第193回国会 本会議 第6号
平成二十九年二月十五日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第六号
  平成二十九年二月十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(米国訪問に
  関する報告について)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(米国訪問に関する報告について)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、二月九日から十三日まで米国を訪問し、トランプ大統領と幅広く意見交換を行いました。その概要を御報告いたします。
 ワシントンDCでは、日米首脳会談及びワーキングランチを行い、共同声明を発出しました。
 特に、米国の拡大抑止へのコミットメントや日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用、普天間飛行場の全面返還のため辺野古移設が唯一の解決策であることを確認しました。
 さらに、経済面では、日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。
 ワーキングランチでは、私から、日本企業は米国に多くの雇用、投資を生み、ウイン・ウインの経済関係を築いてきたことを説明し、トランプ大統領から、日本企業の米国への投資を評価し、歓迎したい旨の発言がありました。
 さらに、トランプ大統領と自由で公正な市場をつくる必要性で一致しました。そうした自由で公正な市場をアジア太平洋につくろうとするこれまでの日本の立場に理解を得るとともに、その共有された目的を達成するための最善の方法を探求することで合意しました。
 地域情勢については、北朝鮮に対して、核及び弾道ミサイル計画を放棄し、更なる挑発を行わないよう強く求め、拉致問題の早期解決の重要性についても完全に一致しました。
 東シナ海に関しては、平和と安定を確保するための協力を深めることに合意しました。南シナ海に関しては、関係国に対し、拠点の軍事化を含め、緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを求めることを確認しました。
 私からトランプ大統領に対して、本年中に日本を公式訪問するよう招待しました。トランプ大統領からは、招待をお受けするとの回答がありました。
 今回の訪問では、トランプ大統領とエアフォースワンに搭乗してフロリダに向かい、大統領の別荘において心温まるおもてなしをいただくとともに、リラックスした雰囲気の中で様々な課題についてじっくりと話し合いました。フロリダ滞在中に発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、その場で共同会見を開催し、日米の強い結束を明確に示すことができました。
 今回の訪問を通じて、トランプ大統領と個人的信頼関係を確立するとともに、日米同盟は揺るがないとの明確なメッセージを世界に向けて発信できたと考えます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。西田昌司君。
   〔西田昌司君登壇、拍手〕
○西田昌司君 自由民主党の西田昌司です。
 自由民主党・こころを代表して、安倍総理の米国帰朝報告について、総理に質問をいたします。
 まず、日米首脳会談は大成功であったと高く評価いたします。
 この首脳会談のさなか、日本時間で十二日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。この暴挙に強く抗議をいたします。同日行われたフロリダでの共同記者会見で、総理は、今回の発射を断じて容認できない、国連決議を完全に遵守すべき、米国は常に一〇〇%日本とともにあり、その意思を示すために大統領は私の隣に立っていると述べ、トランプ大統領も、米国は偉大な同盟国である日本を一〇〇%支えると明言いたしました。
 国連安保理決議への明確な違反である北朝鮮の暴挙に対して、総理は、今後どのように米国との同盟関係を更に強化し、対処していくのか、お伺いいたします。
 さて、今回の訪米で、総理は、ほぼ二日間にわたりトランプ大統領と行動を共にされました。トランプ大統領については、選挙中の過激な発言が米国の内外に大きな波紋をもたらし、就任直後の入国制限に関する大統領令にも戸惑う声が上がっているなどと報じられています。では、なぜ米国はトランプ大統領を選択したのでしょうか。選挙結果の背景には、米国の本音と建前が見え隠れしています。自由社会は大切だが米国の国益も失われてはならない、米国の利益を守るのが大統領の責務だという米国人の本音の代弁者としてトランプ氏は大統領に選ばれたと言われています。
 そこで、今回の訪米中の会談や交流の中で、トランプ大統領とはどのような人物だったのか、どのような人物と受け止められたのか、お聞かせをください。
 今回の訪米では、麻生太郎副総理とペンス副大統領をトップとする経済対話を新設することに合意した一方、これまでトランプ大統領が発言していた貿易や為替についての対日批判はありませんでした。しかし、米国新政権のこれまでの発言は、アメリカ・ファースト、国内の雇用をいかに増やすかということが重点に置かれています。
 このような状況の中、日本と米国がウイン・ウインの関係を築くための戦略は何かを考えていく必要があります。つまり、米国の雇用を増やし、それが我が国の国益にもなる戦略を考えなければなりません。
 その一つが、我が国の防衛力の増強であると考えます。
 選挙戦中、トランプ大統領は、従前のアメリカ政府の方針と異なり、同盟国は米国に頼らず自国の防衛費を拡大すべき、日本は自前で核武装する方がいいとの見解を示していました。こうした中で、今回の訪米で日米同盟の強化と尖閣諸島への安全保障条約第五条の適用が明言されたことは歓迎すべきことです。しかし、米国は、日米同盟を前提としながらも、対中国有事は避けたいと考えるはずです。
 トランプ大統領の選挙中の発言の背景には、自分の国は自分で守るという世界の常識があります。尖閣諸島を日米安保の適用対象だと明確にしたといっても、自主防衛力充実の努力を怠ることなく、防衛予算を着実に拡充することが必要ではないでしょうか。防衛力の増強は、米国の負担軽減のみならず、米国の主要産業の一つである軍事産業の輸出増、ひいては対日貿易赤字の縮小につながります。我が国産業への圧力の軽減、米国の経済や雇用の改善にも波及していくのです。
 そこで、トランプ大統領との会談を受けて、今後の日米安保体制をどのように発展させていくのか、我が国の防衛力を充実させることが米国の経済や雇用に貢献できると考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 日本と米国がウイン・ウインの関係を築くことができるもう一つの戦略が内需拡大です。
 この三十年、世界中で新自由主義者たちが、規制緩和や小さな政府を進めれば、民間の自由な投資が活発化し、経済が成長すると主張してきました。各国政府はそのとおりの政策を展開してきました。その結果、民間投資は特定の国や地域に集中し、それ以外の国や地域では雇用が失われました。今回のトランプ氏の勝利によって、グローバリズムと新自由主義が真っ向から否定されたという分析があります。トランプ大統領は就任演説で、米国は、国内インフラの整備を通じて内需主導の経済構造改革に着手すると宣言をしています。
 今後、米国へのインフラ投資等を盛り込んだ経済協力案が日米間で検討されます。我が国の新幹線の輸出などにとって大きなチャンスですが、米国への投資だけで貿易や為替の問題は解決できません。日本から米国への投資を増やせば、円売りドル買いをもたらし、結果的に円安を誘発し、ますます我が国への圧力が厳しくなる可能性もあります。
 そこで、我が国が取るべきは、日本国内の内需を拡大させることです。日本の内需が拡大し消費が伸びれば、米国からの輸入を増やす一方、輸出を減らすことができます。
 安倍総理が政権を奪還した五年前、アベノミクスの三本の矢の一つとして機動的財政出動により景気を押し上げましたが、その後、機動的財政出動は本格化しませんでした。アベノミクスは成果を上げていますが、デフレ脱却を成し遂げたと言えるまでには至っていないのは、プライマリーバランス黒字化に縛られているからではないでしょうか。
 プライマリーバランスを重視する人々は、財政再建を怠れば円の国際的信用が低下し、金利が止めどなく上昇し、ハイパーインフレに見舞われると言いますが、現実には、ブリクジットの例でも明らかなように、世界的な経済の危機のたびに、我が国の国債や通貨が買われ円高になります。それほど円の信用力は高いのです。
 我が国の国債はゼロ金利で資金を調達できるのですから、米国との経済関係を強化するとともに、新自由主義で疲弊した地方を創生するために、機動的財政出動により社会資本を整備していくという戦略を示すことが重要であると考えます。
 そこで、プライマリーバランス黒字化に縛られることなく、内需拡大のために機動的に財政出動を発動すべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 また、本当に日米同盟を重視するなら、内需拡大に資する投資は、当面、プライマリーバランスから外すという考え方もあろうと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
 この内需拡大を進めていく上で、特に重要なのは新幹線ネットワークの整備です。現在、工事着工済みの整備新幹線に加え、山陰や四国など全国津々浦々まで新幹線ネットワークを広げるべきだと私は考えています。中央リニア新幹線を東京―名古屋間だけではなく大阪まで同時に開業させる。さらに、新幹線を関西国際空港までつなぐ。この結果、東京から関西までが巨大な経済地域として一体的に発展できます。
 山陰や四国の新幹線ネットワークを含め、必要な事業規模は二十兆円程度と思われますが、この投資で更なる内需拡大につながる新幹線ネットワークが完成し、首都圏に対抗できる関西圏の発展と地方創生が実現できます。インバウンドの効果も地方に広がり、新しい日本の魅力の発掘にも役立ちます。新幹線ネットワークを活用した貨物輸送も可能となりますし、トラック運転手不足の問題や地球温暖化問題の解決にも寄与できます。
 JR東海や東日本の巨額の利益は、海外への新幹線の投資ではなく、本来はこうした国内投資に使うべきです。国鉄を七社に分割民営化したことがこれを阻む最大の原因になっています。
 今の株価ですと、十兆円もあれば七社の全株式を買い戻すことができます。十年をめどに再統合し再上場をすれば、国債は事実上ゼロ金利ですから、保有のコストは掛かりません。むしろ、東日本、東海、西日本の三社だけで毎年一千億円、十年で一兆円の配当収入も見込めます。これが鉄道整備の新たな財源にもなります。
 米国との貿易摩擦を回避する内需拡大策、地方創生、デフレ脱却の切り札としての新幹線ネットワークの早期整備への考え、そして国債を活用したJRの再統合について総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 西田昌司議員にお答えいたします。
 北朝鮮問題を受けた日米同盟の強化についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発は、新たな段階の脅威であり、明白な安保理決議違反です。トランプ大統領との間では、北朝鮮に関する認識を共有し、日米同盟を強化していくことで完全に一致しました。
 フロリダで発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、その場でトランプ大統領と共同記者会見を開催し、日米の強い結束を明確に示すことができました。首脳会談の後に発出した共同声明では、北朝鮮に対し、米国が核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力により日本の防衛にコミットしていることを確認しました。
 さらに、両首脳は、外務・防衛担当閣僚に対し、日米両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟を更に強化するための方策を特定するため、2プラス2を開催するよう指示しました。
 トランプ大統領の印象についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領は、気さくに周りの人に声を掛け、大変オープンで何でも話ができ、人の話をよく聞き、決断が早い方であると感じました。腹を割って一緒に仕事ができる相手であると確信しました。トランプ大統領とは二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、個人的な信頼関係を確立することができたと考えます。
 日米安保体制の発展と我が国の防衛力の充実についてお尋ねがありました。
 安全保障政策の根幹となるのは自らの努力であり、我が国自身の防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図る必要があると考えています。
 第二次安倍政権の発足までは防衛関係費は十年連続で削減されてきましたが、厳しさを増す安全保障環境等を踏まえ、五年連続で増額を図ってきています。引き続き、必要な予算の確保を含め、防衛力の強化を着実に進めてまいります。
 同時に、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守ることはできない時代となっている中、日米同盟の抑止力、対処力の強化が重要です。
 我が国は最先端の技術を用いた米国の装備品を導入していますが、これらは我が国の防衛に不可欠なものであります。日米の相互運用性の向上を始め、日米同盟の強化にもつながっています。安全保障と経済は当然分けて考えるべきですが、これらは、結果として米国の経済や雇用にも貢献するものと考えています。
 機動的な財政出動についてお尋ねがありました。
 安倍内閣は、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、機動的な財政政策を含む強い経済の実現を目指し、三本の矢の取組を進めてきております。政権発足後、早期に、もはやデフレではない状況をつくり出すと同時に、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標を達成するなど、成果を上げております。
 また、平成二十八年度第二次補正予算においては、未来への投資を実現するため、低金利環境を生かし、財政投融資を活用することで、リニア中央新幹線の全線開業を前倒しする、外国人観光客四千万人時代に向け、大型クルーズ船の受入れ環境を改善するなど、機動的な対応を行ったところです。さらに、来年度予算においても、科学技術振興費を伸ばすとともに、公共事業関係費の成長分野への重点化を行うなど、予算の中身を大胆に重点化し、効果的な財政出動を行っております。
 なお、内需拡大に資する投資は当面プライマリーバランスの対象から除外すべきとの御指摘をいただきました。経済再生と財政健全化の両立を図っていくという観点からは慎重に検討すべきものと考えておりますが、今回の日米での共同声明でも確認したとおり、今後も三本の矢の政策をしっかり進めていく中で、その時々の経済状況等も踏まえ、機動的な財政運営を行ってまいります。
 新幹線ネットワークの整備についてお尋ねがありました。
 新幹線は、東京オリンピックの年に開業して以来、五十年余りにわたって我が国の経済や国民生活の発展を支えてきました。安全性や信頼性、環境面に非常に優れた交通機関であり、観光やビジネスなど地方創生にも重要な役割を果たすものです。
 一昨年、北陸新幹線が、昨年は北海道新幹線が開業し、地域に大きな活力をもたらしました。利便性の高い新幹線ネットワークを早期に構築していくことにより、その効果を最大限発揮させていくことが必要です。
 このため、整備新幹線について、札幌や敦賀、長崎へと整備を着実に推進するとともに、敦賀―大阪間のルートを決定し、財源の確保を行うことで整備計画路線の確実な整備にめどを立ててまいります。また、リニア中央新幹線について、財投の活用により、大阪までの全線開業を最大八年間前倒しし、整備効果を早期に発現してまいります。
 さらに、新幹線ネットワークの更なる拡充に関しては、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等の在り方の検討に必要な様々な課題について、国土交通省において調査を行うこととしております。
 リニアと新幹線による高速鉄道ネットワークを軸に、東京や大阪、名古屋がハブとなって、日本全国、北から南まで、地方と地方をつないでいく。地方創生回廊をつくり上げ、全国を一つの経済圏に統合することで地方に成長のチャンスを生み出していきます。
 JRについては、国鉄の分割民営化によって効率的で責任のある経営ができる体制が整えられた結果、全体としてサービスの信頼性や快適性が格段に向上し、経営面でも、JR本州三社に続いてJR九州も完全民営化されるなど、国鉄改革の所期の目的を果たしつつあるものと考えています。引き続き、国鉄改革の趣旨を踏まえ、JR各社がサービス水準の向上を競うことにより、各地域のニーズを踏まえた質の高い鉄道サービスが提供されるとともに、かつて一つの組織であった会社間の連携及び協力が確保されるよう取り組んでまいります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 羽田雄一郎君。
   〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
○羽田雄一郎君 民進党・新緑風会の羽田雄一郎です。
 安倍内閣総理大臣の訪米帰朝報告を受け、会派を代表して質問をいたします。
 冒頭、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対して断固抗議するとともに、政府には、我が国の平和と安全の確保、国民の安心、安全の確保に万全を期すため、北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集及び分析を一層強化し、不測の事態に備えることを求めます。
 なお、昨日の議運理事会において、民進党は本日の本会議で北朝鮮に対する非難決議を行うことを提案しました。野党各党の賛同を得ましたが、結果、非難決議は行われないことになりました。国権の最高機関の明確な意思表示をしないことが北朝鮮に対して誤ったメッセージとして伝わるのではないかと危惧していることを付言しておきます。
 総理、外交には語れないことも多くあることは重々承知しています。しかし、良い意味でも悪い意味でも、これほど世界が注目し、多くの報道がなされた日米首脳会談はなかったと思います。国民に向かって是非丁寧な御答弁をお願いいたします。
 さて、総理、四十分の首脳会談、一時間のワーキングランチに始まり、三時間にわたる専用機、専用車での一緒の移動、二夜連続の夕食会、そして十八ホールプラス場所を移して九ホール、計二十七ホールのゴルフ。聞いているこちらがおなかいっぱいになるくらい、総理はトランプ大統領と一緒の時間を過ごされました。そこでは本当に様々な話題で率直な話がされたと容易に想像できます。
 しかし、臆測も含めた様々な報道を除けば、私たちに示された主な公的な資料は、会談の概要、共同声明、あとは三十分程度の記者会見だけです。今回の一連の日米首脳会談で本当は一体何があったのか、何について話し合われ、両国は今後いかなる方向に向かおうとしているのか、可能な限り伺っていきます。
 まず、トランプ大統領の印象について伺います。
 安倍総理は、トランプ大統領の就任前にニューヨークのトランプ・タワーにまではせ参じ、信頼できる指導者と確信したとまで明言されました。総理の信頼できる指導者とのトランプ大統領への見方は、今回の訪米を経て何らか変わりましたか。世界の指導者も、度々発言を翻すトランプ大統領の真の姿を知りたがっているに違いありません。総理の率直な印象をまず伺います。
 続いて、共同声明の日米同盟の項目についてお聞きします。
 日米関係は、我が国の外交・安全保障政策の基軸であります。今回、「日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎である。」と改めて確認されたのは当然のことであったとしても、尖閣諸島が日米安保条約第五条の適用範囲であることを文書で確認したことは率直に評価いたします。「威嚇、強制又は力によって海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する。」としたのも当然です。
 しかしながら、その中で、両国首脳が日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2に対して日米両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを行うよう、その開催を指示したというのは唐突感が否めません。役割の見直し、任務の見直し、能力の見直しとは、それぞれ具体的にいかなる内容を指しているのでしょうか。そもそも、共同宣言にこの文言を盛り込むに当たって、日米両国いずれがこの提案を行ったのでしょうか。総理にお聞きします。
 また、この共同宣言を発表した共同記者会見の冒頭発言で総理は、日本も積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていくと明言されました。共同文書にも「より大きな役割及び責任を果たす。」とありますが、総理は具体的にどのような役割と責任を果たすべきと考えておられるのでしょうか。事は我が国の安全保障政策の根幹に、果ては憲法にも関わってこざるを得ない重要な問題です。国民に対する分かりやすく丁寧で具体的な説明が必要です。総理の答弁を求めます。
 この首脳会談前には、在日米軍の駐留経費負担増を米国側が要求してくるのではないかという件も盛んに報道されました。確かに、トランプ大統領は、同盟国にフェアシェア、公平な負担を払わせると繰り返し発言されていました。一方で、マティス国防長官は、先日の訪日時に、我が国における駐留米軍の費用負担について、モデル、手本であるとの認識を示されていました。
 そこで、総理にお聞きします。
 今回の一連の会談を通して、総理の方から在日米軍に関する現状の我が国の負担割合については説明をされたのでしょうか。そもそも全く話題にすら上がらなかったのでしょうか。もし話題に上がったのであれば、トランプ大統領もマティス国防長官と同様の認識を持っておられたのでしょうか。お聞きします。
 次に、日米経済関係についてお伺いします。
 今般、会談前から問題になっていたのは自動車の問題であり、金融政策の問題であり、為替操作をしているという言いがかりであり、そして環太平洋パートナーシップ、TPPの問題です。
 ところが、蓋を開けてみれば、首脳会談で具体的に議論された形跡がありません。総理も共同会見で、経済問題についてはこの後のワーキングランチで話をすることになると明言されましたが、一体どのような議論があったのでしょうか。改めて、参議院のこの場で、自動車産業、金融政策、為替操作などの言いがかりについて、安倍総理は何を伝え、トランプ大統領はどう反応されたのか、しっかりと御説明をいただきたいと思います。
 また、今後、トランプ大統領の、日本は為替操作国であるといった言動や、日本の自動車市場は閉鎖的だなどと発信することはないと安心してよいのでしょうか。是非お答えください。
 TPPについてもお聞きします。
 米国抜きでは意味がないTPPは、既に米国が離脱表明をしました。総理は繰り返しトランプ大統領を説得すると述べられてきましたが、今回の首脳会談でいささかでも説得を試みたのでしょうか。
 また、日米共同声明では、米国のTPP離脱に留意しつつ、「日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと」と、「日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進すること」の両論が併記されました。この文書をもって二国間の交渉は俎上に上ったこととなり、議論の今後に大きな関心を持たざるを得ません。総理はこの二国間の交渉にどのような立場で臨まれるのか、基本的な方針を伺います。
 また、重要なのは後者です。既存のイニシアティブを基礎とする地域レベルの進展とは、米国加入のTPPのことなのか、はたまた米国抜きのTPPを模索するのか、RCEPなどの枠組みのことを指すのか、明確ではありません。この文言の指す具体的な内容についてもお答えください。
 さて、これまでるる伺ってまいりましたが、何より気になるのは、首脳会談、ワーキングランチの後のあのゴルフを含む一連の会談全体で何が語られたのかです。ゴルフのスコアは国家秘密で構いませんが、会談の内容は全て国家機密というわけにはいきません。今回の首脳会談については全世界が注目しており、これまで私が行った質問については、安倍総理とトランプ大統領でなされた会話の全てを対象に、お答えできるものをしっかりお答えいただきたいと思います。
 米国のイスラム圏七か国からの入国制限問題についても、どうしても触れざるを得ません。
 この大統領令については、共同記者会見での質疑応答冒頭で記者から質問が飛びましたが、残念ながら、総理はまたしてもコメントを避けられました。この大統領令は、自由や人権といった米国の持つ価値観を否定しかねない内容であるだけでなく、世界各地で反米感情の高まりを生みかねず、米国にとっても全く利益になりません。同盟国として我が国は、共生、寛容の重要さを丁寧に説得すべき立場にあり、コメントを避けてはならないと考えます。
 特に、フロリダで長時間一緒に過ごした総理は、米国がこれ以上内向きにならないようトランプ大統領を説得する絶好の機会を得ていたのです。この入国制限問題について、総理はトランプ大統領に対して何らかの意見、見解を述べられたのでしょうか。まさか何も触れなかったのでしょうか。お聞かせください。
 これに関して、更に心配な点があります。
 先ほどの入国制限問題を見るまでもなく、世界各国の首脳がトランプ大統領の言動に対し極めて慎重な立場を取っています。そんな中で安倍総理は、今回の首脳会談での異例中の異例の厚遇を受け入れました。極めて高いリスクを取ったと言わざるを得ません。各国首脳が、独りトランプ大統領に擦り寄る総理の姿を陰でどう見ているのかも気になります。
 個人的信頼関係の構築は結構ですが、昨年のトランプ・タワー訪問といい今回のゴルフ会談といい、総理はトランプ大統領との個人的関係の構築を急ぎ過ぎる余り、間合いを詰め過ぎています。強固な同盟関係とは、友好関係の中にも言うべきことはきちんと言い合える関係であるはずです。その点でも、入国制限へのノーコメントは看過し難いということを改めて強調し、総理の見解を求めます。
 最後に、北朝鮮弾道ミサイル発射問題についても触れておきます。
 共同声明でも、北朝鮮に対し、核及び弾道ミサイル計画を放棄し、更なる挑発活動を行わないよう強く求めると日米両国が改めて強いメッセージを送った直後、北朝鮮はまたしても弾道ミサイルを日本海に発射しました。累次の国連安保理決議違反であるだけでなく、発射のタイミングそのものが許し難い挑発行為であり、断じて容認できません。北朝鮮は、こうした行為を繰り返すことが国際社会からの一層の孤立を招くことに早く気付くべきで、民進党としても政府に強い対応を求めていきます。今回、日米韓の情報連携は万全であったのか、兆候をつかんでいたのか、総理にお聞きします。
 また、北朝鮮問題には中国というファクターが重要です。トランプ大統領はまたしても前言を翻し、日米首脳会談直前のタイミングで習近平国家主席と電話会談し、一つの中国の原則を確認したとされていますが、これについては事前に連絡などあったのでしょうか。また、一連の日米首脳会談の中で、中国、北朝鮮についてどのような認識を共有したのか、お答えいただければと思います。
 総理、今回の会談は会談として、むしろ日米関係はこれからの運び方こそが重要であるとの認識を私は持ちました。異例中の異例の厚遇の後に何が起こるのか。大きなリスクを取った総理の今後の外交姿勢を国民は厳しい目で注視しています。世界各国の首脳も、今回の会談内容を探るべく、総理に対して様々なアプローチがあると思います。
 民進党として、今後も国益第一、厳しく議論を行ってまいりますので、総理におかれましては是非とも丁寧な説明を行っていただくことを改めてお願いし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 羽田雄一郎議員にお答えをいたします。
 トランプ大統領の印象についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領は、気さくに周りの人に声を掛け、大変オープンで何でも話ができ、人の話をよく聞き、決断が早い方であると感じました。腹を割って一緒に仕事ができる相手であると確信しました。トランプ大統領とは二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、個人的な信頼関係を確立することができたと考えます。
 役割、任務及び能力の見直し及び果たすべき役割と責任についてお尋ねがありました。
 共同声明における「役割、任務及び能力の見直し」について、日米のどちらが提案を行ったかについては、外交上のやり取りであるため、お答えは差し控えさせていただきます。
 いずれにせよ、日米同盟全体の抑止力、対処力を強化するために、安全保障環境の変化に対応して、日米の役割、任務及び能力を最大限効率的かつ効果的な形とすべく不断の見直しを行っていくことが重要です。お尋ねのそれぞれの見直しの具体的な内容を含め、2プラス2において同盟強化のための方策を具体化してまいります。
 また、共同声明における「より大きな役割及び責任を果たす。」との記載は、積極的平和主義の立場から、我が国の安全及び国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に寄与するとともに、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくという趣旨を述べたものであります。安全保障環境が一層厳しくなる中、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力、対処力を強化し、国民の生命と財産を守るためには我が国として何をなすべきかという観点から常に様々な検討を行ってまいります。
 在日米軍駐留経費についてお尋ねがありました。
 在日米軍駐留経費については、先般のマティス国防長官の訪日時に引き続き、トランプ大統領との間でも議論は全くありませんでした。マティス国防長官は訪日時に日本のコスト負担についてお手本と述べ、トランプ大統領は、共同記者会見において米軍を受け入れていただき日本国民に感謝すると述べるなど、米政府にも、現在、在日米軍駐留経費は日米両政府の合意に基づき適切に分担されているとの認識が共有されていると考えます。
 日米首脳会談における日米経済に関する会談内容についてお尋ねがありました。
 会談全体を通じて、トランプ大統領から日本に対する要求は、全くこれはありませんでした。自動車については、私からは、過去から現在までの日本の自動車メーカーの米国内での生産や雇用への貢献などについて具体的な説明を行い、トランプ大統領の理解を得ました。大統領からは、米国内で日本が良い車を生産しているとの評価がありました。
 共同声明にあるとおり、三本の矢の一つとして金融政策を活用していくことの重要性について日米間で合意されており、為替操作ではなく、デフレ脱却を目的とする現在の日本の金融緩和の必要性について理解を得られたものと考えています。日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下、今後、建設的な議論をしていきたいと思います。
 なお、為替については、私とトランプ大統領の間で、専門家たる日米の財務大臣間で緊密な議論を継続させていくこととなっております。
 TPP、二国間交渉等についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領には、今回の訪米を含め、様々な機会にTPPの経済的、戦略的意義について説明してきました。その結果、先日の首脳会談では、日米が主導し、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができました。米国がすぐさまTPPに対する立場を変えるということではありませんが、我が国がTPPを推進するその意図については理解を得たと考えています。
 二国間FTAについては、今回具体的な要請はありませんでした。今後の日米対話の中で、どのような枠組みが最善であるかを含め議論していきたいと考えます。我々は二国間FTAを恐れているわけではありません。二国間であれ多国間であれ、日本の国益をしっかりと守ってまいります。
 共同声明にあるとおり、米国は、日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することについても了解しています。米国の離脱表明後も、日本がTPPにおいて持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるかを米国以外のTPP参加国とも議論していきます。
 米国の大統領令及びトランプ大統領との間合いについてお尋ねがありました。
 入国管理はその国の内政事項であり、コメントは控えます。他方で、移民、難民問題、テロ対策は、国際社会の共通の課題です。こうした世界的な課題については、トランプ大統領と十分に話をし、協力を確認しました。日本は、これからも難民、移民支援、開発支援など、非軍事分野において日本ならではの貢献を国際社会とともに協力して行っていきます。
 トランプ大統領とは、二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、何でも言えるような個人的な信頼関係を確立することができたと考えます。
 北朝鮮及び中国についてお尋ねがありました。
 フロリダで発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、その場でトランプ大統領と共同記者会見を開催し、日米の強い結束を明確に示すことができました。
 日米韓の間では情報面で緊密に連携していますが、事前に兆候をつかんでいたか等、インテリジェンスに関することはお答えを控えたいと思います。
 米中首脳電話会談など、第三国の間の外交上のやり取りについては、事前連絡の有無も含め、お答えを控えさせていただきたいと思います。
 トランプ大統領と、米中首脳電話会談の結果を踏まえた形で、中国についても議論ができました。トランプ政権の対中政策は固まっていく過程にあると思われます。早い段階で私の考えを胸襟を開いて話す機会を得られたことは大変有意義であったと考えています。
 北朝鮮については、核及び弾道ミサイル計画を放棄し更なる挑発を行わないよう強く求め、拉致問題の早期解決の重要性についても完全に一致をいたしました。
 以上であります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 宮崎勝君。
   〔宮崎勝君登壇、拍手〕
○宮崎勝君 公明党の宮崎勝です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました訪米報告について質問します。
 冒頭、今般の北朝鮮による弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会の決議に明確に違反するだけでなく、我が国の安全を脅かす暴挙であり、断じて容認することはできません。
 政府においては、国連を始めとする国際社会と緊密に連携し、厳しく対応するとともに、引き続き、不測の事態に備え、国民の安全、安心の確保に万全を期すことを強く求めます。
 トランプ米国大統領が就任してから三週間余りという早いタイミングで日米首脳会談が行われました。今回の会談は、両首脳間で安全保障や経済分野などで基本的な認識を共有するとともに、日米共同声明が発出されたことは、更なる日米関係の深化、発展に向けた新たな出発点になったと評価しています。
 戦後、日米両国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった基本的価値を共有し、強固で広範な日米同盟を築き上げてきました。しかし、米国第一主義を掲げるトランプ大統領の下で、今後の日米同盟や経済関係にどのような影響があるか、懸念もあります。
 こうした中、安倍総理は、昨年十一月の非公式会談、先月の電話会談に続き、今般、自ら訪米され初の首脳会談を行ったほか、トランプ大統領の別荘に招かれるなど異例とも言われる厚遇を受け、首脳同士の親交を深められました。トランプ大統領から、安倍総理とは相性がいいという言葉が出るまでに信頼関係を築かれたのは、総理の外交努力のたまものでもあります。
 まずは、両国の首脳が胸襟を開き、忌憚のない意見交換ができる人間関係を築くことが、日米間の様々な課題を解決する上で極めて重要なことだと考えます。今回の訪米の意義と成果について総理に伺います。
 首脳会談では、安倍総理から、トランプ大統領が掲げる偉大な米国、強い米国を歓迎する旨が述べられ、両首脳は、日米同盟のきずなを一層強固にするとともに、アジア太平洋地域と世界の平和と繁栄のために両国が主導的役割を果たしていくことを確認したとされています。
 米国第一を掲げるトランプ政権は内向きとの見方もありますが、総理が歓迎すると言われた偉大な米国、強い米国とはどういう国をイメージしているのか、総理の認識を伺います。
 政治、安全保障について伺います。
 今回発出された共同声明において、両首脳は、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、同地域における平和、繁栄、自由の礎である日米同盟の取組を一層強化する決意を確認しました。特に、日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用などを文書で確認したことは、揺るぎない日米同盟、日米の強固なきずなを内外に示すものとなりました。
 その上で、総理は、首脳会談後の記者会見において、日米同盟を強化する取組について、日本も積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていくとの方針を示されましたが、今後、日本の防衛力の強化や役割の拡大をどのような考えの下で進めていくのか、総理の見解を伺います。
 総理は、記者会見の中で、首脳会談では、二国間や地域の課題だけではなく、世界の平和と繁栄のための貢献についても率直な意見交換を行ったと述べています。このうち、テロとの闘いについては、引き続き協力を強化していくことで両首脳が合意したとしています。
 一方、地域紛争、難民、貧困、感染症などグローバルな課題について、総理は、我が国や米国を始め、国際社会全体が手を携えて取り組まない限り解決することはできないとして、意見の違いがあっても対話によって解決策を生み出す努力を続けていく必要性を訴えられました。
 地球規模の課題について、両首脳間でどのような意見交換が行われ、我が国としてどう取り組んでいく方針なのか、総理の見解を求めます。
 アジア太平洋地域の平和と繁栄を考える上で、世界第二の経済大国でもある中国との関係も重要になります。トランプ大統領は、日米首脳会談後の記者会見において、記者の質問に答える形で、中国の習近平国家主席との電話会談に言及し、私たちはこれから非常にうまくやっていけるでしょう、これは日本にとっても利益になることだと述べています。報道によれば、トランプ大統領は、習主席の求めに応じて、一つの中国政策を維持することに同意したとされています。
 総理は、この米中首脳の電話会談を踏まえて、トランプ大統領と中国について話をされました。日中間においては、今年は国交正常化四十五周年、来年は平和友好条約締結四十周年の節目に当たります。さきの参院代表質問において、我が党の山口代表から、これを機に両国関係を発展させ、この節目にふさわしい具体的な取組を検討すべきだとの提案をしましたが、改めて日中関係の発展に向けた取組について、総理の見解を伺います。
 経済については、日米両国が、自由で公正なルールに基づいて両国及びアジア太平洋地域における経済関係を更に強化し、両国の利益となる個別分野での協力を推進していくことで一致しました。今後は、麻生副総理とペンス米副大統領をトップとしたハイレベル経済対話の枠組みを新設し、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの三つを柱とする分野横断的な対話と協力を深めていくことで合意しました。
 この経済対話に関連して、総理は、アジア太平洋地域に自由かつルールに基づいた公正なマーケットを日米両国のリーダーシップの下でつくり上げていく、その強い意思を私と大統領は確認したと述べていますが、この言葉の意味するものは、TPP協定に代わる地域ルールの枠組みをつくるということでしょうか。総理の真意を説明してください。
 また、安倍総理はトランプ大統領に対して、日本企業が現地生産を通じて米国に多くの雇用を生み、米国の良き企業市民として米国と共に歩み、貿易摩擦を乗り越えてきたことを伝えたほか、TPP協定については、最先端の貿易・投資ルールであり、二十一世紀のスタンダードとなるとの考えから、同協定の経済的、戦略的意義を説明したと伺っています。
 これに対し、トランプ大統領は、貿易関係を自由で公平なものにし、両国が恩恵を受けることができるようにしなければならないと貿易を重視する姿勢を示しています。大統領は日米の貿易不均衡の是正を促したとの受け止めもできますが、日本企業の米国への貢献やTPPの意義、自由貿易の重要性についてトランプ大統領の理解は得られたのか、総理の見解を求めます。
 最後に、日米双方が、アジア太平洋地域のみならず、世界の平和と繁栄のために、共に手を携えてより一層の貢献をしていくことを期待するとともに、与党の一角としてそれを後押ししていくことをお誓いし、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 宮崎勝議員にお答えをいたします。
 訪米の意義と成果についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領と二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、個人的な信頼関係を確立するとともに、日米同盟は揺るがないとの明確なメッセージを世界に向けて発信することができました。国際会議の際には必ず首脳会談を行うことで一致し、マルチの場において日米が連携していくための土台を築くことができました。
 特に、米国の拡大抑止へのコミットメントや日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用、普天間飛行場の全面返還のため辺野古移設が唯一の解決策であることを確認しました。さらに、経済面では、日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。
 フロリダで発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、その場でトランプ大統領と共同記者会見を開催し、日米の強い結束を明確に示すことができました。
 偉大な米国、強い米国についてお尋ねがありました。
 世界に不確実性が増してきている中にあって、米国が偉大な国になり、強い米国になることは、日本にとっても大きな利益であります。日米同盟が強化されることは、日米両国だけではなく、アジア太平洋地域あるいは世界の平和と繁栄にも大きな貢献となります。そのためにも、米国が偉大な国になっていくことを歓迎します。
 今後の防衛力強化及び役割拡大の考え方についてのお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障政策の根幹となるのは自らの努力であり、我が国自身の防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図る必要があると考えています。同時に、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守ることができない時代となっている中、日米同盟の抑止力、対処力の強化が重要です。
 さきの日米首脳会談では、日米双方が日米同盟を一層強化するための強い決意を示しつつ、米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たすことで一致しました。我が国としては、引き続き、防衛大綱に定める基本方針の下、南西地域の防衛態勢の強化や弾道ミサイル防衛能力の強化などに加え、宇宙、サイバーといった新たな分野において、これまで以上の役割を果たすことにより、日米同盟全体の抑止力及び対処力を一層強化していく考えです。
 グローバルな課題への取組についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とは、二国間や地域の課題だけでなく、難民、移民やテロなどグローバルな課題についても十分に話をし、協力を確認しました。我が国は、地球儀を俯瞰する外交を展開する中で、貧困、感染症、保健、女性、防災などの様々な地球規模の課題に対して、人間の安全保障の考え方に立ち、率先して取り組んでまいりました。今後とも、米国を始めとする国際社会や関係の国際機関と緊密に連携しながら、世界の平和と繁栄のために積極的に貢献してまいります。
 日中関係の発展に向けた取組についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領と米中首脳電話会談の結果を踏まえて意見交換を行いました。トランプ政権の対中政策は固まっていく過程にあると思われます。早い段階で私の考えを胸襟を開いて話す機会を得られたことは大変有意義であったと考えます。
 習近平国家主席と昨年九月のG20杭州サミット及び昨年十一月のペルーAPECの際に会談し、本年の日中国交正常化四十五周年、来年の日中平和友好条約締結四十周年といった節目の機会を捉えて、関係を改善させていくことで一致しました。戦略的互恵関係の考え方の上に、大局的な観点から、引き続き共に努力を重ね、政治、経済、文化・人的交流など様々な分野で対話と交流を促進し、安定的な友好関係の発展に努めてまいります。
 アジア太平洋地域における通商政策についてお尋ねがありました。
 先日の首脳会談では、日米が主導し、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができました。そして、日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下で、今後あらゆる選択肢について考えていこうということになりました。
 共同声明にあるとおり、米国は、日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することについても了解しています。米国の離脱表明後も、日本がTPPにおいて持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるかを米国以外の各国とも議論していきたいと考えます。
 トランプ大統領との経済関係の議論についてお尋ねがありました。
 日本企業の米国への貢献については、私から、過去から現在までの、特に日本の自動車メーカーの米国内での生産や雇用への貢献などについて具体的な説明を行い、トランプ大統領の理解を得ました。大統領からは、米国内で日本が良い車を生産しているとの評価がありました。
 TPPの戦略的、経済的意義については、様々な機会にトランプ大統領に説明してきました。その結果、先日の首脳会談では、日米が主導し、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができました。米国がすぐさまTPPに対する立場を変えるということではありませんが、我が国がTPPを推進する意図については理解を得たと考えています。
 日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。その中で貿易、投資に関するルールについても議論することとなります。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下、今後、建設的な議論を行っていきたいと思います。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、訪米報告に対し、安倍総理に質問します。
 質問に先立ち、北朝鮮が十二日、日本海に向けて弾道ミサイルを発射したことを厳しく非難し、抗議します。これは核兵器の開発と不可分に結び付いた軍事行動であり、国際の平和と安全に深刻な脅威を及ぼし、国連安保理決議、六か国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であります。
 安倍総理とトランプ米大統領との初めての日米首脳会談は、米国第一を掲げるトランプ政権に対してどのように対応するかが問われました。
 トランプ大統領の七か国市民などに対する入国禁止令に米国内と全世界から厳しい批判が集中しています。ところが総理は、会談後の記者会見では、内政問題であり、コメントを控えると述べるだけでした。
 しかし、特定の宗教や市民を排除することは、内政問題に矮小化されるものではありません。国際的な人道・人権問題であり、テロ対策にも逆行します。だからこそ、ヨーロッパ各国の首脳も批判的立場を明らかにしています。黙認の態度を取り続け、ひたすら蜜月ぶりをアピールする総理の姿は国際社会の中でも異様なものです。米国のタイム誌は、安倍首相はトランプ大統領の心をつかむ方法を示した、へつらいであると書きました。
 総理には、今回の入国禁止令は国際的な人権・人道問題との認識はないのですか。これまでの米政権と比べても異常なトランプ政権の排外主義へ追随する態度を続けるのですか。
 日米共同声明の冒頭、核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るがないとし、核兵器使用も辞さない姿勢を明記しました。日米の首脳間の共同宣言で米国の核による日本の防衛を明示的に書き込んだことは、米ソ対立終えん後初めてではありませんか。これは日本が求めたのですか。
 トランプ大統領は、就任前の十二月、ツイッターで、核兵器に関して、世界が分別を取り戻すまでは米国は核戦略を強化、拡大しなければならないと述べています。このトランプ政権の核強化戦略をどう評価していますか。核強化を掲げる政権との核兵器の使用も辞さないという内容の共同声明は、核兵器禁止条約を求める世界の流れにも被爆者の声にも逆行するものではありませんか。
 アメリカの圧力の下、日本は核兵器禁止条約の交渉開始決議に反対するという、被爆国政府として恥ずべき態度を取りました。三月には同条約の締結交渉が行われます。北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る上でも、この交渉を成功させることが重要です。
 日本はこの交渉に参加するのですか。参加するならば、被爆国政府にふさわしく、核兵器の禁止と全面廃絶に至る法的拘束力のある条約を締結する立場で臨むべきです。答弁を求めます。
 共同声明で、日米同盟の強化が強調され、日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす、新ガイドラインに基づき、引き続き防衛協力を実施し、拡大するとしたことも重大です。
 トランプ大統領は、一月二十一日、他国が軍事で勝ることは許せないとの声明を出し、軍事増強の姿勢を明確にしました。この米国と同盟強化の方策を特定するために2プラス2を開催するとしていますが、安保法制、戦争法の下で米国と自衛隊の地球的規模での軍事協力、戦争する国づくりを更に推進することになるのではありませんか。
 共同声明には、防衛イノベーションに関する二国間の技術協力を強化すると盛り込まれました。具体的に何を対象とし、どのような体制で技術協力を進めようとしているのですか。危険な海外での軍事協力の強化ではなく、憲法違反の安保法制、戦争法の廃止こそ必要であります。
 首脳会談では、名護市辺野古への米軍新基地建設を唯一の解決策として推進すると確認をしました。政府が、会談の手土産にするかのように、抗議する県民を力ずくで押さえ付け、埋立てに係る海上工事を再開したことに怒りが広がっています。
 沖縄の基地負担軽減といいますが、辺野古新基地は、普天間基地の移設などではなく、千八百メートルの滑走路二本と強襲揚陸艦も接岸できる軍港を持ち、耐用年数二百年の最新鋭の巨大基地を造るものであります。
 沖縄県民は選挙で、新基地建設反対の民意を繰り返し示しています。総理はこの民意をトランプ大統領に伝えたのですか。唯一の解決策と民意無視の思考停止に陥るのではなく、普天間基地の無条件返還を求めて米側と正面から交渉すべきです。答弁を求めます。
 政府は、首脳会談で提案するために、投資を通じて米国中心に七十万人の雇用を創出することなどが主な内容の日米成長雇用イニシアチブをまとめ、その中には世界市場の開拓として共同での原発の売り込みも掲げられていると報道されました。会談では示されませんでしたが、総理は共同会見で、日本は大統領の成長戦略に貢献し、アメリカに新しい雇用を生み出すことができると述べました。
 米国内の経済政策と雇用に日本が全面的に協力し、貢献することを一方的に宣言するというのは、異常な貢ぎ物外交と言うほかありません。日米成長雇用イニシアチブには何が盛り込まれたのですか。今後、米側に提案するのですか。答弁を求めます。
 共同声明は、米国のTPP離脱を踏まえ、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うことを含めて、日米の貿易と投資の深化を図るため最善の方法を探求することを誓約しました。TPPで日本が譲歩した内容を前提に、二国間の交渉で更なる譲歩が迫られる危険があります。
 既に、全米肉牛生産者・牛肉協会と全米豚肉生産者協議会は、七日、トランプ大統領に対し、日本とのFTA交渉の早期着手を要請する書簡を送っています。今後、米、麦、牛肉、豚肉など、二国間協議で一層の譲歩が求められるのではありませんか。
 さらに、共同声明は、経済関係の強化として市場障壁の削減を強調しています。この間、米国が求めてきた食品添加物の規制緩和や国民皆保険制度の見直し、雇用の規制緩和などがその対象にならないと断言できますか。お答えください。
 首脳会談では、今後の日米経済関係の新たな協力の枠組みとして経済対話の立ち上げを決めました。かつての日米構造協議は、大規模小売店舗法改悪による地域経済の衰退や、内需拡大の名による大型公共工事で乱開発と財政破綻を生み出しました。その後の米国からの年次改革要望書は、貿易、金融、保険、雇用などあらゆる分野で日本に干渉する仕組みになりました。日米の二国間協議は日本が譲歩を重ねてきた歴史ではありませんか。今回の経済対話は、米国第一の立場での日本への経済干渉の新たな枠組みになるのではありませんか。過去の構造協議とどこが違うのですか。答弁を求めます。
 以上、米国第一を掲げるトランプ政権に対し、安倍政権が日米同盟第一の立場で追従したことが際立つ日米首脳会談となりました。この道を突き進むならば、あらゆる分野で矛盾が深刻になることは明らかです。日米同盟最優先という硬直した思考を抜本的に切り替え、対等、平等、友好の日米関係に転換すべきである、このことを強調し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えをいたします。
 米国の大統領令についてお尋ねがありました。
 入国管理はその国の内政事項であり、コメントは控えます。他方で、移民、難民問題、テロ対策は国際社会の共通の課題です。こうした世界的な課題については、トランプ大統領と十分に話をし協力を確認しました。日本は、これからも難民、移民支援、開発支援など、非軍事分野において日本ならではの貢献を国際社会とともに協力して行っていきます。
 日米の共同声明、米国の核戦略への評価及び核兵器禁止条約交渉への対応についてお尋ねがありました。
 近年、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、特に、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮は新たな段階の脅威となっています。御指摘の共同声明における記載は、かかる状況を踏まえて二国間で確認したものであり、どちらか一方が求めたという性格のものではありません。
 トランプ大統領は、核態勢の見直しを新たに開始する旨記載された米軍の再構築に関する覚書に署名したと承知しています。今後の具体的な見直し作業を注視していきます。
 核兵器のない世界の実現のためには、核兵器国がそれに同意することが必要不可欠です。他方、御指摘の核兵器禁止条約の交渉開始決議については、核兵器国は賛成せず、核兵器国と非核兵器国の間の亀裂を一層深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざける結果となることから、我が国は反対しました。
 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会の取組をリードする立場から、主張すべきは主張しつつ、核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、現実的かつ実践的な取組を重ねていくべきとの一貫した立場を取っています。核兵器禁止条約交渉への対応については、ただいま申し上げた考えの下、政府全体で検討していく考えであります。
 2プラス2及び防衛イノベーションについてのお尋ねがありました。
 2プラス2は、日米の外務・防衛担当閣僚が一堂に会する場であり、日米同盟を更に強化するための方策を今後具体的に議論する上で最も適切な場です。その上で申し上げれば、平和安全法制は、新ガイドラインの策定と相まって同盟関係を一層強固にし、抑止力を向上しました。また、世界各国による強い支持と高い評価は、この法制が世界の平和と安全に貢献するものである何よりのあかしです。戦争する国づくりを更に推進するとの御指摘は全く当たりません。
 高い技術力は防衛力の基盤です。新たな脅威に対応し、戦略的に重要な分野において技術的な優位性を確保していくためには、中長期的な視点に基づく研究開発の推進が必要です。また、新ガイドラインも防衛装備・技術協力の発展、強化を明記しています。御指摘の共同声明の記述は、こうした分野での日米協力を強化していくことを確認したものであり、具体的な協力の内容や進め方については今後検討してまいります。
 普天間飛行場の返還についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領とのやり取りの詳細についてお答えすることは差し控えますが、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については、今回の会談においてしっかりと説明しました。また、トランプ大統領との間で、普天間飛行場の全面返還のため辺野古移設が唯一の解決策であることを確認しました。
 いずれにせよ、抑止力を維持し、負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまでどおり進めていく考えであり、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないという方針の下、約二十年越しの懸案である普天間飛行場の全面返還を実現するため、引き続き全力で取り組んでいく考えであります。
 日米成長雇用イニシアチブについてお尋ねがありました。
 そもそも、そのようなイニシアチブを米側に提案した事実はありません。また、トランプ大統領からいわゆる対日要求といったものも出ていません。
 日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。経済対策、インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙などの分野での協力、貿易、投資に関するルールについて議論していくこととなります。具体的な構成、内容については、今後、スケジュールも含め、日米間で調整をしていきます。異常な貢ぎ物外交であるとの御指摘は全く当たりません。
 今回の日米首脳会談で発表した共同声明についてお尋ねがありました。
 日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下、今後、建設的な議論をしていきます。
 二国間FTAについては、今回、具体的な要請はありませんでした。今後の日米対話の中で、どのような枠組みが最善であるかを含め議論をしていきます。二国間であれ多国間であれ、日本の国益をしっかりと守っていきます。
 今回の日米首脳会談で立ち上げた経済対話についてお尋ねがありました。
 これまでも日米構造協議などの二国間協議を行ってきましたが、これは日本の経済構造に課題があると米側が言ってきたことに対し、日本がその指摘が正しいと思う部分については対応し、他方、米側の要求が正しくない部分に対してはノーと言ってきたものであります。したがって、日本が譲歩を重ねてきた歴史であるとの御指摘は当たりません。
 今般、日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下、今後、建設的な議論をしていきます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 清水貴之君。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
 我が党を代表して、安倍総理の米国訪問に関する報告について、総理に質問をさせていただきます。
 今回の会談は、日米の首脳同士が胸襟を開いて国際社会に責任を負うリーダー同士の信頼関係を構築する場でもあったと認識をしています。
 トランプ大統領とは、共通の趣味のゴルフを二十七ホールにわたってプレーされたとのことです。ゴルフをされる方なら皆御納得いただけるのではないかと思いますが、せっかちなのか、怒りっぽいのか、それとものんびりしているのか、ゴルフには性格が出るもので、一日一緒にプレーをすると相手が大体どのような人柄なのか分かるものですが、総理は、トランプ大統領の人柄、性格、どのように感じられたでしょうか。また、今回の会談を通してリーダー同士の信頼関係を構築できたとお考えか、御認識をお伺いいたします。
 トランプ新大統領は、安全保障でも経済政策でも新たな方針に関する言及があり、日米関係について大きく対応の変化を求められる可能性がありました。現に、政権発足直後にTPPから離脱する方針が発表されています。その一方で、今回の首脳会談では、少なくとも共同声明の内容については従来どおりの方針が確認された部分が多いとの評価もあります。総理は、今回の首脳会談全般を通じ、日米関係全体について、何が従来どおりで、何が変化する方向性にあると認識されましたか。
 先月、我が党の片山虎之助代表が代表質問で、仮にトランプ大統領が日本にこれまで以上の防衛上の負担を求めてきたとき、真剣な検討を行うべきではないかと質問いたしました。これに対して総理は、安全保障政策において根幹となるのは自らが行う努力であるとの認識に基づき、我が国としても防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図る旨お答えになりました。我が党の政治理念である自立する個人、自立する地域、自立する国家の方向に合致する御答弁をいただいたものと認識しています。そこでお伺いいたしますが、我が国が主体的に行う自国防衛強化の在り方について、今後新たに検討される項目としてはどのようなものがあるのか、お考えをお聞かせください。
 トランプ大統領が一時主張していた在日アメリカ軍の駐留経費の日本側の負担増については、今回の会談では全く言及がなかったとのことですが、そのことをそのまま受け取り、今後も要求がないものと素直に理解して果たしていいものでしょうか。大統領と長い時間を共に過ごされた総理の見通しをお聞かせください。
 また、尖閣諸島について、日米安保五条の適用対象との言質を得たことに対し、今後、日米で具体的にどのような協力体制の下、この問題に対処していくのでしょうか。従来どおりの方針なのか、何か新たな方策を具体化するのかを含め、お伺いいたします。
 今回の日米首脳会談に合わせるように北朝鮮がミサイルを発射するなど、日米両国の出方をうかがうような挑発行為が見られました。こうした軍事行為のみならず、拉致問題等の解決に向けた課題共有及び具体的な連携についてアメリカ側にどのような協力を要請されたのか、お伺いいたします。
 また、我が国が太平洋地域における外交、防衛においてどのような役割を果たすべきか、考えをお聞かせください。
 日米関係の親密ぶりがアピールされたことは各国メディアでも大きく報道され、関心の高さがうかがえました。トランプ新政権とこうした形でスタートを切ったことが、今後、ヨーロッパ、中国、ロシアなどとの外交にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。トランプ大統領との関係づくりに苦心するほかの国の首脳から総理との面談を求めるオファーが幾つも舞い込んできているという話ですが、そのような国との間で、総理が行う役目というのはどのようなものだと感じられていますか。
 トランプ政権は、アメリカの雇用創出で結果を出すことを重視しています。これを受け、政府からは、アメリカへの新幹線を始めとしたインフラ投資、ロボット、AIの共同研究が提案されましたが、日本経済には具体的にはどのようにプラスになるのか、認識をお伺いいたします。
 首脳会談前は、トランプ新大統領から、日本の自動車貿易は不公正、日本は為替操作国といった日本に対する批判的な言及がありましたが、こうした発言に対して総理はどのように日本の現状を説明されたのでしょうか。それについて、トランプ大統領は理解をしてくれたものだと総理は感じられましたか。
 また、トランプ大統領の批判的な発言や過激な発言というのは、そもそも大統領の誤解によるものなのか、それとも巷間よく言われているトランプ流の交渉術であるのか、この点についても、長い親密な時間を過ごされた総理の認識をお聞かせください。
 日本の自動車メーカーの対アメリカ直接投資については、今後も引き続きこれまでの成果を説明し、理解してもらうことが必要であり、麻生副総理とペンス副大統領による経済対話が立ち上げられるとのことですが、具体的にどのように正しい理解を得ながら国益に資する交渉を進められるのでしょうか、お伺いいたします。
 トランプ政権は早々とTPP離脱を表明し、今後の日米の経済交渉の在り方が注目されていました。日米共同声明では、アメリカが環太平洋経済連携協定から離脱した点に留意し、両国で共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した、これには、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含むとあります。この表現は、二国間協議についてもTPPについても含むような、言わば玉虫色のものだとの評価もあります。
 そこで、お伺いいたします。
 TPPについては、どのように意義を説明し、意見交換をしたのでしょうか。アメリカが翻意する可能性はまだあるのでしょうか。また、アメリカから二国間協議をしたいとの要望はあったのでしょうか。
 我が党は、状況の変化を踏まえて二国間協議にも応ずるべきと考え、代表質問でもお伺いしました。ただ、国民の中には、二国間協議では交渉上手で強気のトランプ大統領を相手に日本は不利な協定を結ばされるのではないかという懸念があります。こうした国民の不安をどのように払拭をしていくのか、総理の見解をお尋ねいたします。
 また、二国間協議となる場合、TPP加盟国でしっかり結束して交渉には応じるべきです。現在のTPP協定の内容が交渉のゴールとなるよう、加盟国同士であらかじめ合意をするなど、日本がリーダーシップを取ってアジア太平洋地域での自由で公正なルール作りに貢献するべきではないでしょうか。
 また、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAP実現への道筋を現時点ではどのようにお考えでしょうか。また、アメリカ以外のTPP十一か国で新たな協定を作っていく可能性はあるのでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。
 以上、我が党は、総理がトランプ大統領と日米同盟が強固なものであることを確認され、経済交渉についても我が国の立場をしっかりと伝えられたことを高く評価します。日米両国が共通の価値観の下、国際社会でますます貢献をしていけるよう我が党も協力をしていくことをお約束し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 清水貴之議員にお答えをいたします。
 トランプ大統領の印象及び首脳間の信頼関係の構築についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領は、気さくに周りの人に声を掛け、大変オープンで何でも話ができ、人の話をよく聞き、決断が早い方であると感じました。腹を割って一緒に仕事ができる相手であると確信しました。トランプ大統領とは二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、個人的な信頼関係を確立することができたと考えます。
 日米関係についてお尋ねがありました。
 日米同盟は我が国の外交・安保の基軸であり、この点は変わりません。この日米同盟のきずなを更に強化していく。その強い決意をトランプ大統領と共有しました。
 今般発出した共同声明は、アジア太平洋地域における安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米双方が更なる取組を進め、日米同盟を一層強化するための強い決意を示しつつ、我が国として日米同盟の中でも自らが果たし得る役割の拡大を図っていく考えを示したものです。
 経済面では、日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていきます。こうした日米共通の目標の下、今後、麻生・ペンスの下で行われる経済対話の中であらゆる選択肢を議論していきます。
 我が国の防衛力強化の在り方についてお尋ねがありました。
 今般の共同声明においては、「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす。」と明記しました。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障政策の根幹となるのは自らの努力であり、引き続き防衛大綱に定める基本方針の下、防衛力を強化し、役割を拡大していく考えです。
 具体的には、南西地域の防衛態勢の強化や弾道ミサイル防衛能力の強化などに加え、宇宙、サイバーといった新たな分野においてこれまで以上の役割を果たすことにより、日米同盟全体の抑止力及び対処力を一層強化していく考えです。
 在日米軍駐留経費についてお尋ねがありました。
 在日米軍駐留経費については、トランプ大統領との間で議論は全くありませんでした。マティス国防長官は訪日時に日本のコスト負担についてお手本と述べ、トランプ大統領は、共同記者会見において米軍を受け入れていただき日本国民に感謝すると述べるなど、米政府にも在日米軍駐留経費は日米両政府の合意に基づき適切に分担されているとの認識が共有されていると考えています。
 尖閣諸島に係る日米協力についてお尋ねがありました。
 今回の日米首脳会談では、日米安保条約の第五条の尖閣諸島への適用を確認するとともに、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行為にも反対することを確認しました。
 今後、外務・防衛担当閣僚による2プラス2を開催し、日米両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟を更に強化するための方策を特定し、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化してまいります。
 北朝鮮問題に関する日米協力及び我が国の地域における役割についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発は新たな段階の脅威であります。トランプ大統領との間では北朝鮮に関する認識を共有し、日米同盟を強化していくことで完全に一致しました。
 フロリダで発生した北朝鮮の弾道ミサイル発射に対しては、その場でトランプ大統領と共同記者会見を開催し、日米の強い結束を明確に示すことができました。首脳会談の後に発出した共同声明では、米国が核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力により日本の防衛にコミットしていることを確認するとともに、拉致問題の早期解決の重要性を確認しました。
 我が国は、揺るぎない日米同盟の下で、米国と共に手を携え、アジア太平洋地域における平和と繁栄のために主導的な役割を果たしてまいります。
 トランプ政権との関係と第三国との外交に与える影響についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領と二日間にわたり様々な問題についてじっくりと話し合い、個人的な信頼関係を確立するとともに、日米同盟は揺るがないとの明確なメッセージを世界に向けて発信することができました。
 アメリカの関与なくして世界の平和と繁栄はありません。様々な問題について当然意見の違いはありますが、その違いばかりを強調しアメリカを孤立させても、世界的な課題の解決は遠のくだけです。分断こそ国際秩序に挑戦しようとする勢力の思うつぼです。むしろ、意見の違いがあるからこそ対話を行うべきです。日本は、強固な日米同盟の下、トランプ大統領と対話を続け、共に前進していきます。
 欧州、ロシア、中国との外交は何ら変わりはありません。欧州との一層の協力強化、ロシアとの平和条約の締結、中国との関係改善に向けて引き続き尽力してまいります。
 日米首脳会談における米国の雇用創出等に関する議論についてお尋ねがありました。
 日米がウイン・ウインの経済関係を一層深めるため、麻生副総理とペンス副大統領の下で新たな経済対話の枠組みを立ち上げることで合意しました。今後、この新たな経済対話では、経済政策、インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙などの分野での協力、貿易、投資に関するルールについての議論をしていくこととなります。
 御指摘のような具体的な提案を今回行ったわけではなく、具体的な構成、内容については、今後、スケジュールも含め日米間で調整をしていきます。その中で両国にとってメリットのあるものにしていきたいと考えています。
 自動車貿易等についてのトランプ大統領への説明についてお尋ねがありました。
 自動車貿易については、私からは、過去から現在までの日本の自動車メーカーの米国内での生産や雇用への貢献などについて具体的な説明を行い、トランプ大統領の理解を得たと考えています。これに対して、大統領からは反論などはなく、むしろ米国内で日本が良い車を生産しているとの評価がありました。大統領からは、日本からの自動車の輸出についても特段の発言はありませんでした。
 為替については、私とトランプ大統領の間で、専門家たる日米の財務大臣間で緊密な議論を継続させていくこととなっております。
 トランプ大統領のこれまでの発言に対し、逐一コメントすることは差し控えますが、今回の訪米を通じ、大統領は、ビジネスマンとして配慮の人であり、人の話をよく聞き、決断が早く、腹を割って一緒に仕事ができる相手と確信しました。
 日本企業の対米投資に対する理解についてお尋ねがありました。
 日本企業の米国への貢献については、私から、過去から現在までの特に日本の自動車メーカーの米国内での生産や雇用への貢献などについて具体的な説明を行い、トランプ大統領の理解を得ました。大統領からは、米国内で日本が良い車を生産しているとの評価がありました。
 今般合意した新たな経済対話の枠組みにおいては、日米主導で自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標の下、今後、建設的な議論をしていきたいと思います。
 TPPに係る米国との意見交換についてお尋ねがありました。
 トランプ大統領には、様々な機会にTPPの経済的、戦略的意義について説明してきました。その結果、先日の首脳会談では、日米が主導し、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について一致することができました。米国がすぐさまTPPに対する立場を変えるということではありませんが、我が国がTPPを推進する意図については理解を得たと考えています。
 米国との二国間交渉についてお尋ねがありました。
 二国間FTAについては、今回具体的な要請はありませんでした。今後の日米対話の中で、どのような枠組みが日米経済にとって最善かを含め議論していきたいと考えます。我々は二国間FTAを恐れているわけではありません。二国間であれ多国間であれ、日本の国益をしっかりと守ってまいります。
 TPPを含めた今後の経済連携協定交渉の進め方についてお尋ねがありました。
 今回の共同声明には、「日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む。」との記載があります。これは、日本がTPPを含めた既存のイニシアティブを基礎としてアジア太平洋地域において自由で公正な経済圏を広げていくことを米国も了解しているということを意味します。
 米国の離脱表明後も、日本がTPPにおいて持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるかを米国以外のTPP参加国とも議論してまいります。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十分散会