第189回国会 外交防衛委員会 第17号
平成二十七年五月二十八日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     山下 雄平君     宇都 隆史君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     石川 博崇君     横山 信一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山さつき君
    理 事
                北村 経夫君
                佐藤 正久君
                三木  亨君
                大野 元裕君
                荒木 清寛君
    委 員
                宇都 隆史君
                小坂 憲次君
                末松 信介君
                豊田 俊郎君
                松山 政司君
                北澤 俊美君
                小西 洋之君
                福山 哲郎君
                藤田 幸久君
                横山 信一君
                小野 次郎君
                井上 哲士君
              アントニオ猪木君
                浜田 和幸君
                糸数 慶子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   参考人
       東京財団上席研
       究員       渡部 恒雄君
       拓殖大学国際学
       部・海外事情研
       究所教授     佐藤 丙午君
       同志社大学政策
       学部教授     武蔵 勝宏君
       獨協大学名誉教
       授        西川 純子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山下雄平君及び石川博崇君が委員を辞任され、その補欠として宇都隆史君及び横山信一君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(片山さつき君) 防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として東京財団上席研究員渡部恒雄君、拓殖大学国際学部・海外事情研究所教授佐藤丙午君、同志社大学政策学部教授武蔵勝宏君及び獨協大学名誉教授西川純子君に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に対し、本委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、渡部参考人、佐藤参考人、武蔵参考人、西川参考人の順にお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 また、参考人、質疑者とも発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず渡部参考人にお願いいたします。渡部参考人。
○参考人(渡部恒雄君) ありがとうございます。
 この度は、参議院外交防衛委員会にお招きいただきまして、ありがとうございます。
 私は、これまで、日本とアメリカと両方のシンクタンクで両国の安全保障政策を研究してまいりました。研究の主要テーマの一つに、政治と軍、あるいは政治と自衛隊、この関係、英語で言うとシビル・ミリタリー関係、日本語で言うと政軍関係を勉強しておりました。これは、国家の防衛・安全保障政策の中に軍隊と軍人を民主的な手続の下に適切に位置付けて機能させるためにはどうしたらいいかと、民主国家の運営上、大変重要な課題であって、この問題意識で日米の歴史と現状を見てきました。
 今回参考人をお引き受けするきっかけになったのは、実は最近の新聞報道で、日本のシビリアンコントロールについて大きな誤解がある報道を目にしたからです。それは、今回のまさに防衛省設置法等の一部を改正する法律案の中の十二条、官房長及び局長と幕僚長との関係に係る規定の改正についての報道です。
 例えば二月二十二日付けの東京新聞の朝刊、既存の第十二条を内部部局の背広組が制服自衛官より優位に保つ仕組みだと解釈されるというふうにした上で、この解釈も違うと思うんですが、改正されれば、背広組が制服組をコントロールする文官統制の規定が全廃されることになると報道しています。同紙面で専門家が解説していまして、そうなると、文官は軍事的分野に立ち入れなくなると指摘しまして、戦前、軍事専門家である軍人に全てを委ね、国民が知らないうちに決定がなされ、戦争に突入してしまった反省からつくられた文官統制をほごにすることになり、歴史の教訓の全否定につながると解説しておりました。
 その後、同種の報道が新聞やテレビでなされましたが、これは重大な事実誤認であり、それは正しておく必要があると思ってここに出席させてもらった次第です。
 最初に確認いたしますが、私が過去に十年間研究生活をしていたアメリカにおいても日本においても、シビリアンコントロールの確保、アメリカでいうとシビリアンスプレマシーという言葉が多いんですが、要するに国民の負託を受けたシビリアンの政治家が軍に対して政策決定で優位にあること、これは民主主義国家の大原則であり、尊重されて機能しております。
 日本の大原則は、憲法六十六条第二項、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」という条文です。ところが、残念ながら日本では、過去には、シビリアンという意味の文民というのがいつの間にかシビリアンオフィシャルを意味する文官というのにすり替わって、文民統制を補完するものとして文官統制なるものが存在するというこれは誤解が生じました。
 私が知る限り、過去に誤解に基づく幾つかの政府の答弁はあったかもしれませんが、現在の政府の機能において文官統制という概念や仕組みはありませんし、研究者の理解でも、一時文民統制の意味で誤解された文官統制という考え方は、文民統制とは直接関係なく、むしろ健全なシビル・ミリタリー関係を維持するにはマイナスであるという理解が一般だと思います。
 私がアメリカのシンクタンクで研究を始めた頃、一九九〇年代半ば頃は、既に日本の多くの文献の中に、文官統制という発想は本来のシビリアンコントロールとは似て異なる発想で、本来の文民統制にはマイナスであるという議論がなされておりました。例えば、雑誌「世界」一九九一年八月号。掲載されました、現在法政大学法学部で教えておられる廣瀬克哉教授が書かれた論文で、文官統制、これは括弧書き、から市民統制へ。これでは、文官統制というのはシビリアンコントロールの誤解であり、むしろ真のシビリアンコントロールを形骸化させているという問題提起をされておりました。
 文官統制という誤解の背景には、恐らく戦前の日本の軍国主義への反省があるんでしょう。制服組は軍人の使用に積極的で背広組は抑制的であるという思い込みと、それから戦前の軍人の政治介入への警戒感があるのかと思います。
 例えば、憲法六十六の文民の定義に関しては、過去の政府答弁で、一九七三年十二月十九日、大村内閣官房副長官が国会で、文民とは、旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって軍国主義思想に深く染まっていると考えられるもの、それから自衛官の職にある者、この二つを判断の基準にしていると答弁しているのが一例です。
 ただ、一般的な傾向を見れば、日本においてもアメリカにおいても、軍事や国際関係の専門的な知識を持ち、しかも部下や同僚の命をリスクにさらす制服組の方が軍事力の使用には抑制的です。少なくても、制服組が好戦的であるというのは印象論にすぎないと思います。歴史的に見れば、むしろナショナリズムに駆られた国民やシビリアンの指導者が軍人以上に軍事力行使に積極的になるというケースも多くあるわけです。
 例えば、アメリカの二〇〇三年のイラク戦争、この決定過程においては、チェイニー副大統領、それからウォルフォウィッツ国防副長官というような軍歴のないシビリアンの政治家が開戦に積極的で、エリック・シンセキ陸軍参謀長、これは軍人ですね、それから軍人の立場と認識を共有する退役軍人のパウエル国務長官やアーミテージ国務副長官、これは開戦に消極的だったと、こういうケースもございます。
 さて、文官統制の概念の誤解はともかく、今回の防衛省設置法等の一部を改正をする法律案の中の十二条の改正に対する懸念の中には、恐らく、防衛大臣の政策決定において自衛隊制服組の影響が相対的に高まることへの懸念というのはあるのかもしれません。
 アメリカでも、実はこの点は常に重要な関心事項になっていました。つまり、軍事という専門知識を持っている集団が、その独占している知識を基に市民の望まない方向に国家の外交防衛政策に影響を与えてしまうのではないかという懸念ですね。たとえ制服自衛官側に政治決定に介入しようという意図はなくても、その知識と情報が軍事面に偏っているために、最終的には外交、経済などのほかの要素も入れたバランスの取れた情報を政策決定者に上げることができないかという懸念だと思います。
 この点において、これまでの防衛省の機能も、あるいは本法案改正後の仕組みでも、統合幕僚長、陸海空のそれぞれの幕僚長が自衛隊法九条第二項の規定により隊務について防衛大臣を補佐するということは変わっていませんし、制服組とは別の観点と情報を持つ背広組の官房長、局長、防衛装備庁長官がその所掌事務に関して防衛大臣を補佐するものとなっており、この仕組みの中で特に制服組の情報だけが防衛大臣に強く影響するとは考えられません。むしろ、制服組の防衛大臣への補佐を制限することは、軍事面の情報を不足させることになって、国家の安全保障においては時には死活的な要素になる決定の迅速さを欠くことにもなると思います。
 実は、アメリカにもこのケースがあります。
 一九八六年、国防総省再編法、いわゆるゴールドウオーター・ニコルズ法というのが審議されたときに、政府の決定において、ミリタリー側にちょっとバランスが強く傾き過ぎるかという懸念が起こりました。その法案では、それまで大統領、国防長官、国務長官という国家安全保障会議の定期参加者に制服組の統合参謀本部議長がアドバイザーとして正式に参加するという条項が入っていたからなんです。
 この法案を反対する人は、建国の父以来の外交政策の決定の現場から軍人を隔離するというシビリアンコントロールの原則が脅かされるといって反対しました。しかし、この決定の背景には実はベトナム戦争の反省があって、マクナマラ国防長官がシビリアンスタッフをたくさん使って軍人の専門的なアドバイスを無視して、それがかえって状況を悪化したという反省があって、最終的には軍の情報をより正確に国家の政策判断に反映すべきだという考えが優先されて現在に至っております。
 日本のシビリアンコントロールのモデルに当たって非常に参考になるのは、アメリカのシビリアンコントロールの理想モデルの変遷です。
 朝鮮半島では非常に深刻なシビル・ミリタリーの対立が起こりました。これは御存じだと思います。一九五一年、国連軍の司令官ダグラス・マッカーサーが中国領への戦術核の使用の許可をトルーマン大統領に求めます。トルーマン大統領は、それがもたらす共産圏との全面核戦争のエスカレーションを懸念して反対して、最終的にはマッカーサーは解任されます。
 この余韻が残る中に、実は一九五七年、サミュエル・ハンティントン・ハーバード大学教授が「軍人と国家」という著作で、政治に介入しない軍人のプロフェッショナルを育てることによってシビリアンコントロールを確保することを提唱しました。
 しかし、ハンティントンの理論をモーリス・ジャノヴィッツ・シカゴ大学教授が一九六〇年に「プロフェッショナルソルジャー」という著作で批判します。軍を軍事領域に閉じ込めてコントロールするのは現実的ではなく、むしろ軍人が文民と価値観を共有させることで一般社会に取り込みコントロールすべきだ、この考え方、つまり文民と軍人の相互信頼の確保がシビリアンコントロールに重要だと示しました。
 日本の今までの道、それからこれからの道は、アメリカもそうなんですが、恐らくこの方向なんだろうと。防衛省でいえば、背広組と制服組が共に日常業務を行って相互信頼を高めて、むしろ機能的に良好なシビル・ミリタリー関係を育成していくと、こういうことが重要であって、この考えからすると、例えば最初に言った文官統制のような考え方はマイナスですし、今回の法改正というのはそちらの方向に向かっていて問題はないと考えます。
 以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(片山さつき君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
○参考人(佐藤丙午君) 拓殖大学の佐藤丙午と申します。これまで、政府シンクタンク及び大学で安全保障論、軍備管理、輸出管理を学んでまいりました。
 本日は、防衛装備庁と防衛産業技術基盤政策並びに防衛装備移転三原則に関わる問題について意見を述べさせていただきます。
 防衛装備は、国家の安全保障政策の基盤を構成するものであり、その維持発展に対して国家は責任を有するものであると考えます。日本の防衛装備の生産基盤の大部分は民間企業に属しており、したがって、その産業力と技術力の維持発展並びに競争力の育成も、国家と民間企業が協同作業として実施する必要があります。
 防衛装備は、国家の戦略目標や部隊の運用構想を反映する形で設計、構想され、技術や予算上の制約を考慮した上で製造及び調達のプロセスに進みます。一旦国家が調達した後も、防衛装備品が所定の機能を発揮するために、絶えず補修、修理を実施するとともに、技術的進展を取り込んで性能向上を図るための更新・改良作業も必要です。
 つまり、防衛装備は、構想段階から廃棄に至るまで、そのライフサイクルの中で国家と民間企業との間に広範で継続的な協力関係が要求されるものであるということです。その反面、防衛装備品のライフサイクルの各段階において、政府は、民間企業同士で競争状態をつくり出し、技術の競争的発展を期待するとともに、コスト削減を目指す必要もあります。このように、防衛装備をつくり出す防衛生産、技術基盤は政府と民間企業の緊張関係の上で構築されているものであります。
 緊張関係に影響する要素としては、まず国内の市場規模があります。平成二十七年度の予算における主要装備品等購入費と維持整備費の合計額は約二兆円であり、日本の工業生産額に占める割合は約〇・八%にすぎません。したがって、多くの民間企業では民間需要が防衛需要を上回るケースが多く、防衛部門を社内で維持する理由を正当化するのに苦労しているという声も聞きます。
 さらに、二〇一四年六月に発表された防衛生産・技術基盤戦略では、基盤を取り巻く環境変化として、基盤自体の脆弱化、欧米企業の再編と国際共同開発の進展、防衛装備移転三原則の策定の三つを挙げ、その環境の下での防衛装備品の取得方法として、国内開発、国際共同開発・生産、ライセンス国産、民生品の活用、そして輸入を挙げています。これが意味するところは、日本の防衛市場は、日本国内の企業だけでなく、国外の企業が参入し競争する場へと進化することが想定されているのです。
 もちろん、防衛に関わる民間企業、これを防衛企業と呼ぶとして、その業態は、装備品の開発、製造、修理、運用支援、維持、整備支援等まで含まれ、それぞれの業の中に人的、物的及び技術的基盤があります。防衛産業は、役務を含め、極めて裾野が広い産業であります。競争力の高低には企業ごとにばらつきがあります。また、防衛生産に関与していない場合であっても、高度な技術基盤を持つ企業も存在します。防衛省がこれら全ての企業を保護するのは困難ですが、たとえ選択と集中により維持、育成に注力すべき分野を特定したとしても、当該分野以外の防衛装備生産に関わってきた企業の存在を無視することはできないと思います。政府は、彼らが進むべき道を示す必要があります。
 国際社会において、次世代の防衛生産は、従来の防衛装備製造企業に加え、システムインテグレーター、技術等のプロバイダー、アイデアブローカーなどが重要な役割を担います。日本の防衛企業や汎用技術を保有する企業が、それぞれが適合する国際社会の防衛装備生産のネットワークの中に参入する準備が整っておらず、信頼できるプロバイダーになれない場合、そこでのレピュテーションリスクは極めて深刻なものになると考えます。
 これら全ての状況を踏まえると、現在提案されている防衛装備庁に期待される役割は、防衛装備のプロジェクト管理と取得改革に加え、日本の安全保障戦略と防衛装備開発の最適化の保証、国内の防衛企業の国際的競争力の向上の支援、そしてそれらに関連する国際協力の推進ということになります。防衛産業基盤を維持する上でこれらは不可分な関係にあり、その総合的運用は防衛省が責任を負う必要があります。
 提案されている防衛装備庁は、日米同盟の下、第三のオフセット戦略に適合する兵器システムの開発に貢献する必要もあります。現在まで、第三のオフセット戦略の下に、致死性が低く標的を無力化する兵器システムや、打撃効率を大幅に向上させる兵器などが想定されていますが、具体的にどのようなシステムが必要になるかは分かっていません。つまり、いずれのシステムもいまだ構想段階にあるので、それを議論する戦略及び技術的な対話の場に積極的に参加することで将来の兵器システムの形を構成することが求められています。
 さらに、将来の兵器システムにおいて、例えば無人化技術や致死性自律兵器システム、LAWSの使用が展望される中で、ますます汎用技術の役割は大きくなると思われます。その場合、防衛と民間企業の垣根は小さくなるため、防衛生産で死活的に重要になるのは、国内外でどのような技術が存在するか知り、それら技術を防衛装備のライフサイクルの各段階でフレキシブルに組み込む体制となるでしょう。つまり、防衛装備のライフサイクルの管理は、単に装備品の開発、取得、維持整備等だけではなく、防衛産業技術政策全般の管理を通じた日本の防衛力の強化を行う作業なのだと考えます。
 国際関係において、システム変動期の到来が指摘されています。私は、変動期を乗り越える上で、日本が国際社会に対して確固たる影響力を誇示することが平和を守ることにつながると確信しています。これは防衛装備の優越を維持することでありますが、現在は、それは国際協力を通じてのみ実現可能な状況にあります。
 その中で、二点留意する必要があります。
 第一に、防衛装備の拡散の防止です。装備関連の技術の拡散を完全に防止することは不可能ですが、少なくとも日本の技術的優位を一定の時間維持し、同時に、拡散した防衛装備が日本の安全保障政策に逆効果を及ぼすような事態を避ける必要があります。
 第二に、不祥事の防止です。防衛企業と政策決定者との関係が深くなると、不適切な防衛装備調達や開発が行われる可能性が高まります。防衛装備庁ではプロジェクト管理の実施が提案されていますが、長期にわたるプロジェクト管理では様々な職人技が編み出され、唯一無二の何かが数多く生まれるでしょう。それは、プロジェクトの成功を意味すると同時に、プロジェクトのアカウンタビリティーの低下につながる可能性を生みます。そこで不正行為が生まれないよう、監視・監察体制を強化する必要があります。
 最後に、当該分野において、日本は九〇年代の防衛生産のグローバリゼーションに乗り遅れ、技術開発でもガラパゴス化に陥ったとの評価を聞きます。防衛装備庁の新設によって全ての問題が解決できるわけではありませんが、人材の育成を含め、世界の潮流にのっとった防衛生産基盤の強化を図るべきではないかと考えます。
 以上であります。
○委員長(片山さつき君) ありがとうございました。
 次に、武蔵参考人にお願いいたします。武蔵参考人。
○参考人(武蔵勝宏君) 同志社大学の武蔵でございます。
 本日は、本改正案の文官統制の見直しをめぐりまして、配付させていただきました資料に基づきましてお話をさせていただきます。
 戦前の日本で軍部の暴走を止められなかったのは、統帥権の独立によって、軍の作戦用兵や組織編制について内閣や議会の統制が及ばないなどの憲法上の欠陥があったからである。さらに、軍部大臣武官制を通じて、軍部が国の政策や政治にまで介入したことが軍部独裁の原因となった。戦後の防衛庁、防衛省では、こうした反省に立って、文民である防衛大臣が軍政、軍令事項の双方に指揮監督権を持つ仕組みが採用された。この防衛大臣を補佐するのが文官による内局と制服組による幕僚監部である。両者の関係は並列的であり、政府も内局が幕僚監部を統制する上下関係にあるわけではないと説明している。
 しかし、実際には、内局は、設置法八条において、防衛省の所掌事務である防衛及び警備の基本及び調整、自衛隊の行動の基本、自衛隊の教育訓練の基本、自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置等の基本に関することを所掌している。一方、統幕は、設置法二十二条によって、統合運用の見地からの防衛及び警備に関する計画の立案、行動の計画の立案、行動の計画に関し必要な教育訓練、編成、装備、配置等の計画の立案等を所掌する。基本に関することとは、軍事専門的、技術的事項を含めた政策的な見地から、政策的、方針的な大枠を内局が策定することを意味する。
 この両者の関係を防衛大臣の補佐の観点から整理したのが設置法の十二条です。内局の官房長及び局長は、その所掌事務に関し、防衛大臣を補佐するものとして、その補佐事項は、陸海空各自衛隊又は統幕に関する各般の方針や基本的な実施計画の作成について防衛大臣が各幕僚長に出す指示や、各幕僚長が作成した方針及び実施計画についての防衛大臣の承認、そして各自衛隊又は統幕に関する防衛大臣の一般的監督に及ぶ。こうした十二条に基づき、内局と幕僚監部の間の事務調整手続として保安庁訓令第九号が継承され、橋本首相の指示により九七年六月三十日に廃止するまで施行されてきた。
 同事務調整訓令では、一、長官が幕僚長へ指示する方針や実施計画の案の作成については内局が立案する、二、幕僚監部が長官に提出する方針や実施計画を内局が審議する、三、幕僚監部が作成した方針等の実施状況の報告は内局を経由して長官へ提出することが規定され、幕僚監部に対して内局が大臣補佐を通して実質的な統制権を有してきたとも言われてきた。同訓令は廃止されたものの、別途定められた既存の訓令等によって、その基本的な事務処理の要領は変更されていない。
 これに対し、各幕僚長は、自衛隊法九条二項で、隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する立場にあることから、内局が、自衛隊の行動運用に関する隊務に関しても、その方針や実施計画作成に関与することについて軍事的合理性を損なうとの批判がかねてから存在してきた。
 今回の法改正のきっかけとなったのは、二〇〇七年に発覚したインド洋給油量取り違え事案や翌年のイージス艦「あたご」の衝突事故などを踏まえ、防衛省改革会議が内局の運用企画局を統幕に一元化することを打ち出したことにある。給油量取り違え事案の原因には、海上幕僚監部と内局の双方に同様の組織があり、両者の連携、調整のまずさがあった。イージス艦「あたご」の衝突事故では、内局との調整に手間取り、防衛大臣への報告が事後となり、初期対応が遅れた。また、東日本大震災や北朝鮮ミサイル発射等への対応の教訓も踏まえ、部隊運用の一元的・迅速的対応がより求められるようになったことが、今回の法改正で統幕への運用機能の一元化を行うことになったとも指摘されている。
 もっとも、今回の改正案では、設置法八条の内局の所掌事務から自衛隊の行動に関する基本を削除することは見送られた。運用機能を全て統幕に一元化するのではなく、運用企画局の廃止後も、運用に関する法令の企画立案機能等は防衛政策局へ移管され、内局に残ることとなったからである。自衛隊の行動の基本に関する内局の所掌事務が変更されないのならば、なぜ十二条を改正する必要があるのか。
 これまでの国会答弁では、外局の長として防衛装備庁長官が新設されることや統幕に運用機能が一元化されることなどを挙げているが、現行十二条の趣旨自体に変更はないとして、改正の必要性に関しての明確な説明がなされていない。また、改正十二条でも現行十二条に列挙された三項目を含む防衛省の所掌事務全般に補佐の対象が規定されているとして、現行十二条のこれまでの内局と幕僚長の関係は変わらないとも答弁で説明されている。
 しかし、改正十二条では、現行十二条の指示、承認、一般的監督の文言は削除されており、現行法と同様の官房長、局長の補佐の役割が担保されるかは新十二条だけでは明らかではない。少なくとも、運用企画局が廃止されることにより、現行十二条において防衛大臣が各幕僚長に対する自衛隊の運用の実施計画の指示を起案する役割は、運用企画局長に代わって統幕長が担うことになる。
 この変更は、防衛省内における意思決定の重要な変更を伴うものと考えられる。例えば自衛隊の国際平和協力業務の場合、これまでは、防衛大臣が行う実施要項の策定や行動命令の起案は運用企画局が統幕と連携、調整しながら作成していた。しかし、一元化後は、大臣への補佐は統幕長が担うことになる。この場合、内局は、法令等の改正を伴うものや閣議決定を伴う重要なものについては引き続き担当するものの、その他の事案については、内局は総合調整に関する所掌事務に基づいて関与し得るだけで、軍事専門的見地からの統幕長の補佐が当然優先されることになると思われる。部隊の実際の運用に関して統幕が自らに対する大臣の指示を起案するというのでは、極端な場合、自己に都合の良い指示を起案することになりかねない。
 運用機能について統幕に一元化することは、有事におけるオペレーションなどで指揮命令系統を一本化し、大臣への報告やその指示が迅速になされるという効果も期待できる。しかし、平時においても、作戦オペレーションと同様の迅速性が求められると言えるだろうか。また、自衛隊の海外への派遣決定などをめぐっては、慎重を期す意味でも、運用機能を統幕に一元化することは性急な決定を招くことにならないか。統幕の所掌事務の追加により、部隊の運用に関する連絡調整や防衛大臣に対する状況報告は統幕に一元化され、内局に対しても必要な連絡調整が行われるとされているものの、迅速性や効率性を優先することによって内局に対する連絡が事後になり、情報共有が徹底できなくなる可能性もある。それでは内局による政策的見地からの補佐や総合調整機能は有効に働かなくなる。
 実際には、自衛隊の国内外での運用が常態化した現在では、平時、有事それぞれの事態において運用企画局と統幕が連携して情報共有や共同で対応を行う業務が機能しており、現在の内局と統幕の二元体制が重複によって非効率であるとの批判は必ずしも当を得ていない。運用の現場では、内局と幕僚監部の相互の密接な協力がなければ事態に対応することができないからである。すなわち、現行の十二条があるから自衛隊の運用に関して何らかの支障が生じているとの立法事実は存在しないのである。
 以上の問題点を踏まえると、現行十二条で限定的に掲げている項目を防衛省の所掌事務全体にわたることに明確化すること、また政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐の調整、吻合という趣旨をより明確化するというだけの言わば入念規定的な意味合いに十二条を改正する必要性はないと考えられる。
 他方で、日本のように、内局が軍令事項にまで関与するのはほかの国の防衛機構にない仕組みでもある。しかし、アメリカの国防長官府は、行政部門だけでなく、緊急事態対処計画の作成、見直しに関する政策指針作成や当該計画の見直しについて国防長官を補佐することとされており、統合参謀本部と緊密に協力、調整しながら、軍の作戦にも関与している。軍事作戦は軍人が高度な専門知識に基づきオプションの作成を独占的に行っている分野であり、軍事専門家でない文民政治家は、軍からの具体的な作戦案が提示されないと作戦の具体化を進めることは難しい。そうした点で、アメリカの国防長官府が有事の際の軍事作戦の代替案を国防長官に対して提示する機能をも有することは、文民指導者の意思決定の優越性を確保する上で必要なことと指摘されている。
 現在の日本において、内部部局の定員中、制服組の定員が僅か四十八名という構成は、英米仏独の国防組織の中枢機構の内部部局と比較して極端に少ない。内局の防衛政策局事態法制課などにも制服組を配置し、文官の軍事専門的知識の不足を補うとともに、内局としても統幕の案を軍事的観点からもチェックできる仕組みを残しておくべきである。
 作戦運用の重要案件については、今後も内局幹部と幕僚長をメンバーとする防衛会議で決定されることと変わりはないとされている。しかし、運用機能を統幕に一元化することで軍令面での内局の大臣補佐機能が弱体化することは確実であり、そうした点で、十二条の改正を見合わせ、内局と統幕のチェック・アンド・バランスの関係を維持することこそが必要である。その上で、内局と統幕が連携して大臣を支える組織を構築するための文官、制服組の一体感の醸成を優先して進めていくべきであろう。
 以上です。
○委員長(片山さつき君) ありがとうございました。
 次に、西川参考人にお願いいたします。西川参考人。
○参考人(西川純子君) 西川純子でございます。アメリカ経済史を専攻しております。
 本日は、防衛省設置法の改正案につきまして、特に防衛装備庁新設の項目に的を絞って私の思うところを申し上げたいと思います。
 防衛装備庁とは、自衛隊が使用する武器の調達を一元的に行う組織のことであります。このような組織が今、防衛省の外局として法制化されようとしております。これと一昨日から国会で本格的な議論が始まった安全保障関連法案は決して無関係ではありません。専守防衛の自衛隊が積極的平和主義のスローガンの下で海外での活動を展開するようになれば、自衛隊が使用する武器も質的、量的に変化せざるを得ないわけであります。防衛装備庁には、新たな事態に備えて、必要な武器を計画的に調達するミッションが与えられております。その意味で、本法案は、注目度においては安全保障法案に劣るようでありますが、重要性においては決して勝るとも劣らないものがあると思います。
 防衛装備庁が新設される狙いの第一は、武器の開発、生産、購入、販売、これを一元的に管理することであります。
 第二の狙いは、防衛産業基盤の育成です。防衛省が予算を獲得し、防衛装備庁がこれを効率よく配分する過程で、日本の産業は急速に軍事化することでありましょう。防衛省と武器生産の契約を結ぶ主契約企業はもとより、下請契約企業にも大学などの研究機関にも軍事予算があまねく行き渡るようになります。そして、造り過ぎた武器は海外へ売ると。そのために武器輸出三原則は既に廃止されました。これは、日本が自前で武器を開発し、生産できる体制づくりへ向けて、法整備が着々と進められているということを意味すると思います。
 この先に見えるのが軍産複合体です。軍産複合体、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス、これは軍事的な組織と兵器産業の結合関係を示す言葉であります。この言葉を最初に使ったのは、御承知のとおり、アメリカの大統領アイゼンハワーでした。一九六一年一月、大統領職を辞するに当たって、彼は次のように述べております。政治を行うに当たって、我々は、軍産複合体が、好むと好まざるとにかかわらず、不当な影響力を手中にするのを防がなければならない、このような結び付きの重みが我々の自由や民主主義的な手続を脅かすことのないようにしなければならない。
 アイゼンハワーが軍産複合体という言葉を誇らしげに使っているのではないことは明らかであります。彼はむしろ、軍産複合体が強大な勢力になることを恐れ、それが自由と民主主義を脅かすことのないよう監視し続けることを後継の大統領と国民に託したのであります。
 これを受けて、ケネディ大統領は、国防省に文民コントロール体制をしきました。彼がフォードから引き抜いたマクナマラ国防長官は、武器の選定、発注の権限を国防省に集中しました。彼はまた、入札企業を競わせることによって兵器の生産に経済合理性を導入しようとしました。しかし、このような改革は、軍部に代わって国防省が軍産複合体の主導権を握るという結果に終わりました。
 アメリカの軍産複合体が弱体化の危機にさらされたのは、冷戦が終わったときのことであります。一九九三年に登場するクリントン政権は、九七年までに軍事費を三〇%減らし、兵器調達費を五〇%減らす必要に迫られました。クリントンが行ったのはボトムアップ政策であります。必要な武器のリストを作りまして、それを生産する少数の兵器企業を選びました。ほかの企業は民間の産業に転換すればいいとしたのです。軍から民への産業転換であります。
 しかし、軍産複合体から企業を引き離すのは容易なことではありませんでした。彼らは何とかして軍産複合体に残ろうとして、企業同士で合併したり、買収や吸収に応じたりして、少数の巨大な企業による寡占体制をつくり上げました。一九九三年から九七年までの間に、十九あった兵器企業は五社になりました。ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオン、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクス、この五社で国防省の契約の三〇%を占めております。この状態は今日に至るまで変わっておりません。
 独占力を強めた兵器企業は、国防省に対して強い立場に立つようになりました。例えば、ロッキード社は戦闘機F22とF35の生産を独占しておりますが、国防省は、ロッキードが幾ら値段をつり上げても、どんなに納期を遅らせても文句が言えないのであります。それは、ロッキードのほかにステルス戦闘機を生産できる企業がないからであります。
 武器の輸出についても、企業の主張が通るようになっております。その良い例がF35の共同開発であります。国防省はさすがにF22については輸出を許可いたしませんでしたが、F35については、ロッキードが八か国との国際的な共同生産体制をつくることを認めました。いかにも開発段階から参画させるように見せかけておいて、ロッキードの真の狙いは、資金の調達と市場の確保であります。肝腎のステルス技術はロッキードの手に握られたままです。
 日本は、武器輸出三原則があるために共同生産の参画には遅れましたが、イスラエル、韓国と同じく、F35の購入は許されました。しかも、日本の場合には、F35の最終組立てと検査のための生産ラインを建設することが許されるという特権が付いております。これによって、日本の軍用機生産技術と生産基盤は飛躍的に発展するでしょう。今回の法改正はこのような動きと決して無関係ではないはずです。
 アメリカでは、二〇一一年から武器輸出が増えております。
 その理由の一つは、二〇一一年に成立した予算制限法です。予算制限法がオバマ政権に軍事予算も聖域としない財政の強制削減を迫ったために、兵器企業は輸出に活路を見出そうとしております。
 もう一つは、オバマ政権が掲げるリバランス政策であります。リバランスは、アフガニスタンとイラクの戦争が終わった後の戦略の見直しを意味しておりますが、中でも力点が置かれているのがアジア太平洋地域で、この地域に二〇二〇年までにアメリカ海軍力の六〇%を集中させようというものです。
 この地域で既にアメリカと同盟関係を結び、アメリカの基地や軍事拠点を受け入れている国は、日本、韓国、フィリピン、タイ、オーストラリアの五か国でありますが、リバランスは、これにシンガポール、マレーシア、ベトナムを加え、さらにインドとパキスタンなどインド洋周辺の国を加えて、アジア太平洋の全域においてアメリカ軍のプレゼンスを高めようとしております。
 このアジア太平洋地域にアメリカは武器を売りまくっているのであります。ノーベル賞を取ったオバマ大統領も、リーマン・ショックから経済を立て直すために武器輸出を応援する立場に転じました。この結果、二〇一三年以降は、アジア太平洋地域向けのアメリカの武器輸出は、中東向けのそれを上回っております。リバランスが武器輸出の拡大を意味する限り、兵器産業にとってオバマを見限る理由はありません。しかし、オバマの存在が武器輸出の拡大を妨げるようなことがあれば、容赦なく彼を退けるでありましょう。
 クリントンの時代以来、アメリカの軍産複合体は最高の発展段階に入ったと私は思います。それはアイゼンハワーが恐れていた軍産複合体が現実のものになったことを意味します。アイゼンハワーが望んだように、自由と民主主義が軍産複合体の力を抑えることができるでしょうか。アメリカの議会にまだチェック機能が残っていることを期待するほかありません。
 アメリカの例で明らかなように、軍産複合体が社会に根を下ろしてしまったら、よほどのことがない限り、これを取り除くことは不可能であります。それは戦争と永遠に縁が切れない社会を意味します。
 日本でも、満州事変に始まり、太平洋戦争に至った過去の戦争を牽引したのは軍産複合体でありました。敗戦によって、日本の軍産複合体は解体しました。我々は、新しい憲法の下で戦争と縁のない社会に生きる切符を手に入れたのであります。せっかく手に入れた切符を手放して、平和を脅かす軍産複合体の復活を再び許す法があるでしょうか。有名な言葉があります。歴史は繰り返す。最初は悲劇として、二度目は喜劇として。この言葉を肝に銘じたいと思います。
 結論的に言えば、日本に軍産複合体を許す流れを促進するような防衛装備庁の設置は不要であると私は考えます。
 以上でございます。
○委員長(片山さつき君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○北村経夫君 自由民主党の北村経夫でございます。
 今日は、四人の参考人の方、貴重な御意見を伺いました。大変参考になりました。ありがとうございました。
 シビリアンコントロール、戦後の日本においていろいろ議論されてきました。いただいた資料の中、渡部参考人は、山本七平の言う日本は空気が支配する国だというのを引き合いに出しておられました。確かに、空気を読むところですね、空気を読めよとかという言葉が出る、これは日本独特のことだろうと思うわけでありますけれども。その中で渡部参考人はこう指摘されておられます、軍事否定の空気にこだわり、普通の国の防衛政策に向かうことにためらいがあるのではないかと。それが先ほどの報道のことについて触れられた。今こういう状況になっても、まだ昔のような軍事否定の空気がこの日本には充満しているのではないかということなんですけれども、私もそれを感じることがあるわけであります。
 今回、防衛省の設置法、改正されるわけでありますけれども、この中で、文民統制の一部を形成していた文官統制、これが崩れるのではないかという批判あるいは懸念があるのもこれも事実でありまして、具体的には十二条の中のこれまでの大臣の一般的監督の補佐という条文がなくなる。これによって制服組の意見が強くなるという見方があるわけでありますけれども。この日本において、背広組と制服組の関係というのは歴史的に形成された日本独特の論点であるわけでありますけれども、冷戦後、安全保障環境が大きく変わったこの時代、この背広組と制服組の関係を見直すのは、私は時代の要請であり、必然的だと思っているわけであります。
 そこで、渡部参考人に重ねてこの問題についてお聞きしますけれども、今回の十二条改正についての御意見、そしてこれからのあるべき日本のシビリアンコントロールについてお考えをお聞かせください。
○参考人(渡部恒雄君) 御質問ありがとうございます。
 先ほどの空気の話というのは大分昔に私が書いたもので、それを読んでいただいたということで大変恐縮でございます。有り難く思っております。
 空気で決めちゃいけないのはどっちもそうで、つまり軍事方面に行くことも心配ですし、空気が流れて、空気の支配で、全ての軍事に関わるもの、これは実は防衛に関わるものですから、これも否定しちゃいけないと。要するに、冷静に、客観的にバランスを取るということだと思います。
 現在の流れでいきますと、やはり、日本を取り巻く国際安全保障の状況が非常に厳しい。厳しいというのは、簡単に言ってしまうと、日本とアメリカというのは、ここの地域の中で唯一ここ十年ぐらいで防衛費を減らしているんですよね。ほかの国は全部防衛費を上げていると。そこで軍事バランスをきちんと取る必要があると。それは、侵略に行くとかそういう話ではないんだと思います。
 シビリアンコントロールに関して言えば、実は、今後の在り方というのはシビリアンと軍人の、つまり自衛隊の制服組とのバランスを的確にすべきということが一つあるんですけれども、それって、法律で決めたり、固くコントロールしろとか、私は統制という言葉は嫌いでして、統制しろとかそういう話じゃないんですよね。つまり、いい関係、きちんとした信頼関係があって、最後は政治リーダー、つまりここに皆さんが、いらっしゃるような、国会議員の方がリードをすると、そういう形にすべきであろうと。
 ですから、過去の反省というのはどういう反省かというと、戦前、日本が戦争の道を歩んでしまったのは、一つは統帥権が、これは武蔵参考人の話にもありましたけれども、統帥権というのは政治がコントロールできなくなったことなんですけど、そのきっかけって、実は軍人の責任だけじゃないんですね。国会議員が、実は一九三〇年のロンドン海軍軍縮条約に関する問題を野党が与党を攻撃する形で始めているんです。そこに軍が乗っちゃったんです。
 ということですので、今後の在り方で、もちろんシビルとミリタリーの適切な関係は重要なんですが、皆様方のような国会議員の方たちの理解と覚悟というのが非常に重要であるというふうに考えます。
○北村経夫君 ありがとうございました。
 武蔵参考人は十二条の改正は必要ないというふうにおっしゃっておるわけでありますけれども、一方で、文官と自衛官の一体感の醸成は必要なんだというふうにも言っておられます。戦後のいろいろな経緯でできたこの自衛隊、シビリアンコントロールという論議があるわけでありますけれども、これからの在り方、今、渡部参考人がおっしゃいましたけれども、武蔵参考人はどのように考えていらっしゃいますか。
○参考人(武蔵勝宏君) ありがとうございます。
 誤解のないように申し上げますと、文官が制服組を統制するということは私は一言も申し上げていなくて、軍政を担当する内局と軍令を担当する幕僚監部のチェック・アンド・バランスが必要だということを申し上げているわけです。
 と申しますのも、今回の運用企画局の廃止と一元化によりまして、統幕の組織というのは四百名中百名は文官になるわけですね。統幕というのは実は文官と制服組の混合組織になるわけです。ですので、文官が制服組をチェックするとか統制するとかいうことではなく、統合幕僚監部の権限が非常に強くなるので、そのチェック・アンド・バランスを誰がするか、大臣の補佐において、統合幕僚監部だけが一元的に補佐するならば、そのチェックする機関はどこかに必ず要るだろうと。そうしますと、それは、各省の内部部局というのはそういう役割を持っているわけです。これはどの省も同じであります。
 そういう意味で、内部部局の中にも十二条に基づくようなチェック機能を残しておくべきだというのが私の意見であって、文官が制服組を統制しなきゃいけないということは考えておりません。
○北村経夫君 ありがとうございました。
 時間もないので、次の防衛装備庁についてお伺いいたします。
 佐藤参考人、今回新設される防衛装備庁の中には技術研究本部も、これも吸収されていくわけでありますけれども、日本の安全保障に資するような防衛装備庁の在り方について伺いたいんですけれども、先ほど述べられた役割の中で、日本の安全保障戦略と防衛装備関係の最適化の保証というふうに言われる。これはどういうことなんですか。もう少しかみ砕いて教えていただければと思います。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。
 今回の改正案によって、技術研究本部が防衛装備庁の中に合流するということになります。これまで技術研究本部は、政策の立案の部分と密接な関係がありながら、その戦略的インプリケーションについての考慮というものを十分に組み込んでいなかったのではないかという指摘があります。
 具体的に言いますと、やはり、将来の戦争、戦闘における兵器の要求水準というものをどの程度のレベルに保ち、それをどういうふうに運用するかということも含めた防衛装備技術の計画立案というものが必要であって、防衛装備まずありきの議論ではなく、また防衛装備技術まずありきの議論ではなく、どこまでが十分で必要な性能であり、どこまでが不必要若しくは効率化していい性能であるかということに関する議論も今後は組み込んで、技術本部及びそれが含まれる防衛装備庁の中で考察していくべきだというのが趣旨であります。
○北村経夫君 ありがとうございました。
 これによって日本の防衛産業のこれからの育成というのは進むというふうに考えていらっしゃいますか、佐藤参考人。
○参考人(佐藤丙午君) 防衛産業の基盤というのは非常に幅広いものがありますので、恐らく防衛装備庁を提案された形の中で構築されたとしても、一朝一夕に恐らく防衛産業基盤が安泰になるということはないと思います。防衛産業基盤を構成する企業がどういうふうな強みを持ち、また弱みを持ち、それを防衛省として、また、それを輸出を含めた、海外展開を含めたそういう行為の中で産業基盤の最適化を図っていくことが必要であって、装備庁ができたから防衛産業基盤が強化されることが完全に保証されたわけではないというふうに考えております。
○北村経夫君 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、終わりにいたします。
○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。よろしくお願い申し上げます。座らせていただきます。
 参考人の先生方におかれましては、大変貴重な御意見をいただきまして、お忙しいところ、本当にありがとうございました。時間が十分しかないので、駆け足でよろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、渡部先生にお伺いをしたいと思います。
 先生の九八年の論文を私も読ませていただきました。山本七平先生の「「空気」の研究」は、まさに保守派の論客である山本先生の名著だと思いますが、私も昨年、予算委員会で安倍総理に向かってこの「「空気」の研究」の一部分を読み上げまして、今の日本の安全保障法制の議論について少し警鐘を鳴らさせていただいたこともあったので、まさにこのことを渡部先生が書かれた中で、非常にすばらしい論文だったというふうに思います。
 その中でお伺いをしたいのは、まさに国防と市民の自由に関する相反するものをどう調整をしてお互いが納得のプロセスをつくっていくかというのが民主国家にとって大変重要な形だと思っております。アメリカは、もう先生御案内のように、それぞれのシンクタンクが、軍事的な専門知識を持った研究者も含めて多くの議論がなされる中で、一定の市民社会とのある種合意形成に努力をされていると。渡部先生のこの九八年の論文は、日本の社会はまだそこが薄くて、我々のような国会議員や市民社会の中にそういった専門性のある方々のある種のコミュニティーをつくることによって先ほど申し上げた矛盾したものを何とか乗り越えていこうという趣旨だというふうに承っておりますが、この論文以降、日本の社会は一定そちらの方向に向かっているのか、逆に言うと、そこから余り向かっていないのか、今の先生の評価をもしお聞かせをいただければ有り難いと思います。
 武蔵先生にお伺いします。
 武蔵先生の防衛省の設置法等についての論文も非常に深い洞察が歴史的にあると私思っておりますが、一つ私なりに疑問なのは、いわゆる自衛隊法の九条二項と設置法の十二条の中で、軍事的合理性を損なうというそもそもの批判が存在をしているような条文が存在をずっとし続けてきたと。いわゆる文官統制も、武蔵先生の論文にあるように、当初、戦前の反省から内局は警察官僚や大蔵官僚が中心に占めてきて、そこの中でのある種制服を抑えるという役割だったのが、防大出身の内局もいらっしゃる中で、逆に制服と背広で方向性がある意味一致するような状況が、現状、そこは実は文官統制とはいいながらかなり変化をしてきたのではないかなと思うんですね。
 その中で、先ほど申し上げた設置法の十二条と自衛隊法の九条二項の、一見すれば矛盾すると言われるようなものがどうして歴史的に共存してきたのか、それから、どうしてこういったことが起こり得たのかについて、歴史的な経緯も含めて教えていただければ有り難いと思います。
 西川参考人にお伺いしたいんですが、実は今回の安全保障法制で、かなり自衛隊の訓練状況や、西川参考人が先ほど言われた防衛装備等も変わると一般的には思うんですね、何せ機能が変わるわけですから。しかしながら、どうも今の政権は、防衛大綱も変わりません、中期防も変わりません、装備も変わりませんという答弁を実は今回の審議の中でしているわけですけれども、このことについて我々ちょっと、逆に言うと、自衛隊員の安全を守るためにも装備も訓練も私たちは変わるはずだと思っておりまして、そこのことの今の安倍政権の言われている矛盾みたいなものについて、西川参考人はどう考えられるかについてお答えをいただければと思います。
 佐藤参考人にもお伺いしたかったんですが、済みません、時間が多分三人に答えられると多いので、申し訳ありませんが、割愛をさせていただければと思いますが、お許しください。ありがとうございました。
○参考人(渡部恒雄君) 山本七平の「「空気」の研究」、これは名著だと思います。これは、テーマは皆さんが考えている今日のテーマにふさわしい話で、要するに戦前って誰が一体日本を、まず中国と大陸での戦争、それからアメリカとの戦争に引きずり込んだのかということなんですが、これ日本の場合は、例えばドイツなどと比べて、つまりヒトラーという明確な方がいる、方というか形というか、そのリーダーがいるところに比べると、ちょっと曖昧なんですね。何となく雰囲気、空気がつくられていて、実は余り誰も責任を強く持たないところでそこに引きずられたんじゃないかと。
 それをどうしたらいいかということが多分日本の市民社会とそれから政治リーダーのずっと課題でして、私は、それは多分簡単な答えはなくて、もう一生懸命、ここにおられる国会議員の皆様や、あるいは我々のような専門家や、あるいはジャーナリスト等が市民とをつないでと、そこが不断に議論するしかないんだと思います。要するに王道がないんですよね。それは悪いことではないんだと思います。これは着々と進んで、そこは、それを防ごうと思ってみんな意識があると、それをよしとしましょうということだと思います。簡単な答えはない、ただ、このプロセスを決して駄目にしないように、つまりこういう場、国会の関与、そういうものが重要であると。
 そういう意味で、市民社会、進んでいると思います。実は、今の安保法制というのが進んでいることがその証拠です。そういうある程度の一定の理解、つまり、防衛も大事だと、しかし市民の自由も大事で、そこをどうバランス取るかということで今、国会で進んでいるわけですから、かなり日本の市民社会は進んでいると。むしろ、過去のように、何でも軍事に関するものは駄目だと言っている方が市民社会は成熟していないと、そういうふうに思います。
○参考人(武蔵勝宏君) 歴史的経緯ということから申し上げます。
 文官優位のシステムというのをつくった、イニシア取ったのは恐らく吉田茂首相であったと私は思います。ですから、保安庁におきましては、いわゆる制服組は内局幹部に任用制限規定があったんですね。これを防衛庁・自衛隊に改組するときに、自由党と改進党、三党協議というのがありまして、その結果として改進党は任用制限の廃止というのを勝ち取ったんです。他方で、保安庁の官僚が強く主張した八条と十二条が維持されたと、こういう経緯があります。
 ところが、実際に、任用制限がなくなったにもかかわらず、防衛庁内の人事運用ということでつい最近まで、昨年までですね、実質的に内局に制服組の配置というものがなかったと。これが、本来は内局の統制だったものが文官統制ということになってきた原因だと思うんですね。
 防衛庁設置以降、内局が担当するのはあくまで防衛や運用の基本であります。そして、その運用に関する大臣に対する幕僚機関は、これは統幕であり、各幕僚監部であります。この関係というのは、防衛庁発足以降これは全く変わっていないわけで、その両者の関係というものが冷戦以降機能していないのかといったら、ごく一部の例外的な事案は先ほど申し上げましたインド洋やイージス艦の問題で顕在化していますが、その他の事案では必ずしも顕在化しているわけではない。とするならば、両者が一体感を持ってそれぞれの部局で大臣を補佐すれば十二条そのものを改正する必要はないのではないかというのが私の意見です。
○参考人(西川純子君) 防衛装備について政府の答弁がどうもはっきりしないというか信じられないというのは私もそうでございますが、これの真実はやはり国会で明かしていただくほかないので、よろしくお願いしたいと思います。
 防衛費、つまり防衛装備庁が設立されることだけでもこれは費用の掛かる話でありまして、しかも、これから防衛産業の育成及び共同開発、いろんなものをやっていく場合にはますます費用が掛かります。
 防衛費をどうするんだろうというのが私の一番気掛かりなところでありますけれども、今のところはGDPに占める日本の防衛費は非常に低いということで納得させられている面があるわけでありますが、これについては、戦前の日本の軍事費の決め方というのが非常に何か参考になると言うには恐ろしいのでありまして、国会で軍事費の上限をついに決めていなかったということが軍事費の膨張を妨げられなかった理由だというふうに考えております。その辺、これからの議論の行方を見守りたいと思います。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
○荒木清寛君 公明党の荒木です。
 まず、渡部参考人にお尋ねします。
 シビリアンコントロールで一番大事なのは政治リーダーが軍事をコントロールすることである、全くそのとおりであります。そこで、現在の日本の国会におけるシビリアンコントロールの現状というか、しっかりコントロールしているというふうに見ていらっしゃるのか、あるいはさらにこうあるべきだというお考えがあればお聞きしたいと思います。
○参考人(渡部恒雄君) ありがとうございます。
 シビリアンコントロールだけではないんですけど、いろんなものがゼロサムではないですよね。でも、少なくてもシビリアンがきちんとコントロールできないで例えば自衛隊が暴走をしたというケースは、日本の歴史、自衛隊が始まってから一度もないと思いますし、深刻な問題になったことは。
 しかも、私なんかは、むしろそれが、じゃ、いいと言えない部分もあると思っています。それは何かというと、きちんと自衛隊がいざというときに機能するような形に本当になっているのかどうかということ、これは実はまだ試されていないんですよね、日本が。ですので、本当は試されるような状況が来ない方がいいんですが、逆に、試されるようなときに、きちんと自衛隊が機能して国民の生命、それから財産、領土を守って、しかし同時に、それが日本の国民の意思とずれていないということ、これは本当に難しい話で、実験ができませんから。
 ただ、私は、現時点では少なくてもその担保をしようという努力が社会にもあり、こういう皆様方の、議員の努力にもあり、なされているというふうに理解をしておりますし、今日直接関係はないんですが、国会で現在、安全保障法制、行っておりますが、この中にやはり社会を巻き込んだ議論があり、国会での論争があり、専門家のいろんな意見がありということで、状況は私はそんな悪い状況ではないというふうに思っております。
○荒木清寛君 渡部参考人に、平和安全法制が今提案されましたが、限定的とはいえ、集団的自衛権を一部認めることになりました。このことと憲法第九条の専守防衛の関係については参考人はどう認識しておられますか。
○参考人(渡部恒雄君) 私は、集団的自衛権と個別的自衛権というところで、必ずしも個別的自衛権が抑制的で集団的自衛権が攻撃的だとは思っていません。その二つの中に、二つ、抑制的なものもあればあるいは攻撃的なものもあると、うまく組み合わせることが重要だとずっと思っておりましたので、今回の法案で行われようとしていることというのはバランスは取れているんだろうと。
 しかも、また戻りますけど、そのプロセスをきちんと国民に見えるところでやることが重要であって、そういう意味では、現在その議論が国会で行われており、またメディアでも広く議論されているということは非常に、市民社会、それからシビリアンコントロールというか、シビル・ミリタリー関係の良好な発展に非常にいいことだと思っております。
○荒木清寛君 次に、佐藤参考人にお尋ねいたします。
 二年前に自公政権の下で防衛装備移転三原則が見直し、制定されたわけですけれども、この見直しについてはどのように参考人は評価しておられるんですか。
○参考人(佐藤丙午君) 二年前の防衛装備移転三原則はやはり、先ほど西川参考人がおっしゃったとおり、歴史的な変化であることは間違いないと思います。ただし、その変化の内容を詳しく見ていきますと、防衛装備移転三原則は、それまでの武器輸出三原則及びそれの下で設けられた例外規定というのを一元化したものでありますので、そういう意味で、これまでの防衛装備移転に関する様々な制約、ガイドラインを整理統合したものであるというふうに考えております。
 これまで武器輸出三原則及び例外規定の中で非常に政策決定が見えにくかったものが防衛装備移転三原則において非常に見えやすくなったというところに一番大きなポイントがありまして、これは先ほど渡部参考人がプロセスを国民に見せることが必要であるということをおっしゃりましたけれども、それも私は、防衛装備移転についても同じことが言えまして、防衛装備移転に関するプロセスに対する公開性、アカウンタビリティーが高まったことにおいて非常に評価するところのものであります。
○荒木清寛君 次に、武蔵参考人にお尋ねします。
 先ほどの陳述で、防衛省設置法十二条の改正を見合わせるべきだという理由として、運用機能を統幕に一元化することで軍令面での内局の大臣補佐機能が弱体化することは確実であるというふうに言われておりますが、この弊害をもう少し展開してというか、何を心配しておられるのか、お述べいただきたいと思います。
○参考人(武蔵勝宏君) ありがとうございます。
 最初に私、統帥権の独立ということを申し上げました。すなわち、統帥権をシビリアンがきっちりコントロールできなければいけないということであります。そういう点で、内局が防衛大臣を運用面でもこれまで基本という点で補佐してきたというのは、いわゆる軍令面での大臣の幕僚機関が暴走しないようにという、そういう観点からだというふうに私は考えます。
 そういう点で、運用企画局というものが丸々四十人ごと統合幕僚監部の中に入る。統合幕僚監部の中で文官がいわゆる政策的なチェックをすればいいんだということに説明がされていますが、しかしそれはやっぱり統幕長の指揮監督の下で行われるわけですね。そういうことになってきますと、内局に残った者がほとんど残らなくなるわけです。確かに防衛政策局に事態法制課というのを設置して、そこが法令面でのチェック、あるいは閣議決定にかけるような、いわゆる基本計画とか実施計画レベルのことは防衛政策局が担保するんでしょうけど、その他、以外のことについて内局がチェックできなくなるんですね。状況報告なども統幕から一元的に大臣に上がります。
 そういう点で、内局の大臣補佐機能を一元化によって弱体化させるならば、十二条という形での指示、承認、一般的監督権というものをやはりこの内局の中できちっと明文化して残しておく必要があるのではないか。これを削ってしまうと、それが確実に担保されるかどうかが危うくなるのではないかということです。
○荒木清寛君 西川参考人は、日本で軍産複合体ができるんではないかという、こういう懸念を示されました。
 ただし、先ほどの佐藤参考人のお話でも、日本の主要装備品等購入費や維持整備費の合計額というのは工業生産額に比して僅か〇・八%ということですし、また、見直された防衛装備移転三原則も、何も武器輸出大国になろうという趣旨じゃ全くないわけですから、私はちょっとそれは杞憂ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(西川純子君) 杞憂ではないかと言われているうちに事実になるというのが歴史でございまして、戦前を見てもお分かりのように、これを、何といいますか、軍部が主導権を握って、それで軍備を蓄えて世界の列強に伍する戦力を付けようということで結局戦争になったわけでありますけれども、そういう過去の愚を繰り返さないためには、この軍事費というものをチェックしていかなきゃならない。
 今おっしゃいましたように、確かに今、まだ軍事費の比率は〇・八%にとどまっておりますが、これがとどまってずっと維持されるという保証は何もないわけであります。現に、この法案の法制化は、私は必ずや軍備の拡大をもたらすであろうというふうに思っております。
○荒木清寛君 終わります。ありがとうございました。
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。
 まず、武蔵参考人にお伺いしますが、私は、政治の世界に入る前、二十九年ぐらい警察におりまして、最後の四年半は総理秘書官ということで、防衛省を含めた安全保障・危機管理の担当秘書官をやっていまして、そういった仕事の経験からすると、今度の議論は、問題提起される側も政府の答弁も分かっていないなと思う部分があるんですね。
 それは、防衛省・自衛隊のことだけ、皆さん、特にシビリアンコントロールの問題をよく議論されますが、実は似たような問題点というのは、実力手段、権力を直接に、むき出しで権力や実力を行使する機関には常にある心配なんですね。それは検察も同じだし、警察も似ている面があるんです。つまり、いい仕事をしてもらおうということだけ考えれば、そういう、いろいろ素人が、言わばシビリアンと言ってもいいですよ、その分野の専門でない人が言う意見は全て非能率に聞こえるし、邪魔っ気なんですよ、余計なこと言うなと、前へ進むんだからという話になってしまうんですが。だから、そういう意味で、私はそれが一〇〇%いいことだとは思わないんですね。
 ですから、そういう意味では、中谷防衛大臣が繰り返し言っておられる文官による補佐とユニホームによる補佐は車の両輪ですという表現、比喩は正しくないと。やっぱり、一方がアクセルで、一方がブレーキだという面があるんです。それは、アクセルだけの方がどんどん走りますけれども、問題があるときもあるからブレーキを掛けるんであって、車の両輪のように同じスピードで左右とも走るんですという性格のものではないという側面が、権力機関、実力機関を統御していくためには必要なんだろうと私は思っています。
 その意味でいうと、どんなに聡明な方が防衛大臣をやっていても、国家公安委員長も同じですよ、法務大臣も同じです、一人の自然人がどんなに聡明であっても、そのことによって今僕が指摘した問題を完全にコントロールすることはできないんですよ。逆の言葉を言えば、自衛隊のユニホーム組が、防衛大臣が、やめなさい、あるいはこうしなさいと言った命令に対して不服従なんということは想定できないんですよ、元々官僚として上がってきている人ですから。
 だから、最後の段階で大臣からやめろとかやれとか言われたことについて不服従なんということは想定できないので、むしろ大事なことは、日頃から防衛省内、自衛隊内の認識の形成、判断の形成が軍事寄りになり過ぎていないかということが確保できるかということだと思うんです。いざ、決裁が上がって、最後に判こを押すかどうかのときに、やめろと大臣が言っているのにやりますなんと言うユニホーム組は私もさすがに、同じ日本の行政機構にいた人間として想定はしていませんけれども、その前に、もうこうですよねと言われてしまうと、どんな聡明な自然人でも、何か首をかしげながらも決裁するしかないみたいな事態になるのがいけないと私は言っているので、その意味で政府が言っている車の両輪という比喩は正しくないと。やっぱりアクセルとブレーキの面があるんじゃないかという僕の認識については、武蔵参考人、どうお考えですか。
○参考人(武蔵勝宏君) ありがとうございます。
 私もおっしゃるとおりだと思います。
 どこの国の内部部局とそういう幕僚機関も、両者が対立している国なんというのはないわけですね。もちろん、日本も対立しているわけではありません。法律にも書いてありますし、これまでの訓令にも書いてありますが、両者は緊密に連携協力しながら大臣を補佐するということになっているわけですね。そういうことですから、大臣に上げる前に内局と幕僚監部がしっかりと調整して、調整した上で大臣に上げるということが必要である。
 ところが、今回の改正によれば、運用に関しては直接統幕が大臣に上げるという可能性が出てきますので、そこのところの事前調整というものがやっぱり不十分になれば車の両輪にならないんじゃないかと。迅速性と効率性は大事です。だけど、迅速性と効率性を優先すると、的確性というところにもしかしたら欠点が出るんじゃないかということを考えているところです。
○小野次郎君 その意味では私は、やっぱりインテリジェンスのレベルが、ユニホーム組の補佐と文官の補佐の、こんなに例えば大学生と小学生みたいに知識や見識に差があったら、それは実質的な補佐はできないんですよ。それから、百人ユニホームの方がいて、一人しか非軍事的な立場から意見を言う人がいなかったら、それまた認識の形成、判断の形成にはバランスがないわけです。
 ですから、その意味で私は、中谷大臣が盛んに、車の両輪だとか、私が文官の大臣でいるから大丈夫なんだみたいな、安倍総理もおっしゃいますけれども、そういうものではなくて、日頃からインテリジェンスの規模やレベルにおいてもちゃんと補佐できるだけのものが文官の方にしっかりないと、それは、ぽつんと一人、少数意見を言う人がたまにいましただけでは、全くそういう本来期待されているシビリアンコントロールは発揮できないと思うんですが、参考人はどうお考えですか。
○参考人(武蔵勝宏君) その点はおっしゃるとおりだと思います。内局が文官だけで構成されるという必然性は全くないわけで、法的にもそれは去年解決されているわけです。
 そういう意味では、制服組の方が内局に自衛官として勤務することも可能ですし、あるいは本人の適性から文官に転官するということもこれはあり得ることではないのかなと。先ほど法務省のお話もされていましたけど、法務省は、検察庁の間で人事交流もしていますし、検察官が法務事務官として転官する形で仕事もされています。
 そういった混合的な組織に内局と統幕をしていけば、おのずと両者の間のギャップというようなものも縮まっていくんではないかなというふうに思います。
○小野次郎君 次に、西川参考人にお伺いしますが、私は、西川参考人の問題提起を伺っていてふっと思い付いたのは、ジョージ・スティグラーというシカゴ学派の、とりこ理論というのを西川参考人、お聞きになったことがあると思うんですけど、専門ですから、キャプチャーセオリーというんですけれども、防衛産業が防衛装備庁の下で一対一対応で強大になっていけば、規制する側と規制される側、買う側の防衛装備庁と造って売る側の、あるいは一対一になってしまえば、全く、何というんですかね、防衛産業のために防衛装備庁が発注する、買うみたいな関係になってしまうんじゃないかと。
 これは、原発の問題でもつとに指摘されているわけですね。つまり、規制掛けている経済産業省よりも電力会社の方が巨大になってしまうと、そっちが必要なものを造り続けるし、売り続けると。それに対して、規制の方は、それに合うように規則を直しちゃうみたいな、あるいは猶予しちゃうみたいなことになってしまっている。これ、とりこ理論の問題だと思うんですが、同じことが防衛装備庁と防衛産業の間にもあるという御指摘のように聞こえるんですが、いかがですか。
○参考人(西川純子君) 私はアメリカの例で申し上げましたけれども、つまり国防省とそれから契約企業との間、兵器企業と言っていいんですが、その力関係が、ある局面、いろんな局面で変わっております。それで、最初は、マクナマラのときに国防省の方が強力になったんですけれども、むしろ企業を選別するような力を国防省の方が持ったわけでありますけれども、次にクリントンの段階になって企業の方が断然強くなっているということで、ここで国益とそれから営利企業の利益の対立の問題が起こっていると思います。
 日本の場合に、日本の兵器企業というのは民間に任せられているという御指摘、そういうことをおっしゃる方がいらっしゃいますけれども、それは日本の特質でも何でもなくて、アメリカはむしろ極端なまでに私企業に兵器産業の生産が任されているわけでありまして、したがって、もろに国益と営利企業が対立するという局面が出てくる。これがある意味では抑えにもなっているんじゃないかと。
 つまり、国益を主張する側、シビリアンコントロールの問題にも関わるかと思いますけれども、軍部の主張に対して、営利企業が利益が上がらないようなところまで付き合うことはできないというふうなことでチェックになっていくんじゃないかというふうなことも考えておりますけれども、日本の場合については、まさにそれを未然に防ごうというのが私の立場でございまして、これがどうなっていくかについてはまだ展望を持ちたくないというところでございます。
○小野次郎君 もう終わりにしますけれども、私は、そういった弊害が生じないためには、一つはやはり透明性、防衛装備庁における仕事の進め方が官と民の関係についても透明でなきゃいけないということと、どこかに、何というんですかね、競争と言うといいですけど、一対一対応にしない、密室にしてしまわないという、何らかの比較考量が国民からもできるような要素が防衛装備庁の運営に確保されなければ、今私が心配したようなことになってしまうんじゃないかと思うんですが、西川参考人、いかがお考えでしょうか。
○参考人(西川純子君) おっしゃるとおりでございます。
○小野次郎君 それじゃ、私の質問、終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、西川参考人にお伺いいたしますが、今回の防衛装備庁の設置は、現在議論されている安保法制などとも一体で考える必要があるというお話もありました。この間、武器輸出政策への転換、それから武器の共同開発の推進等が日本で行われてまいりました。一方で、グローバルホークとかオスプレイとか、アメリカの兵器を調達をするということも今回の予算にも盛り込まれているわけですね。
 こういう今の日本の武器の輸出や調達、アメリカからの調達という状況について、アメリカの全体の戦略とか、それからアメリカの軍需産業の戦略、思惑との関係でどのように御覧になっているか、まずお願いしたいと思います。
○参考人(西川純子君) 先ほどオバマ政権のリバランス政策についてお話しいたしましたけれども、この政策の下では、まさにアジア太平洋の中心に日本を据えようという意図が明らかになっていると思います。それは、経済的な側面、つまりTPPもありますけれども、軍事的な側面でアジア太平洋の基地を確保し、軍事的な同盟を行っていくと。そのために武器を提供するのは専ら現在のところアメリカでありまして、非常に日本に対しては優遇措置がとられているのではないかというふうに思います。
 日本はこれに対応して、武器輸出三原則を廃棄いたしました。これは要するに、今まで、武器の輸出を原則禁止して例外としてこれは認めるということであったわけでありますが、今度は原則として自由と、それは可能であって、こういうことをしてはいけないという禁止条項が付いている。まるでポジとネガほど違うものになっているわけでありまして、私はこの防衛装備移転三原則というのは武器輸出促進法だと思っておりますけれども、それがアメリカの利益にかなっているということは言うまでもないことであろうというふうに思います。
 アメリカが日本にどういう要求を突き付けているかというふうな具体的なことは私には分かりませんけれども、しかし、日本が次々に繰り出してくる政策がアメリカにとって非常に満足のいくものであるのではないかというふうに考えております。
○井上哲士君 ありがとうございます。
 続いて西川参考人にお聞きしますけれども、今回の日米ガイドラインの中には宇宙に関する協力という条項もありましたし、この間、日米一体で宇宙における軍事協力の推進ということがあろうかと思うんですが、こういう宇宙の軍事開発などについて、アメリカの軍需産業の戦略、思惑や、その中で日本の軍需企業の思惑、この辺りをどのように御覧になっているでしょうか。
○参考人(西川純子君) 宇宙の場合には協力と競争と二つの側面があると思います。アメリカにとって日本は、現在のところは協力というか、技術的に日本にいろいろと供与しながら日本の協力を得ていくという形を取ると思いますが、しかし、これから日本の技術がどれだけ進んでアメリカを凌駕しないとは限らないというふうな競争関係も当然あると思います。
 そういう意味では、宇宙の軍事開発というのはこれからの問題でありますけれども、しかし、これからの問題であるだけに、日本はいろいろと対策を練っている。この防衛装備庁の設立もこれを当然視野に入れているわけでありまして、しかし、これはまたさっきの話に戻りますが、大変にお金が掛かるということでありまして、その予算のしわ寄せは当然ながら国民の福祉に掛かってくるのではないかというふうに思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。
 次に、武蔵参考人にお聞きいたします。
 先ほどのお話の中で、現行の十二条があるから自衛隊の運用に関して何らかの支障が生じているという立法事実は存在しないと、こういう指摘がございました。
 一方、しかし、政府はこの改正をしようとしているわけですが、お書きになったものなどを読みますと、冷戦後の情勢とかそして自衛隊の役割の変化などが政府がこういう方向を提案している理由ではないかということも分析されているかと思うんですが、その辺もう少し詳しくお話しいただけないかと思うのと、そのことに対する評価も含めてお願いしたいと思います。
○参考人(武蔵勝宏君) ありがとうございます。
 衆議院の委員会で中谷大臣が、この問題はここ十年ぐらい検討されてきたテーマであるということをおっしゃっていました。そういう意味では、恐らく政府の認識としては、九・一一、そしてイラク派遣、東日本大震災、それ以降の自衛隊の運用に関して、政府としてあるいは与党としての立場でこういう検討をされたのではないのかというふうに思っております。すなわち、それは自衛隊を実際に運用する機会というものが海外の派遣も含めて密度が非常に濃くなってきて、じゃ、そのときに、今までのようなやり方でよかったのかという、そういう教訓といったものが反映されているのではないかと思います。
 ただ、そのような教訓が反映されているのであるならば、十二条というものがあれば、それがどういった点で支障があったのかという説明は全くなく、そして改正後も旧十二条の趣旨はそのまま維持されるということであれば、それは実は改正の必要がないわけです。そういう点では、十二条があるから何か運用に問題があるということがないならば、この十二条は存置しておくべきではないか。冷戦以降、今日、自衛隊を運用する時代の中にあっても、この十二条というのは意義がむしろあるのではないかというふうに思っています。
○井上哲士君 同様のほぼ同じ質問を渡部参考人にしたいと思うんですけど、この十二条改正を政府がそういう安全保障情勢の変化であるとか自衛隊の任務の変化などを理由にしていることについて、どのようなお考えを持っていらっしゃるでしょうか。
○参考人(渡部恒雄君) 一つは、防衛装備庁ができまして、文民の方の防衛大臣に対する補佐というのが、装備庁の長官というのができたということが一つのきっかけではあるとは思っていますが、恐らくこれは両方なんです。
 両方、プラスとマイナスの問題があって、プラスの部分は制服自衛官、軍事知識を持っている人、しかも実際に部隊を動かす部門との意見交換や意見が入ってくる、情報が入ってくるということを、なるべく早く、しかも密度の濃い形で防衛大臣が得られるということは非常に重要なんだろうというふうに考えたと。
 逆に、それが武蔵参考人がちょっと懸念しているというか、ちょっと変わってしまうんじゃないかと言われているところで、これは表と裏であって、常に両方のリスクを考えながら、どっちが結果的には最適になるかというところの判断で、昨今の国際情勢、あるいは日本の自衛隊を運用するような機会が非常に増えてきていてという中で、これは今までが全く邪魔しているわけではないんだけれども、でも、もう少しより機能的にするにはどうしたらいいかという中での動きだと私は理解しております。
○井上哲士君 もう一点渡部参考人にお聞きしますが、この十二条改正によって、例えば様々な自衛隊の運用の実施に関する計画の指示を起案するのが運用企画局長から統幕長が担うことになるというお話も武蔵参考人からありました。その辺で、統幕が自らに対する指示を起案をするというのはいかがかとか、このバランスが崩れるんじゃないかという提起もあったと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
○参考人(渡部恒雄君) 先ほど最初にお話ししたとおり、その細かいところでのバランスというのは常にあるわけですね。どっちに傾いたらいいか、心配というのはあると思うんですが、結局のところ、大きなところでいうと、制服側と背広側がきちんとした情報交換を持ちながら、かつ、シビリアンである防衛大臣が情報をきちんと持って、しかも、最後にその決定に関して内閣総理大臣もありますし、あるいは国会の決定もあるわけですよね。そういうところでのバランスを考えての話なので、今回の細かいところで余りこだわり過ぎることは、むしろ大きなシビリアンコントロールの方向性等を見失うんではないかということが一つ。
 もう一つは、過去の、日本が平和憲法というか専守防衛という意識の中で今までずっと自衛隊を育てて、意識を、制服も文官もそうですけれども、両方ともきちんと育ってきている中で、そんなに極端な市民社会に反するようなことをやるようなプロフェッショナルは育ててきていないという前提があるわけで、実はそこの今までの実績と信頼感というのを考えればより機能を向上する方向に行くということで、私は十分心配するべき点は押さえられていると思っております。
○井上哲士君 ありがとうございました。
○アントニオ猪木君 現金ですか。現金があれば何でも買える。あっ、間違えました、今日は。元気ですかなんですけれども、まあちょっと暑いものですから、済みません。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 今日お聞きしたいことは、まず防衛省設置法の一部を改正する法律案ということで、説明を読みますと、まず防衛省の所掌事務規定の改正に国際協力の明確化とあります。その具体的な取組に、自衛官等を一定期間派遣しての教育訓練の実施、自衛官を派遣し短期間のセミナーの実施、研修員の受入れ等になっています。
 災害救援や道路構築技術、また衛生に関することについて理解できるのですが、当該国との防衛協力・交流の関係強化と記載があります。この自衛官派遣による訓練と研修員の受入れに実戦さながらの戦闘訓練が含まれてきます。先ほど渡部参考人からもありましたが、まだ試されていないという、自衛官の皆さんが大変なこれから役割を担っていくのかもしれませんが。
 そこで、ここで防衛協力という、具体的にはどのようなことなのか、お聞かせください。
○参考人(渡部恒雄君) ありがとうございます。おかげさまで元気でやっております。
 今の御質問に大変重要なところがございまして、今回の実は法案が改正するところで、実は自衛隊が、海外のほかの政府とか、あるいは政府じゃないところも含めた、能力構築支援といって、政府の例えば災害対策であったり、あるいは防衛のものであったり、こういうものに対してきちんと手伝いをする、支援をすると。何かというと、トレーニングをするということなんですけれども。
 要するに、安倍政権が言っている積極的平和主義の一つの中で実はODA大綱というのも見直しをしまして、もう少し日本が、周辺の国が地域の安定のためにすることに手助けできないかと。実は今までそういう条項が法律の中にきちんと定められていなかったので、それを反映して、自衛隊もあるいは防衛省も、自衛隊は制服と文民と両方なわけですけれども、これがよその国のそういう関連するような能力をお手伝いする、訓練する、こういうことを位置付けたと。非常に日本にとっては重要な話でして、私は、この部分というのが今回の意味合いの中でも重要で、東京財団としても提言をずっと出しておりまして、大変この法案の中身には満足して、期待しております。
○アントニオ猪木君 先日の新聞で目にしたんですが、中谷大臣が、北朝鮮がアメリカに攻撃を掛けたときに、日本は共にアメリカと北朝鮮の基地を攻撃できるという発言をされていたんですね。今の国会でやっている最中ですが、これはちょっと問題が、問題というよりは、はっきりしないといけないテーマかなと思います。
 西川参考人にお聞きしたいと思いますが、改正案で、これまで大きく変更する点で、防衛装備庁が新設されることだと思います。今のままでも機能するのではないかと思うんですが、防衛装備の関連部署を新たに庁として新設する必要性と意義をお聞かせくださいということで、先ほど同僚議員からも質問もありましたし、また、やはり今、日本の情勢あるいは世界環境が変わってきちゃっている中で、当然これは新しい庁をつくれば予算の問題も出てまいりますし。
 もう一つは、何ですかね、軍産複合体ということで、我々も日頃そういう軍産複合体というのは余り耳にしませんが、日本の中でも、結局これは一部の会社ができるわけではなくて、特殊な会社がこういう例えば武器製造の技術も含めて持っていると思いますので、その辺の、軍産複合体とは言いませんけれども、日本の企業との関係も含めてお聞かせいただければと思います。
○参考人(西川純子君) 先ほど、アメリカでアイゼンハワーが最初に軍産複合体という言葉を使ったと申しましたけれども、あのとき、なぜ彼がそういう言葉を使ったか。当時は冷戦が開始されたばかりでありまして、ソビエトとの間に武器競争が激しくなってきていたところであったわけです。ソ連の方がスプートニクを打ち上げたり核実験をやったりしてアメリカに先んじたという状況がありまして、それでアメリカは大変焦りまして、そこで何とか軍事的な技術の開発に臨もうとしたわけでありますけれども、それを実際に行う企業がないと。
 それまでは、ちょっと不思議な話かもしれませんけれども、アメリカには兵器専門の企業というのが非常に少なかったんですね。しかも、規模が小さかった。最も多くの防衛費を獲得したのはGMであったわけでありまして、普通の企業が、普通の民間産業が軍事に動員されて生産を行うということで第二次世界大戦を全うしたということなんですけれども、その後、さすがにソ連との間で武器競争が始まりますと、それでは賄えないと、つまり専門の企業が必要だと。専門の企業になりますと、これは軍事費で食べていくわけでありますから、それ以外のことはやらないという前提の下で、恒常的な企業でなければならない。常に兵器を生産する企業が必要だということをこのアイゼンハワーは頭に入れて言っているわけであります。つまり、兵器専門の企業というものがここから生まれてくるんだと。その兵器専門の企業と国との関係というのが非常に密接になっていく、恒常的にならざるを得ないわけでありまして、そうなってきたときに非常に大きな力を持つようになるのではないかということを危惧した。
 ということでありまして、したがって、軍産複合体というのは軍需産業のあるところに当然のように生じているわけでありますけれども、それぞれの国によってまた型が違う、タイプが違うというふうに私は思っております。
 日本のタイプというのはアメリカ型にこれからなっていくことを想定されている方もあるのかもしれませんけれども、日本はまたこれ特殊でありまして、戦前の日本の企業というのはほとんど国策企業でありまして、その国策企業とそれから国家の兵器廠が兵器を造っていたわけでありますが、そういう体質が抜け切らないままに日本の民間企業に軍需生産を任せていくと、これはアメリカとはまた違った意味で、異なる日本的な軍産複合体ができるのではないかと。その辺はそれこそ試してみないから分かりませんけれども、そういうことを私としては予想しております。
 同時に、チェック機能といいますか、それをチェックする機能がアメリカにはまだ備わっているというふうに私は思いますけれども、それをどうやって確保するのかということが非常に大きな問題だと思っております。
○アントニオ猪木君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございます。
○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。
 渡部参考人と佐藤参考人に主としてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 防衛装備庁ですとか今の安保法制とかいろいろと議論をする中で、日本を取り巻く安全保障の環境が劇的に変化しているということがよく言われます。ただ、私は、日本を取り巻く安全保障の環境の変化だけではなくて、我々人間一人一人の生命といったものを取り巻く環境がもっともっと大きく変化しているんじゃないかと思っているんです。自然災害もそうですし、様々な伝染病あるいは宗教、人心の荒廃、そういったことが新たな対立や紛争の原因になっている。
 ですから、北朝鮮が日本にミサイルを発射してくるだろうとか、中国が尖閣を軍事力で奪取するんじゃないかとか、そういう可能性は、当然、我々は備える必要があるとは思うんですが、それと同時に、我々一人一人の人間が、相手の国、世界に対する誤解や不信や、あるいは自分自身の生命あるいはその在り方について様々な不安やそういう悩みを抱えている。そういうものが、言ってみればISの登場になったり、様々な社会不安の原因になっていると思うんですね。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 ですから、安全保障のアイデア、脅威に対する考え方も、少し従来の常識を超えた新しい感覚で捉えないと、日本の有権者、国民だけではなくて、世界の人々が、やっぱり日本の先行きというか、今後の防衛力の整備、国際的な共同研究開発といったことに対しても良からぬ誤解や不信を抱くことになると思うんですね。
 ですから、そういう観点で捉えますと、せっかく新たな防衛装備庁ができるんですから、アメリカに範を取るとすれば、DARPAが、人間の生命力、細胞力の強化、今、アントニオ猪木さんが元気ですかというような、細胞を元気化する、やっぱり人間の持っている潜在能力、判断力、記憶力、瞬発力、そういったものを高めるということも、広い意味でいうと安全保障につながると思うんですよね。
 そういう観点で、社会のニーズとして、福祉の問題が、西川参考人が指摘されましたけれども、福祉の現場でも、日本の持っているサイボーグ化とかロボット化ですとか、そういうものがこれからますます必要とされてくる。そういうサイボーグ化とかロボット化の技術というのは、まさに軍事装備としても日本が世界に大きく貢献できる可能性がとても高いと思うんですよね。そういった動きに関しては、日本よりはるかにアメリカの方が発想が柔軟で、DARPAの研究開発の状況を見ていても大変参考になる点が多いと思うんですね。
 ですから、まずは渡部参考人に、アメリカのシンクタンクで長年研究をされていて、アメリカの防衛産業、そういうところの現場を御覧になって、軍産複合体と言うとすごく固定的なマイナスのイメージだと思うんですけれども、デュアルユース、民生技術をどうやって安全保障のために、世界のために生かしていくのか。そのことによって、言ってみれば、北朝鮮や中国、ロシア、そういった、あるいはISを含むテロ集団に対しても、日本から新たな平和攻勢としての技術、安全保障の在り方を日本が訴えていく、アメリカとともに、そういう可能性があるのではないかと思うんですが、まず渡部参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(渡部恒雄君) ありがとうございます。まさに的確な御質問をいただいたと思います。
 何かというと、軍事技術というのは軍事で終わるものではなくて、デュアルユースというような汎用品、こういうものにも広がっておりまして、もちろん軍事には負の側面もあります、人を殺傷して戦争に巻き込んで。ただし、科学の進歩に寄与してきたこともあります。これは何かというと、それは軍事といっても全てが悪ではないということですね、防衛ということは重要なので、自分たちを守るということは。それから、防衛といってもいろんなところから守らなくちゃならない。災害から守らなくちゃならない、あるいは、より深刻なトラブル、つまりシステム機能障害とかそういうもの、それから原発事故もそうですよね、いろんなもので、これは人類が発展させてきました。
 ですので、実は私は、あんなアメリカに今軍産複合体があるかどうかは分かりませんが、正直言って余りないような気がしますが、力はありますよ、もちろん。そういうふうに見えるのは何かというと、軍と産業界と、あと政治と、あとさらに学界ですね、学問界、ここがそれなりに人の行き来があって、連絡を取り合って、それで研究開発をしているということなんです。
 ですので、実は今回、装備庁に関しても、防衛装備庁ができる中で一つ重要な要素がありまして、それは、今までは日本の中にそういう科学技術全体をきちんと見ながら防衛技術開発をして、しかもそういうものを全般的にプロジェクト管理するようなプロジェクトマネジャーというのが余りいなかったんですね。実は、DARPAというようなアメリカの仕組みにはそういう人たちがいて、しかも軍だけではなくて外にもいて、しかも出たり入ったりして民間企業の技術の発展にも寄与してと、こういうような構造になっております。
 恐らく日本もそういうふうにしていかないと、お金が足らぬのですよ、今後。しかも、お金が足らぬということはどういうことかというと、政府のお金が足らないと何が大変かというと、社会福祉のために使うお金も減っていってしまうんです。ですので、これ、社会福祉、ソーシャルセキュリティーとナショナルセキュリティー、国家安全保障というのは、日本語にすると違うんだけど、アメリカでは一個違うだけであって、アメリカの心ある政治家は、両方、バランスどうするかと常に考えていて。
 日本の軍事費を不必要に高くしないためには、より日本の防衛産業に競争力を付ける、それによって実は我々と我々の子孫の税金のお金を小さくしたいと、こういう目的があると私は理解しておりまして、こういう提言を実は我々東京財団がしていたんですが、その内容の一部も今回取り入れられて、してもらっているので、非常に満足しているところでございます。
○浜田和幸君 佐藤参考人にもそれと関連して、頂戴した法律案についてのレジュメの中に、防衛装備庁の役割としてのデュアルユース技術、あるいは第三のオフセット戦略ということに言及されています。
 その背景には、国際関係においてのシステム変動期の到来ということも先ほど御説明がありました。だから、こういった大きな安全保障環境、ハード、ソフトの変動期に我々は入っているわけですから、そういう観点で、日本が国際社会で確固たる影響力、これを誇示すると同時に、防衛装備の優越性ということも度々言及されました。この防衛装備ということのやっぱり汎用性、今、防衛省も、経産省ですとか他の省庁とともに先端技術をどうやって横断的に活用していくのか、そういうことに積極的に取り組み始めているんですが、それをやっぱり外の世界にもどんどん開放していく、そのことによって日本の足らざる部分を補っていく、そういう発想が必要だと思うんですが、佐藤参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。
 冒頭、浜田議員の方から安全保障環境の変化というお話をいただきました。
 私が大学院で勉強した安全保障の一番最初のコースにおいては、先生がまず言ったことには、安全保障というのはそれぞれの社会の不安感をいかに解消するかというところが一番重要なポイントであるというふうにおっしゃいました。したがって、安全保障は、軍事だけではなく、それ以外の社会福祉も含めて、自然災害への対処も含めて様々な分野に対象が広がるというのが安全保障であるというのが安全保障の基本であるというふうに考えます。
 そうなっていきますと、その中で、今デュアルユースは、汎用技術というふうに言われますけれども、技術には軍事用途、民需用途、専門の色づけがあるわけではありません。やはり技術というのは我々の人類の英知を結集した可能性であると思いますので、それをどういうふうに我々の安心、安全に生かすかという視点というのが常に必要になってくるだろうというふうに思います。
 その中で、先ほど軍産複合体の話が出ておりましたけれども、アイゼンハワー大統領が軍産複合体に警鐘を鳴らした際は、これは米国の予算制度の中で生まれる固有の現象でありまして、議会の方が予算案を作って行政府に執行を命ずるという体制の下では、確かに議会と産業側が結束をして不必要な軍事予算を増やすということが可能性として考えられます。したがって、アメリカは、そういう防衛産業政策若しくは技術政策の中に行政府の関与をいかに強めるかということを腐心してまいりまして、それが軍産複合体の暴走を防止するという機能を担っております。
 したがって、日本は今、防衛装備庁を通じて、行政府がそういう技術開発の方向性、デュアルユースの活用についての可能性を模索し始めた段階ですので、この方向を更に進めることが浜田先生がおっしゃったような安心、安全を高めていくような技術の活用というものにつながっていくんではないかというふうに考えます。
○委員長(片山さつき君) 先生、お時間が来ております。
○浜田和幸君 まだ時間ありますか。
○委員長(片山さつき君) ちょうどお時間でございますが。
○浜田和幸君 ちょうど時間、はい、分かりました。
 じゃ、以上です。ありがとうございました。
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。
 最後の質問になりますので重なる部分もあるかと思うんですが、改めてお伺いしたいと思います。
 まず、西川参考人にお伺いいたします。
 先生は、衆議院の安全保障委員会の中での御発言の中に、なぜ武器と言わずに防衛装備と言うのか、ややこの法律の作為性を感じざるを得ないとおっしゃっていらっしゃいますが、政府は昨年の四月、武器輸出三原則を廃止し、防衛装備移転三原則を決定いたしました。そして、新原則を決定した数か月後には、パリで行われました武器の国際展示会に日本の防衛産業が出展したり、政府間では米英豪との武器の国際共同開発に合意したりといった、つまり、これまでの抑制的な姿勢を百八十度変え、積極的な姿勢へと転換したような動きが見られるのですが、先生は防衛装備移転三原則後のこれらの動きについてどのような見方をされていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○参考人(西川純子君) この防衛装備というのはなかなか発音がしにくくて言いづらいんですけれども、防衛装備移転三原則、これは、先ほどもちょっと申しましたけれども、要するに日本が武器輸出三原則から足を洗ったというか、撤廃したということを意味するわけであります。したがって、何か私どもはいろんなものが出てくるたびにそれがどうしてなんだろうというふうに考えたりするわけでありますが、実はそれを提案してくる方は着々と計画的にやっておられるのではないかというふうな気がするぐらい非常に巧みにいろんな法案が出てきていると、そういう現状だと思います。この移転三原則ができることによって、防衛装備庁がまさに発足する基盤ができたということだろうと思います。
 先ほど、ちょっと話が違いますけれども、アメリカに軍産複合体がないのではないかと、あるいはあるかどうか疑わしいというお話でしたけれども、これは別に、ビルがあって事務局があって、そこに勤めている人が名刺の肩書に軍産複合体と書いているというふうなことではありません。実体ではないのでありまして、これは概念であります。つまり、こういう軍と産の複合体、結合関係というのが武器生産が兵器企業の手によって占有されるようになると必ず出てくると、それをどういうふうに考えるかという言葉が、概念がこの軍産複合体であるわけであります。それだけ一言お断りしておきたいと思います。
○糸数慶子君 新たに設置される防衛装備庁では、装備政策部という部署において、諸外国との防衛装備、技術協力、その業務を行うとされていますが、恐らく我が国防衛産業の海外への進出を後押しするような業務を行うことが予想されるのですが、企業が一度海外へ進出いたしますと、将来的に海外への輸出に依存してしまう、依存度が高くなり、後戻りできない企業も出てくるのではないかと懸念いたしますが、その点、米国企業の状況等を踏まえてどのような見解をお持ちでしょうか。
○参考人(西川純子君) 兵器産業というのはやはり特殊でありまして、顧客は政府、政府というか、顧客は、アメリカでいえば国防省、日本でいえば防衛省ということになるわけです。競争関係よりは、むしろいかに防衛省から入札を取るかということの方が重要になってくる、それが競争関係を意味するようになるわけでありまして、したがって、海外に出ていって後戻りができなくなるというふうな一般の企業とはちょっとタイプを異にするのではないかというふうに思いますが、その代わり、一旦兵器産業に特化してしまったら、そこから抜けられないと。戦争があろうがなかろうが、利益の上がる営利企業でなければならない限りは、いろんな形で武器の生産というものを、開発し、新しいものを生み出していくという努力を怠らないだろうというふうに思います。
○糸数慶子君 次に、武蔵参考人にお伺いいたします。
 先ほど先生は、我が国では、戦前の反省を踏まえ、内閣や国会による自衛隊に対する文民統制に加え、日本独特の仕組みとして、防衛省設置法第十二条の統制補佐権を根拠に、防衛大臣の下に文官のみによって構成される内局が存在し、その下に各幕僚監部が実質的に置かれるという文官優位が形成されてきたという趣旨の御説明をされましたが、保安庁創設以来、このような我が国独特の特有の仕組みとしていわゆる文官統制が採用されてきたことについてどのような評価をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(武蔵勝宏君) 戦後の世論の風潮、それから当時の吉田茂首相がしかれたいわゆる路線ですね、そういったものが文官優位の仕組みを採用してきたことになったかと思っています。その頃は、恐らく自衛隊を管理・運営する、すなわち自衛隊を運用するというよりも管理・運営するということに重きが置かれた、そういう点で内局の文官が主体性を持ってきたんだろうなと。
 しかし、冷戦以降、PKO協力法以降、実際に自衛隊を海外で運用したり、あるいは、大きな震災が二回あり、その運用においては実は内局の文官と統幕の制服組が合同で、ばらばらにやるんじゃなくて、合同で協働してチームとして自衛隊を運用してきたと。そういう実績があるということを踏まえて、文官のみがチェックするというんではなくて、特に運用機能に関しては統幕に一元化する。
 ただし、そういう冷戦以降の実際に自衛隊を運用する時代になったといっても、それが余りにも統合幕僚監部に比重が移り過ぎて、内局のいわゆるチェック・アンド・バランスの機能がなくなってしまっては、これは私は困ると。それをなくすような可能性があるのが十二条の改正ではないのかという点で、現行十二条にそごがなく、そして十二条を改正するということがもし入念規定的な意味合いで改正するならば、それは今回は見合わせた方がいいということを考えております。
○糸数慶子君 今般、限定的な集団的自衛権の行使容認や他国軍隊に対する後方支援等を内容とする安全保障法制を整備するための二法案が国会に提出されましたが、私はこの法案とは反対の立場ですが、仮に政府・与党の強権的な国会運営によりこれらの法案が成立した場合、海外における自衛隊の活動は現在よりも一層増大し、それに応じる形でシビリアンコントロールの特に国会における必要性も一層増すであろうと私は考えておりますが、この点に対する先生の御見解をお伺いいたします。
○参考人(武蔵勝宏君) ありがとうございます。
 そのようなまさに閣議決定を伴うような重要な自衛隊の運用に関しては、もちろんこれはもう統幕だけで単独でできるものではございません。そういったことに関しては、内局の防衛政策局がむしろ政策的な見地から判断し、グリップしていくものだと思います。
 例えば、基本計画や実施計画、そしてその実施要項という、策定に関して、これを統幕だけで決定するということになれば、それはもう軍事的合理性しか反映されないということになるわけですから、ここのところは、仮に新しい法制ができたとしても、内局がしっかりとグリップして補佐していくということが私は間違いのない運用をする上では必要ではないかなと思っています。
○糸数慶子君 時間でございますので、渡部参考人、佐藤参考人、両参考人には今回御質問できませんが、御了解いただきたいと思います。
 終わります。
○委員長(片山さつき君) 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。
 この際、参考人の方々に御礼申し上げます。
 長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会