第195回国会 法務委員会 第3号
平成二十九年十二月七日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     松山 政司君     徳茂 雅之君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                真山 勇一君
                若松 謙維君
    委 員
                岡田 直樹君
                徳茂 雅之君
                福岡 資麿君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                山谷えり子君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
       文部科学副大臣  丹羽 秀樹君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  山下 貴司君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀田 眞哉君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   村田 斉志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     古市 裕久君
       法務大臣官房審
       議官       金子  修君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省人権擁護
       局長       名執 雅子君
       法務省入国管理
       局長       和田 雅樹君
       文部科学大臣官
       房審議官     下間 康行君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動
 的に喪失しないことを求めることに関する請願
 (第一号外三件)
○国籍選択制度の廃止に関する請願(第二号外三
 件)
○共謀罪を新設した組織犯罪処罰法改正法の廃止
 に関する請願(第三号)
○共謀罪法の廃止に関する請願(第一四号外三九
 件)
○民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関
 する請願(第二一七号外一七件)
○共謀罪法の廃止を求めることに関する請願(第
 二九四号外一件)
○治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に
 関する請願(第四〇〇号外二件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
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○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会をいたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長古市裕久君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石川博崇君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○真山勇一君 おはようございます。民進党・新緑風会の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
 今日は、裁判官の報酬、そして検察官の俸給に関する法律の審議ということなんですが、まずこの件に関してですが、基本的に私はこの法律の改正について特に異論はございません。
 ただ、その基になる人事院勧告については、私、以前からやはり問題点というのがあるんじゃないかという指摘をさせていただいております。これに基づいての俸給なので、この人事院勧告の方でやはりいろいろ問題があるんじゃないか。まず一つは、もう時代の流れに少し遅れているんではないか。民間の終身雇用制もなくなるし、それから、民間の企業の比較ということについても、この今の比較のやり方でいいのかどうか、民間も今は本当に厳しくなっているという面もありますね。ですから、単純に比較するやり方、これ検討の余地があるんではないかということを以前から私、指摘させていただいております。この人事院勧告は国家公務員だけでなく地方公務員にも影響があるということなので、この辺の見直し、検討というのは今の時代必要ではないかなということがあることをお伝えしておきたいというふうに思います。
 私は、今日、この件とともに実は質問させていただきたいということがあります。皆さんも大分話題になったので御存じかもしれませんが、先般、大阪の府立高校で起きました頭の髪の毛染め問題ですね。まあ簡単に言うと、これ、今損害賠償ということで大阪地裁にかかっているわけですけれども、裁判に訴えているいわゆる女子高校生側の言い分ということで見ますと、次のようなことになっているわけなんです。学校から黒く染めるように強要されたために精神的苦痛を受けて不登校になったということなんですね。
 どんな状況だったかというと、女子生徒、二〇一五年四月、四月にこの高校、府立高校に入学しました。学校側は、その生徒の入学後、一、二週間ごとに髪の毛が茶色いということで黒染めを指導して、二年の二学期からは四日ごとにその指導を受けたと。そうした度重なる、染めろ染めろということで染めてみたら、生徒の頭の皮がかぶれてしまった。髪がぼろぼろになってしまった。それから、教諭からは、先生からは母子家庭だから茶髪にしているのかなどという中傷もされたというふうにあります。さらに、文化祭、修学旅行は茶髪であるということを理由に参加させてもらえなかったということなんですね。
 生徒は、昨年の九月のことなんですが、昨年の九月ですから二年生ですかね、黒染めしないなら学校に来る必要はないと言われて、それ以来登校はしていないということなんです。
 一方、高校の方ですが、今年の四月、生徒を学校の名簿から削除してしまったと、それからクラスの席もなくしてしまったということで、ほかの生徒や保護者に対しては、学校は、この生徒は退学したという説明をしていたということなんです。
 こういうような事件、今裁判中のものなんですけれども、まずお伺いしたいのは、これについて文部科学省、学校の問題です、どう認識しているのかということと、学校のこの今裁判に訴えている内容の対応、この学校側の対応などについて問題点なかったかどうか、どんなふうに思っていらっしゃるのか、まずこの点を確認したいと思います。
○副大臣(丹羽秀樹君) おはようございます。
 お答えさせていただきます。
 まず、委員おっしゃるようなこの大阪の府立高校で発生いたしました頭髪に関する事案につきましては、現在係争中でございますので個別のコメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、委員がおっしゃられた中で、学校側がその生徒の氏名をクラス名簿に記載せず、またさらには教室に席を置かなかったということにつきましては不適切であったというふうに考えております。
○真山勇一君 全般的には校則ということで問題はなかったけれどもちょっと行き過ぎがあったという点は、この点については何か、学校とか教育委員会に指示をしたとか何かしておりますでしょうか。
○副大臣(丹羽秀樹君) 現在、大阪府の教育委員会におきましても、文部科学省の指導、助言等を受けまして、その高等学校におきまして是正指導を行っております。現状が改善されたという報告も受けております。
○真山勇一君 やっぱり校則は校則で、生徒の生活指導ということで大事だと思うんですが、行き過ぎとかやり過ぎというのはやっぱり問題だと思います。その辺を文科省の方も認識していただいているということは了解をしました。
 あと、私もう一つ、これは質問なんですが、ちょっとこれ時間の関係もあって、指摘させていただきたいのは、髪を染めるなというのが校則なんですよね。だからやっぱり、染めるなと言っている学校側がその生徒に髪を、黒い色ということだけど染めさせている。おかしいですよね、やっぱり。ちょっと矛盾ありますよね。やっぱり染めるなと言っているんだから学校もやっちゃいけないと思いますよ、染めさせるようなことは。染めている、やっぱり茶色かったら、元へ戻るまでそれは忍耐強く待つというのが教育の在り方じゃないかなというふうに思っています。やはりこれ、生徒は、何だ、学校が染めちゃいけないと言っていて、逆に染めさせているじゃないかという話もあると思うんですけれども。
 ただ、私、この中で、これ学校の先生の方から耳を疑うような発言が出ているのは御存じだと思うんですけれども、たとえ金髪の外国人留学生でも黒に染めさせると言っている、これちょっとびっくりしちゃったんですけれども。こういう、生まれつきですよね、その者の髪の毛を変えさせるという指導、これは人権侵害ではないかという指摘もあるわけですが、この点についてはどう考えていらっしゃいますか。
○副大臣(丹羽秀樹君) 教育において、教育の現場において、髪の色を含めて、生まれつき、生まれ持った個性を尊重するということは、これ当然のことであるというふうに考えております。
 その上で、教育現場における指導が適切であるか否かにつきましては、その指導に至った背景等を踏まえ個別事案ごとに判断すべき、つまり学校において判断すべきものだというふうに考えております。
○真山勇一君 学校の現場で判断すべきだということは、私もそのとおりだと思います。余りやはり国が、まあ言ってみれば権力の方がそういうふうに、こうやれということは、やっぱり教育の問題とかあるいは人権の問題としても、それは絶対に避けなければいけないというふうなことだと思うんですけれども。
 ただ、逆に、金髪まで黒に染めるということでいうと、今どうでしょう、日本の社会見てください、どんどんどんどん外国からの、いわゆる外国人の方も増えてきています。人種もいろいろです。肌の色も違います。髪の毛の色も違います。
 今まだ問題になっていないかもしれませんが、こういう発言があるということは、やっぱりどこかにそういう思いがあったとしたら、やっぱりこれは私はゆゆしき問題であって、やはりもっと受け入れる寛容さというのが必要だと思うんですよ。上川大臣の所信の中でも、やっぱり多様性を認めるということは大事だということをおっしゃっているわけですね。
 この辺、文部科学省としては、学校の現場だってこれから肌の色の違う子供たちも入ってくる、髪の毛の色が違うのも入ってくる、そういう場合、そういうことに対してはどういうふうに今考えていらっしゃいますか。
○副大臣(丹羽秀樹君) ちょうど今週が人権週間ということでもございますけれども、現在、文部科学省といたしまして、この人権教育及び人権啓発の推進に関する法律第七条の規定に基づきまして人権教育や啓発に関する基本計画を策定し、全ての人々が人権が尊重され相互に共存し得る平和で豊かな社会の実現をするために、人権教育や啓発に関する取組を総合的かつ計画的に行っているところでございます。
 また、学校現場におきましても、この多様性につきまして、文部科学省に設置いたしました人権教育の指導方法等に関する調査研究会議の第三次の取りまとめにおいて、多様な生の在り方や様々な価値を持って生きる他者の存在を知的にも感覚的にも受容できるように導く学習が求められるというふうに定めさせていただいております。
○真山勇一君 今、人権週間というお話が出ましたけれども、私がお配りしたちょっと資料を見ていただきたいんですが、資料一、これは憲法十四条、これ、いわゆる人権の項目のところをちょっとコピーしてお配りしておりました。今、憲法というのは大分注目とか関心が集まってきているので、やっぱり十四条ってこういうもので、こうした人種とか性別とか社会的身分、政治的、経済的又は社会的関係において差別されないというその項目がある、これをちょっと確認させていただきたかったのと、それから資料二の方を見てください。大きい、これは新聞広告ですね。私見て、ああ、人権週間ということで法務省、こういうふうにいろいろと広報をしているということで、それは非常に結構なことだと思うんですが、上川大臣、この一番最初の、一番最初のところで、違いを受け入れる寛容さを社会全体で育てよう、まさにここから始まっていると思うんですよ、人権の守るということはね。それをこのやっぱり広告で訴えたいということだと思うんです。これだけ力を入れていらっしゃいます。
 上川大臣は、今回のその大阪の件についてどういうふうな思いを持っていらっしゃるかということと、それからもう一つ、この人権を守るということについてどういうふうにお考えを持っていらっしゃるかをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) おはようございます。
 御質問の件ということでございますけれども、大阪の事案ということで、今訴訟になっているということでございますので、その件についてということについてはお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。
 社会の中でその個性、それぞれの違いをしっかりと認め合い、それぞれの人権をしっかりと認め合うということについては、これは大変重要な基本的な考え方であり、またそうした考え方にのっとって様々な取組をしている。また、この人権の擁護につきましても、啓蒙啓発も含めまして、私どものところでは人権教室という形で推進をしているところでございます。
 違いを認め合うということの寛容さ、そして子供のときからそれを丁寧に教えていくということ、そして、そうした中で社会全体に多様性と、また寛容であり、また包摂性というこの大きな世界的にもしっかりと打ち出されているこの部分に向けまして、日本の社会全体で取り組んでいく必要があるというふうに認識しているところでございます。
○真山勇一君 今大臣がおっしゃったような意味で、やはりその人権というのをふだんからやっぱり意識するということは大事だと思いますし、特に子供の頃からやはりそういう意識をきちっと持つということは大事だと思います。他人を認める、違いを認める、差別はしないということをやっぱりやると。
 学校で特に法務省は力を入れているというふうに伺っています。時間がないので簡単で結構なんで、どんなことをやっているかちょっと教えてください。
○政府参考人(名執雅子君) 法務省の人権擁護機関では、子供たちが相手への思いやりや、心や生命の尊さを体得してもらうこと等を目的としまして、地域の人権擁護委員が中心となり、学校訪問や総合的学習の時間を利用して人権教室を実施しております。ここでは様々な人権課題をテーマとして、ビデオや紙芝居などの啓発教材も工夫して、相手への思いやりの心や命の尊さ、違いを認め合うことの大切さなどについて考える機会を与える活動を行っております。
○真山勇一君 本当にやっぱりそういう活動というのは大事だと思うんです。
 私、思うんですが、今回のこういう事件、こういうことを、髪の黒染め問題とか、それから金髪でも黒にするぞなんという発言を聞いていますと、子供にも大切だけど先生にもやらないと駄目だなと思うんですね。人権教室をやるんだったら、教師と生徒だけじゃなくて、できましたらもう先生も一緒に入ってもらって、先生も聞いてもらってやっぱり同じ意識を持ってもらわないと。まず、何か私は大人からその辺正していかないと駄目かなというような感じを受けるんですけど。
 上川大臣、先日、官房長官の定例の記者会見の中でも、官房長官もやっぱりおっしゃっているんですよね。記者の方が髪の毛の問題について、生まれ持っての髪の毛の取扱い変えられるようなことについて、長官、どうお思いになりますかという質問に対して、ちょっと要約をしながら申し上げますけれども、私たち日本は憲法の下に物事が行われていますので、そうした中においてですね、まあ法律などもあるわけであります、そういう中で進められるということが、自然に行われることが大事なことではないでしょうか。
 やっぱり憲法あってのいろんな決まりがある、法律がある、それをそういうふうに進めるのが自然じゃないでしょうかと。私もそう思います。自然だと思います。
 やっぱりこれが大事なことだと思うんですが、最後に、やっぱりこの憲法第十四条の人権との絡みで、大臣、どういうふうに思っていらっしゃるか、お願いします。
○国務大臣(上川陽子君) 日本国憲法におきましては、この基本的人権の尊重というのは、平和主義あるいは国民主権と同時に三大原理の一つというふうに位置付けられているものでございます。まさに憲法第十四条に求めます、先ほどお配りいただきました、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、ここの極めて大切な人権尊重の精神そのものにつきましては、いかなる場におきましても不当な差別は許されるものではないというふうに考えております。
 先ほど人権擁護局長から法務省としての取組について説明をさせていただきましたけれども、学校における人権教室での取組ということにつきましては大変力を入れさせていただいておりまして、特に子供の頃から違いを認め合う、またお互いに尊重し合う、ここのところの基本的な心を育てるということについては人権擁護委員の皆様とともにこれまでやってきたところでございまして、その取組につきましては引き続きしっかりと啓蒙啓発も含めまして力を入れてまいりたいというふうに思っております。
○委員長(石川博崇君) 時間が過ぎております。
○真山勇一君 ありがとうございました。
 それから、丹羽文科副大臣、おいでいただきましてありがとうございました。
 終わります。
○有田芳生君 民進党・新緑風会の有田芳生です。
 給与法につきましては、先ほど真山委員が主張したとおりの対応を私たちは取ろうということで、その上で、今議題になりました人権問題について、今、上川大臣は、人権擁護局含めて法務省として人権問題についての啓発啓蒙についてこれからも頑張っていくとおっしゃいましたけれども、しかし、残念ながら、現実というのは非常にまだまだ遅れたところがあるということ、特にヘイトスピーチなどについてはゆゆしき事態が、改善はされつつあるけれども深刻な問題があるということについてお話を伺いたいというふうに思います。
 十二月十日は世界人権デーですから、日本でも多くの取組があります。この四日から十日までは人権週間でありますけれども、まだまだ課題が山積しているということについてお聞きをしたいというふうに思います。
 折しも、内閣府が人権擁護に関する世論調査の結果を発表いたしました。その中でヘイトスピーチについても結果が出ております。ヘイトスピーチを伴うデモについて知っているかという問いに対しては、五七%が知っている、知らないが四三%なんですよね。これだけ、この委員会も含めてですけれども、メディアも多くの報道をしてきたにもかかわらず、知らないが四三%、認知度というのは低いですよね。
 そして、しかも、これは問い方も工夫しなければいけないと思うんですけれども、ヘイトスピーチを伴うデモなどに対する意識について、日本に対する印象が悪くなると思ったが四七・四%、不愉快で許せないと思ったが四五・五%、驚いたことに、表現の自由の範囲内のものだと思ったが一七・〇%。表現の自由を超えているんだということはもう最高裁の決定でも明らかですし、各種の判決でもはっきりしていることなんですけれども、世論調査をやるとこういう結果が出ている。
 資料でお示しをしておりますけれども、文芸評論家の斎藤美奈子さんの表現取れば、何かずれてない、という現状があるというふうに指摘せざるを得ません。
 こうした結果について、人権擁護局長、法務省としてどのように受け止めて、課題というのは何なのかということについてお話しいただければというふうに思います。
○政府参考人(名執雅子君) 本調査のヘイトスピーチに関する質問は、昨年六月にいわゆるヘイトスピーチ解消法が施行されたことに伴いまして、国民の意識を把握して今後の施策に役立てるため、今回初めて設定されたものでございます。
 調査結果につきましては、委員今御指摘のとおりでございますが、このヘイトスピーチを伴うデモ等を知らないとする方が約四三%。また、その上で、知っていても自分には関係ないと思ったとした方も一二・一%あるということで、知らなかったり関心がないという方も一定割合おられることに私ども注目しております。
 特定の民族や国籍の人々を一方的に排斥する不当な差別的言動はあってはならないという意識を社会共通のものとしていくためには地道な啓発活動が必要であり、重要であると認識しております。
 今後とも、粘り強く取り組んでまいりたいと思っております。
○有田芳生君 オリンピック、パラリンピックを控えて、ヘイトスピーチなどがいまだ続いているわけですけれども、日本の印象が悪くなるという回答はそのとおりなんだけれども、ヘイトスピーチ、差別の扇動というものは、これはもう明らかに国際的には人間に対する冒涜であると、人権に対する、平等に対する否定なんだという立場から考えていかなければいけないというふうに思います。
 そう考えたとき、この内閣府の調査でもう一つ驚いたのは、基本的人権が憲法で保障されていることを知っていると答えた人は八一%なんだけれども、知らないという人は一九%、二割ですよ。だから、憲法の基本的な精神さえまだまだ知らない人がいるという、この現実から出発しなければいけないというふうに思っております。
 そして、この内閣府の調査でもう一つ注目すべきは、インターネットによる人権侵害に対する人権問題という問いに対して、他人を誹謗中傷する情報が掲載されること、六二・九%、これは五年前に比べて五・二ポイント増えているわけですけれども、それだけ現実が深刻だということなんですよね。
 この委員会でも何度も何度もお聞きをしてきましたけれども、ツイッター、フェイスブックなどでの人間の尊厳と平等を否定するようなヘイトスピーチというものがいまだはびこっている。増えていると言ってもいいぐらいで、これは、在日の方たちはもうネットを見たくないという人たちが増えているんですよ。あるいは、ツイッターが始まってからずっと楽しみにしていて、月がきれいならばその写真を撮ってきれいだなとみんなに広げたい人、あるいは花を見てきれいだなということを、そういうツイッターの利用をしていた在日の方に対して、執拗な、異常な、異様な攻撃というものがずっとこの数年間続いていて、残念ながらその方はもうツイッターをこの間やめられました。これは神奈川新聞でも大きな記事になりましたけれども。
 そういう事態が続いていることに対して、私はこの委員会でも何度も取り上げてまいりましたけれども、現状と問題点について、人権擁護局、どのように今把握されていますでしょうか。
○政府参考人(名執雅子君) 委員御指摘のとおり、近年、インターネットの普及、またスマートフォンの利用者などの拡大、そういうものに伴いまして、いわゆるヘイトスピーチを含めましてインターネットを悪用した様々な人権問題が発生しております。そして、そのインターネットに関する人権侵犯事件の新規救済手続開始件数についていえば、この十年で七倍近くに増えておりまして、私どもとしましても大変ゆゆしき問題であるという認識をしております。
 これへの対応としまして、総務省とも協力して、通信関係業界団体の取組に対する協力を行ったり、各事業者と必要な施策について協議するなどの取組を進めてまいりました。また、法務省では、インターネットを利用した人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として立件の上、調査を行い、違法と判断されるものについては当該情報の削除をプロバイダーに要請するなどしてまいりました。
 インターネット上も含め、特定の民族、国籍の人々を一方的に排斥する、しようというこの不当な差別的言動を解消するには地道な粘り強い啓発活動も必要であり、社会全体の人権意識を高めて、こういう言動が許されないことであるという認識を更に醸成できるよう努めてまいりたいと考えているところです。
○有田芳生君 今お話しいただいたように、特にこの数年間、人権擁護局の担当者の方々が非常に努力をしてくださっているということは、私も身にしみて有り難いというふうに思っております。しかし、解決したものもあれば、全く解決しないのはなぜかといえば、プロバイダーなんですよね。
 まず、お聞きをしたいんですけれども、総務省、法務省と協力し合っていると言いますけれども、通信四団体の中にはツイッター、フェイスブック、グーグルというのは入っているんでしょうか。
○政府参考人(古市裕久君) お答えいたします。
 今御指摘の事業者につきましては、通信関連四事業者団体には属しておらないと承知をしております。
○有田芳生君 これも何度もこの委員会でお聞きをしたんですけれども、EU、特にドイツなどでは、ヘイトスピーチの異常な書き込みがなされたことが分かったときに、それを例えばツイッター社に通告をすれば、二十四時間以内に削除をしなければいけないというような取組がなされるようになったんですよね。
 ですから、個別具体的なプロバイダー、ツイッター社、グーグル、フェイスブックなどとの交渉をしなければ解決しないんですよ、残念ながら。そこで苦しんでいる人たちが今でも多くいらっしゃるわけですから、やはりその一番問題が起きているところとの交渉をしない限り前に進まないというふうに思うんですよね。ですから、法務省と総務省が努力してくださっているというのは分かるんだけれども、やはりあえて言えば、本丸との交渉というのは進めなければいけないというふうに思う。NHKの「クローズアップ現代」でもツイッター社の社長さんが出てきてこの問題について発言しておりましたけれども、何だかもう人ごとみたいな発言をしているということは残念ながら現実なんです。
 そういうヘイトスピーチなどの人権侵害の書き込みについては担当者を増やしていることはツイッター社も事実なんだけれども、だけど、皆さん見ていただいたら分かるんだけれども、ひどい書き込みというのはずっと今でも続いている。だから、ここをどうするかということを、人権擁護局長、これからの課題としてどのように解決の方向を考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(名執雅子君) 委員御指摘のとおり、法務省は、総務省とともに、この通信関連業界四団体の代表から成るものにつきましては、本法、このヘイトスピーチ解消法に含まれるということを明記するのに協力してまいりましたところですが、法務省としましては、インターネット上におけるヘイトスピーチやインターネット上の人権侵害につきましては、委員御指摘のように、引き続き対処を強めていく必要があると認識しております。
 そして、事業者と個別に協議を行うことはインターネット上の人権侵害の対処として本当に有効な取組の一つと認識しておりまして、今もこの事業者との協議を継続しているところでございます。個別の事業者との間で引き続き適切に協議を行ってまいりたいと思っております。
○有田芳生君 ヘイトスピーチ解消法の附帯決議、そして参議院と衆議院の決議などにおいても、インターネット上の問題というのは解決していかなければいけないと。
 解消法ができてから、理念法であって罰則はないんだけれども、それを根拠にして、例えば川崎で、あるいは大阪で新しい条例作りというのが続いていて、それは京都でも神戸でも福岡でも作りたい、愛知でもそういう動きが出てきているという意味で、まだまだ多くの課題がこれからあるというふうに思うんですが、やはり法務省が努力してくださることが大きな励ましになっているというふうに思いますので、やはり一歩踏み込んで、インターネット上の人権侵害についても大きな、足を踏み出していただきたいというふうに思います。
 来年、二〇一八年は、人種差別撤廃委員会の日本審査が、夏、再び行われます。私たちもそこに行ってまた日本の現状なども主張してまいりますけれども、やはり法務省が大きな努力をしてくださることが力になりますので、そういった方向で頑張っていただきたいというふうに思います。
 通告はしておりませんけれども、まだまだ課題があるんだということについて、大臣、一言御感想をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど、人権擁護局長からの答弁の中で、地道に粘り強くというような取組の姿勢を申し上げたところでございますが、一歩一歩前進させていくということは何よりも大切であると思っております。
 委員からも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、こうした折には多くの外国人の方も来られると、こういう中でのこの人権問題ということについても触れていただきましたが、何といっても心のバリアフリー、ここをしっかりと支えていくためにも、インターネットも含めましていろんな大きな手段を通して新たな人権侵害が起きているということにしっかりと取り組んでいくべく、関係省庁ともしっかりと連携をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○有田芳生君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 法案は、いずれも賛成をいたします。
 最高裁判所に、警察や検察から夜間や休日に令状の請求が行われたときに、それにどう対応するかと、その裁判所職員の重い負担をどう軽減するかということについて今日はお尋ねをしたいと思います。
 時間の関係で質問通告とちょっと一件変えますが、委員の皆さんも、逮捕だとかあるいは捜索、差押え、ガサですよね、こういうプライバシーや身柄に関わる重大な人権侵害の危険がある強制捜査について、令状の処理業務が適正迅速に行われなきゃいけないと、この重大性についてはおよそ言うまでもないことだと思うわけですね。
 実際、この夜間や休日の令状処理というのがどういう体制で行われているかということについて最高裁判所に宿日直の状況の一覧表を作っていただきまして、お配りを皆さんにいたしました。
 全国ほとんどの裁判所で、そうした宿日直やあるいは連絡員という体制がつくられているわけです。夜間に令状請求があると、これ捜査機関も一生懸命だろうけれども、裁判所、つまり裁判官も職員もこれ大変なわけですよね。
 二枚目に、全司法労働組合の機関紙から私、少し引用させていただきましたけれども、これ、令状処理というのは、たとえ深夜であっても請求を受理して形式的なチェックを行う。もちろん、裁判官が記録をよく検討して判断をする。そこで、紙に令状を作って発付すると。ここに必要的な記載事項が漏れてはいないかと。例えば、裁判官の押印がされていないなんということになったら大変なことになるわけで、そうしたチェックも含めて裁判官と共同して裁判所職員が携わっていくという、そうした重みを持っていると思うんですね。
 令状とはちょっと違うんですが、例えば保釈の決定がこれ夜になって行われると。お金、保釈金が納付されないと釈放はされません。その保釈金が納付されたということを関係機関に通知するというような仕事は、これは全部裁判所職員の仕事なわけですね。
 令状あるいはこうした保釈の件も含めて、重要なこうした業務に携わる裁判所職員の業務の重みと、そしてここの負担というのを最高裁としてはどんなふうに認識しているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。
 令状事件を適切かつ迅速に処理することは、令状主義や被疑者の人権保障等の見地から裁判所が負っております極めて重要な責務であると考えておりまして、休日や夜間においても令状事件を適切かつ迅速に処理するために宿日直等の体制を取ることにより、裁判官や職員に一定の負担が生じることは避けられないと考えているところでございます。
 他方、裁判官や職員の健康面等への配慮ももとより重要であると考えておりまして、これまでも各庁の実情に応じてその負担を軽減するために様々な工夫を取ってきているというふうに考えているところでございます。
○仁比聡平君 健康の負担に配慮しなきゃいけないのは当たり前のことでありまして、私、今日なぜここで取り上げているかといいますと、私が裁判所で司法修習経験したのはもう四半世紀前、一九九〇年代の初め頃なんですが、どうも現場の状況を伺うと、以来、さして変わっていないんじゃないのかと思うんですね。
 先ほど、今御答弁があった様々な工夫を行っているという、おっしゃった到達点が一枚目の表にしていただいた今の現状だと思うわけですが。
 まず、大規模庁と言われる東京地裁あるいは大阪地裁などの状況について伺いたいと思うんですが、全司法新聞の二〇一四年十一月五日付けにあるように、裁判所職員は、令状請求を受け付けたら、その必要なチェックをした上で、記録を持って裁判官の宿舎とか自宅とかというところにこれタクシーで持っていって往復する。その間、睡眠時間が確保されないというのは当たり前ですよね。寒い冬の時期に、まあ裁判官も大変だと思うんですよ、職員を外で待たせて記録検討しなきゃいけないわけだけれども、家の中に入れるわけにもいかないというので、ずっと外で長時間待機するというようなこともある。
 そもそも、そうした一件記録をタクシーで持ち出すということ自体のリスク、例えば紛失が万が一ないかとか、あるいは毀損してしまわないかとか、そういうリスクをこれ裁判所職員に負わされてしまう、そうしたプレッシャーといいますか、精神的負担も含めた。
 そして、拘束時間というのは、裁判官の判断をする時間だけではないわけですよね。ですから、東京や大阪などで平均でも三件から四件くらいの令状請求があるのではないかというふうに現場の皆さんから伺いましたが、そうすると、下の二〇一七年五月五日付けの全司法新聞にあるように、一睡もできないということになるわけです。しかも、一睡もできないだけじゃなくて、代休もないんですよね。翌日はそのまんま勤務に就く。
 ですから、例えば書記官の方だったりすると、法廷で証人尋問が行われる、その尋問の記録、まあ証拠ですけれども、ここには書記官が責任を負っているわけで、事務官さんだって大変ですし、あるいは家裁調査官などがそうした令状の担当をするということに、宿日直するということになったときに、これは大変ですよね。そうした現状がこれさして変わっていないんじゃないのか。
 そうした負担が今職員にやっぱりあるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 御指摘の東京地裁あるいは大阪地裁につきましては、裁判官が庁舎に泊まりまして令状処理をするというような体制も取っておりまして、そういった体制を取りました結果、職員が夜間、裁判官の官舎に出向くというような負担は軽減されているというふうに認識はしておりますが、ただ、夜間の令状請求の処理に一定の時間が掛かるということは御指摘のとおりでございまして、その件数、その日によって異なりますため一概には言えないところがございますけれども、負担があるということは確かでございます。
 そのようなことも踏まえまして、例えば、翌日の勤務については年次休暇等を取得しやすいように各職場で配慮するなど、各庁の実情に応じて職員の健康等に配慮した取組も行われているものと承知しております。
○仁比聡平君 皆さん、どう思われますか。最後におっしゃった年休というのは、これ元々職員の権利ですよね。朝から勤務して夜中宿直して一睡もできなかったと、そういう状況になり得るから翌日は年休を取りなさいなんというのは、これは代休代わりにするという話であって、裁判所がそんなことをしちゃならぬと私は思うんですね。実際、職場の体制からすると、そういう年休というのは取れないということが現実だから、裁判所の職員の皆さんはこういう声を強く上げておられるわけですね。しかも、東京、大阪などの庁をも含めて、時間外にどういう令状請求があっているのかという実態というのは、例えば件数とかいうのは最高裁としては把握はしておられないということで、日中と同じように令状請求の実務をやっているわけですね。つまり、通常業務だということなんです。
 私の先ほどの聞き方が悪かったですから、東京、大阪は泊まり込みということになっています。だけれども、例えば私の地元の福岡の本庁は、泊まり込み体制も取っていないし、裁判官が令状請求があったときに裁判所に登庁するという体制も取っていないということでしょう。福岡というのは大きい庁ですよ。そこで、さっき申し上げたようにタクシーで記録持っていくという仕事を裁判所職員やっているわけですから。
 これ、その泊まり込みの体制、あるいは登庁する、裁判官が裁判所に行くと、こういう体制を取ったら、負担が軽減されるし、裁判所らしい適正な、迅速な処理ができるじゃないかという、これは私、当然のことだと思うんですが、どう考えているんですか。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 夜間等の令状処理の体制については、様々な観点から検討する必要があると考えているところでございます。例えば、裁判官が庁舎に泊まって令状を処理する体制を実施するかどうかということにつきましては、各庁における夜間の令状請求数やその頻度、これに伴います職員の負担の程度のほか、裁判官の日中の執務への影響や健康面への配慮、裁判官の宿泊設備を設ける必要性等を総合的に検討する必要がございます。
 各庁においては、これまでそのような事情をつぶさに把握しながらそのような体制を実施すべきか否かの検討が行われてきたものと承知しておりまして、現に実施に向けた検討が進められている庁もあると承知しているところでございます。
○仁比聡平君 いや、今の、裁判官の日中の執務への影響あるいは健康面などへの影響っておっしゃる。それは、裁判官が翌日の法廷で睡魔に襲われるというようなことはあってならないですから、だからそのことを配慮されるというのは、これは当然のことだと思うんですけど、それは裁判所職員も同じでしょうと私言っているんですよ。裁判官は眠くなったら駄目だけど、裁判所職員はもうずっと徹夜で仕事し続けなさいという、それはおかしいじゃないですか。
 しかも、この問題が提起されてからもう随分時間がたっている。九〇年代から組合は声を上げている。その問題がさして変わらないというのはどういうことなのかと。
 連絡員体制ということについてもちょっと聞いておきたいと思うんですが、この一覧表を見ればお分かりのとおり、東北、北海道、こうしたそれぞれの地裁や支部の所管がすごく広い、こういうところでは大方この連絡員体制が取られています、離島などもそうなりますけれども。
 これ、例えば今からの寒冷の時期、これ、連絡員というのは、警察から連絡を受けたら裁判所に行ってまずやるのは雪かきですよ。凍ったり、もう本当に雪が積もった道を一時間例えば掛けて行って、まず雪かきしないと令状を受け付けることができない。実際受け付けてからは先ほどと同じような仕事を裁判官と共同してやるわけですが、この連絡員の例えば時間外手当は令状を受け付けてその仕事を始めてからしか出していないでしょう。それ、せめて警察から連絡があったら、そのときから勤務に、仕事、令状処理に入っているとこれ見るのは当たり前じゃないかと思うんですけど、違うんですか。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。
 連絡員体制は、裁判所として適切に令状を処理するための体制を構築しつつ、令状請求の件数が少ない庁において常時宿直を避けるために取っているものでございまして、それ自体は職員の負担を一定程度軽減するために行っているものと、そのような効果を持っているものと認識しているところでございます。
 その勤務に伴う手当の支給等につきましては、その勤務の実態をきめ細かく見ました上で適切に支給しているものと承知しております。
○仁比聡平君 残念ですが質問時間が来てしまいましたので。今日は大きな問題提起をさせていただく質問というつもりですので、最高裁判所も各下級裁の実情をよくつかんでいただきながら、全体として、旧態依然といいますか、令状請求があったらそれはもう言ってみればあなた任せになってしまって、そのリスクが全部この職員に押し付けられてしまう。裁判官、担当の裁判官も大変なんですけれども、やっぱりそこを組織としてどう抜本的に改善するのか検討していただく時期なんだと思うんです。是非お願いをしたいし、下級裁にも御指導を願いたいと思いますし、根本的には裁判所職員の抜本的増員が必要だと思います。
 是非強くお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 まず最初に、質問ですが、前回ちょっと質問させていただいたことの続きから少し質問させていただきたいと思います。
 一昨日の法務委員会で、経歴を偽って、技能実習制度のことについてでありますけれども、経歴を偽って来日要件をパスしているという報道、記事がありました、早急にミャンマーの状況を把握してはどうかというふうな質問をさせていただきましたけれども、副大臣からは、二国間協定をミャンマーと結んでいく過程で実態に、聞くという答弁でありましたけれども、これ、ミャンマーとの二国間協定というのはいつ頃結ばれるのか、まずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 技能実習制度に係る二国間取決めにつきましては、現在、ベトナム、カンボジア、インド、フィリピンの四か国との間で作成済みでございます。
 そのほかの送り出し国との間でもできるだけ早期に取決めを作成すべく、現在、外務省及び厚生労働省とともに各送り出し国政府との間で意見交換を行っているところでございますが、その進捗状況でございますとか作成時期見込みなどにつきましては、相手国政府との関係上、ここでのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○東徹君 ということは、いつ二国間協定結ばれるのか分からないというような状況になっておるわけですよね。であるならば、やはりこれは実態をもう早く調査すべきだと思います。
 記事には、ミャンマーの海外人材派遣協会の会長、ミャンマーの実習生の九割は経歴が事実ではないというふうなコメントをしているわけでして、経歴のうそによって来日要件を満たしていない実習生が日本に来ているような状況が見受けられると。調査もせずこれをほったらかしにしているというのは、これはやっぱり理解に苦しむわけでありまして、これは技能実習制度の制度の根幹に関わる重要なことだと思います。これはミャンマーだけではありません。これ、新聞報道でベトナムもありましたけれども、是非まずは事実確認をすることから始めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 本記事がございましてから特段の調査ということでございますが、いたしておりませんけれども、これまでも、技能実習生の経歴に疑義がある場合におきまして、個々の在留資格認定証明書の交付申請の審査がございます。その折に所要の調査を行うということでございます。
 このミャンマーからの技能実習生の経歴等についての疑義があるとの御指摘でございますが、先ほど答弁の中でお答えは差し控えということでございますが、こうした取決めにつきましては早期にしてまいりたいという、そういう状況で、今鋭意外務省などの関係省庁とも、含めて交渉をしている状況でございますので、今御指摘がございました件につきましても、この二国間の取決めの交渉過程、まさにこの中でしっかりとその担保をすることができるようにしていくということも含めまして、経歴偽りがないようにしっかりとした申入れをしてまいりたいというふうに思います。
○東徹君 これ、二国間協定しているベトナムでも経歴の詐称があるという報道ですから、これは制度のやっぱり信頼性を損なうことがこうやって報道で出ているので、そこはやっぱり大臣、迅速に対応していくということが本来でありますから、是非そうしていただきたいと思います。
 前回通告を出しておいて今日質問しますと言っていたんですけれども、余り時間もありませんので、ちょっと指摘だけさせていただきたいなというふうに思っております。
 一つは、大臣の所信でもありました法テラスについてなんですけれども、この日本司法支援センター、法テラスなんですが、これは、平成二十九年度予算では運営交付金として約百四十八億円、それから国選弁護人確保業務等の委託として約百五十五億円のこれは税金がこれつぎ込まれているわけですけれども、効率的なやっぱり運営を是非していただきたいと思っています。
 東京都内では、中野にこれ本部があるんですよね。中野に本部があって、そこから十分のところに新宿の東京本部があって、新宿から十分のところの池袋にこれ出張所があるんですね。賃料を見ますと、中野が一億三千万、新宿一億円、池袋が一千五百万円これ掛かっておるわけですけれども、こういったところも是非やっぱり効率よくやっていただいて、少しでもそういった費用を削減していくということも是非やっぱりやっていくべきだというふうに思っております。
 それから、人権教育啓発推進センター、これも前に指摘させていただいたんですけれども、人権は非常に大事だと思いますが、いつまでもこのライブラリーという形が本当に要るのかどうか。実際に、一日来場者、たった二十人しか来ないんですね、二十人しか来ていないんです。指摘させていただいてからも一日当たり二十人程度にとどまっているわけでして、これもやっぱり検討、見直しをしていくべきではないのかなというふうに思っております。
 それから、民事法務協会の人事についてなんですけれども、民事法務協会、これ法律上、登記情報提供サービスの指定法人になっておるわけですけれども、昭和四十六年の協会設立以降、副会長、現在まで十人いてるんですけれども、全て法務省のOBの方がなっているという状況があるんですね。そして、現在、この協会で職員として勤務している法務省のOB、十七人おられるわけですけれども、ほかのいろんな天下り、再就職のところを見ても、ここの民事法務協会というのは多いんですね。
 十七人はハローワークの職業紹介を受けて採用したというふうに言われているんですけれども、採用するに当たって面接しているのは、これは法務省のOBの方が面接して決めているわけでして、これはもう組織的な天下りをしているんじゃないかというふうに指摘されてもおかしくないというふうに思っております。是非ともこういったところ、是非見直しをしていっていただきたいというふうに思います。
 今日の議案として上がっています人件費のことについて質問させていただきたいと思います。
 そもそも、先ほども話がありましたが、この人事院勧告制度というのがどうなのかというふうに思っております。それは、働き方、民間とそれから公務員とではそもそも働き方とか身分保障の面でもこれ違いがあるわけですね。単純にこれは比較していいのかという疑問があります。
 人事院による民間給与実態調査の対象ですけれども、これも、事業所規模では民間事業所の上位一%のみで、対象はこれ大企業のみというふうに推察されます。ですから、民間は非常に血のにじむような努力をして利益を上げて、そして給料を上げていく、そういった努力をしていると思うんですけれども、果たして公務員はいかがなものなのかなというふうに思っております。
 そんな中で、ちょっと質問をさせていただきますが、まず裁判官と検察官の報酬等の予算について伺います。ちょうど十年前になる平成二十年と平成二十九年度では、それぞれの予算についてお示しをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) まず、裁判官についてお答え申し上げます。
 裁判官の報酬に係る予算でございますが、平成二十年度は約二百八十九億円、平成二十九年度は約三百十一億円でございます。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 検察官の俸給に係る予算につきましては、平成二十年度は百八十六億五千万円、平成二十九年度は百八十三億九千四百万円でございます。
○東徹君 今の数字からいくと、検察官の予算は十年間で百八十七億円から百八十四億円、約三億円減っているんですね。裁判官の方は二百八十九億円から三百十一億円ということで、二十二億円これ増えているんですね。裁判官、検察官共に十年間で定員はどちらもこれ増えているにもかかわらず、検察官の方の予算はこれ減っているんですね。
 これ、なぜ裁判官だけの予算が増えているのかお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。
 裁判所以外の予算については承知しておらないところでございますが、裁判官の報酬に係る予算が増加しておりますのは、訴訟の迅速化、専門化等への対応等のため裁判官の増員を行ってきたことが主な要因であると考えております。
○東徹君 定員も増えてきているので予算が増えるのは分かるんですけれども、検察官の予算が減っているというのはこれよく分からないんですが、このことについてはいかがなんですか。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 検察官につきましても、裁判官ほどではないですけれども増員になっているということでございますが、検察官の俸給に係ります予算につきましては、定員のほか、俸給表の改定、あるいは予算の執行実績、すなわち、休職者あるいは年度途中で退職する者等々の事情を総合的に考慮した上で措置されているものと承知しておりまして、減少の理由につきましてちょっと一概に申し上げるのは困難だというふうに考えているところでございます。
○東徹君 よく分かりませんね。何で検察官の方が減っているのかというのが非常に分かりません。
 次の質問に移らせていただきますけれども、では、裁判官及び検察官と一般の国家公務員との比較についてお伺いいたしますが、裁判官や検察官、各省の職員など一般の国家公務員とは異なる水準の報酬等を受けておりますけれども、例えば大卒で三十五歳ぐらいの場合、報酬が裁判官だとどれぐらいで一般職だとどれぐらいになるのか、お示しいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 一般の国家公務員の給与の詳細につきましては最高裁判所として承知するところではございませんが、平成二十九年の、今年の人事院勧告の際に人事院において作成された資料によりますと、三十五歳の本府省課長補佐級の年額は、今回の一般職給与法の改正がなされた場合には約七百二十万円になると記載されてございます。
 一方、裁判官につきましては、おおよそ同年代と思われます裁判官任官後十年目に相当する者について見ますと、報酬法の改正をしていただいた後を前提にいたしますと、年額で約九百二十万円になるというふうに承知しております。
○東徹君 三十五歳程度の場合だと、裁判官と一般職の国家公務員とでは年間で百万円以上異なってくるわけですが、このように報酬等が違う理由として、よく裁判官の職務と責任の特殊性とか検察官の準司法的性格ということが掲げられているんだというふうに思いますけれども。
 時間もないのでちょっと飛ばして、最後の質問にさせていただきたいと思うんですが、そもそもですけれども、人事院勧告制度というのは、公務員には失業のリスクがないことを考慮しないまま給与水準の高い大企業の給与と比較するもので、これ自体に問題があるということを最初に申し上げました。その趣旨は民間に準拠して国家公務員の給与を定めるということにあるわけですけれども、そうであれば、職務と責任の特殊性を根拠に既に一般の国家公務員より高い裁判官や検察官の報酬等を大企業の給与に準拠させる理由についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(葉梨康弘君) 人勧制度、一般職の国家公務員でございますけれども、労働基本権制約の代償措置であるということはもう御指摘のとおりでございます。そして、裁判官の報酬、検察官の俸給、これについては、先ほど指摘されたとおり、裁判官及び検察官の職務、責任の特殊性を反映させつつ、他方で、人事院勧告を尊重して国家公務員全体の給与体系の中でのバランスの維持にも配慮するという理由に基づくもので、私どもとしても給与水準の改定の方法としては合理的であるというふうに考えています。
○東徹君 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、人事院勧告制度そのものが問題あるということを申し上げたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
 本日は、裁判官の報酬等の改正案、検察官の俸給等の改正案についての審議でありますが、賛成の立場を表明した上で、前回通告をいたしましてできなかった難民審査参与員に関する質問と、最高裁に家庭裁判所の充実についてお伺いをしたいと思います。
 まず、全国難民弁護団連絡会議によりますと、難民審査参与員による不適切な発言はほかにもあり、御紹介した問題発言は氷山の一角と指摘されております。法務大臣は、九月二十二日の記者会見におきまして、過去の事実確認の必要性については入国管理局において適切に判断するという方向で進めてまいりたいと思っていますというふうに発言されております。そのほかの事例についてもこれは調査されたのでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 全国難民弁護団からは様々な事例の指摘を受けておるところでございますが、外部から任命しました専門家であります難民審査参与員を萎縮させるおそれがあることから、その一つ一つの事案に対する調査の有無を申し上げることは差し控えさせていただきます。
 いずれにいたしましても、審尋等に当たりましては、申立人の置かれた立場に配慮した発言を行うことが必要であり、今後とも注意喚起を図ってまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 ほかの事例についても調査しないというのは問題だというふうに思います。
 次に、難民審査参与員と申立人のやり取りの録音での記録、それはなされているでしょうか。記録されている場合、申立人や代理人が希望すれば録音が開示されるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(和田雅樹君) 審尋等を実施した場合には、調書にその要旨を記載することとされております。その調書を作成する際の職員の便宜のために、言わばメモ代わりとして録音する場合があると承知しておりますが、この録音は調書作成の職員の便宜のために行っているものでございまして、開示は行っておりません。
○糸数慶子君 調書がほぼ逐語のように取られていながら、難民審査参与員の発言部分は実際より丁寧になっていたり、あるいは問題発言が削除されていたりと、実際には恣意的に編集されているとの批判もあります。法務省はその実態を把握されているのでしょうか。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 調書の記載につきまして様々な御指摘があることは承知いたしておりますが、審尋等を実施した場合には調書にその要旨を記載することとされておりまして、不服申立人や代理人がその要旨の記載された調書を閲覧、確認した上で、その内容が不十分又は訂正の必要があるとして訂正を申し立てたときには訂正申立書そのものを調書に添付し、不服申立てに対する決定過程に携わる者が参照できるようにしているところでございます。
○糸数慶子君 申立人や代理人がこの調書内容が確定される前に内容確認をすることは可能なのでしょうか。ヒアリング内容とこの調書記録内容が一致しないため修正の申立てが本人若しくは代理人からあった場合、調書内容の修正はできるのでしょうか。
○政府参考人(和田雅樹君) お答えいたします。
 不服申立人や代理人は、難民調査官が作成し難民審査参与員の確認を経た調書を閲覧することが可能でございます。また、不服申立人や代理人は調書の訂正を申し立てることも可能でございます。
 不服申立人などから調書の訂正の申立てがありましたときは、調書自体は訂正せず、提出のあった訂正申立書そのものを調書に添付するという取扱いにしております。このような取扱いにいたしておりますのは、調書の訂正を行うか否かについては入管職員や難民審査参与員が判断するのは適切でないことから、不服申立てに対する決定過程に携わる者が訂正申立書そのものを参照できるようにしているものでございます。
○糸数慶子君 修正はできないけれども、申立人や代理人が訂正したその書面が調書に付されるということなんですね。そのことが申立人や代理人に十分理解されていることが重要だと思います。
 録音は、申立人、代理人だけでなくて、これは公正にヒアリングを行う難民審査参与員にとっても有益だと思います。最近は、企業など、例えば品質向上のためとして通話記録を取ったりしておりますが、実はこれは傍若無人な態度を抑える効果がてきめんのようであります。検証のための録音もそのような効果があるのではないかと申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、家事事件の増加に伴う家庭裁判所の充実について最高裁にお尋ねをいたします。
 家庭裁判所は、家事事件、少年事件を扱う専門裁判所として設置されております。家庭裁判所調査官、医務室技官といった専門性を持つスタッフを抱え、法的判断に基づくだけでなく、医学、社会学、心理学、教育学、社会福祉学などの諸科学を活用して紛争解決を行っているというふうに承知しております。
 訴訟事件件数の中で家事事件のみが増加傾向にあり、その事件内容も複雑化しております。当事者やその子供の中には精神的課題を抱えた人も増えています。紛争の自律的解決としての調停合意に向けて困難な状況もあることから、専門性を持つスタッフの果たす役割が大きいと期待されています。
 家事事件の増加に伴い、調査官、医務室技官を増員する必要があると思いますが、最高裁の御認識をお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 家庭裁判所の取り扱っている家事事件につきましては、近年、事件数が増加傾向にあり、裁判所といたしましては、家事事件への対応を充実強化するため、事件処理にたけた判事や裁判所書記官を相当数増員するといった人的体制の整備を図ってきたところでございます。事件内容が複雑困難化する中で適正迅速な解決を図っていくためには、心理学、社会学、教育学、社会福祉学等の行動科学の専門的知見を有する家庭裁判所調査官等が役割を果たすことが期待されているということは委員が御指摘のとおりであります。
 ただ、家庭裁判所全体としての事件動向を見てみますと、少年事件はその事件数がこの十年間だけでも約三分の一程度まで減少しているところでございまして、家事事件の事件動向を考慮いたしましても、現時点で家庭裁判所調査官や裁判所技官である医師等について、現有人員の有効活用によって全体として適正迅速な処理を図ることが可能であるというふうに考えております。
 裁判所といたしましては、家庭裁判所に対する期待が高まっていることを踏まえまして、事件動向や事件処理状況等を注視しつつ、今後とも適正迅速な事件処理が図られるよう必要な体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 未成年の子供のいる夫婦間の紛争、これは特に離婚紛争を含め、子供の監護をめぐる紛争も増加しております。さらに、調停や審判によって面会交流、さらに養育費が決定された後も、それが履行されないため、その不履行に対する紛争も生じています。
 家庭裁判所においても、未成年の子供が関わる紛争の初期段階において、子供の状況を踏まえた解決のために適切な家庭裁判所の調査官が関わる必要があると思いますが、最高裁はどのような認識でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、子の監護に関する事件等につきましては、子供の利益にかなう解決に向けて、紛争の早期の段階から必要な事案において適切に家裁調査官が関与する必要性が高いものというふうに考えております。
 家庭裁判所といたしましては、これまでも適時適切な家裁調査官の関与に努めてきたというふうに承知をしておりますが、最高裁といたしましても、今後とも事案に応じ紛争の早期の段階から適切に家裁調査官が関与していくことができるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 現在、法制審議会民事執行法部会では、子の引渡しに関する執行手続が検討されているようですが、この執行手続においても家裁の協力が必要とされ、専門性の高い調査官の役割も重要だというふうに思います。民事裁判のように当事者主義で勝ち負けを決めればよいという紛争解決ではなく、子供を含めた当事者の今後の人生をどのように再構築していくことができるか、これを解決することが大変重要だというふうに思っております。
 那覇家庭裁判所に所長として就任しております遠藤真澄さんは、裁判所は判決を出すことだけが仕事ではない、当事者の言い分をじっくり聞いて最善の解決策を考えることが大事だとおっしゃっています。裁判官には、当事者の一方に不満を残す判決だけではなく、紛争を和解させる視点も大切だというふうにおっしゃっていらっしゃいます。和解は、例えば争っている人たちの間に刺さっているその針を取り除くようなものであり、針が取れれば、いがみ合いが収まって、話合いが解決できる、そういう場合もあるというふうにおっしゃっております。
 私も、そういう意味では、やはりこの民事裁判のように当事者主義で勝ち負けを決めればよいという紛争解決ではなく、先ほども申し上げましたが、子供を含めた当事者の今後の人生、どのように再構築していくことができるか、これが大変重要だと思っております。
 家庭裁判所に行ったことによって葛藤が高まったり子供の利益が害されるということがあってはならないと思います。家事事件に関わる者の専門性を高め、家事事件の増加に対応することができる専門職の増員と施設の充実がより必要であるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 まだちょっと時間がございますが、前回ちょっと質問の時間をオーバーいたしましたので、今回はこれで終わりたいと思います。委員長、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(石川博崇君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松山政司君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。
    ─────────────
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
 今日は裁判官報酬法と検察官俸給法の審査ですが、まずは法案に関して質問いたします。しかし、自分としては賛成ですので、後に前回残した質問その他をさせていただきたいと思います。
 裁判官、検察官の定年前の辞める方々の割合はどの程度いらっしゃいますでしょうか。また、給与が低いということが退職理由になっているケースというのはあるのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) まず、裁判官についてお答え申し上げます。
 ここ数年の状況を見ますと、退官をいたしました裁判官のうち、定年以外を理由とする者は約五割でございます。その中で、定年前に退官する理由につきまして具体的に把握しているわけではございませんけれども、給与が低いことを理由として退官したという事例は承知しておりません。
○政府参考人(金子修君) 検察官の部分についてお答えいたします。
 平成二十六年度から平成二十八年度までの過去三年分についてお答えしますと、検察官であって定年退職以外の事由により退職した者の割合は、平成二十六年度で約六三%、平成二十七年度で約六七%、平成二十八年度で約六五%となっております。定年前に退職した者の具体的な退職理由は承知をしておりません。
 以上です。
○山口和之君 給与が全てとは思いませんけれども、けれどもですね、たくさんいらっしゃるということですので、その退職理由、その給与が優秀な裁判官や検察官を確保する上で問題ない水準なのか、退職理由なども検討して調査することは必要ではないのかと思います。退職理由について本音を言わない人が多いと言われているかもしれませんけれども、裁判官、検察官の働き方の改革のためにも、是非、退職理由の詳細な把握に努めていただきたいと思います。
 次に、前回通告していたのに質問できなかった所有者不明土地問題についてお尋ねいたします。
 私の地元の福島県では、原発事故の除染で生じた汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設の整備が行われておるところですが、用地取得はいまだに予定の半分程度しか進んでおりません。その大きな足かせになっているのが所有者不明の土地問題です。不動産登記上の地権者のうち所在が分からない土地所有者が三分の一ほどにも及んでおり、用地交渉が進まないそうです。
 所有者不明の土地の中には、相続人が登記をしないケースだけでなく、被相続人が相続人なしで死亡したケースも少なくないと思います。そして、そのようなケースは少子化の進行によって今後どんどん増加していくものと考えられます。
 現行法では、そういった事態に対して、相続人のあることが明らかでないときは、利害関係人又は検察官の請求によって相続財産管理人が選任され、相続する者がいない相続財産は最終的に国庫に帰属する旨定められております。
 しかしながら、利害関係人又は検察官による相続財産管理人の選任請求が適切になされているかは疑問があります。特に検察官による請求はきちんと機能しているのか、お伺いしたいと思います。また、機能していないのであれば今後早急な対応が必要になると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 今委員御指摘ありましたとおり、民法上、公益の代表者であります検察官にも相続財産管理人の選任申立て権が認められておりますが、検察官が個々の土地の管理状況についての情報を適時に入手し、家庭裁判所に対する管理人の選任請求等を行うことは実際には困難な面がございます。
 検察官が相続財産管理人の選任を行った事件数につきましては、統計等が存在いたしませんで把握しておりませんが、申立てがされる例はごく限られているものと承知しております。他方で、地方公共団体からは、所有者不明土地の管理のため、地方公共団体に相続財産管理人の選任申立て権を付与することを求める声がございます。
 政府といたしましては、所有者不明土地の利用の円滑化に向けた法案を次期通常国会に提出する予定でございますが、先ほど述べました地方公共団体からの要望も踏まえまして、法務省としても、相続財産管理制度の更なる活用を図るため、所有者不明土地の適切な管理のために特に必要があると認める場合に、地方公共団体の長に相続財産管理人の選任申立て権を付与するということとする民法の特例を設けることを検討しております。
○山口和之君 相続人がおらず死亡したケースへの対応は大きな課題だと思います。是非、先手先手の取組を行っていただきたいと思います。
 次に、所有者不明土地の中には、事実上土地所有権が放棄され相当期間経過した土地もあるようですが、現行法上、不動産所有権の放棄は可能なのでしょうか、伺いたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 不動産の所有権を放棄できるかにつきましては、民法上明文の規定がなく、確立した最高裁判例も存在しないことから一概にお答えすることはできないわけでございますが、仮にこれを一般論として可能と解するといたしましても、これを認めますと、一方的に不動産の管理コストや固定資産税の負担を免れ、これらを国の負担とすることにもなりかねませんため、個別の事案において土地の放棄ができるか否かについては、当該事案における個別的事情に照らして極めて慎重な検討が求められるものと考えております。
 所有権の放棄の可否につきましては、土地所有権の在り方に関する根本的課題の一つといたしまして、今後、放棄の手続や受皿の在り方も含め、関係省庁が一体となって幅広く検討を進める必要があるものと考えております。
○山口和之君 土地の利用の予定がなくて売却の見通しも立たない、そんな土地を所有している人は少なくありませんし、相続によって取得した土地がそういった土地であるケースも少なくありません。かなりあるようです。国や自治体は、行政目的で使用する予定がない限り、原則として土地の寄附を受け付けていないようですが、適切な受皿がなければ事実上の所有権放棄が横行することになりかねません。
 土地所有権の在り方等の中長期的な課題の検討においては、是非、所有権放棄の取扱いの法制化や適切な受皿づくりについても真剣に議論していただきたいと思います。
 次に、接見禁止について伺います。
 刑事訴訟法は、拘置されている被疑者、被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは弁護人以外の者と接見や物の授受を禁じることができると規定しております。しかし、拘置されている被疑者、被告人と一般人が接見する場合は、警察署又は拘置所の職員の同席の下、発言内容も面会時間も厳しく制限され、不適切な発言があれば直ちに接見が打ち切られる運用が取られております。ですので、そもそも、拘置されている被告人と一般人が接見することにより逃亡又は罪証隠滅の具体的なおそれ等はないのではないでしょうか。あるのであれば、逃亡又は罪証隠滅が行われた具体的なケースをお教え願いたいと思います。お願いします。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 勾留されている被告人と一般人が接見することによって具体的に逃亡又は罪証隠滅が行われたケースにつきまして、最高裁事務当局としては具体的な件数等を把握しておりません。
 もっとも、接見等禁止決定については各裁判体が事案ごとに判断するものでありますが、一般論として申し上げますと、刑事訴訟法八十一条により、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること等が要件とされていますところ、被疑者、被告人を勾留するのみでは足りず、更に接見等を禁止しなければ罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると言えるか否かについて、各事件ごとに罪証隠滅の対象や方法を検討し、その客観的可能性、主観的可能性等を具体的かつ慎重に判断しているものと承知しております。
○政府参考人(富山聡君) お答えいたします。
 勾留されています被告人、被疑者は、それぞれ逃亡や罪証隠滅の防止などを目的として刑事施設に収容されております。当然、刑事施設では、一般の方とこれらの者との面会に際しては、職員が立ち会うなどした上で、刑事施設の規律及び秩序を害する結果や罪証隠滅の結果を生じるおそれがあるような内容の発言を制止したり、またその面会を一時停止するといったことで対処をしております。しかしながら、現状、被勾留者が逃亡や逃亡を企図する事案というものは、極めて件数は僅かではございますが、現実に発生しております。
 また、罪証隠滅の関係でございますが、刑事施設の職員は勾留されている者の刑事事件の具体的な状況を詳細に把握しているわけではございませんので、例えば面会の際に隠語ですとか暗号、符牒、比喩表現などを用いて罪証隠滅の相談がなされたような場合には、それを察知できずにそのまま罪証隠滅の結果を招いてしまうというようなことが完全に否定することは困難であるというふうに考えております。そのため、なかなか具体的なケースをお答えすることは困難ではございますが、そのようなケースがないと断言することもできないというところを御理解いただきたいと思います。
○山口和之君 接見禁止決定が付くと、弁護人が被疑者、被告人とその家族との日常生活の連絡のために時間と労力を割かなくてはならないこともあり、十分な防御の時間が取れないと聞いております。接見禁止決定は、被疑者、被告人及び弁護人の防御権を大きく損なっているとのことですが、このことについて裁判所及び法務省はどのように考えているのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 裁判官の間では、接見等を禁止することは、勾留されているというだけでも相当な精神的苦痛を受けている被疑者、被告人に対し更に外部との交通を制限するものであり、その精神的苦痛は極めて大きいものであるとの議論がなされているものと承知しております。
 もとより、個々の事件における接見等禁止決定の判断は各裁判体の判断事項ではありますが、各裁判体は、そのような被疑者、被告人に与える精神的苦痛の大きさを十分考慮した上で、なお罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると言えるかどうかなどの要件につきまして慎重に判断しているものと承知しております。
○政府参考人(林眞琴君) 刑事訴訟法におきましてこの接見を禁じることができるという場合の、逃亡し又は罪証を隠滅するに疑うに足りる相当な理由という点につきましては、勾留だけでは賄い切れない程度にその危険が予想される場合ということをいうと解されているわけでございます。
 検察官が個別の事件における被疑者又は被告人の接見禁止を請求するに当たりましては、この逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の有無を、事案の内容、規模、共犯者の有無、捜査経過、供述内容等の諸般の事情を考慮して慎重かつ適切に判断しているものと承知しております。したがいまして、被告人及び弁護人の防御権を大きく損なっているというような御指摘は当たらないものと考えております。
 いずれにいたしましても、検察官は、先ほど述べた要素などを考慮して、適切に接見禁止の請求を行っているものと承知しております。
○山口和之君 無罪推定が大原則の未決勾留者については、身体拘束以外の点ではできるだけ一般市民としての自由が保障されるべきと考えます。身体の自由が奪われた上、家族にも会わせてもらえないというのは相当の苦痛を与えているというふうにも思います。具体的な逃亡及び証拠隠滅のおそれがないのであれば、接見禁止等の決定を行うことは厳に慎んでいただきたいと思います。
 時間ですので、以上で終わらせていただきます。
○委員長(石川博崇君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
 会派を代表して、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
 少子高齢化によりまして、既に社会保険料など国民の負担は増えました。そして、再来年、二〇一九年十月からは、消費税率八%から一〇%に引き上げようといたしております。国民の負担を抑えるため、まずやるべきことは、徹底した行財政改革であり、身を切る改革の実行であります。
 我が党は、身を切る改革によって財源を生み出していくべきと、それを実行するために、この特別国会の十一月十六日に、国会議員の歳費や国家公務員の人件費の二割削減などを内容とする十五本の法案を参議院へ提出させていただきました。
 今回の裁判官や検察官の給与をどうするかは、国民に司法制度に関するコストをどの程度負担してもらうかという問題に直結いたします。今年度予算でも、裁判官の給与で約三百十一億円、検察官の給与で約百八十四億円と、合わせて四百九十五億円もの税金が使われております。これに加えて、業務の特殊性を理由に、今でも国家公務員よりも高い裁判官や検察官の給与をただ漫然と人事院勧告に従って引き上げるのは、国民が納得してくれません。
 給与を引き上げる前に、そもそも問題のある人事院勧告制度の在り方と併せて国家公務員の給与制度全体の見直しが必要であることを申し上げ、反対の討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(石川博崇君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川博崇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川博崇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 上川法務大臣、葉梨法務副大臣、山下法務大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。お疲れさまでした。
    ─────────────
○委員長(石川博崇君) これより請願の審査を行います。
 第一号元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないことを求めることに関する請願外七十一件を議題といたします。
 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の資料のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ─────────────
○委員長(石川博崇君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(石川博崇君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会