第189回国会 厚生労働委員会 第10号
平成二十七年五月十二日(火曜日)
   午前十時六分開会
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   委員の異動
 五月一日
    辞任         補欠選任
     島村  大君     小坂 憲次君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     小坂 憲次君     島村  大君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     石橋 通宏君     小林 正夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         丸川 珠代君
    理 事
                大沼みずほ君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                津田弥太郎君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                石井みどり君
                木村 義雄君
                島村  大君
                高階恵美子君
                滝沢  求君
                武見 敬三君
               三原じゅん子君
                石橋 通宏君
                小林 正夫君
                西村まさみ君
                羽田雄一郎君
                白  眞勲君
                牧山ひろえ君
                山本 香苗君
                川田 龍平君
                小池  晃君
                行田 邦子君
               薬師寺みちよ君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
   副大臣
       内閣府副大臣   赤澤 亮正君
       法務副大臣    葉梨 康弘君
       厚生労働副大臣  永岡 桂子君
       厚生労働副大臣  山本 香苗君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        小泉進次郎君
       厚生労働大臣政
       務官       橋本  岳君
       厚生労働大臣政
       務官       高階恵美子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       片山 一夫君
       内閣官房まち・
       ひと・しごと創
       生本部事務局次
       長        木下 賢志君
       警察庁長官官房
       審議官      島根  悟君
       金融庁総務企画
       局審議官     氷見野良三君
       消費者庁審議官  河津  司君
       法務大臣官房審
       議官       金子  修君
       法務大臣官房審
       議官       上冨 敏伸君
       法務大臣官房審
       議官       佐々木聖子君
       外務大臣官房参
       事官       滝崎 成樹君
       文部科学大臣官
       房審議官     佐野  太君
       文部科学大臣官
       房審議官     安藤 慶明君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        久保 公人君
       厚生労働大臣官
       房技術総括審議
       官        鈴木 康裕君
       厚生労働大臣官
       房審議官     谷内  繁君
       厚生労働省医政
       局長       二川 一男君
       厚生労働省健康
       局長       新村 和哉君
       厚生労働省医薬
       食品局長     神田 裕二君
       厚生労働省労働
       基準局長     岡崎 淳一君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       土屋 喜久君
       厚生労働省職業
       安定局長     生田 正之君
       厚生労働省職業
       安定局派遣・有
       期労働対策部長  坂口  卓君
       厚生労働省職業
       安定局雇用開発
       部長       広畑 義久君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   宮川  晃君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       安藤よし子君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    鈴木 俊彦君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    藤井 康弘君
       厚生労働省老健
       局長       三浦 公嗣君
       厚生労働省保険
       局長       唐澤  剛君
       特許庁特許技監  木原 美武君
   参考人
       日本赤十字社副
       社長       大塚 義治君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (再生医療の啓発に向けた取組に関する件)
 (戦没者の遺骨のDNA鑑定の在り方に関する
 件)
 (高度プロフェッショナル制度の導入に関する
 件)
 (国家戦略特区における外国人家事支援人材の
 受入れに関する件)
 (戦後強制抑留者の実態調査に関する件)
 (認知症施策の進め方に関する件)
 (遺伝子情報の活用に向けた検討状況に関する
 件)
 (がん対策の推進に関する件)
 (災害時の医療提供体制の在り方に関する件)
 (労働契約申込みみなし制度施行に係る説明資
 料に関する件)
 (ひとり親家庭の自立支援策に関する件)
 (企業におけるストレスチェックの実施体制に
 関する件)
 (化粧品の動物試験に関する件)
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○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官谷内繁君外二十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(丸川珠代君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本赤十字社副社長大塚義治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(丸川珠代君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○白眞勲君 おはようございます。民主党の白眞勲でございます。
 まず、再生医療につきまして御質問をいたします。
 去年の七月に、大阪大学病院が、自らの細胞をシート状に培養して心臓に貼り付ける移植手術を受けた心臓病の十一歳のお子さんがその七月中に退院することになったとの報道があったわけでして、このような拡張型心筋症の根本的な治療は心臓移植しかないということらしいんですけれども、このような画期的な治療法が開発されたこと自身、私自身、野田政権時代に内閣府においてこの担当として、非常に感慨深いものがあったというふうに思っております。
 ただ、そのポイントは、まだこの再生医療について国民の理解が十分とは言えない部分があるのではないかというふうに思います。例のiPS細胞についても、名前は知っているけれども中身は難しくて分からないというのが国民一般の見方であるのではないかというふうに思うんですが、ここで文部科学省にお聞きいたします。
 やはり、研究を深めていく、あるいは発展させていくためには、国民の皆様にこの再生医療についてより理解をしていただく必要性というものを感じますけれども、国民に対して分かりやすく説明する方策についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(安藤慶明君) お答えいたします。
 iPS細胞を始めとする再生医療の実現につきましては、文科省の方では、厚生労働省等とも連携をいたしまして、再生医療実現拠点ネットワークプログラムによりまして研究を推進しておるところでございます。その中で、国民の理解を深めていただけるように、例えば最新の研究動向や今後の展望等につきまして一般の方に分かりやすく説明するようなシンポジウムの開催、あるいはiPS細胞の作製方法等の基本情報や最新の研究状況等を紹介するホームページの作成、こういったところでの取組を行っているところでございます。
 引き続き、iPS細胞を用いた再生医療を実現するための研究開発、これは関係府省とも連携をしながら、また国民の理解にも十分配慮しながら、しっかりと進めていきたいと思っております。
○白眞勲君 厚生労働大臣にお聞きしたいというふうに思います。
 今、iPS、今文部科学省からも話がありましたけれども、厚生労働省ともよく連携を取っていきたいという話もありました。当然、国民の理解を深めていくというのは非常に重要な役割を厚生労働省は持っていると思いますが、大臣としてのお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今文科省からもお話がありましたけれども、今年度の予算でも再生医療の実現化ハイウェイ構想ということで、文科省、それから厚労省、そして経産省の連携によっていち早い再生医療、創薬の実現のための支援策を組んでいるわけでございます。
 今お話があったとおり、この再生医療の実用化につきましては、日本再興戦略などに基づいて、関係省庁と密に連絡をしながら、政府を挙げて推進をし、そして、この再生医療の推進に当たっては、先生今御指摘のように、この連携をきちっと関係省庁でしながら国民の理解を得るということが大変大事でありまして、そのための普及啓発とか知財の保護、こういった取組が極めて重要だと思います。
 そういう意味で、厚生労働省としては、国民向けの普及啓発事業の実施、あるいは昨年十一月に施行されました再生医療等安全性確保法の円滑な運用を通じまして、再生医療の普及啓発と実用化の促進に鋭意取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○白眞勲君 ありがとうございます。
 今大臣からも御指摘がありましたように、文科省のみならず経産省とも連携をしていくと、そしてまた知財の保護ということを今御指摘もありました。
 知財の保護というと厚労省というよりもこれは経産省の話になるのかもしれないという部分において、ちょっとこの件について経産省にお聞きしたいと思うんですけれども。
 日本というのは、どちらかというと、こういう知財の保護というのは、何か国民の元来の国民性というんでしょうかね、ちょっとおおらかな部分があるんではないんだろうかというふうにも思います。ただ、実際には、この厳しい国際社会を生き抜くためには、それだけではなかなかうまくいかないだろうということも確かであろうというふうに思うんですが。
 幾ら良い研究をしても、知的財産のこの部分で、まあ言葉として適切かどうか分かりませんが、かすめ取られたら元も子もないという部分はあるわけで、そのような観点からも、特許などの知財保護をしっかりやっていくべきだというふうに思いますが、この辺りはいかがでしょうか。経産省さん、お答えください。
○政府参考人(木原美武君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、iPS細胞などの再生医療に関する研究分野は熾烈な研究開発競争が行われておりまして、我が国が今後も世界をリードしていくためには、その研究開発成果を知的財産権で的確に保護し、戦略的に活用していくことが重要であると考えております。
 こうした中、特許庁では、ここ十年ほどの間に再生医療分野も含めましたバイオ分野を扱う審査官を倍増するなどして審査体制の整備強化を進めるとともに、昨年度は細胞シート等の再生医療に関する発明につきまして特許権の存続期間延長が可能となるよう制度改正を行うなど、iPS細胞等の再生医療に関する発明がより適切に保護されるよう取組を進めてきたところでございます。
 さらに、昨年度からは、経験豊富な特許審査官をノーベル賞を受賞されました山中教授が所長を務められます京都大学iPS細胞研究所に教授として派遣しておりまして、知的財産戦略の構築につきましても支援をしているというところでございます。
 今後、特許庁は、世界最速、最高品質の特許審査を実現するとともに、様々な分野におきまして知的財産が適切に保護され、我が国の産業競争力強化の源泉となりますよう環境整備に取り組んでまいる所存でございます。
○白眞勲君 非常に元気のある、意気込みは非常にいいんですけれども、是非頑張ってもらいたいと思うんですけれども、例えば知的財産というのも範囲がだんだん広がってきているということも確かです。よく言われるのが、讃岐うどんがという話もあるわけでして、そういう部分において、様々な分野においていろいろな知的財産というものがありますので、この細胞シートのみならず是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 委員長の許可さえ得られれば、ここで文科省さん、経産省さん、御退席いただいて結構でございます。
○委員長(丸川珠代君) 文部科学大臣官房安藤審議官、特許庁木原特許技監、御退席いただいて結構です。
○白眞勲君 続きまして、先月四月十四日に当厚生労働委員会で取り上げました戦没者の遺骨収集につきましてお聞きしたいというふうに思います。
 厚生労働省にお聞きいたします。
 私、その折の資料提出のお願いで、皆様のお手元の資料の一ページ目にありますものなんですけれども、南方の島の今の遺骨の収容数とか、そういった記録について一度全部出してもらいたいというふうに申し上げましたところ、このお手元にある資料が理事会に提出された資料ということになると思うんですけれども、ここで見てもらいたいのは南方の太平洋の部分でして、中部太平洋というふうに書いてあって、それぞれの合計しか書いていないんですね。私が申し上げたのは島ごとのデータなんですね。資料というのはこれしかないんでしょうか。ちょっとこれについてお答えください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 昭和二十七年度から政府が実施しております遺骨収集帰還事業でございますけれども、これに伴います御遺骨の収容数につきましては、各戦域の島ごとに集計しております。例えば、議員御指摘の中部太平洋でございますけれども、パラオ諸島におきましては戦没者概数が一万六千二百人に対して八千八百四十三柱、トラック諸島におきましては戦没者概数五千九百人に対しまして四千五十五柱を収容しているところでございます。
 なお、政府の収集事業以外に、復員あるいは引揚げの際に戦友等により持ち帰られた御遺骨もございます。これらは、当時、中部太平洋地域という単位で整理されまして、島ごとの数字はございませんけれども、中部太平洋全体で一万三千二百七十柱の御遺骨が持ち帰られているというところでございます。
○白眞勲君 そこ座っていてくれませんか。もう後ろ行くよりもというふうに思うんですが、委員長、よろしくお願いします。
○委員長(丸川珠代君) 前の席にお座りください。
○白眞勲君 私、この前の委員会で、提出してくれるときに全部出してくれと申し上げたんですよね。あるなら何で出さなかったんですか。何でこういう、いや、ありますなんて言うんですか。これ、出してくれということは島ごとのデータを出してくれと私、言ったんですけれども、何でこういうことをやるんですか。
○政府参考人(谷内繁君) 従来からこういった、先ほど申し上げましたように、復員の方、戦友等が持ち帰られた御遺骨が中部太平洋地域全体で一万三千二百七十柱というくくりをしておりましたので、お求めがあるときにはこういった資料を出しておりますけれども、議員御指摘のように、もう少し細部の中部太平洋の島ごとの資料を出せということでございましたら、適切に対応させていただきたいと思っております。
○白眞勲君 いや、それをこの前言ったんじゃないですか。私、議事録でこう言っていますよ、南方の島の今の遺骨の収容数とか、そういった記録について、一度全部出していただきたいと言ったら、この紙一枚ですよ。ちょっとこれ、不誠実じゃないんですか。
○政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになりますけれども、先日お出しした資料は、いつも戦没者の遺骨収集に際してお求めがある際に出している資料でございます。
 先日の委員会での御指摘による資料につきましては、今御指摘いただきましたけれども、お求めがあればきちっと対応させていただきたいというふうに思っております。
○白眞勲君 いや、ですから、求めたわけですよ。
 委員長、理事会でまたこれはちゃんと提出いただけるようにお願いしたいと思います。
○委員長(丸川珠代君) 後刻理事会にて協議いたします。
○白眞勲君 塩崎大臣は、先日の質疑におきまして、戦没者の遺骨の収集というのは国の、政府の重要な役割である、責務であるというふうに御答弁をされております。私もそのとおりだというふうに思うんですね。さらに、塩崎大臣はその後、御遺族がまた一方で高齢化しているということも御指摘されました。そういう観点からも、ただ、遺骨を収容するのはもちろんなんですけれども、重要なことは、遺骨を収集してそれを御遺族の元にお届けできればとも思うわけなんですね。
 ですから、もちろん、御遺族の方々にしてみれば、身元さえ判明すればというふうに思っていらっしゃる、そういう熱望されている方も多いと思うんですけれども、その点について塩崎大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) この間申し上げましたように、御遺族の方々は本当に高齢化をされているので、一日も早く御遺骨を収集してお戻しをするというのが原則だと思います。
 そのためには、本当にその個人の身元を判明するためには、正確を期すためには、やっぱりDNAの鑑定が必要になるということでございますので、これについても、厚労省で戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会というのを、平成十五年の三月に出ておりまして、十五年度から死亡者名簿等の記録資料から戦没者及び御遺族を推定でき、そして遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できて、さらに遺族から適切な検体が提供される場合にはDNA鑑定ができるということで、それを実施をしているところでございます。
 ただ、南方の方でのDNAの抽出というのがなかなか気候的にも難しい、それからまた戦闘地域であったということもあって大変難しいわけで、どちらかというとシベリア地方などではDNA鑑定実施件数が多いわけでありますけれども、南方の方はなかなか難しいということもありますが、できる限りの努力をしなければならないというふうに考えております。
○白眞勲君 まさに今大臣御指摘あったとおりだと私は思うんですね。
 重要なことは、やっぱり御遺族に御遺骨をお戻しするということが重要な作業であるということだというふうに思うんですが、皆さんのお手元の資料二を見ていただきたいと思います。
 これは毎日新聞の先日の四月の二十五日の資料です。栗原毎日新聞の記者が一生懸命書いてくれているわけですけれども、これによりますと、沖縄においては十八万の御遺骨のうち、DNAによって四体の身元が判明したとのこと。確かに十八万分の四かもしれないんですけれども、これ、私、極めて重要だというふうに思うんですね。
 また、シベリア抑留で亡くなった方の場合、今大臣もお話ありましたように、やはり南方に比べて非常に多くて、千人近くの身元が判明しているわけですね。つまり、先ほどの再生医療ではないんですけれども、日々発展している科学技術によって、今までは無縁仏というふうに言っていたんでしょうかね、それが骨からDNAを採取して、そこから戦没者の身元を判明することができるようになったということで、平成十五年の三月に検討会を立ち上げたというんですけれども、本当に私はこれ画期的だと思うんですけれども、もう一度、大臣、これもう少し積極的に推し進める必要性があるんではないだろうかというふうに思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、これまでの鑑定状況を見てみますと、やはり旧ソ連地域、ここと、それからその他の地域と比べると随分差がございまして、実際に身元判明件数というのが旧ソ連地域ではこれまでの累計で九百九十件ございますが、その他では十一件しかないと。こういうことでありますので、先ほど申し上げたように、幾つかの条件を整えて鑑定を実施をしているわけでありますので、これをでき得る限り実際にきちっと有効なDNAを抽出して、そしてさらに御遺族から適切な検体を、これ、口の内側の粘膜から取ってくると聞いておりますけれども、提供を得て、その上で合うかどうかということを調べるということが大事なので、でき得る限りのことをやっていかなければ高齢化されている御遺族に申し訳ないと、こういうふうに思います。
○白眞勲君 今大臣からそのようにありましたように、やはり適切な検体を提供を受けて、できる得る限りやっていきたいということだと思うんですけれども、ちょっと参考人で結構でございますが、現在収容された御遺骨のDNAというのは全て鑑定しているんでしょうか。お答えください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 鑑定につきましては、先ほど大臣から答弁ございましたように、平成十五年三月の報告書の指摘を踏まえまして、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及びその遺族を推定できて、遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出でき、遺族から適切な検体が提供される場合にはDNA鑑定を実施しておりますので、そういった条件に合致したものについてDNA鑑定を行っているところでございます。
○白眞勲君 ちょっと確認なんですけど、そうすると、採取された遺骨からはDNA鑑定を取っていないんですか。その辺、ちょっと確認なんですが、教えてください、もう一回。
○政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになりますけれども、そういった三条件がそろった際にDNAを抽出しておりますけれども、例えばロシアでは、埋葬地単位で死亡者が判明しているために、遺骨からDNAの抽出を行いデータを蓄積するとともに、その埋葬地単位で収集事業が概了した場合にDNA鑑定を実施しているところでございます。
○白眞勲君 何で三条件がそろわないとDNA鑑定しないんですか。DNA鑑定というのは骨があればできるでしょう、これ。何で三条件じゃなければいけないんですか。お答えください。
○政府参考人(谷内繁君) 今現在、厚生労働省では十五年三月の報告書に従いましてDNA鑑定を行っておりますけれども、今国会でもいろいろ御議論がございまして、データベース化すべきじゃないかという御意見もございまして、橋本政務官からも検討しますという御答弁をいただいておりますので、我々としてもそういった方向で検討しているところでございます。
○白眞勲君 いや、私が聞いているのは、なぜ三つの条件がそろわないとDNA鑑定をしないんですかということなんですよ。何でですかと聞いているんです。お答えください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えします。
 繰り返しになりますけれども、従来、厚生労働省援護局では、そういった三条件がそろっている場合にDNA鑑定をやってきたということでございまして、ただし、先ほど申し上げましたように、今後そういったデータベース化につきましてきちっと検討するというふうな方向で今検討しているところでございます。
○白眞勲君 いや、私の質問に答えていただきたいんですね。三条件がそろわないと何でDNA鑑定しないんですかということなんですね。もう一度お答えください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 その報告書の概要でございますけれども、DNA鑑定につきましても、あくまでも遺骨を遺族に返還するために行うということでございますので、そういった観点からその三条件を設定して、そういった場合に限ってやっているところでございます。
○白眞勲君 当たり前じゃないですか。遺骨を遺族に返還するために遺骨の発掘をやっているんじゃないんですか。だから、私、三条件、意味分からないんですよ、そういう面で。今の、答えになっていませんよ。遺骨をその三条件でくくらない限りはDNA鑑定をしない理由は何なんですかということなんですよ。ちゃんとお答えください。
○政府参考人(谷内繁君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、あくまでも、先生御指摘のように、遺骨を遺族にきちっと返還するということが大事でございまして、そのためにはDNA鑑定をする際に御遺族を推定することが必要ということでございまして、そのために平成十五年三月の報告書ではこの三条件を設定したということでございます。
○委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。
○白眞勲君 要は、三つの条件がそろわない限りDNA鑑定をしないというのは、私はおかしいと思うんですね。今御答弁された中には、御遺骨を遺族の元にきちっとお返しするために三つの条件が必要だという。よく分からないんですね。DNA鑑定しないと、それは返しようないじゃないですか。何で三つの条件がそろわないとできないのか、それをお答えください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、DNA鑑定を行う目的というのは遺骨を遺族にきちっと返還することでございます。そのためには、当然、DNA鑑定をする際には間違ってはならないということで、ある程度御遺族を推定する、要するに、遺骨以外に御遺族の側につきましてもDNA鑑定をしなければいけないということでございますので、その方についてはそういった御遺族だと推定することが必要だということでございますので、誤りなきようにということで、当時、平成十五年の三月につきましては、その検討会におきまして先ほど述べました三条件が設定されたということでございます。
○白眞勲君 いや、さっぱり分からないんですね。要は、遺骨があるわけでしょう。遺骨のDNA鑑定をしないと、元々、その御遺族は推定できないんじゃないんですか。そうでしょう。私、そう思いますよ。何か今言っていること反対なんですよ。御遺族が手を挙げたら遺骨が、これおかしいじゃないですか。ちょっと大臣、手を挙げているので、じゃ、大臣お願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど私から明確に申し上げなかったんですけれども、この三条件の一番目というのは、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及びその遺族を推定できということで、まず第一にこの地域で亡くなられた戦没者の方が誰かということの推定をまず、そこにおられたはずの部隊が例えば五十人いたとすれば、五十人の名簿を、ちゃんと推定をして、この中のお一人だろうということになればかなり絞られるわけですね。
 今先生がおっしゃっているように、御遺骨から全部DNAを取っていくとなると大変な数になって、今度は遺族の可能性も物すごい増えるわけで、それを絞る意味で戦没者をまず絞り込んで推定をして、そしてそれに呼応するであろう御遺族を推定をして、両方のDNAをぶつけてみて、それで初めて一致をするということになるので、これ、先ほど申し上げた判明した件数で、十一件しかその他地域ではないと申し上げましたけれども、これ実施件数は六十一件あって、十一件、実施したうちの判明があります。それから、旧ソ連地域では千九百七十件実施をして九百九十件、これが判明をして、それで無事御遺族に戻すことができたと、こういうことになるわけでありますので、まず第一に、御遺骨を収集したときにどなたの可能性があるのかという推定をすることをまずやった上で、遺族の側の可能性を今度は調べ、それでぶつけていくということをやっているはずなんです。
 私も専門ではございませんけれども、そういうことだと思うので、御遺骨全部のDNAをやるというのは、先ほど、橋本政務官からお話があったような、御遺骨を収集したら全部取り込んでデータベース化する、そして御遺族の方も調べるだけ調べてぶつけるということは理論的には可能ですが、やはりできるところから急いでやろうということであれば、今申し上げたように、この地域で亡くなられた方の可能性はこうだということを調べた上でやるということではないかなというふうに思っております。
○白眞勲君 最初から大臣に聞けばよかったですよ。非常に分かりやすく話をしてくださるわけですよ。
 そのとおりなんですよ。それはよく分かるんですね。ただ、やっぱり今どんどん科学技術は発展していますよ。確かに昔はDNA一つ取るにしても相当な手間が掛かったかもしれない。しかし、科学技術というのはこれからどんどん発達していくわけですよね。
 ただ、やはりどんどんどんどん私はデータベースというのをしっかりと整えて、それから手を挙げていらっしゃる御遺族とのやっぱり照合というんでしょうかね、それをやっていくという部分においてはデータベースをもっとしっかりと整える必要性があるんではないだろうか。今までみたいに、どうも私が聞いている範囲内では、御遺族の方から手を挙げていらっしゃる、そうすると、そこの方からDNAをもらって、そして大体この辺の可能性だということ等やっていると、それはなかなか難しい。最初からDNAをしっかりと全部採取していくこともこれからは考えるべきだと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、御高齢になっていらっしゃる御遺族にできるだけ早く戻すということが一番大事なので、それにとって一番いい方法を考えるということで、先生のおっしゃっているような形で、できる限り、この地域で亡くなっているはずだという御遺族の方の採取をした上で、DNAを、それで捜しているものとぶつけていくという形ももちろんあり得ると思うので、その辺は、今のやり方プラス今の先生の、少し範囲を広げて、御遺族からDNAをいただいてやったらどうかということも検討に値するんだろうというふうに思います。
○白眞勲君 まさに大臣おっしゃるとおりで、今やはり、御遺族の方にとってみたら、この前テレビで見ていたら、ペリリュー島に御遺族の方が行っては、骨も見付からないけれども、きっとここだということで一生懸命やっぱりいまだに捜していらっしゃる御遺族の方も結構いらっしゃるわけですね。
 ですから、骨が出てきたとしたらすぐにもうDNA鑑定という、自動的にDNA鑑定という形に持っていってデータベース化をしっかりと取っていく。と同時に、御遺族の方の中にも手を挙げていただいた方には、もちろんこれは個人情報という部分においてはしっかりと管理しなきゃいけません、DNAですから。しかし、そういう形でやっていくことによって相当にこれは進展ができるのではないかなというふうに私は思うんですけど、もう一度、大臣、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 全面データベース化するというのはなかなか難しいと思うんですけれども、今のやり方を広げるという意味でのデータベース化はあり得ると思いますので、その方向はそのとおりだというふうに思います。
○白眞勲君 それと同時に、今、遺骨を収集した後、それをどうも焼くようですね。それで千鳥ケ淵の方にお納めするという形を取っているんでしょうか。ちょっとそれを、もう一回確認なんですけど、その辺ちょっと教えてください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 海外で遺骨収集した場合には、日本人だと確認できた場合には、DNA鑑定で検体が抽出できればそれを抽出した上で、それ以外のものについては焼骨した上で日本に持ち帰って、遺骨の持ち主が分からない場合には千鳥ケ淵の墓苑に納めているといったような状況でございます。
○白眞勲君 ちょっと確認なんですけど、DNA鑑定をしていないまま納める場合もあるわけでしょう。焼却しちゃう場合も多いということですよね、今の話からいうと。その前の話からいうと、三要件が当てはまらないと、もう自動的にと言っては何ですけど、そういう形にしてしまうんでしょうか。もう一回その辺ちょっと確認なんですけど、ちゃんと答えてくださいね、しっかりと。
○政府参考人(谷内繁君) お答えします。
 申し訳ございません。DNA鑑定をするものにつきましては焼骨はいたしませんで、DNA鑑定をするような検体がない、抽出できないものにつきましては、焼骨した上で日本に戻しているというような状況でございます。
○白眞勲君 抽出できないものって何ですか。
○大臣政務官(橋本岳君) お答えをいたします。
 DNA鑑定をする、先ほど来御議論があるように、御遺族の方にお戻しをするためにということでしております。
 当然ながら、その御遺骨も、体全体あったりとか一部だけであったりといったいろんな場合があります。また、シベリアなどでは一体一体埋葬されているから分かりやすいということもあるし、南方ですとか例えば沖縄ですと、何人かの方が重なり合ってというような状況もあって、どれがどの方なのかよく分からないというような状況もあります。
 そうした中で、DNA鑑定には歯を使ってDNA鑑定をしているということになって、これは恐らく技術的な要因だと思いますけれども、先ほどから申し上げている三条件の中の一つとしてDNAが採取できることというのは、そういうような状況になっております。
 ですから、それがあるものについてはDNA鑑定をさせていただいている。そして、そういう状況にない、要するに、どの方のお骨かよく分からないでありますとか、そもそもDNA採取ができる部位がないでありますとか、そうしたものについてはDNA鑑定については困難であるということで、先ほどのような手順になっているというふうに考えております。
○白眞勲君 今は確かに鑑定ができない、物理的にできないものもあるかもしれない。しかし、そもそもDNA鑑定ができるようになってからもそんなに大して期間としては長くないわけですね。今後もっと科学技術が発展していったら、焼骨してしまったらこれはDNA鑑定なかなか難しいということも聞いております。
 ですから、そういったものも今後の、何でしょうね、これはまた基準もあるでしょう、本当にもうちっちゃな骨でどうにもならない場合もあるかもしれないけれども、ある程度の、まとまったという言い方がいいのかどうか知りませんが、少し大きめな場合にはそれをきちっと保管して、今後DNAが取れるかもしれない。焼くのではなくて、これからはそういうことも少し検討する、値する必要性があるんではないんだろうか。今はDNAは取れないかもしれないけれども、今後取れる可能性だってあるかもしれないじゃないですか、これから科学技術どんどん発展するんですから。
 ですから、そういう部分について、ちょっとこれは大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、やっぱりこれは検討に値すると思うんですけれども、その辺どうでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、橋本政務官からお答え申し上げましたように、現在は歯からDNAを抽出してそれを合わせるということをやっているわけでありまして、それが、今先生御指摘のように、科学技術の進歩によって他の部位からもできるということであればあれですけれども、言ってみれば科学技術との追いかけっこになりますので、その時々の科学技術の最先端で私たちは最善を尽くすということをやっていかなければならないというふうに考えております。
○白眞勲君 もちろんそうなんですよね。最先端の技術で最善を尽くすこと、それはそのとおりなんですけれども、焼いてしまったらこれは後戻りになっちゃうんですよ。最先端じゃなくなっちゃうんですよね。
 ですから、その保存について、焼かないという可能性はどうなんだろうかという部分について、これは、大臣、一度考えてみてもいいと思うんですよ、私は。別にここでやりますなんという、そういうことを言うわけにはいかないかもしれないけれども、せめて検討するぐらいやっても僕はいいと思いますよ。どうでしょうか、それは、大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) お気持ちは分かりますが、御遺骨を見付けて、しかしそれを焼かないということになると、それを置いてどうするのかということになって、仮に判明がしない、合致する御遺族が見付からないという場合に、どの時点で科学技術の進歩と比べてみて置いておくべきかどうかというのはなかなか難しいと思うので、今は、ですから千鳥ケ淵に最終的にはお納めをするということを選んでいるので、そこはやっぱり全体として御遺族のお気持ちがどういうやり方が一番安らぐのかということを考えて、そのときにやはりそのときの最善の道を選んでいくしかないのかなというふうに思っておりますけれども。
 もちろん、科学技術の進歩というのは先生がおっしゃるとおりでありますから、歯以外でもできるようになるということであれば、それが見通せれば少し時間を置くということもあるかも分かりませんけれども、やはり時間との競争であることも間違いないというふうに思えるところがございますので、そこのところはなかなか悩ましいというふうに思います。
○白眞勲君 私の気持ちというよりも、御遺族の気持ちを考えてもらいたいと思うんですけれども。
 私はやはり、今まではもうそれは焼骨して、それで千鳥ケ淵にお納めするということですが、それ自身をそろそろもう一回検討して、どういうやり方がいいのかということも含めて、今後のこういうDNAの採取もできるようになりそうだということであるならば検討する必要性があるというのが私が思っているところなんですけれども、その辺り、大臣としてもう一度御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおりでございまして、それをもし焼骨をしないで保管をして、沖縄なら沖縄に取りあえず保管をしておくということで御遺族がどうお考えになるのかということも同時に併せ考えていかなければならないと思いますので、先生のお考えは確かに選択肢の一つかとは思いますけれども、現在のところは今のやり方がベストかなということでやらさせていただいているということなので、可能性としては先生のお考えももちろんあり得るというふうに思っております。
○白眞勲君 いや、私の考え方があり得るということではなくて、やっぱり検討に値するのではないかというふうに私は思っているんですが、その辺り、大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、今は今のやり方でいくのがベストだろうというふうに考えて私どもはやらせていただいておりまして、それを保管をしておくということで、科学技術の進歩を待つということだけではなかなか難しいかなというふうに思いますので、科学技術の進歩が見えているということであれば、先生のおっしゃったことも十分あり得るというふうに思うところでございます。
○白眞勲君 いや、私は見えているというふうに思います。
 それと同時に、もう一つ、今ちょっとこの焼骨の前の段階での、DNAの、遺骨から採取する関係においてのデータベース化というんでしょうかね、そういったものというのはどんどんしていくべきだと思いますが、この記事にもありますとおり、実際に御遺族の方が、DNAでこうやって今少しずつ分かりつつあるんだということ自身を御存じない方も相当いらっしゃるというふうに私は思っております。
 ですから、そこはやっぱり広くこれからは、もしよろしければということで、DNAについて御遺族の方々からも採取、もしさせていただければ、万が一見付かった場合にはすぐ御連絡差し上げたいというような、今までの三要件のような形ではないやり方。御遺族から手を挙げていただいたら何かということではなくて、両方から攻めていく、つまり、そういうデータベース化してDNA鑑定された遺骨とのマッチングをするべきなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、お考えいかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、考え方としては十分あり得ると思うわけでありますけれども、そしてまた、さっき申し上げたように、この地域で恐らく亡くなられたんだろうというふうに思う御遺族の方々には、もちろん今おっしゃったように、今まで以上にDNA鑑定に応じていただくように検体を提供いただくということは十分あり得るというふうに思うところでございますので、そういう意味で、今までよりも範囲を広げてやるということに関しては十分あり得るというふうに思います。
○白眞勲君 まさにそうなんですよね。範囲を広げてもらいたいんですよ、そういう。今まではどちらかというと待ちの姿勢だったと私は思うんです、厚生労働省さんは。ですから、そうではなくて、もっとより積極的に、そのところにいた部隊分かっていますから、その部隊の人たちの、例えば今、遺族会の皆さんとかそういった方々に、是非ちょっとそういう御協力願えないだろうかということも働きかけていくような、そういうことも必要ではないかと思いますが、もう一度その辺、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) ですから、広く御遺族の皆さんにDNAの検体を御提供いただくと可能性が高まりますよということはお知らせをして範囲を広げるということはあり得るというふうに私も考えます。
○白眞勲君 ありがとうございます。
 それでは続きまして、先月、四月十四日に当厚生労働委員会で私が取り上げました昭和三十四年から始まった日本から北朝鮮への帰還事業についてお聞きしたいというふうに思います。
 まず日本赤十字さんにお聞きいたします。
 日本赤十字は、この事業について自らも実施したと先日の委員会でお話しされましたけれども、そこで私がお聞きしたのは、いわゆる日本人妻の帰国の問題です。日本赤十字さんからは、朝鮮人の方々が一度北朝鮮に渡ると、日本には政府の特別な許可がない限り帰れませんよということを繰り返し喚起をしたということをるる説明があったわけですけど、ここでちょっともう一度確認したいんですけれども、私、聞いているのは、日本国籍を所有している方が日本に国交がない国だから帰国できなくなるかもしれませんよという注意喚起はしたのかということ、この辺り、いかがなんでしょうか。
○参考人(大塚義治君) 先般御答弁申し上げましたことと同じことを申し上げることになるかもしれませんのでお許しをいただきたいんでございますけれども、帰還事業の中心的な対象は、言うまでもございませんけれども、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮に帰ることを希望する朝鮮人あるいは元朝鮮人の方、原則としてはこういう方々が対象でございまして、そういう方と婚姻若しくは事実上の婚姻関係にある方、いわゆる奥様も対象になる、一緒に渡ることができる、こういう枠組みでございます。
 したがいまして、主たる対象者の方々は朝鮮人あるいは元朝鮮人の方々ということになりますので、なかなかそういうケース、そういう方々については自由にまたお戻りになるということはできませんということを繰り返し御説明をしたわけでございます。
 言わば奥様あるいは内縁の奥様ということでございますから、当然、その御本人と行動を共にすることが前提でございますから、そこについて特段区別をした御説明をしたということはないんだろうと思っております。そしてまた、そういう資料もございませんが、言わば、逆に申しますと、奥様方も含めて、国籍問題のいかんにかかわらず、国交のない中でございますので、自由にお帰りになるということができますよ、あるいはその可能性がありますという御説明をしたとはとても実は考えることは困難だろうと思っております。朝鮮人御本人の方々と同様な御説明をしていたというのが私どもの理解しているところでございます。
○白眞勲君 やっぱりそこは大きな問題だと私、思いますね。これは前にも、そのときにも私、申し上げました。うちの父親は韓国人、母親は日本人です。区役所に入った途端、もう行く場所違うんですよ。父親は外国人登録証明です。そして母は戸籍課とかそっちの方に行くわけですね。当然違うのは当たり前なんですね。でも、今、赤十字さんはそれを一緒にやってしまったということですよね。私は、そこは一つ大きな問題点ではないのかなというふうに思うんですが。
 そこで、ちょっとここで法務省にお聞きしたいんですけど、今、朝鮮人、元朝鮮人という話をされました。これ、朝鮮人というのは何を意味しているんでしょうか。
○政府参考人(佐々木聖子君) お答えをいたします。
 法務省へのお尋ねでございますので、法務省の所掌事務に関しまして、朝鮮という言葉の取扱いとして、この帰還事業が開始されました昭和三十四年における外国人登録の国籍欄の表記についてお答えをさせていただきますと、朝鮮半島の出身者で大韓民国国民登録証等の提示がない方の場合には外国人登録証明書の国籍欄に朝鮮と表記することとしてございました。
 ですので、朝鮮とは、法務省的には、法務省にとっては何かというお問いに対しましては、外国人登録証明書の国籍欄に朝鮮と記載をされた方というお答えになります。
○白眞勲君 皆様のお手元の資料三、ここに当時の帰還案内というものが出ておりますが、赤十字さんにお聞きいたします。
 一ページ目のお知らせというこの左側のところですね、ここにはルビが振ってあります。ルビが振ってある。でも、こちらの、別のところには何もルビがない。何でここだけルビが振ってあるんでしょうかね。
○参考人(大塚義治君) 直ちに的確なお答えを申し上げる自信はございませんけれども、大変重要な、最も重要なポイントであるということで、仮に漢字を読みにくい、読むことの困難な方々についてもお分かりいただけるように、そういう配慮が加わったものではなかろうかと、これは推察でございますけれどもいたしております。
○白眞勲君 私はこれ、いただいたものを全て読みましたけど、私のように一応曲がりなりにも高等教育を受けた者にとってみても、この文章を理解するのは大変でした。
 これ、字が読めない方に理解させようとするのは大変だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○参考人(大塚義治君) もちろん、単に読み聞かせるあるいは読んでいただくだけではなくて、恐らくという意味合いでございますけれども、これに対して御説明を付して御理解をいただく努力をしたのではないかと、これは正直、現場にいたわけではございませんのでそう理解をしておるわけでございますし、そんな話は間接的に耳にしたことは何度もございます。
○白眞勲君 私が申し上げているのは、前回の御答弁では、こういう帰還案内を出しているんだ、だから言葉ではしゃべっていなくてもこういう文章を読めば分かるようになっていると言ったんですが、これじゃ分からないと私は思うんですが、その辺はどうでしょうか、赤十字さん。
○参考人(大塚義治君) 御質問の御趣旨が、この文章の意味するところが分かりにくいということでもしございますならば、いかがでございましょうか、いわゆる朝鮮の北又は南へお帰りになることも、ほかの地域に行かれることも、もちろん日本に残ることも可能ですということが書いてある内容でございますので、決して易しい文章ではないかもしれませんが、その内容において理解することが非常に難しいというふうには私は感じませんが、いかがなものでございましょうか。
○白眞勲君 いや、これ、何を言いたいかといいますと、お知らせの中に書いてあるのは、どこに行くにも自由ですよと書いてあるんですよ。どこに行くにも自由だということは、北朝鮮に行った人がまた戻ってこれることも自由なんじゃないかというふうに誤解される可能性が僕はあると思いますね、これは。
 と同時に、こういう、何というんでしょうね、非常に分かりにくい中で、やっぱり北から脱北された方々、この帰還者の中には、自由にまた戻れるんだというふうに認識していたというふうに言う人たちがほとんどでして、一回行ったら帰れなくなりますなんてことを知らなかったということを言っていらっしゃる方が多いような感じがするんですね。ですから、非常にこういったものについても、ちょっとそのときの不備があるんではないんだろうかということが私は推察されるんですね。
 時間も限られてきましたので、この帰還事業についてもう少し大枠でちょっとお話を聞きたいと思うんですけれども。
 これは、一九五九年にカルカッタで結んだ在日朝鮮人の帰国に関する協定で行われたわけですけれども、一九六八年に一旦終わります。そこで今度は、中立的な立場で帰国の意思の確認のためにいた赤十字国際委員会の駐日代表団、ICRCのメンバーが日本を離れているわけですね。今度はモスクワで日朝の赤十字が合意したことによって一九七一年から再び帰還事業が行われるわけですけれども、ちょっとこれ赤十字さんにお聞きしますけど、一九七一年以降は誰が帰国の意思の確認をしたんでしょうか。
○参考人(大塚義治君) おっしゃるように、一度中断をし、一九七一年以降、大変強い御要望があったということを背景に、言ってみれば暫定措置という形で継続をしたわけでございます。このときの手続も、基本的にはそれまでの、一九六七年までの間の手続と基本的に同じような手続を日本赤十字社が取っておったということでございます。
○白眞勲君 いや、ちょっと答弁気を付けてください。日本赤十字社が取るということは、誰が帰国の意思を確認したのかを私、聞いているんですけど、お答えください。
○参考人(大塚義治君) そのスタート時からしばらくの間の帰還事業の実施の際の意思確認につきましても、ICRCの関係者の立会いの下に、日本赤十字社の職員が御本人あるいは御家族と、その最終的な意思を確認した、途中経過でも何度かそういうステップがあるわけですけれども。この言わば延長されました一九七一年以降の暫定措置の際にもICRCの立会いを得て同じように実施をしているということでございます。
○白眞勲君 赤澤副大臣にお聞きしたいと思います。
 私、今あったように、この赤十字国際委員会の仲介は途中までだったと、その後は帰還の意思というものについて非常にあやふやだと私は思っているんですね。そういう中で、ストックホルム合意においては、拉致問題の、今回の平壌における、拉致が最優先だというふうに言っています。日本人妻について、北朝鮮に残された日本人妻が優先ではない理由は何なんですか。
○副大臣(赤澤亮正君) 議事録で確認したところ、四月十四日火曜日の当委員会における私の発言の意図と白委員の受け止め、異なっている箇所があるとちょっと思うので、まずその点、簡潔にちょっと言及させていただいて、前回私が「逮捕とか監禁とかの方に当たるのかもしれません。」と申し上げたのは、日本人妻についてではなくて、白委員がおっしゃった、家に誰か入ってきてくれて、それを出さないという一般論についての話であるということは指摘をさせていただきたいと思います。
 その上で、今のお問いかけでございますけれども、北朝鮮による拉致行為とは、先生もこれ御案内のことと思いますが、刑法第二百二十六条の国外移送目的拐取その他の刑法上の略取及び誘拐に該当する行為であるということが判断の基準になっております。端的に言えば、犯罪行為があったということが判断の基準になっておりまして、拉致行為とは、本人の意思に反して北朝鮮当局による暴行や欺罔行為などによって北朝鮮に渡ったかという点をもって判断をする。北朝鮮から出られないことをもって拉致行為に当たるとは言えないというふうに考えております。
 日本人妻については、今赤十字の方から御説明ありましたように、意思確認をした上で、国家的犯罪行為としての、本人の意思に反しての、北朝鮮により拉致された拉致被害者と同列に論じることはできないというふうに考えている次第でございます。
○白眞勲君 赤十字さんにお聞きしますけれども、ICRCは一回帰国したというんですけれども、帰国していなかったんですか、これ。その後の、再開という言い方でいいのかな、それだけもう一回ちょっと確認します。
○参考人(大塚義治君) 一度中断をされたわけでございますから、当然その期間は日本にはおられませんけれども、事実上の再開、暫定措置という言葉を使っておりますが、再開をしますときに、やはりお約束を頂戴して、具体的な名前もございますけれども、来ていただいて、立ち会っていただいたということでございます。
○白眞勲君 あと、赤澤副大臣、私の質問に答えてくださいよ。この前のことはどうでもいいんですよ。
 今、私の質問は何かといったら、北朝鮮に残された日本人妻は、ストックホルム合意で山谷大臣は、拉致問題は最優先課題だとは言っていますよ。だけれども、北朝鮮に残された日本人妻が優先ではない理由は何なんですか。
○副大臣(赤澤亮正君) 誠に恐縮ですけれども、拉致担当者としてお答えをさせていただかなければ私なりません。拉致担当者でございます。
 北朝鮮当局による拉致行為があったとは言えないという状態でありますから、ストックホルム合意で拉致問題が最優先と言ったことに残念ながら当たりません。そこで、私どもとしては、拉致被害者と同列に論じることはできないということを申し上げているわけでございます。
○白眞勲君 いや、全然答えが違いますよ。
 山谷大臣が、日本人妻とかストックホルム合意に書いてあるにもかかわらず、拉致問題が最優先だと言ったということは、北朝鮮に残された日本人妻は優先でない理由は何なのか、それを聞いているんですよ。ちゃんと答えてください。
○副大臣(赤澤亮正君) ストックホルム合意は、拉致の問題も含め、日本人妻の問題も含め、日本人に関するあらゆる問題を対象にはしています。その中で、犯罪行為である拐取といったような行為を前提として、それを判断基準として認定する拉致行為が最優先と山谷大臣は申し上げているので、不明確なところはないと思います。
○白眞勲君 赤澤副大臣、日本人妻が何で優先ではないんですか。日本人じゃないんですか、これ。それを聞いているんですよ。
 犯罪行為があるかないかで判断したということなんですか。それ、もう一回確認しましょう。
○副大臣(赤澤亮正君) 恐縮ですが、拉致行為最優先ということは拉致担当の山谷大臣も申し上げ、政府としてもそういう考えを持っており、拉致担当の私としてはその考えであるということは間違いございませんが、それ以外の行為がなぜ最優先でないんだということをここで聞かれても、私はお答えできる立場にありません。
○白眞勲君 いや、それは変だと思いますよ。
 四項目のストックホルム合意をしたのは、これは政府ですね。その中には日本人妻の問題も入っているんです。それでいて拉致が最優先だということなので、ほかの問題は何で後回しにするんですかということを私、聞いているんですよ。優先でない理由は何なんだということを聞いているんです。
○副大臣(赤澤亮正君) 拉致問題の解決が最優先と申し上げているのは、これまでの政府の答弁から申し上げれば、拉致というのは国家主権の侵害にも当たる、それから国民の生命そして自由に対する重大な影響を与える犯罪的行為である、したがってその解決は最優先事項であるというのが政府の考え方であると理解しております。
○白眞勲君 だったら、何でストックホルム合意のところに……
○委員長(丸川珠代君) 指名をお待ちいただけますか。
○白眞勲君 はい、済みません。
 調査は一部の調査のみを優先とするのではなく、全ての分野については同時並行的に行うこととすると、文書に何で書かせたんですか、これ。
○副大臣(赤澤亮正君) 全ての問題が重要な問題であります。したがって、調査を同時並行に進めていただくことは当然であると考えますが、しかしながら、その中で解決がどれが最優先かといえば、拉致だということでございます。
○白眞勲君 終わります。
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。白眞勲委員に続きまして一般質疑させていただきたいと思います。
 今日は冒頭、前回、四月二十三日の本委員会で、高度プロフェッショナル制度に関して塩崎厚生労働大臣にお伺いした件、続けて質疑をさせていただきます。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 四月二十日、日本経済研究センター社長朝食会、塩崎大臣、講演で高度プロフェッショナル制度に関して発言をされております。前回、質疑の際に、塩崎大臣、何を申し上げたかよく分かりませんという答弁をされておりました。その後、委員の皆さんも御覧になったのではないかと思いますが、メディア等々で塩崎大臣の発言、そして録音されたものもメディアに出てまいりましたので、今日はお手元の資料一で、その講演の関係箇所の抜粋と、それから前回の私の質問に対する塩崎大臣の答弁、済みません、これ、強調部分は私の方で強調させていただいているということは説明をさせていただきたいと思いますが。
 大臣、前回の質問で、小さく産んで大きく育てたいなんとは一言も言っておりませんというふうに答弁されましたね。言っているじゃないですか。大臣、おかしいじゃないですか。明確に、物すごく少ないところでスタートする、我々としては小さく産んで大きく育てると、取りあえず入るということなんで、ぐっと我慢していただいて、取りあえず通すことだと社長さんたちの前で大臣言っているじゃないですか。どうやって前回の答弁を説明するんですか、大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、この講演は議事録がないものでございまして、これはテープを起こしていたということでございますけれども、それが正確に起こされているのかどうかということについても、私はちょっと、やや違うところがあるかなというふうに思っております。
 その上で、今の言っているというところは、これは私、原稿なしで講演していますので、口頭でしゃべるといろいろ間が飛んだりいろんなことをしていますので、やや誤解を招くようなことがありますけれども、私は、前回、先生御指摘のように、そのようなことは一切言っておりませんと。つまり、小さく産んで大きく育てるようなことは一切、自分の言葉として、考えとしては言っていませんということを明確に申し上げました。
 それは何も変わっておりませんし、元々、そこにお配りをいただいておるのを見ても分かるように、大体講演のときにびっくりマークが入ったり点々が入ったり色が変わったりするようなことはないわけでありまして、ややアレンジをされているというふうに見えますが、この何にもない、フラットに読んでいただければ、「我々としては」、普通だったらこれ点が入るんですね。小さく産んで大きく育てるという発想を変えていただいてということを込めた私の言い方でありまして、つまり、経済界が小さく産んで大きく育てるということをよく言うので、迷惑だと、私は不愉快だということを申し上げているので、ただ、社長さんたちがいる前で余りストレートに言うのも大人げないので、そこの終わりの方に、お配りをいただいているかどうか、これを、ぐっと我慢していただいてというのは、要するに、本当はやめてくれよと言いたいところでありましたけれども、まあちょっとそこのところを上品に、ぐっと我慢していただいて、取りあえず通すことだったと言って御議論、合意と書いてありますけれども、これ本当はそうではなくて、取りあえず通すということで応援してもらえると大変有り難い。つまり、黙って今の法律を通すように、私たちはこれがベストだと思っていますから、それを応援をしてくれると有り難いということをえんきょくに申し上げているので、何ら私が申し上げたことは間違っていないし、石橋先生の御質問に答えたことも全く間違っていないというふうに思います。
○石橋通宏君 まず大臣が、これが正確かどうか分からないというようなことを言われるので、これは委員長、録音されたものがありますので、これ、理事会に喜んで提出をさせていただきますので、それで理事会で中身の精査いただきたいと思いますが、よろしいですか。
○理事(福岡資麿君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○石橋通宏君 その上で、大臣、これが正確なものであったとすると、明確に、改めてですよ、我々としては小さく産んで大きく育てるとおっしゃっている。つまり前回の答弁は虚偽答弁であった、それは訂正されるんですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 全くそんなことはございませんで、「我々としては、」、点ですよ、ですから。小さく産んで大きく育てるという考え方を、発想を変えてもらってという意味ですから、私の考えを変えるんじゃないんです、経済界の考え方を変えてもらいたい、こういうことを申し上げているので、それは講演をしている私がそういう意図で言ったんだと言っているので、それを否定するというのは残念ながら石橋先生にはできないことで、私の意図は私の意図でありますから、私の意図はそういうことだったということでありますので、おわびをしたり訂正したりすることは一切必要はないと思います。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
○石橋通宏君 まあこれ、理事の皆さん、テープを聞いていただければ、「我々としては」の後に点は入っていません。これ、私も何度もテープを聞きながら改めて確認をさせていただきました。
 大臣、だって、別に原稿読まれたわけじゃないんでしょう。自分の言葉でおしゃべりになったんでしょう。テープを聞けば、これ続けてお話しになっています。我々としては小さく産んで大きく育てるというふうに言葉で言われています。
 加えて、これ、前後が、この流れが大事なんですよ、大臣。取りあえず入ると、だからぐっと我慢していただいて取りあえず通すと繰り返し言われている。取りあえず通させてくれと大臣繰り返し言われているんです。つまり、経済界の皆さんに、皆さんが千七十五万円を下げろなんて言うからいろんな話が来るので、皆さんここはぐっと我慢、まずは通させてください、その後はよきに計らいますよと、そういう趣旨でしょう、大臣。これ、前後の文脈を見てやっていただければ、大臣、本音が出たというふうに言わざるを得ないと思います。
 大臣、これ、社長さんたちの前で、国民の皆さんを今だましている最中だと、だましている最中だからぐっとこらえて黙っていてくれと、だまし終わったら拡大させていただきますと、大臣、そういう趣旨だということですね。改めて確認してください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 全くそんなことはありませんし、私はそんな失礼なことを皆さんの前で言うことはあり得ません。
 私が申し上げているのは、経団連が発言をして下げてもらいたいみたいな趣旨のことをおっしゃったりするのは大変甚だ迷惑だと私は思っていましたから、少し我慢してもらって、ここはこの法律を通す、もうこれがベストですから通すと。その上で、あとは国会がまたいろいろと考えることであって、これは、平均給与額の三倍を相当程度上回る年収要件というのは法律で定めるわけですから、これを変えない限りは絶対に下げるだのというようなことはあり得ませんから、それは国会がお決めになることだと、後にですよ、ということであって、私の仕事、責任は、このベストだと思っている法律を通すこと、これでありますから、そのことを申し上げて、少しえんきょくに、少し静かにしてくださいということを言っているだけの話であって、いい迷惑だということを言っているわけです、事実上は。
○石橋通宏君 今も答弁の端々に、まずこれで通すので応援してくれと、その後はまあまあいろいろありますねということを含意として含まれている答弁だなというふうに、改めて大臣の思いが伝わってくる答弁だと言わざるを得ません。
 私は、是非、これ国民の皆さんもこの質疑、やり取り、聞いていただく、議事録御覧になる機会もあると思います。改めて、大臣の朝食会での御発言、全体の流れを含めて国民の皆様にもよく御覧をいただいて、そしてやっぱり大臣は経済界の皆さんと一緒に、まずは導入してその後拡大をしていくということを考えておられるという本音が出たということで、やっぱりこれは絶対に通しちゃいけない法案だということを是非皆さんに御理解いただきたいということをまず指摘をしておきたいと思います。
 その上で、やっぱりこれはとんでもない中身なんですよ、大臣。これはもう既に衆議院でも参議院でも何度か議論されておりますが、改めて、この高度プロフェッショナル制度がどんなとんでもない中身なのかということを、まだ中身を御理解いただいていない方がよもやおられないと思いますが、改めて確認をしたいと思いますが、資料の二を御覧をください。
 今回提案をされている高度プロフェッショナル制度、法律の効果としてどういう効果があるかというと、この資料の二の上の部分なんです。対象となった労働者については、労働基準法の、これ、我々は残業代ゼロ制度とかいう言い方をしておりますが、労働時間規制だけじゃないんですね、休憩の規制も休日の規制もこれ全部規制が取っ払われると。三十二条、三十四条、三十五条、そしてもちろん割増し賃金の三十七条、こういうの全て適用から除外をされる労働者を生み出してしまう、そういう内容の今回の制度なわけであります。つまり、全く無秩序状態に置かれる労働者をつくるということなんです。
 まず、これ、政府参考人でも結構です。これはそういう制度だということで確認だけお願いをしたいと思いますが、よろしいですね。
○政府参考人(岡崎淳一君) 先生の御指摘のように、除外する規定につきましては、労働時間の規制とか休憩、休日、ここまでは現在の管理監督者等と同じでございますが、今回はそれに加えて深夜業のところも除外しているというところは管理監督者とは違うということでございます。
○石橋通宏君 いわゆる一般の労働者にもかかわらず、管理監督職の適用除外以上にあらゆるこういった守りから除外をされてしまうという、まずこの部分がとんでもない話だというところです。
 その上で、これ、大臣は繰り返し、いや、そうはいったって健康確保措置というのをちゃんとつくっていますよというふうに言われるわけですが、その健康確保措置というのがいかなるものかというのが、この資料の二の下に書いてあるところです。
 問題は、イ、ロ、ハのいずれかを選択をすればよろしいということになっているわけです。どれかを選択することだけが法律事項で求められているわけで、どれかを選択すれば残りの二つはやらなくてもいいですよということ、そこがとんでもない問題なわけです。
 大臣、まず確認をいたしますが、イのいわゆる休息時間規制ですね、これ何時間を想定されていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今言っておられるのはインターバル規制、いわゆる、ということだというふうに思いますが、これについては法案の成立後に労政審において検討の上で省令で定めるということで、健康管理時間についての、今のこの三つの要件については、三つ目は法律で定められておりますから、今のことについては省令で後に定めるということになっております。
○石橋通宏君 大臣、何時間であるべきだと大臣は思われていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) それは公労使で御議論をいただいた上で決めていくことでございますので、私が一つの方向性を今出すような立場ではないというふうに思いますし、しっかりとした議論をお願いをしたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 厚生労働大臣として、これ、労働者の健康確保措置ですよね、健康を確保するための措置なんです。先ほど確認しましたように、これ、対象になった労働者は全ての規制から取っ払われちゃうわけですよ。だから、健康確保措置があるから大丈夫だと大臣は繰り返し言われています。
 大丈夫な休息時間規制は、どれぐらいはやっぱり必要だと、人間の、労働者としての健康を守る上でこれぐらいはやっぱりちゃんと休んでもらわなきゃいけないね、大臣の人間としての思いとして何時間ですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 申し上げたように、これからこの法律を通した後、労政審で御議論をいただくわけでありますので、私として一つの方向性を指し示すというようなことは適切ではないというふうに考えているところでございます。
○石橋通宏君 これも是非、聞いていただいている国民の皆さんに、こういう中身、これとっても大事な健康確保のための措置、しかも、イ、ロ、ハ、どれかを選べばいい。じゃ、イを選んだときにこれ何時間になるかも、大臣としてその思いもないという、これは僕はとんでもない話だと思いますよ。
 大臣、これは確認です。
 じゃ、例えばイを選んだとしましょう。これ何時間になるか分かりませんと、大臣、それはまあ任せますと。じゃ、これ十時間になったとしましょう。これ、EUでインターバル規制でいけば十一時間以上です。日本の国内のこれまでの様々な事例、既に導入をされている労使、企業でいけば八時間とか九時間です。間を取って十時間と仮置きをしてみました。
 仮に十時間として設定をされると、要は、ロもハも適用にならないので、規制の縛りとしては休息を二十四時間当たりで十時間得られればいいということのみが法律事項になるということであるとすると、逆に言えば、一日十四時間休憩なしで働き続けることが可能で、かつ、月も年も労働時間制限がありませんから、休日規制もありませんので、一年当たり有給五日今回義務化になって取得をするとしても、三百六十日労働することが合法的に可能だということでいいですね。これは答弁で確認だけしてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 論理的に今おっしゃったようなことをやろうということは可能かと思いますけれども、当然のことながら、先ほどの健康確保措置に引っかかってくるわけでありまして、大体トータルの月の労働時間でどのくらいかということを考えた上で判断をする健康管理時間の中で考えて、これ月百時間以上ということになれば、当然これに引っかかってくるわけでありますので、これに基づいて健康確保措置がとられれば何らかの措置をとらないといけなくなるということになりますので、なかなか今おっしゃったような極端なケースを続けるということはできないということになるのが私たちの考えであります。
○石橋通宏君 これ、岡崎局長でいいですかね、健康管理時間に引っかかるのでと今大臣は言われました。百時間超えると、じゃ、もうそれ以上は働けなくなるんですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今大臣がお答えしたのは、多分、健康管理時間を踏まえて、これ何時間にするかはこれからでありますが、医師の面接指導というのが入る形になる。したがいまして、いろんな意味での上限健康確保措置と、それからその健康管理時間に応じた医師の面接に伴う対応ということを含めるとそういう形になるということを大臣が御答弁したということでございます。
○石橋通宏君 大臣、法律お分かりですよね。あくまでこれ求められるのは医師の面接指導です。
 岡崎局長、もう一度。医師が大丈夫だと言ったら、そのまま働き続けても大丈夫ですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 健康管理時間が長い方についてはしっかりと医師が面接すると。そして、そこはお医者さんがしっかりと御判断いただくということにしていきたいというふうに考えております。
○石橋通宏君 局長、ちゃんと答弁してください。お医者さんが大丈夫だと言ったらそのまま働き続けても大丈夫ですか。
○政府参考人(岡崎淳一君) そこは専門家としてのお医者さんの判断を踏まえて対応していくということになるというふうに考えております。
○石橋通宏君 大臣、お分かりですね。お医者さんが大丈夫だと専門家の見地から言ったら大丈夫なんです。そのまま働き続けてもオーケーになっちゃうんです。それで、今でも、今でも過労死がなくならないわけです。お分かりですね。そのことを、これ最大の問題の一つだということは、是非大臣、まず御理解をいただかないと、とんでもない話ですよ。
 もう一つ、ハを選択したとしましょう。年間百四日、若しくは四週間で四日以上の休日と。ハを選択すれば、今度はイもロも要らなくなります。そうすると、これも、大臣、法律上可能なということで、休日が、それだけで一日二十四時間働いてもこれオーケーですね。休日さえ合法的に一か月で四日間取れば、一日二十四時間休憩なしで働き続けてもオーケーと。それを最大で二十四日間続けても合法です。そういうことで、大臣、これも同じく確認だけで結構です。これはよろしいですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 同じことだと思いますけれども、先ほど申し上げたように、健康確保時間で残業時間百時間以上超えるようなときには、今百時間というのを大体のめどで想定をしているわけでありますけれども、義務として医師による面接指導が必要になってくるわけで、これやらなければ罰則付きというふうに法律を立てておりまして、そこで産業医がしっかりとした医師としてのアドバイスをするということでありますので、今先生は極端な例をおっしゃっておられますけれども、その極端な例で、働く人たちの健康を守れるという産業医がなかなかそういう専門的な判断をするということは想定し難いなという気はいたします。
○石橋通宏君 大臣、全く無責任な発言だと思いますよ。
 じゃ、今の世の中、現行法の下でなぜ過労死がなくならないんですか。なぜ、精神疾患、長時間労働、過重労働による、なくならないんですか。なぜ、今大臣が旗を振って過重労働対策をやらないとなくならないんですか。今の法律上で大丈夫だなんて言うんであったら、そんな問題は起きないじゃないですか。起きているから問題なんでしょう。現行の法律の下だって残念ながらなくならないんですよ。それを今回青天井にしちゃうわけでしょう。それで今の法律があるから大丈夫なんて、とんでもない無責任な発言じゃないですか。
 だから、我々は、これとんでもない話だと。大臣が今言われているようなことは何の歯止めにもならない。だから、過労死促進法案であり、定額制働かせ放題でありということを我々は言い続けておりますし、冒頭、大臣の社長会での発言もございました。まずは導入して、これを今後拡大をしていくと。最初は一・五%かもしれない。でも、今後広がっていったら、ますますこういう労働、働き方、何にも守られない過労死促進の法案が多くの方々に適用になってしまう危険性が非常に多いということを指摘をし、改めてこの法案に断固反対をする立場で今後審議に臨んでいくことを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 派遣法について若干質疑をさせていただきます。
 国民への欺きということでいくと、この派遣法もいよいよ今回三度目になるわけですが、厚労省も相当焦っておられるのかどうか、かなり無理をされているなという気がするわけでありますけれども、いわゆる、これ前回小池委員が質問もされましたけれども、みなしの十・一問題についてのペーパーについてちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 資料の三でお配りをいたしました。これも赤線の強調部分は私が強調させていただいておりますが、これ、上と下と二つのバージョンがあります。上のバージョンが元々民主党の厚生労働部門会議に、与党に提出をした資料です、説明に使った資料ですということで提出をいただいた資料です。
 最初にいただいた資料には、御覧のとおり、どこにもクレジットが入っておりませんでした。誰が作ったペーパーなのかということが明確になっておりませんでした。それを指摘したところ、厚生労働省内で作成という何か訳の分からない説明、ただし書が付いて出てきましたけれども、下の部分がこれ今恐らく厚生労働省のクレジットが入って皆さんが説明資料としてお使いになっている。これ、上と下と比べていただければ、明確に書いてある内容が違うわけであります。
 最初に伺いたいと思いますが、この上の資料、与党等々の議員について説明として使われた資料ですね。大臣、これ、大臣が決裁をされた資料でしょうか。それだけ、イエスかノーでお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 私は決裁はしておりません、その時点、作られた当初はですね。
○石橋通宏君 作られた当初はということは、どこかの段階ではこれ説明を受けて、大臣、これでオーケーだという大臣の合意をされたわけですね、じゃ。それだけ確認させてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 元々このペーパーは、法案担当課が説明に回ります、これは与野党問わず。昨年の冬頃に法案の施行日の説明を行う際の補足資料として作成をされたというふうに理解をしておりまして、私は、最初に作ったときに、これを配りますといったようなことはもちろん聞かれていないわけでありまして、これは資料として配られたときが、衆議院の維新の党の足立議員が、これは二月の二十三日の予算委員会でお配りになったんです。私はその際に初めてこの存在を知ったところでございまして、事務方から、こういうものを今日、足立委員が配りますということを聞いて初めて知りました。
○石橋通宏君 閣法について与党議員を中心に事務方が説明される資料、大臣決裁なかった、政務三役も決裁なかったんですよね、恐らく。
 今日、生田局長においでいただいています。これ、局長決裁のペーパーなんでしょうか。
○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
 ペーパーにつきましては、担当課の判断で法案の施行日の説明を行う際の補足資料として作ったものでございます。担当課が、個別の御質問があった場合に必要に応じて使っているという事実につきましては、使用当時、この前の冬ですけれども、から承知はしておりました。
 補足説明資料とはいいましても、誤解を招きかねない表現があるということで、そういうものが盛り込まれている点につきましては反省をいたしておりまして、担当課から情報提供をもらったんですけれども、その段階で十分な精査をしていないということで、そういった配慮が必要だったんではないかというふうに考えてございます。
○石橋通宏君 坂口部長もこれ決裁していなかったという理解でいいですね。イエス、ノーだけでいいです。
○政府参考人(坂口卓君) 簡単に御答弁しますが、今安定局長が答弁したのと同じでございます。
○石橋通宏君 これ、担当課の判断でと言われますが、これだけのペーパーを担当課の判断で、今、生田局長も中身についてきちんと説明を受けていなかったということで答弁されました。そんなことが起こっていいのかなという大問題だと思います。
 なぜ大問題かというと、この資料そのものにとんでもない内容が含まれ、生田さん、恐らく、うなずかれているので、局長もお分かりだと思います。これ、二点について大変問題だというふうに思うわけであります。大臣もそれ分かりますよね。上のペーパーと下の資料と、これ明らかに落とされている中身がありますので、そこが問題。経済界の懸念が冒頭に加えられているというのが問題なわけですが。
 最大の問題は、下のところ、予想される問題のところに、このまま十月一日を迎えてしまうと、二十六業務、全体の四二%の派遣の受入れをやめる可能性がある、大量の派遣労働者が失業をしてしまうというふうに、これあたかも十月一日になったら四二%の労働者が解雇されてしまう、失業されてしまうかのような説明資料になっているわけです。
 これ完全に虚偽じゃないですか。こんな虚偽のペーパー、厚生労働省、与党に説明するんですか。これ虚偽じゃないなら虚偽じゃない、明確な資料を出して説明していただきたいと思いますが、大臣、これは虚偽じゃないんですか、虚偽ですか、間違いですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これはやはり余りにも大げさ過ぎて、表現は適切ではないというふうに私も初めて見たときに思いました。
 そういう意味で、先生お配りをいただいたように、下に直したバージョンでの御説明資料として作り直しているわけでありまして、やはり適切ではない表現、あるいは客観性を欠いている、そういう表現があったことは率直に認めないといけないというふうに思っておりまして、私からもこの点についてはきっちり指示をして直させたわけでありまして、やはり私が見たときにも精査をしておくべきだったなというふうに思いますが、当初がもう配られた後だったものですから。
 今後は、できる限り私も、それは資料たくさんありますから、役人の説明を受けたときに、皆さんも分かるように、何かあるとすぐにドラえもんのポケットのようにいっぱいいろんなものが出てきますが、いろんなものをやっぱり御疑問に応じて出すということが結構あって、それはそれで役人としては優秀さの表れではあると思いますけれども、中にこういう表現が入っているものがあるというのはやっぱり適切ではなかったというふうに反省をしております。
○石橋通宏君 これ、資料が配られ始めたのって、恐らく二月頃ですね。この訂正資料が流れたのは最近の話です。二か月ぐらいもこの元々のような資料が様々なところで使われていたわけでしょう。虚偽のペーパーでずっといろんなところに説明されていたわけじゃないですか。
 大臣、それをやっぱり御覧になって、いや、それは大げさだなと思われたとさっき答弁されましたね。だったら何ですぐ止めなかったんですか。何でそのまま流通させて、ごくごく最近になってようやく厚生労働省のクレジットの入った訂正されたペーパーが出てきたんですか。これおかしいでしょう。
 もう一つは、大臣、これよく御存じですね。みなしのこの問題については、これまで三年間、猶予期間をわざわざ設けたわけです。その間に適正化プランを実施をしていただいて、ちゃんと企業の皆さんに二十六業務の適正化をやっていただいた。ちゃんとやってくれた企業はもうとっくに適正化を終わっているはずですね。でなかったら、逆に厚生労働省何していたんだという話になりますよ。
 ということは、今なお、十月一日を迎えて、これでやばいなんて思っている企業はブラック企業でしょう。ということは、これブラック企業救済のための虚偽資料ですか、大臣。そういう理解でこの資料が作られて、与党の説明に使われたと。とんでもない話じゃないですか、大臣。これブラック企業救済のための資料で、今回の法案は結局そのために急いで通さなきゃいけない派遣法だと、そういうことですね、大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) これは二十四年の改正法案の成立時に与野党で作られた附帯決議、この中に、二十六業務については分かりにくいと、分かりやすい制度に直すべきだということでありました。それでできたみなしの条項でございますので、これが十月一日から施行になるというのは今回の法律改正の中に入っているわけではございませんので、それをリマインドする意味で御説明資料のときに一緒にやったということで、中身については、先ほど来率直に認めているように、不適切な表現が幾つか入っていたことはそのとおりで、申し訳ない限りだと思いますが、それを配る意味は、十月一日というのがその区切りになる、二十四年の改正のときの附帯決議がしっかりここで実現するためにもこれは必要なんだということを御説明するためにやったものでございますので、そういうことで、今、ブラック企業を守るためだというような発想では私たちは全くないということは申し上げないといけないと思います。
○石橋通宏君 大臣、よく理解してくださいね、なぜこのみなし制度が設けられたのかということを。まさに、そういうちゃんと適正にやっておられない企業に対して、それは駄目だよと、派遣労働者を守るためにこれ入れたわけですよ。なのに、派遣労働者を守らずにブラック企業を結果的に守ってしまうようなそんな中身だとすれば、やっぱり今回の派遣改正法はとんでもない中身だと言わざるを得ないということを繰り返しこの問題でもやっぱり指摘をさせていただきたいと思います。
 ちょっと済みません、事前に通告で、虚偽の関係でいくとほかにも問題のある部分がありましたので、派遣法に関してそれもやりたいと思っておりましたが、時間もありますので、派遣法の残りの部分についてはまた次回の機会に譲らせていただいて、次のテーマに移らせていただきたいと思います。
 続きまして、国家戦略特区改正法案における外国人家事労働者問題についてお伺いをしたいと思います。今日は小泉政務官、おいでをいただきましてありがとうございます。
 まず、小泉政務官に単刀直入にお伺いしたいと思います。今回、この特区法案の中に外国人家事労働者の受入れというのが設けられている。これ、目的は何なんでしょうか。明確にお答えいただきたいのは、なぜ国内の労働者では駄目で外国人の労働者を日本に来ていただかなければいけないのか、それが明確に分かるように御答弁をお願いします。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 目的ということで御質問をいただきましたが、日本再興戦略改訂の二〇一四に、女性の活躍推進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長を図ることを目的としております。
○石橋通宏君 それがなぜ外国人労働者になるんでしょうか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 国家戦略特区ですから、これは試行的に、地域のニーズにも基づきまして、今回は神奈川県そして大阪でありますけれども、そういった中で、誰でも彼でもこれは外国人の家事支援の方でなくては駄目ですよというんじゃなくて、選択肢を用意をする、そういったことでありますので、今回国家戦略特区の中のメニューに位置付けたということであります。
○石橋通宏君 政務官、全く説明になっていませんよ。なぜ国内の労働者では駄目なのか。
 これ、事前に御説明をいただいたところによると、家事いわゆる代行サービス業ですね、これは今一定程度拡大をしてきています。ある意味でいけば、国内労働者に雇用の機会を創出をしているということも言えるんだと思います。であれば、これ、女性の活躍なり、もし家事支援ニーズなるものがあるのであれば、それは国内労働者に雇用機会を提供するということこそが、今、政務官、安倍政権が進めようとしている雇用の拡大につながるんじゃないですか。むしろ外国人労働者を入れることで国内労働者の代替が進んでしまう、雇用機会を奪ってしまう、そういう議論はされたんですか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 御指摘のような国内の雇用とか様々な懸念されることについて、そういったことが起きないように、関係各府省及び地方自治体と適切な管理体制を構築してこの制度を適切に運用していきたいと、そう考えております。
○石橋通宏君 議論はしたんですね。つまり、国内の市場規模がどうなっているのか、雇用労働者がどれぐらいいるのか、雇用労働者の雇用形態がどうなっているのか、今どれぐらいの賃金水準でどういう形で頑張って働いていただいているのか、そういうデータ、資料を調査をちゃんと行った上で分析をされたということでいいですか、政務官。やっていないんですか、やっているんですか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) もちろん議論を全くせずにこういった制度をつくるということはありませんので、今先生御指摘の、一つ一つどういった資料がというのは、もしもこの委員会の中でとか、また御通告があれば、そのときに準備させていただきたいと思いますが、もちろん議論した上でこういった制度設計をさせていただいております。また、これからも関係省庁を含めて、御懸念のことがないような制度設計になるように、しっかりと連携してつくり上げていきたいと考えております。
○石橋通宏君 事前に資料請求はさせていただきました。家事代行サービス業についてどういう調査があってデータがあるのかと。何にもないです。恐らくこんなものですねという資料しか出てきません。
 政務官、もしあるのであれば、これ、委員長、請求します。この議論をされたときに、いかなるきちんとした調査を行って、データを出されて、それを基に検討されたのか。市場規模、それから雇用労働者の数、労働条件、雇用形態、こういったことについての資料とその議事録を提出を求めたいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いします。
○委員長(丸川珠代君) 後刻理事会で協議いたします。
○石橋通宏君 そういうベースなしに議論をしているということになると、これとんでもない話です。
 小泉政務官、これ何をするんですか、この家事労働サービスというのは。炊事、洗濯というのが出てきていますけど、炊事、洗濯、そういう家事労働サービスを提供するということでよろしいですか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) この言葉のとおり、家事の支援をしていく中で、女性の活躍の推進など、家事支援のニーズへの対応をしていきたいと、そういったことを考えております。
○石橋通宏君 政務官、今御発言、お気を付けになった方がいいですよ。女性の活躍で家事と言われたら、じゃ、家事は女性がするのかということ、それを決め付けになって、それを解き放たないと女性が外に出れないなんということをまさに政務官、お認めになったような今答弁をされた、それは気を付けた方がいいですよ。
 資料の六に、皆さんに、これも事前に、一体どういう制度設計なのかということを是非示してほしいと言ったら、出していただいたのがこの資料であります。ここに、家事支援サービスの提供、家庭というふうに書いてあります。
 政務官、女性の活躍としきりに言われるけれども、これ、対象家庭に一切の制約は付けないと。つまり、女性だけ、女性が働こうとしている家庭なのか、どういう家族構成なのか、どういう年収なのか、そういう制限は一切ない、つまり特区内であればあらゆる家庭がサービスを受ける対象になると聞いていますが、それでよろしいですね。女性の活躍、全く関係ないじゃないですか。
○大臣政務官(小泉進次郎君) これは先ほどの答弁の続きにもなりますけれども、そもそもこれは日本再興戦略の改訂の二〇一四に記載されているように、女性の活躍推進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長を図ることを目的と、そういうふうにしておりますので、今回、国家戦略特区に指定を受けている神奈川県そして大阪、こういったところでのメニューとして掲げていまして、それを戦略特区に指定された地域の中で試行的に使いたいと、そういったニーズに基づいてそれは使っていただけるようにしようと、そういったことで、しっかりと今の委員会の質問でもあったような様々な御懸念が、これが出ないように、関係省庁としっかりと検討してこれからも制度設計をやっていこうと、そういったことであります。
○石橋通宏君 やっぱり全然説明になっていないので、これは今後、実際に質疑が始まってきたときに大変大きなポイントになってくると思います。是非その辺、政務官、もう少しきちんと答弁考えられないと、とてももたないと思いますよ。
 これ、炊事、洗濯、仮にサービスメニューがそうなるとしましょう。これ単純労働じゃないんですか。厚生労働大臣、我が国は今、政府もまだ現時点においては外国人単純労働者は受け入れないという方針を堅持をされているはずと理解をしております。これ単純労働ですね。単純労働の受入れをこれでいよいよ、戦略特区で試験的にと言われますが、解禁するということですか。
○委員長(丸川珠代君) どなたがお答えになりますか。(発言する者あり)
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 今委員の方から、これ単純労働かとか政府方針の転換かという話がありましたけれども、政府方針を転換するものではありません。
 外国人労働者の受入れ範囲、これについては、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案する必要がありますので、第九次雇用対策基本計画においても、いわゆる単純労働者の受入れについては、国内労働市場に関わる問題を始めとして日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすとともに、送り出し国や外国人労働者本人にとっての影響も極めて大きいと、そういうふうに予想されることから、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠であると、そういうふうに定められているところです。
 外国人の家事支援人材の受入れについては、先ほども申し上げましたとおり、これまでの政府方針を転換したものではなくて、女性の活躍促進等の観点から、国家戦略特区において試行的に家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人家事支援人材の受入れを可能とするものでありますので、受け入れる外国人は質の高い家事支援サービスを提供できる者に限ると、そういったことを想定しております。
○石橋通宏君 塩崎大臣、これは家事労働、単純労働ではない、つまり政府の方針を、厚労省としてもこれは単純労働ではないという位置付けでオーケーを出すということなんですかね。とすると、家事労働について今後何らかの資格なり、高度プロフェッショナル性を判断される基準なり、そういうものを厚生労働省としてはしっかりと設けていくんだと、その上で今回の議論はオーケーするんだ、そういう理解でいいですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、小泉政務官からお答えをしたところでございますけれども、私の方にはちょっと事前に質問通告が来ていなかったので手元に資料がないんですが、今お話があったとおり、やっぱり一定程度の品質を確保した上での家事支援を提供するということを先ほど答弁をしたというふうに思います。したがって、単純労働という理解ではないというふうに思います。
○石橋通宏君 じゃ、私の質問に答えてください。
 今、大臣、品質と言われましたね。品質、どういうふうに基準を設けて判断されるんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど質の高いと申し上げた、そのことでございます。
○石橋通宏君 品質というのは、これ、大臣、ちょっと訂正された方がいいんじゃないですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 質の高い労働という意味で使ったところでございますので、訂正いたしたいと思います。
○石橋通宏君 これ、今後また質疑の中で精査していきますけれども、本当にもし単純労働ではないということなのであれば、高度プロフェッショナル制度をどう、そういうことも含めた制度設計が明らかに必要なんだと思います。
 お手元の資料六で示しているように、要は何も決まっていない、政務官。これ、今後決めます、指針で決めます、政令で決めます、こんなもので法案審議なんかできないですよ。勘弁してください。もっとちゃんと中身の制度設計してから法案出してください。法案出すなら、そんな基本的なことはちゃんと出してからやってくださいよ。とんでもない話です。
 政務官、国家戦略特区というこの資料の中に大変重要なことが抜けているわけです。何が抜けていると思いますか。外国人家事支援人材というのは、どこから来ていただくんですか、どうやって来ていただくんですか。どこの国のどういう機関が送り込んでくるんですか。どこからリクルートして、先ほど塩崎さんが言われた質を確保する、それやるんですか。ここ全く書いていないじゃないですか。それはもう決まっているんですか、これから考えるんですか、それだけ教えてください。
○大臣政務官(小泉進次郎君) この受入れに当たっては、受け入れる外国人に対する研修の実施、これなど、この制度を適正かつ確実に行うために必要な要件を満たす企業が外国人家事支援人材を直接雇用することとしています。また、受け入れる外国人についても一定の要件を満たす者に限定することとしておりまして、その要件の設定に当たっては、保証金等を徴収するなどの悪質な送り出し機関を排除できるようにする、そういった方向で今検討しています。
 詳細な制度設計については関係の各府省と検討を行っているところでありまして、関係府省及び地方公共団体と連携して本制度の適正な管理体制を構築して、様々御指摘の問題が起きないように適正に運用してまいりたいと考えております。
○石橋通宏君 これは、小泉政務官、よくよく御存じですね、今の実習制度の問題、何が一番の問題なのか。外国人ブローカー、送り出し国側の問題がこれはやっぱり最大の課題なんですよ。そこのところの制度設計これから考えます、とんでもない話ですよ。繰り返しますけれども、こんなのじゃ法案審議とてもできない。
 これ、塩崎大臣に確認します。
 まさにこういう家事労働の問題、大臣は重々御存じですね。国際的に問題になり、ILOで条約、勧告が採択をされ、それで国際社会が法の支配の下にみんなでそれをきっちりと守っていこうという取組をしている。大臣、今まで出てきた今回の法案に関する国家戦略特区のワーキングチームなり国家戦略特区の会議なりで議論されたのだと思いますが、大臣、これまでその議論に何度参加をされて、百八十九号条約の趣旨なり、国際的な取組の趣旨なり、問題になるそういう内容なりについて国家戦略特区会議に大臣としてインプットをされましたか。されたかどうか、何回行かれたか、それだけ教えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のようなことを議論したことは具体的にはございません。今までは、大きな法案というか、これだけの規制改革を含んだ特区を指定しますとか、そういうことで議論してまいりました。
 ILOの百八十九号条約のことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、家事労働者の人権の保護とか雇用条件、安全かつ健康的な作業環境の確保などに関する政府の関与ということでありますけれども、これ二〇一一年にたしか投票されたものでありまして、今のところ批准は十七か国にとどまっているというふうに聞いているわけでございます。
 ということでございますので、議論でそれをちゃんと指摘したかということでありますけれども、特にこれが明示的に指摘をしたことはなかったというふうに記憶します。
○石橋通宏君 つまり、国家戦略特区、今回のこの重要な議論について、塩崎大臣、何にも公式的にインプットされていないということだし、百八十九号条約についてこれまで政府内でどういう検討があったのか資料を出してくれと言ったら、今回そんな資料ありませんと言われました。つまり、百八十九号条約についての議論も厚生労働省内で全然やられていないと、こんな状態ですよ。こんな状態で家事労働の受入れを行うなんということは絶対に許されないということを指摘をして、最後あと二分となりました。済みません、葉梨副大臣においでをいただいておりますので、最後に実習制度について。
 前回の質疑でもこの実習制度、問題について、とりわけ送り出し国側、悪質なブローカー、どうやって排除するのか、二国間条約の締結が重要であるという、これは御確認をいただいておりますが、今回の法案にはこの二国間の協定というのは法案の中には含まれていないわけです。これ、別枠でやると。これ、いつどういうタイミングでやるんですか。優先的に協議を始めて、そしてしっかりと協定を結んで、そして協定が結ばれたところから順次適正化をやっていく、そういう理解でよろしいですか。このスケジュール感を教えてください。
○副大臣(葉梨康弘君) お答えいたします。
 その前に、今の家事労働の件なんですけれども、入管法上は特定活動ということで、国家戦略特区については在留資格を認めていると。それで、掃除とか洗濯というのが一概に全て単純労働であるのかというのは、それなりに専門家も掃除の世界も洗濯の世界もいらっしゃるわけですので、私どもとしては、単純労働ということではなくて、しっかりしたそういう専門性を持っている方に、受入れ企業もしっかりして、そしてしっかり研修を施してということで、特定活動の中で認定しているということでございます。
 それからもう一つ、今の二国間協定の件ですけれども、これについては、二国間協定をできるだけ早く結ばなければいけないということについては御答弁できるわけですけれども、先般もお話がありましたけれども、その協定がなければ技能実習生を受け入れないのかというと、これは並行して進めていくというようなスケジュール感で考えておりますので、できるだけ速やかにというふうに考えています。
○石橋通宏君 時間も参りましたので、済みません、ほかにも質問多々あったんですけれども、この辺で終わりにさせていただきたいと思いますが、今回、外国人労働者に関わるところで、実習制度、それから介護の資格要件の創設、そしてまたこの家事労働問題ということで、非常に大きな政策的な転換が、まさに今なし崩し的に進められようとしています。
 この問題については、引き続き、私どもとしてもしっかりと追及をしていくということを申し上げて、質問を終わりにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○川田龍平君 よろしくお願いします。
 前回に引き続き、聖マリアンナ医大で起きた精神保健指定医の不正取得について伺います。
 四月二十一日の当委員会で私が質問した、二〇一一年の千葉大学大学院を舞台とした精神保健指定医の不正取得疑惑について、その後の調査結果はいかがでしょうか。
○政府参考人(藤井康弘君) 御指摘の事案につきましては、現在、事実関係などの確認を行っているところでございます。
○川田龍平君 この事案については、四月の二十一日に質問をして、その調査をするということでしたけれども、これ、今も障害者の人権侵害が続いているという可能性がありますので、しっかり、しかし早急にこの調査結果を公表していただきたいと思います。
 次に、海外の精神保健指定医制度について、四月二十三日の当委員会で私が質問したように、精神療法など患者に優しい症例報告を求めている国もあるという件について、その後、八例の非自発的入院の報告に匹敵するような要件が海外にもあるのか、調べていただけましたでしょうか。さらには、諸外国の精神保健指定医に相当する医師数や非自発的入院者数、あるいは精神科の病床数、毎年の入退院者数といったデータをお持ちでしょうか。
○政府参考人(藤井康弘君) 精神保健指定医を含みます精神科医療に関する制度でございますとか、あるいは様々なデータにつきましては、各国の医療システムがいろいろ異なっておりますので、単純に比較するということは難しいところがございますが、いわゆる非自発的入院の手続に関与する医師につきましては、例えば英国におきましては、専門機関の関与する研修プログラムを修了していること等が要件になっております。また、その他の各国におきましても、医師が何らかの関与をしているものと承知はしておりますけれども、その医師の要件は様々でございまして、私どもも引き続き調査を行ってまいりたいと考えております。
 また、各国の精神科医療の状況を比較したデータといたしましては、私どもも、非自発的入院者の割合でございますとかあるいは精神病床数などにつきまして承知をしているところでございます。
○川田龍平君 つまりは、諸外国では、日本の精神保健指定医のような形で精神科専門医とは別に非自発的入院を行う権限を持つ精神科医を国として認定する、また、そのために多数の非自発的入院の経験を求めるという国はないのではないかということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(藤井康弘君) まだ十分な調査ができてございませんので、お時間をいただいて調査をさせていただければと思います。
○川田龍平君 これはないということではないと、これから調査をするということですね。
 それから、お手元に資料を配らせていただいているんですけれども、資料一を御覧ください。日本の長期入院状況が国際的に突出していることがよく分かります。しかも、非自発的入院の割合が高いということで、これらの実態は病院内で司法や警察並みの絶対的な権限を持つ精神保健指定医が主導する形でこういった状況が生み出されているんです。
 また、裏面のこの資料二というのを見ますと、特に日本における精神科病院の身体拘束は、二〇〇三年と比べて一・八九倍になっています。なぜ、大臣、ここまで増加してきていると考えているでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 精神科の病院における身体拘束の数が増えていると。この要因としては、精神症状の落ち着いていない急性期の入院患者が増えていることなどが関係しているものではないかというふうに考えておりますが、患者の人権をやっぱり確保をきちっとして、個人としての尊厳に配慮をした医療を行うということは極めて重要であることは言うまでもないわけであって、身体拘束を必要最小限の範囲で行わなければならないというふうに思っているわけでございます。
 精神科病院における身体拘束については、精神保健福祉法上、患者の医療と保護のために必要な場合のみ行うことができるということになっております。都道府県が行う精神科病院の指導監査などを通じて、引き続き、患者に適切な医療が提供されるように全力を尽くしていかなければならないというふうに考えております。
○川田龍平君 大臣、通告はちょっとしていないんですけれども、今の資料を見ていただいて、日本の精神医療というのがほかの国と比べて異常な状態であると、特に非自発的な入院の割合が高いですとか身体拘束が非常に多いということを、ほかの国と比べて異常事態にあると御認識いただけますでしょうか。
○政府参考人(藤井康弘君) 先生おっしゃいますように、日本において、この数字を見る限り、身体拘束が増えているということは事実でございますので、私ども、これがなぜこのような状況にあるかというところにつきましては、更に実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今日お配りをいただいた資料、私も初めて拝見をいたしましたが、これまで私も精神科医療についていろいろ学んだこともございますが、これを見ると、やはりまだデータが、例えば米国とか大どころでもないので何とも言い難いし、韓国はかなり非自発的入院が多いということであります。
 いずれにしても、かつてから社会的入院が多いというようなことも指摘をされてきた精神科医療でありますから、何が本当にベストなのかというのは、患者さんにとってベストでなければいけませんし、家族の皆さんにもベストでないといけないという観点から、きちっと比較をしながら、何があるべき姿の精神科医療かということは考えていかなきゃいけないというふうに私も思っております。
○川田龍平君 今増加しつつある精神科救急病棟において、入院したら原則即身体拘束ということが常態化しているということが多いと聞いています。緊急時にやむを得ず行うという発想が今欠落しているということのようです。
 今回の事件を契機に、この指定医制度だけではなく精神医療全体を抜本的に見直すべきと考えます。そのためにも諸外国との比較調査をしっかり、先ほど御答弁もありましたけれども、行っていただきたいと考えます。大臣、是非この指示をしていただけないでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、精神科、まあ精神障害の方々も増えている中でありますから、世界はどうなっているのかということはきっちり押さえておくことが大事なので、そのように指示をしたいというふうに思います。
○川田龍平君 ありがとうございます。是非しっかりやっていただきたいと思います。
 そして、四月二十一日の当委員会で、聖マリアンナ医大で行われている治験の継続の適否の調査についても質問をいたしました。その後の調査結果はいかがでしょうか。
○政府参考人(神田裕二君) 聖マリアンナ医科大学の神経精神科では、現在、製薬企業三社により依頼されました計十二件の治験が実施中でありまして、いずれの治験におきましても精神保健指定医の指定取消処分を受けた医師が治験に参加していること、また、処分を受けた医師が担当している被験者の中で現在も治験薬が投与されている方は一名であるということを確認いたしております。現在、治験の依頼を行った製薬企業に対しまして実施中の治験の状況を報告するように指示しているところでありまして、被験者の安全確保などに問題がないかどうか確認の上、必要があれば適切な対応をすることにしたいというふうに考えております。
 また、事後的には、前回も御答弁申し上げましたとおり、その成績を用いた承認申請がされました際には、臨床試験の実施基準に従いまして正確に症例報告書が作成されているかどうか、治験の審査委員会の審査が適切になされているか等を抽出調査によって確認をするということにいたしております。
○川田龍平君 これは治験の責任医師であったりとかいろいろと、現時点で一名のみしか投与中の患者がいないとかあるみたいですけれども、是非この被験者の保護のために引き続きしっかり調査をしていただきたいと思います。
 次に、研究と医療の境界について伺います。
 群大附属病院の腹腔鏡下の肝切除術の事故に関して、三月二十六日の当委員会において二川医政局長の答弁には大きな疑義があります。研究と医療の境界を曖昧にしたまま、患者申出療養という名の下に安全性が担保されていない保険外診療が拡大していくことを大変懸念をしていますので、その点、今後の医療制度改革法案の審議の場で深く議論させていただきたいと考えておりますが、今日はその一点だけ確認をさせていただきます。
 この群大の事件の執刀医らは、今回の手術に関する学会発表や論文発表を大学において研究実績として登録したりカウントしている可能性があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐野太君) お答え申し上げます。
 群馬大学に聞きましたところ、今般の群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡下肝切除術事故を起こした執刀医は、当該事故が初めて発生しました平成二十二年以前の平成十九年に同病院の医師として採用されてございます。その後、学内において昇進した事実はないとのことでございます。このように、群馬大学によれば、今回の手術に関する学会発表などが学内の昇進の要件となるような研究として用いられた事実はないとのことでございます。
○川田龍平君 医療現場は医師の裁量だということで、指針上の臨床研究ではないから倫理審査も通さないで危険な医療行為を行って、八人もの患者の命を犠牲にして、片や、自らの立身出世のためということではないのかもしれませんけれども、研究業績としてこういう研究発表を行っておりますので、こういう研究業績としてカウントする、こんなことが許されるはずがないと私も思います。学会にもこれ是非問い合わせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐野太君) 現在、私ども文部科学省としては、学会における研究業績の扱いについては承知しておりません。
 以上です。
○川田龍平君 是非これ学会にも問合せをしていただきたいと思います。
 それでは次に、連休前に、四月二十三日の当委員会で私が質問した一九四五年に九州大学で行われた人体実験について、これについて九州大学の方では決意を行って、反省と決意の会を開いて、そういった人体実験というものに対する反省と決意を、これはたとえ軍のこういう問題があったとしても、しっかり人権を守る、人間としての尊厳を守るためにしっかりやるんだという反省と決意を九州大学の方では行って、その結果、今回展示を行って、資料展示をして、今医学生に向けてもしっかりと教育をしているということですけれども、今回の資料展示について、このような史実、九州大学で行われた人体実験の事実を、史実をどのように認めて、どのような反省をして今後の政策にどのような教訓を生かしていくおつもりなのかを大臣に、前回宿題として質疑させていただいたことの大臣の見解を今日伺いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) これは九州大学が昭和四十二年に九州大学五十年史というのを編んでいるわけでありますけれども、御指摘をいただいた人体実験については、この五十年史によりますと、当時の九州大学医学部において捕虜となった米国人兵士に対して生体実験が行われ、死に至らしめた事件であると記載をされているところでございまして、九州大学の認識のとおりだったとすれば、これは極めて遺憾なことであると思います。
 当時の生体実験と臨床研究は、これは全く異なる次元のものでありますけれども、臨床研究の実施に当たっては、世界医師会によるヘルシンキ宣言、これにおいて被験者の保護を臨床研究を実施する際の大前提ということとされているわけでありまして、また、厚生労働省としても、臨床研究に関する倫理指針において被験者保護に関する規定を定めておりまして、研究者などに遵守をこれまでも求めてきております。
 現在、御案内のように、臨床研究に関する法制化を検討中でありますけれども、この検討の中でも、被験者保護というものを十分留意をするという視点を忘れることなく、しっかりと検討を進めていこうというふうに指示をしているところでございます。
○川田龍平君 今年は戦後七十年ということでして、戦争中に行われていたこういったことをやっぱり是非反省をしっかりとしなければいけない時期ではないかと思います。ずっとしなければいけないと思いますけれども。
 先日も申し上げたとおり、当時の九大医学部の反省と決意をこの国の医学界、そしてやっぱり政府が広く共有しないままに、戦後様々なこういった医療事故、医療事件、それから薬害が起き、今回の群大や聖マリアンナ医大のような医師としての倫理が欠如しているというような事件が起きていると私は考えております。
 特に戦後七十年の本当に今、特に証拠が隠滅されている関東軍七三一部隊による細菌戦研究であるとか人体実験、私もこれは自分の血液製剤をずっと使ってきましたけれども、この研究なんかもこういった戦時中に行われたと聞いております。そういった血液製剤、代用血液の研究なども含めて人体実験をしてきたわけですが、過去の医学界による重大な人権侵害をやっぱり史実としてしっかりと受け止めて認めて、それを教育のカリキュラムにもしっかりと位置付けて、ほかの国ではそういった反省の上に立ってこういった倫理の指針であり法律を作っているわけです。そういったものをやっぱりしっかりと受け止めるということをこの国もやらないと、責任も反省もなく、こういったものをうやむやにしてしまうということが今回のような、今起きている事件につながっているのではないかと私は考えております。
 特に教育の中でそれが続いてきているわけですので、そういったもので、是非、世界に遜色のない医の倫理というもの、法律を超えるものだと思いますけれども、それをしっかり確立すべきことだというふうに思っていますので、是非そういったことをしっかりやっていただきたいというふうに医学界にも求めたいと思いますし、政府にもやっぱりしっかり求めていきたいというふうに思っています。
 次に、質問に移りますが、三月三十一日の当委員会でシベリア特措法制定後の五年間の進捗状況について伺いました。
 四月三十日に、北朝鮮、南樺太などの抑留された、死亡した方々の名簿が突如公開をされました。これらの資料は十年以上前から厚生省が入手していたもので、かねてより国会や団体から公表が求められていたものです。遅過ぎるとはいえ、また唐突感というのもありますが、戦後七十年の節目の一つの取組として一応一定の評価はしつつ、以下質問いたします。
 厚労省は、これまで旧ソ連、モンゴル、中国東北部、北朝鮮、南樺太での抑留者何人分の個人資料、カード、名簿などのデータを入手しているのでしょうか。また、それらの数字は厚労省が推定している各地の抑留者数の何割程度と考えていますでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) 先生から各地域ごとの何人分の個人資料等を入手しているのかという質問でございます。
 入手した資料につきましては、名簿形式のものにつきましては人数が分かりやすいんですけれども、名簿形式以外のものにつきましては、個々の資料の内容を個別に見なければ、どの地域に抑留され、若しくはお亡くなりになられたか分かりませんので、なかなか人数が把握できませんけれども、現時点で把握できている数字を申し上げたいと思います。
 まず、旧ソ連につきましては、名簿形式の死亡者の名簿で四万五千人分を公表しております。名簿形式以外の個人資料やカードで、これの中には相当重複があると思いますけれども、百二十四万人分のものがございます。モンゴルでは、名簿形式の死亡者名簿で二千人分を公表しております。それ以外の個人資料やカードで約一万人分がございます。北朝鮮でございますけれども、名簿形式の死亡者名簿でございますけれども、千九百名を公表しております。それ以外に北朝鮮に移送されたという名簿がございまして、これは二万七千人ございます。それ以外に、中国東北部でございます、これは大連でございますけれども、名簿形式の死亡者名簿が二百人、これは公表しております。また、樺太地域でございますけれども、名簿形式の死亡者約百人につきまして公表させていただいております。
 また、先生から各地の抑留者数の何割程度を把握しているのだというお尋ねでございますけれども、これは提供を受けた資料につきましては重複している可能性がありますので、なかなか各地域ごとの抑留者数の全体像を把握していないことから、お尋ねの割合をお答えするのは困難であるというふうに考えております。
○川田龍平君 それでは、この中国東北部、北朝鮮、樺太の死亡者名簿の中で軍人軍属と民間人の人数を教えてください。民間人が多いとされていますが、その理由はどのように考えておりますでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 お尋ねの中国東北部、北朝鮮、樺太の死亡者名簿の中で軍人軍属と民間人の数はそれぞれ何人かというお尋ねですけれども、日本側保有資料との照合作業が終了しておりませんので、お答えすることは困難でございます。
○川田龍平君 これも是非調べていただきたいと思いますが、塩崎大臣が、従来はシベリア地域中心だったことを反省すると発言されたことにより、厚労省としては、今後、南樺太、北朝鮮、旅大地区における抑留データを死者に限らず収集、検討することになるものと期待します。
 この際、従来のシベリア抑留に関する公式の数字である抑留者五十七万五千、死亡者五万三千というのを修正すべきではないでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 厚生労働省といたしましては、旧ソ連地域以外の資料につきましても旧ソ連地域と同様に分析を進めていくこととしておりますけれども、これにつきましては、お亡くなりになった方の情報について御遺族にお知らせするために行うものであると認識しているところでございます。
 この分析によりまして、今議員御指摘になりました、帰還者を含めました抑留者五十七万五千人が修正されることにはならないと考えておりますけれども、死亡者数につきましては、今後の資料の分析により修正される可能性がないわけではないというふうに考えております。
○川田龍平君 二〇〇五年にロシアから入手したと厚労省が発表した二万七千人分のいわゆる北朝鮮への逆送者名簿は今回もまた公表されませんでした。その理由は、十年前同様、帰還された生存者も含まれるからでしょうか。政治体制から困難となっている北朝鮮における真相究明には不可欠な資料と考えますが、いつまで非公表にするのでしょうか。今後どう扱うのでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 平成十七年にロシア連邦政府から入手いたしました約二万七千人分の北朝鮮移送者名簿につきましては、現在も御存命の方もおられる可能性がありますことから、プライバシーの保護の観点から公表しないこととしているところでございます。
○川田龍平君 厚労省はまた、シベリア各地の強制労働現場から逆送された病弱者、負傷者は全部で四万七千人と二〇〇五年に発表していますが、その数字の根拠を教えてください。
 また、残り二万人の名簿はその後入手できているのでしょうか。逆送者の大半が北朝鮮の古茂山、三合里の両収容所で亡くなったと聞いていますが、両収容所の死亡者名簿は入手できたのでしょうか。一昨年から北朝鮮での埋葬地調査が開始されたもので、北朝鮮政府にこの資料も提供を求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 まず、四万七千人と発表しているが、その数字の根拠は何かというところでございますけれども、まず、厚生労働省では、主に昭和二十年代の引揚げ時の港における抑留帰還者からの聞き取りによりまして、旧ソ連地域に抑留された方は約五十七万五千人、そのうち死亡者が約五万五千人と推計しております。一方、抑留されていて帰還した方が四十七万三千人と推計しておりますことから、病弱のため旧ソ連地域での抑留後、旧満州や北朝鮮に送られた方については、これらの差である約四万七千人と推計しているところでございます。
 また、次のお尋ねの残り二万人の名簿及び北朝鮮の古茂山、三合里の両収容所におきます死亡者名簿につきましては、その名簿があるかどうかということは確認できておりませんので、厚生労働省としては現時点では入手できておりません。
 さらに、北朝鮮に対してこの資料提供を求めるべきではないかという御質問ですけれども、これにつきましては、北朝鮮に対しましては、外務省を中心として、迅速に調査を行って速やかに結果を通報するよう求めているものと承知しているところでございます。
○川田龍平君 今回発表の資料には多数のデータ重複があるとの専門家の指摘もあり、また、戦後、北朝鮮の収容所で死んだと連絡があったのに、今回の名簿に名前がないという遺族のコメントも報道されています。
 シベリア特措法にうたう実態解明のためには、厚労省内部での作業では限界があることが明らかです。個人情報保護の観点からは、インターネットでの公表ではなく、例えば一定の民間研究者に守秘義務を課して提供するといった工夫も検討できるのではないでしょうか。
 戦後七十年、そして抑留七十年のこの機に、国民的課題として、民間の研究者やロシア側の専門家の参加を積極的に促して、官民共同の体制で調査研究に当たるべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) お考えの考え方自体、民間の研究者あるいはロシア側の専門家に参加をしてもらって、よりインプットを増やして解明を進めたらどうかという考え方でございます。
 考え方自体にはそれなりの意味があると私も思いますが、戦後七十年をちょうど迎えて、先ほどもお話が出ましたけれども、御遺族がかなり高齢化をされているということはスピードを持ってこの解明をしないといけないということでございますので、抑留者の関係の資料の調査自体をやはりどれだけ迅速化してやるかということが大事でございますので、その方策として今鋭意厚労省の中でやっているわけでありますけれども、まずはそれを急ぎ、それに加えて、今お話しのようなことがその急いでやるということに資するかどうかということを含めて考えていくべきかなというふうに思います。
○川田龍平君 こういった節目の年でもありますので、是非しっかりとやるということで、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○委員長(丸川珠代君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十五分開会
○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、石橋通宏君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(丸川珠代君) 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石井みどり君 自由民主党の石井みどりでございます。
 ちょっと大臣がいらっしゃらないので残念なんですが、昨年の十月、私は認知症施策について御質問いたしました。大臣もライフワークだという御発言でありました。私も、認知症施策、ライフワークとしておりまして、昨年御質問した時点よりかなり政府の取組も変わってまいりましたので、主に認知症施策を中心に御質問をさせていただきます。
 二〇一二年に民主党政権下で認知症施策推進五か年計画、いわゆるオレンジプランが策定されました。そして、今申し上げたように、その後、新プランという形で大きく国の方が見直されましたが、そもそもオレンジ計画、この文言を聞いて、私は、民主党政権下ですからどなたが命名されたのか存じ上げませんが、非常に言語感覚といいますか政治的センスを疑わざるを得ません。
 この中で我が国の現代史に詳しい方は御存じかと思いますが、オレンジ計画というのは、日露戦争の七年前から、アメリカの海軍次官ですけど、セオドア・ルーズベルトがまさにさきの大戦の四十四年前に、一八九七年に策定した日本征服計画、日本を個別にターゲットにした戦争計画の名称がオレンジプランなのであります。
 そういうものを、まさに老人福祉といいますか、このプランに命名するなんというのは、私はそのセンスを疑わざるを得ない。できましたらこの名前を変えていただきたいと思いますが、かつて伺いましたら、既に、オレンジベルトですか、とかなんとかもうできているので、国民の間に浸透したので見直せないなんという、はっきり申し上げて暴論としか言いようのない理由をおっしゃられたんですが、少なくとも、こういう名称を付けるときには十分その名前の背景とか歴史とか経緯とかをよくお調べになってお付けいただきたいと思います。こういうことに敏感な方は、オレンジプランと聞くと、まさにさきの大戦で日本せん滅計画の名称であります。
 それでは、先ほど、昨年の御質問からいろいろ政府の取組も変わったというふうに申し上げましたが、昨年の十一月五日から七日まで認知症サミット日本後継イベントが開催をされました。その場で安倍総理は、認知症施策を加速するための新たな戦略策定に、厚生労働省だけでなく、政府一丸となって生活全体を支えるように取り組むとの御発言がありました。
 また、一月二十七日に見直された認知症の対策新プラン、認知症施策推進総合戦略、まさにストラテジー、国家を挙げて戦略として取り組むというこれが策定された、このことは私は高く評価をしたいと存じます。
 そして、本年二月の総理の施政方針演説でも、安倍総理は、「認知症対策を推進します。早期の診断と対応に加え、認知症の皆さんができる限り住み慣れた地域で暮らしていけるよう、環境を整えてまいります。」との決意を表明されておられます。
 また、来年夏には我が国で開催されるサミットまでに、認知症施策に関わる目標設定、工程表、予算について、どう具体化し、そしてそのことをサミットに参加される各国に対してお示しをしていくのか、そのことが非常に重要だというふうに思っております。
 先ほど申し上げましたように、昨年の委員会で塩崎大臣に御質問いたしました。また、安倍総理の御発言にもあるとおり、認知症対策には国を挙げて、厚生労働省だけでなく政府一丸となって取り組むということでありますが、その意味では、昨年の質問のときも申し上げた、アリバイ的に年に一回ほど開催をされている、昨年も慌てて何だか九月に開催された認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議、これも開催をされておられます。
 国を挙げてお取り組みになるのであるならば、各省庁ごとに課題を抽出して目標を設定してそして実行していく、これが各省ごとに財源を投下して行わなければならないというふうに思っております。例えば、JRの事故等もございましたが、国土交通省や、あるいは消費者被害も広がっております、こういうものに関しては消費者庁等が対応されるんだろうと思いますが、この主務官庁は当然厚生労働省と想定いたしますが、各省ごとの取組についてどのように政府としてお考えなのか、これは副大臣、お願い申し上げます。
○副大臣(永岡桂子君) 石井委員にお答えいたします。ただいま塩崎大臣は衆の本会議にいらっしゃっておりまして、代理で申し訳ないと思いながら、しっかりと御答弁させていただきたいと思います。
 今年の一月に策定いたしました認知症施策の推進総合戦略、これは認知症の方を社会全体で支えましょうというものでございます。総理の、先生おっしゃいましたように御指示も受けまして、厚生労働省が関係十一省庁と共同して策定したものでございます。この総合戦略では、定期的に進捗状況を把握しながら、認知症の方やその御家族の意見などを聞きまして随時点検を行いまして、それらの結果を踏まえて不断の見直しを行うこととしております。
 引き続きまして厚生労働省がイニシアチブを取りまして、リーダーシップを発揮しながら関係省庁と連携して、必要な予算の確保を含めて政府一丸となって認知症施策を推進してまいりたいと考えております。
○石井みどり君 ありがとうございます。
 認知症というのは、厚生労働省のデータにもございますように、これから、高齢化がこれほど進展した我が国であるならば、高齢化が最もリスクファクターであるならば、誰でもが認知症にかかる可能性がある、言わばコモンディジーズという時代に我が国は突入をしたわけであります。このことは、高齢者の方は基礎疾患をお持ちである、認知症であっても身体合併症があるというわけでありますので、そういう基礎疾患あるいはいろいろな全身疾患をお持ちの方が入院やあるいは受診をされる場合、その認知症の方に対する対応というのは非常に配慮が要ると思います。そしてそのことは、医療従事者であってもきちんとした認知症に対応するそういうトレーニング、知識からあるいは実技を含めたそういうトレーニングが必要だというふうに思っております。
 また、これは私事で大変恐縮でありますが、私の母も認知症で、昨年の十一月十六日、認知症というよりも、最後の死因は別でありますが、他界をいたしました。親というのは有り難いです。親が自らをもって子供に勉強させてくれた。本当に、認知症で介護されている国民の方々がどれほどの負担を抱え、どれほどの苦しみの中におられるかということを身をもって実感したわけであります。
 今申し上げた様々な疾患を抱えている、そうすると、今介護されている状況とは違うあるいは入院加療とか、そういう環境が変わると、非常にリロケーションダメージといって、認知症の方はその環境が変わるだけで認知機能がどっと増悪をしてBPSD等が出てまいる、そういうこともよく最近は知られてきているわけであります。医療機関というのは、そういう意味で、今申し上げたように、認知症の方に対してはそういう特別なといいますか、きちんと認知症に対応する技術あるいは知識が必要だというふうに思っております。
 こういう時代に備えまして、認知症の患者さん、こういう方が地域の医療体制の中でどのように処遇をされるのか、そういうことを、医療体制の整備、もちろん今は精神疾患も五疾病五事業ということで地域医療の枠の中に入りましたが、医政局としてはこの辺りをどのようにお考えでございましょうか。
○政府参考人(二川一男君) 委員御指摘のとおり、認知症に適切に対応できるような医療提供体制の整備、これが大変重要になってくるというふうに考えているところでございます。
 この点も委員から御指摘あったところでございますけれども、都道府県の医療計画におきましても、平成二十五年度からは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の従来の四疾病に加えまして、認知症も含めた精神疾患の医療の確保につきましても医療計画の中に盛り込むというふうになったところでございます。
 また、今年度から都道府県が取り組みます地域医療構想の策定といったことがあるわけでございますが、その地域医療構想のガイドラインにおきましても、施策の基本的な考え方といたしまして、認知症の方への医療機関での対応が固定化されませんように、最もふさわしい場所での医療提供に向けた機能分化を図り、役割分担と連携を進める、こういったこととしておるわけでございます。
 また、一般病院等に勤務する医療従事者に対しましても認知症対応力の向上を図る、そういった研修を進めるといったことをやっておりまして、この点につきましても地域医療介護総合確保基金の対象事業というふうにしておるわけでございまして、こういった基金も通じまして認知症に対する医療提供体制の整備を支援してまいりたいと考えているところでございます。
○石井みどり君 取り組むということではありますが、しかし、伺っていますと、地域の医療介護確保基金ですか、そういうものをお使いになるということでありますので、どうも医政局としての姿勢がはっきり見えないという印象がございます。本当に省を挙げて認知症対策に取り組むのであれば、地域医療に関しては医政局が責任部局でありますので、来年度の予算に関しても、認知症関連事業をきちんと取り組まれるように是非知恵を絞っていただいて、そして分かりやすく事業としてきちんと取り組めるというふうにお願いをしたいと存じます。
 そして、国としての取組だけでなく、昨年も伺いました、各都道府県の認知症対策はどうなっているんでしょうか。もう半年以上たっておりますので、各都道府県の医療計画における認知症対策の定量的な把握、そしてその評価はどのようになっているんでしょうか。
○副大臣(永岡桂子君) 厚生労働省といたしましては、今年一月に策定いたしました新たな総合戦略に沿いまして、例えば認知症の鑑別診断等を行う認知症疾患の医療センターの整備をします。この認知症の医療センターの整備といいますのは、平成二十六年度で二百八十九か所整備されております。しかしながら、ここのところでしっかりと、総合戦略におきまして、平成二十九年度末までには五百か所の目標数値、これを掲げております。今年の平成二十七年度の予算では三百六十六か所の財源を確保しているというところでございます。
 また、かかりつけ医の認知症対応力の向上、そして認知症サポート医などの養成も行います。これは平成二十九年度末の数値目標になりますけれども、それぞれかかりつけ医の認知症対応力の向上研修を六万人、そしてサポート医の養成研修、これは五千人ということで目標を掲げております。これも都道府県に設置されております地域医療介護総合確保基金の中から必要な財源を確保しているところです。
 そして三番目に、認知症の初期集中支援チームなどの設置を平成三十年度までに全ての自治体が計画的に拡充できますように、消費税増税分の活用などによりまして必要な財源を確保して支援を行っているところでございます。
 また、平成二十五年度からの各都道府県におきます医療計画の策定に際しまして、厚生労働省は、認知症サポート医の養成研修修了者数、そして類型別の認知症の疾患医療センター数といった項目をそれぞれ定量的な指標といたしまして例示しておりますけれども、さらに都道府県が認知症施策の定量把握、これをしっかりと行うことができますように、都道府県に対して、これらの項目に関しますデータを集めまして今月をめどに配布する予定でございます。
 引き続きまして、各自治体におけます認知症施策の進捗状況を定期的に把握をして、各自治体がほかの自治体との比較の中で、客観的に自分がいる位置が認知症対策に対してどのぐらいの位置かということが評価できるようにしながら、地域の実情に応じて必要な整備が計画的に行われるように支援をしてまいります。
○石井みどり君 国は新プランを立てて様々な今おっしゃったようなことをおやりになるわけですが、地域がその一番の舞台になりますので、是非、今おっしゃったことがきちんと達成できますように、市町村あるいは都道府県に対する指導をお願いをしたいと存じます。
 昨年もちょっと伺ったんですが、私は幸いプロの方々、介護の専門職あるいは医療の専門職に支えられてこうやって国会で働くことができたわけでありますが、認知症の介護、非常に家族に過大な負担が掛かっている。また、今の時代は少子化でありますので、娘も息子も介護のために離職するというようなことを余儀なくされるというような状況がございます。
 昨年も隠れ介護あるいは総介護時代が叫ばれているということを申し上げましたが、介護休業制度の利用促進、非常に使い勝手が悪いというふうに言われておりますが、先般、報道でこの介護休業制度の見直しについてございましたので、どのように今後こういうものを、介護休暇あるいは介護休業制度をどういうふうに使い勝手が良く、そして介護離職に追い込まれないような政府としての支援をお考えか、お聞かせください。
○政府参考人(安藤よし子君) 労働者が離職をすることなく仕事と介護を両立することができるような環境整備というのは、今後ますます重要性を増していくものと認識しております。
 厚生労働省では、介護休業制度の利用促進を図るため、育児・介護休業法の周知徹底のほか、本年二月には仕事と介護の両立シンポジウムを二度にわたり開催し、また、企業の人事担当者向けの仕事と介護の両立支援実践マニュアルを作成いたしますなどの取組を進めてきたところでございます。
 さらに、育児・介護休業法につきましては、平成二十一年の改正法の附則にございました五年後見直し規定を受けまして、昨年十一月から今後の仕事と介護の両立支援に関する研究会を開催しているところでございます。この研究会におきましては、仕事と介護を両立できる環境整備に向けまして、介護休業や介護休暇の在り方、期間ですとか分割取得の課題、また介護期の柔軟な働き方の充実などを含めまして、育児・介護休業法の見直しにつきまして現在検討を進めているところでございます。本年夏頃までには報告書を取りまとめていきたいというふうに考えております。
 このような取組を通じまして、労働者が仕事と介護を両立しながら就業を継続できるような環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○石井みどり君 是非、介護保険制度ができたときに、介護は家族だけのものではない、社会で支えるということで介護保険制度を導入されましたが、しかしながら、現在、やはり認知症介護の非常に困難さを考えますと、どうしてもこれは離職をせざるを得ないということがありますので、介護離職に追い込まれないような手厚い政府としての支援、政策としてお願いをしたいと思います。
 先ほど申し上げた新プランですね、本年策定されました新プランにおいて、早期診断、早期対応のためには、かかりつけ医の認知症対応力の向上や認知症専門医、サポート医の養成が必要というふうに記載をされています。
 今日、資料を出させていただいておりますが、これは二〇一三年に認知症の人と家族の会と日本イーライリリーとの共同調査で会員アンケートの結果を一部お示しをしております。これは、認知症の人が、日常生活の変化、最初に気付くのは家族が圧倒的に多いわけでありますが、変化に気付いてから最初に医療機関を受診するまでの期間は平均が九・五か月であると、そして最初の受診から確定診断までに掛かった期間はさらに平均で六か月を要したと。そして、確定診断まで六か月以上掛かった人の理由としては、医師が認知症と診断しなかった、これが最多の四五・三%という調査結果が出ております。これは、その後の治療、ケアを効果的に行うためにも早期診断が重要、そして、早期診断を阻んでいるものは、受診しないという本人そして家族側の問題と、的確に診断できない医療側の問題があるというふうにこの調査では指摘をされています。
 また、認知症を正しく診断しなければその後の方針も誤る、結果も治療も予後も介護の仕方も診断によって違ってくる、患者の尊厳を守るためにも医師は知識を深めなければならないという、これは認知症治療の第一人者、先駆者である横浜市大の名誉教授である小阪憲司先生、これはもう早くから日本で認知症医療に取り組んでおられるオーソリティーでありますが、この先生がこういう指摘をされておられます。しかし、このことに関しましては、スローガンを掲げるだけでは実現はできません。人材をどの時点でどの程度投入できるかが問題だというふうに思います。
 昨年一月の国立長寿医療研究センター、認知症サポート医活動実態調査報告書によりますと、認知症サポート医の中で認知症関連六学会の専門医だった方は四一・四%のみであります。また、サポート医でなくて専門医であっても誤診してしまうほど認知症は非常に困難な病気でもあります。認知症の種類によっては非常に誤診をしやすいというものもございます。専門医に対しても、よりブラッシュアップするための研修や高い臨床経験が必要であります。真に専門性を持った人材としての認知症専門医の養成が必要であるというふうに思います。
 認知症サポート医を、ゲートキーパー的な役割を求められるのであれば今のような研修体制でもいいかと思いますが、しかし、鑑別診断にはやはり専門医が必要であります。昨年の御質問の時点では老年精神医学会専門医が七百三十七名、本年四月十四日で八百九十二名に増えております。そして、認知症学会の専門医が昨年の十月では八百二十五名であったものが、本年の四月十四日で九百三十名という状況であります。まさに専門家の育成が急務であると考えますが、この新プラン策定後の取組について具体的な措置をどのように捉えているのか、お聞かせください。
○政府参考人(三浦公嗣君) 御指摘のように、認知症の方が地域で安心して暮らしていただくという、そのためには、認知症の様態に応じて適時適切に医療介護の提供がなされる、また、御指摘がございましたように早期に診断し対応する、こういうことを考えますと、認知症への対応力を持った専門職を確保していくということが非常に重要だと認識しております。
 このため、今年の一月に策定しました認知症施策推進総合戦略に沿いまして、認知症に関する専門医、認定医などにつきまして、数値目標を定めて具体的に養成を拡充するよう、関係学会などと協力して取り組むということにしております。
 また、かかりつけ医認知症対応力向上研修、また認知症サポート医養成研修、これらの研修の受講者の目標を引き上げまして、一般病院に勤務する医療従事者に対する認知症対応力向上研修というのがございますが、これについても引き続き取り組むということにしております。このような認知症ケアに関わる人材の育成のための研修事業につきましては、今年度から地域医療介護総合確保基金を活用できるということになっておりまして、その旨を全国の都道府県担当課長に集まっていただいて周知を行っているところでございます。
 さらに、歯科医師、薬剤師、看護職員の皆様方の認知症対応力を向上していただくということも重要だと考えておりまして、これらの研修につきましても新たに検討を開始し、来年度、二十八年度から関係団体の協力を得ながら研修を実施したいと考えているところでございます。
○石井みどり君 今関係学会と協力してとおっしゃったのでありますが、今、様々な学会において認知症専門医の育成プログラムが検討をされていると聞いておりますが、しかし協力をしてとおっしゃったんですが、きちんと国として、学会が専門医を育成する、それに対してどういう支援をされているんでしょうか。本当に支援をされているんでしょうか。
 先ほど申し上げた老年精神医学会の専門医もいまだ一千名を下回っておりますし、認知症学会専門医も千名を下回っております。大きな、最大の学会と言ったらおかしいんですが、基幹学会になろうかと思いますが、日本精神神経学会認定の精神科専門医というのは四月末の時点で一万八百六十六名おられます。こういう学会に対して、もうベースが大きいわけですから、きちんと認知症の専門医として育成するという学会は意思をお持ちでありますので、そこに対して国が本当にサポートをされるのか、学会任せでなく国の責任できちんとサポートされるのか、そのことをちょっとお教えください。
○政府参考人(三浦公嗣君) 専門医、認定医の確保ということは極めて重要であるということは御指摘のとおりでございまして、この四月現在でございますけれども、日本老年精神医学会の定める専門医が八百九十二名、日本認知症学会の定める専門医が九百三十名養成されているということでございまして、厚生労働省といたしましては、今後の認知症の方の増加に対応できるように更なる養成を依頼しているところでございます。
 また、これも御指摘ございました他の学会もあるわけでございまして、認知症に関する専門的な知識を持った医師の育成について検討や取組が行われていると私ども情報を入手しておりますし、またいろいろな協議を行っているところでございます。厚生労働省といたしましても、さきに挙げた二学会の定める専門医と比較して認知症に関する専門性がどの程度確保されているのかなどという観点にも留意しながら、これらの学会の動きを今注視しているというところでございます。
 引き続き、総合戦略に沿いまして、認知症に関する専門医、認知症認定医等について数値目標を定めて具体的に養成が拡充できるように、関係団体と協力して具体的な取組を進めていきたいと考えているところでございます。
○石井みどり君 どうも質問の趣旨が御理解いただいていないようだと思います。学会も取り組まれる、それに対して国が具体的にどう支援をされるのか、それを伺っているのであります。今伺っていると、協力はするんだけれども、どうも学会任せみたいにしか聞こえないんですね。
 臨床医療というのは、まさに臨床経験が極めて重要であります。ですから、先ほど私も申し上げた老年精神医学会専門医あるいは認知症学会専門医、これ専門医の資格をお取りですけれども、これが大学辺りにおられるような大学院生だったり研究者だったり、こういう方も資格をお取りなわけです。本当に臨床の現場で認知症の治療に取り組んでおられる方ばかりではないと思うんですね。ですから、非常に裾野を広げる必要がある。
 そういう意味で、精神神経学会というのは非常に数も多いので、こういう学会が認知症のきちんと専門医育成に取り組むという意思を示しておられるのならば、こういう学会、あるいは先ほどの二学会も含めて、国として具体的に研修をどう支援するのか、そういうことをお聞きしたいんですが、全く私の質問に答えておられません。もう少し誠実にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(三浦公嗣君) 今まさにこれらの学会の皆様方といろいろ養成につきまして協議を行っているところでございまして、その協議の内容を踏まえて私どもとして何ができるか、更に検討していくというところでございます。
○石井みどり君 何ができるかというのは、これは財政支援もできるわけですね。まさに来年度の予算、これからですから、そういうおつもりがおありになるかどうか。これ非常に大事なことなんです。初期の鑑別診断が非常に重要だということは、先ほどの家族の会の方のアンケートの調査もお示しをしたとおりであります。
 どうなんでしょうか、来年の予算をきちんと取ってサポートするんでしょうか、そこをお聞かせください。
○政府参考人(三浦公嗣君) 来年度の予算につきましては、まだ私ども、頭の体操をしている時点でございまして、これは認知症だけの問題ではなくて全般的な話でございますけれども。
 そういう観点からいうと、財政面の御指摘もございましたし、また技術面、あるいは行政としての方針を提示していく等、様々な支援の方法があるんだろうというふうに思います。それらの中から適切な対応をしていくということになろうというふうに考えております。
○石井みどり君 頭の体操は認知症予防にも大変いいかと思いますが、しかし、これを体操だけで終わらせないで、本当に具体的な国の政策としてされないと、まさに、前回も申し上げましたんですけど、認知症は非常に誤診も多いんですね、誤診も多い。
 それから、今から申し上げますが、認知症サポート医、これに関しましても、プログラムを見ますと二日間というよりも一日半ですね。一日目が約五時間、二日目が約二時間、しかも座学だけなんですね。これは、私は実習も必要だと思うんですね。さっき少し申し上げたんですけど、ゲートキーパー的な役割が本質であるならば座学だけでもいいと思います。しかし、先ほど来の御答弁聞いていると、この認知症サポート医も非常に大きな役割を担われるというふうなおっしゃりようでありますね。そうであるならば、座学だけでなく、きちんと実習も含めたそういうプログラムにしていく必要があると思いますが、そのことを検討されているかどうか。
 そして、認知症ケアに携わる人材育成のための研修についても地域医療介護総合確保基金を活用して実施するとされていますが、例示をしているだけでは駄目です。まさに基金は、こういうことができますよ、こういうことを企画していますよという例示だけじゃないですか。それでは駄目です。本当に各都道府県が何をきちんとしているのか、その評価をきちんとしていくべき、チェックをしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(三浦公嗣君) 御指摘ございました認知症サポート医でございますが、この役割ということになりますと、かかりつけ医の方々からの認知症診断に対する相談、こういうようなものを受けていただく、こういうような役割ではないかと考えております。
 したがいまして、その養成研修では、かかりつけ医の方々の認知症対応力向上研修などの企画立案、あるいは認知症の方を地域で支えるための地域の医師会や地域包括支援センターなどとの連携づくりなどネットワークの構築、こういうことが重要な役割になってくると考えておりまして、そのために、介護分野を含めた必要な知識の習得などのために、御指摘ございましたように、講義と演習というものを併せた研修を行っているところでございます。
 また、サポート医のフォローアップ研修というものも行っておりまして、診断、治療が困難であった事例の症例検討、また認知症の方を支援する地域資源に関するグループ討議などを通じて、認知症サポート医による支援の拡充強化を図っているところでございます。
 そういう意味で、実習という御指摘もございました。こういう実習を行うということになりますと、実習の場所の確保など検討すべき課題もいろいろあると思いますし、またネットワークの構築ということが中心的役割ということになりますので、どのような実習をしていくのか、これについても更にいろいろ考えるべきことは多いのではないかと思っております。
 また、サポート医の研修につきましては、今年度から総合基金を財源として事業を実施していただくということになっておりまして、この中で各自治体における必要な予算の確保を支援するということが私どもは重要だと考えております。
 認知症に関し、利用可能な地域の医療、介護の資源など、この状況は様々でございまして、地域の実情に応じて必要な人材が計画的に養成されるよう引き続き自治体に周知するということと、基金の件については、その内容について国としても把握するということで、必要に応じて技術的な助言も行っていきたいと考えているところでございます。
○石井みどり君 今おっしゃったとおり、認知症を診断できる医師を増やすためには研修の充実が重要でありますが、また一方で、この認知症の方々の治療となると、非常に診療報酬上の評価も低いわけであります。先ほど申し上げた小阪憲司先生、早くから取り組んでおられますが、この先生は、自分は診療時間、一人に、新患に二時間以上掛けたので、クリニックは赤字で経営が大変だったということもおっしゃっておられます。
 そういうことを考えますと、診療時間が掛かる割に報酬が低くてインセンティブが働かないのであれば、これは診療報酬上の評価についても検討し、見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 認知症の診療報酬の課題、重要な課題でございます。これまで、入院、外来、在宅医療、それから治療、リハビリテーションのほかに、多くの方が身体合併症も持っておられますので、そうした問題について対応していく必要があると考えております。
 これまで、認知症治療病棟入院料等の評価でございますとか、あるいは地域連携加算の創設、それから認知症専門診断管理料などの外来医療の評価あるいはデイケア等の評価を行ってきたところでございますが、平成二十六年の前回の改定におきましては、重度認知症の方に対する集中的なリハビリテーションの評価を新設をいたしました。
 また、高齢化が進んでおりますので、主治医機能を評価をするという観点から、地域包括診療料、それから地域包括診療加算というようなものを創設しておりますけれども、これは、脂質異常、高血圧、糖尿病のほかに認知症という四つの疾患のうち二つ以上罹患している方に対する主治医機能というのを評価した点数などを創設しているところでございます。
 御指摘のように、認知症への対応は今後ともますます重要な課題になるというふうに考えておりまして、関係者の皆様の御意見を十分伺いながら、適切な評価に努めてまいりたいと考えております。
○石井みどり君 是非、きちんと認知症の方を診療すると収入が下がる、赤字になるのではなくて、そのことが評価されるという診療報酬上の取組をお願いをしたいと思います。
 もう時間がなくなってきて、今日ちょっといろいろと答弁においでいただいているので少し焦っているんですが、これはどうしても伺っておかなきゃいけないんですが、認知症患者さんについての情報提供というのは、今、地域包括支援センターから認知症疾患医療センターに提供されるというような仕組みになっているかと思いますが、そして先ほど申し上げた新プランの中にも、認知症の人に対するサービスの効率的、効果的提供のために、地域における司令塔機能として地域包括支援センターと認知症疾患医療センターとの連携推進が必要というふうに記載をされています。残念ながら、あちこちで伺ったんですが、地域包括から全く情報が入ってきていないというところも各所でありました。そして、地域包括が認知症の情報提供をしなければならないということも知らないというところすら結構ございました。これが現状であります。
 ならば、新プランの中に記載をしたから世の中が動くわけではないんですね。いかにこれを本当に、厚生労働省大好きな連携ということでありますが、本当の連携推進をどのように取り組まれるのか、具体的にお答えください。
○政府参考人(三浦公嗣君) 認知症の方に、その様態に応じて適時適切に医療や介護のサービスが提供されるということが重要でございまして、そのために、御指摘ございましたように、地域包括支援センターや認知症疾患医療センターを始めといたしまして、医療や介護に関わる関係者の方々の中で適切に情報共有がなされ、サービスが有機的に連携したネットワークが形成されるということが重要だと認識しているところでございます。
 このために、平成三十年度までに、市町村ごとに地域包括支援センターや認知症疾患医療センター等に認知症地域支援推進員という方々を配置して、これらの方々は保健師さんなど様々な医療、介護の関係者の方を想定しているわけでございますが、地域の支援機関がお互いに連携を行うための支援というものを行うということにしているところでございます。
 また、地域包括支援センターの機能を併せ持つ認知症疾患医療センターの設置によりまして、医療と介護の連携推進が図られているというところもございます。
 このような取組の実施状況を踏まえて、優れた取組について全国に紹介するということも通じて、地域の実情に応じた取組を推進していきたいと考えているところでございます。
○石井みどり君 この新プランを実施される際に当たっては、絵に描いた餅にならないように、本当に地域が動くように是非お願いをしたいと思います。
 もうほとんど時間がありませんので、あと一つぐらいしか伺えないかと思いますが、新プランの中で、認知症の人が軽度の違法行為を繰り返すケースにおいて、認知症の症状としてそのような行為に至る可能性も指摘されているという記載がございます。
 認知症高齢者の方が犯罪を起こした場合、認知症の症状を要因とする犯罪である場合も見受けられます。特に前頭側頭型の変性症みたいなものは、かなり累犯であったり犯罪行為が認められるケースもありますので、こういうケースは非常に難しいと思いますが、例えば認知症高齢者が犯罪を起こした場合、認知症症状を要因とする犯罪であると受け取られず、場合によっては名前も住所も言えない、そしてそのことが警察に反抗的であるとみなされ、また徘回によって行方不明と間違われて適切な医療も受けられず、全身疾患も持っているわけですから、その間その疾病に対する薬も飲めないという状況もありますし、また警察に勾留され続けるケースも指摘されているところであります。弁護人の方からは、起訴時の検察の病状把握、さらには起訴すべきだったかどうかまで提起されるケースも存在をすると聞いております。非常に難しい問題ではありますが、捜査段階、起訴時の病状把握が必要だというふうに専門家が指摘をしています。
 認知症高齢者の犯罪に対し法整備が遅れていると考えています。どのような取組が現状なされており、今後どのようにこういう問題に対して取り組まれるのか、お聞かせください。
○政府参考人(上冨敏伸君) 検察におきましては、認知症の疑いのある被疑者による事件を処理するに当たりましては、必要に応じて精神鑑定を実施するなどして、被疑者の刑事責任能力の有無や程度についても十分勘案した上で適切な処分を行うように努めているものと承知しております。
 また、検察におきましては、認知症に罹患している方を含め、罪を犯した高齢者、障害者等の円滑な社会復帰の支援や再犯の防止を図るため、捜査や公判の段階で釈放される起訴猶予あるいは執行猶予の対象となる者について、保護観察所と連携して、検察庁から一定の情報を提供するなどして対象者の特性に応じた更生緊急保護の措置が適切に講じられるようにすることや、検察庁で社会福祉士を採用して、捜査、公判段階から福祉機関等の受入先の調整を行うとともに、検察庁の外部の福祉や医療の専門家とも連携して、これらの専門家の意見を事件の処分や求刑の検討などに当たり参考にすることなどの取組を行っているものと承知しております。
 今後も、このような取組を推進し、罪を犯した認知症高齢者に対する適切な処分や再犯の防止、社会復帰支援に努めてまいりたいと考えております。
○石井みどり君 もう時間がないので質問はここまでにいたしますが、今の審議官の御答弁、私の質問を聞いていらっしゃらなかったとしか思えないような答弁でありました。
 適切に処遇がされていれば、専門家が地域で、あるいは家族がこういう指摘をしないんです。本当に認知症の高齢者がまさに犯罪者というふうな形での処遇しかされていないケースが各地で見られるんですね。非常にこれは我が国の高齢者福祉の貧しさとしか言いようがない。認知症高齢者に対するきちんとした鑑別診断をして、そして認知症高齢者であれば適切な処遇がされるべきでありますが、ここがまさに今谷間に落ちている問題なのであります。
 これはまさに政府を挙げて取り組んでいただきたい。そうでなければ、福祉施設がやるべきことをまさに拘置所でやるという、これが世界三位の経済大国のありようなのかという疑問を持たざるを得ませんので、そんな通り一遍の答弁に満足されることなく、是非本当に取り組んでいただきたいと思います。
 もう少しお聞きしたかったんですが、今日来ていただいた方々、申し訳ございません。是非、今度また御質問するときには、成年後見制度、非常に問題が多いので、法的なところを含めてまた御質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○三原じゅん子君 自由民主党の三原でございます。
 私も、ライフワークであるがん対策について質問させていただきたいと思います。
 参議院本会議で、今は亡き山本孝史先生が自らがんに罹患していることを公表して、がん対策基本法の成立を訴えたのが九年前の五月二十二日でした。そして参議院本会議でがん対策基本法が全会一致で成立したのが同年の六月十六日でした。本日は、がん対策推進基本計画の十年目である来年に向けて、いま一度がん対策を考え直す必要があるとの思いから質問をさせていただきたいと思います。
 がんは早期発見が重要ですが、検査にも二種類あって、いわゆるがん検診である一次検診とその後に行われる精密検査と分けて考える必要があります。
 まず、いわゆるがん検診、一次検診についてですが、平成十九年六月のがん対策推進基本計画では、早期発見の個別指標として、がん検診の受診率を五年以内に五〇%とするとの目標がありますが、平成二十五年時点で残念ながら目標に到達しておりません。
 次に、精密検査の受診率についてです。精密検査とは、一次検診の結果、何らかの異常が疑われた方が受診してがんかどうかを判断する重要な検査ですが、日本消化器がん検診学会の平成二十四年度の検診全国集計によりますと、胃がんの精密検査では、一次検診の結果、要精密検査と判定された人のうち、地域検診では二〇・六%、職域検診では五六・八%の方が精密検査を受けておられないという結果でありました。同様に大腸がん検診の精密検査でも、要精密検査の人のうち、地域検診で二八・九%、職域検診では六八・九%が精密検査を受診しておられません。がんの疑いありということで精密検査が必要と判定されているにもかかわらず、その精密検査を受診しないというのは見過ごせない問題であると思います。特に、職域検診で精密検査の未受診が高いというのは深刻だと思っております。
 そこで厚労省へ伺います。
 職域検診を含めて、がん検診における精密検査の受診率を上げるための施策、これ一層強化する必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。
○政府参考人(新村和哉君) お答えいたします。
 地域保健・健康増進の事業報告というのがございまして、御指摘の地域検診の方になるかと思いますが、がん検診が行われた後の精密検査受診率につきまして平成二十四年度の数値を申し上げますと、乳がんで八四%、胃がんで七九%、肺がんで七八%、子宮頸がん六九%、大腸がん六四%となっております。
 精密検査の未受診の理由につきまして、国で行った調査はございませんが、NPO法人が大腸がんの検査につきまして行った全国意識調査がございます。これによりますと、検査内容を知らない、費用が掛かる、自覚症状がないからといった理由が挙げられております。
 要精密検査とされた方は一般の方よりがんの可能性が高いということでございますので、更なる受診勧奨により早期発見につなげることが重要と考えております。このため、平成二十七年度予算におきまして新たに、精密検査を未受診の者に対する再勧奨など精検受診率向上に向けた事業を実施することといたしておりまして、今後ともしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○三原じゅん子君 ありがとうございます。
 ここで重要なのは、がん検診の受診勧奨事業で、子宮頸がん、乳がん、大腸がんのほかにも対象を拡充していくことや、職域検診への支援として精密検査の受診勧奨をするという、そういう施策などの強化の余地があると思うんですね。そして、今後は、がん対策推進基本計画においても、一次検診だけではなくて精密検査の受診率にも達成目標を設定するべきではないかと考えております。
 次に、がん検診に用いられる検査方法に関して質問をしたいと思います。
 本年四月二十日に国立がん研究センターが胃の内視鏡検査の有効性を認めて、対策型検診、任意型検診共に胃がん検診で内視鏡検査の実施を推奨するガイドラインを発表しました。
 また、日本消化器がん検診学会、国立がん研究センターの胃がん、大腸がん検診ガイドラインによりますと、胃内視鏡検査は、胃エックス線検査と比較して、本来がんでないのにがんと誤診されてしまう偽陽性、これが発生しない。さらに重要な点として、がんに罹患しているのにがんではないと誤診されてしまう偽陰性の発生、これが二五%から一六%へと九%も低下させることができるという報告があります。同様に大腸がんでも、大腸内視鏡検査は便潜血検査と比較して偽陽性は発生せず、そして、がんの見落としである偽陰性について、その発生を二六・二%から五%へと二〇%以上も低下させることができると報告されております。特に、がんの早期発見、早期治療の観点からいえば、がんであるのにがんではないと誤診される偽陰性、これはがんの見落としそのもので、見過ごせない重大な問題です。
 また、胃の内視鏡検査は、検診間隔も二、三年に一回でよくて、さらに、一次検診と二次検診が一度で済むということだそうで、忙しい方が検査を受けやすくなるということ、あるいは医療費負担の軽減、こういったことも期待できます。実際に、韓国などではがん検診の一次検査から内視鏡検査が推奨されるようになったと承知しております。
 そこで厚労省に伺いますが、我が国においても消化器系がん検診での一次検査から内視鏡検査の普及啓発を推進していくべきではないかと考えますが、この点についていかがお考えでしょうか。
○政府参考人(新村和哉君) 厚生労働省では、市町村が実施しますがん検診につきまして、科学的根拠の有無について議論した上で、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針を定めて実施しております。御指摘の胃がん検診につきましては、この指針におきまして、死亡率減少効果が認められている胃エックス線検査を位置付けております。
 御指摘の胃内視鏡検査につきましては、これまで指針に位置付けられておりませんでしたけれども、御指摘ありましたように、今年三月に国立がん研究センターから公表されました有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン二〇一四年版におきまして、胃内視鏡検査について一定の死亡率減少効果が認められたというふうに報告されております。こういった新たな知見を踏まえて、現在、がん検診のあり方に関する検討会で検討を行っているところでございます。
 専門家の検討を踏まえつつ、胃内視鏡検査を指針に位置付けるべきかどうか、検討していきたいと考えております。
○三原じゅん子君 最新の医学的知見や技術の発展による成果をがん対策へと反映していっていただくことをお願いを申し上げたいと思います。
 内視鏡を用いた精密検査の受診率が上がらないことの背景には、検査時の不快感というような問題があると思います。民間の内視鏡メーカーが行った調査によりますと、胃の内視鏡検査を受けた方の五七・三%がつらさというのを覚えているという結果が出ています。また、胃の内視鏡検査を受けていない方であっても、七八・二%が内視鏡検査はつらいという印象を抱いているとの結果が出ています。
 私も、毎年、胃がん検診で内視鏡検査を受けておりますけれども、こういう苦痛や不快感、非常に想像できるなというところでありますけれども、そのような苦痛や不快感への対応として、我が国でも、内視鏡検査の際に薬剤を用いた鎮静、セデーションに対する必要性の認識、これが高まってきていると思います。
 この点に関連して、日本消化器内視鏡学会では、二〇一三年十二月の学会誌で内視鏡診療における鎮静に関するガイドラインを発表しています。
 少々長くなりますけど関連部分を引用させていただきますと、内視鏡診療、特に内視鏡治療においては鎮静が不可欠である。最近では、内視鏡検査においても苦痛のない内視鏡に対する患者側の要望も強くなっている。消化器内視鏡診療における鎮静の利点として、一、内視鏡実施前の患者の不安やストレス並びに内視鏡実施に伴う苦痛や不快感を軽減できる。二、消化器内視鏡に対する被検者の受容性を高め、消化器がん等の早期発見につながるなどの点が挙げられるが、現在、内視鏡時の鎮静に対する適用承認を取得している薬剤はなく、主にベンゾジアゼピン系の薬剤が適応外で使用されているのが現状であり、安全な鎮静を支援する体制づくりが求められているところである。少なくとも、日本国内には鎮静のためのガイドラインとして明確に標準化されているものはなく、各施設の担当医の裁量により様々な薬剤が用いられ、鎮静深度の判定なども施設ごとに工夫して行われているのが現状である。そのため、一、必ずしも適切でない薬剤が用いられている。二、鎮静レベルの調節が不十分であるため患者の安全性に問題が出ることがある。三、標準化された方法が取られていないため施設間の比較が難しい。四、多施設で共同臨床研究を行うことが難しい。五、いずれの鎮静薬も内視鏡診療時の保険適用がないなどの潜在する問題、課題を抱えている。このような学会の専門家の指摘がございます。
 この点に関して、このような指摘がある中、内視鏡検査における安全な鎮静のための環境や体制づくりにおける国としての指導、対策の方針についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) 対策型検診として胃内視鏡検査を行う場合、先ほど御紹介いたしました国立がん研究センターのガイドラインにおきましては、重篤な偶発症に迅速かつ適切に対応できる体制が整備できないうちは実施すべきでないという、こういった見解も示されておりまして、厚生労働省において開催しているがん検診のあり方に関する検討会におきましても同様の議論が行われているところでございます。
 内視鏡検査の検討に当たりましては、この安全確保ということが非常に重要であると考えておりまして、具体的な安全確保の在り方につきましては、御指摘の鎮静の体制も含めましてよく検討していきたいと考えております。
○三原じゅん子君 専門家からの指摘を考慮しながら、検診受診率向上のために内視鏡診療時の安全な鎮静の確保に向けた体制づくり、これが重要だということを重ねて指摘をさせていただきたいと思います。
 もう一点、がん検診の内視鏡検査における鎮静に関連してですが、がんの早期発見に向けて、検査精度の高い内視鏡による検査の受診率を上げるには、適切な鎮静を通じて受診者の苦痛や不快感を抑えることが有効です。しかし、御存じのように、麻酔科医の数の不足、地域的偏在があり、通常の手術でさえも麻酔科医の不在によって手術が十分に実施できない状況がある中で、消化器内視鏡検査などの診療時に麻酔科医が安全に鎮静を行うには現状では手が回らないのではないかなという声が聞かれております。
 この課題に対しましては麻酔医育成の強化というのが対策になるとは思いますけれども、これは、人材育成というのは長期の時間が掛かりますので、それと並行して、医師と医療機器とで機能分担を適切に行いながら安全に内視鏡検査を実施できるような技術革新、これが進展していることを考慮しますと、当面の対応として、我が国においても、このような医療機器の開発、導入、普及のための施策を推進していくことが必要な段階に来ているのではないかなと考えております。
 この点につきましても、国としての方針、今後の施策の方向性について、しっかりとこれから御検討をいただきたいと、これはお願いとして御要望しておきます。
 次に、遺伝情報の利活用と、関連する法制度について質問をさせていただきたいと思います。
 私たちは、両親から受け継いだ、生まれたときからの生涯変わることのない遺伝情報というのを持っております。遺伝情報には、その人の外見に関する情報から将来発症する可能性のある病気のリスク、こういったことまで様々な情報が含まれております。その遺伝情報は、私たちの生活における様々な分野で活用されております。例えば、犯罪捜査や司法領域ではDNA検査や親子鑑定で活用されていますし、医療分野では感染症やがんなどの診断、あるいは抗がん剤などを選ぶときの薬剤応答や出生前検査などにも活用されております。
 最近では、医療領域以外で行われているいわゆる遺伝子検査ビジネス、これが過熱しております。大手インターネット検索サイトや大手スマホアプリ開発会社など、三万円弱でサービスを提供して、しかも、インターネットで気軽に申し込めるということがマスメディアでも話題になっております。遺伝子検査ビジネスでは、個人の能力、性格検査、病気のなりやすさに関するリスク検査、体質判定を目的とした検査や親子鑑定などが行われております。その精度は現代の星占いレベルと言われるものまであるようであります。ただ、検査精度については、今後、研究が進むことで精度が高まり、技術革新も進むということで、更に安い価格で提供されるのではと言われているようであります。
 さて、この遺伝子検査の検査方法ですが、医療領域、つまり医療機関で行われている遺伝子検査は、一般的に血液やがん細胞を用いて検査を行って、Aという病気なのか違うのかといったその診断を行うことを目的として実施をされています。一方、医療領域以外で行われている遺伝子検査ビジネスでは、遺伝情報は体のどの細胞を取っても基本的に同じ遺伝子で構成されているということで、医療行為である採血ではなくて、髪の毛や爪、あるいは唾液とか頬の内側の粘膜といった、誰もが簡単に取れるものを検体として検査機関へ送付しています。
 この遺伝子検査ビジネスで有名な企業の一つに米国の23アンド・ミーというのがあります。この企業の活動を説明したいと思います。
 23アンド・ミーは、グーグルが出資する遺伝子検査ビジネス事業者です。この企業では、利用者はインターネットを通じて約一万円で遺伝子検査キットを購入して、唾液を自分で採取して返送するだけで二百五十四種類の疾病リスクなどを判定し、検査結果はオンラインで簡単に確認できるというものです。最近では、カナダやイギリスでも事業展開を開始して、全ての疾患リスク検査を実施しています。
 ただ、この企業ですが、二〇一三年の十一月に米国のFDAから、診断精度に大きな問題があるとして、一度は遺伝子検査サービスの中止命令を下されて、新規の疾患リスク検査を停止しています。しかし、今年の二月、FDAは、希少遺伝疾患、いわゆるブルームシンドロームの検査キットについては販売承認しているんですね。
 このように、昨今、遺伝子検査ビジネスの利用者は世界中に広がっているようであります。これは米国の一企業が世界中から国境を越えて多くの検体を米国に集めることができるということを意味しているということを是非皆様には御理解をいただきたいと思います。
 民間企業が実施している遺伝子検査ビジネスについてですが、実施機関に対して事前承認や認可制にすべきといった意見があるようですが、つまり、民間企業が実施している検査結果に対しても一定の精度を求めようという考えからのようでありますが、この点については、厚労省は遺伝子検査ビジネスに関する規制の在り方についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○政府参考人(鈴木康裕君) お答え申し上げます。
 民間企業が実施しております遺伝子検査でございますけれども、医療目的の遺伝子検査を医療機関以外で行う場合、この場合は臨床検査技師等に関する法律に基づきまして、必要な検査機器、人員の確保、検査の精度管理体制について一定の基準を満たすものとしてあらかじめ登録された衛生検査所において行われることになっております。また、こうした衛生検査所におきましては、学会や業界団体が作成したガイドラインを踏まえて、検査の質の向上に努めているというふうに認識をしております。
 さらに、医療分野以外を含めました全般の遺伝子検査につきましてですけれども、これは平成二十六年度の厚生労働科学特別研究事業によりまして、国内外の遺伝学的検査の実施の状況、それから海外における法規制等の状況について調査を行い、課題の抽出及び整理を行っているところでございます。
 中間的な報告におきましては、御指摘ありました遺伝学的検査の質の保証に関する点、これも課題の一つとして指摘をされているところでございます。今月末に提出される予定の最終的な調査結果を踏まえまして、今後、検査の質の保証に関する点も含めて必要な対応について検討してまいりたいというふうに思っております。
○三原じゅん子君 ありがとうございます。
 遺伝学的検査の質の保証、これについて、利用者保護の観点から一定程度の品質を確保しなければならないという考えはそのとおりだと思います。
 ただ、事前承認や認可制となった場合には注意をしていただきたいことがあります。規制が日本企業に対して効果を発揮する、しかしながら、23アンド・ミーのようなグローバル企業、つまり消費者が直接検体を海外へ送付して検査をするというような消費者直販型、こういう形式を取っている海外企業に対しては適用されない規制では意味がありません。既に日本人にも、自分の検体を日本から海外へ送付して検査をしている人が大勢いらっしゃいます。日本企業を規制して海外企業は野放しということでは、単に日本企業のビジネス機会を損なうだけになりますので、この点は十分に配慮する必要があると思っております。
 さて、23アンド・ミーの話に戻りますけれども、この企業は昨年度、NIHから約一億五千万円の研究費を獲得しています。NIHはなぜ一民間企業に研究助成を行っているのか。23アンド・ミーのホームページによりますと、彼らは既に八十万人以上の顧客の遺伝型を蓄積していて、そのうち八〇%は研究の参加にも同意している。つまり、23アンド・ミーは、彼らの研究に自分の遺伝情報を活用してもいいと同意を得ている六十万人のコホート集団を既に持っている。NIHは彼らと組むことで、健常者だけではなくて、患者参加型の研究を容易に推し進めたいという意図があるからなのであります。ちなみに、彼らが所有している六十万人コホートの内訳ですが、これ、がん患者が約三万三千人、健常者が約四十一万人、アルツハイマー患者さん約十二万人、パーキンソン病患者が約一万人、自己免疫疾患約一万人となっています。
 それに対する我が国の遺伝子検査ビジネスなどのような状況についてですが、通産省が三年前に調査した、平成二十四年度中小企業支援調査、個人遺伝情報保護の環境整備に関する調査報告書によりますと、民間企業や医療機関合わせて約七百四十事業者が遺伝子検査ビジネスを実施しており、もはやこの遺伝子検査ビジネスは、我が国においてもこれからのことではなくて、既に国民の皆様には身近なビジネスであると思っていいのではないかと思っております。
 さて、米国のオバマ大統領は、今年の一月三十一日に、がんなどの二つの疾患について遺伝的要素の発見と創薬を目指した施策に約二百三十六億円の投資を発表しました。この発表を受けて、NIHは米国人のボランティア百万人の全遺伝情報の収集に約百四十三億円、NCIはがんの遺伝子研究に約七十七億円、FDAは個別化医療、創薬に関する規制制度の構築に約十一億円、関連情報を収集、統合する組織に約五・五億円の予算措置を決めました。
 オバマ大統領は、アメリカの国民の死因の二三%を占めるがんにフォーカスして、国民をがんから守るための具体的な対策として、遺伝情報の活用によるがん研究、創薬開発、データバンクの構築や法制度の整備などに力を入れることを決めたということであります。
 国家的なプロジェクトとして遺伝情報を活用している国には、皆様御存じのとおり、デンマーク、これも有名です。ここでは国民のほとんどの遺伝情報が登録されているバイオバンクがあり、新たな治療方法や創薬の研究開発を行っており、イノベーションを起こしております。
 これから我が国は、こうしたアメリカやデンマークのような国家プロジェクトとして遺伝情報を活用している国々とイノベーションで競争していかないといけないんです。
 昨年、我が国にはAMEDが発足して研究から産業化まで一貫して管理できるようになって、従来よりも効率的な資源配分が可能になったと理解はしておりますけれども、我が国の二人に一人はがんになって、三人に一人はがんで亡くなるわけです。我が国の国民の死因の三〇%以上を占めるがん対策には、アメリカと同様に遺伝情報に基づく研究や創薬、データ整備、関連する法制度の整備、こういう資源を集中させる必要があるのではないかと思っております。
 ここで質問です。
 我が国では、遺伝情報を活用してがんに関連する研究やデータ整備、また法制度の整備がどのように進められているのか、政府の取組の現状をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) お答えいたします。
 遺伝子情報の活用を含むがん研究につきましては、がんの病態解明や新たな治療法の開発に資するなど、がん対策を進める上で非常に重要と認識しております。
 平成二十六年三月に文部科学大臣、経済産業大臣とともに厚生労働大臣が関係三大臣の合意を結んでおりまして、がん研究十か年戦略を策定しております。これに基づいて、総合的かつ計画的ながん研究を推進しているところでございます。
 この戦略では、遺伝情報等を活用した個人の発がんリスクの同定と発がんリスクのグループ化、個別化に向けた研究や、個人の発がんリスクに応じてリスクを低減させる手法の開発のための研究等を推進することとしております。御指摘のありました日本医療研究開発機構、AMEDも活用しつつ、公募と厳正な評価に基づいて研究課題を採択しているところでございます。
 また、平成二十八年一月からは全国がん登録の施行が予定されておりますが、遺伝子情報を直接これは登録するものではございませんけれども、がん登録情報と遺伝子情報を組み合わせた研究が可能となるよう、情報の利活用の在り方については検討を進めているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、引き続きこれらを通じて、遺伝子情報も活用したがん対策の取組を推進していきたいと考えています。
○三原じゅん子君 アメリカやデンマークだけではなく、中国やイギリスでもこういったことを行っておるわけで、繰り返しますけれども、我が国は、このような、国家を挙げて遺伝情報の収集やデータベースの構築、研究開発へ莫大な予算を投資するということ、そういった国を相手にイノベーションで戦っていかなければならないんです。
 今後、どの疾病にフォーカスするべきか、国が対処することで一定の効果が予想できる、政治がある程度主導してこういうことを決めてもよいのではないかと私は思っておりますので、是非政府のリーダーシップ、発揮していただきたいと思います。
 最後に、法制度についてお伺いをしたいと思います。
 医療の発展のためには、遺伝情報を収集して研究を進めることが不可欠です。それによって、将来、より優れた個別化医療、オーダーメード医療の実現が可能となるからでありますが、しかし、医学における様々な発見というのは、時に新たな生命倫理の問題を抱えていると思います。
 諸外国では、個別化の裏には差別という問題が潜んでいるという考えから、遺伝情報を基にして差別を行ってはいけないという法制度の整備が行われております。例えば、アメリカでも雇用機会均等法に関する法律として複数の連邦法がありますけれども、その上で二〇〇八年に遺伝情報差別禁止法が連邦法として成立しました。こうしたことで、具体的には採用時の差別、遺伝情報の要求を禁止しており、雇用、解雇、仕事の割当て、昇進や降格の決定などに影響させてはならない、こういうことが決められております。そのほかにも、イギリス、フランス、ドイツ、韓国も同様にこういう法整備が整備されておりますけれども、我が国ではそれらがありません。これは個人情報保護法について規定されたガイドラインがあるということのようですけれども、ガイドラインでは強制力がないので、遺伝情報に関連する差別については、私、限界があると思います。
 今回の問題は、遺伝情報という医学の発展に伴って新たな技術に対して倫理的に制御しなくてはならない課題が出てきたということでありますので、是非、この法整備について政府の所見をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(橋本岳君) お答えをいたします。
 先ほど技術総括審議官の方で、昨年度、厚生労働科学特別研究事業というのをやっているというお話をしました。その中で、御指摘の遺伝子情報に基づく差別についても重要な課題の一つとして指摘されているところでございます。
 採用等についてということでお話しでございましたけれども、一般論ではありますけれども、現在でも、採用選考に当たっては、応募者の適性、能力に関係のない事項については把握しないよう事業主に対して周知啓発をしているとか、解雇に関して言えば、労働契約法におきまして、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものについては無効とする旨の一般的な規定が設けられているところでございまして、お尋ねの遺伝子情報に基づく差別を防ぐ一つの枠組みにはなるのではないかと考えているところでございます。
 ただ、私、たまたまですが、昨日、新宿区戸山の国立国際医療研究センターに視察をしてまいりまして、ゲノム医療が研究を進めているという話も聞いて、心強く思って期待をしているところでございます。ただ、やはりそうしたものが更に進むことによって様々な問題も御指摘のように起こり得るだろうということは認識をしたところでございまして、現在の取組等、あるいは先ほど申し上げた研究班の調査結果などを踏まえまして、遺伝子情報がその本人の、何というんですか、意に反するような形で差別的な取扱いにつながることなく適切に利活用されるように、今後、必要な取組について検討してまいるということは必要なことだろうと、このように考えているところでございます。
○委員長(丸川珠代君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○三原じゅん子君 はい、終わります。
○長沢広明君 私も、まず冒頭、がん対策についてお伺いしたいと思います。
 今、三原先生からもありましたとおり、がん対策基本法制定以来、がん対策が大きく前進をしているところであります。その中で、がん登録が推進をされて、来年一月からはがん登録推進法が施行になるということでございますから、このがん登録が更に推進をされて、希少がんの把握も可能になるというようなことが期待をされておりますし、更なる拡充に向けて取り組んでいきたいと思います。
 ただ、今年一月に内閣府が発表したがん対策に関する世論調査というのがございまして、それを見ると、がん登録に対する認知度が全然上がっていないという問題があります。前回の調査、平成二十五年の一月のときにがん登録について知っていると答えた人が一七・〇%、今回の二十六年十一月時点では一七・一%と、全く伸びていないんですね。
 まず初めに、がん登録制度の周知広報、この認知度を向上させるということについて取り組んでいらっしゃるのかどうか、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) お答えいたします。
 平成二十四年六月に閣議決定されましたがん対策推進基本計画では、取り組むべき施策の一つとして、国、地方公共団体、医療機関等は、がん登録の意義と内容について周知を図ることが挙げられております。一方、御指摘のとおり、がん対策に関する世論調査によりますと、依然としてがん登録の認知度が低いという現状が明らかになっておりまして、一層の取組が必要と認識しております。
 これまで、厚生労働省におきましては、国立がん研究センターに委託をしまして、ホームページによる説明、あるいは動画の配信、またポスター、チラシの作成、そして都道府県、医療機関、実務者向けの説明会及び研修を行ってきたところでございます。がん登録の認知度を向上させるため、厚生労働省本省としましても、都道府県や医療機関向けの説明会は行ってきたところですが、今後も、ホームページによる情報提供、あるいは都道府県や医療機関向けの説明会の開催のほか、がん関係学会とも連携して周知広報を行うなど、取組を一層強化する必要があると考えるところでございます。
○長沢広明君 このがん登録に基づいたデータは国立がん研究センターによって取りまとめられていると。その分析を経て、地域別のがん情報なども発表されているところでございます。こうした情報が地域におけるがんの罹患状況の把握、あるいは治療法、予防法、こういうものを改善するという方向に結び付けられることで、提供すべき医療の在り方などに関するより適切な判断が可能になるし、ひいては、がんによる死亡率を低下させるということにつながっていくものというふうに期待がされているわけでありますから、しっかりと推進をしなければいけません。厚生労働省においても、今後のがん対策の方向性として、現在、がん対策推進協議会等で検討されているというふうに思いますが、地域別のがん登録情報については、その活用の仕方というものも大変重要でございます。
 そこで、地域別のがん登録情報の活用に関する考え方、見通しについて説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) がん登録につきましては、これまで各都道府県において地域がん登録を実施しております。そのデータに基づいて、都道府県のがん対策の施策立案に活用してきたところでございます。
 地域別のがん登録情報につきましては、地域がん登録を行う都道府県の数の増加、そして登録精度の向上によりまして情報の精度が向上してきております。したがいまして、その活用の余地も増加しております。
 具体的には、一例としまして、国立がん研究センターが地域がん登録を基にがん罹患数の全国推計値を算出して、報告書としまして全国がん罹患モニタリング集計にまとめておりますが、二〇一一年の報告書からは全部位と主要部位別に都道府県の地域差を観察することができるようになっております。
 さらに、来年一月にがん登録推進法が施行されますけれども、そうしますと、登録率が上がり、全国だけではなく地域別のより正確ながんの実態把握が可能になると考えております。これによりまして、都道府県等におきましても地域の実情に応じた医療提供ですとか検診体制の整備を含めた施策を講ずることができるようになると考えております。
 国といたしましても、今後とも地域別のがん登録情報の活用を推進してまいりたいと考えております。
○長沢広明君 例えば、現段階のがん登録から傾向性とか新たに分かってきた、まだ最終的にどうという、治療法とか予防法とかそういうことにはつながらないけれども、このがん登録の中で新たに分かってきた傾向性とか分析結果で報告できるものがあれば、ちょっと端的に報告してもらいたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) 二〇一一年の地域がん登録に基づきまして国立がん研究センターのがん対策情報センターがデータを公表しておりますけれども、その中で少し御紹介いたしますと、人口構成の違いを除いて罹患率を比較した場合に、胃がんにつきましては男女共に日本海側の県に集中している傾向にある、また、肝がん、肝臓がんにつきましては近畿以西の地域で極めて高い傾向がある、そういった新たな知見も得られているところでございます。
 今後も引き続きがん登録の精度向上に努めまして、より正確な情報に基づくがん対策に努めていきたいと考えております。
○長沢広明君 現段階のデータでもそういう傾向性とかいうものが見えつつあるということですので、このがん登録をしっかり推進をして生かしていただきたいというふうに思います。
 健康に関する知識、がんについては、がん教育というのも大変重要な角度になっていると思います。我が党も、二〇一三年の五月に、がん教育検討会を設置するように文部科学大臣に要望を既にさせていただきました。それを踏まえてということだと思いますが、文部科学省で、がん教育の在り方に関する検討会で教育の基本方針等の中心にがん教育に関する議論がされているというふうに承知しております。
 がんの教育の総合支援事業の一環として、全国におけるモデル事業を展開するというようなことでがん教育推進のための取組がなされているというふうに伺っておりますが、文部科学省、今日お越しいただいていると思いますので、がん教育に関する現在の取組、今後の見通し、在り方、こういうことについて御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(久保公人君) 文部科学省におきましては、下村大臣に対する御要望書をいただいたことも踏まえまして、二十六年度からがんの教育総合支援事業を実施しておりまして、その中で地域の実情を踏まえたモデル事業を実施しますとともに、有識者で構成される検討会を設置いたしまして、今後のがん教育の在り方について検討を行ってきたところでございます。
 平成二十六年度のモデル事業につきましては、二十一各都道府県・指定都市におきまして、七十校の小中高等学校を指定いたしまして、医師やがん経験者などの外部講師を活用したり、児童生徒向けの教材を作成するなどの取組を実践していただいてきております。
 また、検討会におきましては、がん教育の定義や目標などの学校におけるがん教育の基本的な考え方や外部講師の確保、教材や指導参考資料の作成などの今後の検討課題について議論の上、平成二十六年度に学校におけるがん教育の在り方についての報告書を取りまとめたところでございます。
 文部科学省といたしましては、がん教育を平成二十九年度以降全国に展開することを目指すため、今年度は検討会の下に教育関係者、医師、がん患者等で構成するワーキングを設けまして、教材の作成を行いますとともに、報告書の内容を踏まえたモデル事業を展開するなど、より効果的にがん教育が実施されるよう、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。
○長沢広明君 今報告がありましたとおり、具体的には、例えば保健体育とか総合学習の時間、そういう授業を柔軟に活用することもできると。医師や看護師、がんを経験された人、それから外部講師の参加、協力の下に推進をしていくということで、平成二十九年度以降は何とか全国展開するためのモデル事業ということですので、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 がん登録とがん教育について今お話を伺いましたが、緩和ケアについても大変重要でございます。
 苦痛を和らげる緩和ケアについて、これまで取組をされてきましたし、三月の大臣所信においても、その取組の進展に向けた決意が表明されております。がんと診断された段階から適切な緩和ケアが提供できるよう、医師への研修体制も充実させる必要があると思いますので、そういうことも含め、がんの緩和ケアの推進へ向けて今どういうことを取り組んでいらっしゃるか、報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(新村和哉君) がん患者とその家族の方々が可能な限り質の高い生活を送れるようにするためにも、緩和ケアは大変重要なことであると認識しております。がん対策推進基本計画におきましても、がんと診断されたときから緩和ケアを推進するということを重点的に取り組むべき課題の一つに位置付けております。
 一方で、日本におきましては、緩和ケアが十分に普及しておらず、また、がん診療に携わる医師の緩和ケアの重要性に関する認識もいまだ不十分であると考えております。このため、基本計画におきまして、医療従事者の緩和ケアへの理解や知識、技術の習得に関する目標を掲げておりまして、現在、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修を全国的に実施するといったことに取り組んでおります。
 また、厚生労働省では、緩和ケアを一層推進するため、緩和ケア推進検討会を平成二十四年四月に設置しまして、がん患者あるいは経験者を始めとした有識者の方々から御意見をいただき、様々な観点から戦略的な対策を現在検討しているところでございます。こうした検討も踏まえつつ、緩和ケアに関する取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。
○長沢広明君 まだまだ不十分だというふうに、ちゃんとそういうふうに認識をされているということですので、しっかりと力を入れて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ちょっとテーマを変えまして、災害時の医療提供体制についてお伺いしたいと思います。今日お手元に資料を配付をさせていただいております。
 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画の概要、これ、内閣府で検討した南海トラフ地震の際の四つの大きな柱に対する具体的計画というものを組んでいるわけです。このうち、上に箱が四つありまして、左から二つ目が医療と書いてあります。DMAT登録数千三百二十三チームに対する派遣要請、陸路・空路参集、ロジ支援、任務付与と。それから被災医療機関の継続・回復支援と。それから広域医療搬送、地域医療搬送による重症患者の搬送と。この部分は、これ内閣府で全体で組み立てた計画ですけれども、この医療の部分は厚生労働省で担う部分になるわけであります。
 下に具体計画のポイントと、一番下に箱がありますが、@人命救助に重要な七十二時間を意識しつつ、緊急輸送ルート、救助、医療、物資、燃料の各分野でのタイムラインと目標行動を設定すると。例えば、二十四時間で広域移動ルートを確保、広域応援部隊が順次到着するようにというようなタイムライン、目標行動を設定する。A広域応援部隊、全国の応援DMATの派遣は、被害が甚大な地域、重点受援県十県に重点化すると。重点受援県というのは、そのちょっと上にあります、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、それから四国四県ですね、徳島、香川、愛媛、高知、そして九州の大分、宮崎と。南海トラフ地震が起きたときに大きく被害が受けるところに重点的に支援をするというような、これ、内閣府で防災担当の方で組み上げてきた計画です。
 しかし今の医療の部分については、これは厚生労働省が担うことになるわけですね。このうち、国立病院機構大阪医療センター、これはDMATの事務局ですね、ここが南海トラフ地震による津波被害が想定される二十四の都府県について調べて調査して、データを出しているんですが、入院設備のある医療機関の一九%が浸水するというんです。災害拠点病院の一七%が浸水すると。病院、医療機関が直接の被害を受けると。そういう南海トラフ地震のような大規模災害においては、被災地における医療体制の確保、強化が重要な課題になるということで、こうした見通しを踏まえた対応が必要になります。
 南海トラフ地震など大規模災害時における医療提供体制の確保について、厚生労働省としてはどういうふうに取り組んでいくか、伺いたいと思います。
○政府参考人(二川一男君) 災害時の医療提供体制の確保でございますけれども、特に南海トラフ地震等におきましては、津波による大規模な被害が想定されるわけでございまして、災害拠点病院として指定される病院そのものが、医療機関が浸水をしてしまう、そういったことが想定されるわけでございます。そういった課題につきましても早急に対応すべき課題というふうに認識をしているところでございます。
 ちょうど昨年の十月でございますけれども、災害拠点病院に対しましても、自治体のハザードマップ等における被災想定と被災への具体的対策の状況につきましてちょうど調査をしたところでございます。その調査の結果でございますけれども、津波等で被災は想定されるけれども、現時点におきましてはまだ対策を講じていないといった災害拠点病院も現に存在しているところでございます。
 対策を講じることのできない理由といたしましては、浸水被害想定が地域全体に及んでしまうといったことで、病院単独では解決が困難だと、こういったようなことを回答をいただいているところでございまして、この三月に都道府県に対しまして、地域全体で対策を検討していただくといったことをお願いをしたところでございます。
 また、南海トラフ地震に対する津波対策といたしまして、災害拠点病院を始めとする医療を担う民間医療機関につきましても、震災時に医療を提供できる体制を維持できるように、住民共々高台へ移転する、こういった場合もあるかと思いますが、そういったようなケースで、病院の新築に要する工事費等の補助事業、これを二十六年度に補助事業を創設したところでございます。引き続き、南海トラフ地震対策を含め、大規模災害時の医療提供体制の確保に向けまして必要な支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○長沢広明君 特に災害拠点病院が被災してしまうという、こういう事態では災害時の拠点病院としての機能が発揮できなくなるわけで、それに対する備えというのは早めに手を打つ必要があるというふうに思います。
 この南海トラフ地震に対する応急対策活動計画の中で、特に医療活動の計画には、静岡など六つの空港、静岡空港、それから名古屋飛行場、高松空港、松山空港、熊本空港、鹿児島空港ですか、こういうところの六つの空港をあらかじめ指定して、それぞれに災害医療派遣チーム、DMATを重点的に配置して、この空港で積極的に負傷者等を受け入れると。つまり空港で医療を提供すると。つまり、空港が臨時病院の役割を担うというようなことを、いわゆる航空搬送拠点としてそういうところを、空港を使っていこうと。で、患者を受け入れ、そしてここから広域搬送をする拠点にもする、こういう考え方で、これは非常に大事な体制であります。
 こういう部分も含めて、南海トラフ地震の具体的な応急対策活動計画における厚生労働省の医療提供に関するこの部分の対応、これについてどう考えるか、お伺いします。
○政府参考人(二川一男君) 南海トラフ地震の応急対策活動計画、これは政府全体、中央防災会議が策定したものでございますけれども、それの医療部分につきまして厚生労働省が担うものでございます。この計画におきましては、南海トラフ地震はいつ発生しても対処できるように、現時点の体制を前提としつつ、政府として現在実施すべき医療活動を含めた具体的な活動内容を定めているといったものでございます。
 もちろん、南海トラフ地震におきましては、多数の負傷者が発生し、医療ニーズが急激に増大する、それからまた、被災地内の医療機関も被災するといったことで、被災地内の医療提供体制のみでは対応できない状態になるといったことが想定されるわけでございます。そういったことを踏まえまして、被災地内外の連携が重要だといった考え方に立っております。
 そういったことで、まず第一点目といたしましては、被災地内の医療資源を補うために、全国からDMATを始めとする医療チームを被災都府県へ派遣をし、必要な対応が可能な医療体制を確保する、これがまず一点目でございます。
 それから二点目は、委員御指摘のことなんでございますけれども、被災地内では対応困難な重症患者の方を被災地外の医療施設へ搬送するといったことの体制を取るといったことも必要になろうということが想定されるわけでございまして、その際、空港等にそういった方を一旦集めてくるといったこともあるわけでございます。そういたしますと、空港等に臨時の医療施設といったものを設置をし、広域医療搬送体制を構築していくといったことも必要になろうというふうに考えているところでございます。
 今後、この計画を基に、関係省庁、地方公共団体と連携をして南海トラフ地震を想定した訓練等を実施してまいりますとともに、計画の実効性を高め、災害時の医療活動が維持できる体制の整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○長沢広明君 これは、以前にもこの委員会ででも、それから予算委員会ででも指摘させていただいたんですが、東日本大震災のときの花巻空港の問題で、DMATが空港に参集していながら、そこへ患者を運んでくるということも元々計画に余り入っていなかったし、空港からDMATが被災地、特に沿岸部に行く手だてが組まれていなかったので、空港にDMATが一週間ぐらい滞在して何もしないで帰ったというような事態があったわけですね。ただ、そのときに空港で何組か治療を施して、そしてそこから搬送したという例が何例かあったわけですね。これがもっときちんと最初から計画的にできるようになっていけば、東日本大震災のときももう少しスムーズに医療支援が提供できたという問題があると思います。
 こういうことを教訓として、南海トラフ地震のときにはそういう航空搬送の拠点空港をあらかじめ決めておいて、そこでDMATが最低限の処置をしてまたそこから被災地外に搬送するという、その際、ドクターヘリをいっぱい各地から集めてきてドクターヘリを活用すると。被災地外のドクターヘリに集まってもらって、そこのドクターヘリに搬送も手伝ってもらうとか、こういうようなことも恐らく考えていると思うんですけれども、ちょっと確認ですけれども、ドクターヘリの活用というのは考えていますか。
○政府参考人(二川一男君) 具体的な対応につきましては、今後、関係府省あるいは地方公共団体と連携をして、具体でどういった医療資源を活用できるのかということを考えながら考えていく必要があると思います。先生御指摘のドクターヘリといったそういった資源につきましても、十分視野に入れて考えていくべきものというふうに考えるところでございます。
○長沢広明君 そうですね。本当、震災というか、災害はいつやってくるか分からないものですから、しっかりスピードアップして手を打っていかないと、計画だけの段階ではなく、もういつ何があってもすぐ対応できるように、常にやっぱりシミュレーションをもう始めていないといけないというふうに思いますので、しっかり進めてもらいたいというふうに思います。
 次のテーマにちょっと移らせていただきます。
 就労支援ですけれども、まず若者の就労支援で、先月、この厚生労働委員会においても青少年雇用促進法の審議が行われました。法案は参議院を通過しましたけれども、この中に、地域若者サポートステーションの整備ということも法律の中できちんと位置付けられることになりました。ニート等の若者に対して自立を促すためにきめ細やかな支援を行うことは非常に重要であり、そうした大きな役割を担うサポートステーションが全国各地に整備されてきていることは望ましいことですし、各地各地でそれなりに成果を上げてきているというふうに思っております。
 きめ細やかな若者就労支援の実現のためには、サポートステーションの施設数の増加とともに十分な予算の確保ということも重ねてお願いをしたいと思っておりますが、一方で、これは大体民間のNPO等に委託して実施されているという面もあります。地域特性に応じた多様な支援が可能となる反面、全国的に見ると、支援の在り方についてはばらつきがあるという面もあるわけです。
 そこで、サポートステーションによる若者への就労支援の全国的な質の確保、質の向上ということについては何らかの取組が必要ではないかと。地域ごとで特性に応じてやっているというのはいいことですけれども、ばらつきがあって、それはもう少し質の確保ということが必要じゃないかと思いますが、その点についてどういうふうに認識をされているか、また、今後どういうふうに取り組んでいくというような方針があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
 公明党の青年委員会の皆様方には、地域若者サポートステーション事業の強化等につきまして御提言をいただくなど、御指導をいただいているところであります。
 先日御審議いただきました青少年雇用促進法案におきましては、地域若者サポートステーションの整備に関する規定を盛り込んだところでありますが、御指摘の質の点につきましては、厚生労働省といたしましても、地域若者サポートステーションにおける全国的なニート等の若者への就労支援の質の確保、そして質の向上に向けた取組を行うことが必要と認識しているところでございます。
 このため、平成二十七年度におきましては、地域若者サポートステーションの機能が十分に発揮できるよう、全国から支援に当たりますスタッフを集めて研修を実施するとともに、好事例の周知などを行うなど、スタッフの質の向上を図ることとしております。また、就職等の実績を把握し、実績が低調な地域若者サポートステーションに対しましては個別にヒアリングを行い、その上で必要な指導を行うことにより、全体的な質の底上げを図り、更なる就労支援の強化を図っていきたいと考えております。
○長沢広明君 成果を上げているところをよく見ていただいて、決して上から何かまた枠をはめるようなことがあっても質の向上にはつながりませんから、枠をはめるのではなく、成果の上がっているところを、その情報をまたしっかり均一的に広げていくとか、そういう意味で質を向上させてもらいたいというふうに思います。
 女性の就労のことについては、今年四月から子ども・子育て支援新制度がスタートをいたしました。子育て支援員制度の導入がこの中でされているわけですけれども、いわゆる子育て経験のある専業主婦の方々などに地域における子育て支援の現場において子育て支援員として保育の担い手となってもらう、これは大変大事なことだと思います。女性が子育てをしながら社会で活躍するためにも十分な保育の受皿が求められている今、それを支える子育て支援員については、小規模保育とかにおける保育士のサポートというような面での活躍も期待をされております。
 地域の特色なども織り込みながら制度が成熟していくことが大事だと考えておりますし、地域の子育てニーズに対応する人員確保と併せて、その育成、制度の周知、十分な取組が求められると思いますが、子育て支援員についてどう育成していく考えでいるか、ちょっとそれを確認させてもらいたいと思います。
○政府参考人(安藤よし子君) 本年四月に施行となりました子ども・子育て支援新制度の下で、保育所、幼稚園だけではなく小規模保育などの地域のニーズに柔軟に対応できる子育て支援を充実させていくためには、支援の担い手になる人材の確保が必要でございます。子育て支援員制度は、地域において、子育て支援の仕事に関心を持たれる方がその子育て経験などを生かしてこれらの分野で担い手になっていただけるように、必要な研修を実施して、これを修了した方々を認定していくというものでございます。
 子育て支援員の研修の実施に当たりましては、子ども・子育て支援新制度におきまして、人材の養成確保の中心的な役割を担う都道府県を研修の実施主体とするほか、地域のニーズによりきめ細かく対応ができるように、市町村も研修の実施主体として広く子育て支援員の養成を図っていただくこととしております。
 このため、平成二十七年度の予算におきまして、子育て支援員研修の実施経費に関します国庫補助制度を創設いたしまして、都道府県、市町村に対して財政支援を行うこととしておりまして、積極的な事業実施を働きかけてまいりたいと考えております。
 また、あわせて、都道府県、市町村と連携をいたしまして、制度の周知についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○長沢広明君 この四月からスタートしたばかりですからこれからですけれども、子ども・子育て支援新制度の枠にどういう制度で国は取り組もうとしているのかということについても、まだまだ現場へ行くと知られていないんですね。子育て支援員制度とか例えば保育ママとか、全くやっぱり知られていないんですよ。この春、統一地方選挙がありましたので、この地方選挙の現場で地方議員の皆さんがそのことを一生懸命語って広めているみたいな状態にあると思います。
 せっかくの制度がスタートしたわけですから、充実させるように、本当に知恵を出して一層取り組んでもらいたいというふうに、これは要請だけしておきますので、よろしくお願いいたします。
 同様に、今年四月から新たに始まった制度に障害者職場復帰支援助成金というのがあります。心身の障害によって長期に休職した、休んだ人が職場復帰する、これはもう本人にとっても企業にとっても、なかなか乗り越えるには大きな困難が伴うということで、長期休職した人が職場に復帰するということに対する、支援する助成金の制度ですが、一方で、これは心身の障害で一回休職したその御本人が知らなきゃならないし、そういう人が職場に復帰しようというときに、企業の側がこういう助成金があることを知らなければ使われないわけだし、そうすると職場復帰が結局思うように進まなくなってしまうという問題がありますので、この障害者職場復帰支援助成金制度、予算額も含めてどういう施策なのか、そしてどうこれから推進するか、これをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、平成二十七年度より、事故や難病の発症等の原因による中途障害などで長期の休職を余儀なくされました労働者の雇用継続を図るため、御指摘の助成金を創設したところでございます。
 この助成金では、中途の障害等により長期の療養のため休職を余儀なくされた労働者に、その職場復帰のために必要な職場適応の措置、具体的には訓練の受講であるとか、あるいは通院のために特別休暇を与えるなどの措置を講じていただいて雇用を継続した事業主に対しまして、労働者一人当たり年間最大五十万円、中小企業の場合は七十万円の助成を行うこととしております。平成二十七年度の予算額は約三千万円となっておりまして、労働者約三百五十人を想定してございます。
 この助成金の周知のため、各県の労働局やハローワークでリーフレットを配布するほか、厚生労働省のホームページに掲載しているところでございます。今年度新たに創設されたものでございますので、積極的に周知広報を図ってまいります。
○長沢広明君 昨年は難病法も成立をしまして、今年一月の施行に伴い、助成の対象となる疾病や患者数も増えることになりました。こうした助成の重要性は言うまでもありませんけれども、一方で、難病患者に対して医療費以外の支援を行うということも大事でありますし、疾病に苦しんでおられる方々を社会全体でバックアップしていく、こういう視点が非常に大事だというふうに思います。
 各地のハローワークに配置されている難病患者就職サポーター、これを今年度から全都道府県に配置するべく推進しているというふうに承知しております。こうした取組は高く評価したいと思いますが、難病患者就職サポーターの増員、育成ということも急務だと思います。
 そこで、難病患者の就労支援制度について、この難病患者就職サポーター、現在の配置数、そして今後の増員、育成、どういうふうにできるのか、見通しを伺いたいと思います。
○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 難病患者でございます方のハローワークにおける就職件数が年々増加しております。具体的に申し上げますと、例えば平成二十一年度就職件数二百六十九件でございましたが、二十六年度は千五百七十二件と伸びてございます。
 平成二十五年度から、全国十五か所のハローワークに難病に関する専門的な知識を持つ難病患者就職サポーターをそれぞれ一名、計十五名配置しておりました。今年度より更に増員をいたしまして、各都道府県に一名ずつ、四十七か所のハローワークに配置することとしております。配置が完了いたしますれば、計四十七名となります。これらの新規に配置された者に対しまして、より効果的に活動できますよう、採用後即研修をする予定にしてございます。また、今後の増員につきましては、難病患者就職サポーターの活動実績等を踏まえつつ、検討してまいります。
○長沢広明君 次に、AEDの普及を、これも前にもちょっと伺いました。
 救急医療体制の整備という点で、去年十月のこの委員会でAEDの普及促進について質問しました。AEDを適切に使うことができれば、その後の生存率、社会復帰率も格段に高くなるという、これはもう幾つもの調査結果で明らかになってきております。各自治体を始めとして、地域においてこのAEDの講習を実施するというような地道な取組も随分進めておりますし、継続的な普及啓発にくれぐれもこれからも努めてもらいたいと思います。
 AEDの普及という点では、教育現場の果たす役割も大きいと考えています。全国の小中学校、高校に設置が進められて、現在では九割の学校にAEDが設置されているというふうに聞いております。この設置したという点は高く評価をしたいと思いますが、最近の文部科学省の調査を見ますと、地域によってAEDに関する教職員への講習に大きな差があると。つまり、設置があっても、AEDを置いていても、いざというときに、使う教職員が講習をきちんと受けて効果的に使うようなことができなければ意味がないわけでございます。
 AEDの全国の学校における教職員の講習実施状況について現状どうなっているか報告をいただきたいということと、講習状況に全国的に見ると差がある、その原因はどこにあるのか、そして今後どう改善するつもりなのか、文科省に確認したいと思います。
○政府参考人(久保公人君) 文部科学省がこの三月三十一日に公表いたしました学校健康教育行政に係る取組状況調査の結果によれば、平成二十五年度に全て又は一部の教職員を対象にAEDの使用を含む応急手当て講習を実施した学校の全国の割合は八九・九%でございましたが、公立学校の実施状況について都道府県別に見た場合には七三%から一〇〇%の差が見受けられました。
 この差につきましては、例えば教職員に対する講習につきましては、地域によっては二、三年に一度まとめて全ての教職員が講習を受けるように取り組んでいるというところも多うございますので、調査の年度によってばらつきが出た可能性もあるかとも思っております。いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、教職員に対してAEDの使用を含む応急手当て講習を実施することは大変重要であると考えております。
 平成二十六年度におきましては、消防庁と連携いたしまして、応急手当て講習受講キャンペーンを実施して応急手当て講習の実施に関する取組を推進してきましたところですけれども、平成二十七年度におきましても、学校安全教室の推進事業の中で、都道府県教育委員会が開催されます教職員等に対するAEDの使用を含む心肺蘇生法実技講習会への支援を拡充したところでございます。
 今後とも、教職員等に対するAEDの使用を含む応急手当て講習実施率の向上に向けて取組を更に進めてまいりたいと考えております。
○長沢広明君 AEDを普及させてきた。そのAEDを普及させていくことにちゃんと意味を持たせるような取組がこれから必要になると思います。
 一般市民の使用についてもそれが大きな課題になっています。救命措置が求められる傷病者について、救急隊員が到着する前に一般市民がAEDを使用できるかどうか、この辺が生存率を大きく左右する要因の一つというふうに指摘をされています。ただ、やはり、自分がこの救命行為、AEDを使うことによって逆に責任を問われてしまうのではないかとか、負傷とか自分が病気に感染してしまうのではないかとか、実際には救命措置をためらってしまうというのがやっぱり現実の問題なんです。
 こういう状況に対して、東京消防庁が今年から応急手当てに保険を設けると。応急手当てにより生じたけがや感染症の治療費や検査費の一部を保険から支払うということを東京消防庁は決めた。都市部では救急車の出動要請も増えていますし、到着までの時間も延びている中で、AEDの使用を後押しできる制度として注目されている面があります。
 国においても、こういうAED使用を促せるような取組というのは何らかの工夫が必要ではないかというふうに思いますが、まず東京消防庁がやる応急手当てへの保険という問題、これに対して厚生労働省はどう評価するか、AEDの使用を促進するための取組について今後どういうふうに検討しているか、これについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(二川一男君) AEDを始めとした救急蘇生法に関してでございますけれども、厚生労働省といたしましては、緊急の現場に居合わせた人が救急蘇生法を実施する体制を整えるということが大変重要と考えておりまして、AEDの使用法やあるいは胸骨圧迫の手法などから成る救急蘇生法を講習会で身に付けていただくということは、手技を学ばれた方が増えて、緊急時に対応していただける人が増えるということでございますので、そういった体制が望ましいと考えているところでございます。
 委員御指摘の、東京消防庁が検討されている保険制度につきましては、救急蘇生法を学んだ方について、その手技を発揮する後押しになるものとして一つのやり方かというふうに考えているところでございまして、今後、総務省消防庁とも情報共有しながら今後の制度の在り方について研究をしてまいりたいと考えるところでございます。
 また、AEDの使用促進策についてでございますけれども、これにつきましては、これまでも講習会を実施しやすいように補助の対象にするとか、そういった取組をしておりますけれども、さらに、短時間の講習内容をつくるとか、そういった形で都道府県や関係機関に周知する等の取組を実施しております。
 また、AEDの設置場所を分かりやすく周知をするといった取組も重要かと考えておりまして、日本救急医療財団がAEDの製造販売業者の協力を得てAEDマップを作成する予定としておりまして、こういったものにつきましても必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、本年度は、さらにAEDの使用実態とか、特にAEDが必要なときに使用しなかった原因の分析、この辺につきましてもさらに十分行っていきたいと考えておりまして、そのための研究班を立ち上げることにしてございます。そういった研究班による課題の整理、そういったことも踏まえまして、更なる使用促進策についても十分考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○長沢広明君 講習会をやっていますとか、それに補助を出していますとか、そういうことじゃなくて、やっぱり一般の市民がちゅうちょなくAEDが使えるように、そういう枠をちゃんと考えなきゃ駄目というのが私が言いたいことなんですよ。
 そういう工夫をしっかり、今検討会を設けたということであれば、いつまでも検討しているんじゃなくて、ちゃんと答えを出して実行して、せっかくこれだけAEDが広まっているからこそ、それを一般市民もちゅうちょなく使えるような、そういう枠組み全体をつくらないと意味がやっぱりなくなっちゃいますので、そういう工夫をしっかりしてもらいたいというふうに思います。
 それから、最後になると思いますが、一つ、日本版CCRCの導入についてお伺いしたいと思います。今日は資料をお手元のところに配らせていただきました。
 アメリカにおけるCCRCの概要で、一番上の箱に、米国では、高齢者が移り住み、健康時から介護、医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支援サービス等を受けながら生涯学習や社会活動等に参加するような共同体、CCRCが約二千か所存在している、推定で居住者数が七十五万人と。最近は大学連携型というのが増えてきて、知的刺激、そして学生との交流も含めた多世代の交流があるような、そういうCCRCが近年増加してきているということでございます。これは、内閣官房の日本版CCRC構想有識者会議で出された参考資料をお配りをさせていただいておりますが。
 昨年十二月のまち・ひと・しごと創生総合戦略の閣議決定を受けて、こういう日本版のCCRCに関する検討が進められているということですが、我が国、都市部に住んでいる五十代、六十代の人が地方に移住したいという地方移住の意向が強いとされております。現在、日本各地でも、例えば栃木県の那須町にある、ゆいまーる那須といういわゆるサービス付き高齢者住宅のちょっと規模の大きいやつですけれども、そういう先駆的な事例も存在しておりますが、政府でこういう検討をしているということですけれども、内閣官房から、このCCRCの概要と、政府としてはどういう方向性で検討しているのか、その見通しを伺いたいと思います。
○政府参考人(木下賢志君) お答えいたします。
 今回の日本版のCCRC構想は、地方創生の推進の一環として、東京圏等の高齢者が本人の希望に応じて健康なときから移住し、地域になじみながら自立した社会生活を継続的に営めるコミュニティーづくりを目指すものでございます。
 今回の構想は、主に三つの点でこれまでの高齢者住宅や施設とコンセプトが異なるものと考えております。
 一つ目でございますけれども、居住の契機についてでございますけれども、これまで要介護状態になってからの移住が多く見られましたけれども、日本版CCRCでは、本人の希望に応じて健康時から移住し、アクティブに高齢期の生活を営むというものでございます。
 二つ目でございますが、高齢者の生活についてでございます。これまで高齢者はサービスの受け手と考えられる傾向が強く見られましたけれども、日本版CCRCでは、仕事、社会活動、生涯学習などに積極的に参加する主体と位置付けられるというものでございます。
 三つ目は地域との関係についてでございます。これまで住宅施設で生活が完結をし、地域との関係が閉ざされてしまいがちでございましたけれども、日本版CCRCでは、地域に溶け込んで、地域の言わばコミュニティーの中で多世代と協働するというものでございまして、こうした構想の推進のため、先ほど先生から御紹介がございましたように、現在、有識者会議におきまして検討をお願いしているところでございまして、夏頃には中間取りまとめを行い、最終的には今年度中に実施主体、サービス内容、居住者によるコミュニティーの形成等についての課題、論点について整理をいたしまして、結論を得ることができるように進めてまいりたいと考えております。
○長沢広明君 今お話がありましたとおり、やっぱり一つの特徴は、ただ単にサービス付きの高齢者の住宅があるということだけではなくて、元気なうちから地域との協働で、例えばその地域で地元の人たちと一緒に仕事をするというようなことも織り込んだ形のCCRC日本版で考えているということで、そういう意味で地方創生の一環の中に入っているんだと思いますが、是非、お金持ちしか行けないようなことじゃなくて、庶民にも目を向けた形で進めてもらいたいなというふうに思います。
 昨年、このCCRCと地域包括ケアシステムの構築と、これとどう関係があるのかという、関係性は見えるのか、相互に生じるメリットがあるのか。今これ、内閣府のまち・ひと・しごと創生本部の方でこういうCCRCを検討していますけれども、厚生労働省としては、こういうCCRCについてどう評価して、しかも地域包括ケアシステムとの関係性とかメリットとか、どういうふうに見ているのか、その点についての御意見を伺いたいと思います。
○政府参考人(三浦公嗣君) 高齢者の方々が要介護状態になっても、できる限り住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることができるように、医療、介護、予防、住まい、生活支援というものが包括的に提供される、確保される地域包括ケアシステムの構築が重要だと考えておりまして、その推進を進めているところでございます。
 今回の日本版CCRCにつきましては、高齢者が本人の希望に応じて健康なときから移住し、地域になじみながら主体的な社会生活を積極的に営めるコミュニティーづくりを目指すものと理解しております。具体的には、社会参加や生涯学習など健康でアクティブな生活を実現するための仕組みづくり、医療、介護が必要な場合の継続的なケアの確保、自立した生活ができる居住環境の提供などを図る方向で議論されていると承知しておりまして、高齢者の希望を実現し、安心して老後を過ごす観点から大変有意義なものだと考えておるところでございます。
 また、日本版CCRCは、なじみの地域で必要なケアなどを受けられることを目指しておりまして、地域包括ケアシステムの構築に資する取組であると考えているところでございます。
○長沢広明君 資するという、取りあえず、重要な観点であり、地域包括ケアの構築、推進にも役に立つ考え方であるという評価であるということですが、そのコミュニティーだけで完結すると、そのコミュニティーの地域包括ケアは進むかもしれませんが、そこから外れたところは逆に進まないという、こういう行政との関係性は非常にちょっと、よく見ながら進めていった方がいいと思うんです。
 例えば、CCRCのアメリカのほとんどは民間がいわゆる経営しているわけですね。栃木のゆいまーる那須も、これも株式会社が経営しているわけですよ。そういう意味では、地域のいわゆる自治体との関係性とか、そういう地域包括ケアというのは、すなわち自治体の中できちっと組み上げていくものとこのCCRCとの関係というのは、そこはよく工夫しながらいかないといけないんじゃないかというふうに思います。
 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 石橋議員の質問の続きのようなものになるかと思いますが、やらせていただきたい。
 前回も取り上げたいわゆる十・一問題の文書ですが、端的に厚労省に聞きますが、これ訂正版を配付されたんですけど、前の文書のどこがどう問題で何で訂正したのか、説明してください。
○政府参考人(坂口卓君) お答えいたします。
 今委員御指摘のこの十・一問題のペーパーにつきましてでございますけれども、従前のペーパーから見直した点についてでございます。従前のペーパーでは、まず、経済界等の懸念というような形で、上段の部分でございますけれども、そういった部分がございましたが、この箇所につきましては、施行日の説明という部分には不可欠な要素ではないということから削除をしたというものがございます。
 それから、中ほどの二つ目の囲みの下のところの最後の部分でございますけれども、訴訟が乱発するというおそれということで、訴訟が乱発するという表現につきましては、定性的な表現であり誤解が生ずるということでありましたから、訴訟につながるおそれという表現に次の資料のペーパーでは改めさせていただいておるところでございます。
 それからさらに、大きく一番下の、予想される問題という囲みがあって、そこの部分で、大量の派遣労働者が失業、それから、加えて派遣事業者に大打撃等の記載をしておったところでございますけれども、その箇所につきましては、説明に不可欠な要素ではなく、かつ定性的で客観性を欠いた表現であるということで削除をさせていただいたものでございます。
 いずれも説明に必要のない表現でありましたり、客観性を欠いた表現があったことについては反省しておりまして、十分精査する必要があったと、こう考えておるところでございます。
○小池晃君 いや、分からないのは、大臣、先ほどの質疑で、二月二十三日の衆議院の予算委員会で大臣は見たとおっしゃったんです。そこから二か月間、何で直さなかったんですか。もうこれだけいろいろと問題があるというふうに今も説明あったものを、何でほっておいたんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、委員会で維新の党の方から資料として配付をされたわけであります。そのときに私は初めて見たわけでありますけれども、その後、いろいろな御批判を頂戴をして、これは直せということになって、私の方からも指示をして、そして直させたわけでありまして、そこに若干の時間が掛かったということは大変申し訳ないというふうに思います。
○小池晃君 若干といったって、これ、結局、私がこの委員会で質問した四月二十三日、それを受けて直しましたという文書を配っているから、結局それまでやらなかったわけでしょう。これだけ問題がある、しかも大臣は見たことのない文書が国会に出てきた、あるいは局長、部長が見たことない文書が国会に出てきた。これだけで大騒ぎになるんじゃないんですか、普通は。普通の企業や役所だったら、そんなことになったらもう大変な騒ぎになりますよ。それまで二か月間何にもしないでほっておいた。
 結局、じゃ、私がこの場で質問するまでこの問題点を読んでも分からなかったということですね。そういうことなんじゃないですか。結局、こういう趣旨を大臣も認めているから何にも思わずに二か月間使っていたんでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 結果として、正式にきちっと直って出てきたのが少し時間が掛かったことは申し訳ないと思っていますが、元々これ、押しなべて皆さんにお配りをするということで作られたものではないことは申し上げたとおりで、必要に応じて使っていたので、私としては、すぐ直せとは言いながら、それが配られているとは思っていなかったものですから、そういうことで時間が掛かったということだというふうに思っております。
○小池晃君 要は、与党にしか配っていないから問題にならないと思ったから黙っていたという話じゃないですか、今のは。全員に配っていないからいいと思ったという話ですよ。これ、とんでもないですよ。こんなことでいいんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 必要に応じて配ったので、これは足立議員というのは与党ではございませんので、維新の党でも必要に応じて求められれば出していたということでございますので、御理解を賜れればと思います。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
○小池晃君 私が言ったことに答えていない、最初の。要するに、この内容について問題だと思えばすぐに訂正したはずですよ。二か月間、何で放置したんですか。
 結局、だから、業界の要求でこれをやったということ、そして、これだけの派遣労働者が失業するとか、派遣事業者に大打撃になる、こういう考え方に何の疑問も感じなかったから二か月間放置したんじゃないですか、そういうことでしょう。
 この文書は、結局、違法派遣をどうするかという話は全く出てこないんです、問題意識として。結局、違法派遣を合法化するために、その前にやってしまおうという、それだけじゃないですか。結局、大臣、二か月間やらなかった理由はそういうことでしょう、そうとしか取れない。
 じゃ、この記載が問題だと思えば直ちに修正すべきだったんじゃないですか。それをやらなかった。結局、何の疑問も感じなかったということですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、問題を感じたことは感じたわけでありまして、問題は、元々これは必要に応じて配るものであって、当然、これを足立議員から配られて、余り品が必ずしもよくない表現もあるし正確じゃないものもあるということで私はその場で指摘をしましたが、そのときから配っているとは思っておりませんでしたから、それが先生に言われてまた出てきたということでございまして、そういうことで、もうそれ以降は配っていないというふうに私は思っておりました。
○小池晃君 配っていなければどんなでたらめな中身でもいいという話ですよ、今のは。要は、みんなに配らなければ、与党にだけ配っているんだったら問題ある文書でもいいという話じゃないですか。とんでもないですよ、こんなやり方は。
 結局、先ほどもあったけれども、この文書というのは、違法派遣合法化を、言わば手を貸すことになるし、今なお違法派遣を続けているブラック企業を救済するということなんじゃないですか、結局。これは、だから表現がどうのこうのじゃないんですよ。やっぱり今度の派遣法の改悪というのが、経済界の要求を出発点とし、経済界の願いに応える、財界、派遣業界の願いに応える法案であるということを、大臣はそういう認識だから何の問題意識も感じずに、この文書が配付されたことに何のおとがめもなし、国会で私がそう言ったらば慌てて修正した、そういうことでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 元々、今回の改正は経済界に言われてやっているというようなレベルの話では全くなくて、このペーパーはみなしの期限がやってくるということを言っているだけの話であって、元々、私どものこの改正を今回お願いをしているのは、やはり派遣で働く方々の言ってみれば処遇を上げていくということ、そして正社員になりたい方々にはなっていただくということであり、また、働く人たちの権利を守るというために許可制にして監督指導が行き届くようにするという、そこをやっているわけで、むしろ規制強化の方が多いというふうに思うわけであって、それは取りも直さず派遣で働いていらっしゃる方々のためのやっぱり改正だということを考えているからこそ、我々は今回の改正をお願いをしているということでございます。
○小池晃君 派遣労働者のことを考えていたらば、この文書を見たらこれ激怒しますよ、何なんだという話になりますよ。二か月間、何にも言わずにほっておいた。これは、今回の派遣法が言わずもがなで、もう問わず語りで、結局派遣業界の要求に応えるものなんだということを大臣認めていることになる。
 しかも、みなし制度というのは、これ、自民党も賛成してつくったんですよ、違法派遣をなくすといって。それを発動もしないうちに潰す、こんな無責任なことがありますか。私、この一点だけ取ってみても、こんな法案はもう本当に審議入りの条件は全くないというふうに思いますし、必ず廃案にしなきゃいけないというふうに思いますので、ちょっとこれはここまでにして、もう一つ大問題があるので、次に行きます。
 例の朝食会での発言です。
 小さく産んで大きく育てるという発想を変えるというふうに大臣は言っていますよね。大臣が考えている小さく産んで大きく育てるというのは、労基法に当てはめるとどういうことになるんですか。具体的に説明してください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 私の考えでないので、それは経済界に聞いていただいた方がいいと思いますが、具体的におっしゃったことは、一千七十五万というのを下げろというような意味合いのことをおっしゃったことを私は記憶しておりますが、そのことを聞いたときも私は極めて不快な思いをしておりました。
 したがって、この講演は、いろいろ皆さん方おっしゃいますけれども、小さく産んで大きく育てるというような発想は変えてもらって、今回出している政府案を応援をしてくれ、これを通すということが我々にとって大事なんだということを申し上げているわけでございます。
○小池晃君 小さく産んで大きく育てるというのは、労基法に則して言えば、一千七十五万円でまずは通してもらって、その後で下げましょうと、そういう考え方ですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、それに限らず、経済界の方々は何を考えているのか私はよく分かりませんが、まあそういう言葉を使っている方がおられるということを聞いているので、そこは推測の域を出ないわけですが、私が申し上げているのは、そういう考え方を変えて、今の案がベストだから通してほしい、応援をちゃんとしてほしいということを申し上げたわけであります、この社長さん方に。
○小池晃君 そういうことだと、小さく産んでと、それを変えてほしいと言いつつ、大臣はその後で、それをちょっとぐっと我慢していただいて、取りあえず通すんだと。先ほどの質疑では、黙って通すことを応援してほしいと、一千七十五万円、下げると言われるのは迷惑だとおっしゃったわけですよ。
 つまり、経営者に対しては、年収基準を下げるという発言は我慢しろ、取りあえず通せと。ということは、結局、大臣、これ私、素直に理解すれば、通した後で年収基準の引下げについては発言してくれということですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生も、言いそうな方御本人を目の前にして、あなたそういうことを言うのはやめろよとは言わないじゃないですか、普通。だから、そう思っている気持ちはあるのかも分からないけど、まあそこはぐっと我慢してくださいねと言っているだけで、私はストレートに言えば、そういうことを言うのはやめてくれと、それですよ、簡単に言えば。
○小池晃君 それが小さく産んで大きく育てるということじゃないですか。結局、通しておいて後で言ってくれと。今は千七十五万円で取りあえず黙って通してくださいよと、それで後でそれはやってくれと、それは露骨には言わなかったけど、そういう真意だと今認めた。結局、これが小さく産んで大きく育てるということなんですよ。財界が狙っているのはそれですからね。
 結局認めているんじゃないですか、大臣が。やっぱり小さく産んで大きく育てるということなんです、これは、どう考えたって。最初に発想を変えろと言いながら、大臣がおっしゃったことはまさに小さく産んで大きく育てること。
 これやっぱり、こんな残業代ゼロ法案はもう撤回しかないということだと思います。もうはっきり大臣の本音がここに出ていると。そういうことでしょう。弁解できないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) いやいや、これは私の考えではないということを何度も申し上げているのであって、少し上品に言っているだけで、ストレートに言えば、こういう考え方はもう捨ててくださいということを言っているのであって、今の法律を通すことが大事だと。おまけに、この一千七十五万というのは後で決まることだとしても、年収の三倍以上だということであるのは法律に書いてあるわけですから、通した後で経済界が法律を直すなんていうことはあり得ないわけですから。法律は国会の決めることですよ、先生方が決めることですから、そこでないと変わるわけがないんですから。ですから、今のような先生の御指摘は全く当たっていないということだと思います。
○小池晃君 いやいや、私、素直に取れば、結局、とにかく国会を通してくれと、千七十五万、下げるという御発言は慎んでいただいて。で、国会を通してもらって、後で下げるということを言ってくれと、そういうことじゃないですか、結局。我慢しろって、じゃ、何を我慢するんですか。一千七十五万円を下げるなどという発言は金輪際していただきたくないと言ったのであれば、これは分かりますよ。そうじゃないんですよ。ぐっと我慢していただいて、取りあえず通していただいて、結局後でやるということで、我慢ですよ、我慢。それは、もう言うなと言ったんじゃないんだから、全然違うんだって、大臣。
 これは、まさに小さく産んで大きく育てるという考え方で協力してくださいと経済界に言ったことにほかならない。これはもうはっきりしているというふうに、日本語を普通に理解する人であればそういうふうに受け止めると思います。
 外国人技能実習制度について聞きます。
 法務省の不正行為についての調査結果が出ましたが、法務省に聞きますが、不正行為、増えているんですが、類型的にはどんな違反になっていますでしょうか。
○政府参考人(佐々木聖子君) 御報告申し上げます。
 平成二十六年に不正行為を通知した二百四十一機関につきまして、類型別に不正行為を見ますと、その件数は三百五十件でありますところ、賃金の不払等を含む労働関係法令の違反に関する不正行為が百六十五件、全体の四七・一%と最も多く、次いで講習期間中に実習実施機関の業務に従事させたことに関する不正行為が七十四件、全体の二一・一%となっているところが主でございます。
○小池晃君 現在、受入れ機関は全体で約三万三千、実習生は十七万。しかし、法務省の昨年の不正行為認定は二百四十一機関、〇・七%にすぎません。一方で、労働基準局の報告では、実習生受入れ機関の労基法違反は七九・六%、それを当てはめれば二万六千団体が法令違反をしている可能性があると。ところが、受入れ禁止の措置を伴う不正行為と認定されているのは二百四十一、一%にも満たないというのが実態です。
 これちょっと質問飛ばしますが、大臣、結局ごく一部だというのが実態ですよ、是正は。これでいいんだろうかと。これで政府の責任を果たしていることになりますか。不正行為に認定もほとんどされない、是正もされない、責任はどこも取らない、これでいいんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほどの数字は平成二十六年の数字だと思いますけれども、二百四十一機関という数字ですね。これですけれども、この数字が少ないかどうかについては、これは法務省の入管の数字でございますので、厚労省としてはコメントを差し控えたいというふうに思います。
 いずれにしても、依然として不正行為やそれから法令違反が生じているということは、先生御指摘のとおり事実であります。ですからこそ、今後は、今回の国会に提出をした技能実習法案に基づいて管理監督体制の強化を図るということを申し上げているわけで、法案の共管省庁であります法務省と厚労省は、緊密に連携しながら制度の適正化に向けて取り組んでいかなければならないというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 監督強化というのは何度も何度も聞いているんだけれども、全然解決していません。
 実例を紹介しますが、徳島でこんな例がありました。縫製業の中国人実習生です。今年二月に徳島労働基準監督署に賃金未払で申告した実習生、総勢二十名、女性です。日産常盤という会社を中心に働いている人たちです。
 中国に帰る実習生が未払賃金で監督署に申告をして、調査が入って、これは違反を摘発、指導をした。それ以降の未払はなくなったんですけど、それ以前の未払が解決されないということで、今年二月に再度実習生が監督署に申告。これは解決しないので、実習生はこの四月に社長に改めて支払を求めたらば、もう仕事をしなくていいと言われて、四月二十五日にはタイムカードを撤収させて、それ以来出社させていません。それから、二十六日には南京の送り出し企業の社長が来て、本国に送還させるというふうに宣告した。このままでは未払が解決しないまま強制的に帰国させられるということで、共産党に相談に来たんですね。
 いろいろ実態を聞くと、一年間で休めるのは元旦の日と花見の日、たった二日だけ。土日はない。朝一時間早出、それを含めて一日五時間から六時間の残業。終わりは十時か十一時。これ時給を計算すると、大体三百五十円に満たないんですね。徳島の最賃は六百六十六円ですから、ほぼ半額です。これ、割増し賃金、深夜・休日残業にも違反していますから、ざっと計算しても未払分は月九万円から十万円になる。一年では全員が百万円規模になります。長時間労働もひどくて、残業は月二百四時間のときもあった。過労死ラインの二倍ですね。これが常態化していた。寮は月二万五千円から三万円の寮費で、一部屋に八人入れられていた。家族への電話は一人五分まで。十一時半にはガスを止められるので、残業して帰っても御飯を作れない。もう本当にすさまじい実態ですよ。このケースは、監督署が是正指導、摘発指導している。ところが、いまだに未払分解決していないわけです。
 厚労省に聞きますけど、労基署が賃金未払、これを是正勧告、指導した場合に、使用者が過去の未払分を払わないでいい、こんなことは是認されますか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 私どもの考え方としましては、基本的に法違反の状態は是正していただくということでありますので、問題がある事案につきましてはしっかりと、未払賃金があればこれを支払っていただくように指導していくということでございます。
○小池晃君 本当に、この話を聞いて、違反だらけのひどい働かせ方だと私は思うんですね。労基署が早くから調査に入って労働者から聞き取りもやっていればこんなことにならなかったんじゃないかと。ちょっとせっぱ詰まったような状態に現地はなっているんですね。
 厚労省に聞きますが、この日産常盤株式会社の社長は、違反したときも現在も徳島労働局の地方労働審議会の使用者側委員に就いていると聞きますが、間違いありませんか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 個別の事案にはコメントし難いわけでありますが、日産常盤の社長が審議会の委員かと言われれば、そういう事実はございます。
○小池晃君 訴えてきたのは外国人実習生、使用者は労働局が選任した審議会委員、労働局の対応が甘くなったということはないんだろうかと。これ、調査と厳正な対応を私、求めたいというふうに思います。
 大臣、こうした実態というのは徳島に限りません。もう全国各地にあるし、縫製業だけじゃなくて漁業でも農業でも本当に広がっているわけですよ。大臣、今私が紹介したこの実習生の実態の一端をお聞きになって、そして労働行政の対応を聞かれて、どのような見解をお持ちですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘の点について、今のような事実が本当に事実ならば、これは特に、地方労働審議会の委員でもある人物が代表ということである会社のやっていることですから、これについて厳正に対処する必要があると私も考えておりますが、問題は、こういうことが各地で散見されるということを踏まえて、私どもは新しい法律で実効性のある検査監督体制をつくり直すということをお願いをしているわけであって、現在、実際にもう既に進んでいるこの制度、技能実習制度でありますから、これを適正化していくことは待ったなしというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 適正化は待ったなしですよ。それをやりながら同時に拡大するというのはおかしいじゃないですか、どう考えたって。これだけ問題が出てきているものを適正化をして、ちゃんとその成果が出て、ああ大丈夫だとなったら拡大する、これなら分かりますよ。適正化と併せて一緒にやっちゃう、こんな乱暴な話はない。
 行政の在り方だって、法務省と厚労省で全く連携取れていないんですよ、結局。どこが責任持つんですかと聞いても、お互いどっちが答弁するかでちょっともめちゃったりするんですよ。だから、本当にこれでいいのか。
 徳島県労連は以前からこの問題に取り組んできて、この十年で数百人相談に乗ってきて、こう言っています。縫製業は既に中国の方が技術が上だと、来日したその日からもう残業までできるようなスキルのある技術者ばかりなんだと、技能移転の実習なんて全く名ばかりの出稼ぎ労働ですと、こういうふうにおっしゃっています。この外国人実習生制度というのは、やっぱり労働行政と全く相入れない制度だと。そもそもやめるべきだし、少なくとも団体監理型、これはやめて企業単独型にすべきではないかというふうに言われています。私も本当にそう思う。
 ところが、大臣、今国会に提出されている法案は、団体監理型を前提にして監督強化というけれども、監督強化というのは何度言ったってできない。その一方で建設、介護拡大。
 大臣、私が言っていること分かりますか。私は全否定しているわけじゃないですよ。外国人労働者は入っちゃいけないと言っているんじゃないですよ。まずやるべきことは、この今の実態、今日紹介したような実態が起こっている、これを是正することをやるべきであって、それが成し遂げられた暁に拡大をやるべきだと私は言っているんですよ。違法行為が横行しているこんな事態のままで規模、業種拡大やるべきじゃない。優先すべきは行政の徹底した強化、そのための体制を入管、労基署共に抜本的に強化をする、これこそが、大臣、今政府に求められていることではありませんか。いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返して申し上げますけれども、元々不正行為とか法令違反、特に労働関係の法令違反をしているケースが間々見られるということが私どもも問題意識の一つであったことは間違いないわけであって、だからこそ、監督強化をしようということで今回の法律、今までのJITCOのような推進と規制の両方をやっているような中途半端なことではうまくいかないということで、今回の機構を新たにつくってそこに権限を渡すということで乗り越えていこうじゃないかということでやっているわけでありまして、今の団体監理型と企業監理型の話がありました。
 確かに問題が起きているのが団体監理型に多いということはよく分かっておりますが、それだけではなく、やっぱり企業監理型でも問題が起きていることもないことはないわけであって、いずれにしても、この制度はやっぱりきっちり足腰を強くして、規制をしながら、技能をきっちり覚えてもらって母国に帰っていただくということは大事な日本としての貢献の一つでもありますし、このことに徹するために今回の制度を新たにしていこうということで、特に今回、今責任が不明確だという先生御指摘ありました。全く私もそのとおりだということを議論の中で随分、私たちまだ自民党におりましたが、そのように指摘をして、法務省と厚労省とお互いの間にポテンヒットみたいなものがいっぱいあって、誰も責任取らないんじゃ駄目じゃないかということを言ってきました。
 ですから、それを今回は、両方の、入管の観点から、そして労働政策の、雇用政策の元締である厚労省がちゃんと責任をお互い分担しながら、分かち合って適正化を図るということをやることを今回の法律でお願いをしようというのが私たちの基本的な考え方でございます。
○小池晃君 そういうことをちゃんとやって、それで成果が出たというんだったら拡大する、それですよ。こんなことをやったら国際社会の批判が高まるだけ。やめるべきだ。
 終わります。
○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 今日は私は母子世帯への支援について伺いたいと思います。
 まず大臣に伺います。
 一人親家庭ですけれども、今、百四十六万世帯いるということです。平成二十三年の全国母子世帯等調査の結果です。子供のいる世帯全体で千百八十万世帯ということですので、今、八世帯に一世帯が一人親世帯ということです、母子世帯や父子世帯ということです。
 そして、この一人親世帯が今どういう状況にあるのか、資料一、お手元にお配りをしております、御覧いただけたらと思いますが、OECDの二〇一四年の公表資料でいきますと、大人が一人、つまり一人親世帯の子供の相対的貧困率がどうなっているかというと、三十三か国中、日本は最下位ということです。OECDの調査で三十三か国中びり、最下位、最も悪いという結果となっております。
 まず大臣に伺いたいと思いますが、この結果を見てどのような御所見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) こういう形で、OECDの中で統計、大人が一人の一人親家庭の相対的貧困率が三十三番目ということは、このデータ自体、やっぱり日本としては名誉なことでは決してないというふうに思っておりますし、もちろん、この間も申し上げましたけれども、この相対的貧困率というものの定義そのものが、必ずしも資産の保有状況が反映されないとか、あるいはいわゆる現物給付の結果が表れないとかいろんなことがあって、必ずしも全部正しく出ているとは思いませんけれども、しかし、やっぱり厳しい環境の中で一人親が御苦労されて、子供たちがそれの時に犠牲になるということがあることはよく理解をしているつもりで、また大事な問題だと私も思っています。
 それぞれのニーズに応じてきめ細かな対応をしていかないといけないということも認識をして、そういう中で、この間、四月二日に子供の未来応援国民運動発起人集会というのを開催いたしました。いろいろ我々も議論した結果、あれにたどり着いたわけでありますけれども、マスコミがやや誤った報道をしているので残念な思いをしておりますが、あの場で総理はこういう指示をしました。
 つまり、一人親家庭の問題、子供の貧困の問題に対して、夏をめどに方向性を示して、そして年末に至るまでに財源をしっかり確保した上で対応策を関係省庁で検討しろと。つまり、政府が、財政のめども立てながらこういったところに対してしっかり応援をしていこうじゃないかという、そしてその具体的な政策を考えるように指示をしたわけで、残念ながら、今マスコミでよく言われているのは、何か民間にお金を出させて政府は何もしないみたいに言われていますが、そんなことではなくて、我々今、世耕副長官の下で、支援を必要とする家庭、ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援に関する関係府省会議というのができておりまして、ここが世耕副長官がヘッドでやっております。
 これは総理の指示を受けて、今申し上げたように、この年末に向けて、あるいはその前の夏の方向性をつくるというところに今向けてやっておりますので、先生御指摘のこの問題について、私ども安倍内閣としても正面から捉えてこれに対応をしていくことを考えているところでございます。
○行田邦子君 名誉なことではないとおっしゃいましたけど、不名誉なことだというふうに私は思っております。最下位なわけですので、これは本当にみっともない状況だと思っております。
 そして、よくこのOECDのデータを用いての議論のときに、政府側からの答弁では、資産保有が入っていないということが言われますけれども、ただ私は、日本の一人親世帯、また子供のいる世帯が諸外国と比べて資産保有が高いかというと、必ずしもそうは言えないと思いますし、また、じゃ、現物給付が日本の場合きちんとできているかというと、これもまた諸外国と比べて、むしろ日本のこういった現物給付というのは低いという結果すら出ているわけですので、私は、このOECDのデータ、この結果というのは本当に素直に認めた方がいいというふうに思っております。
 そこで、今日、一人親世帯の中の母子世帯への支援について伺いたいと思うんですが、政府でも様々な問題意識を持っているということは理解をいたしました。そしてその中でも、様々な支援の中で、まずは職業能力開発支援について伺いたいと思います。
 自立支援教育訓練給付金というものがございます。これは平成十五年から始まっていますけれども、地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講した場合に、その講座の受講料の二割相当額を支給するというものなんですけれども、平成十七年の支給件数は三千三百八十九件だったんですが、これが以降ずっと減少してしまって、平成二十五年度は千四件まで減ってしまっています。
 この原因について、どのように厚生労働省としては分析していますでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) この自立支援教育訓練給付金でございますが、母子家庭の母又は父子家庭の父の主体的な能力開発の取組を支援して自立の促進を図るということのために平成十五年度から実施しているものでございます。給付対象者としては、児童扶養手当の支給を受けているか同等の所得水準にあって、雇用保険法による教育訓練給付の受給資格を有していない方というふうになっておりまして、給付内容としては雇用保険制度の教育訓練に準ずる取扱いとなっております。
 御指摘のとおり、平成十七年度と比較いたしまして、二十五年度支給件数が減少してきているということでございますが、この理由につきましては様々な要因が絡んでいるものとも考えられまして、一律にお答えすることは難しいと思いますけれども、例えば、看護師など高度な資格を取得することで安定した職業に就きやすい高等職業訓練促進給付金制度というのがございますが、これにつきましても充実してきている。また、ほかの職業訓練制度もこの間充実したというようなこともその要因として挙げられるかと考えております。
○行田邦子君 それにしてもかなり減ってしまっているので、これはこのままの件数でいいのかどうか、それとももっと増やす努力をすべきなのか、そこも含めてしっかりと検討すべきだというふうに思っております。
 今、局長から御答弁の中にありました高等職業訓練促進給付金についても伺いたいと思うんですが、これ確かに非常に増えています。平成十七年の支給件数は七百五十五件だったわけですけれども、これが八年後の平成二十五年には十倍以上、七千八百七十五件というふうに増えています。看護師等の経済的自立に効果的な資格を取得するために二年以上養成機関等で修学する場合に金銭的な援助をするということでありますけれども、私はこれを見て、非常にニーズとマッチしていて効果が高いのかなというふうに私は捉えているんですけれども、これだけ、八年間で十倍にも伸びたこの理由を厚生労働省としてはどういうふうに捉えていますでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) 高等職業訓練促進給付金につきましては、これは一人親家庭の方が自立につながります一定程度高度な資格を取得するために養成機関で二年以上修学するということが条件になっておりまして、支給がされるというものでございます。
 支給件数の増加要因につきましては、これもまたいろいろな要因があるかと思いますけれども、給付金の支給期間が制度の設立当初の平成十五年度は修学期間の後半三分の一、最長一年というような形でございましたけれども、その後、制度を見直しをいたしまして、修学期間の当初から受給できるようにしたこと、また、複数年にわたって支給ができるようにしたといったようなことから、複数年支給を受ける方が延べ件数として積み上がるというような効果も大きかったかと思っております。
 また、事業を実施する自治体の数を見ましても、例えば平成十七年度は三百四十五自治体だったものが二十五年度には八百三十六自治体まで増えておりまして、この自治体の増加というものも支給件数の増加に大きく寄与したものと考えております。
 この給付金は、一人親家庭の方の資格取得を促進して自立に資するものとして一定評価されていると考えておりまして、今後も積極的な広報と利用促進を通じまして、厳しい環境にある一人親家庭に対して自立を支援してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 この制度ができてから、期間を延長したり、様々な工夫によって、また、そもそもこういった資格を取得するための支援といったことが非常にニーズにマッチしているのかなと、そのことによってこれだけ十倍にも伸びたのかなというふうに思っているわけでありますけれども。
 そこで伺いたいんですけれども、非常にこのニーズはあるわけでありますが、それでは、この給付金を受けて看護師等の資格を取得した方、これは三千二百十二人、平成二十五年度ですが、そしてそのうち就職した方は二千六百三十一人でありますけれども、こうして給付金を受けて資格を取得して、そして専門的な資格を得て就職をしたことによってどれだけ賃金が増えたんでしょうか。
 つまり、受給者にとっては、全てが助成を受けるわけではないので、自分での自己負担もあるわけですので自己投資ということもあります。また、国としては公的な資金を投入するわけでありますので、どれだけの効果があったのか、どう分析していますでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) 高等職業訓練促進給付金を活用して資格を取得して就職した方の数でございますが、先ほど御指摘がありましたように、二十五年度三千二百十二人のうち、看護師が千三百十三人、准看護師が七百九十七人、保育士が百八十六人といったような実績になっております。
 この給付金を活用して就職された方の給与変動につきまして、個々に把握はしておりませんのですけれども、例えば看護師の平均年収は年間四百七十三万円となっておりますし、准看護師につきましては同じく三百九十八万円、保育士につきましては年間三百九万円という数字がございますので、一方で、母子家庭の母の平均就労収入、年間百八十万円であるということから見ますと、資格を取得して就職された場合、一般的には収入が一定上昇するケースが多いものというふうに考えております。
○行田邦子君 今の御答弁ですと、一般的な情報からの推測にすぎないというふうに思っています。看護師の年収が幾らだ、四百万台だ、そしてまた一人親家庭、母子家庭の母親が二百万を切るということからの推測にすぎないというふうに思っているんですけれども、私は、是非、これは実際に受給された方に対しての調査というものを、アンケートなどを行うべきだというふうに思っております。そして、こういった給付を受けて資格を取得するとより良い条件の職に就けるんだと、つまり年収が上がるんだというようなこともしっかりと情報をシングルマザーの皆さんにも提供すべきだというふうに思っておりますので、お願いしたいと思います。
 こうした中、また今年度には新しく支援制度が増えます。一人親世帯の親の学び直し支援といったものができます。これ何かといいますと、高卒認定試験を受けるための受講費用を一部支援するというものでありますけれども、私は、こういった様々なメニューが増えるというのは良いことだと思いますが、ただ、こうした新たな制度ができるといったことについて、どのようにシングルマザーのお母さんたちにこういった制度がありますよということを的確に伝えていくことができるんでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) 一人親家庭の自立や生活の安定を図るためには、より良い条件での就職ということが非常に重要でございますけれども、一方で、一人親家庭の親のうち一三・八%が最終学歴が中学卒ということで割合高くなっております。このため、様々な事情により高等学校を卒業されていない方により良い雇用機会を得られるようにということで、御指摘のありました高等学校卒業程度認定試験に合格するための講座を受講する場合に費用の最大六割を支給する事業を今年度から実施しております。
 この事業をより多くの方に知っていただいて利用を促すというために、自治体における一人親家庭支援施策の広報啓発に要する費用を母子家庭等就業・自立支援事業の一つのメニューとして予算措置をするとともに、全国児童福祉主管課長会議などにおきまして、全国の自治体に対して広報啓発を積極的に行うようにお願いをしているところでございます。
 また、事業の意義を理解していただきましてその効果を高めるということのために、保護者に対する学習支援ですとか自立支援プログラムの策定の中で例えばこれを位置付けるといったような形で支援するように、自治体にこれもお願いをしているところでございます。
 今後とも、厳しい環境にある一人親家庭に対しましてこういった自立の支援をしてまいりたいと考えます。
○行田邦子君 先日、シングルマザーの皆さんの会でいろいろお話を聞いていたらば、こういった国による支援事業があるということも知らない方が結構いらっしゃるんです。なかなか情報にアクセスできないといったことが課題だというふうに思っております。
 そこで副大臣に伺いたいんですけれども、シングルマザーは就労に関する情報が不足している場合が多いと思うんですけれども、そもそもこのような支援事業があるということも知らない方が多いわけです。
 そこで、母子家庭等就業・自立支援センターにおけるキャリアコンサルタントを設置するとか、あるいは増員するといったこと、それからまた、その手前というか、母子家庭等就業・自立支援センターというのは全国でも百数か所ですから非常に少ないので、もっと数がある福祉事務所に、今、母子・父子自立支援員というのが置かれていますけど、これが必置ではありません、できる規定になっておりますので、これを必置と、置かなければいけないというふうに変えていくとか、常任でなくても臨時でも構いません、例えば児童扶養手当の手続、現況報告を行うのが大体八月ですので、その時期に多分集中して来られると思いますから、その時期だけでも、臨時職員ということで、こういったキャリアコンサルタントができるような能力のある方を支援員として置くというようなことを充実させるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(山本香苗君) 御質問いただきましたとおり、いろんな制度をつくっても、知っていただかないと結局使われないわけでありまして、そこはしっかりと我々としても問題意識を持っていきたいと思いますが、おっしゃっていただきましたとおり、支援措置の周知に関する努力義務というものは平成二十六年度の母子寡婦福祉法の改正で置かせていただきまして、それに基づいて、今、地域の特性を踏まえた広報啓発活動に要する費用というものを予算措置をさせていただいたところでございます。
 また、相談体制の質の向上というものも図らなくてはいけませんので、先ほどおっしゃっていた母子・父子自立支援員の研修に要する費用というものも今予算措置をしております。
 あわせて、一人親家庭が抱える様々な課題やニーズに対応して効率的、効果的に支援を行うことを目的として、母子・父子自立支援員に加えて、就業支援専門員を配置する窓口強化の取組を昨年度から進めているところですけれども、おっしゃったように、九自治体でしかまだ置いていないという状況でありまして、こうしたものも進めてまいりたいと思います。
 いろんな形の相談窓口がありますけれども、例えば、四月一日から始まった生活困窮者自立支援法の相談窓口もありますので、いろんな形できちっと一人親家庭の施策の周知ということを図っていきたいと考えております。
○行田邦子君 まだまだ足りないというふうに思っております。本気で国を挙げて子供の貧困対策に取り組む、また一人親家庭世帯の貧困対策に取り組むというのであれば、しっかりとここは取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 そして、加えて、母子世帯というのは、シングルマザーというのは、経済的貧困ということも言われますけれども、同時に時間の貧困ということも言われています。
 資料二、お配りをしておりますけれども、御覧いただきたいと思いますが、ここで三つグラフがありますけれども、シングルマザーの仕事、家事、育児時間の諸外国との比較、それから夫婦世帯の妻、そして夫婦世帯の夫の仕事、家事、育児の時間がどのようになっているのかという比較した調査結果でありますけれども、日本のシングルマザーというのは、労働時間、仕事をしている時間というのはヨーロッパの夫並み、そしてまた家事の時間というのはこれはヨーロッパの妻並みという、非常に長く働き、また非常に長く家事に時間を費やし、そして結果、育児には比較的短い時間しか費やせないということで、時間貧困とも言われているわけであります。そしてまた、こういった調査結果もありますが、平均の睡眠時間なんですけれども、五・八時間と、夫婦世帯の女性よりか〇・六八時間短いという結果も出ています。
 こうした中で、職業能力開発を進めるというのは、私、これは非常に良いことだとは思うんですけれども、ただ、こうした職業能力開発を受ける間、仕事の時間を削らなければいけない、あるいは家事の時間、あるいは育児の時間を削らなければいけなくなってしまうと思うんですね。そこで、保育サービスに掛かる費用や、また仕事時間が削減される分の補填、つまり経済的支援というのが私は必要だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○副大臣(山本香苗君) 今、行田委員の方から御指摘いただきました、働きながら資格もしっかりと修得できるような体制をしっかりつくるべきじゃないかということなんですが、先ほどいろいろと御質問いただきました高等職業訓練促進給付金につきましては、先ほど局長の方からも御答弁ありましたように、生活費の負担を軽減して修学と生活との両立を支援するために、住民税非課税世帯の場合であったら最長二年間、月額十万円を支給しているところでございます。
 そのほかに、先ほどおっしゃっていただいた自立支援教育訓練給付金や、また今年度から創設いたしました高等学校卒業程度認定試験合格支援事業については、これは受講の費用の一部を出しているという状況でございまして、ダイレクトに経済的な支援というものをしているものではありません。
 ただ、一人親家庭の生活支援の一部でございます保育や家事援助のためのヘルパー派遣サービスの利用ができる事業、いわゆるひとり親家庭等自立生活支援事業と組み合わせることによりまして、働きながら資格の修得につなげていくことも可能であると考えております。
 必ずしも十分ではございませんので、この辺りの実態もしっかりと踏まえていきたいと思いますが、とにかくこうした資格取得の支援や生活支援を総合的に行うことによりまして、一人親家庭の自立をしっかり我々としても応援していきたいと考えております。
○行田邦子君 お願いします。
 次、大臣に伺いたいと思うんですけれども、今まで職業能力開発支援、より良い仕事に就くための能力開発支援ということで伺ってきましたけれども、やはりシングルマザーの支援ということでいきますと、児童扶養手当、この議論をしなければいけないというふうに思っております。
 今、全額支給ですと一人の子供に対して四万二千円、二人になるとプラス五千円の加算、三人になるとプラス三千円ということですけれども、この二人目、三人目の加算が私は相対的に少ないのではないかなというふうに思っておりまして、ここは、二人目を例えば五千円を増額、三人目も増額ということを是非これはやはり検討すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、児童扶養手当の二人目、三人目の加算の問題について御指摘がございました。それを増額をせいと、こういうことでございまして、これについては、先ほど来、高等職業訓練促進給付金のときに生活費の負担軽減を加味をするというような制度もございます。
 その他、子育て支援、あるいは生活支援、就業支援、いろいろな形で一人親家庭の自立に向けた支援というのを考えなきゃいけないというふうに思っておりますし、実際、既にいろいろあるところもあるわけでございますので、今の児童扶養手当の増額については、御本人の自立への効果というものも含めて、言ってみれば今申し上げたような、あるいは先ほど来副大臣からも答弁しているような、あるいは先生から御提起のあるような様々なメニューがありますし、それから、さっき申し上げたように、夏をめどに我々政府としても方向性を、この支援策の充実を取りまとめ、年末をめどに財源確保を含めた政策パッケージを策定しようというわけでございますので、全体として一人親家庭にどういう支援策を位置付けながら総合的な支援ができるかという中で、それが御本人の自立にどれだけ貢献するかということも含めて考えていくべきだろうというふうに思っております。
 したがって、今御指摘のあった児童扶養手当の経済的支援を含めて、今これから、夏ないしは年末に向けて支援策をトータルで考えていきたいというふうに考えているところでございます。
○行田邦子君 そうしますと、児童扶養手当の二人目、三人目の加算増ということも検討するということでよろしいんでしょうか。
○委員長(丸川珠代君) 時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁願います。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、御本人の自立のためにどういう効果があるかということを含めて、政府として提供すべき全体像をよく考えて、その中にもちろん加算についても含めて考えて、それがいいか悪いか、どのくらいなのかとか、いろんなことはやっぱりあり得ると思うので、議論を重ねていきたいというふうに考えております。
○行田邦子君 是非、職業能力開発支援だけではなくて、また養育費の問題もありますし、そしてまた児童扶養手当の問題と、全体的にどのような支援をすべきなのか、制度改正をすべきなのかということを考えていただきたいということをお願いを申し上げて、質問を終わります。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 先日、私、大臣にお願いしたことがございました。最近の法案の出し方が余りにも雑駁過ぎまして、その後に政令だとか省令だとか様々なガイドライン等が出されて、そこで細かく決まっていく。だから入口の審査はできても、なかなか出口の審査が我々としてはできにくいですよねという提案をさせていただいたところだったと思うんですけれども、そう言っておりましたそのさきに、さきに私ども常会で審議をいたしました労働安全衛生法の一部を改正する法律案の中で大きく議論のもとになりましたストレスチェックテスト、この制度に対するマニュアル、ガイドラインが出てまいりましたので、今日はそこを中心にお伺いをさせていただきたいと思っております。
 皆様方に資料を準備させていただきました。
 まず、この資料一が今回ストレスチェックテスト、マニュアルにも書かれております全体的な流れでございます。これを一つ一つ確認をさせていただきながら行きたいところなんでございますが。
 まず、私ちょっとこれ、上からぱっと見まして、二番目に書いてあります衛生委員会で調査審議をしていくということ、大変疑問に思いました。まず、その衛生委員会というものを設置している企業の割合というものがどのくらいなのか、厚生労働省、調査していらっしゃいますでしょうか。教えてください。
○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 労働安全衛生法におきましては、事業者は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場において衛生委員会を設置しなければならないということになってございます。
 平成二十二年に実施をした労働安全衛生基本調査、この結果によりますと、安全衛生委員会等を設置している事業場の割合というのは八四・七%となっておりますが、この中には安全委員会だけを設置していると答えている事業場がございまして、これを差し引きますと、全事業場のうちの八一・七%の事業場が衛生委員会又は安全衛生委員会を設置しているという状況でございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 まだまだ完全ではないといったような状況は分かります。これ、平成二十二年の調査とおっしゃられたと思いますが、それ以降、じゃ、調査はなさっていらっしゃいますか。
 そこと併せましてちょっとお答えいただきたいんですけれども、質問にはいたしておりませんが、この平成二十二年度、実は、産業医を選任しているかという問いも同時にしていらっしゃいます。この際に、産業医を選任しているところは八七%しかいません。ですから、これが設置していないところ、産業医がいないところはどうやってこれを行っていくんだろうなという疑問も生じるんですが、それ以降の調査について教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) この基本調査はテーマを変えながら毎年実施をしているものでございまして、という意味で、二十二年にこういった産業医であるとか衛生委員会の調査をさせていただいております。
 今後、またテーマを変えていく中で調査を実施したいというふうに考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 これは、設置をし選任をしているということを前提でこの制度は設計がされているはずです。ということは、先にそういう調査があってこういう制度設計をしていただかなければ、不完全なままこういったものを投げていただいても、困られるのは事業者の皆様方であり、結局は形骸化してしまうということがもう既に見えてきております。
 ですから、次の調査に必ず入れていただき、産業医が選任がなされているかどうか、法的なこれは縛りがございます。そういうところには一〇〇%という数字を持ってこれるように指導もいただきたいと思っているんですけれども、実際に私、産業医としてこの衛生委員会にも参加いたしております。今、多くの産業医の皆様方から、今回衛生委員会で調査審議という言葉が見えてきた途端に、どうしたらいいんだという御相談も受けているところでございます。
 既にこの安全委員会、衛生委員会というものが規則の中では決められておりますけれども、実際に余り機能はしていないという現状が、これは私の、今、様々な先生の御相談からも表れてきていると思うんですね。実際にどのような活動をしているのかということを調査なさっていらっしゃいますでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(土屋喜久君) 安全委員会や衛生委員会につきましては、まず、その開催の頻度について、労働安全衛生規則におきまして毎月一回以上開催するというふうにされているところでございます。
 これも、恐縮ですが、平成二十二年の先ほど申し上げました基本調査の中で調べておりまして、結果を端的に申し上げますと、安全と衛生を併せて審議をする安全衛生委員会、これが事業場の中では多く設置されているものですが、これについて申し上げますと、一年で十二回以上開催しているという事業場は全体の七四・九%となってございます。
 それから、この安全衛生委員会で審議をしている議題でございますけれども、多く審議されているものを上位四つほど申し上げますと、労働災害の原因あるいは再発防止対策の検討、これが八二・四%。それから、次いで職場環境の安全衛生水準の向上や快適化の推進に関する検討、これが七七・九%。健康診断の実施と結果に関する対策の検討が七四・五%。それから労働者からの意見、提案の検討、これが七三・九%ということで、一定のいろいろな御審議をいただいているものというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 審議を行っているかどうかというものは、中身を見ないとこれは分からないと私は考えております。既に、この安全規則におきましても議事録を三年間保管しなければならないとなっておりますが、実際にこの議事録などを見て、どのような活動をしているかということの指導をしていただいていますでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) 先ほど申し上げましたように、法律によりまして衛生委員会の設置を義務付けておりますし、それから、今お話があったような運営についても一定のルールを定めてございます。
 衛生委員会の設置をしていない場合には罰則もあるというような規定になっておりますので、監督署が監督指導の際に、衛生委員会が設置されていないとか、あるいはその審議内容に問題があるというような事実を把握した場合には、衛生委員会を適切に設置をして運営するようにという指導を行っているところでございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 実際に私がいろいろ相談を受けましたら、毎月衛生委員会などできるわけがないじゃないかと、集まってお茶飲み話をしてそれで終わりなんだというところも多かったのは確かです。ですから、しっかりその内容もチェックをいただきたいと思っております。
 このストレスチェックテスト、いつまでたっても衛生委員会が整わなければできないかというと、やはりこれをきっかけとして衛生委員会をいかに活用につなげていくのか、もっと活性化させていかなければならないと私は考えているんですけれども、そのような策について、政務官、御意見いただけますでしょうか。
○大臣政務官(高階恵美子君) 形だけの衛生委員会ではなく、実効性のある委員会にという期待を込めた質問だと思います。まさしく今回のストレスチェック制度、この創設を機会といたしまして、私どももこの衛生委員会の一層の活用を図ってまいりたいと考えております。
 先ほどの部長の答弁の中に八一・七%の設置率と、それからその中でどういう会議が持たれているかという話を説明させていただきましたけれども、これに加えまして、今回の策定いたしました指針におきましては、ストレスチェック制度の実施体制あるいは実施方法、情報の取扱い等について調査審議することを改めて定めたところでございまして、またその一方で、事業者には衛生委員会における調査審議の結果を踏まえて、各事業場におけるストレスチェック制度の実施に関する規程を定めることといった内容を盛り込んでございます。
 いずれにいたしましても、きちっと結果が出せるような形で動いていっていただく、これが私ども、この委員会でも審議していただいた過程で附帯にまでいろんなことを盛り込んでいただいてございますので、力を合わせて、一層の労働者の健康の保持増進に資するような調査研究が進みますよう活用を図ってまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 労働者側も発言できる、とても大切な委員会だと私は考えております。ですから、ここにこの一言が入ったということは物すごく意味があることだと思うんですね。ですから、設置をしていないという事業所に更にプッシュしていただきたいんですけれども、どのような施策を講じて設置を促しているのか、教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) 先ほども申し上げましたように、常時五十人以上の労働者を使用する事業場においては設置が義務でございまして、罰則も付いている、こういう規定になってございますので、繰り返しで恐縮でございますが、その事業場に対して、衛生委員会の設置、その活動につきまして十分な周知を図るということを監督署、いろいろな活動の中でやっていきたいというふうに考えておりますし、また個別の監督指導の中で、設置されていない事実、あるいは運営が適切でないという場合には、それに基づいた指導をきちんとやってまいりたいというふうに考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 また、これ結果が出ましたら、私ももう一度しっかりと、何%設置をされているんだ、何%産業医が選任されているんだということは確認をさせていただき、また再度、数年後かもしれませんけれども、質問もさせていただきたいと思っております。
 ここでちょっと質問を変えてまいりますけれども、このストレスチェック制度、このフローチャートを見ていただけたら、もうかなりの業務量が含まれております。本当にこれができるんだろうかと、多くの企業が今不安に思っていらっしゃるとともに、ちょっとこれをやりたいけれども、ここまではできない、だけれども、何とか努力してみようというところはまだいいです。しかし、こんなものがあるけれども、ストレスチェックテストというものをやって、あと回収するぐらいでいいやというところまで、様々温度差があるのも確かです。
 しかし、先日、私が質問させていただきましたいわゆる健康経営という考え方の中におきまして、生産性を左右する症状の上位の中にも、頭痛、不眠、肩凝り、いわゆるストレスが関係するような症状が大変多かったということが言えるかと思うんです。ということは、生産性を向上させるにおきましても、このようなストレスレスな企業をつくっていくということは大変重要な施策になってまいります。しかし、今回この目的というものを見ましても、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止が主たる目的であるということしか書かれていないんですね。これではなかなか企業はモチベーションが上がっていかないと思います。
 大臣、ちょっとお伺いさせていただきたいんですけれども、このようにメンタルヘルス対策というものが直接生産性を向上させ、そして企業に対しても大きなメリットがあるんだということ、どのような認識をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 私も友人に産業医をやっている精神科の医師がいて、特に東京の大企業などはかなりこのストレス、メンタルなストレスで、人知れず産業医に相談をしているという話を聞くわけであります。それが増えているということで、先生の方も忙しくてたまらぬと、こういうふうに言っていましたが。
 ということは、裏返してみると、やっぱりその方々、悩んでいらっしゃったり患っていらっしゃる、心の問題で悩んでいる方々はなかなかやっぱり一〇〇%仕事に力が出ないという可能性が高いということを私も聞いているわけでありますし、友人に産業カウンセラーなんかもいて、いろいろ聞いてみると、やはり元気な企業は元気な人間で成り立っているということで、それは心身共に元気でないといけないということだろうというふうに思いますので。
 今回、メンタルヘルスという観点からこのストレスチェックしっかり入れてやるぞということでありますが、今のお話のように、なかなか手間が大変だということでありますけれども、私もやっぱり健全な心身の下で企業業績も上がっていくんじゃないかというふうに思いますので、是非経営者の皆さんはここはぐっと頑張り、また、聞いてみると、さっきの、八割ぐらいしか衛生委員会がない、あるいは八割強、産業医がいないということでは良くないので、罰則付きでもあるこの衛生委員会の設置でもありますから、厚労省としてもやっぱり督促をして、更にこの設置を図っていくということが大事だというふうに思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 先ほどから大臣、経営者の皆様方に対してということで大変いろいろ御意見いただいているところでございます。是非こういうことを前向きにお話しいただければと、私としてはお願いをさせていただきます。
 皆様方に資料三をお配りをさせていただきましたけれども、売上高の利益率、これ、リーマン・ショック後を見たところでございますけれども、メンタルヘルス休職者比率上昇の企業は売上率の下落幅が大変大きいということが分かっておりますが、生産性と比較したら、これは余り、メンタルヘルスの休職者比率上昇した企業、パラレルになっておりまして、大きく影響はないんじゃないかというような資料もまだまだ数値的には出てくるんですね。
 だから、もっともっと厚労省の方でも、さきにもお願いいたしました健康経営というような指標で、健康会計という指標でしっかりもう一度こういうメンタルヘルスと生産性の向上というものを結び付け、現在研究中だということも伺っておりますので、様々な結論を出していただき、このメンタルヘルスのチェックテストというものを更に裏打ちしていただくようなデータをいただきたいと、私からはお願いを更にさせていただきたいと思います。
 フローチャートの中にございます実施者というような方々が中心になって実際に動かしていくことになるんですけれども、ここに医師、保健師、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士が含まれるということになっておりますが、ここでいつも私どもが頼りにいたしまして、こういうメンタルヘルスのときに相談をいたしております臨床心理士や産業カウンセラーが含まれておりません。これはなぜなのか、教えていただけますでしょうか。
○大臣政務官(高階恵美子君) 先ほど大臣からも説明させていただきました中で、心身共にというくだりがあったと思います。この度のストレスチェックの実施者ですけれども、心理的負荷の状態、評価の結果を踏まえて、医師による面接指導が必要かどうかといった最終判断をするという立場になってございまして、そうした観点からいたしますと、身体の構造、機能、疾病等といった心と体の健康に関する基礎的な知識を有するということを前提としている関係上、法令でこれらが保障されているものであることが必要という前提でございます。
 ただ、今御指摘の臨床心理士あるいは産業カウンセラーにつきましては、この度の制度の趣旨からいたしますと、より一層の活躍ということも期待されておりますわけで、メンタルヘルスに関する知識、技能を有するこうした方々については、追加的な面談を実施していただくとか、あるいは労働者からの相談対応に当たっていただく、あるいはストレスチェック結果の集団分析を行うことになっておりますが、この分析の結果に基づきまして職場の改善、こうしたところでの助言という役割、期待をさせていただいているところでございます。
 その旨につきましても、ストレスチェック制度に関する指針の中に明示をさせていただいたところでございますので、今後この制度を施行に向けて様々な体制整備ができるよう、指針の普及、活用、あるいは周知徹底に努めてまいりたいと思いますし、より一層、労働者の方々の生産性向上と健康の維持に役立っていきますように、こうした職種の方々にも協力をいただいてまいりたいと考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 本当に、資格ではなく実がある指導ができるような方々をしっかりと配置をし、そしてチームでやっぱりこれは労働者の皆様方を支えていこうじゃないかというような体制を示していただくこと、これが一番重要かと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次にお尋ねしたいんですけれども、産業医からの相談も増えてまいりました。と申しますのも、実際に産業医をやっていても、これはちょっと今まで経験もない、できないよという方々が多いのも確かでございます。こういうふうに、受皿がなければ大変不幸で、やったまま、そのまま、どうやって指導していいのか分からないということになってしまったら、宝の持ち腐れでございます。
 産業保健を担える医師を今後どのように育てていくのかということについても、御意見、政務官、いただけますでしょうか。
○大臣政務官(高階恵美子君) 指針等におきましては、産業医の、職場の状況あるいは健康づくりに精通した医師がこういった仕事に、制度の運用に従事していただくということが望ましいとしてはおりますが、それに加えて、今ほど先生が御指摘いただきましたとおり、実際にどう動かしていくのかといったようなところの考え方あるいは対応、そういったことについては実施マニュアルを改めて作成させていただいておりまして、これに基づく研修を今後全国の産業保健総合支援センター等におきまして展開していくということをただいま準備中でございます。
 具体的には、面接指導を行う医師を含めまして、この制度の実施者向けの研修という位置付けでございまして、なるべく幅広く各産業保健総合支援センターにおいてこうした研修を受けていただいて、具体的な事例の集積なども含め知見を集積していただく中で資質の向上を図ってまいりたいと、このように考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、まとめて質問をさせていただきたいと思います。
 と申しますのも、これ、個人への介入ということであればただの対症療法なんですね。一番ここで肝腎になってくるのは、この集団に対してどういう措置を行っていくのかということなんですけれども、私も医師として企業の中に入ってくると、やっぱり、どう業務改善につなげていけばいいのか、配置転換につなげていけばいいのか、これは一番難しい問題です。
 ですから、そこまで助言できる医師を育成していくということ、大切なんですけれども、その前に、部署ごとのストレスチェックの集計、分析というのが努力義務で止まっております。しかし、多くの場合、高ストレスの部署には様々な構造的な問題がはらまれているはずなんです。また、指針では、このような業務改善というもの、いわゆる職場環境の改善が望ましいというふうにされているにすぎません。
 一番肝腎なところが努力義務であり、望ましい、これは私はあってはならないんではないかと思っておりますし、こういう高ストレス状態の集団というものが認知できたにもかかわらず、努力義務だから放置しておこうかということになったら、安全配慮義務違反になり得るんではないかとも思いますが、政務官、いかがでしょうか。
○大臣政務官(高階恵美子君) 個別の事案について、一概に安全配慮義務違反が認められるかどうかと問われますと、なかなかお答えが難しいというのが率直なところでございますが、その一方で、厚労省といたしましては、メンタルヘルス不調を未然に防止する、このことを実効性がある形で運用してまいりたいと考えておりますので、集団ごとの集計あるいは分析の結果に基づいて職場の環境が改善される、この具体的な取組を行っていただくことは極めて重要だと考えております。
 そうしたことから、この制度の実施に向けて、職場環境改善の取組が適切に行われるように周知徹底に努めてまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 部長、ちょっと教えていただきたいんですけれども、なぜ努力義務にとどまってしまったんでしょうか。まさにここが一番肝の肝だと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(土屋喜久君) 御指摘の集団ごとの集計、分析につきましては、元々、法案審議の際に厚生労働委員会の附帯決議として、「職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。」という附帯決議をいただきました。
 これを踏まえまして、昨年十月から労使や専門家を参集した検討会で検討してまいったところですが、この検討会の報告におきましては、集団的分析の重要性、これを指摘しつつ、一方で、現時点では集団的分析が広く普及している状況にはなく、手法が十分に確立、周知されている状況とは言い難いことから、まずは集団的分析及びその結果に基づく職場環境の改善の取組を事業者の努力義務とし、その普及を図ることが適当であるというふうにされたところでございまして、これを踏まえて、労働政策審議会の審議も経まして、このような形で努力義務として規定させていただいているところでございます。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 ということは、今後こういう事例を、いわゆるケーススタディーのようなものを積み重ねることによってしっかりとしたマニュアル等も作成していただけると考えてよろしいんでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) 好事例の収集などをしっかりやってまとめてまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 じゃ、最後に、大臣、お伺いをさせていただきたいのですけれども、やはり事業者が集団に対してどのような措置をとればよいのか分からないというようなケースがまだまだ多うございます。事業者に対してどのような対処方法というものを今後プランとして考えていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、改正労働安全衛生法でストレスチェック制度がスタートをするわけでございますけれども、この附帯決議において、「労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。」というふうにされているわけで、今の集団的な分析をどう考えるかと、なかなか微妙なところがあるわけでありますが、これを踏まえて、今回の規則、労働安全衛生規則を改正して、個々の労働者のストレスチェックの結果を事業場の部署などの集団ごとの集計、分析することを努力義務として規定をしたということで、一歩前進と考えるべきなんだろうというふうに思います。
 ストレスチェック結果の集団ごとの集計、分析の結果を踏まえて事業者が職場環境を改善するための必要な措置を講ずるためには、先生御指摘のように、具体的な対処方法を周知するということが重要だというふうに思っております。そのために、ストレスチェック制度の実施マニュアルに参考となる事例を掲載をするとともに、各都道府県に設置している産業保健総合支援センターにおいて、事業者からの具体的な対処方法等に関する相談について対応をしているという形を今取っているわけであります。
 本年十二月にストレスチェック制度が施行されるわけでありますが、今後とも事業者に周知を更に徹底していきたいと思いますけれども、さっき申し上げたように、衛生委員会も産業医も不備であるならば、それでは大前提が狂ってしまいますから、そういうところからきちっとやるためには、事業者のやっぱり意識啓発というものをしっかりやっていくということが大事だなというふうに改めて感じているところでございます。
○薬師寺みちよ君 時間ですのでこれで終わりますが、いわゆる厚生と労働と一緒になった意味は、やっぱりこういう産業保健という一番連携しやすい部分を相乗効果を持って行っていくことだと思うんですね。しかし、一番谷間になってしまって手薄な部分となってしまっていることをここで私は申し上げまして、更なる共に努力を続けていきたいということで、よろしくお願い申し上げます。
 これで終わります。ありがとうございます。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず冒頭、動物実験による化粧品についてお聞きをいたします。
 EU、イスラエル、インドでは既に化粧品の動物実験が法律的に禁止されております。韓国では代替法が存在する試験のみ化粧品の動物実験を禁止する方向にあり、ニュージーランドでは国内での化粧品の動物実験の禁止を可決をしました。このような流れがある中、日本ではなぜ動物実験禁止ができないのでしょうか。
○政府参考人(神田裕二君) 医薬品医療機器法に基づきます化粧品につきましては、製造販売の届出に当たりまして動物試験のデータの提出を求めていないところであります。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 一方で、医薬部外品に当たりますいわゆる薬用化粧品の承認申請においては、OECDテストガイドラインとして採択された代替法の試験の結果があれば動物試験のデータを求めていないところであります。
 一方で、人での使用経験がないような新規の有効成分の場合には、それを含有します薬用化粧品の場合には、現在確立されている代替法だけでは人での安全性を確認することが困難であるため、最低限必要な動物試験のみを求めているというところでございます。
○福島みずほ君 ただ、EU、イスラエル、インドがやっていて、ニュージーランド、韓国などもどんどんその方向に、世界的には動物実験、化粧品については禁止する方向にあります。日本の名立たる化粧品会社も動物実験を禁止しているというところもありますし、また、日本の製品でEUに輸出するものは動物実験していないわけですよね。だとしたら、やれるんじゃないですか。
○政府参考人(神田裕二君) 日本では、日本動物実験代替法評価センター、JaCVAMと言っておりますけれども、そこにおきまして、民間企業の研究機関、大学、公的研究機関が開発した代替法の評価を行っているところでありまして、厚生労働省としては、その活動を支援するとともに、安全性評価に利用できる代替法の活用に関する留意点をガイダンスとして整備をして、業界における利用促進を図っているところであります。
 また、医薬部外品に当たる薬用化粧品の承認申請に関しましても、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく3Rの原則に基づきまして、代替法で置き換えられるものについてはできるだけ置き換えると。また、やむを得ず動物試験を実施する場合であっても、動物の苦痛や動物数を減らす試験法を採用するよう、これまでも化粧品会社の実務担当者に対する説明会等の場を通じて指導してきているところでございますけれども、今後、企業に対する一層の指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
○福島みずほ君 でも、例えばウサギの目に七十二時間以上点眼を継続したりラットやマウスの口に強制的に物資を投与したりとか、そういうことをやっていると。今おっしゃった国の体制も非常に弱くて、専門職員は一人だけ、年間予算も約二千五百万円にすぎないと言われています。これに比べて欧州の代替法評価センターは、人員、予算共に日本の百倍以上というのがあります。ヨーロッパでは、ボディショップとかあるいはラッシュとかいろんなところも含め、もうだから動物実験しない、全て化粧品やっていないわけですよね。
 日本の化粧品会社も、輸出するときは動物実験をやっていない製品でやっているわけだったら、やれるんじゃないか。あるいは、もっと代替法についてしっかりやるように予算と人員を確保する。つまり、この管轄はどこかと言ったら厚生労働省なんですね。厚生労働省がはっきりと化粧品の動物実験をできるだけ少なくしていく方向にしっかりかじを切るべきではないですか。
○政府参考人(神田裕二君) 先ほども申しましたように、日本の化粧品会社でも、代替法の開発などを行った場合には、先ほど申し上げた動物実験の代替法評価センターで評価をいたしまして、必要な場合にはそれをOECDの方に推薦するというような取組をしっかり行ってまいりたいと思っております。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 それから、日本でも全面的に禁止すべきではないかという御意見でございますけれども、カナダですとか欧州、それから米国の化粧品の規制当局が参加いたします化粧品規制協力の国際会議におきましても代替法についての議論が行われているところでございますので、引き続き、会議における議論ですとか各国の動向について注視しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○福島みずほ君 代替法ももちろん重視するとか、例えばリプレース、動物を使わない、リダクション、動物使用数の制限、リファインメント、苦痛の削減とか、もちろん必要なんですが、今日私が質問しているのは、EU、イスラエル、インドで既に化粧品の動物実験が法的に禁止され、韓国でも代替法が存在する試験のみ化粧品の動物実験を禁止する方向、ニュージーランドでは国内での化粧品の動物実験の禁止を可決した、そういう方向があるのだから、日本も少なくとも検討をもう少し始めたらどうか。いかがですか。
○政府参考人(神田裕二君) 確かに、先生御指摘のように、ニュージーランドですとかヨーロッパ等ではそのように進んでいることは確かでございます。ただ一方で、カナダですとか米国ではまだそのようになっておらないわけでございます。こうした全体的な世界におけます規制の状況について、先ほど申し上げたような国際会議におけます場の議論というものも踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
○福島みずほ君 実際どういう動物実験をやっているのか、把握していらっしゃいますか。
○政府参考人(神田裕二君) 今手元で把握しているもので申しますと、試験項目について、医薬部外品として動物試験の結果を求めている項目、十数項目の試験項目のうち代替法が開発されているものはまだ三項目ということでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げたような具体的な代替法の開発であるとか評価を進めまして、できるだけ動物試験を行わないようにということをまず進めていきたいというふうに考えております。
○福島みずほ君 医薬品はちょっと置いておいて、化粧品に関して、やっぱり動物実験を本当にしていかない。白斑の化粧品が問題になりましたが、あれはラットとかいろいろやっても出てこなかったんですね。ですからやっぱり違うし、それから、今だと人工的に何か物を作って、そこに点眼してどうかなんということもできるわけですから、できるだけ代替法を活用して、その進展をしていただきたい。いかがでしょうか。
○政府参考人(神田裕二君) 先ほども申し上げましたけれども、官民それぞれの研究機関等を通じて代替法の研究開発も進んでいるところでございます。具体的に民間企業からもそのような開発も進められて提案もございますので、先ほど申し上げたような評価をいたしまして、できる限り代替法が広く行われるように、我々としても業界に対して指導をするということも含めて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○福島みずほ君 日本の大手化粧品会社は既に動物実験をやめています。そしてまた、外国に、ヨーロッパに輸出する場合は動物実験をしていないという製品を輸出していると。ということは、やれるではないかということを私は思っているんですね。是非、動物実験、本当になくしていく方向で、代替品でやれるものをもっともっとやっていただきたい。
 大臣、これ、厚労省管轄なんですよ、このテーマ。いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 動物実験をできる限り減らしていくというのは、その方向性で私もそのとおりだろうというふうに思いますし、世界は流れとしてもそういうふうになっているんだろうと思います。
 したがって、今いろいろお話がございましたけれども、代替法をできる限り開発をして、そういう方向でいくということに関しては、今、局長との議論を聞いてもそうだろうというふうに思いますし、私も動物愛護の精神に満ちた人間として、そうした方がいいかなというふうに思っております。
 ただ、人間の安全ということもよく考えないといけないので、そこをどうするかということで代替法が重要になってくるということだろうと思います。
○福島みずほ君 大臣の動物愛護精神だという力強い答弁、本当に心強いです。
 次に、私も、今日三人目ですが、ぐっと我慢していただいて、まあ取りあえず通すことだといって議論していただけると大変有り難いという、このホワイトカラーエグゼンプション、これ誰がどう見ても、ぐっと我慢していただいて、取りあえず通すって、拡大するということでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げているように、平均給与額の三倍を相当程度上回る水準というのは法律に書いてあります。これをいじらない限りは、引き下げたり引き上げたりすることはできません。上回るんだから、上げることはできるんですけれども、下げることはできません。
 したがって、先ほど来申し上げているように、言ったかも分からない人が目の前にいるときにどこまで配慮して言うかということであって、本当を言えばそういうことは言わないでくださいということで、考え方を変えてと言っているので、私は今の法律を通すということが大事だ、ですからそのまま応援をしてくれということを言ったつもりでございます。
○福島みずほ君 私は、これから非正規雇用が更に増え、派遣法の改悪で更に増え、年収、平均値下がると実は思っているんですよ。ですから、平均年収の三倍程度というので、実は下がるんではないかというふうにも思っています。
 でも、これやっぱり大変良くないと思うのは、取りあえず通すことだと。私たち国会の委員会では、いや拡大とか考えておりませんというふうな答弁をしておいて、それで取りあえず通すことだ、まあぐっと我慢して、ここは我慢して通させてくれよというのは、将来やっぱり改正で、政省令でなくても法律改正すれば通りますからね。派遣法がまさに小さく産んで大きく育てるという、ちっちゃく産んでどんどん大きくなっておりますので、結局このホワイトカラーエグゼンプションも、小さく産んで大きく育てる、ぐっと我慢して取りあえず通すことだと経営者の前で言うのは、厚生労働大臣としていかがなものかと。さっき動物愛護のことでは私は非常に有り難い答弁だったんですが、労働法制については極めて問題だというふうに思います。
 何かありますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 下がっていくというふうにお話をされていますけれども、実は今までデフレでした。それでも実は一般の労働者の平均給与は、若干下がっていますけれども、そんなに下がっておりません。したがって、平均給与の三倍を相当程度上回るといっているのが七百万になるだのようなことは、もうそれは大々デフレが起きたときぐらいしかあり得ないことであって、それは今までも、デフレ二十年近く悩んできましたけれども、そういうことになっておりません。
 したがって、繰り返しますが、法律改正がない限りは、経済界の一部が言っているようなレベルに下げるだのようなことはあり得ない話であって、政省令をいじるなんということでできる話では全くないということを重ねて申し上げておいた方がいいなというふうに思いました。
○福島みずほ君 しかし一方、言いたいことは、派遣法がそうですが、どんどんどんどん法律を改正して、もう業種を一切問わないという改正案が国会に掛かっているわけですよね。何が言いたいかというと、ホワイトカラーエグゼンプションも将来法律改正を繰り返すことによって、結局、この年収要件も法律改正すれば変えられるわけですからね、ということを思っております。
 次に……(発言する者あり)そのホワイトカラーエグゼンプション、いや、私は大臣の、今はぐっと我慢して取りあえず通させてくれというのはやっぱり問題だと。
○国務大臣(塩崎恭久君) だから、先ほど来申し上げているように、言ったかも分からない御本人の目の前で、つまり経済界ですよ、その人たちの前でもう言うのはやめてくださいとストレートに言うか、あるいは若干遠回しに、少し我慢してくださいよ、余り言わないでくださいね、このまま行かせてくださいよということを言っているだけの話であって、おっしゃっているようなことは当たっておらないというふうに御理解を賜りたいというふうに思います。
○福島みずほ君 いや、それはやっぱり納得できなくて、ちょっとぐっと我慢して取りあえず通すことだというのは、この後はちょっと考えるからねというニュアンスだと私は思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) まあ、国語の授業じゃないですけれども、ともあれ通すとか、ともあれやろうとか、何かあるじゃないですか。別に、それがあったから、それの後また第二弾やりましょうみたいな話を言っているわけじゃなくて、何しろ、いろいろおっしゃる方がいるのでちょっと黙ってもらって、ここはこのままやらせてほしいと言っているのであるので、そういう誤解をされると非常に私としては心外であります。
○福島みずほ君 いや、言葉としてはそうしか読めないじゃないですか。
 では、次にホワイトカラーエグゼンプションについてなんですが、労働者は始業、終業時間、休日の取得を自由に決めることができますか。法律のどこにそう書かれていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今国会に提出して、これから御審議をお願いをする労働基準法等の一部を改正する法律案におきまして、高度プロフェッショナル制度については、高度の専門的知識等を必要として、そして、その性質上、従事した時間と従事して得られた成果との関連性が通常高くないと認められるといった対象業務の要件を法律で規定をしております。
 こうした対象業務の要件や対象を、収入が高く交渉力がある方々に絞り込んでいることから、仕事の進め方や時間の配分が働く人の裁量に委ねられていることは明らかであると考えておりまして、今後、法律に基づく指針や通達においてその旨を明記をしてまいりたいと思っております。
○福島みずほ君 いや、質問に答えてないですよ。この法案のどこにも始業時間、終業時間、休日の取得ということを決められる条文ないじゃないですか。ということでよろしいですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) ですから、法律の趣旨として、仕事の進め方とか、今の終業、始業ということを含めて、時間の配分が働く人の裁量に委ねられているということは明らかだというふうに考えておるところでございます。
○福島みずほ君 でも、結局何も自由なことはないんですよ。働く人は、始業も終業も裁量も何も、休憩も本人の自由になるとか、いつ出ていってもいいんだとかというのは書いていないんですよ。だから、結局、仕事をやれということに縛られると。
 先ほど、健康確保措置の三つの点もやはり議論になりました。私もこれについてお聞きをします。
 一、二十四時間について一定以上の休息時間の確保と深夜勤務の回数制限、二、健康管理時間の上限時間を決める、三、四週四日以上かつ年間百四日以上の休日の確保のいずれかを選択すればいい、一択ですよね、一択。この場合、三、四週四日以上かつ年間百四日以上の休日の確保を選択すると、休日以外の日の労働時間は一切の上限がないということでよろしいですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これは午前中にも議論をいたしましたところで御説明もいたしましたけれども、高度プロフェッショナル制度の対象というのは、先ほど来申し上げているように、平均年収の三倍を相当程度上回るなど高い交渉力を有して、仮に本人が望まない働き方を強いられた場合には転職する選択肢もあるような、そういう高度専門職の方々であるわけであります。言ってみれば、年俸制で働くクリエーティブな才能を特殊な専門領域で持っている人ということであります。
 この制度の下では、事業場ごとに設置されます労使同数の委員会において、対象業務、対象労働者などを五分の四以上の多数で決議するということを求めるとともに、職務の内容や制度の適用に本人同意を要するということになっています。
 そもそも、この制度では働く方が自らの働き方を決められることが大前提であって、その上に、三つの今御指摘のございました健康確保措置、このうちのいずれか一つの措置を講ずることを使用者に求めておるところでございまして、さらに、自分の判断で働いても、それが長時間に及ぶ場合には健康確保のための手厚い措置として健康確保措置、すなわち健康管理時間を管理してそれを残業時間で、我々が想定しているのは百時間、月に百時間以上と思っておりますが、こういった場合には医師による面談指導の実施義務が罰則付きで掛かるという労働安全衛生法の改正も考えているところでございまして、こういった対象となる方々の絞り込みや労使委員会による決議等の仕組み、厳しい健康確保のための措置といった制度設計によって今御指摘のあったような極端な御懸念は払拭をされ、制度を選んだ方が健康を確保しながらその意欲や能力を存分に発揮できるものだというふうに考えているところでございます。
○福島みずほ君 質問に答えてくださいよ。同意があるとか何分の何の賛成とかいうことを一切聞いているんじゃありません。この健康確保措置は一択で、その一つを選択したときの労働条件が違法か合法かを聞いているんです。
 つまり、これは、例えば三を選択すると、四週四日以上かつ年間百四日以上の休日の確保だから、労働時間の一切の上限は規定がないんですよ。それでいいということでしょう。三六協定不要、残業代不要なんですよ。二を選択したら、健康管理時間の上限時間を決めれば三百六十五日出勤せよと命じてもいいことかということですよ。そういう極端な働き方はないとこの間言ったけれども、私が聞きたいことは、違法なのか合法なのかということを聞きたいんです。違法でなければ労働基準監督官も入れませんし、弁護士も裁判はできません。
 だから、結局、三を選択すると休日以外の日の労働時間の一切の上限がないということでよろしいですか。二を選択したら三百六十五日出勤せよと命じてもいいということでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) そもそも、この高度プロフェッショナル制度は、もう何度も申し上げておりますけれども、今申し上げた現行の労働時間規制、これについては適用除外をするということになっています。その働き方に合った健康確保のための新たな規制をその代わりに枠組みとして設けるものでございますので、今私が説明を申し上げたとおりの枠組みでこの新しい制度は構成をされているということでございます。
○福島みずほ君 いや、答えていないですよ。
 この三つは一択なんですよ。一つでも満たせばいいということで、とすると、それ以外については労働時間規制ないわけでしょう。労働時間管理がなくなるから、休日も深夜労働も休憩も労働時間もなくなるわけですから、一択、どれかを選択したら、あとは何も制限がない、それでよろしいですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話ございましたように、一択でしょうというのに対してはそのとおりでございます。
 一般の労働者の皆さん方とこの三択の中身を見てみると、例えばインターバル規制というのは終業から始業までの間の一定時間は置けと、空けろということでございますが、これは通常の労働者にはそういう規制はありません。それを入れてもいいということでありますから、インターバル規制かつ深夜業の回数制限というものがまずあるわけであります。
 それから、上限規制についても、一般の労働者は、告示により月の時間外労働の上限、一か月四十時間等を定めているわけでありますけれども、これは強制力はございませんが、高度プロフェッショナル制度の場合には絶対上限規制というもの、つまり健康管理時間が一か月又は三か月について一定時間を超えてはいけないという上限規制を設けるというのがもう一つの選択であります。
 休日規制についても、四週間につき少なくとも四日の休日付与、ただし休日労働規制に係る協定の締結、届出によって割増し賃金を払えば労働させることができるというのが一般の労働者ですよね。それに対して高度プロフェッショナル制度の場合には、四週間を通じ四日以上かつ一年間を通じて百四日の絶対休日規制を設けるという、この三択のうちの一択を選んでくださいということを申し上げているわけでございまして、一般の方々の規制よりもかなりきつい規制を一つ選んでいただきたいということと、先ほど申し上げたように、ほかではない罰則付きの実施義務のある医師による面接指導というものがあり、自分で裁量的に働き方を選ぶ能力を持ち、そういう立場を選んだ人たちがそれでも時間を超えて残業時間をたくさんする場合には医師が面接をして指導しなければならないということを入れていると、こういうことでございます。
○福島みずほ君 三択のうちの一択ですから、例えば四週四日以上かつ年間百四日以上の休日の確保を選択をすると、この休日以外の日の労働時間の上限はないんですよ。二を選択すると、健康管理時間の上限を定めるだけですから、三百六十五日出勤せよと命じても、それは違法にはならないんですよ。これ、三つが要件じゃなくて、一個しか選べないんですから、あとは一切規制がないんですよ。それはすさまじい働き方です。
 もう時間がありませんから、結局、今回の法案には過労死認定時間を超える労働を禁止する措置は何もありません。使用者は個々の対象労働者の労働時間を管理、記録しておく義務がなくなるので、過労死した労働者が何時間働いていたのか、極めて分からなくなります。新しく創設する健康管理時間にしても、実労働時間ではないので、過労死基準の労働時間の認定が極めて困難になるというふうに思います。
 このホワイトカラーエグゼンプションも派遣法の改悪法も廃案にするしかないということを申し上げ、質問を終わります。
○委員長(丸川珠代君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会