第190回国会 法務委員会 第6号
平成二十八年四月五日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     田中  茂君     末松 信介君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     末松 信介君     田中  茂君
     大門実紀史君     仁比 聡平君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     櫻井  充君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     江田 五月君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                西田 昌司君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                矢倉 克夫君
    委 員
                猪口 邦子君
                田中  茂君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                加藤 敏幸君
                真山 勇一君
                仁比 聡平君
   国務大臣
       法務大臣     岩城 光英君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    河野 太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       総括審議官    村田  隆君
       警察庁長官官房
       審議官      斉藤  実君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       文部科学大臣官
       房審議官     浅田 和伸君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の
 推進に関する法律案(第百八十九回国会小川敏
 夫君外六名発議)(継続案件)
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○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十四日、大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。
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○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省人権擁護局長岡村和美さん外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(魚住裕一郎君) 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 今日は、先日、我が委員会で川崎の桜本地区に、このヘイトスピーチの実態について地域の方々のお話を聞き、それを受けての対政府質問ということになったわけでございます。
 そこで、まず冒頭、今回、桜本地区に行きましたのも、先日、有田筆頭理事の方からも御指摘ありましたけれども、過日、この川崎でいわゆるヘイトスピーチが行われたと。その現場において、ヘイトスピーチをしている側の人間が、それについて抗議をしていた市民に対してですね、暴力事件が起きたという事件があったわけでございます。
 その際、その容疑者は一応逮捕されたようでありますけれども、過日の話を聞いておりますと、要するに、そういう事件が起きていたにもかかわらず、現場の警察官が全くその事件を制止したり止めるというような様子じゃなかったというふうに私たちも認識しているわけなんですね。ですから、やっぱりここはまずヘイトスピーチ云々以前に、こういう暴力事件が警察の目の前で起こってそれを抑止できなかったということは、やっぱりこれ警察としてかなり問題があったのではないかと思っております。
 それについて、まず警察庁の方から説明とその事件の経緯も含めてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(斉藤実君) お答えをいたします。
 お尋ねの三月二十日、JR川崎駅前において政治団体の街宣中に発生した傷害事件でございますが、本件は、過日、被疑者四名を逮捕し、現在も引き続き捜査中でございます。その状況も踏まえまして改めて御説明を申し上げたいと思います。
 三月の二十日、当日でございます、事件の発生前、JR川崎駅前において、政治団体が道路上に街宣車を止めて街宣活動を行っていたところでございます。当時、この街宣車の周辺の歩道上には、当該団体の関係者や本件被疑者四名のほか街宣活動に抗議をする方が多数おられまして、両者が対峙をしていたために多数の警察官がその衝突を防ぐための警備に当たっていたところでございます。また同時に、道路の反対側の歩道上にも同様に街宣活動に抗議をされる方がおられたため、所要の警察官でその警備にも当たっていたところでございます。
 こうした中、街宣車の周辺にいた本件被疑者を含む十数名が突然幅員二十数メートルの道路を走って横断をいたしまして反対側の歩道上に向かってきたことから、その反対側の歩道上におりました警察官が衝突を防止しようとしたわけでありますが、一部が歩道上で抗議をされていた方ともみ合いになり、現場が大変な混乱状態となる中で本件が発生をしたものでございます。その場にいた警察官の数が必ずしも十分ではなかったことから本件犯行の発生を防ぐことができず、また、具体的な状況を直ちに特定をして逮捕するには至らなかったものでございます。
 被害の発生場所では、警察官が警告や制止等の措置を講じながら現場の混乱を鎮静化しようとしたものでございますが、結果として傷害事件の発生を防げなかった、あるいは被疑者をその場で逮捕できなかったことは課題としてしっかり受け止めなければならないと考えておりまして、同様の事態に適切に対応できるよう、警察官の配置、運用について検討、指導してまいりたいと考えております。
○西田昌司君 ということは、警察の方に人員の配置が少なかった等、こういう事態を想定しての状況じゃなかったということで、手落ちを認められているということですね、そうすると。
○政府参考人(斉藤実君) お答え申し上げます。
 街宣車の周辺で抗議活動をされる方とこの団体の関係者が対峙をしておったということで、そこにかなりの数を割いておりまして、反対側の歩道上の警備が十分ではなかったということは、私ども、まさにそのとおり、課題であると認識をいたしております。
○西田昌司君 私も、これはユーチューブでそのときの状況がアップされておりますので何度も見させていただきましたけれども、数が少ないというよりも、私は警察官自体は反対側にも結構おられたように思うんですよね。
 ところが、不思議に思うのは、要するにそこに殴りかかりに行く人が道路をわざわざ渡って行っているわけですよね。もうその時点から異常事態発生ですよ。異常事態発生しているのに、そちら、反対側にいる警察官が全くそのことに対して注意をしないばかりか、殴られている人が隣にいるのにそのまま反対側の道路側にいた聴衆側の方に顔を向けているだけで、事件が起こっている方を見ていないわけですよね。私は、警察官の配備とかいう以前に、警察官に現場でどういう大体訓練、指導を今までされてきているのかというのに非常に問題があると思うんですね。
 河野国家公安委員長も、この事件、ユーチューブで御覧になっていると思うんですけれども、あの現場の様子を見ると、ちょっとやっぱり今の配備がどうのこうのというような次元ではないのではないかという気もするんですけれども、何かこの事件、ユーチューブもし見られておられて、また事件のそういうことを知っておられて御感想あれば、是非御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 今警察庁からも答弁ありましたように、今回の事案に関しましては、警察の対応が十分ではなかった、課題を残したということは素直に認めなければならぬと思いますし、おわび申し上げなければいかぬと思います。
 ヘイトスピーチを繰り返すデモそのものを今の法令では禁止することができませんので、このようなデモが行われた場合には、デモの参加者及びその周辺にいる方々の安全の確保のために、警察としてはこれからも万全を期さなければならぬというふうに思っております。
 態勢その他につきましてはしっかりと検討をすると同時に、ヘイトスピーチに当たりましてはあらゆる法令の適用を視野に入れて厳正に対処するよう警察を指導してまいりたいと思います。
○西田昌司君 是非あらゆる法令を駆使してこのヘイトスピーチ、またヘイトスピーチ以前にこういう傷害事件が起きるというのは、警察官の前でですね、全く絶対にあってはならないことでありますから、是非そこはお願いしたいと思っております。
 さて、そんな中で、今、河野委員長もおっしゃいましたように、今のこの法律の体制の中ではなかなかヘイトスピーチそのものを直接的に禁止するという法律がないということで、この問題に手を焼いているわけであります。
 そこで、今回も、民進というか民主党から出たんですよね、今民進党でありますけれども、野党側の方からこれについての人種差別撤廃法というようなものが出されているわけなんですけれども、先日、参考人の質疑を行いまして、その中でも明らかになったんですが、やっぱりそういうヘイトスピーチを認める人は恐らく誰もこの日本の中でおられないと思うんですよね、まともな方であるならば。ところが、実際にそれを取り締まるということになると、表現の自由なり憲法上保障されている一番大事な基本的人権に関わる部分との関係で難しいという参考人の意見もあったわけでございますけれども。
 法務大臣、率直にお聞きしますが、このヘイトスピーチを抑えるためには今の法体系だけではやっぱり難しいのかなと思うんですよね。しかし、今言ったような問題もあると。この辺の、法律上どういう形にしていけばヘイトスピーチは抑えられるのか、また、抑えられるには限界があるのかも含め、法務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(岩城光英君) ヘイトスピーチを本当に抑え込むためには、ヘイトスピーチは決して許されないという、国民の間に広く深く浸透させることが、これは遠回りでありましても最も必要な基本的なことだと、そのように考えております。社会全体の人権意識を高め、そのような言動が許されないという認識が広く行き渡ることでヘイトスピーチの影響力が失われるとともに、そうした言動を行おうとする者が新たに生まれてくることを封じることにつながるものと考えております。
 そして、そのためには粘り強い、地道でありますけれども粘り強い啓発が必要であると考えております。また、あらゆる機会、あらゆる場面で、政府としてヘイトスピーチは許されないことであるという態度を鮮明にすることが必要であると考えております。
 そこで、法務省の人権擁護機関では、ヘイトスピーチを許さないということを明確に打ち出してポスター等で啓発活動を実施するとともに、人権相談等を通じまして人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として立件した上、事案に応じた適切な措置を講じるよう努めているところでございます。
○西田昌司君 それで、もう一つちょっとお聞きしたいのは、要するに今回の野党提案の場合は禁止規定を設けておられると思うんですけれども、実は大阪市で条例が作られまして、ヘイト禁止条例といいましょうかね、この勉強会にも我々、有田筆頭と参加させていただいたんですけれども、大阪でもヘイトスピーチが結構あったりしたものですから、時の大阪市長の橋下さんがこの条例を作ろうということになったんですね。
 ところが、そのときに、この方はやっぱり弁護士さんですから、弁護士としてやっぱり憲法との兼ね合いの部分を一番気にされておられて、要するにヘイトスピーチを禁止しようと、したいわけですね、結果的にはやめさせたいんですけれども、それを法律上書いていくと、これがまた基本的人権、表現の自由、様々なそういう根幹に関わるところの制限になってくるとこれは難しいんではないかと。
 ということは、それについてはある種、行政側がそれぞれ対応するんですけれども、それについて、結局は止めた場合でも、ヘイトかどうかというのは行政が決めるんじゃなくて、認定するんじゃなくて、それについては司法の場で訴訟されて、これがヘイトスピーチであったかどうかと、こういうことは許されないというので、表現の自由を超える侮辱をしたり様々な名誉毀損をしたりという形での解決しか仕方ないんではないかという発言があったわけですね、橋下さんからの。
 それを受けて、訴訟を、じゃ、しやすくしてあげようじゃないかというような思いで初め始まったようでありますけれども、現実はそういう形の法律にはなっていません。なっていませんが、法律家として橋下市長もそういう認識でおられたということは、私もある種炯眼であるなと思っているわけなんです。
 そこで、一般論として法務大臣にお聞きしますが、今言いましたように、我々も何とかこのヘイトスピーチをやめさせるということは一番の目的なんでありますけれども、そういう直接的に禁止しちゃうと、今言ったような憲法上の問題があります。その辺の兼ね合いを、法務大臣として、一般論で結構ですから、禁止規定を設けた場合にどういう問題になると考えておられるか、お聞かせいただければと思います。
○国務大臣(岩城光英君) あくまで一般論でということでありますので申し上げさせていただきますが、個人や団体の言動を対象として取り上げる法律を制定しようとする場合には、委員から御指摘がありましたとおり、日本国憲法が保障する表現の自由との関係が問題になり得ると考えられます。さらに、個人や団体の言動を対象として新たに法律で何らかの規制を行おうとする場合には、規制すべき範囲はどこまでか、規制すべきではない言論まで萎縮させることとならないかなど、表現の自由との関係で慎重な検討を要するものと、そのように考えております。
○西田昌司君 そうなんですね。
 そうすると、もしも禁止規定というものを作ろうと思うとかなり限定的な言葉、これがヘイトだという範囲を小さくしなくちゃならないという問題が出てくるんですよね。そうしちゃうと、逆に言うと、これも一般論なんですけれども、そういうふうにしちゃうと、この部分はヘイトで、やったら駄目だと。これはとんでもないひどい言葉だと思いますよ、もうあえてこの場では言いませんけれども、聞くのも耳がもうはばかれるような、そういう言葉になると。ところが、それを超えたところのことは結構罵詈雑言であってもヘイトに掛からないということになっちゃうと、変な禁止規定を作っちゃうと、逆に、この部分は言ったら駄目だけれどもその周辺部分は言ってもおとがめなしなんだという、何か変なお墨付きを与えるようなことになりかねないんじゃないかなという私は思いがあるんですけれども、この辺は法律的にどうなんでしょう、事務方の方でいいですから、その辺の見解をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(岡村和美君) 御指摘の問題は確かにあると思っております。引き続き慎重にその辺りは勉強を続けてまいりたいと思っております。
○西田昌司君 そういうふうに、この禁止規定を設けるというのは、要するに目的、そういうヘイトを何とかして止めたいというのはみんな同じですから非常に大事な規定ではあるんですけれども、実際にはなかなか、やっちゃうと逆に周辺のところでたくさんの漏れる部分が出てきて、逆にある種、ヘイト周辺問題がますます起きてくるということになっちゃうんですよね。
 さあ、そこで私が思っておりますのは、先日、桜本地区に行きましたときも一つなるほどと思っていたのは、そこで在日一世の方、二世、三世の方もおられました、お話聞いておりました。そうすると、一世の方なんかは、自分たちが日本に来たときは随分差別的な言葉を言われたりしたものだと、しかし今、平成のこの二十、今年八年ですか、なってきまして、そういうのはもうほとんどないと思っていたのに、この平成の時代になってまた出てきたというのは非常に心を痛めておられるわけですよね。しかし、逆に言うと、昭和の、戦後のそういう時期に非常に口汚くそういうことを言っていた人たちが少なくなったのも事実なんですよね。
 それは何かというと、やっぱりいろんな人権教育ですね。そして、その中の日本人のモラル意識と申しましょうか、そういう気持ちが、そういうことを言うのは恥ずかしいことじゃないかという思いがやっぱりあったからこそ、そういうヘイトは、ヘイトといいましょうか差別的な言動というのは少なくなってきていたんだと思うんです。そういう意味で、教育、啓発というのはなかなか大事なことだと思います。
 ですから、我々も今、与党の中で公明党さんとも一緒になってヘイトのための法律を作っているんですけれども、やっぱりそこのところの部分も大事だと思うし、法務省自身もヘイトは駄目だということをしっかり言われて啓発活動をされている、ここは意味があると思うんですけれども、法務大臣、先ほどおっしゃいましたように、やっぱり教育、啓発、それから、いろんなことがあったときに相談ですよね、自分たちが独りぼっちじゃなくて、ちゃんと行政が耳を傾けてもらっている、そこから次の行動を、ヘイトを止める行動に出られる、何かそういうやっぱり仕組みというのが大事だと思うんですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(岩城光英君) 先ほども申し上げましたとおり、地道ではありますけれども継続的なしっかりとした啓発活動、それにこれまで以上に取り組んでいかなければいけないと考えておりますし、また、教育のことについても西田委員お触れになられましたが、この件につきましては文科省とも連携を取りながら法務省としてもできる限りの対応を取っていきたいと、そのように考えております。
○西田昌司君 それで、いずれにしましても、我々与党側から、そういういろんな憲法上の規定にも当たらない、触らないように、かつ実質的にヘイトを防止できる仕組みの法律を提案させていただきたいと思っておりますが、これはそれだけでは実はなかなか難しいところもあるんですね。
 そこで、最後にもう一度、国家公安委員長の河野大臣にお聞きするんですけれども、結局これは、日本人としてやっぱりこういう人前でそういうヘイト、人種差別をあおるようなことを言うのは非常に恥ずかしいことであるというまず認識を我々が持って、そして、何を言おうが自由だというこの表現の自由はもちろんあるでしょうけれども、しかし、人前で言うことは罪になるとかいう以前に恥ずかしいんですよね。そういうことやっちゃいけないことなんですよ。そういうことをしっかりやっぱり法律上我々は示していかなきゃならないと思いますが、同時に、これを実際に取り締まったりなんかするのはこのヘイト法だけじゃなくて、例えば騒音防止条例なり、それから口汚く罵詈雑言、そしてそれが脅しになったり、生命、財産に危害が与えられるような、そういうことが公然と言われていれば、それはまた別の法律で捕まえられますよね。そこを警察がやっぱりきちんとしなくちゃいけないと思うんですよ。
 私は京都なんですね、地元で。京都でも、このヘイトのもとになった朝鮮学校でのヘイト事件がありました。これ、もう本当に見ていましたら物すごいことをやっていましたよね、ヘイトをやっている側が、ユーチューブにもまだ残っていますから。本当、私も心痛めたわけですが、しかし、ここは警察が逮捕したり、そしてそれが裁判になって有罪になっているわけなんですよね。やっぱりそういった既存法の中でも警察がちゃんと対応していく、こういう姿勢が一番大事だと思うんです。
 先ほどの川崎の駅前のヘイトもそうなんですよね。あれはヘイトの取締りじゃなくて、混乱起こらないようにというので警察官おられたんですけれども、実際にそのヘイトしている側が傷害事件を起こすというとんでもない事件、抑止できなかったわけですけれども。容疑者は逮捕されたけれども、要は警察の、いろんな法令を使ってそういうことを未然に防いでいくということもやっぱり大事な姿勢だと思うんですが、その辺について河野委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 川崎の事案では傷害罪を適用させていただきましたし、先生おっしゃった京都では名誉毀損並びに威力業務妨害という罪を適用いたしました。そのほかにも、公務執行妨害、器物損壊、暴行、強要、様々な法令を適用できるわけでございますから、こうしたヘイトスピーチを伴うデモについては、あらゆる法令の適用をしっかり視野に入れて厳正に対処するように警察を指導してまいります。
○西田昌司君 是非そうお願いしたいんですが、私、最後に申し上げておきたいのは、何度も言いますけれども、やっぱり戦後日本の中でこういうヘイト事案が出てきたというのは本当に非常に残念に私は思っています。まともな日本人なら、ああいうことは絶対にあり得ない行為だと思うんですね。しかし、それをやっているんですよ、公然と。しかも、今からやりますよ、今から私は差別しますよとか、それから、わざわざそういう地区に行ってやっている。
 しかし、これは一つ、そう言いながら、安心というか、思ったのは、地区の方々がやっているんじゃないんですね。例えば、川崎の桜本地区の方々が自分たちの一緒に住んでいる方々を、在日の方々に差別発言をして出ていけとか言っているわけじゃなくて、地区の中では非常に融和されて皆さん仲よくされているわけなんですよ。ところが、あれ、やってくるのは全く関係ない人間が、どこから来るのか分からないけれども、全国から集まってくるのか、何かそういう攻撃的な発言をしにやってくるんですね。
 ということは、一つ、地区の中ではかなり平穏な生活を皆さん送っていただいていると思うんです。それはやっぱり行政も努力されてきただろうし、何よりも地区の住民の方々の信頼関係が長い間築かれてきた。大事なことですよね。しかし、もう片っ方でそういう暴力的な言動をする人間がいるのも事実なんですね。しかし、それがいわゆる表現の自由なんていうことを隠れみのにして結局はしたい放題しているというのは、やっぱりこれかなりおかしいですよね。
 ですから、私は、我々与党側も法案を出していきますけれども、最後は表現の自由の壁とかにぶつかってくるんですよ。しかし、これは先ほど言いましたいろんな法令を使って、警察がまず取り締まる側としてそれを許さないという姿勢を示していくと。彼らはそれに対して多分挑戦してくると思いますよ、こういう法令を作ろうが何しようが、それならここまでやってやろうと。だから、それは、我々も法令作りますけれども、行政側として、特に警察側として、絶対にヘイトというようなものは許さないという、やっぱりそういう強い姿勢が必要だと思います。
 最後にもう一度、その辺のところの覚悟と決意を国家公安委員長に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) 度々申し上げましたが、あらゆる法を駆使してしっかりと厳正に対処してまいります。
○西田昌司君 終わります。
○有田芳生君 民進党と初めて名のりました、有田芳生です。
 今日は、人種差別撤廃条約を日本に具体化して、そしてあらゆる差別をなくしていくために質問をいたします。
 最初に、河野国家公安委員長が先ほど京都朝鮮学校襲撃事件について触れておられましたけれども、あの事件のときも現場に警察官はいたんです。器物損壊をやっているのを目の前にしながら警察官は見ているだけだった、そのことをまず指摘しておきたいことと、それから、西田委員から川崎の事件に触れられましたけれども、先ほど警察庁の方は、現場で混乱が起きていて、警察官が少なかったからその場で殴った人物を特定できずに逮捕できなかったとおっしゃいましたけれども、これも事実ではありません。道路を渡って十数名の人物たちがヘイトスピーチに抗議をしている人たちのところに来たときには、そこは混乱など起きておりません。全く混乱が起きていないところで暴行事件が起きて、すぐその横に警察官がいた、何にもしなかった、その後混乱が起きたから大騒ぎになったというのが事実でありまして、殴られたときには混乱は起きておりません。そのことをまず事実として指摘をしておきたいと思います。
 私は、三月十日の法務委員会で、全国部落調査という本が出版されることを質問いたしました。ヘイトスピーチ問題について質問する前に人権擁護局長にお聞きをしますけれども、全国部落調査という、二十一世紀になっても差別、その流布を行い、これをやっている人物は同和問題のタブーをおちょくる、そのような姿勢で本を出版しようとした、この件についてはその後どうなりましたでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 本年二月、インターネット通販サイトにおいて、全国部落調査復刻版と題する書籍を本年四月一日から販売するとして予約の受付が開始されましたが、その後、予約受付は停止され、そのまま中止されるに至ったと承知しております。
○有田芳生君 その後どうなりましたか。ネット上で販売されたんじゃないですか。
○政府参考人(岡村和美君) 本年三月二十九日、インターネットのオークションサイトに部落解放同盟らの出版禁止等仮処分申立書一式が出品され、同年四月一日、落札されたところ、それらの申立書一式の中に全国部落調査の写しが含まれていたと承知しております。
○有田芳生君 その後もあるでしょう。
○政府参考人(岡村和美君) 全国部落調査と題する書籍について部落解放同盟らが出版禁止等仮処分命令を申し立て、本年三月二十八日、横浜地方裁判所がその仮処分を認める決定をしたと承知いたしております。
○有田芳生君 それは出版についての仮処分申請が行われて認められたということなんですが、ネット上では今お話しになったようにヤフーオークションで落札されて、さらに新たに販売されようとしていませんか。
○政府参考人(岡村和美君) そのとおりの事態が生じていると認識いたしております。
○有田芳生君 同和問題をおちょくると言って、就職差別、結婚差別をこの二十一世紀になってもまき散らそうとする人物がいる。三月十日の法務委員会でも質問しましたけれども、ネット上では数年前からそういう差別広げるための行為が行われている。だけれども、人権擁護局もかつてそれを防止するために動かれたじゃないですか。何で数年間、ネット上でいまだそういう差別の流布が、人間を苦しめる、人間の尊厳を否定する行為が行われていることをどうして止められないんでしょうか。
○政府参考人(岡村和美君) 委員御指摘の事態と思われる特定地域の地名等を同和地区であるとしてインターネット上に掲載している事案については、東京法務局において人権侵犯事件として立件して調査を行い、本年三月二十九日、その者に対し、私どもの言う説示という今後の中止を求める措置を講じました。
○有田芳生君 要するに、同和問題をおちょくるなどと言ってそういう行為をずっとやっている人物たち、現状では止めることができないんですよ。だからこそもっと的確な対応を取らなければいけないんですが、法務大臣、そういう全国部落調査という、戦前からそして戦後、一九七〇年代も含めて、そういった差別を助長する、人間の尊厳、平等を否定する行為が行われていることに対して、これ差別ですよね、いかがですか。
○国務大臣(岩城光英君) 委員から御指摘ありましたとおり、不当な差別的取扱い、これを助長、誘発する目的で特定の地域を同和地区であるとする情報がインターネット上に掲載されるなどしていることは人権擁護上看過できない問題でありまして、あってはならないことであると、そのように考えております。
 法務省の人権擁護機関では、関係行政機関からの情報提供等を通じましてこうした事案を認知した場合は、当該情報の削除をプロバイダー等に要請するなどの対応に努めております。これからも引き続きこのような対応に努めますとともに、同和問題に関する偏見や差別をなくすための啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。
○有田芳生君 そうはおっしゃっても、今この時間にもネット上ではそういう差別、流布目的として、おちょくるというようなふざけた差別が行われている。こういう新しい課題にも、与党の法案の中でもネット上の問題なんかもやはり取り上げていかなければいけないというふうに考えております。
 そこで、次に法務大臣にお聞きしたいんですが、先ほどからヘイトスピーチという言葉を何度も答弁で使われておられましたけれども、ヘイトスピーチって何ですか。
○国務大臣(岩城光英君) いわゆるヘイトスピーチの概念ですが、これは必ずしも確立されたものではありませんが、法務省の人権擁護機関におきましては、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動を念頭に置いて、これらが許されないものであるとする、そういった啓発活動を行っております。
○有田芳生君 ヘイトスピーチについては、二〇〇九年から二〇一〇年、京都朝鮮第一初級学校襲撃事件、その京都地裁判決、大阪高裁判決、そして最高裁でも確定をしましたけれども、あそこで差別の扇動をやった人物たちが語っていた言葉、典型的には出ていけというようなことについて、最高裁の判決の中では、人種差別撤廃条約第一条一項に基づいて差別なんだと、そういうことを明確に語っており、さらには、その言動については表現の自由によって保護されるべき範囲を超えていることも明らかであると、そういう明確な判断が下されているんですよね。
 そこで、河野太郎国家公安委員長にお聞きをしますけれども、川崎のデモでもそうでしたけれども、三月二十七日、東京の新宿で行われたデモ、そこでも京都朝鮮学校襲撃事件のときに使われていた言葉が何度も何度もデモ隊から口にされておりましたけれども、個別具体的、三月二十七日のデモについて、まず警察庁から、どういうことがあったのか御説明ください。
○政府参考人(斉藤実君) お答えをいたします。
 三月二十七日、新宿におきまして、柏木公園を出発地とし、小滝橋通りから職安通りを進み、新宿遊歩道を解散地とするいわゆる右派系市民グループによるデモが行われたものと承知をいたしております。
 また、そのデモに抗議をする人たちが小滝橋通りで一回、職安通りで三回の計四回、デモ隊の進路となる道路上に寝そべり、座り、立ち止まるといった行為を行っていたものと承知をいたしております。
○有田芳生君 国家公安委員長にお聞きしますけれども、そのデモにおいては、京都朝鮮学校襲撃事件のときに口から出たヘイトスピーチが行われていたんですが、この三月二十七日の新宿で行われたデモは差別のデモでしょうか。どう判断されますか。
○国務大臣(河野太郎君) 御指摘のような三月二十七日のようなデモは、人々に嫌悪感を催させ、あるいは差別的感情を発生させる極めてゆゆしきデモであったというふうに思っております。
 特定の民族や国籍の人々を排除するような差別的発言あるいは人種差別というものがあるのは極めて許し難いことであり、やはり一人一人の人権がきちんと尊重される、そういう社会をつくるべく我々は目指していかなければならないというふうに思っております。
 国家公安委員長として、このようなデモが行われたときには、先ほどから繰り返し申し上げておりますが、あらゆる法令の適用を視野に入れて厳正に対処していくよう警察を指導してまいりたいと思います。
○有田芳生君 あのデモは差別デモですか。
○国務大臣(河野太郎君) 差別意識を生じさせるような言動のあったデモだと思います。
○有田芳生君 そこで、もう少し踏み込んで、川崎での事件に続いて三月二十七日に東京大久保職安通りを通過したデモについて、河野国家公安委員長は西田議員の答弁の中で、川崎のケースを例に、抗議する人たちの安全の確保を図らなければいけなかったというふうにおっしゃいました。
 警察庁、この三月二十七日の大久保職安通りを通ったデモについては、抗議する人たちの安全は確保されましたか。
○政府参考人(斉藤実君) 先ほど申し上げましたとおり、デモに抗議をする人たちが路上に寝そべり、立ち止まり、座るといった行為を行っていたことから、警視庁において、再三の警告を行った上で道路における危険の防止をし、交通の妨害を排除するために必要な措置を講じたところでございます。
 ただ、その中で、警察官に突き飛ばされた、あるいは警察官の措置により頭などを打ったという二名の女性からは警察に対して直接被害の申出がございましたし、また、関係者を通じて、ほかにも警察官に首を絞められたかのような写真も拝見をいたしておるところでございます。そうしたことがあったのは確かでございますが、周囲の安全の確保に十分配意をしながら警備に当たっているところでございます。
○有田芳生君 道路に寝そべった、いわゆるシット・インというのは、これはアメリカの公民権運動でもインドの独立運動でも認められていた非暴力、無抵抗の行為です。差別をやめさせるための行為を取った。
 ところが、これはもう今回、三月二十七日だけではなく、大阪でも川崎でも、そして京都でも福岡でも行われているヘイトスピーチのデモなんですが、二〇一四年の八月、人種差別撤廃委員会の日本審査で委員の方々が、日本で行われているヘイトスピーチのデモ、それを警備する警察官の姿を見て、何だ、差別主義者たちを警察官が守っているじゃないか、そのように多くの人種差別撤廃委員会の委員の方々、感想を述べられましたよ、それは海外でもそういうふうに見られているわけですけれども。
 今回法務省が行ったヘイトスピーチに関する聞き取り調査、在日の方々から話を聞いた、その中にでも、例えばある方は、彼ら、つまりヘイトスピーチをやっている連中、彼らは警察に守られながら公然と差別をしている、警察が加担しているも同様、そう見えてしまうんですよね。あるいは、ほかの方もこうおっしゃっている。警察については、デモが安全に行われるための警備だとは思うけど、罵詈雑言に対して何の対策もなく、警察の指示に従ってさえいればあとは好きにやっていいと言っているようなものだ。あるいは、別の方は、警察が許可出して守っていただくことも怖いし、途中略しますけれども、こんなデモを守っている警察が私のことを守ってくれるのかと不安になると、これが当事者の率直な気持ちなんですよね。
 そうしたときに確かに警察が現場の安全を図るのは当然で、現場の方々が努力されているというのは分かります。分かりますが、警察官は、そういった安全を図るために、ヘイトスピーチに反対する人たち、その女性の首を絞めるんですか、どうですか。
○政府参考人(斉藤実君) お答えをいたします。
 首を絞めるというようなことが今回のデモの警備においてあったわけではございません。私どもで把握をいたしておりますのは、小滝橋通りの路上で多数の人が立ち止まっている、あるいはそれに対して警告をして、歩道に戻るように警告をしたわけでありますが、引き続き道路上にとどまり続けたため、ある警察官が複数の人を歩道に戻そうとして、それは女性だったわけでありますが、その女性の肩に手を伸ばしたところ、結果的に女性の首に当たってしまい、そのまま歩道まで押してしまったものというふうに聞いております。したがって、首を絞めたというものではないというふうに承知をいたしております。
○有田芳生君 何を言っているんですか。皆さん、資料を見てください。私は現場におりました。首を絞めているじゃないですか。明確に首絞めていますよ。
 被害者の話、聞きました。身長百四十八センチの小柄な女性。安全確保するために首を絞めたのが事実じゃないですか。たまたま手が行ったんですか。首絞めているじゃないですか。この女性だけではありませんよ。資料の右の下、見てください。別の女性、警棒で首のところを押さえて、手を首のところにやっているじゃないですか。
 この二人だけじゃないですよ。四人の女性が少なくとも被害被っている。救急車で搬送された方もいらっしゃる。首絞めているじゃないですか。暴行を加えているじゃないですか。これが警察官のやることですか。
○政府参考人(斉藤実君) 委員御指摘の件でございます。繰り返しになりますが、警察官が歩道に戻るように警告をいたしましたが、女性が道路上にとどまり続けたため、同時に複数の人を歩道上に戻そうと女性の肩に手を伸ばしたところ、結果的に女性の首に当たってそのまま押し戻してしまったというものでありまして、首を絞めたものではなく、また故意に行ったものではないと承知をいたしております。
 故意ではないにせよ、結果として女性の首に手が当たっていたことに間違いはございません。こうした措置が法令上許容されるかどうかにつきましては、この女性本人からのお申出がまだございませんので、またいずれにしても、お申出をいただければ誠実に対応をしたいと考えております。
○有田芳生君 一人二人じゃないんですよ。資料がもっと出せるんですよ。警察官が大声を上げて女性の腕をつかんで、さらには別の警察官は排除をしようとしてコンクリートに投げ捨てた。けがしているんですよ。
 例えば、ある女性、話を伺いました。病院に行きました。頸椎捻挫、後頭部打撲、そういう診断書も取っている。少なくとも、私が知っている限り、二人の女性が診断書を取っております。
 そして、救急車で搬送された女性に対しては、警察官が後で新宿署に来てくださいと言われたので、新宿署に行かれました。そして、一時間四十分にわたり、警視庁公安総務から二月二十二日付けで新宿署の警備課長になった方含めて、一時間四十分話聞く中で、被害届出したい、そう語っている。それ、確認されていますか。
○政府参考人(斉藤実君) 三月二十七日の新宿におけるデモの後、二名の方がそれぞれ新宿警察署に対して被害届を提出したい旨の申出がなされたものと承知をいたしております。
○有田芳生君 そのとき、警備課長は、あなたが言っていることが事実かどうか確認できない、その暴行を加えたのがお巡りさんかどうか分からない、私どももビデオを撮っておりますから確認します。確認されましたか。
○政府参考人(斉藤実君) 御指摘の女性二人がいたとされる場所付近で活動していた警察官に事情を聴くなど、その事実関係の確認をしたところでございますが、現時点においてその被害の事実を特定できている状況にはございません。
○有田芳生君 被害の実態があるじゃないですか。(資料提示)これ、見ましたか。見て、そういうことが言えるんですか。冗談じゃないですよ。明確に首絞めているじゃないですか。
 その下に、その首を絞めた警察官の写真、目を隠して示しておきましたけれども、この人から、この警察官から事情を聴かれましたか。
○政府参考人(斉藤実君) その首を絞めたとされている件につきましては、先ほど申し上げたとおりの事情を聴いて、先ほど申し上げたとおりの説明を受けているところでございます。
 新宿署に訪れて被害届を提出しようとされた方はその女性ではないというふうに認識いたしております。
○有田芳生君 制止しようとして手を出したら、首のところに行けばここで止まるじゃないですか。何でこんなのけぞるような、首締めているじゃないですか。ふざけたことを言っちゃ駄目ですよ。
 河野国家委員長、そんな事態ほったらかしていいんですか。これが現実ですよ。
○国務大臣(河野太郎君) 警察の警備に行き過ぎた点があったとしたら、それは誠に申し訳ないと思います。今回の事案につきましては様々な課題があるというふうに認識をしておりまして、しっかりとそれがより適切な警備になるように指導してまいりたいと思っております。
 ただ、道路上に寝そべったり座り込んだりというのは、これは違法な状態でございますので、違法状態を解消するということは警察としてもこれはやらざるを得ないことでございますので、そうしたときにけがをさせたりというようなことがないように、そこはしっかりと指導してまいりたいと思います。
○有田芳生君 現場を見ていない人がなぜそんなことを言えるんですか。警察庁の方だって現場にいないでしょう。首絞めているんですよ。一人だけじゃないんですよ。四人の女性がけがをしたんですよ。何でそのことを認めないんですか。
 被害届、何で受理しないんですか。その理由を教えてくださいよ。
○政府参考人(斉藤実君) まず、新宿署に来られたときに直ちに受理をしなかったことについてでございますが、当日は、現場が大変混乱をした中で、その中で起こった事案につきましては、最低限現場にいる警察官に話を聞くなど、一定程度整理をした上で被害届の受理をすることが適当であると警視庁において判断をしたものと聞いております。
 新宿署におきましては、その後、三月の三十一日、四月の一日、三日にそれぞれの女性に連絡を取り、被害相談を継続をしており、警察から被害届の受理をする旨をお伝えをし、女性からの連絡を現在待っているところと承知してございます。
○有田芳生君 福島みずほ議員が警察庁を呼んでこういう事態を問いただしたから、その数時間後に受理してもいいですよなんて電話をしたわけじゃないですか。おかしなことを言いますね。
 特別公務員暴行凌辱罪、刑法第百九十五条、警察の職務を行う者は、被疑者その他の者に対して暴行又は凌辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する、こういう行為だと私は思っております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを迎えて、法務省は人権大国日本をつくるというふうに方針出されておりますけれども、これでは人権大国どころではないと、私は残念な思いでいっぱいです。
 これから与党とともに新しいヘイトスピーチ抑止する法案についていいものを作っていかなければいけないと思いますが、人種差別撤廃委員会は二〇一〇年の段階で日本に対して勧告を出していて、緊急に人種差別及びヘイトスピーチを禁止する法律を作れということを勧告しているんですよね。だから、二〇一〇年の段階でもっと機敏な対応を日本が取っていれば、今のようなヘイトスピーチがしょうけつを極める状況にはなかったというふうに思います。しかし、今日より遅い日はありませんから、これから与党と一緒にいい法案を作っていきたいというふうに思っております。
 最後に、もう時間が来ましたので、河野太郎国家公安委員長にお聞きをしますけれども、諸外国では、警察官に対するヘイトクライム、ヘイトスピーチなどについての教育をもう九〇年代から行っているんです。ですから、日本の警察官にもそういう教育が必要だと思いますが、最後に、そういう方向を取られるかどうか、お答えください。
○国務大臣(河野太郎君) 警察職員に対して、人権尊重あるいは関係法令の研修をしっかりやってまいりたいと思います。
○有田芳生君 残念ですが、終わります。
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
 昨月の三十一日、私も法務委員会の理事として、川崎の桜本地区、視察に行かせていただきました。現地で様々なお声を聞いて、これは本当に解決しなければいけない問題だということを改めて痛感もした次第であります。
 今、有田理事からも、与党と一緒にという話もありました。これ、与野党でしっかりと、こういうことは絶対許せないんだというメッセージをしっかりと発する、そのような合意を作っていかなければいけないというふうに改めて決意をした次第であります。
 視察を通じて感じたことは後ほどまた御質問するとして、まず、その視察に行く途中に車中で、先日法務省の方から公表をいただいた実態調査の件、御説明をいただきました。公明党が昨年政府の方に提言をして、そしてまた実行をさせていただいたものでもございます。そちらのデータ等もございます。
 結論としては、平成二十七年にヘイトスピーチは相当程度減少する傾向にあるが、鎮静化したとは言えないと。二十五年には三百四十七、公開情報で認識されたものがあったのが、翌年には三百七十八になり、二十七年には通年では二百五十三ぐらいの予定であるということでありますが、その二十七年も四半期に分ければ、一、二期に比べれば三期はまた増えていると、そういうような状態である。決してこれは鎮静化したとは言えない状態であり、対策というのは更に必要であるということであるということがこれデータからも言えているかと思います。
 この調査が更に重要だったところは、関係者の方の尽力にも敬意を表したいんですけど、こういう数値とかの部分だけではなくて、行政の方でしっかりとこれは現場にも行き、そして聞き取り調査をしたということであります。これは、行政がやはりしっかり現場に行って現場の方々の目線に立つんだということを、これを目的として私は調査をされたのであるというふうに認識をしております。
 いろいろ調査等でも表れたこともあるかと思います。行政の立場から、被害者の方の思いに立ったとき、ヘイトスピーチの一体何が脅威であるのか、率直にまず御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(岡村和美君) 私ども法務省人権擁護局では、ヘイトスピーチの主な対象とされている在日韓国・朝鮮人の方々やデモ等が行われた地域の住民の方々からの聞き取り調査を行ったところでございますが、その中でも、在日韓国・朝鮮人の方々からは、ヘイトスピーチを受けたことによる恐怖、怒り、悔しさなどを詳細に語っていただけました。
 その一部を御紹介いたしますと、例えば、日本から出ていけなどという言葉は自分たちの存在そのものを否定する言葉であり、怒りや悲しみを感じたという声、殺すぞなどという言葉を聞くと、日常生活においても中傷や批判の対象になったり身体的に傷つけられるのではないかという恐怖を感じたという声、さらに、民族を蔑称で呼ぶなど属性を理由としておとしめるような言葉は反論ができなくなり、抑圧的であるという声などがございました。
○矢倉克夫君 視察に行きまして住民の方々ともお話もしたんですが、生まれたときから自分のアイデンティティーも隠さなきゃいけないような悔しい思いもされていたということもお伺いもしました。
 今、出ていけというように言われたというようなお話もあったんですが、聞き取り調査の方でも、例えば朝鮮人出ていけと言われても、出ていけないからいるのであって、ちゃんと歴史を勉強してほしい、自分たちの歴史であったりとかいうものも全く理解もしないで出ていけ出ていけと、そこにいることが、存在すら、そのものもやはり否定もされているというような悔しさ、何で理解をしてもらえないんだろうという悔しさみたいなのも、私も現地に行って改めて実感もしたところであります。
 何としてもこういうような思いをされる方をなくしていかなければいけない、このように決意をしたところでありますが、法務省からまた改めて、ヘイトスピーチを特徴付けている大きな要素というものはこれは何であると考えているのか、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(岡村和美君) ヘイトスピーチの定義は必ずしも確立したものではございませんが、今般の調査においては、一般的にヘイトスピーチとして指摘されることの多い内容として、一、特定の民族等に属する集団を一律に排斥する内容、二、特定の民族等に属する集団の生命等に危害を加える内容、三、特定の民族等に属する集団を蔑称で呼ぶなどして殊更に誹謗中傷する内容を念頭に調査を行ったものでございます。聞き取り調査においても、多くの方々がヘイトスピーチと聞いてイメージするものとしてこうした内容を挙げられていたものと認識いたしております。
○矢倉克夫君 今様々な要素を挙げられたわけですが、私も調査の結果を聞いた限りだと、特に特定の民族や国籍に属する集団を一律に排斥する内容のスピーチも非常に多いと。この地域社会から出ていけと、こう言っていく、あなたたちはそこの人間ではないんだ、出ていけと、こういうふうに排除をする、そういうような内容も多かったというようなことも聞いております。
 私も桜本地区お伺いをして改めてびっくりしたんですが、本当に日常生活のあるど真ん中のところのすぐ近くにデモが行われたんだなということ、訪問させていただいたふれあい館、公営で日本人と外国人が触れ合う場として初めて設立された、非常に崇高な理念の下につくられた場所でありますが、そこを出発して、そうしたら隣の家に初老の方がいらっしゃって、私たちに声を掛けてくださった。本当にほのぼのとした雰囲気であったわけですけど、そこからもう歩いて数分行ったらデモが行われた場所であったと。
 こんな閑静な住宅街、もう住宅、人が普通に生活をしている場所のすぐ近くのところであんなに卑劣なデモが行われたのかという思いは、本当に私もそのときいた方々の思いが全部分かるわけではないんですけど、そういうような目に遭ったら、自分たちのふだんの平穏な生活というのがいかにじゅうりんされているのか、本当に悔しかったであろうなということを改めて感じたところであります。しかも、やってくる人がそこに住んでいる人ではなくて、外部からやってきてがなり立てる、大きな声を立ててがなり立てて、出ていけ出ていけ出ていけと、こう言っていくというところであります。
 改めてですけど、この例えば聞き取り調査の中でもこういったお声もありました。殺気立っている人たちがあれだけ人数でまとまってやるから自分の感情がコントロールできなくなる、あの声が怖いとかそういうことじゃなくて、自分の感情がコントロールできなくなるようなところが怖いと。お互いに潰し合いになることを想像して怖くなるというような声もあった。あのようなものを見て現地の方がどういうふうに思われるのか、住民の方がおっしゃっていたんですけど、戦争になるんじゃないかというようなこともおっしゃっていた。
 戦争になるという言葉に一瞬ぎょっとしたんですけど、やはりああやって排除の論理というものを掲げていって平和な生活を壊していく、それによって人と人との間の気持ちを分断していくという作用があるわけなんですよね。それこそがやはり戦争の原因でもある。もうまさに物の本質を捉えた、もう人が争うように誘導するということに持っていくその行為の卑劣さというものも、私も改めて現地に行ってお伺いもしたところであります。
 このようなヘイトスピーチというもの、改めて法務省としてはヘイトスピーチが社会にもたらす悪影響というものをどのように認識されているのか、答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(岡村和美君) ヘイトスピーチは、対象とされた人々に怒りや恐怖感、嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけたり社会における人々の間に差別意識を生じさせることにもなりかねず、決してあってはならないものと認識いたしております。
○矢倉克夫君 決してあってはならないもの、その認識はまさにそのとおりであります。
 私が改めてこのようなことを申し上げているのは、今このようなヘイトスピーチの悪影響によって私たち何を考えなければいけないかというと、やはり日本の社会の在り方というのがこれしっかり問われているのであるなと、こんな社会でいいのかと国民全般がしっかりとこれは考えなければいけない問題だということであると思います。
 聞き取り調査等でも様々なお声がありました。韓国人のジェノサイドみたいな感じがする、それが日本で社会的に問題であることが残念でしようがない、先進国で日本は世界でもトップのいい国というイメージを持っていたのにそういう問題が起きるのは理解できない、また、周りの日本人は傍観していた、日本はこういう世の中なのだと思った、日本にとっては対岸の火事なんだ、悪気があるわけではなくて歴史を学んでいないから蔑視の対象とする、同情すると言われることはあるけれども、同情ではなくて理解してほしいと、こういうような声もありましたところであります。
 やはり、日本社会がこのような少数の方々がおびえて暮らさなければいけないような社会であってはいけないという共通認識にこれはしっかりと立って国民全般で考えていかなければいけない、これを全体で恥ずかしいと思うような状態もつくり、思うだけでなく、そういうような社会でないようにするにはどうすればいいかと、これは行動していかなければいけないということであると思います。
 そういう意味でも、政治また行政はそういった社会をどうやってつくっていくのか、その社会形成に向けての責任があるということは改めて強調するまでもないことでもありますし、国民一人一人もそういうような責任がある、全く一定のところで行われているものではなくて、これは誰もが共有して考えなければいけない問題だということは、私は改めて強調をしたいと思っております。
 それも踏まえて、後ほど大臣からはいろいろとまたお伺いをしたいと思うんですが、ちょっと質問を先に行かせていただきたいと思うんですけれども、その上で、現地に行って思ったんですけれども、現地で住民の方といろいろお話もしたことでありますが、そういった日本の社会が分断というものを生じるような雰囲気が出てきているようなところであって、あるお子さんから言われたことが、ヘイトスピーチを見た日本人の子供から、その方、子供からこういうふうに言われたと。その方は在日韓国人の方のお子さんで、非常にしっかりした発言をされる立派なお子さんであったわけですけれども、その方が日本人の子供から言われたと。ヘイトスピーチというものは、何かこんなことになってごめんということを言われたと。子供から子供に謝罪をされたということであります。
 私、それも聞いて改めて愕然としたわけなんですけれども、純真な子供たちの意識からはやっぱり共生をしようという意識があるのに、本当に卑劣な大人が全くみっともない姿をそういうふうに子供にさらしている、こういうようなことは本当に許せないというふうに改めて思うところでもあり、そういうような認識も持たなければいけないところでもあるかと思います。
 また、やはり共に歩んでいくというところ、これが教育の分野においても、国際化イコール共に歩むということでもあると思います。そういった教育現場にそのようなヘイトスピーチのような汚い姿を見せて、そこで一緒に学んでいる子供たちが謝らなければいけないような環境に置かれているということ、これは大きな大きな問題でもある、次代の子供たちにとっても大きな影響も与える問題であるかと思っております。
 そのような点について、文部科学省から、どのようなところが問題で、どのように対処をしていくおつもりか、御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(浅田和伸君) 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは、人としての尊厳を傷つけたり差別意識を生じさせることになりかねず、許されるものではありません。
 文部科学省としては、従来から、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律等を踏まえ、学校教育を通じて、児童生徒一人一人の発達段階に応じ、人権尊重の意識、理解を高める教育に努めているところでございます。
 今後とも、全国の都道府県教育委員会等の人権教育担当者を集めた会議等の場を通じて、例えば、法務省が作成している啓発資料を活用し、特定の民族や国籍の人々に対する偏見や差別を助長するような言動は許されないということを学校教育の場でもしっかりと教えてまいりたいと思います。
○矢倉克夫君 是非、教育の現場でもしっかりと、こういうものが良くないんだということをもう更に進めていっていただきたいと。国民全般でこれを共有をしていくという部分はやはり大事であると思います。
 やはり同じお子さんが言っていたのは、ヘイトデモの状況を見て、警察がヘイトスピーチをする人を守りながら、朝鮮人が一人残らず出ていくまで首を絞めると言った人を警察が守っていたと、こういうようなお声もありました。当然、現場の警察官の方がそういうのを、卑劣な集団を守りながらというようなことを目的としてされていたわけではないと思いますが、純真に子供の目から見て、警察がいかにも守っているかのように見えてしまったというのは、これはやはり問題であると思います。
 そのような部分、どのようなところに課題があって、それに対してはどういうふうに対処をされていくおつもりであるのか、これも御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(斉藤実君) お答えいたします。
 いわゆるヘイトスピーチのデモに際しましては、これまでも、それに抗議をする者がデモの現場に集まり、時にはトラブルに発展し、中には刑事事件に及ぶこともあったものと承知をしております。したがいまして、この種デモが行われるのに際しましては、デモの参加者とそれに抗議をする者が接触をすることのないように必要な部隊を配置するなど、中立性、公平性を念頭に置いて警備をしているところでございます。
 一方、個々の警備現場におきましては、デモの関係者とこれに反対、抗議をする者との間で、その接触により違法行為が起きることを避けるために、警察部隊がデモを行う団体とともに移動をしながら警戒をするという局面がございます。これが、委員御指摘のように、警察がいわゆるヘイトスピーチを行うデモを守っているとの誤解を与えることになっているものと認識をいたしております。
 ただ、こうした警備手法が違法行為を未然に防止をする上で必要と考えられる場合には、デモを行う主体がいずれの主義主張に基づくものであっても同様のことを行っているということを是非とも御理解いただきたいわけであります。
 いずれにいたしましても、議員御指摘の点も踏まえながら、引き続き中立性、公平性を念頭に、現場の状況に応じた適切な警備が行われるよう都道府県警察を指導してまいります。
○矢倉克夫君 現場の中立性というところでもあり、いろいろ御意見はあるかもしれないですけれども、現に被害を受けた方が危害にさらされるような状態にある、そこを守っていくというのもやはり警察であると思いますので、その辺りはしっかりと責任として意識をして、どういうような在り方がいいのか。そして、警察に対しての信頼もこれは損なうような事態でもあると思います。そういう部分はちゃんと対処等もこれからも検討していただきたいというふうに改めて強く要望をしたいと思います。
 その上で、先ほども申し上げました、やはりヘイトスピーチの問題をどう対処をしていくのか、これは国民全体でそのようなことがなくなるような社会をどうやってつくっていくのかという、その思いとともに、行動をしっかり伴うような体制をやはりつくっていかなければいけないというふうに思っております。
 視察に行ったときに住民の方から言われたことが、ヘイトスピーチはいけないというところは多くの方は分かっているかもしれない、しかし、例えば自治体に話を持っていくと、法律がないから何もできないというようなこともよく言われるというようなところがありました。これは、自治体が、国の姿勢が明確でないことをやはり理由として対策に一歩及び腰、そうでないかもしれないですけれども、やはり何もしない理由として、そういうような制度がないということも一つ挙げていることもあるんじゃないかというふうに思っております。
 このように、自治体を一歩先に進めるためにはどのようなものが必要であると大臣はお考えか、大臣からお答えいただければと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 自治体に一歩踏み出させる、そういう意味でどういったことが必要かということでありますけれども、ヘイトスピーチが許されないものであるということを社会全体で明確にしていく必要があろうと思います。そのために政府としてあらゆる機会や場面でそのことを鮮明に示していく必要があると考えております。
 法務省といたしましては、引き続き粘り強く、かつ地道な啓発活動に努めてまいる所存でありますが、今般実態調査をいたしまして、その結果を受けまして、法務省としてのこれまでの取組に見直す点はないのかどうか、今後新たに推進すべき施策はないのかといった観点から報告書をしっかり精査し、必要な検討も行ってまいりたいと考えております。また、現在国会や各党で行われている御議論について、その状況を見守ってまいりたいと考えております。
○矢倉克夫君 先ほどもあった、いろんな聞き取り調査でお話もされた方々のお声の中で、やはり多くの方が傍観をされていたと。それは、いろいろ混乱の中で御自分の体を守るためにというような部分もあったかもしれないですけど、やはり問題は、いけないことだとみんな分かっていても、それに対して多くの方が自分とは関係ないことだと思って無関心になっている方もいらっしゃるかもしれないと。そういうのではなくて、やはりこれは日本社会がどういう社会であるべきかという大きな問題でもあり、全員、日本に住む人全ての人のこれ問題なんだという思いに立って、一歩踏み出す行動を取るための勇気や後押しもやはりこれは必要であるんじゃないかなというふうに思っております。
 自治体付近に行ったときにお伺いして、あっ、そうだと思ったのは、ある方が、このようなデモが起きているわけですけど、やはり感動もしたことがあるというふうにおっしゃっていまして、やはりデモに対して声を上げる方もどんどん増えてきているというようなこと、昔はそういうようなこともなかったかもしれないけど、そのような声を上げる方も非常に増えてきた、自分たちの問題だけじゃなくて、もっと全体の問題としてしっかりと主張をしていこうという、対抗していくような方々もやはり増えてきたということ、これは日本社会が成熟してきていることなんじゃないかというふうにおっしゃっていた方もいらっしゃいます。
 その方がおっしゃっていたのは、やはりいけないことだということ、これがしっかりと制度として存在するということがやはり抑止力になっていくんだと、それも踏まえた上で、自治体なんかも、もうそのようなヘイトスピーチというのはこれいけないものだということが国の姿勢としてしっかりと明確になっていけば、それがしっかりと前に進んでいく動きにもなるし、やはり抑止力という言葉も使われていましたが、そのようなものにもなっていくんじゃないかというようなお話もございました。
 私も改めて大臣にまたお聞きしたいと思うんですが、ヘイトスピーチの問題は、何度も申し上げますけど、国民全般がこのようなものがないようにする社会につくるんだということを強く前に踏み出していく、自分たちが主体者としてつくっていくんだという共通認識、ただ悪いと言うだけじゃなくて、自分たちがそういうのをなくしていくような社会につくっていくんだという自覚と責任を持って動けるかどうかというところが大きな問題であると思っております。
 分かっていながらなかなか声を上げることができない多数派の方、自治体も含めてですけど、そういうようなことを一歩踏み出させる意味合いでも、ヘイトスピーチ根絶へのやはり政府の方針としても、従来の教育、啓発というのも非常に重要な部分もある。それをしっかりやりながら、他方で、それに限らず、やはり根絶のためにはしっかりとあらゆる政策を取っていくというような国の決意も必要であると思います。その辺り、大臣からいただければと思います。
○国務大臣(岩城光英君) 矢倉委員から御指摘がありましたとおり、このヘイトスピーチの問題につきましては、国民全体がそれぞれヘイトスピーチのようなことがあってはならないという認識をしっかりと持っていくことが大事だと思っております。そのためには、何度も重ねて恐縮でございますが、啓発活動を粘り強く行いますとともに、あらゆる機会、あらゆる場面で政府の態度としてヘイトスピーチは許されない、こういうことを明確に示していく必要が重要であると、そのように考えております。
○矢倉克夫君 ありがとうございます。是非そのような御決意でいただければと思います。
 ヘイトスピーチ、様々な外延がなかなか見えないところがあると思いますが、やはり本質として言えるのは、平穏な地域社会というものを、これを、その中を分断させて、心のきずなを分断させて、その中でしっかりと生活をされている少数者ではあるけど生活者の方々を排除する、それを扇動するというところがやはり大きな要素であると思います。
 先日の参考人質疑のときにも、参考人として来られていた金教授も、ヘイトスピーチの本質は扇動であるというふうにおっしゃっていた。やはりそういうものが悪いことなんだということをしっかりと宣言をする政治の姿勢というのはこれは大事であるし、そのための理念をしっかりと高らかにうたう私は法律は絶対にこれは必要であるというふうに思います。
 その上で、そのような理念をしっかりと実現をする社会を、これは国は、また地方自治体は当然つくるべく責任を持っていく必要もあるし、国民それぞれがそういう社会をつくるためにもしっかりと前進をしていくというような法律というものもやはり私は必要でないかと。
 国民全般がこのようなことがないような社会をつくっていくという理念をしっかりとうたっていく、そのための与野党の合意というのをしっかりと私も尽力して作っていくためにも全力で頑張っていきたいということだけをお伝え申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず最初に、三月二十日の川崎傷害事件などについて河野国家公安委員長の御認識を伺いたいと思うんですけれども、三月二十三日のこの委員会で私は、衝突を防止するために多数の警察官を動員しながら目の前で殴る蹴るを制止できなかった、しかも現行犯逮捕をしなかった、しかも身元は分かっているのに、結局今日伺いますと三月の二十九日から三十日、この四名を逮捕するまで任意同行さえ求めていないと。これは警察組織がこの街宣活動家たちの暴行を容認していると社会的に評価されるものであって、ほくそ笑むのは加害者の側であると指摘をいたしました。
 大臣にこの認識をお尋ねをしたいその前提として、警察が本来守るべき市民の側、当事者の側がそうしたことでどれだけ傷つけられているかと。先ほど来お話がありますように、三月三十一日に私ども桜本にお訪ねをいたしまして、ふれあい館でこの委員会に参考人としておいでいただいた崔さん始め地元の皆さんのお話を伺わせていただきました。この中で、私、初めて崔参考人の中学生の息子さんの肉声を伺うことができました。
 彼は、十一月八日にヘイトデモが来ると聞いて、大人なんだし、外国人も日本人も共に生きていますよと説明したら分かってくれると、そう思ってその場に立ったわけですね。ところが、彼、このように語りました。ゴキブリ朝鮮人、たたき出せ、出ていけ、死ね、殺せと警察に守られて叫んでいました。差別をやめてと伝えたら、大人が指を指して笑いました。警察はそんな大人を注意してくれませんでした。警察がヘイトスピーチをする人を守りながら桜本へ向かってきました。朝鮮人が一人残らず出ていくまで首を絞めると言った人を警察が守っていました。オモニは泣いていました。僕も苦しくて涙が出ました。
 そう語りましたけれども、大臣はこの中学生の男の子の側の立場に立ちますか、それともこの指摘は心外ですか。
○国務大臣(河野太郎君) 違法行為には厳正に対処するのが警察に課せられた使命だと思います。そういう意味で、今回の対応には課題が残った、そう言わざるを得ないと思います。
 残念ながら、ヘイトスピーチを繰り返すようなデモを現在の法令では禁止することができませんので、そうしたデモが行われているときには、デモの参加者あるいはその周りにいる人たちに危害が生じるということがないように、より適切な警備がしっかりできるように警察を指導してまいりたいと思っておりますし、このヘイトスピーチに対しましてはあらゆる法令を適用して厳正に対処する、もう繰り返して申し上げておりますが、そのように警察をしっかり指導してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 私は、大臣が言うほど現行法は無力なのかと。それはそうではないと思うんですね。
 ちょっと警察庁にお尋ねしたいと思うんですが、三月二十日の川崎の傷害事件の現場に配置されていた警察官部隊の対応についてですが、何だかしきりに、二十数メートルの道路を逮捕された四人も含めた十三人が突然走り出して渡って向かい側の歩道で事件が起こったので、その歩道側の配置されていた警察官が少なかったのが問題だったかのようなお話をされるんですが、私よく分からないんですよ。その四人を始めとした十三人が道を渡ろうとする挙動を示したときに、そちらの側にいた多数の警察官部隊が配置されていたんでしょう。一体何をしていたんですか。そうやって渡ろうとする、つまり抗議をする市民や当事者の側に向かっていこうとする、それをなぜ制止しなかったんですか。
○政府参考人(斉藤実君) 当日の状況でございますが、先ほども申し上げましたとおり、街宣車の周辺、街宣車の後ろ側に抗議をされる勢力がおり、それと政党関係者との間に衝突が生じないように警備をしておりました。ところが、街宣車の前は特段そういう阻止をしておりませんでしたので、その十数名の者が渡ったということがございまして、それを認めたこの街宣車周辺にいた警察官も後から追いかけて、その混乱の鎮静化には加わったものでございます。
○仁比聡平君 いや、追いかけて加わったというのが私は分からない。元々、衝突を防止するために配置されていたわけですよね。
 河野大臣、警察官というのは市民の命や安全を守るために採用もされ、訓練も受けているわけでしょう。大臣、ちょっと、通告なんてもちろんしていませんけれども、私は、そうした安全を脅かすような警戒すべき相手を注視する、警戒すべき相手の動きをしっかり見極め、必要なら制止をする、それが当然だと思いますが、いかがです。
○国務大臣(河野太郎君) そのとおりだと思います。
○仁比聡平君 警察庁、誰を警戒していたんですか、この警察部隊は、街宣車の周りにいた多数の警察官。これ、だって逮捕された四人も含めて十三人が、二十数メートルといったら大きな道路じゃないですか、ここを突如渡ろうとする、それをちゃんと見ていたら、制止のしようというのはあるでしょう。歩道の側に配置されていた警察官も、その渡ってこようとするヘイト宣伝の当事者たちを見ていたら、そうしたら殴りかかる前に制止可能でしょう。いかがですか。
○政府参考人(斉藤実君) まず、街宣車の反対側の歩道上の話について申し上げますと、確かに向かってくるという状況認められましたので、歩道上の周辺にいた警察官がそれを制止をしようと、まさに渡ってきた者と抗議をされている方の間に入ったわけでありますが、舗道を渡ってきた人間が十数名おりまして、それよりも少ない警察官でそれに対応した結果、一人の警察官が複数の男を押さえて制止をするという中でこの暴行事件が発生をしたものであります。
 当然、先ほど申し上げましたように、通りを渡るというのを認知をした街宣車の周辺にいた警察官も後から追いかけて、そこでそれに加わって混乱を鎮静化させたものでございます。
○仁比聡平君 あり得ない。西田理事の質問に対して答弁をしたそのときの状況と違うじゃないですか。なぜ現行犯逮捕できなかったかというと、全体が混乱をしていて、その暴行、傷害を現認していなかったからだとおっしゃったでしょう。何言っているんですか。
 実際にそうやって大通りを渡って襲いかかってくる加害者をずっと注視をしてそれを制止しようとしていたら、たとえそこにたどり着いていなかったとしても、殴りかかる瞬間には、だけれども、その人物が誰に対して何をしようとしているかというのは見極めているのが当たり前じゃないですか。
 あなた方はといいますか、つまり現場の警備は、そうしたヘイト宣伝活動家の側ではなくて市民、歩道の側を見ていたんじゃないんですか。市民を守るのだったら市民を背にして加害者の側に向き合ってそれを止める、それが警察でしょう。違うんですか。
○政府参考人(斉藤実君) 委員御指摘のとおり、抗議をされている歩道上におられた方の前に警察官が出て、反対側から渡ってくるその十数名の者を制止をしようとしたわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、一人の警察官が複数の人間を押さえる、その警察官越しに暴行が加えられるというような状況もございまして、必ずしもそれを現行犯逮捕できるような形での現認ができていなかったものでございます。
○仁比聡平君 刑訴法上は準現行犯という規定もあり、犯行を行って間もない、そうした状況であれば、その加害者をその場でただす、もちろん身柄を拘束することだってあるでしょうし、何にせよ、これはやってはならないことなんだということを明らかにして野放しにはしないという、それは現行法だって十分可能なんです。ところが、それをやってこなかった。これがこれまでの日本の警察組織だと言わざるを得ない、今の御答弁を伺ってもそう感じるんですね。
 ヘイトデモと警察の関係についてちょっとまた別にお尋ねをしたいと思うんですが、せんだっての崔参考人の意見陳述によって、二〇一五年十一月八日にこの桜本に向かってこようとしたデモのコース、これが、富士見公園という、デモを出発してしばらくのところで変更されたということが明らかになりました。
 元々、十一月八日になる前まではこの富士見公園から駅の方に向かって行っていた、桜本には向かってこなかった。けれども、このときは桜本に向かってくるんじゃないかというデモだった。けれども、出発はしたけれども、その公園を出たところで別のコースに変更されたわけですね。これはどのようにして変更がされたわけですか。
○政府参考人(斉藤実君) お答えいたします。
 お尋ねの平成二十七年十一月八日のデモは、川崎市内の富士見公園付近の交差点を出発地として京浜急行川崎大師駅を解散地とするものでありまして、委員御指摘のとおり、当初の申請はその桜本地区を通るものでございました。しかしながら、出発直前になり、デモに反対するグループとのトラブルを懸念をした主催者側からコースを一部短縮をしたい旨の申出がありまして、それがトラブルの防止やあるいは関係者の安全を確保する観点にかなうものであり、また、コースを一部短縮しても問題はないものとして認めたといいますか、その申出どおりにしたというものでございます。
○仁比聡平君 主催者側からというお話がありましたが、警察の側はそれに対する相談なりなんなり、警察側としてどうかというようなことは何もないんですか。
○政府参考人(斉藤実君) 神奈川県警察におきましては、公安条例の申請受理や許可の手続のときはもとよりでございますが、デモを実施する現場におきましても、デモが申請どおり実施されているかを確認するため主催者との間では常に連絡を取っているところでございまして、このデモにつきましても必要な指導を実施している中で主催者側からの申出がなされたものと承知をいたしております。
○仁比聡平君 つまり、十一月八日のときに、カウンターの皆さんやその住民の皆さんがこうした桜本に入れないでくださいという抗議を上げておられた、そうした状況を警察としても勘案してこうやって変更が行われたということじゃないんですか。
○政府参考人(斉藤実君) これは、あくまで主催者の方がトラブルを懸念をして自らコースの短縮を申し出たものでございます。
○仁比聡平君 十一月八日がそういう経過だったと。
 一月の三十一日ですけれども、このときは、その公園を出て、曲がらずにそのまま真っすぐ桜本の方に向かってきました。しかも、駅方面と桜本方面の分かれ道になる追分交差点というところを更に桜本の方に曲がり、つまり桜本の玄関口にまで入ってくるということをしたわけですね。そして、この桜本の玄関口、大島四ツ角の交差点、ここをUターンして戻っていくということに結果なったわけですけれども、これは警察がそういうふうにしたわけですか。
○政府参考人(斉藤実君) お尋ねの本年一月三十一日のデモでございますが、同じく富士見公園付近の交差点を出発地として、京浜急行川崎駅を解散地とするものでございました。今委員の御指摘のあったようなコースが当初申請をされておりましたが、そのデモの途中で、デモに抗議をする多数の方がおられるということもあり、そうした方々とのトラブルを懸念をした主催者側からこれもコースを一部短縮したいという旨の申出があり、それを認めたというものでございます。
○仁比聡平君 元々、十一月八日に先ほど御説明いただいたようなことがあった。なのに、一月三十一日に更に同じように桜本に踏み込んでいく、そうしたデモコースを何で警察認めたんですか。
○政府参考人(斉藤実君) 公安条例の申請を受理するに当たりましては、いろいろとその当日の催物の状況ですとかあるいは過去に起きたトラブル等を情報提供いたしまして指導はいたしておるところでございますが、最終的に、デモをこのコースで申請をするとなれば、それは許可せざるを得ないというふうに認識いたしております。
○仁比聡平君 河野大臣、お聞きいただいて、つまり、現場で深刻な人権侵害が起こる、それを阻止しようとして混乱も起こるかもしれないということがあれば、現場ででもデモコース変更するんですよ。それはもちろん主催者の判断というのが最終的にはあるでしょうけれども、けれども、そこには警察も周りの状況を勘案して働きかけるというのがこれ当然だと思うんですよね。
 今申し上げているような共生の地域、例えばこの桜本というような地域をじゅうりんしてくるようなヘイトデモ、これは様々な形で、これはそんなことは初めからさせないと様々な形でいろんなことを考えて警察も努力する、それは私、そういうふうにすべきだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) 警察も様々な対応をすべきだと思いますが、道路の使用許可がデモという形で出されたときに、それをそれだけの理由で却下できるかどうかというのは法律的な問題もあるんだろうと思います。
 主催者側が当日の状況を判断して、道路を一部短縮をするというようなことがあったという報告は受けております。それについて警察がどこまで対応できるのか分かりませんが、そういうことが可能であるならばそういうことを追求するということもあると思いますが、そこは道路の使用許可その他法令との関係があると思いますので、一概にどうこうできるというふうにちょっと残念ながら申し上げるところにはありません。
○仁比聡平君 もちろん、私は個々具体的な話だと思いますから、一律にどうこうしろというようなことにはならないのかなとも思いますけれども、この十一月、一月のデモの状況からすると、これは警察が働きかけることによってデモコースを変更させるなどということは元々可能であると思うんですね。
 このデモが向かってきた桜本という地域がどんな地域か、三月三十一日の視察で私、二つのことを感じました。特に二つのことを感じました。
 一つは、このヘイトスピーチの根絶をするという私たち政治家の責任の重さです。
 伺いますと、ダブルあるいは三世、四世の在日の人たちがその出自を隠して生きていかなきゃいけない、そういう思いがこのヘイトスピーチにさらされることによって一層本当につらくなる。そうした思いの中で、先ほど来御紹介をしている崔参考人の息子さんは勇気を持ってダブルに誇りを持って発信を続けておられるわけですね。自分を隠して生きなきゃいけないという、そうした思いの人たちに対してどう思うかというふうに私お尋ねをしたら、そうした人たちから、このヘイト問題で発言をし始めてから、私たちのためにありがとう、あんたの顔は一生忘れないと、そうした励ましをよく受けるそうです。つらいダブルの人たちが自分の発信した言葉を聞いて、その人も自信を持って生きていってほしいというふうに彼は語りました。
 もう一つは、共生ということを本当に理解していく、理解を広げていく、あまねく広げていくということの私たちの責任ですけれども、このふれあい館をつくってきた青丘社のペ理事長は、元々保育園の取組から始まったわけですね。その子たちが学校に上がるというときに、学校で潰されてはならない、学校がコミュニティーの中心だということでいろんな努力を重ねて、市ともずっと長い協議を続けてふれあい館をつくってきたわけです。そうした取組の中で、ある町会長の方が、地域のために本当によくやってくれている、ありがとうという感謝を述べられて、そのときは本当に涙が出たというふうにおっしゃいました。
 共生の実現というのはそんなに簡単なことじゃない。長い歴史の中で、いろんな先輩たちも含めて、本当に努力を重ねてこうした到達点をつくってきているわけでしょう。こうした共生の地域を、あるいは共生の在り方、社会の在り方そのものを根底から覆し、排除、排斥しようとする、こんなヘイトスピーチというのは絶対に許されないと思うんですね。ちょっと岩城大臣、いかがですか。
○国務大臣(岩城光英君) 仁比委員から御指摘のありましたとおり、共生、とりわけ多文化の共生ということを本当に長い年月、経緯を経て築き上げてきた地域でこうしたヘイトスピーチのような行為が行われることは全くあってはならないことだと考えております。
○仁比聡平君 これは、そうした桜本のような地域に襲いかかってくるというヘイトデモだけを対象にしたものではない。新宿でも銀座でも、当然そうしたアイデンティティーを持って生きている方々、当然いらっしゃるわけです。そうした方々を攻撃し排除しようとしてヘイトスピーチやデモというのは行われるわけですね。
 法務大臣に御認識をお尋ねをしたいと思うのは、前回、三月二十三日のこの委員会で、前日に行われた崔参考人を始めとした参考人質疑を踏まえて私、認識をお尋ねしました。そのときに、桜本に入れさせないでという、そのヘイトデモについて、差別的言動が行われたとすればと留保を付けて答弁をされたんですね。けれども、大臣はその前日の参考人質疑も御覧になっていたとおっしゃいましたし、その中で当事者の不安感や恐怖感、そうした生の声を受け止める発言をされたんですね。にもかかわらず、ヘイトスピーチが行われたとすれば、差別的言動が行われたとすればという留保がなぜ付いちゃうのかと。
 これ、当然、人権侵犯事件だったらば、これは法務局が事実を認定して審判、指導する。どういう勧告を出すのかというようなことは、それは手続があるでしょう。けれども、我々政治家は違うんじゃないですか。現実に証拠も示して、ヘイトスピーチ、差別的言動が行われたという訴えがあり、その訴えが私たちの胸を揺さぶり、事実そうだともう考えるなら、感じるなら、それは許されないとはっきりすべきなんじゃないですか。大臣がこの分野を所管をされる大臣としてそうした認識を持っているのかどうなのかということが私、問われていると思うんですが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(岩城光英君) 仁比委員御指摘のその三月二十三日の私の答弁でありますが、これは委員の御質問が、三月十六日に被害申告を受け法務局において現に調査中の人権侵犯事件、これに関するものであったのでああいう言い方を申し上げたということは御理解いただきたいと思います。
 その上で、個別具体の人権侵犯事件としての調査、処理を離れまして、崔参考人の意見陳述にありました川崎市でのデモにおける言動について申し上げさせていただきますと、こうした言動は、人々に不安感や恐怖感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけたり差別意識を生じさせることになりかねず、あってはならないものであると、そのように考えておりまして、そのような言動が許されないということをこれからも更に強く訴えていかなければならないと、そう考えております。
○仁比聡平君 もう一問、大臣、最後。
 ニューヨーク・タイムズの前の東京支局長をしておられたマーティン・ファクラーさんという方が、最近、安倍政権にひれ伏す日本のメディアという本を書かれまして、この中にこういう指摘があるんですね。異論を認めず、自分たちに都合の悪いメディアを一斉に攻撃する、社会にこのような風潮を広げてしまったのは明らかに安倍政権の大きな責任だと言わざるを得ない。なぜなら、卑劣な攻撃を繰り返すネット右翼に対して何らノーの声を出さないからだ。これでは、事実上、ネット右翼に青信号を出しているのと同じように見える。
 この前段としては、ヘイトの問題あるいは日本軍慰安婦の問題などの取材とそれに対するバッシングというようなことも指摘をされているんですが、大臣、この指摘にはどう答えますか。
○国務大臣(岩城光英君) 政府におきましては、これまでもヘイトスピーチはあってはならないと、そういうことを啓発活動を通じて訴え続けてまいりました。また、国会の場でもヘイトスピーチが許されないことを繰り返し申し上げてまいったところでありまして、今後も引き続きこうした言動はあってはならないということを明確に示し、粘り強い啓発活動を続けていきたいと考えております。
○仁比聡平君 終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時四十二分散会