第193回国会 本会議 第28号
平成二十九年五月三十一日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第二十九号
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  平成二十九年五月三十一日
   午前十時 本会議
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 第一 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区
  域法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 日程第一 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。国務大臣山本幸三君。
   〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸三君) 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国家戦略特区では、これまでの約三年間で、幅広い分野において規制改革の突破口を開いてきました。この間、全国十か所の特区において、五十項目以上の規制改革を実現し、二百三十を超える事業をスピード感を持って実現しています。
 今後、成長戦略を更に着実に実行していくためには、平成二十九年度末までの集中改革強化期間において、残された規制改革を加速的に推進していくことが不可欠です。
 本法案は、特区の区域会議や全国の地方自治体、産業界からの提案を踏まえて、国家戦略特区諮問会議等において検討した結果に基づき、経済社会の構造改革を更に推進するため、日本再興戦略二〇一六で定めた重点分野を始めとする新たな規制改革事項を盛り込んだものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 国家戦略特別区域法の改正については、第一に、児童福祉法等の特例として、小規模保育事業の対象を満三歳未満から小学校就学前までの乳児、幼児に拡大するとともに、国家戦略特別区域限定保育士試験の指定試験機関として、一般社団法人又は一般財団法人以外の法人を指定できることとしております。
 第二に、出入国管理及び難民認定法の特例として、農作業等に従事する外国人の入国、在留を可能とし、併せてクールジャパン・インバウンドを促進する人材について、一定の要件の下で受入れを推進することとしております。
 第三に、テレワークの活用を支援するため、事業主又は労働者に対する情報の提供等を行うことその他の措置を講ずることとしております。
 第四に、自動車の自動運転や小型無人機等の高度な産業技術の有効性の実証を行う事業活動に関連する規制の見直し等や、公共施設等運営権者が第三者に対して公共施設等の使用を許すことが可能となるための具体的方策について、この法律の施行後一年以内を目途として、検討を加え、必要な措置を講ずることとしております。
 構造改革特別区域法の改正については、酒税法の特例として、地域の特産物を原料とする単式蒸留焼酎又は原料用アルコールの製造免許に係る最低製造数量基準を適用しないこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。高野光二郎君。
   〔高野光二郎君登壇、拍手〕
○高野光二郎君 自由民主党の高野光二郎です。
 自民・公明を代表し、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 本年は大政奉還から百五十年、来年は明治維新百五十年です。まず、政府において明治以降の日本の歩みを次世代に残す施策を御検討いただいていることに感謝を申し上げます。
 そこで、激動の明治期の歴史を振り返ってみたいと思います。今から百五十年前、内政は身分や出身に縛られる硬直的な制度でした。外政では列強による植民地化という危機が迫っていました。国民の間には、個人では解決することのできない内外の諸課題に不安が渦巻いていたのです。
 そして、それらを背景に政治が動きました。最後の土佐藩主山内容堂公が将軍慶喜公に大政奉還を迫った一八六七年十月の大政奉還建白書、それには、憂国の士は皆口を閉ざし、あえて幕府への意見する者がいない昨今の状況は誠に憂慮すべきですから始まり、上下二院、議員の政治体制や海陸の軍備体制、教育、司法、立法の独立、地球上に独立する国家としての体制づくりを行うべきであるとして、流血流涕の念に堪えず、ここに建言を申し上げますと締めくくっています。流血流涕とは血が出るぐらい涙を流して泣くことであります。つまり、単に幕府や政府の体制を変えるのではなく、地球上に新国家体制をつくるべきであると訴えたのです。
 また、副書には、坂本龍馬が提案した船中八策が多分に盛り込まれております。もし大政奉還が決定されなければ、海援隊を率いて慶喜を襲撃し、成功しても失敗しても死んで後藤先生を待ちますと、命を賭して土佐藩重臣後藤象二郎に宛てた、国家戦略を成し遂げる強い決意を表す龍馬直筆の手紙も残っています。
 そして、明治維新という社会制度のイノベーションが起こりました。出自や身分ではなく、能力本位の人材登用と機会の平等が進められ、若者や女性、文化や学問を志す人々が貪欲に知識を吸収し、国内で新たな道を切り開きました。以来百五十年、この特区法は、今まで変えられなかった岩盤規制を打ち破り、国家の繁栄を切り開くという維新の精神が生きています。
 そこで、特区法を最大限に活用し、規制により芽を出すことができなかった可能性という種を育てることで、日本の未来を切り開き、次世代をつくり上げていくという決意について、山本大臣にお伺いをします。あわせて、政府が目的に掲げる二〇二〇年GDP六百兆円や他の政策目標に向けて、この特区がどのように寄与をしていくのか、山本大臣にお伺いをいたします。
 次に、革新的医薬品の開発迅速化についてお伺いします。
 私は、本年四月に成立した医療分野の研究開発に資するための匿名加工情報に関する法律案、いわゆる次世代医療基盤法案の有用性について内閣委員会で質問いたしました。この法律は、患者の意思確認の下、収集した医療情報を匿名加工してビッグデータとして日本の製薬企業等に提供し、医療品や医療機器の開発促進や輸出拡大を図り、医療の高度化と経済成長を同時に実現するものであります。
 今回の改正は、この次世代医療基盤法による動きを更に加速し、希少がんや有効な治療法のない難病について、我が国発の革新的な治療薬を世界で一番早く患者にお届けすべく、開発から承認、市販までのプロセスを格段に迅速化できるものと期待をしています。これは、患者や家族はもちろん、日本が、世界が待ち望んでいるものと存じます。困難な壁や高く険しい山があっても、不退転の決意で挑戦していただきたいと存じます。
 そこで、新薬の開発から実用化までの世界最速を目指すための具体的な成果目標や決意について、山本幸三大臣にお伺いをいたします。
 続いて、クールジャパン・インバウンド外国専門人材の就労促進についてお伺いをいたします。
 安倍政権発足以来、雇用が増え、賃金が上昇し、GDPを押し上げています。失業率は、今年二月、二・八%まで下がり、有効求人倍率は今年三月には一・四五倍まで上がりました。一方で、全産業の雇用人員判断DIは今年三月にマイナス二五と、人手不足感が顕著になっています。いずれも約二十年ぶりとなる状況です。人手不足が日本経済の制約要因になるとの見方が増えています。特に、実質的に日本経済を支えている中小・小規模企業での人材確保は厳しく、アベノミクスが更なる高みを目指すためには、その解決は避けては通れません。
 厚生労働省によれば、昨年十月の外国人労働者は百八万三千人となっています。安倍政権では、高度外国人材や外国人技能実習制度の法整備を行い、外国人材の受入れ拡大を進めています。本改正案でも、アニメやファッション、おもてなしを担う外国人材の特例と農業外国人材の特例の二つの特例を盛り込んでいます。
 そこで、外国人受入れに関する二つの特例の違いは何か、また、これらにより我が国がどう変わるのか、山本幸三大臣にお伺いをいたします。
 次に、テレワーク推進に向けた相談拠点整備についてお伺いをします。
 テレワークは、働くことの可能性と選択肢を大きく広げます。普及が進めば働き方に革命をもたらすと私は確信をいたしております。テレワークは、職場のデスクから自宅へ、モバイルへと、働く場所の制約を解き放ちます。また、勤務時間についても、家事の合間へ、移動中へと、働く時間を解き放ちます。さらには、障害や引きこもり、育児や介護など、様々な事情で働けなかった方々に就業の機会を広げ、一億総活躍社会を実現をします。
 本改正法案では、特区内でのテレワークの推進に援助規定を設け、その推進に大きく貢献するものと期待をしますが、テレワークの活用企業やテレワーカーの状況、並びにテレワーカーと企業のマッチングの現状はどうなっているのか、さらに、特区の取組が全国的なテレワーク施策にどう貢献するかという点について、山本幸三大臣にお伺いをします。
 最後に、特区の成果を大きな経済効果につなげるためには、強いリーダーシップの下、方向性をしっかり定めて、次々と事業を迅速に進めていく必要があります。
 我が高知県においては、平成十九年に新たに就任した尾崎正直知事の強いリーダーシップもあり、県内の消費を県内産でできるだけ供給をする地産地消を徹底いたしました。さらに、人口減少の加速する中、小さくなる県内市場だけに依存をせず、高付加価値を図り、外に打って出て、外貨を稼いでくるという地産外商により本県経済の発展を目指すという明確なビジョンを県民とともに共有をし、様々な施策を県民挙げて実行してきました。
 その結果、平成二十年の県民所得は全国四十六位、これが大体高知県の定位置でしたが、直近の内閣府のデータによる県の試算では、平成二十六年には三十六位まで上がっています。この間、全国平均の国民所得は三・四%増ですが、我が高知県は一一%増でした。また、観光客も外国人を含めて三三%増、約百万人増えました。大型クルーズ船の本県への寄港は、八回から二十四回に増え、今年は確実にもっともっと増えます。
 今回の法案の九項目のうち、革新的医薬品の開発、市販を患者や家族は特に待ち望んでいます。また、外国専門人材の就労促進、農業外国人の就労解禁、テレワークへの全国的なニーズも強いものがあります。
 政府には、特区で早期に実証、検証を行い、時機を逸しないよう、できる限りスピードと質を重視して全国展開を図り、地方創生の実現など、本物の維新の精神に習い、龍馬が残したとされる、世の既成概念を破るというのが真の仕事であるという覚悟で取り組んでいただくよう心から要望しまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸三君) 高野光二郎議員にお答え申し上げます。
 まず、国家戦略特区推進により未来を切り開く決意、GDP六百兆円への寄与についてのお尋ねがありました。
 日本再興戦略は、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現などを目指して各種施策を推進することとしており、国家戦略特区もそのための重要な施策の柱の一つであります。国家戦略特区は、我が国の経済成長を妨げる岩盤規制に改革の突破口を開き、世界一ビジネスのしやすい都市の形成等を目指すものであります。平成二十六年の創設から現在までに、五十六項目の規制改革を実現するとともに、十の特区で合計二百四十二の事業を認定してまいりました。
 いずれも、規制のために実現できなかった新しい民間ビジネスの種を現実のものとするものであり、成長戦略に大いに寄与するものと考えております。我が国の未来を切り開くため、引き続き岩盤規制の改革に全力で取り組んでまいります。
 次に、革新的医薬品の開発迅速化についてのお尋ねがありました。
 医療分野の研究開発については、平成二十七年四月に日本医療研究開発機構、AMEDを設立し、関係省庁でばらばらに支援していた国の研究を集約した上で、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を一体的に実施しております。特に、医薬品や希少疾患、難病に関する研究開発については、関係省庁による統合プロジェクトの一つとしてそれぞれ位置付けた上で、革新的医薬品や希少疾患治療薬等の開発などに積極的に取り組んでおります。
 本法案では、AMEDに特区内の臨床研究中核病院等の担当コーディネーターを必要に応じて設置し、緊密な連携や適時の情報交換を行うなどの窓口機能を強化することとしており、企業主導治験へと円滑に橋渡ししようとするものであります。
 革新的な医薬品の開発迅速化は、医療イノベーションを推進し、産業の国際競争力の強化につながる極めて重要な取組であるため、特区における強力なサポート体制を実現していきたいと考えております。
 次に、クールジャパン・インバウンド人材特例と農業外国人材特例についてのお尋ねがありました。
 本法案は、外国専門人材を積極的に受け入れるため、クールジャパン・インバウンド分野の外国専門人材の就労促進や農業外国人材の就労解禁の二項目を盛り込んでおります。
 このうち、クールジャパン・インバウンド人材特例は、外国人観光客を含む消費者向けサービス分野を中心に急速に拡大、多様化するニーズに対応するため、技術、人文知識、国際業務等の在留資格の下で、地域の固有の視点から事業審査等を行い、外国専門人材を受け入れるものであります。また、農業外国人材の特例は、産地での多様な作物の生産等を推進し、経営規模の拡大、経営の多角化、高度化などによる強い農業を実現するため、適切な管理の下、一定水準以上の技能等を有する農業外国人材の就労を可能とするものであります。
 これらの特例措置が実現すれば、クールジャパン・インバウンド分野で多様な外国人が就労する活力ある経済社会の実現に大きく寄与するとともに、農業の成長産業化が大いに進展するものと考えております。
 次に、テレワークについてのお尋ねがありました。
 テレワークは、子育てや介護と仕事との両立を図る有力な手段であり、多様な人材の能力発揮を可能とするものであります。働き方改革を進める観点からも、その推進が重要です。政府による普及啓発や導入支援の取組のほか、ハローワークでの環境整備、企業と労働者との円滑なマッチングなどにより、平成二十七年度には企業のテレワーク導入率は一六・二%、全労働者に占める週一日以上在宅で就業するテレワーカー数の割合は二・七%となっております。
 本法案にも盛り込まれているテレワーク推進センターでは、企業等に対し、テレワークに係る情報提供、相談、助言等をワンストップで実施するほか、国は専門的な助言、指導、地方自治体は対象企業の掘り起こしなど、それぞれの強みを生かし、相乗効果の発揮を目指します。同センターは、東京都と連携して本年七月から事業を実施する予定となっております。企業数も多く、本社機能が集積する東京において企業の取組を支援するモデルを構築することで、全国的にテレワークを普及できるよう事業を行っていきたいと考えております。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 相原久美子君。
   〔相原久美子君登壇、拍手〕
○相原久美子君 民進党・新緑風会の相原久美子です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、法案質問に入る前に、この間の政権を担う大臣たちの虚言、暴言、失言に対し指摘せざるを得ません。相次ぐこれらの言動は、大臣のみならず全国会議員に対し、国民はいいかげんにしてよと思うばかりでなく、政治が国民の信頼を失うことになります。
 本法案を担当している山本大臣、何度も指摘されていますが、改めて認識をお伺いします。
 四月に大臣自らが記憶違いの下に発した、一番のガンは学芸員、一掃しないとという発言、また、大英博物館では館の大規模改修に一番抵抗したのは学芸員で、観光マインドがない学芸員は全員首にしたとの事実がないままの発言などは、博物館や資料館において収集、保管、展示、調査研究、そして教育普及活動等博物館法に定められた職業に対する無理解、また、がんという病名を挙げて一掃しなければならないと例えたことは、失言では済まされない暴言であると思います。公の立場にある者、特に大臣の職にある者は、自身の根拠のないままの不用意な発言によってどれだけの影響を与えるか、よくよく考えて発言するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、そもそも論からお伺いします。
 国家戦略特区法案の大きな特徴は、岩盤規制をドリルで打ち破り、世界で一番ビジネスがしやすい国を目指すとする安倍総理の下、規制監督をつかさどる関係閣僚を意思決定機関から排除した上で、特区に係る重要事項について国家戦略特別区域諮問会議に決断を委ねる総理主導の枠組みとし、規制緩和を希望する民間有識者を構成員としていること。特区ごとに設置し、区域計画の作成や追加すべき規制改革メニューについて協議する国家戦略特別区域会議の構成員を特区担当大臣、関係地方公共団体の長、そして民間事業者のみとし、区域計画により影響を受ける地域住民や団体の声を退け、ミニ独立政府のような権限を与えてしまっていることに問題があります。
 規制緩和の決定権を国会や地方議会から遠ざけ、規制監督をつかさどる関係省庁の意見を聞かず、規制緩和だけが一方的に進むことは、地方分権とは名ばかりの企業分権になっているのではないでしょうか。
 そもそも、規制をしてきたというにはそれなりの背景があって規制してきたのであり、今のように議論が十分に行われないまま特定の地域で実施された規制緩和という治外法権が国、関係地方公共団体、利益団体の意のままに拡大され、地域住民、国民の生活、暮らしに関わる規制が根本から変えられてしまうことを国民は知らされないまま進められることがあってはならないと思います。
 特区制度の制度設計、規制改革事項の関係省庁との調整、地方公共団体等からの提案のヒアリングを行う特区ワーキンググループにおける議論を公開するなど、徹底的な見える化を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 国家戦略特区法は、その目的として国民経済の発展及び国民生活の向上を定め、区域計画の実施が特区に及ぼす経済的社会的効果を区域計画に記載することとし、国家戦略特別区域会議は実施する事業の評価を行うこととなっていますが、事業の進捗状況や規制改革メニューの活用状況、追加の改革の提案の状況などが評価の中心になっているなど、法の目的である国民経済の発展及び国民生活の向上の達成度を測る評価軸は明確でなく、お手盛りの評価になっていると指摘せざるを得ません。特区担当大臣の認識を伺います。
 国家戦略特区法の本来目的である国民経済の発展及び国民生活の向上から考えると、我が国の民間企業の大部分を占める中小企業や地域地場産業の発展を支援することが優先であるべきですが、現在指摘されている獣医学部新設の指定につきましても、充足状態等々から新設については慎重であったにもかかわらず、一転して、短期間で、それも総理との関係性の深い方が理事長を務められる加計学園を指定。
 総理は、この間の我が党の追及に対し、加計学園から私に相談があったことや圧力が働いたということは一切ないと答弁していますが、本来の規制監督省庁である文部科学省に、官邸の最高レベルが言っているとか総理の意向だと聞いている等、特区担当の内閣府が事業者選定に加計学園ありきで動いてきたのではと疑われる文書があると指摘されている状態です。しかしながら、官房長官は、調査もしないうちにこれらの文書を怪文書であると断定し、なおかつ前川前文部科学省事務次官の証言の真偽を確かめることもしないのは問題です。
 国民の多くは、前川前事務次官の証人喚問を行い、真偽を明らかにすべきと思っています。政府は応えるべきです。仮に総理から直接的な働きかけがなかったとしても、森友学園問題も同じですが、政策決定に当たって行政府内に政治的圧力が働き、そんたくが働く状況があるとしたなら、公平公正な民主的運営がなされていないことになります。
 山本大臣は、担当大臣としてこのような疑念を明らかにし、あるべき行政の執行をつかさどる責務があると思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
 本法案の改正内容に含まれている農業支援外国人の就労解禁についても特区諮問会議で検討されてきたようですが、その議員の中に最大手の派遣会社の取締役会長がおり、その方がこの制度を導入すべきと力説しており、農業特区では特定機関として派遣業者が想定されています。公平性の観点から見ても、特定の人々の利益のために法の抜け穴を用意するために特区制度が利用されているのではないかとの疑いを抱かせます。いかがでしょうか。
 改正の個別について伺います。
 最初に、厚生労働大臣に伺います。
 小規模保育事業所の対象年齢の拡大ですが、三歳児以降は子供は集団生活の中で育つことが発達段階として重要であることから、小規模保育事業の対象は原則として三歳未満児とされてきました。
 今回の改正で、特区における小規模保育事業では、個々の発達段階に応じた適切な支援や個の成長、友達との相互的、協力的な活動を十分に行うことができるのでしょうか。また、懸念されるのは、三歳以降の子供の行動が相当以上に活発化することによる事故等の割合の高さに本当に対応可能なのでしょうか。
 百歩譲ってそれらに対応できるとして、現行の児童福祉法でも市町村の判断により満三歳以上でも小規模保育事業所で受入れ可能となっているのに、今回の特区による改正がなぜ必要なのでしょうか。また、一番多いとされている三歳未満の待機児童の枠が減ってしまうおそれはないのでしょうか。
 地域限定保育士試験の実施主体の拡大について伺います。
 今まで、地域限定保育士試験の実施主体は、公正、適正、確実性を担保できるとして一般社団法人、一般財団法人に指定してきましたが、今回の改正はそれを株式会社まで拡大するというものです。
 そもそも論となりますが、待機児童対策として保育士不足を解消するというのであれば、試験の実施主体を拡大して合格者を増やすことより、全国で約八十万人とも言われている潜在保育士の皆さんが職に意欲を持ってもらえる処遇改善と雇用の継続の施策こそを講じるべきではないでしょうか。
 また、今回、地域限定保育士試験の実施主体の拡大を求めた神奈川県は、国家戦略特区を利用して二〇一五年十月に初となる地域限定保育士試験を実施していますが、神奈川県知事は、地域限定は受験者に不利益に取られるおそれがあると発言しているようです。にもかかわらず、今回の実施主体を株式会社にまで広げるという提案に整合性があると思いますか。また、試験実施の適正、公正、確実性が株式会社によっても担保されるのであれば、保育士試験の実施主体の拡大を地域限定保育士試験に限定する必要はなく、全国を対象として措置すべき課題ではないでしょうか。
 入管法の特例について伺います。
 二〇一三年九月の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定以降、矢継ぎ早に外国人労働者の導入政策が展開されています。その一つは、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置、同じく緊急措置の造船分野への拡大、次いで、国家戦略特区での外国人家事労働者の受入れ、製造業での外国従業員受入れ事業などが実施されています。また、技能実習制度そのものの拡大が決まり、さらに、この秋には技能実習制度の介護分野への拡大も予定されているようです。そして、今般の特区での農業及びサービス分野における外国人の受入れ。これらに共通しているのは、全て受入れ在留期間が厳格に限定されていること、つまり一時的な労働力であることであり、本格的な枠組みではないということです。
 今回の国家戦略特区における農業支援外国人受入れについて、農林水産大臣に伺います。
 そもそも、農業分野における後継者対策、人材確保対策について、政府としてどのような見通しで対策を考えているのでしょうか。確かに、調査によると、農業分野における就業人口の減少や高齢化は、今や待ったなしの状況なのは間違いありません。だとすると、まずは政府の描く農業分野での後継者対策、人材確保策について明確なビジョンを提示し、農業者への安心の政策提言をされることが先決で、長期ビジョンのないままに在留期間限定の外国人労働者に依存するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
 特区担当の山本大臣にお伺いいたします。
 今回の農業支援外国人受入れは、一定の専門性を持った熟練作業者とされています。なおかつ、期間限定を前提とした対象では、相当に限られたものになると思います。対象として、技能実習生経験者も含むと考えているのでしょうか。
 そもそも、技能実習制度は、日本で学んだ技術、技能を母国で生かすことを目的とした制度であり、国家戦略特区制度は、強い農業の実現のため、経営規模の拡大、多角化、高度化に対応できる労働力政策そのものであり、両制度は明らかに目的を異にする制度である、これをどう考えているのでしょうか。
 また、山本大臣は、本改正案が国会に提出される前に、本特例措置の全国展開の可能性について言及しています。本事業が実施され、その評価も行われていない段階にもかかわらず、既に全国展開を見据えた発言は不適切ではないでしょうか。また、農業特区においては、どういう理由で派遣事業者が受入れ機関となったのでしょうか。
 最後に、この間、国家戦略特区における指定には様々な疑念が指摘されています。政策が一部の利益誘導に使われることは絶対にあってはならないことであり、国民から選ばれた立法府にそれをただす責務があることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸三君) 相原久美子議員にお答え申し上げます。
 まず、私の学芸員に関する発言についてのお尋ねがありました。
 私の真意としては、文化財は保護することだけではなく、観光立国の観点からも文化財を地域資源として活用していくことが重要であり、学芸員の方々にもより一層観光マインドを持っていただきたいという思いから発言させていただきました。しかしながら、当日の発言は、この真意が伝わらない不適切なものであったと深く反省しており、これまで国会等においても発言の撤回とおわびを申し上げたところでございます。
 この反省の上に立って、昨年十二月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版を踏まえ、今後、地域の宝である文化財を適切な保存を図りつつ、観光資源として活用することにより地域活性化を図ることができるよう、政府全体として取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国家戦略特区の制度、調整過程等の見える化についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区は、岩盤規制改革を実現するため、特区諮問会議や区域会議、ワーキンググループといった推進組織を整えております。その中で、規制改革事項については、最終的には関係省庁の合意を得た上で特区諮問会議で政府決定しております。また、法律事項は、国会での御審議をいただいております。事業の実施計画についても、関係省庁の同意を得た上で認定を行っております。一方、地方議会や住民の意見は、特区自治体の長による区域会議への参画を通じお伺いする仕組みとしております。このように、幅広い関係者の御意見をお聞きしながら推進しているところであり、推進派だけで独断するような仕組みにはなっておりません。
 こうした多くの関係者による参画の仕組みに加え、できる限り情報の公開の徹底を図り、透明性を十分に確保することが重要と認識しております。このため、特区諮問会議、区域会議、分科会、特区ワーキンググループなどの議事要旨や関係資料はホームページなどにおいてできる限り公表し、調査審議の中立性、公平性を確保しております。今後も透明性の確保を一層徹底し、見える化に努めてまいります。
 次に、国家戦略特区の評価についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区の評価は、特区基本方針で定めている特定事業の進捗状況や経済的社会的効果等の七項目を踏まえ、主に個別認定事業の進捗状況、規制改革事項の活用及び見込み状況、追加規制改革事項の提案状況について毎年評価を実施しております。この評価は、特区法及び特区基本方針に基づき、区域会議が特区の取組を自ら評価するものでありますが、その後、特区諮問会議の調査審議も経ることとしております。
 また、評価は厳格に実施しており、東京都、神奈川県、大阪府で外国人家事支援サービスの提供が開始される点、養父市では企業の農地取得により農業の成長産業化が進んでいる点といった評価すべき事項だけでなく、当初計画より事業に遅れが見られる区域がある、区域により改革事項の活用に相当な格差があるなどの課題も指摘し、事業や計画の見直し、改革メニューの積極的な活用に反映させることとしております。こうしたことから、お手盛りとは言えないと考えております。
 今後も、国民経済の発展といった視点からの評価も含め、PDCAサイクルに基づき、国家戦略特区を適切に推進してまいります。
 次に、獣医学部新設に関する疑念払拭についてお尋ねがありました。
 獣医学部の新設については、自治体からの熱意あふれる提案から始まる一つ一つの手続を法令に基づき適正かつ公平に積み重ねてきた結果であります。
 まず、獣医学部の新設が急に認められたとの議論がありますが、これは、政権を超えた長年の積み重ねに加えて、感染症拡大に係る危機管理の重要性が高まる中で、水際対策やライフサイエンス分野で具体的需要が高まるなど、獣医師を取り巻く状況の大きな変化を受けて獣医学部新設を認めたものであり、国家戦略特区になったから実現したというわけではありません。また、空白域に限る、一校に限るとしたのは、獣医師会などからの慎重論に耳を傾けつつ、新たな分野と切迫した需要に対応した獣医学部をいち早く実現するために、地域、数を限定したものであります。
 さらに、今治市の提案と京都府の提案との関係については、今回は、近隣に獣医学部が存在せず、地域での水際対策、特に初動の実効性を高める上で必要性が高いこと、地元自治体との具体的連携が進んでいることといった点を踏まえて、今治市の提案を早期に実現するという決断になりました。
 また、繰り返し申し上げますが、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施しており、圧力が働いた、そんたくがあったなどということは一切ありません。
 なお、文部科学省の前川前次官の言動の真偽等について、私はコメントする立場にはありません。
 次に、諮問会議議員の公平性についてのお尋ねがありました。
 特区諮問会議の有識者議員は、経済社会の構造改革の推進による産業の国際競争力の強化等に関し優れた識見を有する者を任命しています。規制改革事項の調査審議に当たっては、個別企業の利益ではなく、優れた識見を有するという立場から御意見を賜っているところであります。なお、諮問会議の運営規則上、直接の利害関係を有する議員の審議、議決への不参加が規定されております。
 御指摘のありました派遣会社の取締役の特区諮問会議における御意見は、経済社会の構造改革の推進の観点からのものであり、個別企業の利益に関するものではありません。したがって、特定の人々の利益のためという御指摘は当たりません。
 次に、農業外国人材の受入れと技能実習との関係についてのお尋ねがありました。
 農業外国人材の受入れは、経営規模の拡大などによる強い農業を実現するために実施するものであり、技能移転による国際貢献のために実施する技能実習とは制度の目的が異なります。
 そのため、今回受け入れる農業外国人材は、一定水準以上の技能等を有する即戦力となる人材とすることとしており、技能の取得を目的とし即戦力とはなりにくい技能実習生とは、その技能等のレベルが異なります。一定水準以上の技能等を有する即戦力となる人材については、技能実習三年修了者程度の知識、技能を有する者や一定の試験の合格者も含むものとする予定でありますが、技能実習修了者は技能実習の修了後母国への技能移転を行った者に限定する予定であり、今回の受入れと技能実習とは目的も対象となる外国人材も明らかに異なるものと考えております。
 次に、農業外国人受入れの全国展開についてのお尋ねがありました。
 農業外国人の就労解禁については、国家戦略特区の愛知県から提案があったほか、秋田県大潟村、群馬県昭和村、茨城県及び長崎県からも特区提案をいただきました。こうした地域からのニーズに対し、国家戦略特区法の仕組み上、特区の指定区域でなければ規制の特例措置を活用することができません。
 本事業については、全国各地からのニーズが強く、農業外国人の就労解禁が実現した場合には、特区基本方針等に基づき、毎年度的確に評価を行った上で、これを踏まえ、全国展開の可否等について政府として適切に判断してまいります。
 次に、外国人材を受け入れる機関についてお尋ねがありました。
 農作業は自然条件等の変化に柔軟に対応する必要があるため、本事業により農作業に従事する外国人材には現場で個別の作業指示を行う必要があります。また、年間を通じた作業があるわけではなく、農繁期を中心とした雇用ニーズが多いという実情にあります。
 このため、本事業では、派遣事業者が外国人材を雇用するとともに、農業経営体のニーズに応じて派遣され、農業経営体の指示に基づき農作業に従事できる派遣労働の仕組みを採用することとしたものであります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 相原久美子議員にお答えを申し上げます。
 まず、小規模保育事業の対象年齢拡大による保育内容と事故防止についてのお尋ねがございました。
 小規模保育事業で三歳以上の児童を預かる場合には、異なる年齢の児童に対し、それぞれの発達過程に応じた適切な支援ができるよう配慮することなどを保育事業者に求めるとともに、保育事業者はその取組内容を自治体に報告をし、自治体がこれを公表することとしており、こうした取組により、事故の発生を防止をし、安全性と保育の質の確保を図ってまいります。
 小規模保育の対象年齢拡大の特例の必要性等についてのお尋ねがございました。
 現行では、三歳以上の子供が小規模保育を利用できるのは市区町村長が認める場合に限られており、三歳になった後の受入先を見付けられるか保護者が不安を感じているなどと指摘をされております。このため、今回の特例によりまして、事業者の判断で五歳までの保育を可能とし、保護者のニーズによりきめ細かく対応できるようにすべきであると考えております。
 また、保育の受皿整備は計画的に行うべきものであり、この特例を実施する市区町村においては、そのことも踏まえた上で、三歳未満の子供も含めた年齢ごとの受皿整備を進めるものと考えております。
 潜在保育士の活用についてのお尋ねをいただきました。
 保育士等の処遇改善につきましては、平成二十九年度において全職員一律二%の処遇改善を実施するとともに、努力が評価をされ将来に希望が持てるよう、技能、経験に応じたキャリアアップの仕組みを構築をし、月額四万円などの処遇改善を行ってまいります。あわせて、就業継続、離職者の再就職といった支援などに総合的に取り組んでおり、潜在保育士の活用も含め、必要となる保育人材の確保に努めてまいります。
 地域限定保育士試験の実施主体の拡大についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 地域限定保育士試験の実施主体の拡大は神奈川県からの提案に基づくものであり、その実施に当たっては、一定の条件を設けることにより公正、適正かつ確実な実施を担保することとしております。この特例を全国的に適用することについては、今後、神奈川県による試験の実施状況や他の都道府県の三回の試験実施の意向等を踏まえて検討をしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 相原議員の御質問にお答えいたします。
 農業分野における後継者対策、人材確保策及び外国人材の受入れについてのお尋ねがございました。
 食料・農業・農村基本計画では、我が国における農業生産の継続に必要な農業就業者数を六十代以下で九十万人程度と推計しております。この人数を確保するためには、青年層の新規就農者を増加させることが必要と考えております。このため、青年を対象とした就農準備段階や経営開始直後の資金支援等により新規就農を促進しているところでございます。このような施策の効果もありまして、平成二十七年には四十代以下の新規就農者が平成十九年の調査開始以降で最も多い二万三千人となりました。
 一方、担い手が育つとともに、規模拡大等に対応するための労働力が必要となっておりまして、産地の農業労働力の確保を推進する体制の整備に取り組んでいるところでございます。農業分野の外国人材の受入れは、こうした労働力確保策の一環として導入することとしたものでございます。
 以上のように、農業分野の外国人材の受入れにつきましては、担い手確保対策と矛盾するものではなく、むしろ担い手の経営発展とともに必要となる施策と考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 まず、加計学園の獣医学部新設についてお聞きします。
 総理は、岩盤規制に挑戦し半世紀ぶりの改革を行ったと一昨日の本会議で力説しました。しかし、問われているのは、安倍総理の腹心の友が理事長を務める加計学園一校だけに獣医学部新設を認める、そのために国家戦略特区が利用され、行政がゆがめられたのではないのかということです。
 加計学園と今治市、愛媛県は構造改革特区として十五回にわたって獣医学部新設を申請しましたが、獣医師の養成と社会的需要のバランスから対応不可とされてきました。文科省は、全国的見地で対応すべきで特区制度で実現することは困難との回答を繰り返してきました。
 ところが、二〇一五年六月、総理主導の国家戦略特区への申請となった途端、十二月には今治市を含む地域が新たに特区地域指定となり、翌二〇一六年十一月九日には、国家戦略特区諮問会議で新たなニーズに対応する獣医学部の設置が規制改革事項として認定されたのです。
 文科大臣、獣医学部新設は全国的見地で対応すべきで特区制度で実現することは困難という文科省の見解は、いつ、どのような理由で変更されたのでしょうか。
 また、構造改革特区では対応不可だったものが、なぜ国家戦略特区ではスピード認定されたのか、どのような状況の変化、政策の転換があったのか、山本担当大臣の答弁を求めます。
 二〇一五年六月に閣議決定された日本再興戦略二〇一五は、獣医師養成系大学・学部の新設の検討を方針としましたが、同時に、一、申請事業者が既存獣医師養成ではない構想を具体化し、二、獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、三、既存の大学・学部では対応が困難な場合、四、近年の獣医師需要動向も考慮しつつ全国的見地から検討を行うという四つの要件を確認しています。
 農水大臣、獣医学部新設を認めるに当たり、獣医師が新たに対応すべき具体的需要について、農水省はいつ、どこで検討し、どのような需要があるとされたのですか。
 文科大臣、その新たな需要に既存の大学・学部では対応できないと、いつ、どこで検討し、誰が判断したのですか。
 山本担当大臣、諮問会議が広域的に獣医学部が存在しない地域に限り学部新設を認定したことは、全国的見地から検討という要件と矛盾するのではありませんか。なぜこのように極めて限定的な条件を付けたのか、答弁を求めます。
 昨年十一月の諮問会議の決定を受けて、今年一月四日、獣医学部設置者の公募が行われましたが、その期間は僅か八日間、地域限定という新たな規制がつくられたため京都産業大学は断念し、応募したのは加計学園だけでした。しかも、締切りの翌日十二日、国家戦略特区今治市分科会で、他の課題と合わせて一時間足らずの審議で、事業者として加計学園が選定されています。
 加計学園の提案が、諮問会議の決定である先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など新たなニーズに対応するという条件に適合しているかどうか、その審査はいつ、どこで、どの程度の時間を掛けて行われたのでしょうか。時系列で見れば、実質的な審査は行わず、分科会だけで決定したのではありませんか。山本担当大臣、お答えください。
 客観的に推移を見れば、加計学園ありきで事が進んだとしか考えられません。この間、平成三十年四月開学という工程表を示して、今治市、加計学園一校のみに獣医学部新設を認めるため、内閣府が文科省、農水省に圧力を掛けたことを示す幾つもの文書が報道され、国会でも取り上げられました。その中には、総理の御意向だと聞いているとの記述さえあります。
 これらの文書について、文科省事務次官であった前川氏が、自分が説明を受けた際の文書だと認め、あるものをないとは言えない、要請があれば証人喚問にも出ると答えているのです。
 これは、森友学園に続く、安倍総理の進退にも関わる重大な疑惑です。安倍総理は関与を否定しますが、仮に総理の知らないところで総理の御意向だと内閣府が動いたのならば、これも重大な問題です。
 官房長官、あなたはこれらの文書を怪文書扱いし、前川氏の個人攻撃まで行っていますが、それでは国民に対しての何の説明にもなっていません。関係省庁への調査、関係者の証人喚問など、真相究明こそ求められているのではありませんか。そのためにも、私が指摘したそれぞれの事項について各府省でいかなる検討が行われたのか、その資料を明らかにすべきではありませんか。
 次に、小規模保育所の対象年齢を五歳児まで拡大する規制緩和についてお聞きします。
 これは、東京都が待機児童対策を理由に求めたものですが、ゼロから二歳児、定員十九人以下の小規模保育所に三から五歳児も受け入れることは、低年齢児の待機児童問題を更に深刻にするものではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。
 小規模保育所のほとんどが、園庭はなく、ビル一室程度の広さで、東京大学の研究では、東京二十三区の小規模保育所は、とりわけ、体を動かし、くつろぐスペースが少なく、認可保育所等との格差が極めて大きいと指摘されています。今回の規制緩和が子供の成長に与える影響をどう考えているのでしょうか。また、乳児のスペースも間仕切りでもよいという基準では、おもちゃの誤飲など、保育事故の危険性は高まります。山本担当大臣、このような規制緩和を行うべきではないと考えますが、いかがですか。
 東京都の待機児童は、石原都知事時代に、認可保育所をつくらず、安上がりな認証保育所建設に邁進したことにこそ大きな原因があります。施設整備も職員配置も安上がりにできる小規模保育の年齢拡大は、保護者の要求でもなく、待機児童問題の解決にもなりません。厚労大臣、付け焼き刃の規制緩和ではなく、公立保育所への財政支援を含め、公私立の認可保育所の抜本的な増設にこそ踏み出すべきではありませんか。
 農業支援外国人受入れ事業についてお聞きします。
 これは、国家戦略特区内で農業への外国人労働者受入れを解禁するものですが、その雇用形態は派遣労働です。都市部の派遣会社が雇用し、他県の農家や農業経営体への派遣も可能です。これでは、給料や休日など労働条件の改善を求めることも相当に困難になるでしょう。なぜ、労働者派遣事業での受入れなのですか。
 衆議院の審議では、農閑期に仕事がなくなるから複数の農業経営体等への派遣を想定していると説明していますが、特区をまたいだ派遣や農作物加工工場への派遣も可能となり、これでは一年中農繁期、土地や工場を転々とする、まるで出稼ぎ労働ではありませんか。
 また、政府は、日本人と同等額以上の報酬とすることを指針で示すと言いますが、農業従事者の平均所得は作物、地域、規模によって大きく異なります。何を基準とするのでしょうか。結局、最低賃金を上回ればよいということになるのではありませんか。山本担当大臣の答弁を求めます。
 非正規雇用、雇用の流動化が農業で蔓延することになれば、農業従事者の所得水準は引下げにつながります。営利企業によって家族的経営を柱とする日本の農業の土台を崩す、このような規制緩和はやめるべきです。
 最後に、国家戦略特区を利用して行政がゆがめられたという加計学園の疑惑がある下で、これ以上、国家戦略特区による規制緩和を進めることは許されません。法案審議の前提としても徹底した真相究明を要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸三君) 田村智子議員にお答え申し上げます。
 国家戦略特区における獣医学部新設の認定についてお尋ねがありました。
 平成十九年から始まった今治市の特区提案は、自民党政権下の平成二十一年春までは対応不可とされましたが、民主党政権では実現に向けて対応を検討とされました。安倍政権では、更にこれを前進させ、長年実現できなかった岩盤規制改革の実現に至ったものであります。
 具体的には、鳥インフルエンザなど動物由来の感染症拡大に係る危機管理の重要性が高まる中で、地域での水際対策の強化や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医師が新たに取り組むべき分野の具体的需要が高まっているためであります。このように、獣医師を取り巻く状況が近年大きく変化したことを受けて獣医学部の新設を認めたものであり、国家戦略特区になったから急に実現したものではありません。
 次に、広域的に獣医学部が存在しない地域に限定した理由についてお尋ねがありました。
 規制改革は、いきなり全国で措置できればそれにこしたことはなく、獣医学部新設についても、日本再興戦略改訂二〇一五で全国的見地から検討とされたことを受け、全国規模での規制・制度改革についても検討いたしました。
 しかしながら、感染症に対する水際対策を担う産業動物獣医師に地域ごとの偏在があり、確保が困難な地域もあること、獣医師会などからの慎重論があることを踏まえ、産業動物獣医師の地域偏在に対応するとともに、獣医師が新たに取り組むべき分野に対応し得る獣医学部をいち早く実現するため、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめにおいて、まずは広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限ることとしたものであります。
 加計学園の事業計画の審査についてのお尋ねがありました。
 本年一月十日付けの加計学園の事業計画は、まず一月十二日の分科会において、特区ワーキンググループ委員に加えて文科省が推薦した獣医学教育の専門家二名を特に追加し、文科省、農水省も出席して審査を行いました。さらに、一月二十日の区域会議と諮問会議、文科大臣への同意協議で、文科省、農水省とともに必要な要件を満たしていることを厳密に確認しております。分科会だけで決定したという事実はありません。
 事業計画書は、地域の水際対策の強化及び先端ライフサイエンス研究の推進のためのカリキュラム等を編成するなど、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめに合致しているものと認められるものであります。
 次に、小規模認可保育所の対象年齢拡大の影響についてお尋ねがありました。
 小規模認可保育所で三歳以上の児童を預かる場合には、異なる年齢の児童に対し、それぞれの発達過程に応じた適切な支援ができるよう配慮することなどを保育事業者に求めるとともに、保育事業者はその取組内容を自治体に報告し、自治体がこれを公表することとしており、こうした取組により、事故の発生を防止し、安全性と保育の質の確保を図ってまいります。
 次に、農業外国人材を受け入れる雇用形態についてお尋ねがありました。
 農作業は自然条件等の変化に柔軟に対応する必要があるため、本事業により農作業に従事する外国人材には現場で個別の作業指示を行う必要があります。また、年間を通じた作業があるわけではなく、農繁期を中心とした雇用ニーズが多いという実情にあります。
 このため、本事業では、派遣事業者が外国人材を雇用するとともに、農業経営体のニーズに応じて派遣され、農業経営体の指示に基づき農作業に従事できる派遣労働の仕組みを採用することとしたものであります。
 次に、農業外国人が土地、工場を転々とする労働形態についてのお尋ねがありました。
 本事業は、経営規模の拡大等による強い農業の実現を目指すため、農業に関する一定水準以上の技能等を有する即戦力となる外国人材を派遣事業者が受け入れ、農業経営体に派遣するというものであります。農業経営体ごとに見れば年間を通じた作業がなく、また時期的にも農繁期を中心とした雇用ニーズが多いという実情を踏まえ、農業経営体への派遣を可能とするものであります。これにより、高い労働生産性と一定水準以上の賃金の確保も可能になるものと考えます。
 いずれにせよ、農業外国人は様々な農業経営体で就労しますが、雇用主である派遣事業者は通常は一定であり、出稼ぎ労働などということはありません。
 次に、外国人材のための報酬基準についてのお尋ねがありました。
 受け入れる外国人材の報酬額については、日本人と同等額以上を求めることとしております。これは、受入れ企業において、外国人材が従事することとなる業務に日本人が従事する場合の日本人の報酬と同等額以上とすることを求めようとするものであり、最低賃金を上回ればよいというものではありません。
 今回の制度設計においては、国と自治体が合同で協議会を設置し、国、自治体が自ら日本人と同等額以上の報酬額が支払われているかを確認する仕組みを導入する予定であります。(拍手)
   〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕
○国務大臣(松野博一君) 田村議員から二つ質問がありました。
 最初に、獣医学部の新設に係る文部科学省の見解の変更の理由についてお尋ねがありました。
 構造改革特区は、当該地域の特性に応じた規制の特例措置を講じることにより、地域の活性化を図ることを目的とした仕組みであり、今治市からは、第十二次から第二十六次にかけて、大学の獣医学部の新設を求める提案がなされました。
 これに対し、文部科学省としては、入学定員は、特区ではなく、獣医師養成大学全体の課題として対応すべきと回答してきました。
 こうした中、平成二十七年六月、今治市から、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成し、国民生活の向上に寄与すること等を目的とする国家戦略特区として、獣医学部の新設を含む提案が行われました。
 その後、内閣府を中心に、獣医療行政を所管する農林水産省からのヒアリングなどを含め、国家戦略特区として検討が重ねられ、平成二十八年十一月の内閣府の国家戦略特区諮問会議において、先端ライフサイエンス研究など新たな需要に対応するため、獣医学部の新設を可能とすることとなったものです。
 次に、既存の大学・学部では対応できないかとのお尋ねでありますが、国家戦略特区プロセスの中で、内閣府において、英語での授業の実施を含め、感染症発生時に国際的な協調を図りながら、水際対策のできるグローバル対応可能な獣医師を重点的に養成しようとする点で既存の学部とは大きく異なると考えられたものであると承知をしております。
 また、新たな人材養成のニーズへの対応は、既存の大学においても一定程度対応することは可能だと思われますが、カリキュラムの抜本的な見直しや専任教員の大幅な入替えを行うことには限界があるとの考えであり、これらの点について内閣府において既存の大学・学部において対応困難なものと判断されたと理解をしております。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 田村議員の御質問にお答え申し上げます。
 獣医学部新設に当たりまして、獣医師が新たに対応すべき具体的需要についてのお尋ねがございました。
 今回の獣医学部の設置につきましては、昨年十一月九日の国家戦略特別区域諮問会議におきまして、創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進、あるいは地域での感染症に係る水際対策など、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するためとして取りまとめられたと承知しております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅義偉君) 国家戦略特区における獣医学部新設についてお尋ねがありました。
 民進党から提出された文書については、文部科学省において調査を行った結果、該当する文書の存在は確認できなかったと、このように承知しています。
 また、国家戦略特区において獣医学部の新設が認められた経緯については、各大臣が答弁したとおりであります。特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定のいずれのプロセスも関係法令に基づき適切に実施されております。
 総理からも繰り返し答弁されているとおり、獣医学部の新設について圧力が働いたということは一切なく、国家戦略特区諮問会議等の一連の手続、関係省庁の合意を経て、政府全体として適切に判断したものであります。
 なお、証人喚問など国会運営については、国会においてお決めいただくことと認識をしております。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 田村智子議員にお答えを申し上げます。
 小規模保育の対象年齢の拡大等についてのお尋ねをいただきました。
 保育の受皿整備は計画的に行うべきものであり、この特例を実施する市区町村においては、そのことも踏まえた上で三歳未満の子供も含めた年齢ごとの保育の受皿整備を進めるものと考えております。
 また、政府としては、待機児童解消加速化プランに基づき五年間で五十万人を超える保育の受皿拡大を進めている中で、市区町村においては、地域ごとのニーズ等を踏まえながら、公立、私立にかかわらず保育園や認定こども園も含め保育の提供体制を整備していくべきものと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 清水貴之君。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
 会派を代表して、国家戦略特区法及び構造改革特区法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 我が党は、自立する個人、自立する地域を理念に掲げています。そして、規制改革による個人や企業の切磋琢磨と統治機構改革による地域の自立を目指しています。このため、特区制度は、規制改革と地方分権を同時に進める制度として一層の積極的な活用が図られるべきものと考えています。
 初めに、学校法人加計学園の獣医学部新設問題についてお伺いをします。
 我が党は、大学や学部の設置について既得権を打破する規制改革を特区で進めることには賛成ですが、制度の運用は当然公平であるべきです。
 平成二十七年六月の日本再興戦略改訂二〇一五では、獣医学部新設について全国的見地で行うとされていましたが、同年十一月の国家戦略特区諮問会議では、獣医系大学のない地域に限りという条件が示されました。結果として、関西圏が対象外となり、今治市のみが対象となりました。この経緯を見ると、獣医師会という既得権者に配慮して地域を限定し過ぎたことが不公平感を強めたという一面はないでしょうか。担当大臣の御認識をお伺いします。
 次に、国家戦略特区制度全般についてお伺いをします。
 この制度は、これまでの三年間で多くの規制改革を実現してきました。一方で、実績を上げる自治体と制度を活用し切れない自治体が生じているとの指摘もあります。規制改革メニューや認定された事業の数につき自治体ごとに大きな差があることなどが今年三月の国家戦略特区諮問会議で報告されています。こうした指摘についての担当大臣の認識と今後の対応についてお伺いをいたします。
 特区制度がうまく働くか否かは、議会が反対したときの首長のリーダーシップや、既得権との戦いの成否、さらには住民や民間企業の関心の高さなど、様々な要因で決まるものだと思います。
 そこで、担当大臣にお伺いいたします。
 大臣は、特区の活用が活発でない場合に、もっと頑張ってほしいと督励、つまり励ました上で、実績が出なければ指定解除もあり得ると、先月の記者会見で述べられました。指定解除することもやむを得ない場合があるかもしれませんが、その前に、なぜ特区で成果が出ていないのか、政府も原因の分析と対策の立案をしっかりとするべきではないでしょうか。特区活用は自治体の努力が第一義的に必要なのはもちろんですが、政府として活用促進をどう図るつもりでしょうか。
 今国会提出の本法案では、地方発の技術革新促進のための制度やインバウンドや農業分野での外国人材の活用、保育の規制改革等がメニューとして挙がっており、目的や方向性には賛成できます。
 その中で、まず、革新的医薬品の開発迅速化についてお聞きします。
 具体的な改正内容は、臨床研究中核病院等における医薬品の研究開発を実施する者に、情報提供、相談、助言等を行うという内容です。医薬品開発に資するものとは考えますが、新薬開発をめぐっての世界的な競争が激化する中にあって、政策として小粒な印象は否めません。
 我が国の医薬品研究開発に対する支援体制は脆弱であるとの指摘がされ続けています。多くの新薬の研究開発には十年以上の歳月が掛かる上、市場に出るまでに数百億円以上の資金が必要だと言われています。こうしたプロジェクトを支えるためには、欧米と同様の大規模な資金調達のスキームも必要でしょうし、特区制度でいえば、地方の製薬企業の負担を少しでも減らすことが必要です。
 例えば、大阪で既に動いている医薬品医療機器総合機構の関西支部、いわゆるPMDA―WESTについて、その機能を拡充すべきではないでしょうか。現在認められている相談やGMP実地調査だけでなく、医薬品審査等の機能を持たせることができれば、国内の製薬会社や研究機関が東京まで審査を受けるために出向くといったコストの低減にもつながります。東京一極集中を解消することにもなると思いますが、いかがでしょうか。
 大阪府に限らない問題ですが、冒頭に述べましたとおり、特区制度の活用が低調な自治体がある一方、首長が規制改革の意思も力も持っている自治体の要望が中央省庁の抵抗で通らない現実をどう捉えておられるのか、担当大臣の御認識をお伺いいたします。
 この点につき、中央省庁の官僚たちが、自分たちの省庁で作った指針や規則だけを重視し、特区での規制改革は行政をゆがめるものと捉えている実態はないでしょうか。特区について、各省庁の職員の意識改革、これが重要ではないかと思いますが、担当大臣としてどのように考えられますか。
 次に、外国専門人材の受入れについてお尋ねをします。
 今回の改正が実現すると、農業分野で一定の技能等のある外国人材を活用できるようになります。既に農業分野では多くの外国人が技能実習生という形で労働者として働いています。そうした中で、更に今回の提案がなされた背景として、実習生は原則一か所の農家でしか働けないという制約が設けられており、農繁期に合わせて産地間を移動するといった柔軟な働き方ができないことなどが指摘されています。
 担当大臣にお伺いをします。
 本法案における農業での外国人材受入れが必要となった実質的な理由をどう認識されていますか。先ほど述べたように、技能実習生では労働力として制約が大きいので、別の形で受け入れるという一面はないでしょうか。本事業で受け入れる専門的、技術的な外国人材として、技能実習制度の修了生が想定されているとも言われています。だとすると、今回の制度改正は、ますます技能実習生という名の労働力不足を補うためという色彩が強くなるように感じますが、担当大臣の御認識はいかがでしょうか。
 農業を日本の若者にとっても魅力的にするためには、株式会社による農地所有を解禁する一方で、ゾーニング規制を強化するなど、経営体力のある担い手の責任ある参入を促すべきです。我が党は、そのための議員立法も提出しています。
 現状は、そうした努力もなしに、なし崩し的に外国人労働者への依存を高めています。今後、移民政策等も逃げずに議論すべきと考えますが、同時に徹底した農業改革が必要ではないでしょうか。農林水産大臣の御認識をお伺いいたします。
 次に、保育についてお尋ねをいたします。
 今回、小規模認可保育所の対象年齢と地域限定保育士試験の実施主体の拡大が盛り込まれた点は一定の評価をいたします。しかし、そもそも保育については、地域事情を無視した全国一律の基準となっていることが待機児童問題の大きな原因となっています。
 我が党は、保育所設置基準の分権化と保育士資格の多様化を図る法案を提出しています。この法案では、国の基準は参酌基準として残した上で、条例で保育所の設置基準を定めることを可能としています。保育士不足については、保育先進国のフランス同様、都道府県が一定の研修修了者を登録する保育サポーター制度を設けることを提言しています。こうした施策について、担当大臣としての考えをお聞かせください。
 最後に、教育についてお伺いをします。
 今後、ICT教育を実施するための特区を検討してはいただけないでしょうか。近年、自宅ではネットを使った遠隔授業を行い、教室では自宅学習に基づく質疑応答等を行ういわゆる反転授業が教育効果が高い手法として注目を集めています。こうした先進的な取組ができる特区の是非につき、担当大臣の御所見をお伺いいたします。
 我が党は、各地域のニーズに応じた分権改革と規制改革を同時に進め、現行の特区制度を十分に活用するとともに、国と地方のより抜本的な統治機構改革を目指してまいります。
 以上をお約束して、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸三君) 清水貴之議員にお答え申し上げます。
 獣医学部新設に係る地域限定についてのお尋ねがありました。
 規制改革は、いきなり全国で措置できればそれにこしたことはなく、獣医学部新設についても、日本再興戦略改訂二〇一五で全国的見地から検討とされたことを受け、全国規模の規制・制度改革についても検討いたしました。
 しかしながら、感染症に対する水際対策を担う産業動物獣医師に地域ごとの偏在があり、確保が困難な地域もあること、獣医師会などからの慎重論があることを踏まえ、産業動物獣医師の地域偏在に対応するとともに、獣医師が新たに取り組むべき分野に対応し得る獣医学部をいち早く実現するため、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめにおいて、まずは国家戦略特区において、広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限ることとしたものであります。
 今回は今治市において獣医学部を新設することとしたところでありますが、国家戦略特区は規制改革の突破口であり、今後、別途提案が寄せられている京都府等の提案についても十分検討に値するものと認識しており、不公平感を強めたとの御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、特区ごとの取組の差についてのお尋ねがありました。
 さきに取りまとめた平成二十八年度の評価を見ますと、規制改革メニューの活用や提案について区域ごとに相当な格差が生じているものと考えております。
 各特区の自治体においては、今回の評価の結果を真摯に受け止め、改善、見直しに取り組むとともに、特区に期待される役割を十分自覚し、規制改革メニューの活用や提案に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。特に、最も取組が低調な区域については、年度末を待たずに行う中間評価までに、他の区域と遜色ない活用・提案実績が必要との危機意識を持って取り組む必要があるとされており、今後の取組を注視したいと考えております。
 次に、特区の活用促進についてのお尋ねがありました。
 特区の評価においては、個別認定事業の進捗状況、規制改革事項の活用及び見込み状況、追加規制改革事項の提案状況のそれぞれについて評価を実施し、評価すべき点に加え、課題についても明示しております。各特区におきましては、ここで示された課題等を踏まえ、必要な改善、見直しに真摯に取り組むことを期待しております。
 また、政府としても、地方公共団体による規制の特例措置の活用上の支障がある場合には、適切に対応する必要があると考えております。例えば、昨年十月には、大阪府などからの提案を踏まえ、特区民泊に係る最低宿泊利用日数の要件を六泊七日から二泊三日に見直したところ、利用実績に顕著な伸びが見られたところであります。
 今後とも、地方公共団体による規制の特例措置の活用上の支障がある場合には、自治体からの提案等を踏まえ、要件の見直しに積極的に取り組んでまいります。
 次に、PMDA関西支部についてのお尋ねがありました。
 医薬品等の有効性、安全性、品質に関する評価は、多様な分野の専門家が多面的な観点から行う必要があり、一か所で集中的に行うことが効率的であります。日本では、東京のPMDA本部で審査を行っており、結果として欧米に比べて最も迅速な審査業務を行うことが可能となっております。
 現在、PMDA本部で行っている審査業務を関西支部に付与することは、審査の効率性の観点から難しいと思われますが、関西支部では、昨年六月に高度なテレビ会議システムを導入するなど、関係業界の要望も踏まえ、機能の充実に努めていると承知しております。
 次に、規制改革要望に対する省庁の抵抗についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区は、長年にわたり実現できなかった岩盤規制の改革に突破口を開けることにより、経済社会の構造改革を推進しようとするものであります。国の制度を変えてまで事業を実現したいとする意欲にあふれた自治体や事業者の具体的提案について、特区基本方針に基づき、実現に向けた規制所管省庁との折衝を粘り強く行っているところであります。
 特に、国家戦略特区では、規制所管省庁が提案の実現が困難と判断する場合は特区諮問会議で正当な理由の説明を行うことをルールとしていること、ワーキンググループにおいて民間有識者委員と規制所管省庁の職員が直接折衝を行うものとしていることから、各省庁の職員の意識を直接改革しながら、これまで困難であった規制改革を実現できる仕組みになっているものと考えております。
 次に、農業外国人材の受入れと技能実習との関係についてのお尋ねがありました。
 農業外国人材の受入れは、経営規模の拡大などによる強い農業を実現するために実施するものであり、技能移転による国際貢献のために実施する技能実習とは制度の目的が異なります。
 そのため、今回受け入れる農業外国人材は一定水準以上の技能等を有する即戦力となる人材とすることとしており、技能の取得を目的とし即戦力とはなりにくい技能実習生とは、その技能等のレベルが異なります。ここで、一定水準以上の技能等を有する即戦力となる人材については、技能実習の修了後、母国への技能移転を行った技能実習三年修了者程度の知識、技能を有する者や一定の試験の合格者も含むものとする予定であります。
 このように、今回の農業外国人材の受入れは、目的も外国人材の能力レベルも異なるものであり、強い農業に名を借りて技能実習生の受入れ不足を補おうとするものではありません。
 保育所関係基準の弾力化についてのお尋ねがありました。
 国が定める保育所の設備運営基準は大半が参酌基準となっていますが、保育士の配置基準については、利用者の処遇、安全、生活環境に直結することなどから、国が最低限の基準を定めるいわゆる従うべき基準となっており、厚生労働省では参酌すべき基準とすることは適切ではないとしております。また、保育サポーター制度については、保育の質を確保する観点から、厚生労働省では慎重に検討する必要があるとしております。
 私としましては、厚労省の考えを十分踏まえつつ、日本維新の会のお考えもよく勉強させていただきたいと思います。
 次に、ICTを使った教育特区についてのお尋ねがありました。
 ICTを活用した遠隔教育は、議員御指摘のような新たな創意工夫を教育に呼び込む可能性を秘めており、国家戦略特区においても近未来技術実証の一環として取り組んでいるところであります。具体的には、IT活用による遠隔地間の学校等を結んだ教育手法の導入について平成二十七年度から三か年計画で実証事業を行い、遠隔教育の実現に必要な課題等の検討を進めております。
 その成果も踏まえつつ、引き続きICTを使った遠隔教育について議論、検討を深めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 清水議員の御質問にお答えいたします。
 農業改革についてのお尋ねがございました。
 農業者の高齢化が進む中で、その成長産業化を図り、魅力ある農業を実現することは喫緊の課題と考えております。
 このため、平成二十一年の農地法改正におきましてリース方式による企業の農業参入を全面解禁するとともに、平成二十六年には各都道府県に農地中間管理機構を整備して、担い手への農地の集積、集約化を進めているところでございます。リース方式による企業の農業参入は現に改正前の五倍のペースで進んでおりまして、農地中間管理機構による担い手への農地集積も着実に進んでいるところでございます。
 今回の法案における農業分野での外国人材の受入れにつきましては、このような担い手への農地集積や農業経営の規模拡大等に伴い必要となる専門人材の就労を適切な管理の下で可能とする制度として導入することとしたところでございます。
 以上でございます。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十二分散会