第190回国会 予算委員会 第13号
平成二十八年三月十四日(月曜日)
   午前八時五十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月九日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     中西 健治君
     赤池 誠章君     佐藤 信秋君
     井上 義行君     田中  茂君
     島村  大君     赤石 清美君
     羽生田 俊君     渡邉 美樹君
     山下 雄平君     堀内 恒夫君
     相原久美子君     田中 直紀君
     河野 義博君     石川 博崇君
     吉良よし子君     小池  晃君
     儀間 光男君     清水 貴之君
     川田 龍平君     小野 次郎君
     和田 政宗君     中山 恭子君
     山口 和之君     山田 太郎君
     福島みずほ君     吉田 忠智君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     赤石 清美君     島村  大君
     佐藤 信秋君     赤池 誠章君
     田中  茂君     井上 義行君
     中西 健治君     愛知 治郎君
     堀内 恒夫君     山下 雄平君
     渡邉 美樹君     羽生田 俊君
     小池  晃君     井上 哲士君
     小野 次郎君     川田 龍平君
     中山 恭子君     和田 政宗君
     山田 太郎君     山口 和之君
     吉田 忠智君     福島みずほ君
    渡辺美知太郎君    薬師寺みちよ君
     平野 達男君     荒井 広幸君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     愛知 治郎君     藤井 基之君
     猪口 邦子君     山谷えり子君
     大久保 勉君     小林 正夫君
     小西 洋之君     櫻井  充君
     広田  一君     石上 俊雄君
     荒木 清寛君    佐々木さやか君
     石川 博崇君     長沢 広明君
     新妻 秀規君     河野 義博君
     井上 哲士君     田村 智子君
     清水 貴之君     江口 克彦君
     和田 政宗君     中野 正志君
     山口 和之君     松田 公太君
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     三宅 伸吾君     舞立 昇治君
     山谷えり子君     猪口 邦子君
     櫻井  充君     相原久美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                石井 準一君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                高橋 克法君
                二之湯武史君
                堀井  巌君
                長浜 博行君
                野田 国義君
                山本 香苗君
    委 員
                赤池 誠章君
                井上 義行君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                片山さつき君
                古賀友一郎君
                島村  大君
                高野光二郎君
                羽生田 俊君
                藤井 基之君
                舞立 昇治君
                三木  亨君
                三宅 伸吾君
                山下 雄平君
                山谷えり子君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                小林 正夫君
                櫻井  充君
                田中 直紀君
                西村まさみ君
                藤田 幸久君
                河野 義博君
               佐々木さやか君
                長沢 広明君
                田村 智子君
                辰巳孝太郎君
                東   徹君
                江口 克彦君
                川田 龍平君
                中野 正志君
                松田 公太君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣     高市 早苗君
       法務大臣     岩城 光英君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣
       国務大臣     馳   浩君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   森山  裕君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償・廃炉
       等支援機構))  林  幹雄君
       国土交通大臣
       国務大臣     石井 啓一君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     丸川 珠代君
       防衛大臣     中谷  元君
       国務大臣
       (復興大臣)   高木  毅君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       規制改革、防災
       ))       河野 太郎君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(国家戦
       略特別区域))  石破  茂君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    島尻安伊子君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(少子化
       対策、男女共同
       参画))     加藤 勝信君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    石原 伸晃君
       国務大臣     遠藤 利明君
   副大臣
       財務副大臣    岡田 直樹君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   村田 斉志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      井野 靖久君
       内閣府大臣官房
       審議官      籠宮 信雄君
       内閣府政策統括
       官        田和  宏君
       内閣府地方創生
       推進室長     佐々木 基君
       内閣府賞勲局長  幸田 徳之君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       外務大臣官房審
       議官       水嶋 光一君
       外務大臣官房参
       事官       大鷹 正人君
       外務大臣官房参
       事官       道井緑一郎君
       財務省主税局長  佐藤 慎一君
       文部科学省高等
       教育局長     常盤  豊君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       加藤 誠実君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       香取 照幸君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    石井 淳子君
       経済産業大臣官
       房商務流通保安
       審議官      住田 孝之君
       経済産業省経済
       産業政策局長   柳瀬 唯夫君
       経済産業省電力
       取引監視等委員
       会事務局長    松尾 剛彦君
       資源エネルギー
       庁省エネルギー
       ・新エネルギー
       部長       藤木 俊光君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      多田 明弘君
       中小企業庁長官  豊永 厚志君
       原子力規制委員
       会原子力規制庁
       長官官房緊急事
       態対策監     大村 哲臣君
   参考人
       独立行政法人日
       本学生支援機構
       理事長      遠藤 勝裕君
       東京電力株式会
       社代表執行役社
       長        廣瀬 直己君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十八年度総予算三案審査のため、本日の委員会に独立行政法人日本学生支援機構理事長遠藤勝裕君及び東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 平成二十八年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、社会保障・国民生活等に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十二分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党八十分、民主党・新緑風会百九分、公明党三十七分、日本共産党三十六分、おおさか維新の会三十六分、維新の党十九分、日本のこころを大切にする党十九分、日本を元気にする会・無所属会十九分、社会民主党・護憲連合十九分、無所属クラブ十九分、新党改革・無所属の会十九分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算、平成二十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、社会保障・国民生活等に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。山谷えり子さん。
○山谷えり子君 おはようございます。自由民主党、山谷えり子でございます。
 本日は、社会保障と国民生活等に関する集中審議でございます。
 まだまだ寒いんですけれども、靖国神社の桜のつぼみ、少しふっくらしてまいりました。卒業式のシーズンです。そして、四月からは新年度のスタート。皆様が希望を持って新年度のスタートを歩めるように、この参議院の予算委員会、与野党心一つに、国民の負託に応えるべく充実審議をしてまいりたいと思います。
 国連女子差別撤廃委員会で、先頃、日本に対する最終報告案の中に、皇室典範改正を求める勧告が盛り込まれようとしておりました。皇位継承権が男系男子の皇族にしかないという、女性差別ではないかという勧告が盛り込まれようとしたんですけれども、皇室典範改正まで言及するというのは内政干渉でもありますし、また日本の国柄、伝統に対する無理解というのもあろうかと思います。
 外務省は、しっかりと抗議をして、説明をして、最終的な文章からはそれが削除をされましたけれども、日本の正しい姿を更に戦略的に対外発信していくということが大切ではないかと思います。
 安倍内閣になりましてからは、二十七年度、国際的な広報予算五百億円上積みをいたしまして、二十八年度の予算も七百三十億円取っております。この国際広報体制の在り方について、総理はどのようにお考えでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国際広報体制についての御下問でございますが、言わば日本の真の姿をしっかりと諸外国に理解をしていく上において、また日本の伝統文化、また日本が進めようとしている政策について正しい理解を得るために広報活動を展開をしていく必要があると、このように考えております。
 その観点からこの広報のための予算を確保している次第でございますが、しっかりとこの目的に向かって、例えば各国の大使館というのはその最前線でありますから、そういう認識を持ってしっかりと日本の姿を海外に説明をし、そして理解をさせていくように努力をしていってもらいたいと、このように思っております。
 また、この女子差別撤廃委員会についてもお答えをさせていただいた方がよろしいでしょうか。──はい。
 我が国の皇室制度も諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や伝統があり、そうしたものを背景に国民の支持を得て今日に至っているものであり、そもそも我が国の皇位継承の在り方は、条約の言う女子に対する差別を目的とするものではないことは明らかであります。委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは、全く適当ではありません。また、皇室典範が今回の審査プロセスにおいて一切取り上げられなかったにもかかわらず、最終見解において取り上げることは手続上も問題があると、こう考えております。
 こうした考え方について我が方ジュネーブ代表部から女子差別撤廃委員会側に対し説明し、皇室典範に関する記述を削除するよう強く申し入れた結果、最終見解から皇室典範への言及が削除されました。
 我が国としては、今回のような事案が二度と発生しないよう、また我が国の歴史や文化について正しい認識を持つよう、女子差別撤廃委員会を始めとする国連及び各種委員会に対し、あらゆる機会を捉えて働きかけをしていきたいと考えております。
○山谷えり子君 来年にはハリウッドにジャパン・ハウスも開くということでありますし、官民の連携、そしてまた外務省だけではなくて別のエンジンもつくっての対外的な広報戦略というものをしっかりと進めていただきたいと思います。
 今日で東日本大震災から五年と三日でございます。総理は三十回近く被災地を訪れられて、現場の声を聞き、実態を見て、そして復興の加速に努めてこられました。本当に政治家一人一人心を寄せながら、復興の加速化に努めていかなければならないと思います。
 先週、私も、稲田政調会長そして自民党の国会議員二十名とともに宮城県名取市閖上地区の東日本大震災物故者慰霊式典に参列し、その後、自治体、議会関係者、町の皆様、農業、商業、産業界、皆様のお声を聞いてまいりました。そんな中で、災害公営住宅の建設や高台移転あるいはなりわいの再生、非常に進みつつあると。しかし、そこにやはり魂が必要だから、土地の魂、人と人とのつながりを強めるためにもお祭りの力は大きいんだよという声をいただきました。
 地方創生担当大臣にお伺いをいたします。
 地方創生に、総合戦略の中に祭りや伝統文化の継承ということも入っておりますけれども、しかし、そういうことを行政や国にどこまで求めていいんだろうかという戸惑いも現場にあるやに聞いております。特に、東北地方はそれぞれの集落ごとに民俗芸能があったり神楽があったり、本当に土地の魂と人々のつながりによって天と地と人と時空を超えてつながってきた、そういう深い歴史があります。そうした伝統文化継承について、地方創生の視点からどのような支援をお考えでございましょうか。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、お祭りというのは地域の自信や誇りを喚起をするものであり、また世代間交流あるいは地域間交流に大きな意味合いを持つものだと思っております。
 これは、昨年、ふるさとイベント大賞というのがございますが、この内閣総理大臣賞を受賞いたしましたのは塩竈みなと祭でございました。震災でみんな打ちひしがれてしまっているときに、やはり祭りを復活させようということでそういうような催しをし、そういう賞を受賞したものであります。
 また、いわき市の総合戦略におきましては、二十年後のいわき市の姿として、地域の祭りや伝統が継承され、市民は郷土の歴史や文化に親しみ、祭りや観光などを通じた来訪者との交流も深まり、地域ににぎわいが生じていると、そういう二十年後の姿を描いております。ただ、高齢化をしておりますので、おみこし担げなくなっちゃったというそういう地域がたくさんありまして、被災地ではありませんが、豊後大野とかあるいは岡山の笠岡とか、二百キロあったみこしを百四十キロにしようとか、そういういろんな取組もあるわけであります。
 私どもとして、そのような、おみこしを新調するので支援してというのはなかなか難しいんですが、それが地域間連携であり官民連携であり政策間連携であり、そのお祭りを通じて地域が活性化していくということに非常な意義があることだと思っておりまして、財政面、人的な面、情報的な面、支援をしてまいりたいと思っております。東北の六魂祭などというのは本当に大きなにぎわいを創出しておりまして、政府としてそのような取組に対して三つの面で支援をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○山谷えり子君 様々な視点からの支援、是非また力強くお願いしたいと思います。
 総理は、東日本大震災の政府主催の先日の式典の中で、防災体制の強化に取り組む、また強靱な国土づくりに取り組むというふうにおっしゃられました。国土強靱化というのは安倍内閣の重要方針の一つであります。国土強靱化担当大臣が設けられ、そして国土強靱化基本法の下に基本計画が作られ、内閣官房に国土強靱化推進室が設けられて、省庁の縦割りを排して、そして都道府県、市町村、また民間の皆様とのつながりの中でこの基本計画を本当に実行に移そうと今着々と進めているところでありますけれども。
 防災教育も非常に盛んになってきておりまして、この「「防災まちづくり・くにづくり」を考える」という小中学校用のテキストブックは非常にあちこちから欲しい欲しいというような依頼があります。また、先日、日野市の平山小学校、授業参観へ行きましたけれども、タブレット、ITを使って、自分の町のこの川が氾濫したらどこに逃げたらいいか、あるいはどういうふうに補修したらいいかというふうな、子供たちが自分たちの町づくりを防災の視点から考えているというような取組も非常に心強く思ったところでございます。
 国土強靱化担当大臣にお伺いをいたします。
 平成二十八年度の予算、そしてこの国土強靱化への取組、また、民間も非常に頑張っております、民間の市場規模あるいは経済成長への貢献等々の観点から御説明をお願いいたします。
○国務大臣(加藤勝信君) こうした防災という観点から立っても、国土強靱化、しっかり取り組んでいく。そういう意味では、国のみならず、地方、そして民間、民間も企業の方々、さらにはこうした国民皆さんそのものがこの国土強靱化にしっかりと理解をしていただく、その路線は委員が前大臣として取り組んできていただいたところでございます。
 国土強靱化の推進で、一つは、御指摘ございましたけれども、GDPに対しても大変大きな影響があるということで、六百兆円近い経済実現へ今向けて努力をしているわけでありますけれども、そういったことにも大変強く関与していくんではないかというふうに思っております。
 今、二十八年度予算にも前年度同様の金額を盛り込ませていただきますとともに、そしてさらに、具体的な取組として、企業が事業を継続をしていくということが大変重要であります。そうした第三者が評価する新たな認証の仕組みを評価していく。あるいは、大臣の頃に民間の取組事例集、これ取りまとめていただきました、これを更にバージョンアップして、それを広めていく。あるいは、今お手元のそうした資料をもって国民の啓発をしていく。
 こういったことで、国、地方、そして民間全体が国土強靱化にしっかり取り組んでいけるよう更に努力をしていきたいと思っております。
○山谷えり子君 昨年のちょうど今日、三月十四日から十九日まで、仙台で国連防災世界会議というのが開かれました。私、議長をさせていただいたんですけれども、百八十七の国から参加があり、十五万人の皆様が参加をされました。二十五か国の大統領や首相、また百か国を超える大臣たちの出席がありまして、防災への取組、そして日本のノウハウへの期待というものを非常に強く感じたわけでありますが、その会議の中で非常に度々語られたのがレジリエンス、強靱化ということでありました。レジリエンス、レジリエンス、レジリエンス、ダボス会議でも議論になっていることでございまして、こうした強靱な国づくりを、それもハード、ソフトの組合せを含めてしていくということは、コストではなくて投資なんだと。
 十年前にアメリカでハリケーン・カトリーナがありましたけれども、あれも、アメリカ、米軍の分析によりますと、十四兆円の被害があったけれども、二千二百億円投資しておいて堤防や様々な対策を取っておけば被害はゼロだったんじゃないかというような分析もございます。
 国連防災世界会議では、仙台で、経団連の皆様また民間企業の皆様がいろいろな技術や商品を出品をいたしました。経済成長にも資するという視点から、強靱化、進めていただきたいと思います。
 次に、教育についてお伺いをいたします。
 人づくりは国づくりであります。また、良き教育を受ければ一人一人の幸せな人生、過ごすことができるという意味で、本当に国、そして一人一人の人生の力の源であります。そんな中で、幼児教育が非常に今注目をされております。脳科学の発展や、また様々な研究の中で、幼児教育に力を入れるということが社会の安定にもつながり、一人一人の幸福にもつながるという研究が次々と出ているわけであります。
 例えば、アメリカのノーベル経済学者であるヘックマンさんが分析されたペリー就学前研究というのがあるんですけれども、ちゃんとした幼児教育を受けた子供たちとそうでない子供たち、ずっと人生を追っていきまして、四十歳の時点で月二千ドル以上収入があるという人が、幼児教育を受けていないグループに比べて幼児教育を受けたグループは四倍という数字が挙がっておりますし、犯罪率は低く、また生活保護受給も低いというような形で、社会の安定性が増すというような研究もありまして、先進諸国、幼児教育の無償化に向けて次々と努力をしているわけでありますが、安倍内閣におきましても、この三年間で幼稚園就園奨励費二倍増、更に増やして四百二十五億円付けて、来年度ですね、付けようとしているわけでありますけれども、更なる幼児教育の無償化への意気込み、総理、お教えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 幼児教育、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものでありまして、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要なことであると認識をしています。安倍政権においては、教育再生の大きな柱の一つとして、幼児教育の充実に取り組んできたところであります。
 幼児教育の無償化については、安倍政権において毎年度段階的に取組を進めています。来年度予算においても更に進めることとしておりまして、その結果、生活保護世帯や一人親の市町村民税非課税世帯は全ての子供が無償になります。そして、一人親の低所得世帯は、第一子が半額、第二子以降は無償となります。一人親でない低所得世帯は、第二子は半額、第三子以降は無償とすることとしています。
 また、幼児教育の質については、小学校での学習の基礎として、探求心や思考力、社会性や忍耐力等をより身に付けることなど、幼稚園の教育要領の見直しを進めています。さらに、幼稚園、保育所、認定こども園を巡回して指導、助言等に当たる幼児教育アドバイザーの配置も新たに進めることとしております。
 今後とも、幼児教育の質の向上も図りつつ、財源を確保しながら、幼児教育無償化の実現に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○山谷えり子君 今、自民党は幼児教育振興法というのを議員立法で作っております。公明党の皆様ともいろいろ御相談をしながら、そしてまた野党の皆様にも御賛同をいただきたいと思います。
 幼稚園だけではなくて、保育所、認定こども園、全ての子供たちが質の高い幼児教育を受けるチャンスがあるということが非常に大事なことだと思っております。その質の保障について、馳文部科学大臣、今年の四月からナショナルセンターも、幼児教育の、オープンするということでありますけれども、お考え、お示しください。
○国務大臣(馳浩君) 与党において幼児教育振興法、検討しておられるということを仄聞しております。山谷委員には中心的な活動をしていただいているということを、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 文科省としては、国、地方公共団体における幼児教育振興策の立案を行う上で、必要となる基礎的データの収集、分析や政策効果に関する研究を行うための国としての調査研究拠点、ナショナルセンターを平成二十八年度から国立教育政策研究所に整備をすることとしております。また、地方公共団体においても、教員の資質向上に向けて、都道府県における研修等の拠点となる幼児教育センターの設置や、市町村において、幼稚園だけでなく保育所や認定こども園も含め、各園を巡回して指導、助言等に当たる幼児教育アドバイザーの配置など、地方公共団体における幼児教育の推進体制を構築するための費用を平成二十八年度予算案に計上いたしております。
 さらに、教育内容の改善に向けては、現在、中教審において幅広い見地から議論を行いながら、幼稚園教育要領の改訂に向けた検討を進めております。具体的には、幼児教育と小学校教育との接続の重要性を踏まえて、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化や、それを受けた小学校の各教科等における学びとの関連性、粘り強さなどペーパーテストでは測れない力の重要性、そして幼児教育にふさわしい評価の在り方、こういった論点について幼児教育の充実の観点から検討が進められております。
 改めて、幼稚園においても、保育所においても、認定こども園においても、いずれにおいても幼児教育の重要性は論をまたないところでありますので、幼児教育振興法の立法の過程においても是非とも御理解をいただいて、今後ともお示しをいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○山谷えり子君 力強く進めて共にいきたいと思います。
 続いて、専門学校についてお伺いをいたします。
 専門学校は去年で制度創設四十年、千二百万人の学生たちが卒業して、様々な資格や確かな技術を手にして、そしてお地元で就職して良き納税者、また良き社会人あるいは家族を形成するという形で国の力となってまいりました。
 今も六十万人近い学生が専門学校で学んでいるわけでございますけれども、その専門学校への支援についてはどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(馳浩君) 全国各地域においてますます専門学校、専修学校の果たすべきいわゆる職業教育における実践的な教育の重要性、論をまたないところでありまして、文科省としては、企業等と密接に連携して最新の実務の知識、技術、技能を身に付けられる実践的な職業教育に取り組む学科を職業実践専門課程として認定する制度や、専修学校と産業界が連携し、実践的な知識、技術等を習得するための教育プログラムの開発、実証の推進を実施しております。
 平成二十八年度予算案においては、専修学校の関連予算として三十五・二億円を計上し、このような専修学校における実践的な職業教育の振興を図るとともに、専修学校において学習を、実践を組み合わせて行う効果的な教育手法を開発し、学校と産業界の双方のガイドラインとして作成し共有していくための専修学校版デュアル教育推進事業を新たに実施するほか、経済的に修学困難な専門学生に対する効果的な経済的支援の在り方に関する実証研究事業などを盛り込んでいるところであります。
 こういった事業を通じて、またさらに、中教審において実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について検討を進めているところであります。この検討状況を踏まえつつ、我が国の職業教育の中核的な役割を担っている専修学校の重要性を踏まえ、専修学校教育の一層の振興に努めてまいりたいと思います。
○山谷えり子君 日本の専門学校の教育、カリキュラムというのは本当に高く世界でも評価されておりまして、私も、東南アジアを回ったり、アフリカやまた中南米やいろいろなところから輸出をしてほしいと、専門学校の教育、カリキュラムを輸出してほしいというような声も聞いております。一億総活躍社会、また地方創生のためにも、専門学校への支援というのはますます取り組むべきであろうと思います。
 新たな高等教育に専門学校をどう位置付けるかというような議論も始まっている中で、また専門学校自身が、地元の産業界も含めて様々な皆様とどのような実学が効果的かということも一生懸命研究をしておられます。また、医療や福祉や介護や保育、今必要な人材の育成の場でもあり、そしてそうした人材が出ていくことによって、また学び直しの学生が八割という学校すらあるぐらい再チャレンジという意味でも非常に大きな力がありますので、高等教育への支援、そしてまた専門学校への支援というのを柱として考えていただきたいと思います。
 自民党は教育再生実行本部、今フル回転しておりまして、私は本部長代行をしておりますけれども、週に何度も議論や関係者のヒアリング、視察などを重ねて、教育再生というのは常に常に新しい課題と、そして普遍的に取り組まなければならない部分がございます。しっかりと教育再生、良き教育を求めて課題に向かって挑戦をし続けていきたいと思います。
 さて、憲法についてお伺いをいたします。
 憲法について衆参の予算委員会の場でも度々議論になっているところでありますけれども、今年で憲法が作られて七十年、占領時代にGHQ二十四名による一週間ほどの議論で作られたという憲法でございます。こんなに長い間改正していないという国も珍しいわけでありまして、現実との乖離、矛盾というのは大きくなっております。地元の議会を預かられる皆様もそうしたことをお感じになられて、憲法改正の早期実現を求める決議、地方議会が三十三都県議会で採択されているわけでありまして、実に七〇%の地方議会が憲法改正の早期実現を求めているというわけであります。
 憲法、前文とそれから九十九条プラス補則が四条で、全部で百三条あるんですけれども、全部を読んだという方はまだまだ少数かなと。しかし、少しずつ増えている感じもいたします。
 ちょっと今日は憲法前文の方を見てみたいと思うんですけれども、(資料提示)自民党の憲法改正草案には、国民主権や基本的人権の尊重やまた平和主義という基本的な考え方がしっかりと盛り込まれつつ、また日本の和あるいは日本の国柄というものがしっかりと記されているわけでありますが、現行憲法は、例えば、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」などという文章も書かれているわけです。理想主義はいいんですけれども、余りにもリアリズム欠けているのではないか。国家の存続や人々の生命と安心な暮らしについて、リアリズムの欠如というのはどうしようもないことだというふうに思っております。
 例えば、南シナ海を見れば、中国が人工の島々を造って、滑走路を造って飛行機を飛ばすというようなことをしております。非常に多くの国々が懸念を示しているわけであります。また、北朝鮮は核実験を繰り返して、ミサイル数百発持っているかと言われております。また、国際テロリズム、暴力的過激主義のはびこり、そんな中で、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というような理念の下でよいのかどうか。
 そしてまた、この憲法は一週間ほどで二十四人が、GHQがマッカーサー草案を基に作ったというもので、アメリカの憲法や独立宣言やリンカーンの演説などのパッチワークで、コピペじゃないかというような学者さんもいられるわけでございまして、私たちの国柄を反映した美しい日本語、そして私たちの手で国の基である憲法の前文を書いていくということは大切なことではないかと思います。
 もう一つ、七条、単純な間違いも様々ございまして、七条というのは天皇の国事行為に関することでありますが、現憲法は、七条四、「国会議員の総選挙の施行を公示すること。」とあります。これは、実は総選挙というのは衆議院議員の選挙についていうことでありまして、参議院議員の選挙は通常選挙といいます、公職選挙法にもそう書いてあるわけですが。したがいまして、これは単純な記述書換えということにもなるかと思いますが、自民党は、「衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。」というふうにしております。てにをは、助詞のちょっと間違いというのもありまして、こうした間違いというのも正すということは大切ではないかと思います。
 また、私、国家公安委員会の委員長また防災担当大臣を昨年の十月までしておりましたけれども、今、国際テロあるいはサイバー攻撃、またエボラやMERSなどの感染症、そして災害が大規模化、激甚化していくという状況の中で、憲法に緊急事態の条項が規定されていないということは非常に問題ではないかとますます感じているところであります。
 様々な権利というのはもちろん大事なんですけれども、緊急事態においては、一部の私権の制限をしないと多くの人々の命が救えない、復旧復興のスピードが図れないということがございます。この根本規定が憲法にないがゆえに、東日本大震災のときも混乱が起きました。救えた命も救えなかったんじゃないかと、現場からの声もございました。
 そうした視点から、河野国家公安委員長また防災担当大臣、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 例えば、大規模災害が起きたようなときに国民をどのように守るかということを憲法に位置付けるというのは大切な課題だと思っております。他方、憲法改正の議論は国民の間の議論の深まりが大切であり、それを見守ってまいりたい。
 いずれにいたしましても、防災担当大臣あるいは国家公安委員長として、緊急事態には万全を期してまいる所存でございます。
○山谷えり子君 南海トラフ巨大地震や首都直下地震、三十年のうちに七〇%の確率で起きるのではないかと言われております。また、南海トラフ地震におきましては、死者三十二万人、経済的な損失二百二十兆円から二百五十兆円ぐらいという予測もございます。
 こうした被害を最小化していくためにも、国の根本規定に、憲法にきちんと位置付けていくことが大事だと思いますが、今、河野防災担当大臣、国家公安委員長もおっしゃられましたが、国民の議論というのがございます。これは普通の法律とは違って、国会議員が国会で改正する、採決をするわけではないわけですね。発議をするだけでありまして、決めるのは国民であります。
 国民投票によって、その過半数によって憲法改正が成るわけでありまして、こうした国民が自分たちの憲法を決めるこのチャンスをこんなにも長く奪い取ってきてよかったのかという感じを持ちますが、総理はその辺、いかがでございますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法は国民の未来、理想の姿を語るものでもあります。二十一世紀の日本の理想の姿を私たち自身の手で描いていくというこの精神こそ日本の未来を切り開いていくことにつながっていく、こう信じております。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義といった現行憲法の基本的な考え方を維持することは当然の前提でありますが、その上で必要な改正は行うべきものと考えています。
 自民党は今年で立党六十一年を迎えるわけでありますが、立党以来、党是としてずっと憲法改正を主張してまいりました。平成二十四年には、当時の谷垣総裁の下、改正の草案を取りまとめ、世の中にお示しをしたわけであります。今後とも、同様、公約に掲げて訴えていく考えであります。
 同時に、今委員がおっしゃったように、憲法改正には、衆参各議院で三分の二の賛成を得て国会が発議し、そして最終的には国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。まず、国会においては、与党のみならず多くの党、会派の支持をいただかなければならないわけでありますが、決めるのはまさに国民の皆様が決めるわけでございまして、ここが普通の法律とは違うわけでありまして、普通の法律の場合は衆参でそれぞれ過半数によって成立をすれば法律として、可決すれば成立していくわけでございますが、まさに国会が発議するわけでありまして、決めるのは国民である、それが憲法であります。そこが憲法と法律の大きな大きな違いなんだろうと。その意味におきましても、国民的な議論の深まり、広がりが必要ではないかと、こう考えていくわけでございます。
 今後とも、新しい時代にふさわしい憲法の在り方について国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいりたいと考えております。
○山谷えり子君 様々な課題がございます。しかし、日本は様々な課題を克服して、チャレンジ精神を持って、正直で親切で勤勉な皆様の力で様々解決をしてきたところでございます。平成二十八年度予算がしっかりと国民の皆様の幸せにつながるようにこれからも努めてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で山谷えり子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、藤井基之君の質疑を行います。藤井基之君。
○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。山谷先生に引き続きまして、質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、今日のテーマであります社会保障問題について触れさせていただきたいと存じます。
 つい先般、国勢調査の結果が出ました。平成二十七年十月一日現在、日本の人口は一億二千七百十一万人、大正九年の国勢調査以来初の人口減少を記録をいたしております。この人口の動態について総務省の資料等々から見ますと、人口そのものは減っていくということが明らかになっておりますが、その中に占めます六十五歳以上の高齢者の方々の数、これはその逆を動くようでございます。
 二〇一四年、二十六年の十月一日には、六十五歳以上の方々が三千三百万人を超えました。その数字は、その後の平均寿命の延び等も受けまして、この後どんどんどんどん増えていくんだと。実数として申し上げますと、どうもピーク時は、人口予測によりますと二〇四二年という、そのときに三千八百七十八万人にも達するんだと、このような推計がございます。このような高齢化の流れによりまして、社会保障の問題というのは大きくクローズアップされることとなります。
 今日はここにパネルで、社会保障についてはいろいろな指数が示されますが、社会保障の給付費についてのデータをお示しさせていただきました。(資料提示)ここにありますように、社会保障給付費、内訳は、年金、そして医療、そして福祉等々とあるわけでございますが、何と、二〇一五年予算総額ベースでいきますと、この給付費総額は百十六兆円を上回ると、国民所得額に対する割合で申しますと三割を超えるものとなります。
 御案内のとおり、この社会保障の問題というものは、その財源を突き詰めてまいりますと、自助、共助、公助というふうに言われておりますが、いわゆる、自分が、国民一人一人が払うお金と、そして共助、助け合いの精神で、例えば保険料というような形のこと、そしてもう一つはやはり税金というふうなことになってまいります。
 国民の安心、安全のための社会保障制度、この充実ということは不可欠でございます。そのためには、例えば、消費税を増やすとか、あるいは経済を活性化することによって財源を確保すること、それとともに、社会保障の提供体制の効率化も図らなければならないし、またこれらに加えまして、次世代への負担というものについて、負担の先送りということについても、これも配慮していかなければなりません。
 このように、様々な困難な問題を抱えるこの社会保障給付費の問題、今議論になっております予算、二十八年度予算案一般会計歳出総額九十六兆七千二百十八億円のうち、社会保障費は約三十二兆円と三分の一の多くを占めております。
 総理にお伺いをしたいと存じます。
 財政の健全化を目指しつつ、この増大する社会保障費の確保をどのようにお進めになられるのか、お考えを伺いたいと存じます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、藤井委員からお話があったように、言わば私たちが進めている社会保障の考え方については、自助、共助、公助というお話をいただきました。
 例えば、介護保険を導入する際には、まさに自助として高齢者の方々に一割御負担をいただく、残りを保険料、これはお互いが助け合っていく、世代間そして世代内の助け合い、保険料で半分は賄いましょうと、そして残りの半分は税金、つまり公助という形でお金を、財源を確保していこうと、そういう考え方でございます。これは社会保障全体に通じていく考え方ではあろうと思います。
 しかし、その中で高齢化が進んでまいりますから、高齢者の給付が、対象の高齢者の数がこれ増えていきますから、どうしても社会保障費の増加が見込まれるわけでありまして、社会保障の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成をしていく必要があります。
 このため、社会保障と税の一体改革を推進しておりまして、消費税率の引上げによる増収分を全額社会保障の充実、安定化に充てるとともに、不断の重点化、効率化に取り組んでいます。
 その際、若者も含め全ての世代の安心と納得を得られる全世代型の社会保障とすることが重要であります。どうしても、高齢者の人口が増えていきますから高齢者向けの給付が増えていく、これはある程度やむを得ないことなんですが、しかし、しっかりとその中で現役世代、子育て世代にもこれは支援を充実をしていこう、このバランスを取っていかなければならないと、そんなことが重要であると考えたわけでありまして、子ども・子育て支援などを充実をさせていきます。
 こうした取組を通じて、国民の安心な暮らしを支える社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していく責任を果たしていきたいと考えています。
○藤井基之君 ありがとうございました。
 続きまして、社会保障の中でも未来に関わる問題とでも申しましょうか、保育の問題、今いろいろと全国からいろいろな声が出されておりますが、それについてお尋ねをしたいと存じます。
 東京などの大都市を始めとして、切実な声が上げられている方が大勢いらっしゃいます。職場に復帰しなければならないのに保育園落ちたと、これじゃ仕事を続けられないよと、深刻で差し迫った多くの声が届いております。先日、そうした方々の署名が集められまして、塩崎厚生労働大臣に対しまして署名やその方々のコメントを手渡されたというふうに伺っております。
 この待機児童問題について少し説明をさせていただきたいと存じます。今パネルでお示しをしておりますように、この保育園の問題、待機児童の問題というのは、平成二十五年四月、安倍総理が内閣を発足されて僅か四か月後のこと、待機児童解消加速化プランというものを策定なされました。内容は、保育園を整備する、保育士を確保する、そして多様な保育サービスを拡充するという、そういった方針でございました。このパネルに示したとおりでございます。そうした取組の結果、平成二十五年度以降、保育園の申込者の増加を上回るペースで実は保育園が増え始めまして、この二年間、平成二十五年度、平成二十六年度では定員数が合計で二十二万人増加を示しております。
 そうした内容が、我々としては、ああ、政府がよくやってくれているんだと、こう理解をしたいわけでございます。ただし、こうした政府の対応につきまして、そういった状況があるにもかかわらず、私どもは多くの声を聞きます。保育園を利用できないんだ、仕事や子育てをどうすりゃいいんだ、こういう声でございます。私事でございますけれど、実は、私も、息子夫婦共稼ぎでございまして、三歳児とゼロ歳児の子育てに日夜苦慮している実態を知っております。
 私は、この問題に対して、総理もあるいは厚生労働大臣もいろいろと御検討いただいていると思います。その上で、この待機児童問題の解決に向けまして、これまでの取組、またその評価、そしてこれからこの待機児童の解消というもの、例えて申しますと、保育サービス五十万人分を上積みするとか保育士の方々の処遇を改善するなど、多くの取組の方向が示されておりますけれども、待機児童の問題というものは、まさに一刻を争う、加速化して行わなければいけないプランだというふうに考えております。
 総理のおっしゃられる一億総活躍におけます夢を紡ぐ子育て支援を進める上で、このテーマは私は最重要の課題ではないかと考えております。今後に向けての総理の御決意をお伺いしたいと存じます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 厚生労働大臣に届けられた署名やコメントについては、私もそれを受け取りまして拝見をさせていただきました。子供が生まれた、一生懸命子育ても頑張りたい、でも仕事を続けたい、あるいは仕事を続けなくてはならない、にもかかわらず、保育所になかなか預けることができないという切迫感あるいは切実な思いが伝わってまいりました。
 日本が少子化社会を克服していくためには、子供を産み育てる若い家族を取り巻く環境をもっともっと温かくしていく、そして配慮をしていく、配慮に満ちたものにしていかなければならないと考えています。大変苦労も多い子育てと仕事を両立をさせていこう、あるいはさせていかなければならないと、そう考える中で頑張っている皆さんを温かくサポートできない社会であってはならないと、改めてこのように思ったところでございます。
 安倍政権では、発足以来、女性の活躍に政権を挙げて取り組み、推進をして、女性の活躍を推進してまいりました。特に、政権交代後間もない二〇一三年四月に、二〇一七年度末までの五年間で四十万人分の保育の受皿を整備することを目標とした待機児童解消加速化プランを打ち出し、重点的に取り組んでまいりました。同プランの下での実績として、保育の受皿拡大のペースは政権交代前の約二倍になっています。二〇一三年度と二〇一四年度の二年間で二十二万人分の受皿拡大を達成をいたしました。その過程で、働く女性のニーズを把握し、これに対応して制度を着実に改善もしてきたところであります。
 加えて、希望出生率一・八の実現に向けて、昨年末の緊急対策に盛り込んだとおり、二〇一七年度末までの保育の受皿整備量を四十万人分から五十万人分に上積みをすることといたしました。既に保育の現場で働いている方々については、人事院勧告に従った処遇改善を行うとともに、今年度の当初予算において、消費税財源を活用し、三%相当処遇を改善したところであります。
 しかしながら、保育の受皿整備を上回るペースで申込みが増えていることから、今後とも、仕事と子育てが両立できるよう、働く方々の気持ちを受け止めながら、待機児童ゼロに向けて万全を期してまいりたいと考えています。
○藤井基之君 ありがとうございました。
 子育て世代の皆さんが働き続けながら安心して生活することができる社会づくり、これ大変重要なことで、今総理の御決意を頂戴いたしましたが、是非政府としての対策を求めたいと思っております。私どもとしましても、次の世代というものは非常に大切な世代でございまして、その世代に対して、今まで先輩が日本は平和な日本をつくってくれた、この豊かな日本をそのまま、またこれ以上豊かな国として次の世代に渡していかなければいけない責務が我々にもあると思っております。
 続きまして、少しテーマを変えまして、今年の四月一日から実施されます平成二十八年度の診療報酬改定について伺いたいと存じます。
 この四月一日から実施されます診療報酬改定、この改定の基本方針につきましては、これは、団塊の世代が後期高齢者、つまり七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、地域包括ケアシステム、それとともに効果的、効率的で質の高い医療提供体制を構築するのだと、これが今回の改定の基本方針であるというふうに理解をいたしております。
 そういった中で、種々の政策が盛り込まれているわけでございますが、その中に一つ、このようなテーマがございました。かかりつけ医、かかりつけ歯科医を評価をします、そして、それとともに、かかりつけ薬剤師を評価する仕組みを盛り込みますということでございました。このかかりつけ薬剤師あるいは薬局の有様、これらにつきましては、昨年十月、厚生労働大臣がお取りまとめになられまして公表されました患者のための薬局ビジョンの実現を目指したものではないかと考えております。
 今、このパネルにお示ししました、かかりつけ薬剤師という用語、これは最近になって一部マスコミでも取り上げられておりますけれども、実は、一般の国民にとってはこれは非常に目新しい言葉ではないかと思います。そして、このかかりつけ薬剤師さんというのは一体どんな役割を果たすべきなのか、そして、この方々が活躍する社会になると医療はどのように良くなるんだと、こういったことがまだ国民の方にはどうも理解が十分じゃないような感じがいたしております。実は、勉強不足で私も完全にそれが分かっているとまでは申し上げられません。
 是非、厚生労働大臣にお願いしたいんです。そのような内容につきまして細かく御説明をいただけたら幸いでございます。いかがでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生から御指摘をいただきましたように、昨年の十月、患者のための薬局ビジョンというのをまとめさせていただきました。その中で、患者本位の医薬分業を実現するということで、その中でかかりつけ薬剤師の推進に向けて取り組むということを明確にさせていただき、また、今回の診療報酬改定でも初めてそれを評価をするということになったわけでございます。
 このかかりつけ薬剤師というのは何だろうかということでございますけれども、患者さんが飲んでいる薬について、患者さんは薬のプロではございませんので、一元的かつ継続的にどういうお薬を飲んでいらっしゃるのかということを把握をして、例えばダブって飲むと体に良くないとか、そういうようなことをまずチェックする。あるいは、休日とか夜間の相談とか、在宅医療にも貢献をしていただく薬剤師さんになっていただく。また、かかりつけ医あるいはかかりつけ歯科医師とも、あるいは他の医療職と連携をして地域の中で活躍していただく薬剤師になっていただくと。こういうことを想定をし、また後発医薬品への切替え、いわゆるジェネリックへの切替えとか、それから残薬の管理、家に帰ったら段ボール一箱薬がありましたみたいな話が時々報道されておりますけれども、そういうことにならないようにしながら、医療保険財政の効率化にも寄与していただくという役割も果たしていただけるのではないかと思っております。
 こういうことで、こうした取組を推進するために、今回の診療報酬改定において、患者が選択したかかりつけ薬剤師が患者の服薬状況、どういう薬を飲んでいるかということを一元的かつずっと継続的に把握をした上で服薬指導を的確に行っていただくと、この業務について評価を行ったわけでございます。言わば健康を他の医療職とともに薬のプロとしてサポートしていただくと、こういうことかなというふうに思っておりますけれども、診療報酬はもとより、制度、予算など様々な政策手段を用いて、現場の薬剤師の皆様方の声にもしっかり耳を傾けながら、かかりつけ薬剤師の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。
○藤井基之君 ありがとうございました。
 このような新しい概念で新しい時代の医療というものを構築していくという、スタートがどのような形である意味でソフトランディングができるのかどうかということについては、一層の努力をお願いしたいと存じます。
 それに関係しますと、今審議中の予算案の中、二十八年度の厚生労働省の予算案の中に、かかりつけ薬局の機能を明確にし、将来に向けた薬局再編の姿を示した、先ほど申し上げました患者のための薬局ビジョン、大臣からも御説明がありました。
 このビジョンの実現に向けまして、例えて申し上げますと、薬局における二十四時間対応でありますとか在宅対応における地域の薬局間での連携体制の構築など、そういった取組でありますとか健康サポート機能の更なる強化に向けた先進的な取組、あるいは薬局のかかりつけ機能の強化のため、そのためのモデル事業を実は二十八年度予算で行いますと、新しい事業としてこれを行いますということが予算書の中に盛り込まれております。
 私どもとしましては、この薬局の現場の方々からお伺いして、これからモデル事業ですかと、本来モデル事業というのはもっと先にやっていただいて、こういう事業を行えば患者のためにより良い方向性が示せるんです、だから例えば現場においてはこういう対応をしなきゃいけないと、まさにその指標になるものがこのモデル事業の成果として出てくるんだろうと思っております。
 是非大臣にお願いしたいんですが、この予算が成立した暁には、この予算についてはできるだけ早く実施に移していただきまして、そして現場に対する指導をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、この診療報酬改定のもう一つのポイントについて、また御質問をさせていただきたいと存じます。
 今回の診療報酬の改定の問題、いろいろな問題がありまして、そしてその中にいろいろな問題点もあったというふうに理解をしております。その中で、一つありましたのが、今回の診療報酬改定は、実は診療報酬改定そのものにつきましては〇・四九%だったと思いますが、プラス改定になりました。だから、新しい政策として先ほどのような政策が、これからやりましょうということで御用意をされたと思う。ところが、医療費全体、診療報酬全体を見ますと、例えばお薬の値段が大幅に下げられることによって、実態として、今回、四月一日から行われる医療費改定の結果としては、医療費はマイナスの改定となります。
 これは患者さんにとっていいますと、実は自己負担を含めまして額が安くなることを意味しておりまして、それ自体は絶対に反対するものではないわけでございますが、そのマイナスになった状況というのは、一体なぜこういうマイナスの状況ができたかということを考えると、別な意味での問題が出てまいります。
 パネルをお願いしたいと存じます。
 実は、この財源というものについては、そもそも厚生労働省は二十八年度予算編成におきまして、社会保障費の自然増が、財務省がお話しになられる、あるいは骨太の方針で示された目安よりも少し大きくなってしまうんだと、そのための財源対策を厚生労働省としてもしなきゃいけないんだということである種の医療費の効率化を進めまして、必要となる自然増財源、圧縮された自然増財源約一千七百億円、この捻出のために必要な財源の確保に取り組まれました。そして、その財源の確保のために、ここに示しましたとおりでございますけれども、実は保険診療で用いられるお薬の公定価、薬価と言われておりますが、この薬価を大幅に切り下げることによってその財源の大部分を捻出をしております。
 具体的に申し上げますと、ここにありますとおり、国費ベースというふうにまず書かせていただいておりますが、これが予算書等で出てくる数字でございますが、いわゆる市場における価格が、実際の医療機関への納入価格が公定価である薬価より安くなっている実態があると。だったら、これは国民に還元しなきゃいけないから下げるという、これは極めて分かりやすい論理だと思いますし、そういったことによって実は、ここの一番上にあります、薬価改定とありまして、国費ベースで改定率が一・二二%、額として一千二百四十七億円、この財源を捻出をしております。
 ただ、これだけでも実は必要となる財源に届かないということで、お薬の関係については、その他いろいろな形でこの財源捻出が図られております。市場におきまして当初想定したよりも多くのお薬が売れた、売れ過ぎちゃったんじゃないのと、だからそれは戻してよということでしょうか、市場拡大再算定と言われているもので、約二百億円、国費ベース。そして、それに加えまして、今回新たに特例再算定というものが持ち込まれました。これによって二百八十二億円等と。そして、合わせまして、実は国費ベースでいいますと、必要とする財源のほぼ全て、千七百四十億円をお薬の価格を操作することによって捻出をされております。
 問題は、ここに、今申し上げましたが、特例再算定と言われる制度でございます。これは今回実は新たに導入された制度でございまして、実は、売上規模がある意味で極端にと申し上げましょうか、大きな、巨額になりましたそうしたお薬に対して、ある意味で強制的な価格の引下げ、あるものは三割以上のお薬の値段が下がるという、そういった措置がとられております。
 このような対象になったお薬といいますのは、実は革新的であるとか画期的な新薬との評価もなされているものも含まれておりまして、このように、対象となったお薬が想定を超えて売れた、売上げが伸びたということは、これ一つには、そういったお薬の有効性とか安全性が臨床面において高く評価を受けた結果、その結果として実は市場が増えていったと、その市場が増えて医療界に貢献したら、今回ペナルティー的に価格は下げろよと、こういうことになっているんじゃないかという感じがいたします。
 科学技術の進歩というのは著しゅうございます。でも、今日でも有効なお薬や有効な医療法がなくて実は苦しんでいる患者さんは多くいらっしゃいます。これらの方々は、一日も早い新薬や新しい医療機器、医療手法の開発を待ち望んでおります。
 我が国の医薬品産業、これは資源のない我が国におきまして、ある種の成長産業として期待されているのではないかと考えますが、今回のような、このような特例的な、狙い撃ちをしたような価格の引下げとでも申し上げましょうか、言葉はちょっと悪うございますが、こういった大幅な引下げが行われますと、企業にとりましてはこれから先の研究開発に対する意欲が低下するのではないかということを憂います。そして、海外で開発された多くの革新的な新薬の国内への導入が遅れるのではないかということも危惧いたします。
 大変御苦労いただいて今回の診療報酬改定の絵姿をつくり上げられたわけでございますが、厚生労働大臣、この新薬の開発ということと医療費の抑制ということ、ある種、片方でブレーキを踏んで片方ではアクセルを踏んでいるという状況になっているわけでございまして、これについての御説明をいただきたいと存じます。
○国務大臣(塩崎恭久君) 藤井先生御指摘のように、やはり画期的な新しい薬が今までできなかった治療を可能にするということが、私たちとしても大いに期待をしているところであり、そのために我々はイノベーションを最大限評価をしていかなきゃいけないというふうに思っています。
 同時に、そういう意味で、この重要な産業として医薬品産業もあって、この治験環境を整えるとか、その革新的な医薬品の創出のための環境整備はやっていかなきゃいけないというふうに思っているわけですし、我々もこの医薬品産業が伸びることは大いに期待を申し上げているわけであります。
 一方で、我々、国民皆保険制度を持続可能なものにしていくというこの命題も同時に抱えているわけでありまして、この二つの間のイノベーションの評価、促進と、それから国民皆保険の維持というものをどう折り合いを付けて国民の健康を更に図るかと。こういうことが問われる中で、今回のような、今お話がありました特例的な市場拡大再算定、この市場拡大再算定自体はもう十年以上もある制度でございますけれども、今回そういうものを導入したということでございまして、薬価制度において、企業があらかじめ設定をした見込額どおりの売上げがあった場合に、研究費や適正な水準の利益を回収できるように薬価を設定をしていますが、この国民皆保険の持続可能性の観点から、販売額が企業の当初の見込額を大きく超えた、大きく超えた医薬品について薬価を引き下げるという市場拡大再算定の特に今回は特例というものを導入をしたわけであります。
 一方で、イノベーションを促進するという意味では、研究開発経費を早期に回収できるように、市場実勢価格に基づく薬価の引下げを一時的に猶予をして、新薬創出・適応外薬解消等促進加算という難しい名前ですが、新薬創出等加算とよく呼んでいますけれども、こういうものを続けるということも同時に私どもとしては決めているわけでございまして、いずれにしても、大事なことは、世界の中で、新薬として、画期的な新薬がどういう値段で推移しているのかということと乖離をするような形で私どもが薬価を設定するということは、日本の中にいい薬が入ってこなくなってくるというようなこともあったりするわけですし、また、いい薬を作ろうという意欲をそいでもいけないということでありますので、今後とも、引き続き、こういう制度がどういうふうにイノベーションに影響を与えるのかということには留意をしながら、同時に皆保険制度を守っていくことについても考えていかなければならないのかなと、そんなふうに思っておるところでございます。
○藤井基之君 ありがとうございました。これにつきましては、これからも先、きっと二年後にもまた医療費の改定ということは予定されていると思いますので、それに向けての十分なる検討をしていただきたいと存じます。
 私は昨年の十月まで文部科学副大臣を拝命しておりまして、主として科学技術の振興等について担当させていただきました。その関係でお伺いしたいと存じます。
 第五期の科学技術基本計画、これは今年の一月に閣議決定されました。科学技術イノベーション政策に力点を置き、我が国を世界で最もイノベーションに適した国へ導く、このようにうたわれております。
 我が国の基礎分野の科学技術レベル、これの力量の高さは、昨年は大村先生、梶田先生のお二人がノーベル賞を受賞されました。一昨年にも赤崎先生、天野先生、中村先生の三名の先生方がノーベル賞を受賞されました。このように、世界でも非常に高い評価を受けているのは御案内のとおりでございます。
 安倍総理は、今年一月二十日、参議院本会議での科学技術に関します私の質問に対しまして、国際競争が激化する中、リスクの高い基礎研究を中心に、これまで以上に政府の役割が求められています、政府研究開発投資については、策定中の第五期科学技術基本計画において、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ、対GDP比一%を目指しますとのような、力強い御答弁を頂戴したところでございます。
 そこで、担当の島尻大臣にお伺いいたしたいと存じます。
 第五期科学技術基本計画を踏まえまして、科学技術イノベーションに向けてどのような取組をなさるおつもりでしょうか。その意気込みをお聞かせください。
○国務大臣(島尻安伊子君) この科学技術イノベーション政策は、生産性革命の実現にもう必要不可欠でございまして、世界で最もイノベーションに適した国の実現を目指して強力に推進してきたところでございます。
 第五期科学技術基本計画におきましては、今まさに藤井先生御指摘のように、御紹介いただきましたように、近年のノーベル賞受賞に象徴されるような科学技術力の強化を図りつつ、世界に先駆けた超スマート社会の実現、経済社会的な課題への対応、さらに基盤的な力の強化、そしてオープンイノベーションの推進などを、産学官の幅広い関係者の中で強力に実行することとしております。
 また、それこそ今御紹介いただきました政府研究開発投資につきましては、基礎研究やリスクの高い研究開発を支えるとともに民間投資の呼び水となるものでございまして、五期基本計画におきましては、政府研究開発投資の目標といたしまして、経済・財政再生計画との整合性を確保しつつ対GDP比一%を目指すと書き込みをさせていただいたところでございまして、科学技術イノベーション政策を強力に推進していくという安倍政権の基本姿勢を国内外に示すものとなってございます。
 今後、科学技術イノベーションを通じて人々に豊かさをもたらすとともに、未来への希望というものを感じていただけるように、第五期基本計画に基づきまして政策の推進に全力を尽くしてまいりたいと思っています。
○藤井基之君 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。
 最近のニュースであります。女子テニス界の妖精とも言われたんでしょうかね、元世界ランキングトップでございましたロシアのマリア・シャラポワ選手が、今年一月の全豪オープンの大会でドーピング検査が違反があったということで記者会見をなさっておりました。禁止されている薬物、メルドニウムという薬が検出されたということで、その薬を二〇〇六年から服用されていたということでございます。
 このように、トップアスリートにおけるドーピングの問題というのは後を絶ちません。ただ、日本国におきましては日本人選手によるドーピングが少なく、これは我が国のある誇りとしてもいいようなことだというふうに考えております。日本におけるドーピングが、ゼロではありませんが、日本におけるドーピングは、これは例えば市販のお薬、風邪薬とか漢方薬を飲んでたまたまドーピングに引っかかる、あるいはサプリメントを取ったためにドーピングに引っかかったという、ある意味うっかりドーピングとも言われるもの、このようなものが日本において多いわけです。
 このようなうっかりドーピング防止というためには、日本アンチ・ドーピング機構とか日本薬剤師会の協力を得まして、ドーピングについて適切な情報提供と選手らに対する教育啓発活動、これの専門家として公認スポーツファーマシストの制度をスタートさせて、これが着実に成果を上げているというふうに言われております。
 文科大臣にお尋ねしたいと思います。
 二〇二〇年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。この大会は、いわゆるドーピングのないクリーンな大会であってほしいと、多くの国民が、あとは世界の方々が望んでいると思います。それに向けての御決意をお聞きしたいと存じます。
○国務大臣(馳浩君) 藤井委員には、薬剤師という専門的な見地からも、団体を挙げてアンチドーピングの教育啓発活動に大変御協力をいただいておりますことを改めてまず御礼申し上げます。
 実は、我が国では、平成二十五年度七件、平成二十六年度七件、平成二十七年度七件、現時点において残念ながら違反の件数が挙がっておりまして、全体が大体五千件から七千件近い中で少ないわけでありますけれども、いわゆるうっかりドーピングが出ておるのは、これは一つの事実であります。
 そこで、オリンピックに向けまして、啓発活動、教育活動は日本アンチ・ドーピング機構、JADAに委託をいたしまして各種行っておりますし、そこに薬剤師の皆さん方にも御協力をいただいているというのは、これは現状であります。今、冨岡副大臣の下で実はタスクフォースを設置をいたしまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの競技大会がドーピングのないクリーンな大会になりますように、立法も視野に入れながら、万全の体制整備に向けた対応を検討しておるところであります。
 改めて、オリンピック・パラリンピックの大会においてアンチドーピングの問題、多くのスポーツマン並びに国民に御理解されるように取り組んでまいります。
○藤井基之君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で藤井基之君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、櫻井充君の質疑を行います。櫻井充君。
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井充です。
 震災から五年が経過いたしました。本当に与野党を超えてみんなで努力をさせていただいている結果、被災地も一歩一歩確実に復興が進んできているとは思っておりますが、この五年を節目に大きく国の方向が変わってまいります。それは何かというと、地元負担を求めるということになりました。私は、その震災当時、財務副大臣務めさせていただいていて、阪神・淡路のあの震災の後、神戸市など地元負担を強いられた結果、財政的に非常に厳しくなったものですから、基礎自治体の負担をゼロにするということでやらせていただいておりました。
 五年が経過いたしまして、これからまた地元負担が発生することになっているんですが、これは総理にお答えいただきたいと思いますが、真に復興に資するものについては、これは地元負担を求めないという今までの方針どおりになっていくんでしょうか。ここは地元の皆さんが物すごく不安に感じていらっしゃることなので、是非総理から御答弁いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東日本大震災の復興事業費については、町全体が壊滅的な打撃を受けたことや膨大な復興事業を実施していく際に十分な財源がないと見込まれる被災自治体が多かったことを踏まえ、集中復興期間中の自治体負担を実質ゼロとする異例の措置を講じてきたところであります。
 復興・創生期間における自治体負担導入の対象や水準については、被災自治体の御意見を丁寧に伺いながら、可能な限り対象事業を絞り、負担率を抑えることによって被災自治体の財政負担に配慮をしているところでございます。実際にこの負担をいただくに当たりましては、その際、被災地の復興に遅れを生じさせないこと、そして被災自治体の負担能力に見合ったものとすることに配慮をして丁寧に被災地の声に耳を傾けて、通常の災害時の復興事業に比べて大幅に軽減することとしております。
 このように、自治体の財政状況には十分配慮しているところでございまして、三県知事や市町村長からの理解は得られたのではないかと、このように思います。
 被災自治体におかれては、今後とも安心して復興に進んでいただきたいと考えております。
○櫻井充君 ありがとうございます。
 お金がないから復興ができないということにだけならないように是非お願いしたいと、そう思います。
 今日は奨学金について質問させていただきたいと思っているんですが、今、私の事務所に大学生のインターンシップで四人の大学生の方が来られていますが、実は四人のうち三人が奨学金を受け取っております。それから、うちの事務所で昨年、大学新卒の方を三名雇いましたが、そのうち二人の方が奨学金を受け取っております。
 この奨学金、ずっと調べていってみると、かなり卒業して就職する際に重い負担になっておりまして、大学を卒業して就職するところがゼロからのスタートではなくて、実はマイナスからのスタートになってきているということが分かりました。
 ちょっとパネルをお願いしたいんですが、奨学金は、日本の場合には奨学金は無利子のものとそれから有利子のものがございまして、無利子の奨学金については余り数としては──配付資料だけでした、済みません、お手元に資料あるかと思いますけれども、二種の奨学金の方の有利子のものがどんどんどんどんすごい勢いで増えてきています。
 一方で、延滞率はどうかというと、お手元に資料があるかと思いますけれども、延滞率そのものは下がってきているんですが、実は延滞者の数、絶対数はほとんど変わらず横ばい状態になってきています。
 この延滞者のところを調べてみると、お手元の資料のところの円グラフがあるかと思いますけれども、延滞者の場合には正規雇用の方々が三六%でして、それから延滞していない人たちというのは正規雇用が六八%になっています。延滞されている方々の内訳を調べてみると、失職している方々が一六%、それからいわゆる非正規雇用の方々が全部足し合わせると約三〇%に及んでいて、約半分の方々が非常に厳しい状況になってきているということが分かってきております。
 このことを踏まえてくると、このことが、もう一つ申し上げておきたいのは、少子化とかそういうところに影響しているということで、結婚できない理由の中の一つに、それから子供をなかなか育て難い中の理由の一つに奨学金の返済が挙げられてきております。
 このことを考えてくると、我が国としても、もう少し返済のない奨学金とかそういったものを考えていく時代に入っているんではないかと思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに今、櫻井先生が、委員が御指摘になった点は重要だと思っております。
 子供たちの未来が家庭の経済状況によって左右されるようなことがあってはならないと考えておりますし、第二次安倍政権が発足したときの文科大臣の下村文科大臣はこのあしなが基金によって、交通遺児ではあったんですが大学に進学することができたという観点から、当時、これは奨学金というよりも奨学ローンに近いのではないかという中において我々も改善を進めてきたわけでありますし、学生の経済的負担については、奨学金の充実や授業料免除により軽減を努めてきたところでありまして、来年度予算においても、大学等の無利子奨学金を一・四万人増員をいたしまして、そしてまた大学の授業料減免については、国立、私立合わせて五千人増員することとしております。
 その結果、年収三百万円以下の世帯の学生については、学力の基準を満たせば無利子奨学金は全員に貸与、そして国立大学ではほぼ全員が授業料免除の対象となっております。今後も、これらの施策によって学生の経済的負担を軽減をし、希望すれば誰もが大学に進学できる環境を整えていきたいと思います。
 なお、給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
 無利子奨学金は、来年度、全学生の一四%に当たる四十七万四千人に貸与、有利子も合わせれば三八%に当たる百三十一万八千人に貸与しているところでございまして、安倍政権の下において無利子奨学金の拡大はさせていただいております。
 また、有利子奨学金は、在学中は利息が掛からず、また利息も、この三月に貸与が終了する方は、固定金利の場合は年利〇・一六%、五年ごとの変動金利の場合は年利〇・一%と極めて低利となっています。
 また、年収三百万円以下など経済的な理由で返還が困難な方には、従来から毎月の返還額の減額や返還期限の猶予などの対応をしてきたところでありますが、さらに、卒業後の所得に応じて、このなかなか返還ができていない方々についての分布を今お示しをいただきましたが、所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度について、安倍政権の下で検討を開始をいたしまして、平成二十九年春の大学進学予定者から導入できるよう現在準備を進めております。
○櫻井充君 いろいろ政策を進めていただいていることには感謝申し上げたいと思いますが、繰り返しになりますが、無利子であろうが有利子であろうが、苦しいことは苦しいんです。
 しかも、奨学金という名前になっていますが、済みませんが、これ英語訳すると何というふうに日本の奨学金は訳されているか、文部科学大臣、済みません、通告しておりませんが、御存じでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) それは通告をいただいておりませんで、急で申し訳ありません、お答えできません。
○櫻井充君 世界は奨学金はスカラシップと呼んでいますが、日本の文部科学省でちゃんと英語訳付けてくれているんですけど、スカラシップローンになっているんです。ローンになっております。これはすごく大事なポイントでして、奨学金という名前が本当に適切なのかどうかということを検討いただきたいんです。
 いろんな例で借りている場合がありまして、例えばこれ新聞報道で大変恐縮ですが、親が生活が苦しくなったがゆえに借りているような場合もあったりとか、それから、最近、仙台市内の飲食店の方と話をしていると、大学生のバイトの人たちが集まらないという、そういう話をしていました。ですから、昔であればもう少しバイトをしながら学生生活を送っていたものが、安易にとは申し上げませんが奨学金を受け取っている例もあるのかもしれないと、そう思っています。
 ですから、大学に入った時点で卒業したときの給料が幾らになるかなどと誰も想定していないわけであって、そうなってくると、これはローンなんですよ、ちゃんと返さなきゃいけないものなんですからねということをもう少しきちんと伝えないと私は問題があるんじゃないかと、そう思っているんですが、この点についていかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 櫻井委員御指摘のとおり、そもそも奨学金制度というのは、お貸しをしたものを返していただいた、返還していただいたものを次の方にまたお貸しをするということで制度上拡充をしてきたものでありますので、改めてその制度の趣旨をお借りをいただくときにきちんとお伝えをしなければいけないと、改めてそう思っております。
○櫻井充君 大臣、それはそのとおりなんです。今までの日本の奨学金はそのとおりなので、それはそれでちゃんと伝えていただきたいと思うんです。
 というのは、見てびっくりしたんですが、「奨学金を希望する皆さんへ」という、こういう冊子があるんです。めちゃくちゃ細かいです。一度目を通していただきたいと思いますが、一部抜粋して委員の皆さんにはペーパーをお配りしていますが、これ、まず普通の人では、もう老眼入っている人は絶対読めないと思います。
 これ、学生さんたちに聞いてみると、読まないで大体サインしております。しかも、この冊子そのものが物すごい、もっと詳しく書かれていて、高校でどのぐらい説明を受けているかというと、ほとんど説明を受けないまんまこれの同意書にサインをさせられて連帯保証人まで取られると、そういうことになってきていて、こういったことについての説明もちゃんときちんとしていかないといけないと、そう思っているんです。
 なぜかというと、この取立てがかなり厳しくなっておりまして、一部には闇金よりひどいと、そこまで言われているわけですよ。なぜかというと、三か月滞納するとサービサーに売られてしまうんですよ。サービサーに売られてしまって、今度は、そうなるともうブラックリストに載って、クレジットカードが作れないとか、当たり前ですが、住宅ローンなんかとても組めないようなことになってきてしまうんです。
 今のような取立ての制度そのもの自体にも私は問題があるんじゃないのかなと思っていますが、その点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 御指摘のサービサーへの委託については、業務の効率化及び延滞債権の回収率向上を図るために実施しているものと承知しております。
 委託先の債権回収会社、サービサーは、法務省が作成したガイドラインに基づいて業務を行っており、例えば、正当な理由なく夜間及び早朝に電話や訪問をすることなどを禁止しております。また、業務内容について、返還が困難な方には返還期限猶予制度や減額返還制度などを案内することも含めて委託しているところであります。
 文科省としては、引き続き、奨学金の返還に係る不安及び負担が軽減されるように制度の充実を図ってまいりたいと思います。
○櫻井充君 これはちょっと不思議なんですが、取立てになると、文部科学省ではなくて法務省になるんですか。
○政府参考人(常盤豊君) お答え申し上げます。
 ただいま大臣が申し上げましたのは、民間の債権回収会社の業務上の審査・監督に関する事務ガイドラインというものを法務省において定めているということをお答えしたものでございます。
○櫻井充君 済みませんが、これは、貸し付けているのは文部科学省であって、文部科学省がちゃんと責任持ってやるべきことじゃないんですか。学生の教育から何から責任持つのは文部科学省じゃないですか。それを法務省の今のガイドラインとかそういうことを言うこと自体、僕は答弁おかしいと思いますよ。大臣、いかがですか。
○国務大臣(馳浩君) 奨学金の制度上、日本学生支援機構として行っておりますが、その債権の回収については、やはり効率性の観点からも法務省のガイドラインを使ってしっかりとお返しをいただいて、いただいたものは必ず次の学生さん方にお渡しをするということになっておりますので、その制度上はやはり法務省のきちんとしたルールに従わざるを得ないと、こういうことでございます。
○櫻井充君 そうすると、文部科学省としてどういう方針でやられるのかということがすごく大事なことであって、ここはですよ、法務省が定めているそのサービサーのところについて委託すると、それで、このルールについては、これは法務省が定めるから仕方がないということになるのかどうか、ここは済みませんが検討していただきたいと思っています。
 それからもう一点申し上げておきますが、今大臣は当たり前のように奨学金はお貸ししているんだから返してくださいと。これは、ですから先ほど申し上げたとおり、ローンだからそうなんです。だとすれば、無償の返還義務のない奨学金をもう少し拡充していくとか、そういう前向きな答弁をいただければ本当は有り難いなと思うんですが、その点についてはいかがなんでしょうか。
 つまり、繰り返しになります、これが日本の奨学金制度として当たり前なんですと、取立てはこういうふうになるのが当たり前だというその当たり前を変えていかないと、本当に若い人たちが夢持てなくなりますよ。ですから、その点について是非前向きな御答弁をいただきたいと思いますが。
○国務大臣(馳浩君) 制度自体は先ほど申し上げたとおりでありますが、やはり家庭の経済状況によって学びたくても学ぶことができない、あるいは卒業した際に多額のやっぱり負担を持って卒業してしまうということは、その後の人生設計にも大きな影響を与えてしまうことは委員御指摘のとおりであります。授業料も含めてでありますが、この奨学金の減免制度等あることは御承知だと思いますし、また平成二十九年度から所得連動返還型の制度をスタートすることも御承知だと思います。
 それを踏まえた上においても、給付型の更に負担を軽減する制度については、財源の問題と対象者の問題と給付の在り方と、こういった論点を詰めて議論がされなければいけないと、このように考えております。
○櫻井充君 済みません、大臣。私、あるテレビ番組で大臣の就任会見のときに出させていただいたときに、馳大臣についてどうですかと聞かれたので、期待できると思いますと、私、テレビ番組で答えたら、そこにいた方々がもう驚かれまして、野党の議員がそんなこと言っていいんですかと言われましたが、私は人物として非常に高く評価しておりますので、大臣、是非頑張ってやっていただきたいなと、そう思います。
 それで、安倍総理、この奨学金のところと僕は関係してくると思うんですが、保育士の給料、保育士の方々の給料というのは非常に安いんですよ。全職種の平均よりも十万円程度低くなってきていて、保育士さんたちの一番の問題点は何ですかと聞いてみると、約半数の方々が賃金だとおっしゃっています。そうなってくると、こういう安い賃金の中で奨学金まで支払わなきゃいけなくなってくるとすると、かなり大変なことになってくるのではないのかと、そう思います。
 そこで、総理、ここは、ちょっといいから、事務方。事務方は結構ですから。
 そこでまず、ここで保育士さんたちの給料を引き上げるのか、若しくは、例えば前は学校の先生を養成するために学校の先生になった方々に対して奨学金を結果的にはゼロにすると、そういう制度があったんですよ、返還免除があったんです。ですから、保育士さんを例えば五年間継続してやられたと。今、介護の現場は本当に人足りません。介護の現場も給料が低いからです。
 例えば、そうやって苦労されて自分で手に何か資格を付けて職に就きたいと、そう考えていらっしゃる方々がいらっしゃるけれども、だけど、結局は介護職にしても保育士にしても、国の予算である程度決まってくるものなんですよ。そうなってくると、こういうような方々に対して奨学金を免除するような、私はそういう制度を設けてくると大分変わってくるんじゃないのかなと、そう思うんですけれども、これは済みません、通告しておりませんが、提案として、ちょっと総理、どうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、保育士の方々の平均給与が一般の方々の給与に比べて低いのは事実でございまして、その中で、先般、人勧等の勧告に従って引上げを行ったところでございますが、そこで、我々もこの予算に、補正予算や予算におきまして、ちょっと通告なかったので大体の記憶の中でお答えをさせていただきますが、保育士の二年間専門学校に行かれる方、また短大に行かれる方について、月五万円の給付をいたしまして、その方が継続的に保育士を続けられる場合はこれ返還を免除する形にしていると、このように思います。また、二十万円、就業支度金として二十万円払い、これも継続的な勤務をすれば免除となると。そしてまた、一旦離れた方も、一旦介護士を離れて育児等をされている方、あるいはしばらく別のことをしておられた方々が戻ってくる場合にも二十万円支度金を出して、それも継続的であれば免除する形になっているのではないかと、このように思います。
○櫻井充君 済みません、私もちょっと制度を勉強させていただきたいと思いますが、そういうことも一応考えていただけないかなと、そう思うんです。
 実は、その仕事をしていない方の中には、もう結婚されて子育てに入っていらっしゃる方もいるわけです。そうすると、我が国の最大の課題は少子化ですから、そういう点でいうと、もし仮にそういう事情があって家庭に入られて子育てが始まったということになれば、そういう方々に対しても奨学金の免除を行うとか、もう少し柔軟に対応していく必要性があるんじゃないかなと、私はそう思うんですけど、総理、その辺はいかがでございましょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど私の答弁を補足させていただきますと、これ、保育士だけではなく介護士に対しても今言った大体同じ仕組みが適用されると思いますが、様々な方の事情等に柔軟に行政においても対応するよう、これは勉強させていただきたいと、このように思います。
○櫻井充君 前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。奨学金で相当苦しんでいる方がいらっしゃるので、是非御検討いただきたいと思います。
 そして、もう一つちょっと提案があるんですが、国立大学の授業料です。(資料提示)
 私は、正直申し上げて、国立の大学、医学部卒業させていただきましたが、六年間、親無職でございました。でも、その無職の私の家庭でも何とか医学部を卒業できたのは、あの当時の国立の医学部の授業料が非常に安かったからです。私の記憶だと、多分六年間で入学金も含めて百万円するかしないかぐらいだったんじゃないかなと思っております。
 今、うちの子供が大学、国立大学行っていますが、授業料調べてみるともうかなり高くなっておりまして、ここにあるとおりなんです。一九七三年は、平均年収に占める割合が、親のです、一・九八%、二%弱なんです。ところが、今は、二〇一四年は授業料が五十三万五千八百円まで上がっておりまして、平均年収に占める割合が一二・九一%、約一三%になっています。
 ですから、官民格差があるといって国立の授業料をどんどんどんどん上げていったんですが、考え方が僕は違っていると思っていて、国立の授業料を上げるんじゃなくて私立の授業料を下げるというふうに考えていくことが当然のことですし、教育に関わる公的給付が非常に低いのが我が国の特徴なんです。
 そこで、一生懸命頑張っている方々に対して奨学金をお渡しするというのも一つの方法なのかもしれませんが、私はむしろ国立の授業料を下げていくということの方が大事なことではないのかなと。勉強して一生懸命頑張って、済みませんが、低所得であったとしても国立大学だったら入れるんだと。で、大学四年間、卒業して、そうすると奨学金も必要なくなるかもしれませんから、そういうような政策を取っていくべきではないのかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 国立大学の授業料については、高等教育の機会提供という国立大学の役割を踏まえつつ、私立大学の授業料の水準のみならず、大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点などの様々な社会経済情勢等を総合的に勘案して設定しております。
 御指摘の国立大学の授業料の引下げについては、国立大学の運営に当たって必要な財源の確保や受益者負担の在り方などから慎重な検討が必要であると考えております。
 文科省としては、学生に対してできるだけ教育費負担を掛けないようにしていく必要があると考えております。平成二十八年度予算案において、授業料標準額について対前年度同額として引上げを行わないこととするとともに、授業料減免の充実を進めることとしております。
○櫻井充君 大臣、答弁書をだらだら読まないで、せめてその方向性で考えたいとか、前向きな答弁をいただけないのかなと。ちょっと、テレビ番組での発言を取り消さなきゃいけなくなるじゃないですか。是非お考えいただきたいなと、そう思います。
 次に、新しく医学部が設立されるのかどうか分かりませんが、特区制度を使って医学部が新設されるやにお伺いしています。
 ちょっとこの特区の制度で、使って、びっくりしたのは、僅か公募期間が一週間なんです。募集してきたところは一つの大学しかございません。この大学を調べてみると、厚生労働省の局長がこの間副学長に就任されたりとか、それから理事長は、やはり同じように前理事長は、今名誉理事長だったかな、厚生労働省の局長が天下りといいますか再就職されているんです。
 済みませんが、これは資料要求したいと思いますが、この大学に、天下りというと天下りの定義に当たらないとかいろいろ言われるので、中央省庁の役人を経験された方がここの大学で何人働いていらっしゃるのか、それについて資料を提供していただきたいと思います。
○委員長(岸宏一君) 後刻理事会において協議いたしましょう。
○櫻井充君 この大学なんですけど、資料にお渡ししているとおり、実は、これ三省で方向性は決めております。
 どういうふうに決めてきているのかというと、お手元の資料にありますとおり、世界最高水準の教育環境なんですが、海外の方々に対してきちんと治療を行っていくような医者を育ててくるとか、要するに一般の医者とは違いますよと。その二ページのところ、二枚目から三枚目にかけて何て書いてあるかというと、養成された医師が当初の目的に反して一般の臨床医として勤務するようであれば、長期間にわたり社会保障制度に影響を及ぼす可能性もあり、その場合には医師需給を踏まえた全体の医学部定数の中でも調整を行うと、こういうふうに書かれているんですが、問題は、この一つしか大学が応募してこなかったというこの一週間の期間も問題なんですけど、この定数を調べてみると百四十人の定数でして、海外のことに対して、この医学部新設の方向性に対してきちんと適合している枠は僅か二十です。残りの百二十は一般の医師を育てることになっていて、結果的には、特区を使って、元々この大学にやらせたかったのを特区を使ってやらせただけなんじゃないだろうかと。
 繰り返しになりますが、役人が相当天下りしています。だから、天下りしているような大学を優遇するために、こうやって、本当であれば、文部科学省にしてみても、それから厚生労働省にしてみても、医師の需給問題を考えたときに、もう十四校分増やしてあります。東北で一校増えました。もう増やさなくていいのにもかかわらず、結果的には特区を悪用してつくろうとしているんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 新設される医学部の目的については、昨年七月の国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針において国際的な医療人材の育成のためと示されたところであり、この医学部で養成される医師については国際的な素養を持って活躍されるということを期待しております。
○櫻井充君 期待しておりますじゃないんですよ、それ。大臣、当事者なんですから。素養を持ってそこで教育を受けるのは二十人ですよ。百二十人違うんですからね。例えば、これは成田の市議会議員の方もおかしいと、何でその医学部用地に成田が全部面倒を見なきゃいけないのかと、これ市議会で質問されているんですよ。ですから、どう見てもおかしいんです、ここの医学部の新設について。
 今日は時間がありませんから今週また別な機会に質問させていただきますので、済みませんが、今日みたいな答弁じゃ困りますからね、大臣。答弁書そんなだらだら読むんじゃなくて、もう少し、私は馳さんもっと立派な方だと思っていましたけどね。本当にあの愛の伝道師と言われた姿はどこ行ったんでしょうか。是非もう少し自分の言葉で答弁していただきたいなと、そう思います。
 それでは、次に経済の問題についてお伺いしたいと思いますが、総理、私は、総理が掲げるGDP六百兆円というのは壮大な目標で、目標として掲げることについては、私はそれはそれで一つだと思っています。これを否定するものではありません。しかし、現実としてどうやって六百兆円をつくっていくのかということが大事なことだと思っていて、このGDPの推移見ていただきたいんです。済みません、二〇一三年までしかありませんが、日本のGDPは一九九七年をピークに、ほぼ横ばいか、むしろ減少傾向に入っているんです。
 総理は、この六百兆円に対して、どうやって六百兆円を実現するんですかという質問に対しては、これまでイノベーションだというお答えをされていました。しかし、GDPの中で一番大事なのはそのブルーの部分でして、六〇%を占める個人消費です。個人消費が全く九七年以降伸びていないんですよ。だから、この九七年以降、これは民主党政権でも、それから安倍政権でもほとんど伸びていないんです。
 これは別にどっちがどうだということを申し上げたいわけでも何でもなくて、経済を活性化することについてはもちろん異論はないんです。ですが、現実的に申し上げると、個人消費がこれだけ伸びてこない中で、果たして六百兆円ってどうやって達成されるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、基本的には、名目GDPですから、デフレを脱却していく必要がありますし、デフレマインドを根本的にこれは払拭をしていく必要があるわけでありますが、もはやデフレではないという状況をつくり出すことはできたと思います。しかし、更に固定化したデフレマインドを払拭をしていくことが必要であろう、これは消費を伸ばしていく上においてもそうでしょうし、質の高い商品が出されてくるという状況をつくっていく上においても必要だろうと、こう思っています。
 そこで、この個人消費については、一昨年は消費税率を三%に引き上げたわけでありまして、残念ながらこの物価上昇率には賃金の上昇が追い付いていなかったということもあり、個人消費が予想以上に落ち込んだわけでございまして、そこで我々は一年半延期をしたところでございます。
 今後、まずはしっかりとデフレから脱却をしていく中において、また現在はこの賃上げを更に進めていくということも極めて重要な要素であろうと、こう思っております。デフレから脱却し、物価が徐々に安定的に上がっていく中において、それを超えて賃金が上昇していくということの中において消費が伸びていくことを期待をしたいと、このように思います。
 また、先般、日本銀行が導入したマイナス金利、これもマイナス面ばかりがやや強調されているわけでありますが、例えばそれによって住宅ローンの借入れについて、先般、新聞に載っていましたが、十年間据置き〇・五%、一千万円借りても五%の金利だけでこれ十年間据置きでありますから、そうした魅力的なものも出てきているわけでございまして、そうしたものが消費の喚起につながっていくことを期待したいと、こう考えておりまして、その中において二〇二〇年頃に名目GDPの六百兆円を目指していきたいと、このように思っております。
○櫻井充君 総理は就任されたときに、日銀と一緒になってやっていく、そこの中の三本の矢の中で金融緩和を行いました。金融緩和を行うと物価が上昇していくんだという説明がございました。これは黒田総裁も説明されておりましたが、安倍総理も金融緩和を行っていくと三つのルートがあると、その物価上昇のための。その中の一つが、一番大きいのがデフレマインドの払拭であって、気に働きかけることがすごく大事なことなんだと、そういう御説明でございました。
 その気に働きかけるというのはどういうことかというと、今年買うよりもデフレなので来年買った方が物が安いから、だから、例えば車なら車で、二百万の車が来年ならば百九十五万になるかもしれないから、だから今年買うのはやめようと、デフレマインドが染み付いているから消費者は買物しなくなってきているので、来年、物の値段が上がりますよと言ったら消費は上向くんだと、そういう御説明でございましたが、その説明でよろしゅうございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、従来から説明をしてまいりましたが、言わばインフレ期待が起こることによって、例えば借金をして何かローンで支払っていく上においても、物価が上がっていくことによってそれは実質金利が下がっていくということになるわけでございますから、そこで、じゃ、お金を借りて今消費をしていこうという意欲にもつながっていくであろうと。
 当然、しかし大切なことは、ただ物価が上がっていくだけではなくて、それを、少しちょっと時差はありますが、それを超えていく形で給与が上がっていくということでなければならないと考えております。
○櫻井充君 おっしゃるとおりなんです。ただ、あのときは一番大事なのは何かというと、気に働きかけるんだということを、これは黒田総裁も相当強くおっしゃっていました。今日は来ていただけないということだったので、また今週どこかの場面で黒田総裁とは議論させていただきたいと思いますが。
 日本銀行の意識調査がございまして、ちょっと上下逆になっているんですが、下の段を見ていただきたいと思います。二〇一五年の十二月、一番下の段ですけれど、物価はどうですかと、来年上がると思いますかということに対しては、かなり上がるという人が一一%、少し上がるという方が六六・六なので、約八割近い方が物価がこれから上昇するであろうと、そういうふうに思われていると。ですから、総理がおっしゃるとおり、デフレマインドは払拭されつつあるんだろうと、私はそう思っています。
 さて、問題はここからです。デフレマインドが払拭されるということになったんですが、一年後、消費をどうしますかと、それも聞いています。上の段になっていますが、増やすという人は五・五%、減らすという人が四五・二%になってきていて、変えないという人が四八・四%なんです。もう国民は物価が上がるということをこれは認知しております。物価が上がるということを認知していますが、消費は増やしますか減らしますかと聞くと、減らしますと答えているんです。
 それはなぜかというと、今総理から御答弁があったとおり、一つは賃金が上がらないことです。賃金が上がっていないのでなかなか消費を増やせないということですが、もう一つは、物価が上がるんであれば余計な買物をしないようにしようと、そう心掛けるのは庶民としては当たり前のことなわけですよ。
 ですから、総理が当時想定されたことと今現実の社会として起こっていることは、私は全く違うことになってきていて、だから景気が悪くなって個人消費が伸びなくなってきているんではないのかと思いますが、この点について、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 賃金が上がっているのは、名目で上がっているのは事実でありますし、実質で見ても総雇用者所得は増加傾向になっているわけであります。事実、賃上げは十七年ぶりの高い水準になっていますし、最低賃金も三年連続これは大幅に引き上げておりまして、パートの時給は、これは開始以来最高の伸びになっております。
 先ほど追い付かないと言った中においては、これ、物価上昇においてはこれは追い付いているんですが、その上において三%消費税を引き上げましたから、これにはそう簡単には追い付くことができない中において消費が鈍ったということであります。
 そして、今御指摘の日本銀行の調査において見ますと、これは二〇一五年の十二月の資料であろうと思います。これを二〇一二年の十二月と足下の二〇一五年の十二月を比較しますと、一年後に支出を減らすとの回答は五四・四%から四五・二%に減少しているわけであります。支出を減らすという人の数はこれ減少しているわけでありまして、一年後に物価が上がるとの回答は五三・〇%から七七・六%へと増加もしておりますから、言わばインフレ期待もこれは順調に上がっている。つまり、これは我々が当初想定したとおりには大体なっているのではないかと思います。
 さらに、同調査では、一年前と比べた支出や物価に対する実感も調査をしておりまして、この三年間で、一年前と比べて支出が増えたとの回答は三一・六%から四二・三%へと増加をしまして、一年前と比べて物価が上がったとの回答は三八・五%から七八・八%へと増加はしているわけでございます。
 言わば石油価格は落ちているわけでありますが、これ、コアコアで見ると確かにこれ上がっておりますから、そういう実感を持っているんだろうと。支出も減らすという方々もおられるのも事実でありますが、二〇一二年のときと比べればその数は減っているということは見ておかなければならない。
 いずれにいたしましても、これ収入が増えているなと実感をしていただけるように更に努力を重ねていきたいと、このように思っております。
○櫻井充君 総理、いい数字だけといいますか、それよりも現実社会で何が起こっているかを見ていただかないと、それは政策できないと思いますよ。僕は、別にいいところはちゃんと評価、今日も御答弁できちんとしていただいているところは評価しているつもりですし。
 総理、資料を見ていただきたいんです。この一世帯当たりの支出金額を見ていただきたいんですけど、これ今年の一月ですね、消費支出全体として三%減っているんです。この一覧表見ていただけますでしょうか。
 その中で、米とかパンとか、こういう日常の生活品については減らしてはいないんです。問題は、生活と関係のないようなものを随分減らしておりまして、例えば一番下にあります月謝というのは五・二%減らしているんですが、下から十行目ぐらいでしょうか、例えば世帯主の小遣いというのは一一・五%も削られておりまして、それからもうちょっと上の方に行きますと人間ドック等の受診料というのがあるんですが、これ三二・七%も減らされているんです。つまり、今や自分の体を早期発見、早期治療しようとか、そういうことについてはやめようと。その上の段のちょっと上に婦人用のコートがあって、これは落ちています。これは暖冬の影響で僕はいいと思っているんですが、政府の説明はすぐに暖冬だとか都合のいいことだけ言っているんですけど、ここのところ全部一つ一つ見ていくと、カットできるところだけはとにかく減らしていこうと。理髪料なんかも七・八%、カット代も七・九%減っていますし、それから葬儀関係費の費用も多分かなり縮小してやっていきましょうということで、ここの減少率が一番大きくて四八・三%なんですよ。
 ですから、庶民はどういう生活をしているのかというと、日常生活品にお金を回さなきゃいけないので余計なものに対して支出を減らそうと、こうやって自己防衛的に働いているんだということは、これ現実として受け止めていただかなきゃいけないと思うんですが、総理、この家計の支出を見てどうお考えでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この家計の支出、このようにブレークダウンしたものをしっかりと注視をしていく必要はあるだろうと、このように思います。
 その中で、まさに三%消費税を引き上げました。これは伸びていく社会保障費に対応していくためであり、次世代に世界に冠たる皆年金、皆保険制度を引き渡していくためでもございますが、やはり、三%上がった、そしてまたこの後も来年の消費税というものも控えておりますから、その中において、今石油が暴落していることもあり、物価の伸びよりも賃金の伸びの方が多いのは、大きいのは事実でございますが、しかし、この消費税については、これはみんなで負担をしていこうということでそもそもこれはあったわけでございますから、これにはこれは追い付いていないという中においての消費の落ち込みがあったのは事実でございまして、今でもこれは響いているということも事実であろうと。
 その中で、しっかりと更に今年の春、賃上げが行われるわけでございますが、これはもうみんなが喜びを感じることのできるような賃上げが行われていくことを期待をしたいと、このように思っております。
○櫻井充君 総理は、とにかくこういう消費行動になっているということだけは御承知いただきたいと思います。
 その上で、今消費税というお話がございました。本当に消費税を上げたことが原因なのかどうかということなんですが、過去三回、消費税こうやって上げております。まず導入したときがゼロから三%に上げておりまして、一九八九年、これが緑色のラインです。それから、二回目が三%から五%に引き上げたときでして、一九九七年。今回が二〇一四年の四月に五%から八%に引き上げております。
 過去二回をまず見ていただきたいんですが、線が引いてあるところが消費税を引き上げたところでして、三月には必ず駆け込み需要があって上がると。四月には、駆け込み需要の反動で、皆さん買物していましたから落ち込むと、ここまではいいんです。過去二回はどうなっているかというと、大体十月ぐらいまでには元に戻っております。
 一九九七年は、その後に青いラインは消費が落ちますが、これはアジアの通貨危機がございました。ですから、世界経済の問題もあってこうやって落ち込んでいくわけですけど、今回の特徴は過去二回と違っていて、十月、この赤いラインですけれども、当初からずっと落ち込み幅が強くなってきていて、過去二回とは全く違うんです。
 つまり、消費税だけの原因ではないと思うんですよ。これを、消費税があったからこういうことになっていますというふうに一くくりにされると対策を間違うと思っているんです、私は。ですから、そういう点から申し上げますと、繰り返しになりますが、単純に僕は消費税が原因で今の個人消費が伸びていかないというのは違っているんじゃないかと。
 もう一つは、これは皆さんにお手元に資料をお渡ししていますが、消費者物価の推移とそれから賃金のところがありますけれど、結局、消費税を引き上げる前に物価をずっと円安などに誘導して上げてまいりました。一番効いているのは実は円安です。その証拠に、その後物価が下がってきているのは原油価格が下落したからであって、その点でいうと、輸入食材などを中心に物価がずっと上がり続けました。名目賃金はプラス・マイナス・ゼロぐらいですから、消費税率の引上げのところまでは。
 で、どうなったかというと、実質賃金が下がってきています。元々、消費税を上げる前に実質賃金が下がってきている中で消費税を上げざるを得なくなってしまったので、私は今のようなことになってきているんだと思っているんです。つまり、今まで物価を先に上げましょうと、物価が原因で日本経済が悪くなっているという考え方が正しかったかどうかなんです。
 物価というのは、これは需要と供給の結果です。例えば、被災地では、生コンの価格は震災前一立米七千円ぐらいでした。今は、一万五千円とも、岩手県では二万円を超えているとも言われていて、倍以上の値段が付いています。それは簡単なことです。需要が増えて供給サイドが追い付かなかったら物価は上がっていくんです。物価は何かの原因になるのではなくて、私は物価は結果なんだと思うんですよ。
 ですから、個人消費などの需要が伸びないから、だから、結果的にはその需要が伸びていかないので物価が上がってこなかっただけであって、物価が何かの原因になっているから物価を上げてくればそれで解決していくんだという、私はその考え方そのものが間違っているんじゃないかと思っているんですが、その点についていかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、マクロ政策によって物価に働きかけていくことによって物価を適切な水準に導いていくことはできると、こう考えております。
 物価、つまり、言わばデフレであるかインフレであるかと。デフレであるというのは物の値段がずっと下がっていきますから、市場としては健全な市場とは言えないわけでありまして、毎年毎年物が下がっていけば、当然消費を差し控えていくことになるわけでありますし、基本的に、デフレに陥っている国においては物価が下がっていくよりも賃金がもっと下がっていくというのがこれは事実でございます。
 そこで、我々は、まさにこのデフレを脱却をして、これは正常な市場、健全な市場を取り戻そうとした中において、二%の物価安定目標を設定をしてデフレではないという状況をつくることができたわけでありますし、また、例えば今まで名目GDPと実質GDPがこれ逆転をしているという現象が起こってきたわけでありますが、これを、この逆転を、実質GDPよりも名目GDPの方が上がるという正常な状況に戻すことができたことも事実であろうと思います。
 確かに、しかし、今までの三%あるいは五%と上げたときよりも消費の落ちが強いではないかという御指摘がございました。これはいろいろな見方もあるわけでありますが、今回の消費税の引上げは、例えば三%にするときも五%にするときも、増税と減税をこれは合わせて中立にしていた、レベニュー・ニュートラルでやったのでございますが、実質的には今回は純粋な増税を三%行ったところでございます。
 その結果でもあろうとは思いますが、それと、やはり二十年間ずっとデフレが続いてきた後の消費税の引上げというのは、これはまたデフレ下に戻ってしまうのではないかという心理を引き起こしやすいという分析も事実あるわけでございます。そうしたこともあったのであろうと、こう思っているわけであります。消費税をこれ差し引けば、我々はこれを総雇用者所得で見れば、実質においても総雇用者所得は増加に転じてきているわけであります。もちろん、名目ではこれ増えてきているのは事実であろうと、このように考えております。
○櫻井充君 総理、どういう分析するのかというのはすごく大事なことだと思っているんです。済みませんが、都合のいい数字だけを並べて良くなっているということではなくて、私の分析が正しいかどうかは、もう私は自信はございません。ですが、自分なりに過去二回と調べてみると、そういうことになっているんです。
 それから、過去二回は減税とセットとお話がありましたが、実は減税したのはその後から減税していて、消費税を引き上げたときには、私の記憶はたしか減税していなかったと思っています。これは政治的なことでやったわけじゃなくて、財務省が自主判断で、このままいくと景気が落ち込みが強くなりそうだという心配をして減税していて、直間比率の見直しにつながっていったんじゃないのかなと、そう思います。
 ですが、繰り返しになりますが、もう少しきちんと分析していただかないと庶民の生活はなかなか大変だと思っているんです。特に中小企業は、総理、円安によって原材料費が上がっていって、それを価格転嫁できないのが中小企業なんですから。ですから、利益率が下がれば賃金を上げられる環境にないんです。
 よく中小企業のところで、景況感で少し良くなっているんだということを出されますけれども、あれは資本金一千万円以上の中小企業なんです。実は、地方にあるのは資本金三百万とかもっと少ないような零細企業がいっぱいあるわけであって、その人たちの調査というのは十分に行われていなくて、一部の人たちのところだけ見て良くなっているんだとか、そういう判断をされると、本当、地方はかなり苦しくなっていくんだということだけ御認識いただきたいなと思いますし、是非、憲法改正などということの前に経済を立て直していくということが私は先ではないのかと思っていて、総理はどうして、ちょっと済みません、通告していないんですけど、憲法九条を変えたいというふうに思われているんでしょうか。私は非常に不思議なんですが、その点についてちょっと御答弁いただけないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、我々、経済を最優先で取り組んでおりますし、中小・小規模事業者を中心に、我々、この三年間でそれ以前よりも中小・小規模事業者の倒産件数三割、これ減っているのは事実でありまして、こうした形で中小・小規模事業者の皆さんの視点に立って政策を進めていきたいと、こう思っておりまして、取引条件の改善についても、政労使の対話でも行ってまいりましたし、官民対話においても取引条件を改善するように強く求めている中において、経済界においても取組を進めているということでございます。
 そして、今の御質問でございますが、私がということではなくて、自由民主党として谷垣総裁のときに憲法改正草案を出しているわけでありまして、党総裁の私が違う考えであるということは、これ、そもそもあり得ないわけでございます。違う考えの人が党総裁に選ばれるということはないわけでありまして、自民党としての考え方をお示しをしているわけでございまして、私はあくまでも今ここに立っているのは総理大臣として立っておりますので、基本的には今ここで党の憲法改正草案について逐条的に解説することは控えさせていただきたいと思いますが、我が党としての考え方を既にお示しをさせていただいているということでございます。
○櫻井充君 ここでこういう質問をすると、今までは、党のことであって、党の総裁ではなくて、今そこに総理として座っているのでそれに答える義務はないんだと、そういう御答弁でございました。じゃ、であれば、自由民主党として九条の改正を行っていきたいということなんだろうと、それはそういうふうに理解いたします。
 私は、総理の本も読ませていただきましたが、アメリカと対等関係になっていくために、アメリカの若者は日本のために血を流すけれど、日本の若者はアメリカのために血を流さないのがおかしいと、そう書かれておりましたが、私は、沖縄の皆さんに犠牲を強いてアメリカに基地を提供していますし、それから思いやり予算まで付けておりますから、片務条約ではなくて、日米安全保障条約は双務条約になっていると、私はそういう理解をしております。
 その上で、自衛隊の入隊者の方も少し減ってきていて、これは多分不安があってこういうことになってきているんじゃないのかなと、そう思います。私は、アメリカと一緒になって戦争するような国になるべきではないと思っていますし、アメリカは今、帰還兵の心の問題が大きくなってきていて、社会保障費はそのために相当伸びてきております。
 私が一番危惧しているのは、日本の自衛隊の方々もそういう思いをしないようにしていかなきゃいけないと思っていますし、繰り返しになりますが、アメリカと戦争しないような国になるための私は歯止めとしての九条をきちんと守っていく必要性が今の時点ではあるのではないかということを申し述べまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で櫻井充君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、小林正夫君の質疑を行います。小林正夫君。
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 今日の集中審議のテーマは国民生活と社会保障、これは国民が生活をし、安心した生活をしていく上では大変重要な課題の一つだと、このように認識をしております。先ほど同僚の櫻井議員がいろいろ総理に対して質問をいたしました。改めて、私、総理の国民生活の現状の認識についてまずお尋ねをいたします。
 第二次安倍内閣が発足をして三年三か月経過しようとしております。しかし、安倍内閣には、国民生活の営み、この視点で見ると、国民の安心を確保する、そして国民の生活を守り抜く、この視点が私は欠けているように思えてなりません。
 少し過去を整理してみました。高度経済成長期には我が国は一億総中流社会であると言われていた。日本国民一億人の大多数が良くも悪くも自分の生活は中流であると考えていた。自分は周りの人と同じような生活をしていると考える人が多く、企業や地域社会の中で一体感を感じていた。そして、社会から疎外されていると感じている人が少なく、社会の安定をもたらしてきた。そして、みんなが価値観を共有して一緒に頑張っていこう、こういう雰囲気があったと私思っております。
 今も、自分が中流だ、このように思っている方、大変多いと思いますけれども、その一方で、実は厚生労働省が国民生活基礎調査、これを平成二十六年度の調査結果で明らかにいたしました。これを見ますと、生活が苦しいと感じている世帯が増え続けている。そして、生活が普通であると感じている国民は、二十年前にはおおよそ五割いたんですが、今では三分の一しか普通であるとは感じていない、こういう結果になっています。そして、その代わりに、生活が苦しいと感じる国民が四割強から六割以上に増えている、これが厚生労働省の調査結果でございます。
 総理、これが国民の実感なのではありませんか。国民の生活は一貫して苦しさを増している、この思いに間違いないと思いますが、総理はいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 厚生労働省が実施をした平成二十六年国民生活基礎調査において、生活意識の状況が苦しいと感じている世帯の割合が六二・四%となっていることは承知をしております。あらゆる世代の皆さんが苦しいという状況ではなくなっていくように我々も努力をしていきたいと思います。
 一方で、昨年八月に公表された内閣府の国民生活に関する世論調査に基づきまして、安倍内閣発足後の生活意識とそれ以前の、我々政権復帰以前の生活意識を比較してみますと、現在の生活については満足と回答した割合は七〇・五%と五ポイントこれ上がりました。不満と回答した割合は二八・五と五ポイント下がっておりました。
 この調査では、この安倍政権の三年間改善をしているわけでございますが、いい調査ばかり見るなという先ほど指摘もいただきました。様々な指標を分析をしながら我々も対応していきたいと思っておりますが、賃金や最低賃金の引上げに取り組んでまいりましたが、これからもしっかりと取り組んでまいりたい。最低賃金におきましても千円を目指していきたいと、こういうことでございます。
○小林正夫君 総理にお聞きをしたいのは、生活が苦しいと感じている国民が増えている、この実感はないのかということなんです。
 そして、施政方針演説では、一億総活躍の挑戦、あるいは単なるスローガンは要らない、それを現実のものにしていこうと、こういうふうに威勢のいい言葉がたくさん施政方針演説では述べられました。頑張れ頑張れと旗を振るだけで、これでいいのか、私はこのように思います。
 まず、国民の実感をどう認識しているのか、改めて総理に聞きます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この中においても、ずっとこれ分析をしていく必要があるわけでありますし、いつから伸びたのかということを見ていく必要もあるんだろうなと思います。
 もちろん、これ安倍政権になって急に伸びたわけではなくて、ずっとこれは伸びてきているわけでございますが、言わば、例えばかつての高度経済成長期と比べれば、年齢構成が全然違うわけでございまして、まさに当時は団塊の世代が生産人口にだんだん登場してきているという状況の中にあって、毎年、これは高度経済成長ですから給与がどんどん、物価も上がりますが給与も増えていくという状況であったわけでございますが、現在は、言わば昨年、人口が減少するということと同時に、団塊の世代が六十五歳をこれ超え始めているわけでございまして、例えば安倍政権のこの三年間で生産年齢人口は三百三十五万人減少したわけであります。
 そうしますと、この皆さんは、言わば主に正規雇用から継続的な雇用かあるいはパートタイム的なお仕事に変わっていかれるわけでございまして、そういう中において、今までとは違う生活の中において何だか大変だなと思われる方もたくさんいらっしゃるんだろうなと、こう思う次第でございますし、年金につきましても、このデフレの間に年金については、本来であれば、年金財政上、デフレ下においてはデフレに対応して年金を減らさなければならなかったのでございますが、これは安倍政権になって、たまっていたものを、これは年金財政をしっかりとするためにはデフレスライドをせざるを得なかったわけでございます。となりますと、どうしても年金で生活をしておられる方々にとっては、デフレにスライドしますから年金が減るということになるわけでございますので、そう感じていくことになるんだろうと思います。
 しかし、安倍政権において、先ほど申し上げましたように、賃金は十七年ぶりの高い水準で昨年上がったのは事実でございますし、最低賃金も三年連続で大幅に引き上げてきている中においてパートの皆さんの時給は過去最高になっているのも事実でございますので、今後もしっかりとそう対応していきたいと思いますし、また、様々な御批判もいただきましたが、先ほど申し上げましたように、年金生活者かつ収入の低い方々につきましては、このアベノミクスの果実を受けにくいという中にございましたので、三万円の給付を今回行わさせていただきたいと、こう考えているわけでございます。
○小林正夫君 質問に的確に答えていただけないのは非常に残念です。
 従来、我が国を支えてきた、これは社会の一体感、そして価値観の共有、こういうことがあって私はそのようにできてきたのだと思いますけれども、そういうつながりが著しく損なわれてきたのは、私、一九九〇年末頃から二〇〇〇年代初め頃にかけてこういうことが起き始めたんじゃないか、このように思っております。ちょうど小泉改革が行われている頃、小泉改革が始まった頃、そして規制緩和だとかあるいは自由競争が進んで格差が顕著になった、さらには、労働者派遣が多くて、企業で労働者派遣ということを使い始めて、勝ち組だとか負け組だとか、こういう言葉がはやり出したのもこの時期、このように私思います。
 安倍総理も官房副長官として小泉改革を支えてきたお一人であります。この格差社会を生んできた、格差社会の始まりをもたらした、こういう自覚はありますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高度経済成長期と比べることはもちろんこれは大切なんですが、これ正確に比べていく必要があるということから、先ほど申し上げましたように、言わば人口構成もよく見ていく必要もありますし、これ毎年七%、一〇%と成長をしていくわけでございます。そして、プラザ合意以前は一ドル三百六十円時代もありましたし三百円時代もあったわけでありまして、二百円を超えている時代もあったわけであります。そういう中で、作ればどんどん輸出ができるという状況もある中において我々はそれをかなり享受することもできたわけでありまして、毎年毎年人口が増えていくのですから、当然生産年齢も毎年毎年増えていくし消費者も増えていくという、そういう幸せな時代であったわけでございますが。
 しかし、小泉政権の時代から、日本はまさに生産人口が減少していくという中にあって、かつ経済もグローバル化している中にあって、為替も完全なこれは変動相場制の中において、どうやってグローバルな経済の中で生き残っていくかということも求められるわけでございます。その観点を横に置いていたのでは私は正しい分析はできないんだろうと思います。小泉内閣においても安倍内閣においても規制改革を始め各種の改革に取り組んできましたが、これはしっかりとグローバルな経済の中においても勝ち残っていくことができるということと同時に、経済全体のパイを大きくしていくということの中において政策を進めてきたわけであります。
 格差につきましては、それが固定化されずに人々の許容の範囲を超えたものでないということが大切であろうと、これは委員と大体共感できるのではないかと思いますが。このため、安倍内閣におきましては、デフレを脱却をして経済再生を図りながら、いわゆる非正規雇用労働者の待遇改善、教育費の負担軽減や低所得者の一人親家庭や多子世帯に対する支援などの取組を行ってきたわけでございまして、この中間層、いわゆる御指摘の中間層については厚くなった方がいいと、これは当然のことであろうと、このように思います。
 しかし、それは同時に、分配ありきではなくて、しっかりと経済を成長させていく中において分配を行いながら成長と分配の好循環につなげていきたいと、こう考えているところでございます。
○小林正夫君 格差社会について今総理からお話がありましたけれども、私は、格差が更に進んで社会が分断されていく、このように感じを受けます。あえて言うならば、分断社会とも言える状況に陥っていると、このように思います。
 非正規の者は、幾ら頑張っても正社員になり得ない、なるのが難しい。そして、中小企業の労働者は、幾らいい仕事をしても、大企業の労働者のように賃金や処遇は望めない。さらに、貧困家庭の子供は、頑張ってもなかなか貧困から脱却できなくて、貧困の連鎖から逃げられない。
 格差なら縮めることはできるんですよ、総理。ところが、分断されて、要は二極化しているこの社会、ここを、溝を埋めるというのは私大変なことだと思って、なかなかこれが埋められない、こんなような気がいたします。
 政府は、大企業が利益を上げれば、いずれは中小企業へもその影響が及ぶ、あるいは大都市のにぎわいがいずれは地方都市へ波及していくと、このようにもおっしゃっていますけれども、そして、経済の好循環が始まる、このようにも言ってまいりました。本当にそのようになっているんでしょうか。大変私は疑問を感じます。
 そして、デフレではない状況にはなったがデフレからの脱却には至っていない、このように国民を惑わせるような言い方をして、そして、二年で達成すると言っていた二%の物価上昇は今でも達成がされていません。マイナス金利政策の採用で預貯金の金利はほとんど付いていない。
 安倍内閣の政策は国民生活を軽んじているんじゃないか、このように私思います。いかがでしょうか。そして、社会が分断されていることについて、総理は危機感を感じていないのか。
 先ほどちょっと答弁ありましたけれども、私は、この分断している二つの社会をつなぎ合わせるのがまさに分厚い中間層であると、このように思います。この分厚い中間層の必要性について総理の考え方を改めてお聞きをします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 経済政策のこれは根本に関わることでございますので、若干、これどういう動きになっているかということも説明しながらでないと政策を的確に説明をすることができないものでございますから、少し長めになることはお許しをいただきたいと、こう思います。
 分厚い中間層が必要であることは、これは言をまたないと思っております。日本はそもそも、その言わば中間層を大切にするという社会であっただろうと、これはかねて、古来より私はそうであっただろうと、こう思っているわけでございます。
 そこで、ジニ係数の動向を見ますと、我が国の場合は、当初の所得に比較して税や社会保障による分配、再分配後の所得の格差は、これはおおむね横ばいであることは事実でございます。相対的貧困率については、これ二〇一二年までのデータでございますから、安倍政権の三年後はまだデータが出ておりませんから、我々の政策がどのような作用をしているかということは申し上げることができないのでございますが、我々が進めている政策によって、これは大企業だけがもうかっていく、あるいは、よく言われているのは、トリクルダウンということではないんです。
 まず、企業が収益を上げなければ果実を生み出せませんから、その収益を果実として賃金として多くの人たちが受け取ることができるようになっていく。また、税金も払いますから、その税金を我々は社会保障という形で分配をしていくということによって中間層をしっかりと厚くしていくことに私はつながっていくと思いますが、ただ、我々はレッセフェールのように市場に任せるわけではないわけでございまして、市場主義経済としては異例のことではありますが政労使の対話を始めたわけでありまして、我々が、政府側が使用者側、経営者側に賃金を上げるようにという働きかけを行った結果、十七年ぶりの高い水準で賃金が上がっていったわけでありますし、取引条件の改善についても働きかけを行っているわけでございます。
 つまり、その点は強調させていただきたいと、こう思うわけでございますし、失業率についても低下をしておりますし、大切なことは、大切なことは、政治に求められることは働く場を確保していく、雇用をつくっていくことではないかと、こう思いますが、その点においては百十万人以上の雇用を我々は創出してきていると、こういうことは申し上げておきたいと思います。
○小林正夫君 今まで質疑を交わしましたけれども、やっぱり国民生活の置かれている現状を私は十分認識はされていないんじゃないかと感じる。そして、国民の生活を守り抜く、やはりこういう視点が安倍政権には欠けていると言わざるを得ない、このように思います。
 総理には国民生活の現状認識をただしましたけれども、丸川環境大臣には大臣としての認識を伺います。
 大臣は、二月初めにある会合で発言をして、二月の十二日の記者会見で発言を撤回して陳謝した。大臣の発言の重さと国民に混乱を与えたことの責任をどう考えていますか。
○国務大臣(丸川珠代君) 御質問ありがとうございます。
 大臣としての責任、大変重いものだと自覚をしておりまして、私の発言は撤回をさせていただきました。この撤回は、まさに、これまでの一つの福島に対する行政の連続性の重要性、そしてもう一つは福島を始めとする被災地の皆様に与えた御心配や誤解に対して、私のおわびとともに撤回をさせていただいたものでございます。
○小林正夫君 国民に混乱を与えたと、こういうことが起きました。大臣としての資質について少し疑問を持たざるを得ない、このように指摘しておきます。
 今日のテーマは国民生活、これがテーマになっております。そして、国民生活に大きな変化をもたらす電力の小売の自由化がこの四月一日から始まります。その点について何点か質問をいたします。
 これは、政府、去年十一月、経済産業省が調査結果を明らかにしましたけれども、四月一日以前に何か手続をしないと電気の供給が止められてしまう、このように思っている人が、五二%を超える方がいた。このことに対して、やはり政府の委員である方が、これを放っておくと、やはり詐欺まがいのことが起きたり悪徳商法、こういうものが氾濫をするおそれがあるので、このことをきちんと政府は周知をする必要があると、これは政府の委員の方がそのようにおっしゃっていました。
 ちょっと今日は資料を用意をいたしました。(資料提示)特に、この資料の、これは政府広報として消費者庁が国民の皆さんに周知をしている資料ですけれども、本当に現段階でも十分に周知できたのかどうか非常に私疑問を持っておりますけれども、この資料の、特に先ほど私が提起をした課題について、この誤解三とあります。誤解三のことに、どういうふうに書かれているのか、説明を求めます。
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の誤解の三でございます。三月中に契約が必要かと、慌てて契約する必要はありませんと、このように書いてございます。この点でございますけれども、来月四月の一日から電力の小売全面自由化ということでございまして、消費者の皆様方の中には、それまでに、つまり今月中に何かしないと電気が止まってしまうのではないかと、こういった御心配の方がおられるということでございまして、それは誤解ですよと、こういうことを御紹介したものでございます。
 実際には何もしなくとも、今の電力会社からそのまま電気が送られることとなりますので、決して電気が止まるということはございません。また、ほかの会社に切り替えると、こういった御希望をされる場合にも、三月中に契約をしなければならないということもございません。四月以降いつでも切り替えることが可能でございますので、その意味で、資料にもございますけれども、慌てて御契約をする必要はありませんと、このようなことでございます。
 消費者の方々には、こうした基本的な点をしっかりと御理解いただきました上で、御家庭でも電力会社を選ぶことができると、こういった改革の意味合いをお感じいただければと考えているところでございます。
○小林正夫君 非常に今大事な点について説明を受けました。
 今日は、ラジオあるいはテレビで聞いている方、非常に多いと思います。大事なことは、四月一日に混乱しないこと、そして詐欺まがいのことが起きないこと、悪徳商法が起きないこと、改めてもう一度、三月までに何の手続をしない場合でも今までの電力会社から電気の供給がちゃんと行われる、こういうことでいいんですね。
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、何もしなくとも、つまり三月中に何もしなくとも今の電力会社からそのまま電気が送られることとなります。したがいまして、何もしなくとも電気が止まることはない、このように申し上げます。
○小林正夫君 時間があれば全体的なこの内容について後ほどお聞きをいたしますけど、今の段階ではこの三番についてのみ説明を受けたということにいたします。
 そして、総理、これは総理の肝煎りもあって電力システム改革という法案が国会で三年間にわたって審議が行われて、いよいよ今年の四月から電力の小売自由化になる。今言ったように、詐欺まがいだとかそういうことが起きないようにこれしていかなきゃいけないと思います。
 そして、これは、年明けから三月三日までに三百二十五件の苦情や相談が来ているというのが国民生活センターから明らかになっています。今回の電力の自由化に向けて、国民が混乱したり、あるいは詐欺まがいのことが起きないように、政府の責任でしっかり周知をしていく、そういう総理の決意をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いよいよ来月から、電力小売事業の全面自由化により、一般家庭でも電力会社や料金メニューを選べるようになります。この市場規模は一般家庭、商店、事業所等を合わせて約八兆円に上るわけでありまして、消費者の八割が電力会社の切替えを検討する意向と承知をしております。
 政府としては、消費者が正しい情報を持つことでトラブルに巻き込まれることなく各々のニーズに合った適切な選択をしていただきたいと考えています。このため、全国各地での説明会の開催やパンフレットの配布、政府広報の活用、専用コールセンターの設置など、様々な取組を通じて消費者の誤解をなくすための積極的な広報を行っております。
 引き続き、関係省庁が連携して、政府を挙げて正しい情報を周知徹底してまいる所存でございます。
○小林正夫君 先日、四月一日の自由化を前にして、電力会社以外で電力を販売する新電力第五位の日本ロジテック協同組合が三月末で電力の小売事業から撤退する、こういう見通しになったという発表がありました。
 これは、同組合は千二百件程度に供給を行っていると私聞いておりますけれども、契約切替えに伴う混乱も相当予想されるんじゃないか。それと、日本ロジテックに例えば自治体の水力発電だとかあるいはごみ焼却場で発生した電気を売っていた、売ったけれどもそのお金が回収できないと、こういうことも報道されておって、この新電力に対して、やはり国民の方が、どうなっているのかなと、こういう疑問を持っていることも確かだと私は思います。
 現在、この日本ロジテックですけれども、本来ならば日本ロジテックが払わなきゃいけない総額はどのぐらいあるんでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 御指摘の日本ロジテック協同組合ですけれども、先般、小売電気事業の登録申請を取り下げましたが、これは財務状況の悪化によりまして事業継承が困難になったことによるものというふうに認識しております。
 また、同組合は、これまで自治体の発電所などから電気を調達しておりまして、売電していた自治体に対して約三十億円の未払が生じているとの報道は承知しているところでございます。
 この組合に対しまして、二月二十五日、需要家の契約切替えに関する対応に万全を期することなどにつきまして文書で指導を行ったところでございます。
 また、所管について申し上げるとすれば、四月からは小売全面自由化によりまして、既存の電力会社以外に新たな事業者が一般消費者に対して電気の供給を行うことが可能となるわけでございます。この電力自由化の下では、広く新規参入を認める一方、競争を通じて事業者の破綻や退出が生じる可能性も排除されないわけでございます。しかし、そういった場合であっても、電力の安定供給が確保され、かつ十分な消費者保護が図られることが重要でございまして、政府としても適切に対応してまいります。
○小林正夫君 私は、こういう事象が起きると、新電力を敬遠する、そういう風潮にならなければいいなと、このように思っています。そして、今言ったように、日本ロジテックが撤退をする、でもこれは、経済産業省がこの事業について認めた会社だったんですね。したがって、この審査方法だとか、今回のこういう事象を受けて、改善すべき点、私、たくさんあると思います。
 これはちょっと時間の関係で、改めて経済産業委員会の場でこのことについては聞いていきたいと思いますので、私は、そういうことが起きないようにしっかり政府は取り組まなきゃいけない、このことだけ今日は指摘しておきます。
 そして、スマートメーターの関係について、政府参考人にお聞きをいたします。
 これは、二〇一四年四月のエネルギー基本計画では、二〇二〇年代前半に各家庭と一般の全事業所にスマートメーターを導入すると、このようにうたわれております。したがって、電力の供給契約を変えるときには、現在の積算電力計のままでも切替えができる、スマートメーターの取付けが切替えの条件ではないと、このように私は受け止めていますけれども、それでいいですか。
○政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。
 スマートメーター切替えが必要かというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、スマートメーターが設置されておらずとも契約先の切替えは可能でございます。
○小林正夫君 次に、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度について質問をいたします。
 この固定価格買取り制度、二〇一二年の七月から始まりました。この三年半ぐらいで大分、太陽光発電、これが相当伸びたなと、このように思っております。ただ、固定価格買取り制度ですから、例えば十キロワット以上の太陽光発電については電力会社が今のところ全量買い取って、それを国民の方が負担をしていく、こういう制度になっております。したがって、二〇一五年度の買取り費用は一・八兆円掛かると、このように政府が試算をしていて、標準家庭で実に四百七十四円の負担をすると、このような数字が出てきて、これは前年度の二倍以上になっております。非常に私、標準家庭で電気代に更に上乗せしてこの四百七十四円が乗っている、この事実なんです。
 ですから、中小企業、零細、あるいは工場を持っている人たちはたくさん電気を使う人多いと思いますから、更にこの賦課金が大変多くなってしまって、私の方にもこれを何とかしてほしいと大変強い要望が来ていることも事実でございます。
 そこでお聞きいたしますけれども、二〇三〇年段階での電源構成をどうするかという話は去年の七月、政府が明らかにいたしました。その中で、再生可能エネルギーについては、二二%から二四%再生可能エネルギーで電気をつくっていきたい、そのうちの太陽光発電は、七%太陽光発電で電気をつくりたいというのが政府の考え方でありました。そのときの標準家庭が負担する月額の賦課金はどのぐらいになると想定しているんでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 固定価格買取り制度における賦課金につきましては、今先生御指摘のように約一・八兆円の、総額は約一・三兆円まで到達する見込みでございまして、お尋ねの二〇三〇年度の目標においては買取り費用が約三・七兆円から四兆円になることを前提としておりまして、仮にこの買取り費用が二〇三〇年度の時点でこういうふうになった場合に、現在のおよそ二倍まで賦課金が上がる可能性があるというふうに考えております。
 一方で、賦課金は、国内全体の電力消費量や燃料費などを基に計算することになっておりまして、現時点で正確な予測を申し上げることはできないわけでございます。
○小林正夫君 政府参考人にお聞きをいたします。この太陽光の買取り価格、これは主要国と比べて日本の水準はどのぐらいにあるのでしょうか。
○政府参考人(藤木俊光君) お答え申し上げます。
 諸外国との太陽光発電の買取り価格の比較でございますが、二〇一五年の段階で、ドイツが今十・七円くらい、フランスが十二・七円、イギリスが十九・九円、インドで九円から十一円くらい。日本は二十七円ということになってございますので、おおむね二倍の水準にあるというふうに認識しております。
○小林正夫君 私は、太陽光発電、自然エネルギーを利用した発電ですから、大いに拡大をして広めていく、このことが必要だと思っています。今質問しているのは、二〇一二年の七月から始まって三年半たって、太陽光発電が相当多くなってきた。しかし、今言ったようにいろんな課題も見えてきたと、そういう視点で質問をしています。
 安倍総理、先ほど経産大臣から、二〇三〇年時点における標準家庭が負担する賦課金が今のおおよそ倍、大体千円ぐらいにはなるんじゃないかと、こういうお話ですけれども、私は、先ほど言ったように、中小企業、零細、あるいは工場を持っている人たち、いや、本当にこれは大変なことになると思います。
 総理が進める、日本を活性化して元気な日本をつくる、このような趣旨を言っていますけれども、大変この問題大きな問題だと私は思いますけれども、これは国民生活や経済活動にも影響が大変大きいと、このように思います。今の問題を総理はどのように捉えているのでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 固定価格買取り制を導入してから三年間で再生可能エネルギーの導入量は倍増いたしました。再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障を強化をし温室効果ガスの排出を削減するため、引き続き最大限導入していく考えであります。
 他方、これまで導入が進んだのは主としてコストの高い太陽光発電であるため、このままでは今後、委員が御指摘になったように、国民負担が更に増大することが懸念されます。再生可能エネルギーを最大限導入することと家庭や企業の負担を抑えることを両立させるため、制度を見直すことといたしました。具体的には、例えば太陽光発電については買取り価格を低減するため入札制度を導入することといたしまして、今国会に再生可能エネルギー特別措置法改正法案を提出をいたしました。
○小林正夫君 マスコミが最近調査をした結果を三月九日の日に報じておりました。これは、標準家庭月平均四百七十四円上乗せになっていることに対するアンケートでした。
 そして、この回答を見ると、この程度ならよいというのが六八%、もっと減らしてほしいというのが二二%、もっと増えてもよい、これが九%。総じてこのアンケート結果を読み取ると、これ以上になったら困ると、こういう人たちが九割を占めていると。九〇%の人は、今の標準家庭で四百七十四円を負担をしているんだけれども、これ以上増えたら困る、これがあるマスコミの調査結果に出ておりますので、先ほど総理、今国会に法案を提出した、このようにおっしゃいましたけど、この法案が通れば確実に賦課金が抑制できると、そういうふうに受け取っていいんですね。
○委員長(岸宏一君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(岸宏一君) 速記を起こして。
○国務大臣(林幹雄君) 先ほども答弁申し上げましたけれども、三〇年度には約倍の千円程度ということに見込まれるわけでありますけれども、その間、家計においてはまだ確たる数字は申し上げられないところでございます。
○小林正夫君 やはり太陽光発電、普及していくことは大事です、先ほど言ったとおりです。しかし、この国民が負担する賦課金について、抑制してほしいしこれ以上上げてほしくないと思っている国民が九割以上いる、このことをよく認識をされていろんな施策を進めるべきだ、このように指摘しておきます。
 そしてもう一つ、太陽光発電の課題なんですけれども、急激に太陽光発電が出てきて、今までの設備形成は、発電所があってそれを一般家庭に電気を送る、このような流れで電気を送っておりました。ところが、太陽光発電などがいっぱいできて、途中から電線に電流が流れるようになってきた。ですから、今までの電気の流れが逆方向に流れる場合もある、こういうことであります。
 さらに、太陽光事業者からすると、電力会社が送電線あるいは配電線の設備維持のための工事をやるときに当然電気を止めるんですが、この電気を止める時間帯を夜間にしてくれと、要は、昼間止められちゃうと自分の発電した電気を送れなくなるので夜間にしてくれ。私、夜間作業、自分でも経験ありますけれども、相当リスクをしょいます。
 ですから、今言ったように、作業の安全を考えたときに、電柱に上って作業している人が、こっちからの電気は止まったけど逆方向で電気が流れてしまって感電する、こういう心配がないのかどうか。それと、夜間に業務をシフトしろ、このことに対しても私はいろいろ労働問題的に課題があると思います。これに対して政府はどういうふうに取り組むんでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 電気事業法の技術基準では、全ての太陽光発電設備に対しまして、系統側が停電したことを検知して発電設備から系統に流れる電気を遮断する装置を設置すること、これを義務付けております。こうした措置によって、先生御指摘の系統側を停電させて作業を行う場合の作業者の安全が確保されるものと考えております。
 また、夜間の作業を求められる場合があるということは聞いております。ただし、電力会社が送電線の工事等を行う場合には、法令上、発電事業者に対しまして最小限度の範囲内で発電を止めるよう求めること、それも無償で求めることが可能となっております。このような規定を前提として、電力会社と発電事業者が協議の上、安全面にも配慮した形で工事の実施日時が設定されるものと認識しております。
○小林正夫君 電力関係で働く人たち、今年度、去年の四月から今日まで二十一名の人が労働災害で亡くなっているという事実があります。これは、電気は目に見えないんです。是非、作業安全の面から、今言ったような対策、しっかり政府に求めておきたいと思います。
 午前中、時間の関係がありますので、パネルだけちょっと見てください。
 これは、太陽光発電設備が台風だとか突風によって被害が受けた、こういう資料で、経産省から出されました。特に、去年の九月、鬼怒川が氾濫をして、この太陽光発電設備が相当水没をした。総理も、視察にすぐ行っていただきましたから、この状況を見たと思います。
 ここで問題提起しておきたいのは、やはり台風などによって太陽光設備がこれだけ壊れてしまうと、これは二次災害を引き起こすということ。それともう一つは、この太陽光パネルが、水につかっても光が当たると発電しちゃうというシステムなんです。これは、消防士の方が、太陽光パネルが屋根に乗っかっているお宅が万が一火事になったときに、放水をするときに、この放水の水を伝わって消防士の方に電気が来てしまって感電するおそれがあると言われているんです。
 ですから、この問題について政府がしっかり取り組むこと、また、太陽光パネルもやはり自分で制御できる、太陽光パネル自身が電気の発電を止められる、こういう設備にしなきゃいけない、このことを私は思っております。
 この点について、総理大臣と共有できるかどうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、小林委員がおっしゃったように、消防や災害救助活動において、水でぬれた太陽光発電設備による感電事故を防止するため安全対策が必要であり、今安全対策に取り組んでおります。
 具体的には、火災対応時の注意点を各自治体の消防本部に周知するとともに、電圧が高く感電事故のリスクがある太陽光発電所全体ではなく、電圧が低い太陽光パネル一枚ごとに制御できる機器を開発をしています。
 引き続き、太陽光発電設備の安全性向上に取り組んでまいります。
○委員長(岸宏一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十八年度総予算三案を一括して議題とし、社会保障・国民生活等に関する集中審議を行います。
 休憩前に引き続き質疑を行います。小林正夫君。
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。午前中に引き続きまして質問をいたします。
 午前中の最後にこのパネルを見ていただきました。また、資料もお渡しをいたしました。太陽光発電に係る台風だとか水害による被害の状況を表しました。そして、水没してもこの太陽光パネルが電気を発電しちゃう、こういうものだということも私の方から申し上げました。これは、多分世界的に同じようなパネルを使っていると思いますから、要は、発電を止めるとか発電を制御できる、そういうようなパネルじゃないんですね。ですから、したがって、これから太陽光がどんどんどんどん普及すると思います。だから、それに伴って、太陽光パネルが水没して、感電した、あるいは感電死亡事故が起きたということでは遅いので、是非、日本の技術あるいは技能をもって、この太陽光パネル、発電を制御できるようなことに開発を頑張らなきゃいけないんじゃないか、こういう趣旨の質問をいたしました。
 安倍総理の方から、架台がこのように飛んでしまったこと、あるいはこの太陽光パネル自体が要は制御できない、こういう状態についてやはり研究していく必要がある、こういう旨の答弁をいただきましたので、この問題点については共有できたと、このように思います。
 私は、今後の災害対策特別委員会で更にこの問題についてお話をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、丸川大臣に質問をいたします。
 この太陽光パネルによって熱中症になったという裁判を起こされて、今係争中だということも聞いております。それで、森林を伐採して太陽光発電を建設して環境破壊になっているんじゃないかという、こういう指摘も世の中ではあります。
 この環境アセス、国の環境アセスの中に、水力だとか風力だとか、もちろん原子力、あるいは火力、大体全ての発電所については国の環境アセスが適用されているんですが、この太陽光発電に限っては国の環境アセスの対象になっていないんです。どうして対象になっていないかということと、これを、今後大規模な太陽光パネルの発電所ができるということも想定されますので、やはり国としてこの環境アセスを考えていく必要があるんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丸川珠代君) まず、現時点でなぜ対象になっていないかということについてですが、環境影響評価法を当てはめるときに、規模の大きさということが一つの要件になります。規模の大きさをもって環境影響の程度が著しいおそれがある事業ということがまず一点になりますが、加えて、太陽光発電は、一般に土地の形状の大規模な変更を伴わず、設置後に排ガスや騒音等を発することがないため、それもあって現時点では対象とすることは適当ではないというのが環境省の考え方です。一方、急傾斜地を開発する、特に森林伐採するとなりますと、これは国交省の方に係ってきますし、また構造基準については今経済産業省が見直しをしていただいているということでございます。
 規模の件に関して我々ということになりますが、我々の方でも、今、規模の小さいものでも自治体の方で条例を作っていただいているところもあるということから、自治体の皆様方の取組について情報交換の場を設けるなどして支援を行ってまいりたいと考えております。
○小林正夫君 つくば市、茨城県のですね、このつくば市で、今年の六月の定例会で、筑波山だとかあの辺の山々の環境だとか、あるいはいろんな太陽光パネルの開発によって被害が起きるかもしれないということで、つくば市は六月の定例会で、太陽光パネルなど、そういうものの設置を禁止するという、こういう条例を作りたいということが報道されております。
 今言ったように、やはり規模によってなんでしょうけれども、今後太陽光パネルが相当普及していくと思います、これはいいことだと思います。しかし、やっぱりそれなりの対策は必要で、こういう問題については国が関与していく必要もあるんじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(丸川珠代君) 別途、面的な開発ということになりますと、百ヘクタール以上ということで対象になるわけですが、まだ太陽光で百ヘクタール以上という規模のものは数が限られておりますので、いずれにしても、自治体の皆様の取組もよく見定めつつ、今経産省で進んでいるような構造基準の見直しや、あるいは地元での国交省での取組等を勘案しまして、よく見定めてまいりたいと思います。
○小林正夫君 次に、労働問題の関係に質問いたします。
 まずは労働災害なんですけれども、厚労省が昨年の労働災害、この一月に集計したところによると、九百九名の方が労働災害で亡くなっている。これは、もっと集計が進んでいくとこの数字は増えるんだと思います。したがって、一日に二人から三人が労働災害で亡くなっているというのが日本の今の姿であります。特に死亡者が多いのは建設業ということになっています。
 是非、総理は働き方の改革をしていくんだ、このように強調されていますけれども、やっぱり働く原点は、働く人の安全が確保された上での話だと思います。この労働災害の実態について、総理はどのように受け止めていますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 働くことで命が脅かされたり健康が損なわれるようなことがあってはならないと思います。働く方々の安全と健康の確保は、一億総活躍社会の実現や働き方改革の大前提であると考えております。
 労働災害は、昭和三十年代後半をピークに、長期的には減少してきているものの、残念ながら、現在もなお年間千人近くの方が労働災害により亡くなられておられます。このため、死亡災害が多い製造業や今御指摘のあった建設業等を重点として、機械災害を防止するための機械の危険情報の提供や足場からの墜落防止措置の強化に取り組むとともに、平成二十六年に労働安全衛生法を改正して、ストレスチェックや化学物質のリスクアセスメントの義務化を図るなど、働く方の安全と健康の確保に取り組んでいます。
 これらの対策を始めとして、第十二次労働災害防止計画の目標である労働災害の一五%以上の削減に向けて、今後とも働く方の安全と健康を確保するための政策を、対策を進めていきたいと思います。
○小林正夫君 私は、自分が現場で働いていたときに、労働災害で本当に親しい仲間を失いました。もう本当にこれ以上悲しい出来事はないと、今でも自分の人生において本当につらい出来事でありました。
 そこで、厚生労働省は二〇一一年七月にあんぜんプロジェクトという施策を講じて、労働災害防止のために厚生労働省としても取り組んでおりますけれども、このプロジェクトの趣旨、活動内容、加入のメリット、現在の加入状況について簡単に報告をしてください。
○政府参考人(加藤誠実君) お答えいたします。
 あんぜんプロジェクトは、労働災害の防止に一生懸命に取り組む企業が国民から評価されることや、安全対策の好事例の共有を図ることを目的としまして、当時政務官でおられました委員の御指示に基づき平成二十三年から実施している取組であります。
 具体的には、参加企業の募集及び安全方針や取組事例等の公表、また安全対策の好事例の共有を図る安全活動コンクールといったものを実施しております。
 あんぜんプロジェクトへの参加によりまして、安全対策に積極的に取り組んでいる企業であることを広く世の中にアピールすることができ、これによりまして、企業価値、安全ブランドの向上につながることを期待した取組でございます。
 現在、製造業、建設業を始めとした幅広い業種から五百六の企業等が参加しているところでございます。
○小林正夫君 安全は全てに優先します。これは、厚生労働省といろいろ協議を重ねる結果によって、こういうものをつくろうということで二〇一一年からスタートした、このように承知をしております。
 そこで、時間外労働、長時間労働について質問をいたします。
 先ほど言ったように、建設業は非常に労働災害が多いということになっています。パネルと今日は資料を用意いたしました。
 時間の関係で詳しくは申し述べませんけれども、三六協定という協定があって、労使で協定を結ぶんですけれども、月四十五時間以上超えて労働をさせることができると、こういう仕組みになっています。
 そこで、特別条項というのがあって、臨時的に、これは、一時的又は突発的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想されるときは限度時間を超えて労働時間を延長できる旨を協定。限度枠というのは四十五時間です。これを超えて労働させることができる。さらに、基準告示の適用除外というのがあって、工作物の建設等の事業等に係る三六協定については(1)、(2)が適用されないということになっています。ですから、建設業は、特別な事情がなくても、この赤いところで示した、実質無限に時間外協定を結んで作業させることができるという仕組みになっているんです。
 これは去年の決算委員会で、塩崎大臣とこの問題についてやり取りを行いました。それで、塩崎大臣は、思いは多分最終的には同じだと思う、ワーク・ライフ・バランスを実現しながら健康で充実した仕事をしていくことが大事だと思う、このように答弁されました。
 総理、今年は総理施政方針演説の中で、この長時間労働を抑制すると、このように強く決意を述べられました。
 私は、この赤く書いたところ、国が上限時間はこういうものだ、あるいは上限時間を国が示すこと、このことをしていかないと、長時間労働がいつまでたっても解決できない、私はこのように思います。したがって、過労死の認定が、月の時間外労働が八十時間を超えてやる場合に、数か月続くとやはり人間の体は疲れますから、労働災害起きやすいということで、月八十時間の時間外を超える場合については過労死認定の一応基準になっている。したがって、私は、ここに、国としてこれ以上要は働かないようにする、上限時間を設ける、このことが必要だと思います。
 是非、総理、この問題について取り組んでもらいたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長時間労働を抑制することは非常に重要と考えています。
 現在提出している労働基準法改正案では、企業に対して、働く人の意見を聞いて休暇を指定することを義務付け、中小企業における時間外労働への割増し賃金率を引き上げ、そして一定の時間を超えて働いた方に講ずる健康確保措置を三六協定に盛り込ませることとしています。あわせて、企業の自主的な取組を促すことにより、総労働時間の短縮や終業と始業の間のインターバルの確保を推進することとしています。
 この春取りまとめるニッポン一億総活躍プランにおいては、働き方改革の一つとして長時間労働の是正を重要な柱の一つとして位置付け、法規制の執行強化を含めて実効的な具体策を盛り込んでいきたいと考えています。
 法改正をという御意見でございます、御提案でございますが、三六協定の在り方を含め、今後、一億総活躍国民会議の場において各方面から様々な意見を聞いた上で、ニッポン一億総活躍プランを、長時間労働抑制策を取りまとめていきたいと考えています。
○小林正夫君 是非、長時間労働をなくしていく、具体的にそういう施策を国がきちんと講ずることが必要だ、このことを申し述べたいと思います。
 岩城法務大臣には、今日お越しいただきましたけれども、時間の関係で質問できませんでした。おわびを申し上げます。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で小林正夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、長沢広明君の質疑を行います。長沢広明君。
○長沢広明君 公明党の長沢広明です。
 まず初めに、介護職員の処遇改善についてお伺いをいたします。
 介護職員の処遇改善については、公明党としてもこれまで全力で取組を行ってまいりました。時系列で確認をいたしますけれども、平成二十一年度自公政権、これ麻生内閣の下で、介護報酬改定においては、処遇改善に重点を置いたプラス三%の改定を行い、月額プラス九千円の実績をまず上げました。同じく平成二十一年度の、これは補正予算でございますけれども、そこでは、やはり麻生内閣下で措置をしまして、介護職員処遇改善、これは交付金でございました。この交付金を創設をして、月額プラス一万五千円の実績を上げています。これで合計二万四千円でございました。単純にプラスはできません、交付金とこの介護報酬の改定という、それぞれ違いますので、単純な足し算はできませんが、このときには二万四千円。民主党政権、野田政権下でも平成二十四年度の介護報酬改定が行われて、月額六千円の実績が上がっております。さらに昨年、安倍内閣の下で、平成二十七年度の介護報酬改定において、消費税率の八%への引上げによる増収分を活用して月額一万二千円相当の処遇改善加算の拡充を行っております。
 しかしながら、介護現場で働く職員の方々の声を聞きますと、やはり処遇改善を求める声はいまだ多く聞こえてきます。一般産業全体の平均と比べれば、月額十万円弱低い、そして長く働き続けていても上がらないという問題があります。これをしっかり改善をしていかなければならないと思いますし、高齢化社会を支えるマンパワーの確保と、これ大変重要な課題でございます。
 そこで、財務大臣に伺います。
 平成二十九年度には消費税率の一〇%への引上げも予定されており、社会保障に充てられる財源も増えることは期待をされますけれども、この点も含め、今後も介護職員の更なる処遇改善に財務省としても協力して取り組んでいただきたいというふうに考えますので、財務大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(麻生太郎君) これは長沢先生、消費税は、いわゆる八%から一〇%に上げることに伴います消費税によります増収分につきましては、政府・与党としては、保育の受皿等々の拡大といった子ども・子育て支援の更なる支援というものの充実、また所得の低い方々に対しますいわゆる介護保険の一号保険料や国民健康保険料の軽減の拡充、そして低所得高齢者等々、障害者などへの福祉的給付に充てることとされておりますのは御存じのとおりなんですが、この消費税の増収分とは別に、介護職員のいわゆる処遇改善につきましては、平成二十七年の四月にいわゆる介護報酬改定において月額一万二千円相当の拡充という、いわゆる処遇改善加算を行ったところなんですが、その効果につきまして、今、厚生労働省において詳しい実施状況というものを調査中と伺っておりまして、今月中にも公表予定と伺っております。
 したがいまして、今後とも、この介護人材の確保というのは極めて重要な問題でありますので、この処遇改善の進捗状況を踏まえまして必要な財源というのを確保しつつ、私どもとしては適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○長沢広明君 是非よろしくお願いいたします。
 今日は、特に認知症施策について伺いたいと思っております。
 パネルをお願いします。(資料提示)
 認知症は今や国民的課題で、認知症をめぐる状況というのは日々深刻さを増しております。パネルを見ていただきますが、二〇二五年、認知症有病者の数は約七百万人以上と推計をされています。実に六十五歳以上の高齢者の五人に一人が認知症という時代が十年もすると来ると、こういうことになります。
 一昨年六月、私、厚生労働委員会で総理に質問させていただきまして、その際私は、世界で最も早く高齢化が進む日本こそ、この認知症対策で世界のモデル国家、世界最先進国になるべきだということで、いわゆる厚生労働省だけでやっていたオレンジプラン、これだけではなく、省庁横断的な取組で国家戦略を立てるべきだと、こういう提案をさせていただきました。これに対してそのとき総理からは、認知症対策において世界で最も進んだ国になるよう全力を挙げたいという大変力強い御答弁をそのときいただきまして、その半年後、去年の一月、認知症施策推進総合戦略、新オレンジプラン、十二の府省庁にまたがった総合施策という国家戦略が立てられることに至りました。これは、総理のリーダーシップに敬意を表したいというふうに思っております。
 現在、認知症施策は世界各国の共通の課題になっております。例えば、イギリスではキャメロン政権が国家認知症戦略というのを立てています。アメリカでもオバマ政権で国家アルツハイマー計画法という法律に基づいた戦略を立てています。フランスではサルコジ政権が国家アルツハイマー計画、オーストラリアでは認知症に関する国家構想、こういうのを立てています。世界の各国は今、いわゆるこれまでの二十世紀型の社会保障のモデルから、この認知症対策というものを通して二十一世紀型の社会保障モデルという新しい道を開こうと、それをどういうふうにしていこうかと、世界の国が模索をしているさなかに今あるというふうに言っていいと思います。
 もちろん、認知症については、まず予防法あるいは治療法、治療薬の開発、こういったことがまず大事になりますけれども、もう既に四百万人に及ぶ認知症の患者の方がいらっしゃって、そして地域社会の中で御本人、家族の方が大変な苦労をされている。こういう中にあって、安心して暮らせる社会モデルをどう確立するか、これは国家全体の課題として強力に進めるべきだと思います。
 そこで、総理にお伺いします。
 この新オレンジプラン、我が国も国家戦略と言える入口に今立ちました。そこで、世界先進国を目指して取り組んでいただきたいわけですけれども、世界各国がこの認知症対策を通して二十一世紀型の社会保障モデルをつくろうと、こういう努力をしている中、我が国の取組の方向性、どのように認識をされているか、お伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この認知症について言えば、今、長沢委員がおっしゃったように、御本人が認知症になるということに加えて、配偶者あるいは御両親がなるということを考えれば、もう誰もが関わる可能性がある病気であると、こう言ってもいいのではないかと思います。
 高齢化の進展によって、今後も認知症の方の増加が見込まれるわけでありますし、最も速いスピードで高齢化が進んでいる我が国は、社会全体で世界のモデルとなる取組を進めていく必要があると考えています。
 このため、我が国の認知症国家戦略である国家総合戦略、新オレンジプランでは、初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に設置をし、医療、介護等が連携してできる限り早い段階から認知症の方を支援をしていくということとともに、根本治療薬について平成三十二年頃までの治験開始を目指して、予防や治療の研究開発を推進していきます。そして、認知症サポーターを平成二十九年度までに八百万人養成をするなど、認知症の方や高齢者に優しい地域づくりを進めることとしています。
 特に、今回の総合戦略で、地域での見守りの体制づくりから詐欺などの消費者被害の防止に至るまで、一体的に施策を進めることといたしました。この点は世界の認知症国家戦略の中でも特徴的で、これは大きくアピール点であると考えております。これは一厚労省に限らず各省庁で、これ認知症に関わることについては総合的に対応を進めていきたいと思っています。
 今後とも、認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができるように、本人や家族の方々の御意見を、私も、若くして認知症になられた方々も含めまして認知症の方あるいは御家族の方々からいろんなお話を伺っておりますが、政府一丸となって施策を推進していきたいと思います。
○長沢広明君 ちょっとパネルの二をお願いしたいと思います。
 今、総理からもありましたとおり、我が国のこの認知症対策の大きな特徴として、やっぱり社会全体でどう見守りをし支えていくかという、こういうモデルを世界の国も注視をしておりますし、特に、これから高齢化社会に入っていくアジアの国々は、日本がどういう方向に行くかというのを非常に強い関心を持って見ております。
 ちょっと一問質問を飛ばさせてもらいます。
 この認知症の方の徘回による行方不明とか不慮の事故を防ぐためにも、そういう社会全体での見守りの体制を進めなければならないと。しかし、今なかなか都市部においてはかつての地域のコミュニティーみたいなものが希薄になってきておりますし、交通機関の発達によってこの見守りも広域での対応ということが必要になってきていると、こういう社会の変化にどう追い付くかという問題があります。
 例えば、福岡県の大牟田市が十年以上前から力を入れております認知症の人とともに暮らすまちづくり、あるいは京都府では行方不明高齢者の捜索のための関係機関の間の連携要領というのを作っている、大阪府はコンビニの大手四社と認知症の方の見守りに関する協定を結んでいると。こういう各自治体、地域でいろんな工夫をされています。こういう参考事例を、自治体においてできているものを後押しをする、また全国に周知をしていく、こういうことも大変大事なことだと思います。
 そこで、厚生労働省で把握しているものがあれば紹介願いたいんですが、こういう認知症の方々に対する地域の見守り体制、関係機関の間の連携体制、先進的事例、あれば御紹介いただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生から御指摘のあった大牟田に私もこの間行ってまいりまして、本当に三千人規模で毎年九月に訓練をやっているようでございます。この間小規模な訓練をやっていただいて、私も参加をしてまいりました。
 それで、今お取上げをいただいた京都、そしてまた大阪での事例はそのとおりでございますが、その他見ますと、例えば北海道の釧路、ここでは、平成六年の、釧路地域SOSネットワークというのを立ち上げて、かなり早い段階から、特に地元のFM局が放送を使って地元の住民に呼びかけて、行方不明の認知症の方の捜索を行っているという事例もございます。それから、熊本県の山鹿市では、平成二十年から、行政と警察、地域住民等が協力をして認知症の方の徘回模擬訓練を実施をしているというようなところがございます。
 厚労省としては、この新オレンジプランに沿って、地域住民がこの認知症の方の見守りのネットワークの自主的な構築にも加わって、認知症サポーターなどによる見守り体制の整備、そしてまた、自治体が認知症の方を地域で見守ってコミュニティーで支える枠組みづくりをそれぞれの地域の特性に応じてつくり上げていくことをバックアップをしていきたいというふうに考えているところでございます。
○長沢広明君 関係省庁の間の連携も大事ですけれども、自治体、現場における情報交流というのも非常に大変これから大事になってくると思いますので、是非その辺も目くばせをお願いしたいというふうに思います。
 そういう地域の見守り体制をつくるという意味では、大人だけではなくて幅広い世代、子供にとってもこの認知症に対する接し方についての知識を持つ必要があります。認知症患者の家族の会の方にもお話を聞きますと、社会の中でまずやってもらいたいことは、認知症に対する理解を深めてもらいたいと、こういうことで、そういう意味では、例えば声を掛けるときにも急に大きな声で声を掛けないようにするとか、そういう認知症に対する教育、これを学校現場で進めることが必要だというふうに思っております。
 これ、去年、平成二十七年三月の厚生労働委員会でも質問させていただきましたが、その際、文科省から、小中高の学習指導要領において高齢者との交流の機会を設けることを明記していると、あわせて、埼玉県の高校において、県の福祉部局の協力を得て高齢者の介護予防に参画するといった取組があると、こういうことも例に挙げていただきました。こうした地域の取組は国としても是非力を入れて支援をしていただきたいと思います。また、更にもう一歩踏み込んで、認知症に特化した教育、こういうことについて進めてもらいたいと思います。
 学校現場において、認知症という病気の特徴、適切な接し方、こういうことを進めてもらいたいと思いますが、もしそういう教育を行っているという実例があれば紹介いただきたいと思います。
○国務大臣(馳浩君) 先生御指摘のことは大変重要だと思っております。
 現状をちょっと報告します。
 実は、学習指導要領で認知症に特化した項目は実はございませんが、高等学校の家庭科で、高齢期の特徴と生活及び高齢社会の現状と課題について指導することとしておりまして、教科書では認知症の症状や認知症の人への接し方について扱われております。教科書会社、高校の家庭科十点中十点全てにおいて取り扱われております。
 また、保健体育科、これも高等学校ですが、生涯の各段階の健康課題に応じた自己の健康管理及び環境づくりというところで、教科書では認知症など日常生活の介護や支援を必要としている高齢者の増加について触れております。
 さらに、小学校の総合的な学習の時間においては、認知症の症状や認知症の人への接し方を正しく理解するためにということで、講演を聞いたり資料を読んだりした後に、自分たちにできることを考え、話合い、それらをまとめて発表するという活動を行っている実践や認知症の絵本教室、徘回模擬訓練などの取組を行っている学校もございます。さらに、厚生労働省の行っている認知症サポーター養成講習を活用し、認知症に関する正しい理解や接し方などについて学ぶ取組も各小中高校を通じて見られるところでございます。
 今後とも、厚生労働省と連携をして取り組む事業、積極的に取り組んでいきたいと思います。
○長沢広明君 学校教育の中に認知症教育をしっかり組み込んで、認知症に対する理解の裾野を広げると、こういうことも二十一世紀型の社会保障モデルをつくる上での一つの大きなポイントだというふうに思いますので、是非進めていただきたいと思います。
 認知症の方々が受けがちな詐欺被害の対応も急務でございます。消費生活相談における販売、購入形態別の割合、これを見ると、認知症の高齢者は一般の高齢者に比べて訪問販売とか電話勧誘販売で被害を受ける割合が高い、店舗で購入したり通信販売の割合は低いと。ある意味、認知症の方々は能動的な購入より受動的な購入によって被害を受けることが多いという特徴があります。
 こうした状況を踏まえて、消費者庁も政府広報を通じた注意喚起、普及啓発を警察庁や金融庁とともに進めるとしていると思いますし、全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 消費者庁に伺います。
 認知症の方々の詐欺などの被害防止のための取組、その具体的内容とこれまでの成果、どのように報告できるか、お願いいたします。
○国務大臣(河野太郎君) 平成二十一年と平成二十六年を比較しますと、高齢者の人口が一四%ですか、伸びておりますが、高齢者に関する相談件数、消費生活相談件数は約六割増えております。認知症などの高齢者に関する相談件数も四割増えているということで、非常に高齢者人口の伸びを大きく上回る相談件数になっております。また、認知症等の高齢者についての御相談は、本人以外の周囲の方からの相談件数が八割を超えるという状況でございます。
 今お話がありましたような消費者被害の防止に関する注意喚起につきましては、平成二十五年九月から、高齢者の消費トラブル未然防止に関する注意喚起を消費者庁、警察庁、金融庁と連携をして実施をしております。また、消費者庁は、地方消費者行政推進交付金などを活用した地方公共団体による相談体制の整備の支援、あるいは消費者ホットライン一八八などの取組を進めてまいりました。
 先生おっしゃるように、認知症の方はそのトラブル、被害に遭っているという認識が低く、問題がなかなか顕在化しないということで、周囲の方の見守りが重要であるというふうに思っております。この四月一日から施行される改正消費者安全法に基づいて、地域の見守りネットワークの構築をしっかり推進をしてまいります。また、この通常国会におきましては、業務停止を命ぜられた法人の役員に対して、認知症を含む高齢者を狙った悪質事業を再開することがないよう、停止の範囲内の業務を新たに開始することを禁止する特商法の改正、あるいは、過量な内容の消費者契約に基づいて消費者に取消し権を認める消費者契約法の一部を改正する法律案を提出したところでございます。
 今後とも、認知症などで判断力が不十分になった人などの消費者被害の防止にしっかり努めてまいります。
○長沢広明君 認知症につきましては、早期の診断、早期の対応が重要であるということで、これはこれまでも申し上げてきたところで、その認識の下で施策を進めていただいていると思います。
 今、文科大臣、それから消費者庁、それぞれ御質問をさせていただきました。本当はこの新オレンジプランは十二の府省庁にまたがっておりますので、この十二の府省庁がよく連携を取って認知症対策について重層的なこの取組をするという、ここに一番大事なポイントがありますので、その連携をまたしっかり取っていただきたいというふうに思います。
 認知症問題の一番の問題というのは、なかなか診断、そして支援に結び付かないという問題です。本人が自覚したり家族が気付くのがなかなか難しいと。とりわけ、今日は若年性認知症の問題をちょっと取り上げたいと思うんですが、若年性認知症の場合は、本人も家族もまさかこの年齢でと、こう考えてしまう。体力的にはまだ衰えていない。したがって、なかなか現実として受け止められないために、どうしても発見が遅れがちになってしまいます。その結果、初期での対処の機会を逃してしまって、病状が進行した後にはもう誰にも相談できない、せっかく用意した認知症初期集中支援チームなどの社会的支援が届かないという事態になりかねないわけです。
 家族が認知症の初期症状のサインを見逃さないというふうにするとともに、それを見付けた場合、関係機関に容易にアプローチできるという、こういう体制をつくらなければいけません。認知症の疑いを持った人の相談先、これが地域でどう周知されているか、これは周知を進めていくという取組をしてもらっていると思いますが、今どういう取組をされているか、確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、最初にどう対応するかということがとても大事で、認知症の疑いのある方、そしてその家族の方がすぐに相談できるようにしなければいけないという御指摘はそのとおりでございまして、まずは、高齢者の多様な相談を総合的に受ける場は、地域包括支援センターが今地域にそれぞれございます。
 それから、認知症の方の医療、介護等へのつなぎ、あるいは認知症の方への接し方の助言等の家族支援を行う、これは新オレンジプランで明確に位置付けておりますけれども、認知症初期集中支援チーム、それから認知症地域支援推進員、こういった方々を地域住民で御利用いただくように周知をすることがとても大事だというふうに思っております。
 最も身近な相談先である今の地域包括支援センターにつきましては、各市町村において相談窓口や地域の関係機関にパンフレットを配布するなど広く住民に周知を行っているところであります。また、認知症初期集中支援チームについては、国としても、チーム員への研修の中で、市町村広報を利用するだけでなくて、地域の講演会など、それから民生委員や老人会を通じて周知をするなど工夫をしているところでございます。どのような場合にどこに相談できるのかを記載したチラシとかリーフレットを用意をいたしまして取り組んでいるところでございます。
 来年度予算では、地域住民によく浸透して活動できている先進的な認知症初期集中支援チームや今の推進員などの取組を都道府県内で広く共有するために活用できる事業を新たに盛り込んでいるところでございまして、認知症の方やその家族の視点に立って、そのときの容体あるいは困っている内容等に応じた相談先が分かりやすく伝わるように、地域の実情に応じた自治体への周知、広報活動等をバックアップしてまいりたいというふうに思います。
○長沢広明君 先日、私は、東京都の若年性認知症総合支援センターというところを訪問してきました。ここは、この運営団体はもう十数年前から高次脳機能障害の支援からスタートをして、今若年性認知症の支援をしております。東京都としては、平成二十一年にモデル事業とし、平成二十四年から正式に若年性認知症の支援に特化した、しかもワンストップで、相談から支援まで受けられるデイサービスもあるというワンストップのセンターで、大変先進的な取組をしていらっしゃいます。
 例えば、平成二十六年でここで相談に乗った方は三百四人いらっしゃいます。ちょっと特徴はやっぱり幾つかありまして、四十代、五十代の方もいらっしゃる、中には子育て中で若年性認知症にかかる方もいらっしゃるという、非常にこんなに早くというようなこともあります。
 最大のポイントは、若年性認知症ですと診断されるまでにまず時間が掛かり、診断を受けてからこのセンターに相談に来るまで、つまり地域の支援を受ける段階に来るまでに二年から三年掛かっているんです。若年性認知症というのは進行が早いんです。つまり、具体的な支援を受ける前にもう進行してしまってどうしようもなくなるということがあります。
 若年性認知症のもう一つの問題は、やはり働き盛りという方が多くて、特に男性が多くて、一家の経済の柱を失ってしまうということです。家族も一緒に苦しみますので、家族が抑うつ状態になるケースも非常に多いということで、全国で恐らく四万人、東京都だと恐らく三千人から四千人の間、そのうち二十六年に相談に来られたのが三百人ということですので、相談にまで来られている方はほんの僅かであるということです。
 しかし、ここに、どう経済的に成り立たせるか、医療と地域の支援とをどうつなげるか、実はこの若年性認知症の対策の中にやはり二十一世紀型の社会保障モデルの一つのポイントが隠されているような気がいたします。ここをしっかり進めていくことが非常に大事なことだと思います。特に大変なことは、その経済的柱を失ってしまうということで就労支援をしなければいけません。
 東京都の若年性認知症総合支援センターの職員の方は大変すごい仕事をしてくださっていて、その患者の人の勤めている会社に訪問をしてくれます。会社に訪問をして、この人の症状はこうだから、御社の会社の中でここに配置転換をしてくれれば就労継続ができますよと、働き続けられるはずですと、こういう相談を直接会社とこの専門家の間でやり取りをしてくれるんです。就労継続をまず進めると。本当に働けなくなったときは休業支援、あるいは様々、そのほかに障害者保健福祉手帳を取るとか様々な手段がございます。
 政府としても、専門の支援員の設置も含めて若年性認知症の方の就労支援、これを一層強化してもらいたいというふうに思いますが、厚生労働大臣、見解をお願いいたします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 若年性認知症の方の就労支援についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 一昨年、総理から新オレンジプランの作成を指示を受けたときに、認知症サミットの後継イベント、これイギリスのキャメロンさんが始めたものでありましたが、その際に、初めてその国際会議に若年性認知症の御本人が参加をし、またその後、安倍総理とも会っていただいて、就労の御苦労のお話を聞かせていただきました。
 若年性認知症の方については、企業の理解、それから公的な支援によって今までと変わらず継続して働き続けることも可能だということであり、御本人の症状に応じた仕事への配置転換、そしてまた勤務時間の短縮など、柔軟な働き方が可能になるような職場の環境づくり、これが大事だということで、若年性認知症の方を雇用する上で配慮すべき留意点を事業主に向けてしっかりと広報していくリーフレットなど、それから全国のハローワークを通じて周知徹底を今努めているところでございます。
 それから、活用できる公的支援策、特に事業主に対する助成金の支給がどういうものがあるのかということについてお知らせをする努力をしているところでございます。それから、職場定着を支援するために、今ちょっとお話がありましたけれども、ジョブコーチ、専門のスタッフが職場に出向いて、配置転換等の際に御本人や事業所双方に対して職場適応のための支援を実施を今しているところでございます。また、身近な地域に設置されております障害者就業・生活支援センター、ここで就業上の悩み、日常生活の課題について一体的な相談に応じ、医療機関等と連携をして支援を行っているところでございます。
 いずれにしても、こういった支援策が行われているということを御存じでない方がたくさんおられますので、徹底した広報をし、こちらからも出向くことによってこの利用を図っていきたいというふうに考えております。
○長沢広明君 いわゆる認知症と診断をされれば、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となると。精神障害者保健福祉手帳となれば、これは企業の障害者雇用枠として雇用される可能性を開くと。これは、企業の側も障害者雇用枠で採用できるということになると、企業にとってはプラスなんです。こういうことを認知症の方にもそして企業の側にもしっかり知ってもらって、周知、広報していく、こういうことも大変大事だと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 総理、以上ちょっと質問をさせていただいたとおり、各府省において認知症関連の施策は予算措置をされ、実施をされてきております。ただし、ここから本当に二十一世紀型の社会保障モデルをつくっていくということになりますと、更にその十二府省の横断的に策定されたオレンジプランを効果あらしめるために省庁間の連携ということが非常に大事です。
 関係府省の局長等で構成される認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議、これが平成二十五年から開催されているんですが、開催の頻度が余りに少な過ぎると思います。年一回、これでは不十分です。省庁横断的な総合戦略を効果あらしめるため省庁間の連携をしっかり進めると、ここにおいて総理のリーダーシップを是非お願いしたいというふうに思いますが、どのようにお考えになり、どのような指示を出されているか、お伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 認知症対策については、これまで厚生労働省が医療、介護等の基盤整備に取り組んでまいりましたが、私は、認知症施策を加速するため、厚生労働省だけでなく政府一丸となって認知症の方の生活全体を支える新たな戦略を策定するよう指示をいたしました。
 これに基づいて新オレンジプラン、総合戦略が策定されたところでございますが、この総合戦略を着実に実施していくとともに、新たな課題にも対応する場として関係省庁の連絡会議を、今、長沢委員からこれもっと開けという御指摘をいただきましたが、積極的に活用してまいります。
 例えば、先日の認知症の方の列車事故に係る最高裁判決を受けまして、認知症の方による事件、事故に社会としてどのように備えていくのか、実態把握の方法など、この会議において検討させたいと思います。
 今後、関係府省庁が更に問題意識を持ってこの会議を開催をし、そして認知症や高齢の方に優しい地域づくりに向けて一丸となって取り組んでいきたい。冒頭申し上げましたが、誰もが関係する可能性があるんだという意識を私たちを含めて各省庁しっかりと持って、取り組んでいきたいと思います。
○長沢広明君 JRの裁判のことについても触れようと思いましたが、今総理が触れていただきましたので、省略をしたいと思います。
 最後に、脳脊髄液減少症について伺います。
 脳脊髄液減少症の治療法であるブラッドパッチ療法について、今年四月一日から保険が適用になるということで、私たちがもうずっと後押しをさせていただきましたが、これでこの病気で苦しんでいる患者の方々、御家族の負担の軽減につながるということで、政府の対応を高く評価したいと思います。厚生労働大臣にはこの間、大変な御尽力いただいたことを感謝申し上げます。
 ただ、なお課題が残されております。一つは、この脳脊髄液減少症の診断基準の基になる症例、これが十八歳以上の成人でつくられていることです。学校で鉄棒から落ちた、跳び箱から落ちた、患者の方の中には吹奏楽団でトロンボーンを吹いているそのときに実は脳脊髄液の硬膜が破れたという人もいる。そういうこともありますので、この十八歳以下の症例を加えて、子供たちの診断が確立される、早期に診断され、早期に治療が始められるという体制をつくるために、厚生労働省の研究事業に十八歳以下の症例を加えてもらいたいというふうに思いますが、厚生労働大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 公明党から強い御要望がございましたこのブラッドパッチ療法についての診療報酬改定において、先進医療から保険導入をしたところでございまして、本年四月から脳脊髄液漏出症と確定診断された場合には保険適用されるということになりました。
 これまでの脳脊髄液減少症に関する研究によりますと、この疾病のうち脳脊髄液の漏出が画像診断等により明らかな脳脊髄液漏出症について、成人の診断基準が平成二十三年十月に作成をされたわけでございますが、これまでの研究は小児も対象としているものの、小児を対象とするに当たっては成人を対象とする場合と比べて困難を伴うことから、成人と同じ枠組みでは小児を対象とする研究が遅れがちとなっていると聞いております。
 このため来年度は、今お話がございましたが、小児の脳脊髄液減少症を対象とする研究を優先的に採択をすることとしておりまして、その病態の解明や治療法の開発が進むことを期待をしたいと思っております。
○長沢広明君 時間がなくなりましたが、最後に石井国土交通大臣に一点だけ簡単に質問します。
 自賠責保険、脳脊髄液減少症に対する自賠責保険の支払状況について報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 脳脊髄液減少症につきましては、自動車事故との相当因果関係が認められる場合は自賠責保険の支払対象としているところです。支払件数は、平成二十四年度から二十六年度では百三十六件、百五十五件、百二十四件と推移をしております。
 脳脊髄液減少症に係る自賠責保険の運用については、厚生労働省との連携が必要であるとこれまでも長沢委員から御指摘がございました。このため、国土交通省といたしましては、厚生労働省で行っている研究、取組の成果を自賠責保険の運用に適切に反映させるよう、保険会社等に対する指導、情報提供を実施しているところでございます。
○長沢広明君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で長沢広明君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、田村智子さんの質疑を行います。田村智子さん。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今、保育所に申し込んだけれども入ることができないということが大問題になっています。保育園落ちたという匿名のブログに共感の声が次々と広がって、国会前のスタンディングや二万八千人近いネット署名へと広がっています。
 政府は一貫して待機児童ゼロということを掲げていますが、では、三月現在、申し込んでも保育所に入れなかったという人がどれぐらいいるのか、調査を行っていますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 保育所に入所できない保育者からの署名につきましては、そうした方々の大変な御苦労、切実な思いが伝わってまいりました。安心して子供を育てていただくために、仕事と子育てが両立できるよう、働くお母さんたちの気持ちを受け止め、待機児童ゼロを必ず実現させていく決意であります。
 その上で、保育所に申し込んで利用できなかった方々には様々な事情があると認識をしており、これをよく分析をし、保護者の方々が希望どおり働けるようにしっかりと対応していく考えであります。厚生労働省を中心に地域とも連携し、利用状況の実態把握等に努め、子育て家族の切実な声に応えられるように取り組んでいきたいと考えております。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今総理から基本的なスタンスについてお話を申し上げましたけれども、この調査につきましては、毎年この時期は四月の保育所などへの入園に向けて利用申込みに対する認定が行われている時期でございまして、現段階で利用先が決まっていない申込者については、今後、市町村が年度末に向けて丁寧に利用意向と、御本人のですね、それから空き定員とのマッチングをするという作業をしてその数を減らしていくということをこれからやっていくわけでございまして、そうした努力を自治体の皆様方に今きめ細かく全力を挙げてやっていただいているところでございます。
 一方で、待機児童問題で御苦労されている方々を確実に減らしていくためにも、自治体とも厚生労働省も当然のことながら連携をして、この現状の把握を絶えずしていきたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 これ、今が問題なんですね、今どのぐらいいるか。
 私は、この実態をつかまなければと、今月の初め、党都議団と共同で都内の全自治体に問合せを行いまして、保育所の申込者数、一次募集での未内定者数、つまり不承諾通知を受け取った方がどれぐらいいるかということを調査をいたしました。(資料提示)回答があったのは、都内六十二自治体のうち十四区三十市町村で、集計すると約二万人、申し込んだ方の三五%が不承諾。ここには、江東区、大田、練馬、足立区、江戸川区など規模の大きい区の数字が入っていませんので、これらの数字を考慮いたしますと、恐らく東京全体で二万六千とか二万数千という規模に上ると思われるわけです。
 総理、先ほどの御答弁はもういいです。この二万人を大きく超える、二万数千人もの方々が保育園落ちた、言わば保育難民とも言えるような状態になっている、このことをどう認識されますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、実際はもう動いているわけでございますので、確定的に、最終的に何人入ることができなかったかといういわゆる待機児童、最終的に四月一日現在にどうなるか、それを今確定するということはなかなか難しいということが言えると思います。
 それから、報道などでは今幾つか、昨日ですか、ありましたけれども、それらは、基本的にあそこに明示的に書いてあるのは、認可保育所、これにどれだけ入れなかったかということが指摘をされているわけでありまして、それをお調べいただいて、共産党の皆様方も今お調べいただいたのも多分そうなんだろうと思うんですけれども、これから、例えば東京都だったら認証保育所、ここに行かれる方もおられるわけでありますし、いろんな形で最終的な行き先が決まっていくわけで、最後に残るのが本当の待機児童ということになりますので、今どうなっているかということについては動きがございますので、先ほど申し上げたとおり、市町村が今必死になってマッチングをして、働いている状況や距離とかいろいろなことを、兄弟とかですね、子供さんが何人おられるとか、そういうことで割り振りを今一生懸命マッチングで努力をされているというふうに理解をしているところでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には厚生労働大臣が答弁をさせていただいたとおりでありますが、各自治体との情報共有や意見交換を緊密にして実態をしっかりと把握をして、安心してお子さんを育てていくために、仕事と子育てが両立できるように、働くお母さんたちの気持ちを受け止めながら、待機児童ゼロに向けて施策を進めていきたいと考えております。
○田村智子君 これ、今調整中なんだと、だから年度末に数字見ればいいんだというんじゃ私は遅いと思っているんです。
 三月五日、保育園落ちたの私だという国会前のスタンディングに私も当事者からお話を伺うために駆け付けました。生後二か月の赤ちゃんをだっこしたお母さんは派遣社員で、四月に仕事復帰しなければ契約を切られてしまう、産休明けで受け入れてくれる保育所は限られている、どうしたらいいのか、真っ暗闇の中にいるという方、あるいは四月からどうなるのか不安でいっぱいだという方、これ、いろいろ当たり尽くしているんですよ。保育が確保できないために仕事辞めなければならない、こんな事態を放置するわけにはいきません。非常事態という認識で緊急の対策に国も自治体も乗り出すべきだというふうに思います。
 そこで、私、提案をしたいというふうに思うんです。これ過去にも、調べてみますと、緊急対策に動いた自治体はあるんです。例えば二〇一四年の春、杉並区では公的施設を活用した保育室を複数設置して二百人規模の緊急受入れをしています。世田谷区では同じ年、四月開所予定の保育園が間に合わないという事態に対して、都有地に仮設園舎を建てて百八十人を受け入れています。こういうことに学んで、幾つか提案をしたいと思います。
 まず、自治体による緊急の保育です。公共施設を活用する、公立保育所の元保育士に当たるなど、保育士さんの確保も自治体自ら努力をする、こうやって促していただきたい。小規模保育については、自治体が施設の整備や運営をする場合にも国庫補助の制度の対象となります。このことも是非周知をしてほしい。
 それから二つ目に、国による新たな財政的な支援です。公立保育所に対して国は今補助金を出していません。しかし、定員拡大のための分園設置や改修など、公立保育所に対しても緊急の財政措置が必要だと思います。また、国有地の活用。今、特養ホームは従来の二分の一の費用で貸し出すというふうに制度が変わりました。保育所についてもすぐに同じ扱いにしてほしいと思います。
 そして三点目、企業に対して呼びかけてほしい、解雇、雇い止めを起こさないと。四月から働き始める予定だというお母さんの内定を取り消さないように呼びかけるとか、育児休業中の雇い止めや解雇は育児休業法違反に当たるんだと、こういうことも今緊急に周知することが求められると思うんですね。
 もっと知恵出せると思います、政府の皆さん。いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、先ほど申し上げたように、これは自治事務ではありますけれども、これは子供のことですから、厚生労働省としては、やっぱり責任を持って市町村と連携をしてできる限りの努力をするというのは当然のことだと私も思っておりまして、今お話がありましたように、市区町村にきっちり協力をするということで、厚労省が先頭を切ってやるということは、それは当然やらなきゃいけないというふうに思っております。
 あと、使える助成金などについては、もちろん改めて市町村に分かっていただくように努力をするべくやっていきたいと思いますが、もう既に、今先ほど申し上げたように、一回目の認定で入れなかったということが分かっていて、次の第二次、第三次とやっている真っ最中なものですから、今すぐ集めるというわけにはなかなかいかないので、今、電話連絡などでいろいろ連携を取って、例えば東京都とか都道府県を通じてやっていることが多いわけでありますけれども、そのような国で何ができるのかということについても下ろしていきたいというふうに思っております。
 企業がそういうふうに今お話しのようなことをするというのは、それはある意味当然のことでありますけれども、今回、御案内のように、企業については、企業の主導で保育園をつくるということについて今回の二十八年度の予算の中でも入れているところでございまして、それはこの年度末に向けて、あるいは四月に向けてのすぐのことではございませんけれども、そのようなことで企業にも理解をいただくということは当然のことだというふうに思います。
○田村智子君 国有地の活用や財政支援、いかがですか、財務大臣。
○国務大臣(麻生太郎君) この社会福祉の分野につきましては、国有地に関しましては、優先的売却とか定期借地権による貸付けというのを通じて積極的に進めてきたところです。
 特に、この保育所につきましては、二十五年の四月から取りまとめられた待機児童解消加速化プラン、これを踏まえまして、これまでに介護施設の二倍近い件数というものを、国有地を提供いたしております。事実、保育関係を見ますと、二十二年で三つぐらいのものが今保育関係では五十七、介護関係で三つぐらいだったものが三十一と、約倍近いものを、介護施設よりは多いものをいたしておりますので、こういったものが、昨年十一月に一億総活躍国民会議で取りまとめられた緊急対策におきましても賃料の減額といった国有地の更なる活用とされておりますので、国有地の減額貸付け等の負担軽減策を講じてきたところでありますので、今後とも、保育所を含め、必要な社会福祉施設整備に対して国有地の有効活用をされますことに積極的に対応してまいりたいと、これまでもやってきたとおりであります。
○田村智子君 それだと従来なんですよ。総理は介護離職者ゼロを掲げた、それで国有地の賃料は今までの二分の一にするということが急遽決まったんですよ。総理が旗を振れば緊急策踏み出せる、踏み込んだ財政支援もできるはずなんです。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 待機児童ゼロというのは、安倍政権において非常に重要なこれは目標であり課題であると思います。このプランの下で、保育の受皿拡大のペースは我々の政権になってそれ以前よりも約二倍のペースで進んでいるのは事実でありまして、二〇一三年度と二〇一四年度の二年間で約二十二万人分の受皿拡大を達成をしております。その過程でも、働くお母さんたちのニーズの把握に努め、昨年四月から、現に働いていなくても、求職活動中などであっても申し込めるようにいたしました。同居親族がいても、具体的状況に応じて保育の必要性を認めるようにしたことなど、申込みの要件を緩和したわけであります。
 この申込みの要件を緩和をしておりますが、当然これ申込みは多く受け付けられることになってくるわけでありますが、そうした需要に対応いたしまして、昨年末の緊急対策に盛り込んだとおり、二〇一七年度末までの保育の受皿、整備量を四十万人分から五十万人分に上積みすることとしたわけでありまして、これにより待機児童を必ず実現をしていく決意であります。
 さらに、待機児童の数は地域によって差があることから、特に待機児童が集中している地域と連携し対応策を検討することとしております。
 保育士不足の要因としては、企業も含め待遇の問題があるというふうに認識をしておりますが、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇の改善策を示し、不足している人材も確保していきたいと考えておりますが、また、今委員からも御指摘もいただきました。これは、この問題については与野党はないというふうに思いますので、様々なアイデアについては研究もしていきたいと、このように考えております。
○田村智子君 是非、具体的に緊急策が取れるようにお願いしたいと思います。
 一点だけ強調しておきたいのは、緊急の保育というのは、保育室の面積や保育士の配置など、やはりこれは認可施設の基準に見合うように進めるということは必要だと思いますし、これが固定化して質の悪い保育が普及しないようにということは強調しておきたいというふうに思います。
 抜本的な問題というのも考えてみたいんですけれども、一つは、政府が待機児童ゼロということを掲げて保育所を増やす努力をしてきたと。まあ確かに保育所は増えています。しかし、その待機児童というのは余りにも実態から懸け離れているのではないかという問題提起をしたいんです。
 これは川崎市の待機児童数の資料です。二〇一五年四月一日現在、認可保育所に申し込んでも利用できなかったのは二千二百三十一人。ところが、待機児童数はゼロです。京都市も二年連続待機児童はゼロですけれども、調べてみますと、昨年、保育所申請をして入れなかったという方は六百三十七人います。この待機児童ゼロというのは余りに実態と懸け離れていると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど少し申し上げましたけれども、この川崎の例でございますが、これは認可保育所等に入所できていない方が二千二百三十一人となっているわけでございますけれども、このうち川崎が、東京でいえば認証保育所、いわゆる地方単独で補助をして一定の質が確保されているという保育施設に入っている子供が一千三百四十七人おられます、半分強ですが。それから、育児休業を取っておられるという方が、これはいろいろ解釈ありますけれども三百四十八人おられて、それから、他に入園可能な施設があったけれども特定の園のみを希望されていた方が四百七人おられます。ハローワークなどの求職活動をされていない方が百二十九名となっておりまして、これらの方々が二千二百三十一人いたということから待機児童数がゼロというふうになったものでございます。
 これは厚労省が従来からお示しをしているいわゆる待機児童の定義というものに基づいたものでありまして、今申し上げたような方々についてどう考えるかというのは、それはいろいろ御意見があることはよく分かっておりますが、優先順位的に本当に待機児童としてどういう数字を考えるべきかというときに、今のようなことでゼロという形になっているというふうに御理解を賜りたいというふうに思います。
○田村智子君 今ので除かれていったその二千二百三十一人、どういう方々か。自力で懸命に探し回ってやっと認可外の空きを見付けたと、焼き肉屋だったところで、窓があっても開かない、保育士は年度途中で総入替え、園長も替わった、ここで大丈夫かと不安だけれどもそこに預けていたという方。あるいは、上の子供さんに障害があって朝小学校の登校に付添いが必要だと、自宅からかなり遠い保育所なら空きがあると言われたが断らざるを得なかった、これは特定の保育所を希望したからはじかれ、育児休業をやむなく延ばした、あるいは仕事を辞めるしかなかった。この方々は、保育所に入れなかっただけではなくて待機児童にもなれないということなんですね。
 となると、政府の言う待機児童ゼロって一体何なのか。例えば、首都圏のある自治体の職員にお聞きしましたら、待機児童を減らすよう号令が掛かり、みんなで保護者に電話をした。ここには通えないだろうなと思いながら、自宅から遠い保育所を指定し、本人が断ると待機児童から外していった、これが待機児童対策なのかとつらくて仕方がなかったと、こういうお話もお聞きしました。
 これは、私、おかしいと思うんですよ。やるべきは数字の操作じゃないです。やっぱり、認可保育所に入りたい、そういう人がどれだけいるのか、この数を明らかにして保育所の整備を行うべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) さっき申し上げたように、私どもの待機児童の定義にのっとって今申し上げたところでありまして、その内訳はどうなっているのかということを今御説明を申し上げたわけでありますので、例えば地方単独で川崎市が独自に補助金を出して保育園としてやっていらっしゃるところに入っていらっしゃる方がこの二千二百三十一人のうちの千三百四十七人入っていらっしゃるということを申し上げているので、これはこれで、やはり一応本当の意味での待機児童という意味では除かせていただいているということであります。
 しかし、そうはいいながら、やはり希望どおりにいくということが最終的には必要ということは、そのお気持ちはよく分かりますし、兄弟、子供さん二人いて、上のお子さんと下のお子さんが離れたところにいて毎日二つ通わなきゃいけないというようなことは、朝晩大変な御苦労であることはよく分かっておりますから、そういう意味で私たちは、またこれから働く女性が、働きたいと考えていらっしゃる女性が増えてくるわけですから、そうなれば潜在的な需要にも応えられるようにということで、今回、四十万から五十万ということで広めにこれを取って、さらに、今御指摘のような、本当に希望どおりにいくような余裕があるようなものになれるかどうかということを今追求をして、そちらに目指して頑張ろうということでやっているわけでございます。
○田村智子君 これ、二千二百三十一人が入れなかったのに、不承諾だったのにゼロ人と。これだと、保育園落ちたという事態は全然解決にならないですよ。足りないのがどれだけかということを実態に即してきっちりと示すべきだと強く求めておきたいと思います。
 これまでも、保育士が足りない、保育所増設の足かせとなっているのは、保育士さんの処遇改善、これが進まないからだというのは与野党共が一致するところです。
 これは、三月十日、予算委員会の公聴会で連合の逢見事務局長が提出した資料を基にしたものです。保育士の平均年収三百二十三万円、全産業平均よりも百六十六万円も低くなっています。
 これまでの処遇改善の議論は、三%引き上げたと、あと二%どうするかと、こういう議論なんですけど、私は率直に言ってそれでいいのかなと思います。保育士の平均年収を全産業平均と同等にするには五〇%の賃上げが必要ということになるわけで、やはり、来年からすぐというわけにはいかないと思いますが、それぐらいの処遇改善が必要だという議論をして大幅な賃上げの目標を示すべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) このことについてはもう何度も御説明を申し上げてきているわけで、人材を確保することが大事だということはもう当然のことでありますし、既に消費税引上げに伴って三%引き上げ、そしてあと、三千億という中で約四百億がこの職員の処遇改善に充てられるべきものとして一体改革の中で考えられたことでありますので、これについても最優先で取り組んでいかなきゃいけないということですけれども、何分にもこれは毎年のことでありますから、安定財源をしっかりと確保するということも当然大事なことでありますので、私どもとしては、ニッポン一億総活躍プランの中で具体的にまた実効性のある待遇の改善策をお示しをして、不足している人材を全力で確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○国務大臣(加藤勝信君) 御指摘ありますように、様々な調査でも、就業している保育士の方、あるいは就業していない保育士の方にもお伺いをいたしますと、希望しない理由あるいはどういう問題点があるか、そのトップに給与、処遇の問題が上がってきているということを認識しております。
 今、私どもとしても、まず実態をしっかり把握して、それに対して対応していかなきゃいけない、そして、もちろん保育士の方の崇高な仕事ということも踏まえながら、このニッポン一億総活躍プラン、国民会議でしっかり議論をさせていただいて、具体的で実効性のある待遇の確保、改善策を示していきたいと、こう思っております。
○田村智子君 これ、私、首都圏で保育士さんや施設長さんからもお話を伺ったんです。政府は保育を子守程度に考えているから給料の水準が低いままなのではという声を何人もの方からお聞きしました。乳幼児が家族以外の大人に安心や信頼感を持てるか、その最初の体験が保育園になる、子供一人一人にどう寄り添うか、どう働きかけるか、それが子供の自己肯定感を育み、人との関わり方を学ぶことにつながる、乳幼児期の保育は成長の土台を耕すもの、私たちはそういう自覚で保育をしていることを知ってほしい。
 これ、総理にもお聞きしたいんです。保育士は専門職であって、経験を積むことでその専門性は高まっていく、そういう職業だと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 保育園は生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期、それは委員の御指摘のとおりだろうと思います。子供がその生活の大半を過ごす場所でもあるわけでありまして、したがって、ここで働く保育士は子供たちの人間形成に大きな役割を担っていることは事実であります。保健や福祉、教育などにわたる専門性と一人一人の子供の個性に応じた援助をするための経験が重要であると考えております。
 日頃から、職場内や職場外での研修、自己研さんにより、一人一人の保育士が保育の専門性を高めていただきたいと考えております。
○田村智子君 それでは、要請しておきたいんですが、総理、これまでも、春にまとめる一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇改善策を示すとおっしゃられてきました。是非、専門職であり、経験を積んで働くことがその専門性を高めると、この中身がしっかり入るようなプランを是非とも検討していただきたい、これは要望しておきます。
 保育士が経験を積んで専門性を高める、このことを処遇の面で保障してきたのが公立保育所です。ところが、公立保育所はコストが掛かり過ぎると、民営化、民間委託など、一九九〇年代以降、急速にこれが進み、今も続いています。
 例えば中野区、公務員削減のため公立保育所を全廃するとして、保育士の新規採用をもう十年以上にわたって全く行わず、人手が足りない分は処遇も悪い不安定な非正規で補うということまでやっています。コスト削減政策は民間保育所にも及んで、公立と民間の給料の格差を埋める補助制度、次々と廃止をされ、民間保育士の給料も大きく引き下げられました。
 こうした過去の政策には、保育士を専門職として評価する考えはみじんもありません。処遇改善どころか、処遇の引下げを政策的に進めてきてしまった、この反省に立ってこうした政策はもうやめるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 認可保育所につきまして、公立、私立を問わず児童福祉法に基づいて最低基準を遵守するということとなっているわけでありまして、基本的な保育の質が公と私で分かれて異なるということではなく、同様に今担保されているということが法律的に裏打ちされているわけでございます。
 保育の実施責任はこれは市町村に今ございまして、自治事務として行われているわけでありまして、まさに地域の子供たちをどう育てるかということだと思いますが、民間委託とかあるいは民営化の選択は、保育ニーズや地域の実情に応じてそれぞれ責任者たる市町村が適切に判断をするべきものというふうに考えているわけでありまして、先ほど来、専門性ということがありましたけれども、保育士が長く勤められる環境をつくってその資質を継続的に上げていくようにすることは、保育の質にとっても人材確保のためにも重要でありまして、公立保育所においても、あるいは民間の保育園においても、そのような取組は進むようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○田村智子君 それは市町村が勝手に公立保育所を潰したんじゃないんですよね。それは、公立保育所への運営費補助金もやめてしまう、一切お金出さない、そしてまた民間にできることは民間に、公務員は減らせと、こういう政策を国が旗振って進めてきた、これ間違いがないことですよ。それらが保育士の処遇を大きく引き下げる役割を果たしてしまった。私は、しっかりその反省に立って政策の転換をしなければならないということは強く申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、次のパネルを見ていただきたいんですけど、やっぱりこれは保育にコストが掛かり過ぎるということでやられてきた攻撃だったんですね。
 それで、EUでは、一九八〇年代から保育の質についてということを議論をしていて、加盟国で保育がどうなっているかという状況調査なども行い、一九九六年には各国が取り組むべき保育サービスの質の目標、十年間の計画が提起されました。この中で、保育や幼児教育の公的支出は、少なくともGDP比一%以上であるべきだというふうにされたんです。
 資料はOECDの調査からの抜粋、直近のデータで二〇一一年のものになっています。フランスはGDP比で一・二四、イギリス一・一二、これイタリアも一%には届いていないんですが、予算の規模を急激に拡大したということがよく分かるんです。
 翻って日本はどうか。日本は、実は六〇年代から七〇年代にポストの数ほど保育所をということで、これ保育の予算のGDP比、実はフランスよりも高いんですね、平均よりも。ところが、その後、さっき言った国庫補助の制度というのをどんどん変えて、公立保育所にもうお金出さないというような攻撃があって、予算は減っていきます。一九九〇年、〇・一九%にまで落ち込みます。それで、少子化ショックだってなって増やしていくんですが、まだ〇・四五%。これは他の国々と比べてもやっぱり大きく不十分だというふうに言わなければならないと思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにいたしましても、我々、この保育については、待機児童をゼロにするために、今までの倍以上のペースで保育所をこれは、の受皿をつくってきたわけでございまして、二十万人、四十万人、そして四十万人を更に五十万人にしていくわけでございまして、しっかりとそれを実現をしていきたいと、こう思っているところでございます。
 いずれにせよ、お父さん、お母さんが安心して子育てできる、そういう環境をつくっていきたいと思っております。
○田村智子君 これ是非、EUの取組を学んでみてほしいと思うんですね、調べてみてほしいと思うんです。
 なぜフランスなどは保育や幼児教育の公的支出、これほど急増させたのか。EUやOECDで繰り返されている議論は、乳幼児期のケアと教育がいかに大切かということなんです。子供への財政的支援は早ければ早いほど大きな効果を持つ、乳幼児の基礎ステージをしっかりと耕すことが次のステージでの学習を生むんだ、乳幼児期の保育や教育は公共財産である、こういう議論がされています。
 だから、EUの目標を見ますと、保育士の給料も小学校の教員と同等であるべきだとしているんですよ。実際調べてみると、ヨーロッパのほとんどの国がこれを達成しています。ベルギー、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、ポーランド、ポルトガル、スペイン、トルコなど、小学校の教員と同じなんです。日本は六割なんですよね。
 日本の保育施策というのは、少子化だから女性に働いてもらおう、それには保育の受皿が必要だ、とにかく受皿つくればいい、こういうふうになっていなかったか。待機児童の対策も、保育所増やしているけど追い付いていないんだと、入れないの仕方がないとなっていなかったか。あるいは、定員一二〇%とかお庭がなくていいとか、保育室の面積ももっと一人当たりの面積狭くしていいとか、こんな質を置き去りにしたものになってこなかったか。
 今、お母さんたちやお父さんたちは、こういう政治の姿勢全てに対してそれでいいのかという声を上げているんだと私は思います。EUのような議論と目標、今こそ日本に必要だと思います。全ての子供の福祉のために大幅な保育あるいは幼児教育の予算拡充する、これ必要だと思いますが、総理、もう一度お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 保育の重要性については、もう既に述べてきたとおりでございます。言わば幼児教育の一環でございますから極めて重要であると考えておりますし、仕事をしながら、あるいは仕事をしなければならない方々にとって、保育所で受け入れてもらえるかどうかというのは極めて重要であるということは我々も認識をしております。
 そのために、言わばこの待機児童ゼロに向けて安倍政権になって倍のスピードで整備を進めてきているところでございますが、その中において、ただ量をつくればいいということではなくて、先ほど申し上げましたように、保育士の方々が経験を積んでいくことは重要であるというふうに認識をしている次第でございます。
 また、待遇につきましても、先ほど少し厚労大臣の方からも触れたところでございますが、処遇の改善におきましても、経験を積んだ保育士に対して十分な処遇が行われることが重要であることから、平均勤続年数が十一年以上の場合には加算率を更に一%引き上げるなどしている次第でございますし、また、研修の場の提供については、都道府県や市町村に対して、働く保育士の方々が専門性を高めるための研修の実施への支援も行っているわけでございまして、こうした意味から、専門性を高めていく上における支援も行っていきたいと思っております。
○田村智子君 これ、消費税の増税もやりました、それを処遇改善に充てますといいながら、それは二%とか三%という議論にしかなっていなくて、一体これでどうやって保育所増えていくんだろうか、こういう疑問が物すごくお母さんたちの中にあるというふうに思っているんですね。
 私たち日本共産党は、もちろん消費税増税やれなんていう立場ではありません。それは保育所にとっても経営を逼迫させる要因に現になっていますから、税金の集め方とか使い方、こういうのを変えれば消費税に頼らない道が開ける、こういうことを繰り返し提言をしているわけです。
 例えば、これ本会議の中でも追及しましたけれども、来年度の予算案見ても、法人税は新たな減税を行うといいます。昨年度の法人税の減税見ると、研究開発減税だけでも総額七千億円近い減税がやられている、そのほとんどは大企業だ、トヨタ一社だけでも一千億円を超える減税になっている、これでいいのかということも私たちは問題提起をしているわけです。
 とりわけ経済界は、今少子化の下で人材育成を叫んでいる。ならば、子供たちのために黒字大企業にはまともに税金納めてもらって、日本の未来を担うそういう子供たちの成長に力を貸してほしいと、そうやって経済界にもお願いをする、そんなふうにして財源確保するということが求められているんじゃないかと思いますが、最後に総理にお聞きします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 経済界に対しましては、この法人税減税を進めているのは事実でありますが、同時にしっかりと賃上げを進めてもらいたいと、このように要請をしているわけであります。また、関連会社との取引条件の改善にもしっかりと取り組んでもらいたいと。実際、その中において昨年は十何年ぶりの賃上げが成し遂げられたことは申し上げておきたいと、このように思います。
 今後とも、企業にも子育て等にも協力をしていただきたいと、このように思っております。
○田村智子君 終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で田村智子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、江口克彦君の質疑を行います。江口克彦君。
○江口克彦君 おおさか維新の会の江口克彦でございます。
 最初にお伺いをいたします。
 筑波大学などが取り組んでいる日本が独走しているがん治療装置BNCTなどの最先端高度医療技術の開発、実用化を積極的に推進すべきだというふうに思いますけれども、総理に是非力強い賛同と関係部署への指示をいただきたいというふうに思っておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 医療分野における最先端技術の実用化は、国民の保健医療水準の向上に大きく寄与するのみならず、経済発展にも寄与するものであります。昨年四月には日本医療研究開発機構を設置をし、最先端技術の早期実用化に向けて政府一丸となって取り組んでいるところでございます。
 御指摘の筑波大学が取り組んでいるホウ素中性子捕捉療法については、日本医療研究開発機構などを通じて、研究開発、実用化の取組を支援してまいりました。また、再生医療等製品では、承認を迅速化し、そして実用化までの期間を大幅に短縮した結果、iPS細胞から作った心筋や網膜など、世界初の製品を生み出す動きが次々と出てきております。
 こうした取組によって、いち早く我が国初の革新的医薬品等の実用化を図り、国内患者の治療のみならず、海外の患者の治療等にも貢献をしていきたいと考えております。
○江口克彦君 是非、日本の得意分野でもございますので、力を入れて政府としても取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、人事院による民間給与実態調査の対象は、企業規模で五十人以上、事業所規模五十人以上の事業所のみと承知いたしております。これにより正社員の六〇%をカバーすると、我が党の足立議員の質問に対しまして人事院総裁が答弁しています。しかし、民間における非正規労働者の割合が民間労働者の四〇%に達しようとしている現状を踏まえますと、現在の調査対象では三六%にすぎないということになります。
 今後は、非正規労働者も調査対象に加えることを検討すべきではないか。民間給与実態調査の在り方について、総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公務員の給与につきましては、職員の士気や組織活力の向上を図るとともに、国民の理解が得られることが重要であると思っています。
 人事院が行っている官民比較の手法については、調査対象とする民間従業員の範囲も含めて、第三者機関としての人事院において専門的見地から判断されるものであると考えておりまして、いずれにせよ、非正規雇用で働く方々の待遇改善を更に徹底していくことは重要な課題であると、このように認識をしております。
○江口克彦君 それでは、憲法についてお尋ねします。
 結論から申しますと、我が国の現行憲法は日本語の使い方からしても欠陥憲法ではないかと思いますが、どのように思われるか。お答えいただく前に幾つか申し上げてみたいと思います。
 第七条では、天皇の国事行為が十項目挙げられています。午前中にもこの件については質問がありましたけれども、その第四項に、国会議員の総選挙の施行を公示するとあります。しかし、総選挙というのは衆議院だけでしか行われていません。とすると、参議院議員は国会議員ではないのかということになります。私は、参議院議員も当然国会議員だと思っておりますし、この項目は正式に書くならば、衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示するでなければならないと思います。実際、第五十四条には、衆議院議員の総選挙を行いというふうに書かれています。
 また、第七条第九号に、外国の大使及び公使を接受することとありますけれども、国賓を接受するという文言はありません。また、国民の精神的支柱になることという項目もありませんから、被災地あるいは施設をお見舞いされておられることも憲法上はどこにも天皇の行為として出てきません。
 私は、天皇皇后両陛下が被災地にお回りになられたりあるいは施設をお回りになられることはすばらしい御公務であるというふうに思っておりますし、そのお姿にいつも胸打たれておりますけれども、この天皇陛下の行為は国事行為と言えるのか。第四条には、この憲法に定める国事に関する行為のみを行いとあるわけですから、この憲法に書かれてあること以外はできないはずであります。しかし、国民の多くが涙を流し、受け入れている天皇皇后両陛下の御活動がこの憲法には明確な根拠がない。当然この項目を入れるべきだというふうに思います。
 第十四条に、全ての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されないとありますけれども、この条文には二つの問題点があると思います。
 一つは、法の下に平等という文言です。およそ人間は法の下でしか平等ではないのかということであります。私は、法があろうとなかろうと人間は平等であるというふうに思います。当然、ここは法以前に平等あるいは元々平等と言うべきではないか。
 二つ目は、国民は、人種、信仰、性別、社会的身分又は門地により差別されないとありますけれども、それでは、財産とか収入とか教育とかによって差別していいのか、されていいのかということであります。第四十四条には、国会議員は、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、収入によって差別してはならないと書いてあります。第十四条の法の下の平等では、教育、財産、収入というこの三つが書いてありません。
 第二十条の、いかなる宗教団体も、国から特権を受けてはならないとありますが、宗教団体は税法上特別な扱いを受けているのは特権ではないのか。信仰の自由、心の問題だというのなら、表現の自由、思想の問題として、新聞社もそれから出版社も無税にすべきだということになりはしないか。
 また、第二十六条に、全て国民は、法律上の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。その能力に応じてとありますけれども、では、その能力に応じてというのは一体何を意味するのかということであります。
 第八十九条の、公金は、公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならないというふうにありますけれども、私学助成金はこの条文どおりでは憲法違反になります。皆そういうことを知っていますが、必要ですからこの特殊法人私立学校振興会をつくった。いわゆるトンネルをつくったわけですが、この条文も欠陥と言わざるを得ません。
 第九条も何を言っているのか分からない条文になっています。ですから、様々な解釈が出てくるのは当然です。国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄すると言いながら、第二項では、前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないと言って、前項の目的を達成するためという文言によって自衛権は認めるという、そういう解釈があります。でありますから、自衛のために交戦する権利があるのかというと、交戦権はこれを認めないと、全く支離滅裂な条文になっています。
 こうしたずさんな箇所は全体で数十か所に及びます。憲法改正というと第九条だけに議論が矮小化かつ集中していますが、このような日本語の文章として欠陥かつずさんな現行憲法は、全体的に早急に手直しし改正しなければならないと私は思っています。改正項目を絞り込むことも大事なことですが、これまでるる述べてきましたように、憲法には正しい日本語の使用という観点から、また国民誰でも同じように解釈できるという観点から、憲法全体に問題があるということももっと国民に説明すべきではないかと思います。
 正しい日本語、正確な条文で国民の理解しやすい憲法に改めていく必要性について総理はどのようにお考えになっておられるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法は国の未来や理想の姿を語るものでもあり、御党が憲法を二十一世紀という新しい時代にふさわしいものにしていこうと真摯に取り組まれていることに敬意を表したいと思います。
 自民党としても、立党以来、党是としてずっと憲法改正を主張してきており、平成二十四年には当時の谷垣総裁の下、改正の草案を取りまとめ、世の中にお示しをしたところでありまして、今後とも、これまで同様、公約に掲げてまいる所存でございます。
 言うまでもなく、憲法改正は、衆参各議院で三分の二以上の賛成を得て国会が発議をし、最終的には国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。このような大きな問題については、与党のみならず、御党を始め多くの党、会派の支持をいただき、そして国民の理解を得るための努力が必要不可欠であろうと、このように思うところでございます。
 そこで、大切なことは、委員が今るる御指摘をされた点も含めまして、どの条項をどのような文言を用いてどのように改正するかなど、精緻な議論を要する個々の具体的な中身については憲法調査会において詰めた議論が行われることが重要ではないかと思っています。それらを通じて国民的な議論と理解が深まる中で、改正すべき事項等も収れんしていくのではないかというふうに考えています。
 今後とも、引き続き、新しい時代にふさわしい憲法の在り方について国民的な議論と理解が深まるように努めていきたいと思っております。
○江口克彦君 重ねて、憲法で、前文についてお伺いします。(資料提示)
 現行憲法の原文は占領軍のGHQが作ったということはどなたでも御存じのことでありますが、余りにも醜悪、拙劣な訳文文章と言わざるを得ないということであります。内容としても、信じられないほどの理想的、非現実的、夢想的な言葉に多くの国民が戸惑う。いわく、平和を愛好する諸国民。いわく、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会。ならば、北朝鮮はどうなんですか、中国はどうなんですか、あるいはロシアはどうなんですか、中東の状況、中東諸国の状況はどうなのかということであります。しかし、このことについてはもう多くの国民の皆さん方先刻御承知ですから、ここでは触れません。ここで申し上げたいのは、全体の文体、文章の問題であります。
 この最初の文章は百五十字。句点がなく、一つの文章で延々と続いています。その中で、何々「し、」が四回、次の文章も加えると、二百六十字で何々「し、」が六回、実に平均いたしますと四十三文字に一回何々「し、」が出てくる。このような文章を新聞記者の方は絶対に書きません。なぜこのような文章になったのか。この前文はGHQの民政局のハッシー海軍中佐がまとめたものですが、自身で考えたものではなく、彼がパッチワークよろしく歴史的諸文書をつまみ食いし、寄せ集めし、つなぎ合わせたものであるからです。このことは、アメリカの日本国憲法の成立過程研究の第一人者のマクネリー博士が指摘しています。日本の橋本育弘氏も詳細に研究しています。
 テレビを御覧の方はこのパネルを見ていただきたいと思います。
 ただつなぎ合わせただけ、パッチワーク作業をしただけの英文原文をそのまま翻訳したために、かくも悪文、そして愚文、欠陥文章になったというわけであります。言葉遣いも間違っています。既に石原慎太郎氏も指摘していますが、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してとありますが、正しい日本語では、当然、諸国民の公正と信義を信頼してということになるわけであります。まだありますが、ひとまずここで指摘はやめます。
 多くの方々の中にはたかが文章と思われるかもしれませんが、国家の最高法規は可能な限り推敲された文章でなければならないと思いますし、この文章を子供たちに暗記させることも読ませることもはばかると思います。その観点からでも、早急に正しい日本語による前文に改正すべきではないかと思います。
 また、政治道徳の法則とありますが、これはミシシッピ州憲法にはあるようですけれども、実は何の定義もないんです。その直前の、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない、それが法律だと言う人、学者もいます。
 要は、自分のことだけ考えるのではなく他人のことも考えよということですけれども、それならば、英文の原文の「laws」という複数形はおかしいということになります。英文原文は、御覧いただいたらお分かりのとおり、「We believe that no nation is responsible to itself alone,but that laws of political morality are universal」。訳せば、我らはいずれの国家もただ自身のみにて責任を負うべきではないとはいえ、政治道徳の法則は普遍的であると信じる。ですが、これを読めば、現行憲法のこの箇所が相当の意訳であるということはすぐ分かります。すなわち、自分だけが責任を負うべきではないことは分かっているけれども、まあ政治道徳の法則は普遍的であると信じましょうよということであります。
 ともあれ、英文原文では政治道徳の法則についての説明はありません。もちろん、政治道徳という言葉はあります。もう昔からあります。哲学的に哲学者がいろいろと論じています。アリストテレスとかあるいはまたプラトンとか、その時代からずっと今日まで哲学者が政治道徳ということについては論じていますけれども、政治道徳の法則というものについての定義とか議論はないんですね。政治道徳というと、政治家が何を、どういう振る舞いをしたらいいのか、政治はどう行ったらいいのかという、政治家としての道徳を説いているということの方が強いんですね。
 そういう意味で、政治道徳については哲学的に哲学者がいろいろとまた昔から議論されていますけれども、政治道徳の法則というのはこれ本当に珍しい言葉だというふうに私は理解しております。
 憲法は国権を縛るものという言葉もよく言われますが、これも誰が言い出したのか、私はずっと調べ、調べ、調べて、尋ね、尋ね、尋ねているんですけれども、専門家の方にも尋ねても分からない。根拠があるものではありません。言わば、ことわざの類いなんですね。ことわざの類いであろうかとは思いますけれども、よしんばそうであったとしても、この前文は国権を縛るものというより国民の誓いの言葉であって、国権を縛るものという内容ではありません。前文というものは常識的に全体の内容を象徴するものでありますから、憲法は国権を縛るものという主張は、誤りとは言わないまでも、現行憲法においてはそれ以上に国民の誓いになっているように思われます。
 現に、前文には、「国民」、「われら」という言葉が十四回出てくるのに対しまして、「国家」、「政府」という言葉は付随的に四回出てくるだけです。ですから、前文の結びはどうなっているかというと、前文の結びも、「日本国民は、」、主語です、日本国民は、国家の名誉を懸け、全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓うということになっているんですね。まさに、現行憲法は国民の誓いの内容だと言えます。
 また、国権を縛るものであるとすれば、三大義務、すなわち、納税、教育、勤労の義務は国民を縛るものであり、憲法を改正して削除しなければならないことになると思います。憲法は国権を縛るものと主張する護憲派の人たちは、この国民を縛っている三大義務の改正はしなくていいんでしょうか。
 以上、総理にお尋ねをいたします。
 総理は、現行憲法のこの醜悪、拙劣、曖昧な文章をどのように思われているのか、政治道徳の法則をどう考えておられるのか、また憲法は国権を縛るものという言葉をどう捉えておられるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども少し述べさせていただきましたが、前文も含め個別の条文の規定ぶり、文言など、憲法改正を前提とした具体的な議論につきましては、まさに憲法審査会においてしっかりと精緻な議論が行われるべきものだと考えております。
 その上であえて申し上げますと、一般に憲法は国家権力を縛るものと言われておりますが、これは立憲主義、すなわち主権者たる国民がその意思に基づき憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これによって国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方を指しているものと理解をしております。
 お尋ねの政治道徳の法則につきましてでございますが、政治道徳の法則という文言を含む憲法前文第三段の趣旨は、我が国が国家の独善主義を排除し、国際協調主義の立場に立つことを宣明したものと認識をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、二十一世紀にふさわしい憲法の在り方について、しっかりと憲法審査会において緻密な精緻な議論が行われ、国民的な議論が広がっていくことを期待したいと、こう思っています。
○江口克彦君 今、総理としてお答えしていただくことは難しいということなのかもしれませんけれども、しかし、政府・与党の総裁としてこの醜悪な文章、拙劣、曖昧な文章、どのように思われているのかということと、それから政治道徳の法則ということについて、また国権を縛るものという言葉についての説明、もう少し丁寧にお話をいただくと。国民に今、これ国民の皆さん方見ておられる、その国民の皆さんに、私に答えていただく必要はないんです、国民の皆さんにこの憲法をどういうふうに思っておられるのか、総理あるいはまた総裁として、与党の総裁としてどう思われているのか、今私は、総理にその話すチャンスを与えてさしあげているわけですから、大いに語ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 前文の「に」の一字につきましては、一昨年の予算委員会において石原慎太郎当時の議員とお話を、議論をさせていただきまして、石原議員からこの助詞の使い方は間違っているという御議論があったことを記憶をしているところでございますが、いずれにいたしましても、我が党としては、午前の質疑で山谷えり子議員から御紹介がございましたように、我が党としては既に憲法改正の前文について、谷垣総裁時代に作ったものについてお示しをしているわけでございまして、党としては、お示しをしている以上、その実現を求めていくところでございますが、これは内閣として閣議決定して、政府として提出するものではないわけでありまして、まさに衆参それぞれの各院において発議をし提出をしていただくということになっていくということではないかと、このように思います。
 新しい時代にふさわしい憲法をしっかりと自らの手で書いていく、この精神こそ新たな時代を切り開いていくものであるということについてはお話をさせていただいているところでございますが、まさに憲法審査会において大いなる議論が行われていくことを期待をしたいと思いますが、大切な点は、普通の法律につきましては、これは衆議院、参議院で多数を持っていればそこで完結をして成立をしていくのでございますが、憲法はまさに国民が一票を投じるわけでございまして、国民の過半数を得なければ改正ができないわけでございますから、その中において国民的な議論が広がることを、我が党としても努力を重ねていくということでございます。
○江口克彦君 憲法を考えるときに、私は三つの物差しで考える必要があるというふうに思っておるんですね。普遍性とそれから時代性と国民性と、常にこの三本の物差しで考えていかなければならないというふうに思っております。
 普遍性ということからすると、憲法三原則である国民主権、平和主義、基本的人権の尊重ということであります。これは絶対に守り貫いていかなければなりません。しかし、時代性を考えずそのままにしておけば、国民に不幸をもたらします。テロ対策はどうするのか、ミサイル攻撃に対してはどうするのか、あるいはまた大災害に対してはどうするのか、いわゆる危機管理条項というか緊急事態条項を憲法に加えなければならないし、また、さきの国会の安保法制をめぐる憲法適合性に関する議論の錯綜を踏まえ、憲法裁判所の設置が必要だと考えます。さらに、インターネット、SNSなどによるプライバシーの侵害の防止、あるいは個人情報の保護などを国民の権利として憲法に書き加えることが時代的要請だとすると、やはり憲法を改正しなければならない。加えて、当然、国民性が考慮されたものでなければならない。したがって、国民性が考慮されたものでなければ日本国憲法とは言えないというふうに思います。
 ラインホールド・ニーバーの言葉は余りにも有名で、総理ももう十分御存じだと思いますけれども、変えるべきものを変える勇気と、変えてはならないものを変えない冷静さと、そしてその二つを見分ける英知を我に与えたまえという言葉は、もう総理、御存じですね。当然、御存じだと思います。
 まさに今、日本国民は勇気と冷静さと英知を持つべきと思っていますが、総理は国民の皆さんにどのように憲法改正を考えていただきたいというふうに思っておられるのか、語っていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法改正については、国民の皆様お一人お一人にとってこの日本という国をどのような国にしていきたいのか、どういう国であってもらいたいのかということの中において、しっかりと憲法の条文はどうあるべきか、果たして今のままでいいのかということをそれぞれが真剣に考え、議論を深めていくことが必要ではないか、こう思っております。
 一々の条文の改正につきましてはここで述べることを差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて申し上げれば、例えばこれ大規模な災害等が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため国家そして国民自らがどのような役割を果たすべきかを憲法にどのように位置付けるかについては、極めて重く大切な課題と考えているところでありますし、また、憲法裁判所を設置し、具体的な訴訟事件を離れて抽象的な憲法判断の権能を付与すべきとの御提案も非常に大きなこれは問題であり、いずれも各党各会派で深く議論をいただいた上で国民的な議論を深めていく必要があるだろうと、このように思っております。
 まさに国民の皆様が、それぞれ自らのことあるいは次の世代のことの中において考え、議論していくことが求められているんだろうと、このように思います。
○江口克彦君 このままでいきますと、一世紀、百年を過ぎても現行憲法ということになりかねないと思います。子や孫たちに禍根を残さないように、直ちに憲法改正をして、国家国民の新たなる方向を示す責任が我々国会議員にはある、特に与党総裁の果たす役割は大きいと思います。
 ところで、昨日、自民党の党大会が開かれました。新聞報道によると、私は党大会に当然のことながら出席していませんから新聞報道ということになりますけれども、憲法改正について一言も触れなかったという、総理が。それは、総裁として選挙を意識して憲法改正について触れられなかったのか。とすると、私はそれはいかがなものかというふうに思います。
 憲法改正は今喫緊の課題なんです、日本の国にとって。そういうようなことであるとするならば、敢然として憲法改正を、かがり火を高く掲げて選挙を戦ってもいいじゃないですか。それで選挙負けたとしても、もって瞑すべし。選挙に負けたって、選挙に負けたって国家国民のためになるということを貫き通すということがやがて永遠の選挙の勝利を収めていくということになるんですよ。
 信を貫かずに、都合の悪いときには憲法改正を言われない。何かみんなから、自民党の議員からは、そんなこと言ったら選挙が戦えないとかなんとか、憲法改正を下ろせ下ろせとか、あるいはまた言うな言うなというようなことが、コメントがいろいろ出てきていますけれども、そんなことに安倍晋三という人は惑わされているんですか。なぜ、憲法改正ということを敢然と貫いて、そして、自民党の仲間たちが上げるべきではないというふうに言ったとしても、千万人といえどもわれゆかんということで、憲法改正を先頭に、第一に掲げて選挙を戦うべきではないだろうかというふうに思うのでありますけれども、その覚悟を、総理大臣、お聞かせいただきたいと思います。
○委員長(岸宏一君) 時間がありませんので、簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨日開催されました八十三回の自由民主党大会におきましては、運動方針というのを最初に決めるわけでございますが、この運動方針の中には憲法改正ということがちゃんと書かれているわけでございますし、今までも公約に掲げてきたわけでございまして、これが全く変わるということはないわけであります。
 自民党総裁といえども、発言の時間は、これは限られた時間で終えなければならない中において述べることについて、経済について、あるいは一億総活躍社会等々について述べさせていただいたわけでございますが、我が党の諸君も私の主張をよく知っている中において私を総裁に選んでいるわけでございますし、選挙があるからやめておいた方がいいという声は私まだ一回も直接聞いたことはないということは申し上げておきたいと思います。
○江口克彦君 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で江口克彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、川田龍平君の質疑を行います。川田龍平君。
○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。
 今月の二十九日で薬害エイズ訴訟の和解から二十年がたちます。二十年たってようやく国から血友病薬害被害者手帳というこの手帳が発行されました。(資料提示)これは原告団の長年の要望であった被害者手帳、この発行は、薬害被害者の支援につながる重要な一歩としてまず評価されるべきです。この手帳にも書かれていますが、薬害によってHIV感染した血友病患者も年々高齢化が進み、医療のみならず、福祉や生活面も含めた包括的な支援が必要となっています。
 塩崎大臣に伺いますが、高齢化を踏まえた薬害被害者の介護、福祉等の充実について、今後、この手帳の普及と併せどのように進めていく予定でしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 平成八年の三月二十九日、和解が成立をいたしましてから、ちょうど二十年という節目を迎えるわけであります。
 血友病薬害被害手帳の周知をしなければならないと思っております。都道府県の担当者あるいはHIV診療に携わる病院などの担当者に対して説明を行うとともに、厚生労働省のホームページにも掲載をさせていただいておりまして、今後も各種の機会を捉えて周知を図っていきたいと思っております。
 今、被害者の高齢化の問題についてのお話がございました。HIV訴訟原告団からも御要望をいただいております。重要な課題と認識をしておりまして、この高齢化する方々に対する支援をしっかりやらなければいけないというふうに思うわけで、このため、被害者の方々が円滑に医療などのサービスを利用できるように、手帳の配付のほか、在宅医療、介護の環境整備として、かかりつけ医師等の関係者に向けての講習会などもやっていきたいというふうに思っております。
 今後とも、被害者の方々のニーズをしっかりと把握をして、的確に各種施策を包括的な支援として確保してまいりたいというふうに思います。
○川田龍平君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
 順番を少し変えて、化血研の問題、先にさせていただきたいと思います。
 化血研の問題について、この化血研は、今朝の日経電子版にも記事が載っておりましたけれども、この国で今も繰り返される薬害、これは化血研もHIVの薬害の被告企業でありました。
 こういった薬害が繰り返されるのはなぜかといいますと、これは官民、それから特に政治家も含めた政官民の情報隠蔽の歴史であります。薬害エイズ事件も、その原因は政府と製薬企業によるリスクの隠蔽でした。二十年たった今、この日本国内で血液製剤とワクチンを独占的に製造するメーカーでもある化学及血清療法研究所、通称化血研の事件もまた、四十年以上にわたる不正な製造、販売、薬剤製造と隠蔽、そして政府の情報管理の甘さでした。
 まずは、このパネル御覧ください。資料もお配りしております。
 今回の事件は、昨年五月の内部告発から始まったとされています。しかし、改めて私の方で調べてみたところ、実は厚労省はその半年前に、また農水省はその更に前の一昨年の十月から不正の可能性を知っていたと思われる事実が出てきました。問題は、この二つの省庁が不正について知った後、その情報をお互いに全く共有しなかったということです。先に不正を知った農水省の方は、化血研が九月時点で三十もの製剤を出荷自粛していた事実すら立入検査まで全く知らずに、のんきに大臣表彰式もしていたと。
 安全性を監督する省庁が不正情報を放置して、一体何のための省庁なんでしょうか。森山大臣、一体どうなっているんでしょうか。
○国務大臣(森山裕君) 川田委員に少し経過の御説明をさせていただきたいと思いますが、動物医薬品業界では、平成二十五年の十月に旧薬事法違反の行政処分がありまして、これを受けまして、農林水産省としては指導をさせていただいたところでありますが、同年十二月に日本動物用医薬品協会がコンプライアンスの行動基準を定めまして、法令遵守に取り組むことになったと思います。
 これを受けまして、化血研でも、動物薬の事業部門においてはこのような業界の取組を踏まえまして、検査担当者を配置し、承認内容の確認を進めておられたところでありますが、その結果、具体的には平成二十六年十月に化血研から診断薬一製剤について承認内容を変更したいという相談があり、医薬品医薬機器等法に基づいて承認事項の変更手続が必要である旨回答しております。また、その後、別な三製剤についても同様な相談が続いたことから、平成二十七年二月十三日、経過を報告するよう指導いたしまして、同月の二十五日に化血研からこの四製剤について既に承認内容と異なる方法で製造したとの報告があったことから、同日、動物用医薬品全四十八製剤の製造方法を点検するように指導をいたしました。
 また、これを受けて、平成二十七年九月に化血研から、四十八製剤のうち、さきの四製剤に加えて三十製剤について承認内容と異なる方法で製造していたという報告を受けていることはそのとおりでございまして、この時点で横の連絡というものがもっと適切に行われておれば意味があったのではないかと思っておりますが、そこまで進んでいなかったということでございます。
○川田龍平君 今大臣もよくあることだから重要視しなかったというようなことも発言をされましたけれども、もし大臣御自身が薬害の被害者だったら、この原因となった企業が四十年もの間、血液製剤やワクチン、動物用製剤の不正製造を続けていた、この事件を知ったときに、同じようなせりふが言えるでしょうか。不正をチェックする立場である省庁は、情報共有をおろそかにし、国は長い間不正を見抜けずに放置をしていました。
 総理、これ、私はこのような薬害被害者を出さないために、私のような被害者を出さないためにも、国が最も責任を持つべきことが何だか御存じでしょうか。これは、何よりもまず正確な情報を把握して、それを共有することです。これを徹底しない限り、国は国民の命を薬害から守れません。この失政とこの反省を是非今後どうやって生かしていくのか、総理の見解をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の化血研の事案は、二重帳簿を作成するなど、周到かつ組織的に国等の査察を逃れる隠蔽行為などが長期にわたって行われてきたものであり、医薬品に対する国民の信頼を失墜させる決して許されないものであると思います。化血研に対しては、既に厚生労働省及び農林水産省がそれぞれ昨年十二月に立入検査、本年一月に業務停止命令処分等を行ったところであり、また、厚生労働省より組織体制の抜本的見直しを早急に検討するよう要請を行ったと承知をしています。
 私としても、この問題の解決に向けて両省に、これは確かにそのとおりだと思います、両省にしっかりと連携させて、連携して対応させていきたいと、このように思っております。化血研の取組を注視していきたいと、連携して注視させていきたいと思っております。
○川田龍平君 是非、これは化血研だけではなく国にもしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、TPPの問題について移らせていただきます。
 薬の安全性というものにおいて情報公開がいかに重要かという観点から、このTPP問題について幾つか伺います。
 私は、現在、患者の権利を守り、医療の公共性を維持しながら医療政策への患者や市民の参画を促す、いわゆる患者の権利に関する法案作りにも取り組んでいます。TPPに批准した場合、我が国の患者の権利を守るための新たな法律が自由な競争を阻む非関税障壁として修正を求められたり、外国企業から訴えられたりする可能性はあるでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 今委員が準備をされております患者の権利に関する法案の詳細については知り得ませんので、一般論のお答えになることをお許しいただきたいと思うんですけれども、TPP協定においては、投資のISDSを規定する第九章において、十六条で、各国は健康などの目的のために合理的な規制を行うことを妨げるものではないと明記をされております。
 また、協定の規定に適合しない措置を将来採用しても協定違反とならない分野を明記する附属書Uにおいて、我が国は社会保障、社会福祉、保健などの社会事業サービスを包括的に留保させていただいております。
 また、TPP協定の第二十九章第一条において、WTO協定を引用いたしまして、人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置をとることについて妨げられないとされているところでございます。
○川田龍平君 これ、条文の方をちゃんと読んでいますでしょうか。確かにこの九章十二条と附属書を見ると、社会保険事業に関しては将来留保の対象だと書いてあります。しかし、これは患者の権利法のようなこれからできる新しい法律については適用されません。
 もう一度聞きますが、TPPに批准した場合、患者の権利法が不当に競争を阻む非関税障壁として、外国から、企業から訴える可能性がありますが、政府はどうやって薬の安全性や患者の権利を守るつもりでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど一般論として御答弁をさせていただきましたけれども、その点には留意をして政府は取り組ませていただきたいと考えております。
○川田龍平君 これは、この将来留保というのが根拠にならないという以上、この説明では国民は納得しないと思います。
 次に、TPPに批准した場合の医薬品の安全性について伺います。
 我が国は今まで予防原則を指針としてきましたが、TPP批准後は、たとえ副作用が懸念される医薬品であっても、被害についての科学的な証明がなされない場合、国はその薬を規制できなくなります。もし規制したら、証明を出せということになって訴えられるのではないでしょうか。これは、政府はどうやって守るつもりでしょうか。大臣、お答えください。
○国務大臣(石原伸晃君) 予防原則がTPPに入っていなければ、医薬品の副作用について科学的な確証が十分得られない限り規制できないのではないかというような御懸念のように聞かせていただきました。
 もちろん、厚生労働大臣がいらっしゃいますので、一般論としてこれもお話をさせていただきたいと思うんですけれども、そもそもTPP協定というのは、世界のGDPの四割、人口で八億人という大きな経済圏において、関税のみならず、また今委員が御議論をいただいている健康、社会保障、医薬品等々に限らず幅広い分野で新しいルール等を構築するマルチの経済連携協定だと思います。そうしたTPP協定では、今委員が御指摘になりましたいわゆる予防原則について明示的に触れられているところはないというふうに承知をしているところでもございます。
 既存の医薬品について、副作用について、副作用の観点から規制を行うことについて、それを禁止する特定の定めもないということは是非御理解をいただきたいと思います。
○川田龍平君 これは先ほども大臣がおっしゃいました根拠としている九章の十二条、これ将来留保ということですが、この附属書の解釈、第九章の第二十五条を読みましたでしょうか。こう書いてあります。将来留保の解釈をめぐって紛争になった場合は、TPP委員会がその解釈を行うと。
 これはつまり、外国企業が日本の国内ルールで不利益を被ったと判断した場合、この将来留保の解釈自体に異議を唱えられるということです。そして、TPP委員会が日本政府の将来留保の解釈の方が誤りだと判断した場合、日本政府は申立て企業に対し損害を賠償しなければなりません。つまり、大臣が今根拠にされている医療の将来留保、これの解釈そのものが外国政府の異議申立ての対象になっているんじゃないでしょうか。
 もう一度聞きますが、大臣、どうやって守るんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほども一般論としてお答えをさせていただきましたけれども、仮定の上にこういうことが起こるのではないかというような御質問であったというふうに承知をしております。
 ですから、委員の御懸念に当たるようなことのないように、十分に慎重に配慮をして取り扱わせていただきたいと考えております。
○川田龍平君 これからの立法に関わる条約ですので、ここをしっかり聞きたいと思いますが、先ほどから何度も言っていますが、この将来留保というのは根拠になりません。将来留保が今後作られる法律には適用されないことや将来留保の解釈自体がひっくり返される可能性など、こうしたリスクの部分を伏せて大丈夫ですというのはおかしいです。国民の命に関わることについて無責任なことは言わないでいただきたい。
 そして、最後に総理に伺いますが、総理も御存じのように、WHOも、それから国境なき医師団、それからニュージーランドの公衆衛生学会などがTPPで薬の値段が高騰するという試算を出して、反対を表明しています。薬価が高騰すれば、国家の医療財政負担も跳ね上がります。それに対して、政府、総理はそれでも国民皆保険制度は堅持するといつも言っておられますよね。
 これは、つまり薬価が上がっても全て今までどおり公的保険でカバーするということでしょうか。それとも、皆保険制度は維持するが、診療報酬にして高い薬は自己負担にしていくということでしょうか。たとえ皆保険の制度は残ったとしても、TPPで薬の値段が高騰して皆保険が形骸化してしまったら、私のような難病患者だけではなく、がん患者、それから糖尿病患者、薬を使う全ての患者にとってはその意味が天と地ほど違ってしまいます。
 そこで伺いたいのですが、総理、TPP批准後の医療費試算はどうなっていますでしょうか。その根源となる財源についてもお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の質問についてはちょっと事前通告がなかったんですが、ただ、TPPによって我々は薬剤費が高騰することはないというふうに考えております。
 なぜかというと、これ、各国によって、国によって違うんですが、言わば先発医薬品と後発医薬品、いわゆるジェネリックの関係におきまして、日本は八年間この特許が保護をされるわけでありますが、米国は十二年間でありまして、ほかの国はそもそも先発医薬品を作る企業がないわけでございまして、そういう仕組みがないところにとっては、今回八年になったわけでありますから、我が国にとってはこれ変わらないわけでございます。米国はこれは短くなって、そして、今まで保護されているという仕組みがないところにとっては、八年保護をしなければならないということにおいてジェネリックが出ることが遅くなるということにつながっていくんでしょうけれども、日本は基本的に変わりがありませんから、日本にとってはそれは影響はないというふうに承知をしておりますし、そもそも我々は、これは保険収載された医薬品につきましては、この保険収載されている期間においては患者負担は医療費の中でその限られた負担ということになっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、しっかりと注視をしていきたいと、こういうふうに考えております。
 また、命に関わることについては基本的に主権に関わることでありますから、それが侵されることはないと、しっかりと対応していく考えでございます。
○川田龍平君 薬は大変高額になっております。本当にこの化血研の問題もTPPの問題も、共通しているのは、政府が都合の悪い情報は出さずに、一部の情報だけしか見せていないということです。
 TPPに関しては、調印も終わり、いよいよ各国が批准、採決という重要段階に入っているにもかかわらず、今日のやり取りでも、一番肝腎な国民の命に関わる分野ですらまだいいかげんなことを言っていることに怒りを感じずにはいられません。
 薬害エイズ訴訟の和解から二十年もたって出てきたものがこの被害者手帳だけでは余りにもお粗末です。薬害を再発防止するためにも、同じ過ちを繰り返さずに国民の命を守るという国の責任を果たすためにも、リスクも含め正確な情報を公開することを求めて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で川田龍平君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(岸宏一君) 次に、中野正志君の質疑を行います。中野正志君。
○中野正志君 日本のこころを大切にする党の中野正志でございます。
 安倍総理、ちょっとお手元、写真だけ御覧ください。
 三月の五日、震災の多重防御の第一線でもあります仙台湾の南部海岸の完成式が行われまして、地元農家の皆様を始めといたしまして、たくさんの皆様方から安堵の声をいただいております。粘り強い防潮堤というだけありまして、私も、ああ、大変にいい防潮堤だなと率直に評価をいたしたいと思います。また、私たちの被災地は、防災集団移転も本格化いたしてまいりました。高台に宅地造成された気仙沼唐桑町の舞根地区、浜ですね、浜でホタテの出荷作業をする女性から、新たな高台住宅は海が見渡せて仕事場も近いと満足した様子で作業されておる、それが地元の河北新報で報じられた二枚の写真であります。そういう意味で、まず、前を向いて頑張ろうという人たちをマスメディアで報じられておりますことは大変幸いでありますし、私たちも共々頑張ろうという気持ちになるわけであります。
 ただ、残念ながら、その反面、いまだ生活の再建めどなく、どうしても仮設住宅住まいを余儀なくされておられる人たちもいるわけでございまして、そういう現実を重く受け止めながら、しかし、やっぱり私たちは最後までそういった方々の思いも受け止めながらお手伝いをするのでなければならない、改めてその意を強くした三月十一日であり、また、昨日もそうでありましたけれども、慰霊祭ずっと続いておりますので、そのことで被災者の、また亡くなられた方々の哀悼の誠を改めてささげさせていただきました。
 さて、安倍総理、沿岸市町村首長への復旧復興進捗に関するアンケート、読売新聞によればでありますけれども、おおよそ半数以上の首長が復興は予想よりも遅れていると、こう感じておられるようであります。特に自治体の職員不足が顕著でありまして、未曽有の規模の事業を進める、やっぱりそういう中でありますから、制度上の手遅れを始めといたしまして、マンパワーを補うことで解消されるのではないでしょうかと、そう思うのであります。
 政府からはこれまで多くの職員を被災自治体に送っていただいておりますことは重々承知しておりますけれども、これからは特に専門的人材へのフォローが重要だと。更なる被災地への支援をしていかなくてはならないと考えております。さらに、復興の現場では、安倍総理も度々の御視察で御認識をいただいておりますように、震災前より良い町をつくるのだ、そう考えられてふるさとの復興と創生に挑んでいる未来に夢を持った人たちもたくさんいる。こうした人の思いも私たちはしっかりと花開かせるのでなければならない、こう考えております。
 大震災から五年を過ぎた今、後期五年の復興作業、復興・創生期間、どのように進めていく御決意か、改めてお伺いをいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今月の三月十一日は、東日本大震災から五年の節目の年でありました。今なお十七万人の方々が仮設住宅で暮らす困難な生活に置かれていること、この事実についてはしっかりと受け止めなければならないと思います。
 震災から五年が経過をしました。しかし同時に、これまで五度にわたって講じてきた加速化措置などの成果もあり、インフラの復旧はほぼ終了しまして、住まいの再建もあと三年ほどでおおむね完了することとなっています。先週十一日に復興・創生期間の復興の基本方針を決定したところでありまして、これに基づき、心身のケア、コミュニティー形成、きめ細かい被災者支援に取り組んでいくとともに、被災者の皆さんが一日も早く安心した生活が送れるように、住まいの再建、なりわいの再生を一層加速化していく考えであります。
 また、福島においては、来年春までに帰還困難区域を除いて避難指示を解除し、一人でも多くの方に故郷へと戻っていただけるように、中間貯蔵施設の建設と除染を一層加速をして、生活インフラの復旧に全力で取り組んでまいります。
 被災自治体に対する人的支援については、全国自治体からの職員派遣に係る経費を国において負担をすると同時に、専門性を有する公務員OB、民間実務経験者等を活用して、幅広い方面からの人材確保に取り組んできました。引き続き、被災自治体の声をしっかりと伺いながら、その一層の強化を図っていく考えであります。
 東北の復興なくして日本の再生なし、復興・創生期間においても、被災者の皆さんの不安な気持ちに寄り添いながら、地域ごとの多様なニーズに応えていくことのできる支援を行っていきたいと思います。
○中野正志君 ありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。
 先ほどメモをいただきました。毎月震災復興のための街頭募金活動をしております桜応援団というグループがあります。震災から五年目、風化が叫ばれる中、都心で数時間で、三月十二日の日、二十七万円、都会の皆様方から献金をいただいたと、人々の意識はまだちゃんと東北に向いている、そういうお話でありまして、うれしい限りだなと思いました。どうぞ皆さん、今後ともよろしくお願いします。
 二番目でありますけれども、消費増税について端的にお伺いをいたします。もう安倍総理には四回目でありますけれども、しつこいものでありますから、お許しをいただきたいと存じます。
 税は言うまでもなく政治そのものであります。何よりも、増税ということになれば、国民の皆様の最大の理解とまたタイミングが大変重大であるということは論をまちません。(資料提示)内閣府国民経済計算、GDP統計のデータによると、平成二十四年十二月に安倍政権が発足して以来、民間消費は二百八十八兆円から三百二兆円へぐんぐん右肩上がりだったことは御案内のとおりであります。
 ところが、平成二十六年四月の消費増税で民間消費は一気に冷え込みました。増税が民間消費を停滞させたことは統計で見て取れます。もしあのときの増税がなければ平成二十七年の民間消費は三百兆円を超えていたはずだと思いますが、実際は二百九十三兆円であります。もし消費税の増税がなく消費マインドが冷えていなければ、民間消費は三百七兆円になり、GDPは五百十三兆円になっていたと推計をされております。経済は、そうですね、消費増税がなければGDPが五百十三兆円ですから、成長率は五・二%だったはずであります。ところが、実際には、消費増税のためにGDPは四百九十九兆円、成長率は二・四%にとどまってしまったのであります。
 経済は生き物であります。私たちはこのことに最大の思いを致さなければなりません。私自身、当然ながら、アベノミクスは率直に評価をいたしております。これからも景気対策に万全を尽くしていただかなければなりません。年明け以降、経済指標を見れば、雇用は堅調、そして消費支出は残念ながらマイナス、株価下落、生産設備投資は一進一退の現況にあります。それに、中国経済の大減速もあります。世界各国の経済の大幅な収縮も起きている現実があります。このような経済状況を分析すれば、私は、平成二十九年四月の消費税一〇%増税は再び延期すべきであると提言をしたいのであります。どう考えても、アベノミクスの成就のためにも一〇%への増税は延期すると早めの決断をすべきだと思うのであります。
 アベノミクス第二弾、六百兆円のGDP目標達成まで私は一〇%にはすべきではないと、あえて四度目、安倍総理に御提言を申し上げたいと思いますが、難しい答えだと思いますが、いかがでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 一昨年の消費税率五%から八%への引上げが消費に大きな影響を与えたのは事実であります。だからこそ、私たちは一〇%への引上げを一年半延期をしてきました。この間、しっかりと三本の矢の政策を進めてきた結果、賃上げも順調に行われ、成長軌道に戻ってきていると思います。
 世界的にリスク回避の動きが金融市場で広がる中、我が国のこの市場にも大きな変動が見られておりますが、先般のG20の声明においても、最近の市場の変動の規模は、その根底にある世界経済の現在のファンダメンタルズを反映したものではないと認識が示されたところでございます。
 来年四月の消費税率一〇%への引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施をしていく考えであります。経済の好循環を力強く回していくことによって、そのための経済状況をつくり出していきたいと思います。
 もとより、消費税率を上げても税収が上がらなくては元も子もないわけでありまして、そのような日本経済自体が危うくなるような道を取ってはならないのは当然なことでありますが、現在、そうした重大な事態が発生しているとは、これは考えていないということでございます。
○中野正志君 安倍総理は、今現在の考え方はそうだと思うのでありますけれども、是非、私たちが以前から提言してきておりますように、当然ながら、経済の諸指標、また現実、実体経済の流れは御覧いただいておるとおりでありますので、選択肢の大いなる一つとして、またできるだけ早い、決断をされるときには早い決断でよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 安倍総理は、日本の景気、経済を回復させるためにGDPの六割を占める個人消費をどう上げていくのか、このためにあらゆることをやっていくのだという決意を示されておりますから、大変頼もしい気持ちでおります。結局のところ、消費者の購買意欲をいかに喚起するかが重要となるわけであります。
 ここで、日銀の資金循環統計、紹介をいたしたいと思いますが、二〇一五年九月末現在、日本の家計金融資産残高、国民の皆様、一千六百八十四兆円もあるのであります。そのうち、現金、預金が八百八十七兆円と全体の五二・七%を占めております。また、この個人金融資産の七割近くは世帯主年齢六十歳以上の世帯が占め、これらシニア層の膨大な個人資産を一般消費の拡大へとつなぐためにはどうすればいいのか、大きな問題であります。今こそ、国民の消費マインドを刺激する消費促進の具体的なメカニズムをつくる必要があると。
 そこで、消費税の一部を将来一時金として還付することを前提とした消費税積立貯蓄制度、言ってみれば、納めていただいた消費税を国民の皆様に戻すということであります。私たちはこれを消費税マイレージ制度と名付けて御提案をいたしたいと思います。
 個人が買物をするたんびに消費税の一部を個人が持つマイナンバーと連動したICカードに積み立てて、将来の年金受給時、六十五歳のときに運用分を上乗せして還付する、お戻しをする、だとすれば、お金を使えば使うほどたまっていくということになるわけであります。既に私たち国民はいろいろなポイントカードを持っております。例えば、主婦の方であれば、スーパーあるいはドラッグストア、あるいはインターネットの通販に至るまで多種多様の実はポイントカードを使い分けておられるわけであります。
 私は、今、持続的な賃上げ、なかなか難しい中でありますから、政府が代替的に、代わりに代替貯蓄をすることで、将来に対する国民の皆様の安心が生まれる、今まであるいは貯蓄に回していた分が消費に回る、個人消費が回復していくことで当然デフレマインドも脱却、企業収益も安定、将来的には健全な経済サイクルの中でますます持続的な国内需要を喚起し続けて、結果的には個人所得も上向いてくると。
 還付費用、戻しの費用でありますけれども、人々が百円の買物を百二円か百三円、二、三%増やすだけで、実は一、二%の追加GDP成長が見込めてまいります。その成長で戻す費用のいわゆる伸び率を賄って、なお余りが出ますので、追加需要の税収増によって吸収できる範囲内であり、現行の消費税収には手を付けないで済む、企業の消費税は還付戻しの対象外としておりますからでもあるのであります。あくまでも個人が対象であります。
 このような仕組みについて、総理の感想、いかがでありましょうか。産経では評価をいただいております発想でもございます。あえてお伺いをいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費を活性化するために建設的な御提案をいただいたと思います。
 委員御指摘のとおり、国民に日々の生活の中で安心感を持って消費をしていただける環境をつくっていくことが、これ消費を喚起していく上で重要であるというふうに認識をしております。
 私どもといたしましては、来年の四月からの消費税一〇%の引上げに当たっては、低所得者対策として軽減税率制度を導入することとしておりますが、これも、これは日々の買物における痛税感を緩和するとともに、消費行動にもプラスの影響があるものと期待をしているところでございます。
○中野正志君 ありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で中野正志君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、松田公太君の質疑を行います。松田公太君。
○松田公太君 日本を元気にする会の松田公太です。
 前回は、金融緩和と消費税増税はアクセルとブレーキを同時に踏むようなものなので絶対にするべきでないというお話をさせていただきました。今回はその続きからじっくりやりたいというふうに思っていたんですが、こんなことは言いたくないんですけれども、維新の党が我々の予算委員会の枠、つまり質問時間を合意書に反して奪うという前代未聞の事件が起きてしまいまして、残念ながら持ち時間が約半分になってしまいました。この場をお借りして、維新の党には、予算委員会の枠を返してくださいということと、国民の見本たるべき国会議員がこんなことをしてはいけませんと要請と忠告を強くさせていただき、質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、軽減税率についてですが、そもそも我々は消費税増税に反対をしていますし、逆進性の観点から軽減税率にも反対の立場です。消費者にとっても企業側にとっても、この軽減税率というのはデメリットが多く、メリットが少ないと言わざるを得ません。
 私はテークアウト比率が非常に高い飲食店を経営しておりましたので、軽減税率の線引きの内容を聞いたときは、ちょっと現場のことを考えて目まいがくらっとしたぐらいだったんですけれども、例えば、コーヒーショップではイートインとテークアウトの線引きをどうするのか、また、福袋に食品と衣料品が入っている場合、八%なのか一〇%になるのか。全てこれは店舗のオペレーションを非常に煩雑にするものなんですね。はっきり言って、痛税感の緩和という曖昧な理由のために、企業側、特に中小企業に大きな負担を強いるのは私は不合理だというふうに思っております。
 時間がないので、店舗オペレーションにつきましてはまた別の日にさせていただきたいと思いますが、今日は法務大臣を中心にお聞きしたいと思います。
 ハンバーガー店で、例えばイートイン用に千円でのハンバーガーセットを買ったお客様がいたとします。税込みで千百円の代金を払ったところ、店員が間違って二十円を返してしまった。お客様が、それを間違いだと気付きながら二十円ポケットにしまって帰ってしまった。これは犯罪になるんでしょうか。
○国務大臣(岩城光英君) ただいまのお尋ねは、一定の状況を想定して犯罪の成否を問われるものでありまして、この犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠によって認定される事実に基づき個別に判断されるべき事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○松田公太君 私は一般論をお聞きしているんですが、これくらい典型的な事例をお答えできないというのはちょっと理解に苦しむんですけれども、これはいわゆる釣銭詐欺と呼ばれるもので、実は詐欺罪が成立するんですね。
 同じ例えば千円のセットについてお聞きしたいんですけれども、最初から例えばイートインのつもりなのにテークアウトだとうそをついて千八十円で会計をする、この場合はどうなんでしょうか。
○国務大臣(岩城光英君) ただいまのお尋ねも、一定の状況を想定して犯罪の成否を問われるものでありますので、答えは同じものになってしまいます。
 なお、あくまでも一般論として申し上げますと、先ほど御指摘のありました詐欺罪、この詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合、あるいは財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた場合に成立するものと、そのように承知をしております。
○松田公太君 歯切れがちょっと悪いんですけれども、こちらも詐欺罪に当たるということが自然だと思うんですね。最初のケースがこれ釣銭詐欺で不作為による詐欺行為、実際これ逮捕例もあるんですね。
 そしてまた、そう考えますと、二つ目のケースですね。これは消極的な作為による詐欺行為になるわけでして、詐欺罪が成立しないということは私はないというふうに思うんです。つまり、テークアウトとうそをついてイートインしてしまったお客様は逮捕も私はあり得るんじゃないかなというふうに思います。
 最近はやりの高級バーガー店に私、先日行きまして、四人分購入したんですけれども、トータルで一万円になってしまったんですね。その場合の消費税というのは、今度例えば上がった場合は千円と八百円の差になってくるわけですね。これ、二百円です。これは非常に大きいと思うんですね。下手なポイントカードをためるよりも一回ごまかした方がこれはお得なんじゃないかなということになってしまうんです。
   〔委員長退席、理事岡田広君着席〕
 今までの国会での軽減税率におけるやり取りにつきましては、店員さんが困るんで、オペレーション上、そういった問題を取り上げたものが中心だったと思うんですけれども、今回のように、刑法上も詐欺罪や脱税の可能性が多々出てくるということを私は指摘させていただきたいと思いますし、国民にも認識をしていただきたいというふうに思っております。捕捉するのは難しいと思いますけれども、消費者も軽々しくごまかしをしていたらこれは逮捕される、そういう可能性もあるということなんですね。
 また、想像すると、これは嫌なんですけれども、得をしようと、例えば子供たちとか、まあ大人も消費税をごまかすことを日常茶飯事的に考えるようになってしまう、そんな状況がこの軽減税率によって生み出されれば、税金は何かごまかすのが当たり前という考え方が蔓延してしまう可能性もあるんですね。それは、長期的にとっても、日本にとっても、教育にとっても、私は、総理、良くないことだというふうに思うんです。総理、それについてはいかがお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、テークアウトの場合は八%で、そこで食べる場合は一〇%、これはもうそう決めているわけでありますし、これは法律上そう書き込んでいくわけでありますから、それは、じゃ、自分はこれテークアウトするよと言ってそこで食べているという、例えばお子さんがそこで食べていたら、これは、周りにいる大人は、それは間違っているというふうにこれは注意するのが大人の私は義務ではないかと、こう思うものでありますし、そうやってルールを学びながら育っていってもらいたいと思いますし、そう簡単にみんなが、そこでそれをちょろまかせようということが蔓延するとはなかなかこれは考えられないのでありますが、例えば、イートイン等々においても、トレーは自分で戻すという仕組みのところもありますよね、そこは、それによって人件費を削減することによって価格を下げている。そういうところでは別にこれ自分で下げなくてもいいわけでありますが、日本では大体ほとんどの人たちがそれは下げているのではないのかなとも思いますし、しっかりとこうしたルールにのっとって、それぞれ消費者も店員も対応することを期待したいと思っております。
○松田公太君 総理、それはおっしゃるとおりだと思いますが、私は理想論なんじゃないかなというふうに思いますね。トレーなのか、袋に入れてもらうのか、そういったことも含めて、どこからどこまでがテークアウトでイートインなのかというのは、これ非常に線引きが難しいと思うんですよ。
 そして、生活が今厳しくて、本当に例えば十円、二十円のために、キャベツを安くするためにスーパーをはしごするような、そういう今現状にあるわけですから、これは徹底する。おっしゃるように、周りが注意すればいいじゃないかとおっしゃいますけれども、これはなかなか難しいと私は思いますよ。本当に分かりづらくてあやふやで、私は不公平なのが軽減税率だというふうに思っております。やはり一旦消費税増税を延期して、給付付き税額控除の可能性も含めて今後じっくりと話し合っていくべきだと、私はこのように思っております。
 それでは、がらっと変わりますけれども、国民から多額のお金を吸い上げながら進められている核燃料サイクルについてお聞きしたいというふうに思っております。
 私は、そもそも原発から脱却するべきだというふうに思っております。アメリカやドイツ、イギリス等のほかの先進国も既に撤退していて、いつ実現するかも分からないトラブルと事故続きのいわゆる夢の核燃料サイクルからも日本は撤退して、たまっているごみを直接処分するワンスルーにかじを切るべきだというふうに思っているんですね。
 そこでお聞きしたいんですけれども、これは三月三日の報道ステーションで報道され、以前毎日新聞でも取り上げられていたことなんですが、二〇〇二年から二〇〇四年頃にかけて、核燃料サイクルからの事実上の撤退となる六ケ所村の中止が議題に上った会議が、当時の東電会長や社長、そして経産省、広瀬事務次官や幹部の出席の下で開かれたということが事実なのか。
   〔理事岡田広君退席、委員長着席〕
 また、ちょっと資料を上げていただきたいんですけれども、(資料提示)これはテレビに出ていたものを書き起こしたものなんですが、この資料について果たして御存じかどうか。この質問は数日前に通告させていただきましたので、調べる時間あったと思いますので、廣瀬社長にまず東電としての正式な答弁、そして経産大臣には経産省としての正式な答弁をいただければと思います。
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
 今御指摘の会議並びにその資料については承知いたしておりません。
○国務大臣(林幹雄君) そのような会議があったかどうかについては承知しておりません。
○松田公太君 このような資料が、非常に詳細に書かれているわけですけれども、これが明確に出てきているにもかかわらず、その存在も、その当時の会議のことも知らないとお二人はおっしゃるわけですね。組織のトップであるお二人が過去の経緯も知らずに今の職に就かれているということなのかなと、本当に信じられない思いでいっぱいなんですけれども、この中身についても本当は取り上げたいんですが、今日は時間がありませんので、また別の日に別の委員会でもさせていただきたいと思っておりますが。
 六ケ所村の再処理工場の建設費は、当初、七千六百億円だというふうに言われていたわけです。それがどんどん膨れ上がって、三倍になって、二兆円にもなるということが二〇〇二年から言われているわけですね。また、稼働させれば、これは十九兆円掛かるというふうに言われているわけです。電力会社としては、本当は何とか撤退する、やめる方法を模索していたんではないかなというふうに思うんですね。しかし、やはり撤退というのは責任問題が発生するわけですから、毎回そのようなミーティングが行われたとしても、国と電力会社のある意味押し付け合いが起きて、そして結局は止められずにずるずる来てしまっている、これが実態なんじゃないでしょうか。
 林大臣、この六ケ所村の事業から撤退するべきだなとなった場合、それは経産省や政府若しくは内閣のこれは判断となるのでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 我が国は、核燃料サイクルにつきまして、まず、高レベル放射性廃棄物の量の減少、あるいは放射能レベルの低減、そして資源の有効利用、このような観点から、自治体や国際社会の理解を得つつ推進することを基本方針としております。
 この方針は、エネルギー基本計画で閣議決定したものでございまして、その検討に当たっては、海外有識者や需要家、供給者からのヒアリングを含む十七回に及ぶ議論を行ったものでございます。この中で、核燃料サイクルについて推進すべきという意見や、やめるべきだという意見など、様々な意見があったことも事実でございます。さらに、エネルギーに関する閣僚による議論も行いました。このような経緯を踏まえた上で、核燃料サイクルを推進する方針としているところでございます。
 したがって、現在、再処理事業から撤退する場合の条件について、政府内で議論しているということはございません。
○松田公太君 私の質問は、この六ケ所村の事業から撤退するという場合は、これは経産省や政府、内閣の判断になるのかということなんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林幹雄君) 基本的には事業者の判断でありますけれども、政府としてはこの政策を推進するということで進めているところでございます。
○松田公太君 おっしゃっていることがよく分からない。事業者の判断だけど、政府としてはこれを推進すると、国策だとおっしゃっているわけですね。
 同じ質問をさせていただきたいんですが、田中委員長、これは、規制委員会の判断として、六ケ所村、ここから撤退させるということは可能なんでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 法的には、原子炉規制法上に定められた法に従わない場合にはそういう判断もあるかとは思いますけれども、現状を申し上げますと、日本原燃の再処理施設については、平成二十六年一月に事業変更申請を受理して、これまで五十三回の審査会合を実施しており、現在も審査を継続しているところであります。
 この過程で、二十七年十一月には、新たな緊急時対策所を新設する等のため、竣工時期を平成二十八年三月から平成三十年度上期に変更する旨の事業変更許可申請書の補正が日本原燃から出されているところです。
 その後、審査会合を重ねまして、最近ですが、いわゆる耐震基準、SSが決まりまして、さらに重大事故についての想定、これも新しい施設ですのでいろいろ議論がありましたけれども、これについての想定もほぼ合意されて、今そのシビアアクシデント対策についての有効性評価を審査をしております。
 こういった審査の途中でございますので、原子炉等規制法第四十六条の七に基づく事業指定の取消しを行わなければならないというような状況ではないというふうに考えております。
○松田公太君 今、田中委員長も明確に答えていただけなかったんですが、審査会を重ねているけれども今はそういう状況じゃないと。
 私がお聞きしたのは、もしそうなった場合は、規制委員長として、これを撤退するということをちゃんと申し出ることができるのかどうかということだったんですけれども、ちょっと時間がないので、これ廣瀬社長にもお聞きしたいと思うんですが、廣瀬社長、これは電力会社九社若しくは日本原燃、先ほど田中委員長から話が出ましたけれども、ここの判断となるんですかね、この六ケ所村からの撤退というのは。
○参考人(廣瀬直己君) 私どもとして、電力会社の全体のことを申し上げる立場にはないと思っておりますが、東京電力として、現在、先ほど林経済産業大臣からお話ありましたように、エネルギー基本計画に基づいて、再処理は、資源の有効活用であるとか、あるいは高レベル放射性廃棄物の減容化であるとか、その有害度を減らしていくとかいったようなことで非常に重要で、かつエネルギーセキュリティーあるいはエネルギーの確保という意味で大変重要なことというふうに考えております。
 したがいまして、今後とも、事業実施自体は日本原燃さんによるものでございますけれども、私ども電力会社としてしっかり協力をしていこうというふうな所存でおります。
○松田公太君 今の廣瀬社長の話も全く意味不明だと思いますね。日本原燃が事業主体かもしれない。でも、私がお聞きしたのは、じゃ、電力会社や日本原燃で判断できるのかというお話だったんですが、それはもう非常にあやふやにされているわけですね。
 ちなみに、廣瀬社長は日本原燃の役員も務めていらっしゃいますから、ちゃんと答える立場にもあると思いますよ。私は八木会長も今回お呼びしたんですが、時間がなくて来れないというふうに言われたんですよ。
 これが、総理、実態だと私は思うんですね。はっきり言って、誰の責任か全く分からない。原発事故が起こったときに責任のなすりつけ合いがあったじゃないですか。私はそれと同じような状況だというふうに思っております。
 原発はトイレのないマンションだというふうによく言われますが、私はこの核燃料サイクルというのはもっとひどいというふうに思うんですね。トイレがないのに国民にトイレがあると言って売りに出しているマンションのようなものだというふうに思っております。これ以上国民に負担を強いるのは私はやめるべきだと思います。
 総理、核燃料サイクルはもう破綻していると思うんですね。もう今までに五十年もやってきているじゃないですか。政府がやめるという決断をするべきだというふうに思うんです。それができないのであれば、「もんじゅ」にしても六ケ所村にしても、いついつまでに結果が出なければやめますという判断をするための期日を私は明確に設けるべきだというふうに思います。いつまでもずるずると何兆円もの国民の税金を使い続けるのは余りにも無責任だと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の量及び放射性レベルを格段に減少させ、長期的な管理をより安全にする観点及び資源の有効利用及びエネルギー安全保障の向上の観点から、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた我が国にとっては必要なプロセスであると考えています。したがって、核燃料サイクルについては、直面する様々な技術的課題やトラブルを、問題点を明らかにした上で一つ一つ解決をしていかなければなりません。国として責任を持って、安全の確保、技術の向上に万全を期しながら、引き続き自治体や国際社会の理解を得ながら取り組んでまいりたいと思います。
 「もんじゅ」については、原子力規制委員会から文部科学大臣に対して管理体制の見直しについて勧告が出されるに至ったことを重く受け止めておりますが、国民の信頼を得る最後の機会であると考え、文部科学省を始め関係府省、関係機関を挙げて、現在、真摯に対応を検討しているところでございます。
○松田公太君 総理、この問題は非常に大切なので今後も引き続きやらせていただきたいと思いますが、御存じのように、核燃料サイクルはワンスルーよりも高いコスト、バックエンドも含めて、になるということが分かっているんですね。これは引き続きこれからもやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これで私の質問は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で松田公太君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島みずほさん。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 子供の貧困、女性の貧困、若者の貧困、高齢者の貧困、いずれも極めて深刻です。今日は、子供を育てている親世代の、子育て世代の貧困問題と、それからそれへの提言について質問をいたします。
 まず、これを見てください。(資料提示)まず、これは子供のいる世帯の世帯所得と可処分所得の推移です。所得ががんがんがんがん下がっていて、自由になるお金ががんがんがんがん下がっていると。一九九六年のピーク時には七百八十二万円あったが、二〇一三年には六百九十六万まで落ち込んでいます。可処分所得も、自由になるお金も、一九九六年の六百五十三万円から五百五十一万円まで落ち込んでおります。
 次のこれを見てください。年収四百万円世帯の公租公課、学校教育費、補助学習費と残りの生活費です。これ、公立中学校と私立高校の子供が二人いますと、全部残って自由になるお金が二百万円を切ってしまいます。公立中学校、私立高校、子供が二人、食べ盛りの子供が二人いるのに、本当に自由になるお金がこれだけになってしまう。教育がかつては貧困からの脱出でした。でも、今は教育が貧困の原因、あるいはすごく家計の負担になっているというのがこれからも明らかになると思います。
 次の、親の貧困問題について。何で子育て世代が貧困になるのか。一、世帯収入の貧困、実質賃金の低下、非正規雇用の拡大です。ですから、これに対する処方箋は、正社員化への推進、最低賃金の引上げ、千五百円以上ということを言うエキタスなどもありますが、賃金を上げるべきだと思います。
 次に、可処分所得の減少、公租公課の増大、保険料が上がる、消費税が上がる。ですから、これに対する対応策は、消費税増税の中止が必要だと思います。
 三点目、高額の学校教育費、学校外教育費、塾代、これが本当に掛かります。教育支援なんですが、私立高校への補助の増額、これは必要です。大学の授業料の引下げ、これは国立大学の授業料と入学金を全部無料にするのに三千三百十五億円必要です。確かに高額ですが、将来は、まず国立大学から、その次は私立大学へと、将来は無償化、ヨーロッパのようにすべきだと考えます。
 そして、給付型奨学金の創設です。この予算委員会で取り上げてきました。給付型奨学金の創設、これはするべきである。というのは、今これ自治体で給付型奨学金をやっている自治体は二百八十一自治体あります。そして、世田谷は三月四日、五千万使って、まず養護施設を卒業する子供、大学、専門学校、短大に行く子供に関して年間三十六万円出すということを決めました。
 自治体は、二百八十一自治体やっている。何で国がやれないのか。是非これは給付型奨学金やってほしい。いかがですか。
○国務大臣(馳浩君) 意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないように、経済的負担の軽減に引き続き取り組んでいくことが重要であります。
 大学の授業料について、国立、私立大学において家計の状況等に応じた授業料減免を促すため、それぞれ予算上の支援を年々充実しております。また、奨学金貸与事業においては、有利子から無利子への流れを加速するため、無利子奨学金の拡充を進めてきております。さらに、奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動するより柔軟な所得連動返還型奨学金制度を平成二十九年度進学者から適用することを目指して、制度設計及びシステム開発を行っているところであります。まずは、基本的には、こうした制度を着実に運用していくことで学生等の経済的負担の軽減を図ってまいりたいと思います。
 その上で、給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。
○福島みずほ君 これ、世田谷は五千万で始めたんですよ。さっきも言いましたが、自治体は二百八十一自治体、もうこれやっているんですよ。国の方がはるかに潤沢な予算がある。そして、オスプレイは一機百億円、整備費も百億円、合わせて一機で二百億円、十七機買うのが政府の方針です。防衛予算は五兆円を突破をしています、案ですが。こんな中で、何で自治体がやれていることが、国が一円も今出さないのか。
 それは、母子家庭のお子さんやいろんな人に聞くと、やっぱり借金できないと言うんですよ。借金できない。まず入学金払わないといけませんし、借金ができないんですよ。まず借金して大学に入らないといけませんから、ですから、給付型奨学金、とりわけ世田谷が養護施設を卒業する子供たちにまず出すというのは意味があると思うんですね。親がいない、あるいは身寄りがいない、お金を出してくれる人がいない、これこそ日本の政府が、文科省がやるべきことだというふうに思います。是非、創設をよろしくお願いします。
 次に、子供たちの医療費についてお聞きをいたします。
 自治体ではかなり、就学前、小学校卒業時、中学校、高校までと、様々な自治体で配付資料を出して配っておりますが、今この医療費の免除、これ頑張っております。これに関して、子供医療費助成を行っている市町村に対し国保の国庫負担額の減額調整というペナルティーを掛けることはやめるべきではないでしょうか。この予算委員会で、三月十日、公聴会、水戸市長は、非常にこの国の減額調整措置というのが地方の少子化対策を推進する上での足かせになっているとまで市長がおっしゃいました。
 子供の医療費、このペナルティー、やめるべきではないか。総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) この地方単独事業で行われております医療費助成、これによって窓口負担が軽減される場合に、一般的に医療費が増加をするということで、限られた財源の公平な配分や国保財政に与える影響等の観点から、増加した医療費分の公費負担を減額調整をしてきたというのがこの制度でございます。
 各自治体が行う乳幼児等への医療費助成に対する国保の公費負担の減額調整措置につきましては、地方団体から、これは特に国民健康保険の改正を行う際に多くの御意見をいただきました。その地方団体からの見直しの要望がありまして、現行制度の趣旨、それから国保財政に与える影響などを考慮しながら検討していかなければならないというふうに認識をしておりまして、また、この減額調整措置の在り方も含めて、子供の医療の在り方については少子高齢化が進行する中で子育て支援の幅広い観点から考えていくことも当然重要でございまして、こうした観点を含めて、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会、これを厚生労働省に置いて、今春をめどに一定の取りまとめができるよう議論をしているところでございます。
○福島みずほ君 今、塩崎大臣から若干前向き答弁がありました。是非、このペナルティー、本当にやめてください。
 それからもう一つ、親の貧困問題。子育てってやっぱり今すごく負担になっている。子供の医療費免除なんですが、これ是非、全国一律の子供医療費免除にしてほしい。というのは、パパ、ママ、お父さん、お母さんからよく聞くのは、引っ越したら、今まで自分たちは中学校まで免除されていたのに払わなくちゃいけないとか、いや助かったとか、自治体によって本当に区々なんですね。
 これは、小学校就学まで、小学校卒業まで、中学校、高校までとありますが、是非これは一律の子供医療費免除をやってほしい。就学前までやるのに二千四百億円、小学卒業まで五千七百億円。確かにお金は掛かる。でも、子育てを支援するという立場から全国一律に、これ、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 政策論としていろいろな可能性というか選択肢が考え得るということはよく分かるわけでありますけれども、何分にも財源がなければ政策はできないということで、今先生御自ら財源規模についてもお触れをいただきまして、これ高校生までのこの対象を仮にやると八千四百億円掛かると、こういうことでもございまして、現在までも、小学校入学前の子供につきましては医療保険の自己負担を三割から二割に軽減をしていると。それから、未熟児とか特定の慢性的な疾病を抱える子供さんの医療費については、更に自己負担の一部を公費で助成をしています。
 これらの施策に加えて今御提案のような施策をということでございますが、現在、厳しい財政状況の下で、他の子ども・子育て関連施策との均衡、つまり、今朝ほど来ずっと出ております保育園の整備あるいは待遇改善等々、そういうことを勘案いたしますと、なかなか現時点では課題が多いというふうに考えるべきかなというふうに思っておるところでございまして、意図するところは分かりますけれども、やはりこういうことでいろいろ考えなければならないというふうに思います。
○福島みずほ君 教育が貧困から抜け出す手段ではなくて、子育てあるいは教育が貧困の原因になる、これをやめなければならない。親世代の貧困も解決するべきである。せめて小学校の就学前まで、小学卒業まで、全国一律医療費免除を実現するよう、よろしくお願いします。
 総理にお聞きします。総務大臣の電波停止問題についてです。
 憲法上、表現の自由は経済的自由に比べて優越的地位があるとされております。これはなぜだとお思いでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば経済的な自由については、これは民主制度によってその後回復することが可能になるわけでありますが、よって、精神的自由がより優越的な地位にあるということではないかと思います。
○福島みずほ君 精神的自由、表現の自由が、民主的過程が傷つくと、民主的過程を通じてそれを是正することができません。ですから、表現の自由は経済的自由と違って、より制限的でない他の選び得る手段、つまり、ほかより制限的であれば制限してはならないというのが表現の自由の規制に関する憲法上のこれは原則です。
 だとすれば、総務大臣が電波を止める、これはより制限的でない他の選び得る手段があるにもかかわらず、権力者が自分の権力に、どうかという判断を政府自らやって電波を止める、これはこの表現の自由に関する規制基準に照らして違憲ではないでしょうか。総理、いかがですか。総務大臣、結構です。総理、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それでは、御要望に応じてお答えをさせていただきますが、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくものと理解をしております。
 表現の自由は、日本国憲法二十一条で保障された基本的人権の一つであるとともに、民主主義を担保するものであり、これを尊重すべきことは言うまでもないと。言わば、精神的自由、表現の自由はそこの中にこれ含まれるわけでございますから、優越的な地位にある。
 この民主的過程においてこれは回復される、経済的自由の場合はこれ回復されますが、まさにそれを担保するものがこの表現の自由であるわけでございますが、高市大臣の国会答弁は放送法について従来どおりの一般論を述べたものと理解をしており、御指摘の問題はないと、こう考えております。従来から政府の立場はそうでございまして、これは民主党政権時代の総務副大臣の答弁と同じ答弁を高市大臣はしているわけであると、このように認識をしているわけでございます。
 そういうことでございまして、高市大臣が今までの政府の見解を変えたということには全くならないということは申し上げておきたいと思います。
○福島みずほ君 法規範性があるということ、それから個別の番組、単一の番組で判断できること、それから総務大臣自ら電波を止める可能性があることに言及したこと、これは本当に今の日本の民主主義の危機だと思います。
 在京放送局の例えば報道番組ディレクターやいろんな人たちからも声が上がっていますし、民放労連からも意見書、質問書が出ております。今の番組の空気は政権と上司をそんたくする空気が蔓延している、事なかれ主義になっている。例えば、NHKのやらせ問題でBPOが政治介入と報告した件をニュースで大きく扱うよう提案したところ、結局ニュースにできなかった。あるいは、政府と同じ見解を街頭で答えてくれる人を探すために、何時間もそういう人を見付けるために街頭に出る、そんな話も本当に出ています。
 それは、大臣が電波を止めるぞと言うのはおかしいですよ。民主主義社会において、メディアの大きな役割はまさに権力を監視することです。権力を監視する。樋口陽一憲法学者は、裁判官が自分の関わることについて裁判をしてはならないと言いました。そのとおりです。権力を監視するメディアが権力によって電波を止めるぞと言われるんだったら、監視はできない。縛ることはできません。
 国際人権規約B規約は、十九条で表現の自由を規定しております。二〇一一年七月のこの国際人権規約B規約の一般的見解、これのパラグラフなんですが、これには例えば、一般的意見、政府又は政府の支持する政治的な社会制度に対して批判的であるという理由のみをもって、報道機関、出版社又はジャーナリストを処罰することは、表現の自由の必要な制限とみなされることはない。
 でも、まさに電波止めるぞというのは死刑判決と一緒じゃないですか。より制限的でない他の選び得る手段はたくさんあります。BPOであったり、それはあるんです。先ほど総理は、表現の自由は優越的地位があるとおっしゃったじゃないですか。だから、違うんですよ。憲法上、表現の自由に対する規制基準は本当に厳しくなければならない。だけど、電波止めるぞというこの電波停止発言は、最終的に電波を止めるということであったとしても、これに関しては全く規制基準に合致していません。憲法違反です。この発言を撤回してください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、よろしいですか。
 総務大臣は業務停止命令、運用停止命令を行うことができるというふうに考えているわけでありますというふうに答弁をしているのは、これは平岡副大臣であります。つまり、電波を止めることができると、このように答えているわけでありまして……(発言する者あり)これは業務停止、業務停止命令について言及をしているわけでありまして、これはまさに政府の、言わばこの逐条、言わば解釈についてこのように述べているということは申し上げておきたいと思います。
 例えば、過去にも、これ電波を止めたわけではありませんが、二つの厳重注意という事例があります。その一つは、これは自民党の八十五分の、言わば自民党の番組を八十五分もやるのは問題じゃないかということで厳重注意をしたのでありますが、これは自民党政権時代ですよ、自民党政権時代に、自民党の八十五分の番組を提供したことは、これはやっぱり一つの番組でもおかしいというふうにして厳重注意をしているわけでありますから、このように公正にしっかりと政府としては対応しているということは申し上げておきたいと思います。
○福島みずほ君 これは発言を撤回すべきです。メディアがちゃんと権力をチェックしなければ駄目です。ベトナム戦争におけるエルズバーグさんで、ニクソン政権は差し止めましたが、ニューヨーク・タイムズは報道を続けます。その意味で、アメリカ最高裁は必要なことはちゃんと報道されるべきだということを最高裁判事が言いました。そのとおりで、電波止めるぞという総務大臣の発言、撤回すべきだということを申し上げ、質問を終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、薬師寺みちよさんの質疑を行います。薬師寺みちよさん。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 昨日、名古屋ウィメンズマラソンが華やかに開催をされました。しかし、私が今日取り上げたいのは、その華やかな大会ではございません。その十分前にスタートいたしました名古屋ウィメンズホイールチェアマラソン、車椅子マラソンです。九名の女性たちが華麗に十・五キロを駆け抜け、二十四分というすばらしいスピードで、沿道からは、わあ、格好いいねという声であったり、若しくは、えっ、これ何のスポーツなのという声まで上がってまいりました。
 二〇二〇年、夏季大会としては世界で初めて同一地域で二度目のパラリンピックを迎える、その意味において、超高齢化社会の日本でどのようなパラリンピックが開催されるのか、これは世界中が注目をしております。二〇二〇年のパラリンピックの意義、極めて重要な意義を私は考えております。
 総理は、世界に向けて何を発信していきたいとお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) パラリンピックは、スポーツを通じ障害者の方々の自立や社会参加を促すとともに、様々な障害への理解を深めるものでありまして、大きな意義がある大会であると、このように思っております。二〇二〇年には我が国で二回目となるパラリンピックが開催されるわけでありますが、この大会を契機として、日本を障害者の方々にとってバリアのない、そして障害者の方々にもチャンスのある、世界で最も生き生きと生活できる国としていきたいと考えています。
 具体的には、パラリンピックの参加国・地域数について過去最多となることを目指すとともに、ユニバーサルデザインや心のバリアフリーを推進してまいりたいと思います。また、パラリンピックの日本代表選手が大会で活躍できるように、競技力強化に取り組むとともに、障害者スポーツ団体への支援や障害者がスポーツを気楽に楽しめる環境づくりを行ってまいりたいと思います。
 今後、大会の成功に向けて、組織委員会や東京都と連携しながら政府一丸となって取り組んでいきたい、東京大会が世界中の障害者を始め全ての人々に夢を与える大会となるように努力をしていきたいと思っております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 最近のオリンピック・パラリンピック、このパラリンピックの大会の評価というものが大会全体の評価を左右すると言っても過言ではないというふうに言われております。
 しかし、皆様方は障害者が健常者よりも運動能力が低い、できないというイメージをお持ちではないでしょうか。このパネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 走り高跳び、そしてこの五千メートル走を見ただけでも、健常者に迫る勢いでその記録を年々伸ばし続けております。もはや、世界では障害者スポーツは病院などで行われる機能回復訓練の延長ではないんです。スポーツ競技へと進化を遂げているんです。
 しかし、残念ながら、日本では成人の障害者の週一回以上のスポーツ・レクリエーション実施率は二割、健常者の半分にも満たないんですね。それは、一つ大きな構造的な問題があるというふうに言われております。スポーツを行う機会がない、場所がない。
 昨年十月にスポーツ庁、一元化されるまで、中央省庁におきましても、障害者スポーツは厚労省、そして健常者スポーツは文科省と、このように管轄が分かれていた。トップアスリートをサポートしてきたナショナルトレーニングセンター、そして国立スポーツ科学センター、障害者の皆様方は利用することもできなかったんです。しかし、一元化されたことによって一歩も二歩も進んでまいりました。
 しかし、地方ではどうでしょう。都道府県において健常者と同じスポーツ担当部署があるのは、東京、佐賀、鳥取のまだまだ三県のみでございます。市町村に至っては二二・三%しか健常者と同じ部署が担当していないことが分かっております。これではまだまだ障害者の皆様方、スポーツ参加する機会であったりその場を提供するということについては程遠い状況ではないかと私は考えております。
 障害福祉、そして社会福祉というような観点からスポーツへと進化させるためにも、早期にこれ、地方で、県で一元化をするべきだと私は考えておりますが、馳大臣の御意見、いただけますでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) まず、薬師寺委員におかれては、超党派のスポーツ議連におきましてもパラリンピック支援のPTにおいて大変御支援いただいていること、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 私も自民党のオリンピック・パラリンピック招致本部長をしているときに世界中を回って関係者にお話伺いましたときに、日本ならばこのパラリンピックの開催について大きな可能性を発揮することができるだろうし、同時に、パラリンピックを開催した後も国としてパラリンピックに対する支援、なかんずく障害者に対する支援を充実することができるであろうと、こういう声をたくさんいただきましたし、我々はやっぱり、復興五輪という位置付けとともに、障害者が日常的にスポーツに参加をすることのできる環境づくり、これもまた二〇二〇年の大きなやっぱりレガシーにしていかなければいけないと考えております。
 そこで、スポーツ庁においては、今年度から、各都道府県、政令指定都市において、スポーツ関係者と障害福祉関係者が連携・協働体制を構築し、相互に一体となって障害者スポーツを推進する地域における障害者スポーツ普及促進事業を実施しております。
 また、今スポーツ庁と同様に所管を一元化しておりますのは、平成二十七年度は東京、佐賀、鳥取の三都県と承知しておりますが、今後、平成二十八年度の状況も把握したいと考えております。現時点で把握している範囲では、福島、神奈川、福岡の三県は次年度から所管を一元化する予定であると承知しております。
 こういう取組をやはり多くの都道府県、市町村関係者にも御理解いただいて、やっぱり一歩一歩ではありますが、この障害者スポーツ団体のガバナンスを支援することも必要でありますので、行政としても一体化できるように促してまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。障害者アスリートの皆様方は、今の言葉を本当に心強く受け止めてくださったことだと思います。
 しかし、残念ながら、国体、皆様方御存じですよね、しかし、その終了後に同じ会場で開催されております全国障害者スポーツ大会の存在については、もう数%の皆様方しか認知度がないということも分かってきております。これではいけないんです。一九六四年東京オリンピックを機に始まった大切な大会です。パラリンピアンの皆様方、八割の方々がこの大会出身だということも分かっております。この大会は障害者手帳を交付されていないと何と参加資格がない。しかし、ちまたでは、車椅子バスケット、ブラインドサッカー、ローリングバレー、混合チーム、いわゆる健常者とそして障害者の皆様方の混合チームが次から次へと生まれている現状でございます。
 まずは、このような大会において健常者、障害者共同参加チームによる試合を積極的に導入することで相互理解も深め、そしてしっかりと次のパラリンピックへと続けていく道をつくられてはいかがかと思うんですが、馳大臣、御意見いただけますでしょうか。
○国務大臣(馳浩君) 文科省では、障害のある人とない人のスポーツ・レクリエーション交流事業実施のためのガイドブックやスタッフの手引等の作成と普及をいたしております。また、地域スポーツクラブへの障害者スポーツ導入のためのガイドブックの作成等、障害の有無にかかわらず地域スポーツクラブに参画できる環境整備をしております。さらに、学校において、障害者スポーツを通じた障害のある子供とない子供の交流及び共同学習の推進などに取り組んでおります。
 今後とも、健常者と障害者と一体になってスポーツ活動や障害者理解の促進に資する活動に取り組んでいきたいと思いますし、今委員御指摘の点についても、日本障がい者スポーツ協会に設置された検討組織に、この御指摘も踏まえまして、共生社会の実現等の観点からどのような取組ができるのか検討するように促してまいりたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 健常者、障害者、そういう枠を超えて、共にスポーツを楽しみ、そして競い合う、こういう姿こそ私はこれから日本が目指していかなければならない姿ではないかと考えております。是非御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
 今日は、遠藤大臣にもいらしてくださっております。私からは提案がございます。
 学習指導要領に実はパラリンピックってなかなか入らないということで、これからしっかりとそれも議論していただきたいんですけれども、そのパラリンピックについてもっと理解を進めるために、一県一障害者スポーツを応援するようなプロジェクトを是非立ち上げていただきたいなと思っております。
 学習指導要領にそのようなものが入ってしまうと、どうしても座学になってしまいます。話を聞くだけでは大変もったいないです。私も先日、車椅子のバスケットを体験して、もうこれ感動いたしました。こんなに面白いものはないんじゃないかと思ったほどでございます。
 そのような形で、次から次へと子供たちから理解を進めて、そして次のパラリンピックには大勢の子供たちがパラリンピックを応援するだけではなく体験するような、そういうプロジェクトを立ち上げるべきではないかと考えておりますが、馳大臣、そして遠藤大臣から答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(馳浩君) 二点の論点があると思います。
 まず、二〇二〇年に向けて、各都道府県や市町村、各学校においてそれぞれやっぱりターゲットを絞りながら、障害者スポーツまたパラリンピックの競技を体験しようと、ビデオで見てみようと、そういった教材を通じて、実際にやってみて、そして各都道府県でも大会やっておりますので、それを応援に行こうと、こういう形で、まさしくそれを子供たちが体験をすることによって健常者と障害者のバリアフリーのまず環境づくりに資していくと、これは重要なことだと思っています。
 また、そうすることによって、実際の二〇二〇年の大会が盛り上がり、その後、やはり恒常的に各学校においても障害者スポーツに理解を示す活動が普及をしていく、子供が理解を示すことができれば当然保護者や地域の皆さんにも理解が広がるのでありまして、そういう心のバリアフリーを進めるための事業をしていきたいと考えております。
 実際に平成二十八年度の予算としても、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業、これを盛り込んでおりまして、今申し上げたような具体的に両者の交流事業を進めることにしておりますので、是非全国でこの事業を参考にしていただきたいと思います。
○国務大臣(遠藤利明君) 先ほど馳大臣からありましたように、薬師寺委員には、障害者のスポーツ振興はもちろんそうですが、とりわけ、女性アスリートの支援のために大変事務局次長として御支援いただいておりますことに、議連の幹事長という立場からお礼を申し上げます。
 さて、先ほど話ありましたように、オリンピック・パラリンピック、これどちらも大事ですが、昨年ロンドンに行きましたときにロンドン・オリンピックの成功はという話をいろんな方に聞いたときに、組織委員会のセバスチャン・コー会長からは、パラリンピックを成功させることが結果的にオリンピック・パラリンピック一体とした成功になりますよと、もう是非頑張っていただきたいと、こんな話がございました。総理からも、新国立競技場を造るときに、世界最高水準のバリアフリーの施設をしろと、そういうような形でありますから、今このパラリンピックの支援に最重要課題だと思って取り組んでおります。
 今回、昨年十一月にオリパラ基本方針を作りましたが、ここの中でも世界に誇れる水準のユニバーサルデザイン化された町づくりや心のバリアフリーの推進によって、レガシーとして共生社会をつくっていく、こんなことに取り組んでいきたいと思っています。
 私も、昨年来いろんな大会に行きましたけど、特に先ほどあった車椅子のバスケットなんかは球技というよりも格闘技のような激しさがありますし、これはすばらしいなと、やっぱり見なきゃ駄目だなと思いました。パラリンピックの関係者の皆さんからいつも言われるのは、会場をいっぱいにしたいと、皆さんに、子供たちに見てもらいたいと、そういうふうな話があります。
 馳大臣から話がありましたように、教育の中でそうした、まずは見てもらうこと、そして場合によっては体験をしてもらうこと、そういう取組をすることによって結果的に心のバリアフリーの推進につながっていくと思っておりますので、今回、ユニバーサルデザイン二〇二〇関係府省庁連絡会議というものを立ち上げて、そこの中でいろんな分野から研究いただいておりますが、先ほどの御提案なども含めて、学校教育分野に限らず、民間企業の皆さんを巻き込んで進めていきたいと思っておりますので、なお御支援よろしくお願いいたします。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 もう是非進めていきたいと私も考えておりますが、実は一点だけ問題がございます。障害者の手帳に関する問題でございます。
 今までは、障害者の皆様方、昭和二十五年より医学モデルに基づきまして障害者の認定が行われておりました。これは数値で切っていくという大変冷たいものでございまして、これではなかなか実際の生活にマッチしたものではないという御意見、たくさんの障害者の皆様方からも今までいただいておりました。世界的には障害者に対する考え方は変化してきております。社会モデルというものが適用されまして、その方々が社会的に直面している問題があるのであれば、それこそが社会にある障害であって、支援の手を差し伸べていこうという対象になるものでございます。
 この障害者手帳の様式も昭和二十五年以来ほとんど変わっておりません。このような不完全さ、そして不平等さの解消のためにも、障害の定義、そして認定の在り方を広い立場から再議論するべきと考えますけれども、塩崎大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生御指摘のように、この障害の捉え方というものについて医学モデルと社会モデルがあると、そのとおりだと思いますが、これらをやはり総合的に勘案していくことが重要なのかなというふうに思っておりまして、今、身体障害者手帳は、一定の客観性、明確性を確保するために、主として医学的な観点から、身体機能の状態を基礎として、日常生活における制限の程度も考慮し、認定基準に基づいて判断をするということをやっておるわけでありますけど、一方で、福祉とかあるいは雇用の世界では、障害者を支援する制度については、手帳の有無のみならず、それぞれの趣旨あるいは目的を踏まえて支援が必要な対象者の範囲が定められるということになっていまして、例えば福祉の分野では、障害者総合支援法において、まず基本理念として社会モデル的な要素を盛り込んだ上で、手帳の等級ではなくて障害支援区分、これで分類をして支援の必要性というものを判断をするということをやっています、いろんな解釈ありますけれども。それから、難病患者とか障害児については手帳の有無を問わずに制度の対象としておるところでございまして、また、雇用の分野でも、手帳の有無を問わず、ハローワークとか障害者の就業・生活支援センターがございますけれども、就労相談支援の対象としていると。
 したがって、今後とも、各分野においてそれぞれの制度の趣旨、目的を踏まえて必要な見直しを検討しつつ、障害者に適切な支援が提供されるようにしなければならないというふうに考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 最後に一問だけ質問したかったんですけれども、お願いに代えさせていただきます。
 実は、パラリンピック、聴覚障害者の聾の方や知的障害者の皆様方は参加できません。聾の皆様方はデフリンピック、そして知的障害者の皆様方はスペシャルオリンピックスというものがございます。こういうオリンピックスもしっかりと日本で招致し、そしてこれからの高齢化社会に更にこの日本が生かしていくというようなことを総理には是非リーダーシップを取っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 本当にありがとうございました。
○委員長(岸宏一君) 以上で薬師寺みちよさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岸宏一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
○荒井広幸君 新党改革の荒井広幸です。
 これは結構混乱があったんですが、混乱の原因を突き止めたいと思います。待機児童についてです。
 厚労省、待機児童の定義を言ってください。待機児童とは何か。
○政府参考人(香取照幸君) 御答弁申し上げます。
 待機児童の定義でございますが、昨年四月から施行されております新しい子ども・子育て支援法の中では保育の必要性の認定という仕組みが新しく導入されておりまして、保育の必要性の認定を行っております。この認定を受けた上で保育所などの利用申込みがされている方で、現に利用ができていない児童ということを基本としております。
 この場合、利用できていないという考え方ですが、もちろん公的な施設保育、認可保育所のみならず、例えば地方単独事業等で支援が行われている場合等、一定の質が確保された保育所で保育サービスを受けておられる方についてはこの待機児童の数には含めないと、こういう取扱いになっております。
 また、現に空いている保育所がありましても、特定の保育園にどうしても入りたいということでその園のみを希望するというようなケースもございますが、こういったケースにつきましては待機児童に含めないということで整理をしているところでございます。
○荒井広幸君 そうしますと、パネルを御覧いただくと、三番目なんですが、(資料提示)このように、分かりやすく言いますと、育休を延長したり自宅で求職をする、例えばインターネットを使う、そういうようなものを含めているところと含めていないところを認めていることなんですね。これは地域事情、偏在がありますから、偏在していますね、問題が。ですから、やむを得ない部分があると同時に、実は政府が野党からの意見で混乱していたのはこの辺にもあるわけで、これはつまり役所が基本的なデータをきちんと持っていないということだろうと思うんですね。
 育児休暇中の場合のケースでは、市町村で個別に判断していいということなんですね、今のお話のように。これが隠れ待機児童というのを生んでいる原因にもなるわけです。ですから、しっかりこれは厚生省として実態調査をしていただきたいんですが、私は、混乱をしている中だからこそみんな関心を持っていただいたと思うんです。
 そこで、こうした観点から聞きたいと思うんですが、保育人材が不足しておるわけです。これはもう急激に今この二、三週間でみんなが関心を持ったということもありますが、二十七年度から開始した地域限定保育士試験の実施というのがあるんです。地域限定、これは安倍内閣のときに、千葉県成田市を始めとして国家戦略特区なんです。地域限定の保育士の試験がありまして、合格すると三年地元で奉仕をする、働く。これいいですよね。それで、二十八年度、来年から、じゃ同じように今度は試験を二回実施する、一回より二回やった方がいいですから。これもやっているんですよ。これ、私は全く知らなかったんです。
 それで、これをやっていくということはいいことなんですよね。二回、今度その国家戦略特区をまねて二回、その地域限定型保育士試験をやるということをまねて二回やるというのはすごくいいことなんですが、問題は、地域限定型の試験の特徴が薄れてしまって、地域における人材確保の観点からいうと、普通の保育士の試験は全国共通ですから、地域限定の試験と同じようなものを二回やられると地域にとどまってもらえないという偏在性が出てくるんです。これ何らかの工夫が必要だと思いますが、厚労大臣、どうでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 荒井議員にお褒めをいただいて、ありがとうございます。
 保育士確保策の一つの柱は、できるだけ多くの方々に保育士の資格を取ってもらうということでありますけれども、実は、これまで長く、年に一遍しか試験がなかったということでありました。
 より多くの方に受験をしていただくということで、特区を活用して、神奈川県など、大阪もそうですが、ところで二十七年度に新たに地域限定保育士制度を創設をして、この試験を四府県において実施をいたしました。
 それで、この地域限定保育士試験をきっかけにいたしまして、平成二十八年度において通常の保育士試験を含めて試験を年二回実施する都道府県が大幅に拡大されることになった。つまり、全体も二回やろうという機運がこの地域限定の保育士を突破口にできたと、今までもう長年できなかったんですが。地域の方々は、三年間、その当該地区で、県でやっていただいた後は全国でやれるということになりますので、何ら遜色がないわけです。
 ただ、今御心配いただきましたが、国としては、地域限定保育士試験を実施する自治体によって指定をされた講習を受講すれば地域限定保育士試験の実技試験が免除されるといった仕組みの導入について今検討しておりまして、この試験の魅力を高めるとともに、地域限定保育士試験を実施する自治体に対してできる限り支援を行っていきたいというふうに考えております。
○荒井広幸君 このように、地域限定型というのが偏在に効きますね。
 是非、大臣がおっしゃったように、実技の免除などを十分やってください。ピアノというか、オルガン弾いて歌を歌うなんというのも実技にあるので、これ苦手な人もいますから、そういうものが、三つのうちから二つ選択なんですけど、それらを更に簡易化していくというのもすごく重要だと思うんですね。オルガン弾けなくたって、私なんかカスタネットで大体小中学校やってきたので、これもいいんだろうと思うんですね。ちょっと言い方はなんですけど、民主党政権よりは随分進んできていると思うんです。
 その意味で、富山県もいいこと言っているんですよね。この富山県は国家戦略特区で、まだこれも厚生省がなかなか相手に、大臣、してくれないんですよ。医療用大麻と同じ。厚生省というのは何から何まで遅いんじゃないかというぐらいなんですね。
 これは、富山県はどういうことを言っているかと、国家戦略特区で。保育士が介護福祉士になりやすくするように、実技などを免除というかカウントを簡略にしたり、それから共通の試験項目があるんですよ、保育士と介護福祉士が、そういうものを免除したり、これをやらせてくれないかが第一番目。
 第二番目は、ここも考えています、偏在ですね。富山県では一生懸命子育て世代環境をつくりますが、それでも、安倍内閣もそういう環境を応援しますが、子供さんたちがなかなか増えないとなればピークがあるだろうと。そのピークを考えれば、保育所が老人福祉用の施設に変われないかというところまで模索しているんです。今、保育所をなかなか造れないのは、私立の方が増えました、二万五千のうち一万五千が私立で公立は一万になって、逆転したんですね、件数は。しかし、公立が増えないのは、それに投下しても元が取れないと思うから。そういうところも、補助金ではありますけど、考えているんですよ。
 となると、保育所が特別養護老人ホームに変われるというような意味で、今大体十年間です、補助金は。七年間たって変えたいときに、補助金返せと言うんですよ、国は。非情なものです。それはもう言わないよ、転換していいよと、こういう保育所からお年寄りの介護のための施設に変える、そのときの融通を利かせてくださいと、これ二点目。
 三点目は、最初から合築、保育所とそして介護の施設を一緒にする。お互いが、おじいちゃんは、おばあちゃんは孫さんたち見て、またこれも心の健康になりますよ。子供たちもいいですね。そして、保育士さんたちも力強いと思いますよ。
 こういうことをさせてくださいと言っているんですが、相変わらず厚生労働省はなしのつぶて。もちろん、これ内閣府でやっていますから、一億総活躍大臣の内閣府でやっていますからね。しかし、実際は厚生省とやって、反対しているからなかなか厚生省との順番、協議に入っていないということなんです。
 こういう問題点があるんですが、事務的に、こういう地域性を鑑みたら、なぜこれ特区でやらせて問題があるんですか、厚労省。
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
 たくさんの問いをいただきましたので、順番に申し上げたいと思います。
 まず、福祉ニーズの多様化、複雑化、そして人口減少といった福祉分野を取り巻く課題に対応するため、厚生労働省におきまして、昨年九月に新たな時代に対応した福祉の提供ビジョンというのを取りまとめております。この国家戦略特区において富山県が進めていらっしゃること、これは保育や介護等の福祉サービスを総合的に提供できる環境の整備を進めるということでございまして、これは、私どもの方の本ビジョンとこれ方向性を一にしているものでございます。
 本ビジョンは、高齢者、障害者、児童を分け隔てなく、包括的、総合的に支援するという今後の福祉の方向性を示しておりまして、具体的には、まず、今年度中に各制度の人員配置基準や設備基準についての現行の規制等について、まず運用上対応可能な事項についてガイドラインを作成することといたしております。
 また、補助金の関係も御指摘いただきました。福祉施設の転用に係る補助金の支給方法の見直しにつきましても、これは検討することといたしております。
 さらに、その人材の関係でございます。福祉人材の多様なキャリア形成を支援するとともに、福祉労働市場内での移動を促進するために、福祉系資格保有者が他の資格を取得する際の試験科目の免除、あるいは複数資格の取得を容易にするための環境整備などについて今後検討することといたしております。
○荒井広幸君 今後、今後はいつなんでしょうか。それを今後検討しますなんて言われたら、落ちている方々は全く浮かばれませんよね。やっぱり今なんですね。大臣、スピード感を持って、思い切ってやってください。地方は実体験があるわけですよね、実際運用して実施しているんですから。その意見を聞くことですよ。東京で集まって立派な方々がといって議論をしていたって、私は時間が掛かってなかなかいい答えというのは、全てに効く答えというのはないんですから、もうその地域を尊重するべきですよ。
 大臣、見解ありますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、富山県のお話をいただきまして、実は障害と高齢者福祉とを一緒にやる、富山式と我々は呼んでいるんですが、デイサービスというのがあって、普通の高齢者のデイサービスがメーンではありますが、そこに障害の方が来られていて、そして子供が放課後にそこで来て居場所になっている。さらに、そこ自体がB型の障害者の作業所のようになっていて、そこで障害者の方が、知的障害の方が働いていると、そういうようなことを複合的にやっておられるということを拝見をして、行ってまいりました、この間。
 そういう意味で、今のお話はまさにそうですから、スピード感を持って考えていきたいというふうに思います。
○荒井広幸君 続いて、保育士の方々は、世界中では大体、幼児というのはずっと三つ子の魂百までもというのが我が国にあるように、教育者なんですね。
 今、待機児童の議論を随分していますけれども、総理、皆様、待機児童解消のために総理も全力を尽くしてこれをやるという決意は十分伝わっています。しかし、待機児童だけではなくて、保育の在り方というのを教育の側面も含めてどのように総合的に検討するかという、量と質の話をしていかなくちゃならない。
 そういうことになりますと、総理そして副総理、皆さんに御提案したいんですが、二〇〇五年でしたかね、小泉内閣の与謝野大臣の、小泉総理の頃だったと思いますけれども、失われた年金等々が出てきて、年金と社会保障に関する衆議院・参議院合同検討会というのをつくったんですよ。党派色をなくして、国会で衆参で決議を上げて、そしてしっかりやろうという決議をして、そして合同委員会をつくっているんですね。
 私は、そろそろ、子育て含めて少子高齢化社会のそうした、お互いが言った言わないとか、ああだこうだということではなくて、私も次、改選期を迎えますが、選挙だからというんではなくて、両院にこうしたじっくり腰を据えた協議会というのを少子高齢化についてつくってみたらどうか、その中で保育とか介護とか医療というものを考えてみたらどうかなというふうに考えております。これは、総理の立場としても総裁の立場としてもまだ言えないと思いますので、そうしたことを私自身御提案を申し上げておきたいということでございます。
 では、次に参りますけれども、先ほど御覧いただきましたように、隠れ待機児童がいるということになると、やっぱりデータをしっかりするということだと思うんです。
 厚労大臣、それをもう一回、実態を洗いざらい見直さないと本当のやり方が見えてこない、かゆいところに手が届かない、困ったところに両手が差し伸べられないということになりますので、適時適切に実態をつかまえていただきたいと考えております。これで答弁をもらうと長くなるので、よろしゅうございますね。しっかりお願いいたします。
 では、総理にお尋ねいたしますが、二十七年の秋の叙勲を若干見てみました。二十七年の秋の叙勲で、政治家は四百十六人、お医者さんは八十三人、公務員で大学病院などにいる方々は別枠ですからもっと多いです、これは、はるかに多くなります。介護職員十五名、保育士三十四名です。政治家四百十六名、私もその立場ですが、保育士、介護職あるいは看護、どうなんでしょうかね。叙勲の面でもっと社会的評価ある方々じゃないですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 栄典の授与については、現在、官房長官の下で、時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会を開催をしておりまして、見直しの検討を行っているところであります。叙勲において保育士や介護職員を積極的に評価していくことについても、議員の御指摘も踏まえて検討を行っていきたいと考えております。
○荒井広幸君 そして、その社会的評価を高めるには教育職だということです。アレルギーの知識から様々ないとできないわけですよ。
 そういう中で、保育士の給料は三割安いというのは今日も出てまいりましたけれども、保育士のキャリアアップの仕組みというのが、先ほど富山もそういうことで、保育をやってだんだんには介護にも移れるようにするというキャリアアップがありますが、同時に、介護の世界でも認定介護福祉士という形でキャリアアップの道が開かれていくんですね。看護婦さんもそうなんですね。感染症対策などしているという方々をキャリア認定というような形でやっていく、そういう計画を持っているわけです。それがまたいわゆる措置費、補助金等に跳ね返っていく、そういう人が何名いればと。
 こういうことも含めまして、保育士のキャリアアップにおいて、例えば認定保育士のような分野をつくってはどうでしょうか。今、園長さんとそれから主任者というものしかないんですよね。この件についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(香取照幸君) 御指摘いただきましたように、保育士さんたちのキャリアパス、キャリアコースをきちんとつくっていくということは非常に重要なポイントだと私ども考えております。保育士さんの持っております専門技術でありますとか経験年数というものをきちんと踏まえたパスをつくっていくということが必要ではないかと思っております。
 先ほど申し上げましたが、新しい制度がこの四月から、昨年の四月から始まっておりますが、この中で、実は三%相当、消費税財源を使った処遇改善をしておりますが、このときは、保育士の平均勤続年数に応じて段階的に加算をするという仕組みを導入いたしております。
 キャリアパス、キャリアアップの仕組みをつくるに当たっては、経験年数と併せて資質の向上というものをきちんと図っていかなければいけないということで、私ども、各種研修につきましては、都道府県、市町村が行うものには補助金をお願いしておりますが、現実は非常に現場が厳しい、忙しいということもあって、なかなか出てこられないということ。それから、そもそも保育所は非常にみんな小さいものですから、小さい保育所の中でキャリアパスで段階をつくるというのがなかなか難しいということで、私ども、今まずそういった形で研修を通じてキャリアを積んでいただく、専門性を高めていただくということをまずやって、その上で処遇面でのいろいろな配慮をしていくということを考えたいと思っております。
○荒井広幸君 しっかり進めてください。
 相撲ですので、終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて社会保障・国民生活等に関する集中審議は終了いたしました。
 次回は明十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二分散会