第189回国会 農林水産委員会 第12号
平成二十七年七月十四日(火曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 七月九日
    辞任         補欠選任
     古賀友一郎君     中曽根弘文君
     馬場 成志君     島村  大君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     馬場 成志君
     中曽根弘文君     古賀友一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山田 俊男君
    理 事
                野村 哲郎君
                山田 修路君
                徳永 エリ君
                紙  智子君
    委 員
                金子原二郎君
                小泉 昭男君
                古賀友一郎君
                中泉 松司君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                小川 勝也君
                郡司  彰君
                柳澤 光美君
                柳田  稔君
                平木 大作君
                山口那津男君
                儀間 光男君
                山田 太郎君
   国務大臣
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       総務副大臣    二之湯 智君
       農林水産副大臣  小泉 昭男君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       中川 郁子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       厚生労働大臣官
       房審議官     福島 靖正君
       厚生労働大臣官
       房審議官     苧谷 秀信君
       農林水産大臣官
       房統計部長    佐々木康雄君
       農林水産省生産
       局長       松島 浩道君
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
       農林水産省農村
       振興局長     三浦  進君
       林野庁長官    今井  敏君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
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○委員長(山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 私の方から、質疑に入る前に一言申し上げさせていただきます。
 七日の委員会の議事運営について、各会派の理事による場内協議をお願いしました。ところが、急な場内協議ということもあって、各会派の十分な確認を取らないまま結論と申し上げてしまいました。この点を修正し、今後の議事運営については慎重かつ公正な運営に努めてまいります。
 ありがとうございました。
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○委員長(山田俊男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮り申し上げます。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官福島靖正君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山田俊男君) 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○山田修路君 自由民主党の山田修路です。石川県の選出でございます。
 農協法等の改正法案の質問に入る前に、ちょっと地元の話なども二つほどさせていただきたいと思います。
 一つは治山事業ということなんですけれども、石川県の手取川という川があります。この上流で大規模な土砂の崩壊がありました。幸いにして人やあるいは田畑などに影響はなかったんですけれども、川の方が非常に濁水になって、地域の農家の方あるいは漁業の方も大変心配をしているような状況です。この状況がもう二か月以上続いているということです。崩落した場所は道路もなくてなかなか人が入れないということで、国有林ということでもありますので、林野庁の方でヘリコプターを使って応急的な手当てをしていただくということで、地元の方としては大変速やかに対応していただいたということで感謝をしております。
 できるだけ早く工事を終えて地域住民の方に安心していただけるようにお願いをしたいと思いますけれども、地元の話ですが、林野庁、どのように対応していただけるのか、お答え願います。
○政府参考人(今井敏君) お答え申し上げます。
 御指摘の手取川の濁水につきましては、河口から上流約六十キロメートルの国有林の斜面崩落から発しておりますことから、農林水産省といたしまして、これまで、六月二日に近畿中国森林管理局等によります現地調査を行いまして、六月十二日に応急対策工事の内容を決定し、六月十七日には工事契約を取り交わす、こういった対応を行ってきたところでございます。
 応急対策工事につきましては、先生御指摘のように、現地が道路もない奥地でありますことから、ヘリコプターを用いまして、先日、七月十二日の日曜日から崩壊斜面の浸食防止のための吹き付け工と崩落した土地の流出防止のための土留め工、この二つから成ります工事を開始したところでございまして、全力を挙げて早期完了に向けて取り組んでいくつもりでございます。
○山田修路君 ありがとうございます。
 これは私の地域の話なんですけれども、一般的に言いまして、やはり山地の崩壊というのが下流の農地や農業のみならず、今回の場合はそうなんですが、河川の漁業ですとかあるいは海面の漁業にも影響が出るということでございます。改めて治山事業の重要性を地域住民の方にも認識をしていただいたということでございます。
 これまで、一般論として治山事業にどのように取り組んできたのかということをまずお伺いをしたいと思いますし、今回の事例でいいますと、山地で崩落が起こった後に復旧工事をやるというようなことも、これも大事ですけれども、それよりも前に、災害が発生する前の段階で予防的に治山事業を実施する、このことも非常に重要であり、また有効ではないかと思っております。
 この予防的な事業の実施について林野庁でどのように対応されるおつもりか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(今井敏君) 先生御指摘のように、近年、集中豪雨等によりまして激甚な災害が多発している、そういう状況を踏まえまして、本年六月に内閣府の中央防災会議のワーキンググループが取りまとめた報告書におきましては、山地災害による被害を防止、軽減する事前防災・減災に向けた対策を推進していく必要があるとの方針が示されたところでございます。
 農林水産省といたしましては、これまで荒廃地の復旧整備を重点に治山事業を進めてきたところですけれども、今後は、この中央防災会議の方針も踏まえまして、地域の安全、安心の確保の観点から、事前防災・減災に向けた治山対策の強化に取り組んでいきたいと考えております。
○山田修路君 ありがとうございます。
 予算の制約もいろいろあると思いますけれども、今お話がありました事前防災あるいは減災の対策、事前に対応していくということで、是非しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、法案に入る前に、TPP交渉についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 このTPP交渉ですけれども、先月の末にアメリカでTPAの法案、大統領貿易促進権限法と言われておりますが、これが成立した、これを受けましてTPP交渉も加速しております。先週には日米間の事務レベル協議が行われたということでございますし、伝えられるところでは、今月の二十四日から十二か国の首席交渉官会議、また二十八日からは閣僚会議を開くということで大筋合意を目指しているということでございます。
 これまでこの委員会でも、平成二十五年四月の決議ですね、内容としては「農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。」などを内容としております委員会決議について、これを遵守して交渉がなされるよう求めてきております。
 交渉は最終局面を迎えておりますけれども、どのような方針で交渉しようとしているのか、農林水産大臣に改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 今後のTPP交渉会合については、主催国であります米国政府が、首席交渉官会合を今月の二十四日から二十七日まで、閣僚会合を二十八日からハワイにおいて開催する旨発表をしております。
 TPP交渉については、一昨年二月の日米共同声明において、全ての物品が交渉の対象とされること、それから、我が国の農産品にはセンシティビティーがあり、最終的な結果は交渉の中で決まっていくこと、これが確認をされております。こういう経緯も踏まえて、衆参両院の今御指摘のありました農林水産委員会、重要五品目などの再生産が可能となるよう、それらの品目の確保を最優先することなどが決議をされております。
 解決すべき困難な課題が残されておりまして、交渉の早期妥結に向けて各国とともに努力をしてまいりますが、いずれにせよ、TPP交渉に当たっては、この決議が守られたと評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考えに変わりはございません。
○山田修路君 ありがとうございました。
 交渉の内容についてはなかなか公表できない、公表されていないということなので、現状がどのようになっているか、はっきり私たちには分からない状況です。特に、関税の引下げなどの市場アクセスの分野におきまして、どのような状況になっているか判然としないところであります。
 新聞などで伝えられているところでは、牛肉や豚肉の関税の引下げや乳製品、小麦、米について無税又は低税率の輸入枠を設定するなどという報道があります。交渉中ですのでこの内容についてはもちろんお答えができないということだと思います。しかしながら、何らかの物品の関税が引き下げられるなどによりまして、我が国の経済、また、特に第一次産業に多かれ少なかれ影響を与えるということは避けられないというふうに考えております。
 TPP交渉の影響試算というのは、これ二十五年の三月に出されております。これは内閣官房から政府統一試算ということでございますが、農林水産物の生産額、三兆円程度減少するというふうにされております。この試算は、御案内のように、一定の仮定、つまり、全ての農林水産物が直ちに関税がゼロになるということ、また、二番目として、国内対策は一切考えないというか講じないという前提の下に試算をされたものでございます。実際の交渉はもちろんこういうことになるはずはないというふうに思っておりますので、この三兆円の生産額の減少というのは現実には起こってこないというふうに思います。
 いずれにしても、我が国の農林水産業へのマイナスの影響が生じないように、あるいは仮に生ずることがあっても最小限になるようにしていく必要があると思います。
 この国会決議の今お話ししたポイント、やはり一番重要なのは、引き続き再生産が確保されていくこと、このことであると思っております。交渉に当たりましても、また、万々が一対策が必要になる場合であっても、まさに国内の生産、再生産が可能になるようにということを視点に置いて、しっかりとその影響なりも把握しながら対応していただきたいということを重ねてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) このTPP交渉につきましては、現在、各国とまさに交渉を行っている最中でございますので、途中段階で農林水産業の影響について言及をいたしますと交渉相手国に予断を与えるということになり、交渉上不利益をもたらす可能性も出てまいりますので、そこは差し控えさせていただきたいと思います。
 今、山田委員からも御指摘いただきました影響試算でございますが、二十五年三月に内閣官房が中心となってまとめたものでございます。交渉が合意をもしした場合にこの試算を見直すかについては、今、内閣官房が中心となって判断をすべきことと考えております。
 いずれにせよ、衆参両院の決議、これを守られたと評価をいただけるように、しっかりと全力で交渉に当たってまいりたいと思っております。
○山田修路君 ありがとうございます。
 やはり、これから交渉、そしてその後どう対応するか、一番大事なのは国内生産がやはり維持されていくということでございますので、今大臣のお話もお伺いをして、そういうつもりで対応されているということをよく理解をいたしました。是非そういうことで頑張っていただきたいというふうに思います。
   〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
 そこで、法案の関係に移りたいというふうに思います。
 まず、農協に関係する改正についてであります。地域を回っておりますと、農協関係者の方、また農業者の中には、今回の改正がどうしてやる必要があったんだろうか、よく分からないなという声をお聞きをします。規制改革会議など農業、農村の実情をよく知らない方々の意見を基に日本農業が直面する様々な課題の責任を農協に転嫁をしているんではないか、こういった声もお聞きします。
 そこでまず、今回の制度改正の基本的な趣旨、狙い、何なのか、地域の農協関係者、農業者にも分かりやすく説明をしていただきたいと思います。
○大臣政務官(中川郁子君) 安倍内閣においては、農業を成長産業とし、地方創生の核としていくため、農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、需要フロンティアの拡大、需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築、生産現場の強化を産業政策の柱とする農政改革を進めているところでございます。
 こうした政策が成果を上げるためには、これらの政策面の見直しと併せまして、経済主体が政策も活用しながら自由に経営を展開できる環境を整えていくことが必要不可欠であると考えます。特に、農協改革につきましては、地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて創意工夫を発揮し、自由な経済活動を行うことによりまして、農産物の有利販売に全力投球できるようにすることで農業所得の向上につなげていくことにしています。
 このため、改正法案では、責任ある経営体制を確立するため、農協の理事の過半数を認定農業者などにするとともに、農業所得の増大に最大限配慮することなど、経営目的を明確化し、選ばれる農協とするため、農業者に事業利用を強制してはならないことを規定しているところでございます。
 また、連合会、中央会については、地域農協の自由な活動をサポートする観点から見直すこととしています。
 今回の改革を契機といたしまして、農業者や農協の役職員が徹底した話合いを行い、役員体制をどうするか、販売方式をどうするかを検討し実践していくことを期待しているところでございます。
○山田修路君 ありがとうございました。
 今、中川大臣政務官からお答えがありました、地域農協が担い手と一緒になって自由に活動できるような形にしていきたいというお話がありました。そしてまた、中央会についてもお話がありました。特に地域でよく理解をされていないのが、この全国農協中央会や都道府県の農協中央会の見直しの部分であります。
 今ほどお話がありましたけれども、あたかも全国農協中央会や都道府県の中央会が、岩盤規制というんでしょうか、岩盤となって農協の自由な活動を妨げている、あるいは農業者の発展を阻害してきたかのようなマスコミの論調もあります。もちろん、全中や県中にも改善をすべき点はあるというふうに思っておりますけれども、一方で、農政の推進などの面でこの全中、県中、大変重要な大きな役割を果たしてきたというふうに私は思っております。
   〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕
 そこで、特に全中、県中がこれまでどのような役割を果たしてきたのか、どういうふうにそれを評価しているのか、また、全中、県中が単協や農業者の自由な活動を制限してきたというような、一部マスコミが伝えているような実態が本当にあるのかどうか、なぜ中央会制度を見直す必要があるのか、お伺いをしたいと思います。
○副大臣(小泉昭男君) その中央会制度でございますけれども、もう御案内のとおりでございますが、昭和二十九年に導入をされた制度でございまして、これは当時農協経営が危機的状況に陥っていたことを背景として、特別なものでございまして、行政に代わって農協の経営を指導することにより、農協組織を再建することを目的として続けてきたものでございます。
 これまでの中央会の監査や経営改善指導によりまして合併が大幅に進みました。農協の経営基盤の強化にも、これはもう成果を上げてきたと考えているところでございまして、しかしながら、中央会の指導の結果として、中央会発足時、一万を超える農協があったわけでありますが、単位農協は現在七百程度に減少をいたしておりまして、特に一県一JA、これは現在、奈良、島根、香川、沖縄の四県がございますが、このように増加もしてきたことも現実にございます。
 JAバンク法に基づきまして、信用事業につきましては農林中金に指導権限が与えられていること、それから制度発足時とは状況が大きく変化をしているということでございまして、こうした状況を踏まえまして、中央会につきましては、地域農協の自立と自由な経済活動を促し、これを適切にサポートするという観点から、自律的な新たな制度、これは連合会や一般社団法人に移行すると、こういうことにしたわけでございます。
 行政代行的には、指導を行う特別認可法人が自律的な組織に変更をし、全中監査の義務付けも廃止をすることで、地域農協の役員が従来以上に経営者としての責任を自覚して農業者のメリットを大きくするよう、創意工夫して取り組んでいただくことを期待をしているところでございます。
○山田修路君 ありがとうございます。
 ただいまの副大臣の説明で、制度発足に比べて状況が大きく変わっていると、その状況に合わせて変えていくというお話でございました。
 新しい制度に移っていっても、私が先ほど言いましたように、全中や県中が果たしてきた非常に優れた機能というのがあるというふうに思っておりますので、そういったものが引き続き実施されていくように対応方をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 中央会の関係では、もう一つ監査の件でございます。農協を回っておりまして、単協の皆さんにお話を聞きますと、監査はなかなか役に立っているよとか非常にいい指摘を受けて有り難かったとかいうお話をよくお聞きをいたします。
 農水省、中央会の監査を、これまでどのような役割を果たしてきて、どう評価をされているのか。監査の権限によって単協を締め付けているというような意見もありますけれども、そのような実態は、私が聞いた限りでは聞かれなかったわけですけれども、そういう実態が本当にあるのか。また、監査制度を見直すということにした理由についても併せてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 中央会の監査の関係でございます。
 中央会、これまで監査をやってこられまして、その結果として農協の信用事業、健全に総体として維持できているというふうに考えております。ですが、この中央会の監査につきましては、外部の方からいろんな意見がございます。純粋な外部監査と言えないんではないかと。そういう意味では、金融機関としてのイコールフッティングは確保できていないんではないかと、こういった声があるのも事実でございます。
 こういったことを踏まえまして、今回の農協改革におきましては、中央会を自律的な組織に移行するということと併せまして、全中監査の義務付けを廃止をして、公認会計士による会計監査を義務付けるということにしているところでございます。
 これは、准組合員の数が農業者である正組合員を上回る状況になっているということ、それから農協の数も七百農協になりまして、一農協の貯金量の規模も相当大きくなっております、中には一兆円を超えるところも出ていると。こういったことに鑑みまして、農協が信用事業を今後とも安定的に継続できるようにするという観点で、ほかの金融機関と同様の会計監査の体制を取ることが必要というふうに判断をしたものでございます。
 それから、業務監査の方につきましては、これはほかの民間の組織、これと同様に、農協の任意といたしまして、地域農協が農産物の販売体制の刷新等を進めて、農家の所得向上を図ろうとするときに自由に能力のあるコンサルを選べるようにするということでございます。
 こういった見直しをすることで、組合員にとりましては安心して農協の信用事業を利用できるようにすると。それとともに、今回の農協改革を契機といたしまして、地域農協の役員の方が従来以上に経営者としての責任を自覚をして、農業者のメリットを大きくするように創意工夫して取り組んでいただくということを期待しているものでございます。
○山田修路君 ありがとうございました。
 新しいその監査の在り方、体制に移っていくということですけれども、これまでの中央会の監査も新しい組織に移っていかなくちゃいけないし、農協の方からしても、また今までと違う方法で監査を受けるということになっていこうかと思います。是非スムーズに、混乱がないように新しい体制に移れるように、また御指導もしっかりお願いしたいと思います。
 それから、先ほど中川大臣政務官から認定農業者がこれからできるだけ中心になってというお話もありました。認定農業者の方とお話をする機会がありましてお話をしておりますと、まだ改正、スタートしておりませんけれども、農協ですとか農業委員会の方から、次、理事になってもらえるかなとか農業委員になってもらえるかなというような御相談が内々あるということでございます。その方は、やはり自分も農業経営をやっているので、本当にそんなことを受けて大丈夫だろうか、できるだろうかなと、悩んでいるんですよというようなお話でございます。
 農協自体もそれだけ、あるいは農業委員会もそうですけれども、認定農業者が確保できるのかという問題もありますし、認定農業者の方からすれば、これまで経営に集中していた方が別途またそういう社会的な役割を果たしていくという負担も増えるということであります。
 そういう意味で、やはり例外規定をしっかりと実態に合ったものにしないと、農協や農業委員会も困るし、あるいは認定農業者の方も困るような事態もあり得るというふうに思います。
 是非、その例外規定、実態に合うように設けてほしいということなんですが、どういう例外規定にしようとしているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 今回の改革では、農業に積極的に取り組んでいる担い手の方の意見が農協ですとか農業委員会の運営に的確に反映されるようにするということで、原則として農協の理事につきましてはその過半数を認定農業者や農産物の販売や経営のプロとするということ、それから、農業委員会の委員につきましてはその過半数を認定農業者とすることをそれぞれ求める規定を置くことにしているところでございます。しかしながら、地域によりましては認定農業者の数が少ないなど原則どおりの構成とすることが困難な事情もあるわけでございますので、あくまでも原則ということにしておりまして、適切な例外を設けることにしているところでございます。制度の運用に当たりましては、実態調査を行うことなどによりまして、制度の趣旨を踏まえながら、現場の実態を踏まえた適切なルールとなるように十分留意をしたいというふうに考えております。
 例外を規定する農林水産省令の内容につきましては今後検討していくことになりますけれども、実態調査をした上で、必要がある場合には認定農業者のOBの方ですとか、あるいは集落営農の役員の方とか、こういった認定農業者に準ずる方をカウントできるようにするといったこと等を想定をしているところでございます。
○山田修路君 ありがとうございます。
 是非実態に合ったような例外規定をお願いしたいと思います。それから、できるだけ早くこの結論を出していただいて、やっぱり地域でも準備がいろいろあると思いますので、是非早い対応をお願いをしたいというふうに思います。
 それから、続いて、皆さんが一番心配されているのは、農協の准組合員の取扱いということでございます。
 事業利用を制限すべきかどうかでありますけれども、これは将来の課題ということでありますが、地方創生ということを今一生懸命やっているという観点からすると、私はずっと准組合員の利用を制限すべきではないということを言ってまいりました。改正法の附則五十一条二項ですか、五年間調査を行い、結論を得るということでございます。先の話なんですけれども、私としては、この調査は法的な制限を加えるということを前提とすることではなくて、そういうことは前提とせずに、農協の経営、あるいは准組合員の生活の利便性というものに十分配慮して調査をしっかりしていただきたいと。それから、調査をした結果についても、そういった農協経営、あるいは准組合員の生活の利便性も考慮した検討をしていただきたいというふうに思うわけでございます。この点についての考え方についてお答えをお願いします。
○政府参考人(奥原正明君) 准組合員の関係でございます。
 農協はあくまでも農業者の協同組織でございますので、正組合員である農業者のメリットを拡大をする、これが最優先でございます。したがいまして、准組合員のサービスに主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないというふうに考えております。ただ一方で、過疎化、高齢化が進行する農村社会におきまして、農協が実際上地域のインフラとしての側面、これを持っているのも事実でございます。
 こうした状況を背景といたしまして、准組合員の利用規制について議論がされてきたわけでございますが、これまで規制がなかったこともありまして、正組合員と准組合員の利用実態が把握できておりません。それから、今回の農協改革によって農業者の所得向上に向けた成果がどの程度出るか、これを見極める必要もございます。
 そういったことから、この准組合員の利用規制の在り方につきましては、まず五年間調査を行った上で検討して結論を出すと、こういうことになっているところでございます。調査の内容につきましては今後検討していくことになりますけれども、事業ごとに正組合員と准組合員の利用量がどのくらいであるかということはこれは当然でございますが、それだけではなくて、各地域ごとに見たときに、その事業につきましてほかにサービスを提供する事業者がどの程度あるのかといったことも含めて、地域のインフラとしての側面をきちんと調査をする必要があるというふうに考えております。
○山田修路君 この准組合員の問題、非常に重要な、農協によっては非常にクリティカルな問題になろうかと思いますので、是非その実態をよく見極めて対応していただきたいというふうに思います。
 続いて、農業委員会についてお伺いをしようと思っております。
 この農業委員会制度の見直しについても、まだ地域では十分に理解をされていないというふうに感じます。まず、新しい制度にスムーズに移っていくためには、農業者を含めて地域の関係者によく理解をしてもらう必要があると思います。
 そこで、まず、今回の法改正の趣旨について改めて説明をお願いしたいと思います。
○大臣政務官(中川郁子君) 農業委員会は農地に関する市町村の独立行政委員会であり、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消、新規参入の促進など農地利用の最適化を積極的に進めていくことが何よりも重要であると考えています。
 一方で、農業委員会の活動状況については地域によって様々でございまして、平成二十四年に実施をいたしましたアンケート調査によりますと、農業委員会の活動を評価している農業者は三割にすぎず、農地集積など農家への働きかけが形式的、また遊休農地などの是正措置を講じない、そして農業委員が名誉職となっているなど、農業委員会の活動は農業者から余り評価されているとは言い難い状況も見られるところでございます。
 このため、今般の法案では、農業委員会がその主たる使命でございます農地利用の最適化をより良く果たせるよう、適切な人物が確実に農業委員に就任するようにするため、公選制から市町村議会の同意を要件といたします市町村長の選任制に改める、また各地域における農地利用の最適化や担い手支援を行う農地利用最適化推進委員を新設する、そして都道府県農業会議、全国農業会議所の役割を見直し、指定法人制度に移行するとしているところでございます。
 今回の改革で農業委員会が地域の農地利用の最適化をより良く果たせるようになることから、農地の集積、集約化もより加速するものと考えております。
○山田修路君 ありがとうございます。
 今、中川大臣政務官からアンケート調査の結果ですか、お話がちょっとあったと思うんです。活動を評価する方が三割だというお話なんですけれども、農協などの経済活動を行う団体と違って、農業委員会、行政機関でもありますし、やはり縁の下の力持ち的なところもあるので、このアンケート調査が本当によく分かっている人たちが評価したものかどうかというのはちょっと私は疑問に思っておりまして、そのアンケート調査というのは、やややっぱり農業委員会に気の毒に評価されているのではないかなと思います。本当はもっといろんな役割を果たしているはずなんですね。ですから、そこのところはもう少しじっくり見ていただきたいと思います。
 お話がありました農業委員さんの選挙制ということについてでございますけれども、この選挙制があるので農地の流動化あるいは利用調整の役割を十分果たせるんだという意見があります。市町村長の任命制ということになれば、市町村長の方にもよりますけれども、政治的な関係者をまた任命をするというようなことも行われかねないという心配もされる方もおられます。
 公選制を廃止して任命制にするということなんですが、なぜそういうことをする必要があったのか、もしやるにしてもその任命のプロセスについて透明性を確保する必要があると思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(小泉昭男君) 先ほど政務官からの答弁の中にもございましたけれども、農業委員会は農地に関する市町村の独立行政委員会であるということでございますね。そして、その主たる任務、これは担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、さらにはこれらの解消といった現場の実務でございますが、耕作放棄地が拡大するなど、必ずしも現在十分に機能していない面があると考えております。これは、農業委員の四割が兼業農家であるということ、担い手など農業経営に真剣に取り組んでいる者が主体となっていないことに起因する面があると考えております。
 これらを踏まえまして、今回の法案では、適切な人物が確実に農業委員に就任するようにするため、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めるとしたところでございます。
 その際、市町村長は、農業委員の選出について、第八条一項におきましては市町村議会の同意を得ること、さらに、第九条一項におきましてはあらかじめ地域からの推薦を求め募集を行うこと、そして、九条第二項におきましては推薦を受けた者及び募集に応募した者に関する情報を整理、公表すること、さらに、九条第三項でございますが、推薦及び募集の結果を尊重しなければならないこととしていることでございまして、このため、御懸念の、市町村長が合理的な理由なく恣意的に委員を選任するということは困難と考えております。
○山田修路君 是非この選任に当たって透明性が確保されるような対応をお願いしたいと思うんですけれども、先ほどちょっと農業委員会の活動、特に耕作放棄地が拡大をしているというお話があります。これは農業委員会の活動が十分でないという面もあるというお話でしたけれども、やはり、農業委員会ができることというのは、一生懸命活動していても耕作放棄地を直ちに解消できるというものでもないと思うんです。これは、耕作放棄地の問題はやっぱり農政全般の問題であろうかと思います。それを農業委員会が悪いから耕作放棄地が解消できないんだというのは、ちょっと責め過ぎというんでしょうかね、ではないかなというふうに思います。
 もちろん、農業委員会だけのせいと言っているわけではないというふうに思いますけれども、やはりもっと農政全般としてどう対応するかということを考えないと、耕作放棄地の問題というのはやっぱり解消できないのではないかというふうに思います。
 今度の改正では、農業委員のほかに農地利用最適化推進委員という方が委嘱されることになります。両者の違い、法律上よく理解をしておりますけれども、地域の方にお聞きをすると、やはりその仕事が分かれているということではなくて、農業委員さんもこれまでのように現場を回って、推進委員さんと一緒になって農地の流動化などに取り組むようにしてもらった方が農業委員会の活動としてスムーズにいくという意見が大変多いわけであります。
 こういう農地利用最適化推進の業務の実際のやり方として、農業委員さんと推進委員さんが一体的に行う、こういう方法が考えられないかというふうに思うわけですが、この点についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 現在の農業委員の機能は、農業委員会としての決定行為とそれからそれぞれの農業委員の方の各地域での活動と、大きくこの二つに分けられるところでございます。
 今回の改正では、この二つの機能それぞれが的確に機能するようにするという観点で見直しを行っておりまして、農業委員とは別に農地利用最適化推進委員、こういうものを新設をすることにしております。
 改正後は、この農業委員の方は、合議体としての意思決定、こちらの方に重点が置かれることになりますけれども、農業委員会の総会あるいは部会に出席をしていただいて、農地の権利移動ですとか農地転用の許可に当たっての具申すべき意見、こういったものを審議していただいて議決権を行使をしていただくと、こういったことが中心になってまいります。
 一方で、推進委員の方は、これは担当区域が決まりますので、自分の担当区域におきまして、担い手への農地利用の集積、集約化ですとか耕作放棄地の発生防止、解消、こういった農地利用の最適化の推進に関する具体的な活動を行っていただくと、こういうことになるわけでございます。
 このときに、農地利用の最適化の推進の成果を上げていくということを考えますと、この農業委員とそれから推進委員、これの連携を図るということが極めて大事でございます。このために、今回の改正法の中では、推進委員は、この農業委員会が作成をする農地利用の最適化に関する指針に従って活動を行うということが規定をされておりますし、それから、農業委員会は、この指針を決めるときには推進委員の意見を聴かなければいけないという規定も入っております。それから、農業委員会の総会又は部会におきましては、推進委員に対していつでも報告を求めることができる、それから、推進委員の方も、自分の担当区域につきましては、総会や部会に出席をして意見を述べることもできると、こういった連携規定を置いているところでございます。
 それから、先生御指摘ございましたように、この農業委員の仕事につきましては、法律上の限定を特に設けておりませんので、法律上は農業委員の方が推進委員と一緒になって農地の流動化の現場の活動をやっていただくことも可能でございます。ただ、農業委員の数も限定をされておりますので、どこまで実態的にできるかということはございますけれども、そこは可能な限り連携を取ってやっていただくことも意味のあることというふうに考えております。
○山田修路君 ありがとうございました。
 次に、都道府県の農業会議の件についてお聞きをしたいと思います。
 農業会議については、来年の四月一日、この法律が通れば新しい組織、ネットワーク機構に移行するということであると思います。これは各都道府県にとっては全く新しい試みということでもございます。今、実際に各県でいろいろ準備をしておりますけれども、定款をどうしたらいいのか、役員構成あるいは予算どうしたらいいのか、様々な問題があります。
 全国農業会議所でも様々な相談に乗っておられるようですけれども、農林水産省としても是非新しい組織にスムーズに移行できるように指導、相談に乗ってやっていただきたいというふうに思います。
 それからまた、一般的に、この農業会議もあるいはネットワーク機構もそうでしょうけれども、財政基盤が脆弱であろうかと思います。財政基盤の強化についてもお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 今回の法改正によりまして、農業委員会の業務をサポートする機関といたしまして、全国又は都道府県に一つ、農業委員会ネットワーク機構、こういうものを設けることにしております。一般社団法人又は一般財団法人を国又は都道府県が指定をするというスキームでございます。
 その際、現行の都道府県の農業会議が、改正法の施行日、これは二十八年の四月一日でございますけれども、この施行日に農業委員会ネットワーク機構として都道府県の指定を受けて、その業務を直ちに開始できるようにするという観点で、特別な手続をこの法律案の附則のところに設けているところでございます。
 それから、財政面でございますけれども、この法律の中に、国は、農業委員会相互の連絡調整や研修の実施、優良事例の横展開等の農業委員会ネットワーク機構が行う業務に要する経費の一部、これを補助することができるという規定が盛り込まれているところでございます。
 農林水産省といたしましては、この組織の移行に向けた準備作業等について、都道府県それから都道府県農業会議への情報提供ですとか相談対応を丁寧に行いますとともに、都道府県農業委員会ネットワーク機構が農業委員会の支援をきちんと行えるようにするという観点から、必要な財源の確保に努めていく考えでございます。
○山田修路君 ありがとうございます。先ほど言いましたように、やはり地域では手探り状態ということでありますので、丁寧にというお話ありましたけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。
 農業委員会の関係で、次に転用の関係について少しお聞きをしたいと思っております。
 今国会で既に成立して公布されました地方分権一括法では、農地転用許可について地方自治体に権限移譲がなされております。四ヘクタールを超えるような転用であっても、農水大臣との協議は必要ですけれども、都道府県知事に権限が委ねられているということでございます。そして、その知事の権限は農林水産大臣が指定する市町村の長に移譲することもできるようになっている。
 そして、今回の農業委員会法の改正では、県レベルの農業会議の後継組織というんでしょうか、ネットワーク機構への諮問案件は限定をされ、実際の転用案件の処理としては市町村の農業委員会が意見を述べるだけのケースが増えることになります。そして、先ほどちょっとお話をしたように、意見を述べる農業委員さんは市町村長が任命をした方ということになります。
 これまでの転用行政というのは、地元の関係者から距離を置いて、やはり利害関係が非常に大きいということで距離を置いた機関が、つまり知事とか県レベルの農業会議、そして大臣ということなんですが、距離を置いて処理をしてきたということでございます。実際に同僚の市町村長を経験された参議院議員の方に聞いても、やはり市町村長が現場でやるにはいろいろ問題があるんですよというお話もお聞きをします。つまり、今までの転用制度の制度設計というのは、現場から距離を置いて判断をしていこうということで制度設計がなされていたというふうに思います。
 この今回の一連の見直しによって、これまでそういった現場から離れたところで見ていこうという制度設計の考え方に逆行しているという言い方がいいかどうか分かりませんけれども、やはりそれとは大分違うような考え方なのかというふうにも見られるところです。
 公正な農地転用行政が確保されるために、やはりこれまでの考え方というのも大変重要だと思うわけですけれども、この転用行政の公正さを確保するためにどのような対応をしていくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(三浦進君) お答えいたします。
 農地転用許可につきましては、基本的に現場と距離を置いた判断ができる者が行うことが適切であると考えておりまして、このような考え方から、農林水産大臣又は都道府県知事が転用許可の判断を行うこととしているところでございます。
 先月成立いたしました地方分権改革一括法による農地転用許可の権限移譲につきましては、四ヘクタールを超える農地の転用については都道府県知事が農林水産大臣に協議した上で許可を行うことといたしまして、二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用につきましては都道府県知事が許可を行うに当たり農林水産大臣への協議を不要としたというものでございまして、基本的な考え方を変えるものではないという認識でございます。
 その上で、今回の指定市町村への農地転用許可権限の移譲につきましては、優良農地の確保を図りながら地方分権を進めるという観点から、農地転用許可制度等を基準に従って適正に運用すると認められること等の基準を満たす農地の確保に責任を持って取り組んでいただける、そういう市町村を申出を受けて農林水産大臣が指定して、こうした市町村に限って都道府県知事と同様の権限を付与するということを基本としているものでございます。
 なお、今回の法改正による権限移譲に際しましては、農地転用許可基準の緩和は行わないということとしております。
 今後、転用許可制度に関する事例集の作成ですとか地方自治体の担当者への研修を行いますとともに、指定市町村における農地転用許可制度の運用状況を把握しまして、必要な場合には是正措置を講ずべきことを求めるといったことなどによりまして、今回の制度改正後におきましても農地転用許可制度の適切な運用が確保されることになるよう努めてまいりたいと考えております。
○山田修路君 今のお話で、現場から距離を置いたところで判断をしていくという基本的な考え方は変わらないんだというお話でありました。
 この地方分権一括法の内容とそれから今回のこの法案で改正をする内容を併せて見てみますと、そうは言いながらも、県レベルの農業会議あるいはネットワーク機構が現場から距離を置いて農地転用について判断をするというケースが減ってくる、現場にやはり近づいて市町村長に任せられるということが、結果的に両方の法案を通して見るとそういうことになってきているということです。
 ネットワーク機構の意見聴取については三十アールを超える案件ということで、これ以下のものは必ずしも必要がないということですけれども、先ほど局長がお答えになった現場から離れてということであれば、ネットワーク機構、県レベルの組織が関与をしていくということもまた大事なことであろうというふうに思います。
 この三十アール以下の農地転用についても、もちろん今の規定で禁止されているわけではありませんので農業委員会が意見を聴くことは可能ですけれども、是非、ネットワーク機構に意見を聴けるんだ、活用できるんだということもしっかり周知をしていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(三浦進君) 先生のお話にありましたように、今回の改正によりまして、農地転用許可に当たりまして農業委員会が許可の申請書に意見を付さなければならないこととしておりますとともに、農業委員会は、三十アールを超える規模の農地転用につきましては都道府県農業委員会ネットワーク機構の意見を聴くということとしております。これに加えて、今回の改正では、三十アール以下の農地転用につきましても、農業委員会が意見を述べるために必要があると認めるときには都道府県農業委員会ネットワーク機構の意見を聴くことができるよう措置することとしております。
 今後、これらの改正内容につきまして、農業委員会等の関係機関に対する周知を図ってまいりたいと考えております。
○山田修路君 もう時間が来ましたので、少し質問残っておりますけれども、また次の機会にしたいと思いますが、先ほどの、市町村長に権限が移譲されるときに、市町村によっては権限もらえばもう何でもできると思っておられる方がおられますので、是非その辺、先ほどお話がありました、転用許可基準は変わらないんだということですので、しっかりとその辺も周知をしていただきたいということをお願いをしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○中泉松司君 自由民主党の中泉松司でございます。
 質問の機会をいただきまして農協法等の質疑を行わせていただきますが、私も、山田委員ではありませんけれども、その前に、地元の話といいますか党の話にもなるんですけれども、一つ二つお伺いをしてから法案の質疑に入らせていただきたいと思っております。
 去る七月四日に自民党の二階総務会長、そして西川公也農林水産戦略調査会長が秋田県を訪れていただきました。これは党の視察で、秋田県と福井県と鳥取県ですか、その三県を党の役職員がお邪魔をして現地調査を行う、農業に関してお話を聞いてくるということで行われたものと認識をしておりますけれども、その秋田県に七月四日に来ていただきました。何で七月四日と覚えているかといいますと、私の息子の誕生日でありまして、それのせいで息子の誕生日をお祝いできなくなってしまったのではありますけれども、きちんと仕事としてさせていただいたつもりです。
 その際に、秋田県では飼料用米の取組、そして農地中間管理機構の取組、そして、秋田県で進めているんですけれども、米からの脱却ということで、園芸のメガ団地でトマトを作っているところを見ていただきまして、それぞれの現場で様々な御要望をいただいて、そして意見交換をさせていただいたということであります。
 その中で、特に飼料用米に関しては、私も今までずっと質疑を行わせていただいておりましたけれども、様々御要望やら御意見が強く出されておりました。
 私自身、初めて見て、ああなるほどなと思うこともたくさんありまして、例えば、皆さん御案内のとおり、飼料用米に関しては、捨て作り防止のために五万五千円の下限を設けて、多く作ったら十万五千円まで出る、基本は八万円ですよというふうな補助金の体制になっておりますけれども、皆さん、いわゆる多収品種ではなくて通常の品種を使っていらっしゃると。これは何でかというと、コンタミ防止のためであるということで、お話を伺った農家の全ての皆さんが、これ、コンタミ防止のために通常種を使っているんだという話でありました。
 また、秋田県はソフトグレーンサイレージという飼料を作って提供しているんでありますけれども、逆に牛にとっても通常種を使った方が食い付きがいいと。多収品種というのは、秋田も秋田六十何号とかいうすごくいっぱい取れるというのを開発しているんですけれども、実際に食べさせてみると食べないと。おいしいお米、あきたこまちであったり、めんこいなであったり、ひとめぼれであったり、そういうものをやると食べると。牛の舌も肥えているんだなというふうに普通にすごく感心をしたんでありますけれども。
 そういったことも考えて、通常種を使って八万円の補助金をいただいて、加えて耕畜連携で一万三千円の補助金をいただいて、九万三千円をいただくことによって、現在の主食用米と比べたときに、メリット、デメリットを考えた場合に、これは十分やっていけるというふうな判断で今進めていると、そしてこれを更に進めていきたいんだというふうな話をされておりました。
 更に進めるに当たっては、米の問題だけではなくて、増頭対策といった、そういった畜産関係の分野での強化も必要なんでありますけれども、物すごく期待をしていただいているということを感じてまいりましたし、加えて、二階総務会長以下役員の方々も、地元が期待をするような非常に力強いお答えもいただきまして、地元の期待というのは非常に今高まっているところであります。
 二階総務会長も、私たちは聞きっ放しにはしないんだというふうに言っていただきましたので、そういった意味で強い言葉でお答えをいただいた分、地元の皆さんも強い信頼を抱いているという状況でありますので、その期待に応えなければいけないと改めて思っているところでございます。
 その上で、飼料用米の今後の取組に関して、その場で感じたのは、現在の補助金の規模の継続というのがまず必要不可欠であるということ、そしてまた、これが例えば設備を増強するであったり、施設を整備していくであったり、そういった飼料用米に対応した環境をつくっていく上でも、現在の補助金を含めた制度というものが継続をしっかりとしていただかなければ、これはもう新しい一歩を踏み出すことがやっぱりできないんだという、これは今までもさんざん出ている話だとは思いますけれども、そういった御意見、そういった思いというものを非常に強く感じたところであります。
 今後に向けては期待もある中で、現状に関する不安も強いわけでありますけれども、こういった現状に対する認識と今後の取組について、是非大臣からお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) まずは、息子さんのお誕生日おめでとうございました。独立記念日、アメリカでございますが、お生まれになったということで、お祝いを申し上げたいと思います。
 この主食用米の需要、毎年八万トンずつ減少している中で、需要に応じた生産を進める、また水田のフル活用を図るということで、主食用米から今いろいろ御説明をいただきまして、なるほどな、牛も舌が肥えてきたなと私も思ったわけでございますが、こういう需要のある餌米など主食用米以外への転換を進めていく、これが大事だと思っております。
 この餌米の生産拡大に向けて、直接支払交付金、水田活用の直接支払交付金ですが、数量払いの導入、耕畜連携の取組への支援、こういったことをして、餌米へのインセンティブを高める措置を講じてきておるところでございます。
 今まさにおっしゃっていただいたように、耕畜連携の場合はこの一万三千円が加わりますので、標準単収のときは八万円プラス一万三千円で九万三千円と。単収がそこで増大をしていきますと、最大で十一万八千円になることになるわけでございます。
 こういったことを通じて、農業者の方々がやはり安心して引き続き取り組んでいただくようにすることが大事だと、こういうふうに考えておりまして、そういう観点からも、今年三月に新しい食料・農業・農村基本計画、これを閣議決定をいたしましたけれども、ここに餌米などの戦略作物の生産拡大を明確に位置付けをさせていただきました。私から申し上げるまでもないことですが、閣議決定をしたということでございますので、財務大臣も含めて政府全体として決めさせていただいたと、こういうことでございます。これに基づいて、しっかりとその達成に向けて今後も必要な支援を行ってまいりたいと、こういうふうに思っております。
○中泉松司君 大臣、ありがとうございます。大臣に誕生日を祝ってもらえる子供もなかなかいないと思いますので有り難いと思っておりますが、力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 いずれにいたしましても、農家の皆さんのお話を伺うと、例えば中期計画では百十万トンを目指すんだとかそういうふうな話はあるんだけれども、具体的に、じゃ、本当にやってくれるのかというと非常に不安があるということでありましたので、今の御答弁で納得をされる方も増えるのではないかというふうに思いますし、しっかりと継続していただきたいということは農家の、そして現場の意見でありますので、是非それを胸に刻んで今後取組を進めていただきたいと思います。
 加えて、飼料用米の活用に向けていろいろ現場からお話を伺っていますと、補助金等の使い勝手が悪いというようなお話を伺うことも多々あります。私も、じっくり見てみて、ああ、なるほどなというふうに思ったんですけれども、例えば、今の飼料用米に対応するために施設を新築したり増設をしたり、そういったプラスに増やしていくという話に関しては補助金の対象になるということで取組をすることができるわけでありますけれども、単純に、今使っているカントリーエレベーターだったり、そういったものが例えば老朽化してきているところはたくさんあるんですが、そういったものを飼料用米に対応するために転換をするんだといったときには、それは補助金の対象にならないと。
 そういうふうな話であると、取組をしたいんだけれどもという話でもありますし、実際老朽化しているという問題を棚上げして新しいものを造るというのも、それはそれでいいんですけれども、じゃ、そっちの方をどうするんだという話は変わらないわけでありまして、今後、飼料用米の取組を進めることによって主食用米の扱う数も減るのかどうかということも考えると、その辺りがちょっと非常に使い勝手が悪いなという声を伺ったりいたします。
 そういった声に応えて、やっぱり使い勝手を良くする必要というのは、これ、飼料用米の取組を進めるに当たってあると思うんですが、これに関して現状の認識と今後の取組についてお話をいただければと思います。
○政府参考人(松島浩道君) 今後、飼料用米の生産、利用の拡大を進めていくためには、やはり生産・流通コストの縮減ということが課題になっておりまして、そのための流通対策の整備ということが重要だというふうに考えてございます。
 その際、いろいろ施設整備が必要な場合もあるわけでございますが、農家負担の軽減ということを考えますと、主食用米の生産減少によって利用率が低下しております例えばカントリーエレベーターなどの利用の集約化といったものを図って、全体としてその有効利用を図っていただくということが基本ではないかと思っておりますが、その上で更に飼料用米に関する施設を整備する必要があるといった場合には、現在、強い農業づくり交付金などにおきまして、例えば稲作農家側でいいますと、今委員からお話がございましたカントリーエレベーターの整備でございますとか、畜産農家側でいいますと、飼料用米を調製、保管する施設と、こういったものに対する支援を行っているところでございます。
 今委員から施設の更新の話がございましたけれども、例えば強い農業づくり交付金というものは、産地の競争力を強化するということを目的とした事業でございますので、既存施設を単純に更新するといったものについては支援の対象としておりませんけれども、例えば高性能な乾燥機の導入によって処理能力を向上させる、こういった場合や、飼料用米の出荷形態を紙袋からばら出荷に転換して流通コストを低減する、そういったような場合については、施設の機能を向上させるということがございますので、支援の対象としているところでございます。
○中泉松司君 今のお答えでよく分かりますし、その対策をしっかりやられてきているというのも分かるんですけれども、実際、現場のニーズからすると、やはり秋田県内でもそうなんですけれども、老朽化してきているカントリーエレベーターが多いという実情がある上での話だとは思うんですが、そういったことに対して非常に声が強いというところもございます。
 先ほど答弁いただきましたように、処理能力を上げるであったり、そういった様々な対応をすることによってその補助金の対象になるということであれば、そこは現場に丁寧に説明をしていただく必要があると思いますし、いわゆる現場の方というか、地方の方でもそれはしっかりとそういうことを認識をしていただいた上で柔軟な対応をしていただけるということで取組を進めていくという必要があると思いますので、誤解があるのだとすればそこの誤解を解いていただきたいと思いますし、やりようによってはそういった補助金の対象になるんだよということも含めて、周知も含め対応をしていただければと思っております。自分も地元に帰ってそういった話はしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いをいたします。
 では、農協法の改正に関してお話を伺います。
 基本的な今回の法改正についての考え方というのは、先ほど山田委員の方の質問でやり取りがありましたので、省かせていただきます。
 ただ、私の思いとすれば、先ほど副大臣の御答弁にもありましたけれども、昭和二十九年に農協法が改正されて中央会の制度がつくられたと。一万二千を超えるような農協があったのが六十年掛けて六百九十四ですか、まで集約をされ、そして香川、奈良始め四つの県で一県一JAというのが誕生していると。六十年掛けてその役割を果たしてきたのであるから、それを踏まえて、新しい時代に入っていく上で、今後の農業どうあるべきか、そして今後の農業所得を増大させていくためにどうあるべきかという議論なんだというふうに言われると、これはみんな納得する話だと思うんですが、これまでの議論の中で、じゃ、なぜその上で准組合員の利用を制限しなきゃいけないんだですとか、なぜ、じゃ、監査に手を付ける必要があるのかですとか、そういったイメージをする、納得するイメージと実際の議論というのがちょっと懸け離れている部分があったのではないかなと、これは私の反省も含めてでありますけれども、そういったところがございます。
 やっぱり、そこで、いかに今のこの法改正というもの、なぜ今必要なのかということを認識をしていただく必要があると思っておりまして、それを今回の議論を通して深めていきたいと思いますし、我々も地元に帰って、こういうことなんだよということを説明できるようにしていきたいなというふうに思っております。
 今回の法改正に関して、今日はいろいろ山田委員からもお話がありましたけど、私は、准組合員の利用制限に関してを中心にというか、それだけ伺いたいというふうに思っております。
 准組合員の利用制限に関しては、これこそまさに、多分、全国どこでも一番不安、心配が大きかった話なのではないかと思います。結論としては、時の林農林水産戦略調査会長が御尽力をいただいたおかげで、五年間調査をし、その後、実態を踏まえて議論をするということになりました。まあ五年間は手を付けないということになりましたので、大変有り難いことだというふうに思ってはおります。ただ、その利用制限に関して、いずれにしても心配がまだまだ強いというのが現状でありまして、地元に帰ってもこの話がやっぱり一番割合として多くされるというのが現状です。
 衆議院の審議を見ますと、JAが地域のインフラとして重要な役割を果たしているという旨の答弁もいただいておりますし、附帯決議にもそういった内容が盛り込まれているということは有り難いことだと思います。今後、どのような実態調査をして、そしてどういう議論につなげていくかということが大変重要になってくるんだと思いますが、この実態調査の内容というのがやはり大変大きな意味を持つんだと思います。
 今までの議論を見ていますと、例えばその地域にほかの事業者がいるかであったりとか、そういったことを踏まえて、地域の実情に即して調査をするというふうな、何となく方向性みたいなものは伺っているんですけれども、本当に、農協関係の施設しかない過疎地域と全くの都会とでは事情が全く違うと言っていいぐらい違いますので、地域の実情というのをどこまで踏まえた調査をしていただけるのかというのが、やはり地域の、いわゆる過疎地域を中心とした不安になっているんだと思います。
 実態調査においては、そういった都市と地方の実情の違いというものを踏まえて、いわゆる一律に全体的に調査をするということではなくて、やっぱりその地域その地域の実情に即した調査にする必要があるということを強く感じておりますけれども、改めてそれについてお考えをいただきたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 准組合員の利用規制の在り方の問題でございますが、これにつきましては、まず五年間調査を行った上で検討して結論を得るということになっておりますので、現時点では何も決まっているわけではございません。
 これからも調査をやっていくことになりますけれども、この中身もこれから詳細を検討することになりますが、今先生から御指摘いただきましたように、やっぱり都市部とそれから過疎地域、農村部でやっぱり状況がかなり違っていることも事実だと思っております。そのことを踏まえまして、調査の様式を地域ごとに分けるかどうかというのはございますけれども、いろんな地域の都市部あるいは過疎地域、それぞれの状況に応じたその農協の果たしている役割がきちんと分かるような、そういった調査をきちんとやっていく必要があると思っておりますので、この調査の中身につきましては、各方面の御意見も伺いながらきちんと設計をしていきたいというふうに考えております。
○中泉松司君 あと、加えて、いわゆるJAグループの方でも自己改革案を示すなどして、今後そういった地域の期待にこれからも応えられるように、重要な役割を果たし続けられるように取組をしたいという姿勢を示しているんだと思います。
 今年の十月にも大会があるというふうに伺っておりまして、その際にも、この准組合員の利用制限の在り方に関しては、やっぱり我々も一生懸命取り組まなきゃいけないという姿勢を示したいというふうな話だというふうに伺っているんですけれども、一体何をすれば准組合員の利用制限を掛けられなくて済むのかと言ったら失礼ですけれども、何をすれば地域で重要な役割をインフラとして果たしているというふうに認識をしていただけるのか、逆に何をしなければ認められないのかがさっぱり分からないので、どういうふうに対応していいのか分からないというところが実情としてあるんだと思います。
 ここで、自己努力として何ができれば、地域のインフラとして重要な役割を果たしているというふうに答弁をいただいていますけれども、それが認められるのか、何を逆にしなければ認められないのかといったことをある程度明確にする必要があると思うんですけれども、それに関してお考えを伺います。
○政府参考人(奥原正明君) この准組合員の問題が何で議論されるようになったかという契機でございますけれども、これは、農協はあくまでも農業者の協同組織であると、したがいまして、正組合員である農業者のメリットを拡大することが最優先と、こういうことで、准組合員のサービスに主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはいけないと、こういう問題意識が一つあるわけでございます。
 それで、今回の改正法の附則の五十一条第二項というところでこの調査の中身が書いてございますけれども、法律に書いてございますのは、正組合員及び准組合員の組合の事業の利用の状況、これが一つと、それからもう一つはこの農協改革の実施状況と、こういうことでございます。特にこの二番目の農協改革の実施状況、これにつきましては、地域農協が創意工夫をして農産物の有利販売ですとか生産資材の有利調達、これにどこまで取り組んで組合員である農家の農業所得をどれだけ増大することができたか、こういったことを見ていくと、こういうことでございます。こういった農家のメリットの部分がどこまで改革でもって実行できたか。これがきちんとできていれば、ある意味、この准組合員の仕事をしていることによって正組合員のメリットが阻害をされていないと、こういうことに一つなるということでございます。
 それから、調査事項でもう一つ入っておりますこの正組合員、准組合員の組合の事業の利用状況ということでございますけれども、この中身は、これから調査の中身、検討していくことになりますけれども、各地域ごとに農協が行っている事業につきまして、ほかに同種のサービスを提供する事業者がどの程度あるのか、これは地域によってもかなり違うかもしれません。こういったことも調査対象にいたしまして、仮に規制を掛けた場合に地域住民の生活にどの程度支障を生じるかといったことも併せて検討すると、こういうことでございます。
○中泉松司君 この准組合員の利用制限をするかどうかという議論というのは、規制改革会議から端を発しているんだというふうに認識をしていますけれども、そういった中にあって、今まで党の議論でもずっとしてきましたし、委員会でもいわゆる法案が出る前のやり取りでも何回も話をしてきている話なのでありますけれども、この議論というのは、正組合員と准組合員の数が逆転しましたねというところ、これは異常な状況ではありませんかみたいな、そういうふうな話から端を発して今のところまで来ているというふうに思っております。この話を、例えば五年間調査しますと言って、そしてまた准組合員と正組合員の数どうなっていますかという話をしてしまうと、これは非常にもう議論する余地もないぐらい結論が出てしまうような話だと思っております。
 これ、現在の推移でいいますと逆転しましたねという話なんですけれども、最近五年ぐらいのトレンドを見ますと、これ資料を出したかったんですが、なかなかいろいろなところに影響があるということで、推計をしていただいたり自分なりに考えたりしたんですけれども、直近五年のトレンドで見ていきますと、もう物すごい勢いで多分准組合員が増えていきます。正組合員というのは農業従事者でありますので、正組合員の数は減っていくということになると思います。これは間違いないと思います。
 なぜかというと、今は国の農政だって集約化をして担い手に預けて、そしてそういうふうにしてやっていくということになっていますので、これはもう国が目指すべき方向として農業従事者の数は減っていくと、もうかる農業を実施していくんだけれども、数は減っていくということになるんだと思います。そうすると、農業従事者の数が減るということは正組合員の数も純粋に減ることになりますので、もし准組合員の数が増えなかったと仮定しても正組合員の数は減っていきますので、多分この差は開いていくということになりますし、正組合員が農業をやめて地域の若い担い手に農地を預けて、そして農業従事者が亡くなったときに、地域に暮らすということで准組合員になるという方もたくさんいらっしゃると思いますので、そういったことを考えると、この正組合員と准組合員の数の比較ということで議論をしてしまうと、これはもう全く議論の余地がないというような話になりますし、結果がもう見えている話になると私は思っておりまして、大変これ心配をしております。
 今後五年間調査をして、その上で議論をするのであれば、今申し上げたように、正組合員と准組合員の数の比較ということを議論の対象にするのではなくて、あくまで先ほど来答えていただいておりますその地域における役割をいかに果たしているかということを踏まえた議論にしていくべきだと考えておりまして、これは正組合員と准組合員の数の比較で議論をするんじゃないということを今のうちに明確にしておくべきだと私は考えるんですが、是非ここは大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 今回の改正案では、准組合員の事業の利用に関する規制の在り方について五年間調査を行った上で検討を加え結論を得ると、こういう条文になっておりますが、これは御案内のように、政府・与党で取りまとめをしたときの言い方そのものであります。規制の在り方でございますから、最初から規制をするということは決まっていないという言い方であるということをまず申し上げておきたいと、こういうふうに思います。
 この五十一条二項に基づいて、正組合員、准組合員の利用の状況、農協改革の実施状況について調査を行うと、こういうことでございます。したがって、調査を行わなければ分からないことがあるので調査をしようと、こういうことになったわけでございますから、人数だけでやるんであればもう分かっているわけでございますから、この人数のみを基準にして規制をすることにはならないと、こういうふうに考えております。
○中泉松司君 もうちょっと具体的にいただきたかったんですが、いずれにせよその人数のみを議論の対象にしないということでありますので、是非そこは御理解をいただきたいと思います。
 間違いなく正組合員と准組合員の数というのは逆転して、この傾向というのは強くなっていくのは、もうこれは明白でありまして、近い将来、多分六、四ぐらいの割合になるのか七、三ぐらいの割合になるのかは別にしても、今後の展開いかんによっては大幅にその差が開いてくるということになるんだと思います。
 ただ、それは異常な状況ということではなくて、地域に暮らす農家の方々が引退をされて、そして地域の担い手になってくれる方々に農地を預けてやっていただく、その上で地域を守っていくというふうな今後の流れというものを当たり前にやっていくとそういう状況というのは生まれると思いますので、そういったことを踏まえて、是非とも、この点は重要な点だと思いますので、大切に考えていただいた上で今後の調査に臨んでいただきたいと思いますので、ここは強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、農業委員会法の関係についてお伺いをいたします。
 今回の法改正というのは六十年ぶりの抜本的改正でありまして、これを円滑に進めるためには周知徹底が必要であります。法案成立後には速やかに政省令の公布をして、丁寧に説明、周知を図らなければいけないと考えております。
 本法案の施行日は、平成二十八年四月一日と確定しています。経過措置として、公布の際に現に在任する農業委員会の委員で、その任期が平成二十八年三月三十一日前に満了する者の任期は同日まで延長されるというふうにあります。いわゆる施行されて、任期を前に迎えると選挙ができると、後に来るのであればいいんだけれども、施行の前に任期を迎えて延長する方々というのは、多分一番最初、平成二十八年の四月一日に新体制でスタートすると、それまでの延長でありますので、一番最初にスタートするというのは平成二十八年四月一日に延長された期間が終わって新体制が発足するというのが多分今回の法改正の一番のスタートになるんだと思います。
 そういうことを考えると、逆算をすると、いわゆる条例を作ったりなんだりするということを地方議会でやらなければいけないので、四月一日に新体制をスタートするということになると、多分地方議会では三月に人事同意をしなければいけません。三月に人事同意をするためには、多分その前の年の十二月には条例を作っておかなければいけないと。その条例を可決するために、その前の多分九月議会ぐらいの段階で条例審査会か何かにかけて、その条例を作るという手続を進めていかなければいけないということになります。ですので、四月一日にスタートする方々で考えますと、多分、逆算をして九月議会までには間に合うように条例の審査に入らなければいけないというのが、多分タイムスケジュールとしてそういうことが起こってくるんだというふうに思っております。そこに関する心配というのがございます。
 来年の四月一日に施行するのであれば、現場への法律の周知といった問題以前に、市町村議会による条例等の制定に必要な時間を十分確保しなければいけないということでありまして、そのためには速やかな政省令の公布が待たれるというふうに思いますが、今法案の審議中でありますので何か言い方が難しいのかもしれませんけれども、成立するというふうな仮定をした上で、この公布の時期なるべく早めた方がいいと思うんですが、いつ頃を考えられているか、お伺いをいたします。
○政府参考人(奥原正明君) ただいま先生から御指摘ございましたように、この農業委員会法は基本的に二十八年の四月一日から施行されるわけでございます。この法律が成立をいたしますと、当然法律の公布になります。この公布から来年の四月一日までの施行日の間に任期が満了するところにつきましては、この法律の附則で施行日まで任期は延長されることになっておりますので、四月一日になった時点で、幾つかの農協におきまして新しい委員の体制に移行するということに当然なってまいります。
 そうしますと、先ほど先生御指摘ございましたように、この委員の定数につきましては条例で決めなければいけません。そういったことなどもございますので、各市町村において準備するものがいろいろございます。そういったことからすると、一日も早く我々この政省令を出して周知徹底を図らなければいけないというふうに考えておりますが、法案が成立するまでちょっと政省令を出すわけには当然まいりませんので、できるだけ早く法律を成立させていただきたいと思っておりますが、成立された暁にはもう速やかにこの政省令を出して周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○中泉松司君 今審議中でありまして成立していないので、どうしてもそういうお答えになるんだと思います。ただ、できる限り速やかにというふうにお答えをいただきました。ここは、地方のいわゆる体制は本当にそれぞれの任期によって違うと思うんですけれども、いち早く体制を整備しなければいけないという自治体にとってはかなりの心配になると思いますので、これは今審議中でありますけれども、可決された場合には速やかに本当に出せるように内部的に取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 また、今回の改正法案では、公選制を廃止して首長による選任制、議会の同意を経た上での選任制ということになりますけれども、市町村長は候補者の推薦を求めるとともに、委員となろうとする者の募集をしなければいけないというふうになっております。推薦と募集、ただ、そういうふうにあるんですけれども、推薦と募集が、合わせて候補者の数というものが定数を上回った場合の選任方法というのは明確ではありません。今までもさんざんの話でありますけれども、九割以上の地域で選挙がなかったからこれは公選制じゃなくていいじゃないかみたいな話もあったんですけれども、そもそも定数を上回らないように地域で努力をすれば選挙にならないのであって、そういうふうに上回った場合に選挙をするという話でありますので、上回った場合どうするかというのの解決方法が選挙であったと。それが今回は明確でないというところが、これが課題だというふうに考えております。
 衆議院の附帯決議も見ましても、「高い中立性と地域からの厚い信頼を必要とすることに鑑み、農業委員の公選制の廃止に当たっては、地域の代表性が堅持されるよう十分配慮すること。」というふうに指摘をされておりまして、これは重要なところだと思います。ただ、普通に自分の地域に置き換えて考えた場合も、推薦をされて出てくる人というのと私がやるんだというふうに出てくる人というのは、私がやるんだというふうに思いがあっても地域から推薦してもらえばいい話であって、私がやるんだという人が出てきたときに、プロセスを経て地域から推薦された人というのと自分がやりたいんだというふうに手を挙げる人というのを同列に扱うというのは、これ難しいんじゃないかなと私は考えております。その上で選ぶということになって、じゃ、その中から選んでくださいというふうに首長さんに言っても、それが、じゃ、恣意的なものになっていないのかどうかというものを判断するというのは非常に難しくなってくるんだと思います。
 そういったことを考える上では、やはり選任に関する定数を上回った場合の仕組みというものをあらかじめ考えておく必要があるんだと私は考えておりまして、透明性を確保するためにも、例えば選任者である市町村長の下に学識経験者等を主体とした選考委員会みたいなものを設けてそこで議論をするといった、そういうふうな段階が必要なのではないかなというふうに私は考えております。
 そういった声も、何県とは言いませんけれども、幾つかの県からそういったことをしないといけないと思いますという意見が上がっているというふうに伺っておりますし、私も地元に帰ると、首長さんから直接言われることはないんですけれども、首長さんを支える副市長さんであったり副町長さんであったりといった、そういった方々から、心配をして、これどうなるんですかというふうな声を伺ったりもしています。
 そういったことを踏まえて、いわゆる選考委員会的なもの、そういったプロセスを経るべきだというふうな御意見がありますけれども、これに関しての見解を伺いたいと思います。
○副大臣(小泉昭男君) 先生御指摘のとおり、選考の学識経験者ですね、こういう関係の方の選考委員会を設けることも一つの方法であろうかと、こう考えておりますので、これは今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、今般の法案でございますが、農業委員の選出方法ですね、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改める、そして、この際、推薦を受けた者及び募集に応募した者に関する情報を整理、公表するとともに、推薦及び募集の結果を尊重しなければならないと、これは改正後の第九条にございますが。
 推薦及び募集による候補者が農業委員の定数を上回った場合、御指摘の部分ですね、この上回った場合の対応ですが、その候補者に関して必要な情報を公表した上で、適切な選任が行われるよう関係者の意見を聞く機会を設けることなどが大切だと考えております。
 また、先ほど推薦を受けた者と募集に応募した者のお話ございましたけれども、これは、農業委員として適切な人物を選任するための事前手続として推薦と応募という二つの方式を掲げているためでございまして、一方を優先することは適当でないと、こう考えております。
 以上でございます。
○中泉松司君 次に、性別や年齢に著しい隔たりが生じないように配慮しなければいけないというふうに規定されていることについてお伺いをいたします。これ、どのようにして隔たりが生じないように配慮しなければいけないかというのは、これは課題であるというふうに思っております。
 例えば女性委員で考えますと、平成二十六年の全国の女性農業委員の数が二千五百七十二人、これは全体の農業委員数の七・二%に当たるそうです。ちなみに、平成二十三年では二千五十九人で五・七%でありますので、女性の割合は増えてきているというふうに今までの経緯を見ると言えると思います。
 ただ、選挙で選ばれているのはそのうちのおよそ五分の一の五百二十七人、平成二十三年で置き換えると四百二十二人ということでありまして、平成二十六年の二千五百七十二人から引くと二千四十五人というのが、これが議会や団体の推薦で選任されて選ばれている選任委員ということになっておりまして、今回の法改正によって地域からの推薦、公募ですよ、配慮しますよといって、ぱんと蓋を開けてみると、議会・団体推薦というのがなくなりますので、黙っていれば結果として女性の割合が減ってしまうことになりやしないかというふうに心配をしております。
 年齢や性別に、例えば今女性で話をしましたけれども、若い方々、若いって何歳から若いと言うかというとまたいろいろ微妙なのかもしれませんが、年齢や性別に多様性を持たせるためには、はい、どうぞということでやるのではなくて、やっぱり何らかの、枠を設けるという考え方もあると思いますし、何らかの措置を講じた上で女性や若い方々が入ってきやすい仕組みというものをつくっていく必要があると考えておりますけれども、そこに関する農水省の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) まず、現在の農業委員の構成でございますけれども、女性とかそれから若い方がどのくらい入っているかということでございますが、まず女性の方は、今先生からも御指摘ございましたけれども、農業委員の中での女性の割合は約七%でございます。一方で、基幹的な農業従事者の中での女性の割合は約四割でございますから、非常に比率としてこの農業委員の中での女性の割合は低いということになります。それから、一方で、若い方ですが、何歳を若いと見るかはございますけれども、仮に四十代以下の方、これを取ってみた場合に、基幹的従事者の中で四十代以下の方というのは約一割いらっしゃいますけれども、農業委員の中で四十代以下の委員の方は僅か三%という状況でございまして、やはり女性ですとかあるいは青年の意見がこの農業委員の中に十分反映されているとは言えない状況だというふうに考えております。
 このために、昨年六月の政府・与党の取りまとめの中では「女性・青年農業委員を積極的に登用する。」ということが書かれておりまして、このことを踏まえまして、今般お出しをしております改正法案の中では、市町村長が農業委員を任命するに当たっては、年齢、性別等に著しい偏りが生じないように配慮するという規定を置いているところでございます。
 これまでは公選制を取っていたわけでございまして、公選制を取りながら投票に至っているのは大体一割ぐらいでございますので、多くの場合には立候補段階での事実上の調整が行われていたということでございます。女性の方で、立候補したいんだけれども調整されて結局立候補できなかったと、結果的に選任委員の方で入ったという方も随分いらっしゃいまして、先生御指摘ありましたように、今農業委員になっている女性の方の中で大体八割が選任の方で入っておられまして、選挙の方は二割ぐらいと、こういった状況でございます。
 こういったことも踏まえまして、今回の改正では、この公選制をやめて市町村長の選任制一本に絞っているわけでございます。そのときも選任に先立ちまして推薦を求めたり、それから公募も求めておりますから、若い方、それから女性の方でやりたい方はどんどん公募に手を挙げていただくということも必要だというふうに考えております。その結果はきちんと公表されて、市町村長はその結果も尊重しながら選任をするということになっているわけでございます。
 特に枠を設けるということを考えているわけではございませんけれども、農林省といたしましては、この法案が成立をいたしましたら、この規定の趣旨を周知徹底をいたしまして、特に女性の方、青年の方に周知徹底をいたしまして、各地域で青年の方や女性の方が地域の推薦を受けられるようにする、あるいは自分でもって公募に手を挙げるといったことをどんどんやっていただくように働きかけをしていきたいというふうに考えております。
○中泉松司君 若い方であったり、年齢、性別、あとまた認定農家という話にもなってくるんだと思いますけれども、そういった方々がバランスを取れるような状況をつくっていく、局長が今おっしゃったように、そういった望ましい形になればいいなと思いますし、それを是非目指していただきたいと思いますが、結果としてそれが逆行するような話になってしまっては今回の改正が何だったんだという話にもつながりかねないと思いますので、是非とも、そのための仕組みというものをきちんとつくりながら、バランスの取れた体制にしていただきたいというふうに思っております。
 その上では、これまで農業会議所、これから農業委員会ネットワークになるということでありますけれども、そういったところが今までそういった調整であったり様々な役割を担ってきていただいて今日に至っているんだと思います。長年にわたり、六十年後の抜本改正でありますけれども、長年にわたってそういった経験、ノウハウというものを蓄積をしているのが現農業会議所だと思いますので、そういったところの御意見をきちんと踏まえながら、そういったところに主体的に地域の実情に即してやるとすればこういう仕組みがいいと思いますというような声を上げていただいて、それを農水省としても後押しをしていってバランスの取れた体制をつくっていくというのがあるべき姿なのではないかと私は思いますけれども、それに関して見解をお伺いいたします。
○副大臣(小泉昭男君) 御指摘の部分でございますけれども、このネットワークの関係も含めまして、農林水産省といたしまして、法案成立後でございますが、農業委員の選出手続について周知徹底すること、各地で青年や女性が推薦を受け、また公募に手を挙げるように働きかけていくということが大事だと思っております。
 また、さらに、今回の改正におきまして、農業委員会の業務をサポートする組織として農業委員会ネットワークですね、先ほどもお話ございました、この機構を各都道府県に設置することといたしておりますが、ネットワーク機構は、各農業委員会等への研修等を通じて、今回の法改正の内容の周知徹底や優良事例の横展開を行うこととしているところでございます。
 このため、農業委員の選任の適切な運用や若者、女性の登用につきまして、農業委員会ネットワーク機構は農業委員会に対して積極的に取り組むべきものと考えておりますし、国としても、ネットワーク機構のこれらの取組についてしっかりと後押しをしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○中泉松司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 多分最後の質問になろうかと思いますが、農業委員会の意見の提出について最後に伺いたいと思います。
 改正案第三十八条に、農地等の利用の最適化の推進に関する事項に関する事務をより効率的かつ効果的に実施するため必要があると認められたときは、農地等の利用の最適化の推進に関する施策に対し、農地等利用最適化推進施策の改善についての具体的な意見を提出しなければならないというふうになっております。しなければならないというのは非常に重要なことだと思うんですが、その上で、関係行政機関等は、農地利用最適化推進施策の企画立案又は実施に当たっては、同項の規定により提出された意見を考慮しなければいけないというふうになっております。
 行政機関に考慮していただいて施策に反映していただくということになるんだと思いますけれども、農地利用最適化の実現のための意見と考えた場合に、どこまでがそういうふうになるんだろうかということが考えておかなければいけないんだというふうに思います。農地利用の最適化の実現というふうに考えると、基本的には農地の集約、集積、そういったことがメーンになるとは思うんですけれども、そういったことを取り巻く話になると、予算であったり税制であったり、様々多岐にわたって関わってくるんだというふうに思います。
 具体的に挙げれば切りがないと思いますので具体的には言いませんけれども、農地の最適化のみというふうに限定をしてしまうと、何か非常にちょっと物すごく狭い感じがするんですが、農地の最適化といっても、それを取り巻く話題というのは幾つかあると思うんですが、そこに関してどのようにお考えになっているか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) まず、今回の農業委員会法の改正におきましては、従来農業委員会の業務として規定されておりました意見公表ですとか建議の業務というのをまず削除をしております。これは、農業委員会がその主たる業務であります農地利用の最適化の推進、これに集中して取り組んでいただくという観点で、法的な根拠がなくても行える意見の公表ですとか建議は法令の業務からは削除をするということにしております。ただ、削除をいたしましても意見の公表等は当然できることでございますので、いろんなことにつきまして自由に意見公表していただくことが可能だということがまずございます。
 その上で、ここに今御指摘ございました三十八条というところを規定しておりますけれども、この三十八条は、農地に関する施策につきましてPDCAのサイクルをきちんと回していくという観点から規定をしているわけでございます。農業委員会がその所掌事務の遂行を通じて得た知見に基づいて必要があるというふうに認めるときは、関係行政機関に対しまして農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見、これを提出する義務を課すということにしておりまして、その改善意見を提出された関係行政機関の方はその意見を考慮しなければいけないというところまで法律の三十八条に書き込んでいるということでございます。
 この規定に基づく改正法の意見の提出につきましては、農地利用の最適化の推進に関する施策、これを対象にしておりますけれども、具体的には、担い手への農地の集積ですとか集約化、あるいは新規参入の促進、あるいは耕作放棄地の発生防止ですとか解消、こういった課題をより良く解決するための改善意見であれば、予算、税制を含めまして、この三十八条に基づいて意見を出すことが可能であるというふうに考えております。
○中泉松司君 いろんなことに関して意見していいということだと思うんですけれども、それをいわゆる行政機関が考慮するかどうかというところが重要なんだと思います。ですので、何に関しても意見はしていいんだけれども、言いっ放しで別に考慮しなくていいんだという話ではなくて、いかにして現場の意見というものを行政機関に考慮をしていただいて今後の施策に反映させるかというところが重要だと思いますので、意見はできるんですというのはよく分かるんですけれども、その意見したものが実行してもらえるかどうかというところの根拠というのがちょっと乏しい部分もあるのかなというふうな心配があるんだと思います。ですので、大事なところはそこだと思いますので、今後いろいろ質問があるのかもしれませんが、そういったことを十分考慮していただかなければいけないと思っておりますので、それを踏まえて今後に臨んでいただきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(山田俊男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○柳澤光美君 民主党・新緑風会の柳澤光美でございます。
 農林水産委員会には初めて所属させていただいて、しかも初めての質問になります。正直言いまして農水に関しては素人で、基礎知識が不足しています。そこで、私は、各論に入る前の総論について、少し私の思いを込めて基本的なことをお聞きしたいと思います。ピント外れな質問もあろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、今国会の冒頭、二月十八日の本会議で、政府四演説に対する代表質問に立たせていただきました。その冒頭で、私は、日本とアメリカは違います。アメリカに学ぶことはあってもアメリカになる必要はないと考えます。アメリカは世界から人種も宗教も言葉も肌の色も違う人たちが集まってできた移民国家です。歴史も浅く、また狩猟民族であり、実力主義、能力主義を基本とする国です。しかし、日本は、大きな人種問題も宗教問題もなく、二千年の歴史と伝統と文化を育んできた農耕民族です。家族総出で田植を行い、間に合わなければ親族で助け合う血縁、隣の田植が遅れていれば手助けをする地域の縁というきずなを大切にしてきました。この日本の良さを取り戻す必要があると考えますと強く訴えさせていただきました。
 安倍総理からは、日本は古来より、朝早く起きて、共に助け合い、田を耕し、水を分かち合い、そして一緒に五穀豊穣を祈ってきた瑞穂の国であると考えていると答弁がありました。
 私も日本の良さの原点は農業、農村にあったと思っています。この点について、林大臣はどのように思われているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 私も、総理や今、柳澤先生からお話がありましたように、日本の古来よりのこの伝統、一緒に助け合ってという精神がこの稲作からきたのではないかと、こういうことを常々思わされておるわけでございます。
 農業は国の本という言葉がございますけれども、農業というのは、食料生産だけではなくて、国土や自然環境の保全それから集落機能の維持と、こういった多面的機能というものもあるわけでございまして、その両方を通じて国民の暮らしに重要な役割を担っておると、こういうことを、やはりこの重要性を捉えて古来より瑞穂の国と、こういうふうに言ってきたものだと、こういうふうに思っていますし、私も胸を張ってそういうふうに言っていきたいと思っております。
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 次に、少しちょっとお時間を頂戴して、私の思いを述べさせていただきたいと思います。
 戦後、日本は、原料を輸入し付加価値を高めて輸出するという加工貿易立国を目指し、鉄、造船、自動車、電機を基幹産業として高度成長を実現してきました。確かに、経済大国になり、物質的には豊かになりました。しかし一方で、人に対する思いやり、助け合い、血縁、地域の縁、職場の縁というきずなを大切にするという日本の良さが失われ、都市と地方、大企業と中小企業、正社員と非正規社員など、格差が拡大しました。特に農業、農村の疲弊は深刻です。
 所得倍増論の名の下に、地方からの集団就職や出稼ぎで、農村人口は減り続けてきました。その結果が今の農業、農村の現状ではないでしょうか。
 都市に人口が集中し、国土が荒廃し、地方崩壊が大きな問題になっています。だからこそ、今度は逆に、所得倍増の名の下に日本の農林水産業を再生することにより地方を創生する、これが今の課題だと、私もこれには大賛成です。
 実は私は、経済産業委員長、政務官、副大臣と経産が長く、グリーンとライフと農林水産業の六次産業化に中小企業を再編するという新成長戦略の策定に関わりました。量と価格の競争から質と価値の競争に転換し、世界に貢献できる新しい産業を育てる、これが目標でした。私には、特に農林水産業の六次産業化には強い思い入れがあります。農林水産業を日本の基幹産業にすることこそが新しい日本の再生につながると心の底から思っています。
 日本には、自然に恵まれ、豊かな国土があり、多くの河川と周りを海に囲まれた豊かな水産資源があります。そして、戦後の人工林が本格的な利用期を迎えた豊かな森林資源があります。特に農業では、南北に長い日本列島は収穫期が長く、温暖な気候で、二毛作も可能な肥沃な平野を持ち、安全、安心そして質の高い作物と商品を作る技術と知識と経験があります。
 また、私は福島の原子力災害現地対策本部長を一年一か月務めさせていただき、エネルギー政策にも深く関わり、再エネや省エネなどあらゆる政策資源を投入して二〇三〇年代後半には原発ゼロを目指すという目標を立てました。日本は自然エネルギーの宝庫です。バイオマス発電、小水力発電、世界第三位のポテンシャルを持つ地熱発電、もちろん太陽光、風力発電もあります。そして、省エネ技術も世界のトップクラスです。実際に、日本は江戸時代、鎖国をしても、三百年間、循環型社会を実現してきました。もう一度原点に戻り、日本の良さを取り戻すときだと考えます。
 少し前、五木寛之さんの「下山の思想」が話題になりました。頂上だけを目指す登山重視の時代から、周りを見回し麓を見詰め直す下山重視へと大転換が必要だという問題提起です。私も全く同感です。大変生意気なことを言わせていただきますが、戦後七十年、今こそ目指すべき日本の将来像、そして新たな国家観を示すべきときだと考えますが、総理を目指され、また期待されている林大臣の率直な御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) イトーヨーカ堂にお勤めになられまして、また経産委員会で、また経産省にも御貢献をされました先生からのお言葉ですから、大変重みを持って受け止めさせていただいたわけでございます。
 私も、農林水産大臣に就任する前は、どちらかというと財政金融、こういった分野が長かったわけでございまして、どうしても競争ですとか市場効率と、こういうものが重視をされる、そういう改革をずっとやってきたわけでございますけれども、やはり今まさに柳澤先生から下山の話をお聞きして、なるほどなというふうに深く思いを致しておるわけでございますが。
 時あたかも日本は、二〇〇七年をピークに人口も減少しつつあると。これは、人口が減っていくという消極的な意味ではなくて、やっぱり社会が成熟してきて、右肩上がりで、お言葉を借りれば、量と価格を追求する時代から、やはり質と価値、どうやって豊かな人生を送るか、こういうことを追求できる、そういう有り難い時代になってきたんだろうなと、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味でも、この農林水産業、農山漁村というのは、非常に世界に評価されるおもてなしや和食といった部分でも成長の糧ともなる、またそういう充実した価値を秘めた、こういうものではないかと、こういうふうに思っておりまして、それをどうやって引き出していくか、これが大変大事であると、こういうふうに考えて、そういうことを引き出して成長産業にしていくという産業政策と、そのことだけをやっていくわけではなくて、元々良さとして、先ほど申し上げさせていただいた多面的機能等をしっかりと守りながらやっていく、こういう意味でこの地域政策を車の両輪としていこうと、こういうふうに考えてきたわけでございます。
 まさに、そういう政策を推進することによって、我が国全体の成長にも結び付けながら、この美しく伝統ある農山漁村というのを将来にわたってしっかりと継承していく、そして、最近の二十代、三十代は、IターンですとかUターンといった、我々の白書では田園回帰という捉え方をしておりますけれども、そういうことが出てきておりますので、その方々がしっかりとそういうことをやっていただくためには我々の世代がきちっと農山漁村をそこまで継承していくと、これは世代の責任でもあるんではないかと、こういうふうに考えております。
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 今、大臣が言われましたように、人、物、金とよく言いますけれども、私は、物、金ではどうにもならない、最後は人だろうと。今回のいわゆる農林水産業の再生の問題も、本当に人が地方に、農林水産業に移動していくような政策が最も必要だろうというふうに思っております。
 それでは、少し本論に入らせていただきます。
 まず、この農業改革の進め方の問題です。
 私は、代表質問で、組織のために人があるのではなく、人のために組織はあると主張しました。その意味では、農協のために農家があるのではなく、農家のために農協があるという意味の農協改革は必要だと考えています。更に言えば、生活者、消費者、納税者、そして働く者の立場に立った農政改革も必要だというふうに考えます。
 しかし、安倍総理は、施政方針演説で、農政改革は待ったなしだ、だから六十年ぶりの農協改革を断行するというふうに述べられました。しかし、私には、なぜ農協改革の断行なのか、なぜ全ての責任を農協に転嫁するのかが理解できません。私が代表質問で主張した労働法制改悪と全く同じに私は感じています。財界という外からの改革であり、現場を知らない規制改革会議の机上論に基づく、官邸という上から目線のトップダウンによる強引な改革と言わざるを得ません。改革は現場からの内なる改革が重要で、現場の納得がなければ決して良い結果にはつながらないと私は考えています。
 そもそも、農協は農業者が自主的に設立する協同組合組織であり、そこに、人に対する思いやり、助け合い、そして地域の縁というきずなを大切にする日本の良さの原点があると考えます。だからこそ、地域コミュニティー機能の維持拡大にも大きな貢献を果たしてきたと私は考えています。しかも今、農協は地域レベル、都道府県レベル、全国レベルで変わろうとしています。
 この農協が果たしてきた実績と自己改革への取組を政府としてどのように認識し、どのように評価をされているのか、簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 農協は、まさに今御指摘がありましたように、農業者によって自主的に設立された民間組織でありまして、その改革は自己改革が基本であると、こういうふうに思っております。
 今回の農協改革は、こうした農協の自己改革を促進するという観点で、地域農協について、あるいは中央会についていろんな枠組みをつくってこの環境を整備していこうと、こういうことでございますので、そったく同機という言葉がございますけれども、外側から卵の殻をつつく動きと中からひながつつく動きが同機してしっかりといい改革をやってまいらなければならないと、こういうふうに思っております。
 そういった意味では、何度もここで、若しくは衆議院でも議論になったところでございますが、昭和二十二年に農協法が制定されて以降、小規模で多数の農業者が共同して事業を行うということで、農産物の流通、生産手段への供給、こういうことで大変大きな役割を果たしてきたと、こういうふうに思っております。
 昭和六十年がピークですが、農産物の取扱いが六割、それから、農薬の取扱高は出荷金額の八割という時代があったわけでございます。また、住専問題やペイオフ解禁、こういったものを契機として信用事業の健全化をやってきた。それから、ガソリンスタンド、生活購買店舗の統廃合、こういうことによって生活関連事業収支の改善をやったり、また、直売所の設置等もやってまいったわけでございます。したがって、大きな成果を上げてこられたわけでございますし、中央会も発足当初の一万二千という組合の数から今のところまで健全化を進めてこられたと、こういうことでございます。
 社会経済情勢が変化する中で、先ほど申し上げた販売、それから購入の取扱いのシェアが低下してきたということ、それからアンケートでも農業者の八割の方が販売力の強化や生産資材価格の引下げ、こういうことを期待をしていると、こういうことでございますので、こういう方向にこの自己改革を促進するということでシステムの見直しをしようということになったところでございます。
○柳澤光美君 あくまでも農協の改革を促進してもらう、あるいは卵の殻を外からつついて刺激を与えるという御答弁だったと思いますが、私は、つつき過ぎて卵が壊れてしまうのではないかなという心配をしています。
 私は労働組合の出身ですが、代表質問で、賃上げは政府から要請されてするものではなく、労使で協議し主体的に実施すべきだと主張をいたしました。労働組合も農業協同組合も自主自立的な組織であり、民主的な議論を積み上げて意思決定をすることが大原則だと考えます。そもそも、政府がその在り方に干渉することが許されるのか、労働組合でいえば不当労働行為ではないかとさえ私は考えます。ましてや、規制改革会議が協同組合の内部運営や経営の在り方全体に口を出すのは越権行為だと考えますが、林大臣の御所見をお聞かせください。
○国務大臣(林芳正君) 規制改革会議でございますが、これは、内閣総理大臣の諮問に応じて、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方に関する基本的な事項を調査審議すると、こういうことでございますので、そういう観点で御議論をされて、平成二十六年五月に農業改革に関する意見が公表されております。
 これは、実はあくまでも意見でございますので、その後の政府・与党の議論を経て決定されました規制改革実施計画というのは、この意見も踏まえて政府・与党で議論して閣議決定をしておると、ここが意見から閣議決定になるプロセスがあるわけでございます。したがって、我々あの当時、先ほどどなたかにおっしゃっていただいたように、最終的な農協改革の案を取りまとめるとき、私、党におりまして戦略調査会長ということでございましたけれども、その場でも今のような御指摘や規制改革会議とは異なった方向でのいろんな御議論があって、最終的に政府・与党として取りまとめをいたしたと、こういうことでございます。
 したがって、この規制改革会議が何か全て決めたと、こういうことではなくて、しっかりと政府・与党でかなり時間を割いていろんな議論をした上で、最終的にはJAの全中も含めたグループの皆様ともかなり詳細な議論をさせていただいた上でこの合意を得て決定に至ったと、こういうことでございまして、先ほど前の御質問でお答えさせていただいたような方向でしっかりと改革を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
○柳澤光美君 質問の順番をちょっと変えて、五番目の進め方が余りにも拙速だという項目に関連するのでそちらを先に質問したいと思いますが。
 規制改革会議は、昨年五月に農業改革に関する意見を出して、六月には第二次答申を出しました。その答申を、私からすれば、がぶのみして、今年四月、この関連法案が提出されたと考えています。問題提起から一年弱で結論を出す、本当に農水省としての主体性がもっとあってもいいんではないかと、これからの農業政策の在り方だけではなく、日本の将来の在り方にも大きく影響する農協、農業改革の進め方がこれでよいのか、余りにも拙速過ぎるというふうに思っています。
 また、規制改革会議は、農業改革に関する意見で、今回の農業改革は農業政策上の大転換をするラストチャンスであると言っていますが、なぜラストチャンスなのか。また、非連続な農業改革を断行することを提言すると言っていますが、本当にどんな意味なのか。
 私は、本当に規制改革会議にここまで言わせていいのか、押し返すところはきちんと押し返し、もう一度きちんとした対応をしていかないといけないのではないかというふうに率直に思いますが、大臣の御所見をお聞かせください。
○国務大臣(林芳正君) 安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出促進、六次産業化の推進、こういう抜本的な農政全般にわたる改革を進めてきたところでございますが、この全体の政策に合わせてプレーヤーである農協、農業委員会、農業生産法人の見直しというものも進めてきたところでございます。
 規制改革会議の議論は今先生からお話のあったようなスケジュールでございましたが、これに先立つ平成二十五年の九月から政府・与党における議論は始まっておりまして、平成二十六年六月に政府・与党の取りまとめを行ったわけでございまして、この間に、政府、これは規制改革農業ワーキンググループや産業競争力会議等々でいろんな御議論がありましたけれども、それから与党、これは自民党における農協改革関係のプロジェクトチーム、こういうところでそれぞれ検討をしてきたわけでございますが、それぞれの検討の場で、JAグループの関係者、またこの皆様にとどまらず、個人経営や法人経営を問わず、多様な農業者の方からヒアリングを行ってきたところでございます。
 二十六年六月の政府・与党の取りまとめを受けてこの国会に法案を提出すると、こういうふうになっておりましたので、最終的なこの取りまとめに向けて今年の二月に、先ほど少し触れさせていただきましたが、JAグループの皆さんとも協議を重ねて、最終的にJAグループの合意を得た上でこの改革の法制度の骨格を取りまとめたところでございます。
 規制改革会議でいろんな発言があると、こういうことでございましたが、先ほど申し上げましたように、規制改革会議は諮問機関で意見を述べるということでございますので、そういう意見を述べられた方がいらっしゃったんだろうと、こういうふうに思いますが、その後、政府・与党の議論を経て閣議決定した部分、すなわち規制改革実施計画においては今お触れになっていただいたような記載はないわけでございます。
 したがって、政府としても今こういう御発言があったというふうに紹介されたような認識を持っているわけではないということは申し上げておきたいと思います。
○柳澤光美君 安保法制あるいは労働法制、そしてこの農協改革、本当に今後の日本の骨格を変えていくような大事なところに余りにも規制改革会議の切り口でやっていくということに私は強い疑問を感じております。大臣が言われたとおり、政府の中でも検討されたというのは、それは事実だと思いますが、期間的にも非常に短くて一気に動いているような気がしてなりません。
 次に移ります。協同組合についてお伺いします。
 国際協同組合連盟、ICAが昨年の十月の理事会で、日本の農協改革は、農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろう、特に、協同組合組織を脱協同組合化し、株式会社にすることは非合理なプロセスであるとして、さらに、協同組合原則である自治と独立の原則、民主制の原則、そして地域社会への関与の原則を明らかに侵害すると指摘しています。私もそう思います。
 この指摘に対して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) この国際協同組合同盟、ICAでございますが、昨年十月に、農協法改正の動きに対してICAの協同組合原則を侵害すると、こういう表明をされたということは承知をしております。
 この協同組合原則でございますが、ここは非政府組織、NGOである国際協同組合同盟で採択されたものでございまして、これは委員御案内のとおりでございますが、条約ではないということでございまして、政府として、解釈権を有していない、またその内容にも拘束されるものではない、こういうことでございます。しかしながら、農林水産省として、世界の数多くの協同組合が参加をしておりますこのICAの協同組合原則についてもできる限り尊重したいと、こういうふうに考えております。
 それぞれ具体的に御指摘がございましたけれども、まず、組合員による民主的な管理、これ第二原則でございますが、この点については、地域農協の理事の過半数を認定農業者などにすることをこの法案で求めておりますが、これは、農業者の協同組織ということで責任ある経営体制というふうにしていただくということでございまして、運営が一人一票制によって民主的に行われるということは変わりがないということでございますので、第二原則には合致をしていると、こういうふうに考えております。
 また、この第四原則が御指摘のあった自主自立ということでございますが、協同組合は組合員が管理する自助自立の組織で、組合員による民主的な管理を確保し、組合の自主性を保つと、こういうことを要求しておるわけでございます。この点について、これまでの中央会制度は法律で行政に代わって指導や監査をする権限を与えられておりまして、全国や都道府県に一つに限って設立をされるという意味で真に自主的な組織と言えなかったというふうに思っておりますが、今回の改革によって自律的な新たな制度に移行すると、こういうふうになっておりますので、この第四原則に合致をすることになると、こういうふうに考えております。
 また、第七原則で地域社会の関わりというのがございますが、地域社会の持続可能な発展に努めるということを協同組合に要求しているものでございます。まさに今回の改革は、地域農協が農産物販売等を積極的に行って農業者の所得向上に全力投球をできるようにすることで地域農業の発展に寄与するということと、それから地域農協の実際上果たしている地域のインフラとしての機能も否定しておりませんので、こういう意味で第七原則にも合致すると、こういうふうに考えております。
○柳澤光美君 これ以上突っ込むつもりはありませんけれども、ただ、これに関して規制改革会議は第二次答申で、全農や経済連が株式会社に転換できるように措置すべきだという答申をし、その答申どおり、改正法案でも、組合はその組織を変更し、株式会社になることができるとしています。
 これは、株式会社化を強制するものではないというふうに言われますが、協同組合としての農協の存在意義を根底から覆すものであり、私は絶対反対です。農協の株式会社化だけは許されない、この規定だけは削除すべきだというふうに考えますが、林大臣の御所見をお聞かせください。
○国務大臣(林芳正君) 農協は農業者の協同組織でございまして、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において、先ほど申し上げましたように、実際上、地域のインフラとしての側面を持っているということは事実でございます。
 農協という組織形態のままですと員外利用規制等が掛かるということで、農業者でない地域住民に対して地域のインフラとしてのサービスを提供していくことが難しくなるということも考えられるわけでございまして、今回の改正案では、農協がその選択によって、生活購買、それからガソリンスタンド、こういうところの事業を分割して株式会社へと組織変更ができると、こういうふうにしたところでございます。こうしたことによって、地域のインフラとしてのサービスを適切に維持、提供することが可能となると。一方で、この事業を分割した残った方の農協でございますが、これまで以上に農産物の有利販売、生産資材の有利調達に重点を置いて事業運営が行うことができると、こういうふうに考えております。
 今委員も御指摘いただいたように、あくまで選択肢として導入をするわけでございますので、今後、各地域農協が自己改革に取り組んでいただく中で組織の問題がネックになるということがあればこの制度を活用をしていただければと、こういうふうに思っておりまして、そういった意味で選択肢を増やしたということで、協同組合としての存在意義が破壊するということにはならないというふうに我々は考えておるところでございます。
○柳澤光美君 私はかなり心配をしています。
 私は、代表質問で、日本の企業は株主のためにあると同時に、顧客のために、従業員のために、取引先との関係も大切にし、地域社会そして国のためにもあるという日本の良さを今は忘れているのではないか、新自由主義の下で、弱肉強食、短期の利益を追求する企業と経営者が増え過ぎているという批判をさせていただきました。
 この辺、農業に参入する企業は、農家のために、地域社会のために、そして国のためにという地域との共存共栄を大切にし、美田を残すという日本の農業の原点を守り、継続、発展を目指すという大原則を守らなければ私はならないと。特に、農業の参入は、リースであれ土地を買うのであれ、このことを大事にしていかないと、本当に農業、農村のネットワークが壊れてしまうというふうに思っています。
 更に言えば、本来、お祭りや消防団など地域コミュニティーへの参加も積極的に参加することを私はむしろ義務付ける、それが守れない企業は排除をするというぐらいの規定が、方針が必要ではないかというふうに考えますが、大臣の御所見をお聞かせください。
○政府参考人(奥原正明君) 企業の農業参入の関係の御質問でございます。
 企業が農地の権利を取得して農業に参入する場合につきましては二つの方式がございまして、リース方式とそれから所有権を取得する方式とがございます。
 まず、リースの方の方式につきましては、平成二十一年農地法の改正で自由化をされておりまして、クリアしやすい条件は幾つか付いておりますけれども、賃貸借契約に解除条件が付されている、それから地域の農業者との適切な役割分担の下に農業を行うということ、それから役員の一人以上が農業に常時従事する、こういった要件がございますけれども、これは非常にクリアしやすい要件でございますので、これをクリアすれば、一般企業であっても農業にリース方式で参入することは事実上自由になっているということでございます。この法改正の後、リース方式でかなり多くの企業が農業に参入をされているのも事実でございますし、農地の中間管理機構を活用することによりまして更に参入しやすくなっていると、こういう状況にございます。
 一方で、所有権を取得する方の方式につきましては、企業が農業から撤退した場合に産廃置場になるのではないかと、こういった農業、農村の現場での懸念がございます。そういう意味で、農業を継続的に真剣に取り組んでいくということを担保する必要がございますので、農業生産法人といたしまして、法人形態の要件ですとか、それから事業の要件、構成員の要件、それから役員の要件、こういった要件が決められているところでございます。
 具体的に言いますと、まず、法人形態につきましては、株式会社の場合には株式に譲渡制限が付されていなければいけない、そのほかに、農事組合法人や持分会社のいずれかであるといった法人形態。それから、主たる事業が農業、この農業という意味は加工、販売を含めた広義の農業でございますが、主たる事業がこの農業であるということ。それから、議決権につきましては、農業関係者以外の議決権は総議決権の四分の一以下であるということ、それから、役員の過半が農業に常時従事するとともに、その更に過半の方が農作業に従事をしていただくと、こういった要件が付されているところでございます。
 ただ、この所有権を取得する方の方式につきまして、従来、相当厳しい要件になっておりますけれども、今回、法人の……(発言する者あり)今回、法人の六次産業化等を進めるという観点から一部の要件を見直すことにしておりまして、議決権につきましては……
○委員長(山田俊男君) 奥原局長、答弁は簡潔にしてください。
○政府参考人(奥原正明君) はい。
 議決権につきましては、農業者以外の方の議決権を二分の一未満まで拡大をすると、それから、役員については農作業に従事する方は一人以上いればいいということで見直しを行うことにしているということでございまして、それ以上に自由に農業に所有権の形で参入できるという形にしようとしているものではございません。
○柳澤光美君 どちらにしても、基準を作ることが目的ではなくて、そういう企業の実態をきちんと把握をして、それから状況をきちんとチェックをする、これをどうしていくかということをもう一度真剣に考えていただくことを問題提起をしておきたいと思います。
 時間がありませんので、最後の質問に入ります。
 私は、農協改革の前に本当に大切なのがオールジャパンの輸出戦略だというふうに思っています。人口減少と高齢化による国内の食市場の縮小は、私はもう避けられないと。この中で、本当に産地単位であったり都道府県単位、それぞれが今度はばらばらになって国内の中で競争を始める、どんなにやっても拡大はしていかないと、縮小均衡の中にある。とすれば、本当に国を挙げて、輸出をどう拡大するんだと、これを先に決めて、この商品はこの地域にこれだけの量を輸出するから、全国でこれをこの時期にこういうふうに作ってくれというのがあって初めて農業改革が、そして農協をどう使っていくかということにつながってくるというふうに私は思っています。
 ですから、所得倍増による農業改革の鍵は、もうオールジャパンの輸出戦略だろうと。ジェトロはもちろんなんですが、経産省、外務省、そして農協が全国レベルで緊密に連携をして取り組む、このことが最優先の私は課題だというふうに考えておりますが、最後に大臣の御所見と御感想をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) まさにおっしゃるとおり、国内は人口が減ってまいりますので、いろんな付加価値の付け方というのはあろうかと思いますけれども、マクロで、ボリュームで見ますと、海外の需要をどうやって取り込んでいくか、大変大事だと思っております。ある会社の試算によりますと、二〇一〇年ぐらいに三百四十兆円だった世界の食市場、これは大体十年で倍になると、こういうふうに言われておりますので、そこに向けてしっかりとやっていくために、我々、二〇二〇年、東京パラリンピック・オリンピックの年を目標に定めまして、二〇一二年、四千五百億円だった輸出を一兆円の倍増にしようということで、まさに国別、品目別に輸出戦略を作っております。
 まさにその中で、今先生がおっしゃっていただいたように、それぞれの県がばらばらにやるのではなくて、品目ごとに輸出の団体をつくっていただいて、ジャパン・ブランドとしてやっていこうということで、今のところ、水産物、米、花、牛肉、茶、林産物、青果物と七つできたところでございます。しっかりとこういう輸出団体が産地間の連携に向けた調整等をしていただいてジャパン・ブランドを確立して、海外マーケットの実態に応じてPR活動を行っていかなければならないと、こういうふうに思っております。
 円安ということもありまして、四千五百億円だった輸出額が五千五百、六千百と順調に推移をしております。今年も、六千百だった去年を二五%増の勢いで上回っておるということでございます。手を抜かずにしっかりと、支援策を通じまして政府一丸となって輸出促進を図ってまいりまして、この一兆円の目標を何とか前倒しで達成をしていきたいと、こういうふうに考えております。
○柳澤光美君 終わります。ありがとうございました。
○徳永エリ君 皆様、お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 今、柳澤大先輩のお話を聞いておりまして、大変に感銘をいたしました。本当にそのとおりだなと思いますし、一気に形を変えてしまうのではなくて、今何をしなければいけないのか、優先順位、やること、もっともっときちんと議論をして段階を経ながらやっていかないと、一気に変えてしまったら取り返しが付かないことがたくさんあるなということをしみじみ感じながら、何だか胸がいっぱいになりました。
 林大臣からIターン、Uターンのお話もありましたけれども、大臣、どうして若い人たちが今農村に戻ってきているかですよね。それは、都会に出ていった若い人たちが、やっぱり農村って温かかったよな、暮らしやすかったよな、農村の暮らしがいいよなって、都会に出て都会の暮らしを経験して、農村の良さを改めて認識して帰ってきているわけですよね。その農村の良さが改革によってなくなってしまったら、形ががらっと変わってしまったら、果たして若い人たちは戻ってくるんでしょうか、行くところがなくなってしまうんじゃないでしょうか、そんな思いもします。
 私は、この法案が成立したら、何年か後に農業者の姿も変わるでしょうし、それからやっぱり一番心配なのは、皆さん共有していると思いますけれども、農村のコミュニティーが本当に守れるのだろうかと。人がいなくなれば、学校もなくなる、病院もなくなる。就職先も農協か役場かですから、農協がもしなくなってしまったら就職先もなくなるということですから。ですから、本当にコミュニティーの崩壊ということを一番懸念しております。
 衆議院では、七委員会、二十四時間の審議が行われました。そして、三回の参考人質疑と二回の地方公聴会も行われました。二十名の参考人それから公述人から御意見を伺いましたけれども、法案に対する全面的な賛同はほとんどなくて、特に農協の准組合員の利用制限や農協の理事構成、それから農業委員会の公選制の廃止や今後の役割などについては大変に懸念する声が大きかったと思います。
 これ、委員会の中でどうして時間を掛けて審議をするかということですが、問題点がどんどんどんどんあぶり出されていって、そしてみんなが心配していることが大体、方向性というか傾向が同じだなということが分かってくるわけですよね。そうすると、参議院に回ってきて、そのことを受けて、やはり不安を解消するために、あるいは疑問に思っていることを納得させていただくために答弁ぶりも変わってきてもおかしくないんじゃないかと思いますけれども、相変わらず同じような答弁が続いているわけであります。
 そこで、衆議院での委員会質疑、参考人質疑やそれから地方公聴会での公述人の皆さんの意見を受けて、林大臣、奥原局長それぞれに感想と、それから、法律の枠組みが決まってこれから政省令で細かいことが決まっていくわけですけれども、どういうところに留意していかなければいけないか、今お感じになっていることがあったら、これから参議院での審議が進んでいくわけですが、出発点としてそこをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) まず、Uターン、Iターンについて御意見をいただきました。私も同感でございますが、ただ、Iターンは元々都会にいらっしゃった方が帰るということですので、必ずしも昔は良かったなということではなくて、そういう農林水産業にある意味興味を持っていただいている方が都会出身の方にもいらっしゃると、こういうことではないかと思っていまして、そういう方が帰ってきていただいてしっかりと働く場があるということを、持続的な農林水産業ということを通じて図っていくということではないかと思っております。
 お尋ねの衆議院の、政府案、それから民主党の対案も実はございまして、審査をしていただいたわけでございます。基本的な考え方や農協の事業目的、それから理事の構成、地域のインフラ、今日もございましたが、としての機能の取扱い、中央会の在り方、これに関連して監査の在り方と、こういう論点だったというふうに思っております。
 参考人の質疑それから地方公聴会でも、農業者、担い手の方々を中心に、担い手の期待に応える農協改革を進めてほしい、それからやはり農産物販売を強化して所得向上につなげることが大事である、それから役員の意識改革が必要であると、こういった声がありましたが、一方で、農協関係者それから研究者の皆様からは、農協改革は自己改革が基本である、それから、これは組合の関係の方ですが、准組合員の利用規制は農協運営に大きな影響を与える、地域組合の考え方というのが大事である、それから中央会を改革しても農業所得は向上しないと、こういう声もあったわけでございます。
 こういう議論を踏まえて採決が行われまして、政府案については自公、維新の三党の賛成ということでございました。また、附帯決議は民主党さんにも賛成に回っていただきまして、四党の賛成で附帯決議も付けていただいたということでございます。
 先ほど申し上げましたように、まだ現場への周知徹底というものが不十分であると、こういうことを私も審議を通じて認識をしておりますので、法案成立後というふうに衆議院で申し上げたら、今からでもやれと、こういうふうに言われましたけれども、今からでもできることはやりたいと思っておりますが、基本的に、法案成立後、しっかりと法改正の趣旨、内容について説明していく考えでございますし、このいただいた御意見をしっかり踏まえて、運用についての御議論も随分ございましたので、そういうことを踏まえて政省令等を決めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○政府参考人(奥原正明君) 私の方にもお尋ねがございましたので、お答えしたいと思いますが、基本的にもう大臣がお答えしたとおりですけれども、昨年の六月に政府・与党の取りまとめを行いましたときには、その後、ブロック別に分けまして、農協の組合長ですとかそれから農業委員会の会長にも来ていただいて、丁寧な説明会をやらせていただきました。
 その後は、農協、JAグループの方で自己改革案の検討に入りましたので、その後の説明会は特にやっておりませんので、ちょっとこちらの周知徹底は足らないところはいろいろあったかなというふうに思っております。この法律が成立した暁には、そこはもう丁寧に、意見交換も含めて、きちんとこの趣旨を分かっていただいて、自己改革に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 それからもう一点は、衆議院の方でもいろんな議論がございましたけれども、制度の趣旨はともかくとして、法律だけではなくて政省令に任されている部分、運用の部分というのはかなりございます。これにつきましては衆議院の方でも附帯決議をいただいておりますので、そういった附帯決議の精神もきちんと踏まえた上で、この政省令や運用についてはきちんと考えていきたいというふうに考えております。
○徳永エリ君 こだわるようで申し訳ないんですが、先ほどのIターンの話ですけれども、確かに農村から都会に出ていった人が戻ってきたというわけではないかもしれませんけれども、今情報社会ですから、いろんな情報が都会の人たちにも届くわけですね。都会にいて、心疲れて、いる場所もなくなった若者たちが、温かさとか支え合いとか、そういった農村コミュニティーを求めてやってくるということもあるわけですから、企業参入によってそういったものがなくなってしまっては困るという意味で申し上げさせていただきました。何が大事かということであります。
 皆さんのお手元に資料を配付させていただきましたけれども、実は私、北海道の全百八単協に郵送でアンケートをお送りいたしまして、そして、回収率は多少低かったんですが、十八単協から回答をいただきまして、それを表にまとめさせていただきました。大体傾向は皆さん一致しているということは分かると思います。
 それで、全中それから県中が単協の自由な活動を妨げているという理由をつくって改革を進めようとしているわけでありますけれども、そもそもこの改革は何のためなのかということがよく分からないという声がたくさん上がっているということは今までもお話がありましたけれども、今回の改革の目的は、とにかく既存の農家の皆さんの声が全然反映されていなくて、官邸と財界の主導で大きく変わろうとしている農政に適した新たな農業プレーヤーをつくろうと、そのための仕組みなんだというふうに思っております。
 全中の業務監査等が単協の自由度を阻害しているかということですが、このアンケートでも御覧のように、御回答いただいたほとんどの単協の組合長さんが、そんなことはないし、事例もないというふうに言っているんですね。むしろ農協の監査は必要だとか、それから全中の監査に弊害を感じたことはないというふうに御回答いただきました。
 そこで、衆議院でも具体的な事例が示されなかったわけでありますが、そもそも無理があると私は思うんですけれども、改めてこの法改正の理由をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 農協法が昭和二十二年に制定をされておりますが、当時と比べまして、まず食料が過剰基調になってきているということで、マーケット・インといいますか、消費者、実需者のニーズに対応した販売努力というものが不可欠になってくるということですし、また付加価値を取り込んで六次産業化をやったり、先ほど柳澤先生からお話をいただきましたように、輸出を視野に入れると、こういうことが必要になってくると思っております。
 それからもう一つは、当時と異なりまして、大きな担い手の方と、兼業農家でいわゆる小規模な方々に階層も少し分化をしてきておりますので、組合員となかなか一言でくくれない、ニーズも多様化してきている、こういうことに応えていかなければならないということでございます。
 そういった中で、農産物の販売のシェアや資材の購入の取扱いのシェアが低下傾向にありまして、私自身も地元でよく聞きますが、なかなか資材の購入にメリットを感じないとか、もうちょっといろんなものを高く売ってくれるといいがなと、こういうふうによく聞くわけでございます。
 それから、中央会も、昭和二十九年に発足したときには対象となる単位農協が一万を超えておりましたが、七百程度に合併等が進んで数が減ってきたということ、また、一県一JAも増えてきているということと、それから、信用事業についてはJAバンク法に基づいて農林中金が指導すると、こういうふうに変わってきております。
 こうした状況の変化を受けて、この農協システムを現在の経済環境に合わせていくということでございまして、結果として地域の農協の自立や自由な経済活動がより一層促されると、こういうふうに考えておるところでございます。
 したがって、衆議院でもいろいろ御議論になりましたけれども、何かがんじがらめに縛っていたのでそれをなくすということが直接の目的、原因でこの改革をやるんではなくて、今申し上げたように状況が変化してまいりましたので、その変化に対応した改革をしていこうと、こういうふうに考えたところでございます。
○徳永エリ君 やはり同じような御答弁で、どうしても納得がいかないんですが。
 具体的な中身に行きますけれども、全中の監査を外出しして法人化して、貯金等合計額が二百億円未満の単協は公認会計士監査か農協監査のどちらか選択制にするということでありますけれども、これはなぜ選択制にするのか分からないんですね。
 各県統一、監査の独立性を高めるために全国監査機構として整備されて、これまで農協が培ってきた会計監査と業務監査の両方の監査は農業に特化した専門性のある監査であって、営利企業の財務諸表のみを監査する公認会計士監査では目的も内容も全く違うわけですよね。公認会計士監査制度は投資家保護のための決算証明監査、中央会監査は組合員の利益確保のための業務運営全般の指導監査も併せて行っているわけであります。
 そもそも、単協は公認会計士監査を選択するのかどうか、選択制が成り立つかどうかも疑問だと思うんですが、その辺りはどう受け止めておられますでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 農協の監査の問題でございますが、今回の農協改革の中では、この全中の監査の義務付け、これを廃止をいたしまして、公認会計士の会計監査を義務付けるということにしております。全中から外出しをした監査法人の監査でもいいですし、それ以外の一般の監査法人の監査でもいいわけですが、いずれにしても公認会計士法に基づく監査法人の監査を受けていただくと、こういう制度に移行するわけでございます。
 この背景でございますけれども、准組合員の数が正組合員を上回る状況に既になっているということ、それから、農協の数も七百農協になりまして、一農協の貯金量の規模も相当大きくなっております。平均で見ても一千億超えておりますし、中には一兆円を超えるところもあると。
 こういったことに鑑みますと、やはり農協が信用事業をこれからも安定的に継続をできるようにするという観点からしますと、ほかの金融機関、これは銀行だけではなくて、信用金庫、信用組合を含めてですけれども、ほかの金融機関と同様の純粋の外部監査の体制をきちんとつくるということが必要であるというふうに判断をしたところでございます。
 ですが、この義務付けは、従来からそうですが、貯金量が二百億円以上の農協に対して義務付けられておりますので、それよりも小さいところについてはこの義務付けは掛かりません。
○徳永エリ君 それから、現在、農協監査は組合員からの賦課金で賄われているので、監査コストが幾らなのかよく分からないということであります。公認会計士監査に切り替えたら単協の負担は大きくなるのではないかと、そういった不安な声も現場から上がっています。負担は増えるのか、それともそう変わらないのか。
 また、附則の第五十条の第一項第三号で「会計監査人設置組合の実質的な負担が増加することがないこと。」と書かれておりますけれども、今後検証していくことになるんだと思いますけれども、万が一その負担が大きくなったときにはどう対応していくんでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 今回の農協改革におきましては、先ほど申し上げました公認会計士、監査法人の監査を義務付ける一方で、今回の改正農協法の附則第五十条におきまして、公認会計士監査への移行に関しての配慮事項といたしまして、政府は、農協が実質的な負担が増加することがないように配慮するという規定が置かれているところでございます。
 この配慮規定の具体的な中身につきましては、改正法の施行後に検討していくということになりますけれども、まずは、これまでの農協のこの監査に関する負担がどのくらいあったのかということをいろんな角度から確認をいたしまして、その上で会計監査人に切り替えた場合の負担がどの程度になるかといったことを検証しながら詰めていくということになるものと考えております。
 その上で、具体的な対策が必要という場合には、これは公認会計士協会とかいろんなところとの相談が必要になってくると思いますけれども、例えば公認会計士協会と連携しまして、農協の組織や事業はこういうものであるということを既存の監査法人を含めてきちんと説明をしていただいて、準備をきちんとしていただいて、できるだけコストを下げていただくというようなことを含めまして、様々な方策を検討していくことになるものというふうに考えております。
○徳永エリ君 言うはやすしですけれども、そういうことが実際にできるのかと。負担が大きくなると分かったときに非常に現場は混乱するというか、困ると思いますので、きちんと検証していただいて、実現可能な対応をしていただきたいというふうに思います。
 昨年の十一月六日、農協は、規制改革会議の農業改革に対する意見を受けて自己改革案をまとめました。自主自立の協同組合であるJAが自らの組織改革を自らの手で必ずやり遂げる強い決意を強調して、全中の監査権限の維持、全中などの中央会に関する規定を農協法に措置することを求めましたが、規制改革会議は、農協法から中央会に関する規定を削除して、全中は一般社団法人へ移行させられることになったわけであります。
 奥原局長は、先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、衆議院の審議の中で、農協は民間組織でございますので、その改革につきましても自己改革が基本であるというふうに考えておりますというふうにおっしゃっていますけれども、実際には、農協の自己改革案は受け入れられず、政府が改革の枠組みを決めてしまって、その中で政府の方針に沿って改革に努めよということですから、果たしてそれが自己改革と言えるのかどうか、私は理解できません。いかがでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 今先生が言われたとおりなんですけれども、農協は農業者によってつくられた自主的な民間組織でございます。したがいまして、その改革は自己改革が基本、これはもう当然のことだというふうに考えております。
 今回の農協改革におきましては、こうした農協の自己改革を促進をするという観点におきまして、地域農協について責任ある経営体制を確立をするための理事構成ですとか、あるいは、経営の目的などを規定して自己改革の枠組みを明確にするということと、中央会につきましても、地域農協の自己改革を適切にサポートする、これができるような組織体制に移行する、こういうことにしているわけでございます。
 このように、今回の改革は、自己改革に取り組むための環境を整備するというものでございまして、農産物の販売方針を具体的にどうしていくのかですとか、そのために具体的に誰を役員にするかとか、こういったことはそれぞれの各地域の農協の判断に委ねられているわけでございます。
 農協もほかの民間組織と同様に法律で制度の枠組みが決められておりまして、その枠組みの下で法人格を付与されて自由に活動を行っているという点ではほかの民間組織と変わりがございません。そういった中で、法制度を改正することが自己改革と矛盾することではないというふうに考えているところでございます。
○徳永エリ君 JAが自らの手で必ずやり遂げる強い決意を持って自己改革案を出したわけでありまして、正直言って、今聞いていて余計なお世話だなという感じがいたしましたし、さっき柳澤委員からもお話がありましたけれども、民間組織に対して政府や規制改革会議が上から物を言うような形でこのとおりやれというのは、先ほど越権行為ではないかというお話にお答えいただいていませんでしたけれども、私はこれは越権行為ではないかということを強く感じております。
 それから、奥原局長と話していて時々かみ合わないなと思うことがあるので、これ基本的な思い浮かべながら話しているものが違うんじゃないかなと思うことがよくあるんですね。
 確認させていただきたいんですけれども、政府が最近おっしゃるところの農業者というのは、イコール担い手ですよね。担い手は認定農業者、集落営農組織、それから認定新規就農者で、認定農業者というのは個人、法人、リースを受けている企業なわけですよね。今は、この認定農業者というのは全国で一三・五%しかいませんけれども、これから小規模家族経営農家が淘汰されていって法人や企業がどんどん農業に参入してくるとなると、認定農業者そのものが企業であり法人であり、その割合がどんどん大きくなっていくわけですよ。
 そう考えると、政府が農業者の所得倍増という話をしているのも、この法案審議の中でおっしゃっておられる農業者というのも、私は日に焼けたごっつい手をした農民の姿を思い浮かべながら話をしているんですけれども、恐らく局長が思い浮かべている農業者の姿というのは全然違うんじゃないかと思うんですよね。ここをちゃんと明らかにしておかないとずっと審議がかみ合わないでいくと思うんですよ。
 改めて、奥原局長のおっしゃっている農業者とはどういう方なのかということをここで語っていただきたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 農協法の第一条におきまして、農協は農業者の協同組織というふうに書いてございまして、その上で、農業者の定義も法律の中に書いてございます。自ら農業を営む個人、それから農業に従事する個人、それから農業を営む法人と、こういうふうに書いてあるわけでございまして、この法人のところでは限定が付いております。常時使用する従業員の数が三百人を超え、かつ資本金額等が三億円を超える大規模な法人は対象外ということで、これを超えない法人を含めて、個人や法人全ての農業者の方がこの農協法の正組合員たり得る農業者ということでございます。
 農協法が制定された昭和二十二年当時は、農地解放の直後ということもございまして、各農家の経営規模、大体一ヘクタール弱ということで均質でございましたけれども、現在は階層分化が相当進んでおりますので、大規模な担い手農業者、この中に法人の方も家族経営の方もいろいろいらっしゃいますけれども、大規模な農業者とそれから小規模な兼業農家に大きく分かれていると、これが現実でございます。
 このような状況の変化によりまして、農協の組合員のニーズも相当多様化してきているわけですけれども、今回の改革では、農業者の中でも特に地域農業を牽引している担い手農業者のニーズにやっぱりきちんと応えた仕事をしていかなければいけないのではないかという観点で、責任ある経営体制を確立するための理事構成ですとか、それから農業所得の増大に配慮するといった事業運営原則、こういったものを決めているわけでございます。
 担い手がやっぱり地域をリードする存在でございますので、この担い手の方々のニーズを踏まえて、例えば農産物をもっと有利に売るといったことができれば、その地域の担い手でない小さい農家の方々も当然メリットを受けることになるわけです。そういった観点で、担い手の方々を中心にしながら地域農業全体を発展させるような、そういう農協にしていくにはどうするかと、こういう観点で今回の農協改革の法案はできているということだと考えております。
○徳永エリ君 説明していただければいただくほどよく分からなくなるんですけれども。
 要は、奥原局長がいつも描きながら話しておられる農業者というのは、農民なのか、それとも企業が参入していって、いわゆる大きな規模の企業農業を思い浮かべて言っているのか、そこだけを明らかにしていただきたいと。一言お願いします。
○政府参考人(奥原正明君) それは当然両方含んでおりまして、私がいろいろ意見を伺っている農家の方、いろんな方がいらっしゃいますけれども、中心になっているのはやっぱり認定農業者の方々、この中には本当に家族経営で大きくやっている方もいらっしゃいますし、それから、家族経営から法人になって、従業員、常勤の方も相当雇いながら規模を拡大してやっている方もいらっしゃいます。いずれも手は相当ごつごつされております。
○徳永エリ君 小規模家族経営農家を思い浮かべて農業者と言っておられるわけではないということは何となくニュアンス的に伝わってまいりました。
 農協の理事の過半を認定農業者や農産物販売、経営のプロにする。配付資料のアンケートにもありますけれども、北海道では、今のところ認定農業者率は七三・九%、ほとんどが既存の農家、農民なんですね。しかし、この認定農業者が企業に入れ替わってしまったら、五年後、農協の理事はみんな商系の人たちなんということになりかねません。そうなると、単協はすっかり変わってしまって、株式会社にせずとも、本来の協同組合のあるべき姿から、競争と効率、利益最優先の組織に変わってしまうのではないでしょうか。全農、中金、それから全共連を株式会社化できる規定を置いていますけれども、できるということではなくて、株式会社にすることが目的なのは明らかなんですね。
 さらに、農協出資、株式譲渡制限を掛けるということですが、いずれ出資譲渡制限は外されて、もしかすると外資にも開放されることになるのではないかというふうに考えますが、その可能性について伺いたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) まず、農協の役員の問題でございますけれども、これは農協に限りませんが、組織において役員というのは、その構成員、農協であれば組合員の方々のニーズを踏まえて事業を適切に執行する、その責任を負った方々が役員ということでございます。
 したがいまして、農協の役員につきましては、この組合員、正組合員である農業者、中でも地域を引っ張っていらっしゃる担い手農家のニーズをきちんと反映して執行方針を決めていく、具体的にそれを実行するだけの能力もなければいけないと、こういうことだというふうに考えておりまして、そういう観点で、今回の農協改革法案の中では、理事の過半数を、原則としてが付いておりますけれども、認定農業者や販売や経営に関して実践的な能力を有する者という規定を置いているところでございます。
 いずれにいたしましても、農協の理事は組合員が総会において適切な人物を選ぶと、こういうことになっているわけでございますので、正組合員から見て、この人を役員にすれば、この農協が農産物の有利販売等にもっと真剣に取り組める、収益が上がるようになると、こういったことでもって選んでいただくと、こういうことでございます。したがって、外部の方をどんどん登用すると、こういう話では必ずしもないというふうに考えております。
 それから、もう一点、株式会社に転換した場合でございますけれども、この場合には会社法の下で株式については譲渡制限を付けることもできるという規定が入っております。今回の株式会社化するときの条件といたしましては、この株式の譲渡制限を付けるということを省令の基準として書く方向で検討しているということでございます。
○徳永エリ君 アンケートをちょっと御覧いただきたいと思うんですけれども、単協の組合長さんからのいただいたお答えでは、基準に認定農業者を入れるのは合目的ではない、プロの基準が明確ではない。あるいは、北海道では当然のスタンスと思うけれども、経営のプロの解釈が非常に難しい。それから、理事の選任は単協の自主的判断で行うべき。農業のプロが農協経営に適しているとは限らず、府県では過半数は足かせになるのではないかと。こういった御意見をお持ちでありますから、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、理解を求めるためにはまだまだ説明が必要なのではないかというふうに思います。
 それから、皆さんが心配している准組合員制度ですけれども、北海道は御存じのように准組合員が七九%、当初、規制改革会議の農業改革に関する意見では、准組合員の事業利用は正組合員の事業利用の二分の一を超えてはならないということでした。しかし、それが変わって、員外利用規制の強化となって、准組合員の利用の在り方については五年掛けて検討するということであります。
 調査をこれからしていくわけでありますけれども、員外利用規制を強化するのであれば、准組合員も組合員でありますから、当面は准組合員を増やしていくということになるんでしょうけれども、これは組合員ですから増えることは別に何の問題もないわけで、違反しないようにお金を、出資金を出して、千円ということですけれども、准組合員になってもらえばいいわけであります。違いは、議決権がなくて農協の意思決定には参画できないということだとおっしゃるんでしょうけれども、でも准組合員は農協の応援団であり、農協の事業を利用したいだけであって、議決権を持って運営に参加したいなどとは思っていません。
 北海道では、生活インフラは全てと言っていいほど採算が取れていません。株式会社へ組織変更したら農協が引き受けている全ての生活インフラは成り立たないということになります。これも配付した資料を見ていただきたいと思いますけれども、北海道の住民サービスの状況なんですけれども、JAの店舗はあるけれども、一般金融機関店舗のない町村数、それから保険の代理店のない町村数、それからガソリンスタンドのない町村数、スーパーのない町村数、これだけあるわけですよね。
 こういった生活インフラを今農協が担っているわけでありまして、准組合員制度を廃止するようなことにはならないとおっしゃっていますけれども、農協を職能純化路線に走らせていって、生活インフラ事業が株式会社や生協になれば、准組合員制度を廃止しなくても、准組合員じゃなくても利用できるということにするわけですから、准組合員制度は必要がなくなるということになってしまいます。
 そして、去年の六月三日に出された在日本米国商工会議所の意見書を見てみますと、JAグループは本来の使命に専念し、農業を成長分野に発展させることに貢献するべきとあって、農業改革の議論が進む中で、金融事業を現状よりももっと不特定多数に販売するのではなく、本来の使命である農業の強化に貢献できるよう改革を進めるべきであるとあります。これ、純化路線を促しているわけですよね。
 そして、JA全中は二〇一四年四月三日に自己改革案、JAグループ営農・経済革新プランを発表したが、その中で農業者の生産力及び所得拡大のための具体的な対策は示されていない。逆に、自己改革案の中にはJAグループの金融事業の更なる肥大化につながるものが散見される。例えば、農業・地域を支えるパートナーの拡大などでは、今後、准組合員の拡大等をもくろんだ構成員体系が一層進むおそれがあると。
 そして、五月十四日に規制改革会議の農業ワーキンググループは農業改革に関する意見を発表した。准組合員の事業利用は正組合員の事業利用の二分の一を超えてはならないとの意見を歓迎し、金融庁規制下の金融機関との間に規制面での平等な競争環境を確立するために更なる措置を取り組むよう要請するというふうにあるわけですけれども、このことを受けて規制改革会議と米国商工会議所は連携して農政改革を進めているわけでありますけれども、金融や共済のために命に関わるような生活インフラが失われては本当に大変なことになると思いますので、ここは慎重に対応していただきたいということを改めてお願いさせていただきたいと思います。
 特に北海道は、医療偏在で病院がない、医師がいないということが大変に深刻な問題でありまして、厚生病院が成り立たなくなってしまってはまさにこれ命の問題なんですね。員外利用規制が強化されると、農協法では医療事業について組合員の事業利用の百分の百に員外利用を制限する規制がありますので、員外利用者が規制を超える場合も考えられて、これ違反ということになってしまいます。これも資料を付けさせていただきましたけれども、ほとんどが百分の百を超えています。これ、四ページになります。
 そこで、法改正では員外利用規制の適用を受けない社会医療法人への転換を可能にする規定を農協法に置いたということになるんでしょうけれども、これ医療法において厚生連の開設する病院又は診療所は公的医療機関に指定されていますけれども、もし社会医療法人に転換するということになれば公的医療機関としての位置付けは変わらないのかどうか、その点が心配なんですが、そのことがどのように担保されるのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(福島靖正君) 医療法上、公的医療機関とは、都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者の開設する病院又は診療所とされておりまして、都道府県、市町村以外の開設者については大臣告示で定められておるところでございます。厚生連についても、日赤や済生会等と同様に公的医療機関の開設者として大臣告示に定められております。
 法案成立後は、厚生連が社会医療法人に組織変更されたとしても、引き続き全厚連の会員として、農協又は農協連合会が主たる構成員等である場合には、組織の目的やその社会的役割が組織変更前と同様のものと期待されていることから、厚生労働省としては、こうした場合には公的医療機関の開設者として指定する方向で考えております。
○徳永エリ君 農協法の位置付けから外れても公的医療機関は変わらないということだと思います。
 社会医療法人に認定されるためには認定要件をクリアしなければならないわけですけれども、その要件についても御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(福島靖正君) 社会医療法人は、救急医療や災害時における医療など救急医療等確保事業を実施するとともに、公的な運営が確保されている医療法人を都道府県が認定するものでございます。
 認定の要件としては、言いましたように、救急医療等確保事業の一定基準以上の実施をしていくことのほか、役員について親族等特殊な関係にある者が三分の一を超えて含まれていないこと、それから解散時の残余財産を国、地方公共団体又は他の社会医療法人に帰属させることなどとされております。
○徳永エリ君 持分がないことということなんですけれども、これは、厚生病院は組合員から出資を受けて運営されているわけで、これ、一回解散をして出資金を組合員に返さなければいけないということになるんでしょうか、それとも何か違った形になっていくんでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 厚生連の会員農協等は、厚生連に対する出資持分というのを有しております。これに対しまして、社会医療法人につきましてはこの出資持分という考え方はないわけでございまして、ここは制度的に違っている部分がございます。
 このことを踏まえまして、厚生連が社会医療法人に組織変更をする際には、これは総会員の同意を前提として組織変更計画に定めることによりまして、会員農協等に対して持分に代えて金銭その他の財産を交付することができるという規定を置いております。例えば会員の持分に見合う貸付債権、これを交付することとすれば、組織変更前の厚生連の出資金、これは会員の持分ということですが、これが払い戻されて外部に流出するといったことを回避しながら組織変更することが可能になると、こういうことでございます。
 組織変更はあくまで選択制でございますけれども、厚生連が組織変更するに当たりましては、厚生連の役職員が、この出資持分の取扱いも含めて組織変更後の法人の財務基盤あるいは事業の在り方について会員の農協と十分協議した上で進めることが必要であるというふうに考えているところでございます。
○徳永エリ君 配付した資料の五ページを御覧いただきたいんですけれども、実績のところですけれども、非常に厚生連の病院の運営は厳しい状態にありまして、毎年、自治体の一般会計から病院会計に繰り入れているんですね。
 与党の取りまとめでは、「あくまで民間組織であるので、公的医療機関としての機能を発揮する上で必要な場合には地方公共団体等から適切な支援を受けるものとする。」としていますが、適切な支援、これ以上一体何ができるのかということなんですが、具体的にはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) これはいろんなケースがあるかと思いますけれども、例えば県立病院でやっていたものを厚生連の方に移管するといったケースも全国で、各地で聞かれるところでございます。
 こういったときに、都道府県や市町村といった公的なところがやっていてもなかなかうまくいかなかったもの、これが民間組織の厚生連になってすぐうまくいくという話ではこれはなかなかないわけでございますので、そういうときにはきちんと、その移管元の都道府県なり市町村、きちんと話をしていただいて、必要な支援がある程度、一時的ではなくて、ある程度継続的に受けられるような体制をやっぱりつくっていただくことがこの仕事をしていく上で重要なことではないかということが与党の取りまとめに書いてあるというふうに理解をしております。
○徳永エリ君 現実にはなかなか難しい部分もあると思うんですね。それで、地方自治体は財政的にも相当厳しいですし、それから農協法から外れると、税制優遇とかそういったところも一部外れるわけでありまして、負担も更に大きくなると思います。
 それから、一番問題なのは医師確保の問題なんですね。実は今、最低でも年俸、医師を募集するときには二千五百万ぐらいなんだそうです。なかなか今は医師のなり手というか来手がいないので、二千五百万が、売手市場なものですから、二千八百万になったり三千万になったりしてどんどん上がっていくわけですね。さらには、来ていただいたお医者さんが例えば学会に行くときの交通費を出したりとかあるいは宿泊費を出したりとか、厚生病院が総合農協であるがゆえに相当条件のいい募集の仕方というのもできているわけですよね。
 そのことによって、結局、この五ページで御覧いただいたように、実績を見てみるともう本当にマイナス、マイナス、マイナスという形になっていて、これが今までみたいないい条件で医師の募集をすることができなくなってしまったら、そもそもお医者さんがいなければ病院経営は成り立たないわけでありますから、本当に今北海道では医師確保が難しい状況だということは、これは皆さん御存じだと思うんですね。
 一般の方も利用できるように、民間の組織にというか一般社会医療法人にということだと思いますけれども、実際にそうなったときに、本当に厚生病院が運営できるのかどうかということを考えたときに、非常に難しい問題がたくさんあるのではないかなというふうに思います。
 前もこの委員会の中でお話をさせていただきましたけれども、年間四百名の農業者の方が事故によって亡くなっているわけですね。これから企業参入ということになっても、けがをして病院に行こうと思ったときに、地域に病院がなくて何時間も掛けて病院に行かなければいけないというような状況になれば、助かる命も助からないということになりかねないわけですね。
 ですから、農協法の位置付けから外れたから後は厚生労働省さんお願いしますよということではなくて、今回この法改正によってともすると社会医療法人に転換させるということを促そうとしているわけですから、これは非常に農林水産省としても大きな責任があるのではないかというふうに私は思います。
 この点をもう少し重く受け止めていただきたいなと思うんですが、局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 今の厚生連病院が果たしている役割、これはもう非常に重要なことだと思っております。
 先生のこの資料にもありますけれども、この倶知安病院、鵡川病院でしょうか、こういったところについてもやっぱり自治体の補助金はちゃんと出ているわけでございまして、やっぱり地方公共団体の支援の下に医療事業はきちんと継続をしていく、これは厚生連であろうと転換した医療法人であろうとそこは同じなんだろうと思いますが、農村社会においても医療サービスがきちんと受けられる、この体制の整備についてはどんな形になろうと継続してやっていかなければいけないと考えております。
○徳永エリ君 時間になりましたけれども、大臣にもこの点について一言。生活インフラの重要さ、特に病院は命の問題でありますので、本当に経営ができなくなるということになったら大変だと思うんですね。この点について、資料も御覧になってどうお感じになったのか、最後に伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 大変大事なポイントだと思っております。
 委員はこちらの方に行きなさいというふうにあたかも我々がやるんではないかという前提に基づいて御質問しておられました。そうではなくて、お話をしていただいて、もし必要であるというふうにお考えならば選択肢は用意しておくということでございますので、今までどおりやろうということであれば、しっかりと今までどおりやっていただくということは当然あるわけでございます。
 その上で、徹底して話合いをしていただいた上でいろんな選択肢を活用するという選択をされる場合は、しっかりと今局長が答弁したように必要な支援をしてまいりたいと思っております。
○徳永エリ君 終わります。ありがとうございます。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 私の方からは、まず農協法改正案についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
 今回のこの改正案、中央会制度が廃止されて、JAグループのありようそのものが大きく変わろうとしている、大転換になるわけであります。この農協改革、様々な取組を含んでいるわけでありますけれども、やはりその成否というのは、これは各地域の地域農協が自由闊達に自分たちがまず主役であるということを自覚していただいて自己改革に取り組んでいく、その土壌をしっかりとつくっていくということがやはり何よりであるというふうに思っているわけであります。
 ここを、衆議院でもたくさん議論があったのは私も分かっているわけですけれども、ただ一方で、地域農協の皆さんといろいろ意見交換をさせていただくと、やや不安を覚える点であるのも事実でございます。要するに、今回のこの農協法の改革案というのは、中央会の話だとか、いわゆる自分たちよりも何かちょっと大分高いところの、上の話をしているんであって、余り自分の話じゃないんじゃないかという捉えようをされている方もいらっしゃる。やっぱりどうやって自覚を促していくのか、今そもそも農協改革というのは一体どういうゴールを目指しているのかということがなかなかまだ現場に落ちていないというのが実態であるというふうに思っております。
 そういう意味では、今日私の方からは、この農協法改正案について、基本的には自己改革、そのありようってどういうものなのかということを、なるべく今もやが掛かっているようなところを質問を通してすっきりさせていけたらなという問題意識で今日お伺いしていきたいと思っております。
 まず最初に、この自己改革なわけでありますけれども、改革において最もそもそも重要なポイントって一体どういうふうに考えられているのか。また、自己改革に取り組むというのは、当然試行錯誤、いろいろ試してみて駄目だったり、様々な試みの中で初めてでき上がってくるものだと思うんですけれども、当然これは地域農協だけで頑張ってくださいという話ではないと思っております。地域の実情に即した改革を行っていくのであれば、ある意味、これまで以上に特に都道府県単位の県の中央会、これからは農協の連合会になるわけですけれども、ここがやっぱり果たしていく役割というのは大きくなるんじゃないかなというふうに思っております。その意味で、県の中央会、農協連合会に期待する役割は何なのか、これと併せて御答弁いただけますでしょうか。
○副大臣(小泉昭男君) おっしゃられていること、大変大事なポイントだと思っております。
   〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕
 今回の改革のポイントでございますけれども、農業者の協同組織であるという農協の原点に立ち返って考えなくちゃいけないと、こういうふうに思っております。また、地域農協が自由に経済活動を行いまして、農産物の有利販売など、農業関連事業の適切な実施を通じて農業者の所得の向上につなげていくことが極めて重要だと考えているところでございまして、このために改正法案では、一つ目は、責任ある経営体制を確立する。このために農協の理事の過半数を認定農業者などにすると、こういうことでございまして、二つ目には、農業所得の増大に最大限配慮する、そしてまた経営目的を明確化していくと。三つ目には、選ばれる農協とするため、農業者に事業利用を強制してはならないことを規定しているところでございます。
 また、連合会、中央会につきまして、地域農協の自由な活動をサポートする観点から見直し、特に中央会については自律的な制度に移行することとしたところでございます。
 続いて、今回の改革でございますが、この改革を契機として、農業者や農協の役職員が徹底した話合いを行い、役員体制をどうするのか、販売方式をどうするのか、六次産業化や輸出拡大に向けてどう取り組むか、これを検討することが重要でございます。農業者の所得向上に向けて自己改革を進めていくことは何よりも、これはもう基本中の基本、重要だと考えております。
 また、都道府県中央会につきましては、会員の要請を踏まえた経営相談、監査、会員の意見の代表、会員相互間の総合調整を行う連合会として、優良事業の横展開などを通じ、地域農協を適切にサポートしていくことを大きく期待をしているところでございます。
 以上でございます。
○平木大作君 今様々お答えいただきました。やっぱり、それぞれの地域の実情に応じて、また、それぞれの農協の当然特色というか持ち味があるはずでありまして、まさにそこに立脚して、どう自分たちをより強くしていけるかという議論が必要なのかなと思うわけであります。
 当委員会でも、先日、埼玉県の方にお伺いしていろいろ意見交換もさせていただいたわけですが、私もそのときにいわゆる自己改革についていろいろお伺いしたときに、例えば平成三年から掲げている、県内に十の農協に統合していこうと、この統合こそ自己改革の最たるものなんだというような御発言もあって、ほかの取組も恐らくされているんだとは思うんですけれども、なかなか割と、自己改革というのはやっぱり全国一律の改革ではない。むしろ、そういう改革をやるのであれば今あるまさにJAグループの組織を使ってやるのが一番早いわけでありまして、そうでなくて、一つ一つの地域に根差したもの、これをもっともっと、今のお話の中にもありましたけれども、まさに現場の皆さんの話合いを通じてつくっていく、これを是非促していただきたいというふうに思っております。
 今回の農協改革の最後のありようというか姿がなかなか見えないというのの一つの原因は、先ほどからの質問の中にも出ていますが、先行して行われた規制改革会議の議論、その残像がやっぱりちょっと残っているところが大きいのかなというふうに思っております。
 私は、この委員会でも何度も発言しているとおり、規制改革会議というのはとっても大事な視点をいろいろこの議論の中に与えていただいているなと思うわけですが、ただ同時に、大分現場感がないなとか、そのままやるわけいかないなというやっぱり結論ですとか意見も多いわけでありまして、そこはうまく取捨選択して政府としても取り組んでいただくわけになると思うんですけれども。なかなか、ある意味結論が過激であればあるほどその残像というのはやっぱり強い。ある意味、この法案の中にもそのまま規制改革会議の提言というのが盛り込まれてしまったというふうな受け止めもあるわけでありまして、ここは、本当に現場に一つ一つ、こういった議論を通じて、あるいは政府としてももっともっと説明に歩いていただきたいなと思うわけであります。
 是非、こういうところ、この規制改革会議でどういうものが打ち出されて、この法案でどうなっているのかというところからちょっと幾つか問いを進めさせていただきたいんですが、次の問いとして、今回の争点の中で、農協が持つ農業者に向けた共益性という話と、それから一方で、地域に向けた、地域住民に向けた公益性という話がやっぱり一つ大きな争点でありまして、先ほど来あったわけであります。
 ここの点について、規制改革会議では、准組合員の利用量の規制というのは、数値基準も明確にした上で極力早く導入すべきであると、こう結論をされたわけで、まさに、先ほどからの議論も、法案がこうなっているんじゃないかという話が何度も何度も出てきているわけであります。
 実態は、この法案の中には、これは五年間事業の利用状況の調査を行って検討をして結論を得るんだということにとどまっているわけでありまして、規制を行うですとかそういったことが書いてあるわけではないわけでありますが、一方で、じゃ、五年間どうなるんだと。先ほど来ありましたように、この准組合員の利用実態はどんどんこれからも増えていくんだろうという中において、何か、書いていないんだけれども、やっぱり結論ありきなんじゃないかというような当然地域住民の皆さんの御心配があるわけであります。
 ここについて改めてお伺いするんですが、今後五年間どのような形で調査を行っていかれるのか、また、農協が地域において果たしてきた公共性の高いサービス、この評価というのはやっぱり重要な点であるというふうに思いますので、この点、併せてお示しいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。先ほども申し上げましたように、規制改革会議は諮問の立場でございますので、いろんな意見をおっしゃるわけでございますが、その意見も参考にしながら、また経済財政諮問会議等、産業競争力会議等々もございます。政府・与党でも長らく御検討いただいて、そういうものを最終的にまとめてこの法案ができているという御指摘は大変に大事な御指摘だと、こう思っております。
 農業者の協同組織である農協でございますが、一方で地域のインフラという、実際上そういう側面を持っているのも事実でありますが、地方公共団体のような公的な組織ではないわけでございます。したがって、こういう農協のそもそもの性格や実際に果たしている役割を踏まえて、准組合員の利用規制についてもいろんな議論がそれぞれなされてきたところでありますが、今まで規制がなかったということがあって、正組合員と准組合員の利用実態、これが把握ができていないということがありました。
 それからもう一つ、今回の農協改革で農業者の所得向上に向けた成果がどの程度出るか。これは、法律が通って、施行されて一か月でというわけにいきませんので、これを見極める必要がある、こういうことがございまして、こういうことで五年間調査を行った上で決定をするということになったところでございます。
 調査内容でございますが、これは今後検討していくことになりますが、事業ごとに正組合員と准組合員の利用量がどれぐらいあるのかということ、それから地域地域で当該事業についてほかにサービスを提供する事業者がどの程度あるのかないのかということを調査対象に含めていかなければならないと、こういうふうに考えております。
○平木大作君 今御答弁いただきましたが、いわゆる農協のありようという議論と、やっぱり地域の公共サービスをどう提供していくのかというのは、まあ重なる部分もありますけれども、ある意味ちゃんと別途に議論していかなければいけない。もし農協が担わないのであればどこが担うのかということも当然併せて議論していかないとこれはやっぱりいけないことであるというふうに思いますので、今の御答弁いただきましたが、これは必ずしも農水省だけで議論していく話でもないというふうに思っておりますので、是非、これは政府として、一丸としてこの地域の公共サービスどう維持していくのか、提供していくのか、議論を進めていただきたいということをお願いしたいと思っております。
 続きまして、この規制改革会議の一つの議論の焦点というのは、農協の事業ポートフォリオ、事業構成をどう持っていくのかということが大変活発に議論されたというふうに認識をしております。規制改革会議でこのように言われています。単位農協が農産物販売等の経済事業に全力投球し、農業者の戦略的な支援を強化するために、信用事業ですとか共済事業、あるいは生活関連事業、こういったものを分割した方がいいんじゃないか、こういう提言があったわけでございます。
 私、ちょっとこの議論の中で気になったのが、いわゆる経済事業に全力投球、この全力投球の意味が、そもそもこれまでいわゆる総合事業としてやってきたこの農協の経営の事業ポートフォリオ自体をどんどん分割していく、あるいは経済事業に専業化を図っていく、こういう点にやっぱり力点があったんだろうなというふうに思っておるわけであります。
 法案の中には、これ七十条の二のところ以降で事業の分割、再編、あるいは株式会社化ですとか一般社団法人などへの組織の転換については規定があります。これも選択肢を先ほど来示したんだという御答弁が続いているわけでありますけれども、ここについて改めてちょっと確認をさせていただきたいんですね。
 結局、これまで総合農協として多様な事業ポートフォリオを構築してきた組合が一部経済事業に特化するというのは、ある意味、経営の健全性という面からいったら、やっぱりこれ健全性を損なう面というのは大変あるんじゃないかと思っております。ここについて政府として今どのようなお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○大臣政務官(中川郁子君) 先生おっしゃるとおりでございます。今回の改革は、地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて創意工夫を発揮し、自由な経済活動を行うことによって、農産物の有利販売に全力投球できるようにすることで農業所得の向上につなげていくことを目的としているわけでございます。このため、地域農協について、責任ある経営体制を確立するための理事構成や経営の目的などを規定しているところでございます。
 一方で、農協の事業の対象者が複雑化する中で、事業の内容、対象に応じて適切な組織形態を選択できるようにするため、組織分割や株式会社等への組織変更を措置していますが、これはあくまで選択肢でございまして、これを活用するかどうかはそれぞれの農協の判断でございます。
 したがいまして、地域農協が各種サービスを総合的に提供する枠組みについては何ら変更してございません。
○平木大作君 今、選択肢を示したにすぎないという御答弁いただきました。
 改めて私の方からも指摘をさせていただきたいんですが、いわゆる事業ポートフォリオについてというのはいわゆる企業戦略とか全社戦略の中ではよく取り上げられるテーマでありまして、まさに規制改革会議のメンバーの皆様等は、いわゆる公開している株式会社の経営者の皆様ですとかそういった方にはよく突き付けられる、これは市場から突き付けられる要求でございます。
 極端な議論というのは、いわゆる株式会社というのは事業は一つだけ持つべしと。事業ポートフォリオというのは株主の観点から分散すればいいわけであって、会社というのは一つの事業を持っていればいいんだという極論も実は結構ありまして、はやり廃りでそういった議論がよくなされるわけであります。シナジーがないものは切れですとか、あるいは株主にとっての利益率が低いものはやっぱり切っていけということを突き付けられている皆様なので恐らくこういう話を持ち出されたのかなと思うわけでありますけれども、ただ、やはりこれは株主のための利益の最大化、効率の最大化といったものを目的としている株式会社と、そもそも相互扶助を目的として組合員のために奉仕するための協同組合という組織の性格の違いからいって、そのまま議論を持ち込むのは明らかに無理があるわけでありまして、そこについては改めて指摘をしっかりさせていただきたいというふうに思っております。
 私自身も、この総合農協という事業の在り方、准組合員の皆様やあるいは員外利用の皆さんも含めて広くサービスを提供して、安定的に収益を稼いで、それを最大の目的である農業者の皆様に向けた経済事業につぎ込んでいくというのはある意味非常に合理性のある事業の持ち方であるなというふうに思っておりますし、そういったところも是非現場にしっかりまた伝わるように政府として御説明いただきたいとお願いをいたします。
 同様の事業ポートフォリオの議論の中で、経済事業をやっぱり頑張らなきゃいけないというのも事実でありまして、ここについてちょっとお伺いしたいと思っております。
 農協の経済事業の中で度々重要性が指摘されるのが営農指導事業なわけでありますけれども、この事業だけをデータを見ていくと、担当する職員数というのは長期的に基本的にはちょっと減ってきている。全職員に占める割合も七%ぐらいというところであります。これ、今全国に七百ぐらい農協があって、この営農指導員という方が一万四千人ぐらいだそうですから、大体、ざっくり言うと、JA一つにつき二十人ぐらいの指導員がいらっしゃるわけであります。
 一昨年十二月に公表されました農協の経済事業に関する意識・意向調査、ここにおいて、農協の事業のうち今後最も強化してほしい事業はという問いに対して、三五%の方が営農指導事業ですと、一番多かったわけですね。また、営農指導員の、じゃ、今の訪問頻度はどうですかとお伺いをしますと、増えたと思うという方が一〇%なのに対して、減ったと思うが二三%、訪問してこないという方も二四%いらっしゃる。やっぱり、ここは現場の農業者の皆様の期待になかなか沿えていないというところがあるんじゃないかと思っております。
 この点について、この原因、どう考えていらっしゃるのか。また、ここは是非政府としてももっともっと力を入れて支援されてもいいんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 農協の営農指導の関係でございます。
 営農指導の在り方についてどう考えるかということでございますけれども、この営農指導は基本的には農産物の販売の仕方と密接にリンクをしているものだと思っております。特に農産物を有利に販売をするということを考えますと、農業生産の面でもいろんな工夫が必要になってくるわけでして、川下の消費者ですとか実需者のニーズを踏まえた上で、販売努力をするためにどういう作物をどう作るかという話になってまいります。
 そういうことからしますと、営農指導につきましても、市場のニーズ等を踏まえた上で、作付けをする作物ですとかあるいは品種をどうするか、そういったことがあります。例えば、ハンバーガーショップにトマトを直接売っている場合に、どのくらいの大きさのどういう品質のトマトが一番使いやすいか、買ってもらいやすいかということを踏まえて自分の管内のトマトの品種を変えるとか、こういったことをやっていらっしゃる農協も実際に存在をしております。
 こういった、作付けする作物や品種を変更するですとか、あるいは栽培技術を向上させて、あるいは生産資材の使い方を変更することで品質を高める、例えば有機でもって物を作るとかいろんなことがあるわけですけれども、そうやってその地域の農作物のブランド価値を高めるような、そういう工夫をしてもっと高く売るようなことをすると。
 こういったことをやっていただいている農協もいろいろあるわけでございまして、販売とリンクする形で営農指導を適切にやっていただく、これが農協の仕事を発展させる、農業所得を向上させる上で極めて重要なポイントであるというふうに思っております。
 このために、農林水産省といたしましても、従来から、農協に対する監督指針におきまして、営農指導事業を始めとした組合員に対する営農、経営支援の基本方針を事業計画等において具体的な目標を伴った形で明確にしていただく、こういったことも指導しておりますし、それから、適切な営農指導や意欲ある農業者へ出向く活動などが実施できるように業務に精通した人材をきちんと配置をするということも指導しております。それから、販売先のニーズに応じて地域の生産者を取りまとめる能力など、適切な人材育成策を策定して実施をする、こういったことも指導しているところでございまして、今後とも、都道府県とも十分連携しまして、こういった指導に努めてまいりたいと考えております。
○平木大作君 今局長から、販売とリンクする形での支援というのが大事だとおっしゃっていただいて、私も本当にそのとおりだと思っております。これ、当然提供する側の農協としても、いわゆる現場のニーズに応じた、しっかりと支援をしていくということが大事なわけですけれども、これ裏を返して、じゃ、受け手の方どうなのか、そこの感度もやっぱり大事だなということを改めて思っております。
 先ほど御紹介させていただいた政府の調査結果ですけれども、営農指導員に最も期待する役割はと農業者の方に聞いたときに、過半数の方が、基本的には営農相談、要するに栽培技術を主にしたところに支援を期待しているというふうにお答えになっておりまして、例えば、売るための販売支援は二四%、事業マネジメントですとかそういういわゆる経営管理支援は八%にとどまってしまうと。やっぱり受け手の側の感度も合わせて引き上げていかないとここはなかなかうまくいかないのかなと。是非ともそこら辺も意識して、この支援、引き続き続けていただきたいと思っております。
 せっかく販売事業について触れていただきましたので、もう一問この販売事業に関連してお伺いしたいんですが。
 販売事業の強化、大変大きな課題でありまして、よくメディア等で、例えば最近の進んでいる地域農協というのは、それこそ委託から買取りにどんどんどんどん移行しているんだとか、卸売市場を相手にするんじゃなくて、需要者に直接販売とか契約販売にどんどん取り組んでいるんだというところが紹介されて、それはそれで大きなトレンドとして正解だなと思うわけですけれども、同時に、そればっかりじゃないだろうと、逆に、そこをまねしていれば、それが全ての農協にとって回答になるかというと、私は違うなとちょっと違和感を持っております。
 こういうものについて、いわゆる大きなロットを今でも扱っている農協にとって、これも規制改革会議が提言しているわけですけれども、現実的な方向性であるのかどうか、どういうような改革を志向すべきなのか、政府としての今のお考えをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 先生今言われましたように、委託販売ですとか、あるいは市場出荷の下でも農産物を有利に販売するための工夫を行うことは、これはいろいろ可能だというふうに思っております。
 ただ、現在の農協の農産物の販売見ておりますと、委託販売が九六%を占めているわけでして、買取りは四%にすぎません。一般的に言えば、委託販売の下では、もちろん工夫はできますけれども、委託ですから、基本的には幾らで売れても農協自身はリスクを取らないということになるわけです。したがって、真剣な販売活動に必ずしもなっていない、したがって有利に売れていない、こういった傾向がやっぱり見られるところでございまして、ここはやっぱり改善していかなければいけないんではないかというふうに思っております。
 このために、今回の農協改革におきましては、地域農協は買取り販売を数値目標を定めて段階的に拡大するなど、適切なリスクを取りながらリターンを大きくする、こういったことを工夫してはどうかと、こういったことも提案しておりますし、それから、全農、経済連につきましては、地域農協の農産物の有利販売に資するために、全農、経済連が大口の需要者との安定的な取引関係を構築をして農協をサポートする、あるいは、全農、経済連が農業や食品産業の発展に資するような経済活動を経済界と連携してもっと積極的に行うといったような自己改革を進めるということを提起をしているところでございます。
 農協の置かれている状況はそれぞれの地域によってまちまちでございますので、作っている農作物も違いますし、市場との距離も違うわけですから、一定の、特定の販売方式を求めているというわけではなくて、それぞれの農協の創意工夫でいろいろな取組をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
 現に、全国には企業や大学と連携をして農産物の加工による高付加価値化あるいは販路の拡大を行っているところもございますし、あるいは海外ニーズに合わせて通年の出荷体制を構築をして輸出の拡大に取り組んでいるところもございます。あるいは、地域ブランドを確立をして販売単価のアップにつなげているような、そういう農協もございますので、それぞれの地域が創意工夫をして、農業者、それから農協の双方にとってメリットになる事業活動を行っている農協も見られるところですので、こうした取組を横展開していくことが重要であるというふうに考えております。
○平木大作君 今御答弁の中でもあったんですけれども、規制改革会議がよく使った言葉に、やっぱり今ありました、適切なリスクを取るとあったんですね。私はこれは結構重みのある言葉だと思っていまして、農協にとって適切なリスクって一体何なのかということはよくよく議論しなきゃいけないと思っています。
 買取り販売というのは、結局、突き詰めますと、自分が在庫のリスクを持ってしまうわけでありますので、なるべく安く買いたたくという方向にインセンティブがどうやったって働きます。そういう中において、ある意味、農業者の方は、利益相反じゃないですけれども、利害が対立するような場面も出てきてしまう。単純にやっぱりそれを推し進めるという話ではないんじゃないかなと思っております。
 今おっしゃっていただいたのは、そっちの方向に全部行けという話じゃなかったのは十分理解しているんですけれども、そういう意味で、農協にとっての適切なリスクって何なのかということは、これからもこの委員会等でももっともっと議論していっていいポイントじゃないかなというふうに思っております。
 ちょっと時間がなくなってきました。今日、農業委員会についても少しお伺いしたいので、急いでちょっと一問、二問ほどお伺いしたいんですが、今回、この農業委員会のありように関して結構大きな改革に取り組まれるわけであります。これは、様々賛否あるわけでありますけれども、やはり今農地の現状を見たときに耕作放棄地が拡大をどうしても続けてしまっている、また、この脱法的なものも含めて農地転用がなかなか防ぐことがし切れていないという状況を鑑みて、農業委員会自体もやっぱりひとつここは改革を受け入れなければいけないという状況にあったんじゃないかと思っております。
 そこにおいて、今回、選任の仕方ですとか様々大きな論点あるわけですが、私はやっぱりこの女性と若者の登用というところが非常に重要なポイントであるというふうに思っております。今回、年齢や性別に偏りが生じないように配慮すると、こういう規定を置いた、これは農協法の方にもほぼ同様の規定あるんですけれども、この規定の一体意図は何なのか。それと同時に、現時点で、やっぱり女性、若者の登用はまだまだだということ、先ほども御答弁がございましたが、今後この登用をどのようにして担保していくのか、促していくのか、併せて御答弁いただけたらと思っております。
○国務大臣(林芳正君) 現在の農業委員の構成を見ますと、基幹的農業従事者に占める四十代以下の農業者は約一割ですが、四十代以下の委員は僅か三%ということでございます。女性の割合は同じく約四割ですが、農業委員の女性の割合は七%ということで、青年層や女性の意見が十分反映されるものとはなっていないわけでございます。
 政府・与党の昨年六月の取りまとめも、女性・青年農業委員を積極的に登用すると、こういう文言になっておりましたので、これを踏まえて、市町村長が農業委員を任命するに当たっては年齢、性別等に著しい偏りが生じないように配慮する、こういう改正法案になっております。
 公選制を取っておりましたのでございますが、投票に至ったのは約一割でございまして、立候補段階での事実上の調整と、こういうものが多くあって、女性農業委員の多くは選挙ではなく選任の方で選ばれていたということでございます。公選制をやめて市町村長の選任制一本ということで、選任に先立って推薦又は公募を行って結果を公表して、それを尊重して選任をする、こういう仕組みにいたしました。
 したがって、この法案成立後、この規定の趣旨をまずは周知徹底をいたしまして、各地で青年や女性が推薦を受けて、また公募に手を挙げていただけるように、我々としてもしっかりと働きかけていきたいと、こういうふうに思っております。
○平木大作君 もう時間が参ってしまいましたので、最後ちょっと一問残した形で終わる形になるかと思うんですが、この立候補段階での調整というものが、やはりいろいろ問題としてあったと。私も現場からいろいろな声をいただきました。女性の方で、かつて農業委員に立候補しようと思ったんだけれども、農業委員の皆様からやめてくれといって止められて結局立候補できなかったと。何でですかとお伺いしましたら、野球やるんだから女じゃ駄目だというふうに言われたと。そういうちょっと本当に笑い話にならないような調整があった地域もあると、決して全体じゃないわけでありますけれども。
 そういう意味で、今回の農業委員会の改革というのは、どれだけこの内部の、ある意味内輪の組織と言われてしまっていた面もあるところに、どれだけ透明性を高めて、かつこのガバナンスをやっぱり強くしていくのかというポイントが一つ大きな点なのかなというふうに思っております。是非とも、これは努力規定ではなくて、それこそ基幹的農業者の四割の皆さんが女性なわけでありますから、クオータに近いような形での運用というのも考えて是非推進していただきたい、女性と若者をどんどん登用していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。
 今般、議案になっております農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 去る七月三日開催の参議院本会議におきまして、本案の林大臣説明があり、それに対する質疑がありました。その中で、農業組合の生い立ちについては、自民党の野村哲郎議員が欧米の農業組合の生い立ちを始め、その歴史について詳しく説明があり、そのことにより農業協同組合の世界的生い立ちを知ることができました。感謝を申し上げたいと思います。
 さて、ここで、本改革案は実に六十年ぶりの農協改革と言われておりまして、戦前の産業組合、農業会、そして戦後、民主化政策の折、農業協同組合に変わり、日本の農業、地域農業として率先垂範してきたと思っております。政府の認識において、農業の果たす役割、その役目を、さきにも聞きましたけれど、おさらいのつもりでいま一度お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 昭和二十二年に農協法が制定されて以降、食料の需給状況が不足基調の中で、農協は小規模で多数の農業者から集荷をして、安定的に市場等に出荷するという共同販売を行うことによりまして、その役割を果たしていただいて、ピーク時にはその取扱高が農業総産出額の約六割、これは昭和六十年でございますが、農産物流通において大きな役割を果たしてこられたわけでございます。また、生産資材の共同購入もピーク時には、昭和これも六十年ですが、農薬は出荷金額の約八割でございまして、組合員に対するこういった生産資材の供給でも大きな役割を果たしてきたと、こういうふうに考えております。
 また、六十年ぶりと言われているゆえんでもございますが、昭和二十九年に中央会制度が始まりまして、当時、単位農協が非常に経営的に困難な状況にあったわけでございますが、行政に代わって農協の経営を指導する、このことによって農協組織を再建すると、これを目的として中央会制度が導入をされたわけでございますが、この制度導入当時一万を超えていた地域農協が約七百にまで減少をしてまいりました。合併を促進していただく等々によって地域農協の経営基盤の強化、これに成果を上げていただいたということで、それぞれの農協が自立をしていろんな工夫をしていただく、こういう環境を整備をしていただくことに貢献をしてきていただいたと、こういうふうに考えておるところでございます。
○儀間光男君 今お話にありましたように、戦後、実に一万を超える地域農協が、単位農協があったわけですが、ここは御指摘のとおり大変経営が苦しかった。私も幼い頃百姓をしておりましたから、農会からは大体記憶があって、教えられてですね、やりましたけど、大変単位農協が経営が苦しかった。そういうことを、その農協が、今お話にあったように、合併などを促進して経営強化をやってきた実績があるわけでございます。
 そんな中、中央会制度が発足した、そして経営基盤を強化して大変な貢献があった組織でありますけれど、ここへ来てなぜ今改革が必要だったのか、これも併せて聞きたいと思いますが、現在は七百弱ぐらいの単農の経営の基盤が強固なものになった、いわゆる独自でもう経営いけるんだというような判断の下でこの改革を決断されたのか、あるいはその逆であったのか、つまりまだまだしっかりしないからもう一度改革、改正をしてしっかりした単位農協をつくっていこう、地域農協をつくっていこう、そういう御判断だったのかをいま一度確認をしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 今回の農協改革はこの中央会の問題だけではございませんけれども、中央会の問題について言いますと、今も先生から御指摘ございましたように、昭和二十九年に中央会制度が導入されたときとは状況が大分変わっているわけでございます。一万を超えていた農協が今七百でございますので、一つ一つの農協は平均的には市町村より大きいという形になっているわけでございます。それなりに経営体制もしっかりしてきているはずでございますし、この際きちんと自立をして、もっと農家にメリットが出るように、農産物の販売ですとかそれから資材の有利調達にもっと真剣に取り組んでいただく体制をつくろうというのが基本的な発想でございます。
 昭和二十二年に農協ができまして、二十九年には中央会制度が導入されましたが、そのときと比べて経済環境、社会環境も相当変わっております。この社会環境、経済環境が変化する中で、農家、特に担い手農家の方から見て、農協にこうなってほしい、もっと自分たちの農業所得の向上につながるように農産物の有利販売を中心としていろんな取組をしてほしいという声が強くなっておりますので、これに対応する形で農協のシステム全体を見直すということを今回やっているわけでございます。
 これは、農協本体の問題もございます。事業目的を明確にする、あるいは経営の責任体制を確立をするといったこともございますが、あわせて中央会の方につきましても、この自律的な新たな制度に移行することによって単位農協がその持てる力を十分に発揮して自由に農産物の有利販売に取り組めるようにするということが今回の目的でございます。
○儀間光男君 御答弁のとおりだと思いますね。聞きますというと、単位農協で資産一兆円も抱える農協もあると聞いておりまして、それだともうちっちゃな市町村よりはるかに力は付いているということが指摘できるわけでございますから、単独で、独自で農家に貢献できるような努力をしていただくべく改革をされてきたというふうに理解をするものでございます。
 今昔や洋の東西なしに、制度というのは疲労してくるものなんです。五十年、六十年、七十年たてば、時の移ろいと同時に人も変わってくる。したがって、生活環境、社会環境だって変わってくる。そうなりますというと、制度だけが変わらずしてなかなかうまくいくはずがありませんから、そういう意味では、今度の制度、時宜を得た、いや、少し失したかなと思うぐらいだと私は思っております。
 昨今の我が国において、地方農家を見るというと、農業従事者の高齢化や担い手不足はもう慢性化して、そのことが活力を失ってしまっているというふうに指摘されても言い過ぎじゃないような気がいたします。ところが、一方では六次産業までやっていける大規模農家あるいは企業農家がおられますけれども、一方では農業従事者の大半が農協組合員では占めておるんですが、これがなかなかさっき言ったように担い手がなくて、労働者不足でという形で、マーケット事業やその他の六次産業に関わるような事業をやる可能性はなかなかない、そんなような中で地域農業を垂範していかなければならない農協の責務があると考えております。
 こういう地域の特産物や個性を生かし地域に根付いた運営をしていただくことを願っているのですが、この法律案を制定した後に地域農協に対して政府として何を期待するのか、あるいはどういうビジョンを持って政府はそれに当たろうとしているのか、ビジョンをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) この法律を通していただいた後の話ということになりますけれども、そのときに一番重要なことは、やっぱりこの法律を一つの契機といたしまして、その地域農協におきます農業者、正組合員の方々とそれから農協の役員、職員の方々との徹底した話合いをやっていただく、これが一番大事なことだと思っております。
 その地域の農業を本当に良くする、農産物を少しでも高く売るし、それから生産資材を一円でも安くするためにこの農協の仕事をどうしたらいいのかということを、本当に腹を割って真剣に話していただくことが一番大事な出発点であるというふうに我々は思っております。
 その中で、その地域の農産物もいろいろおありでしょうし、市場との距離もいろいろあるかと思います。どんな農産物を作ってどういう売り方をしていくのか、これも話し合って決めていただかなければいけませんし、そのときの販売の仕方について、どういう人を役員にすればその販売方式がきちんと確立をして有利に売れるようになるのかといった役員体制も検討していただく必要がありますので、今回の法律の趣旨を踏まえて現場でもってきちんと話合いをしていただくことが一番大事なポイントだというふうに思っております。
○儀間光男君 今おっしゃったことは法律の中でもちゃんとうたわれておりまして、これを完全に実施することが一番良い方法だというふうに思っております。
 さて、農協改革法案の中で、各団体が選択をして全農は株式会社へ移行できることとなっております。これは選択制になっていますね、強制じゃございません。その際は、信用事業部門と共済事業部門は全農から分離され、別組織に改編されると明記がされております。全農が株式会社化するとの前提で、本国会にはまだ少し議論足りていないような感じがしますから、株式会社へ移行するという前提の下で、将来展望について少し議論をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思いますが。
 この株式会社にするとの前提で本国会は相当の議論を重ねてきておりますけれど、今回の改革法には、全農の株式会社への移行に対する裁量は全農側に任すということで、これ強制法になっていないわけですね、全農側に委ねると。つまり、一般的に株式会社へ移行するとなると株式を所有する者に対していろいろ株式会社の責任が出てくるわけでございますが、これは全農が株式へ移行された後にどのような形で農家への還元、貢献が出てくるのか、その辺の御見解を賜りたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 全農も、今回の改正を踏まえて、選択肢として株式会社に転換するということができるようになります。あくまで選択肢でございますので、これは全農自身が御判断いただくということになりますけれども、株式会社に転換した場合も、その場合の株主、要するに出資者は、これは今までの全農の構成員であります農協ということになります。
 したがいまして、この出資者の総意でもって全農の運営方針を決めていくということになりますので、農協の意向を反映する形で、全農の仕事をどうやったらもっと各地の農協にメリットが出るか、ひいては農業者にメリットが出るか、こういった形で仕事の中身を検討していただくと、こういうことになるものというふうに考えております。
 特に、全農におきましては、今回の農協改革で、従来やっていた仕事の延長線上にどうするかということだけではなくて、本当に将来を見通して、農業や食品産業の発展、あるいは農業所得の向上に資するような大胆かつ積極的な事業戦略を立てていただきたいというふうに思っておりまして、まずそれを立てていただいた上で、その戦略を進める上で、今の全農という、農協連合会というスタイルがいいのか、それとも株式会社に変更した方がもっとやりやすくなるのか。具体的には、農協法の下であれば農協に基づく事業の制限は当然掛かっておりますし、それから員外利用の規制も掛かっております。こういったものを受けながらやっていくのがやりやすいのか、それともそういった制約を外れてやった方がもっと積極的にメリットがある仕事ができるのか、こういったことをお考えいただくと、こういうことだというふうに思っております。
○儀間光男君 今の答弁、少し私が前提としたものを踏まえていないので、前提は全農が株式会社に移行したと決めておりまして、もう選択の余地ないんですよ、決めておって、それを前提としての話でありますから、どうぞそのとおりでお答えいただきたいと思いますが。
 例えば株式会社に移るというと、これまで、組合だというと組合員がそのメンバーとしていろんな利益やいろんな還元を受けたわけですよ。これから株式会社に移りますというと、組合員も株主にならないと配当金はないわけですね。
 そういう意味で、組合員が株主として株式に参入する、そういう機会があると思うんですが、どんな手続、どんな方法、あるいは組合員として残ったまま何かスライドして株主としていけるのかどうか、その辺はいかがなんでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 法制度としては、必ず全農が株式会社になるというわけではありませんけれども、先生の御指摘は会社になるという前提でということでございますので。
 今回の法改正の中で農協組織から株式会社組織に変わるときの手続も書いてございますので、組織変更計画を作って、それでもって総会の承認を取った上で株式会社に変更するということになります。このときに、従来は全農が、農協連合会ですから、全農に対する組合員、会員という形で各地の農協が存在しているわけですけど、この人たちは株式会社に転換した場合には株式会社全農の株主に転換するということになります。これはこの組織変更計画の中でそれをきちんと書いてありますので、その手続が終わったときに自動的に会員であった人が株主に変わると、こういうことでございます。
○儀間光男君 そうじゃないと全農が株式会社になった意味がちょっと半減されるという危惧があるんですね。やっぱり離れていっても、これまでの歴史上、どうしても農業へ対する貢献はしていかなきゃならぬ、農家に対する、農民に対する、農業者に対する貢献をしていかなきゃならない務めがあると思うんですね。そういう意味では、今の答弁を聞いてちょっと一安心をするところです。
 さて、全農が株式会社へ行きますというと、当然ながら一般株式のいろんな法律が適用されてまいりますね。例えば独占禁止法とか、あるいはこれまで農協が行っていた集出荷制度の問題とか、それを、農業関係の業務を全農が移って株式会社になって農協関連のものを独占して集出荷していくというと、一般株式でいう独禁法に抵触はしないのかどうか、その辺の判断はいかがでしょうか。
○政府参考人(奥原正明君) 全農が株式会社に組織変更した場合には、当然、会社法が適用されるという形になるわけですので、独禁法の適用除外はなくなるということになります。
 独禁法の全面適用ということになりますけれども、適用されても、従来からやっております組合員からの販売委託を受けて農作物を販売するですとか、組合員からの注文に応じてメーカーから生産資材等を仕入れて組合員に供給するとか、こういった仕事は別に農協でなくても一般の事業会社でもやっていることでございますので、こういったものについては今後とも実施をすることは可能であるというふうに考えているところでございます。
○儀間光男君 全農が株式会社に移行した場合の事業内容を少し尋ねたいんですが、今全農が行っている信用事業部門、それから共済事業部門、これを今の法案からすると全農から分離する予定だとされております。全農の収益部門は、主に信用事業部門と共済事業部門で収益を上げていると言われております。逆に、全農が株式会社に移行した際の主たる事業が農業経済事業部門と言われておるのでありますが、この部門は普通は赤字で来たというふうに言われております。
 このため、全農が株式会社に移行した場合、赤字部門だけの事業では株式会社としての存立がいよいよ危うくなることが予想されるのでありますが、その点の関わりはどうお答えいたしますか。
○政府参考人(奥原正明君) これ、単位農協の話と全農の話とちょっと違っておりますけれども、単位農協におきましては、今先生がおっしゃられましたように、いろんな事業を総合的にやっております。信用事業も共済事業も、それから普通の経済事業もやっておりまして、平均的に見れば、経済事業が赤字で、信用、共済の黒字でこれを埋めているという構造にございます。
 ですが、連合会の方は、特に全国段階は事業ごとに分かれて組織ができておりまして、信用事業については農林中央金庫、それから共済事業につきましては全共連といったところがやっておりまして、全農がやっておりますのは経済事業だけでございます。信用、共済はやっておりませんので、今先生御指摘のような問題は基本的にはないかなというふうに思っております。
○儀間光男君 単位農協はこの事業をやっていませんか。
○政府参考人(奥原正明君) 単位農協につきましては、いろいろな事業を総合的にやっているところが多いわけでございますので、そこは信用事業、共済事業と経済事業を一緒にやっているところがございます。
 ここでもって、経済事業の部分だけを切り離して仮に株式会社に転換するということになった場合に、そこが経営的にどうなるかという議論はこれはあるかと思いますけれども、そこはそれぞれの農協でどの部分を会社化するんであれば会社にするのかということをきちんと御判断いただくという問題だというふうに思っております。
○儀間光男君 単位農協は、営農部門と販売部門、これをこれから特化していくというような改革じゃなかったんですか。
○政府参考人(奥原正明君) 単位農協については、いろんな事業をやっていることを否定しているわけではございませんけれども、その中でも農産物の販売を中心とする農業関連事業に一番力を入れていただく、全力投球と言っておりますが、それをやっていただいて、組合員である農業者の方、担い手農業者を中心とする農家の方々にきちんとメリットを出すようにやっていただくと、これが今回の改革の眼目でございます。
○儀間光男君 それでは次に、株式会社がいわゆるスタートしますというと、株は公開株となるはずですね。これはあくまで前提ですよ、私は株式できたという前提でやっていますから。株の対象は公開株となると思います。
 その場合、公開された株式でございますが、これは諸外国やいろんなところから株を買いに入ると思うんですが、その辺の制限はあるのかないのか。さらに、株式が公開されると、当然、今言ったように外国資金が入ってくることによってMアンドA、つまり企業買収の可能性などが出てくるわけでございますが、政府はそのような認識をお持ちなのか、あるいは、株式に移行したときは、そのときはもうMアンドAもやむを得ないと、こういうことの判断なのかをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(奥原正明君) 株式会社に転換した場合に、当然に株式を上場しなければいけないというわけではございません。現在の会社法の下でも、株式については譲渡制限を掛けるという制度も当然あるわけでございまして、今回の法改正に当たりまして、組織変更計画、農協から株式会社に組織変更する、この計画の記載事項として農林水産省令でいろんな事項を決めることになっておりますが、この中で、組織変更後の株式会社が発行する株式を譲渡制限株式とすることといった内容を決めるという方針を取っておりまして、基本的に自由に株式が譲渡されて外資がどんどん入ってくるという状態にならないように措置をしたいというふうに考えております。
○儀間光男君 上場株だけが必ずしも外資が入るんじゃないんですよ。一般株もたくさん入ってくるんですよ。可能性のあるところに企業は投資していくんですね。だから、そういう意味では、上場されていなくても公開されれば当然のことながら外資は進出してくる可能性が相当高い。そういうときにどういう仕掛けをしておくかが、準備しておくかが非常に大事だと思っておるところであります。
 さて、農協関係者、私もちょっと訪問して会ってきました。話を聞くと、全農の株式への移行に関して、段階的に全農の意思でどうにもなるようにはなっている、つまり強制はしていない、選択肢はあると。ところが、これ五年スパンの経過措置の中でいずれは組織変更して入っていくんではないか、また、そういう規定を作られていくんじゃないのかというような心配が関係者の中にはあるようなんですね。
 これは、どういうことでそういうことを心配されているかというふうに思ったのですが、いわゆる移行に関しては、半永久的に全農の意思に委ねる考えはあるのか、若しくは、いずれ株式への移行を法的に進める方向に政府はあるのか、その辺、将来の展望として知りたいな、予測として知りたいなという農家がありました、関係者が。それは一体どうなんでしょうね。
○政府参考人(奥原正明君) 今回の法律の中にも、五年後の見直し条項というのが入っております。この五年間の農協改革の実施状況等を踏まえて、今後どうするかをきちんと検討するという条項は入っておりますが、それ以上のことは入っておりませんので、将来のことは何も決めておりません。
○儀間光男君 だから、五年のスパンが切れたら法律もまたできて、強制して、強制法に変えて、変更して、組織変更していくんじゃないかと関係者が心配するのですね。五年スパンの後にやっていくんじゃないかと。その先が見えないので不安ですということがあったから尋ねたんですが、政府もその後はよく分からぬとなると、これは夢も希望もなくなってしまう。将来どう判断して向き合っていったらいいのかよく分からなくなってしまうと、五年が非常に、十年に、十五年に遠くに感ずる。こういうようなことでは、本当に夢も希望もありませんから、安心するようなコメントを出していただきたい。今日はもういいですから、それ以上聞くと危ないので、今日はいいですから、その辺でいいと思います。
 さて、あと、時間がもうありませんから、少し残して次へ進んでいきたいと思いますが、農業委員会の一部改正について、法律案第八条第五項による農業委員の選出の方法の変更、これは現在の公選法から任命法に変えていくという、市町村の長に委ねていくというような法律になっておりますが、これの功罪いろいろあると思うんですね。選挙をやってもいろんなデメリットが出てくる、あるいは、議会の承認を得て市町村長が任命してもいろんな影と表が出てくる。
 そういうことで、総合的にどうか分かりませんが、私が危惧するのは、過去に教育委員会の委員の選挙制度があったんです。これがなくなりまして、市町村長が、推薦をして、議会が承認をして、首長が任命をしていくんですよ。別行政になっていまして、責任の所在がはっきりしないところがいっぱいあるんですね、公選法のときには。だから、仮に教育委員会が何かの問題を生ずると、教育委員長は教育に対する責任が大きいはずなのに、任命したといって、つまり任命責任者といって市民は首長に責任を問うてくるわけですね。そういうことであるならば、あっさり任命して任命責任を取った方がいいというような、積極的な市町村長はそうなるんです。私がそうでした。別の行政機関になっておってやるのに、向こうで問題が出たらこっちへ来て、こっちが正座してわびると。それよりは任命にして行政責任を取った方がいいなというようなこと等がありましたが。
 農業委員会にそれがあるとは私言いませんが、万が一にも何か不合理が生じて、責任を問われたときの責任の所在をはっきりとさせる、そういう意味では今度の任命制がいいように思えるんですが、いかが御判断かを聞かせてください。
○政府参考人(奥原正明君) 今回、公選制をやめて市町村長の選任制にするわけでございますので、これは選任した市町村長にはそれなりのやっぱり責任というのは生ずるということに当然なると思います。
 選任のプロセスについても法律の中にいろんな規定は入っておりますので、事前に推薦を受けますし、それから公募も掛けます。それから、その結果についてもガラス張りに公表した上で、市町村長はその結果も尊重した上で選任するといったルールが法律の中には書いてございますが、それでも選任はやはり市町村長がやるわけでございますので、それについていろいろな問題が生じたときに任命権者としての政治責任は当然あるというふうに思っております。
○儀間光男君 その方がすっきりして、シンプルで非常に分かりやすい。また、任命する市町村長においても、緊張感を持って行政を進めると思うんですね。そういう意味ではいい方法だと思います。
 時間もありませんので、あと一つ、次への質問の窓口を開けるために、最後に質問をします。
 安倍内閣において、農業は地方創生の核であると申されておりました。施政方針演説でも農業改革は待ったなしの状況だと意気込んでおられましたが、この改正法がどのような役目を果たすのか、地方創生との関連を答えていただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 先生からお話があったように、やはり地方経済の中核を成しておりますのは農林水産業でございますので、これが成長産業化していくということはもう地方創生にとって必要不可欠であると、こういうふうに考えておるところでございます。
 この六月に、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五が閣議決定されましたが、ここにも農林水産業の成長産業化がしっかりと位置付けられておるわけでございます。我々も今年三月に基本計画を決めましたし、農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせていただいておりますので、こういう施策をしっかりと実行いたしまして、今回の農協等の改革とも相まって、強い農林水産業、美しく活力ある農山漁村、こういうものを実現することによって地方創生をしっかりと図ってまいりたいと思っております。
○儀間光男君 時間が来ましたので終わりますけれど、質問を残しました。答弁書を書いた職員の皆さん、ありがとうございました。次にお楽しみをということにします。
 ありがとうございました。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日から参議院での農協法等の質疑が始まります。それで、私、七月三日の本会議質問の際にも述べたんですけれども、まだまだ解決されていない問題が山ほどありますので、納得できるまで時間を取って質疑をするように求めておきたいと思います。
 初めに、農協法、農業委員会法そして農地法をなぜ改革しなければならないのかと、そのそもそも論の議論をしたいと思います。
 安倍総理は今年の施政方針演説において、戦後以来の大改革に踏み出すと、その第一に農政改革を挙げて、六十年ぶりに農協改革を断行する、農業委員会制度の抜本的改革に初めて踏み出すというふうに言われました。
 経済法令研究会が出している「農業協同組合法」によりますと、戦後の農協法は、農地解放を基礎とする農民解放、農村民主化の政策の一環として、農地解放の成果を維持発展させ、農民の経済的社会的地位の向上を図るための農民の協同の仕組みとして制度化されたものというふうに紹介をしています。
 総理は、戦後レジームから脱却する、あるいは岩盤規制を打破するとも言われますけれども、脱却というのは、この出発点から脱却するという意味ではないかと思います。一方で、林農水大臣は、農協改革は原点に立ち返った改革だというふうに言われました。脱却するというのは原点を変えるということではないかと思うんですが、林大臣は、なぜ原点を変えるというんじゃなくて原点に立ち返るというふうにおっしゃっているのか、これについてお聞かせください。
○国務大臣(林芳正君) 農協は農業者が自主的に設立する協同組織でございまして、農業者が農協を利用することでメリットを受けるために設立されているものでございます。したがって、農協は、農業者、特に担い手から見て、その所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織である必要がありまして、農産物の有利販売、生産資材の有利調達に最重点を置いてこの事業運営を行うことが重要であるということでございます。
 農業や農協を取り巻く環境が変化する中で、現在の状況ですが、信用事業、共済事業に力が入っているという一方で、担い手を中心とする農業者のニーズに十分応え切れているのか、また、結果的に、農産物の販売や生産資材購入における取扱いのシェアが低下している、こういう状況があるわけでございます。
 したがって、私が原点に立ち返るというふうに申し上げましたのは、まさにこの農業者のメリットを大きくする、これがこの農協の原点であると、こういう意識でございまして、地域農協が農産物販売、資材の調達等を通じて農業者の所得向上を図るために、担い手を中心とする農業者の皆さんと力を合わせて全力投球できるような環境を整備する観点から、農協システム全体の見直しを行うことといたしたところでございます。
○紙智子君 今、農業者のメリットをつくっていくというようなことを始めとしていろいろ言われたんですけれども、この原点ということでいいますと、農林法規研究委員会が編集している農林法規解説全集というのがありますけど、この中でも、戦後における我が国の農業政策の基本目標は、まず過去の戦前の権力的統制や経済的束縛から農民を解放し、勤労農民の自主的立場を中心として農村の民主化を実現し、それを基盤として農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図ることにあったと、この目標を達成するために農協法が創設をされ農地改革が行われたというふうに述べていて、設立される組合は小規模な農業者であり、経済的、社会的に弱者と言われる農民の生産、消費活動の相互扶助、協同による発展を図る協同組合体というふうに書いているわけです。
 原点というのはこういうことだったんじゃないのかなと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) そこまで昔の本を私読んでおりませんでしたが、先ほど第一条についての農業者の定義についてやり取りがあったところでございますけれども、まさに私が原点と申し上げておりますのは、昭和二十二年、農業協同組合法が制定されたわけでございますが、この一条に、「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」と、こういうことになってございますけれども、そのことを指しておるわけでございます。
 先ほど、最初の御質問に答えて申し上げましたように、現在、信用事業や共済事業等に力が入っている一方で、担い手の農業者等のニーズに応えられていないんではないか、こういう問題を踏まえて、まさに農協を利用することでメリットを受ける、そのメリットというのは中心的なものとしては所得の向上、すなわち農産物の有利販売と生産資材の有利調達、これをしっかりとやっていただくことによって所得向上をしていくと、これがやはりこの原点ではないかというふうに考えております。
○紙智子君 加えてお聞きしますけれども、農協法の第一条ですね、今お話もありましたけど、農協が農業者の協同組合であるということが明記をされていると。第三条で、「「農業者」とは、農民又は農業を営む法人」というふうに定めています。農協法で、農業者とは認定農業者に限定はしておりません。それなのに、今の農協は担い手農業者のニーズに十分応えられていないというふうにおっしゃって、新たな条文として、農業協同組合の理事の定数の過半数を認定農業者、農産物販売、法人経営の能力を有する者にするというふうに、今回、枠をはめているわけです。
 農協は、大規模農家だけではなくて多様な担い手の組織だと思うんですね。農協の原点から離れて、認定農業者のための農協になろうとしているんじゃないかというふうに思えるんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 農業者が自主的に設立する協同組織が農協ということでございまして、農業者の定義は今おっしゃっていただいたとおり三条に規定があるわけでございますので、繰り返しになりますが、農業者から見て所得向上に向けた経済活動が積極的に行える組織である必要があると、こういうことでございます。
 今回の改革では、地域農協が意欲ある担い手と力を合わせて創意工夫を発揮して、農産物の有利販売等に全力投球できるようにすることで農業所得の向上につなげていくと、こういうふうにしてございます。理事の過半数を認定農業者にするとともに、農業所得の増大に最大限配慮するという経営目的を明確化して、選ばれる農協とするために農業者に事業利用を強制してはならないと、こういう規定をしております。
 農産物の有利販売等がこういうことで実現をしていきますと、当然、担い手のみならず、小規模な農家の方にも、また三条の定義によりますと法人も入っているわけですが、そういう方にも当然メリットがあるものでございますので、農業者の協同組織という基本的な性格は変わらないということだと考えております。
○紙智子君 今、小規模な農業者に対しても、それから法人化したところに対してもメリットがあるんだというふうなお話されたんですけれども、原点に立ち返るというふうに言いながら、理事の構成が変わるということになりますと、これ認定農業者以外の農家の意見をくみ尽くさない農協運営に変質していく可能性が出てしまうと思うんですね。総理がこの間言ってきた戦後レジームからの脱却というのは、言わばその原点を変質させるものじゃないかというふうに思うんです。
 更にお聞きしますけれども、この農業協同組合の事業運営原則を明確化するとか、事業を行うに当たっては組合員及び会員に利用を強制してはならないとか、組合員の相互扶助の組織なのに、なぜこういった形で枠をはめて規制強化をするのでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 農協が組合員に対して農産物の販売や肥料、農薬の購入を強制したり、資金を融資するに当たり資材の購入を条件とする、こういうことがもし行われたとしますと、不公正な取引方法ということで独禁法の適用になりまして禁止をされている行為と、こういうことになるわけでございます。
 農林水産省としても、農協等に対する監督指針において、農協がこのような行為を行えないことを明記をして指導してきたところでございまして、農協の行う事業活動について独占禁止法に抵触する疑いが生じた場合には、公正取引委員会とも連携して厳正にこれまでも対処してきたところでございます。実際に独禁法違反で処分の対象になった農協もあるということでございます。
 今回の農協改革は、地域農協がそれぞれの地域の特性を生かして創意工夫しながら自由に経済活動を行って、農産物の有利販売など農業者の所得向上に全力投球できるようにするような環境を整備していくことによって、担い手を中心とした農業者から選ばれる農協になることをその趣旨としておりますので、この事業利用の強制については、今までもできなかったわけでございますが、これを明確に禁止をして、組合員が農協の事業を利用するかどうか、また、その農協が今度は連合会を利用するかどうかは組合員や連合会の会員である農協の選択に委ねられるべきであるというこの原則を徹底するという観点で、こういうところを明記したところでございます。
○紙智子君 今の御答弁の中で独禁法の違反になるという話があったんだけど、これまだ法律は発動されていませんから、今まででいうとその対象から外してきたというのが実態だったと思うんですよね。
 それで、やっぱり農協自身が相互扶助組織で自主的な組織なわけですから、その中でいろんな問題点や改善策をこれまででいうとやるのが当然だったわけですけれども、それに対して今政府が規制強化するというのはおかしい話だというふうに思うんです。今まだ法改正になっていない中で言われたから、ちょっとそういうふうに言いますけれども。
 戦後、今日の農業組合制度ができてから農業基本法が制定をされましたし、その後、政府は、食料・農業・農村基本法というふうに変えてきました。農協法は、「農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」と定めているわけですけれども、食料・農業・農村基本法は、「食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。」と定めているわけです。
 国民経済の発展という点では同じなんですけれども、農協法には国民の生活の安定向上という規定はありません。それから、食料の安定供給、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興ということもありません。だから、六十年ぶりの大改革というふうに言うのであれば、農協法の目的を少なくとも政府自身がこの間改正してきた食料・農業・農村基本法と整合性ある中身にするべきではないのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) まず、先ほどのところでございますが、私が申し上げたのは、現行の、今の法制でも全て独禁法が適用除外に全部なるわけではなくて、先ほど申し上げたようなことは今でも独禁法の適用になりますので禁止をされております。したがって、その禁止違反であれば、処分をされたことは現行の法制度の下であったと、こういうことでございます。その前提で、今回の改革は更にその趣旨を明確にするためにその規定を置かせていただいたと、こういうことでございます。
 今お尋ねの食料・農業・農村基本計画でございますが、団体の再編整備等に関する施策の中で、農協改革については、農業者と力を合わせて農産物の有利販売等に創意工夫を生かして積極的に取り組んで、農業者の所得向上に全力投球できるよう改革を行うことが必要である、それから、地域農協について、農産物販売等を積極的に行って、農業者にメリットを出せるよう、経営目的の明確化、責任ある経営体制の確立等の観点から見直しを行う、連合会、中央会については地域農協を適切にサポートする観点から見直しを行うと、こういうふうに農協改革については記述をしておるところでございます。
 したがって、全体として食料・農業・農村基本計画では、今、紙先生がおっしゃったようなことが書いておりますが、これは農政全般としてやっていくことでございまして、農協改革については今申し上げたようなことを記述をしておりますので両者の整合性は図られていると、こういうふうに考えております。
○紙智子君 整合性は図られているという話なんですけれども、農村地域では多様な農業の担い手とともに住民が協力をして農業の多面的機能の発揮や農村社会の発展や振興に努力をしている、地域の実態に即した農協に発展させていくということは非常に大事なことだというふうに思っております。
 それと、世界の協同組合にも新たに発展してきているわけですけれども、国際協同組合同盟ですね、ICAですけれども、一九九五年に協同組合におけるアイデンティティーに関する声明を発表して、初めて協同組合とは何かということを定義をしました。
 それからまた、七原則を定めているんですけれども、その第七番目の原則のところでは、地域社会、コミュニティーへの関与を定めています。農協が地域社会に関与するということは、地域で農業を振興して地産地消を進める上でも重要だと考えます。中小企業等協同組合法や消費生活協同組合法では、このICAの原則を定めているわけです。
 農協法を改正するのであればこうしたことも明記するべきだったんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(小泉昭男君) 御指摘の国際協同組合同盟、ICAでございますが、この協同組合原則、非政府組織、NGOでございます、そのICAにおいて採択されたものでありまして、これは条約ではございませんで、したがいまして、政府として解釈権を有するものではなく、またその内容に拘束されるものでもないということでございます。しかしながら、農林水産省といたしましては、世界の数多くの協同組合が参加するICAの協同組合原則についても、できる限り尊重してまいりたいと考えております。
 現在、農協法におきましても、加盟、脱退の自由、これは第一原則でございまして、平等の議決権、これは第二原則でございます。出資、配当の制限、利用分量配当でございますね、これは第三原則を規定しているところでございます。
 また、今回の農協改革は、農協の自己改革を促進するという観点から、地域農協が責任ある経営体制を確立するための理事構成や経営の目的などを想定いたしまして、自己改革の枠組みを明確にするとともに、行政に代わりまして経営の再建指導を行う特別認可法人である中央会について、地域農協の自己改革を適切にサポートできるような自律的な組織体系に移行することを規定するものでございます。
 したがいまして、改定後の農協法につきましても、ICAの協同組合原則を尊重した内容となっていると考えております。
○紙智子君 やっぱり積極的に言い続けることが必要だというふうに思うわけです。
 農協は、学校給食などの学童対策や高齢者対策や過疎地域の移動販売車とか、農村だけではなくて都市でもライフラインとしての役割が高まっている一方、ICAは、日本の農協改革の動きに対しては、協同組合には公共、公益のための活動が求められているんだというふうにしているわけです。日本の今度の改革の動きについては、協同組合の原則を侵害していると、そういう懸念を表明しているわけですね。今回の改正案は、国内の動きや世界の流れを今尊重するというふうにおっしゃったんだけど、実際上は参考にしないいびつなものになっているんじゃないかというふうに感じております。
 その上で、次に行きますけれども、安倍総理の施政方針演説について再びお聞きします。
 安倍総理は、今回の大改革は農家の所得を増やすための改革だというふうに言いました。そこで、まず国内の生産額についてお聞きしますけれども、内閣府は国民経済計算、いわゆるGDPを発表しています。生産者の付加価値、もうけ、給与などが含まれる農業の経済活動別の総生産額の推移なんですけれども、これ、一九九四年は九兆七千二百十億円だったんですけれども、二〇一三年には五兆七千五百三十億円ということで減少しているわけですね。これ、農協の運営に問題があったから減ったのかというふうになるのかどうかということがあります。
 それから、食料関連産業の生産額規模を示す統計として、農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表というのがありますよね。ここでは、国産の農水産物の農家の取り分の推移が示されているわけです。五年ごとに発表しているわけですね。前回の発表というのは平成二十二年の二月ですから、五年後ということでいえば、今年の二月に発表するはずなんですね。私、実は三月頃に出ているかということで照会掛けたんですけれども、六月ぐらいになるというふうに聞いていました。ところが、まだ発表されていないわけですね。なぜこれ発表しないのか、統計部長に伺います。
○政府参考人(佐々木康雄君) お答えいたします。
 今お話がありました飲食費の部門別の帰属額等につきましては、産業連関表の確報値に基づきまして、最終消費段階の飲食費が生産段階や加工、流通、外食段階の各部門にどの程度帰属しているかを推計して公表しているものでございます。
 この基となります産業連関表でございますけれども、これまでのパターンでは五年ごとに新しい表が策定をされてきたわけでございますけれども、重要な基礎資料であります経済センサスが五年後から外れて平成二十三年を対象年次として実施されたといった事情もございまして、六年間の間を置いて、本年の六月中旬、つい先月でございますけれども、ようやく公表されたという経過がございます。
 私どもといたしましては、現在、これを受けまして推計作業を行っているわけでございますけれども、産業連関表のデータからお話のありました帰属額等々を推計するためには、膨大なデータの中から飲食関係のデータを抽出する作業でありますとか、あるいは今回の産業連関表は産業分類が一部変更されておりますので、そういった関係を過去のデータにも遡って推計のし直しをするといったことで相応の時間が掛かるところでございます。ではありますけれども、今年度中には結果を取りまとめて公表したいと考えているところでございます。
○紙智子君 今年度中ということは来年の三月ですよね。余りにも掛かり過ぎますよね。そして、これ、総務省のまとめが昨年十二月に出ているわけですよ。何でそんなに時間が掛かるのかというのは非常に不思議に思うわけですね。
 産業連関表は、最終消費から見た飲食費の部門別の帰属額、それから帰属割合の推移が示されているわけです。ですから、国産の農水産物の農家の取り分がどう推移しているかということを検証できるわけですよね。これをやらなくてなぜ所得倍増なんということが言えるのかと。安倍総理は、今回の改革というのは農家の所得を増やすための改革なんだというふうにおっしゃっているわけです。
 農政改革法案の質疑にやっぱりこの必要な資料が出されなければ、ちょっとこれ質問できないんですよね。これ、ちゃんと早く出していただきたいんですけれども、そんな、今年度なんて駄目ですよ。もうちゃんと出していただきたいんですけど、いかがですか。
○政府参考人(佐々木康雄君) 補足的に申し上げますと、昨年の十二月に新しい産業連関表の速報値が公表されたわけでございますけれども、いつものパターンでございますが、その速報値のデータを更に精査をいたしまして、附属する様々な表も併せて作成をし、確報値として公表するという手順を踏んでいるところでございます。その確報値がようやく先月の中旬に出たということでございまして、それを基に、確かな数字を基に今推計作業に着手したというところでございます。
 できる限り早くデータをまとめまして公表するよう努力をしていきたいと思っております。
○紙智子君 肝腎な資料をそういう形で、できるだけ早くと言うんですけれども、出さないということは非常に問題だし、重要なやっぱり審議に関わる問題ですから、これは早く出すように要求をしておきたいと思います。
 委員長、よろしくお願いします。
○委員長(山田俊男君) その件につきまして、理事会できちっと相談をさせていただきます。
○紙智子君 二〇一〇年版の産業連関表で、食品関連産業の生産額の規模というのは、一九八〇年の四十八兆円から二〇〇五年に七十四兆円に拡大しているんですけれども、この国産農水産物、言わば農家の取り分については、十二兆円から九兆円に減っているんですね。国産のシェア、農業段階の取り分というのは二六%から一三%に落ち込んでいるわけですよ。これは農協の運営に問題があるからなのかというふうに思うんですけれども、これ、いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(林芳正君) ちょっと数字を手元にまだ、先ほど統計部長から話がありましたように、持っておりませんので、最新のものはあれでございますが、農協の何がどういうふうにまずかったからこういう数字になっているかというのは、確定した数字が出た後でもこの相当因果関係みたいなものが出てくるのはなかなか難しいんではないのかなと、こういうふうに思っております。
 多分、今六次産業化ということを一生懸命やろうとしているのも、なるべくそういう生産者の取り分を増やしていこうと、こういう試みであると、こういうふうに認識をしておりますが、やはりライフスタイルが多様化していろんな形態で最終的に食品を消費していただいている、外食とか中食、いろんなものが出てきておりますので、その中で生産者の取り分がどれぐらいになるのかというのは、いろんな諸条件で決まってくるということでございますので、必ずしも農協の経営のみがその原因だというふうになかなか決められないんではないかというふうに思います。
○紙智子君 農協のことが減ってきているということには必ずつながっているとは限らないというお話だったと思うんですけれども。
 私は、これまでの議論の中でも、例えば農商工連携ということが言われたときにも、やっぱり農家の取り分を増やすためなんだという議論があったんですよ。ところが、実際には農家の取り分増えないと。今度、六次産業化という話になって、六次産業化ということの話の中でも、やっぱりこの連関表で見ていくと、農家の取り分というのは減っているわけですよ。こういう状況がなぜなのかということの解明だとかやらないで、農協のシステムを変えれば、これでどうして所得が拡大するのかというのは全くつながっていかないわけですよね。
 農水省は六次産業化を推進するというふうにこれまでも言ってきたわけですけれども、連関表で農家の取り分には入らないわけですよ、六次産業化そのものでいえば。輸出を拡大するという話もありましたけれども、加工品は農家の取り分にはならないわけですよね。その他のいろんな商業関係というのは増えるでしょうけれども、農家の取り分にはつながらないと。
 だから、農水大臣もそうですけれども、この間、安倍総理自身が農家の所得を増やすための農協改革だと言うんですけれども、じゃ、そのシステムを変えることでどうやって農家の取り分が増えていくのかというところについてはさっぱり、幾ら聞いてもその道筋が見えないというのがこの間の議論だと思うんです。これについていかがですか。
○国務大臣(林芳正君) そこは、したがって、まず需要を取り込んで全体的な売上げを増やしていくと。こうなれば、生産者の取り分も増えてまいると思いますし、それから、六次産業化の議論でいえば、この基本計画を作成させていただいたときに、農業、農村の所得を倍増するということで、あるいはこの参議院の委員会でも御議論いただいたかもしれませんが、それぞれの分野においていろんな推計をいたしまして、どういう所得の増やし方があるかということをモデルとして提示をさせていただいておるわけでございます。
 詳細な御通告がいただけませんでしたので余り不確かなことを言ってもあれでございますが、連関表で計算したときの生産者の取り分というのは、例えば同じ方が加工をやると、その加工で得たお金は多分生産者の取り分にはならなくて、その人がもらってもそれは加工業をやったということでもらうと、こういうことにもなるのではないかと思いますので、したがって、そういうことも含めて全体の農業、農村の所得を増やしていこうというのが政府・与党の今目指す方向であると、こういうふうに認識をしております。
○紙智子君 安倍総理は、農家の所得を増やす改革だというふうにおっしゃったんですよ。どういう形で所得が倍増するのかは示されてこないで来たと。農水大臣は、今もおっしゃいましたけれども、農協システムの見直しだけで所得が増やせるわけじゃなくて、もっと総合的にやるんだという話になっているんだけど。
 そうすると、安倍総理、総理自身の施政方針演説が国民に誤解を与えてミスリードをしたということになるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 総理の所信は、農業を成長産業として、活力創造プランで決めております需要フロンティアの拡大、バリューチェーンの構築、生産現場の強化、こういうことの農政改革をやっておるその背景において、さらに、プレーヤーである農協や法人、農業委員会といったものの改革も一緒になってやっていく、相まって所得の増加を増やしていこうと、こういう御趣旨であるというふうに理解をしております。
○紙智子君 平行線になるかもしれませんけど、この間の議論を通じても、どこに行っても出てくるのが、なぜ所得が増えるのか分からないという話ですよ。生産現場に行きますと、所得倍増だとかいろいろ言っているけれども、どうして増えるのか何回聞いても分からない、こういうことを、どこでも出される疑問なわけです。
 それで、私は、やっぱり所得に関わる重要な資料も出さないし、そして、総理大臣の所信表明演説の中で言われたことも、いろいろなことは言わなかったですから、もうとにかく所得を増やすための農協改革だというふうにおっしゃったこともミスリードだということも認めないというようなことは全くやっぱり問題だというふうに思います。
 今回第一回目ですから、続けていろんな角度からまた質問をしたいと思います。
 終わります。
○山田太郎君 日本を元気にする会、山田太郎でございます。
 農協改革、私も農林水産委員にならせていただいて三年間、前半の方はたしかさんざん農協改革を毎回やらせていただいて、皆さんからもいろんな御意見、御批判もいただいたところでありまして、やっと農協改革、緒に就いたかなと思ったんですが、内容はこんな感じなのかということでちょっと失望感もあるところであります。
 いろいろ農協改革に関しては立場の違いがあるとはいうものの、私も、今回の農協改革、何のためにやるのかなというのがさっぱり分からないというところでありまして、何回か機会をいただいておりますので、農協改革、それから農業委員会、いろいろ議論はありますが、今回は農協改革に絞って質疑を少しさせていただきたいと思っております。
 まさに各委員の方から指摘がありました、今回の農協改革はあくまでも農家の所得を増やすんだと、こういうことを言っているんですが、私も、確かにどうしてこれで農家の所得が増えるのかさっぱり分からないんですね。まず、そんな辺りから、もう一度整理する意味で、今回の改革で具体的に、例えば米のいわゆる農家さんがどうして今回の改革をすると所得が上がるのか、端的にというか、簡単で結構ですので、御説明していただけないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) これは衆議院でもいろいろ議論があったところでございますが、私が申し上げておりますのは、今回はいろんな農政改革を、需要サイド、供給サイド、バリューチェーンとやってまいりまして、それに対応してプレーヤーである農協等々の改革をやるということでございますので、農協の改革のみを取って、これで全て、これだけで所得が増えるということではなくて、あくまで必要条件といいますか、全ての改革相まってしっかりと所得を増やしていこう、そういう環境を整備していこうということでございます。
 例えば、今、米ということで例に出していただきましたので、米、まさに水田のフル活用をしていくと。そのことを、いろんな地域によって様々な条件が違いますので、例えば新潟の魚沼産のような高い品質の主食用米を専門的に作っていらっしゃるところもありますし、もう少し大規模なところで大規模な経営をやっていらっしゃるところもあるし、近くに畜産がいらっしゃるところで耕畜連携をされるところもあると。それぞれの地域の特性に応じて農業者の方と農協がしっかりと話合いをしていただいて、この地域はこういうふうにやっていこうという方針を出していただく。それは全国一律でなくてもいいわけでございますので、まさに地域が創意工夫をして、農業者と話合いをすることによって持てる資源を最大限に生かして所得を増やしていく、こういう姿を描いておるわけでございまして、今回の法改正は言わばそのことを可能にする条件を整備すると、こういうふうに考えておるところでございます。
○山田太郎君 地域の固有の取組を頑張るということは分かるんですが、大きな今回の農協改革の目玉は中央会の廃止ということなわけですね。
 そうすると、中央会というのがあったから地域の固有な農業の努力ができなかった、つまり中央会が全て悪いのか、中央会さえ廃止すれば個別の農家はもうかるのかということだとも思うんですけれども、今大臣からお話をいただいた内容と今回の農協改革とが必ずしも私は何かどうもしっくりつながらないのでよく分からないと思うんですが、中央会との関係において本当に中央会がその責任だったのかどうなのか、その辺り、いかがかも教えていただけないですか。
○国務大臣(林芳正君) そこも随分衆議院でも議論になったところでございますが、まさに何か中央会がいろんなことを阻んでおったので、中央会がなくなるとその障害が取り除かれて地域農協がいろんなことができるようになると、こういうことではなくて、昭和二十九年に中央会制度がそもそも導入されたのは、行政代行的な仕組みとして農協の経営を指導して、当時危機的な状況に陥っていたことを解消するということで導入をされたわけでございますので、昭和二十二年に始まった農協制度全体に加えて実は二十九年にこの中央会制度がそういう目的を持って始まったということでございますが、その目的としてきた危機的状態から回避をするという意味で、単位農協が一万を超えていた状況から七百程度に減少して大変に、先ほど儀間先生からもございましたような大きな規模の農協も出てきて経営も安定してきた、こういうことと、それからJAバンク法に基づいて信用事業については農林中金に指導権限が与えられている、こういうこともあって昭和二十九年に始まったときと状況が変わってきたと、こういうことでございますので、その状況に合わせてこの改革をしたと、こういうことでございます。
○山田太郎君 政府の方は、大臣も含めて、農協というのは自主的に設立されているものだと、自己改革を求めるということを、実は私もこの改革に入る前からさんざん質疑に対しては答弁いただいていたんですが、であれば、何か今回の農協改革というのはちょっと中途半端というか、要は農協が本当に自主的な存在であればもう任せればいいというだけの話だと思うんですよね。ただ、あるとすると、農協が持っている幾つかの特権というか優遇措置、これどうするかということだけきちっと議論をして、もしこれがなければ、民間の任意の団体に対してああでもない、こうでもないと言うのは一つ大きなお世話なのかなということにもなるわけでありまして、その辺の優遇措置というものも今後どう考えていくかということが本当は農協のあるべき姿を位置付ける重要なポイントなのではないかなと。
 優遇措置としては五つぐらいあるというふうに考えておりまして、独禁法のいわゆる二十二条ですよね、共同購買、共同販売。それから、一般法人二五・五%という法人税に対して一九%という安い、これは協同組合法によるところでありますが、法人税であると。それから、組合員向けの配当に課税がないとか、それからもう一つ、これは大きいところだとも思いますが、金融機関の生保、損保との兼業禁止というのが除外されていると。あともう一つ大きいなと思うのは固定資産税の免除という辺り、事務所と倉庫に対しては固定資産が免除されると、こういうことだというふうに思っております。
 これそのものをどう扱うかという議論もあるんですが、もし農協がこういった優遇、もちろん共同購買、共同販売は組合としての機能でありますからそれは持たせるにしても、幾つかの優遇政策を見直せば、確かに自主改革に任せるというのも一つの筋でありますし、今後の農協改革のあるべき姿なのかなと、こんなふうに思うわけですが、そんなところでこの優遇のところだけ少し確認をしたいと思っているんですが、そのために今日総務副大臣にも来ていただいております。
 その優遇の中では固定資産税の免除という辺りもあるんですが、実はJAさんといえば、非常に象徴的に千代田区の大手町に大きなJAビルが建っております。それから、千代田区の平河町にもJA共済ビルが建っておるんですが、これ、実は固定資産の優遇を受けているようでございまして、年間幾らぐらいに当たるのか、この辺りを教えていただけないでしょうか。
○副大臣(二之湯智君) 個別の課税額や非課税額については、総務省は課税官庁でございませんので、実態は把握しておりません。
 しかし、地方税法上どれぐらいの非課税額あるいは課税額ということは守秘義務が課されておりますので、従来から答弁を差し控えさせていただいております。
○山田太郎君 じゃ、一点だけお聞きしたいんですが、課税額の具体的な額については聞きませんが、実際には固定資産の優遇が行われているかどうか、その点だけ教えていただけないですか。
○副大臣(二之湯智君) 現行、今、非課税額としては存在をいたしております。
○山田太郎君 後でしっかり議論をしたいと思ったんですが、私、農協は確かに地域における協同性それから地域創生の要であると、これはもっともだというふうに思っております。そういう意味で、もしかしたら地域協同組合としての性格に変遷していくということも本来農協のあるべき大きな変更なのかなと。
 ただ、そうなってくると、やっぱり地域に根差しているわけですから、地域の一番、税金である固定資産税払っていくというのも、実はこれは非常に重要な改革なんじゃないかなというふうにも思っておりまして、販売とか購買に対して農家が恩恵を受けるということは、それはそうだと思いますが、それでも、今度は地域に対して貢献するんであれば地域の税金はきちっと払っていく、これは一つ考え方なのではないかなと思うんですが、その辺り、これは農水大臣なのか、あるいは地域の政策として総務省の方答えていただけるのか、ちょっとどなたか政府の方でお願いします。
○国務大臣(林芳正君) 大変整理された御議論を今いただいたと思っておりますが、独禁法、法人税、配当課税、生損保の兼業、固定資産税と、こういうことが挙げられておりますが、基本的な頭の整理として、農協の改革はこの法人格を協同組合から株式会社にするという改革ではないということでございます。
 したがって、その趣旨にのっとって、協同組合として、農業者の協同組合という原点に返るという議論を先ほどさせていただきましたように、協同組合であること自体について何か変えようということではないわけでございますので、先ほど先生からお話のあったような点につきましては、協同組合というのは実は通則法がないものですからそれぞれの協同組合法で決めるということになりますが、いわゆる協同組合というものについては共通してそういうことが許されていると、こういうふうに理解をしておりますので、その基本的なところは、この農業協同組合の改革という趣旨に鑑みて残すべきところは残すと、こういう整理ではないかというふうに思っております。
○山田太郎君 総務副大臣の方はお忙しいでしょうから、関連はここまでですので、委員長の許可があれば御退席いただければと思っています。
○委員長(山田俊男君) 二之湯総務副大臣、時間がなければ結構でございます。ありがとうございました。
○山田太郎君 もう一つ、そんな議論から、そういう意味で、あるときには自主改革で自主機関だといい、あるときは協同組合であるから法律に基づいた組織であるということで、何かカメレオンのように期待するものを使い分けているような気もしているんですが、そもそも政府は農協に何を期待するのかなという辺りも今回の改革としてはすごく重要だというふうに思っているんですね。
 質疑ですから、ただ質問するだけじゃなくて、私は、今回この委員会で、後半戦というか、こだわっておりますのは、やっぱりいわゆる新規就農者をどうやって増やすのか、それから例えば一人当たり本当に十ヘクタールできるのかどうか、規模をどういうふうに拡大していくのか、こういう辺り、実は幾ら農協を改革しても、あるいは輸出を増やすといっても、自給率を高めるといっても就農者がいなくなってしまえばもう終わりなんですよね。
 そういう観点からいけば、例えば、具体的に、ちょっと私も今までの発言の方向性変えると、要は准組合員だったとしても組合員になってくれる、つまり農業者に引き込めるんであれば、それはそれとして手段として面白いんじゃないかなと、こんなアイデアだってあるわけでありまして、ただ、農協に何を、例えば政府、それから今回の改革で期待するのか、どういう方向に具体的に持っていくのかという大きな戦略というんですか、そういうものがないとなかなか意味のあるものにはつながらないんじゃないかなというふうに危惧をしております。
 何度もしつこいようでありますけれども、平成三十七年に九十万人、六十歳以下の農業者が九十万人要るという試算、そうでないと三百万ヘクタールの耕地を耕すことはできないと、こういう試算が出ているうち、今、残念ながら平成二十二年度では四十九歳以下の農業者が三十一万人しかいませんと。つまり、単純に六十万人増やさなければいけないというのが私は危機でありまして、これと今回の改革とどうつながっていくのか。まさに、紙議員の方もありましたが、食料・農業・農村基本法にのっとればこの辺りは中心の課題になるわけでありまして、それが本来、もうちょっと踏み込んで農協の役割ということを考えていったら、もしかしたら新規就農者を増やすことができるかもしれないと。
 そういう論点から、もうちょっと踏み込んで、農協、何を政府は期待して今のような特に今後の五か年の計画に対してやろうとしているのか。そうでないと、単純に、何か改革コンサルタントのように、問題があるからそれをモグラたたきで潰して、ここも悪い、あそこも悪い、悪いから直すんだではなくて、悪いところはどの組織にもあるわけですから、もっと大きく、どういうふうに位置付けたいのかな、戦略的なポジションというんですか、そんな議論が全然ないような気がするわけですね。
 それが全然質疑も足りていないし、今回のいわゆる政府の最初に出してきた規制改革の委員会の中でも何か足りなかったような議論をするんですが、経済通であり大所高所から見られる農水大臣であれば、この辺り踏み込んで是非戦略を御発言いただければと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) まず、山田委員におかれては、足掛け三年で随分農林水産委員らしくなってこられたなと今思って聞いておりましたが。
 民法三十四条というのがございまして、法人には非営利と営利というのがございますので、多分非営利だからといって何か公的な部門をやるということでは必ずしもなくて、NPO等で、協同組合もその一類型だと思いますが、こういうものを民間の発意によって自由につくることができると、そういう立て付けでこの法人の仕組みはできておりますので、我々がいつも申し上げているのは、そういう立て付けの上で民間がつくられておると、こういうことでございます。
 今、お尋ねのあった食料・農業・農村基本計画の構造展望の付録というのがございますけれども、先ほどお話しいただいたように、土地利用型については約三十万人、一人当たり十ヘクタール、三百万ヘクタールと、こういう試算を、計算をしておるわけでございます。
 農協改革の基本は、担い手の農業者の方のニーズを踏まえて農産物販売等の各種事業を的確にやっていくということでございますので、成果を上げていただきますと担い手農業者の経営の拡大や経営効率化、こういうものが図られると、こういうふうに思っております。
 午前中の質疑でもありましたように、こういうむしろ専業で担い手でやっていらっしゃる方は忙しいのでなかなか農協の理事にならないと、こういうような現状では、一体そもそも農協というのは何なんだろうと、こういうことになるわけで、そういうがっつりやっていらっしゃる方が、自分たちがより効率的にいろんなことをやってもらうためにやっていくという言わば原点みたいなものにしっかりと応えていただくというのが、翻ってそこにつながっていくんではないのかなと、こういうふうに思います。
   〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
 それから、農地集積円滑化団体ということで農地流動化に取り組んでいただいている農協もございます。中間管理機構の委託を受けているところもございますけれども、こういう担い手の農業者のニーズがより踏まえられるようになりますと、担い手への農地の集積、集約化がより進んでいくんではないかなと、こういうふうに思っておりまして、これはまだ議論があるところでもあるかもしれませんが、この一人当たり十ヘクタールという土地利用型で想定しておりますところにこの改革も同じ方向を向いていると、こういうふうに考えております。
○山田太郎君 もう一度お聞きしたかった新規就農者がどう増えるかということに関しては、今回の農協の改革又は農協に今後求めていることというんですかね、集中していくだとか十分にその販売力が高まっていくというのは、農協の販売力を強化することによって引っ張っていくということだと思うんですが、その辺りはどうなんでしょうね。
○国務大臣(林芳正君) 失礼いたしました。
 新規就農についても、そういう担い手の意見が反映をされるようになって、そういう方が、なるほど、みんなでこの農協を使っていこうということが今より盛んになってくれば、そういうところに入っていこうという方も増えてくるということでございますし、それから、法人経営になりますと、自分で一から土地を借りたり、取得して始めるということに加えて、就職をすると、こういうことが出てまいりますので、学校を卒業されてすぐということでは必ずしもないかもしれませんが、最初から全部自分でやるというよりは、法人に就職をしていろんな技術等を習得した上で、そういう気持ちがあればその後スピンオフしていく、こういう形も出てくると、こういうふうに思いますので、こういう方が増えていくことによって、新規の就農、これは農協の改革だけではなくていろんな施策を同時に打っていかなければならないと思っておりますが、そういうものと相まってこの方向性が出てくるものと、こういうふうに期待をしております。
   〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕
○山田太郎君 そこの農業法人の規定で、これも実は農協法三条に書いてあるんですが、「この法律において「農業者」とは、農民又は農業を営む法人」とあるんですが、実は括弧書きがございまして、法人は、常時使用する従業員の数が三百名を超え、かつ、資本金の額又は出資の総額が三億円を超える法人を除くと書いてあるわけですが、逆に言うと、であれば、私、ちょっと自分も会社経営していたりしていましたので、そんなに大きな法人ではない、この規模はというふうに思っておりまして、もっと大きないわゆる農業を営む法人も組合に組み込めるということだってあってもいいんではないかなと思うんですが、大規模な農業者というものはこれに参画できないのか。
 規模を拡大、また今おっしゃられたように、新規就農という人たちが入ってくるためには勤めながらのルートもあるんだということであれば、この規定というのがやっぱり現実的には、農協法三条、先ほど紙議員がおっしゃっていた小規模というものを救うというところから脱し切れないのかどうか。こういうちょっと不整合がいろいろあるんじゃないかなとも思うんですが、その辺り、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) これはどこかで線を引きませんと、あらゆる大きな法人まで全部ということになりますと、先ほど申し上げましたように協同組合のそもそもの趣旨というのがございますので、競争力等が比較的弱小な方が集まることによってバーゲニングパワーを付けていくというのが協同組合の本旨であろうと、こういうふうに思います。そのことによって、先ほど山田先生がおっしゃったようないろんな優遇措置が設けられているということ等鑑みますと、この三百人、三億が、例えば一万人、一万人という企業がいるかどうか分かりませんが、物すごく大きな企業になっても、先ほど言ったような法人税や固定資産税、独禁法の除外適用等々が成るということになりますと、今度は競争条件の確保ということも出てまいりますので、どこかで線を引かなければいけないと。
 例が適当かどうか分かりませんけれども、中小企業の政策というのも、どこかで線を引いて中小企業にのみ特例的に適用される政策をやっていく、これは卒業という概念がありますけれども、大きくなっていった方はそれなりにこういう優遇措置なしで頑張ってもらう、そういう仕組みになっておりますので、ここに、協同組合ということであればおのずとどこかで線を引くということでありますが、農政全般であれば同じようにいろんな施策の適用になる、こういうことがあろうかと、こういうふうに考えております。
○山田太郎君 私も、この委員になってさんざん現場を回ったり、個別でも回っていろんな農協の方とお話しさせていただきました。最近、この改革を逆に考えると、何となく思いますのは、何でもかんでも逆に農協のせいにしてしまっているのかなといったところもちょっと感じたりするんですね。これどういうことかといいますと、実は、農協は今、かつての農協よりも今の農協は非常に厳しいんだなということをいろいろな地域でかいま見てまいりました。
 どうしてかというと、例えば施設園芸とかで、あるいは果実ですごく付加価値が高いものは直接引取りに来たりするので、結局農協を経由しない。どちらかというと、農協が頑張って扱っているのは、最初から土地利用型でなかなかもうからない、利益率が出ない、こういったものがどんどんどんどん扱う比率として高まっているということも、これ全てではありません、いろいろ特化している農協さんなんかは別のやり方をされていますが。でも、全般的にいうと、やはり穀物系というんですか、土地利用型で極めて利益が出にくいところを農協が担当しているというようなところにおいて、農協の在り方、農協さえ変わればじゃ日本の農業変わるのかというと、それも短絡的だというふうに思っておりまして。
 そんな中で、もうからない農協がどういうふうになるかということでさんざん議論はあったと思うんですが、いわゆる信用事業と経済事業との連携で補填するしないという話も出てきたりするわけだと思いますが、結局、何でそんな話になっているかというと、何度も繰り返しになりますが、政府なりが農協に負わせる役割というものがやっぱり中途半端というか、あるときには自主的機関だから自活してもうけろと言うけれども、実際には、自給率を上げるために、米なんかも維持するために、農協さん、それをうまくコントロールして売ってくれよと、これでは農協もどっちに向かっていいか分からないということにもなりかねないと思うんですね。
 そうなると、じゃ、私はどう考えればいいのかというと、もう農協の持っている役割というのは、利益を上げていく団体というよりも、やっぱり地域の協同組合という役割が現実的に大きいと。ただ、そんな中で、しっかり、でも位置付けなきゃいけないとすると、もう農協という看板から地域協同組合という看板にして、どうやって要は政策とコラボしていくのか、その辺りもすごく重要だと思うんですが、私は、そこまで踏み込まないと今回の改革は、先ほどから言っているように、ここが問題だ、あそこが問題だということを何かモグラたたきしていることにすぎないのかなと、こんなふうにも思うわけなんですね。
 そういう意味で、今回はこういう形で一つ、私としては中途半端な改革をされたんだと政府は思います。何もしないよりやった方がいいと思いますので、一つ、一歩前進なのかもしれませんが、今後どう持っていくのか。これは実は、紙議員からも、今後どう持っていくか分からないと不安だというような、ちょっと似たような質問になるかもしれませんが、私は地域協同組合としての位置付け、そうなってくると、政府が言っている、農協は個別にこれからちゃんと利益を出していきなさいというメッセージではないかもしれないと思っていまして、方向感、今後すごく大事だと思っているんですが、その辺り、農水大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) 先ほど局長から、五年の見直しということについて答弁をしたとおりでございます。法律上はただ見直すということでございますから、その後どうこうするということがこの法律の条文上書いてあるわけではないわけでございますが、やはり今回、先ほど申し上げましたように、まず協同組合であるということ、それから農業者の協同組合であることという原則、原点に返るという言い方を私もさせていただいたわけですが、そこは大切にしたいと、こういうふうに思っておりますので。委員がおっしゃる地域の協同組合というのがどういう意味か必ずしも判然としないところもございますが、やはり農業者の協同組合であるというところは基本的な枠組みとしてはなかなか外せないのではないのかなと。したがって、やはり所得の向上のための生産物の有利販売と資材の有利購入、ここが中心になってしっかりとやっていくということが中心になってくるのではないのかなと、こういうふうに思っておりますが。
 私も五年後にこの職におるかどうかも分かりませんし、そのときの行政、そして政府、また国会でしっかりと議論をして、もし法律を成立させていただいて、この改革が五年後に成果を上げていることを期待をするところでございますが、それを踏まえて、しっかりとそのときに議論すべきことではないかと、こういうふうに考えております。
○山田太郎君 私は、農協が今後、地域の協同組合でいくのか、農業協同組合でいくのかは大きな違いが実は出てくるというふうに本当は思っていまして、もう既に、事実上地域の協同組合なんじゃないかな、これはと。そうであれば、准組も要は組合員も余り関係ない話でありまして、ただ、イコールフッティングですよね、現地で農協という、もしかしたら地域の協同組合が大き過ぎてほかの民業を圧迫しているということが仮にあれば、それは看過できないので、独禁法に当たるのか何に当たるのか、その辺りだけ考えていけば、もう事実に対して役割をきちっと農協、地域協同組合として与えていった方が、方向性として何か准組は良くないんだとか何とかというような混乱した議論しなくて済むような私は気がしておりまして、あるときには農協は農業のためだからといって、何となく農林水産省さんの使いっぱとは言いませんけれども、触手の先みたいな、で、あるときには自主的にやってくれよというのは、私は、これはもう農協は混乱するのかなと思っているので、本当は政策的にはきっちりした方がいいと思っています。
 時間がそろそろ来ましたので、最後に質問したいのは、とはいうものの、最大の一つ、農協さんのこれまでの問題は、私はやっぱり監査の問題ってどうしても残っていると思っています。
 今後の仕組みがそれでうまくいくかどうかというのはこの監査体制がどうあるかということに係ると思いますが、余り、農協さんも組織ですし、大きいので、いろんな事件があるということについてここでつまびらかにすることがいいか分かりませんが、二〇一五年に入ってからも、例えばある農協さんで三千五百万円の着服があったりとか、三千六百万円の着服、もう毎月のように数千万単位の事故が起こっておりまして、やっぱりこれを確かに報道等でちらほらと見ておりますと、どこかの金融機関よりもはるかにちょっといわゆる管理というか監査、緩いかなと思っております。
 今回の改革において、農協さんの名誉のためにも、今後新たな展開を迎えるためにも、本当にこういうことが起こらないような監査体制に具体的になるのかどうか。特に、金融部門における問題が非常に多いので、本来であれば、金融庁のその部分についてはきちっと監査を受ける、又は公認会計士が受けてもいいんですが、そうであれば、私も上場企業やっていましたけれども、有価証券報告書ベースの、つまり、出口がきちっと整理されていないと、幾ら監査法人を入れたって、別に罰則が何だという話になってしまいますので、要は具体的なきちっとした開示義務というものをどういうふうに置いていて、何が罪になるのかということをやっぱり法律でプラス作っていかないと、なかなか、監査、監査で監査法人を入れても、あるいは公認会計士を入れても変わらないのではないかなという感じはするんですが、その辺りはいかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 全中の監査の義務付けを廃止をいたしまして、公認会計士の会計監査を義務付けるということをこの改革の中でやることになっておりますが、先ほど申し上げましたように、農協の数が七百農協ということで、一農協の貯金量規模が大きくなりまして、平均千二百九十億円でございます。中には一兆円を超えるところも出てきておると、こういうことでございますので、やはりほかの金融機関、特に地域の金融機関である信金、信組と、こういうところと同様の会計監査体制を取るということが今後も信用事業を安定的に継続できるようにするためにも必要であると、こういう判断をしたところでございます。
 したがって、今度は公認会計士の会計監査、金融庁ということでございますが、スムーズに移行できるための配慮規定というのもございますので、今委員から御指摘のあったところも含めて、しっかりとそこの検討の中で考えてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君 時間になったので、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山田俊男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
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○委員長(山田俊男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(山田俊男君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会