第189回国会 財政金融委員会 第9号
平成二十七年五月十二日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     石上 俊雄君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     宮沢 洋一君     舞立 昇治君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         古川 俊治君
    理 事
                愛知 治郎君
                若林 健太君
                大久保 勉君
                西田 実仁君
                藤巻 健史君
    委 員
                石田 昌宏君
                大家 敏志君
                伊達 忠一君
                塚田 一郎君
                長峯  誠君
                西田 昌司君
                舞立 昇治君
                森 まさこ君
                山本 一太君
                石上 俊雄君
                礒崎 哲史君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                前川 清成君
                竹谷とし子君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
                中西 健治君
                平野 達男君
   国務大臣
       財務大臣     麻生 太郎君
   副大臣
       財務副大臣    宮下 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       金融庁検査局長  遠藤 俊英君
       金融庁監督局長  森  信親君
       財務大臣官房総
       括審議官     迫田 英典君
       中小企業庁事業
       環境部長     佐藤 悦緒君
   参考人
       株式会社日本政
       策金融公庫代表
       取締役総裁    細川 興一君
       株式会社国際協
       力銀行代表取締
       役総裁      渡辺 博史君
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       株式会社日本政
       策投資銀行代表
       取締役社長    橋本  徹君
       株式会社日本政
       策投資銀行代表
       取締役副社長   柳  正憲君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として石上俊雄君が選任されました。
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○委員長(古川俊治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務大臣官房総括審議官迫田英典君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(古川俊治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁細川興一君、株式会社国際協力銀行代表取締役総裁渡辺博史君、日本銀行総裁黒田東彦君、株式会社日本政策投資銀行代表取締役社長橋本徹君及び同代表取締役副社長柳正憲君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(古川俊治君) 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○長峯誠君 自由民主党の長峯誠でございます。政投銀法改正法案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 政投銀法は平成十九年に成立をいたしまして、これによって政投銀は株式会社化をされたところでございます。この全株式を売却しまして完全民営化をする年限が、当時の法律では五年後から七年後を目途というふうになっていましたので、最長で平成二十七年、今年でございますが、株式を全株処分するということで法律はスタートしております。
 しかし、リーマン・ショックを受けまして平成二十一年に改正が行われ、この期間が最長で平成三十一年まで延長される、さらに、東日本大震災で更なる改正を平成二十三年に行いまして、最長で平成三十四年まで延長するというような運びに来まして、そして今回の改正では、もう期限の定めがないということで、当分の間、株式を保有するということになっているわけでございます。
 しかしながら、完全民営化の方針は維持するということで、多少苦しい説明になっているのかなという気はいたしますけれども、これがなぜそうなったかという御説明の中で、当初描いていたようにはリスクマネー市場に民間が参入しなかったということを受けて今回の改正になったというふうに伺っております。
 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、危機対応業務の指定金融機関に民間が参入をしなかったわけでございますが、この理由はどういったものか、そして、今後この参加を促進するために具体的にどのような対策を取っていかれるのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる大規模な景気変動というものや自然災害の際におけます投融資につきまして、通常の分析ではリスクのリターンを測り切れないということが一番大きな理由なんだと思っております。次には、やっぱりこういうのは一斉に、例えばリーマン・ブラザーズのときが一番分かりやすい例かもしれませんが、全国一斉に来ましたので、そういった意味では対応することも一斉に対応せないかぬわけですけれども、それは民間の金融機関では対応は容易ではないという指摘はこれまでのところありますけれども、危機対応参加することができなかった最大の理由は多分その二つが大きな理由だと思いますが、そのためには、民間金融機関が財政基盤というのをもっと大きなものにして強化するとか、また、リスクを相互に分担し合うというような民間の金融機関同士で話合いをして緊密な連携を確定するとか、そういったことを進めていかれないといかぬということだと思います。
 その上で、まず民間金融機関が指定金融機関として、何というか、危機対応業務に参加するようになる環境を整えないかぬということになるんだと思いますが、民間金融機関が指定金融機関になるための申請の手続を簡素化しますというのも一つ、また業務の実施の要項というので一種のひな形みたいなものを公表するとか、また、指定金融機関が行うべき業務内容というものをより明確化して、こういうこと以上はしなくていいとかいったようなことを、きちんとしたことをしてやらぬと、いわゆる運用改善というものをやらないとなかなか先には進みにくいというところが大きいと思っておりますので。
 今非常に国際化しておりますので、業務の内容も非常に国際的なことになっておりますので、海外での資金の調達をしているとか、そういったような部分が、海外の子会社なんかでそういったことをやっておられると本店のこちらの方ではそれを捕捉し切れていないとか、そういったようなことで、気が付いてみたら巨大なものになっていたというので、もう自分では受け切れませんので、銀行もそれをかぶって倒産ということになると、倒産によってその会社に関係ない別の融資先のところも全部影響が出てくるというふうなことも考えねばならぬということで、これは丁寧にやっていかねばならぬと、銀行側がそう考えられるのは当然のところなんだと、私どももそれはそう思って対応を考えていかねばならぬところだと思っております。
○長峯誠君 今お示しになったのは、手続を簡素化する、あるいはひな形を示すということだったんですが、それだけで簡単に民間が参入してくるとはちょっと考えにくいなというのがあります。でも、一方では、政府としてこの参入を強制するような強い措置をとるというのもこれまたちょっと筋違いなような気もいたしまして、非常に難しいところだと思います。
 そもそも危機対応業務というのは、公益性は高いんですがリスクを伴うということで、なかなか株主を納得させるのが難しいんだろうということでハードルが高いんだろうと思います。民間の金融機関が主導してこの危機対応業務等をやっていくという絵姿が何かイメージとして非常に湧きにくいんですね。例えば、じゃ、欧米などでそういう事例があるのか。金融庁が目指しているようなモデルとなるような事例があるんであれば、それをちょっと具体的にお示しをしていただきたいなと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 我が国の現行の危機対応制度につきましては、政策金融改革におきまして、民間金融機関も活用した危機対応体制を整備をするというふうにされたことを受けて制度設計をしたものでございまして、他国の制度が直接的なモデルとなっているわけではないわけでございます。
 ただ、その上で、海外におきまして、政府系の機関が民間金融機関を支援することで政策目的を達成するという例は幾つかあるようでございまして、例えばドイツの復興金融公庫、これは、民間金融機関への融資を通じまして、民間金融機関による中小企業支援あるいはインフラ整備を促進するといったようなものでございます。また、アメリカのスモール・ビジネス・アドミニストレーション、余りいい訳がないようでございますけれども、SBAと言っておりますけれども、これは、民間金融機関の融資に部分保証を提供することで民間金融機関による中小企業向けの設備投資資金や運転資金の供給を促進する制度といったようなものでございます。
 これらの制度は、その支援対象が我が国の現行制度のように危機により被害を受けた事業者に限ったものではないわけでございますけれども、一方でリーマン・ショック後の危機時においてはドイツにおいてもアメリカにおいてもこれらの制度が活用されたという事実はあるようでございます。
○長峯誠君 今くしくもお示しされたのは政府系金融機関の存在を前提とした支援策ですので、やはりここは、もし政府系金融機関が株式全株売却した状態でやっていくとなると海外にも例のない対応を目指していくということになりますので、非常に慎重な対応が必要なのかなというふうに思います。
 今回の法律の中に書かれている年限の定めというのは、当分の間という表現の仕方がされております。これは特に危機対応業務の方ですね。こちらの方が当分の間となって、その当分の間は三分の一超の株式保有を政府に義務付けているということでございます。ですから、この当分の間の間に、そういったモデルについて非常にやっぱり精査な検証が必要だろうというふうに思っております。この当分の間というのはどのくらいのスパンを想定されているのか、大臣に伺います。
○国務大臣(麻生太郎君) 今回の改正案でいわゆる期限につき当分の間という表現をしておりますが、これは現時点で民間金融機関が危機対応業務に十分に対応できるような時期を、具体的にこの日までということを申し上げるのは極めて困難と思っております。
 まず、二〇〇八年のリーマン・ブラザーズのときの銀行の極めて厳しい状態で政府融資を入れましたけれども、あれを返済を終わって、銀行が税金を納め始めたのはつい最近のことですから。まだ払っていない銀行があと三行ぐらいある、二、三行残っていると思いますが、まだそういったのが残っていると思いますので、そういった意味ではこれはなかなか大変な話であります。
 したがいまして、民間による危機対応業務が十分に見込まれるようになれば、速やかにこれは危機対応業務からということで義務付けを廃止するというのは当然だと思っておりますけれども、その時期がいつぐらいかと言われると、二度とああいうことが起きないという保証があるかと言われれば、これはなかなかそうとも申し上げられませんので、当分の間という表現にさせていただいておるという経緯です。
○長峯誠君 再三、私の問題意識としては、完全民営化で全てがバラ色というわけじゃないということが前提でございます。
 長期資金の供給や成長資金、あるいは危機対応業務というものを今まで続けながら政投銀が蓄積してきたものというのは、相当貴重なノウハウだというふうに思っております。確かに、この完全民営化の議論がスタートした時点では、政府系金融機関による民業圧迫という批判もありました。しかし、今回、この有識者会議で検討された中でも、民業補完という言い方でやはり政府系金融機関の役割を全銀協や地銀協も評価をしているわけであります。
 今回、完全民営化の方針は維持するということについては了とするにしても、将来に向けては完全民営化のマイナス点というのも十分配慮、検討していく必要があると思っております。完全民営化になりましたら経営陣や株主の意向が当然最優先でございますので、リスクを回避して利益を最優先にするというのは当然のことになってくるわけでございます。
 そういう中で完全民営化をして本当に長期資金、成長資金、危機資金というものが担保できるのか、あるいは、非常に貴重なノウハウを持っている政投銀でございますから、株式が市場に出て買収をされるというリスクも出てくるんじゃないかなというふうに思っております。そういったものにどう対処されていくのか、お伺いをいたします。
○政府参考人(迫田英典君) 政投銀の完全民営化後のビジネスモデルにつきましては、その時点における経営陣あるいは株主の判断というふうなことだと思いますけれども、その上であえて申し上げれば、政投銀が現在果たしている幾つかの機能、御指摘もありましたけれども、企業の成長を支える資本性資金の供給、あるいはインフラ整備等のための長期資金の供給、さらには危機時の資金供給といったような機能は、今後とも日本経済にとって極めて重要であることは間違いないと思うわけでございます。
 政府としては、完全民営化後の政投銀においても、御指摘のありました人材、ノウハウの活用といったような観点から、こうした長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持するということについては強く期待をしているということでございます。
○長峯誠君 民間が手を出せないリスクを政府系金融機関が取るということで我が国の経済発展に寄与している部分は非常に大きいというふうに思っております。
 具体的に政府系金融機関がどの程度のリスクを取っているのかということの一つとして、政府系金融機関と民間金融機関で金融検査マニュアルの区分で言うところの要注意先への融資をどの程度行っているのかというのを貸出残高ベースでお伺いをしたいと存じます。
○政府参考人(迫田英典君) それでは、政投銀について申し上げますけれども、平成二十六年の三月期の政投銀の自己査定対象債権残高十四兆一千四十三億円あるわけでございますけれども、このうち要注意先に対する債権残高は一千五百六十三億円でございまして、割合にいたしますと一・一%ということになるわけでございます。
○政府参考人(佐藤悦緒君) 平成二十六年三月期におきまして、商工中金の自己査定対象債権残高約九・八兆円のうち要注意先に対する債権残高は約三・一兆円であります。そのため、この要注意先の比率は三一・六%ということになります。
○政府参考人(森信親君) 民間金融機関について申し上げますと、平成二十六年三月期における自己査定の対象となっている債権残高は六百十四・二兆円に対しまして要注意先に対する債権残高は五十三・七兆円でございまして、その比率は八・七%となっております。
○長峯誠君 今お示しいただいたように、要注意先に商工中金は三割近く貸出しをしていると。ただ、民間金融機関は八%ということですから、やはり非常にリスクのある融資については政府系金融機関が頑張っているというふうに見ていいんではないかなというふうに思っております。
 その一つとして、経営者保証ガイドライン、これが昨年定められました。経営者保証を取らずに融資をしていこうということなんですが、これが、もう一年以上たちましたので、どのくらい実績があるかなというのをいろんな場でお聞きするんですね。お聞きすると、この商工中金等のデータをお示しいただきます。ところが、民間金融機関についてはデータが取れないというようなお返事が多いんですね。
 しかし、もう一年たちましたので、大体貸出しの中で経営者保証ガイドラインに従って貸し出した比率がどのくらいなのかということをお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(森信親君) ガイドラインが適用開始された昨年二月から九月までの八か月間でこの経営者ガイドラインの活用実績は約八万五千件でございます。ただ、その母数となります新規融資の件数の把握につきましては、これは金融機関によって異なる場合がございまして、そこは我々として把握しておりません。
○長峯誠君 それ、すごく問題だと思うんですね。八万五千件という絶対数は分かるんですが、それが全体の融資の中のどのくらいの割合を占めているのか、多いのか少ないのかというのはさっぱり分からないんです。
 結局、経営者ガイドラインせっかく作ったので、しっかり毎年チェックをして、そしてPDCAサイクルに乗せていって、少しでも経営者保証を伴わない融資を増やしていく努力を私たちしていかなきゃいけないわけです。ところが、このデータが、分母が分からないまま絶対数だけお示しされても、PDCAでいうところのC、チェックができないということになりますので、ガイドライン作りっ放しで終わりになっちゃうんですよね。
 で、金融庁に何回伺っても、いや、我々は指導をしています、現場に行ってこういうガイドラインできましたということを伝えていますとおっしゃるんですが、逆に、これから中小企業、小規模零細企業にこういうガイドラインできたので皆さん活用してくださいとお知らせをして、いざ金融機関に行くと今までどおり経営者保証を取られるということが多分相当数ありますから、そうすると何のためのガイドラインなんだということが現場から相当出てくると思います。
 ですから、これは、しっかりとした分母を出すのが難しいとおっしゃいましたけれども、何とかそこは工夫していただいて、皆さんお知恵がありますので、しっかりとした分母を示して、割合を示して、毎年このぐらいずつパーセンテージを伸ばしていくんだという目標でしっかりとチェックをしていっていただきたいと思いますが、御感想をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(森信親君) 金融庁といたしましても、ガイドラインの活用促進につきましては、監督指針や検査マニュアルを改定いたしまして金融機関における体制をチェックするなど様々な施策を取ってきておりますけれども、ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、どうした対応が可能か、今後検討してまいりたいと存じます。
○長峯誠君 日本政策金融公庫と商工中金は、これちゃんとパーセンテージを示すんですね。ですから、そこと並べて同じ基準で見ていけばいいのかなと思いますけれども、そこはそこでまた民間金融機関なりの難しさというのが恐らくあると思いますので、きちっとそこが比較検討ができるようなデータのそろえ方を出していただけるようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。
 今日は政投銀法の改正案の審議でございますが、主要な政府系金融機関四行のトップの皆さんにも御出席をいただきました。お忙しい中、大変恐縮でございます。しかし、政策金融という意味で関係がありますので、今日はおいでいただいた皆さんからもいろいろと御意見をお伺いしたいと思います。
 まず大臣にお伺いいたしますが、今回の法案、附則の第二条七に記す「危機対応業務を行う責務を有する。」というのを、これは永久に政投銀に責務を有するようにするという意味でよろしいでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今回の危機対応業務の実施というものは、これは日本政策投資銀行、政投銀に当分の間の義務付けを行うということを考えております。
 民間による危機対応業務が十分に確保されると見込まれるようになると、政投銀に危機対応業務の実施を求める必要がなくなった時点というので速やかに日本政策投資銀行への危機対応業務の義務付けを廃止する方針でありますので、したがって永久に義務付けるものではございません。
○大塚耕平君 先ほどの長峯さんの御質問とも若干関係する部分ですけれども、民間金融機関がそういうことができればいいですけれども、なかなか私は難しいんじゃないかなと思いますので、政府系金融機関を統廃合していく中で、やはり政府系金融機関にそういう機能を担っていただく方が合理的なような気がいたします。
 ところで、大臣、この政投銀の改革というのは、小泉総理そして竹中大臣がいらっしゃった頃の官から民への改革の流れの後、リーマン・ショック、東日本大震災、そして今回ということで、言わば民営化改革の見直しを、これで三度目の見直しを行うという展開なんですが、この間の展開を振り返っての御所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 小泉内閣、二〇〇五年、竹中平蔵経済財政担当大臣のときだったと思いますけれども、民間の自発的な活動を最大限に引き出すという観点から政策金融改革というのはこのとき随分華々しく行われたと言うべきか、いろいろな意味で、政策投資銀行については完全民営化の方針が決定されたのが二〇〇五年だと記憶をいたします。
 その後、二〇〇八年にいわゆるリーマン・ブラザーズの破綻が起きまして、その後、東日本大震災というのが起きる等々で、政策投資銀行法が改正されて、危機対応業務の実施のための政府による追加の出資などの対応を通じて政投銀は日本の経済社会の回復等に私から見て大いに貢献した、これがなかったらえらいことになったと思います。
 特にリーマン・ブラザーズのときは、ちょっと正直申し上げて、外務大臣をしていたんだと記憶しますけれども、このときは海外におけます中小はまだいわゆるそこそこやり方があったと思いますが、海外におきます大企業の系列の大会社、一億円以上の大会社等々は、あれがなければ多分全部倒産していたと思いますので、あの法律はたった一本の赤い糸をつないで、いろんな形で救済をすることができたと思っておりますので、あれは非常に大きかったと思っております。
 また、二〇〇五年当時というのは、世界的にまだ金融が、九七年、八年のアジアの通貨危機から抜け出て少しずつ少しずつ良くなってきて、企業も財務諸表を見る限りは債務超過を脱して、二〇〇〇年を過ぎたぐらいから大分内容が大きく変わってきたという時期であろうということでもありましたので、日本も九〇年代の金融危機から脱却して、MアンドAとかいろんなファイナンスなども随分活発に行われていた状態だったんだと思うんですが、民間の金融機関が大震災の後極めて内容が厳しくなりましたものですから、民間の金融機関において思い切ってリスクを取るというような経営判断が難しくなったと。銀行に対して政府の金が入るというような形にもなったぐらいですから。したがいまして、そういった状況が変化していったんだと思っております。
 今回の改正案というのは、こうした経緯や状況を踏まえて、民間にできることは民間に委ねるというのはこれは当然のことだと思いますが、完全民営化への移行期間中というのが、政投銀の位置付けというものをこれはよくよく考えないと、また何か起きるかもしれないということは常に国際金融としては考えておかないかぬ場面もあろうと思いますので、民間における成長資金の供給というものの一層の促進といったようなものや、また、危機対応につきましても、政投銀が当面期待される役割を果たせるようにしておくというので、考え得る案としては、こういった形になっていった背景というのは、今の御質問の流れからいきますと、今の置かれている国際金融情勢に対応できるような形に変えざるを得ないというような形になっているのかなという感じがいたしておりますので、将来これが安定した段階で完全民営化になったときに、その後また起きたらどうするという話にきっとなるんだと思いますけれども、それはその時点で考えざるを得ぬと思いまして、今の段階で私どもとしては基本的には民間という形で行かせていただければと思っております。
○大塚耕平君 先々のことを断定的には予測できませんけれども、私は多分政投銀は完全民営化しない方がいいと思っております。むしろ、この後JBICの渡辺総裁にもいろいろお伺いしますけれども、JBICと統廃合するとか、そういう道を探っていくべきだと思うんですが。
 麻生大臣にお伝えをしておきますと、リーマン・ショックが起きたとき、大臣は総理大臣でいらっしゃったんですが、私は当時うちの党の方の金融危機対応チームの座長として、関係省庁の皆さんに国会図書館に集まっていただいて、この危機対応業務を発動するべきだということで我々の案もまとめて御提示したんですね。私の印象では、最初、この危機対応業務発動にすごく消極的でした、皆さん。これは、一応その法律の中に盛り込んであるけれども、伝家の宝刀で、そう簡単に抜くものじゃないという、そういうスタンスだったんですが、いや、この局面で抜かないでどうするんですかという議論を随分させていただいて、まあ大臣のお耳に伝わったかどうかは分かりませんが、政府としても最終的にこの危機対応業務を発動し、この業務の意味が極めてあるということがみんな認識できたわけでありまして、そういう意味では、その後の三・一一も含めて、この業務の親元はJFCですけれども、しかし、指定金融機関として、DBJも含めて、きちっとした体制をこれは未来永劫維持していくということが私は大事だと思っておりますので、そのことをお伝えしておきます。
 そして、今大臣が民間でできることは民間にというふうにおっしゃったので、全くそのとおりでありまして、そうすると、附則の第二条十二の第二項に地域経済の自立的発展に資することに寄与すると認められるもの、こういうものにもこれからDBJは特定投資業務として参加をしていくということになっているようなんですけれども、これこそまさしく民間にできることではないかと思うんですが、DBJが行う地域経済の発展に資する業務ないしはそれに絡む融資というものはどういうものを想定しておられるんでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) 一言で申し上げますと、地域活性化につながる案件というものをどう掘り起こすかということだろうと思いますけれども、例えて申し上げますと、地域企業でも国際競争力に優れたものがありますので、それの海外展開を支援をする、あるいは地域の中核的な中堅企業など地域経済への波及力が大きい企業への支援を行うといったようなことが想定をされるわけでございますけれども、こうした案件を支援することで、一つは魅力ある就業の機会の創出の推進というものに寄与するということが考えられますし、あるいは政投銀の金融ノウハウあるいは目利き力を生かした地銀等との連携による地域の案件発掘、成功事例の積み上げといったようなものを通じまして、地銀等による成長資金の供給体制の整備ということにもつながるということが期待をされるわけでございまして、こういった地域活性化の取組に貢献できる、そういう事業を行うというのがこの特定投資業務の狙いでございます。
○大塚耕平君 政府系金融機関は必要ですし、この危機対応業務は特に体制を整備しておく必要があると思いますが、やはりその政府系金融機関が、かつての竹中さんの主張の背景として、まあ随分過大に使われた気もしますが、民業圧迫という、そういう口実を与えないためにも、そこはやはり民間でできることはまさしく民間にやっていただくということが必要なんですが、政府系金融機関は必要だという、こういう与野党とも若干そういう論調で足並みがそろってきていて、もちろん反対の政党もおありだと思いますけれども、これがまた、そうでしょうということで政府系金融機関の肥大化につながっていっては本末転倒だということになって、また第二の竹中さんが出てくるかもしれないので、それは避けたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いしますが、そうすると、附則の第二条二十一には「他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならない。」と書いてあるんですが、これは具体的にどういうことを行うんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘の政投銀につきましては、民業圧迫というのは今現時点で生じているという具合には思っておりません。今回の改正案でも、民間の対応が十分でない分野を補完するものであって、民業圧迫につながるものではないと、基本的にそう思っております。その上で、政府の関与が一定期間存続することを踏まえて、あくまで念のための取組としては、当面、政投銀の業務全体については、民間との適当な競争関係の配慮義務を課すことというようにいたしております。
 この法律上の義務を受けた具体的な対応としては、民間の金融機関などに比べて著しく有利な条件で、まあ金利とかなんとかいろいろ有利な条件で投融資は行わない等々、また、事業規模が過度に大きくならないようにというようなことも配慮しておかねばならぬというようなことを想定をいたしておるところであります。
○大塚耕平君 政府系金融機関という看板を持って、おっしゃるように、著しく有利な条件で融資するといったら、それはもうみんなそちらに集中しちゃいますので、これは適切に運営をしていただきたいと思いますし、今日はDBJの橋本社長のみならず関係の皆さんおそろいですので、同じことをお願い申し上げたいと思います。
 同時に、今日、皆さんのお手元にお配りをさせていただいた資料ですが、DBJ、JBIC、JFC、そして実は日銀も最近は政策金融をやっておりますので、金融政策の一環ということでやっているんですが、それぞれどのぐらいの規模かということをお示しをさせていただきました。このお手元の資料も参考にしていただきながら、まずJBICにお伺いをしたいんですが、JBICの現在の融資規模等について御説明をいただきたいと思います。
○参考人(渡辺博史君) 御質問の件につきまして、まず、二十六年度の数値は現在計算中でございますので、直近のものとして、二十六年三月末、二十五年度末の数字で申し上げますと、資産規模が十六兆三千四百六十億円、融資残高は十二兆六千九百四十九億円、出資残高は千八百七十億円、保証残高は二兆四千二百二十六億円となっております。また、件数につきましては、融資承諾が二百十二件、出資承諾が七件、保証承諾は二十件という状況でございます。
○大塚耕平君 融資残高は、保証等を合算すると、今私がお示しした多分この十五・三ぐらいになるんだと思います。
 それでは、JFC、日本政策金融公庫にお伺いしますが、やはり同じように、融資規模、まずそれだけお答えいただけますか。その後、旧国民公庫、旧農林公庫、旧中小公庫についても改めてお伺いしますので、まずは全体の規模について御説明ください。
○参考人(細川興一君) 私の方も二十五年度の数値で申し上げたいと思います。
 日本公庫の資産規模は二十四兆六千五百三十四億円、それから融資残高でございますが、配付資料にありますように、三つの事業の総額で十五兆六千八百六十五億円であります。融資件数につきましては、この配付資料では各事業の端数を切り捨ててありますので、正確に申し上げますと四十四・九万件であります。
○大塚耕平君 それでは、ただいま前の質問で若干申し上げましたが、JFCは旧三公庫が合体して今の形になっておりますが、旧三公庫のそれぞれの平均の融資金額、一件当たりの平均の融資金額だけで結構でございますので、ちょっと教えていただけますか。
○参考人(細川興一君) これも二十五年度の数字で申し上げますと、融資一件当たりの平均額でございますが、国民生活事業が六百万、それから農林水産事業が二千六百万、中小企業事業が六千六百万でございます。
○大塚耕平君 それから、それぞれの毀損率、焦げ付いた率というのを直近のデータで三系統それぞれ数字を教えていただきたいんですが。
○参考人(細川興一君) 毀損率につきましては、現在の貸付残高の中で焦げ付いている債権の割合を意味するものだと考えられますので、すなわち破綻先債権の貸付残高に対する割合で三事業それぞれ申し上げますと、これも二十五年度の数字で、国民生活事業が〇・二六%、農林水産事業が〇・〇三%、中小事業が〇・二一%となっております。
○大塚耕平君 やはり政府系金融機関は、まさしく民業が至らざる点をカバーし、危機に当たっては政府系金融機関としての責任を果たし、そして公正な業務運営を行っていく。だからこそ、政府系金融機関は信頼を得て、国民の皆さんの負託も得られるわけでありますので、この融資等に不透明なものがあってはならないというふうに思いますが。
 今日は本題ではありませんので、ちょっと発言だけさせていただきますけれども、ゴールデンウイーク前の国会で、某大臣の関係のJFCに絡む融資で、三重県の支店で二億数千万円という規模のものについて話題になったと記憶をしております。たしか農林系だったと思いますので、今お話をお伺いすると、農林系は平均融資金額二千六百万円、それに比べると、二億数千万円という融資はその十倍に当たるわけでありますが、かなりこれは異例の規模だと考えてよろしいでしょうか。
○参考人(細川興一君) 個別のことについては答弁は差し控えたいと思いますが、平均しますと今のような数字でありますが、かなりばらつきがあるものだと考えております。
○大塚耕平君 個別のことをお伺いするつもりはありません。二億数千万円に対して農林系は平均が二千六百万円、しかも、今お伺いすると、毀損率というのは三公庫系の中で最も低い〇・〇三%ですから、かなり珍しいことが起きているなという気がいたします。
 従前から、支店ごとの平均金額等についてデータを御提供いただけるようにお願いを申し上げておりますので、細川総裁には改めて本席で正式にお願いをしておきますので、早く資料をそろえて御提出をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○参考人(細川興一君) 個別支店ごとのものにつきましては開示は差し控えたいと思っております。
○大塚耕平君 委員長、個別支店ごとというのは個別案件ではありませんから、政府系金融機関として個別支店ごとの概況を示すということは決して私は不合理なことではないと思いますので、委員会として資料を提出していただくようお願い申し上げます。
○委員長(古川俊治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議させていただきたいと思います。
○大塚耕平君 それでは、次に、日銀の黒田総裁においでいただいておりますので、日銀も金融政策の一環として成長基盤強化融資というものを今行っているわけでありますけれども、その規模等について概要を御説明いただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘の成長基盤強化のための資金供給の貸付残高は、本年の三月末現在で全体としては約六兆円になっておりますが、この中には本則のほかに三つの特則の部分も含まれておりますので、このうちの代表的な本則について申し上げますと、委員の提出されておられる資料にあるとおり四・六兆円、そして、貸出案件としては百十八の金融機関について貸出しを行っているということであります。
 また、二〇一〇年の制度開始以降、本則を利用して金融機関が行った投融資は全体で約五・八万件、金額では委員の提出されておる資料にありますとおり約九・五兆円となっております。
○大塚耕平君 このように、日銀の場合は中央銀行ですけれども、三つの政府系金融機関及び中央銀行も言わば政策金融を今行っているわけであります。これについての考え方とそれぞれの関係について、残った時間で少し議論させていただきたいと思います。
 今日は、この法案の対象である日本政策投資銀行橋本社長にもおいでいただいておりますが、橋本社長には、DBJとJBICとの役割分担とか協力関係についてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(橋本徹君) お答えいたします。
 国際協力銀行との協力関係などにつきましては、我が国の国際競争力強化などに対して、それぞれの強みを生かしながら適切な支援をしていくことが最も重要であるというふうに存じております。
 具体的には、プロジェクトの規模とか必要な資金の質及び事業者のニーズ等を踏まえまして、まず第一に、当行が有する産業金融の実績によって培った目利き力や高度な金融手法などの活用による金融リスクなどへの対応、それから、国際協力銀行が有しておられる海外プロジェクトに関して長年蓄積してこられた知見とか経験、こういったお互いの強みを案件ごとに柔軟に生かしながら、引き続き我が国の国際競争力の強化に向けて適切に協力してまいりたいと、このように考えております。
○大塚耕平君 橋本社長は適切に協力していきたいというふうにおっしゃいましたが、渡辺総裁にお伺いしますが、JBICとDBJは仲がいいというふうに考えてよろしいでしょうか。
○参考人(渡辺博史君) 業務の遂行におきまして余り仲がいいとか悪いとかということではありませんけれども、今、橋本社長から御答弁がございましたような形で、それぞれの長所を生かして協力をしていくということについては全く異論はございません。
○大塚耕平君 それでは、渡辺総裁にお伺いいたしますが、ちょっと抽象的な聞き方で恐縮ですが、過去においてイギリスの鉄道建設への融資をめぐってDBJとJBICがバッティングした案件があろうかと思うんですが、それについての事実関係及び経緯について、もし御説明していただけることがあれば簡単に御説明いただきたいと思います。
○参考人(渡辺博史君) 御質問の案件は、英国の鉄道案件、インターシティー・エクスプレス・プログラム・フェーズ1ということについてのお尋ねだと思っておりますけれども、当行といたしましては、二〇一二年にプロジェクトファイナンスの形で欧州投資銀行、EIBあるいは民間金融機関とともに参加しているということでございます。
 また、借入人及びスポンサーと日本政策投資銀行との間で本プロジェクト向けの協力について協議が行われていたということは承知しておりますが、具体的な協力の内容については、当行は当事者でないのでコメントを差し控えたいと存じます。
○大塚耕平君 先週、実は新幹線でばったり奥田前総裁にお会いして、今週、政投銀法に絡んでこの件をちょっとお伺いしますからというふうにお伝えしたら、ああ、あの件ねなんて言って笑っておられましたけれども。
 経緯は御承知のとおりですが、私から申し上げますが、数年前にイギリスの国会議員から私の方に、DBJというのはどういう組織なんだと、JBICがDBJの海外融資を認めるようなことは困るのでDBJが参入しないようにしてほしいというような要請をJBICから受けているけれども、JBICとDBJは仲が悪いのかという、こういう問合せを受けたわけであります。
 事実関係は私は分かりません。分かりませんが、しかし、現実にそういうことがあったのでいろいろ関係者から話を聞いてみると、民営化の流れの中でDBJはやはり海外にも出ていきたいと。今、DBJの海外融資比率は〇・四%でありますので、まだまだこれから海外を伸ばしたいと。しかし、JBICの方は海外が六三・二%ですから、海外はJBIC、DBJは国内にいてくださいという、そういう気持ちが今申し上げたような展開につながったんだろうなとは思いますけれども、JBICもDBJも、JBICのため、DBJのために法律上の根拠を持って業務をしていただいているわけではなく、これは日本国のためにやっていただいているわけでありますので、間違っても他国の政府、議会関係者から我々のところにそういう問合せが来るかのごとくの対応に海外でなることのないように、これは両方にお願いをしておきますが、基本的に今後はそういうことはないという理解でよろしいでしょうか。渡辺総裁、恐縮ですがお伺いしたいと思います。
○参考人(渡辺博史君) まさに先ほど橋本社長からお答えがございましたような形で、それぞれの長所を生かして協力をしていくということを旨として仕事をしていきたいというふうに思っております。
○大塚耕平君 今日は、歴代の大蔵省次官や元財務官の方ばっかりですからね。だから、日本がアジアで競争相手がいないとたかをくくっていた時代は海外で日本の組織が縄張争いしていてもよかったんですけれども、今申し上げたようなことを今後も続けるようなことですと、それこそJBICも、元ADB総裁の黒田さんもいらっしゃいますが、ADBも、AIIBにあっという間に主役の座を奪われていくということになると思いますので、是非問題意識を共有して御対応いただきたいと思います。
 その上で、渡辺総裁にもう一個お伺いします。
 一九九六年に実行された中国の尖閣諸島の資源をめぐる海底パイプライン建設向けの融資の経緯及び現状について御説明ください。
○参考人(渡辺博史君) 当行におきましては、一九九六年の八月、中国政府との間で、平湖石油ガスプロジェクトにおけるパイプラインの敷設に必要な資金につきまして一億二千万ドルを限度とする融資契約に調印をしております。
 本件融資は、開発途上国への資金協力計画という当時の日本政府の施策の下、アジア開発銀行との協調融資案件として、日本企業が多数進出している上海浦東地区等に必要なエネルギー供給を行うこと、また同地区の環境改善を図ることなどを主たる目的として実施をしたものでございます。
 なお、本件融資につきましては二〇一二年に全額完済されております。
○大塚耕平君 ここにJBICの年次報告書があるんですが、対中向けの融資の承諾額累計は三兆八千七百十四億円という数字がここにあるんですが、中国向けのJBICの融資や保証等はまだ拡大し続けているんでしょうか。
○参考人(渡辺博史君) 二十五年度末、ですから二十六年三月末の時点でJBICの中国向けの融資残高は合計百三十六件、総額千五百五十九億円というふうになっております。
 今御質問のございました最近の動向でございますが、中国政府向けの事業開発等金融、環境問題等におきましては、平成二十二年度以降、新規供与の実績はございません。近年は、日本企業が現地におきまして、生産設備あるいは流通設備の修復あるいは増強等に対応するような投資金融を中心になって行っておりまして、現在の数字は先ほど申し上げたような状況になっております。
○大塚耕平君 JBICは、お手元の資料で融資残高や件数が記載してございますので割り算していただけると分かると思うんですが、一件当たりが数百億円という非常に大きい規模なんですね。DBJの方は、件数は非公表ということで承りましたので私の資料も非公表にしてありますけれども、金額にすると一件当たりは一桁小さいんですね、数十億円。
 だから、JBICがいかに重要な役割を果たしているかということは金額からも言えると思うんですが、是非、くどいようですが、過去の轍を踏むことのないように、JBICのための業務拡大という視点で業務を行っていかれることのないように、また、そういう感覚の幹部が、特にプロパーの幹部がいろんな意味において影響力を発揮しないようにお願いをしておきたいと思います。JBICについてというよりも、渡辺総裁について後でまたちょっとお名前が登場いたしますが。
 黒田日銀総裁にお伺いいたします。
 DBJは今回の法案で特定投資業務を行うことになるんですが、DBJの特定投資業務と日本銀行が行っている成長基盤強化融資との相違及び役割分担についてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 政策投資銀行の特定投資業務は、私の承知しているところでは、政策投資銀行自体が政府の関与の下で地域活性化あるいは企業の競争力の強化に資する出資等を自ら行うという枠組みだと承知しております。
 一方、日本銀行の成長基盤強化支援資金供給は、先ほども触れましたように、金融機関がそれぞれの判断で成長基盤強化に向けた投融資を行って、それを背後から支援するために日本銀行が当該金融機関に対して長期かつ低利の資金を供給すると、こういう仕組みになっております。
 日本銀行といたしましては、この成長基盤強化支援資金供給、さらには別途あります貸出増加支援資金供給などの実施によりまして、金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すということを期待をいたしております。
○大塚耕平君 もちろん、金融政策の一環として、我々の政権の時代に、デフレ脱却のためにできることは何でもやるという発想の中で新たに生み出したファシリティーだということは十分理解しておりますので、しかし役割の重複のないように手じまうべきものは手じまっていただきたいと思いますが、私が御提示した資料で数字を御覧いただくと、民間金融機関が九・五兆円、成長基盤につながるような融資をやるので、そのファイナンスとして四・六兆円を日銀から借りているということなんですね。
 だから、かなり有利な条件で日銀がその融資の原資を提供しているんですが、そうであれば、民間金融機関から最終的な借り手に対しては、その有利な条件を反映した、言わば低利の融資が行われていなければならないですし、またこの九・五兆円を根拠に四・六兆円を借りた、その九・五兆円にちゃんと充当されていることが必要なんですけれども、民間金融機関から与信先へ融資されているその内容について、条件も含めて日銀はチェックしているんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) その点に関しましては、この制度ができたときから、具体的にどのような民間金融機関による融資であれば成長基盤の支援になるかということをかなり詳細に定めまして、その基準にのっとって民間の金融機関が融資をしていただくと、で、そういうことをしているかどうかということもチェックをするという形になっております。
○大塚耕平君 チェックをするということになっているんですが、チェックをしているという理解でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) そういうことでございます。
○大塚耕平君 いや、総裁、もし今現在は御自身で確証がなければ、確認してみますというふうにおっしゃっていただいた方がいいと思いますが、確実にチェックしているというふうに御理解いただいているということでいいですか、それとも、これからその点はチェックしてみますということですか。
○参考人(黒田東彦君) チェックしているということでございます。
○大塚耕平君 分かりました。是非よろしくお願いします。
 私は、これはさっきも申し上げたように、デフレ脱却のためにできることは何でもやりますということで、白川総裁時代に白川総裁ほか職員の皆さんも知恵を出し合ってつくったファシリティーですから、出口戦略の議論をこれからやらなくてはいけないときに、金融政策の本来のファシリティーではないはずでありますので、手じまうんだったらこういうところの融資規模を落としていくだけでもそこそこの規模になりますので、是非そういうことも御検討をいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 その上でもう一つお伺いしたいんですが、二月の日銀半期報告のここでの議論で、総裁には、現在の異次元緩和を行っていることにより超過準備預金が相当発生していて、それに対して利息を付けているものですから、民間金融機関にどのくらい言わば労せずして利益が上がっているかということをお伺いしたところ、たしか三千億弱ぐらいだったと思うんですね。
 私は、つまり民間金融機関、もうけていただくのはいいんですけれども、国会や政府は、こうして政府系金融機関を駆使してリスクマネーを民間に供給し成長基盤を強化しようとしているというのは、それは民間金融機関がそういう機能を十分に果たさないからこうなっているわけですね。
 その一方で、日銀が新たなファシリティーとして九・五兆円の融資のファイナンスを低利で四・六兆円付けているとか、それから、超過準備預金によって全く労せずして三千億円の利益が民間金融機関に渡っているというようなことを考えると、私は、この超過準備預金、少なくともこの超過準備預金の利息部分については、民間金融機関にそのまま滞留させておくというのはちょっと不合理ではないかというふうに思っておりますが、これは例えばJFCやDBJがより低利で民間企業に融資をできるようなファシリティーを工夫するときの原資として民間金融機関から移転をさせるとか、これは民法上いろいろ難しい問題はありますよ。しかし、そのまま民間金融機関の利益とするのはいかがなものかと思いますが、黒田総裁にこの点についてのお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は、量的・質的金融緩和という下で、マネタリーベースが年間約八十兆円に相当するペースで増加するように金融市場調節を行っております。日銀当座預金への付利、御指摘の付利につきましては、こうした大量のマネタリーベースを円滑に供給することに資するというふうに考えておりまして、その下で実際にもマネタリーベースの積み上げと国債の買入れ等は着実に進んでおるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしまして、この付利を引き下げるとか撤廃するというふうなことは検討はいたしておりません。
○大塚耕平君 まあ今日の段階ではそういうことかと思いますが、引き続き、不条理だと私は思いますので、デフレ脱却のための国のマクロ経済政策の一環として三千億円の利益が民間金融機関に労せずして渡っているというのはどう考えても不条理でありますので、今後も議論させていただきます。
 いただいた時間は十一時十分までですから、残された時間で岩田日銀副総裁に関する質疑というか、意見を述べさせていただきます。
 今日は岩田さんにおいでいただきたかったんですが、おいでいただけないということなので、インターネット中継でちゃんと聞いておいてくださいとお願いをしましたので、今聞いておられると思いますから、岩田さんが聞いてくださっているということを前提にお話をさせていただきます。
 渡辺総裁、先ほどお伺いした中国の尖閣諸島をめぐるパイプライン建設に向けた融資、一九九六年に実行されているんですが、これは直前に中国が地下核実験を何度もやって、日本の国内は大変な中国に対する批判が盛り上がっていたその背後で、人知れず尖閣諸島に対する融資を決めていたんですね。当時の関係者に聞くと、こういうJBICの行動が尖閣諸島の権益に対する日本の関心度合いを誤解させたんじゃないかというふうにおっしゃる元外務省関係者もいます。つまり、それだけ係争している領域についての中国の案件に日本のJBICが融資するということは、日本はそんなにこだわっていないんじゃないかという、そういう誤解を与えたんじゃないかということを指摘をされる元外務省関係者もいますが。
 渡辺総裁が悪いわけじゃないですよ、渡辺総裁は何の関係もありませんから。そのときのJBICの総裁はどなたでしょうか。輸銀ですよね、旧。──いや、御記憶になければいいんです。僕は今から渡辺さんを、何というか、大変持ち上げたいと思っているんですが。
 というのは、そのときの総裁は保田さんです、保田博さん、元大蔵省事務次官。渡辺総裁は、実は二〇〇八年の日銀正副総裁国会同意人事で副総裁に名前の挙がられた方で、この場でも答弁されて、本当に立派な御答弁で、私は是非副総裁に就任していただきたかったんですが、その当時の国会の力学や、実は武藤総裁候補が否決をされた後に田波さんという総裁候補が、もうみんなびっくりしたんですけれども、福田康夫当時総理がカードを切られたものですから、さすがにこの場における御答弁もちょっと不安がありまして、結局否決ということになりました。
 武藤さん、田波さんというお二人の方が否決になった後だったものですから、大変渡辺総裁には申し訳ないことだったと思いますが、大蔵省御出身であるということで否決になったと記憶をしております。本当に私は残念でありましたが、もしあのとき、二度目の総裁候補として、副総裁として既に同意されていた白川さんが総裁候補として出てきて、そして渡辺さんがセットで副総裁候補として名前が出ていれば、恐らくそのまま同意をされて、ひょっとすると今の黒田総裁の席に座っておられるのは渡辺さんだったかもしれないんですね。いや、私はそうだと思っています。
 その田波さんを、これは人づてに聞いた話ですので不正確かもしれませんが、当時の福田康夫総理に御推薦されたのが保田さんだったと。その中国のパイプライン建設の融資を決めた当時の輸銀総裁の保田さんだったと聞いておりますが、福田康夫元総理と保田元輸銀総裁は、福田赳夫総理のときの首相秘書官同士で仲がよろしかったんだそうでありますね。そういういろんな経緯で、大変残念なことですが、渡辺現JBIC総裁は今のお立場になられたわけでありますが、今後も是非御活躍をいただきたいと思っておりますので、そういう意味でエールを送らせていただきたいんですけれども。
 何を申し上げたいかというと、国会同意人事というのはやはり重いものであります。岩田副総裁は、私はアカデミアの学会のメンバーの一人としても岩田さんとは一緒にパネルもやらせていただいたこともありますし、大先輩ですから尊敬もしております。しかし、就任に当たって、この十数年、岩田さんの御主張になっておられたことは必ずしも主流ではなかった中で、持論を曲げずに、最後まで持論を貫徹し、そしていろんな経緯で副総裁としての候補として名前が挙がり、そしてその就任に当たっての国会での同意人事の審議の過程においても持論をきちっと御主張されて、そしてそれが二年間で達成できなければ辞職をされる覚悟があるというふうにおっしゃったということは、これは画期的なことであり、ある意味、私は大変敬服したわけであります。多くの与野党議員がそうだったと思います。
 しかし、岩田さんが悪いわけではなくて、岩田さんの御主張しておられたとおりにはならなかったわけでありますから、国会の場で、そうならなかったときには辞職をするというふうに御発言をされたことの重みがどうも御理解いただけてないんじゃないかというふうに私は思います。岩田さん御自身は、失敗したときに適切な行動を取らなければ結果として日銀の金融政策に対する信頼、期待が低下していくという趣旨のことも言っておられたわけですから、身をもって日銀の金融政策に対する信頼性と期待度を維持するために、まさしく言行一致の行動を取られるべきではないかと私は思っております。そうされてこそ、今後も岩田さんの御主張がアカデミアでも、あるいは政策を検討する国会の場でも意味を持ってくるというふうに思っておりますので、これを聞いておられる岩田副総裁には是非適切な御決断をいただきたいというふうに私は思っております。
 与党の皆さんもここは御理解いただけると思いますが、大臣に就任される前の大臣候補や就任された直後の大臣が所信表明で、私は二年間でこれこれを実行します、実行できなければ辞職をしますなんというたんかを切ってもし就任されたら、二年後には、もし実行されていなければ、それは辞職する展開になると思いますよ。国会での発言というのはそれほど重いということを是非岩田副総裁には御理解をいただきたいと思います。
 これで、もしこのまま任期を全うする、まあ、ああは言ったものの、消費税の影響とか原油価格の下落の影響とかいろいろあったので不運だったんだ、しようがないといってもし任期を全うされるようなことになると、今後、また次の日銀正副総裁の同意人事に当たって、できるかどうか分からないことについて、必ずできます、間違いありません、実現できなければ辞職しますから任せてくださいという、こういうタイプの人がどんどん出てきてしまう。アカデミアの後輩たちに対しても決していいことではないと私は思っておりますので、そのことを黒田総裁から岩田副総裁にお伝えをください。
 私は、決して岩田副総裁、嫌いなわけではありません。本当に持論を曲げずに副総裁に就任されたことには敬意を表しますが、国会の重みがもうひとつその就任時にお分かりいただけてなかったのでつい口が滑ったというのもよく分かりますけれども、国会という場はつい口が滑ったでは済まない場だということを是非お伝えをいただきたいというふうに思います。
 岩田さんのこの後の身の処し方は日銀の金融政策に対する信頼にも影響いたします。そして、いろんな経緯で、本来であれば黒田総裁の席に座っていてもいい方も粛々とそれぞれの業務を全うしておられるわけでありますので、国会同意人事に名前の出るような方々は皆それぞれ大変重い責務とその時々の適切な身の処し方を求められているわけでありますので、岩田副総裁には、繰り返し、御自身のためにも、御自身の今後の御発言のクレディビリティーのためにも、この際、もうこれで先日の政策決定会合で目標達成時期は三度も先送りをしたわけでありますので、そして今年度の物価上昇率の見通しも三度も引き下げたわけでありますので、適切に身を処されることを望むということをお伝え申し上げて、最後は私の勝手な発言になりましたけれども、私の質疑を終わらせていただきます。
 以上です。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今回の政投銀法の改正につきまして、やや詳細なところも含めて改めて確認を幾つかさせていただきたいと思います。
 特定投資業務に関しましての質問でありますが、これは今回法改正が必要になった一つの理由として政府出資ということが挙げられております。この特定投資業務に関して、なぜ政府出資が必要なのか、またこの完全民営化に向けた取組に対してどういう影響があるのかということをまずお聞きしたいと思います。
 政投銀法の第一条は改正をされておりませんで、「株式会社日本政策投資銀行は、その完全民営化の実現に向けて経営の自主性を確保しつつ、」という文言は全く変わっていない。つまり、完全民営化の実現に向けてという目的規定は変わっていない。その中にあって、今回、産投会計から政投銀へ出資されることを法改正として挙げておるわけであります。そのことで、政府出資することが、この政投銀の完全民営化という目的規定は変えていないものの妨げになるのではないか、あるいは今回の政府出資が固定化をするようなことになれば完全民営化の実現は遠のくのではないかという、そういう声もあります。
 そこで、大臣にまずお聞きしたいと思います。固定化懸念を払拭するために、この今回の法令上でどのような工夫がなされているのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、西田先生からお尋ねのありました特定投資業務に対します政府出資の話でありますけれども、政投銀は、エクイティーとかいわゆるメザニンファイナンス、いわゆる劣後ローンとか優先株とかいろいろありますけれども、こういったリスクの高い投資というものを行う上で財務の健全性というのが維持されていないと、重要なこと、大事なことですので、必要な資本というものを確保するというのを目的にいたしております。
 したがいまして、この政府出資は既存のいわゆる株式とは別に管理されて、特定投資業務というものの終了とともに全額国庫に返納されるということにいたしております。既存の株式の売却を進めていくという完全民営化への取組に影響を与えるというものではございません。
 また、特定投資業務というものは、これは完全民営化への方針を維持した上でのいわゆる当面の取組ということでありまして、これが何というか漫然と継続されて固定化するということがないように、法律的には二〇二〇年度末を新規投資の期限といたしておりまして、二〇二五年度末までに業務を終了するよう努めるということにするなど、時限的な業務として位置付けを明確にしておりますので、今御懸念になるような話にはならないと、私どもはそのように考えております。
○西田実仁君 今大臣が最後のところでおっしゃったのは、この附則の第二条の二十のところに書かれている十年間の時限措置ということでございます。ここは条文上、努めなければならないという努力義務とされているわけでありまして、これによって固定化懸念が完全に払拭されるのかという疑問も湧きます。
 また、ここで条文上、第二条の二十に、その他の事情を考慮しつつ云々かんぬん努めなければならないというふうになっている、このその他の事情ということにあらゆることが入ってくると、結局はこの努力義務すら空文化してしまうのではないかというふうにも思うわけでありますが、この点、財務省はいかがお考えでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) お答えをいたします。
 まず最初の努力義務という規定になっていることでございますけれども、これを仮にあらかじめ特定の期日として定めた場合には、その時点の経済情勢や投資対象事業の状況等によっては一律に株式等の資産の処分を行うことが困難な状況があり得ること、あるいは、株式等の資産処分の期限が確実に予見可能となることで、市場における価格等の条件設定に影響が生じるおそれがあることなどを考慮したものでございます。
 次に、その他の事情と法律上書いておりますのは、例えば、投資対象事業の共同投資家の状況、あるいは株式等の資産の譲渡先となる民間金融機関等の状況などを想定をしているということでございますが、いずれにいたしましても、このように法律上同業務の完了期限を努力義務といたしておりますのは、実務上の必要性から期限設定に一定の柔軟性を持たせるためということに尽きるのでございまして、こうした必要性の範囲を超えて同業務を継続するという趣旨ではないということを申し上げておきたいと思います。
○西田実仁君 今、実務上の要請ということでございますが、そもそも今回の法改正の目的は、附則第二条の十五にございますが、民間資金の成長分野への成長マネーの供給、提供ということの呼び水効果ということであろうかと思います。そして、それは、もっと言えば、民間による自立的な資金供給ということをいかにして達成していくのかということであろうかと思います。
 その意味で、今申し上げた第二条の十五、「会社は、特定投資業務を行うに当たっては、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励することを旨とする」と、このように定められているわけでございますが、この今申し上げた民間による成長資金の供給促進に寄与するという観点から補完又は奨励と、こう条文上定められていることは、具体的に政投銀としてどういう業務を想定をしておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 特定投資業務の趣旨につきましてはただいま西田委員から御指摘のとおりでございますが、この法律上、民業の補完あるいは奨励というふうに位置付けておりますのは、一つには、民間金融機関等による資金供給のみでは十分な実施が困難な事業を対象とすること、あるいは民間金融機関等と共同して成長資金を供給することといったようなものを基本的に想定をしているわけでございまして、いずれにしても、民業の補完、奨励を確保という観点からは、民間金融機関との定期的な意見交換であるとか、あるいは外部有識者が参加する機関を同行内に設置して検証を行うことであるとかというふうな幾つかの取組を改めて制度設計しているわけでございまして、いずれにいたしましても、政府としても、こうした取組で民業補完、奨励の役割に徹する、そして民間による成長資金の供給促進に着実に貢献できるというようなことをしっかりチェックしてまいりたいと考えているところでございます。
○西田実仁君 投資を実施した後なんですけれども、投資案件は民間に早期に譲渡するというふうに考えておられるのか、その法令上の位置付け等についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 特定投資業務のエグジットの話でございますけれども、結局、この特定投資業務の大きな目的として、先ほど来申し上げておりますように、民間の成長資金の供給主体を育成をするという観点があるわけでございますので、政投銀がこの業務の完了を待たずに当該株式等を民間金融機関等に早期に譲渡するといったことも重要な方策であるというふうに考えているところでございます。
 このため、同業務の投資対象事業の状況や事業特性等に留意しつつ、当該株式等の早期譲渡も積極的に行っていくように、本改正法案に基づきまして財務大臣が定めます特定投資指針におきましてその旨を定め、政投銀に促していくこととしたいと考えております。
○西田実仁君 特定投資指針にそれをきちんと位置付けるということでございます。
 先ほど大臣からもお話がございましたが、この政府出資分というものをどうきちんと区分経理して固定化懸念を払拭するのかということでの工夫として、この出資分は、今回、附則の第二条の二十三に特定投資準備金というところに計上するというふうにされているわけでありますけれども、これは、政府の出資はされますけれども、政府は議決権を持たない、そういう株式だということでよろしいか、確認したいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 御指摘のとおりでございまして、特定投資業務のための政府出資は、同業務の実施のため必要な自己資本の確保等に目的を限ったものでございますので、議決権あるいは配当請求権等の株主権を伴わない条件で拠出をするということにいたしております。
 したがいまして、この政府出資につきましては、現在政府が保有している既存の政投銀株式とは全く性質が異なるものでありまして、両者を明確に区別する必要があるということ、それから、今後、既存の政投銀株式の売却を進めていく場合には、特定投資業務のためのこの政府出資が民間株主への配当財源とならないように管理する必要があるということ、さらには、特定投資業務の的確な実施の観点から、必要がなくなった段階で、特定投資業務のための政府出資と、これを元手として生じた剰余金を国庫に納付させる必要があることなどから、御指摘のように特別な準備金を設けて管理をするということといたしております。
○西田実仁君 あわせて、第二条の二十三の第七項には特定投資剰余金を設けると、このように定められておりますけれども、この意味するところは何か、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 結局、今の御質問の流れと全く軌を一にするお答えになるわけでございますけれども、特定投資業務のための政府出資につきましては、相応のリターンを国庫に還元をするということを前提にしておるわけでございまして、その通常業務と区別をして収支を管理する必要があるということでございますので、通常業務による毎年度の損益が計上される剰余金とは別に管理をするということのために設けるということでございます。
○西田実仁君 附則の第十条には特定投資業務に関する検討という規定がございますが、ここにおきましては、政府は、この法律の施行後の適当な時期において云々かんぬんとあって、国の関与の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすると、このように第十条、検討項目に書かれているわけであります。
 その趣旨についてお聞きしたいと思いますが、これはできるだけ速やかに民間による自立的な資金供給の実現を目指して、それが達成できたときには、特定投資業務は法律上定めた実施期限、先ほど十年間という時限措置だという説明がございましたけれども、それを待たずにこの業務を終えると、こういう意味合いでの検討なのかどうかを確認したいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) 繰り返し申し上げているとおり、特定投資業務はまさに民間資金への呼び水というふうな効果を期待をしているわけでございまして、こういうことから、特定投資業務に関しては、その実施期間を御指摘ありましたとおり十年程度の時限措置とはしておりますけれども、同業務の実施状況、あるいは民間による成長資金の供給状況、さらには企業の資金需要も含めた社会経済情勢といったものを見極めまして、必要な場合には業務期間中であっても業務内容等を適時に見直すべきものというふうに考えているところでございます。
○西田実仁君 それは、特定投資業務が、時限措置でありますけれども、ありていに言えば、民間の成長資金供給が進んでいけばもうこの業務は十年を待たずに終えると、こういう意味も含んでいると理解してよろしいでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) 今後、民間からの資金供給が具体的にどういうふうになるかということをあらかじめ予見を持って考えることは難しいとは思いますけれども、この特定投資業務の趣旨があくまで民間資金への呼び水であるということから考えまして、こうした検討条項を法律上明確に設けているわけでございまして、趣旨としては、先ほど申し上げたとおり、同業務の実施状況、あるいは民間によるまさに成長資金の供給状況、それから企業の資金需要も含めた社会経済情勢などを見極めた上で、必要な場合には業務期間中であっても業務内容等を適時見直すというふうな趣旨を法律上明確にしているということでございます。
○西田実仁君 重ねてお聞きしますけれども、それは十年を待たずに終えるということを意味しているのか、含んでいるのかということについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(迫田英典君) あり得ると思っております。
○西田実仁君 その上で、この第二項のところには、しかし、政府は、今申し上げた第一項の検討を行うに当たっては、一般の金融機関を代表する者その他の関係者の意見を聴かなければならない、こういうふうにしているわけですね。
 ここはなかなか難しい問題でありまして、民間による成長資金の提供、自立を促すという政策目的と、一方で、民間金融機関にその意見を聴かなければならないとなりますと、リスクを取りたくない、自立をしたくない、あるいはできない、依存をしたいというような意向が強くなればなるほど、意見を聴けば聴くほどもっとやってほしいという話になるわけでありまして、そうすると何のためにこの今回の法改正をするのか、つまり民間による成長資金の供給、自立的な資金供給ということが本当の狙いであれば、この第二項の意味というのがかえってそうした自立を妨げることになるのではないかという心配を持ちますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) この附則第十条第二項の趣旨は、成長資金の需給状況等に関していろいろ検討していく場合に当たっては、まず現場の意見を十分に踏まえる必要があるであろうということ、そして検討する内容の客観性あるいは中立性を確保する必要があるだろうといったようなことから、民間金融機関の代表者等から意見を聴くということを法律上義務付けているということでございます。
 実際、そういう場でどういうふうな意見が出てくるかということに関しましては、いろいろ社会経済情勢、金融情勢を取り巻く環境の中で民間の金融機関がそれぞれどういう経営判断をされていくかというふうなことにもよりますし、政策対応としてのいろんな環境整備といったようなことにもよるのだろうと思っておりますけれども、この法律の趣旨は、あくまでさっき申し上げたような、現場の意見を十分に踏まえること、あるいは検討内容の客観性や中立性を確保する必要があると考えること等からこういった仕組みを設けているということでございます。
○西田実仁君 最後に大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の法改正の目的は、やはり、繰り返し今御答弁もいただきましたが、民間による自立的な成長資金の供給、これができるだけ速やかに達成されるということが大事なわけでありまして、そうでないと、いつまでたってもこの政投銀が出ていったら民間も出るという形での依存が終わらない、自立しないと、こうなってしまっては法改正の目的を達成できないと思っております。
 そうさせない、逆に言えば法改正の目的を真に全うするというための大臣の決意、そして、その目的達成のために、今回の法改正だけではもちろんそれが達成できるとは思えませんので、併せてその他の施策についてもお答えを最後にいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたように、この政策投資業務というのは、政投銀のいわゆる成長資金の供給が民間資金への呼び水となって、民間の資金の供給自体というか供給主体の育成を図るということになるんだということを目的といたしておりますので、この目的に向けて実現をさせるためにしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますが、今それ以外にもということがございましたので。
 御存じのように、豊富な家計資金、今一千六百九十兆円ぐらいの個人金融資産と、うち約八百九十兆円が現預金というのが今の現状でありますので、こういった巨大な個人金融資産というものが成長資金の方に、貯金から投資にという形に向かいやすくなる仕組みを確立しないと今言われたような雰囲気にもならぬという、これは銀行だけの話だとは思いませんので、そういった意味で、顧客のいわゆる要望に即した金融商品の多様化というのは進んでいるんだと思いますので、そういった意味での資本市場等の金融の育成、また競争力の強化を通じまして、やっぱり中小企業のいわゆる企業価値の向上というのに合わせて投資が行われるわけですので、そういったものを図っていく必要があろうと思っております。
 そのために、例えば今NISAというのが始まっておりますけれども、これも思ったより口数が増えておりますし、その普及促進、拡充、また投資型のクラウドファンディングの利用促進に向けて、今法律等々をやらさせていただいておりますけれども、これの整備をやらせていただく。
 また、コーポレートガバナンス・コードとかスチュワードシップ・コードとか、やたら片仮名が増えてきておりますが、経営者なども、これまで二十年間にわたってデフレに対応するためにじっと金を持っていれば金の価値が上がって物の価値が下がっていくという時代の経営から脱却してもらって、きちんと対応を変えていってもらうというためには、中にいる今までの人だけではなくて、外からの声、株主の声、また、中にいる新しく入ってきた社外重役等々の声といったものも入れて、発言を会社の中の経営の姿勢についてやっていただくといったようなこともいろいろやらさせていただきつつありますので、こういったものを着実に実施してまいりたいと今後とも考えております。
○西田実仁君 終わります。
○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。
 まず最初に、先ほどの大塚耕平委員のコメントに対するコメントを申し上げたいんですが、岩田日銀副総裁の身の処し方について大塚さんがおっしゃっていましたけれども、私、あれを聞いていて、きっと一番内心ほっとしたのが黒田日銀総裁じゃないかと思ったんですね。
 というのは、前回の財政金融委員会で、この会で黒田日銀総裁に私は、二〇一八年の三月の満期のときにきちんと継続してやっていただけますねというふうにお聞きしたんですが、それは、量的緩和というアクセルを思いっ切り踏み込む政策なんというのは簡単なことで、誰でもやろうと思えばできる話なんですが、その後アクセルを緩めてブレーキを踏むのは私は方法がないと思っているわけで、これは日銀総裁としては修羅場になると思うんですよね。ですから、そういうときに、やりたいところだけやって逃げるというのは、これはこんな楽な仕事はなくて、次の総裁は大変な仕事になると私は思っているんですけれども、それをやらなくて踏み込むだけ踏み込んでいいというんだったらば誰でもやっちゃいますよね。そういう意味もありまして、量的緩和という極めて、私はハイパーインフレになるという政策だと思っているんですけれども、それをやった以上、最後の最後まで、巡航速度まで戻してから辞めていただきたいという意味で、その大塚委員のコメントを聞いて黒田日銀総裁は、ああ、踏み込んでおいて、何か大きいことを言っておいて達成できませんと言って辞めてしまえばいいんだろうなというふうになるんじゃないかなと思って、私はそういう感想を持ちました。
 政投銀の話に行きますけれども、これもちょっと大塚議員と違って、私の感想としては、せっかく完全民営化の方向が決まっているのにまた先祖返りをして極めて残念だ、日本ってやっぱり社会主義国家だなという印象を持っておりますので、そういう前提の下でちょっと質問をさせていただきたいんですが、まず一番目に、法改正の中に危機対応の確保とありますけれども、危機が来る可能性はあるのかどうか。アベノミクスというので日本は将来バラ色のはずなのに危機が来るのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) まず最初に、本人がおられないときに一方的に黒田の話をしておられましたので、甚だ公平性を欠いていると思いますので私の方から代わりに一言。
 やりたいときだけやってやりたくないときにはさっさと辞めちゃえばいいというような無責任な発想で日銀の総裁をやるとか財務官を受けるというような人はいません、民間と違いますから。役人をやっておるんです。それは、それぐらいの決意がある人が役人をやっておると、私はそう思っておりますので、今の話は極めて無責任な話だと、私にはそう受け止められました。
 それから、今の、二つ、金融秩序の混乱、大規模な災害については、これはいつどのような形でどの程度のものが来るかというようなことを予測することは極めて困難で、これははっきりしておるんであって、リーマン・ブラザーズが来る来ると言っておられたのはいつ頃でしたか、思い出してみてください。あのサブプライムローンが始まったときから言っていたんじゃないんですか。結果的にはずっとそのまま続けてきたという結果だったということからいきましても、私は極めて困難だと思っておりますが。
 だけれども、危機対応の体制というのを怠っておりますと、危機が発生したときに、被害を受けた事業者とか、またそれに適宜適切に支援ができないということになりますと、経済的な、社会的な危機が拡大しかねないということでありますので、危機発生したときのセーフティーネットというものに対して十分な対応をしていないと、平時においてこれは事業者が投資に消極的になってしまうということにもなろうかと思いますので、私どもとしては、そういった問題が生じる可能性については我々としてはふだんから着実な対応を目指しておく必要があろうと思っております。したがいまして、今回の改正案において、社会主義国家に戻るような話とは、全然私らの感性とは違います。
 私らは、今回の改正案においては、リーマン・ショックや東日本大震災のときにどのような対応でできたかと思い出してみていただければ、我々としては、危機対応業務に民間の参加がなかったというのがあのときの経験則として出てこなきゃおかしいんじゃないんですか。どなたがなさいました、民間はあのとき。思い出してみてください。
 当分の間、私どもは、そういった意味では政投銀に危機対応業務を義務付けるということをしておかないと、国家経営をする立場からとしては極めて無責任なことになりかねない。あの経験に全く学んでいなかったではないかという批判を招きかねぬと、私どもはそう思っております。
○藤巻健史君 黒田日銀総裁の件に対しては、確かに言い過ぎたことがあると思いますので、これは謝罪いたします。ただ、彼がいるときにもう一回お聞きしたいなとは思っております。
 今の危機対応の件に関してですけれども、危機対応をするということは当然コストは掛かるわけで、例えば自動車であっても、万が一死亡事故を起こすかもしれないからということで制限時速を十キロに落とすということであれば、これは非常に大きいコストが掛かるということで、コストとリターンのバランスで決めるべきことだと思うんですが、アメリカの場合、先ほど、長峯委員の質問に対して総括審議官が、ドイツにもあるし、アメリカにもSBAというのがあるというふうにお聞きしました。
 私もちょっと寡聞にしてSBAというのを知らなかったんですが、あの国は、SBAという、それほど大きいとは私は思わないんですけれども、大きくない国営企業、国営というか公的機関しかないわけですよね。それにもかかわらず、リーマン・ショックも、発祥の地でありながら、日本よりもよっぽど早く回復して、今も巨大な国営機関をつくろうとしていない。それについてはどういうふうにお答えいただけるんでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) まず、危機時にどういう対応をするかというのは、国によっていろんな制度なり準備が違うんだろうと思います。アメリカの例は、おっしゃるように日本と必ずしも同じではありませんけれども、一方で、ヨーロッパなどを見ますと、日本に近いような仕組みを持っているというところもあるわけでございまして、それぞれの国の成り立ち、歴史等を踏まえて、どういうふうなやり方が一番危機対応に適切かということを選び取っていくということだろうと思います。
 また、リーマン・ショック後の回復の話につきましては、非常に大きなショックが生じたリーマン・ショックと、それから構造的に日本経済がいろいろ抱えていた要因等々によって、その後の回復の度合いというものがいろいろ足取りに差が出てくるということもまたいろいろあるんだろうと思っておりまして、一概にリーマン・ショックのときの危機の備えの仕方が日本とアメリカで違うからというふうなことでは説明し切れない部分があるのではないかというふうに思っております。
○藤巻健史君 いや、私が申し上げたいのは、別に国営の組織じゃなくてもちゃんと危機は乗り越えたじゃないかという話をしたわけでございまして、国営の組織を持つということは極めて大きいコストが私はあると思っている、これは後で申し上げますけれども、だからこそ民営化を進めるべきだと私は思っているんですね。
 もし危機対応が必要であるならば、そういう政投銀ではなくて、単に国が債務保証を充実させればいいだけじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) もちろん、アメリカのリーマン・ショックのときの対応も、先ほど申し上げたようなSBAによる対応以外にも政府が直接お金をつぎ込むといったような仕組みでやったということも事実だろうと思います。不良資産救済プログラムといったようなものでGMあるいはAIGといったものを救済したというふうなことがあるんだろうと思います。
 ただ一方で、日本の場合には、政策金融改革のときの危機対応制度というのが一応制度としてあって、日本公庫をバックにしていろいろやるわけでありますけれども、その指定金融機関として政投銀、商工中金、それからほかの民間金融機関も参画をしていただいてという、そういう枠組みが一応あるわけであります。その枠組みをどういうふうに活用するかというふうな観点が我が国にとっては非常に重要な観点ではないかというのを去年からずっと議論をしてきたということになるわけでございまして、今、日本の置かれている状況の中での危機対応として極めて現実的でかつ効果的というものは、担い手としての政投銀なり商工中金というものをきちっと担い手としてその機能を当分の間は存続をさせ続けるということが現実的な対応ではないかということで、今法案をお示ししているということでございます。
○国務大臣(麻生太郎君) 融資じゃなくて保証で足りるのではないか、そういうお話だったと思いますが、あのリーマン・ショックのとき、二〇〇八年のときですが、あのときも信用保証協会において中小企業のいわゆる債務の一〇〇%を保証するセーフティーネットというもの、保証制度は用意してあったわけですよね。御記憶だと思いますけど、ありましたよ。しかし、実際には、民間金融機関からの融資が行われたかといえば、実際は行われたと言える状況にはなかったんじゃありませんか。
 したがいまして、信用保証協会は中小企業者を対象としておりますために、いわゆる中堅・大企業に対象を拡充したとしても、これら企業に対して審査能力は今持っておりませんから、御存じのように。したがって、適切に対応できないという課題もこれまたあろうということを思いますので、こうしたことを考えますと、リーマン・ショックのときのようなことの危機時において、中堅とかいわゆる大企業を含めた事業者の資金繰りというものを支えていくためには信用保証制度だけでは十分でなかったのははっきりしておりますので、政投銀によります直接的な融資など様々なチャンネルというものを備えておかないとそれに対応するというのは極めて厳しい状況に置かれかねぬと、私どもはそう思っております。
○藤巻健史君 危機対応に関してどっちがいいかといえば、それは国営金融機関があった方がいいのかもしれませんけれども、それを持つということに対するコストも極めて大きいことだと思うんですね。ですから、リターンばっかり考えていればそれはいいかもしれませんけど、コストが何があるかということ。なぜアメリカに国営企業がないか。要するに、それはやっぱり社会主義的発想であって資本主義じゃないからなんです。
 どういうことかというと、これは今の財政が赤字がなぜこんなに大きくたまってしまったかということを考えるに、やはり市場原理の働かない、昔であれば財投とか郵貯とか、今であれば日銀が国債のマーケットで牛耳っちゃっているわけですよ。市場原理がなければ低金利でも買うんですよね、国債を。普通だったらば、基本的に市場原理の働く人間が全部のマーケットを占めていれば、国債の値段って、きっと今頃、金利なんかもっと高くて値段は低かったはずなんです。でも、そのリターンとかいうことを考えずに、損をしなければいいという市場原理の働かない人間がたくさんいたからこそ、今みたいに金利が低くて値段が高い、それがゆえに海外の投資家は魅力がないから入ってこないということで市場原理が働いてこない。
 もし政治家が例えば財政出動して橋を造っていけば、市場原理が働いていれば、国債というマーケットがチェックをして、政治家さんよ、橋を造れば、それはいいかもしれないけれども、長期金利が上がって景気にマイナスですよというその警戒警報を鳴らしてくれるわけです。そういうのが市場原理の市場のいいところであって、そういうふうに市場原理の働かない国営企業みたいなのがどんどんどんどん入ってくれば、それは資源の最適配分ができないし、今の財政赤字がこんなにたまったのの一つの大きい理由だと思いますけど、こういうコストがあるわけです。
 単に民業圧迫という話がありますけれども、民業圧迫なんというのはコストのうちのほんの一部です。要するに、日本がきちんとした成長をできない、市場原理が働いてきちんとした成長ができないというのは、こういう国営企業が大きくなる最大の理由だと思うわけですよ。だから、そっちの方のコストの方が私はよっぽど大きい、日本が経済低迷したのは、まさに資本主義が発達しないで市場原理が発達しないせいだと思っていますけど、そういう原則に反対して、また先祖返りで国営企業を大きくしようというのは私は間違いだと思いますが、大臣、お考えはどうでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) まず、基本的に、アメリカとの比較でしたけれども、アメリカの場合はこの種の話をするときには民間からの資金が優先的に入ってくるという土壌があります。日本の場合はなかったわけですから。そこのところはまず大前提が全く違っているんだと思っていますけどね、今のお話聞いていて。御自分のお考えだとしておっしゃる分には構いませんけど、国会の発言というのは非常に大きいものだと大塚さんのお話でしたから、その点もよくお忘れなく聞いておいていただかないかぬところだと思いますが。
 そういった意味で、私どもとしては、こういったようなものを考えるときに、国としてのコストを考えると同時に、やっぱり国民がそのときにいかに失う利益というものを十分に考慮しておくという配慮と両方を考えておかないかぬところだと思っておりますので、これが社会主義と思う気持ちも全くありません。
 また、これだけどんどんどんどん借金が多くなったというお話の大きな部分というのは、これは何といってもデフレーションだったということですよ。そのデフレの話は全然抜きにして、アメリカの場合、デフレやっていないわけですから、こちらは世界で初めて、戦後七十年間では世界で初めてデフレーションによる不況というのをやっている点を十分に配慮して発言をしないと、この種の話はなかなか難しいんだと思っております。
○藤巻健史君 時間があれば幾らでもそれを反論するんですけれども、残念ながら時間がないのであれですが、最後に一言だけ申し上げますと、デフレになったのは、円高になって、円高というのは市場原理が働いてないからそういうふうになって、社会主義だったからそうなったと私は思っております。一応、時間がないのでここでやめておきます。ありがとうございました。
○大門実紀史君 自分の前に質問した方のことをコメントされるというのは嫌な部分はあると思うんですよね。気を付けないと、褒めるときはいいですけれどもね。しかし、あえて言わせてもらいますと、社会主義という言葉をちょっとよく勉強してから使っていただきたいなと。軽々しく、だからソ連の何か、あんなものが社会主義だったら、私、共産党におりませんので、もうちょっと、国会ですからよく勉強してから言葉を使ってもらいたいと申し上げた上で。
 政投銀ですけれども、今日の議論を聞いて、また、この十年近く見ていますと、私思うんですけれど、ちょっと審議官に聞きたいんですけれども、結局、財務省当局は政投銀を完全民営化なんかしたくないんじゃないんですか。だから、したくないならしたくないとはっきり言って、しない方向で打ち出すとか、もう何かそういうことをきちっと、これ十年ぐらい見ていると、どうもそう思うんですけれど、審議官、いかがですか。
○政府参考人(迫田英典君) 御提出いたしております法案は、完全民営化の途上にある政投銀という位置付けで出しておるわけでございまして、完全民営化を目指すということについては今までと変わっておらないというわけでございます。要は、民間にできることはできるだけ民間にやってもらったらいいという大きな考え方というのは極めて妥当するものだと思っておりますので、間違っても、公的な部分が過剰にはみ出すというふうなことは慎まなくてはならないということだろうと思いますが。
 一方で、この七、八年、十年ぐらいの流れの中で我々は非常に大きな経験をしたわけでございまして、一つはリーマン・ショック、あるいは東日本大震災というふうなことがあったわけです。いずれも性格は異なりますけれども、その広さ、深さにおいて、私どもの経済社会にとっては大変大きな影響を与えたわけでございますけれども、そういった危機に対しての対応というものをあらかじめ備えなくていいのかというのが一つのポイントと。それからもう一つは、今、日本経済が置かれている状況の中で、金融緩和という中で、一方で資本性の資金というものの供給が足りないんではないかと。
 そういうふうな二点を主な政策課題として法案に盛り込んで御提出しているわけでございまして、考え方ということでいいますと、冒頭申し上げたとおりでございます。
○大門実紀史君 そもそも、もう細かい話よりも、政投銀が一体どこに向かっているのかということなんですけれども、大塚耕平さんからもありましたけれども、始まりは二〇〇五年の十二月ですか、例の行革の重要方針という閣議決定が出て、その中で政策投資銀行についてもかなりちょっとシビアな書き方してあるんですよね。簡単に言いますと、大企業、中堅企業はもはや資金不足ではなくて、市場からの資金調達は可能だ、政投銀は政策金融として必要はないために撤退すると、こうはっきりと閣議決定は書いたわけであります。この閣議決定について私はいいと思っておりませんけれども、これが基にいろいろと進んできたと思うんですけれども。
 今はもうあれですか、この二〇〇五年の、もちろんあの小泉・竹中路線ではありましたけれども、いいとは思ってはおりませんけれども、ただ、この閣議決定というのは、麻生大臣、これはもうないんですか。この閣議決定というのは生きていないんでしょうか、今。
○国務大臣(麻生太郎君) 今回の見直しにつきましては、二〇〇五年の政策金融改革におけます民間の自発的な活動を最大限に引き出すとの理念というものは、これはそのまま維持させていただきつつ、今、度々出ますが、リーマン・ショックとか東日本大震災等々が発生した後の現時点におきましては、これは民間の金融機関において思い切ってリスクを取る経営判断が極めて難しくなってきているんだと思うんです。
 金融機関ももちろんのことですけれども、企業もこれだけ巨大な内部留保を抱えて、それを、金を回さない。何に回さないかといえば、賃金に回さない、いわゆる配当に回さない、設備投資に回さないで、ただただ内部留保をずっと抱え込んでいるという状況が続いているという状況ということになっておりますので、私どもとしては、これは経営上、判断としては、やっぱり長い間デフレーションが続いた結果もあって、企業家のマインドが萎縮しちゃっているという点も多々あるんだとは思いますけれども、我々としては、今回の改正案において、少なくとも完全に民営化というのが私も正しいんだと思いますけれども、移行期間中との政投銀の位置付けというものをやっぱりこれは考えなきゃいかぬと。
 また、危機対応というものも考えないといけませんので、いわゆる民間の参加がなかったというこれまでの経験を踏まえて、政投銀に当分の間義務付けるということにしておりまして、成長資金の供給につきましても、民間の資金の呼び水となるのであれば、民間の供給主体の育成ができるようになればよろしいのであって、民間の自発的な活動を最大限に引き出すという理念はそのまま確保したままで進めるべきものだと、私どもは基本的にそう思っております。
○大門実紀史君 今、麻生大臣が言われたのは、私はそのとおりの部分がたくさんあると思いまして、その点でいきますと、二〇〇五年のこの閣議決定はもはや実質的には生きていないといいますか、これもうすっぱり言っていますから、ここはね。大企業と中堅は自分で調達できるんだ、すべきなんだ、だからもう政投銀は要らないんだということですけれども、今おっしゃったことでいえば、まだ役割があるということだというふうに思うんですよね。
 ただし、私はこの閣議決定全部が間違っていたわけではなくて、大企業とかは特にこの頃からもう内部留保はかなりたまっておりましたから、自分で資金調達するのはもうそれほど難しくない状況にもなってきておりましたので、ある意味では、ある分野についてはもう政投銀が支援する必要はなくなってきているのではないかという意味では、この閣議決定の一定部分は同じ考えでございますけれども、しかし、中小企業とか新分野とか、そういう部分は引き続き政策金融の役割を果たすべきだということで、民営化は反対だというふうに思っていたわけでございます。
 ところが、とにかくこの閣議決定の後、そうはいっても巻き返し的にいろんな動きがあって、二〇〇八年の六月にはもう産業投資について三つの分野でやっていくということとか、民主党政権でもパッケージ型のインフラ海外展開ありましたし、天然ガスがありましたし、安倍内閣でいわゆるこのデフレ脱却に向けた民間投資の活性化ということで、もう何でもやれるようになってきているわけでありまして、これはこれでいかがなものかと思うところはあるわけです。
 しかも、この資料の一枚目に、先ほども質問ございましたけれども、前からありました競争力強化ファンドが今度は特定投資業務になると。これは約五千億の規模でと言われておりますので、かなり大きな規模でやられていくとなりますと、もう既に二〇〇五年のこの閣議決定ははるかに超えたところに来ているというふうに思うわけです。
 それで、その上で、この二枚目の資料なんですけれども、先ほど審議官が、民間だけでは十分に資金が供給されない分野ということを繰り返しおっしゃっていますけれども、これが競争力強化ファンドの実績なんですけれども、見れば分かるとおり、かなり大きな大企業、内部留保をため込んでいるような大企業の共同プロジェクト、共同ファンドで、そこに政投銀が参加しているという形でありますけれども、かなりもう内部留保、麻生大臣も指摘されているように、持っているところでありますが、こういうところはあれですか、民間だけでは資金が供給されない分野、ファンドと言えるんですか、これ。審議官、いかがですか。
○政府参考人(迫田英典君) 大門委員の御提出の資料の幾つかについてのお尋ねだと思いますけれども、競争力強化ファンドの一つの考え方ということで、まさに御提出いただいている資料で恐縮ですけど、一ページ目の上から二行目にあるわけですが、企業間連携という切り口があるわけでございます。つまり、企業同士が連携をして新規事業を開拓をしていくという、そういうところにどういうふうなお金をつぎ込んでいくかという、そこの、何というんでしょうか、お金の出し方のみならず、知的貢献といいましょうか、ソフト的な貢献という部分が、実は政投銀には中立的な存在である、つまり民間のような系列関係といったようなものから無縁であるといったようなことから期待をされているという部分があるわけでございまして、まさに競争力強化ファンドというのはその辺にも着目をして政策的な目的を持つと、そういうふうなものでございまして、御指摘にある二ページ目の資料の幾つかにつきましては、いろんな企業が関係しておりますけれども、単にお金を出すというふうな部分以外の中立的な立場を生かした調整、事業計画の策定支援といったようなもの、そういうふうな部分についての政投銀の機能というものもあるということも御理解をいただきたいと思います。
○大門実紀史君 いや、そうですかね。これ見れば、例えば第六号案件ですか、自動車メーカー四社でしょう、こんなの自分でやりますよ。なぜこれが自分たちだけで資金が供給されないのか、どう考えても分かりません。
 このファンドの図に、先ほどまた呼び水、呼び水と言われていますけれど、私、違うんじゃないかと思うんですよね。これ反対じゃないかと思うんですよね。民間は民間で自分でできるんだけれども、むしろ政投銀が仲間に入れてもらっている、政投銀が呼んでもらっている。昔は違ったと思いますよ。昔はまだ高度成長で、日本にも資金力がないときは政投銀、政策融資のこういう時代があったと思うんですけれど、今や逆で、別に政投銀が出資して呼び水でほかが出資する、そんなことはないですよ。だって、いろんなことを独自でやっていますもの、みんな。やっていますよ、昔と違って。だから、わざわざこうやって、こういうファンドに仲間に入れてもらって、で、政投銀としての存在、案件をつくって、それで何か、さっき言ったようにずっとこの組織を維持していこうとされているのではないかとしか、長い目で見るとね、ずっと何度もこの質問をしていますけれど、ちょっとそういうふうに思ってしまいます。
 申し上げたいことは、後の反対討論でも申し上げますけれど、もうちょっと、冒頭申し上げたように、こういう何かに頼ってじゃなくて、独自で政策金融としてやるべきものをしっかりと時代を見据えて考えていかれるべきではないのかと。何かこう乗っかって乗っかって、取りあえず十年と。しかし、私、十年後、この特定投資業務が終わっても、恐らく政投銀はなくならないと思うんですよね。二十年後もあるんじゃないかと思うんですよね。
 いい意味での政策金融は私はあるべきだと思っているんですけれども、そういう点ではもう少し中身を、こういうものを持ってきて、何か理由を付けてやるんじゃなくて、本来あるべき姿を考えられるべきではないかなと。もうこれは答弁求めませんけれど、そういう御意見を申し上げて、質問を終わります。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。
 今日は、これまで政投銀の在り方についていろいろ御意見が出ております。私からもやはり政投銀の特に危機対応業務を中心にして、その在り方について伺っていきたいと思っております。
 政投銀は、リーマン・ショックの後、二〇〇九年以降ですね、さらには東日本大震災の後、二〇一二年以降、危機対応融資を行っております。大規模危機において大きな役割を果たしていると考えておりますが、危機対応業務、その実績について具体的に金額等をお知らせいただけますか。
○参考人(柳正憲君) お答えします。
 平成二十七年三月末時点での累積の実績でございますが、危機対応業務全体融資額が五兆五千億、うちリーマン・ショック等金融危機対応が三兆三千九百億、一方、東日本大震災向けのものが二兆一千億でございます。
○中山恭子君 また、この政府金融関係で公的な金融機関が危機対応業務に入っていると思いますが、そのそれぞれの役割というのがあろうかと思っております。特に、政投銀の場合には、他の商工中金などに比べまして、又は日本政策金融公庫に比べましても、例えば東京電力への融資等、非常に規模の大きな危機対応の仕事をしているかと思いますが、その役割分担のようなことについてお答えいただけますか。
○政府参考人(迫田英典君) 危機対応時の役割分担ということでございますけれども、まずメーンプレーヤーの一人が日本政策金融公庫でございます。これは、日本政策金融公庫がセーフティーネット貸付けあるいは東日本大震災復興特別貸付けといった直接貸付け等を行うということが一つございます。それに加えまして、商工中金及び政投銀による危機対応業務のための円滑化業務を果たすという、こういうことになっているわけでございます。
 日本公庫の直接貸付け等のみでは適切に対応できない、例えば組合金融のノウハウを活用した金融支援であるとかといったようなものにつきましては、商工中金による危機対応業務を活用することで円滑な資金供給が可能となるわけでございますが、また同様に、日本公庫の直接貸付け等では対応できない中堅あるいは大企業向けの比較的規模の大きな融資につきましては、政投銀による危機対応業務を活用することで円滑な資金供給が可能となっているということでございます。
○中山恭子君 これまでにも公的金融機関の必要性、又は無用であるといったような議論が行われておりますが、他の国の動きについて少し見ていきたいと思います。
 先ほどアメリカについては御説明があったかと思いますが、アメリカの制度、特に大統領制の下においては、やはり日本とは違った対応の仕方が取れるわけでございまして、その危機対応に当たって直接資金を投入するといったような危機対応が大統領の執行権によって取れていると考えております。
 そういった日本との違いについて、また、ついででございますが、これはアメリカの場合、リーマン・ショックの後どのような資金が入ったのか、又は経営破綻したGMについて直接資金が入ったかと思っておりますが、そのアメリカでのシステムと、それから、例えばヨーロッパ、ドイツでの公的金融機関についても御説明いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(迫田英典君) まず、アメリカでのリーマン・ショック後の危機対応でございますけれども、政府による企業や金融機関への直接の資金支援であります不良資産救済プログラムというのがまずございました。これでGMあるいはAIGへの資金供給が行われたわけでございます。
 これとはまた別に、政府系金融機関による支援ということで、米国内の雇用の確保を目的とする輸出入銀行による企業への融資拡大、あるいはスモール・ビジネス・アドミニストレーションの保証機能の強化による中小企業の運転資金支援などが行われたというものでございまして、政府からのダイレクトな手法と政府系金融機関の手法、共に役割を果たしたということだろうと思います。
 一方、ヨーロッパの方でございますけれども、ヨーロッパの場合は政府系金融機関による投融資の強化による危機対応ということが主流であったように記憶をしておりまして、先ほどお話のあったドイツで申し上げますと、復興金融公庫による企業の資金調達を支援するための融資拡大といったようなものも行われましたし、フランスでもそういったものもございました。また、EUそのものでEUの加盟国政府が出資をするEIBによるインフラ整備や中小企業向け融資の拡大といったようなものもあったということで、それぞれの国に応じて対応が取られているということだろうと思います。
○中山恭子君 今、アメリカで、政府からというか大統領執行権で直接資金が入るというだけではなくて、EXIMの資金投入というのもあったというお話でしたが、EXIMの株式構成と言っていいんでしょうか、資金のありようといったものを、さらに、ドイツの復興金融公庫の株式の構成、政府がどの程度持っているかということについてもお知らせいただけますか。
○政府参考人(迫田英典君) まず、アメリカの輸出入銀行でございますけれども、これにつきましては、資本金はアメリカ政府が一〇〇%出資というふうに承知をいたしております。それから、ドイツの方は、連邦とそれから各州がそれぞれ出しておりまして、連邦が八割、州が二割だったかと思いますけれども、いずれにしてもそういうふうなことで構成をされているということでございます。
○中山恭子君 それぞれの国がそれぞれの国の制度に従って危機対応については非常にしっかりした対応が取れるように整備されていると考えております。米国にしても、EXIM銀行も一〇〇%政府出資でありますし、それからドイツの復興の公庫でしたか、これも八〇%政府、あとは州ということでございまして、完全な公的金融機関が危機対応に備えられているということが、国の在り方によってやり方は違いますけれども、きちんと整備されているということが言えるかと思っております。
 先ほども大塚委員からもありましたけれども、日本では、民でできるものは民でという大きな掛け声の下で、二〇〇五年、民営化であればそれは全て善であるといったような極端な考え方がはびこってそのまま現在も続いているかと考えています。民業圧迫をしないということは当然のことですけれども、そして民でできるものは民で行うということも当然でございますけれども、民でできないことというのが必ずあるわけでございまして、インフラの整備にしても、それから長期の資金供給にしても、そしてこの危機対応業務といったことについては、公の分野で行わなければならないことというのがたくさん、しかもしっかりあるわけでございまして、これを放置しておくということはあってはならないんだと考えております。
 こういったことについては、民間金融機関自身が対応できないということを自ら指摘しているということもございますので、この日本経済危機にとって、又は日本経済の発展にとって重要な機能というものが民間では実施困難であるということを考えますと、公的金融機関を日本としてもしっかりと整備していくということが必要であると考えております。
 今回の法改正では、あくまで政投銀、完全民営化をする方針を維持しているということでございますけれども、大塚先生もおっしゃったように、私も、この政投銀等、危機対応を行う公的な金融機関というものをしっかり整備する必要がある。どのような公的金融機関をつくっていくのかというのは別途考えてもよろしいかと思いますけれども、取りあえず、この政投銀を完全民営化するという必要というか、してはならないというように考えております。こういった組織を完全民営化するということは大変危険な要素を含んでおりますし、言い換えれば、国家として、又は政府としてやらなければならない機能を現在放棄してしまっている、ある意味では国、政府又は国会のサボタージュであると言っても過言ではないように考えているところでございます。
 そういった中で、公的金融機関の整備、又はこの時点では政投銀の民営化ではなく公的金融機関として残していくということについて、財務大臣の御所見を伺えたらと思っております。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、中山先生おっしゃいますように、危機管理とか危機の対応におきましては、御指摘のとおり、その危機に対応する実施主体、実施をする主体というものを確実に確保というのが一番肝腎です。その確実に実施してくれる実施主体が民間だかどこだか分からないといって、結論誰も責任取る人がいなくなっちゃうということがないようにしておかないかぬというのが一番肝腎なところなんだと思っておりますが。
 財政金融の基本的な役割自体は、もう御存じのように、これは先ほど何度も指摘になりましたように、民間金融の補完でありますので、政策金融改革というもので示された民間の自発的な活動を最大限に引き出すという理念というものは現在でも維持すべきものなんだという点は、これは皆さん同じなんだと思っておりますが、民間の金融機関により危機対応などの業務が実施されるようになるという期待は裏切られる可能性が十分にあることは覚悟しておかないけません、これはもう過去に例がありますから。そういった意味では、よくこの状況を確実に見極めておかないかぬのであって、そういった意味では、政投銀としてそうした特別の役割を求める必要というものがなくなるというのが確証されないと先ほど大門先生が御指摘になったようなところに行き着くのであって、私と大門先生が意見が一致する方が問題だなと思っちゃいないわけでもないんですが、最近、自民党と共産党が一緒に大阪支援の街宣車に乗ったり、いろいろ例もありますので、随分いろいろなものが動いているんだとは思いますけれども。
 いずれにしても、私どもとしては、そういった実施主体というものが確実にあるということをできない限りは、国家経営をする立場からいきますとなかなかそういうのは難しいんだと思いますが、民営化というものを行うというのを目的とはしておりますけれども、それを放棄するという話に今の段階でちょっと、さような案に賛成でございますというように申し上げる段階にはないということだと御理解いただければと存じます。
○中山恭子君 今、今回この法案が出されている中で放棄するということはないとは思いますけれども、近い将来において、公的金融機関の在り方又はその必要性等につきまして、日本政策金融公庫プラス指定金融機関、商工中金と政投銀という形でいいのか、更に別途考えられるのか、少なくとも政投銀等がこの今の段階で民営化になってしまっていいとは思わないものですから、改めて議論する場をつくっていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
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○委員長(古川俊治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮沢洋一君が委員を辞任され、その補欠として舞立昇治君が選任されました。
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○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。
 早速、政投銀法改正案について質問していきたいと思いますけれども、今回の改正案によりますと、民間金融機関が危機対応業務を担えるまでの当分の間、政投銀に危機対応業務を義務付けて、その間は政府に対して三分の一以上の株の保有を義務付けるということになっていますが、これに即して私が考える問題意識二つということをまず申し上げたいと思います。
 一つ目が、先ほどから話が出ていますけれども、危機対応業務、民間に担ってもらうために、参加してもらうためにはどうすればいいのかというのが一つ目の大きな問題意識。そして、二つ目、三分の一超政府が株を保有するということを義務付けられていますけれども、これ、逆を考えてみると、反対に言いますと、三分の二近くまでは政府は株を売ることもあり得るということを意味しているということになりますので、それであれば、できる限りそうした際には高値で株式は売却すべきだよねと、それは国家の資産ですから、当然そうならなきゃいけないということだと思います。
 この二つの問題意識を考えたときに、民間が危機対応業務をやるためには危機対応業務がどんなものかよく分からないと参入できませんよねということだと思いますし、政投銀が危機対応業務を義務付けられているのであれば、その間、株式を売却するときに、やはりこの危機対応業務というのが何なのかというのが明確になっていないと、これまた株が売れないということになるんじゃないかと思います。となると、大事なことは、これは何なのかということが明らかになっているということなんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、まず一つ目の質問として、危機対応の認定事案ということについてお伺いしたいと思います。
 資料の一でありますけれども、危機対応業務を行う前提としては主務大臣が危機を認定するということになっております。そして、この法律ができてから認定された危機というのが五十七件あるんです。これまでの我々が説明を受けてきたのは、リーマン・ショック、これは危機です、大きな危機です。それから、東日本大震災、大きな危機だったと思います。
 しかし、この五十七件を見てみますと、例えば武富士の案件ですとか、あと事故米転用、これも危機というふうに認定されているんです。大雨ですとか台風ですとか、こうしたものも危機というふうに認定されていますが、これ、今まで我々が危機対応と言ってきたときのイメージするリーマン・ショックや東日本大震災とはちょっとギャップがあるんじゃないかなというふうに思いますが、麻生財務大臣は、危機というものについて、この政投銀に危機対応を担わせるときに何を想定しているということでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう御指摘のとおり、武富士の話とリーマン・ショックを一緒に扱われるのはいかがなものかということだと思いますが。日本政策金融公庫法という法律があるんですが、その中で、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症などの危機による被害に対処するため、主務大臣、財務、農水、経産等々が、一般の金融機関が通常の条件により貸付けなどを行うことが困難であって、指定金融機関が危機対応業務を行うことが必要であると認定する場合に発動されるということに法律ではなっております。
 ただし、どのような危機が危機対応制度の発動の対象となるかについては、これ、個別事態が生じた場合に、危機の実態や被害の状況などを踏まえていわゆる主務大臣が個別に判断するべきものということになりますので、今どれがどれと言われると、なかなか一概に申し上げることは困難ということになろうかと存じます。
   〔委員長退席、理事若林健太君着席〕
○中西健治君 一概に言うのは困難だということでありますが、やはりこういう五十七件を見ると、なかなか予測がしにくいというもののリストになってしまっているんじゃないかなというふうに思います。そうなりますと、民間の参入はどうなのかということになってしまうのではないかと思います。
 これ、このリスト自体は公表されているものですが、この先ももう少しお伺いしていきたいのは、この危機対応業務の情報公開についてなんです。政投銀さんのディスクロージャーを見てみますと、危機対応業務を切り出しては情報公開をされておりません。ですので、この危機対応業務がどれだけの経営リスクを伴う業務なのか、こうしたことが分かりにくいんじゃないかと思います。
 資料二というものを用意させていただきましたが、これ、政投銀さんといろいろ話をした上で開示を特別にしてもらったという資料ということになりますが、これは不良債権、危機対応業務、通常業務について不良債権の比率がどうなっているのか、これをまた他の金融機関と比べてみました。これは、金融庁さんの資料を使いながら他の業態の金融機関と比べてみました。
 この不良債権比率を見てみますと、危機対応業務は〇・一一%、通常業務が一・三一%、他の銀行を見ていただくと、第二地銀などは三・二八、信用金庫は五・九六、このようになっているわけですが、まずこの政投銀の不良債権比率、御覧になって、麻生財務大臣、どうお感じになりますか。これ、多いなと、高いなと感じますか、それとも低いなと感じますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の危機対応業務における不良債権比率の低いことは、これは政投銀が所定の要件を満たした上に適切にリスク管理を行っているということを示しているということにもなろうかとは思いますが、私どもとして、これはちょっと、これだけ見て、何となくおまえら堅いところばっかりやっておるやないかと、JPの方はもっとやばい橋渡っておるぞとか、まあいろんな表現はあろうと思いますよ、これは、私は。だけど、これちょっと一概に、これだけ見てどうかと言われると、ちょっと答えが難しいなと存じます。
   〔理事若林健太君退席、委員長着席〕
○中西健治君 これだけを見ると、低いなというふうにすぐに思うのが素直な感想ということなんじゃないかなというふうに思いますけれども。
 では、政投銀さんにお伺いしたいと思います。
 この数字でまずお伺いしたいのが、この危機対応業務、これはもう一時的とはいえ危機に陥った企業、事業に対してなされる融資の不良債権比率ですから、なぜここまで低いのかということが一つ目。あともう一つ、危機でない通常業務と比較して危機対応業務の不良債権比率の方が低いんですね、これ。これもにわかに理解できないということだと思うんですが、これはなぜ危機対応業務の方が低いのか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
○参考人(柳正憲君) 危機対応業務は、先ほどの表にございますように、リーマン・ショックによる金融危機、あるいは震災対応と両面を含んでおります。その中で、特にリーマン・ショックの場合の融資の量の比率が大きいわけですが、そのときのことを考えていただくと非常に分かりやすいんですが、あの当時は、日本の優良企業といえども全く社債が調達できなくて、いわゆる企業の、何というんですか、血液である資金が枯渇してしまった状態でありました。したがって、我々はそこの不全をカバーする面というのが非常に大きかったと。したがって、一時的な業況は悪化がございましたが、現状ではそれらの企業さんは信用力がむしろ回復してきまして、残高に占める割合が不良債権比率も低くなったということだと思っております。
 さらに、通常業務の場合は、かなり長い間の歴史がございます。一番長い融資でいえば二十年ぐらいの融資をしておりますので、不良債権として長く塩漬けになったものも含んでおりますが、危機対応の方は二〇〇八年以降の数字でございますので、そのものが少ないということに起因しているかと思います。
 なお、我々全体の不良債権比率というのは、メガさんに比べても高くも低くもない水準でありまして、引き続き適切な業務運営に努力してまいりたいと思っています。
○中西健治君 資料三を御覧いただければというふうに思うんですが、麻生財務大臣は、先ほどの二〇一四年三月期の不良債権比率、それだけを見たらどうとも言えないということでありましたけれども、政投銀がこれまで危機対応業務の累計融資でどうなっているのか、融資の累計でどうなっているのかというのがこの資料三です。これも特別に数値をいただいて出させていただいています。
 累計融資実績額というのが五兆三千九百十一億円ですけれども、そのうち、いわゆるツーステップローン、日本公庫からの貸付けが五兆三千八百七十七億円で、政投銀が自前のお金を使って貸し付けたのは僅か三十四億円しかないということであります。そして、法的整理に至った累計の危機対応融資額というのは七百七十六億円あるんですが、うち、やはり日本公庫から五百二十四億円補填を受けているということでありますので、補填を受けられなかった金額というのは二百五十二億円しかないということになります。ですので、一番最後の数字になりますけれども、累計融資実績額のうち日本公庫から補填を受けられずに法的整理に至った額の割合というのは〇・四七%しかないと、こんな状況になっているということだと思いますが、まず、政投銀さん、この数字は確かだということでよろしいでしょうか。
○参考人(柳正憲君) この数字は、先ほど申し上げた数字より一年前、平成二十六年三月末の数字でございまして、数字はこのとおりでございます。
 繰り返しますと、この表で全体が五兆四千億、ここに表がございませんが、そのうち当行として損害担保というのを付けていただいたのは二千六百八十三億ということで、僅か五%でございます。その五%の中で法的整理になったものが七百七十六で、うち損害担保として補填されたものが五百二十四、されなかったものが二百五十二億ということでございまして、ちょっと言い換えますと、当行としてはなるべくリスクを多く取るようにということで損害担保という措置がされましたが、金融機関として自分たちでリスクを見極めるんだというのが一番大事で、なるべくこの制度を使わないようにという努力をしてまいりました。その結果だと考えております。
○中西健治君 政投銀さんの目利き力があるということはそうなんだろうと思います。財務大臣もそうなんじゃないかということをおっしゃられていましたけれども、政投銀さんが目利き力あるように、民間の大手の銀行も同じような目利き力というのは持っているだろうし、持っていなきゃいけないだろうというふうに思います。という意味では、こうしたもの、こうした数値をどんどん開示することによって、当然我々もできるよねということになっていくべきなんじゃないかなというふうに思います。
 麻生財務大臣、これ、特別に今回は数値を出してもらっていますけれども、政投銀さんのディスクロージャー、この危機対応業務について拡充させていくべきではないか、そうしたことを要請していくべきではないかというふうに思いますけれども、それが民間の参入につながっていくでしょうし、私のもう一つの問題意識、株価を高い値段で売っていくために何をやっているのかというのが明確になっていなきゃいけないということだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 政投銀において危機対応業務に係る情報開示というのはこれまでもそれなりになされてきた、ほかの銀行に比べていろいろ、結構なされて、政府系の金融機関というのはやたらディスクローズが多く、結構出してきた方かなとは、これ比較の問題ですからあれですけれども、努めてきているので、今後とも適切に情報開示というのをやっていった方がいい、私どもは基本的にそう思っておりますので、どのような方法が可能か、これは政投銀等とよく調整しながら、今後とも財務省として開示ができる範囲、開示という方向で検討していきたいと考えております。
○中西健治君 これまでるる申し上げてきましたとおり、特にこの危機対応業務についてどうなっているのかということについてディスクロージャーを拡充していただくということが必要なんじゃないかと思います。民間の金融機関が参入しない限り、ずっと義務付けということになってしまうということでありますから、そうしたら株も売れないということになっているわけですから、そこのところは是非お願いしたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○平野達男君 平野達男でございます。最後のバッターですので、またよろしくお願いいたします。
 政投銀に関しましては様々な評価がありますけれども、私は岩手県の北上市というところの出身なんですが、この北上市で十五年ほど前に市街地再開発というのがございまして、どちらかというと郊外型の店舗が進出してくる中で、町中の商店街の人たちが団結して、地域の中に大きな建物を造ってそこに町を集積させようという計画を持ち上げました。土地区画整理事業等も入りましたから、かなりこれもめたんですけれども、そのときに一生懸命になってアドバイスしてくれたのが政投銀の職員だったんですね。銀行でもこんなことをやるのかというぐらいのかなり熱心な方で、これは政投銀なのか、その職員が良かったのか、この辺はちょっと評価の分かれるところでありますけれども、地元では政投銀の評価というのは一応非常に高い、信頼性もあるということだけ、ちょっと申し上げておきたいというふうに思います。
 その上で、今回、法律改正は危機対応業務を追加するということなんですが、先般の東日本大震災での対応ということについて、政投銀はどのようなことをやられたかということについての総括を、簡単で結構でございますから、聞かせていただきたいというふうに思います。
○副大臣(宮下一郎君) 政投銀は、東日本大震災からの復興におきましては、それまでの投融資により培ってきましたノウハウ、また地方公共団体や地域金融機関の皆さんとのネットワーク、これを活用して、大きく二つの柱でいうと、資金面での支援、それから知的貢献を含むソフト面での支援と、この二本柱で貢献をされてきたというふうに認識しております。
 資金面の貢献につきましては、例えば地方公共団体が復興推進計画というのを作りまして、その中で中核事業というのを位置付けるわけですけれども、そうした事業に対する融資を民間の皆さんと一緒にやる。また、地銀の地域ネットワークと政投銀の目利き力を同時に活用するために、四県で、岩手、宮城、福島、茨城、四つでそれぞれその地域の地方銀行と共同で震災復興ファンドというのを立ち上げまして、被災企業への資金供給をするということで、これは更に新たに四つ、その成長に着目したファンドもできておりまして、そうした支援をやっているということ。
 また、ソフトにつきましては、経済団体等々によります復興や成長に向けた人材育成などの取組を支援すると。例えば、東北未来創造イニシアティブ、これに協力するというふうなことが代表例で挙げられておりますし、また、ビジネスマッチングということでいいますと、やはり政投銀は幅広いネットワークを持っておりますので、被災地の企業の産物と、それをどう販路につなげていくか、そうしたアドバイス等々もやって貢献をしているということでございます。
 こうしたことで、被災地の復興、それから成長に向けた取組に大きく貢献をしているというふうに認識をしております。
○平野達男君 政投銀、政府系金融機関だけではなくて、民間の金融機関も様々な努力をしたということだと思いますけれども。
 今、政投銀さんの役割については御紹介がございました。ただ、このほかに産業復興機構とか東日本大震災事業支援機構とか、こういった機構もつくりまして、何とかとにかく復興を早くしようということで、当時、私も民主党の内閣の一員でございましたけれども、努力をしました。様々なツールはつくるんですけれども、何とかせないかぬということでつくるんですが、融資姿勢はどうしても通常の融資姿勢で、いろいろなことを判断してとにかく赤を出さないようにするという融資姿勢はどうしても抜けないんですね。
 これ、先ほど私、中西さんのデータを見て、もうなるほどなとうなずいてしまいましたけれども、当時、私、特に東日本事業支援機構、これ復興庁の担当でございましたから、担当の社長さんに申し上げたのは、赤出してもいいじゃないかと、赤出した分は復興庁が責任を取りますよということで、どんどん融資をして、焦げ付きを出すぐらいの感じの中でやるのが要するに危機対応の本当の業務の在り方ではないかということを盛んに議論した記憶があります。
 結果として、政投銀さんがこれだけ不良債権が非常に低いというのは、この数字とすれば、当時、私らが議論したときに、スキームはつくるんだけど、融資姿勢は全く通常と同じじゃないかということのちょっと表れがやっぱりここに出ているのかなという感じが私は今改めてしました。
 今回、危機業務勘定、対応というのを入れますから、次の震災で、様々なこれ危機の種類があるということでありますけれども、東日本大震災に匹敵するような震災等もあるかもしれません。そういう中で、本当に業務対応というのはどういう融資姿勢でやるべきかということについても、併せてこれはもう一度、東日本大震災の、先ほど中西さんのこういった議論のデータ等も含めて一度是非総括をしていただきたいと思いますけれども、そのことに対しての考え方、ちょっとこれ通告しておりませんが、聞かせていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(迫田英典君) 危機対応業務の件数につきましては、先ほど中西委員からの御指摘等があって、このとおりの数字でございますが、幾つか事実関係を申し上げますと、危機対応業務といってももちろん審査はするわけでございまして、一時的に業況が悪くなっている、だけど中期的に見れば復活するであろうという前提で貸すということではあるわけでございまして、何も審査しないというわけではもちろんないわけですが、その上でも、やはり危機対応という形で法律に則した対応になるわけでございますし、場合によっては日本政策公庫の方からのバックアップというのもあるわけでございますので、政策的な趣旨に即した、そういう形での危機対応業務の実施ということは絶対必要であろうということを申し上げておきたいと思います。
○平野達男君 今回の東日本大震災では、例えばグループ化補助金とか、これまでにない制度をつくりまして、制度上は自治体負担も受けるんだけれども、特別交付税で手当てするという、かなり思い切った制度でやったわけです。ところが、グループ化補助金を出したのはいいんですけれども、これは政投銀じゃないんですけれども、そのときは日本政策金融公庫だったと思いますが、そちらの融資がなかなか受けられないとか、そういった若干のちぐはぐな面もあったということもちょっと頭の中に置いておいて今後の業務対応というのを、危機対応というのを考えていただきたいというふうに思います。
 以下は若干余談的に申し上げますけれども、次の危機対応を何を想定するかというのは、いろんなことがあるかと思いますが、これは予算委員会でも申し上げました。今、地震学者、火山学者が非常に気にしているのが九世紀の日本だというふうに言われています。
 九世紀は何が起こったかということなんですが、八六九年に貞観津波ということで、ちょうど今回の東日本大震災の東北太平洋沖地震に発生した津波の規模に匹敵するぐらいの津波が発生したというふうに言われています。これはボーリング調査で分かっていることなんですが、そういう大きな地震が起こって津波が発生していると。御案内のように、日本列島というのは四つのプレートがぶつかっているところにできている弧状列島ですから、このプレートがぶつかることによって様々なひずみが起こって、そこで地震が発生するということなんですが、貞観地震もその地震でした。プレート境界型地震と言うんですけれども。
 その後、二十年後に南海地震が起こるんです。南海地震が起こりまして、大きな津波がやっぱり起こります。記録に残っていませんが、南海地震というのは、紀伊半島から西側が南海と言いまして、関東から紀伊半島までは東海と言うんです。東南海連動地震というのは、東海地震、南海地震という形で連動するというのがその後も何回も起きているんですが、そのとき、記録にはっきり残っていないんですが、恐らく東海でも同じような地震が起こって津波が起こっただろうというふうに言われています。
 実は、この貞観地震と東南海の地震の間の中で関東で相当な地震が起こっているという記録もあります。それはなぜかというと、大きな地震、これプレート境界型地震が起こりますと、日本全体の応力構造が変わるというふうに言われているわけです。東日本大震災から今五年目になりまして、最近、何か火山がどうのこうのと怪しい話がいっぱい出てきていますが、当時の九世紀の状況も、その後、火山が猛烈に爆発したという例もあります。十八世紀にも似たような状況がやっぱり起こっていて、これは、関東で大きな地震があった後、今度は東南海の連動はするということでありますから、連動して大きな被害が出たというふうに言われています。大地動乱の時代ということで地震学者が言っています。
 それからもう一つは、この九世紀、十八世紀が大地動乱の時代というふうに言っていまして、今回の東日本大震災がまたそういう状況にならないことを期待するしかないんですけれども、地震学者、火山学者は相当な危機感を持って今見ているという状況の中で、この危機管理というのは何を想定してやっていくかというときに、どういう被害が起こってきて、そのときに政投銀が、あるいは様々な政府系金融機関がどういう役割を果たすかということは、東日本大震災の今回の総括を踏まえた上でしっかりと検討していただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、首都直下型もそうです。先ほど言った東日本大震災は、済みません、また学者みたいな話をして。東日本大震災はプレート境界型地震ということで、ちょうど太平洋沖で北米プレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいます。そのプレート境界にたまったひずみが、南北で五百キロ、東西で二百キロ一気にぼおんと破裂したわけです。これはとてつもないエネルギーがありまして、モーメントマグニチュード九・〇というもう桁外れな地震でした。ただ、海が震源なために地震の被害はそうでもなかったんですね。
 ところが、この関東は、フィリピン海プレートが北米プレートに、下に潜り込んでいるという、相模トラフというトラフが小田原からずっと銚子に向かって走っているんです。何が言いたいかといいますと、地震には大きなやつが二つあるんですが、プレート境界型地震と直下型地震というのがあります。阪神・淡路大震災というのは直下型地震でした。直下型地震はマグニチュードはそんなに大きくないんです。大きくないんだけれども、直下型ですから物すごい衝撃が大きいから被害が出る。プレート境界型はとてつもないエネルギーを持った地震を発生させます。ただ、今回のような東日本大震災、あれは東南海みたいに震源が遠いから、揺れは長周期型で揺れますけれども、地震の被害は大きくない。
 ところが、関東はそのプレート境界型地震が直下で起こる可能性があるところなんです。これだけの大都市、大都市機能が、そのプレート境界型の地震が直下で起こる可能性のあるところに都市があるというのは、これは世界どこにもないです。
 実は、こういうプレートがどうのこうのという考え方が分かってきたのは一九七〇年代以降です。あの関東大震災はこのプレート境界型地震の小型だと、小型というか中型の規模だというふうに言われています。それからあと、安政の江戸地震は、これは直下型地震で、そんなに規模は大きくなかったです。
 だから、繰り返しますけれども、関東というのはとてつもない要するにエネルギーを持った地震が起こる可能性がある地域だということも、これは今地震学者が警告しているんです。ただ、これを余り言い過ぎちゃいますと風評被害になっちゃうんです。これの言い方は非常に気を付けなくちゃなりませんし、先般、私が東北大学の教養学部の学生さんに火山の話をして、十和田の火山が危ないよという話をして、講義が終わった瞬間に学生が三人ぐらい寄ってきまして、十和田は本当にいつ噴火するんですかと。三人とも青森県出身の学生でした。
 そんなことで、言い方はちょっと気を付けなくちゃならないんですが、そういうことの中で、頭を、今、日本列島がどうなっているかということも踏まえた上で、ここで危機管理、危機の業務勘定、対応というふうに言っていますから、何を想定するかということについても、内閣府とか中央防災会議さん等の考え方もよく聞いた上で、この対応をしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げまして、私の講演を終わらせていただきたいと思います。
○委員長(古川俊治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大門実紀史君 反対討論を行います。
 本来、公的資金を活用する政策金融は、民間ではリスクが取れない公益性の高い分野への投融資に限定すべきであります。ところが、政策投資銀行は、特定投資業務のように、空前の内部留保をため込み、支援の必要のない大企業支援を続けることで組織の延命を図ろうとしております。
 政策投資銀行は、中小企業、環境、災害、再生エネルギー、医療、福祉などの分野に力を集中して政策金融の役割を果たすべきであります。
 本法案を含む、こういう政策投資銀行の事業の方向性については賛成できません。
 以上であります。
○委員長(古川俊治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(古川俊治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大久保君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保勉君。
○大久保勉君 私は、ただいま可決されました株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、次世代の党、無所属クラブ及び新党改革・無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 今般の法改正の趣旨を踏まえ、株式会社日本政策投資銀行による危機対応業務の適確な実施、地域活性化及び我が国企業の競争力強化等に資する成長資金供給について、それぞれ万全を期すこと。その際は、民間金融機関との協調に配意し、いたずらに民業圧迫批判を招かないよう留意すること。
 一 我が国企業の国際競争力の強化の重要性に鑑み、日本政策投資銀行及び株式会社国際協力銀行において、競争力のある人材の育成や確保を始めとする体制整備が図られるよう、適切な措置を講ずること。
 一 特定投資業務の実施に当たっては、地域の企業の発展等を通じた地域活性化に積極的に貢献するとともに、民間の成長資金供給を促すよう、適切な運用に努めること。その際、同業務は民間による資金供給が充足するまでの過渡的な対応であり、その固定化を防ぐ適切な措置を講ずること。
 一 日本政策投資銀行の株式の処分方法等の検討に当たっては、その業務運営・資産状況等を踏まえ、公共性の確保、日本政策投資銀行の目的遂行のために必要な株主構成の中立性・安定性の確保等に留意して検討を行い、長期的企業価値が毀損されることのないよう適切な措置を講ずること。
 一 日本政策投資銀行の完全民営化に向け民間金融機関による危機対応業務への参入を促すため、これまでの危機対応業務に基づく貸付債権の状況等の開示を促すこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(古川俊治君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(古川俊治君) 多数と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、麻生財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生財務大臣。
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
○委員長(古川俊治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会