第192回国会 法務委員会 第5号
平成二十八年十一月八日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     丸山 和也君     藤木 眞也君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                藤木 眞也君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                高木かおり君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       外務大臣官房審
       議官       宮川  学君
       厚生労働大臣官
       房審議官     土屋 喜久君
       厚生労働大臣官
       房審議官     中井川 誠君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   宮野 甚一君
       水産庁次長    長谷 成人君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生
 の保護に関する法律案(第百八十九回国会内閣
 提出、第百九十二回国会衆議院送付)
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(第百八十九回国会内閣提出、第百九十二
 回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○連合審査会に関する件
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○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、丸山和也君が委員を辞任され、その補欠として藤木眞也君が選任されました。
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○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省入国管理局長井上宏君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(秋野公造君) 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○牧野たかお君 自民党の牧野たかおでございます。
 委員会の質問、久しぶりだなと思って調べたら、選挙の前の予算委員会が最後でございまして、三年ぶりでございますので、うまくできるかどうかちょっと心配でございますが、質問をさせていただきます。
 外国人の技能実習制度は、開発途上国の外国の人たちを日本で一定期間受け入れて技能を移転するという、言わば国際貢献を行う制度として今から二十三年前の平成五年に始まった制度であるというふうに承知しております。しかし、平成二十二年から改正入管法が施行され現在の制度に変わってからも、労働関係法令違反や入管法の法令違反が数多く発生しているということであります。これまでの審議でも、実施者側、要するに受入れ側でありますけれども、信じ難いような違反が各委員から指摘され、現在の制度の不備が明らかになっていると思います。
 そこで、改めて伺いますけれども、まず、労働関係法令違反や人権侵害と思われるような事例についてどういうものがあったか、具体的に伺いたいと思います。
○政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。
 労働基準監督機関におきましては、技能実習生を使用する実習実施機関に対しまして重点的に監督指導等を行い、労働基準関係法令の違反が認められた場合には是正指導を行っているところでございます。
 労働基準関係法令の違反が認められた具体的な事例といたしましては、例えば平成二十七年では、法定労働時間を超えて働かせる場合に必要ないわゆる三六協定の協定時間を超えて月約百時間から百五十時間の違法な時間外労働を行わせていたなど労働時間関係の違反があったもの、技能実習生がフォークリフトの運転資格を有していないことを知っていたにもかかわらず運転業務に従事させていたなど安全基準関係の違反があったもの、時間外労働の割増し賃金につきまして、時間単価五百円から五百五十円として法定の割増し率以上で計算して支払うということをしていなかったなど割増し賃金の支払関係の違反があったものなどがございます。
○政府参考人(井上宏君) 法務省の入国管理局におきましては、不正行為というものを認定した場合、これを通知することとしてございますので、ただいま厚労省の方から御報告がありました労働関係法令違反の不正行為の事案の具体例を若干御紹介させていただきます。
 一つには、技能実習指導員が朝礼時に、技能実習生が製造した製品に不良品が多いなどとして殴打して、加療一か月の傷害を負わせたような事案がございました。また、監理団体が技能実習生に対して、在留資格変更許可申請に必要であると、うその説明をして旅券及び在留カードを預かり、実習実施機関と連携して社則に違反したとして技能実習生を出国させようとして空港まで連れていく間に旅券等を返却しなかったというような事案もございました。また、実習実施機関がパソコンの所持を禁止したり門限を二十時とする等の寮規則を設けて、それに違反した技能実習生には罰金を徴収するなどの技能実習生の私生活上の権利利益を侵害する行為を行っていた、そのような事例が認められております。
○牧野たかお君 今、実施者側の各法令違反だと思いますけれども、一方、今度は実習生側の入管法の違反というのはどんな事例があるんでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) 技能実習生は、技能実習という在留資格を与えられて在留しているものでございますので、その在留資格が許容する活動をちゃんとしているか、また許容される期間内に活動がとどまっているかというような点についての違反が問題になってくるわけでございますが、ほとんどの技能実習生は計画に従って実習を行うとともに予定どおりに帰国しておるものと承知してございますが、技能実習生の中には、実習先から失踪して在留期限を超えて不法残留したり、あるいは不法に就労しておる者が存在しておるところでございます。
 このような技能実習生の失踪者の数は年々増加傾向にございまして、平成二十四年に二千五人であったものが、昨年二十七年には五千八百三人と急増しております。本年上半期はやや昨年よりは減少するようなことではございますけれども、いずれにしてもまだ多くの者が失踪しておりまして、入国管理局といたしましてもこの事態を重く受け止めているところでございます。
○牧野たかお君 今のお話にあったように、入国後間もなく受入先を離脱したり、別の活動をして不法に残留する外国人の人たちもいるということですけれども、今のお話のように、昨年は六千人近く失踪したという人がいるということでありますが、この失踪の原因、実施者側の待遇の問題があって失踪したのかとかですね、まあいろいろ理由があると思うんですが、その原因というのはどういったものであるか、分かる範囲でお答えをお願いいたします。
○政府参考人(井上宏君) 入管当局といたしましては、これまでに、失踪した技能実習生が摘発された場合は本人から、あるいはその失踪した技能実習生を出した実施者側の関係者等から事情を聴取するなどして調査しておるところでございますけれども、失踪の動機といたしましては、技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉えて、より高い賃金を求めて失踪する者がかなりの多数いるということが一点と、また、技能実習生に対する人権侵害行為があったなど、受入れ側の不適正な扱いによるものが動機として失踪する場合もあると、そのようなことが判明しております。
○牧野たかお君 今お話があったみたいに、実習生、ほとんどの外国の方はそこで、受入先で真面目に実習をしているということでありますけれども、年間六千人近い人が失踪しているというのは、やっぱりこれは異常な数字だと思います。
 それで、そのまた理由というか原因について、今お話があったみたいに、やっぱり実施者側に非常に問題があるということもこれは重く受け止めなきゃいけないんですが、現在の制度が国連とか外国から非常に強い批判を浴びていますけれども、今、日本で実習生を受け入れている実施者側、これについて、言うならば、どの程度の割合で違反があるというふうに考えればいいんでしょうか。
○政府参考人(土屋喜久君) 先ほど御答弁申し上げましたように、労働基準監督機関におきましては、実習実施機関に対しまして重点的に監督指導を行っているところでございますが、平成二十七年の実績におきましては、実習実施機関五千百七十三の事業場に対しまして監督指導を実施をし、その七一・四%に当たる三千六百九十五の事業場で労働基準関係法令の違反が認められたところでございます。
○牧野たかお君 今の数字というのは、要するに、厚労省が調査したうちの七割近くが結局違反だということでありますけれども、全体だと三万五千件ぐらいが多分実習生を受け入れている件数、実施者の数だと思いますから、要するに三万五千分の、七分の一が違反の疑いがあるとして調査をされたんでしょうけれども、実際に、じゃ残ったところの七分の六がちゃんと実習生を受け入れているかどうかというのは分からないと思いますので、そう考えると、かなりの比率で要は受入れ側に問題があるというふうに考えてよろしいですか。
○政府参考人(土屋喜久君) 私どもの監督指導の実績としては先ほど申し上げたとおりでございまして、これは、いろいろな情報等に基づきまして計画的に重点的な監督指導を行っているという意味では、若干違反を認められる事業場の数が多いということはあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、そのほかの機関も含めまして、技能実習生の適正な労働条件の確保ということに今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○牧野たかお君 これまでのほかの委員の指摘も含めて、事前にいろいろ教えてもらったことを考えると、この技能実習制度というのは、当初の目的は目的としてあったんでしょうけれども、かなりの受入先の考え方、また実習生も、ある意味では、出稼ぎ的なという言葉が出ましたけれども、そういう意識があって、制度の所期の目的とだんだんだんだんずれていってしまったというのはこれは否めない事実ではないかと思います。それで今回の改正につながっていくんでしょうけれども。
 現在の技能実習制度ですと、七十四の職種と百三十三の作業が対象になっていると思っております。非常に広範囲でありますけれども、この中には漁業の関係も入っておりまして、このうちの、実習生を船に乗せて操業をしているという漁船漁業関係も入っていますが、この漁船漁業関係では違反の例というのは何件ぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
 平成二十七年に不正行為を通知した漁業関係という意味での実習実施機関については三機関ございましたが、これらはいずれも養殖業の関係でございまして、御指摘の漁船漁業の技能実習を行う実施機関に対する不正行為の通知はございませんでした。
○牧野たかお君 さっき申し上げたみたいに、全体ではかなりの数というか、本当に、とても統計上の数という、統計上ではこのぐらいあるだろうという一般的な、要するに日本のいろんな職場の中のトラブルとか違反とかとは比べようにもないような数の多さがあると思うんですけれども、漁業関係、とりわけ漁船漁業という分野では今違反がなかったということでありますけれども、この理由というのは幾つか考えられると思いますけれども、事前に伺ったところによると、漁船操業関係では対象というか送り出している国がインドネシアだけに限られているということでありますけれども、その送り出しの機関、送り出し機関が、インドネシアの、これが非常にしっかりしているということでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、外国人技能実習生を受け入れている業界団体によりますと、漁船漁業におきましては、現在、インドネシアからのみ受入れを行っているところでございます。送り出し国であるインドネシアとの関係におきましては、我が国では、同国の水産高校の卒業生を対象に、同国政府から認定を受けた送り出し機関と監理団体が協定を結び、実習生を受け入れているところでございます。
 漁船漁業においては法令違反等はないと承知しておりますけれども、このことは、受入れ側だけでなく送り出し機関としてもしっかり対応していただいているものと考えております。
○牧野たかお君 それじゃ、その送り出し機関というのは、今の話にありましたように、インドネシアの公的な機関なんでしょうか。そしてまた、その送り出し機関と受入れ側の間には、これまでの各委員の指摘にあったように、俗に言うブローカーというような存在というのはないのでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) インドネシア政府から認定を受けた信頼できる送り出し機関と監理団体である漁業協同組合が協定を結んでおります。そういう形で技能実習生を受け入れていることから、水産庁といたしましては、その間に委員が言われるような者が介在しているとは認識しておりません。
○牧野たかお君 これまでのいろんなトラブル、違反の中に、やっぱりそのブローカーという曖昧模糊としたえたいが知れないようなそういう存在があったというのが、私は、何かほかの方のいろんな御指摘を聞いていると大きな要因ではないかなと思っていたんですけれども、こういうふうに、ブローカーがいなくて、公的な機関と、日本の監理団体は各漁協でありますので、そこがしっかり協定を結んで話をちゃんと事前にできていれば多分そういうトラブルが発生しないというふうに私は思いました。
 実際、日本の受入れ側の監理団体、漁協だと思いますけれども、漁協というのはどういう監理を行っているんでしょうか。
○政府参考人(長谷成人君) 委員御指摘のとおり、漁船漁業に関しましては全て漁業協同組合が監理団体となっております。
 監理団体である漁業協同組合は、一か月に一回以上の技能実習生及び漁業者である実習実施機関への巡回指導、並びに三か月に一回以上の実習実施機関への訪問監査などを行っております。また、漁船漁業におきましては、実習実施機関の技能実習指導員が毎日一回以上、各漁船における技能実習の実施状況を確認し、監理団体へ報告するなどの監理を行っているところでございます。
○牧野たかお君 最初に述べたように、この技能実習制度というのは、日本の技能を実習してもらって、実習生にその技能を修得してもらって開発途上国に技能を移転するのが目的だということでつくられた制度でありますが、それでは、この制度によって開発途上国に技能をもたらした、移転することができたような成果というのがあるのかどうか、幾つか具体例を挙げて答えてもらいたいと思います。
○政府参考人(長谷成人君) 漁船漁業に関しましては、これまで約五千人のインドネシア人が我が国での技能実習を終えておられます。これらの者は、技能実習後の母国での状況につきましては水産庁としては直接は把握しておりませんけれども、業界団体によれば、母国インドネシアにおける遠洋漁業への従事、その他、沖合、沿岸漁業などへの従事において活躍しているなど、送り出し国たるインドネシアから高い評価を受けていると聞いております。
 また、インドネシアの養殖業を除いた漁業生産量を見てみますと、平成十二年の四百十六万トンから平成二十六年には六百五十一万トンと五〇%以上の増加となっておりまして、技能実習制度がインドネシア漁業の発展の一助となっているものと考えております。
○牧野たかお君 私も個人的にたまたま聞いた話だと、向こうの、インドネシアですとなかなか沖合とか沿岸だとソナーを備えている漁船が余りなかったらしいですけれども、日本でいろいろそういう実習をしたことによってソナーを付けたことによって漁獲高が一挙に増えたという、そういう話も聞いたことがありますので、いろんな意味で多分実習した成果が上がっているんだろうと思います。
 さて、それでは技能実習計画について伺いたいと思いますけれども、修正案では、報酬とか労働時間、休日など、外国人実習生の待遇の内容と実習計画を明記することになっております。また、原案の制度の改正の主要な目的は実習生の保護であると思います。この改正が成立した場合、待遇の細部については厚生省が省令などによって定めることになると思いますけれども、今申し上げたみたいな報酬とか労働時間とか休日とかそういったものについて、全ての職種について一律の定めにする考えなのかどうか、伺いたいと思います。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 技能実習生の待遇の基準でございますけれども、これは主務省令で定めることとしており、法案が成立をいたしますれば、その後、細部を検討していくこととしております。
 その際、実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることなど、全ての職種において一律で守っていただく基準のほか、職種によってはその実情を踏まえた基準を設定していく必要があるものもあるというふうに考えております。そのような場合には、業所管官庁とも連携しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。
○牧野たかお君 今お答えがあったみたいに、全ての職種で一定のというか一律の定めにするものというか項目もあると思います。
 ただ、労働時間とか休日というのはこれ非常に難しい話だと思いますが、特に今も私がずっと取り上げている漁業関係ですと、一日例えば八時間で朝の八時から五時までとか、そういうことは非常に決めにくいというか、日本人の労働に従事している人もそうなんですが、簡単に言えば、相手が自然ですので、魚がいれば捕るし、途中で、じゃ、五時になったから八時間たったからとか、そういう理由で操業をやめるという、止めるというわけにもいかないと思いますので、要するに、そういうことをちゃんと配慮した上で今後の実習計画についても省令で定めてもらいたいと思いますが、もう一度その点について伺いたいと思います。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 技能実習制度につきましては、実習環境をめぐり国内外から批判がある中で、実習生が適正に技能を修得できる環境の確保を図ることが重要であるというふうに考えております。技能実習計画の認定の際には、実習生の労働条件等の待遇について記載を求めることとしております。
 先生御指摘がありました漁船漁業分野におきましてもこれは同様でございます。適正な技能修得の環境が確保されることが必要でございますけれども、一方、漁船漁業分野には先生御指摘のような特殊性もございます。また、現行制度で行われてきた業界独自の取組もあるというふうに承知をしております。
 こういう点を踏まえまして、水産庁等の関係省庁と連携をして適切に対応してまいりたいと考えております。
○牧野たかお君 誤解がないように申し上げますが、私が言っているのは、まあ今のことでいいんですが、要するに過酷な労働環境を認めるという話じゃなくて、とにかく職業によっては要はそういうフレックスな時間制でなければ対応できない職種もあるし、そしてまた、外国人実習生の保護という意味では、当然のことながら、一日の単位でというよりも一週間の単位でとか一か月の単位で、当然休日は日本人の労働者と同じように同じ待遇にして、休むときは休むし、報酬、報酬は後で申し上げますが、そういうふうにトータルの中で労働時間とか職場の環境を整える、職場の環境、良好な環境を整えるというのがその職種によって違うから、その点は配慮してもらいたいということであります。
 それで、今度は報酬について伺うのですが、さっきも、一律で定める項目になるんでしょうけれども、修正案では日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることを明記することとありますけれども、厚労省が考えているこの同等というのは、どういう基準で同等ということを考えているんでしょうか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 御指摘ありました同等以上の意味でございますけれども、詳細につきましては今後更に検討することといたしておりますけれども、例えば実習生が有する技能等の水準、職務の内容、職場において有する責任、その他の事情を考慮して、同等と評価される業務に従事する日本人がいる場合は、その賃金額と比較して判断をすることとなるというふうに考えております。
○牧野たかお君 具体的な基準になるかどうか分かりませんが、例えば全く技能がまだ身に付いていないというか素人状態で入ってきた人は、例えば日本の労働者でいえば、高校なり大学なりを出てきてそこで働いた初任給と同じという、そういう考えでいいんですか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 これはそれぞれの職務の内容、職場の状況について個別個別に判断をしなければならないというふうに思っておりますけれども、例えば新たに技能実習生の方が入る場合、全く同じタイミングで全く未経験の日本人が入るとするならば、それは当然ながら同等以上、同じ賃金になるであろうと。
 一方で、例えば同じような仕事だけれども、二年前、三年前に入られた日本人の方がいて一定の経験を積んでいる場合、それはやはりその経験を評価をして、新しく入られた実習生の賃金をどう考えるのかというようなことになろうと思いますし、また、業務として少し、より専門性が高いような業務に日本人が就いている場合については、その方の賃金と比較考量するというようなケースも出てまいると思います。
 いずれにしても、これは様々なケースが考えられると思いますので、具体的な基準をお示しをした上で、具体的には個別個別のケースごとに対応してまいりたいというふうに考えております。
○牧野たかお君 やり取りというか、お答えを聞いていてというと、ちょっと事前にいろいろ伺っていて、ふと、ふとというか、言いたくなったものですから長谷さんにちょっと一言言わせていただきたいと思いますが、今回は私、漁業関係の質問をしたんですが、これは水産庁だけじゃなくて、ほかの経産省なんかも多分同じだと思うんですが、要は、この技能実習生の制度については実態的には厚労省が把握して、入管法の関係は法務省が把握してということであって、実際、業界を所管している各省庁は余りこの技能実習制度について、さっきもお答えの中にちょっとあったけれども、要は把握していないというか、今まで直接的にはこの技能実習制度というのは、本当はその業界に関係している省庁が余り関与していないというか、余り関心を持って注意深く見守ってこなかったことも私は何か、まあ水産庁の場合は今度は違反の例がなかったということでよかったんですが、ちょっといろいろ事前に聞いている話、聞いているというか、いろいろやり取りしているときに思ったのは、どうも余り関わってこなかったという感じがしたものですから、私はやっぱりこういう、技能実習制度は確かに労働関係の話であっても、各業界を所管している省庁はやっぱり深く関わらなきゃいけないんだなというふうに思ったんですが、まあちょっと余分なことを申し上げて、聞いても答えられないかもしれませんが、もうちょっと関わった方がいいんじゃないか、これからのことも含めてそう思いますが。
○政府参考人(長谷成人君) 委員の御指摘も踏まえまして、水産庁といたしましてはこれまで以上にこの制度に関心を持ちまして、関係省庁ともよく連携して取り組んでいきたいというふうに思っております。
○政府参考人(井上宏君) お答え申し上げます。
 今回の法案では事業協議会というような制度もつくりまして、その業の所管大臣も含めた業界を通じての適正化の推進等の枠組みも設けておるところでございまして、あと地方公共団体の関与の枠組みもつくるなどいたしまして、そのような関係者の全体での連携を図った上での適正化を進めていきたいというふうにしているところでございます。
○牧野たかお君 文句を言っていて最後褒めるのもちょっとあれですが、ただし、いろいろ、さっき申し上げたみたいにいろんな委員の方のこれまでの御指摘や御意見や質問を聞いていて、確かにこの技能実習制度というのは本当に所期の目的とどんどんどんどん懸け離れて、どちらかというと実施者側が安い労働力を確保するような目的でゆがめてきちゃったなというのが実感するところです。それはさっき申し上げたみたいに、水産庁はというか、漁業関係は送り出しもしっかりしているし、そしてそういう仲介するブローカーもいないし、実際、受入先は各船主であるけれども、漁協がしっかりその監理団体として機能しているという、私はほかのところに比べれば非常に有効的に、かつちゃんとやってきたと思っておりますけれども、さっき申し上げたみたいに、やっぱりこれ監督する厚労省だけじゃなくて、業界を、まあ今日は経産省呼んでいませんけれども、業界を本当掌握しているべき官庁がほとんど多分この制度には関わってこなかったからそういういろんな不正が起きてしまったというのは、まあ私の見方ですけれども、大きいんじゃないかなと思います。
 それで、最後に法務大臣に伺いたいと思いますが、法務省もこれまで入管法違反というその部分ではちゃんと所管をされてきたと思いますけれども、要は、どうしてもこの制度というのは曖昧、監督官庁とかその所管官庁が厚労省でありながら、厚労省もさっきの話のようにその違反の疑いがあったりいろんな情報が来なければ調査もなかなか乗り出せないということで、言うならば法務省も入管法以外ではなかなか多分この制度の中では関わってこなかったと思いますが、やはりこれは、特に受入れ側の方でいえば、さっき人権侵害の部分では、いろいろ暴行事件だったり人権侵害に当たる中でいえば犯罪行為もあったと思いますので、法務省としてこの外国人技能実習制度を更に、更にというか、健全化するために今後どう取り組んでいかれるのか、お考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 牧野委員の御質問にお答えさせていただきます。
 ただいまの議論を伺いました。確かに、委員が御指摘されておりますように、現行制度では、入管当局にとりましては技能実習の運用を規制する法令は出入国管理を目的とする入管法令しかないんですね。ですから、そのために、受入れ機関の不正行為に対処するにしても、不正行為をした機関を受入先とする外国人の上陸を認めないというような間接的な規制を現行制度では事業者に及ぼすということしかなくて、抜本的な適正化対策としては限界があったと、このように考えております。
 これに対しまして、今回御審議をいただいております技能実習法案では、監理団体の許可制あるいは技能実習計画の認定制を導入をいたしまして、その許可や認定、さらにそれらの取消しといった点に関する主務大臣の権限を定めたりいたしまして、団体や事業者を直接規制することができる枠組みを構築しているわけであります。
 こうした新たな枠組みを用いて、この法案が成立し施行された際には、制度を共管いたします厚生労働省とともに、また連携も図りながら、不適正な監理団体や実習実施者をしっかりと排除をしていく、そして制度の運用の適正化を図っていく、そうした努力を行ってまいりたいと、このように考えております。
○牧野たかお君 終わります。
○糸数慶子君 沖縄の風の糸数慶子です。
 まず、外国人研修制度の適正化策についてお伺いをいたします。
 一点目に、その保証金についてでありますが、近年急増しているベトナムからの技能実習生の状況については、二〇一五年の三月から二〇一六年の二月にベトナム社会科学院・家族ジェンダー研究所に客員研究員として滞在をし、移住家事労働者や技能実習生を対象に調査を行ったジャーナリストの巣内尚子さんが、ヤフーニュースに今年の八月二十四日、ルポとして、「「外国人技能実習生ビジネス」と送り出し地ベトナムの悲鳴」と題する記事を寄せています。その中で、ベトナム労働法を専門とする神戸大学大学院国際協力研究科の斉藤善久准教授の発言として、日本の入管行政は保証金を徴収している実習生の入国を認めていないが、ベトナム政府は通達で三千ドル以下の保証金の徴収を認めているというふうにしております。
 そこでお伺いをいたしますが、日本政府はベトナムでのこのような保証金の取扱いについて把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(宮川学君) お答えいたします。
 日本政府といたしましては、ベトナム政府が海外への労働者送り出しに際しまして保証金の徴収を、これを許容していることを把握しております。また、御指摘の二〇一三年発出のベトナム労働・傷病兵・社会省の通知についても把握しております。
 他方、日本との関係におきましては、ベトナム政府は、このような通知、慣行ございますが、日本への技能実習生の送り出しに当たっては保証金の徴収は認めていないということを承知しております。この点は、例えば二〇一四年に我が方の外務省領事局長がベトナム労働・傷病兵・社会省の担当部局を訪問した際に先方に明示的に確認させていただいておるほか、その後もこういった日本に対する方針に変更はないと承知しております。
○糸数慶子君 これまでベトナム政府との間でJITCOが定期協議を行い、討議議事録を作成しておりますが、その内容はいかがなものでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、JITCO、国際研修協力機構でございますが、これは、自主的な事業といたしまして、技能実習生の送り出し、受入れ業務を適正、円滑に行うために、ベトナムを含めまして十五の国との間で討議議事録というものを交わし、定期協議などを通じて技能実習制度に係る問題点を共有し、その解決に向けての協議を行っているものと承知しております。
 新制度におきましては、二国間の取決めを結んで相手国政府の協力の下で送り出し機関の適正化等を図っていくこととしてございますけれども、その各国との取決めを作成する上では、これはもちろんベトナムも含めてのことでございますが、JITCOの協力を得てこれらの内容を十分に把握し、またその他の情報も集約いたしまして、的確な取決めの内容を検討してまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 改めて外務省に伺いますけれども、ベトナム政府に対して外務省は技能実習制度に関してどのような対応をしてきたのか、改めて伺います。
○政府参考人(宮川学君) お答え申し上げます。
 外務省といたしましては、ベトナムに対しまして、制度の適正化に向けた協力を求めるという取組を行ってきております。具体的には、領事当局間の協議の機会、その他関係幹部のベトナム訪問の機会等を捉えまして、日本の取組や問題意識をベトナム政府にお伝えし、制度の適正化に向けた協力を求めております。
 また、今後も、関係省庁とも緊密に連携させていただきつつ、送り出し国ベトナムとの間で取決めを作成し、速やかな制度の適正化に努めていきたいと考えております。
○糸数慶子君 このベトナムでの認定送り出し機関が二百三機関に及び、中国に次いで多くなっておりますが、こうした送り出し機関に対する技能実習制度に関する普及啓発はどのようになっているのか、具体的に伺います。
○政府参考人(宮川学君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の啓発面での努力でございますが、送り出し機関の認定や取消しを行っておりますベトナム政府の担当部局との間で、日本政府といたしましては、技能実習制度に関する我が国の取組やそれを周知する努力、また失踪、人権侵害事例への問題意識の伝達などを行わせていただいております。
○糸数慶子君 次に、強制帰国についてでありますが、この強制帰国については、これまでの国会の議論の中でその重大性が繰り返し指摘されてまいりました。十一月一日の本委員会でも、法務省から、途中帰国する技能実習生に対して出国時に窓口で確認をすること、また出国前に事前の報告義務を課すことなどが答弁されました。
 出国前に事前の報告義務を課すことは、具体的に省令等にどのように書かれることになるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
 強制帰国に関わる報告義務についてのお尋ねでございました。これは、省令の前に、義務を課すことでございますので、この法案におきまして基本的な枠組みを規定してございます。具体的には法案の十九条の一、二項及び三十三条の一項に規定がございまして、その報告義務の大きな枠組みは次のようなものでございます。
 技能実習生に技能実習を行わせることが困難となったときは、これ、企業単独型の技能実習にありましては、実習実施者が直接主務大臣に遅滞なく届け出なければならないと、団体監理型技能実習の場合には、実習実施者は監理団体に通知し、監理団体が遅滞なくその旨を主務大臣に届け出なければならないと、大きな報告義務の枠組みを課してございます。
 いわゆる強制帰国というものは何かといいますと、実習実施者が技能実習の継続はもうできないという判断をし、技能実習生の意思に反して技能実習を打ち切って帰国させると、そういうことでございますので、手続上は継続不能だと判断した時点でこの継続困難時の届出義務が出てくる、したがって遅滞なく届け出なければならないということになってございます。そして、この届出義務を怠ったり、あるいは虚偽の届出をした者については三十万円以下の罰金の処罰規定も設けているところでございます。
○糸数慶子君 こうした出国時の対応について、あらかじめ技能実習生にどのようにこれを伝えていくのでしょうか。例えば言語面でベトナム語などへの対応も可能なのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(井上宏君) 技能実習生に対しましては、その法的な保護に関わる事項につきまして、これを入国の段階で技能実習手帳というものに記載してございまして、いろいろな保護の仕組みを記載してございまして、その技能実習手帳はベトナム語を含めまして複数の主要な送り出し国言語に翻訳したものを作ってございまして、これを入国時に配付して、技能実習生の手元に置いていつでも参照できるようにするという方法で周知を図っておるということでございます。
○糸数慶子君 次に、技能実習生の途中帰国者数でありますが、これは昨年一年間で一万四千二百九十二人に上っておりますが、その途中帰国が技能実習生の意に反しているかどうかの意思確認の手続ですが、これは出国ぎりぎりのタイミングでは漏れることも多くなるのではないかと思います。
 そこで、途中帰国者に対しては、受入れ機関関係者を入れない形で事前に法務省入管局が意思確認の手続をするのがよいと思いますが、どのような方法で対応されるのでしょうか、伺います。
○政府参考人(井上宏君) 強制帰国を予防するためのその法、枠組み、制度についてのお尋ねであったと思いますが、先ほど申し上げました継続困難時の届出義務というのも一つの枠組みでございます。そのほか、この法案におきましては、外国人技能実習機構において母国語による相談の体制を充実させたり、あるいは法律において、実習実施者等に違法行為がある場合の申告ができる、その申告を理由に不利益な取扱いを禁ずるなどの申告権と言われているそのような保護措置などを充実させておるところでございます。
 そのほか、入管当局といたしましても、言わば最後の機会ということになろうかと思いますが、出国段階におきまして、技能実習生から、特に在留期間を余らせて出国しようとするような場合につきましては、翻訳をした文書なども用いまして効果的にその真意を確認できるような取組を進めているところでございます。
 そのような形で、相談窓口や申告あるいは入管での聞き取り等の取組などを通じまして、これを的確に運用すること、そして、そのような制度があるということを技能実習生にも技能実習手帳などを通じてしっかり周知を図っておいて活用していただくようなこと、そのような取組を通じまして強制帰国を少しでも減らすように努力を進めてまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 次に、名義貸しの禁止についてお伺いいたします。
 第三十八条では、監理団体に対して名義貸しの禁止をうたい、罰則の対象としています。しかし、法務省の不正行為認定でも明らかなように、この名義貸しのほとんどは実習実施機関において行われております。したがって、実習実施者も罰則の対象にするべきではないでしょうか、金田法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員の御質問にお答えをいたします。
 監理団体について名義貸しの禁止規定を置いているというのは、監理団体については許可制を採用しておりまして、名義貸しは許可制の意味を失わせることになるということのためであります。
 実習実施者の名義貸しについてでございますが、実習実施者が名義貸しのような行為、すなわち自ら技能実習を実施しないで他の事業者に技能実習生を預けてそこで就労をさせるといったことをした場合には、認定計画に従って技能実習を行わせていないということになります。計画に従って技能実習を行わせていないこととなりますので、そこで就労させるといったことをした場合には認定計画に従って技能実習を行わせていないということになりますので、主務大臣が技能実習計画の認定を取り消すことができると、これは第十六条の一項に、そういうことになるわけであります。
 それで、計画認定を取り消された場合、その実習実施者は当該取消しの日から五年間欠格事由に該当をいたしまして新たな技能実習計画の認定を受けることができなくなる、これも法案の第十条六号でございます。
 さらに、技能実習生が他の事業者の下で就労することは不法就労にほかならないわけでありまして、当該他の事業者には不法就労助長罪、これは入国管理法の第七十三条の二が成立するということになりますし、それのみならず、そのように仕向けた事業実施者も同罪の共犯になり得るわけであります。そういう構成になっております。
○糸数慶子君 次に、技能実習機構の実地検査等の体制についてお伺いしたいと思います。
 十一月一日の本委員会で厚生労働省から、地方事務所の百五十人が対応し、一人当たり年間九十件を対象とすると答弁がなされました。量的な面は明らかとなりました。では、質的な面ですが、すなわち実習実施者に対する検査能力についてお伺いをしたいと思います。
 同機構には法務省や厚生労働省等から現役官僚が出向する予定とのことでありますが、このうち厚労省の労働基準局関連の出向者は何人ぐらいを想定しているのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 厚生労働省からの機構への現役出向者の人数でございますけれども、これは労働基準局関連あるいはそれ以外も含めまして現在調整中でございます。
 ただ、いずれにいたしましても、労働関係法規に関する知識や知見に富み、事業主への立入検査に関する業務経験を有する職員を配置をしたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 労働基準局からの出向者は労働関係書類の見抜き方を心得ているはずでありますから、百五十人の検査担当者の中で労働基準局以外の方にはどのような資格、経験を要求することになるのでしょうか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 地方事務所におきまして実地検査を担当する職員につきましては、基本的には都道府県労働局から労働基準行政関係あるいは職業安定行政関係の職員を私ども出向させたいというふうに考えております。
 職業安定行政関係の職員につきましても、やはりこれは当然ながら、現行の労働局あるいはハローワークの業務の中で労働関係法令についての知識あるいは知見を有しております。さらに、例えば労働者派遣法等に関わる立入検査等々の業務についても所管をしております。
 そうしたことも踏まえまして、いずれにいたしましても、これは労働基準行政関係、職業安定行政関係含めまして、繰り返しになりますが、労働関係法規に関する知識や知見、あるいは事業主への立入検査に関する業務経験等々を有する職員を配置をしたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 技能実習制度の現状を見ましても、実習実施者そして関係書類だけでは明らかにならないケースも多いわけですが、技能実習生自身からヒアリングをして実態を把握することが重要となります。そのためには、検査担当者に通訳者を同行させる必要があるわけですが、その点、どのような対応あるいは予算措置を検討されているか、お伺いいたします。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
 先生御指摘がございましたとおり、機構が実地検査を行うに際しましては、技能実習生から直接聴取を行うという必要も出てくるということが想定されております。これを踏まえまして、二十九年度の概算要求におきましても、この通訳に関しての必要な額を盛り込んでいるところでございます。必要がある場合については通訳者を同行させるということを私どもとしても考えております。
○糸数慶子君 次に、出入国管理及び難民認定法改正案についてお伺いいたします。
 まず一点目、難民支援者からも難民保護の観点から懸念が寄せられていますが、この実施、運用に当たっては、難民保護の精神を損なわないよう、現状から後退することがないよう運用するということでよろしいでしょうか、金田法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(金田勝年君) お答えいたします。
 今回の入管法の改正法案における罰則の整備は、偽りその他不正の手段によって上陸許可を受けるといった悪質な行為を処罰できるようにするためのものであります。
 また、在留資格の取得事由の新設は、例えば実習先から失踪しました技能実習生が全く別の事業場で就労している場合などのように、本邦において行おうとする活動が当初の申告内容から変質をいたしまして在留資格が形骸化していると言える場合には在留資格を取り消せるようにするものであります。
 いずれも、すなわち殊更に難民認定申請者を念頭に置いたものではなくて、難民認定手続そのものを変更するものでもありません。もちろん、委員の御指摘のとおり、真に保護すべき難民についてはこれまでどおり適切に保護を受けられるように配慮をしてまいりたいと、このように考えておりまして、難民保護の精神を後退させるような運用は想定をしておりません。
 先ほどお答えしました、在留資格取消し事由の新設でございます。読み方を勘違いいたしました。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、この条文が厳しく適用される場合、難民として認定されないと罰則の対象となり得るというようにも読めるわけですが、難民が逃れるために、現在は難民申請といった査証がないために、大抵は観光、ビジネス等の目的として便宜上話して入国をしています。難民条約では、三十一条により、難民が不法に入国したことをもって刑罰の対象としてはならないとしています。日本政府の難民認定は非常に厳しく、この罰則の例外の適用を厳格に難民に限定すると、多くの難民申請者若しくは人道配慮による在留許可を得た人も罰則の対象となり得ます。
 この難民という文言は、人道配慮や難民申請をしている人も含めて広く柔軟に解釈されるということでよろしいでしょうか、法務省にお伺いいたします。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
 ただいまのお尋ねは入管法の七十条の二という規定につきましての運用についてのお尋ねでございます。
 七十条の二という条文は、例えば不法入国とか不法残留とか、そのような罪を犯した者が難民である、さらに、その他幾つかの要件を満たす場合には刑を免除するということにしておるところでございます。ここで言う難民とは何を意味しているかということでございますが、入管法における難民は定義規定が二条の三号の二というところに置かれていまして、これはいわゆる条約難民、つまり難民条約及び難民議定書に定義する難民であるということでございます。この難民とは条約上何かといいますと、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であつて、その国籍国の保護を受けることができないもの」などと規定されておるところでございます。
 したがいまして、この入管法七十条の二の規定は、御指摘のありました難民条約の三十一条の規定を受けて設けられた規定でございますので、同条の趣旨に従って、不法入国、不法残留等の犯罪については、法定された要件の下では条約難民は処罰しないということとしているところでございます。
 したがいまして、御指摘がありましたが、人道的配慮から在留を認められたことや現在難民申請中であるということをもって直ちに入管法七十条の二に言う難民に当たると、そう言えるものではございませんが、他方、これは入管法の難民手続とは別に刑事裁判の過程で行われることでございます。つまり、不法入国等により起訴された刑事裁判があったとした場合に、そこで条約難民に当たるかどうかと認められ、かつ、ほかの要件を満たせば入管法七十条の二によって刑が免除されると、そのような枠組みになっております。
○糸数慶子君 七十条の二について今お伺いしたわけでありますが、お答えがあったわけですが、この難民は、難民申請というビザや在留資格がない以上、観光、ビジネス、場合によっては留学、研修などの目的で入国、滞在し、その後難民申請を行うことになっているわけです。また、当初の目的がそうであっても、政変等によって帰国できなくなる後発難民と呼ばれる人たちもいるわけです。
 実際、難民認定された人の中には、技能実習生、留学生、研修目的で来日した人などが含まれますが、そのような中で、難民申請を行おうとしている人の在留資格を取り消す可能性があることは、平均約三年という長い難民申請の審査期間を考えると、非常に不安定な法的地位で過ごすことを余儀なくされるため、極度の困窮に陥らせる可能性があるわけです。
 難民を保護するという観点から、この条文は慎重に解釈、適用されるということでよいでしょうか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(井上宏君) 難民認定申請者につきましての在留資格の取消しについてのお尋ねと理解いたしました。
 その点につきましては、今回の入管法改正案の中で第五号という取消し事由を新設いたしまして、正当な理由がないのに在留資格に応じた活動を行わず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留している場合には在留資格の取消しを可能とするものでございますが、難民認定申請そのものはここに言う他の活動には当たりませんので、その申請をしたことをもってこの新しい取消し事由に該当するというものではございません。
 いずれにいたしましても、この新しい取消し事由の運用、適用に当たりましては、本来の在留資格に応じた活動を行わなくなった経緯でございますとか、他の活動の状況等客観的事実を踏まえまして、本来の活動へ復帰できる見込みや他の活動を開始する可能性等を検討いたしまして、もう当初に与えられた在留資格が既に形骸化していると認められるかどうかということから客観的に適正に判断していくことにしてまいります。
○糸数慶子君 次に、二十二条の四第一項五号について伺います。
 入国の審査について専門性を有する入国審査官が原則として事実調査を行うことが原則であると考えます。そのため入国審査官を増員する予定について伺いますが、入国警備官はあくまでも例外的に調査に従事するということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) 入国審査官の増員の予定についてのお尋ねでございました。
 入国審査官の業務、多岐にわたりますけれども、近時、入国者の非常な増加、在留者の増加等を踏まえまして、本年度におきましては、百六十二人の増員措置に加え、九月にはいわゆる緊急増員として更に六十二人の増員を得たところでございます。また、来年度につきましては、審査官につきましては二百三十三人の増員を要求していることで、としておりまして、必要な人員の確保に努めて、その体制の整備を図ってまいりたいと思います。
 もう一つのお尋ねは、今回の法案で在留資格の取消しに関しましては入国警備官もその調査をできるという権限を付与することとしてございますが、その調査は例外的なものかというお尋ねでございました。
 このような今回の改正をお願いしている背景、実質的な背景といたしましては、いわゆる偽装滞在案件につきましては入国警備官による摘発活動等から判明することが多いということ、また、在留資格の取消しの案件に係る調査の手法は、入国警備官が通常行っておる退去強制事由があるかどうかという違反調査、これに通じる部分が多いことから、偽装滞在の問題に効果的に対処するため、そうした調査の訓練がなされている入国警備官にも在留資格取消しに係る調査を行わせるものでございまして、その意味では入国警備官が例外的に在留資格取消処分に係る事実の調査に従事するというものではございませんが、入国警備官につきましても、各種研修の機会に難民認定制度につきましては十分な教育を授けてございますので、難民保護の重要性は十分に理解をしておるものと考えております。
○糸数慶子君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、通告をいたしましたけれども質問できないところがありました。また継続して質問したいと思います。
 ありがとうございました。
○山口和之君 無所属の山口和之です。よろしくお願いいたします。
 日本の抱える大きな課題の中で、超高齢化社会の問題がございます。この超高齢化社会の問題は、膨大化される医療費の問題それから介護費用の問題、これはかなり大きな、社会保障の中でも大きな問題が高齢化の問題でございます。
 その高齢化の中で、今回、技能労働実習の中に介護を取り入れるということでございます。もしかしたら、この介護実習が導入されて国内の介護の事情が変わってくる、あるいはリハビリテーションの事情が変わってくる、そういった関係からそれが国際貢献に広がってくるとすれば、課題先進国としての日本の貢献度というのは非常に高いものがあると思います。周辺諸国も間違いなく高齢化社会を迎えてきて大変な状況になっていくことは、日本の例を見て分かると思います。
 この実習生を受け入れることをきっかけにして国内の介護のレベルが高くなる、あるいはそれを学んで先進的な事例がどんどん広がって、それが国内に広がることによってすばらしい日本ができ上がり、そしてそれによって周辺諸国への貢献度が高まるとなれば、これは大きな成功をもたらすものだと思いますが、一方、これをちょっと失敗すると、単なる労働者として受け入れて、日本は大したことないという話になってしまいます。これ、本気で取りかかると、もしかしたら成功する可能性は非常に高いかもしれませんので、是非ここは質問をさせていただきたいなと思います。
 何度も答えていらっしゃるかもしれませんが、技能実習の対象に介護を追加する理由について伺いたいと思います。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 厚生労働省におきましては、介護分野の有識者などによる検討会を設置いたしまして、外国人の介護人材の受入れの在り方について取りまとめをいただいたところでございます。それによりますと、日本は他国と比較し高齢化が急速に進展しているということ、それから認知症高齢者への対応など福祉ニーズの多様化、高度化に対応している日本の介護技術を海外から取り入れようとする動きも出ているという認識が示されているところでございます。
 開発途上国、特にASEAN諸国におきましては、今後我が国以上のペースで高齢化が進展することが予想されており、これまでに日本が蓄積してきました介護に関する知識でございますとか技術の修得や人材の育成に対するニーズは増大するものと考えております。事実、ベトナムでございますとかモンゴルからは技能実習生を受け入れることについての御要望もいただいておりますし、それから、日本の介護福祉士養成施設におきましては平成二十八年度では二百五十七名の入学があるという形で、日本の介護技術を取り入れようとする具体的な動きも見られることでございます。
 こうしたことを踏まえますと、日本の介護技術を他国に移転することは国際的に意義があるものと考えておりまして、技能実習制度の趣旨にもかなうと考えております。今後、技能実習制度の対象職種に介護を追加したいと考えているところでございます。
○山口和之君 もくろみとしてはそういうふうになっていくんだと思いますけれども、日本のケアのどのような点が世界に誇れるのか、もう一度確認したいと思います。よろしくお願いします。
○政府参考人(中井川誠君) まず、私どもの介護におけるケアの前提となりますのは介護保険制度というものがあるわけでございまして、介護保険制度におきましては、高齢者が尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができることを目的として、高齢者介護にはなくてはならないということで日本におきましても定着、発展しております。その制度の下でケアも全体として実施されている、様々なケアが全体として実施されているということでございます。
 それで、日本として特定の介護技術に着目してこれを技術移転、技能移転しようというふうに考えているわけではございませんが、具体的に例えば例示で申し上げますと、先ほど要望書が出ておりましたベトナムからは、例えば認知症ケアでございますとか自立支援技術について学びたいという具体的な御要望をいただいているところでございます。
○山口和之君 介護保険が始まって、サービスは全国に行き渡りました。ですが、実際に介護現場で行われている内容を自分が見ている範囲としては、すごいすばらしい施設と、あるいはお世話のレベルで終わっているような施設と、かなりばらつきがあるようなことを感じています。多分、国の方で視察に行くようなところはいいところばっかり見ていますからそういうイメージができるのかもしれませんけれども、介護保険の趣旨、これを徹底するということがまずそんなにできていないところが多いのではないかというふうに自分は感じています。
 今までの介護であった内容を海外に移転するだけではなくて、これをきっかけに日本の介護のレベルがぐっと高まって、それと両輪で海外にまた移転していくというようなことをしていかないと、恐らく、トップレベルのところだけというのはどれぐらいのものがあるか分からないですけれども、それだけでは対応ができないのではないかというふうに思っています。
 まず、そこはまたこれからいろいろ質問させていただきたいところでございますけれども、その先輩格としてEPAによる介護人材受入れを行っていますけれども、その実習生の評価であったり、あるいは送り出し国の評価であったり、あるいは実習機関の受け入れたときの評価であったり、それを一度振り返らなきゃいけないと思います。ちゃんとした実習を行うためにも、この事例、前例を一回確認しなきゃいけないと思いますので、その各々の評価について伺いたいと思います。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 EPAによる先生御指摘の介護人材の受入れにつきましては、平成二十年度から実施し、順次拡大しているところでございまして、EPAの介護福祉士候補者の受入れ調整機関である国際厚生事業団、これ略してJICWELSと言っておりますが、平成二十六年度に実施した調査がございます。それによりますと、EPA候補者の来日目的として、日本の介護福祉士国家資格を取得して日本で働き続けることを目的としたという回答が八七%と最も多くなっております。
 各国からの入国者の受入れ状況でございますが、インドネシアは平成二十三年度の五十八人が平成二十八年度には二百三十三人、フィリピンが平成二十三年度の六十一人から二十八年度は二百七十六人、ベトナムが平成二十六年度、これちょっと遅れて開始されましたが、の百十七人から平成二十八年度は百六十二人と増加しております。それで、各国からの送り出しの人数はこのように高まっていると認識しております。実際に、各国政府からも受入れについての謝意が示されているところでございます。
 今度は、受入れ施設サイドの方でございますが、受入れ施設の責任者の八割前後が、これもアンケート調査によるものでございますが、EPA候補者を受け入れたことで日本人職員及び職場環境への好影響があった、それからEPA候補者の行うサービスに利用者が満足であったという評価をいただいているところでございます。
○山口和之君 まあまあの評価をいただいているということで、可能性としてはあると思いますが、EPAによる人材受入れ状況、受入れの中での課題については、あぶり出しとか、そういうことはできているんでしょうか。
○政府参考人(中井川誠君) EPAに基づく受入れはあくまでも二国間の経済連携の強化という観点から行われているものでございますので、余りその国家試験の合格率の向上自体が目的ではないという留保付きでございますが、受入れ人数は年々増加傾向にある一方、合格率につきましては、平成二十三年度に三七・九%、これが二十七年度には五〇・九%と徐々に上がってきているということでございます。
 EPAの場合におきましては、いわゆる日本語による国家試験の受験が必要となるわけでございますけれども、介護福祉士候補者の円滑な受入れに資するよう、漢字への振り仮名の付記、試験時間の延長など国家試験上の配慮でございますとか、訪日前の日本語研修等を実施するとともに、仮に試験に不合格して帰国された方につきましても、模擬試験、通信教育等の実施等で再チャレンジを支援しているところでございます。
○山口和之君 今回の技能労働実習については、介護力についても日本語能力についても少し不十分な方々が携わるようになると思います。その点、介護サービスの質を担保することや、利用者の不安を招かないようにしなければならないと思いますが、その点についてはどういうふうに考えているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(中井川誠君) 技能実習制度への介護職種の追加に当たりましては、委員御指摘のとおり、介護サービスの質の担保など、介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう具体的に制度設計を進めていく必要があると考えておるところでございます。
 先ほどの検討会の取りまとめによりますと、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにするために必要なこととして三点、第一点目が、利用者が安心してサービスを受けるのに必要な程度の言語能力が担保されること、二点目といたしまして、技能実習生であっても、ほかの日本人と比較し、サービスの水準が著しく劣ることがなく、安定性や確実性が担保されていること、三番目といたしまして、利用者との間でトラブル等が起きたり、技能実習生の労働者としての権利が侵されたりする状況が生じないようにすることが必要とされているところでございます。
 これらに対応する具体的な制度設計の考え方といたしましては、必要なコミュニケーション能力の確保のため、実習生に一定程度の日本語能力を要件として課すこと、適切な実習体制の確保のため、技能実習指導員の要件を原則として介護福祉士とすること、三番目として、利用者と介護者が一対一で業務を行うことが基本となる訪問系サービスは、適切な指導体制を取ることが困難なことから、実習実施機関の対象範囲から除外すること、それから、指導する立場の職員の目の届く範囲内で実習体制を確保するため、常勤職員総数に対する介護固有の人数の枠を設定すべきことが示されているところでございます。こうした考え方に基づき、具体的に制度設計を進めてまいりたいと考えております。
○山口和之君 受入れ側として相手に要求するだけではなくて、受入れ側がしっかりと支援するような体制というのはやっぱり大事なところだと思いますが、現場の話をよく聞きますと、正直言って構っている暇がないとか、非常に忙しいのでちょっと難しいとかという、そういう会話が聞こえてきます。それはやはり、一番大きなところは日本語の問題だと思います。
 介護の場合、技能実習の二年目に移行する際に日本語能力試験のN3程度が要件となるということですが、昨年の六月のテストでN3の認定率が三〇・七%、昨年の十二月のテストで僅か二七・七%と厳しい試験でございます。実習生が一年でN3になるのはハードルが高いのではないかと思いますが、認定率が低い場合はハードルを下げるのか、また、実習実施機関は日本語能力検定試験の対策も施す義務があるのかなど、どういうふうなことをしていくのかも含めてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、介護は利用者の心身状態を適切に評価して心身状態に合った生活の再構築をチームで支援するものでございまして、そのため、やっぱり利用者や介護職員の方、それから医療関係者の方とのコミュニケーションを通じたやっぱり信頼関係というものを構築していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
 それを踏まえまして、先ほどの検討会の取りまとめによりますと、実習二年目につきましては、到達水準として、実習指導者等の指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル、そのレベルを想定していることから、日本語のレベルといたしましては、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる水準であるN3程度を二年目移行時の要件とすることとしているところでございます。
 これを踏まえまして、技能実習生の二年目の業務に必要な日本語能力としてN3程度の要件を課すことを考えておるところでございますが、また、技能実習制度につきましては、原則三年を掛けて段階的に技能を移転するもの、つまり、それぞれの年に応じて一定の到達レベルといいますか、そういうものを定めてやるものでございます。一年経過後に日本語能力要件N3を満たさず帰国を余儀なくされることがないよう、日本語能力の向上に向けた環境整備というのは当然重要な課題であると認識しているところでございます。
 それで、その対策でございますけれども、まず、実習実施機関、先ほど先生から構っている暇はないというような御指摘もいただいたところでございますけれども、実習機関における日本語の学習につきましては、これは、技能実習計画書、これは実施機関が提出するわけでございますけれども、そこに具体的に日本語学習計画というものを盛り込んでいただいて、実習生の継続的な日本語学習の実効性を担保するということとしているところでございます。
 あと、政府サイドといたしましては、入国当初の講習期間、これ二か月ございますが、そこでまず集中的に日本語教育を行うプログラムの策定による就労開始後の学習負担の軽減など、技能実習生が適切に日本語学習を行うことができる環境整備について今後具体的に検討してまいる所存でございます。
○山口和之君 N3に合格しないと次の実習に移れないという話も聞いておりますし、そういうふうに考えると、ちゃんとしたものを学んで母国に帰るという話を考えれば、まずは日本語を支援するような体制をちゃんとつくらなければ、三〇%の合格率じゃあり得ないんじゃないですかね、生半可なことじゃちょっと難しいと思いますよね。ウイン・ウインの関係をつくるためには、コミュニケーションがしっかりできることによって実際の現場としてはスムーズに進みますし、一緒に働くことができますし、そういうことを考えれば、この日本語のことについては非常に大事なことだと思いますので、是非更に追求していただきたいなと思います。
 技能移転を図る国際貢献が制度の趣旨ですが、雑用ばかりしていただくわけにはいかず、利用者の不安を招かないようにしつつ、実習を円滑に進めることがこれ重要なんですが、これ結構ハードルが高いですよね、先ほどのコミュニケーションの問題もありますから。スタッフや施設にとっては負担を伴うことになるかもしれません。
 実施機関への支援とかはあるのかどうかについて伺いたいと思います。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 技能実習制度につきましては、これは民間が主体となって技能等の移転を通じて開発途上国における人材育成に貢献することを目指すものでございます。このため、実習実施機関が個々の受入れ能力に応じて実施するということが基本となっておりますので、実習の実施に係る費用等に対して国が支援することは想定していないところでございます。
 費用面ではそうでございますが、ただ、先ほど御指摘がありましたように、利用者の御不安を招かないようにしながら技能移転を円滑に進めるためには、例えば実習実施機関において技能実習生が適切に日本語を行うことができるための先ほど申しましたような環境の整備でございますとか、あとは、いろんな実習機関の方で工夫をされておりますので、そういうものの情報提供でございますとか、技能実習制度の趣旨を踏まえた上で、介護現場の関係者の御意見も聞きながら必要な支援策について検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○山口和之君 成功に導くためには必要なこともあるかと思われますので、これもしっかり検討していただきたいなと思います。
 それから、先ほども少し出てきましたけれども、実習先によっては、レベルが低いところあるいは本当にトップレベルのところと大きな違いがやっぱりあると思うんですね。そうすると、実習先として考えたときに、標準化された到達目標やカリキュラムあるいは単位制みたいな形でしっかりとした到達目標等を標準化させるべきではないかなと思うんですが、その辺についてはどうでしょうか。
○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。
 先ほどの検討会の取りまとめによりますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、技能実習時の各年の到達レベルというのを一応決めているところでございます。
 到達目標は、例えば一年目の修了時におきましては、指示の下であれば決められた手順等に従って基本的な介護を実践できるレベル、これが一年目の到達目標、それで二年目でございますけれども、二年目の修了時におきましては、指示の下であれば利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル、それで三年目の修了時につきましては、自ら介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベルという、ある意味ではまだ一般論的な部分でございますけれども、これをこれから公的評価試験、これから具体的なメルクマールなり基準なり評価項目を作っていくわけでございますけれども、その中に具体的に落とし込んでその到達水準の確認を行うということとしているところでございます。
 それから次が、先ほどカリキュラム、いわゆる単位とかその辺の御指摘がございましたが、これがカリキュラムに相当するものといたしましては、技能実習制度において、その実施に当たって、各年の先ほど申しましたレベルの到達の実効性を確保するために、これは実習生個人個人に具体的な実習内容を盛り込んだ技能実習計画の作成が実習実施者に義務付けられておりまして、これを各年度ごとに主務大臣が確認、認定をするということになっておるところでございます。実習実施者は、この計画に基づいて実習計画に定められた到達目標の達成に向けて適切な指導を行うこととなっておるところでございます。
 具体的な内容につきましては今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上です。
○山口和之君 そこの実習施設のレベルによって、今の目標を達成していくとなるんでしょうけれども、そうすると、その実習先としてふさわしいというところはどういうところなのかを、ちょっとイメージを教えていただきたいと思うんですが。
○政府参考人(中井川誠君) 先ほど申しました検討会の取りまとめに、いわゆる機関としての要件についても一定の御提言をいただいているわけでございまして、それによりますと、実習実施機関の要件といたしましては、経営が一定程度安定している機関に限定すべきであるという考えの下で、設立後三年以上経過した施設をその対象とすることが望ましいとされているところでございます。
 また、適切な実習体制の確保のため、技能実習指導員の要件につきましては、原則として、介護職として五年以上の経験を有する介護福祉士とすること、それから、指導する立場の職員の目の届く範囲で実習が行われることを確保するため、常勤職員、これは実際に介護に従事している常勤職員ということでございますが、が三十人以下の小規模な受入れ機関の場合には、受入れ人数枠を常勤職員数の一〇%までに制限することなどとされているところでございます。
 こうした御提言を含めて、今後固有の条件について制度設計を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○山口和之君 実習先の質を評価する、あるいは実習先として担保された施設であるということが要件として、要件というか条件としては必要だと思うんですが、人数がいたり経営が安定しているだけでは理想的な介護を追求していくというような形にならないんだと思うんですね。これが、実習先が何回も移れることがあるんであればそれは構わないかもしれませんけれども、なかなか、次の質問にあるんですけれども、転籍ができないとなってくると、ある程度の実習先の担保が必要になってくると思います。
 この辺について、質が担保された施設というところをどういうふうに把握していくのか、それから、格付じゃないですけれども、そういうところが必要なんじゃないかなと思うんですよね。そちらも努力をする、施設側も努力しなければいけないというところがないと、人数が足りているからとかそういうレベルの話ではなかなか難しいのではと思うんですが。
○政府参考人(中井川誠君) 理想の介護、介護の質というのは、もう先生が御案内のとおり、非常に難しい、悩ましい問題でございます。
 ただ、技能実習制度と申しますのは、技能の移転を目的といたしまして、技能実習制度における介護固有の要件につきましては、あくまでも技能実習制度の趣旨に沿って適切に技能を移転するとともに介護サービスの質を担保する、まあ二兎を追うみたいなことが介護サービスの特性に基づく要請で対応できるように設定するということが必要でございます。
 こうした中で、いわゆる理想的介護というのは、関係者の皆様の間でこれがいわゆる理想の介護だというのはもうこれ様々な御意見があるわけでございまして、委員御指摘のようないわゆるしっかりとした理想的な介護が行われている施設ということを要件設定するというのは、技能実習制度が一定の水準の介護の質を確保するということとの調整をどう図っていくのかという課題もあると考えておりますが、ただ、介護の質の担保という観点は極めて重要でございますので、介護サービスの質の確保が担保されるような具体的な制度設計について検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○山口和之君 しっかりした施設だと、医療費が少なかったり、あるいは要介護度の改善が見られるような施設が出てきております。それは、今後の日本にとってすごい重要なことだと思います。再発の予防であったり入院が少なくなったり、そういうことを考えていった場合に介護の質というのは非常に大切なことだと思います。
 我が国にとって大切なところで予防、まず予防は大事だと。医療もそうです。それからリハビリテーションもそうです。この介護の中で占める割合というのはかなり高くて、今まで期待している介護の内容とは違ったところにだんだん変わっていかないと、世界のモデルになるというようなトップクラスの介護をやっているところが日本中に広がれば、これは相当すごいことに変わっていくように自分は思っています。
 そうであってもなかなかばらつきがあるのが現実だと思いますが、そういった場合、転籍ができたら実習もスムーズにいくんじゃないかなというふうに思うんですが、明確な人権侵害や法令違反があった場合は移ることができるというふうに聞いておりますけれども、それ以外のグレーゾーンというか、実習先と実習生の相性が悪かったり、ここではちょっとやれない、何年間もここでやらなきゃいけないのか、合わないという方もいらっしゃるんではないかなと思います。
 現実、自分も理学療法士でしたので実習に行ったことありますけれども、全てがいい実習先ということではなかったような自分は記憶をしておりますが、そういったときに移ることができるとなれば大分違うと思いますが、そこはどうでしょうか。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
 技能実習につきましては、効率的な技能の修得という観点から、技能実習計画を段階ごとに、その技能実習生ごとに定めることにしておりまして、すなわち、特定の技能実習先において一年あるいは二年、計画的に実習をして技能を修得していくということを前提にしておりますが、そうはいっても、いろいろ事情があって、そのまま当該実習先で実習を継続させることが適正な技能実習の趣旨に沿わないような場合、その他やむを得ない事情があると認められる場合につきましては転籍を認め、新しい実習先を探して移籍できるようにしていくということを大きな枠組みとして今回の制度の改正を考えているところでございます。
 そこで、委員御指摘のように、明確にこれは移籍を認めるべきだと、これは駄目だという間にいろいろな場合があるのではないかということでございますが、基本的な考え方といたしましては、その同じ実習先で実習を継続させるのが適正な技能の実習という趣旨から適当かどうかという観点、あるいは移籍を求めることが専ら本人の自己本位の都合によるものではないかなどの観点、そのような関係事実を的確に把握した上で、技能実習制度の制度趣旨にのっとって目的が適切に達せられるかということを総合的に判断していくことになるわけでございます。
 それで、具体的に相性の問題もあるではないかと、実習先とのですね、そのようなお尋ねもございましたが、この点につきましては、相性が悪い、ここでは実習が継続できないということが客観的にも認められるような事情があれば、それは転籍の可否を考えていくということになるわけでございますが、具体的には様々な事例があると思いますので、そこは個々の案件に応じまして適切に事実を把握して、技能実習制度の目的達成の観点から的確に判断してまいりたいと考えております。
○山口和之君 是非、ウイン・ウインの関係を考えると、実習先にとってもいいことになる場合もありますし、前向きに検討していただきたいと思います。
 先ほども申しましたけれども、この介護の実習については、本当に国内のレベルアップのきっかけになる可能性もありますし、あるいは国際貢献としてすごく貢献できる課題先進国としての役割を果たす大きなことになる可能性を秘めておりますので、今後も質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(秋野公造君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(秋野公造君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(秋野公造君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会からの連合審査会開会の申入れがあった場合には、これを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(秋野公造君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のための連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十九分散会