第189回国会 法務委員会 第12号
平成二十七年五月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     二之湯武史君     有村 治子君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     足立 信也君     羽田雄一郎君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     羽田雄一郎君     足立 信也君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     足立 信也君     羽田雄一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                羽田雄一郎君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  菅野 雅之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      露木 康浩君
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       警察庁生活安全
       局長       辻  義之君
       総務省自治行政
       局長       佐々木敦朗君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       公安調査庁次長  杉山 治樹君
       外務大臣官房審
       議官       下川眞樹太君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (犯罪捜査におけるDNA型鑑定の信頼性に関
 する件)
 (子の福祉の観点を重視したDV事件への対応
 に関する件)
 (入管特例法上の特別永住者に対する特例の趣
 旨に関する件)
 (グーグルマップの改ざん事案等に対する公安
 上の対応に関する件)
○裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、二之湯武史君及び足立信也君が委員を辞任され、その補欠として有村治子さん及び羽田雄一郎君が選任されました。
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○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官露木康浩君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○有田芳生君 おはようございます。民主党の有田芳生です。
 法務省のある方から、今日の質問はヘイトスピーチではないんですかということを言われました。近く、人種差別撤廃基本法、仮称ですけれども、提出する予定でおりますので、その機会に改めてそのテーマについては質問をしたいと思います。
 今日はDNA鑑定についてお聞きをしたいというふうに考えております。
 犯罪捜査においてDNA鑑定が重要な役割を果たすということは、もう既に皆さん御承知のとおりです。最近でも印象に残っておりますのは、例えば足利事件、菅家利和さんが冤罪であったということが明らかになりました。あるいは、東電OL殺人事件についてのDNA鑑定、あるいは再審が行われる袴田事件についてもDNA鑑定が決定的な意味を持っております。
 今日は総論的なことで、特に警察庁の方に専門的な説明ではなく分かりやすくお聞きをしたいんですが、まず、DNA鑑定というものはどういうことなんでしょうか、教えてください。
○政府参考人(露木康浩君) まず、DNAでございますけれども、DNAとは、人間の細胞の中に核という物質がございますけれども、この核の中に、ひも状の物質でございまして、その二本のひもが二重らせん構造をもって組み合わさっている、こういうものをDNAと呼んでおります。遺伝子であります。
 この二重らせん構造の二本のひもは四種類の有機化合物が、言わば模式的に言いますと縦一列に配列するという構造になっておりまして、その中にある特徴的な配列が何回も繰り返されている部位がございます。
 DNA型鑑定でございますけれども、今申し上げた配列の繰り返し、この繰り返しの数に個人差がございますので、繰り返しの数を数えまして、例えば繰り返しが一回であれば一型、二回であれば二型というふうに、それを型として検出した上で、対照する二つの資料の中のDNAにその型が一致するものがあるのかどうかということを判定するものがDNA型鑑定でございます。
○有田芳生君 なぜ今日こういう質問をするかといえば、恐らく来月、DNA鑑定をめぐってある事件で冤罪だったということが明らかになる、私はそのように確信をしておりますので、重大な問題ですし、お聞きをしたいということと、後で時間を掛けてお聞きをしますけれども、日朝交渉の中でこれまで、横田めぐみさんの遺骨をめぐって北朝鮮側が偽の遺骨を出してきた、それが国際的にも論争になったということがありますので、今後の日朝交渉の行方も踏まえて、あえて今日DNA鑑定についてのことをお聞きしたいというふうに思っております。
 まず、足利事件ですけれども、菅家利和さんが幼女殺害事件の罪に問われ、そしてそれはDNA鑑定が根拠となった初めての事件だと、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 犯罪捜査でDNA型鑑定を活用いたしましたのは、今お尋ねの足利事件が初めてではないというふうに承知しております。
○有田芳生君 DNA鑑定を最大の根拠として有罪となったのは足利事件、菅家さんのケースではなかったでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) お尋ねの足利事件においてDNA型鑑定の結果が重要な証拠の一つとして位置付けられていたのはそのとおりでございますけれども、この事件につきましても、例えば菅家さん御自身の自白というものも同じように重要な証拠として位置付けられておりましたので、相対的に何が一番重要であったかという、なかなかそういう評価が難しいということもございまして、それが一番であったかどうかというのはなかなかちょっとお答えするのは難しいというふうに思います。
○有田芳生君 足利事件の菅家さんの取調べ状況というのは、菅家さんが詳しく証言されておりますように、威迫の状況の下で自白をさせられた、これはもう既に明らかになっていることであって、それを今このDNA鑑定の問題について詳しくお聞きすることはいたしません。
 しかし、この問題というのも、また別のテーマで時間を掛けてやりたいんですけれども、実は足利事件が冤罪で、菅家さんが犯人ではなかったと、ということになれば、足利事件の真犯人はどこにいるのかというのが問題になるんですよね。これも今日のテーマではありませんけれども、足利事件の前に、その周辺で、十年ぐらいでしたが、四人の幼女が誘拐、殺害されている。あるいはいまだ行方不明のままである。その真犯人を求めるための警察の捜査というのは私たちずっと要求をしておりますけれども、そういうことにも関わってくるんで、この足利事件のDNA鑑定というのは非常に今も重大な意味が真犯人追及の面からあるというふうに私は考えているんです。
 じゃ、お聞きしますけど、菅家さんが有罪になった、その重要なきっかけとしてのDNA鑑定、これはどういう方法で行われたんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) お尋ねの菅家さんの事件におきましては、平成三年十一月でございますけれども、科学警察研究所におきまして、被害者の犯行現場に遺留されておりました半袖の下着に付着しておりました精液に対しまして、DNA型鑑定として、当時、MCT一一八型検査というものを実施したというものでございます。
 このMCT一一八型検査法とは何かということでございますけれども、先ほども申し上げたような、DNAの中の四種類の有機化合物の配列の中にある特徴的な繰り返しの部位でございますけれども、MCT一一八と呼ばれる部位がございます。この部位の繰り返し回数に個人差があることを利用して、その繰り返しの数を数えて型として検出をした上で行った鑑定法でございます。
○有田芳生君 菅家さんについて、その冤罪は裁判史上初めてDNA型鑑定の再鑑定で証明されたと、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(露木康浩君) 初めてであったかどうかは正しく今承知をしておりませんけれども、再審公判で再鑑定が行われて、その結果、捜査段階の鑑定結果が覆されたということであったことは間違いございません。
○有田芳生君 そうすると、一九九〇年に菅家さんが逮捕され、そして有罪判決を受けることになるんですが、その逮捕のきっかけとなったMCT一一八型のDNA鑑定というのは間違っていたと、そういう理解でよろしいわけですね。
○政府参考人(露木康浩君) 足利事件の再審公判におきましては、MCT一一八型検査法自体の信用性が否定されたわけではないというふうに承知をしております。ただ、当時行われた鑑定のそのやり方について疑いを差し挟む余地があるということで、その証拠能力が否定されたということでございまして、その点については重く受け止めております。
○有田芳生君 疑いを差し挟む余地があったということは、間違っていたということじゃないんですか。正しかったんですか。
○政府参考人(露木康浩君) その事件の中で行われた具体的な鑑定の方法については疑いを差し挟む余地があったということでございますので、そういう意味では誤りであるというふうに認識をしております。
○有田芳生君 となると、当時行われていたMCT一一八型のDNA鑑定、ここに問題があるんではないかと当然誰が考えても思うわけですけれども、当時、このMCT一一八型のDNA鑑定でどれだけ有罪判決が出ておりますか。
○政府参考人(露木康浩君) 科学警察研究所と、あと都道府県警察に置かれております科学捜査研究所におきまして、平成元年から平成十五年までの間に行ったMCT一一八型検査法の事件数は百四十一件ございまして、そのうち、その鑑定結果が証拠として採用されて有罪判決が確定したものは八件八人でございます。この八人の被告人の有罪確定事件においては、判決理由中にその鑑定が証拠として用いられたということがその中で確認をできたというものでございます。
○有田芳生君 足利事件でMCT一一八型のDNA鑑定に問題があったということが明らかになって、それ以降、この有罪になった八件について再鑑定というものは行われておりますでしょうか、あるいは再検討というものは行われていますでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) それぞれの事件については確定判決がございますので、警察としてその再鑑定をするということはいたしておりません。
○有田芳生君 確定している中では例えば福岡で起きた飯塚事件、そのMCT一一八型DNA鑑定によって有罪判決、そしてもう既に死刑の執行が行われているという事件もあります。この飯塚事件の死刑を執行された人物は、ずっと自分は無罪であると言い続けておりました。家族の方も今でもそう思っていらっしゃいます。
 しかし、この有罪判決を受けて死刑執行された飯塚事件について、足利事件で問題になった、菅家さんが冤罪ということが証明された、そのMCT一一八型のDNA鑑定であった。飯塚事件をここでこれ以上取り上げるつもりはありませんけれども、じゃ、そのMCT一一八型のDNA鑑定の方法というのは、いつ始まって、いつ終わったんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 最初に行ったのは平成元年からであるというふうに承知をしておりますけれども、いつまでかというのはちょっと今調べております。
○有田芳生君 それでは、MCT一一八型によるDNA鑑定は今は行われていない。では、今はどういうDNA鑑定が行われているんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 現在警察で行っておりますDNA型鑑定の方式は、先ほどのMCT一一八型は、MCT一一八と呼ばれる一つの部位についての有機化合物の配列の繰り返しの数を数えるというものでございましたけれども、現在は、STR型検査法と申しまして、十五の部位について同じようにその繰り返しの回数を数えるという、そういう方法でもって行っております。これによりまして個人識別精度が向上いたしまして、日本人でいえば最も出現頻度が高いという場合の型を組み合わせた場合でありましても、約四兆七千億人に一人という確率でしか同じ型の人が現れないというものとなっております。
○有田芳生君 菅家さんの冤罪が証明された、MCT一一八型のつまり誤った鑑定のときは、たしか私の記憶では、そのMCT一一八型法で一致するDNA鑑定というのは二百人に一人ぐらいだったという記憶があるんですけれども、それに比べると、今、STR型というのは物すごく精度が高まっている。非常にこれからの裁判においても重要な意味合いを持ってくるというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけれども、これまで大学の法医学教室と警察との連携でDNA鑑定が行われていたと思いますけれども、その役割分担というのはどういうことだったんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 私ども警察、科学警察研究所と都道府県警察にある科学捜査研究所、科学捜査研究所は四十七あるわけでございますけれども、これら四十八の機関で実施することが技術的に難しいDNA型鑑定につきましては、大学の法医学教室などの外部機関に委託して行うことがあるということでございます。
○有田芳生君 足利事件において再鑑定が行われたのは筑波大学の本田克也さん、その下で再鑑定が行われて、MCT一一八型の菅家さんの鑑定は間違っていたという判断が下されたという、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(露木康浩君) 足利事件の再審公判で採用された鑑定は、鑑定が行われたのは、今委員がおっしゃった本田先生の鑑定もございましたけれども、大阪医科大学の先生の方の鑑定も検察側から依頼されて行われております。そちらの方が結果的には再審公判で採用されているということだというふうに承知をしております。
○有田芳生君 今おっしゃった大阪の方の先生は、私の鑑定は間違っているかも分からないということを取材で語っておられましたけれども、そのことはさておいて、じゃ、その大学と警察との間で連携を取ってDNA鑑定なんかを行うというこれまでの体制が、実は、例えば昨年の十一月五日の新聞報道では、警察庁は解剖の経費削減狙うためにDNA検査委託を中止へという報道がされましたけれども、委託中止へということはその後どうなったんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 今委員御指摘の大学への委託の中止は、司法解剖を行った御遺体についてのDNA型鑑定に限ったことでございます。これは、御遺体があって、そこから組織片を採取をして、それについて鑑定を行いますので、しかもSTR方式というのはかなり機械化されておりますので、いずれの機関が行ってもほぼ同じ結果が出ます。
 こういうこともあり、これは経費の合理化、効率化の観点から、私ども警察の方で専ら行うこととするというふうにしておりますけれども、それ以外の、例えば現場に遺留されている資料からDNA型鑑定を行うといったようなものについては、経費の見直しの対象ではございませんので、従来どおりの形で行うということを考えております。
○有田芳生君 足利事件、さらには袴田事件でDNA型鑑定を行った筑波大学の本田克也教授、本田克也教授にDNA型鑑定を、警察の方からもあるいは検察からも鑑定を行ってもらいたいということがこれまでずっと続いていたんですが、最近はもう全くそういう依頼がなくなったというのは、何か意図があるんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) そういった事実は承知しておりません。
○有田芳生君 事実を承知していないというのは、本田教授に鑑定をもう頼むことはなくなったということを承知されていないということなんですか、そういうことはないということなんですか、どっちなんでしょうか。
○政府参考人(露木康浩君) 委員がおっしゃった前者の方でございます。一般に都道府県警察が司法解剖を大学の先生に嘱託する場合には、一つの都道府県に複数の大学の研究機関がある、あるいは解剖機関があるという場合には、その空き具合などを見ながら一番受入れ体制が整っているというところを大体考えて委託をしているというのが一般的だと思います。
 茨城県警察においても同様であるというふうに承知をしておりまして、特定の先生にやるとかやらないとかというような方針があるとは承知しておりません。
○有田芳生君 私の率直な感想からいうと、冤罪を見付ける教授にはDNA型鑑定をしてもらいたくないという意図が働いているんじゃないかと思ったからそういう質問をしたんですが、それ以上は聞きません。
 次に、非常にこれからの日朝交渉において重大な問題で、再び国際的な問題になる可能性もある横田めぐみさんのいわゆる偽遺骨の鑑定をめぐる論争についてお聞きをしたいというふうに思います。
 横田滋さん、早紀江さんは、滋さんが今八十二歳になられました、早紀江さんは七十九歳になられました。テレビなどで皆さんが見ていらっしゃるときにもお分かりだと思いますけれども、もう十年以上、本当に体が悪くなってきている状況の下で、私たちにももう先がないんだということを常々おっしゃっておられます。
 二〇〇二年、小泉訪朝のときに、横田めぐみさんにはウンギョンさんという娘さんがいるということが明らかになりました。それから十三年たって、去年三月にモンゴルで、横田滋さん、早紀江さんが孫であるキム・ウンギョンさんと、そしてまたその子供さんと出会うという非常に感動的なことがありました。
 その最後の別れのときに、私は、つまり早紀江さんは、めぐみ、あなたのお母さんは生きていると今でも信じていると、私たちは三十七年間捜し続けていたんだということを言って、お互い涙で別れた。そのときに、ウンギョンさんが滋さんと早紀江さんに三十七年という言葉をつぶやいた。それだけ重要な問題が今でも私たちは続いているということを本気で解決のために努力しなければいけないと思います。
 しかし、横田滋さん、早紀江さんも、私たちは何も運動のための運動をやっているわけではないんだ、十三歳で北朝鮮に拉致をされた横田めぐみさんを取り戻したい、そのために日々頑張っているんだ、だから私たちが知りたいのは事実なんだと、そういうことを語っておられます、事実を知りたい。日本政府が責任を持って警察の力によってめぐみさんの遺骨と言われているものを鑑定した結果、そこから別人の二人のDNAが鑑定されたということに私たちは驚き、そして怒りました。
 このめぐみさんの遺骨なるものがどのように日本に持ち帰られたのかということをまず外務省にお聞きしたいと思います。
○政府参考人(下川眞樹太君) お答え申し上げます。
 二〇〇四年十一月に平壌で第三回日朝実務者協議が行われた際に、日本側は横田めぐみさんの夫であったとされる金英男氏と面会いたしました。その際に、同氏は自身が保管していたという横田めぐみさんの遺骨とされるものを手交し、日本側がこれを持って帰ったということでございます。
○有田芳生君 ちょっと事実関係が違うんじゃないですか。日朝交渉が行われる中で、日本の外務省の側から証拠があるならば出してほしいということで金英男さんは遺骨を出してきたんじゃないですか。
○政府参考人(下川眞樹太君) お答え申し上げます。
 ただいまのところでございますが、より正確に申し上げますと、当時、薮中局長が団長だったわけでございますが、仮に北朝鮮が死亡したと主張するのであればその証拠をきちんと提示すべきであるという趣旨をこちらから申し上げて、そういう流れの中で、先ほど申し上げました金英男氏からこの提供があったということでございます。
○有田芳生君 その遺骨なるものが日本に持ち帰られて、DNA鑑定はどこでどのように行われ、どのような結果が出たんでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 お尋ねの件につきましては、平成十六年十一月九日から十四日までの間、北朝鮮で行われた第三回日朝実務者協議の際に、北朝鮮側から日本政府代表団に横田めぐみさんの遺骨として提供されたものと承知しております。
 提供されたものにつきまして、まず、DNA型鑑定の知見を有する専門家が、DNA型を検出できる可能性のある骨片十個、これを慎重に選定しまして、帝京大学及び警察庁の科学警察研究所においてそれぞれ五個ずつDNA型鑑定を行ったものであります。
 両機関で鑑定を行った結果、科学警察研究所ではDNA型の検出には至りませんでしたが、帝京大学では骨片五個中四個から同一のDNA型が、また他の一個から別のDNA型が検出され、いずれのDNA型も横田めぐみさんのDNA型とは異なっているとの鑑定結果を得たものであります。
○有田芳生君 そういう結果が出たことに対して、資料でお配りをしましたけれども、イギリスの科学誌ネイチャー、非常に国際的にも評価をされている、御承知のようにSTAP細胞問題でもネイチャー誌の記事が様々議論をされました。十年前になりますけれども、こういう記事が出ております。左側がその英文本体、右側が少し後で出た日本語訳です。「拉致をめぐる日朝間の対立で燃え上がるDNA論争」と、こういうことで疑問点が掲げられているんですよね。
 つまり、帝京大学の講師の方に電話取材を記者が行ったところ、焼いた骨というのは硬いスポンジのようなもので、そこに手で触ったりすると脂なんかが付いて別人のDNAが検出される場合があるというようなことを帝京大学の講師の方が語られて、それが記事になって、もっときちんとした検証が必要じゃないかというのが、もちろん北朝鮮側一つ一つに疑義を挟むのは、日本政府の姿勢は正しいと。しかし、日本政府は、DNA鑑定結果の解釈に当たって、政治は科学に干渉してはならないという一線を越えてしまっているという厳しい指摘もありまして、じゃ、そうすると、DNA鑑定の結果がどこまで正しかったのかということになってくるわけですけれども。まず、千二百度で焼かれた骨からDNAというのは検出されるんでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 火葬された骨からのDNA型の検出については燃焼の際の温度や時間といった諸条件などによるところが大きく、DNA型を検出できる場合もあるものと承知しております。現に検出されております。
○有田芳生君 科警研で何も出なかった、だけど帝京大学の講師の方が行ったら別人の結果が出たと。この帝京大学の講師の方はそれまで千二百度で焼かれた遺骨についてDNA鑑定をやった経験というのはおありなんでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) そのことについて、この場では持ち合わせございません。
○有田芳生君 つまり、本当に日本にとっても、横田御夫妻にとっても、あるいは日朝関係においても非常に重大な問題をやはり一講師の、どんなに優れた人であってもその手に委ねてよかったんだろうかという思いが、私は、より日朝間の交渉をきちんと進めていく上で重大だったんではないかというふうに思っております。より大規模なチームで鑑定を行うべきだったんではないかというふうに思います。
 そこで、当時、この問題が議論になったときに、二〇〇五年四月二十七日に当時の漆間巌警察庁長官が講演の中でこの問題について触れられておられますけれども、どう語っていましたでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お尋ねの件につきましては、委員御指摘のとおり、平成十七年四月二十七日、都内で開催された講演会において、当時の漆間警察庁長官が講演を行った際に発言しております。
 漆間長官は、この講演会におきましてネイチャー誌の記事について触れ、帝京大学と警察庁の附属機関の科学警察研究所で鑑定し、帝京大学が別人と判断したわけです、ネイチャーという雑誌にそんなことは不可能だという論文が掲載されましたが、担当された先生に反論していただければ国際的にも誤解が解けると思っていますなどと発言したものと承知しております。
○有田芳生君 そのとおりです。
 担当の先生に反論していただければというのは、帝京大学の講師の方に反論していただければ国際的にも誤解は解けるんじゃないかと、漆間さんはそう語られましたが、じゃ、その後、この帝京大学の講師の方は、仕事が変わっているんですけれども、どうなりましたでしょうか。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 御指摘の人物につきましては、同人の有する鑑定の分野における高度の専門的な知識や経験を警察業務の中で発揮していただくという観点から、警視庁においてその採用を決定し、採用したものと承知しております。
○有田芳生君 国際的にも誤解を解くために、担当の先生に反論してもらうために私たちが取材を申し込んだって、もう警察に囲い込まれちゃったら国際的な誤解、解けないじゃないですか。何でこんなことが起きるのかというのは、私は今でも釈然としないです。しかし、そういった問題も含めて、DNA鑑定というのは今後も重大な問題になってくると思います。
 時間になったので終わりますけれども、とにかくDNA鑑定の信頼性を担保する法律はありませんから、やはりそういったものの法整備というものを今後検討していかなければいけないというふうに思います。
 実は、最後に大臣にお聞きをしないと、法務委員会に来て法務省の方に何も聞かないというのは失礼かなと思ったんですが、残念ですが、時間ですので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
 私も、今日は有田委員はまたヘイトスピーチかなと思っていたら違っていましたけれども、私は今日もちょっと引き続きDVに関しての問題を伺っていきたいと思っております。
 このところ、この委員会でDV防止法のその陰で起きている問題について取り上げてきたんですね。伺うつもりで政府参考人の方に毎回来ていただいたんですが、時間がなくなって、時間切れで質問ができなかったというのがここ何回か続いておりましたので、本当に申し訳なく思っているんですが、今日はその問題からまず取り上げて質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 ある日突然、妻と子供がいなくなってしまった、それで、どこへ行ったか分からなくなってしまって、夫はただただ茫然とするばかり。何とか会いたい、どこにいるのか、会いたい、特に子供と会いたいということがあって捜してみても、自治体の窓口、いわゆる役所の窓口へ行っても住民票を見せてもらえない、つまり住所非開示措置がとられている、こういうことが今起きているわけなんです。
 もちろん、DVがあってはいけない、これを防がなくちゃいけない。ですから、DVが原因でそういうことがあることもあるし、それから今問題になっているのはDVでなくても住所非開示の措置がとられていることがあるのではないか、あるいはその他の理由でももちろんこういうことがあるということなんで、結局、家庭の場合は、特に子供をそのまま一方の親の方に連れ去られてしまうと家庭崩壊が起きて、そしてそのままの状態が続いていってしまうということが起きているわけですね。
 私は、この辺が、DVはいけない、でも、それが原因で例えば子供が犠牲になって、子供にとってはかけがえのないお父さんでありお母さんである人が別れてしまった、そのためにどっちかの親とも会えなくなってしまうという状況が起きてきてしまう。これを何とかやはり救済していく方法ということもこれからは考えていかなくてはいけないんじゃないか。
 これ、このままにしていると、どんどんどんどん別れてしまった、言ってみれば母子家庭が増えてしまうというような状況。そして今、社会で起きているのは、母子家庭の貧困の問題なんというのも起きていますけれども、多分こうしたところに遠からず原因というのはやっぱりあるんじゃないか。子供の貧困にもつながるということで、できれば家族、家庭、修復できれば、できるものは何とかしたいというような私、思いがあるわけなんですけれども。
 例えば、国際的な子の連れ去りの場合はハーグ条約が結ばれました。そして、外務省に中央当局というのができて、問題を解決する環境づくりをするということ、つまり、子の国際的な連れ去りの場合は、元の状態にとにかく戻しましょうよ、そこから話合いを一回しましょうよというのがこのハーグ条約の中央当局なんですけれども。
 例えばこの中央当局のような、崩壊というか、子供を、国内ですけれども、連れ去られた場合に、もう一回例えばどうしても子供に会いたいとか、あるいは少なくとも子供の養育費を何とか出したいというふうなことを思っているどっちかの親の希望も通して、その仲裁というか、ある程度環境づくりをするような、そんな組織というのを設置できないものかどうかということと、やっぱり組織をつくるということになると、例えば法律的な裏付けも必要なので難しいかもしれませんが、やはり今の段階だとそれは裁判所の問題になってしまうのかなというふうに思うんですが、これについて法務大臣にちょっとお伺いしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 子供さんの連れ去り事件ということでの御質問で、ただいまハーグ条約という条約のことを触れていただきまして、その上で、国内におきましての連れ去り案件について、ハーグ条約で想定しているような中央当局のような制度ができないかという御質問でございますけれども、御承知のとおりでございますが、このハーグ条約につきましては、国境を越えて行われる子の返還あるいは面会交流の援助ということにつきまして、この締約国につきましては中央当局を設置しなければならないと、今外務省がそれ担っているところでございます。
 国際的な子の連れ去り事案と比較いたしまして、国内での子の連れ去りがあった場合でございますが、この場合には家庭裁判所が子の監護者の指定をし、また子の引渡しを求める申立てをすることができると。その意味で、離婚後の養育につきましても、また面会交流につきましても、申立てをして、そしてそれに対して適正に実施をしていくという、そうした仕組みになっているところでございます。
 そこで、御指摘のように、中央当局のような組織を国内の事案のときに設置をするということになりますと、裁判所においての問題解決というところに対しまして、これは私人間の解決におきましては家庭裁判所が行うということでございますので、それに対して行政の方がどの程度まで関与をすべきかというような大変大きな問題が生じるということでございます。その意味でも慎重に検討をしていくべき案件であるというふうに考えております。
○真山勇一君 やはり当面としては家裁ということになってしまうと思うんですが、これから、DVによって家庭崩壊しちゃったものをそのままほったらかしにしていくというのは、やっぱり何とか解決の糸口というのを見付けていきたいなというふうに思っていますので、是非その辺の検討もよろしくお願いしたいと思うんです。
 その裁判の話なんですけれども、確かに今、裁判ではそういう救済、問題解決の方法ありますよということなんですが、いわゆる加害者というふうにされてしまった人たちの話を聞きますと、大変多くの方から言われていることがあるんです。それは、そういうことで保護命令の申立てをしても、審理の中で、裁判は本来公平であるべきなのに、なかなか公平ではないんじゃないかというような印象を持たれているいわゆる加害者の方が多い。
 なぜかというと、つまりDVがあったかどうかの事実認定を、きちっとその調査なりもう一回調べ直しをしてくれるかというと、そうではなくて、どちらかというと、もうDVがあったんですねということで審理が行われてしまうことが多くて、場合によっては門前払いに近いような形で、もうDVがあったんだからあなたの方との話合いは多分被害者の方はできませんというようなことがあるんだというようなことが、かなりそういうふうなことが私も伺っているんで。
 その辺りというのは、裁判というのはもちろん手続に沿って進められているんでしょうが、DVの認定ということがしっかりと双方の意見を聞いて行われているかどうか、裁判所に伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(菅野雅之君) お答え申し上げます。
 いわゆる保護命令申立て事件の審理につきましてですが、DV防止法十四条一項によりますと、保護命令は、原則として、口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審理の期日を経て発することとなっております。これは、保護命令は相手方の権利を制限するものであるため、相手方の反論の機会を手続上保障したものでございます。
 裁判実務の運用におきましても、この法の趣旨に従い、保護命令の申立てがあった場合には、原則として相手方を期日に呼び出し、適切に意見を聞く機会を設けているものと承知しております。
 以上でございます。
○真山勇一君 やはりDVとはどういうものなのかというようなことがとても難しいので、例えば加害者の方にはやっぱりそういうような、加害者に逆に言うと被害者意識みたいなものがあって、そういうことがあるんじゃないかというふうに思っています。
 是非、裁判の方は公正公平にこれは行われているというふうに理解したいというふうに思っておりますし、やはり何よりも両者の言い分を本当に公平に聞くということが大事だということを是非裁判の審理の中では銘記して、しっかりとやっていただきたいというふうに思っております。
 またちょっと上川大臣にもお伺いしたいんですが、DVというのはなかなか今の段階では、例えば薬物なんかだと更生とか、それからDVでも犯罪になってしまえば当然それなりの処置を受けてまた社会復帰してくるということがあるんですが、そうでない場合、やはり今の状況では更生とか、あるいはDVを治療したということが難しいわけですが。最近は民間のNPO法人なんかでも、そうした崩壊してしまったいわゆる家族、夫と妻の言い分を聞いて何とか修復しようなんという動きも出てきているようなんですけれども。
 DVを反省したり、それから本来DVはなかったから何とか修復できるというようなことの上で、例えば子供の共同の保育ですとか面会交流を持ちたいという親に対してその機会確保していくということは、やはり大事なことというか必要なことではないかと思うんですが、家族の修復、再出発というような面ではどんなふうにお考えか、大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) お子さんにとって両親、親御さんという、離婚していようが、またどういう状況であろうが、親であるということには全く変わりはないということでございます。その意味で、両親が適切にお子さんの養育に関わるということにつきましては、これは子供さんの視点ということに立ったときにおきましても大変重要なことであるというふうに考えております。
 ただ、DVの事案ということで、仮に配偶者へのDVが認定された者についての今様々な更生とかあるいは治療というようなプロセスを経たところでというお話がありましたが、やはり共同養育とか共同の面会交流ということにつきましては、子供さんの視点に立ってとても大事にしていくべきことであるというふうに思っておりますので、その意味で、様々な第三者が介入するというような形で工夫を重ねながら、また段階と時間を掛けながら、様々な交流やあるいは養育の実現の努力がしっかりと図ることができるように、そしてそのことが子供さんにとっての利益に最大限生かされることができるようにしていくということが何よりも大事であるというふうに考えております。
○真山勇一君 やはり子供の権利というか子供を第一に考える、福祉を考えていくということは、様々な原因で子供が犠牲になっているかもしれないけれども、その辺りは大変大事だと思いますので、是非、法務行政としても、やはり子供をまず優先的に考えるということを、民法にもあるわけですから、そういうことをやっていっていただきたいなというふうに思っております。
 それから、お配りしたちょっと資料を見ていただきたいんですが、これはもう前回もちょっと別なところからの同じものを出しましたけれども、住民基本台帳事務における支援措置申出書というやつで、例の住所非開示の申請をするための、これ、地方自治体の窓口でいわゆる被害者と呼ばれる方から申請があった場合、この書類を出して、そして一番下にありますけれども、相談した窓口、警察ですとか支援センターのいわゆる意見を書いて、確認を書いて、そして窓口へ持っていくと住所非開示になるということなんですが。
 これ、今日提出させていただいたのは私の地元の調布市なんですが、調布でちょっとこの問題についてどんなことが現場であるのかなということを伺ってきたんです。先日、総務省の方から新しいシステムができるというようなことがありましたので、その辺も含めて話を伺ってきたんですが。
 まず、この申出書で上の左側のところを見ていただくと、申出者、これはもちろん被害者になるわけですけれども、その下に加害者、判明している場合というのがあります。やはり最近、DVとかストーカー、その下にあるんですが、DVとかストーカーは横ばい状態なんですが、一番右端にあるところのチェックが多いと。加害者という欄の空欄、つまり名前が書いてなくて、そして、左側のDVでもないしストーカーでもないし児童虐待でもなくて、一番右側の、犯罪の関係で生命、身体に重大な被害を受ける可能性がありというようなことが書いてありますが、このところにチェックをして、そして住所非開示を求めるケースが非常にちょっと増えてきているという、これはもしかすると私の地元だけの傾向かもしれないんですが、そういうことを伺いました。
 まず、ちょっと伺いたいのは、加害者の名前がなくても住所非開示という措置はとれるのでしょうか。
○政府参考人(佐々木敦朗君) お答えをいたします。
 DV等の支援措置は、住民票の写し等の交付等の制度を不当に利用してDV等の加害者が被害者の住所を探索することを防止をして、被害者の保護を図ることを目的とするものでございます。
 このDV等には、委員が今お示しいただいた資料から分かりますように、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待、それからこれらに準ずる行為もいうわけでございますが、例えばDVについては、配偶者からの暴力であるように、通常、加害者は特定されていると考えられるわけでございますが、一方、例えばストーカー行為につきましては、相手が特定されていない場合でも反復して付きまとい等をされる可能性もあるわけでございます。それから、DV、ストーカー行為等、児童虐待以外のこれらに準ずる行為ということにつきましても同様の支援措置を講じることとしておりまして、事案によりましては加害者が特定をされていない場合も含まれ得るものと考えております。
○真山勇一君 例えばストーカー、この欄でいえばストーカー行為等の規制等に関するというここにチェックが入っていれば、加害者がなくても申請者はストーカーに悩んでいるんだということが分かるんでしょうけど。どうやら窓口では、加害者の名前がない、そして一番右側の生命の危険があるんだということでこれを申請してくるということが多くて、見方によってはちょっとこれ濫用されるのではないかというようなこともあって、つまり、そういうことでここの部分での住所非開示を求める申請が増えているのではないかというようなことも言われているんですが、その辺りはどうでしょうか。
○政府参考人(佐々木敦朗君) DV支援措置につきましては、先ほど申し上げましたようなDV等の加害者が被害者の住所を探索することを防止して被害者の保護を図るということを目的とするものでございますので、その趣旨に従って適正に運用していただきたいというふうに考えておるところでございます。
○真山勇一君 前回も中でありましたけれども、自治体の窓口としては、この一番下のところの相談機関の意見があればほとんど自動的に住所非開示にしてしまうということがありますので、犯罪防止の上からは必要なことですけれども、やはりその辺の曖昧さというのは難しさを現場としては感じているというようなことを指摘させていただきたいというふうに思うんです。
 それからあと、前回のときに伺って、これまでと住所非開示に対する不服申立て、このシステムが変わるということで、去年の六月十三日に行政不服審査法が改正されて、そして新しいシステムになりますということを伺ったんですが、去年の六月十三日、そして二年以内にということなんですが、もう既にちょうど一年ぐらいになりますね。
 これ、いろいろ準備されていると思うんですが、いつ頃ぐらいをめどに施行されるようなことに今の時点ではなるんでしょうか。
○政府参考人(佐々木敦朗君) 恐縮でございますが、法律では二年以内ということでございますので、その範囲内でしかるべく担当部署の方で施行に向けての準備がされているというふうに伺っておるところでございます。
○真山勇一君 地元でもそれを伺ったら、総務省の方からはもうそういう連絡を受けておりまして、現場の自治体の方でもそういう体制づくりに取り組んでいかなければならないだろうというようなことを伺いました。
 ただ、新しい今度システムでは、またこれはこれで改善されたのかなというふうに私も考えていたんですけれども、DVの問題を扱うというのはやはりかなり難しさというものをまたちょっと感じておりますので、これ機会を見て、細かい話になりますので、また時間ありましたら伺いたいというふうに思います。
 今日はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、私がヘイトスピーチと在日韓国・朝鮮人の法的地位の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の十月十六日のこの委員会で当時の大臣に、行ってこられた外国人の人権保障についての啓発についてお尋ねをしました。それまで、外国人の人権を尊重しましょう、理解し合うことが大切ですというポスターを、数も極めて少なかったんですが、行ってこられて、それではヘイトスピーチを許されないという立場が伝わらないではないか、ヘイトスピーチを許さないんだという、そこを焦点にした啓発に変えるべきではないかと指摘をいたしました。
 その後、省内で検討されたのだと思うんですけれども、一月以来、有田理事が取り上げ続けておられる、ヘイトスピーチ許さないというポスターやチラシを普及をされるようになりまして、その量については、私、有田議員と同じ問題意識を持っております、抜本的に拡大をすべきだと。これは今日は強く要望しておきたいと思うんですけれども。
 この取組については私、高く評価をしておりますが、今日お尋ねをしたいのは、この許さないとメッセージを発しているヘイトスピーチとは何を意味するのか、言わば定義といいますか、許されない本質というのは何なのかという点についてなんですね。
 まず、人権擁護局長にお尋ねをしますけれども、このチラシでも、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、こうした言動は人としての尊厳を傷つけたり、差別意識を生じさせることになりかねず、許されるものではありませんといった言葉がありますけれども、これはどういう意味になるんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) いわゆるヘイトスピーチについて、その概念は必ずしも確立されたものではないと思われますが、当方がヘイトスピーチとして焦点を当てた啓発活動の対象として念頭に置いておりますのは、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動であります。こうした言動は、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけではなく、差別意識を生じさせることにつながりかねません。
 国会における御議論を踏まえまして、法務省ではヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動を実施していく必要性が高いと考え、特に取り組むこととしたところでございます。
○仁比聡平君 そうしたお話について大臣の御認識を伺いたいと思うんですけれども、実際の現場でのヘイトスピーチ、ヘイトデモ、それをやめさせるカウンターの行動の現場の中から、あるいは全国各地の自治体で、このヘイトスピーチに対してどうするのかという、例えば議会意見書だったり、あるいは地方自治体としての条例制定の動きだったり、こうした現場の動きの中で、私、随分焦点がはっきりしてきたと思うんですね。
 例えば、ある自治体の条例策定の取組の中で、人種又は民族などの特定の属性を有する個人又は集団に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力を扇動するということを明らかに目的としていて、それが権利、自由の制限をすることによって社会からの排除、先ほどの法務省の言葉で言うと排斥を目的とするもの、こうした特徴付けをされているところがあって、私そのとおりだなと思う部分があるんです。
 特にこの社会からの排除というのは、単なる言葉ではなくて、個人の尊厳、権利、自由の基礎にあるアイデンティティーを否定してしまうということによって社会から排除する、ヘイトスピーチはそうしたものであるからこそ許されないというものだと思うんですが、大臣はいかがですか。
○国務大臣(上川陽子君) このヘイトスピーチに係るポスターも含めまして今取り組んでいるところでございますが、ヘイトスピーチという概念というものがどういう定義であるかということについての明確な定義規定というのはないわけでございますが、しかし、一人一人の人権、そして一人一人のアイデンティティーをしっかりと尊厳として守っていく社会、そして、その中で構成される共に暮らし合う社会ということを考えてみますと、特定の民族あるいは国籍の人々をその理由ゆえに排斥する、あるいは排除するというような、そうした差別的な言動につきましては、その尊厳を傷つけるということ、さらには差別意識を醸成することにもつながりかねないということで、大変重大な問題があるというふうに考えております。その意味では委員御指摘の認識と共有をしているところでございます。
 あってはならないことでありますし、また、その取組につきましては、法務省といたしましてもヘイトスピーチという形で少し特出しをしながら掲げて取り組んでいこうと、こういうことの中で努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
○仁比聡平君 私は特に、単なる言葉だけではなくて、権利、自由を制限しようとする、傷つける、損なおうとする、ここが大事なのではないかと考えるようになりました。
 このヘイトスピーチに関して、各地で扇動をしている排外主義的な団体、在特会は、こうしたマイノリティー集団があたかも隠された特権を享受しているかのように差別を扇動すると、そうした論理を使っています。
 そこで、入管局に、お手元にお配りをいたしました入管特例法、いわゆる、に基づく特別永住資格の特徴について表を作っていただいたんですけれども、この在特会はヘイトをあおるビラの中で、特別永住資格、平和条約国籍離脱者等入管特例法によって認められた資格である、もちろん、他の外国人にはこのような資格は与えられておらず、在日韓国人・朝鮮人を対象に与えられた特権と言える、紛れもない外国人でありながら、日本人とほぼ変わらぬ生活が保障されていると宣伝して、扇動して、この在日コリアンの排斥をあおっているわけですね。
 入管局長に伺いますが、在特会のこう言うような意味においての特権なのでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) 特別永住者と申しますのは、日本国との平和条約の発効によりまして本人の意思に関わりなく日本の国籍を離脱した者で、終戦前から引き続き我が国に在留している者及びその子孫であって、我が国で出生し引き続き在留している者のことでございますが、日本の国籍を離脱することとなった歴史的経緯でございますとか我が国における定着性に鑑みて、いわゆる入管特例法におきまして一般の外国人とは異なる措置が特例として定められたもので、そのような法的な地位でございます。
○仁比聡平君 そうした趣旨で定められているのであるから、これは特権ではないですよね。局長、もう一回。
○政府参考人(井上宏君) この特例措置は、特別永住者の法的地位の安定を図るために法律により特に設けられたものでございまして、このような措置を根拠として日本社会から排斥するようなことは、これはあってはならないことだというふうに理解しております。
○仁比聡平君 外務省においでいただいています。といいますのは、この入管特例法というのは一九九一年に定められたわけですが、これは日韓関係の外交上の重要な節目で行われたものでもあります。一九九一年の一月十日に当時の海部首相が在日韓国人問題に関するメッセージというのを発しています。
 その中では、我が国には、特別な歴史を有し、私たちと社会生活を共にされてこられた在日韓国人の方々が数多く住んでおられます、その特別な事情からいろいろと苦労を重ねてこられており、日本社会において安定した地位と待遇を必要としておられます、私は、これらの方々ができる限り安定した生活を営めるようにすることが重要と考えます、少しはしょりましたが、指紋押捺を行わないこととするなど幾つもの分野で抜本的な施策を講じる方針を表明したところであり、今後、これを誠実に実施に移すよう所要の措置をとってまいりたいと思いますなどのメッセージを発しているわけですね。
 その後、この入管特例法が制定をされ、その後の一九九八年、小渕恵三総理と金大中大統領との間で「日韓共同宣言 二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」という高らかな宣言が発せられています。
 ここでは、小渕総理が、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのおわびを述べたという部分を始めとして、これを機に両国間の関係を発展させよう、そうしたメッセージが確認をされるとともに、在日韓国人についてこうした宣言を出しています。両首脳は、在日韓国人が、日韓両国国民の相互交流、相互理解のための懸け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち、その地位の向上のため、引き続き両国間の協議を継続していくということなんですね。
 外務省にお尋ねしたいと思いますのは、こうした二国間関係を発展させていくのだと、在日韓国人の懸け橋としての役割、本当に大切だと、この認識は今ももちろん変わるところはないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(下川眞樹太君) お答え申し上げます。
 在日韓国人に関しましての政府の基本的な考え方は、今御指摘のございました在日韓国人問題に関する海部総理のメッセージ、そして、当時、そのとき同時に確認いたしました一九九一年の在日韓国人の法的地位に関する韓国との覚書、さらに、御指摘がありました一九九八年の日韓共同宣言に表れているとおりでございます。
○仁比聡平君 大臣、改めて確認したいと思うんですけれども、こうした日韓関係において、首脳同士で共同宣言もしてきた、こうした立場を言葉だけでなく行動に示していくこと、そしてその姿勢が日本の政治全体の中で貫かれること、これが私は大切なことだと思うんですね。
 まして、そうした歴史的な経緯の中で入管特例法によって定められた在留資格を特権だなどと非難して我が社会から排斥しようとする、そうした根拠に持ち出すなんというようなことは絶対に許されないと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(上川陽子君) 特別永住者の方々の法的な地位をめぐりまして、この間の様々な努力、そしてそのためのことをしていかなければいけないということでございまして、今のような状況になっているということでございます。歴史的な経緯を踏まえた上で、日韓両国の中での取決めが様々な形で行われ、また、入管特例法においても、そうした趣旨をしっかりと踏まえた上での今があるというふうに思っております。
 それゆえに、その意味で排斥するというような言動につきましてはこれは許されることではないというふうに考えておりますので、そうした趣旨をしっかりと踏まえた対応をしていくということが求められていると、そう思っているところでございます。
○仁比聡平君 これから政治的な責任を持って根絶し、孤立をさせていくという、そのためにまた議論を進めていきたいと思うんですけれども。
 ところが、一九六五年に、日韓条約が国民的な大議論の中で行われている当時、法務省の幹部がとんでもない認識を示した論文があります。一九六五年の「国際問題」という雑誌の五月号に、当時の入国管理局長が「在日韓国人の待遇問題について」という論文を書いています。
 そこでは、終戦当時に日本内地に在留していた朝鮮人の数は二百万人を超えた、その引揚げを触れた中で、自己の意思によることなく、日本に移住を余儀なくされた朝鮮の人々は、この引揚げでほとんど全てが帰国したことを留意しなければならないなどと根拠も示さずに決め付けた上、引き揚げた朝鮮人の中には、経済再建が思わしくないための生活苦から、日本での生活の方がまだましであるとの考えを抱く者が出て、次第に日本に逆航する者が増えてきた。さらに、終戦後の混乱に乗じて、日本において、あたかも戦勝国民かのごとき傍若無人な振る舞いで、暴利を貪ることに味をしめたやからが少なくなかったことは、いまだに我々の脳裏に鮮やかに残っているところであり、これらの者たちは、日本政府の再三の引揚げ勧告にもかかわらず、引揚げを準備した者も思いとどまる傾向を助長し、結局、大部分が日本国内に居座ってしまった。が、韓国人は外国人である。外国人にいかなる法規上の取扱いを与え、自国民に対するのといかに異なる処遇を行うかというような事項は、本来、我が国が自由に決定すべき事項であることは論をまたないなどと入管局長の肩書で論文に書いているんですね。
 入管局長、まさか同じ認識だとは思いませんけど、一言いかがですか。
○政府参考人(井上宏君) 御指摘の文章は、当時の法務省の入国管理局長を執筆者として雑誌に掲載されたものと承知してございますが、ちょうど今から五十年ほど前の、私のかなり前の先輩に当たるわけでございますけれども、どのような状況や経緯で掲載されたかについて今日においては不明でございまして、直接のコメントは差し控えさせていただきますが、私といたしましては、憲法や入管特例法等の法律等に従いまして、入国管理局長として適正に職務を行ってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 時間が迫りましたので、終戦直後の一斉に在日韓国人の国籍を奪った民事局を中心にした経緯について次の機会に質問は譲りたいと思うんですけれども、大臣にお尋ねをしておきたいと思うんです。
 一九一〇年に韓国併合、その後、苛烈な植民地支配、この下で内地と呼ばれるようになった日本への徴用や強制連行も含めて、その子孫の方々も含めた生活がある、既にその下で日本に生活の本拠があり朝鮮半島にはないという方々もある中で、一斉に国籍を奪って、在留資格はないが在留はとにかくしていいよという出入国管理令だけ出して、結局、この九一年の入管特例法といえばもう戦後五十年が迫るかという時期でしょう。そこまで指紋押捺も含めた本当に深刻な人権侵害を行ってきた。それを言わば総括をして、日韓関係、アジアの中での平和的な発展の土台になってきたのが、いわゆる九五年の村山談話や、先ほどの確認をした日韓共同宣言にも示されている認識だと思うんです。
 韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し痛切な反省と心からのおわびを述べる、ここを土台にしてこそ二国間関係や在日朝鮮人の法的地位と共生という問題も進んでいくことができるのであって、ここを壊すというような逆流は許されないと思うんですが、時間が参りました、一言だけお願いしたいと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 上川法務大臣、答弁は簡潔に願います。
○国務大臣(上川陽子君) これまでのあの歴史的経緯も踏まえて、入管の業務につきましても、しっかりと、またこれまでの経緯も踏まえた形で法にのっとって適正にしてまいりたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 今日は終わりにします。
○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。
 今日は、先月発覚したグーグル社地図表記改ざんに関して質問をいたします。
 ちょうど一か月前なんですが、当時はドローンの事件もありまして余りこの件はクローズアップされておりません。ただ、この件を見ていると、いろんな問題が内包しているんではないかと思いますので、質問させていただきます。
 先月四月二十一日の報道によれば、米グーグル社が提供する地図検索サービス、グーグルマップで、二十日、多数の地図表記が改ざんされたとのことであります。東京都の警視庁本部は恒心教警視庁サティアン、広島市の原爆ドームは核実験場と表示されていたほか、出雲大社にはサティアンの文字が書き込まれたそうであります。また、皇居の一部施設はオウム真理教皇居支部道場に書き換えられていました。改ざんは世界各国にも広がり、アメリカ・ケネディ宇宙センターは恒心教宇宙開発局、銃撃事件に遭ったフランスの新聞社シャルリー・エブド本社は恒心教パリ総合サティアンと表示されていたとのことであります。
 また、先月十五日には、グーグルマップのホワイトハウスの中にエドワード・スノーデンという、皆さん御存じのように、元CIA職員のスノーデン氏の名前が表示されているという事態も発生いたしました。既に修正はされておりますが、このエドワード・スノーデンをクリックするとグーグルプラスに作成されたスノーボードショップのページが表示され、住所はホワイトハウスと同じで、実在のショップ、店舗ではないわけでありますが、しかし、五つ星のレビューが付けられたり、すばらしい極秘情報の情報源だというコメントも投稿されております。更にクリックすると、ホワイトハウスの内部が表示されたということでもあります。
 民間のソフトではありますが、ここまで改ざんが可能なわけであります。何者かが意図的に仕組んだこのようなネット上でのいたずらではありますが、今後もITの発展に伴い、様々な形態を変え、より悪質なものが広がっていくことは容易に推察ができます。
 そこで質問なんですが、このグーグルマップの改ざん事案について、警視庁として、いつどこでどういう経緯で改ざんが分かったのか教えていただきたいと思います。この問題、先ほど言いましたように、発生してから一か月でありますが、捜査対象となっているのであれば現在の状況を教えていただければと思います。
○政府参考人(辻義之君) お答え申し上げます。
 グーグルマップ上の施設等を表記する箇所に実際とは異なると思われる名称が多数書き込まれた事案についてのお尋ねでございますけれども、警視庁におきましては、四月二十日中に外部からの通報により同事案を認知したものと承知をいたしております。その後、事実関係についての確認等は行っておりますけれども、個別具体的な対応状況についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、一般論として申し上げれば、刑事事件として取り上げるべき事案であれば、警察としては、法と証拠に基づき適切に対処する所存でございます。
○田中茂君 多分単なるいたずらだとは思うんですが、私はこのグーグル改ざんそのものとは別の観点でちょっと考えたわけでありますが、皇居へのオウムサティアンという書き込みについて、この記事を読んだとき、私はとても嫌な気分になったわけであります。
 それは当然ながら、こちら、有田先生いらっしゃるので、オウム真理教についてはちょっといろいろ話すのははばかる部分もあるんですが、オウム真理教、御存じのように二十年前の、ちょうど二十年前ですね、の三月二十日、日本においても前代未聞のテロ行為を行った組織であります、宗教団体であります。十三名の方が亡くなっただけではなく、負傷者も六千三百人を超え、今なおその後遺症に苦しんでいる方もいらっしゃいます。このような事件を引き起こした宗教団体の名前が事もあろうに皇居の表記改ざんに使われた、これは、私には重く受け止めざるを得ませんでした。
 それは一つは、以前、この宗教、オウム真理教、この最終攻撃は皇居、皇室であった、神道であったと。教祖を中心とした新たな国家樹立を考えていたとも言われていたからであります。真相は分かりませんが、一般的に、カルト宗教が深化して既存宗教を全否定し、さらに己の宗教が絶対であるという信仰を持つということは歴史を見れば分かることでありますが。
 そこで、全くこことは関係ないとは思うんですが、現在のオウムの動向についてどのような把握をしていらっしゃるのか、警察、法務省の公安調査庁からもお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 オウム真理教につきましては、アレフと名のる主流派とひかりの輪と名のる上祐派を中心に活動しておりますが、両派とも依然として麻原彰晃こと松本智津夫及び同人の説く教義を存立の基盤とするなど、その本質に変化はないというふうに認識しております。また、いわゆる団体規制法に基づき、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められるとして観察処分に付されているものと承知しております。
 こうしたことから、引き続き、公安調査庁を始めとする関係機関と緊密に連携し、オウム真理教の実態解明と組織的な違法行為の厳正な取締り、必要な警戒警備を推進してまいる所存であります。
○政府参考人(杉山治樹君) 公安庁からもお答えいたします。
 お尋ねの団体は、現在もなお無差別大量殺人行為の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫を崇拝し、その影響を強く受けるなど、依然として本質的な危険を保持している上、引き続き、閉鎖的、欺瞞的な組織体質が認められるところであります。組織面においては、全国各地に多数の信徒と施設を擁しておりまして、活動面においても組織拡大に向けた勧誘活動を展開しているというふうに認識をしております。
 公安調査庁におきましては、観察処分を適正かつ厳格に実施しているところでございまして、引き続き、教団の組織、活動の実態を迅速的確に把握していく所存でございます。
○田中茂君 ネット上でも、この改ざんについては単なるいたずらだと、暇潰し、深い意味がないとも書いておりますが、まあ多分そうでしょう。ただ、そのような考えを併せても、誰がそのようなことをしたかは分かりませんが、皇居の場所にオウム真理教皇居支部道場という表現は極めて悪質だと、そのように思っております。今後の抑止のためにもできる限り調べていただきたいと、そう思っております。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
 次に、このオウムと皇居の件はこれで終わりにしますが、グーグルに関しての質問に戻らさせていただきます。
 今回の改ざん事案について、四月二十二日、グーグル側の調査結果として、ユーザーによるスパム攻撃によるものであると、スパム攻撃、嫌がらせですね、嫌がらせであるとの発表をしました。また、ユーザーから提供された地図上の表記内容に間違いやポリシー違反があった場合、対象を削除する等の対応を行っているとの表明もありました。
 企業として、当然、自己責任、自己規制を徹底していくことは、政府が民間企業に安易に口を出せないわけで大いに結構ではありますが、その後、グーグル社は、今回悪用された機能である、すなわち地図に載っていない店舗やランドマークをユーザーが登録申請できる機能については、今後も制限などは設けないとしております。さらに、グーグルマップにはユーザーから新店舗の開業や既存店舗の移転などに関する場所情報が寄せられていますが、その大多数は有益なものです、グーグルでは不正確な場所情報の検出、防止、対応を強化してまいりますと、どちらかというと、むしろグーグルはその有益性を主張したわけであります。
 民間企業とはいえ、グーグル社の公共性の高さ、世間への影響力の大きさを勘案すれば、グーグル側の対応とは別に、政府として、このような事態が発生しないような、まずは官公庁などの公の重要施設に対しての書き込み、書換えができなくするなどの仕組みを考えるべきではないかと。さらには、このような悪用されやすいアプリに有益性を主張しているグーグル社に対しても何も手を打てないということを憂慮するわけであります。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
 実は、この事業に関する質問を考える際に各役所に話を聞いてみましたが、新しい分野に関わるという事案ゆえに、どこの担当がするかも分からないという状態でありました。担当が分からないこと自体がおかしいのではないかと思うわけでありますが、現在のIT企業の繁栄を見れば、確かに自由競争というのは進歩と発展を生み出したのは事実でありますが、その中で内なる道徳観というか、自己責任を持って行うのが最善であるとは当然私も思っております。
 しかし、自由競争の中で法律、規制に違反した場合には、最終的なとりでとしての司法があることも疑いがありません。別にグーグル社が法律に違反したというわけではありませんが、グーグル社の公益性とか世間への影響力を考えた場合に、何らかの形での未然の予防というか、このような今までにない案件に対しては未然の予防ということを考えるべきではないでしょうか。
 先月には、このグーグルマップ上の情報の改ざんと同時に、先ほども言いましたように、首相官邸屋上に小型ラジコンヘリのドローンが発見されました。約二週間にわたってそれが放置されたという事件も発生したわけであります。どちらも実質的な被害が発生したわけではありませんが、アメリカのホワイトハウスでもドローンの不時着事件が発生するなど、各国で似たような事件が発生したことを考えると、日本国内でも同じようなことが発生する可能性は容易に想定できたわけであり、そういった事件に対する未然の防止などを含めた危機管理の体制がなっているのか、疑問を持たざるを得ません。
 その意味でも、この二つの事件には非常に似た側面があると思いますし、国の威信にも関わるこのような事件に、その可能性に対してももっと問題意識を高める必要があるのではないかと、私はそのように憂慮しております。
 そこで、今回のような新しい分野での新しい事案が発生したときに、速やかに対応できない、政府対応が追い付いていないのではと、これでは危機管理として大変問題があるのではないかと、そう思いますが、大臣の所感をお聞かせいただけませんか。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘をいただきましたこのグーグルマップの改ざんということで、これを未然に防止をすべきかと、こうしたことも含めまして未然に防止をすべきかというような御質問でございますが、第一義的には、やはり民間事業者によりましてのインターネット上のサービスということでございますので、この地図サイトそのものの運営の在り方に係る大変重要な問題であるということでございます。その意味では、法務大臣という立場からこの問題についてお答えをするということについてはなかなか難しいというふうに思っているところでございます。
 一般的な認識ということで、危機管理対応ということの御指摘がございましたけれども、やはり危機管理を必要とするような重要な事態が発生するというような場合におきましては、直ちに政府の適切な体制の構築と迅速な対処ということにつきましては、これは委員御指摘のとおりだというふうに思っております。ただ、御指摘の、この事態そのものが事件性があるかどうかということも含めまして、これはなかなか一概には申し上げるということができませんので、その意味でも、この件について政府としてどう取り組むかということにつきましてのお答えということになりますと、なかなか難しいというふうに考えているところでございます。
 危機管理、そしてこれから二〇二〇年に向けての様々な安全、安心の状況をつくり出していくという、そうした五年後の動きを見据えながら、体制の整備につきましては万全にしていくべきというふうに考えております。
○田中茂君 確かに民間企業に対していろんな口出しはできないというのはよく分かっておるんですが、グーグル社の場合にはかなり公益性も高いし、あと、国民に対するというか、世間に対する影響力も強いということを勘案すれば、何らかの処置は必要になってくるんではないかと。
 特に、日進月歩といいますか、新しい技術やITが生み出す状況、そのサービスや商品に追い付くことが難しいことは重々承知しておりますが、前回の法務委員会でも、法案でもありましたが、専門化、国際化、複雑化への対応として人員増も図っている、そのような法案が出ているわけであります、これは判事に対する増員であったわけですが。このような新たな分野、事案に対して、先回りして法整備を含む危機管理を強化する体制を是非とも検討していただきたいと、そのようにお願いしたいところであります。
 時間は余りましたが、私の今回の質問をこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。上川法務大臣。
○国務大臣(上川陽子君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明いたします。
 裁判員制度は、これまでおおむね順調に運営され、国民の間に定着してきているものと思われますが、今後、裁判員制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるようにするためには、裁判員となる国民の負担が過重なものとなるような事態を避けることや、犯罪被害者の保護に万全を期することが必要であると考えられます。
 そこで、この法律案は、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員制度の対象事件から除外することを可能とする制度を導入するほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定を整備するなど、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたる事件等について、例外的に、裁判員制度の対象事件から除外し、裁判官のみの合議体で審判を行い得ることとするものです。
 第二は、重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要がある裁判員候補者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができることとするものです。
 第三は、著しく異常かつ激甚な非常災害による交通が途絶するなどした地域に住所を有する裁判員候補者又は選任予定裁判員については、裁判員等選任手続への呼出しをしないことができることとするものです。
 第四は、裁判官等は、裁判員候補者に対し、正当な理由がなく、被害者特定事項を明らかにしてはならないこととするとともに、裁判員候補者又は裁判員候補者であった者は、裁判員等選任手続において知った被害者特定事項を公にしてはならないこととするものです。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案は、衆議院において一部修正されており、その内容は、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新法の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員の参加する裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としてより重要な役割を果たすものとなるよう、所要の措置を講ずるものとする。」ことであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十三分散会