第190回国会 国土交通委員会 第7号
平成二十八年四月七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     野田 国義君     徳永 エリ君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     末松 信介君     中泉 松司君
     徳永 エリ君     野田 国義君
     和田 政宗君     中野 正志君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     前田 武志君     藤本 祐司君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         金子 洋一君
    理 事
                豊田 俊郎君
                渡辺 猛之君
                広田  一君
                増子 輝彦君
                河野 義博君
    委 員
                阿達 雅志君
                青木 一彦君
                江島  潔君
                大野 泰正君
                金子原二郎君
               北川イッセイ君
                小泉 昭男君
                中泉 松司君
                山本 順三君
                田城  郁君
                野田 国義君
                藤本 祐司君
                谷合 正明君
                辰巳孝太郎君
                室井 邦彦君
                中野 正志君
                吉田 忠智君
                行田 邦子君
                脇  雅史君
   国務大臣
       国土交通大臣   石井 啓一君
   副大臣
       国土交通副大臣  土井  亨君
       国土交通副大臣  山本 順三君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       江島  潔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 利幸君
   政府参考人
       内閣官房総合海
       洋政策本部事務
       局長       加藤由起夫君
       内閣府大臣官房
       審議官      緒方 俊則君
       国土交通省住宅
       局長       由木 文彦君
       国土交通省海事
       局長       坂下 広朗君
       国土交通省港湾
       局長       菊地身智雄君
       海上保安庁長官  佐藤 雄二君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海上交通安全法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
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○委員長(金子洋一君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、和田政宗君及び末松信介君が委員を辞任され、その補欠として中野正志君及び中泉松司君が選任されました。
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○委員長(金子洋一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海上交通安全法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、海上保安庁長官佐藤雄二君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金子洋一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(金子洋一君) 海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿達雅志君 おはようございます。自由民主党の阿達雅志です。
 今回の海上交通安全法等の一部を改正する法律案でございますが、この中身は、災害時の危険防止と平時の海上交通の一元化ということで、二つに分けて改正の中身があるわけですが、このふくそう海域における平時の海上交通の一元化の目的は、このふくそうする海域における船舶航行の安全性の向上と効率性、国際競争力強化ということだと思いますが、ここで言う国際競争力というのは、今回、指定港というのが東京湾ということを鑑みますと、国際戦略コンテナ港湾の効率性の向上ということでよろしいのでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上交通安全法等の改正を含めた東京湾の一元的な海上交通管制を構築し東京湾の混雑を緩和することは、京浜港の国際競争力強化を図る一つの施策となっております。
 今般の改正では、東京湾における管制の一元化により、海上交通安全法と港則法に基づく航路など航行に関わる事前通報を一本化し、手続を簡素化することとしております。これにより、新海上交通センターにおいて湾内の航路などを航行する船舶の管制計画を一体的に作成することが可能となり、信号待ちや渋滞の緩和による船舶の運航効率の向上が期待されます。例えば、東京湾口から京浜港の東京西航路までの航行時間が、現在約百八十分から平均約二十五分程度短縮されることとなります。
 以上のことから、物流の一層の効率化が図られ、東京湾における国際戦略港湾を始めとする港の国際競争力の強化に資することになるものと考えております。
○阿達雅志君 ありがとうございます。
 このふくそうする海域をしっかりと効率よく安全に運営していく、これは非常に大事なことだと思います。ただ、その前提は、やはり日本の海事産業、港湾が国際競争力をしっかり有していることではないかと思うんです。
 そのためには、日本商船隊がしっかり日本の輸出入を支えているか、それから船齢が新しい、安全性、効率性の高い船舶への代替が着実に行われているか、こういったことがキーになってくると思いますが、現状についてどう捉えていらっしゃるでしょうか、海事局長、お願いします。
○政府参考人(坂下広朗君) お答えします。
 まず、日本商船隊でございますけれども、日本の輸出入の約六割を担っておりまして、我が国の経済、産業の活動を支える非常に重要な役割を担っております。
 また、船舶の寿命は二十五年程度というふうに言われておりますけれども、世界の船舶で船齢が八歳以下の船舶の割合というのは大体約三割でありますのに対しまして、日本商船隊ではその割合は約七割というふうになっておりまして、新しい船への代替が着実に行われているというふうに認識をしております。
○阿達雅志君 ありがとうございます。
 やはり、この物流というのは経済活動の本当にもう最重要なインフラであると思います。特にこの海上輸送、これは海洋国家日本にとっても非常に重要な部分になるということで、やはりこの海事政策というのは日本としてもしっかり進めていく必要があるかと思います。
 また、今基本合意ができましたTPPについても、このTPPの効果を実現するためには、また海外との物流あるいは国内の物流、これをしっかりと進めていく、効率よく進めていくということが必要かと思います。
 また、海事産業を支えるための造船業ということを捉えても、造船業というのは地方創生の観点からも非常に重要な日本の国内産業を担っているのではないかと思います。
 こういう海事産業の重要さ、海洋国家日本にとっての海事産業の重要さというのを考えると、やはり体系的かつ包括的な海事政策を国策としてしっかり位置付けていくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。国交大臣、お願いいたします。
○国務大臣(石井啓一君) 海洋国家である我が国におきましては、海上輸送が貿易量の九九・六%を占めておりまして、海運業は我が国の経済や国民生活を支える物流の根幹となっております。また、我が国の造船業は九割以上の部品を国内で調達し、九割以上の船舶を地方圏で生産をしております。地域の経済と雇用を支える重要な産業となっております。
 このため、国土交通省といたしましては、海運業、造船業を中心とする海事産業の成長を主要施策として位置付けておりまして、昨年七月には交通政策審議会海事分科会において、今後の海事行政が目指す基本的な方向性について取りまとめたところであります。
 今後ますます激化する国際競争の中、海事産業が成長することによりまして経済再生や地方創生に貢献し、海洋国家日本を前進させていくよう、国策として更に力強く取り組んでまいります。
○阿達雅志君 どうもありがとうございます。海事産業をしっかり国策として取り組んでいくという非常に力強いお言葉をいただきました。
 やはり、海運の安全性、効率性を高めていくためには、世界的な船舶余剰や運賃、用船料の低迷というこの今の厳しい環境下でも、外航船、内航船における老朽船舶の代替を着実に進めることが中長期的に日本の海事産業の競争力を強化することになるのではないかと。ですから、逆にこのピンチをチャンスとしてしっかり捉えていくことが必要ではないかというふうに思います。
 そのためには、確実な発注を支えるための税制、特別償却ですとか買換え特例としての圧縮記帳、あるいは中小企業の投資促進といったことも大事だと思いますし、また船舶を購入する際の共有制度、こういった制度、既にある制度、これをしっかりと来年度以降も継続してこの海運産業をしっかり支えていただきたいというふうに思います。
 特に、今外航船は非常に厳しい国際競争と事業環境にさらされています。実際、バルクに関するバルチックの海運指数というのは、最近を見ますと、二〇一五年の八月、一二〇〇、これが今年の二月には二九〇まで落ちていると。今月に入ってちょっと四〇〇まで戻してはいますけれども、そうはいってもこの四〇〇というのはもう非常に歴史的にも低いレベルでないかと思います。何とかこれ円安のおかげでドル建て用船料の受取額が膨らんでいること、あるいは原油価格が下がったために辛うじてもっていたわけですけれども、今円高、原油高の兆候というのも出てきておりますから、非常に厳しい経営環境にあるということは間違いないのではないかと。これは最近の第一中央汽船の破綻でも明らかになっていると思います。
 こういう中で、海外船社と比較した場合に日本船社というのは自己資本比率が非常に低いのではないかと。大手三社、四社見ても、大体自己資本比率が三〇%程度になっていると。それに対して海外の船社、大きいところだとやっぱり四五とか五〇%近い自己資本比率を持っているところもあるということでございます。そうすると、やはり自己資本比率が低いというのは市場環境の変化に対する耐性が弱いということになってくると思うんです。
 じゃ、自己資本比率がなぜ日本の船社の場合低いかということを考えたときに、いろんな要因はあるとは思うんですけれども、私は、やはり一つは、トン数標準課税、これが、こういう自己資本比率が高い船社が属している外国の場合は一〇〇%認められている。それに対して日本というのは今大体一七%ということで、この自己資本比率とトン数標準課税というのに相関関係があるのではないかというふうに私は感じるわけです。そうすると、この外国船社との税制面でのイコールフッティングをしっかり図っていくということがやはりこの日本の海事産業を支えていくためにも非常に重要なことではないかというふうに思います。
 もう既に登録免許税、固定資産税、いろんな措置もいただいているわけですけれども、やはりここはもう一歩進んでトン数標準課税を大幅にこれから拡大することも考えていく必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 現在、世界の外航海運市況は、中国経済の減速やリーマン・ショック前に大量に建造発注された船舶の就航などの影響を受けまして、運賃は過去最低水準にあるなど大変厳しい状況にあると認識をしております。
 このような中、国際海上輸送のほとんど全てを外航海運に依存する我が国におきましては、安定的な国際海上輸送を確保していくことは我が国経済の維持発展を図るために極めて重要であります。このため、国といたしましても、トン数標準税制等によりまして、日本商船隊の国際競争力の強化及び日本商船隊の中核を担う日本籍船の確保を図っているところであります。
 トン数標準税制は、平成二十九年度末に適用期限を迎えますが、今後、海運市況の動向、関係者の御意見等を踏まえながら、その取扱いにつきまして検討を進めてまいりたいと存じます。
○阿達雅志君 このトン数標準課税、導入するタイミング、あるいはどのレベルを基準にするかによって船社さんにとっては非常に大きな影響もあると。逆に、今非常に厳しいこういう環境の下でトン数標準課税を入れていくというのは、場合によっては船社さんにとっては負担が増えるということになるかとは思うんですが、やはりここは長期的な観点でその船社さんの自己資本を厚くしていく、これが最終的には国際競争力につながると思いますし、また今の国の財政状態を考えたときにも、やはり議論できるときにしっかりと議論をしていくということも必要ではないかと思います。これは特に財務当局との間ではいろんな議論もあるかとは思いますが、引き続きこのトン数標準課税をしっかりと拡大していく、そして中長期的な船社の競争力強化を図っていただきたいと思います。
 この海事産業、海運の方も非常に大事でございますが、それとともにやっぱり港湾自体の国際競争力を付けるということも非常に大事ではないかと。特に、港湾の国際競争力を付けるためには、やはり国が責任を持って国策として港湾整備、港湾運営を行うことが不可欠ではないかと思います。特に今、集貨、創貨、国際競争力強化を推進するということでございますから、この機会にしっかりと韓国からの貨物の奪還を図ってやはり日本の競争力を高めていくべきではないかというふうに思います。
 そういう中で、港湾運営会社が港運事業者の協力を得て効率的な港湾運営を行うということは非常に大事なことではないかと思いますけれども、具体的に今後どのように進めていかれるのか、国交省のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(石井啓一君) 近年、コンテナ船の大型化が進んでおりまして、アジアの港湾における国際競争が激化する中、我が国港湾への基幹航路の寄港が減少しておりまして、これを放置すると我が国の産業立地競争力が低下するおそれがあります。このため、国土交通省といたしましては、特に北米、欧州に直行する基幹航路の維持拡大を図るため、国際コンテナ戦略港湾政策を国策として推進をしております。
 具体的には、京浜港及び阪神港を国際コンテナ戦略港湾として選定をいたしまして、ここに国内の貨物を集約する集貨、港湾背後への産業集積により貨物を創出する創貨、大水深コンテナターミナルの整備等による国際コンテナ戦略港湾の競争力強化に取り組んでいるところであります。
 阪神港におきましては平成二十六年十二月に、京浜港においては平成二十八年三月に、それぞれの港湾運営会社に国が出資を行い、国、港湾管理者、民間のオールジャパンで運営する体制を構築したところであります。この結果、例えば集貨につきましては、神戸港における平成二十七年のコンテナ貨物取扱個数が阪神・淡路大震災以降で過去最高を記録するなど具体的な成果が現れております。
 国土交通省といたしましては、港湾運送事業者など関係事業者の協力も得つつ、港湾運営会社が行う集貨事業への国費補助、荷主説明会の開催、トップセールスの実施など、引き続き国が前面に立って強力に取り組んでまいります。
○阿達雅志君 ありがとうございます。
 今お話ありましたとおり、阪神大震災以降、やはり神戸が非常に国際的な競争力を失ってしまったと。そういう中で、日本の産業立地そのものが揺らいでくる、特に韓国に取られてしまうということが起きたわけでございます。そういう中で、今回、阪神港について国がしっかり出資をして国策として港湾運営を進めていただく、これは非常にすばらしいことだと思いますし、今、横浜、川崎でも同じように港湾運営会社ということでつい先日も設立されたというふうに聞いております。
 やはり、港湾それから海運の部分というのは国の本当に経済基盤として大動脈でございますから、やはりこれを国が責任を持って国策としてしっかりやっていくということは非常に重要なところだと思っております。今後とも、引き続きこの海事全体を国策としてしっかり取り組んでいただきたいというお願いをして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
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○委員長(金子洋一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、前田武志君が委員を辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。
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○広田一君 民進党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 この度、非常災害時における海上交通の機能維持を図るために所要の改正を行うということでございますけれども、その契機となったのが東日本大震災の発生に伴う東京湾における衝突のリスクと湾内のふくそうの高まりだと、こう理解をいたしております。
 率直に申し上げて、当時の東京湾において大規模な衝突事故の発生がなかったのは不幸中の幸いだというふうに言わざるを得ません。地震が発生したのが午後三時前で船舶の動きも閑散としておりました。しかし、もしこれが朝晩のラッシュ時のときや高潮のときであれば、全く違った結果になったかもしれません。また、津波体験談によりますと、的確な緊急速報や緊急避難指示がなく、船長さんなどはいかなる行動を取るべきか分からず混乱した旨の報告もございます。さらに、多数の船が錨泊をするのに苦労された、こういった証言もあるわけでございます。その意味で、東日本大震災の教訓を生かした今回の法改正は必要であり、重要な意味を持つと考えます。
 そこで、まず当時の東京湾の状況について御説明をいただくとともに、今回法改正をしなければならない立法事実は何であったのか、お伺いをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 東日本大震災発生時には、東京湾の中央部における錨泊の隻数が、通常の約百隻から、震災発生後には各港や湾外からの避難船舶などにより約四百隻までに増加したところであります。このため、東京湾では平時と比べ湾内が非常に混雑した状況となり、船舶の衝突などの危険性の増加、大型船などに適した錨地の不足など、船舶交通の危険な状況が発生したところであります。
 このような東日本大震災の教訓を踏まえ、東京湾のような船舶交通が著しくふくそうする海域において船舶交通の危険を防止するための措置を講ずることが求められておりました。また、平時から信号待ちや渋滞による船舶交通の混雑が発生していることから、安全かつ効率的な船舶の運航を実現することが併せて求められておりました。本法案は、このような背景を踏まえ、所要の措置を講ずるものであります。
○広田一君 今、佐藤長官の方から御説明がございました。これを受けて具体的に聞いていきたいと思います。
 今回の海上交通安全法の第三十三条の改正で、海上保安庁長官は非常災害発生の周知徹底の義務を負います。また、第三十五条の改正では、航行の制限、禁止、撤去命令、そして移動命令などの本当に強い権限が付与されることになります。
 第三十五条の権限行使は、これは船舶交通の危険を防止する必要がある場合に限られるわけでございますが、これは具体的にどういう場合を想定をされているのか、判断基準も含めてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上交通安全法第三十五条の航行制限などは、海上交通機能の維持に重大な影響を及ぼす事態の発生を防止するため、指定海域などに避難してきた船舶の安全な海域への移動や通航路を確保するために命ずることができることとしております。
 具体的な場合としては、例えば大津波警報が発令されたときに、港内において大型船をロープで岸壁につないだままにしておけば津波により転覆するおそれがあるため、直ちに港外に出港させ安全な海域に誘導する必要がある場合や、同じく大津波警報が発令されたときに、湾外から津波を避けるために湾内に避難しようとする多数の船舶により湾内が著しく混乱し、船舶の乗り上げ、衝突などの海難の発生の蓋然性が高まることが見込まれる場合で入湾制限を掛ける必要がある場合などに同条に基づく措置を講ずることを考えております。
○広田一君 今、佐藤長官の方から具体的な想定例についてお話がございましたが、判断基準については示されておりません。具体例はよく分かりましたけれども、判断基準についてお伺いをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) 実際のところ、この規定がまだ現在設けられておりませんので、この規定が新たに設けられて施行された場合に、それらの準備のために、まずは関係する港湾管理者やあるいは海事関係者と訓練あるいはシミュレーションを行って、どのような形で判断をして、どういうタイミングで出していったらいいかということをより具体的に今後精査していくこととしております。
○広田一君 佐藤長官、そのような作業、関係者との協議、訓練、それは、訓練は施行後でなければなりませんが、そういった作業をした上で今回この法律というものを出すべきではないでしょうか。つまり、どういった場合にこの三十五条の強い権限を行使するのか、判断基準が明確でないままこの法律を通すというふうなことには率直に疑義が出てくるのではないかなというふうに思うわけでございますが。
 じゃ、確認ですけれども、今はこの三十五条の権限行使のための判断基準はないと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 先ほども申し上げましたが、要は、湾内にいるあるいは港内にいる船舶に危険が生じるおそれがあるということが一つの判断基準だというふうに考えております。ただ、それではそれは基準なのかというお問合せでございますけれども、それについては、私どもとしてはより詳細に、例えばどういう場合に出すのかということについては訓練やシミュレーションを通じてより詳細に決めていく必要があるというふうに考えておるわけであります。
○広田一君 長官、よく分かりますけれども、しかしながら、まさしく危険を生じるというふうなもの、何をもって判断をするのか、その基準がなければ権限行使をすることは難しいわけでございますので、これは委員長にお願いでございますけれども、当委員会にこの三十五条の権限を行使する際の判断基準について提出をしていただきますように、御協議をお願いしたいと思います。
○委員長(金子洋一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○広田一君 次についてお伺いをいたします。
 海員の体験談に基づいて出ていた要請について、一点お伺いをしたいと思います。
 先ほど長官の方から大津波警報云々というふうなお話がございましたが、例えば今回の法改正で、明らかな大震災が発生をした場合、津波警報が発令される前に入港制限の対応は取れるようになるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 海上交通安全法三十三条の非常災害発生周知措置については、非常災害の発生により、指定海域内において船舶交通の危険が生ずるおそれがある場合に、当該危険を防止する必要があると認めるときに講じることとしております。そのため……
○広田一君 いや、長官、三十三条じゃなくて三十五条。
○政府参考人(佐藤雄二君) 済みません、失礼しました。
 海上交通安全法三十五条の航行制限等は、通常、大津波警報などの発令を踏まえて発出することを想定しております。ただし、地震により港湾機能が喪失し、港内から港外へ避難しようとする船舶や、入港できなくなった船舶が湾内に多数発生し、船舶交通が著しくふくそうし、衝突の危険性が高まってきた場合などには航行制限などを命じることがあるものと想定しております。
○広田一君 今は津波警報発令が大前提であるけれども、状況によっては入港制限を取る場合があるというようなことでございますので、まさしくこの判断基準が何なのかということが大事になってくるわけでございますので、是非とも早期の基準制定をよろしくお願いを申し上げます。
 次に、三十三条に関連してお伺いをいたします。
 海員の地震体感によりますと、当時、衝撃から地震の発生を感知しつつ、その後の地震の実態、津波情報につきましてはテレビに依存したとの報告が多々あります。まず、重要な情報をテレビに依存している実態がある点について、この点についての御所見と、あわせて、今回海上保安庁長官による災害時における周知措置を制定することによってどうなるのか、今回の法制定目的と併せてお伺いをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 今般の改正では、海上交通安全法第三十三条に基づく非常災害発生周知措置を新たに創設することにより、非常災害が発生した場合に、指定海域、指定港及びその周辺海域にある船舶は、海上保安庁長官が提供する災害に関する様々な情報を入手できるようになります。
 一方、新しい海上交通センターでは、非常災害発生周知措置が講じられた場合には、指定海域及び指定港にある船舶に対し災害に関する情報などを提供しなければならず、一定以上の長さの船舶は提供される情報を聴取しなければならない義務を負うことになることから、これまで以上に災害に関する情報を入手することが可能になるものと考えております。
○広田一君 今、佐藤長官の方から御答弁がございました。様々なニュースソースといっても、多様化して、それによって適切な判断に資すると、そういったことが期待をされるわけでございます。
 次に、お伺いをしたいと思います。
 この度、海上交通安全法の第二条の改正で指定海域が設定をされております。指定海域とは何なのかということがこれは定義をされているわけでございますが、しかしながら、指定海域と周知措置のときなどに密接な関係にあります周辺海域につきましては定義がありません。つまり、どこが周辺なのか判然としないわけであります。
 そこで、周辺海域の定義並びに指定海域やその他の海域との線引きの基準についてお伺いをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) まず、指定海域は、非常災害発生時に船舶交通が著しくふくそうすることが予想される海域として政令で定めるものであり、東京湾を現在想定しております。
 その周辺海域は、指定海域に入湾してくる蓋然性の高い位置にいる船舶が分布している海域を考えております。
○広田一君 長官、今おっしゃった定義的なものについては、やっぱり本来は法律に書き込むべきだというふうに思うところでございます。
 といいますのも、先ほど申し上げたように、今回の三十三条の周知措置の場合も非常に密接な関係にあるわけでございます。さらに、三十五条のそれぞれの権限行使の場合においても、この一番のところ、二番のところ、つまり、指定海域に進行してくる船舶の航行を制限しというふうなところなんか、まさしく周辺海域から来るわけでございますので、まさしく指定海域と同等の権限行使がなされるわけでございますから、そういった意味でも周辺海域とは一体何ぞやというふうなところについては、これもきちっと定義をしていただいて、そして実施をしてもらいたいというように思います。
 確認ですが、先ほど佐藤長官が答弁の最後の方でおっしゃった周辺海域の考え方、これを定義というふうに理解してもよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) そのような御理解で結構だと思います。
 周辺海域は、指定海域に入湾する蓋然性の高い位置にいる船舶が分布している海域というふうに先ほど申し上げましたけれども、できるだけ多くの船舶に非常災害の発生あるいはその状況を周知させることが必要だと考えております。したがって、このため、より広範囲に及ぶことが望ましいものと考えることでありますが、その周知方法としてVHF無線や電話、あるいはAIS、中短波放送などの不特定多数の船舶に対して迅速な周知が可能となる方策によることを念頭に置いて行うものとしております。
○広田一君 私も、周辺海域においてどのような措置をするのか、今御答弁のあったことを迅速、的確にやること、これは賛成でございますので、そのこと自体に疑義を呈しているのではなくて、どうしても周辺海域、指定海域、今回設定することによって様々な権限が付与されるわけでございます。ですので、それを的確にするためにも、それぞれの指定海域、周辺海域といったものの線引き、定義というものをしっかりした上で、今、佐藤長官がおっしゃったようなことの実効性を高めるように努力をしていただければと思います。
 それでは、話が若干変わりますけれども、南海トラフ巨大地震対策について最後にお伺いをしたいと思います。
 御承知のとおり、南海トラフ巨大地震は今後三十年以内の発生確率が七〇%程度まで上昇をいたしております。震度七の揺れと巨大津波の発生の脅威が切迫をしているところでございます。このため、高知県を始め大規模な被害が想定される地域は、時間的制約と闘いながら実効性の高い地震・津波対策への優先的な投資が必要であります。
 今、皆様方のお手元に昭和の南海地震の写真をお配りをさせていただいております。その後の長期浸水のイメージと併せて御覧をいただければ、こういった甚大な被害が発生をするわけであります。特に、県人口の四五%が占められている県都高知市、地震によって約二メートルもの地盤の沈降が発生して、それに伴って市街地が広範にわたり長期浸水になることが予想されているわけであります。すなわち、県庁所在地が長期にわたり機能不全に陥るというのは、他に例を見ない都市災害であります。その中で様々な対策を講じていくわけでございますけれども、その一つとして、津波対策として、今年度予算で三重防護についての事業化が始まったところでございます。
 そこで、お伺いをしますが、その概要とともに、この事業を国の重点施策として位置付けて取り組むべきと考えますけれども、この点についての石井大臣の御所見をお伺いをいたします。
○国務大臣(石井啓一君) 東南海・南海地震が発生した場合、高知港周辺では、広域地盤沈下、液状化の発生による防潮堤の沈降が懸念されており、そこに津波が来襲すると長期間浸水すると想定をされております。このため、国土交通省は、高知県と連携をいたしまして、三つのラインで重層的に津波から防護する三重防護方式による対策を取ることとしております。
 具体的には、第一ラインとして、第一線防波堤、これは津波エネルギーを減衰させる効果を期待をしております。第二ラインとして、浦戸湾外縁部、湾口部の防波堤及び防潮堤、これは津波の浸入を抑制する効果を期待をしております。第三ラインとして、浦戸湾の内部の護岸、これは背後に浸水することを防止する効果を期待をしております。
 この対策につきましては、既に平成二十五年度から、第一ラインである高知港の第一線防波堤の補強に着手をしております。第二ラインである高知港海岸の浦戸湾外縁部、湾口部及び第三ラインである湾内部の対策につきましては、平成二十八年度より事業化したところであります。
 国土交通省といたしましては、南海トラフ地震等の大規模災害から生命と財産を守ることは重要な課題と考えておりまして、高知港の地震・津波対策につきましても、海岸管理者である高知県とともにしっかりと進めてまいりたいと思います。
○広田一君 先ほど石井大臣の方から御答弁がございました。この事業は、総事業費は六百億円、二〇三〇年度の完了を目指しているわけでございます。先ほど大臣がおっしゃった事業効果、いち早く発揮できるように更なる取組を要請をいたしまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○藤本祐司君 一年十か月ぶりに国土交通委員会に戻ってまいりまして、メンバーも半分ぐらい入れ替わったのかなという感じがしますが、大分雰囲気変わったような気もするし、同じような気もしますが、質問させていただきたいと思います。
 この法律に関しては、平成二十五年度から調査あるいは着手を始めたというふうに認識をしておるんですが、私の記憶が正しければなんですけれども、ちょっと確認をさせてもらいたいんですが、今回、平成二十九年度末に運用開始という話になっているというふうに承知しているんですけれども、元々はもうちょっと後だったような気がするんですが、その認識が正しかったのかどうか、もしそうだとしたら、前倒しになっているその主な理由といいますか、そこについて教えていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 新海上交通センターの整備につきましては、平成二十五年度から平成三十年度までの六か年の計画とし、必要な予算総額は約六十億円を見込んでおりました。
 今般、平成二十八年度当初予算で、東京湾における一元的な海上交通管制の構築に関し約二十六億円を計上し、重点的に整備を行うこととし、運用開始時期を当初計画よりも一年以上前倒しした二十九年度中を目指して準備を進めております。
○藤本祐司君 ということは、思った以上に予算が付いて、割と機器整備も含めて様々な整備が早まったというか、一年ぐらい早くできるようになったという、そういう認識でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) はい、そのとおりでございます。
○藤本祐司君 これ、二十五年度は調査で二千万と、もう同時に実は機器整備とかは始まっているんですね。普通に考えれば、何か調査をして、その調査の結果を基に整備を始めるんですが、これ平成二十五年度から実は調査と同時に整備が始まっているという状況になっているんですが、このときの調査というのは、具体的にどういう調査をされて同時に整備が進んだのかなと。予算の段階でもう既に調査費用と機器整備費用が多分平成二十五年度は計上されていたんだろうという認識を持っているんですが、このときの調査というのは、どんな調査をやって、同時に機器整備ができるようなものだったのかどうか、ちょっとそこは具体的に教えていただければと思うんですが。
○政府参考人(佐藤雄二君) 二十五年度の調査につきましては、一元的な管制業務の実現のため、情報の収集や機器の制御等に必要な回線などのシステム調査、それから信号所の設置に必要な局舎、鉄塔の設計に係る調査を実施しており、契約方法については一般競争入札を採用し、複数者の競争を経て契約が締結されております。
 工事の方は、機器整備の方が始まった段階でありまして、まだ実際に工事が始まったわけではございません。局舎の整備とか、そういったものは後回しであります。
○藤本祐司君 普通、例えば道路を造るとか鉄道を造るとか何とか造るとかという、何か公共事業をやったりする場合は、調査をして費用対効果を見て、どのぐらいの効果があるのか、もちろん数字で表せない効果というのはあるんだろうと思いますけれども、そういうのを見ながら造っていくというのが普通なのかなと思ったんですけれども、今のお話だと、調査についてはもうやることが前提になって、その前提の中での調査という、そういうふうにちょっと思えるので、効果についても後ほどちょっとお聞きしたいと思います。
 今長官、全体で六十億という話が、事業費が、なので、これは総事業費が六十億円だという認識でよろしいんですか。
○政府参考人(佐藤雄二君) はい、そのとおりでございます。
○藤本祐司君 そうすると、平成二十八年度までにもうおおよそ六十億が計上されているので、二十九年度は特段予算を計上することなく、もう今のまま淡々とやって二十九年度末の運用開始ができるという、そういうことでよろしいんですよね。
○政府参考人(佐藤雄二君) 二十九年度は若干やり残したところが残っておりまして、金額は少ないんですけれども、二十九年度も予算を計上しているところでございます。計上したいと思っております。
○藤本祐司君 先の話なので、まだ計上されていないと思いますが。
 じゃ、もう大体の整備、大方の基本的なところについては六十億で整備が終わるけれども、最後残り僅かかもしれませんが、若干のものが来年度に残ってくる可能性があるという、そういうことなんだろうというふうに思います。
 これ、費用については約六十億で、これから運用費用がどのぐらいか分かりませんけれども、六十億で、費用は、大体事業規模というのは分かりましたが、これをやる整備効果、今、広田委員が、東日本大震災のときの反省を踏まえてといいますか、そういうことでやられるという、そこは大体分かるんですけれども、これを整備することによって具体的にどういうことが解決されるようなことを期待しているんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) この法案を提出したときにも御説明申し上げましたけれども、まずは、非常災害が発生した際に湾内にいる船舶の危険を除去するために安全な海域に避難させるということが効果として一つ考えられますし、また、湾内全体を管制することができることによって、平時においても混雑している東京湾内、信号待ちや混雑状況が非常に著しい東京湾内をより一層円滑な航行ができるように、管制を一元的に行うことによって交通の流れをスムーズにできるようになるというふうに考えております。
○藤本祐司君 恐らく事前通報、観音崎の現在の東京湾海上交通センターがあって、あと川崎、横浜、千葉があるんですかね、そこの港長が行っていたのを今回の新しい海上交通センターに一元化することによる効率化ということなんだと思いますが。
 具体的にこれが計算されるのか、もう入りと出があるので、なかなか入りでどのぐらい、出がどのぐらいというのは難しいのかもしれませんが、平均的に平時においてどれだけスムーズな運航が一元化することによってできるかという、数字で計算はされているんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 例えば、今現在、東京湾口から東京の西航路という、一番奥の方になるんですけれども、そこに到達する時間というのは大体約百八十分、三時間ほど掛かっております。これを大体平均して約二十五分ほど短縮することが可能になるのではないかというふうに期待しております。
○藤本祐司君 分かりました。二十五分間の短縮。
 これ、ごめんなさい、私も素人なのでよく分かりませんが、四つのところでそれぞれの事前通報をして今はいるわけですよね、それぞれに対して、四つのところに対して。そのやり取りをしながら中に入っていくあるいは外へ出ていくという、そういうのが現状なんだと思うんですが、それも多分、これも素人考えなんですが、それぞれとの横の連携というのは普通はなされていながら入っていくあるいは出ていくんだろうと思うんですね。それが一つになることによって二十五分を平均で短縮されるという、その辺のちょっと根拠というのか、短縮できる構造というのか、その辺りが分かれば教えていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 現在は、例えば東京港に入港したいという船は、前日の正午までに浦賀水道と中ノ瀬航路を管制しております東京湾海上交通センターの方にまずはその航路を通航するということで事前の連絡をしております。そして一方、東京港に入港するわけでございますので、東京港の港内管制室の方にやはり同じく別途連絡をすると。二つ連絡をしなきゃいけないと、事前の通報を。前日の正午までに事前に連絡をすると。それを新しくできた海上交通センターの方に一か所に連絡をすることによって、何といいますか、湾口からできればノンストップで港内に着岸できるようになれば、より港内の要するに航海の時間が短縮されると。
 要は、信号待ち、例えば浦賀水道で管制を受けて出ていきまして東京港の前で信号待ちをしなきゃいけないというようなことが今現在起きているわけでありますが、それをしないでそのまま入っていけるような形にしていきたいなと、このように考えております。
○藤本祐司君 前日の正午までに通報するというのは、今も新海上交通センターができても多分同じなんだけれども、一か所にするのか複数箇所にするのかでそれだけ信号待ちの状態が変わるという、そういう認識なんですよね。
○政府参考人(佐藤雄二君) 要は、個別に管制をその海域だけでやっていたわけです。今は東京湾全体ではなくて、例えば東京港であれば東京港の航路だけの管制、それから東京湾海上交通センターでありますれば浦賀水道と中ノ瀬航路だけの管制を行っていたと。要するに空白部分がまだあるわけです。それを全体として見ていくことが今回できるわけでありまして、そうすると、先ほど言いましたように、一体的な交通の流れをつくることが事前の管制計画でできるようになると、このように考えてございます。
○藤本祐司君 分かりました。
 今回、法律の第二条第四項で指定海域というのを定義をしているわけなんですが、これは今回は東京湾だけになっていますけれども、今後ほかのところに広げていく、そういう可能性について、先ほど広田委員が南海トラフの話が出ましたが、南海トラフということを考えれば、伊勢湾であったり大阪湾であったり、そういったところも当然考えていかないといけない部分になってくるんだろうと思うんですが、そちらに対しての計画、具体的にあるのであれば教えていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 東京湾につきましては、船舶交通が最もふくそうしていること、それから港内の信号待ちや渋滞が発生していることから、これまで海上交通管制の一元化のためのレーダー、監視カメラ、無線機器などの設備の整備を順次進めてきたところであります。
 今般の移動命令等の措置は、これらの設備を整備して湾内の船舶交通を一体的に把握することにより可能となるものでありますから、設備の整備が整う東京湾に適用することとしております。
 一方、伊勢湾及び大阪湾につきましては、今年度から、船舶の交通の状況や安全上の問題について地元自治体、海事関係者の意見を聞きつつ所要の調査を実施する予定としております。
○藤本祐司君 今年度から調査をするというお話ですが、先ほど冒頭でお聞きした東京湾については、調査の年にもう既に機器整備をスタートさせていたわけですよ。ところが、伊勢湾とか大阪湾については、まずやっぱり調査をしていろいろヒアリングをしたり状況を把握した上でやるかやらないか、どの程度のことをやっていくかというのを決めていくという、そういうスケジュール感でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 伊勢湾と大阪湾につきましては、まだ、今年度から調査をして、それからどのようなスケジュールになるかも含めて調査をしていきたいというふうに考えております。
○藤本祐司君 それは分かりますので、要するに、東京湾と伊勢湾あるいは大阪湾というのは若干スケジュール的な問題あるいは考え方が違うので、最初に調査をやって、その結果を見てから伊勢湾なり大阪湾の場合はやるのだと。東京湾の場合はもう同時に、同じ年度に機器整備が入っていますから、そこがやり方が違うんだという、そういうふうに捉えておけばいいんですか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 東京湾の場合はかなり老朽化した設備等が多数ありましたので、実は老朽更新も既に手掛けていたわけであります。その流れの中で二十五年度の調査というものが始まったものでありますから、若干、伊勢湾や大阪湾とちょっと状況が違うということでございます。
○藤本祐司君 分かりました。
 あと、時間がありませんので、管制官についてちょっとお聞きしたいんですが、今、東京湾海上交通センター、現在の海上交通センターに七十八名の方、そして川崎、横浜、千葉に四十四名で、合わせて百二十二名の方々が、管制あるいはその上司に当たる方も含めてだと思いますが、勤務をされていると。その百二十二名が今度でき上がる新海上交通センター、これは横浜、多分、写真だけで見ると、今関東運輸局が入っているようなあのビルなんだろうというふうに想像するんですが、あそこで業務を行うということになるんだろうというふうに思うんですが。
 管制官の仕事の中身というのは今と余り変わらないものなのか、あるいはレーダーとか様々なものが高度化することによって更にレベルアップをしておかないといけない、あるいは仕事が緊張感が続くのが長くなるとか、いろいろその辺の質の変化というのはあるものなんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 基本的にはこれまで行ってきた管制官の育成、これと変わるところはないと考えておりますが、ただ、一つ今回新しい措置が出てきたわけです。例えば非常災害時に移動命令を掛ける、あるいは湾内全体の管制計画を考えて様々な情報提供を行っていくといったような新たな業務が今度加わりますので、この点につきましては、しっかりと研修を行って、あるいはシミュレーションも行って、実際に施行された場合に円滑に運用できるように教育をしていきたいと、このように考えております。
○藤本祐司君 普通に考えれば、四か所が一か所になるので、ある程度合理化が進んで人が減るということも考えられるんですが、ただ、その一方で、業務がむしろ今以上に大変になる部分が出てくるので、その分でプラスオンをされる部分が出てくるというふうな認識を持てばいいのかなと、ざっくりそんな感じなんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) そのとおりでございます。
 一体化されることによって合理化される部分もあるでしょうし、一方で、新たに増える業務の内容、それに対してどのぐらいの人員が必要かということも併せて考えていかなければならないと、このように考えております。
○藤本祐司君 それをお聞きしたのは、実は、例えば飛行機、空港なんかで、羽田空港とか成田空港の発着枠が拡大することによって東京上空が物すごい混み合うことになると、そうすると管制官が今まで以上に大変な業務になるというようなことで、かなり高度な技術とか能力を身に付けなきゃならないというのがあったんですね。それと同じような形になるのかなというふうに思ったのでお聞きしたんですが。
 海上保安庁の資料で、運用管制官ですね、これは、運用管制官になられる方は基本的には海上保安庁に入られて、その入られた中で適性な方々が海上保安学校で学んで運用管制官になるという認識を持っておるんですが、この中で、資料で、海上保安学校で管制課程を設置するという記述があるんですね。平成二十八年度には管制課程に係る調整と記載されていて、二十八年度は教育カリキュラムの策定というふうに書いてあるわけなんですが、この海上保安庁の職員の中から適性と思われるような人が選ばれて、門司で研修をされて、その後、様々いろんなところで研修して五か月間で晴れて運用管制官になるんだという説明を受けているんですが、新たに管制課程をここで設置するということは、今までのその研修、五か月間の研修ではやっぱり事足りないから新しくそういう何か課程をつくって、教育カリキュラムをつくらないとならないんだという、そういう認識に立っていればよろしいんでしょうか、管制官の育成という点では。
○政府参考人(佐藤雄二君) ただいま委員の方から御指摘ありましたように、運用管制官の育成につきましては、各海上交通センターに配置した海上保安官に対して一定の事前研修を実施した後、海上保安学校門司分校において座学、シミュレーター訓練などを、さらに、所属の海上交通センターにおける運用者研修といった約五か月間の研修を実施いたしているところであります。
 今回、運用課程を現在検討しているわけでございますけれども、やはり仕事の中身が専門的であり、かつ英語という語学も必要となってくると。船舶は大体基本的には英語を使って交信をしているということもありまして、やはり専門的な教育をしっかりと施しておく必要があろうということで、今現在、専門のコースを検討しているところでございます。
○藤本祐司君 時間が来ましたのでこの辺で終わりにしますが、実は航路標識についてもお聞きしようと思ったんですが、またそれについては個別にお聞きしたいと思います。
 ありがとうございました。
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 海上交通安全法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、この度の法案で定められます指定海域につきましては、当面、新海上交通センターの整備により一元的な海上交通管制が構築される東京湾を指定していくと、そういうことが想定されているわけでありますけれども、その新海上交通センターでありますが、今、横浜の第二合同庁舎に整備中であり、平成二十九年度中に運用開始予定となっていると聞いております。東京湾の湾内の船舶交通の安全を更に確保するために、現在の東京湾海上交通センターと四つの港内交通管制室を統合してその機能を一元化するとしているわけであります。
 そこで、特に非常災害時においての話なんですが、船舶を適切に誘導するための必要な措置をこの新海上交通センターについて行うということなんですけれども、その災害対応というんですか、災害に強い設備やシステムを構築する必要があるんですけれども、その対策は万全であるのかということと、仮に新海上交通センターが被災した場合に、ここは一元化していくわけでありますから、一元化することによる脆弱性というのもあると思います。仮に被災した場合のそのバックアップ機能、この辺りについてはどう担保されているのか、その点について伺います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 新東京湾海上交通センターが整備される横浜第二合同庁舎にありましては、大規模地震にも十分耐え得る構造となっています。
 同センター内に設置する管制データを処理する装置などについても、機能喪失防止のため、二重化整備をするとともに、電源についても非常用電源装置を整備することとしております。また、船舶交通の動静を把握するためのレーダーやAIS信号の受信設備、船舶との通信を行うためのVHF無線電話の送受信所についても、東京湾周辺に分散して設置し、カバーエリアを二重化することにより、万が一被災した場合でも必要な機能を維持することが可能となっております。
 さらに、万が一機能が完全に喪失した場合には、現在の観音崎における海上交通センター内に残される設備を使用した管制業務を実施することを想定しています。さらにそこも破壊されたということになりましたら、必要に応じ、AIS受信機等の仮設や、レーダーやあるいはVHF送受信機設備を搭載した巡視船艇を現場に配備して、これらを活用することにより管制業務の維持に努めていきたいと、このように考えております。
○谷合正明君 特に、万が一の場合ということもあり得ますので、バックアップ体制というのはしっかりとしていただきたいというふうに思っております。
 そこで、先ほども東京湾以外の湾内についてどうなのかという質問、やり取りがございました。私も、伊勢湾、大阪湾の指定海域の指定についてどうなのかということをお尋ねしようと思ったんですけれども、質問が同じなんですけれども、もし、例えば、今後調査をしていくというふうに答弁、先ほど長官もあったんですけれども、その調査の具体的な内容、どういうものを今後していこうとされているのか。また、東京湾と伊勢湾、大阪湾と、それぞれ、例えば混雑度等がもう違うとは思うんですけど、その辺の現状はどうなのかということも併せて、伊勢湾、大阪湾のこの指定についての今後のスケジュールについて、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 現状でございますが、例えば混雑度を東京湾を一とした場合に、大阪湾は約〇・五、そして伊勢湾は約〇・三五といったような状況になっております。
 ただ、それだけではなくて、例えば現在、船舶の通航の実態あるいは地形がどのようになっているか、そして船の流れ、船舶がどのように動いているか、あるいはどこで漁船が操業しているか、あるいは湾内の水深はどのぐらいあるのかとかいったことを全て調べた上で、あるいは災害発生時の船舶の安全確保のためにはどこに避難をさせたらよいのかといったようなことが主な調査の事項となると考えております。
○谷合正明君 分かりました。
 そこで、伊勢湾、大阪湾と同様に背後地に多くの工業地帯を抱えていまして、また、船舶交通がふくそうしている海域というものがございまして、それは瀬戸内海でございます。瀬戸内海は海上交通安全法の適用海域でもございます。もっとも、瀬戸内海は、東京湾とか伊勢湾、大阪湾に比べて海域も広く、一元的な管制運用の構築には課題もあることは私どもは認識をしているんですが、さはさりとて、その瀬戸内海はじゃ、どうでもいいのかというわけじゃないと思いますので、瀬戸内海の海難事故の現状とその対策についてはどうされるおつもりなのか、この点について確認したいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 東京湾のように著しく海上交通がふくそうする海域では、非常災害時に船舶交通が一層混雑し衝突などのリスクが高まることから、今般、東京湾を指定海域とすることとしており、今後、同様のリスクが考えられる伊勢湾、大阪湾についても指定を検討しているところであります。
 一方、お尋ねの瀬戸内海における海難発生状況につきましては、平成二十七年は五百八十七隻であり、そのうちプレジャーボート、漁船などの小型船舶が全体の約七割を占めております。また、小型船舶の事故原因としては見張り不十分が最も多く、約三割を占めております。
 こうした小型船舶の事故を未然に防止するためには、操船者自らが安全意識を十分に持ち、適切な見張りの実施といった関係法令で定められている事項を遵守することが重要であると考えております。このため、海上保安庁では、船舶に直接訪問したり、あるいはマリーナ、漁協などにおける各種講習会などの機会を捉えて海難防止に関する意識の啓発を努めているところであります。
○谷合正明君 瀬戸内海につきましては、物流のいわゆる海上交通の拠点のみならず、プレジャーボートのような観光、レジャーを目的とした活用が一体となっているわけですね。特に瀬戸内海については、これから観光立国ということにおいてこの瀬戸内海を生かした観光政策を進めていくということでありますから、今回の法案とはちょっと趣旨が外れるかもしれませんが、特に安全対策についてはきめ細やかにやっていただきたいと。小さい船舶、たくさん瀬戸内海にあるわけでありますけれども、そうした対応もしっかりやっていただきたいと思っております。
 次に、その船舶ということでいいますと、AIS、船舶自動識別装置についてお尋ねしたいと思います。
 このAISの普及促進、それから義務化の検討についてお尋ねしたいんですが、AISというのは船舶の位置や速力などの情報をVHF帯の電波で送受信する装置であると。船舶間及び船舶と陸上の航行援助施設との間で自動的に情報交換が可能なものであるということでありまして、この装置がありますと、一元的な海上交通管制の効果を最大限発揮させるとともに、非常災害時においても船舶交通の安全性の向上を図るということにおいては非常に有用なものであると思います。
 しかし、AIS、船舶自動識別装置につきましては、現在は国際航海に従事する旅客船でありますとか、国内航海に従事する場合は総トン数五百トン以上の船舶に限定してその搭載が義務付けられているということでございます。
 本法案の提出の背景となりました交通政策審議会海事分科会の船舶交通安全部会の答申、平成二十八年一月の答申ですけれども、ここにおいてもAISの普及促進が盛り込まれているところであります。このAISの普及を進めるため、具体的にどのように取り組み、どのようなスケジュールで行っていくのか。また、AISを搭載義務化する船舶の対象についてどのように検討していくのか、この点について併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(坂下広朗君) お答え申し上げます。
 現在、委員からお話ございましたように、我が国におきましては、総トン数五百トン以上の内航船にAISの搭載を義務付けておるところでございます。これまでに、搭載義務のない船舶にもこのAISを普及させるための横断的な取組として、総務省による免許手続の簡素化、水産関係団体によりますAISを搭載した漁船に対する保険料の一部補助等の措置に加えまして、普及促進のための啓蒙活動を関係省庁が連携をしながら講じてまいっております。また、AISの搭載を義務付ける対象船舶の拡大も検討することとしてございます。
 AISを搭載した船舶でございますが、これ大幅に増加をいたしますと、特にふくそう海域では通信が混雑をして適切に情報を送受信できなくなるおそれがあるということが指摘されておりますので、今年度、このような影響に関する調査を行いながら、AISの搭載義務の対象船舶の拡大について検討することにしております。
○谷合正明君 お伺いしておりますと、日本国内でいうと五百トン以上なんだけれども、例えば韓国なんかで五十トン以上に引き下げたところ、かえってふくそうする海域においては通信が混雑してしまったという弊害もあったということなので、我が国の実情に合わせた形でしっかりと、対象を拡大していくというんだけれども、しかし、実情に合わせた形でやっていくべきだというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、航路標識の耐震補強、耐波浪補強等について伺いたいと思います。
 これ、東日本大震災においても航路標識が大きな被害を受けたわけでございます。地震、津波によりまして、東北地方一帯の灯台などの航路標識が倒壊であるとか傾斜であるとか流出等の被害を受けました。
 今後、南海トラフ巨大地震並びに首都直下地震を始めとする大規模地震・津波等の発生時においては、当然、海上輸送ルートの安全を確保していくということが極めて重要でございますから、こうした航路標識の安全性というのも極めて重要であります、安全性というか強度がですね。したがいまして、今後、この航路標識の耐震補強、耐波浪補強をしっかり着実に進めていくことは重要であろうと思います。
 今後、この防災対策についてどのように進めていくのか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 海上保安庁では、今後予想される大規模地震・津波等の発生時において海上輸送ルートの安全確保を図るため、国土強靱化基本計画や社会資本整備重点計画に基づきまして、航路標識の耐震補強、耐波浪補強及び太陽光発電を導入した自立型電源化を進めているところでございます。
 これまでの整備状況は、平成二十七年度までに、耐震補強が必要な航路標識二百二十九基のうち百八十三基を、耐波浪補強が必要な航路標識三百六基のうち二百四十七基を、自立型電源化が可能な航路標識五千二百四十四基のうち四千五百四十六基の整備を実施しているところであります。
 今後とも、航路標識の防災対策について、耐震補強及び耐波浪補強は平成三十二年度までに、自立型電源化は平成二十八年度までに計画的に整備を進め、海上輸送ルートの安全確保に努めてまいります。
○谷合正明君 平成二十八年、平成三十二年に目標ということですけれども、その目標というのは一〇〇%ということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤雄二君) 耐震補強及び耐波浪補強につきましては、平成三十二年度までに一〇〇%を達成したいというふうに考えております。
 ただし、自立型電源化につきましては、平成二十八年度末までに行いますが、これは一〇〇%はなかなか難しいと考えております。と申しますのも、太陽光パネルを置ける土地があるかとか、あるいは、太陽光発電で発電した電力で十分な電力が供給できるかといったような問題があるからでございます。
○谷合正明君 いずれにしましても、南海トラフ巨大地震、首都直下型地震のおそれがあるわけでありますから、この目標にしっかりと完遂できるように取り組んでいただきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わります。
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 本改正は、船舶交通が著しくふくそうすることが予想される海域において津波等による非常事態が発生した場合、危険を防止するため、船舶を迅速かつ円滑に安全な海域に避難させるために船舶交通を一体的に把握をすると、また、非常事態が発生した場合においても海上保安庁長官が船舶等の移動を命ずることができると、こういうものであります。
 それと、先ほど来ありますとおり、東日本大震災の際に東京湾において港を出た多数の船が東京湾内に集中をしまして、適切な誘導が行われなかったために船同士の衝突事故の危険性が高まったと、こういう話でありました。これ、同様の事態が大阪湾でも起こり得るのではないでしょうか。どうでしょう。
○政府参考人(佐藤雄二君) 東日本大震災が発生した際、東京湾においては湾内の各港から避難する船舶や湾外から津波を避けるために湾内へ航行する船舶が多数発生し、湾内の船舶交通が混雑し、衝突などの海難リスクが高まりました。今後、発生が予想されている南海トラフ巨大地震が発生した場合には、震源地に近い大阪湾においては湾内において二メートルから五メートル程度の津波が予想されており、湾内の各港から避難する船舶により混雑する可能性があると考えられます。
○辰巳孝太郎君 同様のことが起こる可能性があると。
 国交省は、津波避難マニュアルというものを作りましょうと。これの作成の手引を作って、旅客や一般貨物などを運航する事業者にこの避難マニュアルの作成を促してきております。
 確認しますけれども、全国の船舶運航事業者数に対してこの策定状況というのはどれぐらいになっていますでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) 国交省におきましては、ただいま委員から御紹介がございましたように、平成二十六年三月に船舶の津波避難マニュアル作成の手引書を公表いたしまして、関係団体を通じ事業者に対してマニュアルを作成するように働きかけをしてまいっております。特に、公共性の高い旅客船の運航事業者や被災時の影響が大きいと考えられます危険物輸送船の運航事業者については、当省の職員が事業者にマニュアルの作成を直接指導してきてまいっておりまして、これらの事業者におきましては既にマニュアルが作成をされております。
 しかしながら、内航事業者、全国で約四千者ございますけれども、マニュアルの作成が確認できている事業者は三百七十者にとどまっておるところでございます。これ、内航船の事業者の多くが中小・小規模事業者でございまして、マニュアル作成が負担となっていることが主な要因であるというふうに考えられるところでございます。このため、昨年六月にはマニュアル作成の手引書を踏まえたモデル的なマニュアル、ひな形でございますけれども、これを公表をしたところでございます。今後はこれを活用して、より事業者の負担の少ない形でマニュアルの作成を促進してまいりたいというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 災害が起こったときに各船舶がばらばらな行動をしていては、なかなか、これが危険だという目的意識でこのマニュアルの作成を、作りましょうと呼びかけているわけですが、今おっしゃったとおり、内航船舶の事業者四千のうちこのマニュアルができているのが三百七十しかないと。つまり、一割にも満たないわけですから、先ほど中小の船舶業者も多いという話でありましたし、またミニ版のものを作っているということですので、これはきちんと進めていってもらいたいと思うんですね。
 と同時に、今おっしゃった内航という話がありましたけれども、日本のということですが、外国の船舶も当然日本にはたくさん入ってきているわけでありまして、まず確認しますが、外国船舶の日本の港入港の割合というのは、これ全体のどれぐらいになっているんですかね。
○政府参考人(佐藤雄二君) 平成二十六年における全国の特定港への外国船舶の入港割合は約一四%となっております。
○辰巳孝太郎君 全体の一四%はあるわけですね。
 じゃ、確認しますが、外国船舶に対するこの避難マニュアルの作成は進んでいるんでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) 先ほどの御説明しました津波避難マニュアル、外航船舶を運航する海運事業者に対しても御利用いただけるものになってございます。外航船舶を運航する事業者に対しても同様に働きかけをしてきたところでございます。こうした取組の結果、国内の大手事業者を中心に既にその外航船舶の運航事業者マニュアルが作成されているというふうに承知をしております。
 他方、外国の海運事業者が運航する船舶に対しては、入港や通関の手続を行う国内の代理店を通じて働きかけを行っておるところでございます。現在、さらに英語版のマニュアル作成の手引の準備も進めておりまして、こうしたものも活用しながら、引き続き外国の海運事業者に対してマニュアルの作成を働きかけていくことにしております。
○辰巳孝太郎君 そうですよね、日本にある船ということですから、日本の事業者だけではなくて、外国船舶に対してもきちんと働きかけていってもらうということを進めていっていただきたいというふうに思います。
 それでは、続いてなんですが、昨年の十二月に内閣府は、南海トラフの巨大地震が発生した際に想定される長周期震動に関する報告をまとめております。高さ六十メートルを超えるような超高層建築物は、この長周期震動と共振して大きく揺れるというふうな報告がされております。
 内閣府に確認しますけれども、特にこの揺れの大きな地域というのはどの辺りが想定されているんでしょうか。
○政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。
 南海トラフ沿いで最大クラスの地震が発生した場合には、三大都市圏で長周期地震動の揺れの継続時間が長く推計されております。具体的には、揺れの速度毎秒五センチメートル以上が継続する時間は、千葉県、愛知県、三重県、滋賀県、奈良県、大阪府、兵庫県、これらの府県で三百秒以上、神戸市及び大阪市の沿岸部の一部では四百秒以上が推計されています。
○辰巳孝太郎君 五分とか六分間揺れるということですね。その中には三大都市圏が含まれております。
 この超高層建築物の最上階の揺れ、今時間を言っていただきましたけれども、どれぐらいの揺れになると見込まれているんでしょうか。
○政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。
 三大都市圏で長周期地震動の揺れの継続時間が長く推計されておりますけれども、具体的には、揺れの速度毎秒五センチメートル以上が継続する時間は、あっ、失礼いたしました。超高層建築物の最上階では、片側への振幅で百センチメートルから二百センチメートル程度の変位が推計されておりまして、さらに、高さが二百から三百メートル、固有周期が五から六秒の超高層建築物の最上階では、片側への振幅で三百センチメートル以上の変位も推計されております。
○辰巳孝太郎君 今おっしゃっていただいたのは、片側で三百センチということですから、これ往復でいいますと六百センチ、つまり六メーター振れると。つまり、高さが二百から三百メーターぐらいある建築物ではそれぐらいが想定をされると、そういう建築物が三大都市圏にもあるということですね。
 私、大阪出身なんですけれども、大阪沿岸部でいいますと、住之江区というところに、かつてはWTCビルと呼んでいたビルなんですが、現在は大阪府の庁舎になっておりまして、これ二百五十六メートルで五十五階建ての超高層ビルとなっております。東日本大震災のときには実は大阪も揺れました。震度三を観測しているんですが、このWTCビル、これ咲洲庁舎、大阪府庁ですけれども、でも三百六十か所が破損をしまして、最上階での揺れはこれ往復で三メートルとなったわけでございます。当時、橋下大阪府知事が様々な反対を押し切って大阪市から八十五億円で購入したんですけれども、東日本大震災を受けて耐震補強で更に八億円を費やしてしまった、本当に高い買物をしたなというふうに思っていますが、そんなことはどうでもいいんですけれども。
 さきの試算では、前提はマグニチュード九なんですよね。震度六強でも倒壊しない超高層ビルをモデルとして内閣府は試算をしております。しかし、これは昭和五十六年以降に建てられた建築物ですから、それ以前に建てられた建築物はどうなのか、安全なのかということまでは内閣府は断定をしておりません。しかも、内閣府の資料によりますと、仮に耐震性がきちんとされているビルでも、これだけ大きく揺れてしまうと多くの家具が転倒する、またキャスター付きの場合は極めて危険な凶器になる、立っていることさえ困難になると指摘をしております。
 国交省に確認しますが、これらの超高層ビルについてどのように対策をしていこうと考えているんでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 国土交通省におきましては、内閣府の検討と並行いたしまして、長周期地震動が超高層建築物等に及ぼす影響について検討を行いました。その考え方を対策案として取りまとめ、昨年の十二月の十四日から本年二月二十九日までパブリックコメントを実施しております。対策案におきましては、内閣府の、あっ、失礼、昨年十二月十八日から本年二月二十九日までパブリックコメントを実施しております。
 この対策案におきましては、内閣府の検討において長周期地震動の影響が大きいとされております三大都市圏及び静岡地域において、超高層建築物等を大臣認定を取得して新築する際に今回の長周期地震動を用いて構造安全性を検証していただくこととしております。
 一方、既存の建築物につきましては、設計時に想定した地震動の大きさを今回の地震動が上回る場合には改めて構造安全性の検証をしていただきたいと考えております。
 二月末までに実施した意見募集に対していただいた御意見を踏まえ、成案を得るべく現在鋭意精査をしております。成案が得られましたら、速やかに必要な対策を講じまして超高層建築物等における安全性の確保に努めてまいりたいと存じます。
○辰巳孝太郎君 理にかなった対策を求めて、質問を終わります。ありがとうございます。
○室井邦彦君 おおさか維新の会の室井でございます。
 質問に入ります。
 この新海上交通センターの、全く谷合先生と私同じ質問なんでやめておこうかなと思ったんですけれども、回答者が大臣と長官と違いがありますので、私の場合は大臣がお答えいただけるということになっておりますので、この新海上交通センターのバックアップ体制についてもう一度お聞きをいたします。
 我々は東京一極集中はいけないと、多極分散化をしなくちゃいけないということを言っておるんですが、ここについては一極ということで一体化するということでありますけれども、このバックアップ体制に対して、大臣、どのようなお考えを持っておられるのか、お聞かせください。
○国務大臣(石井啓一君) 新東京湾海上交通センターは、第三管区海上保安本部が入居いたします横浜第二合同庁舎に整備をされますが、この庁舎は大規模地震にも十分耐えられる構造でございます。さらに、新東京湾海上交通センターにおきましては、これまでどおりレーダーなどの設備について二重化を図っておりまして、さらに、専用の非常用発電機を整備するなど、非常災害時の機能維持に万全の体制を取っているところでございます。また、業務継続計画につきましても、既に検討を開始しておりまして、平成二十九年度の運用開始までに作成をしていきたいと思っております。
○室井邦彦君 期待をしておったわけでありますけれども、全く長官と同じ回答ということで、それも違ったらおかしいのかなと思っておりますけれども、少し期待外れの回答でありましたけれども。
 私も阪神・淡路大震災の被災者でありますので、想定外のことが起きると、今それぞれ大臣も長官もお答えされていましたけど、本当に大自然との闘いでありますから、我々人間では想像できないことも起き得るということも十分に考えられますので、連係プレー、またそういう対応を十分にしていただくことをお願いをしておきます。
 続いての質問でありますけれども、まとめて二番と三番、通告しているのを一つにさせていただいて、お答えされる方は長官がお一人ということでありますので、お願いします。
 非常災害が発生したときに、湾内の混乱を防止、又は二次災害、危険性を回避させると。この今回の法改正でどのような制度が新たに創設されたのか、重複しておりますけれども、これをお答えいただきたいことと、続いて、この東京湾の海域とそのふくそうする海域を比較した場合、船舶種類、及びその通航量、そして事故発生数、またさらには事故の種類、事故の原因、どのような傾向にあるのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 今回の改正では、指定海域等における非常災害時の海上交通機能維持のための措置としまして、船舶に対する移動命令など、災害の状況などの情報を聴取する義務海域の拡大、平時から指定海域に入域する際の船舶等の通報などに係る規定を新たに創設することとしております。
 これらによりまして、湾内の一定以上の大きさの船舶の総数を把握し、それぞれの船舶の性能に適した錨泊地へ誘導すること、大型船などについて可能な限り港内から湾外まで速やかに退避させることなどが可能となります。以上のことから、湾内の混乱を防止し、二次災害の危険性が回避され、海上交通機能の維持がより効果的に図られることとなります。
 二点目の東京湾のふくそう状況と事故の状況でございますが、東京湾及び他のふくそう海域の航路における平成二十七年の航路通報対象船舶の通航隻数についてですが、東京湾の浦賀水道航路は二万八千七百九十三隻となっており、そのうちLNG積載船等の危険物積載船は約三割となっております。また、伊勢湾伊良湖水道航路は二万一千百六十一隻となっておりまして、そのうち危険物積載船は約二割となっております。また、大阪湾の明石海峡航路は一万二千五百九十三隻となっておりまして、そのうち危険物積載船は約三割となっております。
 AISを搭載した船舶の面積当たりの隻数を比較してみますと、先ほども答弁いたしましたけれども、東京湾を一とした場合、伊勢湾が約〇・三五、大阪湾が約〇・五となっており、東京湾がふくそう度が高くなっていることがお分かりになると思います。
 また、海難発生状況につきましては、平成二十七年は、東京湾で百十四隻、伊勢湾で五十九隻、大阪湾では八十六隻となっております。いずれの海域においても、事故の種類は衝突が最も多く約四割、事故原因は見張り不十分が最も多く約二割から三割を占めるという傾向になっており、各海域の傾向に大きな違いは見られません。
○室井邦彦君 いずれにいたしましても、東京湾は日本の玄関口で、調べますと、年間十二万六千五百三十七隻、また十万トン級の大型船は八百六十四隻という、こういう数値が出ておるということを聞いておりますけれども、いずれにしましてもすごい船隻数でありますので、一旦こういう災害事故が起きると大変なことになるんだなということも思っております。どうかこの新しい法案によってしっかりと未然に防ぐ、また、できるようにしっかりと対応していただきたいと思います。
 続いて、また長官がお答えいただくようでありますけれども、この新しい制度、これもやはり幾らいいものをつくっても実効性を確保するという、これがやはり一番大切なことであると思っております。その運用管制官、またこれまで以上に高い資質が必要であると思いますし、その人材の育成、そしてまた、東京湾を航行する船舶のそれぞれの船長、船員の認識、制度に支障なく対応していくためにもこういうことが非常に重要だというふうに感じておるところであります。
 この安全性に対する実効性を確保していくためにどのようなことを考えておられるのか、是非お聞かせください。
○政府参考人(佐藤雄二君) 運用管制官の素養につきましては、先ほどもお話ししましたが、ある一定の運用管制能力、素養というものが求められておりますけれども、一元化後の運用管制官は、湾内の船舶交通を一体的に把握し、非常災害時において大型船等を港内から湾外まで速やかに退避させることなど、新たな業務に取り組むことになります。
 新たな業務に対応するため、平成二十九年度の新東京湾海上交通センターの運用開始までに、様々なシミュレーション訓練を繰り返し、実機操作の慣熟を含めた実践訓練を積み、万全を期すこととしております。また、今後、湾内で発生することが予想される災害について、部内又は関係自治体や海事関係者と連携した訓練などを計画的に実施することとしております。
 今般、新たに創設する制度については、非常災害発生時に円滑に対応することができるよう、関係機関、海事関係者に対して、事前の説明会の開催、パンフレットの配付、ホームページによる紹介などの多様な手法による周知徹底を図ってまいります。
○室井邦彦君 了解しました。
 続いて、船舶の事故、これは小型船舶が千五百九十六隻、これ平成二十七年度の数値でありますけれども、七五%が小型船舶で事故船隻数が占めているという、これは圧倒的に小型船舶の事故が多いわけでありますけれども、その部分について国交省として小型船舶の安全性に対する取組、これをやはり重要視していくのが事故数を減らすというか、少なくすることになると思いますけれども、その点、特に小型船舶の安全対策、この点についてどういうことを取り組んでおられるのか、お聞かせください。
○政府参考人(坂下広朗君) お答えいたします。
 小型船舶の事故の大半は、適切な見張りを行わずに衝突をしてしまうものや、あるいは出航の前にバッテリーや燃料の点検を行わずにエンジンが止まって漂流をしてしまうものなど、船長の安全意識の不足に起因するものが非常に多うございます。
 船長の安全意識の向上を図ってこのような事故を減らす目的で、国土交通省は、今年の七月から、こうした適切な見張りあるいは発航前の検査を行わない船長に対して新たに違反点数を付す免許制度の改正手続を今進めておるところでございます。
 また、ほかの船舶や浅瀬の接近を知らせるためのスマートフォン、今非常に普及が進んでおりますけれども、スマートフォンアプリを使ってそうした危険を認知するような取組、あるいは海中に転落した人の命を救うためのライフジャケットの着用義務の拡大の検討、あるいは安全意識の向上をさせるためのマリーナや漁港への訪問活動など種々の取組を、これは海上保安庁あるいは水産庁あるいは海事関係者の方々と連携をしながら進めておるところでございます。
 小型船舶の事故を減少させて乗船者の命を守るために、関係機関と連携をしてこれらの取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○室井邦彦君 終わります。二問残しましたけれども、次の機会にまたお尋ねいたします。
○中野正志君 おはようございます。日本のこころの中野正志でございます。桜花らんまんにふさわしいファッションで今日は質問をさせていただきます。
 最初に、海上交通安全法改正案における非常災害時の船舶移動等命令についてお伺いをいたします。
 東日本大震災の際、東京湾において、避難しようとする船舶が殺到して海上交通がしこたまに混乱した経験は記憶に新しいところであります。今回の法改正は、このような経験を踏まえて、非常災害時における海上交通の機能を維持するためにも、船舶交通の危険を防止するために必要な限度で、海上保安庁長官が指定海域内の船舶に対して航行の禁止や退去命令を含めた措置を講ずることができるようにする、こういった制度であって、私たちは高く評価をいたしたいと思います。
 とはいえ、やはり大地震、津波等の非常災害が発生しましたら現場が混乱するのは当然、当たり前のことでありまして、事前にしっかりと、対応は大丈夫か、万全な体制、即応体制が取れるのかといったことを積み重ねていかなければならないことは当然であります。このような長官命令を出す際の運用の基準はどうなるのか、国交大臣と海上保安庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) さきの東日本大震災の際には、東京湾湾内は、津波等によって岸壁などと接触して船体を損傷させてしまうことを避けるため、港内から港外に避難しようとする船舶や、湾外から津波を避けるために湾内へ入域してこようとする船舶が多数発生し、船舶交通が著しくふくそうし、衝突や座礁などの海難の発生の蓋然性が高まりました。
 こうした状況を踏まえまして、海上交通機能の維持に重大な影響を及ぼす事態の発生を防止するため、湾内の船舶に対し無線の聴取義務を設定し、指定海域に避難してきた船舶の安全な海域への移動や、湾内又は付近にある船舶に対する入湾制限又は湾外退去などを命ずることができることとしております。この移動命令は、湾内の一定以上の大きさの船舶の総数を把握することにより、湾内の船舶隻数が増大し衝突の危険性が高まってきた場合などに発出することを想定しております。
 これらの運用の実効性を向上させるために、海域全体に関係する行政機関や海事関係者による会合などを活用し、情報や認識の共有を図りつつ、これらの関係者とも訓練を計画的に実施するなどにより連携を深めてまいりたいと、このように考えております。
○国務大臣(石井啓一君) ただいま長官から説明を申し上げたとおり、海上保安庁長官による移動命令は、非常災害の発生により、港内から港外へ避難しようとする船舶や、湾外から津波を避けるために湾内へ航行しようとする船舶などにより、湾内の船舶隻数が増大し衝突の危険性が高まってきた場合などに発出することを想定をしております。長官を指揮監督する国土交通大臣といたしましても、移動命令の運用が適正に行われるよう指導してまいります。
○中野正志君 せっかくですから、海上保安庁法十八条について確認の意味も込めてお伺いをしたいと思います。
 これは、今回の法改正で導入される海上保安庁長官による一般的な命令とは異なって、海上保安官による個別的な強制措置であると承知をいたしておりますけれども、これまでに実際にどのような事案で命令が発せられたことがあるのか、海上保安庁長官にお伺いをしておきたいと思います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お尋ねの海上保安庁法第十八条は、海上保安官が行う強制的な措置を定めた規定でございます。
 適用した事例を網羅的にお答えすることは困難でございますけれども、例えば、平成十二年の九州・沖縄サミットにおける警備において庁法第十八条を適用し、再三の指導にも従わず立入禁止区域に侵入しようとするグリーンピースのゴムボートの進行を止めたり、当該グリーンピースの船舶の出港を差し止めるなどの措置をとった事例などがございます。
○中野正志君 是非これからも、そういう意味では、海上保安庁長官の一般的な命令、それから海上保安官によるこういったまさに個別的な強制措置ですか、命令、遠慮なく発揮をしていただきながら海上交通の安全を図っていただきたい、改めて期待もいたすところであります。
 小型船舶の安全確保について、先ほどの形とは違った視点でお伺いをいたしたいと思います。
 小型船舶が当事者となる海難事故は、お話にありましたように全体の七割以上を占めて、小型船舶の海難防止対策の向上は急務であると考えております。今回の改正案では、平時における船舶交通の安全性の向上確保という観点から、海上交通センターによる一元的な湾内管制の実現に向けて制度が変更されるということになりますけれども、小型船舶の航行における安全確保という観点からは今回の法改正はいかなる意義を持つのか、お伺いをいたします。
○大臣政務官(江島潔君) まず、今回の法改正でありますが、非常災害発生時におきまして、小型船を含む指定海域内の全ての船舶に対しまして移動を命ずることができるわけでございますので、当然、小型船舶の安全対策にも資することになると思います。
 また、平時でありますが、これは、管制の一元化を図る措置によりまして、まず大型船の流れが整理をされることになります。したがいまして、これは当然、小型船を含めた海域全体の安全性が向上することとなるわけであります。
 また、もう一つの今回の法改正の点でありますけれども、光あるいは電波を発しない簡易な航路標識の設置、これが従来の許可制から届出制に緩和されますので、これによりましてマリーナなどの海域利用者による自主的な安全対策が促進されるものと考えております。
 したがいまして、こういうような幾つかの措置を総合しまして、小型船を含む船舶の更なる安全対策が向上されるものと期待しております。
○中野正志君 小型船舶による海難事故といえば、二〇一四年一月に広島県大竹市の沿岸で起きた、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と民間のプレジャーボート「とびうお」が衝突して「とびうお」の船長と乗客の二人が死亡した事故があります。この事故については、衝突の直前に「とびうお」が針路を変えたということが原因だと判断されて、「おおすみ」艦長と航海長は不起訴処分、「とびうお」船長も被疑者死亡により不起訴処分ということでありました。
 小型船舶の安全を確保するためには、小型船舶の操縦者の操船技術の担保と、それから安全意識の向上が欠かせないと考えます。そこで検討すべきなのが、小型船舶操縦士に対する安全講習の充実だと思うのであります。
 平成十五年の法改正で、それまで一級から五級まで五区分に分かれていたのが、ボート、ヨット用の一級、二級と、水上オートバイ用の特殊の三区分に再編されて、免許取得がかなり簡単になったと承知をいたしております。しかし、航行安全を確保する見地からは、やっぱり安全な操船技術と安全確保の意識を厳しく要求するように制度を改めて見直しすることが必要ではないか。現状では、小型船舶操縦免許の更新時に安全に関する講習が実施されていると承知はいたしておりますものの、しかし、五年に一度の更新講習で十分なのでありましょうか。今でも、旅客船や遊漁船など人の運送をする小型船舶の船長になろうとする者は、小型船舶操縦試験の合格に加えて、海難発生時における措置、救命設備等に関する小型旅客安全講習の受講が必要となっております。
 このような一歩踏み込んだ安全講習の受講義務を小型船舶操縦免許をこれから新たに取得しようとする者に拡大すべきだと、こう考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) お答えいたします。
 小型旅客船の安全講習、委員から御指摘ございました。これは、旅客を運びます小型の客船、あるいは遊漁船の船長になろうとされる方に対して、免許の要件として受講を義務付けているものでございます。これら小型の旅客船あるいは遊漁船に乗船する船長につきましては、不特定多数の第三者のお客さんの命を預かるため、不測の事態に対応するために、負傷者への応急措置等の知識、技能を習得していただくことを目的に講習を行っておるものでございます。
 一方、小型の旅客船や遊漁船以外の一般の小型船舶の船長につきましては、現在、登録小型船舶教習所、免許を取っていただく際の教習所におきまして、落水者の救助の技術の習得、それから落水者救助後の応急措置につきましては座学により教習を行っておるところでございますが、今後、その内容の充実について検討してまいりたいと思っております。
 また、小型船の安全、運航される方々の安全意識の向上、大変御指摘のとおり重要でございます。これにつきましては、海上保安庁、水産庁、あるいはその関係の事業者の方々を含めて、毎年、安全のキャンペーン等連携をしながら、運航していただく方の安全意識の向上をしっかりと図るように引き続き取り組んでまいる所存でございます。
○中野正志君 すべからく安全が基本でございます。
 終わります。ありがとうございました。
○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。
 本法案は、二〇一七年度に、東京湾内における四つの港内交通管制室の新海上交通センターへの統合と合わせ、ふくそう海域や港内での一元的な海上交通管制、航路標識の活用等により、災害発生時、平時の安全確保、信号待ちや渋滞による混雑緩和等を図り、海上交通の安全を確保するものであり、必要な立法であると評価しております。
 懸念される課題について四点質問させていただきます。これまでの委員の質問とやや重複するところもありますが、確認の意味で質問をさせていただきます。
 まず、湾内における一元的な海上交通管制の構築について伺います。
 現行法では、海域は海上交通安全法で海上保安庁長官が、港内は港則法で港長が、それぞれ対応するとされてきました。今回の改正により、災害時における措置、あるいは平時における事前通報等を、海上保安庁長官、新海上交通センターに一元化し、効率化することになります。これに伴いまして、東京湾における海上交通センターと四つの港内交通管制室を統合し、業務を一元化することとしております。
 管制の一元化により非常災害時の迅速かつ適切な対応が期待されるところでありますが、逆に機能が集中することにより脆弱性が集中し、リスクが高くなってしまうことも懸念をされます。集中によるリスクはないのか、そしてどのように対応されるのか、伺います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 新東京湾海上交通センターが整備される横浜第二合同庁舎にありましては、大規模地震にも十分耐えられる構造となっております。同センター内に設置する管制データを処理する装置などについても、機能喪失防止のため、二重化整備するとともに、電源についても非常用電源装置を整備いたします。また、船舶交通の動静を把握するためのレーダーやAIS信号の受信設備、船舶との通信を行うためのVHF無線電話の送受信所についても、東京湾周辺に分散して設置し、カバーエリアを二重化することにより、万が一被災した場合でも必要な機能を維持することが可能となっております。
 万が一機能が完全に喪失した場合には、現在の観音崎における海上交通センター内に残される設備を使用した管制業務を実施することを想定しておりますし、また、必要に応じ、AIS受信機等の仮設や、レーダーやVHF送受信設備を搭載した巡視船艇の活用などにより管制業務の維持に努めてまいります。
○吉田忠智君 迅速な対応が可能とのことですが、各港に港長が置かれてきたという歴史的経緯もあり、これまでは、管制室も含めて海保と港湾管理者を始め各港の関係者とが現場で連携して柔軟に対応することも可能だったのではないでしょうか。
 現状、災害時の港における対応はどのようになっているのでしょうか。今後一元化することにより、平時あるいは特に非常災害時の各港の海上保安庁と港湾管理者等との連携に支障は生じないか、伺います。
○政府参考人(佐藤雄二君) お答えします。
 現在、津波等の対応につきましては、各港に船舶津波対策協議会等を設置し、当庁、港湾管理者なども含む関係機関及び海事関係者により認識の共有、合意形成を図っておりまして、災害時において迅速な対応を図れるようにしております。こうした関係機関や海事関係者との体制は今後とも継続することとしております。また、管制の一元化により海上交通センターと各港の港内交通管制室を統合いたしますが、港内の航路の管制情報に係る業務以外の業務は引き続き港長が担うことといたします。
 その一方で、今回の改正によって湾内における船舶交通の一体的な把握を通じた新たな制度を創設することとなりますので、これまで以上に関係機関及び海事関係者による会合や訓練等を通じて連携を深めてまいりたいと考えております。
○吉田忠智君 非常災害時ですから、想定外の事態も覚悟しなくてはなりません。是非、人命救助を最優先に柔軟な対応が取れるようにお願いをいたします。
 次に、航路標識法改正に関して伺います。
 航路標識法の改正に伴い、二十二条において、緊急時の現場付近の船舶に対する航路標識設置業務従事命令が新設されます。この従事命令は、行政法上、特定の公益事業の目的のために法律に基づいて国民に強制的に課せられる経済的負担である公用負担に当たります。公用負担は、日本国憲法第二十九条第三項に基づき国民の財産権を規制するもので、慎重な運用が求められると考えます。
 どのような状況を想定しているか、非常災害時であり、当該船舶にも避難行動など優先すべき行動があり得ると考えられますが、どのように考えるか、拒否ないし不従事の場合はどのような対応を取るか、命令の実効性はいかに確保するのでしょうか、伺います。
○政府参考人(佐藤雄二君) 航路標識設置の従事命令につきましては、当該海域における船舶交通の危険を防止するため航路標識を緊急に設置する必要性がある場合において、海上保安庁の勢力だけでは対応できない状況で行うことを想定しております。例えば危険物船、大型船の沈没などによる危険海域などを明示するための航路標識を緊急に設置しなければならない場合に、現場付近の船舶を警戒業務などに従事させることも想定しております。
 非常災害時の従事命令は、港湾法や道路法など、他の公物管理法においても同様の規定が設けられているところであります。航路標識設置の従事命令の実施に際しては、現場の巡視船艇が当該海域の状況を勘案し、対象となる船舶の安全等に十分に配慮しつつ、当該船舶にその業務の必要性と安全性を通知した上で適切に運用していく所存でございます。
○吉田忠智君 命令の実効性を確保する上でも、平時からの船舶保有者や団体との連絡協議が欠かせないと考えます。
 この従事命令も含め、本改正全体の内容を関係者に周知徹底する必要があると考えますが、どのように周知徹底を図られるのか、伺います。
○副大臣(土井亨君) ただいま御指摘をいただきましたように、従事命令のみならず、今回の改正法により講じられる措置につきましては、海事関係者、地方自治体、その他関係団体との綿密な連絡協議が必要不可欠と認識をいたしております。このため、今回の法改正に当たりましては、事前に関係団体に十分御説明をさせていただき、御理解をいただいているところでもありますが、今後とも、連絡協議を密に取り、十分な周知を図ってまいりたいと考えております。
○吉田忠智君 海上交通の安全確保に万全を期していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○行田邦子君 無所属の行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 最後の質問者となりましたけれども、今回のこの改正法案、必要な措置だと思いますので賛成でございます。是非、法案が成立した際には、しっかりと適切な運用に努めていただきたいと思っております。
 先ほどから小型船舶の安全について質問が随分と出て、皆さん関心が高いようですけれども、私も、小型船舶の安全性ということ、事故をなくすということに関心を寄せております。もう局長から何遍も御答弁されているので、質問をしようと思いましたが、質問はさせていただきませんけれども、実は私、かつての四級船舶操縦士の免許を持っていました。一度免許の更新をしたんですけれども、その後なかなかマリンレジャーとかの機会にも恵まれずに二度目の更新はあえてやめさせていただいたんですけれども。
 免許を取るときに、随分と実地で、実際に海に出て船の操縦をさせていただいたりという充実した機会をいただきました。けれども、更新をする際は、私の印象としては非常に簡便なものでして、簡単な講習を受けるだけで、そしてまた、一応健康診断というようなことで、ジャンプしてみてくださいといってちょっとジャンプをしたりとか、それで合格してしまったということですので、小型船舶の安全性を確保するために、やはり船長の安全意識が希薄だということも理由にあるようですので、免許の更新の際の講習内容の充実ということも是非御検討いただきたいと思っております。
 AISについて質問させていただきたいと思います。
 船舶自動識別装置ですけれども、海上交通の安全性の確保のために大きな役割を果たしていると考えておりますけれども、現在では国内を航海する船については五百総トン以上のものに搭載義務が課せられていますけれども、これを、この搭載義務が課せられる船舶を拡充するというような検討はされていますでしょうか。
○政府参考人(坂下広朗君) お答えいたします。ありがとうございます。
 先ほどの小型船舶の安全の件でございますけれども、特に免許更新のときの講習の充実を含めてしっかりと、利用者、操縦者の安全意識向上を図っていくというのは非常に重要なことでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 また、ただいま御質問いただきましたAIS搭載船の対象の拡大という点でございます。現在、我が国では総トン数五百トン以上の内航船にAISの搭載を義務付けておりますが、一元的な海上保安、管制の効果を最大限に発揮させるとともに、更なる船舶交通の安全性の向上を図るために、私ども国交省では、AISの搭載を義務付ける対象船舶の拡大を検討することにしてございます。
 一方、先ほど谷合委員から御質問がある中で御説明申し上げましたけれども、このAIS搭載船の拡大、増加に伴います技術的な課題も十分に検討が必要でございますので、平成二十八年度にこのような検討を進めながらこの拡大方策についてしっかりと検討をしてまいりたいと思います。
○行田邦子君 搭載船を拡大するとなりますと、これから更に通信容量が逼迫してくるということが予測されるわけであります。
 そこで、今、IALA、国際航路標識協会としても、これは海上保安庁というか日本政府も加盟しているわけでありますけれども、ここにおきまして次世代AISという、VDESという呼称ですけれども、この国際標準化ということの導入に向けて動いているわけであります。
 大臣に伺いたいと思います。次世代AIS、VDES導入に向けてのその進捗状況と、そして日本政府としての取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 次世代AISは、現行AISの利用拡大に伴う通信容量不足の課題に対応するため、通信容量の拡大や通信の高速化を目指し、現在各国と協力して開発をしているところであります。現在、平成三十年代初頭の導入を目指し、国際海事機関等において技術基準等の国際標準化を検討しているところであります。
 我が国が国際標準化の議論をリードすることは国内メーカーの活躍の場が広がることとなることなどから、これまで国際会議を国内で開催するなど国際的な技術基準の策定作業に積極的に参加をしてきております。引き続き、国内メーカーと協力をいたしまして、次世代AISの国際標準化への取組を進めてまいります。
○行田邦子君 日本は、国土面積では世界六十位と大きくはないけれども、領海それからEEZの面積はというと世界の六位ということで、海洋大国であります。そしてまた、技術先進国でもありますので、是非この次世代AIS、VDESの国際標準化に向けまして日本が先導的な役割を果たしていただきたいと、このように思っております。
 そのEEZ、今申し上げた領海そしてまたEEZに関連して質問させていただきたいと思うんですけれども、このEEZの中には豊富な海洋資源、また海底資源、そしてまた水産物など、こうした豊富な資源が眠っているわけでありますけれども、この我が国の領海そしてEEZを根拠付ける、その外縁を根拠付ける離島というのが五百三十二島あるということが分かっています。そして、その五百三十二の島のうちに無主の土地、持ち主が、所有者がいないと分かっている離島が約二百八十あるということが判明をしております。これら無主の土地については、これは国有財産法にのっとって国有財産台帳に登録をしなければいけないということになっています。そして、昨年の六月三十日に改正されました海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針におきましても、これら離島につきましては速やかに国有財産として登録を行うこととされています。
 そこで伺いたいと思いますが、国有財産台帳への登録は完了したのでしょうか。
○政府参考人(加藤由起夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、我が国の管轄海域の根拠となります離島につきましては、昨年六月に離島の基本方針を改正いたしまして、国庫に帰属することが新たに判明いたしました土地につきまして速やかに国有財産として登録等を行うことにより、その安定的な保全、管理を図ることといたしたところでございます。
 これを受けまして、領海等の我が国の外縁部を根拠付ける離島のうち、所有者のないいわゆる無主の離島約二百八十島につきまして、低潮線保全区域周辺に存する土地、国立公園の特別地域内に存する土地、国有林野周辺に存する土地など一定の行政目的が存在いたします土地につきましては、行政財産として登録を行うなど、国有財産台帳への登録を進めてまいるとしたところでございます。
 現在、国有財産台帳登録に当たりましては、必要となる所在、地籍の記載の仕方の調整を関係省庁と進めているところでございまして、それらを整え、これら離島の国有財産台帳等への登録を速やかに進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○行田邦子君 つまりまだ終わっていないということなんですけれども、私が昨年の七月に行政監視委員会でこの件で山谷大臣にも質問させていただいたんですが、そのときに山谷大臣からも、可及的速やかに行うという御答弁をいただいていますので、是非、可及的速やかに国有財産台帳への登録をお願いしたいと思います。
 そして、最後の質問、もう一問なんですけれども、EEZ、領海を根拠付ける離島のうちに、無主の土地でもなく国有財産でもない、つまり何らかの所有者がいるはずの土地についてなんですけれども、総合海洋政策本部において所有者の把握を進めていると承知をしていますけれども、その進捗状況について伺いたいと思います。
○政府参考人(加藤由起夫君) 御指摘のとおりでございまして、領海の外縁を根拠付けます基線を有します有人離島につきましては、領海の外縁を根拠付けます基線の周辺の土地の所有者状況の調査を進めているところでございます。
 これまで、領海の基線を有する、低潮線を有する地区の所有者につきまして調査を進めてまいりました結果、おおむね半数の地区につきまして公図等に記載があることが確認できているところでございまして、実際の所有者の精査をしてまいります。それから、残りの半数につきましては公図等への記載がございません。このため、地元自治体等と協力をしながら、その所有状況について把握するよう取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○行田邦子君 低潮線周辺の無主の土地につきましては、国有財産化するということは、これ民主党政権のときですけど、平成二十二年七月に閣議決定をしているわけでありますので、政府の方針として、その後の自民党政権でも政府の方針としてこれはもう決まっていることですので、しっかりと実行していただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(金子洋一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海上交通安全法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(金子洋一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金子洋一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会