第192回国会 憲法審査会 第2号
平成二十八年十一月十六日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 十月十二日
    辞任         補欠選任
     河野 義博君     谷合 正明君
 十一月十日
    辞任         補欠選任
     和田 政宗君     中山 恭子君
 十一月十五日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     こやり隆史君
     山谷えり子君     宮島 喜文君
     大野 元裕君     石橋 通宏君
     徳永 エリ君     平山佐知子君
     浜口  誠君     古賀 之士君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         柳本 卓治君
    幹 事
                岡田 直樹君
                古賀友一郎君
                中川 雅治君
                舞立 昇治君
                小西 洋之君
                白  眞勲君
                西田 実仁君
                仁比 聡平君
                浅田  均君
    委 員
                足立 敏之君
                阿達 雅志君
                愛知 治郎君
                磯崎 仁彦君
                北村 経夫君
                こやり隆史君
                高野光二郎君
                滝波 宏文君
                塚田 一郎君
                堂故  茂君
                中曽根弘文君
                二之湯 智君
                西田 昌司君
                古川 俊治君
                松川 るい君
                宮島 喜文君
                山下 雄平君
                石橋 通宏君
                古賀 之士君
                那谷屋正義君
                野田 国義君
                平山佐知子君
                福山 哲郎君
                藤末 健三君
                伊藤 孝江君
                魚住裕一郎君
               佐々木さやか君
                谷合 正明君
                吉良よし子君
                山添  拓君
                片山 大介君
                福島みずほ君
                松沢 成文君
                中山 恭子君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       森本 昭夫君
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  本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について)
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○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、通常選挙後初めての調査となりますので、会派の構成等が変わったことを踏まえまして、憲法に対する考え方について意見交換を行います。
 本日の全ての御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず各会派一名ずつ、各七分以内で御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
 中川雅治君。
○中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。
 憲法とは、いかなる政党が政権に就いたとしても守らなければならない共通のルールを定めた国家の基本であり、したがいまして、憲法論議は、各政党が選挙で政権を目指し、政策を推進する活動、すなわち政局とは本質が異なるものであります。
 このような考え方から、これまで国会の憲法審査会及びこれに先立つ憲法調査会における議論も、各党の意見表明や委員同士の自由討議を中心にするとともに、少数会派等にも十分に時間配分を行って議論を尽くし、憲法改正に必要な三分の二以上の幅広い合意形成を目指すとの基本理念に基づいて行われてきたと私は認識いたしております。そして、このような憲法調査会及び憲法審査会での議論の積み重ねが、平成十九年の憲法改正国民投票法の制定や一昨年のいわゆる三つの宿題の解決といった成果に結び付いたものと考えます。
 自由民主党は、昭和三十年の結党以来、憲法論議を積み重ねてまいりました。その間、我が党は、日本国憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の尊重といった基本原理を堅持することを明確にした上で、一貫してその基本を大切に、自主的な憲法改正に向けて努力を重ね、平成十七年の新憲法草案、平成二十四年の日本国憲法改正草案といった党の公式文書を公表してまいりました。
 しかし、平成二十四年草案公表以降、議院の構成も変わり、内外から多くの意見も出されておりまして、党内で今後とも議論を重ねて憲法改正の考え方を更に整理する必要があると考えております。このような状況の下、私は、今回改めて憲法改正の必要性に関しまして、以下の点を指摘したいと思います。
 第一は、現行憲法には制定過程の問題があります。
 現行憲法は、連合国軍の占領下において同司令部が作成した草案を基に、その了解の範囲において制定されたものであります。しかしながら、GHQとの交渉過程において日本国政府による検討と修正も相当程度盛り込まれている、あるいは、衆議院、貴族院両院における審議過程で相当程度の修正がなされた、さらに、憲法は制定以来国民の間に定着しているといったこと等からGHQが関与した事実ばかりを強調すべきではないとの意見も多いことは承知しておりますが、現行憲法は日本国の主権が制限された中で制定され、国民の自由な意思が十分に反映されたとは言い難いことは事実であると考えます。
 第二は、現行憲法の内容自体に多くの問題があるということであります。
 前文に関しては様々な問題が指摘されております。憲法第九条の規定では自衛隊の位置付けが明確でなく、自衛権の否定とも取られかねないと言われております。また、緊急事態に対処する規定の新設の必要性も指摘されています。このほかにも環境保全の責務、犯罪被害者等への配慮など新しい人権、財政の健全性、選挙制度、地方自治、私学助成など、改正すべき条文、新たに設ける必要のある条文があること等、多くの課題が指摘されております。
 第三は、国民の意識、民意の変化であります。
 自民党は、平成二十四年の日本国憲法改正草案発表後の総選挙で政権に返り咲き、翌平成二十五年夏の参議院通常選挙においても第一党の地位を回復いたしました。さらに、一昨年の衆議院選挙、本年の参議院選挙の結果、憲法改正を是とする立場の方がそれぞれ両院の総議員の三分の二を超えるに至っております。
 このような選挙結果の背景には、不安定な国際社会や東日本大震災など国内外の情勢の激動による国民意識の変化があるのではないかと思います。国民は、今のままの憲法では自分自身や自分の家族、地域や国家を十分に守ることができないのではないかと考え始めているのではないでしょうか。このような国民の民意に応えることこそ、国会議員の責務と考えます。
 以上、現行憲法の制定過程の問題、不十分な現行憲法の内容、民意の変化の三点から、私は自主的な憲法改正はまさに国政の重要な課題となっていると考えます。
 安倍総理大臣も、今国会の所信表明において、憲法改正案を国民に提示することは国会議員の責任であると指摘されました。参議院憲法審査会も、この重要な課題に応えるべく審議を加速させていくべきであると考えます。そして、その際、何よりも重要なことは、当然のことでありますが、国民の広範な合意形成であり、国会は国民の意向に即した分かりやすく明快な発議をすることが必要であると考えます。
 そのため、本審査会において、各党各会派が意見を持ち寄って、現憲法の足らざる点や改めるべき点など憲法改正の必要性とその内容について熟議を重ね、我が国初めての憲法改正が世界の国々にも理解されるよう丁寧な合意形成を図ってまいりたいと考えております。
 以上、自主的な憲法改正の必要性につきまして意見を申し述べさせていただきました。
○会長(柳本卓治君) 白眞勲君。
○白眞勲君 民進党・新緑風会の白眞勲でございます。
 会派を代表いたしまして、本日議題であります憲法に対する考え方について発言させていただきます。
 我が民進党の結党宣言では、「自国の安全と世界平和をどのように実現するかが問われる中、憲法の平和主義がないがしろにされ、立憲主義が揺らいでいる。」との危機感が示されています。
 そして、綱領においては、私たちの目指すもののトップとして自由と民主主義に立脚した立憲主義を守ることを掲げ、「私たちは、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持し、自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守る。象徴天皇制のもと、新しい人権、統治機構改革など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想する。」としています。
 さらに、綱領を踏まえて作られた民進党政策集二〇一六における憲法の基本姿勢では、憲法と、それがよって立つ立憲主義との関係について、「憲法は、主権者である国民が国を成り立たせるに際し、国家権力の行使について統治機構の在り方を定めたうえで一定の権限を与えると同時に、その権限の行使が国民の自由や権利を侵害することのないよう制約を課すものであって、時の権力が自らの倫理観を国民に押しつけるものではない」と明確に述べています。
 その一方で、安倍内閣や与党議員からは、立憲主義とは政府を縛るものであるとの、この言わば世界常識とも言える認識に対して、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方といった主張や、昔からある学説なのでしょうかといった主張などがなされていますが、こうした政府・与党の主張は、立憲主義を理解していない無知から来るものであると思わざるを得ません。しかも、単に無知で済む話ではなく、政府・与党のこうした批判は立憲主義の危機であり、国民の危機と言うべきものであります。
 このような未曽有の危機に対して、我が民進党は「自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守る。」との決意を表明し、国民に約束をしているのです。
 また、自民党は平成二十二年の綱領に、「日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す」という項目を設け、平成二十四年四月には日本国憲法改正草案を発表しておりますが、この草案を見ると、改正十三条など、基本的人権を公益及び公の秩序で制約した上で、基本的人権が永久の権利であることをうたった憲法九十七条を削除し、さらには、前文の平和主義を全て削除するなど、立憲主義や憲法の基本原理そのものを否定する内容を中心に、そのほとんど全ての項目について改正案を提示しています。
 新しい憲法を作るんだ、全ての項目についてこのような改正が必要なんだとする自民党の姿勢を見ると、自民党は現行憲法を評価せず、むしろ否定しているのではないか、現行憲法を破棄したいのではないかと疑問に感じます。自民党の議員の多くが押し付け憲法論を声高に主張するのもその証左ではないでしょうか。
 なお、憲法は主権者である国民のものであり、自民党の改正草案のような、基本原理をも含めた憲法の全部改正の発議を国会が行う権限は憲法のどこにも見出すことができないのであります。
 我が民進党は、現行憲法は戦後日本の発展と平和国家構築に多大なる貢献をしてきたと考えており、さらに、今後も現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の理念は国民の生命、自由、権利、財産を守る上で不可欠であり、果たすべき大きな役割があると認識しております。このような現行憲法の三つの理念のうち、特に平和主義については、民進党結党宣言にもあるように、立憲主義と同様、強い危機感を持っております。
 そのため、さきの参議院通常選挙の選挙公約である国民との約束の中で、憲法の平和主義を守る重点政策として、一、昨年成立した安全保障法制を白紙化します、二、平和主義を脅かす憲法九条の改正に反対しますなどの約束を国民とさせていただきました。
 その中でも、安全保障法制については、「現政権は意図的・便宜的に憲法解釈を変更し、あいまいな要件で集団的自衛権の行使を認めました。このことは、憲法で国民が国家権力の行き過ぎに歯止めをかける立憲主義と、憲法九条の平和主義を揺るがすものです。絶対に認められません。昨年成立した安保法制の白紙撤回を求めます。」としています。
 特に、この集団的自衛権の解釈変更は、いわゆる昭和四十七年政府見解の恣意的な読替えという、法解釈ではない単なる不正の手口によるものであることが安保国会で完全に立証されていると感じます。
 つまり、安倍内閣は、解釈変更の唯一の合憲の根拠として、昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使を容認する憲法九条解釈の基本的な論理が明確に示されていると主張していますが、この見解の作成者である吉國一郎内閣法制局長官による、作成契機となった僅か三週間前の、憲法九条の下では個別的自衛権しか行使できず、集団的自衛権行使は違憲との国会答弁などからは、どこをどう読んでも安倍内閣の読替えは正当化し得ないのであります。
 この点、安保国会においては、濱田邦夫元最高裁判所判事が、日本語を普通に理解する人のみならず、法律的訓練を受けた専門家から見たならば、とてもそのような読み方はできない、読みたい人がそう読んでいるだけであって、裁判所に行って通るかといえば、通らない、法匪というあしき例であるなどと陳述し、宮崎礼壹元内閣法制局長官においても、黒を白と言いくるめる類いなどと述べ、それぞれ明確に違憲と断じているのであります。
 ここで先輩、同僚議員の皆様に申し上げます。
 私たち全国会議員は、憲法九十九条によって憲法尊重擁護義務を負っています。そして、国会法百二条の六は、憲法審査会の役割を、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うとしています。すなわち、我が国の憲法審査会は、改憲の議論の前に、そもそも憲法違反や立憲主義、法の支配の在り方を調査する委員会でなければならないのであります。
 この点、自民党及び公明党も賛成の上、成立した平成二十六年六月十一日の我が参議院憲法審査会の附帯決議第一項及び第二項については、立憲主義及び国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の基本原理に基づいて徹底的に審議を尽くすと明記し、これら憲法と国会法の条項の趣旨を我が審査会の任務として明記しているのであります。
 法解釈ではない不正の手口による解釈変更とそれに基づく安保法制を放置して、我が憲法審査会が改憲の議論を行うことは絶対に許されません。私は、良識の府、参議院の存立に向けて、我が憲法審査会が国民のための憲法保障機能を全うするよう皆様に呼びかけていくつもりであります。
 最後に、我が民進党は、自民党と異なり、現行憲法を高く評価し、その役割は今後ますます重要度が高まると考えています。
 しかし、いかなる法も未来永劫に完璧ではありません。時がたつにつれて改めるべき点が生まれることは当然にあり得ます。そのように改めるべき点が生じ、我が憲法審査会において徹底的に審議を尽くした結果、附帯決議第三項にある立法措置によって可能とすることができないとの判断に至ったならば、憲法であっても改正するべきであり、そういう意味で、党綱領において「未来志向の憲法を国民とともに構想する。」と述べ、そうした議論を既に始めています。
 まずは現行憲法を正しく評価し、その上で憲法を守ることが今求められていると思います。特に、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の理念は堅持されるべきであり、自由と民主主義を基調とした立憲主義は断固として守るべきこと、そのために憲法審査会で徹底した憲法違反の調査もまた審議を尽くすことを重ねて述べておきます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 西田実仁君。
○西田実仁君 初めに、我が参議院憲法審査会の初代会長を務められました小坂憲次氏が十月二十一日に逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
 我が党は、人類普遍の原理ともいうべき国民主権主義、基本的人権の尊重、恒久平和主義の三原理を骨格とする憲法は優れた憲法であると積極的に評価しております。三原理は将来にわたって不変のものとして、これを堅持していくべきと考えます。
 参議院憲法審査会の前身とも言える参議院憲法調査会では五年間を掛けて日本国憲法に関する調査報告書を作成しており、憲法審査会はそれを踏まえて議論することが当然と言えます。
 そこでは、自民、当時の民主、公明、共産、社民の五党で、共通又はおおむね共通の認識を得られたものとして、憲法の三大基本原則は戦後半世紀以上の年月を経て我が国に定着しており、これを今後も維持すべきであるとの共通認識が記されております。また、現行憲法は基本的に優れた憲法であり、戦後日本の平和と安定、経済発展に大きく寄与してきたと高く評価する旨も共通の意見として示されております。
 確かに、現行憲法の制定過程をめぐっては、GHQの関与は極めて大きく、押し付け憲法であるとの意見も憲法調査会では示されております。しかし、憲法ができるまでの過程をつぶさに見ると、決して一方的な押し付けではないことは明らかであります。
 GHQから示された総司令部案では一院制であったものが、日本国政府内の検討によって二院制に変更されております。昭和二十一年四月十日、婦人参政権が認められて初めて実施された総選挙を経て出された憲法改正草案には、参議院の緊急集会について規定されております。衆議院、貴族院それぞれで修正議決も行われ、今から七十年前の一九四六年十一月三日に日本国憲法は公布されました。
 何より、制定当時の責任者としての経験をつづった吉田茂著「回想十年」には、押し付けられたという点に、必ずしも全幅的に同意し難いとして、こう述べておられます。
 なるほど、最初の原案作成の際に当たっては、終戦直後の特殊な事情もあって、かなり積極的にせき立ててきたこと、また内容に関する注文のあったことなどは前述のとおりであるが、さればといって、その後の交渉経過中、徹頭徹尾強圧的若しくは強制的というものではなかった。
 ただ、憲法も法規範である以上、新しい時代に対応した改正があってしかるべきとの立場から、憲法の施行時には想定できず、憲法改正しか解決方法がないような課題が明らかになる可能性もあります。
 公明党は、改正について、現行憲法を維持した上で、改正が必要になった場合に新たな条文を付け加える形の加憲という方法を主張しております。
 憲法審査会が活動を開始してから五年が過ぎました。この間、参議院選挙は二回行われ、一票の格差をめぐって司法の厳しい判断が続いております。さきに行われた参議院選挙に対する高裁判決では、違憲状態が合憲判断を上回り、合憲とした結論も含めて投票価値が平等であるとの判断は一つもありませんでした。投票価値の不平等は存在するけれども、参議院が立法府としてその改善に努力しているとの評価からの合憲判決でした。
 とすれば、法律にうたって自らが誓った抜本改革への議論を進めなければなりません。その際、衆議院と参議院の選挙制度における投票価値が違ってもよいとは言えないことは現行憲法に明らかです。
 公務員の選定、罷免権は国民固有の権利であり、民主主義の基礎を成す重要な人権です。それが憲法十四条の平等原則で担保されています。その上で、それぞれの院の特徴から選挙制度をつくり出すべきであります。まずは衆参それぞれの役割を明確にして、その上で、それらを担う人材をどう選ぶかという選挙制度の議論を進めていかなければなりません。現行憲法上、選挙制度はあくまで法律事項です。本末転倒の議論は避け、しかも法律で誓った二〇一九年次期参議院選挙までに抜本改革の結論を必ず得なければなりません。
 国民主権に基づく二院制と議院内閣制という仕組みの中で、第二院の参議院は第一院の衆議院を具体的にどうバックアップすればよいのか。国民主権が参議院改革の基本の視点であり、改憲論議においてはなおさら国民主権の徹底が必要です。
 そう考えれば、当然、衆議院議員も参議院議員も全国民の代表という性格付けが適切ではないかと私は考えます。主権は国民全体にあるからです。参議院議員も全国民の代表であるからこそ、参議院には、衆議院が解散されていても、国に緊急の必要がある場合の緊急集会の規定が置かれていると言えます。緊急集会が参議院に置かれることとなった経緯や規定の制定理由を見れば、緊急集会は第二院の参議院が第一院の衆議院をバックアップする典型であることは明らかです。
 参議院改革については、これまでも様々な議論がありました。二院制を支持する者の共通認識は、参議院は行政監視機能をより重視すべきであるということです。良識の府である参議院は、公共の利益の実現を目指し、党派を超えて努力すべきです。特に、解散のない六年という長い任期を与えられている参議院は、行政の組織、人事に対する統制という観点が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな観点から国会の行政監視機能を見直すべきではないか。本年二月の本審査会に続いて、こうした議論をこれからもしっかりと行っていきたいと考えます。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 山添拓君。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 さきの参院選で初めて当選をさせていただきました。憲法審査会で初めて発言をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
 私は、日本国憲法の下で生まれ、学び、弁護士として仕事をする中で、憲法の重みと価値を感じてきました。積み重ねられてきた憲法判例には、人々の闘いの歴史が刻み込まれています。私が取り組んできた福島原発事故の被害者の救済を求める事件、過労死や冤罪など、権利を侵され闘う人々の隣にはいつも憲法がありました。
 電通の過労自死事件が報道されています。先日、私も御遺族の話を伺いました。春、希望に満ちて就職した会社で、秋には一週間に僅か十時間しか眠れないほどの長時間労働を余儀なくされる。自殺するのによさそうな歩道橋を探す自分に気付く。年末には家族で一緒に過ごそうと言っていたのに、クリスマスイブに自ら命を絶つまで追い込まれた。
 働き過ぎで命を落とす社会は、どう考えても異常です。人間らしく働ける社会をと多くの人が求める中、過労死、過労自死のない社会を実現することは、まともに働く権利、自分らしく生きる権利を保障する政治に求められた大事な仕事です。医療、介護、子育てや教育、暮らしに関わるあらゆる場面で、憲法を羅針盤に政治のかじを切ることこそが国会に求められています。
 ところが、この憲法審査会は憲法改正原案の発議を審査する権限を持つものであり、ここで議論を進めることは、勢い改憲案をすり合わせることになります。日本共産党は、国民の多数が改憲を求めていない中、改憲のための憲法審査会を動かす必要などなく、動かしてはならないと考えます。
 さらに、見逃すことができないのは、安倍首相がこの間、改憲について重大な発言を繰り返しているということです。参院選が終わった途端、口にしたのは、いかに我が党の案をベースに三分の二を構築していくか、これがまさに政治の技術という発言でした。今国会冒頭の所信表明演説では、改憲案を国民に提示するのは国会議員の責任だなどと述べ、国会に改憲発議をあおる有様です。総理大臣として最も重い憲法尊重擁護義務を負っている安倍首相のこうした発言は、国民が権力を縛るという立憲主義の在り方を理解しない、到底許されない姿勢であることを指摘したいと思います。
 その上で、憲法破壊を進める安倍政権における二つの点について述べたいと思います。
 一つは、集団的自衛権の行使を容認した二〇一四年七月の閣議決定と、これに基づき昨年強行された安保法制、戦争法です。
 戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定める憲法九条からすれば、集団的自衛権が認められないのは明らかです。日本に対する侵害行為がないにもかかわらず、同盟国への攻撃だけで相手国を攻撃する。攻撃した相手に対する関係では、先制攻撃以外の何物でもありません。歴代の内閣ですら明確に違憲としてきたものです。
 昨年六月、衆院の憲法審査会で三人の憲法学者がそろって違憲と述べたとおり、憲法九条とも、また歴代自民党政府の解釈とも論理的整合性がなく、法的安定性も認められません。一内閣の判断で、九条という日本国憲法の最も特徴的で誇るべき条文について、その解釈を百八十度転換させ黒を白と言いくるめるとは常軌を逸しています。だからこそ、学生や学者が、ママたちが、多くの市民が、主権者として主体的に行動を起こし、安保法制、戦争法許すなと声を上げました。しかし、政府・与党は、その声に全く耳を傾けることなく強行採決に及んだのです。立憲主義と民主主義をじゅうりんする政治に国民の怒りが渦巻いています。違憲の法律は一年たっても違憲のままです。
 ところが、安倍政権は昨日、南スーダンPKOに派遣する自衛隊に、安保法制に基づき駆け付け警護など新たな任務を負わせる旨の閣議決定を行いました。違憲の立法の上に、内戦状態の現地の状況をも無視して、自衛隊を殺し殺される部隊にするなど言語道断です。安保法制、戦争法は直ちに廃止すべきです。
 もう一点、自民党が二〇一二年に発表した改憲草案です。
 私は、この改憲草案を一目見たときにぞっとしました。今の憲法とは全く異なる世界観で作られたものだからです。九条二項を全部入れ替え国防軍をつくる、集団的自衛権は何の制約もなく行使できると言っています。緊急事態条項で、内閣総理大臣が緊急事態だと言いさえすれば、国会の権限を取り上げ、内閣が法律と同じ効力を持つ命令を出す、民主政治の基本と言うべき議会の機能を止めるものです。基本的人権は侵すことのできない永久の権利だと定めた九十七条は全文削除です。憲法の基本原理を全て否定する内容です。そして、つくられようとしているのは、秘密保護法で情報を隠し、国民の権利を縛り、戦争する国だ。私たちの未来を抑圧と戦争に導く改憲案は断じて許されないものです。
 今求められていることは、戦争する国をつくり、憲法改正に進んでいくことではなく、憲法を生かし、憲法が掲げる理想に現実を少しでも近づけることです。それこそが、憲法尊重擁護義務を負う国会議員が果たすべき役割であることを強調して、発言といたします。
○会長(柳本卓治君) 浅田均君。
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。我が党を代表して、憲法に対する考え方について申し述べます。
 憲法の歴史を振り返ると、イギリスで誕生した近代立憲主義や、イギリスの基盤を受け継ぎつつ現代の憲法、現代立憲主義の原型を作ったのがアメリカ独立革命とその所産である合衆国憲法であるということが分かります。
 佐藤幸治先生によりますと、合衆国憲法の構成は次のようになります。すなわち、主権者である人民が憲法制定権力者として、人権の保障と権力分立ないし抑制、均衡の統治構造を定める憲法典、成文憲法を制定して政府を創設し、立法権を含む政治権力に対する憲法の優位性を確保するために、独立の裁判所に憲法適合性に関する最終的判断権、司法審査権を付与するというものであります。
 このような観点から現行憲法を概観するとき、問題になるのは、本来の憲法制定権力者である日本国民が直接憲法論議に参加できなかったことであり、また、いまだに参加できないことです。
 現行憲法は、国民主権主義、平和主義、基本的人権の尊重という基本的な価値を国民に根付かせたという点で評価できます。しかし、後述するように、憲法裁判所や未来志向を欠く等の点で不備があるのもまた確かです。したがって、参議院憲法審査会での議論が九か月ぶりに開催されたことを評価したいと思います。
 ただ、戦後初めて憲法改正がリアリティーを持って語られる状況であるにもかかわらず、憲法審査会がほとんど開かれなかったのは極めて残念ですし、国会は憲法改正に関する国民の意思表示の権利、つまり国民投票を行う権利を奪うべきではありません。
 衆参両院の憲法審査会は、調査は何年も掛けて繰り返し行ってきましたが、憲法改正原案についての審議は一度も行っておりません。我々日本維新の会は、今年三月に憲法改正原案を作成し、メディア等を通じて国民に訴えかけております。さきの参議院選挙もこの憲法改正原案を掲げて闘い、国民の負託を一定程度得ていると考えております。
 この審査会で各会派がそれぞれの改正原案を持ち寄り、改正の是非を議論できるようになってほしいと願っております。どの条項の改正にも反対の会派は、その都度反対の立場で討論されればよいことで、審査会の開催には是非御協力いただきたいと思います。
 我が党は、憲法改正は特定のイデオロギーの表現のためではなく、政策的な課題の解決のために行うべきものであると考えております。法律に立法事実が必要であるのと同様、憲法改正についても言わば憲法事実が必要です。また、憲法改正は最終的には国民投票で決することになりますが、過半数を得ることは大変難しい。憲法改正の項目として、国論を二分するような安全保障や危機管理等の問題よりも、ほとんどの国民が身近で切実に感じている問題を取り上げるべきでしょう。
 以上のような考え方に基づき、我が党は以下の三点について憲法改正原案をまとめ、発表をしました。
 一点目は、教育の無償化です。
 子供の貧困問題に見られるとおり、教育の機会平等が十分に保障されておらず、将来世代への投資は全く不十分です。少子化、人口減少と相まって子供や子育て世帯への一層手厚い支援が必要であることは、どの党も反対はないでしょう。こうした必要性に正面から応えるのが教育の無償化です。憲法でしっかり定めることにより、国に予算措置と立法化を義務付けていくべきです。政権が替わっても教育無償化の方針が堅持されるためにも、憲法で定めるべきです。我が党の調査の結果では、四二%が賛成、二五%が反対となっております。
 二点目は、国と地方の統治機構の抜本改革についてです。
 地方における経済の衰退と人口の減少は急速に進んでおります。戦後繰り返された国主導の地方振興政策は残念ながらことごとく失敗したと言わざるを得ません。東京一極集中を打破して地域の自立を確保し、我が国を多極分散型国家にしていくべきことも、ほとんどの会派が賛成できるはずです。このため、地方の権限と財源を抜本的に強化する形で、国と地方の関係を憲法で新たに定めるべきです。
 待機児童問題は地域差が大きく、国で一律の対応をすることが特に難しい問題です。大災害からの復興も土地利用規制を被災地自治体に任せる等、現場での柔軟な対応を可能にすべきです。地域のことは地域が決めることができるよう憲法上の根拠をしっかり定めるべきだと考えます。我が党の調査によると、統治機構改革に関し五五%が賛成、反対は二三%でした。
 三点目は、憲法裁判所の設置です。
 安保国会で分かったのは、安全保障法制について誰が違憲判断をするのかよく分からなくなっているということでした。元法制局長官、元最高裁判事、学者等は違憲立法審査権を持っておりません。本来は、やはり全ての憲法問題について憲法適合性に関する最終的判断権を有する憲法裁判所を設置すべきです。我が党の調査結果では、憲法裁判所の設置に関しては四七%が賛成、反対が二〇%でした。
 以上が、憲法に対する日本維新の会の考え方です。
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。社民党を代表して意見を述べます。
 まず冒頭、昨日、十一月十五日、安倍政権が閣議で南スーダンPKOの駆け付け警護の新任務を付与しました。南スーダンは内戦状態であり、PKO五原則は崩壊をしています。憲法違反です。撤退をすべきです。また、駆け付け警護はやるべきではありません。憲法違反のこのような行為をすることはできないと強く抗議をいたします。
 憲法審査会は、国会法百二条の六の規定によって二つの任務が与えられています。第一番目の任務は、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的な調査を行うことです。そのことを憲法審査会でやっていかなければなりません。
 今の日本において日本国憲法が実現をされているでしょうか。憲法二十一条の表現の自由は今著しく侵害されています。世界で表現の自由ランキングは七十二位まで落ちました。憲法十九条の思想、良心の自由、憲法十三条の個人の尊重と幸福追求権、憲法の規定する労働基本権、そして憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利など、実現をしているでしょうか。憲法価値の実現こそやらなければならないことです。国会は憲法価値の実現をこそやるべきです。改憲の必要性はありません。この憲法審査会で改憲の議論をしてはなりません。
 社民党は、憲法についての広範かつ総合的な調査ということでは、何といっても安保関連法、戦争法についての広範かつ総合的な調査を求めます。安保関連法、戦争法について合憲と言う法律家はほんの一握り、数人ではないでしょうか。憲法に照らせば、安保関連法、戦争法は明確に違憲だからです。そして、政府見解に照らしても違憲であると断言できるからです。
 安倍政権は、戦後長年にわたり積み上げ、確認をしてきた政府見解をねじ曲げ、安保関連法、戦争法案を国会に提出し、強行採決をしました。このことは立憲主義を踏みにじるものであり、憲法への冒涜です。自らの政府見解をねじ曲げたことに重大な問題があります。
 政府は一貫して集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの立場を取ってきました。二年前に一転して行使できると唱え始めたときの論拠は、集団的自衛権と憲法との関係を整理した一九七二年、昭和四十七年の政府見解です。ところが、この見解の結論は、集団的自衛権は行使できないというものです。その文章を変えることなく、解釈を百八十度ひっくり返しました。
 安倍政権は、一九七二年見解の中に、行使容認の法理としては当時から含まれていたと答弁をしました。しかしながら、一九七〇年以降の歴代政権も、内閣法制局長官、幹部も、行使はできないと答弁し続けてきました。一九七二年見解の作成者たちは、国会答弁で集団的自衛権の行使を全否定しています。
 一九七二年九月十四日、吉國内閣法制局長官は、我が国に対する侵略が発生して初めて自衛のための措置をとり得るのだということからいたしまして、集団的自衛のための行動は取れないと、これは私ども政治論として申し上げているわけではなくて、憲法第九条の法律的な憲法的な解釈として考えておると答弁を明確にしています。
 同じく一九七二年見解の決裁者である真田次長、角田部長も、その前後の国会答弁で、集団的自衛権行使は憲法違反であるとしています。一九七二年五月十二日、真田次長は、よもや憲法九条がこれを許しているとは思えない。一九八一年六月三日、角田部長、当時は内閣法制局長官ですが、国会でこう述べています。集団的自衛権につきましては、全然行使できないわけでございますから、ゼロでございます。集団的自衛権の行使は一切できない、日本の集団的自衛権の行使は絶対にできないと。
 もう一つの一九七二年見解があります。一九七二年政府見解で同じ国会質問を受けて当時の防衛庁が作成し、内閣法制局に国会提出の決裁を仰ぎ、吉國長官たち三名が署名押印した防衛庁政府見解も集団的自衛権の行使は違憲としています。
 さらに、当時携わった役人の証言もあります。一九七二年見解の作成に内閣法制局第一部長として当時関わり、後に法制局長官も務めた角田禮次郎さんは、共同通信の取材に答え、七二年見解にある外国による武力攻撃の対象には米国などの同盟国も含まれるのかと聞かれ、攻撃対象は日本のこと、同盟国のことは考えてなかったと明快に答えています。これは、二〇一六年七月一日、共同通信全国配信で書かれていることです。
 一九七二年当時の様々な文書によっても、一九七二年前後の政府答弁によっても、現在御健在の方の証言によっても、いかなる角度からも一九七二年見解は集団的自衛権の行使を政府が認めたものではありません。なぜ安倍政権は一九七二年見解が集団的自衛権の行使を言外に認めていると強弁できるのでしょうか。この問題が極めて深刻なことは、政府自身の見解を政府が後から解釈を捏造し、ゆがめてしまっていることです。これでは、政府の見解など全くないがしろにするものです。
 憲法がいかようにも時の政権によってねじ曲げられ違憲を合憲とし得るのであれば、憲法は憲法の意味を成しません。憲法の最高法規性を安保関連法、戦争法は踏みにじっています。憲法が憲法でなくなれば、国会は何を根拠に法律を作るのでしょうか。内閣は何を基に行政を行うのでしょうか。裁判所は何を根拠に裁判を行うのでしょうか。
 憲法改正をしても、その憲法を政府が遵守しないのであれば、憲法改正の意味もありません。総理や国会議員がいつでも憲法を解釈によって破壊してしまうことができるのであれば、改憲を議論する意味もなくなってしまいます。改憲を論ずる資格はありません。
 私たちは、改憲を議論する前に、破壊された憲法を取り戻すべきではないでしょうか。改憲を議論する前に、憲法違反の安保関連法、戦争法の憲法適合性を議論すべきです。そのことなくして改憲の議論をしてはなりません。
 社民党は、憲法審査会で安保関連法、戦争法の憲法適合性を議論することを強く求めます。
○会長(柳本卓治君) 松沢成文君。
○松沢成文君 無所属クラブの松沢成文でございます。
 私は、あえて、憲法改正に向けての方法論について意見を申し述べたいと思います。
 憲法は決して不磨の大典ではありません。憲法の良い理念は守りつつも、時代に合わなくなったところ、あるいは現実と乖離してしまったところをしっかりと国会で議論をし、改正を発議し、国民の投票によって憲法は変えられる、憲法には九十六条の改正条項もあるわけで、これは、私は極めて大事な視点だというふうに思っております。
 そうであれば、憲法の問題点は何かというと、恐らく今日ここにお集まりの皆さんそれぞれ違うと思うんですね。前文が問題だという方もいれば、あるいは天皇の国事行為がこれでいいのかと。あるいは、お話がありましたように、統治機構をこう見直したい、あるいは人権や自由権をこう見直したい、それぞれ意見があると思います。
 私は、あえて、現行憲法の最大の問題点は、これは国家の危機から国民や平和や人権を守るための具体的な条項が欠如していること、つまり国家の防衛と国家緊急事態に対する条項が日本国憲法は欠如している、これは独立国家の憲法としては最大の欠陥であるというふうに思っています。
 その国家の防衛と国家緊急事態に対して働くのが自衛隊であります。その自衛隊に対する規定がないというところ、私は、ここは見直していかなければいけない、しっかりと国には自衛権がある、自衛隊の皆さんにしっかりとその権限を行使してもらう、さらには自衛隊は文民統治でやっていく、これをしっかり書き込んでおくこと、あるいは、いざ国家として大きな災害やテロに遭ったときには、そのときに国家、国民を守るためにどういうやり方があるのかということをしっかり憲法に規定しておくこと、これこそが、私は改正に向けての最大のテーマだというふうに思います。
 さて、皆さん、これまで憲法調査会、憲法審査会でこの憲法の議論をしてきました。憲法調査会では憲法に対する調査をすると。しかし、この憲法審査会は、調査、研究をした後に憲法原案を作成して発議をするということが役割の一つとなっています。しかし、先ほど申し上げましたように、もちろん自主憲法を主張する政党から、あるいは創憲だ、加憲だ、あるいは憲法改正絶対反対、もうこんなに多様な政党があって、そしてこの憲法審査会でもその意見発表と自由討議だけが永遠に続いています。私たちは国民の期待に応えられていないんです。
 そこで、会長、ちょっと一つ提案があります。
 まず、この憲法審査会において、来年度、国民世論調査をやったらいかがでしょうか。憲法改正、まあ十ぐらいにテーマを集約して、国民の皆さんに、憲法を見直すとしたらどの条項、どのテーマから見直すべきか、あるいはどこに新しい条項を作るべきか、この世論調査をする。マスコミだけに任せていてはいけません。しっかりとこの憲法審査会で世論調査をやる。そのために来年度、予算を取るべきだと思います。そして、その世論調査を実行して、多くの国民の皆さんの憲法改正に向けての方向を把握した上で、来年、この憲法審査会においてしっかりとその発議案を議論すべきだと思います。これは、常に政局に追われている衆議院ではなくて、六年間保障されている参議院において、こうしたしっかりとした世論調査に基づく憲法改正案の発議ということが可能になるんだというふうに思っております。
 したがいまして、これからも憲法審査会をやるたびに、意見表明だ、自由討議だ、これが永遠に続いていても全く憲法改正は進んでいきません。今、国民の五割以上が憲法は見直してもいいという世論が多くの調査で出ていますし、国会議員は、衆議院、参議院、共に三分の二以上の議員が憲法改正をやっていくべきだという考えを表明しております。こういう状況になってもなお議論しかできないのであれば、私は憲法審査会の役割は果たせないと思っておりまして、是非とも会長におかれましては、幹事会で、来年度、この審査会において憲法改正の国民世論調査を行い、そのための予算を確保し、そして憲法審査会において憲法改正案をしっかりとまとめていく、衆議院とも連携していく、こういう方向を取っていただきたいと思いますので、幹事会において是非とも御調整をいただきたいと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) ただいまの松沢委員の提案につきましては、幹事会で協議させていただきます。
 中山恭子さん。
○中山恭子君 日本のこころを大切にする党の中山恭子でございます。
 本日は、参議院憲法審査会におきまして、我が党の憲法に関する基本的な考えを表明する機会をいただき、誠にありがとうございます。
 日本のこころの立党精神は、自主憲法の制定でございます。我が党の綱領では、日本の独立と繁栄を守り、国民の手による自主憲法を制定するとうたっています。
 さらに、基本政策の第一に、「我が党は、長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人の心を大切にした、日本人の手による自主憲法の制定を目指す。」と掲げています。
 我が党が自主憲法の制定を主張するのは、主に次の三つの理由によります。
 第一に、日本国憲法は、主権が回復されていない時期に連合国軍総司令部、GHQと極東委員会、FECという外部勢力の関与と圧力の下で制定された憲法であるということです。総司令部によって原案が作成され、その後の審議においても逐一連合国総司令部の同意が必要とされ、また極東委員会の厳しい監視下に置かれていたことが明らかになっています。今年の八月十五日には、米国のバイデン副大統領が、日本国憲法は我々が書いたと明言なさいました。
 いずれにしましても、日本国憲法は日本の国柄を全く知らないアメリカの人々が作った憲法であること、このことは憲法が国の基本を成す法であることから非常に重要な論点、重要なポイントであると考えています。
 一九〇七年のハーグ陸戦法規、陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則に照らし、日本国憲法は国際法的にも正統性に疑問があると言わざるを得ません。日本国憲法を日本国民の手で作り直し、正統性を与えなければなりません。
 第二に、現行憲法には自主憲法に当然含めるべき良い事項がたくさんあります。しかし、そのような成立過程で作成されたものであることから、現行憲法には日本国の歴史や伝統に基づく国柄が反映されていません。
 マクネリー・メリーランド大学教授は、日本の憲法改正に対する国内的、国際的影響という論文の中で、日本国憲法前文はアメリカ等の歴史的文書のパッチワークであると指摘しています。日本国憲法前文は、米国の憲法や大西洋憲章、テヘラン宣言など、幾つもの既存の文章から写し取った切り張り、パッチワークです。日本国憲法がコピペとやゆされるゆえんでもあります。日本国憲法は、どこの国の憲法でもない憲法であると言えましょう。
 明治憲法を作成するに当たり、一八八二年、憲法制度の調査のため渡欧していた伊藤博文がウィーン大学のシュタイン教授に協力を依頼したとき、シュタイン教授から、そもそも憲法とは民族精神の発露であって、自国の歴史や慣習に根差したものでなければならない、自分は日本の歴史や習慣を知らないので手伝えないと断られたと伝えられています。憲法は国の形を示すものであり、日本人自身の手で日本国の国柄を明確に表現した憲法にしなければなりません。
 第三に、憲法の虚偽の部分を正さなければならないということです。現行憲法の上諭には、日本国憲法は自由に表明された日本国民の総意によって確定されたものであると記述されています。一体いつ、どこで、どのように日本国民の総意が問われたのでしょうか。現行憲法が日本国民の総意に基づいたものでないことは明らかであります。国民の意思を問うてこなかったのは政治の怠慢であり、責任放棄だったと言えるのではないでしょうか。今こそ、憲法改正国民投票法にのっとり、日本国民の意思が問われるときであります。
 憲法改正の在り方について申し上げます。
 我が党は、自主憲法の制定を訴えています。国会法第百二条の六には、憲法審査会の最大の目的は憲法原案を審査することにあると書いてあります。しかし、憲法改正の方法について、国会法第六十八条の三では、「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」となっており、この方法ですと、憲法原案の審査は考慮されていません。現行法の部分改正を主眼とするのではなく、各党が憲法原案を提出し審査に着手すべきであり、憲法改正に先立ち、国会法の改正についても検討する必要があると考えます。
 日本のこころは、憲法とは、伝統、歴史、文化などに立脚した国の形を表す国の基本法であるとの認識の下に、自主憲法の制定に向けて精力的に勉強を重ね、作業を進めています。近いうちに草案をお示ししたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 次に、委員間の意見交換を行います。
 発言を希望される方は、氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。
 多くの委員が発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。
 それでは、発言を希望される方は氏名標を立ててください。
 磯崎仁彦君。
○磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、国権の最高機関であって国の唯一の立法機関である国会として憲法にどう向き合うべきかという点について意見を述べさせていただきたいと思います。
 一点目は、憲法と法律について、二点目は、憲法改正の発議についてであります。
 まず、一点目の憲法と法律についてですが、憲法第九十八条において、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と規定をされております。最高裁判所によって、これまでも何件もの法令違憲判決が出されております。古いところでは尊属殺重罰規定事件、薬事法距離制限事件、新しいところでは女子再婚禁止期間事件、非嫡出子法定相続分規定などであります。
 三権分立の下、裁判所の憲法違憲判断を踏まえてその後速やかに法令改正をすることでも問題はないかもしれませんが、国民の皆さんの意識が多様化して、また慣例も変わる中では、国会も取り巻く環境に敏感であり、憲法に照らして法令がどうかということを常に意識することが必要ではないかと思います。
 また、昨今、衆参の選挙制度に関して、一票の格差をめぐり訴訟が提起をされ、違憲状態の判決が出されています。しかしながら、裁判所はあくまで憲法に照らして公職選挙法の規定が違憲か合憲かを判断するまでで、人口減少が進む中、代表の在り方をどうすべきかという政策判断は行わない、いや、行えないわけでございます。人口減少の時代を迎えた今、地方を守り、国土を守るためにどのような代表の在り方が望ましいかを議論をし、必要であれば憲法の在り方まで踏み込めるのは国会をおいてほかにありません。憲法の枠内で法律で対応するのか、憲法の在り方まで踏み込んでいくのか、まさに国会の役割は大きいと言えます。
 次に、憲法改正の発議についてです。
 言うまでもなく、我が国は三権分立を取っています。立法権は国会に、行政権は内閣に、司法権は裁判所に帰属をしております。三権とも、憲法の枠内で法律を提出し、法律を制定し、法律を執行し、法律を審査しなければなりません。そして、主権者である国民の皆さんに対して憲法改正の発議を行えるのは国会だけです。
 去る十一月三日、日本国憲法は公布七十周年を迎えました。七十年の間に我が国を取り巻く環境は大きく変わっています。国民の皆さんの意識にも大きな変化があります。憲法と現実との乖離、憲法がそもそも想定していなかった状況が現実となっています。自衛隊、私学助成、新しい人権等については、憲法の解釈で対応しているところもありますし、憲法の変遷で解決しようという学者も見受けられます。しかしながら、もはや解釈も、憲法の変遷といった論理で、現実との乖離、憲法の空白を埋めるには限界に来ているのではないかと思います。
 これらの問題を議論をし、今の憲法の枠組みでは対応が難しいと判断したときに、憲法改正の発議を行うのは国会です。憲法はまさに我が国の在り方、我が国の形を示すものであり、我が国が大きな変革期にある中、国の在り方、国の形を憲法として国民の皆様にしっかりと提示をする、この国会としての責任をしっかりと自覚しなければいけないと思います。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 藤末健三君。
○藤末健三君 民進党・新緑風会の藤末健三でございます。
 私は、一点、立憲主義についてお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど、公明党の西田委員からもお話がございましたように、我が国の日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を三大原則として、立憲主義を基盤としております。しかしながら、我が国の今までの議論におきまして、この立憲主義が非常にないがしろにされているんじゃないかということを危惧しております。
 憲法は、先ほど磯崎委員からもございましたように、国家の根本の秩序を定めた最高法規でございます。このことにつきましては、九十八条に、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と決められております。
 また、同時に、国民が個人として尊重されるために必要な自由と人権を保障し、国家権力の濫用を防ぐための法律規範でございます。このことにつきましては、憲法九十七条に、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と規定されております。
 このような中において、憲法は民法や商法などの一般の法律とは違います。国家が国民に対してあるべき法的基準を示し守らせるもの、これが法律であるわけでございますが、憲法は、国民側が作成し、強力な権力を有する政治家、政府などに対して守らせる法典というふうに考えられるわけであります。このことにつきましては、日本国憲法の九十九条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」というふうに規定されてございます。
 立憲主義とは、憲法に基づき政治を行うことを意味しております。このような中におきまして、是非ともこの立憲主義という基本的な概念を我々がきちんとこの憲法審査会で議論させていただくことを提案させていただきます。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 山下雄平君。
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 私も、磯崎議員が少々触れられました人口と議員定数の配分の問題について政策論の観点で問題点を指摘させていただいて、憲法改正の必要性を強調したいと思います。
 私は、先頃まで行われておりましたアメリカの大統領選挙を考える題材にしたいと思います。
 アメリカは五十州ありますけれども、一番人口が多いのはカリフォルニア州で、約三千七百万人いらっしゃるそうです。一方で、一番人口が少ないのはワイオミング州で、約五十六万人。その差は六十六倍にもなります。アメリカの大統領選挙は、御存じのとおり、選挙人の獲得人数を競われます。カリフォルニアではその選挙人は五十五人ですけれども、ワイオミングは三人しか割り振られていません。最少のこの三人が割り振られている州は、首都ワシントンDCも含めて八か所あります。
 今回の大統領選挙で、ドナルド・トランプ氏、そしてヒラリー・クリントン氏、その両方が党の候補者になった後にどこの州に入ったのかを日本の外務省に調べてもらったところ、首都ワシントンDCを除くこの選挙人が一番少ない七州には両候補とも一度も足を踏み入れていらっしゃいませんでした。
 国の政治に携わる者は、日本国憲法の規定のように全国民を代表しなければなりません。だから、その場所に行ったからとか行ったことがないからにかかわらず、全ての国土、国民のことを考えて政治に当たらなければなりませんけれども、皆さん、ここにいらっしゃる全ての皆さんは選挙を経ていらっしゃるので、よく御存じだと思いますけれども、そこに行ったからこそ、そこで見たからこそ、その声を聞いたからこそ分かることがたくさんあります。
 選挙で選ばれる代表の数を人口だけに比例させていけば、人口が少ないところには徐々に国政に携わる人が行かなくなる危険性があるというのは、アメリカの大統領選を見れば明らかです。アメリカの場合は、憲法の規定に基づいて上院議会ではカリフォルニアもワイオミングも同じ数の議員が選ばれて、そうした問題を是正されております。
 私は、二十代の頃、鳥取県に住んでいました。私の奥さんは高知県の出身です。両方とも今回合区になりました。そして、私は佐賀県の出身です。合区になった四県、そして福井県に次いで六番目に人口の少ないところの出身です。田舎の声、山の声、海の声、島の声、そうした声が国会に届かなくなるのではないかと非常に心配しております。そうした点も含めて、政策論の観点から議論していただければと思います。
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 民進党の小西洋之でございます。
 私は、我が参議院の憲法審査会が果たすべき役割について、まずは、憲法改正の議論ではなくて、憲法保障、主権者である国民の皆様の憲法、またそれがよって立つ立憲主義や法の支配を守るとりでとして、我が憲法審査会が憲法保障機能を全うする、憲法九十九条の下の、そして国会法百二条の六、そして平成二十六年の我が参議院の附帯決議である、立憲主義、国民主権、基本的人権の尊重、そして恒久平和主義の基本原理に基づいて徹底的に審議を尽くすと記してある附帯決議を守り、憲法保障機能を全うすることを先輩、同僚委員の皆様に呼びかけさせていただきたいと思います。
 先ほど白眞勲筆頭幹事から御説明のありました昭和四十七年政府見解、安倍内閣による解釈変更の違憲の根拠、証明でございますけれども、これが意味するところは、過去の政府が我が参議院の決算委員会に提出した、内閣が国会に対して提出したその政府見解の文書、憲法九条を離れて、その政府見解を恣意的に読み替えて、新しい集団的自衛権という武力行使、それを容認する憲法規範を捏造しているという問題であります。
 これは、申し上げると、解釈変更とかそういう話ではありませんで、解釈論ではなくて単なる不正でございます。つまり、憲法がよって立つところの法の支配、立憲主義そのものが、今私たちの国会で、そして日本社会で、日本政治で失われているわけでございます。
 それはすなわち、憲法九条そして前文の平和主義が守っていた自衛隊員の命や尊厳、そして国民の皆様の生命というものが、主権者の国民投票なく奪われていることを意味します。こうした政治の下で憲法改正の議論ができるのか、していいのか、そのことが私たち国会議員に問われているものだというふうに考えるところでございます。
 私も、国民の皆様のかけがえのない命や尊厳を守るために、憲法を変えないと作ることができない、違憲になってしまう法律があるのかどうか、その意味においての立法事実、憲法事実というものを議論することは、一議員としては賛成でございます。
 例えば、衆議院の任期が満了したときに、もし大震災などが起きたときに国会が開けない、参議院の緊急集会の規定が憲法五十四条の二項しかないということがございます。ただ、これについては衆議院の任期の四年間の間に必ず総選挙をしていただくような国会法及び公選法の法改正によって対応することができるのではないか。
 あるいは、参議院の合区の問題。私も徳島の生まれ育ちではございますけれども、七百二十名の国会議員がいる中で都道府県を選挙区としているのは参議院の選挙区選出議員のみでございます。一方で、私たちが作る法律は全て、ほとんど都道府県や市町村の行政区を基に法律を組み立てております。すなわち、都道府県全体を公共福祉の観点から見る、そうした国会議員集団が憲法の下で必要ではないか、そうした立論は法律論として、憲法論ではなくて、私はあり得るのではないかと思います。
 先輩、同僚の皆さんとともに、こうした議論、ただし全ての前提として憲法保障機能を全うする、そのために、会長にお願いしたいんですけれども、四十七年見解に本当に集団的自衛権があるのかどうか、作成者の議事録などが残っておりますので、それをこの我が憲法審査会で検証することをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) ただいまの小西委員の発言につきましては、また幹事会で検討させていただきます。
 堂故茂君。
○堂故茂君 自由民主党の堂故茂です。
 日本国憲法には、環境や災害に対応する条項や矛盾箇所の訂正、そして正しい日本語の使い方など、改正すべき箇所が数多くあると考えます。
 私は、人口減少と財政難に苦しむ自治体の首長を三年余り前までいたしておりました。市政の方向を示す総合計画と併せて五十年ぶりに市民憲章を改定するに当たり、二千人程度の市民の意識調査をする機会がありました。その中で、日本国憲法が施行された昭和二十年代と現在では、市政を取り巻く状況や市民意識において大きな変化が生じていることを改めて実感いたしました。
 少子高齢化、人口減が急激に進んだこと、その結果、医療、福祉、教育、そして過疎化する集落への対応が強く求められるようになったこと。一方、高速道路網などの整備によって勤務先や生活圏が拡大し、交流時代に対応できる広域行政が求められていること。基礎自治体の仕事の大切さとともに、その限界も感じるようになりました。政治、経済、文化で結び付きの強い都道府県単位の広域的な自治体の果たす役割が大きくなっていると考えます。
 サッカーのチームでいえば、市町村は市民に向き合う最前線にあるフォワードと言える存在でありますが、都道府県が果たしているバックスからミッドフィルダーとも言える役割が本当に大きくなってきていると思います。
 憲法施行時にはそのような広域的行政の記述もなく、必要性も議論されていないのではないかと考えます。憲法にはっきりと基礎自治体と都道府県などの広域自治体のことを、そしてそこから選ばれる議員についても明記すべきだと考えます。
 したがって、単に一票の格差の是正を合区に求めるのは、国土、国民を守っていく政治のあるべき方向、広域行政の在り方と全く逆の方向に向かうものではないかと心配します。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 吉良よし子さん。
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、改憲案のすり合わせになりかねないこの憲法審査会は動かすべきではないし、ましてや、自民党改憲草案を議論のベースにするなどもってのほかであることを訴えたいと思います。
 自民党改憲草案は、立憲主義を否定し、憲法の基本原理を根底から覆すものです。とりわけ、表現の自由について、わざわざ「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」と規定して、国民の知る権利や、言論、政治活動の自由を規制しようとしていること、また、現行憲法が人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であるとうたう基本的人権を制限しようとしていることは見過ごすわけにはいきません。
 これは、決して改憲草案の中だけの問題ではありません。既に今、政府や自民党による国民の自由を踏みにじろうとする動きがあることは重大な問題です。
 例えば、今年の初め、高市総務大臣が、政治的公平性が遵守されない番組が放送された場合、電波停止もあり得るとの答弁を繰り返し、憲法に基づき放送の自由を保障することを求めている放送法を踏みにじり、放送の自由を踏みにじる発言をしました。
 また、さきの参議院選のときには、自民党が、教員の具体的な授業内容を密告させようとする、学校教育における政治的中立性についての実態調査を行いました。
 そもそも、この調査において、政治的中立性を逸脱すると例示された、子供たちを戦場に送るなという言葉は、憲法の平和主義に照らして当たり前であり、政治的中立性からの逸脱などではあり得ません。十八歳選挙権の行使へ向けた主権者教育を行おうとしている教育現場を監視し、恩師や同僚の密告を奨励するようなやり方は、これから政治に参加しようとする子供たちをも萎縮させかねない行為であるとともに、教育の自由を踏みにじる行為です。
 国民からも、高市大臣の発言にも、自民党の調査にも、強い怒りと批判の声が上がっています。何より、政治的公平性、中立性などの言葉で安倍政権の独自の価値観を一方的に国民に押し付けようという行為は、思想、信条の自由や内心の自由を保障する日本国憲法に照らして、絶対に許すわけにはいきません。
 今必要なのは、憲法を壊したり変えたりすることではなく、現行憲法の自由と権利、平和と民主主義、全ての条項を守り生かし実現することです。だからこそ、憲法の基本原理を根底から覆す自民党改憲草案を議論のベースにするのはもってのほかであり、改憲案のすり合わせとなりかねない憲法審査会は絶対に動かすべきではないことを申し上げ、私の発言といたします。
○会長(柳本卓治君) 魚住裕一郎君。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 選挙制度に限定して発言をさせていただきます。
 この夏の参議院選挙で、初めて合区で行われましたけれども、なお一票の格差が三倍を超えております。すなわち、埼玉県の有権者三人集まっても福井の有権者一人にかなわないという、そういう選挙制度の下であったわけでございますが、大変厳しい高裁判決が相次いだわけでございまして、今後、最高裁の行方を注視しつつ、我々がこの国会で検討を進めなければならないと考えるものでございます。
 選挙権は国民の国政への参加の機会を保障する基本的な権利であり、憲法は、十四条で法の下の平等、また選挙権については、普通選挙の保障、十五条、また選挙人の資格の平等、四十四条について、特に定めを置いております。国民は全て政治的価値において平等であるべきとの理念を志向するものであり、投票価値の平等もまた憲法の要求するところであると理解をするところでございます。
 平成二十四年の最高裁判決とともに、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難いと言うべきであります。選挙区割りについて、地域代表的要素を踏まえて、都道府県ごとに最低一人の議員が選出されるようにすべきであるという声も聞かれます。しかし、憲法四十三条では全国民を代表するとされており、特定の都道府県や地方を代表するものではありません。さきの最高裁判決が言うように、都道府県を参議院の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はないのであります。
 都道府県が地方における行政等の単位であることは確かですが、歴史的に見ると、県境は明治以降のものであり、その境界は時代によって変化もしてきております。また、現在のように交通や情報の発達した社会においては、容易に地方の状況を知ることができます。衆議院選挙では市町村の枠を超えた選挙区となっており、行政区画は必ずしも選挙区の単位となるのではなく、あくまで選挙人団をつくるための便宜上のものと言ってもよいと思います。
 そういった意味で、参議院の選挙区を都道府県単位とすることに固執するのではなく、大ブロック制のような制度の方がより憲法の趣旨に沿うのではないか、このことを発言して、私の発言を終わります。
○会長(柳本卓治君) 福山哲郎君。
○福山哲郎君 民進党の福山哲郎でございます。よろしくお願い申し上げます。
 立憲主義は、権力は何らかの形で制限を受けることだということは、委員の先生方も御案内のとおりだと考えます。また、近代立憲主義では、国民の権利と自由を保障する社会の在り方を基本としています。こうした普遍的な価値を表す憲法は、当然、通常の法律とは異なる硬性憲法となっております。
 そのことは、なぜかといえば、民主政治の下では選挙のたびに多数派、少数派が分かれ、政府の指導者の考え方によってどのような政治になるかが分からないからです。こういった民主政治の変転と切り離されるべきものだと考えられるからこそ、近代立憲主義における憲法は、一定の硬性憲法として改正に制限が掛けられるわけです。
 そのことも含めて、国会法の六十八条の三においては、憲法改正の原案の発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うことになっております。このことは、例えば憲法改正から今七十年を経る中で、運用上、憲法の明文の改正がどうしてもしなければならない、対応できないという深刻な事態が生じたので、そのために憲法改正を発動するべきだという国民の、これは主権者である国民の強い要請がある場合に、制限を受ける権力を持つ我々自身がこの国会で議論を積み重ね、発議をするという立て付けになっていると私は考えています。
 そういった面でいいますと、自民党の憲法草案のように丸ごと憲法を変えるんだというふうになり、内容を拝見いたしますと、国民の自由や権利の保障を侵害するような条文もあるようなものは、九十九条における国会議員の憲法尊重擁護義務との関係でいうとどういう位置付けになるのか、憲法の改正の限界をどのように捉えるのか、非常に重要な視点があると思います。
 この憲法審査会においては、先ほどから委員の皆さんがお話があるように、このことは、憲法改正を自己目的化し、憲法改正を発議するためだけを目的とした審査会ではありません。これは、あくまでも日本国憲法や日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うこともこの審査会の機能でございますので、その機能もしっかりと役割として果たしていきたいと考えますし、民進党は、先ほど申し上げたように、どうしても憲法を改正しなければいけないというような深刻な事態に対して、我々としても、本当にそのことがあるのかどうか、必要なものがあるかについての議論までを否定するものではありませんし、党内でもその議論は始めたいと考えておりますが、近代立憲主義の在り方の中で、制約を受ける、制限を受ける権力を持つ側が、それぞれが憲法を改正するべきだとか、憲法を改正することが国会議員の責務だと言うことに関しては、いささか今の現行憲法上でいえば私は抵抗を感じざるを得ません。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 高野光二郎君。
○高野光二郎君 自由民主党の高知県選出の高野光二郎でございます。
 さて、今回の参議院議員選挙の高知県の投票率でございますが、全国平均五四・七%に対して、高知県は四五・五%と全国最低となりました。そして、高知県の無効投票は一万七千五百六十九票で、総投票数に占める割合は六・一四%と、前回、前々回と比べても大きく突出をいたしております。わざわざ投票所に行って白票を投じたり、合区反対と記載した有権者が一万七千五百人を超えるほどいました。また、投開票日の当日です、NHKの出口調査において今回の合区に賛成か反対かと質問を加えたところ、高知県では七八%が反対、徳島県は七二%が合区の反対を示しました。
 今回、高知県民にとって候補者が与党も野党も徳島県の方であり、高知県の候補者がいない、候補者を見たことがない、徳島県と高知県は県民性も文化も違うといったような声を多く聞きました。合区に納得できないという県民の怒りも投票率の低下に影響したものと思います。
 また、選挙戦の争点におきましては、アベノミクスや安全保障だけではなく、実は最も関心が高かったのは、どの政党が合区にしたのか、誰が賛成をしたのか反対をしたのか、誰ならば解消ができるのか、こういった議論も中心に繰り広げられてまいりました。
 徳島県に渦潮で有名な鳴門市があります。高知県の西端に奇跡の透明度を誇る海を持つ大月町があります。これは同じ選挙区でございますが、片道は七時間三十分掛かります。距離は約三百二十キロメートルあります。東京から名古屋間を一人の国会議員が担当するのと同じでございます。
 また、高知県と徳島県の面積は、首都圏の東京都、埼玉県、千葉県を合わせた面積とほぼ一緒です。一方で、高知県、徳島県合区選挙区では一名、東京、埼玉、千葉では二十三名の参議院議員が選出する制度、これが本当に平等でしょうか。県の代表として一人の参議院議員も国政に送り込めない可能性がある制度に対し、平等の意味の本質を考えてみたいと思います。
 例えば、高知、徳島合区選挙区で当選した中西祐介参議院議員は、高知県と徳島県の信託を受けて国政に立っています。しかし、御本人は高知県知事や高知県の代表を選ぶことはできません。これはおかしいことではないでしょうか。
 日本国憲法は二院制を要請しています。参議院の在り方も今後検討していき、憲法改正論議の一丁目一番地として都道府県の代表で構成できる参議院議員を憲法にしっかり明記すべきだと考えます。今後、参議院の憲法審査会で選挙制度を含めた参議院の在り方に関して委員の皆様と考えを深めていけたらと思います。
 よろしくお願いします。
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
○福島みずほ君 二度目の発言をお許しくださいまして、本当にありがとうございます。
 二点申し上げます。
 先ほどからもありますが、社民党も、自民党日本国憲法改正草案は極めて問題であり、絶対にベースにすべきでないということを申し上げます。
 自民党日本国憲法改正草案は、基本的人権は常に公益及び公の秩序によって制限できる、国民は常に公益及び公の秩序に従わなければならない、そして家族は互いに助け合わなければならない、たくさんの義務規定によっております。憲法は国家権力を縛るものなのに、国民を縛るものになっている、これは憲法とは言えません。パッケージとして問題であるということを申し上げます。
 二点目、何のための憲法改正なんでしょうか。
 この間、憲法改正のターゲットはどんどん変わっています。初め、憲法九十六条、憲法改正の発議を三分の二、それを過半数にするという意見が出ました。すると、裏口入学であるという批判が出て、この九十六条を改憲するという案は今の段階では引っ込みました。その後、例えば環境保全責務、いや乱訴になるのではないか、これも下火になりました。そして、緊急事態宣言条項が熊本地震の際には出ました。そして、天皇が退位をおっしゃったときには、生前退位を、これは憲法改正が必要だと言われた議論もあります。そして、今は合区解消のための憲法改正が言われています。
 何のための憲法改正でしょうか。「さまよえるオランダ人」ではないけれども、憲法改正をしたい、憲法改正するにはどこが容易か、どこが必要なのか、つまり、どうしても憲法を変えなければならないという必然性があるのかどうか、私は疑問に思っています。
 護憲と改憲は対等ではありません。改憲に必要性があるとなって初めて改憲の議論が出るべきです。私たちは、憲法尊重擁護義務を持っております。合区というのは、私も人口が比較的少ないところに元々生まれ育ったので理解はできますが、公職選挙法の改正や選挙制度、先ほど公明党からも議論がありましたが、それは憲法改正ではなく、まさに選挙制度の中で私たちはしっかり議論をすべきではないでしょうか。
 初めに憲法改正ありきの議論ではなく、私たちは憲法を生かすことから始まり、そして護憲と改憲は対等ではないということを申し上げたいと思います。
○会長(柳本卓治君) 滝波宏文君。
○滝波宏文君 自民党の滝波宏文です。
 先日、我が党の憲法改正推進本部において九州大学井上武史先生から、日本国憲法が制定以来一度も改正を経験していない、この事実は、政治、社会や国際情勢の変化にもかかわらず、憲法は何らの応答も示してこなかったということを意味している、つまり憲法は七十年間の社会の変化に一貫して目を閉ざしてきたということだとの話がありました。
 この憲法改正のなさは国際的にもまれなケースであります。例えば、アメリカだと戦後六回の憲法改正を経験し、いずれも戦後に作られたフランス、ドイツ、イタリアの憲法は、それぞれ二十四回、六十回、十六回の改正を行ってきています。
 一方、我が国の現行憲法は、まさに不磨の大典となっています。一見聞こえはいいですが、その実態は、我が国のグランドデザインというものを全く変えることができない状況になっておりまして、このままでは我々の将来世代に対して自己決定権が全く与えられないことになってしまいます。新しい世界に対して、自分たちの泳ぎ方、生き残り方を考え、要すれば、ちゃんと自分たちの国の形を工夫していける、そういう自己決定権をしっかりと次世代に送らなければならない、そういう点におきまして私は改憲を早急にすべきだと考えます。
 その改憲の一つの候補として、当参議院の在り方という観点から憲法改正の必要性があることについて述べたいと思います。
 現在、一票格差の関係で最高裁の方から現行憲法の解釈として人口比例原則を参議院においても求められておりますが、もし衆議院と同等の人口比例原則を突き進めていくのであれば、何で参議院との二院制を取らなければならないのか、そもそもは参議院は必要なのかということになりかねない。
 翻って国際的に見てみますと、二院制を取っている国において人口比例原則で選出されている下院に対し上院の選出の考え方を見ていくと大きくは二つありまして、一つは貴族的なものであり、もう一つは地域代表的なものであります。
 先進民主主義国家である我が国において貴族的なものは不適でありましょうから、やはり参議院の地域代表的な性格について、特に都道府県代表という点をきちんと憲法に書き込まないと、一院制にした方がよいのではないかとの議論になりかねないと危惧するわけであります。
 なお、私は、決して参議院から人口比例原則を排除せよ、例えば米国のように州の人口にかかわらず上院二人とすべきだと言っているわけではありません。引き続き人口の多い都道府県には多い議席が与えられてよいと思いますが、上院たる参院においては、特に地域代表的性格に配慮した人口比例原則とのバランスが認められるべきであり、そのための改憲が不可欠だと申し上げております。
 本件をきちんと提案できるのは当参議院の憲法審査会だけであって、改憲の重要な候補の一つとして取り上げるべきではないかと考えております。この点、我が党の憲法改正草案の追補四十七条におきまして、参議院議員は、改選ごとに各県から少なくとも一人が選出されるようにとの改正案を示しております。是非、一案として当審査会で早急に御検討いただきたいと考えます。
 ありがとうございます。
○会長(柳本卓治君) 片山大介君。
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、各会派の皆さんの意見表明を聞いての感想と、あと、維新の会の我々の考え方、補足的に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、これまでの憲法改正の議論というのは、どうしても、保守であれば改憲、そして革新であれば護憲というイデオロギーの中で行われてきた感があります。先ほどいろいろ各会派の話を聞かせていただくと、やはりその延長に立ったところがあるかもしれないというふうに思いましたが、我々維新としては、脱イデオロギーの中で考えを進めていきたい、そう思っています。
 そしてもう一つ、自主憲法制定論だとか、あとは占領軍による押し付け憲法、これの打破という考えを言われる方も多かったと思いますが、我々はその考えもなくて、これまでの憲法で三大原則を始めとする国民から広い支持を得てきたこうした理念を大切にしながら、その上で、時代にそぐわなくなってきたことに対してどうしていけばいいのか、また憲法の制定時からどうしても不備だった点について直していく、こうした憲法修正論的な考えが必要だというふうに思っています。
 そして、先ほど松沢委員からも言われた意見がありましたが、やはり国民が何を望んでいるかというのをしっかりと捉えることが必要だと思っています。国民がこれを実現してほしいと、そういう民意が醸成されて、それを政治家が酌み取ってそれで議論を進めていく、こうした正しいプロセスを踏んでいくこと、これが何よりもこの審査会でやっていくことではないのかなというふうに思っています。
 そして、その上で、我々維新の会が提案をしているのは、先ほど浅田委員からお話がありましたように、教育の完全無償化、そして統治機構改革、更に言えば憲法解釈を判断する憲法裁判所の設置です。なぜこの三つかといえば、これもお話があったように、身近で切実な問題だからなんです。
 そして、この中の統治機構改革について言わせていただくと、世界各国では今憲法の改正というのが行われています。その中で、二〇〇六年のドイツ、二〇〇八年のフランス、そして、来月、国民投票が行われるイタリア、これ、いずれも統治機構の改革に関するものなんです。要は、統治機構を憲法改正で行っていくというのは今世界のトレンドになっていると。
 それで、なぜかといえば、憲法の役割というのは、政府を構成する各部門というのがありますが、そこを権限を定めて政府によって人権が侵されることがないようにしていく。こうした政府と社会との関係というか、それを適切に保っていくために、その各部門の在り方を定めた統治機構の規律に不断の手入れをしていく、これが今世界の考えになっていると思います。だからこそ、我々はこれをやっていきたい。
 これを日本でいえば、やはり東京の一極集中打破だと思います。東京で全てが決まる今の仕組みを改めて、そして広域の自治体に意思決定やそして権限を与えていく、そして分権型国家をつくっていくことだと思います。
 これであれば、国民の納得も得られるのではないかと思いますし、法律でできないことを憲法改正をてこにこれを行っていく、実現させていく、そういう役割でも憲法改正をしっかりみんなと議論してやっていきたいと思っております。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 阿達雅志君。
○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。
 昨年五月二十七日の憲法審査会でも各党の意見表明がなされましたが、私も含め、憲法改正賛成意見が多数表明されました。しかし、賛成意見も、どの条項を変えるかについては議論が分かれておりました。改正の是非を議論すべき条項の絞り込みを行うべき時期に来ているのではないかと考えます。
 私は、改正の必要性、またその切迫性から、まず検討すべきは国家緊急権と参議院選挙制度に関する憲法改正と考えます。国家緊急権についての、昨今のテロの脅威と大規模災害の発生を考えると、法律の整備とともに、憲法上の疑義を晴らしておくことが不可欠です。現在の憲法は、平時のルールであり、非常時のルールではありません。憲法規定により非常時の対応について法律への授権がないと、法律の規定が憲法の条項に抵触しかねません。
 昨年、フランス・パリのテロ事件において、フランス政府は非常事態宣言を発令し、容疑者確保に努めました。日本で非常事態法を制定しても、憲法上の令状主義、私権保護規定と抵触する可能性があります。憲法レベルでの手当てが必要です。
 大規模災害についても、災害対策基本法がありますが、災害非常事態宣言の発令については、やはり現実にはちゅうちょすることになりかねません。やはりこの点についても憲法上でしっかりと規定されていることが必要ではないかと考えます。
 参議院選挙制度については既に複数の委員から意見が表明されておりますが、私も、参議院選挙区の地域代表としての役割をしっかりと憲法に書き込み、そして、今後、違憲判決あるいは違憲状態判決が出ることのないようにすることが不可欠であると考えます。
 以上、この二点について問題を絞り込み、これから憲法改正の議論を是非進めていただきたいと思います。
 終わります。
○会長(柳本卓治君) 白眞勲君。
○白眞勲君 二度目の発言、ありがとうございます。
 今までずっと私も話を聞いておったんですけれども、自民党中川筆頭からの自民党憲法草案についてのコメントについて、ちょっとこれ、別にお答えするかしないかはこれは自民党の皆さんの勝手でいいんですけれども、こうおっしゃっていたんですね。自民党憲法草案について、更に憲法についての考え方を整理すると、こう今おっしゃったわけでして、ちょっとあれっと思ったんですね。
 つまり、その自民党憲法草案、これからどうする気なんだということがよく分からなくなっちゃったんですね、私たちは。かといえば、何かニュースでは歴史的文書にするんだと言っているんですけど、でも、この自由民主党は、というこの内閣総理大臣の言葉の中に、立党以来、憲法改正を主張しており、昨年、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を、御指摘の九十六条を含め、包括的にかつ具体的に示した憲法改正草案を発表し、広く国民に訴えてまいりましたと書いてあるわけで、二十一世紀にふさわしいあるべき憲法の姿が歴史的文書にもうなっちゃったというのも、何か非常に不思議でしようがない。
 ここにどっさり今日、自民党の先生方いらっしゃいますから、是非私のこの質問にもし答えていただけるなら有り難いなと思います。
 もう一度お聞きします。更に憲法についての考え方を整理すると今おっしゃったこと、つまり、自民党憲法草案、どうする気なんだということについてお答えいただければ有り難いというふうに思っております。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 松川るいさん。
○松川るい君 自由民主党の松川るいです。
 この憲法審査会に所属させていただきましたことを大変有り難く思っております。
 私は、外交の世界に二十三年、身を置いておりました。世界の視点から見て、時々、正直申し上げて、日本の憲法論議には違和感を感じてまいりました。
 私は、占領軍が一週間で作った原案が基になっているからといって、現行憲法をおとしめる気は全くございません。ただ、七十年たちまして、正直、現在の憲法では日本の平和と繁栄を守っていく、その機能が果たせなくなっている部分があると思う次第です。基本的な現行憲法の三原則についてはしっかり堅持した上で、変えるべき点、特に申し上げたいことをこの場で申し上げます。
 まず第一に、憲法上、自衛権及び自衛隊についての明確な規定を置くべきと考えます。
 この七十年の日本の平和を守ってきたのは自衛隊と日米同盟です。自衛隊はまた、PKO活動を始めとしまして国際貢献を行うとともに、東日本大震災など国内災害においても多大な貢献をしております。その自衛隊を、国際法上は軍隊と認識されるが、なぜか憲法上は軍隊でないという不安定な位置付けのまま放置しておくことは、主権国家として無責任だと思っております。
 また、憲法上に軍隊の規定を置くことは世界的に見てごく当たり前のことで、百万人以上の規模のある国家で、つまり、私の地元の堺市は八十万人ですが、その国家で国軍の規定を置いていない国は日本以外に存在いたしません。
 第二に、憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とありますが、北朝鮮は核兵器の小型化を進め、弾道ミサイルは我が国を射程に収めております。また、中国は我が国固有の領土である尖閣諸島を日々領海侵犯しております。
 このような国々の公正と信義に信頼して日本の国が守れるはずはなく、このような他力本願なユートピア的な規定が前文にあることは、日本の平和ぼけの元凶となってきたと思いますし、何より対外的にこんなメッセージを発していては、日本の今後の厳しい安全保障環境で我が国領土を守っていくことはできないと思う次第です。
 また、第三に、テロや大規模災害など国家の緊急事態についての条項も設けるべきだと考えております。
 この緊急事態条項についても、世界的に憲法において設けることは当然のことです。日本では、こうした点につき改正の議論をすると、すぐに戦争国家になるといったような主張がなされますが、世界的に常識的な規定を置いて日本が戦争国家になるという主張をされるのは、日本の民主主義に対して信頼を置いていらっしゃらないのではないかと思います。この七十年の日本の歩みにもっと我々は自信を持つべきだと考えております。
 この憲法審査会で是非冷静で落ち着いた議論をさせていただくことを楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。
○会長(柳本卓治君) 中山恭子さん。
○中山恭子君 御指名ありがとうございます。
 今回は、御承知のことと思いますが、御参考までに基礎的な事項として日本国憲法が成立した当時の状況を整理しておきたいと考えております。
 まず、政党として、共産党が絶対反対を唱えました。昭和二十一年八月二十四日、衆議院本会議において同党は、この憲法は羊頭狗肉の憲法であり、民族独立を保障しない憲法であると位置付けました。特に、第九条については、一個の空文であり、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険があり、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならないと断言しています。
 次に、東京帝国大学の宮沢教授は、この憲法を非自発的、非自主的、自己欺瞞の憲法であると述べています。また、東京帝国大学総長の南原教授は、日本政府が最後まで自主自律的に自らの責任をもって憲法作成を決行することができなかったということを極めて遺憾に感じ、国民の不幸、国民の恥辱とさえ私どもは感じているのでありますと述べました。吉田茂総理のブレーンとして総司令部との折衝に当たり、極めて近距離で日本国憲法成立の成り行きを見ていた白洲次郎氏は、その手記に、かくのごとくして敗戦最露出の憲法案は生まる、今に見ていろという気持ち抑え切れず、ひそかに涙すと書いています。
 アメリカの新聞、クリスチャン・サイエンス・モニター、三月十七日付けですが、これは日本の憲法ではない、日本に対するアメリカの憲法である、この憲法、重要条項に日本の現実から生まれた思想は一つもないとの記事を掲載しました。また、米国のバイデン副大統領が日本国憲法は我々が書いたと明言しましたが、このような言葉が何のちゅうちょもなく発せられることは、日本国憲法が占領下においてアメリカ人によって作られたものであることが国際的にも周知の事実であるということを示しています。日本人であれば誰もが屈辱と感じられたものと思います。
 今後、日本人の手による日本の国柄を表した自主憲法の制定ということが是非必要であると考えております。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 二度目の発言を誠にありがとうございます。
 冒頭、中川筆頭幹事がおっしゃいました、政局とは本質が異なるので、この憲法の改正の議論、この憲法の議論をしなければいけないというような趣旨をおっしゃられたと思うんですけれども、それにつきまして、私も意味としては同意をするんでございますけれども、まさに今我が国の憲法問題は政局そのものでございます。ただの政局ではございません。あえて申し上げれば、リーガルクーデターが起きているということでございます。
 過去の政府見解を、それを作った作成者の明確な立法意思、議事録に残っておりますけれども、それを無視して、そして論理的な説明を安倍内閣は徹底的に国会答弁やあるいは政府見解によって拒否しております。そうした過去の政府見解の中で新しい憲法規範を、集団的自衛権の行使の規範を捏造する、そうしたことをやってしまえば、もう我が国は今、法治国家、法の支配、立憲主義が保たれているという状態ではありません。それは、すなわちほかの憲法の条文も、憲法規範として国民の権利や自由、尊厳を守ることができなくなるというわけでございます。
 そして、もし仮に、将来、この憲法審査会で憲法改正案を可決し、衆参の本会議で改正を発議し、国民投票で憲法改正をしても、その新しい憲法規範もそうした内閣や国会の前例の下では、いかようにも時の内閣、国会の専断によって規範が変えられてしまうというわけでございますので、まずはこの参議院の憲法審査会、そして国会全体における憲法保障機能を全うする、そのことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 また、今憲法九条すら改変されてしまう政治の下で、放送法の解釈変更、これは憲法二十一条の潜脱だと思います。また、昨年は、臨時国会の召集義務、憲法五十三条、そして二〇一三年の参議院選挙前には、総理大臣及び大臣の国会出席義務、憲法六十三条、こうしたものについても守られない事態が生じております。この政治を正すことこそが憲法審査会の役割であると重ねて申し上げさせていただきます。
 そしてもう一つ、同じような関連の中で、憲法の理念が具現化されていない、むしろ脅かされている問題がございます。憲法二十四条の婚姻は両性の合意のみに基づいて成立するという条文でございますけれども、安倍内閣はこの二十四条の両性は男性と男性、女性と女性の結婚は含まないというふうに政府解釈を示しております。しかし、二十四条の第二項は、婚姻については、個人の尊厳に基づいてその法律を定めるというふうに書いておりますので、二十四条全体を理解すれば、私は、男性男性、女性女性の結婚というものは当然に認められる、こうした問題について国会として議論をしなければいけないと思います。
 最後に、自衛隊が憲法上に明記されていないというふうにおっしゃる意見がございますけれども、我が憲法には、行政機関は「内閣」又は「行政機関」としか明示されておりません。防衛省も財務省も総務省も国土交通省も規定はないわけでございます。海上保安庁も、また警察もございません。自衛隊が「身をもつて責務の完遂に務め、」という命の宣誓を行っている特別の公務員であることは重々承知しておりますけれども、そうした問題についても御理解をいただきたいと思います。
 最後、先ほど松川委員がおっしゃられました「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」、憲法の前文でございますけれども、信頼するのは諸国民でございます。諸国家を信頼しろとは言っておりませんので、これは憲法審査会で過去に議論された論点でございますので、お伝えをさせていただきます。
○会長(柳本卓治君) 古賀友一郎君。
○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。
 私からは、先ほども指摘がございましたけれども、そもそも今憲法を改正する必要はあるのかないのかという点について、あると考える立場から、具体的な三点に絞ってその理由を述べさせていただきます。
 まず、先ほどもありましたけれども、我が国が独立国家である以上、憲法に国防の規定がないのはおかしいと思います。国防の規定があることと平和主義は、何ら矛盾はいたしません。自衛隊についても、もはや我が国になくてはならない存在であるにもかかわらず、いまだ最高裁が合憲と判断していない残念な状況です。そうした状態を解消するためにも自衛隊を憲法上明確に位置付けるべきと考えます。
 次に、財政規律の規定も考える必要があると思います。
 我が国における国と地方の長期債務残高はGDPの二倍以上となる一千兆円を超え、先進国中最悪の状態で今なお年々悪化し続けています。これまでも我が国の財政状況は悪化の一途をたどってまいりましたし、今後においても高齢社会の進展等で社会保障費は一層増大する一方、その負担を支えてくれる生産年齢人口は減少してまいります。
 また、これからも債務残高が増大していけば、そう遠くない将来、国内の安定的な資金でファイナンスできなくなる事態も懸念されます。我が国の財政を取り巻く環境はますます厳しさを増し、財政破綻のおそれも意識しなければならない状況の中、これ以上、後世代に負担を押し付けないようにするためにも、もはや憲法で財政を規律することも考えねばならない状況になってきていると思います。
 最後に、二院制について、私もその意義は理解しておりますが、現行憲法では、衆参両院は、全国民を代表する選挙された議員で組織すると規定されているのみで、両院の理念が書き分けられていません。また、両院はほぼ同等の権限を持って並立していることによって、衆参がねじれた場合に国政が停滞する原因となっています。これはいずれも参議院不要論の背景となっておりますし、近年は参議院についても一票の格差の問題を厳格に解する司法判断が増えていることからも、二院制の在り方を再考すべき時期に来ていると考えます。
 以上、この三点だけ取ってみても、今憲法を改正しなければならない理由として十分だと思いますので、今後、当審査会で実りある建設的な議論が展開されますことを期待いたしまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 藤末健三君。
○藤末健三君 民進党の藤末でございます。
 先ほど松川委員のいろいろな御意見をいただきまして、私はちょっと違う意見を持っていますので、反論させていただきたいと思います。
 まず、自衛隊を軍隊にしなきゃいけないということで、ほかの国が持っているとか、あとはいろいろな脅威に対する対応ができない、また、先ほどユートピアということをおっしゃっていただきました。これは先ほど小西委員からも御指摘ありましたけれども、諸国民の公正と信義に信頼して平和を守るということにつきましては、諸国ではなく諸国民であるということを私も指摘させていただきたいと思います。
 また、軍をつくるという、九条を変えるという議論につきましては、私は三つ申し上げます。
 まず一つは、自衛隊というものは一九五四年にできておりまして、憲法九条上で専守防衛の組織としてずっともう六十年以上活動しているというものでございます。その事実は揺るがせていないと。
 また、軍をつくれば防衛力が上がるようなことをおっしゃっておりますけれども、私は、やはり専守防衛の中できちんとした防衛体制をつくることによって我が国の安全と平和は守れると確信しております。
 そして三つ目に、他国は軍を憲法に規定している、我が国の憲法はユートピアであるというような御指摘でございますが、私は、日本国が軍を持たない、そして戦争をしない、これは侵略戦争でございますが、しないという九条を持っていることは非常に意義があると思っています。
 私は、憲法には理想を書くべきであるということを申し上げまして、自分の意見を申し上げます。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 中川雅治君。
○中川雅治君 先ほど白眞勲先生から、自民党の平成二十四年草案についての扱い、考え方についてお尋ねがございました。
 平成二十四年の日本国憲法改正草案は、平成十七年の新憲法草案を踏まえまして、当時の自民党議員の間で真摯な議論を重ねて、その時点で最良の案として取りまとめたものでございます。しかしながら、その後、選挙がございまして議院の構成も変わり、内外から多くの意見も出されております。
 また、当参議院憲法審査会で出される御意見なども踏まえまして、今後とも党内で議論を重ねて憲法改正の考え方を更に整理し、この二十四年の日本国憲法改正草案をバージョンアップしていく必要があると考えております。
 したがいまして、平成二十四年の日本国憲法改正草案をそのまま当審査会に提案するつもりはなくて、より広範な合意が得られる案を目指して党内で更に議論を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○会長(柳本卓治君) 舞立昇治君。
○舞立昇治君 自民党の舞立昇治でございます。
 憲法制定以来七十年が過ぎ、これだけ国内外の情勢が変化してきた中で、最高法規たる憲法を一度も変えることなくこれまで何とかやってこられたのも、結局我が国の憲法は他国と比べ分量が少なく内容も概括的なものが多いため、それら抽象的な部分を法令や司法の判例等でかなりの部分補うことができる、実際、補いながら対処してきたのが実情だと思います。
 その上で、時代の変化に合わせて憲法を見直すべき点は多々あると思いますが、実は法律レベルで対応可能なものも多いと考えられる中、当審査会では、憲法改正しないと司法から違憲判決を出されかねない緊急性の高いものから議論をしていただきたいと思います。
 私が最も緊急性の高い項目として挙げるのは選挙制度改革でございます。衆議院では三回、参議院も二回連続で最高裁の違憲状態判決が出され、参議院では昨年の公選法の改正により、憲政史上初の四県二合区が導入されました。その選挙でさえ高裁レベルで違憲状態が出る状況です。さらに、公選法の附則においては、次の参院選に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて必ず結論を得ることになっているのは皆様御案内のとおりだと思います。
 いまだ広い裁量のある法律レベルで立法府の意思をきちんと示して見直しを行う道もあるとは思いますが、選挙制度は政治そのもので、政治が決める問題にここまで司法が踏み込んで警鐘を鳴らす今日、参議院の在り方や選挙制度に関する具体的な記述を憲法に入れない限り、内容の薄い現行憲法のままでは投票価値の平等を追求する弁護士グループの違憲訴訟は永久にやまないと思います。
 合区は四県だけの問題ではありません。衆議院と同じ人口優先、二倍未満の格差にする道を選択すれば、二十県十合区、中長期的にはそれ以上の県に関わる全国的な問題であり、参議院の存在意義をも揺るがす問題であることを強く認識していただきたいと思います。
 私は、合区の選挙を経験し、憲法よりも長い歴史のある都道府県制度、そして各県ごとの多様な意見集約の重要性や県民性の定着を実感するとともに、平等であるはずの県と県が半人前にされ、国政への発言力を半減させられたり、地方への国の目がどんどん届かなくなるのは国土政策の観点からも問題だと思いましたし、この度の鳥取中部地震でも痛感いたしました。
 地方創生が喫緊の課題として国民の共通認識となっている中、地方の声を減らして都会の声を増やすことが本当にこの国の将来にとっていいことなのか、地方出身が多い都会の国民も自分のふるさとが切り捨てられることをよしとするのか、私は絶対逆だと信じております。
 この問題は各党とも考え方が相当異なるとは思いますが、公選法の附則を踏まえ、是非政治の責任として当審査会では選挙制度改革を最優先の議題とし、全国知事会等、様々な意見を聞きながら検討を深め、憲法改正して司法による人口優先主義に歯止めを掛けるのか、又は、国民投票にも掛けられないまま、このまま地方を切り捨てていくのか、結論を出す場にしていただくよう強くお願いして、発言を終わります。
○会長(柳本卓治君) 西田昌司君。
○西田昌司君 ありがとうございます。
 私は、憲法の議論をする前提として、やっぱり歴史的事実をしっかりそれぞれの委員が共有していないと非常にむなしい議論になると思うんです。
 先ほどからそれぞれの政党又はそれぞれの議員がそれぞれの思いをお話しになっているんですけれども、事実としては、先ほど中山恭子先生もおっしゃいましたけれども、占領期間中にGHQの指令で作られたと、そしてその目的は完全に日本の非武装、それをするためにGHQが作ったわけであります。ところが、昭和二十五年になって、いわゆる朝鮮戦争を契機にもう一度再軍備が要請されたと、これも占領中であります。ですから、吉田総理の答弁は二十一年当時と二十五年では全く逆さまの答弁しているわけです。なぜだったかといえば、そういうGHQの占領目的の変更があったと。
 しかも、それが両方とも占領期間中ですから、日本人は主権がないので、その指令されたという事実も、さらにはその意図も含めて、国会で議論もできないし、報道にもされていない。これ占領期間中の事実でありますが、占領期間中はそうした事実が報道できなくても、本来、占領が終わった今日においては、そういう事実をしっかり国民に伝えるべきであったのに、我が自民党も含め、政治家も報道機関も全くこのことを国民に知らしめていないと。
 そのことから、今日のこの憲法の議論が非常に矛盾に満ちた、議論の一番根本のところが触れられずに、何か、思いや、長くやってきたからというような、そういう話ばっかりになっているんですが、本当にこれはちゃんちゃらおかしい話で、もう一度議論するんでしたら、私は、会長の下で、こうした戦後の占領時代にやられた事実をまずしっかりこの憲法審査会で押さえていただいて、その上でないときちんとした議論ができませんので、是非そうした事実関係を整理して、この委員会できちんと共有するということをしていただきたいということを提案したいと思います。
○会長(柳本卓治君) 終わりに、白眞勲君。
○白眞勲君 三度目で大変恐縮でございますが、今、中川自民党筆頭幹事から今回の自民党改正草案についての私の質問に対する答えをいただいて、ありがとうございました。
 要は、この憲法審査会には自民党憲法草案を出さないということをはっきり明言されたということで私は今理解をいたしました。と同時に、バージョンアップをするということなので、どういうバージョンアップにするのか非常に気になるところではあるんですけど、今日はもう時間もないので、この辺りでとどめたいというふうに思います。
 それと同時に、松川るい先生から諸国民の正義というようなことについてのお話がありましたけれども、諸国の正義じゃなくて諸国民なんですね。私は思うんですけど、どこの国のお母さんも自分の子供を戦争になんか出したいなんて思っている国の人は一人もいませんよ、これは。
 私は、そういう観点から、やっぱり松川先生はもういろんな国々を回られて、一般の人たちの思いというのはみんな一緒なんだろうな、大体似ているんじゃないかなと私は思っています。平和を願う人の気持ちというのは私は一緒だと思っております。そういう人たちの気持ちに信頼してという部分なのではないんだろうかというふうに思っているところであります。この件についても、また皆さんと一緒に和やかに議論をさせていただければ有り難いというふうに思っております。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) ありがとうございます。
 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、本日の意見交換は終了いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時散会