第193回国会 法務委員会 第12号
平成二十九年五月十六日(火曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局参事官     栗田 照久君
       消費者庁審議官  小野  稔君
       法務省民事局長  小川 秀樹君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(第百八十九回国
 会内閣提出、第百九十三回国会衆議院送付)
○民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法
 律の整備等に関する法律案(第百八十九回国会
 内閣提出、第百九十三回国会衆議院送付)
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○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小川秀樹君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(秋野公造君) 民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○真山勇一君 おはようございます。民進党・新緑風会の真山勇一です。
 今日は、各委員の皆さんに、ちょっと質問の順番が変わっております。民進から今日は始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 先日、この委員会では参考人六人の方お呼びして様々な御意見を伺いました。本当に多面的な指摘がなされたと思いますし、それから、実際に法制審に関わっていた方ということなので、どういう経過があったのかとか様々なことを伺うことができたと思います。むしろそれを伺って、今回のこの民法の改正、百二十年ぶりの大改正というその意義が改めて浮き彫りになったという一方で、法制審でかなり十分な突っ込んだ審議もやってきて改正点をいろいろ検討したけれども、でき上がったものにはやはり少しその辺がなかなか盛り込まれていなかったという、そんな指摘もあったというふうに思うんです。おいでになった参考人全員がやっぱり評価しているところもありますけれども、その一方で、不十分である、それから、なぜこうした改正ができなかったんだろうかというような意見も多々見られたというふうに思うんですね。
 特に、やはり従前から問題にされてきた個人保証、第三者保証の問題です。これはやはり、委員の方からも参考人の方からも原則禁止であるべきだという、そういう意見も出されました。それから、定型約款の問題、法定利率の問題ですとか消滅時効、暴利行為、様々なやはり問題点が指摘されたというふうに思います。ただ、今回は二百項目にも及ぶ改正ということで、こうした大きな改正が本当に消費者の皆さんにきちっと伝わる、もうまさに消費者のための改正というふうにうたっているわけですから、これを周知徹底することも本当に大事なことであるというような意見が出されました。
 本当に参考人のおっしゃったことはもっともなことであり、特に私はやはり第三者保証の問題、これが原則禁止ということで実現できなかったこと、これが本当に非常に残念であります。
 今日も、さらに、先日のその参考人の意見表明なども踏まえまして、この第三者保証について、そしてそれに絡む公証人そして公正証書などについての更に詰めたことをちょっと伺っていきたいと思っております。
 やはり何といっても、今回、様々な改正の中でこの第三者保証、本当に中小零細企業にとってはお金をどうやったら都合するか、都合付けるかということは本当に深刻な問題ですし、そしてお金が都合付いても、やはりやりくりが付かなくなってしまえば借金を抱え、その借金を保証人に肩代わりしてもらうということになって、保証人も大変な思いをする。そして最終的には、大変不幸なことですけれども、悲劇が起きる、一家にとって破滅的な被害、悲劇も起きるということがあったわけです。やはり、これは何とかしていきたい、それから何とかしてほしいという当事者の声もあったと思うんですね。
 そういう中で、今回、第三者保証禁止ということにはならなくて、ある部分は公正証書、公証人の公正証書を作るということで代案となり、それから、特に配偶者だけ例外にしたという、この辺りもやはり今後問題であり、なるべく早くこの辺の是正ができればというふうに私は考えております。
 今回、新たにこうした第三者保証の公正証書を厳しくやると、公証人の下で書類を作る、そのことが取り入れられたという、その辺で若干あと伺っていきたいということがあります。
 もちろん、お金を借りるときはお金を借りる契約書、いわゆる金銭消費貸借契約と法律の用語で呼ぶんでしょうか、そうしたものを作るのと同時に、今回、やはり保証人になるということを承諾するための公正証書を作るということですね。当然、お金を借りるときの保証人になりますよということ、その保証人になりますよといういきなりその契約書ということではなくて、やはりその前に本当に意思がありますかという確認を公証人の立会いの下で行うということなんですね。
 これは、もう代理でなくて本人でなくてはいけないという確認をちょっと取らさせていただきたいんですが、代理人じゃなくて本人がこの公正証書の作成のところには出なくてはならないということと、それから、やっぱり物の順番として、公正証書と契約書というものがあるわけですが、保証人になりますというその契約書を作る前に保証人になることを承諾するという公正証書、これは当然それよりも前に先立って作成されるというふうに解釈をしてよろしいですね。その点を確認したいと思います。二点、代理人でなく本人ということと、それからその書類作成の順番ですね。よろしくお願いします。
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 まず、保証意思宣明公正証書の主体といいますか、誰がするかということでございますが、これは本人でございまして、本人の口授が必要でございます。
 それから、順番、保証契約と公正証書の作成の順序ということでございますが、改正法案では、事業のために負担した貸金等債務に関しまして保証人になろうとする者は、保証契約の締結に先立ち、公証役場に赴いて保証意思宣明公正証書の作成を嘱託することとしておりまして、保証意思宣明公正証書は保証契約締結の日の前の一か月以内に作成される必要があると、これは明文で定めております。したがいまして、このような保証契約について公正証書が作成される場合には、法律上、必ず保証意思宣明公正証書が事前に作成されていなければならないということになります。
○真山勇一君 やはり順番があると思います。やはり、契約をする前に、本人が保証人になることを了承しているという公正証書をまず先に作るということです。
 今、その中でちょっと先立ってということがありました。公正証書を作ることと金銭の契約書を作って保証人に実際になること、これ、例えば今のお話ですと、例えば公正証書を作るとき、そのときに、それではその公正証書を作って、保証人になる意思が確認されましたね、それでは契約書お願いしますというふうな、多分よく契約の現場では書類次から次へと出されるということがありますね。そうすると、出されるたびに余り考える時間もなくサインをしなくてはならなくなるということもあるわけですけれども、やはり保証人になるという意思を表明するということは当事者にとっては大変な多分決断もあるでしょうし、保証人となるべき契約関係の金額が大きかったらそれはそれでまた大変なことなので、そのとき例えば保証人になりますよという意思を表明したけれども、実際に金銭の貸借契約書を作る、同時、同時というか、順番としては先に保証人になる意思を表明してそれから契約書にサインということになるんでしょうけれども、やっぱり一定の経過時間、考慮時間というんですか、考える時間が欲しいと思うんですが、この今の先立ちというのと前の日ということはそういうことを保障しているというふうに理解してよろしいんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 改正法案では、保証意思宣明公正証書は保証契約締結の日の前の一か月以内に作成される必要があるとしておりまして、保証意思宣明公正証書の作成後であれば、その公正証書が作成された当日であっても公証役場で契約書を作成するという趣旨だと思いますが、保証契約についての公正証書、これは執行認諾文言付きのものも含めてということになりますが、公正証書が作成されることは否定されておりません。したがいまして、保証人になろうとする者が公証役場に赴いて保証意思宣明公正証書の作成を嘱託し、その公正証書が作成された後、引き続きその公証役場において保証契約についての公正証書の作成を嘱託し、その公正証書が作成されるということはあり得ます。
○真山勇一君 やっぱり難しい、保証人になるということはその当人にとっては大変な決断だというふうに思うんですね。確かに、公正証書で保証人になるという意思を表明すればその後契約書は作れるということは確かにそうでしょうけれども、やはり、何というんですかね、保証人を引き受けるということはやむを得ない事情もあったり断れないということもあったり、それから、こんな金額じゃちょっと難しいけど、でも、あの人が頼む、親しい人、世話になっている人が頼むんだから保証人にならざるを得ないな、多分、公証人の前ででも、やっぱり保証人頼まれた本人というのはいろんなまだ迷いがあったり決断できなかったりしながら臨んでいることもあると思うんですね。
 そうすると、やはりそこで公証人の方から様々な条件、様々な問題点などを指摘されて、こういうことを前提にしてあなたは保証人を引き受けますねという説明を受けて、それで当然納得して署名をするんでしょうけれども、やはり気分的には、その保証人になった、それでは覚悟ができたということもありますけれども、やはり今お答えですと、その後、要するに、逆に言えば、同じ机の上に公正証書とそれから金銭の借用契約書を置いておいて、その順番こそ守るけれども、でもやっぱり同じ日、ほとんど時間相前後して両方の証書を作るということになってしまうわけでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘いただきましたような保証意思宣明公正証書を先立って行った後で保証契約についての公正証書を作成するという場面でございますが、まず、とにもかくにも保証意思確認のための公正証書の作成があるわけで、その作成に当たりましては保証人本人が自ら公証人に直接口頭で必要な事項について述べることなどが法律上要求されておりますため、まず公証役場への出頭が当然必要でございます。したがって、保証人の意思確認のための公正証書を作成する際には、公証人が直接保証人本人に対してその意思確認をするということ、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
 このように、法改正後は公証人において保証人になろうとする者に保証契約に伴いますリスクを認識させた上でその意思確認を厳密に行うことにより、これまで以上に保証人の保護を可能とするものと考えられ、これに加えて更に保証人に考慮期間を与えるということについてまでは、保証人になろうとする者が要する手間の点にも配慮すると相当でないものと考えられます。
 要するに、保証意思宣明公正証書によってきちんとリスクも認識していただいて、しっかりと保証するという意思をつくっていただくというのが当然の前提でございます。
○真山勇一君 それは多分、局長、何というのか、ある程度知識もあって、変な言い方ですけどベテランならばそういうことでもいいでしょうけれども、やっぱり多分普通の保証人になる方というのは、頼まれて、そんなに細かい説明を依頼人の方から受けないで、頼むよ、保証人になってくれよという話、それで、そのためには今公証役場行って作らなくちゃいけないんだよと言われれば、やはり断り切れないで行ってしまう。で、確かにそういういろんな条件を、話の中で出てきて、それで一つ一つ納得するかどうかということもあるでしょうけれども、でも、その中にやはり聞いていなかったこと、初めてその場で例えば言われることとか、もちろんこれは契約の中では普通に出てくることかもしれませんけれども、やっぱり普通に、一般の人でいうとなかなかそんな機会がないから、そういう聞き慣れないことが出てきたり、そういう新たな条件をそのまま、はい、そうですかってやっぱり聞けない、ううん、そういうことでいいのかな、もしそういうことを引き受けちゃうと何か困ったことを俺は引き受けることにならないかなとかって不安もいろいろあると思うんですね。
 ですから、一旦やっぱりそういうことを聞いたら、例えばその人が、本当にこういうことで俺引き受けるけど大丈夫だよねみたいな、やはり自分の気持ちをしっかりさせるための、多少何か時差というか時間、考慮時間というのは必要な気がするんです。今おっしゃったのは、その時間必要ないというようなことをおっしゃいましたけど、私はむしろその時間が必要なんじゃないかな。翌日に例えば実際の契約書を作ったところで、もちろん日数の期限というのはあるんでしょうから、それはもちろん織り込み済みで作業は進めていかなくちゃいけないと思うんですが、やっぱり、一回この保証書を作って、本人がきちっと納得できた時点、つまり、公証人の前でこの書類を作るとき、本当に全部納得し切れるかというと、私なんかの経験でいうと、次から次へと書類を出されて説明されたときに全部理解できるかどうかというと、やっぱりできない難しい法律的な言葉とか法律的な処遇があるわけですね。ですから、やはりその辺で、本来ならば消費者のことを考えたら、それで保証人になる人の不安とかそういうものを考えたら、多少考慮時間という考える時間があってもいいような気がするんですけれども、その辺りはどういうふうにお考えですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 熟慮期間、考慮期間についてはいろいろ御指摘もあるところでございますが、保証人になろうとする者が保証意思宣明公正証書を作成した後においてもなお、やや逆説的ですけど、熟慮をすべき状態にあるとすれば、それは意思の確認が果たされておらず、公正証書を作成すべき状態にはないということが言えようかと思います。
 そういうことにならないようにきちんと保証意思宣明公正証書を作る際にいろいろと説明をし、リスクを認識していただくということは当然必要でございますし、その点については公証人についての指導を十分していきたいと思っております。
 また、保証意思宣明公正証書につきましては、十分周知を徹底して、今申し上げましたような点については遺漏のないようにしていきたいというふうに考えております。
○真山勇一君 そうしますと、逆に言うと、行った日に、じゃ作る必要はなくてもいいんですね。つまり、公証役場行きますね、公証人のところで保証人になるべくいろいろ説明を受けたと。私がもしその本人だとすると、事前にいろいろ聞いていることとは何か違う難しいことがあってちょっと不安に感じたと。その場合、その日そのときは、それじゃ、署名をしないで、済みません、後でまた戻ってまいりますとか、あした参りますとかいうことはあると思うんですが、そういうことで、そのときは署名をしなくてもいいのか。それから、そういうもし納得できないことがあったら、今この場で署名をしなくてもよろしいんですよという説明は公証人からあるんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、先ほど申し上げましたように、リスクを認識していただいて、しっかりとした保証意思を、保証する意思をつくっていただくことが前提でございますので、それができなければ署名をしないということは可能でございますし、可能といいますか、まあそれは当然そういうことでございますし、公証人の方もその点については説明するようにしたいと考えております。
○真山勇一君 是非、説明終わりました、じゃ、これに署名してくださいということではなくて、今のそこがすごく大事だと思うんですね。やっぱり、消費者の立場に立ったら、多分最後の最後まで、署名するまで当事者、保証人を引き受けた当事者というのは不安があると思うんですね。ですから、公証人の方から、もし疑問点とか不安があったらこの場で今署名しなくてもよろしいんですよ、また出直してきてもいいんですよということは、これはやっぱり言っていただきたいし、言わなければいけないと思いますよ、それは。そういう是非指導をしていただきたいというふうに思います。
 それから、もう一つ、これまでのいわゆる契約の問題で出てきた問題点ということがありますけれども、いろんなやっぱり書類が契約のときあると。これまで公正証書ですとか、それから委任状なんかを作るときに、いろんな書類を重ね合わせて、つまり今ほとんどノーカーボンで書類というのは作ることできますから、何枚かの書類、大体契約の書類というのは、そうですね、一枚目が控え、二枚目が相手方に渡す、三枚目がどこかで控えるとかといって、まあ大体平均すると四、五枚ぐらいつづったものがありますね。もちろん、今回作る保証人を引き受けるという公正証書はもちろん、多分一枚紙あるいは裏表というぐらいの量になるのかなというふうに思いますけれども、以前、そういうふうなノーカーボンのコピーを使って、つまり保証人になることを引き受ける人が知らない間にいろんな例えばそういう書類が作られてしまうことがあったというふうに聞いております。
 今回、やっぱりそういうことは避けなくちゃならないわけですから、公正証書というものを作るのは、これはもうこれだけ、そして本当に契約書は契約書ということで、間違えてもいろんなものが紛れ込んで、ノーカーボンの用紙で本人が知らない間に書類が作られるということはないですね、そういう危険性というのはなくなりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証意思宣明公正証書は、保証人になろうとする者自身が公証人の面前で口授し作成されるものでありまして、本人が出頭せずに代理人が代わって意思確認を受けることはないということです。したがいまして、保証人になろうとする者がその作成を知らないということは、これはあり得ません。
 その上でですが、保証契約自体は、これは代理人を利用して締結することは可能でございます。もっとも、代理人による保証契約が有効に締結されるためには代理人に代理権が授与されていなければならないため、例えば御指摘がありましたカーボンコピーを使った事例などですが、保証人となろうとする者が委任状のようなものを知らない間に作成したことになってというケースを考えますと、保証人になろうとする者が代理権を授与していないのであればその者は代理権を有しない無権代理人にすぎず、その保証契約の効果が本人に有効に帰属すること、これは法律上はございません。
 それから、事務的に、やはり公証役場で混乱が生じないようにするために、きちんと書類の作成についても手順を追うような形にしていきたいというふうには考えております。
○真山勇一君 やはり、以前、契約書を作る現場でそうした混乱があったということも過去の例にあったふうに聞いておりますので、今回のやっぱり改正でこうした、まあいわゆる不正ということになるのかどうか分かりませんけれども、本人の知らない間に書類が作られるというようなことを是非避ける、そうしたことも制度設計の中で明確にしていっていただきたいというふうに思います。
 それと、こうした保証制度の中で特に私は、先ほども指摘しましたけど、配偶者ですね、これが例外になっているって、これはやっぱりちょっと納得できない。先日の委員会での御説明ですと、やっぱりそれは合理性があるということを、特に小さな個人商店のような場合は経営がその経営者と配偶者と一体となっているから合理性あるというような御説明を受けたんですけれども、こうした制度ですね、配偶者も一緒にその保証人の中に保証制度入れているというのは、例えばOECD諸国の中で配偶者を例外扱いするというような、こういう国というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 今回の改正は配偶者について保証意思宣明公正証書の例外とするという趣旨でございますが、法務省におきましては、改正法案を立案する過程で委託研究という形で諸外国における保証法制と実務運用について調査を行ったことがございます。対象となりましたのは、フランス、ドイツ、アメリカ、それからイングランド等でございます。
 その結果によりますと、保証人を保護する法制はフランスを始め各国で取られておりますものの、その中では、主債務者の配偶者を例外扱いするというものは見当たらないものと承知しております。
○真山勇一君 この委員会でも外国の制度と比較するということが議論もされてきましたけれども、やっぱりほかの今おっしゃったような国々でもそういう制度は取り入れられていないということなわけですよね。
 やっぱり、配偶者だけを今回こういう例外扱いにしたわけですけれども、民法というのを現代に合わせたものにしていくということから考えると、やはりその部分というのはどうしても私はそぐわないものになっているのではないかというふうな思いも受けておりますし、その指摘も参考人の方から幾つか出されておりました。
 法務大臣にお伺いしたいんですけれども、この配偶者を例外にしたということですね、今回、まさに現場からの要請もあったということもあるでしょうけれども、やっぱりどうもここだけ例外扱いにしているのがこの制度自体を少しおかしなものにしているというような気もするので、将来的に改正する必要というものを感じておられるでしょうか。
○国務大臣(金田勝年君) 真山委員の御質問にお答えをいたします。
 改正法案において配偶者を公証人による保証意思確認手続の例外としていることにつきましては、近代的な法制度の原則にそぐわないんだという指摘があることは承知をいたしております。しかしながら、個人事業主に関しましては、経営と家計の分離が必ずしも十分ではない、そして主債務者とその配偶者が経済的に一体であると見られることが多いということから、配偶者を保証人とすることによって金融機関から融資を受けている事例も現に少なくはないということが実情であると、このように受け止めております。
 改正法案におきましては、このような融資の実情も踏まえて、主債務者が個人事業主である場合のその配偶者につきましては、主債務者の事業に現に従事をいたしておりますことを要求し、主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定をいたしまして例外として扱うことにいたしております。
 したがいまして、この要件に該当する配偶者につきましては、これを主債務者の保証人とする実務上のニーズも強く、かつ保証のリスクを認識することも可能なものと言えますことから、公証人によります意思確認の対象としないことに合理性があると考えておるわけであります。
 このように、改正法案は、合理的な根拠に基づいて一定の要件に該当する配偶者に限りまして保証意思確認手続の例外とするものでありまして、夫婦である以上は他方の保証人になるのが当然であるといったような価値観に基づくものではありません。
 したがいまして、現時点でこの規定につきまして将来改正をする必要があるとは考えてはおりませんが、法務省としては、改正法案の成立後は、このような改正法案の趣旨を適切に周知するように努めますとともに、個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立に向けて引き続き関係省庁と連携をしながら取り組んでまいりたいと、このように考えておる次第であります。
○真山勇一君 御説明分かるような気もしますけれども、逆にやっぱり現代、今の時代の流れの中で考えると、私は夫婦が一体ということがちょっと理解できないし、やっぱり別人格であるんじゃないかということが一つと、それから、分離ができないというふうにおっしゃいますけど、そこが問題であって、やっぱりきちっと事業をやるという以上は分離をすることというのも大事だなというふうに思うんですね。その辺り、例えば小さな零細企業や個人商店であっても、その辺ははっきりと分離をしていくという制度、システムというのをつくっていくのが改正の方向ではないかというふうに思います。
 ただ、今現状として、その途中過程としてこういうことも私はやむを得ないというふうに思うところもありますので、やはり将来的にはこの第三者保証というのはなくしていくという、そういう制度づくりというのは必要じゃないかということを申し上げたいというふうに思います。
 そういうふうにやって、残るということは、ちょっと次の質問に行きますけれども、金融庁にお伺いしたいと思うんですけれども、こうしたことによって、何というんですか、貸し渋りが起きるんじゃないかという心配が現場から言われていますし、これまでも第三者保証がなくなってしまったらなかなかお金が借りられなくなるということがありましたけれども、この辺の対応というのをどういうふうにしているのかということと、それから、実際に、今取り上げております配偶者がその保証になるような割合というのは実際の融資の中でどのぐらいあるかなどのような調査というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 まず一点目でございますけれども、金融庁といたしましては、金融機関が担保、保証に必要以上に依存することなく、取引先企業の事業の内容とか成長可能性等を適切に評価し融資等を行うことが大事であるというふうに考えております。こうした観点から、第三者保証につきましては、平成二十三年七月に、これを求めないことを原則とする融資慣行の確立に向けまして、監督指針においてその旨を明記し、現在定着に取り組んでいるところでございます。
 金融庁といたしましては、委員御指摘のような懸念が生じることがないように、今後とも、引き続き金融機関に対し担保、保証に必要以上に依存しない融資を行うように促してまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、二点目でございますけれども、金融庁におきましては、今申し上げました個人保証に過度に依存しない融資を促進するという観点から、経営者保証を含みます個人保証に依存しない融資の状況については全ての金融機関を対象に調査を行ってございますけれども、第三者保証の徴求状況のみを取り出した網羅的な調査については行っていないというのが現状でございます。
○真山勇一君 やはり、第三者保証をなくす、第三者保証に頼らない融資ということ、これは是非広げてしっかりと根付かせるようにしていただきたいんですけれども、その一方で、そのためには信用保証制度というのの拡充ということも言われておりますが、この辺りの、信用保証の拡充ということについて金融庁は積極的に取り組んでおられますか。
○政府参考人(栗田照久君) 信用保証制度につきましては経済産業省さんの所管でございますので、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、信用保証制度の改正案については経済産業省さんの方から今国会に改正案が提出されているというふうに承知しております。
○真山勇一君 まあ、お金の、金融のことは各省庁にまたがるところもあると思います。是非金融庁にも、零細とか個人経営のこうした保護のため、是非最善の力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 それから、今度の民法改正で、この民法自体と絡めてその関連する法令がいろいろあるわけです。参考人の中の話にも出てきましたけれども、消費者保護のための法律、あるいは公証人のための法律、こうしたものも改正していかないとなかなか運用がうまくいかないんじゃないかというような指摘もありましたけれども、こうしたことを改正するような検討というのは行っているかどうか。これは、法務省と、それから消費者庁にも、おいでになっているので伺いたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、公証人法の関係、法規の関係でございますが、公証人法につきましては、法令上無効の法律行為等について公正証書を作成することはできないとされておりまして、当該法律行為が有効であるかどうか等に疑いがあるときは、関係人に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせなければならないものとされております。これ公証人法施行規則のレベルでございます。したがいまして、公証人には、確認ですとか教示をする、これは法的義務が課せられているというふうに承知しております。
 そのため、法務省といたしましては、現時点で今回の保証意思宣明公正証書に関わるものとして公証人法の改正は要しないものと考えておりますが、公証人が審査事務を適切に行い、その職責を十分に果たすことができるよう、引き続き指導監督に努めていきたいというふうに考えております。
○政府参考人(小野稔君) お答え申し上げます。
 今般の民法改正法案は、消費者取引を含めて、適用されるべき適正、妥当な規定について検討され策定されたものというふうに承知しているところでございます。その上で、さらに、消費者契約法などの消費者保護に関する法改正など、別途手当てを講ずる必要があるかという点につきましては、民法改正法施行後の状況も踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○真山勇一君 幾つかちょっと質問残っちゃったんですけれども、時間になりましたので。
 やはり今回本当に大改正、二百項目も改正するということなので、やはりそれを消費者、利用するのは消費者だと思います、消費者にどうやって徹底して周知していくかということも大きな問題で残ると思いますので、是非、今後検討されるべき問題も含めて、この民法の改正、適用をうまく運用していっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 今回、民法改正、約款とか保証とか時効とか法定利率だと、分かりやすいところを四つぐらい取り上げているけれども、実際の改正項目は非常に多岐にわたっておる。しかも、一つ一つ取り上げていけば、かなり議論を要する、あるいは問題となるところがあるのではないかというふうに思いますが、そうした点で一つ一つ、先般は瑕疵担保を取り上げさせていただきましたけど、今日は債権譲渡について議論させていただきたいと思います。
 感想を言いますと、国民に分かりやすくするというのが大臣の提案理由、国民に、一般に分かりやすいものとする観点からと言うけど、私は、この債権譲渡に関しては国民から分かりにくくするような改正だというふうには思っていますけど、一つ一つ聞いていきましょう。
 まず、そもそもが中小企業の融資を、売掛金を譲渡することが容易にして資金の調達をやりやすくしようというふうな趣旨だというふうに説明があったんですけれども、私はそういうふうには思えません。大企業は売掛金を売るなんてことは必要ないでしょうから主に中小企業だと思いますが、中小企業が持っている売掛金、一般消費者を相手に販売した代金であれば、そもそも債権の譲渡禁止なんてことは付いていません、一般消費者相手の取引ですから。そうすると、問題となるのは中小企業の取引先、あるいは大企業相手の下請ですね、大企業相手の物の販売代金や仕事をした代金というものが私は問題になると思うんです。
 それで、実際に、じゃ、大企業相手の下請の中小企業が、債務者である大企業がこの債権は譲渡しちゃいかぬと言っているときに、法律論を抜きにして、その取引上の力関係からいって売ることができると思いますか。あるいは、主要な取引先がこの債権は譲渡禁止だと言っているときに、その中小企業がそうした大事な大企業や取引先の意向を無視して債権譲渡なんかできるだろうか。そんなことをしてしまえば取引やめさせられちゃう。あるいは、そもそも売掛金なんかを譲渡しなきゃ金が回らないのかと、こんな危ないところはやめちまおうというので、私は、中小企業の資金調達を円滑化するということじゃなくて、実際にはそうではなくて、むしろ債権を買い取った方の買取り屋の利益のために有利になるような、そんなふうに思うんですけれども、どうでしょう、この点の私の指摘に対しては。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、最初の点でございますが、要するに中小企業の役に立つようなものなのかということでございますが、改正法案に対しましては、譲渡制限特約が付されている債権を譲渡すると、譲渡人としては、債務者との関係で特約に違反したことを理由に契約を解除されるおそれがあるため、譲渡制限特約が付された債権を譲渡するのはやはり困難であり、今回の改正が資金調達の円滑化にはつながらないのではないかという御懸念がこれはあり得るところでございます。
 しかし、改正法案におきましては、債務者が譲渡制限特約を付する場合の一般的な目的、すなわち弁済の相手方を固定する目的は達成することができるように配慮した上で債権譲渡を有効としているのでありますので、譲渡制限特約が付された債権の譲渡は、これは必ずしも譲渡制限特約の趣旨に反するものではないと見ることもできようかと思います。
 また、仮に特約違反になるといたしましても、債務者にとって特段の不利益がないにもかかわらず債権譲渡を行ったことをもって取引関係の打切りですとか契約解除等を行うことは、これは極めて合理性に乏しい行動と見ることも可能でありまして、権利濫用等に当たり得るものとも考えられます。
 法務省といたしましては、この点を含めて、改正法案の趣旨を広く周知し、譲渡制限特約に関する実務運用が改正法案の趣旨に沿ったものとなるよう努めていく所存でありまして、関係省庁や関係団体とも連携協力して、中小企業の資金調達の円滑化を進めるべく取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 したがいまして、改正法案の基本的な趣旨は、やはり中小企業の資金調達の多様化、容易化ということでございまして、買取りを重視しているということではございません。
○小川敏夫君 大企業が取引を打ち切るのは権利濫用になるというのは、そうはいかないんじゃないんですか、ただ大企業は別にもうその後発注しなきゃそれでいいわけですから。債権譲渡禁止特約に反するような債権譲渡したから取引やめたら権利濫用になるというのは、少し論理が論理的に飛躍し過ぎているんじゃないかと思いますけれども。
 実際、学者の世界は別にして、債権譲渡がどういうような場面で行われるかというと、全部が全部じゃないけれども、経営が苦しくなってきた中小企業がいると、そうすると、そこに金を貸す人間あるいは主要な取引先があらかじめ白地の債権譲渡契約書を作っちゃうんですよ。それから、債権団、白地の債権譲渡通知をばさっと十枚も二十枚も書かせて持ってきちゃうんですよ。それが実際の場面において起こっている、今現実に行われているこの債権譲渡の実際の実務なんですよ、それでも有効ですから。
 その後、実際に中小企業が経営苦しくなったと、じゃ、その中小企業の別の債権者が弁護士に依頼して、弁護士が夜なべして全く適正に法律の手続を取って債権差押えしたって、それを力ずくで先に、債権譲渡通知書を持っちゃったやつが先に出していりゃそれに負けちゃうわけで、まさに真っ当な手続を取った弁護士、その債権者よりも、力ずくであらかじめ債権譲渡通知書や債権譲渡を取り上げちゃったやつが勝っちゃうような、そんな世界になると思うんですよね。
 私は、ですから、資金調達手段になるという部分もないとは言わない。しかし、今回の、これから一つ一つ述べていきますけど、これまでは、譲渡禁止特約があった場合には譲渡人の債権者の方が優先する場面だった。これからは譲渡禁止特約があっても債権譲渡は有効だから譲受人が勝つような構造になっちゃって、これまでの判例と違った実務になっちゃうんですよね。
 しかし、私は、譲受人というのは、今言ったように、悪意のある人間であっても今度は譲渡人の差押え債権者よりも勝つようなことになりますと、私は、力ずくの人間でそうやって荒っぽいことをやった人間が真っ当な弁護士を通じた適正な手続をやった人間よりも勝っちゃうということになるので、不合理な場面が起こるんじゃないかと思うんですよ。この議論はかなり幅広いお話でしたから答弁要りませんけどね。
 じゃ、具体的に一つ一つお尋ねしていきますけれども、まず、債務者に対して十分な配慮をしているからということでございました。じゃ、債務者は債権譲渡通知を受け取ったと、しかし、譲渡禁止特約があるのに、しかし新しい債権者から請求に来たという場合にどういう対応をしたらいいんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、債務者の保護ということでございますが、債務者にとって譲渡制限特約を付する目的は、主として、弁済の相手方を固定することによって見知らぬ第三者が債権者となるといった事態を防ぐことでございます。
 このような債務者の期待は引き続き保護する必要があることから、今回の改正では、譲受人が譲渡制限特約について悪意又は重過失である場合には、債務者は譲受人に対する債務の履行を拒むことができ、かつ譲渡人に対する弁済等をもって譲受人に対抗することができることとしております。
 また、譲渡制限特約が付された金銭債権が譲渡されたときは、債務者は、これは当然にということになりますが、その債権の全額に相当する金銭を供託することができることとしておりまして、債務者が弁済の相手方を誤るリスクを軽減する措置を講じているところでございます。
○小川敏夫君 譲受人が悪意、重過失の場合には債務者は履行を拒むことができると。その譲受人が悪意、重過失があるということは債務者が立証するんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 立証責任の分担からいいますと、債務者側が主張することになると思います。
○小川敏夫君 そうすると、債務者は、譲受人が悪意、重過失ということが挙証責任がある、立証できない、しかし悪意、重過失だと思って履行を拒む、履行を拒むと、しかしその悪意、重過失が立証できなかった場合には、理由なく履行を拒んだことになるから債務不履行責任負うことになりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほど申しましたように主張、立証が必要でございますが、そういったリスクを避けるためには、先ほど申し上げましたように供託が可能でございますので、譲渡がされれば当然に供託をすることは可能でございます。
○小川敏夫君 今言った供託は、この四百六十六条の二に書いてある供託ですか。
○政府参考人(小川秀樹君) さようでございます。
○小川敏夫君 この供託が何かすごく変な規定なんですよ。
 供託すれば債務を免れると。でも、その供託したお金は譲受人が払い受けをできるんですよね。供託したらそれは自動的に譲受人に行くんだったら、譲受人に払うと同じじゃないですか。どうですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 譲受人の主観的な要件についての判断を不要として、当然に供託をすることによって免責ができるというのが債務者側のメリットでございます。
○小川敏夫君 だけど、元々は債務者、要するに債務者とすれば履行する相手を元の譲渡人、元の債権者に固定したいというから債権譲渡禁止特約があるわけですよ。
 そういう立場も一定に保護すると言うけれども、しかし、債権譲渡されたら譲受人が請求に来る。払いたくない、悪意だから払いたくない、じゃ、供託する。でも、供託したらその供託金は譲受人に限り還付を請求することができるというんだから、何だ、供託所を経由して結局譲受人に渡すんじゃないですか。じゃ、元々、債権者を固定したい、債務の履行相手を固定したいという債務者の利益は何にもこれ実現しませんよね、直接本人に払うか、供託所を経由して譲受人がもらうかだけの話ですから。
○政府参考人(小川秀樹君) 一般に、譲渡制限特約の趣旨として、債務者の利益、これ債権者を固定する利益というふうに考えられると思うんですが、これやっぱり誤払いなどをすることによって二重弁済を強いられることを避けるというのが大きな趣旨でございますので、そうやって考えますと、基本的に免責をされることによって債務者とすると不利益からは解放されると、こういうことだろうというふうに思います。
○小川敏夫君 つまり、債務者は債務を履行しちゃえば免責されるんですよ。その免責の問題と、そうじゃなくて、そもそもその譲渡禁止特約というのは債権者を特定したいという、そこの利益があるわけですよ。だから、払えば免責されるという議論は少し筋が違った議論だと思いますがね。
 もう一つ、法律の規定に基づいて質問しますけれども、じゃ、譲受人は、今度は譲受人の立場ですよ、債務者が払ってくれないと、そうした場合に、この規定によりましたら、何か債務者に対して、じゃ、自分に払わないなら元の債権者の譲渡人に払えと、そういう請求ができると書いてありますね。この趣旨はどういうことなんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) これはもちろん、債権者といいますか譲渡人、譲受人、債務者の三者の利益をどうバランスを取るかということでございますが、債務者としても一切何もせずにそれで済むわけではございませんので、ここにありますように、四百六十六条の四項にありますように、債務者がおよそ債務を履行しないという場合であれば、相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、いずれかにしろ、債務者側とすると、義務であります履行は求めた上で、それでも履行がないときに、その債務者についてはこの条項を適用しないと。要するに、債務者とすると、何もしなくてもいいというわけではないというのが基本的な趣旨でございます。
○小川敏夫君 つまり、債務者に履行拒絶権を与えたと。しかし、債務者に履行拒絶権を与えたけど、履行拒絶しっ放しじゃ困るから、債権の譲受人は、俺に履行しないなら、じゃ、元の債権者である譲渡人の方に履行しろと、そういう規定ですね。いや、そういう規定ですよ。
 そうすると、まず私は二つ疑問があります。じゃ、譲渡人の方にお金を払っちゃいますよね。譲渡人がその金を持って逃げちゃったり、あるいは譲渡人がパンクしちゃった、破産手続は取らないけど、しかし事実上倒産状態になっちゃった。そういう場合は、今度譲受人のところにお金が入ってこれない。どうなっちゃうんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 破産によるリスクは、これは言わば一般論でございますので、破産債権としての価値を考えるしかなくなって、回収が困難になるということは、これはもうやむを得ないことだというふうに考えております。
○小川敏夫君 いやいや、私は破産のことを聞いたんじゃないんですよ。持って逃げちゃった、譲渡人は、債権の譲渡代金をもらっている、その上に債権の弁済が債務者から来たから、これはいいやと思って持って逃げちゃったと。
○政府参考人(小川秀樹君) 失礼しました。
 要するに、それは預けた相手が言わば逃げてしまったということだと思いますので、そういう意味では、信頼の置ける人に対してしなかったというリスクは御本人が負うのはやむを得ないというふうに考えております。
○小川敏夫君 その御本人って誰ですか。債務者ですか、譲受人ですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 今の場合であれば譲受人だと思います。
○小川敏夫君 だから、譲受人にリスクが行っちゃいますよね。こんな規定要らないんじゃないかと思うんですよ。
 それからもう一つ、私考えまして、じゃ、債務者が元の債権者の譲渡人に履行しようとした、提供した、でも、その譲渡人は受け取らない、受領遅滞になった、こういう場合はどうですか。そうすると、債務者はもう履行の提供をしたんだから、債務の不履行の責任は全て免れます。だけど、譲渡人は、もう俺の債権じゃないから要らないよと言って受け取らない。そうしたら、譲受人どうするんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 確かに、今のような状態になりますと、帰趨がどうなのかということははっきりしないところがございますので、本来であれば、債務者とすると、履行の提供だけにとどまらず供託をするということがあるべき姿だとは思います。
○小川敏夫君 つまり、局長言われたように、今のような事例であって帰趨が決まらないと。要するに、この法律では解決できない問題が生じたわけでしょう。明らかにそうですよ。債務者は提供するんだから、もう債権者の、譲渡人の受領遅滞なんだから、債務者にはもう一切履行が、不履行責任は及ばないですよ。しかし、譲渡人が受け取らないという状態だと、譲受人は、おまえ譲渡人の方に払わないんだから、払わなかったら譲受人が請求できるという規定でしょう、この法律の規定は。
 譲受人は、自分のところに払わないんだったら譲渡人の方に払えと、一定期間の間に払えと。譲渡人の方に払わないんだったら、じゃ、今度は譲受人は自分が執行できる、請求できるという、そういう立て付けですよね。私が聞いているのは、債務者は払おうとしたんだけど受け取らないという受領遅滞の場合だったらどうするんだと。債務者には、もう履行の提供したんだから債務者に一切の責任がないとすると、債務者には不履行がないんだから、そうすると譲受人は債務者に請求できないですよね。宙ぶらりんになっちゃいますね。
 民事局長が言われたのは、要するに帰趨が決まらないというのは、まさにそのことをお認めになった答弁だと思うんですがね。ということは、この法律の規定が悪い、不十分だ、こういうことになると思うんですがね。解決できない問題を残しちゃっているんですよ。じゃ、解決できるような答えを出してください。
○政府参考人(小川秀樹君) 突然の御質問でございますので必ずしも十分な答えにはなっておりませんが、基本的な考え方とすると、今回の改正は、先ほども申し上げましたが、三者の利益をどう取るかということでございますので、譲受人と譲渡人と債務者、それぞれの利益が衝突する場面はあり得ます。ただ、それは今回の改正がなくても多分基本的に同じような状況というのは生じ得る可能性はあるところであって、改正法そのものの問題ということではないのではないかというふうに考えております。
○小川敏夫君 いやいや、現行法と同じ問題だってことはないですよ。現行法にはなかった仕組みを今度新しくつくっているんですから。現行法にはこんな規定はなかったんですから、そもそも。元々、現行法は非常に分かりやすかったですよ、譲渡禁止の債権は譲渡しちゃいかぬ、だけど善意の第三者には対抗できないというだけであって、譲受人が云々かんぬんなんという、こんな権利はなかったんでね。要するに、私が言いたいのは、一言で言えば、非常に分かりにくくなった上に、解決できない問題が生じているというふうに思うんですよね。
 私は、局長がさっきおっしゃられた、その場合には帰趨が決まらないという問題だということをお認めになったこと自体がまさに正しい答弁だと思いますよ。だって、帰趨決まらないもの。宙に浮いちゃいますよ、これ。そうしたら、今度は、債権の譲渡人と債務者が組んじゃって、仕組んじゃったら、譲受人はいつまでたっても請求できない状態になっちゃいますよね。じゃ、いずれそうなったらどうするのか。いずれ学者が議論して裁判で解決すればいいのかといったら、じゃ、何のための法律改正だとなるわけで、非常に問題がある。まあこの場で場当たり的に答弁しないで、また次回に聞きますから、またゆっくり、間違った答弁されてもまた後々ややこしいんでね。
 時間もないので、私、また一つ、債権譲渡禁止特約は、だから、あっても譲渡は有効だというふうにしちゃったんだけど、例外を一つ置いていますよね。預金債権は別にいいんだと。預金債権の場合には、債権譲渡禁止特約を有効としてというふうに規定がある。
 何で預金債権だけ債権譲渡禁止の特約を有効としちゃったんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 現行法の下では、譲渡制限特約が付された債権についての悪意、重過失の譲受人に対する譲渡のみが無効であるとされておりますが、改正法案においては、譲渡制限特約が付されていることを譲受人が知っていた場合でも債権の譲渡の効力が妨げられないこととしております。
 ただ、預金債権あるいは貯金債権につきましては、その金額が増減することが想定されているという特殊性があることや、極めて膨大な量の債権が存在することから、譲渡が有効とされますと、法律関係が複雑化して金融機関における対応が困難となるなどの大きな弊害を生じかねないところでございます。
 そこで、改正法案におきましては、譲渡制限特約が付された預金債権などが悪意又は重過失の譲受人などに譲渡された場合には、現行法と同様に、債務者は預金債権等に付されました譲渡制限特約を悪意又は重過失の譲受人等に対抗することができることとして、その特約に反する譲渡は無効となるものとしております。
 もっとも、現行法の下でも、判例は、譲渡制限特約が付されました債権を差し押さえた差押債権者に対して債務者が譲渡制限特約を対抗することはできないとしておりますことから、この判例に従いまして、この規定は、譲渡制限特約が付された預金債権等に対する強制執行した差押債権者に対しては適用しないという、そういう条項を設けておるところでございます。
○小川敏夫君 銀行預金がちゃんと、いわゆる約款ですか、この預金は譲渡できませんと大体もう書いてあるのはみんな知っているから、預金債権を譲渡すれば大体みんな悪意だと思いますよ。悪意というのは、知っているという意味でね。善悪の悪じゃなくて、知っているかどうかの悪意だと思いますけれどもね。だけど、差押えの場合はいいという。
 じゃ、債権譲渡だって同じじゃないですか。差押えだって、差押通知が来たら、その時点で残っている預金が、銀行は別管理にするだけですから。じゃ、債権譲渡だって、債権譲渡通知が来たら、通知が来たときにある預金債権をこれは別勘定のふうに分ければいいので、事務的には、何か局長が言う答弁ですと銀行が大混乱するようなことを言っていますけれども、私は別に大混乱しないと思いますよ。譲渡通知が来たらその分を別勘定の口座にしちゃえばいいわけですからね。
 私は余り今の御説明じゃ納得できないんですけれどもね。何か銀行だけ事務が煩雑にならないように助けてやろうみたいな、何かちょっと釈然としないところがあるんですけれどもね。
○政府参考人(小川秀樹君) 差押えの例外ということでございますが、差押えは基本的には、単純な債権譲渡と違いまして、これはもちろん裁判所に申立てをして、裁判所が債権を特定した上で、その上で差押えの命令を発するわけでございますから、いろいろな意味で単純な債権譲渡とは大分異なって、事務的にもある意味一定の配慮がされているといいますか、少なくとも金融機関側としても、もうそれはある意味やむを得ないものだということだと思います。
○小川敏夫君 いや、債権の特定は変わらないですよ。差押えだって、何々銀行の普通預金口座、何々銀行何々支店に開設の普通預金と、これで差押えしちゃうんですから。特定なんて全然、何月何日付けの幾ら、いついつ預けたとか、そんなこと関係ないですよ。差押えにおける被差押えの預金の特定は、誰々の何々銀行何々支店にある普通預金、あるいはもっと言う場合には全ての預金で、ただ、複数ある場合には、定期預金だ通常預金だ普通預金だとか、順番決めることはありますけれども、それだけですよ。要するに、何々支店の誰々の預金口座というのが差押えの口座の特定ですよ。債権譲渡だって、何々銀行の何々支店にある誰々の普通預金口座と。特定方法は全く同じですよ。
 もう何か知らないけど時間があと五分になっちゃったので。預金債権は駄目だと言うけれども、じゃ、生命保険金なんかの保険はどうなんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 条文にございますように、預貯金が例外でございまして、保険金の返戻金請求権などは対象ではございません。
○小川敏夫君 私、銀行預金なんてただの金銭債権だから、こんなのは譲渡認めたって何の弊害もないと思う、ただ銀行の事務が煩雑だってだけだと思うんですけどね。
 生命保険の場合、いいのかな。例えば、会社の経営者が従業員に生命保険掛けて、受取人は会社にしておいて、で、何か何人も殺しちゃったなんという事件がありましたよね。だから今は制限されている。会社が従業員の生命保険を掛ける場合には、特定の従業員じゃなくて全従業員一律に掛けるとか、あるいは受取人を会社じゃなくて従業員の遺族にするとか、そういうふうに制限されているわけですよ。
 じゃ、私が考えまして、私が悪い経営者になって、従業員に保険に入らせると。従業員にですよ、妻を受取人にして保険を入らせると。そして、その妻の保険金請求権、これ将来の債権ですけれども、妻が将来保険金を受け取る、受け取るべきその保険金請求権債権を譲り受けちゃう、そして従業員を殺しちゃう。そうしたら、保険金、いわゆる保険金もらえるんじゃないんですか。
 幾らこの生命保険金は譲渡できませんと書いてあったって、譲渡禁止特約があったって、それは法律上効力を有しないと、譲渡は有効だという話なんだからね。そうすると、生命保険の受取金だって、譲渡禁止の規定が入っていたって、それは規定が入っていたって譲渡は有効だという話になりますよね。そうすると、私が今言ったように、従業員が不法な意図で保険に入って保険金が会社の経営者に入っちゃうようなことがあるといけないからということで、今従業員に対する保険はかなり制限されているんですけどね。だけど、それを潜脱する意味で、従業員の妻が受取人とする保険に入らせて、その妻からその保険金請求権を譲渡を受けちゃったら、潜脱できると思うんですけどね。
 私は、銀行預金について例外を設けるよりも、この生命保険金の方がもっと例外付けた方がいいと思うんですが、私の考えについてどうですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほど申し上げましたが、預貯金が特例扱いを受けます大きな理由は、口座に金銭が振り込まれるたびに、口座内の既存の債権と振り込まれることによって成立した債権とが一体化して新たな債権が成立するといった、言わば当然に金銭債権の額が増減するといった特殊性があることですとか、極めて膨大な量の債権が存在するということを例外の大きな理由としているところでございます。
 保険金について恐らく同様の趣旨はなかなか考えにくい面もあるのかなとは思いますが、ただ、保険についてはやっぱりいろいろと約款ですとか特別法のルールなどもございますので、少し私どもとしても検討してみたいと思います。
○小川敏夫君 じゃ、次回までのお楽しみにさせていただきますけど。
 私は、この債権譲渡の改正規定読んで感じるのは、非常に中途半端なんですよ。要するに、譲渡禁止特約があったって有効だと言っちゃうんだったら、元々金銭債権なんだから、誰からもらおうと誰から払おうと金銭債権に違いはないんですよ。だったら、金銭債権については、債権譲渡禁止特約そのものがあったって無効だと言っちまえば簡単なんですよね。だけど、そこまで踏み込まないで、いや、基本的には債権譲渡は有効なんだけど、でも、その債権者を固定したいという債務者の立場も少しは考えなくちゃいけないなと。で、考えたんだけど、しかしそうした場合には今度は譲受人の立場も考えなきゃいけないなと。またごちゃごちゃいって非常に分かりにくくなっちゃった。
 さっき言ったように、この四百六十六条の四項の、受領遅滞の場合にどうするんだと言ったら、少なくともぱっと即答で解決できないような問題が生じちゃっているわけですよね。今まではすごく簡単だったんですよ、一つの条文しかなかったんだから。債権譲渡はできると、ただし、譲渡禁止は無効だけれども、善意の第三者には対抗できないということで、もう全て解決付いてたんです。今度はごちゃごちゃごちゃごちゃ、少なくとも私も法律家だと思っているけれども、ぱっと読んだって何を言っているのかよく分からないけど、よく読んでみたらそんな話で非常に分かりにくかった。
 私は、今回の改正は、まあ、もう時間が来ちゃったからやめますけれども、一つにこういう声があるんですよ。審議する議論、審議委員のメンバーが少し偏り過ぎているんじゃないかと。何か反対する意見や変わった意見を言うとどんどん排除されちゃって、何かお仲間グループばっかりが集まって、例えば瑕疵担保でいえば、法定責任説の学者はどんどん排除されちゃって契約責任説の学者が残っちゃっていると。何かそうやった仲よしクラブみたいな審議会で、どんどんどんどん改正ありきで議論が進んじゃったがために幅広い議論がなされていなかったんじゃないかという声があるんですよ。
 まあ、私は、そうは断定するかどうかの意見は別にしまして、この瑕疵担保にしろ、この債権譲渡の複雑怪奇な、こんな中途半端な、そして問題を残すような改正がされたのはそういうこともあるのかなというふうに思っておりますが、答弁は要りません。
 時間が終わりましたので、また今日の積み残しはまた次回にさせていただきます。よろしくお願いします。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 前回、六人の参考人の皆さんをお招きして質疑を行ったわけですけれども、与党が推薦をされた参考人も含めて、この改正案について不十分点、問題点というのが強く指摘をされたわけです。
 今日は、その中で特に議論が集中した一つのテーマである第三者保証についてお尋ねをしたいと思います。
 その参考人のお一人で、静岡大学の鳥畑参考人が冒頭このようにおっしゃいました。本法案は、以下、レジュメから直接読み上げますけれども、事業債務に対する第三者保証の原則禁止や保証人の負担能力を超えた保証責任の制限、いわゆる比例原則の見送りなど、依然として多くの課題が残されています。このことは、近年の担保、保証に過度に依存しない中小企業金融の政策的推進や金融実務の到達点、とりわけ第三者保証が原則禁止とされている現実に対して、民法という基本法が二、三周遅れるばかりか、逆方向への影響を与えてしまうのではないかと懸念するものですという厳しい指摘なんですが。
 大臣、こうした指摘にもかかわらず、本法案は、公正証書によって保証意思を確認すればこうした第三者保証あるいは負担能力を超えた保証責任を負わせるという、こういうことになっているんですけれども、公正証書によって保証意思を確認すれば必要かつ十分であると考えたのは一体なぜですか。
○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員の御指摘にお答えをいたします。
 個人保証に、もとい、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を締結する際に、保証意思というものを、保証人になろうとする者の意思を公証人が確認するということとした趣旨について、まずお答えしたいのですが、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約におきましては、その保証債務の額が多額になりがちであって、保証人の生活が破綻する例も相当数存在すると言われております。
 その理由としては、保証契約は個人的情義に基づいて行われることが多いということ、あるいは保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であるということもありまして、保証人の中にはそのリスクを十分に自覚をしないで安易に保証契約を締結してしまう者が少なくないことが指摘されておると考えられます。
 例えば、個人は保証人になれないこととするなど、保証人の負うリスクへの配慮が行き過ぎると、それによって中小企業がそもそも融資を受けにくくなるということを危惧する意見も中小企業団体を中心に有力に主張をされている、このように受け止めております。
 そのため、中小企業の資金調達に支障が生じないようにしながら、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するという観点から、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を全面的に禁止するのではなくて、このような保証契約については公的機関が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないものとして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とするのが相当であると考えられたと承知しております。そして、その確認を行う公的機関としては、十分な法律知識等を有し公正中立な立場から公正証書の作成等の業務を行う公証人がふさわしいと考えられたわけであります。
 以上を踏まえて、改正法案におきまして、事業のために負担をした貸金等債務を主債務とする保証契約につきましては、公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないものとしまして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とすることとした次第であります。
○仁比聡平君 私の問いにしっかりとお答えになっておられないんですけれども、今大臣が最後の辺りでおっしゃった公的機関によって保証意思を確認すると。公証人による公正証書と、これによって保証意思を確認することが、先ほど大臣が第三者保証の、第三者個人保証の問題点としておっしゃった情義性だとか安易さだとか、こうしたものを克服して、生活が破綻するようなことにならない、過酷な保証債務を負わせることにならないということなんでしょう。その一方での中小企業の資金調達とのバランス取るんだという御趣旨だと思いますけれども。
 ですから、その要点となる公証人の公正証書によるならば、そうした弊害を克服して中小企業の金融を円滑ならしめることができると判断したその理由は何かと、なぜ公証人ですかということなんです。
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、金融行政との兼ね合い、バランスがございますが、基本的には、民法の改正によって民事上の効果を生じさせる範囲ということになりますと、ある一定の契約について一定の条件を課した上でそうでない場合は無効とするという、そういう基本的な効果が考えられるわけでございます。
 その民事法のバランスとしますと、今回、公証人の意思確認手続を経ることとし、これは先ほど大臣の答弁にもありましたように、公正中立な公的機関でございますので、そこがきっちりと意思確認をした上であれば第三者保証においても有効性を認めようと。仮にそれがなければ手続的に違反があるわけですので、契約自体を無効とすると、こういうバランスを取ったというのが今回の趣旨でございます。これによって中小企業の資金調達に支障が生じさせないようにするという趣旨も、当然のことながらございます。
○仁比聡平君 この公正証書による意思確認が、仮にその要件を満たしていない場合には無効とするのであるという、この効力の問題、効果の問題、これはすごく大事な問題ですから後ほど議論しますけれども、前提として、公証人が公正中立であってきっちり意思確認をするのだという答弁が今民事局長からあったわけです。
 大臣の先ほどの御答弁もその趣旨だったと思うんですが、そこで大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、前回の参考人質疑で、特に辰巳参考人から厳しく指摘もありましたけれども、その公証人が作った公正証書が極めて手続上もあるいは実体法に照らしても不当であって、その不当に作られた公正証書が不当な強制執行に使われ大問題になったということが数々あるわけですね。これ、大臣、御存じですか。
○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。
 かつて、貸金業者によります執行認諾文言付きの公正証書の作成によりまして保証人に被害が生じる事例が問題となったものとしましては、平成十六年頃に起きましたいわゆる商工ローンによります公正証書の無断作成問題があるものと承知をいたしております。ここでは、例えば本人に無断で作成された委任状が利用され、本人が知らない間に執行認諾文言付きの公正証書が作成されるといった濫用事例があったと指摘されていたものと承知をいたしております。
○仁比聡平君 いや、承知をいたしておりますって、私が確かに知っていますかと聞きましたからその御答弁なんでしょうけど、承知をいたしておりますで済みますか。
 一体、法務省はその濫用事例と、大問題ということに対してどういう対応を取りましたか。
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま御指摘ありましたように、平成十六年頃に起きたいわゆる商工ローンによります公正証書の無断作成問題においては、本人に無断で作成された委任状が利用されて、本人が知らない間に執行認諾文言付きの公正証書が作成されるといった濫用事例が指摘されておりました。執行認諾文言が付されました保証契約の公正証書は、本人自らが公証人に対して発言をする必要などもございませんので、これは必ずしも本人が公証役場に出頭する必要がなく、代理人による嘱託であっても作成することができる、このことからこのような問題が生じたものでございます。これは、カーボンコピーを利用しまして委任状を無断で作成したというのがその手法でございます。
 法務省といたしましては、この問題については、公証人法施行規則の改正を行いまして、代理人の嘱託により公正証書が作成された場合には公正証書作成の事実を書面により本人に通知しなければならないこととし、また、執行認諾文言が付されている場合にはその意味を通知しなければならない、これは非常に分かりやすく、こういうことがあると強制執行がされますよという書面を一緒に添付して通知するということにいたしまして、対策を講じているところでございます。
○仁比聡平君 大臣、今のような、公証人法施行規則の第十三条の二というのがその時点で置かれたわけですけど、これ置いて通知をしたとしましょう。この通知が届かないといいますか、つまり読むところまで行かないとか読んでも意味が分からないとか、そういうことがよくあるんですけどね、社会的弱者は。それはちょっとおいておくとしてもですよ、これ通知したら、そうしたらその保証被害というのは防げるわけですか、それで。根絶できるんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、いろいろな手法をまた編み出す、考えるということはこれは否定できませんので、根絶できるかといいますと、こういうことによって代理嘱託によって濫用的に行われたことについての防止は可能だと思いますが、あらゆる意味での消費者被害を根絶できるかというと、その点についてはまだ検討すべき課題はあるかもしれません。
○仁比聡平君 いや、代理嘱託によっての作成の被害を、濫用を防止できるというふうにおっしゃるけれども、そのためには、実際に作成されてしまった執行認諾付きの公正証書が、これが効力がないんであるということを裁判ではっきりさせなきゃいけなくなるんじゃないですか、大臣。
○政府参考人(小川秀樹君) 確かに、一度債務名義として作成されていますので、その効力を排除する必要が、きっちりと裁判で確定するということであれば必要が出てこようかと思います。
○仁比聡平君 いや、その裁判が大変なんですよ。何しろ公正証書作られているわけでしょう。濫用とはいえ、あるいは偽造かもしれないけれども、委任状があるわけでしょう。
 大臣も財務省などでいろいろ御経験もありますけれども、実印と印鑑証明というのがそろっていれば、これ本人の意思によって作成されたものだというふうに、本当に大変な証明、反証を強いてきたのが日本の民事事件あるいは裁判所の運用ですからね。だから、公正証書が執行認諾文言付きで作成されてしまえば、これは、前回参考人質疑で、公正証書を巻くとか、それを使って追い込むとかいう表現もありましたけれども、これは債務者に対する不当な請求のとても強力な武器にされてしまうわけですよ。
 冒頭、大臣が、公証人役場にも行ったことがなく、本人の意思に基づかずに作られた例をおっしゃいました。それ実際、本人は公証人役場に行ったこともない、貸金業者から公正証書を作成すると説明されたこともない、ところが、突然公正証書による差押えを受けるわけですね。そうした濫用以外にもあるんですよ。実際には、利息制限法で計算をすればとうの昔に払い過ぎになっている、いわゆる過払いになっていると。だから、実体法上は債権は存在しないという状態になっているのに、とうの昔に払い終わっているはずなのに、公証人によるそうした公正証書があるからというので、裁判所の執行官を連れてきて家財道具の差押えをするとか、給料が突然差し押さえられるとか、それが会社中に知れ渡ってもう会社にいられなくなるとか、そういう強い効力を持っているわけですよね。
 私も数々経験がありますけれども、その当時、大臣がおっしゃった二〇〇〇年代の初めの時期ですけれども、この時期は約定金利、これはもう一〇〇%を超えるという異常な高金利の貸金業者が横行していました。貸金業法とそして出資法、これを改正することによってそうした貸金業ができなくなってくるというふうにしたわけですけれども、当時は、そうしたとんでもない高金利を債務者に払わせるために、暴力的な取立て、過剰貸付け、どんどん行ってきた業者が、こともあろうか公正証書を取るわけですよ。公正証書を巻いて、そこには貸金業規制法の範囲内の利息が書いてある。これをもって家財道具を差し押さえる、給料を差し押さえる。そのことによって、その公正証書に書いてある金利をはるかに超える、一〇〇%を超えるような、そうした金利を払わせるわけですよ。そこに保証人が被害に巻き込まれていくわけですよ。
 ちょっと一応確認しますけれども、執行認諾文言付きの公正証書が存在すれば、私が今申し上げたような給料や家財道具、そうした差押え、これは可能になりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 可能になります。
○仁比聡平君 主債務だけではなくて保証債務についてもそうした公正証書があれば、保証人も突然そういう差押えに襲われるということになりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証契約について執行認諾文言付きの公正証書が作成されているということであれば、おっしゃるとおりだと思います。
○仁比聡平君 公正証書というのはそういう恐ろしいものなんですよ。だから、法制審でも、与党推薦でこの間参考人、おいでになった山野目教授が、そうした執行認諾文言付きの公正証書を今回の改正案が誘発するのではないか、この法案が執行認諾文言付きの公正証書を誘発するのではないかという疑問が出ていることについて、特にテークノートしておられるくだりもあるわけですね。
 この公証人が、そうしたら、改正案に基づいて、民事局長のおっしゃったきっちり意思を確認するというのをどうやってやっていくのか。
 そこを改めて尋ねたいと思うんですけれども、改正案の条文では、四百六十五条の六ですが、一項で、公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければその効力を生じないとした上で、二項に、「前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。」として、一号、「保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。」という文言になっております。この口授された口述を、二号では、公証人が筆記し、読み聞かせ、閲覧させるなどという手続に進むことになっているわけですが、大臣、この口授というのは一体何ですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 口頭で述べることでございます。口頭で述べて、それを公証人の方に明らかにしていくことでございます。
○仁比聡平君 いや、口頭で述べることというぐらいのことで私が今問題提起をしているような意思確認が本当にできますか。
 例えば、保証契約に関して、そのイというのがありますけれども、主たる債務の債権者、債務者はもちろんのこと、元本やその主債務に関する利息や違約金、損害賠償その他の債務に従たる全てのものの定めの有無などなどという、保証債務を構成する全ての要素について保証人は口授するということになるわけでしょう。先ほど真山議員がお尋ねになっておられましたけれども、その中で口ごもったり、法律のそれこそ専門家から見ると、オウム返しに記憶で覚えたとおりに述べているだけで、意味は分かっていないのではないかというようなことを感じさせられることだってあると思うんですよね。
 その口授というのは、口授を受ける公証人というのは、その保証人になろうとする者がどんな意思を持っているのか、どんな認識に立っているのかをどうする義務があるということなんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 口授すべき、法律上口授すべき事項はまさに四百六十五条の六以降に書かれているとおりでございますが、これを口授させる趣旨は、保証人自身による口授を通じてその保証意思が強固なものであることを確認しようとするところにございます。
 なお、公証人は、保証意思の確認に際して、保証人になろうとする者が保証しようとしている主債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば、保証人は保証債務を負担し、主債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解しているかなど、これを検証いたしまして、保証契約のリスクを十分に理解した上で保証人になろうとする者が相当の考慮をして保証契約を締結しようとしているか否かも見極めることが予定されております。
 もう少し具体的に申し上げますと、ここで言う保証契約のリスクとは、単に保証契約の法的な意味といったものではなく、その契約を締結しようとしている保証人自身が当該保証債務を負うことによりまして直面し得る具体的な不利益を意味しております。公証人は、保証人になろうとする者がこのリスクを十分理解しているかどうかについて見極める必要がございます。
 例えば、その保証債務を履行できなければ、住居用の不動産に対して強制執行されて生活の本拠を失ったり、給与を差し押さえられて生活の維持が困難になったり、預金を差し押さえられて当座の生活にも困窮することがあり得ること、こういったことを現に認識しているのかなどを確認し、その保証契約のリスクを十分に理解しているのかを見極めることが要請されるものというふうに考えております。
 このように公証人は、法律上口授することが必要な事項にとどまらず、保証契約のリスクを十分に理解しているのかを見極めるために必要な事項について確認をしていくことになるというふうに考えております。
○仁比聡平君 いや、そのリスクを理解してもらうというふうにおっしゃるんだけれども、直面し得る具体的な不利益という今の局長の言葉を引けば、どのような不利益に直面し得るかというのは、その主債務者の事業の状況などによって個別、極めて具体的なんですよね。公証人は、それは法律の専門家かもしれないが、けれども、当該事業の行方については何にも全く知らないわけじゃないですか。
 その下で、前回でしたか、資力や、主債務者のですね、主債務者の資力や事業の見通しも含めてリスクを理解してもらう、それによって安易な保証を防止するというような御答弁があったんですけれども、その事業について全く知らない公証人が、保証人になろうとする者のそうしたリスクというのを本当に理解しているかを確かめることなんてできるんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証人になろうとする者が、今申し上げましたように、リスクを理解しているのかを確認するに当たりましては、保証人になろうとする者が主債務者の経済状況などについて認識しているのかを確認することも重要でございます。
 改正法案においては、保証人になることのリスクを判断するために必要な情報を提供させるという趣旨で、主債務者は、事業のために負担する債務を主債務とする保証等の委託をするときは、委託をする者に対し、主債務者の財産及び収支の状況等に関する情報を提供しなければならないとの義務、情報提供の義務を設けることとしております。
 公証人が主債務者の資力等の情報を個人的に知っていることは、これ実際上はあり得ないと考えられますが、保証意思を確認する際には、情報提供義務に基づいてどのような情報の提供を受けたかも確認し、保証人になろうとする者がその情報も踏まえてリスクを十分に認識しているかを見極めることになるものと考えております。
○仁比聡平君 本当にそんなふうになるのかということが重要な問題だと思うんですけれども、そうした、今そうおっしゃる以上は、この改正案が成立すれば公証人にそのような義務を負わせていくんだという御趣旨なんだと思いますが、それは何らかに明記をするということになっていくのか。それから、先ほどの確認になりますけれども、そうした、言わば公証人の行為義務あるいは義務に反して作成された保証意思宣明証書や、それに基づいて作成された保証債務のとりわけ執行認諾文言付きの公正証書、この効力というのは、これは無効になるということですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども申し上げましたが、基本的には、公証人法と公証人法施行規則において一定の説明義務は設けられております。その上で、今回の、先ほど申し上げましたリスクの確認につきましては、通達によって公証人に周知を図り、通達に従った公証事務が行われるように監督してまいりたいというふうに考えております。
 仮にそういったものに違反するということになりますと、これは、法令に違反する場合、あるいは規則に違反するというような場合になりますと、これは無効、公正証書自体は無効ということになるというふうに考えております。
○仁比聡平君 しっかり議論を尽くしていかなきゃいけないと思います。今の答弁をよく議事録で確認して吟味をしたいと思うんです。
 ちょっと残る時間が短くなってきまして、たくさん通告をしていたんですが、金融庁に一問お尋ねをしたいと思うんですが。
 前回、鳥畑参考人が紹介をされた中小企業家同友会全国協議会の、これは昨年の六月に私ども国会議員に寄せられた要望書ですけれども、「円滑な資金供給と「経営者保証に関するガイドライン」の活用を」という項目で、中小企業憲章、二〇一〇年六月の閣議決定には、金融供与に当たっては、中小企業の知的資産を始め事業力や経営者の資質を重視し、不動産担保や保証人への依存を減らすと明記されている、個人保証に過度に依存しない金融制度の確立は、円滑な創業や事業承継、事業の拡大を進め、地域経済の振興を図る上で不可欠であるという要望の趣旨なんですけれども、これは私そのとおりだと思うわけです。
 前回、鳥畑参考人が数々、情義性やあるいは軽率性、無償性、利他性、そうした指摘をされた前近代的な融資慣行というのは、これはもう廃していかなきゃいけないと。貸す側がしっかり目利きもする、そして、情義的な、端的には配偶者なんというのはそうですけれども、そうした保証に頼るのではなくて、これきちんと中小企業金融を動かしていかなきゃいけないと、そういう趣旨だと思うんですけれども、金融庁もそうした取組をしておられるということでよろしいですか。
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 金融庁といたしましては、金融機関が担保、保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して、企業価値の向上に資するアドバイスあるいはファイナンスを行っていくということが重要であるというふうに考えております。このため、例えば個人保証につきましても、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立でありますとか、経営者保証ガイドラインの融資慣行としての定着ということを金融機関に促しているところでございます。
 今後とも引き続き、個人保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業内容、成長可能性を適切に評価した融資を行うよう金融機関に鋭意取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。
○仁比聡平君 時間が参りましたので、あとの議論は次に回したいと思います。ありがとうございました。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日、まず最初に、テロ等準備罪のことについて、まあ御報告というか、させていただきたいと思います。
 我々、テロ等準備罪につきましては、基本的に必要性は感じるところはあるものの、やはりこのままでは大変心配な部分、そしてまた、このままでは捜査がなかなか進まないんじゃないかとか、そういったところもあって、五項目につきまして提案をさせていただきました。
 前回もお話しさせていただきましたように、一つは取調べの可視化、これはもう全体で二・八%しかないということで、やっぱり取調べの可視化をしていかなければなりませんよというところですね。そしてまた、二点目につきましては、弁護士の付与及び取調べの立会いについてということであります。三点目はGPS、テロ等準備罪に関わる事件の捜査に当たってはGPS捜査を用いることがあるべきということで言わせていただきました。そして四点目には通信傍受、通信傍受法の対象犯罪に関わる別表に、テロ等準備罪の本犯のうちのテロの実行に関する一定の犯罪を加えることということと、そして最後、五点目に親告罪について規定するということの五項目を提案をさせていただきました。
 与党側と修正協議をさせていただきまして、先週かなり修正協議を行っていただきまして、ある一定、修正をしていただけるということになりまして、我々としてもまあそれではということで応じたということになりました。
 修正された点につきましては、もう報道等でも出ておりますけれども、本則のところに、親告罪である犯罪に関わるテロ等準備罪が親告罪である旨の明記をするという点、そして、取調べの可視化については、被疑者の取調べその他の捜査の適正確保に関する配慮義務の追加というところですね、取調べその他の捜査を行うに当たってその適正の確保に十分配慮しなければならない旨の規定を追加していただきました。
 それからまた、検討規定の追加ということで、これは附則の方ではありますが、附則に、録音・録画等に関する制度の在り方について検討を行うに当たっては、新組織的犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の規定の適用状況並びにテロ準備罪に係る事件の捜査及び公判の状況等を踏まえ、特に、当該罪に係る事件における証拠の収集の方法として被疑者の取調べが重要な意義を有するとの指摘があることにも留意して、可及的速やかに、当該罪に係る事件に関する当該制度の在り方について検討を加えることと。そしてGPSにつきましても、全地球測位システムの係る方法を用いた捜査を行うための制度の在り方ということで、これも法律の施行後速やかに、当該方法を用いた捜査を行うための制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることということで入れていただきました。
 また、附帯決議にも、可視化についての内容については、取調べ等の録音・録画を、テロを含む組織的に行われる重大犯罪の未然防止の必要性、組織犯罪の背景を含む事案の真相解明への影響等にも留意しつつ、できる限り行い、努めることということで、三つの、本則、附則、附帯決議というところで修正協議が調って合意したということでございます。
 感想としては、ここまで修正協議が進むとは正直思っておりませんでしたが、進んだ以上、我々としても一定評価をさせていただくということでございます。
 今日は、民法についての質疑をさせていただきますので、民法についての質疑に入らせていただきます。
 この間、公証人のことについて質問をさせていただいておりました。それは、保証人のところについての今回の民法の改正によって、ある部分について公証人の役割というのがまた重要になってきますので、公証人のことについて質問をさせていただきました。
 今日、皆様にお示しをさせております公証人制度の概要というところで、一枚資料を配付をさせていただいております。公証人の数というのは全部で四百九十六人、その四百九十六人のうち前職が裁判所の職員又は法務省の職員であった者というのは四百九十三人ということで、ほとんどの方が裁判所の職員又は法務省の職員であった方ということになるわけですね。ということは、言ってみれば裁判所の職員と法務省の職員の方々の、いい言葉を使えば再就職先、悪い言葉を使えば天下り先ということになるんだろうと思います。平均年齢は、ですから六十四歳という非常に、高齢とまではいきませんが、六十歳以上の方々が多い職場ということになるわけですね。
 この公証役場については、公的機関ですか、民間的機関ですかというふうに聞きますと、公的機関でありますと。公証人については、公務員ですか、民間人ですかとお聞きすると、これは公務員ですよという御答弁であります。であるならば、収入の状況についてもきちんと把握すべきじゃないですかというふうな議論をさせていただいたわけでありますけれども、今回の法案では、第三者保証の公証人による意思確認手続として、保証意思宣明公正証書という文書の作成がこれは原則になって必要となるわけですけれども、これは前にも質疑でもありましたが、この作成に掛かる手数料、幾らを予定しているのか、まず確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 保証意思宣明公正証書の手数料は、目的の価額が算定不能な法律行為に係る公正証書と同様に扱いまして、一律で一万一千円とすることを予定しております。
○東徹君 この政令で定められた手数料についてでありますけれども、以前の委員会では、事務の内容あるいは当事者の受ける利益を基礎として算定しているというふうな御答弁でありました。それはどのように金銭として計算しているのか、又はどのような場合に手数料が変更されるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 公証人の手数料については、公証人が国から給与を受ける者ではなく、嘱託人から受ける手数料等のみを収入としていることを踏まえつつ、事務の内容ですとか当事者の受ける利益を基礎として、物価の状況あるいは一般公務員の給与事情なども考慮して政令、公証人手数料令と申しますが、政令で定めております。
 具体的に公正証書で申しますと、例えば法律行為その他の私権に関して作成する公正証書の手数料につきましては、当該法律行為、対象となります法律行為の目的の価額、これが当事者の受ける利益ということでございまして、その受ける利益分に相当するものとして一定の区分、金額、目的の価額の金額に応じた手数料ということを定めております。
 変更についてですが、公証人の手数料の見直しが必要となる場合には、法改正によりまして事務の内容に変更が生じた場合のほか、物価や一般公務員の給与事情に大きな変動が生じた場合などが変更される場合として考えられると思います。
○東徹君 確かに、物価が大きく変動していけばそういったことも考える必要性もあるのかなというふうに思うんですけれども、大変気になる点は、公務員の人件費が変動した場合にその公証人の方の人件費も変動するというところについてなんですけれども、これなぜ、手数料の変更についてなんですけれども、人事院勧告受けた公務員人件費の変動に合わせてこの手数料額が変動されるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほど申し上げましたように、一般公務員の給与事情のほか、もちろん物価水準なども考慮要素とするわけではございますが、公証人の手数料の設定においては、公証人が法務大臣の任命する実質的な国家公務員であることも踏まえまして、一般公務員の給与事情も考慮要素の一つとしております。
 もっとも、公証人の手数料は公証人が嘱託人から受ける手数料等のみを収入としていることも踏まえつつ、先ほども申し上げましたが、事務の内容や当事者の受ける利益を基礎として、広く物価の状況などをも総合的に考慮して定められているところでございます。
 したがいまして、一般公務員の給与事情に合わせて直ちに手数料額が変動するという性質のものではございません。
○東徹君 確かにすぐに変動していたらもうしょっちゅう改定しないといけないわけで、それはなかなか実質上難しいんだろうというふうには思いますけれども、非常に不思議なのは、個人事業主だというふうな扱いですというふうな今まで説明がありました。
 個人事業主というふうな扱いで手数料収入だけですよということなんですけれども、一方では、公務員の人件費が変動していけばこの手数料というものも変動していきますよという、要するに、公務員だというふうにおっしゃっていますから公務員なわけでありまして、公務員だから公務員給与に合わせた形でこの手数料も変えていっているんだろうなというところは一定あるということですね。
 四月二十五日の委員会でも質問させていただきましたが、その際、大臣は、手数料につきましては、事務の内容あるいは当事者の受ける利益を基礎として算定しておりまして、公証人の負担するコストに基づく経費精算方式を採用していないという答弁でありましたけれども、こういうことになりますと、経費精算方式を取らずに手数料水準が妥当なものであるか、費用対効果がどの程度か、利用者である国民に対してこれは説明できないと思うんですね。国民が負担することになるこの手数料ですけれども、コストを反映したものに改める必要があるのではないかというふうに考えますが、公証人の負担するコストを把握すべきというふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 東委員からのただいまの御指摘にお答えをいたします。
 四月二十五日にもお答えを申し上げているんですけれども、公証人の手数料につきましては、公証人が嘱託人から受ける手数料等のみを収入としておりますことを踏まえながら、事務の内容や当事者の受ける利益を基礎として算定されておりまして、公証人の負担するコストに基づく経費積算方式を採用しているわけではございません。ただいま御指摘のあったとおりであります。
 これは、公証人が弁護士や司法書士といった他の法律の専門職種と同様に経営においては個人事業主としての性格を有していることから、国が公証人の負担するコストを把握する立場にないと考えられるためでございます。
 いずれにしましても、公証人の手数料を提供される公証サービスに見合った適正なものとすることは重要であって、今後とも不断に見直しの要否について検討してまいりたいと、このように考えている次第であります。
○東徹君 公証人においては、個人事業主、手数料のみの収入だということでありますけれども、これは非常におかしいなと思うんですね。公証役場というのは法務省の出先機関でありますから、公的機関なわけでありますよね。そこに公証人がおって、そこで仕事をするわけですから、完全個人事業主とは違うんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
 平成二十八年度の公募の数でありますけれども、百十二人なんですね。応募数は六十六人なんです。公募数を下回っておって、検事や判事はほぼ全員が任命されているにもかかわらず、司法書士の任命数はゼロなんですね。法務省の職員からは、公募数について、目安であって実際に埋めなければならないものではないというふうな説明をしておるわけですけれども、このような扱いだと、これは公募数って意味があるのかなというふうに思うんですね。
 これ、そもそもやっぱり公募数って一体何なのかなと思うわけです。前回もお話をさせていただきましたように、司法書士さんは二十一人が、五年間でですけれども、二十一人手を挙げて実際に司法書士さんで採用されたのは、たった一名しか採用されなかったわけですね。定員がすごく空いているにもかかわらず、司法書士さんが手挙げたけれども、五年間で二十一人も手挙げたけれども、その間一人しか採用されなかったという状況になっておるわけですね。
 そういった状況から考えていくと、もうこの定員の数自体も一体どうなのかというふうに思うわけですけれども、そういう考え方でいくと、むしろ公証人の数が増えていくと、言ってみれば、この公証人、法務省、裁判所のOBの方々の収入というものが減ってくるんじゃないのかと、そういったところで、ある程度給与調整をしているんではないかというふうに思うわけですけれども、その点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、公証人制度あるいは手数料制について少し御説明しておきたいと思うんですが、公証人制度はヨーロッパにおきまして中世以来発達してきたものでございます。公証人は、国等に任命される実質的な公務員としての側面を有する一方で、公証事務により法的安定の利益を享受する嘱託人から手数料を受け取ってその収入とすることが、これは比較法的にも通例と言えると思います。例えばフランスやドイツなどもそうですし、イギリス、それからアメリカも、もちろん州はございますが、基本的にはそういう取扱いだというふうに理解しております。諸外国でも、公証人は国や州などの公的機関によって任命されるが、個人事業主として活動し、国等から給与を受けることなく嘱託人から手数料を得るのが一般的であるというふうに理解されております。
 我が国の制度も、明治時代にフランス法などを参考にして公証人制度を導入して以来、一貫して手数料制を採用しているというのが状況でございます。公証人の手数料につきましては、公証人が嘱託人から受ける手数料等のみを収入としていることを踏まえつつ、事務の内容や当事者の受ける利益を基礎として算定しているところでございます。
 他方、公証人の任用においては、平成十四年から公募制を採用しておりまして、弁護士や司法書士等の民間法律実務家を含めて広く募集を行い、応募のあった者の中から適任者を任命しているのでございまして、公証人の手数料制などが法務省、裁判所のOBの生活保障を主たる目的としているというような趣旨の御指摘は当たらないものというふうに考えております。
○東徹君 私、そこまでは言っていないんですけれども。それと、この手数料収入でもってやっていくということが駄目ですよと言っているわけでもございません。
 私がこれ非常に問題だと、今回のことを聞いていて問題だという点は、これ、たとえ個人事業主であっても決算報告書というのは作りますよ。それはまあいろんなことに経費が掛かる、人件費がこうですよとか掛かりますよ。
 これ、公証役場は、その公証役場ごとに決算書ってあるんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) いわゆる決算書という形では持っておりません。
○東徹君 じゃ、公証役場で、じゃ手数料収入が幾ら入って、そして賃料が幾らで、そしてまたコピー機のリース料とか幾らと、そういう掛かる経費、こういったものをきちっと書面でもって出しているということはないわけですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 手数料収入は、もちろん政令で定められたものでございますので、これは最終的に集計されるように提出されております。
 ただ、経費そのものにつきましては、先ほど来申し上げていますように個人事業主としての扱いですので、そういったものについて提出させる立場ではございません。
○東徹君 だから、それだと結局、個人のこれ手数料収入が本当に一体どうなのかとか、そしてこれ、先ほど言いました物価の変動とか、それからまた公務員の給与でもって変えていくとか、そういった話もありましたけれども、じゃ、一体公証役場でどれぐらいの経費が掛かっているのかとか、そういった実態をきちっとやっぱり把握してやっていくべきだというふうに考えるわけですけれども。
 金田大臣、やっぱり公的機関なわけですから、公的機関、公的機関なわけですから、そして公務員扱いなわけですから、公務員なわけですから、それは公証役場ごとにそういったことの採算がどうなっているのかとか、そういったことのやっぱりきちっとした、を明確にするべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) それではお答えいたします。
 先ほど来申し上げていますように、基本的な手数料の考え方がまずは経費積算方式ではございません。これは比較法的に見ましても、先ほど申し上げましたように独立採算の仕組みとして取っているところがございますので、その意味では経営においては個人事業主としての性格を有しておりまして、国が公証人の負担するコストを把握する立場にはないというふうに考えております。
 ただ、公証人の手数料を、提供される公証サービスに見合った適正なものとすることは重要でございますので、手数料の価格などについての見直しの要否については適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○東徹君 ですから、そうだと、何で手数料を変えていくのかという説明がなかなか付かないんじゃないかなと思うんですね。物価が上がる、公務員の人件費が上がる。でも、じゃ実際に、じゃ、それに見合っていない収入がもらっているのかどうかというのは非常にやっぱり分かりにくいですし、これ繰り返しになりますが、これは公募の在り方も、これももうほとんどが法曹有資格者で、検事、判事、それと裁判所の方々のOB、それから法務省の職員の方々のOBがほとんどが公証人になっている。四百九十六人中四百九十三人までがOBですからね。たった三人だけが違う方、三人、司法書士さんの方、そうなっているわけですね。その公募に司法書士さんが応募してもなかなかなれない。
 これはもう、この公証人というのはそういった裁判所と法務省のOBの方々がなる再就職先だから、自分たちは手挙げてもなれないんだなというのがやっぱり定着しているというふうに思うんですね。だから、ここをきちっとやっぱり改正すべきというふうに思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 公募については、もちろん広く開いているわけでございまして、元々平成十四年からスタートしたものでございますが、以前申し上げたかと思いますが、平成二十年頃から徐々に徐々に応募の数が増えてきております。二十二、三年頃は毎年一人ずつぐらいの採用があるような時期もございました。その意味では、制度としてはもちろんオープンにしているわけでございますので、引き続き、私どもとして周知の徹底を図り、適切な人材を得られるようにしていきたいというふうに考えております。
○東徹君 応募数増えてきていると言いますけれども、そんな大して言うほど増えてきているんですかねというふうに思うんですね。
 例えば、司法書士の方にいえば、平成二十四年度は三人の方が手挙げたけれども、二十八年の方はたった五人しか手挙げていないわけで、これは増えているとはやっぱり決して言えない数字だというふうに思います。検事、判事の方々も、言ってみれば、検事の方だと逆に減ってきていますよね。平成二十四年では三十人手挙げたけれども、平成二十八年では十八人まで下がってきています。ですから、決して増えてきているという状況ではないというふうに思いますね。
 非常に、やっぱり、適正にちゃんと公募していると言いますけれども、面接しているのは誰が面接するんですか。裁判所のOBの方々、法務省のOBの方々、面接は誰がするんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 法曹有資格者の採用につきましては、法務省の幹部職員でございます。
○東徹君 ですから、やっぱり現役の方が先輩を面接するという形になるわけですから、これはもう適切なこれがやり方なのかなというふうに思いますし、もうちょっと門戸を開いたような形でやっぱりやるべきだというふうに考えますし、また公正な形で是非やっていくべきだというふうに考えます。
 ちょっと余り時間がなくなってきましたので、ちょっとだけほかのことについて質問させていただきたいと思うわけですけれども、暴利行為についてでありますけれども、これ、前回参考人質疑でも、今回の法改正に関し、高齢者、若年層の無知や未経験に付け込む被害が多くなっていると、いわゆる暴利行為に関する規定の新設が見送られたのが残念という意見が参考人から出されておりました。
 高齢化の進む我が国において、特に高齢化トラブルに巻き込まれないようにするために暴利行為の規定が有効であると考えられますが、なぜ暴利行為に関する規定の新設というのが今回見送られたのか、この理由だけお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 暴利行為とは、一般に他人の窮迫、無経験などに乗じて著しく過当な利益を得ることを目的とするような行為をいうものと言われておりまして、こういった行為につきましては公序良俗に反するものとして現行法の九十条により無効であると判断した判例がございます。
 もっとも、このような意味での暴利行為が公序良俗違反として民法九十条により無効であるとの結論を導くことは、九十条の文言そのものからは必ずしも容易ではないため、法制審議会では、予測可能性を確保するために、先ほど申し上げました判例などを参考にして、暴利行為を無効とする明文の規定を設けることが検討されました。しかし、何をもって暴利行為というか抽象的な要件で規定いたしますと取引への萎縮効果が生ずるとして、経済団体を中心に、明文の規定を設けることに反対する意見がございました。
 また、最近の下級審裁判例では、暴利行為として無効となる範囲がむしろ広がりつつあるとの見方もございました。すなわち、最近の下級審裁判例を分析し、契約を無効とするかどうかの判断に当たっては、利益の絶対的な大きさだけでなく、相手方がそのような負担を課せられる理由の存否のほか、相手方の財産状態、さらには主観的態様なども考慮しているとして、著しく過当な利益という要件ではなくて、不当な利益という要件とする方がより適切であるという指摘もございました。
 このように、無効とされるべき暴利行為の内容が確立しているとは言い難いというのが現状でございまして、このような近時の裁判例をも踏まえて、その要件を適切に設定することは困難であり、必ずしも予測可能性を確保するという目的を達することはできない上、現時点で一定の要件を設定することで将来の議論の発展を阻害しかねないとも考えられました。
 そこで、法制審議会での議論の状況を踏まえまして、暴利行為に関する規定を設けることとはせず、引き続き、個別の事案に応じて現行法九十条の解釈に委ねることとしたものでございます。
○東徹君 公序良俗という言葉自体が大変抽象的な内容だというふうに思っておりまして、是非この暴利行為は検討していくべきと考えます。
 時間が来ておりますので、これにて終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(秋野公造君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします
 休憩前に引き続き、民法の一部を改正する法律案及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○中泉松司君 自由民主党の中泉松司でございます。本日は、質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
 この民法の改正案、債権法の議論に関しては私初めての質問ということで、午前中も熱心に皆さんから御議論がありましたけれども、付いていけるように、私なりに思うところを確認させていただければなというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 質問に入ります前に、私も、先日の参考人質疑、大変勉強になりました。午前、午後ということで合わせて六名の方にいろいろな御意見をいただきましたけれども、午前中の山野目参考人、辰巳参考人、山本参考人、そして午後の高須参考人、鳥畑参考人、山田参考人ですか、そのうちの山野目参考人と高須参考人は法制審議会の専門部会の幹事もお務めになられたということで、自身の経験に即していろんな御意見をいただけたなというふうに思っております。
 総じて午前中の審議では問題点がたくさん指摘されたというような指摘もありましたけれども、皆さん冒頭におっしゃっていたのは、基本的にはこの今回の民法改正には賛成であると。ただ、お話を伺うと、賛成だけれども、実現がかなわなかった部分、課題として積み残しになっている部分と言っていいのかもしれませんけれども、そういった部分がまだまだあるということでありましたので、そこの至るまでの審議会での議論の経緯であったり、皆さんがそれぞれの分野で関わっておられる中で感じておられることというものを率直に言っていただいた、すばらしい御意見を伺えたなというふうに振り返っております。
 そこで、いわゆる積み残しの課題になった部分というのが、午前中も出ておりますけれども、個人の保証の問題であったり、あとは暴利行為の問題であったりというところが主だったとは思いますけれども、そういった質疑を受けて、私なりに確認をさせていただければと思います。
 個人保証の在り方についてもお伺いをしたいと思っておりますけれども、その前に、この改正法の周知の期間、三年間、周知というか、施行までの期間を三年間というふうに設けられておりますけれども、この法律が採決をされて実現をしたときに、そこから三年ということになりますけれども、まだ採決もしていないのにそういう話をという声もあるかもしれませんが、大事なことであると思いますので、それらについてちょっと確認をさせていただければというふうに思っております。
 今回は、以前からずっと出ておりますとおり、百二十年を超える期間を経ての大改正というふうになったこの法律でありますけれども、明治以来ずっと通用してきたルールというものが大きく変わるということは非常に大きい影響があると思います。今まで判例の積み重ねによってやってきた部分、明文化されていなかった部分というのはもちろんありますけれども、それ以外にもルールが大きく変わる部分というのはありまして、国民に対してしっかりと丁寧に説明をしていく必要があると考えております。
 いろんな方法が考えられると思いますけれども、国民に対する説明、制度の周知といったものをどのように考えておられるのか、具体的にお聞かせいただければと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 改正法案は、民法のうち債権関係の諸規定を全般的に見直すものでありまして、国民の日常生活や経済活動に広く影響を与えるものでございますので、法律として成立した後はその見直しの内容を国民に対して十分に周知する必要があると考えております。
 具体的な周知の方法につきましては、国会における審議の結果や各種関係団体などを含めた国民からの意見も踏まえつつ今後検討していくということにはなりますが、例えば全国各地での説明会の開催ですとか法務省ホームページのより一層の活用、あるいは分かりやすい解説の公表などを想定しております。
 法務省といたしましては、改正法が適切に施行されるよう、国民各層に対して効果的な周知活動を行う予定でございます。
 なお、保証に関する改正を始めといたしまして、消滅時効ですとか定型約款など一般の国民に対して影響が大きい個別のテーマがございますので、こういったテーマにつきましては、国民生活のうち具体的にどのような場面に影響があるかを踏まえつつ、各テーマ別に周知方法を工夫することが効果的な周知に当たっては肝要であるものと考えております。
 このような観点も踏まえまして、効果的な周知活動の在り方につきましては、弁護士会や裁判所、あるいは中小企業団体などの関係諸機関とも協力して検討してまいりたいというふうに考えております。
○中泉松司君 是非とも分かりやすい周知、説明をお願いいたしたいというふうに思います。個別のテーマごとに周知、説明を図っていくというのは非常にいい考えだというふうに思いますし、関係団体ともちろん連携は必要だとは思いますけれども、そういったところとしっかり連携した上で、きめ細やかに、そして丁寧に周知が進むようにお願いをしたいというふうに思っております。
 また、説明会を開催するというようなお話も今ありましたけれども、そういったものもできるだけ多くの方に知っていただけるようにやっていく必要があると思います。熱心な議論の末に結論がいずれ出されるわけですけれども、出た上では、やっぱり結論が出たものをしっかりと国民の皆さんに知らしめるということは何よりも重要なことの一つであると思いますので、是非しっかり徹底してお願いをしたいと思います。
 加えて、先ほどの答弁の中には、説明会や解説と一緒に法務省のホームページでいろいろと情報を提供するというようなお話もございました。インターネット等での周知というのは大変有効な手段であるというふうに思います。思いますけれども、例えば高齢者の方々であったり、インターネットになかなかアクセスしづらいという方も多くいらっしゃるのが現在の日本の現状だというふうに思います。
 ちなみに、私は金田大臣と同じ秋田県選出の参議院議員でありますけれども、秋田県は、地元話で恐縮ですが、人口、ついに百万人を切ってしまいました。そして、高齢化率は全国トップレベルということで、今後もそのトップレベルで進んでいくであろうことが予想されております。ちなみに、私、政治の世界に入って今年で十年になるんですけれども、十年前に初めて議員バッジを付けさせていただいたとき、地方議員でありましたが、そのときで人口が百十三万六千人ぐらい秋田県はおりましたので、この十年の間に十四万人ぐらいの方が失われたということになります。これは自然減と社会減ももちろんありますけれども、そのぐらいのペースで少子化が進んで高齢者がどんどん増えていっているというのが地方の、秋田の場合は極端でありますけれども、地方の現状だと思います。
 そういった中にあって、高齢者の方々等にも今回のルール変更というものが行われた際にはしっかりと周知を図っていく必要があると考えております。そういった方々に、いわゆるネット弱者と言っていいのか分かりませんけれども、そういった方々にもしっかりと伝わるようにどのように周知を図っていかれるおつもりか、お考えを伺わせていただければと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども申し上げましたように、具体的な周知方法として法務省のホームページのより一層の活用などインターネットを利用した周知ももちろん想定しているわけでございますが、このような周知方法はコストも比較的安価で、それから相当の効果も認めるため重要であるというふうに認識しております。
 もっとも、御指摘ありましたとおり、インターネットにアクセスをすることができない方々もいらっしゃることから、インターネットのみに頼った周知ということでは適切ではないものと認識しております。とりわけ、高齢者などのインターネットを利用することができない方々に対しましては、その方々を直接の対象にして周知活動を行うことも重要でございますが、それに加えて、高齢者の周囲の人々、具体的にはその御家族ですとか、あるいは各種相談窓口の担当者などに対する周知を充実させ、その方々を介しまして改正法案の趣旨ですとか内容を行き渡らせることが重要であるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、法務省といたしましては、インターネットを利用することができない方々を含めまして、国民各層に対しまして丁寧で効果的な周知活動を行う所存でございます。
○中泉松司君 ありがとうございます。是非、様々な手段を通じてそういった方々にも周知を図っていただければというふうに思います。
 基本的には、やっぱり何らかの能動的な動きというか、そういったことを行う人に対してはアプローチはしやすいんですけれども、全くそういう動きがない方々、自宅にずっといらっしゃる方ですとか、そういった方々にはなかなかやっぱり周知をしていく、説明をしていくというのは難しいと思います。
 特に、今のこの時代は、若者であればそういった方々でも在宅でインターネットを通してといった情報収集等は可能でありますけれども、なかなか高齢の方々はそちらの方も難しいということになりやすい時代でもあります。そういった方々がそのルールの変更というものを分からずに何らかの悪い影響、不利益を被るということがあってはいけないと思いますし、大きい改正であるからこそ、そこは丁寧、慎重に行っていただきたいというふうに思います。
 そういった意味では、なかなか一〇〇%実行するというか、一〇〇%そういったことを実現するのは難しいかもしれませんけれども、先ほど御答弁ありましたように、様々な機会を通して、様々な手段を通じて周知を図っていただけるようにお願いをしたいというふうに思っております。
 次に、今回の大きな変更がもたらす影響の一つに、教育現場であったり試験であったり、そういったところに与える影響というものもあるのではないかなというふうに思っております。
 今、もちろん教育現場では、この改正する法律を土台にして勉強をしているわけではないと思います。今回の改正が行われると、いわゆる大学であったりといった教育機関であったり、司法試験もそうでありますけれども、いわゆる公認会計士であったり税理士であったり司法書士であったりという、いわゆる民法が関わる士業ですか、そういった方々を目指す人々にも影響が出ないようにしなければいけないのではないかなと思います。
 たまたま私の大学の先輩にある大学の法学部の教授の方がいらっしゃって、ちょっとお話を伺ったんですけれども、まあ現在は国会で審議中であるのでこの民法の改正案についてはそういう可能性があるよという話はしているけれども、もちろんその改正が決まったわけではありませんので、そういったものを土台とした勉強というのは、先生によって受け止めは違うけれども、そんなに活発に行っているわけではもちろんないというようなお話も伺いました。
 そういった中にあって、今まで勉強してきたことはもちろんこれからにもつながることだと思いますので、それが全く無意味だというふうには思いませんけれども、時代の変化そして制度の変化によって、うまくそこに対応することができずに、本来目指している世界というものを、道を閉ざされてしまったりということがあっては絶対にならないというふうに思っております。
 そういった意味では、今回の法改正がいわゆる頑張るそういった方々を振り回すようなことになっては決していけないというふうに思っておりますけれども、直接法務省がどうこうということで対応するというのは難しいのかもしれませんが、そういったことに対する懸念に対する見解や対応等についてお考えを伺えればと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案は民法のうちの債権関係の諸規定を全般的に見直すものでありまして、御指摘いただきましたように、法律を学ぶ大学の学生ですとか、司法試験あるいは司法書士試験を始めといたします各種の資格試験に備えて、民法は多くの試験などで科目として選ばれておりますので、そういった民法を学ぶ方々にも影響の大きい改正であると言えようかと思います。このような観点から見ますと、教育現場や各種資格試験において混乱が生じないようにすることは重要であるというふうに認識しております。
 改正法案が成立しました後は、法務省といたしましては、それらの教育に携わる方々にも改正法案の趣旨あるいは内容を理解していただき、改正法案の内容を踏まえた学習が行われるよう、これは平易なものから詳細なものまで各種の説明文書などを用意いたしまして、適切な周知活動に努める所存でございます。
○中泉松司君 是非そちらの方もよろしくお願いしたいと思います。
 私、こういう世界に身を置いてよく思うのが、制度変更の割れ目にはまってしまったり、ルールの変わったところにうまくはまってしまって難儀をしなきゃいけない人とかいうのが出てくるというのは本当悲しいことだなというふうに思ったことが何度もあります。
 全然話は違いますけど、例えば、いわゆる子育て支援、少子化対策とかでも、所得制限を設けましたというと、その所得制限のちょうどそこのはざまのところに入ってしまって、そこからもう一円高い人は受けられなくて、一円低い人はその恩恵を受けれるみたいな、そういったことというのは、こういう話に限らず政治の世界にいるとどうしても起こってくるわけであります。今回も、そういう意味では、いわゆるそういう所得制限とかの話ではなくて期間の話ではありますけれども、そういった期間にうまく乗り越えていくことができずに、本来乗り越えれるべきところを乗り越えられないというようなことがあっては、これはある意味では政治の責任だというふうに思いますので、そういった悪い影響が出ないように、是非とも皆様方には様々な取組をお願いしたいというふうに思っております。
 このいわゆる周知期間というか施行までの期間について、次で最後の質問にしたいと思いますけれども、今回は、冒頭申し上げたように、周知について、そして施行までの期間として三年間の期間を設けております。今回のような大改正ということでありますので、なかなか、先ほど来言っていたように、しっかりと国民の皆さんに丁寧に説明していくという意味では時間を要するものだと思います。そういった意味では、この三年で十分なのかなという心配もあろうかと思いますけれども、この施行までの期間、三年ということを設けたことについて、特に、これから実現をした場合に周知期間として使っていくことになろうかと思いますけれども、その三年の期間というものは十分であるのかどうか、見解をお伺いできればと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案はごく一部の規定の、これは、そういったものを除きまして、基本的に、公布の日から三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 改正法案は民法のうち債権関係の諸規定を全般的に見直すものでありまして、国民生活に広く影響を与え得るものでございます。そのため、経済団体や労働団体を始めとする各種関係団体や関係省庁からは、施行までの準備期間を十分に確保した上で施行までの間に効果的な周知を行うよう、これは大変強い要望が寄せられております。
 そのため、改正法案につきましては、近時の民事関係の法律の改正における施行までの準備期間と比較いたしましても三年という期間は、これはかなり長期の期間ということで、こういった期間を確保する必要があると考えられるわけでございます。
 他方で、民法のうち債権関係の規定につきましては、おおむね約百二十年前の制定当時の規定内容のまま現在に至っておりますが、この間における我が国の社会経済情勢は様々な面において著しく変化しておりまして、この変化に対応させていく必要が生じております。また、法律の専門家でない国民一般にとりましては、民法が定める基本的なルールが分かりにくい状態になっております。このような観点からは、民法の改正はできる限り速やかに行われるべきであるという側面もあると考えられます。
 このように、改正法案につきましては、施行までにできる限り長期の期間を確保する必要がある一方で、早期に改正を行う必要性もあり、これらの要請を考慮して、最初に申し上げましたとおり、改正法の施行日を公布の日から三年を超えない範囲内において政令で定める日としたものでございます。そのため、この期間は周知期間として必要かつ十分なものと考えておりますが、法務省といたしましては、改正法が適切に施行されるよう、これはもう当然のことながら、効果的な周知活動を行うように努めてまいりたいというふうに考えております。
○中泉松司君 済みません、誤解をさせてしまいました。この周知の問題について、この期間の問題についての最後の質問ということでありまして、まだ質問ありますのでよろしくお願いをいたしたいと思います。
 済みません、お答えいただきましてありがとうございました。三年という期間を有効に活用していただきたいというふうに思います。
 御答弁にありましたように、今回の改正というものは、国民に分かりやすくこの民法というものをしっかり理解してもらうということも含まれております。そういった意味では、時代のずれとともに何とかやりくりしてきた部分がある意味では時代に合うようになるということでもありますので、そういった意味では、今のこの国民の考えに合致するというか、しっくりくるというようなものの内容ではあると思いますけれども、やはり、百二十年ぶりの改正、それを、そのルールを基にして百二十年間この日本の社会は動いてきたわけでありますので、そういった意味ではやはり大きい影響が出るのではないかという心配の声もあると思います。三年間という期間を是非有効にしっかりと活用していただいて、さきに述べました周知の問題であったり、様々なことに関して取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、この保証の在り方についてお伺いをしたいと思います。
 今回の法改正については、特にやはり一番多く意見として出されたのがこの保証の在り方、第三者保証の在り方についてであったというふうに私も感想として持っております。やっぱり心配されることとして、まず、その保証によって、一つは破産の原因であったり経済的な破綻の原因であったり、二つ目を挙げるとすれば、自殺の原因に大きな要因としてなり得るということであったり、三つ目に挙げるとすると、再チャレンジを阻害するというような、そういうふうな要因にもなっていると、大きく分けて三つの課題というものを参考人、辰巳参考人だったと思いますけれども、示していただきました。これは本当に大きい問題だというふうに思います。
 そして、日弁連を始め、個人保証の抜本的改正を求める意見書というのも、これ平成二十四年に出されていたかと思いますけれども、そういった抜本的な改正、いわゆる第三者保証の禁止といったようなことを求めるような声も強くあったけれども、結論として、公正証書を使って入口部分でコントロールをするというような今回の形になったと思います。
 参考人からも数多くの意見が出されておりましたし、衆議院の議論を見てみますと、その保証の在り方も含む修正案、そういった心配の声を受けてだと思いますけれども、出されております。その修正案は否決をされたということで伺っておりますけれども、否決された経緯を法務省に伺うのも違うと思いますので、その否決された修正案というものについての法務省としての見解がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 衆議院の法務委員会におきまして、民進党から提出されました修正案のうち保証に関する部分は、個人による事業用融資の保証について、主債務者の経営に実質的に関与していないような者が保証人となることを禁止するとともに、保証人となる余地を認める者についても、個人事業主の配偶者も公証人による保証意思確認手続の対象とするなど、政府提出法案よりも意思確認手続の対象となる者の範囲を拡大することなどを内容とするものであるというふうに承知しております。
 法制審議会における審議の過程では、事業用融資をいわゆる経営者以外の第三者が保証することについて、これを禁止すべきであるかどうかについての検討が行われておりました。しかし、第三者保証の中には個人が自発的に保証するものなども現に存在するため、第三者保証を全て禁止することに対しましては、特に中小企業の資金調達に支障を生じさせ、金融閉塞を招くおそれがあるとの指摘が、これは中小企業団体からの強い意見として示されました。そこで、改正法案の立案に当たりましても、中小企業の円滑な資金調達に支障が生じないようにしつつ、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するべく、両者のバランスを取ることが重要であると考えられたものでございます。
 このような観点から、改正法案におきましては、第三者保証を全面的に禁止する措置は講じないとする一方で、保証人がその不利益を十分に自覚せず安易に保証契約を締結する事態を防止するための措置といたしまして、事業用融資を保証する際には、原則として公的機関であります公証人による意思確認を経ることとしたものでありまして、現在の中小企業金融の実情等に配慮した適切な内容になっているものというふうに認識しております。
 また、公証人による意思確認手続の対象となる者の範囲について、主債務者の事業の状況を把握することができる立場にあり、保証のリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが類型的に低いと言えるか否か、中小企業に対する融資の実情として、企業の信用補完ですとか経営の規律付けといった観点から有用とされているか否かといった観点を踏まえつつ、厳格な意思確認の手続を義務付けると時間やコストを要することとなって円滑な資金調達が阻害されるおそれがあることも否定できないことを考慮して意思確認手続の対象となる者の範囲を定めたものでありまして、原案は合理的なものとなっているというふうに認識しております。
 このように、中小企業の円滑な資金調達に支障が生じないようにしつつ、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するべく、両者のバランスを取る観点からは政府提出の改正法案の内容が適切なものというふうに考えております。
○中泉松司君 御答弁ありがとうございます。
 私、個人的な受け止めとしても、午前中の審議にもありましたように、今までの審議にもありましたように、いわゆる第三者保証みたいなものがなくてもそういうふうに世の中が成り立つようにできればいいなということは、皆さんこれは思っているんだというふうに思います。ただ、現実社会と照らし合わせて考えてみたときに、それが果たしてできるのか、それに代わる本当にベストな方法があるのかということを考えると、やっぱり難しいんだろうなというふうに思います。
 そういう意味では、法制審議会でも様々な意見が出てコンセンサスを得るに至らなかったというような山野目参考人の意見もありましたけれども、そういったことなんだろうなというふうに思いますし、ちょっといい例えが思い付きませんけれども、例えば、保証をすることによって際限なく借金を背負ってしまって苦しい思いをする人というのも出るわけですけれども、それは結果の一つであって、一方で、苦しいときに保証人がいてお金を借りることができてそれで助かったということがあった人もいるんだというふうに思います。
 だから、そういった意味では、下手にそこに妙な手を付けてしまうことによって逆にお金が借りづらい状況ができるというのは、それはそれでまた心配なことだなという意見もあったんだというふうに思いますし、そういったところをバランスを見ながら今後も議論をしていかなければいけないのではないかなというふうに私なりに感じています。
 その上で、参考人質疑において山野目参考人は、公正証書によって入口のコントロールは入ったけれども、擦り抜けられて保証をせざるを得ないという状況になった場合に、もう身ぐるみを剥ぐまで額面どおり保証人としての責任を負わなければならないんですかということについては、そこはやはり出口のコントロールは必要だというふうに考えておりますというふうに述べられています。一方で、先ほど紹介したように、法制審議会の中でも出口コントロールに関して幾つかの案が話題になったが、法制技術的にうまくいかない部分があったり、委員、幹事のコンセンサスを得ることが難しかったりして見送られたというふうにも述べています。
 そして、その上でさらに山野目参考人は、糸数先生の質疑に対してだと思いますけれども、個人保証というこの漢字四文字をキーワードにした問題の議論というのは、まさに今回のこの国会で始まるんだと考えておりますと述べられています。そして、今回のこの法改正の後も政府において新しい制度の運用実態を見て必要な見直しを適時考えてほしいと述べられておりました。
 そこで、確認したいことが、これ最後になると思うのが、二つありまして、一つ目をまず聞きたいと思います。
 入口のコントロールはできたけれども、擦り抜けられて保証せざるを得ないという状況になった場合ということを考えると、それがない方がいいわけでありますけれども、そういうふうになってしまった場合といったときに、やはり先ほど挙げたような三つの、いわゆる経済的破綻の原因であったり自殺であったり再チャレンジの阻害であったりといった課題というものはあるのだと思います。そういう意味では、今回の法改正というのはそこに応えることになっているのかどうか、今挙げた三点の課題に対して今回の改正がどう応えているのかについて、改めてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 個人保証に関しましては、御指摘いただきましたように、個人破産、多重債務の原因となる、あるいは自殺の大きな原因、要因となる、さらには再チャレンジの阻害要因となるといった問題があると指摘されております。その理由といたしましては、保証契約は個人的な情義などに基づいて行われることが多いことや、保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であることもあって、保証人の中にはそのリスクを十分に自覚せず安易に保証契約を締結してしまう者が少なくないことが指摘されております。
 もっとも、例えば個人は保証人になることができないとするなど保証人の負うリスクへの配慮が行き過ぎると、それにより中小企業がそもそも融資を受けにくくなるということに対する懸念を出す意見も中小企業団体を中心に有力に主張されております。
 そこで、改正法案におきましては、中小企業の資金調達に支障が生じないようにしつつ、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するため、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を全面的に禁止するのではなく、このような保証契約については公的機関であります公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないものとし、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とすることとしております。
 改正法案の下では、公証人は、保証意思を確認する際には、保証人になろうとする者が保証しようとしている主債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば、保証人は保証債務を負担し、主債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解しているかなどを検証し、保証契約のリスクを十分に理解した上で、保証人になろうとする者が相当の考慮をして保証契約を締結しようとしているか否かを見極め、保証意思が確認された場合には保証意思宣明公正証書を作成するが、保証意思を確認することができない場合には公正証書の作成を拒絶しなければならないとしております。
 このような保証意思確認の手続を設けることによりまして、保証債務の履行能力がないにもかかわらず安易に保証人となってしまう事態も一定程度防止することができるものと考えております。また、これまでは保証のリスクを十分に認識しないからこそ情義に基づいて安易に保証人となってしまうという問題も生じていたと考えられ、改正法案によって情義に基づき保証人となるという事態の発生は相当程度抑止が可能であると期待しているところでございます。
 法務省といたしましては、引き続き、第三者保証を始めとする個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立に向けて、改正法案の施行後の状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
○中泉松司君 午前中、真山先生の質疑でもありましたけれども、公正証書というもので入口をコントロールするというのは非常に大切なことだと思うんですが、熟慮をする、しっかりと理解をしてもらうということ以上に人間関係が勝ってしまった場合とかということを考えると、やはり心配をする部分というのは当然あるんだろうというふうに思います。そういったことがないようにしなければいけませんし、また、先ほど御答弁にあったような、安易なそういったことがなくなるというだけでも前進であると思いますし意味があると思いますけれども、そこは是非そういった心配、懸念に応えられるような取組を進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 また、自殺の原因ということで、自殺の原因というのは本当に多くあると思います。実は秋田県もずっと自殺率がワーストの県でありまして、自殺減少率が全国一位なのにもかかわらずずっとワーストが続いているという、ちょっと非常に厳しい状況が続いております。昨年ぐらいに一度だけワーストを脱却したんですけれども、また転落しているような状況が続いておりますので、これはいわゆる借金苦とかそういうことだけが原因ではありませんけれども、健康問題等もありますが、そういった意味では、非常にそういったものも減らせるようになってほしいなという思いを人一倍強く持っている方でありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 最後に、先ほど参考人の言葉で御紹介をしたとおり、個人保証という漢字四文字をキーワードにした議論はまさにこの国会で始まるんだと思っておりますと、今般の法改正の後も制度の運用実態を見た上で必要な見直しを適時考えてほしいというふうな意見が、言葉は違っても参考人から出されました。個人保証の在り方は非常に難しい議論だというふうに思いますけれども、適時の見直しを求めるといった御意見に対する法務省の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案では、先ほど来申し上げておりますように、公証人による意思確認の手続を設けているわけでございますが、改正法案においては、保証のリスクを十分に認識し、それでもなお主債務者との間の情義に基づいて保証人になろうとすること、このこと自体についてはこれを禁止することとはしておりません。これは、リスクを十分に考慮した上で保証契約を締結しようとすることまで禁止することについては、例えば主として情義に基づいて自己の財産を無償で与える贈与の効力が認められていることなどとのバランスを考慮すれば慎重な検討を要すると考えられることを踏まえたものでございます。
 また、保証を禁止しなくても、改正法案により保証債務の履行能力がないにもかかわらず安易に保証人となってしまう事態も一定程度防止することができるとともに、情義に基づく保証人となるという事態の発生は、これは相当程度抑止が可能ではないかというふうに考えているところでございます。
 法務省といたしましては、国会審議における議論状況等も踏まえつつ、改正法案が所期の効果を上げているか否かなどにつきましては改正法案の施行後の状況を注視してまいりたいというふうに考えておりますし、必要があればもちろんその対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○中泉松司君 済みません、時間が参りましたので終わりますけれども、今回の改正に関して、今後もいわゆる議論を求めるという声はありますし、参考人の御意見にあったように、運用実態をよく見てということでありましたので、是非ともそこは、質問の冒頭に申し上げましたとおり、基本的に今回の大改正には、皆さん、基本的には賛成であるけれども課題の積み残しもあるんだという認識でおられると思いますので、そこをしっかり受け止めていただいて今後につなげていただきたいと思います。
 済みません、質問を終わります。以上です。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 今日は、民法改正のうち、まず保証の問題について、それから定型約款の問題についても質問をしたいと思っております。いずれも重要な改正のポイントでございまして、保証については、特にこれまでも大変多くの委員の皆さんから御質問がありましたけれども、重なるところもございますが、法案が成立した場合の今後の運用にとっても重要な部分でありますので、確認をさせていただきたいと思っております。
 私も、先日の参考人の先生方からいろいろと問題提起もございましたので、そういったところも踏まえて質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、保証についてでございます。
 この保証については、保証意思宣明公正証書を作成するという大きな制度がつくられることになりました。まず、この制度趣旨と内容についても改めて確認をしたいんですけれども、これは事業に係る債務についての特則ということでつくられるものでありまして、辰巳参考人からだったと思いますけれども、この制度趣旨というのは、この保証をするということについて熟慮をする機会を与えるものではないかと、このような指摘がございました。
 これに関連して質問させていただきたいんですけれども、この保証意思宣明公正証書、改めてこの制度趣旨ですね、そして、条文の中にもありますけれども、保証契約に先立ってこの保証意思宣明公正証書を作成をするという形にしておりますけれども、これはどうしてこのようにすることにしたのかという理由と、それから、この制度の内容についても併せて確認のために御説明をいただければと思います。例えば一か月以内に作成をする、一か月以内に作成されたものである必要があると、こういった内容にもなっておりますけれども、この点についても併せて御説明をいただければと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 保証意思宣明公正証書のまず制度趣旨でございますが、事業のために負担いたしました貸金等債務を主債務とする保証契約におきましては、その保証債務の額が多額になりがちであり、保証人の生活が破綻する例も相当数存在すると言われております。
 その理由としては、保証契約は個人的情義などに基づいて行われることが多いことや、保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であることもあって、保証人の中にはそのリスクを十分に自覚せず安易に保証契約を締結してしまう者が少なくないといったことが指摘されております。もっとも、例えば個人は保証人になれないこととするなど保証人の負うリスクへの配慮が行き過ぎますと、それにより中小企業がそもそも融資を受けにくくなるということを危惧する意見も中小企業団体を中心に有力に主張されております。
 内容でございますが、そこでということになりますが、改正法案におきましては、中小企業の資金調達に支障が生じないようにしつつ、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するため、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を全面的に禁止するのではなく、このような保証契約については公的機関である公証人が保証人となろうとする者の保証意思を、これは事前にということになりますが、一か月前までに確認しなければならないものといたしまして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とすることとしております。
 ただし、主債務者の取締役などが保証人となる場合には、これらの者は主債務者の状況を十分に把握することができる立場にあり、そのリスクを十分に認識せずに保証契約を締結するおそれが低いと考えられますことから、公証人による意思確認の手続を不要とする例外の規定を設けております。
○佐々木さやか君 先ほど質問の中で、熟慮をする、させるという趣旨なのかというふうにお聞きをしましたけれども、その言葉は制度趣旨の説明の中には出てきませんでした。
 熟慮という言葉を使うかどうかは別といたしまして、公証人によって保証意思がきちんとあるのだということを確認をすることでしっかりとそのリスクを保証人となろうとする者にも理解をさせるという意味で、慎重な判断と言うことができるような制度になるのではないかなと思います。
 この公証人による意思確認という観点から、公証人の役割というのが非常に重要であるということは各委員の先生方からも御指摘があったとおりであります。この公証人の確認義務について、辰巳参考人からこの点も問題提起がございました。この公証人にしっかりと説明をしていただいて、保証というものを理解をしているかどうか確認をしていただくことがこの制度改正で非常に重要なポイントであると思っております。
 この公証人法には二十六条で、法令違反の事項であるとか、無効の法律行為とか、行為能力の制限によって取り消すことができるような法律行為について証書を作成することができないという規定があって、また、施行規則の十三条には、公証人は、当事者が相当の考慮をしたかどうかということを証書を作成するに当たってしっかりと確認をしなければならない、相当の考慮をしたかどうか疑いがある場合には、関係人に注意をする、またその者に必要な説明をさせなければならない、こういう義務が、責務が公証人法施行規則に規定をされております。
 これによれば、この保証意思宣明公正証書についてもしっかりと確認行為をする法的な義務が課されているのではないかなというふうに理解をしておりますけれども、こうした規定にもかかわらず、仮に、きちんと確認をしなかったとか説明をしなかったとか、そういったことがあって確認義務に違反したような場合にはどのようになるのか。要するに、公証人がしっかりと保証意思の確認をしてくれるということを確認をしたいわけですが、どのように監督を、公証人に対して監督をしていくのかというところについて確認をしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘ありました公証人法第二十六条は、公証人は、法令に違反した事項、無効の法律行為及び行為能力の制限により取り消し得べき法律行為につき証書を作成することができない旨を定めております。
 これを受けまして、公証人法施行規則第十三条第一項は、公証人は、法律行為につき証書を作成し、又は認証を与える場合に、その法律行為が有効であるかどうか、当事者が相当の考慮をしたかどうか又はその法律行為をする能力があるかどうかについて疑いがあるときは、関係人に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせなければならない旨を定めておりまして、これらの義務は法的な義務であるというふうに解されております。
 次に、監督という点でございますが、公証人は法務大臣の監督を受けて、直接の監督は法務局長又は地方法務局長が法務大臣の命により行うものとされております。毎年一回、法務局の監督調査を受けることなどとされております。
 そして、監督調査の結果などによりまして、公証人が先ほど述べました義務に違反したと認められる場合には職務上の義務違反として懲戒の対象となりますし、懲戒の必要まではない事案でも、職務を不適当に取り扱ったと認められる場合には、これは監督措置の対象となるわけでございます。
○佐々木さやか君 きちんと保証債務の内容について理解をしているかどうか確認をしたりとか説明をしていくということをしっかりやらなかった場合には、職務上の義務違反に問われることもあるということでございました。
 しかしながら、本当に実質的にきちんと分かりやすく現場で説明がなされるかどうかというところを制度的により十分に担保していかなければならないのではないかなというふうに思っております。この点も参考人からも懸念が示されておりましたけれども、やはりこの保証意思宣明公正証書というものを、じゃ実際に作ろうということでなった場合に、公証役場に電話をして、事前にこういうものを作りたいと思いますということで電話で打合せをすると思います。それから、実際に行く日を予約をして必要書類を持っていくんだと思うんですけれども、そのときには恐らく、その保証意思宣明公正証書に記載をしなければならない事項がいろいろありますので、主たる債務の債権者、債務者、また元本、利息とか違約金とか、それから保証が単純保証なのか連帯保証なのかとか、そういったことを公正証書に書かなければならないということは、事前に恐らくそういうものが記載された書類を提出してくださいと、そういった、例えば保証契約書なんかには恐らく全てのものが書いていると思いますけれども、そうしたものを事前に提出をして、郵送とかファクス送って、公正証書の案文を当日までに公証人が作成をすると。
 また、口授が必要ですけれども、その口授の内容も、これは公証人の方なのか債権者なのか保証人となろうとする者が自ら作っていくのか分かりませんけれども、その口授の案文といいますか、口授する内容を事前に恐らく確認をして作っていくのではないかなと、これまでの実務から考えるとそういう運用がなされる可能性があるんじゃないかと思いますが、そういう形になった場合に、やはり、例えばその口授する案文を債権者の方で作ってくれた、これを読めばいいですよというふうに言われて当日読んだけれども、実際にはなかなかその内容までしっかり分かっているかというと疑問があるということもあるかもしれません。
 公証人の方ではそういう案文の内容についてしっかりと確認をしていただく、理解を確認していただくということだと思いますけれども、例えば保証人になった方のよくあるパターンというか、こととして、主たる債務者からは絶対に迷惑掛けないからと、これは、一応保証人になってもらうけれども、自分の方でしっかり払うから名前だけというか一応必要なので協力してほしいと、こういうことを言われて保証人にはなったけれども実際に請求されるとは思わなかったと、こういうことで保証契約を結んでしまう方もいるわけであります。
 ですから、公証人の方から、この保証契約というのはあくまで債権者と保証人との間の契約なんですよ、債務者の方で幾ら自分が払うからと言ったとしても請求されるんですよとか、例えばそういう日常的にある具体例だったりとか、普通の法律知識がない方でも分かるような説明をやっぱりしていただくと。例えば催告、債権者が主たる債務者に催告をしなくてもあなたは履行を請求されますよと言われても、ちょっと日本語として難しくて分からないと思うんですね。ですから、そうしたかみ砕いた分かりやすい説明をしていただくということも必要でしょうし、そうしたことも、公証人の方によって違うということではなくて、どの公証役場に行ってもどの公証人に作成を依頼しても分かりやすく説明をしていただくと、こういったことをしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。
 そういった意味で、この公証人からなされる説明ですとか確認というのはどのように具体的にされていくことになるのか、この点について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、意思確認の内容ということでございますが、公証人は、保証意思を確認する際には、保証人になろうとする者が保証しようとしている主債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば、保証人は保証債務を負担し、主債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解しているかなどを検証いたしまして、保証契約のリスクを十分に理解した上で、保証人になろうとする者が相当の考慮をして保証契約を締結しようとしているか否かを見極めることが予定されております。その上で、保証意思が確認された場合には保証意思宣明公正証書を作成しますが、保証意思を確認することができない場合には公正証書の作成を拒絶しなければならないということでございます。
 公証人において、債権者や主債務者とのやり取りなど、その保証人が保証意思を持つに至った経緯についても確認するのが通常であると考えられ、確認の結果、債権者や主債務者から強く保証人となることを求められたといった事情があった場合には、保証のリスクを認識しているか否かをより慎重に確認すべきであることも当然でございます。
 ここでいう保証契約のリスクとは、単に保証契約の法的な意味といったものではなく、その契約を締結しようとしている保証人自身が当該保証債務を負うことによって直面し得る具体的な不利益を意味しておりまして、公証人は保証人になろうとする者がこのリスクを理解しているのかについて十分に見極める必要がございます。
 例えば、当該保証債務を履行できなければ住居用の不動産に強制執行されて生活の本拠を失ったり、給与を差し押さえられて生活の維持が困難になったり、預金を差し押さえられて当座の生活にも困窮するといった事態が生じることを現に認識しているかなどを確認し、その保証契約のリスクを十分に理解しているのかを見極めることが要請されます。さらに、保証人になろうとする者がそのリスクを理解しているのかを確認するに当たっては、保証人になろうとする者が主債務者の経済状況等について認識しているのかを確認することも重要であります。
 改正法案におきましては、保証人になることのリスクを判断するために必要な情報を提供させる趣旨で、主債務者は、事業のために負担する債務を主債務とする保証等の委託をするときは、委託をする者に対し、主債務者の財産及び収支の状況等に関する情報を提供しなければならないとの義務を設けることとしております。したがいまして、公証人は、保証意思を確認する際には、そのような情報の提供を受けているのか否かも確認し、その情報も踏まえてリスクを十分に認識しているかを見極めることになります。
 このように、公証人は改正法案の趣旨を踏まえて公正証書の作成手続を適切に実施する必要がございます。今後、全国の公証人の組織であります日本公証人連合会において、改正法案の下での公正証書の作成事務の在り方につき、実務上の観点から具体的な検討が進められるものと承知しておりますが、法務省としても、そうした検討の成果を踏まえつつ、改正法案の趣旨や公正証書の作成過程において具体的にどのような事項に留意すべきであるかなどを公証人に対して十分に周知するため、適切な時期に公証事務に関する通達を発出し、万全の体制で施行を迎える準備を整えたいというふうに考えております。
○佐々木さやか君 丁寧に御説明をいただきましてありがとうございました。万全な準備をお願いをしたいと思います。
 それから、保証意思宣明公正証書を先立って作成することが必要ということになっておりますけれども、この点についても、先ほど冒頭申し上げたように、仮に熟慮をさせるということが制度趣旨なのであれば、日にちをできるだけ空けた方がいいんじゃないかと、こういった参考人の御指摘もあったところでありますけれども、確認ですけれども、この先立っての意味ですね、同日でも可能なのか、どの程度先立つことが必要なのかについて教えていただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案では、保証意思宣明公正証書の作成を要求しているのは、公証人において、保証人になろうとする者の保証意思を確認し、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するためでございます。その意味で、もちろん熟慮という表現も可能でございます。
 そのため、改正法案におきましては、保証意思宣明公正証書による意思確認から長期間が経過した後に保証契約が締結されるといった事態を防止するため、保証契約の締結前の一か月以内にその意思確認が行われなければならないこととしております。他方で、公証人によって保証人の保証意思の確認がされた後であれば、保証人がリスクを自覚したものと考えられることから、その直後に保証契約を締結することが可能でありまして、御指摘いただきましたように、保証意思宣明公正証書が先行するのであれば、これと同日に保証契約を締結することも可能ではございます。
○佐々木さやか君 そういうことからも、先ほど申し上げたように公証人による意思確認の方法、程度というのが非常に重要なものになると思います。また、この先立っての意味内容については、今後のもしかしたら運用の中で判例による解釈などもされていくのかもしれませんので、そうした議論を見守りたいと思っております。
 次にですが、先ほども答弁の中にあったかと思いますけれども、情報提供義務というものが規定をされました。主債務者による情報提供義務の制度の趣旨、内容について確認をしたいのと、それから、これは主債務者からによる提供であって債権者からではないということになっております。この点についても参考人からは、金融庁の監督指針においては債権者がこの情報提供義務を負うとしているので、ここの部分が民法では異なってくるという指摘もあったわけでありますけれども、この情報提供の制度の趣旨、内容等について確認をしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証人になるに当たりましては、主債務者の財産や収支の状況などをあらかじめ把握し、保証債務の履行を現実に求められるリスクを検討することが重要でございます。とりわけ、事業のために負担する債務につきましては極めて多額になり得るものでございまして、この債務を保証することは個人である保証人にとっての負担が大きなものとなることから、これを主債務とする保証においては保証のリスクを考慮した上で保証人となるかどうかを決定するのが適切であり、そのための判断材料として主債務者の財産状況などを把握することが特に重要であるというふうに考えられます。
 そこで、改正法案におきましては、事業のために負担する債務を主債務とする保証などでは、その委託をする、主債務者ということになりますが、主債務者が、財産及び収支の状況、それから主債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、それから主債務の担保としてほかに提供し、又は提供しようとするものがあるときはその旨及びその内容に関する情報を保証人になろうとする者に対して提供しなければならないということとしております。
 このような情報提供義務の趣旨からいたしますと、主債務は保証人になろうとする者が保証契約を締結する前には財産状況等の情報を提供する必要がございます。また、保証意思宣明公正証書の作成まで必要となるケースにおきましては、その作成時点で保証人になろうとする者が保証意思を有している必要がございますので、その作成時点までに主債務者から財産状況などの情報の提供を受け、保証人になろうとする者がそのリスクを検討することができることが望ましいことは言うまでもないところでございます。
○佐々木さやか君 時期の問題について言いますと、今後の運用の中でもしかしたら問題になるかもしれないなと思うのは、余り前もって情報提供があった場合に、保証契約の締結までの間にその財産状況について変更があるということもあるかもしれませんし、ここの時期について法律上明確に例えば一週間以内とか一か月以内というふうにはされていないと思いますけれども、そこについても、恐らく今説明をしていただいた趣旨からすれば、できるだけ最新のといいますか、情報を提供する義務があって、かつ何かしら情報提供から契約の間までに変更があった場合にはそれをきちんと説明をする義務というものも恐らくあるのではないかなというふうに私としては理解をしております。
 それから、なぜ債権者からではないのかということを聞きましたけれども、ここの趣旨としては、要するに主債務者の財産状況などについて一番詳しいのはもちろん主債務者なわけですけれども、実効性があるのかというところで、この情報提供を主債務者からきちんと保証人に対してすると、この実効性をどういうふうに確保するのかというところについて、どういう制度になっているのかをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 失礼いたしました。
 改正法案の立案を検討する過程におきましては、主債務者ではなく債権者に財産状況などの情報提供義務を課すことも検討されたところでございます。
 しかし、主債務者の財産の状況などについては主債務者が最もよくこれを把握しているものと言えることから、その情報の提供の義務を課すのであれば、それは主債務者とするのが合理的であると考えられます。
 また、債権者といたしましては、主債務者の財産状況などを把握していないこともあり得るわけですし、仮に財産状況などに関する情報を一応把握していたとしても、それが事実を正確に反映したものかどうかは、これは実際のところは定かでないことも少なくないと考えられます。
 加えて、改正法案においては、この情報提供義務に違反したケースについて、保証人に保証契約の取消し権の行使を認めるという極めて強い法的な権利を付与することとしております。
 そこで、改正法案においては、債権者ではなく主債務者に対しまして財産状況などの情報提供義務を課すこととしております。
○佐々木さやか君 今の御答弁は、恐らく債権者からではなくてなぜ主債務者からの情報提供とすることにしたのかというところの説明だと思いますけれども、この実効性確保というところではどうでしょうか。
 要するに、債権者というのは、通常は主債務者の財産状況についてもしっかりと把握をして融資をするかどうか決めるわけですので、情報も普通は十分に持っているでしょうと。また、この取消し権のお話が今ありましたけれども、その情報提供義務違反があれば保証債務が取り消されてしまうということであれば、利害関係が非常に大きいのは債権者でありますから、債権者の方でしっかりと主債務者の状況について調べて、取消しが行われないように保証人に対して情報を提供をするという義務を課すと非常に何か実効性がありそうにも思われますけれども、そうではなくて主債務者からの情報提供にしたということでありますので、きちんと主債務者から保証人に対して情報提供がされるかどうか、その実効性をどうやって確保するという仕組みになっているのかというところについて説明をいただければと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 担保措置としてのその取消し権の関係でございますが、実効性を確保するという観点からは、主債務者といたしましても、情報提供義務違反を理由に保証契約の効力が否定される等の事態が生じました場合にはこれは取消し権ということになりますので、そういった事態が生じました場合には、融資契約の実務上は期限の利益を失い、直ちに貸金を返還すべき事態に立ち入ることになるものと考えられ、事業継続が困難となりますことから、それ自体が大きなペナルティーと言うことができます。
 加えて、債権者においても、先ほど述べましたように、主債務者に対して適切な情報の提供を求めるということが求められるわけでございまして、したがいまして、財産状況などの情報提供義務には実効性があるものというふうに認識しておりますが、法務省におきましても、改正法案が成立した後は、財産状況等の情報提供義務の趣旨をこれは十分に周知していきたいというふうに考えております。
○佐々木さやか君 情報提供義務違反による保証契約の取消し権についても少し、もう一問聞きたいと思いますけれども、四百六十五条の十の第二項がその条文ですが、「債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。」という条文になっております。知っているというのは理解ができますけれども、この知ることができたときという要件については、具体的にどのような場合に取消しができることになるんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、情報提供義務違反があることを債権者が知り又は知ることができたときに限り、保証人は保証契約を取り消せることとしておりますが、このうち知ることができた場合というのは、例えば、債権者が知っている主債務者の財産状況などから考えて、直ちに保証債務の履行を求められることになるのは明らかであり、通常であれば、およそ第三者が保証するとは考え難いような場合を挙げることができようかと思います。
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 それから、情報提供義務の中で債権者からの情報提供義務というものも規定をされております。四百五十八条の三に期限の利益の喪失があったときの情報提供義務というか通知義務が定められることになりましたけれども、これは債権者が期限の利益の喪失を知ったときに限るような条文になっております。
 これ、知り得べきときという、先ほどの、知り得べきときは、これは通知の必要はないんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) これは、知り得べき場合については義務はないということでございます。
○佐々木さやか君 はい、そうですね。
 ただ、この制度趣旨から、ちょっと制度趣旨の内容については省略いたしますけれども、知り得べきとき、少なくても、例えば重大な過失があったような場合には債権者の方に通知をする義務が発生してもいいのではないかなと個人的には感じましたので、ちょっと質問というか確認をさせていただきました。この点についても、運用の中での判例の蓄積など議論が進んでいくのかなと思っております。
 保証については以上でございまして、約款の改正の部分についてお聞きをしたいと思います。この定型約款という制度が盛り込まれたということも非常に今回の改正の中で重要なポイントであります。
 これも確認になりますけれども、今回この定型約款の規定を創設した理由と、またこのみなし合意規定の内容について確認をしたいんですけれども、例えば、事業者間の契約ですとか労働契約といったものはこの定型取引というものに当たるのかどうかというところ、それから、五百四十八条の二が定型約款の合意ですけれども、この一項の一号と二号の違いですとか、そういったところも含めて、この定型約款の規定を創設した理由、みなし合意規定の内容、どのようなものなのかというところについて説明をお願いします。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、定型約款の規定を創設した点でございますが、現代社会におきましては、大量の取引を迅速かつ安定的に行うために契約に際して約款を用いることが必要不可欠となっておりますが、約款に関しましては民法は特段の規定を設けておりません。
 民法の原則によれば、契約の当事者は契約の内容を認識して意思表示をしなければ契約に拘束されないと解されておりますが、約款を用いた取引をする多くの顧客は、そこに記載された個別の条項を認識さえしていないため、なぜ約款中の個別の条項に当事者が拘束されるのかが必ずしも明らかではございません。
 そこで、改正法案におきましては、定型約款の合意に関して合理的な要件を設けて、その要件が満たされたときは定型約款に記載された個別の内容について認識していなくても、定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなすこととしております。すなわち、改正法案では、定型約款を契約の内容とする旨の合意をし、又は定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した場合において、契約の当事者においてその定型約款を利用した個別具体的な取引を行う旨の合意、これがされたときは、定型約款に記載されました個別の内容について認識していなくとも、定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなす旨の規定を新設しております。
 御指摘ありました事業者間の取引でございますが、事業者間の取引であるから定型約款に当たらないというものではございません。ただ、いわゆるひな形のようなものは変更の、条項を変えるようなことは十分に考えられるわけですので、定型約款の定義には当たらないものと考えております。
 それから、もう一つ御指摘がありました労働契約、これは個性が重視されますので、その意味では定型約款には当たらない一つの類型ということが言えようかと思われます。
○佐々木さやか君 この定型約款というものは、民法上の契約の成立というのが、その契約の内容を認識をして意思表示をしてそれが合致をしたことによって成立をするという原則があるわけですけれども、それに照らしますと、この約款の内容を具体的に認識をしていなくてもその約款に拘束をされると。また、五百四十八条の二第一項の一号と二号にこのみなし合意規定について記載がありますけれども、二号については、定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示をしていたときにも成立をするということで、その約款について具体的に認識をする機会を付与したりとか内容を開示していなくても約款に拘束されるようなことになるということで、先ほど申し上げたような原則に照らすと例外的な制度が成立をするということであると思います。
 そういったことで、具体的な内容が分からなくても拘束をされてしまうということで、例えば消費者側の保護ですとか、そういった取引上の保護が問題になるわけですけれども、そのことに関連して最後に一問お聞きしたいと思いますが、みなし合意除外規定、これが設けられました。
 これの内容、趣旨についてお聞きをしたいんですけれども、加えて、いわゆる不当条項というものだけではなくて、通常想定できないような不意打ちの条項、こういったものがあった場合にも合意除外という形になるのかどうかと。通常想定できないような不意打ち、要するに、何か売買で買物をしたというときに、その買物をしたというだけではなくて、例えば機械だったとしたら、そのメンテナンスのための費用ですね、かなり高額なものを継続して支払っていかなければならないとか、例えばそういうことが約款に書いてあった、そんなような不意打ちの条項と言われるものがありますけれども、こういったものについてはどうなのかというところを最後に確認をしたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) みなし合意の除外の関係でございますが、改正法案におきましては、相手方にとって負担となるような条項、すなわち相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する定型約款の個別の条項については、両当事者間の公平を図る基本原則であります信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるときは合意をしなかったものとみなすこととしております。
 定型約款を利用した取引においては、画一性が高い取引であることなどから、相手方である顧客においても約款の具体的な内容を認識しようとまではしないのが通常であります。このような特質に鑑みれば、相手方である顧客にとって客観的に見て予測し難い条項が置かれている場合において、その条項が相手方に多大な負担を課すものであるときは、相手方においてその内容を知り得るようにする措置を定型約款準備者が講じておかない限り、これは信義則に反することとなる蓋然性が高いと考えられます。
 このような定型約款を利用した取引の特質が考慮されることを表すために、第五百四十八条の二第二項においては、定型約款の個別の条項が信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるか否かについての考慮事由として定型取引の態様を明記しております。
 以上申し上げましたように、いわゆる不意打ち条項については今申し上げました論理ということになりますが、考慮要素などに基づきまして改正法案第五百四十八条の二第二項の規定によって排除され得る対象になるというふうに考えております。
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
 この定型約款の問題一つ取っても、やはりいろいろと細かいところに入っていくと、こういう場合はどうなんだろう、こういう場合はどうなんだろうというようなところがございます。そういったところについては、法案成立の場合には、施行までの間にいろいろな逐条解説ですとか解釈についてもできるだけ明らかにしてスムーズな運用がなされるようにお願いをしたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 沖縄県は昨日の五月十五日に復帰四十五年目を迎えました。米軍基地の即時無条件全面返還、平和な島沖縄を期待していた沖縄県民の願いは、かなうどころか、日米安保の下、米軍基地の七割が沖縄県に集中し、その機能は縮小どころか更に強化、拡大されております。復帰で手にしたはずの憲法ですが、主権在民、基本的人権の尊重、平和主義という基本原則さえ沖縄県民は実感できずにいます。さらに、法の下の平等、表現の自由、生存権も脅かされております。沖縄への偏見や差別が取り除かれ、県民が憲法で保障された権利を実感することこそが真の復帰であるということを申し上げて、質問に入りたいと思います。
 これまでのこの質疑の中で重なる部分もありますが、確認の意味でも改めて伺いたいと思います。
 九日に質問できなかった賃貸借について、まず冒頭に質問いたします。
 今回の改正で賃貸借の存続期間が二十年から五十年へと大幅に延長されました。この趣旨及び想定される適用場面、影響についてまずお伺いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 現行法の六百四条は賃貸借の存続期間の上限を二十年と定めておりまして、当事者の合意があってもそれより長い期間の賃貸借契約をすることはできないこととされております。これは、存続期間が長期である賃貸借を一般的に認めてしまうと賃貸物の損傷や劣化が顧みられない状況が生じ、国民経済上の問題があるとの趣旨に基づくものというふうに説明されております。
 しかし、現代社会におきましては、存続期間を二十年以上とする現実的なニーズがあり、当事者間で合意ができるものであるにもかかわらず、この規定が障害となって存続期間を二十年とする賃貸借契約を締結せざるを得ず、二十年の経過後に改めて再契約をするという不安定な契約実務を強いられているとの指摘がされております。
 そこで、改正法案におきましては、物件である永小作権の存続期間の上限が五十年と定められていることとの均衡なども考慮いたしまして、賃貸借の存続期間の上限を五十年に伸長するということとしております。
 現代社会におきましては、存続期間を二十年以上とする現実的なニーズがある場面としては、例えばこれはゴルフ場の敷地に利用するための土地の賃貸借などについて、現行法の下では存続期間を二十年とする賃貸借契約を締結せざるを得ないわけですが、二十年経過後改めて再契約をすることができるかについては確かではない部分が残りますため不安定な契約実務を強いられているとの指摘がされておりました。そこで、このような極めて長期間の土地利用を前提とした取引が念頭に置かれていたものでございます。ゴルフ場の例のほかにも、例えば太陽光発電などの分野でも同様のニーズがあるという指摘がございました。
 改正法案によりまして、当事者が合意をしているにもかかわらず二十年の経過後に改めて再契約をするほかないという現状については改善が図られるものと考えられまして、その点が大きな効果であるというふうに考えております。
○糸数慶子君 また、今回の改正では今まで規定のなかった敷金に関する規定が設けられることとなりました。敷金に関する規定が新設された理由についてお伺いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 建物などの賃貸借におきましては、賃借人が敷金を交付することが多く見られるわけですが、現行法上は敷金それ自体に言及する規定は何か所かございますが、敷金の定義ですとか敷金返還債務の発生時期や返還すべき金額など、敷金に関する基本的な規律を定めた規定は設けられておりません。しかし、敷金の返還をめぐる紛争は、これは日常的に極めて多数生じている一方で、この種の紛争に関しましては既に安定した判例なども形成されております。そこで、改正法案におきましては、敷金の定義や基本的な規律についてその明文化を図ることとしたものであります。
 改正法案における敷金に関する規定の概要を申し上げますと、まず敷金の定義を設けております。改正法案におきましては、敷金の定義として、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」と定めております。
 それから、敷金返還債務がいつ発生するかという発生時期の問題につきましては、これは判例に従いまして、賃貸借が終了して目的物が返還されたときに敷金返還債務が生じますとともに、賃借人が適法に賃借権を譲渡したときもその時点で敷金返還債務が生ずるものとしております。
 さらに、返還すべき敷金の額につきましても、判例に従いまして、賃貸物の返還完了のときに、受け取った敷金の額からそれまでに生じた被担保債権の額を控除し、なお残額がある場合に、その残額につき発生するものとしております。
 このほか、賃貸不動産の譲渡に伴い賃貸人たる地位が不動産の譲受人に移転した場合における賃借人に対する敷金返還債務の承継に関しまして、これも判例に従いまして、敷金返還債務も譲受人に承継されることとしております。
 このように敷金について明文の規定を設けますことで基本的な判断の枠組みが明瞭なものとなり、実際に生ずることの多い賃貸借契約終了時の紛争についてそれを予防するという効果、それと、その適正迅速な解決に資するという効果を期待することができるものと考えております。
○糸数慶子君 今回の改正では、賃貸借契約終了時における原状回復義務に関する規定も設けられました。これは、現行法では第六百十六条で第五百九十八条を準用していたものを新たに規定したものです。この改正の趣旨及び影響についてお伺いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 賃貸借契約における原状回復義務は、これは賃借人の負う基本的な義務であります上に、原状回復義務の範囲をめぐって実務的に紛争が生じるといったことも多いことから、民法を国民一般に分かりやすいものとするため、改正法案では原状回復義務について明文の規定を設けることとしております。
 具体的な内容でございますが、まず賃借人が賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷につきましては賃借人が原状回復義務を負うという原則を定めますとともに、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗やその経年変化は原状回復義務を負う損傷には含まれないこと、また、賃借物の損傷が賃借人の帰責事由によらないものである場合には原状回復義務を負わないことを明文化することとしております。これが改正法案の六百二十一条でございます。
 このように原状回復義務について明文の規定を設けることには、実際に賃貸借契約終了時の紛争が少なくないことにも照らすと、これは無用な紛争を予防する効果があるとともに、紛争が生じた場合の判断の枠組みが明らかになりまして、紛争解決にも資するものと考えるところでございます。
○糸数慶子君 次に、賃貸借契約終了時の原状回復義務の規定の改正により紛争の減少が予想されますが、この規定は任意規定であるというふうに解されています。任意規定であるということは、当事者間で規定とは別の合意をすればそのルールに従うということになり、賃借人保護が図られないおそれがあるわけです。
 実際に、退去時の室内の清掃費用を賃借人が負担する旨を定めるいわゆるクリーニング特約が問題となるケースが少なくありません。今回の法改正によっても、クリーニング特約のような条項が契約の内容となっている場合は、賃借人は退去時の清掃費用を負担しなくてはならないのでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、賃貸借契約終了時の原状回復義務につきまして、賃借人が賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷については賃借人が原状回復義務を負うという原則を定めますとともに、いわゆる通常損耗ですとか経年変化につきましては原状回復義務を負う損傷には含まれないことを明文化することとしておりますが、この規定は御指摘がありましたように任意規定ということでありまして、当事者間でこれと異なる特約を定めることを妨げるものではございません。
 そこで、御指摘がありましたクリーニング特約の取扱いということになりますが、お尋ねがありましたクリーニング特約には様々なものがあると考えられますが、これに関して判例は、通常損耗や経年変化は原状回復義務を負う損傷には含まれないことを前提として、通常損耗について賃借人に原状回復義務が認められるためには賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているなどの事情がなければならないとしておりまして、この判例に照らせば、クリーニング特約の効力が一律に認められるということにはならないものと解されるところでございます。改正法案はこのような判例の判断の前提となるルールを明文化するものでありまして、当然ながら、この判例自体も改正法案の下で維持されることを前提としております。
 以上でございます。
○糸数慶子君 改めて伺いますが、結局は、このクリーニング特約では、やはり賃借人は退去時のその清掃費用を負担するということなんでしょうか、負担しなくてはならないということなんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども申し上げましたように、判例によれば、単にクリーニング費用を負担する旨の条項があっても、その文言が具体性を欠くなどして効力が否定され得るものであるが、今回の改正はその前提となるルールを明文化するものでございます。
 したがいまして、このような規定を設けるということによって、クリーニング特約に関する紛争の解決に当たっても一定の意義があるものというふうに考えているところでございます。
○糸数慶子君 それでは、この賃貸借契約終了時の原状回復義務に関する規定は、クリーニング特約に関する紛争についてこれを解決する手段とはならないのではないですか。
○政府参考人(小川秀樹君) いわゆるクリーニング特約は幅が広うございますので、クリーニング特約そのものに対して直接的に効果を生じさせるというものではございませんが、前提となる枠組みについて明確化したものということでございます。
○糸数慶子君 次に、約款についてお尋ねをしたいと思います。
 今回、民法に新たに約款に関する規定が設けられることになりました。規定の趣旨及び概要について改めて御説明お願いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 現代社会におきましては、大量の取引を迅速かつ安定的に行うために契約に際して約款を用いることが必要不可欠となっていると考えられるわけですが、約款に関する民法の規定は特にございません。
 民法の原則によれば、契約の当事者は契約の内容を認識して意思表示をしなければ契約に拘束されないと解されておりますが、約款を用いた取引をする多くの顧客は、そこに記載された個別の条項を認識さえしていないため、なぜ約款の中の個別の条項に当事者が拘束されるのかといった点も必ずしも明らかではございません。また、約款を利用して継続的な契約が締結される場合などには、契約の内容を約款準備者が一方的に変更することが現実に行われておりますが、これも契約の相手方の同意なく可能であるかは不明瞭でございます。
 以上申し上げましたような問題状況を踏まえまして、改正法案におきましては、約款を用いた取引の法的安定性を確保するため、民法に定型約款に関する規定を設けることとしております。これによりまして、定型約款の中の個別の条項の拘束力の有無ですとか定型約款の変更の可否に関する紛争など、定型約款に関連する紛争について適切な解決の枠組みが示され、紛争の未然防止にも役立つことが期待されるところでございます。
 規定の概要ということですが、改正法案では、定型約款に関する基本的な規律として、定型約款の定義、定型約款による契約の成立、定型約款の変更などについて規定を設けております。
 まず、定義の点でございますが、「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」、これを定型取引と定義いたしました上、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」を定型約款と、こういう定義をしております。
 次に、定型約款による契約の成立でございますが、定型約款を利用して契約を成立させる場合のルールとして、定型約款を契約の内容とする旨の合意をし、又は定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示した場合において、契約の当事者においてその定型約款を利用した個別具体的な取引を行う旨の合意がされましたときは、定型約款に記載された個別の内容について認識していなくても定型約款の個別の条項について合意をしたものとみなす旨の規定を設けております。これが五百四十八条の二の第一項一号、二号でございます。
 それから、定型約款が変更される場合についても規定を設けておりまして、まず相手方の一般の利益に適合するとき、それから、定型約款の変更が契約の目的に反せず、かつ、変更に係る諸事情に照らして合理的であると認められるときには、定型約款準備者は相手方の個別の同意を得なくても一方的に定型約款の変更をすることができると、これを定めておるところでございます。
○糸数慶子君 定型約款の個別の条項が契約内容となるための要件、いわゆる組入れ要件について、第五百四十八条の二第一項第二号では、定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときも個別の条項について合意をしたものとみなす規定としております。
 定型取引を行うことに合意したとはいえ、相手方に表示していただけで、当事者が必ずしも認識していない細かい内容にまで拘束されることとしたのはなぜでしょうか、お答えください。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども申し上げましたが、定型約款の内容が契約内容となる場合といたしまして二つの場面がございます。
 一つは、改正法案において、約款による契約の成立要件について、約款の内容を認識していなくとも定型約款を契約の内容とする旨の合意があったとき、この場合には定型約款の個別の条項について合意があったものとみなすこととしております。さらに、今御指摘ありました、あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき、これ二号でございますが、定型約款の個別の条項について合意があったものとしております。
 その理由は、当事者が実際にその取引を行ったのであれば、通常は定型約款を契約の内容とする旨の黙示の合意があったと言えるところ、定型約款を利用した取引の安定を図る観点からそのようにしたというものでございます。
 このように、ここでの表示といいますのは、定型約款を契約の内容とする旨の黙示の合意があったと言えるのと同様の状態と言えるものでなければならないというふうに考えられます。したがいまして、この表示とは、取引を実際に行おうとする際に、顧客であります相手方に対して個別に面前で示されていなければならないとの意味であり、例えば定型約款準備者のホームページなどで一般的にその旨を公表しているだけでは足りないものであります。
 なお、不特定多数の者との間で画一的な取引が大量に行われるという定型取引におきましては、顧客であります相手方としても、大部にわたる契約書面の内容を細部まで認識して取引を行うことを望まない場合がほとんどであるという実情があります。
 このことに照らしますと、相手方の保護としては、不当な条項を排除するルールのほか、定型約款の内容を知る機会を確保することで十分であり、そのような機会は、ここでの定型約款を契約の内容とする旨の表示と、これを契機として定型約款の内容の表示を定型約款準備者に求めることによって確保されていると考えられます。したがいまして、この規律につきましては、相手方保護の観点からも妥当なものであるというふうに考えております。
○糸数慶子君 今回、民法改正法案と一括して審議されております整備法案、この整備法案において、鉄道営業法、さらに航空法などについて、民法第五百四十八条の二第一項の規定の特例を定めております。具体的には、同項第二号の定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときに、公表していたときを加えるものとなっています。これらの法律においては、定型約款の内容を相手方に表示するどころか、公表さえすれば足りるとする趣旨は何でしょうか。また、公表とは具体的にどのような方法を想定しているのでしょうか、お答えください。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、約款を用いた取引の法的安定性を確保するため、定型約款に関する規律を設けることとしております。そして、定型約款による契約の成立要件につきましては、約款の内容を具体的に認識していなくとも、定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示したときには、定型約款の個別の条項について合意があったものとみなすこととしております。これが先ほど申し上げました五百四十八条の二第一項第二号の内容でございます。
 しかし、例えば鉄道の旅客運送契約のように、契約により提供されるサービスの公共性が高く、極めて大量の利用者との間で速やかに契約を締結することが不可欠な取引については、定型約款を契約の内容とすることの合意やその旨の表示を厳格に要求することは現実的ではなく、サービスの利用者の利便性の観点からも定型約款による契約の成立を容易に認めることとする方が相当であると考えられるところでございます。また、これらの取引につきましては、そのサービスを提供する事業者は所管行政庁の監督に服しているところでございます。
 そこで、鉄道などの公共交通機関による旅客の運送に係る取引などにつきましては、定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ公表していた場合には、契約前の個別の表示がなくとも当該定型約款が契約の内容となる旨の特別の規定を設けるのが適当であると考えられたところでございます。
 そして、そのような規定は、特定の事業分野における一定の取引のみを対象とするものでありますため、民事基本法であります民法ではなく、鉄道営業法や航空法などの対象事業に係る規制などを定めた法律に設けることとしております。これが整備法の内容でございます。
 公表の方法でございますが、公表の方法としては、例えば定型約款準備者のホームページ上にある特定の定型約款を契約の内容とする旨を明示すること、こういったことが想定されているところでございます。
○糸数慶子君 第五百四十八条の二第二項では、いわゆる不当条項について規定しております。これは、相手側の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては合意をしなかったものとみなす規定であり、定型約款の一方当事者である消費者の保護に資する重要な規定でありますが、要件が大変抽象的で曖昧であり、何が不当条項に該当するかについての予測可能性が低いと言わざるを得ません。
 不当条項の要件についてもう少し具体化できなかったのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 不当条項規制によりまして定型約款の内容の合理性を確保することは、定型約款の内容を理解しないままにその内容に拘束されることとなる取引の相手方の保護のために重要であります。そこで、改正法案におきましては、定型約款中の個別の条項の効力を争う法的な根拠を設ける観点から不当条項の効力を否定する規定を設け、その考慮要素なども明記することとしております。
 確かに、この規定の内容は、御指摘ありましたように、抽象的な法規範として定立されておりますため、これを見ても直ちにどのような条項がこれに該当するかは必ずしも明らかではございません。
 もっとも、これをより具体的なものとすることにつきましては、対象となります定型取引には極めて多様なものがあり、そこで問題となり得る不当な条項の種別も多岐にわたりますことから、技術的に困難であります上、一定の不当な条項を念頭に置いて規律の具体化を図り過ぎますと、かえってその対象を狭める結果にもなりかねないなどの問題がありますため、ある意味致し方ない面もあろうかというふうに考えております。
 なお、改正法案の立案の過程では不当条項のリストを設けることが検討されました。そういうふうにすればかなり具体的な形になるわけですが、しかし、一般法である民法において不当条項リストに挙げられるべき条項を網羅的に抽出することが困難であるという問題がございました。
 さらに、逆にブラックリストと呼ばれるもの、つまり、常に不当なものと評価され、不当性を阻却する事由の主張、立証を許すことが相当でない条項を定めた規定を設けて、このような条項について常に無効とするという効果を定めることに対しては、契約締結に至る経緯、当事者の属性、対価の多寡などを含めた総合的な判断の余地をなくす結果となりますため、具体的に妥当な結論を導くことができないこととなるおそれがあるほか、リストに挙げられた条項以外のものが無効ではないという反対解釈を招くおそれがあるとの懸念もございました。
 他方で、グレーリストと呼ばれるもの、これは、一応不当なものと評価されるが、当事者が不当性を阻却する事由を主張、立証することによって不当という評価を覆す余地がある条項を定めた規定でございますが、こういった規定を設けることにつきましては、当事者は、形式的にグレーリストに該当していれば、それが不当条項には該当しないと確信を持って判断することができない限り無効とされるリスクを回避する観点から、その条項をできるだけ契約に用いないこととせざるを得ず、これによって今度は取引に過度な萎縮効果が働くおそれがあるという懸念もございました。
 以上のような懸念がございましたことを踏まえまして、改正法案におきましては不当条項リストの規定を設けないこととしたものでございます。
 以上申し上げましたとおり、改正法案の内容は取引の相手方保護の観点からは合理的なものであると認識しておりますが、確かにその規定は抽象度が高いという点はございますので、適切な解釈、運用の蓄積によってその予見可能性が高められるよう、制度趣旨の周知には十分努めてまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 今回新設される第五百四十八条の二第二項は消費者契約法第十条と似ておりますが、両者はどのような関係にあるのでしょうか。第五百四十八条の二第二項も定型約款準備者のその相手方を保護する趣旨なのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、定型約款の個別の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては合意をしなかったものとみなすこととしております。これが改正法案の五百四十八条の二の第二項でございます。この規定を設けました趣旨は、顧客である相手方が約款の個別の条項の内容を具体的に認識しないまま取引が行われるために、合意をしたものとみなすことが適切ではない条項が契約の内容に含まれるといったことを防止することにありまして、これらも相手方の保護に資するものでございます。
 他方で、消費者と事業者との間の契約であります消費者契約に適用される消費者契約法第十条は、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効としております。
 このように、五百四十八条の二の第二項と消費者契約法第十条とはいずれも契約の当事者の一方にとって不当な内容の契約条項の効力を認めないということとするものでありまして、かつ、その要件も類似しているように見えるわけでございますが、以下申し上げますような相違点がございます。
 まず、定型約款に関する規定は消費者と事業者との間の消費者契約に適用対象を限定していないので、例えば企業がワープロソフトなどを購入する契約を締結した場合のように、事業者間の取引でありましても改正法案の第五百四十八条の二は適用され得るものでございます。
 また、その要件の中でも最も主要な部分であります信義則違反の有無の判断につきましても、改正法案におきましては顧客であります相手方が約款の個別の条項の内容を認識しないまま取引が行われるという定型取引の特質が重視されることになるのに対しまして、消費者契約法第十条におきましては、これは消費者と事業者との間に様々な格差があること、こういったことを踏まえて判断されるわけでございます。
 このように、改正法案の五百四十八条の二第二項と消費者契約法第十条とは、適用範囲を異にするのみならず、その判断においても重視すべき考慮要素も異なりまして、したがいまして導かれる結論に違いが生ずることもあり得るものというふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 時間が参りましたので終わりますが、通告しておりました質問に関しては次回以降に回したいと思います。
 ありがとうございました。
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。どうぞよろしくお願いします。
 今日は時効と債権譲渡という既に何度も出ているテーマですが、なるべくかぶらないように、また参考人質疑を踏まえて質問させていただきたいと思います。
 まず、時効についてですが、時効には民法上の取得時効と消滅時効、刑法上の刑の時効、刑事訴訟法上の公訴時効がありますが、それぞれの制度の趣旨と概要について伺いたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) まず、私の方から民法上の時効について申し上げたいと思います。
 まず、消滅時効でございますが、民法上の消滅時効制度の趣旨といたしましては、長期間にわたって継続した事実状態を尊重し、法律関係の安定を図ること、それから、長期間の経過に伴って証拠が散逸することなどにより債権の発生原因が存在しないことや、弁済などの債権の消滅原因が存在することなど、自己に有利な事実関係の立証が困難となった者を保護することなどが趣旨として挙げられているところでございます。
 現行法におきましては、債権は原則として権利を行使することができるときから十年間行使しないときは消滅するとされておりますが、この十年の期間内に請求ですとか承認がありますと時効は中断するというのが現行法でございます。そして、債務者などが時効による権利の消滅を主張するには時効の援用をすることが必要であります。
 消滅時効に関しましては、改正法案では、債権者が権利を行使することができることを知ったときから五年で消滅時効が完成するという主観的起算点からの消滅時効を新たに導入するほか、時効の中断を時効の完成猶予と更新という概念で再構成するなどの改正を行っているところでございます。
 次に、民法上の取得時効の点でございますが、民法上の取得時効制度の趣旨といたしましては、消滅時効制度と同様に、長期間にわたって継続した事実状態を尊重し、法律関係の安定を図ること、それから、長期間の経過に伴って証拠が散逸することなどにより自己に有利な事実関係の立証が困難となった者を保護することなどが挙げられます。
 現行法におきましては、一定の長期間、所有の意思をもって他人の物を占有した者、他人の物を占有した者ということになりますが、占有した者はその物の所有権を取得するとされておりますが、時効によります権利の取得を主張するには、これも時効の援用が必要でございます。また、取得時効にも請求等による時効の中断がございます。
 取得時効に関しましては改正法案において基本的に改正をしておりませんが、時効の中断という概念を再構成する改正、この点は取得時効にも及ぶものでございます。
○山口和之君 次に、民法上の時効と刑事訴訟法上の時効の両方が問題となるものとして損害賠償命令制度があります。この制度の趣旨と概要について伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 損害賠償命令制度は、犯罪被害者等による損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を利用して簡易かつ迅速に解決すべく、その損害賠償請求に係る裁判手続の特例として設けられたものでございます。
 これは、犯罪被害者が損害賠償の請求をすることにつきましては、一つには、高い費用と多くの労力、時間を要すること、また独力では証拠が十分に得られないことなどの様々な困難があり、損害賠償制度が犯罪被害者等のために十分に機能しているとは言い難いという指摘があったことから、損害賠償請求に関しまして刑事手続の成果を利用することにより、犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易迅速な手続をすることのできる制度として設けられたものでございます。
○山口和之君 そこでですが、刑事訴訟法上の公訴時効は民法上の消滅時効よりも長い期間が定められております。そのため、殺人や傷害、強姦等について、民法上の消滅時効期間経過後に刑事裁判が提起される場合もあります。この場合、被害者等は損害賠償命令制度を利用できないのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) 損害賠償命令の申立ては、犯罪被害者等が加害者に対しまして不法行為に基づく損害賠償請求権の存在を主張し、裁判手続においてその確定を求めるものでございます。
 したがいまして、委員御指摘のような事態におきまして損害賠償命令の申立て自体そのものが禁止されるものではございませんが、その処理に当たりましては基本的に民事訴訟手続と同様の規律に服するものと認識しております。
○山口和之君 それでは、大臣に伺いたいんですけれども、そうしますと、加害者が消滅時効を援用し権利の消滅を主張することについては権利の濫用や信義則違反であり許されないとの裁判例もあります。刑事裁判の厳格な審査によって有罪となった加害者が損害賠償命令の申立てに対して消滅時効を理由に免責を主張することは社会正義に反するのではないかとも思います。被害者保護の観点からも、損害賠償命令制度において加害者による消滅時効の主張を禁止することは一考に値すると思いますが、法務大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 今し方、刑事局長が答弁申し上げましたように、損害賠償命令の申立ては、犯罪被害者等が加害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権の存在を主張し、裁判手続においてその確定を求めるものでありまして、基本的には民事訴訟手続と同様の規律に服すると認識をしております。
 あくまで事案ごとの個別の事情の判断に委ねられるわけですが、加害者による時効の援用が権利の濫用であるなどとして事案に応じて犯罪被害者等の保護が図られる余地もあるわけであります。しかし、加害者が有罪判決を受けたとの一事をもって消滅時効の主張を一律に禁止することについては慎重な検討を要するものと考えられます。
 いずれにしましても、損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を利用して簡易迅速に解決するという制度の趣旨を踏まえまして、検察当局においては、犯罪被害者等に適切な説明を行うなどいたしまして、この制度が適切に運用されるように努めていくものと承知をいたしております。
○山口和之君 時効制度は国民の納得を得にくい面があります。特に公訴時効については、被害者、遺族を始め、見直しを求める声が大きく、二〇一〇年には殺人罪などについて時効廃止が実現したところでございます。犯罪者の逃げ得を許してはならないという観点からは、刑罰だけではなく損害賠償についても時効の見直しを行う必要があるのではないかと思います。是非検討していただきたいと思います。
 次に、権利譲渡について伺いたいと思います。
 今回の改正では、当事者間に債権の譲渡制限特約がある場合にあっても債権譲渡の効力が妨げられないこととなると言われております。債権譲渡を活用した資金調達を容易にするためにとのことですが、そのようなニーズはどれぐらいあるのか、データがあればお示し願いたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案の立案過程におきましては、ただいま御指摘のありました譲渡制限特約を付す債務者側の立場と債権を譲り受け又は担保に取る金融機関の立場について、それぞれアンケート調査などの手法による実態調査を行うことなどを通じまして、改正のニーズの有無及びその内容を調査いたしました。この点につきましては、この実態調査の結果は、法制審議会における調査審議のための参考資料ともされております。
 その結果、譲渡制限特約の効力については次のような問題があり、また、改正のニーズがあることが明らかになりました。
 すなわち、現行法の下では、債権には譲渡制限特約を付すことができ、譲渡制限特約が付された債権の譲渡は無効であると解されておりますが、このような譲渡制限特約が付された債権の債務者は大企業であることも多く、これを担保とする価値は高いと言えると。したがって、譲渡制限特約が付された債権を担保として利用して資金調達を行うことには合理性があるが、そのためには債権者は債務者の承諾を得た上で債権を譲渡する必要があり、実際には債務者の承諾を得ることができない場合が少なくないと。また、債権を譲り受けようとする側においても、譲渡制限特約の存在によって譲渡が無効となる可能性が払拭し切れないため、譲渡人の信用リスクをも勘案した上で債権の価値を低めに算定せざるを得ないという問題もあるということでございます。
 このようなニーズを数量的に評価するということは困難ではございますが、譲渡制限特約の効力を制限することについては、債権者の立場であります中小企業団体ですとか、その担保提供を受けて融資を行う金融機関の団体から強い改正要望もあったところでございまして、このような要請を受けて今回の改正法案の取りまとめに至ったものでございます。
○山口和之君 法務省は法改正の目的を権利譲渡を活用した資金調達を容易にすると説明されておりますが、先日の参考人質疑の意見ではそのような目的は副次的なものにすぎないという印象を受けております。
 それで確認させていただきましたが、目的については分かりましたが、では、果たしてその目的が達成できるのか、今回の改正がなされた場合、本当に資金調達が容易になるかは疑問です。銀行などの金融機関が譲渡制限特約がある債権を元に融資を行うことはなかなか考えにくいですが、どこからの資金調達を期待しているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案では、譲渡制限特約が付されていても債権の譲渡の効力が妨げられないこととしており、これは四百六十六条二項でございますが、譲渡制限特約が付されている債権につきましても譲渡を可能とすることとしております。
 これによりまして、例えば中小企業が自己の有する現在又は将来の売掛債権などを担保として銀行等の金融機関から資金調達を行うことが可能になるものと期待されておりまして、これはABL、アセット・ベースド・ローンと申しますが、ABLなどと呼ばれる金融手法の一場面としてよく言われるところでございます。このような金融手法は、特に中小企業金融において、保証に頼らない融資を実現する観点から近時脚光を浴びているものと承知しております。改正法案の審議の過程におきましては、金融機関の団体などからもこの点につきましては強い改正要望が提出されたところでございます。
○山口和之君 日本の大半の金融機関はリスクマネーの供給に慎重で、極めて堅実です。そのことを考えると、債務者が元の債権者にしか払わないと言っているような債権はトラブルの元凶として敬遠されるのではないかと疑問は残るところでございます。
 そもそも、譲り受けた債権の回収を業とすることは弁護士法で罰則をもって禁止されており、サービサー以外からの資金調達は弁護士法との関係で難しいのではないかと思います。弁護士法七十三条の趣旨、サービサー法の目的及び概要を踏まえた上で御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、譲渡制限特約が付されていても債権の譲渡の効力は妨げられないが、譲渡制限特約が付されていることを知り、又は重過失により知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は履行を拒むことができ、譲渡人に対して弁済をした場合にはこれを対抗することができることとしております。
 この規定の下では、譲渡制限特約が付されていることについて、悪意又は重過失の譲受人は、これはあくまでも債務者が譲渡人に対して弁済した金銭を譲渡人から受領することによって債権を回収することが想定されるものでありまして、譲受人自らが権利実行をすることは想定されないというものでございます。
 他方で、御指摘ありました弁護士法七十三条は、「何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。」としておりまして、あくまでもこれは譲受人が自ら権利実行をすることを禁止の対象としております。
 したがいまして、譲渡制限特約付きの債権が譲渡された場合に、先ほど申し上げましたように、譲渡人によって債権回収がされることを前提といたしますと、譲受人が自ら権利実行をすることがない以上、弁護士法七十三条に抵触することはないと考えられるところでございます。
○山口和之君 債務者が元の債権者にしか払わないと言っているような債権は、やはり潜在的な紛争性、事件性を有しているのではないかと思われます。弁護士でない者が権利の譲渡を受けて、みだりに訴訟を誘発したり、紛議を助長したりすることのないよう、今後の運用を注視したいと思います。
 次に、現行法の債権譲渡禁止特約は、債権者の交代による過酷な取立てから債務者を保護するため、また支払事務の煩雑化や過誤払から債務者を保護するためと言われております。今回の改正では、譲渡制限特約につき、悪意、重過失の譲受人に対して、相当の期間を定めて譲渡人に移行するよう催告できる権利が認められることになりますが、これが悪用され、過酷な取立てが行われるのではないかという声もございます。
 債務者保護が大きく後退することへの懸念もありますが、法務省としてはどのように考えているのか、お教え願いたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案の下では、譲渡制限特約が付されていることについて、悪意又は重過失の譲受人は、債務者が譲渡人に対して弁済した金銭を譲渡人から受領することによって債権を回収することが想定されております。もっとも、債務者が譲渡人に対して任意に債務を履行しない場合には、譲受人にこのような迂遠な回収方法による負担を強いつつ、債務者に弁済の相手方固定の利益を与える合理性に欠けるというふうに考えられます。
 そこで、改正法案では、債務者が債務を履行しない場合において、第三者が譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、債務者は譲受人への履行を拒絶することや譲渡人に対する弁済などの事由を譲受人に対抗することができないこととしております。これが御指摘ありました四百六十六条四項の趣旨でございます。譲受人においてこのような催告をすることができますのは、債務者が債務を履行しない場合に限られております。したがいまして、債務者が契約どおりに債務を履行する場合には、そもそも御懸念のような事態は生ずるところではございません。
 また、委員御指摘の過酷な取立てが引き起こす諸問題についてでございますが、この点につきましては、譲渡制限特約が付された債権の譲渡の局面に限らず、言わば広く一般的に生じ得る問題でございまして、既に民法以外の諸制度によっても一般的に対応がされているものと承知しております。
 したがいまして、改正法の施行によって御指摘のような問題が新たに生ずるといったことはないというふうに考えられるわけでございますが、法務省といたしましては、いずれにせよ、改正法の施行状況については注視してまいりたいというふうに考えております。
○山口和之君 今回の改正では、譲受人が譲渡制限特約につき、悪意、重過失の場合、債務者保護のルールが極めて複雑であるというふうにも思います。このことで債務者保護が大きく後退することのないようにしなくてはならないとも思います。
 一般的に、債権者にとって誰が債務者であるかは重要でありますが、債務者にとっては誰が債権者かは重要でないと考えられているようですが、その理由は何かを教えていただきたいと思います。
○政府参考人(小川秀樹君) 債務者にとって譲渡制限特約を付する目的は、これは主として弁済の相手方を固定することによって見知らぬ第三者が債権者となるといった事態を防ぐことにあるというふうに言われております。このような債務者の期待につきましては改正法案におきましても引き続き保護する必要があると考えられておりまして、譲受人が譲渡制限特約について悪意又は重過失である場合には、債務者は譲受人に対する債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済などをもって譲受人に対抗することができることとしております。これも四百六十六条三項の規定でございます。
 譲渡制限特約が付された金銭債権が譲渡されたときは、債務者は当然にその債権の全額に相当する金銭を供託することができることといたしまして、債務者が弁済の相手方を誤るリスクを軽減する措置も講じております。
 このように、改正法案におきましては、譲渡制限特約が付されていてもこれによって債権譲渡の効力が妨げられないこととはしておりますが、債務者にとって弁済の相手方が誰かが重要であることは十分に考慮されておりまして、法律によって保護すべき債務者の利益については必要な配慮がされているものというふうに承知しております。
○山口和之君 最後に大臣に質問したいと思いますが、少なくとも譲渡制限特約を付けた場合には債務者にとって誰が債権者かが重要であったと言えます。わざわざ債権譲渡制限特約を付けた債務者が不測の不利益を被ることがないよう、改正法を適正に運用していくことが重要になってくると思われます。金田大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 債務者が債権の譲渡制限特約を付するのは、一般に、弁済の相手方を固定し、これによって見知らぬ第三者が急に債権者になるといった事態を防止するためでありますが、改正法案におきましてもこのような債務者の期待は現行法と同様に保護すべきものと位置付けておりまして、新たな制度においても債務者が不利益を被らないような措置が設けられているわけであります。
 また、債権者が債務者からの債権回収を適正に行うべきことは現在も民法以外の関係法令によって規律されているところでありまして、このことは債権の譲受人による債権回収についても同様であるものと承知をいたしております。
 法務省としては、債権の譲受人が債務者から債権回収を行う場面を含めて債権の回収が関係法令に従って適正に行われるように、改正法案の趣旨を周知徹底してまいりたいと考えております。
○山口和之君 ありがとうございます。
 せっかくの法改正なので、日本社会にとって良い結果をもたらすようしっかりと運用されることを期待します。
 以上で終わります。
○委員長(秋野公造君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十八分散会