第189回国会 財政金融委員会 第2号
平成二十七年二月二十六日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     浜野 喜史君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         古川 俊治君
    理 事
                愛知 治郎君
                若林 健太君
                大久保 勉君
                西田 実仁君
                藤巻 健史君
    委 員
                石田 昌宏君
                大家 敏志君
                伊達 忠一君
                塚田 一郎君
                長峯  誠君
                西田 昌司君
                森 まさこ君
                山本 一太君
                礒崎 哲史君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                浜野 喜史君
                前川 清成君
                竹谷とし子君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
                中西 健治君
                平野 達男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       金融庁監督局長  森  信親君
       財務大臣官房審
       議官       藤城  眞君
       財務省主計局次
       長        岡本 薫明君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行理事   雨宮 正佳君
       日本銀行理事   櫛田 誠希君
       日本銀行理事   武田 知久君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
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○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁監督局長森信親君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(古川俊治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同理事雨宮正佳君、同理事櫛田誠希君及び同理事武田知久君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。
 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
 我が国の景気は、緩やかな回復基調を続けています。企業部門では、輸出の持ち直しや在庫調整の進捗などを背景に生産が持ち直しています。また、企業収益は改善が続いており、企業は前向きな投資スタンスを維持しています。家計部門については、雇用・所得環境の着実な改善が続く中、個人消費も全体としては底堅く推移しています。このように、企業部門、家計部門共に、所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと作用し続けていると考えています。先行きについても、景気は緩やかな回復基調を続けていくと考えられます。
 こうした経済活動を支える我が国の金融環境は、緩和した状態にあります。企業の資金調達コストは低水準で推移しているほか、銀行貸出残高は緩やかに増加しています。
 物価面を見ると、原油価格の下落によって消費者物価、除く生鮮食品の前年比は縮小してきており、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見てゼロ%台半ばとなっています。先行きは、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の上昇を背景に、基調的な物価上昇率は着実に高まっていくと見られます。また、原油価格の下落は、やや長い目で見れば、経済活動に好影響を与え、物価上昇要因となるものです。こうした下で、消費者物価の前年比は、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくとの前提に立てば、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高め、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと見ています。ただし、原油価格の動向によって二%に達する時期が多少前後する可能性がある点は留意しておく必要があります。
 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、一昨年四月、二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために、量的・質的金融緩和を導入しました。さらに、昨年十月には、量的・質的金融緩和の拡大を決定しました。これは、消費税率引上げ後の需要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が物価の下押し要因として働く下で、デフレマインドの転換が遅延するリスクがあることを踏まえ、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、好転している期待形成のモメンタムを維持することを目的としたものです。
 こうした下で量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しており、デフレマインドの転換は着実に進んでいます。
 日本銀行は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続します。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う方針です。
 ありがとうございました。
○委員長(古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 今、黒田総裁から報告があったわけでございますが、この量的・質的金融緩和、黒田バズーカとも呼ばれているんですけれども、この効果なんですけれども、二〇一二年、そのときで既に実は日本はGDPに対してマネタリーベースが結構あって、二七%か八%弱ぐらいあったと思うんですね。それを今度はまた、昨年の十月に第二弾を発表されて、八十兆ほど、八十五兆ですか、増やしていくことになると。昨年の末で大体二百七十兆前後あったと思うんですが、そこから更に八十兆ということになりますと三百四十兆ですか。そうすると、GDPの七割近くにまでこのマネタリーベースが増えてくるということになって、これはかなりほかの国と比べても突出した数字だと思うんです。
 それで、まずお聞きしたいのは、そういうことも踏まえて、そもそもマネタリーベースが、元々始まる前は百三十五兆で、昨年末で大体百三十兆前後増えていると思います、二百七十兆ぐらいに。そしてその一方で、マネーストックの方が、これM3でいきましたら、千百五十兆が千二百九兆ぐらいですから五十九兆ぐらいなんですね、六十兆ぐらいと。となると、その百三十兆と六十兆の差額が七十兆ほど出るんですけれども、つまり、お金のベースを増やしたけれどもマネーストックが増えていないと。特に、増やした以上に増えていないというのはどういう判断をされているのか、まずそこのところをお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、マネタリーベースは、量的・質的金融緩和の下で日本銀行が民間の銀行から国債等を大量に買い入れて、その代金として民間銀行の日銀当座預金残高が増加しているわけでございます。その結果、御指摘のようにマネタリーベースは大幅に伸びておりまして、足下で前年比三割台後半の伸びとなっております。一方、マネーストックは、これも委員御指摘のとおり、三割台後半のマネタリーベースに比べますと大幅に低い、三%台半ばの伸びというふうになっております。
 こうした量的・質的金融緩和の下で大量のマネタリーベースを供給するということを通じて、金利の低下その他を経由して銀行が貸出しを増加させやすい環境をつくっているわけであります。このことは、銀行貸出しの増加、今、足下で前年比二%台半ばの伸びになっておりますけれども、かつてマイナスだったわけですが、それが徐々に伸びを高めてきて今二%台半ばの伸びになり、これがマネーストックの増加にも寄与しているということでありまして、マネタリーベースの増加がマネーストックの伸びに寄与していることは事実なんですが、委員も御承知のとおり、こうした環境の下で実際に銀行がどのような貸出態度で臨むのか、あるいは逆に企業や家計が資金需要がどのくらいあるかということにもよるわけでありまして、特に、企業の場合は潤沢な手元資金を有しているということもありまして、設備投資がある程度出てきてもなかなか銀行貸出しの需要が大きく伸びるという形にはなっておりません。
 しかし、マネタリーベースの増加がいろいろな形で貸出しの増加その他を引き起こし、マネーストックの増加に何がしかの寄与をしているということはそのとおりだと思います。
○西田昌司君 今総裁からおっしゃったように、マネタリーベースが増えても、金利は下がるということがずっと予想されてきても、今おっしゃったように、要するに企業側の方が巨大な内部留保を持っていますから、直接その分では貸出しが増えないともうおっしゃっているわけですよね。つまり、貸出しが増えないのならマネタリーベースを増やす意味があるのかというところになるわけなんですね。
 そもそも、要するに、実際に必要なお金の量というのは、このマネタリーベースでGDPの七割にも最終的に持っていく分だけのお金が、実際のそういう中で用立てされない場合は、これは何に使われるのかという話なんですね。まさに、そこでバブルとかが引き起こされる可能性があるんではないかというふうにも思うわけです。
 そこで、ちょっと順番飛ぶんですが、まず私一番気になるのは、これがバブルにならないのかと。もう少し言うと、そもそも、今株高という形になってきているわけなんですけれども、これもある意味でいいますと、日本の株価を決めるのは結局外資の方ですし、外資の方がそのあり余ったマネタリーベースから海外に回ってもう一度日本の中でそれを使っているという話もあるわけで、今のこの日本の株の価格がバブル的に上がっているとは思いませんがね、私は。思わないんですが、そういうふうにバブル的な形で使われてしまう危険性もあると思うんです。
 ですから、このGDPの七割まで最終的に持っていくというのに、要するに、マネーストック自身が伸びないんだったら余り意味がないんじゃないのかなと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
○参考人(黒田東彦君) 量的・質的金融緩和を導入した際に公表しました文書でも申し上げているわけですけれども、二%の物価安定目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するというコミットメントをすると同時に、大量の国債その他の資産を買い入れることによって、もちろんマネタリーベースも増えますし、それから、そういった国債等の金融資産を大量に買い入れることによって金利に対して下方圧力を加えると。一方で、二%の物価安定目標へのコミットメントを通じて、物価上昇予想に上昇圧力を与えるということによって実質金利が下がって、これは実際に下がっていますし、いろんな計算がありますけれども、足下では恐らくマイナスになっているのではないかと思われますけれども、そういったことを通じて企業の資金需要あるいは銀行側の貸出態度というものにもプラスの影響を与えていることは事実だと思うんですね。
 ただ、御指摘のように、マネタリーベースが増えた金額と貸出しを通じてマネーストックが増えた金額との間には一対一の関係がございませんので、見やすい関係にはなっておりませんけれども、やはり量的・質的金融緩和を通じて実質金利の引下げ、それによる資金需要の喚起あるいは金融機関の貸出態度の積極化というプラスの効果が発揮されてきているというふうに思っております。
 なお、株価につきましては具体的な水準についてコメントする立場にはございませんけれども、御指摘のように、大幅な金融緩和をしているわけですので、その下で景気が立ち直り、あるいは物価が上昇していくということが期待されておりますし、徐々にそういう状況は起こっていますけれども、他方で、大幅な金融緩和が金融資本市場、資産市場、あるいは金融機関の行動に過度な期待の強気化とか何かが起こっておればバブルの懸念もありますので、そういうことがないかどうかというのは常に慎重に見極めておりまして、現時点ではそういった行き過ぎた期待の強気化は起こっていないように思いますが、いずれにせよ、今後ともそこは十分注意してまいりたいというふうに思っております。
○西田昌司君 前回、私は岩田副総裁に同じような質問をしたんですが、そのとき岩田副総裁は、黒田総裁と同じように、マネタリーベースの増加が民間の予想インフレ率を引き上げ、実質的金利を下げることを目的としているんだと、ですから、直接的にマネーストックは増加しないし、時間が掛かると、こういうふうに答弁されていたんですよね。
 もしそうであるならば、時間が掛かるということなら、それはどの程度でそもそもマネーストックが伸びるというふうに考えておられるのか。
 それともう一点は、実際、お金がある企業は借入れをしなくても現物のお金で投資もしているんですよという答弁もあったんですよ。もしそうなら、企業の内部留保が、その分現金資産が減ったというような、何かそういうことを示すような証拠が出ているんでしょうか。その辺も併せてお聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 先ほども触れましたとおり、銀行貸出残高の前年比は二%台半ばのプラスで推移しておりまして、その中身を見ますと、大企業向けだけでなく、中小企業向けにも同様な伸びで推移するといったことで、業種や企業規模にも広がりが見られております。こうした下でマネーストックは三%台半ばの伸びとなっているわけでございますが、私どもの見るところでは、貸出しやマネーストックというのは着実に増加しているというふうに思っております。
 なお、二番目の点につきましては、まさに、一方で企業収益が大幅に改善しているわけです。その中で設備投資も増えてはいるんですが、企業収益の改善のテンポが極めて速いために、足下ではまだ内部留保が減っているという状況にはなっていないようであります。ですから、企業収益が大幅に増えて設備投資も増えているけれども、内部留保も増えているといった状況にあるようでございます。
○西田昌司君 全く効果がないとは私も言わないんですけれども、期待したほどの効果は、というよりも、やっぱりこれは、全て日銀にこのデフレを脱却するのを任せるというのがそもそも私はおかしいと思っていまして、やはり政府と共同でやると。
 ですから、今日は政府、財務大臣が来られない日なので残念なんですが、やっぱり政府側が、せっかく今、日銀が低い金利で融資ができる状況にしているんですから、一番その恩恵を受けるのは一番たくさんの国債を出している国の方ですから、この時期に積極的に財政出動をすべきだと思っているんです。そこで……(発言する者あり)そう、その辺が藤巻さんと違うんですよね。それはまた後で藤巻先生に言ってもらったら結構なんですが。
 それで、その質問に入る前に、この異次元の金融緩和で一つ良かったのは、例えば円高が収まったじゃないかと、著しい円高が、まあ円安といいましょうか、それなりの相場になってきて、それで輸出関連企業は収益を改善した、日本の経済も良くなってきたんだという説明があるんですけれども、そもそもそこで、要するに、この金融緩和と円高というのは相関関係があるんでしょうか。ソロス・チャートとか言われているんですけれども、その辺も含めて、総裁、どういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 足下の為替の水準とか、その日々の動きについて具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますし、また、この金融緩和は、あくまでも二%の物価安定の目標を早期に実現するためということで、為替相場を目的としたものではないことも御承知のとおりであります。
 その上で、一般論として申し上げますと、金融緩和は他の条件を一定とすれば円安の方向に作用する傾向があるということは事実だと思いますが、過去の状況を見ましても、他の条件は一定でありませんので、金融緩和したことと為替の動向とが一対一で対応しているということは見出し難いわけですし、マネタリーベースと何か対応しているということもなかなか見出し難いと思います。
 統計の取り方によって一定の関係があるようには見えるわけですけれども、それがいつも成り立っているわけでもございませんし、私どもは常に、他の条件で一定であれば、金融緩和をすればその国の為替レートは弱くなる傾向があることは事実だけれども、他の条件が一定でなくていろいろ動くので一概に言うことはできないのではないかというふうに思っております。
○西田昌司君 なかなか答えにくい質問をちょっとしてしまいまして、まあ仕方ないんですけれども。
 そこで、確かに、結果的にしかし円安になったんですよね。そこでちょっとこの資料を見ていただきたいんですけれども、これは財務省のホームページから出ている資料なんですけれども、それで結局どうなったかというと、貿易収支は赤字になっちゃったということなんですね。本来は、円安になってどんどん輸出額が増えてくるんじゃないのかということが片方期待されていたわけです。
 実際に、輸出が増えている企業ももちろんありますし改善しているところもあるんですが、全体としては貿易赤字になっちゃったと。この理由を、よく言われるのがいわゆる石油ですよね。原子力発電所を止めたから石油。もちろんその分も多いんですが、これは、是非次のやつを見ていただきたいんですが、輸入の推移で見てみますと、黄色が鉱物性燃料と書いていますから石油ですよね、これはもちろん増えています。ところが、この増えているのが一三%ぐらいなんですよね。全体で増えているのが一番上に書いていますように一四・九%ですから、要するに、全体的に増えている平均よりも実は石油の増えているのは多くないんですよね。じゃ、何が増えているのかというと、その中の内訳を見ていただければ分かりますように、電気製品が例えば二二・二%とか一般機械が一九・三とか、こういう製品が輸入されていると。
 つまり、このことは前から、私はTPPの議論をされているときから言っていたんですけれども、要は、製造が海外に行ってしまっていますから、円高円安というので、直接的に日本が円安になったからかつてのようにすぐ伸びる、収支が良くなるとか貿易黒字が増えるということにならないわけなんですね。むしろ、円安で効果があるところの人もいるけれども、マイナスもかなりあるわけなんですよね。
 ですから、円安になったからこのままずっと日本の経済良くなっていくというように考えるのはむしろ逆で、これも日銀に言うべきことじゃないんですけれども、要するに、政府としては、今この時期に金融で限界的なことまでされているので、しっかりとした財政出動なり需要創出の話をしていかないといけないというのがいろんな指標で出ていることだと思うんです。
 特に黒田総裁にお聞きしたいのは、元々財務省にもおられたわけですから、かつてのいろんな金融政策も含め関わってこられているんですけれども、やっぱり我々が一番考えなきゃならないのは、あの世界大恐慌の折に高橋是清がやった、これは公共事業を出したんですが、そのときには日銀に直接国債を引き受けさせて、そして直接的な財政出動をしたわけです、その後にその国債は市場に売って調整していっているわけですけれども。要するに、金融が主導でなくて、財政主導で金融がフォローでやってきたわけですよね。
 そういうことを考えると、今も実は、私は安倍総理がまだ総理に復帰される前、随分そのときに言っていたのはまさにそのことでありまして、日銀とそして政府とが協調しながら財政出動して需要をつくっていく、それをフォローするために日銀と協調していこうと。同じように、日本の経済、デフレから脱却するためにやっていこうというのは、今の政府と黒田総裁との関係も同じなんですけれども、順序はちょっと違ったんじゃないのかという思いでおるんですけれども、率直に言って、その辺りを黒田総裁はどういうようにお感じでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これはなかなか中央銀行として申し上げにくいわけでございますが、やはり財政運営そのものにつきましては、政府、国会の責任において行われるものでありまして、私から具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますと、確かに、財政出動は短期的な有効需要を創出するという効果があります。実際にも、政府は補正予算その他で財政出動によって有効需要を創出するということをやってきております。と同時に、我が国では相当大幅な財政赤字が続いて、既に政府債務残高が極めて高い水準になっていることを踏まえますと、国全体として財政運営に対する信認をしっかりと確保することがやはり重要ではないかというふうに思っております。
 こうした点を踏まえますと、二〇一三年一月に、政府と日銀との共同声明において、政府は機動的な財政政策あるいは成長力、競争力強化ということを行うとともに、やはり持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進するというふうにしておられまして、この共同声明の線に沿って私どもは金融政策を運営しておりますし、また、政府は政府として財政政策あるいは成長戦略といったものを実施、実行しておられるというふうに理解をしております。
○西田昌司君 本当に、ここに麻生大臣に来ていただくといろいろ話ができたんですけど、また次の機会を是非お願いしたいと思うんですが。
 それで、これは総裁も御存じだと思いますけれども、元々、この異次元緩和、これはFRBがずっとバーナンキさんの下でやってきましたけれども、バーナンキが元々やってきたのは、いわゆる世界大恐慌のこの方は研究者で、何で大恐慌になったかというと、あのときに金融を緩和しなかったと、バブルが崩壊したときに金融緩和しなかったからなったじゃないかと。その批判はバブル後の日本にも、日銀にも来ていまして、あのときに、確かに日銀も、バブル崩壊したときに緊縮財政して本当にとことん落ちちゃったので悪かったじゃないかと、だからあのときにも金融緩和すればよかったんだと。
 だから、バブルが崩壊したら、それをもう一度更なる金融緩和すれば救われるという論法で、ITバブルの後、結局また金融緩和で今度は住宅バブルになっちゃうと。バブルが崩壊してやったときに、今度はリーマン・ショックまで行っちゃって、とんでもないところまで行っちゃったわけですよね。そして最後、この方は退任されたわけですけど、FRBを。そのときにバーナンキが言っているのは、そもそも、辞めるときに、量的緩和の経済効果は理論的には証明されていないということを最後発表するわけですよね。
 そういうことも考えましても、これは先ほどから言っていますように、日銀の政策だけで経済が回復したりデフレから脱却できるものじゃないんですけれども、非常に示唆的なことを言っていると思います。ですから、そこは是非、なかなか答弁はできないと思いますけれども、政府と協調していただいて、日銀が今金利を安くしている間にしっかりとした財政政策をするように、これは是非私は要望したいと思います。
 そこで、問題は、今日は金融庁の局長にも来ていただいているんですけれども、要するに、片方でこれだけマネタリーベースを増やしていってもマネーストックが増えないと。それは、大企業などが超過資金をたくさん持っていて、直接金融に頼らなくていいわけなんですよね。しかし、じゃ、日本の会社全部そうかというと、そうじゃない会社もたくさんあるわけなんですよ。特に、中小企業は長期的に資金不足でずっといますよね。そこは借りたいわけですけれども、銀行、金融機関にすると、そういうところはリスクがあるから貸しませんと、こうなっちゃうわけですね。
 ですから、本当にお金を貸してほしいところには幾ら金利を下げても貸出しができませんと。そして、金利を幾ら下げてもあり余るお金を持っている大企業は銀行から借りる必要もありませんということで、全部それが、お金が残っちゃっているというのが、このマネタリーベースが増えるけれどもマネーストックは増えないんですよね。だから、ここでやっぱり貸出しの仕方、特に中小企業に貸し出せる仕組みを考えるべきだと思うんですよね。
 そこで一つ例になるのが、かつてアメリカなんかでは、マイケル・ミルケンですか、ジャンクボンドの帝王とか言われていますから余りいい名前じゃないんですけれども。しかし、彼が目を付けたところはなかなか面白いところでありまして、要するに、そういう中小企業というのは安全値でいうと危険なことになっているように見えるけれども、実際に全部潰れるわけじゃないですよね、これは。ですから、それをいろいろ組合せで、社債を例えば組み合わせて発行する、スライス・アンド・ダイスじゃないですけれども、かつての。そういう仕組みをつくって、市場をつくって、要は、そういうお金が流通できるようにしたおかげで、一挙に市場が大きくなっただけじゃなくて、シリコンバレーにお金が回ったり、いろんな様々な経済効果があったと言われているんですよ。最後、いろんなことでこの方は逮捕されたりありましたけれども、そもそも、考え方自身は私はなかなかいいところに目を付けられたなと思うんですが。
 そういうことも含めて、じゃ、中小企業に、要するに、リスクが多少あるけれども、本来お金を要求しているところに回してあげる仕組みを考えるべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
○政府参考人(森信親君) 先生御指摘のとおり、金融庁といたしましても、金融機関が中小企業の資金需要にきめ細かく対応し、円滑な資金供給に努めることが重要であると認識しております。
 御指摘のあったそういうジャンクボンドは、ローンを担保にした証券のことだと思います。これも、そういう中小企業の資金調達手法の多様化を図る取組として意義のあるものと考えております。
 ただ、足下を見ますと、銀行は預金が相当増えておりますので、今なかなかオフバランス化する必要性が乏しいとか、それから、金利競争ということで貸出しのスプレッドが低くなっておりますので、それを証券化するとなかなか利ざやが更に稼げなくなるとか、投資家にとって魅力がある商品とならないといったような問題もあると聞いております。
 我々としましては、必要なところに融資が行かないのは、一つは、金融機関がやはり担保、保証に必要以上に依存しているということもあると考えておりまして、金融機関が中小企業の事業内容などを適切に評価し、融資や助言等を行って企業の成長を支援するよう促すなど、そうした金融仲介機能の発揮を積極的に促してまいりたいと考えております。
○西田昌司君 今そうおっしゃっているんですけれども、だから具体的に、それでそういうことは、口でおっしゃるのはそれでいいんですけれども、実際にそうなっているかという話なんですよね、要は。我々、中小企業の融資をする信用金庫なんかに行きましても、昔は、どことは言いませんが、出してくださいという話をすると、いや、保証協会付けてください、幾らでも貸しますからと。ふざけているのかという、まさに金融機関としてリスクを取らずに利息だけもらうというのはあるまじきことなんですが、実際そういうことになっているんですよ。
 要するに、リスクテークをしてやっていくということなんですよね。そういう方法をこれしなくちゃならない。そうすると、これは金融じゃなくて、まさに政策投資銀行を始め財政政策じゃないかということにもなろうかと思いますけれども、ここはもう財務大臣おられないので仕方ないんですけれども。
 つまり、そういう仕組みを、やっぱりこれ、日銀は直接そこには、そういうところに貸すことにはならないですからあれですけれども、やはり日銀も、いろんなところでそういう政府と協力し合って、中小企業にお金出せる仕組み、何か知恵が出せないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、銀行貸出しの残高で見ますと、全体として前年比二%台半ばと。その中で、長らく減少を続けてきた中小企業向け貸出しも、このところ前年比二%台で増加を続けております。
 日本銀行としてどういうことがあり得るかということですが、御案内のとおり、成長基盤強化支援資金供給あるいは貸出増加支援資金供給といった二つの制度がございまして、これは、日本銀行と取引のある金融機関を通じて中小企業も含めて貸出しを支援していくという仕組みでございますけれども、今年の一月の金融政策決定会合で、これらの制度の期限を更に一年間延長するとともに、信用組合や労働金庫、農協など日本銀行と直接取引のない金融機関が系統中央機関を通じてこれらの制度を利用できるような枠組みを導入するということも決めまして、今細部を詰めているところでございます。こういった形で中小企業に資金を回すことに貢献できればというふうに思っております。
○西田昌司君 終わります。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
 今日は、総裁に何点か今の政策について確認をさせていただきたい点がありますので、よろしくお願い申し上げます。理事の皆さんには、大変恐縮ですが、陪席を今日はお断りを申し上げましたので、総裁とじっくりお話をさせていただきたいというふうに思います。
 私は一九八三年に日銀に入行しましたが、日銀総裁という職務はどなたがおやりになっても大変難しい仕事だと思います。そして、任期が五年間でありますので、その五年間何事もなく順調に任期を終えるということも、それは運、不運の問題としてなかなか容易なことではないというふうに思います。五年というと景気循環のワンサイクルをもう超えていますので、その間には、当然成果を上げられる点もありますが、その後の課題として残していくものもあろうかと思います。
 端的な例が、私も三十代の頃でしたが、三重野総裁の時代は、バブルを是正するという意味においては、平成の鬼平ということで大変喝采を浴びました。しかし、御本人の意図とは別の運、不運の問題として、少し引締めがきつ過ぎたのではないかというふうに後世言われている面もあります。
 このように、日銀総裁というお立場は、どの時点で日本の経済や金融政策を評価するかによってその評価の仕方も変わってくる大変難しい職務だというふうに思っておりますので、その重責を担われておられることに関しては心から敬意を表したいと思います。
 そういう中で、二年、二倍、二%というこのキャッチフレーズで異次元緩和をスタートされた黒田総裁におかれては、まずは、今、西田委員もおっしゃいましたが、過度の円高を是正し、そして輸出企業の業績も上がり、輸出企業を中心に株価も上がったと、ここはもう率直に評価をしなければならない点だと思いますし、ここまでのその動きについてはお見事というふうに申し上げたいというふうに思います。経済政策は結果が全てでございますので、率直にそう申し上げたいと思います。
 ただし、やはりそれと同時に新たな課題も出てきていることは、委員の皆様方も総裁御自身も多分御同意いただけると思います。今の西田委員の御質問の中にもいろいろと課題が示されておりました。
 そこで、まず総裁にお伺いしたいのは、成果を上げた部分はもう十分御評価申し上げつつ、現下の経済情勢に関して、それでは今後の課題となりそうなデメリットとして今出てきていること、異次元緩和のスタート時には想定していなかった要素としてどのようなことをお感じになっておられますか。
○参考人(黒田東彦君) 委員御案内のとおり、経済情勢というのはなかなか想定外のことがいろいろ起こるわけでありまして、そういう意味では、非常に重要なことは、そういったことを踏まえつつ、いかに適切な経済政策を行っていくかということになろうと思います。
 そういう前提の下で申し上げますと、全体としては、我が国経済が緩やかな回復基調をたどって、需給ギャップも改善し、予想物価上昇率も上昇して基調的な物価上昇率が高まっていくという大きな姿はある意味で想定していたとおりだと思いますが、しかし、例えば昨年夏以降の原油価格の大幅な下落というものは、これは私どもも想定しておりませんでしたし、恐らく多くの方も想定しておらなかったと思いますけれども、その結果として消費者物価の前年比の上昇率はかなり低下してきております。当面、更に低下する可能性があるというふうに思っております。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、昨年十月に量的・質的金融緩和の拡大を行ったということもありまして、これまでのところ予想物価上昇率など物価の基調に大きな変化は生じていないようでありますので、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提に立ちますと、原油価格下落の影響が剥落するに伴って消費者物価の前年比は伸び率を高めていくのではないかというふうに見ております。
 ただ、委員まさに御指摘のとおり、いろいろな、直接的に大きな今影響を与えているというわけではありませんけれども、例えば地政学的リスクなども世界経済の動きには大きな影響を与え得るわけでございますし、予想を超えるようなこともこれまでもありましたし、今後もあり得ると思いますので、そういった事態には十分対処していけるように、常時、金融政策決定会合において経済、金融の状況をつぶさに点検して適切な金融政策を行ってまいりたいというふうに思っております。
○大塚耕平君 総裁は本当に有能な方だと私思っておりますので、是非、想定問答があることは十分承知しておりますけれども、的確に質疑がかみ合うような形で御答弁いただきたいと思います。お読みにならなくても、もうあちらこちらで講演もしておられますし国会でも答弁しておられますので、多分多くの議員やあるいは経済界の方もお聞きになりたいと思う点を中心に聞かせていただいております。
 今私は、就任時、異次元緩和スタート時には想定していなかった経済事象やデメリットとしてはどういうことがおありになりますかというふうにお伺いしたわけです。そうすると、原油価格の下落のことを今おっしゃいました。そうすると、それは、今日質問通告の中にもあるほかの質問ですが、じゃ、去年の十月の異次元緩和の第二弾の目的は何だったのかということに多分通ずると思いますので、多分、その質問をしても原油価格の下落に対応したというお答えになると思うんですね。ところが、私は今、デメリットとして何かということをお伺いしたんですが、原油価格の下落というのは日本経済にとっては大変なメリットの部分もあるんです。
 ということは、去年の異次元緩和第二弾をおやりになるときに、原油価格のメリットの部分と、それから、確かに二%の達成には障害になりますので、そのデメリットの部分を定量的に日銀として把握をして、これは異次元緩和の第二弾をしなければデメリットの方が大きくなるので異次元緩和の第二弾をするんだという、そういう対外的な説明責任を果たせるような分析をした上での第二弾だったんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) まさに、昨年十月末の追加緩和を決めた際は、相当いろいろな議論がございました。
 これはその後の議事要旨で公表されておるとおりでありますけれども、何と申しましても、昨年の夏場以降、消費税率引上げの需要面での弱めの動きといったことと原油価格が大幅に下落したということを受けて、実際の消費者物価上昇率もどんどん下がってきていたわけですが、そういうことが物価上昇期待、あるいはその先には、当然ですけど、賃金とか企業の価格設定行動も含めてデフレマインドの転換というものが遅延するリスクがあるということで、そのリスクに、英語で言うとプリエンプティブというんでしょうか、に対応するということで量的・質的金融緩和を拡大したわけであります。そのときに、それに対しては当然いろんな議論がありまして、石油価格が下落して足下で物価上昇率が下がっても、いずれ上がっていくからここで更に追加的な措置をとる必要はないのではないかという議論もありました。
 そういうことの結果、多数意見で拡大ということが決まったわけですが、原油価格の下落は、委員御指摘のとおり、日本経済にとって大きなプラスになることは間違いないと思います。ただ、その下で、日本の場合は米国の場合と違いまして、米国の場合は、よく言われていますように、二%の物価安定目標の周りに物価上昇期待がかなりアンカーされていると。それに対して日本の場合は、九八年以来十五年続いたデフレの下で物価上昇期待がゼロないし若干のマイナスのところにあったものを、だんだんだんだんこの二%に向けて引き上げていく過程にあったために、足下で大幅に物価が下がっていくと、これは、消費税の影響もあったでしょうし原油価格の大幅な下落の影響もあったと思いますけれども、そういったことで、物価上昇期待等に影響が出るおそれがあったために、それに事前に対応しようということで決まったわけでして、いろんな御意見が政策委員会の中でもありまして、かなり激しい議論を闘わせた結果としてこういう決定がなされたということであります。
○大塚耕平君 私の質問は、聞いていただいている委員の皆さんは御理解いただいていると思いますので、両論あったという説明はいただきましたが、定量的な分析をしたのかというのが私の質問でございます。
 日本銀行総裁及び日本銀行というのは大変重い職責を担われるポストと組織であり、だからこそ、それに見合う地位と名誉が保障されているわけであります。
 委員長にお願いします。
 去年の異次元緩和第二弾の理由は、原油価格の下落に伴うデフレマインドの解消が遅れるかもしれないということに対応したというふうに言っておられるわけですので、原油価格下落のメリットとデフレマインドの解消が遅延することのデメリットの定量的な比較というのは日銀の中で行われてしかるべきものだと思いますので、そのような資料の提出を委員会として求めていただきたいと思います。
○委員長(古川俊治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○大塚耕平君 それでは、次の質問に移らせていただきますが、総裁、改めてですが、デフレの定義を聞かせてください。
○参考人(黒田東彦君) 通常、経済学者の方々は持続的な物価の下落というようなことでおっしゃっていると思いますけれども、私どもとして、具体的な目標というものは、二%の物価安定目標を実現し、それを安定的に持続するということでありまして、その意味ではまだ道半ばであるということになると思います。
 デフレの定義についてはいろんな御議論があろうと思いますけれども、私どもの金融政策に関して言えば、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現し、それを安定的に持続するということに尽きると思います。
○大塚耕平君 珍しくかみ合わないので残念なんですが、デフレは持続的な物価下落でありますので、私が申し上げたいのは、従来から日銀が言っていた、あるいは政府も言っていたデフレの定義からすると既にデフレではないかもしれないと。そういう中で今の政策を続けて、この政策が効果があるかどうかということなんですが、今日、総裁が御就任以降の展望レポートの二〇一五年度の物価の見通し、ホームページから打ち出して持ってきました。
 二〇一三年四月には、消費税の引上げの影響を除くベースで一・九、二〇一五年度ですよ。十月にはやはり一・九、そして去年の四月にはやはり一・九、そして去年の十月は一・七、そして今年の一月に見直されて一・〇になったわけですね。
 そうすると、円安になった、輸出企業の業績が良くなった、株価が上がった、ここは御評価申し上げています。ただし、黒田総裁がターゲットにしておられる本丸は、マネタリーベースを二倍にするということは現に行われたんですけれども、結局、二〇一三年の四月以降、見通しは一・九、一・九、一・九、一・七、一・〇というふうに下がったわけですね。ということは、今のこの政策はターゲットとしておられる消費者物価にはもうもはや効果がなくなってきているし、古典的な意味での、あるいは従来からおっしゃっておられた意味でのデフレではない状況になってきたかもしれないので、そろそろ方向転換をお考えになってもいいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この点はいろいろな議論があることであるとは思いますが、私ども政策委員会で議論しておる中で基本的におおむね一致している方向としては、ちなみに、今委員が指摘された数字は政策委員会のメンバーの見通しの中央値を示しているわけで、その幅も同時に公表されておりますけれども、委員のそういった見方の基本は先ほど申し上げたとおりで、足下、特にこの二〇一四、一五年度、特に一五年度の見通しが大きく下落した背景には、消費税引上げ後の消費の弱さ、そして、なかんずく昨年夏以降の大幅な石油価格の下落といったもので物価の足下の状況が下押し圧力で変わってきているということでありまして、緩やかな景気の回復といった状況の下で需給ギャップが改善し、そして予想物価上昇率も、いろんな指標によって違いますけれども、おおむね中長期のものは維持されているということでありますので、足下の見通しは、そういうことで、主として原油価格の下落によって下方に修正されておりますけれども、これまでの政策あるいは現在の政策が効果がない、あるいは効果がなかった、あるいは変えるべきだというような意見は、ほとんどというか全く政策委員会ではありませんでした。
○大塚耕平君 私の意見に対しては、そういうふうには思わないという今お答えだったわけでありますが、それはそれで、政策の御担当責任者として意見が違うのは別に構わないと思います。
 ただし、私なりに説明を付加させていただくと、一・九、一・九、一・九、一・七に下がるところは、これは原油価格の下落の影響が今ほどは出ていなかった中で一・七に現に下がっているわけですね。そして、その原油価格の下落の影響を打ち消すために異次元緩和の第二弾をおやりになったけれども、今年の一月に更に一・〇に下がったということですよね。
 だから、そのことは今の御説明とは若干矛盾するところがあるということを御指摘申し上げた上で、それでは、総裁は一五年度を中心とする期間において二%の目標を達成するという今の方針は変えないということを今おっしゃったわけですから、お手元に物価安定目標の達成時期に関するコミットメントの変遷というのを作らせていただきました。
 まず、一番上の、二〇一三年の四月四日、政策決定会合声明文、このときの二年程度の期間の二年程度というのは何年度と何年度のことを想定しておられたんですか。
○参考人(黒田東彦君) これは、そのときの議論が、これも議事概要で公表されておりますけれども、二年程度というのはまさに二年程度であって、ピンポイントしてこの期間というようなことをきっちり決めたわけではございません。あくまでも二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定目標を実現するということのために必要な措置をとったということであります。
○大塚耕平君 これは今日議事録に残していただくように委員長と理事にお願いしていますので、詳細は、今、委員会の模様をインターネットなんかで御覧いただいている方も議事録で御確認いただきたいと思うんですが、したがって詳細は読み上げませんが、一番、スタートの時点は二年程度の期間、そして三番を見ていただくと、二〇一五年度には二%の近傍で推移するところに達すると言っておられ、それがだんだんだんだん表現が変わってきて、直近では、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性があると言いつつ、かつ、原油価格の動向によって多少前後する可能性があると、こういう説明ぶりになっているんですね。
 二〇一六年度末までこの二〇一五年度を中心とする期間には入っているというふうに理解していいですか。二〇一六年度末まで入っていると理解していいですか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年の四月四日の政策決定会合の声明文にあります二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するという、これはまさにコミットメントでありまして、それは引き続き維持されております。それは累次の政策決定会合の議論あるいは声明文等でも変わっておりません。
 他方、その下で実際に行っている政策の結果として物価がどのように動いていくかという見通しにつきましては、これもほとんど変わっておりませんけれども、足下の非常にいろんな状況で物価上昇率が上昇しているときはかなり早めに実現するかなという見通しになりますし、また、原油価格が大きく下落して二%に達する時期がそう簡単ではないということになってきた場合の見通しもまた若干変わっているということは事実であります。
 二〇一四年、昨年の四月には、御案内のとおり、生鮮食品を除く消費者物価総合指数で一・五%まで、これは消費税の直接的影響の一・七%分を除いてですが、トレンドとして一・五%まで達していたわけでございます。そうした下で見通しを委員の方に立てていただいて、その中央値を発表しておりますが、そういう見通しは経済のその足下の状況で少しずつ変わっているということは事実であります。
 ただ、二年程度……
○委員長(古川俊治君) 黒田総裁、できるだけ御質問に的確にお答えいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) はい。
 二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現するというコミットメントは一貫して変わっておりません。(発言する者あり)
○委員長(古川俊治君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(古川俊治君) 速記を起こしてください。
○大塚耕平君 総裁、これは党派の問題じゃないんです。二〇一六年度末まで、総裁が今方針を変えるつもりのないと言った目標を追求するために今の政策を続けるかどうかという、これは日本国全体にとって物すごく大きな話だからお伺いしているんです。
 だから、今だんだんそのコミットメントは逃げ水のように少しずつ後ろにずれているんですが、二〇一五年度を中心とする期間というのは二〇一六年度末までを含むかどうかということを聞いていますので、含むのか、含まないのか、まだ決めていないのか、二択とは言いません、三択でお答えください。
○参考人(黒田東彦君) 政策委員会の見通しの中央値を御覧になっていただきますとお分かりいただけると思いますが、二〇一六年度の政策委員の見通しは消費者物価上昇率二・二%となっております。
 したがいまして、どういう年度内の動きを前提にしているかは分かりませんが、二〇一六年度末までには当然二%になっているというのが委員の見通しであると言えます。
○大塚耕平君 しかし、そこまで今の政策を続けるといろいろ、目指すメリットも分からないではないけれど、デメリットもかなり大きくなるかもしれないということを何点かやり取りをさせていただきたいと思います。
 まず、もう日銀は事実上ゼロ金利状態を二十年近く続けているわけでありますが、数字を御用意いただいたと思いますが、例えば九一年や九三年頃の金利の状態がノーマルだとした場合に、その想定の下でどのくらいの国民の想定獲得利子が既に逸失されているかという数字を、数字だけ是非お答えください。
○参考人(黒田東彦君) 国民経済計算による家計の受取利子額を用いて試算いたしますと、九一年における受取利子額三十八兆円がその後二〇一三年まで継続したと仮定した場合と実際の受取利子額との差は、累計で五百七十五兆円となります。
 また、九三年における受取利子額二十九兆円がその後二〇一三年まで継続したと仮定した場合との比較で見ますと、累計で約三百八十四兆円になります。
○大塚耕平君 あくまで計算上の話なんですが、先日、私は予算委員会で、とうとう日本の家計の貯蓄率がマイナスになったという話をさせていただいて、総裁も聞いていただいたと思います。
 今おっしゃった数字、つまり、家計の貯蓄率がピークの頃からマイナスになるまで、この間に家計が失ったと計算上仮定できる想定利子収入は三百兆、そしてその三百兆が、正確に数字は申し上げませんが、企業の内部留保として今、まあ計算の仕方にもよりますが約三百兆、この間に国債の増加額も約三百兆、非常に大ざっぱに言うと数字がぴったり合うんですね。家計がこれまで政府の言わば資金繰りと企業の設備投資の資金繰りを付けていた部分が、そのまま貯蓄過剰の部分は企業部門に移り変わって、その企業部門がそのまま国債を買っているという、この構図をいつまで続けるのかということが一つ大きな問題なんですね。今のは、私、デメリットの一つだと思います。
 それから、デメリットの二点は、為替が円安になったのはいいことなんですけれども、家計の金融資産千五百兆円、一ドル八十円換算だと十八兆七千五百億ドルですけれども、百二十円換算だと十二兆五千億ドル、つまり六兆二千五百億ドル国富が減少したという、これは計算上の話であります。これを一ドル百二十円換算で計算すると七百五十兆円ですからね。それはそうです、為替が円安に、一・五倍になったわけだから国富が半分失われたというのは、計算上そうなるのは御理解いただけると思いますが、これも、過ぎたるは及ばざるがごとしでデメリットだと思います。
 それから、デメリットの三点。先ほど、融資をなかなかしない金融機関はいかがなものかと西田委員からも御指摘がありました。日銀は、今の政策の手段の一つとして、金融機関が超過準備を持つことになるのでその超過準備に利息を付けるという付利を数年前から始めたんですが、これまでの間、既に超過準備に付利された、つまり金融機関が受け取った利子収入は幾らでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 超過準備に対する付利を開始したのは二〇〇八年の十一月でありまして、それ以降、二〇一四年度上期までで日本銀行が支払った利息の総計は約二千二百五十六億円であります。
○大塚耕平君 金融政策上の結果を反映したことだとは言いつつも、労せずして二千五百億円近い利益が金融機関に出れば、一生懸命与信先を指導して、与信先と一緒に与信先が発展することを目指そうというモチベーションは落ちますよね、金融界としては。これもデメリットです。
 一番大きなデメリットは、やはり国債市場に対する将来への影響であります。
 これ総裁、二〇一六年度末まで目標を変えずに今のマネタリーベースの増加をまだまだ続けるということになると、これをやめるときにはやはり大変なインパクトになろうかと思うんですが、マネタリーベースをGDP比で何%まで持っていくべきかという、そういう見通しとかあるいは腹積もりみたいなことはお考えになりながら運営をしておられるのでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、現在の量的・質的金融緩和は、いつまでというその時期を限っておりませんで、あくまでも二%の物価安定目標を実現し、それを安定的に持続できるようになるまで継続するということになっておりますので、いつの時点でどれだけになるということを具体的に申し上げることはできませんが、バランスシートが既に二〇一五年一月末でGDP比六三・五%になっておりまして、現在の政策を続ければこれが更に拡大していくということは事実であります。
 ただ、どこまで拡大させるべきかとかそういうことは、先ほど申し上げたように、あくまでも二%の物価安定目標の達成、その安定的な持続ということに懸かっているというふうに思います。
○大塚耕平君 アメリカは、GDP比四〇%のところでテーパリングというか今の緩和策、一応軌道修正をし始めました、日本は既に六三・五%ですが。ということは、日銀として、日銀のマネタリーベース、あるいはバランスシートの全体の規模でもいいんですけれども、対GDP比でアメリカは四〇%で方向転換した、今総裁おっしゃったように日本は既に六三・五%、特段シーリングは設けていないということですね。
○参考人(黒田東彦君) 特段シーリングは設けておりません。
○大塚耕平君 そうすると、方向転換が遅れれば遅れるほど国債市場に与える影響は深刻になると思うんですが、方向転換をいずれはしなくてはならないというふうに思っていらっしゃいますか。
○参考人(黒田東彦君) 二%の物価安定目標を実現し、これを安定的に持続できるようになれば、当然、現在の量的・質的金融緩和を続けるということはないわけであります。
○大塚耕平君 委員長にお願いします。
 財務省は、租税収入の月次報告を各議員の皆さんのところにお配りをしていると思います。今や国債市場の動向は国会及び国民の最大関心事項の一つでありますので、財務省と日銀には、各月末に、翌月の国債の償還予定、うち日銀の保有分は幾らで入札予定はいつになっているのか等々の翌月のタイムスケジュールと事実関係を、少なくとも財政金融委員会の委員に対しては、財務省が租税収入の月次のラップを報告しているのと同様に、報告を求めるべきだと思います。
 これは、現下の経済情勢と金融政策のこの状況に鑑みると当然の対応だと思いますので、委員長及び理事の皆さんにお取り計らいをお願い申し上げます。
○委員長(古川俊治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○大塚耕平君 それから、総裁は、今日明らかになったのは、少なくとも二〇一六年度末までは一五年度を中心とする期間に入っていて、引き続き今までの目標を達成するまでは今のやり方を続けるということを今日言明されたわけでありますが、私は反対です。
 ただし、総裁は黒田さんでありますので、総裁がそういうお考えであるならその上でお伺いしますが、総裁はバランスシートの拡大の手段は幾らでもあるということを再三いろんなところで発言しておられますが、どういう手段があるのでしょうか、国債を買うこと以外に。
○参考人(黒田東彦君) 金融資本市場には様々の金融資産がございますので、そういったものを買い上げるという形で金融緩和をしているわけでございますので、そういったことを考えれば様々な手段はあり得るというふうに思っております。
 ただ、足下で現在続けておりますのは、国債の買入れと、金額は大幅に小さいわけですけれども、ETFとJ―REITの買入れということでございます。
○大塚耕平君 幾らでもあるとおっしゃった割には、具体的に出てきたのはETFとJ―REITですが、総裁、中心的に買っておられる国債と今おっしゃったJ―REITやETFとは日銀が持つ資産として根本的な違いがあるということについて、どういう点が根本的な違いだと思われますか。
○参考人(黒田東彦君) 基本的には、国債は債務者が国であると、それからJ―REITやETFは、債務者と申しますか発行者が民間であるということが大きく違います。
 それから、国債の場合は、超長期の場合でも期間が日本の場合は定まっているわけであります。英国のように、コンソル国債のように期限のない国債というのは日本では出ておりませんので、期限があります。ETFやJ―REITにはそういった期限というのは特に定められておりません。
○大塚耕平君 根本的な違いは、私の意見ですけれども、国債は、おっしゃるように、最後の方でおっしゃいましたけれども、コンソル債じゃない限りは償還期限があるから、だから、その償還が来たときにどういう対応をするかによってはバランスシートの規模を落としていけるんですよ。ところが、J―REITとかETFとかは、日銀が自らの意思で売ろうとしない限りはバランスシートは小さくなっていかないんですね。だから、これは根本的な違いだと思うんですよ。
 だから、後のことを考えると、日銀が自らの意思で売るということはよりマーケットに対するインパクトが強いと思いますので、J―REITやETFは自粛するべきだと思いますが、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、ETFやJ―REITの購入額というのは国債の購入額に比べると極めて小さいわけですが、これは、そういった購入によってリスクプレミアムをどのくらい縮小できるかという効果と御指摘のような点も併せて考慮して決めているということであろうと思います。
○大塚耕平君 そうすると、予算委員会の最後の質問のときに、償還期限のある国債のつまり再投資はしないということをお考えになるつもりはありますかとお伺いしたところ、総裁は、それはテーパリングのことだと思いますがとお答えになったんですが、違うんですね。
 テーパリングは、御承知のとおり購入額の増加を少なくしていくということであって、償還時期が来た国債なり証券を補填しない、再投資しないということは、これはアメリカが二〇一一年の出口戦略の第一弾、エグジットワンを公表したときに、出口戦略の一番優先順位の高い、プライオリティーの高い手段として提示したんですが、去年の秋の第二弾のときには、それは四番目に落としたわけですよ。だから私は予算委員会のときにお伺いしたわけで。
 総裁は、今お持ちになっている日銀の国債、順番に償還期限が来ます。だから、さっき申し上げたように、月次の償還計画を我々は知った方がいいというふうに申し上げたんですが、償還が来たものは再投資をしないという方針をどこかの段階で打ち出すお考えはないですか。そうしないと出口戦略難しくなりますよ。
○参考人(黒田東彦君) 米国でテーパリングと言われていますのは、御指摘のとおり、残高を増やさない、増やし方をだんだん減らしていって、最終的にテーパリングが終了した時点で残高を固定したわけです。すなわち、償還分を再投資しているわけでございます、米国の場合は。
 日本が出口について具体的に議論する際にどういう形を取るかというのは、その時々の金融資本市場あるいは経済状況に応じて適切なものを取らなければならないと思いますけれども、その際に、米国が行ったような例えばテーパリングの考え方とか、あるいはその何番目か後の再投資を減らすあるいは停止するといったこと、こういったこともバランスシートの取扱いについての可能性の一つであることは認めますけれども、今の時点でどういった形で量的・質的金融緩和からの出口を、出口戦略をどうするということを具体的に申し上げるのはやはり時期尚早ではないかというふうに思っております。
○大塚耕平君 時期尚早は何度もお伺いしていますが、どういう条件が整えば時期尚早じゃなくなりますか。もう一度お伺いします。
○参考人(黒田東彦君) 米国の場合は米国の考え方でやっておられると思いますが、具体的に米国が出口戦略を議論し始めましたのは、やはりまさに出口に差しかかってくるという状況であります。我が国の場合は、二%の物価安定目標との関係でいいますと道半ばということで、今直ちに出口について議論するというのはやはり時期尚早だと思います。
○大塚耕平君 それでは最後の質問に移らせていただきますが、長期金利、足下少し反転しているんですけれども、そのことに関連して、通告はさせていただいているんですが、私がその質問でお伺いしたかったもう本質をダイレクトにお伺いします。
 総裁は、実質金利をマイナスにするということを念頭に置いて金融政策を運営しておられますか。
○参考人(黒田東彦君) マイナスというのは恐らく結果であろうと思いますけれども、実質金利を下げて投資その他の需要を刺激するというのは、まさに量的・質的金融緩和の主たるチャンネルの一つでありますので、下がった実質金利がマイナスになるということはプラスの場合より効果が大きいと思いますので、それからまた、足下で恐らく実質金利マイナスになっていると思いますので、それは所期の効果を発揮するゆえんであるというふうに思っております。
○大塚耕平君 ということは、足下でマイナスになっているということはこれを是とするという理解でいいですね。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりであります。
○大塚耕平君 いや、ここはやっぱり私は意見が違うところです。
 経済にお詳しい皆さんばかりですから、フィッシャーの方程式からいっても、名目金利イコール実質金利プラス物価上昇率です。私はこの委員会で何度も、この式を実質金利イコールに引き直すと名目金利マイナス物価上昇率なので、実質金利がマイナスになるなんというそんな借り得みたいな話はそれは経済の摂理に合わないので、そうすると、実質金利をプラスに維持するためには、名目金利が低いとデフレというのは結果として起きてしまうかもしれないから、名目金利を余り低くし過ぎるのはいかがなものかということをずっと一貫してもう十数年この委員会で申し上げているんです。
 ところが、そう申し上げてきたんですけれども、今の総裁の御発言を聞いても、やっぱりこれは違う角度から見ておられるなというのは腑に落ちたんですけれども。名目金利イコール実質金利プラス物価上昇率ですから、長期金利が反転すると、これを抑え込むために、やはりオペも今度残存期間の長いのにしましたね。名目金利が低いまま物価上昇率が上がるとどうなるかというと、実質金利がマイナスになりますから、誰が一番得するかというと、大量の債務を抱えている国が得をするわけですよ。実質金利がマイナスになるということは、事実上、国債の保有者や国民に税を課しているのと同じなんですよね。そういうことを実はお考えになっているんじゃないんですか。
○参考人(黒田東彦君) 物価上昇率と名目金利の関係で、実質金利がマイナスになれば債務者にとって債務負担が減少するということはそのとおりであります。
 日本銀行の金融政策は、何度も申し上げているとおり、二%の物価安定目標を実現し、それを安定的に持続させると、そういうことを通じて、まさにいわゆる良循環というかそういうものを実現するのに資するということでありまして、金融政策、委員よく御存じのとおり、引き締めれば、引き締めて金利が上がって実質金利も上がれば、当然、そのときは債権者が得をし債務者が損をすると。逆に、金融を緩和し、実質金利がマイナスにならなくても実質金利が下がっていけば、当然、債務者が得をし債権者が損をするということになりますけれども、それはあくまでも、そういう債権者、債務者の損得を実現しようということではなくて、景気が過熱し、行き過ぎている、インフレになるというときには金融を引き締める、逆のときには緩和するということでございます。
○大塚耕平君 今日は、途中からは総裁の率直な御発言も幾つかお伺いできたとは思いますが、もうあと二分ですので、繰り返し私の思いと懸念を申し上げて終わりにさせていただきますが、総裁、日銀総裁という職務は本当に大変な職務であられるということを十分理解しておりますし、総裁はこの前半で大変大きな成果を上げられたということはもう十分私も御評価申し上げますし、敬意を表します。
 しかし、五年間という長い任期の間、プラスばかりで終わった総裁は恐らく、私の入行したときは前川総裁でしたけれども、前川総裁までは経済全体が右上がりでしたからプラスばかりの時期もあったと思いますが、それ以降の総裁は、皆さん、成果を上げると同時に御本人が意図せざる大きな課題や禍根を残してお辞めになっていっているのではないかと私は思っております。
 したがって、総裁は今年秋になるともう任期折り返しであります。前半は為替を通じて所期の、ないしは想定外の効果を上げられたと思いますが、西田委員までもが今日お伺いすると少しいろんな御懸念を持ち始めているわけでありますので、これは、議会のこの議論、金融政策は余り党派色ありませんからね、我々が何を心配しているのかということを十分にそしゃくをしていただいて、引き続き、誤りなき対応と国会に対して明確な説明責任を果たしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 私の方からは、問題意識として最初に申し上げたいと思いますが、原油価格について今日お聞きしたいと思っております。
 原油価格が、今まで原油百ドル時代と言われる時代がしばらく続きましたけれども、昨年六月以降でしょうか、急落をいたしまして、この原油百ドル時代を、象徴的に申し上げれば原油五十ドル時代に突入しているのではないか、その可能性があるのではないかというふうに見ております。
 しかし、そうはいいながら、日々の価格はいろいろ上下いたしまして、この原油五十ドル時代に、もしその新たな価格体系に移行しているというのであれば、その新たな価格体系の下での金融政策あるいは物価目標というものは、また新たな色彩を持っていかなければかえって日本経済にマイナスになってしまうのではないかというふうに私は問題意識として持っております。
 そこで、今日は原油価格の昨今の下落についてどのように見るかということをまずお聞きしたいと思います。もちろん、価格ですから需給がございますが、供給の面から申し上げましても、注目されておりましたアメリカのオイルリグでありますが、昨年九月には千九百三十基ございましたが、二月二十日現在では一千三百十基へ三二%減少しておりますが、コストの高いリグの生産を停止し、低コストのリグについては生産を拡大をしている。つまり、米国は原油を増産をしている、今も続いているということであります。
 サウジアラビアのサルマン新国王も従来の路線を踏襲するというふうに伝えられておりまして、一言で申し上げますと、サウジとアメリカは産油量世界一の座をめぐってシェア争いを展開し、ロシアも増産を続けていると。こういう中で、民間の金融機関では原油二十ドル説を唱えるところも出てきていると。一方で、地政学的なリスクがあって反騰するのではないかという見方が様々あるのは事実かと思います。
 そこでまず、日銀としての原油の今の下落についてどのように見通されておられるのか、お聞きしたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 原油価格下落、最近の動向の背景につきましては、需要供給面で様々な要因が今先生御指摘にもございましたとおりありますので、なかなかこれと特定することが難しいわけでございますが、ただ、昨年後半の非常に急激な原油価格の低下ということを考えますと、その間、世界の景気が非常に落ち込んで原油に対する需要が大幅に減退したということはやはり考えにくいということですので、やはりマーケット等でも、今御指摘のありましたようなシェールオイルの問題ですとか、あるいは産油国の生産姿勢といった供給面の影響が大きいという見方が多いように理解してございます。
 ただ、先行きでございますが、私ども、原油の予想というのは、今御指摘ありましたとおり、非常に需要供給、多々の要因がございますので難しゅうございます。
 私ども、展望レポートで日本経済の物価、経済の見通しを議論します場合には、言わば作業仮説といたしまして、現在の原油市場の先物価格の動向を参考にいたしまして、足下五十五ドルを前提に、先物価格が先行きちょっと上がっている格好になっていますので徐々に上がるということを前提に、そうしたパスを想定して物価・経済見通しを議論してございますけれども、あくまでこれは作業仮説でございまして、政策運営としては、原油価格の変動が世界経済あるいは我が国の経済、物価に与える影響をつぶさに点検しながら適切に対応するということになるかというふうに存じます。
○西田実仁君 過去の経験からいたしますと、原油価格が高騰し、その後急落をするという後には、新しい均衡価格というものを見出すまでにマーケット、二年ぐらい掛けているという傾向があろうかと思うんです。
 今回も、そういう意味では、百ドルから五十まで下がって、多少、今の日銀展望レポートでは七十ぐらいに年度後半に向けて上がっていくという想定というふうに記されておりますけれども、実際、もし今の原油価格、足下の原油価格が続いた場合に、消費者物価に対してどのような影響を持つのかということをお聞きしたいと思います。
 過去五年間、百ドル前後で推移しておりました原油価格が、昨年六月までの、それまでの一年間の原油価格に比べますと、WTI、ドバイ原油平均のドルベースで約五割、円換算で約四割下落をしているわけであります。仮に現在の原油価格の水準が続き、石炭、原油、天然ガス合計の契約通貨建て燃料輸入価格も原油価格に連動するというふうに想定、仮定をいたしますと、生鮮食品を除く消費者物価に占めるエネルギー比率というのは今八%でございますので、消費者物価は単純に言うと三・二%ぐらい下落するということになるわけでありまして、さらに、国際商品価格も下がっておりますからもっと下がってくるというふうに考えるのが自然体の考え方になってくるのではないかと思いますが、あえて日銀の、この現在の原油価格の水準が続いた場合に消費者物価にどのような影響を与えると見ているのかをお聞きしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のような、現在の価格がそのまま一年あるいは二年続いたらといった場合の物価見通しに対する影響というものは、試算しておりませんので具体的にはお答えできませんけれども、定性的に申し上げますと、原油価格が現在の水準で一定であるということであれば、もとより経済、景気に対しては非常に大きなプラスになりますので、足下で消費者物価上昇率が縮小していくということはあったとしても、長い目で見ますと、経済活動へのプラスの影響から次第に物価押し上げ圧力になっていくだろうと。
 それから、これは統計的な話ですけれども、同じ価格で推移すれば、十二か月たてばもう下落というものの影響はなくなるわけですね。
 ですから、委員御指摘のような計算はしておりませんが、もちろん緩やかに上がっていくという前提よりも更に物価上昇率が上がっていく、タイミングはずれると思いますけれども、今の水準で固定した場合にずっと物価上昇率が低いままいるということにはならないというふうに思います。
○西田実仁君 これは私が言うまでもありませんが、金融政策も財政も、当然ですけれども、いかにして暮らしを良くしていくのかということに目的があるわけであります。
 原油下落というのは、先ほど総裁もおっしゃったように、言ってみれば三十年ぶりの日本経済にとってのボーナスなわけですね。これをいかに経済全体に生かしていくのかということが一番大事なことであろうかというふうに思います。
 そのためにどうするかということで、私は、先ほど申し上げましたこの原油下落というのが一時的なものではなくて、新たな価格体系に移行していくという可能性も当然あるわけですから、もしそうであるならば、それをいかにして金融政策にも反映させていくのかということが大事になっていくわけであります。
 申し上げたいのは、この物価目標の二%、先ほど来いろいろ議論がございますけれども、物価目標が大事なのではなくて、私たちの暮らしがいかにして良くなるのかということが大事なわけでありますから。私は、いろいろ目標を立てられているかもしれませんが、これは原油が百ドル時代のときに立てた目標でありますから、今はもう価格体系そのものが移行しているというのであればこれは変えないと、変えるのが難しければ弾力化していくという、そういう柔軟な姿勢が必要ではないか。
 現に、今日総裁が読み上げましたこの文章も、ただし書の後に、原油価格の動向で二%に達する時期が多少前後する可能性がある点は留意しておくべきだと、まさにこのとおりで、多少というか何というかは別ですけれども。この物価目標二%を、余り機械的にそれを突き詰めていくと、かえって、私自身は、経済に対してゆがみを生じて、一部の人は潤うけれども多くの人が損をするということに、せっかくのこのボーナスが生かされないのではないかというような懸念を持っております。
 一昨日、アメリカのFEDのイエレン議長も言われましたけれども、アメリカは大変柔軟に目標についても取り組んでいるという印象をこの発言からも受け止めております。是非、この物価目標の弾力化というか、弾力化という表現が適切でなければ、ここにあるこのただし書のようなところをきちんと実行してもらうことが経済にとってよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 物価安定目標の二%自体につきましては、御案内のとおり、消費者物価指数が統計の性質上、上方バイアスがあるということと、もう一つは、今名目金利がゼロという下限を踏まえますと、やはり景気が悪化した場合の金融政策の対応力を確保するという、のり代とも俗に言われますけれども、そういう必要があるということもありまして、両々相まって二%というものが、実は海外の主要中央銀行はほとんどこの消費者物価指数で見て二%の上昇というものを目標としているということであろうと思います。そういった意味では、二%という目標は従来どおり維持していくことが適当であるというふうに思っております。
 なお、物価目標の達成の時期につきましては、従来から二年程度を念頭に置いてできるだけ早期にということでありまして、もちろん一定の弾力性というかフレキシビリティーはあるわけですけれども、いずれ達成できるということでは、日本の場合は特に、長らくデフレが続いて物価上昇期待がゼロ近傍にアンカーされていた状態を変えていく過程にありますので、そこはやはり一定のスピードというか、できるだけ早期に達成するという必要はあるとは思いますが、委員御指摘の点も十分配慮しながら、適切にこの二%の物価安定目標を達成してまいりたいと思っております。
○西田実仁君 三十年ぶりのボーナスと申し上げましたけれども、一九八四年にOPECのカルテルが崩壊して三十ドルから十五ドルになるという、こういうことというのはしょっちゅうあるわけじゃありません。せっかくこのボーナスが日本経済に今もたらされようとしているわけでありますから、これをいかに享受するようにできるのかというときには、今の物価目標という金融政策と同時に為替の問題も大変重要に当然なってくるわけですね、輸入しているわけですから。為替が過度に行き過ぎた円安になってしまえば、これはせっかくの原油下落というメリットが得られなくなってしまうということでございます。
 これは、日本経済にとってはそういうことですけれども、世界経済にとりましても、やはりこの原油下落ということはいろんな意味で、例えば産油国を始めとした新興国に対しても大きな影響があります。為替の引下げ競争というふうなことも、そういう様相を呈してくる懸念も高まっているわけでありまして、私自身は、円が余りにも行き過ぎた評価、過小評価をされて国際不均衡が拡大をするということがないようにするためにも、アメリカ、日本あるいは欧州の日米欧の三極で為替を安定させていくというような、そういう合意づくりも必要ではないかというふうに思いますけれども、総裁はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、為替政策は財務大臣の所管でありまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますが、金融政策につきましては、各国の中央銀行がそれぞれの経済・物価情勢を踏まえて、物価の安定というマンデートに沿って適切に運営するということが基本的な考え方であり、G20においても従来からこうした方針が確認されておりますので、こういった方針に従って適切に運営してまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 先ほどもお話がございました家計貯蓄率の話を金融政策の面からお聞きしたいと思います。
 日本の家計貯蓄率が二〇一三年度、初めてマイナスに転じたということで、マイナスの三兆七千五百億円と。企業の貯蓄は三十二兆六千億ということで、金融機関は五兆九千億の黒字、政府は三十兆七千億円の赤字ということで、政府の借金が企業によって賄われているという全体の構図になっております。
 八六年のあの前川レポートで、日本の貿易黒字を縮小していく、そして貯蓄から消費へということが随分うたわれて、三十年近くたってどうなったかというと、アメリカと日本の貯蓄率がまさに逆転をして、日本はマイナスの一・三%、アメリカはプラスの四・五%という、こういう実態に今なっているわけでございます。
 もちろん、このマイナスの家計貯蓄率自体は、マクロ的には法人企業の過剰貯蓄が家計に代わって政府の不足分をカバーしているということだけ見れば、経済運営上問題はないというふうにも言えるかもしれません。また、先ほどの実質マイナス金利という状態であれば、家計からすれば貯蓄を取り崩して消費に回すということが合理的だという面もあるかもしれません。
 しかし、ここで私が申し上げたいのは、家計が生活のために貯蓄を切り崩さなければならない、取り崩さなければならないという状態を金融政策をつかさどる日銀としてどのように見るのかという視点が大変私は大事だというふうに思ってございます。この異次元緩和というのは、まさにいろんな成果を大きく上げて、先ほど大塚議員からも評価いただいていたぐらいに大成功だったという面が多々あると思います。
 でありますので、これからは、家計貯蓄率を正常化していくためにも金融の出口戦略をなるべく早く公表いただいて、実質プラス金利への道筋を明示して、失われた利子収入、先ほどございました、それを回復させることで国民の皆様方の不満を解消していくと、こういう金融政策も必要ではないかというふうに私は考えておりますが、最後に総裁の御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、二〇一三年度の家計貯蓄率がマイナスになったわけですが、これは消費税率引上げ前の駆け込み消費による分があると思いますので、恒常的にマイナスになったわけではないと思いますが、いずれにしても、委員御指摘のとおり、家計貯蓄率は趨勢的に低下してきております。これは、ある意味でいいますと、人口の高齢化ということで、個人のライフサイクルを見ますと、若いときに仕事をして貯蓄して、高齢化してリタイアした後に貯蓄を取り崩すということが起こりますので、高齢者の割合が大きくなりますとマクロ的な貯蓄率は低下していくという傾向にあります。
 したがいまして、ある意味では、このマクロ的な家計貯蓄率の低下というのは人口の高齢化による趨勢的なものであろうと思いますが、御指摘の点につきましては、やはり家計所得が増加して、それが個人消費の増加につながるということが重要であるというふうに私どもも思っておりまして、そういう意味で、所得から消費へという良循環が続くということがやはり経済にとっても家計にとっても最も好ましいことであろうというふうに思っております。
○西田実仁君 終わります。
○藤巻健史君 維新の党の藤巻です。よろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事若林健太君着席〕
 昨日、参議院で国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会というのがありまして、日銀の量的金融緩和とその効果について、三人の方、日銀OBの方からヒアリングをしたんですね。岩田元副総裁、早川元理事、そして菅野調査局参事ですかね、その三人のOBの方からヒアリングを受けまして、かなり強烈なプレゼンテーションだったと思うんですね。
 私がかねてから主張している危惧、アベノミクスというか量的緩和のリスクについてかなり明確に三人とも指摘されたと思います。できましたら、マスコミの方にしろ政治家の方も、昨日の三人のプレゼンテーションを是非読んでいただきたいし、総裁も読んでいただきたい。まあ総裁は読まなくてもきっとそのリスク、自分ではお分かりだと思っていますけれども、是非読んでいただきたいと思っています。
 そのリスクなんですけれども、先ほど大塚議員の方から、量的緩和の評価というのは非常に今まではいいという発言がありましたけれども、昨日の発言ではやはり事後的に評価されるものだということで、今良くても、出口をきちんと出られればそれは非常にいいけれども、出口で失敗すると国民の負担が物すごく大きくなって大失敗になるという発言、まさにそのとおりだと思っております。その三人とも出口のリスクについてお話しになっていたんですが、その出口を失敗すると、ある参考人の方は国家的リスクが生じるとおっしゃっていたわけですね。
 これはどういうことかというと、最終的な出口、皆さん同じことをおっしゃっているわけですよ。私も、自分の本にも書きましたけど、最終的出口なんというのはもうみんな明確に分かっているわけです。その三人のOBの方も分かっていますよ。総裁が時期尚早とおっしゃっていますけど、みんな出口はこれしかないと、最終的な出口はこれしかないと思っている。それは、基本的にアメリカのFEDがやっているのと同じように、当座預金に付利していくことなんですね。当座預金に付利するということ。
   〔理事若林健太君退席、委員長着席〕
 アメリカの場合は、アメリカのTボンド、十年物でも昨日は一・九七ぐらいですけど、大体基本的に三%ありましたし、モーゲージバックセキュリティーはもっと金利高いですから、かなり利回りの高い資産をたくさん持っているわけです。ですから、FRBの負債サイドの当座預金の利上げをしていってもそれなりにバッファーがあるわけですよ。たくさんのもうけがあって、支払をやっても大丈夫。
 でも、日銀の場合は、私この前の、前の前だったかな、財政金融委員会で聞きました。この場で聞きましたけれども、日銀の持っている資産、去年の九月末では〇・四八一%なんですよ。極めて低い。それから、これから八十兆円毎年買っていく、今の国債の十年債は〇・三三ですから、もっと利回り低くなっていっちゃうわけですね。ほとんど収入ないのに当座預金の金利を上げていったらば、すぐ赤字垂れ流し、債務超過、日銀倒産の、まあ倒産かどこまで行くかどうか分かりませんけど、そういうリスクがあるわけですね。べらぼうに大きいとある参考人の方は言っていました。FRBに比べればべらぼうに大きいというときにどうなるか、これはもう大変なリスクだと思うんですね。
 その三人の参考人の方、いろいろ対処法を言っていましたよ、財務省と最初からこう、赤字を補填するとか。そんなものをしたって、今、日銀が財務省を助けていて、国を助けて、それで日銀がおかしくなったら財務省が助けるなんといったら本当にイタチごっこみたいになるので、そんなものは全然信用しないし、あとのお二人の方のそれをどうやって対処するかということに関しては、マーケットの信頼をなくさないようにコミュニケーションを密にして何とかするなんという、そんなものはマーケットの参加者からいえば、そんなものを信じるわけないですよ。日銀が赤字垂れ流しになったらばとんでもないことになっちゃうんです。金利は暴騰する、円大暴落ですよ。
 というような、最終的にはそんなような、物すごい国家的リスクとある方がおっしゃったようなリスクが存在するんですが、今日は、その前の段階、そういう最終段階に行く前の段階についてお聞きしたいと思うんです。
 その最終段階に行くまでにかなり高い道のりがあるので、それは当然そのことをいずれ私は質問するつもりなんですけれども、それはまだ時期尚早なので、その前の段階についてお聞きしたいと思うんですが、それはどういうことかというと、まず、日銀は資産の膨張を止められるか。アメリカの場合には十月二十九日にテーパリングで資産の膨張をやめましたけれども、日銀は資産の膨張をやめられるのかということを今日はお聞きしたいと思います。
 それは最終的な利上げの前段階なわけですよね。資産の膨張を続ける、要するに、どんどんどんどん国債を買い続けていれば、お金をどんどん町の中に供給しているわけですから、お金を供給しながら利上げをするなんということは、これは不可能ですから、まず国債の購入をやめるのが第一前提となりますが、その国債の購入をやめることができるのかどうか、日銀ができるのかどうかについて今日はお聞きしたいと思っています。
 それは、一九九八年の十二月に資金運用部ショックというのがありましたけれども、それと対比しながらまず考えてみたいんですが、資金運用部ショック、これは九八年の十二月だったと思いますが、宮澤蔵相が資金運用部がもう国債の買い切りをしないと発言されたわけです。別に売るんじゃないですよ、購入をやめると言っただけで長期国債が〇・六から二・四まで跳ね上がった、国債は暴落したわけです。その後、余りにも日銀と大蔵省、当時の大蔵省が慌てまして、やっぱり国債買うのを続けますよ、国債買取り停止をやめましたよということで、国債買取りを続けたゆえに二・四で止まったんですけれども、あのときに本当に大蔵省の資金運用部が国債の購入をやめていたら大暴落したと思うんですね。
 その前提のことでお聞きしたいんですが、まず、一九九七年度と九八年度の国債発行額、新規国債と借換債を合わせた国債発行額と、そのときに大蔵省資金運用部、今話題にしました資金運用部がどのくらい買っていたのか、その数字だけ教えていただければと思います。
○政府参考人(藤城眞君) 九七年度の国債発行額でございますが、新規国債が約十八・四兆円、借換債が三十一・四兆円、合計で約四十九・八兆円でございます。このうち当時の大蔵省資金運用部が直接引き受けました金額は約九・七兆円でございます。また、御指摘の同年度の資金運用部による市中からの既発国債の購入額は約二・四兆円でございます。
 九八年度でございますけれども、こちらの方は、新規国債が約三十三・九兆円、借換債が約四十二・四兆円、合計約七十六・二兆円でございます。このうち資金運用部が直接引き受けました金額は約十五・二兆円でございます。また、同年度の資金運用部による市中からの既発国債の購入額、こちらの方は約二・二兆円でございます。
○藤巻健史君 ということは、資金運用部は約二〇%、発行国債の二〇%を買っていた。その二〇%を買っていた資金運用部が購入をやめたと言うだけで、あれだけの大暴落をしたわけです。
 ここでお聞きしますけれども、今、日銀保有の国債で平成二十七年度に満期になるものが幾らあるかということをお聞きしたいと思います。それはなぜ聞いているかというと、八十兆円買い増すということは、当然のことながら、満期が来た分をロールオーバーして、再度買って、そして八十兆円分買い増さないと減っていっちゃうわけですから、かなりの金額を日銀は購入していると思うんですが、幾らになるか教えていただければと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 本年一月末時点で日本銀行が保有している長期国債のうち、平成二十七年度中に満期が到来する長期国債の額面ベースの金額、これは三十・一兆円でございます。
 先生の次の御質問で、その八十兆円、ネットで増やすためには幾ら買わなければいけないかという御質問でございましたけれども、これは、八十足す三十・一でございますので百十・一兆円ということでございます。
○藤巻健史君 平成二十七年度の国債発行額、百五十四兆円だと思うんですが、そのうちの百十兆円を日銀が買っているわけですね。約七〇%、七一%の国債を日銀が買っているんです。
 二〇%を買っていた資金運用部が購入をやめただけであれだけ暴落したんですが、その七〇%を買っている日銀が購入をやめて長期国債が平穏でいられると思いますか。大暴落すると思いますし、そうなれば円も大暴落と思うんですが、それを承知で日銀は国債購入をやめられるんでしょうか。やめないということであれば、日銀は未来永劫にヘリコプターで紙幣をばらまくということでハイパーインフレは必至だと思うんですが、やめられるかどうか、お答えください。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、出口について具体的に申し上げるのは時期尚早だと思いますけれども、様々な手法によって十分出口の対応はできると考えております。
 なお、購入した国債の取扱いにつきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、米国がテーパリングという形で残高を固定して償還分を再投資していく、それから、将来は再投資をやめて償還に応じて残高が少しずつ減っていくというようなことをオプションとして述べておりますけれども、そういったことも参考になると思いますけれども、具体的に購入した国債をどう取り扱うかということについて申し上げるのは時期尚早であるというふうに思っております。
○藤巻健史君 今、満期にして落とすというお話をされましたが、ここでまたお聞きしたいんですが、私が金融界にいた現役の頃は、日銀は基本的には短期国債しか買っていなかったと思います。まあ長期国債買っていましたよ。それは成長通貨といって、経済が大きくなればその分通貨を供給しないと通貨の価値が上がり過ぎちゃう、すなわちデフレになっちゃうので、そういう意味では長期国債買っていました。要は、回収する必要のないお金に関しては長期国債買っていたわけです。でも、その後は買っていなかったですよね。短期国債しか買っていなかったんです。
 でも、黒田総裁の異次元の量的緩和では、十年国債大量に買っているんですよ。三十年国債、四十年国債まで買っているわけですよ。満期になったらバランスシートを落とすとおっしゃっても、三十年待つんですか、四十年待つんですか。落とせないじゃないですか。これは非常に大きい問題ですよ。
 ですから、私は、日銀が三十年国債、四十年国債、十年国債という長期国債を買ったということ自身、もうルビコン川を渡っちゃって出口がなくなったと思っていますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私はそういうふうには思っておりませんで、例えば米国も、累次にわたる量的緩和の中で三十年国債まで含めて大量に長期国債を買っております。また、購入した国債の平均残存期間も、日銀がやっているものよりも長めになっているようであります。
 そうした中で米国がああいう出口についてのオプションを示したということでありまして、何度も申し上げますけれども、そのとおり何か日本がやるということを意味しているわけではありませんけれども、いろいろなオプションを示したという意味では参考になるというふうに思います。
○藤巻健史君 米国でもバランスシートを縮めるには十年から十五年掛かるというふうに言われています。でも、先ほど申しましたように、米国の場合には保有国債とかモーゲージバックセキュリティーの利回りが高いから方法はあるんですよ。日本はないんですから、日銀は持っていないんですから、これは大変な問題だと私は思っています。
 もう時間がないので最後の質問をしますけれども、先ほどの資金運用部ショックのときに速水日銀総裁がおっしゃっているわけです。日銀、当時は国債を五十兆円しか持っていなかったわけですけれども、日銀が国債を五十兆円も保有しているのは自然な形ではないとおっしゃっているわけですよ。今、五十兆どころか、今年一月末で二百六十一兆円ですよ、五倍。あの速水総裁の発言、何だったんでしょうね。
 これは、速水総裁、やっぱりハイパーインフレになることを懸念して、五十兆持っているとそういうリスクがある、インフレになっちゃうリスクがあるよと心配されて発言しているのに、今、二百六十一兆円なんですから、これをどういうふうに理解したらよろしいんですか。速水さんは杞憂だったんでしょうかね、発言は。
○参考人(黒田東彦君) 速水元総裁の発言についてはコメントは差し控えますけれども、一般論として申し上げますと、中央銀行のバランスシートというものは、中央銀行が政策あるいは業務運営上必要な取引を行ったことの結果でき上がるものでありまして、量的・質的金融緩和の下で長期国債の買入れというものは、二%の物価安定目標のできるだけ早期に実現するということのために必要な政策であるというふうに考えております。
○藤巻健史君 時間が来ましたので、これで終わりにします。
○大門実紀史君 大門でございます。
 私は、もう一貫して日銀の異次元緩和は間違いだと。だから、今までは良かったじゃなくて、最初から良くなかったと思っておりますし、良かったと思う分のツケは必ず来ると、そういう政策だと思っております。
 後々、先ほど出口戦略もありましたけれども、大変な事態になるということの懸念を示してきたわけでありますけれども、今日はその議論の前に、ちょっと本題に入る前に、この日銀報告と国会質疑との関係について疑問に思うことがありますので先にただしておきたいと思うんですけれども。
 前回の参議院の財政金融委員会の日銀質疑というのが十月の二十八日でございました。その三日後に、先ほどから議論になっております追加の金融緩和を発表されたわけですね。二十八日で、三十一日に発表されたわけであります。あのときの審議は私も参加しましたので覚えておりますけれども、その審議の中身、答弁と三日後の発表された中身が余りにも乖離があると、あのときの日銀の審議は何だったのかと、国会の審議って何なのかということを、三日後ということもありましたから大変驚いたわけでありますので、その点ちょっとただしておきたいと思うんですけれども。
 議事録に基づいて言いますけれども、二十八日のこの委員会で、例えば民主党の大久保さんに対する答弁などでは、総裁はこうおっしゃっているんですね。要するに、この量的緩和は所期の効果を発揮している、日本経済は二%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調にたどっております云々とありまして、今後も継続していきますと。ただし、仮に何らかのリスク要因によってこうした見通しに下振れ、変化が生じたら、必要になればちゅうちょなく調整を行っていく方針ですということは加えられておりますけれども、二十八日時点の国会答弁としての現状認識としては、道筋を順調にたどっておりますと、二%に対してですね。
 ならば、なぜその三日後にあんな大胆な追加緩和策を出されたのか、ちょっと説明をしてほしいんですけれども。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘の量的・質的金融緩和の拡大、これは昨年の十月三十一日の金融政策決定会合においてその実施を決定したものでありますけれども、この会合におきましては、それまでに入手した金融経済情勢についての情報を総点検いたしまして、二〇一六年度までの経済、物価の見通しを展望レポートとして取りまとめたわけでございます。
 そうした経済、物価の現状及び見通しを基にしまして、金融政策運営について政策委員会で委員の間でかなり掘り下げた議論をいたしまして、先ほど申し上げたような量的・質的金融緩和の拡大を決定したわけでございます。
○大門実紀史君 総裁、それはおかしいんじゃないですか。
 議論したのは、むしろ総裁が提案されたことに反対の人が多かったから議論になったわけで、総裁はこの国会で、この委員会で自分の考えを述べておられないんですよね。決定会合で述べて反対が多くて、おっしゃったように、いろんな議論になったというのは承知しておりますけれども。
 だから、僅か三日で総裁の認識変わるとは到底思えませんから、二十八日にここに出られたときに、やっぱり追加緩和の必要性があると。もちろん、何やるかということは、さすが国会でもそういうことを求めませんし、言えないと思いますよね。しかし、国会ですから、遊びでやっているわけじゃありませんので、わざわざ来てもらっているわけだから、現状認識ぐらいきちっとおっしゃるべきじゃなかったのかと思うんですよね。
 今言ったことは後の話でしょう。思っていらっしゃったことを、決定会合で総裁が提案された現状認識をなぜここでは一切言われなくて、順調に推移しておりますということになったんですかということを聞いているんです。簡潔にお願いします。
○参考人(黒田東彦君) この点は、実は合議制で金融政策を決定しております、日本だけでなくて米国や欧州もそうでございますけれども。
 あくまでも政策委員会の議長としての役割としては、政策委員会で経済の見方を議論し、政策を決め、そしてそれを公表しているわけでございます。日本の場合は、年に十四回政策決定会合をやっております。そういう中で、その間でいろいろな議論に参加する場合に、やはり個人的な意見をいろいろ申し上げるのは適切でないと思います。と申しますのは、やはりあくまでも政策決定は政策委員会で行われます。それも合議制で行って、多数決で決めるということでございます。したがいまして、政策委員会の議論を先取りして何か申し上げるということはやはり適切でないと思います。
 なお、十月三十一日の政策委員会での議事の概要は公表されておりますけれども、委員も指摘されたとおり、議論の中でいろんな意見が出、そしてその中でああいった拡大ということが、これももちろん多数決ですけれども、決まったということでございます。
○大門実紀史君 大事なことなので、国会審議に関わりますので、同じことを繰り返さないでほしいんですよね。
 手段として何をやるかと、何兆円やるかなんということをここで言えないのは分かります、幾ら国会審議でも。そんなことを求めているわけではございません。情勢認識として日銀がやっていらした枠の金融緩和策が順調にいっておりますと、だったら追加する必要ないんですよ。このまま進めればいいと。このまま進めますという答弁もおっしゃっているわけですね。
 もっと言えば、その前の記者会見、十月のをずっと見ますと、ずっと追加の緩和の必要性はありませんというようなことまで記者会見でおっしゃって、国会では慎重におっしゃっていますけれども、少なくとも追加があるなんて誰も思わないような、うまくいっている、推移していますという答弁をされている。
 この現状認識について申し上げているわけで、その中に難しい議論があるとか総裁が思ったとおりみんな賛成してくれなかったとか、そういうことを言っているんじゃないんです。総裁のお考えを聞くために呼んでいるわけだから、来てもらっているわけだから、総裁として、なかなかこのままいくと難しいものもあるかも分かりませんとか、それぐらい言われないと、国会でせっかく来てもらっても、何も言えない前提で来られているんだったらば、この日銀報告の質疑をやる意味が、ないとは申し上げませんけれど、相当、何のためにみんなこうやってやっているのかとなると思うんですよね。
 情勢認識ぐらいもう少しきちっと報告されるべきじゃないかと思うんですけれど、国会に対する対応のことを聞いているんです。いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 委員の御趣旨はよく分かります。
 私も十分努力してまいりたいと思いますけれども、何度も申し上げますが、現状認識といいましても、それが政策の変更を示唆するようなことを申し上げるというわけにはいきませんので、その点は是非御理解いただきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 なぜこれを申し上げますかというと、FRBのことを御存じですよね。バーナンキ・ショックと言われまして、バーナンキさんが量的緩和の第三弾のときの縮小のときに中途半端なことを言われたものだから、どうするのか分からないようなことを言われたものだから乱高下するというようなことがありましたですよね。それで、FRBは反省して市場との対話ということを非常に力を入れたわけですよね。
 それはサプライズを狙うとかそういうことではなくて、そうしないと、何といいますか、中央銀行が本当に大事なことを発信したときに信用してもらえないと。サプライズばっかり狙っている、私は、そもそもこのアベノミクス、量的緩和は最初からサプライズ狙いだなと、これは危ないなと思うんですよね。サプライズは、もうみんな慣れてくると驚かなくなりますから、更にサプライズを求められるようになっちゃいますよね。これがこの間の経過だと私は見ているんですけれども、そういうことをやっていくと、結局、日銀が一番重要なことを発信したときに、あのオオカミ少年じゃありませんけれども、市場もどこも耳を傾けてくれないというか信用しない、違うことを考えているんじゃないかと、こうなることがあるんですよね。
 そういう点で、この国会に、当たり前のことなんですけれども、言えない部分はあるかも分かりませんけれども、少なくとも、大丈夫ですと言っておいて違うことをやるみたいな、手のひら返すような情勢認識の報告というのは、私は間違いだと思うんですよね、国会対応として。その点、もう一度ちょっと一言、反省していただきたいなと私は思っているんですけれど、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 委員の御趣旨はよく分かります。
 ただ、また繰り返しになって申し訳ないんですが、合議制の委員会で金融政策が決定されるという形、しかも年に十四回やっているという形、そして毎回、公表文書で経済金融の見方、そして金融政策についてかなり詳細なステートメントを出していますので、その間にそれと違うことを申し上げるというのはかえって混乱を市場に招くおそれがあるということも御理解いただきたいと思います。
 ただ、委員の御意見はよく分かりました。
○大門実紀史君 本題に入ろうと思うんですけれども、なかなか入れないんですけれども。
 私思うんですけれども、そうじゃないんじゃないかと。結局、黒田さんは、やっぱりサプライズ、やっぱりあれだけ市場が反応したというのは驚きましたよね。誰も追加緩和をやると思っていないときにやったものだから、慌てる、慌てふためいて急激な反応でしたよね。おかげで株高になったかも分かりませんけれど、円安になったかも分かりませんけれど。
 やっぱりそういうサプライズ効果を狙って国会でも黙っている、記者会見はもちろん黙っていると。決定会合でちょっと反対が出たのでちょっと驚かれたかも分からないけれども、元々サプライズ狙いだから、そういう経過で黙っておられたということではないんですか。それ以外考えられないんですけれど。
○参考人(黒田東彦君) サプライズを狙って何かやるということは、中央銀行としてはございません。あくまでも、その時々の経済金融情勢を十分点検して、適切な政策を合議制で決めるということに尽きると思います。
○大門実紀史君 もう時間がないので本題は次回に譲りますけれども、やっぱりFRBのあのときのバーナンキ・ショックのことを日銀はよく考えられた方がいいと思うんですよね。後々、先ほど申し上げましたけれども、本当に、サプライズ狙いじゃないと言ってもみんなサプライズだったわけだから、効果としてはサプライズ効果になったわけですよね。これは人々をやっぱり惑わせますし、いざ日銀が大事なことを言ったときに信用されないということを自らつくっておられるという点は重々肝に銘じられたらどうかと思うんですね、今後のことも含めて。
 今日はもう時間ないので、このことを指摘して質問を終わります。
 以上です。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。
 二月十九日に発表されました金融経済月報では、景気が緩やかな回復基調を続けていくと見られるとして、消費税引上げによる反動の影響はほぼ収まったとの見方を示していらっしゃいます。私自身は、消費税率引上げの影響というのはもっと早い時期に収まるだろうと見ておりまして、思ったより時間が掛かったなという印象でございます。その中で、消費者物価の前年比はエネルギー価格の下落を反映して当面プラス幅を縮小するというふうに月報では書かれております。
 ただ、今日のお話では、エネルギー価格もいずれ少しずつ上昇していくだろうという御説明がありました。そうであれば、この月報にありますように、海外経済は回復、設備投資は緩やかな増加基調、個人消費は底堅く推移、住宅投資は下げ止まり、鉱工業生産は持ち直し、景気は緩やかな回復基調、しかも原油価格が将来少しでも上昇していくのであれば、また加えて、今年の春闘で賃上げが確実ということであれば、消費者物価は、その月報にありますようにプラス幅を縮小するというのではなくて、私自身の個人的な感触では、ある程度相当確実に二%を達成できるのではなかろうかと考えております、この条件から見ると。
 その辺りのことをちょっと、こちらの感覚についての御感想を伺うのも恐縮ですけれども、お願いいたします。
○参考人(黒田東彦君) まず、駆け込み需要の反動の影響につきましては、御承知のように、個人消費で一部マインド面で慎重さが残っていますけれども、反動減が長引いていた耐久消費財でも改善傾向にありますし、それから雇用・所得環境は着実に改善をしているということで、全体として底堅く推移しているということもありまして、先ほども申し上げたとおり、在庫調整も進捗して鉱工業生産も持ち直しているということでございますので、駆け込みの反動というものに起因する下押し圧力は収束しつつあるというふうに思います。
 そこで、その他の様々の指標を見ますと、これまでやや低調だった輸出もこの二四半期ほど伸びておりまして、一月の指標も良かったということでありますので、全体として緩やかな回復基調ということはそのとおりであるというふうに思います。
 一方、この原油価格の下落の影響は、一挙に直ちに出るというよりも若干のタイムラグを伴って出てきますので、やはり消費者物価指数自体は、短期的にはもうちょっと上げ幅が縮小する可能性は高いと思っております。
 ただ、御指摘のように、経済全体の好循環が基本的に続いているという中で景気が緩やかに回復しているということでありますので、賃金の上昇も伴って物価もいずれ上昇していくと。そのタイミングとしては、原油価格の下落が昨年の夏から始まって、今年の初めまで大幅に下落して、今ちょっと反転しているというところでありますので、そういったものの影響が剥落するタイミングには消費者物価の上昇率は上げ幅を拡大していくのではないかというふうに思っております。
○中山恭子君 二%の達成ということが見えてくれば、この委員会でもよく話題になります出口の問題が大きく話題になってくると思っております。
 私自身は、黒田総裁始め日銀の皆様がこの今の経済情勢に非常に敏感にといいましょうか、神経をとがらせて集中して運営してくださっているというように、そういった意味で、その対応に心から敬意を表しているものでございます。
 今後その出口政策をいつ取るのか、どういう形で取るのかということを今問うつもりは全くございません。非常に難しい、さらにこの後、黒田総裁、日銀にとって大きな仕事が待っていると。いかにして安定的な緩やかな形で抑えていけるのか、緩和の政策をどうやって縮めていくのか、大変重要な大きな仕事であろうと思いますし、金利水準についても、正常な金利水準というのが一体どのくらいなのか私にはさっぱり分かりませんけれども、そういったことについても十分御検討をいただきながら、緩やかな形で安定した経済が持続していくことについて、大変な仕事かもしれませんが、是非、皆様で力を合わせてしっかりした政策を取っていただけたらと、適切な、適正な金融政策を取っていただけたらと心から期待しながらお願いする、そんな思いで過ごしております。
 ただ、そのときに、やはり先ほど西田先生の方からもありましたけれども、金融政策だけで全てをやっていくというのは非常に困難な話であろうと考えておりまして、これあと二つあるんですけれども、一つは、インフラ拡大のために──今日は財務省からお越しくださってありがとうございます、IMFのラガルド専務理事が二月六日に、より強力な政策ミックスが必要である、需要を支えるために緩和的な金融政策が引き続き不可欠であると同時に、財政調整は可能な限り成長と雇用に配慮したものであるべきだ、中でも質の高いインフラ投資の拡大のための野心的な新計画を強く支持しますと述べていらっしゃいます。
 そういった意味で、持続的な経済成長に向けて、財務省として、質の高いインフラ投資、異次元の公共事業計画を全国規模で長期計画を立てて進める今非常に良い時期であると考えておりますが、財務省の御意見、また黒田総裁の御意見もあればお聞きいたしたいと思います。
○政府参考人(岡本薫明君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のございましたIMFのラガルド専務理事が、この二月六日にG20のコミュニケに関連しまして御指摘のような御発言をされておりまして、背景といたしましては、IMF、昨年十月のワールド・エコノミック・アウトルックの中でインフラ投資について触れているくだりがございまして、その中で、明確なニーズがあって効率的な投資を行える国では公共投資を増やし得るということを指摘をしております。一方で、そのくだりの中で、こうした指摘は全ての国に当てはまるというわけではなくて、既に債務残高対GDP比が高い国々では一方でリスクがあるという指摘も行っております。また、IMFは、日本に対しましては、非常に高い水準にある公的債務の状況に鑑みると、財政規律の信頼性の確立が必要という指摘も行っているところでございます。
 ただ一方で、もちろん、現在、経済再生に向けていろいろな努力をしている中でございますけれども、公共投資につきましては、こういった財政事情、また将来の人口減少といったようなことも踏まえながら、緊急性の高い老朽化対策とか防災・減災対策等のニーズがございますので、そういったような分野に重点化しながら、御指摘のように質の高い社会資本整備を適切に実施していくと。それをどのように計画的にやっていくかということは、また国土交通省なんかともよく相談しながら進めていく必要があると考えております。
○参考人(黒田東彦君) インフラ投資促進に対する政策については、今財務省の方からお話がありましたので私から具体的には申し上げませんが、私自身、先日のイスタンブールでのG20の財務大臣・中央銀行総裁会議に出席いたしまして、そこでいろいろ議論がありまして、その中で、インフラを含む投資戦略を各国が策定して、G20全体として投資促進をするということが共同声明で出されております。
 そういうことを踏まえて一般論として申し上げますと、日本経済が持続的な成長を達成していくためには、一方で、国全体として財政運営に対する信認をしっかり確保するとともに、民間の経済主体の前向きな動きを引き出しながら、やはり我が国の経済の成長力を強化していくということが重要であろうというふうに考えております。
○中山恭子君 G20の会議の共同声明の中で、特にユーロ圏と日本においては回復が緩慢であるというような指摘までされている状態でございますので、しかも、先ほどの経済見通しですか、昨年十月のあれでは、しっかりした投資であれば、良い公共事業投資であれば、そこは借入れをしてやった場合であっても元が取れるという報告まで出されている状態でございますから、是非、財務省、日銀と両方で、やり方はいろいろあろうかと思いますので進めていただきたいと思っております。
 もう一点、金融政策で、先ほど藤巻先生からもありましたが、デフレ脱却調査会というので参考人質疑を行った中で、この金融政策というのが非常に幅の広い、あらゆる分野に関連する政策であるということをお三方から随分と指摘されまして、実感いたしました。人口減少ですとか高齢化、労働力の問題、家族の在り方などについてまで金融政策というのは影響すると、又はそういったものを併せて考えた上で金融政策を取っていく必要があるだろうということを痛感したところでございます。
 日銀の独立性というのが大変大事であるということは元々認めておりますけれども、例えば財政当局や他の経済関係者と緊密な関係を持つことがある意味では金融政策を取っていく上で非常に重要なポイントになると考えておりまして、黒田総裁はもうそういった、何というんでしょう、連携というかいろいろな話合いというのもお持ちだとは思いますけれども、制度的に何らかのものがあってもよいように考えるんですが、いかがでございましょうか。黒田総裁にお伺いします。
○参考人(黒田東彦君) 一九九八年に施行されました現在の日銀法、言わば新日銀法の下で日本銀行は政府から完全に独立した形になったわけですが、それと同時に、金融政策も経済政策の一環ですので、政府と緊密に協調するという条項も新日銀法に入っております。したがいまして、必要に応じていろんな形で政府とも連絡をし、協調をしております。
 連絡会のようなものは、金融庁と日本銀行が昨年つくったものがございますけれども、そういった公式のものというのは日本銀行とほかの官庁との間ではありませんが、常日頃からいろいろな情報交換はいたしておりますし、それから、これも新日銀法の下で定められているとおり、金融政策決定会合には政府からの二人の代表の方が議論に参加される、もちろん議決権はございませんけれども、議論に参加されるということがありますので、様々な形で政府とは連絡、協調をしているということであります。
○中山恭子君 今後もしっかりした金融政策を取っていただくことをお願いして、質疑を終わります。
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○委員長(古川俊治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大塚耕平君が委員を辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。
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○中西健治君 中西健治です。よろしくお願いします。
 本日も二%の物価安定目標の達成時期についていろんな議論が行われておりますけれども、政府が最近どうも日銀に対して焦らなくていいんじゃないかというようなことを言っているような印象があります。例えば、月例経済報告でできるだけ早期にという文言がなくなってしまったりですとか、経済財政担当大臣がもっとアローアンスを取っていいんではないかと、こんな発言をされていますけれども、日銀総裁はこうした政府のスタンスについてどうお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年一月の政府と日銀との共同声明におきまして、相互にお互いの役割を認識した上でそれぞれが取り組むべきことを明確にしております。日本銀行は、自らの判断と責任において二%の物価安定の目標を定めまして、これをできるだけ早期に実現するということを目指しておりまして、こうしたスタンスに全く変わりはございません。
 政府との共同声明というのも、そのまま生きているというふうに思います。
○中西健治君 共同声明が生きていないというふうには思いませんけれども、今の原油安を前にして実際にCPIが下がっているというような状況から、二%の達成目標、二〇一五年度を中心とするということについて、ちょっと可能性が低くなっているんじゃないかというふうに見ているのか、政府がですね、若しくは円安の負の側面というのをやはり気にせざるを得ないということからこう言っているのか分かりませんけれども、総裁としては、二%のこの物価安定目標をできるだけ早期にというのがプライオリティーであるということは全く変わらないということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりであります。
○中西健治君 そうした場合に、今日の報告でもありましたけれども、原油価格が現状のレベル、ないしは緩やかに先物が示すとおりですかに上昇していくという前提の下においては、現在の金融緩和の質と量で二%の早期実現というのは十分に達成可能だとお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この点は、原油価格の動向に影響されることは事実でありますけれども、そういった原油価格につきまして一定の前提を置いて、足下の五十五ドルぐらいから二年掛かりで七十ドル程度に緩やかに上昇していくという前提に立った場合に、二〇一五年度の物価上昇の見通しは一%程度に下がりますけれども、二〇一六年度の見通しは二%、二・二%だと思いますが、そういう政策委員会の見通しになっておりますので、原油価格の影響で足下、物価上昇率が縮小していくということはありますけれども、基本的に経済にとってプラスであるということと、それから、原油価格がどんどんどんどん下がっていくということでなければ、一定にとどまる、あるいは緩やかに上がっていくという前提の下では、原油価格下落の影響が剥落するに伴って物価上昇率は伸び率を高めていくだろうというふうに思っております。
 その結果として、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いというふうに思っております。
○中西健治君 先ほど中山委員の方からのお話でもあったかと思うんですけれども、総裁は、今の原油価格の影響の剥落という部分が一点あると思いますが、それ以外に、実際にこの原油価格の下落によって、経済、内需の方もプラスに働くでしょうし外需の方もプラスに働くでしょうから、実際、経済が相当回復してくるということをメーンシナリオに置いてこの物価上昇ということも考えていらっしゃるかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりでありまして、政策委員会の委員の見通しの中央値を取ってみますと、成長率については二〇一五年度、一六年度とも上方に修正されておりまして、一方で物価上昇率につきましては、二〇一五年度は下方に修正され、二〇一六年度は、ほとんど変わりないんですが若干上方に修正されたということであります。
○中西健治君 そうしていきますと、経済の回復を伴って物価が上昇していくということをメーンシナリオに置いていらっしゃる。その中で、足下ゼロ%台の半ば、短期的にはもっと下がる可能性が高いというふうにおっしゃられました。その後、二〇一五年度を中心とする時期に、二〇一六年度にはみ出るかもしれないけれども二%を超えてくるということをお考えになっていらっしゃるからこそ、二〇一六年度二・二%ということになるかと思いますが、足下ゼロ近辺のものが二%に一年程度で上がってくるということになると、相場でいえば急上昇と、市場でいえば急上昇ということだろうというふうに思います。そうなると、二パーでとどまらずに三パー、四パーとオーバーシュートするリスクというのは非常に高いというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 物価安定の目標は、消費者物価で見て二%、しかもこれを安定的に持続するということを目指しておりますので、もちろん短期的には景気循環あるいは商品市況の動向によってかなり上下すると思いますけれども、やや長い目で見ると二%を中心に推移するという形にすることがこの物価安定の目標でありますので、先ほど申し上げたように、政策委員の見通しの中央値も二〇一五年度は一%、二〇一六年度は二・二%というふうになっていますが、そういう意味では、恐らく、年度内の見通しというのは委員の方は述べていませんので分かりませんが、経済へのプラスの影響、そして石油価格下落の影響の剥落というようなことを通じて物価上昇率が上がっていって、そして二〇一六年度には二・二%ということですから二%を若干上回る可能性があるということだと思いますが、どんどん上がっていくようなことを容認するつもりは全くありませんので、そこは物価安定目標というものを守っていくということに尽きると思います。
○中西健治君 どんどん上がっていくことを容認するつもりはありませんということでした。
 ということは、これまで、下振れリスクを念頭に置きながらちゅうちょなく調整するという言葉をおっしゃられたと思いますけれども、これは上がっていった場合にも当然そうだということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりでありまして、従来から公表文書で申し上げているとおり、上下双方向のリスクを点検し、必要に応じて調整するということを申し上げていますので、そのとおりでございます。
○中西健治君 そうしますと、二〇一六年度に二%を超えてくる、まあ高いということですけれども、二〇一七年四月に消費税増税が予定されています。その前後であってもちゅうちょなく引締めに転ずるということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 消費税の二%再引上げというのが二〇一七年の四月ということになったわけでございます。そうしますと、二%の引上げが消費者物価にどの程度影響するのか私存じませんが、三%の引上げのときに二%程度影響するということでしたので、消費税の直接的な影響部分はあると思いますが、私どもはあくまでもトレンドとしての物価上昇率を見ていますので、それを除いたところで二%の前後で安定的に推移するということを目標に金融政策を運営いたしますので、消費税が導入されて、その直接的影響で上がった分を考慮して何か金融政策を変えるということはありませんが、あくまでもトレンドとしての物価上昇率を見ていくと。
 ちなみに、政策委員会の見通しも全て消費税引上げの影響を除いた数字を中心に議論をしております。
○中西健治君 私がお聞きしたかったのは、もちろんそのトレンドを見てということだと思うんですけれども、消費税増税の例えば前に、直前に物価の基調がかなり上がっているというようなことであった場合に、日銀は日銀の判断として、政府は増税するときですから引締めなんかしてほしくないかもしれないんです、しかし、それだけを見てしっかりとやっていくということでよろしいかということです。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりであります。
○中西健治君 そこのところは是非確認したいというふうに思いました。
 これまでは、サプライズと言われるほど日銀が前を走っていた部分というのがあるかと思います。で、市場をリードすることができたということかと思いますが、一旦後手に回ると、市場との対話というのは非常に難しくなって市場が暴れるということになりかねないというふうに思いますが、今、経済成長を伴って物価のトレンドが上昇していくというような場合には、やはり早めにどういう手を打っていくのかということを言っていかなきゃいけないと思います。
 今日も出口戦略の話、随分出ました。総裁は以前、この委員会でもそうだったと思いますが、記者会見でも、二〇一五年中にこれの議論をすることは間違いないということをおっしゃっていたかと思いますが、その認識は変わらないということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 出口戦略自体は、先ほど来申し上げていますとおり、まさに出口に差しかかってきたときには当然議論しなければならないわけです。
 米国の例を見ていますと極めて慎重に運んでおりまして、金利が上昇する時期につきましても、あくまでも経済データによって決めますということを繰り返し述べておられます。そういう形で市場との対話を強化するということは非常に重要だと思いますし、適切な時期に市場との対話を強化していきたいというふうに考えております。
○中西健治君 確認ですけれども、一五年度中にというふうにおっしゃられたかと思います、議論することは間違いないというふうにおっしゃられたかと思いますが、それは生きているということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 出口戦略云々につきましては、いろいろなオプションも含めて内部的にはいろいろな議論が行われておりますけれども、あくまでも政策委員会として決めて、フォワードガイダンスないし市場との対話でどういうことを示すかというのはまだまだ時期尚早であるというふうに思っております。
○中西健治君 最後に一問だけお伺いいたします。
 超過準備に対する付利が今〇・一%されています。これは、マネタリーベースを拡大するためにやはり国債売却のインセンティブを付けなきゃいけない、そういった趣旨もあって〇・一というのが付いているということかなというふうに思いますが、今の超過準備というのは、現在百五十六兆円ということになっています。〇・一%付利するということになりますと年間千五百六十億円という金額になりますが、その分、日銀の国庫納付金というのは減ってくるということになります。これで、単純に言うと千五百六十億円減る。昨年度の国庫納付金は五千七百九十三億円ということですからかなりの部分を占めかねないということになりますけれども、日銀の政策決定会合では付利の撤廃だとか引下げだとかは全く議論していないということをおっしゃられていますけれども、この国庫納付金が減ってしまう、あと銀行に対するこれは支援金にも当たっているんじゃないかというようなことを考え併せた場合に、これ議論しなくてよろしいんでしょうか。少なくとも、引き下げるということは考えなくていいんですか。
○参考人(黒田東彦君) 潜在的にはいろんな議論があり得るとは思うんですけれども、現時点では、今委員が示唆されましたように、日銀当座預金への付利というのは、毎年八十兆円に相当するペースでマネタリーベースを増加するということを円滑にする上では効果があると思いますし、その下でマネタリーベースの積み上げも国債の買入れも着実に進んでおります。ちなみに、御承知のように、同様に国債などの資産の買入れを政策として行っている米国や英国などでも同様の制度を採用いたしております。
 具体的に今の時点で政策委員会で議論しておりませんし、議論したこともありませんが、潜在的にはいろんな議論はあり得ると。特に出口との関係で、米国は金利をまず上げる、そういうことによって市場の短期金利を上げていくと、で、バランスシートを縮小するのはその先というふうに言っております。これは米国の事情に合わせたものですので、日本がどういうふうになるのかはその出口の時点での議論だとは思いますけれども、そういう意味で、この付利についての議論というのはいずれ行われる可能性はあると思います。
○中西健治君 終わります。ありがとうございました。
○平野達男君 平野達男でございます。最後のバッターでございますので、またよろしくお願いいたします。
 今日の議論の中で、量的緩和についての総裁の様々な、様々といっても考え方はもう固定されているなというふうに思いましたが、御披瀝をいただきました。物価上昇率、安定二%、これは変えないよということです。そして手段としては、これはもう量的緩和ということで、これについては上限はないと、考え方としてはですね。それからもう一つは、二%の達成の時期については、一六年度というようなこともちょっと出ましたけれども、まずは二〇一五年度を軸としてということだろうと思います。
 果たしてそうなるかどうかというのが市場も含めて我々の最大の関心になるわけでありますが、今日の議論の中で、大塚委員からもちょっと話がございましたけれども、当初の金融緩和を決定するときの予想されている様々な事象と、それから、途中で金融緩和の拡大をするんですけれども、その予想したのとその後の変化という中で、原油価格の下落ということを総裁はおっしゃられましたけれども、それだけだったでしょうか。その確認をちょっとさせていただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) この辺りは、政策委員会における議論、それを踏まえた展望レポートで経済見通しを示しております。足下の年度、それからその先二年度を示しておりますが、その見通しの変化を御覧になっていただきますと分かりますとおり、二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入した際に考えていたよりも、二〇一四年度の当初に消費税が入った後の反動減というのがやや長引いたと。それは恐らく委員会の見通しの数字の変化を見ても分かると思います。それはそういうことだと思います。
 そうした下で、もう一つは、成長率の中身は、委員は示しておりませんので分かりませんけれども、委員会での審議の議論の状況は公表されておりまして、その中での議論でもう一つありましたのは、やはり円安にもかかわらず輸出がなかなか伸びなかったと。これは、先ほど申し上げたように、昨年の終わりの二四半期は輸出が伸びてきているわけですけど、それまで、昨年の夏まで実質輸出がかなりフラットだった、それはやや予想外のことだったと。それは、世界経済の伸びが予想されたほどでなかったということもあったと思いますし、生産拠点の海外移転というのが相当大きな影響を持ったということもあったと思いますが、いずれにせよ、原油価格の大幅下落というのが一番大きな予想外の状況ですけれども、消費税の影響がかなり長引いたということと輸出の回復が遅れたということはやや予想外だったというふうに言えると思います。
○平野達男君 最後のその消費税のお話なんですが、前回といっても大分前になりますけれども、総裁にお伺いしたときに、金融緩和を導入する時点では八%、一〇%ということは織り込み済みで量的緩和の規模を決定しているということでした。
 先ほどのお話の中では、八%、三%上げたことによってかなり需要も落ち込んだということも、多少なのかどうなのか分かりませんが、当初の予測とは違ったという、そういう理解でよろしいんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 経済の見通しを議論し、そして必要な金融政策を議論する際には、財政政策につきましては私どもは何ら権限がありませんので、政府で決めておられることを踏まえて見通しを作り、そういう下での金融政策を議論しております。
 その結果として、先ほど申し上げたように、三%、二%というふうに上昇するということを前提にして経済見通しを議論し、金融政策を議論してきたわけですけれども、三%の引上げの駆け込みも大きかったのかもしれませんが、反動減がやや予想外に長引いたように思います。
○平野達男君 私がここでちょっと確認したかったのは、先ほど大塚委員は、今の段階で当初と違うことは何ですかという質問をしたんです。そのときに総裁は、一〇%の延期を、一年半延期したということをおっしゃらなかったんです。それは、一番最初のときに日銀総裁の、日銀で量的緩和をやったときに、八%、一〇%というのはタイムスケジュールで入れているとおっしゃったんです。そして、八%に上げたということに対する影響も、実はこれは少なくなかったので、これは見通しとしては当初の見通しと違ったと言っております。
 一〇%を一年半延長したということは、この量的緩和の政策の中で、変更した政策の中で今回これが延長されたわけですから、延長されたということは、経済全体とすれば多分足を引っ張る要因は除かれたということになりますが、財政再建はそれだけ遠のくということになるんですが。そのファクターを日銀総裁が触れなかったということについては私はちょっと意外だったなというふうに思いますが、ここはどうなんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 量的・質的金融緩和を導入した際は、当然、政府が示しておりました二〇一四年の四月に三%上げて、二〇一五年の十月に二%引き上げるということを前提にして見通しを作り、金融政策議論をしてきたわけでございます。御指摘のとおり、昨年の秋というか暮れも押し迫る頃に、政府において二%の再引上げは十八か月延期するということを決められたわけでありまして、それは、もちろん私どもが従来予想していたことではなかったわけでございます。
 その後の見通しあるいは今の政策につきましては、二〇一七年の四月に二%引き上げられるということを前提に見通しを作っている、それから、それを踏まえて金融政策について議論しているということでございます。
○平野達男君 先ほど、私がお聞きしたいことを中西委員からもちょっと質問があったんですけれども、次の引上げと今回の量的緩和の二%の目標時期の達成というのは、これは無関係という、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一七年の四月に二%引き上げられるということを政府が決められたわけですので、当然、それに基づいて見通しを作り、金融政策について議論をしていくということになると思います。
 したがいまして、二〇一七年の四月に上げられるか上げられないかとか、上げられなかった場合にどうするかとか、そういうことは議論しておりません。あくまでも上げられるということを前提に経済・物価見通しを立て、それに沿った適切な金融政策を議論していくということになると思います。
○平野達男君 今日は麻生大臣おられませんから確認のしようがないんですけれども、日銀、政府一体ということだったんだろうと思いますが。
 そこのところは、私は考え方としては非常に重要だと思います。というのは、当初の量的緩和と消費税引上げというのはある程度セットではないかというふうに市場はちょっと思っていたと、我々も思っていました。
 それからもう一つ、先般、テレビで見たときに、民主党の櫻井議員と政府の誰かが何か討論をしていましたけれども、アベノミクスの量的緩和と消費税というのは意外だったと、八%へ上げるというのは全然考えていなかったんだということを、これは政府の高官が、高官というか内閣府の何かの、官邸の何かかな、補佐官かな、とうとうとしゃべっておられました。それは、八%なんかに上げてくれたから量的緩和の効果が相殺されてしまったんだと、消されてしまったんだと。ただ、それは一個人の見解かもしれませんから、今日はああだこうだと言いません。総裁がそういうふうにおっしゃっている以上、これは日銀と政府としての考え方だというふうに理解をしたいと思います。
 聞きたいのは今日そこだけでありまして、ただ一方で、今日も様々議論出ましたけれども、これだけの量的緩和をやって、国債買って、ETF買って、もう大変な、効果があるのかもしれませんけれども劇薬で、副作用がもう一部は出始めているし、最終的にはまた出てくる可能性もあるという中で、とにかく一日も早くこれはもう早く達成してもらうというのが一番だと思います。
 これを途中でやめたとしても日本経済にとっては大打撃になりますし、世界にとってもこれは大変な、日本の信用をなくすということにもなりかねないぐらいの大変な重圧の中で総裁は仕事をしておられると思いますが、これだけ日銀総裁で国会に出てこられる総裁も、私も十四年間しか国会議員やっていませんが、ちょっと珍しいと思います。私自身は、本当は日銀総裁は国会では余り呼ばない方がいいんじゃないかということをずっと、予算委員会の理事をやっているときにも財政金融委員会の理事をやっているときにもしていましたけれども。
 ただ本当に、この二%という話と、それからいつまでに達成できるかという話と、それから結果としてどういう結果が起こってくるかということについては、日銀総裁だけじゃなくて、もう我々一人一人の生活に全部関わっておりますので、これからも、ちょっと最後は何を言いたいのか分からなくなりましたけれども、とにかく一日も早く、ここまでやった以上は達成することを御期待申し上げまして、ちょっと時間が余りましたけれども、質問を終わります。
○委員長(古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会