第195回国会 法務委員会 第2号
平成二十九年十二月五日(火曜日)
   午後一時四十分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                真山 勇一君
                若松 謙維君
    委 員
                岡田 直樹君
                福岡 資麿君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                山谷えり子君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  山下 貴司君
       文部科学大臣政
       務官       宮川 典子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀田 眞哉君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      渡邉  清君
       警察庁長官官房
       審議官      小島 隆雄君
       警察庁長官官房
       審議官      大賀 眞一君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省人権擁護
       局長       名執 雅子君
       法務省訟務局長  舘内比佐志君
       法務省入国管理
       局長       和田 雅樹君
       外務省領事局長  相星 孝一君
       財務省主計局次
       長        大鹿 行宏君
       文部科学大臣官
       房審議官     白間竜一郎君
       厚生労働大臣官
       房審議官     八神 敦雄君
       厚生労働大臣官
       房審議官     和田 純一君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (刑事施設における再犯防止のための教育に関
 する件)
 (性暴力及び性犯罪被害の実態に関する件)
 (性犯罪被害者に対する相談体制に関する件)
 (所有者不明土地問題に関する件)
 (技能実習制度の課題に関する件)
 (難民認定制度の運用に関する件)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官渡邉清君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石川博崇君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎でございます。
 上川大臣、葉梨副大臣、山下大臣政務官並びに政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、大臣所信をお聞きいたしました。その中で上川大臣は、法の支配を貫徹し、あらゆる活動に法が適用されることが重要だと述べられました。私も、世界の普遍的な価値観である法の支配の貫徹、非常に大事だと思っておりまして、そのためにはやはり司法が強くなければならない、司法の強化という点を重要視しております。その結果、法の支配が貫徹されれば、人、物、金、情報をこの我が国に呼び込む国際競争力の向上、さらには国力の向上につながるのかなと考えております。
 しかしながら、まだ我が国の法の支配は貫徹されていないなというふうに感じているところであります。
 長らく、司法は二割司法ということで、この司法が解決するべき案件のうち僅か二割しか司法の救済を得られていないと、こういう言葉が使われております。民間の調査によりましても、まだその状況はさほど改善していないというようなことも調査の結果として出ております。
 そしてまた、司法の強化のためには、やはりこの司法を支える人材が、意欲ある優秀な人材がしっかりと確保されること、そして活躍することが大事だと思っております。
 このような点から、司法を強化することで我が国の法の支配が世界最高水準に行き届いた司法大国、司法先進国と、このように言われるぐらいの水準まで法の支配の貫徹を目指していくべきだと考えておりますが、法務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 先日の参議院の法務委員会、この場におきまして申し上げましたとおり、法治国家であります我が国におきまして、憲法を始めとする法体系の下、法の支配を貫徹し、国民生活はもとより、経済的活動やまた社会的活動、さらには司法外交を推進し、国際分野に至るあらゆる活動に法が適用されることが重要であり、今後、法治国家としての基本的な土台を更に強化していきたいと、こう考えているところでございます。
 そして、これに関連して、司法制度を所管する法務省といたしましては、国民に身近な司法を実現することが重要であるというふうに考えております。
 私は、昨日、法テラスを視察をしてまいりました。法テラスが推進をいたします司法ソーシャルワークの取組について説明を受けました。この取組は、高齢者、障害者を始めとして、自己が法的問題を抱えていることを認識する能力が十分でないなどの理由で自ら法的援助を求めることができない方々に対しまして、福祉機関と連携して積極的に働きかけ、また法テラス、福祉機関、それぞれの能力やノウハウを生かしながら、法的問題を含めた総合的な問題解決を図る取組でございます。こうした取組は、国民に身近な司法を実現する一つの手段である上に、紛争解決に加えて紛争の未然防止にも資するものでありまして、非常に重要であるというふうに認識しております。
 今後も、こうした取組などを通じて国民に身近な司法を実現してまいりたいと思っております。
○元榮太一郎君 力強い御答弁をありがとうございます。身近な司法、そして法曹人材の充実強化、こういった点も含めて、法の支配の貫徹に向けて政府・与党一丸となって取り組んでいければというふうに思っております。
 次の質問に移らせていただきますが、政府は人づくり改革の具体的テーマの一つにリカレント教育というものを掲げております。私は、この司法の領域におきましては、刑事施設の入所者にこそリカレント、つまり学び直しが有効なのではないかなというふうに考えます。
 お配りの資料一にございますが、先日公表された今年の犯罪白書によりますと、昨年の刑法犯で逮捕されるなどした検挙者のうち再犯者の割合を示す再犯者率、二十年連続で上昇をし、過去最悪の四八・七%となっております。
 そこで伺いますが、刑事施設の入所者のうち再入者の割合を示す我が国における再入者率を御教示いただきたいと思います。
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 平成二十八年中に新たに刑事施設に収容された受刑者の数でお答えしたいと思います。二十八年中の新収容受刑者は二万四百六十七人でありますが、そのうち一万二千百七十九人がいわゆる再入者でございますので、割合にいたしますと五九・五%となっております。
○元榮太一郎君 再入者率六割近いということなんですが、このような高い水準の原因は何でしょうか。
○政府参考人(富山聡君) 実は、刑事施設を出所した者が犯罪を犯して再び戻ってくる、この再入者の数自体は、近年、少しずつですが減少はしているんです。しかしながら、刑事施設に入所してくる者の総数が減少するほどには減少していないということがございまして、結局のところ、刑事施設に新たに入ってくる者に占める再入者の割合が平成十六年以降上昇を続け、現在では約六割近くを占めるということになっておるところでございます。
 この理由といたしましては、やはり一度刑務所に入った者に対してはなかなか理解あるまなざしばかりではなく厳しい目も間々ある、また本人の資質上の問題などもございまして、出所した後の住居や仕事の確保、またこれを継続すること、なかなかこうしたことが容易ではないということなども原因ではないかと考えております。
○元榮太一郎君 仕事がなく住居もないと、だから再び罪を犯す、こういった状況も見えてきます。
 そこで、入所者が再入所しなくても済むような処遇というのはこういったところを確保するところからスタートなのかなというふうに思いますが、今はまさに人手不足ということが叫ばれております。このリカレント教育の要素をこの刑事施設への矯正にも生かして、例えば人手不足の業界ですと運送、建設、介護、こういったところの業界で即仕事ができるようなスキルを教育刑として科すことで、より出所後の住居と仕事の確保につながる可能性が高まるのではないかなというふうに思っておりますが、現在、刑事施設において出所後の雇用に直結できるような職業訓練や教育は行っているのでしょうか。御教示ください。
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 刑事施設では、刑務作業の一つの形態として職業訓練を実施し、受刑者に職業に関する免許、資格を取得させ、又は職業に必要な知識、技能を習得させることにより円滑な社会復帰に資するよう配慮をしており、平成二十九年度におきましては、建設機械科、情報処理技術科など、四十八種目の職業訓練を実施しております。
 職業訓練を充実させることは受刑者の円滑な社会復帰、改善更生を図る上で極めて重要であると考えており、刑務作業契約企業等を対象としたアンケートや検討会を実施するなど社会の雇用ニーズの把握に努め、これに応じた職業訓練の拡充や内容の見直しを図っているところです。
 また、受刑者の就労支援としては、平成十八年度から、厚生労働省と連携をして、職業相談、職業紹介等、刑事施設にいるうちから就労につなげるための調整を行っております。さらに、平成二十七年度からはハローワークの相談員が一部の刑事施設に駐在するといった取組を行っております。
 また、平成二十八年十一月からは、東京、大阪の矯正管区に矯正就労支援情報センター、コレワークと通称しております、こういったものを設置し、支援を開始しております。このコレワークでは、全国の受刑者等の職歴、職業訓練種目、資格、帰住予定地などの情報を一括管理いたしまして、受刑者等の雇用を希望する企業に対して雇用条件に適合する者がどこの施設にいるのかといった紹介を行うなどして、よりマッチングが進みやすいような配慮もしております。
 また、そのほか、職業訓練以外にも、例えば簿記、宅地建物取引士、行政書士等の社会通信教育を受講する者に対する公費負担の枠組み、また、一部の少年刑務所では、高等学校の通信制課程の教育、そのほか高等学校卒業程度認定試験受験希望者に対する教育ですとか、職場に適応するための心構え、行動様式、就労生活に必要な基礎知識や技能を身に付けさせるための教育なども実施して、これらの充実に努めております。
 今後も、雇用情勢の動向等を踏まえた職業訓練、教育等の充実に努めて受刑者の再犯防止に向けた処遇の充実を図っていきたいと考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 再入者の減少が実現すれば、当然治安も良くなりますし、人手不足の解消にも、軽減にもつながると思います。そしてまた、矯正施設の維持コストというものも相当程度ありまして、法務省予算の八千億円のうち二千億円ぐらいが矯正施設に関するものだと聞いておりますので、一度で三度おいしい、そういうようなことでもあるのかなというふうに思っております。
 現在、法制審議会や少年法、刑事法の部会におきまして自由刑の在り方というものが議論されていると思います。日本や韓国では自由刑、自由を拘束する刑罰は所定の作業を行わせる懲役刑が主体だと思いますけれども、実は、先進諸外国のうちアメリカ、イギリス、フランス、ドイツは作業を前提としない拘禁刑が採用されておりまして、日本と韓国ぐらいが懲役刑というふうに聞いております。
 そういった意味では、これから、社会の要請もありますから、教育刑の要素を多分に取り込んだ刑罰思想の中で、もっともっと社会に復帰しやすい、活躍しやすい、そういうような矯正教育というのが必要なのではないか。まさに政府がリカレント教育というような形で銘打っている今こそチャンスだと思うんですが、リカレント教育の刑務所への入所者への導入の必要性について御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 受刑者の中には、基礎的な学力不足を理由として円滑な社会生活を送ることを諦めたり、高等学校等の卒業資格を有しないことで就職先が限られるなど、様々な場面において不利な境遇に置かれてきた者が多かったと考えられます。また、これまでに安定した就業経験を有しない者もおり、就業に必要な基本的なスキルやマナーを有しない者も存在しております。
 当局といたしましても、受刑者が改善更生の意欲を持ち、円滑な社会復帰を遂げるためには、基礎的な、あるいはより高度な学力を身に付けるとともに、就労に生かせる技能、知識を付与することが重要と認識しております。いわゆるリカレント教育のように、社会人になった後にも教育を受ける、受刑者が学び直し、やり直しの機会を得ることができるよう努めていく必要があると考えているところでございます。
 私どもにおいては、先ほども申し上げたとおり、これまでも教育的な試み等をやっておるわけでございますが、今後も社会の雇用情勢の動向等を踏まえた職業訓練や教育の充実に一層努め、受刑者の再犯防止に向けた処遇の充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。是非前向きに進んでいくこと、更に充実していくことを御期待申し上げます。
 次に、裁判官、検察官の働き方改革について伺いたいと思います。
 政府は働き方改革に取り組むことを表明しておりますが、裁判官、検察官についても対象と捉えてもいいのではないかな、むしろ対象としなければならないのかなというふうにも思っているところです。
 昨年の十一月二十四日のこの法務委員会におきまして質問をさせていただきまして、裁判官の勤務実態については把握することが難しいというような御答弁もいただきました。
 そのような中、お配りしている資料二にもありますとおり、文科省が四月二十八日に発表した調査結果によりますと、教員の勤務実態調査で、公立小中学校の教員の残業時間が過労による健康被害の目安である月八十時間を超え、いわゆる過労死ラインですね、に達している教員が小学校で三三・五、中学校で五七・七というふうに上るという非常に衝撃的な結果が明らかになりまして、今、文科省、そして中教審ですか、この改善に向けて、等も含めて検討しているところだと思います。
 そこで、私の知り合いを通じて若手検察官、裁判官の勤務状況を簡単にヒアリングいたしましたところ、一年目から三年目の検察官は、土日のどちらか一日は出勤をしており、月労働時間が大体二百五十時間ほど、四年目以降の方は更に忙しくしているというようなお話もいただきました。また、裁判官の場合は、年次は関係なく多くの方が月労働時間二百五十時間超を当たり前に超えているのではないかなと、複数名からのみのヒアリングですが、そんな御意見もいただいております。
 私は、長時間労働をなくすということは官民を問わず重要なことだと思っております。そこで、まず文科省も勤務実態調査からスタートということで、勤務実態を把握することからスタートしたと思います。
 そういった中で、昨年十一月二十四日以降で、裁判官、検察官の勤務実態把握のために新たな取組を行っていますでしょうか。法務省と最高裁の御意見をお聞かせください。
○政府参考人(林眞琴君) まず、法務省から検察官についてお答えいたします。
 検察官の勤務実態については、従来から、検察官の心身の健康を維持するという観点から、各事件の処理の決裁官という者がおりますが、決裁官において各検察官の勤務状況を具体的に把握して、実質的な業務量に応じて必要な調整を行うなどしてきたところでございます。平成二十八年十一月二十四日以降も引き続き同様の取組を実施しているところでございます。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 裁判官についてお答え申し上げます。
 裁判官は、憲法によりまして職権行使の独立が定められており、日々の事件処理の方法等についても、他人の指揮監督を受けることはなく、その自律的判断に委ねられております。また、裁判官には勤務時間の定めがなく、夜間、休日に自宅で記録の精査や判決の起案等を行うことも少なくないところでございます。
 一方で、裁判官の職責の重大さに照らしまして、裁判官が心身共に健康な状態で職務に当たることができるようにすることは重要であると考えております。そのような観点から、各地の裁判所におきましては、個々の裁判官の執務の実情を様々な形で把握するよう努めているものと承知しているところでございます。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 裁判官、そして検察官の職務の特殊性というところは私も認識しているところであります。教師についても、教師の主体性というところで、いろいろとほかの仕事とは違うだろうということで今まで余り勤務実態を把握していなかったという一つの理由もあったかと思うんですが、やはり今の時代は、特殊性に注目してその実態を把握することを余り行わないのではなくて、やはりできる限り把握をするという努力が必要なのではないかなと思っております。
 私の以前していた弁護士という仕事の世界もまさに裁量の世界ということで、弁護士はいろいろと昼夜を問わず働いている仲間が非常に多いです。そういうような中で、それでもやはり、法律事務所としては雇用契約のところと業務委託契約の事務所がありますので、それぞれ異なりますけれども、勤務実態を把握して、大手の事務所では過去に過労死というものがあって大きく報道されたりしたこともありましたものですから、それぞれの事務所がそれぞれ努力をして、タイムシートを付けさせるとかタイムカードを付けたりと、こういうような形で努力をしているところであります。
 それで、医師の世界もやはり過労死の問題が報じられていることもありまして、それぞれの医療機関で努力が始まっているところだと思っております。
 こうした中、やはりこの問題は司法の世界においてはまさに率先して実現するところかなと思っておりまして、万が一のことがありますと、司法そのものに対する信頼の維持向上という、私どもがとても大事にしなければならない、そういったものに影響するようにも思っておりますので、今はまだそういった報道等、痛ましいような事件が報じられていないわけですが、今こそ勤務実態を把握する、そういうような好機なのではないかなと思っておりまして、そこで普通に思い付くのがタイムレコーダーということであります。
 教員の世界もタイムレコーダーの導入率というのが少しずつ高まっているという話も聞いておりますが、普通にネットで検索をしますと、タイムレコーダー、数万円程度でありますし、完全には把握できませんが、時間外労働手当を払うための根拠の証拠ではないわけですから、大体この程度、庁に来て、裁判所に来て、それでどのくらいの稼働をしているのかなということを把握する参考資料としてこういったものも、タイムレコーダーだったり、あとは勤怠管理システム、最近ですと、スマートフォンで出退勤が記録できて、しかもGPSと連動しているので、ちゃんとその近くにいないと記録ができないとか、非常に安価で、しかも精度の高いものが開発されているわけですから、そういった形でもう一歩前に進めて、タイムレコーダー等を導入する、そんなことは御検討の余地はないでしょうか。
○政府参考人(林眞琴君) 検察官につきましては、まず超過勤務手当を支給しないこととされておりますので、勤務時間を超過して勤務した時間などを制度的に把握するということはこれまでしておりません。
 また、検察官の職務、勤務時間外において対応せざるを得ないものがある一方で、勤務時間外の執務といいましても、その負担、軽重、様々でございまして、時間の長短だけで一概に測ることは困難だと、こういったことも制度的にその勤務時間の把握というものをしてこなかった、それが一つの理由でございます。
 他方で、検察庁におきましては、事件を決裁官がどの検察官に割り当てるか、これ配填といいますけれども、そういう配填をしなくちゃいけないわけでございますので、決裁官は常に自分のその配填する相手の検察官がどの程度の事件を持って、どのような勤務状況にいるかということは、絶えずこれは把握した上で配填しているわけでございます。そういったことから、これまで検察庁においては決裁官においてその勤務状況を具体的に把握していくと、こういった形で配慮を行ってきたところでございます。
 もとより、検察官の業務負担について御心配いただいたり御提言いただいていること、大変有り難いところでございまして、今後とも検察官の勤務状況を実効的にどのような形で把握できるか、していくべきかということについては、それについては更に検討していきたいと思っております。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 裁判官についてお答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたような裁判官の職務の特質からいたしますと、裁判官の勤務時間をタイムカード等で把握、管理するということはなかなかなじまないところがあるかというふうに考えているところでございます。
 今後とも、個々の裁判官の執務の実情を様々な形できめ細かく把握をいたしました上で、必要に応じてその働き方について指導、助言したり、事務負担を見直したりするなどいたしまして、裁判官の心身の健康に配慮していくよう、各地の裁判所に伝えてまいりたいと考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
 司法の大事なインフラである裁判官、検察官が心身共に健康であるというのは、まさに強い司法と、そして法の支配の貫徹の不可欠の大前提だと思いますので、引き続き更なる改善に向けていろいろと御検討いただくことを心よりお願いいたしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 さきの国会で、この法務委員会でも刑法改正についての議論を行いました。その結果、これまで強姦罪と言われていた名称が強制性交等罪というように変えられたことを含めて様々な変化はありましたけれども、それを実のあるものにしていくのはこれからの私たち全体の課題であろうというふうに思っております。
 そういう視点から、今日はある事件について、個別具体的な問題であってもそこから普遍的な課題がありますので、そこを織り込みながら具体的にお話を伺っていきたいというふうに思います。
 この問題は、ただ、この時間にも、今、東京地裁で民事訴訟が今日から始まっております。ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSのワシントン支局長を訴えている事件です。刑事事件としてはこれは不起訴になり、検察審査会に申立てがありましたけれども、そこも不起訴相当ということになっておりますけれども、やはり様々な疑問がある中で、その一つ一つをなるべく明らかにすることによって、伊藤さんだけではなくて多くの性被害者を救っていくと、そういう視点で裁判が行われると同時に、私も今から幾つかのことをお聞きしていきたいというふうに思っております。
 この問題については、既に国会でも超党派で準強姦事件逮捕状執行停止問題を検証する会というものができまして、これまでに二回会議を開き、あしたの朝もこの当事者である伊藤詩織さんもお招きをして三回目の集会が行われます。実は、今日、衆議院の法務委員会でも希望の党の柚木議員がこの問題について質問をしているように、不起訴、そして不起訴相当ということになったにもかかわらず、やはり非常に社会的に興味、関心が広がっておりますので、やはりそうしたことから、ただ不起訴になったから、不起訴相当になったからといって終わらない問題だという視点でお聞きをしていきたいというふうに思っております。
 何しろ、この元TBSのワシントン支局長は、その後、「総理」という本をお出しになって、私も丁寧に拝見しましたけれども、とても面白い興味深い分析、取材をなさっていて、とにかく官邸に深く入り込んでいる方ですから、そういうことからもどうしても臆測も含めて興味、関心が続いていくんだろうというふうに思っております。
 今から、一般的な問題についても当然お聞きをしていきますけれども、この伊藤さんの事件というものが、御本人も「ブラックボックス」という本をお書きに、文芸春秋からお出しになっておりますけれども、どういう事件だったのかということを、ちょっとあらまし簡単にお伝えしたいと思います。その個別の中にも普遍的、一般的な問題があるということは、皆さん想像しながらお聞きいただきたいというふうに思います。
 伊藤さんは、国際的なジャーナリストになろうと思っておりました。そして、TBSのワシントン支局長にアメリカでのポストを得たいと相談をして、前向きな返事があったので、ビザを取る打合せで、東京の串焼き屋、そしてすし屋に行って打合せをしました。そして、気付いたらホテルに行っていて事に及ばれていたというのが二〇一五年の四月三日のことでした。御本人は、混乱の中で病院に行って警察に行って、泥酔者、彼女の主張によりますと、デートレイプドラッグという、これはこの間も朝日新聞が三日連続で大きな特集をやっておりましたけれども、薬物を飲物の中に入れて意識が混濁するというような、社会的なこれは問題にもなっているわけですけれども、そういう状況で混乱をして警察に行って、レイプを、彼女からすればレイプを、準強姦を立証する孤独な闘いを始めたんです。
 伊藤さんは、相手を断罪するんではなくて、あったこと、当事者として感じたことを冷静に手記には書かれております。どうして警察に行ったら何度も何度も同じ経験を語らせるのか、病院やNPOの窓口もなぜ傷ついた被害者に寄り添った対応ができないのか、これからも同じことが起きたら性被害者は大変な思いするんじゃないか。
 具体的に言えば、彼女は原宿署に最初行きますけれども、これ被害届出したいと言ったら、こんなこともうしょっちゅうあることなんですよといって門前払いのようなことを経験してしまう。さらに、性行為があったことは相手もこの場合は認めているんだけれども、合意がなかったということを証明するのは極めて難しかった。そして、しかし、高輪署に行って、高輪署は被害届を受理をしてくれて、警察官が努力をされて、タクシーの運転手の証言やホテルの監視映像から立件の確証を得た。その結果、逮捕状が請求されて裁判所も発行を認めました。だが、逮捕は行われなかった。
 このことについて、その背景には総理の友人である相手を守ろうとする大きな政治力が働いたのではないかと御本人は思ってしまっている。そして、そう思う方もいまだいらっしゃる。だから、今からお聞きをしますけれども、警察も司法もできるだけ一般論に終わらせない形で具体的に問題を答えていっていただきたいというふうに思っております。
 まず、警察庁にお聞きをしますけれども、過去三年間で、強姦、準強姦の認知数はどのぐらいあったでしょうか。
○政府参考人(大賀眞一君) 改正前の刑法でございますけれど、強姦、準強姦等の過去三年間の認知件数は、平成二十六年が千二百五十件、平成二十七年が千百六十七件、平成二十八年が九百八十九件でございます。
○有田芳生君 これは、事件の事柄からいって暗数が多いと想像されますけれども、そこはどう判断されていますか。つまり、暗数、分からない数。
○政府参考人(大賀眞一君) 一般に、性犯罪というものはなかなか被害者の方が届けにくいと、こう言われているのは事実でございまして、暗数でございますので、まさに正確なところは分かりかねますけれども、一定程度あるものだろうと推認はしております。
○有田芳生君 ちょっと余談にもなりますけれども、資料でお出しをしていますけれども、右側の表、レイプ被害は言い出しにくい、人口十万人当たりのレイプ事件の件数、日本は一・一件、だけどスウェーデンは五十八・五件。これ、何でスウェーデンがこんななんだと驚きましたけれども、伊藤さんの現地も含めた分析によると、スウェーデンの場合は回数で、例えば家族の中で性行為を無理やり行った場合なんかはその回数でずっと数えているからスウェーデンの場合はこういう数字が出ているんだということと、これは指摘するだけにとどめますけれども、警察庁なども今後検討していただきたいんですけれども、被害届を出しやすい環境がスウェーデンにはある。
 どういうことかというと、二〇一五年ですけれども、スウェーデンの警察内での女性の比率は三一%、役職者の比率も同じく女性が三割なんだと。それに比べて、日本で警察内の女性の比率は全体の約八・一%。そういう環境の違いもあるんだということを伊藤さんは指摘をされております。
 そういう状況の中で、起訴、不起訴の現状というものはこの三年間どうなっているか、法務省、お答えください。
○政府参考人(林眞琴君) 過去三年間における強姦罪による公判請求人員数、この強姦罪には準強姦を含みますけれども、その公判請求人員数は、平成二十六年が三百二十三件、平成二十七年三百二十三件、平成二十八年二百七十七件でございます。これに対しまして、不起訴人員数は、平成二十六年四百九十一件、平成二十七年六百三十九件、平成二十八年四百八十八件であると承知しております。
○有田芳生君 ですから、この問題は、性行為があったかどうか、そこに合意があったかどうか、その二つがポイントになりますけれども、やはり密室で行われたことについては立証が難しい。男性の方からすれば、いや、合意なんだということを言えば、脅迫、暴行がなければなかなか難しい件数だというふうに思います。
 そういう意味でも、今、日本の司法というのは、これは千葉大学の後藤弘子先生の指摘ですけれども、男性目線の刑事司法がまだまだ続いているんではないかということを指摘せざるを得ないというふうに思います。
 そこで、次にお聞きをしたいんですが、警察庁にお尋ねします。
 強姦事件、準強姦事件は、例えば東京の場合、所轄から警視庁本庁に必ず報告されることになっているんでしょうか。
○政府参考人(大賀眞一君) 強姦事件や準強姦事件などの重要な事件につきましては、警察署から警視庁の本部に報告をされることになっているものと承知しております。
○有田芳生君 全ての強姦、準強姦事件が警視庁に報告されるんでしょうか。
○政府参考人(大賀眞一君) そのようになっているものと承知をしております。
○有田芳生君 その理由はどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(大賀眞一君) まさに、強姦事件や準強姦事件というものは非常に重要な事件であるということ、それと同時に、やはりなかなか立証等に困難な面もあって、大体本部には性犯罪捜査指導官という者を各都道府県警察、設置をしておりますけれど、そういった者たちが適時適切に指導をする必要があるからと、こういうふうに考えております。
○有田芳生君 そうすると、伊藤詩織さんが高輪署に告訴を行って、警察官がタクシーの運転手から話を聞き、あるいはホテルのビデオを入手してその内容を確認したという、その件についても当然警視庁に最初から相談が行っていたという理解でよろしいわけですね。
○政府参考人(大賀眞一君) 個別の事件の捜査の経過等については答弁を差し控えさせていただきますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、強姦事件や準強姦事件などの重要な事件につきましては、本部へ報告が行き、節目節目で本部からの指導がなされているものと承知をいたしております。
○有田芳生君 だから、全ての案件が報告されているわけですから、伊藤さんの件だって報告されているという、それ以外のことは考えられないと思いますけれども。
 先ほど事件の概要でお話をしましたけれども、警察官が徹底した捜査をやって、そして、これは逮捕案件だという判断を、検察と相談していたかどうかは分かりませんけれども、逮捕状の請求をしているわけですよ。で、逮捕状も出ている。
 そのことについてお聞きをしたいんですけれども、逮捕状を請求する、で、そのときには証拠がそろえられて、裁判所の方でも判断をされて、そこで逮捕状は発行されるわけですよね、経過からいうと。
○委員長(石川博崇君) どなたへの御質問にいたしますか。
○有田芳生君 検察でも、いや、警察庁で構いませんが。
○政府参考人(大賀眞一君) 一般論でお答え申し上げますと、警察においては、所要の捜査を行って、逮捕の必要性があると判断したものについては所要の疎明資料をもって裁判所に逮捕状を請求し、裁判官がその必要性、相当性を認めた場合に逮捕状が発付されるものと承知をいたしております。
○有田芳生君 この伊藤さんのケースは、逮捕状が請求をされて発行されて、担当の刑事さんからは御本人に電話があって、海外にいた伊藤さんに電話があって、この日に元TBSのワシントン支局長が成田の空港に戻ってきたときに逮捕状を執行するという連絡があった。だけど、その当日になってまた伊藤さんにその担当刑事から連絡があり、できなくなったという連絡があったというんですけれども、そういうケースはあるんでしょうか。つまり、逮捕状が請求されて発行されて直前に中止になるというケース、これは一般的にあるんでしょうか。
○政府参考人(大賀眞一君) 逮捕状を警察が取得している場合においても、例えば逃走のおそれがなくなったなどの事情の変更やあるいは逮捕が必要でないと判断されるとき等々、逮捕が相当でないと判断されるときなどに逮捕状を執行せずに任意捜査とするということは、捜査を進める中では通常あり得るものと承知をいたしております。
○有田芳生君 直前に停止されることもあるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 捜査には様々な事情がございますので、逮捕状を執行しないという判断をいかなるタイミングでするかというのもまた区々であると思いますので、直前ということもあり得るということだと思います。
○有田芳生君 若狭勝元検事は、六月九日に御自身のブログでこう書いています。私は逮捕状とその執行実務に精通している、その私の目からすると通常ではあり得ない事態、この種の犯罪で所轄警察署が入手した逮捕状につき、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない、こう語っておられますけれども、この認識は間違っていますか。
○政府参考人(大賀眞一君) 個人の認識というものについてコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、警察署が行っている捜査に関して警視庁の例えば警察本部が適正捜査の観点から指導等を行うのは通常のことであると承知をしております。特に逮捕権というものにつきましては、人の身体の自由を拘束するものであるということでありますので、慎重かつ適正に運用されるべきであると考えております。
 したがいまして、それが相当でないと判断したときには、当然執行しないようにという指導をするということはあるということでございます。
○有田芳生君 へらへらしないでくださいよ。
 おかしいんですよ。何がおかしいかというと、所轄の警察署が徹底した証拠に基づいて逮捕状を請求した。そのとき、検察と相談されたかどうかは分かりません。それ聞いたって、一般論としてしか答えないわけだから。だけど、検察と相談していなくたって、少なくとも裁判所は逮捕状を発行したわけでしょう。だから、それなりの証拠がそろっていると判断しているわけじゃないですか。
 しかも、さっきあなたがおっしゃったように、この事件についても、ほかの強姦事件に対して最初から警視庁の担当者と相談しているわけでしょう。だったら、警視庁のしかるべき人たちに報告が上がって、その上で逮捕状は発行されていたんじゃないんですか。刑事部長が知らなかったということはあるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 個別の事件の捜査の経緯等について、特にこの事件は先ほど委員が紹介されたような経緯をたどっているということもございますので、その詳細について御説明をすることは避けたいと思いますけれども、逮捕権の適切な行使という点からは、いかなる段階で逮捕を見合わせる判断をしてその判断を捜査員に伝えるかということに関してはさほど大きな問題ではなくて、逮捕すべきでない者を逮捕しないということが重要でございます。そのように考えております。
○有田芳生君 証拠がちゃんとそろっていて、逮捕に相当するという判断をしたから、担当の警察官だってその当日は成田の空港に行って本人逮捕する準備していたんですよ。だけど、四日間のうちに何らかの動きがあって逮捕しないということになった。だから、この担当刑事は、悔しいから、当日成田の空港まで行って、この元TBSのワシントン支局長が降りてくるのを目の前で見て、そして無念の気持ちになるんですよ。
 そこで、お聞きしたいんだけれども、そういう経過をたどった後にこの担当刑事は即座に担当を外される。そんなことはあるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 捜査の体制につきましては、それぞれの都道府県警察において、その時々の事情に応じて臨機応変に体制を組んでいるものと承知をしております。
○有田芳生君 そんな答弁ばかりしてるから性被害者たちは裁判に訴えることをちゅうちょするんですよ。法律変わったって、そんな状況じゃ何も変わらないじゃないですか。私たちが本当に恥ずかしい思いをして証言をしたって、警察も司法もそういう態度だということになれば、何も事態変わらないですよ。
 もう一つお聞きします。
 逮捕状が交付されるときには警視庁に報告行っているわけだから、刑事局長の決裁文書というのはあるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 一般論で申し上げますと、捜査の経緯等に関する文書は通常作成されているものと承知をいたしております。
○有田芳生君 そうしたら、逮捕状が交付されるための決裁書というものが残っている、一般論としてでもいいですよ。一方で、ああ、やっぱりこの件については逮捕状を執行しないでおこう、それも決裁書は残っているんですね。
○政府参考人(大賀眞一君) 先ほども御説明をいたしましたように、捜査の経過に係る経緯を明らかにするための書類というものは通常作成されているということだと承知をいたしております。
○有田芳生君 では、具体的にお聞きします。
 この伊藤さんのケースの逮捕状執行を止めた中村格当時の警視庁刑事部長、皆さん方は個別一般の問題で答えられない、そんなことばかり繰り返しているけれども、中村刑事部長は週刊誌に個別具体的なことを答えているんですよ。何と言っているか。このTBSの元ワシントン支局長の立場に関係なく、事件の中身として私が決裁した、捜査の中止については指揮として当然だと思います、自分として判断した覚えがあります。個別具体的なことを刑事部長が当時語っているんです。当時というか、今年の週刊新潮の取材に語っている。個別具体的なことを語っているのって、これどうなんですか。語り過ぎじゃないんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 個別の報道等の内容に関しまして答弁をすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
○有田芳生君 そういうことを言うから、さっきから言いますけれども、疑問点、疑問点、疑問点がずっとあって、伊藤さんだけではなくて、多くの人たちが一体何があったんだろうかという疑問を持ちながら、解決していかないから、司法に対しても警察に対しても疑問が氷解していかない。そこをやっぱり一つ一つもう少し丁寧に解いていかなければいけないと思うんですよ。
 じゃ、具体的にお聞きをします。
 この伊藤さんのケースについて、中村刑事部長が捜査一課長として在任した期間はいつからいつでしたか。
○政府参考人(大賀眞一君) 御質問は捜査一課長ということでございましたけれども、中村格氏は当時警視庁の刑事部長でございまして、その在任期間は平成二十七年の三月から平成二十八年の八月までの間であったと承知をいたしております。
○有田芳生君 その間に中村刑事部長が決裁をした逮捕状の執行についての決裁書、そして直前に執行をやめようという決裁をした決裁書、どのぐらいあるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 都道府県の個々の事件の捜査に関してお尋ねでございますけれども、警察庁といたしましてはお尋ねのような件数は把握をしてございません。
○有田芳生君 決裁書が残っているんだったら数えてくださいよ。委員会に出してもらえないですか。
○政府参考人(大賀眞一君) 警察庁として把握をしていないところでございます。また、お尋ねのような件数は、それぞれ都道府県警察においても、例えば警察署ごとだったりいろんなところで保管をされているものと承知をいたしております。
 それで、この事件、御指摘の事案につきましては、警察とそれから検察が、それぞれ所要の捜査を経て不起訴処分とされております。またさらに、その後、検察審査会においても不起訴相当の議決がなされたものと承知をしておりまして、こうした経緯に鑑みまして、そうした調査を行うことは考えておりません。
○有田芳生君 だから、そんなことだから疑問点は消えていかない。この件だけじゃないんですよ。
 例えば、検察審査会の議決の文書というのは皆さん方に資料としてお配りしましたけど、法務省の前にこれは貼り出されていたんですけれども、議決の理由見たって、そこ見てください、何が何だかさっぱり分からない。「本件不起訴記録及び審査申立人提出資料を精査し、慎重に審査したが、検察官がした不起訴処分の裁定を覆すに足りる事由がないので、上記趣旨のとおり議決する。」、普通の人、全く分からないじゃないですか。
 これは最高裁のことですけれども、こんなことじゃなくて、もう少し丁寧に、できる限りプライバシーなんかを守りながら、誤解を生まないような、もっとあえて言えば、この検察審査会も含めたブラックボックスのようなものがあるから、陰謀論なんかが今だってずっと出るわけですよ、この件にしたって。だから、そういうことを避けるためにも改善の努力をしなければいけないというふうに思うんです。
 もう時間がどんどんなくなりますけれども、さっきの伊藤詩織さんの件でいえば、ずっと地道に捜査をやってきた担当者は、逮捕しないということが決まったら現場から外されたんですよ。その本人がおっしゃるには、逮捕状が執行されて直前に止めるケースというのはまれにはあるケースですね、本当にまれですというのがこの担当刑事の感想なんですよね。で、担当を外される。担当を外されただけじゃないですよ。何で逮捕しなかったのかという理由も示されない。同時に、担当の検事も担当を外される。おかしくないですか。
 そう聞けば、いや、人事異動というのはいつだってあるんだって言いますよ。だけど、個別の事件の方から見たら、おかしいんじゃないの、普通思いますよ、皆さんの論理と違って。だから、丁寧に少しだけでも答えていかなければいけないというふうに思うんです。
 もう一つお聞きをします。同時に、逮捕されなかった、そして元このTBSワシントン支局長は二〇一五年の八月二十六日に書類送検されました。書類送検されて捜査は進むんだけれども、ここで警察庁にお尋ねします。伊藤さんは警視庁から警察の車に乗せられて警察官複数と一緒に、本人が望んでもいないのに弁護士事務所に連れていかれる、示談しませんかと。本人に示談するつもりがないのに警察の車で弁護士のところに警察官が連れていくって、こんなこと普通あるんですか。
○政府参考人(大賀眞一君) これも一般論として申し上げることになりますけれども、性犯罪等の被害者に対して、その方が求められた場合には弁護士を紹介するといったような取組は必要に応じて行っているところでございます。
○有田芳生君 本人が望んでいないのに車に乗せられて弁護士のところに連れていくということも一般論としてはあるんですか。本人望んでいない。
○政府参考人(大賀眞一君) これも一般論でございますけど、本人が望んでいない場合にそういったことというのは通常あり得ないだろうと思っております。
○有田芳生君 だから、あり得ないことがいっぱいこの件についてはあるから、陰謀論も含めて疑問点というのが払拭できないんですよ。
 だから、もう時間がないので検察審査会の問題についてはお聞きすることができなくなりましたけれども、やはり一つ一つもう少し風穴を空けて誤解のないようなことをしていかないと、司法に対する不信というのは払拭できないというのがこの伊藤さんのケースからも見ることができるというふうに思うんです。
 今日から民事の裁判が始まっておりますから、マスコミの注目含めてまだまだいろんな疑問点、指摘というのはあるというふうに思いますので、また機会があればお聞きをしたいと思いますけど、最後に、大臣、女性の立場からこういった性犯罪についての様々な課題についてどう思っていらっしゃるのか。この伊藤詩織さんはこう言っています。私が以前取材したスウェーデンではレイプ緊急センターがあり、三百六十五日二十四時間体制で被害者を受け入れています、検査や治療、カウンセリングが全てできます、それらが終わった後、警察へ届出をするかどうか落ち着いて考えることができるんです。そういう国際的なケースから比べるとまだまだ日本は多くの課題が残っておりますが、最後、時間が来ましたので、一言でも御感想をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(上川陽子君) 様々な犯罪に巻き込まれた被害者の方々に対して、それぞれの被害の状況に応じて配慮し、また支援をしていくということは大変大事なことであるというふうに考えております。第三次犯罪被害者等基本計画もできているところでございますので、そうした法の趣旨にしっかりと照らして適正に行われるように努めてまいりたいというふうに思います。
○有田芳生君 終わります。
○真山勇一君 民進党・新緑風会、真山勇一です。どうぞよろしくお願いをします。
 上川大臣は、前回の着任のときにも私この法務委員会におりまして、そのままずっとこの委員会におります。今回二回目ということになりますけど、どうぞよろしくお願いします。
 早速ですけれども、先ほどの元榮委員もそうですし、それから有田委員からもあって、法の支配、司法ということについて上川大臣の並々ならぬ意欲というのはこの所信表明からも分かるんです。だけれども、やっぱり今、法、司法というのはどうなってしまったのかという声があるんじゃないかと思うんです。今答弁伺っていてもやっぱり、私、元気ないし、それから、本当に大臣がおっしゃったような身近なものになっているのかということに対してすごく疑問を感じます。本当に司法が、大臣がこの所信の中で述べておられるように、国民の期待、思いというものに応えているのかどうかということがよく伝わってこないですね。多分、国民の中にも、皆さんの中にもそういう気持ちの人って多いんじゃないかと思うんですね。
 質問通告していないんですけど、一言、大臣、その辺どういうふうな思いを持っていらっしゃるか、お願いします。
○国務大臣(上川陽子君) 司法に対する国民の皆さんの信頼、また様々な分野について、社会全体の安心、安全も含めてこの問題に国民の皆さんの理解と協力をいただくということは何よりも大切なことだというふうに思います。様々な、社会の中には課題がございますが、そうした課題に対して法務省としてしっかり法の支配の下で対応する、その原則にのっとってしっかりと取り組んでまいりたいと、改めてそのような決意でおります。
○真山勇一君 本当にそういうお気持ち、取り組んでいただきたいんですよ。答弁、政府委員の方の答弁も含めて、やっぱり何か、私たちは司法を守っているんだ、法律を守っているんだという、何か熱いものが何にも伝わってこない。やっぱりそれがこの委員会の一番大事なことじゃないかと思いますし、司法をつかさどっている人間として、やっぱりそれが一番国民に本当に伝わる大事なところじゃないかというふうに思っているんです。
 早速今日の質問の方に入りたいんですけれども、前回の国会で刑法が改正されました。百十年ぶり、本当に大改正ということです。私はこれ評価をしたいと思いますし、評価をする声も出ています。やっぱりこれまでいろいろ問題のあった、特に性犯罪の部分について大きな改正行われた、これは評価が出ているというふうに思っております。
 ただ、その一方で、やっぱり非常に審議時間が短くて、あっという間に採決して通してしまったみたいなところがあって、やっぱり実際に性被害に遭われた方たちにとっては残された問題というのは多いと思うんですね。それが今回のこの法律の成立した過程であった附則とかあるいは附帯決議にたくさん書かれていますよ。すごい量がありますね。ですから、そういう問題点はやっぱり残ったというふうに見ていいんじゃないかと思うんです。
 もちろんこういうところをこれからまた取りかかっていくということが必要だと思うので、まずお聞きしたいのは、附則に三年後の見直しということが盛り込まれました。三年後の見直しに向けて、法務大臣、どのような課題、問題点あるというふうに認識をされていますか。
○国務大臣(上川陽子君) まず、先回の通常国会におきまして刑法の一部改正がかない、このような形で性犯罪に対して様々な取組をしっかりとしていくということについては法務省としても取り組んでまいりたいと、こんな思いを所信の中でも述べさせていただいたところでございます。
 性犯罪につきましては、被害者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であって決して許されるものではないということ、そして、国民の安全、安心のためにも厳正に対処していく必要があるものというふうに認識をしているところでございます。
 百十年ぶりの大きな改正、委員の御指摘のとおりでございまして、この性犯罪に厳正に対処することができるということになるのも、性犯罪の非親告罪化によりまして、被害者の皆さんの精神的負担が軽減をされる、また、被害を捜査機関に申告しやすくなるといったことにもつながるというふうに考えております。
 改正法の附則九条におきましては、国会審議の過程における様々な御指摘がございました。そうしたものを考慮して、広く性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方に関する検討を求めるものと認識しているところでございます。
 さらに、様々な附帯決議も付されているということでございますので、こうしたことについては、運用の過程を通じてこうした問題についてしっかりと実情を把握をし、またその運用状況についてもしっかりとフォローしてまいりたいというふうに思っております。
○真山勇一君 七月の十三日ですか、施行されたばかりですね、本当にこれからだと思うんですね。改正された部分がどんなふうに運用されていくかという問題もあります。
 ですけれども、やはりその中には盛り込まれなかった点、特に性犯罪被害者の方からはこういうことも改正してほしかったということもいろいろあります。例えば、監護者による強制性交等罪ということで、監護者だけじゃなくてやっぱりいろんなことが社会の中であるというようなことも挙げられていましたけれども、そういうことを見直し、今後に向けてやっていただきたいというふうに思います。
 それと同時に、附帯決議の中で、こうした性犯罪について、やはりなくしていかなくちゃいけないという観点から、国が調査研究、それから捜査とか司法に携わる職員の研修ですね、こうしたこともやるというふうに言っております。今の時点でどういうことをやるかという多分お尋ねすると延々と長い答弁になってしまうので、それは、質問の中にはちょっと入れましたけれども、どういうことをするかということよりも、例えば調査研究とかあるいは職員の研修などについて、その当たる意欲、熱意についてちょっとお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘、様々な附帯決議が付されたところでございますが、例えば暴行又は脅迫の認定につきまして被害者の心理等をより一層適切に踏まえる必要がある、こうした御指摘もなされているところでございます。
 法務省といたしましても、性犯罪を受けた方々の心身の状態等につきましても更に理解を深めるということが重要でありまして、その意味で、被害者心理に関する調査研究、こういったことも推進していく必要があろうかと思っております。そうした研修、さらに、その研修等につきましても、専門的な知見をしっかりと踏まえた上で研修等を実施していくことが有用というふうに考えております。
 この法案の審議の過程の中で様々な形で御提言又は御指摘をいただいたところでございますので、被害者の皆様の声あるいは思い、こうしたことにしっかりと寄り添って対応してまいりたいというふうに思っております。
○真山勇一君 その辺の決意ということで結構なんですが、いらっしゃっていると思うんですが、内閣府とそれから警察庁、それから最高裁、やはりどうやって性犯罪というのをなくすかということに対する調査研究とか職員の研修、必要だと思うので、それに係る思い、決意をちょっと、一言ずつでも結構です、お願いします。
○政府参考人(渡邉清君) 内閣府の男女共同参画局でございます。
 特に準備はしてこなかった質問ではございますけれども、私ども、性犯罪、性暴力から女性を何とか守っていきたいということで、つい先頃までも女性に対する暴力をなくす運動に取り組んでまいりましたし、いろんな研修などにおきましてこういったことを取り組んでいこうと思っております。
 いろんな知恵をいただきながら進めていきたいと思っております。一翼を担えればということでお答えをさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○政府参考人(大賀眞一君) 警察といたしましては、性犯罪被害者の心情に配意した捜査の推進、これ非常に大事なことだと考えております。
 今までも、性犯罪捜査担当者に対する研修の中で、臨床心理士や精神科医の方を講師として招いて、被害者心理に関する講義などを実施していただいてきたところでございます。また、この附帯決議も踏まえまして、本年の十月から順次開催をしております都道府県警察の性犯罪捜査担当者を集めた会議においても、臨床心理士の資格を持つ講師からいろんな講義を受けたりしておりまして、そういった取組を進めているところでございます。
 また、調査研究につきましても、その具体的な内容について関係機関とともに検討を進めているところでございまして、しっかりとした適切な対応が徹底されるように取り組んでまいりたいと考えております。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判所といたしましても、性犯罪に直面した被害者の心理等の適切な理解は大変重要であると考えておりまして、裁判官に対して性犯罪の被害者の心理に詳しい精神科医師等を講師として研修を実施しているところでございますが、平成二十九年十月には、附帯決議の趣旨を踏まえまして、裁判官を対象とした司法研修所の研究会におきまして、性犯罪の被害者の支援に長年携わっておられる臨床心理士の先生を講師としてお招きして、被害時の被害者の心理状態やその後の精神状態などについて理解を深める講演を行っていただくなどして、性犯罪に直面した被害者の心理等の研修を行ったところでございます。
 裁判所としては、今後も、このような研修を通じまして、性犯罪に直面した被害者の心理等の適切な理解に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 やっぱり性犯罪の被害者というのは、今それぞれの方が述べていただいたように、その被害に遭ったということと、プラスやっぱりその後のどうやってケアするかとか心の問題とか、その心理的、これはもう本当に分からない。それから、女性でなければ分からないこともきっとあるでしょう。大変、捜査というか立証するために難しい、そしてケアをすることも難しいことだと思うんですね。
 是非、やはりこの性犯罪の今後の見直しということをするに当たって、そういうことを是非しっかりとやっていただきたいというふうに思っています。
 ここからは少し具体的なことをお伺いしたいんです。一つは、こうした今回の性犯罪を減らしていこうということで、それぞれやはり各政府の中、当局も努力をされているというふうに思うんですが、その中から私、今日取り上げたいのは二つ。
 一つは、警察庁だと思いますね、全国共通ダイヤル。性犯罪被害者のための全国共通ダイヤルというのがあるという話を伺いました。これを伺いたい。それからもう一つは、これは内閣府だと思うんですが、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターを各都道府県につくる、一か所ずつということなんですか、つくるという話を伺っております。これについて伺っていきたいというふうに思います。
 まず、警察庁の全国共通ダイヤルです。
 今年の八月から始まった、始めた、新設したというふうに伺っております。まだ始めたばかりということですけれども、どんなふうに運用しているのか、そして、八月ですからもう四か月ぐらいありますけど、実績どんなものなのかということについて伺いたいと思います。
○政府参考人(小島隆雄君) お尋ねの性犯罪被害相談電話の全国共通ダイヤルについてでありますけれども、これは昨年四月に閣議決定されました第三次犯罪被害者等基本計画におきまして、性犯罪等の相談窓口の認知状況等を踏まえまして、認知度向上を掲げられたことを踏まえまして、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通の短縮ダイヤルとしてシャープ八一〇三を導入したものでございます。
 これの全国共通番号からつながります各都道府県警察における相談電話では、可能な限り性犯罪被害者の希望します性別の職員が対応できるようにするなど適切な運用に努めているところでございます。また、警察に対しましては性犯罪被害者等から様々な内容とか方法で相談がなされることから計上というのが難しくて、全国共通番号の運用実績を把握はしておりません。
 いずれにしましても、警察庁としましては、今後ともこの全国共通番号に関する広報を積極的に行うなど、性犯罪被害者が一人でも悩むことなく警察に相談しやすくなるように環境の整備に努めてまいりたいと考えているところであります。
○真山勇一君 今の中で私やっぱり引っかかるのは、把握していないというところなんです、把握していないというところ。四か月たっているけど把握していない。
 じゃ、この今おっしゃった全国共通ダイヤル、シャープの八一〇三ですよね、シャープの八一〇三。これを掛けると性犯罪についてのいろいろ被害者の声を聞いてくれる警察の専用の窓口につながるというのがこの趣旨ですよね。
 これ、こうしたものが八月からできましたよということを一般に知らしめる、やっぱり作ったんだから利用してもらわなくちゃいけないですよね。どういうふうに告知をしていますか。
○政府参考人(小島隆雄君) ただいま申し上げましたように、これにつきましては八月から導入したところでございますけれども、実際に性犯罪被害者がこれを利用することが重要でありますので、そのためには広報が重要であるというふうに考えております。
 そこで、今、警察庁におきましては、警察のウエブサイト等を使いまして広報するほか、また、マスコミを通じた広報、そして民間支援団体の協力を得るなどした広報を推進しているところでございます。
 今後でございますけれども、地方公共団体とか学校等の関係機関、団体の協力を得まして、広報用のポスターを掲示するなどしまして、シャープ八一〇三、そして性犯罪被害相談電話の周知を図ってまいりたいと考えております。
○真山勇一君 今のお答えですと、広報はこれからだとおっしゃっているんだと思います。
 確かに、知らしめるためにマスコミに知らせる、それからウエブサイトでもということなんで、ちょっと私、それで、いただいた資料があります、これ、一つ。「「性犯罪被害相談電話番号の統一化」について」という、こういう紙一枚、これ警察庁からいただいたものです。これを見ると、これは被害者向けの告知じゃないですよね。これは多分マスコミ用のいわゆるプレスリリースですよね。シャープ八一〇三を始めましたという、そういうものです。その当時、どこか記事になったようです、これがね、僅かですけれども。これを読んだだけじゃ、あっ、こういう新しいものが警察にできたんだなと余り認識できるような書き方ではないですよね。
 この八一〇三というのはどういう意味かと伺ったら、ハートさん、八、十、それから三、ハートさんと言うんだそうです。ネーミングはいいですけれども、本当に性犯罪被害者に伝わる、ハートが伝わるようなものなのかなと感じます、一つ、メディアに対する広報も。
 それからもう一つ、ウエブサイトとおっしゃいました。今何かいうと、告知というとウエブサイトにちゃんと載せています、ちゃんと載せていますと言うんですよね。ちゃんと載っています。調べました。警察庁のこれホームページです。これ、皆さんに本当はお配りしようと思ったんですけど、ちょっと時間が間に合わなくて、私の方でこれは用意しました。
 パソコンでインターネットをつなぎました。警察庁のホームページです。ここからその新しく始まったシャープ八一〇三、性被害を届けるところに届くまで大変です。なかなか届きません。
 これ、ホームページです。トップページです。どこを押すかというと、警察庁の主な政策というのがあるんですよ。犯罪被害者等施策なんです、施策ですよ。犯罪被害に遭った人が施策とか政策というところをクリックするかどうか。まず、まあそれはいいでしょう。
 二枚目行きます。二枚目のページ。警察庁、お知らせ、いろいろどういうものがあるかということが入っている。これ、二ページ目です。どこをクリックすればいいのか。警察庁について、お知らせ。私、お知らせじゃないかと思うんですけどね。政策、法令、刊行物、内部部局から。どこを押せば性被害の訴え届けるところに届くかというと、この一番下にある警察による被害者支援ホームページ。まだハートさんというところまで届かないですね。そういう言葉は一切出てこないですよ、出てこない。出てきてないと思います。出てないですよ。一生懸命探します。
 今度、三枚目。こういうのが出てきます。警察による犯罪被害者支援ホームページ、やっと犯罪被害者の支援ホームページというのに届きます。で、どこクリックすればいいのかなと。ありました。この左側、小さく赤くいろんなことが書いてあるんです。一人で悩まないでとか、被害者相談窓口とか。そこの六番目にシャープ八一〇三(ハートさん)、これだけ書いてあるんです。これだけですよ、書いてあるの。知っている人じゃないと絶対ここをクリックしません、まず。一生懸命、性被害を届けるところどこだろう、どこだろうと。だって、届ける人、焦っていますよね。そこに単純にシャープ八一〇三(ハートさん)しか書いていない。知っている人以外絶対にここは見付けられません。そして、見付けました、運よく、運よく見付かった。次、行きましょう。
 やっと出てきました、ハートマークが。四枚目ですよ。で、北海道から沖縄まで確かに出ています、全国四十七都道府県。またこれが問題あるんじゃないかなというふうに思うんですよね。都道府県警察での名称というのがあるんですよ。名称はハートさんじゃなかったですかね、性犯罪被害を届けるところが。
 ところが、都道府県警察での名称、聞いてください。北海道、性犯罪被害一一〇番。一一〇番ですよ、警察といえば一一〇番です。やっぱり何かあったら心理として一一〇番掛けますよね。八一〇三じゃない。だから、警察での名称というのは犯罪被害者一一〇番。それから、山形は女性専用相談電話。埼玉県、性犯罪相談ダイヤル、やっと括弧してハートさん。
 あとほかに、女性被害一一〇番、それからレディース通話一一〇番なんというのもあります、レディース通話ですよ。それから、もっと私、ちょっと唖然としたのは、県名あえて言いませんけど、レディーステレフォン、それからウーマンライン。何かちょっと違うもの、勘違いするんじゃないかというような窓口の名前ですね。
 それから、もっとすごい長いのもあるんです。性犯罪被害一一〇番レディースサポートライン。それからもう一つ、長いですね、犯罪被害者相談電話「ミズ・リリーフ・ライン」。この辺に行くと、英語分かってる人じゃないとちょっと意味が、何のこれは窓口なのか分からないようになっている。
 こういう名前が付いていて、せっかくシャープ八一〇三(ハートさん)って決めたのに、全国統一していない、ばらばらなんですよ、四十七都道府県。今まだ全部できていないらしいですね、何県かはまだできてないと。
 これじゃ性被害遭った人が、気も動転して、やっぱりその窓口あるって聞いているから掛けようといったって、四枚目、ホームページ、やっとですよ。それもかなりネットに慣れた、私は余り慣れていないけれども、私の秘書が探しても、二人でやったんですが、かなり苦労しました。
 これ、今申し上げたこと、どう思います。
○政府参考人(小島隆雄君) 警察庁のウエブサイトにつきましては、やはり性犯罪被害者の方々が相談しやすくなるように工夫をした形でやっていきたいと思っておりますし、また、今さっきも学校でという話をさせていただきましたけれども、地方公共団体とか学校でじかにいろんなこのハートさんの資料をお見せするなどして、分かりやすく御説明するのが一番大事ではないかなというふうに考えておりますので、そうした形での広報を進めてまいりたいと考えております。
○真山勇一君 時間になりました。
 そのとおりなんですよ。分かりやすくというのが必要だと思うんですよね。これじゃ本当に分かりにくい。
 それで、申し訳ありません。今日は時間がなくなりまして、本当はワンストップ支援センターについてもお伺いしたいと思っていたんですが、これは是非次にまた伺いたいというふうに思っています。
 今ここでちょっと申し上げたことって、分かりやすさで言えば、すぐできることですよ。私、もったいないと思うんです。せっかくこういういいものをつくって、これじゃ利用しようにもできないじゃないですか。分からないじゃないですか。やっぱり、作った以上は、利用者側の立場に立ってとおっしゃっていたじゃないですか。やっぱり寄り添って、被害者に寄り添って、身近なものにしていかなきゃやっぱり駄目ですよ。このホームページおかしいですよ。やっぱり直せるものから直していただきたい。
 申し訳ありません、あと残った質問はまたの機会に必ずやりたいと思いますので、是非そういう点を留意して、スピード感が大事だと思うんです。是非よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
 法務委員会、初めての質問でありますので、よろしくお願いします。また、上川大臣におかれましては二度目の登壇、そして仕事人内閣、是非時代の大きな変化の中で骨太の法務行政のリード役をよろしくお願い申し上げます。
 初めに、質問通告しております所有者不明土地問題、法人登記についてお伺いをいたします。
 御存じのように、今、所有者の把握が困難、いわゆる所有者不明土地への対応につきまして、公共事業用地の取得、農地の集約化、森林の適正な管理等で喫緊の課題となっております。今後、人口減少社会を見据えますと、相続登記の促進を始め、登記制度、土地所有権の在り方につきましても大きな検討が必要と考えております。
 このような社会背景に対しましてどのような取組をしているのか、大臣の御決意をお伺いいたします。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま若松委員から、この所有者を特定することが困難な土地、いわゆる所有者不明土地につきまして、決意ということで御質問がございました。
 この所有者不明土地でございますが、公共事業の用地取得や、また農地の集約化、森林の適正な管理を始め、様々な分野で問題となっておりまして、まさに政府全体として取り組むべき大変重要な課題であると認識をしているところでございます。
 そして、その所有者不明土地の要因の一つとして、相続登記が未了のまま放置されているということが指摘をされていることからいたしますと、今後、大量相続時代を迎える我が国におきましては、このままでは所有者不明土地は更に拡大をしていくことが予想されます。その対応はまさに喫緊の課題であるというふうに認識しているところでございます。
 法務省といたしましては、まず、本年五月から開始いたしました法定相続情報証明制度につきまして、その利用範囲の拡大に取り組み、相続登記の促進に引き続き努めてまいりたいと思っております。
 また、来年度からでございますが、長期間相続登記が未了の土地の解消を図るための方策といたしまして、登記官がそのような土地につきまして、所有権の登記名義人が死亡しているか、また死亡している場合には相続人として登記名義人となる、なり得る者が誰かを調査し、また、相続人に対して直接的に相続登記の促しを行う制度、これを創設するということを検討しているところでございます。さらに、中長期的な課題であります登記制度、土地所有権の在り方等につきましては、担当部局におきまして検討を開始しているところでございます。
 法務大臣として、民事基本法制及び民事法務行政、これを所管する立場でございますので、今申し上げましたような取組につきましてはしっかりと推進をし、所有者不明土地問題の解決に向けて成果を上げてまいりたいというふうに思っております。
○若松謙維君 私も、公明党の中に所有者不明土地問題の副座長をしておりまして、またあわせて、私、行政書士でございまして、非常に間口が広い町の法律家ということで、様々な難しい関係を整理してくれるのがそういった専門家でありますので、是非そういった専門家の活用も今後よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問でありますが、法務局の登記の現場でありますが、人員不足ということが伝わっております。いわゆる恒常的な長期間の過密労働、また健康被害という事例が多く見受けられるわけでありますが、法務省としまして、この所有者不明土地問題解消に向けた取組の実施に当たりましては、今回、法務局登記官の増員ですか、これを求められていると伺っております。今後の登記官の働き方改革も含めて法務局の体制整備についてどのようにお考えなのか、お答え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法務局は、国民の権利の保全や取引の安全、円滑に関わる重要な業務を所掌しておりまして、事務を遅滞させることなく遂行していく必要があると考えております。
 また、近年では、所有者不明土地問題への対応や震災復興の加速化などの観点から、法務局に対し、相続登記の促進、大都市や被災地を始めとした地域における登記所備付け地図の整備など、様々な新しい社会的要請が強まっております。
 このような状況の下、法務局がその機能を十分に果たすために、必要な人員を確保し、国民や社会の期待に応えていくことが最も重要であると考えております。所有者不明土地問題の解消に向け、長期間相続登記が未了の土地の解消を図る取組等を着実に実施するため、今後とも必要な人員の確保に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 あわせて、職員の健康保持や仕事と家庭生活の両立のため、働き方改革と勤務環境整備等について一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○若松謙維君 この法務局登記官の増員、二百八名というふうに聞いておりますが、一方、今内閣官房を中心に法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けた検討が行われているということで、いわゆる働き方改革につながる話であります。
 我が国、私もイギリス、アメリカ勤務いたしましてかなりの会社の設立やりましたが、はっきり言って日本の会社設立手続が複雑であります。特に日数、手続数を要するということで、世界銀行のドゥーイングビジネスの法人設立のしやすさランキング、OECD三十五か国中三十二位ということで、一位のニュージーランドではオンラインで一括申請で手続は一つ、五位の韓国は社印、社判ですね、いわゆる社印作成以外オンラインで一括申請でき手続二つに対して、我が国は九つの手続が必要なんですね。どれだけ何のためにやっているかという、非常に煩雑になっております。
 登記を管轄する法務省としまして、是非、このオンライン・ワンストップ化に向けた検討をどのように今後とも進めていくのか。先ほどもありましたが、人員増は大事だと思います。しかし、こういったワンストップ化もやればそれで対応できるという面もありますので、是非そこはチャレンジしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法務省といたしましても、世界最高水準の起業環境を目指して、利用者が法人設立の全手続をオンライン、ワンストップで処理することの重要性を認識しているところでございます。
 法務省といたしましては、登記・法人設立等関係手続の簡素化・迅速化に向けたアクションプランに基づきまして、平成三十年度から予定されております登記情報システムの更改におきまして、行政機関等に対して、オンラインにより、新たに設立された法人の登記情報を提供することを可能とするなどの行政機関間の情報連携に柔軟に対応する仕組みを構築することを予定しております。
 今後も、法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会での検討状況も踏まえながら、法人設立手続のオンライン・ワンストップ化に向けて必要な協力をしてまいりたいと考えております。
○若松謙維君 まだ文章的な回答なので具体的に中身見えておりませんけど、是非これだけ頑張ったというところを国民に示されるように努力してください。
 次に、東日本大震災、原発被災者の人権擁護も合わせた質問をさせていただきますけれども、私も今、公明党の福島県本部の代表を預かっております。いまだに風評被害、そして近年ですと、いわゆる横浜に被災しているお子さんが、いわゆる菌ですか、菌という言葉を言われて、放射能がうつるとか大変ないじめに遭っているということで、今年の二月に法務省としてはいわゆる通知を出しております。
 しかし、御存じのように、やっぱり通知だけで解決する問題ではありませんので、是非、それで終わらないように、他省庁又は自治体と連携を深めて被災地での人権擁護をしっかりとやっていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(名執雅子君) 法務省の人権擁護機関では、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う風評に基づく差別やいじめなど、東日本大震災に伴って生起する様々な人権問題に対処してまいりました。
 具体的には、東日本大震災に起因する差別や偏見をなくそうを強調事項の一つとして掲げまして、人権教室の実施、シンポジウムの開催、人権啓発、デジタルコンテンツの掲載等の啓発活動を実施するとともに、地方公共団体等とも連携しまして、東日本大震災に起因する人権問題に関する啓発活動への取組を実施してまいりました。
 また、仮設住宅等を訪問するなどして被災者の心のケアを含めた人権相談に応じ、人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には人権侵犯事件として救済手続を開始しまして被害者の救済に適切に対処するなど、調査救済活動にも取り組んでおります。
 今後も、引き続き被災者の人権を擁護する取組について適切に取り組んでまいりたいと思うところです。
○若松謙維君 是非よろしくお願いいたします。
 あわせて、いわゆる二〇一五年、法務省は震災と女性というシンポジウムを開催しております。特に東日本大震災、熊本大地震、あわせまして、女性の人権に配慮した防災、復興の形について法務省としてどのように総括されるのか御見解を伺いたいということと、あわせまして、これは法務大臣にお伺いしたいんですが、結局、先ほどの子供の問題も含めて、やっぱりいじめは犯罪なんですね。当然、大人は当たり前なんでしょうけれども、それでも犯罪は起きる。でも、やはり幼児教育から、小学校からしっかりと、いじめは犯罪、これをしっかりと全国民が共有していかないとなかなかいじめはなくならないと思いますので、いじめは犯罪というところを法務省、法務大臣、どのように今後主張されるのか、それも併せてお尋ねいたします。
○委員長(石川博崇君) じゃ、まず法務省名執人権擁護局長、そして上川法務大臣。
○政府参考人(名執雅子君) まず最初にお尋ねのありました女性の人権に配慮した活動について御答弁いたします。
 法務省の人権擁護機関では、東日本大震災を踏まえ、震災と人権に関するシンポジウムを平成二十三年度以降、毎年開催しております。委員御指摘の女性の人権につきましても、平成二十七年度に、「震災と女性 女性の人権に配慮した防災・復興の形とは」と題するシンポジウムを北九州市において開催したところでございます。
 また、震災に限った取組ではございませんが、女性の人権に関する専用相談電話である女性の人権ホットラインを設置するとともに、その強化週間の取組を通じまして、女性の人権に配慮した相談対応、調査救済活動を続けてきたところでございます。
 今後とも引き続き、災害時における女性の人権への配慮も含め、被災者に寄り添った取組を進めてまいりたいと存じます。
○国務大臣(上川陽子君) 今、子供の社会の中で、子供同士でいじめるということを通して子供自身が命を絶つ事案まで発生しているという、そういう状況まで起こっていることにつきましては極めてゆゆしき問題であるというふうに考えております。そしてまた、人権関係につきましても、重大な人権侵犯ということにもつながると、こういう案件が潜んでいるというふうに思っているところでございます。
 この子供の時期のお互いに人権を尊重し合うという、そうした心を小さなときから育てるということが極めて大事であるというふうに思っておりまして、その意味で、人権教室等をしっかりと展開し、本当に啓蒙啓発を徹底的にやっていく必要があるのではないかと。
 さらに、このいじめの早期発見ということで、私非常に大事にさせていただいている取組の一つでございますが、子どもの人権SOSミニレターという制度がございまして、全ての全国の子供たちにそのミニレターを配り、そしてその中から、年間でいきますと一万六千人ぐらいの方がもう本当に自分の思いを手紙にしたため、届けていくと。そういう中には深刻ないじめの案件もあるということでありまして、それに対しては、人権侵害の疑いのある事案ということを認知した場合には人権侵犯事件としてしっかりと調査を行って、そして対応していくと、こうした取組もしっかりとしていく必要があるというふうに思っております。
 とにかく、関係省庁、また関係機関、しっかりと連携をして、一人一人の子供の命、そしていじめを起因として大きな人権問題、侵害、侵犯に発展することがないように努めてまいりたいと思っております。
○若松謙維君 最後の質問ですけれども、済みません、もう時間があれなので簡潔に。
 この主計局のフルコスト情報、これは法務省二つ出ておりますが、私、別に予算書から作った情報であります、この配付資料ですね。是非、大臣、財務大臣が二十から四十増やしたとかいう、六千事業があるので、是非その六千事業全てフルコスト情報を出していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 これで終わります。
○委員長(石川博崇君) 時間ですので、お答えは簡潔に願います。
○副大臣(葉梨康弘君) 大変有用な取組だというふうに考えていますけれども、これ予算額を一件当たりの業務で割れば単純にフルコストが出るというものではなくて、物件費もあれば人件費もあれば庁費もあればと、そういうような形で幾つかの分析が必要となりますので、今、二業務でございますけれども、今度は平成三十年の一月までに出入国管理、そういった業務で今鋭意算定中でございます。非常に有用な取組であると考えております。
○若松謙維君 財務省。
○委員長(石川博崇君) じゃ、簡潔にお願いします。
○政府参考人(大鹿行宏君) 御指摘の個別事業のフルコスト情報の開示でございますけれども、ただいま副大臣から御答弁がありましたとおり、現在、政府部内におきまして来年一月末を目途に鋭意作業を進めているところでございます。事業の内容、性格のほかに各省庁の事務負担といった点にも配慮しながら、算定事業数の増加、それから表示する単位当たりのコストの増加といったことを行いまして更なる充実を図ってまいりたいと考えております。各省庁と連携して対応してまいります。
○若松謙維君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 性暴力と刑法改正について大臣にお尋ねをしたいと思うんです。
 さきの国会で、性犯罪に関わる刑法が、一九〇七年の制定以来、百十年ぶりに初めて抜本改正されました。姦淫行為に肛門・口腔性交を加え被害者を女性以外に拡大したこと、監護者性交等罪を新設して家庭内における子供の性的虐待の立証を容易にし重罰化したこと、非親告罪化し、これまで被害者が、告訴するか否か、示談で告訴取下げかと強いられてきた精神的負担をなくしたこと、法定刑の下限を五年に引き上げたことなどの改正点は、性犯罪を被害者の人間の尊厳と心身の完全性、人格そのものを脅かす性的暴力として捉え直す重要な改正だったと思います。
 しかし、性暴力あるいは性犯罪の実態と、世界各国、とりわけ欧米諸国の到達点から見れば、二十年、三十年遅れと言われる極めて不十分なものであって、この点は、二〇一四年以来の法務省の検討会あるいは法制審議会に対して、被害者、当事者から強い、厳しい意見が出され続けてまいりました。
 国会審議の中で、法案修正によって附則に三年後の見直しが盛り込まれました。参議院では九項目の附帯決議が付されました。大臣、これは言わば持ち越された重要課題のリストだと思うんですよ。この附則、そして附帯決議の重みについて大臣はどのように受け止めておられますか。
○国務大臣(上川陽子君) 犯罪被害に遭われた方々にしっかりと寄り添い、犯罪被害者の施策を推進するということについては極めて重要であるというふうに考えておりまして、私自身、所信表明の中でもその思いを述べたところでございます。
 今回、刑法の一部改正法が成立をいたしまして、性犯罪に遭われた方々に対してしっかりと対応するということについて、法律に基づいてしっかりと対応することが実現できることになるわけでございまして、先ほど御指摘のとおり、様々な御議論をしていただき、そして附則の九条、これについては、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について、こうしたことの検討を進めていくということについて明示されたところで、明確になったところでございます。
 こうした検討を進めていく過程におきましても、性犯罪に遭われた被害者の方々にしっかりと寄り添って、その声を大切にしてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 検討を求めることが明記をされたと、明示をされたと、それはそのとおりなんですけれども、検討だけすればいいというものではないんですよね。
 附則は、大臣御存じのとおり、「必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としているわけで、ですから、この検討のプロセスにおいて、性犯罪における被害の実情、この附則が指摘をしている被害の実情をどうつかむかということがこれ肝腎要なんですよね。
 大臣がどうも先ほど来そこを避けておられるような御答弁に私聞こえてしまうものですから、ちょっとあえて強く伺いたいと思うんですけれども、被害者に寄り添うとおっしゃる所信を絵に描いた餅にしてはならないし、これまで刑事司法の各分野を担ってきた人たちの声が強かったら、これがそうされてしまうのではないかという不安、これがあるわけですから、だからこそ、関係省庁とも連携して、大臣のイニシアチブが求められていると思います。
 そこで大事なのは、性暴力の現実、被害者の体験、そこから出てくる意見、そうした声を聞くことだと思うんですね。さきの国会でも、法案の成立も危ぶまれたときもありましたけれども、不十分でも一日も早い成立をという声が国会を動かした大きな力になったと思うんですが、大臣、私、速やかに当事者からのヒアリングの場をつくるべきだと思います。また、検討会や法制審議会にお招きするというだけじゃなくて、委員として、メンバーとして参画をしてもらうべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(上川陽子君) 委員から、私の答弁がその思いを十分に伝えていないんじゃないかと、届けていないというような印象を持つと、そんなお話がありましたけれども、今回の所信の中で明確に、被害者の皆さんに寄り添ってしっかりと対応していくということを所信の中で明確にしたところでございます。この決意については揺るがないということでございます。
 附則九条に基づきまして、具体的にどのような手順そして体制で施策の在り方につきまして実態をしっかりと把握した上で取り組んでいくのかということについては、先ほど委員からも御指示ございましたとおり、関係府省ともしっかりと協議をしながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
 そして、その附則九条に盛り込まれた様々な御議論、そして被害者の皆さんの思いということにつきましては、それにしっかりと応えていくべく寄り添って対応してまいりたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 寄り添って対応すると強くおっしゃっているので、そこは私もイニシアチブを発揮してもらいたいと思うんですが、ヒアリングをするべきである、メンバーとして参画をいただくべきであるという私の願いにはまだお答えの言葉はないところでございますが、六月の十六日にこの当委員会では参考人質疑を行いました。
 刑法性犯罪を変えよう!プロジェクトの山本潤さんは、私のように誰にも自分の性被害を相談できない人は平成二十六年の内閣府の統計で六七・五%であることが明らかになっています、どうして被害者は自分の被害を友人にでも相談機関にでも相談することすらできないのでしょうかと強く訴えられて、そこに法律の定義は深く関わっています、私のケースのように暴行、脅迫がなくても性暴力を振るうことは可能です、しかし、そのような被害の実態を法律家がきちんと聞いてくれたとは思えません、そう問題を提起されたんですね。
 誰にも相談できない被害者が七割近くいると。これ、内閣府の男女間における暴力に関する調査のこの間の、もう毎回そういう状況ですけれども、極めて重要だと思うんですね。ここに何が表れているかと。
 私、まず、性暴力の被害が潜在化している、それはすなわち加害も潜在化しているという深刻な事態なのではないかと思うんです。深刻な被害に遭っても警察に申告できる被害者はほんの僅か。これ、法務省に詳しく伺いますと四・三%。
 加えてもう一つ。僅か、ほんの僅かな申告をする被害者が、先ほど有田さんの議論にもありましたけれども、必死の思いで捜査に協力しますよね。そこで送検をされるんだが、多くの事件が不起訴で終わると。これ、起訴率は三五%程度、そのうち四割、五割は嫌疑不十分というふうに伺いました。
 結局、被害者が思い切って警察に相談しても、刑事司法のプロセスがブラックボックスになって、加害の違法性も事実関係も認めさせられないのではないか、この不信の悪循環を広げているんじゃないのかという数字だと思うんですよ。
 だからこそ、性暴力根絶という社会をつくっていくためには、性犯罪の実態をつかむためには、この多くの刑事司法手続にのっていない、あるいは刑事司法手続がブラックボックスになって排除されてしまっている、そうした被害者の声をじかに聞かなかったら分からないじゃありませんか、大臣。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘のとおりでございます。
 性犯罪の被害の実情や事案の実態、こうしたものを把握するため、被害者の方々を含めた関係者の皆さんの声をしっかりと聞くということが極めて重要であるというふうに考えております。
 今回の刑法改正案の立案過程におきましても、性犯罪被害者や被害者支援団体の皆さんからヒアリングを実施して、様々な御意見を踏まえて検討を行ったところでございます。その意味で、今後の検討の過程におきましても、被害者の皆さんの声を聞くということについては大変大事なものであるというふうに考えておりまして、その手順とかあるいは検討の場につきましては関係府省ともしっかりと協議をしながら今後検討してまいりたいというふうに思います。
○仁比聡平君 やっと御答弁いただきましたので、速やかに御検討をいただきたいと思うんですよね。
 山本参考人が触れた暴行・脅迫要件も、法律家の中では、同意がないことを認定するための客観的事実として何が必要かの問題だというような議論もあるんですけれども、現実には全然違うと。命懸けで抵抗していなければ同意したことになるのかと。被害者を苦しめ、法律家が誰もが重きを置くコンメンタールと言っていいと思うんですけれども、私、前、委員会で「注釈刑法」というのを紹介しました。ここには、「些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操のごときは本条によって保護されるに値しないというべきであろうか」などという、こういう認識が書かれているんですね。だからこそ、この間、被害者当事者の皆さんから、この改定、緩和、撤廃を求める重要な焦点になってきたわけです。
 かつての強姦罪と同質の準強制性交等罪の類型について今日は伺いたいと思うんですが、被害者の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じた類型、これは被害者の記憶もないというブラックボックスの典型になってしまうわけです。自らの心と体が完全に他者にコントロールされ、性的侵襲を受けると。この被害の甚大さというのは、これは私たち、想像に余りあるものがあると思うんですよね。
 有田議員が経過も含めて先ほど紹介をされましたが、伊藤詩織さんの「ブラックボックス」、この中に、被害当日になってしまった二〇一五年四月三日のこと、おすし屋さんで食事をしているというところからの体験、記憶がこんなふうに語られているんです。大臣、ちょっと聞いてください。
 二合目を飲み終わる前に、私はトイレに入った。出てきて席に戻り、三合目を頼んだ記憶はあるのだが、それを飲んだかどうかは覚えていない。そして突然、何だか調子がおかしいと感じ、二度目のトイレに席を立った。トイレに入るなり突然頭がくらっとして蓋をした便器にそのまま腰掛け、給水タンクに頭をもたせかけた。そこからの記憶はない。目を覚ましたのは、激しい痛みを感じたためだった。薄いカーテンが引かれた部屋のベッドの上で、何か重いものにのしかかられていたと。
 この目を覚ました場所というのは、これは犯行現場と私言いたいと思いますけれども、ホテルの一室なんですね。食事をしていた店からの記憶はない。
 こうした事案について、警察庁にまず幾つか確認をしたいと思います。
 まず、こういうことが実は十分あり得ることなんだということなんですよ。この詩織さんも、その後タクシーに乗っていてワシントン元支局長と会話をしている。それは、降ろしてくれ、近くの駅に降ろしてくれということを求めているなどの行動があるんですけれども、詩織さん、これ全く記憶をしていないんですね。
 今年の七月三十一日に宣告をされた東京地裁刑事三部の準強姦事件があります。コーヒー牛乳に睡眠薬をひそかに混入したという手口で、被告人の側からは、被害者が一人で歩くことができていて、ふらふらもしていなかったなどという主張も出ているんですけれども、その点について判決は、一見すれば意識があるかのように行動していたことは、睡眠薬の効果の一つである一過性前向健忘として説明できるものであるという認定をしております。
 こうした認識あるいは知見というのは、警察、そして検察にとって、これは当然のことと理解していいんでしょうか。まず警察庁から。
○政府参考人(大賀眞一君) 警察庁においては、これまでも性犯罪を担当する捜査員の研修等を行っているところでございます。
 本年十月から順次開催しております都道府県警察の性犯罪捜査担当者を集めた会議でも、今御指摘のような、薬物を服用したことによる、あるいはそうしたことによって生じ得る人体への影響と、こういったこと、あるいは薬物を使用した性犯罪捜査の留意事項等について、捜査員等に再徹底するように指示をしているところでございます。
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の判決におきます睡眠薬の効果による健忘ということ、これについては、検察としてもこういったことがあり得ることを主張、立証して、その結果、この判決が至っているわけでございますので、こういった考え方に立ってこの立証に努めているということでございます。
○仁比聡平君 つまり、警察も検察もこうした知見はよく理解をしていると、社会では、えっということなんだけれども。警察、再徹底しているという御答弁ですよね。つまり、以前からずっとということなんですよ。
 そこで私は伺いたいのが、二〇一五年の四月三日のこの詩織さんの事件ですけれども、レイプドラッグの使用が疑われるという事案、これ、病院に同行して、採尿や採血、これを速やかに行う義務が、これはあるんじゃないのか、警察には。二〇一五年というのは、もうそうした手口が、弁護士のところに相談が相次いで来るというような時期なんですよ。ですから、警察の現場の相談や認知というところでいえば、もっと以前からあったに違いない。
 しかも、この年の二月には、大阪のSACHICOというワンストップのセンターがありますけれども、そこも参画し、大阪の地検もあるいは府警も参加をしたワーキングチームの会議で、被害者の心情に配慮した性暴力の証拠物取扱いマニュアルというのが、詳しいものが作られるというような、そういう時代なんですね。だったらば、記憶を失って目が覚めたらベッドでのしかかられていたという供述がされたら、直ちに採尿や採血を行うというのがこれは当然の義務なんじゃありませんか。
○政府参考人(大賀眞一君) 警察では、性犯罪の捜査において、被害者の聴取内容から薬物が使用された疑いが認められる場合、被害者から同意を得た上で、積極的に尿や血液の提出を受けるなどして必要な証拠収集に努めているところでございます。
 先般成立した性犯罪の重罰化等を内容とする改正刑法の趣旨を踏まえまして、引き続き、薬物を使用された場合を含め、性犯罪捜査について現場の警察官に対する証拠収集等の研修等を徹底するようにしていきたいと考えております。
○仁比聡平君 引き続き研修すると言うけれども、二〇一五年のこの四月の時点でやっていないわけですよね。
 客観的な証拠保全は行わずに、逆に被害者を供述証拠扱いして、重複した長時間の聴き取りを繰り返しています。女性はいないのかと詩織さんから訴えられたら、出てきた警察官に数時間の聴取が行われ、その挙げ句、その婦警は交通課の所属だったということが判明して、刑事部の男性刑事が出てきてまた数時間の聴取を繰り返す。
 そんなやり方をするんじゃなくて、客観的な証拠保全を行うということが警察の義務であって、被害者の事情聴取の在り方、これそのものを根本的に転換するべきなんじゃありませんか。
○政府参考人(大賀眞一君) 性犯罪の捜査に当たっては、被害者に対して繰り返し重複した事情聴取が行われることのないように、担当捜査員を指定するなどして、必要最小限の回数で聴取するなど、被害者の負担の軽減に努めるよう努めておるところでございます。
 今後とも、そうしたことに配意しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、これだけ問題提起されているんですから今後取り組むのは当然のことなんですが、これまでそうした扱いを被害者に対して、しかも性暴力の被害者に対して行ってきたということが、警察に被害者が申告さえためらってしまうということの大きな要因になっている。そのことを私たち認識して、この性暴力、性犯罪の対策を考えなきゃいけないと思うんですね。
 詩織さんの事件は、結果、不起訴とされたわけです。今日はほんのごく一部だけしか指摘をしておりませんが、先ほど有田議員が取り上げられた点も含めて、私たちが申し上げているのは、つまり、伊藤詩織さんという女性が心を決めて記者会見をされ、本を出版され、日本における性犯罪被害者の置かれている状況を少しでも良くしたいと声を上げられたから明らかになった事実なんですよ。
 大臣、暗数として先ほど申し上げてきた潜在化している被害者がどんな思いでいるのか、どんな被害を受けているのかと、ここの実態をつかむ、被害者調査をすると、これを進めることと併せて、刑事司法の手続にのっても不起訴という形で、しかもそれがブラックボックスとなって、なぜなのかの理由も納得がいく説明がないというまま言わば排除される、そういうことで被害者がどのような心情に陥ってしまうのか、例えば、聞き取るとかアンケート調査するとかいう形でつかんで分析をするということが性暴力の実態と刑法や刑事司法の在り方を検討する上で私は重要だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(上川陽子君) さきの参議院の法務委員会において附帯決議でも御指摘をいただいているとおりでございまして、性犯罪等被害に関する調査、これにつきましては、性犯罪等被害の実態把握については様々な項目をしっかりと実態調査をし、そして施策に反映をしていくということについてしっかりと対応してまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 不起訴となったケースも含めて、少なくとも被害者の意向を調査、聴取をしていく、実態をつかんでいく、それが本当に大事だと思いますよ。
 事件は、これ、検察の中では決裁を全件していきますから、嫌疑不十分となぜ考えたのか、なぜ判断したのか、なぜ起訴猶予なのか、こうした理由というのを、これは検察内部には積み上がっていっているわけですけれども、それは、詩織さんがブラックボックスと言うとおり、国民には全く分からない、なぜこれが起訴されないのかという理由も伝わらない、分からないという現状にあるわけですね。
 この、大臣も重要さをお認めになるんだと思うんですけれども、そうした被害者調査の重要性は欧米諸国の経験でもあります。私ども日本共産党国会議員団の池内さおり前衆議院議員、斉藤和子前衆議院議員を中心として、九月にドイツ、フランスの調査をいたしました。そこではっきりしたことは大きく私二つあると思っていまして、一つは、二〇一一年の欧州評議会のイスタンブール条約、これ、女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンス防止条約というんですが、同意に基づかない性的行為は犯罪だと明確に規定したこの条約が大きなインパクトになって、暴行・脅迫要件の撤廃への言わば激動が起こっていると。
 もう一つは、その中で、特にドイツで、二〇一三年から、女性法律家団体を中心にした、処罰されるべき性暴力でありながら暴行、脅迫を伴わないために不起訴になったと、あるいは無罪になったという百七件の事例を分析をした報告書、これが大きなインパクトを与えて、ドイツはまあ我が国の法的な母国などと言われていますけれども、厳しい暴行・脅迫要件があったんだけれども、これを緩和、撤廃するという流れになった。
 だから、私はこうした被害調査を行うべきだと思うんですよね。法務省も検察庁もそうした動きを当然つかんでおられるんだと思うんです。ところが、この間の改正の議論の中ではそうした欧米諸国の到達点を情報提供すらしない。国連諸機関からの勧告にも背を向けている。
 私、こんな態度は、大臣、もう改めて、被害の実態をしっかり見て、求められている暴行・脅迫要件の緩和、撤廃も含めた三年後の見直しの検討をしっかりと進めるべきだと考えますけれども、大臣、いかがですか。
○委員長(石川博崇君) 時間が過ぎておりますので、お答えは簡潔に願います。
○国務大臣(上川陽子君) 大変重要な検討、調査検討ということをこれからしっかりとしていく必要があるというふうに思っておりまして、今日御議論をいただきました様々な御提案、また論点ということについては、これからの検討にしっかりと生かしてまいりたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 終わります。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 今日は、上川大臣が所信でも触れられた点について何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、テロ等準備罪について質問をさせていただきたいと思います。
 さきの通常国会、第百九十三回国会で審議されましたテロ等準備罪についてでありますけれども、これは残念ながら参議院では十分な審議がなされなかったというふうに残念に思っております。ちょうど私が質問しようとしましたら、民進党さんの方から法務大臣の問責決議案が出まして、そこで審議がストップしてしまいました。その後、与党の方から中間報告ということで、これもまた委員会での審議を打ち切ってしまうという大変残念な結果になってしまったというふうに思っておりまして、十分な審議がなされなかったというふうに思っております。
 今日は、ちょっとテロ等準備罪についてお伺いしたいと思うわけですけれども、我々日本維新の会は与党との間で修正協議を行わさせていただきました。その修正協議の内容は、取調べの可視化が一つ、そして二つ目には弁護人の付与、それから三つ目には通信傍受、そして四つ目にはGPS捜査、五つ目には親告罪の明記という五つのポイントを掲げさせていただきまして、与党と協議を行わさせていただきまして、結果的には取調べの可視化、それからGPS捜査、親告罪の明記、こういったところを修正ということで合意をしたということになりました。
 このことについて上川大臣がどのように評価されているのか、まずはお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 組織的犯罪処罰法等の一部改正法案の国会審議におきまして、国民の安全、安心を守るため、法案の必要性や内容につきまして真剣に御検討いただきました結果として、テロ等準備罪に係る被疑者の取調べ等の適正確保に十分に配慮しなければならない旨の規定などが追加されたものというふうに承知をしております。
 これらの修正でございますが、法案に対して示されておりました御懸念等に適切に応えるものであるというふうに考えておりまして、修正協議等当たられました日本維新の会の皆様の御努力に対しては心から改めて敬意を表したいというふうに思っております。そして、そのことの大変重要な意味ということもしっかりと念頭に置きながら、この法案の適正な運用ということに全力を傾けてまいりたいというふうに思っております。
○東徹君 取調べの可視化につきましては、大臣が今述べられていましたように、法改正の本則の第六条の二第四項にテロ等準備罪の取調べ等の捜査の適正確保に向けた配慮義務というところが定められました。そして、あと附則の方にも、第十二条第一項には取調べの録音・録画等に関する制度の在り方に関する検討規定というのがありまして、刑事訴訟法の附則によってこの制度が検討されるわけでありますけれども、これ、検討していくにはまだ大分先の話になってしまうわけでして、五年後になるわけですけれども、この法案が六月十五日にこれは成立しましてから現在まで半年たとうとしておりますけれども、現在までにどのような対応をなされたのか、まずはお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(林眞琴君) まず、委員御指摘の本則において、テロ等準備罪についての被疑者取調べその他捜査を行うに当たってはその適正確保に十分に配慮しなければならない旨、この規定、あるいは、衆議院法務委員会における附帯決議で、その取調べ等の録音、録画をできる限り行うように努めることと、こういったことがありましたので、これらの規定の内容及び趣旨を周知徹底して改正法の適正な運用を求めるため、法務省刑事局長名の依命通達を全国の検察庁に発出いたしました。その上、警察庁、最高裁判所にも参考送付したところでございます。その際、附帯決議についても同様の周知を図っております。
 次に、取調べの録音・録画制度の検討、これをさきに成立した刑事訴訟法等の一部改正法の附則九条一項に基づいて、その録音・録画制度について検討を行うに当たってこのテロ等準備罪についての録音、録画についても検討するようにと、こういった規定がございますが、この規定の趣旨に従って検討を今後行うことができるようにするために、既に全国の検察庁に対しまして大臣訓令を発出いたしまして、テロ等準備罪の事件について受理から裁判確定までの各段階で全て所定の事項を大臣に対して報告をさせるようにしたところでございます。
 今後とも、このテロ等準備罪の取調べの状況や公判の状況、また、特に被告人の自白についての任意性、信用性の立証の状況、こういった等については今後十分に検討に資するように資料の収集に努めてまいりたいと思っております。
○東徹君 自白というのが大切になるわけですから、しっかりと検討していただきたいわけでありますけれども、今答弁ありましたように、施行後三年を経過した場合において取調べの録音・録画等に関する制度の在り方の検討を行うこととされており、実際の検討は平成三十四年頃になるわけでありますけれども、取調べの可視化について今後どのように制度を構築していくのか、是非ここは大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) お尋ねの点でございますけれども、今後のテロ等準備罪の適用状況や、また同罪に係る事件の捜査及び公判の状況等の分析等のほか、録音、録画の実施状況、こちらの方もしっかりと踏まえまして、そして十分に検討した上で結論を出す必要があるというふうに考えております。
 したがいまして、テロ等準備罪の取調べにおきましての録音・録画等の制度の在り方について、現時点におきましてはなかなかお答えすることが困難でございますけれども、しかし、録音・録画制度が設けられた趣旨のほか、この組織的犯罪処罰法等の一部改正法の附則にこの検討が求められた、こうした趣旨も踏まえまして、その制度の在り方について十全に、十分に検討してまいりたいと思っております。
○東徹君 是非、録音、録画のしっかりとした制度を構築していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、法務省の職員の不正行為の事件についてお伺いをさせていただきます。
 会計検査院によりますと、今年の検査結果として、東京法務局の登記調査官が登記申請書に貼られていた収入印紙を、これを剥ぎ取って、そこに既に使っていた別の消印済みの収入印紙を貼って、その上から消印をするということによって不正行為を働いていたということなんですけれども、またこれ期間が非常に長くて、十一年間にわたってこのことを繰り返しやっていたということなんですね。いつからかといいますと、平成十八年の一月から平成二十八年の十二月までということで約十一年間になるわけですけれども、この金額がまたすごい金額なんですね。収入印紙の金額が四億七千二百九十三万円、二千七百件になるわけですけれども、これを不正に取得していたことになるわけです。
 なぜ、このようなことが十一年も行われておりながら、しかも金額は、四億七千二百九十三万円分の収入印紙ですから、これ相当な額でありまして、何でこんなことが分からなかったのかと。これ法務省ですから、法務省が一体何していたのかというふうに思うわけですが、いかがなものでしょうか。
○委員長(石川博崇君) どなたに御答弁を求めますか。
○東徹君 大臣。
○国務大臣(上川陽子君) まず、当該事案につきましてのこの不正行為につきましては、法秩序の維持及び国民の権利の擁護を使命とする法務局の職員としてあるまじき行為であるということで、大変遺憾に思っているところでございます。
 今般、この会計検査院の決算検査報告におきまして、東京法務局の職員が、先ほど委員から御説明ありましたとおり、商業登記のための登録免許税として印紙台帳に貼り付けられた収入印紙を剥ぎ取り、その発覚を免れるために過去の登記申請書から消印済みの収入印紙を剥ぎ取って差し替えるという不正行為が行われたことでございます。
 昨年の十二月二十二日に東京法務局において公表いたしました。その後の調査の過程におきまして、過去十年以上にわたりまして不正が繰り返されていたということが判明しております。そして、更なる調査を行いまして、本年の八月末をもって被害額が確定したということで、九月十五日に公表を行っているところでございます。一見して不正とは断定しかねるような巧妙な手口によるものであったということで発見が遅れてしまったというものであるというふうに承知をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、冒頭申し上げたとおり、あるまじき行為であり、大変遺憾に存ずるところでございます。
○東徹君 この法務局職員による収入印紙の不正についてなんですけれども、過去十年間において、この件だけじゃなくてほかでもあるんですね。ほかに四件ありまして、その四件のうち一件は名古屋の法務局の刈谷支局になるわけですけれども、ここでは七千四百五十一万七千九百円の不正が行われておったということなんですね。ほかにも、福岡でも三百二十万、それから千葉地方法務局でも一千九百九万、それから佐賀地方法務局伊万里支局でも六十二万七千九百円ということになるわけですけれども、こういうことがほかでも行われておったということが分かっていて、今回、この事件では十一年間にわたって二千七百件もの不正が行われていたということなんです。
 こうなってくると、これ、ほかでももっともっとあるんではないのかというふうになってくるわけですが、大臣、このことについてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘のとおりでございます。法務局職員による収入印紙の窃取事件、事案というのは過去十年間で四件発生しているということでございます。実は、このうちの一件は、私、前の大臣のときの在任中に発生したということで、そのときも極めてゆゆしき事態であるということで再犯防止策を指示したところでございました。その折には、これまでも収入印紙を直ちに消印し、そして単独処理を原則禁止する等の指示をしたところでございますが、それにつきましては十分に徹底することができなかったということでございまして、この事案については、そのときにも発見ができなかったということでございます。その意味では、再発防止策が十分に機能しなかったということでございまして、これにつきましても大変遺憾に存ずるところでございます。
 そこで、改めて、実効性のある方策を実施する必要があるというふうに考えまして、事件発覚後、職員の規範意識、これを再確認するとともに、相互牽制の徹底などの再発防止策を講じてまいりました。さらに、外部組織のノウハウ、また専門知識を備えた有識者の視点を踏まえて検討を行うようにということで、組織のコンプライアンスを徹底するようにということで、今年九月十五日に民事局に対しまして私から直接指示をいたしました。
 現在、民事局におきましては、印紙に係る不正事件再発防止プロジェクトチーム、これを設置いたしまして、同じように金品を扱うという金融機関でありますとか、印紙などの金券を取り扱う公的機関もございますので、そうした公的機関を始め警備会社などから順次ヒアリングをしっかりと行って、そして再発防止に向けて、こうした事例等の検討結果を踏まえまして、申し上げたとおり、コンプライアンスの徹底と再発防止に万全を期し、また、先ほど御指摘がありましたように、信頼の回復に全力で努めてまいる所存でございます。
○東徹君 法務省の信頼失墜だというふうに思うわけですけれども、大臣も、前に、前任でいたときにも指示を出したということでありますから、この件については大変お詳しいかと思いますので、再発防止にしっかりと対応をしていただきたいと思います。
 ただ、この本件についてなんですけれども、今年の五月末現在で、その本人から返納されている金額がこれたった二十九万円しか返納されていないんですね。これ、四億七千二百九十三万円分ですから、二十九万円ということは、損害額からいくと全然これ足りていないわけでありますが、これについては今後どのように対処していくのか。これ、全額、本来返してもらうべきことだと思うんですけれども、どうされるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 これまでの金融機関等への資産調査の結果では、この事件本人は差押えの引き当てになるような財産を保有しておらず、被害額の全額について一括して返納を受けることが困難な状況にあるということでございます。したがいまして、分割での返納とならざるを得ないものと承知しております。
 事件本人は、現在のところ年金収入のみの状況でございますが、少しでも多く回収できるように努めてまいりたいと考えております。
○東徹君 四億七千二百九十三万円のうち二十九万円しか返金されていなくて、まあなかなかこれ差押えも、可能な財産がないということですから、非常にこれ返ってくるのが難しいんだろうというふうには思いますけれども、今後、こういったことがないように徹底していただきたいと思いますし、この収入印紙というのも、これ何か昔から変わらない制度なんですが、何かこういうのも、もう今後、この今の時代にだんだん合わなくなってきているんじゃないかなと、つくづく自分も収入印紙を買って貼るときに思うんですね。何か古い制度だなというふうに思うんですが、この収入印紙の制度そのものを一度見直されてはどうかというふうに思いますので、是非このことも御検討いただきたいというふうに思います。
 続きまして、技能実習制度についてお伺いをしたいと思います。
 この件につきましても大臣所信でも触れられておりましたけれども、ただ、問題なのは、経歴を偽って来日してくるということが多いということで、これ、朝日新聞の十一月二十日の記事に出ておったわけですけれども、今日、新聞記事を付けさせていただいておりますけれども、「「技能実習」建前に限界」というふうな見出しで、これは技能実習制度の問題点がこれ取り上げられてきたわけですが、中でも、その経歴を偽って来日要件をパスするという記事に、具体的に、これミャンマーから技能実習生の九割が、九割ですよ九割、九割が経歴を偽っているということを、ミャンマーの海外人材派遣業協会の会長がこういった発言をしているということがこの新聞報道では出ているわけですね。
 全てが正しいかどうかは分かりませんが、でも、こういった記事が出る以上、こういった事実が本当かどうかということを法務省がこれは徹底的にやっぱり調査すべきだというふうに思うんですが、いかがなのか、まずはお伺いしたいと思います。
○副大臣(葉梨康弘君) 私自身も昨日この記事を初めて拝見させていただいて、このような事実があるのかどうかということについては法務省としては現在把握はしておりません。
 ただ、技能実習制度は、もうここの委員会でも御審議いただきましたけれども、様々な問題点が指摘されてきておりまして、だからこそ、今回、十一月の一日から新しい制度が施行になりました。引き続き、まだミャンマーとはないんですけれども、やはり二国間協定をしっかりと締結していくこと、さらには在留資格認定証明書の交付申請時の審査を適切に行うということで、新しい制度の下でしっかり対応していかなければいけないと考えています。
○東徹君 これは把握されていないんですけれども、これ僕、把握すべきだと思うんですね。実際現地に行って、この協会の会長からも聞き取りをしたりとか、そして実態は一体どうなっているのかと、ミャンマーの状況はどうなのかとか、そういったことを私はこれ機敏に行動すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○副大臣(葉梨康弘君) 実態としてミャンマーでどのような状況になっているのかということも、やはり受入れ国じゃなくてもう出す側の国との関係となりますので、先ほど申し上げましたとおり、やっぱり二国間協定というのをミャンマーとどういう形で結んでいくかという過程で実態もお聞きすることができるだろうというふうに思っています。ですから、そういう努力をしっかり続けていきたいと思います。
○東徹君 個別のケースですし、時間たってしまっては仕方がないので、これはもう私は早急に調査すべきだと考えます。
 この技能実習制度を運営していく上で新たに外国人技能実習機構というのが設けられたわけでありますけれども、この機構は政府が全額出資しているわけです。理事長は元検察官で、理事には厚生労働省から一名、法務省から一名の現役出向が出ているわけですけれども、これ、機構の運営としても全額国が、政府が出資しているわけでして、手数料収入としては七千万円がこれ入るということが見込まれておるわけですけれども、支出では人件費がこれ二十億円、システムの開発費が四億円必要とされておって、不足分を補うために国の交付金がこれ三十五億円もつぎ込まれているわけですね。
 これ、これだけの国費を入れてこの外国人技能実習機構をつくってやっていくわけですから、これ国民の負担も大変なものだというふうに思います。国民の負担をするコスト、これについても、どのように削減していくために、減らしていくために検討を行っていくのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の外国人技能実習機構について、その交付金、これの主務官庁は法務省と厚生労働省、両者が分担の上で交付をしているところでございます。御指摘のとおり、平成二十九年度におきましては総額約三十五億円、うち母国語での相談窓口運営などに当たる経費といたしまして約四千万円を法務省が交付している状況でございます。
 コスト削減に向けた対策ということでの御質問でありますが、交付金につきましては、現状において外国人技能実習機構の運営に必要不可欠なものということで算定をしているところでございます。今後の外国人技能実習機構における事業の実施状況、また予算執行状況をしっかりと踏まえた上で、その必要性につきましては改めて精査をし、厚生労働省と協力をして、適切な運営、予算措置ということに努めてまいりたいというふうに思います。
○東徹君 是非これは、新しくつくったこの外国人技能実習機構、政府が全額出資してやるわけですから、しっかりとコストを少しでも削減できるような対応を是非考えていただきたいというふうに思います。
 ちょっともう時間がなくなりましたので、もうここで終わりにしたいと思いますが、是非残りの質問に関しましては次回の質問のときに少し触れさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 上川大臣、百代目の法務大臣に就任されたわけですが、改めておめでとうございます。人権問題、とりわけ女性の人権に造詣が深い上、女性の代表ということもございますし、大臣には大いに期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、沖縄県では、一九四五年に米軍駐留が始まって以来、多くの女性たちが米軍人軍属に性暴力を受け、殺害されてきました。統計がある本土復帰の一九七二年から二〇一六年末までの間に米軍人軍属等による刑法犯罪は五千九百十九件発生しております。そのうち、殺人、強盗、強姦など凶悪犯が五百七十六件に上っています。九五年には、小学生の少女が米兵三人に暴行される痛ましい事件が発生し、昨年も成人式を迎えた女性が米軍属の男に強姦、そして殺害、遺棄されました。那覇地裁は、十二月一日、この男に無期懲役を言い渡しましたが、奪われた尊厳や命が戻ってくることはありません。遺族の悲しみが癒えることはありません。
 法務省が通常国会に提出いたしました人権教育及び人権啓発施策、この中に紹介されておりますけれども、そのトップには女性の人権が挙げられています。その中で、人権を所管する上川大臣に、女性への暴力の防止に向けた取組の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 性犯罪でございますが、被害者の人格、尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であるとともに、その心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続ける犯罪であるというふうに承知をしているところでございます。
 私自身、これまで性犯罪を含めまして多くの犯罪被害に遭われた方々や、また御家族、御遺族の方々の直接お声を聞かせていただきながら、その声に寄り添いながら活動してきたところでございますし、また、実際に性犯罪に遭われた被害者の皆さんのしっかりと支援をしていくワンストップ支援センターなども訪ねてヒアリングもしてきたものでございます。
 これまで、性犯罪につきましては、被害者等が告訴をしなければ犯人を処罰することができなかったために、被害申告をためらうことによりまして被害がなかなか顕在化しないという、そうした問題が内在をしておりました。
 平成二十七年の十二月に閣議決定されました第四次男女共同参画基本計画におきまして、被害者がちゅうちょすることなく必要な相談を受けられる体制、そして被害者の心身の回復のための体制の整備、そして性犯罪に対する厳正な対処、こうした推進策が打ち出されたところでございます。そして、先般、性犯罪について的確に対処すべく刑法の一部が改正されたというふうに理解をしているところでございます。
 また、刑事施設におきましては、性犯罪再犯の防止指導ということで、個々の受刑者の再犯リスクあるいは問題性の程度等に応じてプログラムを開発をし、それを実施しているところでございます。
 このような形で、様々な女性に対する性犯罪、また性犯罪が重大な人権侵害であるということをしっかりと念頭に置きながら、今後とも性犯罪防止について警察庁を始めとする関係府省ともしっかりと連携をして各種施策に総合的な形で取り組み、また推進してまいりたいというふうに思っております。
○糸数慶子君 次に、民法改正についてお伺いいたします。
 まず、選択的夫婦別姓についてでありますが、衆議院本会議で十一月二十日、立憲民主党の枝野代表の夫婦別姓を選択できるよう法改正を急ぐべきとの質問に対して、安倍総理は、夫婦の別氏の問題は家族の在り方と深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから慎重な対応が必要であると答弁されました。
 法制審議会が五年の歳月を掛けて様々な検討を行った結果の答申ですから、法改正をしない理由に様々な意見があるというだけでは多くの理解は得られないかと思います。世論調査結果も押しなべて賛否が拮抗というふうに片付けられているように思いますが、丁寧に見ていく必要があると思います。
 法務省は、選択的夫婦別姓についてインターネットを通して周知されているということですが、今日お手元に皆さんにお配りしてございます、この世論調査の結果を見ていただくと分かるのですが、結婚当事者層の二十代、三十代の若年層は賛成が多数を占めています。特に、この問題に直面し改姓をしている二十代、三十代の女性は圧倒的に賛成が反対を上回っています。御理解をいただけないのが六十代、七十代ですが、この世代はインターネットの使用が少ない世代なので、インターネットだけの周知では理解も議論も深まらないと思います。周知方法を検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。民事局長にお尋ねいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 選択的夫婦別氏制度の導入の問題は、我が国の家族の在り方に深く関わるもので、国民の間にも様々な意見があることから、国民的な議論の動向を踏まえることが重要であると認識しております。そのような観点から、法務省におきましては、ホームページに「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」という項目を設けまして、制度の概要や氏に関する歴史的な経緯、法制審議会の答申の内容などについて周知を行っております。
 法務省といたしましても、選択的夫婦別氏制度について、先ほど申し上げましたとおり、国民的な議論が深まることが重要であると認識しておりまして、周知の在り方につきましても工夫の余地があるかどうか検討してまいりたいと思います。
○糸数慶子君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、本日は内閣府男女共同参画局にも来ていただいておりますので、男女共同参画局の取組についてお伺いをいたします。
 男女共同参画局の様々な取組で、数値化、見える化が進んだことで更なる取組につながっていることに、まずは敬意を表します。内閣府の世論調査も、せっかく年代別統計などが出ているわけですから、十分に活用し、より効果的な取組ができるのではないかと思います。
 先ほど法務省にも伺いましたが、周知する相手とその手段というのはとても重要だと思います。民法改正については、女性差別撤廃委員会からフォローアップ報告が要請されております。その周知も含めて男女共同参画局として工夫をしていただく必要があるかと思いますが、今後の取組について政府参考人にお伺いいたします。
○政府参考人(渡邉清君) 内閣府男女共同参画局でございます。
 糸数先生から女子差別撤廃条約を含めて御質問を頂戴をいたしました。
 私ども、女子差別撤廃条約の、外務省が対外的な窓口ですけれども、政府内の取りまとめに当たっている部局でございます。その意味で、先生御指摘の選択的夫婦別氏の関係につきましても女子差別撤廃委員会の方から御指摘を受けているということで、そのフォローアップを今年度中にしていくというような日程になってございます。
 その上での取組でございますけれども、まず、私ども、女子差別撤廃条約一般ということになりますが、この用語の周知度を五〇%にするということを第四次男女共同参画基本計画の中に盛り込んでおります。この成果目標を掲げまして、条約全文を記載したポスター、それから本条約を解説いたしました広報映像を作成するほか、また、我が国の政府報告や委員会からの最終見解などが出た場合に内閣府と外務省のウエブサイトに掲載するなど、様々な媒体を使って周知を行っております。また、条約の批准三十周年など節目の年に当たりましては、記念ロゴの作成、それから委員会の委員の先生を講師に招いたシンポジウムの開催、広報誌での特集などを幅広く行っております。
 また、報告書の提出、それから女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答の提出、最終見解が出たとき、フォローアップ報告をする場合など、そういった一連のプロセスにおきまして、市民社会の関与を確保するために、一般国民向けの情報提供、意見交換のための会合、聞く会と称しておりますが、これを実施、開催をしております。また、最終見解が出た場合には、国会、裁判所を含む国の機関、それから地方公共団体の皆さんといった関係機関に対しまして、その都度全文添付して通知を行うなど取組をしております。
 今後とも、幅広い年齢層の国民の皆様に対しまして、より一層のきめ細かな情報提供を実施いたしまして、理解の促進を図って女子差別撤廃条約の積極的遵守に努めてまいりたいというのが私どもの立場でございます。
○糸数慶子君 前向きな御答弁、ありがとうございます。
 来年は複数の夫婦別姓訴訟が提起されるというふうに聞いております。名前を名のり続けられないために裁判までしなければならないという状況であり、困っている方の声に応えていくことも政治の大事な役割だと考えています。政府もそうした声を是非御理解いただき、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、再婚禁止期間と嫡出推定規定についてお伺いいたします。
 再婚禁止期間については、二〇一五年の最高裁判決を受けて、昨年、百八十日から百日に短縮する法改正が行われました。女性差別撤廃委員会からは短縮ではなく撤廃が求められていますが、民法七百七十二条との関係で、推定が重ならないぎりぎりの百日になったと理解しています。
 この改正の際には三年後の見直しが附則に盛り込まれましたが、具体的な見直しに向けた検討が行われているのか、政府参考人にお伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 女性の再婚禁止期間につきましては、平成二十八年六月一日に成立いたしました再婚禁止期間を短縮すること等を内容とする民法の一部を改正する法律の附則におきまして、法律施行後三年を目途として改めて検討を加えるものと定められたところでございます。現時点ではまだこの法律の施行後一年余りを経過したところでございますので、現在はその施行後の状況を注視しているところでございます。
 再婚禁止期間につきましては、国民の中にも様々な意見があるところでございますが、施行後の状況も踏まえまして、その在り方について適切に検討してまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 次に、無戸籍者に関する法務省の取組には一定の評価はしておりますが、無戸籍者とならない取組が最も重要だと思います。
 法務省が調査した無戸籍者の実態の資料でも分かりますように、無戸籍となる最大の要因である民法七百七十二条の嫡出推定規定は、立法当時には考えられなかったような医療技術の進歩や家族の多様化もあり、制度に綻びが見られます。
 先ほどの再婚禁止期間との関係もあり、今後見直しも含めた検討を行う必要があると思いますが、どのような取組をされるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 今委員の御指摘にもございましたとおり、無戸籍者が生ずる原因には様々なものが考えられますが、民法七百七十二条の規定する嫡出推定によって、戸籍上、夫ないし前夫の子とされるのを避けるために出生届を提出しなかったことが原因であることが多いものと承知しております。そのため、無戸籍問題の解消のためには、嫡出否認の訴えの提訴権者の範囲を拡大するなど、現在の嫡出推定制度を見直す必要があるという意見があることは承知しております。
 嫡出推定制度は家族法の根幹を成すものでございまして、その見直しをめぐりましては国民の中にも様々な意見がありますことから、社会情勢の変化や国民的な議論の動向を踏まえて見直しの要否等を検討する必要があると考えておるところでございます。
○糸数慶子君 是非、資料も今日提出しておりますけれども、前向きに検討していただきたいというふうに思います。
 次に、難民の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず、我が国に逃れる難民の方が近年増加していることを受け、真の難民の迅速かつ確実な庇護を推進するため、二〇一四年十二月の法務大臣の私的懇談会からの提言を踏まえ、保護対象、認定判断及び手続の明確化、難民認定行政に係る体制、基盤の強化、並びに難民認定制度の濫用、誤用的な申請に対する適切な対応を内容とする難民認定制度の運用の見直しを行い、二〇一五年九月からそれらの見直しを随時実施していると承知をしております。
 そのような中、本年一月から六月までの難民認定申請者数の速報値は八千五百六十一人と増加しているのですが、上川大臣、上半期の難民認定者数は何人なのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 平成二十九年上半期におきまして、難民認定手続によりまして庇護を与えた者は三十人でございます。うち難民と認定した者が三人、そして難民と認定しなかったものの人道配慮により在留を認めた者が二十七人となっております。
○糸数慶子君 お手元に資料も提出しておりますけれども、今、大臣の御答弁ではたったの三人という大変衝撃的な数字をお伺いいたしました。
 二〇一六年の他のG7諸国における難民申請者数は、ドイツが約七十二万人、米国が約二十六万人、イタリアが約十二万人、フランスが約八万人、イギリスが約四万人、カナダが約二万人と、我が国の難民申請者数、その中で一番少ないわけです。
 二〇一六年の日本を除く難民認定者数ですが、トップのドイツは約二十六万人、フランスが約二万四千人、米国が二万人、イギリスが約一万三千人、カナダが約一万人、最下位のイタリアでも約五千人であります。
 ドイツでも近隣諸国からの難民申請者数は一定数あり、我が国と同じように難民認定制度の濫用、誤用などの問題を抱える諸国と比較しても、我が国の認定数及び認定率の低さは突出しております。なぜこのような低さになっているのか、大臣の認識をお聞かせください。
○国務大臣(上川陽子君) 我が国におきましては、国際問題化している欧州の状況と異なりまして、シリア、アフガニスタン、イラクのような大量の難民、避難民を生じさせる国の出身者からの難民認定申請が少ないという状況にございます。これに対して、近年、我が国では、インドネシア、フィリピン及びベトナムからの申請者が急増をするなど、就労等を目的とすると思われる濫用、誤用的な申請が相当数見受けられるという状況でございます。
 難民認定につきましては、難民条約等に規定する難民の定義に申請者が該当するか否かを判断するものであります。欧州等とのこのような状況の違いが難民認定数等の違いの背景にあるものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、引き続き、真に庇護を必要とする者の迅速かつ確実な保護を図ってまいりたいというふうに存じます。
○糸数慶子君 難民認定制度の運用の見直し概要にありますいわゆる新しい形態の迫害に相当する方で、難民認定若しくは人道配慮で庇護された人数を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 いわゆる新しい形態の迫害を受けたことを理由に難民の認定を受けた者は、現在のところおりません。
 なお、個別事案によっては、こうした新しい形態の迫害という観点をも考慮して人道配慮による在留を認めた者もありますが、この点で統計を取っておりませんので、その人数についてお答えすることは困難であることを御理解いただければと思います。
○糸数慶子君 今後は、是非統計を取ってその内容も教えていただきたいというふうに思います。
 次に、難民審査参与員が法務大臣に提言し、法務大臣がその後の難民審査の判定に用いるようにするための仕組みを構築するというふうになっておりますが、その仕組みはどのようなもので、具体的に運用が実施されたのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました仕組みにつきましては、難民認定制度の運用の見直しの概要の中で、新しい形態の迫害のほか、明らかに難民認定又は難民不認定とすべき事案に係る判断要素に関しても、難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるために構築することとしているところでございますが、いずれにつきましても、真に庇護を必要とする者を迅速かつ確実に保護するため、難民審査参与員からの提言を待ちつつ、諸外国での実例なども参考にしながら現在検討を行っているところでございます。
○糸数慶子君 濫用・誤用対策は、昨年十一月二十五日の法務大臣の記者会見、また本年の新聞報道でも認識されておりますが、真の難民の迅速かつ確実な庇護を目指した運用の見直しでありますので、こちらの方も積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、難民審査参与員の問題発言、行動に対してお伺いをいたします。
 二〇一七年の三月に、男性審査参与員から、美人だったから狙われたのか等との不適切な質問を受けたこと、その発言が調書に記載されていなかったこと、そして、代理人が四月に抗議したにもかかわらず、八月三十一日以降に各メディアで報道され、上川大臣が九月一日の閣議後の会見で、難民審査参与員の不適切発言について、承知しているところで、事実関係について入国管理局に確認している最中ですと発言されています。その事実確認に四か月も掛かったことは大変遺憾であります。
 九月二十二日の記者会見では、代理人の指摘のような、美しい人、美人だったからという発言を確認され、そこで、それを不適切な発言だったと認められ、遺憾の意を述べられました。また、その中で、難民審査参与員の発言により相手方が不快な思いをされたことから不適切な発言であったと考えており、難民認定の行政の対象は難民認定の申請者あるいは外国人である前に人であり、これに携わる者には常に人権の意識が必要であると考えているというふうにおっしゃっていらっしゃいます。
 そこで、難民審査参与員の選出方法について伺います。
 難民審査参与員は、人格が高潔であって、前条第一項の審査要求に対し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから法務大臣が任命するというふうにされております。平成二十六年版出入国管理第二部九十七ページでは、難民審査参与員は、人格が高潔であって、難民認定に係る異議申立てに対し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者から任命することとされ、UNHCR、日本弁護士連合会、NGO等からの推薦を受けるなどして法務大臣が任命しているというふうになっています。
 今回の問題発言を考えると、大学の研究者、元外交官、元判事、元検事、弁護士、メディアOBがメンバーとして公表されていますが、その中には公正な判断をすることができない、あるいは資質に問題があるのではと疑われても仕方がない状況です。
 そこで、政府参考人に伺いますが、難民審査参与員の選出方法について詳しく御説明してください。
○政府参考人(和田雅樹君) 難民審査参与員の選定につきましては、先ほど先生の方から御紹介のありました法律などの法律に基づきまして法務大臣が任命しているところでございますが、具体的には、日本弁護士連合会、国連難民高等弁務官事務所、UNHCR等の推薦もいただき、事実認定の経験豊富な法曹実務家、地域情勢や国際問題に明るい外交官や国連関係勤務経験者、国際法学者などの各分野の専門家から選任しているところでございます。
○委員長(石川博崇君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○糸数慶子君 はい。
 時間が参りましたので終わりますけれども、担当した代理人の弁護士によりますと、その後の法務省入国管理局からの説明で、発言が不適切な意図とは認定できず、参与員として不適格ではなく、処分はしないということでしたが、それは事実でしょうか。そういうことを野放しにすることは納得できません。時間が参りましたので、もし御答弁できないようでしたら。御答弁できますか。委員長、お願いいたします。
○委員長(石川博崇君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○政府参考人(和田雅樹君) 結論として申しますと、本件の発言は不適切な意図を持ってなされたものではないということで、処分を行っておりません。
 これまでも、審尋等における発言に当たりましては、申立人の置かれた立場を配慮した発言を行うよう入国管理局において注意喚起してきたところでございますが、本件を踏まえまして、改めて全ての難民審査参与員に対して注意喚起の文書を出しております。
○委員長(石川博崇君) 時間が来ておりますので。
○糸数慶子君 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、通告をいたしまして質問できなかったところはまた次回に回していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○山口和之君 無所属の山口和之と申します。いつも最後なので、なるべく重ならないような質問を考えてくるんですが、若干重なるところを了承願いたいと思います。
 まずは、上川大臣には所信挨拶において、SDGsにおいてうたわれている誰一人取り残さない社会を実現するため、一歩一歩着実に職務を遂行したいと考えておりますというふうにおっしゃっておりました。
 この日本ではどのような人がどのように取り残されていると認識されているのでしょうか。また、具体的にどのような取組を行っていくつもりなのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 法務大臣として、先回、所信を述べさせていただいたわけでございますが、法務省を所掌する大臣として、SDGsの誰一人取り残さない、多様性、そして包摂性のある社会の実現の観点から法務省の所掌事務に関する様々な課題に取り組む、そして国民の権利利益の擁護に努めてまいりたいと、こんな思いをお伝えしたところでございます。
 SDGsの達成のためには一人一人に焦点を当てるということが何よりも大事であるということでございまして、今御質問の中で具体例を挙げて説明をというような御質問でございますが、法務行政との関連につきましては、例えば再犯防止の取組、そして例えば無戸籍状態の解消、そして例えば性犯罪防止に向けた取組などなどたくさんの課題がございまして、お一人お一人にしっかりと寄り添ってこのそれぞれの問題に対応していきたいと、こうした思いを込めて所信の中で申し上げたところでございます。
 今御紹介した再犯防止の取組について申し上げれば、このSDGsにつきましては、地域社会を含めて国やあるいは地方自治体、そして地域で活動している民間の様々な団体等、それが多様性と包摂性ある社会の中で、それぞれの役割に応じてしっかりと問題解決に当たるという、そうした方針も打ち出されているところでございますが、この再犯防止の取組につきましては、まさに国、地方公共団体、民間団体等、一層綿密、緊密な連携によりまして犯罪に戻さないための息の長い支援を目指すものであるということでございまして、私は、これはSDGsが掲げております誰一人取り残さない、まさに多様性と包摂性のある社会の実現に資するものというふうに思っておりまして、こうした視点からもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 また、無戸籍者の問題につきましても、あるいは性犯罪防止に向けた取組に対しましても、やはり法務省は困難を抱えている社会のマイノリティーの方々やあるいは脆弱な立場にある方々の権利利益をしっかりと擁護するための最後のとりででありたいというふうに考えておりまして、そういう姿勢でしっかりと臨みたいというふうに思っているところでございます。
 そして、誰もが活躍できる社会にするための基盤、これが法の支配の確立、この推進についてが大変大事な基盤整備の核になるというふうに思っておりまして、法務省としてこの問題におきましても社会に果たす役割は大変大きなものがあるというふうに認識をしているところでございます。
 今後とも、関係省庁としっかりと連携をしながら、また外部の機関ともしっかりとスクラムを組みながら、SDGsの達成に向けて、またそれぞれ日本の抱える様々な課題について取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○山口和之君 私も元々の仕事は理学療法士の仕事をしておりまして、医療の現場であったり介護の現場であったり、そこの中でリハビリテーションの仕事をさせていただいておりました。障害のある方々や慢性の痛みを持っている方々など、一人一人に寄り添って、誰一人取り残さない社会に向けて大きく前進するということは非常にどの分野においても大切なことだろうと、我が国においては重要なことだと思っております。
 また、その人、その方が残されることにより、また家族にも大きな課題が乗ってきたりすることもございます。そういった意味から、上川大臣のリーダーシップで是非とも、一人も取り残さない、誰一人取り残さない社会に向けて大きく前進していただきたいと思います。
 上川大臣の言葉の中に、心のバリアフリーを推進するとおっしゃっておりました。障害のある方の人権擁護の観点から、害悪や災害などに使われ否定的な意味を持つ害という文字をその人を表すときに用いないようにすることが重要と考えますが、実際に心のバリアフリーの観点から、障害者について害を平仮名で表記したり、また障害のある方などと表記をする地方自治体や企業も増えております。このことに対し、人権を所管する法務大臣としてはどのような感想をお持ちか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(上川陽子君) 法務省におきましては、この人権擁護機関におきまして、障害を理由とする偏見や差別をなくそうと、これを強調事項に掲げまして、これまでも障害を理由とする差別の解消を目指して人権啓発活動や、また人権侵犯事件として被害の救済に努めてきたところでございます。その意味では、相互に人格と個性を尊重し支え合う心のバリアフリー、これは大変重要であるということでございまして、委員御指摘のとおりということでございます。
 障害の表記につきましての御質問でございますが、平仮名を用いるか否かについては様々な御意見があるということを承知しているところでございます。私の個人的な所感ということでございますが、私も委員と同様の問題意識を持っているところでございまして、漢字の害という文字に不快感を覚える方がいらっしゃるということを思うと、今後できるところから平仮名の「がい」の字の使用についても考えてまいりたいと思っております。
○山口和之君 是非、当事者の方々を含めて、もう一度大きな議論に持っていっていただきたいなというふうにも思います、国においてですね。
 気になる言葉、言葉というのは非常に重要なんですけれども、自分の中で非常にこの障害者という言葉のほかに気になることがございまして、それは、法務省管轄のことではないとは思いますけれども、障害のある方に自立を支援していくことがございます。生活を自立していただくという、支援するんですが、ここに使われている言葉が、障害者自立訓練という言葉を使います。この障害者自立訓練という言葉はどういうことかというと、障害者の自立のために訓練をするということになっております。それはやはり上から目線であるし、この言葉というのは、いつの時代につくられたものなのかというぐらい古い言葉だと思います。
 言葉の持つ意味というのは非常に重要なことですので、法の中において、法務省、法務大臣として、心のバリアフリーを推進するに当たって、是非この言葉の問題についても取り組んでいただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 続きまして、技能実習関係についてお伺いしたいと思います。
 昨年、法制化を受けて新しい外国人技能実習制度が十一月一日から始まったところでございますが、先日の大臣挨拶の中でも制度の適切な運用に向けた決意を述べられていたところですが、本日はこのうち、新しく始まった二国間取決めなどについて伺いたいと思います。
 まず、二国間取決めを結ぶことの意味、そして現在までの取決め作成の進捗状況、今後の予定についてまとめて伺いたいと思います。法務大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(上川陽子君) 一部の技能実習生が送り出し機関から保証金や高額な手数料、これを徴収されており、これが技能実習生の失踪につながっているとの指摘がございました。そして、本年十一月から施行された新たな技能実習制度では、不適正な送り出し機関を排除してこの技能実習制度が適正に運用されるよう、送り出し国の政府において適切な送り出し機関を認定していただくということを目的といたしまして、二国間の取決めを作成することとしているものでございます。
 取決めにおきましては、送り出し機関の認定の基準といたしまして、制度趣旨を理解している者を技能実習生として選定をするということ、あるいは技能実習生から保証金の徴収を行わないこと等を盛り込みまして、そうした適正な送り出し機関のみが送り出し国政府に認定をされるようにしているところでございます。
 現時点におきましては、ベトナム、カンボジア、インド及びフィリピン、この四か国との間で二国間取決めを作成済みでございまして、その他の送り出し国との間でもできるだけ早期に取決めを作成すべく、外務省及び厚生労働省とともに送り出し国政府との間で意見交換を行っているところでございます。
○山口和之君 昨年の本委員会における法案審議において、送り出し機関に人材をつなぐ準備機関、いわゆるブローカーを規制しなければ意味がないとの指摘が多々ありました。
 ブローカーに関する規制は盛り込まれているのかどうか、法務省に伺いたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律上、いわゆるブローカーの定義は特段設けておらないところでございますが、同法の施行規則におきまして、保証金の徴収や違約金を定める契約等を禁止する規定を設けております。この規定につきましては主体の限定がございませんので、実習実施者、監理団体、取次ぎ送り出し機関又は外国の準備機関のみならず、技能実習に関与する者を幅広く規制の対象とするところでございます。
 また、同法施行規則上、実習実施者、監理団体、取次ぎ送り出し機関及び外国の準備機関が、ほかのこれらの者との間で違約金を定める契約等を行うことも規制しているところでございます。さらに、取次ぎ送り出し機関又は外国の準備機関が関与する場合には、技能実習生が当該機関に支払う費用につきまして、その額及び内訳を十分に理解してこれらの機関との間で合意していることも技能実習計画の認定基準としておるところでございます。これらの基準は技能実習計画の認定基準として規定されているものでございまして、二国間取決めの有無及び二国間取決めにおける記載の有無に関わらず、全ての送り出し国との間で適用されるものでございます。
 なお、これまで作成いたしましたベトナム、カンボジア、インド及びフィリピンとの間の二国間取決めにおきましては、いずれにおきましても、認定送り出し機関が認定基準に適合しない行為その他の適切でない行為を行ったのではないかとの疑念が生じた場合には、我が国から相手国政府に対して当該事案について通報し、相手国政府による調査、指導及びその結果に関する報告を求めることができる規定を設けておるところでございまして、これによりまして、送り出し国における不適正な機関等の排除が可能になると考えているところでございます。
○山口和之君 ベトナムとの覚書書ではブローカー規制が明記されております。フィリピンにおいてはそこには明記がありませんが、対応に差が出るのではないかというふうな思いもございます。ここは、悪質なブローカーはしっかり規制するような送り出し国との協議をしっかり対応していただきたいし、できればベトナムのように明記されるような覚書書であった方が効果的かと思います。
 次に、技能移転という制度の趣旨からすれば、帰国後の就職あっせんが適切になされることが重要だと思いますが、取決めに基づきどの程度効果的に就職あっせんされるようになるのか、帰国者の大半が関係ない職に就いていた旧制度下の実態は本当に変わるのかどうかを伺いたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 母国に技能等を移転するという制度の趣旨に照らしまして、技能実習計画の認定の基準といたしましていわゆる復職の要件を設けておりますが、この復職の要件を実効的なものとするためには、先生からただいま御指摘いただきましたとおり、帰国後の就職あっせんが非常に重要であるというふうに認識しているところでございます。
 そのため、新しい制度の下では、施行規則におきまして、外国の送り出し機関の基準として、帰国した技能実習生の就職先のあっせんその他の必要な支援を行うことを規定しておるところでございます。そして、当該基準の適切な履行を担保するため、二国間取決めでは、相手国政府による送り出し機関の認定のみならず、我が国から相手国政府に対し、基準に適合しない機関に係る通報、相手国政府の調査、指導及びその結果に関する報告に係る規定を設けているところでございます。
 このように、二国間取決めの規定を通じまして相手国政府と連携することで、送り出し機関による、帰国した技能実習生に係る就職のあっせんが適切に行われるものと考えているところでございます。
○山口和之君 これまで技能実習では、帰国後大半の者が関係ない職に就いていたのが実態で、だからこそ単なる出稼ぎにすぎないとの批判が出ておりました。実習先と関連する職に就くことが技能移転という制度の趣旨に近づけることになるので、この点は重要だと思っております。フォローアップ調査をしっかりと行って、制度の趣旨に沿うようしっかりと対応していただきたいと思います。
 新制度では、いわゆる前提要件について見直しが図られておりますが、新たに追加された介護職種における前職要件はどのように理解すればよいのか、本体部分との関連で整理して答弁していただきたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 御質問は介護ということでございましたが、一般的にまず前職要件のことについてお答えしたいと思います。
 技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度でございますので、日本で修得した技能を母国に帰って生かすことが確かであることの一つの証左とするために、原則として、いわゆる前職の要件、すなわち技能実習で修得しようとする技能等を要する職業に就いていたことを技能実習計画の認定の要件としているところでございます。
 ただ、この前職要件につきましては、これがなかったことについて特別な事情がある場合には技能実習計画の認定を可能としているところでございまして、技能実習法の法案審議におきまして先生から御指摘をいただいた点等を踏まえまして、前職要件を厳格に求め過ぎてかえって空文化することがないよう、特別な事情として認め得るものを公表しているガイドラインにおいて例示することとしております。
 具体的には、旧制度における個別の事案において特別な事情として認められてきました日本の受入れ機関と送り出し国の公的機関との間で技能実習制度を活用して人材育成を行う旨の協定を結ぶなど、我が国と外国との間の技術協力上必要である場合、教育機関において同種の業務に関連する教育課程を修了している場合などを例示しているほか、今回、新制度の運用を開始するに当たりまして、どういったものが特別な事情として認め得るのかということを改めて検討しました結果、技能実習生が技能実習を行う必要性を具体的に説明でき、かつ、技能実習を行うために必要な最低限の訓練を受けている場合を例示することといたしております。
 いずれにいたしましても、この前職要件の適用につきましては、修得した技能が母国で活用されるとの制度の趣旨を踏まえまして適切な運用が行われるよう、共管であります厚生労働省とともに技能実習計画の認定を行う外国人技能実習機構を指導してまいりたいと考えているところでございます。
○政府参考人(八神敦雄君) お答えいたします。
 技能実習生のいわゆる前職要件につきましては、介護職種において固有要件を設定するというものではなく、今回の技能実習制度全体の見直しで示されました、本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があることのいずれかに該当することとの要件を適用することとしております。このうち、特別な事情につきましては、ただいま法務省から御説明のあったとおりでございます。
 これを踏まえまして、介護職種におけるいわゆる前職要件の代表的な例示といたしまして、外国における高齢者又は障害者の介護施設等において、高齢者又は障害者の日常生活上の世話、機能訓練又は療養上の世話等に従事した経験を有する者、外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者、外国の政府による介護士認定等を受けた者の三例を局長通知でお示しをしておるところでございます。
 また、介護の技能実習生に関しましては、質の担保という観点から一定の日本語能力要件を求めるとともに、入国後講習におきまして日本語や介護の基本的知識等の受講について介護の固有要件というものを設定をしており、介護の質の担保が図られるよう制度設計をしておるところでございます。
○山口和之君 介護については新しく導入されることですので、これはスタートのときからしっかりとしていただきたいなと思います。
 旧制度で前職要件について虚偽の申請がはびこっていたというふうに先ほども言われておりました。技能移転でなく出稼ぎにすぎないと批判されるのは、この前職要件のところがしっかりされていなかったからだとも言われております。ここをきちんと運用することで、送り出し国にとって必要な技能を日本での実習によってステップアップするという趣旨に沿うようになるのではないかというふうに思われておりますので、実態として改善されるようにしっかりとやってほしいと思います。
 次に、大臣にお伺いしたいんですが、今度の新制度でまた実習生の人権侵害が多く発生したり単なる出稼ぎの隠れみのにすぎないような実態が変わらないとしたら、もうこのような制度は廃止すべきであり、大臣は覚悟を持って新制度を適切に運用してほしいと思いますが、改めて決意を伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 技能実習法の制定によりまして、新しい制度、新法といたしましてこの十一月一日に施行されたところでございます。委員御指摘のとおり、様々な問題が発生したことを受けて、新しい制度にということで御議論をいただき成立したというふうに承知をしております。
 主務大臣といたしましても、監理団体の許可を厳格に行っていくとともに、外国人の技能実習機構におきまして、技能実習計画の認定、実習実施者等に対する実地検査等の管理監督業務及び技能実習生からの相談、申告への対応や、また援助等の技能実習生保護業務、こうしたことが適切に運用され、しっかりとこの趣旨が反映できる制度となるように全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
○山口和之君 是非よろしくお願いいたします。
 新制度が軌道に乗りましたら、また改めて検証し、議論させていただきたいと思います。
 新たな次の質問に入ろうと思ったんですけれども、少し時間がもうないところに来ているので、次には入らず、これで終わらさせていただきたいと思いますが、質問を用意した分、お答えを用意されている方々には大変申し訳ございませんが、また質問の機会を設けさせていただきたいと思います。
 これで終わります。
○委員長(石川博崇君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(石川博崇君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。上川法務大臣。
○国務大臣(上川陽子君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 これらの法律案は、政府において、人事院勧告の趣旨に鑑み、一般の政府職員の給与を改定することとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出していることから、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講じようとするものであり、改正の内容は、次のとおりであります。
 一般の政府職員について、平成二十九年度の給与改定のため、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げることとしておりますので、判事補等の報酬月額及び九号以下の俸給を受ける検事等の俸給月額についても、これに準じて引き上げることとしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成二十九年四月一日に遡ってこれを適用することとしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(石川博崇君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会