第190回国会 外交防衛委員会 第5号
平成二十八年三月十七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     中原 八一君     山谷えり子君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     山谷えり子君     中原 八一君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     北澤 俊美君     柳澤 光美君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 正久君
    理 事
                古賀友一郎君
                塚田 一郎君
                三木  亨君
                榛葉賀津也君
                荒木 清寛君
    委 員
                宇都 隆史君
                片山さつき君
                中曽根弘文君
                中原 八一君
                堀井  巌君
                大野 元裕君
                福山 哲郎君
                藤田 幸久君
                柳澤 光美君
                石川 博崇君
                井上 哲士君
                小野 次郎君
              アントニオ猪木君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣     中谷  元君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       槌道 明宏君
       警察庁長官官房
       審議官      露木 康浩君
       警察庁長官官房
       審議官      斉藤  実君
       総務大臣官房審
       議官       宮地  毅君
       法務大臣官房審
       議官       佐々木聖子君
       外務大臣官房外
       務報道官     川村 泰久君
       外務大臣官房国
       際文化交流審議
       官        下川眞樹太君
       外務大臣官房審
       議官       水嶋 光一君
       外務大臣官房審
       議官       中村 吉利君
       外務大臣官房審
       議官       大菅 岳史君
       外務大臣官房参
       事官       山田 重夫君
       外務省経済局長  金杉 憲治君
       外務省領事局長  能化 正樹君
       財務省国際局次
       長        吉田 正紀君
       厚生労働大臣官
       房審議官     森  和彦君
       観光庁審議官   古澤 ゆり君
       防衛大臣官房長  豊田  硬君
       防衛省防衛政策
       局長       前田  哲君
       防衛省地方協力
       局長       中島 明彦君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (慰安婦問題に関する日韓合意に関する件)
 (平和安全法制に関する件)
 (外国人観光旅行者に対するビザ発給要件の緩
 和に関する件)
 (陸上自衛隊情報保全隊の情報収集活動に係る
 訴訟に関する件)
 (北朝鮮による日本人拉致問題に関する件)
 (北朝鮮による核・弾道ミサイル開発に関する
 件)
 (沖縄における米兵による性暴力事件に関する
 件)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、北澤俊美君が委員を辞任され、その補欠として柳澤光美君が選任されました。
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○委員長(佐藤正久君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官槌道明宏君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(佐藤正久君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○片山さつき君 おはようございます。
 委員長を務めさせていただいてはおりましたが、この委員会では初質問でございますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、今大変話題になっております国連の女子差別撤廃委員会につきまして、我が中学、高校の先輩でもあるんですが、外務省の杉山外審、非常に頑張って、例の二十万人の人数の部分について、あるいは性奴隷という表現は不適切である等、いろいろしっかり発言をしてくださったんですが、最終的な報告書の中では、性奴隷という言葉が消えたということ、それから強制連行という言葉も直接には消えたということは前進ではあったんですが、というか日本側の主張は入っていたんですが、このほか杉山外審がプレゼンをさせていただいたことの多くが触れられていないと。また、強制性について、強制性の証拠が認められなかったという日本側の政府の説明については委員会側がことごとく無視した結果となっております。つまり、残念な部分もございました。
 また、杉山外審の発言は日本語でなされておりまして、英文が、先般の我々の外交・経済連携本部国際情報検討委員会、私は委員長代行をしておりますが、その時点ではまだ外務省のホームページに英文で載っていなかったんですが、これはしっかり英語で広報すべきでありますし、また、日本からの委員長が選出されておりますが、林さんという弁護士の方なんですけれども、この方は、かつての女性国際戦犯法廷の日本側代表だった亡くなられた松井やより氏等々の後継に当たる方である、非常に強い御主張を持たれた方であるということは間違いないという客観的な評価がありまして、私の手元に、去年からこちらに参加させていただいている保守系のNGOからの報告書があるんですが。
 まず、なぜこういうある特定の非常にしっかり確固とした御主張をお持ちの方が日本側の代表として委員長になっておられるのかということと、今回の国際的な場としては非常に注目を集めた女子差別撤廃委員会における一連の結果につきまして、岸田外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 三月七日ですが、国連の女子差別撤廃委員会から、女子差別撤廃条約の我が国における実施状況に対する最終見解、発表されました。最終見解は法的拘束力を有するものではありませんが、内容につきましては、十分検討の上、適切に対処していきたいと考えます。
 なお、慰安婦問題については、日韓合意は被害者を中心に据えたアプローチを採用していないと批判するなど、日本政府の説明内容を十分踏まえておらず、極めて遺憾であり、これを受け入れることはできないと考えております。
 そして、杉山外務審議官の発言でありますが、杉山外務審議官の対日審査における発言、日本語で発言をいたしました。この日本語部分につきましては外務省ホームページに掲載済みですが、英訳については、正確を期すべく精査し、昨日、三月十六日、外務省ホームページに掲載をしたところであります。
 そして、女子差別撤廃委員会の委員長の選抜について御指摘がありました。日本からは二〇〇八年から弁護士であります林陽子氏が女子差別撤廃委員に選出され、二〇一五年から委員長を務めております。そして、委員会の委員長は、計二十三名全ての委員によるコンセンサスで選出されると承知をしております。
 以上でございます。
○片山さつき君 やはりこれも外務省が関与できる人事ということでございまして、公平公正を期すという点から、また自民党の外交・経済連携本部国際情報検討委員長としても、この件については継続的にフォローさせていただきたいと思っております。
 また、歴史的な日韓合意の後も、日韓合意されてはいないのに非常に極端な慰安婦についての誤解と偏見に満ちた報道が国際的に出ているのは事実でございまして、こういったことについてしっかりと反論をして日本の名誉を守る活動をしていただくために、二十六年度の補正予算から戦略的な対外発信の予算を五百億円付けておりまして、ジャパン・ハウス構想等も出ているわけですが、一連のこの動きについてこの予算はどのように役に立っているのか、まさにこれから委嘱審査もあるわけですが、私たちは自民党の支援者に対してそれを説明しなければならないんですね。
 ですから、こういった誤解があり、またそれが報道されて国民が心を痛める問題について、今この時点でどこまで予算が役に立っているのかについて外務大臣にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(川村泰久君) お答え申し上げます。
 まず、日韓の合意につきましては、今回の合意によりまして慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されるということが確認され、日韓両政府が最終的かつ不可逆的な解決であることを国際社会に向けて明言をしたということは、これまでになかった画期的な成果であると認識しております。また、この点につきましては、米国を含む国際社会も本件合意を歓迎しております。海外のメディアにおきましては、欧米の主要紙、例えばワシントン・ポスト紙などが社説におきまして日韓関係の改善を高く評価しているということを承知しております。
 ただ、先生御指摘のとおり、事実に基づかない記述も散見されております。このため、今回の合意の正確な内容や意義について在外公館等を通じまして各国政府、有識者、メディアに積極的に説明しております。これに加えまして、不適切な記述につきましては適切に申入れを行ってきております。
 また、本年度の対外発信強化の予算でございますけれども、主に在外公館長からの反論、投稿、ホームページ、動画を通じた発信など、各国の有識者、メディア、関係者などの招聘を拡充、シンクタンクとも連携を強化、こういったことを通じまして、国際社会の理解を得るべく戦略的かつ効果的な発信を強化してきておりまして、これまでのところ、これに理解を示すという海外の報道ぶりも増えてきているというふうに認識しております。
○片山さつき君 引き続き、この問題は国際情報検討委員会としてもしっかりフォローしたいと思います。
 次に、南シナ海についてお伺いしますが、中谷防衛大臣、中国は西沙諸島に地対空ミサイルを配備し、先月末の報道によりますと、南沙諸島の方には最新型のレーダーが造られつつあるということでございます。これは、ハリス太平洋軍司令官はヒアリング、議会公聴会で、中国の行動は極めて挑発的で明らかにこの地域を軍事化していると言っているわけですが、防衛大臣として、我が国にとってのシーレーン、それから航行の自由、さらに海洋安全保障上から見て、この状況をどう捉えておられるかをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) 南沙、また西沙における中国の一連の行動につきましては、領有権に関する関係国の主張が対立をする中で一方的な現状の変更及び既成事実化を一段と進めようとする行為でありまして、これまでも我が国といたしまして深刻な懸念を表明をしてきております。
 我が国にとりましては、南シナ海における航行の自由、シーレーンの安全確保は重要な関心事項でありまして、こうした中、南沙諸島において中国における軍事利用、これが進む場合には、周辺国との緊張が一層深刻になり高まるということと同時に、我が国にとりましても、シーレーンの安定的な利用に対するリスク、これが増大をしかねないなど、安全保障上の影響が否定できないと認識をいたしておりまして、この海域の問題につきましては、アジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項でありまして、引き続き、中国の活動を含めまして、南シナ海における情勢に注視をしてまいりたいと考えております。
○片山さつき君 やはり、一方的な力による変更は許さないということで、官邸の方でもずっとコメントをしてきておりますので、今年の四月、五月は非常にいい機会でございます。
 まず四月に、岸田外務大臣の御地元で、広島で外相会談がございます。この場でもしっかりと、こういった動きを許さないという協調体制をG7の場でも打ち出し、また五月の伊勢志摩サミットでもしっかり打ち出していただきたいですし、またさらに、広島で開催されるということがありますので、岸田外務大臣、長年核廃絶問題もライフワークとしてお取り組みでいらっしゃいますし、何といってもアメリカも含めて原爆ドームとそれから慰霊碑への献花を絶対に今回は行っていただきたいと思うんですが、この辺りの二点を含めて、外相会談、そしてサミットに取り組む気概というか方針を外務大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、G7外相会談につきましては広島で開催することになっております。世界の指導者に広島、長崎、こうした被爆地を訪問していただき被爆の実相に触れていただくことは、核兵器のない世界を実現するために国際的な機運を高める上で大変重要だと考えております。こういった観点からも、G7の外相会合の関連行事、是非検討していきたいと考えています。
 また、核兵器のない世界を目指すためには、核兵器国と非核兵器国が協力をしなければ結果につながらないということを昨今の様々な会議、動きの中で強く感じております。G7は、核兵器国と非核兵器国共に含まれる枠組みであります。それを活用することによって、国際社会にしっかりとしたメッセージを発することができればと思っております。
○片山さつき君 本当に、広島の外相会談を皮切りに、もう我が国の国際戦略の最大のチャンスでございますので、是非岸田外務大臣に頑張っていただきたいと心から望むものでございます。
 また、今TPPの問題が非常に我が国にとっても一番ホットな課題の一つでございますが、アメリカの大統領選でも各候補がいろいろな発言をしております。この内容あるいはどの候補がどうということについては特にコメントをすることについて全く意味はないと思うんですが、客観的に、日本とアメリカが承認をしないとGDPの比率からいって承認されないTPP協定でございますので、もしも、アメリカ側においてTPPの現内容に余り満足でない大統領候補が出てきてしまった場合ということはあり得ないことはないんですが、その場合についても、交渉について、内容変更は現状のTPPのプロセスの中では想定されない問題になっていると思うんですね。これだけのことをやって承認したわけですから、そういうことはないようにいろいろなことで持っていかざるを得ないと思うんですけれども、その点につきましては、外務大臣としてお答えになれる範囲でいかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、TPP協定においては、この協定発効前の再交渉について定める規定は存在いたしません。そもそも協定が発効しなければ協定の規定は締約国に対して有効なものとはなりません。そして、TPP協定は二月四日の署名をもって協定文が確定しており、我が国として、米国を含む各国が協定の発効前までの再交渉を求めても、これを行うことはありません。TPP協定は一つの合意が他の合意と複雑に絡み合っており、一つの案件だけ取り出して再交渉すれば全体が崩れてしまいます。我が国としては、こうした再交渉を求められても応じる考えはございません。
○片山さつき君 それでは、対外務省では最後の質問なんですけれども、私は、単純外国人労働者の受入れというのは個人的にはいかがなものかと思っておりますが、やはり、超少子高齢化の中で、いろんな形で日本に来られる、日本に長期滞在される方が増えておりますが、そんな中、おととし、日系ブラジルの方が、これは不法滞在、切れていましたので資格が、をしている中で、同級生の日本人女性を殺してしまって、その方の身分証明書を乗っ取って、それでパスポートを取って出国してしまったという犯罪が起きました。
 そのときにも大変な社会的な事件になって、日本のパスポートは世界で一番信用があります。ところが、昔から通称警察用語で背乗りと言われることが何回も起きているんですよ。これは、拉致とかベルリンの壁があった、東西対立があったときのロシア、ソ連のスパイなんかについてもいろいろ取り沙汰されていたことですが、こういったことを防ぐための措置として、今それこそICT化ですとかあるいは生体認証のようなことが増えているわけですが、現時点では、まだ旅券申請に本人であることがかなりの確度で証明されている形の写真付きの認証がなくても取れることになっているんですよ。
 これは、やはりこれから外国人観光客二千万人、三千万人の時代には、ここは強化をした上で安心、安全に入っていただくことにすべきではないかと思うんですが、外務大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 基本的に、一般旅券の発給申請に当たっては、顔写真付きの公的身分証明書の提示を求めております。ただ、申請者の中には写真付きの身分証明書を有していない方がいるのも事実であり、これらの方にも旅券発給を可能とするための措置として、顔写真のない公的書類二点で代用をすることを可としている次第であります。これら顔写真がない書類をもって申請がなされた場合、旅券事務所の窓口では、いわゆる成り済まし申請の可能性があることを十分想定した上で、面接やヒアリングを通じて慎重審査を行っている、これが現状の対応であります。
 外務省としては、具体的事例も参照しつつ、いかなる場合にどのような点に留意すべきかについて、都道府県旅券事務所の関係者等の間で会議、研修等の機会に認識の共有を図り、成り済まし申請を始めとする不正取得防止に対する技術的な向上、こうしたものに努めて、より対応を強化していきたいと考えております。
○片山さつき君 ありがとうございました。終わります。
○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。
 冒頭、質問通告をしておりませんが、外務大臣にお伺いをさせていただきます。
 シリアで昨年来拘束されたとされている安田純平さんと見られる映像がネットに配信をされました。そこで、お伺いをいたしますけれども、私も、実は本件、大変関心を持っていて、内々フォローしながら外務省の関係者の方とも意見交換をさせていただいてまいりました。
 大臣、現在政府が把握している事実関係及び今後の対処の在り方についてお答えをください。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のまず映像につきましては、本日の未明に放映されたこと、承知をしております。
 そして、今、政府の対応としましては、この映像の分析に努めております。そして、併せて情報収集を行っているということであります。政府として、邦人の安全確保、これは最大の責務であると思っております。様々な情報網を駆使して、全力で対応に努めている次第であります。
 それ以外につきましては、事案の性質上、今の段階では控えさせていただきたいと思います。
○大野元裕君 私もこういったことについてはしっかり協力をさせていただきたいので今日は余り突っ込みませんが、一点だけ。
 外務省、この映像が出ることを承知していたんじゃないんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 映像が出ることを事前に承知していたのかという御質問かと思いますが、こうした映像が出ることについては、外務省としては承知はしておりません。
○大野元裕君 本件については、また事後検証をさせていただきたいと思っております。
 いずれにせよ、邦人の命、しっかりと守っていただきたいとお願いをさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 昨年末の日韓外相会談における日韓合意についてお伺いをいたします。
 今回の合意が慰安婦問題に関する最終的な合意になることを期待をいたしまして、岸田大臣の御苦労には敬意を表したいと思います。その一方で、本合意には不明確な点も残されています。
 第一に、一九六五年、日韓請求権協定において両国間の財産請求権は完全かつ最終的に解決済みと合意されていたにもかかわらず、慰安婦問題に絡んで協議が行われた根拠、教えていただきたい。特に、今回の合意は、協定第三条に基づき、疑義があるとされたことに関する両国の外務当局の協議という理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、日韓間の財産請求権の問題、これは日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであります。今回の合意によっても、こうした政府の立場、何ら変更はありません。
 重要な隣国である韓国との間ではこの慰安婦問題が両国関係の進展に影響を与えている、こうした認識の下に、日韓国交正常化五十周年という節目の年に最終的、不可逆的に解決すべく取り組み、今般、合意に至ったものであります。
 合意に至るまでの協議は、御指摘の日韓請求権協定第三条に基づく協議ではありません。
○大野元裕君 日韓協定の第三条に基づく協議ではない、しかしながら、これはお互いに政治的問題があるからこれを交渉しようということで行ったと、そういう理解をさせていただきましたけれども。
 ただ、他方で、十億円というお金がその問題に関して拠出をされたということは、公金から支出をされるわけですけれども、公金の支出ということは、この協定の相手国、つまり韓国との間でこれが合意されたということは、日韓協定、補足する必要があった若しくは不完全であったということを示しているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日韓間の財産権、請求権の問題、これは日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであります。よって、法的にはこの問題はもう解決していると認識をしています。その上において、先ほど申し上げました、今のこの日韓関係を勘案し、両政府で努力をし、そして合意に至った、こういった次第であります。
○大野元裕君 そうすると、法的には解決をしている、これは一貫した我が国の立場であります。しかしながら、今お伺いしていると、政治的にこれを合意しあるいは解決をしたと、そういうことでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 整理して申し上げるならば、法的には解決済みであります。その上で、政治的な判断として今回合意を行ったということであります。
○大野元裕君 ちょっとお伺いしたいんですが、安倍政権の閣僚を務められました山本参議院議員は、平成二十四年八月の予算委員会で、当時の野田総理に対して、法的な分野で決着が付いているだけじゃないんですよ、政治的にももう最終決着なんですよ、法的にも政治的にも決着をしているんですよというふうに、当時山本議員は閣僚ではありませんけれども、安倍政権で閣僚を務められましたが、述べられておりますけれども、これ自民党の立場ですか、それとも同議員の発言が不適切なんでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の発言の内容について、その内容やその背景、意図についてちょっと今私は確認するすべがありませんが、少なくとも日本政府としては、この問題について法的に請求権・経済協力協定によって解決している、こういった立場は再三申し上げてきております。政府の立場は法的な解決は行われているということであり、その上で、政府として政治的な判断に基づいて今回合意を行ったということであります。
○大野元裕君 私も、政治的には、これ流動的になりますから、当然そういったことはあり得ると思っています。
 その上で少し細かい話聞きますが、拠出されると言われている資金ですけれども、これは大臣の御発言だと全ての慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしの事業のために使われ、両国が協力すると、こういった趣旨になっていると思っています。
 この協力の範囲についてお伺いしたいんですが、まず、具体的な事業あるいは拠出先、これを決定する際に、我が方に発言権というものは確保されている、若しくは影響を及ぼすための方途というものは担保をされているんでしょうか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の点ですが、今回の合意におきましては、韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設置し、これに日本政府が予算で資金を一括で拠出し、そして、両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行う、このようにされています。
 現在は韓国側が国民説明に努めている段階ですが、そして財団はまだ設置されておりません。ただ、事業は両国政府間で合意された内容の範囲内で実施することとなっており、この具体的な内容につきましては外交当局間でしっかり調整していくことになります。
○大野元裕君 合意されているのは目的であります。協力して実施をする、だからこそ具体的なところを聞いているわけですけれども、具体的な事業、拠出先、これについて我が方が発言権を確保しているんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 両国で協力するわけですので、当然、我が国も韓国政府としっかり協議をし、具体的な対応を決めていくことになると考えます。
○大野元裕君 済みません、もう一度伺います。
 具体的な対応を決めていくのは誰ですか。今、具体的な対応を決めていくとおっしゃいましたけれども、誰が決めるんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 日本政府と韓国政府で合意した内容を実施していくということになると考えます。
○大野元裕君 堂々巡りです。内容を実施するときに、それが具体化されるときには事業やあるいは拠出先が決定されるわけですけれども、その具体的なところに我々は踏み込めるかと聞いているわけですけれども、まあ答えにくいんだろうと思うので、ちょっとそこは猶予しておきますが。
 そうすると、大臣、通常のODAとか、あるいは、我が国はこれまでも、所得水準が相対的に高い国に対してもこれまでバイの無償協力あるいは国際機関への拠出等も行っていますが、これらの場合には、通常、拠出が行われて実施をされる、こういう段階の中で、相手国からの報告や事業のモニター及び事業の評価、こういったものをするわけでありますけれども、今回の合意に基づく基金の事業については、報告、事業のモニター及び評価の全てがなされるような担保が取り付けてあるんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 要は、この事業につきましては、両国で協力していくわけですから、日本政府もしっかり協議に関わり関与をするわけであります。その上で、具体的なやり方、そして今御指摘がありましたモニター等につきましても日韓間でしっかり調整していくことになると考えます。
○大野元裕君 大臣、お考えになっていらっしゃるのは分かるんですけれども、ということは、先ほどの質問と併せて、これらが確保されている、合意されているということではないということですね。
○国務大臣(岸田文雄君) こうした事業を進めるに当たって、我が国としてもしっかり関与をし、我が国としても合意した上で進められるものであると認識をしております。
○大野元裕君 済みません、認識ではなくて、ODA等でもそうですけれども、バイの協力もそうですけれども、通常は、十分に相手方に説明をし、御納得をいただいた上で実施をするべきものだと私は思っています。
 そうすると、一点だけ具体的な話聞きますけれども、事業が両国政府間で合意された内容の範囲というふうにおっしゃいました。だとすると、例えばアジア女性基金が行った償い金事業、つまりキャッシュを渡すようなものについては、こういったものに充当される可能性は否定されるということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、今般、日本政府の予算により、元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じることといたしました。これは両国政府が協力して行うものです。そして、両国政府間の合意された内容の範囲で実施していくものであります。
 そして、このお金は賠償あるいは償い金、こうしたものではありません。あくまでも元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置として行うものであると考えます。
○大野元裕君 そうすると、これは、償い金、賠償のようなものは、つまりキャッシュとしては支払われることはないということだと理解をさせていただきたいと思います。
 そうすると、大臣、これ、慰安婦問題については慰安婦像の問題もございました。先般の御発言、るる大臣の方からも御説明されておられますけれども、我が方のソウルの大使館前にあります慰安婦像は、これ撤去されるわけではない、移動だというふうに答弁がなされました。その際、大臣、適切に移動されると承知しているという御答弁でしたが、その際の適切にというのはどういう意味でしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の合意の中において、韓国側は、日本政府が日本大使館前の少女像に対し公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても適切に解決されるよう努力する、こうした表明がありました。適切に対応するということは、この合意の中身、精神をしっかり踏まえて、こうした合意に基づいて対応すること、これが適切に対応することであると認識をしております。
○大野元裕君 大臣、合意は精神も大事ですが中身も大事です。そして、担保するべき、我々として確保するべき点も大事です。
 今大臣がおっしゃったとおり、公館の安寧と威厳、公館というのは大使館のことですよね。公館の安寧と威厳の維持の観点ということであれば、つまり大使館の前じゃなきゃいいと。五十センチ移動するんだったらば不適切だけれども、大使館の前じゃなければ移動していい。つまり、これ逆に言うと、裏を返せば、我が国として、慰安婦像は設置されようが増設されようが、これは構わない、そういうことでよろしいんですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 合意の中身、先ほど申し上げさせていただいたとおりでありますが、それに加えて、合意としまして、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決される、これを明らかにしております。こうした合意に基づいて、韓国側において少女像は適切に対処されるものであると認識をしております。
○大野元裕君 伺っていることと違うと思います。大使館の安寧と威厳の維持という観点であれば、大使館前から移動されれば設置されても構わないということを我が方は言質を与えたということになりませんかと聞いているんです。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、在韓国日本大使館前の少女像については、これまで累次にわたり我が方から、公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念しており、早期に移転することを求めてきました。そうした上で今回合意が行われたわけですが、その合意に盛り込まれた内容、先ほど申し上げました二点のポイント、これを踏まえた上で適切に韓国側として対応されるものであると認識をしております。
○大野元裕君 適切に対処されるということは、私が先ほどお伺いしたとおり、慰安婦像の設置を我が方が認めたという言質を与えるのではないか、適切にということは。つまり、否定されないということは、私は、日本政府として慰安婦像の設置を黙認をした、あるいは言質を与えたというふうに捉えざるを得ないと思います。
 この慰安婦像、大使館の前から移動されれば国民の血税十億円が韓国側に流れ込む、そしてそれに対する発言権やあるいは評価等については、それが実施されると考えているということでございますので、恐らく担保すらされていないのではないかと私は思わざるを得ないんですけれども、これまでのそうすると政府の立場との整合性あるいは説得力、こういったものが欠けて国民に説明ができないのではないかと私は思わざるを得ません。それにもかかわらず総理は、私たちの子や孫、その先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を負わせてはならないと胸を張られました。
 そもそも、韓国側は、謝罪を求めたのは我が方の政治家や日本政府なんじゃないんですか。日本国民に謝罪を求めたことがあるかどうか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の日韓合意については、合意された内容、これは十二月二十八日、日韓の外相が共同記者発表の場で発言した内容、この内容に尽きております。それぞれを誠実に履行することが重要であると認識をしております。
 そして、謝罪、日本国民に謝罪を求めたことがあるかという御質問につきましては、これは二〇〇五年三月ですが、当時の盧武鉉大統領が、三月一日の記念式典においての発言でありますが、両国関係の発展は、日本の政府及び国民の真摯な努力が必要です、過去の真実を究明し、心からおわびをし、反省し、そして賠償すべきことがあれば賠償して和解しなければなりません、こうした発言があったと承知をしております。
○大野元裕君 両国民の間の真摯な努力が必要だと。そして、主語をもたらさずに誰かに謝罪を求めたら、大臣、謝罪するんですか。政府、謝罪するんですか、誰に対して求めなくても。これ、一般論じゃないんですか。両国民の間の真摯な努力というのと国民に謝罪を求めたというのはイコールではないと思いますよ。
○国務大臣(岸田文雄君) この発言についてこれ以上私の方から真意を申し上げることはできませんが、いずれにしましても、日韓関係の現状に鑑みて、日韓両政府として努力をし、そして合意を行うことができました。この問題について最終的、不可逆的な解決であることを確認すると両国政府、両国の外相がテレビカメラを通じて世界に向けて発信したこと、このことは大変大きな意義があったと考えます。
○大野元裕君 まさに日韓関係、それからこの御努力、これについては評価しています。
 ただ、私は一つだけ大きな問題があると思っているのは、二国間の政治的問題を国民の間の感情の問題に拡大してしまうのは政治家としては無責任だと思います。なぜならば、私もずっと中東にいましたけれども、国民同士とか宗派同士とか、こういった対立は拭い去るのは極めて難しいです。政府間あるいは政治家の間、いいときも悪いときもあるでしょう。それは政治で決着を付ける問題だけれども、二国民間の問題にこれを拡大してしまってポピュリスト的な立場に走るというのは、私は大変無責任だと思っています。したがって、それは、大臣がしっかりおやりになられた御努力、これ評価します、それを私は無に帰してしまうものではないかというふうに懸念を表明させていただきたいと思っています。
 その上で、時間もないので次の質問に移らさせていただきますが、今日は法制局長官にもお越しをいただきました。
 法制局長官、昨年の話ですが、公明党の山口議員の質問に対して、存立危機事態に該当するにもかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えられると思いますと御答弁されておられます。この答弁では、武力攻撃事態ではなくてわざわざ等を付した武力攻撃事態等というふうにお話しされていますが、武力攻撃事態等というのは、もう法制局長官に申し上げるまでもありませんが、武力攻撃事態と予測事態の両方だというのが定義だと思っていますが、これ、予測事態と存立危機事態が並立する、武力攻撃事態と存立危機事態は分かります、武力攻撃事態ではなくて、予測事態と存立危機事態が重なる若しくは併存するような事態というのはどういう事態なのかを教えていただきたいと思います。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 存立危機事態とは、事態対処法の第二条第四号におきまして、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義されております。他方、武力攻撃予測事態とは、同じ事態対処法の第二条第三号におきまして、「武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」と定義されております。
 それぞれの事態でございますけれども、それぞれのただいま申し上げました法律の規定、その観点から評価されるものでございます。すなわち、実際に起こった事態を前提といたしましてそれぞれの規定に当てはまるかどうかということで判断するわけでございまして、両者に当てはまる場合には両事態が併存するということになります。
 もう少し詳しく申し上げますならば、昨年も申し上げましたけれども、いわゆるホルムズ海峡における機雷敷設のように、我が国に対する武力攻撃に至らなくても、当該外国の他国に対する武力攻撃そのものによって我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害、我が国に重大な被害が及ぶという例外的な場合を除きまして、例えば我が国周辺におきまして我が国を敵視する外国による我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合を考えてみますと、事態の推移によって我が国に対する武力攻撃に至るということが当然想定されると思われるわけでございます。
 その上で、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して判断する必要があるものでございますけれども、その状況が存立危機事態の定義に該当するのであれば、まさにその状況の下で武力を用いた対処をしなければ国民に、我が国に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということでございまして、その状況は、同時に我が国に対する武力攻撃が予測される事態でもあるということが考えられるわけでございます。(発言する者あり)
○大野元裕君 さっぱり分からないという声が飛んでおりますので、私なりに解釈をしてそしゃくして申し上げると、我が国の周辺の地域のようなところで例えば存立危機事態のようなものが起こっている、これが我が国の安全にまさに密接に関連するような場合で、予測事態みたいなものが同時に発令されることはあるというふうな御発言だろうと私はあえて解釈をさせていただいて、そうじゃないと進まないものですから。
 皆様のお手元に、そのほぼ重なる事態というものが書いて、分かりにくいので、正直、これを配付させていただいておりますが、そういう事態をほぼ重なるというところまで言い切っておられるわけですけれども、そうすると、これを受けて防衛大臣にお伺いしますけれども、予測事態の場合と存立危機事態というのは発令する命令って全く異なりますよね。特に、存立危機事態の場合には防衛出動、これ、一線を越えるというか、本当に我々の最後の手段に武力で打って出るという事態になります。大臣、重なる事態の場合ですけれども、両方が併存するような場合、どんな命令をお出しになるんですか。
○国務大臣(中谷元君) 異なる二つの事態が併存しているということで、この異なる事態が併存しているという評価の下にそれぞれの事態に応じて対応をする、対処をするということでございます。
 まず、存立事態であるということにつきまして、政府は対処基本方針でその認定、また存立危機事態に対処するために必要な措置を定めるということであります。一方、武力攻撃の予測事態である場合は、武力攻撃の予測事態であることの認定、そして予測事態に対処するために必要な措置を定めるということで、自衛隊法に基づきまして、それぞれの事態に対処するために必要な措置に応じて自衛隊に必要な行動等を命ずるということになります。やはり、予測事態に対しては防衛出動待機命令、また防御施設構築などを措置をすることが考えられます。一方、存立危機事態に対しては防衛出動などの措置を命じるということで、同時に二つの命令を発するということでございます。
○大野元裕君 そうすると、先ほどの法制局長官、我々のすぐそばの地域で存立危機事態が起こっている、ここには防衛出動で対処していると。そして、この途中の、例えば国境で区切ったとしましょう。国境の内側は待機命令なり警戒措置なり、あるいは防御施設の構築が行われている。これ、同じ例えば船なり同じ車なり人が、その地点を越えると向こうでは防衛出動で、その地点をこっちがとどまるとこれは待機命令の下になるということになるんですか。それとも、何か赤か白の帽子でもかぶって、私は待機命令の人です、私は防衛出動の人ですと、こうやって分けるんですか、それを教えてください。
○国務大臣(中谷元君) これは、同時に異なる二つの事態が併存しているということでございますので、分かりやすく言いますと、予測事態の場合に、陸上自衛隊の部隊に対して、これは予測であるので、まだ武力攻撃を受けていませんので、陣地の構築とか待機命令を掛けるわけです。一方で、もう一つの事態が発生して、これは存立危機事態であると認定をした場合には、例えば海上自衛隊の部隊に対してその存立事態に対応すべく防衛出動命令を掛けるということでございます。
○大野元裕君 もう少し端的に聞きましょう。
 場所で区切るんですか、それともそこに関与する人員なりで区切るんですか。
○国務大臣(中谷元君) 異なる二つの事態が併存して発生をいたしておりますので、それぞれの事態に対応した対処をするということでございます。
○大野元裕君 もう一度聞きます。
 これ、発令される自衛隊に大きに関わる問題です。場所で区切るんですか、それともそこに従事する、作戦に従事する例えば参加している人で区切るんですか、教えてください。
○国務大臣(中谷元君) それぞれの異なる二つの事態が発生しておりますが、これには手続が必要でありまして、政府がその事態の認定を行うわけでありますし、また国会の承認も必要になってくるわけでございますので、それぞれの事態に応じた計画を立てて認定をして、それぞれ指示、命令を出すということでございます。
○大野元裕君 場所で区切るんですか、作戦の人で区切るんですか、教えてください。
○国務大臣(中谷元君) それぞれ事態がいろんなケースがございますので、具体的なケースで一概に申し上げることは困難でございます。
 しかし、一例を挙げますと、武力攻撃予測事態につきましては防衛出動待機命令とか防御施設の構築の命令措置をとる、もう一つは、存立危機事態に対しましては防衛出動の命令をするということで、それぞれ事態に対応した対応をそれぞれの計画を立てて政府で認めて、そして存立危機事態の場合は国会で御承認をいただいた上でやるわけでございますので、特に地域を限定をしたり、また人員があらかじめ制約をされるということは考えておりません。
○大野元裕君 考えていないんですね。
 そうすると、ここまでは待機命令が出される地域でというわけではなくて、これどうなるんでしょう、併存する場合に。海はつながっていますよね。陸もつながっていますよね。これ、計画の中に恐らく地域やあるいは命令の具体的な手続等も全部書き込むことになっているはずですけれども、それはどのように計画を作って、大臣、命令出すんですか。
○国務大臣(中谷元君) どういう事態が起こるのか、これ個別具体的な事態の態様に応じて異なるわけでございますので一概に申し上げることは困難でございますが、それぞれ、武力攻撃予測事態と認定する場合にはそれぞれの措置を考え、そして存立危機事態に対しては防衛出動などの措置を命ずることがございますが、それに対応する措置を計画をして立てるということでございます。
○大野元裕君 それは違うんじゃないんですかね、大臣。先ほど私長官にもお伺いしましたけれども、存立危機事態に該当するにもかかわらず武力攻撃事態等に該当しないというのはまずないんだとおっしゃっている。でも、まずないけど例外としてはホルムズみたいなものがという話をされました。僕、そのまずない、まずないホルムズ海峡の方なんか聞いていません。まずないじゃないということは九九%ぐらいかもしれません、九〇%ぐらいかもしれません。たくさんの例があるんですから、そのたくさんの例の中で、個別具体的にではなくて、一例でいいですから示してください。どうやって切り分けるんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは、異なる二つの事態、これに応じて認定をして対応するということでございまして、その二つの事態が併存をしているということを評価をされて、それぞれの事態に対して対応するということでございます。
○大野元裕君 大臣、自衛隊員のことを考えてください。認定をすること、併存をすることが分かった、これだけでは対処できません。国民も含めて我々が安心をしていられるというふうな法制に例えばするということであれば、明確なやはり事例は必要だし、それから、特に自衛隊員、これ発令されて、今の防御施設、自分がつくっているものがどういう対処なのかというのが例えば分からないような状況では私はあってならないと思っています。
 余り時間がないので次の質問に移りますけれども、法制局長官、これは一般論で結構ですけれども、芦部教授の有名な定義の中に、法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的若しくは科学的事実というのが立法事実、若しくは立法府が立法の資料として収集認定する事実と同質とも言われていますけれども、一般論ですけど、立法事実なき法律というものは法制局は問題なしとお考えになりますか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 一般論でございますが、立法事実がないということは立法の必要性がないということでございますので、立法において立法事実が必要であることは当然であると考えています。
○大野元裕君 私も同じ認識でございます。
 そこで、防衛大臣に伺います。
 政府は、存立危機事態の具体例、つまり立法事実について、私の知る限り、ホルムズ海峡の機雷掃海、米艦による邦人退避及びBMD対処の際のイージス艦防護の例を挙げてこられました。最初のホルムズ海峡の例については、総理が現実的ではないと言って自ら取り下げられました。米艦による邦人退避は、中谷大臣、私の質問に対して、邦人の乗船は要件ではないと答弁をされました。また、BMD対処中の米イージス艦防護に至っては、やはり小生の質問に対して、横須賀所属の全ての米艦に適用される。つまり、限定的な集団的自衛権の行使の事例としては余りにも不明確で不適切になっています。とすれば、立法事実が明らかにされないまま法律だけが成立してしまったのではないでしょうか。このままでは、自衛官を含め国内外の理解、具体的なものがないわけですから、私は理解は得られないと思います。
 そこで、防衛大臣に伺いますけれども、存立危機事態を構成し、限定的集団的自衛権の行使を可能とする明確な事例、あれば教えてください。
○国務大臣(中谷元君) これまでも政府は、存立危機事態になり得る具体的なケース、これを分かりやすく説明をするという観点から、例えば我が国の近隣において米国に対する武力攻撃が発生をし、攻撃国の言動から、我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況における、我が国の公海上で、近隣で弾道ミサイル警戒に当たっている米国艦船の護衛、また邦人を輸送している米国艦船の防護の事例を説明をいたしておるわけでございます。
 いかなる事態が存立危機事態に該当するかにつきましては、実際に発生した事態の状況に即して、政府が全ての情報を総合して新三要件に照らして客観的、合理的に判断をしているということで、それぞれこういうケース、こういうケースということで該当することはあり得るということで例示をしているわけでございます。
○大野元裕君 それが分かりにくいと申し上げているんです。もう一度、大臣、去年の議論やらせていただけますか、もしそれであれば。
 イージス艦については、BMD艦だけではなくてCEC艦もIAMD艦も空母もE2DもFA18も守ると大臣おっしゃったんですよ。限定的な集団的自衛権の行使じゃなくて、横須賀に配備されている船全部じゃないですかということは、大臣もそこまでお認めになったはずです。これで分かりやすい事例というふうに言えるとは私は思いません。
 大臣、そこで御提案なんですけれども、我が党としても、実はこの安保法制については、大きく懸念もありますけれども、議論しなければいけないと思っています。先月の十八日、これは衆議院の方ですけれども、安保法制廃止法案を二本、そして、それだけでは不完全ですから、PKO法の改正案、それから周辺事態法の改正案、さらには、御党は、尖閣や日本の領土、領海を守るといいながら、法律では守らない、この条文では守れないわけですから、それに対して我々は領域警備法、これは自民党さん、公明党さん、与党がお出しになる前の遡ること八か月前に出して、我々対案ずっと待っていますけれども、これまた再度提出しました。もう一度議論させていただけないでしょうか。具体的な話ししながら、安全保障、日本を守るということについてきちんともう一度議論しませんか。大臣の御所見を賜ります。
○国務大臣(中谷元君) 政府といたしましては、さきの国会で、二百十六時間、衆参合わせて審議をいたしました。また、二千問以上の御質問に対しても私なりには誠実にお答えをしたところでございます。
 その上で、今回、野党五党が法案を提出をされたわけでございますが、議員立法に関するものでございますので、その取扱い等につきましては基本的に国会におきまして御判断をしていただくべきものであると考えております。
○大野元裕君 大臣、私も大臣が誠実なことはよく分かっています。僕、大好きです。でも、それが適切だったかどうか、法律がきちんとしているかどうかという話とは全く別です。全く別です。それは時間数や質問数では正直評価できません。
 というのは、先ほど申し上げたように、立法事実をきちんと我々は一つずつ吟味しました。そして、そういった疑問を一つずつクリアした上で例えば野党として反対なのかとか修正なのかというのが普通だと思いますけれども、クリアするどころか、その途中で、立法事実が真っ当なものが存在しないのに強行採決されてしまったのが今回の安全保障法制ですから、これは次の世代にまで関わる問題なので我々はもう一度議論をしませんかということを申し上げている。
 そしてその上で、ずっとおっしゃっている、尖閣や日本の領土、領海を守ることに貢献しない法律ですから、だからこそ我々が新しくまた別な法律も出させていただいているので、これも含めて議論しませんか。大臣御自身、たしか大臣になられる前、領海警備については相当関与されていたんだと思いますよ。大臣、やりませんか。もう一度お聞きします。
○国務大臣(中谷元君) 政府といたしましては、先般提出して御審議をいただきました平和安全法制関連の法案において、あらゆる事態に隙間のない対応ができるものといたしまして、成立させていただいた法案で対応をする方針でありますし、また、議論につきましても、憲法にのっとりまして論理的に行ったものだと私は考えておるわけでございます。
 今日もこの委員会で御質疑をいただいているわけでございますが、引き続き、そういう観点では、質問に対して政府としてお答えをさせていただきたいと考えております。
○大野元裕君 時間が参りましたので、与党に対し今度こそ真摯な態度で議論に臨むよう改めて求め、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○石川博崇君 おはようございます。公明党の石川博崇でございます。久しぶりの外交防衛委員会での質問でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、自公政権になりましてから政府を挙げて精力的に推し進めていただいてまいりました観光立国の推進について取り上げさせていただきたいと思います。
 特に、今日お手元に資料を配らせていただいておりますけれども、外務省先頭になりまして、海外関係諸国に対するビザの、一般旅券の所持者に対するビザの発給要件の緩和に取り組んでいただいてまいりました。自公政権が成立したのは二〇一二年の年末でございますが、その直後、二〇一三年三月に観光立国推進閣僚会議を開催いたしまして、政府一丸として観光立国を推し進める体制を整えていただき、その後、消費税の免税店化の推進、CIQ体制の強化、またビザの発給要件の緩和などに取り組んできたところでございます。
 こうした努力が実り、昨年には、来日観光客の数が、元々二〇二〇年の目標でありました二千万人を目前とする一千九百七十万人を超える数の方が来られるようになりまして、訪日外国人の方々の旅行消費額は、昨年、二〇一五年で三兆四千億円を超えるという、自動車部品の輸出総額を超える数値、レベルまで到達した、日本のまさに基幹産業の一つまで成長したと言っても過言ではないのかというふうに思っているところでございます。
 このお手元一枚目の資料を御覧いただいてお分かりになりますとおり、各国に対しましてそれぞれの緩和措置をとってこられております。二〇一三年の七月一日にはタイ、マレーシアに対してIC旅券の保持者に対するビザの免除を実施するとともに、その後、各ASEAN諸国に対する、それまで一次ビザであったのが数次ビザ、マルチビザの発給へと緩和されております。また、二〇一五年、昨年の一月十九日には中国の方々への数次ビザをこれ大幅に緩和されまして、例えば商用目的、文化人、知識人等、数次ビザの緩和等が行われております。本年二月十五日にはベトナム、インドの方々に対する数次ビザの発給要件が緩和されまして、我が国初となります有効期間を最長十年とする数次ビザの発給の導入が行われるようになってまいりました。
 このように進めてきたビザの発給要件緩和について、総括的にまず外務大臣から御説明を賜りたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、現在、政府としましては観光立国推進に取り組んでいます。そして、その政府の中にあって、外務省としては、特にASEAN諸国や中国など、訪日外国人が多く見込まれる国を中心にビザ緩和を進めてきました。具体例につきましては、ただいま委員の方から御紹介をいただいたとおりであります。
 こうしたビザ緩和措置に加えて、継続的な訪日プロモーション等の効果もあり、昨年の訪日外国人旅行者数が一千九百七十四万人になったこと、大変喜ばしいことであると認識をしております。
○石川博崇君 今大臣からおっしゃっていただきましたとおり、この三年間、各国に対する短期滞在のビザの発給要件の緩和に取り組んできていただいたわけでございますが、これによって、経済効果、また観光面に与えた効果も如実に現れているところでございます。
 次の資料を御覧いただければと思いますが、これは、左手に、訪日中国人旅行者数の推移、それから訪日中国人の旅行者の旅行消費額を示しているものでございます。ビザの随時発給要件緩和に従って旅行者の数も増え、また消費額も増えているということが示されております。
 右手にありますのは、冒頭御紹介をいたしました、タイ、マレーシアの方々に対してビザ免除を導入したわけでございますが、これによって訪日旅行者数が両国からそれぞれこのように増えているということと、それから旅行支出額、一人当たりの旅行支出額もまた旅行消費額総額もこのように増えているということが示されているところでございます。
 このように、ビザの発給要件緩和をしてきたことによって観光業界また日本経済に与えた効果について観光庁はどのように評価をされているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(古澤ゆり君) お答え申し上げます。
 ビザ緩和は、訪日外国人旅行者数及び旅行消費額の増加を図る上で有効な手段であるというふうに認識しております。
 例えば、今委員に御指摘いただきましたとおり、二〇一三年七月にビザ免除の措置を行いましたタイ、マレーシアの両国につきましては、ビザ免除前の一年間と比べ、訪日旅行者数はタイにつきましては七六%増、マレーシアにつきましては五八%増となっております。旅行消費額につきましては、緩和後の二〇一四年は前年と比べ、タイにつきましては六七%増、マレーシアにつきましては四二%増と大きく増加しております。また、二〇一五年一月に数次ビザの発給要件緩和の措置を行いました中国につきましては、ビザ緩和前の一年間と比べ、訪日旅行者数は一〇七%増、旅行消費額は一五四%増と更に大きく増加をしております。
 このように、ビザ緩和は訪日外国人旅行者数の増加を図る上で有効な手段の一つであり、経済面におきましても効果をもたらしているものと考えております。
○石川博崇君 訪日観光客数がこのように大幅に伸びてきていることは大変喜ばしいことでございます。
 各国からの外国人旅行者数、ランキングを取りますと、第一位が韓国から、第二位が中国からというふうになっていて、この両国からの日本の観光産業あるいは日本経済に与えた効果というのは大変大きいわけでございますが、私の地元大阪でも、それぞれ地域を歩き、また御意見を伺っておりますと、非常にこの観光産業の活性化というものは著しいものがある一方で、果たしてこれがこのまま引き続き堅調に続くのであろうかというような御懸念の声も聞こえてまいります。
 特に、昨今の中国経済への不安感、こうしたことが、将来このまま堅調には増えていかないのではないか、あるいはいずれ腰折れになるのではないか、そういった懸念がある中で、今後どのように引き続き観光を押し上げていくのか、観光立国を実現していくのかということを戦略的に考えていくことは極めて重要でございます。
 現在、例えば中国の都市部から来られる方々はリピーターとなって今後さらに地方あるいは日本の伝統、歴史遺産、こういったものへの観光につなげていくことが重要であろうかと思いますし、またもう一つは、やはり内陸部からまだまだ日本に来られたことのない新規の観光客の開拓ということを進めていくことも重要であろうかと思いますが、この辺りにつきまして、観光庁、今後の見通しについてお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(古澤ゆり君) お答え申し上げます。
 中国経済の動向とその影響につきましては、観光庁としても注意深く見守っているところでございます。今年一月の訪日中国人旅行者数は対前年同期比一一〇%増の四十七万五千人、二月は三八・九%増の四十九万八千九百人となっており、一月と二月とで伸び率に開きがございます。これは、春節に伴う学校休暇が昨年よりも早い一月下旬からとなり、春節の旅行需要が前倒しとなったことが主な影響と考えられますが、その一方で、中国経済の影響の可能性につきましても念頭に置いて見守っていく必要があると考えております。
 現地旅行会社への直近のヒアリングによりますと、団体ツアー予約の伸びは鈍化する一方、個人旅行者は堅調であるという声もございます。近年、訪日中国人旅行者は個人観光の比率が高まっており、またリピーターも増加をしております。加えて、中国における近年の経済発展に伴い、内陸部からの旅行者の増加が期待されるところでございます。
 現時点では、中国経済の動向が中国人のアウトバウンド全体や訪日需要にどの程度影響しているかは評価が定まらないところでございますが、中国経済の先行き次第では、中国人旅行者の動向に更なる影響が出るおそれもあると考えております。
 中国人の訪日観光は、人数のシェア、旅行消費額共に大きく、インバウンド全体に与える影響が大きいことから、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。
○石川博崇君 是非、引き続ききめ細やかな情報分析とそして対応をお願いしたいと思います。
 一方で、こうした海外からの旅行者増に併せて懸念の声としてもう一つ聞かれるのが、治安に与える影響でございます。特に、不法残留者数がこの三年間若干増加傾向にあるというふうに法務省は発表されておりますが、最近の本邦における不法残留者数について推移を御報告いただければと思います。
○政府参考人(佐々木聖子君) 平成二十八年一月一日現在の不法残留者数は六万二千八百十八人となり、約二十二年ぶりに増加に転じました前年から引き続き二年連続で増加し、その対前年比増加率は四・七%増となっています。
 不法残留者の国籍・地域別の統計を見ますと、不法残留者数の多い上位五か国は、韓国、中国、タイ、フィリピン、ベトナムの順となっておりまして、特に前年から大幅に増加した国はタイ、ベトナム、インドネシアの三か国となっております。
 不法残留者数の多い在留資格を御報告いたしますと、一番が観光や商用の活動が該当いたします短期滞在、以下、技能実習、日本人の配偶者等、留学、定住者の順となってございます。
○石川博崇君 ありがとうございます。
 今法務省からありましたけれども、近年で見ますと、この数年間、法務省あるいは入管当局の御尽力等により、平成二十三年には七万八千人を超えていた不法残留者数が、今は五万後半から六万人を超えていると。この六年間で見ると減っておりますが、直近の三年間で見ると若干微増傾向にあると。
 しかしながら、その一方で、在留資格別に不法残留者数の推移を見ますと、最後に少し御指摘がございましたけれども、観光目的とした不法残留者数は、数としては多いものの、その伸び率と見ますと、短期滞在の資格による不法残留者数の伸び率は三・四%であるのに対して、技能実習や留学の資格での不法滞在者数が実は大幅に増えていて、二〇%以上増えていると。つまり、観光目的で来られる短期滞在ビザの発給緩和が大幅に増加に寄与しているというよりは、昨今の景気回復や人手不足などを反映して、技能実習や留学で長期滞在されている外国人の方々の残留者が多く増えているというふうにも見れるんではないかと思いますが、この辺について法務省の分析をお願いしたいと思います。
○政府参考人(佐々木聖子君) 今委員御指摘の技能実習、それから留学などの前に、ちょっと短期滞在の傾向につきまして御報告を申し上げます。
 今回、不法残留者数が全体として増加しましたことにつきまして、様々な要因が考えられるわけでございますが、やはり基本的に外国人の新規入国者数が過去最高を更新をしているということがその一因にあると思います。特に、今話題となってございます、平成二十五年七月からタイ、マレーシア、それから二十六年十二月からインドネシアの短期滞在者に係る査証免除措置が開始され、各国とも短期滞在による新規入国者が大幅に増加をしてございまして、平成二十八年一月一日現在の短期滞在の不法残留者数を査証免除措置を開始する前年と比較をいたしますと、タイは八六%、インドネシアは一五二%増となっている一方、マレーシアは二〇%減少しています。
 御指摘の技能実習あるいは留学の不法残留者の増加が顕著でございまして、特に技能実習につきましては、技能実習生の失踪者の増が影響しているものと考えてございます。
 私ども法務省といたしまして、不法残留の新規発生の増加につき、引き続き注視し、その防止の取組を推進してまいります。
○石川博崇君 最後に、外務大臣にお伺いしたいと思いますが、これまで各国に対するビザの発給要件緩和をしてきていただきました。例えばフィリピンやベトナムにも今後ビザの発給を免除することなどが検討されていくかと思いますけれども、ベトナムについてはIC旅券の導入がまだされていなかったり、あるいはフィリピンについては人身売買など違法行為の指摘があるなど、懸念の材料もございます。
 今後どのように戦略的に観光立国を進めていく上でビザ発給要件を進めていくのか御所見をいただき、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(岸田文雄君) 外務省としましても、これまで、ASEAN諸国、中国等、訪日外国人が多く見込まれる国を中心に、不法滞在や犯罪等、国内への負の影響が可能な限り生じないよう工夫しつつ、戦略的にビザ緩和に取り組んでまいりました。
 今後ですが、まずはこの方向性について総理を議長とする明日の日本を支える観光ビジョン構想会議において有識者の御意見をいただきつつ、関係省庁で今検討を行っているところです。今月中に発表予定の本構想の方向性に基づいて、訪日外国人の数を更に増やすとともに、富裕層、リピーター及び若年層の誘致など、質、量両面で是非観光立国に貢献できるよう、引き続き戦略的にビザ緩和に取り組んでいきたいと考えます。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 自衛隊の情報保全隊による国民監視活動は違法だとして損害賠償を求めていた訴訟の控訴審の判決が二月の二日に仙台高裁でありました。一審判決に続き、自衛隊の行った国民監視、情報収集の違法性を認めました。
 高裁判決は、反戦ライブ活動をしていた原告一人について、公になっていない本名や職業を陸上自衛隊に調べられたとしてプライバシーの侵害を認め、十万円の賠償を国に命じました。これに関して国、防衛省は最高裁に上告せず、原告勝訴判決が確定をいたしました。
 まず、防衛大臣、なぜ上告をしなかったんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 今般の判決につきまして、国の主張について一部裁判所の理解が得られなかったというところでありますが、判決内容を慎重に検討をし、関係機関と調整をした結果、上告及び上告受理申立ての理由に該当する事項がないということから、国としては上告及び上告受理の申立ては行わないということにしたわけでございます。
○井上哲士君 該当事項がないというのは具体的にどういうことでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 上告につきましては、民事訴訟法三百十二条に基づき、当該判決に憲法の解釈の誤り、その他憲法違反等があることを理由にできるとされております。また、上告受理申立ては、同法の三百十八条に基づいて、判例に反する判断又はその他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる事件について受理されるということになっているからでございます。
○井上哲士君 この裁判は、日本共産党が二〇〇七年の六月に公表した自衛隊の内部文書によるものであります。この文書はA4判の百六十六ページに及んで、陸上自衛隊の情報保全隊がイラク派兵に反対する運動をしていた人たちを監視し、個人情報を追跡調査、収集しているものを記載したものでありまして、監視対象は、年金改悪、消費税増税反対運動であるとか、また監視対象も国会議員や地方議員、新聞記者などにも及ぶものでありました。
 高裁判決では、この内部文書が自衛隊しか知り得ない内容が記載されていること、当時の久間防衛大臣が自衛隊の文書でないとは断言できないと国会で答弁をしていること等からすると、情報保全隊によって作成されたもののコピーであると明確に認定をいたしました。
 大臣、この判決が、自衛隊が全国で国民を詳細に監視していると、こういう事実を認定したものであるということ、その認識でよろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) 関連する訴訟が係属中であるということから、お答えは差し控えさせていただきます。
 いずれにしましても、本件訴訟で提示された文書につきましては、防衛省として対外的に明らかにしたものではないことでありまして、陸上自衛隊情報保全隊が本件文書を作成したか否かも含めまして国として認否できないという立場に変わりはありません。
○井上哲士君 国として認否しなかった、つまり否定しなかったということなんですね。
 その上で、裁判を通じてこの文書が情報保全隊作成の文書のコピーであるということを明確に認定をしたわけですから、そのことをはっきり認めるべきだと思います。さらに、高裁は、勝訴した原告について、原告が行ったのはライブ活動であって、自衛隊若しくは隊員に対しての働きかけを伴う行動とは言えず、一般的に公になっていない原告の本名及び職業を探索する必要性は認め難く、その情報を探索、保有した行為は原告のプライバシーを侵害する違法な行為だといたしました。
 上告しなかったということは、自衛隊がこれらの行為を違法だと認めたということでよろしいですか。
○国務大臣(中谷元君) 損害賠償請求を認容された原告一名について判決が確定をしたということは承知をいたしておりますが、関連する訴訟が係属中であるということから、お答えは差し控えさせていただきます。
○井上哲士君 裁判で事実について認否をしなくて、そして、事実を認め違法とした、そういう判決が出てもまともに答弁をしない、そんな態度が私は法治国家で許されるのかと。
 自衛隊・防衛省というのは、司法のこういう判断を認めないと、そういう態度なんですか。
○国務大臣(中谷元君) 関連する訴訟が係属中であるということから、お答えは差し控えさせていただきます。
 文書につきましては、先ほど申し上げましたけれども、防衛省として対外的に明らかにしたものではないということから、陸上自衛隊情報保全隊が本件文書を作成したか否かも含めまして国として認否できないという立場に変わりはございません。
○井上哲士君 認否はしないと。しかし、司法で認められても認めないと、そんなこと通用しないですよ。どんな言い逃れをしようとも、国の上告断念が自衛隊による国民のプライバシー侵害という違法行為をしたということを認めたわけであります。
 原告は、勝訴は当然としつつ、これでは安心できない、私の情報を一体どこまで探索したのか、どんな情報を収集、保有しているのか国は全く説明していない、それが今後どのように利用されるかを考えると恐怖を感じるとして、違法に集めた本名や職業の情報、その他違法に集めた情報があれば直ちに削除してほしいというコメントを出しております。当然のことだと思います。直ちに応じるべきだと思いますが、削除されたんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 関連する訴訟が係属中であるということから、お答えは差し控えさせていただきます。
 いずれにしましても、本件の訴訟で提示された文書につきましては、防衛省として対外的に明らかにしたものではないということから、陸上自衛隊の情報保全隊が本件文書を作成したか否かも含めまして国として認否できないという立場に変わりはございません。
○井上哲士君 いや、この原告に対するのは終わっているんです、上告しなかったんだから。だから、この原告本人が自分に対する情報は消してくれと言っているんですから、ほかの訴訟は関係ないじゃないですか。すぐ答えてくださいよ。
○国務大臣(中谷元君) 関連する訴訟が係属中でございまして、お答えは差し控えさせていただきます。
○井上哲士君 本当にひどい態度ですよね。
 自民党が野党時代に、自衛隊のOBの参議院議員が質問主意書を出されております。自衛隊の情報保全隊が同議員を含む自衛隊OBの講演会に潜入して現職自衛官の参加状況を監視していると報道されたことについて、自衛隊法で制限されている政治活動に抵触しない行為まで規制することは、憲法第十九条において保障されている思想、良心の自由を侵害するものであり、極めて憂慮すべき事態であると認識していると、こういう質問主意書を出されているんですね。ましてや、憲法に保障された国民の表現活動を監視することはあってはならないんですよ。
 この裁判では、情報保全隊の監視活動の内容が問われました。控訴審では、情報保全室長が証人に立って、公になっていない氏名を仮に情報保全隊が調べていたらそれは問題のある行為であると情報保全室長が証言をしておりますけれども、これは防衛省・自衛隊とも同じ認識でよろしいですね。これは一般論で証言されております。
○国務大臣(中谷元君) 情報保全隊というのは、特定の個人とか団体の影響を受けて自衛隊員が情報保全に関する規律違反等を行ったりすることがないよう、必要な資料の情報の収集、整理等を行っているわけでございます。
 情報保全隊の情報収集につきましては、防衛省・自衛隊の任務、所掌事務の範囲の中において、関係法令に従い適切な方法で行われており、具体的には、インターネットや刊行物を通じた収集、公開された場での収集などを行っております。今後とも、関係法令に従って適切な方法で情報収集等に努めてまいります。
○井上哲士君 いや、当時の情報保全室長が証人に立って、公になっていない氏名を仮に情報保全隊が調べていたら、それは問題のある行為であると明確に証言しているんです。このことについて、同じ立場ですねということを確認しているんです。
○国務大臣(中谷元君) 元陸上自衛隊の情報保全隊長が御指摘の内容を証言をしたということは承知をいたしておりますけれども、現在訴訟が係属中でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○井上哲士君 もう一点聞きますが、判決は、情報保全業務の対象に関して、医療費の負担増の凍結、見直しとか、年金改悪反対とか、こういう自衛隊の保全と全く関係ない情報収集の必要性は認め難いといたしました。この点も、元情報保全隊の隊長が証人として立って、証言の中で、消費税増税反対の街宣活動は対象に当たり得ないと、こういうふうに述べておりますけれども、じゃ、これも防衛省・自衛隊も同じ認識でしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 情報保全隊の情報収集の対象など個別具体的な活動内容につきましては、これを明らかにいたしますと防衛省・自衛隊の情報保全に支障が生じるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきますが、その上であえて申し上げれば、情報保全隊というのは、特定の個人、また団体の影響を受けて自衛隊員が情報保全に関する規律違反等を行ったりすることがないように、必要な資料、情報の収集、整理等を行うことを任務といたしております。その際、防衛省の所掌事務の範囲内で、関係法令に従いまして適切な方法で行うということは当然のことであると考えております。
○井上哲士君 現実に現場でやっているこの保全室長、保全隊長が、そういう立場の上で、こういう公になっていない氏名の収集、それから消費税増税反対などの街宣活動は対象に当たり得ないと、こういうことを言っているわけです。これは、じゃ勝手に、防衛省・自衛隊と相談なく勝手にこの証人がこういう意見を言ったんですか。
○国務大臣(中谷元君) これは、関連する訴訟が係属中であるということから、お答えは差し控えさせていただきますが、情報保全隊の任務というのは、先ほど御説明をいたしましたとおり、特定の個人、団体の影響を受けて自衛隊員が情報保全に関する規律違反等を行ったりすることがないように、そのような必要な資料、情報の収集、整理を行うということを任務といたしております。
○井上哲士君 いろいろ言われますが、情報保全元室長、隊長が明確に証言で述べたということは大変重い中身でありまして、こういう違法な監視活動の中止を直ちに指示すること、そして、第三者委員会もつくって、こうしたことが行われていないかということを調査し、国民に公表することを強く求めたいと思います。
 その上で、最後に、この十万円の賠償金の支払は確定をいたしました。いつこれ支払うんでしょうか。そして、自衛隊の責任者が原告にちゃんと会って謝罪をするべきだと思いますけれども、そのおつもりはあるでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 本判決におきまして、原告一名に対する賠償金の支払が確定をいたしたことから、現在、早期に支払を行うため原告側と支払の要領等について調整を行っているところでございまして、調整が整い次第、速やかに支払うことといたしております。
 また、謝罪すべきとの御意見につきましては、関連する訴訟が係属中であることから、お答えは差し控えさせていただきますが、本件訴訟で提示された文書につきまして、防衛省としては、対外的に明らかにしたものではないということから、陸上自衛隊の情報保全隊が本件文書を作成したか否かも含めまして国として認否できないという立場に変わりはございません。
○井上哲士君 そう言って裁判をやったけれども、この件については原告が勝って、そして上告しなかったんですから。ですから、仕方がないので賠償金は支払うけれども、司法の判断を認めずに謝罪はしないと、そんな不誠実な態度は通用しないですよ。自衛隊のいじめ問題でも、裁判では争ったけれども、結果が出ればちゃんと謝罪しているわけです、遺族に。私は、裁判所がどう言おうと自衛隊の保全のためには国民のプライバシー踏みにじっていいと、そう思っているとしか考えられないわけですね。
 憲法に保障された集会、結社、出版などの表現の自由を踏みにじるような、こういう国民監視活動はやめるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。
○小野次郎君 小野次郎です。
 第二次安倍内閣になって三年四か月ぐらいたったでしょうか。総理自らが安倍内閣の間にもうこの拉致問題の解決を図るんだという意気込みについては何度かおっしゃっておられるし、その意気込み自体は私も理解しているつもりなんですけれども、成果が上がっているのかということについては、とても政府の外から見ていると上がっているようには見えないんですけれども、この三年四か月の間に、拉致問題の解決に向けて、政府としてどのような具体的な取組をしてどんな成果が上がったと国民に説明できるのか、見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 拉致問題につきましては、政府として、対話と圧力、行動対行動の方針で臨んできました。そして、拉致問題につきましては、事柄の性質上、解決するためには対話という部分が必要になります。そして、一昨年ですが、一年四か月ぶりに対話を再開し、それまで拉致問題は解決済みと強弁していた北朝鮮に対しまして調査を約束させる、そういった動きはありました。
 しかしながら、対話のための対話では意味がないわけでありますし、今般、核開発、そして弾道ミサイルの発射、こうした事態が発生をし、調査開始から一年半以上たっても拉致被害者の解決が実現しない、こういったことから、我が国独自の措置を決定し、履行に移し、そして強い安保理決議の採択にも貢献した、こういったことでありました。
 こうした動きと併せて、国際社会の機運を高めるということで、二国間の協議あるいは国際会議等においてこの拉致問題を提起し、一昨年から国連の安保理におきましても正式な議題として拉致問題が議論され始めた、こういったこともありました。
 ただ、いずれにしましても、今現在、拉致問題の全員帰国は実現しておりません。誠に残念なことであり、このことをしっかり重く受け止めて、引き続き、この拉致問題に対して政府を挙げて全力で取り組んでいかなければならないと認識をしております。
○小野次郎君 ストックホルム合意というのがあるんですけれども、これは政府間の合意として今でも有効であるとお考えなのか、認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) ストックホルム合意に対する認識ですが、先月、北朝鮮は、我が国による北朝鮮に対する独自の発表を受けて、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると北朝鮮側が一方的に主張してきました。そして、全ての日本人に関する包括的調査を全面中止し、特別調査委員会を解体した、こういった宣言を北朝鮮側が行った次第です。これは極めて遺憾であり、全く受け入れることはできません。
 北京の大使館ルートを通じて極めて遺憾である旨伝え、厳重に抗議したわけですが、加えて、我が国として、ストックホルム合意を破棄することは考えていない、このように伝えるとともに、北朝鮮がストックホルム合意に基づいて一日も早く全ての拉致被害者を帰国させるべきことについて強く要求をいたしました。
 ストックホルム合意についてはこのように考えております。
○小野次郎君 曖昧ですね。合意というのは、やはり双方が認めなければ合意じゃないんで、こちらは破棄していないと向こうに伝えたというだけでは有効となっているかどうかというのは非常に分からない状態だと思います。
 この問題、拉致問題については、ほかのあらゆる政治的な問題と違うのは、例えば私たち野党に籍を置いていても、官邸に各党の拉致問題対策本部長は集まって、議連の代表の方も集まって、これは、相手が北朝鮮だということもあり、また拉致問題というのは人命に関わる問題だということもあって、政府に対する批判的なものは極力それぞれ抑えながら、解決が図られることを祈り、またお手伝いできることがあればお手伝いしたいという気持ちでどの党もいるわけですよ。だけど、あの制裁をストックホルム合意ができたからといって緩めるときにも、幾つかの政党、私の所属していたところもそうですけれども、成果が上がらなければ制裁を緩めたのでは言われるままで、まあ一言で言えばだまされちゃうんじゃないんですかということを言った政党は幾つもあったのに、そのときまた緩めた。
 今度、核やミサイルの問題もあって制裁を強化するわけですけれども、その間に一体この制裁を緩めたことの効果が、何か成果があったのか、あるいはなかったのか。これも批判をしづらいテーマだから私たちは批判しなかったけれども、明らかに空振りになっているんじゃないかと思うんですけど、制裁を一旦緩めて、今また国際的なルールで、また我が国独自でも再び制裁を強化しているわけですけれども、その緩めたりすることが一体何か成果につながったんでしょうか。どういう認識ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、拉致問題については、先ほども申し上げましたように、拉致被害者の全員帰国を実現するという目的を実現するためには対話という要素を欠くことはできないと考えています。そして、我が国としては、拉致、核、ミサイルを包括的に解決する、こうした方針で臨んでおりますので、対話と圧力、両方が必要であると認識をしています。
 そして、先ほども、一昨年、一年四か月ぶりに対話のドアを開いて拉致問題は解決済みという北朝鮮の態度を改めさせた、こういったことについて申し上げさせていただきましたが、それも、その前の段階で我が国独自の制裁措置、そして安保理決議に基づく制裁措置、こうした圧力があったればこそこうした流れにもつながったと考えております。
 対話と圧力、両方が重要であると考えておりますが、要はそれぞれのバランスであり、組合せであり、タイミングであると考えます。是非、今後の北朝鮮の今回の措置に対する対応もしっかり見極めながら、何が北朝鮮側から建設的な態度を引き出すために有効か、こういった観点から取り組んでいかなければならないと考えます。
○小野次郎君 まあ、あの政権というか国は、誰の目から見ても世界でもまれな独裁の強い国です。そういう国から、拉致問題の解決を図る、拉致された方を取り返してくるということのためには、やはり最高権力者自らが、その気にさせなきゃいけないと思うんですが、一体、岸田外務大臣、在任になってもう三年になるわけですけど、金正恩本人からこの拉致問題解決に向けた何らかのメッセージというのは日本政府に伝えられているんですか、本人のメッセージが。
○国務大臣(岸田文雄君) 拉致問題に関して、北朝鮮との関係において、日本と北朝鮮との間においては様々なレベルで様々なやり取りがあり、意見交換、意思疎通を行ってまいりました。私自身も、北朝鮮の外務大臣と直接お会いして議論を行う、こういったことをさせていただきました。
 そうした中で、様々なやり取りがありましたが、具体的にどのようなやり取りがあったか、何が取り上げられたか等も含めて、明らかにするのは控えなければならないと思います。できる限りの北朝鮮側とのルートを活用して問題を前進させるために努力をしてまいりましたが、引き続きこの努力は続けなければならないと考えます。
○小野次郎君 努力を続けなければならないのは私も同じ思いでおりますけれども、しかし、二〇〇二年に拉致問題を認めて大きな進展が見られたのは、やはりそのときの最高権力者がその事実を認めたということに全て始まるわけで、今回更なる解決に向けて進展が図られるかどうかというのは一にかかって今の最高権力者から解決を図りたいというメッセージが出るかどうかだと思うので、そこを曖昧にされたまま、何かちょっと小出しにされた条件に振り回されているだけで三年数か月たってしまっているような気がするので、その点はおっしゃりにくいというのは分かりますけれども、それでは国民から見ても逆に政府の努力について理解はされませんよということは私は申し上げざるを得ないと思います。
 警察当局にお伺いしますが、拉致された可能性が排除できないいわゆる特定失踪者、八百八十六人ですか、おられますね、現在、この人数も動いているようですけれども。警察などによる捜査や調査によって所在や事実関係の究明というのが、最近で結構なんですが、進展が見られているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(斉藤実君) 警察におきましては、これまで拉致被害者と判断をしている方以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているとの認識の下、事案の真相解明に向けて、拉致の可能性を含め、事件、事故等、あらゆる可能性を念頭に鋭意捜査、調査を推進をしております。
 その結果、昭和四十九年に朝鮮籍の姉弟が拉致された事案を平成十九年に拉致容疑事案と判断をして以降は、拉致容疑事案と判断したものはございません。他方、捜査、調査の結果、昨年は五名の方が国内で生存をしているということを突き止めまして、拉致の可能性はないと判断をするに至ったところでございます。また、本年二月、新たに御家族等から北朝鮮による拉致ではないかとの相談や届出を受けた十名の行方不明者を調査対象に追加をしたところでございまして、現在、先生御指摘のとおり、八百八十六名の方について全国警察において捜査、調査を推進をしているところでございます。
 今後とも、御家族の気持ちを十分に受け止めまして、関係機関と緊密に連携を図りつつ、関連情報の収集、捜査、調査に全力を挙げて事案の解明を図ってまいりたいと考えてございます。
○小野次郎君 拉致が確認されて帰りを待つという状態もつらいものではあると思いますけれども、拉致の可能性が排除されないまま所在その他事実関係が明らかにならない、御本人も当然ですけれども、それを待つ家族のつらさというのも想像を超えるものがあると思いますから、さっき冒頭おっしゃったとおり、拉致だと判断されたケースというのはここしばらくないわけですよね、その事実解明は是非全力を挙げて今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 大臣にもう一度質問がございますが、私は、対話と圧力ということ以外に拉致の解決に向けた方策はないだろうと、それは思っております。特に、核開発の問題や弾道ミサイルの問題、ああいう所業を繰り返す国に対して国際社会として制裁を強化せざるを得ないのも分かります。ですけど、その中でも拉致の解決を図らなきゃいけないとすれば、国際社会の取組に支障が起きないような範囲で、何か日本として拉致の問題の解決に資するアプローチというか仕掛けはできないんだろうかというのをずっと私は考えているんですけれども、それは平和的で人道的な何かものを提供できないかということだと思うんですね。
 二〇二〇年には東京オリンピックもあります。北朝鮮の方が強いスポーツもあると思いますけれども、日本に優秀な指導者がいて、何か指導を北朝鮮のレベルアップのためにできないかとか、あるいは原発事故を経験した日本として自然エネルギーというのは普及が進んでいるわけで、恐らくですけれども、北朝鮮のあの経済状況を見れば、そういった石油に頼らない自然エネルギーについても非常に関心は高いと思います。
 そういったものの普及拡大だとか、あるいは、私は画像で見るだけですけれども、痩せた土地を見ると、ああいうところを農業開発、農業指導する人というのは日本から行ったら実績を上げられるんじゃないかなと思ってきているんですが、そういう農業指導など、何か大きな枠組みの中での国際的な取組の支障になるというか、抜け駆けと受け取られないような平和的、人道的な施策を講じることで何らか北朝鮮側の拉致に向けての解決への糸口を引っ張り出すこと、見付け出すことができないかなと思うんですが、その可能性について御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 拉致問題解決のために何ができるのか、これにつきましては、あらゆる可能性をしっかり検討することは大事だと思います。
 ただ、御指摘の御支援についても、やはり拉致問題解決に向けた前向きな態度、具体的な行動、こういったものを引き出すために効果的であるかどうか、こういった観点からしっかり見ていかなければなりません。そして、現状を考えますと、拉致問題を認め調査を開始してから一年半たち、被害者の帰国に向けた動き、具体的な進展、これは何も示されていない、これが現状であります。今のこの現状を考えますときに、御指摘のような支援といったようなことは今は考えてはおりません。
 ただ、今後、北朝鮮に対する各国の強い独自の措置が発表されました。また、安保理決議も採択されました。こうしたものがしっかり履行されることが重要だと思いますが、こうした国際的な動きに対して北朝鮮がどう反応してくるか、こういったことも見極めながら何が効果的なのかを考えていく、こうした姿勢は大切であると考えます。
○小野次郎君 時間が来たので終わりにしますが、国際的には大変北朝鮮に対しては厳しく臨まざるを得ない状況ではありますけれども、一方で、拉致問題の解決という日本にとっては極めて重要な課題を抱えているということを大臣も改めて御認識いただいて、その取組はたゆむことなくというか、諦めることなく御努力いただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば春もやってくると。春が来ればしがこも解けて、どじょっこだのふなっこだの春が来ただと思うべなと、今年も春がやってきましたけれども。
 今、北朝鮮問題、拉致問題の御質問もありましたが、今日は北朝鮮の核搭載ミサイルについて質問をさせていただきます。
 北朝鮮が核実験とミサイル発射実験を継続すると表明しています。一部報道によれば、核弾頭を搭載したミサイルが宇宙空間から地球に再突入する際に発生する七千度という高温を処理できるようになったと発表しています。また、核実験で使用されるのは水素爆弾ではないのかという臆測もされています。防衛省として、北朝鮮の一連の実験の内容と実情についてどの程度把握をしているのか、分析しているのかを、答えられる範囲内で結構ですので、お答えください。
○国務大臣(中谷元君) 朝鮮の中央放送が十五日に弾道ロケットの大気圏再突入模擬試験に成功したと報じるとともに、金正恩第一委員長が、核攻撃能力の信頼性を一層高めるため、早い時期に核実験と核弾頭装着可能な弾道ミサイルの発射試験を断行するという旨述べたと報じております。
 現在まで情報収集、分析に努めておりますが、核兵器開発につきましては、今年に入って四回目となる核実験を実施をして、技術的な成熟が予見をされるなどを踏まえますと、小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も排除できないということです。
 また、弾道ミサイルにつきましては、射程の百二十キロのトクサ、三百キロから一千キロのスカッドB、C、ER、ノドン、これが射程千三百キロ、ムスダンが射程二千五百から四千キロ、テポドン2又は派生型につきましては六千キロから一万キロメートル以上、そして、ICBMとの指摘もありますけれども、KN08、これが射程が五千五百キロ以上、このようなミサイルを開発をしておりますが、ほぼ我が国の全域を射程に収めるノドンは既に数百発配備をしているほか、先日、七日の人工衛星と称する弾道ミサイルの発射を通じまして、長射程化また高精度化に係る技術を進展をさせるとともに、今次の弾道ミサイルの発射に見られるように、任意の地点、タイミングで発射するなど、奇襲的攻撃能力などの向上が図られていると認識をいたしております。
 このように、北朝鮮の弾道ミサイル、核兵器の開発の進展につきましては、我が国安全に対する重大かつ差し迫った脅威と認識しておりまして、今後の動向を注視をいたしまして、緊張感を持ちまして情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。
○アントニオ猪木君 連日、報道を見ていますと、米韓の演習ということで、これはますます戦争に向けての挑発的行為、北朝鮮もそうです、そういうふうに報道されますが、その辺が、日本としてできるだけこれが最悪の状況にならないようなひとつ考え方を持っていただければと思います。
 次に、選挙の年齢の引下げについて質問させてもらいますが、連日、アメリカ次期大統領候補として、ヒラリーさん、多分このお二人の戦いになっていくのではないかという報道もされていますが、とにかく選挙戦は派手で、トランプさんはかつてプロレスのリングに、試合はしなかったんですが、上がってパフォーマンスをしたことがあるということで、本当に、アメリカの選挙戦を見ていて、日本の選挙とこれだけ違うのかなという。私が選挙に出たときも、ある人から、選挙にパフォーマンスは要らないんだと。でも、一つは、皆さんの注目を集め、その人たちに関心を持たせるということはすごく大事ではないかと思います。
 かつて、ケネディさんとニクソン大統領の戦いのときに、それまで劣勢だったケネディがテレビ討論で、ディベートで一挙に逆転をして、最後は勝利に導いたという、そういうような記事も読みましたが、アメリカと日本は違いますけど、もうちょっとやはり若い人たちに、何でしょうかね、伝わるような、政治の真面目な話も大事ですが、一方で、一番分かりやすいのは、ワイドショーを見ている方が今の流れが分かりやすいというのが現実じゃないかと思います。
 そこで、ちょうど私も選挙のときには、本当に非常識と怒られますが、ばかやろう、おまえら投票に行け、あしたの時代はおまえたちの力で手にしろと、それだけしか言わなかったんで、当選してしまったんで皆さんに申し訳ないなと思っていますが。そういう、当時はネット選挙ということで、本当に私も行くと皆さんがざあっとカメラを向けるものですからそれに応えて、それで、みんな発信しろよということで、すごい数が一瞬にして発信されました。その後、前回の選挙のときには全くそのネットのネの字も出なくなってしまいました。いずれ、これが十八歳、十九歳、彼らがみんな、スマートフォンはみんな持っていると思うんですが、そういうものをして、いかに今後の日本の選挙の在り方ということで、政府としても、また我々も考えていく必要があるのではないかと思います。
 もうじきに選挙ですが、投票率というのが私にとって、政策も当然です、同時に国民参加というのが一番大事な部分であると思いますので、一つのキャッチフレーズというか、その辺の訴え方も含めて、やはり無責任な政治でなく、国民参加ということで、是非その辺の点について、年齢がこれからまた十八、十九、この人たちに向けても何か戦略を考えているか、お聞かせください。
○政府参考人(宮地毅君) お答え申し上げます。
 選挙権の年齢の引下げを踏まえまして、若者の政治意識の向上を図るためにも、政治や社会の問題を自分の問題として捉えてもらい、考えて判断をして行動していく主権者を育てるということが大変重要であると考えております。そのためには、学習や体験を積み重ねることによりまして政治的なリテラシーの向上を図るということが大事かと考えておりまして、昨年、全ての高校生に配付をしておりますが、政治や選挙に関する副教材なども活用いたしまして、選挙管理委員会や教育機関等とも連携をして主権者教育を推進してまいりたいと考えております。
 また、投票率の関係でいきますと、有権者一人一人に着目をした投票環境の整備を図るということも重要と考えておりまして、この夏の参議院選から効果が見込まれるものといたしまして、共通投票所の設置でありますとか、期日前投票の投票時間の弾力的な設定を可能とする公職選挙法の改正案を本国会に提出をさせていただいているところでございます。
 総務省といたしましては、このような取組を通じて、引き続き、一人でも多くの方に投票に行っていただけるよう、投票率の向上に努めてまいりたいと考えております。
○アントニオ猪木君 次に、薬物について質問させていただきますが、この一か月以上ですかね、連日、清原君のニュースで流れていましたが、かつてあの清原君も、東京ドームだったですかね、リングに呼び上げて、俺に挑戦する生意気なやつがいるじゃねえか、そうだなあ、誰だと。それで、清原が上がってきたものですから、上がった瞬間に闘魂、正確には闘魂注入なんですが、びんたをしたらいい音しましてね、バチンと。ざまを見ろ、このやろうと思ったんですけど、まあそのときに彼が改心しておけばこういうことにならなかったかなと思いますが。非常に彼は、それ以外付き合いはそんなにないんですが、性格はすごくいい人間だとは聞いていますが、どこか心の弱さというか、一日も早く更生してもらいたいと思います。
 多分今日釈放されるとかいう何かニュースが流れていましたが、誰が引受人になるかと。私が朝テレビをつけたらぱっと私の顔が出ているから、何だろうというふうに思ったら、アントニオ猪木が引受人になったという。勝手なこと言うんじゃねえよと、本当に。まあワイドショーは面白いからいいかなと思っていますけど。
 最近、この薬物使用の低年齢化が進んできています。中学生が使用していると聞き本当に驚いていますが、ついには小学生まで薬物をという、そういうニュースが流れたときに本当にショックを受けましたが。
 我が国は四方を海に囲まれていますし、陸路もつながっていない島国ですから、その辺は、薬物とかそういうものは、密輸品が入る、非常にそれはコントロールしやすい反面、海や陸、あるいは監視のルートが、水際で止められるような、ほかの国とは違った部分があるかなと思います。
 国内の取締りを強化することがこれからも不可欠だと思いますが、ここで、薬物が広がってこんなになってしまった今、今に始まったわけじゃないですけど、いろんなものがありますが、国によって薬物あるいはマリファナもそうですが、合法化されているところもあります。そんな中で、日本がどんなようなキャンペーンというんでしょうか、若者に対してこういうものをさせないような国としての考え方があればお聞かせください。
○政府参考人(森和彦君) お答えいたします。
 委員御指摘の大麻、マリファナでございますけれども、国際条約におきまして最も危険性の高い麻薬でございますヘロインと同等の規制が掛けられておりまして、世界でも最も乱用されている薬物でございます。また、最新の研究で大麻の使用はその他の薬物乱用依存のリスクを増大させるということも明らかになっておりまして、大麻を使用する方が低年齢化するという、そういう動向につきましては、厚生労働省としても十分に注視いたしまして、積極的に対応していく必要があると考えております。
 このため、若年層に対する薬物乱用防止の啓発を図る観点から、小学六年生の保護者向けのリーフレット約百四十万部、高校卒業予定者向けのリーフレット約百二十万部、青少年、未成年の方ですが、この方々向けのパンフレットを約二十四万部作成、配布をしているということとともに、教育機関等の要請に応じまして講師を派遣する薬物乱用防止啓発訪問事業に取り組んでおります。これが、平成二十六年度、約四百三十機関に出向いておるということでございます。また、毎年、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動や麻薬・覚醒剤乱用防止運動などの国民運動を展開するということとともに、フェイスブックやツイッター等のインターネットを活用した情報の発信などにも努めております。
 厚生労働省といたしましては、引き続き、薬物乱用の防止のための啓発活動、あるいは麻薬取締部による徹底した取締り、水際対策などを継続するとともに、関係機関とも連携の上、大麻、危険ドラッグ、覚醒剤等の薬物乱用の根絶に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○アントニオ猪木君 是非是非、いろんな情報も取りながら、今一つの暴力団の抗争も起きておりますが、取締りは当然しなきゃいけないんでしょうが、一部には彼らからの情報というのも非常に大事な部分だという、これからの日本の在り方というのは難しいと思いますが、是非また頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 まず、今月十三日に那覇市で起きた米軍兵士による性暴力事件についてお伺いいたします。
 政府として現在把握している事件の概要を御説明ください。
○政府参考人(露木康浩君) お尋ねの事件でございますけれども、三月十三日、沖縄県那覇市内のホテルにおいて、熟睡して抵抗できない状態の女性が性的な被害を受けたものでございます。同日、沖縄県警察が二十四歳の米軍人の男を被疑者として緊急逮捕いたしております。現在、沖縄県警察において事案の全容解明に向けて鋭意捜査を進めているところでございます。
○糸数慶子君 今回のその事件を受けまして、政府としてどのような対応をされたのでしょうか。防衛大臣、外務大臣、両大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては、三月十三日、緊急逮捕の報告を受けまして、直ちに防衛省補償課長から在日米軍司令部第五部長、及び沖縄防衛局長から在沖米軍四軍調整官に対して遺憾の意を表するとともに、隊員教育、綱紀粛正、再発防止の徹底について申入れをしたところでございます。また、今般の事件が那覇地方検察庁に送致をされたことを受けまして、十五日、地方協力局長から在日米軍司令官に対しても同内容の申入れを行いました。
 さらに、十四日、沖縄防衛局長と外務省沖縄大使が沖縄県庁を訪れまして、沖縄県副知事に対して、那覇市において米海軍兵が準強姦の容疑で逮捕された事件につきまして説明を行ったところでございます。具体的には、沖縄防衛局長から米軍へ再発防止の徹底を申し入れたこと、被害者対応につきまして最大限支援をする旨説明をいたしております。
 防衛省といたしましても、このような悪質、卑劣極まりない事件の発生は、被害者の方はもとより、沖縄県民の方々に対し多大な不安と懸念を与えるものだと、誠に遺憾でございまして、その再発防止等に真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
○国務大臣(岸田文雄君) 米軍人による事件、事故はあってはならないものであり、今回の事案の発生、極めて遺憾であります。
 外務省としましては、三月十三日午後、本件に関する報告を受けて、直ちに、森北米局長からハイランド駐日米国臨時代理大使、そして山田北米局参事官からワイズ在日米軍副司令官、そして水上沖縄担当大使からニコルソン在沖米軍四軍調整官に対し、本件は極めて遺憾であるとして、綱紀粛正及び再発防止を強く申し入れた次第であります。
○糸数慶子君 今回のような性暴力事件で最も重要なのは、やはり被害者へのプライバシー保護、そしてさらに心身の十分なケアですが、これをまず徹底をしていただきたいと思います。
 さらに、米軍から被害者への謝罪、政府として求めるべきだと思いますが、防衛、外務両大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(中谷元君) 今般発生した事件の事実関係につきまして、現在捜査中であると承知しておりますが、防衛省としては、今後とも、捜査の推移を注視をし、被害者の心情に配慮をしながら、関係機関と連携して被害者に対して適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、米側からの謝罪につきましては、十四日、在沖米軍四軍調整官より沖縄防衛局長に対して、このような事件の発生について大変申し訳なく感じている旨の説明があったところであります。また、昨日、四軍調整官から沖縄県知事に対して直接謝罪があったところでございまして、いずれにしましても、今後、米側に対して実効的な再発防止策が取られるように、防衛省として機会を捉えて働きかけてまいります。
○国務大臣(岸田文雄君) こうした米軍人等による事件、事故の防止には米側の努力が重要です。
 政府としても、今後とも米側に対し実効的な再発防止策が取られるようしっかりと働きかけを行っていかなければならないと思いますが、その際に、御指摘のように、被害者のプライバシーの保護、あるいは心身のケア、これが重要であるということ、これは御指摘のとおりであります。そうした点もしっかり留意しておかなければなりませんし、また、謝罪について御指摘がありました。謝罪につきましては、ただいま防衛大臣の方から、ニコルソン在沖米軍四軍調整官が翁長沖縄県知事に直接謝罪した、こうしたことについて答弁をさせていただきました。
 是非、今後とも、政府としまして地道な努力、継続的な取組、続けていきたいと考えます。
○糸数慶子君 在日米軍関係者による日本人女性への性暴力事件、本当に多数発生しています。復帰前、復帰後、現在に至るまで数限りなく、これは表に出てきただけではなくて、被害を受けた方が訴えたけれども、やはりプライバシーの侵害、あるいは十分な心身のケアを、害するようなことがあって、一度申し立てたものを取り下げたという事例もありまして、本当にそういう意味での女性に対するきちんとしたケアをしていただきたいと思います。
 そのたびに、再発防止、それから綱紀粛正、このような言葉が繰り返されるわけですが、防止できていれば、再発防止とか綱紀粛正という言葉が今日もありましたが、出てくるんですけれども、そういうことが本当に実行できていれば今回の事件も起きなかったわけですけれども、防止できていない、そのための県民の不信感というのは募るばかりであります。
 政府として、今後、同様の事件を防止するために効果的な対策をどのように検討されているのか、防衛省にお伺いいたします。
○政府参考人(中島明彦君) 先生の今の御質問をちょっと聞き違えているかもしれませんが、現在、防衛省におきましては、SACOの最終報告に基づきまして、沖縄県道の一〇四号線の実弾射撃訓練、これを全国でやっているところでございます。平成九年度以降、本土の矢臼別、王城寺原、北富士、東富士……(発言する者あり)
○委員長(佐藤正久君) 中島局長、答弁が違うと思いますけれども。
○政府参考人(中島明彦君) 失礼しました。もう一度ちょっと……(発言する者あり)
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(中谷元君) 再発防止策につきましては米側に申入れをしたところでございますが、現在、リバティー制度というのがございまして、これは、平成二十四年十二月以降、勤務時間外の行動指針として、米軍人に対して、施設・区域外の公共の場所における飲酒、また外出時間の制限、外出者の同伴の義務等が義務付けられていると承知をいたしておりまして、これは米側の自主的な取組でございますが、引き続き米側に対して綱紀粛正等の働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 まだ聞かないことに対する答弁、先ほどありましてびっくりしておりますけれども。
 九五年の少女暴行事件を機に沖縄県で行っていた演習を沖縄県外に分散されています。そこで、他の県で行われている駐留米軍の犯罪防止策についてお伺いしたいと思います、防衛省。
○政府参考人(中島明彦君) 委員、先ほどは大変失礼を申し上げました。
 それで、沖縄県道の一〇四号線越えの実弾射撃についてでございますけれども、御案内のとおり、これは、平成九年度以降、本土の矢臼別、王城寺原、北富士、東富士及び日出生台の五つの演習場で分散実施をしておるところでございます。
 これらの演習場を管轄する地方防衛局におきましては、地元住民の方々の不安を解消するためにも、この訓練を実施している期間中、これらの防衛局の職員が各演習場から外出する海兵隊員の案内のための同行に努めているところでございます。
 また、矢臼別、王城寺原、日出生台の演習場におきましては、外出の状況に応じまして、同行できない場合には外出先で巡回するなどの措置を講じているところでございます。
 大変失礼を申し上げました。
○糸数慶子君 私、先ほど防衛大臣がお答えになりましたリバティー制度のことなんですが、このリバティー制度を無視して、まして今県民が一番気になっている辺野古の基地のあるキャンプ・シュワブ、そこから出てきた兵士が今回のこの事件を起こしているわけですね。そういうリバティー制度があっても効き目がないという状態なんですが、今参考人からお伺いしたように、防衛省、地方局においては、他の都道府県でこの演習が行われるときに、何とこれが米軍が外出をするときちゃんと案内をしたり同行したり連絡調整をしたりという状況で、この演習場の付近の、あるいはその演習の行われている町での米軍の行動をきっちり監視しているんですけれども、沖縄ではそんなことはないんですね。リバティー制度があっても、なおかつ米軍が外に出ていってこういうふうな行動をして時間内に帰らなくてもチェック機能がないというのは、一体この差別といいますか、その違いは何なんでしょうか。
○政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、こういう実弾射撃を本土の演習場で分散実施をする際に、海兵隊員が演習場外へ外出する場合地方防衛局の職員が案内のための同行ということで、そういう措置を講じているところでございますけれども、今先生が御指摘になられましたような米軍人の行動を監視するとかチェックするとか、そういうふうな趣旨のものでは必ずしもないわけでございます。また、通常、沖縄を含めまして、全国の米軍施設周辺におきましても、米軍人が外出する際に地方防衛局の職員が必ず米軍人に同行するといったことは講じていないところでございます。
 他方、沖縄におきましては、在沖米軍の自主的な取組の一つといたしまして、米軍人における事件、事故の未然防止等の目的として、米軍人が週末それから休日の夜間に生活指導のために市街地等の巡回を行っているというふうに承知をしているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、こういうふうな米軍の努力に加えまして、我々防衛省といたしましても、米側に対して、米軍人・軍属等による事件・事故の防止のための協力ワーキング・チーム、こういうような様々な機会を通じまして事件、事故の防止を働きかけるとともに、関係機関との協議、これを更に深めて、重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○糸数慶子君 では、日米合同委員会についてお伺いいたしますけど、この日米合同委員会、何かあれば集まっていろいろ協議をするわけですけど、この委員会のメンバーと、直近の委員会がいつ行われたのか、さらに今回の事件についてはいつ委員会が開かれるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(山田重夫君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のございました日米合同委員会でございますが、これは日米地位協定二十五条に基づきまして設置されておりまして、地位協定の実施に係る日米相互間の協議を必要とする全ての事項に係る両政府間の協議機関でございます。
 この委員会、日米両政府の代表者各一名、日本側は外務省北米局長で、米側は在日米軍副司令官でございます。これら代表者に加えまして、複数の代理などで構成されております。
 この日米合同委員会、通常月二回程度の頻度で開催されておりますけれども、それに加えまして、日米両政府のいずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合ができるということとなっております。一方で、この日米合同委員会の開催日ですとかそこにおけます具体的なやり取りの内容につきましては、日米相互の合意なしに公表されないこととなっておりまして、各会合の日時や協議内容について本日明らかにすることはできないことについては御理解いただければと思います。
 一方で、米軍人による事件、事故の予防には米側の努力が重要でございまして、外務省といたしましては、米側が実効的な措置をとるよう、御指摘の日米合同委員会の場も含めて、適切な機会を捉えて米側に対して働きかけていきたいと考えております。
○糸数慶子君 一日も早く委員会を開いていただいて、今回のことも含めて改めて協議をしていただきたいということを強く申し入れたいと思います。
 今回のような女性の人権を侵害するような犯罪被害、そして米軍機の爆音被害、それから環境汚染、あるいは自動車等の事故による被害など、現在、沖縄での米軍の存在によって県民の生活が脅かされているという現実があるわけですが、まして、日本の安全保障のため、先ほど地位協定に基づいて合同委員会も開かれるというふうにおっしゃっていますけれども、やはり国民の生活を脅かす、この地位協定があっても沖縄の人たちの安全は守られていないという実態が今回の事件の発生によって改めて県民の怒りを買っております。
 先ほど、在沖米軍司令官が知事に面談をして謝罪をしたということなんですが、良き隣人政策ということを米軍はよくおっしゃいます。しかし、良き隣人政策の結果がこういうふうに女性の人権を侵害する、こういう結果になるということは、隣人政策が本当に実行されたためしがあるんですかと知事が怒りを表したという言葉のとおり、沖縄県民にとってはこういう基地がある限り本当に県民の平穏な生活というのはないというのが実態です。
 沖縄県民の安心、安全な暮らしのために、また改めて辺野古のように新しい基地を造るなんということは決して私たちは認められないということを強く指摘し、先ほどの御答弁の中に、防衛大臣の答弁にもありました、本当にリバティー制度とかこういう制度があっても、実行しても、この結果が県民に対して、あるいは今回はとりわけ旅行者の、本土からの旅行者の方です、沖縄が観光立県として観光に力を入れているのに対するある意味大変な、外から来る人に対する安心、安全というのがこういう状況では守ることができないというのが観光業界からの強い訴えでもありますので……
○委員長(佐藤正久君) 質疑時間が終了しておりますので、質疑をおまとめください。
○糸数慶子君 はい。
 まとめますが、是非、効果的なリバティー制度の在り方、そして綱紀粛正というのがまさにきちんとした効果が現れるようなことを、対応をしっかり求めていきたいと思います。
 時間がありませんので、また次にこの続きに関しては質疑をさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(佐藤正久君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。
    ─────────────
○委員長(佐藤正久君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。
 改正の第一は、在ニウエ日本国大使館及び在ベンガルール日本国総領事館を新設するとともに、同大使館及び同総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。
 改正の第二は、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。
 改正の第三は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給額を改定することであります。
 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定及び子女教育手当の支給額の改定については、平成二十八年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(佐藤正久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十四分散会