第190回国会 財政金融委員会 第3号
平成二十八年三月十日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月九日
    辞任         補欠選任
     大門実紀史君     小池  晃君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     山谷えり子君     中原 八一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         大家 敏志君
    理 事
                愛知 治郎君
                石田 昌宏君
                長峯  誠君
                大久保 勉君
                西田 実仁君
    委 員
                岡田 直樹君
                伊達 忠一君
                中川 雅治君
                中西 健治君
                中西 祐介君
                中原 八一君
                宮沢 洋一君
                山谷えり子君
                山本 一太君
                礒崎 哲史君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                白  眞勲君
                前川 清成君
                竹谷とし子君
                小池  晃君
                藤巻 健史君
                中山 恭子君
                平野 達男君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
   副大臣
       財務副大臣    岡田 直樹君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        牧島かれん君
       財務大臣政務官  中西 祐介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      増島  稔君
       金融庁監督局長  遠藤 俊英君
       総務大臣官房審
       議官       時澤  忠君
       財務省主税局長  佐藤 慎一君
       経済産業大臣官
       房審議官     若井 英二君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行副総裁  岩田規久男君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (財政政策等の基本施策及び金融行政に関する
 件)
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○委員長(大家敏志君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。
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○委員長(大家敏志君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府大臣官房審議官増島稔君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大家敏志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大家敏志君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君及び同副総裁岩田規久男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大家敏志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大家敏志君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚耕平君 おはようございます。民主党・新緑風会の大塚でございます。
 今日は、財務大臣始め関係の皆さんに質問をさせていただきたいと思います。
 与野党問わず、経済を良くしたいという願いは一緒でございますので、できるだけ現状についての認識を共有して、何か改善を要する点があれば、この財政金融委員会の議論がきっかけになって改善されればいいなというふうに思っております。
 そこで、まず財務大臣にお伺いしたいんですけれども、一昨日、所信表明拝聴しました。相変わらず、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」というふうにおっしゃったんですけど、今不況なんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) アベノミクスの三本の政策によって、少なくとも生鮮食品やエネルギーを除いたいわゆるコアコアと言われる基調がマイナスからプラスへと転じたことは確かでありますので、GDPの伸びと名目GDPのあれがひっくり返っておったという状況からも脱出しておりますので、デフレではないという状況まではつくり出したとは思っておりますが、再びデフレに逆戻りすることはないかと言われれば、その点に関しては自信がないというところであろうと思っておりますので、そういった意味では、私どもは、原油価格の下落等々の影響がありますものの、消費者物価の基調というのは緩やかに上がってはおりますが、今後とも、賃金の引上げの流れとか、また雇用の拡大等々を通じて、経済の好循環というものできっちりデフレ脱却というものを確実なものにさせていただければと思っております。
○大塚耕平君 いや、これ自身は通告にないんですが、一昨日、ここで読み上げられた原稿ですからね、これ、大臣が。所信です、これ。
 それで、野党の我々が非力でありますので、いろいろ政府の運営に緩みが出ていると、我々から見るとそういうふうに見えるんですね。これは我々の責任でもあります。しかし、政府の皆さんには、野党がいかに非力であろうと、緊張感を持ってやっていただきたいわけでありますが、閣僚のみならず事務方の皆さんも、委員会の乗り切り方が割と容易になってきているので、バックアップに緊張感が足りないなというふうに最近見えます、私には。かつての我々の上り調子のときの野党時代を経験しているだけに、霞が関の皆さんの雰囲気の違いもよく分かります。
 大臣、もう一回聞きます。ここ大事なところなんですよ。大臣の公式発言で、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」とおっしゃったわけですから、今は不況だという定義ですね。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の実体経済というものを見た場合においては、これは間違いなく、少なくとも企業収益は過去最高というのを記録をいたしておりますし、またGDPも間違いなく伸びておりますし、有効求人倍率も極めて高い。昨年の賃金上昇率も、連合の発表でしたけれども、あれは十七年ぶりで最高という話になっておりましたので、確実にファンダメンタルズというものは上がってきていると思っておりますので。
 そういった意味では、我々としては経済が好調になってきているとは思いますけれども、我々を取り巻いております世界情勢というものを考えたときに、中国の話とか石油の話とかいろんなものがありますので、そういったものを考えますと、我々としては常にそういったものも意識しておかねばならぬと思っておりますので。我々は、多額の借入金を抱えております財政の状況を考えた場合に、インフレというものは極めて重要なファクターだと思っておりますので、我々としては、この状況をきちんと維持し続ける、二度とデフレには戻らないという状況を確実なものにしていきたいと考えております。
○大塚耕平君 もう一回説明しますけれども、いや、もう大臣はお分かりの上で、もう百戦錬磨ですから上手に答弁で切り抜けようとしておられると思うんですけれども、大臣、ここは文章を修文させないと駄目ですよ。おとといの発言を今ここで取り消すというわけにはいかないかもしれませんが、こんな文章が堂々と読まれて問題にならないところに、日銀も含めた今の財政金融政策の不整合の端緒の一部が出ていると思うんですね。
 もう一回聞きますよ。これ、私、引っかけ質問じゃなくて、大臣がおっしゃったんですから。「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」というこの文章は、中学生が読んでも、ああ、じゃ今不況なんだなということですよ。ですよね。
 だから、これ大臣にお願いしますが、今ここでこれを訂正してくれとは言いませんから、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」というこの表現は必ずしも適切でないとお感じになるならば、しかるべき時期に改めて日銀などとも調整をして、景気の現状認識について正確な表現に努めるというふうにおっしゃっていただけませんか。
○国務大臣(麻生太郎君) デフレ状況から脱却しつつある、正確には資産デフレというのがもっと正確なんでしょうけれども、資産のデフレーションからのいわゆる不況から脱却しつつあるということは、私どもの思っておりますデフレから脱却したという経済状況にはないということを意味しておりまして、私どもとしてはまだまだやらねばならぬというのが意識にありますので、デフレ不況という状況から脱却しつつあるという表現を使わせていただいておるというのが背景であります。
○大塚耕平君 巧みに、今、前半と後半で意図的に変えられたのか、流れでそうおっしゃっているのか分かりませんけれども、前半はデフレから脱却したわけではないというふうに言って不況を言わなかったんですよ。最後は不況を言っておられるんですよ。
 だから、デフレからまだ完全に脱却したわけじゃないというのであれば、これは何となく一連の文脈でこれまでも同じようなことを言っておられると思うんですけれども、デフレとデフレ不況では全く意味が違いますので、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」というのは、政府の景気判断の公式見解や日銀が表明している様々な表現と必ずしも整合的ではないと思いますが、ここは改めてしかるべき時期に訂正をする御意思はございますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今申し上げた表現で、私どもは、基本的に、インフレで不況もあれば好況もあるのと同様に、デフレでも好況もあれば不況もあると、そう思っております。したがいまして、私どもが長いこと苦しんだのはデフレーション下における不況でありますから、そういった意味においては、デフレ不況という言葉が正確な表現だと今まで思っております。
 したがいまして、今の状況の中で私どもがデフレ不況というのが完全に克服できたかといえば、地方というものを見た場合においてはまだまだデフレ不況から脱却したと言いにくいのではないかと思っておりますので、私どもとしては、今、大塚先生から御指摘がありましたように、そういった言葉を使わなくていいような時代に、一日も早くそこに到達したいものだと考えております。
○大塚耕平君 もう一回だけ聞きますけれども、ここをきちっと答弁していただけなかったら、一回整理してください。
 大臣は、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」というふうにおっしゃったので、今は不況なんですか、不況じゃないんですかということだけ伺っています。
○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは、デフレ不況から脱却しつつあると申し上げている以上、不況というものが日本全体で見た場合の数字としては確かに上等なものになってきていると思っておりますが、少なくとも今のデフレ脱却を確かなものにしていきたい、デフレ不況からの脱却を確かなものにしていきたいと申し上げておりますのは、地方というものを考えました場合に、なかなか名古屋と違ってさようなわけにはいっておらない地域も一杯ありますので、デフレ不況というものはまだまだ残っている部分があろうかと存じております。(発言する者あり)
○委員長(大家敏志君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大家敏志君) 速記を起こしてください。
 それでは、麻生大臣、もう一度答弁を願います。
○国務大臣(麻生太郎君) 何かしつこく申し上げるようですけれども、極めてファンダメンタルズはしっかりしておると思いますし、不況かと言われれば、国全体として見た場合は間違いなく経済指標は全ていいことになってきておりますので、そういった状況が国全体として言えるのは確かだと思いますが、少なくとも、愛知県とかいう特殊な地域は別にして、ほかの東北、四国、中国等々、九州南部等々を見ますと、これは間違いなく不況から脱却しているというような意識のないところというのはかなりあろうかと存じますので、私どもとしては地域差がかなりあると思っておりますから、そういった意味では、ファンダメンタルズはしっかりしておりますけれども、デフレ不況に戻る可能性というのは、まだまだ我々の周りを取り巻いております環境は、中国、石油、いろいろあろうかと思いますので、私どもとしてはデフレ不況に戻る可能性は避けたいということを、私どもの気持ちはそこにあるということだと御理解いただければと存じます。
○大塚耕平君 地域差があるというのはおっしゃるとおりでありますので、ここでこれ以上この質問では更問いしませんけれども、是非、景気判断などの論点は一言一句に意味があるということを事務方の皆さんも改めて十分御認識をいただいて大臣の御発言案を作っていただきたいなということを申し上げておきます。
 そうすると、「デフレ不況から脱却しつつある今こそ、」とおっしゃって、地方ではとてもまだ好景気の実感が感じられないというこういう中において、大臣にお伺いしますが、消費税率の八から一〇への再引上げは、これは予定どおりやるべきだというふうに今お考えになっておられますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、私どもは、一昨年の十一月、消費税の八%から一〇%に引上げを延ばすという決断をさせていただいて、昨年の四月からの引上げを延期させていただくに当たりまして、一年半後に必ずやらせていただきますという状況を申し上げさせていただいたんですが、あのときの経済状況と今の経済状況を見ますと、企業におけます四半期の収入見ましても、四半期で約二兆数千億プラスになってきておりますし、そういった意味では、雇用状況等々を含めて、あの状況とは、一年半前とはかなり違っておるという状況になってきておりますので、予定どおりやらせていただきたいと思っております。
 それによって、少なくとも私どもは、社会保障と税の一体改革というのはこれのそもそもの目的でありましたから、その方向に向けていくためには必ずこの消費税というものは避けて通れない問題だと思っておりますので、私どもとしては、今はそういった上げられる状況をつくり上げられつつあると、さように考えております。
○大塚耕平君 昨日、総理が参議院の本会議で、消費増税を予定どおり行うか延期すべきかは政治判断という表現を使われたんですが、常日頃、総理と意思疎通を図っておられる財務大臣のお立場として、昨日総理がおっしゃったこの政治判断というのはどういう意味だとお考えになられますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、リーマン・ショック並みの大きな経済状況とか地震を例に引いてここのところずっと言ってこられましたけれども、そういったような状況というものを、我々としては、具体的なものとしては申し上げられますけれども、経済というのは今からまだ一年ぐらいある状況の中において何が起きるか分かりません。そういった状況の中にありますので、我々としては、どういったような状況が起こり得るかというのは、我々としてはいろいろ判断をしなきゃならぬところがいっぱい出てくる可能性があろうと思いますので、きちんとしたものを腹に収めておかないといかぬが、これでやるかやるべきでないかという判断というのは最終的に総理のところで決断をされることになろうかとは思いますが、政治判断を要する状況があるというので、その政治判断は具体的にどういうものかというのが今明確に言えるような状況にあるわけではございません。
○大塚耕平君 日銀総裁にお伺いします。
 消費税についてですけれども、数日前どこかで講演をされたんでしょうか、報道で、来年の消費税率再引上げについて経済への影響は前回の半分強くらいだとおっしゃって、報道されております。
 なぜ前回の半分強というふうにお思いになられているのかということと、日銀として来年の再引上げについてはどのように、日銀総裁としてどのようにお考えになっているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 講演をいたしましたときに質問がありまして、来年の四月の消費税引上げについてどういうふうに考えているかということでありましたので、私からは、日本銀行総裁としてこの税制改正について具体的な意見を申し上げることはできませんと、税制改正というのはあくまでも政府と国会においてお決めになることですというふうに申し上げました。
 その上で、純粋に経済的な分析としては、三%でなくて二%であるということ、それから食料品を全て非課税とすることによって一兆円ぐらい減収になるということ、そういうことを併せて考えてみますと、恐らく、三%全ての消費財、サービスについて引き上げた前回と比べると直接的なインパクトは半分強ぐらいであろうという分析的なことだけ申し上げまして、消費税の引上げそのものについて日本銀行総裁として具体的な意見を申し上げたわけではございません。
○大塚耕平君 冒頭申し上げましたように、余り繰り返し言うと自虐的でありますが、野党が非力なのでいろんな意味で緊張感が欠けていると思うんですが、日銀総裁として、そういう記者の質問が出たときに、三%に対して今回は二%だから、軽減税率もあるからまあ前回の半分ぐらいというのは、そういう大ざっぱな話なら僕でも言えます。そうではなくて、日銀総裁として、前回の影響の半分ぐらいというのは、かなり、そうおっしゃるならば何らかの分析があっておっしゃった方がいいと思いますし、それがない中で質問されたのであるならば、影響についてまだここで何か申し上げるべきではないと思うとか、いろんな答弁の仕方があると思うんです。
 そこで、それに関連してちょっとお伺いしたいんですが、今日は内閣府の政府参考人も来ていると思いますが、日本の今の潜在成長率はどのぐらいですか。
○政府参考人(増島稔君) お答えいたします。
 潜在成長率は、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるため、数値については幅を持って見る必要がございますけれども、内閣府の推計では、二〇一二年以降、四半期ベースで見ますとおおむね〇%台半ばで推移しておりまして、直近、二〇一五年十―十二月期は〇・四%と推計しております。
○大塚耕平君 日銀総裁にお伺いしますけれども、前回の消費税引上げのとき、五から八のときにやはりこの委員会や衆議院でも随分消費税引上げの影響を聞かれておられまして、答弁いろいろ読ませていただきましたけれども、大体こういうふうに言っておられるんです。「消費税率引き上げに伴う駆け込みあるいはその反動という影響を受けながらも、我が国経済は、基調的には潜在成長率を上回る成長が続くのではないかというふうに考えております。」と、大体こういう答弁をしておられます。今読み上げたのは平成二十五年の十一月二十二日の衆議院の財務金融委員会の御答弁ですが、前回の五から八のときのこの見方は大体そのとおりになったという御認識でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 基調的には、日本経済は、潜在成長率、私どもの推計では〇・五%を下回るぐらいというふうに見ておりますけれども、現状についてですね、そういったものを基調的に上回る成長が続いているということは事実だと思いますが、他方で、前回の消費税の引上げの際にはかなりの駆け込みと反動減があって、一四半期マイナス成長だけでなくて、もう一四半期、若干ですけどマイナス成長があったという意味では、やや予想を上回る影響があったというふうには考えております。ただ、これは様々な消費に対する影響、その当時のいろいろな天候要因とかその他もいろいろありましたので、必ずしも正確に申し上げるというのは難しいと思っております。
 なお、先ほどの御質問にありました半分強というのは、一応、展望レポートでも前回の消費税の引上げの影響、そして政府において前提されておる来年の四月の二%の消費税の引上げの影響についても一応の試算はしておりまして、それによりますと、やはり前回と比べて半分強ぐらいの影響であろうということになっております。
○大塚耕平君 消費税率を再引上げするかどうかは、これは与野党とも大変高い関心事項で、国民の皆さんにとっても重要な影響を与えますので、委員長にお願いをしたいと思います。
 日銀に資料を提出してもらいたいと思うんですが、それは何かというと、まず、前回五から八に引き上げるときに、繰り返しませんが、先ほどのような答弁をしたわけですね。その結果、八に引き上がった結果、事前に日銀が予測していたことと、その結果がどうであったかという評価と、それから、次に八から一〇に上げることに関して前回の影響の半分強ぐらいだと見ているという総裁のこの発言を裏付ける分析した調査資料を当委員会に提出をしていただくことを日銀に求めたいと思いますので、委員長においてはよろしくお取り計らいください。
○委員長(大家敏志君) 後刻理事会において協議をさせていただきます。
○大塚耕平君 ちなみに、私は、この局面では八から一〇には引き上げるべきではないというふうに思っております。我が党は基本的にそういう方針を決定いたしましたので、そのことを改めて申し上げたいと思います。
 その上で、税制の話に少し入らせていただきますが、景気を良くするためにも自動車の売上げというのは非常に重要なウエートを占めるわけでありますので、昨日夕方に追加質問して恐縮でしたが、やはり、いろいろ私たちなりに情報を整理すると、どうも日本は自動車に対しては相当重課税ではないかという気がしております。
 そこで、日本の自動車課税、これは車体課税の様々なものを全部合算した上での、いわゆる自動車課税率というのはどのぐらいで、これは他の先進国と比べるとどのぐらいの違いがあるのかということについて見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
 自動車に関する税制といいますのは、先生御案内のとおり、各国、課税標準も随分違っておりますので表面的な税率だけを足すとなかなかいかないものですから、一定の試算ということで、一定の自動車、二千tクラスをモデルとしまして機械的試算をさせていただくということでございます。
 それで、この関連の税制としましては、車体課税、それから燃料課税、それから付加価値税というものが関わってまいりますので、これらを合わせた形での税負担を試算をさせていただいたということでございます。
 年間納税負担額でございますけれども、日本は約十五万円程度、それからアメリカは五万円程度、ドイツは二十一万円程度、フランスは二十三万円程度、イギリスは二十五万円程度というような形になっているということでございまして、アメリカよりも高いけれども、ドイツ、フランス等々に比べては低めというのがこの試算の結果でございます。
○大塚耕平君 その試算は試算として拝聴しましたけれども、実感的にはかなり重課税だなと。特に、取得税は私などは消費税の事実上の二重課税と同じだと思っていますので、これも委員長にお願いしたいんですが、財務省におかれては、自動車課税率、全てを入れたですね、課税率を何らかの形で他国との比較ができるような整理をして、是非委員会にその資料も提出を願いたいと思いますので、委員長におかれてはよろしくお取り計らいください。
○委員長(大家敏志君) 理事会で協議させていただきます。
○大塚耕平君 先ほど申し上げましたように、消費税率は来年は一〇に上げるべきではないと私は思っておりますので、ひょっとすると、総理は政治判断というお言葉も使いましたし、自民党の政調会長も随分消極的、慎重なことを御発言になっておられますので、私は一〇%先送りもあり得ると思っているんですが、そうなったとしても、平成二十八年度の税制改正大綱で、自民党、公明党の皆さんは消費税率一〇%への引上げ時に取得税廃止ということを言っておられるんですが、消費税率を再引上げしない場合でも、この際、取得税は廃止されたらいかがかと思いますが、大臣はどう思われますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、自動車税の話ですね。基本的には、自動車関係の税負担というのは、これは御存じのように、車体課税、燃料課税いろいろ、消費税と合わせていろいろ分かれているんですけれども、欧州諸国に比べまして高い方ではないというのは佐藤の方から今申し上げたとおりであります。
 車体課税については、これは、あれはリーマン・ショックの後だったと思いますが、これに関しては税率の引下げやら、それからエコカー減税を私のときにやらせていただいたんだと記憶していますが、エコカーの減税とかいろいろなものをつくったり拡充したりさせていただいた、かなり大幅な減税が行われてきたと思っておりますので、これでたしかあのとき一兆はいかなかった、〇・八兆円ぐらいの減収になったと記憶をいたしております。
 こうした観点に加えまして、今、国も地方も厳しい財政事情にありますので、自動車がもたらしますいわゆるマイナスの影響で、例えば道路が破損するとか大気が汚染するとか、そういった社会的な費用もこれは負担をしていただくということになろうかと思いますので、私どもは、この点、今いろいろな御意見があろうかと思いますが、今の段階でこの問題に関して直ちに廃止するという考え方はございません。
○大塚耕平君 私は、消費税率再引上げ延期になった場合でも、自動車取得税については一方で廃止をするべきだということを申し上げておきたいと思います。
 その上で、その他の税制の問題については予算委員会でも若干触れさせていただいたので、この後、マイナス金利の話をさせていただいた後に、時間に余裕があればまた税制に戻らせていただきたいと思います。
 さて、総裁、まずは事務方の職員の皆さんを是非慰労してあげてください。この国会、連日連夜、総裁も呼ばれていますが、スタッフの皆さんは相当夜なべもしておられると思いますけれども、大体、日銀総裁が国会にたくさん呼ばれるというのは、経済情勢が大変なことになっているときか、さもなければ政策が必ずしもうまくいっていないときでありまして、今はどっちなのかなということでありますが、経済情勢は、先ほど不況については財務大臣とまだ見解が整合的になりませんでしたけれども、今、経済情勢は、総裁はどう思われますか。日本の景気は安定的に推移しているとお考えなのか、財務大臣がおっしゃったデフレ不況から脱却しつつあるということは、まだデフレ不況だという御認識ですか。
○参考人(黒田東彦君) 景気につきましては、全体として所得から支出への好循環というのが続いておりまして、経済全体は緩やかに回復しているというふうに見ております。こうした見方は、恐らく政府の見方と共通しているのではないかというふうに思っております。
○大塚耕平君 先ほどの私の整理からすれば、経済情勢が今総裁がそういう御認識であるということは、日銀総裁がこれだけ連日国会に呼ばれるということは、政策が必ずしもうまくいっていないという、こういうことになろうかと思います。
 その議論をさせていただくために、まず数字をお伺いしたいんですけれども、この委員会では再三、この十数年間続いている超低金利が国民の皆さんの金利収入というものを逸失しているのではないかという観点で、どのぐらいの逸失金利収入に至っているのかということをお伺いしております。
 改めて最新データをお伺いしますが、一九九一年又は一九九三年当時の金利を前提とした国民の逸失金利収入、低金利政策による国民の逸失金利収入というのは、一定の仮定計算に基づくと、どのぐらいになるでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 国民経済計算による家計の受取利子を用いて機械的に試算いたしますと、一九九一年における受取利子額が、その後、二〇一四年まで継続したものと仮定した場合と実際の受取利子額との差は、累計で約六百七兆円となります。また、一九九三年における受取利子額が、その後、二〇一四年まで継続したものと仮定した場合との比較で見た額は、累計で約四百六兆円となります。
○大塚耕平君 もちろん、私も数字いただいていますので、受取だけじゃなくて、是非支払も減っているんだということも御主張していただいて、ネットでどのぐらい国民は金利収入を逸失しているのかという数字を御説明ください。
○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、一般に、金利が下がっている場合、御指摘のように、利子収入と借入れのときの金利の負担と両方があることは事実でございますけれども、それを一定の仮定で計算いたしますと、先ほど申し上げた九一年のベースで比較いたしますと、ネットで三百九十二兆円、六百六兆円ではなくて、それから九三年のベースで計算すると二百六十八兆円というふうになります。
○大塚耕平君 これ、金利を受け取る人と支払う人が同じであればまさしく相殺でいいと思うんですけれども、多分、金利を受け取る人はかなり預貯金や公社債を持っている人が中心でしょうし、支払う方は、例えば住宅ローンを抱えている方などですから、やっぱり受取の方に着目してグロスで考えると、本来、九一年基準だと六百兆ぐらいの金利収入がこの二十数年間に入るべき人のところに入らなかったとすると、やっぱり消費行動が少し抑制的になるというのは、これはまあ想像ができるんですけれども、これだけの逸失金利収入というのが四半世紀にわたる日本のマクロ経済の消費行動にやはりボディーブローのように効いているという御認識はお持ちですか。
○参考人(黒田東彦君) それはまさに、デフレといいますか、物価が持続的に下落するという状況が十五年以上続きまして、そうした下で金利がずっと低下してきたということの反映であろうというふうに思っております。
 そうした下で、確かに物価の下落が続き、利子の下落が続き、そして経済成長率も低下していったということであろうと思っております。
○大塚耕平君 つまり、逸失金利収入は日本経済の低迷に影響しているという、そういう御認識だということでよろしいですね。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、デフレ下で経済が萎縮しているという下で金利も低下していたわけでありまして、そうした下で経済が伸びなかったということは事実であります。
 ただ、利子の受取あるいは利子の支払といった部分だけを見て議論をするというのは必ずしも適切でなくて、やはり経済全体を見て議論をするのが適切ではないかというふうに思っております。
○大塚耕平君 低金利政策がその他もろもろの諸事情からの総合的判断ではやむを得なかったということをおっしゃるべく、今の表現になったと思うんですが、それは分かります。私も、前半はまだ日銀におりましたので、苦労しながら低金利政策をその当時の皆さんや幹部もやっておられたのを実際に目の当たりにしておりますので、御苦労はお察し申し上げます。
 その上で、今は黒田バズーカと言われる第三弾を放たれて、何とか物価上昇率二%を達成しようというふうにしておられるんですけれども、総裁、物価上昇率二%の達成時期は、今現在はいつだというふうに想定しておられますか。
○参考人(黒田東彦君) 最新の展望レポートでお示ししておりますとおり、二〇一七年度の前半頃というふうに見通しをいたしております。
 これはもちろんいろいろな前提を置いてでございますけれども、一つの前提としては、石油価格が現状程度のレベルから二〇一七年度、いわゆる見通し期間の最終にかけて四十ドル台の後半まで緩やかに上昇していくということを前提として見通しを作っております。
○大塚耕平君 総裁の任期の最終年度は何年度ですか。
○参考人(黒田東彦君) 私は、二〇一三年の三月に総裁に就任いたしまして、五年の任期でありますので、たしか二〇一八年の三月ではないかというふうに思います。二〇一八年の三月ではないかと。
○大塚耕平君 二〇一七年度でよろしいですね、年度。
○参考人(黒田東彦君) 年度で言いますと二〇一七年度になると思います。
○大塚耕平君 二年で二%を達成するというふうに宣言されて颯爽と就任されたわけでありますが、今のところ目標達成時期は任期の最終年度になってきたということであります。
 予算委員会でもお伺いした点、ちょっとここで整理をさせていただきますが、総裁、その二〇一七年度の物価上昇率、CPIの日銀が展望レポートで発表している数字は何%ですか。
○参考人(黒田東彦君) これは展望レポートで数字を出しておりますけれども、二〇一七年度はプラス一・八%、これは九人の政策委員の見通しの中央値でありまして、具体的な見通しはプラス一%という人からプラス二・一%まで幅はございますけれども、中央値は一・八%となっております。
○大塚耕平君 いや、これは、与野党問わず、与党の先生方も一緒になってお考えいただきたいんですが、つまり、二〇一七年度で一・八になるとおっしゃっていて、二〇一七年度前半に二%を達成するということは、これは、これまた中学生が考えても分かるんですが、二〇一七年度後半は一・八以下にならないとそうならないわけですよね。なぜですかというふうに私が今からお伺いすると、それはあくまで審議委員の見通しの中央値を発表しただけですというふうに多分おっしゃるんです。
 だから、もうそこは省いて総裁にお伺いしますけれども、なぜ審議委員の合議制で行われている日本銀行が審議委員の予想の中央値以外の達成見込みを宣言されるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一七年度の前半頃に二%程度に達するという展望レポートの文章につきましても、審議委員の多数の賛同を得て発表しております。
 また、先ほど来申し上げております数字は、それぞれの審議委員が出されたものをそのまま幅もそれから中央値も示しているということでありまして、私はその両者は整合的であるというふうに考えております。
○大塚耕平君 説明の仕方はいろいろあると思うんですが、今の最後に使われた両者は整合的であるという表現はとても受け入れることはできませんので、何が整合的なのかということについてきちっと説明を求めたいと思います。
 一回質問しますけれども、委員長がお聞きになって、いや、それはちょっと説明がなっていないなと思われたら、是非速記を止めて御協議をいただきたいと思います。何が整合的なんですか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、展望レポートで、二〇一七年度前半頃に二%程度に達する可能性が高いというのが展望レポートで示されている予測、予想であります。これは審議委員の方々の合意によってできているわけでございます。それとともに、それぞれの審議委員が出された数字の年度の見通しというのはそのまま示しておりまして、それとともに中央値も示しているということであります。
 分布を御覧になっていただいても分かりますように、審議委員の多数の方が考えておられる姿と、二〇一七年度前半頃に二%程度に達する可能性が高いということとこの数字とが整合的であるというふうに思っておりますが、今御説明しておるとおり、両者については当然政策委員の中で十分議論をしてこういう形で提示されているということを御理解いただきたいと思います。
○大塚耕平君 なかなか御理解はしかねます。
 そうであるならば、それこそ日銀法改正を議論しなきゃいけないと思いますが、どういうことかというと、合議制で国民経済全体に多大な影響を与える金融政策の議論をしていただいているわけでありますので、各審議委員がお出しになった中央値というのは、これはこれで、なるほど提示されることは意味があります。その中央値とは異なる達成時期の開陳をするということについて、その根拠をどういうふうに示すか示さないのかということに関して、これほどいいかげんな答弁をされるのであるならば、日銀法にそういうことも明記をしなくてはならないというふうに、私は個人的にはそう思います。
 もう一回だけ聞きますが、総裁、片方は中央値を示したもので、片方は日銀として今二〇一七年度前半だというふうに思っているという、だから双方とも理屈があるから整合的なんだという説明にしか私には聞こえなくて、なぜ審議委員全体の中央値が一・八だと言っているのにそれと違う見通しを同じレポートの中で公表するのかということについての合理的根拠をお示しください。
○参考人(黒田東彦君) 何度も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、両者は整合的であると思っております。
 基本的に、こういった各委員の経済見通し、物価見通しを出していただいて、それをもちろん九人の委員は相互に理解して、この分布と中央値も理解しつつ展望レポートにおいて物価の見通しというところを合意されているということでありまして、私は整合的であるというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(大家敏志君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大家敏志君) 速記を起こしてください。
 黒田総裁。
○参考人(黒田東彦君) 先ほどから申し上げておりますとおり、政策委員の経済・物価見通しにつきましては、九人の委員の方からそれぞれ出していただきまして、そのそれぞれの見通し自体も示しておりますし、その中央値も示しております。
 その上で、審議委員全体で議論して展望レポートにおける記述をしておりまして、その点で展望レポートにおける記述と各委員の方々が出しておられる見通し、それぞれに整合的な形でなされているというふうに考えております。
○大塚耕平君 何を問題提起しているかはお聞きいただいている委員の皆様方には御理解いただけていると思いますので、日銀総裁、副総裁には是非、発言責任とか発言の重みについていま一度御認識を持っていただきたいなと思います。二年で達成できなかったら辞職するのが最高の責任の取り方だと軽く言ってみたり、それから消費税率再引上げの影響は前回の半分程度だとか、それから審議委員の中央値が一・八なのにそれとは異なる達成時期を言ってみたりですね。
 やはり、総裁、副総裁が言っておられたように、二年で二%をもう華麗に達成されておられたらこういう議論にはならないわけですよ。現に達成できていないから、もう少し御発言なりに慎重になられたらどうですかということを私は今意見をさせていただいております。それをどう受け止められるかは総裁、副総裁にお任せいたしますけれども。
 今日はお手元に何枚か資料をお配りしております。二枚目と三枚目をちょっと御覧いただきたいんですが、この二枚目、三枚目はもうこの委員会でずっとリバイスして使わせていただいております。二枚目は、財政赤字の対GDP比で、横軸は西暦でございますので、真ん中で切れているのは、これは終戦によって当時の政府が国債や軍票の償還を一部しなかったこととか、それから昭和二十年から二十九年の間に物価が三百倍になったことなどを理由にこの比率が大きく下がっているわけであります。今は一番この右側にあるわけですね。
 だから、総裁御就任時に総裁に申し上げたと私は記憶しているんですが、総裁は、財務官僚、そして中でも財務官として御活躍になられて、やはりこの三十年間、日本が財政赤字を拡大してくる局面に財務省におられたわけで、この後は日銀総裁になられて、今度は金融の方も発散型の運営にならないように、是非、重い立場にお立ちになられるのでよろしくお願いしますという趣旨のことを申し上げた記憶があります。
 三枚目を見ていただくと、その金融政策ですが、青い線がマネタリーベースであります。赤い線は株価であります。この@番のところで、竹中大臣、福井総裁の下で量的緩和が強化されたわけでありますが、福井総裁の最晩年、安倍官房長官、第一次安倍政権のときに、A番のところで金融引締めが行われました。その後、サブプライム危機とリーマン・ショックが起きましたけれども、民主党政権も大変苦労しましたけれども、白川総裁の下で、このマネタリーベースを福井総裁の頃よりちょっと高いところまで戻したわけであります。そしてC番が、黒田総裁が御就任されて、第二次安倍政権の下で今異次元緩和が行われているわけであります。
 四番を見ていただきますと、この四番の資料も過去にこの委員会でも使ったことがあると思うんですが、実際にこれを作ったのは、もう今から十数年前に、若干、私もまだ学会等で報告などもしておりますので、日本財政学会などで報告するときに使った資料です。岩田副総裁とパネルをやらせていただいたときにも使ったような記憶が私はあるんですけれども、二番、四の二を見ていただくと、左の方に伝統的金融政策、右の方に非伝統的金融政策、これを私なりの認識でずっと列挙すると、こういう図になるんですね。
 当初は、マイナス金利とか無利子国債とか、これはまあ概念上はそういうことはあっても実際には起きないだろうと多くの人が思っていたのが、今、大分こう右の方まで来てしまいました。そして、この政府紙幣というのは、それはあり得ないだろうと思うかもしれませんが、国債を政府が大量に発行して市場に出した瞬間に日銀がそれをすぐ買い上げるというのは、事実上、国債が政府紙幣化しつつあるというふうに考えられなくもないと私は思うんですけれども、その考え方について日銀総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) あくまでも、日本銀行が量的・質的金融緩和の下で大量の国債を購入しておりますのは、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという金融政策目的で市場から買い上げているものでございまして、政府紙幣の発行と同じものだとは考えておりません。
○大塚耕平君 じゃ、もう一度お伺いします。
 政府紙幣と同じものだと考えておられないというのは、どういう点が同じではないということなんでしょうか。もう一度お伺いします。
○参考人(黒田東彦君) これも今申し上げたとおり、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという金融政策の目的のために行っているということと、市場から買い上げているということと両方合わせてでございますが、あくまでも二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという金融政策の目的で国債を市場から買い上げているわけでございます。
○大塚耕平君 目的が違うので違うという今は御答弁なんですが、私がお伺いしているのは、実質的に経済上の機能としては同じ現象をもたらしていませんかとお伺いしています。もう一度御答弁ください。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するためという金融政策の目的のために市場から国債を買い入れているわけでございまして、政府紙幣を発行しているというものではございません。
○大塚耕平君 財務大臣もできればこの図を見ておいていただきたいんですが、政府紙幣には中央銀行に還流するものと還流しないものに大きくは二つに分けられますので、この後、中央銀行に還流しない政府紙幣を発行するなどということがないことを祈っておりますけれども、いずれにしても、かなり限界的なところまで来ているという認識で私はいます。
 その上で、総裁にお伺いしますが、総裁は、追加緩和の手段は限界はないと再三国会で述べておられますが、具体的にまだ採用していない非伝統的な手法としてどのようなものを想定しておられますか。
○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、マイナス金利付き量的・質的金融緩和というものを前回の金融政策決定会合で導入いたしましたけれども、これは、従来の量的・質的金融緩和に金利面での緩和オプションを追加して、量、質、金利の三つの次元で緩和手段を駆使することによって金融緩和を進めるものでございます。
 したがいまして、この量、質、金利の三つの次元でどのように追加緩和を必要に応じて行っていくのかというのは、やはり、具体的にどういう金融経済情勢になっているかということを踏まえて、物価安定の目標を実現するために必要かつ最も適切な組合せで行うということになろうと思います。
○大塚耕平君 ということは、我々がまだ気が付いていない別の手段があるということではなくて、その組合せによってバリエーションは無限大だということを言っておられるわけですね。
○参考人(黒田東彦君) そのとおりでございまして、政府紙幣というのは、これは政府ですけれども、政府紙幣のようなものを発行するというようなことは全く考えておりません。
○大塚耕平君 それはそうです。それは日銀が考えることじゃなくて、政府が考えることですから。
 それでは、ちょっとマイナス金利について改めて整理をさせていただきたいんですが、マイナス金利そのものは、スキームは事務方の皆さんからも御説明聞いて理解しております。
 そもそも日銀の預け金というのは、日銀法で言うと三十三条に書かれていると思うんですけれども、三十三条の一項の五号に書かれている預り金ということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) はい、そのとおりです。
○大塚耕平君 ということは、その預り金にマイナス金利を掛けるというのは、これは日銀法上許されている行為だと、法律的に問題ないということでよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、金融政策の目的のために金融機関の準備預金に対してどのような金利を付けるかということは日本銀行に任されておりまして、従来は長いこと準備預金を中心にゼロの金利ということでしたが、プラスの金利も付けられるということになりまして、今回はマイナスの金利も付けるということになったわけでございます。
 あくまでも、日本銀行法は、日本銀行が金融政策の目的のためにそうしたことをすることを全く禁止していないというふうに考えております。
○大塚耕平君 割とさらっとおっしゃいますけど、日銀法改正のときは私もそちら側にいましたので、その当時の議論を記憶しておりますけれども、第三十三条ほか業務規定には、必ずその中に「第一条の目的を達成するため、」というふうに入れたんですよ。
 だから、第一条は何と書いてあるかというと、「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。」、第二項、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる云々と書いてあって、この目的に資するためと書いてあるんですね。そのために預り金を受けるわけですが、その預り金にマイナス金利を付けるということは、例えば民間の銀行から考えれば、これ、株主代表訴訟を訴えられる可能性もありますね、みすみすマイナス金利を受ける日銀に預り金を預けるわけですから。その点については日銀はどう解釈しておられるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、日本銀行の側としては、金融政策の目的のためにそういうことをしておりますし、また銀行との取引という形では、金融機関との契約上、当然契約自由の原則に照らして法的には何も問題はないというふうに思っております。
○大塚耕平君 法的には何の問題もないというのは、誰がそれを担保しているんですか。
○参考人(黒田東彦君) これは全ての法律がそのとおりでありまして、それぞれの法律を担当する官庁なり日本銀行なりがそれぞれの解釈でやるわけですが、もちろん最終的には司法の場で、もし争いがあれば司法の場で決着が付くということでありまして、私どもは、先ほど来申し上げておりますとおり、日本銀行法その他の法律に全く反するものでないというふうに考えております。
○大塚耕平君 ここは、しかし理事の先生方も簡単にうなずいていただいては困るところなんですけどね。
 これは、考え方によっては、ヨーロッパはヨーロッパの事情でマイナス金利を導入したのはあちらのお国の話ですからとやかく言いませんけれども、日本においては、例えば民間金融機関の株主の立場から考えれば今言ったようなことも考えられますし、それから憲法では財産権はこれを保障すると書いてあるわけですから、民間金融機関が国民である顧客から預かった資金を公的組織である中央銀行に預けたら目減りして返ってくるということが、これが本当に法的に疑義がないのかというと、私は実は若干の疑義があるんではないかなと思っております。
 したがって、日銀法四十三条には、日銀の業務規定あるいは業務法規で許されている通常のもの以外をやるときには財務大臣の認可を受けろと、こう書いてあるわけでありますが、これを、四十三条を適用するべきかどうかまでは私は判断付きませんが、非常にもうマイナス金利まで来ると、これは通常の私たちの独自の判断でやっていい、政策の範囲ですというふうに、余り堂々と言い切れるわけではない部分もあるんではないかなというふうに思っております。
 そこで、委員長にお願い申し上げます。
 日銀にこれも要求しますけれども、今回のマイナス金利というものが、日銀法上、そして民間金融機関を規定している銀行法や会社法並びに財産権の侵害を禁止している憲法などの観点から、法的に問題がないということについての日銀の見解を正式に書面で求めたいと思いますので、よろしくお取り計らいください。
○委員長(大家敏志君) 後刻理事会において協議いたします。
○大塚耕平君 一生懸命いろんな御努力をしておられるというのは十分理解しておりますし、誰がやっても難しい局面だということも理解をしております。
 だからこそ、今まで以上に十分に議論をして、一言一言に慎重かつ丁寧な御対応をいただきたいというふうに思っているわけであります。記者に聞かれたからといって、消費税率が前回は三だけど今回は引上げ率が二%で軽減税率もあるから、まあざっくり考えて前回の影響の半分ですなどということを軽々におっしゃるべきではないし、様々な点で日銀総裁には是非慎重な御対応をお願いしたいということを申し上げたいと思います。
 その上で、今日は岩田副総裁にもおいでいただいておりますけれども、二年で二%、マネタリーベースを思い切って拡大すれば簡単だという趣旨の御発言をしておられたんですけれども、なぜ所期の目標が達成できなかったのか、どのようにお考えになっておられますか。
○参考人(岩田規久男君) お答えします。
 確かに、生鮮食品を除く消費者物価の前年比はここのところゼロ%台で推移していますが、これは二〇一四年夏以降の原油価格の大幅下落による影響が大きいというふうに思っております。加えて、同じく一昨年四月の消費税率の引上げの影響も予想よりも超えていたということも物価の下押し圧力として働いていると考えています。しかし、なお生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価の前年比で見れば二十八か月連続でプラスを続けており、最近では一・一%まで上昇しており、物価の基調は着実に改善していると、こういうことはQQE前にはなかったことであります。
 今述べたように、エネルギー価格の下落は物価の下押し圧力として働くわけでありますが、物価が最終的にどうなるかというのは需給ギャップや予想インフレ率に依存します。そして、金融政策は、この需給ギャップや予想インフレ率に時間は掛かりますが影響を与えることができるということで、需給ギャップが縮小したり、あるいは予想インフレ率が低下したり、リスクがあった二〇一四年十月と本年一月には、この需給ギャップの縮小を食い止めたり予想インフレ率を低下を食い止め引き上げたりするという目的で追加緩和を行ったところであります。
 したがって、時間は確かに初期私が考えていたよりもいろんな要因によって掛かっておりますが、二%に向けた物価安定をできるだけ早期に達成したいということには変わりなく、それに応じた金融政策を運営したいというふうに思っております。
○大塚耕平君 済みません、私の理解力不足だと思いますが、もう一度端的に是非御指導をいただきたいと思うんですが、なぜ二年で二%達成できると思っていたのが達成できずに、お二人の正副総裁の任期の最終年度になりかけているんでしょうか。
○参考人(岩田規久男君) お答えします。
 第一には、消費税増税の影響ですね、これが当時予定したよりも、多くのエコノミストもほとんどそうですが、はるかに大きく長引いたということであります。これは非常に想定するのが難しかった、それ以上の影響があったということがあります。それからもう一つ、原油価格がこれほど大きく下がっていくということも予想することができなかったということであります。
○大塚耕平君 なるほど、消費税の影響と原油価格の影響とおっしゃったんですが、だから、消費税率の影響が当初想定していたより大きかったという趣旨のことを今おっしゃったわけですよね。さっき御披露申し上げたように、五から八に上げるときにも、消費税率の影響は、まあ若干の駆け込みはあるけれども、その後は潜在成長率以上の成長をおおむね続けると言っておられたんですが、それよりも影響が大きかったという趣旨のことをおっしゃったわけですから、来年の八から一〇についても、三日前ですか、くどいようですけど、記者に聞かれたからといって前回の影響の半分ぐらいというふうに簡単におっしゃるべき話ではないなと私は思うんですが。
 岩田副総裁にお伺いします。八%から一〇%への消費税率の再引上げの影響は、岩田副総裁はどういうふうに見ておられますか。
○参考人(岩田規久男君) 展望レポートでお答えいたしますと、二〇一五年度が〇・三ポイント程度、二〇一六年度がプラス〇・三ポイント程度、二〇一七年度がマイナス〇・七%程度というふうに考えております。
○委員長(大家敏志君) 大きな声でお願いします。
○参考人(岩田規久男君) ですから、消費税の影響ということでは、一六年度は駆け込みがありますので〇・三ポイント、一七年度は逆でマイナス〇・七ポイント程度下げるというふうに考えられております。
○大塚耕平君 数字でそういうふうに分析しておられるのは今の御説明をお伺いしてよく分かりましたので、先ほど委員長にお取り計らいをお願いした分析資料の中でしっかりその整理をして、当委員会に開示をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、岩田副総裁そして黒田総裁も、マネタリーベースを大胆に増やせば、国民の皆さんのインフレ期待に働きかけることによって物価上昇率二%を達成できると、大ざっぱに言うとこういうフレームで運営をしておられるんですけれども、お二人が参考としている、そういうスキームを主張している、あるいはそういう理論を主張している内外の経済学者、どのような方を参考にしておられるのか、教えていただきたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) これも従来から申し上げておりますとおり、マイナス金利付き量的・質的金融緩和というものは、二%の物価安定の目標に対する強く明確なコミットメントによって、予想物価上昇率を引き上げるとともに、大規模な長期国債の買入れによって名目金利に低下圧力を加えるということを通じて実質金利を引き下げるということを主たる波及経路としております。これによって、企業や家計の経済活動を刺激し、企業収益の改善あるいは雇用、所得の増加を伴いながら物価上昇率が高まっていくという経済の好循環をつくり出すことを目的としております。
 このように、明確な物価安定目標を示して予想物価上昇率を目標の近傍に収れんさせるとともに、主として実質金利の低下によって経済活動を刺激し、物価を押し上げるという考え方は、現在の標準的なマクロ経済理論を理解する経済学者に広く共有されているというふうに考えております。
○大塚耕平君 広く共有されているということですが、だから具体的にどういう学者の理論なり御主張を参考にされたんですかという、固有名詞をお伺いしています。
○参考人(黒田東彦君) 特定の学者の人の固有名詞を申し上げるのは適当でないと私自身は思っております。
 私自身、非常に多くの経済学者の考え方に影響はされておりますけれども、私から特に申し上げるよりも、先ほど申し上げたように、今言ったような考え方というのはマクロ経済学の標準的な考え方でありまして、多くの経済学者に共有されている考え方であるというふうに思っております。
○大塚耕平君 私は必ずしもそうは思っていませんけれども。
 じゃ、お伺いしますが、マネタリーベースを過度にあるいは大胆に増やすと期待に働きかけることができて、その期待が変わると実体経済が実際に動いていくという、この二つのトランスミッションの部分を説明している理論はありますか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたような期待の重要性というのは、これは多くのマクロ経済学者が共有いたしておりますが、あくまでもこの量的・質的金融緩和、何度も申し上げますけれども、二%の物価安定の目標に対する強く明確なコミットメント、それを裏打ちするような長期国債の大量の買入れによる名目金利の低下圧力、そして実質金利を引き下げて経済の好循環につなげていくという考え方でございます。
 したがいまして、この量と質というふうに常に言っておりましたけれども、単にマネタリーベースを拡大するというのではなくて、長期国債の買入れによってマネタリーベースを拡大するという、量と質ということを従来から申し上げております。
○大塚耕平君 もう一回だけお伺いします。
 そのトランスミッション、この政策の波及パスは今私が整理しましたので、その部分についてどういう理屈でそれが波及していくのかということを明確に説明した理論はありますか。
○委員長(大家敏志君) 簡潔にお願いいたします。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、多くのマクロ経済学者は、経済政策における期待の役割というのは一般的に広く認識されておりますし、特に金融政策において物価安定目標への強いコミットメントということの重要性というのは多くの経済学者によって共有されているというふうに考えております。
○大塚耕平君 総裁のお心もいろいろ勝手にお察しを申し上げますけれども、いろいろ言いたいことはおありだとは思うんですけれども、是非この三番のグラフとか二番のグラフを見ていただいて、今おやりになっていることは、実はお二人が御退任された後、何十年間も尾を引く経済状況をおつくりになっているということをお忘れにならないでいただきたいなというふうに思います。
 このマネタリーベースを、何をもって正常と言うか確かに難しい問題ですが、一般的に考えられる正常な状態に近づけるのには、普通の経済の展開でひょっとしたら十年、二十年掛かることかもしれません。もっと掛かるかもしれません。短期間で正常化しようと思えば、もう説明はしませんけれども、金融抑圧的なことが起きて、国民の皆さんや多くの生活者、消費者に実質的な損失をもたらす経済現象を伴いつつ短期間で収れんするのかもしれません。それは分かりません。
 さりながら、正副総裁は、あと二年間の任期の中でもし目標を達成できなければ、この状態を放置して御退任になるということをもうそろそろ少し心に留めながら政策運営をしていただきたいと思います。
 それから、冒頭議論をさせていただいた中央値、発表する中央値とそれから実際に二%を達成する時期のこの不整合も、できればもう少し整合的な数字をお示しになるような御努力をされた方がいいのではないかなということをあえて申し上げておきます。
 そうしませんと、総裁がお考えになったのか、政策担当理事が考えたのか、あるいは審議委員の中でそういう合議をしたのか知りませんけれども、中央値は一・八だけれども、二〇一七年度後半というと聞こえが悪いから取りあえず二〇一七年度前半にしておきましょうみたいな、大ざっぱな話が日銀の中で行われている可能性があるなと私は思っていますので、そういう物事の決め方は是非しないでいただきたいなというふうに思います。
 その上で、一番のグラフも見ていただくと、黒田総裁の政策は確かに円安をもたらして株価を上げた。株価は三番のグラフに付けていますが、確かに前回のピークを越えて二万八百六十三円まで行ったのは事実です。しかし、その背景となった円安によって、これ、予算委員会のときに使った表ですが、一番ですね、行ったり来たりして恐縮ですが、安倍政権下でドルベースでは相当のGDPの減少をもたらしている。もちろん、あのとき安倍総理も、いや、円では増えていますからと言うんですが、ドルベースでの国富の喪失ということにあれほど無関心であるという答弁を聞いてちょっと驚きました。世界的に見ると、日本は結局一人一人の国民は購買力を失っているわけですから、海外旅行へ行ったときとかに。
 円安はもちろん悪くないですよ。ただ、為替は円安になっても円高になってもプラスとマイナスがあるから、だから、どのぐらいの水準が本当はいいとお考えですかとあのときも聞いたんですが、いや、そんなこと言えないのはお分かりでしょうという御答弁があったんですが、そんなことは百も承知していますよ。だけれども、あのとき欲しかった答弁は、確かに為替というのは行き過ぎるとマイナス面もあるので、そういうことにも注視して運営をしていかなくてはならない、つまりドルベースの国富というものも認識しているという御答弁が欲しかったんですが、是非、麻生財務大臣、これは安倍総理にお伝えをください。円で増えていれば必ずしもいいということではないですよということを是非お伝えをいただきたいと思います。御答弁は結構です。
 最後になります。
 事ほどさように、かつての日銀に比べると、かつては政策委員といいましたが、政策委員も重要な仕事だったと思います。しかし、こういう経済情勢と金融政策の展開の中で、現下の審議委員というのは一段とその重要性が増していると思います。
 そこで、お伺いしたいんですが、今回、次の審議委員として候補に挙がった櫻井シンさんというんですかマコトさんというんですか、私、全く存じ上げない方なんですけれども、一体どのようなプロフィールの方で、どういう経緯で候補となられたのかについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) この櫻井眞さんという人は、輸銀におられて、今のJBICに入行されて、経企庁の経済研究所の客員研究員で長くおられて、その後、三菱、住友とADの基礎研究所におられて、そこの国際金融センターの所長を歴任されて、現在はサクライ・アソシエイトという国際金融研究センターとして活動をされておられるんだと思いますが、マクロ経済、金融とか国際経済等々幅広い識見を有しておるということは承知しております。この櫻井氏が国内外の経済、金融について専門的ないろいろな識見を有しておられるというのは時々、文には出ていますので、審議委員に、職責にふさわしい候補者であると考えております。
 また、日本銀行法にありますとおり、審議委員の任命権というのは内閣に属するものでありますので、これは内閣において主に検討され、支持をされたものだ、提起をされたものだと理解をいたしております。
○大塚耕平君 櫻井候補については、また議運や当委員会でしっかり検討をさせていただくことになろうかと思いますが。
 最後に、是非、日銀総裁、大変耳障りなことをいっぱい申し上げているかもしれませんけれども、いま一度、後世どのように御評価される可能性があるかということをいろいろお考えになりながら、そして次世代に過大な宿題を残さないことを念頭に置きながら今後も職務に御尽力いただくようお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今日は自動車保険についてお伺いをしたいと思います。資料もお配りをさせていただきましたが、これは自動車保険の参考純率というのを決めて、それを各損保会社にも提供するという、機構が行っている改定説明資料であります。
 この機構が、今回、ノンフリートという、一人で九台以下のノンフリート、その反対はフリートといって十台以上ということですけれども、言わば個人相手に等級を改定をする、その時期は、平成二十三年にこれは金融庁長官に届出をしまして、翌月、その十月には結果が通知されて受領されたということで、昨年の四月から本格的にこの料率改定が適用されております。
 その改定の内容ですけれども、お配りした資料の六ページを御覧いただきますと、今般の制度改定の内容というのが書いてございます。そのことを簡単に申し上げますと、この水色の枠の中にあることが第一です。等級係数が、事故のあった人とない人というのに細分化いたしまして、事故のない人はリスクがそれだけ小さい、事故のあった人はリスクが大きいということで保険料を変えていくという、そういう仕組みであります。
 今までももちろん、事故がありますと等級が下がりまして保険料が上がるということはあったわけでありますけれども、ここの特徴は、事故のある人と事故のない人というテーブルを全く別に分けまして、事故のない人は事故のない人で助け合いましょうと、事故のあった人は事故のあった人で助け合いましょうという別テーブルで保険料を算定するという、算出するという、そういう違いがありますよということであります。
 その場合に、七ページの下の方にありますように、仮に三等級ダウンの事故があったら三年間大変保険料が上がってしまうと、こういう簡単に言うと仕組みに変えたということでございます。
 この結果、何が起きているかということなんですけれども、保険を使って修理をするということがありますけれども、何かぶつけてしまって、対物で、保険を使って修理をする場合に、この料率改定によって、修理代金が十五万とか二十万円ぐらいのものであれば、保険を使うと、かえって事故ありコースの方に移行してしまうものですから保険料がぐんと上がってしまうということで、保険代理店から言われているのは、それは保険は使わない方がいいですよと、自腹でやった方がいいですよということを、十五万から二十万ぐらいの間の事故は、そういうふうに勧められるということで、保険は使わないという人が次第に増えている。
 素朴に、保険というのは何か起きたときにみんなでそれを助け合ってその保険を使って修理をするという、予期せぬことが起きたときの万が一の備えとして契約をしているわけでありますけれども、実際今起きていることは、契約しているんだけど、修理費が少ないものについては、十五万とか二十万のものについてはかえって保険を使うと損しちゃうから使わない方がいいという、保険に入っているのに保険が使えない、あるいは使わないことを勧められると、こういう現象が大変頻発をしてございまして、保険は入っているのに万が一のときに使えない保険というのはどういう保険なんだろうねという素朴な声が契約者から出てきております。
 この料率を決める際の法律というのが料団法という、簡単に省略して申し上げますと、ございます。その料団法の第一条には何が書いてあるかというと、目的規定が法律ですので定められておりまして、これは、参考純率等を算出するのは、一つは損害保険業の健全な発達と、もう一つは保険契約者の利益を保護すると。この損保業の健全な発達と契約者の保護と、この二つが目的規定になされているわけでありますが、保険に入っているのに保険が使えないというのは、普通考えますと、その契約者の利益を保護しているというふうにはなかなか言い難いんではないか、このように思うわけで、こういう現状を金融庁としてどう見ておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員が御指摘のように、個人向けの自動車保険につきましては、平成二十三年の損害保険料率算出機構による参考純率の見直しを受けまして、各社とも平成二十四年十月以降に、事故による保険金支払後三年間の保険料率を割増しする改定、いわゆる事故あり等級と事故なし等級ということの細分化でございますけれども、こういった新しい制度を入れているところでございます。
 これは、御指摘がありましたように、同じ等級であっても、前年の契約で事故のなかった契約者よりも前年の契約で事故のあった契約者の方が、ランクダウンして同じ等級になった、その事故のあった契約者の方の損害率が高いと。その損害率が高いにもかかわらず、前年事故がなかった方と事故のあった方について同じ保険料率を適用していたというそのリスク実態を踏まえたものでありまして、全体として、この細分化によって、保険料率全体の引上げ幅、これを抑制する狙いもあったというふうに承知しております。
 ただ、西田先生おっしゃるように、事故あり等級が導入された結果、損害が比較的少額の事故の場合には、次年度以降の保険料割増し額が保険金を上回るために、契約者が車両保険でありますとか対物賠償保険等に係る保険金請求を放棄するケースというのが増えているという傾向にあることは承知しております。
○西田実仁君 ちょっと今の御答弁で更に質問しますけれども、今、この目的は、こういうことをしないと全体の保険料が引き上がってしまう、それを抑制するということを背景として、目的としておっしゃられましたね。
 そうしますと、この説明書にはないんですが、例えばこれはノンフリートのみですね。じゃ、フリート、つまり法人向けの保険料は、今回というか、この平成二十三年に多分いじっていないんだと思うんですけれども、じゃ、フリートのところも一緒に上げたらどうなったのかとか、あるいは従前どおり全体を引き上げる、事故ありコースと事故なしコースと分けるんではなくて、そこのリスクを細分化するんではなくて、全体を従前どおり上げたらどういうぐらい上がるのかとか、こういう比較考量をされたのであれば、その資料を是非見せていただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) 参考純率についてのまさに計算、あるいはそれについての検討に関しましては、先ほど先生おっしゃったように、料団法の規定に基づきまして損害保険料率算出機構が計算を行っているところでございます。まさに我々は、その計算の結果を受けて、それについて承認するという形で彼らの検討というものを検証をしているところでございます。
 今回、この平成二十三年度の改正は、先生おっしゃるように、全体としてこれまでどおりに一等級から二十等級の保険料率をリスク実態に照らし合わせて保険料率を引き上げていくと。これまでも、結局、実態に合わずに保険料率を引き上げてきた、そういった歴史がございました。その中で、実態をよく見ると、同じ等級であったとしても、前年に事故を起こしたがためにランクダウンした人と、前年には事故を起こさずにそのままいた人と、あるいは前年に事故を起こさずに更に上がった人、あるいはそこに据え置かれた人との間に、保険料の支払とそれからそのリスク実態とに乖離があると。これもよりきめ細かに見て、やはりその事故率の高い方々にはそれに見合った、それにできるだけ見合った保険料というものを支払っていただいた方が保険契約者間の公平が保たれるのではないかという議論の末にこの平成二十三年の改正に至ったものだということで金融庁の方にお話がありまして、それについて認めたものだというふうに承知しております。
○西田実仁君 この料団法の目的で、さっき申し上げましたように、契約者の利益を保護するということであれば、比較考量をされてそういう検討をすべきなんじゃないんですか。
○政府参考人(遠藤俊英君) 先生おっしゃるように、制度設計においてはまさに比較考量だと思います。全体のリスク実態というものを反映した形で保険料率を全体として上げていくのが適正なのか、それとも、そのリスク実態というのをより細かに見て、その細かに見たリスク実態に合わせた形で保険料率に差を付けるのが適正なのかという形の比較考量をした末に、この平成二十三年度における実施決定においては、事故あり等級、事故なし等級という細分化をしようという形で決定がなされたということだと思います。
○西田実仁君 その資料は、あれば見せてほしいんですけど。
○政府参考人(遠藤俊英君) 資料というのは特に私手元にはないのでございますけれども、これは、当時、平成二十三年当時に損害保険料率算出機構と金融庁との間で様々な議論を行って、その結果認めたということでございますので、具体的にペーパーとして残っている資料があるかどうかということに関しては、ちょっと現在、私確認できません。
○西田実仁君 そうすると、この法律の第一条で言うところの契約者の利益の保護ということを、保護したということをどうやったら我々は後から検証できるんですか。
○政府参考人(遠藤俊英君) 契約者の保護というのは、どのように考えるのが契約者の保護かということだと思います。
 自動車保険というその制度をつくるに当たって、できるだけ先生おっしゃるように小さな事故においても保険でカバーできるというような使い勝手のいい保険をつくる、しかし、その代わりに全体として保険料が上がってしまうという保険を、それを認めるのか、それとも、やはりその人のトラックレコードを見て保険料率に差を付けた、安全運転に心掛けている方々というのはそれなりに保険料が抑えられた、そういった自動車保険の適用を受けることができるというのが、これがやっぱりその利用者にとって利益があるのかという議論の中で今回こういった新しい制度が認められたということだと思います。
○西田実仁君 そもそも、保険に入っているのに保険が使えないという今の実態をどう捉えるのかということなんですね。保険というのはやっぱり公益性が、公共性があります。
 今局長がおっしゃったように、事故ありコースと事故なしコースにおいてそれぞれ別テーブル設けるということは、それを突き詰めていくとどんなことが起きてくるかというと、事故ありの人はリスク実態が高いんですよ、リスクが高い。ですから、当然保険料が高くなるんですよ。事故ありの人は事故ありの人同士で支え合うという世界をつくると、どんどん保険料は上がっていく、事故なしコースの人は事故なしコースで助け合うというと、事故がないのでどんどん保険料は下がっていくということになっていくと、その帰結として何が起きるかというと、損保会社そのものも、この目的規定の第一条に言うような損保保険業の健全な発達というのをかえって妨げるんじゃないですか。
 全体を今までのようにみんなで公平に負担するというのが本来の保険であって、事故があった人は事故があった人の世界で支え合う、事故がなかった人は事故がなかった人で支え合うみたいなことを保険の中に概念で入れてしまうと、これは事、損保だけに限らず、今後保険ということの、いろんな保険があります、法的なものもあれば、もちろんこれは任意の私的なものでありますけれども、そういう保険という考え方の中にこういうことを入れてしまうと、かえって保険業そのものの健全な発達ということを妨げ、この料団法一条の目的規定にそぐわないことになってしまうんではないでしょうか。
○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員おっしゃっているのは、七等級以下、七等級から二十等級に関して、この事故あり等級と事故なし等級というふうに細分化したがゆえに、事故あり等級の人たちはそれだけで保険プールをつくり、事故なし等級に関してはそれだけで保険プールをつくるというふうに先生もし御主張されているということであれば、私どもの理解はそうではなくて、これはもう全体として保険プールにある。
 今までは一等級から二十等級までの等級しかなかったわけでございますけれども、七等級から二十等級にかけて、更にそれを二系列の等級に分けるということでございますので、これはあくまで制度設計の仕方、保険料率をどのような形で区別していくかということをより細かく分けたということでございますので、そういった人たちがそれぞれ違った保険料率によって保険料を出し、保険プールをつくり、事故があった場合には保険金を支払うという保険の基本的な仕組みに関しては、こういった新しい区分をつくったからといって変わるものではないというふうに理解しております。
○西田実仁君 この料団法の中に保険の三原則というのが書いてございますけど、その一つに不当に差別的であってはならないと、このように書かれているわけでありまして、不当に差別的ではないとはどういう意味なのかということを調べますと、この参考純率においては、料率の危険の区分や水準が実態的な危険の格差に基づき適切に設定されていなければならないと、こういうふうに解釈をされております。
 今回のこうした料率改定、事故を起こした人と事故を起こしていない人というふうに別テーブルに分けるということ自体が、この保険料率の三原則の一つにある不当に差別的であってはならないと、これは差別と言うか区別と言うかという問題はあるかもしれませんけれども、少なくとも区別はしていますよね、事故ありコースと事故なしコースというふうにして。そういうリスクの細分化の仕方自体に、私は短期的には損保会社の収支を改善させることに大変効果絶大だというふうには思いますけれども、中長期的に見て本当にそうなんだろうかと。
 保険に対しての信頼、簡単に言うと保険に入っても保険が使えないわけですから、というか使わない方が有利になるという仕組みにしてしまったがゆえに、それが度が行き過ぎてしまうと、じゃ、保険に入るのは任意だしやめようと、こういうことになったら、保険に入らない車が公道上、非常に増えてしまうということにもなりかねないわけでありますし、そもそも過失争いの激化ということも招きかねない。
 そういう保険に入らない車が増えたり、あるいはもう自腹でやらなきゃいけないようになれば、保険を使わないんだったら直すのやめようというふうにして、不良車が公道をたくさん走ると。突き詰めていくと、そういう悪い方向に行くんではないかということを大変懸念をしてございまして、公益性の高い金融商品を販売する保険会社の社会的責任ということも問われる事態になってしまわないかと、こういうことを大変に懸念をしてこういう質問をさせていただいてございます。
 この資料を見ていただくと、幾つか疑念が正直あります。しかし、これはまあ金融庁は認めたということですので、いろんなそういう疑念も晴らしていただけると思いますが。
 まず、このグラフ、四ページ目に一、二、三とあって、事故あり係数、事故なし係数のそれぞれリスク実態と。リスク実態というのは支払う保険料割る純保険料ということでありますけれども、普通はこの一等級から二十等級へ等級が上がるに従って事故が少なくなる、リスクが少なくなるというふうになるはずでありますけれども、この棒グラフを見ていただいても分かるように、例えば十七等級は〇・五五のリスク実態なんですけれども、本来十八とか十九とか二十は等級は上がっていますのでリスクが少なくなってしかるべきなのに、逆にリスクが増えていると。こういうのは、なぜこうなるのかというようにたどっていくと、サンプル数が非常に少ないんじゃないかと。
 最後のページ、ページ数、ノンブル振っていませんが、参考の十ページ目になりますが、表二に、前年契約の事故種類別台数割合は、三等級ダウン事故は五・二%と。こういう少ないサンプルの中でリスク実態というものを調べて、そして今回こういう制度設計をしたという、サンプル数の少なさに問題があるんではないかなと、こういうふうに質問をしたら、いや、そうじゃないんですよと、この等級が上がるに従って、親だけじゃなくて子供も乗るんですと、子供も乗るとリスク実態が増えていくこともあるとなるので、十七よりも二十の方が高いとか、十七よりも十八の方が高くてもおかしくないんですと、こういう御説明を昨日金融庁の方がされておりました。本当にそうなのかなというちょっと疑問があります。
 しかも、その数値が、このグラフには十九年度から二十一年度合算の損害率較差というふうになっているんですけれども、参考のところにあるサンプル数は二十一年度のデータということで、データが合わないんですよ。ですから、私、この制度設計したときに、金融庁これちゃんと本当に、まあ申し訳ないんですけれども前政権のときですけれども、平成二十三年ですけれども、これちゃんとこういうことを見ているんでしょうか。
○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員御指摘の四ページの説明資料でございますけれども、損害保険料率算出機構がリスク実態というものを把握するために、これは国内で自動車保険を取り扱う全ての保険会社、しかも、二十一年度単年度だけではなくて、平成十九年度から二十一年度までの三年分の自動車保険の実績データを集計して、それを分析したものでございます。この自動車保険実績データ、約一億六千万件のデータでございますので、統計学的に見てもこれ客観性があるし、精度の高い十分な量のものではないかなというふうに思っております。
 それで、事故あり係数でございますけれども、西田委員御指摘のように、一番最後のページに、三等級ダウン事故五・二%、それから据置事故一・三%、足して六・五%でございますが、この六・五%の分布がどうなっているかというのがこの四ページの真ん中の棒グラフ及び折れ線グラフでございます。
 これは、全体が一億六千万件の三年間にわたるデータでございますので、事故があって、事故あり係数のここの分析の対象になるのは約一千万件でございます。この一千万件という数字は、事故あり契約全体として分析するのにも一千万件というデータは十分な量になっているのではないかなというふうに考えております。
 委員御指摘のように、事故あり契約者というのは、前年に事故があって、今年何らかの等級、まあ据置きかもしれませんし、三等級ダウンした、つまり二十等級で一番安全運転されていた方がたまたま事故を起こして三等級ダウンして十七等級に落ちたというような実態をここに反映しているわけでございます。
 したがって、このグラフを見てみますと、十七等級のリスク実態が〇・五五、それから二十等級の据置きのリスク実態が〇・五七ということでございますので、ここのリスク実態がやっぱり一番低くなっているということでございます。これは、元々二十等級にあった方がここに落ちてきた、あるいは据え置かれたという形でリスク実態というものがこういう形になっているのかなというふうに考えられます。
 何にしても、このリスク実態は、こういった、等級は二十等級でもうこれは頭打ちになっておりますので、そこで一番安全運転されていた方というのが全部たまっちゃって、サンプル的にも多いんです。それが事故あり係数、事故あり契約者だけを拾って作った分析に反映したということでございますので、十七等級、十八等級、十九等級、二十等級のこの凸凹に関しては、損害保険料率算出機構に関しても、こういう実態をそのまま反映したような等級係数を作るのではなくて、スムージングできちっと実態を合理的に反映したような等級係数を作ろうというふうに考えたというふうに我々議論して彼らの考え方というのを理解したところでございます。
○西田実仁君 いや、それはおかしいんじゃないですか。六ページのところに、全ての等級について直近のリスク実態を基に見直しを行い、等級間の不公平を改善しますと、こう説明していながら、今の御説明はそうではないということを言っているように聞こえます。
 ちょっと時間がありませんので飛ばしますけれども、大臣に今の議論をちょっと聞いていただいて、この料率改定は、機構が参考純率というのを出して、それに基づいて各社が自由に決めるということになっていますけれども、事実上これが料率改定の基本になっているわけですね。今回の料率改定によってどういう影響が社会的、経済的に起きているのかということは、やはり監督官庁としっかり把握をして、そして何か問題なり影響があれば、それをきちんと改善をしていくということは当然必要になってくるのではないかというように思います。
 特に、保険に入っていながらその保険を使えないという一般のユーザーがどんどん出てきたときに、じゃ、もう保険に入るのをやめようというようなことになってしまうと、これは果たしてそれで本当にいいのかという素朴な疑問も正直ありまして、保険、この料団法という法律の第一条にあるように、損保業界の健全な発達も必要です。しかし一方で、契約者の方の権利の保護ということもきちんとなされなければ保険自体の発展というのはあり得ないと思いますので、この点、そういう影響の実態把握と、それから、何か問題があればそれに対して対応するのかしないのか、こういうことについて大臣にコメントを求めたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、先生、これはいわゆる任意保険というんですけれども、自動車の保険で自賠責保険とともにこれは極めて重要な役割を担っておりますので、これは加入率の増加というのを含めまして今後とも取り組んでいかねばならぬ問題なんだと思っておりますが。
 加入率の増加に当たっては、その保険の使いやすさとかいろいろあるんだと思いますが、他方で、これ、使いやすいがゆえに保険収支がどんどんどんどん悪化していくというのではとてももちませんので、そういった意味で、可能な限り保険料率というものをある程度実現することも重要なんだというのは当然なんだと思いますが、私どもとしても、今後、基本的にリスク実態とか会社の収支の動向とか、また加入率の維持等々というのを注視していかないかぬものだと思っておりますが、今までのところ、今までのところですよ、平成二十三年度以降でいきますと、車両保険で見ますと、二十三年度は四二%、二十四年度は四二%、二十五年度は四三%と、大体ほとんど変わらずずっとほぼ横ばい。それから、対物対人のときにつきましても、これは、二十三年度七三、二十四年度七三・三、二十五年度七三・四と、大体いわゆる無保険者が増加するという傾向にはなっておらないように見えますけれども、いずれにしても、こういったものは引き続き注意深く見守ってまいりたいと考えております。
○西田実仁君 本格的に導入されたのが昨年の四月からでありますので、今後影響が出てくると思いますし、実際に保険請求取下げ率というのをある損保会社からの資料を見ると、三割近くは保険を使わないという人が増えてきている。それが高じてくると、じゃ、保険に入ってもしようがないじゃないかということになってはいけないなという心配を申し上げました。
 今日は、経産省の方にも来ていただきまして、最後御質問しますが、全損車両におけるリサイクル預託金のユーザー還元についてお聞きしたいと思います。
 自動車事故に遭って損害保険で修理金額を賄えない場合は全損扱いになり、修理はせずに損保会社が引き取るということであります。その場合のリサイクル預託金は当然そのユーザーに戻すべきであると、中古として扱う場合は。これを経産省では通知も出していると聞いておりますけれども、昨年ですかね。
 こうした扱いについて、ユーザー還元がきちんと徹底されているのかどうか、改善されているのかどうかということについて確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(若井英二君) ただいま先生御指摘の全損車両を保険会社が保険契約に基づいて代位取得した場合の預託金の返戻と、こういう問題についてでございますけれども、原則としてまず申し上げますと、全損車両を使用済自動車として処理をする場合、それから中古車として引き取る場合、この双方があり得るわけでございますが、使用済自動車として処理されるものについては預託金は保険契約者に返戻をされることなく、使用済自動車の処理に係る費用に充てられることになります。
 他方、保険会社がこれを中古車として引き取りまして再度流通をさせる場合、この場合におきましては預託金相当額が当該中古車を引き渡した保険契約者に返戻をされる、こういう原則になっていると、このように考えてございますし、こういった原則が維持をされていないということになりますと、リサイクル制度の円滑な運用の前提になります適切な費用負担、これが妨げられるおそれがあると、このように認識をしてございます。
 したがいまして、先生からお話がございましたように、経済産業省それから環境省といたしまして、昨年、平成二十七年五月に一般社団法人日本損害保険協会に対しまして、中古車として代位取得する場合には、保険会社は預託金相当額を保険契約者に返戻することで、車両本体の所有権だけではなく、預託金相当額に係る資産についても保険契約者から保険会社に移転したことを明確にし、保険契約者の法的及び契約上の安定性を確保することが望ましい、こういう見解をお示しをして、その徹底をお願いをしておるところでございます。
 もちろん、個別の保険契約、そして個別の保険会社、そしてその委託先の運用もある話でございますので、当然これを末端まで行き渡らせるということが必要でございますから、引き続きその周知徹底に努めてまいりたい、このように考えてございます。
○西田実仁君 終わります。
○委員長(大家敏志君) それでは、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(大家敏志君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として中原八一君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(大家敏志君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏でございます。
 今日は、二点、最近金融の世界で起こっていることと、将来大きな課題になるかもしれないことにつきまして御質問させていただきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。かなりボリュームがあって今日だけで終わるかどうかは分からないんですけれども、継続してこの問題は取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 説明が要ると思いますので、役所の方に説明をお願いしますという感じにしようと思ったんですけれども、役所言葉で説明すると難しいということで、私、できるだけ自分の言葉で説明したいと思いますので、若干しゃべりが長くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
 まず一点目なんですけれども、ハイ・フリークエンシー・トレーディングという、いわゆる高速取引についてお話をしたいと思います。
 随分時間の感覚というのは変わってきまして、十年一昔というふうに昔言っていたと思うんですが、まあそれは過去の話です。企業も、長期計画はなかなか今立てにくくなっていて、もう四半期ごとに計画を立てなければならない、評価されるという時間感覚になってきました。随分物事が高速で起きる時代になってきたんですけれども、特に取引の世界では、証券所のシステムが随分今高速化していまして、単位が〇・〇〇一秒未満とか、一ミリ秒とか、そんな単位で取引が行われています。一秒というと、もう何千回も取引ができますので、一秒は長期というふうに捉えるのが今の時代でございまして、それが逆に、最近金融のボラティリティーが大きいというふうに言われますけど、その原因じゃないかとか、いろんな課題ができてきているわけです。
 その中で、例えばアメリカでは結構これ話題になったんですけど、しばらく前の二〇一〇年五月に、アメリカの市場でいわゆるフラッシュクラッシュという、瞬発的に暴落が起きたということがありました。ニューヨーク・ダウが数分間で千ドルぐらい一気に下がっちゃったんですね。これは、このHFT、ハイ・フリークエンシー・トレーディングが原因じゃないかというふうに言われているんですけれども、実際、最近それについて本が出まして、「フラッシュ・ボーイズ」という本なんですけれども、これは結構実態をかなり赤裸々に書いた小説に近いような本なんですけれども、こういうのを読んでも、本当に、これは一般投資家が読むと、こんな世界で自分が戦えるんだろうかとか、そういった思いにもなってしまうような本です。
 日本でも随分このHFTを通じた取引のシェアというのが拡大していまして、今東証の取引の三割から四割はこの高速取引で行われているんじゃないかというふうに言われております。実際、東証でも、世界の流れに乗るということだと思うんですけど、二〇一〇年にアローヘッドという高速の取引のシステムが導入されまして、注文の処理スピードが一ミリ秒と短縮されました。それだけじゃなくて、同時に、コロケーションというふうに言うそうなんですけれども、東証の取引のシステムがあるセンターの中に、証券会社に場所を貸すんですね、そこに証券会社もサーバーを置くと。そうすると、距離が近いので、一マイクロ秒といいますけど、百万分の一秒単位で電気信号は先に届くと、それによって、相手よりも百万分の何秒か先にデータが届くことによってより有利になるという、こういったための場を貸して東証も手数料を取っているといったようなことも起きております。
 もう完全にスピードの世界になっていまして、これスピードに乗って戦える証券会社等はいいんでしょうけれども、我々のような一般の取引者からすると、全く勝負にならないというか、同じ土俵で勝負できないという、こんな感じになって、かえって市場から一般の投資家を遠ざけているといったような状況も起きている、若しくは起きるんじゃないかというふうに思います。
 ちょっとイメージまだ分からないと思うので、今日、一応この絵を用意いたしました。これ、八時五十九分五十九秒台という話なんですけれども、大体市場が九時に開いて九時に寄り付きが、値が決まってくるんですけれども、大体ぎりぎりで、どのぐらいで買えるかなというふうに思って注文を出すわけですけれども、余り早く出すよりも、大体どのぐらいの価格かが見えてきてから注文を出すと。
 例えば、八時五十九分五十九秒、一秒前に、この価格になるなと思って注文のキーを押すといったのが人間は精いっぱい、どんなに頑張っても一秒ぐらい掛かってしまうと思うんですけれども、これ、五十九分五十九秒の間に何が起きているか。この一秒間の動きなんですけれども、九時の僅か〇・五秒前ぐらいから一気にキャンセルの信号がたくさん届いてキャンセルが起きています。
 これは何かというと、一秒前に多分千円ぐらいで買えるなと思って、例えば成り行きで注文をしてしまったら、その一秒前の〇・五秒とか〇・三秒とか、そのぐらいの間にたくさんの板のキャンセルとかが起きまして、実際価格が、千円と思ったら実際九百円だったりとか千百円だったりとか一気に動いてしまうわけです。人間の目から見たら、言ってみたらこの板、気配値が本当の気配値なのかどうかというのも実は判断できないような状況が高速取引の中では起きてしまっているわけです。こんな状況が今市場では頻繁に起きています。
 この中で、さらに東証は、去年の九月にこのアローヘッドのシステムを更新しました。もちろんこれは気配の本数を増やすだとか、システムの信頼性を増すだとか、安定性、利便性を目指した更新でもあるんですけれども、同時に、更にこの注文スピードを短くして、〇・〇〇一秒だったのが更にその半分以下、未満のスピードでも取引ができるような形にしました。
 こういった高速化は、かえって市場参加者からすると不公平感を広げることになって、むしろ市場の後退につながる可能性もあると思いますけれども、こういった点につきまして御見解をまずお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) お答えいたします。
 高速、高頻度の取引が株式市場等に与える影響については、例えば証券監督者国際機構の報告書の中でも言及がございます。そこでは、常に売りや買いの注文があることで流動性や価格発見機会、いわゆる取引成立可能性が向上するのではないかという指摘がある一方で、取引の高速化の進展の結果、そうした手法を用いなければ売買機会を失い、投資意欲が低下する投資家も存在し得るという指摘があることは承知しております。
 いずれにしても、金融庁としては、御指摘の市場における公平性という観点も踏まえつつ、高速、高頻度の取引が市場の公平性、透明性、安定性にどのような影響をもたらすかについて強い関心を持って、まずはその実態把握に努めてまいりたいと考えております。
○石田昌宏君 是非実態を、大分もう時間たってきましたので、早く把握して対応をと思いますが、この今の取引は、スピードに注目してお話をしたんですけれども、それだけじゃなくて、同時にアルゴリズム、人工知能を使った取引が更にこれに加わっています。
 例えば、経済指標が発表されたら、その発表された瞬間にそれを分析して自動的に売りとか買いを出すシステムとかあるわけですね。ここで政務官が何か発言をしたら、その発言によって〇・一秒後ぐらいにはもう取引が終わっているといった、こういうことが現実的に起きることが可能になっていますし、こういうのもあるそうで、震度五以上の地震の速報が流れた瞬間に自動的に売りを出すという、そういったこととか、いろんなプログラミングがAIを使って行われていまして、こうなったらもう人間の思考の介入の余地がない状況で取引が自動的に行われています。つまり、高速取引とアルゴリズム取引が相まったこのHFTの世界では人間の判断とか行動による取引の余地がなくなっていまして、もうプログラムやシステムをいかに精密化するかとか、人工知能の能力をいかに上げるかとか、そういったことが市場を支配していく感があります。
 さすがに、こういった状況ですと制度的な制約が必要じゃないかという意見もありまして、実施されているわけじゃないんですけれども、例えばこういったことを行う業者の免許の登録制度をつくっていくですとか、頻回な注文とか変更またキャンセルに対して利用料や手数料を取っていくですとか、一定時間未満の取引を禁止するとか、それから、これは日本の先物の商品市場ではあるんですけれども、ざらば取引ではなくて板寄せの仕組みを入れるですとか、幾つか案はあります。そして、実際にイタリアではそれに関連する税金をつくったりですとか、今アメリカでは大統領選挙の争点の一つにもなってきています。
 こういった中で、私、やっぱり思うんですけど、この取引は確かに市場の流動性ですとか取引の可能性は増しているように思って、市場を活発にしているように見えなくはないんですけど、広い目で見たときに何が意味があるのか、メリットがどこにあるか、よく分からないんです。
 実際、この規制ということが今後必要になってくると思うんですけれども、二点、一点目は、まずそもそもこういったことに対して、規制に関する議論というのは世の中ではどうなっていくのか、そして金融庁はどう考えているのか、二点についてお伺いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○大臣政務官(牧島かれん君) アルゴリズムを用いた高速な取引については、今御指摘ございましたとおり、国際的に様々な議論が行われておりまして、欧州等では、そのような取引が市場に混乱をもたらすリスクに対応する等の観点から、アルゴリズムを用いた高速な取引を行う者への登録制度の導入が予定されていると承知しております。
 金融庁としては、アルゴリズムを用いた高速な取引について、繰り返しにはなってしまいますが、まずはその実態の把握、そして検証を努め、その結果を踏まえて、市場の公平性、透明性、安定性が損なわれることのないよう適切に対応していきたいと考えております。
○石田昌宏君 市場の公平性、非常に重要だと思います。やっぱりより多くの方が参加していくということが大切だと思いますので、それを阻害しないように、早く実態を把握して手を打っていただきたいと思います。
 今の課題はまたこれからもやっていきたいと思うんですけど、現在起きている課題ではあるんですけど、次の課題は、これはどうなるか分からないんですけれども、しっかりと検討を、若しくは研究をしていってほしいなという観点で取り上げたいと思います。内容は、ブロックチェーンという話です。というか、最近ですと仮想通貨とかというふうに言った方が分かりやすいかもしれません。
 大臣の所信の中でも、金融行政に関しては、金融・IT融合の急速な進展等、最近における金融を取り巻く環境変化に対応するため、金融関連制度の整備等を行うというふうにおっしゃっていました。金融とITを融合したフィンテックという言葉は、最近だんだん出始めていまして、ひょっとしたら今年流行語大賞になるんじゃないかといった勢いで広まっています。実際、自民党でも様々な検討会や研究会あるんですけれども、いろんな委員会等でフィンテックを取り上げておられまして、できるだけ出て勉強するようにしているんですけれども、確かに、この先進性とか可能性とかを見たら、大きくそういうのもあるなというふうに感じています。
 ただ、このフィンテック、いろんなのがありまして、例えばスマホを使ったモバイル決済とかネットバンキングだとか、これ結構もう大分普及していると思うんですけれども、そういったものから、個人資産の管理を行うクラウド家計簿という領域ですとか、それを個人事業に応用するとクラウドの法人申告の仕組みとか、たくさんあるクレジットカードを一枚のカードにまとめてしまうようなシステムもありますし、人工知能を使って、いろんな株とか投信とか、あなたはこれが向いていますよ、こういうポートフォリオをつくった方がいいですよというのを自動的にアドバイスしてくれるようなシステムもあります。
 いろいろとあるわけなんですけれども、実際私もいろいろと見てみたいと思いまして、先日もクラウド家計簿で比較的有名なマネーフォワードの会社へ行ってみてお話を聞きました。そうしたら、まだ完成されているものじゃないんですね。まだまだいろんな機能を追加していって便利にする、本当にプロセスの一つだなと思ったし、ますます発展していくなということをつくづく感じていまして、この分野はしっかりと追っていかないといけないということは感じているんですけれども、そういった数あるフィンテックの中で、ただ便利になるとかそういったものじゃなくて、ひょっとすると、金融若しくは世の中全体の構造や、収益構造を始めいろんな構造を変えていってしまう可能性があるなと実は思っているのがブロックチェーンの技術です。
 ただ、ブロックチェーンと言っても一言でなかなか通じないところがあると思うんですけど、ビットコインとかというふうに言ったら御存じだと思います。実は、これはむしろプラスというよりマイナスのイメージの方が強いかもしれませんが、二〇一五年に、ビットコインを使った取引所の、マウントゴックスという取引所というか交換所というか、そこで事件が起きまして、話題になったわけなんです。そういった点で、イメージとしては決して良くないもののようには感じるんですけれども、この辺、ごちゃごちゃになったら大変だと思うんです。
 そこで、まず最初にちょっと整理をしたいと思うんですけど、このマウントゴックスの事件なんですけど、これはそもそもマウントゴックスのようなビットコインの取引所の問題なのか、それとも、そもそもそのビットコイン、仮想通貨ですね、そういったものの問題なのか。実は、この仮想通貨はブロックチェーンテクノロジーというテクノロジーをベースに作られています。そのベースのブロックチェーンテクノロジーの問題なのか、ここをちょっとまずお聞かせいただきたいと思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) マウントゴックス社は、一昨年に破綻し、代表者が顧客の資金などを横領した容疑により逮捕され、また、以前から債務超過に陥っていたというふうに承知をしております。
 仮にこれらの情報に基づき判断をいたしますと、本件については、仮想通貨や仮想通貨に使用されているブロックチェーン技術の問題というよりも、業者の内部管理などに由来する問題ではないかと考えられています。
○石田昌宏君 ありがとうございます。
 確かに、この問題はブロックチェーンの問題じゃなくて、実際使っている会社の問題だと思うんですね。ここを間違えないようにしなければならないと思います。というのは、このブロックチェーンそのものはいろんな可能性を持っているもので、むしろこれから広がらざるを得ないというか、広がっていくものだと感じるからですね。
 ただ、このブロックチェーンについては、ちょっとお話を今からしたいんですけど、これは役所の方で説明をしてもらおうと思ったんですけど、役所言葉だと、これ説明できないぐらいややこしい話なんで、僕もちょっと自信ないんですけど、ちょっとまずできるだけ分かりやすくブロックチェーンの話をしてみたいと思うんですけど。
 ビットコインも仮想通貨の一つなんですけど、この仮想通貨はブロックチェーンテクノロジーというテクノロジーを利用しています。これは何かというと、定義的に言ったら、分散型のコンピューターネットワークを使った真正性が担保される技術という話だと思うんですけど、もうこの時点でなかなか通じてはいないと思うんですけど。真正性というのは、ちゃんとした正しい人が、正当な人が記録をして、それを確認された情報が第三者から見ても正しいものであって、しかも改ざんされないという、こういったことなんです。
 これを保つ技術なんですけど、ちょっと分かりにくいんでしょうけど、従来、例えばお金の取引の場合は、銀行を通じてそれを担保していました。中央銀行というのがあって、そこに全ての取引が記録されていて、第三者から見ても正しい取引記録なわけです。そこが担保されているので、あなたからあなたに送金したことは事実で正しいことですよという、これは中央でデータを管理することによって真正性を担保する仕組みが今の仕組みなんですけど、このブロックチェーン技術というのはP2P、ピア・ツー・ピアというか、コンピューターのネットワークを使ってその真正性を担保するわけです。つまり、ネットワークに参加している人が、そのデータを全員が見ることができるわけです。言ってみたら、そのネットワークの参加者がお互いに取引を監視し合うことによって真正性を担保するという、こういった考え方になるんですけれども、これはなかなか大変なことなんですけど。
 改ざんするというのも結構難しくて、このデータを改ざんするためには、キーの部分を、言ってみたらパスワードというかパスコードみたいなやつを発見する、見付けなきゃならないんですけど、これを例えば今の技術だとどのくらいこのパスコードを見付けるのが難しいかというと、例えば十万ぐらいの、例えば十万二千、三千六百五十六みたいな、そのぐらいの桁数の数字を千回掛け合わせて、そうすると大体桁が何万桁となるんですね。この計算をしなければならないぐらい難しくて、もう普通のコンピューターで回しても何日掛かるか分からないし、それだけ、電気代はどのぐらい掛かるんだというぐらい難しい計算をしなければ暗号が解けません。そういった意味では、事実上、もう改ざんすることができないようなことを利用します。
 と同時に、これはたくさんのネットワークのコンピューターでデータを保存するので、例えば中央でサーバー保存した場合に、仮にその中央のサーバーの電源が切れるなりウイルスに侵されるなりしてしまったらデータが飛んでしまうわけなんですけど、ネットワークですから一部が壊れても必ずどこかにデータが残っているわけです。
 このデータを消そうと思ったら、多分世界中のコンピューターの電源を同時に切るとか、そういったことをしない限りはデータは消えないという仕組みでありまして、これをまとめてみると、システムが絶対にダウンしない、かつ改ざんが事実上できない、そして、普通のパソコンでやっていますから、中央サーバーのセキュリティーを守るだとか維持するだとか、そういったコストがほぼ掛からないという、こういった話で、システムが壊れなくて改ざんができなくて安いという、こういった技術になります。
 これを例えば通貨で応用するとどういうことが起きるかなんですけれども、一応、この雑誌の絵が比較的分かりやすかったので、一応絵を置いていますけど、例えば今のシステムだったら、私が外国の友達に送金をしたいという場合にどうするかというと、銀行に行って、銀行から送金の手続をします。そして、外国の銀行に銀行を通じてお金が送金されます。それを今度は、外国の友人が外国の銀行に行って下ろしてきて、そして連絡くれます。今お金入ったから大丈夫だよといって、一連の取引が終わります。その間に、少なくとも日本の銀行、外国の銀行で取引手数料が発生しますし、お互い連絡しなきゃならないという、こういう手間も掛かります。
 これが今の中央サーバーを経由した取引なんですけど、ブロックチェーンを使って取引をするとどうなるかというと、私が直接相手にブロックチェーンを通じて幾ら、外国の人に送金します。送金した瞬間に送金が終わったことが分かりますので、それで終わりなわけですね。イメージ分かりにくいでしょうけど、現金を私たちは持っていて、現金を隣の人にあげますと、これで取引は終わります。実際、現金、目に見えていますから、それで皆安心して取引できるんです。これをネットワークでやる話なので、ネットワーク上の現金というかそういった感じで、銀行とかそういったものを挟まない仕組みになります。
 こうなってくると、結局、こういう技術が広がったときに、例えばそもそも銀行って何だというような、銀行って要るのか、取引のために、こういったことになってしまうわけです。実際に、去年の末、銀行はかなり危機感を持っていて、アメリカのR3というフィンテックの会社が中心となって、イギリスとかドイツとかそういったアメリカの会社の銀行グループが二十二社集まって、このブロックチェーンテクノロジーを活用して実際ビジネスにどう導入したらいいかという、こういったコンソーシアムを組みました。日本も一部の銀行が参加していますけれども。
 世界中の金融機関が、さすがに危機感だと思うんですけど、ブロックチェーンを使って自分たちも取り組んでいかないと取り残されてしまうかもしれないといった感じで、仮想通貨への、ブロックチェーンへの取組を始めたのがつい最近なんですけれども、こういった状況について、まず金融庁ですか、金融機関を監督する立場の当局として御感想をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) 一部の金融機関では、今御指摘ありましたとおり、ブロックチェーン技術の金融への活用について国際的に連携し、検討を行っていると承知しております。ブロックチェーン技術を含む新たな情報通信技術の発展は、決済サービスを始め様々な金融サービスに大きな影響を及ぼす可能性があるものと認識しています。
 ブロックチェーン技術など新たな情報通信技術の発展を金融取引に取り込んでいくに当たっては、取引の公平性や安全性の確保などに十分留意しつつ、利用者のニーズに的確に対応した形で進められるよう、金融庁としては金融機関の取組を促してまいりたいと考えています。
○石田昌宏君 非常に前向きな取組で是非検討を進めていっていただかないといけないなというふうに思っておりますが。
 例えば、この技術を応用していくといろいろと出てきまして、今民間でもどんどんこの仮想通貨、ブロックチェーンを使った仮想通貨ができてきているんですけれども、逆に、この民間の流れに国が、若しくは大きな銀行が負けてしまわないように、思い切って国が一部の仮想通貨をもうデファクトにして公認してしまうとか、場合によっては、円そのものをデジタル化してしまって、国自身がこのブロックチェーンをベースに物事を考えていくとか、そういったことをしないと、下手すると、ほかの国が先にしてしまったら、それが世界のデファクトになってしまって、円の価値が相対的に下がるかもしれませんし、民間で始めてしまったら、民間の方が市場取引量が多くなってきて、いわゆる現金だとか、日本の今の仕組みよりもより大きな通貨ができてしまう可能性もあるわけです。
 そういった可能性につきましてどういうふうに今考えていらっしゃるのか、お伺いしたいというふうに思います。
○副大臣(岡田直樹君) 仮想通貨の標準化を国が主導してはどうかという大胆な御提案でございますけれども、決済手段として広く用いられるためにはやはり利便性や迅速性等が重要でございまして、電子マネーなどの既存の通貨類似の決済手段と同様、まずは民間の創意工夫と競争の下で研究開発が進められることが適当ではないかと考えております。
 また、円そのものをデジタル化してはどうかという御提案についてでありますけれども、これは、通貨には通貨法や日銀法等に基づいて強制通用力、平たい言葉で言えば、どこでも誰でも何にでも支払ないし決済手段として利用できなければならないということがございますので、通貨をデジタルに発行することは、例えばデジタル機器を持たない人も代金を受け取ったことにされてしまうといいますか、受け取ることを拒否できないなど、現時点ではまだクリアすべき課題が多いのかなと考えております。
 いずれにせよ、一般論として新たな技術を金融取引に取り込んでいくに当たっては、公平性、安全性に留意しつつ、利用者のニーズに的確に対応した取組が進められることを期待しておりますし、石田委員が引き続きこうした金融ITの今日的課題に取り組んでいかれることを御期待申し上げます。
○委員長(大家敏志君) 時間を過ぎておりますけれども、ただ、合計がありますからどうぞ。
○石田昌宏君 もう時間ですのでこれで終わりますけれども、今後もこの課題に取り組んでいきたいと思います。前向きに研究を是非していただいて、実際はできるのは難しいとは承知はしていますけれども、何かの場合に研究が必要だと思いますので、是非よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○中西健治君 自由民主党会派の中西健治です。こちら側からは初めての質問ということになりますけれども、財政金融の課題について議論するということは変わらないということでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事長峯誠君着席〕
 今、石田理事のお話を聞いていて、私も七年前まで証券会社で働いておりまして、その頃にはもうアルゴリズムというのは入っておりましたけれども、「フラッシュ・ボーイズ」ということになってくると大分隔世の感があるかなというふうに思いました。今、藤巻先生と目が合いましたけれども、藤巻先生のような信念のトレーダーとは大分違うんじゃないかなというふうに思ったということであります。
 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
 まず初めに、銀行が金融仲介機能を発揮できているのかどうかということについてお伺いしていきたいと思います。というのも、最近また不動産向け融資の伸びが顕著になってきているということであります。日銀の量的・質的金融緩和によって予想物価上昇率は上昇いたしました。そして、イールドカーブも低下をしたので実質金利は下がってきているということであります。そして、この三年間振り返ってみますと、それまで前年比マイナスであった民間銀行の貸出残高が前年比プラス二%程度で安定的に推移しているということであります。
 しかし、最近の日銀のレポートなどを見てみますと、不動産向け貸出しの伸びが高まって、二年ぶりに全産業向けの前年比を上回ったということが指摘をされております。過去と比較して異常に高いというわけではありませんけれども、やはり少し伸びが顕著になってきている。
 この点について金融庁としてはどのように捉えているのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) 御指摘のありました日本銀行の貸出先別貸出金統計によりますと、二〇一五年十二月末時点では銀行貸出し全体の伸びは前年比三・三%でございました。他方、不動産向け貸出しの伸びは前年比五・二%という形になっております。
 御指摘のように、不動産向け貸出しにつきましては、一九八〇年代後半あるいは二〇〇〇年代半ば頃の不動産向け貸出しの拡大局面との比較においては高い伸びではないというふうに承知しております。当時の典型的な数字を申しますと、例えば一九八〇年代後半、一九八七年三月の数字だと貸出し全体が八・八%の伸びでございましたが、そのときの不動産向け貸出しは三二・七%の伸びを示しておりました。それから、二〇〇〇年代半ばという意味においては、二〇〇六年九月の数字を申しますと、貸出し全体一・八%の伸びに対して不動産向け貸出し九・三%という伸びを示しておりました。
 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融機関が適切な経営管理体制及びリスク管理体制の下、与信判断を行うことが重要であるというふうに考えております。不動産向け貸出しの比率の高い金融機関を中心に、リスク管理の状況、貸出動向について注視してモニタリングを行ってまいりたいというふうに存じております。
○中西健治君 今御紹介のあったバブルのときの三二・七%年率の伸びというのは、尋常ならざるものだということだろうと思います。現時点ではそこまで当然行っていないということでありますけれども、全体としては当然そうなんですけれども、やはりちょっと気になるのが、特に気になるのが地域金融機関ということじゃないかなというふうに思います。
 大手行では業種別の貸出先というのはかなり分散がされていますけれども、地域銀行では不動産向け融資の伸びが特に高くなっています。そして、日銀のレポートなどで見てみますと、どこに貸出しが伸びているかというと、個人、あと個人が設立した資産管理会社に対する賃貸不動産向け貸出しが増加していると、こんなようなことになっております。
 貸家需要が堅調であるということかもしれませんけれども、一方で、空き家の増加などという問題も出てきていますし、また今、日本創生ということをやっていますけれども、日本創成会議のレポートでは特に地方から東京圏への人口の流出というのが止まらないということも指摘されているので、より厳しい人口減に直面している地域金融機関の不動産向け融資のリスクというのは今後顕在化する可能性というのはあり得るだろうというふうに思います。
 ですので、地域金融機関のこうした貸家等に対する貸出し、これについての問題意識というのはいかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤俊英君) 今、中西委員から御指摘いただきましたように、特に地域金融機関において、地域の人口が減少していく中で、地域でございますので、どうしても業種集中的な融資が行われがちだという、そういう傾向はございます。その中で、今御指摘がありましたように、個人なんかが行っている貸家業、それに対する貸出しが伸びているという傾向は見て取れます。
 こういった貸家業に対する貸出しにつきましては、家賃相場の動向でありますとか、空室がどの程度発生するかという空室リスクでありますとか、それから不動産価格の下落リスクでありますとか、それから不動産賃貸の業界の競争状況でありますとか、様々なリスクといいますか要素というものを総合的に判断して、経営上の位置付け、それに対する貸出しというのを経営上どのように位置付けてどのようにリスク管理をしていくのかということを金融機関としてやっていかなければいけないというふうに思っております。
 金融庁といたしましても、こうした点を踏まえつつ、ビジネスモデルが本当に持続可能なのかどうかという観点から、この不動産賃貸業への貸出しが多い金融機関に対して注意深くモニタリングしていきたいというふうに考えております。
○中西健治君 是非お願いしたいと思います。
 こうした不動産賃貸に対する貸出し、地域金融機関で伸びているというのを細かく見てみると、ひょっとしたら東京の支店が伸ばしているのかなというふうにも思ったんですが、もっと更に細かく見てみると、実はそうでもなくて、地元で随分伸びているということでありますので、人口減に直面している地元で伸びているのであれば、やはりそこはしっかり見ていく必要があるということなんじゃないかというふうに思います。
 大臣の所信の中で、質の高い金融仲介機能の発揮を期待すると、こんなようなくだりがありました。今指摘させていただきました不動産向け融資の伸びというのは、貸家業向けの貸出需要に対応したものだとはいえ、依然として担保、端的に言うと、不動産担保に依存した融資姿勢が取られているということを示唆しているということなんじゃないかと思います。
   〔理事長峯誠君退席、委員長着席〕
 先ほど、バブルのときのどれぐらい貸出しがあったか、貸出しが伸びていたかという数字を出していただきましたけれども、その後、銀行は大変な苦労をして不良債権を処理して、それから脱却していったということだと思いますが、そのときのやはり習性というのがいまだに現場では染み付いているということなのかなというふうに思います。そのために、潤沢な資金があるにもかかわらず、やはり担保や保証に依存してしまうということが変わらないということなのではないかというふうに思います。事業性を評価した融資を伸ばしてくださいということを金融庁は旗を振っているというのは存じておりますけれども、やはりそんなに変わっていないんじゃないかという気がいたします。
 麻生大臣は、金融処分庁というイメージが残っているが、金融育成庁を目指さなければならないということを再三再四おっしゃっておりますけれども、実際にその動きになっているのかどうか、その評価と、あと今後どうするのかということについてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) まず、現状、地域金融機関においては、担保、保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価して融資や本業支援などを行うことを通じ、地域の産業や企業の生産性向上などの促進を図り、地方経済の活性化に貢献していくことが期待されております。
 このため、金融庁としては、現状幾つか取組を行っております。まず、事業性評価を踏まえた解決策の提案、実行支援、そのための体制整備の状況について各金融機関と議論をして、その過程で確認された良い事例を公表していくこと。また、融資先企業へのヒアリングも行っておりまして、金融機関に対する顧客企業の評価を把握して、それを基に金融機関との対話を進めること。また、各金融機関に対して、事業性評価に基づく融資などの取組について、営業現場の第一線まで浸透しているかどうか、組織全体として積極的に推進するよう要請するといったことを行っております。
 金融庁としては、今の御指摘を踏まえまして、引き続き、地域金融機関が事業性評価に基づく融資や本業支援などを通じて、地域の経済や産業を支えながら自らも成長するという好循環の実現に向けた取組を促してまいりたいと思います。
○中西健治君 申し上げたとおり、現場に昔のやり方がまだ残っているということかなというふうに思いますので、そこの現場の意識を変えていくということについて是非取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、マイナス金利政策の影響についてお伺いしたいというふうに思います。
 金融機関の収益が悪化するんじゃないかということで株が売られたりしてきていますけれども、確かに、金利全体が下がるということ、そして個人の預金金利はマイナスにはできないということなどから、金融機関の収益への下押し圧力というのは避けられないということだろうというふうに思います。ただ、今般採用されたゼロ金利政策についても、三層構造ということになっていますから、直接的な影響というのは金額としてもそんなに大きなものではないだろうというふうに思います。
 どこまでをこのマイナス金利政策の影響と見るかは難しいというふうに思いますけれども、金融庁としてどの程度の影響が、どういう影響が出てくるというふうに考えているのか、まずお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) マイナス金利政策の導入や、それを受けた金利の動向などが銀行の収益に与える影響について、一概に申し上げることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、貸出しなどの利息収入の低下及び運用手段の減少などの影響が生じる一方で、資金調達コストの低下や保有国債などの評価益が発生するなどの影響を与えるなど、両面が考えられると見ております。
 また、今般のマイナス金利政策の導入は、今御指摘ございましたとおり、金融機関の収益を過度に圧迫することにより、かえって金融仲介機能を弱めることがないように、日銀当座預金の一定の残高まではプラス金利又はゼロ金利を適用するものと承知しております。
 いずれにしても、政府、日銀が一体となってデフレ脱却を目指し、経済や市場の状況にも配慮しながらしっかりと経済を成長させる政策を進めるとともに、金融機関の動向については引き続き検査監督などを通じてしっかりとモニタリングしていくことが重要であると考えます。
○中西健治君 二〇一四年度の銀行全体の当期純利益を見ると、三・三兆円。この三・三兆円って、ほぼ過去最高ということであります。ですので、今回、当座預金の付利が引き下げられるということによって、多分、直接的な影響というのは二百億円ぐらいということなんじゃないかと思います。そして、間接的な影響をどこまで見積もるかというのは難しいところではありますけれども、この三・三兆円の純利益ということからすると、そんなに大きなものでもないのではないかというふうに思っております。
 金融機関の今のプラス面、マイナス面ということをおっしゃっていただきましたけれども、金融機関の経営に何らかの懸念が生じるような、そんなことではないということではないかと思いますが、一言もし御意見、コメントをいただければというふうに思います。
○大臣政務官(牧島かれん君) 一概に申し上げることは難しいとは思いますが、両面あるというふうには考えております。
○中西健治君 両面ありますので、申し上げたとおり三・三兆円、そして資金益というのが八兆円以上ということでありますので、それから比べるとやはり過度に懸念するというのは正しくないだろうというふうに思います。
 そんな中で、今回、法人税率の引下げというのがまた行われることになっております。これも大臣の所信の言葉をお借りしますと、法人税率を引き下げることで、企業の収益力を高め、投資や賃金の引上げに積極的に取り組んでほしいと、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、過去最高益をたたき出したメガバンク、このメガバンクの賃上げ、ベアは見送りとなるということのようであります。経営者として、好調な企業収益をきちんと勤労者に還元するという意識がどうも希薄なようにも感じられるんですが、これは、済みません、財務副大臣に御意見をいただけますでしょうか。
○副大臣(岡田直樹君) 個別の金融機関の経営判断についてはコメントを控えたいとは思いますけれども、一般論として、企業収益が好調に推移する中で、内部留保が積み上がりまして手元資金も増えているという今の状況には問題意識を持ってございます。今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、設備投資や賃金引上げに積極的に取り組むよう促すためのものでございまして、こうした改革を行っても、もうかっている企業が更に現金をため込むような結果になっては意味がないと思っております。
 この点、財務大臣からも、官民対話や経済財政諮問会議など様々な機会で繰り返し申し上げてきておりますし、経済界の側も、経団連から与党税制改正大綱に関するコメントとして、法人実効税率が二〇%台に引き下げられることに関して、賃金の更なる引上げなどに積極的に取組を進めるといたしております。企業が賃金引上げや投資拡大を積極的に進めていく姿勢が徐々に現れてきていると思います。
 今後、各企業において、今回の法人税改革の趣旨も踏まえしっかり対応をしてほしいと思っております。
○中西健治君 政府の方から個別の企業についてのコメントというのはできないだろうというふうに思いますが、報道によりますと、この三つのメガバンク、組合の方が経営側に配慮して、マイナス金利政策で先行きの収益が鈍化するであろうから、ベアを引き上げるのを要求を避けたというふうに報じられております。組合側がこういうことであれば、当然、経営の方も上げないということになりますが、これはいかにもちょっとデフレマインドがまだまだ残ってしまっているということを示しているんじゃないかなというのが、私がこのことについて思っているということであります。
 続きまして、財政政策の在り方について質問させていただきたいと思います。
 財政政策の考え方には当然二通りあると思います。二通りというのは、簡単な話ですけれども、一つは歳入をありきにして、それをベースにして歳出を決めるということと、あとは、歳出をベースにして歳入の中身を決めていく、こういう二通りの考え方があると思います。入りを量りて出るを制すという言葉はよく使われます。これは、収入がどれくらいあるのかをまず考えて、それに見合った支出をしなさい、身の丈に合った生活をしなさいということだというふうに思いますが、これは一般的には分かりやすいといえば分かりやすいということだと思います。
 しかし、政府が行う財政政策ということで考えてみると、やはり必要なところには必要なものを届けていかなければいけない、必要なお金を届けていかなければいけないということだろうというふうに思いますので、それがまずあって、そしてそのためにどうやってお金を捻出しようかと、こういう手順なのかな、物の考え方なのかなというふうに思いますが、これは財務副大臣のお考えでいいです、お聞きしたいと思いますが、どちらをベースに考えるということか、お聞きしたいと思います。
○副大臣(岡田直樹君) 入るを量りて出るを制すか、出るを量りて入るを制すかというお話でございます。
 入るを量りて出るを制すというだけにとどまらずに財政を考えろという、そういう御下問かとも存じますが、やはり日本の現状の財政は、六十二・三兆円の税収に対して政策的経費が七十三・一兆円、さらに国債費が二十三・六兆円であり、この合計が九十六・七兆円になるわけでありますけれども、税収等で賄えない三十四・四兆円については借金によって将来世代に負担を回すおそれがあるわけでございます。税収の範囲内に歳出を抑制するという、そのことには程遠い大変厳しい状況だと存じます。
 少子高齢化により社会保障費が今後も増加すると見込まれる中で、中西先生御指摘のように、政府が今後もしっかりと必要な政策を実行できるよう持続可能な財政構造を構築していかなければならないと、このように考えております。
○中西健治君 いずれにせよ、成長によって税収を少しずつでも増やしていく、この数年間少しずつ増えてきているという部分がありますけれども、これは是非ともやっていかなきゃいけないということだと思います。
 しかし、足下の国際経済の情勢ということに関して言うと、かなり不安が出てきているということなんじゃないかと思いますが、特に中国経済について不安が大きいということだと思います。
 そこで、ちょっとG20のことをお伺いしたいんですが、くしくもこの間のG20というのはその中国で開催されて、そして声明では、経済成長の実現に向けてG20各国が金融、財政、構造改革などのあらゆる政策を総動員することと、こういうふうに言われたわけですが、いま一つ中身が判然としないというところがあるかと思います。
 具体的に、これらの言っていることというのはどういったことを指しているのか、教えていただきたいと思います。
○副大臣(岡田直樹君) 今回のG20では、まず、最近の市場の変動の規模というものは世界経済のファンダメンタルズを反映したものではないとの認識で一致をしております。その上で、市場における過度な変動に対する懸念を共有しながら、強固で持続可能かつ均衡ある成長を実現する観点から、一つには、信認を醸成し、回復を維持強化するために、日本のアベノミクスの三本の矢と同様に、金融、財政、構造政策の全ての政策手段を個別あるいは総合的に用いること、また二つに、巨額で変動しやすい資本フローに対処するための政策手段、枠組みについて検証を行うこと、三つに、マクロ経済及び構造問題に関するG20の政策行動を注意深く測定し、明確にコミュニケーションを行うということが合意され、これらの具体的なコミットメントにより、市場に十分な安心感を与えることができたと考えております。
○中西健治君 この声明を受けて、各国がいろんな政策を動員していくということになるんだと思います。そんな中で、こうした経済状況を受けて我が国の政府が何をしていくのか、これは私の方でも提言をさせていただきたいと考えております。
 こちらで私の方の質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(大家敏志君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大家敏志君) 速記を起こしてください。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 マイナス金利政策についてお聞きをします。
 前回の委員会で、マイナス金利政策が、尋常ならざる手段でなければ日本経済は立ち直らないと、そういうメッセージを送ったことにならないか、国民はそう受け止めているんではないかという質問に対して、総裁は、御指摘のような声も含めていろいろな声があるというふうにお答えになったんですね。
 一昨日、内閣府が消費動向調査を発表して、二月の消費者態度指数はマイナス二・四とかなり落ち込んでいるわけですが、マイナス金利政策もここに影響したんじゃないかと思いますが、どうですか。
○参考人(黒田東彦君) 消費者態度指数は、振れを伴いつつも緩やかな改善傾向を続けてきたわけですが、年明け以降、二か月連続で前月比低下しておりまして、二月は前月差マイナス二・四ポイントとやや大きめの低下となったことは承知しております。この背景といたしましては、世界的に投資家のリスク回避姿勢が過度に広まる中で、我が国を含めて金融市場が不安定な動きとなっていることなどが影響しているのではないかと見ております。
○小池晃君 何か人ごとみたいなんだけど、やっぱりマイナス金利政策がその不安定さに影響を与えたことは間違いないと私は思うんですね。
 私、先ほど大塚委員も指摘をされた低金利政策の影響について聞きたいんですけれども、黒田総裁は新聞のインタビューで、預金金利は元々低い、住宅ローンなど貸出金利の低下の方が下げ幅も影響もずっと大きいというふうにおっしゃっているんですけど、それでは、マイナス金利は家計には大きな影響はないという認識なんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) そもそも日本銀行の量的・質的金融緩和というものは、二%の物価安定目標の早期実現、これを目的として行っておりまして、金利全般に強い下押し圧力を加えて実質金利を引き下げて経済にプラスの影響を及ぼすということでございまして、具体的には、企業向け貸付けあるいは住宅ローン金利の低下を通じて、設備投資や住宅投資などの経済活動が刺激されて国民所得が増加することになるということでございます。こうした国民所得の増加というものは、家計所得にもプラスの効果をもたらすものでございます。実際、二〇一三年四月に導入された量的・質的金融緩和の下で企業収益が過去最高水準で推移しておりますほか、家計についても、失業率が三%台前半まで低下するなど、雇用・所得環境は大きく改善しております。
 今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和は、日銀の当座預金の一部にマイナス金利を適用して更に実質金利を引き下げていこうというものでございます。こうした金融緩和が家計に与える影響につきましては、今申し上げた従来からの量的・質的金融緩和、今回のマイナス金利付き量的・質的金融緩和とも、家計と金融機関の間の金融取引に関する損益だけでなく、経済全体に与える影響という観点から議論する必要があるのではないかと思います。
 その上で、金融取引だけについて見ましても、預金金利についてはマイナス金利の導入以降低下しておりまして、この点はデメリットと言えるのかもしれませんが、元々ゼロ%に近かったために、その低下幅はごく小幅なものにとどまっております。一方、住宅金利の金利ははっきりと低下しておりまして、今後、住宅投資にもプラスの影響が及んでいくというふうに考えております。
○小池晃君 最後のところだけでいいんですよ、今の答弁は。長々やらないでいただきたい。
 私は、金利の問題について絞って聞いているわけです。先ほど大塚委員も指摘をされたように、家計に影響は出ている、これは間違いないわけです。
 資料の一枚目に、低金利の家計への影響、それから企業への影響について出しました。これは一定の前提を置いて日銀が試算したものであります。
 これ、低金利政策が始まった九一年を起点として、その金利水準が続いていた場合と比較をして受取利子と支払利子を計算したわけですけれども、家計部門は逸失利子、これが六百六兆円、それから利子、安いことによって負担が軽くなったのは二百十四兆円ですから、ネットで、差引きでこれは三百九十二兆円のマイナスということになる。年平均で約十六兆円のマイナスです。
 それから、下のグラフの方は、これは企業部門で同様に試算したものですけれども、払わなくて済んだ金額がこれ二十四年間の差引きで五百七十一兆円。企業は年平均二十四兆円のプラスになるわけですね。
 総裁、これは、この利息のところに着目をすれば、家計部門から企業部門に巨額の所得が移転したという事実は事実としてお認めになりますか。
○参考人(黒田東彦君) 一般に、金融緩和を推進して金利水準が低下しますと、資金の貸し手から資金の借り手に所得移転が行われるという面があることは否定できません。もっとも、金融緩和は、金利水準の引下げを通じて設備投資や住宅投資などの経済活動を刺激し、国民所得を全体として増加させることを目的としたものでございます。
 したがいまして、金融緩和の効果を検証する際には、金利低下に伴う経済主体間の所得移転という点に限定するのではなく、経済全体としての国民所得の増加、すなわち企業収益や雇用者所得の増加という幅広い観点から議論する必要があるのではないかというふうに考えております。
○小池晃君 私は、要するに、低金利のプラス面だけを強調するような議論はおかしいではないかと言っているんですよ。やはり、長期の低金利政策が国民に負担を強いているということをきちんと認めるべきだと。
 これまでの総裁と黒田総裁はスタンス違うと思うんです。白川前総裁は、金融緩和が家計の利子所得の減少要因となって、個人消費の減少要因であると国会で述べている。それから、福井元総裁も、これ国会で、家計に重い負担を掛けている、市場メカニズムを犠牲にした大変コストの掛かる政策だというふうに言っているわけです。もちろん、お二人とも金融緩和を進めた責任者である、金融緩和が企業投資を活性化するんだという効果も強調していますけれども、はっきりマイナス面を国会で認めていらっしゃるんです、正直に。
 ところが、総裁は、新聞のインタビューなども含めて、これはプラス面ばかり強調してマイナス面語らないじゃないですか。私は、いいことずくめであるかのような説明ではなくて、長期にわたる緩和政策が国民に負担を強いている、個人消費にマイナスだということを私は率直に認めるのが日銀総裁としての説明責任だというふうに申し上げているんですけれども、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、金融政策というのはあくまでも物価安定を目標にしたものでございまして、現在の政策は二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということのために様々な努力を行っております。
 先ほどもお答えいたしましたように、金融緩和を推進して金利水準が低下すれば、資金の貸し手から資金の借り手に所得移転が行われるという面があることは否定できません。それは認めております。
 ただ、もっとも、今申し上げたように、金融緩和というのは金利水準の引下げを通じて経済活動を刺激して国民所得を全体として増加させることを目的としておりますので、金融緩和、金利低下の効果を検証する際には、やはり金利低下に伴う経済主体間の所得移転という点だけに限定すると適切ではなく、やはり経済全体としての国民所得の増加、すなわち企業収益や雇用者所得の増加という幅広い観点から議論する必要があるのではないかというのが私どもの考え方でございます。
○小池晃君 いや、だから、私が言っているように、そこを全体で議論していいんですよ、その移転という側面で、利子所得の移転という側面ではやっぱり家計に負荷を掛けているという事実は事実としてきちっと認めてくださいと。まあ事実上ちょっと認めるようなニュアンスの発言もあったので、これ以上やってもちょっとらちが明かないと思うので、次の問題に行きたいと思うんですけど。
 この異次元緩和が日銀の財務を悪化させる、国庫納付金の減少として国民の負担につながるという問題についてお聞きをしたいと思うんです。
 日銀の副総裁だった岩田一政さんは、これは昨年の秋に、異次元緩和は出口過程において日銀が赤字になるリスクが高いというふうにおっしゃって、しかし、総裁はこの間、大門委員なども何度も質問していますが、出口については具体的に述べないというふうにずっと続けてこられました。
 資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、そういう中で国庫納付金、法定準備金、どうなってきているか。法定準備金の積立ては通常は剰余金の五%とされておりますが、平成二十五年度はこれは剰余金の二〇%で千四百四十八億円、二十六年度は二五%で二千五百二十二億円と急増して、その分、国庫納付金が減額されています。大門議員がこの問題、理由、質問したときに、総裁は、大規模な金融緩和に伴って従来よりも日銀の収益の振り幅が大きくなる可能性があるということはおっしゃった。
 私は、この出口における日銀の負担増については、民間はいろんな試算をしているわけで、例えば先ほどの日銀元副総裁が理事長を務めているシンクタンクは、これは異次元緩和の出口の局面で、最も短いケースで三年間、場合によっては六年間、国庫納付金がゼロになるという試算を発表しています。
 日銀は、異次元緩和の出口のコストの試算、公表していませんけれども、これ内部では当然やっていると、やっていなきゃおかしいと思うんですけど、ここはどうなんですか。
○参考人(黒田東彦君) いわゆる出口の際に実際に日本銀行の収益がどうなるかというのは、御案内のとおり、どのような手段をどのような順序で進めるかという進め方に加えまして、その時々の金利情勢などによって大きく変わり得るものでございます。
 したがいまして、観念的にいろいろなことは検討されるわけでございますけれども、それはあくまでも実際の出口の際の手段、順序そして金利情勢などによって大きく変わり得るものでございますので、現時点で具体的にお話しすることは適当でないと考えております。
 その上で、従来から申し上げておりますとおり、量的・質的金融緩和あるいはマイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での国債の買入れ、これは政策を推進していく過程では日本銀行の収益を押し上げる一方で、いわゆる出口の局面では収益を押し下げる性質を一般的には持っております。
 そこで、日本銀行では、収益の振れを平準化し財務の健全化を確保するという観点から、御指摘のような点も含めて一部を積み立てるということをやっておりまして、さらに、将来、収益が下振れる局面で取り崩すことができますように、昨年、政府に関係政省令を改正していただきまして、引当金制度を拡充したところでございます。
○小池晃君 FRBは、これは少なくとも大規模金融緩和を進めた当初から出口コストについて試算を発表しているわけです。国庫納付金が減少する懸念についても明らかにしているわけですね。FOMCにおいてもそういった試算を踏まえた議論をやって、金融政策に反映させているわけですよ。私、だから、それは詳細に全部言えないというのは、それはそうかもしれない。しかし、試算やっているかどうか、コストがこれは掛かってくるんだということについてやっぱりきちっと説明すると。
 私、ちょっと金融の世界というのはいたわけじゃないからよく分からないけど、例えば総裁がやっていることは、医者でやったら、これ病気になって、しかしこの薬とこの治療は必ず効きます、治りますというふうに言って、私に任せておきなさいと。それで治りゃいいんですよ。いつまでたっても治らないんですね。延々と続いているわけですよ。そうなると、やっぱり患者さんは不安になるわけです。実際に今の治療にどういう副作用があって、どういう困難があって、でもやっぱりこれは私は頑張りますから一緒にこの病気治しましょうというのが医者の姿勢なんですよ。
 総裁のやっているこの今の説明の仕方というのは、私は、国民の不安や市場の不安に応えるような、日銀総裁としての責任を果たすようなことをやっていないんじゃないかというふうに思うんです。きちんと出口についてのコストについて、正直に国民に対して、そういう危険があるんだということを語るべきだし、日銀がやっぱり今検討している中身をちゃんと説明すべきだというふうに思います。(発言する者あり)そんなことないですよ。本当は今の、まさに黒田総裁こそ私は、まあやぶ医者という言葉は余りよくないですから使いませんけれども、これはやっぱり患者さんの不安をかき立てるだけの医者だと思いますよ。
 ちょっとちゃんとやっぱりそういう責任を果たしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○参考人(黒田東彦君) 確かに、FRBは出口戦略の原則であるとか、あるいは収益シミュレーション等を発表したことは事実ですが、御案内のとおり、実際の出口戦略は事前に言っていた出口戦略と全く逆になっております。
 そういったことで、そういったものを余り早く、まだ出口に差しかかって、出口が具体的に検討されていない段階で、いろんな状況によって具体的な出口の手段とか順序も変わりますし、それの収益への影響も変わるわけですので、そういった不確実でどっちに行くか分からないようなことを余り早く言うというのは、かえって市場に対して不安定さをもたらしてしまうおそれがありますので、出口について具体的にお話しすることは適当でないと申し上げているとおりでありまして、したがいまして、出口のところでの収益の状況についても具体的にお話しするのは適当でないと思っております。
○小池晃君 いや、始めた当初だったらそういう議論もあるかもしれないけれども、もう延々と続いて、一向に出口が見えない、一向に効果が見えないという状況になっている中で、やはり私は、説明を避け続けるという態度で本当に責任果たしたことになるのかということを聞いているわけです。
 麻生大臣、先ほどから何かいろいろとおっしゃっているけれども、これ日銀だけの問題じゃないわけです、これは。これ、政府の経済・財政再生計画のベースになった試算でも、これは毎年五千億円程度国庫納付金が入るということが、二〇二四年までそれが前提となっているわけでしょう。ところが、元日銀副総裁などは、この五千億円が何年にもわたってゼロになる可能性を指摘しているわけですから、これ重大な問題じゃないですか、財務当局にとっても。大臣、ちょっと聞いていますか。
 やっぱり、国家財政に何兆円も穴を空ける可能性、危険性があるという、そういう状況であるにもかかわらず、この日銀の姿勢のままでいいんですか。この再生計画のままでいいんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 財政に対するマイナス金利の影響という話なんだと思いますが、これは今、小池先生御指摘のように、日銀の納付金がありますけれども、マイナスの金利になりますれば、当たり前の話で、日銀が金融機関に支払う利息が減りますので日銀の収益が増える、当たり前でしょう、国庫納付増があります傍ら、金利が低くなりますので日銀が受け取る国債利息収入が減るということになりますから、日銀の収益が減るという国庫納付減と両方ということになりますので、この点については、日銀の収益及び国庫納付に与える影響については、これはなかなか一概に申し上げることはできないということだけははっきりしていますでしょう。
 そのほか、国債費、これ日銀の話ですから、出口の話についてはね、国債費につきましては、金利が低下すればその時点における資金調達コストが低下するとか、歳入歳出両面で財政への影響がいろいろ生じてくるのは、これは当然のことだと思っております。
 いずれにしても、政府としては、これは財政ファイナンスというようないわゆる疑念を抱かれることがないように、マイナス金利による影響をよく見極めながら、政府、日銀の共同声明に沿って財政健全化の取組を進めていくことが重要であると考えておりますので、今出口の話をしておりますが、この件については日本銀行の所管のところだと思っておりますので、私どもとしてはそれが基本的な姿勢だと思っております。(発言する者あり)
○委員長(大家敏志君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大家敏志君) 速記を起こしてください。
 麻生大臣。
○国務大臣(麻生太郎君) 最後のところはお聞こえにならなかったという話ですか。そう今聞こえましたので、確認しますけど間違いありませんね。(発言する者あり)という質問をいただいたと、それで間違いありませんね。(発言する者あり)そうですか。
 出口のことにつきまして、このことにつきましては私どもの所管するところではなく、日本銀行の責任でやられているということを申し上げたと存じます。
○小池晃君 だから、出口の問題が財政にとっては大変な問題になるじゃないですかと言っているんです、私はね。これは日銀だけの問題じゃないんですよ。国庫納付金がゼロになるかもしれないと言われている。そのことについて、財政当局としては見て見ぬふりするんですかと聞いているんです。日銀の問題だで済ませる問題じゃないです。
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほどの私にいただいた話と全然違いますので、民共合作ってなかなかうまくいっていないのだなともちょっと思わないでもありませんでしたけれども……(発言する者あり)今のちょっと、今のは訂正します。なかなか、言ってきた話と違いましたので。訂正させていただきます。
 今のお話ですけれども、国庫納付金が減るという点もありますけれども、我々としても、先ほど申し上げたように、プラスの面もありますので、今の段階で一概にそういった見解は、今の段階から軽々しく言うべきではないと思っております。
○小池晃君 国庫納付金が減るという問題がありますけれどもで済ませられる問題じゃないと思うんですよ、私、これは。だって、五千億円入り続けることが前提となった財政計画なわけですから、やっぱりそのことを放置していいのかと。もうちょっと時間がないので。
 私は、この出口コストの問題というのは、日銀だけの問題じゃなくて、財政も含めてこれは日本の未来に関わる問題だと。ところが、見て見ぬふりで突き進むと。やっぱり異次元緩和やめなきゃ駄目ですよ。やっぱりこのトリクルダウンの政策から抜本的に転換するということをしなければいけないというふうに申し上げて、質問を終わります。
○藤巻健史君 おおさか維新の会、藤巻です。
 まず最初に、質問通告をしていないんですが、常識的にお答えになれるかと思いますのでお聞きしたいのですが、ある体重百五十キロの方が、五十キロ、体重、最初の年に増えて二百キロになりました。その次の年は、三十キロ増えて二百三十キロになりました。最初の年には五十キロ増えて、次の年には三十キロですから、増加の限度は減速しています。でも、体重自身は百五十キロ、二百キロ、二百三十キロになっているわけですが、その場合、ダイエットが成功している、若しくは体重管理が成功していると大臣はお思いでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 何のことが言いたいんだかさっぱり分からぬので、お答えのしようがないんですが。
○藤巻健史君 いや、質問通告していませんのであれですが、私はこういう場合はダイエットは成功していない、体重のコントロールはできていないというふうに考えます。
 その上で御質問いたしますけれども、おとといの所信表明で大臣は、公債金は対前年度で約二兆四千億円の減額を行っており、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算となっているとおっしゃったわけです。要は、確かに前年に比べると新規国債発行額は減っている。だけれども、累積赤字は増えているわけです。まさに、先ほどの体重の話と同じように、体重の増え方は減っているけれども体重は増え続けている。これをもって私はダイエットと言わないし、体重の健全化とも言わないんですけれども、単に増え方が減速していることをもって財政健全化と言うのかどうか、その辺についてお答えいただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十八年度の予算に関しましては、二〇二〇年度のプライマリーバランスというものの黒字化に向けて、我々は、経済また財政再生計画に当たっては、初年度の予算でもありますので、予算編成において我々は計画を具体化すべく、歳出改革に全力で取り組んだものだと思っております。
 これによって、少子高齢化等々によって社会保障というものが増加する中にあって歳出の伸びの計画を目安に沿って抑制することができましたし、経済再生による税収増も相まって、一般会計のプライマリーバランスは対前年度比で二兆六千億改善、いわゆる十三兆四千億円から十兆八千億円ということに改善をさせていただきましたし、新規国債発行額で見ましても、先日、三月八日に委員会で申し上げたかと思いますが、対前年度で二兆四千億円減額する。これは三十六兆九千億が三十四兆四千億ということなど、経済再生と財政健全化というものを目標に従ってしっかりと両立させていると思っております。
 もちろん、財政健全化はまだ道半ばであって、成功したというのは、まだ道半ばな話であって、これをもって財政健全化達成したとは全く考えておりませんが、平成二十八年度予算といたしましては財政健全化に向けた着実な第一歩を踏み出したと、さように思っております。
○藤巻健史君 私は、さっきダイエットの例で申し上げましたけれども、財政健全化というのは、ダイエットでいえば体重が減り始めて初めてダイエットが成功していると言えると思うんですよね。累積赤字が増え続けている中で財政再建が成っているというのは、余りにもおこがましいと私は思っております。
 議論をしてもしようがないので次に行きますけれども、この国債、新発国債が減ったというのも、これは国債費がかなり低いところで抑えられていたせいではないかと私は思うんです。それは、日本銀行が、平成二十八年度予算でいうと百五十二兆円を発行して百二十兆円日銀が買うと。要は、日銀が大量に貸しているからこそ金利が跳ね上がらないで低い、国債費が低くて済んだ、だから、一見、新発国債を発行しなくて済んだというふうに私は理解しているのですが、いかがでしょうか。
○副大臣(岡田直樹君) 平成二十八年度予算においては、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標に向けて、経済・財政再生計画の目安に沿って一般歳出の抑制に努め、それで〇・五兆円であります。それから、経済再生による税収増と相まって、プライマリーバランスを着実に改善したところでございます。
 これによって、新規国債発行額について見ても、対前年度で二・四兆円の減額につながったものと考えております。
○藤巻健史君 税収増、税収増とおっしゃいますけれども、通常、景気が良くなっていくときというのは税収増が先に先行するわけですよ。要するに、国債は、大体固定金利で発行しているものが多いですから、満期が来るまでは金利の支払というのは増えないんですよね。税収はすぐ増えていく。今年良ければ法人税は増えるんですから。でも、例えば〇・二%で発行した十年債は、満期が来るまで〇・二%なんですよね。だから、当然のことながら、普通であれば支払金利増が後から追いかけてくる、国債費の増加が追っかけてくるわけで、まさに、税収増だ、税収増だと自慢していますと、後で痛い目に遭うと思います。
 何はともあれ、私は今の国債費というのは、日銀がいてこそ、日銀様々のおかげで国債費がべらぼうに低い、だからまさに新発国債が減っているというふうに理解しています。
 次に、質問に入りますけれども、先ほど麻生大臣は二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化するとおっしゃいましたが、配付資料でありますように、これは内閣府の中長期経済財政に関する試算から抜粋しましたけれども、これ二〇二〇年度においても、一番下のプライマリーバランス、七兆円のマイナスですね。それからこれ、国際公約ですよ、このプラス。その後ずっと見ても、ちっともプライマリーバランス黒字化しないんですよ。
 それも、この計画というのは、名目成長率三%、実質成長率二%においてもこの数字なんですが、じゃ、その国際公約である二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化するために何を考えていらっしゃるのか。要するに、消費税一〇%はこれ織り込んでいるんだと思いますけれども、それ以外にどうやって早く二〇二〇年にプライマリーバランス黒字化することできるのか、お考えを教えていただければと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化につきましては、歴代内閣、皆それぞれ取り組んでこられたんだと存じますが、安倍内閣におけるこれまでの取組で、少なくとも平成二十七年度におきましてプライマリーバランスの赤字半減目標というのを掲げさせていただいたときに、これができると思った方はほとんどいらっしゃいませんでした。ほとんどできるわけないじゃないかと随分言われましたけれども、現実問題できておりますから、私どもとしては、これは着実に成果が、この点に関しては三年間でそれなりの成果が出てきたんだと思っております。
 こうした中で、成長戦略というものを着実に実施をし続けることで引き続き財政再生に取り組んでいく、経済再生に取り組むと同時に、経済財政計画で示されております目安に沿いまして、計画、工程表に基づく歳出改革を実行させていただくということにいたしたいと思っております。
 そして、二〇一八年度の時点になりますけれども、進捗状況等々をその段階でもう一回チェックをさせていただいて、その段階で歳出歳入の追加的な対応はどういうことが必要になるかというのを検討させていただきたいと思っております。
 いずれにしても、今の段階で、内閣府が出しております段階で、今言われましたとおり、三%、実質二%の経済成長でありましてもまだ六・五兆円不足しているという実態でありますので、こういったものがなるべくきちんと達成できるように引き続き努力を続けていかねばならぬと思っております。
○藤巻健史君 同じ内閣の内閣府が算出したある程度合理性を持った数字だと思うんですが、それでもその数字に反して二〇二〇年度にプライマリーバランス黒字化が達成できるとおっしゃるのは、まさに根性物でしかないと思うんですよね。要するに、名目三%、実質二%というかなりというか非常に高い成長率を、先ほど来、一番最初に潜在成長率もかなり低いことを内閣府の方がおっしゃっていましたけれども、その前提で、名目三%、実質二%の経済成長を上回る成長でこれがそれでも達成できないというときに、何をもって、まさにそれでもできるというのは根性でしかないんだろうと私は思います。
 時間がなくなってしまいますので、続けて申し上げますと、なぜプライマリーバランス黒字化を目標にしているかというと、プライマリーバランスの黒字化を一旦達成すると、名目成長率が名目金利よりも高ければ財政は再建されていくというドーマーの定理に基づいていると思うんですが、これはたとえ二〇二〇年、麻生大臣のおっしゃったように黒字化したところで、これ二〇二一年以降、名目GDPと名目金利見ていただければいいんですけれども、名目長期金利が高いですよね、四・二、四・四、四・五、四・六です。一方、成長率は三・七。低いんですよ、名目成長率。これでは、たとえPBが黒字化したって財政赤字は拡散していっちゃうんですよ。
 これ、逆の数字だったら、プライマリーバランスを達成しましたからあとは財政再建になりますよっておっしゃるのかもしれませんけれども、矢印が逆なんですけど、内閣府の試算で。それでも、プライマリーバランスを達成すれば第一歩は成功して、その後、財政再建が成るとおっしゃるんでしょうか。
○副大臣(岡田直樹君) 御指摘のとおり、内閣府中長期試算の経済再生ケースにおいては、今後経済成長に伴い名目金利が上昇し、二〇二〇年度時点では名目長期金利が三・九%、そして名目経済成長率三・六%を上回る姿が示されております。日本の巨額な債務残高の下で、仮に一定以上のプライマリーバランス黒字幅を確保できないまま名目長期金利が名目成長率を上回る状態が続く場合には、利払い費の増加により債務残高対GDP比が増大していくことが考えられます。これは先生御指摘のとおりであろうと思います。
 こうした金利上昇に伴う利払い費の増加リスクへの対応という観点を踏まえれば、プライマリーバランスの黒字化のみならず、国債の利払い費を含めた財政収支についても考え、中長期的には債務残高対GDP比を着実に引き下げていく必要があると思っております。
 こうした問題意識をしっかりと踏まえつつ、まずは二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けてしっかりと取り組み、財政に対する信認を維持してまいりたいと存じます。
○藤巻健史君 いや、私が申し上げているのは、たとえ二〇二〇年にプライマリーバランスが達成しても、その後に長期金利の方が高ければ決して、単にプライマリーバランスを達成した、ピリオドで、それで終わっちゃうわけですよ。それ以降に名目成長率の方が名目金利より高くて初めて累積赤字が減っていくわけですから、この数字に基づいたら全く、財政再建どころか、プライマリーバランスは達成した、ソー・ホワットですよ、その後もまた拡散していっちゃうんですから。
 この数字である限りどうにもならないということは見え見えなんですけど、それでも財政再建に向かっているとおっしゃれるんですか。
○副大臣(岡田直樹君) もちろん、債務残高対GDP比を安定、更に中長期的に引き下げていくためには、利払い費を含めた財政収支についても考えていく必要がございますが、何よりも財政健全化は現実的に一歩一歩進めていくものでございまして、まずは二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に全力を挙げたいと存じますし、これも達成することができなければ財政健全化ということは考えられないわけでございます。
○藤巻健史君 一歩一歩進めていく、本当にそれしか言いようがないかという、何というか根性論でしかないんじゃないかと思うんですけれども。
 もう一つ、ちょっと質問の順番変えましてお聞きしますけれども、先ほど来、黒田日銀総裁がいらっしゃって、来年度初めには消費者物価指数二%達成するというふうに、できるとおっしゃっていましたし、この内閣府の試算でも消費者物価指数二・〇ですよ、ずっと。要するに、もう日銀は目標を達成するわけですね。一応、二〇一七年度に、内閣府のこれ、ここに出ていませんけど、二〇一七年度は二・七%、二〇一八は二%、一九年度も二%になっているわけですが、まさに日銀総裁がおっしゃったとおりに、消費者物価指数二%達成して、内閣府もその前提で計算しているわけですけれども、これどういうことかというと、二〇一七年度において日銀はもう国債を買わないという前提になるわけですよ。先ほど来申し上げましたように、今、日銀というのは約八〇%の国債を買っているわけですよ。それ、いなくなっちゃうんですから。
 例えば、別の例でいいますと、例えば住宅が年間百五十万戸売りに出されている。中国人がめちゃくちゃ、取りあえず日本人の住宅仲介会社が買って、中国人に売っている。中国人が、今年売り出されたのではなくて去年の積み残しもあるかもしれないけど、年間百二十万戸買っている。でも、例えば突然、百二十万戸中国人買わないよと言ったらば、土地の価格、暴落しますよ、やっぱりどう考えたって。百五十万戸売り出しているのに、百二十万戸買っている人がいなくなっちゃう。
 これは同じ状況で、国債を発行されて、借換債と新発債発行されて、百五十兆円ですね、それで百二十兆円日銀が買っている。その日銀がいなくなっちゃったら、明らかに長期金利暴騰ですよ。長期金利の二一年、二二年の四・二、四・四、四・五、四・六%なんて、もう夢見るような数字ですよね、これ。前にちょっと申し上げたかもしれないけど、これ、四二%、四四%、四五%でも私はおかしくないと思っちゃいますね、それだけの買手がいなくなるという、日銀がいなくなっちゃうということはね。
 そういう状況でも財政再建が成るのかということをちょっとお聞きしたいと思いますけれども。
○副大臣(岡田直樹君) ただいまの先生の御指摘は、やはり先ほどからお話し申し上げておりますように、日本銀行の金融緩和からの出口に関するお話でございまして、このことについて我々が述べますのは市場に無用の混乱を招くおそれも高いため時期尚早と考えております。
 いずれにせよ、政府としては、今後とも財政健全化の取組を着実に進め、日本国債に対する信認を確保するとともに、市場との対話を積極的に行い、投資家ニーズの把握に努めながら国債発行を行うこと、国債の安定的な消化に努めてまいりたいと思います。
○藤巻健史君 出口は確かに日銀のテリトリーの問題かもしれませんけれども、国だって幾らでお金を入札で集められるかどうかという一番重要な問題があるわけで、これは日銀の管轄だなんて言っていられるような状況ではないんではないかなと私は思います。
 時間がないのでもう一つ次に行ってしまいますが、内閣府試算、先ほど来申し上げていますように、財政が健全化するため、財政を再建するためには、プライマリーバランスが達成した後、要するに名目成長率の方が名目金利よりも高くなくちゃいけない、こういう矢印ですね。これでこそ初めて財政再建が成るわけです。
 一方、社会保障、年金。年金というのはスプレッドが重要ですけど、スプレッドというのはどういうことかというと、労賃の値上げよりも名目金利の方が高ければ、スプレッドですけど、それが高ければ高いほど年金の持続性が高いわけです。要するに、年金は名目金利の方が名目成長率よりも高ければ持続可能なんです。財政は反対なんですよ、矢印。これ、どういうふうに整合性を付けるんですか。
 要は、何を言いたいかというと、年金が持続可能であれば財政は継続不可能なんですよ。財政が継続可能であれば年金は崩壊しちゃうんですよ。それを省によって自分の都合のいいような前提で議論をしていたら日本の将来はどうなっちゃうと、こういうふうに思っちゃうんですが、その整合性はどうやって付けるんですか。名目金利と名目成長率、どっちが高い方がいいんでしょうか。
○副大臣(岡田直樹君) 金利と成長率の関係につきましては、その時々の経済状況等により決まるものでございますが、両者の大小の関係、いずれが高くいずれが低い、高低の関係と言ってもいいと思いますが、にかかわらず、財政の持続性は必ず維持をしてまいらなければならないと考えております。
 中長期試算では、二〇二〇年度以降に名目金利が名目成長率を上回る見通しになっております。このため、金利上昇に伴う利払い費の増加リスクへの対応という観点も踏まえつつ、まずはやはり二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
 一方、年金財政は物価、賃金、成長率や人口等の様々な要因から影響を受けることから、金利と成長率の関係のみから影響を論ずることはなかなか難しいと考えております。
 いずれにせよ、年金財政の持続可能性については、厚生労働省においても五年ごとに財政検証を行うこととなっておりまして、今後ともこうした中で年金財政の収支の現況や見通しを適切に検討していくことが必要と考えております。
○委員長(大家敏志君) 時間を過ぎておりますが。
○藤巻健史君 時間が過ぎましたのでこれで終わりますけど、非常に苦しい説明を聞いたなというふうに思います。
 この経済再生ケースでは、年金は大丈夫だけど財政は破綻するという数字になっていますので、その整合性をいつかお聞きしたいなと思って、今日の質問を終わります。
○中山恭子君 日本のこころを大切にする党、中山恭子でございます。
 今日、消費税の引上げについて、必ず引き上げますというお答えが返ってくるであろうということは予想できるんですけれども、もう来年の四月の話、一年ちょっとのときのことでございますので、やはり引上げを延期できないものだろうかという思いで再度今日質問いたします。
 昨年十一月四日に、私どもは経済の現状を踏まえた緊急提言というものを出しまして、今、増税に耐えられるほど日本経済は回復していないのは明らかである、しかし、消費税増税が既定路線とされ、それが国民の消費マインドに不安を与え、消費を抑え付けている、二〇一七年四月の消費税増税延期を早々に宣言し、国民に安心感を与え、消費マインドの冷え込みから脱却すべきであるというような緊急提言を出しました。
 GDP成長率を見ましても、二〇一五年十―十二月期は実質マイナス〇・三%、名目マイナス〇・二%になっておりまして、日本経済の足踏み状態が顕著になっています。日本経済がデフレから脱却できるという見込みも立っておりません。今の日本経済は、昨年十一月に提言を出しましたとき以上に消費税増税に耐え得る体力ではなくなっていると考えております。
 大臣は、今の経済状況をどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、これは、一昨年の四月の消費税八%というものが、これが消費に影響を与えたのは事実であろうと思っております。したがいまして、私どもは、その影響が、腰折れする可能性というのを考えて、一昨年の十一月、消費税の八から一〇に上げるのを一年半延期させていただいたということであろうと思います。
 今、足下でいろいろ、海外が主たる要因とはいえ、世界的にリスクを回避する動きというのは金融市場で見られておりまして、日本におきましてもいろいろな変動が見られておりますのはもう御指摘のとおりでありますが、この点、今回の上海におきますG20等々におきましても、最近の市場のいわゆる動きというものは世界経済の現在のいわゆるファンダメンタルを反映したものではない、また、多くの先進国を見ますと、経済というものは緩やかに拡大が続いておりますし、また、主要な新興国の成長は引き続き強いと予想されるという認識が示されておりますのは御存じのとおりです。
 日本につきまして、実体経済を見ますと、もう先ほど皆さんが言われましたように、企業収益は間違いなく過去最高、よく言われます雇用の話ですけれども、有効求人倍率につきましても二十四年ぶりの高水準ということになっておりますし、賃金の上昇率というのは、いわゆる引上げ率等々は少なくとも十七年ぶりの高水準などなど、私どもとしては、日本の経済のファンダメンタルズというものはもう間違いなく確かなものなんだと認識をいたしております。
 また、今言われております私どものこの一〇%というものをやるようになった最大の理由は何かといえば、これは人口構成の変更、少子高齢化等々、人口減に対応して、このまま行くと我々は世界に冠たる社会保障制度等々の維持ができないということで、社会保障と税の一体改革ということで与野党三党で合意をした上でこれをやらせていただいたという背景がありますので、私どもとしては、この社会保障制度をきちっと次世代に渡していくということも一点。
 また、先ほど藤巻先生からありましたように、世界経済等から見ました場合、国の信認というものもありますので、私どもはきちんとこういうことをやって、経済、財政というものをきちんとやっていきますよということを確保するためのものでありますので、私どもとしては、今いろいろ言われておりますけれども、よほどのことがない限りという表現が一番いいんだと思いますが、この消費税の値上げについては確実に実行させていただきたいと考えております。
○中山恭子君 確かに、消費税を引き上げることによって税収を増加させるということは、いずれは必要であろうと考えております。ただ、私自身は、増税の前にやはり経済成長に重点を置く、この点で税収増を図るというところから始めるべきであろうという考えを持っております。
 五%から八%に引き上げましたとき、これはやはり想像以上に企業、特に中小企業にとっては大きな負担となったことは明らかでございます。消費税は赤字であっても課税されますので、そういった企業、中小企業の納税者にとっての負担感、痛税感というものは私どもが想像していた以上に大きなものであったと考えております。消費税が払えなくて店を畳むケースもたくさん見かけましたし、消費税を滞納するケースというのも多く出てきております。
 五%から八%、たった三%ではないかという思いを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、五%から八%ですから六割アップということも考えられるわけでございまして、日本における消費税が中小企業、一般の方に非常に大きな負担になっているということをしっかりと認識しておく必要があると考えております。
 消費税の場合、先ほども言いましたが、赤字企業であっても課税となる、また金額も大きいということで、皆様は多分税務署で、税務署に来て申告を始めて、消費税の額を聞いて真っ青になるというケースがあちらこちらで見られているということもよく御存じであろうと考えております。
 そういった中で、想像以上に大きな負担になるということをしっかり認識していただきたいと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) この三%というのは、いわゆる日本におきますメーカーというものを見ますと、メーカーの利益率三%ですから、大体、商社とかそういうのと違いまして、小売等々と違って、物づくりの現場を見ていただいたら分かりますけれども、大体通常のメーカーというのは三%の利幅というものを考えておりますので、消費税の三%はそれと同じことですから、その意味するところは極めて大きいというのは、私もそういう立場におりましたのでよう分かりますので、これをなめているつもりは全くありませんけれども。
 今後とも日本という国が、長くこの国が継続していくためには、私どもしては、この財政というものをきちんと健全化しておくという手間を今の段階で掛けておかないと将来禍根を残すことになりかねぬということで与野党で合意をされた経緯というものが今から四年前の話でありますので、そういった意味では、私どもとしてはその点も十分に考えて、私どもとしては、これをもしなされないと、低所得者に対するいろんな意味での支援というものもこの中から、社会保障関係の税金というのをこの中から投入しておりますので、今は単なる赤字公債の前借りみたいな形になっておる段階から脱却しないと後世にいろんな負担を先送りするだけになりかねぬということで、あのとき与野党で合意をされたというように認識をしておりますので、今の段階として、みんなで負担し合うということを覚悟してやらねばならぬと思っております。
○中山恭子君 合意といいましても、あらゆる手段、いろんなやり方があるはずでございます。また、消費税増税だけではなくて、やはり私は、経済成長、経済を活発化させて増税に持っていくという手段をしっかりと取っていく方が困っている方への社会保障も可能になると考えておりますので、三党合意につきましては、きっといろんな形で堪えられるであろうと思いますので、是非経済活性化から始めていただきたいというように思っております。
 それから、今回、この所得税法の一部を改正する法律案では、日切れ法案と、それから消費税増税と軽減税率制度の導入の法案が一本の法律案になっております。日切れ法案はもう当然のこととして通さなければいけない法案であろうと思いますが、この消費税増税と軽減税率制度の問題は何も三月中に通っていなくても大丈夫、やっていける法案であると思いますので、できれば分けていただきたかったと、是非分けていただきたかったと考えておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは平成二十四年度の税制抜本改革法が成立して以降の話ですが、毎年度の税制改正において税制抜本改革法第七条、よく言われる条項ですけれども、各税目の改革の方向性を踏まえて、これは総合的に検討して取りまとめた上でいわゆる一括法案として今国会に御審議をお願いをいたしておるところです。
 平成二十八年度の税制改正では、こうした税制抜本改革法の規定というものを踏まえまして、いわゆるこの法律でありますと低所得者層というものの対策が必ず必要なんだということがずっと言われておりましたので、私どもとしては、消費税の軽減税率制度の導入とそれに伴う中小企業者への支援措置、また、デフレ脱却、経済再生を確実なものとするために、法人税改革の推進を始めとする各種いろいろ措置をさせていただいておりますので、そういったものと総合的にこれ一体として講じようと思っております。
 したがいまして、この二十八年度の税制改正の中におきましては、いわゆる全体を一体のものとして御議論をいただく必要があろうと考えており、是非一括法案として御審議をお願いいたしたいと考えております。
○中山恭子君 できればこの消費税の引上げ、さらには軽減税率というのは、もう少し時間を掛けてしっかり議論できていたらなというように考えているところでございます。
 もう一つ、やはり日銀の方では、金融緩和、まだ可能性はあると言っておりますけれども、相当程度力を込めて金融緩和を進めてきております。ただ、異次元の金融緩和に対して財政出動、財政側は、やはりそれほどに力を入れた政策を取っていないのではないだろうかという思いがございます。
 先ほど読まれましたG20の声明でも、金融政策のみでは均衡ある成長につながらない、経済成長、雇用創出及び信認を確保するため、我々は機動的に財政政策を実施すると明記されております。また、以前にIMFの世界経済見通しでも、公共事業への投資は必ず戻ってくるものであるので、借金をしてでも公共投資をして経済を活性化するべきであるというような表現が出されておりました。
 日本においては、金融政策がマイナス金利の導入というところまで進んでいる中で、麻生大臣は、現在審議中である二〇一六年度の予算を早期成立することが景気対策に一番との認識を示されておりますが、G20声明で示された機動的な財政政策を実施する、この考え方に対して、あらゆる施策を打ち出して景気の回復に努めていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 元におられました大蔵省というところは今財務省というんですが、財政再建原理主義者みたいな方が多いところであることは間違いないところだと、私は入ったときそう思っていましたから。
 したがって、今の状況としては、少なくとも三本の矢というのは金融の緩和、これが一番最初に出まして、これは今、先ほど藤巻先生と黒田先生の話をいろいろしておられたのはお聞きになったとおりで、これは間違いなく金融の緩和をした結果、御存じのような形になってきているのは確かだと思っております。
 同時に、二番目の矢として財政の機動的出動ということをさせていただいて、三回の予算、補正予算をやらせていただいたりいろいろさせていただいて、少なくとも財政に関しまして、私がちょうどやらせていただいたときは、リーマン・ショックのときは一年間で三回補正予算を組んだ。あれはちょっと、少々、リーマン・ショックという、まあ初めての事態になりましたので、異常事態でありましたからああいった形をやらせていただいて、どうにか世界の金融収縮というものをくぐり抜けられたとは思ってはおりますけれども、あれによって間違いなく財政というものはかなり傷む結果にならざるを得なかったというのも事実ですから、そういった意味では、私どもとしては、こういったものを時々に応じていろいろ機動的にやらせていただかないかぬと思って、これまでも、この三年間やらせていただいておりますけれども。
 今後、いろんな意味で、公共工事等々、今言われましたように、赤字公債ではなくて建設公債に当たる部分のところに関しましては、これは将来に資産が残っていく話でもありますので、私どもとしては、この二十数年間、コンクリートから人へとか言っておられた政党もありましたので、そういった時代にトンネルが崩落してみたりいろんな痛ましい事件が起きたことも事実ですから、そういったものをきちんと補修してメンテナンスというものをやっていきませんと、地方におきましては今渡れなくなっている橋の数が随分増えておるという報告も上がってきておりますので、そういったものを含めまして、きちんと我々の持っております社会資本というものの充実というものは、同時に景気に対していろんな影響を与えますし、一方的に土地代に行くのではなくて、そこにあるものを更に修復してメンテナンスして、更に長期的に使えるようにしようという話は、これは全体としては決して悪い話だとは思いませんので、御指摘の点等々を踏まえて、私どもも機動的に運営をさせていかなければいかぬものだと、私もそう思います。
○中山恭子君 ありがとうございます。
 ここ何年間かの中で初めてそういった積極的に日本の国内をしっかりした国にしていくというお話を伺って、大変今日は有り難いお話、有り難いと思っております。
 まさに、公共投資といいましてもいろんなのがありますから、不要なものは決してやってはいけないことでございますが、必要な公共投資はやはりしっかりやっていかないと、国全体ががたがたした国になってしまう。それは次世代、次の世代にとって、次世代の人たちが快適に生活するためにも必ず今の時代、時期でやっておかないといけないことでございます。
 おっしゃるとおり建設国債でございますし、今何も、金利もこれだけ低いわけでございますから、場合によったらもう日銀の中に百兆円とか、いつでも引き出せるような、そういった形をつくってでも全国のインフラを、きちんとしたいいインフラを整備していくということを今こそやるタイミングであると考えております。
 ありがとうございました。
○平野達男君 平野達男でございます。
 今日は所信表明に対しての質問ということでございますけれども、まず、質問通告申し上げていた順番と違いますが、冒頭、世界経済の状況とこれからの日本の経済の見通し等々について若干の議論をさせていただきたいと思います。
 まず一問目は、中国のお話であります。
 これは、先般、予算委員会でも宮沢委員が中国の景気の問題について、それから見通し等々について、それから不良債権の問題等々について取り上げて、かなりきちっとした議論がされていたと思いますが。
 二〇〇八年と思いますが、二〇〇八年以降のリーマン・ショック、先ほどリーマン・ショックが発生した直後、三回の補正の予算を組んだというような話もございましたけれども、世界全体の経済の牽引役というのは、これはもう誰に聞いても中国であったということはそのとおりなんだろうと思います。その中国も、何で牽引力があったかというと、いろいろ借金に借金を重ねてきてここまでどうも頑張ってきて、ここに来てやはりその借金のツケに対して耐え切れない状況になってきたというのが一つの切り口なんだろうというふうに思います。
 この間、私も中国にちょっと行ってきまして、北京で金融経済研究所の副所長さんという方と半日間にわたっていろんな議論をさせていただいたんですが、もうはっきり彼も過剰設備、過剰債務、特に過剰債務というのはこれはかなりの問題だというふうに言っていまして、彼は財務省にも何か来ていたし、アメリカにも行って、世界中の不良債権の処理の過去の経過についてもかなり研究して資料等々も集めているというお話でありましたけれども、いずれ中国はこれから景気の非常に調整状況、それから今までの重厚長大型から内需拡大型ということで、これも日本でも前、そういう構造調整をしなくちゃならないといって随分苦労したときがあったわけですね。そういう非常に厳しい状況に入っていくんだろうというふうに思います。
 それでも六%とか五%の成長率があるといって、中国の経済はGDPのパイが大きいですから、五%の成長率だって結構な、日本の目から見ればすごい成長率だなというふうに思ってしまうんですが、しかし世界全体は、中国がもうちょっと本来引っ張ってもらわなくちゃ駄目だというぐらい世界の経済もちょっと力をなくしているのかなという感じもしますが、冒頭、中国のこのような状況とこれからの見通しについて、G20のこともございましたけれども、麻生大臣の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 中国の話で一番私ども分からぬのは、この国が出す数字は信頼ができるかと、それが一番の問題です。ここが私ども分かりませんから、出されて、数字、本当にこうですかというのをチェックできませんから、そこが先生、私どもがここと付き合っていくときに一番困るところであります。
   〔委員長退席、理事長峯誠君着席〕
 今この国において、間違いなく鉄だけで八億トン、製造設備がある。日本で約一億トンですから、八倍。世界の鉄鋼の需要はどれくらいですかといえばもう御存じのとおりですから、それは間違いなく半分以上は過剰設備ということになりますので、それをダンピングで今どんどん安く鉄を売られるということは、世界に与える影響はいわゆるデフレということになります。
 それが今世界中で起きております状況なんだと思いますが、さすがに去年の九月辺りから上海の株の大暴落に続いてその前の香港等々、いずれもそういったようなことが起きてきておりますので、中国もこれまでかなり、三年前ぐらいに比べれば、去年の九月のG20では、仮にも中国の中央銀行総裁が平場で、G20の前で我々も過去、金融政策を間違えたかもしらぬと。これは、中国政府が、一九四九年以来、公式の場で自国政府のことをみんなの前で反省をした弁としてはこれが記録にとどめられる最初の言葉だと思いますが、その後の楼継偉という財務大臣も構造改革、経済の構造改革をやらねばならぬと言って、五年と言って、へえ、五年でできるのかと思ったら、今年の二月は十年と言いましたので、結構実務的に実体経済を少しずつ分かりつつあるのかなと思わないではありませんけれども。
 あれだけ大きな国で、少なくともGDPの結果を出しますのに、我々でも最低二か月か三か月は掛かっているのに、あの国は翌々週には出ますから。あれだけの大きな国で翌々週でぱっと答えが出てくる数字が信頼できるかといえば、我々から見ればかなり眉唾物だと思って見ておりますので、どうなるかというのは本当によく分からないのが正直なところですが、一つだけ言えることは、やるということを、みんなの前で構造改革に手を着けます、金融等々については手を着けますということを、今年の二月に初めて正式にやりますということを言った点が、私どもは期待であります。今までそういうことを、私たちにそういう問題がないと言っていた国ですから、それが自分でやりますと言ったところが、私どもから見て、平野先生、ちょっと期待なんですけれども。
   〔理事長峯誠君退席、委員長着席〕
 じゃ、できるかと言われたら、それはなかなか、これまでやったことのないことをやりますので、経験はまずほとんどありませんし、実際問題として外貨準備高が日本の三倍あるみたいな話をしていますけれども、この二か月間、一千五十億ドル、一千百億ドル、約十一、二兆円は減っていますから、毎月毎月十兆、十兆減っていかれたら、それは二年ちょっとでもう外貨準備はゼロになるということですから、そういった事態というのをどうやって対応するのかというところをこれまでやったことない。今までは入ってくるばっかりだったところが、急にキャピタルフライトが起きているのをどう対応するか。これはもう平野先生、正直私どもとして、聞かれたら、やり方知らないわけじゃありませんから、そういったことを言える立場に、言える知識も経験もありますけれども、果たしてそれがあの国で実行し得るかと言われた場合は、ちょっと正直、これからとしては、隣の国の話とはいえ、これはもう物すごく期待が半分、危ねえなと思っているのが半分、両方相半ばしておるというのが正直なところです。
○平野達男君 様々なリスクというか不確実性があるんだろうということだろうと思います。中国の全体の経済の仕組み、それから国の政治の仕組みも違いますから。ただ、今お話の中にもありましたけれども、不良債権の処理あるいは過剰施設の整理、これはやるというふうにおっしゃっているということでありますから。
 私は、本当に不良債権なんかについては、私がちょうど議員になったときに、不良債権買うって何だと、サービサーって何だと、バッドなものとグッドなものがあって、それをどういうふうに整理するのか全然分からなくて必死になって勉強した思いがあるんですけれども。まあ、中国は中国で、私の印象では、必死になって勉強しているという感じはありました。
 是非、中国と、政治面ではいろいろありますけれども、経済はやっぱりどうしてもこれお互いさまでありますから、是非中国との、その経済、あるいは日本の経験みたいなものは、中国の方に伝達できるのであれば是非やっていただきたいというふうに思います。
 それから、その中で、ちょっとこれから話が別なテーマに、別なテーマというか、関連して別のテーマに移っていきますが、最近私がちょっと非常に気になっているものに、やっぱり一九七〇年以降の世界の景気循環というのがありまして、アメリカの経済誌とかジャーナリストなんかが盛んに言っているのは、七年から八年説というのをいろんなところで言っておるようです。
 これはタイムという先々月の雑誌のところに出てきたものをちょっと加工したやつなんですが、これで見ますと、この緑色が世界のGDPが二%以下になったときであります。そして、この二%になった時期に何が起こっているかといいますと、近隣では、一番大きいのはもうリーマン・ショックということになります。そして、その前がITバブルの崩壊ということですね。さらに、その前が原油高騰ということになって、こういう状況だということです。
 一枚ちょっとめくっていただきたいんですけれども、これは日本でも、御案内のとおり、内閣府がCI時系列というのを、景気動向指数というのを、これ毎年、毎年というか、きちっと定期的に発表しています。ここにあるのは、色の濃い部分が景気後退期ということでありまして、このデータは一九九四年以降のデータしか示しておりませんが、先ほどの一枚目のデータとちょっと比べていただければ分かると思いますけれども、少なくともサブプライムローン、それからドットコム危機というのは日本でも景気後退期に入っているし、日本の場合は更に、先ほどは世界経済、GDPの平均で見ていますから間隔がちょっと長くなっていますが、日本の景気後退期になると更に間隔が短いというのが、こういう結果になっています。
 折れ線グラフは、これは実質GDPの動向ということで、シャドー部分が入っていない中でもGDPが落ち込んだ時期というのは、例えば二〇一一年の東日本大震災の発災のとき、あるいは、ひょっとしたら二〇一四年はこれは消費税の率に伴う影響であったかもしれませんが、いずれ、傾向としては、このタイムで出てきたものとCIの時系列は内閣府が出ているものとほぼ一致していて、アメリカの一部の中で言っているのは、次の景気後退は今度はアメリカじゃなくて中国だよというようなことをいろんなところで、論文なんかで書いている人もいるようです。責任転嫁というか予防線を張っているんじゃないかと思いますが。
 これは、これにどういう意味があるかというのは私にも実はよく分かりませんが、ただ、先ほど申しましたように、中国の状況等々を見た場合には、これから非常な調整段階に入っていかざるを得ない。それから、アメリカもリーマン・ショックからは完全に立ち直っていないというふうに言われています。利上げをしたくてもできない、これは世界経済の影響もあるかもしれませんが。
 あともう一つは、何といっても、個人消費が伸びていないということが言われています。だからといって私はペシミスティックになる必要はないとは思いますけれども、率直に言って、麻生大臣、こういう景気説というか循環説というか、これに対してどのような印象を持たれるか、簡単でいいですから、御見解を伺います。
○国務大臣(麻生太郎君) 景気循環というのは、いろいろ説もありますし、様々な見方があることは私どもよく承知をしておるんですが、全体として、世界経済の基調として、確かに全体としては緩やかではある、弱さは見られるけれども間違いなく全体としては緩やかに回復しておる。いわゆるリーマン・ブラザーズの破産のときから比べてみんな言うわけですけれども、それは確かにそうなんだと思いますが、緩やかな回復が今後とも続くというときに、中国というものの要素と、もう一個、この石油というものがどんと、これもうこんな事態というのはちょっと考えられない事態が起きてきておりますので。
 ただ、石油の話のときには悪い話ばっかりしますけれども、輸入しております我々とか中国にとりましてはこれはうまい話なんでして、百ドル、WTIで百五ドルとか十ドルしておりましたものが今は三十ドルとかいう話になりますと、これはどう考えても三分の一、四分の一というのは、我々にとっていい話ですし、貿易収支も、これまで十何兆が一挙に縮まって、石油の輸入、原発の部分だけ、まだ石油で動かしている部分が多いので、その分の輸入が続いておりますからまだまだ赤字ではありますけれども、貿易赤字幅が十何兆円が一挙に数兆円までぼんと縮まってきたりするような状況というのは、間違いなく我々資源輸入国にとりましては、日本、中国等々にとりましては決して悪い話ではありませんので、我々が今度頑張らないかぬということは確かなんだとは思っておりますけれども、資源を輸出しているロシア、オーストラリア等々にとりましてはこれはすごいしんどい話でして、アラブ等々におきましても、これは一挙に収入が、サウジアラビアですらついに損益分岐点を切りましたので、毎年、今、いわゆるソブリンファンドというものを売っておりますので、その分で株価に影響が出てくるということになったりしておりますので。
 そういったものも含めまして、不確実性が高まっているということは確かなんだと思いますので、それがかなり、昔と違って金融と物すごく重なっているという部分が多いものですから、私どもとしては注視しておかないかぬものが物すごく昔に比べて増えてきたなという感じがしておりますので、アメリカの経済だけ見ておきゃ何とかという時代じゃない、それはもうはっきりしているんだと思いますので、私どもとしては、周りの国をよく見ながら、自国というものをよくきちんとした立場で守りながらやっていくと。これはなかなか難しいところだと思っているのが正直な実感であって、我々も、景気のこの周波の中から我々だけ別にいられるわけもありませんので、そういった対応も踏まえながら考えていかねばならぬと思っております。
○平野達男君 いろいろちょっと御議論というか、お聞きしたいことがあるんですが、もう時間も限られていますので、まとめるような方向でちょっと話をまとめたいんですけれども。
 私は前からずっと言っているんですけれども、経済成長、安倍総理は六百兆ということを掲げましたけれども、そんなに大きな成長なんというのは望めるような状況というのは世界にもないし日本にももうないという中で、どちらかというとスローグロース、ゆっくりした成長を目指して、その中での経済、財政再建もやっていくべきじゃないかということをずっと当委員会でも予算委員会でも、特に人口減少社会に入ってくる日本の中ではそれこそが一番の正しい道じゃないかというような論調をずっと張ってまいりました。
 今、こういう状況の中で、世界経済、これからどうなるか分かりませんが、原油が非常に安くなっているというのは日本にとってはかなりチャンスだと思います。原発事故が起こったとき、石油がどんどんどんどん入ってきて、日本の国富がどんどんどんどん抜けるから、だから再稼働すべきだというようなそういう議論もあって、それ、ちょっとおかしいじゃないかなと思ったんですけれども、ああいう議論をするんであれば、今、安いからこそ日本はチャンスだという議論も、これはもっともっとやってもいいのではないかというふうに思います。
 そして、本来、今日こういう議論しますと、これから消費税の話に入っていきますけれども、こういう景気後退面に入っていくと、実は本当に上げるときは延長したときよりもちょっと状況が厳しいんじゃないかというのが私は個人的にはちょっと懸念されます。だから、本当はそこで消費税を延期すべきだという議論になるのかもしれませんが、これは、でも私は、やっぱり消費税の一〇%というのは予定どおりやるべきだというふうに思います。これだけの量的緩和やって、マイナス金利政策を取って、そして、様々な要素はありますけれども、いろんな道具立てしておいて、そしてなおかつ消費増税のあれを延期すると言ったら、じゃ、本当にいつやるんだということの、今度はそちらの方の問題が出てくると思います。
 そういう中で、こういう様々な景気循環の懸念があって、背景にこれがあって多分増税の延期論みたいなのもちょっとあるんだろうと思うんですが、ここで中山委員と意見がちょっと違うんですけれども、是非そういう方向で消費税は考えていただきたいというふうに思います。ちょっと御見解を伺いたいと思いますが。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、いつやるんだ等々いろいろ御意見のあるところであろうと思いますけれども、少なくとも今私どもとしては、この間のG20に行った感じで、必要以上に世界中は悲観論が主流、ツーペシミスティックという言葉がよく使われていましたけれども、悲観論が行き過ぎているというのがほとんどのいわゆる財務というか、中央銀行総裁ではなくて、財務大臣の方から出されていたように思いますので、そういった意味では、やっぱり少しずつ緩やかになってきたときにやっていかないと、景気が一番良くなったときに消費税を上げたら途端に落ちますので、やっぱり上がっていくときの途中でやらないかぬところだと思いますので。
 私どもとしては、間違いなくそういった方向に行かせるように、さらに、先ほどの中山先生の財政の話ではありませんけれども、そういったものを含めましてきちんとしたものをやっていく方向で、今の段階で、この段階でやっておかないと、先々、次に上げるタイミングがもう間違いなくなくなってくると思いますので、やっぱりやるなら今かという感じが私自身もいたしておりますけれども、確かに経済をもう少し、景気をもう少しという御意見は間違いないと思いますので、私どもとしては、本年度、そういった対応も併せて考えていかねばならぬと思っております。
○平野達男君 一言だけ。まとめます。
 二年前の予算委員会で、一〇%の増税延期を国会中継やっているときに随分反対をしまして、帰って随分地元の方々からたたかれました。あなたはいつから財務省のかばん持ちになったんですかとか、盛んにいろんなことを言われたんですが、でも、やっぱり負担すべきものは負担するというこの当たり前のことがちゃんと言えなくちゃならないということだと思いますし、先ほど藤巻委員から国債の問題いろいろ議論されましたけれども、ああいう懸念はやっぱりあるんですよね。だから、そういうことも含めてということもありますので、是非、財政という面をもっと視点を当てるようにこれからもちょっと議論はしていきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○委員長(大家敏志君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十分散会