第189回国会 環境委員会 第13号
平成二十七年八月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 八月二十五日
    辞任         補欠選任
     石上 俊雄君     長浜 博行君
 八月二十六日
    辞任         補欠選任
     酒井 庸行君     鴻池 祥肇君
     山谷えり子君     山下 雄平君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         島尻安伊子君
    理 事
                高橋 克法君
                中西 祐介君
                水岡 俊一君
                市田 忠義君
    委 員
                岩城 光英君
                尾辻 秀久君
                鴻池 祥肇君
                佐藤 信秋君
                中川 雅治君
                中曽根弘文君
                山下 雄平君
                吉川ゆうみ君
                小見山幸治君
                櫻井  充君
                長浜 博行君
                浜野 喜史君
                杉  久武君
                清水 貴之君
                水野 賢一君
       発議者      中西 祐介君
       発議者      水岡 俊一君
       発議者      清水 貴之君
   委員以外の議員
       発議者      末松 信介君
       発議者      石井 正弘君
       発議者      谷合 正明君
   国務大臣
       環境大臣     望月 義夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻井 敏雄君
   政府参考人
       国土交通大臣官
       房審議官     佐々木 良君
       環境省水・大気
       環境局長     高橋 康夫君
       環境省自然環境
       局長       奥主 喜美君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する
 法律案(末松信介君外十一名発議)
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○委員長(島尻安伊子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石上俊雄君、酒井庸行君及び山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として長浜博行君、鴻池祥肇君及び山下雄平君が選任されました。
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○委員長(島尻安伊子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省水・大気環境局長高橋康夫君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(島尻安伊子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(島尻安伊子君) 瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○市田忠義君 おはようございます。日本共産党の市田です。
 今回の改正案には、具体的な施策として、関係府県が干潟についても自然海浜保全地区に指定することができるということが追加をされております。
 干潟は私は大変大事だと思って、これは大賛成なんですけれども、改めて提案者にお聞きしますが、これは今度の法案で新設される基本理念の中にある瀬戸内海を豊かな海とするために、藻場、干潟などの保全を具体的な施策として盛り込んだと、そう理解していいでしょうか、簡潔にお答えください。
○委員以外の議員(末松信介君) 市田先生の御指摘のとおり、十二条の七、自然海浜保全地区の指定に係る干潟の明記と存じますけれども、ここに並んでおります発議者全員、そのように理解をいたしておりまして、間違いございませんです。
 なお、昭和二十年、干潟の面積が一番ピークとした場合、今日、比較しまして四二%が減少しておりますので、魚の卵がそこに産み付けることができないとか、いろんな自然循環がうまくなされないといったようなこと、水質の悪化等々、いろんな原因がありますので、干潟を是非これから取り戻していきたいと思っております。
○市田忠義君 瀬戸内海の生態系や自然環境を保全していく上では、今発議者が言われましたように、干潟を保全していくということが極めて重要なことは明らかだと思います。
 しかし、その干潟や藻場を法成立時からずっと埋め立てられてきて、瀬戸内法によれば、埋立ての免許又は承認に当たっては、瀬戸内海の特殊性に十分配慮しなければならないと、こう規定されていますが、このように規定された理由は、埋立てが瀬戸内海の水質悪化や泥質汚泥の元凶だったからと、これは環境省にお聞きしますが、そういう理解でよろしいでしょうか、これ現行法の問題ですから。
○政府参考人(高橋康夫君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、干潟、藻場は瀬戸内海の水環境の保全にとって大変重要でございます。そういう意味で、瀬戸内海の環境保全特別措置法におきましては、法制定当時から、その特殊性に十分配慮して埋立てについては対応するようにという規定がなされているというふうに理解してございます。
○市田忠義君 法が施行されたのは一九七四年でしたが、一九七四年から現在までに埋め立てた埋立免許面積、これは環境省、どうなっているでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 瀬戸内海環境保全臨時措置法が施行されました昭和四十八年十一月二日以降に、瀬戸内海におきまして、公有水面埋立法に基づく埋立ての免許又は承認の面積は、平成二十六年十一月時点でございますけれども、一万三千二百十五ヘクタールというふうになってございます。
○市田忠義君 それは五十ヘクタール以上ですね、対象となっているのは、その面積は。
○政府参考人(高橋康夫君) これは、埋立免許、承認につきましては面積にかかわらず五十ヘクタール以下でも必要とされておりますので、基本的に全ての埋立ての面積というふうに理解をしてございます。
○市田忠義君 これ一万三千二百ヘクタールといいますと、東京ドームに換算すると二千八百個以上に相当する大変広大なものなんです。非常に広大な藻場や干潟、自然海岸、浅場が埋立てやられてしまったわけです。例えば関西空港、それから神戸空港の建設では、大量の埋立てがやられたために海流が変化して大阪湾の水質が悪化して、なかなか改善されておりません。あるいは、米軍の岩国基地の滑走路の沖合拡張ですね、広大な藻場が埋め立てられて水産資源に重要な影響を与えています。
 環境大臣にお聞きしたいんですけれども、埋立てによって消滅した藻場、これは魚介類の生育の大変大事な場だったと思うんです。また、干潟や浅場などには膨大な懸濁物食生物、要するにアサリとか二枚貝あるいはフジツボ、これらが生息して、浄化機能という点での重要な役割を果たしてきました。ところが、それらが消滅したことによって物質循環が変化をして、生態系ひいては水産生物に大きな影響をもたらしている。私は、瀬戸内海の生物多様性と生態系を保全するためには埋立てを原則禁止するなど、規制をもっと強化すべきじゃないかと。
 この点についての環境省の基本的な考え方、大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(望月義夫君) 瀬戸内海での埋立てにつきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法において瀬戸内海の特殊性に十分配慮しなければならない旨が規定されております。そういったことから、今、埋立て、それからまた砂利の問題等、様々ございますが、こういった瀬戸内海の例えば砂利採取については、同法に基づき本年二月に閣議決定された瀬戸内海環境保全基本計画において、これまでの府県の条例等の運用を踏まえて、例えば砂利については原則としては行われないと、こんなふうなことも決めさせていただいております。
 やはり、先生おっしゃったように、これらの施策は新しい基本計画に盛り込まれた生物の多様性の確保など豊かな瀬戸内海を目指すという観点からも重要と考えております。
○市田忠義君 砂利の採取は聞いていないんです。埋立てがこれだけ法施行後も、先ほど紹介があったように、東京ドームが三千個分ぐらい埋め立てられているわけですから、原則禁止という方向でやるべきじゃないかという基本的な考え方は環境省にあるのかと聞いているんです。海砂利問題は後で触れます。
○国務大臣(望月義夫君) この問題につきましては、近年、埋立ては大変減少しているという実情がございます。我々もその埋立ての実情を様々把握してまいりましたが、様々、景気の動向とか世の中の流れの中で埋立てが減少しているというようなことがございますが、こういった瀬戸内海の環境保全特別措置法においては瀬戸内海の特殊性について十分配慮しなければならないと規定されていることを踏まえて、やはり、例えば国立公園内が我々環境省の管轄になるわけでありますけれども、事前届等により環境省として適切に対応することがこれは必要であると、このように思っております。
○市田忠義君 配慮規定があることは知っていますし、減少していることは事実なんですけれども、なくなっていないという現状をやっぱりしっかり認識して、もっとやはり規制を強化すべきだということだけ指摘しておきたいと思いますが。
 じゃ、埋め立てた後、どうなっているかというのも問題であります。私は、藻場や干潟を潰して造った兵庫県姫路市の揖保川河口埋立地、これを見てきました。
 ここは元々、クルマエビが大変たくさんいた藻場でしたが、埋め立ててから二十年近く今たとうとしていますが、そこにあったのは、埋立地にどういうものが造られているかというと、流域下水道終末処理場ぐらいで、多くの土地がまだ未使用なんですね。埋め立てたけど使われていないわけです。
 だから、これは国交省に聞きますけれども、五年以上あるいは十年以上、二十年以上使用されていない埋立地、これはどれぐらいあるか、つかんでおられるでしょうか、埋め立てたけど使っていないというわけですね。
○政府参考人(佐々木良君) お答えさせていただきます。
 貴重な国民共通の財産でございます公有水面において埋立て等を行う際には免許等が必要でございますが、一定規模以上の埋立てにつきましては国土交通大臣の認可等が必要となっておりますが、この事務、免許、許可等につきましては都道府県知事等の事務となっております。このため、国土交通省としては、竣功後の埋立地の土地利用状況につきましては把握しておりません。
○市田忠義君 極めて無責任なんですよ。
 公有水面の埋立ての責任は都道府県に権限がある、それは分かっていますよ。しかし、交付金なんかを国は出しているわけでしょう。埋め立てたその埋立地がどう利用されているか、つかむぐらいは当たり前じゃないですか。なぜ、つかまない。
○政府参考人(佐々木良君) 交付金を出しておる事業もございますが、地方単独事業もございまして、これらの権限につきましては、今都道府県知事等の事務となっておりますので、把握していないところでございます。
○市田忠義君 じゃ、交付金出しているのはつかんでいるんですか。
○政府参考人(佐々木良君) 一部調査しているものもございます。
○市田忠義君 結局つかんでいないんですよね。
 じゃ、環境省は、瀬戸内海の環境をきちんと保全して、水産資源なんかもきちんと確保していくという角度からはつかんでいらっしゃいますか。これ、つかんでいるかつかんでいないだけで結構です、理由なんかは別にいいです。
○国務大臣(望月義夫君) 様々な形で調査はしております。
○市田忠義君 極めて曖昧ですね、様々な形で調査して。
 つかんでおられますか。
○国務大臣(望月義夫君) この問題については、やはり埋立地、様々な形の中でそういったものがございますが、これは我々もそういったものについては注視をしているところでございますが、未利用の土地の活用ということになると思いますけれども、これは中央環境審議会の答申において指摘がなされているところでございまして、本年二月の閣議決定された瀬戸内環境保全基本計画におきましても、沿岸域の環境の保全、再生及び創出に関する施策が盛り込まれているところであります。
○市田忠義君 国交省も環境省もまともにはつかんでいないということがはっきりしたと思うんですが。
 少し前ですけれども、ローカル紙ですけれども、四国新聞、ここが、沿岸自治体が所有する売却可能な土地、どれぐらいあるかちゃんと調べているんです。九百八十ヘクタール。十ヘクタール以上の遊休地などを調べた別の調査によると、七百六十四ヘクタールというものもありましたし、環境団体が独自に調査したのもあります。例えば大阪湾と播磨灘の遊休地は、行政が所有するだけで千二百ヘクタール、これが未利用のままだということも報告をされているわけですから、私はやっぱり実態を把握しないというのは極めて重要だということを指摘しておきたいと思うんです。
 これ、環境大臣に聞きますが、こういうふうに長年使用されていない埋立地がたくさんあると。現行法では、埋立ては厳に慎むとされて、やむを得ない場合に限って最小限認められると、こうしてきたんです。しかし、使用されていない多くの埋立地が現にあるわけですから、新たな埋立てを安易に認めるんじゃなくて、まずは埋立未利用地、遊休地などがどうなっているかを調査すると、これはいかがですか。少なくとも調査すると、環境を守っていく上で、埋め立てたところが未利用になっているということを少なくとも調査する、新たな埋立てを最大限抑制する、これが先決じゃないかと、この点についての環境省の考えはいかがですか。昨日通告しておきましたよ、ちゃんと。
○国務大臣(望月義夫君) 埋立てに関する事務を所管する国交省においてやはりこれは適切に対応されるものとは考えております。
 ただ、先ほど申しましたように、中央環境審議会の答申でございますけれども、ここでは、現在利用されていない埋立地や塩田跡地が、この未利用地があるということで、この沿岸域における多様な生物の生息の場となっているという指摘もございます。先生が今御指摘なされたことでございます。数年置いてあると、そういうことである意味では多様な生物の生息の場になっていると。景観や生物多様性の保全に配慮しつつ、そういった土地の利用目的の見直しや一時的な利用、新たな埋立計画地の代替地として活用等について検討することが必要であるというような答申もいただいておりますので、この辺のことをしっかりと我々も対応してまいりたいと、このように思っております。
○市田忠義君 香川県の小豆島に内海港、ここを埋め立てて下水処理場を造る予定があったんですが、これ計画が白紙になりました。その後の利用計画はありません。にもかかわらず埋立てはまだ続いているんですね。
 これやっぱり実態調査して、計画が中止されたんだったら今の瀬戸内海の状況も考えて貴重な生態系や自然環境を回復させると、そういう立場に環境省は立つべきだと思うんですが、昨日これ通告しておきましたが、現場の状況はちゃんとお聞きになったでしょうか、いかがですか。
○政府参考人(高橋康夫君) 現地の状況については国交省の方で把握をされているというふうに理解しておりまして、私ども詳細は承知してございません。
○市田忠義君 昨日ちゃんと通告をして、突然聞かれたらもちろん分からないだろうから、小豆島の内海港を埋め立てて、しかしそれは計画は白紙になっていると。その後の利用計画はない。にもかかわらず埋立てが続いているわけだから実態調査しなさいと。計画が中止されたんなら、環境省としても今の瀬戸内の状況を考え、そのために今度の法改正やるわけでしょう。やるんだったら、そういうことをきちんと、これは共同で一致する会派が提案しているんだから環境省は関係ないと考えずに、やっぱりそういう実態を少なくともこういう法案が議員立法で改正案が出ているんだったら調べておくと。しかも、突然私聞いたんじゃないんですよ。こんなこと突然聞いても分からないのは当然だから、地名まで言っているわけですから、やっぱり瀬戸内の環境、生態系を守るのは環境省の責任だと、環境行政の所管庁は環境省なんだから、そういうことをきちんとやるべきだと指摘しておきます。
 国交省に聞きます。瀬戸内海の藻場や干潟、自然海岸、浅場、この造成にはどういう土砂が使われていますか。
○政府参考人(佐々木良君) お答えさせていただきます。
 国土交通省では、良好な海域環境の再生、創出というものが重要であると認識しておりまして、これまで藻場、干潟の造成等に取り組んできたところでございます。その際、地元と調整の上、航路や泊地等の港湾整備で発生しましたしゅんせつ土砂等を有効活用してまいったところでございます。
 今後とも、環境に配慮いたしまして、藻場、干潟の保全、再生に努めてまいりたいと考えております。
○市田忠義君 先ほど紹介した兵庫県の埋立地を私見てきましたが、広大な未利用地が残されている隣でしゅんせつ土砂や産廃などを捨てる埋立てがどんどん進んでいるんですよ。こういう造成には、今おっしゃったように、しゅんせつ土砂、しゅんせつ泥と産業廃棄物を混合したものなどが使われています。やっぱりしゅんせつ土砂というのは底質に有害物質が含まれている可能性があるわけで、そのまま沖合の海に捨てることができないと。だから、埋立ての規制を強化しないのは、捨場に困っている様々な業界を助けるために環境には目をつぶっていると言われても仕方がないんじゃないかと。
 これは、環境の観点から見て環境省どうですか。
○政府参考人(高橋康夫君) 埋立てについては必要最小限にとどめるということでございますけれども、廃棄物の処理という観点でどうしても必要な部分もございます。その辺につきましては、きちんと基準を作りまして、環境保全上問題がないようにしっかりと対応していきたいと思っております。
○市田忠義君 必要最小限にとどめると言いながら、埋め立てたところが未利用地がいっぱいあるのに、その隣でまた埋立てやっている。これ、誰考えてもおかしい、何が最小限に抑制かと、そういう認識はありますか。埋め立てたのに使われていないところがいっぱいある、その隣でまた新しい埋立てを産廃なんかも含めてやられているという現実は、実際に見て、調べて、もし分かっていないんだったらこれからでも調べるという約束してください。
○政府参考人(高橋康夫君) 未利用地の正確な実態については、必ずしも現時点では把握をしてございません。今の御指摘も踏まえまして、国土交通省とよく連携をして実態の把握をまずしていきたいと思っております。
○市田忠義君 実態の把握をすると約束されました。
 時間が来ましたから終わりますが、結局規制を強化できないというのは、瀬戸内海の生物多様性、生態系の保全よりも企業や業界の利益を優先するという立場が根底にあると。やっぱり環境行政をつかさどる規制官庁としての役割を私は環境省は十分に果たしていないと。改めて、瀬戸内海の生物多様性、生態系を守るために、せっかく残されている藻場や干潟、自然海岸、浅場、これ以上埋め立てない、埋立ては特別必要がない限り原則禁止にすべきだということを指摘して、時間が来ましたので質問を終わります。
○水野賢一君 無所属の水野賢一でございます。瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案についてお伺いをいたします。
 今までは、水環境保全とか水質汚濁対策というのは、基本的には水中の中の汚濁物質を減らしていくということに主眼を置いていたことが多かったわけですよね。富栄養化ということで言うんであれば、富栄養化には歯止めを掛けていかなきゃいけないというところに力点があったわけでしょうし、別の言葉で言えば、窒素とかリンは減らしていくんだというところに主眼があったんだというふうに思います。
 ところが、昨年提出をされたこの瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案は、明示的にそう書いてあるかどうかは別として、あたかも富栄養化というのはむしろいいことなんだと、ちょうど、例えて言うならば水清ければ魚すまずみたいな形の、水が余りきれいだと魚がすまなくなっちゃうからというような、そう明示的に書いてあるわけじゃないけれどもそういうようなトーンがあって、つまり、今までみたいにそういう汚濁物質は下げれば下げるほどいいというんではなくて、どちらかというと一定のゾーンの中に保たなきゃいけないというニュアンスがあったような気がするんですね。
 つまり、ちょうど体温なんかと同じで、余り上がり過ぎると良くないけど、それが下がり過ぎるのも、つまり三十九度とかも困るけれども三十四度とかじゃまた困るように、何かそういうような、この窒素とかリンとかというのも下げれば下げるほどいいんだという発想じゃないような感じがあったんで、いや、私はそれだと今までの環境行政というのを根本から転換するような話になってしまうんで、そういう点で去年の法案とかには懸念を持っていたし、少なくともそういうようなことであれば大議論が必要だというふうに思っていたんですが、今回出された法案はそういう懸念はかなりなくなっているというふうに思いますので、そういう点で私も賛成させていただきますが、今のような問題意識を背景にちょっと質疑をさせていただければというふうに思います。
 いろんな汚濁物質というか、水質に関していろいろ影響を与える物質について環境基準というのが定められていますよね。環境基準というのは要するに望ましい環境の水準ということなんでしょうけれども、これは水質以外にも大気だとか土壌だとか騒音に関していろいろな環境基準が定められていますけど、水質に関して、環境省側に伺いますけど、水質に関する環境基準というのは幾つの項目について定められていますか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答え申し上げます。
 水質汚濁に関する環境基準でございますけれども、現在、公共用水域につきましては、人の健康の保護に関する環境基準、いわゆる有害物質でございます。それに加えて、生活環境の保全に関する環境基準、CODとか窒素、リンというようなものでございますけれども、合計で四十の項目について設定をされてございます。
○水野賢一君 その中には例えばCODとかヒ素だとかカドミウムだとかいろんなものがあったというふうに、もちろん窒素、リンもその中の四十のうちの一つなわけでしょうけれども。
 その環境基準のうち、ほとんどのものは何々以下、例えばCODだったらリッター当たり何ミリグラム以下に抑えるのが望ましいですねとか、若しくは、溶存酸素量みたいに何とか以上の方が望ましいものがあるから、何とか以下とか何とか以上というふうにしているのがほとんどだというふうに思いますけれども、さっき言った何とかから何とかの間みたいな、この間に、ゾーンの中に収めるのが望ましいですねという物質は、そういう環境基準というのは水質に関してございますか。
○政府参考人(高橋康夫君) 御指摘のとおり、ほとんどの環境基準につきましては、ある物質の濃度が上昇することによって障害が生じると、それを防止するというための基準ということで定められておりまして、基準値は一定の濃度以下とするというような形で定められております。
 一方、生活環境の保全に関する環境基準項目の中で、水素イオン濃度、いわゆるpHというものがございます。これにつきましては、低過ぎても高過ぎても障害が生じることがあるということで、この項目についてのみは基準値がいわゆるゾーン、幅になってございまして、例えば六・五以上で八・五以下にするというような下限値と上限値の間の一定の範囲が基準値になっているというものもございます。
○水野賢一君 水素イオン濃度、俗に言うpHですよね、これに関しては、余りアルカリ過ぎちゃまずいとか、そういうような、余り酸に偏っちゃまずいということで、これは確かにゾーンである理由はあるんでしょうけれども、逆に言うと、四十いろいろある項目の中でそういう特性を持っている、pHは確かにゾーンの中に定めているけど、ほかのものは全部普通は何々以下ですよね、汚染物質であれば何とか以下に抑えろというふうになっているんですが。
 大臣にお伺いしますけれども、窒素とかリンに関してはそういう環境基準を、要するに、もし高過ぎもまずいけど低過ぎもまずいというんだったら環境基準はゾーンであるべきだという考えになるんでしょうけど、それは私はそんな科学的知見は現時点でないというふうに思っていますので、基本的に高くなることを抑えるというのが筋でありますから、どれだけ以下というのを、今はそうなっているわけですけれども、ここを変えるというような考えは、僕は安易に変えるべきじゃないというふうに思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(望月義夫君) 今御指摘がございました、様々この四十の種目の中にはいろんなものがございますが、例えば水素イオン濃度、中性が七ということですから、それに近くということで六・五から八・五とかと、そういうふうに数字は決められますが、全窒素とか全リンでありますけれども、例えば窒素だと〇・二ミリグラム・パー・リッター以下とか、あるいはまたリンの場合には〇・〇二ミリグラム・リッター以下とか、こういう形になっておりまして、これまでの知見に基づきまして、その増加に伴う富栄養化により生ずる様々な障害を防止するための基準として定めていることでございまして、その基準値は一定の濃度以下としているところでございます。
 ですから、現時点でpHのようにゾーンとすることを考えてはおりません。
○水野賢一君 ありがとうございます。
 それでは、水岡提出者にお伺いをしたいというふうに思いますけれども。
 昨年の法案に関しては、さっき触れさせていただいたような懸念が、私個人としては持っていたというか、少なくともそれだったら大議論は必要だよねというような問題意識は持っていたんですけれども、今回の提出法案には昨年提出の法案のような懸念は少ないというふうに思っていますけれども、ややその中でも気になるのは、つまり、昨年まであったようなもの、かなり変わってはいるんですけれども、残滓というか、まだ今残っているやや気になるのは、附則二のところに栄養塩類の減少という言葉が、表現が出てくるんですね。減少ということ、減少というのが特記されているんですよね。つまり、増加とかそういうのじゃなくて、減少に特記して、そこで、今後、調査研究を進めて検討を加えていくというような、そういう表現がありますけれども。
 これは、問題意識として、背景にある問題意識としては、栄養塩類の減少はゆゆしい問題なんだ、ゆゆしい事態なんだという、そういう問題意識が背景にあるんでしょうか。
○水岡俊一君 提出者の水岡俊一でございます。お答えをいたします。
 栄養塩類の減少が漁獲量の減少に結び付いているという断定的な考え方に立っているわけではございません。あくまでも、栄養塩類の減少が水産資源に与える影響、それに関する研究を進め、検討に資することを意図したものであります。
 今回の法改正に当たり、栄養塩類と漁獲量の関係について何度も議論を重ねてきたわけでありますけれども、結論を得るに至っておりません。しかしながら、瀬戸内海の漁獲量が長期にわたり減少し続けていることは事実でございますので、何らかの措置を講ずる必要があるのではないかと、そのように考えているところであります。
○水野賢一君 いろんな多角的な角度から、科学的知見というのはいろいろ進歩していく部分もあるわけですから、調査研究をしていって新しい知見がこれは出てきたりすれば、それはいろんな環境政策に影響を与える、このことを別に私は否定しているわけじゃないんですけれども、安直に今までの積み重ねというのを大転換するということには懸念があると、あくまでそういう意味でありますが。
 さて、政府参考人の方にお伺いしますけど、水質の汚濁というのは、簡単に言えば、汚染物質を海とか川とか湖沼とか公共用水域に余り流しちゃいかぬよというような、一定以上の濃度のものを流しちゃいけませんよというところに基本があるわけですが、そういう濃度規制以外に総量規制というやり方もありますよね。つまり、濃度規制というのは、薄めちゃえば汚染物質を大量に流せるという形になっちゃいますから、それだけじゃ、濃度規制じゃ穴があるということで総量規制というやり方もあるわけなんですが、薄めようが何だろうが、その物質は総量としてこれ以上流しちゃ駄目ですよということですけれども、この総量規制が現在行われている海域というのは、海に関してはどこでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 水質総量削減につきましては、人口や産業が集中しております広域的な閉鎖性海域の水質汚濁を防止するために、水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきまして実施をされてございます。
 その対象となる指定水域でございますけれども、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の三海域となっております。
○水野賢一君 つまり、瀬戸内海を含めて東京湾と伊勢湾と三海域が総量規制の対象になっているわけですよね。
 ところが、今ちょっと触れられましたけれども、根拠法というのは、今参考人もちょっと触れられましたけれども、今回改正する瀬戸内海の環境保全特別措置法が根拠法になっている場合もあれば、一方で水質汚濁防止法が根拠法になっている場合もあるんですよね。また、物質によっても違うんですよね。CODの場合と窒素とリンだと根拠法がいろいろ違って、非常にややこしい形になっているんですけど。
 大臣、そういう理解でいいかと思うんですけれども、これ、根拠法が複雑にまたがっているのは何でなのかということと、非常に複雑な感じがするんですけれども、そこら辺についてちょっと御説明いただけますでしょうか。
○国務大臣(望月義夫君) 御指摘の問題でございますけれども、ただいまの東京湾及び伊勢湾での水質に係る総量削減でありますけれども、水質汚濁防止法に基づいて実施されております。瀬戸内海では、化学的酸素要求量、COD、先生の御指摘の、については瀬戸内海環境保全特別措置法、窒素、リンについては水質汚濁防止法に基づいて実施されております。
 そこで、瀬戸内海の化学的酸素要求量でありますけれども、瀬戸内海環境保全特別措置法に改正する前の瀬戸内海環境保全臨時措置法において累次の措置があったことから、それを発展的に引き継ぐ、そういうために、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正によって、同法に基づき実施することになったと、こういうことでございます。
 それと同時に、その他の海域であります御指摘の東京湾、伊勢湾でも化学的酸素要求量について総量規制が必要と考えられたことから、水質汚濁防止法を改正して、その他の海域については同法に基づく総量削減制度が創設をされたと、こういうことでございまして、一方、平成十三年度に総量規制制度に追加された窒素、リンについては、以上のような事情がなかったために全ての海域において水質汚濁防止法に基づき実施されたと、こういう経過になっております。
○水野賢一君 多分、ちょっと聞いているだけでは分かったような分からないようなぐらいややこしいのですね。非常にややこしい形になっているのは、歴史的経緯は大臣が今おっしゃられたようにあるんだというふうに思います。つまり、同じような総量規制、大臣たちのお言葉だと総量削減のやり方であっても、根拠法が海域によって違う、しかも物質によってこれまた違ってくるという、瀬戸内海だけ、そしてCODに関してだけが瀬戸内海のこの特別措置法に基づいて、ほかのものは瀬戸内海でも水質汚濁防止法でやるとかという、非常にややこしいんですが。
 せっかく法律いじるのであれば、提出者にお伺いをしますけれども、こういうふうに総量削減の根拠法が非常に複雑になっていることというのは、ここは何か、私、前から、これ何でこんなふうに複雑になっているのかなというふうに、別に目くじら立てるほどのことでもないじゃないかといえば、実害は別に僕もあると思っているわけじゃないです。ただ、何でそうなっているのかなとは思っていたので、この複雑になっていることは法改正で何か変更はあるのか、お伺いをいたします。
○水岡俊一君 お答えをいたします。
 結論として、今回の法改正では総量規制に関する改正は行っておりません。変更がないところであります。
 富栄養化による被害の発生の防止に関する規定について申し上げると、水質汚濁防止法の総量規制、御指摘のとおり対応がなされておりました。今回それを整理するためにも、本改正案の前の現行法の部分を削除、その規定を削除することも一度は検討したのでありますけれども、結論として、改正を行っておりません。
 海域、そして物質ごとに様々な状況がございますので、今後また検討していくことが必要だと考えております。
 以上です。
○水野賢一君 ありがとうございました。
 時間を多少残してはおりますけれども、私として聞くべきことは聞きましたので、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(島尻安伊子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(島尻安伊子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(島尻安伊子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十八分散会