第192回国会 本会議 第13号
平成二十八年十一月二十五日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十三号
  平成二十八年十一月二十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(アジア太平
  洋経済協力(APEC)首脳会議出席等に関
  する報告について)
 第二 民間あっせん機関による養子縁組のあっ
  せんに係る児童の保護等に関する法律案(島
  村大君外八名発議)
 第三 防衛省の職員の給与等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第四 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 検察官の俸給等に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 裁判官の育児休業に関する法律の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応
  して金融の機能の安定を確保するための金融
  機能の強化のための特別措置に関する法律等
  の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第八 地方公務員の育児休業等に関する法律及
  び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を
  行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議出席等に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、十一月十七日にニューヨークでトランプ次期米国大統領と会談し、十八日にはペルーを公式訪問しました。十九日及び二十日にはAPEC首脳会議に出席し、その機会に開催されたTPP首脳会合にも出席しました。二十一日にはアルゼンチンを公式訪問し、二十三日に帰国いたしました。
 その成果について御報告をいたします。
 ニューヨークでは、世界の首脳に先駆けて、トランプ次期大統領と会談を行いました。人事で多忙なときでありましたが、二人で一時間半にわたりじっくりと話をすることができました。
 今回の会談は非公式なものであり、具体的なやり取りは差し控えさせていただきますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、温かい雰囲気の中、大変充実した意見交換ができました。共に信頼関係を築いていくことができる、そう確信の持てる会談でありました。
 ペルーで開催されたAPECでは、自由貿易が最大のテーマとなりました。現在、世界経済は大きな下方リスクに直面し、保護主義への懸念が高まっておりますが、今回のAPECでは、自由貿易を推進するアジア太平洋諸国・地域の確固たる意思を世界に示すことができたと考えています。
 APECの機会に開催されたTPP首脳会合にも出席いたしました。TPPは、自由で公正なルールに基づく経済圏を太平洋につくり上げる野心的な挑戦です。
 TPP首脳会合では、こうしたTPP協定の高い戦略的、経済的価値とそれぞれの国内手続を進めていくことを確認し合いました。米国の大統領選後の状況を受けて国内手続をやめたり遅れさせたりしようとする国は一つもありませんでした。
 APECの機会に、プーチン・ロシア大統領、習近平中国国家主席、オバマ米国大統領を始めとする世界の多くの首脳と積極的に会談を行いました。
 プーチン大統領とは、来月の山口訪問を見据えながら八項目の経済協力について今後の具体的な作業計画に合意し、平和条約に向けた協議を更に前進させていくことを確認しました。
 日ロの平和条約の問題は、戦後七十年以上たっても未解決であることが示すとおり、たった一回の首脳会談で解決できるような、そう簡単な問題ではありません。首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題であり、私自身がプーチン大統領と直接やり取りし、一歩一歩着実に進めていく考えであります。
 中国の習近平国家主席とも、短時間でしたが会談を行いました。来年の日中国交正常化四十五周年、そして再来年の日中平和友好条約締結四十周年に向けて、日中関係を改善させていくことを確認しました。私から、年内に開催する日中韓サミットの際に李克強首相が初めて訪日されることとなりますが、日中の二国間関係の文脈においても、実り多い訪日にしたい旨述べました。
 そして、我が国唯一の同盟国米国のリーダーとして、この四年間、私の最大のパートナーであったオバマ大統領には、これまでの日米同盟強化への取組をたたえ、感謝の意を表しました。その上で、現下の国際情勢に対処するため、日米両国が引き続き、共に手を携えて取り組む必要があるとの認識を共有しました。
 ペルーには現職の総理大臣として八年ぶりに、アルゼンチンには五十七年ぶりに公式訪問を行いました。今回の訪問を通じ、日本とペルー、アルゼンチン、それぞれとの関係を戦略的パートナーシップに引き上げていくことで合意しました。
 現在、ペルーには十万人、アルゼンチンには六万五千人の日系人が暮らしています。まさに、日本とペルー、日本とアルゼンチンとの友好の懸け橋であります。今回、両国で日系人の皆様にお目にかかる機会を得ました。このすばらしい礎の上に、人的な交流や経済分野での協力を一層拡大していきたいと考えています。
 今後も、国際協調主義に基づく積極的平和主義の旗の下、地球儀を俯瞰する観点から活発に外交を展開し、国益を増進するとともに、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。北村経夫君。
   〔北村経夫君登壇、拍手〕
○北村経夫君 自由民主党の北村経夫でございます。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理のAPEC帰朝報告について総理に質問いたします。
 海外公務の疲れも感じさせない安倍総理の精力的な政治姿勢は、福島での二十二日未明の地震に機敏かつ綿密な対応をされたことからも明らかなように、国民の皆様におかれては、その危機管理能力の高さにさぞ安心されたのではないでしょうか。福島では余震が続いております。政府におかれましては、引き続き万全の対応を望みたいと思います。
 今ほど政治に危機管理能力が問われている時代はありません。災害対策のみならず、外交もまた国家の危機管理の一つであります。
 その点、世界中が注目しているトランプ次期米国大統領といち早く会談を持たれ、ロシアのプーチン大統領とも会談を重ねられるなど、一連の安倍外交は、かつて自主外交で世界中から注目された岸信介総理をほうふつとさせるものであり、東アジアの平和と安定に不退転の決意で取り組んでいくという強烈なメッセージを世界に向けて発信しています。
 さらに、私は、吉田茂元総理が晩年、今後の我が国の課題を質問されたとき答えた次の言葉を思い出します。相手国の立場を考えた貿易、国際社会での信用を失わないための役割分担などが我が国の今後の課題だ、他人をうまく助けることができなければ人間一人前とは言えないと。
 今回のAPECで示された自由貿易推進の立場や南スーダンへのPKO派遣は、まさに大宰相が理想と考えた我が国のあるべき姿を実践しているものと言えます。
 それでは、質問に入ります。
 まず、トランプ次期米国大統領との会談について伺います。
 トランプ氏は、選挙期間中、我が国に対して厳しい発言もしていましたが、今回の会談で個人的な信頼関係を築けたことは、今後の日米関係の円滑化のために大きな成果だったと考えます。非公式とはいえ、今回の安倍・トランプ会談はそのための大きな一歩でしたが、総理は会談後、トランプ氏が信頼できる指導者だと確信したと発言されました。その根拠はどのようなものだったのか、伺います。
 次に、TPP協定の今後について伺います。
 トランプ氏は、先日、大統領就任初日にTPPから離脱すると改めて宣言しました。この発言はやはり気になるところであります。TPPを我が国の経済成長にとって欠かせない、言わば成長戦略のインフラのような存在として捉え、国内では、産業、農業分野でも様々な制度を整えている最中であります。こうした中で、トランプ氏の発言を受けて、国民世論や関係者から懸念の声が上がるのも必然と言えるでしょう。改めて、TPP協定について今後どのように進めていくお考えか、総理に伺います。
 次に、APEC首脳会議での成果について伺います。
 今回のAPEC首脳会議では、質の高い成長と人間開発のテーマの下、地域経済統合の推進と成長などを優先課題として議論されました。総理は会議の場で、自由貿易こそが世界経済の成長の源泉であり、格差拡大等への懸念に由来する保護主義に対し、日本は包摂的な成長をもたらす経済政策を進めて自由貿易を推進すると表明されました。本年のテーマである質の高い成長と人間開発に基づいた優先課題の解決について、総理の意気込みを伺います。
 APEC首脳会議では、アジア太平洋自由貿易圏、いわゆるFTAAPに関するリマ宣言も採択されました。その中で、FTAAPは、TPPやRCEPを含めた現在進行している地域的取組を基礎とするとされています。米国がTPPから手を引けば、中国はここぞとばかりにRCEPを推し進め、中国主導でアジア太平洋地域の経済秩序をつくろうとするでしょう。中国に対抗するためには、日米がしっかりと手を結んでいくことが絶対に必要だと考えます。こうした状況の中で、今後のアジア太平洋地域の経済秩序の構築にどう取り組んでいくお考えか、基本的な方針を伺います。
 次に、南シナ海における課題について伺います。
 APECの場でも中国の習近平国家主席は、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席に南シナ海における係争棚上げを求めたと言われています。南シナ海の課題に関するAPEC各国の反応と今後の対応はいかがでしょうか。特に、次期米国政権が外交・安全保障でも内向き志向に傾き、アジア太平洋地域で力の空白が生じれば、南シナ海における中国の進出は更に進むものと大変憂慮するところであります。この課題の解決に対する総理の御決意を伺います。
 総理は、来月十五日、総理と私の地元山口県でプーチン大統領との会談を予定されております。この開催地長門市には、日露戦争の日本海海戦で戦死したロシア兵の墓があります。それは、浜に漂着したロシア兵士の御遺体を地元の漁師が日本兵の御遺体とともに手厚く埋葬し、今日まで供養を続けてきたものであります。
 一時的な対立や争いがあっても、相手への敬意を失わず、恨みを残さない。これは今年のオバマ大統領の広島訪問でも証明された日本人の世界に誇る美徳であります。総理におかれましては、是非、この日本人共通の精神を胸に、より一層自信を持って、我が国の基本原則を踏まえつつ平和条約締結交渉を前進させていただきますよう強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ次期大統領との会談についてお尋ねがありました。
 十七日にニューヨークで、世界の首脳に先駆けて、トランプ次期大統領と会談を行うことができました。人事で多忙なときでしたが、二人で一時間半にわたりじっくりと話をすることができました。今回の会談は非公式なものであり、具体的なやり取りは差し控えますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかりと申し上げ、温かい雰囲気の中で大変充実した意見交換ができたと思います。
 トランプ次期大統領は、現職の大統領がいる中で、次期大統領があたかも大統領のように振る舞うことは米国の国益にとってマイナスであるというしっかりした認識を持ち、現職の大統領に対する敬意をしっかりと示されていました。信頼できる指導者である、そう確信の持てる会談でありました。
 トランプ次期大統領の発言を踏まえたTPP協定への今後の対応についてお尋ねがありました。
 まさに今週のAPEC首脳会議でもテーマとなりましたが、現在、世界経済が大きな下方リスクに直面する中で、世界的に保護主義の台頭への危機感が高まっています。TPPには、自由で公正な経済圏をつくり出し、従来の自由貿易を進化させるという、TPPそのものを超える大きな意義があります。日本として、岐路に立つ自由貿易を更に進化させたいのか、それとも後退させたいのか、日本の外交理念が今問われています。
 リマにおける首脳会合を通じて、十二か国でTPPの灯を消さないことを確認しました。日本はどうするのか。各国が日本の役割に期待し、注目をしています。自由で公正な経済圏という旗を自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもが下ろしてしまったら、自由貿易の進化はそこで終わってしまいます。
 米国が政権移行期にあり、また世界的に保護主義の懸念が高まり動揺が広がる今こそ、ぶれてはなりません。日本が速やかにTPP協定を承認することにより、日本の一貫した固い決意を世界にしっかりと発信し、その基礎の上に立って、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 APEC首脳会議での質の高い成長と人間開発に関する議論についてお尋ねがありました。
 今回のAPEC首脳会議では、特に、自由貿易の推進と保護主義への対応が大きなテーマとなりました。私からは、自由貿易の利益が均てんされない、格差が拡大するという懸念が保護主義をもたらす旨指摘し、日本は包摂的な成長をもたらす経済政策を進め、自由貿易を推進し続ける旨表明しました。
 自由貿易の利益を社会全体に及ぼすためには、大企業のみならず、中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものにしなければなりません。自由で公正な貿易圏をつくるTPPはまさにこれを実現するものであります。
 地方の中堅・中小企業や農業者が、TPPがもたらすチャンスを活用して飛躍できるよう、総合的なTPP関連政策大綱を通じてしっかり支援してまいります。TPPのメリットが、直接輸出する企業のみならず、輸出企業と取引のある企業、そこで働く人々にも広く波及するよう、引き続き取引の適正化を進め、各企業における賃上げを働きかけ、経済の好循環を促していきます。
 安倍政権は、格差が固定されず、あらゆる人がその経験や能力を思う存分発揮し活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んできました。少子高齢化を克服するためのこの政策は、同時に、国民一人一人が成長の恩恵を実感できるようにすることで、自由貿易に対する国民の支持を培うものと考えます。引き続き、国民の期待に応える形で、成長と分配の好循環をしっかりと進めてまいります。
 今後のアジア太平洋地域の経済秩序の構築についてお尋ねがありました。
 自由で公正な経済圏という旗を自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもが下ろしてしまえば、自由貿易の進化はそこで終わってしまいます。国会に速やかにTPP協定を承認いただき、その基盤の上に立って、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、RCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなります。二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されます。我が国としては、RCEP交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向け、引き続き精力的に交渉を進めてまいります。TPPと質の高いRCEPを通じ、FTAAPを自由で公正な経済圏として確立していきたいと考えます。
 南シナ海をめぐる問題についてお尋ねがありました。
 APECはアジア太平洋地域の経済協力をテーマとする国際会議であり、会議自体の中で南シナ海問題が取り上げられることはありませんでしたが、この機会を捉えて、私は、クアン・ベトナム国家主席などの首脳に対して、個別に、南シナ海における航行及び上空飛行の自由、国際法に基づく紛争の平和的解決の重要性を改めて強調しました。南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みは決して認めることはできません。いかなる問題も、国際法に基づいて、平和的、外交的に解決すべき問題です。
 トランプ次期政権の政権移行チームに対し、アジア太平洋地域への関与を継続することの重要性を訴えていくとともに、引き続き、豪州、ASEAN諸国等の関係国と緊密に連携してまいります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 伊藤孝恵君。
   〔伊藤孝恵君登壇、拍手〕
○伊藤孝恵君 民進党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表して、安倍総理の帰国報告に対し質問させていただきます。
 まず冒頭、政府の情報開示に対する基本姿勢について伺います。
 安倍総理の説明あるいは政府の情報開示が余りにも不十分なため、国民は今漠然とした不安の中にいます。
 総理は、トランプ次期大統領との面会を前に、参議院TPP特別委員会で、会談内容については差し支えのない範囲で丁寧に御説明させていただきたいと答弁されました。総理が公務として公費で出張している以上、いかに非公式の会談とはいえ、国民に対して一定の説明はすべきではないかと思いますが、総理の見解をお聞かせください。なお、大統領選挙の期間中にヒラリー・クリントン氏の表敬を同じく非公式で受けた際は詳細に内容を公表されました。その対応のそごについても御答弁ください。
 次に、アメリカ大統領選挙に関連した外交姿勢について伺います。
 安倍総理は、今年九月、投開票日まで二か月を切る中、クリントン氏のみと面会されました。勝敗の行方が分からない段階で一国の総理が片方の候補に肩入れするような行動は、公平性や選挙後の影響を考えると大いなるリスクであり、今となっては失策としか言いようがありません。会うのであればエジプトのシシ大統領のように両候補に会い、それがかなわないのであればどちらにも会わないのが儀礼です。なぜこのような軽率な判断に至ったのか、安倍総理の明快な答弁を求めます。
 また、総理は、ペルーでのAPEC首脳会談の往路、現地時間の十一月十七日にニューヨークに立ち寄り、トランプ次期アメリカ大統領と会談されました。この面会に対して外務省からは、一月まで任期のあるオバマ大統領に非礼であるとの意見や、トランプ次期大統領については我が国と基本的な価値観を共有できるかどうかをまず判断する必要があるとして慎重な意見が相次いだとされるにもかかわらず、総理は電話で直接会談を打診されました。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 各国の首脳を始め、国際社会が冷静にトランプ次期大統領の動向を注視する中、五十万円もするゴルフクラブを携え、拙速に駆け付けたのはなぜか。また、会談に一人で臨まれた上、ホワイトハウスから、くれぐれも二人の大統領がアメリカに存在するという印象を与えないよう一時間を超えない会談を求められたと言われているにもかかわらず、八十五分にわたり会談を行った理由をお答えください。さらには、それら一連の行動が、APEC期間中、オバマ現大統領との首脳会談の実現を阻害し、短時間の立ち話で終わることになったとの見方について、総理の率直な見解をお聞かせください。
 そして、我々が最もお伺いしたいのは、総理がトランプ次期大統領を信頼できると判断した根拠です。選挙期間中のトランプ次期大統領の様々な発言が物議を醸してきたことは周知のとおりであり、たった八十五分でまさに信頼できる指導者であると確信できたその理由と会談の中身について答弁を求めます。
 特に、焦点となっているTPPについては、会談の僅か四日後、十一月二十一日に、トランプ次期大統領は、就任初日に離脱を表明し、代わりに公平な二国間協定の交渉を進めると宣言しました。これによって、安倍総理が成長戦略の切り札としてきた看板政策であるTPPの発効の望みは完全に絶たれました。安倍総理のトランプ次期大統領は信頼できるとの評価は、うまく丸め込まれたという判断に変わり、安倍総理の影響力が小さいものであることが世界中にさらされました。次期大統領の翻意を促せなかったその事実を認識されているかどうかも含めて、明快な御答弁をお願いします。
 石原TPP担当大臣にお尋ねいたします。
 もはやTPPに関しては、国会審議の意義が根底から崩れ去った状態と言えます。国会審議には多額の税金が費やされており、税金で運営されるのであれば、国益にかなう、国民が求める最優先事項を審議すべきだと考えますが、この期に及んでなおTPPの審議を続ける意義があるとお思いなのか、また、思われるのであればどのような意義があると言われるのか、お聞かせください。
 政府は、これまでおよそ一兆一千九百億円もの関連予算を組みTPP発効に備えてきましたが、前提を失った今、全体の計画見直しと関連予算の国庫返納など、納税者が納得する措置が必要だと思われます。大臣の認識をお聞かせください。
 TPPに関連し、RCEPに関する御認識についても伺います。
 総理は、TPPがなかなか進まないというのであれば、重心、軸足がRCEPに移っていくのは間違いない、参加国の中の最大の国はアメリカでなく中国になると答弁されております。一方で、中国はTPP参加国の切り崩しを図っているとの報道もあります。自由貿易のルールに中国を取り込んでいくとされた対融和政策が機能しない現在の中国について、総理はどのように今後政策を進められていくか、御認識をお聞かせください。
 次に、日米同盟についてお伺いします。
 トランプ次期大統領のこれまでの発言には、日本に在日米軍駐留経費負担の増額を求めるものや、東アジアにおけるアメリカの前方展開戦略を根底から覆し、北朝鮮の核保有をめぐって日本の核武装を容認するなど、日米安全保障体制に不安の影を落とす内容が散見されました。日本は既に多額の駐留経費を負担しており、また非核三原則を国是としております。これらを踏まえ、総理はどのように日本の立場を説明してこられたのか、そして今後の日本の安全保障戦略はいかなるものになるのか、方針も含め御答弁ください。
 次に、ロシアのプーチン大統領との首脳会談について伺います。
 一部報道では、プーチン大統領から、安倍総理が提案した八項目の協力プランには載っていない北方領土での両国による共同経済活動の提案はなされたが、平和条約の問題、中でも最も重要な主権の問題には言及されなかったと伝えられています。
 そこで、総理にお尋ねします。
 今年九月のウラジオストクでの日ロ首脳会談後、総理は交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じたとその成果を強調し、選挙期間中もさんざん北方領土交渉の進展への期待をあおってこられました。しかしながら、今回の会談後は一気にトーンダウンしている印象です。経済協力をてこに領土問題の進展を図るという総理の交渉手法は、国民の血税であるお金をばらまいたはいいが、ほとんど見返りがないという可能性もあり得ます。それは仕方がない、それでも構わないと総理はお考えですか。今後の北方領土での我が国の主権回復に向けた見通しとともに見解をお聞かせください。
 現在、ロシアは、異例とも言える形で会談の中身を公表したり、択捉島及び国後島に軍の新型地対艦ミサイルを配備することで、自分たちは容易に妥協する姿勢がないことを訪日直前のこのタイミングで示してきました。プーチン大統領自らも、条約締結の期限を設けるのは不可能であり有害だ、領土を取引するつもりはないと明言し、今もなお、北方領土は国際的な文書によりロシアの主権があると承認された領土だなどと発言を繰り返しております。
 日本が進める協力姿勢をないがしろにするこのような元首の発言に対し反論するとともに、クリミア情勢で示されたような力の政治を否定し、我が国の主権について断固たる立場を示すべきだと考えますが、総理の見解をお聞かせください。その上で、我々は、まずは四島の帰属を明確にする、これが大前提だと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 また、領土問題が発展しないのであれば経済協力はやめるべきだと考えますが、重ねて見解をお示しください。総理として、領土問題と経済協力はセットなのか、それとも切り離して考えているのか、明確にお答えください。
 現在、北方領土交渉を急がず、共同経済活動を優先させたいロシアと日本の思惑の相違が浮き彫りになっているにもかかわらず、多くの国民は、来月予定されているプーチン大統領の訪日がわざわざ総理の地元で開催されることもあって、何か歴史的なことが起こるのではないか、北方領土問題が進展するのではないかと期待と関心を寄せております。プーチン大統領を迎えるに当たり、期待値を上げ続けた総理の過去の言動について、有言実行いただけるのか、改めて御説明ください。
 安倍政権の外交の更なる問題点を最後に御指摘申し上げます。
 ロシア側の交渉窓口であったウリュカエフ経済発展大臣の逮捕、イギリスの国民投票、パリ協定、アメリカ大統領選挙の予測、日本の外交の触角は今どこかおかしくなっているのかもしれません。残念ながら、対外情報収集能力が著しく欠落していると言わざるを得ません。想定外の出来事に常に右往左往している政府の姿は異様に感じます。
 パリ協定については、COP22での主導権をにらんで手続を急いだアメリカや中国、EUなどの動きを完全に読み誤りました。京都議定書では議論をリードした日本は、パリ協定では蚊帳の外です。TPPの成立を急ぐ余り、パリ協定を後回しにしたツケだと言えます。しかし、それもそのはず、安倍総理は今国会の所信表明演説の中でも一度もパリ協定に触れることはありませんでした。
 岸田外務大臣に伺います。
 米中同時批准について、アメリカから通報はなかったのですか。政府の認識の甘さについて、どうお考えですか。パリ協定の早期批准を棒に振った、この状況をつくった原因はTPPを優先したことだと認識されていらっしゃいますか。お答えください。
 脱炭素社会に向けて世界が動き出す中、第一回締約国会合にオブザーバーとしてしか参加を許されず、日本は完全に出遅れました。現在、TPPの発効が一層見通せない状況に陥ったことを踏まえると、これは致命的な失態、外交方針の大きな誤りだったと言わざるを得ません。総理の見解を伺います。
 また、新たにベトナム原発の白紙撤回が正式に決定いたしました。原発輸出を成長戦略の一つに位置付ける安倍政権にとって大きな打撃となります。他方、インドとは原子力協定に調印いたしましたが、核兵器不拡散条約非加盟国であるインドとの協定にもかかわらず、核実験再開後の措置は共同声明や協定の覚書にも一切盛り込まれないという、軍事転用の疑念が消えないまま原発を輸出する判断を下しました。唯一の被爆国として、核なき世界をリードすべき日本として、これで本当によかったのか。外交上の問題や課題についてはほかにも枚挙にいとまがありません。これらについて、総理の見解をお聞かせください。
 安倍政治が優先しているのは、この国がどうあるべきか、また、成果が出るのはずっと先になるかもしれないけど、今本当に必要な政策ではなく、目先の選挙で投票してもらえる政策を実行することのように映ります。日本の国益、国民を守るため、総理や政府にはこの国を導いていくんだという強い意思、またあらゆる事態を想定した高度な外交技術が求められています。与野党問わず、持てる外交資源を総動員していかなければなりません。我が国の歴代の政権は、もっと広い視野で、もっと深みのある外交を行ってきたはずです。
 政府におかれましては、情報開示はもとより、真摯な対応をお願いします。それができないのであれば、我々民進党が成り代わって国民の声を聞き、国益に照らした判断を行うまでです。我が党はその覚悟を有することを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 伊藤議員にお答えいたします。
 クリントン元国務長官による表敬及びトランプ次期大統領との会談の対外説明ぶりについてお尋ねがありました。
 クリントン元国務長官の表敬に関しては、先方と緊密に調整した上で、差し支えない範囲でできるだけ詳細に概要を説明しました。一方、トランプ次期米国大統領との会談では、先方から、何回も説明をしているとおり、大統領が二人いるかのような印象を与えるべきではないとの強い要望があったことから、内容については一切公表しないことで一致をいたしました。
 これらの会合については、それぞれ相手方との関係で差し支えない範囲の中でできる限り丁寧に説明しており、その意味において対応にそごはありません。
 クリントン候補とトランプ候補との平等性についてお尋ねがありました。
 今回の大統領選挙は接戦となることが予想されたことから、選挙結果を予断することなく、早い時期から双方の陣営との関係構築に尽力してまいりました。国連総会でニューヨークを訪問した際に、クリントン元国務長官の表敬は、クリントン元国務長官の発意を受けて調整し実現したものであります。日本政府が米国の大統領選挙に中立であったことに変わりはありません。
 また、クリントン元国務長官の表敬については事前にトランプ陣営にも伝えるとともに、私自身がトランプ陣営のウィルバー・ロス・ジャパン・ソサエティー会長と会い、トランプ候補から、遊説のため不在にしておりお目にかかれず残念であるとのメッセージが伝えられました。このように、トランプ陣営と関係を築いたからこそ、当選の翌日、早い段階で電話会談を行うことができ、また世界の首脳に先駆けてトランプ次期大統領との会談を行うことができたものと考えております。
 トランプ次期大統領との会談及びオバマ政権との関係についてお尋ねがありました。
 トランプ次期大統領とは、日本外交の基軸である日米同盟の重要性を確認するために、できるだけ早く会談する必要があると考えました。十七日にニューヨークで行われた会談では、信頼関係を構築する観点から、トランプ次期米国大統領の趣味であるゴルフのクラブを私費で購入し、お土産としてお渡しをしました。こうしたプレゼント交換をすることは外交上よくあることでございます。人事で多忙なときでありましたが、二人で一時間半にわたりじっくり話をすることができました。
 オバマ政権との間ではあらゆるレベルで緊密な意思疎通を保っており、ペルー訪問の際に時間を掛けて会談を行う必要があるような問題はありませんでした。したがって、オバマ大統領とは立ち話を行い、これまでの日米同盟強化への取組をたたえ、感謝の意を表しました。
 トランプ米国次期大統領との会談及びTPPについてお尋ねがありました。
 今回の会談は非公式なものであり、具体的なやり取りは差し控えますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、温かい雰囲気の中で大変充実した意見交換ができたと考えています。トランプ次期大統領は、現職の大統領がいる中で次期大統領があたかも大統領のように振る舞うことは米国の国益にとってはマイナスであるというしっかりした認識を持ち、現職の大統領に対する敬意をしっかりと示されていました。信頼できる指導者である、そう確信の持てる会談でありました。
 米国が政権移行期にあり、また世界的に保護主義の懸念が高まり世界に動揺が広がる今こそ、ぶれてはならないと考えます。日本は一貫して志の高い自由貿易を目指すという国家意思を明確にすべきであります。日本がいち早くTPPを承認することにより、自由で公正な経済圏を世界につくり上げることを目指すという日本の高い決意を世界にしっかりと発信していきたいと思います。その上で、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 自由貿易のルールに中国を取り込んでいくことについてお尋ねがありました。
 我が国は、現在、中国を含む経済連携の枠組みとして、RCEP及び日中韓FTAにおいて、物品、サービス、投資、知的財産、電子商取引等の幅広い分野について精力的に交渉を進めています。
 TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、RCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなり、二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されます。我が国としては、RCEPや日中韓FTA交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向け、引き続き精力的に交渉を進めてまいります。
 我が国としては、こうした取組を通じ、自由で公正な経済ルールに中国を取り込んでいくことに向け、リーダーシップを発揮していく考えであります。
 トランプ次期大統領との会談における日米同盟の重要性についてお尋ねがありました。
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸です。トランプ次期大統領との会談に当たっては、自由、民主主義、基本的人権や法の支配といった普遍的価値を共有する日米同盟は揺るがないということを確認する必要があると考えていました。
 米国の前方展開プレゼンスは、日本のみならず地域の平和と安定を確保し、同時にそれは米国の権益も守ることにつながっていきます。アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米双方が利益を享受していることについての理解を得ることが重要であります。
 政権移行期にあって、まさに今、政権移行チームにおいて、諸政策について様々な要素を勘案しながら最終的なスタンスが練られている最中だと思います。そうしたときだからこそ、普遍的な価値で結ばれた同盟国であり最大のパートナーである我が国が、ぶれることなく日米同盟の将来像を示し、共有する努力を重ねることが重要と考えます。
 今回の会談は非公式なものであり、具体的なやり取りは差し控えますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかりと申し上げ、温かい雰囲気の中、大変充実した意見交換ができたと考えています。信頼できる指導者である、その確信の持てる会談でありました。
 北方領土問題と日ロ関係についてお尋ねがありました。
 日ロ関係については、互恵的な経済分野における協力を含め幅広い分野で日ロ関係を国益に資するような形で進めていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針の下、交渉を粘り強く進めていく考えです。国民の血税をばらまいたとの指摘は全く当たりません。
 北方四島は、我が国の固有の領土です。これら北方四島におけるロシア軍によるミサイル配備を通じた軍備の増強については、外交ルートを通じて、これら諸島に対する我が国の立場と相入れず、遺憾である旨申し入れました。
 また、現在進めている協議の中身については言及できませんが、北方四島の将来の発展について日本とロシアが双方にとってウイン・ウインの形で進めていくことが何より重要な視点であると確信しています。
 プーチン大統領訪日を迎えるに当たり、私の言動が期待値を上げ過ぎたとの指摘は全く当たりません。日ロの平和条約の問題は、戦後七十年以上たっても未解決であることが示すとおり、たった一回の首脳会談で解決できるような、そう簡単な問題ではありません。首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題であり、私自身がプーチン大統領と直接やり取りをし、一歩一歩着実に前に進めていく考えです。
 十二月に予定する山口での日ロ首脳会談では、高齢化されている元島民の皆様のお気持ちをしっかり胸に刻んで、静かな雰囲気の中で率直に議論し、平和条約締結交渉を前進させる考えであります。
 パリ協定についてお尋ねがありました。
 政府としては、気候変動という国際社会の深刻な課題への取組に最大限貢献していくとの立場から、パリ協定の締結のための作業を可能な限り迅速に進め、その結果、十一月八日に締結しました。
 COP22におけるパリ協定締約国会合に関しては我が国はオブザーバーとして参加しましたが、パリ協定の実施指針の策定に係る主要な交渉は既に我が国を含む形で行われてきました。こうした中、COP22では我が国は積極的に議論に参加し、特にパリ協定の着実な実施のために実施指針策定に明確な期限を設けるべき旨主張しました。その結果、日本の主張が認められる形で二〇一八年を期限とすることで合意が形成されました。このように、我が国はパリ協定の実施指針の策定に関する合意形成に大きく貢献しており、完全に出遅れたとの指摘はこれも全く当たりません。
 ベトナムへの原発輸出と日印原子力協定についてのお尋ねがありました。
 すべからく、原子力に関わる国際協力については、核不拡散の枠組みを堅持しつつ、世界で最も厳しいレベルの安全性を追求する我が国として、安全神話に陥ってはいけないという福島の教訓を国際社会と共有し、相手国と安全最優先で取り組んでいきます。
 ベトナムの原発建設計画については、同国内の経済事情を背景に中止することが決定されたと承知しておりますが、ベトナムとの広範な戦略的パートナーシップの重要性は変わりません。引き続き、インフラプロジェクト等を含め、両国間の協力を推進してまいります。
 先般署名された日印原子力協定については、原子力の平和利用についてインドが責任ある行動を取ることを確保する法的な枠組みであり、NPTを締結していないインドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながります。これは、核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する我が国の立場に合致するものであります。仮に、インドが核実験を行った場合には、我が国は、協定上、協定の終了を通告し、協力を停止する権利を有しています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕
○国務大臣(石原伸晃君) TPP審議を続ける意義と関連予算について、二点お尋ねがございました。
 TPPは、従来の自由貿易を進化させ、自由で公正な経済圏をつくり出します。単に関税を下げて貿易をより自由にするだけではなく、知的財産保護、労働・環境規制、国有企業の競争条件の規律など、幅広いルールを定め、頑張った人が報われる公正な競争環境を整えます。まさに二十一世紀の自由貿易ルールを作るという野心的な挑戦であります。
 トランプ次期大統領の発言を受け、TPPが現在厳しい状況にあることは認識しております。しかし、自由で公正な経済圏という旗を自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもが下ろしてしまいますと、自由貿易の進化はそこで終わってしまいます。米国が政権移行期にあり、また世界的に保護主義の懸念が高まり動揺が広がる今こそ、日本が速やかにTPP協定を承認することにより、自由で公正な経済圏を世界につくり上げることを目指すという日本の一貫した固い決意を世界にしっかりと発言していく必要がございます。
 昨年十一月、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるとともに、TPPの影響に関する国民の不安を払拭するため、総合的なTPP関連政策大綱を決定いたしました。それを踏まえまして、海外展開を行おうとする中小企業等への支援や農林水産業の体質強化が待ったなしの状況の中で、農林水産分野において緊急に実施していくべき体質強化策などの各種施策を実施しております。
 これらの予算は、TPP協定の発効を見据えたものでございますが、TPP協定の発効を前提としたものではありません。農業あるいは中小企業の生産性を高めて、競争力を高めて、海外にもしっかりと輸出できるような体質に変えていくことは、TPPが発効されようがされまいが必要なことであります。中小企業等の海外展開や農林水産業の体質強化対策については、政府としても今後とも必要に応じて施策を展開していく考えです。(拍手)
   〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(岸田文雄君) 各国のパリ協定の締結に関する情報収集及び我が国におけるパリ協定の締結作業についてお尋ねがありました。
 本年九月の米中によるパリ協定締結につき、政府としては、それに先立ち米中による気候変動に対する積極的な姿勢が示されたことも含め、不断に情報を収集してきたところであり、米国とも意思疎通を図ってまいりました。
 政府としては、一貫してパリ協定を重視しており、G7伊勢志摩サミットにおいて、本年中のパリ協定の発効という目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめ、本年中の発効、締結を目標に可能な限り迅速な作業、調整を行ってまいりました。その結果として、十一月八日に締結をした次第であります。
 なお、国会における審議の日程については、国会での御判断によるものと認識しておりますが、政府としては、TPPもそしてパリ協定も共に重要な協定であると認識をし、取り組んできた次第であります。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 高瀬弘美君。
   〔高瀬弘美君登壇、拍手〕
○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。
 私は、公明党を代表して、安倍総理の帰国報告に対して質問いたします。
 まず冒頭に、福島で連日続いております地震につきまして、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。政府におかれましては、万全の体制で臨むとともに、東北の復興が道半ばであるということを忘れず、引き続き全力で取り組んでいただきたいと思います。
 今回のAPECに先立ち米国を訪問した安倍総理は、トランプ次期米国大統領との会談に臨まれました。さらに、APEC首脳会議においては、ロシアのプーチン大統領、そして、短時間ではありましたが、中国の習近平国家主席との会見の場を設けることができました。外交の究極は、人と人との信頼関係です。こうした会談が実現するのも、安倍総理が就任以来、精力的に世界を飛び回り外交を進めてきた証左であり、なかんずく安定政権であるからこそ各国リーダーとの人間関係の深化を築くことができたものと思います。
 安倍総理におかれましては、これからも、たとえ意見が異なる場合であっても、各国のリーダーと直接会い、大所高所から重要な問題について粘り強い誠実な対話の道を推し進めていただきたいと心からお願い申し上げたいと思います。
 そこでまず、APECに先立ちニューヨークで行われたトランプ次期米国大統領との会談について伺います。
 安倍総理は、約一時間半の間、トランプ次期大統領と会談されました。大統領正式就任前の会談は異例であり、中身の公表は差し控えるとのことではありますが、今回の会談の成果及び意義についてお聞かせ願います。
 また、TPPの発効には、発効要件上、米国のTPP協定批准が不可欠である一方、トランプ次期大統領は、大統領選挙期間中から保護主義的な通商政策を主張し、去る二十一日には、大統領就任初日にもTPPから離脱する意向を改めて表明しました。これから米国がTPPに向き合うようにするためには、TPPが米国の経済及び外交にとって重要であること、TPPから米国が撤退するということは米国が信頼を失うことになるということを訴えていく必要があると思います。
 万が一、我が国がTPPから撤退することになれば、我が国の国際社会における信頼も大きく損なうことになることから、他国を先導する決意で進んでいくべきであると考えますが、今後、米国に対しどのような取組を行っていくのかについても総理にお伺いいたします。
 さらに、今後の日米関係について伺います。
 米国大統領選挙期間中、日米安全保障条約や在日米軍駐留経費の見直し、日本の核保有容認とも取れる発言をしてきたトランプ次期大統領ですが、選挙後は選挙期間中の発言からの軌道修正をされているのではないかと見られます。日米同盟は日本外交の基軸であり、日米同盟の重要性についてもトランプ次期大統領に訴えかけていく必要があると考えますが、総理の御見解を伺います。
 次に、今般のAPEC首脳会議の成果について伺います。
 今回のAPEC首脳会議に対する評価として、地域経済統合の推進を始め幅広い議論が行われた中、日本政府は、本年の経済分野の国際会議の総仕上げとして、G7伊勢志摩サミットの成果も踏まえつつ議論をリードすることができたとしています。伊勢志摩サミットの成果を具体的にどのような形でAPECの議論に生かしていったのか、APEC首脳会議の全体的な成果、評価と併せて総理にお伺いいたします。
 また、今回のAPEC首脳会議において安倍総理は、自由貿易こそが世界経済の成長の源泉であり、日本は包摂的な成長をもたらす経済政策を進め自由貿易を推進すること、その包摂的な成長の基礎となるのがTPPやFTAAPであるとの考えを表明されました。総理の強調された包摂的な成長とはどのような成長であるのか、そして包摂的な成長を目指す我が国の取組は一体どのようなものなのか、具体的な説明を求めます。
 続いて、今回のAPECに際して行われたTPP参加国の首脳会合について伺います。
 この会合においては、出席した首脳の多くが国内手続を進める意思を表明し、TPP存続へ向け協調していく方針を確認したということであります。この会合では、具体的にどのような議論が交わされ、我が国はどのようなことを主張したのか。また、今回のAPECに際し、安倍総理はTPP参加各国の首脳と二国間会談を行っておりますが、これらの会談における成果等も併せてお伺いいたします。
 続いて、APECの際の日中首脳間の会談について伺います。
 安倍総理は、APEC首脳会合の関連行事の直後、約十分間、習近平中国国家主席との間で会談を行ったと聞いておりますが、会談においては、日中関係の改善や年内に開催予定の日中韓サミットについてどのようなやり取りがなされたのでしょうか。我が国がホストする今年の日中韓首脳会談において、総理がどのように議論を主導されるのか、その意気込みをお聞かせ願います。
 また、来年は日中国交正常化四十五周年、再来年は日中平和友好条約締結四十周年の節目を迎えます。前回の節目となった国交正常化四十周年の頃の両国の関係性が最も困難な時期であったとすれば、今回は両国にとって関係性を正常な発展軌道に乗せる非常に大切な節目であり、関係改善を新しい段階へ発展させるチャンスであります。総理のお考えを伺います。
 最後に、リマで行われたロシアのプーチン大統領との首脳会談についてお伺いいたします。
 安倍総理は、今回を含め、これまでプーチン大統領と十五回の会談を重ねており、日ロ首脳間の信頼関係を構築してこられました。これは、七十年以上解決できていない北方領土問題を含む平和条約締結に向けた真剣な外交努力として評価されるべきであります。
 今回のリマにおける会談では、プーチン大統領と来る来月の日ロ首脳会談に向けて意見交換が行われたことと思いますが、平和条約締結交渉の進捗状況についてお伺いいたします。
 以上、総理の引き続きのリーダーシップの下、公明党も課題解決に向けて全力で協力していくことを申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高瀬弘美議員から御質問がございました。
 トランプ米国次期大統領との会談及びTPPについてお尋ねがありました。
 十七日にニューヨークで、世界の首脳に先駆け、トランプ次期大統領と会談を行うことができました。人事で多忙な時期でありましたが、二人で一時間半にわたりじっくりと話をすることができました。
 今回の会談は非公式なものであり、具体的なやり取りは差し控えますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、温かい雰囲気の中、大変充実した意見交換ができたと考えています。信頼できる指導者である、そう確信の持てる会談でありました。
 米国が政権移行期にあり、また世界的に保護主義の懸念が高まり世界に動揺が広がる今こそ、ぶれてはなりません。日本は一貫して志の高い自由貿易を目指すという国家意思を明確にすべきであります。日本がいち早くTPPを承認することにより、自由で公正な経済圏を世界につくり上げることを目指すという日本の固い決意を世界にしっかりと発信していきたいと考えます。その上で、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 トランプ次期米国大統領と日米同盟の重要性についてお尋ねがありました。
 日米同盟は、我が国外交・安全保障の基軸です。トランプ次期大統領との会談に当たっては、自由、民主主義、基本的人権や法の支配といった普遍的価値を共有する日米同盟は揺るがないということを確認する必要があると考えていました。
 米国の前方展開プレゼンスは、日本のみならず地域の平和と安全を確保し、同時にそれは米国の権益も守ることにつながっています。アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米双方が利益を享受していることについての理解を得ることが重要です。
 政権移行期にあって、まさに今、政権移行チームにおいて、諸政策につき様々な要素を勘案しながら最終的なスタンスが練られている最中だと思います。そうしたときだからこそ、普遍的な価値で結ばれた同盟国であり最大のパートナーである我が国が、ぶれることなく日米同盟の将来像を示し、共有する努力を重ねることが重要と考えます。
 今回のAPEC首脳会議に対する評価と包摂的な成長に関するお尋ねがありました。
 今回のAPEC首脳会議においては、自由貿易の推進が大きなテーマとなりました。世界経済が大きな下方リスクに直面する中、自由貿易を推進するアジア太平洋地域の確固たる意思を世界に示すことができたと考えています。自由貿易の推進以外にも、女性の活躍促進、質の高いインフラ投資など、日本が重視し、G7伊勢志摩サミットでも取り上げたテーマについて、APEC首脳宣言に盛り込むことができました。
 包摂的な成長は、頑張った人の努力がしっかりと報われるよう自由で公正なルールに基づく経済圏をつくること、また、あらゆる人がその経験や能力を思う存分発揮し活躍できるような一億総活躍社会の実現に向けた諸政策を実践することを通じて実現していくべきものと考えます。
 TPP首脳会合における議論やTPP参加国との二国間会談の成果等についてお尋ねがありました。
 TPP首脳会合では、TPP協定の高い戦略的、経済的価値、そしてそれぞれの国内手続を進めていくことを各国と確認し合いました。私からは、我々が現状にひるんで国内手続をやめてしまえばTPPは発効せず保護主義を抑えられなくなる、日本は既に衆議院の議論を終え現在参議院で審議をしている、厳しい状況にあるからこそ自由貿易、TPPに強いコミットメントを示す必要がある、各国がTPPの国内手続を断固として進めていくことを期待しているということを発言いたしました。
 TPPに参加するペルー、カナダ、ニュージーランド、ベトナム等の首脳との二国間会談では、自由貿易推進の重要性やTPPの国内手続をそれぞれ進めていくことなどを確認し合いました。米国の大統領選挙後の状況を受けて、国内手続をやめたり遅らさせたりしようとしている国は一つもありませんでした。
 今国会で承認が得られるよう全力で取り組むとともに、今後も様々な機会を通じて他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていきたいと考えています。
 APECの際の日中首脳会談、日中韓サミット及び今後の日中関係についてお尋ねがありました。
 APECの際に、短時間ではありましたが、習近平国家主席と会談を行い、来年の日中国交正常化四十五周年、そして再来年の日中平和友好条約締結四十周年に向けて日中関係を改善させていくことを確認しました。また、私から、年内に開催する日中韓サミットの際に李克強首相が初めて訪日されることになりますが、日中の二国間関係の文脈においても実りの多い訪日としたい旨述べました。
 我が国がホストする今年の日中韓サミットでは、日中韓三か国の協力促進に焦点を当て、経済、環境、防災、青少年交流など、幅広い分野で成果を上げていきたいと考えています。
 また、来年は日中国交正常化四十五周年、再来年は日中平和友好条約締結四十周年であり、国民レベルでの交流を拡大するチャンスであります。こうした大きな節目の機会を捉えて日中関係を改善し、一層発展させていきたいと考えています。
 ロシアとの平和条約締結交渉についてお尋ねがありました。
 リマにおけるプーチン大統領との会談では、来月の山口訪問を見据えながら、八項目の経済協力について今後の具体的な作業計画に合意し、平和条約に向けた協議を更に前進させていくことを確認しました。
 日ロの平和条約の問題は、戦後七十年以上たっても未解決であることが示すとおり、たった一回の首脳会談で解決できるような、そう簡単な問題ではありません。首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題であり、私自身がプーチン大統領と直接やり取りをし、一歩一歩着実に前に進めていく考えであります。
 現在進めている協議の中身については言及できませんが、北方四島の将来の発展について日本とロシアが双方にとってウイン・ウインの形で進めていくことが何よりも重要な視点であると確信しています。その上で、経済を含め日ロ関係全体を双方が裨益する形で発展させていく中で、平和条約交渉についても前進を図っていくことが必要と考えています。
 十二月に予定する山口県での日ロ首脳会談では、高齢化されている元島民の皆様のお気持ちをしっかり胸に刻み、静かな雰囲気の中で率直に議論し、平和条約締結交渉を前進させる考えであります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、安倍総理のAPEC会議出席等に関する報告に対して質問します。
 この間のAPEC首脳会合、トランプ米次期大統領との会談、そして一連の首脳会談などの総理の外交は、多国籍企業の横暴による格差と貧困の拡大、環境破壊等から国民の命と暮らしを守る闘いが各国で広がり、アメリカでもそうした世論と闘いを背景に、TPPからの離脱を公約にしたトランプ氏が次期大統領に当選するという情勢の下で行われました。
 まず、総理の認識を聞きます。
 総理は、十四日のTPP特別委員会で我が党議員の質問に対し、一部の企業に利益が集中した結果、一部の人が豊かになってあとはみんな貧乏になっているじゃないかという不満があるのは事実と認めつつ、それは各国の再配分機能がどうなのかという問題だと答弁しました。しかし、単なる不満や再配分機能の問題という話ではありません。
 自由貿易の名の下に進められたこの間の一連の国際条約そのものが国境を越えた多国籍企業のもうけを最大化するためのものになっており、その下で農業や食の安全、環境、雇用が脅かされ、ISDSで主権が侵害されるという事態が生まれているという認識はありますか。
 各国での批判の世論の高まりを受け、APECの首脳宣言には、経済的不平等や格差の拡大、環境の悪化などを挙げて、将来の不確実性を高めている、グローバリゼーションや関連した統合プロセスにはますます疑問の目が投げかけられていると盛り込まれました。一方で、あらゆる形の保護主義に抵抗すると述べ、保護主義か自由貿易かという議論にとどまっています。
 今求められているのは、そうした旧来型の議論ではなく、グローバル化の下で多国籍企業の利益優先により現に引き起こされている格差や不平等の解消のために、国際社会で何をなすべきか話し合い、実行することではありませんか。総理の答弁を求めます。
 安倍総理は、十七日にトランプ米次期大統領と会談しました。現職の大統領がいる中で、日本の総理大臣と次期大統領が会談した前例はないのではありませんか。なぜ、このような異例の会談をセットしたのですか。
 総理は、会談後の会見で、共に信頼関係を築いていくことができる、そう確信の持てる会談だったと述べ、その後のアルゼンチンでの記者会見では、TPPはアメリカ抜きでは意味がないとまで述べました。ところが、その直後に、トランプ氏が来年一月二十日の就任当日にTPPからの離脱を行うと正式に表明しました。
 これを、安倍総理のはしごが外された、完全にメンツを潰されたと評した報道もあります。にもかかわらず、総理が信頼関係を築けると確信をした根拠は一体何なんですか。TPPや安保条約について何を話し、トランプ氏はどう応じたのか、国民に明らかにすべきです。
 総理がアメリカ抜きでは意味がないとしてきたTPPからの離脱をトランプ氏が正式表明し、協定が発効しないことが確実になりました。にもかかわらず、日本が批准をすることにこそ意味がないのではありませんか。
 一旦離脱を決めた後、アメリカはどう対応するでしょうか。二国間のFTAを日本に求めてくるか、アメリカに更に有利になるように再交渉を求めてくることになるでしょう。総理があくまでもTPPに固執し、アメリカをTPP枠につなぎ止めようとするならば、二国間FTAにしてもTPPの再交渉にしても、日本自ら、アメリカに有利で、より日本に不利な不平等条約をアメリカに求めることになるのではありませんか。
 行政府による外国との条約締結の承認の是非を判断するのは、憲法上、国会の役割です。条約の中には、日本が九七年に国会承認をして締結したものの、アメリカ上院が九九年に批准案を否決して、結果として未発効のままとなっている包括的核実験禁止条約、CTBTのようなものもまれにあります。
 しかし、審議の段階において既に発効の見込みがないことが明らかな条約について、国会が承認を求められることは異常なことです。TPPにしがみつきたいという総理の思惑のために、国会に発効の見込みのないものの承認を押し付けるというのですか。TPP強行のための会期延長はやめ、廃案にすべきです。答弁を求めます。
 日ロ首脳会談について聞きます。
 ロシアのプーチン大統領は、二十日、ペルーでの記者会見で、前日に行われた日ロ首脳会談の中で、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島での共同経済活動について協議したと明らかにしました。一方、総理の記者会見では、北方四島の将来の発展についてウイン・ウインの形で進めていくことが何よりも重要な視点だと確信していると述べられただけです。共同経済活動についてどのような協議が行われたのか、なぜ安倍総理の会見では触れなかったのか、明らかにしていただきたい。
 この共同経済活動が日ロの領土の確定を曖昧にしたままのものならば、領土問題の真の解決に逆行する無原則な取引であり、重大な禍根を残すものとなります。
 日ロ領土問題の根本は、旧ソ連のスターリンが、領土不拡大という連合国が繰り返し宣言した第二次世界大戦の戦後処理の原則を踏みにじり、一九四五年のヤルタ協定で対日参戦の条件として千島の引渡しを決め、それに拘束をされて一九五一年のサンフランシスコ平和条約で日本政府が千島列島の放棄を宣言したことにあります。
 日ソ間の国交を回復した日ソ共同宣言から六十年にわたり日ロ領土問題が解決しないのは、この戦後処理の不公正を是正するのではなく、北千島を最初から領土要求の対象とせず、国後、択捉についても千島列島にあらず、だから返還せよという、歴史的事実にも国際法的にも通用しない主張だったからではありませんか。
 戦後処理の原則であった領土不拡大という国際的な道理に立ち戻って是正することこそが求められています。総理の答弁を求めます。
 APEC参加国であるベトナムへの原発輸出について聞きます。
 ベトナム国会は、二十二日、同国南部での原子力発電所の建設計画を白紙撤回するという政府決定を承認しました。この計画は、日本やロシアが支援して原発を建設し、二〇二八年にも稼働するというものでした。計画の中止は、福島第一原発事故で安全性に対する懸念が強まり住民の反対が大きくなったこと、安全対策の強化などで事業費が倍近くに膨らみ、財政難の下で巨大公共事業の見直しが迫られたとされています。
 事故原因の究明も終わらず、今なお多くの人々が避難を強いられている福島第一原発事故がもたらした惨害を見れば、ベトナムの国民から反対の声が上がるのは当然のことです。にもかかわらず、総理は、日本の原発を世界一安全な基準だとして、国内原発の再稼働とともに海外への原発輸出を推進しています。国内の再稼働反対の世論が多数であるのみならず、海外でも日本の原発が現地の住民に拒絶されたことを重く受け止めるべきではありませんか。
 原発輸出の推進政策は中止をすべきです。そのことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上議員にお答えをいたします。
 自由貿易を進める国際条約についてお尋ねがありました。
 自由貿易を進める国際条約としてはWTOや経済連携協定などが挙げられますが、これらは国境を越えた企業活動を促進したことはあっても、多国籍企業の利益を最大化するためのものになっているとの認識はありません。
 国際的な貿易や投資が行われる中で、農業や食の安全、環境、雇用を守るのは各国の政策の役割です。ISDS条項は、我が国が正当な目的のために必要かつ合理的な規制等を行うことを妨げるものではなく、これによって国の主権が侵害されることはありません。
 APECの首脳宣言とグローバル化への対応についてお尋ねがありました。
 自由貿易の利益を社会全体に及ぼすためには、大企業のみならず、中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものにしなければなりません。自由で公正な貿易圏をつくるTPPは、まさにこれを実現するものです。単に関税を下げて貿易をより自由にするだけでなく、知的財産保護、労働・環境規制、国有企業の競争条件の規律など幅広いルールを定め、頑張った人が報われる公正な競争環境を整えます。
 このようなTPPの新しいルールによって大きな恩恵を受けるのは、これまで様々なリスクを懸念して海外展開に踏み切れなかった地方の中堅・中小企業や農業者です。TPPが多国籍企業の利益を優先するものとは考えていません。その上で、各国政府が、国内において多くの人たちが自由貿易のもたらすチャンスをつかみ利益を得ることができる、そういう仕組みをつくっていくことが大切だと考えています。
 トランプ米国次期大統領との会談及びTPPについてお尋ねがありました。
 私としては、なるべく早くトランプ次期大統領にお目にかかり、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国同士の同盟である日米同盟は揺るがないということを確認する必要があると考えていました。
 トランプ次期大統領は、現職の大統領がいる中で、次期大統領があたかも大統領のように振る舞うことは米国の国益にとってマイナスであるというしっかりした認識を持ち、現職の大統領に対する敬意をしっかりと示されていました。信頼できる指導者である、そう確信の持てる会談でありました。
 今回の会談は非公式なものであり、先方から、大統領が二人いるかのような印象を与えるべきではないとの強い要望があったことから、具体的なやり取りは差し控えますが、様々な課題について、私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、温かい雰囲気の中、大変充実した意見交換ができたと考えています。
 米国が政権移行期にあり、また世界的に保護主義の懸念が高まり世界に動揺が広がる今こそ、ぶれてはなりません。日本は一貫して志の高い自由貿易を目指すという国家意思を明確にすべきであります。日本がいち早くTPPを承認することにより、自由で公正な経済圏を世界につくり上げることを目指すという日本の固い決意を世界にしっかりと発信していきたいと思います。その上で、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 日ロ首脳会談と北方領土問題についてお尋ねがありました。
 プーチン大統領の発言に関しては、現在進めている交渉の中身に関わり得ることから、事柄の性質上、言及できませんが、北方領土に対する従来の政府の立場に何ら変更はありません。
 サンフランシスコ平和条約は、領土の確定や賠償問題の解決を含め、我が国の戦後処理の法的な基礎です。我が国は、サンフランシスコ平和条約第二条(c)により千島列島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、この条項を一方的に破棄して千島列島等の返還を求めることはなし得ません。
 北方領土問題については、十二月に予定する山口県での日ロ首脳会談で、高齢化されている元島民の皆様のお気持ちをしっかり胸に刻んで、静かな雰囲気の中で率直に議論し、平和条約締結交渉を前進させる考えであります。
 ベトナムの原発計画と原発輸出についてお尋ねがありました。
 ベトナムの原発建設計画については、同国内の経済事情を背景に中止することが決定されたと承知しております。
 すべからく、原子力に関わる国際協力については、核不拡散の枠組みを堅持しつつ、世界で最も厳しいレベルの安全性を追求する我が国として、安全神話に陥ってはいけないという福島の教訓を国際社会と共有し、相手国と安全最優先で取り組んでいきます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 石井章君。
   〔石井章君登壇、拍手〕
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
 まず冒頭に、この度の東日本大震災をほうふつさせる福島沖地震の被災に遭われた方々にお見舞い申し上げると同時に、政府には、東日本大震災、三・一一を含む一日も早い復興に対する御尽力をお願い申し上げ、質問に入りたいと思います。
 アメリカのトランプ次期大統領は今月二十一日、来年一月二十日の就任日にTPPから離脱を通告すると明言いたしました。もしもトランプ氏がこの発言どおりに大統領就任後にTPP離脱を表明すれば、現行の形でのTPPの発効は不可能となります。
 私は、今月十五日のTPP特別委員会で、TPPに関するトランプ氏の一連の発言や米国民との契約という名の公約を見ると、批准しないという選択をするのではないか、また、アメリカが批准しない場合の対策についてリーダーとして腹案はお持ちか、このような点について総理にお考えをお伺いいたしました。総理からは、次期大統領の判断について現時点で予断を持ってお話しすることは控えるとの御趣旨のお答えをいただきました。
 安倍総理にお伺いいたします。トランプ次期大統領が大統領選後に改めてTPP離脱を明言した今となっても、アメリカ政府のTPPに関する方針の見通しはお示しにならないのでしょうか。米国の正式な離脱が決定するまでアメリカの翻意を促すという方針でしょうか。御認識をお伺いいたします。
 また、TPPの協定文では、発効前に離脱する国が現れることを想定しているのか、離脱の手続はどのように行うのか、こういった点についても現時点では不明確です。これらの点について、総理の御認識をお伺いいたします。
 APECで、安倍総理は、格差が拡大するという懸念が保護主義をもたらすとの指摘もされました。その上で、自由貿易への反対は、自由貿易に背を向けることではなく、経済成長の恩恵が幅広く及ぶような経済政策によって乗り越えるべきだと訴えました。各国首脳からも自由貿易の重要性を再認識する意見が出されたことを受けて、首脳宣言では、開かれた市場を維持し、あらゆる形態の保護主義に対抗することを再確認しております。
 我が党でも、TPP承認に関する国会での質疑を通じて、保護主義が広まりつつある今だからこそ、日本は責任ある先進国として自由貿易のメリットを主張すべきである、だからこそTPPは早期に承認すべきだと訴えてまいりました。
 イギリスのEU離脱やアメリカの次期大統領の発言など、先進国においても自由貿易による格差拡大等への懸念から保護主義が強まっております。そして、自由貿易への諸国民の理解を深めるためには、一部の業界や企業だけでなく、社会全体が自由貿易の恩恵を享受できるようにすることが必要であると思います。
 安倍総理にお伺いします。国全体、社会全体がメリットを実感できるような経済成長を実現するためにはどのような経済政策が必要とお考えでしょうか。これまで政府が掲げてきたTPP総合対策がそのような経済政策に当たるのでしょうか。総理の御認識をお伺いいたします。
 総理は、APECで、日本国内において一億総活躍社会実現への取組が社会全体に成長の恩恵が及ぶことにつながると示唆されてきました。しかし、この取組は、自由貿易によって想定される格差拡大への対策と考えるべきものなのでしょうか。一億総活躍社会実現に係る多くの政策は、第一義的には我が国の構造的な問題である少子高齢化に真っ正面から挑むためのものではなかったでしょうか。これが保護主義に対抗するための経済政策となり得るのかどうか、総理の御認識をお伺いいたします。
 さらに、安倍総理にお伺いいたします。日米両国を含むアジア太平洋地域の諸国民に経済的繁栄と安全保障上の安定をもたらすはずの協定について、なぜ我が国でも国民の理解がいま一つ進まないのでしょうか。各種世論調査の結果を見ましても、TPPの早期承認について世論は割れております。我が国での国会での議論や政府の発信が、我が国の農業保護の観点に重点が置かれ、中小企業や消費者が享受できるメリットを国民が実感しにくかったのではないでしょうか。御認識をお伺いいたします。
 総理は、平成二十五年三月十五日の記者会見で、日本と米国という二つの経済大国が参加してつくられる新たな経済秩序は、その先にある東アジア地域包括的経済連携、RCEP、さらにはアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPにおいて、ルール作りのたたき台となるだろうという趣旨の発言をされております。
 アジア太平洋地域での最終的に目指すべき経済連携は、自由で公正なルールの下、この地域での全ての国が参加できるようなFTAAPと考えます。アメリカの次期大統領がTPP離脱を表明した今、FTAAP実現へのシナリオをどのようにすべきでしょうか。あくまでTPPをてこにしてアメリカ政府の態度の変化を促していくのでしょうか。また、その場合、アメリカとの再交渉は一切行わないのでしょうか。現行のTPPが最善でいかなる妥協もあり得ないという姿勢で臨むのでしょうか。安倍総理の御認識をお伺いします。
 現在のTPPにおいて、日本は農産物の関税撤廃率が他国よりも低くなっております。これは、平成二十五年の両院の農林水産委員会での重要五品目等に関する決議が行われたことを踏まえたものであります。我が党は、現存する政党では唯一この決議には反対し、農業においてもできる限り自由貿易の原則を徹底すべきとの立場を取ってきました。また、農産物市場開放後の国内対策についても、できる限り農業の生産性を高めるような改革を行うべきと主張してまいりました。
 安倍総理にお伺いいたします。アメリカ政府が現行のTPPから離脱するにせよ、再交渉を求めるにせよ、今後、アメリカから、農産物について、現行のTPP以上に市場開放を求められるのではないでしょうか。特に、トランプ次期大統領は、TPPではなく二国間協定を進めていく方針にも言及しました。TPP再交渉又は全く別の二国間交渉において農産物市場の更なる開放を求められた場合、政府はどのように対応すべきか、総理の御認識をお伺いいたします。
 APECでの中国は、アジア太平洋の経済圏づくりを主導する姿勢を鮮明にしました。既に中国は、中国から欧州へ、中国の西側に向けて広大な経済圏をつくる一帯一路構想の実現を目指してきました。この背景には、中国の東側、つまり太平洋地域はTPPでアメリカに先行されたとの認識があったとも言われております。ところが、アメリカのTPP離脱の可能性が高まったことを見て、中国はRCEPの早期妥結を図ると言い始めました。APEC前後から、RCEPに関心を示す国も出始めております。
 我が党は、結党以来一貫してTPP賛成の立場を取ってきました。この協定について、アメリカ国民から十分な理解が得られていないという事実を踏まえて、自由貿易推進のために何をすべきか、一層真剣に検討すべきと考えます。今後、我が国の政府も各党も、世界経済の自由で公正なルール作りに向けて、日本国民はもちろん、世界の諸国民にも届く言葉を考えていくべきだと訴えて、私の質問を終わりにします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石井章議員にお答えをいたします。
 TPP協定に対する米国の反応についてお尋ねがありました。
 自由で公正な経済圏という旗を自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもが下ろしてしまえば、自由貿易の進化はそこで終わってしまいます。国会で速やかにTPP協定を承認いただき、その基盤の上に立って、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 なお、TPP協定には、発効前のTPP協定からの離脱に関する規定はありません。
 自由貿易の恩恵を社会全体に及ぼし、自由貿易に対する国民の理解を深めるための政策等についてお尋ねがありました。
 自由貿易の利益を社会全体に及ぼすためには、大企業のみならず、中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものにしなければなりません。自由で公正な貿易圏をつくるTPPは、まさにこれを実現するものであります。
 地方の中堅・中小企業や農業者がTPPがもたらすチャンスを活用して飛躍できるよう、総合的なTPP関連政策大綱を通じてしっかり支援してまいります。TPPのメリットが、直接輸出する企業のみならず、輸出企業と取引のある企業、そこで働く人々にも広く波及するよう、引き続き、取引の適正化を進め、各企業における賃上げを働きかけ、経済の好循環を促していきます。
 安倍政権は、格差が固定化されず、あらゆる人がその経験や能力を思う存分発揮し活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んできました。少子高齢化を克服するためのこの政策は、同時に、国民一人一人が成長の恩恵を実感できるようにすることで自由貿易に対する国民の支持を培うと考えます。引き続き、国民の期待に応える形で成長と分配の好循環をしっかりと進めてまいります。
 TPP協定のメリットに関する国民への説明についてお尋ねがありました。
 貿易自由化の議論においては、まずは、メリットよりも先に、競争の激化に懸念を持つ分野についてどのような影響が及ぶのか、どのような対策があるのかといった点に関心が集中します。そこで、政府の情報提供においては、輸出に関心のある中小企業や農業者あるいは消費者がどのようなメリットを得られるかについて、分かりやすく整理して発信する努力を払ってきました。
 具体的には、内閣官房のホームページに掲載した資料を事項ごとに整理し、また、通常国会における質疑等を踏まえ、中小企業や消費者の視点を含むTPPに関するQアンドAを追加、更新してきました。TPP協定や関連の国内対策の活用に関心がある中小企業や農業者を中心とする方々に向けては、地方経済産業局や地方農政局、税関、ジェトロ等に相談窓口を設置し、様々な相談に対応するとともに、全国各地で三百回以上の説明会等を開催しています。国会審議の場などにおいても、消費者、国民生活、中小企業にもたらすメリットなどを説明してきていますが、今後とも引き続き丁寧に説明していきます。
 FTAAP実現へのシナリオについてお尋ねがありました。
 自由で公正な経済圏という旗を自由民主主義国家第二位の経済大国である日本までもが下ろしてしまえば、自由貿易の進化はそこで終わってしまいます。国会に速やかにTPP協定を承認いただき、その基盤の上に立って、TPPの意義を米国に粘り強く訴え続けていきたいと思います。
 TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、RCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなります。二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されます。我が国としては、RCEP交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、質の高い協定の早期妥結に向け、引き続き精力的に交渉を進めてまいります。TPPと質の高いRCEPを通じて、FTAAPを自由で公正な経済圏として確立していきたいと考えます。
 TPP協定の再交渉については、繰り返し述べてきたとおり、仮に米国から求めがあっても、応じる考えは全くありません。
 農産物について、米国からTPP再交渉などを求められた場合の対応についてお尋ねがありました。
 安倍政権においては、これまで、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの方針の下、貿易交渉に当たってまいりました。関税撤廃が原則という厳しいTPP交渉においても、国会決議を後ろ盾にしながら、この方針の下、粘り強く交渉を行いました。その結果、特に農業分野については、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得しました。守るべきは守ることができました。
 TPP協定の再交渉については、繰り返し述べてきたとおり、仮に米国から求めがあっても、応じる考えはありません。つまり、農産物について更なる開放を求められても、応じる考えはありません。
 なお、米国の新政権の方針について、現段階で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。いずれにしても、貿易交渉において、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの我が国の方針に変わりはありません。
 RCEPについてお尋ねがありました。
 RCEPについては、ASEAN全加盟国や中国を含む十六か国の間で、物品、サービス、投資、知的財産、電子商取引等、自由化のみならず、ルールを含む幅広い分野で精力的に交渉を進めています。
 TPP協定に結実した新たなルールは、TPPにとどまらず、RCEP、さらにはFTAAP等におけるモデルとなります。二十一世紀の世界のスタンダードになっていくことが期待されています。我が国は、RCEP交渉において、TPP交渉における成果も踏まえながら、包括的で質の高いバランスの取れた協定の早期妥結を目指しており、引き続きリーダーシップを発揮していく考えであります。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第二 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案(島村大君外八名発議)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長羽生田俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔羽生田俊君登壇、拍手〕
○羽生田俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、養育者との永続的な関係に基づいて行われる家庭における養育を児童に確保する上で養子縁組あっせん事業が果たす役割の重要性に鑑み、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るとともに、あわせて民間あっせん機関による適正な養子縁組のあっせんの促進を図り、もって児童の福祉の増進に資するため、養子縁組あっせん事業を行う者について許可制度を実施し、その業務の適正な運営を確保するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、発議者山本香苗君から趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十六  
  賛成           二百三十六  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第三 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長宇都隆史君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔宇都隆史君登壇、拍手〕
○宇都隆史君 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、一般職の国家公務員の例に準じて、防衛省職員の俸給月額等を改定する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、自衛官の給与改定が一般職国家公務員の給与改定に準拠する理由、諸外国と比較した場合の自衛官の給与水準、自衛官の若年定年制の目的と再就職、再任用の状況等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会の浅田委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百二十五  
  反対              十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第四 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第五 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第六 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長秋野公造君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔秋野公造君登壇、拍手〕
○秋野公造君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案は、一般の政府職員の給与の改定に伴い、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額の改定を行おうとするものであります。
 次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案は、一般の政府職員の育児休業法の改正に伴い、裁判官に係る育児休業の対象となる子の範囲を拡大しようとするものであります。
 委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査を行い、裁判官の報酬及び検察官の俸給を一般の政府職員とは別の法律で定めている理由、裁判官、検察官の休日等の勤務実態の把握の必要性、裁判所、検察庁における女性活躍に向けた取組状況、男性の裁判官、検察官の育児休業の取得状況、財政状況を踏まえた国家公務員の給与引上げを見直す必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会を代表して高木委員より、裁判官報酬法改正案及び検察官俸給法改正案に反対、裁判官育児休業法改正案に賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、裁判官報酬法改正案及び検察官俸給法改正案はそれぞれ多数をもって、裁判官育児休業法改正案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百二十五  
  反対              十二  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第七 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長藤川政人君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藤川政人君登壇、拍手〕
○藤川政人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するため、金融機関等の資本の増強に関する措置等の期限延長を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、金融機能強化法に基づく国の資本参加が中小企業支援に及ぼした効果、銀行等保有株式取得機構が買取りを継続することの是非、保険業法の政府補助規定を延長する趣旨等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大門実紀史委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成            二百十五  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
○議長(伊達忠一君) 日程第八 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長横山信一君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔横山信一君登壇、拍手〕
○横山信一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、育児又は介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするため、地方公務員について、育児休業等の対象となる子の範囲を拡大するとともに、介護のため一日の勤務時間の一部につき勤務しないことができるようにする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、育児・介護休業制度の利用実態と取得環境の整備方策、臨時・非常勤職員の育児・介護休業のための条例制定等の推進、男性地方公務員の育児休業取得促進の取組等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成           二百三十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十五分散会