第189回国会 財政金融委員会 第14号
平成二十七年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     森屋  宏君     宮沢 洋一君
     荒井 広幸君     平野 達男君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         古川 俊治君
    理 事
                愛知 治郎君
                若林 健太君
                大久保 勉君
                西田 実仁君
                藤巻 健史君
    委 員
                石田 昌宏君
                大家 敏志君
                伊達 忠一君
                塚田 一郎君
                長峯  誠君
                西田 昌司君
                森 まさこ君
                山本 一太君
                礒崎 哲史君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                前川 清成君
                竹谷とし子君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
                中西 健治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   参考人
       東京大学特任教
       授        河合 正弘君
       コロンビア大学
       教授
       政策研究大学院
       大学教授     伊藤 隆敏君
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  本日の会議に付した案件
○財政及び金融等に関する調査
 (アジアインフラ投資銀行に関する件)
○連合審査会に関する件
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○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、荒井広幸君及び森屋宏君が委員を辞任され、その補欠として平野達男君及び宮沢洋一君が選任されました。
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○委員長(古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、アジアインフラ投資銀行に関する件を議題といたします。
 本日は、本件について参考人の方々から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、東京大学特任教授河合正弘君及びコロンビア大学教授・政策研究大学院大学教授伊藤隆敏君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、河合参考人、伊藤参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 また、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。
 なお、参考人及び質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず河合参考人にお願いいたします。河合参考人。
○参考人(河合正弘君) 東京大学の河合でございます。
 本日は、アジアインフラ投資銀行につきまして十五分ほどお話をさせていただきたいと思います。日本にとりましてどのような選択をしたらいいのかということを念頭に置きながらお話しさせていただきたいと思います。
 大きな二枚紙を資料として配付させていただいております。
 皆様御存じかと思いますが、五十七か国がアジアインフラ投資銀行の創設メンバーの候補国として確定されました。これは四月のことであります。英語ではプロスペクティブ・ファウンディング・メンバーズと呼んでいます。プロスペクティブということは、最終的に、設立協定が六月に決まるわけですけれども、それにサインするかどうかを考えることができるということで、それにサインすれば創設メンバーになるということであります。サインしなければ、当然のことながらAIIBには参加しないということになります。
 日本の選択としましては、三月末までに手を挙げなかったということで、この設立協定の交渉のプロセスには参加しなかったということでございます。したがいまして、六月に設立協定ができるときに、五十七か国、恐らくそのかなりの部分が署名すると思いますけれども、当然のことながら、日本がその時点で署名したいともし思ったときにどういう形を取るのかということは、今の時点では余りはっきりしていません。
 今年中の設立を目指していまして、資本金は一千億ドル、当初は五百億ドルの想定だったわけですが、加盟国が増えたということで一千億ドル。そして、出資比率ですとか議決権の比率といいますのは、各国の経済規模、具体的にはGDPに応じて決まると。そして、中国が最大の出資国になり、最大の議決権シェアを持つ。本部が北京に置かれるということはもう既に去年決まっています。そして、設立協定ができてから初代の総裁ポストが決まるということですけれども、恐らく、金立群さんが初代の総裁になるのではないかと思われます。
 中国の主導でAIIBの設立が進んでいるわけですけれども、中国はなぜAIIBを設立しようとしているのかということで、四点ほど考えてみることができるかと思います。
 中国は、既存の国際金融秩序に対して不満を持っていると。IMF改革、これは二〇一〇年に決定されたことですけれども、それは二〇一五年になっても改革が進んでいないと。その改革によってIMFの全体の資金規模が拡大すると同時に、出資比率と議決権を先進国から途上国の方に少しシフトしていくと。そして、中国の出資比率や議決権が高まるわけですけれども、それがまだ実現されていない。そして、IMFだけではなくてほかの国際金融機関におきましても、世界銀行ですとかADB、アジア開発銀行などでも自分たちが資本を出したい、ほかの国が出さなくても自分たちが出して出資比率を高めたい、そして発言権を高めたいと思っても、それがなかなかできない仕組みになっているということで不満を持っている。
 第二には、中国は世界第二の経済大国になったわけですけれども、その過程で、自国で猛烈なインフラ投資をして経済発展をしてきたわけですが、インフラの分野では非常に自分たちは得意だと考えていまして、アジアにおけるインフラ構築でリーダーシップを取りたいということ。世界第二の経済大国になったのだから、自分たちが運営できる、マネージできる国際機関を欲しいということがあるかと思います。
 そして第三は、国内経済要因ですけれども、中国経済が徐々に減速をしてきていると。そして、インフラ投資、これはリーマン・ショック後、猛烈なインフラ投資が行われて中国経済と世界経済をある意味で支えたわけですけれども、それはいろんな形で問題をつくり出してきているということで、インフラ投資もこれからはそれほど活発には進まないということで、国内での過剰生産物を輸出したい、あるいはインフラビジネスを輸出したいということ、そして海外資源も確保したいという国内経済の要因というものも考えられるかと思います。
 そして、アジアにおきます二つのシルクロード構想ですが、一帯一路政策で中国自身の対外政策、外交政策を補完するものとしてAIIBが位置付けられる可能性があると。
 次に、AIIBにつきましてどのような問題点が挙げられるのかということをお話しさせていただきますが、まず第一の問題は、一体どういうビジョンを持ってAIIBをつくるのかということがなかなかはっきりしません。これは、私自身もAIIBの関係者、金立群氏を含む関係者や中国の財政部の人たちといろんな形でお話をさせていただいてきているわけですけれども、一体どういうアジアをつくりたいと思ってAIIBを設立しようとしているのかという質問をしても、答えが返ってきません。インフラを建設することが重要だ、インフラを通じて国際協力をしていくことが重要だという返事は返ってくるんですけれども、インフラを造って国際協力をして、それでどういうアジアにしたいのかということが見えないわけです。
 世界銀行やADBは貧困削減ということを目的に掲げています。貧困のない世界をつくろうというのが世界銀行の考え方でありますし、ADBも貧困のないアジアをつくると。AIIBはそれが分からない。貧困削減は自分たちの目的とはしない、貧困削減はADBや世界銀行の役割であるというふうに考えています。そこが分からないというところであります。
 第二番目は、ガバナンスの問題、組織運営の問題です。ガバナンスの面で決定的に重要なのは、出資比率がどうなるのか、そして議決権比率がどうなるのか、そして理事会というのは一体どのように機能するのか、どういう権限を持つのかということが重要なことになります。
 新聞等で若干情報は流れているんですけれども、実際にどういうことになっているのかはよく分かりませんが、四ページ目に表四としまして、AIIBにおける出資比率と議決権比率の推計を私なりにさせていただきました。アジア域内諸国として三十七か国、域外諸国として二十か国が挙げられています。そして、ここでは域内諸国は七五%の出資比率を持つ、そして域外諸国は二五%を持つという想定で計算をしています。議決権比率も、同じように七五と二五ということで計算させていただいています。
 それで、これはGDPの計算によるんですけれども、GDPも、市場レートでのドル換算したGDPを使うのか、それとも購買力平価で換算したGDPを使うのかということで、この五十七か国の間で意見が分かれていたようです。インドは、できるだけ購買力平価で使いたいという意見を言っていました。インドの場合は、購買力平価にしますとGDPは市場レートよりもはるかに大きなGDPになりますので、インドは購買力平価でやりたいということで主張していたようです。
 どうも決まったのは、市場為替レートで換算したGDPを六割用いる、そして購買力平価で換算したGDPを四割のウエートで用いるというふうにしたようです。当初は三つのオプションがありまして、市場レートのみでやるというのが一つの考え方と、両方を五〇%、五〇%のウエートでやるというのと、六〇、四〇でやるというのがあったようでして、六〇、四〇でやるということに決めたようです。それによりますと、今、現状五十七か国、中国は三〇%弱になります。そして、インドが八%台、ロシア六・五、韓国三・七等々となります。
 ここで注目したいのは、域外国はどう頑張っても二五%以上にはなれません、その中で決まりますので。欧州は大体二〇・五%ぐらいとなります。ですから、欧州と例えばオーストラリアなどを足しても中国には追い付かないということで、今のところ、相当やはり中国の発言権が高いということになります。
 仮に日本が参加したとしたらどうなるんだろうという計算をやってみました。日本が参加した場合は、先ほどの計算ですと一〇・六%ぐらいになります。そして、中国のウエートは二四・六%と、かなり下がります。欧州が二〇%台ですので、日本と欧州を合わせますと三〇%以上になりまして、中国を上回ることができます。
 ですから、一つ考えてよいのは、日本が参加するとすれば、欧州と組めば中国よりも比率を上回ることができる、オーストラリアなどもそれに加わればもう少し高い比率になると。
 ただ、一つ注意しなくてはいけませんのは、日本が入った場合でも先進国が多数派にはなれないということなんですね。日本一〇、欧州二〇で三〇、オーストラリア等が入って三五ぐらいにはなりますけれども、途上国が基本的に強い力を持つということで、やはりこのAIIBは途上国中心による国際金融機関だということになります。
 理事会ですけれども、これは北京へ常設はしないということ。十二名になるわけですけれども、これで重要な決定権限をどこまでこの理事会が持てるかということになりますと、若干不透明なところがあります。重要な融資の決定については、これは総裁に委ねる、決定は総裁に委ねるということが可能になるわけですけれども、これは七五%以上の賛成があれば可能になるということですので、ここら辺が不透明なところが出てくる可能性があります。
 融資基準ですとか融資政策ということで、環境基準ですとか、インフラを造るときに周辺の住民に対するインパクトをどう考えるかといったような問題について、恐らく国際的なベストプラクティスにはよらないことになるであろうと思われます。
 対外債務の持続可能性につきましても、これは麻生大臣等がよく指摘されますが、ある一国にたくさんのお金をAIIBが貸し過ぎてしまうと、その国の対外債務の返済能力に疑問が出てくる可能性があるので、それはしっかりやりましょうということで、これは他の国際金融機関との協調が非常に必要になるということかと思います。
 時間がちょっとなくなってきましたが、AIIBの評価ですが、アジアにおけるインフラ需要は非常に膨大なものがありますので、AIIBの役割は当然あると。そして、これは基本的に、新興国や途上国自身が自分たちで銀行をつくって自分たちでファイナンスしてやっていこうというもので、自助努力の表れでありますので、それ自体としては悪い考え方ではないであろうと。
 ただ、そこで問題は、中国がここに入ってくるということで、中国の意図といいますか、それが必ずしも明確でない。中国は自分たちの拡大する経済力や金融力を国際公共財の目的のために使おうとしているのか、それとも中国は自分たちの政治的あるいは地政学的な目的を実現させるためにAIIBを使うのかということで、分からないところがあります。そして、融資基準ですとか融資政策などの点で世銀やADBなどの既存の国際機関の役割に挑戦するということがあり得ると。
 ちょっと時間がなくなってきましたので、まとめさせていただきたいのですが、日本が決めるときにはどういうことを決めたらいいのか、どういうことを基準に決めるべきかということですけれども、基本的に、AIIBは一体どういう理念、ビジョンを持っているのかということが最も重要ではないかと思います。
 中国はAIIBを通じて国際公共財を提供したいと思っているのか、そしてそれによってアジア地域の繁栄と安定を本当に目指しているのか、あるいは地政学的な経済圏拡大など自国本位の経済外交政策を追求しようとするのかといったことが非常に重要かと思います。そのことがガバナンスですとか理事会の役割とかいうところに影響を与えてくるだろうと。中国が建設的な役割を果たそうとするのであれば、理事会もより透明性の高いものになるでありましょうし、ガバナンスの面でも、中国が独り占めして何でもかんでもやっていこうということにはならないかもしれない。逆の場合はそうなる可能性があるということでございます。
 結局、中国の意図をやはり日本としてはちゃんと見極めていく必要があるということで、これは首脳同士がやはりじっくりと話していかないといけないのではないか。そして、両国の財務大臣もちゃんと話をするということ、こういう機会は今まで持たれていませんでしたから、日本がある意味で決められなかったと……
○委員長(古川俊治君) 先生、時間が過ぎておりますので、おまとめいただきたいと思います。
○参考人(河合正弘君) はい。
 以上でございます。ありがとうございます。
○委員長(古川俊治君) ありがとうございました。
 次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。
○参考人(伊藤隆敏君) 参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。コロンビア大学及び政策研究大学院大学教授をしております伊藤隆敏です。本日はよろしくお願いいたします。
 お手元にパワーポイントを紙に落としたものが配付されていると思いますので、それに基づいて御説明をしたいと思います。なお、河合参考人のお話とダブるところはなるべく省いて先に進みたいと思います。
 まず、概要ということで、そこに主な項目を立てておりますが、河合参考人とダブるところは明らかですので、先に進むように話をしたいと思います。
 一枚めくっていただきまして、AIIB構想の経緯ということですが、最初に構想が打ち上げられたのは二〇一三年十月でありまして、そのときはもうざくっとしたものしか出ておりませんで、北京に本部を置いて、中国人が総裁で、規模は一千億ドルということで、中国が五〇%まで出資する用意があるということで、もう概要を先に中国が決めた上で、言わばこの指止まれという形で参加者を募るという形を取りました。
 一四年十月で、まだ設立に参加するといったのは二十一か国だったわけですが、この時点では、本当に設立できるのかという懐疑的な意見が非常に強かったと思います。ムードががらっと変わったのが、今年の三月中旬になりましてイギリスが参加表明をして、その後、ドイツ、フランス、イタリア、韓国、オーストラリアと、次々に交渉参加ということを表明したということで、何となく、逆に今度は日、米、カナダが取り残されたという印象が残ったわけです。
 今後の予定については、先ほど河合参考人が述べたとおりです。
 次の中国の設立意図ということですが、これは、河合参考人がここが一番重要だというふうにおっしゃったところでありますけれども、多少推測も含めて事実をまとめてみますと、河合参考人も述べたように、GDPで世界第二位なのに国際金融体制では世界第二位の地位を与えられていないじゃないかという疑問が、疑問というか不満が中国にはあるだろうと。
 それから、欧米中心、ドルとユーロで金融体制ができているわけですけれども、これに対抗する人民元を中心とした自分の金融体制をつくりたいということを考えているように見えると。それをコントロールするという意味では、本部と総裁を取ることが非常に重要だというふうに思っているようだと。これは、世界銀行がアメリカに本部があって、アメリカ人がずっと総裁をやっていることを引き直してみると、じゃ、自分たちが何が重要かと思うと、やっぱり本部と総裁を取ることだというふうに考えているように見える。
 それから、シルクロード基金、BRICS開発銀行、人民元の国際化などなどを全部勘案して考えると、やはり中国中心の一つの体制というものをアジアに築きたいと思っているようだと思われます。
 これを打ち出したタイミングというのは、私は政治的なタイミングとしては非常に絶妙なタイミングを取られたということだと思います。
 一つは、河合参考人も触れられましたけれども、アメリカ議会がIMFにおける中国の投票権の拡大というものをブロックしていると。これは後ほど表で示します。したがって、アメリカが負い目がありますから余り強く反論できないだろうというタイミングであると。それから、アジアのインフラ投資の必要性、その額の大きさということについては世銀もADBもここ数年強調されて、河合参考人もそういったレポートを書かれていると思いますけれども、したがって、必要性があるという認識が広まっていると。この二つのタイミングを捉えて中国が一つの大きな仕掛けをしてきたということだと思います。
 一枚めくっていただいて、これが国際金融体制の転換点になるかどうかというのは、まあ歴史ですから今後の発展を見なきゃいけないわけですけれども、やはり中国がこういったものを打ち出しても、表立ってはこんなのはけしからぬといった声は聞かれないんですね。そういう意味では、既にもう中国の意図というのは半分ぐらい達成されていまして、中国の発言権の拡大ということについてはこれからどんどん進んでいくだろうということが推察されます。
 先ほど言いましたIMFにおいて何が起きているのかということですけれども、そこにIMFの設立時から最近時までの出資比率の推移が書いてあります。日本が第二位になったのは一九九〇年なわけですけれども、増資が発効したのが九二年。日本が世界第二位の経済大国になってから、しばらくたってからようやく出資比率で二位になって、常に経済力の変化に遅れて出資比率が変わってきたわけです。日本は長年、もっともっと出資比率を高めてくれということを言っていたわけですけれども、なかなかそれが、特にヨーロッパの反対で実現してこなかった。
 あるいは、更に六%台から上を目指すというのができないうちに今度は中国がどんどん下から追い上げてきたということで、今、IMFの総務会では決定されたけれども各国の批准ができていないという未発効の第十四次増資というところで、中国がそれまでの第六位から第三位に躍進するということがそこで決まっているけれども、発効していないと。これをブロックしているのがアメリカの議会になるわけで、これが先ほど言いましたアメリカに負い目があるということの表になっています。したがいまして、中国はここをうまく捉えたということであります。
 一ページめくっていただきまして、ここから先の議論は余りマスコミでまだ出ていないんですけれども、まず、そもそも国際機関として開発銀行なのか投資銀行なのかと。名前からいって、AIIBというのはアジアインフラ投資銀行なので、開発ではないということは中国も最初から意識しているらしい。じゃ、開発銀行と投資銀行で何が違うのかということでありますけれども、先ほど河合参考人も触れられたように、開発銀行というのは、貧困の削減であるとか環境であるとかそういったことで、非常に包括的な経済開発を助ける銀行という国際的な仕組みであるということであるのに対して、投資銀行というのは、投資案件、多くの場合インフラ投資になるわけですけれども、そういった投資を仲間内で助けましょうというような仕組みであるというふうに位置付けることができると思います。
 ちょっとページまたいでしまったんですけれども、そこに世界の開発銀行一覧というのと世界の投資銀行一覧というものを並べてみました。開発銀行というのは、よく知られている世界銀行、アジア開発銀行、米州開発銀行、アフリカ開発銀行、欧州復興開発銀行と、これが規模も大きいですし、よく開発問題では非常に重要な役割を果たしていると言われている銀行です。
 理事会というところ、これは河合参考人も強調された、理事会というのが必ず常駐しています。これは本部に理事会が住み込んで、そこで日々スタッフと話をしながら融資案件等を審査しているわけです。もう一つは、出資国側というのは多くの場合先進国が中心で、所得の高い国が所得の低い国の開発を助けるための機関であるというのが明確になっていると思います。アメリカは、世界銀行ではもちろん一位ですけれども、アジアでもヨーロッパでもアフリカでも、かなり大きな発言権を持っています。
 これに対して、一ページ先のところにあります世界の投資銀行一覧という方は、余りなじみのない名前が並んでいると思うんですけれども、欧州投資銀行、アンデス開発公社、黒海貿易開発銀行、イスラム開発銀行、カリブ開発銀行と。これは何かというと、地域の仲間内が集まって、お互いに金を貸しながら開発プロジェクトを助けましょうということで、それは主に域内の国だけで、その仲間内で集まってやっている投資銀行であると、名前は開発と付いているものもありますけれども。その共通項は理事会が非常駐であるということなんですね。つまり、理事会は、まあ月に一回ぐらい集まって話はするけれども、ほとんどの場合に、幹部とかスタッフが決めたことを後追いで承認するだけということのようであります。
 なぜ私がこれに気が付いたかというと、あるヨーロッパの人と話をしていて、どうも中国からアプローチがあって、この欧州投資銀行をモデルにAIIBを構築したい、ついては欧州投資銀行はどうなっているか教えてくれというようなアプローチがあったというようなことで、ああ、そうだったのか、開発銀行を目指しているわけではないのかなと。
 そうするといろんな話が腑に落ちまして、非常駐にこだわるとか、あるいは総裁に一任するとか、投資案件については総裁に委任するということが多いというようなことが投資銀行であれば説明が付くのかなと。開発銀行だと言った途端に非常にハードルが高くなって、環境だとか貧困であるとか、そういうところまで考えなくちゃいけないので、いや、これはもう投資銀行です、仲間内の投資を助け合うだけの仕組みですということであれば話としては分かりやすい。なぜ中国が非常駐の理事会にこだわるのかというのも分かりやすいし、インフラだけですというのも分かりやすいと。
 そうだとすると、AIIBを見る目も、そういうものなんだ、仲間内でインフラだけを考えて、その投資案件だけをやるものだというふうに考えると、そこから対応というのが決まってくるというふうに思うんですね。あるいは、逆に中国があくまでもそういう国際機関として考えるのであれば、それなりのガバナンス体制というのが要求されるというふうに思います。
 時間が短いので、次のADBとAIIBの参加国比較というのは飛ばさせていただきます。
 その後に、比較表EIBについてというのは、先ほど言いました欧州投資銀行、これも余り我々にとってはなじみがないもので、日本は参加していないわけですけれども、欧州の中で、EUの中で投資を助ける機関としてそこにあるわけですけれども、これも、関係者から話を聞いたところでは、投資案件というのは本部で決めていて、ほとんど理事が精査しているということはないという話を聞きました。
 次に、AIIBの構造と問題点、これは河合参考人のところと少しかぶりますけれども、私は、やはり出資比率で中国が一位になることを最初から仕組まれている、つまり、域内国と域外国で七五%、二五%というのを、その枠組みを決めた時点で、誰が決めたかといえばこれは中国が最初に決めたわけですけれども、この時点でもう中国が一位になるというのが確定しているわけで、アメリカが参加しようと、先ほど河合参考人が言ったように、欧州との間を食い合いをするだけです。日本が参加しても、残念なことに日本のGDPの規模というのは中国に比較して非常に低いですから、域内国で中国が圧倒的になるというのは分かっています。したがって、これはもう出資比率からいって中国が一番で、本部も総裁も取るというのがそこで決まってしまっているという点が第一点。
 それから二点は、やはり理事会が本部に常駐しない、これは中国が非常にこだわっています。という時点で、既に案件の審査等は非常に甘いものになるだろうということが予想されます。理事というのはほとんど審査には関われないということになると思います。
 三番目、融資案件、それから条件、これはこれからの話ですので懸念というところにとどまりますけれども、中国の国内のプロジェクトに貸すことになるかもしれないし、あるいは中国が地政学上重要だと思う国のインフラ投資に貸していくと。第一号案件がパキスタンであると報道されていますけれども、もしそうであれば、先ほど言ったシルクロード基金と共同であちらの方にどんどん貸していくというようなことかなというふうに思っていますので、これは、中国の意図を反映したプロジェクトがどんどん採用されていくという懸念が非常に強いと思います。
 もう一つの問題点が、既存の国際機関、つまりADB、世銀と、ある意味、貸出し競争、条件の緩い貸出し競争になる可能性があるということで、この辺が世銀、ADBは、いや、協調融資にしましょうと言っているわけですけれども、協調融資と言った途端に審査基準というのはADB、世銀の方になりますので、これはベストプラクティスということですから、そちらに本当に中国がイエスと言うのかというところが甚だ疑問だと思います。
 ベストプラクティスというのは、先ほど河合参考人も使われましたけれども、これが世銀、ADBがやっているような形でやりましょうという意味なわけですが、これについて中国は既に、そういったベストプラクティスはないんだと、もしベストだったら別に新しい機関をつくる必要はないという非常に挑戦的なことを言っておりますので、そういう意味では、初めは協調融資で始めたにしても、ある時点からは中国の基準で貸していくということになる可能性が非常に強いと思います。
 最後のページでありますけれども、私は、そういったことから、これは中国が中国の意図を実現するための銀行であるという可能性が非常に強いので、そういうところに日本が特に参加してその実現を手助けするという必要はないというふうに思いますので、創設メンバーにならなかったということも正しい選択であったと。
 外にいて、投資銀行なの開発銀行なの、本当にガバナンスをきちんとする気があるのないの、理事会は常駐するのしないのということをきちんと詰めていって、もし万が一、中国がベストプラクティス開発銀行を目指すというのであればそのときに参加すればいいと、このように考えております。
 以上です。
○委員長(古川俊治君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○長峯誠君 自由民主党の長峯でございます。
 参考人お二人から大変貴重なお話を伺いまして、誠にありがとうございました。
 お二人の先生にお伺いしたいんですが、アジアのインフラ需要というのは年間七千五百億ドル規模、日本円にして九十兆円ぐらいの規模があるということを聞いております。その中で、例えばADBの融資枠で見ても百三十一億ドルということでございますので、この需要全体からすればほんの一部をADBが融資で支援しているということになります。
 資本金で見ますとADBよりも更にAIIBは小さくなりますので、この膨大な需要からすれば、AIIBがそこで果たす役割といいますか、そういったものは非常に限定的なんではないかなという感じがするんですが、このAIIBの資本金規模から見てどのくらいの融資になりそうなのか、そして、それが例えばADBと競合するというようなことになっていく可能性はあるのか、そこをお伺いしたいと存じます。
○参考人(河合正弘君) おっしゃるように、ADB、大体これまで百三十億ドルぐらいで、今回のADBの改革によりまして約一・五倍、二百億ドルぐらいに融資枠が増えるわけですけれども、それでも七千五百億ドル、おっしゃったように全然足りないわけですね。世界銀行もやっていますが、大体ADBと同じぐらいの規模で、ほかにも日本のJBICですとかJICAが支援している、あるいはオーストラリアですとかヨーロッパの二国間援助機関も支援しているわけですけれども、とても七千五百億ドルには間に合わないという中でAIIBが入ってきてオペレーションをやるわけですけれども、資本金額と融資額との関係でいきますと、AIIBの融資額がADBよりも大きくなるということはちょっと考えられないということだと思います。
 ADBにしましてもAIIBにしましても、やはりどれだけ民間の資金を触媒として引っ張ってくることができるかということが結局一番大きな課題ではないかなと思います。ADBは、今、民間の金融機関ですとか民間の投資家と一緒になっていろんなプロジェクトを開発しようとしていますので、ADBの場合は、かなりそういう意味ではポテンシャルがあると思います。AIIBにつきましては、まだよく分からないというところがあります。
 そして、ADBなどとの競合があるかどうかということなんですけれども、ADBや世銀の場合は、融資基準、環境基準ですとか人的な配慮、これが非常に厳格な基準を持っていますので、国によってはちょっと厳格過ぎてなかなかプロジェクトに実際に動くことが難しいというケースもやはりあるんですね。難しいということになりますと、やはりADBのスタッフですとか世銀のスタッフは、ちょっとやっぱりやりたくない、やっているうちに問題が出てきて自分の失点にはなりたくないということでプロジェクトを諦めてしまうというのはかなりありますので、もしそういう競合ということになりますと、そういったところは、ひょっとするとAIIBはもう少し緩やかな基準で出てくるかなという可能性はあるかと思います。
○参考人(伊藤隆敏君) 河合参考人がおっしゃられたことはそのとおりなので、それに補完する形でお話しすると、やはり規模という面では、ADBが全て面倒を見るわけではなくて、ADBが触媒となって民間をいかに巻き込むかというところが重要だと思うんですね。これまでの三十年、四十年の開発の流れというのは、公的な機関が全部やるというところから、いかに民間の知恵あるいは民間の資金を利用するかというふうに流れてきて、今や世銀はほとんど、ナレッジバンクといって、知識を提供するだけでプロジェクトにお金を出すのはメーンではないというようなところまで来ていますので、やはりいかに民間が自主的に参加して運営して、それでそれを最終的には公的な機関に渡していくかという、ビルド・オペレート・アンド・トランスファーといったようなことを活用していくかということが重要であると。いわゆるパブリック・プライベート・パートナーシップ、PPPといった言葉に表されていることだと思います。
 したがって、そういう意味では、ADBも、もちろん資金力を持って参加できるところは参加して資金を提供するということもあるんですが、それ以上に重要なのが、知識を提供する、あるいは大きなリスク、民間では負えないような大きなリスクの部分を負担するといったような方向に行くべきであり、必ずしも資金の多寡によってその重要性が決まるということではないというふうに理解しています。
○長峯誠君 伊藤先生が先ほど、これが開発銀行ではなくて投資銀行としての性質が強いのではないかという御指摘がありまして、非常に斬新なというか、初めてお聞きするような御指摘だったんですけれども。
 であるならば、今のお話でいうと、恐らく金利水準もAIIBの方は市場金利に近い、ADBよりも高い金利になってくると思うので、それであれば、まさに今までの開発銀行の補完的な勢力として位置付けられてくるとすれば、その補完勢力があるおかげで投資が促進されて経済が発展していくということは、これは世界経済にとっても日本にとってもプラスなのではないかなと。
 ですから、むしろ、日本が入るか入らないかという議論やADBがどう対峙していくかという議論よりは、AIIBはAIIBでそれなりのプロセスを経ながら成長していってくれればいいという、一つ傍観的な立場になってくるのかなと思うんですけれども、その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(伊藤隆敏君) 金利が市場金利に近いものになるであろうというのはそのとおりでありまして、そうしないと投資銀行としては回らないわけですね。
 ただ、そうすると、借りる方には負担が大きくなるというので、そこで何か金利補助みたいなものをどこかが出す、例えばシルクロード基金というようなところが出すということが可能性としてはあると思うんですね。そうすると、ますますそういった中国の意図というのが強くなるというふうに思います。
 ADBとAIIBが協調して融資をするという可能性はまだありますから、そういう意味では、ADBの方からはそういった働きかけをしていくことが重要で、ベストプラクティスで重要だと言われているようなこと、環境であるとかそこに住んでいる人たちであるとか、そういったことについては、ADBはあくまでもそういったことを主張し続けるということが非常に重要だと思います。
○参考人(河合正弘君) ちょっと一言だけ付け加えたいと思いますが、ADBの場合は格付がトリプルAですので、市場で資金調達をするときの金利が非常に安いと。AIIBの場合はトリプルAを取れるとはちょっと今の状況では思えませんので、市場に出ていって資金調達をするときの金利はADBよりも若干高くなる可能性があると。
 ですから、それに少し上乗せをして貸し出すわけですけれども、そういう意味では、AIIBの方がより金利が高くなるのかなと。したがって、低所得国ですとかまだ貧しい部類の中所得国などにとってはちょっときついかもしれないというふうに思います。
 御存じのように、ADBの場合は譲許的な資金もありますので、これは金利が非常に安い、ゼロ金利に近い、そして非常に長期の資金を低所得国、最貧国に貸し出すというものがあるんですけれども、これは、AIIBはそういうものはないということで、ADBとAIIBの大きな違いがあるかと思います。
○長峯誠君 以上です。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 大変参考になるお話をお二人から聞かせていただきました。
 私からは、ちょっと私なりの問題意識を申し上げた上で、それぞれから一回ずつ御発言いただくような形で進めさせていただきたいと思います。
 今、長峯さんもおっしゃられましたように、伊藤先生のこの開発銀行と投資銀行の分類というのは、ああ、なるほどなという感じがしたんですが、これは伊藤先生への後ほどの質問にもなるんですが、なるほどなと思う反面、しかし、AIIBはもう既にヨーロッパ、つまり域外の国が参加することを表明してしまったので、実はこのどちらの類型にも属さない形になってしまったわけですね。
 そういう中で、言わば伊藤先生の分類のこのどちらにも属さない銀行が我々のもう目の前で誕生しようとしているものに対してどう対処していけばいいのか、こういうやはり論点を消化していかなきゃいけないなと思います。
 そういうことを申し上げた上で、中国の意図がどうなのかということがそれぞれから御発言があったんですが、中国の意図は明々白々と言っておいた方がいいと思うんですね。どこの国でも、自国のため、あるいは公共のため、両方の要素を持っていると思います。これはアメリカも、今のブレトンウッズ体制は公共のためという色彩が強いかもしれないけれども、自国の利害に反することを認めるわけがありませんから。それは、かつて日本が十数年前にアジア通貨基金、AMFをつくろうとしたときにアメリカが中国と組んで反対をしたという事実を見ればもう明々白々であります、これは。
 だから、やっぱりこれは党派の問題じゃなく、日本を取り巻く環境が激変している、あるいは激変しつつある中で我々はどうこれに向き合っていくかという視点が必要だと思いますが、だんだん国会の方は世代も替わってきて若い方も増えている。私がちょうど今真ん中ぐらいの年齢だと思うんですが、ちょっとこの問題を議論する、ないしは決定権限を持っていらっしゃる方々の状況認識がまだ何か十年前、二十年前の状況認識に近い感性の中で議論がされているんではないかなという気がしてなりません。
 つまり、自国のため、公共のため、両方の要素を持っているけど、確かに、今までのブレトンウッズ体制と国際金融機関は公共のためという要素をより強く出していたと思います。今度のAIIBは、やや中国がその辺がエレガントでないために自国のためということがありありとしているのは、ある意味では正直とも言えるんですけれども。
 そういう中で、我々は中国とどう向き合っていくかというときに、中国の好き嫌いは別にして、つまり、さっき申し上げました今決定権限を持っていらっしゃる方々が見てきた中国の過去百年というのは、中国四千年の歴史の中で特殊な時代だったんですね、彼らから見ると、中国から見ると。つまり、中国は過去百年、百五十年以外は常に歴史の中心にいたわけであって、その彼らの定位置に今戻ろうとしているという彼らの高揚感と彼らの言わば目標意識を考えると、やっぱりこれは明々白々な意図と展開を彼らは念頭に置いていると。
 それと同時に、もう一つ考えなきゃいけないのは、さっきも申し上げたように、イギリスを含めてヨーロッパが参加表明しました。イギリスの中国への接近の仕方はかなり露骨でありまして、御承知のように、中国から原発も買っていれば、去年の九月には先進国で初めて人民元建ての国債を発行するということを、これをもう意思表示しています。恐らく、今年は特別引き出し権、SDRの基準通貨の見直しの年に当たりますが、ここに中国元が入ってきたら、多分もう中国の地位は確固たるものになり、国際基軸通貨の地位をより強めていくと思いますが、僕は、イギリスは多分賛成するんじゃないかと思っています。
 そうなると、イギリスはなぜこういう行動を取っているかということですが、ヨーロッパの中の力学からいうと、独仏に対抗、あるいはアメリカにも対抗するということを考えると、これはアジアの中国と組んだ方がいいのではないかという彼らなりの何か判断も働いているような気がしてなりません、ここ数年のイギリスを見ていると。
 そうすると、そういう中で、AIIBが今日本の国内で議論されているような論点だけで考える場合と、今私がるる個人的な意見として申し上げた論点なども加味して考える場合では、かなり判断が変わってくるんだろうなと思います。
 以上申し上げた上で、私からはそれぞれに一問ずつ御質問を申し上げたいんですが、まず伊藤先生には、冒頭申し上げましたように、大変参考になる類型だったのですが、つまり、この間になるような類型に今もうなりつつありますので、つまり、投資銀行型なんだけれども域外の国も参加して、イギリスまでも参加を表明していると、この形態をどう分類するのかと。
 それから、先ほどの、AMFの日本のチャレンジにかつてアメリカが反対したことを考えると、アメリカはひょっとするとどこかの段階でAIIBに参加する可能性があるんじゃないかと私は思っています。つまり、アメリカはかつて中国と組めば日本のAMF構想は潰せたわけです。ところが、もう日本と組んでも中国のAIIB構想にブレーキを掛けられないと分かった瞬間に、アメリカは今度は取り込もうとするんじゃないかと思いますので、伊藤先生への質問は、ある意味二つなんですけれども、この二つの類型に属さない形になったAIIBとどう向き合っていくのかということと、アメリカは今後AIIBに参加する可能性があると思うかどうかという点です。
 河合先生へは、ということですので、私は、できるだけ日本がアメリカやヨーロッパと組んで、場合によっては、イギリスなんかが中国側に付いた場合でも何がしかの拒否権を連帯して発揮できるような出資比率にした上で参加するべきではないかと思っているんですが、今のGDP基準でこの数字をはじくと先生の御指摘のとおりなので、先生には国際機関の御勤務の経験もあるので、GDP以外で日本の出資比率がもっと高くなるような配分基準はあるのかないのかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(伊藤隆敏君) 確かに、御指摘のとおり、欧州が参加したことでどちらの分類にもそのまますっきりは収まらないというのはそのとおりであります。それから、イギリスがなぜ参加したかということについての大塚先生の御見解も、私はそのとおりだと思います。
 その上で、じゃ、どうするかということでありますけれども、私は、一切日本が参加する道を閉ざせとは言っていません。日本はあくまでも開発銀行になるように仕向ける形で条件を突き付けることは非常に重要だというふうに思っています。そういう意味では、これこれこれの条件が満たされるのであれば日本としても参加を検討する用意がある、その場合にはアメリカも参加するかもしれないというような形でその条件を突き付ける。もしアメリカが参加するのであれば域外国は二五じゃなくて三〇にしろとか三五にしろとか、そういったことまでも突き付けていいのではないかというふうに思っています。
 理事会の本部常駐というのは私は譲れない一線だと思いますので、そういう意味では、これこれこれこれの条件をきちんと満たして開発銀行になりなさいということを言い続けると。もしそれが満たされれば日本も参加を真剣に考えますということは伝えていいのではないかというふうに思っています。
 アメリカがどこかの段階で参加するのではないかという御質問は、少なくとも、今の状況では日本よりもアメリカの方が参加しにくいだろうなというふうに思いますので、日本を飛び越してアメリカが参加するという、かつてのニクソン・ショックのようなことは、私は蓋然性は非常に低いというふうに思います。
○参考人(河合正弘君) 非常に大きな問題意識を言われまして、中国は世界第二の経済大国でこれからますます経済成長をしていく、そして中国自体のプレゼンスはもっともっと高くなっていって、それに対して、日本あるいはアメリカも含めましてほかのアジアの国もどういうふうに中国に対応していかなくてはいけないのかという問題を指摘されました。そのとおりだと思います。
 やはり、日本を始めとしまして我々ができることは、中国がなるべく国際ルールに沿った行動をするように仕向けていくということで、そういう意味では、国際経済秩序といいますか、あるいは国際金融秩序の中に中国がうまく入ってくるようにしていくということではないかと思います。
 その意味で、最後に伊藤参考人も言われましたように、やはりこういう国際金融機関としての、今まで世銀ですとかADBですとか、そういうルールがあったわけですから、それに沿ったような行動をなるべくするように仕向けていくということがやはり一番重要なのではないのかなと。最悪なのは、中国が一方的に、自分勝手にいろんなことをやって、経済秩序や金融秩序がもうずたずたになっていくということがやはり最悪なことではないのかなというふうに思います。
 その意味では、日本とかヨーロッパの出資比率が上がっていくということはいいわけですけれども、そういう意味では、もし日本がAOAの、設立協定の交渉に参加していたとしたら、これは参加しなかったわけですけれども、三月三十一日までに手を挙げて参加していれば、例えば出資比率を決めるときの基準はもっとこういうことをやるべきだと、例えばGDPを使う場合でも、日本にとりましては市場レートでやっていく方がやはり有利になるわけなんですけれども、そういう方向にもっと主張していく。あるいは域外のシェアを例えば三〇%ぐらいにもっとしていくとかいうことをやっていくチャンスがあったと思うんですけれども、もう今はちょっと手遅れですので、日本が例えばヨーロッパと組んで新たに出資比率を提案していくという段階はもう過ぎてしまったのではないかなというふうに思います。
 ただ、一つだけ希望がありますのは、私の表四のところで示しましたけれども、日本がもし参加すれば中国の出資比率は二五%以下になる可能性が非常に高いので、したがいまして、括弧の中に入れていますのは議決権の比率ですけれども、議決権が二五%よりかなり下がってくるということで、拒否権が単独では持てなくなる可能性があるということで、そういったことも一つの考量すべき点かなというふうには思います。
 以上です。
○大塚耕平君 ありがとうございました。
 終わります。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 本日は、両参考人、大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 まず、河合参考人にお聞きをしたいと思います。
 いただきましたペーパーの二ページ目の四のところに、日本の選択、設立協定の精査と判断基準というところがございます。お時間の関係で、先ほど御説明余りなされなかったと思いますが、この一から五の判断基準が挙げられております。伊藤参考人からもお話がございましたように、理事会についてが、(3)になりますが、大変私も重要であるというふうに思っておりまして、常設の理事会になるのかどうかということでありますが、今のところはそうではない見通しという中にあって、仮に本部に常設されなくても理事会による拒否権というものが認められるかどうかという形のことについては、先生の判断基準としてはいかなるものになるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
○参考人(河合正弘君) 今のところは常設されないということなんですけれども、といいますことは、各理事はそれぞれの首都で、インドネシアはジャカルタで、タイで理事が出ればバンコクで、それぞればらばらの場所にいて、そして、恐らくEメールですとかそういうことでコミュニケーションを取りながら意思決定をしていくことだろうと思います。
 一番重要なことは、理事会の権限が、どこまで権限があるのか、それが非常に重要だと思うわけです。
 私自身は、全ての融資案件まで審議にかける必要はないと思いますけれども、といいますのは、非常に規模の小さい融資というのもありますので。ですから、比較的大きな規模、そしてインパクトがあるような、少なくともそのような融資案件に関しましてはちゃんと理事会が決定できる、つまり総裁に権限が移譲されてしまっていないということが非常に重要なのではないかなというふうに思います。ですから、例えばこれは総裁に権限を移譲したいとか中国が提案したときに、それをどこまでブロックできるような仕組みになっているかということが重要かと思います。
 今のところは、ヨーロッパと先進国が集まればぎりぎりブロックできるようなことには形の上ではなっていそうなんですけれども、本当にまとまることができるかどうか、例えばイギリスと韓国はちゃんとまとまれるのか、そこでもし日本が一〇%程度入っていればかなり大きなインパクトを持つことはできるだろうというふうには思います。
○西田実仁君 もう一つ、伊藤先生にお聞きしたいと思います。
 先生のこのレジュメには、アメリカがイギリスを抑えられず経済外交力低下ということが書いてございます。経済外交という観点から、今回の一連の流れについて、日本、アメリカ、それぞれどう見ておられるのかということとともに、来月、六月六日には三年ぶりに日中の財務対話が再開をされますけれども、ここに期待すること、この二つを先生にお聞きしたいと思います。
○参考人(伊藤隆敏君) アメリカがイギリスを抑えられなかったというのは私の理解です。G7の間ではウエート・アンド・シー、どういうふうになるか見守ろうといったような話合いが持たれていたと仄聞しておりますので、その中で、イギリスが抜け駆け的に私は参加したいと突然言い出したということだと思います。そういう意味では、G7の結束が乱れたという認識でよろしいのではないかと思います。
 経済外交というと広くなりますので、一般的な議論として議論するのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。このAIIBの一件だけについて、今言った私の理解です。
 日中財務対話の再開ということは、非常に前向きによろしい展開であると。日本と中国がもちろん様々な対話をして、様々な案件について率直に意見交換して、協力できるところは協力していくということは当然望ましい展開ですので、それについて、これまで非常に冷え込んでいた関係が少しずつ前向きになっていくのは喜ばしいということだと思います。その日中財務対話の中でAIIBあるいはそれ以外のアジアの投資、発展について意見交換ができるのであればそれにこしたことはないというふうに思います。
○西田実仁君 終わります。
○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。
 河合参考人に一問、それから伊藤参考人に三問ちょっとお聞かせいただきたいんですが。
 河合参考人への質問ですが、先ほど大塚委員の質疑で、出資比率に関して、日本が参加すれば二五%以下に抑えられるというお話だったんですが、伊藤参考人のこのIMFの出資比率を見ていますと、かなり頻繁に出資比率って変わっていますよね。それを見ていて思ったんですけれども、今は二五%以下に中国の出資比率を日本が参加することによって抑えられたとしても、中国のGDPの伸びって、一〇%から今七%に下がるといっても、あるわけですよ。
 先ほど、伊藤参考人が一九九〇年に日本がGDP世界第二位になったとおっしゃっていました、これ、私、覚えていなかったんですけれども。たしか中国が日本を抜いて二位になったのは二〇一〇年か一一年だったと思うんですよね。それで、今、去年辺りだったかな、二・二倍ぐらい名目GDPあって、数年間で中国二倍ぐらいになっちゃうわけですよね。そうすると、次の出資比率の見直しでは、中国はまたどんと上がって日本はどんと下がって、また中国のための中国の銀行というふうになっちゃうんじゃないかなと思ったんですが、その辺についてちょっとコメントをお願いしたいと思います。
 それから二番目は、伊藤参考人への質問なんですけれども、ちょっと関係ないんですけれども、私、伊藤先生の出身校とテニスで、伊藤さんという、テニスで負けたんですけれども、ひょっとすると伊藤先生かなと今思って。──違いましたか。ごめんなさい。
 先生が世銀は今もうナレッジバンクに成り下がったというふうにおっしゃっていたんですけれども、インターナショナルな金融機関というのは、今、別に融資するだけじゃないですよね。当然のことながら、デリバティブを駆使して、スワップとかオプションとか、もろもろのデリバティブを使わなければ融資なんてできるわけないと思うんですね、ワールドバンクがナレッジバンクに変わったということで。中国がそれだけのノウハウがあるのかと。
 私も、ちょっと十年ほど前に中国の大学で一週間デリバティブを教えたことがあるんですけれども、全くデリバティブのデの字も知らなかったわけで、そういうような国で国際融資等ができるのかどうかというのは、ちょっと今質問があります。
 それから、伊藤先生への二番目の質問は、出資を日本がすると何か日本にメリットがあるのかと。要するに、例えば日本の企業に仕事が来るとかがあるのかということが二つ目。
 それから、もう一つ最後の質問が、これはちょっと政治と懸け離れたみみっちい話なんですけれども、今お話を聞いていると、出資はどうもドルじゃないかと思うんですよね。投資は人民元になるとして配当金が人民元になると、単純に日本の投資と考えると、私、今、たしか一人民元二十円ぐらいだと思いますけれども、きっと二十五円とか三十円に上がっていって、意外と、投資のみで考えると、ドル出資で人民元リターンだとかなりいい投資になるのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 以上です。
○参考人(河合正弘君) 日本が入ったとして中国の出資比率は二五%以下になる、そして議決権もそれよりももっと下がってくるということですけれども、中国は経済成長を続けますので、いずれ二五%以上になるだろうと。
 方向としてはそういうふうになっていくと思いますが、同時に、ほかの新興国の経済成長も続きますので、特にインド、インドの経済成長率はもう、今や中国よりも高い経済成長率になっていると。そして、トレンドとして考えますと、インドの人口はこれからもっと増えていきますので労働供給も増えていくと。そして、インドの場合は、教育水準が上がってくれば女性の労働参加率、女性の労働参加率が非常にインド低いんですけれども、それも高まっていくということで、実は、中国のシェアが上がっていくのをチェックするのは、抑制するのはインドとかほかの新興国なのではないかと思います。
 したがいまして、二五%以下のところから二五%を超えるようなところに本当に行くのかどうかというのが若干、将来の経済成長の予測とかしてみて、こういう計算をちょっとしてみなくてはまだはっきり分からないところはあります。
 ただ、申し上げたいことは、それほど単純に、中国はまた二五%を回復して身勝手なことをするかもしれないということにはならないかもしれないということでございます。
○参考人(伊藤隆敏君) 三問聞かれたわけですけれども、最初の中国が金融技術の知識を持っているかということですが、これは、藤巻先生も行って授業をされたそうですけれども、もうあらゆるところからエキスパートを呼んで授業をやってもらったり、それから、中国人自身が今大量に留学していますから、コロンビア大学でも、本当にキャンパスを歩いていると中国語が飛び交っていて、ビジネススクールでも中国人が最大の留学生のブロックになっているということで、これはもう、五年、十年といわず、非常に早い時期に中国人のスタッフの金融技術は高いものになるというふうに思います。
 それから二番目、メリットがあるのか。私はないと思います。日本企業にプロジェクトが落ちるかといったらそんなことはなくて、これは、普通に考えれば入札で決めて、今はADBの入札でも日本企業は一%も取れていないわけですので、これは、日本企業がもうちょっと頑張らなければAIIBでも取れないというふうに思います。
 それから三番目ですけれども、起債するとすれば多分ドルで起債して、貸付けが人民元になるかドルになるか分かりませんけれども、そこから出発するのだとは思いますけれども、今の人民元国際化に懸ける情熱というのは物すごく強いですから、いずれ人民元で起債し、これはもうイギリスが喜んで協力すると思いますが、それで人民元で貸し付けて、事実上の人民元圏をつくるということになるのではないかというふうに予想いたします。
○藤巻健史君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。
 普通、参考人質疑のときは立場の違う方を並んでもらうのが多いわけですけど、今日は、どういうわけかお二人とも財務省と同じ立場ということで、ちょっと質問しにくいところがあるんですけど、実は先日、財務省当局とこの議論をやったものですから、ちょっと同じような話になってはつまらないと思っているんですけれども。
 御指摘されているのは、AIIBに最初から参加しなかったことは正解だった、中国の意図がまだ分からない、不審な点がある、今後、ただ、AIIBが本当にアジアのために、国際金融投資のためになる機関ならば、それを見極めて参加する選択肢も持つべきだと、大体こういうことをお二人とも共通しておっしゃっているんですけれども。財務省とも、この前言ったんですけど、そんなことはほかの国だって同じように考えるはずだ、にもかかわらず何で五十七か国も参加したのか、じゃ、ほかの国はみんなよく考えないで短絡的に参加したのかと、そういうことをやったんですけど、同じことを聞いても仕方ないので。
 あと、もう一つは、私は何かバスに乗り遅れるなと思っているわけじゃないんですけれども、もっともっと戦略的に、入らないなら入らない、入るなら入る。恐らく、中国の意図は、もう河合参考人の資料にもはっきりしていますし、自ら公言しておりますから、意図ははっきりしているんですね。ところが、五十七か国が参加すると。これ、十何か国なら別ですけど、五十何か国も参加すれば、そんなに中国が中国本位でやれるわけないし、そうさせないと。やっぱり国際機関ですから、共同の利益を追求して共同のルールというのを作ろうと思ってみんな入っているわけですね。そんなことから考えると、何かもうテクニカルな、何が心配だから、あそこはそうだから、出資比率がどうだとか、そんなことばっかり御議論されていて、何かそういう議論なのかなとちょっと思うところがあるわけです。
 ですから、せっかくですので、財務省と同じようなやり取りしても仕方ないので、要するに、これからのアジアを日本はどうしていこうとしているのか、中国とどういう関係をつくろうとしているのかと、そういう大きなところが定まっていないものですから、細かいテクニカルなことばっかり、心配だ何だ、不審だとかやっているんじゃないかと思うんですよね。
 昨日たまたまBSを見ていたら、自民党の二階総務会長が中国に三千人の民間人を連れていかれて、習近平さんも熱烈歓迎の演説をやって、それがテレビであれだけ流れたのは初めてじゃないかと思うんですけれども、なかなか中身すごいなと思いました。
 二階さんが言われていましたけれども、細かい話じゃなくて、これから中国と日本がもっと力を合わせてアジアのことを考えていくとか、その大きなところが定まっていない、定めなきゃいけないと。私はまさにそこが問われている話で、一個一個その機関がどうのとけち付け合っているような話じゃなくてと思って、二階さんの言うことはそのとおりだなと思って見ていたんですけれども。
 どうなんですかね、もっと大きな話として、日中関係といいますか、日本は中国とどういうふうにやっていくべきなのかという点でお二人のお考えを聞きたいというふうに思います。
○参考人(河合正弘君) 中国はアジアの第一の経済大国である、日本は第二の経済大国であるということで、やはり日本と中国は責任を持ってアジア経済の発展のために、そしてアジアの安定、平和のためにちゃんと経済的な協力をしていくべきだと私は思います。
 そういう話を首脳にしていただきたいのですが、ほんの僅かな時間しか、二回首脳が会われたわけですが、そんな深い話をする機会はないということで、やはり両首脳がちゃんと話をできることをやらないと、どういうアジアにしましょうかという話自体も進まないのではないかと思うんですね。
 やはり日本がこのAIIBに対してほかの五十七か国と違うスタンスを取っているのには幾つかの要因があると思いますけれども、第一に、首脳同士が会えていないというのは非常に異常なことではないかと思います。五十七か国の中には、習近平氏とそれぞれの首相とか大統領とかが頻繁に会っている国というのは結構たくさんありますので、そういう中で入ってもいいと思った国があるかと思います。基本的に、意思疎通がない、コミュニケーションがない、そういうない中で今先生が言われたようなことをやっていくということはなかなか難しいと。
 そして、財務省の人たちにとりましても、これはもう私の完全な私見ですけれども、やはりADBというものを非常に大事に育ててきたということで、それを突然AIIB構想というものが出てきてどうしていいか分からないと、要するにパラライズしてしまったのではないのかなというふうなちょっと印象を持っています。
 これも、ですからやはり財務大臣がもう頻繁に会って意思疎通を行うということをずっとやっていれば、ちょっと一歩引いていろんなことを考えて対応するということができたのではないのかなというふうに私自身は思っております。
 以上です。
○参考人(伊藤隆敏君) 日本と中国の関係及び日本と中国がアジアにどう関わっていくかということでありますけれども、これは、もちろん協調できることがあれば協調するというのは重要なことでありますけれども、協調がある一方で、もう一つ競争という面もあると思うんですね。したがって、競争しながら協調していくという、これは、国際関係で常にそういう関係があるわけで、日本が一番勢いが強かった頃には日本とアメリカの関係も協調しながら競争していくということがあって、アメリカから非常に強い反発を招いた時期もありますし、そういう意味では、国際関係あるいは国際経済外交というのは常に協調と競争が共存しているという関係にあるので、そこは白とか黒とかいうことではなくて、うまく立ち回るということが一番大切だと思います。
 したがって、中国との関係でも、日本としてきちっとした原則を持ち続けることは重要ですけれども、臨機応変に、強く出るときは強く出るし、妥協できるところは妥協すると。これは、もちろん言うのは簡単ですけれども、非常に難しいんですが、そういうものであるというのが私の認識です。
 付け加えますと、これはアメリカとかヨーロッパに行ってもそうですし、中国でも恐らくそうだと思うんですけれども、やはり日本が経済的に強くないと相手にされないんですよね。もう本当に、デフレでマイナス成長しているようなときはほとんど相手にされなかったし、これは投資家にも相手にされないし、それから政治の世界でも相手にされないんですよね。成長して、アベノミクスが成功して、ある程度デフレも直って成長率も上がってくると、おお、やはり日本という国は重要なんだというふうに変わってきたわけです。だから、そういう面では、やはり成長することが重要であると、経済的にはですね。
 それを更に敷衍して言うと、今のヨーロッパの人たちの見方というのは、アメリカでも多少そうなんですけれども、日本は人口が減少していくんでしょう、経済は縮んでいくんでしょう、だからそんなところに投資してもしようがないですよねと。十年、三十年を見て物を考えている人は大体そういうことを言って、そうすると、日本と組んでもしようがない、やっぱり中国と組むかという発想が出てきてしまうということで、やはりアジアにどう貢献していくか、中国とどう付き合うか、世界とどう付き合うかという場合に、強い国、強い立場から交渉しないと非常に損、損というか相手にされないということですね。
 ちょっと踏み外しましたけれども、日本が、日本経済が強くなるということがこういったものを考える上で非常に重要な点だと思います。
 以上です。
○大門実紀史君 終わります。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。
 今日は本当に貴重な御意見を伺いまして、大変有り難いことと思っております。
 今月の八日にウズベキスタンに行きまして、第一副首相兼財務大臣と意見交換をいたしましたが、その中にやはりAIIBの話題がありました。
 第一副首相が言っておりましたのは、ウズベキスタンはADBと非常に協力関係があって有り難いと考えている、IMFの総会には行かないけどADBの総会には必ず出るというようなことを言っておりました。その中で、AIIBに参加したことについて、昨年の十月、中尾ADB総裁がアジアの八兆ドルのインフラ需要をAIIB創立で満たすことができると歓迎の発言をした、その発言の後ウズベキスタンはAIIB参加を決定しました、また、AIIBは投資する機関であるので、AIIBとADBはそれぞれ独立の機関と考えているけれども、是非ADBとAIIBは協力してほしいと考えている、さらに、AIIBが経済的機関である限り我々は参加するが、政治的な条件が付くようであれば我々は参加を取りやめるというような意見が出てまいりました。この中に幾つか示唆するものがあるかなと思いながら聞いておりました。
 国際経済機関というのが独立した機関とはなかなか言えず、IMF改革が止まっているというようなことから、政治的な意味を持っているというか、政治面でなかなか思うようにいかないということはよく分かっておりますけれども、今回のAIIBが、投資銀行がやはり中国であると、中心が。中国が今一党独裁の国である、そういう一党独裁の下にある投資銀行ができるということで、経済だけではなく政治的な意味合いを非常に強く持つ銀行かなということを考えております。
 私自身としては、今後中国がどのような国になっていくのかということも考えますと、日本としては、やはり直接というよりはADBを中心にしてこのAIIBとつながっていくという形を取ることはどうだろうかと考えております。ADB自身がアジアの中でもっともっと、何というか、期待され、動きやすい、アジアにとって使いやすい銀行になっていく必要があるのではないかと考えております。
 やはり国際機関ということもあって、事務処理などが非常にアメリカナイズされて、アメリカの事務処理能力というのは、極端に強いと思いますけれどもアジアに向いているわけではないと思っておりまして、もっとそれぞれの地域に寄り添うような形の政策が取れないだろうかというようなことを考えています。ADBを中心にして、ADBをより強固なものとして質の良いインフラ整備を行っていく、そこに力を注いではどうだろうかと思っています。
 ADBの改革の必要もあるかと思いますが、中国はADBから借入れをしている国であると思いますので、そういった中でADBを強化していくことについてお二人の参考人から御所見を伺えたらと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(河合正弘君) ADBをこれからますます強くしていくということは、私も非常に重要なことだと思いますので、それはもう全面的に賛成でございます。
 ADBに対して途上国からいろいろ、コンプレイントといいますか、物事の進み方が結構時間が掛かる、自分たちのプランとなかなか合わないとか、いろんなやはりコンプレイントがありますので、そういったものをやはり十分吸収してADB自体がもっと効率化していく、そして本当に途上国のためになるような国際機関にもっともっとしていくということと、将来的にはやはり増資、これも必要なのではないかなというふうに思っております。
 その一方、おっしゃいましたように、中国という国がこれからどういう国になっていくのか。我々としては、やはり中国はいい国になってほしいと。いい国といいますか、やはり我々と同じような価値観を共有するような国になっていってほしいと。そのために日本なんかも、日本だけではないですけれども、いろんな形でやはり支援といいますか、サポートできるところはどんどんやっていくべきではないかと思います。
 そして、私の最初のプレゼンテーションでも申し上げましたが、中国の意図はもう明々白々で、身勝手なことをやるという御意見が多数派だったように思いますけれども、もしそうであるならば、おっしゃったように、AIIBには参加しないでADBとAIIBの協調をもっと進めていく、そして世銀とAIIBの協調も進めていってAIIBがなるべくいい国際機関になっていく、そしてそれを通じて中国自体も変わっていくというような方向に行くのがいいのではないのかなというふうに思います。
 ただ、万が一中国が、万が一といいますか、中国が本当に、自分たちの国益も追求するけれども、同時にAIIBを通じてやることは相当な程度公共財を提供するものであって、それは日本の関心とも非常に交わるところがあるというのであれば、AIIBに加盟することを必ずしも否定する必要はないのかなというふうには思います。
 以上でございます。
○参考人(伊藤隆敏君) 中山先生のウズベキスタンに対する強いきずなと思い入れを聞かせていただきまして、どうもありがとうございました。
 ADBを効率的にして拡大してというのは全くそのとおりでありまして、ここはもう河合参考人と全く同じ意見であります。その上で、やはり国際金融機関あるいは国際金融体制について、今まで以上にアメリカとの協力、協調というのが重要であるというふうに思います。
 先ほどちょっと申し上げたように、九〇年代の初めの辺り、アメリカの中で日本脅威論というのが非常に強くありまして、日本がアジアを牛耳ってしまうんではないかというような意見があって、それが先ほど少しお話がありましたアジア通貨基金構想というのが潰されたことにもつながっていったと思うんですけれども、九〇年代初めは、ADBですら日本の好きにはさせないということで、むしろアメリカが邪魔をしているというような場面もあったやに聞いております。
 そういうところから、今はやはりADBをどう活用するかについてもアメリカと協力することが非常に重要で、日本がADBと協力して、高いガバナンスでアジアの開発に関わっていくということについてワシントンの協力を得るということは非常に重要だと思います。更に言えば、IMFや世銀の中における日本の発言権あるいは日本人の幹部登用ということについても、アメリカにもっと協力してもらうということが重要であるというふうに考えます。
 以上です。
○中西健治君 中西健治です。今日は大変参考になる御意見をありがとうございました。
 伊藤先生、河合先生に一問ずつお伺いしたいと思います。
 まず、伊藤先生にお伺いしたいと思いますけれども、開発銀行か投資銀行かというこの視点、これ大変興味深く聞かせていただきました。そして、投資銀行ということであれば、今のAIIBが取ろうとしている道というのは非常に腑に落ちる、よく腑に落ちるということで、確かにそうだなというふうに思いましたが、そうであれば結論は二通りあるんじゃないかなというふうに思います。
 先生は、今はAIIBは投資銀行寄りになっているから、開発銀行となるべく働きかけをしていくべきだという結論を示されたと思いますけれども、AIIBが投資銀行であるならば、投資銀行だというものとして理解して、その上で投資クラブに日本が参加すべきかどうかという、こうした選択肢というのも分類する以上あるんじゃないかなというふうに思います。どうしてその選択肢が排除されるのか、その点について伊藤先生にお伺いしたいと思います。
 それから、河合先生には、先ほど藤巻さんからAIIBに入るメリットはあるんですかという質問、伊藤参考人にあって、ないということでありましたけれども、それは、今のADBの手掛けている案件に対する日本の企業の落札率が非常に低いと、これは一%以下、もう〇・五%ということになっているんだと思いますので、そうしたことを前提にすると、AIIBに入ってもそのメリットはないと、これもよく分かる話でもあるんですが。
 この落札率が極めて低いということについて、ADBの研究所にもいらっしゃいましたので、どうお考えになられるかということと、あと、AIIBに参加しないことによって、そもそも入札にも参加できないということになってしまうのではないかなというふうに思いますが、そこのデメリットはどうお考えになられるかということについてお伺いできればと思います。
○参考人(伊藤隆敏君) 投資銀行、投資クラブというふうに理解して参加して、その投資クラブの中でメリットを享受できるという選択肢はないのかという御質問ですが、投資クラブに入ったとしてメリットというのは何があるのかというと、例えば、じゃ、企業が受注するという、これは多分ない。これはADBでも取れていないので、コスト的に日本企業が太刀打ちできないのではないかというふうに考えます。
 じゃ、投資クラブだったら日本の中小企業や地方にAIIBが貸してくれるのかと。これも多分ないと思うんですね。これは所得の低い国に貸すものだというふうに恐らく整理されて、貸付けは得られない。じゃ、貸したとして日本にリターンがあるのか。いや、これもないだろうなと。出資した上で、そこで利益が出たからといって、それで配当が日本に来るような性格のものではないということで、結局、クオリティーが低い投資クラブの間で貸し合っている、だから、中国を中心としてそういう貸しているところに手を貸すことにはなるけれども、日本にメリットがあるとは私には到底思えません。
○参考人(河合正弘君) ADBにおける日本企業の落札率は、先ほど伊藤参考人も言われましたように、〇・数%でしかないということで、私が理解する限りは、日本企業の価格競争力がやはりないということで、大きな受注をする国は、中国の企業は結構受注をしていまして、インドなども受注をしている、日本はなかなかできないと。ですから、日本の場合は、質は追求するけれどもなかなか価格のところで勝てないということなんですけれども。ただ、日本企業自身が落札しなくても、落札した企業はいろんなものをまたほかの企業から購入したりしなくてはいけませんので、そこのところもやはり重要だと思うんですね。
 AIIBに入らないことで日本企業は排除されるかというと、どうもそうではないようです、加盟国でなくても入札はオープンにするというふうに言っているわけですけれども。ただ、入っていないと、情報ですね、これからどういうインフラのプロジェクトのパイプラインが造られていくか、そして、こういうインフラができるときには一体どういう企業のビジネスになるかといったような情報がいち早く入ってきにくいという問題はあるかと思います。
 日本がAIIBに入るメリットで、伊藤参考人はメリットはないというふうに言われたんですけれども、ただ、途上国の中には、やはり日本に是非入ってほしいという、途上国はもう大半がそのようですね。やはり中国の影響力、中国の発言力というのが非常に強いので、それを何とかバランスしてほしいというような声はよく聞きます。
 ただ、日本としては、そのために入るということも、それは一つの要因になるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、やはり日本と中国が価値観を共有できて、AIIBに日本も入ることでアジアの経済発展のためになる、そしてこれが経済的な繁栄と安定の基礎になるという大きな意味で、日本も、そういう意味では公共財を提供して、そして日本は信頼できる国だと思ってもらえるというようなメリットがあるとすれば、それはやはり入る価値は十分あるものと思います。
○中西健治君 どうもありがとうございました。
 終わります。
○委員長(古川俊治君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○委員長(古川俊治君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十六分散会