第192回国会 本会議 第10号
平成二十八年十一月十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十号
  平成二十八年十一月十一日
   午前十時開議
 第一 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資
  源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出
  、衆議院送付)
 第二 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支
  援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出
  、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、環太平洋パートナーシップ協定の締結につ
  いて承認を求めるの件及び環太平洋パートナ
  ーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に
  関する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり


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○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。外務大臣岸田文雄君。
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、平成二十五年七月から、この協定の交渉に参加しました。その結果、本年二月四日にニュージーランドのオークランドにおいて、十二か国の代表者によりこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等、幅広い分野で新たなルールを構築するための法的枠組みについて定めるものであります。
 具体的には、市場アクセスに関し、我が国については農産品の重要五品目を中心に関税撤廃の例外を数多く確保しつつ、我が国の輸出を支える工業製品については、十一か国全体で九九・九%の品目の関税撤廃を実現します。
 また、原産地規則、税関手続、ビジネス関係者の滞在、知的財産、電子商取引等に関するルールの整備等により、中小企業を含めた日本企業の海外展開を促進するものであります。
 この協定の締結により、アジア太平洋地域に自由で公正な一つの経済圏が形成され、世界のGDPの約四割と約八億人の人口から成る巨大市場がつくり出されます。
 また、多様な企業、産業間の連携やイノベーションが促進され、我が国を含めたアジア太平洋地域全体の生産性が向上することが期待されます。
 さらに、この協定には、経済的利益を超えた長期的な戦略上の大きな意義があります。
 我が国の同盟国である米国を始め、価値を共有する国・地域とともに二十一世紀にふさわしい新たな自由、公正で開かれた国際経済システムをつくり上げていくことにより、アジア太平洋地域の国々との関係が一層緊密化し、ひいてはこの地域の平和と安定に大きく寄与するという戦略的価値を有するものであります。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 国務大臣石原伸晃君。
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、環太平洋パートナーシップ協定を締結し、これを実施するため、必要な関係法律の規定の整備を総合的、一体的に行うものです。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、関税暫定措置法等を改正し、原産地手続及びセーフガードに係る手続等の規定の整備を行うこととしております。
 第二に、知的財産の適切な保護を図るため、著作権法等を改正し、著作物等の保護期間の延長等の規定の整備を行うこととしております。
 第三に、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律を改正し、外国にある登録認証機関の監督等の規定の整備を行うこととしております。
 第四に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律を改正し、競争上の問題を合意により解決するための制度に関する規定の整備を行うこととしております。
 第五に、畜産物の価格安定に関する法律等を改正し、牛、豚の生産者に係る経営安定を図るための規定の整備等を行うこととしております。
 第六に、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律を改正し、国際約束により諸外国と相互に農林水産物等の地理的表示を保護できる規定の整備を行うこととしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨です。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福岡資麿君。
   〔福岡資麿君登壇、拍手〕
○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿です。
 自由民主党を代表して、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について質問をいたします。
 安倍総理は、TPPの意義として、我が国の成長戦略の切り札であると同時に、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々が集うという二つを挙げられています。
 我が国の成長戦略の切り札という観点では、TPPは、人口八億人、世界のGDPの四割を占める市場を生み出します。これによって、貿易の円滑化、生産性の向上、実質所得の増加などに大きな効果が期待できます。政府の試算では、我が国の実質GDPを十四兆円増やし、雇用を八十万人増やすという予測になっています。
 これまでアベノミクスの中では金融政策が大きな役割を果たしてきましたが、今後、更に多様な手段が求められる中で、経済連携協定が有力なツールの一つとなることは間違いありません。TPP協定は、我が国の経済成長にとって欠かせない、言わば成長戦略のインフラのような存在になるものだと考えます。
 安倍内閣は、名目GDP六百兆円という目標を掲げています。名目GDP六百兆円という目標におけるTPP協定の意義についてどのようにお考えか、総理の御見解を伺います。
 次に、基本的価値を共有する国々が集うという意義であります。経済効果に比べれば、こちらは数字で表すのが難しい効果ですが、経済効果に勝るとも劣らない重要性を持っています。
 自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値は、様々な文化、宗教、民族が入り交じるグローバル化時代において、国家や民族が平和的に共存するために不可欠の原理です。こうしたルールを共有してこそ、互いを尊重し、紛争を未然に防ぐことができます。共通の価値観を持ち、経済的にも一体となったTPP諸国が、アジア太平洋地域のルール作りを主導し、更に加盟国を拡大していくことによって、このような価値観の普及を促すことができます。
 したがって、TPP協定の成立は現在未加盟の国々に対しても大きな影響を与えるものだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 TPP協定は、署名した十二か国のうち六か国以上、かつ二〇一三年のGDPで八五%以上となる国が批准しなければ発効しません。発効のために重要な鍵を握るのは、最大のGDPを持つ米国であります。
 そのような中、米国の大統領選挙で選出されたトランプ次期大統領は、TPPには反対の姿勢を見せており、選挙期間中に米国はこの協定から脱退すると述べています。オバマ大統領は来年一月までの任期中の議会承認を目指していると伺っていますが、次期大統領がトランプ氏となったことで年内の議会承認は困難だとの見方もあります。このように米国の動向が不透明な中、我が国としても積極的に後押しをしていく必要があり、国会承認を急ぐこともその一環であります。
 そこで、TPP協定の早期発効に向けて、日本政府として今後どのような努力を行っていくお考えでしょうか。総理の御所見を伺います。
 TPP協定において、国内的に最も注目されたのは農業分野であります。交渉の当初は、様々な関係者から懸念の声が上がり、我々自民党としても議論を重ねてまいりました。そして、我が党の決議や国会決議を背景とした政府の粘り強い交渉の結果、いわゆる重要五品目を中心に関税撤廃の例外を確保することができたことは評価に値すると考えます。
 政府は、コストの削減や経営安定対策などで農家の所得や国内生産量は維持されると説明しておられますが、それでも、政府と各地域の間での認識の違い、実際に現場に携わる中で足下の不安を感じている農業者の方々がおられることも事実であります。
 政府においては、引き続き十分な説明と対策を行っていく必要があると考えます。その点について、農林水産大臣に伺います。
 TPP交渉の結果を見ると、我が国の関税撤廃率は九五%でありますが、他の十一か国はいずれも一〇〇%か九九%です。しかも、農林水産品については、我が国は関税を撤廃しない品目が一八%であるのに対し、他の十一か国は対日関税を撤廃しない品目は一・五%です。
 つまり、我が国がこれまで締結した経済連携協定と比べて、非常に高いレベルの完全撤廃を実現しながら、守るべきところは守るというバランスの取れた内容となっています。関税率で見れば、TPPは我が国にとって有利な内容となっていると言えます。この有利な条件を生かして農林水産品や工業製品の更なる輸出促進を図っていくことがTPP発効後の重要課題となります。
 そこで、今後の輸出促進のための方策として、政府としてどのような支援策を行っていくお考えか、総理に伺います。
 TPP協定は、関税以外にも様々な分野の取決めを行っていますが、その中で特に取り上げたいのは知的財産分野です。政府がクールジャパンの推進に一丸となって取り組んでいることからも分かるように、知的財産分野は我が国にとって貴重な成長分野の一つです。
 とりわけ、今回、模倣品、海賊版対策の強化が盛り込まれたことは、我が国企業の持つブランドや技術の保護にとって大きなメリットとなります。現在、中小企業の約二割が模倣品による被害を受けている中、中小・中堅企業を始め優れた技術を持つ我が国企業が安心して海外展開する上で大きな後ろ盾となるものです。
 また、今回、TPP協定に伴う国内法整備として、海賊版などの悪質な著作権侵害について、権利者の告訴が要らない、いわゆる非親告罪とすることが盛り込まれています。
 交渉の開始当初は、非親告罪とする範囲が広過ぎれば同人誌などの創作活動を萎縮させてしまうのではないかといった批判もありました。しかし、結果的にはその範囲がかなり狭くなり、海賊版などの悪質な場合に限ることで、懸念はかなり払拭できたのではないかと考えます。クールジャパンを積極的に海外に展開しながら海賊版対策にも取り組む均衡の取れた内容です。
 そこで、今回のTPP協定に伴う著作権法の改正等の新たな我が国の知的財産戦略によって、どのような効果が期待できるか、総理の御見解を伺います。
 これまでの議論の中で、TPPに関する情報開示が不足しているとの批判が度々聞かれました。これまでの政府の説明を聞くと、可能な限りの情報の提供に努めていると感じますが、TPPの内容を理解する上で必要な情報が提供されているのか、この点について、国民の皆さんに正しい実態を伝えることが重要だと考えます。
 改めて、政府のこれまでの情報提供の在り方について、石原大臣にお伺いします。
 TPP協定は、我が国にとって歴史的な協定であり、日本とEUのEPAや東アジア地域のRCEPなど、メガFTAの先駆けとなる世界的にも重要な協定でありますから、協定の中身についての真剣な議論が必要です。我々参議院は、熟慮の府たる参議院らしく、TPPの協定の中身についての充実した議論を交わすことを強く呼びかけまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福岡資麿議員にお答えをいたします。
 名目GDP六百兆円という目標におけるTPP協定の意義と未加盟の国々に対する影響についてお尋ねがありました。
 TPPは、自由で公正な世界の四割経済圏を生み出し、日本の実質GDPを二・六%押し上げると見込まれています。日本国内の人口減少を乗り越えて、日本経済が中長期的に力強く成長していく基盤となります。日本再興戦略二〇一六に位置付けられているとおり、まさに戦後最大のGDP六百兆円の実現に向けた鍵となる施策であります。
 現在未加盟の国々に対しては、TPP協定の成立は、御指摘のとおり大きな影響を与えると考えられます。大筋合意後、韓国、台湾、インドネシア、タイ等がTPP参加に強い関心を表明しました。TPPは巨大市場の求心力で、各国の経済改革の目標となり、法の支配が及ぶ範囲が拡大していきます。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、更にその輪を広げていくことは、地域を安定させる力となります。
 TPP協定の早期発効に向けた取組についてお尋ねがありました。
 保護主義は、放っておけば蔓延しやすく、各国が自由貿易を推進し続けることによって食い止めなければなりません。我が国がTPP協定を承認し、自由で公正な貿易・投資ルールを牽引する意思を示せば、保護主義の蔓延を食い止める力になります。これは自由貿易の下で経済成長を遂げた我が国の使命であります。
 国会で協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべきとの立法府も含めた我が国の意思が明確になります。我が国が主導することで、早期発効に向けた機運を高めていきます。今後、あらゆる機会を捉えて、米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていきます。
 我が国がTPP協定を承認することは、貿易、投資のルール作りを主導していくという意思を世界に示すことになります。それは、日EU経済連携協定、RCEPなど、米国が参加していない枠組みの交渉も刺激し、加速していけます。これに取り残されまいとする機運を米国の中に高めることができます。今後、これらの交渉を精力的に進めてまいります。日本は受け身で他国の動きを待つのではなく、国益に合致する道を自ら進んでまいります。
 輸出促進についてお尋ねがありました。
 おいしくて安全な日本の農林水産物にとって、TPPは輸出拡大の大きなチャンスであります。このため、輸出一兆円目標を一年前倒しして、平成三十一年の達成を目指すこととするとともに、目標達成に向けて、本年五月に農林水産業の輸出力強化戦略を決定し、民間の意欲的な取組を加速化するため多様な施策を講じております。
 具体的には、需要の掘り起こしに向けたプロモーション、販路開拓のための相談や商談会出展等への支援、物流の高度化への支援、輸出先の輸入規制の緩和、撤廃等、輸出環境の整備等に取り組んでいるところです。また、今回の補正予算でも、輸出基地、輸出対応型施設の整備や国際競争力のある産地の形成などを支援することとしています。
 さらに、TPPにより関税が撤廃されることで工業製品の輸出の拡大も期待されます。また、海外のビジネス環境を改善する様々なルールが規定されていることにより、企業が安心して海外展開に取り組めるようになります。これは、日本の産業の裾野を形成する中堅・中小企業等に大きなメリットをもたらします。
 実際に、TPPの発効を見据えて既に動き出している地方の中小企業等が多数あります。例えば、今年二月に設立した新輸出大国コンソーシアムを通じて、これまで全国津々浦々の二千社を超える中堅・中小企業等に支援を始めております。
 引き続き、政府一体となって農林水産物の輸出一兆円の目標達成に向け全力で取り組むとともに、TPPのメリットを活用して海外展開を図る中堅・中小企業等の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
 TPP協定に対応した知的財産戦略によって期待される効果についてお尋ねがありました。
 TPP協定により各国で著作権や商標の保護が強化され、日本企業のブランドや技術、日本のコンテンツが知的財産侵害から守られます。これは正規品の輸出やライセンスビジネスなどの拡大につながります。
 著作権法の改正を通じて、著作権の侵害が一部非親告罪となることや著作物等の保護期間が延長されることで中長期的な著作権収入が増加し、我が国の文化や関連産業の発展が期待されます。
 今後も、知的財産戦略の推進を通じて、我が国のコンテンツや中小企業の海外展開を後押ししてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
○国務大臣(石原伸晃君) 福岡資麿議員にお答え申し上げます。
 情報提供の在り方についてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、合意内容を正確かつ丁寧に説明することを通じて、国民の懸念や不安を払拭するよう最大限努力をしてまいりました。TPPについて情報開示をほとんど行っていないような指摘をされることもございますので、事実を正確にお伝えしたいと思います。
 昨年十月の大筋合意の後、国会や全国各地でおよそ三百回実施してきた説明会等で、合意内容について情報を全て提供して丁寧に説明をしてまいりました。この過程において、協定内容などに関する各種資料、分野別や中小企業向けの資料など累計で四千ページ以上の資料を内閣官房のホームページに掲載する形で公表しております。
 交渉経緯の情報が一切出ていないとの誤解もございます。交渉中は、情報開示に関して厳しい制約がある中においても、交渉の現状等に関しまして記者ブリーフィング等でできる限り丁寧に説明を行いました。その内容も内閣官房のホームページに掲載する形で公表し、およそ五百ページに及びます。
 このような多岐にわたる公表されたTPP関連情報の中から、国民が個々必要なものに容易にアクセスできるような努力も実は払っております。具体的には、内閣官房ホームページに掲載した資料を事項ごとに整理をいたしまして、またTPPに関するQアンドAを作成、公表いたしました。
 今後とも、国会の御審議に十分応えられるよう、TPP協定の各規定の内容や趣旨、解釈等について丁寧に説明をしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 福岡資麿議員の……(発言する者多し)
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
○国務大臣(山本有二君)(続) 農業分野における十分な説明と対策の実施についてのお尋ねがありました。
 昨年十一月に取りまとめられました総合的なTPP関連政策大綱では、新たな国際環境におきましても生産者が安心して再生産に取り組めますよう、産地パワーアップ事業や畜産クラスター事業などの体質強化対策を集中的に講じるとともに、協定発効に合わせて牛マルキン、豚マルキンの法制化や補填率の引上げなどの経営安定対策の充実等を講じることとしております。さらに、農業者の所得向上を図るため、生産資材価格の引下げや農産物の流通・加工構造の改革などを内容とした競争力強化プログラムを年内を目途に取りまとめることとしております。
 このようなTPP対策につきましては、交渉結果と併せまして、これまでも都道府県や市町村、又は品目別にきめ細かく説明を行ってきたところでございます。今後とも、農家の皆様の不安が解消されますよう、現場の方々への丁寧な説明を実施してまいりたいと考えております。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 浜口誠君。
   〔浜口誠君登壇、拍手〕
○浜口誠君 民進党・新緑風会の浜口誠です。
 私は、会派を代表して、TPP及び関係法律の整備に関する法律案について質問いたします。
 衆議院でTPPが強行採決されました。安倍総理が、結党以来、強行採決をしようと考えたことはないと国会で断言されたにもかかわらず、こうした暴挙に至った政府・与党の傲慢な国会運営に対し、満身の怒りをもって厳重に抗議しなければなりません。
 さて、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利しました。トランプ氏は繰り返しTPP脱退を表明しており、今回の選挙結果でTPPを取り巻く環境は激変しました。TPPが発効しない可能性が極めて高くなった中で、日本だけが何の軌道修正もせず手続を進めていることは、全く理解できません。こうした常識外れの政府の対応は、COP22までパリ協定を批准、発効できなかったことに続く、まさに二度目の外交上の大失態であります。
 今、政府がやるべきことは、速やかに予算委員会を開き、国民や金融マーケットに対し、経済問題や日米関係の今後の展望について政府としての明確なメッセージを発信していくことだと考えます。安倍総理の御見識をお示しください。
 私たち民進党は、綱領にも定めたとおり、市場経済を基本とし、持続可能な経済成長を実現するために、TPPや日中韓FTA、RCEPなどの高いレベルの経済連携により、将来にわたる日本の経済成長を更に推し進めていきたいと考えております。
 TPPは、日本としてこれまで経験のない過去最大級の経済連携協定であり、その対象は、農林水産物や工業製品だけではなく、食の安全、安心、医療、医薬品分野、政府調達、金融、共済、知的財産権など二十四分野にも及び、日本の国益、国民の生活や社会に大きな影響を与えるものであります。
 また、多くの国民が、TPPは非常に複雑で、中身も分かりづらいと感じています。だからこそ国民に十分な情報提供を行い、どのような影響があるのかないのか、メリット、デメリットを分かりやすく説明し、幅広い国民的な議論を通じて、しっかりと時間を掛けて合意形成を図ることが最も重要です。
 しかし、これまでの審議を振り返ったとき、政府の対応は国民に対して正直だったと言えるでしょうか。参加国間での秘密保持契約があるとはいえ、交渉過程が記載された資料がのり弁とやゆされるほどの黒塗り一色であったこと、また、SBS米の調整金に対する調査が不十分かつ曖昧な内容だったことはその典型例であります。これら一連の政府の不誠実な対応に、国民は強い不信感を感じています。国民に正直でなければ、TPPに対する国民の信頼と納得は生まれません。
 総理は、国会審議を通じて国民への説明責任を果たしていきたいと述べられましたが、NHKと共同通信が直近に実施した世論調査では、TPPを今国会で承認すべきかの賛否について、賛成は一九%、反対は一七%に対し、どちらとも言えないとの回答は五二%にも上りました。さらには、約八割がTPPの承認に慎重な審議を求めており、国民の多くはいまだTPPに対する理解が深まっておらず、早期の結論を望んではいないのです。
 政府は、昨年十月の大筋合意後、説明会は三百回以上実施、公表した資料は四千ページにも及ぶと説明していますが、こうした取組は国民の理解と納得が進んでいなければ何の意味もありません。
 私は、労働組合役員時代に賃金制度の見直しなどに取り組んだ経験があります。一企業労使の事例ですが、会社との論議状況や新しい賃金制度の内容などを何度も組合員に説明し、様々な意見もいただきながら、組合員への理解と納得を得るためには一年半を超える時間と議論を要しました。
 翻って、TPPに関する衆議院での議論は約半年であります。他の参加国は、急がず時間を掛けてじっくり議論している状況にもかかわらず、日本だけが、国民の理解や合意形成が不十分な中で、なぜ早期に結論を出すことが必要なのでしょうか。安倍総理、国民に納得のいく必要性を説明してください。
 次に、国内産業に関して、石原大臣に伺います。
 自動車部品の米国への輸出については、一部の部品で関税撤廃までに十年を超える長い期間のものもありますが、八割以上の部品で即時関税撤廃となり、米韓FTAを上回る水準になっていること、また、原産地規則の統一化、労働分野でのILO中核的労働基準の明記、知的財産権の保護、輸入手続の簡素化が全ての参加国で共通化されること、こうした点については率直に評価したいと思います。
 一方、政府は、TPPは中小企業にとっても大きなメリットが及ぶとしていますが、ジェトロの調査によると、FTA利用率は大企業は五〇%を超えていますが、中小企業は三三%程度にとどまっています。中小企業のFTA活用を更に進めていくための具体的な方策をお答えください。
 また、新たに採用される原産地証明の自己証明制度ですが、各事業者が機動的に証明を作成できる利点がある一方で、自己証明作成に慣れていない中小企業が困ることが予想されます。関係書類の作成が中小企業にとって過度な負担とならないような支援や工夫が必要ではないでしょうか。答弁をお願いします。
 また、米国への完成車輸出は、乗用車、キャブシャシーは十四年間関税据置き、二十五年目で撤廃、トラックは二十九年間関税据置き、三十年目に撤廃など、関税撤廃までの期間が非常に長くなっています。自動車産業は、地産地消のスタンスの下、現地生産を拡大していますが、国内の雇用維持のためには、国内販売の活性化と併せ、国内生産は年間一千万台レベルが必要です。昨今、少子化や個人消費の低迷、また、自動車ユーザーに対する自動車関係諸税の重い税負担が続く中で、国内販売は年間五百万台を割り込み、大変厳しい状況です。
 こうした中で乗用車等の関税撤廃までの期間が非常に長くなったことは、輸出台数に影響し、国内の生産台数の確保や雇用維持の観点からは課題を残したと考えます。日EU・EPA、日中韓FTA等では、今回の長い関税撤廃を前提としない、このことを約束してください。答弁をお願いします。
 また、投資家と国との間の紛争解決手続であるISDSについて伺います。
 政府は、これまで結んできた三十三のEPAや投資協定にもISDSは含まれており、日本は一度も提訴されていないこと、提訴までのハードルが上がっていることなどから、懸念はないと説明しています。絶対に日本としてリスクはないのでしょうか。
 二〇一五年末までにISDSに基づく国際仲裁は累計六百九十六件あり、このうち米国企業、投資家が原告となっているものは百三十八件と断トツに多いのも事実です。国会での参考人質疑でも、訴訟大国米国とのISDSに対して懸念する声が多くありました。こうした不安視する意見に対して、石原大臣の御所見をお伺いします。
 次に、農業重要五品目についてお伺いします。
 国会決議では、八項目ある決議の一番目に重要五品目の決議が書かれており、その位置付けの重さが伝わってきます。決議には、重要五品目は、再生産可能となるよう除外、再協議の対象とし、十年を超える段階的な関税撤廃も認めないとなっています。
 この決議は、与野党問わず、農林水産業関係者の強い思いを受けて、まさに魂を込めて作られたものです。この重い国会決議がある中で、重要五品目の五百九十四タリフラインのうち、なぜ百七十タリフラインで関税を撤廃したのか。政府は国会決議は守られたと説明していますが、本当にそうでしょうか。
 例えば、牛肉の輸入急増を防ぐためのセーフガード。政府は現行制度に比べて発動しやすいと答弁していますが、関税が段階的に引き下げられる過程におけるセーフガードの有効性について何ら説明をしていません。さらに、十六年目以降は、四年連続発動がなければセーフガードは廃止され、まさにノーガード状態になります。
 また、畜産農家への経営支援制度、通称マルキンの財源は関税収入ですが、TPPによって牛肉関税収入は約六百八十億円減少すると推計されており、畜産農家は、今後の市場価格の下落に加え、支援金が減少するのではないかとの大きな不安を抱えています。このような状態で、再生産可能を求めた国会決議に反していないと本当に言えますか。安倍総理の明確な答弁を求めます。
 また、SBS米調整金の調査に関してお伺いします。
 農水省の調査では、これまで千七百を超えるSBS米取引の全容が明らかになっていません。さらに、四十二の買受け業者が金銭のやり取りが過去又は現在あると回答しているのに、実需者への販売価格については二業者だけの状況しか把握できていませんが、政府はSBS米の販売価格に影響がなかったと強弁しています。
 この曖昧で不十分な調査内容では、農業関係者を始め、国民のSBS米の調整金に対する不信感を払拭することは全くできません。農水大臣に再調査することを強く求めます。答弁をお願いします。
 次に、医薬品の知的財産保護についてお伺いします。
 TPPでは、医薬品承認のための試験、審査によって特許権による利益を得られなかった期間を勘案し、特許期間の延長を認める特許期間延長制度、新薬のデータ保護期間に係るルールの構築、ジェネリック薬の承認審査時に特許権の侵害を考慮する仕組みである特許リンケージ制度の三つが導入されます。また、医薬品の特許は、成分が同じでも、用法、用量等を変えることで新薬として特許申請するエバーグリーニングによって特許権が延長される可能性もあります。
 こうしたことにより、新薬価格の高止まり、安価なジェネリック薬の普及の遅れが懸念され、国内では患者負担の増加や医療保険財政への影響、さらには新興国等への安価な医薬品普及にも大きな障害になると危惧されています。こうした不安の声に対して、塩崎大臣の御所見をお伺いします。
 次に、食の安全に関してお伺いします。
 食の安全は、国民の健康と生命を守るためには必要不可欠なものです。これまでも、輸入食品に対しては、コーデックス基準など国際的な規格や基準に沿うように残留基準など独自の安全基準を定め、国民の食の安全を確保してきました。一方で、肥育ホルモンや飼料添加物等については、日本での使用は禁止、輸入食品への使用は認めているというダブルスタンダードが存在しています。消費者としては、現状でもこうした落とし穴があることに不安を感じます。
 今後、輸入食品が増加する中、輸入食品に含まれる肥育ホルモン等に対する日本独自の安全基準強化や消費者目線の実効性ある遺伝子組換え等の食品表示の拡大強化が必要と考えますが、TPP発効により食の安全への影響は絶対にないと約束できますか。松本大臣の答弁を求めます。
 最後に、外交交渉において一〇〇、ゼロの交渉結果はあり得ません。だからこそ、私たち民進党は、TPPの全体像や国民へのメリット、デメリット両面を明確にしていきます。
○議長(伊達忠一君) 浜口君、時間が超過しております。簡単に願います。
○浜口誠君(続) そして、総理が国家百年の計と言われている今回のTPPが、将来、我が国と国民に禍根を残すことのないよう、国民目線で徹底的にとことん審議していくことを約束し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 浜口誠議員にお答えをいたします。
 米国大統領選挙の結果を踏まえた取組についてお尋ねがありました。
 トランプ次期政権の方針について現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、日米関係については、外交・安全保障の関係においても経済関係においても基軸となるものであります。世界の経済成長の中心であるアジア太平洋地域の平和と安定に向けて日米同盟を一層強固なものとしていくことは、昨日、トランプ次期大統領とも確認し合ったところであります。
 パリ協定については、政府は、早期発効を重視する立場から、年内発効という目標を掲げるG7伊勢志摩サミットの首脳宣言を議長国として取りまとめ、可能な限り迅速なタイミングでの国会での承認をいただくべく調整した結果、十月十一日に閣議決定を行いました。
 保護主義は放っておけば蔓延しやすく、各国が自由貿易を推進し続けることによって食い止めなければなりません。我が国がTPP協定を承認し、自由で公正な貿易・投資ルールを牽引する意思を示せば、保護主義の蔓延を食い止める力になります。これは、自由貿易の下で経済成長を遂げた我が国の使命でもあります。
 国会で協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべきとの立法府も含めた我が国の意思が明確になります。我が国が主導することで早期発効に向けた機運を高めていきます。
 今後、あらゆる機会を捉えて、米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけてまいります。日本は、受け身で他国の動きを待つのではなく、国益に合致する道を自ら進んでいきます。なお、国会における審議の進め方については国会の御判断に従うべきものと考えております。
 協定についての国民への説明についてお尋ねがありました。
 一部の世論調査において、TPP協定について慎重に審議すべきという回答が多いものがあることは承知していますが、各種世論調査において、協定の今国会での承認について賛成の方が反対より多いという結果が出ていると認識しています。
 昨年十月の大筋合意以降、国民の間に不安や懸念の声があったことから、約三百回実施してきた説明会やこれまでの国会審議の場等で、合意内容に関しては情報を全て提供して丁寧に説明をしてきています。この過程において、政府は合計で約四千ページ以上に及ぶ資料を公表しています。
 TPP交渉は合意された結果が全てであります。いわゆる黒塗りと言われている資料は交渉過程に関するものであって、その内容いかんがTPP協定そのものの是非に影響を与えるものではないと考えています。
 SBS米をめぐる調整金の問題については、SBS入札日の前後の月で、公表されている国産米の相対取引価格はほとんど変動していないことが確認されています。この問題は、制度に対する信頼を損なうことのないよう丁寧に説明していきますが、TPP協定の是非とは別個の問題であります。
 国会における審議の進め方については、国会の御判断に従うべきものと考えています。政府としては、分かりやすく丁寧な説明に努めていきます。その上で、熟議の後に、決めるべきときは決めなければならない、それが民主主義のルールであると考えています。
 重要五品目と国会決議との関係についてお尋ねがありました。
 関税撤廃が原則というTPPの交渉の中で、特に農業分野について国会決議を後ろ盾に粘り強く交渉を行いました。その結果、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を確保しました。また、関税撤廃する百七十のタリフライン、すなわち関税が課せられる品目の単位については、個別に中身をしっかり精査し、国産品との代替性が低いなど品目全体として影響が出ないものを選定いたしました。
 重要五品目の一つである牛肉については、関税撤廃を回避し、十六年目に関税が九%になるという長期の関税削減期間を確保しました。また、アジア地域を中心に我が国以外の牛肉需要が急激に伸びる中、他の牛肉輸入国との買い付け競争が激しくなる可能性も踏まえると、当面牛肉の輸入急増は見込み難いと考えられます。
 その上で、万が一輸入が急増するような事態が生じることに備えて、厳しい交渉の結果、セーフガード措置を獲得しました。これについては、初年度の発動水準が近年の輸入量の約一割増となっており、前年比一七%の牛肉輸入増で発動する現行制度に比べ発動しやすくなっていること、関税削減期間中の発動基準数量が過去最大の牛肉輸入量である七十三・八万トン以下の水準に抑えられていることから、輸入急増を抑制する効果は十分にあると考えています。
 他方、牛肉のセーフガードは、協定発効後十六年目以降、四年連続で発動がなければ廃止されることになります。このため、交渉で得られた措置に加え、総合的なTPP関連政策大綱に基づき、省力化機械の導入によるコスト削減等の肉用牛生産の体質強化対策を推進するとともに、牛マルキンについて法制化した上で補填率を引き上げるなど、セーフティーネットの充実強化を図ることといたしました。これにより、畜産農家が安心して営農を継続できるよう万全を期してまいります。
 また、牛マルキンに必要な財源については、政策大綱に即し、既存の農林水産予算に支障を来さないよう、政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保してまいります。
 交渉結果が国会決議に沿っているものかどうかは最終的には国会で御審議いただくことになりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿っているものと評価していただけると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
○国務大臣(石原伸晃君) 浜口誠議員にお答え申し上げます。
 国内産業への影響などに関するお尋ねが四点ございました。
 第一に、中小企業のFTA活用についてでございます。
 これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中小企業を支援するために、既に、分かりやすいQアンドAや中小企業向けの資料などを用いて全国各地の相談窓口で様々な相談に応じておりますほか、製品開発から販路開拓に至るまで総合的な支援を提供するために、ジェトロなどの支援機関による新輸出大国コンソーシアムを今年二月に設立し、支援を開始しております。これまでに二千社を超える事業者に対する支援を全国津々浦々で開始しております。
 二番目でございますが、原産地の自己証明制度についてです。
 TPP協定で採用された自己証明制度には、各事業者が自らが機動的に証明書を作成できるという利点がございます。そこで、自己証明制度に慣れていない事業者も制度を円滑に利用できるような支援が必要でございます。このため、ユーザーに分かりやすい解説書の作成、事業者向けのセミナーの実施、全国主要都市に常設窓口を設置するなど、事業者の方からの相談に丁寧に応じる体制を整備いたしました。このようなきめ細かい支援を行っております。
 三番目でございますけれども、完成車輸出の関税撤廃についてでございます。
 日本の自動車メーカーは、消費地に近い場所で完成車を生産する地産地消が基本となっております。我が国のメーカーの生産実態を踏まえますと、北米での生産のために日本から輸出する自動車部品の関税を引き下げることに大きな意味があると存じます。実際に、自動車部品の関税は輸出総額の八割以上が即時撤廃となり、御指摘は当たらないものと考えております。
 いずれにいたしましても、いかなる交渉においても、完成車の関税撤廃を含めて、国益にかなう結果を得るべくそれぞれ全力で交渉することは当然であると考えております。
 四点目でございますが、ISDSについてです。
 TPP協定の投資の章、第九章でございますが、そこに規定されておりますISDSの手続は、投資受入れ国が正当な目的のために必要かつ合理的な規制措置を差別的でない形で講ずることを妨げるものではないことが確認をされております。このような態様で、形で行われる我が国の規制措置がISDS手続に基づき提訴されることは考えられませんし、また仮に訴えられたといたしましても、我が国が敗訴するというようなことは想定されておりません。
 むしろ、ISDS手続は、投資家にとって海外の投資先の国におけるビジネスへのリスクが軽減できるツールでございます。投資したビジネスを行う上での予見可能性が確保できますことやその法的安定性が向上することから、我が国企業の海外展開に重要な制度であると認識をしております。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 浜口議員からSBS米に関する調査についてのお尋ねがございました。
 まず、十月七日に公表いたしました調査結果では、事業者ヒアリングの結果、SBS米の買受け業者は、輸入業者から金銭を受け取った場合においても国産米の価格水準を見据えながらSBS米の販売を行っている実態が確認できました。また、関連データの分析では、SBS入札の時期の前後におきまして国産米の価格はほとんど変動していないことが確認されました。
 このように、今回の調査では、廃業者や連絡が付かない者を除く全ての事業者からヒアリングを行うとともに、過去のSBS米の取引実績といった客観的なデータを基に分析を行ったところでございます。したがいまして、再調査をする必要はないものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 浜口誠議員にお答えを申し上げます。
 医薬品の知的財産保護に関する懸念についてお尋ねがございました。
 医薬品の知的財産保護に関して御指摘のありました特許期間延長制度などの三つの制度は、既に我が国の特許制度や医薬品の再審査制度において導入済みのものでございます。また、我が国の特許制度では、成分が同じで用法、用量を変えて新薬として特許申請がなされた場合は、極めて優れた効果などが認められるとき以外は特許として認められないものと承知をしております。
 したがって、TPP協定によって今までよりも我が国の医薬品の特許期間が延長されることや後発医薬品の承認時期が遅れることはないため、新薬の薬価が高止まりしたり、後発医薬品の普及が遅れたりするといった御懸念は当たりません。(拍手)
   〔国務大臣松本純君登壇、拍手〕
○国務大臣(松本純君) 浜口誠議員にお答えいたします。
 TPP協定の発効による食の安全への影響についてお尋ねがありました。
 残留基準や表示義務等、新たな国内基準の設定について、TPP協定におけるルールはWTOと基本的に同じであり、我が国の食品安全を脅かすものではございません。
 今後とも、科学的根拠に基づき、必要な措置を適切に実施をして我が国の食の安全を守るとともに、遺伝子組換え食品の表示を始めとする食品表示制度については、消費者にとって食品を自主的かつ合理的に選択する機会の確保に資する制度となるよう、引き続き消費者への情報提供の充実に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 佐々木さやか君。
   〔佐々木さやか君登壇、拍手〕
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました承認案件及び法律案について質問いたします。
 アメリカ大統領選挙の結果、次期大統領に共和党候補のドナルド・トランプ氏が決まりました。トランプ氏は、これまでの選挙戦においてTPPに反対姿勢を示してきました。そのため、TPP発効が不透明になるのではないかとの見方が広がっています。しかし、世界経済の拡大、発展のため、そして日本の平和と繁栄のためにもTPPは重要であり、そのためにも、政府には、アメリカと緊密な連携を図るとともに対話を重ねていっていただきたいと思います。
 こうした状況の中、日本が早期のTPP承認を行うことにどのような意味があるのかについて、総理の御所見を伺います。
 総務省が先月発表した二〇一五年十月実施の国勢調査の確定値によれば、日本の総人口は調査開始以来初めて減少し、六十五歳以上の人口も全体の四分の一を超えました。日本の市場が成熟し、縮小傾向にあることを考えれば、新たな海外市場の開拓は、日本経済の中長期的な力強い成長のために不可欠と言えます。
 TPPは、世界のGDPの約四割、三千三百兆円というかつてない規模の経済圏をカバーした経済連携であり、これにより人口八億人という巨大市場が創出されます。この巨大な経済圏の成長を取り込み、国内の人口減少を乗り越え、我が国の経済再生、地方創生に直結させていくことが極めて重要です。
 TPPは、物の関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、知的財産、電子商取引、国有企業の規律など、新たな広範にわたる経済活動に関するルールを整備するものとなっています。また、児童労働、強制労働の禁止、環境の保護、中小企業支援などについても規定されているほか、従来の経済連携協定には見られない女性及び経済成長という女性に特化した独立した条項が設けられており、我が国政府が重視する全ての女性が輝く社会や一億総活躍社会が目指すものと軌を一にしているとも言えます。
 こうした幅広い分野で新しい二十一世紀型ルールを構築するTPP協定を我が国が締結する意義について、総理の御所見を伺います。
 TPP協定を締結することで、巨大市場に向けた大きなチャンスが広がります。それを我が国の経済再生、地域の活力に直結させていくためには、日本の産業と雇用の中心的存在である中小企業がそのチャンスを十分に生かすことができる必要があります。
 我が国の製造業を見ても、中堅・中小企業は事業所数の九九%以上、従業員数の八七%、出荷額においても約七五%を占めています。製造業の売上高の約二割が輸出によるものですが、これまでも締結済みのEPAを利用して輸出してきた企業の七割は中小企業です。TPPは、こうした中小企業の更なる海外展開を後押しするものとなっています。繊維、陶磁器など、地方中小企業に関連する品目についても関税撤廃を実現しており、原産地規則における累積ルールの導入、投資、サービスの自由化など、幅広い分野で中小企業にとってメリットがある内容を盛り込んでいます。
 こうしたメリットや活用の方法について中小企業が十分に理解できるよう、分かりやすく周知、説明をしていくことが大切です。更なる広報を行うとともに、中小企業による市場開拓、事業拡大成功率六〇%以上の目標達成に向け、これまでよりも更に充実した総合的な支援を行っていくことが重要ではないでしょうか。TPP担当大臣の答弁を求めます。
 TPPは日本の農林水産業の大きな転換点となります。将来にわたり、国民に安全で高品質な食料を供給するとともに、中山間地域、離島などを含む豊かな農山漁村を維持発展させていくためには、農林水産業の振興が必要です。
 TPPによる農業への影響について、生産者からはいまだ不安の声が根強くあります。食料自給率の向上や農業の多面的機能の重要性からは、TPP協定発効後の経営安定に万全を期し、安心の持てる農林水産施策を進めていくべきです。
 その一つとして、今回の法律案では、TPP協定の実施に合わせ、肉用牛肥育と養豚の経営安定対策の事業、いわゆる牛マルキン、豚マルキンの法制化を行うこととしています。また、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律の改正も併せて提出されていますが、これらの趣旨と期待される効果について、農林水産大臣に伺います。
 TPPを活用し、日本の高品質な農林水産物を世界の消費者に届けることは、それを作る生産者のやりがいと希望に結び付きます。
 これまでも、HACCPやグローバルギャップなど、海外で通用する品質保証を取得して大きく輸出を伸ばしてきた先進的な産地がありました。好事例を広めていくとともに、輸出先国の市場調査を踏まえた全国的な体制を整備していくべきです。
 また、高齢化や担い手不足が問題とされる中で、若者が希望を持って農林水産業に取り組めるようにしていくことが大切です。将来にわたる日本の農林水産業の発展のためにも、新規就農支援、経営力強化、輸出や高付加価値化など、希望の持てる農林水産政策を進めていくべきと考えますが、特にこれからを担う人材の育成をどう行っていくのか、総理の答弁を求めます。
 消費者の側から見ると、TPPは消費の選択肢を増やすものであり、域内の様々な商品を安く手軽に安心して入手することができることになります。TPPによって輸入品が増えたとしても、日本に入ってくるものについてはその安全性をしっかりと確保することが大前提です。また、選択肢が増える分、商品の品質や原産地などについてより分かりやすく情報提供していくことが重要です。
 そこで、TPPにより、食の安全、安心を守る日本の衛生植物検疫措置や食品表示などの制度に変更が生じるのか確認するとともに、加工品の原料原産地表示や遺伝子組換え作物の表示など、消費者への情報提供をどう充実させていくのか、総理の答弁を求めます。
 TPPは、商標、地理的表示、特許、著作権などの知的財産についてもルールを定めています。知的財産権の保護と利用のレベルがこれまで必ずしも高いとは言えなかった域内の国においても、我が国の企業などが権利を生かした事業展開を行う環境が整備されます。
 本法律案では、知的財産について、TPP協定の実施に伴い必要となる改正も盛り込まれています。著作権の保護期間を著作者の死後五十年から七十年に延長する改正については、権利の保護が強化され、我が国の産業にも有益との期待の声がある一方で、権利者不明の孤児著作物等の増加も予想されます。
 TPPを契機として、権利の保護とともに著作物等の利用の一層の円滑化を図り、我が国の文化の発展、イノベーションの創出に結び付く知的財産の活用を進めていくためにも、孤児著作物等の円滑な利用をどう確保するのか、文部科学大臣の答弁を求めます。
 最後に、政府においては、以上に述べたようなTPPのメリットを国民に分かりやすく伝えるとともに、不安の声には引き続き丁寧な対応を行い、着実に国内対策を実行していくことを求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐々木さやか議員にお答えをいたします。
 TPP協定の早期承認の意義についてお尋ねがありました。
 保護主義は放っておけば蔓延しやすく、各国が自由貿易を推進し続けることによって食い止めなければなりません。我が国がTPP協定を承認し、自由で公正な貿易・投資ルールを牽引する意思を示せば、保護主義の蔓延を食い止める力になります。これは、自由貿易の下で経済成長を遂げた我が国の使命でもあります。
 国会で協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべきとの立法府も含めた我が国の意思が明確になります。我が国が主導することで、早期発効に向けた機運を高めていきます。今後、あらゆる機会を捉えて、米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけてまいります。
 我が国がTPP協定を承認することは、貿易、投資のルール作りを主導していくという意思を世界に示すことになります。それは、日EU経済連携協定、RCEPなど、米国が参加していない枠組みの交渉も刺激し、加速します。これに取り残されまいとする機運を米国の中に高めることができると考えます。
 二十一世紀型ルールを構築するTPP協定締結の意義についてお尋ねがありました。
 TPPは、自由で公正な世界の四割経済圏を生み出します。日本経済が国内の人口減少を乗り越えて、中長期的に力強く成長していく基礎となります。
 TPPは、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々とともに、新たな自由、公正で開かれた国際経済システムをつくり上げ、経済面での法の支配を抜本的に強化するものであります。御指摘のように、児童労働に関する規律や女性の活躍が経済開発に寄与することを認め、それに向けた各国の協力を促す条項が設けられるなど、これまでの経済連携協定に比べ、広範かつ高いレベルのルールを定めています。
 TPPによって新たに作られるルールは、TPPにとどまらず、日EU経済連携協定、RCEPなどにおけるモデルとなります。幅広い分野で新しい二十一世紀型ルールを構築するTPP協定を締結することは、我が国が自由で公正な貿易・投資ルールを牽引する意思を世界に示すことになります。
 希望の持てる農林水産政策についてお尋ねがありました。
 我が国の農業については、農業従事者の平均年齢が六十六歳を超えているなど、その活性化は待ったなしの課題であります。安倍内閣では、農業の成長産業化の実現に向け、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。これにより、四十代以下の新規就農者が年間二万人を超え、この九年間で最も多くなりました。
 そしてTPP、アジア太平洋に巨大な経済圏が生まれることは、日本の農林水産業にとって大きなチャンスです。おいしくて安全な農林水産物の輸出を始め、このチャンスを生かそうとする意欲のある農林漁業者の取組を、あらゆる政策を動員して力強く後押ししてまいります。
 総合的なTPP関連政策大綱に基づき、攻めの農林水産業への転換に必要な体質強化策を講じてまいります。具体的には、HACCPやグローバルギャップなどの国際的な認証取得の推進、輸出先のニーズを把握、開拓し、国内産地に迅速につなげる輸出サポート体制の構築、六次産業化の推進による付加価値の向上などに取り組んでまいります。
 さらに、人材の育成については、青年就農者に対する給付金の給付や青年を雇用する農業法人への支援に加え、農業者が体系的に経営を学ぶことができる場である農業経営塾の充実について、与党とも連携して検討を進めております。
 これらの施策を総合的に展開し、若者が希望を持って取り組める農林水産業を実現してまいります。夢や情熱を持って農林水産業の未来に挑戦する方々を全力で応援してまいります。
 食品安全についてお尋ねがありました。
 消費者の健康を守るため、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されたものでなければ流通は許されません。これは食品行政上の大原則であり、今後もこの原則を堅持してまいります。
 TPP協定により、食の安全、安心を守る我が国の衛生植物検疫措置や食品表示などの制度に変更が生じることはありません。食品表示制度については、原料原産地表示を全ての加工食品に導入し、実行可能な表示方法の仕組みを整備する検討を進めており、遺伝子組換え食品の表示については制度の見直しに必要な調査を実施しています。
 消費者にとって食品を自主的かつ合理的に選択する機会の確保に資する制度となるよう、引き続き消費者への情報提供の充実に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
○国務大臣(石原伸晃君) 佐々木さやか議員にお答えを申し上げます。
 中小企業に対する支援についてのお尋ねがございました。
 TPP協定は、世界のGDPのおよそ四割、人口八億人という巨大市場をつくり出し、自由で公正な共通のルールに基づく一つの経済圏を構築いたします。これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中小企業にとっても、オープンな世界へ果敢に踏み出す大きなチャンスがもたらされると認識をしております。
 こうした中堅・中小企業を支援するために、既に分かりやすいQアンドA、中小企業向けの資料などを用いて、全国各地の相談窓口で様々な相談に応じているほか、製品開発から販路の開拓に至るまで、総合的な支援を提供するためのジェトロなどの支援機関によります新輸出大国コンソーシアムを今年の二月に設立をいたしました。
 実際、TPPの発効を見据えて既に多くの中小企業が動き出していると思います。新輸出大国コンソーシアムにおいては、これまで二千社を超える事業者に対する支援を全国津々浦々で開始をしております。また、TPPは、輸出する大企業や中小企業だけではなく、そこから受注を受けております中小企業にもメリットがありますので、そうした動きも支援していくことが重要であると考えております。
 今後とも、総合的なTPP関連政策大綱で示した各種政策を一層進め、政府一丸となって、中小企業がTPPのメリットを活用できるよう支援してまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 佐々木議員の御質問にお答えいたします。
 TPP協定の実施に伴う畜産物や砂糖に関する法改正の趣旨と効果についてお尋ねがありました。
 牛肉及び豚肉につきましては、TPP協定の発効によって仮に国内産牛肉や豚肉価格の低下が生じた場合にも、経営の安定を図る観点から、現行、予算事業として実施している牛・豚マルキンにつきまして、畜産物の価格安定に関する法律を改正し、法制化した上で、農林水産省令で補填割合を八割から九割に引き上げるとともに、豚マルキンの国庫負担水準を、国一、生産者一から、国三、生産者一に引き上げることとしております。
 また、砂糖につきましては、今般のTPP協定により、糖価調整制度は現行どおり維持できたものの、加糖調製品について関税割当てを新たに設定したことで競合する砂糖の輸入量が減少して、輸入糖からの調整金収入の減少をもたらし、生産者に対する支援に影響が生じることが懸念されることから、加糖調製品につきましても調整金の対象といたしまして、これを財源として国内で生産される砂糖の価格を引き下げることによりまして、競争力を強化し、糖価調整制度を安定的なものとするために、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律を改正することとしております。
 これらの措置を講ずることによりまして、TPP協定の影響による生産者の懸念を払拭し、生産者が安心して再生産に取り組んでいただけるものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
○国務大臣(松野博一君) 佐々木議員から、権利者不明著作物の円滑な利用についてお尋ねがありました。
 TPP協定による権利保護の強化に加えて、権利者不明著作物を含めた著作物等の利用円滑化を図ることは、我が国の文化の発展のため重要な課題であると認識をしております。
 権利者不明の著作物については、著作権法による裁定制度があり、権利者を捜索しても連絡が取れない場合には、文化庁長官の裁定を受けて補償金を供託することにより、適法に著作物を利用することができます。
 これまで、この裁定制度については、より簡便に裁定を受けられるよう、権利者捜索に係る要件を緩和するなどの改善を行ってまいりました。さらに、今年度は、権利者団体の協力を得て権利者の捜索に係る負担を軽減する方策や、補償金の供託義務の見直しについて検討を行っています。
 今後とも、裁定制度の改善を通じて、権利者不明著作物の円滑な利用の確保に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
 日本共産党を代表し、環太平洋パートナーシップ協定及び関連法案について、安倍総理に質問いたします。
 TPP協定と関連法案は、衆院の特別委員会において強行採決が行われました。国会審議を損なわせた最大の要因は、言うまでもなく山本農水大臣による二度にわたる暴言でしたが、政府・与党はその打開策を示さないまま、昨日、衆院の強行突破に走りました。その暴挙に対し、怒りを込めて抗議するものです。
 しかも、その採決は、アメリカ大統領選挙においてトランプ氏の当選が決まった下で行われました。トランプ氏はTPPについて、最悪の協定だ、大統領の就任初日に離脱すると表明してきました。共和党の議会指導部はTPPについて、年内の議会には提出しないと表明しました。アメリカ抜きにTPPは発効しません。他の参加国もTPPの国内承認手続を見合わせる動きになっています。
 安倍内閣は、アメリカの批准を後押しするためとか、日本がTPPをリードするためなどと言い、国会審議を急いできましたが、今や当のアメリカが離脱の方向に動いているのですから、審議を進める前提が崩れているのではありませんか。
 私たちはTPP承認案、関連法案を廃案にすべきという立場ですが、少なくとも、政府・与党としてもトランプ政権のTPPに対する方針を見極めることを最優先すべきではありませんか。
 TPP反対はトランプ氏の個人的見解ではなく、クリントン候補も反対を表明していたように、アメリカ国民の多数の声です。その背景には、一九九四年に発効したアメリカ、カナダ、メキシコの三か国間の自由貿易協定である北米自由貿易協定、NAFTAによる苦い経験があるのです。
 ニューヨーク市長のビル・デブラシオさんは、TPPに反対する理由を、NAFTAがどれだけひどいものだったか見てきているからだ、アメリカの百万単位で雇用が失われ、ここニューヨークでも何万という職が海外に持っていかれた、同じ過ちを繰り返してはならないと言っています。
 EU、欧州連合とアメリカの自由貿易協定で、欧米版のTPPと言われる環大西洋貿易投資連携協定、TTIPも、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーなどの国民の反対によって交渉が暗礁に乗り上げています。多国籍企業の利益のために農業が破壊され、食の安全、環境、雇用が脅かされるという懸念が増大しました。ISDSによる各国の経済主権の侵害も心配されています。
 総理や官房長官は、各国の自由貿易反対の動きに対し保護主義だとレッテルを貼ってきました。ところが、今の自由貿易は、九〇年代までの自由貿易とは違い、グローバル化が進展する下で多国籍企業のもうけを最大化するための自由貿易となっています。各国で格差と貧困を広げ、国民の利害を損なっています。自由貿易を取るのか保護主義を取るのかという単純な話ではなく、多国籍企業の横暴から各国の国民の命と暮らしを守る重大な闘いになっているのです。だから、アメリカでもヨーロッパでも日本でも大きな国民の反対運動が起きているのではないですか。総理の認識を伺います。
 各国でも日本でも国民の反発が広がっている自由貿易協定、TPPを成長戦略の要として掲げること自体おかしいのではありませんか。
 その内容は、国民の暮らしと健康、地域経済に深刻な影響を与えるものであることが明らかです。
 まず、農業分野です。農産物の重要五項目について関税撤廃の対象から除外する規定がありません。重要五項目のうち三割で関税が撤廃され、残り七割も無傷なものはないことを政府は認めました。日本は農産物輸出大国との間で、アクセス数量を増やすために再協議をすること、漸進的に関税を撤廃することを受け入れました。これでは、重要農産物の聖域確保を優先し、それができない場合は撤退も辞さないという衆参農林水産委員会の決議に反しているのは明らかではありませんか。
 農林漁業への影響試算の根拠は破綻しました。それを象徴する問題がSBS輸入米の不正取引です。輸入業者が卸業者に調整金を払うことで国産米よりも大幅に安く売られていた疑惑です。農水省が国産米に影響はないと都合よく結論付けた調査は、ずさん極まりないものでした。総理、あなたは、SBS輸入米は国家貿易だから国産米の価格に影響を与えることはないと説明してきました。しかし、その前提が崩れました。政府の影響試算はやり直すべきではありませんか。
 食の安全、安心に対する不安は募るばかりです。総理は、食の安全について制度の変更は求められていないと言います。しかし、問わなければならないのは、まともな説明もなく一貫して規制緩和を続けてきたことです。BSEへの懸念があるのに、輸入できる月齢を二十か月齢から三十か月齢に緩めました。日本でポストハーベスト農薬は禁止されているのに、食品添加物に名前を変えて容認しています。こういう姿勢を取ってきた政府に食の安全を守る毅然たる態度は望めません。見解を求めます。
 医療、医薬品分野での影響は深刻です。薬価を決める審議過程に、透明性、公平性の名で外国企業が口出しできる仕組みがつくられました。米国製薬企業の言い値で高い薬価が押し付けられるのではありませんか。また、日米二国間の交換文書で、将来の保険医療制度について協議することを受け入れました。国民皆保険制度が壊され、空洞化する危険がないと言い切れますか。
 しかも、外国企業に政府を訴える権利まで与えています。ISDS条項は、国の主権が脅かされる重大な条項です。仲裁人は多国籍企業で働く弁護士が多く、判決は強制力を伴います。国民の命より外国企業の投資が守られる結果になるのではありませんか。
 加えて重大なことは、TPP委員会と各種委員会が設置され、貿易や投資を拡大する仕組みとなっています。協定の三年以内の見直し、その後、遅くとも五年ごとに見直すとしています。歯止めなき協定です。政府は、国内の制度は変更を迫られないなどと言っていますが、TPPの原則は関税と非関税障壁の撤廃であり、政府の言い分は何の保証にもならないのではありませんか。
 このように、TPP協定には、経済主権と国民主権を侵害する内容が幾重にも盛り込まれています。それゆえ、諸国民の反対の声が高まっているのです。各国の経済主権を尊重しながら、民主的で秩序ある経済の発展を目指す、平等、互恵の貿易と投資のルール作りこそ、今世界で求められている流れです。TPPをやめさせることが、その新しい地平を開くものです。
 日本共産党は、そのために全力を挙げることを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 紙智子議員にお答えをいたします。
 米国大統領選挙後の状況とTPP協定への取組についてお尋ねがありました。
 米国のトランプ次期政権の方針について、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。
 大企業のみならず中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出していくためにこそ、適正なルールにのっとった自由貿易体制を維持発展させていくことが重要です。我が国がTPP協定を承認し、自由で公正な貿易・投資ルールを牽引する意思を示せば、保護主義の蔓延を食い止める力になります。これは、自由貿易の下で経済成長を遂げた我が国の使命だと考えています。
 TPPに対しては、多国籍企業のみを利するとの誤解があります。しかし、TPPの新しいルールによって大きな恩恵を受けるのは、これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中小企業や農業者であります。
 TPPのメリットは直接輸出する企業にしか及ばないのではなく、輸出企業と取引のある企業、そこで働く人々にも広く及んでいきます。安倍政権は、輸出拡大を通じて得た大企業の収益が全国の津々浦々の下請の中小企業の収益として波及するよう国内の取引慣行の適正化に取り組んでおり、引き続き進めていきます。各企業における賃上げも引き続き働きかけてまいります。
 安倍政権は、TPPを成長戦略の要として推進してきました。国会で協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべきとの立法府も含めた我が国の意思が明確になります。それは、日EU経済連携協定、RCEPなど、米国が参加していない枠組みの交渉も刺激し、加速します。これに残されまいとする機運を米国の中に高めることができます。
 今後、あらゆる機会を捉えて米国及び他の署名国に国内手続の早期完了を働きかけるとともに、他の経済連携協定の交渉を精力的に進めます。日本は、受け身で他国の動きを待つのではなく、国益に合致する道を自ら進んでまいります。
 農産物の重要品目と国会決議についてお尋ねがありました。
 TPP交渉では、他の交渉参加国から関税を撤廃すべしとの強硬な主張が延々と繰り返される中、全ての物品を交渉のテーブルにのせた上で、国会決議を背景に粘り強く交渉を行い、重要品目について、関税撤廃の例外をしっかり確保するとともに、国家貿易制度の堅持やセーフガード等の有効な措置を獲得しました。
 それでもなお残る農業者の方々の不安を受け止め、昨年十一月、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、必要な対策を講じてきています。重要品目が確実に再生産可能となるよう、交渉で獲得した措置と併せて、引き続き万全の措置を講じていきます。
 無傷なものはないとの指摘については、一つの品目に関税割当ての枠内と枠外の複数のタリフラインが設定されている場合、双方共に変更を加えなかった品目がないため、守り切れた品目は一つもないとの御主張と理解しています。しかしながら、政府としては、そのような機械的な基準でその品目を守ったかどうかを判断することは適当でないと考えています。例えば、枠外の高関税率を維持するために枠内の輸入枠を増やすなど、国内生産に影響を与える重要なタリフラインに影響が出ないよう措置しており、品目全体として影響が出ないようにしています。
 将来の市場アクセス増大のための再協議の条項があることは、経済連携協定においては一般的なことです。附属書の再協議規定は、関税率表を一方的に変えさせるような特別の義務を日本に負わせるものではなく、むしろ七年目まで再協議に応じる必要はないことを意味します。仮に再協議を求められても、あくまで我が国の判断として、日本に不利な合意をする必要は全くないと考えます。
 漸進的に関税を撤廃するとの規定については、関税を撤廃すると合意した品目についての関税率表の根拠を定めたものであります。この協定に別段の定めがある場合を除くとされており、交渉の結果、関税撤廃の例外を獲得した重要品目については例外として扱われます。
 交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは最終的に国会で御審議いただくことになりますが、政府としては、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えています。
 TPPの影響試算についてお尋ねがありました。
 TPP交渉においては、米が我が国最大のセンシティブ品目であることを踏まえ、国会決議を後ろ盾にぎりぎりの交渉を行ったところです。その結果、国家貿易制度の維持など多くの例外措置を獲得することができたことから、輸入の大幅な増大は見込み難いと考えています。
 また、新たに設定される米国、豪州向けのSBSの国別枠において輸入される米については、輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れることにしています。これにより、国内で流通する米の総量管理をしっかりと行い、国内の需給及び価格に与える影響を遮断することとしています。TPP影響試算はこのことを前提としたものであり、ここに影響がない以上、やり直す必要はないものと考えています。
 なお、今回のSBS米に関する農林水産省の調査では、廃業者や連絡が付かない者を除く全ての事業者からヒアリングを行うとともに、関連データの分析では、SBS入札の時期の前後において国産米の価格はほとんど変動していないことが確認されており、SBS米が国産米の価格に影響を与えていることを示す事実は確認されておりません。
 食の安全についてのお尋ねがありました。
 TPP協定により、食の安全、安心を守る我が国の動植物検疫措置や食品表示などの制度に変更が生じることはありません。BSE対策の見直しや収穫後に使用される防カビ剤についての食品添加物としての指定は、いずれも国際基準や食品安全委員会による科学的評価等の手続を経て安全を確保するという我が国の制度に基づき対応しているものであり、食の安全は確保されています。
 消費者の健康を守るため、国産品であれ輸入品であれ、安全性が確保されたものでなければ流通は許されません。これは、食品行政上の大原則であり、今後もこの原則を堅持してまいります。
 薬価や国民皆保険への影響についてお尋ねがありました。
 TPP協定においては、我が国の公的医療保険制度の在り方そのものについて変更を求める内容は含まれていません。TPP協定の医薬品等に関する附属書においては、申請者に意見提出の機会を与えることが規定されていますが、これは我が国の薬価の決定手続と同様、手続の公正な実施を確保するためであり、意見の反映を確約するものではありません。したがって、TPP協定によって米国製薬企業の言い値で高い薬価が押し付けられるという御懸念は当たりません。
 御指摘の交換文書においては、医薬品等に関する附属書に関するあらゆる事項について協議する用意がある旨を確認しています。これは、米国政府の意見を受け入れることを約束するものではありません。
 我が国は、これまでも医薬品等について米国を始め各国との協議に誠実に対応してきており、実質的に新たな義務を負うものではありません。TPP協定により国民皆保険が壊され空洞化する危険はありません。今後とも、日本が誇る国民皆保険制度を堅持し、しっかりと次世代に引き渡していきたいと思います。
 ISDS条項についてお尋ねがありました。
 ISDS手続は、我が国の海外進出企業を守ってきたこれまでの経済連携協定や投資協定のISDS制度と同様、投資受入れ国政府に外国投資家の利益を不当に侵害させないという抑止効果を持つと理解しております。
 TPP協定の投資章では、投資受入れ国が公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることが妨げられないこととされており、我が国が敗訴することは想定されません。我が国の主権が脅かされるとの指摘も当たりません。(発言する者あり)
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) TPP協定における仲裁廷は、申立人である投資家と被申立人である国がそれぞれ任命する各一人の仲裁人と、これら紛争当事者の合意により任命されて仲裁廷の長となる第三の仲裁人から成る三人の仲裁人により構成されることになっています。そのため、企業寄りの弁護士だけが選定されて国側に一方的に不利な判断が下されるとの懸念は当たりません。
 TPP委員会などによる協定の見直しについてのお尋ねがありました。
 TPP委員会を含め各章が定める小委員会等の全ての決定は、いずれの国からも反対がないことが条件となるので、日本が反対するような内容が決定されることはありません。協定発効後の一般的な見直しについては、TPPに限らず、我が国が締結した多くの経済連携協定にも含まれております。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇、拍手〕
○儀間光男君 日本維新の会の儀間光男です。
 我が党を代表いたしまして、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法案について質問をいたします。
 まず、本国会の混乱の主因となりました山本農林水産大臣の発言について伺います。
 この発言は、自民党議員の紹介で様々な既得権を持つ農業団体に農林水産省が何らかの便宜を与え得ることをほのめかしたものでありました。これはまさに利益誘導と言ってもよい言動で、現職の農林水産大臣の発言として言語道断であります。そこで、任命責任者としての総理の御見解をいただきます。
 我々日本維新の会は、結党時より、しがらみのない立場から、既得権益を打破することを掲げてまいりました。まさに、農業部門においても既得権を打破し、新規参入を促すことで我が国の農業を活性化すべきだと考えており、このため、株式会社の農地所有を解禁する法案を去る十月十二日、参議院に提出したところであります。
 総理に伺いますが、安倍内閣は、農業分野における既得権を保護していくのか、それとも、既得権を放棄させ市場競争を促進していくのか、基本的な御認識をお示しください。
 TPP協定に関する衆議院での審議では、交渉過程や再交渉の有無等、協定の内容以外の事項にも多くの時間が取られ、また、協定内容については、農業に関する分野にほとんどの時間が割かれ、内容は国内農業保護に視点を置いた実に内向きの議論が多数を占めました。
 もっとも、中山間地域の農業や小規模農業等、構造的に国際市場などに参入に厳しい農家にとっては、国土保全等多面的な役割を担うことに鑑み、新たな農政を手当てすることもまた大事なことであります。
 最近の共同通信社の世論調査を見ますと、TPP協定の承認は今国会でなくともよいという意見が六六・五%と、前回の調査より低いものの、慎重審議を求める声がいまだ多くあります。これは内閣の説明や国会での議論が国民の理解に至っていない現れではないでしょうか。
 安倍総理に伺います。
 TPP協定に関する政府の説明や国会でのこれまでの議論は、本議案に対し国民の理解を得るのに十分であったか、足りないものがあったとすれば何か、御認識を伺いたいと思います。あわせて、TPP協定が発効後、その効果について国会へ定期的な報告を行う等、事後的な説明についても万全を期すべきではないかと考えますが、御認識をお示しください。
 また、衆議院の附帯決議では、我が党の主張によって、農業改革を更に進めることや中小企業の競争力を強化する等が盛り込まれました。TPP協定では、あらゆる分野にわたって自由で公正なルールを定めることで、中小企業や農家が輸出のチャンスを大幅に増やせることが期待されております。
 ここで、総理に伺います。
 衆議院の附帯決議では、攻めの農林水産業への転換に向けて、農林水産業の体質強化と競争環境の整備等の対策を講ずることとの項目が掲げられております。我が党の理解では、この趣旨は、株式会社の農地所有の解禁や独占禁止法等の適用範囲の拡大により、農業に公正で自由な競争秩序を導入することと理解をしておりますが、安倍内閣も同じ認識でしょうか。確認をさせていただきます。
 この点に関連し、衆議院において我が党の小沢鋭仁議員が、農協への独占禁止法の適用除外について質問をいたしました。その趣旨は、農協がかつての小規模な協同組合の時代は適用除外にも意味があったものの、現在の全農は巨大産業であり、独占禁止法が適用されないのは問題ではないかというものでありました。これに対する総理のお答えは、農協が小規模の事業者による組織である実態から、組合による共同販売や共同購入は引き続き適用除外とすべきであるというものでありました。
 改めて安倍総理に伺いますが、現在の農協は本当に小規模の事業者の相互扶助組織と言えるのでしょうか。現在、農協は正組合員である農業者以外の准組合員が多数を占めております。もはや事業者組合でさえないとも言われておるのであります。その上、自民党によるプロジェクトチームの調査にもあったように、同じ商品であっても二倍近く価格差があるなど、現在の農協は高い手数料を上乗せして農家に物品を売っているのではないかとの批判も絶えません。
 農協は中小規模の農業従事者を保護するという本来の目的から逸脱した存在となっていないか、再度御認識をお示しいただきたいと思います。
 さらに、衆議院の附帯決議では、輸出の拡大に向け、国内産業の競争力強化対策を講ずること、特に、中小企業・小規模事業者のための相談支援体制に万全を期すこととの項目も掲げられております。TPP協定のメリットとして政府が強調してきたのが、日本企業が複数国にまたがって財やサービスの供給、調達を行って輸出を伸ばしやすくすることでありました。
 総理に伺いますが、TPP協定の第二十四章は特に中小企業について言及をしております。そこには、各締約国は、小委員会を設置して中小企業が本協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定すると規定されておりますが、衆議院の附帯決議は、この規定への政府の対応が不十分ではないかとの懸念もあって付されたものと理解をいたしております。TPP協定二十四章の求める小委員会とはどのようなものなのか、そして中小企業支援方法は具体的には何か、どのようなスケジュールで実施をされるのか、伺いたいと思います。
 TPP協定は、外交や安全保障上も重要な意味を持ちます。最近では、アメリカにおいてもTPP反対の声が高まり、次期政権を担う大統領選挙では両候補者とも反対を掲げておりました。このようなときだからこそ、島国の我が日本がTPP協定において自由貿易体制を構築する姿勢を明確にし、世界経済の成長に向けてリーダーシップを発揮すべきであると考えますが、安倍総理の御認識をいただきます。
 また、安全保障上も、アジア太平洋地域での貿易、投資等のルールを率先して構築することは、地域の安定に資する非常に重要なことだと考えます。その点につき、近隣諸国との協力関係を今後どのように推し進めるのか、安倍総理の御認識をお示しください。
 最後に、法律等の議案に関する採決の在り方について述べさせていただきます。
 我が日本維新の会は、国家国民のためにより良い政策を実現することを第一に掲げ、国会において審議を尽くし、対立する議案に関しては対案を示すなど建設的な議論を行い、採決にもしっかりと出席をして態度表明を明確にいたします。
 こうした責任ある態度を今後とも取っていくことを国民の皆様にお約束をいたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
 御清聴、誠にもってありがとうございました。ニフェーデービル。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 儀間光男議員にお答えをいたします。
 山本農林水産大臣の発言についてお尋ねがありました。
 十一月一日の山本農林水産大臣の発言については、同日のうちに、官房長官から山本大臣に対し、発言に気を付けるように、そして緊張感を持って国会に当たるよう改めて厳重に注意を行いました。山本大臣は、十一月四日の衆議院TPP特別委員会の冒頭で、この発言を反省し、撤回の上、おわび申し上げたところであります。
 組閣に当たって適材を適所の閣僚に任命し国政を前進させる責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。その上で、山本大臣には、今回の発言を真摯に反省し、安倍内閣の一員として職責を果たしていただきたいと考えております。
 農業への新規参入についてお尋ねがありました。
 まず、日本維新の会が議員立法に積極的に取り組まれていることに対し、敬意を表したいと思います。
 安倍内閣においては、農業の成長産業化を実現するため、農政全般にわたる抜本的な改革を進めています。特に、農地を所有できる法人については、販売や加工への進出といった第六次産業化等を行いやすくするため、企業も含め、農業関係者以外の者の総議決権を四分の一以下から二分の一未満に引き上げる等の大幅な見直しを行い、本年四月から実行に移したところです。
 さらに、九月一日に施行された改正国家戦略特別区域法に基づき、兵庫県養父市において、企業に農地の所有を認める試験的な事業を行うこととしており、去る十一月九日には、同市において農地の所有を認める企業を認定したところであります。これらの改革の狙いを現場に丁寧に説明しながら、農業への新規参入を更に進めてまいります。
 TPPに関する政府の説明についてのお尋ねがありました。
 一部の世論調査において、TPP協定について慎重に審議すべきとの回答が多いものがあることは承知していますが、各種世論調査において、協定の今国会での承認について賛成の方が反対より多いという結果が出ていると認識しています。
 TPP交渉は合意された結果が全てです。それは全て公開しています。大筋合意後、国会や全国で約三百回実施してきた説明会等で丁寧に説明してきています。この過程において、政府は、協定の内容等に関する計約四千ページ以上に及ぶ資料を公表しています。また、通常国会が始まった本年一月以降は、国会議員の方々からの資料要求等にも真摯に対応しており、議員に提出した資料は約千七百ページに上ります。これらは全てホームページにも掲載しています。
 大筋合意前の交渉経緯に関する情報が一切出ていないとの誤解もあります。TPPの交渉中は、情報開示に関して厳しい制約がある中においても、交渉の現状等に関して記者ブリーフィング等で制約の範囲内でできる限り丁寧に説明を行っており、その内容も公表し、約五百ページに及びます。
 今後とも、国会審議の場も含め、TPP協定の内容や発効後の効果について引き続き丁寧に説明してまいります。
 農協についてお尋ねがありました。
 衆議院TPP特別委員会の附帯決議にもあるとおり、農林水産業の体質強化等により攻めの農林水産業への転換を図っていくことは極めて重要な課題であると考えています。このため、安倍内閣においては、農業の成長産業化を実現するため、六十年ぶりの農協改革、農地を所有できる法人の要件の見直しなど、農政全般にわたる抜本的な改革に取り組んでいるところです。
 独占禁止法については、農協は、依然として小規模事業者による組織である等の実態から、組合による共同販売や共同購入といった行為を引き続き適用除外としております。農協は、このことを踏まえ、常に農業者の協同組織であるという原点に立ち返って、農業者を引っ張っていく組織であることが重要であり、自己改革をしっかりと進めていただきたいと思います。
 特に、全農の改革については、農業者が自由に経営できる環境と生産資材、流通加工を担う業界全体の効率化や再編を進める上で、大変重要です。全農改革は農業の構造改革の試金石です。肥料や飼料を一円でも安く仕入れ、農産物を一円でも高く買ってもらうために努力する、そういう農家の皆さんの先頭に立って引っ張っていくため、新しい組織に生まれ変わるつもりで、その事業方式、組織体制を刷新していただきたいと考えています。
 政府としては、引き続き、農協改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていく決意であります。
 TPP協定第二十四章が求める小委員会についてのお尋ねがありました。
 TPP協定第二十四章では、中小企業小委員会を設け、締約国の中小企業が本協定による商業上の機会を利用することを支援する方法を特定すること、中小企業の輸出者を支援するため、各締約国の経験や慣行に関する情報を交換し、討議することを規定しています。小委員会は、協定発効後一年以内に会合を開催し、その後は必要に応じて会合を持ちます。
 我が国は、TPPの合意内容及び活用策について、これまでウエブサイトでの情報提供に加え、経済産業局、ジェトロ、中小機構の六十五か所の拠点に相談窓口を設置するとともに、全国各地で三百回以上の説明会を開催することにより、幅広く丁寧な情報提供を行ってきています。
 TPPの発効を見据えて既に動き出している中小企業等が多数あります。こうした中小企業を支援するため、今年二月には新輸出大国コンソーシアムを設立し、これまで全国津々浦々の二千社を超える中小企業の支援を始めています。
 引き続き、TPPのメリットを活用して海外展開を図る中小企業の支援に全力を挙げて取り組み、発効後は中小企業小委員会における締約国間の議論に積極的に参画していきます。
 世界経済の成長に向けてのリーダーシップと近隣諸国との協力関係についてお尋ねがありました。
 戦後、自由貿易の下で経済成長を遂げてきた我が国こそが、世界の自由で公正な貿易、投資のルール作りを主導しなければならないと確信しています。TPPはその中核であり、自由で公正な世界の四割経済圏を新たに生み出すものです。TPPによって新たに作られるルールは、今後の経済連携協定のモデルとなり得るものであり、参加を希望する国や地域も相次いでいます。基本的価値を共有する国々が経済のきずなを深め、更にその輪を広げていくことで地域を安定させる力にもなります。
 国会で協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を推進し、TPP協定の早期発効を目指すべきとの立法府も含めた我が国の意思が明確になります。我が国が主導することで早期発効に向けた機運を高めていきます。
 今後、あらゆる機会を捉えて、米国並びに他の署名国に国内手続の早期完了を働きかけていきます。TPPに関心を有する国・地域に対しては、協定内容に関する情報提供を行うなどの協力を進め、TPP協定への新規加入を広げるよう取り組んでまいります。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第一 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長小林正夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小林正夫君登壇、拍手〕
○小林正夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国企業による石油等の資源の確保を促進するため、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構について、海外における石油の採取に係る出資業務、探鉱権等の取得業務及び政府保証付長期借入金等の対象の拡充等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、産油国国営企業株式の取得等の意義及び権益獲得への効果、我が国中核的企業の育成に向けた政府の取組、機構における審査体制の強化及び人材育成の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して辰巳委員より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成            二百十五  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第二 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長増子輝彦君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔増子輝彦君登壇、拍手〕
○増子輝彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、中央新幹線の速やかな建設を図るため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構について、当分の間、当該建設に要する費用に充てる資金の一部を貸し付ける業務を行わせるための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、リニア中央新幹線の意義と全線開業前倒しの効果、財政投融資の活用による貸付けの在り方及び事業の採算性、環境への配慮及び安全確保対策、リニア新幹線が地方の活性化に与える影響等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山添拓委員、希望の会(自由・社民)を代表して青木愛委員より、本法律案にそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成            二百十七  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会