山口那津男君     矢倉 克夫君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     田中  茂君   アントニオ猪木君
 四月十日
    辞任         補欠選任
   アントニオ猪木君     田中  茂君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                足立 信也君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
       外務大臣政務官  宇都 隆史君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      久保田 治君
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       警察庁生活安全
       局長       辻  義之君
       警察庁刑事局長  三浦 正充君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       法務省訟務局長  定塚  誠君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       外務大臣官房審
       議官       豊田 欣吾君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (外国人に対する入居差別に関する件)
 (ヘイトスピーチに対する規制に関する件)
 (訟務局創設の意義に関する件)
 (難民認定率の低下の背景に関する件)
 (住民基本台帳事務におけるDV被害者の支援
 措置申出に関する件)
 (通信傍受法の対象犯罪の拡大及び被疑者と弁
 護人の接見の盗聴に関する件)
 (裁判員制度に関する意識調査と裁判員制度の
 今後に関する件)
 (開発協力大綱と特定秘密保護法の整合性に関
 する件)
○矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する
 法律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官久保田治君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。
 今日は、法務省の人権侵犯事案に対する対応が効果的なのかどうか、問題があるのではないかという視点から具体的にお尋ねをしたいというふうに思います。
 法務省の発行されております「人権の擁護」、これは法務省人権擁護局が出しているパンフレットですけれども、そこの七のところに外国人という項目があります。さらに、法務省のホームページを拝見いたしますと、外国人が理髪店、散髪屋さんに入ろうとしたところ拒否をされたと、それについて具体的な例が述べられておりますけれども、人権擁護局としてどういう対応を取られたのか、何があったのか、まずそこをお示しください。
○政府参考人(岡村和美君) 外国人の人権につきまして救済措置を講じた具体的事例としては、理容店で外国人であることを理由に理容サービスの提供を拒否された事案について調査した結果、理容店の店長が、外国人に対しては一律に理容サービスの提供を拒否するとの方針の下、申告者に対しても理容サービスの提供を拒否したことが認められたことから、店長に対して理容サービス提供の在り方について改善に努めるよう説示した事例がございます。
○有田芳生君 昨年でしたか、この法務委員会でも谷垣法務大臣のときに、サッカーの浦和レッズのファンが試合場にジャパニーズオンリーという垂れ幕を掲げたと、それに対して、大きな問題となって、そしてその掲げた人たちはもうサッカー、試合の観戦ができないというような厳しい対応などが取られておりました。
 一方、そういう民間では厳しい措置がなされているにもかかわらず、まだまだ法務省人権擁護局などの対応というのは問題を抱えているのではないかということで、具体的にお話をしたいというふうに思います。
 二〇一三年の一月二十二日に、京都の龍谷大学の学生で、これは北欧から来られた方です、私も話を伺いましたけれども、現在二十八歳です。二〇一三年に生協の雑誌に掲載されていた紹介物件を見て、ここに住みたいなということで相談センターに物件を見に行きたいという相談をいたしました。
 ところが、生協の担当者がこれは大家が外国人お断りの物件だということを伝えましたので、留学生がなぜかと聞いたところ、以前にトラブルがあったという説明があって、だけどもう一度確かめてほしいというふうに頼んだところ、生協担当者が、その管理会社に電話をしたんですけれども、やはり無理だということを伝えました。留学生は、これは露骨な人種差別じゃないかということを言ったところ、生協の担当者は、これは差別ではないということを語りました。しかし、それが問題となって、二〇一三年の六月七日、生協の理事長が対応に問題があったという謝罪文をサイトに掲載をいたしました。
 さらに、その六月七日からしばらくたった二〇一三年の六月二十一日、今度は留学生が京都地方法務局にこの件を相談をいたしまして、人権救済の申立てを行いました。そのとき担当者はこう語っております。法務局は人種差別と闘うための何らの法的な権限も手段も有していない、法務局はどのような手続を行ったのか一切詳細を明らかにすることはできない、ただ手続の結果を知らせるだけである、最も良い結果としては大家に対する警告があり得るけれども、この場合も何ら強制力はないというようなことを伝えられました、留学生は。
 その相談から一週間後に法務局の人権擁護課長から人権救済手続を開始するという連絡がメールで来ました。ところが、そこでも、調査内容等についての御質問には一切回答できませんと。それから何と一年半後、一年半後にこういう通知が来ました。まず名前が書いてあるんですけれども、平成二十五年六月二十一日に人権救済の申立てがありましたアパート仲介拒否の件につきましては、調査の結果、人権侵犯の事実があったとまでは判断することができませんでしたので、平成二十六年九月十九日に侵犯事実不明確の決定をし、あわせて、龍谷大学生活協同組合に対し賃貸物件の取扱いについて啓発を行いました。
 まず、この侵犯事実不明確の決定をするまでに何で一年半も掛かるんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 現実に時間が掛かったということについては、複数の関係者もおりますし、個別の事案について様々な事情があると思いますが、時間が掛かったことについては大変残念に思います。ただ、個別の事案の内容についてこれ以上深く御説明することについては差し控えさせていただきます。
○有田芳生君 この現在二十八歳の青年に私は詳しく話を聞きましたけれども、法務委員会で質問するに当たって、個別の事案だからお答えすることは差し控えるという回答が来るだろう、だけどどうですかと聞いたところ、いや、全然差し支えありませんよ、私のことは全て明らかにしてくださいと言っておりますけれども。
 今ここでお聞きをしても私が説明した以上のものはありませんから、どうですかというようなことは、やぼなことは聞きませんけれども、やはり個別の事案、個別の事案ということで何か逃げているような、いわゆる官僚答弁というのは、この問題だけではありませんけれども、どうして個別の事案、本人がいいと言っても明らかにすることができないんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 関係者のプライバシーを保護するとともに、調査に関わる事実をみだりに公にすることにより今後の法務省の人権擁護機関の調査に関する支障を生じさせることがないようにするなどの観点から、個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただいております。
○有田芳生君 風呂屋さんに外国人が入ろうとして拒否をされたことは小樽でかつて裁判にもなって、訴えた方が勝訴をするということ、何件もありますけれども、風呂屋にも拒否される、理髪店にも拒否される、あるいは、今御紹介したように、入居しようとしても問題があるというふうに言われる。これは、全国各地の地方自治体の調査によっても、例えば三重県とか京都市の調査でも、やはり住居に関する差別というのは多くの外国人が経験をして、非常に嫌な思いをしているという証言も聞いております。
 今回御紹介した二十八歳の北欧から来た青年について言っても、子供の頃に日本のアニメ、具体的に言えば「ドラゴンボールZ」が非常に好きで、それをきっかけに日本語を学んで日本に留学をした。その彼が、こういう経験をしてどうですかということを聞きましたら、物すごくショックを受けたと言うんですよね。そういうことがあることは聞いていたけれども、自分がいざ体験してみると、本当につらい思いをしたと。この大学の生協だけではなくて、京都市内の不動産屋に行ってもそういうことを言われたこともあるんだと。じゃ今、そうはいっても、日本に暮らしていて日本に対する印象変わりましたかと聞きましたところ、完全には変わっていなくて、やはり日本は好きなんだと、だけど、こういう差別というものはなくしてもらいたいということを心から願うというふうに彼は語っておりました。
 そこで、もう少しお聞きをしたいんですけれども、例えば不動産屋で外国籍の人には貸さないという張り紙が貼ってある場合は、それは違法なんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 御指摘のような張り紙を不動産業者が貼る行為が違法か否かは、それに基づいて賃借を拒否された者がいるかなど、個々の事案の具体的状況を踏まえて判断する必要がございます。ただ、そのような張り紙は、外国人に対する差別意識を助長することにもなりかねず、人権擁護上問題があり得るものと考えられ、必要に応じて啓発を行うことが考えられます。
○有田芳生君 端的に伺いますけれども、そういう張り紙があった場合、法的な措置を現在はとることができるでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 御指摘のような張り紙があった場合ということだけでは具体的な被害事実、侵害事実が明確でありませんので、なかなかここで結論を出すことは難しいと思っております。
○有田芳生君 そうした入居差別について、宅地宅建業者に対して是正を指導する担当省庁というのはどこになるんでしょうか。あるいは、さらに法務省とはこの問題でどのような連携を取っているんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 法務省としてのお答えになりますが、国土交通省との関係では、宅地建物取引士用の法定講習のテキストに外国人に対する入居差別の問題に関する記載がある法務省作成の啓発冊子「人権の擁護」の抜粋などを掲載するなどの例がございます。
○有田芳生君 分かりました。
 さらに、違った視点からお聞きをしたいんですけれども、前回の法務委員会でもお聞きをしましたけれども、法務省が最近力を入れて啓発をしてくださっている「ヘイトスピーチ、許さない。」という非常に目立つポスター、リーフレット、資料でもお示ししました。全国各地の駅頭にも貼られておりますけれども、本当にうれしいという人もいれば、快く思わない人も当然おりまして、例えば現在、大阪の心斎橋の地下鉄の構内にこのポスターが貼ってありますけれども、もうびりびりに破られました。それに対して駅員は、破られたものをセロテープで丁寧に貼って元どおりにしているんですけれども。
 枚数少ないんですよね。だから、そういうときにすぐに欲しいといったところには対応できるような、そういう迅速な対応をしていただきたいということをまず最初にお願いをしておきたいというふうに思います。
 前回もお聞きをしたんですけれども、このヘイトスピーチに対する電話相談について、前回お聞きしたところでは八十四件というお答えがありましたけれども、もう少し詳細に教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 前回の法務委員会においてヘイトスピーチに関する人権相談の件数について、平成二十六年五月からの合計件数が八十四件であった旨お答え申し上げましたが、この件数は正確には平成二十五年二月以降の相談件数でありましたので、その旨訂正させていただきます。
 また、先日もお答え申し上げましたとおり、このヘイトスピーチに関する人権相談は電話によるもののほか面接等によるものもあり、平成二十七年四月六日までに当局で把握している件数を八十四件とお答えしたものであります。
 さらに、相談の内容としましては、ヘイトスピーチに関する啓発や規制の在り方についての意見も多いが、相談者自身や知り合いがヘイトスピーチによって被害を受けたとする方からの相談もあります。
 その前提でお答えいたしますと、平成二十七年四月十三日時点で当局が把握している相談件数は、前回お答えした八十四件から九件増加して、合計九十三件でありました。そのうち、ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動を実施するようになりました平成二十六年十一月下旬以降に寄せられた相談は七十六件でございます。
○有田芳生君 今日、資料としてもう一枚お示しをしました、昨日の毎日新聞夕刊の社会面トップ記事です。「法務省のヘイトスピーチ対策 電話相談がっかり」、今の法律で対応できぬ、当事者の頑張りが重要と、これは人権擁護委員の方が電話で語っていらっしゃった内容です。
 時間あるときにお読みいただきたいというふうに思いますが、副大臣、ヘイトスピーチというのは何なんでしょうか。
○副大臣(葉梨康弘君) お答えいたします。
 ヘイトスピーチとは何かということでございますけれども、まさに人種差別、偏見や差別を内容とする、それを殊更助長するような、そういうような表現といいますかスピーチだと考えています。
○有田芳生君 法務委員会でも何度もお聞きをしておりますけれども、例えば、これまでも具体的な中身についてお尋ねをしたことがありますけれども、副大臣、具体的な問題として、こういう言葉、どう評価されますか、ごみはごみ箱へ、朝鮮人は朝鮮半島へ。これはヘイトスピーチですか、あるいはそうではないですか。
○副大臣(葉梨康弘君) 個別のケースによってやはり判断をされなければならない部分も多いかと思いますけれども、多分、先生おっしゃられていますようなそういう言葉が非常に在日の方の多い地域で発せられるということであれば、やはりヘイトスピーチというふうに捉えられることが多いんじゃないかと思います。
○有田芳生君 そういう対応を法務省人権擁護局の職員の方々あるいは人権擁護委員の方々にも徹底していただきたいんです。
 例えば、二〇〇九年から一〇年に起きた京都朝鮮学校襲撃事件、これはもう最高裁でも判決が確定している件ですけれども、あるいは徳島県教組襲撃事件、そして奈良の水平社、誹謗中傷、侮辱の街宣活動をやった人物がおりますけれども、現在、執行猶予中です。彼が市会議員選挙に出るために大阪の法務局を訪れました。そのとき、法務局の担当者とこういう会話を交わしております。本人が明確に、ネットで見ていただければ分かりますけれども、私は市議選ではごみはごみ箱へ、朝鮮人は朝鮮半島へと訴えますが、これってヘイトスピーチなんですかというふうに聞いているんですよね。それに対して、結論だけにしますけれども、大阪法務局の窓口で対応した方は、それがヘイトスピーチか否かをお答えする立場にはないと答えているんですよ。
 だけれども、皆さん率先してヘイトスピーチは許さないというこの啓発をやっていて、そこには、きちんと今副大臣が答弁なさったように、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動というものをヘイトスピーチと理解しているから、こういうものを法務省も作っているわけですよね。だけれども、現場ではそういう対応が取られていないんですよ。どう思われますか。もっと徹底すべきじゃないでしょうか。
○副大臣(葉梨康弘君) このヘイトスピーチの問題ですけれども、私自身、法務省副大臣になりまして七か月たちました。この法務委員会でも非常にいろんな議論がされているわけですが、観光客の方もどんどん増えているし、それから、これから技能実習の法案についてもまた御審議いただくわけですけれども、外国人がどんどんどんどん日本の国内においても増えてきているという中で、この外国人の人権の問題というのは今以上に私ども重視していかなければいけない問題だと。これは別に法務省法務局だけではなくて、各省庁全て同じような問題意識を持っていかなきゃいけないし。
 ですから、今申し上げましたように、はなから、例えば不特定多数に向けられたものだからこれは人権侵害にならないと。一般論としてはそうなんですけれども、そうじゃなくて、先ほど申し上げましたように、個別のケースによってはやはり人権侵害になることもあり得るわけですから、そこら辺のところは、外国人の人権の問題に対してはより敏感に我々としても対処していくということが必要だということは、法務省だけではなくて、各省庁が全てやっぱり共有した問題として捉えていかなければいけないなというふうに感じております。
○有田芳生君 人権擁護局長にお聞きをしたいんですけれども、個別の電話相談の問題点については今から具体的な例をお示ししますけれども、昨年の十一月以降、特にヘイトスピーチに特化した啓発活動を強化されているということは非常に好ましいことだというふうに思いました。しかし、先ほど副大臣が答弁されたような形で、例えば、先ほど言いましたように、ごみはごみ箱へ、朝鮮人は朝鮮半島へ帰れというようなことがヘイトスピーチだというようなことは現場の電話相談の中では分からないという、そういう対応をされている人が多いんですよ。
 お聞きをしたいのは、それだけ強い啓発活動を今なさっているときに、ヘイトスピーチの問題についてのガイドラインとか指針とか、あるいはパンフレットというようなものを作られましたでしょうか、つまり、電話相談を受ける人のために。
○政府参考人(岡村和美君) 電話相談を受ける職員については研修はしておりますが、一般的な外国人の人権についての研修の中でヘイトスピーチについて触れるにとどまっております。しかしながら、最近では、この研修の中で、特にヘイトスピーチに関する相談についての対応方針も説明を始めております。今後も、各種研修の機会を捉えて同様の説明を実施する予定でおります。
 今後につきましては、ヘイトスピーチの相談はやや特殊性があると思われるところ、現場の相談対応者の個性は様々であろうことから、まずは各局に一人は精緻な対応ができる者を置き、困難な相談はその者に交代して対応するという体制にするよう努力を開始したいと思っております。
○有田芳生君 副大臣が答弁してくださったように、ごみはごみ箱へ、朝鮮人は朝鮮半島へ帰れというのは、京都地裁の判決あるいは大阪高裁の判決でも確定したわけですけれども、人種差別撤廃条約第一条第一項に基づいて、これは人種差別なんだという認定がもう確定しているんですよね。だから、そういうことも含めて、やはり今後、電話相談の中ではしっかりとした対応をしていただきたいと強く思うんです。
 具体的なことで、これは新聞記事にもなりましたけれども、例えば、在日の男性が三月三十日に電話相談をいたしました。東京の事務所の近くで差別デモがしばしばある、見たくないし聞きたくない、恐怖を感じるんだということに対して、これは法務省の職員ですけれども、韓国人死ねとのデモが人権侵害に当たるかどうか、きちんとした調査をしないと分からない、韓国人は死ねというのは調査をしないと人権侵害とは言えないというような回答を行っているんですよね。こうも語っております。法務省としては、国の行政、中立的な立場なので、啓発活動を通じて人権意識を高める、それが国の対策として生ぬるいという御意見ならば、上に伝えていきたいと。
 しばしば電話相談した人たちに話を聞きますと、記録に残しますとか、参考にします、貴重な提言として受け止める、そういう言葉が余りにも多いんですよ。だから、私は、こういう事例、何人もの者を集めて話を伺って、これは、今お話しなさったように、担当している個別の法務省の職員あるいは人権擁護委員の認識ではなくて、ひょっとしたらそういうガイドラインなどを作っていらっしゃるのかなと思わざるを得ないような感じがしたものですから、今お聞きをしたという次第です。
 通告しておりませんが、最後に大臣にも感想はお聞きしたいと思いますので、お願いをしたいんですけれども。
 もう一つ、これはやはり在日の女性、四月三日に電話相談しました。この女性は朝鮮大学の卒業生で、在特会の前会長が朝鮮大学の前に来て、おまえら出てこいよ、殺してやるからというようなことを叫びました。ネットでも今でも出ております。そこに警察官はいたけれども、全く対応しませんでした。目の前に朝鮮人、在日朝鮮人の女性たちがいるところで、おまえたち出てこいよ、殺してやるから、怖くて出てこれないのかよというようなことをやっているのが今でもネットに出ていますから。それを止めてほしいということを言ったところ、先ほども紹介しましたけれども、これは人権擁護委員です、ネット上の動画は人権侵害じゃないのかということを問うたところに、記録に残します、参考にしますということを言っただけではなくて、これ新聞でも報道されていますけれども、人権を守るには当事者が頑張るのが重要だと。殴られてばかにされても、本人がいいと言うなら、やめろよって他人が言ったって、やめろよって言ったって、あいつがいいと言っているんだからいいだろうという話にもなる、どうにもならないということはあるんだというような、これは人権擁護委員が語っているんですよ。
 この女性は、本当に恐怖の体験をした上で電話相談、心を決して掛けて自分の思いを伝えた。だけど、そういう対応。繰り返します。当事者が頑張るのが重要だ、どうにもならないということもある、これを人権擁護委員が語られたことによって、今でも彼女は、相談しなければよかった、被害当事者として心底そう思いますと、そう語っているんですよ。だから、そこのところはもっと正確な対応ができるような体制を是非とも取っていただきたいというふうに思っております。
 さらに、もう一点だけ紹介をしておきます。これは別の方ですけれども、人権教室の話が前回も出ましたけれども、これも在日の方が、ヤフーの韓国、朝鮮関係のニュースに差別的書き込みが余りにもひどくて削除されていないと、こういうことに対して法務省として人権侵害事件として関与をできないんですかということを聞いたら、できませんという返事がありました。じゃ、啓発として、こういう差別デモを行っている人たちに対して個別的な啓発はできないんですかという質問をしたんですよね。そうしたら、何と答えていいか分からなくなって保留にした後で、こう答えました。法務省では人権教室という形で出向いて啓発活動を行っている、来て啓発活動をやってほしいという依頼があれば啓発に行くことはあると。ヘイトスピーチをやっている人たちから人権教室を開いてほしいとの依頼があれば、行って啓発活動を行うことはある、そう言われたので、じゃ、ヘイトスピーチで困っている、被害を受けている人が、あの人たちに啓発に行ってくださいということはお願いできないんですかということを問うたところ、無理だと、法律がないのでそのような対応になるという話で、さっきと一緒で、そのような意見があったことは記録に残しますというところで終わってしまっているんですよね。
 やはり人権教室などの啓発というのは相手が依頼してこないとできないものなんですか。
○政府参考人(岡村和美君) 一般的にはそうでありますが、これから委員御指摘の点も踏まえて検討してまいる所存でございます。
○有田芳生君 何度も何度も繰り返すんですけれども、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを迎える日本において、外国人がどんどん観光客として増えてきているときに、この間の日曜日でしたか、やはり、新橋から銀座にかけてヘイトスピーチ、先ほど御紹介をしたような言葉を吐き散らしているデモがありました。外国人はそれを見てもうびっくりしています。日本はこんな国だったのかという感想を語る人もおりました。何よりも東京オリンピック・パラリンピックを迎える日本がやはりそうした人種差別の扇動というものをなくしていかなければならないということは、これはオリンピック・パラリンピックの問題以前に、やはり人間の尊厳に対する侵害として、人権問題として克服していかなければならないことだと私は強く思っております。
 もう時間が来ましたので、今日の一連の質問について、上川大臣、御感想をお聞きしたいというふうに思います。
○国務大臣(上川陽子君) ヘイトスピーチについての対策ということで、この十一月から精力的に取り組んでまいりました。まず、ポスターをしっかりと掲示をしていただく、そしてそれにSOSの一一〇番ということで御連絡をいただく、そうした被害を受けていらっしゃる、あるいは不快な思いをしていらっしゃる方からの勇気ある電話相談等につきましては、顔の見えない関係ではあるわけでありますけれども、その勇気ある相談に対してしっかりと向き合っていくということは大変大事な姿勢だというふうに思っております。
 研修等も十分に積み重ねながら、そうした御相談に対しても真摯に対応できるように万全を期してまいりたいというふうに思っております。
○有田芳生君 終わります。
○矢倉克夫君 公明党、矢倉克夫です。よろしくお願いします。
 まず、先週の十日であったと思いますが、訟務局、設置をされました。そちらのまず意義についてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(定塚誠君) お答えいたします。
 その前に、訟務局創設に当たりましては各方面から多大なる御支援をいただきまして、どうもありがとうございました。職員一同頑張っていきたいというふうに思っております。
 これまで訟務は、国の利害に関する訴訟が提起された場合にこれに適切に対応するということを重きを置いてやってきたわけでございますが、今後は、将来の法的紛争を回避するためのいわゆる予防司法機能も強化する必要があるというふうに考えております。また、国際化の進展に伴いまして、国際訴訟等への関与の在り方についても積極的に検討していく必要があるというふうに考えております。
 そして近年、国の利害に重大な影響を及ぼす訴訟が増加傾向にあることから、訴訟への適切な対応という観点から、政府として、統一的、一元的な対応を行うために訟務に関する指揮権限を強化する必要があるというふうにも考えておるところでございます。これらに的確に対応する組織を整備するというのが訟務局新設の意義であるというふうに認識しております。
 以上です。
○矢倉克夫君 私も、昨年の十月二十八日の質問において、法務省はとりわけ国際訴訟の担い手たるべきという期待の下にもありますが、この訟務局創設、応援をさせていただきました。今回このような形で創設をされたことは非常に喜ばしいことでありますし、今局長からもお話のありました、非常に意義のあるところでありますので、是非更に充実したものにしていただきたいというふうに、このように思っております。
 元々この訟務局は、やはり国賠に対しての被告、とりわけ国内の訴訟に対しての対応というのが中心になるかとは思いますが、今お話にもありました国際的な問題の対応というのも非常に重要になってくると思います。もとより所管の問題もありますので、法務省が経産省や外務省と同じように例えばICJやまたWTOの紛争の前面に立ってというようなことはまた違うレベルの話になるのかもしれませんが、法務省というのは霞が関の顧問弁護士というような意味合いもあるかと思います。とりわけ人的資源、法曹資格を持っている人が非常に多い法務省が、これから更に激化をしていく国際紛争の分野においてもしっかりと力を発揮していく必要があるかと思っておりますし、その意味でも今回の訟務局創設というのは大きな意味もあるかと思います。
 今後は、とりわけ他省、外務省とか経産省とかとの連携の在り方を含め、例えば、局長も今御答弁いただいた、局長レベルでのパイプを持った議論のやり方もできるというようなことも今回の訟務局創設で一つやり遂げることができたと思うんですが、そういうようなきっかけをうまくつかんで他省との連携の在り方というのも更に考えていく必要があるかと思いますが、上川法務大臣より御所見いただければと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 委員におかれましては、訟務局創設に当たりまして大きなお力を頂戴したことを心から感謝申し上げます。
 ただいま御質問の国際的な様々な紛争ということにつきましても、訟務局への期待ということの御意見がございました。国際化の進展、そして国際取引そのものが飛躍的に拡大をしているということでございますので、我が国が国外で訴訟等を提起されるリスクというのは高まっているというふうに考えております。
 外国の裁判所におきまして我が国を当事者とする訴訟等が提起された場合におきましては、制度上は法務省が対応可能であるということでございますが、これまで慣行的には外務省が対応してきたというところでございます。国際司法裁判所等の国際法上の司法手続あるいは国際的な紛争解決手段に関しましては、制度上は法務省が直接関与するということにはなっておりません。
 しかしながら、こうした場合におきましても、国内の訴訟におきまして、事実認定でありますとか、あるいは証拠の評価につきましても、訟務の知見、ノウハウ、こうしたことが活用できるという場面もあろうかというふうに考えておりますので、関係各省、関係各部署としっかりと連絡体制を強化をいたしまして、国際訴訟案件等への対応の在り方あるいは役割分担につきましても議論を進め、またそうした連携を強化してまいりたいというふうに考えております。
○矢倉克夫君 国際ルールが様々なレベルで作られる過程、裏を返せば紛争が起きるリスクもあるというところであります。その辺り、今後も一層法務省の知見を生かしてより良い運用の在り方を考えていただければと思います。
 それでは続きまして、先週に引き続き難民問題を取り上げたいと思います。前回の質問、大臣より、やはり保護されるべき人が保護されないというような在り方はよくないというようなお話もお伺いもいたしました。
 その御意見を踏まえまして、まず、今難民条約等もあります。この保護されるべき人、難民条約においてどのように規定をされているのか。また、今様々な国際的な情勢の変化等もある、そこの部分も範囲を超えた上で保護されるべきというような意見もあるわけですが、保護されるべき人というのはどのように捉えられているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(井上宏君) まず、我が国における難民の定義でございますけれども、入管法におきましては、難民条約の適用を受ける難民をいうとされてございますところ、難民条約におきましては、難民とは、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見、これらのことを理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にあって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためその国籍国の保護を受けることを望まないもの、このような定義になっております。
 他方、難民条約上の難民に該当しない場合でございましても、人道的な観点から必要と認められるときには本邦での在留を特別に許可することとしております。例えば、本国において内戦や戦闘状態から逃れたいわゆる避難民につきましては、避難していることのみをもって直ちに難民条約上の難民に該当するということにはなりませんけれども、人道的観点から在留を認めるべき場合につきましてはその在留を認めておるところでございます。
○矢倉克夫君 例えば、今シリア等でも内戦、更に激化をしております。今の御説明ですと、本来内戦などで避難をされている方は難民条約の難民という形ではないのかもしれませんが、やはり人道上の配慮からも保護すべきであると。その上で、そういうのが国際的な潮流にもなっているというようなお話でもあったかと思います。
 現状、今、日本の難民の認定の状態を見てみたいと思いますが、先週も申し上げました、難民の申請自体は非常に増えている。昨年の平成二十六年の段階で五千人ぐらい、これ平成十七年の頃に比べればもう相当増えている、平成十七年が三百八十四人でしたので。
 他方、認定をする数というものがどうなっているかといいますと、平成十七年が四十六人認定をされていたわけですが、平成二十五年は六人のみで、平成二十六年は十一名と。申請自体がもう加速度的に増えているのに、認定者が実は減っているというような状態になっている。
 このような状態は背景としてどのような理由があると分析をされているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(井上宏君) 難民の認定でございますけれども、それはあくまでも申請者が難民条約の定義する難民に該当するか否かによって判断されるものでございまして、我が国における難民認定数が少ないのではないかという御指摘があることも事実でございますけれども、実際のところは、諸般の調査を綿密に行いまして、例えば第一次の審査でございますれば、法務大臣が指定する入国審査官、これ難民調査官といいますけれども、研修によりましてその能力を高めました難民調査官が具体的にインタビューをしていろいろと調べる。そのような手続を行っておりますし、二次審といいましょうか、異議段階、異議の申立てに対する審査におきましては、学識経験者等を難民審査参与員というふうに任命いたしまして、三名一班の体制で必要に応じて直接申請者から事情を聞くなど、そういう丁寧な手続をした上で、その難民審査参与員の意見を伺って、それを参考にして難民の認定を決するという。そのような慎重な適正な手続を経た上で個別に判断した結果、余り数が出ていないというのが実情であると判断してございます。
 その背景事情はいろいろあるとは思いますけれども、先ほど委員御指摘のように一時は五十人程度の認定があった時代もあるわけでございますが、その当時、ミャンマーの国内情勢が非常に悪くて、かなりミャンマー国籍の方の難民認定があったということ。ただそれは、大変最近ミャンマーの国内情勢が安定してきているために減っているようなことが一つ指摘できると思いますし、また最近申請数が増えている国は具体的にはネパールでございますとかトルコ、スリランカ、ベトナムなどでございますけれども、では、これらの国々における国内の社会情勢が近年非常に急激に悪くなったかといいますと、どうもそのような事実はないと。このようなことから、難民の認定数が余り増えないということの一因になっているのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、難民条約の定義する難民に該当するか否かにつきまして、これまでの実務先例や裁判例、さらには国際的な実務先例なども参考にいたしまして、個々の事案に応じて適切に判断してまいりたいと存じます。
○矢倉克夫君 今、申請している人が国内的に安定している国の人が増えたというような事情もあったと思いますが、やっぱり見過ごしていけないのは、国際的な事情の中でも、本来真に保護をすべき人の申請が増えるような事情が非常に増えていると。内戦も非常に激化もしている、そういうような紛争状態の中で保護を求める人は増えているわけですし、潜在的に保護を求めたいという人はやっぱり多いことは言えるかと思います。
 しかも、条約上の難民の定義には当てはまらないとしても保護すべきという部分は世界の趨勢でもあるわけですし、かといって、では日本だけ認定数が減っている、ほかの国は、例えばドイツなんかは、認定申請者になりますけど、二〇一三年で例えば対前年比が申請、四・五万人増えている、一四年では六・三万人増えていると。この数、桁違いにすごいわけですが、それだけ世界の中では難民申請をしたいという理由を持っている人がやっぱり増えているというような状態は看過してはいけないと思います。
 じゃ、何で日本で認定数が減っているかというと、理由としては、本当に真に保護されたいというふうに思っている人の申請数自体が減っているかもしれないというようなところ、要するに、日本に申請しても駄目なんじゃないかと諦められちゃっている環境もひょっとしたらあるのではないかなと。逆に、先週申し上げましたとおり、濫用しようとする人の申請自体が増えてしまっていて、制度自体非常にひずみが来てしまっているのではないかというようなところはあるかと思います。
 我が国も国際協調主義を掲げているわけですから、今の難民認定の制度、在り方が仮に濫用の温床だけになってしまって、本当に真に保護をされたいと思っている人からは日本に申請しても駄目だというふうに忌避されるような状態になってしまってはやはりよくないかと。改善すべき部分はやはりしっかり改善するというような方向性をまた議論をしなければいけないと思います。
 ポイントとして、今理由として推測されるのは、まず認定の基準自体がやはり厳し過ぎるというところ、一つ目。あともう一個は、認定に当たっての前提の情報、事実、収集する情報がほかの国に比べてやはり少し偏ったものになっているか、少し範囲が狭いか、詳細な部分が足りないかというようなところであるかと思います。
 とりわけその後者の部分において具体的な情報収集、どのようにされているのか、簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(井上宏君) 難民認定の手続を適正に行うためには、これは難民申請者の出身国の情報とか国際情報を幅広く収集して参照することが重要でございます。
 当方どもが参照しておる情報といたしましては、例えば一般的な報道もございますし、外務省が公開しておる各国、地域別の渡航情報というのもございます。また、英国、イギリスの内務省の報告でございますとかアメリカの国務省の報告など、各国の人権状況やそういう国内情勢についてかなり良い情報を出しております。その辺も参照しております。さらに、国連難民高等弁務官事務所、UNHCRでございますが、ここが提供しております出身国情報、特に難民を多く出している諸国の出身国情報でございますとか、特定の国や地域出身者の保護の必要に関する事務所の見解等、このような情報も参照しながら適切な取扱いに努めておるところでございます。
○矢倉克夫君 今、出身国情報というような話もありました。とりわけ今は難民高等弁務官事務所なども非常に詳細なマニュアルなども作っている、各国の赤十字なども作っている、そういうようなものも、しっかり情報共有という部分も含めてやっていくべきであろうかと思います。
 最後に、大臣、時間ちょっとぎりぎりで恐縮ですが、日本の問題の一つ、特に難民高等弁務官の事務所などから言われているところ、情報の共有化等も非常に少ないという部分は言われていると思います。この、認定の基準をどうしていくのかというところの部分とはまた別に、やっぱり各国の優れた知見等も取り入れていくという姿勢をもっと取り入れないと、難民認定の国際的な潮流の中で国際協調主義をしっかり標榜している日本の責務を果たす上でも、まだまだ足りない部分はあるのではないかと思います。
 例えば、難民高等弁務官事務所などとのノウハウの共有を図るであるとか情報の共有化も図っていく、人材交流などというのも積極的にやっていくべきかと思いますが、その点、最後に御所見をいただければと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、答弁は簡潔に願います。
○国務大臣(上川陽子君) 難民調査に関わる様々な知見を共有しながらやっていくというのはやはり大変大事なことだというふうに考えておりまして、UNHCRとの間でもこれまでも人材育成あるいは出身国情報等の提供、こうした面での協力関係を構築してきたところでもございます。
 これから先におきましても、その拡充に向けて協議を進めてまいりたいというふうに考えております。積極的な関わりの中で、難民の認定の制度そのものの質が向上することができるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○矢倉克夫君 終わります。
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
 私は、前回の委員会に引き続きまして、今回もDV防止法の陰で今起きている問題、これについての質問を続けていきたいというふうに思っております。
 このDV、ドメスティック・バイオレンスですけれども、被害を受けている当事者の方にとっては本当にこれは深刻なものだというふうに理解しております。これを防ぐために、配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法というのが制定されて、前回の委員会で伺ってはっきりしたのは、相談も増えているし、DV被害を防止するという効果も現れてきているということを伺いました。これも大変評価できることでありますし、私も、やっぱりこれまで見過ごされがちだったDVというのが速やかに対応されて、そして防止をしていくということが、これはもう本当に大切だというふうに思っているんです。
 ただ、その一方で、このDV防止法が機能している陰で今新たなちょっと見逃せない問題というのが起きているということを前回に引き続きちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思うんです。
 その問題を引き起こしているのが、お配りしてある資料の、前回もお配りしましたこの紙なんですが、住民基本台帳事務における支援措置申出書というやつですね。これどういうときに使うかというと、これは自治体の窓口に提出する書類なわけですが。この一番下のところの警察署等の意見というところ、意見なんですね、意見を記載して自治体の窓口に出しますと、ほぼ自動的にといいますか、住民票の住所を出さない、つまり住所非開示という措置がとられるというふうになるんだということを前回の答弁でいただきました。
 これは、やはりDVの被害を受けている当事者にとっては、追っかけられたり追跡されたりする、住所を知られたくないということで、それを支援、救済する措置としては大変有効な手段であるというふうに思っておりまして、本当にそういう意味では防止に役立っているというふうに思います。
 ただ、やはり引き起こしている問題というのは大きなものがあって、例えば、前回ちょっと最初に伺おうと思いましたけれども、前回の私の質問で警察庁の参考人の方から大変御丁寧に、私が繰り返し確認したもので四回もしっかりと答弁いただいているんですね。何がお聞きしたかったかというと、やっぱりDVというのは被害者がいて加害者がいるということなので、本当にそういう事実関係があるのかないのかを確認するためにはやはり両方から意見聞くのが公平な方法だろうというふうに思いまして、それを確認させていただいたら、参考人の方からは、被害者から事情聴取するほか、いろいろなけが、脅迫、影響の程度ですとか診断書の有無ですとか家屋内での状況ですとか、それから加害者を含む関係者からの事情聴取の内容を踏まえてこの申出書の意見という欄に意見を書くということなんですね。
 書けばこれが自動的に住所非開示になるわけですけれども、それをやっているということを確認させていただきましたので、手続上は私はそれなりにやっているというふうな評価をさせていただいて、もう一つ、この意見の欄を書くのが配偶者暴力相談支援センターというところなわけですね。ここも意見を書くと全く自治体の窓口で同じような措置がとられていくということなんですが。
 こちらの相談支援センターの方の意見を記載する際の相談受付の基準ですとか手続、こうしたもの、それから特にDVの事実の認定をしているのかどうかということについて、まずお伺いしていきたいと思います。
○政府参考人(久保田治君) お答えいたします。
 配偶者暴力相談支援センターにおきまして、被害者支援の一環として証明書の発行等を行うことがございますが、前回も御答弁させていただきましたが、この相談センターが出します証明書は、相談を受けたという事実、それから一時保護を行ったという事実を証明するもので、配偶者から暴力があったことの事実認定を行うものではございません。
 また、相談窓口につきまして、この受付の基準というものですが、これは広く相談を受け付けるという趣旨でございますので、受け付けるとか相談を拒否するとかという基準を設けているものではございません。
○真山勇一君 なぜDVがあったかどうかの認定というのはやらないんでしょうか。私はやっぱりやるべきではないかというふうに思うんですけれども、もう一回、繰り返しそこをお願いします。
○政府参考人(久保田治君) DVがあったかどうかという事実認定につきましては、相談センターという性格上、被害者から、暴力を受けたという申立てを行っている者からの申出に基づいて保護措置をとるということが主眼の機関でございますので、その事実認定に必要な要するに要員という部分ではそういう組織を持っておりませんので、警察とかとは違いまして、暴力があったかどうか、誰が加害者かということを事実認定する機関ではないというふうに御理解いただきたいと思います。
○真山勇一君 ただ、この書類に相談センターが意見を書いて、被害者と言われる方が自治体の窓口へ行くと住所非開示という措置がとられてしまうというわけなんですよね。
 それで、一回非開示ということになってしまうと、前回の答弁ではいただいたんですけれども、この支援措置というのは一年ごとに更新する必要があるということなんですが、そうすると、一年後にまたその住所非開示をどうするかということになったときは、この支援センターとしてはどういう措置をとられるんですか。
○政府参考人(久保田治君) 一年後、要するに更新の手続に関しましては、相談支援センターが同様の手続をしているのかというのはちょっと承知しておりませんので、今はお答えできません。済みません。
○真山勇一君 でも、相談している人は、多分その被害を受けている方にとっては深刻な話なので、住所を何としてもやっぱり隠しておきたいということがあって引き続き相談を受けると思うんですが、そのときの体制をどうするかということがちょっとないというのは不思議な気がします。やはり救済する、支援するということならば、引き続きどうするか、多分引き続き相談に来るというふうに考えた方が自然なんですけれども。
 ただ、やはりDVの事実を認定しているかいないかにかかわらず、意見を書いて、この書類が地方自治体の窓口に出されると住所非開示ということが起きてしまうわけですね。そのために、やはりどうしても加害者と言われる方の、例えばDVということを反省して、もう何とか関係を改善したいとか、あるいは、例えば我が子を連れていかれた場合は、我が子と会いたいので何とかならないかということがあったときに、全く手だてがなくなってしまうということがありますね。
 実は、この問題を取り上げてから、私のところでインターネットのツイッターとかフェイスブックに意見が大分いろいろ寄せられているんです。そのあれを見ますと、やっぱり加害者とされた人が住所非開示の対象にされているということでこんなことを言ってきているんです。役所の相談窓口の子供支援課というところに事実をいろいろ証明したいので話を聞いてほしいというふうな問合せをしたら、窓口の係の人が、被害者の支援をすることが目的であり、加害者とされる方の話を聞くことはできない、それが現在のDV法である、こういう説明を受けたというんですね。
 まさにそうなんですね。被害者の方の救済を第一にしているから加害者の方の話を聞かないということなんですが、それで一方的に住所非開示の措置がとられてしまうということはやはり少しおかしいんではないかなというふうに思うんですが、この辺りは、加害者と言われる方からこういう声が出てきているということについてはどういうふうに思われますか。
○政府参考人(久保田治君) お答え申し上げます。
 配偶者暴力の被害者に対しましては、何よりも迅速かつ的確に安全確保を図ることが最優先の課題でございまして、配偶者暴力防止法に基づく被害者支援もそのような観点に立ったものであることを御理解いただきたいと思います。
 一方、加害者が弁明の機会を与えられていないという点でございますが、住民基本台帳閲覧制限につきましては不服申立て等の仕組みがございますので、一点はその不服申立てができるということ。それから、配偶者暴力防止法について申しますと、保護命令を地方裁判所が出します。その際には、相手方を呼んだ審尋の場で相手方の意見を述べる機会が設けられているところでございます。
○真山勇一君 私もこの相談センターが一時的な緊急的な避難でこれをやるということは分かるんですけれども、DVの事実関係がどうなのかということはやはり当事者間にとっては一番大事な問題であり、この辺をはっきりさせずに意見の欄のところに記入をしてしまうというのは、今の仕組みですと、これはもう自動的に、総務省の方のお答えですと、自治体の窓口もDVがあったかどうかを判断するわけじゃなくて、出されたらもう住所非開示になってしまうというので、そういうことが起きてしまうんですね。
 ここら辺がとても問題で、これと同じことが、実は警察の方にもやっぱりこういう声が来ているんですね。警察は加害者側の方からも話を聞くと実は前回お答えいただいているんですが、例えば私のところに来ているインターネットの話によると、警察、話を聞いてくれると思ったら、そうじゃなかったと。警察の生活安全課というところに行って話を聞いてもらおうとしたけれども、全く聞き入れてもらえなかったという話が出ています。
 それからあと、これは更にひどい話だなというふうに私は思うんですけれども、加害者とされている人のところへ警察から突然電話があったと。もうDVを繰り返すな、これ以上したら逮捕するぞというようなことの話をして、加害者側と言われている人の話は一切聞かないで一方的に電話を切ってしまったというような話も伺っているんですね。
 警察はこれ、加害者側からも話を聞きますよと言っていたんですけれども、この辺りは、何でこんな話が出てくるのか、どうお思いでしょうか。
○政府参考人(辻義之君) 申出書への意見につきましては、被害者や関係者の供述、客観証拠等から事実関係が明らかな場合もある一方、被害者の供述等だけでは被害事実の認定が困難な場合には、加害者を含む関係者からの聴取等により認定した事実により回答するのが通常と考えられます。また、意見の記載に当たりまして加害者からの事情聴取を行うか否かは個別の事案に応じて判断されるべきと考えますけれども、いずれにしても、警察では、被害者の供述のみではなく様々な情報を総合的に判断して、配偶者からの暴力の事実の有無等を慎重に確認させていただいているところでございます。
○真山勇一君 様々な情報を聞いて判断していくということは分かったんですけれども、それじゃ、これやっぱり方針と現場の食い違いがあるんじゃないかなという気がするんですね。例えば、DVのこういうことがあったときはどう扱うかというようなマニュアルのようなものはあるんですか。どこの窓口に行っても同じように取扱いをしてもらえるというようなものはあるんでしょうか。
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 申出書への意見の記載に当たりまして、一律に加害者からの事情聴取を行うように指示した警察庁の通達やマニュアル等はございませんが、警察では、DV事案を認知した際には、加害者の検挙のほか、事案の危険性等に応じ、加害者に対する指導、警告等を行っているところであり、その過程で通常、加害者からの事情聴取を行っているところでございます。
 また、支援の必要性の確認の照会があった際にも、必要に応じて、加害者を含む関係者に対する事情聴取等により事実の認定を行っているところでございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 真山君、時間ですので、おまとめください。
○真山勇一君 はい。
 警察は専門家なので、きっとその辺は現場で適切な判断をしていかれるのではないかと思うんですが、ただ、こういうことが、一旦DV加害者だというふうに決め付けられちゃうと、どこでその名誉を回復するのかという話と、これがまた更に進んで、DVの事実確認がないということは、いわゆる虚偽DV、つまり、DVがあったということにすれば住居非開示ができるんだからというようなことも今起きてきているということが現実にあるわけですね。私は、その辺りをもう少しまたお答えをいただきたいというふうに思いますので。
 時間が来てしまったので、今日も参考人の方、来ていただいたんですけれども、そこまで質問が行かなくて申し訳ありませんでした。また、次回以降にお聞きしたいと思います。
 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 三月二十六日のこの委員会の質疑に続きまして、刑事訴訟法等改正の名の下に盗聴拡大、司法取引法案を提出している大臣に、そもそも盗聴、つまり盗み聞きが、通信の秘密を始めとして憲法の保障する基本的人権と私生活の平穏を脅かすという認識があるのかとお尋ねをしたいと思います。
 日本共産党の緒方靖夫当時国際部長宅盗聴事件について、前回も紹介しましたけれども、東京高裁判決は、通信傍受による盗聴についてこう言っています。その性質上、盗聴されている側においては盗聴されていることが認識できず、したがって、盗聴された通話の内容や盗聴されたことによる被害を具体的に把握し特定することが極めて困難であるから、それゆえに、誰との、いつ、いかなる内容の通話が盗聴されたかを知ることもできない被害者にとって、その精神的苦痛は甚大である。
 大臣、この指摘についてどう考えますか。
○国務大臣(上川陽子君) 通信の秘密に関する御質問でございますが、いずれの当事者の同意も得ないで通信を傍受することは、通信の秘密、私生活上の自由に対して制約するものであるということでございますが、通信傍受法に基づく通信傍受につきましては厳格な要件と手続の下でのみ認められるものでございまして、当事者の通信の秘密、私生活上の自由を不当に制約するものではないというふうに考えております。
○仁比聡平君 大臣、問題をすり替えちゃ駄目でしょう。緒方事件というのは、通信傍受法が成立をするずっと前の話でしょう。何ら法的根拠のない明白な権力犯罪です。裁判所はそれを断罪している。裁判所は、本件は、憲法上保障されている重要な人権である通信の秘密を始め、プライバシーの権利、政治的活動の自由等が、警察官による電話の盗聴という違法行為によって侵害されたものである点で極めて重大であると断じているわけです。
 私、この警察の盗聴についてお尋ねをしている。大臣、どんな認識ですか。
○国務大臣(上川陽子君) ただいまは個別の事件についての御質問ということでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○仁比聡平君 個別の事件についてじゃないでしょう。前回、大臣のお隣で警察庁は、盗聴と言われるようなことを過去にも行っておらず、今後とも行うことはないというふうに申し上げますと。つまり、裁判所から事実を認定され、断罪をされた事件について、反省して謝罪するどころか、事実さえ認めないという態度を明らかにしたんですね。こんな捜査機関に盗聴の自由を認めるなら、どれだけの人権侵害、恣意的な濫用が起こるか、それが問題です。
 大臣、今資料もお手元に届いたようですけれども、御地元の静岡ですが、袴田事件の第二次再審請求事件、即時抗告審において、検察側から開示された当時の取調べ録音テープがあります。これ、昨日、弁護団が記者会見を行いましたが、段ボール箱二箱に収納されたオープンリールテープ二十三巻が開示されました。その一巻の外箱に、「八月二十二日 ナンバーツー 午後四時四十分から四十五分 岡村弁ゴ士」という記載があり、これを再生してみたところ、袴田被疑者、当時被疑者と、当時の弁護人であった岡村弁護士との接見時の会話が録音されていたわけですね。
 これ、大臣、どんなふうに思いますか。
○国務大臣(上川陽子君) 御質問の件でございますけれども、現在、即時抗告審係属中ということでございます。所感を述べることにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
○仁比聡平君 いや、検察が即時抗告審に開示した明々白々なこの盗聴の事実でしょう。
 これ、大臣、警察にこうした盗聴を行う権限があるんですか。ちょっと一般論として聞きますと、身柄拘束を受けている、逮捕、勾留中の被疑者と弁護人の接見、これを秘密に盗聴する、そして録音する、こんな権限が警察にありますか。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま一般論ということでの御質問でございますけれども、刑事訴訟法の第三十九条第一項の接見交通権ということでございますが、身柄の拘束を受けている被疑者等が弁護人又は弁護人になろうとする者と立会人なくして接見等をすることができる権利ということでございます。これは接見時の秘密を保障したものであるということでございまして、弁護人による弁護を受ける権利の保障の基本を成すものというふうに考えております。十分に尊重すべきものというふうに考えます。
○仁比聡平君 私の問いに答えないですね。十分に尊重すべきものって、侵してはならないものでしょう、まずね。
 接見交通権というのは、秘密交通権とも呼ばれますけれども、今御紹介のあった刑訴法三十九条一項、そして憲法三十四条や国際人権規約の弁護を受ける権利の根幹です。それは、弁護人と被疑者、被告人の意思疎通が決していささかも萎縮することなく有効な防御活動を行うために不可欠の基本的権利であって、最近、捜査機関が弁護人と被疑者の接見の内容を事後的に被疑者に例えば取調べ室において質問をするということ自体が違法とする判決が出ているほどですね。
 これを、侵してはならないこの秘密交通権を警察が盗聴して録音する、そんな権限がありますかと言っているんです。
○国務大臣(上川陽子君) 現在、即時抗告審係属中の刑事事件に関わる案件ということで、所感を述べることは差し控えさせていただきますが、一般論ということで申し上げたいというふうに存じます。
 身柄拘束を受けている被疑者等が弁護人又は弁護人になろうとする者と立会人なくして接見等をすることができる権利ということ、これにつきましては接見時の秘密を保障したものであるということでございます。弁護人による弁護を受ける権利の保障の基本を成すものということでありますので、十分に尊重すべきものであるというふうに考えます。
○仁比聡平君 刑事局長、刑事法制で、刑事訴訟法で弁護人との接見を警察が盗聴して録音する、そんな権限がどこかに書いてありますか。
○政府参考人(林眞琴君) ただいま大臣からの答弁にもありましたように、この三十九条一項というのは接見時の秘密を保障したものでございます。これは、保障は侵されてはならないものでございます。
○仁比聡平君 はっきり言いなさいよ、刑事局長。侵されてはならない秘密交通権なんだから、警察がその接見の内容を盗聴し録音する、許されないでしょう。
○政府参考人(林眞琴君) 接見の秘密というのは保障するものでございますので、そういった形でその秘密を侵害することは許されない行為でございます。
○仁比聡平君 警察庁、来ていただいていますけれども、この袴田事件で盗聴を行った、録音を行った、これはもう法廷に証拠として出ているわけですから明白な事実でしょう。こんなことをやったんですか。何の権限でやったんですか。
○政府参考人(三浦正充君) お尋ねの件につきましては、即時抗告審係属中の刑事事件に関わる事柄でございまして、お答えを差し控えさせていただきます。
○仁比聡平君 警察庁が、先ほど紹介したように、三月二十六日、緒方盗聴事件について、警察としては盗聴と言われるようなことを過去にも行っておらず、今後も行うことはないと言ったんですね。ここに言う盗聴と言われるようなことというのは何ですか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 盗聴と言われるようなこととは、違法な通信の傍受を指しているものでございます。
○仁比聡平君 袴田事件についてのこの接見の盗聴、録音、これ違法でしょう。何か法的根拠が示せますか。警察庁。
○政府参考人(三浦正充君) 個別の事件のお尋ねということでございますれば、即時抗告審係属中の事件に関わる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。
○仁比聡平君 何で聞かなきゃ分からないんだ。
 一般論として聞きますよ。身体拘束中の、逮捕、勾留中の被疑者が接見室に出ていく。立会人なくして接見は認めなきゃいけない。それをあなた方は秘密盗聴をして録音した。そんな権限がどこにあるんだと聞いている。
○政府参考人(三浦正充君) あくまで一般論として申し上げれば、捜査機関がひそかに弁護士との接見を録音するといったようなことは許されないことであるというふうに考えております。
○仁比聡平君 にもかかわらず、こういうことが次々と出てくるわけですよ。
 大臣に事前に通告でお読みいただいたんじゃないかと思うんですが、緒方事件について。当時、検事総長であった伊藤栄樹さん、「秋霜烈日」というエッセー集の中で、警察の一部門で治安維持の完全を期するために法律に触れる手段を継続的に取ってきたが、ある日これが検察に見付かり、検察は捜査を開始した。やがて警察の末端実行部隊が判明した。ここで、この国の検察トップは考えた。末端部隊による実行の裏には、警察のトップ以下の指示ないし許可があるものと思われる。末端の者だけ処罰したのでは正義に反する。さりとて、これから指揮系統を遡って次々と検挙してトップにまで至ろうとすれば、問題の部門だけでなく警察全体が抵抗するだろう。その場合、検察は警察に勝てるか。どうも必ず勝てるとは言えなさそうだ。勝てたとしても、双方に大きなしこりが残り、治安維持上困った事態になるおそれがあると心情を吐露しているわけですね。
 これは、警察がどんな違法行為を行っても、検察は警察の刑事責任を追及しないと言っているに等しい暴論だと私は思いますけれども、大臣、どんな御感想ですか。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま先生の方から読み上げていただいたところでございますけれども、この著述につきましては伊藤栄樹元検事総長が個人の資格で執筆されたものということでございまして、その内容につきまして論評をする立場にございませんので、その限りでございます。
○仁比聡平君 盗聴を拡大する、大改悪をするという法案を提出をされておられる大臣だから、その認識を問うている。日本を揺るがしたこの明白な権力犯罪について、当時の検事総長がこのように述べている。検察は警察に勝てるか、どうも必ず勝てるとは言えなさそうだというふうに述べている。このエッセーのサブタイトル、御存じですか。検察の限界というんですよ。こういう警察にこんな盗聴の拡大あるいは盗聴の自由を認めたらどうなるかと。その濫用ということについて、大臣は全く認識がないんですか。
 前回も申し上げましたが、一部可視化、極めて不十分ですけれども、こうした法案と、それからこの通信傍受法の改悪や司法取引の導入、こうした問題を一括して提案して一括して審議を求めようなんというのは、これは考え直すべきじゃありませんか、大臣。
○国務大臣(上川陽子君) 現在の捜査、公判でございますけれども、取調べ及び供述調書に過度に依存をした状況にあるということでございます。この状況につきましては、取調べにおきましての手続の適正確保が不十分となりましたり、あるいは事実認定を誤らせるおそれがあるということでございます。
 この今回提出させていただく法律案につきましては、これを改めるために、証拠収集手段の適正化、多様化と、そして公判審理の充実化を図るものであるということでございます。したがいまして、この法律案に掲げる諸制度につきましては、それぞれがこの目的に対して大変必要であるということでございまして、これら全てが一体として法整備されるということによってこそ初めて取調べ及び供述調書に過度に依存した状況が改められるというふうに考えているところでございます。
○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間です。
○仁比聡平君 捜査権力というのはそんな甘いものじゃない。明白な権力犯罪、何の根拠もなく盗聴を行っておきながらその事実さえ認めないというこの捜査機関に対して、元々は冤罪根絶の改革を諮問しながら、提出は断念せよと、せめて分離せよと、そうした袴田事件を始めとした冤罪被害者の訴えに耳を塞いで一括提案し成立を求めるなど、私は言語道断だと思います。
 こんな法案について、このまんまの審議入りを私たち国会がするわけにはいかないと同僚議員の皆さんに心から呼びかけて、今日は質問を終わります。
○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。
 今日は、裁判員制度について質問させていただきます。
 裁判員制度によって死刑判決が言い渡され、高等裁判所がこれを破棄し無期懲役とする二件の強盗殺人事件について、二月三日、最高裁はいずれも上告を棄却しました。これにより、高等裁判所による無期懲役判決が確定することになるわけです。また、二月九日は三例目となる決定も下されました。そのような流れの中では、国民に裁判員制度への不信感を抱かせる可能性もあるのではないかと。とはいえ、裁判員制度を創設し、国民の感覚を刑事裁判に取り入れようとする、そういう意図は十分に生かされるべきだと、私自身はそう思っております。
 そこで、質問なんですが、ここで改めて裁判員制度の趣旨、どのようなことが期待されているのか、お聞かせください。
○政府参考人(林眞琴君) 裁判員制度でございますけれども、この導入の趣旨でございますが、これは一般の国民が裁判の過程に参加して、裁判内容に国民の健全な社会常識がより反映されるようになることによりまして、国民の司法に対する理解、支持が深まり、司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになるとの観点から導入されたものでございます。
○田中茂君 私もその趣旨には全く同意いたしますが、裁判員制度は平成二十一年五月から施行され、六年目になりますが、最高裁で実施した裁判員裁判の運用に関する意識調査から関係箇所を私が抜粋しまとめたペーパーをお手元に配付しております。若干、最高裁のアンケートの中身がちょっと分かりづらかったものですから、私の方で関係箇所だけを抜粋しております。
 それで、まずお聞きしたいのは、この裁判員制度に関する意識調査の目的は何だったのか、お聞かせください。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) お答え申し上げます。
 裁判員制度の運用に対する国民一般の受け止めや評価をある程度継続的に把握し、今後の運用改善に役立てるために実施しているものでございます。
○田中茂君 国民の期待に沿った運用の実現に向けた指針の一つということで理解しますが。
 そこで、次の質問なんですが、平成二十六年度のこの意識調査で、裁判員制度への参加意識について、裁判員としての刑事裁判に参加したいかの回答結果を説明していただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 参加したいが三・六%、参加してもよいが八・七%、あまり参加したくないが、義務であれば参加せざるを得ないが四六・五%、義務であっても参加したくないが四〇・五%、わからないが〇・六%という結果になっております。
○田中茂君 つまり、あまり参加したくない、義務でも参加したくないとを合わせると、八七%の人が裁判員裁判参加を望んでいないということになっております。
 そこで、義務でも参加したくないの回答結果について、二十一年から時系列で回答結果を説明していただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 平成二十一年度が三六・三%、二十二年度が四一・四%、二十三年度が四一・一%、二十四年度が四一・九%、二十五年度が四四・六%、二十六年度が四〇・五%となっております。
○田中茂君 二十六年度は義務でも参加したくないの回答若干減っておりますが、あまり参加したくないとの合計で見れば年々増加していると、そのように思っております。
 特に、女性の方たちの裁判員としての刑事裁判に参加したいのかという回答結果も説明していただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 参加したいが二・〇%、参加してもよいが四・七%、あまり参加したくないが、義務であれば参加せざるを得ないが四四・五%、義務であっても参加したくないが四七・九%、わからないが〇・九%となっております。
○田中茂君 今御説明あったように、女性の方たちは二つの参加したくないを合計すると九二・四%にもなります。
 そこで、また二十一年からの裁判員の選任手続期日に出席を求められた裁判員候補者のうち、実際に出席した候補者の割合について回答結果を説明してください。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 平成二十一年度が八三・九%、二十二年度が八〇・六%、二十三年度が七八・三%、二十四年度が七六・〇%、二十五年度が七四・〇%、二十六年度が七一・五%、二十七年度一月末現在の速報値として六六・八%でございます。
○田中茂君 今説明ありましたように、これも毎年減ってきております。
 この参加意識が減少している状況に関してどのように考えられているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 御指摘の点の原因は必ずしも明らかではございませんが、実際に裁判員裁判を経験した方の多くは肯定的な評価をしておられまして、参加する前のお気持ちと参加した後の御感想に差があるように思われます。
 裁判所といたしましては、これまでも国民が参加しやすい裁判を実現するため、迅速で分かりやすい裁判の実現や国民の負担に配慮した選任手続の構築などに取り組んできたところでございますが、裁判員経験者の声も御紹介しながら、引き続き、裁判員制度に対する理解が広がるよう、また、参加する国民の方々の負担ができる限り軽減されるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○田中茂君 今まさに御説明いただきましたが、刑事裁判や司法などに国民が自主的に関与すべきであるの項目、どのように考えるかという設問に対しては、今までの傾向とは全く違っております。この刑事裁判や司法などに国民が自主的に関与すべきであるという項目と、裁判員として参加した体験についてのアンケートの回答結果を御説明いただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 刑事裁判や司法など公の事柄については、国や専門家に任せておくのではなく、国民が自主的に関与すべきであるという考え方について、あなたはどう思いますかという質問に対する回答結果の数値は、そう思うが一八・二%、ややそう思うが三〇・七%、どちらともいえないが二九・八%、あまりそう思わないが一四・七%、そう思わないが六・六%という結果になっております。
 また、裁判員等経験者に対するアンケート調査のうち、裁判員として裁判に参加したことは、あなたにとってどのような経験であったと感じましたかとの質問事項について、非常によい経験と感じたとの回答が五七・五%、よい経験と感じたとの回答が三八・四%、あまりよい経験とは感じなかったが一・八%、よい経験とは感じなかったが〇・九%、特に感じることはなかったが〇・八%、不明が〇・七%となっております。
○田中茂君 今御説明いただきましたように、確かに裁判員として参加した体験については九五%以上の方が貴重な体験であったとかなり肯定的な評価をされております。
 そこで、以上のデータ、御説明からも、国民がなかなか困惑しているのではないかと、そのように私自身は思っております。この意識調査でも推察できるように、何か手段を講じる必要があるのではないか、このまま放っておけばこれは減る一方ではないかという危惧もありますし、また近年高まっている凶悪犯罪に厳罰化を求める国民の声にどう対処するか、そういうことも考えるべきであると思っております。
 確かに、市民感情と厳格な法曹界に身を置く法律家の見解は必ずしも同一ではないと思っております。しかし、それがゆえの裁判員制度であると私はそう思っておりますので、そのような裁判員制度の趣旨を大前提として、特に死刑という更生の余地を与えない厳罰、極刑を選択する以上、裁判員による判断が過去の事例、判例及び基準と甚だしく相違する場合は、死刑判決の根拠は何かについて十分に説明、説得できるような論拠を示すべきであると、私はそう考えております。
 この間、三月三十日付けの産経新聞でも、裁判員を務められた方が、希望者にはせめて刑の確定まで裁判所などの継続的なフォローが必要と言われております。これは新聞の記事にこう書いてあるんですが。また逆に、裁判官のみで審判が下される上級審も、裁判員判決の中で十分な論拠が示されている場合は、過去の事例、判例及び基準との均衡というだけで処理するのではなく、国民に対して正面からその問いかけに答えていくことが、今後の裁判員制度の深化というか、深く掘り下げていっていただく、あと発展を考えれば不可欠ではないかと、そのように考えております。
 そういう中で、以上のことを踏まえて、裁判員制度の対象とする事案の範囲等も含めて、大臣の今後の方向性、御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま、最高裁が実施されたアンケート調査の結果に基づきまして様々な視点から御質問をいただいたところでございます。
 最初のところで御指摘がございました、裁判員の経験をしていただいた方の中で九五・九%の方が参加したことについてよい経験をしたというふうに回答をされているということにつきましては、私自身、やはり充実感を持って審理に御参加いただいていると、ある程度裁判員制度も国民の司法参加制度として定着をしてきているのではないかというふうに理解をしたところでございます。
 ただ、実際、裁判員になる前の段階におきましての意識を見てみましても、様々な不安とかそういったことも感じられるような回答結果でございますので、この制度そのものの趣旨、そして目的、そしてそれによっての様々な社会での影響ということにつきましても、やはりこの制度の定着を図る上でも丁寧にそのフォローをしながら取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思っております。
 法務省におきまして、ホームページなどにおいて裁判員制度専用の窓口を設けて、そして、できるだけアクセスをしていただきたいということで情報の提供をさせていただいているところでございますし、また、全国の検察庁におきましても説明会などを催させていただいて、意識の面でも、また様々な御懸念についても丁寧にお答えしていきたいというふうに思って取組をしているところでございます。
 こうしたことをしっかりと重ねながら、この制度そのものにつきましても、多くの皆さんが不安を持たずに積極的に御参加いただけるような環境整備ということにつきましても、また分かりやすい司法制度の在り方ということにつきましても説明をさせていただきながら、この裁判員制度の趣旨が運用の段階でも十全に果たすことができるように更に努力をしてまいりたいということを改めて強く感じている次第でございます。
○田中茂君 大臣、ありがとうございます。
 大臣も先ほどおっしゃったように、この産経新聞の記事でも書いてありますが、裁判員メンタルヘルスサポート窓口というのが設置されていると、そういうふうに書いてあります。提携先で五回まで無料カウンセリングが可能で、医療機関の紹介も受けられると。五回とも言わず何度もカウンセリングができるようにしていただきたいと思うのと、この調査を実施した共同代表世話人の方が、長期的視野で心の負担のケアについて議論し、体制を整える必要があると、そのようにこの記事では書いてありますが、私も全くそのとおりだと思っております。
 なるべくこの裁判員制度を長く続けさせるためにも、このようなケア体制を十分に整備して、裁判員になられた方が活用できるような体制を是非ともつくっておいていただきたいと、そのようにお願いして、私の質問にさせていただきます。
 ありがとうございました。
○谷亮子君 谷亮子です。
 本日は法務及び司法行政に関する調査に対する一般質疑ということでございまして、上川大臣始め関係の皆様、よろしくお願いいたします。
 本日、私は、本年二月十日に閣議決定されましたODAの新大綱となります開発協力大綱における運用基準と特定秘密保護法との整合性について取り上げさせていただきたいと思います。
 まず初めに、日本がODAをスタートさせてから昨年で六十年目という節目を迎えました。四月九日に成立いたしました二〇一五年度一般会計予算における政府全体のODA予算額は約五千四百二十一億円とされておりますが、ODAをスタートさせてから現在に至るまでの我が国のODA実績の支出純額の累計は約四十二兆円であることが、外務省に先日確認させていただきましたところ、外務省の御努力によりまして明らかになりました。
 そこで、冒頭申し上げました開発協力大綱における運用基準と特定秘密保護法との整合性関連について伺ってまいりたいと思います。
 特定秘密の保護に関する法律、特定秘密保護法は、平成二十五年十二月六日に成立し、一年の準備期間を経て平成二十六年十二月十日に施行されました。上川大臣におかれましては、昨年十月の大臣就任以降、特定秘密保護法に関する国会答弁を御担当されましたほか、施行準備に御尽力されました。また、平成二十六年十二月十日の施行によって、内閣保全監視委員会に関する事務や関係行政機関の法の運用支援など、内閣官房が行う特定秘密の制度に関する事務についても御担当されることになりまして、総選挙後の十二月十六日の閣議におきまして、安倍総理からも適正な法運用を図るよう指示があったということをお聞きいたしております。
 一方、政府の開発協力の理念や原則等を明確にするために策定した閣議決定文書でありますODAの新たな開発協力大綱が、本年二月十日に閣議決定されました。この大綱本文には、開発協力の適正性確保のための原則の一つとして、「開発協力の実施に当たっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。民生目的、災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する。」と明記されておりますが、非軍事的目的であれば、相手国の軍又は軍籍を有する者への開発協力が容認されることになるとも考えられまして、そうなりますと、これが軍事的に転用されるかもしれないという懸念が残るのではないかということをこれまでも多く指摘されてきているということは承知いたしております。
 また、閣議決定される前も、そして閣議決定されてからも軍事的に転用された場合のことはもちろん当然想定されていらっしゃると思いますが、そこで、どのような事項の場合、特定秘密保護法に整合するとお考えでしょうか、伺います。
○大臣政務官(宇都隆史君) お答えを申し上げます。
 まず、この度の大綱におきまして、軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避というのは特段この大綱においてできた条文ではありませんで、元々このODAの大綱には創成期からこの文言というのは入っておるということがまず前提にございます。その上で、このODAを支出する際に関しては、支出国との間に、我が国は軍事的目的への転用等はできないということであらかじめお互いに認識を一致させ、書簡を交わす。また、それ以降についても在外公館等の監視を常に行いながら、そうならないという状況を継続するというような、そういう背景がまず前提にございます。
 その上で、特定秘密保護法についてなんですが、まず、これは法律にのっとっていいますと、別表に定める事項、つまり防衛に関する事項であったり外交に関する事項、特定有害活動の防止に関する事項やテロリズム防止に関する事項、また公になっていないもの、非公知性であったり、その漏えいが安全保障に著しい影響を与えるものという条件を指定されるものになっているんですが、現在、本年三月末時点で三十六件の事項を特定秘密保護法に指定しておりますけれども、この中に当省が実施するODA関係のものは一切含まれておりません。また、さきに述べた三件に照らせば、当省が実施する開発協力業務、つまりODAが特定秘密に該当することは全く想定されないと考えております。
○谷亮子君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 今回のやはり新たな大綱では、ただいま宇都政務官から御説明あったように、開発協力の適正性確保のための原則の一つとしては、開発協力の実施に当たっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するということは前大綱にも載っていたことでありますが、その先につきまして、新たに加えられたところが民生目的からずっと続くところで、相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、実質的意義に着目し、個別具体的に検討するということが明記されたわけですから、やはり、ただいま御答弁いただいたように、特定秘密保護法にこれは関連するということではないというような趣旨の御答弁があったと思いますけれども。
 その特定秘密の指定の状況について見てみますと、特定秘密保護法が二〇一四年十二月に施行されましてから各省庁が指定した特定秘密の状況を本年一月に政府が発表されていらっしゃいます。これによりますと、昨年十二月末時点での指定された特定秘密は、外務省など十機関、三百八十二件となっております。そして、ここが大事なところなんですが、今後も特定秘密の指定については、その指定状況について定期的に公表していくことを考えているとされているわけでございます。
 さらに、特定秘密に指定された情報を見てみますと、こちらも二〇一四年十二月末時点の情報公開されているのを見てみますと、この度の新たな開発協力大綱は本年二月十日に閣議決定されまして、四月九日に二〇一五年度の一般会計予算は成立しております。ですから、二〇一四年十二月末以降の新たなこれは指定になってくるのではないかというふうに思われるわけなんでございますけれども、そうしたところから、やはり日本の外交というのは、最大のツールはODAであるとも言われております。さらには、特定秘密の指定については、安全保障に関する情報で、ただいま宇都政務官からお話ございましたように、防衛、外交、スパイ行為等の特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関するものとして法律で列挙する事項のうち、特段の秘匿の必要性のあるものを特定秘密として行政機関の長が指定するとされているわけでございます。
 そこで、もう一点伺いたいんですが、今後、開発協力が軍事目的に転用されたと認められるような事例が出てきた場合、これについては、今後、特定秘密に指定されるかもしれないというお考えはおありでしょうか。
○大臣政務官(宇都隆史君) 一つ目の御質問と多少重複するところがあるかと思うんですが、特定秘密保護法の指定に関しましては、この法律にのっとって、この別表に定められたもので粛々と指定をしていくということになろうかと思いますが、ODAの中身に関しましては、この特定秘密に該当するようなものが一切含まれておりませんので、今後、それが指定されるという蓋然性というのはないというふうに我々としては判断しております。
 また、一部誤解を生じさせているかもしれません、この非軍事目的の開発協力に軍又は軍籍を有する者が関係する場合は、実質的意義に着目し、個別具体的に検討するというのがどういうことを言っておりますかというと、例えばハリケーンのような大きな災害が起こったときに、そこの瓦れきの除去とか復興支援とかを実際には向こうの軍が行っていると。しかし、そこに橋を架けたり何かをしたり、道路を造ったりしなきゃいけないのはODAで支出しなきゃいけないんだけれども、実際にはそれは軍が活動しているんだが、中身に鑑みて支出できるようにすると、そういうような趣旨でありますので、我々の提供したODAの何かが軍事目的に使用されるという、そういう蓋然性はないというふうに判断しております。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 私自身もそうしたことがごもっともだというふうに思っておりますし、そうした支援、また救助等が行われていくことを望んでまいりたいというふうに思っております。
 ただ、昨年の十二月頃から報道等でもよく目にしてきたことが、やはりその人道支援等が現場まで行き届かない旨の現状が続いてきているということもございまして、アフガニスタンは国家予算の六割以上を援助に頼っておりまして、汚職撲滅による援助の有効活用等がこれ重要課題となっている中で、カルザイ前政権下では汚職が蔓延し、現場までその援助金が行き届かないというケースもあったと言われておりまして、非政府組織関係者は、こちらは運営資金が足りずに六か所から七か所の病院が閉鎖しているというような現状、また公共サービス等の雇用が失われてしまっているというような現状もある。
 またさらに、シリアでは、内戦下のシリアから六十二万人以上の難民が押し寄せるヨルダンで戦闘に巻き込まれて傷害を負った難民への支援が課題となっていますが、国際的な援助が行き届かずに、施設閉鎖など行き場を失っているという現状もあるということです。
 また、先日、新たな新大綱となります開発協力大綱につきまして参考人質疑が参議院でも行われたんですけれども、その中で参考人の方が、紛争地や戦争中の国々に行かれまして、軍隊というものがどういうものなのかということを御紹介してくださいました。その中では、途上国の軍が国内においては治安の維持装置として働いたり、あるいは、この大綱の中で支援していこうとする少数者の方たちや先住民の方たちへのまさに圧制のための道具に使われているような場合もあり、そういった途上国の軍というのは規律や文民統制という面で我が国の自衛隊とは大きく異なるものですと、全てがそういうことではございませんでしたけれども、このような現状を報告してくださいました。
 そこで、こうしたことを踏まえてもう一点今日は伺いたいと思うんですが、テロ資金処罰法における処罰対象行為と政府による開発協力の軍事目的転用について伺いたいと思います。
 昨年十一月に成立いたしました改正テロ資金処罰法におきまして提供行為が処罰対象となるのは、テロ行為実行のために利用する目的で、資金若しくはその実行に資するその他利益、これは資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益とされているわけでございますが、一方で、新たな開発協力大綱に基づく我が国の開発協力実施に際しまして、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避しつつ、民生目的や災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討するとされています。先ほど、宇都政務官の方からその内容についてはお話ございましたけれども。
 そこで、政府が実施する開発協力につき、これが相手国において軍事目的に転用されることがないようにするためには、当然想定されていらっしゃると思いますけれども、開発協力の軍事目的転用が現実のものとなってしまった場合のテロ資金処罰法に基づく処罰と政府実施による開発協力との関係については、どのようにこちらお考えになりますでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) このテロ資金提供処罰法の適用及び処罰との関係でございますけれども、あくまで一般論としてお答えいたしますと、例えば先般改正のありましたテロ資金提供処罰法第三条第一項によりますと、公衆等脅迫目的の犯罪行為、いわゆるテロ行為の実行を容易にする目的でこれを実行しようとする者に対して資金又はその実行に資するその他の利益を提供した場合には資金等提供罪というものが成立することとなるわけでございますけれども、例えば、資金等の提供の時点においてこのテロ行為の実行を容易にする目的などが欠ける場合などにおきましては、本法の適用対象とはならないということになると思います。
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきましたように、テロ資金提供処罰法では、資金等の提供を行う者が、これらがテロ行為のために利用されることを認識した上で提供した場合に対する罰則を定めたものであるということは本委員会でも法案審議の際に私も確認させていただいたところでございますが、私がここで申し上げたいのは、ODAについては、国際的な検証機関としてOECD傘下の委員会としてDACがございまして、このDACが、日本が行った開発協力がODAとして認められるかどうかにつきまして、DACで定められた基準に従い、各国政府の説明にとらわれずに客観的に開発目的であるのかの審査を行っている状況でございます。
 また、DACにおける審査もこれは当然必要でございますけれども、他国や他国軍に対して行った開発協力がどのように運用されていくのか、また運用されているのかについてのチェック、また検証する仕組みについては、これは大綱に明記されておりませんので、これらが軍事目的に転用されることがないように、ただいまお話しいただいたことを伺う限りでは、こうした軍事目的ではなく、非軍事目的のための援助、支援であるということが確認できましたので、私もそうしたことが今後引き続き行われていくことを望んでまいりたいと思いますし、また、そうしたDACのような検証機関のみならず、日本国内においてもこうした検証機関を設置するというのも一つ御提案させていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。上川法務大臣。
○国務大臣(上川陽子君) 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 矯正施設に勤務する矯正医官は、矯正施設において、被収容者に対して診療等の医療措置を行うのみならず、自傷他害のおそれのある被収容者を保護室に収容した場合にその健康状態について意見を述べることなど、重要な職責を有しております。
 しかし、矯正医官は、矯正施設内で医療業務を行うのみではその能力を維持向上させることが困難であることなどを原因として欠員が続き、現在、定員の二割以上の欠員を抱え、医師不在の矯正施設も相当数に上るという危機的な状況にあります。
 この法律案は、このような状況を踏まえて、矯正医官について、その能力の維持向上の機会の付与等を図り、人材を継続的かつ安定的に確保するため、矯正医官の兼業についての国家公務員法の特例等を設けるものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、矯正医官の職務である矯正施設に収容されている者に対する医療の重要性に対する国民の関心と理解を深めるよう努めること、及び勤務条件の改善等矯正医官の確保のために必要な措置を講ずるよう努めることを国の責務として規定することとしております。
 第二は、矯正施設の外の病院又は診療所等において診療を行う兼業について、正規の勤務時間において行う場合や報酬を得る場合であっても法務大臣の承認によって行うことができることとし、このための国家公務員法上の特例を設けるものであります。
 第三は、いわゆるフレックスタイム制を矯正医官に適用することとするものであります。法務大臣又はその委任を受けた者は、矯正医官で人事院規則で定めるものについて、公務の能率の向上に資すると認める場合には、矯正医官の申告を経て、四週間ごとの期間につき勤務時間を割り振ることができることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十七分散会