第189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第5号
平成二十七年七月三十日(木曜日)
   午前九時一分開会
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   委員の異動
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     大沼みずほ君     二之湯武史君
     蓮   舫君     石上 俊雄君
     平木 大作君     河野 義博君
     片山虎之助君     真山 勇一君
     松田 公太君     山田 太郎君
     水野 賢一君     中西 健治君
     吉田 忠智君     福島みずほ君
 七月三十日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     前川 清成君
     加藤 敏幸君     大塚 耕平君
     白  眞勲君     尾立 源幸君
     和田 政宗君     中山 恭子君
     中西 健治君     水野 賢一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         鴻池 祥肇君
    理 事
                石井 準一君
                佐藤 正久君
                塚田 一郎君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                北澤 俊美君
                福山 哲郎君
                荒木 清寛君
                小野 次郎君
    委 員
                愛知 治郎君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                北村 経夫君
                上月 良祐君
                高橋 克法君
                豊田 俊郎君
                二之湯武史君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                森 まさこ君
                山下 雄平君
                山本 一太君
                山本 順三君
                石上 俊雄君
                小川 勝也君
                小川 敏夫君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                大野 元裕君
                小西 洋之君
                那谷屋正義君
                白  眞勲君
                広田  一君
                前川 清成君
                河野 義博君
                谷合 正明君
                矢倉 克夫君
                真山 勇一君
                井上 哲士君
                仁比 聡平君
                山田 太郎君
                中山 恭子君
                中西 健治君
                水野 賢一君
                福島みずほ君
                山本 太郎君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       法務大臣     上川 陽子君
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣
       国務大臣     中谷  元君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  宇都 隆史君
       防衛大臣政務官  石川 博崇君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       前田  哲君
       内閣官房内閣審
       議官       山本 条太君
       内閣官房内閣審
       議官       土本 英樹君
       内閣官房内閣審
       議官       槌道 明宏君
       内閣法制局第一
       部長       松永 邦男君
       外務大臣官房参
       事官       滝崎 成樹君
       外務省総合外交
       政策局長     平松 賢司君
       外務省中東アフ
       リカ局長     上村  司君
       外務省国際法局
       長        秋葉 剛男君
       資源エネルギー
       庁資源・燃料部
       長        住田 孝之君
       防衛大臣官房長  豊田  硬君
       防衛省防衛政策
       局長       黒江 哲郎君
       防衛省運用企画
       局長       深山 延暁君
       防衛省人事教育
       局長       真部  朗君
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  本日の会議に付した案件
○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資
 するための自衛隊法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す
 る諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十九日、大沼みずほ君、平木大作君、松田公太君、水野賢一君、片山虎之助君、吉田忠智君及び蓮舫君が委員を辞任され、その補欠として二之湯武史君、河野義博君、山田太郎君、中西健治君、真山勇一君、福島みずほ君及び石上俊雄君が選任されました。
 また、本日、和田政宗君及び加藤敏幸君が委員を辞任され、その補欠として中山恭子君及び大塚耕平君が選任されました。
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○委員長(鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、我が国の安全保障政策等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○森まさこ君 おはようございます。自民党の森まさこです。
 国民の命を守るためどうすべきか。平和な日本を守るためどうすべきか。今のままではいけないと思っています。
 もう日本の周りでいろんなことが起きていて、世界中でテロが起きて、日本人も犠牲になりました。昔とは違う、つまり安全保障環境が厳しいものに変化した、このことは野党の皆さんもおっしゃっています。
 では、どうしたらよいのか。このままほっておくのか。何もしないでよいのか。果たしてこのまま何もしないで子供たちの未来のために平和な日本を守れるのか。国会ではそのための冷静な議論をすべきだと思います。
 地元に帰ると、特に女性の方から、テレビ見ていると戦争法案と言う人もいるけど大丈夫、女性誌に怖いことがいっぱい書いてあって子供たちのことが心配なんだけどと聞かれます。私は、平和安全法制は戦争法案ではない、平和安全法案は戦争を防ぐための法案ですと答えています。
 総理、私の祖父は戦争で亡くなりました。東京大空襲で犠牲になったんです。祖母は、私の父を含む五人の子供を連れて福島県に逃れて、そして母子家庭で働きながら子供を育ててきました。戦争だけは絶対にしてはいけない、祖母の教えです。
 私も戦争は絶対に嫌です。今の日本に戦争をしたい人なんか一人もいないと思います。自民党議員も全員戦争反対です。それを、まるで自民党は戦争を容認するかのような、政府に対しても、そのようなレッテル貼り、悪いイメージ戦略、大変残念で悲しいです。
 そこで、総理に明確に否定していただきたいと思います。私も、二人の子供の母親として、次の世代を戦争の悲惨な目に遭わせることだけは絶対にしてはならないと思っています。総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、日本人は誰もが戦争を憎んでいます。東京大空襲において、私も慰霊式に出席をいたしましたが、一晩で十万人の日本人が焼き殺されたわけであります。七十年前、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、この不戦の誓いとともに七十年間、平和国家としての歩みを進めてきた。この歩みが変わることは決してないわけであります。
 そして、大きな安全保障環境の変化の中において、まずは外交的な努力を続けていく。地球儀を俯瞰する積極的な外交展開をしております。アジアはもとより、世界各国との協調関係を深めながら、より良い世界をつくっていくための外交的な努力を進めていく。
 しかし、その上において、しっかりとした備えをしていかなければなりません。戦争を未然に防いでいく、国民の命を守るためにその抑止力を高めていく、備えをしっかりとしていくためのこの平和安全法制を制定していくことによって、私たちは、より国民の命を守り、平和な暮らしを守っていくことができる、このように確信をしております。
 戦争法案では断じてない、このことをしっかりとこの議論を通じて国民の皆様に分かりやすく説明をしていきたいと思います。
○森まさこ君 安倍総理から、戦争法案では断じてない、そういうお言葉をいただきました。
 私は、安倍総理が、戦争だけは絶対にしてはいけないと日頃からおっしゃっておられるのを近くで聞いてまいりました。戦争をしないための外交努力、本当に多忙な日程をますます多忙にしてまでも世界各国を飛び回っての、歴代の総理の中で一番多くの国を訪れての外交努力を近くでずっと見てきました。
 戦争をしたくない人同士がこれが戦争法案かと争っている、おかしな国会ですねと地元で指摘されました。PKO法案を審議したときも今と同じような状況があったと聞いていますが、どうでしたでしょうか、総理、お答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) PKO法案のときにも、あのときも自衛隊を海外に派兵するとの批判がありました。憲法学者からも批判があった。しかし、今や多くの国民の皆様に強い支持をいただいております。
 先般、来日をしたカンボジアのフン・セン首相、あのときも日本が自衛隊をPKO部隊として送ることに批判があったけれども、日本がPKO部隊を送っていただいたおかげで、カンボジアはまさに平和を回復し、国を発展させることができた、今や、南スーダンにおいてはカンボジアが世界の平和のためにPKO活動に従事をしている、この法案が成立をすれば日本のPKO部隊とともに活動できることになることを楽しみにしていると、こうはっきりおっしゃっていた。
 戦乱に苦しんだカンボジアが、あるいはまた戦争に苦しんだベトナムが、私たちが進めている今の法案を強く支持をしています。さきの大戦で多くの被害者が出たフィリピンの大統領も支持をしている。ほとんど全ての国々が、日本が進めている積極的平和主義の下のこの法制について支持と理解を示している。ということは、これは決して戦争法案ではないということの証明ではないかと思います。
○森まさこ君 ありがとうございます。
 さて、野党から、米軍のアフガニスタンでの死傷者やIEDの例を出して、法制の下で自衛隊が行う活動が非常に危険であるかのような決め付けがなされていたと思うんですけれども、しかし、法制の下で自衛隊が行く活動は、国際平和支援法の場合もPKO法の場合も、それぞれの法律の枠組みで安全な状態で活動が行われることになっていると考えておりますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アフガンにおいては、当時米軍は、タリバンの掃討作戦など後方支援以外の任務も担っていました。国際平和支援法に基づき現に戦闘行為が行われていない安全な場所で後方支援のみを行う我が国とは前提が異なりますから、それを安易に同じに扱うことは間違っていると思います。また、当時のアフガニスタンは、停戦合意がない中で活動が行われていたのであります。停戦合意を前提とするなど、厳格なPKO五原則の下で行う我が国のPKO法に基づく活動とも前提が異なるわけであります。
 IEDの設置や自爆テロは自衛隊が派遣されていた当時のイラクにおいても起こっていましたが、自衛隊は憲法九条の制約の下、戦闘行為が行われることのないと認められる場所に限定して活動を行い、一人の犠牲者も出すことなく活動を終えたことは御承知のとおりであります。これは、我が国による安全確保の仕組みが十分有効なものであることを示したものであると、このように思います。
 今後も、国際平和支援法に基づいて自衛隊が活動を実施する区域の指定に当たっては、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が現実に行動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を指定します。したがって、攻撃を受けていない安全な場所で活動を行うことについてはイラク派遣の場合と変更はないわけでありまして、これに加えて、十分な情報収集を行うことによって安全を確保した上で後方支援を行うことは可能であると思います。
 また、PKO法に基づく活動については、停戦合意や領域国等の受入れ同意を含む参加五原則が活動の前提でありまして、活動する時点において戦闘行為はそもそも発生していません。加えて、国際平和支援法に基づく活動と同様、十分な情報収集を行うことによって安全を確保した上で業務を実施することになります。
○森まさこ君 総理、御丁寧な御説明、ありがとうございました。
 いろいろ、このような審議がなされていても、私はこんな声を伺うんです。私自身も十代の子供が二人おりますので子育て中のお母さんとお話しすることが多いんですが、子育て中のお母さんたちが、平和安全法制の話をすると、でも、徴兵制になるんじゃないの、国の防衛が大事なのは分かるんだけど、自分の子供が兵隊に取られるのは嫌だと、そういうふうに言われます。
 国民の皆様もそれが不安なんだと思いますが、総理、徴兵制はあり得ないと明確な御答弁をお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 徴兵制は、憲法第十八条が禁止をする意に反する苦役に該当します。明確な憲法違反であり、徴兵制の導入は全くあり得ない。このような憲法解釈を変更する余地は全くありません。いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることがないわけでありますから、今後とも徴兵制が合憲になる余地は全く変わりがありません。これは、たとえ総理大臣が替わって、また政権が替わっても、徴兵制の導入はあり得ないわけでありまして、森さんのお子さんたちも含めて、子供たちが兵隊に取られるという徴兵制がしかれることは断じてないということは、明快に申し上げておきたいと思います。
○森まさこ君 総理、ありがとうございました。
 子育て中の者として大変安心をいたしました。徴兵制はあり得ないという御答弁をいただきました。明確な憲法違反であり、憲法解釈で変更する余地はないという御答弁をいただきました。憲法の大前提ですから、これは変更する余地がない、政治家が替わっても変わらない、総理が替わっても徴兵制が取れないという御答弁をいただきました。(発言する者あり)
 済みません、ちょっと野党の皆さんのやじが、声が大きくて、なかなか質疑が、私の声も聞こえないような状態でありますけれども。福山さん、ちょっとやじを控えていただいて。
 私は、やはり冷静な議論、大事な議論、国民の皆様が、これが本当に必要な法案か、今のままで日本を守れるのか、子供たちの未来を、安全を守れるかということを、しっかりと法案の内容を、議論を聞いていただきたいと思うんです。どうぞよろしくお願いをいたします。
 さあ、この平和安全法制の徴兵制の話をしていました。徴兵制にはならないという総理の御答弁をいただきました。でも、これに対して、自民党は憲法を改正するのではないのか、憲法を改正してそこで徴兵制が入ってくる、そういうことはないのかという疑問の声もあります。これについては、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党は、野党時代に谷垣総裁の下で憲法草案を作ったわけでございますが、その新しい草案の中におきましても意に反する苦役という文言はそのまま維持をしておりまして、徴兵制の採用は全く考えておりません。
○森まさこ君 ありがとうございました。
 徴兵制については憲法上これはあり得ないという御答弁ですが、さらに総理は、そもそも必要性もないんだということを言っておられますが、これについての御説明をいただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自衛隊は、ハイテク装備で固めたこれはまさにプロの集団であります。世界はもうそういう傾向になっていて、隊員の育成には長い時間と相当な労力が掛かるわけでありまして、短期間で隊員が入れ替わっていくという徴兵制では精強な自衛隊はつくれないということになるわけでありまして、短期間で入れ替わっていく、それに対しての教育をするというそういう負担だけがこれは掛かっていくということになってしまう。
 したがって、安全保障政策上、徴兵制は必要ないし、また、長く徴兵制を取ってきたドイツやフランスも、二十一世紀に入ってからは徴兵制をそういう観点からやめました。そして、今やG7の諸国で徴兵制を取っている国は一つもございません。
○森まさこ君 総理から、徴兵制については憲法理念上も、そして必要性もないし、世界中でも減少傾向だという話がありました。徴兵制のことばかり聞いて申し訳ないんですけれども、この徴兵制のことを本当に私もよく聞かれるんです。何か子供が兵隊に取られるような、そんなイラストも見かけたことがございました。
 徴兵制と集団的自衛権がさも関係があるかのような話になっているような気がするんですが、総理、これ関係があるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 徴兵制と集団的自衛権があたかも関係するかのごときの議論があります。集団的自衛権を一部容認するから徴兵制に日本はなっていくんだと、そういうビラもありますが、それは全く間違いであります。
 例えば、永世中立国であるスイスは、集団的自衛権を行使をしませんが、徴兵制を採用しています。一方、集団的自衛権の行使を前提とするNATO構成国であるアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどは志願制を取っているわけでありまして、集団的自衛権の議論と徴兵制を結び付けることは、これは国際的にも全く非常識であると思います。
○森まさこ君 徴兵制は世界でも減少傾向にあるし、集団的自衛権とは関係がないというお話をいただきました。
 しかし、自衛隊に志願する人が減っていくんじゃないか、少子高齢化でもある、そうなると徴兵制になるんではないか、そういうことを言う人もいます。これについては、総理、いかがなんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自衛官の応募者数の動向は景気や雇用の動向に影響を受けるわけでありますが、ここ数年七倍を上回る水準を維持をしております。集団的自衛権に関する閣議決定を行った昨年度も七倍を上回っておりまして、依然高い水準のままであります。
 また、少子化や高学歴化が進行し、自衛官の募集環境が厳しくなっている中においても、多くの優秀な若者が自衛官を志していただいています。今後とも優秀な人材を十分に確保できるものと確信をしております。
○森まさこ君 少子高齢化とも関係のないというお話でございました。私、少子化問題の担当大臣もしていたんですけれども、非常に厳しい少子化の中でも七倍を上回る若者が自衛隊に志願をしていただいている。御嶽山のときもそうでありましたし、私のふるさと福島県、東日本大震災のときも自衛隊の皆様は本当に大活躍をしてくださいました。そういった自衛隊を志願する若者が増えているということを本当に有り難いことだと思っています。
 私は、この平和安全法制については感情論ではなく冷静に議論すべきだと思っています。不安をあおるようなことではなくて、現実を見詰めて、目の前の危機にどう対処すべきか冷静に論ずるべきだと思うんです。東日本大震災と原発事故のときにも、これは過去の反省として、安全神話で危機意識が薄らいでいました。しかし、現在は自然災害や原発事故に対する備えについての国民の理解は高まっていると思います。それと同時に、テロや他国からの攻撃といった危機に対する備えも常に見直していかなければならないと思っています。
 東日本大震災の当時ですけれど、民主党政権でございましたけれども、SPEEDIという放射線量の拡散予告を福島県民に知らされることはありませんでした。放射能の濃い地域に長時間放置された子供たちも大人もいたんです。そのとき、私たち、野党でございました。安倍総理は、まだ総裁にもなっておられない、一国会議員として、原発事故の避難地域のぎりぎりの地域まですぐに来てくださって、体育館で一人一人の手をひざまずいて握って励ましてくれました。総裁になってからの一番最初の地方の視察は福島県、総理になってからの一番最初の訪問も福島県です。歴代総理の中で最も頻繁に、最も多く福島県と被災地を訪問をしています。先ほどの超多忙な外交努力を重ねた上でも、被災地を最も多く訪問してくださっているんです。
 言っていることとやっていることが違う、そういう状態とは全く異なっている。そのことが分かります。感情論でもなく、現実に被災地を訪れている。現実に被災地を訪れなかった方たちとは違うんです。ですから、私は安倍総理の国民を守る意思を信じています。平和安全法制は、テロや他国からの攻撃、こういった危機に対する備えのための法案なのです。
 では、具体的にどのような危機があるのでしょうか。(資料提示)北朝鮮からテポドンが飛んできて、福島県を含む東北地方の上空を飛び越えて太平洋へ落ちたことがありました。このときは大騒ぎで、子供がいるお母さんたちやいろいろな方から、逃げなければいけないのではという話がありました。
 現在はもっと危機が深刻化していると聞きますが、中谷防衛大臣に状況を説明していただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 北朝鮮の弾道ミサイル能力は年々飛躍的に向上いたしております。今から三十五年前の一九八〇年代、これには、北朝鮮が入手した弾道ミサイルは我が国まで到達をし得るものではありませんでしたが、北朝鮮は研究開発を進めまして、一九九八年と二〇〇九年に我が国の東北地方、これを越えて太平洋まで飛翔をさせ、二〇一二年には米国本土まで到達可能になるほど長射程化に成功いたしました。この過程で、北朝鮮は我が国を射程に収め得る数百発もの弾道ミサイルを配備するに至り、狙った場所をより正確に攻撃できる技術も向上させております。
 昨年、北朝鮮は過去最多の発射訓練を行いました。また、トラックにミサイルを載せて、過去に例のない様々な地点から、早朝から深夜に至るまで時間を選ばずに発射が行われました。これは、北朝鮮がいつでも、どこからでも弾道ミサイル攻撃ができるということを示しております。
 一方で、北朝鮮は過去に三回、核実験、これを実施しておりまして、弾道ミサイルに核兵器を搭載できる可能性も排除できません。また、北朝鮮は、東京、大阪、京都など我が国の具体的な都市名を挙げて弾道ミサイル攻撃圏内にあることを強調するなど、我が国を攻撃するというようなことを繰り返し発言をして挑発をいたしているわけでございまして、このように北朝鮮の弾道ミサイル能力の増強は、我が国の安全に対する重大で差し迫った脅威となっているわけでございます。
○森まさこ君 今、パネル一、パネル二、皆様のお手元にも同じ資料をお配りしておりますが、これに関して中谷防衛大臣から説明をいただいております。北朝鮮のミサイルの問題です。
 二〇〇九年に東北地方を飛び越えて発射がされましたが、その後、大変多いミサイルを装備をしているということ、そして昨年が今まで最も多い、過去最多の発射訓練が行われているということ、そしてその精度も非常に高まっている、正確性も高まっているという、そういう御説明もありました。そして、発射台が移動式になっていて、車の上に発射台が載っていて、移動して森の中や山の中に行って発射されるので、こちらからそれを防ぐということが大変難しいというお話もいただきました。私どもは、この現実をしっかり見詰めて、では今どうするのかということを考えていかなければならないと思います。
 次に、中国について宇都外務大臣政務官に御説明をいただきたいと思いますが、パネル三、パネル四、パネル五というものを用意いたしましたので、政務官の方でこれについての御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○大臣政務官(宇都隆史君) 外務省といたしまして、委員御質問の中国の力による一方的な現状変更の試み、これの具体例について御説明申し上げます。
 まず、東シナ海についてですが、尖閣諸島周辺海域において、二〇〇八年の十二月に初めて中国公船が領海侵入を行いました。その後、我が国の度重なる抗議にもかかわらず領海侵入を繰り返しており、特に二〇一二年以降、こうした動きが活発化しております。また、二〇一三年一月には中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射という一触即発の事態が生起をいたしました。
 また、日中間の排他的経済水域及び大陸棚の境界未画定海域におきましては、日中中間線の中国側といえ、中国側による一方的な資源開発が進められており、我が国政府として、それ以前に確認された四基に加えて、二〇一三年六月以降、新たに十二基の建造物が建設されたことを確認しております。委員お示しの資料五にある写真のとおりでございます。
 また、空に目を移しますと、二〇一三年十一月、中国は一方的に防空識別区の設定を行いました。防衛省の発表によりますと、平成二十六年度のスクランブル発進回数は過去二番目となる九百四十三回、約半数の四百六十四回が中国機に対するスクランブルでございます。
 一方、南シナ海の方に目を移しますと、関係各国政府等が発表してきているとおり、中国は近年、大規模な埋立てを急速に実施をしております。委員お示しの資料四の写真のとおりでございます。
 中国は具体的には昨年末時点で約二百万平方メートルの埋立てを行っておりましたが、その後四か月の間にこれを約八百万平方メートルにまで広げた旨、米国防省は指摘をしております。また、同国シンクタンクによれば、中国がファイアリークロス礁において三千メートル級の滑走路を建設中であり、これが完成に近い旨を指摘をしております。ちなみに、三千メートル級滑走路というと、戦闘機を使用できる滑走路でございます。
 こうした中国の対外姿勢、軍事的動向等は、その安全保障政策に関する不透明性あるいは国際法上の根拠に関する説明の不足と相まって、アジア諸国は当然のこと、国際社会共通の懸念事項となっております。
 我が国としては、一方的な現状変更や緊張を高める中国のこれらの行動を抑止するとの観点から、いかなる対応が有効であるかについて不断に検討し、安倍政権の積極的平和主義、地球儀を俯瞰する外交の理念の下、国際社会と連携し、引き続き毅然かつ冷静に対処していく所存です。
○森まさこ君 宇都政務官、ありがとうございました。
 宇都政務官の御説明の中に、中国の力による現状変更という言葉が出てきたんですが、力による現状変更って一体どういうことなのという御質問をよく受けるんですよね。今の宇都政務官の御説明でお分かりいただけたと思うんですけれど、例えばパネルの四ですけれども、こういったものをどんどん造っているということ、そして次がパネルの五でございますけれども、これについても絵を見ていただければお分かりのとおり、力、実力というものによって現状変更をしているということだと思います。
 私たちの住む地域の本当に近くでこんなことが行われて、物騒になってきたのではないかという本当に心配な気持ちがします。もし、自分の家があって庭があるときに、そこに勝手にほかの人が来て物置を建てていったらどうなんでしょうか、そんなことが許されるんでしょうか。また、隣の方が駐車場のコンクリートを流してきて、それが勝手に自分の家の庭までその駐車場のコンクリートが流れてきて、自分の家の庭に隣の家のコンクリートが流れてきたらどう思うのかと、私はそう思います。(発言する者あり)自分の庭の話を私は今しているんですよ。今、福島みずほ先生が、自分の庭じゃない、自分の庭じゃないというふうに言うんですけれど、私は自分の家の庭の例を挙げています。もし強盗が来て、仲間が駆け付けて助けようとしてくれたとき、その強盗が仲間の方を先に攻撃している、そういうときに皆さんはどう思うでしょうか。そのときに万全な備えがあるのか、家の中にいる子供たちを守れるのか、私は心配であります。
 この平和安全法制について、今笑っておられる野党の皆さんが、福山さんとか笑っておられますけど、戦争に巻き込まれることがない、そういうことをおっしゃる人もいます。親しい関係にある友達である国が困っていて、依頼を受けたならば、日本は応えなければならないんじゃないか。特に質問が多いのは、やっぱりアメリカにやるように言われているんじゃないか、アメリカのプレッシャーなんじゃないか、さらにはアメリカの大義のためだけに、また、助けてよと世界の警察であるアメリカから電話を受け、日本も一緒に付き合ってよ、そう言われたときに断れないのではないか、そんな不安の声も聞きます。
 これについて、総理、御答弁をしていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国が戦争に巻き込まれるのではないか、こういう不安の声を私も聞いております。
 巻き込まれるということは、我が国にとって、我が国の安全や国民の命に関わりがないにもかかわらず、まさに他国の紛争に協力をさせられる、戦争に協力をさせられる、そういう不安であります。それは全くありません。なぜならば、今回の法案はあくまでも自衛のための措置でありまして、必要最小限の措置です。それが憲法の要請であり、それはしっかりと守っていきます。
 例えばベトナム戦争が、今後あのような、同じような戦争が起こったら、日本は米軍に頼まれて、この集団的自衛権の行使容認によって米軍とともに戦うのではないかと、こんな宣伝がなされていますが、それはありません。なぜならば、三要件があって、我が国の存立に関わるか、国民の命に関わるかであります。それによっては、明確にこの三要件には当てはまらないわけでありますから、日本がベトナムで戦う、そもそも、他国に兵隊を派兵する、これは、一般に禁じられている最小限度をこれは上回るということは申し上げているとおりでありまして、まさに国家存亡の危機のときの自衛に限られるわけでありまして、しかも、相手国からの要請若しくは同意が前提であります。かつ、この民主主義国家日本における国会の同意が必要でありまして、私たちではなくて、国民の代表者の皆さんの判断も求めるわけでございます。
 戦争に巻き込まれるということは絶対にないということは断言したいと思います。
○森まさこ君 今総理から、戦争に巻き込まれることは断じてないという御答弁をいただきました。厳しい三要件、そして国会の承認について御説明がございました。戦争に巻き込まれる不安ばかりが強調されておりますが、戦争に巻き込まれないためのしっかりとした制度がされているという、巻き込まれることは断じてないということです。
 一方で、現実の厳しさを増す国際情勢を踏まえますと、先ほどの防衛大臣と外務政務官の御説明のような厳しい情勢を見たときに、他国からの侵略や、むしろ他国からの攻撃、こういったじっとしていても来るかもしれない危機、いつか来るかもしれない危機に対して、先ほど私は東日本大震災のときの例も挙げましたけど、自然災害に対する備えと同じように、こういった危機に対する備えもきちっと構築していくべきではないか、それが国民に対する、そして子供たちに対する平和と安全を守るための責任ではないのかというふうに思います。
 今日は総理から様々なお言葉をいただきました。戦争はしない、そして戦争には巻き込まれない、徴兵制もない、そして厳しい三要件があって、国会の承認があるんだと、そうやって危機に対する備えをしていくんだという話がありました。
 今日の資料にありますように、自民党では「平和安全法制の整備」というパンフレットを配布をさせていただいております。ここに書いてありますとおり、「国民の命と平和な暮らしを守る大切な法律です。「スキのない構え」でさらに抑止力を高めます。戦争に巻き込まれることも徴兵制も、決してありません。」。そして、法案の内容についていろいろな疑問点に対しても説明が詳しくされております。是非、国民の皆様がお手を取って、そしてこの内容について考えていただきたいというふうに思います。
 今日は最後に、総理からこの平和安全法制に関する国民の皆さんに向けての決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどパネルで様々な日本をめぐる状況について御説明をいただきました。
 まずは、外交手段をもってそうした状況を変えていく努力を今私たちは行っているわけであります。世界は国際法の下において、この国際法にしっかりと従って行動することによって紛争を防いでいく、武力には決して訴えない、紛争には結び付けない、この姿勢が基本的に大切であります。ですから、私も、問題が生じたときには国際法にのっとって発言をする、武力による威嚇や力による現状変更は行っては駄目、そして、問題があったら平和的に解決をするという三原則を訴えているわけであります。多くの国々から賛同を得ている。
 同時に、備えはしっかりとやっていく。米国は日本の同盟国であり、米国と共同してあるいはミサイルの脅威に対抗していく、ミサイルを事前に防いでいく、このことによって子供たちや日本の国民の命を守り抜くことができる。我々は、そのために何をやらなければいけないかということを考え抜いた末、今回の法制をしっかりと国会において審議をしていただき、成立をさせたいと、こう決意をしたところでございます。
 今後も、国民の皆様に分かりやすく説明をし、誤解を解き、御理解をいただくように努力をしていきたいと思います。
○森まさこ君 ありがとうございました。
 今日私は、二人の子供の母親として、子育て中のお母さんから様々寄せられる不安に対して、総理からしっかりとした御答弁をいただきました。
 ありがとうございました。
○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。
 今日は、総理並び防衛大臣、外務大臣に、北朝鮮を取り巻く朝鮮半島の今の現状がどのようになっているのか、そして、まさにこれが今そこにある危機だという状況の中で、今回の集団的自衛権の限定的な行使容認をなぜ今やらなければいけないのかといった視点で御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 総理もおっしゃっているとおり、まだまだ国民の皆様に本当の現実の姿、しっかりと御理解をいただけていないと思うんですね。総理のお口からもその実態をしっかりと御説明をいただいて、まさに今しかない、今やらなければいけないんだと、こういった点を是非分かりやすく御説明をいただければと思います。
 国民の理解という点では、昨日の質問でちょっと気になった点がありますので、最初に総理に御質問をいたしますが、昨日の質疑で、後方支援に関して、例えば魚雷が届かない場所であればどこでも活動ができるといったような、ちょっとこれは誤った指摘だなと思いますが、そういう誤解を招くような質疑があったと思います。
 自衛隊が現実に活動を行う期間において戦闘行為が見込まれない場所を実施区域に指定し、その実施区域内の範囲内で活動するものであって、どこでも活動ができるわけではないと思いますが、改めてこの点について御説明いただきます。
○国務大臣(中谷元君) 後方支援におきまして、どこで自衛隊が活動するのかということでございますが、これは、防衛大臣が実施区域を指定するに当たりまして、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定するということになります。
 そのため、単に相手潜水艦の魚雷の射程の外であれば実施区域に指定できるというものではなくて、さらに、相当な距離を置いて十分に安全が確保できる場所において自衛隊は活動することになります。その際、相手の魚雷のみならず、ミサイルの射程も含めた装備品の能力、相手の部隊の勢力等、諸般の事情を踏まえるということになります。
 さらに、自衛隊が活動中に、万が一、活動場所やその近傍で戦闘行為が発生した場合には、直ちに活動を休止、中断をし、安全を確保するということになるために、後方支援を継続するということはありません。
 実際の運用に当たりましても、海上自衛隊の護衛艦をいわゆる母艦として、戦闘作戦を継続している米軍ヘリに繰り返し給油、整備を行うというような運用は想定をしておりません。例えば、米軍ヘリが経路上に位置する海上自衛艦に立ち寄って補給を受けるといったケースが想定をされるわけでございます。
○塚田一郎君 しっかりと自衛隊の皆さんが安全なオペレーションが行えるように、これからも質疑を充実をしていただきたいなと思っております。
 我が国の平和と安全を守るためには、私は二つ大事なことがあると思います。一つは平和外交、そしてもう一つは抑止力だと思います。この平和外交をしっかりと実現していくためにも抑止力というものを持っていかなければいけない。これは、車の両輪のように、この二つがきちっと歯車が回って初めて我が国の安全が私は確保されるものだと思います。
 この七月に、イランの核問題をめぐり、欧米諸国とイランが合意に達したことは大変に良いことだと思います。しかし、これとまさに同じような状態が二十年前の北朝鮮の核開発をめぐって起きていたという現実があります。
 九〇年代以降、北朝鮮は、欧米諸国とあるいは日本を含む議論の中で核は放棄するという約束をしながら、それを裏切り続けて実際に核兵器を開発をしていると。これが現実の姿であり、また、弾道ミサイルも大変多くの発射実験を行っている、これはまさに国連の決議違反であります。こうした状況がまさにエスカレートしているということを、しっかりとまず我々は認識をしなければなりません。
 朝鮮半島の第一核危機、そして第二核危機から今日までの外交努力について、外務大臣からまず御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮は、一九八五年に核兵器不拡散条約、NPTに加盟をいたしました。
 そして、その後、九三年二月にIAEAが特別査察を実施することを要求いたしましたが、これに対しまして、三月に北朝鮮はNPT脱退の意思を表明いたしました。そして、その後、核問題をめぐる情勢は改善せず、九四年五月から六月にかけて、北朝鮮がIAEAとの間で合意しないまま原子炉から燃料棒の抜取りを行うに至り、事態が緊迫をいたしました。
 そして、そのような中、米朝協議を通じた対話による問題解決の動きに対する国際社会の一致した後押しもあり、同年十月に米朝間で合意された枠組みが成立するに至りました。
 しかしながら、その後、二〇〇二年十月に、ケリー米国務次官補の訪朝時に北朝鮮がウラン濃縮を認める趣旨の発言を行い、北朝鮮の核計画の疑惑が再燃をいたしました。そして、その後、北朝鮮はこのIAEAの査察官の退去を命じ、二〇〇三年一月、北朝鮮はNPTからの脱退を表明いたしました。
 そして、これに対し、北朝鮮の核問題の平和的解決に向けた活発な外交努力が行われ、二〇〇三年八月には第一回六者会合が開催されました。しかし、二〇〇五年九月の第四回六者会合においては共同声明が発表されたものの、二〇〇八年十二月以降、六者会合は開催されていない、こうした状況になります。
 そして、その後、北朝鮮は、二〇〇六年に引き続き、二〇〇九年、そして二〇一三年にも核実験の実施を発表したほか、繰り返し弾道ミサイルを発射している、こうした現状にあります。
○塚田一郎君 今御説明をいただきましたとおり、アメリカとの間で北朝鮮は核の開発をやめるがごとき約束をするんだけれども、そして見返りの支援を得る、しかしその裏側で核実験を行う、核開発を進めてきた、これが実態なんですね。非常に厄介な国であります。
 こうした、約束を守らない、そして核兵器の開発を進め、ミサイルを開発して、そして発射実験を行っている、こうしたことに対して、我が国の平和ガイドラインといったものも日米の中で変遷をしてきたわけで、急に今日の集団的自衛権の限定容認に至ったわけではないと思うんです。
 その辺りの流れを防衛大臣から御説明いただきます。
○国務大臣(中谷元君) 先ほど外務大臣がお話をいたしましたけれども、冷戦が終結をしました後も、このアジア太平洋地域、九〇年代の前半の北朝鮮核問題によりまして朝鮮半島における緊張が継続するなど、アジア太平洋地域には潜在的な不安定と不確実性、これが依然として存在をしておりました。
 このように、我が国周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生することも否定できない中、一九九七年、日米両国は新たなガイドライン、これを策定をいたしました。この九七年に策定した前回のガイドライン、これは特定の国を念頭に置いたものではありませんが、我が国に対する武力攻撃への対処のみならず、周辺事態における協力についても具体的な協力項目を示したものでありまして、その実効性を確保するために、九九年の周辺事態安全確保法、二〇〇〇年の船舶検査活動法、こういった法律の整備を行いました。
 この前回のガイドラインの見直しから十八年経過をいたしまして、我が国を取り巻く安全保障環境、これ一層厳しさを増してきております。
 具体的には、大量破壊兵器、弾道ミサイル等の軍事技術が高度化、拡散をし、北朝鮮は日本が射程に入り得る数百発もの弾道ミサイルを配備しており、また核開発も行っております。そして、中国による軍事力の強化、軍事活動などの活発化の傾向もより顕著になってきております。さらに、グローバルなパワーバランスの変化、技術革新の急速な進展、国際テロの脅威、海洋、宇宙、サイバー空間におけるリスク、これも深刻化をしておりまして、脅威が世界のどの地域においても発生をし、我が国に直接的な影響を及ぼし得る状況になってきております。
 このような状況の中で我が国の平和と安全を確保していくためには、日米間の安全保障、防衛協力をより強化するとともに、域内外のパートナー、これの信頼協力関係、これを深めて、その上に立ってあらゆる事態に切れ目のない対応を可能とすることが必要でございまして、今般の平和安全法制の整備を行うことといたし、また日米間においても、本年四月に新たなガイドライン、これを策定に至ったわけでございます。
○塚田一郎君 まさに、そうした核兵器の実験を行う、あるいはミサイルの発射をどんどん繰り返している、さらには最近はアメリカに対してもサイバーアタックを行っている、こうしたまさに北朝鮮の脅威の現状に対して新ガイドラインも設定をされ、それに伴う今回の法律改正ということになるんだと思います。
 安倍総理は、長年、北朝鮮との外交の前線にずっと立たれていらっしゃいました。まさに拉致、核、ミサイル、この三つの懸案事項を解決しない限り我々が北朝鮮に譲歩をすることはあり得ないわけでありまして、しかし、一方で、今こうした現状、過去の歴史を見て、これまでの、残念ながらこうした核の開発を妨げることができなかった、こうした歴史について総理としてどのように認識をされているのか、御説明を願いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、外務大臣、そして防衛大臣から答弁をさせていただきました。
 まず初めの北朝鮮の核危機に際しては、あのときKEDO合意を結んだわけであります。黒鉛減速炉をこれは廃棄をすると、その代わり日本と韓国でお金を出す、そして軽水炉を造っていく、同時に、それまでは重油を米国が毎年毎年提供していくというこのKEDOの合意がなされたわけであります。クリントン政権でありました。
 しかし、残念ながら、この合意がなされた後、北朝鮮はウランの濃縮をひそかにスタートしたわけでございます。そして、その後、この濃縮をひそかに進めていたことが明らかになったと。ちょうど小泉総理が訪朝した後、私も共に北朝鮮を訪問しましたが、その後、そのことが明らかになったわけでございます。
 その後、ブッシュ政権に移りまして、もう一度北朝鮮側と交渉をした結果、そういう施設を廃棄をしますよということが決まりました。あのときも、世界が重油を提供しよう、六者協議に参加をしている国が提供しようということになりました。当時、私は総理大臣でありましたが、日本は拉致問題があるのでこれは提供することができないということを決定したところでございます。残念ながら、この約束も破られてしまったわけであります。
 しかし、まずは外交努力によってこの問題を当然解決をしていかなければいけない、同時に、圧力を掛ける上において、日本も参加をして制裁を実施をしているわけでございます。日本もかつては経済制裁を行うことのできる法律はなかった、しかし、塚田委員も始め、皆さんの努力によってそのための法律ができ、現在、制裁を科しているわけであります。
 外交努力を通じて平和を守ることが重要でありまして、北朝鮮の核・ミサイル問題を平和的に解決をすることが必要だと。このため、六者会合は重要で有効な枠組みであり、政府としては、引き続き関係国と連携しながら、北朝鮮に対し、核実験やミサイル発射を含むいかなる挑発行動も行わず、国連安保理決議や六者会合、共同声明等を誠実かつ完全に実施することを求めていく考えであります。
 同時に、万が一に備え、これは三十年前、四十年前とは違って、我々は、この二〇〇〇年代に入ってからミサイル防衛の体制を整えることができたわけであります。同盟国である米国と協力をして、もしミサイルが発射されても、それを迎撃をし、子供たちや日本人の命を守ることができるようになったわけであります。
 しかし、これをしっかりと機能させていく上においても、日米の同盟関係のきずなはしっかりとしたものにしなければならない。そして、そのきずなは、日本国民のみならず、アメリカの国民からも常に強く支持されているものにしなければならないのは当然のことであろうと。そのためにも、日米同盟関係のきずなを強化し、完全に機能が効果を発揮する、そのための今回の平和安全法制であるということでございます。
○塚田一郎君 ありがとうございます。
 総理からは、この間のクリントン政権、そしてブッシュ政権における残念ながら合意が履行されなかったという経緯、そして、今まさにそれに対応してしっかりとした抑止力を強化していかなければいけないというお話があったと思います。
 特に、ブッシュ政権の後期に、我々、拉致問題の解決を取り組んでいる者にとっては残念でならないことは、アメリカが北朝鮮のテロ支援国家を解除したということであります。その見返りは結局なかったわけでありまして、まさに北朝鮮のペースに乗ってこの間、外交が進んできたという私は大きな反省であったと思っておりますし、そういうことのないようにこれからもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 では、実際に北朝鮮のミサイルがどのような脅威であるかを具体的にパネルを使って国民の皆様に分かるように御説明をしていきたいと思っております。
 資料一のパネルを御覧ください。(資料提示)
 これは、いわゆる北朝鮮の弾道ミサイルの射程を示しているものであります。スカッドミサイル、一千キロメートルから、ノドン、一千三百キロメートル、どんどんどんどん射程を長くした、そうしたミサイルの開発を進めております。
 御存じのとおり、朝鮮半島はいまだに休戦状態でありますから、北朝鮮が韓国に対してこうしたスカッドミサイルを開発するということは分かるわけですが、なぜこんな長い射程のものをどんどん開発をしていくのか。それは、それ以外に想定をしている敵があるからだというふうに考えることができるんじゃないでしょうか。
 ノドンミサイルは千三百キロメートルの射程ということは、我が国の国土はほとんど射程内に入っているわけであります。さらには、先ほど森委員との質疑の中でもありました弾道ミサイル、いわゆるテポドンの飛距離はどんどん、三千キロメートルから更にアメリカ本土を狙う、そういう目標に射程を延ばしていっているという状況が分かります。こうしたミサイルが実に数百発あるというのが政府からの御答弁でも明らかなわけで、これはまさに私は脅威だというふうに思うんですね。
 具体的に少し、この間どれだけこうした弾道ミサイルの発射実験が頻発に行われているかを比較する意味で、一つ比較の説明をお願いをしたいんですが、金正日国防委員会委員長の政権期の十九年間と、金正恩国防委員会第一委員長の就任してからの三年間を比較して、この弾道ミサイルの発射がどれぐらい回数があったかを防衛大臣から御説明願います。
○国務大臣(中谷元君) 金正日国防委員会委員長の在任の十九年間、これにおきましては、北朝鮮はスカッド級以上の弾道ミサイルを少なくとも五回発射をしております。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 一方、現在、金正恩国防委員会第一委員長の在任三年間におきましては、スカッド級以上の弾道ミサイルを少なくとも九回発射をしているものと承知をいたしております。
○塚田一郎君 今お話があったとおり、十七年間の金正日政権で五回だったものが、僅かにこの政権が変わって金正恩になった三年間で実に九回という、大変頻度の多い発射実験が行われているわけであります。
 そして、この十月に、報道によると、再び長距離弾道ミサイルの発射実験を北朝鮮は強行するという内容の報道があります。この事実関係についてどのように把握されているのか、御説明願います。
○国務大臣(中谷元君) 北朝鮮が二〇一二年十二月にテポドン2の発射を行った東倉里地区、ここにおきまして、これまで発射タワーの大型化改修が行われている旨、累次指摘をされてきたほか、本年五月には、新たに建設されたとされる宇宙管制総合指揮所を金正恩第一委員長が視察をするなど、北朝鮮は、人工衛星打ち上げと称した長距離弾道ミサイルの発射活動を継続する姿勢を示しております。
 本年十月の長距離弾道ミサイルの発射の可能性につきましては、現段階において確たることを申し上げることは差し控えますが、仮に長距離弾道ミサイルが発射されるとすれば、累次の国連安保理決議に違反するものでありまして、また、北朝鮮の弾道ミサイル能力の増強につながるものであることから、我が国の安全保障上強く懸念すべきものであると考えております。
○塚田一郎君 今お話があったとおり、これは十分にそういう可能性が高まってきていると思います。我が国国土の上空を飛び越えていくようなミサイルになるかもしれません。しっかりとした防衛体制を張っていただいて、万一のことがないようにやっていただかなければなりませんが、まさにこれが今の現実の脅威であります。
 次に、二枚目のパネルを御覧をいただきたいんですが、非常にこの間発射実験を頻繁に行っている意図が何なのか、これを我々はしっかりと分析をしていく必要があると思うんですね。この二枚目のパネルは、二〇一四年一年間で七回行われた弾道ミサイルの発射を示したものであります。それぞれ違う場所から違う時間帯で発射をされております。
 ここで御質問したいのは、なぜ七回もの弾道ミサイルの発射をこの短期間で行ったのか、北朝鮮は既に複数の基地から複数の弾道ミサイルを同時に発射できる能力を私は持っているんではないかと推測するんですが、この点について防衛省としてどのように分析をしているか、お話し願います。
○国務大臣(中谷元君) 御指摘のように、二〇一四年以降、スカッド、ノドン級と推測される弾道ミサイル、これを繰り返し発射をして、通常の訓練と主張をして正当化をいたしておりますが、北朝鮮がこのような発射訓練を行う意図については、防衛省として断定的にお答えすることはできませんけれども、例えば、北朝鮮が弾道ミサイル性能や信頼性に自信を深めていると見られること、そして、金正恩国防委員会第一委員長は軍の視察において実戦的訓練を行うよう指導をしているということ、そして、詳細な発射位置やタイミングなど発射兆候を探知されにくくするよう、発射台付き車両、これを活用して奇襲攻撃を含めた弾道ミサイル部隊の運用能力の向上を図っていると見られることなどが背景として考えられるわけでございます。
 このように、北朝鮮が研究開発のみならず運用能力の向上を図る動きを活発化させていることは北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が更に高まっていることを示すものと考えておりまして、北朝鮮は、ノドン用だけでも最大五十両といった多数の発射台付き車両、これTELと言いますけれども、こういった車両を保有していると指摘をされていることから、多数の弾道ミサイルを様々な地点から同時に発射をすることが可能であると考えられます。
○塚田一郎君 まさに今御説明があったとおり、時間を変えて様々なところから、別の場所から攻撃を受けないように同時にミサイルを発射できる能力を持っているということは大変に脅威な状況だと思います。発射されたミサイルは我が国の領土まで約十分あれば到達をしてしまうわけでありますから、こうやって質疑をしている十分間の間にももう我が国の国土にミサイルが飛んでくる可能性すらあるという状況であります。しかも、この時間も、明るい時間も暗い時間も、まさにさっきお話があったとおり、奇襲攻撃、これはもう実際に攻撃を、意図してこういうことをやっているとしか考えられないような状況が現実にあるということを我々はしっかりと認識をしなければならない。そして、そのときに、我が国の防衛を考えたときに、やはり日米の連携強化が、この後御質問いたしますけれども、必要になってくると、これが今の状況だというふうに思います。
 ミサイルの発射、能力はあるけれども、じゃ、北朝鮮が本当に我が国に挑発的な言動を行っているのか。しかし、過去、いろいろな報道を見ますと、我が国を敵視するような挑発的な言動を北朝鮮は何度も行っています。
 外務大臣にその辺りについて少し御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のような北朝鮮の言動につきましては、例えば二〇一三年三月に北朝鮮の公式メディアは、在日米軍の基地のある横須賀、三沢、沖縄や米国本土も射撃圏内にある、こうした旨述べております。また、二〇一三年四月、同じく北朝鮮の公式メディアの論説の中には、日本の全領土は我が方の報復打撃対象となることを避けることはできない、こうした部分があります。また、二〇一四年十一月の国防委員会声明の中には、日本も丸ごと焦土化され、水葬されなければならない、こうした発言も含まれております。
 このように、我が国に対する挑発的な発言はしばしば行われております。
○塚田一郎君 今御説明があったとおり、これは一三年の三月十七日の北朝鮮労働党機関紙、労働新聞、侵略者たちの本拠地に対する核先制攻撃の権利を行使すると、日本も決して例外ではないと、こういう言い方までしているわけでありますね。また、こんな記述もあります。これは二〇一四年の十一月二十三日の国防委員会の声明であります。日本は近くて遠い国程度ではなく、我が方の目の前から永遠になくなる存在となるということを肝に銘ずるべきであると。
 非常に挑発的な言動をこの間も行ってきている。まさにこれが、能力だけではなくて、挑発そして意思も示しているということに私はなるんではないかなと思います。まさに、こうした深刻な我が国を取り巻く安全保障上の脅威が今そこに存在している。
 こういう変化の中で、個別自衛権で対処することには限界があるから限定的な集団自衛権行使を今回容認をしなければならないというのが私は総理の決断の意味だと思うんですが、安倍総理に改めてその点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の平和安全法制は特定の国を対象としたものではないということは御理解をいただきたいと思いますが、政府がこれまで繰り返し説明をしている存立危機事態となり得る事例を申し上げれば、我が国近隣において、我が国と密接な関係にある他国、例えば米国に対する武力攻撃が発生した場合、その時点ではまだ我が国に武力攻撃が発生したとは認定されないものの、攻撃国は我が国をも射程に捉える相当数の弾道ミサイルを保有をしており、その言動などから我が国に対する武力攻撃の発生が差し迫っている状況にあると。他国の弾道ミサイル攻撃から我が国を守り、これに反撃する能力を持つ同盟国である米国の艦艇への攻撃を早急に止めずに我が国に対する武力攻撃の発生を待って対処するのでは、弾道ミサイルによる第一撃によって取り返しの付かない甚大な被害を被ることになることは明らかであります。このような場合は、状況を総合的に判断して存立危機事態となるわけであります。
 弾道ミサイル防衛は、先ほども御説明をさせていただきましたが、日米が緊密に協力することが不可欠でありまして、米国のイージス艦への攻撃を放置すれば我が国も甚大な被害を被る可能性があるということは、もうこれは皆さん御理解をいただけると思います。
 今回の平和安全法制が成立をし、そして三要件を満たす場合には、これまでは個別的自衛権ではできなかったこのような弾道ミサイルの警戒に当たっている米国のイージス艦の防衛を実施することが可能となり、我々のミサイル防衛システムはより効果を発揮をする、よりしっかりとミサイル攻撃に備えることが可能となる、それによって私たちはしっかりと子供たちや国民の命を守ることができるようになっていくと、このように確信をしております。
○塚田一郎君 まさに今総理が御説明をいただいたとおり、日米のミサイル防衛の連携を更に強化することこそが我が国の国土と国民の生命、財産を守っていく、これが必要な措置だということで、今回、限定的な集団的自衛権の行使を認めるという法律の改正をやらなければならないということだと思うんです。
 今も御説明もありましたけれども、改めてちょっと確認をしたいんですが、そうすると、日本に数発のミサイルが仮に飛んでくるような状況になったときは、アメリカのイージス艦も含めて日米で連携をして我が国国土を守っていく、そういうことが今後更に強化されていくという理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 弾道ミサイル防衛というのは、警戒監視から迎撃に至るまで、日米、これが緊密に協力するということが不可欠でございまして、米国のイージス艦への攻撃を放置すれば、弾道ミサイルの探知、また迎撃能力が低下をし、我が国も甚大な被害を被る可能性というものがございます。
 そのために、今回、平和安全法制、これが成立をいたしますと、新三要件を満たす場合には、これまで個別的自衛権でできなかったこのような弾道ミサイルの警戒に当たっている米国のイージス艦の防護を実施することが可能になるなど、我が国の安全上必要な制度であり、必要な事項であるということでございます。
○塚田一郎君 個別的自衛権でもアメリカは日本を守ってくれるのではないかという意見もあるようですけれども、しかし、そういう状況であれば、日本はアメリカの軍に対する攻撃のときに限定的であれ集団的自衛権を、我が国の存立に関わる状況でも今までは行使ができないわけでありますから、これは大きく変化をしてくる、そのことがまさに我が国を守ることにも資するというのが一番重要な私は論点だろうというふうに考えるわけであります。
 次に、北朝鮮の国内の混乱状況がどのように今後可能性があるかということでありますけれども、北朝鮮は今、私は混沌としているのではないかと思うんですね。様々な形で政府高官に対する粛清が行われております。そして、まさにこうした状況が本当に金正恩政権が安定しているのかどうかという疑問を投げかけるわけでありますが、体制の安定度を今どのように評価をされているのでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 北朝鮮においては、金正恩国防委員会第一委員長の下、二〇一三年十二月に張成沢国防委員会副委員長が粛清されたほか、玄永哲人民武力部長を含む軍幹部等の頻繁な変動を見ることができます。北朝鮮内部の動向については、現時点において必ずしも情勢が不安定化しているとの具体的な情報には接しているわけではありませんが、様々な見方があると承知をしております。
 金正恩国防委員会第一委員長の権力基盤、また北朝鮮指導部の体制を含め、北朝鮮内部の動向については引き続き重大な関心を持って情報収集、さらには分析に努めていかなければならないと考えます。
○塚田一郎君 今御説明があった中で、チョン・ソンテク氏、これは金正恩第一書記の叔父さんに当たる方ですね。(発言する者あり)張成沢さんですね。こうした張成沢さんのような方までまさに粛清をされているということの現状は、極めて私は深刻だと思うんですね。いつ何どき北朝鮮内でクーデターが起きるやもしれない、国内が混乱するかもしれない。そうした状況を考えると、まさに我々は万全の体制でいかなければならない。
 総理には、この後お尋ねしたいのは、こうした北朝鮮の混乱状態、つまり、朝鮮半島有事における拉致被害者を含む邦人の救出をどのように行っていただくかという問題であります。
 私は、横田めぐみさんと同じ学校を卒業した、同窓の後輩であるめぐみさんの救出活動、そして全ての拉致被害者の救出活動をこの間ずっと取り組んでまいりました。総理は、自らの政権で必ずこの拉致問題の解決を図る、全ての被害者の帰国を実現するという強い決意を持たれています。しかし、そうした進展がない中で、万が一こうした朝鮮半島の有事が起きたときにどのようにして守っていくのか、どのように保護をするのか。
 米韓連合軍は、北朝鮮の南侵や急変事態、つまり北朝鮮の動乱に備えた共同作戦計画五〇二九を保有していると言われております。これは有事において拉致被害者を含む皆さんを救出するためにアメリカとの連携を強化をしていくことが私は必要な一つの問題の提起だと思うんですが、この点について、どのように邦人、そして拉致被害者を救出するか、総理からお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全ての拉致被害者の日本への帰還、帰国、これは安倍政権の最重要課題であります。御指摘のような事態において、拉致被害者の安全確保、極めて重要であります。その際、同盟国である米国との協力は極めて重要であると認識をしています。
 これまで米国に対しまして拉致被害者に関する情報を提供しておりまして、そうしたもし状況が生起をするような事態に立ち至った場合に、拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に依頼をしているわけでございまして、具体的なことについては控えさせていただきますが、そうした際にもしっかりと安全が確保されるよう、米国の協力を我々は依頼をしているところでございます。
○塚田一郎君 被害者家族の皆さんは、本来であれば、自衛隊の皆さんにこうした有事のときに北朝鮮に拉致被害者を含む邦人の救出に行ってもらいたい。今回、自衛隊法の改正がなされるわけでありますけれども、残念ながら相手国の同意がなければこうした自衛隊の派遣を行うことはできないという制約の中で、我々に今現実にある手段は、やはり日米同盟の中でアメリカの協力を得てこうした拉致被害者を含む邦人を安全に救出をしてくるという方法だというふうに思います。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 この方法しかないんだというふうに思いますけれども、今総理からはアメリカにはしっかりとそういうことを要請しているというお話があったと思うんですけれども、具体的にそういうことを、アメリカに被害者の救出を頼んでいるということをお願いをしているということでいいんですね。もう一度確認をさせてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) こうした事態に立ち至ったときには、今、塚田委員がおっしゃったように、我が国の場合は今回の法案が成立をしたとしても受入れ国の同意が必要でございますから、残念ながらそれは考えられないという状況であれば、その際、米国がこの混乱の際、拉致被害者に対して救出をすることが可能な状況が生じた場合等も想定をいたしながら、我々は拉致被害者の情報等も提供しながら安全確保についてお願いをしているわけでございます。
○塚田一郎君 具体的にそうしたことをアメリカにも要請をしているという総理の御答弁がありましたので、私は、このことをしっかりと進めていっていただき、万が一に備えていただきたいというふうに思います。
 そうすると、アメリカによって救出をされる可能性がある拉致被害者との、米軍との協力関係が非常に重要になります。よく、朝鮮半島有事のときに邦人を乗せたアメリカの船が攻撃をされるときに、この法制によって、今度は日本の、必要最小限においてであるけれども守れるようになるという説明がありました。今回の平和安全法制の成立によって、現行法ではできない中で、今後どのようなことがこうした邦人を乗せた米艦に対してできるようになるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今までは、日本に対する武力攻撃がなければ、例えば紛争当事国の国から逃れて日本に帰ってくる邦人を乗せた米国の艦船が攻撃をされても守ることはできなかったわけでございますが、今回は、三要件を満たすことになれば、そうした邦人を乗せた船を、他国、例えば米国の艦船に乗っている、邦人が乗っている船が攻撃をされた場合、それを守ることができるということになるわけでございまして、これは大きな違いになると、このように思います。
○塚田一郎君 まさに総理が今おっしゃったとおり、仮に万が一のときに、拉致被害者を含む邦人をアメリカが救出をしてそれをまさに日本に運んでくる、そういう途中に攻撃を受ける、そのときに我々がまさに我が国の国民、同胞が乗っている船を守ることができないということは、これは私は大きな問題だと思うんですね。そうしたときに、この集団的自衛権の限定的行使容認であればできるようになるということ、国民の皆さんはもうしっかりそのことを理解をしていただければ、まさに拉致被害者を含む多くの邦人の救出に資する、まさに我が国の安全で安心な暮らしに資する内容だということを私は理解をしていただけると思うんです。そういうことを総理からもこれからもきちっと御説明をいただいて、この法案の持つ意義ということを多くの皆様に御理解をしていっていただきたい。そのことがきっとこの法律に対しての国民理解につながると私は確信をしておりますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
 拉致の問題に対して、残念ながら、いまだにこの解決に向けて大きな前進がない状況が続いております。安倍内閣になって、長い間、北朝鮮は拉致の問題はもう解決済みだと言っている主張が、ようやく新たな扉が開いたんです。しかし、残念ながら、この間一年間、ストックホルム合意以降、交渉を持ってもいまだに拉致被害者の帰国につながる報告もなされていない、これが現状であります。まさにこの一年が経過した今、北朝鮮から何も回答がない、極めて遺憾な状況だと私は思います。
 我々自由民主党も、こうした状況の中で、新たな制裁も含めた政府への提言を総理に行わせていただきました。この現状を今しっかりと受け止めていただいて、政府としてどのように今後この問題を前進をさせていって被害者の帰国につなげるのか、総理の思いを聞かせていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 調査開始から一年たった今においても拉致被害者の帰国が実現していないことは、誠に遺憾であります。御家族の方々からも強い憤りとともに対北朝鮮措置の強化を求める声が上がっているということは、重々承知をしております。
 北朝鮮からの具体的な動きを早急に引き出すべく働きかけを強化するように外務大臣と拉致問題担当大臣に指示をしているところでありますが、これまで固く閉ざされていた交渉の扉をやっとこじ開け、困難な交渉を今現在進めているところであります。
 北朝鮮から前向きな行動を引き出す上においてあらゆる観点から何が最も効果的かを検討しつつ、今後も、対話と圧力、行動対行動の方針の下、拉致問題の解決に向けて全力で取り組み、拉致被害者の早期一括帰国を強く求めていく考えであります。
○塚田一郎君 拉致被害者の御家族は、我が国が対北朝鮮の措置、つまり制裁の一部を解除してから一年がもうたってしまった、しかしまだ何の進展もない中でもう再制裁を科すことも考えてもらわなければいけない、そういう思いで、政府にも、総理にもその声が届いていると思うんです。
 今後、もしこのような状況が、進展のない状況が続くのであれば、昨年解除した制裁を戻す、あるいは更にその圧力を強めるということも視野に入れて政府は考えていくということでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北朝鮮に対して我々は制裁を行っているわけであります。
 先ほども御説明をしたように、かつては制裁をする手段すらなかったのでありますが、二〇〇四年、塚田委員も始め、多くの有志の皆さんとともに制裁を可能とする法律を作りました。その際は、制裁をする、この法律を作ることによって、当時はまだ拉致被害者の子供たちが北朝鮮に残されたままで、帰還を果たした拉致被害者の子供たちが残されたままでありまして、この交渉ができなくなるのではないかという危惧、反対も強かったわけでございますが、我々は、交渉力を強める必要があると、このように判断してこの法案を提出をしたところであります。その結果、その後、実は交渉は進み、帰国を果たした被害者のお子さんたちは日本への帰国を果たすことができたわけであります。
 この制裁、当時も私はこう説明をしていたわけでありますが、制裁は、制裁を使うことによって言わば効果を発揮する、かつ、それはまた制裁を解除していくことによってカードとして使える。制裁という手段を持っていなかったときには、我々は、例えば米の支援をする、そうしたものを与えることしかカードがなかったのでございますが、むしろ制裁を、科した制裁を解除するという方法によって我々は新しいカードも得ているわけでございます。
 今回、この新たな調査がスタートした段階において、我々はそのスタートにおいて、私ども独自が国際社会とともに行っている制裁とは別に一部を解除はしているわけでございます。確かに強化せよという声はあるわけでありますが、今やっとこのつかんだ糸口は放してはならないという観点から、北朝鮮側にしっかりとした誠実な、正直な対応を促していくよう更に努力を続けていく考えであります。
○塚田一郎君 カードとして、制裁は解除したときもそして科すときもそれは交渉のカードになるという総理のお話はそのとおりだと思います。
 しかし、もうこの状況が続けば、御家族は大変にこの状況に対して焦燥感を持たれている。いつまで待たなければいけないんだ。被害者の御家族でお元気であるのは二つの御家族の御両親だけであります。まさに時間との闘いでありますから、いつまでも猶予があるわけではない。総理にはしっかりとした決断をしていただきたい。我々自民党が政府に対して作った対案というのは、まさにその貴重なツールを総理にお渡しをしたと思いますので、その決断をしっかりと行うべきときは行っていただきたいということを申し上げたいと思います。
 拉致被害者救出に関連をして、被害者の確保をするためには拉致被害者の置かれている状況について適切にやはり情報収集を行っていかなければならないと思いますが、外務大臣でよろしいでしょうか、その状況について御説明願います。
○国務大臣(岸田文雄君) 政府としましても、北朝鮮の情勢につきましては重大な関心を持ち、そして不断に注視をしていかなければなりません。そして、この情報収集、分析に努めなければならないわけですが、米国や韓国と緊密に連携する、これは当然のことであります。
 あわせて、北朝鮮と外交関係を有し、そして北朝鮮に公館を設置している国、二十四か国一地域ございます。こうした国々を含む各国との情報交換、これは大変重要だと考えます。こうしたルートも活用しながら、内部情報の把握に努めているところであります。
 是非、引き続き、この情報収集、分析につきましては最善の努力を続けていきたいと考えております。
○塚田一郎君 最後に、もう一度総理の決意をお聞きしたいと思いますが、七月二十二日、特別調査委員会一年全拉致被害者を取り戻す緊急国民集会が開かれました。この中で決議が採択をされたわけでありますが、その一文をお読みします。
 日本政府は北朝鮮に対し、全被害者の一括帰国という要求を突き付け続けよ、日本政府は全被害者の一括帰国の期限を設定し、それが実現しなければ制裁を極大まで強めると北朝鮮に通告せよ、という内容がこの決議に盛り込まれております。
 改めて、総理の全ての拉致被害者の一括帰国に向けた決意を最後にお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も御家族からお手紙もいただきました。もう待てないというお気持ちは本当に私もよく分かります。
 そうした被害者の皆様の声を我々も北朝鮮側に伝えておりますが、今回の強い決意も北朝鮮側に伝えつつ、我々は、残されている時間、御家族がだんだん年を重ねていかれるという状況の中で、なるべく、なるべく早く、本当に皆さんがお元気なうちにお子さんたちを自らの手で抱き締めることができるように解決に向けて全力を尽くしていきたいと、このように決意をしているところでございます。
○塚田一郎君 終わります。
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。
 質問に入ります前に、去る二十八日の当委員会におきまして、我が党の大塚耕平議員が防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会についての質問をされました。その関連で、今後の審議に資するため、これまで当検討会で使用されました資料につきまして全て御提供をいただきますように要求をしたいというふうに思います。
 理事会で御協議願いますように、委員長のお取り計らいをよろしくお願い申し上げます。
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの資料請求に関しましては、後の理事会においてお諮りしたいと思います。
○広田一君 それでは、質問に入ります。
 まず、法的安定性についてお伺いをします。
 今回の安保法制の審議、重要な論点の一つがこの法的安定性をめぐっての議論でございます。今回の安保法制が法的安定性といったものを維持をしているのか、そうではないのか、この論戦が交わされているところでございます。与野党とも、立場の違いはあっても、この法的安定性というものを大事にして、互いにしのぎを削っているわけでございます。
 まず、安倍総理にこの法的安定性の重要性についてお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この法的安定性につきましては、今回の解釈についての変更、一部変更につきまして、我々は四十七年見解の基本的な論理は維持しているわけでございます。そのことによって法的安定性を維持していると。
 そして、法的安定性の重要性についての御下問でございますが、それは、例えば安全保障に関わる基本的な考え方について、これは政権が替わっても、また総理大臣が替わっても、基本的な姿勢は同じであるということの重要性でございます。国民の安心感あるいは法体系に対する信頼性にも関わってくるわけでございますので、我々はその法的安定性を維持しながら、今回は四十七年の政府解釈、この解釈の基本的な論理を維持しつつ、その当てはめの変更という形で一部行使容認という判断を行ったところでございます。
○広田一君 今総理の方から、法的安定性の重要性、すなわち政権が、総理が替わろうとも、これはしっかりと守っていかなければならない、そういった趣旨の御答弁がございました。
 この法的安定性を真っ向から否定されている方が、総理の側近中の側近の一人である礒崎総理補佐官であります。ある講演で、考えないといけないのは我が国を守るために必要な措置かどうかであって、法的安定性は関係ない、こう言ったり、また、違う講演でも、法的安定性で国は守れますか、そんなもので守れるわけがない、こういったこともおっしゃっている、このような報道がございました。
 このようなことを公衆の面前で語るなど、これはもう暴言、妄言、ほかならないと、このように思うところでございます。こんな発言をされる方が自他共に認める総理の側近であることをどう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この法的安定性については、私は今まで何回も繰り返し国会で答弁をしているわけでございますから、礒崎補佐官も、私の考え、政府の考えは十分に理解をしている、同じ立場に立っているものと考えております。
 礒崎補佐官の発言は、平和安全法制を議論していく上において、憲法との関係とともに、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言と、こう承知をしておりますが、法的安定性を確保することはもとより当然のことでございまして、昨年七月の閣議決定においても明確に記載して、明確にもうこれは閣議決定においても記載をしております。そこに疑義を持たれるような発言は慎まなければならないと、こう考えております。
 私もこの委員会を通じて、また、官房長官からも私からも本人には注意をしているところでございます。
○広田一君 今総理の方から、礒崎補佐官も十分に法的安定性についての認識をしていると、そういった趣旨のお話がありましたが、だったらなぜ、法的安定性で国は守れるのか、そんなもので守れるわけがないといった発言をするはずがないんです。礒崎補佐官は、今言った安倍総理の御発言は全く私は理解をしていないというふうに思います。
 かつて私も北澤元防衛大臣の下で政務官をいたしました。もし私が、法的安定性など関係ないというふうに言われたら、恐らくその日に更迭されるんだろうと思います。これだけ重要な発言でございます。安倍総理、礒崎総理補佐官、更迭すべきではないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げたように、私もずっと法的安定性の重要性について答弁を繰り返しているわけでございますから、当然そのことは認識をしているものと思います。その認識を持った上において、平和安全法制を議論していく上で、憲法との関係とともに、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言というふうに承知をしているわけでございまして、法的安定性を確保することはもとより当然のことでありまして、昨年七月の閣議決定においても明確に記載をしています。そこに疑念を持たれるような発言は慎まなければならない、これは当然のことであろうと、このことを踏まえてしっかりと職務に取り組まなければならないと、このように考えております。
○広田一君 総理は、繰り返しの答弁で、自分の質問には答えていただいておりません。百歩譲っても、じゃ、そのお話を礒崎補佐官に是非とも言っていただきたいなというふうに思います。
 そのチャンスがこの前あったんです。二十八日の夜、安倍総理と礒崎補佐官は会食をされております。その会食が終わった後に、礒崎補佐官が赤ら顔で出てこられまして、この法的安定性の問題について総理から何か話があったのかというふうな趣旨の質問に対して、何もなかったというふうな趣旨の発言をされております。疑義を持たれるようなことは慎まなければならないということであれば、この二十八日の夜のときに総理の方から礒崎補佐官に厳しく注意をすべきじゃないですか。
 この事実関係とともに、本当にこうだったのか、総理からは何も礒崎補佐官には話をされなかったのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この件につきましては、官房長官からも注意をしておりますし、私はその場以外の場で、これは電話等において注意をしているわけでございます。
○広田一君 じゃ、そうであれば、この二十八日のときには総理の方からは何もなかったと、こういう理解でよろしいんですか。それはおかしいんじゃないですか。やっぱり面と向かう機会があって、今言ったような、御答弁るるされたことをしっかり礒崎補佐官に言って、注意をして、そして君はもう今日限りで更迭だと、そういうお話をするのは当然じゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この場の以前に既に注意をしているわけでございまして、この場は多くの議員がいる場でありまして、私はその中で多くの他の議員との話をしていたわけでございます。そして、私以外にもいろんな議員がいろんな発言をしているという状況でございまして、その場で注意をするのではなくて、もう別途私は注意をしておりますし、また官房長官からも注意しているわけでございます。
○広田一君 総理、この法的安定性の重要性は、るる議論しているようにお互いが共有しているところであります。
 宴席、酒席の場とはいえ、今、この時期にいろんな話がある中で、まずイの一番に総理の方から言わなければならないのはこの問題じゃないでしょうか。それをさておいて何かほかに重要な話があったんでしょうか。私は、その感覚が国民の皆さんから見て全く理解をすることができないと、こういうふうに思うわけであります。ですから、今回の礒崎補佐官の御発言というのはまさしく暴言、妄言でありますけれども、しかしこれは安倍政権の体質といったものも体現しているんじゃないか、このように思わざるを得ません。
 そういう意味で、もう一点、総理にお聞きしたいんですけど、先ほど、礒崎補佐官が、法的安定性で国は守れますか、そんなもので守れるわけがないと講演で言っているわけでありますけれども、これは言い換えますと、政府の安保法案は法的安定性を欠いていると認めたのと同然じゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 法的安定性につきましては、閣議決定においても明記しているわけでございますから、我々は、法的安定性はしっかりと確保されている、それは基本的論理を、四十七年の基本的論理を踏まえたものであり、法的安定性は確保されているということをずっと答弁をしてきたわけでございまして、この考え方はまさに揺るぎないものでございます。
○広田一君 総理、礒崎補佐官は官邸においてこの安保法案の担当だったというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 礒崎補佐官は、安全保障全般について補佐官として担当しているわけでございます。ですから、この平和安全法制につきましては、これはまさに我々総掛かりでこの法案について作成を行ってきたわけでございます。もちろん、その中の一員として礒崎補佐官も加わっているわけでございますから、この法的安定性の重要性については十分に理解しているものと、このように思います。
○広田一君 いや、総理、礒崎補佐官は、単なる一員じゃなくて、与党の協議にも出られたり、まさしく責任者の一人じゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、安全保障の担当者でございます。そういう意味におきましては、もちろん担当者の一人でございます。
○広田一君 その担当者である方が、この安保法案の担当者である方が法的安定性は関係ないと言っているわけでありますから、この法案はまさしく欠陥法案じゃないんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大切なことは内閣としてどう考えているかということでございまして、内閣としては閣議決定において法的安定性について明記しているわけでございまして、まさにここで内閣としての姿勢は貫徹をされているわけでございまして、この法制に対する言わば法的安定性の重要性について我々は極めて重視をしている、そのことを閣議決定において明記をしている。これは、まさに内閣としての姿勢、考え方を明確に示したものであると思います。
○広田一君 総理は閣議決定のお話をされますけれども、これは、これまでの質疑ではっきりしました。安倍総理と礒崎補佐官は、この法的安定性については官邸内不一致なんですよ。官邸内不一致なんです。言っていることが百八十度違うんです。
 是非とも、礒崎補佐官に当委員会に来ていただきたいというふうに思っております。与党の皆さんからは、何か理事会に来て質疑をするというふうな御提案があるそうなんですけど、理事会の部屋とこの当委員会は目と鼻の先なんで、是非、委員会に来ていただきたいと思いますし、是非とも総理の方から出ていくように指示をしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、委員会の運営についてでございますから、この当委員会において決めていただきたいと、このように思います。
○広田一君 それでは、委員長、是非とも、礒崎補佐官を当委員会に参考人招致をしていただきますように、よろしくお願い申し上げます。
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの広田君の礒崎補佐官の参考人招致につきましては、本日の朝の理事会ででも協議をいたしております。協議調わずに、今日、一日中も与野党間で交渉をし、合意形成できるように私からもお話ししておりますので、なお、この件に関しましては、継続中ということで、しばらくお待ちをいただきたいと思いますが。
 質疑を進めていただきたいと思います。
○広田一君 是非とも、鴻池委員長の御尽力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、この法的安定性の観点も併せまして、専守防衛についてお伺いをしたいと思います。
 民主党は、去る四月二十八日に決定しました安全保障法制に関する考え方の中で、日本国憲法の基本理念である平和主義を貫く、この基本姿勢とともに、専守防衛に徹して現実的で責任のある安全保障政策を追求すると、このように明記をしているところでございます。
 この専守防衛に徹するという考え方は、民主党の党の綱領であるとか民主党政権時代に策定しました防衛大綱においても明記をしているところでございます。つまり、民主党にとっての安全保障政策の基本理念でございます。
 自公政権の場合も、安倍政権までは同様のはずだったというふうに思います。しかしながら、今回のもし安保法制が、先ほど言いましたように法的安定性を欠いているこの安保法制が成立しますと、専守防衛の定義、考え方が根底から覆されて、破棄されてしまうんじゃないか、そういった懸念、危険があるわけでございます。これは、多くの国民の皆さんがこの危惧を共有していると、このように理解をいたします。
 それで、まずお伺いしたいのは、この専守防衛の定義は何でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この専守防衛について、国民の皆様の中に疑義があると、これは広田委員の御指摘のとおりでございますが、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであります。
 そして、新三要件の下で許容されるものは、あくまでも自衛の措置としての武力の行使に限られており、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生が前提であります。また、他国を防衛すること自体を目的とすることではなく、このような考え方の下に行われる今般の法整備においては、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛について、その定義、そしてそれが我が国防衛の基本方針であることにいささかの変更もございません。
○広田一君 ただいま総理の方からは、今回の安全保障法制をやったとしても専守防衛の定義はいささかも変わらないと、こういった趣旨の御答弁があったところでございます。
 そこで、まずお伺いをしたいんですけれども、確認なんですが、この専守防衛というものは、いわゆるフルスペックの集団的自衛権は排除しますね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、私どもが今回容認したのは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることということを明記をしているわけでございます。さらには、他に手段がない、我が国の存立を全うして国民を守るために他に手段がない、そして必要最小限度の実力行使にとどまるべきことということの中でのみでございます。
 であるからこそ、我々は、専守防衛は、当然この考え方の下、これは今後も自衛権を発動していくということでございます。その範囲内にとどまるということでございまして、フルスペックということになれば、それは当然その範囲から外に出ると、こういうことだと考えております。
○広田一君 ただいま総理の方から、フルスペックの集団的自衛権は認めていないという御答弁がございました。そうすると、先制攻撃となり得るような行為は決してしないということでよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先制攻撃は、まさにこれは国連憲章にも反するわけでございますから、国際法にも反することは当然しないということはもうこれ自明の理でございます。
○広田一君 じゃ、これを踏まえて質疑を進めたいというふうに思いますけれども、先ほど総理の方からお話がございましたように、今回のいわゆる存立危機事態、新三要件といったものを法案として今成立させるべく頑張られているわけでございますけれども、この専守防衛の定義にございます、ここに書いてありますとおり、(資料提示)@のところで、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使をすると、このように書いてありますが、この対象はこれまでは我が国だけでございました。
 これに関しまして、中谷防衛大臣は衆議院の特別委員会の質疑の中で、従来は我が国だけだったが、昨年七月の閣議決定以降、我が国のみならず他国も含むようになった、この旨の答弁をされております。これは、他国を含むようになったというのは、これ明らかに百八十度違っているんですよね。
 今まで我が国しかなかったものが、他国を含むようになった。これ百八十度違います。明らかに定義が変わっているんじゃないでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 昨年七月に閣議決定をいたしましたけれども、憲法第九条、これの解釈の基本的な論理、これは維持をした上で、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るという認識から、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合にも自衛の措置としての武力行使が容認されるとしたものでございます。
 これに伴って、この専守防衛の説明に用いてまいりました、その表の@の「相手から武力攻撃を受けたとき」には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと解していますが、いずれにせよ、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生が前提であり、また、他国を防衛するということ自体を目的とするものではなくて、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の体制をいう専守防衛の定義、これには全く変更がないということでございます。
○広田一君 まず一点指摘をしたいのが、我が国だけだったものが他国まで含まれるというのは、誰が聞いても大きな変化、根本的な変容なんです。これをいささかの変更もないと言うのは、これは強弁そのものであって、無理筋だというふうに考えるわけでございます。
 こういった中で、それでは順次質疑を進めていきたいというふうに思いますけれども、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使をする、これからは他国に対するものも含まれるということでございますけれども、そうだとすると、この文言、この文言だといわゆるフルスペックの集団的自衛権を認めることになるんです。
 よろしいですか。相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をする、これはこれまで我が国だけだった。これは旧三要件の第一番目に当たります。しかし、これを今回、他国への武力攻撃も含めるということになりますと、これは誰がどう見てもフルスペックの集団的自衛権を認めることになるんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) これは、昭和四十七年の政府の武力行使に関する基本的な論理、これに基づいたものでございまして、その論理は変更をしていないということでございます。
 そこで、相手から武力攻撃を受けたときというのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと解しておりますが、いずれにせよ、我が国及び我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生、これが前提であり、また、他国を防衛すること自体を目的とするものではなくて、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略をいう専守防衛、これはいささかも変更がないということでございます。
○広田一君 大臣、先ほどから同じ答弁を繰り返して、全く私の質問にも答えてくれておりません。
 もう一度聞きます。この@、「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、」、これをどう解釈をするのか。これに他国への武力攻撃というものも対象の中に含まれるとすると、素直に読めば、文理上はこれはフルスペックの集団的自衛権を認めることになるんですよ。そうでないと言うんだったら、この赤で書いた部分についてどういうふうな理由、論理展開をすれば、今、これまで中谷防衛大臣がるる御説明されているようなものが解することができるのか、これを説明、証明してください。
○国務大臣(中谷元君) 昨年閣議決定で認めました内容におきましては、これは、国際法上認められる集団的自衛権のうち、我が国が行使できるのはあくまでもこの新三要件を満たす場合に限られておりまして、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められないということで、国際法上認められている自衛権の一部は容認をいたしましたけれども、あくまでも自衛のための必要最小限度の措置でありまして、集団的自衛権行使の一般、これを認めるものではない。つまり、他国の防衛それ自体を目的とする行使、これは認めていないわけでございますので、それを含めたということでございます。
○広田一君 大臣、質問に答えていないんです。
 もう一度聞きます。これ、文理上、この赤字で、@で書いたところを素直に読めば、率直に読めば、これはフルスペックの集団的自衛権行使を容認しないと読めないんですよ。今、中谷防衛大臣がるる御説明されたことをもし今のこの専守防衛の定義の中で読むとすれば、これは、この定義を変えて、いささかの変更もないと言っていますけど、これを根本的に変えて専守防衛の定義を作り直さないと、今のような御答弁、内容では解することができないんです。
 これまでの専守防衛の定義、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をする、この中に他国への武力攻撃も含めるとすると、これはフルスペックの集団的自衛権というものを容認しないと到底解することはできない。そうでないとするのだったら、違うという理由を明らかにしてください。よろしくお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君) 済みません、御指摘の点について、国際法の関係もありますので、私の方からちょっと答弁をさせていただきます。
 まず、国際法上、フルスペックの集団的自衛権の要件としましては、武力攻撃を受けた国からの要請、同意があり、そして他に手段がない、必要性があり、そしてもう一つ、三点目としまして必要最小限のものであるという要件があります。
 フルスペックの集団的自衛権と我が国が今三要件に基づいて認める武力の行使、この違いを考えますときに、この必要最小限の部分が、まずこの解釈が違います。国際法上は、必要最小限は均衡性を示していると言われています。ただ、我が国の場合は、必要最小限、これは、新三要件の中において定義されております我が国の存立、あるいは我が国の国民の命、自由、そして幸福追求の権利を根底から覆す明白な危険を排除するために最小限の対応、こういった定義にしております。
 よって、先ほど専守防衛の定義として答弁をさせていただきました、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、そしてその態様も自衛のための最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための最小限のものに限る、これが従来から説明させていただいている専守防衛の定義ですので、フルスペックの部分につきましては、相手からの攻撃のみならず、均衡性の部分において我が国が限定している武力の行使の範囲を超えてしまう、こういった説明ができると存じます。
 そういった点から、今、フルスペックの部分につきましては専守防衛を超えてしまう、こう国際法上説明することができると私は考えております。
○広田一君 防衛大臣、外務大臣の方から長々と御答弁いただいたんですけど、国民の皆さん、こんなに長々と説明しないとこの私のシンプルな質問に答えることができないんですよ。この時点でもう既にこの専守防衛の定義がいささかも変更していないという言いぶりは破綻しているんです。
 じゃ、具体的に聞きますけれども、そうすると、これから政府は、例えば専守防衛の定義の冒頭のこの言葉につきまして、イランからアメリカが武力攻撃を受けたとき初めて日本国が防衛力を行使をする、こういう日本語として読めるようになるというふうに解するわけですね。そうですよね。
○国務大臣(中谷元君) あくまでも、今回認めたのは限定的な集団的自衛権でございます。
 その定義といたしまして、やはり先ほど御説明をいたしましたけれども、相手からの武力攻撃を受けたとき、これには、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むということでございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) ちょっと待って。総理の答弁を待ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、広田委員は、この専守防衛の定義を示されまして、文理上、この赤いところが言わば変わることによってフルスペックになったではないかとの御議論でございますが、ここはまさに、専守防衛の定義はこれ全体でございまして、まさにここに書いてある、「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢」ということは、まさにここでフルスペックにはならないわけでございまして、ですから、我々は、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢ということで、それはつまり三要件であるということを明記しているわけでございまして、つまり、ここだけではなくて、全体から導き出されるのは、つまりこれは憲法の精神にのっとっているということから、三要件にかなわなければこれは我々は武力の行使はできない、それはつまり専守防衛であると、こういうことでございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○広田一君 それでは、もう一度質問をいたします。
 他国に対する攻撃を含むとする場合、具体的に申し上げれば、イランからアメリカが武力攻撃を受けたとき初めて日本国が防衛力を行使をする、こういう日本語の理解になるということでよろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) 特定の国が出てくるわけでございますので一般論として申し上げますが、ただ単に密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生すればいいということではなくて、あくまでも憲法上の規定がございます。新三要件というのがありまして、武力攻撃を受けただけではなくて、我が国に対する武力攻撃が発生したこと又は我が国と密接な関係にある他国、これに対する武力攻撃が発生をして、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、そして他に手段がない、そして必要最小限、これが三要件でございます。これは憲法の論理から来たわけでございまして、これはいささかも変わりがないということで、この三要件を満たした場合でございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
 質問を続けてください。
○広田一君 それでは、もう一度質問をいたします。
 大臣、よく見ておいてください。相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をする、これを具体的に当てはめをしますと、イランからアメリカが武力攻撃を受けたときに初めて日本国が防衛力を行使をする、こういう日本語になるという理解でよろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) それだけでは駄目でございます。A国からB国へ武力攻撃を受けたとき、それだけでは駄目でございます。
○広田一君 先ほど、フルスペックの集団的自衛権は認めないというふうな話の中でそういったような御答弁なんだろうと思いますけど、私は、この一行の、@のところから導き出される具体的な国を当てはめた場合に、先ほど申し上げたように、イランからアメリカが武力攻撃を受けたとき初めて日本国が防衛力を行使をする、こういう日本語でよろしいですかというふうな質問は実はもう既にされておりまして、五月の十二日にこれはなされているんですよ。中谷大臣も隣に座っておりまして、政府参考人が「そういうふうに理解をしています。」と明確に述べているんです。
 そうすると、今の大臣の御答弁と明らかに矛盾するじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) 申し訳ございませんが、その参考人の御発言、どういう方がどういうことを言われたかということを申していただきたいと思います。
○広田一君 是非、大臣、確認してほしいんです。
 五月十二日の外交防衛委員会におきまして、先ほどの指摘について、防衛省の政府参考人からは「そういうふうに理解をしています。」というふうな答弁がございました。もしそうであれば、明らかに大臣のこれまでの御答弁とは矛盾をしているわけでありますので、どちらかを撤回をしてもらわなければなりません。これは、確認の上、はっきりとした御答弁を求めます。
○国務大臣(中谷元君) その前後関係を確認をしなければなりませんが、あくまでも私は一貫して、この専守防衛の説明には、相手から武力攻撃を受けたとき、これは我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むというふうに一貫して申し上げております。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記起こしてください。
 暫時休憩をいたします。
   午前十一時十五分休憩
     ─────・─────
   午前十一時二十六分開会
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、我が国の安全保障政策等についての集中審議を行います。
 広田一君。
○広田一君 それでは、先ほど来からるる質問をさせていただいておりますので、この点についての明快な御答弁をいただきたいというふうに思います。
 つまり、政府参考人の五月十二日の答弁と今の中谷大臣の答弁とは矛盾しておりますので、これについて明確な御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 五月十二日の委員会の議事録を精査をいたしました。
 このとき、小西洋之委員から、これは、イランは、日本の同盟国、「要するに、もう限定しますよ、新三要件に基づいて我が国が集団的自衛権を発動できる相手は、今の三者のうちアメリカだけとしましょう。」ということでお尋ねがございました。
 それに対して私は、昨年七月の閣議決定におきまして、憲法九条の解釈の基本的な論理はこれは維持した上で認識が改められて、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合にも自衛の措置として武力行使が容認されるとしたものでございます。
 その後、小西委員が「分かりました。」ということで、改めて政府委員にその前提で聞いたところ、そういう説明であれば、そのように理解をしますということでございます。
 要するに、このときの議事のやり取りは、新三要件を認めた上での議論でございまして私はお答えしましたが、今回はそれを満たさなく一般的に聞かれたものでございますので、それは違いますとお答えしたわけでございます。
○広田一君 大臣、自分の質問に本当に明確に答えていただきたいんです。
 議事録を精査した上での御答弁ということでございますけれども、これ明確に、五月十二日の答弁においては、先ほど質問した点については、「そういう説明であれば、そういうふうに理解をしています。」というふうに政府参考人は述べているわけでございます。政府参考人は大臣に代わって答弁をしているわけであって、そうであるとすると、これはまさしく防衛省の正式な答弁なわけであります。
 この話と今大臣がるる述べられていることということは、これは矛盾をするわけでございますから、これについてはしっかりと整理をして御答弁をいただきたいというふうに思います。再度お願いします。
○国務大臣(中谷元君) 全く矛盾しておりません。
 五月十二日の御質問は、これ、新三要件に基づいて我が国が集団的自衛権で発動できる相手はということで私がお答えをしまして、「分かりました。」と、じゃ、もう一度、確認のため防衛省に聞きますということで、その政府参考人が「そういう説明であれば、そういうふうに理解をしています。」ということで、あくまでも新三要件、これを前提とした質問にお答えしたわけでございます。
 今回は、その新三要件を言わずに広田委員が質問をされたわけでありまして、その攻撃だけでは満たさないと。その文章全体を見ますと、憲法の精神にのっとったということで、これは当然、新三要件が認められた場合に限るということでございます。
○広田一君 それでは聞きたいと思いますが、専守防衛の定義と、今、中谷大臣がるる言われております新三要件の第一要件、存立危機事態とは相入れないんです。相入れないんです。
 つまり、新三要件の第一要件は、他国、つまり密接な国に対して武力攻撃があったのみでは武力行使をすることは当然ありません。つまり、我が国の存立が脅かされて明白な危険がなければならないわけであります。
 そうであるとするならば、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使という存立危機事態の要件をここに当てはめようとした場合に、つまり限定的な集団的自衛権を行使をしようとする場合は、この点は、相手からの武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をするというのは、必要条件であるけれども、十分条件ではないんです。分かりますか。必要条件ですけれども、十分条件ではないんです。
 というのは、六月十一日、参議院の外交防衛委員会で横畠長官の方も答弁にあるように、その推移とか影響など様々な要素を勘案しなければならず、直ちに明白な危険と認定されない場合も当然あるわけでございます。つまり、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をするからだけでは、これまで中谷大臣がるる御答弁されております明白な危険、つまり存立危機事態を読み取ることはできないんです。この@からは読み取ることはできないんです。必要条件は書いていますけれども、必要十分条件はこの@には書いてありません。これは解することは私は不可能、無理だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 相手から武力攻撃を受けたときということでございますが、これ従来、我が国の憲法上、自衛の措置として武力行使が可能なのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると解してきました。
 このため、従来、専守防衛の説明に用いてきた、相手から武力攻撃を受けたときも我が国が武力攻撃を受けたときを指すものと考えてきましたが、他方、先ほど説明いたしましたけれども、昨年七月、閣議決定をいたしまして、この憲法九条の解釈の基本的な論理は維持した上で、今後、他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るという認識から、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合にも自衛の措置として武力行使が容認をされるとされたものでございまして、先ほど説明をいたしましたけれども、相手から武力攻撃を受けたときというのは、この我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと解しております。
 以上で、全く矛盾しておかしいところはないと思っております。
○広田一君 大臣、よろしいですか。
 この@の、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をするというのは、言うように、新三要件で他国、密接な国に対する武力攻撃なんです。このことは確かに当たるんです。しかし、それによっていわゆる我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険というのはここからは読み取ることができないんです。
 つまり、ここの@に書いているのは、今の中谷大臣の御答弁は必要条件なんですけれども、この@では十分条件ではないんです。ここから読み取ることは不可能なんです。どういうふうに解したらこの@から今のこの存立危機事態を読み取ることができるのか、この明確な答弁をお願いします。
○国務大臣(中谷元君) この文章を全部読んでいただくと、最後に「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう」と、憲法の精神にのっとったということでございまして、昨年の閣議決定によりまして基本的な論理をこれは維持をしております。これまでの三要件と新しい三要件、これは維持をしておりますので、何らその点は変わりがないということでございます。
○広田一君 大臣、今この全体のお話をされておりますけれども、自分が質問をしているのは、ここの例えばその態様とか必要最小限とか、これは今後、専守防衛の定義を議論するときにもしっかりとやっていかなければなりません。しかしながら、今ここでお聞きをしているのは、この@の部分をどういうふうに理解をしていくのかというふうなことなんです。
 ここで初めて防衛力を行使をするということは、確かに武力攻撃が発生をしたというふうなことであります。しかし、それだけでは存立危機事態を認定することはできないんです。それはそうですよね。その後の態様とか必要最小限というのは、例えば第二要件とか第三要件とかそういったところを示しているんだろうというふうに思いますけれども、しかし、ここの@のところは第一要件のところを示しているはずなんです。そうであるとするならば、武力攻撃の発生のみしかここは書いていないんです。
 その後の存立危機事態に当たる、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険というのはここから読み取ることはできないんです。どうすれば読み取ることができるのかという明確な御答弁をいただければと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、平成二十七年の五月十九日の質問主意書に対する答弁においても専守防衛について答弁をさせていただいておりますが、先ほども私が答弁をいたしましたように、言わば専守防衛とは、この@とAについて、この後半の「限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいう」と、これはつまり三要件全体に掛かってくるものであると。当然、憲法のここで制約が出てくるからフルスペックでは認められない、つまり三要件が必要であるということでございまして、質問主意書に対する答弁におきましても、専守防衛は引き続き憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、政府として、我が国の防衛の基本方針は専守防衛を維持することに変わりはないと、このように答弁をしているところでございます。
○広田一君 総理、この「など」で存立危機事態を読むというのは、これ、到底国民は理解されないんですよ。しかも、この憲法の精神というのは、まさしく相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使から保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限ると、ここを憲法の精神として表現をしているわけであります。そこに存立危機事態なんて一向に読み取ることができないんですよ。
 つまり、るるこのような答弁をしなければ、この専守防衛の定義から存立危機事態を国民の皆さんが、ああ、納得しました、腹に入って分かりましたというふうに理解することができないんです。そうですよね。ここから存立危機事態の必要十分条件は読み取ることができないんです、この文章からだけでは。
 そういう今のるるの御説明をどんどんどんどん延々と、長々としなければ「など」というところの説明が成り立たないということであれば、これは、段々のお話がございますように、いささかの変更もないということは到底言えないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほど申し上げておりますように、言わば、我々が変更した集団的自衛権の行使容認につきましては、繰り返し申し上げているように、まさに国の存立が脅かされる、国民の命が危うくなる、生命や自由や幸福追求の権利が根底から危うくなる、この明白な危険があるということでございました。
 これがなければできないということの論理は、すなわち憲法の精神にのっとった受動的なこれは防衛戦略の姿勢ということでありまして、三要件そのものは、まさにここに、この憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢ということでございまして、この範囲内に言わば三要件があるからこそ、この中に当てはまり、そして、よって専守防衛という定義の中には当てはまるということでございまして、先ほど申し上げましたように、これは五月十九日の閣議決定においてもそのように答弁をさせていただいているわけでございます。
○広田一君 総理、質問に答えておりません。
 今の総理の御説明というものをこの専守防衛の定義から導き出すことはできないんです。日本人が、誰がどう読んでも今の御説明を導き出すことはできないんです。できるとすれば、どうしてできるのか、この文章からどうしてできるのかというふうな説明を何度も何度も聞いているんですけれども、明確な答弁をしてくれません。閣議決定とかいろんな様々な御説明をしても、ここから読み取ることができないというのは明々白々じゃないですか。
 総理、だから、総理もいささかの変更もないというふうに言い張るんじゃなくて、素直に、これは、もう専守防衛の定義というものは変わってしまったんだ、破棄したんだと、こういうふうなことを私は国民の皆さんに言うのが誠実な姿勢ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 済みません、ちょっと整理して申し上げますと、まず、委員がそこにお示しいただきましたのは専守防衛の定義であります。そして、新三要件の定義というのは先ほど来説明させていただいております。これ、二つの定義について、要は、委員は、専守防衛の定義、これが変わったのではないか、こういった御質問をされています。この新三要件の定義と専守防衛の定義、これが矛盾しているとしたならば、これは変わったということになると思います。しかし、先ほど来申し上げておりますように、様々な、自衛のためであるとか、あるいは憲法の精神であるとか、これは新三要件の定義と全く矛盾はしていないと、こういう説明をさせていただいております。よって、専守防衛の定義は変わらない、こういった説明をさせていただいております。
○広田一君 岸田外務大臣が今御説明がございました。専守防衛の定義というものがあって、今度、新三要件、存立危機事態の定義があるというふうな御説明であります。
 しかしながら、今回、存立危機事態という新たな概念、定義、新三要件というものを持ち出してきたわけですよね。それをこの専守防衛の定義に当てはめをした場合に、これでは、今のこの専守防衛の定義では読み取ることは不可能なんです。不可能なんです。
 それはどうしてかというと、先ほど来お話をしていますように、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使をするというふうなことでは、我が国の存立を脅かし、国民の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険というものは逆立ちしても読み取ることができないんです。できないでしょう。
 だから、もう存立危機事態の定義を変えるか専守防衛の定義を変えないと、これ説明が付かないんです。よって、専守防衛の定義はいささかも変更していないというこれまでの政府の答弁というものは破綻している、矛盾しているということでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 委員の方から、今、専守防衛の定義からは新三要件の定義は導き出せないという御説明がありました。これは、先ほど申し上げましたように、この専守防衛の定義がそこにあり、そしてそれとは別に新三要件の定義が存在するわけであります。この二つの要件がもし矛盾しているとしたならば、従来の専守防衛の定義は変わったということになる、これはそのとおりだと思いますが、先ほど来説明させていただきましたように、専守防衛の定義、どこを見ても新三要件の定義と矛盾するところはありませんという説明をずっと続けさせていただいています。よって、専守防衛の定義は変わらない、こういった説明をしております。
 専守防衛の定義と新三要件の定義、これは別々の定義だということ、その上で、是非我々の説明をしっかり聞いていただきたいと存じます。
○広田一君 岸田大臣、定義がそれぞれ違うんだというふうに言っております。しかし、これまでの旧三要件、個別的自衛権の定義ですと、そのままこの専守防衛の定義に当てはまるんです。けど、今回の新三要件の存立危機事態の定義だと、この専守防衛の定義には当てはめたくても当てはまらないんです。当てはまらないじゃないですか。
 だから、国民の皆さんにより分かりやすく説明するために、さっきのアメリカとイランの当てはめ、これを当てはめをした上で、中谷大臣でも安倍総理でも構いません、これをきちっともう一度説明していただけますでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) これは新三要件が前提でもありますし、限定された集団的自衛権、これは新三要件の中に入るわけであります。
 その上で、この専守防衛の定義でありますが、ここの、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使しということには、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと我々は解しております。
 いずれにしても、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生、これが前提であり、また、他国を防衛すること自体を目的とするものではなくて、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢という専守防衛の定義、これは全く変更するものではございません。
○広田一君 時間が来たので、最後にお聞きしますけど、先ほどの、イランからアメリカが武力攻撃を受けたときに初めて日本国が防衛力を行使をすると、そういう日本語として理解してもいいということですね、つまり。三要件前提にして。
○国務大臣(中谷元君) 全くその言葉だけでは該当いたしません。あくまでも、三要件、これを満たす場合にそういうことがあり得るということでございます。
○広田一君 満たす場合というような御答弁もございました。
 国民の皆さん、これまでの議論を聞いて分かるように、明らかにこの専守防衛の定義というものはいささかも変更しないというふうな政府の答弁は破綻をしているということを強く申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時まで休憩といたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、白眞勲君が委員を辞任され、その補欠として尾立源幸君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、我が国の安全保障政策等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○前川清成君 お疲れさまでございます。前川清成でございます。
 午前中ハプニングがありまして、本来十一時三十分からの質問が午後一時からとなってしまいました。ただ、総理は、参議院で議論が始まりまして、今日で四日連続御答弁いただいていることになります。さぞお疲れかと思います。安保法案ももちろん大切ですが、総理もかけがえのないお立場でいらっしゃいますので、是非御体調に御留意をいただけたらと思います。
 私と総理とは、議論させていただくのは実はこれで三度目になります。最初は、第一次安倍政権、二〇〇七年に国民投票法ができました折の締めくくり質疑をさせていただきました。それと二年前、予算委員会、憲法に関する集中審議でやはり総理と議論させていただいた。今日も、憲法、特に集団的自衛権と憲法九条との関係を中心に議論させていただきたいと思います。
 私と総理とでは経験も知識も全て隔絶しておりますので、是非、総理におかれましては、がんぜない我が子に教え育むようなつもりで御答弁いただけたならば、きっとテレビを通して国民の皆さん方の御理解も広がるのではないかと思います。
 ただ、そういうことを申し上げた上で言いにくいんですが、午前中の審議、専守防衛という最も基本的な概念について、二十分間も委員会が止まってしまったと。防衛大臣がお答えになれずに、問われてもいない外務大臣がお答えになったと。外務大臣は、専守防衛じゃなくて集団的自衛権を行使されたのかなというふうに思っていたんですが。この基本的な概念についてちょっとこのような有様では、私は、残念ながら、百時間やろうと二百時間やろうと国民の議論が深まらないと思います。
 今後の審議について、総理、どのようにお考えになっておられますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 良識の府であるこの参議院の委員会において、私どもの出している国民の命や幸せな平和な暮らしを守るための法案がより理解されるよう努力を重ねていきたいと、こう思うところでございます。
 憲法また法律の専門家である前川委員からもいろいろと御教示いただきたいと、このように思っているところでございます。
○前川清成君 私は、少し午前中の議論を聞いていて、無理やり感があるのではないのかなと。もっと率直に申し上げて、この専守防衛という定義が変わりましたと、こう言ってしまえば済むことなのに、どうしても以前の専守防衛という定義にこだわっておられる。
 しかし、午前中の議論では出ませんでしたが、防衛白書の英語版では専守防衛の定義を変えておられる。そうであれば、表現がいささか下品なんですけれども、二枚舌と言われても仕方がないのではないかと、そう思っています。
 それで、私はまずお聞きしたいのは、国民の皆さん方も一番知りたいこと、それは、なぜ今安保法案なのか、どうして集団的自衛権なのかだろうと思います。総理は従前から、我が国を取り巻く安全保障環境が変わったということをおっしゃっておられます。私もそのとおりだと思います。あるいは、今週月曜日の本会議では、更に踏み込んで、一つは北朝鮮が弾道ミサイルを配備し核開発を進めている、二つは中国が東シナ海において領海侵入を繰り返していると、このことをお触れになられました。確かに核開発を進めている北朝鮮の弾道ミサイルが日本に着弾したならばその被害は甚大であります。また、少なくない国民が尖閣をめぐって中国に領土的野心があるのではないかというふうに心配しておられるのではないかと思います。
 そこで、パネルの一番をお願いしたいと思います。(資料提示)これは、今政府から提出されております自衛隊法の改正案、下が現行法で、上が政府から出されている改正案でございます。
 まずは現行法、下の方を見ていただきたいんですが、万が一北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射したならば、それは現行自衛隊法七十六条一項の言うところの我が国に対する外部からの武力攻撃に当たります。あるいは、まだ発射されていなくても武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していたならば自衛隊が出動することも可能であります。中国が尖閣を占領したときも同様であります。いずれも現行自衛隊法で対処できます。集団的自衛権か個別的自衛権かといえば、個別的自衛権。
 したがって、月曜日の本会議、総理は安全保障環境が変わった、具体的には尖閣あるいは北朝鮮のミサイルもおっしゃいましたけれども、これらの点は現行法を改正する理由にならないのではないかという点をまずお尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 四十七年の見解を出した当時については、これは、北朝鮮は弾道ミサイルを持っていなかったと、そのことについても申し上げたわけでございますが、同時に、ミサイルを迎撃をする、言わばミサイル防衛の能力もなかったのでございます。もちろん、今、前川委員がおっしゃったように、我が国が北朝鮮から攻撃をされる、あるいはまた、万が一尖閣に対して他国がこれを侵害するというときになれば、武力攻撃が発生すれば、我々、この三要件に当てはまれば、これは古い三要件でございますが、我々は自衛のための措置をとることになるわけでありまして、そのとおりでございます。
 しかし、なぜ今集団的自衛権の一部を容認する必要があるかといえば、今申し上げたような状況の中で、言わばミサイル防衛におきましても、現在もそうでありますが、米国とともにこのミサイル防衛を行っているわけでございまして、米国の協力の中で行っているとなると、一角を担っている米国の例えばイージス艦が攻撃をされるという事態、我が国自体に攻撃がないときにこの攻撃が起これば、それは我が国のミサイル防衛網自体にもこれは大きな影響があるわけでございまして、国の存立にも関わりが出てくるだろうということもあり得ると、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、より一層米国との同盟関係、あるいは一国のみで自国を守り切ることができない中における他国との協力関係がより必要になっていると、こういう考え方を申し上げているところでございます。
○前川清成君 ミサイル防衛が極めて大事だというのはおっしゃるとおりだと思います。ですから、北澤筆頭いらっしゃいますが、北澤先生が防衛大臣をされていた頃に、民主党、平成二十二年ですけれども、防衛大綱を変えて、それまでイージス艦が四隻だった体制から六隻にするなどなどの変革をいたしました。それは大事だと思うんですが、じゃ、直ちに集団的自衛権なのか、直ちにホルムズ海峡まで自衛隊が行くのか、ちょっと私は論理が飛んでしまっているのではないかと思います。
 それと、今も総理おっしゃいました、一国のみでは自国を守れない、私も、そのとおりです、だから日米安全保障条約があるんだろうと思います。この一国のみでは自国を守れない、総理、今おっしゃいましたが、その主語は日本ということでいいんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今では、日本もそうでありますが、今こうした世界の安全保障環境が変わっている中においては、どの国も一国のみでは守れないという状況になっているということでございます。
○前川清成君 条文に則して、もうちょっと国民の皆さん方にも、例えばミサイル防衛があるからこうするんだ、直接的な、三段論法のような御説明をいただけたら分かりやすいと思うんですが。
 上は、先ほども申し上げましたけれども、改正される自衛隊法の方であります。この七十六条の一項の二号、赤い文字を少し書かせていただいておりますが、これがいわゆる存立危機事態、集団的自衛権行使の要件について定めてあります。
 この二号で、まず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、」とありますけれども、防衛大臣、この密接な関係にあるというのはどういう意味なんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 我が国と密接な関係にある他国とは、一般に、外部からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようとする共通の関心、これを持ち、また、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものだと考えております。
 もちろん、日米同盟の存在で、これに基づく米軍、これの活動は我が国の平和と安全を維持する上で死活的に重要であり、同盟国である米国は基本的にこれに当たるわけでございますが、他方、米国以外の外国、これも我が国と密接な関係にある他国に該当する可能性、これは現実に、相当限定はされると考えますけれども、それぞれの状況、具体的な状況に応じて判断をされるということでございます。
○前川清成君 今防衛大臣は、密接な関係というのは、外部からの武力攻撃に対し共通の危険として認識し、共通の危険として対処すると、この関係だとおっしゃいました。そうであれば、どうしてそう書かないんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは法律に規定をするわけでございまして、武力攻撃事態におきましては我が国に対する武力攻撃ということで規定いたしておりますが、今回、新たに存立危機事態の定義に際しましては、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生という形で定義をしたということでございます。
○前川清成君 いや、だから、大臣、聞いてくださいよ。密接な関係と書いてあるから私聞いているんですよ。
 共通の危険として対処する国だというなら、そう書けばいいじゃないですか。あるいは、安全保障条約を締結している国であれば、そう書けばいいんですよ。どうしてそう書かないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 内容につきましてはただいま説明をした内容でございますが、法律の言葉としてはこのような表現になったということでございます。
○前川清成君 いや、大臣、僕、難しいこと全然聞いていませんし、大臣を何か誤導尋問で引っかけようなんて全然思っていませんから。是非聞いてください。
 これは、親密なと書いてあるんですよ。いや、密接な。親密なとは書いていないんですよ、親密なとは。密接だというのであれば、例えばですが、二〇〇二年以降、輸入の相手国第一位はずっと中国です。輸出、二〇〇九年から二〇一三年までは中国です。密接なというふうに書くと、どこの国でも読み取れるんです。全然限定にならない。限定にならないから、結局、地球の裏側まで自衛隊が行ってしまうのではないかという心配を国民の皆さん方に与えてしまうわけです。
 だから、この密接なという書き方、これは良くないのではないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、定めている、この三要件に書き込んでいる密接な関係にある他国ということは、国際法上における言わば集団的自衛権の行使の表現として用いられている中において書いたわけでございますが、しかし同時に、我々は、この三要件、またあるいは憲法の九条の制約がある中で三要件書き込んでいるわけでありますが、この密接な関係ということについての政府の解釈として先ほど大臣が答弁した解釈をしていると、こういうことでございます。
○前川清成君 総理、これ解釈ですので、解釈する人が変われば意味も変わってしまうんですね。ですから、これ本当、嫌みも全然ないですけれども、憲法の解釈を変えてしまうぐらいですから、自衛隊法の解釈なんてあっという間に変わってしまう。だから、これは法律に書いておけばいいと思います。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはまさにこの国会答弁において、我々が有権解釈をこの法案についても行うわけでございますから、確定した解釈としてこの法案については、先ほど中谷大臣が答弁させていただきましたような、密接な関係にある他国の解釈はああした解釈となっているところでございます。
○前川清成君 それでは、引き続いて次の赤文字ですけれども、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態、こういうふうに書いています。
 そこで、これ、中谷大臣でよろしいでしょうか。ここに言う国民というのは、日本に暮らしている日本国民のことでよろしいですか。
○国務大臣(中谷元君) はい、日本の国民という意味でございます。
○前川清成君 日本に暮らしている日本国民ですね。
○国務大臣(中谷元君) 日本国民でございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 中谷大臣。
○国務大臣(中谷元君) 一般に、国民というのは日本国籍を有する者をいい、これは海外に居留する邦人も含まれるということで、この新三要件に言う国民もこれと同様でございます。
○前川清成君 大臣、大丈夫ですか。
 じゃ、今、今ここで言う国民は、日本に暮らしている日本国民に限らない、海外に暮らしている日本国民も含むと、こうおっしゃったんですよ。そうであれば、百五十万人の日本人が今海外に暮らしています。年間一千八百万人の日本人が海外旅行に出かけます。この百五十万人あるいは一千八百万人の日本人の命を守るために集団的自衛権を行使するというのであれば、日本の自衛隊は世界の警察官になってしまいますよ。
○国務大臣(中谷元君) 国民というのは日本国籍を有する者、そして海外に居住する邦人も含まれるわけでございますが、この限定的な集団的自衛権、これについて新三要件がございますが、海外に在留する邦人に被害が及び得ることのみをもって武力の行使を行い得るというものではございません。
 これは、我が国に対する武力攻撃とは、基本的に我が国の領域に対する組織的、計画的な武力行使をいうものであると考えておりまして、単に在外邦人が攻撃をされたからといって、直ちに我が国に対する武力攻撃が発生したとは言えないと考えておりまして、いろんな事態が発生しますけれども、特定の事態がこれに該当するかどうかにつきましては個別の状況に応じて判断すべきものであります。あらかじめ定型的、類型的にお答えするということは困難でございます。
○前川清成君 大臣、落ち着いてお答えいただいて、順番に聞いていきますから。今、そんなこと聞いていませんから。分かっているんですよ。国民の生命、自由云々かんぬんの明白な危険だけが要件じゃなくて、その前に我が国の存立が脅かされと書いてあるわけですから。
 それじゃ、改めて聞きたいと思います。
 存立が脅かされる、これは、日本語の意味としては、日本という国の存在が脅かされる、独立そのものが侵されてしまう、分かりやすく言えば植民地になってしまうと、こういうことですよね、日本語の意味としては。じゃ、いかに密接な関係にあるとはいえ、外国に対する攻撃が発生して、それによって日本が植民地になってしまう場合なんてあるんですか。
 加えて、今大臣、これだけが要件じゃないと私が聞く前からお答えいただきました。日本人の命が、あるいは自由、幸福追求の権利が根底から覆される、外国が攻撃されて、それによって日本が植民地になってしまうおそれがある、かつ日本人が亡くなってしまう明白な危険がある。
 私、幾ら考えても、この七十六条一項二号に該当するケースというのは思い付かないんです。ちょっと具体的に、どんな場合か説明してください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の存立が脅かされるということと、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険は、これは表裏一体となるわけでありまして、国の存立が脅かされるということはどういうことかというと、後半で述べたこととなっていくということでもある。まさにこれは表裏一体であるわけでありまして、そして、それはすなわち、直ちに今委員がおっしゃったように植民地ということではなくて、言わば本格的な侵攻、攻撃が加えられる危険性ということでございますから、ですから、近隣のA国が例えば米国に対して攻撃を仕掛けている、そういう中において日本への攻撃も示唆をしている中において、日本を守っている米国の艦船に更にこれは攻撃が加えられるということは、これは我が国に対して本格的な攻撃が加えられると判断され得ると。それは、すなわち我が国の存立が脅かされるということであり、表裏一体である国民の生命、自由そして幸福追求の権利が根底から覆される明白なおそれであると、このように考えております。
○前川清成君 今総理がおっしゃった、ある国が、仮にAという国がBという国を攻撃している、次は日本も攻撃する、そのおそれが極めて大きい、そうなると日本も危ないという場合は、現行自衛隊法七十六条に言うところの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫している場合、これに該当するわけですよ。これが、まず総理に申し上げたいことの一つ目。
 それと二つ目。幾ら総理でも、今のちょっと日本語はおかしいと思います。我が国の存立が脅かされという言葉と、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、これは表裏一体なんだと、というのは同じ意味だとおっしゃったんですか。同じ意味だというんだったら、この二つの要件は要らない、どちらか一方でいいはずなんです。
 総理が今具体例としておっしゃったことと、この法律の条文との間には乖離があります。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、つまり今私が表裏一体と申し上げましたのは、国の存立が脅かされるということについて、これを国民に着目をいたしまして、それは、すなわち国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると明記したものでありまして、両者は加重要件でも選択要件でもなくて、つまり国の存立が脅かされるということは国民から見てどういうことかということを次に明記をしているわけでございまして、より言わば国民の側からして分かりやすく書き込んでいると、こういうことでございます。
○前川清成君 法律の条文で、一つのことを裏と表から書く、同じ事態を表すんだけれども二つの表現で書くというふうなことはあり得ないと思います。
 今ちょっと上川法務大臣と目が合ってしまいましたので、無通告で申し訳ないんですが、今、民法の債権法の改正案が国会に上がっています。民法の三百九十九条から七百二十四条までを全部書き換えます。この債権法の中で、一定の要件があれば効果が発生すると、こう書いてあるわけですが、大臣、債権法の中に一つの要件を裏と表から書いているという条文がもしもあれば教えてください。私は一つもないと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 今、民法の規定に照らしてということで、表裏を成すような文言があるかということでございますが、今記憶の中ではございませんけれども、通告がございませんので、正確な部分につきましては通告の中でのまた答弁をさせていただきたいと存じます。
○前川清成君 法務大臣、通告がなかったと偉そうにおっしゃったけれども、僕は今、総理からあの答え今初めて聞いたから、だからそれに応じてお尋ねしただけです。だってこの、いや、もういいです、時間がないから。通告がないとかといって、だって、やり取りなんだもの。そんなのおっしゃるんだったら、皆さん方の答え、あらかじめ全部紙で下さい。
 それで、もう少し総理、じゃ今の関係でお尋ねしたいんですが、総理はこれまで、この七十六条一項二号に当たる場合として、具体例はなかなか挙げられないけれども、例えばホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合を挙げておられます。これは単に石油のためじゃないんだというふうな補足の説明をしておられます。
 そこでお尋ねしたいんですが、私が考えるところ、仮にホルムズ海峡が機雷で封鎖されても、あるいは、極端な話でそんなことはありませんが、ペルシャ湾が全部埋め立てられたとしても、日本が独立国であることに何ら揺らぎがないと思います。それにもかかわらず、ホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合はこの七十六条一項二号に当たるのか、私はよく分かりません。
 あるいは、ホルムズ海峡が機雷で封鎖された、先ほど中谷大臣が、いや、ここに言う国民は日本に暮らしている日本国民に限らないんだと、世界中に暮らしている全日本人を含むんだと、ちょっと驚くような答えをされましたので、言いにくいですけれども、そうだとしたら、ホルムズ海峡が仮に封鎖されても、日本で暮らしている私たちの暮らし、あるいはニューヨークで暮らしている、韓国で暮らしている日本人の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険というのは生じないはずなんです。
 仮に限定的な集団的自衛権の行使が必要だとしても、総理がおっしゃるようにですよ、私はその立場に立ちませんが、総理がおっしゃるような限定的な集団的自衛権の行使が必要だとしても、この自衛隊法の七十六条の一項二号、この表現はおかしくないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ホルムズ海峡の例を挙げましたのは、一般に海外派兵は禁じられている中における例外の例、例外例として申し上げているわけでございますが、そこで、今、前川委員が指摘をされた、先ほどの防衛大臣からの答弁において、日本国籍を有する者、それは海外にもいるではないか。それは、まさに日本国の存立が脅かされる中においては、日本国に暮らす日本人も海外に暮らす日本人も、言わばまさに生命だけではなくて自由や幸福追求の権利が根底から、まさに日本国が侵害されるという中で、根底から覆されるおそれは同じく受けるというふうに考えるわけでございますが。
 同時に、では、ホルムズ海峡についてはどうかということでございますが、それは、この第一要件に当たる状況、今私が申し上げた状況というのは果たしてどういう状況かといえば、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であると、こういうことでございまして、それは、直ちに、すぐに、それはそう簡単に起こるかどうかということについてはその状況を見なければいけませんが、これは、石油が途絶えてしまう、ガスも途絶えてしまうという中において、例えば厳寒の時期にそういうことが起こると、これはまさに寒さの中で生命自体が危うくなるという状況、経済だけにのみならず、そういう可能性が、つまりそういう可能性の中で三要件に当てはまり得ると、こう考えているわけでございますが、必ず当てはまるということではなくて、当てはまり得ると、このように考えているわけでございます。
○前川清成君 総理、そうであれば、総理の今お答えいただいたとおりのことを想定しておられるのであれば、是非この条文を修正していただきたいと思います。
 今総理は、すぐに生じるかどうかそれは分からないけれどもとおっしゃいました。しかし、この条文は、明白な危険がある場合、明白な危険がある場合というのは、蓋然性じゃなくて高度の蓋然性を指すわけですよ。生じるかどうかよく分からない、可能性がある、でも集団的自衛権を行使するというんだったら、明白な危険という言葉を削除して可能性があるというふうに書き換えなければならないと思います。それでよろしいでしょうか。
 これ、総理、もっとこの言葉を工夫していただかないと、例えば、国民の皆さん方は、今これテレビを見ておられてきっと想像しておられると思うんです、私と総理とのやり取りを聞きながら。外国に対する攻撃がありました、それによって日本の存立が脅かされる、日本人の命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険。テレビ見ておられる方々で、ああ、あんなケースやなと思い付く方はいらっしゃらないと思いますよ。
 今のホルムズ海峡だって、総理は、もしかしたら石油が入ってこなくなって日本が凍え死にするかもしれないと、こうおっしゃったけれども、産油国は別にペルシャ湾に限ったわけじゃありませんし、それに、国民の生命、自由だけじゃなくて、もう一つ国の存立という要件があるわけでしょう。表裏一体なわけでしょう。石油が入ってこなかったら日本という国の存立が脅かされるんですか、備蓄もありますよ。
 これはちょっと、余りにもおっしゃっていることが広いのに、総理が想定されている事例は広いのに、言葉は限定され過ぎている。だから、この条文で、総理、大変失礼ながら、この条文のままでホルムズ海峡の場合が該当するとおっしゃったら、多くの法律家は、法律できる前から法律違反しようと思ってんのちゃうかと疑わざるを得ないと思うんですよ。いかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が当たり得る場合があると言ったのは、言わばホルムズ海峡が封鎖されて、そのときの国際状況でありますし、そういう状況の中、例えばどういう時期にそういう封鎖が起こるかという状況もあるでしょう、その中でこの第二号に当たり得るということで申し上げているわけでございまして、明白な危険がなくてもいいということではなくて、この明白な危険に、今具体例を挙げられましたから、この具体例が当たり得ると、ホルムズが封鎖されればそれは自動的にこれに当たるということではなくて、これに当たり得る可能性もあるということでございますが、そして、やはりこれは、もちろん備蓄もあるわけでございますが、しかしそこにずっと機雷がある限り、日本には今八割の石油は入ってこないということが続いていくわけでございます。もちろん、その中で他に石油等のルートができるということになればまさにこの二号には当てはまらないわけでございますが、しかしそれは相当強度のパニックになるという可能性もあり得ると我々は考え、そして例として挙げさせていただいたところでございます。
○前川清成君 私は、もしも、もしもですよ、外国に対する攻撃であったとしても、それによって日本の独立が失われてしまう、つまり日本が植民地になってしまう、かつ、日本に暮らしている我々の命が失われてしまう、自由や幸福追求の権利が根底から覆される、そういう場合があるのであれば、私は決して自衛隊が拱手傍観するべきではないと思います。日本の自衛隊が出動して日本を守る、政治の最も大きな役割は国を守ること、国民の命を守ることですから。
 私は、もしそんな場合が本当にあるのだったらこの自衛隊法の改正に賛成したいと思いますが、今の総理のお話でも、可能性があるとしかおっしゃらない。どう考えたって外国に対する攻撃なのに、それによって日本が植民地になってしまう、かつ日本に暮らしている我々の命や自由が根底から覆ってしまう明白な危険があるなんという場合は信じられないわけです。
 それで、今日午前中、法的安定性という話がありました。法的安定性がなぜ必要なのか。法律は恣意的に適用されてはならないからです。ましてや、今回は自衛隊の出動という、分かりやすく言えば戦争をするかしないかの要件を書いているわけです。そうであれば、総理が替わっても、政権が替わっても、一義的に解釈できるような要件を定めていかなければならないと思います。今のお話、条文と総理のお話が余りにも乖離している。こじつけるわけじゃないけれども、礒崎補佐官でしたか、法的安定性なんて関係ないと、こうおっしゃったことをほうふつさせてしまうわけです。
 その上で、二番のパネルをお願いしたいと思います。
 残り時間が少なくなってまいりましたので、ちょっと憲法の話をさせていただきたいんですが、衆議院も含めて、これまでの憲法に関する議論、憲法違反かどうかというのがお互い結論言い合うだけで、その間の理由付け、ましてや新しい法律をこれから作るんじゃなくて、今この憲法九条があるわけです。この憲法九条があるのに、この憲法九条の文言に則した議論がほとんどなされていなかったのではないかと私は思っています。
 今お示しをしたのは、誰もがよく知った憲法九条です。繰り返すまでもありませんが、九条一項が戦争を放棄しています。二項は、陸海空軍その他の戦力は持たない、交戦権は認めないと、こういうふうに定めています。
 とはいっても、日本も独立国である以上は、万一侵略を受けたら、国の独立を守らなければならない、国民の命や財産を守らなければならない。そのために侵略を排除することは、むしろ当然しなければならないことです。これは、憲法ができる以前、国が持っている権利、自然権としての自己防衛権だろうと思います。自然権として自己防衛権を持っている、侵略を排除する権利があると。そうであれば、そのための戦力、つまりは自衛隊を保有することだって憲法に違反しない。私もそう思います。
 しかし、外国が攻撃を受けたところで、どう考えたって日本の独立が失われるわけではない。だから、自己保存権として戦力を行使するわけではない。外国の戦争に言わば助太刀に行く。これは、戦争を放棄した憲法九条一項の文言に明らかに反してしまうのではないかと思います。
 この批判に対して、実は総理は、砂川判決の法理と、こういうふうにおっしゃっていますが、今テレビを見ておられる方々のほとんども砂川判決は読まれたことはありません。私もこの三十年間ぐらい読んだことありません。つまり、砂川判決なんて誰も知らない。誰も知らないけれども、多分有り難いものなんだろう、つまり、お経みたいに中身はよく分からないけど有り難いものかもしれないなと。だったら、その砂川判決を引用したらいいなと。私は、砂川判決、砂川判決と、これは何万回繰り返したところで国民の理解は深まらないと思います。この憲法九条の条文を、文言をどう説明するかだと思います。
 そこで、総理、今御提案されている集団的自衛権、憲法九条に違反しない、こうおっしゃっていただくのであれば、この憲法九条一項、二項との関係を是非条文に則してお話をいただけたらと、そんなふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま前川委員も、この二項にある「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と、こう書かれているけれども自衛権はあると、これは自然権という表現を使われた。
 憲法の前文にも平和的生存権、そして十三条に生命、自由、幸福追求の権利があると、こう書かれているわけでございまして、そこで、砂川判決におきましては、この平和的生存権を引いた上において、言わば必要な自衛の措置をとり得ることは国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと、自衛権がありますということを認めたわけでございます。
 そして、自衛権とは何かということでございますが、これは、国際法的には日本も国連の一員でございますが、国連憲章に書いてあるように、そこを集団的自衛権と個別的自衛権に、これは二つの概念に切り分けて、これを二つを一つとして自衛権と定めているわけでございますが、そこで、日本は従来の解釈では、まさに日本も国連の加盟国でありますし、国際法的には集団的自衛権も有しているけれども、この行使に当たっては憲法の制約があってできませんということであったわけでございまして、しかし他方、今委員も例として挙げていただいたこの砂川判決に言う必要な自衛の措置というのは何かということの中において、昭和四十七年の見解では、この中には集団的自衛権は入らないということでございましたが、先ほど来説明をいたしましたように、集団的自衛権の中にも全て認めるものは、これは権利としてはあっても、これは全ては我が国は憲法上の制約があって使えない、しかし、まさに我が国を守るという意味において、我が国の存立を守る、国民を守るという意味における集団的自衛権というのも概念としてあり得ると、この時代の変化の中でそれはあり得ると。そういう状況はあり得る中において必要な自衛の措置とは何かを考え抜いた末、今回解釈を一部変更したところでございます。
○前川清成君 総理、例えばですけれども、まああり得ませんけれども、今この第一委員会室で誰かが総理に殴りかかったとします。すると、総理は、とっさに身をよけるか、体をブロックするか、あるいは殴ってそいつをやっつける、自分を守ろうとされると思う。それはきっと考えるまでもなく本能的に、自分を守ろうとする本能だと思います。これに対して、例えば誰かが鴻池委員長を殴ろうとした。そのとき、鴻池委員長にはいろいろお世話になったから守ろうと、いやいや、昔こうされたからもうやっつけられてしまえとか、いろいろ考えた上でそれは行動されると思います。
 自分を守るというのは自己保存だけれども、他人が、自分以外の者が攻撃を受けたときにどうするか、これはやっぱり判断の上の行動ですから本質的に全く違う。それを国連憲章にああ書いてあるから、こう書いてあるからと、こう言われても、私は、同一視して、砂川事件を出したり、あるいは国連憲章を出したところで、やはり言葉は悪いけれども、論理的には破綻をしている、こじつけと言わなければならないのではないかと、そう思います。
 それで、現にですけれども、パネルの三番をお見せしたいと思います。憲法判例百選という雑誌があります。これは、憲法に限らず、それぞれの分野にあって、主要判例とそれに対する解説が載っています。解説を書いているのは、大家と呼ばれる教授に限らず、新進気鋭の学者も含まれています。つまり、この百選に書いておられる方々というのは、その法律分野における学者をほぼ網羅していると言っていいと思います。朝日新聞がその憲法判例百選の執筆者にアンケート調査をしたところ、百二十二人から回答があって、うち百四人が憲法違反、十五人が憲法違反の可能性があると、こういうふうに答えておられます。九七・六%の学者が憲法上あかんと、こう言うてるわけです。合憲だというふうに答えたのは百二十二人中二人、割合にして一・六%です。憲法学者のほぼ全員が憲法違反だというふうに表現していると言っても過言ではないと思います。
 そこで、総理も難病を克服されましたので健康には御関心があると思います。様々な健康法があります。様々な健康法がありますが、医者百人のうち九十八人があきません、死にますよと言われた健康法を、総理、取らないですよね。それと同じことじゃないか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法学者の例として挙げていただいておりますが、この百二十二人の中で、例えば自衛隊は違憲かどうかという質問に対して、この中で、六〇%を超える方々が違憲と答えているというのも事実でございますが、しかし実際は、自衛隊は、これは前川委員も評価をされているように、日本の国防のために役に立っているわけでございます。
 そこで、その九九%がこれは健康に良くないと言ったものを使うかどうかということでございますが、しかし、その中で、例えば私の病気の場合は、長い間日本で認可がなされなかった、多くの方々がこれは効用を認めていなかったのでございますが、しかし、やっと効用が認められたらよく効いたということでございます。その時点では、これは十年前では認められていなかったものが、実際に、これは科学的な調査、これは環境の変化もあるのかもしれませんが、実際に効いたということもあるのではないかと、このように思います。
○前川清成君 朝日新聞の調査だけではなくて、NHK「クローズアップ現代」という番組がありまして、四番のパネルをお願いします。
 ここで日本公法学会の会員にアンケートをしたところ、四百二十二人から回答があって、うち三百七十七人から憲法違反あるいは憲法違反の疑いと、割合にすると八九%になります。
 もっとも、今おっしゃったように、学者も様々かもしれません。医者にも、名医もいればやぶ医者もいると思います。だから、例えば重篤な病気になったとき、あるいは難病になられたとき、誰もがその分野の名医に診てもらいたいと、こういうふうに思うのが人情であります。
 パネルの五番を見ていただきたい。
 これは、国民安保法制懇というそういう研究会があるようで、七月の十三日に記者会見をされました。大森元法制局長官、法制局長官というのは言わば政府の顧問弁護士であります。その法制局長官を務めた大森さんが、砂川判決を根拠とすることは暴論中の暴論だと。樋口東大名誉教授、「比較憲法」という名著のある方であります。もう大家中の大家。あるいは長谷部先生、この方は二年前まで東大で憲法を教えておられて、特定秘密保護法に関しては政府案に賛成をしておられる。だから今年六月四日の衆議院の憲法審査会においても自民党推薦の参考人としてお出になった。小林節慶應大学名誉教授、これは自民党において憲法改正のブレーンを務めておられた方だと伺っています。つまり、憲法における名医中の名医がこぞってやっぱりあかんと。大勢の、百人中九十八人の憲法学者も憲法違反と言っているけれども、憲法学者の中の憲法学者も全部あかんと言っている。
 パネルの六番を御覧いただきたい。
 これは、平成に入ってからの就任された歴代内閣法制局長官であります。東京新聞の調査によりますと、お亡くなりになられた方がお二人いらっしゃる。緑の山本さん、これは今最高裁判事を務めておられますので、この種の問題にはコメントできない方です。あるいは、水色のお二人についてはコメントしないとおっしゃいました。赤の五人、津野さんについては、詳しいことを聞かないとよく分からないというふうな留保は付いておられますけれども、憲法違反だ、集団的自衛権については憲法上行使できないと。残り四人の方ははっきり憲法違反とおっしゃっていると。合憲だとおっしゃっている方は一人もいない。これまで歴代の内閣法制局長官というのは政治に対して沈黙を守ってこられました、退官後も。しかし、今やそろって危惧の声を上げておられます。
 やっぱり、集団的自衛権、憲法の解釈としては、憲法違反だというのはもう動かしようがないと私は思います。もしもどうしてもとおっしゃるのであれば、これは二年前も議論させていただきましたけれども、総理が堂々と憲法改正を御提案なさるべきだと思います。
 この状況を前提にして、今の朝日新聞の調査、あるいはNHKの調査、歴代法制局長官のコメントなどなどを前提にして菅官房長官にお尋ねをしたいんですが、六月四日の衆議院の憲法審査会において、自民党推薦の学者も含めて参考人全員が安保法案は憲法違反だと述べられました。その日の夕方でしょうか、官房長官は記者会見で、問われたかと思います、全く違憲ではないと言う著名な憲法学者もたくさんいらっしゃいますと、こういうふうに答えておられます。
 官房長官の記者会見というのは、言わば政府の公式コメント、公式見解をお述べになる場所だと思います。今のような状況で、憲法違反ではないと言う、全く違憲ではないと言う著名な憲法学者もたくさんいるというのは到底信用できない。残念ながら、官房長官が根拠もなくおっしゃったのではないかと。そうなると、官房長官の記者会見に対する信用、これまで失墜させてしまうわけです。
 六月四日、一体どういう根拠で全く違憲ではないと言う著名な憲法学者もたくさんいるとお答えになられたか、お尋ねいたします。
○国務大臣(菅義偉君) 私は、これは記者会見の質問で、憲法の審議会に出席した三人の憲法学者の人が違憲だと、これについてどうですかという質問だったというふうに思います。そういう中で、私は、今委員から質問がありましたように、違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいるということは申し上げました。そして、そのことについて衆議院でも同じような質問を受けました。私は、三人の憲法学者の名前を出させていただきました。そのほかにも、十人程度いらっしゃるということも申し上げました。
 その上で申し上げれば、憲法学界の中でどの方が多数でどの方が少数派ということは重要ではなくて、合憲であるか違憲であるかという判断は、まさに憲法で違憲立法審査権が与えられている憲法の番人のそこは最高裁判所によると、そういうふうに考えております。そして、先ほどの最高裁判所の砂川事件のことにつながってくるというふうに思います。
 それと同時に、今、内閣法制局長官経験者のことも言われました。これは、かつて民主党政権のときに、これはやはり官房長官が記者会見で言われておりますけれども、憲法解釈は政治的なものを帯びるので、その時点の内閣が責任を持って国民、国会に提示するのが最も妥当な道だと考えると。時の官房長官がこれは正式に発言をされております。そして、一時期、法制局長官を政府参考人から外して、法令解釈担当大臣が答弁を行っていた時期もあったというふうに思っております。私たち安倍政権におきましては、この法制局長官を政府参考人に戻して、法律問題の専門家として必要に応じて意見を聞きながら行政事務あるいは国会審議に取り組んでいるところであります。
○前川清成君 残り時間が少なくなってまいりました。
 それで、先ほども申し上げましたが、国を守る、国民の命を守る、それが政治の最も大事な仕事の一つだということは私も揺らぎません。ですから、もしも北朝鮮のミサイルに対処する必要があるというのだったら、イージス艦やPAC3、ミサイル防衛に力を注ぐべきだと思います。尖閣始め南西諸島の防衛が大事だというのであれば、ホルムズ海峡に行かずに東シナ海を守るべきだと。今政府がやろうとしていること、この集団的自衛権というのは、何か二階から目薬を差そうとしているのではないかということだけ申し上げて、あとはテロの危険のこともお話ししたかったんですが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 総理、広島、長崎への原爆投下から間もなく七十年を迎えようとしております。この春、核軍縮また不拡散についてテーマにいたしました、NPT、核拡散防止のためのNPT再検討会議が開かれましたが、しかし残念なことに、中東問題もありましたので、最終合意ができなかったということであります。ただ、核兵器の非人道性については参加者の中で一定の合意を得たということは、私は大きな前進であったというふうに受け止めております。
 この夏、広島で国連の軍縮会議があります。また、秋には長崎でパグウォッシュ国際会議が開かれ、来年には広島でサミットの外相会合が開かれるということでございます。核保有国と非核保有国の対立が激しい国際社会の中で、唯一の戦争被爆国日本としてこの両者をつなぎ合わせるという意味において、我が国日本の役割というのは極めて大きいものと私は思っております。昨年、この平和安全法制の基礎となります閣議決定されましたが、この閣議決定の中にも、我が国は平和国家を堅持する、それから非核三原則を貫いていくということが盛り込まれたところでございます。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 改めて総理には、国会との関係もありますけれども、八月六日、八月九日と広島、長崎の両被爆地を訪れていただきまして、総理として我が国としての核軍縮、核廃絶の決意のメッセージをしっかりと発信していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 七十年前、長崎そして広島において、それぞれ一発の爆弾、原爆によって多くの命が失われ、そして人生も将来も失われたわけであります。生き残った方々も辛酸をなめながら塗炭の苦しみの中で人生を送ってこられたわけでございまして、我が国は世界で唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて国際社会の取組を主導していく決意であります。
 今次、NPT運用検討会議において最終文書が採択されなかったことは大変残念でありますが、引き続き、核兵器のない世界に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。具体的には、被爆七十年にふさわしい新たな核兵器廃絶決議案を本年の国連総会に提出をいたします。また、本年九月の包括的核実験禁止条約、CTBT発効促進会議等の重要な国際会議を通じて、国際的な核軍縮・不拡散の取組を促進していく考えであります。
 八月六日及び九日の広島及び長崎における平和祈念式典については、国会の日程が許せば私自身も出席したいと、このように考えております。
○谷合正明君 今総理の方から、この秋の国連総会には新たな決議案を出していきたいという御決意も示されたところでございます。しっかりとこれからも被爆国日本としての役割というものを果たしていただきたいというふうに思っております。
 それでは、今日は平和安全法制の中で、特に国際社会の平和と安全に関連しますPKO法改正案と、それから国際平和支援法案に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 実際、PKO法、現に南スーダンPKOに自衛隊、隊員の方が約三百五十人派遣されておりまして、極めて重要な法案だと思っております。しかしながら、衆議院の段階では、なかなかこのPKO法についての議論というものが不足していたのではないかなと私は思ったところでございます。
 それでは、パネルを見ていただきたいというふうに思っております。(資料提示)
 このPKO法でございますけれども、今日私の方から取り上げたいのは、法改正する部分、幾つかありますけれども、赤字で示させていただいたところを中心に取り上げていきたいと思います。例えば、いわゆる駆け付け警護のところでありますとか、あるいは自衛官の国際連合への派遣でありますとか参加五原則であります。そういったところを取り上げていきたいと思っております。
 最初に、駆け付け警護でございます。
 今から約二十年前の話でございますけれども、私がかつて所属していたNGOが、アフリカのルワンダ難民の救援のために日本人の医師、看護師の医療スタッフを現地に送って活動しておりました。活動中、そのNGOの日本人スタッフが難民キャンプで群衆に取り囲まれまして、移動手段で活用していました車両が奪われるという事案が発生をいたしました。このとき、このNGOからの要請に基づきまして、たまたま近傍で自衛隊が活動しておりました。このとき自衛隊はルワンダ難民救援隊で派遣をされておりました。その自衛隊の方がNGOのスタッフたちを保護し、自衛隊の車両で宿舎まで運び届けてくださったということであります。
 しかし、PKO協力法に基づく自衛隊の活動には、いわゆる駆け付け警護は憲法九条で禁止する武力の行使につながりかねないということで任務には入っていなかったわけですね。今もそうなんです。実際、当時、現地にも日本のマスコミが多く行っておりました。当時のマスコミ報道、新聞報道を見てみますと、自衛隊による邦人の救出は任務に入っておらず、議論を呼ぶという報道でございました。政府も、救出ではなくて輸送業務と位置付けざるを得なかったわけです。こういう中で、私、そのNGOに所属していた者といたしまして、当時、派遣された自衛隊の隊員、特に隊長の決断で救出していただいたということは本当に感謝の思いなんです。
 今、国際社会の平和と安全のためということを言いますと、脆弱国家など治安の悪い地域で、例えばユニセフなどの国連機関、国連職員、そして民間でありますNGOの職員、そしてPKOに参加している部隊がそれぞれ能力を生かしながら、同じ地理的範囲の中で医療支援であるとかあるいは住民保護であるとかインフラ整備活動などを展開しているわけです。今後、PKOに派遣された自衛隊が、危険に遭遇している活動の関係者から結果として要請を受ける場合もあるんだと思います。
 そこで、この度、平和安全法制の一つでありますPKO法改正案には、任務遂行の武器使用を認め、要請に基づく駆け付け警護が盛り込まれたところであります。私も当然必要だと思います。ただ、憲法九条に違反するおそれがあるとして反対を表明されている方々もおりますけれども、私は、自衛隊が参加するPKOの現場の実情を訴えて、理解を求めてまいりたいと思っております。
 ただし、NGOの出身の者として、NGOが自衛隊に駆け付け警護で救助されることを初めから計画して現地で活動する、危険地域に赴くということはないわけであります。一般に、NGOは人道性、不偏性、中立性を重んじて活動しております。最後の手段として警護を要請するということがあるんだと思います。そこを政府が、何かあたかもNGO側が駆け付け警護を法的にできるように要望しているかのように説明することに違和感があるわけであります。政府は、関係する援助関係機関側に今回の法整備の意味を十分に私は説明する必要があると思います。
 以上のことを申し上げた上で質問です。
 駆け付け警護の対象となる条文上の活動関係者とは具体的に誰を指すのか。そして、その関係する活動関係者にしっかりその法整備の意味を説明する必要があると思いますけれども、その対応はいかがでございましょうか。
○大臣政務官(石川博崇君) お答え申し上げます。
 NGOの現場で活躍されてきた谷合委員からの貴重な御意見に感謝申し上げたいと思います。
 御質問の駆け付け警護の対象でございますけれども、今回の法制で規定させていただきますいわゆる駆け付け警護の対象者は、国連PKO等の活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者と規定されております。これは、具体的には国連関係者、国際機関、NGO職員、平素より業務上の交流のある現地邦人等を想定させていただいているところでございます。
 政府といたしましては、これまでも、自衛隊の活動の現場において、平素より国際機関やNGOの職員の方々との情報交流、あるいは情報交換や交流を始め各種の連携を図ってきているところでありまして、自衛隊の部隊等による緊急時の保護に対する期待があるものと考えております。
 今後とも、このような連携の中で、駆け付け警護を含む自衛隊の業務について説明の機会を求めていき、自衛隊の部隊等の具体的対応について理解を得るべく努力を行っていきたいと考えております。
○谷合正明君 実際に今、南スーダンに自衛隊員が派遣されているわけですね、PKOで。PKOで派遣された方の話を聞きましたら、この駆け付け警護が可能になるとなると、実際に現場で要請があったときに駆け付けて警護ができるかどうかの判断力が求められると。ですから、駆け付け警護が可能となったとして、どういう状況下までなら駆け付け警護が可能なのか、その判断基準、手順、また平素からの準備について説明をされたいと思います。
○大臣政務官(石川博崇君) お答え申し上げます。
 このいわゆる駆け付け警護業務は、あくまで活動関係者の近傍に所在する、例えば南スーダンでいいますと、施設部隊等が現地治安当局や安全確保を担う国連PKO等の部隊よりも速やかに対応できる場合に、緊急の要請に対応してその現場に駆け付け、当該活動関係者の生命及び身体を保護するものでございます。
 その判断基準、手順でございますが、実際に駆け付け警護業務を行うかどうかは、必要に応じて現地治安当局や安全確保を担う国連PKO等の部隊からの情報を得て部隊長により判断されることとなりますが、その際には、当該自衛隊の部隊等が有する能力の範囲内において、現地治安当局等より迅速かつ安全に保護することができるかについて、当該活動関係者の状況も踏まえた上で個別具体的に判断されることとなります。
 駆け付け警護は、本来、安全確保を担わない施設部隊等が通常有する装備等を前提に緊急の要請に応じて実施するものである以上、例えば、拉致監禁されたような活動関係者の救出、奪還を行うようなことは想定されていないということも申し添えたいと思います。
○谷合正明君 実際、派遣隊員がこの件については関心を持っておりますので、防衛省といたしましてもしっかりと対応していただきたいと思っております。
 次に、私はこれまで、PKOの現場でいいますと、二〇〇五年の南スーダン、まだ独立前でありましたけれども、スーダンのジュバを訪れまして、当時設立されたばかりでありましたけれども、UNMISの部隊関係者の方とも意見交換をさせていただきました。また、二〇一〇年には、中谷防衛大臣と一緒に大地震直後のハイチのPKOの現場にも行かせていただきました。
 南スーダンのジュバでは、二〇〇五年の当時はまだ日本の自衛隊がPKOで派遣されていなかったんですけれども、私が行ったときは、真っ先に国連関係者から、自衛隊の輸送部隊、これをしっかり派遣してほしいという要請もございました。それから、ハイチのときは、あのときは大臣と一緒に、当時PKOで派遣されたばかりの陸上自衛隊の隊員の方とともに、ハイチPKO全体を統括するトップの方とも意見交換をさせていただきました。その方は、日本の自衛隊の派遣に対しまして歓迎した上で、首都ポルトープランスの中での被災民キャンプの設置でありますとか瓦れきの除去などに強い期待感を表明していただいたということを私は覚えております。
 南スーダンやハイチでの事例を紹介したとおり、我が国自衛隊の輸送部隊やあるいは施設部隊、この能力、技術というものは、現地受入れ政府であるとか国際機関から高く評価されているところであります。常にその派遣を期待されているところもあります。
 しかし、私にとって少し気掛かりだったのは、PKOそのものを企画調整する司令部要員の派遣というものがほかの先進国に比べて少ないのではないかなというふうに思ったわけであります。この日本のPKOの歴史、二十年以上にわたる歴史の中で、司令部要員を派遣する力も付けてきたと思います。
 今、国連PKOは、昔ながらの停戦監視を主軸とする伝統的PKOから、むしろ今、実際に国づくりであるとか住民保護に汗を流す複合型のPKOに転換しております。ですから、我が国の施設部隊の技術力を生かすことはもちろんでありますが、これからは、より責任ある重要な職域としてのPKO全体を企画調整する司令部要員を増やして、国連司令官に人を送るということが今後の日本のPKOの進むあるべき姿ではないかと私は現地を訪れて感じたところでございます。
 現在、南スーダンPKOの派遣が続いておりますが、今回の法改正で国連司令官ポストの新設や司令部要員の規定の明確化がなされておりますが、その必要性と、自衛隊員が司令部要員や司令官に就くことの意味について、防衛大臣の見解を伺います。
○国務大臣(中谷元君) 谷合委員におかれましては、大学を出られて、AMDAですね、医療のボランティアを通じて、アンゴラ、アフガン、イラン、またスリランカ、世界各国のNGOの現場で経験をされております。また、ハイチで地震がありました。当時、野党筆頭理事の北澤大臣が防衛大臣で、PKO、これ急遽、アメリカにいた部隊をすぐハイチへPKOを派遣をする決断をされて、貢献をされたわけでございますが、私は、日本のPKO、非常に能力も高いし各国から評価も得ておりますので、もっともっと積極的にできる支援は、これはやっていくべきだと思っております。
 非常にPKO活動の国際協力、部隊派遣ではなくて国際協力を主導する立場として、自衛官の優秀な人材、これを司令部要員の高位のポスト、また司令官のポスト、ここへ派遣をするということは、私は国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から必要だと思っておりますし、また、昨年九月に国連本部におきまして安倍総理がスピーチをされましたが、そのときも、現地のPKOミッションの司令部等における責任ある職域への自衛隊員の派遣を拡大をすることについて日本は表明をいたしております。
 このように、今回のPKO法の改正に併せまして、より広範な企画立案、調整、情報収集の整理を司令部において実施できることといたしました。また、国連PKOの司令官等の派遣に係る枠組みも新設をいたしました。
 これによりまして、国連のPKOに対するより積極的な協力を進める法制上の土台が整備されるものと考えておりまして、より日本としてPKOの場で活躍をし、日本の国際貢献、これが実のある形につながるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
○谷合正明君 私は、そのほかにも、こういう司令部要員や司令官でしっかりと仕事に就くということで実際そのPKOミッション全体の情報が入ってくるわけでありますから、それによって派遣隊員のリスク管理にも資するというふうに私は思っておるわけであります。
 さて、これ衆議院の議論の中でもありましたけれども、一旦PKOに自衛隊を派遣するとなかなか撤退できないんじゃないか、撤退すると国際的評価が落ちるんじゃないかというような議論というか意見もございました。
 そこで、まず、我が国が主体的に派遣を決定し、主体的に任務を終了したPKOのケースというのがあると思うんですけれども、まず、典型例、具体例を挙げていただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 主体的に撤退を決定したPKOですね。
 これは、ゴラン高原のUNDOFにおきまして、これは業務の中断等について判断をいたしましたが、参加五原則、これが満たされなくなったという判断ではなくて、シリアの国内の情勢等を踏まえて、要員の安全、これを確保しつつ意義のあるPKO活動を行うことが困難に至ったという認識をいたしまして、要員を撤収をさせました。
 なお、初代のUNDOFのPKO派遣隊長は自由民主党の佐藤正久委員でございましたけれども、非常に輸送支援ということで各国から高い評価をいただきましたが、この撤収に際しましても、UNDOFの活動に影響を与えないように十分に国連側と調整を行って、国連側の理解を得て撤収をした、非常に成功したPKOであったと思っております。
○谷合正明君 そうすると、UNDOFのミッションを終了した際に、国際機関や受入れ国側から日本の撤退というか任務終了について非難や失望の表明があったということはないということでよろしいですね、大臣。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
○国務大臣(中谷元君) しっかりと国連と調整をし、また現地の部隊等にも了解をいただいて、理解を得た上で、大変感謝をされて活動を終了したということでございます。
○谷合正明君 いずれにしましても、派遣する際、開始以上に派遣の終了への計画というか戦略というのは極めて重要だと思っております。円滑に他国部隊あるいは民間機関ほかの、現地政府含めてハンドオーバーしていくということがこれから重要であるというふうに思っております。
 それでは次に、国連PKO以外に、この度、政府案では非国連統括PKOを新設することとなっております。これ実は、衆議院の段階では維新の皆様からPKOに関する対案を出していただいているんですけれども、この非国連統括型PKOは含まれていないということでございます。
 国連PKOに比べまして、このパネルでいいますと、非国連統括型というのは、右側の国際連携平和安全活動のところを指すんですが、この活動、どんな派遣なのか、イメージがなかなか湧かないといった声がございます。そもそもこの非国連統括型PKOに我が国が参加する必要性、意義、こうしたものはどういうものがあるのか、この点について国民の皆様に分かりやすく説明していただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 近年の国際的な平和協力活動における取組、これは国連のPKOがございますが、それ以外の枠組みにおいても実施されるようになってきております。
 それは、国連が統括しない枠組みの下で国際の平和及び安全を維持するために行われる国際連携平和安全活動といたしまして今回法律に追加をいたしましたが、例えばアチェ、これインドネシアですが、これの監視ミッション、これは独立アチェ運動とインドネシア政府の武装紛争の発生後の和平を実施をいたしました。これは、欧州連合、これの要請に基づくものでございます。
 もう一つ事例といたしましてはソロモン地域支援ミッション、これもソロモン諸島の国々の要請に基づいて国連の事務総長の指示がありまして、今想定をしているのは、国際連合難民高等弁務官事務所、UNHCR、また欧州連合等を想定をいたしておりますけれども、この国際連携平和維持活動、こういうことにも参加を検討できるようにするということでありまして、これの条件につきましては、停戦合意、紛争当事国の受入れ同意を含むPKO参加五原則と同様の厳格な原則を満たす場合に限るということで、こういった活動にも我が国として参加検討していきたいということでございます。
○谷合正明君 今大臣から参加五原則というお話がございました。
 パネルを見ていただきたいんですが、まず、参加五原則、従来の国際連合平和維持活動、これはいわゆる国連PKO活動でございますが、ここに参加五原則というのがあるんですね。@紛争当事者間の停戦合意の成立、そして、A紛争当事者のPKO派遣への同意、BPKOの中立性の確保、Cといたしまして、@からBのいずれかが満たさない場合には部隊を撤収、そしてDは、武器の使用は要員の生命等の防護のための必要最小限のものというものでございます。
 この参加五原則を、非国連統括型のPKOにもそのまま参加五原則を当てはめるということを与党協議の中で、私ども公明党の主張で、全く同じものとして、歯止めとしてさせていただいたということでございますから、先ほど大臣の方からは、活動の過去の事例のお話もありました、そして参加五原則を当てはめるというお話がございました。
 もう一つ。この非国連統括型PKOに対しては、危険度が、要するに危険、リスクが高いのではないかという批判もあるわけでありますが、しかし、この参加五原則がそのまま当てはまっておりますから、国連PKOに比べて危険度が高いということではないと私は理解しております。
 そのような理解でよろしいでしょうか。大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(中谷元君) 基本的に、PKOの参加五原則、これと同様な厳格な原則を満たす場合に限るわけでございますので、国連のPKOに比べて危険性が高まるわけではございません。
 その上で、こういった活動においても、国連PKOへの参加と同様に、安全確保のための法制上の仕組み、これが働きます。また、情報、装備、教育訓練など運用面での各種の取組も十分に行ってまいるわけで、隊員の安全の確保に万全を尽くしながらこういった活動にも参加をしていくということでございます。
○谷合正明君 PKO参加五原則、これを、国連PKOと同じものを当てはめたというふうにお話しさせていただきましたが、そもそも、国連PKOに従来からあるこの参加五原則なんですが、PKO法が一九九二年に成立いたしました。このときも国会では大きな議論になったわけであります。この中で、私ども当時野党でございましたけれども、野党の中で、私たちの主張によりましてこのPKOの参加五原則というものが盛り込まれまして、実は、二十年以上にわたってこの国連PKOの参加五原則として維持をされているということでございます。
 この意味はどういうことかというと、国家又は国家に準ずる組織が敵対するものとして登場してこないということが原則になっている、憲法九条が禁止した武力の行使を行うことがないということがここで担保されているということだと。
 ですから、先ほど私、冒頭、駆け付け警護の話をさせていただきましたが、駆け付け警護がなぜ今回できるようになったのかというのは、まさに今回、参加五原則の中で、国家又は国家に準ずる組織が敵対するものとして登場してこないという整理を付けたと。そして、参加五原則、パネルを見ていただきますと、@からDまでありますが、今回は、駆け付け警護あるいは住民保護の安全確保業務、ここについては任務遂行型の武器使用を可能とすると。しかし、それも受入れ同意が安定的に維持されている場合ということに歯止め、限定をさせていただいているということでございます。
 ですから、自衛隊が武力行使に巻き込まれたり戦争の引き金を引くような事態を防ぐ明確な歯止めであるということを、この参加五原則、今回当てはまっているということを申し上げたいというふうに思っております。
 先ほど大臣の方から、国連機関等が行う要請の中で、UNHCR、EUというお話がございました。
 現実に、国連以外のPKOで展開しております例えばAU、アフリカ連合というのがあるんですね。アフリカでミッションを行っております。この参加五原則という大前提はあるにせよ、私は、このAU、アフリカ連合の活動というのは、なかなかその背景や成り立ちから、我が国が主体的に積極的に関与すべきものは少ないんじゃないかなと思っているわけであります。
 条文上のこの地域機関に、EU以外に現在検討されているものがあるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 私も、南スーダンのPKOやジブチを視察した際に、AUが中心となった国際貢献の枠組み、これに接したことがございます。
 しかし、我が国としてこれに参加するかどうか、これはまだ慎重に、よく情勢また情報を得まして検討するということでございまして、先ほどお話をいたしましたUNHCR及びEUでございます、今検討しているところは。
○谷合正明君 総理、PKO法改正がございます。この法律をしっかりと動かしていくためには、何よりも人材の育成だと私は思っているんですね。
 と申しますのも、私、実はイラクでもNGOの職員のときに復興支援の調査のために行ったことがございます。その際に、ある新聞社から、NGOや自衛隊の役割、能力、長所、短所について取材を受けたこともあるんです。しかしながら、出てきた紙面、見た紙面は、自衛隊による人道復興支援に対して批判的な記事でまとまっていたんですね。私はそのときびっくりしました。
 今、災害救援の現場だけでなくて、平和維持や平和構築支援の現場では多数の、私申し上げたとおり、自衛隊や国連やNGOの方々が同じ地理的範囲の中で活動を行う、そういう局面が増えているわけです。
 よく民軍連携というんですけれども、民とはNGOや国連機関、PKOの文民です。軍とは自衛隊を含む各国の軍事組織であります。現実に、南スーダンのジュバでは、自衛隊の施設部隊が三百五十名、司令部四名、ユニセフなど国連機関で働く邦人職員は十六名おるんです。日本のNGOも複数活動しています。
 五原則の下、PKOの中立性が確保されている現場では、この民軍がお互いに意思疎通を図って調整を行うとともに、相互理解を深めて、お互いの任務や能力、あるいは時には能力の限界について知ることが求められていると私は思っております。紛争解決から復興、開発までの流れでいいますと、日本はこれまで平和構築の後半局面であるODAによる復興、開発に力を注いできましたけれども、現在、紛争解決から復興までを切れ目なく取り組む支援というものが国際的にも主流になっていると私は思っております。
 そこで、総理に伺いますが、是非、このPKO法改正に際しまして、民軍双方に知見のある平和構築の人材、これをしっかりやっていただきたいと。私は、まだまだ日本にはこうした人材が足りないと思っております。こうした平和構築の人材の育成の必要性について、総理の見解を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま谷合委員から、実際に平和構築の現場はどうなっているんだということを御説明いただいたと思います。平和構築の現場においては、軍事部門と文民部門が連携を行う、言わば民軍連携が重要でありまして、国連PKOミッションにおいても人道支援や開発支援の活動との連携の重要性が認識されています。
 我が国自衛隊が国連PKOに派遣された際には、NGO、大使館、自衛隊、JICA等が情報交換に努めておりまして、実際に自衛隊部隊が援助関係者と連携して案件を実施した実績もあるわけでありまして、外務省においては、我が国が平和構築分野において積極的に貢献するに当たって、現場で活躍する文民の専門家の育成が重要であると認識しています。
 この認識の下、平成十九年以降、人材育成事業を実施をしてきておりまして、その修了生は、この人材育成事業を修了した方々の中には、南スーダン、アフガニスタン、コンゴ民主共和国等、世界の平和構築の現場で活躍をしていただいています。この事業では、自衛隊の駐屯地において自衛官による訓練を実施するなど、民軍連携に関する研修も実施をしています。同事業では、本年度より予算規模を拡大し、事業内容を強化する予定であります。
 また、自衛隊においても、統幕学校国際平和協力センターや陸上自衛隊国際活動教育隊において国際的な人道支援や国際平和協力活動における軍事部門と文民部門の関係についての教育を行っています。同センターにおいて教育対象者を自衛隊以外に拡大するなど、教育面での連携の充実を図っています。明らかに我々は経験を経て、このように文民と軍との、また自衛隊との協力が進んでいる中において平和構築が実際に実施をされている、このことも多くの方々に知っていただきたいし、この分野の人材の育成にも力を入れていきたいと、このように思います。
○谷合正明君 総理、今ずっとPKO法の話をさせていただきましたが、私もいろいろこういう国政報告会やいろいろなミニ語る会で話すと、PKOによる自衛隊の国際協力というのは、これはまあ理解するんだけれども、しかし国際平和支援法による自衛隊の後方支援についてはなかなか納得、理解ができないという声もあるんです。
 そこで、まず、なぜ国際社会の平和と安全のために国際平和支援法を作って自衛隊による国際貢献、後方支援を進めていく必要があるのか、まずそこから、総理の方からお話ししていただきたいというふうに思っております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新たなこの法制につきましては、世界における安全保障環境が厳しくなっているわけでありまして、まさに国際社会がお互いに様々な場面、様々な場所で協力し合って平和を守っていくことが極めて重要であります。例えば、国際社会の平和及び安全が脅かされて、国際社会が国連安保理決議に基づいて一致団結して対応するようなときに、我が国が当該決議に基づき正当な武力の行使を行う他国の軍隊に対して支援活動を行うことが必要な場合があると認識をしています。
 我が国は、これまでもテロ対策特措法などに基づいてインド洋での海上阻止行動を行う諸外国の軍隊に対する洋上補給活動等を行い、そして国際社会から高い評価を得てきております。そのような観点から、国際社会の平和及び安全を確保すべく活動している諸外国の軍隊等に対して、国際社会の一員として補給や輸送といった協力支援活動等を行うことを可能とするための一般法として、国際平和支援法を新たに整備することといたしました。
 このような国際社会の取組に我が国が協力をし、国際社会の平和と安全を確保することは、ひいては我が国の平和と安全を確保することにつながっていくと考えております。
○谷合正明君 今総理の方から説明がございましたが、政府・与党は、この後方支援については新法を作って、一般法を作っていくということなんです。衆議院の段階では、維新の皆様からは、やはり新法を作ると。国連決議に関しては新法を作る、関連決議については特措法で対応すると。民主党さんの考えも、必要があれば特措法で対応するということだと私は理解をしております。
 その意味では、この後方支援、国際貢献ということでありますけれども、この必要性、方向性というのは同じなんだと思います。違い、まああるんですけれども、一つは、特措法なのか、一般法、恒久法なのかという話があろうかと思います。
 そこで、特措法ではなく一般法を規定する理由について、大臣のお考えをお願いします。
○国務大臣(中谷元君) これは、やはりあらかじめ準備や調査をしておく方がよりしっかりとした活動ができるということでありまして、やはり平素から各国とも連携した情報収集、教育訓練、これが可能になります。その成果を基本的な体制に反映することができるようになります。また、実施内容、派遣規模といったニーズを確定するために、現地の調査、各国との調整、これを迅速に実施できると。そして、自衛隊が得意とする業務、より良い場所で実施をできる可能性がありますし、情報から安全対策、それを含む訓練を実施した形でリスクの極小化にもつながるということで、例えばPKO活動などは一般法がございますので非常に立ち上がりが現地でスムーズにいくわけでございまして、より国際社会に積極的に関与する上におきましては、やはりしっかりとした一般法として整備をしておいた方がより実りのある活動ができるというふうに判断いたしております。
○谷合正明君 時間がありませんのでもう終わりますが、このほか、武力行使の一体化をどう避けるのか、あるいは例外なき国会承認の在り方、いろいろ論点がございますので、また後々取り上げていきたいと思います。
 国際協力の現場で二十年余りにわたって自衛隊がその役割を担ってきたその経験と実績を踏まえた今回の法整備であるということを訴えたいと思っております。
 以上で終わります。
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
 今回のこの安保法案の国会での審議が進むにつれて、安倍内閣、高い支持率を保ってきたんですけれども、ここへ来て少しずつ下がり始めています。最近の世論調査見てみますと、支持しないが支持するを上回り始めているということも出てきています。その一方で、やはり今回のこの安保法案は分かりにくい、あるいは、もっと丁寧に説明すべきだ、こうした意見が七割から八割占めているという状態が続いているわけですね。こうした数字に、聞こえてくるところによりますと、さすがの安倍総理も少し焦りぎみなのかなというようなお話も伝え聞きます。
 たかが世論調査かもしれませんけれども、こうした不支持が支持を上回ってきてしまうというこの状態、これについては今、安倍総理はどんなふうに感じていらっしゃるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、政治の場において政策を実行していく上において、国民の皆様からの信頼、これは基本だろうと、このように思っております。
 その上におきましては、私たちが進めていく政策について御理解をいただき、御支持をいただくことが、まさに政治においてそうした政策を進めていく力になっていくわけでございますので、これからも粘り強く丁寧に、この平和安全法制について、国民の命を守るためであり、平和な暮らしを守るためなんだということを分かりやすく説明していくように努力をしていきたい。また、真山委員のように国民に分かりやすい言葉を使う方と共に議論をしながら議論を深めていきたいと、このように思っております。
○真山勇一君 私も、この安保法制というのは本当に難しい問題だというふうに思っております。私自身もまだ議員の経験が浅いので、こうやって審議に参加していると、仲間の皆さん、先輩の皆さんはとても難しい言葉理解よくされて議論をしているのを見て、やはりまだまだちょっとそういう辺りの勉強は私もしなくちゃいけないなと、そんなことを感じておりますので、是非分かりやすい言葉で安倍総理にも語っていただきたいというふうに思っております。
 私は、支持率が下がっているということは、衆議院での採決を急いだあのやり方、それから、憲法違反の法律というのはやっぱりおかしいんじゃないか、それから、日本が戦争する国になるんではないか、こういった心配とか懸念を持っている国民の皆さんが増えてきている一つのその表れではないかというふうに思うんですね。
 本当に戦争をする国にはならないというふうにおっしゃられても、本当にそうだという確信が持てるなかなか答弁がいただけていないし、だから、戦争はいつどんなときに起こるのか分からないという不安をどうしてもまだ払拭しないで来ているんじゃないかというように思っております。やはり総理には、何より、国民の皆さんが疑問に思っていること、不安を感じていることに丁寧に分かりやすく説明していただくということが大変大事だというふうに思っております。
 この法案ができれば、総理はもうずっと前からおっしゃっていますね、抑止力が増すけれども戦争に巻き込まれるリスクはむしろ低くなるんだというふうにおっしゃってきております。本当にそうなんでしょうか。
 戦後七十年、戦争の経験、記憶を語り継げる人というのはどんどん今減ってきています。私自身もさきの戦争を経験しておりませんし、その記憶もない、ぎりぎりの世代なわけですね。でも、戦争や紛争に巻き込まれるリスク、これやっぱり高まるんじゃないかなということを自分の仕事の経験を通じて感じているので、その話をちょっとさせていただきたいんですけれども。
 私は、報道記者として長い間様々な現場に出かけて、何回か戦争とか紛争地の取材というのもやりました。いわゆる戦場記者というものを経験したというふうに思っています。
 イラン・イラク戦争のときは、砲弾が飛び交う戦争の最前線も取材で出かけました。当時、イラクはフセイン大統領です。後にアメリカの敵になって殺害されたわけですけれども、このフセイン大統領が、当時、アメリカの軍事支援を受けてイランと戦っていました。このとき、私は日本プレスということもあって、アメリカとかヨーロッパの記者にはやっぱり戦時中なので滞在ビザが大変厳しかったんですが、日本人ということで簡単な手続で、しかもその期間も長くもらうことが日本のプレスはできました。こんな経験をイラン・イラク戦争ではしました。
 それから、九・一一同時多発テロのときは、取材で出かけたアフガンとパキスタンの国境地帯の山岳の中でゲリラに遭遇したんです。そのとき、機関銃、これはカラシニコフですけれども、これを水平に、引き金に手を掛けて向けられたわけなんです。本当にこのときは何か命が縮むような、そんな思いがしたんですけれども、その引き金に手を掛けて水平の機関銃を持ってゲリラが、おまえたちは誰だというふうに迫られたわけですね。現地のガイド兼通訳が大慌てで大きな声で日本のテレビクルーだ、こう名のりましたら、ゲリラはおもむろに銃口を下に下げました。だけれども、本当にこのときはほっとしましたけれども、引き金に手が掛かっているわけですから、どうなったか、生きた心地もなかったわけですけれども。
 これで、後から聞いたせりふでまたまたぞっとしたんですが、その現地の通訳が、日本人でなかったらどうなっていたか分からなかった、彼らは日本人は戦争をしに来たのではないと思っているからだったんだ、そう聞かされたときに、本当に私は心から日本人でよかったというふうに思いました。日本が戦争をしない国というその国際的な信用があったからこそ、私はこうやって今無事に戦場取材から帰ってきてここにいるんじゃないかと、そんな気がしております。
 ちょっと私の個人的な体験を長くして済みませんけれども、そんなところから、やはり総理は、自衛隊が海外に出て武力行使をするようになっても危険に巻き込まれることはないんだ、リスクは高くならないんだというふうにおっしゃる、これ本当にまだそのお考え方は変わりませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、自衛隊が海外に出て、例えば他国の領土に入っていく、あるいは領海に入っていく、上空に入っていって、武力の行使を目的に他国に行って自衛隊を派遣をする言わば海外派兵は、これは一般に憲法で禁じられているというこの考え方は変わりがないわけでございます。
 ですから、例えばアフガンにおけるアフガン戦争やイラク戦争、あるいはまたベトナム戦争のような戦闘にこれは参加をするということはないということは申し上げているとおりでございまして、まさに今回私どもが認めたのは、我が国の存立が脅かされて、国民がもうこれは命も危うくなっているという状況、そういう状況の中において、それがもう明白な危険があるという中において武力の行使をするということでございますから、それは、ただほかの国、AとBという国が戦闘状態になって、日本が今言ったような状況でないのにそこに参加するということは、これはもうないということは明確でございまして、今まで挙げてきたような例で御説明をさせていただいているとおりでございます。
○真山勇一君 ぎりぎりのところでは確かにそういう、今総理がおっしゃるようなこともあるかもしれませんけれども、やはり日本人もたくさん海外に出ていますし、そういう方たちが、自衛隊がある特定の国とやはり一緒になって武力行使をするということが、やるようになれば、味方、敵、そういうふうにやっぱり分かれてくるわけですから、やはり私はどうしてもリスクを減らしていくというのはなかなかできないんじゃないかと、そういうふうに感じているわけなんです。
 そのリスクということでまた更に伺っていきたいんですけれども、その辺りで国民の皆さんの不安が消えない。私は、今日、国民の皆さんが考えている不安、これをやっぱり何とか総理に易しく語っていただければというふうに思って質問させていただきたいんですが。
 一つ、分かりにくい中に、やはり存立危機事態というのがあると思うんですね。必要最小限度の自衛措置というふうに言いますけれども、やっぱりちょっと気になることがあるんです。それは、総理がホルムズ海峡の機雷封鎖ということを挙げた、これが存立危機事態になるというふうに挙げているんですけれども、果たしてそれでいいのかどうか。
 実は、御存じかもしれませんけれども、戦前の日本で帝国の自存自衛という言葉が使われましたね、自分の国を自分で守るということで。つまり、戦前、日本が何でさきの戦争に突入していったかということを端的に言うと、やはりアメリカに油を止められた。原因はたくさんいろんなのあると思います。だけれども、その中の大きなやっぱり要因の一つとして油を止められた。そういうことによって、日本は帝国の自存自衛という方針で、そしてこれが開戦に結び付いていったということがあるわけなんです。
 油を止められたから、それに対して対抗していくということになったわけですけれども、今回も、存立危機事態というのは、総理がおっしゃっているのは、ホルムズ海峡の石油が止められたらというふうにおっしゃる。この辺りというのは、やはり、確かに戦前の日本帝国のときは生命線を守るという経済的理由だったんですが、私は、そういう経済的理由で戦前は戦争に発展してしまった、やはりそんな記憶があるだけに、ホルムズ海峡というのを挙げたのが、どうも例としては余りふさわしくない、そういう気がしてならないんでありますけれども。
 帝国の自存自衛ということと存立危機事態、これ、どんなような違いを考えておられるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大変いい御質問をいただいたと思います。
 宣戦の詔書の中に自存自衛という言葉がありました。油を止められたこと等々も含めまして、それを言わば力によって解決をしようとしたわけでございます。つまり、こちらから力を行使することによって解決をしようとしたことでございます。
 そして、では、ホルムズ海峡の封鎖については、これは、まず、やってはいけないことを言わばやられてしまっている、つまり、ホルムズ海峡に対して機雷を敷設したということであります。これは武力の行使に当たるわけでございますが、あの海峡にそうしたものを敷設する、これは日本だけではなくて世界の様々な船がそこを行き交っているわけでありますが、その航行を止めてしまうというこの行為に、こうした暴挙に対してどう対応していこうかということでございますから、そもそもこれは全然事態は違うわけでございます。
 そして、三要件でございますから、ただ単にこれは経済的な理由だけではなくて、大変寒いときに石油が入ってこないという中においては、例えば病院の暖房施設が動かなくなってしまうということもあり得るわけでございますし、電気の供給にも支障が来す場合もあります。もちろん車も動かなくなってしまうと。こういう中においては命すら危うくなる可能性もあるわけでございますから、この三要件に当たり得るということでございますし、そして、そもそも我々が行うことは、力によって現状を変えていこうということではなくて、言わば、機雷を敷設されてしまったと、これは、海中に爆発物を置いて、この近くを船が通ると、商船や何かが通ると、タンカーが通ると、これは爆発をして沈没してしまうと。
 ですから、これは誰かが取り除かなければいけない、どちらにしろ誰かが取り除かなければならないわけでありますが、事実上の停戦合意のようなものがある状況にはなっているけれども、ただ停戦合意にはなっていない、事実上停戦合意状態になっているけれども停戦合意は行われていませんから、外形上は集団的自衛権の行使には当たり得るわけでありますが、しかし、それであったとしても、これは極めて受動的であって、制限的なことを行うわけでございます。誰かをこれは殺傷するとか、どこかの部隊をせん滅するとか、砲撃をするとか、爆撃をするとか、こういうこととは一切、全く違うわけでございまして、世界の人々にとって危険なものを取り除く。
 ただ、これは、国際法上、集団的自衛権の行使に当たる、受動的、まさに制限的なものであるから、抑制的なものであるから、これは必要最小限度の中に入るということでございますから、これはさきの大戦の自存自衛とは全く違うんだということは御理解いただけるのではないかと思います。
○真山勇一君 油に対する当時と安倍総理の考え方というのは分かりましたけれども、ただ、私は、油ということを存立危機事態ということに挙げることがやはり余りふさわしくないのではないか、経済的理由ということでね。今、やはり世界の情勢というのを見れば、確かにペルシャ湾からの石油の日本へ来る量というのは多いことは分かりますけれども、八割というふうに言われていますけれども、でも、やっぱり今、当時とは違うと思うんですね。石油、油も出るところもたくさんあるし、日本も様々な国と貿易もしていますし、そういったところからも石油を買うことができるし、石油に代わるエネルギーもあるわけですよね。そうしたことで、やはりこのホルムズ海峡の問題を日本の存立危機事態ということには私はふさわしくない、これは是非、もうできたら違う、これは撤回するというようなことをちょっとお願いしたいなというふうには感じております。
 次に行きますけれども、先ほど安倍内閣の不支持ということを申し上げたんですけれども、やっぱりその中で女性の不支持が今ここへ来て増えているという話もありますね。それはなぜかというと、将来、自分の夫、子供、戦争に送り出すようなことがあってはならない、あってほしくないというお母さんが増えているということなんですね。
 こちらのパネル、出すまでもなく憲法十八条。(資料提示)ここに奴隷的拘束、苦役は許されないという項目があるんですが、徴兵という言葉はありませんけれども、徴兵制は苦役に当たるということで禁止されている。そして、先ほどの質問のお答えの中でも、徴兵制をしくことは絶対にないというふうにおっしゃっていましたけれども、やっぱり私は、それでももう一つ不安なのは、国民の皆さんも不安に思うのは、やはり今、ここのところずっと問題になっている安倍内閣の法的安定性の問題だというふうに思うんです。変えないと、憲法違反になるから変えないと言っているけれども、本当にそうなのかどうかという不安をやっぱり禁じ得ないわけなんです。
 もう一回、改めて野党側に対する答弁ということで、徴兵制はない。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私どもが憲法の解釈の一部を変更いたしましたのは、そもそもこの憲法の中に自衛権というものが明確な記述がない中において、必要な自衛のための措置は何かということをずっと考えてきたわけでありまして、そして昭和四十七年には、その中には個別的自衛権は入るけれども集団的自衛権は行使できないという判断を示しました。そして、そのことについては、必要な自衛のための措置は何かということは、これは解釈において考え続けなければいけないというのが我々の考え方でございます。
 一方、今お示しをしていただいている憲法十八条でございますが、この三行目にございます、「意に反する苦役に服させられない。」と、こう書いてあります。まさにこの兵役というのは、兵役に服する義務をこれは強制的に、徴兵制度というのは兵役に服する義務を、私は嫌だよと言っても強制的にそれは服させるものでございますから、まさにここに当たるわけでございます。
 この明文に当たるということを我々は挙げてこの憲法に反するということを言っておりますから、この本質が変わることはないわけでございまして、今後とも徴兵制が合憲になる余地は全くないというふうに申し上げていいんだろうと思いますし、また、それを申し上げて、さらに政策的な要求があるかどうかということでございますが、長年徴兵制を取ってきましたドイツやフランスも徴兵制を二十一世紀になってやめました。そしてまた、今G7で徴兵制を取っている国はどこもないわけでありますが、それはどうしてかといえば、軍隊のハイテク化が進んでよりプロフェッショナル化していっているわけでございまして、相当な訓練を積んでいかなければ言わば前線でこれは対応できる兵士にならないということでございますから、ある程度の期間でぐるぐる替わっていく徴兵された兵によってはこれはなかなか難しいし、そしてそういう人たちを教育して短期間で替わっていくということになれば、これはまさに非常に非合理的であろうと、こういう考え方の下に、言わば世界は徴兵制ではなくて志願兵制に変わってきているということでございますから、政策的な要求もないし、憲法においてもこれは全く明らかであると、こういうことでございます。
○真山勇一君 ちょっと振り返ってみると、今、意に反しては苦役はないというふうにおっしゃっていたけれども、だが、かつては国のためだとか、あるいは名誉のためということで徴兵ということが行われたわけなので、やはりその意に反するというふうに言っても、考えようによってはどういうふうにでもできる。特に、法的な安定性を粗末に、粗末というか、きちっと守ってくれないということになると、どうもその辺りが私としては納得もできないし、やっぱり国民の皆さん、特に女性なんかもそういうことというのは感じるんじゃないかというふうに思うのが一つと、それから今、専門的になっているということがありましたよね。
 そうすると、例えば、誰でも徴兵ということではなくて、専門的なことを必要とするから、つまり、例えばレーダーサイトで働くからこれは労働じゃないよ、苦しい労働じゃないよということで徴兵ということもあり得る。例えば自衛隊も、いわゆる土にまみれて訓練をやるということよりも、どちらかというと、研究室とかあるいはレーダーサイトで働くような、そういうことになってくることだってあり得るわけですね。そういうときに、それを徴兵制でやるという、そんなこともないということでございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、真山委員が御指摘になったような部門、やっぱり研究職とか非常に専門性の高いところについては、これは既に教育段階から、例えば防衛大学等々においてそういう言わば研修や勉強を重ねてきた、研修を重ねてきた、そしてさらに、その上の幹部学校等々においてそうした分野の専門性を身に付けていく人々がこれはそういう職に当たっているわけでございます。そしてまた、同時に、現在でも七倍の倍率があるわけでございます。
 その中にあって、全く徴兵を行うというこれは政策的な要求がないのは事実でありますから、そして今、真山委員がおっしゃったように、徴兵制を取っているところは、選択的にそういう専門的なところからだけ取るというところは基本的にはこれはないわけでございますし、また、戦前のお話をされましたが、まさにこれ、憲法十八条は戦前はないわけでございますから、これはそういうことはない。
 また、自民党の憲法改正草案、これは谷垣総裁時代に作ったものにおきましても、意に反する苦役は、という文言は残っているわけでございますから、これは我が党の改正案がもし成立をしたとしても、それは徴兵制はないわけでありますし、現在の憲法においてはこれは全くないというのは先ほど御説明をしたとおりでございます。
○真山勇一君 数字の不安というのをちょっとお伺いしたいと思うんです。
 日本の防衛費は五兆円、自衛隊の陸海空合わせて二十三万人ですね。今回のこの安保法制の変更で、ホルムズ海峡ですとか東シナ海、南シナ海、それからいつどこで起きるか分からないテロ対策などというふうに言われていますけれども、イラクのサマワのときは二〇〇三年の末からの二年半で自衛隊員延べ五千五百人が出ていったと、そしてその費用が七百四十億円というふうに伺っているんですけれども、自衛隊の、やはり今回の安保法案で、任務とか活動範囲、それから武器などの装備も、これ間違いなく広がってきていると思うんですね。これまでとは異なるようなウイングを今結局広げてきている活動がこれから予想される。
 そうなると、今申し上げたような数字、不足するようなことはないんでしょうか。活動範囲が広がってでも今の現在の枠で収まるのか、現在のやっぱり財政事情って大変厳しい、こういう中で簡単に防衛予算増額というのはいかないし、国民もそう簡単には納得できないんではないかというふうに思うんですけれども、この辺りはいかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) これまでも、自衛隊、様々な任務やオペレーションを実施したわけでありますが、今回、新たな法制によりまして、自衛隊の役割、これは一層重要になってくるわけでありますけれども、全く新しい装備が必要になったり、装備の大増強、これが必要になるというふうには考えておりません。
 つまり、自衛隊の任務というのは、国民の命と平和な暮らしを守る、そして国際社会の平和と安全に貢献する、従来のこの自衛隊の任務、全くこれは変わりがないわけでありまして、法整備の目的というのは、これを切れ目なく、そしてより一層効果的に果たすことができるようにするための法改正でございますので、自衛隊の装備や予算につきましては、この今回の法整備とは別途、もう一昨年末に大綱を決定をし、中期防を閣議決定もいたしておりまして、自衛隊の体制の充実、これを図っておりまして、こういう中でそれぞれの任務を果たしていくということでございますので、今回、特にこの法改正を通じて新たな予算の増額とかいうことは考えておらず、今後とも厳しい財政事情を勘案して、一層効率化、合理化を徹底した防衛力の整備、これを続けてまいりたいと考えております。
○真山勇一君 それからもう一つ、やはり危険が増すのではないかという不安なんですけれども、こちらは任務に当たっている自衛隊の皆さんですけれども、今回の後方支援、いわゆる兵たん、それも拡大をしているというお答えをいただいています。今よりも広い、戦闘が行われていないところなら行けるということと、それから物資、兵器、ほとんど何でも輸送するようなことが言われてきているわけなんですけれども、そうなることでやはりリスクというのは今より増すのではないかというふうに思っているんです。
 サマワのときは一人の犠牲者も出さずに済んだということでおっしゃっていますけれども、サマワのときと、今回のこの自衛隊の法案、今回のこの安保法案、これの中身を見ますと、やっぱりその後方支援、いわゆる兵たんという部分が、その任務ということで見ると、何でしょうね、幼稚園と大学ぐらいの差があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、それだけ私はリスクが増えるというのは、これはやはり誰もが感じていることじゃないかと思うんですね。
 例えば、ちょっと見ていただきたいんですが、次の、今御覧いただいているやつなんですが、これはアメリカ陸軍のイラクでの後方支援の数字なんですね。これは既にアメリカでは公表されております。議会の予算局、ここが作った数字が、議会に提出されている書類にこれが出ております。
 それによりますと、イラクで、このいわゆる後方支援という、兵たんの仕事に当たっていて犠牲になった、死亡したという兵士が、十万人当たりで二百八十三・四人、二百八十三人なんですよ。この方たちがやっぱり犠牲になっている。ということは、千人当たり派遣すれば三人、それから一万人でしたら二十八人という死亡者が出る計算になってくるわけですけれども。
 総理は、今回のこの安保法案で後方支援広がりますが、自衛隊、このアメリカの数字御覧になって、こうした危険がないというふうにお思いになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラク戦争においては、米軍はこの戦闘行為そのものを含めて後方支援以外の任務もこれは負っているわけでございますし、国際平和支援法に基づき現に戦闘が行われていない場所で後方支援のみを行う我が国とは前提がこれは基本的に違うということであります。
 自衛隊は、憲法九条の制約の下、戦闘行為の行われることのないと認められる場所に限定して活動を行い、一人の犠牲者も出していないことはもうこれ御承知のとおりでございます。これは、我が国による安全確保の仕組みが十分有効なものであることを示したものであるわけでございます。
 そして、今後も、この新たな法制の仕組みにおいて、先ほど委員はこれ、幼稚園と大学、大学院ですか、大学という……
○真山勇一君 大学です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大学ですか。大学ほど違うという表現を使われましたが、これはまさに我々、イラクでの活動、佐藤委員がまさに経験してきたことではありますが、先般の佐藤委員の質問の中にもありましたが、まさに経験してきた中において、非戦闘地域、戦闘地域という区分、あのときは、例えばサマワは半年間は非戦闘地域ですよという区分よりも、言わば自衛隊が実際に活動をする場所が、二週間そこで活動をするのであれば、A地点というところで二週間活動をするのであれば、そこは、そこは戦闘が、現に戦闘が行われている現場ではないと。そして、それだけではなくて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が、その二週間の間戦闘行為が見込まれないという場所を指定する方がこれはより実効的であるという考え方、これはまさに佐藤隊長として実際に仕事をした方々の経験から基づく、実際に、現実に即した区分の分け方。しかし、安全の確保につきましては、これは非戦闘地域も戦闘現場でない場所も同じであります。
 という意味でございますから、これは同じ、幼稚園が大学になるわけでは全くなくて、全くこれ同級生というふうに考えていただいていいんだろうと思います。
 したがって、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことについてはイラク派遣の場合と変更はないわけでありまして、これに加えて、さらにこれ十分な情報収集を行うことによって安全を確保した上で後方支援を行うことは十分に可能であろうと、このように考えております。
○真山勇一君 確かにその情報収集は大事です。だけれども、戦闘が行われた地域、しかも二週間、やっぱりその周りは戦場なわけですよね。そういうところでそんなにうまく事が運ぶのかというのがやはり戦場じゃないか、何が起きるか分からないのが戦場じゃないかというふうに思うわけです。後方支援をやっていろいろなものを運んでいる最中、その間に何か起きたとき、それは二週間以内で済めばいいですけれども、二週間じゃなくて、行ってすぐそういうことが起きるかもしれないし、いろんなことが起きる、その危険性というのは十分増えると思うんですね。
 確かに、アメリカの兵たんとは同じだと私も思っていないんですけれども、ただ、アメリカもこれ、数字、安倍総理はこの数字は大きいか小さいか、どう思われるかしれませんけれども、これ以外にも膨大な死傷者は出ているわけですね。イラクの兵たん活動というのは、アメリカは民間の警備会社にも任せているわけですから、ここに出てくるこのアメリカ陸軍という以外の、これ、かなり民間の警備会社の死傷者というのはたくさんいるというふうに伝えているわけですね。
 やっぱり実際に、それだけ戦場、そしてその戦場へ向けての後方支援というのは危険、リスクがいっぱいということは、逆にそういうことを安倍総理は認めていただけないから、なかなか国民は幾ら説明してもやっぱり分かりにくいんじゃないかなというふうに私は感じるんです。むしろ、そういうリスクあるんだよということから、だって戦場ですから、戦争ですから、やはり平常とは違うということをしっかりと考え、そしてそのリスクを負う覚悟とか責任というのを示していけば、国民の皆さんももっと分かりやすくなるんじゃないか。
 やはり日本の安全保障をめぐる国際環境、これ何とかしたいというのは誰でも思っていると思います。私も、あの小笠原の海域で中国漁船が百隻も二百隻も来て、あれを何とかできないか、すごく歯がゆい思いです。やっぱりそういうところから自分の国を守っていくということを、まず足下からやっていくということが、今、国民の皆さんには一番訴える力になるんじゃないか。
 私たちは、そういう意味でも領域警備法案というのを出しておりますけれども、これについて安倍総理がどういうふうにお考えになるか最後に伺って、終わりたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 領域警備法について、対案として出されていることについては敬意を表したいと思います。
 私どもは、いかにスムーズに海上警備行動をこれは発令できる、言わば海上保安庁で対応できないときに海上警備行動を発令できるかどうかという観点から閣議決定を行ったわけでございまして、我々はこの対応において、十分にそうした事態にスムーズに対応できると、このように考えております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 集団的自衛権行使についてお聞きします。
 これまで憲法上行使できないと、違憲だと言われてきた集団的自衛権を、この法案では新三要件に当てはまれば行使可能と、百八十度超えるものであります。歯止めなき海外派兵につながると不安と反対の声が広がっております。
 まず、中谷大臣にお聞きします。(資料提示)
 集団的自衛権の行使について、事態対処法の第三条四項は、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」と集団的自衛権について書いておりますが、この日本が排除する存立危機武力攻撃とは一体何でしょうか。
○国務大臣(中谷元君) その条文における存立危機武力攻撃というのは、存立危機事態において我が国が排除し得る他国に対する武力攻撃のことであることから、どのような状況を我が国が存立危機事態として認定しているかによってその内容は異なります。
 いかなる事態が該当するかということについて、個別具体的な状況で全て情報を総合的に判断して決定するわけでございますので、一概にお答えするということは困難でありますが、その上で申し上げますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきております。
 このような従来からの考え方、これは新三要件の下でも、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらずに、新三要件から論理必然的に導かれるものでございます。
 したがいまして、存立危機事態における我が国による必要最小限度の武力の行使は、基本的に公海及びその上空において行われることになると考えておりまして、繰り返し答弁をいたしているとおり、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷の掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているわけではないということでございます。
○井上哲士君 問いに答えずに、まだ問うていないことまで答えられました。
 この存立危機武力攻撃というのは、事態対処法の二条にありますように、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるものと法律で定義されているんですから、ちゃんとそれ答えてください。
 つまり、日本への武力攻撃じゃないんですね。他国に対する武力攻撃が行われて、それにより日本の存立危機事態となっている、その事態を速やかに終結させるために他国に対する攻撃を排除すると、こうなるわけですから。今、海外派兵は行わないと従来の答弁を繰り返されましたけれども、しかし、海外で行われているこの武力攻撃を排除するためには、自衛隊が武力攻撃を行う現場は、他国の領土、領空、領海、これ含まれるんじゃないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 先ほどお答えをいたしましたが、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきておりまして、この存立危機事態における我が国による必要最小限度の武力行使は、基本的に公海及びその上空において行われると考えておりまして、領域における武力行使はホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で具体的な活動を念頭に置いていないということでございます。
○井上哲士君 同じ答弁を繰り返さないでください、時間ないんですから。
 海外派兵は必要最小限度を超えるから憲法上許されないと繰り返されました。しかし、集団的自衛権そのものが必要最小限度を超えるからできないと言っていたじゃないですか。それを今、百八十度超えようとしているんですね。そのことが一体何をもたらすのかと。
 衆議院の参考人質疑で阪田元法制局長官がこう言われました。従来、我が国は、外国が攻めてきたときも、まさに必要最小限度の実力行使しかできないんだと。それは、その外国の侵略行為を排除するために必要最小限度なので、敵が撃ち方やめているのに、ずっと追いかけて外国の領土、領海に入る、そして敵をせん滅する、これは許されないと述べてきた、これが必要最小限度だと。ところが、集団的自衛権が限定的であるとしても行使するとした場合には、そもそもそれは外国に行って戦うことを意味するわけですから、この交戦権との関係で、必要最小限度というのは一体何だろうと。存立危機事態を政府は速やかに終結させるということは、つまり戦争に勝っちゃうということでしかないわけで、そのためには最大限の実力行使を恐らくしなければならないんじゃないか、これが阪田法制局長官が衆議院で参考人で述べたことなんですね。
 この指摘のように、集団的自衛権の行使を容認すれば、必要最小限度という意味が変わるんじゃないですか、大臣、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは阪田長官が間違った認識をしておられるんだろうと思います。
 それは、つまりフルに集団的自衛権を認めたということであれば、そうではないかと思います。そこで、私たちはまさに三要件を付してこれを認めているわけでありまして、三要件を付すことによって必要最小限度にとどまると。そして、そこに、今委員が示されておりますように、存立危機武力攻撃ということをカテゴリーとして、だからこそ設けたわけでございます。
 言ってみれば、例えばA国が米国に対して攻撃をしたということでありますが、そこで直ちに我々は米国とともに戦うというのは、フルにこれは集団的自衛権を認めた場合でありまして、A国を、言わば阪田さんの表現によれば、降参させるまで共に戦うということになれば、これはフルな集団的自衛権であります。
 他方、私たちは三要件を付しておりますが、その三要件の中の存立危機武力攻撃は何かというと、A国がアメリカに攻撃をしたと、そして同時に、A国は日本に対して攻撃をするようなことをほのめかしている中において、例えばミサイルの警戒に当たっている米国のイージス艦に対する攻撃、これはまさに存立危機武力攻撃に当たるわけでありまして、これを排除することがまさに私どもが今回認められている武力の行使に当たる。これがまさにフルと、言わば我々が今回三要件の中で認められている武力の行使との違いでございます。
○井上哲士君 総理は法律に書いていないことばかり述べるんですよ。我々は今法律の議論をしているんです。
 いいですか、この法律では、存立危機事態を速やかに終結を図らなければならないと書いているんですね。この存立危機事態というのを生み出した存立危機武力攻撃は、他国において起きているんですよ。それを海外派兵をしなくてどうやって排除をするのかと、そのことをお聞きしているので、大臣、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 確かに、法律上、その速やかな終結を図らなければならないと書いておりますが、ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じて合理的に必要と判断される限度、すなわち必要最小限度においてされなければならないというふうに条文にも書かれております。
○井上哲士君 今、事態に応じて合理的に必要と判断される限度だと書いてありました。その条文が海外派兵はできないと、そういう意味だと、こういうことですか。
○国務大臣(中谷元君) 武力の行使、これは事態に応じて合理的に必要と判断される限度においてなされなければならないということでございまして、その点は、従来から武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空、これへ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないということを解しておりまして、それに加えて新三要件というものがございますので、それに従って対応するということでございます。
○井上哲士君 つまり、海外派兵はできないと繰り返して言われますけれども、そのこと自身は法律のどこにも条文はないと、こういうことでよろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) 武力行使の目的を持って武装した部隊、これを他国の領海、領土、領空に派遣する海外派兵、いわゆるこれは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しておりますが、ただし、従来から、他国の領域における武力行動であって、自衛権発動の三要件、これを満たすものがあれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることは許されないわけではないと解しておりまして、このような従来からの考え方は、新三要件の下、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらずに、新三要件から論理必然的に導かれるものでございます。
 総理が累次にわたって答弁をされているように、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているわけではないということでございます。
○井上哲士君 もう一回整理しましょう。
 海外派兵はできないということは法文には書いていないですね。書いてあるんなら条文を示してください。確認なんだから言ってくださいよ。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 条文についてのお尋ねですのでお答えいたします。
 これまでの旧三要件におきましても必要最小限度という限定がございまして、それによって海外派兵は一般的に禁止されているというふうに解しておりました。
 それの条文上の根拠でございますけれども、自衛隊法の八十八条というのがございます。これは防衛出動を命ぜられた自衛隊の権限を規定している規定でございますけれども、八十八条第二項におきまして「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定がございまして、これがまさにその必要最小限度を表している規定であるというふうに理解しておりまして、先ほど大臣からお答え申し上げました対処法の三条四項、御指摘のありました三条四項のただし書も同じ全く表現であるということで、その点が担保されていると理解しております。
○井上哲士君 つまり、海外派兵はできないとはどこにも書いていないけれども、この事態に応じ合理的に判断される限度においてと、これが意味するものだと、こういう答弁でありますが、じゃ、これを判断するのは誰なんですか、大臣。
○国務大臣(中谷元君) いわゆる三要件は全て法律に明記されているということでございます。対応の判断等につきましては、政府として状況を鑑みまして判断をするということでございます。
○井上哲士君 要するに、時の多数派の政府の判断次第だということなんですね。
 中谷大臣は一昨日の委員会で、他国の領域における武力行動であっても、自衛権発動の三要件を満たすものがあるとすれば、憲法の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと、こういうふうに明確に述べられました。これは新三要件の場合でも一緒だと。新三要件を満たすと判断すれば、他国領域での武力行動は法理論上可能だと。おとついの答弁を確認しますが、それでよろしいですね。イエス、ノーだけで。
○国務大臣(中谷元君) はい、満たせば可能ということでございますが、これは、現在の個別的自衛権の武力攻撃事態、これにおいても、例えば座して死を待つようなことはないということで、相手国の敵の陣地に対する攻撃、これは法理論としてはあるということでございます。
○井上哲士君 つまり、法理論では可能だと確認しました。しかし、政府は、一般には認められないけれども例外はあるというふうに繰り返してこられたんですね。
 じゃ、その海外派兵が例外として認められるのかどうか、必要最小限の範囲内か、これ、判断する基準は何なんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは、先ほどもお答えをしたとおり、いわゆる海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるもので許されないと。ただし、他国の領域における武力行動であって、自衛権の発動の三要件、これを満たすものがあるとすれば、法律上の理論としてはそのような行動を取ることは許されないわけではないと解しておりますが、この新三要件、これは集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらないということで、新三要件から論理的、必然的に導かれるものでございます。
○井上哲士君 新三要件によって一般には認められないと言っているわけでしょう。その中に例外はあるというわけですから、その例外を判断する基準は何なんですかと。受動的、限定的と言われていますけれども、これだけですか、判断基準は。ほかにもあるんですか。述べてください。
○国務大臣(中谷元君) この法律の整備といたしましては、存立危機事態に至ったときは、政府は、この事態対処法の第九条に基づいて、事態の経緯、事態が存立危機事態であることの認定及び当該認定の前提となった事実、そして、我が国の存立を全うして、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するための武力の行使が必要であると認められる理由、こういうものを記載した対処基本方針、これを閣議決定をするわけでございますので、こういったことがきちんと閣議決定をいたしまして、それに加えて国会の承認を求めるわけでございます。国会の承認が求められない場合は対応できないわけでございますので、それなりの状況に基づいて判断をしていくということでございます。
○井上哲士君 それじゃ、結局、時の政権がこの海外派兵は事態に応じて合理的な必要と判断される限度だと判断すれば、何でもできることになるわけですよ。明確な基準が示される必要があります。
 例外を判断するときの基準、この見解を出してもらうように、委員長、求めたいと思います。
○委員長(鴻池祥肇君) 先に安倍総理大臣。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに必要最小限度というこの範囲、一般に海外派兵はこれは認められないということは申し上げているとおりであります。そして、なぜホルムズがこの例外に当たるかといえば、先ほど委員が質問されたように、受動的、限定的であるからでありまして、つまり、現在においては受動的、限定であるこのホルムズ海峡の対応しか念頭にはないと、こういうことでございます。
○井上哲士君 ですから、総理が念頭にないと言われますけれども、総理の頭の中は私はどうでもいいんです。法律にどう定められているかなんですよ。そして、時の政権の判断でどんどんどんどん例外拡大しちゃいけないと。
 是非、統一基準を示していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。
○委員長(鴻池祥肇君) この件につきましては、後の理事会で諮ります。
○井上哲士君 結局、事態に応じて合理的に必要とされる限度だと、こう言いますけれども、これがどうなるのかと。
 礒崎総理補佐官は、法的安定性なんて関係ないと言った上で、国際情勢の変化に伴って必要最小限度の内容が変わるということは、今まで何度も政府としても私個人としても言ってきたと言っているんですよ。ですから、必要最小限度を超えるから海外派兵はできないと幾ら言われても、その基準が国際情勢が変わったら変わるんだと礒崎さんは言っているんですね。
 ですから、総理の念頭にないからじゃなくて、将来にわたってこの法律では海外派兵の例外は拡大しないと、その担保どこにあるんですか。言ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほども申し上げましたように、ホルムズ海峡における機雷掃海のように他国の領域において武力行動を取ることも法理論上あり得るわけでありますが、これは、限定的であり受動的であるという中において必要最小限度の中にこれはとどまるということでございますが、他方、実際にどのような場合にどのような武力行使がどの程度許されるかは、実際に発生した事態の個別的な状況に照らして総合的に判断する必要がありますので、すなわち、新三要件の具体的当てはめの、具体的当てはめのこれは問題でありますので、法律にこれを規定することは困難であると、このように考えております。
 また、このようなことは個別的自衛権の場合も同様でありまして、個別的自衛権におきましても、この必要最小限度ということについて、従来の法制においてもかかる規定は設けられていなかったものであります。
○井上哲士君 先ほど阪田長官の発言を引きましたけれども、個別自衛権の場合は、我が国に来た攻撃を排除すると、追いかけてまでいかないと、必要最小限度性が非常に明確なんですよ。しかし、他国に対する攻撃を排除する集団的自衛権行使のときには、これが、この必要最小限度というものが変わってくると、こう言っているわけです。だから私は聞いているんですね。結局、今の答弁で言いますと、何が必要最小限かというのは事態に応じて時の政権の判断に委ねると。例外をどんどんどんどん拡大をして、海外派兵することに何の法律的な歯止めもないということが私は浮き彫りになったと思います。
 そして、これ単なる法理上の問題じゃないんですね。現実に自衛隊がどういう訓練を行っているのか。
 パネルはアメリカ陸軍のホームページにあるニュースでありまして、昨年、陸上自衛隊がアメリカのカリフォルニア州の米陸軍戦闘訓練センターで初めて米軍との共同訓練を行ったのを報じたものですね。防衛省は、自衛隊がアジアの国として初めてここでの訓練に参加をしたと、米国からも韓国等アジア諸国からも注目されているとしております。
 まず、中谷大臣にお聞きしますが、昨年の一月十三日から二月九日に行われたこの訓練に参加をした自衛隊と米軍のそれぞれの部隊名、人員、主要装備は何ですか。
○国務大臣(中谷元君) 陸上自衛隊は、平成二十六年一月十三日から二月九日までの間、米国カリフォルニア州フォートアーウィンに所在する米陸軍戦闘訓練センターにおきまして日米共同訓練を実施をいたしました。
 この訓練には、日本側から富士学校部隊訓練評価隊等の約百八十名が、米側から米陸軍第三、第二、ストライカー旅団戦闘団等の約四千名、これが参加をいたしました。
 使用した装備品につきましては、陸上自衛隊が、八九式五・五六ミリ小銃、十二・七ミリ重機関銃、八十四ミリ無反動、八七式対戦車誘導弾、七四式戦車、九六式装輪装甲車等で、米側は、五・五六ミリ小銃、八十一ミリ迫撃砲、ストライカー、戦車、戦闘車等でございます。
○井上哲士君 このパネルの写真が日本が持っていった七四式の戦車でありますが、この米軍側のストライカー旅団というのは、八輪タイヤ付きの装甲車、ストライカーで構成する部隊で、全世界に九十六時間以内に展開する機動性を持った部隊であります。そして、日本が一緒に演習したこの第三戦闘旅団は、イラクへ三回、アフガニスタンへ一回展開した、ストライカー旅団の中でも最も展開をした経験を持ち、歴史の次の段階に備えていると米軍のニュースが書いております。
 この米軍部隊と自衛隊がどういう訓練を行ったのかと防衛省に資料を求めました。
 総合訓練のこれが日程でありますけれども、全期間を通して戦地と同様の規律で実施したとされまして、五日間、機能別訓練というものが行われておりますが、日米共同で攻撃訓練、総合戦闘射撃などを行います。そして、九日間、対抗訓練というのが行われておりますが、攻撃、防御、反撃と、これに区分して行われているわけですね。
 訓練内容を見せてくれと、私、防衛省に資料を求めましたけれども、出てきたのはこれ全部黒塗りですよ、真っ黒。
 この対抗訓練というのは一体どういう中身なんですか。
○国務大臣(中谷元君) この訓練で実施した対抗訓練といたしましては、陸上自衛隊の富士学校にあります部隊訓練評価隊、これが米軍の部隊と共同をして機動、防御、攻撃といった一連の活動を実施して、米軍の専門の対抗部隊との間で、交戦訓練装置、これを用いた訓練を実施をいたしました。
 訓練実施部隊である富士学校の部隊訓練評価隊、これは陸上自衛隊の富士訓練センターで専門の対抗部隊として多くの部隊と対抗訓練を実施をし、陸上自衛隊の一般的な練度、これを把握する部隊でありまして、同部隊を派遣をして実戦的な環境の下においてこのような訓練を行うことにより、現在の陸上自衛隊の練度、これを確認することができたと考えております。
 この訓練部隊におきましては、一般的に戦闘訓練として想定で行うのではなくて、実際にこのセンターに参りますと、実際の状況で、それが成功であるのか失敗であるのか、そういうことを評価、判定できるような部隊でありまして、この部隊が米国へ行ってこういった訓練をしたということでございます。
○井上哲士君 今聞いてもさっぱり分からないですよね。結局、この真っ黒塗りの資料と同じ。しゃべっていますけど、中身は黒塗りと一緒なんですよ。なぜこれを出せないのか。
 米軍のニュースは書いています。この訓練は決定的行動訓練環境で行われたとして、戦闘旅団の兵士に、ゲリラ部隊、反乱勢力、犯罪分子及び通常部隊と同等の部隊が対決するなど課題が与えられて、そして百八十人の陸上自衛隊はストライカー戦闘旅団とパートナーを組んでこの訓練に完全に組み込まれると、こういうふうになっております。まさに米軍のこういう報道どおりの訓練が行われたと思うんですね。
 この訓練が行われたナショナルトレーニングセンターというのは、七十キロと五十キロという広大な砂漠地帯に五つの射撃区域、十五の市街地訓練施設を設置したもので、本土最大級の鳥取砂丘の九十倍の広さですよ。もちろん島嶼部にこのような広い砂漠はないと。およそ日本有事のためなどと考えられたものとは思えないんですね。何のために、どういう想定でこういう訓練所を使って訓練したんですか。
○国務大臣(中谷元君) この訓練は、部隊の練度、これを確認して、同時に日米が相互連携要領、これを演練し、また相互運用性の向上を図ることを目的として実施したものでございまして、あくまでも陸上自衛隊の練度の確認及び日米の相互運用性の向上を目的としたものでございます。
 このような目的を達成するために、実戦的な訓練環境を有して米国の専門の対抗部隊が所在する米陸軍戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施することが最も適切かつ効率的と考えたわけで、日本では広い演習場、余りありません。非常に混雑して、十分に思い切った訓練もできないわけでございますが、米国が所有する訓練センター、ここにおいて共同訓練を実施したということでございます。
○井上哲士君 単に広いだけじゃないんですね。
 これは、アメリカのニュース・トリビューン社の記者によりますと、この訓練の設定というのは、アトロピアという国と侵略国ドローピアという仮想の国家を想定して、アトロピアに進撃してきたドローピアに対して米軍と自衛隊が反撃すると、こういう設定だそうであります。
 そして、この雑誌「軍事研究」のレポートによりますと、この訓練場内には大小二十か所の集落があって、アフガニスタンやイラクとおぼしきたたずまいで巨大なモスクもあると。訓練期間中はアラブ系の俳優が住民に扮して実際に生活をして、その住民の中に紛れたテロリスト役もいたと。これほど用意周到にやっているわけですね。
 なぜこんな砂漠の地帯で、なぜこんな中東を模したところで日本が訓練をアメリカと一緒にすることが、アメリカに組み込まれてすることが日本の防衛に関わるんですか。結局、相互運用性の向上といいますけれども、まさに中東などを想定した米国との軍事行動ができるようにすると、そのための相互運用性の向上じゃないんですか。
○国務大臣(中谷元君) この訓練というのは、あくまでも陸上自衛隊の練度の確認と日米の相互運用性の向上を目的としたものでありまして、この目的を達成するために、実戦的な訓練環境を有して米国の専門の対抗部隊が所在する米陸軍の戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施することが最も適切かつ効率的に考えて実施をいたしました。
 この戦闘訓練センターには、御指摘のような施設があるということは承知をいたしておりますけれども、本訓練は自衛隊が中東における活動を行うことを想定したものではございません。
○井上哲士君 何で想定もしていないのに、わざわざアメリカまで行って、この訓練、三億五千万円掛かっているんですよ。戦車まで持っていって、そしてこういう中東を模したところでアメリカと一緒に訓練をする。
 総理、集団的自衛権行使を可能にしても、イラク戦争やアフガン戦争のような戦闘に参加することはないと繰り返し答弁されてきましたよ。しかし現実には、イラクやアフガニスタンを想定した場所でアメリカと一緒に戦闘する訓練やっているじゃないですか。何でこんな訓練が必要なんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、日米のこの安保条約の第五条において、日本が侵攻を受けたときには日米で共同対処するわけであります。共同対処をする上においては、常にこうした訓練を共に行いながら、共に相手に対処していくことが必要でありまして、そのための場所として、米陸軍戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施すると。この場所が最も適切であり、かつ効率的と考え、本訓練を実施したものでございます。
 その上において、今、何で戦車というお話がございましたが、日本に侵攻されたときには、まさに陸上自衛隊と米軍が共に共同対処するのは当然のことでありまして、この共同対処をする日頃の練度を高めていくことが精強性を増し、そしてそれは抑止力につながっていくと、このように考えております。
○井上哲士君 砂漠ですよ、七十キロ掛ける五十キロの。そして、そこに中東風のモスクなどもあると。なぜそこでやるのが練度を上げることになるんですか。鳥取砂丘に侵攻してきたと、それやるというんですか。それとも全然違うわけです。
 そして、たまたまなんていう言葉がありましたが、たまたまじゃないんですよ。これは、アメリカの陸軍のニュースが書いています。
 実は、この訓練の実現は八年掛かったと。これまで、米軍の地球規模での作戦進行速度のために、陸上自衛隊の部隊をこのナショナルトレーニングセンターの訓練予定に組み込むことは困難だったと。日本の軍事計画策定者が辛抱強く主張し、ついに今月、その目標が実現をしたと、こう書いてあるんですね。
 いろいろあるんじゃないんです。ここでやることが必要だということで、日本側が八年越しで実現をしたと。まさに中東などを模した米軍と一緒の軍事訓練じゃないんですか。それしか考えられないじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは八年越しということでありますから、この法案は全くこれ関係ないということの証明でもあろうと、こう思うわけでありますし、そして、砂漠を選んで行ったんではないんですよ。この米陸軍の訓練センターがある場所でやったということでございまして、そして、まさに戦車等が走行できる場所というのは、実戦に近い訓練をできる場所というのは、これは相当限られているわけでありますから、この訓練センターでやったということだけでございます。
○井上哲士君 米側はニュースで、砂漠での装甲車の隊形や戦車の構造に関して日本を指導し、行動を共にしたと、こう書いているんですね。そして、統合任務部隊として一緒に活動する大変良い演習になったと。日本側は、同じ目標達成のために米陸軍と並んで戦うことができると、こう述べたと書いているんですね。
 明らかに、まさにこういう海外での武力行使を想定した訓練が既に行われている。まさに私は、憲法違反の法案、そのための準備までされている、これは廃案しかないということを強く申し上げまして、終わります。
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 今日は、この安保法制が国民にどう捉えられているのか、何が今国民との間で違っているのか、この辺りを中心に質疑をしたいと思っています。
 まず冒頭に申し上げたいのは、先日、七月二十七日、参議院の本会議におきまして、安倍総理は、さきの総選挙で集団的自衛権の行使について争点があったかという質問に対して、主要な争点の一つであったのは明らかで、国民から強い支持をいただいたと答弁されていますが、私自身は、この集団的自衛権が前回の総選挙でとてもではないけれども争点になったとは思っていません。この法案に対して、政府に白紙委任をしているわけではないと。選挙は別の争点なのであって、選挙で勝ったからといって、何が何でも数で押し通すということでは、私は民主主義は崩壊してしまうというふうに思っておりますので、最初付け加えさせてスタートしたいと思っております。
 まず、フリップの方を見ていただきたいと思います。(資料提示)山田太郎もセルフサービスでございます。
 これは、今の政府の、あらゆる事態に対応したいという立場と、それに対する国民の、一定の限定が必要だ、この間に実は不明、不信、不安という「三つの不」が存在しているのではないかと、こういう辺りから今回の法律を少し質疑していきたいというふうに思っています。
 まず最初に、国民が不明に思っているという辺りについての言及をしていきたいと思います。
 国民の立場に立てば、なるべく法律で細かい規定を書き込むことによって歯止めが掛からない状態を避けたい、線引きをはっきりさせたいと、こういうことなんだというふうに思います。
   〔委員長退席、理事石井準一君着席〕
 ただ、集団的自衛権を行使する前提となる存立危機事態が一体何なのか、それから、存立危機事態であったとしても武力攻撃事態ではないものは何なのか、さんざん国会でも議論になっているホルムズ海峡という話もありますが、南シナ海はどうなのか、朝鮮半島有事はどうなのか、台湾有事はどうなのか、さっぱり分からないと。今政府が言っている、法律のまさに切れ目なきというふうに言っていますが、集団的自衛権でなくとも個別自衛権でほとんどクリアできるのではないかと、こういう質疑もずっと衆議院段階から行われてきた。それでも政府はこだわって集団的自衛権を法律上認めるということを言うのは、何かそれ以上のことを政府がやりたいのではないかと、こういうふうに疑ってしまうわけでもあります。
 まさに法律に具体的に明文的に書かれていないので、国民はいつまでたってもその内容、我々国会議員とともに、一緒に不明なままと、はてなでいっぱいだということだと思います。まさに不明なことも多く、法律の不備なんかも指摘されていますが、実は新法は法律そのものが切れ切れなのではないか、こういうふうにも思うわけであります。
 ただ、政府は多分、個別の事態によっては状況が違うので柔軟な対応ができないと国を守れなくなってしまう、こういうことを言い続ける。もしかしたら、具体的なことを明示的に決めていない大陸法、それから曖昧な部分を残す英米法の違いであれば、本来は解釈ということがとっても大切なことになるわけでありますけれども。
 ここで総理にお伺いしたいんですけれども、政府は、法律では明文化せずに、運用面で総理あるいは防衛大臣の判断で行える余地をなるべく持っておきたいということでこんなに曖昧なのかどうか、この辺りをお答えいただけないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回に当たっての、まさにこれ、中核については、今委員がおっしゃっているのはこれは存立危機事態についてだろうと思います。ほかにもこれ法制がございますから、恐らくそれについての質問だろうと、このように思いますが。
 存立危機事態につきましては、これは今までの憲法解釈において、必要な自衛の措置の中においては、我々は権利としては国際法上有している集団的自衛権の行使はできないと、これはフルスペックでできない、フルスペックにおいてはできないと、こう考えていたところでございますが、この三要件、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険という条件を付け、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、そしてそのときには必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、この三要件に当てはまるものについては自衛の措置をとることができると、こう解釈をしたわけでありまして、この言わば核心の部分につきましてはまさに法律に明記をしてあるところでございます。
○山田太郎君 それが具体的に分からないということが今の論点だったんですが、残念ながら条文を繰り返すばかりと。不明なところをますます不明にしてしまっているんじゃないかなということで、残念であります。
 それから、法解釈という話なんですけれども、実はこの集団的自衛権に関しては、内閣法制局長官クラスだけではなくて、歴代の総理の中でも比較的日米同盟を強調してきた中曽根元総理が一九八三年三月十八日、それから小泉総理が二〇〇一年五月十日に、それぞれ衆議院本会議におきまして、日本の集団的自衛権の行使は従来から憲法上許されないという旨の答弁を実はしているんですよね。
 親米とよく言われていた総理ですら認めてこなかったこの集団的自衛権について、こうも簡単に解釈が変わってしまうということであれば、まさにこの国会の議論になっている法的安定性がなくて、それが国民の不信につながると、こういうことなんじゃないかなというふうに思っておりますが、特にこの二人の総理の発言に関して安倍総理はどのようにお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然これは歴代の内閣の立場を述べたものであります。そして、どういう意味について述べたかといえば、それはまさに一般的に認められている、国際法によって認められている集団的自衛権の行使、言わばフルのスペックについてはそれは認められていない、行使は認められていないと、こう答えているわけでございます。
 そして、今回はこのフルではなくて、まさに先ほど申し上げました法律にも明記されている三要件にかなうものについては行使することができる。そしてそれは、国民の命を守るためにまさに必要な自衛の措置とは何かということを、何がこの必要な自衛の措置のために行うべきか、あるいはその範囲に入るかということを変わっていく国際環境の中で考え続けてきた結果であろうと思います。
 国際環境というのは大きく変化をしていきます。同時に、武器等の技術も進歩していく中において、国境という概念は、これはもうだんだんなくなっていく中において、脅威は簡単に国境を越えるという中において、我々はこの必要な自衛の措置について、三要件の中にとどまる自衛の措置はとり得ると、このように考えているところでございます。
○山田太郎君 しっかり総理はその中曽根総理又は小泉元総理が答弁した本会議のを見てそう答えていらっしゃるのか、私はちょっと理解に苦しむんですが、中曽根総理はもう明確に、個別自衛権の範疇のうちで行うのであって、集団的自衛権の行使は否定されていると強く主張していますし、小泉総理も、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えてきていると、こう明確に言っているわけなんですよね。
 フルスペック論、一部というようなことの解釈がまた発生どんどんしていくということが、まさにここでも法的安定性というのがどうなのかということが議論を呼んでいるのではないか、これが国民にとって二番目の、不明の次の不信につながっているのではないかと私は実は思ってやみません。
 もう一つ、心の内の違いというのが多分政府と国民の間にあるのではないかなと。これが不安を呼んでいるというふうに思うんですが、例えば、テロの九・一一、これはまさに報復攻撃でありますし、フランスにおいても、エールフランス航空ハイジャック事件、サンミッシェル駅爆弾テロ事件、凱旋門爆破テロ事件、武装イスラム勢力の関与が指摘されていると。イラク戦争では後方支援を行っていたスペインにおいて、二〇〇四年の三月にマドリード市内で大きなテロがありまして、百九十一名が亡くなる、二千名以上が負傷する。これによってスペインは、後方支援をやっていたんだけれども、イラクからの撤退を決断すると、こういうことなわけであります。
 海外での後方支援の拡大が実質の武力行使の一体というふうに見られて、日本のまさに非戦のブランド、それから平和のブランドが失われるのではないか、こういったことが格段にテロのリスクを高めてしまうのではないか、国民は多分こういう不安を持っていると思うんですね。まさにテロという恨みの、つらみの連鎖、これがどんどん増殖するのではないかと。
 実は、この安保法制、テロに対しても対応するというふうに言っているみたいですが、国対国の戦争に関する法制、法案でありまして、国家でないテロに対する対応というのはまた別の議論なわけなんですね。なのにもかかわらず、この法案を強化することによってテロの脅威が高まるのではないかという、こういった矛盾を持っているわけであります。まさに法的安定性がなく、拡大解釈すれば、自民党さんが一生懸命否定している徴兵ということにもつながると。
 午前中も徴兵制はありませんというふうに議論をしていましたが、ここまで国民のまさに不安が高まっているのであれば、まさに信頼性の意味から、徴兵制は禁止するという法律を立ててもいいのではないかというぐらいな状況なのではないか。そうでないと、やはり国民の不安というのは払拭されない。今この「三つの不」の状態に、国民と政府の間にあって、これがこの法案を支持できない人たちが増えてきている現実なのではないかな、こう思うわけであります。
 じゃ、解決策どうしていくかということなわけでありますけれども、まさに今日の質疑の中でもさんざん出ていましたが、歯止めがない、国民の理解や支持を得ずに自衛隊が海外に出る、こういうことに対する不明、不信、不安をやっぱりなくしていくということが必要だと。自衛隊の隊員の皆さんにも、本当に命を懸けて職務を全うするのに、これだけ国民に支持されていないような例えば法制でもって本当に行けるのかどうかと、そういう心配もあるわけであります。
 まさに「三つの不」を取り除くためには、午前中の議論で総理は、国会の承認が歯止めになると、こう強調されています。
 であれば、是非御提案したいんですけれども、例外なき国会の事前承認と、もう一つとても大事なのは、途中段階そして事後の検証と国会への報告を行うべきだと、こういうふうに考えていますが、この辺り、歯止め論それから事後検証、法案を出し直す又は修正するということで検討するということは、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の平和安全法制の策定に当たっては、自衛隊の活動について民主的統制を確保するために、国会の関与について適切に規定することとしました。国会の関与が必要な活動については、国際平和支援法は例外なき事前承認としています。そのほかのものについては原則事前承認ではありますが、例外としての事後承認を認めています。例えば、存立危機事態や重要影響事態における活動の実施は緊急時の事後承認を認めておりますが、これを認めなければ我が国の平和及び安全の確保に支障を来す可能性があるわけであります。
 具体的には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が事前に十分に察知されず突発的に発生し、またこれによって、間を置かずして我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある状況に至ることは否定できないわけであります。極めて短期間のうちにそのような事態に立ち至った場合には、国会承認の前であっても、並行して自衛隊に行動を命じ、まず何よりも国民の命と平和な暮らしを守ることが必要ではないかと考えています。
 また、PKO法に基づく活動の実施については、国会閉会中や衆議院解散中に活動の必要性が生じた場合、次期国会の開催を待っていては国際社会の期待にタイムリーに応えることができないことも想定されるわけでありまして、このように、やむを得ない場合には事後承認となることもあり得ますが、原則はあくまでも事前承認でありまして、政府としては可能な限り国会の事前承認を追求していく考えでありますし、また事後承認となった場合でも、不承認の議決があった場合には活動を終結させなければならないことから、歯止めとして機能しないわけではもちろんないわけであります。
○山田太郎君 検証委員会はどうなのかという話はお答えいただけないので、後でまた引き続きやりますが、今の速やかに事後承認とか、今回の法律は等とか原則はとかいう、そういったやっぱり非常に法文上も曖昧、こういった話もすごく多いので、これが、何度も言うんですけど、やっぱり国民の不明、不信につながっているということを申し上げたいんですね。これを是非、総理には本来分かっていただきたいと、こういうふうに思うわけでありますが。
 もう一つ、答えていただけなかったんで続けて聞きますけど、検証委員会ですね。イラク戦争時が非常に、大量破壊兵器もなかったのに何だったんだということで、国民の間でも議論を呼んだところでありますが、アメリカとイギリスでは、それぞれ検証委員会による調査というのは実は行われています。イギリスの調査委員会は、大量破壊兵器の報告作成に当たって、様々な判断、いろんな情報を的確に分析し、批判し、オープンにやっていると、こういうことでもあるわけですよね。
 事後検証の必要性ということは、私は非常に重要だというふうに思っています。事後にチェックを受けると思えば、自衛隊の海外派遣中、勝手な拡大とか勝手な解釈、こういうことはできなくなる。今は、国会の承認又は法律にのっとっていれば政府はフリーハンドで何でもできると。こういうことでは結局、国民の不安それから不信というものは払拭できない。
 そういう意味では、やましいことがないんだったら堂々と第三者委員会を立ち上げて、きちっと事後のチェックを受ける仕組みをつくってはどうかと。これは、例外なき国会承認とともに我が党としても是非提案したい、こう思っているわけでありますけれども。秘密保護法においても、総理は最終的に国会に情報監視審査会を設置することに合意されました。このように、今回はもっと人の命が懸かっている重大な案件でもあります。国際的なリスクもある。
 そうなってくると、さらにこの事後検証といった辺りについても、まさに日本が本当に普通の国になるのであれば、他国が持っているようなしっかりした仕組みも今回位置付けて、修正、追加していただけないかどうか、この辺りも是非総理の方からいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラク戦争に係る経緯については、外務省において当時の政策決定過程を検証して、もって教訓を学び、今後の政策立案、実施に役立てるとの目的の下、しかるべき体制の下で検証が行われ、平成二十四年十二月にその結果のポイントが公表されたものと認識をしています。
 また、イラク特措法に基づく対応措置の結果については、同法の規定に基づき、活動に至る経緯、活動の内容、実績、評価などを政府として取りまとめ、平成二十一年七月に国会に報告をするとともに、適切に公表をしています。
 平和安全法制においても、我が国による対応措置等の終了後、その結果について国会に報告すべきことがそれぞれの法律に明記をされております。これによって、本法制に基づき自衛隊を海外に派遣した場合には、国会報告を踏まえて、派遣の結果について事後に国会でしっかりと御議論いただくことができるものと考えております。
○山田太郎君 時間になりました。
 残念ながら、今日の質疑は、結局、国民に対して不明、不信、不安というものが払拭できなかった、何も、何か前に進めて解決する姿勢ではなかった、私はそういうふうに思っております。是非、例外なき国会の事前承認、そして、途中、事後の検証と国会への報告の仕組み、これを求めて、私の質疑を終わりにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。
 今回の一連の平和安全のための法整備に関しましては、日本が真の独立国家となるために一歩、二歩、歩を進めたものと考え、総理に敬意を表しています。しかし、日本が平和を希求する独立国家として世界から信頼されるためには、まだまだ足りていない事柄が多く残されている状態であると考えています。
 在外邦人保護、主として北朝鮮による拉致被害者の救出についてお伺いいたします。
 総理は、今回の法整備は、国民の命、平和な暮らしを守るためのものであるとおっしゃられています。そうであれば、現に北朝鮮に拉致され、長期にわたって監禁状態に置かれている日本人拉致被害者を救出することは、まさに今回の法整備の主要な目的とされてしかるべきものと考えます。
 しかし、どの法改正の項目を読みましても、在外邦人等の保護措置、自衛隊法第八十四条三の改正項目を見ましても、朝鮮半島有事、動乱時に北朝鮮拉致被害者を救出できるようにはなっておりません。
 今回の法整備において、北朝鮮に監禁されている被害者を救出することは念頭に置かれていなかったのでしょうか。総理にお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の平和安全法制の検討過程においては、海外におられる邦人の命をどのように守るべきかということも考慮に入れました。そのような邦人の中には拉致被害者の方々が含まれるのは当然のことであります。
 一方で、自衛隊の活動については、国際法上の観点や我が国憲法の観点から一定の制約があり、今回の法整備によっても自衛隊の活用には限界があることも御理解をいただきたいと思います。
 いずれにせよ、拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要であり、その際、同盟国である米国との協力は極めて重要であると考えております。
 これまで、米国に対しましても拉致被害者に関する情報を提供してきておりまして、これは委員が第一次安倍政権のときに補佐官としておられたときにも、米国と共同して、そうした動乱状況になったときには米軍による救出等も含めて検討すべきであるということをお話しになっておられ、そういう体制をつくるべく検討してきたわけでございますが、これまで米国に対して拉致被害者に関する情報を提供してきておりますし、拉致被害者の安全が脅かされるような事態に至った場合に、拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に対し依頼をしているところでございます。
○中山恭子君 米国への依頼というのも非常に重要ではございますが、この問題の前に一つ、今回の在外邦人保護につきまして、今回、輸送のみならず警護、救出、生命又は身体の保護のための措置もとれるということになります。また、任務遂行型の武器使用も可能となります。ただ、これらの措置をとるに当たって、三つの要件全てを満たす場合に限られています。この三つの要件といいますのは、当該外国の権限ある当局が安全と秩序の維持に当たっており、戦闘行為がないと認められること、二つ目として、当該外国等の同意があること、三番目には、部隊と外国当局との連携が取れること、これが条件になっています。ただ、混乱状態の中で、この今の国際情勢の中で、この要件を満たすことは極めて難しいと考えています。
 海外で日本人が被害に遭う事件の多くは、当該外国の権限ある当局が存在しているような状況ではありません。各地で勃発しているテロ事件、ISILの人質殺害のような事態では、実効支配している者は国家ではなくテロ集団などであり、この実効支配している者そのものが人質の実行犯であることが多くあります。北朝鮮による拉致問題も同様な条件と考えられます。
 安全保障環境が根本的に変容していることを見極め、今回、この変容していることに合わせて法改正が行われるということでございますが、この三要件の対応を時代に合ったものとすることを御検討いただけないでしょうか。次世代の党では、当該外国の同意を得ることを原則として邦人の救出及び輸送のために必要な措置をとることができるとしております。
 ついでに申し上げますが、昨年五月十五日に出された安保法制懇の報告書では、領域国の同意がない場合でも、ちょっと中略しますが、当該外国人を保護、救出するためにその本国が必要最小限度の武力を行使することも、国際法上自衛権の行使として許容される場合がある、憲法が在外自国民の生命、身体、財産等の保護を制限していると解することは適切でなく、国際法上許容される範囲の在外自国民の保護、救出を可能とすべきである、国民の生命、身体を保護することは国家の責務でもあると報告されています。
 このような報告が出されているにもかかわらず、今回、この現実離れした三つの要件全てを満たさなければ、せっかく整えた法整備を行っている輸送以外の警護等について全く動くことができない。このような形は非常に残念なことであると考えておりまして、この三要件について、全てを満たさなければ動けない、この三要件だけでできることができなくなっている状況であることをどうぞ御認識いただいて、現在の国際情勢が大きく変容していることを見据えて、この三要件の扱い方を再度御検討していただきたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新たに設けます在外邦人等の保護措置は、昨年の閣議決定でお示しをしたように、領域国の同意に基づいた武力の行使を伴わない警察的な活動として行うものでありまして、領域国の同意がある場合にその同意が及ぶ範囲、すなわちその領域において権力が維持されている範囲で活動することを前提としておりました。
 そこで、法案においても、自衛隊が保護措置を行う場合においては、今委員が挙げられました、領域国の当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められることや、武器の使用を含む保護措置の実施について領域国の同意があること等を保護措置を実施する要件としているわけでございます。
 言わば受入れ国が同意をしている。しかし、委員は、なかなかそういう状況になっていないケースが多いという御指摘でございますが、しかし、このような法律の要件を満たす場合もあると考えておりまして、例えば、領域国の当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっている状況ではあっても、緊急事態においては領域国の当局が在外邦人の保護に振り向ける要員が手薄になっているという場合、又は特定の対応について領域国よりも我が国の方が対応能力が高い場合が考えられるわけでございまして、なお、一般的に、諸外国が行う在外自国民保護の活動についても、領域国の同意を得て協力を得ながら行うことが通常であると考えておりまして、いずれにいたしましても、在外邦人等の安全確保の在り方については、今後とも不断に検討を行っていくべき課題であると考えております。
○中山恭子君 当該国が支配している地域以外のところでこういった事件が多く起きているところでございますので、是非、この三要件の三つの要件を全てクリアしていないと動けないという点につきまして、もう一度御検討いただけたら有り難いことでございます。
 また、先ほど総理から、米軍による救出、米軍に情報をこちらからも提供したり、拉致の問題について理解を得たり、又は米朝交渉の中で、日本人拉致被害者の解放なしに米朝が合意をしないように、国交正常化をしないようにといった依頼をしてきているということは非常に重要なことだと考えております。
 ただ、国民の生命、身体を保護することは国家の責務であります。国家が在外国民を保護する義務を負うこと、国外に滞在している期間、国民は国家により保護を受ける権利を有すること、こういったことを憲法で定めている国も多くあると聞いています。例えば、ポーランド憲法では、ポーランド市民は、国外に滞在している期間、ポーランド国家による保護を受ける権利を有すると憲法に書かれているということでございます。
 在外で被害に遭ったとき、その被害者を救出するのは母国でございます。北朝鮮で監禁されている拉致被害者を救出できるのは母国、日本しかありません。協力をお願いすることはできても、この救出をしっかりと行うのは、日本が行わなければ拉致被害者を救出することはできないと言って過言でないと思っております。救出できる体制、法整備を行っておくことは国の責務でありまして、国際法上も憲法上も、憲法上もといいますのは、これは単純な個別的自衛権の話でございますので、憲法上も認められた自衛権の範囲の中の問題だと考えておりますので、是非その法整備を行っていただきたいと考えております。
 総理の御所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員がおっしゃったように、確かに海外の在外邦人の保護については日本国政府が責任をこれは持って保護に努めなければならないと、このように思います。そして、安保法制懇においては、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守るために何をなすべきかについて、何らの前提条件なしに御議論をいただいたところであります。
 御指摘の在外自国民の保護について申し上げますと、今般の平和安全法制においては、海外の邦人を守るために、憲法の許す範囲内で必要な法制を充実させ、自衛隊法の改正案等を取りまとめたところであります。このように、「国民の生命・身体を保護することは国家の責務」という報告書の記述の趣旨は、今般の平和安全法制においても生かされていると考えているところでございます。
 今後とも、先ほど申し上げましたように、そうした邦人の保護をしっかりと行っていくために不断の検討を行っていきたいと、このように思っております。
○中山恭子君 是非、今後も、この在外邦人保護について、いろいろな状況の中でも救出が可能となるような法整備について是非お考え、御検討いただきたいと思っております。
 この北朝鮮による拉致問題、日本はなぜ北朝鮮の工作員が日本にやすやすと入国することを防げなかったのか。なぜ、北朝鮮が日本の若者を拉致するのを防げなかったのか、日本は拉致された日本人が北朝鮮に監禁されていると分かっていながら放置してしまったのか。日本政府はなぜ北朝鮮に監禁されている拉致被害者は日朝国交正常化のためには犠牲になってもやむを得ないといった方針を取っていたのか。
 この点は安倍総理になってから改善されていることとは考えておりますが、戦後、自国民を守ることまで放棄してしまった日本のありようを見て、日本は何と情けない国になってしまったのか、無念な思いを抱えてこの北朝鮮拉致問題に関わってまいりました。
 この問題は今解決しなければならない問題だと、もう真っ先に解決しなければならない問題であると考えております。そして、北朝鮮が不安定化する前に、もちろんそれは分からないことでございますが、可能性があるのであれば、その前に拉致被害者を救出しなければならない。これは言をまちません。
 私は、まさに今が救出のときと考えています。このタイミングを外しては救出のチャンスはないと言ってもよいかもしれません。そして、拉致被害者を救出できるのは安倍総理しかいないと考えています。安倍総理が拉致被害者救出に向けて直接指揮を執り、信頼できる側近や情報グループとともに北朝鮮と直接やり取りを進めることによって救出が実現できると考えています。それ以外には救出は難しいとも言えるかもしれません。総理におかれましては、総理の下に拉致被害者救出の特別チームを編成し、直接指揮を執っていただきたいと心からお願いでございます。
 交渉の扉をこじ開けたと今日の午前中お話がありましたが、一旦この扉を閉じない限り新たな交渉ルートは出てまいりません。総理にお願いでございます、一言御所見いただければ。
○理事(石井準一君) 時間が来ておりますので、答弁は簡潔に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこの拉致問題については私が総責任者としてオールジャパンで取り組んでいるところでございます。今後とも総力を挙げて拉致被害者の帰国を実現したいと、このように考えております。
○中山恭子君 ありがとうございました。終わります。
○中西健治君 中西健治です。
 この委員会では何度か質問に立たせていただくことになるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、参議院での審議の最初の週ということでありますので、まず安保法制の理解についてちょっと総理の御認識をお伺いしたいと思うんですが、総理は、衆議院で議論が始まった当初、分かりやすく説明を繰り返していきたいと思いますと、こう抱負を述べられていました。しかし、衆議院の特別委員会の最終日においても、残念ながら国民の理解は進んでいないと自ら認められております。
 総理の認識として、現時点で国民の何割くらいが理解を示している、賛同しているというふうに考えていらっしゃるでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私自身が何割かという正確な数字を持っているわけではございません。各種世論調査等によると、残念ながら国民の理解は進んでいない、また随分誤解もあるんだろうと、このように思っております。
 戦争法案であるとか、あるいはまた徴兵制が始まる、これは全く理由のないことでありますし、全く間違っているわけでございますが、そういう点もこの国会において、今日も午前中の議論等で大分国民的な理解も見ていただければ深まっていくのではないかと、こんなように思っているところでございます。
   〔理事石井準一君退席、委員長着席〕
○中西健治君 国民的な理解が深まっているのではないかと、こういうふうにおっしゃられておりましたけれども、各種世論調査を見てみると、先週末時点で一様に、今国会で成立すべきだという人の割合というのは二割台ということなんじゃないかと思います。
 この参議院の審議を通じて、どれぐらいこれを上げようか、こんなような目標、例えば過半数行かなきゃいけない、若しくは衆議院の採決時に比べて一割くらいは上げたい、こうした目標は持っていらっしゃいますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 三割とか四割とか五割とか、そういうこれは具体的な数字を念頭に置いているわけではございませんが、一人でも多くの方に御理解をいただくべく努力をしたいと思います。
○中西健治君 そうした努力をしていただいて、そして、国民の理解が深まらないうちは、まかり間違っても六十日ルールを使うよう官邸の方から指示をしたり圧力は掛けないということを是非お願いしたいというふうに思っております。
 それでは、国民の理解が深まらない大きな要因として、やはりホルムズ海峡の機雷掃海、これがあるんじゃないかなというふうに思います。ホルムズ海峡の機雷の敷設が行われて、これが存立危機事態に該当する可能性もあり得る、該当する場合もあり得ると。該当した場合には自衛権の行使だということ、この論理というのは、腹にすとんと落ちるという人は非常に少ないのではないかと思いますが、そもそも一万一千キロも離れたホルムズ海峡の機雷掃海を自衛権の行使として説明することに無理があって、これが国民の理解が進まない理由の大きな一つであるというふうにお考えにならないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このホルムズ海峡の機雷掃海については、当初、言わば個別の事例について挙げて、そしてそれに対して幾つかの新聞社が世論調査をしたところ、この必要性についてはむしろ七、八割の方々が、その必要性について必要だというふうに答えておられたわけでございます。
 その中におきまして、言わば法律との関係、あるいは憲法との関係については、これはまさに一般に海外派兵は禁じられている中での例外ということで申し上げているわけでございますが、そこで、例えばこれが武力行使に当たる、あるいは集団的自衛権の行使にこれは国際法上は当たるというこの認識が何らか肌感覚として、そういう行為が果たしてそうなのかということについては、これは理解しにくいのはそうなんだろうと、このように思うわけでございます。
 やることはまさに、機雷が敷設をされてしまった、どこかの国がそれを取り除かなければいけない。しかし、この海峡を通って多くの石油は日本にやってくるという状況があるわけでございますし、実際そういう状況になったら、ただ経済的な打撃だけにはとどまらない可能性も十分にあり得るという中において三要件に当てはまる。また、必要最小限度の中にこれは限定的であり受動的であるという観点から当てはまると。そして、第一要件には当てはまる場合もあり得るということであります。
 もちろん、そういう事態に立ち至らなければ一番いいわけでありますし、そういう事態に立ち至らないように我々も外交努力を当然進めていかなければならないと考えております。
○中西健治君 機雷掃海の必要性ということを総理はおっしゃられました。
 私自身も、我が国が機雷掃海の高い能力を有しているということは十分に承知しているつもりでおります。海上自衛隊の佐世保の基地、そして横須賀の基地、訪れさせていただいて、実際に掃海艇にも乗り込ませていただきました。その上で、あの掃海艇、日本の掃海能力がどれだけ高いものなのかということは十分な説明を私も受けてきたというふうに考えております。
 そもそも、戦時中に日本近海に機雷が敷設されて、それを戦後取り除くということでこの能力が培われてきたということだというふうに考えておりますが、この能力は私も生かすべきだと思います。しかし、自衛権の行使ということではなくて、国際貢献ということなんじゃないかと思うんです。国際協力ということで、やはり自衛権の行使ではなくて、国連を中心とした集団安全保障、国連の安保理決議に基づいて行っていく、そうした要件が必要になってくるんじゃないかと思いますが、そうしたことについて御見解はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この三要件が満たされた場合、ホルムズ海峡における機雷の敷設が存立危機事態に該当する場合には、我が国が行う機雷の掃海はあくまでも我が国を防衛するための自衛の措置であって、その国際法上の根拠が集団的自衛権からあるいはまた国連安保理決議が採択をされまして集団安全保障となった場合でも、これは変わらないというふうに考えているところでございます。
○中西健治君 今総理がおっしゃられたんですが、政府は、集団的自衛権の行使として開始された機雷掃海、その後で国連の決議があってこれが集団安全保障措置に移行するのであれば集団安全保障措置として続けていくと、こんなようなスタンスということなんじゃないかと思いますが、そもそも、この前段部分ではやらない、しっかりと集団安全保障の措置として行う、そうしたことが必要なんじゃないかと思うんです。
 憲法上禁止されている違法な武力行使の例外例として行うということでありますから、武力行使の例外、海外派兵の例外として機雷掃海を行うということであれば、そうした新三要件に加えて別の要件が必要になってくる、こうしたことにならないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この機雷掃海は、広い海域を各国が協力して実施をしていくということが通例であります。湾岸戦争の際にも各国が協力をして、ピーク時では約三十隻の掃海艇が約七か月掛かって掃海作業を行いました。また、我が国が高い機雷処理能力等の実績を有していることから、存立危機事態に当たるような場合に、我が国が各国と協力して機雷掃海に当たることが当然と考えられるわけであります。
 そして、その上で申し上げれば、先ほど説明したとおり、存立危機事態に該当する場合には、国際法上の根拠が集団的自衛権であれ集団安全保障であれ、これは新三要件の下、武力の行使として機雷を掃海をするということになる、それを想定していくことが必要であると、こう考えております。
○中西健治君 私自身は、この集団的自衛権の行使ではなくて集団安全保障として整理し直すべきであるというふうに考えておりますが、またこれについては議論させていただきたいと思います。
 このホルムズ海峡の封鎖による原油の途絶が本当に存立危機事態に該当するのかどうかについて、やはり客観的な議論をさせていただきたいと思います。(資料提示)
 総理は、ホルムズ海峡の重要性を説明する際、ホルムズ海峡は経済的に重要だと思いますよ、しかし、その重要性を説明するときに、電力不足によるライフラインの途絶が起こる、病院への電力供給も滞る可能性がある、このように説明をされていますけれども、実際に石油の八割が通るホルムズ海峡、電力の供給にどれぐらいの影響があるのだろうかということを示したのが、資料、今パネルで示しているものでございます。
 これは、二〇一四年度、昨年度のエネルギー資源別の発電実績でありますけれども、石油が占める割合、これは九・三%ということであります。そして、この九・三%の八割がホルムズ海峡を通過するということになりますと、計算しますと七・六%、電力供給が滞る可能性があるということになりますが、総理は、この七%、八%の電力の不足をもって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとお考えになるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石油については、言わば電力に使うためのエネルギー源についてはお示しされたとおりでございますが、石油はそれ以外にもガソリン等も含めて様々な用途になっていくわけでございます。言わば石油から生まれていく熱源というものもあるわけでございまして、そうしたものも総合的に見ながら、これは相当の危機に至る可能性があるということでございまして、しかし同時に、今委員が御指摘になったように、これはエネルギー源の、これはエネルギー供給先の多角化についての努力は行っていかなければならないわけでございまして、そうした努力も行いながら、それでもなおかつ三要件に当たるかどうかということでありまして、ホルムズに機雷が敷設されたら自動的に当たるということを申し上げているのではなくて、当たる可能性もあり得るということでありまして、そして、それは万が一にも備えるということでございまして、そういうケースに当たらなければ、これは未来永劫当たらないにこしたことはないというふうに私は強く望んでいるわけでございますが、しかし万が一、万が一に備えておくことが、これは我々政治家、また行政府、そして国会の使命であろうと、こう思うわけでございまして、これはそういう状況になれば、やらなければならないということではなくて、やり得るということでありますが、あくまでもそれは三要件に当てはまる場合に限るわけでございます。
 しかし、そうした事態が起こらないように外交努力も行い、かつまたエネルギーの供給先の多角化についても今も努力をしているところでございます。
○中西健治君 エネルギー安全保障の観点からはエネルギーの供給の多角化というのは当然やっていかなきゃいけないことだと思うんですが、総理、電力以外で、いや、石油はいろいろ使われているということでしたけれども、国民の生死を分けるような状況というのは、どういう状況になり得るのか、どういう状況なのか、私は具体的になかなか想起できないんですが、政府としてはそれは説明していくべきなんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国が輸入する原油の約八割がホルムズ海峡を通過をしております。これが途絶えれば、生活の足である乗用車の使用に支障が生じる。これに支障が生じるということは、例えば救急車等のガソリンはどうなのかということだってこれは生じるわけでございます。
 また、当然、これは物流自体が停滞するわけでございます。この物流の停滞ということが、これは相当大きなインパクトを持つということは想像に難くないわけでありますし、また、冬場に供給が途絶すれば、灯油やあるいはLPガスが枯渇をして寒冷地で国民の命に関わる問題となりかねないということであります。
 そしてまた、電力におきましては、原発が全て停止をしたため化石燃料への電力の依存度はオイルショックよりも高い九割となっているわけでありまして、こうした中でホルムズ海峡を通過する化石燃料の輸入が途切れると、日本に直接輸入する分だけでも夏のピーク時に供給力の約四分の一をこれは失うことになるわけでありまして、産業活動や国民生活への打撃はもちろん、高齢者や病人の方々の命に関わる問題となりかねないわけでございます。
 さらに、世界の化石燃料市場が混乱して輸入に支障が生じると影響は更に拡大をしていくわけでございますが、いずれにいたしましても、万一のときに備えていく必要はあると、こう考えておりますし、今委員も御指摘になったように、自衛隊はその高い能力を有しているということでございます。
○中西健治君 こういう資料を出しましたので、一点、天然ガス、LNGについてひとつお聞きしたいと思いますけれども、総理は、この天然ガスについてもホルムズ海峡を経由してたくさん入ってくるんだと、こういうことをおっしゃられておりますけれども、LNG、熱源としては大きな割合を占めているんですが、ホルムズ海峡の依存度というのは二四・七%ということでありますから、これは全体としてはそれほど高くないということであります。
 そして、このLNG、天然ガスについては、供給先、輸入先と輸入元というのがオーストラリアが一番、二番はカタールですけど、三位がマレーシア、四位がロシア、そして五位がインドネシアということですから、十分にその他の適当な手段があるんじゃないかということだと思いますが、この天然ガスを例に挙げること自体、これはいかがなものかということですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ホルムズ海峡は、我が国が輸入する原油の約八割、そして天然ガスの約三割が通過するわけでありますが、エネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路であるということは委員もお認めになるんだろうと、このように思います。この全量を輸入するための迂回路はございません。
 我が国の周囲に機雷が敷設されれば、物資の輸入がストップをして国民生活に死活的な影響が出ると、こう考えられるわけでありまして、そのときは当然これはやらなければならないと、こう考えるわけでございますが、ホルムズ海峡に敷設をされても、まさにそこで先ほど石油の八割、LNGの、天然ガスの三割が通るということでございますが、これ遠近はこれは関わりがないと、こう思うわけでございますが。
 我が国に石油備蓄は約六か月分でありますが、LNGは約二週間分でありますが、機雷の掃海がいかに困難な作業であるかは、ペルシャ湾に敷設された事例を見ると、当時はホルムズ海峡の封鎖には至っていないわけでありますが、かつ停戦合意の結果、敷設したイラクから機雷の位置情報が示されていましたが、それでもなお、ピーク時で約三十隻もの掃海艇が七か月掛けて掃海作業を行ってようやく航行の安全を確保できたわけでありますから、それに対して、七か月掛かった中においてLNGは二週間しかなかったということでございます。
○中西健治君 同僚議員の質問に替わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(鴻池祥肇君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、中西健治君が委員を辞任され、その補欠として水野賢一君が選任されました。
    ─────────────
○水野賢一君 無所属の水野賢一です。
 まず、昨日の経緯から、二分間の時間を特別に与えていただいたことに、委員長、理事の方々に感謝を申し上げながら、発言をいたします。
 私は、自衛隊が法律や国際法にのっとって海外で活動することには何ら反対するものではありません。しかし、法律というのは、それを守らなかったときの罰則があってこそ有効に機能するわけです。海外に派遣された自衛官が法律に違反した形で武器使用をしても罰する規定がないというのは、欠陥以外の何物でもありません。政府は教育や訓練でそういうことがないように努めると言いますが、そんなのは当たり前のことじゃないですか。それでも違法行為をする人がいたときのために法律上の罰則が必要なんでしょう。
 政府も法案に大きな穴があることは一応気付いたようです。だからこそ、それを塞ぐための措置を別途検討するとのことです。しかし、何で別途なんでしょうか。この法案が成立すれば、自衛隊の海外活動は、PKOにせよ、邦人救出にせよ、大きく広がります。そんな姿勢で果たして間に合うのでしょうか。
 そもそも、法案審議中に別途検討しなければならない問題点があるというのは、法案に不備、欠陥があるということじゃありませんか。直してから提出するのが筋じゃありませんか。こうした法案に対しては撤回、見直しを求めて、この問題への政府の見解をお伺いします。
○国務大臣(中谷元君) 今回の法案におきましては、国外における自衛隊の任務が拡充されることを踏まえ、自衛隊法の罰則のうち、国外における自衛隊の活動の規律統制のより適切な確保という観点から、上官命令への反抗等の罰則について国外犯処罰規定を設けることといたしております。
 御指摘の、正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者に対する罰則は、仮にその武器使用の結果何らの被害が発生していない場合であっても適用されるものであり、一年以下の懲役等の法定刑については適切なものであると考えております。なお、武器使用の結果被害が発生する場合には、個別具体的なケースに応じて、殺人罪、傷害罪等の罰則を含めた法的責任が検討されるものであります。
 また、刑法における国外犯処罰規定が適用される罪は基本的には三年以上の懲役を伴う罪とされていることとの均衡を考慮すれば、これを国外犯処罰規定が適用される犯罪とすることは妥当ではないと考えております。
 不当武器使用の規定は、これまで国内において武器を自分に向けて撃つ場合や山に向けて発射した場合などに適用されておりますが、国外における武器の不当使用については、個別具体的なケースに応じて、上官反抗、上官の命令反抗などの自衛隊法の罰則や殺人罪、傷害罪等の刑法の罰則も含め、法的責任が検討されるものと考えております。
 武器の使用については、徹底した教育訓練を行うとともに、隊員が職務の義務に違反した場合などには懲戒処分を科すことにより、隊員が海外で違法な武器使用を行うことは十分に防止できると考えております。
 いずれにせよ、自衛隊法の罰則の在り方については、各種制度の在り方についてと同様、不断の検討を行うことは当然ではありますが、本法案における罰則規定は新たな自衛隊の任務に対応した必要にして十分なものと考えております。
○水野賢一君 時間ですので、終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 本日、東京高等裁判所で、神奈川県の厚木基地の爆音に関して、夜間の自衛隊の飛行差止めと損害賠償請求が認められました。
 日本人の命と暮らしを守るために判決を確定させるべきであり、上告すべきでないと考えますが、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 本日の判決におきまして自衛隊機の飛行差止め及び損害賠償請求の一部が認容されたことにつきましては、国の主張について裁判所の理解が得られず、残念でございます。
 当省といたしましては、一部であるものの自衛隊機の運航を差し止めるなどとの判断は受け入れ難いことから、今後、対応につきましては関係機関と十分調整の上、上訴することを検討してまいります。
 なお、当省としては、引き続き、厚木基地周辺の生活環境の整備等に努めていく所存でございます。
○福島みずほ君 日本人の命と暮らしを守るために、上告すべきではありません。爆音の解決をすべきです。
 次に、この武力行使の新三要件なんですが、(資料提示)この中、中谷防衛大臣、地球上で地理的な制限は条文上ないですね。
○国務大臣(中谷元君) これは、存立危機事態における自衛の措置としての武力行使の新三要件ということで、この三つの条件を満たす場合が該当するということでございます。
○福島みずほ君 済みません、答えてください。
 地理的な制限はないですね。地球上どこでも行けますね。
○国務大臣(中谷元君) はい、排除しておりません。
○福島みずほ君 第一要件は自衛隊法の改正法に書いてありますが、第二の要件、他の適当な手段がないことは自衛隊法の改正法案に書いてありません。きっちり書くべきじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) その三要件に合致する場合ということでございます。
○福島みずほ君 質問を聞いてください。
 第二の要件が自衛隊法の改正法案に規定されないのは、法の瑕疵ではないですか。
○国務大臣(中谷元君) 第二要件は規定をされております。
 自衛隊法七十六条一項に、「我が国を防衛するため必要があると認める場合には、」と。また、防衛出動時の武力行使について定めた同法八十八条第一項に、「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。」との規定がありまして、これをそのまま維持をいたしております。
 これに加えて、今般、事態対処法第九条第二項第一号ロにおきまして、対処基本方針に定める事項として、「事態が武力攻撃事態又は存立危機事態であると認定する場合にあっては、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するため武力の行使が必要であると認められる理由」というふうに規定をいたしております。
○福島みずほ君 条文が違いますよ、文言が。他の適当な手段がないこととなっているのに、八十八条も七十六条もこんな文言ではありません。
 また、対処基本方針は国会の承認を得るときの理由として示すもので、これは三要件と言うのだったら、きっちり自衛隊法の改正法案にこの文言どおり入れるべきです。この文言どおりではないじゃないですか。八十八条は、「必要と判断される限度をこえてはならない」というので、条文が違います。これは明確に法の欠缺だと思います。
 次に、去年一月十三日から二月九日にかけて、自衛隊と米陸軍が中東の砂漠地帯での地上戦を想定した共同訓練を行っていたことが明らかになりました。お手元に西日本新聞の記事をお配りしております。戦車の中で長期間寝泊まりし、排せつも全て戦車内で行うなどの過酷訓練です。
 これ、専守防衛じゃないですよ。なぜならば、架空の国の間で紛争が起きたときに日米両国が制圧するという訓練なんですよ。これは集団的自衛権の行使の訓練ではないですか。
○国務大臣(中谷元君) これは先ほど御説明をいたしましたけれども、この訓練は実戦的な訓練の環境の下に部隊の練度を確認するとともに、日米が共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を演練をいたしまして、相互運用性、これの向上を図ったものでございます。
 そして、この訓練はあくまでも陸上自衛隊の練度の確認及び日米の相互運用の向上を目的といたしたものでありまして、この実戦的な訓練環境を有している米国の専門の訓練対応部隊、これが所在をいたしております米陸軍戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施することが最も最適かつ効率的と考えて本訓練を実施したものでございます。
○福島みずほ君 質問に答えていないですよ。
 これは専守防衛ではないでしょうと。つまり、架空の国の紛争があるので日米両国が制圧するという訓練なんですよ。これは集団的自衛権の行使の先取りじゃないですか。
 戦争法案が成立をすれば、このことは、こういう集団的自衛権の行使はできるんですか。
○国務大臣(中谷元君) これはもう七年ぐらい前にまず計画をされたということで、この法案の先取りではないし、また、実施する日本の自衛隊の部隊は富士学校にあります戦技の評価をつかさどる部隊でございまして、相手におきましても、米国で大規模な部隊の訓練評価、これを電子的に可能にするいわゆる米陸軍戦闘訓練センター、こういうところでの訓練でございますので、我が自衛隊におきまして訓練評価の能力を向上する、また、先ほど申しましたけれども、日米で運用の相互の向上、こういったことを目的としたものでございます。
○福島みずほ君 集団的自衛権の行使は、ホルムズ海峡と米艦防護のそれだけではありません。条文上は何も限定がない。しかも、集団的自衛権の行使が、憲法上、法律上認められていない、戦争法案はまだ成立していない、そんな段階で、何でこんな集団的自衛権の行使の、戦闘行為の、制圧行為の訓練が日米共同でできるんですか。
 まさに訓練そのものが違憲、違法の疑いが強いし、それから、明らかに、戦争法案が実現すれば、こういう集団的自衛権の行使をするということじゃないですか。まさにそうだと思いますよ。戦争をすることができることになる、まさに戦争法案です。
 次に、後方支援についてちょっとお聞きをいたします。
 国際平和支援法、重要影響事態安全確保法と周辺事態確保法なんですが、これを見て、明らかに削除をした。
 一つお聞きをいたします。
 今までは、「武器(弾薬を含む。)の提供を含まない」となっていたのが、武器の提供は含まないとなっていて、弾薬の提供は可能としました。また、二項の給油やいろんなこともできないというのを、これは削除して、つまり、武器の提供以外は何だってできる、弾薬も医薬品も食料も何もかもできるとしたんですね。これ、とりわけ弾薬は武器じゃないですか。これは何なんですか。
○国務大臣(中谷元君) 弾薬の提供ですよね、それをできるようにいたしました。
○福島みずほ君 答えてください。
○国務大臣(中谷元君) 弾薬は武器じゃありません。弾薬は弾薬です。
○福島みずほ君 冗談はやめてください。だって、今まで周辺事態法は「武器(弾薬を含む。)」と書いていたんですよ。「武器(弾薬を含む。)」、弾薬は武器に入っているというのが今までの見解じゃないですか。何でそれが、弾薬の提供ができるんですか。解釈変えたんですか。
○国務大臣(中谷元君) ちょっといきなりの質問でございまして、確認をいたしますが、言葉の定義でございます。
 今般の平和安全法制においては、自衛隊は、弾薬、これを他国の軍隊等に提供することが可能になります。新たに提供可能となる弾薬とは、武器とともに用いられる火薬類を使用した消耗品でありまして、例えば拳銃弾、小銃弾などでございます。これに対して、提供対象とならない武器とは、直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置でありまして、例えば拳銃、小銃、機関銃など、消耗品ではないものでございます。
 また、誘導ミサイル、機雷、魚雷につきましては、これまでも我が国の有事の際には提供できる弾薬の範囲には含まれず、今回もこれの変更はないということでございます。
○福島みずほ君 いや、答えてないですよ。今まで周辺事態法でできないとされていたんですよ。「武器(弾薬を含む。)」、提供はできない、それから、「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」、これ、一体化だからできないとされていたんじゃないですか。何でいつの間にか弾薬はできるとなるんですか。だって、「武器(弾薬を含む。)」となっていたら、今までの概念は武器の中に弾薬は入っているわけでしょう。何で提供できるんですか。一体化になるじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) 今回の法律の制定時でありますが、まず、現行法の制定時においては米軍からのニーズがなかったということで、弾薬の提供と戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油、整備について、支援内容、これから除いていたわけでありますが、その後、日米の防衛協力、これが進展をし、またガイドラインの見直し、これを進められた協議の中で、米側からは、これらを含む幅広い後方支援、これの期待が示されたということでございます。
 現に、南スーダンのPKOにおきましても、参加している陸上自衛隊の部隊が国連からの要請を受けて韓国の部隊のために弾薬提供を行ったというようなこともございまして、今回、実際の支援のニーズが生じているということで、弾薬の提供、そして、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油、整備について実施するように措置をする必要があるというふうに考えたわけでございます。
○福島みずほ君 ふざけた答弁ですよ。米軍からのニーズがあったら、じゃ、武器を提供するんですか。今の答えは米軍からのニーズと言っていますが、違うでしょう。そうじゃなくて、今までは集団的自衛権の行使はできない、そして兵たん、いわゆる後方支援だって一体化はできない、だから戦争に直結するようなものはできないというふうにして規定していたんですよ。それを、米軍のニーズと言ったら、米軍のニーズがあれば、じゃ、武器の提供だってやることになりますよ、中谷さん。全然論理的じゃないですよ。憲法の下にも立っていないですよ。
 総理、お聞きします。法案の名前が国際平和支援法です。でも、A国とB国、アメリカとB国が戦っている。日本がそれに対して兵たんをする、弾薬を提供する、医薬品を提供する、様々なものを提供する。米国とB国は戦争しているわけですよね。戦場で戦争している。平和支援法ではなくて戦争支援法ではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この国際平和支援法の活動は、国連決議等、まさに国連憲章の目的にかなう措置として実力の行使をしている国々に後方支援をする、これはまさに世界の平和のために、平和を回復をし、平和を創出していくための活動に対する後方支援でございますから、福島委員のおっしゃっている、戦争は国連憲章によってこれは違法でありますから、全く逆でありまして、まさに国連憲章にかなう活動をしている国の活動に対する支援でございます。
 そして、また一体化との関係でございますが、武器弾薬について提供を行っていなかったのは、これは一体化との関係ではなくて、まさにニーズがなかったからこれは行わなかったのでございます。一体化の考え方自体を変えたわけではないということは申し添えておきたいと思います。
○福島みずほ君 弾薬を提供し、給油することは一体化になるじゃないですか。
 そして、イラク戦争もベトナム戦争も集団的自衛権の行使としてなされました。イラクだって国連憲章があるということでやりました。だったら、これも誤った戦争ですよね、ベトナム戦争も。ベトナム戦争だって集団的自衛権の行使です。
 アメリカがB国と戦争するのに日本が後方支援する、これは戦争支援法じゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げましたように、国際平和支援法については、まさに国連決議がある等、国連憲章の目的にかなう活動に対して我々は支援をしていくということでございまして、これは集団的自衛権の行使との関係とはまた別の話でございまして、言わば国連憲章にかなう活動をしている国に対して後方支援をする、そしてそれは武力の行使とは一体化しないという活動でもあるということでございます。
○福島みずほ君 ここまでやったら武力行使と一体化しますよ。しかも、重要影響事態と、それからもう一つ、存立事態があるわけで、幾らだって移行していくわけじゃないですか。それは移行していきますよ。
 そして、総理は戦争法案というのはレッテル貼りだと言うけれども、まさに集団的自衛権の行使も先ほど言った共に戦争すること、そしてこれだって戦争支援法で、まさに両方とも戦争支援法じゃないですか。戦争するのに平和という言葉を使うな。いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 集団的自衛権、存立事態の話がありましたが、これは自衛隊法第八十八条第二項において、武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってこれを遵守しと規定をされておりますので、対応する場合、新三要件に基づいて国際法を遵守するということは当然のことでございます。
○福島みずほ君 この戦争法案は、誰が見ても、憲法学者が見ても小学生が見ても憲法違反です。自民党はずっとそう言ってきました。自民党は変わったんでしょうか。ずっと違憲だと言ってきた集団的自衛権の行使を認める戦争法案を国会に出す。
 総理、憲法を最大限守るべきは総理大臣じゃないですか。憲法を守らない総理大臣は総理大臣じゃないですよ。憲法を守れ、安倍総理と、みんなが言っているのを聞いていますか。
 憲法を守らない総理大臣は即刻退陣すべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎です。
 安保法案について質問いたします。総理、よろしくお願いします。
 航空自衛隊がイラクに派遣されていたことは、総理は御存じですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 航空自衛隊は、イラク特措法に基づきまして、平成十六年三月から平成二十年十二月までの間、クウェートを拠点としてイラク国内の飛行場との間で人員、物資を輸送をしていました。
 具体的には、イラクの復興状況や国連、多国籍軍の輸送ニーズ等を踏まえまして、国連、米軍等の要員や事務機器、医療機器、車両、航空機部品、テント等を輸送したわけでありました。その際、輸送対象となる人員が武器を携行することについては、それが常識的な範囲で通常携行するものであれば輸送の対象としていたわけであります。
 これらの内容は、活動期間中や活動終了後に国会に説明、報告するとともに、適切に公表をしております。
○山本太郎君 丁寧に御説明をありがとうございました。
 それはそうですよね、空自の先遣隊、クウェートに出発したときには自民党幹事長であられたんですもんね。ありがとうございます。
 航空自衛隊、イラクで何を運んでいたんでしょうかというお話です。平成十九年四月二十四日、衆議院本会議にて総理は、航空自衛隊のイラク派遣について、国連その他の人道復興支援のための人員、物資の輸送を行っていると説明されました。これに間違いございませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それに間違いはないわけでありまして、今御答弁申し上げたとおりでございまして、国連や多国籍軍の輸送ニーズを踏まえまして、国連、米軍等の要員や事務機器、医療機器、車両、航空機部品、テント等を輸送したわけでございます。
○山本太郎君 そうですか。
 皆さんのお手元の資料で一になります。お手元の資料の円グラフを御覧ください。(資料提示)
 元データは、二〇〇九年十月、防衛省が開示したもの、航空自衛隊がイラクでの活動を開始した二〇〇四年三月三日から最後の空輸となった二〇〇八年十二月十二日までの空輸実績の全記録、グラフ化しました。全体で四万六千人輸送いたしましたと。
 先ほどの平成十九年の総理の国会答弁だけを聞くと、輸送のメーン、輸送したメーンは国連の関係者がほとんどなのかなと勘違いしそうになりますけれども、実際は、国連の関係者はたった六%ほど、その十倍、約六〇%以上が米軍や米軍属だったということなんですけれども。これ、何の目的だったんですかね。お伺いしていいですか。
○国務大臣(中谷元君) 数字の話でございますが、御指摘のとおり、総人員が四万六千四百七十九人、米軍人が約半数の二万三千七百二十七人でございます。
 この活動につきましては、特措法に基づいて人道復興支援活動を政策的に重視をしましたが、基本計画におきまして、派遣部隊の編成規模については人道復興支援活動を実施するために必要な規模という観点から定めるとともに、派遣部隊は人道復興支援活動に支障を及ぼさない範囲で安全確保活動、これを実施することといたしておりました。
 イラクに派遣された航空自衛隊、こうした方針の下で活動を実施いたしまして、米軍は、累次の安保理決議に基づいて、治安維持活動のみならず復興支援活動にも取り組んでいたということで、この二つの任務の中で活動したということでございます。
○山本太郎君 蓋を開けてみたら六〇%がアメリカの軍人であったりとか軍属だったという結果があるわけですよね。
 じゃ、どうして国会の答弁において国連そのほかの人道復興支援のための人員、物資の輸送を行っているという答えをするのか、どうして一番多い人たちがそのほかという部分に込められるのかという意味が分からない。これ……(発言する者あり)そうですよ、もう一々法律見ていたら、等と書いて、など、結局そこに全部集約されているんだろうって。国連関係と言いながら、メーンは米軍の輸送に使っていたんじゃないかって。
 お手元の資料でございますけれども、二枚目の表と裏に週間空輸実績の一例、空自の、あります。黒塗りの資料、そして裏が、黒塗りが外された開示文書が御覧いただけます。
 国連職員を運んでいると言いながら、その中身は実際ほとんどが米軍関係、自衛隊関係の人員だった。人道支援と言いながら戦闘員を輸送していたんじゃないのという話だと思うんですけれども、自衛隊が運んだ米軍兵士も復興支援のための人員だったと、総理、そういうふうに宣言なされますか。大丈夫ですか、一言でお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、イラク特措法に基づく活動として、クウェートを拠点としたイラク国内の飛行場との間で人員の、物資の輸送をしたわけでありまして、あくまでもこの特措法に基づく活動をしていたわけでございます。
○山本太郎君 なるほど、そうおっしゃるならば、総理は、自衛隊がバグダッドまで輸送した兵士たち、お届けした兵士たちがその後何をしたのかということの詳細まで把握されているということでよろしいですよね。ということは、それらの兵士の所属部隊であるとか従事した作戦まで知っていたという話になります。それが把握していたということになりますから。
 もう一度お伺いします。把握していたということでよろしいですか。内容は結構です。把握していたかしていなかったか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この法律によって、まさにこれは人道復興支援活動と安全確保支援活動を行うということになっているわけでありまして、そしてまた、自衛隊の部隊は物品の輸送に際しては武器の輸送は行わないことにしているわけでございますが、今、私はその詳細についてはここで承知をしているわけではございません。
○山本太郎君 なるほど、詳細は分からないんですよね、要は。そういうふうに聞かされているというお話ですよね。当時もそういう話に聞かされていたということじゃないんですか。
 先に進みましょうか。総理は、航空自衛隊がバグダッドに、ああそうや、これ、資料請求したいんですけど資料請求できますかね。総理、これ、把握されていてという、今は把握していないけれども、昔聞いた話によるとそういうことだということだと思うんですけど、これ、本当に平和活動のみにその人たちが旅立っていったのか、バグダッドから、ということに関しての詳細というのは、これ資料を請求できますかね。応援してくれますでしょう、これ、隠したりしないんでしょう。出してもらえますか、資料。いかがでしょう。(発言する者あり)あっ、済みません、委員長に直接。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) よろしいですか。
 輸送した米兵については、イラク国内において復興支援又は治安維持のいずれかの活動に従事していたというふうに認識をしております。
○山本太郎君 へえ、なるほど、そうですか。じゃ、総理は、航空自衛隊がバグダッドに米軍兵士らの輸送活動を行った二〇〇六年から七月以降、それによって、それによってといいますか、市民、米兵の犠牲者数、どのように変化していったかということを把握されていますか。
○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。
 米軍の犠牲者数に関しましてでございますが、ある一定の期間を区切って米国が発表しているものではございません。我々が持っております数字は米国国防省の数字でございますけれども、二〇〇三年三月十九日から二〇一〇年八月三十一日までのイラクの自由作戦全体の総数でございますが、四千四百二十余名の犠牲者が出ているという数字は持っております。
○山本太郎君 フリップお願いします。こちらのグラフ、お手元の配付資料三です。
 イラクで犠牲になった亡きがら、この亡きがらの数をカウントしているNGO、イラク・ボディー・カウントが発表しているもの。御覧になれば分かるとおり、二〇〇七年の民間人の犠牲死亡者数二万四千人にも上っている。で、自衛隊のクウェートへの輸送が始まったのは二〇〇六年の七月だと。この当時は安倍官房長官時代ですよね。
 これ以後の約一年間、開戦直後の空爆が激しかった頃を別にすると最もイラク市民の犠牲が多かった時期であり、米軍兵士の犠牲も一番多かった時期だったそうです。
 総理にお聞きしたいんですけれども、二〇〇七年の一年間、この二〇〇七年の一年間といえば、総理が、これ、第一次安倍政権で総理になられたときですよね。この二〇〇七年の一年間で米軍が爆撃した回数って御存じですか。これ、通告していません。御存じか御存じでないかだけで結構です。ありがとうございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 爆撃した回数は、回数までは今お答えすることはできません。
○山本太郎君 済みません、突然の質問。
 千四百四十七回、一年間、二〇〇七年。一年間で千四百四十七回も爆撃されたというのがイラクの現状だと。いわゆるテロとの闘いと先進国が始めた戦争によって、子供、女性、お年寄り、多くの市民が犠牲になったと。イラク戦争に賛成したんですよね、安倍総理は。賛成していなかったら多分ここまで来られなかったですもんね、総理までね、途中で。で、アメリカ兵の輸送に関しても賛成されたわけですよね。これ、賛成されていなかったらここまで来られていないですもんね。
 我が国の総理が、イラク戦争の実態、余り詳しくは御存じないようなんですね。その一方で自衛隊の活動を拡大しようとしているって、アラブの人々、世界の人々が聞いたらどう思うんでしょうか。
 航空自衛隊のイラクでの空輸活動については、二〇〇八年の名古屋高裁で違憲判決、憲法違反だという判決が確定しています。このことについては御存じですか。御存じか御存じでないかだけでお答えください。総理です。
○国務大臣(中谷元君) 平成二十年の四月十七日に名古屋高裁における判決について、違憲の確認及び差止めを求める訴えは不適法なものであると却下をされました。また、損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却をされておりまして、国側が全面勝訴の判決でございました。
○山本太郎君 総理とお願いしたんです。総理にお答えいただきたい。最高責任者なんでしょう。
 この違憲判決、要は、イラクでの空輸はこれ違憲だ、憲法違反だという判決が出た。その要旨、中身を見てみると、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲としても、憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる。人道支援と言われるものの実態は結局米軍との武力行使一体化であったと、それがはっきりと司法によって判断された。イラク戦争でも我が国は多くの民間人を殺すことに加担していた可能性が高いということをこれ伝えているわけですよね。輸送した米兵の中では、ひょっとしたら戦場に向かって、人道復興支援だとかいうような話になっていたかもしれないですけど、表向きは、でもその中身は分からないということですもんね。
 総理は衆議院での質疑で、国連憲章上違法な武力の行使を行っていれば、それは国際法上認められないことであり、我が国はそのような国を支援することはないと答弁されました。
 総理、我が国がジュネーブ条約や国際人道法や国際人権法に違反する行為、つまり戦争犯罪に協力することなんてあり得ませんよね。一言でお願いしたいです。あり得るかあり得ないか。お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、我が国は、我が国として国連憲章上違法な武力の行使を行う国に対して支援や協力を行うことはないわけであります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
 夏休みでたまたま中学生がテレビを見ていて国会やっていたという方もいらっしゃると思うんですね。今、私と総理との間でどういうやり取りがあったかといいますと、戦争には最低限ルールがあるんだよということなんです。もちろん皆さん御存じだと思います、中学生になれば。攻撃するのはあくまで戦闘員、軍事拠点であり、一般市民や民間施設は攻撃しちゃ駄目、当たり前ですよね。これに反するものは戦争違反とする、当然です。
 アメリカが批准しているジュネーブ条約では、民間人に対する攻撃、殺人、傷害は禁止、病人の保護、文民病院の攻撃禁止、定められております。そして、今総理が言われたことは、ルール違反は許さないよと、そういうことですよね。恐らく、そういう違反をするような連中とは一緒にやっていかないからという強い意思を示してくださったと思うんです、今までの委員会での発言でも。
 でも、総理、一番一体化、一体化と言ったらおかしいですか、一番きずなを深めたがっているアメリカ、米軍は、ジュネーブ条約など国際人道法、国際人権法違反の常習犯だそうです。安倍総理にとってはおじい様の時代から深く縁があるアメリカかもしれない、この法案が成立すればより一層そのきずなも深まるかもしれない、そのアメリカの軍隊は例に漏れずイラクでも戦争犯罪の常習犯との呼び声が高いそうです。
 二〇〇四年四月、米軍はイラクのファルージャという都市を包囲、猛攻撃を行った。翌月、国連の健康の権利に関する特別報告官が、ファルージャの攻撃で死亡したのは九〇%は一般市民だった、約七百五十人が殺されたという情報もある、国連は一刻も早く人権侵害行為に関して独立した調査を行うべきであるという声明も出している。
 フリップをお願いします。先ほどお話ししました中学生の皆さんのためにもフリップ出してください。
 救急車攻撃されていますよ。アメリカの攻撃ですよ、これ。二〇〇四年六月、現地入りしたジャーナリスト、志葉玲さんが撮影したもの。黒焦げになった救急車。先ほどのお話です。国連の方が言うには、医療活動を妨害したのはアメリカ、そして救急車を攻撃したのもアメリカだという話なんです。余りにもひど過ぎる。
 じゃ、ファルージャ、どんな戦いだったのか。二〇〇四年の十一月から米軍の大規模攻撃を受けたんですけれども、この作戦に参加した米兵がこう言っている、「冬の兵士 良心の告発」というDVDの中で。
 攻略戦の訓練を受けていた全員、みんなキャンプに行きますから、訓練受けますから、ある日、軍法、軍の法律ですよね、軍法の最高権限を持つ部隊の法務官に招集され、こう言われたと。武器を持つ人間を見たら殺せ、双眼鏡を持つ人も殺せ、携帯電話を持つ人は殺せ、何も持たず敵対行為がなかったとしても、走っている人、逃げる人は何か画策しているとみなし殺せ、白旗を掲げ命令に従ったとしても、わなとみなし殺せと指示した。ファルージャで僕たちはその交戦規定に従った。米兵たちは、ブルドーザーと戦車を使って家屋を一つ一つひき潰し、人間は撃ち尽くしたから、犬や猫や鶏など動くものは何でも撃った。動物もいなくなったから死体も撃ったと。
 これ、一部のおかしな米兵がやったことじゃないですよ。米軍が組織としてやってきたことです。ファルージャだけじゃない、バグダッドでもラマディでも。
 総理、アメリカに民間人の殺りく、当時やめろと言ったんですか。そして、この先、やめろと言えるんですか、引き揚げられるんですか。お答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、そもそもなぜ米国、多国籍軍がイラクを攻撃したかといえば、大量破壊兵器、当時のサダム・フセイン独裁政権が、これはかつては間違いなく化学兵器を持ち、そしてそれをイラン・イラク戦争でも使用し、多くの人々を殺し、自国民であるクルド族に対してもこれを使用して、相当多くの自国民も殺したという実績があったわけでありまして、そしてそれを、既に化学兵器、大量破壊兵器はないということを証明する機会を与えたにもかかわらず、それを実施しなかったというわけであります。
 そこで、国連決議において、国連憲章第七章の下で採択された決議六七八、六八七及び一四四一を含む関連の安保理決議によってこれは正当化されたと考えているわけでございます。(発言する者あり)
○山本太郎君 ありがとうございます。今、突っ込みが入りました。八七八は関係ないというお話が入りました。
 イラクに査察に入った国連の方々、七百回以上ですよ、大量破壊兵器なかったという話になっている。でも、無理やり踏み込んだのがアメリカとイギリスじゃないですか。その片棒を担いだのが日本なんですよ。その総括がなされずに、自衛隊をまた外に出す、遠くに出す、拡大させる。これ、総括必要ですよ。総理、総括する必要あるでしょう、あなた自身が。だって、ずっとその決定してきた組織の中にいて、いいポジションにいたんですから。
○委員長(鴻池祥肇君) 山本君に申し上げます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
○委員長(鴻池祥肇君) 終わりますか。
○山本太郎君 質問を終わらせていただきます。
○荒井広幸君 新党改革の荒井広幸です。
 一昨日以来、民主党の福山委員に代表されるように、それぞれ戦争かどうかと、この限定的な集団的自衛権の行使というものについて、戦争かどうかというような議論がございました。
 戦争、これはもう誰も嫌な言葉ですし、響きです。一般的には、国際法上も侵略戦争を戦争といいます。この戦争の侵略性があるかどうかということが非常に大きなところでありまして、今回の我が国が、私たちの日本人を守るための限定的な集団的自衛権は侵略に当たりません。しかし、武力攻撃をするという場合が、日本人を守るために、国民を守るために必要やむを得ず最低限あるということがある。そこを捉えると、ある意味で戦争というふうなことに捉えられるのかもしれませんが、これは戦争ではありません。これは、国連憲章におきましても自衛、このための集団的、個別的自衛権というのは認められているわけです。
 そこで工夫されましたのが、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、何度もこうしたお話がありますが、国民の皆さんにはまだまだ到達していないかもしれません。密接な関係にある他国に対する武力攻撃があって、それが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるということを認定するということなんですね。つまり、同盟国アメリカに対してそうした攻撃がなされたときに、表裏一体と言っていいんでしょうか、日本もまた危ない状況、国民の皆さんが危ない状況になるという表裏一体の関係を言っているんです。
 しかし、ほかに解決する道はないかと、武力以外にないかといったときに、もうその前に徹底して外交をやっているわけです。国連も使い、様々な民間のチャンネルを使ってやってみたけれども、どうしてもそれしかないと、こういう状況になって武力攻撃が発生しているということになった場合には、必要最低限のことだけで日本を、国民の皆さんの命と自由を守っていこうと、こういうことなんですね。ですから、私は、これは憲法に許されるぎりぎりの合憲であると言っているんです。
 国民を守らない憲法というのは、国民の皆さんも含めて、あるでしょうか。憲法九条を我々は尊重しなければならない国会議員です。同時に、憲法十三条では、国民の皆さんの命や自由や幸福を追求していく権利というものを、これをきちんと守っていかなければならない。(資料提示)
 この間にある差といいますか、間にある差、これを解釈という英知をもって、現状の中で憲法を、この理想を守って生かしていこうとしつつ、武力に、非常に危険な状況に万が一なったときに何とか国民の皆さんの命、自由、そして幸福を守っていく、そこのやりくりはないかと心血を注いで考えてきたのがこの七十年間にわたる解釈ということなんです。これを、きちんと国民の皆さんも私たちももう一回、この安倍総理の問いかけの中で考えていただきたいというふうに思うんです。
 そこで、お尋ねしますが、今申し上げた三つの条件、そのほかに私はもう一つ条件があることを申し上げたいわけです。国会でもよく出てきておりますが、実は、A国がB国を攻めた場合に、そのB国が日本との関係が深い場合、日本に対してB国から、いわゆる理不尽なことで攻められています、協力してくださいという要請がなされるということなんです。
 岸田外務大臣、要請があるということでよろしいですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 憲法との関係において、我が国が認められる武力の行使は新三要件に該当するものだけであります。そして、その一部が限定された集団的自衛権として評価される場合があります。そして、その際に、国際法上、集団的自衛権の要件として、武力を受けた国からの要請又は同意、これが要件とされています。この必要性、均衡性と併せて、要請、同意が必要となります。こうした国際法は、当然我が国として守らなければなりません。
○荒井広幸君 ここも国際法なんです。憲法にぎりぎり合致するように限定的集団的自衛権の行使を、これを解釈で認めた。もう一方、国際法としては、攻められた国から日本に要請がなければならないんです。これを四つの条件と、総理、防衛大臣、外務大臣、私は言ってもいいんだと思うんですね。これを満たさなければ自衛隊を派遣しないわけですから、これは戦争に当たるわけがないんです。先制攻撃や侵略戦争ではないということなんです。この点を私は皆さんと確認をし合いたいと思うんです。
 しかし、ちょっとこれは問題点ですね。七月二十八日、昨日、おとといですか、閣議決定、民主の長妻さんの質問主意書への政府の答弁書で、条約等の形式により、被攻撃国に対する、攻撃されている国に対する武力攻撃が発生する前に、あらかじめ条約等の形式で同意を与えておくことも認められるという答弁、総理、しているんですよ。そうなりますと、最初に何かが起きた場合にも同盟国であったら要請をしなくてもいい、あることが起きても要請もしなくてもいいというふうに読めるんです。これについては、問題ありですから、後でまた別途議論をさせていただきます。
 その事態が起きて、攻撃された国が我が国と親しい、そのまま放置すれば国民の皆さんに大変な命の危険がある、表裏一体の関係にあったときに、その攻められた国が日本に協力の要請をしてくるということをきちんとしないと、これは危ない話になる、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、法制局の担当部長にお尋ねをいたしますが、戦争という表現ではなくて、この集団的な限定的な自衛権、これは、我が国を守るための自衛目的での最小限の武力行使という、長ったらしいんですが、表現の方がふさわしいと思うんですが、法制局の担当部長、いかがでしょう。
○政府参考人(松永邦男君) お答え申し上げます。
 限定された集団的自衛権の行使は、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として、一部限定された場合において、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする武力の行使を認めるにとどまるものでございます。
 このことは、新三要件におきまして次のとおりに明らかにしているところでございまして、第一要件におきましては、前提となる状況、すなわち我が国に対する危機が及んでいるという状況を限定しております。第二要件におきましては、我が国の存立を全うし、国民を守るためという目的を限定いたしております。第三要件におきましては、これまでと同様に、必要最小限度の実力の行使にとどまるべきこととし、実際の実力行使の手段、態様及び程度を限定しているところでございます。
 このように、新三要件は、御指摘のような武力の行使の目的に加え、前提となる状況や実力行使の手段、態様及び程度の面からも集団的自衛権の行使を限定しているものでありまして、新三要件を満たす武力の行使については、我が国防衛のための限定したやむを得ない必要最小限度の自衛の措置である、このように御説明をしているところでございます。
○荒井広幸君 長過ぎて何だか分からなくなりました。
 そこで、外務省条約局長に聞きます。
 まあ役所ですから、外務省の条約局長というのは各国との取決めをするわけですが、我が国を守るための自衛目的での最小限の武力行使、こういったことの表現、妥当だと思うんですが、どうですか。長くなるならばカットしてください。
○政府参考人(秋葉剛男君) お答えいたします。
 今法制局より御答弁がございましたように、政府といたしましては、今委員が御使用された言葉、我が国を守るための自衛目的での最小限の武力行使というような表現を用いることが適切であると考えます。
○荒井広幸君 これは本当に我々が先制攻撃するんじゃないんです。相手から攻められてくる親しい同盟国から要請があるんです、協力してくれって。そして、同時に日本の国民も危なくなる、そういう事態なんです。ですから、同時並行や時間的にはもう間を置かずにずっと両方に危害が加わるというような条件が考えられるんです。この万が一に備える法の体制を整えないと、原発事故のように、津波が来たからできなかったなんという話になってしまうんです。
 ですから、先制攻撃や侵略戦争ではないということを是非とも国民の皆さんに私は知っていただきたいと思います。それをやるようであったら、国会が自衛隊を派遣させません。それはなぜか。この法律に原則と書いてありますが、皆さんのお手元に配りました、この全ての国会の事前承認に変えることが必要です。
 事態が発生し、安全保障会議が判断をしますが、その段階で被害国の同盟国から要請があります。ああ、これは大変だ、国民の皆さんにも大変なことになる、だから閣議決定をする。閣議決定をして、どういう対応をしたらいいか、どういう規模でどういう最小限の武力行使をするのか、どうするのか、全てそれを洗いざらい衆議院と参議院にこれを説明し、衆議院と参議院の両方の承認を得なければこれは駄目だ。片方だけでも駄目になれば派遣はありません。そして、両方が、衆議院と参議院が、やむを得ない、あるいはそれは必要だ、こういうふうになれば派遣ができると、こういうふうになります。こうした修正を盛り込んでいかなければならないと思います。
 これがいわゆる三要件に対して、もう一つ、被害国からの要請があるということで四要件、そして最後の最大の歯止めは、国民の皆さんとともに政府の万が一の暴走を防ぐために、衆議院、参議院のこの承認というのを入れていくということになっていかなければなりません。これに向けて委員の皆さんと、そして総理、閣内の皆さんとも協力して議論を進めていきたいと思います。
 総理にお尋ねをいたします。非常にこうした安全保障法制を考えるのに重要な発言が総理にありました。六月一日の衆議院での安全保障特別委員会での民主党、細野豪志さんの質問です。日本が国策を誤り、その責任が戦争指導者にあったということについて総理にお尋ねをしています。
 総理はどう答えたか。ところどころ割愛をさせていただきますが、アジアの人々にも多くの被害を及ぼしたというのも厳粛に我々は受け止めていきますと。更に続けています。また、そうした結果を生み出した日本人の政治指導者にはそれぞれ多くの責任があるのは当然のことであろうと思います。戦争を起こした責任は政治指導者にあるということを明確に勇気を持って断言しておられます。さらに、その後申されています。戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない、その上で、その結果を生み出した日本人の政治指導者には当然その責任があるわけであります。
 改めて総理大臣にお尋ねをいたします。さきの大戦での政治指導者の責任を明確におっしゃったその真意をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) さきの大戦の結果、我が国は焦土と化したわけであります。あまたの人命を失い、そしてその後の日本の歩みの中におきましても多くの方々が塗炭の苦しみの中にあったことは事実であります。そして、アジアの人々、多くの人々が命を失った、そうした事実を厳粛に受け止めなければならないわけでありますし、我々は歴史から学ばなければならないわけであります。そして、その結果を生み出した日本の政治指導者には多くの責任があるのは当然のことであり、そして、その中におきまして、我々は二度とあのような戦争の惨禍は繰り返してはならないと、こう決意をしているわけであります。
○荒井広幸君 恐らく国民の皆さんも、安倍総理はもう戦争でもやるんじゃないかと、こう思われていたりすると思うんです。私は、総理の人柄も知っている一人としても申し上げますが、今申し上げたように、政治指導者の責任をしっかり受け止めているということ、これは非常に重いことです、総理。戦争責任を自らのことに置き換えているからこそ、国民の命を守る安全保障法制を言う資格があると思っています。どうぞ、各党、国民の皆さんの幅広い合意を形成するために、一層の努力を願います。
 官房長官にも来ていただきましたが、時間がありませんが、どうぞ閣内を挙げてそういう対応をしていただきたいと思うんです。
 最後に思います。どうぞ安全保障法制、この参議院において、戦争の教訓においてこの二院制になった参議院です。国民の皆さんの負託に応えて、二度と戦争はしてならない、しかし国民の皆さんを守らなければならない。憲法の崇高な理念と精神を遵奉しながら、どうやっていくかということを国民の皆さんとともに考えていきたいと思います。
 以上です。
○委員長(鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後五時三十六分散会