第190回国会 本会議 第7号
平成二十八年一月二十八日(木曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第七号
  平成二十八年一月二十八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆
  議院提出)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 一、日程第二
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○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
○山口那津男君 公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 真正面から挑戦し、結果を出すとの総理の決意あふれる施政方針を伺いました。安倍政権として三年余り、安定した政治状況、政権運営の下、一貫した姿勢でデフレ脱却・経済再生を推し進めてきた結果、着実に成果を重ねてまいりました。雇用環境も大きく改善し、経済の好循環が生まれています。
 この好循環を、地方に、中小・小規模企業に、そして家計に満遍なく広げていかなければなりません。経済を力強いものとするため、更に足下を固めるとともに、日本が直面する少子高齢化の課題、外交・安全保障の課題などを乗り切るべく、未来志向の対策を矢継ぎ早に打っていかなくてはなりません。与党として、責任を果たしていく決意を新たにしております。
 また、東日本大震災の発災から五年、復興への取組も、復興・創生期間として次の段階へ入ります。被災地の皆さんが明るい希望の持てる未来を切り開いていけるよう、公明党はこれまで以上に力を入れて取り組んでまいる決意です。
 引き続き、安倍政権においては、経済成長の果実を国民の隅々まで浸透させ、地方を元気に、そして社会保障の安定や強化など国民が願う政治の実現に与党とともに取り組んでいただきたいと望みます。
 さて、原油価格の大幅な下落や世界的な同時株安など、年初から世界経済には不透明感が漂っています。各国経済や為替、株価などの動向に十分に注視し、政府が必要に応じて機動的に対応するよう求めます。
 総理は、アベノミクス新三本の矢で、二〇二〇年にGDP六百兆円という大きな目標を掲げました。今の日本の潜在成長率から見れば壮大な挑戦であり、政策を総動員して取り組んでいかなければなりません。
 日本経済が本来の力強さを取り戻せるかどうか、本年が正念場です。企業の経常利益は拡大傾向にありますが、日本経済の屋台骨である中小企業は伸び悩んでいます。大企業を中心に内部留保が高止まりしており、好循環が偏っています。いかにして中小企業の設備投資や賃上げにつなげていくか、その支援が喫緊の課題です。官民が力を合わせて中小企業の経営改善に最優先で取り組んでいく必要があります。
 価格転嫁を含む下請取引の改善も徹底されなければなりません。下請適正取引等の推進のためのガイドラインをフォローアップするとともに、対象となっている十六業種以外の業種に対する支援の検討が必要です。昨日の我が党井上幹事長に対する答弁で、下請取引の改善のため今年度末までに大規模な調査を実施すると発言されましたが、既に調査が始まっています。実態を浮き彫りにし、改善につながる対応を期待します。
 さらに、中小企業にとって荷が重い事務的負担が重なっており、対応が必要です。労働者の安全と健康を守るためのストレスチェックが昨年十二月から義務化され、今月からマイナンバーが利用開始となったほか、軽減税率導入に向けた準備もあります。こうした現場の負担に対しても十分な目配りを求めます。
 一方、中小企業の生産性向上への取組も欠かせません。
 公明党は、中小企業が新規購入した一定の機械装置に対し三年間五〇%減税する制度を強く主張し、それが平成二十八年度与党税制改正大綱に盛り込まれました。
 また、ロボット技術や人工知能などの活用も大事な視点です。特に、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や社会保障費の増大などの課題解決にロボット活用の可能性が広がっています。医療や介護、防災・減災などの分野におけるロボット技術の導入や運用への支援に取り組むべきです。
 以上、経済認識と中小企業支援、生産性向上について、総理の答弁を求めます。
 成長戦略の切り札とも言われるTPPの活用も中小企業のチャンスを広げます。説明会や相談窓口により事業者の理解を深め、経営相談、商品開発、販路開拓などを支援して、中小企業の海外展開や輸出を促進すべきです。
 TPPによって農林水産物の輸出拡大も期待されます。折しも本年は、水産物の取引量で日本一を誇る築地市場が移転し、衛生管理や物流の高度化など輸出環境が整備されます。輸出額一兆円を目指し、各地方においても輸出拠点を始め必要な施設を整備するとともに、農業はもちろん水産業の高付加価値化も支援する必要があります。
 TPPの経済効果を最大限に高めるには、海外からの投資を活性化することも欠かせません。日本を貿易や投資の国際中核拠点とすべく、国を挙げて取り組んでいただきたい。中長期的には、RCEPすなわち東アジア地域包括経済連携やFTAAPすなわちアジア太平洋自由貿易圏など、更なる自由貿易圏の構築に向けて主導的役割を果たすべきと考えます。
 TPPを最大限に生かす中長期的な戦略や取組について、総理の答弁を求めます。
 公明党が一貫して推進してきた消費税軽減税率制度については、平成二十九年四月の消費税率引上げと同時に導入するための税制改正案が今国会に提出されます。日々の生活において必要不可欠である飲食料品について痛税感を緩和するとともに、消費者に安心感を与え、消費意欲の安定化を図ることが重要です。年度内の成立を期すとともに、円滑な実施に向けて政府一丸となって取り組むよう強く求めます。
 軽減税率導入により社会保障が削られるのではないかとの声が聞かれますが、国民に不安や誤解を与えてはなりません。政府及び与党の税制改正大綱において平成二十八年度末までに安定的な恒久財源を確保することが明記されています。あわせて、歳入歳出を含めた財政全体で社会保障の充実に必要な財源を確保していくことはもちろんのことです。改めて総理の決意を伺います。
 地方創生について伺います。
 公明党は、地方創生の要はその担い手である人であると訴えてきました。人に視点を置き、女性や若者が生き生きと活躍できる町づくりへ、各地域の特色を生かしたユニークな取組を期待します。
 現在、全国の自治体が観光や農業など地域の魅力を生かした仕事をつくり、人の流れをつくるための地方版総合戦略を策定していますが、いよいよ来年度はその戦略を事業として実行する段階を迎えます。地方創生を成功に導いていくためには、地方の自主性を第一としつつ、国との連携や支援が不可欠です。
 その意味で、地方創生推進交付金の創設を高く評価いたします。また、この交付金とともに、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円が来年度も地方財政計画に計上されました。地方創生推進交付金は先駆性のある計画に対して交付されることから、スタートが遅れた後発組の自治体からは、交付対象から外されてしまうのではないかと心配する声が上がっています。また、広域連携や省庁横断型の複数の事業を組み合わせる総合戦略を策定している自治体からは、使い方が細かく制限され、結局、活用できないのではないかといった懸念の声も聞かれます。こうした不安を払拭し、意欲ある地方の期待に応えられる予算配分とすべきです。
 地方創生の現状と今後の取組について、安倍総理の答弁を求めます。
 経済の活性化や地方創生の観点から、観光立国は重要な政策課題の一つです。訪日客の増加は、飲食や買物、サービスの利用などで日本経済に大きなプラス効果となります。さらに、相互の国民理解を促す重要な役割も果たしています。
 昨年の訪日客は過去最高の千九百七十三万七千四百人を記録しました。前年比で五割近くも増えたのは、円安による割安感の定着、ビザの大幅緩和などが後押しとなり、中国からの爆買い志向も要因の一つです。これから二〇二〇年までは、東京オリンピック・パラリンピックも訪日客増の牽引力となるでしょう。
 安倍総理は、次は三千万人、いや、更なる高みを目指すと施政方針演説で述べられましたが、訪日客を更に増やしていくには、こうした目先の要因だけに頼らず、中長期的、継続的な取組が重要です。リピーターや滞在型の観光客を増やすことが鍵になります。旅行者のニーズに応じたインフラや宿泊施設、サービスの充実を早急に図るべきです。また、日本における交通機関や各種施設の安全性、信頼性の確保も欠かせません。
 観光立国の更なる推進について、石井国土交通大臣に答弁を求めます。
 さて、訪日外国人は、公衆無線LAN、いわゆるWiFiに対するニーズが高く、WiFi環境の整備によって観光情報を有効に提供できれば観光地等への訪問機会を増やすことにつながり、更なる経済効果の拡大が期待されます。WiFiの整備促進は情報発信を通じた地域の活性化、災害時の通信手段の確保にも役立つなど、新たな社会基盤として重要な役割を有しております。特に、民間施設に比べて整備が遅れている公共施設、防災拠点への重点整備に向け積極的な支援が必要と考えます。
 あわせて、今や生活インフラの一つとなったスマートフォンなどの携帯電話料金について、利用者の負担感を減らす改善が求められています。
 公明党は、売り切り制の導入や、携帯電話会社を変更しても電話番号をそのまま利用できる番号ポータビリティー制度を実現するなど、携帯電話の利用環境改善に一貫して取り組んできました。さらに、党青年委員会が利用料金の引下げなどを政府に申し入れました。そうした中、昨年の十二月十八日、総務省は、有識者会議の取りまとめを踏まえ、事業者に対し料金の引下げに向けた取組を要請し、料金引下げへの動きが大きく前進することとなりました。利用者目線での料金見直しが進むよう今後注視していきたいと思います。
 以上、公衆無線LANの整備促進、携帯電話料金の引下げに向けた取組について、総理の答弁を求めます。
 政府は、一億総活躍社会の実現を目指し、希望出生率一・八、介護離職ゼロを掲げ、子育て支援や介護の充実に向けた実施すべき対策を示しました。これらは、公明党が長年取り組んできたテーマであり、政府と問題意識を共有しつつ、その政策実現への大きなチャンスと捉えています。
 子育て支援では、いわゆるネウボラの日本版である子育て世代包括支援センターへの期待が高まっています。同センターは、妊娠から出産、子育てまで切れ目ない支援を実施するワンストップ拠点です。一か所で何でも安心して専門家に相談できる画期的な取組ですが、まだ余り知られていません。総理は、同センターの全国展開に言及されていますが、既に実施されているモデル事業の好事例や、その仕組み、メリットなどを周知し、導入促進に取り組んでいただきたい。
 また、介護離職を防止するために、仕事と介護の両立を可能にする職場環境の整備が課題になっています。その一環として介護休業制度の改善が急務です。
 総理は、介護休業の分割取得や休業中の給付の引上げについて言及されました。あわせて、短時間勤務の導入など働く人の側に立ったきめ細かな施策や企業による改善を促す施策も必要ではないでしょうか。
 高齢者の活躍も欠かせません。高齢者が意欲に応じて働き続けられる環境を整備することは、時代の要請とも言えます。
 高齢者がより働きやすい環境をつくるため、総理が言及された定年延長に積極的な企業への支援や高齢者の再就職支援とともに、多様な就労機会を提供するシルバー人材センターの機能強化も大事な視点と考えます。同センターにおける業務について、週四十時間まで就業可能とすることで、高齢者に多様な就労機会を提供することが期待されます。一方、民業圧迫を懸念する声も根強く、丁寧な説明が求められています。
 また、障害者、難病患者の方々の社会参加に対する支援も大切です。障害者総合支援法を改正し、自立した生活や就業継続支援などを充実させるとともに、障害者が高齢化や後継者不足に悩む農業の担い手となる農福連携や在宅でも働けるテレワークなど多様な働き方も推進し、普及すべきです。
 以上、一億総活躍の実現に向け、こうした諸施策の推進について、総理の決意を伺います。
 女性の活躍について伺います。
 政府は、二〇二〇年までに指導的地位に占める女性の割合を三〇%に拡大する目標を掲げています。その目標に向け、働く女性を応援する女性活躍推進法が四月に施行されます。我が党の女性委員会が総理に提出した女性の元気応援プランを踏まえた内容であり、評価しております。法施行により、従業員が三百一人以上の企業は管理職に占める女性の割合などの公表が義務付けられ、女性の活躍推進に向けた計画や数値目標を作らなければなりません。女性の登用はもちろん、長時間労働の抑制などの働き方改革にも資すると考えます。
 仕事と子育ての両立については、それを阻む課題の解決も重要です。妊娠や出産などを理由に解雇など不当な扱いを受けるいわゆるマタハラ対策について、公明党の提案を受けて、昨年、国は初めて実態調査を行いました。総理が施政方針演説でマタハラ対策強化に言及したことを高く評価します。
 総理は、女性が輝く社会を目指そうと、二〇一四年から日本での国際シンポジウム開催を主導してきました。また、五月のG7伊勢志摩サミットは女性が輝く社会を取り上げる絶好の機会ともなります。世界の流れを踏まえ、日本の女性活躍推進の今後について、総理の見解を伺います。
 女性の活躍に関連して、再婚禁止期間、選択的夫婦別姓について伺います。
 最高裁判所は、昨年十二月、民法の定める女性再婚禁止期間を違憲としました。判決を受け、離婚後六か月を過ぎないと女性の再婚を認めない民法七百三十三条の改正が必要です。法改正に向けた岩城法務大臣の見解を伺います。
 一方、夫婦同姓規定について、最高裁は違憲とはしませんでした。その趣旨は、立法府が立法政策として今後どうあるべきかを議論してもらいたいというものでした。社会や家族の構造が変わり、女性のライフスタイルや価値観が多様化する中、若い世代を中心に夫婦別姓のニーズは高まっています。公明党は、二〇〇一年、選択的夫婦別姓の導入を柱とする民法改正案を国会提出するなど、その実現を一貫して訴えてきました。選択的夫婦別姓については、最高裁判決の趣旨を踏まえ、今後、国会で議論を深め、時代に応じた立法政策を決めていくのが政治の責任だと申し上げておきます。
 若者の働き方改革、ブラック企業対策について伺います。
 若者の活躍なくして希望あふれる日本の将来はありません。そのため公明党は、青年委員会を中心に若者の雇用対策に取り組んできました。
 青年委員会の提言を反映した若者雇用促進法が昨年制定されました。若者が自分に合った職場を選べるよう支援し、ブラック企業の採用活動を規制するものです。これにより、ハローワークは労働法違反を繰り返す企業の求人を拒否できるようになります。この法律が十分な実効性を確保できるよう、政府は労働法令の監督及び指導に一段と力を入れるべきです。いわゆるブラックバイトの改善も急務です。
 非正規雇用の正社員化や待遇改善等の雇用対策を推進し、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進など、休み方も含めた働き方改革に取り組んでいただきたい。
 次代を担う若者が一層活躍するための雇用環境の整備について、総理の答弁を求めます。
 十八歳選挙権を踏まえた投票環境の向上について伺います。
 本年夏より十八歳選挙権が実現します。しかし、現行法では、転居日から三か月以上経過しなければ転居先の選挙人名簿に登録されないため、春の入学や就職を機に転居する十八歳や十九歳は投票権を得られない可能性がありました。投票権の空白を防ぐための公職選挙法改正案が成立の見通しとなりました。そうした心配が取り除かれたことは喜ばしいことです。
 こうした投票環境の向上を図り、民主主義の基盤を強化する取組が今後も必要だと考えます。総理の答弁を求めます。
 日本の未来を担う子供たちの学びの環境整備について伺います。
 総理の私的諮問機関である教育再生実行会議の第八次提言は、大学生等の有利子奨学金の完全無利子化に言及しました。現在、まずは有利子から無利子へシフトすべく無利子奨学金事業の拡充が進められていますが、貸与基準を満たす希望者全員への貸与はまだ実現していません。有資格者全員が無利子奨学金を受けられるよう格段の対応を求めたいと思います。
 奨学金は、家庭の経済状況による学びの弊害や格差を減らす大事な役割を担っています。その意味で、我が党は、大学生などを対象にした返済不要の給付型奨学金制度の創設を訴え続けてきました。総理はどうお考えですか。
 また、高校生等のための奨学給付金について、総理は拡充すると明言されました。第一子の給付額の更なる改善に取り組んでいただきたいと思います。
 公立学校施設の老朽化対策が遅れています。平成二十七年度の施設整備費は六百億円もの予算不足が生じ、多くの未採択事業が発生しました。平成二十七年度補正予算と平成二十八年度予算合わせて約千百億円が計上されましたが、自治体からの要望全てに対応できないのが実情です。安全面、機能面で子供たちの学びの環境を整えるとともに、災害時の拠点ともなる防災機能を強化するためにも、適切な整備は急務です。
 以上、奨学金等の拡充、学校施設の老朽化対策の促進について、総理の答弁を求めます。
 次に、外交・安全保障について伺います。
 本年は、G7伊勢志摩サミットや日中韓サミットなど、日本で重要な会議が開催され、外交面で日本が存在感を発揮する重要な一年となります。政府においては万全の準備を期すべきです。
 また、安全保障関連法が三月末までに施行となります。政府は、国民に対して引き続き丁寧な説明を行うとともに、その運用については、訓練状況や現地の情報収集などを総合的に見極めた上で、自衛隊員の安全を確保し、国会はチェック機能を果たすことが重要です。
 以下、具体的に質問します。
 日中・日韓関係について伺います。
 昨年十月、公明党訪韓・訪中団が両国を訪れた際に、首脳会談実現へ環境を整えるべく、朴槿恵大統領、習近平国家主席らと会談し、私から安倍総理の親書を直接手渡すことができました。十一月には、三年半ぶりに日中韓サミットが開催され、日韓、日中の首脳会談も行われました。戦後七十年と日韓国交正常化五十周年という節目に日韓・日中関係が大きく前進し始めたことは喜ばしいことです。この流れを確かなものとし、逆戻りしない関係を築いていかなければなりません。
 本年は、五月には日本でG7、九月には中国でG20が予定されており、東アジアに注目が集まります。そうした中での日中韓サミットは大変重要な意義があり、このチャンスを生かして、一段と強固な関係にしていくべきです。日中韓サミットの定例化と併せ、日中、日韓の首脳会談も定期化できるよう働きかけてはどうでしょう。総理の見解を求めます。
 テロ対策について伺います。
 ISによるパリ同時多発テロ事件など、不特定多数を狙った計画的な犯行が相次いでいます。今や、世界のどこの国においても、いつテロが発生してもおかしくない状況です。テロを防止するには、国際社会との緊密な連携や協力を図るとともに、情報収集や分析能力の強化が重要です。テロリストの入国を防ぐ水際対策、重要施設やコンサート会場などへのソフトターゲット対策のほか、在外邦人の安全確保対策など、重層的な対策で万全を期すべきです。総理の見解を求めます。
 持続可能な開発目標について伺います。
 持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダが昨年九月に国連で採択され、新しい目標が示されました。採択文書には、人間中心、誰一人取り残されないなど、我が党が重視してきた人間の安全保障の理念が文言として初めて明記されました。先進国を含む全ての国が目標達成に取り組むことになっており、人間の安全保障の理念を実現するため、その目標達成に向けて最大限の努力をしていただきたい。
 また、G7や日中韓サミットなどの機会を捉え、世界に向けて様々な発信をしていくべきです。あわせて、我が国の強みである防災分野などの知見や技術を生かした国際貢献も積極的に行っていくことを求めます。目標達成に向けた総理の決意を伺います。
 難民対策について伺います。
 シリアなどから周辺諸国や欧州への難民流出が国際問題化しています。支援の在り方を探るため、我が党の議員が昨年、ヨルダン、イスラエル、パレスチナで現地調査を行い、提言をまとめました。
 国連等と連携し、難民支援や社会安定化策などを進めるためには、教育が極めて重要な役割を果たします。日本ができることとして、人道的観点から、将来その国や地域を担う難民の子供たちを留学生として日本に受け入れてはどうでしょうか。総理の見解を求めます。
 地球温暖化対策について伺います。
 昨年末、COP21で採択されたパリ協定は、先進国と途上国の溝を埋めた歴史的な合意であり、高く評価できます。ただし、各国が掲げたCO2削減目標は自主目標であるため、その実効性を高めることが肝腎です。我が国も地球温暖化対策計画を速やかに作成し、温室効果ガス排出削減に向けた革新的な技術開発を力強く推し進めることが不可欠と考えます。
 あわせて、日中韓による環境協力を更に進め、北東アジアが主導的役割を果たしていくべきです。一九九九年から毎年、日中韓の環境大臣会合を開催し、具体的なプロジェクトを実施してきました。本年、日本で開催するこの枠組みや日中韓サミットの場も生かしながら、温暖化防止を推進する具体的方向性について議論を深め、認識の一致を目指すべきであります。総理の見解を伺います。
 最後に一言申し上げます。
 国民の皆様が望む政策課題を広く受け止め、合意をつくり出し、実行していくことが連立政権における公明党の役割であると自負しております。人口減少時代を日本がどう乗り切るか、激動する国際情勢の中で平和と安定を保つために日本がどう貢献できるのか、安倍政権の中にあって着実に政策を実現させながら、国民の期待に応える政治の実現に全力を傾けてまいりたいと決意を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 経済の現状認識についてのお尋ねがありました。
 世界経済は全体としては緩やかに回復しているものの、アジア新興国等において弱さが見られます。こうした中、年明け以降、原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動が見られますが、日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しています。
 今後とも、世界経済や金融市場の動向をしっかりと注視しつつ、政府、日銀が一体となってデフレ脱却を目指し、経済を成長させる政策を強力に進めてまいります。
 下請取引の改善と中小企業の事務負担への配慮についてお尋ねがありました。
 現在、下請ガイドラインを策定している十六業種を含め、産業界に対する大規模な調査を実施中であり、年度末までに結果を取りまとめます。これにより、取引条件の改善の状況や課題を把握し、下請取引の改善に取り組んでまいります。調査結果を踏まえて、下請ガイドラインの改訂や対象業種の拡大を検討するなど、必要な対策を講じてまいります。
 消費税軽減税率制度の導入に向けて、中小の小売事業者等のレジの導入やシステムの改修等の費用を補助します。御指摘のストレスチェックやマイナンバー制度も含めて、導入の準備が円滑に進むよう制度の周知や相談対応など十分に配慮してまいります。
 ロボット活用への支援についてお尋ねがありました。
 ロボットは、今や工場の中にとどまらず、介護、農業、見守りなど、人々の仕事や生活の場に進出しています。少子高齢化などの社会課題の解決や災害対応における一層の活用が期待されています。
 ロボットの多様な現場への導入を支援するため、これまでロボットを使ったことがない事業者を中心に生産性向上効果を検証しています。例えば、軟らかい食材でも扱えるロボットを導入することで、食品産業を人手頼みから解放できるかもしれません。多くの分野でロボットの手を借りることができるよう取り組んでまいります。
 このような技術が全国津々浦々で活用されてこそ、日本全体として生産性が高まります。生産性向上に向けた設備投資を行う中小企業・小規模事業者に対して、生産設備の固定資産税の大胆な減税を行います。
 中小企業によるTPPの活用についてお尋ねがありました。
 TPPの活用は、まずTPPの内容を知っていただくところから始まります。経済産業局、ジェトロなどの国内各地の拠点に全国六十五か所の窓口を設置しました。今後、各地の商工会、商工会議所、各都道府県のよろず支援拠点等と連携し、TPPについての情報提供体制を強化していきます。
 中小企業が初めて輸出に取り組む際には、企画から出荷に至る各段階で様々な課題に直面します。そこで、経営相談、商品開発、販路開拓など、様々な多様な関係機関の支援策を組み合わせて活用できる枠組みとして新輸出大国コンソーシアムを立ち上げます。中小企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして地域が元気になるよう政策を総動員して支援してまいります。
 農水産物の輸出についてお尋ねがありました。
 農水産物・食品の輸出については、総合的なTPP関連政策大綱において、平成三十二年の輸出額一兆円目標の前倒し達成を目指すこととしたところです。これを受け、先般、農林水産業・地域の活力創造本部の下に輸出力強化ワーキンググループを立ち上げ、輸出拡大に向けた具体的な戦略について精力的に議論するよう指示したところであります。
 また、政策大綱には、米、牛肉、青果物等の重点品目ごとの輸出促進対策の推進、検疫手続の円滑化など輸出阻害要因の解消、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売促進、地理的表示の活用等によるブランド化の推進など、多様な取組が盛り込まれております。
 今後、これらの具体的な推進方策を検討する中で、御指摘の輸出拠点等の施設整備や水産業の高付加価値化につきましてもしっかりと議論を行い、目標の達成に向け政府全体で取り組んでまいります。
 TPPを最大限に生かす長期的な戦略や取組についてお尋ねがありました。
 TPPは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに、二十一世紀にふさわしい新たな自由、公正で開かれた国際経済システムをつくり上げ、経済面での法の支配を抜本的に強化するものです。TPPによってつくられる新たな経済秩序は、単にTPPの中だけにとどまらず、その先にある東アジア地域包括的経済連携や、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏においてルール作りのたたき台となり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていく大きな意義を有しています。
 我が国としては、これらの枠組みに加え、日EU・EPAや日中韓FTAといった包括的かつ高いレベルの広域の経済連携枠組みを戦略的かつスピード感を持って推進し、自由で公正な経済圏の拡大に向け世界のルール作りのために主導的役割を果たしていく所存であります。
 軽減税率制度についてお尋ねがありました。
 軽減税率制度については混乱なく導入していくことが重要と考えており、このため、事業者が早期に準備を開始できるよう年度内の関連法案の成立を目指すとともに、政府に必要な体制を整備し、事業者の準備状況等を検証しつつ、軽減税率制度の円滑な導入、運用のための必要な対応を行うなど、政府として万全の準備を進めてまいります。
 また、安定的な恒久財源の確保については、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、今後、政府・与党で責任を持ってしっかりと検討を進めてまいります。軽減税率制度の導入に当たって安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における二・八兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保してまいります。
 地方創生の現状と今後の取組についてお尋ねがありました。
 地方創生は、まさに地方が消滅していくという危機感の下、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指すものです。人が生きがいを持って生活し、この地域に住んでよかったと実感できる地域社会を目指していきます。
 昨年末には、まち・ひと・しごと総合戦略を改訂し、新型交付金や企業版のふるさと納税制度などの支援メニューを拡充しました。新型交付金の運用に当たっては、たとえスタートが遅れてもやる気があればチャレンジできるようにするとともに、関係省庁の補助金と連携し、縦割りを乗り越え柔軟に活用できるようにしてまいります。
 地方創生は実行段階に入ります。情報、人材、財政面の支援など、あらゆる施策を総動員し、地方公共団体の主体的で先駆的なチャレンジを支援してまいります。
 WiFiの整備促進についてのお尋ねがありました。
 WiFiの整備は、訪日外国人のニーズへの対応、災害発生時の通信手段の確保の観点から、政府として積極的に推進してまいります。具体的には、観光・防災WiFiステーション整備事業等により、二〇二〇年までに全国の主要な観光・防災拠点において利用できるよう地方公共団体等への支援を進めてまいります。
 携帯料金の引下げについてお尋ねがありました。
 公明党はこれまで携帯電話の利用環境改善に一貫して取り組んでこられましたが、スマートフォンなどの携帯電話料金の負担感を軽減すべきことは、まさに御指摘のとおりであります。利用者の多様なニーズに対応した料金プランの導入や端末の行き過ぎた値引き販売の見直しを進め、利用者にとって分かりやすく納得感のある料金、サービスを実現してまいります。
 一億総活躍についてお尋ねがありました。
 希望出生率一・八の実現に関しては、子育て世代包括支援センターを導入している和光市の視察を通じ、妊娠、出産に関わる不安の解消が重要であることを実感しました。全国展開を目指して、好事例の周知に積極的に取り組んでまいります。
 御指摘の介護休業制度とシルバー人材センターについては、所要の法案を今国会に提出するべく準備しております。さらに、障害者の皆さんの就業の継続を支援することについて、障害者総合支援法を改正するとともに、農福連携の取組を始め、障害者の就労機会の確保に取り組んでまいります。
 このような取組を通じて、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 女性の活躍推進の今後についてお尋ねがありました。
 公明党からは、女性の元気応援プランを始め累次の御提言をいただいており、これらも参考に、女性が活躍できる社会づくりを進めています。
 今後は、長時間労働や転勤が当然とされている男性中心の働き方やこれを前提とする労働慣行等を変えていく、女性活躍推進法に基づき、女性の採用、育成、登用を促進する、いわゆるマタニティーハラスメントの防止措置を事業者に義務付けるなどの取組により、女性の活躍を着実に推進してまいります。
 G7伊勢志摩サミット及び関係閣僚会合の機会には、女性活躍推進に向けた課題を議論し、あらゆる分野でこの問題に取り組む国際的機運を高めていきます。今年が三年目となる日本主催の国際女性会議は、女性活躍についての世界の議論をリードする場となるよう充実させていきます。
 若者の活躍に向けた働き方改革についてお尋ねがありました。
 若者は将来の社会を担う貴重な人材であり、その使い捨ては許されるものではありません。公明党からの貴重な提言も踏まえて制定した若者雇用促進法の下、若者が安心して良い企業を選び、勤められるよう環境整備を進めるとともに、賃金不払残業など悪質事例への監督指導に万全を期します。学生アルバイトの労働条件についても、業界団体に対する法令遵守の要請に加え、周知啓発や企業に対する監督指導を徹底してまいります。
 非正規雇用の正社員化や待遇改善については、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など取組を強化することとしています。
 また、長時間労働の是正については、企業に対する長時間残業の監督指導の徹底や企業名の公表など対応を強化しているほか、労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務付けや中小企業における割増し賃金率の引上げなど、働き方、休み方の改革を行うこととしています。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革を大きな柱と位置付け、非正規雇用の待遇改善のため、同一労働同一賃金の実現に踏み込むとともに、長時間労働の是正について法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 我が国の将来を担う若者が生きがいを持ち、安心してチャレンジできる環境をつくり、全力でその環境づくりに取り組んでまいります。
 投票環境向上についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、若い世代を含め、一人でも多くの有権者が投票しやすい環境を整備することは極めて重要なことであり、いわゆる投票権の空白の問題が解消に向かうことは大変喜ばしいことであります。
 政府としては、今後とも、既存投票区にとらわれない共通投票所の設置や期日前投票時間の弾力化など、投票環境の向上に資する施策の実現に努めてまいります。
 奨学金の拡充についてのお尋ねがありました。
 希望すれば大学や専修学校に進学できる、そのような環境を整えるよう、奨学金制度について公明党から積極的な御意見をいただきながら、これまでも充実を図ってまいりました。
 来年度予算においても、大学等の無利子奨学金を更に一・四万人増員することとしており、今後とも、できるだけ早期に、必要とする全ての学生が無利子奨学金を受けられるよう充実に努めてまいります。さらに、高校生等のための奨学給付金については、来年度予算において、対象者の増と非課税世帯第一子の給付額の増額を盛り込んでおり、高校生等が学業に専念できるような取組を進めてまいります。
 なお、大学生などを対象とした給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
 公立学校施設の老朽化対策についてのお尋ねがありました。
 学校施設は、子供たちの学習や生活の場であると同時に、地域の防災拠点としての役割も果たすものであり、その安全性、機能性の確保や防災機能の強化は極めて重要です。このため、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算において、合わせて約一千百億円の予算を確保したところであります。
 今後も、地方の声に十分耳を傾けながら、次代を担う子供たちの安全、安心な教育環境を確保するため、今後とも、老朽化対策など学校施設の整備にしっかりと取り組んでまいります。
 日中・日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国、韓国との間では、政府間の対話に加え、連立与党においても、山口代表を始めとして、議員間、政党間の交流を積極的に積み重ねてきていただいており、こうした活動は、大局的観点から日中・日韓関係を発展させていく上で非常に有意義だと考えております。
 昨年十一月の日中韓サミットで、サミットの定期的開催を再確認し、日本が二〇一六年に議長を引き継ぐことに合意しました。これを踏まえ、本年、我が国は日中韓サミットを主催します。経済、環境、青少年交流など、幅広い分野で成果の上がるサミットにしたいと考えます。また、その際に、中国、韓国とそれぞれ首脳会談を行い、関係を更に発展させていく所存です。日中韓サミットの開催が定期化されたことを踏まえ、その際に、今後も日中、日韓の首脳会談を行うこととするよう働きかけていきたいと考えます。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 テロ対策は、国際社会が結束して対処すべき喫緊の課題です。特に、伊勢志摩サミット等を控える我が国は、国際社会と緊密に連携し、危機感を持ってテロ対策に万全を期さなければなりません。
 未然防止の要諦は情報です。政府としては、御指摘のパリ同時多発テロ事件等を踏まえ、昨年末、国際テロ情報収集ユニット等を新設し、官邸直轄で国際テロ情報の収集、集約を行う体制を強化しました。さらに、水際対策、重要施設やソフトターゲットの警戒警備を始め、海外における邦人への情報発信などについても一層強化することとしています。
 今後とも、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げて諸対策を強力に推し進めてまいります。
 持続可能な開発目標についてお尋ねがありました。
 持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダには、我が国が国際社会に提示してきた人間の安全保障の理念が反映されており、政府としては、目標達成に向け最大限努力してまいります。
 我が国は、御指摘の防災分野を始め、保健、教育、質の高い成長の追求などの分野で、脆弱な人々の保護と能力強化、持続可能な環境、社会づくりの実現等を目指し、我が国の知見や技術を生かした国際貢献を積極的に行ってまいります。こうした我が国の取組については、G7伊勢志摩サミットや日中韓サミットなど様々な国際会議の機会を活用し、世界に向けて発信してまいります。
 難民の子供たちを留学生として受け入れることについてお尋ねがありました。
 難民問題は、国際社会が一体となって取り組まなければならない重要な課題です。その中でも、御指摘のとおり、教育が極めて重要な役割を果たすと認識しています。政府としては、公明党からいただいた御提言も踏まえ、将来その国や地域を担う難民の子供たちを留学生として日本に受け入れる可能性について検討してまいります。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 御指摘のあった地球温暖化対策計画については、この春までに策定します。二〇三〇年度目標を達成するために、事業者、国民などの各主体が取り組むこととしている対策や国の施策を具体化し、着実に実施していきます。
 温室効果ガス排出の抜本的削減と経済成長を両立させる鍵はイノベーションです。日本が優れた技術を開発し、内外で活用し、世界の気候変動対策に貢献していきます。
 日中韓による環境協力は、これまでPM二・五など、主に大気汚染分野で進められてきました。地球温暖化対策についても、今後議論を深めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
○国務大臣(石井啓一君) 観光立国の推進についてお尋ねがございました。
 我が国を訪れる外国人旅行者の数は、この三年間で一千万人以上増えまして、昨年は一千九百七十四万人となり、二千万人の目標達成が視野に入ってまいりました。また、外国人旅行者の消費額は、この三年間で二兆円以上増え、昨年は三兆四千七百七十一億円となりました。
 一方で、訪日外国人旅行者の急激な増加により、宿泊施設の不足、貸切りバスの路上混雑、CIQ体制の充実、無料公衆無線LAN環境の整備といった課題も見えてまいりました。このため、次の時代の新たな目標の設定とそのために必要な対応について検討を行うべく、昨年十一月に、安倍総理を議長とする明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を創設をいたしました。
 今後は、外国人旅行者の訪日旅行の満足度を更に高め、リピーターの旅行者を増やすとともに、地方部を含め長期に滞在していただけるよう、世界に誇る魅力あふれる国、社会づくりを推進することが重要であると考えております。このため、観光サービスを質、量共に抜本的に改善していくための改革に総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 国土交通省といたしましては、こうした問題意識の下、観光ビジョン構想会議において、短期、中長期に分けて我が国の課題と対応について関係省庁及び有識者の方々と議論を進め、年度内をめどにビジョンを取りまとめてまいります。そして、そのビジョンに基づき、それぞれの課題に的確に対応してまいります。
 また、観光立国を目指す上で、旅行者の方々の安全の確保は大前提であります。先日の軽井沢スキーバス事故のような悲惨な事故が二度と起こらないよう、原因究明、再発防止の徹底に全力で取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣岩城光英君登壇、拍手〕
○国務大臣(岩城光英君) 山口那津男議員にお答え申し上げます。
 再婚禁止期間を短縮する法改正についてお尋ねがありました。
 再婚禁止期間を定める民法の規定につきましては、違憲立法審査権を有する最高裁判所において憲法に違反する旨の判断が示されたことから、速やかに違憲状態を解消する措置を講ずる必要があると認識をしております。
 現在、法務省におきまして、最高裁判所の判決の趣旨を十分に踏まえ、必要な法案を今国会へ提出することを目指して検討を行っているところです。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 まず、甘利大臣の口利き疑惑について伺います。
 甘利大臣は、国会質疑で現金の受取を否定しませんでした。大臣室で会ったことは覚えているのに、五十万円受け取ったかどうか記憶が曖昧というのは、国民の常識では考えられません。
 この疑惑は、あっせん利得罪に関わる重大な問題です。大臣どころか国会議員の資格が問われています。総理は甘利大臣任せで見守るという態度ですが、それでは済まされません。総理が任命した主要閣僚の重大疑惑です。総理自ら真相解明に責任を負うべきではありませんか。
 通常国会が始まった一月四日、議員会館の前には三千八百人の人々が集まり、昨年安倍政権が強行した安保法制、戦争法廃止の声が響き渡りました。翌五日、新宿駅に五千人、そして十九日、国会周辺には五千八百人の人々が集まりました。餅を食べたら熱は冷めるどころか、地下にたまったマグマのように戦争法廃止の声は更に熱を帯び、安倍政権に迫っているのです。世論調査でも、戦争法反対は過半数を超えています。
 総理は、こうした国民の声をどう受け止めるのか、何度問われても、世界の多くの国々から強い支持と評価が寄せられていると繰り返すばかりです。しかし、この国の主権者は、外国政府ではなく国民です。その国民から、強い支持と評価どころか、強い反対の声が上がり続けている現実をどう受け止めているのですか、逃げずにお答えください。
 戦争法の強行によって、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す現実的な危険が生まれています。
 政府は、南スーダンで活動する自衛隊のPKO部隊に、他国の部隊等を守るための駆け付け警護など新しい任務を与えようとしています。
 しかし、南スーダンでは、停戦合意が事実上崩れ、政府と反政府勢力による武力衝突が繰り返され、住民と兵士が入り乱れた紛争が続いています。更に深刻なのは、十一歳から十七歳までの子供たちが一万人以上少年兵として戦闘に駆り出されていることです。
 このような地域で自衛隊が駆け付け警護に当たれば、自衛隊員の向けた銃口の先にいるのは住民や子供たちとなるのではありませんか。今、全国のママたちが、世界のどの子も殺させたくない、夜も眠れないと不安の声を上げています。総理は、自衛隊にそのような命令を下すつもりですか。
 昨年末、パリで同時テロ事件が起きました。テロはいかなる理由があろうとも絶対に許すことができない卑劣な犯罪行為です。同時に、戦争でテロをなくすことはできません。逆に、憎しみを広げ、テロと戦争の悪循環をもたらし、世界中にテロを拡散させることになることは、アフガニスタン報復戦争とイラク侵略戦争の後、世界のテロの発生件数、犠牲者数が十倍に増えた事実が証明しています。
 その点で危惧されるのは、安倍政権が戦争法案の審議の際、過激武装組織ISに対する空爆への軍事支援について、政策としてその道は取らないとしつつ、法律としては可能だと答えていることです。
 昨年末、私は菅官房長官に、米国からISに対する空爆への軍事支援を要請された場合、断ることができるのかと何度もただしましたが、官房長官から断るとの答弁はありませんでした。総理も同じ立場ですか。ISに対する軍事作戦に自衛隊が参加すれば、日本が憎しみの連鎖を拡大することになり、日本国民がテロの危険にさらされることになります。
 憲法九条を持つ国でこんなことは絶対に許されません。日本共産党は、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回することを強く求めます。
 戦争法の強行と並行して、日本が米国とともに海外で戦争するための準備が、自衛隊の装備、訓練、米軍配置の面で急速に進められていることも重大です。
 まず、装備の問題です。安倍政権は、来年度の予算案で、当初予算としては初めて五兆円を超える大軍拡予算を組みました。しかも、その中身は、オスプレイ四機、ステルス戦闘機六機、無人偵察機三機、米軍機にも対応する新型空中給油機一機、新イージス艦一隻など、専ら海外と日米共同作戦での運用を目的としたものにほかなりません。
 米軍との共同訓練はどうでしょうか。昨年八月から九月にかけてアメリカのカリフォルニア州で大規模な日米統合演習が行われ、海上自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」が参加しました。「ひゅうが」の甲板に海兵隊のオスプレイを繰り返し離着艦させる訓練や、ホバークラフト型揚陸艦で武器や物資を前線に輸送する訓練が実施されました。米軍と一体となった武力行使のための訓練であることは明らかです。
 首都東京に居座る米軍横田基地も大きく変わろうとしています。米空軍の特殊作戦用オスプレイ十機を配備するとともに、特殊作戦飛行隊を指揮する新司令部を創設して、アジア太平洋地域における米軍特殊作戦の一大拠点としようというのです。それだけではありません。戦争法を実行する日米の統合司令部とも言える同盟調整メカニズムの実行組織も横田に設置されました。まさに首都東京が戦場と直結することになります。
 総理は、施政方針演説でこれらの問題には一切言及されませんでした。国民に隠れて日本を海外で戦争する国にするための準備は、直ちに中止すべきではありませんか。
 総理は、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設について、埋立面積は普天間の三分の一、機能も縮小し、騒音対策が必要な住宅はゼロになると言われました。しかし、私は、昨年三月の予算委員会で、総理のこの言い分が事実に反することを明らかにしました。
 辺野古の海を埋め立てて造られる新基地は、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫と一体で運用され、現在の普天間基地の面積の五倍、滑走路も二本に増やされ、強襲揚陸艦が接岸できる軍港としての機能を持つなど、米海兵隊の巨大な出撃拠点となります。岸田外務大臣も、米軍が基地機能の拡張計画を持っていると認めました。
 騒音問題もしかりです。辺野古を取り巻く地域には、既にオスプレイが発着できる米軍のヘリパッドが多数存在し、住宅の真上を飛ぶなど、辺野古周辺の住民は大きな騒音被害を今も受けています。その上、新基地が造られたら、騒音がよりひどくなることは火を見るよりも明らかであり、中谷防衛大臣も防音対策の必要性を認めました。
 総理、事実に反する主張をいつまで続けるつもりですか。
 そもそも普天間基地を辺野古に移設しなければならない理由などどこにもありません。普天間基地は、沖縄戦のさなか、米軍が住民を収容所に入れている間に勝手に土地を接収して造られたものです。無法に奪った土地は無条件で返還するのが当たり前ではありませんか。
 さきの宜野湾市長選挙での地元紙による出口調査でも、普天間基地の辺野古移設に反対と答えた投票者が五七%と多数でした。総理、米軍基地の痛みはほかに移すのではなく取り除くべき、これが宜野湾市民を含めたオール沖縄の声だという認識はありますか。オール沖縄の声に背を向け、辺野古新基地を唯一の解決策などと言って県内たらい回しに固執する政府の姿勢こそ、普天間の固定化をもたらしている元凶だという自覚はありますか。答弁を求めます。
 総理は、自らの経済政策をアベノミクスと称し、大企業が潤えばやがてその恩恵が家計にも回ると喧伝してきました。しかし、安倍政権の三年間でアベノミクスの破綻は明瞭です。
 確かに、大企業は二年連続で史上最高の利益を上げ、一握りの富裕層は株高で資産を増やしましたが、大多数の国民には、アベノミクスの恩恵が回ってきたという実感はありません。国民生活基礎調査でも、生活が苦しいと答えた人は六二%に上り、年々増加しています。実際、働く人の実質賃金は三年間でマイナス五%です。年収四百万円の労働者でいえば、年間二十万円もの賃金が目減りしているのです。
 こんなときに消費税を一〇%に引き上げたら、食料品などの税率を八%に据え置いたとしても、一世帯当たり年間六万二千円もの負担増となり、暮らしにも経済にも大打撃となることは明らかです。総理は、今消費税増税が可能な環境にあると考えているのですか。
 とりわけ深刻なのは、日本社会の中で貧困と格差が広がっていることです。総理は、子供の貧困を取り上げた我が党議員の質問に、日本が貧困かといえば決してそんなことはない、世界の標準から見てかなり裕福な国と述べられました。総理、きちんと現実を直視し、国民が貧困に陥らず、貧困から抜け出せる対策を強めるべきです。
 今、全国各地で子供食堂が生まれています。十分な食事を取ることができない、毎日一人で夕御飯を食べている、そんな子供たちを支えようとボランティアの方々が奮闘されています。総理は、この営みをどう評価されますか、また政治が果たすべき役割はどこにあるとお考えですか。
 家庭の経済状況と大学進学率の関係を見ると、全世帯の子供の現役大学進学率が七三%であるのに対し、生活保護世帯の子供は三二%、児童養護施設の子供の高校卒業後の進学率は二三%と大きな格差が生まれています。にもかかわらず、安倍政権は、国立大学への運営費交付金を削り、その結果、十五年間で四十万円もの学費の値上げを招こうとしています。これでは、経済的理由で進学を諦める子供がますます増えてしまいます。奨学金を利用した学生が、卒業時に三百万円から五百万円もの借金を背負う現状も放置されたままです。
 学費の値下げ、全ての奨学金の無利子化、給付制奨学金と既卒者の奨学金返還減免制度の創設に踏み切り、子供たちの学ぶ権利を保障することで、貧困の次世代への連鎖を断ち切るべきではありませんか。
 働く若い世代に広がる貧困の解決も切実です。今、若者の二人に一人が非正規雇用に置かれ、低賃金で不安定な生活を余儀なくされています。そのことが少子化の根本原因となっていることは、三十歳から三十四歳の男性の既婚率が、正規雇用では六二%なのに対し、非正規雇用では二五%であることからも明らかです。好きな人ができても付き合ってほしいと言えない、僕と付き合っても幸せになれないからという非正規雇用の男性の切ない声も聞きました。
 労働者派遣法の大改悪を中止し、正規雇用を基本とした雇用のルールを確立し、若い世代の意欲と能力が生かされる社会をつくり、少子化問題を根本的に打開すべきではありませんか。
 高齢者とその息子、娘が、介護難民、介護離職によって貧困に陥る問題も深刻です。昨年強行された介護報酬の史上最大規模の削減で、介護事業所の倒産が激増しています。介護施設に入れない高齢者、親の介護のために離職しなければならず低収入、無収入となったミドルエージが、共倒れの危険に直面しています。総理、介護離職ゼロを本気で推進するというのなら、介護報酬削減を撤回し、直ちに引き上げるべきではありませんか。
 いずれの問題も、決して自然現象でも自己責任でもありません。低賃金で不安定な非正規雇用の拡大、正社員だからという名の下での長時間労働、社会保障の連続改悪など、政治が生み出した問題であり、政治が解決する責任があると考えますが、総理の認識はいかがですか。
 所得の低い人により重い負担となる消費税は、税率を上げれば上げるほど貧困と格差が拡大します。消費税一〇%への大増税はきっぱり中止し、アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を求める税制に改めることを求めます。
 今年は、東日本大震災から五年、阪神・淡路大震災から二十一年です。しかし、いまだに被災から立ち上がれない多くの人たちがいます。
 阪神・淡路大震災の被災者は、避難所、仮設住宅から災害公営住宅へと移転を繰り返し、その都度、一からつくってきた隣近所のコミュニティーを壊されてきました。その挙げ句、ついの住みかと思った災害公営住宅からも追い出されようとしています。神戸市長田地区では、被災者の声を無視して建てられ林立するビルが商店街復興に大きな障害となっています。住宅の再建とともに地域コミュニティーの確保となりわいの再建がなければ、被災者の生活再建と地域の再建ができない、このことが二十一年前の阪神・淡路大震災の重要な教訓ではないですか。
 この教訓を東日本大震災の復興でも生かすべきです。被災者の住宅再建はこれからです。被災から間もなく五年がたつというのに、被災三県ではいまだに二十万人近い人たちが避難生活を余儀なくされています。また、水産加工施設などができても、住民が戻れず人材が確保できなければ事業の再建はできません。人手を確保するためにも住宅の保障はどうしても必要です。被災者生活再建支援金を直ちに五百万円に引き上げる、仮設住宅から移行するための家賃補助を実施する、こうした支援こそが復興を進める力となるのではありませんか。
 東京電力福島第一原発事故からも五年がたちます。避難指示が解除されても、戻りたいのに戻れないというのが実態です。原発事故は収束も解決もしていません。被害が実際に続いているにもかかわらず、東電による損害賠償を一方的に打ち切ることなど断じて許されません。
 福島県民にふるさとの喪失という深刻な事態を招いたのが原発事故です。こんなことを二度と繰り返してはなりません。原発の再稼働は、いざというときに避難しなければならないことを前提にしています。ふるさと喪失が前提なのです。そんな話はもう通用しません。原発の再稼働は中止すること、福島第二原発の廃炉を速やかに決断することを求めます。
 最後に、昨年の安保法制、戦争法の強行以来、多くの国民が主権者として立ち上がり、声を上げ続けています。開始された国民の新しい歩みは誰にも止めることはできません。必ず新しい政治を生み出す力となって働くでしょう。
 日本共産党は、国民とともに新しい政治を開くために全力を挙げる決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えをいたします。
 閣僚の任命責任についてお尋ねがありました。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し、国政を力強く前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。そして、政治資金等の問題については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 甘利大臣におかれても、事実関係をしっかりと調査し、国民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと考えております。
 平和安全法制に関する国民の理解についてお尋ねがありました。
 平和安全法制に関しては、二百時間を超える充実した国会審議が行われ、政府としては、審議を通じて国民の皆様への丁寧な説明を心掛けてきたところであります。また、法案の成立に際しては、与党のみならず野党三党の皆さんの賛成も得て、より幅広い合意が形成されたことは大きな意義があったものと考えております。
 法案成立後も、私自身そして関係閣僚も、様々な機会を捉えて国民の皆様への説明に努めています。今後とも、更なる御理解をいただけるよう丁寧な説明に努めてまいります。私は、時が経ていく中において、間違いなく御理解、御支持はより一層広がっていくものと確信しております。
 南スーダンPKOについてお尋ねがありました。
 政府としては、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えておらず、派遣の前提となるPKO参加五原則は維持されていると考えています。いずれにせよ、南スーダンに派遣している自衛隊にいかなる業務を付与するかについては、今後慎重な検討が必要であると考えており、具体的な方針は決まっておりません。
 ISILへの対応等についてお尋ねがありました。
 我が国は、難民、国内避難民に対する食糧・人道支援など、我が国ならではの支援を拡充し、非軍事分野において国際社会における我が国の責任を果たしていくことが適切であると考えています。
 政府としては、このような政策判断として、ISILに対する軍事作戦に参加する考えはなく、ISILに対する軍事作戦に対して後方支援を行うことも全く考えていません。このため、このような活動について平和安全法制の要件を満たしているかは判断しておらず、またその判断をする必要があるとは考えておりません。このような我が国の立場については米側にも十分説明していますが、いずれにせよ、我が国がいかなる支援を行うかは我が国が主体的に判断すべき事柄であります。このような考え方は、政府としてこれまで一貫してお答えしてきているものであります。
 平和安全法制は憲法に合致したものであり、また決して戦争法案などではありません。国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なこの法制を廃止したり閣議決定を撤回することは全く考えておりません。
 来年度予算案に計上した防衛装備品についてのお尋ねがありました。
 防衛関係費については、中期防衛力整備計画等に基づいて着実な予算編成を行っており、平成二十八年度の予算案に計上した装備品はいずれも我が国の防衛に必要不可欠なものです。また、経費の面では、人事院勧告などを踏まえた自衛隊員の人件費の増加及び普天間飛行場の移設など、米軍再編の着実な実施のための経費が増加分の大半を占めています。いずれにせよ、専ら海外と日米共同作戦での運用を目的としたものといった御指摘は当たりません。
 日米共同訓練についてお尋ねがありました。
 昨年、米国カリフォルニア州において行った日米共同訓練は、我が国の島嶼部の防衛を効果的に行い得るよう、自衛隊の統合運用能力の維持向上を図ることを目的としたものであります。また、あくまでも我が国に対する武力攻撃が発生した事態を前提としたものであり、御指摘は当たりません。
 米軍横田基地に関するお尋ねがありました。
 米空軍のCV22オスプレイの我が国への配備は、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させるものであり、アジア太平洋地域の安定に資するものであります。また、大規模災害への対処能力も大いに向上させるものと考えています。いずれにせよ、横田基地が米軍特殊作戦の一大拠点になるといった御指摘は当たりません。
 また、日米間の同盟調整メカニズムは、我が国の平和と安全を確保するため、日米が対等な立場で相互に緊密な連携を図る仕組みです。これが日米の統合司令部であり、横田基地に設置されるといった御指摘は当たりません。ましてや、首都東京が戦場と直結するといった御指摘は全く当たりません。
 安全保障政策に関わる施政方針演説についてのお尋ねがありました。
 日本が米国とともに海外で戦争をするための準備を国民に隠れて進めているなどといった御指摘は、これも全く当たりません。したがって、そのようなことについて施政方針演説で言及することはあり得ません。政府としては、施政方針演説で明確に申し上げたように、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという政府の最も重い責任をしっかりと果たしてまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてのお尋ねがありました。
 普天間飛行場が現在有する三つの機能のうち、辺野古へ移るのはオスプレイなどの運用機能のみであり、あとの二つは県外に移ります。辺野古における埋立面積は、全面返還される普天間の面積の三分の一以下であり、滑走路の長さも大幅に短縮されます。滑走路が二本になるのは、地元の要望を踏まえ、離陸、着陸のいずれの飛行経路も海上になるようV字形に配置するためのものであります。これにより、日常的な飛行経路は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと移り、法律に基づき住宅防音を必要とする世帯数はゼロとなります。
 岸壁の整備については、滑走路の短縮により、故障した航空機を搬出する大型輸送機が着陸できなくなるため、代わりに運搬船を係留できるようにするものです。強襲揚陸艦の運用を前提とするものでは全くありません。
 このように、辺野古の施設の規模や機能は、普天間よりも大幅に縮小されることは紛れもない事実です。政府が事実に反する主張を続けているとの御指摘は全く当たりません。
 普天間の移設と政府の姿勢についてのお尋ねがありました。
 学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の全面返還を日米で合意してから二十年、もはや先送りは許されません。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策です。
 選挙における新聞社の出口調査について政府としてコメントすることは差し控えますが、沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であると考えており、現実と向き合いながら一つ一つ着実に改善を進めてまいります。
 このような政府の姿勢が普天間の固定化をもたらしているといった御指摘は、これも全く当たりません。
 国民生活の状況と消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
 日本は長らくデフレの中にありました。デフレの中にあっては、税収も上がらず、社会保障の基盤を強くすることはできません。そこで、我々は、アベノミクス三本の矢の政策を採用することによって、ついに、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。名目GDPは二十八兆円増え、税収も国、地方を合わせて二十一兆円増えました。まさに、我々は生活の基盤を強化するための原資を得ることができたのであります。
 政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていってしまいます。この大原則を私たちはしっかりと認識しなければなりません。
 共産党と我々とは、政策の基本的な考え方、方向性が異なるわけでありますが、この三年間で日本経済全体が底上げされているということは議論の出発点にしていただきたいと思います。
 政権交代後、就業者数は百十万人以上増加し、賃金についても昨年は十七年ぶりの高い賃上げが実現し、パートで働く方の時給も二十二年間で最高水準となりました。就業者数が増え、これまで働いていなかった人が働き始めるという中にあっては、一人当たりの平均賃金が低く出ることがあります。また、消費税率引上げに伴う物価上昇により実質賃金が押し下げられましたが、引上げによる増収分は全額社会保障としてお返しするため、国民の皆様に御負担いただくものであります。国民のみんなの稼ぎである総雇用者所得は、名目で見ても実質で見ても増加傾向にあります。
 厚生労働省が実施した平成二十六年国民生活基礎調査において、生活意識の状況が苦しいと感じる世帯の割合が六二・四%となっていることは承知しております。ただし、本調査は平成二十六年の七月に行われたものであり、こうした人々の意識については消費税率の引上げなどの社会経済情勢が影響している可能性が考えられます。
 昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査に基づき、安倍内閣発足後の生活意識と民主党政権時代の生活意識を比較してみると、現在の生活について満足と回答した割合は七〇・五%へと五ポイント上がり、不満と回答した割合は二八・五%へと五ポイント下がっております。
 消費税率の引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するためのものであり、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。今後も、賃上げの流れを続け、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を力強く回し、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 貧困と格差についてのお尋ねがありました。
 私が申し上げたのは、相対的貧困率の議論の中で日本は世界有数の貧困大国との指摘をされたので、いわゆる絶対的貧困率の議論との混同を招かぬよう、一人当たりの国民所得などで見れば日本が貧困国かといえば決してそうではないと申し上げたものであります。その上で、相対的貧困率については、二〇一二年までのデータであり、第二次安倍政権以降における状況を示すものではありませんが、厚生労働省国民生活基礎調査及び総務省全国消費実態調査のどちらで見ても、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しています。
 安倍内閣は、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、貧困が拡大したり格差が固定化しないよう、経済的に厳しい状況にある方への自立支援、低所得者の医療や介護の保険料軽減の拡充、教育負担費の軽減、低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援などに取り組んでまいりました。雇用・所得環境は大きく改善していますが、引き続き、格差や貧困の状況に目配りをしながら、国民お一人お一人に景気回復を実感していただけるよう、これからも全力で取り組んでまいります。
 また、子供の抱える困難やニーズは様々です。御指摘の子供食堂も含め、子供の未来応援国民運動などを通じ、民間の取組を支援してまいります。
 大学の授業料と奨学金の充実についてのお尋ねがありました。
 国立大学の運営費交付金については、来年度予算において前年度と同額としており、また、国立大学の授業料についてはこの十年間値上げをしておりません。
 学生の経済負担の軽減については、来年度予算において、奨学金や授業料減免を拡大するとともに、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け準備を進めています。また、経済的な理由で返還が困難な方には、従来から、毎月の返還額の減額や返還期間の猶予などの対応をしてきたところです。
 なお、大学の給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
 若い世代の雇用についてお尋ねがありました。
 さきの通常国会で成立した労働者派遣法改正法は、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を選択される方についてその待遇の改善を図るものです。また、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充など、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしております。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革の一つとして同一労働同一賃金の実現に踏み込むこととしました。我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇の改善に実効性のある方策を打ち出し、働き方にかかわらず安心して家庭を持つことのできる環境の整備に取り組んでまいります。
 介護報酬についてのお尋ねがありました。
 平成二十七年度介護報酬改定では、全体としての改定率はマイナス二・二七%としたものの、介護職員の確保のため、処遇改善加算を拡充するとともに、要介護度の重い方を受け入れる場合の加算を設けるなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われる、めり張りのある改定を行いました。介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数は増加しており、現在、安定的に介護サービスが提供されているものと考えています。
 補正予算及び来年度予算にも必要な措置を盛り込んでおり、介護離職ゼロの実現に向けしっかりと対応していきます。
 雇用についてお尋ねがありました。
 不本意ながら非正規の職に就いている方の割合は低下傾向にあり、対前年同期比で七四半期連続で低下するなど、非正規雇用の方をめぐる雇用環境は、安倍政権では着実に改善しています。政府としても、非正規から正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金の拡充を行うなど、企業における正社員転換や待遇改善の強化を進めることとしています。
 長時間労働の是正では、企業に対する監督指導の徹底と企業名の公表のほか、労働基準法改正案では、企業に対する休暇指定の義務付けなどを行うこととしております。ニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革を大きな柱と位置付け、長時間労働の是正について、法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでまいります。
 社会保障の改革は、制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、消費税増収分を全額社会保障の充実、安定化に充てるとともに、重点化、効率化に取り組むものであります。負担能力に応じて公平に負担いただき、必要な給付が適切に行われるようにするためのものであり、社会保障の連続改悪との指摘は全く当たりません。
 税制の在り方についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げたとおり、来年四月の消費税率一〇%への引上げは、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てることとしており、特に所得の低い方々に対しては国民健康保険料等の保険料軽減の拡充等を講じています。消費税には、税収が安定している、特定の者への負担が集中しないといった特性があり、社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
 また、今般の法人税改革は、課税ベースの拡大等により、法人実効税率二〇%台を改革二年目にして実現するものであり、投資拡大や賃上げといった取組につながっていくことを期待しています。
 今後も、賃上げを含めた経済の好循環を継続させ、アベノミクスの成果を国民の皆様に一層実感いただけるよう、各種政策にしっかりと取り組んでまいります。
 東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最重要課題であります。来年春までに計画の八五%に当たる二万五千戸の災害公営住宅が完成し、高台移転も七割で工事が完了する見込みです。また、民間賃貸住宅を借りる方についても、被災者生活再建支援金の加算支援金を支給しております。
 なお、被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
 東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って全力で復興を加速してまいります。
 原子力発電所の再稼働と福島第二原発の廃炉についてお尋ねがありました。
 原子力発電所の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことです。高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発でない限り、再稼働はされません。
 福島第二原発については、福島県民の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性を申請している他の原発と同列に取り扱うことは難しいと認識しています。ただし、同原発の扱いについては、今後のエネルギー政策の状況や新規制基準への対応、地元の様々な御意見等を踏まえ、事業者が判断を行うものと考えております。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
○副議長(輿石東君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。小川勝也君。
   〔小川勝也君登壇、拍手〕
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也です。
 昨日の郡司会長の質問に引き続き、会派を代表し、安倍総理並びに関係大臣に質問いたします。
 質問に入る前に、甘利大臣に伺います。
 本日、会見をなさるそうですが、金銭の受取を否定できないまま潔白を主張する、その神経に国民の多くはあきれています。この時点で政治の信頼を大きく傷つけていると考えます。進退については早めに潔く決断されるべきと考えますが、甘利大臣、いかがでしょうか。
 それでは、質問に移ります。
 総理は、二〇一二年の党首討論においての当時の野田総理との衆議院の定数削減の約束をほごにして、二〇一四年、総選挙を行いました。さらに、同年の総選挙について、最高裁は昨年十一月二十五日、違憲状態だが選挙無効請求は棄却との判決を下しました。また、今月十四日、衆議院議長の諮問機関、衆議院選挙制度に関する調査会は、衆議院の定数を十減らすことを始めとする答申を大島議長に提出いたしました。
 民主党は、定数削減などについては不十分としつつも、答申案に従って議論を進めていくしかないと考えていますが、自由民主党は逃げ回っているようであります。
 衆議院の選挙制度改革と定数改革についての総理御自身の責任についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。また、このことに関連し、法改正前の解散権の制約についての御認識も併せて伺います。
 アベノミクスは株価頼み、あらゆる資源を投入して株価を支える、つり上げる。良いときも悪いときもあるでしょう、株価に一喜一憂しないというのも指導者の取るべき態度としては当然です。しかし、大切な年金の運用を株式投資することに国民の不安があることは当然御存じだと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 GPIFの株式での運用の現時点での中間成績はどのような状況になっておりますか。また、年金を株式に投資することに不安に思う国民に総理のメッセージがあればお伺いいたします。
 今年の株価は波乱のスタートとなりました。この相場は原油価格の下落とリンクしていると言われていますが、本年の原油価格と世界経済に対する政府の見通しについても総理に伺います。
 次に、地方創生に関連し、質問いたします。
 我が国の大きな課題は、人口減少社会にどう対処していくかということだと考えます。
 まず、総理に伺います。
 人口減少・人手不足社会に対し、経済原理、市場原理に任せるのか、それとも政策を駆使してソフトランディングを目指すのか、大方針を伺います。
 北海道は人口減少の先進地です。かつては国策で屯田兵が北の守りの役割を果たしたほか、石炭、木材、水産資源、農産物などを本州に供給してきました。その後、炭鉱の閉山、二百海里問題、減反、木材の輸入自由化など幾多の試練を乗り越えてきました。農家戸数は私が生まれた頃に比べ五分の一に減り、戦争直後に十万都市だった札幌は二十倍の現在人口二百万に近づきました。
 私たちの国は、更に東京、首都圏への一極集中が進んでいます。さらに、地方でも地方拠点都市への人口集中が進み、道県の人口減少を数字で見るより人口減少地域の影響はより深刻です。
 本年三月二十六日、北海道新幹線開業のうれしいニュースの陰で、JR北海道からはショッキングな報告が相次ぎました。廃線、駅の廃止、老朽化したディーゼル車両十両を廃止し、普通列車の本数を一五%減らすなど。人口が減れば公共交通機関の採算も悪くなり、更に列車の本数が減り、利便性が低下し、人口がまた減るという悪いスパイラル現象に陥っています。また、幹線が不通になったり、安全問題を抱えたりしています。
 JR北海道は株式会社です。採算の合わない路線は廃止した方が株主の利益、実質的には国ですが、というつらい命題を抱えています。JR北海道に対しての支援の再検討について、総理の考えを伺います。採算の厳しい地方バス路線の維持も含め、公共交通機関の在り方について、総理の考え方を伺います。
 急激な人口移動は、社会が成熟していない途上国モデルと言われています。北海道だけが特別ではなくなります。安倍政権が成立させた農地の中間管理の法律が、府県の農村を大きく変えます。北海道以外の小規模兼業が主たる地域の非効率的な農地利用については、改善の余地があるのは言うまでもありません。しかし、強引に農地を吐き出させ離農を促進させれば、北海道の農村がたどってきた道をそのまま追いかけることになります。小中学校の統廃合、高等学校の閉校、鉄路やバス路線の廃止、医療や介護、日々の生活にも影響が出てきます。
 ヨーロッパ諸国では、国土保全、環境面などの評価を含めて直接支払を取り入れ、持続可能な農村社会の維持を図っている国が多数あります。民主党政権は、それに倣い、農業者戸別所得補償制度を取り入れました。
 しかし、安倍政権では、その制度を廃止し、TPPを意識してか、農協を悪者に仕立て、企業の参入を促す、小規模家族経営をないがしろにする政策に転換いたしました。このままでは農村地域の維持が困難になるのは明らかです。都市と農村の共存を図るために農業政策の抜本的な見直しを求めます。総理、いかがでしょうか。
 地方での様々な職種で人手不足が深刻になりつつある中、一方で二〇二五年問題の重大さが取り上げられています。これは、団塊世代の方々が多数介護を必要とする時期に担い手が足りないという問題です。高齢化比率という言葉がありますが、この問題については、人口の多い首都圏が深刻な介護人材の不足になると言われています。たしか、看護師数とベッド数との制度変更が行われた際、都会の病院は有無を言わさず地方から都市へと看護師さんを集めました。地域医療へ多大な影響があったと記憶しています。
 総理の決意の今後二十五万人の介護人材を確保との問題意識は共感しますが、まさに言うはやすしです。少子・人口減少社会でどんな実現方策を考えておられるのか、その中身を伺います。
 あわせて、大事な点を確認しておきます。
 人手不足の折には必ず外国人労働者の問題が議論されます。地元の中小企業や工場関係者から切実な訴えがあることも御承知かと思います。しかし、現在の外国人研修生制度においても様々な問題があることも事実です。外国人労働者の受入れ拡大、さらに移民政策は、過去と現在、そして未来を様々総括する必要があり、すぐさま受入れということにはならないと考えます。人手不足解消とこの難しい問題への安倍総理の認識を伺います。
 総理が一億総活躍を叫べば貧困問題にぶち当たります。この国会の隠れた大きなテーマは子供の貧困と高等教育制度の貧困です。子供の貧困は深刻で、詳しくは後の同僚議員の質問に譲ります。
 総理、パート、アルバイトの時給は幾らでしょうか。北海道の最低賃金は七百六十四円、低い方から数えて三十五番目、全国レベルでは高い方です。道内で最も賃金水準が高い札幌でも相場は八百円台です。
 大学の授業料は幾らでしょうか。四十年前、三万六千円だった国立大学の授業料は、現在五十三万五千八百円、私立の平均が八十六万四千円です。理系はもっと高く、医学部、歯学部は別格で、さらに入学金があります。景気が良くなったからパートを始める女性より、子供の進学のために頑張っているお母さんの方が多いと思います。一体何時間働けば子供の授業料になるのか。
 ここで更に申し上げたいのは、地方から首都圏の大学に進学する負担が余りにも大きいということ、家賃に生活費、引っ越しにもお金が掛かります。総理や財務大臣は、敷金、礼金、前家賃などという言葉は御存じでしょうか。給与水準の低い、時給の低い地方から首都圏への所得の移転です。バイトがきつい、卒業後の奨学金の返済が大きな負担になるなど、学費と奨学金の議論が既に今国会の予算委員会、決算委員会でなされてきました。総理や財務大臣の冷たい答弁に怒りを覚えています。
 もう既に、この国では限られた人しか大学に行けない国になっています。基礎的な学力も身に付けられず社会に出る子供たちもいます。子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはなりません、総理の本会議の発言が余りにもむなしい。国の源は教育にあり。今の政権の自覚のなさ、不見識を非難しつつ、本当にその覚悟があるなら、予算案は教育の充実、格差の解消に資するよう組み替えるべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 最後に、TPPについて伺います。
 まだ内容が精査されていませんが、多くの不安と動揺が農業関係者にもたらされたことは言うまでもありません。また、自由民主党の「ブレない」ポスターや影響の算出を見た関係者からは政治不信や諦めも広がっています。
 まずは、食料安全保障に直結する重要五品目は本当に影響が最小限で国内生産が守られるのか、総理に伺います。
 昨年の十二月、参議院からの派遣でTPPの調査のためにベトナムとオーストラリアに行ってまいりました。豪州については日本への農産物輸出の拡大への意欲で満ち満ちていました。ベトナムでは投資受入れに対する大きな希望を感じ取ってまいりました。
 子供の貧困、格差拡大、地方の疲弊、農村の危機、そして我が国は人口減少、国内市場は縮小します。内部留保を満々に蓄えた我が国の企業の投資はどこに向かうのでしょうか。経済成長のエネルギーを秘めたベトナムやアジアの友好国に我が国の資本や技術や経験が役に立つことはとても結構なこと、しかし、そのことにより国内、地域がおろそかにされるのではと心配しています。
 経済を大きくするには人への投資が重要です。教育に投資をして、生産性と労働の付加価値を高めていかなければなりません。企業の持つ内部留保を、雇用の充実、設備投資、そして教育訓練など国内投資を促す施策に必要だと考えますが、いかがでしょうか。もっと内部留保に課税をという声も多々あることを承知で控えめに伺いました。
 国際NGOのオックスファムは今月十八日に、二〇一五年に世界で最も裕福な六十二人の資産の合計が、世界の人口の下から半分、三十六億人の資産とほぼ同じとする報告書を発表しました。さらに、その資産の合計は日本円で約二百六兆円、この五年間に四四%増えたとされています。好むと好まざるとにかかわらず、我が国も世界経済と新しい資本主義の渦の中にあります。さらに、その背景には、賃金など労働への対価支払より株式配当など資本の投資家への還元が手厚くされていることなどがあると指摘されています。すなわち、世界の潮流に流されているだけでは、貧富の差は拡大し、地域間の格差も拡大し、格差の固定化が進みます。
 政府はその是正のために権力を有しています。格差を小さくし、幸せを大きくし、将来の希望を大きくするために、税を徴収し予算編成をします。再配分機能と国内経済バランスに配慮し、さらに経済の拡大、人材への投資ができて初めて良い政権となるのではないでしょうか。安倍総理の認識を伺います。
 格差拡大に無関心、子供の貧困に対策もしない、地方をますます衰退させる安倍政権にこの国を任せられないことを訴え、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小川議員にお答えをいたします。
 選挙制度改革等についてのお尋ねがありました。
 先日、衆議院選挙制度に関する調査会の答申が取りまとめられ、大島衆議院議長から、各党の御理解を得て、この国会において結論を得るべく最大限努力するとの意向が示されたところです。
 我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重し、選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかりと応えていくべきと考えています。
 また、かねてより政府が明らかにしているとおり、こうした状況の下でも、現行の公職選挙法等の規定の下で内閣が衆議院の解散を決定することは否定されるものではないと考えております。なお、念のために申し上げますと、衆議院の解散については全く考えておりません。
 年金資金の運用についてお尋ねがありました。
 年金積立金の運用は、長期的に年金財政に必要な積立金の確保を目的としており、短期的な収益の確保を目指しているものではありません。したがって、短期的な株価の動きなどに過度にとらわれることなく、長期的な観点から評価すべきものと考えています。
 運用状況については、今年度第一・四半期がプラス二・六兆円、第二・四半期がマイナス七・九兆円となっていますが、政権交代のあった平成二十四年度第三・四半期からの累積は三年間で三十三兆円のプラスとなっております。さらに、自主運用を開始した平成十三年度からの累積は約四十五・五兆円のプラスであり、年率二・七九%であります。この間の経済状況を考えると、効率的な運用と言えるものと考えております。今後とも、大切な年金の資金を安全かつ効率的に運用してまいります。
 原油価格と世界経済に対する政府の見通しについてお尋ねがありました。
 世界経済は全体としては緩やかに回復しているものの、中国では投資や輸出が弱い動きとなるなど、アジア新興国等において弱さが見られます。こうした中、年明け以降、原油価格の下落や中国経済の先行き懸念もあり、世界的な金融資本市場の変動が見られます。世界経済の先行きについては、アメリカ等の回復が続くことによって緩やかな回復が続くことが期待されます。
 原油価格の先行きについては、原油の需給動向や原油市場に流れる資金の動向を含め、マーケットの状況によって決まってくることから、予断を持って申し上げることはできません。
 いずれにせよ、世界経済や金融市場の動向については、引き続きよく注視してまいります。
 地方創生の大方針についてお尋ねがありました。
 地方創生は、まさに地方が消滅していくという危機感の下、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指す取組です。人口減少社会を放置することは選択肢ではありません。自由度の高い新型交付金や企業版のふるさと納税制度などあらゆる施策を総動員し、地方創生を実現するとともに人口減少問題に立ち向かってまいります。
 JR北海道と公共交通機関の在り方についてのお尋ねがありました。
 度重なる車両トラブルや脱線事故など、鉄道事業者としてあってはならない異常な事態が続き、国民の信頼を損ねる事態を招いたことは大変遺憾であります。
 JR北海道は、北海道の生活、経済を支える基幹的な鉄道であり、輸送の安全確保を図ることは緊急の課題であります。国は、従来の支援措置に加え、平成二十八年度から三年間で一千二百億円の追加支援を行うこととしています。将来にわたって公共交通機関としての役割を果たしていくため、これらの支援措置を活用して安全を確保するとともに、より一層の収支改善に取り組んでいただきたいと考えており、国としても、今後もその取組を注視してまいります。
 また、地方バス路線も含め、地域の公共交通機関は住民の大切な移動手段です。国としても、バス路線への支援のほか、地方公共団体が主役となって取り組む持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を支援してまいります。
 農業政策の見直しについてお尋ねがありました。
 農業の活性化は待ったなしの課題であり、安倍内閣では、農地集積バンクの創設など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めております。
 この中で、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者、すなわち地域農業の担い手であれば、経営規模の大小や法人、家族経営の別にかかわらず幅広く支援しております。その際、旧戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象とし、担い手への農地集積のスピードを遅らせる面があったことから、意欲と能力のある担い手に集中した経営所得安定対策に見直しました。また、日本型直接支払制度や都市と農村の共生・対流を推進する事業など、農村地域の多面的機能を発揮させる政策も着実に実施しております。
 今後とも、これらの取組を総合的に推進し、小規模な家族経営の農業者も含め、地域農業全体の発展を図るとともに、農村地域の維持や都市との共存の実現に努めてまいります。
 介護人材の確保についてのお尋ねがありました。
 今後の高齢化の進行状況が地域によって異なることなどから、介護人材の確保については、地方も含め、地域の実情に応じた取組を進めることが重要です。このため、基金の活用により都道府県の人材確保の取組を支援するとともに、介護報酬により処遇改善を実施し、介護職員の就業促進と離職防止を進めております。さらに、今回の補正予算及び来年度予算では、介護福祉士を志す学生に返還を免除する奨学金制度の充実などに取り組むこととしております。
 あらゆる施策を総動員しつつ、地域での計画的な人材確保の取組をしっかり支援し、都市部だけでなく、地方も含め約二十五万人分の介護人材を確保してまいります。
 外国人労働者の受入れや移民政策等についてお尋ねがありました。
 まず、安倍政権は、いわゆる移民政策を取ることは全く考えておりません。その上で、外国人技能実習制度の拡充などの施策は、多様な経験、技術を持った海外の人材が日本で能力を発揮し、また、習得した技能を母国で生かすことでお互いが裨益するよう適正に運用される必要があります。
 同時に、国内労働者の雇用が適切に確保され、国民の誰もが自らの力を発揮できる一億総活躍の実現に向けた取組をしっかりと行ってまいります。
 高等教育の充実や格差の解消についてお尋ねがありました。
 教育再生は、これまで繰り返し申し上げているとおり、安倍内閣の最重要課題であります。教育費負担の軽減については、来年度予算において大学等の無利子奨学金を一・四万人増員、授業料減免を五千人増員することとしています。安倍政権の下では、民主党政権時代を上回るペースで無利子奨学金を拡大しています。また、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け準備を進めていますが、この制度も安倍政権の下で検討を開始したものであります。
 今後とも、これらの施策により、学生の経済的負担を軽減し、希望すれば意欲と能力のある学生の誰もが大学等に進学できる環境を整えてまいります。
 なお、今年度の我が国の大学進学率は約五二%、また、短大、高等専門学校、専修学校を含めた高等教育全体の進学率は約八〇%となっており、限られた人しか大学に進学できないとの御指摘は当たらないと考えます。
 TPPによる重要五品目への影響についてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得しました。それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP関連政策大綱に基づき万全の対策を講じてまいります。
 これにより、重要五品目を含めたTPPの農林水産分野への影響については、関税削減等の影響で価格低下により生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減や品質の向上、経営安定対策などの国内対策により引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと見込んでいます。
 企業の投資促進についてお尋ねがありました。
 経済の好循環を力強く回していくため、未来投資に向けた官民対話において、設備、人材、技術開発など、企業の投資拡大について産業界に要請しました。企業による投資を促進するため、コーポレートガバナンスを強化し、経営者の攻めの経営判断がしっかりと後押しされる仕組みを構築していきます。人材育成面では、企業が研修内容等を求職者に開示することを義務付けるほか、非正規雇用者の企業内キャリアアップを行う事業者への助成金を拡充するなど企業の取組を促します。
 安倍内閣の経済政策についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定しないよう非正規雇用労働者の待遇改善、教育費負担の軽減、子育て支援の拡充などに取り組んでまいりました。また、税制についても、再分配機能の回復を図るため、所得税や相続税の最高税率の引上げ等の措置を逐次実施しているところです。
 政府がどれだけ所得再分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減っていくと考えられます。政権交代後、名目GDPは二十八兆円増加し、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。先般成立した平成二十七年度補正予算も、こうしたアベノミクスによる経済成長の果実を生かして実施するものであります。
 安倍内閣においては、子育て支援や社会保障の充実を行うことにより、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に、更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環を実現してまいります。その際、格差が固定化しないようしっかりと目配りしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 週刊誌報道に関するお尋ねがありました。
 本件につきましては、必要な調査をきちんと行い、事実を確認の上、国民に疑惑が持たれないよう、私自身がしっかりと説明責任を果たしてまいります。その上で、託された職務を全力で全うしてまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(輿石東君) 高階恵美子君。
   〔高階恵美子君登壇、拍手〕
○高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子でございます。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました安倍内閣総理大臣の施政方針演説を始めとする政府四演説について、総理に御質問いたします。
 女性活躍推進が内閣の最重要課題の一つに掲げられています。そうした中において、私は特に女性の健康という観点が重要と考えています。
 WHOがオタワ憲章でヘルスプロモーションを提唱し始めてから今年で三十年となります。一人一人が自らの健康に関心を持ち適切に対処できるよう、これまで世界中で様々な取組が進められてきました。
 我が国においては、さきの国会で女性活躍推進法が成立し、年末に閣議決定された第四次男女共同参画計画では、生涯を通じた女性の健康支援が盛り込まれました。日本の女性の健康科学は、まさしく新たな段階を迎えています。
 女性の健康は、女性の自己実現と社会経済活動への参加を促進する大切な財産であるとの基本認識に立ち、これからは、人生の各段階で心身、社会的に大きく変化する女性の健康特性に着目した対策を、あらゆる分野が協調し、包括的に支援する制度体系を整えることが重要です。
 自由民主党では、二〇一三年秋、政務調査会で女性の健康の包括的支援に関するプロジェクトチームを立ち上げ、超党派での議員立法提出の準備を進めてまいりました。最初の提出から既に三度目の通常国会となっていますので、今度こそ是非成立させたいと思います。関係者一同、鋭意努力してまいりますので、安倍総理を始め皆様方の力強い御支援を改めてお願いいたします。
 一億総活躍社会を実現する鍵となる女性活躍、その前提を成す女性の健康支援策についてのお考えと取組姿勢をお答えください。
 今月からマイナンバーの利用が始まり、今般の税制改正大綱では、セルフメディケーションに対する所得控除導入が盛り込まれました。国民の主体的かつ継続的な健康への取組を促す制度の整備により、個人及び地域社会においても健康活動が活性化していくことを期待しています。
 また、持続可能な社会保障制度への改革を一層効果的に進めていく上では、国民が家庭や学校、職場など身近な場所で健康、安全情報に触れ、自らの健康づくりについて学ぶ機会を増やすことが大切です。
 去る二十二日に第五期科学技術基本計画が閣議決定されました。今後、健康、安全に係る情報提供の社会インフラを整備、推進していくためには、科学技術の振興が極めて重要と考えます。具体的には、ICTを活用した健康情報管理技術の一層の開発支援や情報提供体制整備、技術者、研究者の育成確保などに着目しておりますが、総理の御所見を伺います。
 生産年齢人口が減少していく中で引き続き経済成長を続けるには、長時間勤務などの労働慣行を改めるとともに、働き手の特性やライフスタイルに適した柔軟な働き方を取り入れ、労働生産性の向上を図ることが必要です。
 OECDでは、日本の女性就業について、医療・福祉分野以外は不十分で、特に政治、経済、学術研究、行政分野での就業が少ないとし、女性の高学歴化が進んでいるにもかかわらず、就業は低くとどまっていると指摘しています。
 もとより、医療・福祉分野で働く看護、介護、保育などの職種は、国家資格に基づいて社会保障を実現する役割を持ち、支援を必要とする人々の尊い命を守る貴重な存在です。これらの分野については、これからの需要増大に対応するため、従来の人材確保策に加えて、その労働特性に適した、より効果的な定着促進策を講じなければなりません。同時に、医療、福祉以外のあらゆる分野についての検討も進め、労働生産性を上げ、人材不足を克服することが次代に対応する道と考えます。
 そのためには、各産業分野において付加価値を高める工夫が必要です。例えば、物づくり分野では日本ブランドを強力に発信する、サービス・流通分野では日本の礼儀作法や美しい伝統文化を世界標準の枠組みに押し上げるなど、国家として戦略的に世界観を持って取り組むことで新たなクールジャパンが形作られると思います。生産年齢人口の減少を克服する労働生産性向上への取組方針をお答えください。
 世界に目を転じますと、昨年十一月のパリ同時多発テロ以降、エジプト、トルコ、インドネシアなど、観光やビジネス面でも日本人になじみの深い地域でテロが相次ぎました。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、これから日本には、観光やビジネスのほかにも試合の準備や練習など様々な目的でたくさんの外国人が滞在するようになると見込まれます。このこと自体は歓迎すべきことであります。しかし一方で、言語や習慣の違いによるトラブルや騒音、ごみ処理、病気や事故などの緊急対応についても十分な備えが必要となります。
 また、有益ではない目的を持って入国する人が紛れる可能性も否定はできません。とりわけ五月には、伊勢志摩サミット開催地に世界の要人が集まります。治安大国の日本ですから、この会議を狙ったテロを起こさせてはなりません。
 政府は、先月、内閣官房に国際テロ情報集約室を、外務省に国際テロ情報収集ユニットを設置しました。こうした組織も活用し、政府が一体となって、あらゆる事態を想定し、総力を挙げてテロ対策に当たっていただきたいと思います。総理の御決意をお聞かせください。
 国際化のメリットについても触れたいと思います。中でも私が強調したいのは、観光振興による地域活性化です。
 比例代表議員という立場上、私は一年を通して全国を回る機会に恵まれています。昨年は、特に北陸新幹線開通以降の金沢の町のにぎわいが印象に残りました。実際に石川県を訪れた観光客は前年より一五%増しの約二千五百万人、兼六園の入場者数は一・五倍に増えたとのことです。交通網の整備が人々の動きを変え、観光振興に直結することを実感しています。
 他方、国内の均衡ある発展という視点に立つと、特に東北地方がこうした流れから取り残されている感を否めません。東北を訪れる外国人観光客の数は、震災から五年となる今日でも、震災前の水準すら回復していない状況です。この三月には函館まで新幹線が通りますので、タイミングを捉えて、北海道・東北地方の観光が大いに活性化されるよう支援したいと考えています。
 北国の厳しい気候条件に育まれた季節ごとの彩りの変化や独特の食文化を体験できます。縦軸を高速で移動するのみならず、時間を掛けて周遊いただけるよう、内陸部から海への横軸をつなぐ通年通行の道路網を併せて拡幅整備し、復興と観光振興の両面を一気に加速させる取組を進めてはどうかと考えます。
 また、東北以外にも外国人観光客誘致の光の当たらない地域が散見されています。地域の魅力を発掘し、ハードとソフトを融合させ、それらをアピールすることで均衡の取れた観光戦略を国家規模で進めることが重要です。
 政府は、昨年六月、観光立国推進基本法に基づく基本計画に加え、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一五を策定しました。これからの全体的な観光振興の方針と東北地方への一層の観光振興支援に対する考えを伺います。
 さらに、観光戦略を推進するに当たっては、二〇二〇オリンピック・パラリンピック東京大会の開催までとそれ以降の期間を段階的に区分した上で、所定の地域単位で観光振興計画を策定することが肝要と考えます。東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う相乗的な観光高揚の時期とその後の観光の安定的な発展について、国と地方が協働して年次計画を立て、共に行動していく体制づくりに向けた展望をお聞きします。
 豊富な食材を生かした郷土料理や日本食の良さを強調する一方で、食本来の目的にも着目したいと思います。
 先日来、廃棄食品の不正転売問題が取り沙汰されていますが、こうした食の信頼を揺るがす悪質な事件が続いていることは誠に遺憾です。政府におかれては、国民を再び不安に陥れることのないよう、これまでの廃棄物処理対策を総点検し、必要な見直しを行うとともに、更なる再発防止の徹底に努めていただくよう求めます。
 食べることは日々の活力源を得ることであり、食卓を囲むことで食文化や食習慣を身に付け、人とのコミュニケーションも学びます。食材から命をいただくという点では、その恵みに感謝する心を育む側面もあります。こうした食育を一層充実させるとともに、食の安全について正しい知識を普及し、適切に対処する社会環境を醸成することが重要と考えます。
 さらに、食に関する教育においては、スポーツやリラクゼーションとの関わりを学ばせることが重要です。食習慣に併せて、幼少期から体を動かす習慣を身に付け、心身の健康の維持向上に関わる一連の健康行動を習得することが一層の体力の向上につながります。
 こうした点から、学校教育における食の安全と栄養教育を充実し、さらにはトップアスリートらによる特別授業を導入するなど、個々の能力を伸ばせる機会を増やしてはどうかと考えます。健康と食に関する総合的な教育の実施について、総理の見解を伺います。
 最後に、六十五歳からの人生を充実する政策の推進について伺います。
 平均寿命が男女共に八十歳を超え、女性の高齢期は二十年以上に達しています。延伸した期間を一人一人の高齢者がその経験や人脈を生かしてハッピーに暮らすために、政府はいかなる支援策を講じていくのか、これは今や若い世代にも共通する国民の大きな関心事です。
 私は、その重要なキーワードの一つとして、世代間交流を促すべきと考えています。子育て世代や悩みを抱える若者と高齢者との関わりだけでなく、同世代での相互支援についても考える余地があると思います。こうした観点を盛り込んだ新たな政策として、昨年九月に、政務官レベルでハッピープラチナモデルの実現に向けた国民運動の展開をお示しさせていただきました。
 総理は、一億総活躍社会の実現に向け、こうした世代間交流の促進や六十五歳からの活躍支援についてどのような姿勢で臨んでいくのか、お答えください。
 以上、ヘルスプロモーションを軸に、社会の生きる力をつくり出す政策についてお尋ねさせていただきました。
 日本の伝統文化を守り、直面する人口構成の劇的な変化に対応して、国民一人一人が笑顔で暮らすことのできる成熟社会を実現していくために、今、何が必要か、何をなすべきか、私たち一人一人がその責任において冷静に考え行動していくことが重要です。
 総理のますますのリーダーシップを御期待し、その政策を推進するに当たっては、私も微力ながら精いっぱいの努力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高階恵美子議員にお答えいたします。
 女性の健康支援についてお尋ねがありました。
 女性には、妊娠・出産期、更年期などライフステージによって異なる特有の健康問題があり、それぞれの世代に対応した対策が必要です。
 昨年九月に自民党女性局の皆様方からお話をお伺いし、女性の健康支援の重要性を改めて認識しました。現在、自民党を中心に、女性の健康の包括的支援に関する法律案の再提出に向けた検討が行われていると承知しております。
 政府としても、女性の健康支援として、子宮頸がん、乳がん検診に対する財政支援や女性健康支援センターでの相談事業に対する支援などきめ細かな対策を講じています。今後とも、女性の生涯を通じた健康支援にしっかりと取り組んでまいります。
 健康・医療分野におけるICTの活用等についてのお尋ねがありました。
 健康・医療分野のICT化を図り、医療情報の利活用を進めることは、社会保障給付費の適正化や全国における医療の質の向上、均てん化、新しい医療技術、医薬品の国内外の市場への展開といった観点から極めて重要な課題であると考えております。
 このため、医療機関における医療情報の利活用を進めるとともに、昨年設立した日本医療研究開発機構を中心に、官民が連携して、ICTも活用しながら医薬品や医療機器の開発を行っているところです。今後も、医療分野にイノベーションを起こし、世界最高水準の医療を実現するべく取組を進めてまいります。
 医療・福祉分野における定着促進策と労働生産性向上についてのお尋ねがありました。
 医療・福祉分野で働く方の職場への定着促進策については、都道府県の医療勤務環境改善支援センターから医療機関の勤務環境の改善への助言などの支援を行い、介護や保育分野で働く方については、処遇改善とともに、来年度予算において、保育補助者の雇入れなど勤務環境の改善への支援など、定着促進に必要な措置を盛り込んでいます。
 また、労働生産性の向上のため、長時間労働の是正と働き方改革を進めるとともに、介護ロボットの活用促進やICTの活用などにしっかりと取り組んでまいります。
 テロ対策についてお尋ねがありました。
 伊勢志摩サミットを控える我が国は、国際社会と緊密に連携し、危機感を持ってテロ対策に万全を期さなければなりません。未然防止の要諦は情報です。昨年末、国際テロ情報集約室や国際テロ情報収集ユニットを新設し、官邸直轄で国際テロ情報の収集、集約を行う体制を強化しました。さらに、水際対策、重要施設やソフトターゲットの警戒警備を始め、官と民が一体となったテロ対策についても一層強化することとしています。
 伊勢志摩サミットを確実に成功させるため、官邸が司令塔となり、政府の総力を挙げてテロの未然防止のための諸対策を強力に推し進めてまいります。
 今後の観光振興の方針と東北地方への観光振興支援についてお尋ねがありました。
 観光は我が国の成長戦略の大きな柱の一つであり、安倍内閣では、ビザの緩和、免税制度の拡充など、政治主導で精力的に取り組んでまいりました。この結果、訪日外国人旅行者数はこの三年間で二倍以上となり、昨年は千九百七十四万人に達しました。外国人旅行者の増加を地方創生につなげていくことが必要であり、昨年十一月、私を議長として観光ビジョン構想会議を立ち上げ、地方と消費をキーワードに、次の時代の新たな目標や方策など、年度内をめどにビジョンを取りまとめていきます。
 東北の復興、創生を図っていくため、来年度の予算では東北地方の観光復興のための新たな交付金を設けます。東北観光の魅力の発信など地域の様々な取組を支援してまいります。
 地域における観光振興に向けた体制づくりについてお尋ねがありました。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会は、我が国の文化や魅力を世界に発信するまたとない機会です。このため、同大会に向けた戦略的な訪日プロモーションを実施し、全国津々浦々、広く地方に旅行者を招き入れ、開催効果をもたらすことが重要です。
 また、これまでの開催国では、大会終了後の観光振興についてもあらかじめ戦略を描き、それに沿って取り組んでおります。我が国においても、国がしっかりとした戦略を持ち、地域と連携しながら取り組んでいくことが必要であり、オリンピック・パラリンピック後も見据え、観光ビジョン構想会議での検討を進めてまいります。
 食育の推進についてお尋ねがありました。
 健康な食生活や健康的な生活習慣、体を動かす習慣は、私たちが生涯にわたり心身の健康を維持していく上で大変重要です。
 学校では、望ましい食生活や食品の安全性などについて学ぶとともに、スポーツに親しむための教育に取り組んでいます。その中には、トップアスリートなど多様な経験や専門性を持った外部の人材を積極的に活用している学校もあります。広く国民に対しては、食に関する知識に加え、運動が病気の予防につながることなどについて啓発に努めています。今後とも、食と健康に関する総合的な教育を進めるなど食育を一層推進してまいります。
 高齢者の世代間交流等についてのお尋ねがありました。
 御指摘のような世代間の交流を促進するため、来年度予算に住宅団地での交流施設の整備に対する支援を盛り込むとともに、介護保険制度の地域支援事業では、地域での多様な主体が高齢者を支える生活支援サービスの推進に取り組むこととしています。
 これに加え、六十五歳以降に雇用される方に対する雇用保険の適用拡大やシルバー人材センターの業務範囲の拡大など、高齢者雇用を促進するための法案を今国会に提出するべく準備しております。今後とも、高齢者の活躍の場を広げ、一億総活躍社会の実現を全力で進めてまいります。(拍手)
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○副議長(輿石東君) 林久美子君。
   〔林久美子君登壇、拍手〕
○林久美子君 民主党の林久美子です。
 民主党・新緑風会を代表して、先日の安倍総理の施政方針演説に対して質問をさせていただきます。
 まず、甘利大臣、御自身の金銭疑惑が報道されました。偽りのない説明が行われることを期待したいと思いますが、現金五十万円を二度にわたり合計百万円、お受け取りになったのかどうか記憶が曖昧であるということ自体、にわかには信じ難いというのが私の率直な感想です。
 しかも、年収二百万円以下のワーキングプアの方々にとってみれば、百万円というのは半年分の収入です。もし仮に、本当に記憶が曖昧なのだとすれば、少なくとも、大臣の金銭感覚は一般の国民から大きく懸け離れているということです。金銭疑惑について、甘利経済再生担当大臣の明確な御説明を求めます。
 さて、第二次安倍政権が発足してから三十七か月が経過しました。この間、安倍政権は、異次元の金融緩和と財政出動を行いました。確かに円安の影響などにより大手企業の利益はアップしましたが、この果実は必ずしも国民に還元されてはいません。
 小規模事業者を始め、地域で地道に経営している企業は苦しいままです。円安によって輸入する原材料や製品の仕入れコストがアップしたため、円安関連倒産は昨年上半期だけで二百三十一件となり、前の年に比べ一・六倍に急増しています。
 働く皆さんは、輸入物価が上昇した影響などにより、実質賃金のマイナスが続いています。総理は度々、女性活躍とおっしゃいますが、女性労働者のうちの四三%がワーキングプアで、その人数は、第二次安倍政権が発足して以来、およそ四十二万人も増えています。
 年金を生活の糧とされている方々は、物価や賃金の上昇に対して年金額の伸びを抑制するマクロ経済スライドが適用されたことにより、生活の苦しさが増していきます。さらに、厚生労働省の調査によりますと、子育て世帯のうち、およそ七割が生活が苦しいと感じています。
 つまり、総理が経済、経済、経済とおっしゃっている一方で、働く人、高齢者、子供を育てている人々は依然として厳しい状況に置き去りにされているのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 安倍政権が行っている異次元の金融緩和と財政出動は、一時しのぎのカンフル剤にすぎません。この間に、しっかりと日本の現状に目を向けた構造改革に取り組むべきではないでしょうか。
 まず第一に必要なのは財政健全化です。
 今や我が国の借金は一千兆円を超えました。赤ちゃんからお年寄りまで、国民一人当たりおよそ八百四十万円の借金を抱えていることになります。平成二十八年度予算案においても、歳出の四割弱を借金に依存しており、公債残高の増加が続いています。我が国の財政は引き続き先進国で最悪の水準にあるのです。
 財政健全化を進めていくためには、楽観を排した経済見通しを前提とする必要があります。にもかかわらず、内閣府の中長期試算によりますと、中長期的に実質二%以上、名目三%以上の経済成長を見込んでいます。
 そもそも、最近二十年間の名目成長率の平均はゼロ%です。もちろん、このような現状に甘んじるべきだと申し上げているわけではありません。しかし、一方で、これまでの財政再建の試みは楽観的な見通しに基づいており、ことごとく失敗に終わったというのも事実です。
 先日の補正予算案の審議においては増えた税収の扱いについての議論がありましたが、税収は景気を後追いするものであり、増加が続くとは限りません。最初から税収増を政策の財源として当てにするのは、極めて無責任であると言わざるを得ません。
 財政健全化の取組においては堅実な前提を置くことが重要であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 さらに、財政健全化には中長期的な年月を必要とするほか、歳出の抑制は既得権益との闘いでもあり、困難を伴います。しかし、今を生きる私たちは、次の世代のためにも財政健全化を達成しなくてはなりません。現在策定されている経済・財政再生計画は、目標などの変更が容易な閣議決定に基づく計画となっていますが、より実効性を高めるために、新たな法律を制定するなど、仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 そして、第二に、構造改革として取り組まねばならないのは、人口減少に立ち向かうということです。
 私たちの国日本は、かつて経験したことのない人口減少社会に突入しています。人口減少は日本の発展の最大の阻害要因にほかなりません。総理は希望出生率一・八の実現を掲げておられますが、そのためには、まず、今生まれてくれている子供たちを安心して育むことのできる環境をつくることが重要です。
 子供の相対的貧困率は上昇を続け、今や子供の六人に一人が貧困状態にあります。特に、貧困が深刻な母子世帯の再分配機能は極めて弱く、深刻な問題です。
 高齢者世帯の再分配前の平均所得は九十二万円ですが、社会保障給付の受給などにより、再分配後の所得は三百四十八万円です。これに対して、母子世帯の再分配前の所得は、母親の八割が就労しているため、高齢者世帯よりもおよそ百万円多い百九十五万円ですが、再分配された後の所得は高齢者世帯を九十万円も下回る二百五十八万円となっています。
 この原因についてどのように捉えていらっしゃるのか、塩崎厚生労働大臣にお伺いいたします。
 また、これではいつまでたっても母子世帯における子供の貧困は解消されません。よりダイレクトな現金給付や教育バウチャーの導入など、直接支援する対策が必要ではないでしょうか。併せてお伺いをいたします。
 また、文部科学省は、財務省の長期試算を基に、十五年後には国立大学の授業料が年間九十三万円程度にまで上がるという試算を昨年末に示しました。既に私立の理系では授業料は年間百万円を超えています。
 国による奨学金は全て貸与型で、三分の二は有利子となっています。奨学金を受けることで、卒業する段階で子供が五百万円のローンを背負うことになるケースもあります。そうした状況で大学の進学の夢を絶たれた子供たちもいるのです。OECD加盟国三十四か国のうち、返済の必要のない給付型奨学金を創設していないのは、大学の授業料が既に無料であるアイスランドと我が国日本、二か国だけです。
 希望する全ての子供たちに学ぶ機会を保障するため、諸外国のように給付型の奨学金を創設するべきであると考えます。馳文部科学大臣の御所見をお伺いいたします。
 そして、児童虐待の問題です。
 今、日本では、五日に一人の割合で虐待によって子供の命が奪われています。児童虐待などに関して調査、支援、指導を行うのは児童福祉司の皆さんです。日本の場合、児童福祉司一人につき百件を超えるケースを抱えているというデータも存在しています。欧米の先進国では平均およそ二十件であるのに比べるとはるかに担当件数が多く、十分に家庭訪問すらできないのが現状です。
 配置の基準を改善し、児童福祉司の皆さんが悩みを抱える家庭に丁寧に寄り添える環境をつくり、政治の責任として、小さな命を救っていくべきではないでしょうか。
 さらに、虐待や死別などにより実の親と生活することのできない社会的養護の必要な子供たちが入所している児童養護施設は、十八歳になると原則として退所しなければなりません。社会的養護を必要とする子供たちはおよそ四万六千人で、自立に時間を要するとの指摘もあります。しかし、今、施設を退所した後のサポートは極めて不十分です。
 私の地元である滋賀県では、志ある女性がNPO法人を立ち上げ、自立支援やシェアハウス事業を行い、まさに体当たりで若者たちをサポートしています。若者たちは、僕たちの夢は普通でいいねんと言うそうです。住むところがあって、御飯が食べられて、家族がいる、そんな当たり前の生活をただ求めているのです。このシェアハウスで暮らし始めると、若者たちは、不安を抱えながらも安心できる居場所を得て不思議なくらい元気になっていくそうです。
 六人の若者が住むシェアハウス、年間六百万円の経費が掛かりますが、行政からの支援は年間僅か十五万円だそうです。こうした社会的養護を必要とする若者たちをサポートしている皆さんへの支援もより充実していくべきではないでしょうか。塩崎厚生労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 ただいま申し述べました幾つかの提案は、子供たちの置かれた格差を縮小することにもつながります。
 日本財団などによりますと、貧困家庭の子供を支援せずに格差を放置すると、現在十五歳の子供の一学年だけでも、生涯所得が二兆九千億円減少し、政府の財政負担は一・一兆円増加すると推計しています。しかし、格差を解消する政策を実行し、子供たちを社会全体で育むのであれば、こうした損失は生じることもありません。
 今回、政府は、低所得のお年寄りなどに一人三万円を支給されます。補正予算と当初予算を合わせて総額でおよそ四千億円です。恒久的な制度ではなく、一時しのぎのばらまきにほかなりません。こうしたばらまきにこれだけの税金を使うのであれば、未来を担う子供たちにこそ投じるべきです。今いる子供たちが安心して成長する環境を整えてこそ、これから子供を持つ方々にも安心を与えることにつながり、人口減少に立ち向かう力強い一歩となるのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 結びに。
 我が国の第二十七代総理大臣は、ライオン宰相、浜口雄幸総理大臣です。当時、日本は不況の中にあり、金解禁や緊縮財政を行っていた浜口総理は、昭和五年十一月、東京駅のホームで銃撃されました。秋から続いていた国会に出席できない日々が続き、野党からは、総理が国会に出られない以上、政権を野党に渡せと言われます。今国会の会期中には必ず浜口は登壇すると時の与党は答えました。
 国会の会期末、浜口総理は病状が悪化して絶対安静の状態でした。それでも浜口総理は、何とか国会に行こうとする。しかし、靴を履くともう歩けない。靴が重くて倒れてしまう。それで、どうしたか。浜口総理は、布を靴の形に切って、墨を塗って、足に巻き付けて国会に立ったそうです。靴のように見えても靴ではない黒い布を足に巻き付けて国会に立ったのです。
 浜口総理はこうおっしゃったそうです。会期中に国会に出るという総理の約束は国民に対する約束である、国民に対する約束を総理が破ったら、国民は一体何を信用して生きていけばいいのか、だから、死んでもいいから国会に出て、国民に対する約束を果たすと。
 総理、総理は、私たち政治家は、国民の皆さんに対する約束を必死の覚悟で果たさなければなりません。安倍総理におかれましても、不都合な現実から決して目を背けるのではなく、是非、浜口総理のような真剣さで全ての国民に向き合い、より謙虚に、より誠実に職務に当たっていただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 林久美子議員にお答えをいたします。
 安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
 安倍政権発足後、雇用・所得環境は着実に改善をしております。是非、この現実を直視していただきたいと思います。
 政権交代前を思い出していただきたいと思います。長引くデフレで給料も上がらず、行き過ぎた円高で仕事が海外に流出し、輸出は大幅に減少しました。GDPも、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ水準から戻しただけで、政権交代前は三四半期連続のマイナス成長でありました。この三年間、経済最優先で取り組むことにより、デフレではないという状況をつくり出し、行き過ぎた円高は是正されました。今や国内に仕事や投資が戻ってきています。
 民主党政権時代、年間一万件を超えていた倒産件数は、政権交代後、三割弱減って、二十五年ぶりの低水準となりました。民主党政権下で五十二万人減った正規雇用労働者は、安倍政権になって二万人のプラスに転じました。賃上げも二年連続で大幅に上昇し、昨年は過去十七年ぶりの高水準となりました。国民みんなの稼ぎである総雇用者所得で見れば、名目で見ても実質で見ても増加傾向にあります。
 政権交代後、就業者数は百十万人以上増え、そのほとんどが女性であります。これまで三年連続で最低賃金を大幅に引き上げてきたこともあり、パートで働く方の時給はここ二十二年間で最高水準となりました。景気回復に伴って新たに働き始めた女性の中にはパートで働く方も多いと考えられますが、これをワーキングプアが増えたとするのは全くもって誤った理解であります。
 安倍内閣は、現役世代、高齢者世代のいずれにもしっかりと目配りをしています。子育て世代を含む現役世代への支援は、消費税引上げの延期にかかわらず、昨年四月から子ども・子育て支援新制度を開始するなど着実に進めてまいりました。
 また、先般成立した補正予算や御審議いただいている来年度予算においては、保育サービスの充実や低所得の一人親家庭、多子世帯に対する支援など、公費ベースで七千億円の子育て支援の拡充を行うこととしております。若者については、引き続き賃上げや最低賃金の引上げを推進するとともに、非正規で働く方のキャリアアップや待遇改善に向けた取組もしっかりと進めてまいります。賃上げの恩恵が及びにくい低所得の高齢者については、今般の補正予算において臨時的な給付を行うほか、社会保障・税の一体改革の枠組みに基づき、福祉的な給付や医療、介護の保険料負担軽減を行ってまいります。
 御指摘の厚生労働省の調査については、平成二十六年の七月に行われたものであり、人々の生活意識については、消費税率引上げなどが影響している可能性があると考えられます。
 昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査に基づき、安倍政権発足後の生活意識と民主党政権時代の生活意識を比較してみると、現在の生活について満足と回答した割合は七〇・五%へと五ポイント上がり、不満と回答した割合は二八・五%へと五ポイント下がっています。いずれにせよ、全国の皆さんに景気回復を実感していただけるよう、きめ細かく目配りをしながら経済の好循環をしっかりと回してまいります。
 財政健全化の取組についてお尋ねがございました。
 安倍内閣においては、経済成長により税収増を図るとともに、社会保障の改革を含め徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んでまいりました。この結果、政権交代前と比較して新規国債発行額を十兆円減額しました。新規国債発行額が税収を上回るという異常な状態を解消することができました。財政健全化の取組について、民主党から無責任と批判されるいわれは全くございません。
 長く続いたデフレによって、日本人にはデフレマインドがこびりついてしまいました。もはやデフレではないという状況をつくり出した今、日本は再び成長できるという自信を持って経済再生に取り組むべきであります。
 戦後最大のGDP六百兆円という目標に向かってあらゆる政策を動員することにより、名目三%以上の経済成長を目指すとともに、歳出改革も着実に推進し、二〇二〇年度の財政健全化目標を実現してまいります。
 なお、財政健全化の実効性の確保については、法制化といった仕組みづくりそのものよりも、今年度の予算を基礎的財政収支の赤字半減目標を達成する予算としたように、政府として定めた目標を堅持し、責任を持ってこれを実現していくことこそが重要であると考えています。
 子育て支援についてお尋ねがありました。
 安倍政権は子育て支援を重視しています。今般の補正予算や来年度予算において、保育サービスの充実や教育費負担軽減、児童扶養手当の拡充を行うなど、国、地方を合わせた公費ベースで七千億円の子育て支援の拡充を盛り込んでいます。これは、低所得の高齢者等に対する給付金の規模約四千億円を大きく上回るものであります。
 なお、この給付金については、税収増というアベノミクスの果実を活用して、今年前半にかけての個人消費を下支えし、経済の下振れリスクに対応するとともに、賃金引上げの恩恵の及びにくい低所得の高齢者等を支援するため、一人三万円の給付金の支給を行うものであり、ばらまきとの御指摘は全く当たりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
○国務大臣(甘利明君) 週刊誌報道に対するお尋ねがありました。
 この度の週刊誌報道の内容には、私の記憶とは異なる部分があり、慎重に確認を重ねる必要があると考えております。そうした趣旨から記憶を整理したいと申し上げたわけであります。
 本件につきましては、客観的な目も含め必要な調査を行い、事実を確認の上、国民に疑惑を持たれないようしっかりと説明責任を果たす必要があると考えており、まず、私のことに関しては本日にも会見を開き、これまでの調査結果を御説明したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 林久美子議員にお答えを申し上げます。
 母子世帯への支援についてのお尋ねがございました。
 母子世帯の所得に関する御指摘の数値は、平成二十三年所得再分配調査によるものと考えますが、この調査における社会保障給付には、医療や介護などの現物給付も含まれています。また、高齢者の多くは現役時代における自らの保険料納付を基礎として年金給付を受けておられます。所得再分配調査において高齢者世帯の再分配所得が母子世帯のそれよりも高いのは、こうしたことが理由であると考えております。
 経済的に厳しい状況に置かれた一人親家庭を支援することは重要であると認識をしており、昨年十二月にひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトを決定をいたしました。就業による自立に向けた支援を基本にしつつ、子育て・生活支援、学習支援などの総合的な取組の充実を図ることとしております。
 具体的には、児童扶養手当の第二子以降の加算額の増額、就職に有利な資格の取得を促進するための給付金の充実や貸付事業の創設、一人親家庭等への保育料軽減の強化などに必要な経費を平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度予算案に盛り込んでおります。これらの取組を通じて、一人親家庭等の自立の促進に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 児童福祉司の配置と児童養護施設を退所した後のサポートについてのお尋ねがございました。
 全ての子供にとって最も愛されるべき親から虐待を受けるようなことはあってはならないことであり、昨年末、政府として、発生予防から自立支援まで一連の対策を強化するため、児童虐待防止対策強化プロジェクトを取りまとめたところでございます。この中で、中心的な役割を担う児童相談所については体制や専門性を計画的に強化することとしております。
 具体的には、直接に指導等を行う児童福祉司の配置基準については、人口だけではなく業務量も考慮する等の見直しを検討することとし、平成二十八年度には、児童福祉司の増員に対して、この十年で最も手厚い水準となる地方交付税措置が予定をされているところでございます。また、児童心理司、保健師等の専門職の配置を確保することとしております。
 今後、着実に児童相談所の体制が強化されるよう、関係省庁と協力をしつつ、地方自治体に働きかけてまいりたいと思います。
 また、児童養護施設を退所した後のサポートについては、退所者等の自立支援を担うNPO法人等の活動を支援するため、平成二十八年度予算案において、自立援助ホームや退所児童等アフターケア事業の拡充を盛り込んでいるほか、十八歳に達した者に対する継続的な自立支援の在り方について更に検討してまいります。
 これらを含め、総合的な対策を更に強化するため、この通常国会に児童福祉法等改正案の提出を目指してまいります。(拍手)
   〔国務大臣馳浩君登壇、拍手〕
○国務大臣(馳浩君) 林議員から、給付型奨学金についてお尋ねがありました。
 意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないように、経済的負担の軽減に引き続き取り組んでいくことが重要です。
 学生に対する給付型の経済的支援については、現在、授業料減免や大学院の奨学金返還免除制度による給付的な支援を行っております。基本的にはこうした制度を着実に運用していくことで学生等の経済的負担の軽減を図ってまいります。その上で、給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定、給付の在り方など、導入するには十分な検討が必要と考えております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(輿石東君) 渡辺猛之君。
   〔渡辺猛之君登壇、拍手〕
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、安倍総理の施政方針演説を始め政府四演説について質問いたします。
 三年前、現在の安倍政権が誕生したとき、我が国が長引く円高・デフレ不況に苦しんでいたあのときの経済状況と現在の経済状況を比較すれば、恐らく多くの国民の皆様方があのときよりは景気は良くなっている、そう言っていただけるのではないでしょうか。一方で、地方や中小・小規模企業などにはまだまだアベノミクスの恩恵が行き届いていないという声があるのも事実です。
 総理は、本施政方針演説でも挑戦というキーワードを私が数えたうちで二十回、チャレンジという言葉を入れれば二十二回使って、本年の安倍政権が目指す姿勢について力強く決意を述べられました。
 高度経済成長期、右肩上がりの経済であれば、大企業が良くなればいつかは中小企業も、都市部が良くなればいつかは地方もと、ひたすら待ちの姿勢であっても景気好循環の波は届きました。しかしながら、リーマン・ショック以前の経済状況を振り返っても、経済のグローバル化や多様な消費者ニーズなど成熟した経済状況の下では、ずっと待ちの姿勢でいては地方や中小・小規模企業にはいつまでたっても景気回復の波が届かないといったことも懸念されます。地方でも中小・小規模企業でも果敢に挑戦できるチャンスをつくり出す、これこそ新アベノミクスの効果を全国津々浦々に届け、一億総活躍を実現する道だと考えます。
 かつて日本経済は、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引くと言われた時代がありました。しかし、現在では、アメリカのみならず中国やEU、中東の国々など、世界の至る所でくしゃみが出ても日本が風邪を引く可能性があるくらいグローバル化が進展しています。国外からの要因によって日本経済が重症化することがないようにしっかり予防策を講じておかなければなりません。日本経済に影響を与えると予想される国外要因について、中国経済やテロ対策については既に質問がありましたので、私からは中東情勢について質問いたします。
 原油輸入国である我が国は原油安を歓迎する一方で、中長期的に見れば、世界経済全体への影響や将来的なリスクを考えると、中東情勢の安定は我が国経済にとっても必要不可欠なことだと思います。そこで、中東情勢の安定化に向けて、我が国としてどのように取り組んでいかれるおつもりか、総理の御所見をお伺いします。
 一昨年、我々は、経済産業省としては実に五十一年ぶり、二本目となる基本法、小規模企業振興基本法を成立させることができました。私も法案策定の当初から携わらせていただきましたが、この小規模基本法に関わった私たちが法律の中に込めた思いは、中小・小規模企業が将来的に大きく飛躍していってもらうのが最終目標ではあるが、地域に根付く小規模企業は、まずはその場所で会社を継続してくれるだけで消防団や水防団、PTAの役員やお祭りの担い手など地域を支える人材を輩出してくれている小規模企業は地域そのものを守っている側面があるのだから、売上減や後継者不足で廃業の道をたどるのではなく、その地域で企業が存続していける体力を付けてもらいたいとの願いです。
 持続化補助金は、そんな思いを形にした、国としては異例の五十万円という小規模企業に特化した補助金です。私はこの持続化補助金についてうれしい話を耳にしました。補助金というものに初めて挑戦した小規模企業の後継者である商工会青年部員の言葉です。一回目の申請では持続化補助金をもらえなかったけど、とても勉強になりました、今まで自分の会社の経営の中身を詳しく見たことはなかったけど、補助金申請に必要な経営計画を作っているうちに自社の強みと弱みがはっきりと分かりました、今まで補助金なんて大企業や一部の限られた人のものだと思っていたけど、挑戦して本当によかったです。ちなみに、彼は二回目の挑戦でしっかりと採択されました。
 新アベノミクスの第一の矢は希望を生み出す強い経済、その目標はGDP六百兆円です。私は、このGDP六百兆円を達成するためには、中小・小規模企業の活躍が不可欠だと思っています。我が国企業の九九・七%を占める中小企業、中でも小規模事業者は三百三十四万社、八六・五%です。その小規模事業者の手取り収入を見てみると、個人事業者で三百万円未満が六一・一%、法人で三二・八%という数字です。手取り収入四百万円未満まで拡大すると、個人事業者の実に七六・八%、法人の五〇・八%が該当します。
 先ほどの青年後継者の言葉を借りれば、自社の決算書を詳しく分析したり経営計画を作ったりすることもなく、いわゆる丼勘定で今日まで何十年も企業を継続させてきた、そんな小規模事業者は相当数あるのではないかと推測をされます。これを否定的に捉えるのではなく、そんな小規模事業者が簡素な経営計画を作る、ホームページを開設する、今まで暗かった看板に電気をつける、ただそれだけで売上げが増加しているのです。すなわち、今まで特に新しい試みをしなかった小規模事業者は、少しの工夫や挑戦をするだけで売上増加が期待できる、いわゆる伸び代がとても大きいと言えるのではないでしょうか。
 GDP六百兆円を達成するために、我が国の中小企業、とりわけ小規模事業者への更なる積極的支援をどのようにお考えか、総理にお尋ねをいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 関連して、TPPについてお尋ねします。
 人口八億、世界のGDPの四割を占める巨大な自由市場は、我が国にとって必ずプラスになると思います。いや、必ずプラスにしなければならないし、我が国はそれができると言った方が正しい表現かもしれません。
 TPPによる日本の国益を最大化する鍵も、私は中小・小規模事業者が握っていると思います。今まで海外展開など考えたこともなかった中小・小規模事業者にとっては、巨大なマーケットが広がったといっても、果たしてそのマーケットで何が求められているのかを把握する手段も、いざ海外に進出する手順も全く持ち合わせていないのが現状です。
 TPPによってでき上がる巨大なマーケットに中小・小規模企業が挑戦できるように、政府としてどのような後押しをお考えなのか、総理の御見解をお聞かせください。
 また、海外市場への挑戦ということでは、農業分野においても同じことが言えるのではないでしょうか。例えば、今は作った農産物を近くの道の駅で販売をしているといった個人の農業者にとって、海外進出は雲をつかむような話です。
 総理は、農林水産物の海外輸出額一兆円を二〇二〇年より前倒しで達成する決意を述べられましたが、農産物の海外展開のために何が必要で、国としてどのような支援をお考えなのか、併せてお伺いいたします。
 次に、地方創生についてお尋ねいたします。
 安倍内閣が地方創生を掲げたとき、多くの地方は、ようやく私たち地方にも光が当たるという希望を抱きました。その裏には、懸命の努力を続けてきたにもかかわらず、人口流出や高齢化に歯止めが利かない地方の厳しい現実が存在します。地方創生は待ちの姿勢ではいけません。
 本年三月までには、ほぼ全ての自治体で地方創生に向けた総合戦略が策定される見通しであります。地方創生施策の一年の評価と今後の展望について、総理にお尋ねします。
 地方の果敢な挑戦、それが地方創生の果実を手にする手段です。その上で、我が国全体が考慮しておかねばならない課題が人口減少です。
 先日、ある町の町長さんからこんな悩みを打ち明けられました。上水道管の更新の話です。ある集落で水道管の更新時期を迎えているが、集落の一番奥の一軒家まで水道管を埋め直すと約八千万円掛かる。その一軒の人が集落の中心部まで移転してくれたら、移転費用は多く見積もっても三千万円。行政コストを考えたら明らかに移転してもらった方が得だが、果たして行政が個人に対して新築の家を提供するのがいいのかどうか。そもそも、住民の方に住み慣れた今の住みかを離れてくれとも言いにくいしなあ。果たしてこの問いに対する正解はどちらなのでしょう。
 人口減少局面においては、社会インフラ整備にも人口増加段階とは違った視点が求められます。その一方で、地方創生に懸ける地域にとっては、道路や上下水道などの社会インフラは他地域と対等の競争を展開する上において必要最低限の条件であります。
 新アベノミクスの第二の矢では、希望出生率一・八を目指して様々な取組が期待されるところですが、その果実を受け取れるのは数十年先です。しばらくの期間、乗り越えていかなければならない人口減少局面における社会インフラの整備、更新についてどのようにお考えか、総理の御所見をお聞かせください。
 最後に、一億総活躍についてお尋ねいたします。
 人口減少とともに我が国が真正面から向き合わなければならないもう一つの課題が、急速に進む高齢化です。労働人口が減少し、稼ぐ力が失われる中で、多くの高齢者を国としてどのように支えていくべきか、その答えが一億総活躍の中にあると私は認識しています。
 一億総活躍の大きな柱の一つは女性の活躍です。そして、もう一つの大きな柱は高齢者の方の活躍だと思います。総理は、施政方針演説の中で、高齢者の七割近くが六十五歳を超えても働きたいと願っておられる、大変勇気付けられる数字ですと述べられました。
 その言葉を後押しする二人の製造業の社長さんの言葉を紹介したいと思います。一つ目の会社では、最年長正社員の方は七十二歳だそうです。私は、失礼ながら、正直なところ高齢ということで不都合はありませんかとお尋ねしたところ、社長さんはきっぱりと、その人に関しては一切問題ない、人によって多少の差はあるけど、うちの会社の仕事は大体七十歳くらいまでは現役で大丈夫、六十五歳なんて働き盛りと言ってもいいくらいだと笑顔で話してくださいました。
 もう一つは、精密ねじを作っておられる会社の経営者の方の言葉です。一定レベルの品質はもちろん全ての製品でクリアしているが、どれだけ高価な最新鋭の機械を導入しても、結局最後は人です、気温や湿度によって機械スイッチのオンとオフをコンマ何秒の差で切り替えることによってごくごく微妙な製品の差ができる、これができるようになるには長年の経験と勘しかないが、うちにはそれができるベテラン社員がいてくれますと胸を張って話していただきました。二つとも地域を支える中小企業の話です。
 多くの海外の国々で、労働は自分や家族の生活を充実させるための収入を得る手段と割り切った考えをする中、日本では、働くとは、はたを楽にすること、すなわち自分の仕事によって誰かを幸せにしたり、自分の作る商品や提供するサービスがお客様を笑顔にできるというとても美しい考え方があります。高齢者の方が元気で働いていただけることは、それだけはたを楽に、周りを幸せにしていただけることです。そして、それは高齢者の方々の生きがいにもつながるのではないでしょうか。
 労働人口の減少が想定される中で、一億総活躍の大きな柱を担われる高齢者の活躍について、総理の思いと具体的方策についてお尋ねをいたします。
 冒頭申し上げましたように、三年前、安倍政権が誕生したとき、我が国経済は円高、デフレに相当苦しんでおりました。しかし、安倍内閣そして我々与党は円高もデフレも克服できたのです。この国や地方が直面する様々な課題に対して、我々はこれからもしっかりと結果につなげていくことをお約束いたしまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 渡辺猛之議員にお答えをいたします。
 中東情勢の安定化に向けた我が国の取組についてお尋ねがありました。
 ISILなどのテロに対しては、最前線で過激主義と対峙している穏健イスラム諸国を非軍事分野で全力で支援していきます。食糧、医療などの難民、避難民に対する人道支援を一層拡充し、開発支援とも連携させてまいります。
 また、サウジアラビアとイランの対立やパレスチナ問題などの地域の緊張については、我が国と中東各国との良好な関係を活用し、様々な機会を捉えて対話を通じて事態の鎮静化を図り、平和的に問題を解決するよう働きかけてまいります。
 中小企業・小規模事業者への支援についてお尋ねがありました。
 御指摘の小規模事業者持続化補助金を活用したある美容室は、商工会の助言により高齢者が座りやすい椅子を導入したところ、売上げが一五%も増加したそうであります。日本企業の大宗を占める中小企業・小規模事業者がこうした工夫や挑戦によって成長すれば、経済全体に大きな力となります。
 そこで、生産性向上に向けた設備投資を行う中小企業・小規模事業者に対しては、生産設備の固定資産税の大胆な減税を行うとともに、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金により新商品の開発等も支援します。さらに、経験豊富な専門家が相談に応じるワンストップ窓口を拡充し、中小企業・小規模事業者の様々な経営課題にきめ細かく対応してまいります。
 中小・小規模企業によるTPP活用の支援についてお尋ねがありました。
 TPPの活用は、まずTPPの内容を知っていただくところから始まります。経済産業局、ジェトロなどの国内各地の拠点に全国六十五か所の窓口を設置しました。今後、各地の商工会、商工会議所、各都道府県のよろず支援拠点等と連携し、TPPについての情報提供体制を強化していきます。
 中小・小規模企業が初めて輸出に取り組む際には、企画から出荷に至る各段階で様々な課題に直面します。そこで、経営相談、商品開発、販路開拓など、多様な関係機関の支援策を組み合わせて活用できる枠組みとして新輸出大国コンソーシアムを立ち上げます。中小・小規模企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして地域が元気になるよう政策を総動員して支援してまいります。
 農産物輸出への支援についてお尋ねがありました。
 農林水産物・食品の輸出については、総合的なTPP関連政策大綱において、平成三十二年の輸出額一兆円目標の前倒し達成を目指すこととしたところです。これを受け、先般、農林水産業・地域の活力創造本部の下に輸出力強化ワーキンググループを立ち上げ、輸出拡大に向けた具体的な戦略について精力的に議論するよう指示したところであります。
 今後、目標の達成に向け、米、牛肉、青果物等の重点品目ごとの輸出促進対策の推進、検疫手続の円滑化など輸出阻害要因の解消、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売促進、地理的表示の活用等によるブランド化の推進など、多様な取組を展開してまいります。
 地方創生のこれまでの評価と今後の展望についてお尋ねがありました。
 地方創生は、まさに地方が消滅していくという危機感を持って、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指す取組です。
 例えば、渡辺議員の地元である岐阜県内では、先行型交付金を利用し、美濃和紙ブランドの確立、販路開拓を支援し、飛騨地域の市町村が連携して移住を促進するなど先駆的事業が行われました。積極的に取り組む自治体では、地方創生人材支援制度により、六十九名の意欲と能力のある人材が、市町村長の補佐役として地方版総合戦略の策定や処方箋作りを支援しました。地方創生の一年目は、このように先駆的事業において目に見える成果が上がりました。
 これから地方創生は全国で実行段階に入りますが、原動力は地方の皆さんの情熱であります。自分たちの未来を自分たちの創意工夫で切り開く、地方公共団体の意欲的なチャレンジを国があらゆる施策で支援することにより、今後、地方創生を実現していくものと考えております。
 人口減少局面における社会インフラ整備についてお尋ねがありました。
 社会資本の整備は、未来への投資により次の世代に引き渡すしっかりとした資産を形成するものであり、これまでも地方を含め我が国の経済成長を支えてきたものと認識しております。
 少子高齢化に立ち向かっていく中で、今後のインフラ整備は、中長期的な見通しの下、効率化を図りながら計画的に推進していくことが必要です。既存施設やソフト施策の最大限の活用を図りつつ、国際競争力の強化、国土強靱化、防災・減災対策、コンパクト・プラス・ネットワーク、老朽化対策などの分野について、選択と集中の下、効果が最大限発揮されるよう重点化した取組を進めていきます。
 一億総活躍社会における高齢者の活躍についてのお尋ねがありました。
 高齢者の皆さんの七割近くが六十五歳を超えても働きたいと願っておられます。我が国の健康寿命の長さは世界最高レベルであり、現役世代と同様に元気で働ける方も数多くおられるものと思っております。日本が直面する人口減少問題を克服して成長力を確保していくためにも、高齢者の就業率を高めていくことは重要です。働きたいと願う高齢者の皆さんに道を開いてまいります。
 このため、六十五歳以降に雇用される方に対する雇用保険の適用拡大やシルバー人材センターの業務範囲拡大など、高齢者雇用を促進するための法案を今国会に提出するべく準備しております。
 さらに、この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、働き方改革を重要な柱として打ち出すことを考えており、その中で、非正規労働者の処遇改善、長時間労働の是正と並び、高齢者雇用の促進は大きな課題と位置付けております。
 政府としては、定年延長に積極的な企業への支援など定年引上げに向けた環境を整えていくことが重要と考えており、一億総活躍国民会議ではその具体策について議論し、ニッポン一億総活躍プランにおいて明らかにしていきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 寺田典城君。
   〔寺田典城君登壇、拍手〕
○寺田典城君 維新・元気の会の寺田典城であります。
 私は、会派を代表いたしまして、安倍総理の施政方針演説に対し、質問いたします。
 まず、軽井沢のスキーバス事故に関連して質問いたします。
 一月二十四日、軽井沢の現場に行ってまいりました。現場を見て身が凍る思いをしました。献花台にはたくさんの花が積まれ、若くして事故に遭われた方々が好んでおられたお菓子などが置かれていました。原形をとどめることができないくらい壊れた車両が事故のすさまじさを物語っておりました。
 改めて、事故に遭遇され亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々に深くお悔やみを申し上げます。そして、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 バス・トラック業界は、言わばライフラインであります。規制緩和によって誰でも新規参入できるようになり、業界の新陳代謝は進みました。しかし、コスト削減に追われる余り、安全確保がおろそかになっていたのではないでしょうか。安全法制については、規制をつくる行政はもちろん、私自身も含めた立法府も反省しなければならないと率直に思いました。
 今回のような事故をなくしていくためには、バス・トラック業界が国民生活の中で重要な役割を担っていることを国民が理解し、業界やそこで働く方々がその重要性にふさわしい処遇を受けられるようにしていくことが必要だと思います。
 バス・トラック業界あるいはそこで働いている方々が安全運行を徹底していけるだけの条件で発注者と契約できるよう、業界や働く方々の地位の向上に国として取り組んでいくおつもりはありますか。安倍総理に心のこもったお答えをお願いいたします。また、塩崎厚生労働大臣、石井国土交通大臣に反省を込めて御答弁をお願いいたします。
 次に、地方の自立について質問いたします。
 国は全力で支援する、交付金も出しますとよく言います。しかし、今求められているのは自立です。地方の自立、企業の自立、個の自立。国に頼らずとも地方がやっていける仕組みにしなければ、この国はもたないと思います。
 今国会でも第六次地方分権一括法案が審議される予定ですが、大胆な権限移譲や大幅な行政の効率化につながるような項目は全く見当たりません。国民は、アリバイづくりの仕事をする役人のために税金を納めているのではありません。特区制度やプロポーザル方式はやめて、国が全国一律に権限を移譲すれば、地方は自立を考えるようになります。
 石破大臣は、毎年小出しに法改正をするやり方や特定の地域だけに国が特別に許すというやり方についてどのように考えますか。御答弁をお願いします。
 民間企業に目を移せば、家電業界などなど、我が国の企業は世界に太刀打ちすることができませんでした。日本企業は垂直統合型であったのに対し、海外のライバル企業はグローバルかつ水平分業型に移行していたからであります。
 一方で、国の体制は、あの震災でも活躍した自治体消防を除いて、まだ中央集権であり、垂直統合型です。世界的にも水平分業が主流になる中で、我が国の行政システムがガラパゴス化していくのではないかと心配になります。
 この際、地方分権を進め、地方の自立を促す方向にかじを切ってはいかがですか。石破大臣にお伺いします。
 また、重複行政を徹底的に排除すれば、国、地方合わせて二割の行政コストを削減することができるはずです。具体的な目標を設定して行政コスト削減に取り組む意思はありますか。石破大臣並びに河野大臣にお聞きします。
 総理は所信表明演説で、懸案に真正面から挑戦するとおっしゃいました。甘利大臣のスキャンダルによって政治と金の問題が今懸案になっています。維新の党は、企業・団体献金の廃止に向けた法案提出の準備を進めております。今こそ真正面から挑戦し、答えを出すときではありませんか。
 安倍総理は、企業・団体献金の廃止に向けて自民党をまとめ上げると国民の前でお約束できますか。端的にお答えください。
 次に、立憲主義の回復について質問いたします。
 昨年成立した安全保障関連法は、憲法の禁じた国際紛争における武力行使への道を開く、戦後最大の方針転換であります。国民的な議論を経て、憲法改正の上であれば理解できますが、安倍政権は立憲主義を破壊しました。また、国会議員には憲法を遵守し、擁護する義務が課せられていますが、自民党や公明党の中からも異論が出てこなかったことには恐ろしさすら感じます。
 国民や有識者の中からの様々な反対や批判も受け入れず、マスコミまで押さえ付けて安全保障関連法を成立させたことは、今でも正しいと思っていますか。総理にお伺いします。
 私は、この国の将来が不安であります。
 一九八一年から八三年の土光臨調のとき、鈴木善幸首相は、約七兆円だった赤字国債を八四年度にはゼロにすると公約しましたが、果たせず、潔く退陣することになりました。
 二〇一六年度の赤字国債の発行額は二十八・四兆円、国と地方の借金の残高は千六十二兆円になる見込みです。このままでは財政破綻してしまいます。ところが、安倍政権の政策からは危機感が伝わってきていません。安倍政権は、経済成長を前面に出してばらまき政治を続けています。それでは経済再生に失敗します。
 財政健全化には痛みが伴います。総理の職を懸けて財政健全化に取り組む覚悟はありますか。安倍総理の具体的な考えをお聞かせください。
 国会議員は、予算を無責任に要求し続けています。役所は、省益を優先し、既得権益をかたくなに擁護しています。社会が変化しているのに、国会や役所は何も変わっていません。
 近代フランスの有名な政治家、タレーランは、何も学ばず、何も忘れずという名言を残しています。自民党は政権を失った三年間の経験から何を学び、何を忘れたのか、総理のお考えをお伺いします。
 安倍政権が目指す介護離職ゼロは理想の姿であります。同時に、健康寿命を延ばすことも大切であります。二〇一四年度の介護給付費は九・三兆円ですが、二〇二五年度には二十一兆円になるという試算もあります。
 運動器の障害により、立つ、歩く機能が低下することをロコモと言いますが、介護給付費の伸びを抑制するためにはロコモになる人を減らすことが重要になってくると思います。健康運動指導士、理学療法士などを含めて、健康増進の指導ができる方々の力を借り、国民を挙げてロコモ予防運動を推進すれば介護を受ける人を減らせると思います。総理のお考えをお伺いします。
 次に、医療の問題であります。
 人の命の在り方や生命に対する倫理観の基準をどうするかは、医療界に任せておくのではなく、国民全体で議論すべきであります。欧米では、自分で食が取れなくなったら、後は自然な形でこの世の務めを終えるのが一般的と言われています。
 総理の考える理想の介護や終末期医療の姿はどのようなものですか。総理のお考えをお伺いします。あわせて、人生の終わりを迎えるときの在り方について国会の場で議論していくことは考えられませんか。総理のお考えをお伺いいたします。
 今必要なものは若者対策だと思います。
 私は、消費税の軽減税率には反対であります。そのために一兆円掛かるというならば、人材育成など若者のために使うべきであります。能力アップのための教育や留学、海外職業インターン派遣に一人当たり二百万円の費用を掛けたとしても、年間五十万人の人材育成が可能であります。グローバル人材を含む高度人材を毎年五十万人育成できれば、十年後にはこの国は確実に変わります。
 アベノミクスは格差拡大をもたらしましたが、教育や人材育成に格差が付くようなことがあってはなりません。厳しい財政事情の中で貴重な予算を使うのであれば、人材育成などこの国の将来を担う若者のために使っていくべきではありませんか。安倍総理のお考えをお伺いします。
 なお、消費税は逆進性の高い税であります。増税に当たって低所得者の負担を軽減する措置も必要でありますが、軽減税率よりは給付付き税額控除の方が望ましいと考えます。
 終わりになりますが、安倍総理は、自分と違う意見に対して、むきになって子供じみた反論をしてきます。批判を率直に受け入れる大人の分別を持ち、政治をより良いものにしていくことを国民の前にお約束できませんか。最後にそのことを安倍総理にお伺いして、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 寺田議員にお答えをいたします。
 バス、トラックの安全運行に向けた施策についてお尋ねがありました。
 十五日に発生したバス事故のような誠に痛ましく悲惨な事故を二度と起こさせないよう、安全確保対策の強化について、専門家による検討も踏まえながら再発防止に万全を期してまいります。
 その中で、運送事業者の取引環境の改善や運転者の賃金の引上げも重要な課題です。安全運行を確保できる適正価格での発注が適切に行われるよう関係業界と一体となって取り組んでまいります。
 企業・団体献金の廃止についてお尋ねがありました。
 政治活動に対する献金の在り方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてきたところであります。許してはならないのはお金でもって政策をねじ曲げようという行為です。それは、個人であれ団体であれ同じことであり、企業、団体が政党等に献金すること自体が不適切なものとは考えておりません。いずれにせよ、この問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、各党各会派において十分御議論いただくべきものと考えております。
 平和安全法制についてお尋ねがありました。
 憲法の範囲内で必要な法整備を進め、国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、これは、憲法改正とは全く別の問題であります。平和安全法制は、その内容においても手続においても、憲法の下、適切に制定されたものです。立憲主義の破壊といった御指摘は全く当たりません。
 また、二百時間を超える充実した国会審議の結果、与党のみならず野党三党の皆さんの賛成も得て、より幅広い合意が形成されたことは大きな意義があったものと考えています。平和安全法制の成立により、私たちの子や孫の世代に平和な日本を引き渡していく基盤を築くことができたと確信しています。
 今後とも、国民の皆様に更なる御理解をいただけるよう、粘り強く丁寧な説明に努めてまいります。
 財政健全化についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生と財政健全化を両立させながら二〇二〇年度の財政健全化目標の実現を目指しており、目標達成に向け、成長戦略を着実に実施することで名目三%以上の経済成長を目指すとともに、歳出改革を着実に推進してまいります。また、計画の中間時点である二〇一八年度において改革の進捗状況を評価することとしており、必要な場合は、デフレ脱却・経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討することとしています。
 今後とも、経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行し、二〇二〇年度の財政健全化目標を実現してまいります。
 野党時代の経験についてお尋ねがありました。
 三年三か月の野党時代は誠に厳しいものでありました。しかし、その中で、私たち自由民主党は、過去を率直に反省し、教訓として心に刻みながら、様々な国民の声に謙虚に耳を傾けることで、政治は国民のものという立党の原点に立ち戻ることができました。そして、私たちは、民主党政権の下、長引くデフレ、低迷する経済をどうにかしてほしいという国民の声に強く押されて、政権を奪還することができました。
 ですから、私たちは、強い批判にさらされようとも、政権交代後、三本の矢の経済政策を推し進め、さらには農業、医療、エネルギー、労働などの分野で戦後以来の大改革を断行してまいりました。三年間に及ぶ経済再生への挑戦は、雇用を増やし、賃金を押し上げ、大きな果実を生み出しています。さらに、その三年間の果実を生かし、長年放置されてきた少子高齢化という困難な課題にも、一億総活躍という旗を掲げ果敢に挑戦していきます。
 築城三年、落城一日とも申します。国民の目線を忘れ、挑戦から逃げるような政党に逆戻りすれば、直ちに自民党への国民の信頼は失われるに違いありません。その高い緊張感を持ちながら、私たち自由民主党はこれからも国家国民のため挑戦を続けていく決意であります。
 健康寿命を延ばす取組についてお尋ねがありました。
 健康寿命の延伸を図り、介護が必要となる人を減らすことは、介護離職ゼロの実現に当たっても重要です。日常生活に支障が生じるような身体機能の低下を避けるためにも、常日頃から介護予防の取組が不可欠です。御指摘のロコモ予防についても、普及啓発を図ることにより、介護が必要となる人が減るよう努めてまいります。
 理想の介護や終末期医療の姿についてのお尋ねがありました。
 理想の介護については、介護を受ける人、介護をする人それぞれに異なるものであり、納得し、心安らかに介護を受けられることが何よりも重要であります。人生の最終段階における医療の在り方は、一人一人の国民の生命観や倫理観に関連する大きな問題であり、幅広く国民の間で議論されるべきものと考えています。
 現在、超党派の議連において終末期医療に関する議論がなされているものと承知しており、政府としては、これらの議論や国民の間での議論を踏まえ、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備に努めてまいります。
 若者の人材育成についてお尋ねがありました。
 我が国が成長、発展していく上で、可能性に満ちた若者たちをグローバルな舞台で活躍できる人材へと育てていくことは極めて重要であると考えています。
 来年度予算においては、学生の海外留学への支援、グローバル人材の育成に積極的に取り組む高校、大学への支援、職業の高度な知識、技能を身に付けさせる高校や専修学校などへの支援等を行うこととしております。また、奨学金や授業料免除も拡大することとしています。
 今後とも、全ての若者が持てる能力を生かし、自立、活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 私の答弁姿勢についてお尋ねがありました。
 全ては国家国民のため、互いに寛容の心を持って建設的な議論を行い、結論を出していくことが私たち国会議員に課せられた使命であります。この信念の下、私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に政策協議を行っていく、これは不動の方針であります。
 さきの国会での平和安全法制の審議では、統一会派を結成された日本を元気にする会の皆さんとは、真剣な政策協議を経て、国会承認など民主的統制を強化することで合意し、法案に賛成していただきました。日本を取り巻く厳しい安全保障環境、その危機感を共有し、具体的な対案を提出され、また、その実現を目指して真摯に協議に臨んでいただいたことに心から敬意を表する次第であります。
 是非、この国会でも、それぞれの具体的な政策を国民の前で明らかにしながら、建設的な議論を行わさせていただきたいと考えております。そうした政策議論がややもすると御指摘のように白熱してしまう、荘子の言葉を借りるならば、我いまだ木鶏たり得ずであります。これを望むに木鶏に似たりの境地を目指すのはなかなか簡単なことではありませんが、できる限り精進を重ねてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 寺田典城議員にお答え申し上げます。
 バス・トラック業界で働く方々の安全運行の徹底についてのお尋ねがございました。
 今回の事故でお亡くなりになった方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、けがをされた方々の一日も早い回復をお祈りをいたします。
 今回の事故を発生させましたバス事業者に対しましては、労働基準関係法令違反の疑いが強まったため、所轄の労働局において刑事責任を追及するための捜査を実施をしております。厚生労働省においては、自動車運転者の方の労働条件の確保、改善に向けた監督指導等を実施してきましたが、新規参入事業者への対応などにより一層しっかり取り組む必要があると考えているところでございます。
 今回のバス事故を踏まえ、貸切りバス事業者について全国の労働局で緊急の集中監督を実施しておりまして、労働基準関係法令違反がないか徹底した確認を行ってまいります。
 また、トラック運送業については、国土交通省とも連携をし、トラック運送事業者だけではなく、荷主や経済団体を巻き込んだ協議会を全都道府県に設置しており、荷主と事業者の取引環境と働く方々の労働条件の確保、改善を一体的に進めてまいります。
 厚生労働省としても、バス・トラック業界で働く方々が安全運行を徹底していけるよう取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕
○国務大臣(石井啓一君) バス、トラックの取引環境の改善と業界やドライバーの地位向上に向けた見解についてお尋ねがありました。
 まず、改めて、軽井沢スキーバス事故で亡くなられた方の御冥福を心からお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りをいたします。
 バス、トラックの安全運行の確保に向けては、運送事業者が適正な条件で発注者と取引を行い、ドライバーが安全に運行できる労働環境を確保することが重要と認識をしております。
 貸切りバス事業に関しては、今般の事故を踏まえ、貸切りバス事業者及び旅行業者に対し、安全コストを見込んだ届出運賃の遵守が徹底されているかについて集中的な監査を実施し、三月中に結果を取りまとめて公表することとしております。
 さらに、今月二十二日に設置をいたしました軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において、運賃制度の遵守を始めとして、旅行業者を含めた安全確保のための対策の強化に関して議論していくこととしております。
 また、トラック運送業につきましては、厚生労働省とも連携し、荷主も交えたトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会において、適正運賃収受の実現等に向けた議論を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 寺田典城議員から三問頂戴をいたしました。
 まず、地方分権一括法案についてのお尋ねについてであります。
 地方分権改革につきましては、国が選ぶのではなく地方が選ぶことができる改革を目指し、地域の発意や多様性を重視した提案募集方式を導入しておるところであります。
 今国会に提出を予定しております第六次地方分権一括法案は、長年の課題であるハローワークの地方移管について全国知事会からの要望を踏まえ対応することとしたのを始め、この提案募集方式に基づきまして地域に密着した課題を一つ一つ解消するものであります。こうした取組は、全国知事会からも地方分権改革の力強い前進が図られたことに感謝するとの評価を頂戴したところであり、今後とも一歩一歩着実に地方分権改革を推進してまいります。
 特区制度は、全国規模では困難な規制改革について、民間や地方の提案に応え、地域を限って実現するものであり、大胆な規制改革の進め方として有効なものであると考えております。
 地方分権と自立についてのお尋ねであります。
 平成七年からの第一次地方分権改革では、機関委任事務制度の廃止等により、国と地方との関係は、それまでの上下主従から対等協力の関係に移行をいたしました。平成十八年からの第二次地方分権改革では、五次にわたる地方分権一括法により、地方に対する権限移譲、義務付け・枠付けについて数多くの改革を実現してまいりました。今後とも、地方の発意を重視しながら、地方に対する権限移譲や義務付け・枠付けの見直しを行い、地方の自立を促すための分権改革を着実に進めてまいります。
 地域の課題解決のためには、今後は、行政に加えて、地域住民の皆様方による地域運営組織の果たす役割が大きいと考えております。その形成のための環境整備を進めてまいりたいと考えております。
 重複行政の排除についてであります。
 国と地方が明確な役割分担なく同様の事務を扱ういわゆる二重行政は、行政の責任の所在を不明確にするとともに、事務の非効率化を招くことにつながり、その解消を図ることは極めて重要であります。
 したがいまして、地方分権改革におきましては、住民に身近な行政はできる限り地方団体に委ねることを基本とし、国と地方の役割分担を明確化させることとしております。平成二十七年には、農地転用に係る権限を面積に応じて国と地方が有しておりましたが、それを地方に一元化したところであります。
 現在、国が選ぶのではなく地方が選ぶことができる地方分権改革を推進しておるところであり、国が具体的に目標を設定し、行政コストの削減に取り組むことは、その趣旨に合わないものと考えております。今後とも、いわゆる二重行政の解消も含め、地方分権改革を進めてまいります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(河野太郎君) 重複行政の排除についてのお尋ねがありました。
 国と地方の重複の観点を含め、行政の在り方を不断に見直し、税金の無駄遣いをなくす取組を徹底していくことは重要です。
 国と地方の重複行政に関しては、現在、地方分権改革の中で石破大臣を中心に役割分担の明確化が進められてきているところです。行政改革担当大臣としては、国の個々の行政の仕組みを取り上げて検証し、これらの効果、効率性や透明性の向上を図り、国民の皆様が納めた税金が有効に活用されるようにしてまいりたいと考えております。
 いわゆる二重行政の解消に関しては、国が目標を立てるというよりも、地方の要望を最大限実現するように努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
○片山虎之助君 おおさか維新の会の片山虎之助です。
 私は、我が党を代表して、安倍総理の施政方針演説を始め政府四演説について質問いたします。
 昨年十月三十一日に結党された我が党は、創立者である橋下前代表が大阪府知事、大阪市長として八年にわたり大阪で実現した改革を国全体で実現することを目指しています。党名に冠した平仮名のおおさかは、具体的な地域名ではなく普通名詞であり、地方分権を実現する理念を表しています。
 既に予算委員会の質疑で表明したように、我が党は野党ではあるものの、政策については是々非々主義を貫いてまいります。非とする場合には、できるだけ建設的な対案を提案します。そして、どちらが国民の立場から良いのかを検討し、結論を出します。反対のための反対はいたしません。しかし、与党の補完勢力にもなりません。
 以下、我が党が目指すところを述べつつ、安倍総理に質問をいたします。
 私どもは、憲法を時代に合ったものにすることには賛成です。大きく変動する時代の中で、七十年間何も変えなかったことの方が不自然な感もあります。もとより、改正とはより良く変えることですから、現憲法の良いところ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義等の重要な原則はしっかりと守っていくのは当然です。
 私どもが変えるべきだと考えているのは、まず地方自治の章です。
 私どもは、地方分権改革、統治機構改革を第一に考えている政党だからです。人口減少、少子高齢化、首都圏一極集中、地方衰退という憂うべき現状を変えたい。それには、この国の基本的な仕組みを大きく組み直す必要があります。
 私どもが目指す国の形は、地方分権、地域主権国家、すなわち、基礎自治体を中心に、その上に権限、財源を分散した道州がある二層制です。この理想を実現するためには、地方自治体の憲法上の位置付けや法律と条例の関係、課税自主権等について抜本的に見直す形で憲法改正にまず取り組むべきではないかと考えますが、総理はどのような御認識でしょうか。
 現在、政府は、地方創生と言いつつ、政府の指導の下、総合戦略を地方に作らせ、地方が望む事業に交付金や補助金を配分するやり方は今までと余り変わっていません。また、地方創生と一億総活躍社会との関係もよく分からない。政府は、今後とも今のやり方を続けるお考えか、改めて総理の御答弁を求めます。
 我が党が目指すもう一つは、身を切る改革です。
 大阪府議会で与党となった地域政党大阪維新の会が最初に行ったのは府議会の定数削減で、当時の定数百九を八十八にいたしました。まさに、捨て身で身を切る改革です。これで住民からの信頼を得た結果、公務員改革や外郭団体の改革等、困難な改革も可能になりました。政府も同じことを行って国民の信頼を獲得し、その上で我が国のために必要な改革を断行すべきです。
 衆議院議員の定数については、先般、衆議院選挙制度調査会が定数十減を答申しました。大阪府の議会改革に比べれば物足りない内容ですが、衆議院議院運営委員会での議決で設置された調査会の答申は最大限尊重されるべきでしょう。
 また、安倍総理、官邸主導でこの答申で示された定数十減を実現する意思はおありですか。また、参議院議員の定数については、昨年七月に十増十減の改正公選法が成立しました。定数も減らず、一票の格差も三倍近いという不十分なものですが、成立までにはいろいろとありました。今後、更なる定数削減に踏み込むおつもりはおありですか。
 新年度予算案は、三年連続で公務員人件費を上げていますが、私どもはこれには反対です。財政再建には増税よりも身を切る改革が何よりも必須だと思うからです。
 公務員人件費については、私どもは一貫して大幅な削減、例えば国と地方合わせての二割カットを掲げてきました。そのためには、人事院勧告制度での官民給与比較の抜本的な見直しを行うとともに、国の地方出先機関の廃止、縮小を断行すべきです。地方出先機関にはおよそ二十万人の国家公務員が働いています。地方出先機関は国会対応もなく、チェック機能も働かない、したがって国の固有事務に係る地方出先機関以外は全廃すべきと私は考えます。
 総理にお伺いします。公務員人件費を今申し上げた身を切る改革で大幅削減すべきではありませんか。
 また、現在検討されている国の機関の地方移転はどのようにお進めになるおつもりですか。格好だけならむしろ弊害の方が大きい。しかし、これすらできないで、企業の地方移転などできるわけがない。総理の御答弁を求めます。
 また、政府資産の有効活用と国民への還元も大胆に行うべきです。
 甘利大臣の口利き疑惑の本質には、実態は不動産会社と変わらないのに、いまだに民営化もされず、住宅市場で民業を圧迫しているURの存在があります。独立行政法人には国の関与が強く残っているため、国会議員が役所を通じて口出しをする余地が生ずる点が問題なのです。こうした独立行政法人を含む政府関係法人の廃止、民営化によって、経済を活性化させ、役人の天下り先を減らすべきではないでしょうか。総理、いかがお考えですか。
 政府は、二十二日、赤字国債の発行に必要な特例公債法の改正案を国会に提出しました。これで、今後五年間、自動的に赤字国債が発行できるようになります。財政規律上も財政の民主的コントロールの上でも大問題だと私どもは考えますが、総理の御認識を伺います。
 政府は、来年四月の消費税増税を予定どおり行うと言い続けています。しかし、私どもは、増税の前に身を切る改革を行い、景気回復の見通しを立て、軽減税率の財源のめどを付けるべきだと考えます。それがない限り再引上げは見送るべきです。御所見を伺いたい。それでも引き上げるなら、国民に信を問う必要はありませんか。総理の答弁を求めます。
 軽減税率については、ヨーロッパのように一〇から一五%以上の差が付くならばともかく、二%の軽減です。むしろ、この制度の導入で、消費税率が一五%、二〇%と上がっていくことにブレーキが掛からなくなることを恐れます。総理、この点はいかがでしょうか。
 身を切る改革でつくった財源で私どもが実現したいのは教育の無償化です。そのためなら憲法を改正してもよいと考えています。
 大阪市で橋下前代表がやったようなバウチャー制度を含む徹底した教育費の負担軽減を更に進め、それを全国に徹底して無償化を実現する。私の試算では、五兆円の財源があれば大学までの教育の無償化が実現できます。バウチャー制度で税金を学校法人ではなく保護者や生徒に配ることにより、学校間の競争、切磋琢磨を促し、より良質な学校や教員が選ばれるシステムにしていくべきです。
 安倍総理に再度確認します。
 将来の消費税増税を前提に、地方創生、一億総活躍の名で細々と地方に補助金を配る政策よりは、国会・公務員制度改革や政府関係法人改革を断行、それで生まれた財源で教育の完全無償化を実現した方がはるかに我が国は生き生きとよみがえるのではないでしょうか。私は、少子化対策としても極めて有効だと信じております。
 結びに、我が党が、身を切る改革を率先し、本気で統治機構の改革を進め、真の地方分権国家実現に今後とも最大限の努力をすることを国民の皆様にお誓い申し上げ、代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 地方自治に関する憲法の改正についてお尋ねがありました。
 御党が国と地方の役割の在り方や地方分権の問題に真摯に取り組まれていることに敬意を表します。
 他方で、御提案を憲法にどのように位置付けるかについては、統治機構の根幹に関わる非常に大きな問題であり、今後、御党を始め各党各会派で広く御議論をいただいた上、国民的な議論と理解を深めていくことが必要であると考えています。
 地方創生の政策、一億総活躍社会の関係についてお尋ねがありました。
 今般の地方創生は、まさしく地方が消滅していくという危機感の下、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指す取組です。その進め方も、従来とは異なり、地方自らが主体性を発揮し、地方版総合戦略を策定し、具体的な数値目標やPDCAサイクルを組み込んでいます。そうした地方の主体的取組を自由度の高い新型交付金や企業版のふるさと納税制度などによって支援していきます。
 少子高齢化やそれに伴う過疎化等の問題は地方において深刻さを増しており、一億総活躍社会と地方創生には重なり合うものがあります。それぞれが役割を果たすことで相乗効果が生まれると期待しております。
 衆議院及び参議院の定数削減についてお尋ねがありました。
 先日、衆議院選挙制度に関する調査会の答申が取りまとめられ、大島衆議院議長から、各党の御理解を得て、この国会において結論を得るべく最大限努力するとの意向が示されたところです。
 我が党はもとより、各党各会派がこの答申を尊重し、選挙制度改革の実現に向けて真摯に議論を行い、早期に結論を得ることによって国民の負託にしっかり応えていくべきと考えています。
 参議院については、平成十二年に定数が十削減され、現行の定数二百四十二となったところであり、更なる定数削減の要否については、各党各会派で十分に議論する必要があると考えています。
 公務員人件費の削減及び国の機関の地方移転についてお尋ねがありました。
 国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢の下で決定されており、官民給与比較の手法については、第三者機関としての人事院において専門的見地から判断されるものであると考えております。こうした中にあっても、厳しい財政事情を踏まえ、国家公務員の総人件費に関する基本方針に沿って、給与制度の総合的見直しの実施や定員合理化等を行うことなどにより、人件費の抑制を図っています。
 国の出先機関改革については、国の組織の在り方や国と地方の役割分担にも関わる大きな課題であることから、行政改革の視点も含めて総合的に議論し、丁寧に意見集約を図っていかなければならないと考えています。
 政府関係機関の地方移転については、地方の自主的な創意工夫を前提に、仕事と人の好循環を促進することを目的として行うもので、地方創生に資するものであると考えております。国と地方の双方にとって有意義な移転の在り方について、しっかりと検討してまいります。
 政府関係法人の廃止、民営化についてお尋ねがありました。
 御指摘の政府関係法人のうち特殊法人については、平成十三年の特殊法人等整理合理化計画において、事業の意義が著しく低下しているものは原則として廃止、民営化が可能な法人は原則として民営化、それ以外の法人は原則として独立行政法人化するとの方針の下で改革が行われ、当時七十七あった法人は現在三十三法人となっております。
 また、独立行政法人については、民でできることは民でという原則にのっとり、廃止、民営化を含む組織の見直しを行い、平成二十五年十二月には百あった法人を平成二十九年四月までに八十七へと整理することとしております。
 行政改革は不断の見直しが必要です。御党とも精力的に議論しながら、改革を前に進めてまいりたいと考えています。
 特例公債法の改正案についてお尋ねがありました。
 今回の法案は、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標に向けて財政健全化に取り組んでいくことを踏まえ、二〇二〇年度までの特例公債の発行の根拠規定を盛り込んでいます。
 財政規律についての御指摘がありましたが、安倍内閣では、特例公債の発行を複数年度化した現行の特例公債法の下、これまで財政健全化を着実に進めてまいりました。今後とも二〇二〇年度の目標に向けて財政健全化に取り組んでいく方針であり、御指摘は当たりません。
 また、今回の法案では、現行法と同様、各年度の特例公債の発行限度額について毎年度の予算により国会の議決を経ることとしており、財政運営に対する民主的コントロールが及ぶものと考えています。
 消費税率引上げと軽減税率についてお尋ねがありました。
 御党の主張する身を切る改革に対する取組については、先ほど申し上げたとおりであり、しっかりと対応してまいります。
 一昨年の総選挙において、来年四月の消費税率一〇%への引上げについては、景気判断を行わずに確実に実施することを国民の皆様にお約束したところであり、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。経済の好循環を力強く回すことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 また、軽減税率制度については、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の消費税の負担を直接軽減することにより、消費者の方々に買物の都度、痛税感の緩和を実感していただけるとともに、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるといった利点があることから導入することとしたものであり、更なる消費税率の引上げにつながるとの御指摘は当たりません。
 必要な財源については、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえ、今後、政府・与党でしっかりと検討を進めてまいります。
 教育の無償化についてお尋ねがありました。
 一億総活躍の最も根源的な課題は人口減少問題に立ち向かうことであり、希望出生率一・八の実現のためにも、教育費負担軽減を進めていくことは重要であると考えております。
 御指摘の教育分野におけるバウチャー制度については、子供や保護者の選択肢の拡大、低所得者世帯の学習機会の充実といった観点から、傾聴に値する御意見だと考えております。
 政府としては、来年度予算において、幼児教育無償化の段階的推進、奨学金、授業料免除の拡大などを盛り込んでおります。今後とも、教育費負担の軽減に努めてまいります。
 なお、憲法改正には国民の理解が必要不可欠であり、具体的な改正の内容についても、国会や国民的な議論の深まりの中でおのずと定まってくるものと考えております。(拍手)
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) この際、お諮りいたします。
 佐藤正久君及び金子洋一君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、若林健太君及び川田龍平君から同予備員を、福岡資麿君及び松下新平君から裁判官訴追委員を、東徹君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員各二名、
 裁判官訴追委員二名、同予備員一名、またあわせて
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 日本ユネスコ国内委員会委員各一名、
 国土審議会委員二名、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員一名の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
    ─────────────

     ─────・─────
○議長(山崎正昭君) 日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長前田武志君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔前田武志君登壇、拍手〕
○前田武志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国政選挙の選挙権を有しているにもかかわらず選挙人名簿に登録されないために国政選挙の投票をすることができない者が、投票をすることができるようにするために、選挙人名簿の登録制度を改める等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長山本公一君から趣旨説明を聴取した後、本改正に係る周知活動及び不在者投票制度の改善に向けた取組、十八歳になる者が外国に転居した場合の選挙人名簿に係る取扱い等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十四  
  賛成           二百二十四  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十一分散会