第195回国会 憲法審査会 第1号
平成二十九年十二月六日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         柳本 卓治君
    幹 事         磯崎 仁彦君
    幹 事         岡田 直樹君
    幹 事         二之湯武史君
    幹 事         西田 昌司君
    幹 事         舞立 昇治君
    幹 事         小西 洋之君
    幹 事         白  眞勲君
    幹 事         西田 実仁君
    幹 事         仁比 聡平君
    幹 事         浅田  均君
                足立 敏之君
                阿達 雅志君
                愛知 治郎君
                有村 治子君
                石井 正弘君
                北村 経夫君
                古賀友一郎君
                高野光二郎君
                滝波 宏文君
                塚田 一郎君
                堂故  茂君
                中曽根弘文君
                二之湯 智君
                古川 俊治君
                松川 るい君
                松村 祥史君
                山下 雄平君
                山谷えり子君
                有田 芳生君
                伊藤 孝恵君
                石橋 通宏君
                風間 直樹君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                宮沢 由佳君
                伊藤 孝江君
                魚住裕一郎君
               佐々木さやか君
                山本 博司君
                吉良よし子君
                山添  拓君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
    ─────────────
   委員の異動
 十一月一日
    辞任         補欠選任
    薬師寺みちよ君     松沢 成文君
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     北村 経夫君     福岡 資麿君
     石橋 通宏君     大野 元裕君
 十二月六日
    辞任         補欠選任
     阿達 雅志君     こやり隆史君
     松川 るい君    渡辺美知太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳本 卓治君
    幹 事
                磯崎 仁彦君
                岡田 直樹君
                二之湯武史君
                西田 昌司君
                舞立 昇治君
                小西 洋之君
                白  眞勲君
                西田 実仁君
                仁比 聡平君
                浅田  均君
    委 員
                足立 敏之君
                阿達 雅志君
                愛知 治郎君
                有村 治子君
                石井 正弘君
                こやり隆史君
                古賀友一郎君
                高野光二郎君
                滝波 宏文君
                塚田 一郎君
                堂故  茂君
                中曽根弘文君
                二之湯 智君
                福岡 資麿君
                古川 俊治君
                松川 るい君
                松村 祥史君
                山下 雄平君
                山谷えり子君
               渡辺美知太郎君
                有田 芳生君
                伊藤 孝恵君
                大野 元裕君
                風間 直樹君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                宮沢 由佳君
                伊藤 孝江君
                魚住裕一郎君
               佐々木さやか君
                山本 博司君
                吉良よし子君
                山添  拓君
                東   徹君
                福島みずほ君
                松沢 成文君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       森本 昭夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する考え方について)
    ─────────────
○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する考え方について意見交換を行います。
 本日の全ての御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず各会派一名ずつ、各七分以内で御意見を順次お述べいただきたいと存じます。
 磯崎仁彦君。
○磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦でございます。会派を代表しまして、憲法に対する考え方について意見表明させていただきます。
 昨年の臨時国会以来一年余りを経て憲法審査会が実質的な議論を行うことをまずは喜びたいと思います。国の最高法規である憲法を論じることは、立場のいかんを問わず、国会に課せられた重大な使命であり、次期通常国会での活発な審査を望みます。その上で、現時点での自民党内の憲法論議の状況と憲法改正に向けた取組姿勢について申し述べます。
 もとより、私たち自由民主党は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、日本国憲法の基本原理を揺るぎないものとして尊重するものであります。その一方で、憲法制定七十年を経て、国の内外の情勢の大きな変化に対応し、いかにして憲法の原理を守っていくのか、憲法論議の現代的な進化、発展が不可欠と考えます。
 目の前の一例を挙げたいと思います。
 去る四日、参議院本会議で北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議が全会一致で採択されました。北朝鮮の相次ぐ核実験やミサイル発射を典型的な例として、我が国を取り巻く安全保障環境は緊迫し、我が国民の生命、安全も脅威にさらされています。さきに自民・公明連立与党等が平和安全法制の整備に尽力したのも、日米安全保障条約の下で同盟国と緊密に連携して、我が国民の生命、我が国土の安全を守り抜くためでありました。
 国民を守るため日夜任務に精励している自衛隊について、かつては憲法九条を根拠に憲法違反とする政党が相当の勢力を占め、今なお憲法違反と考える政党があることも承知しております。憲法学者の中にも、九条を文字どおり読んで自衛隊違憲の立場を取る方々が一定数いるようです。
 この間、政府は一貫して九条の下でも自衛隊を合憲と解釈しております。私たち自民党も、政府同様、自衛隊は合憲と考えますが、厳しい安全保障環境の中でも一部に根強く残る自衛隊違憲論とどのように向き合うかは、やはり憲法の現代的な課題であります。
 現在、自民党憲法改正推進本部では、具体的に九条に自衛隊を明記する、そのことで自衛隊の合憲、違憲問題を払拭するために、具体的にどのような条文にすればいいのかということについて議論を深めているところでございます。
 自衛隊に加えて、緊急事態条項、教育の無償化・充実強化、参議院の合区解消が現在自民党内で熱心に議論されている四つのテーマであります。これらいずれも、現代的、今日的な課題に対して私方がどのように考えていくのかということが大切な問題と考えます。
 このうち、参議院の合区は、言うまでもなく、平成二十七年の公職選挙法改正によって、鳥取、島根、高知、徳島の四県二合区が参議院創設以来初めて都道府県単位を超えて行われました。これは、戦後一貫して人口が地方から都会へと移動、集中し、かつての地方区、現在の選挙区でいわゆる一票の格差が拡大を続け、憲法第十四条の平等の要請によって最高裁が二回の違憲状態判決を下したことを受け、人口少数の互いに隣接する四県を二合区し、そこで減らされた定数を都市部の選挙区に上積みして一票の格差を縮小する措置でした。
 しかし、合区された四県では住民の誇りは大きく傷つきました。飯泉徳島県知事の言葉を借りれば、私たちは独自の代表を出せない半人前の県として扱われたという怒りや、また無力感を覚えて投票率が低下し、合区反対と書かれた無効票まであったとされます。全国知事会始め地方六団体はそろって合区解消を求める新たな選挙制度改革の決議を行い、現在、三十の県議会で同趣旨の意見書が採択され、更に広がる勢いです。
 私は、参議院自民党の参議院在り方検討プロジェクトチームにおいて、衆議院とは異なる参議院の独自性を踏まえた上での新たな選挙制度の方向性について取りまとめを行いました。
 今日の人口減少社会において、条件不利な過疎地域の切実な声を国政に届ける代表者の減少が続けば、過疎と過密に拍車が掛かり、更なる人口の偏在は国土のバランスを著しくゆがめ、やがて地方という根が枯れれば都会という花を散らさなければならない。日本の将来が改めて強く懸念されます。人口の少ない地方にも、国境離島、エネルギー・食料供給、国土・環境保全といった国家的な課題が存在します。私たちは、地方創生を通じて、より均衡ある国全体の発展を目指しており、これが合区解消の立法事実です。
 今、自民党憲法改正推進本部では、政治、経済、社会、文化など、各面で一体性を持ち現実に広域的な地方自治体、現状では、都道府県から三年半数改選で少なくとも一人の参議院議員を選べるよう憲法第四十七条に必要な条文を追加すること、また、憲法第八章、地方自治の第九十二条にその根拠となる広域的及び基礎的な地方自治体の規定を加える方向で検討を進めています。参議院議員が地域の実情に即しながら憲法第四十三条の全国民の代表者として行動することは、決して矛盾なく、むしろ望ましい姿と考えるものです。
 なお、全国知事会も、当初は憲法第四十三条を改正して参議院を地方の府とする案を示していましたが、先日、四十七条及び九十二条の改正案を改めて公表しました。
 人口減少社会における新たな国民代表原理を探ることは、まさに憲法の現代的かつ緊要な課題であるがゆえに、本審査会での議論を深めていただくようお願いをいたします。
 このほか、三・一一東日本大震災のような大災害に対応するため、緊急事態に備えた法制度がかなり整備されてきた現状ですが、諸外国には憲法に緊急事態条項を備えたものも多く、これをどのように考えるかも、現在及び将来の国民の安全を確保する上で重要な検討課題であります。
 また、教育の充実強化は、国民の幸福追求権を満たすとともに、国の発展にも欠かせないところであり、とりわけ維新の会が教育無償化を掲げておられること等を注目しながら、憲法第二十六条、「義務教育は、これを無償とする。」とある条文に、意欲と能力ある者が経済的な理由で学ぶ機会を奪われない趣旨を加えるかの検討を進めているところであり、今後、憲法審査会を始め国会での議論が高まることを希望します。
 憲法改正については、我が党内の十分な議論を踏まえ、国民の幅広い理解を得つつ、衆議院、参議院の憲法審査会で各党の議論を伺いながら議論を深めていくことが前提と考えます。改めて、次期通常国会での活発な審査を望み、発言を終わります。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 白眞勲君。
○白眞勲君 民進党・新緑風会の白眞勲でございます。
 会派を代表いたしまして発言をさせていただきます。
 まずは、本日、このように与野党合意の上で久々に憲法審査会が開かれたことを喜ばしく思います。
 本年六月、民進党など野党四党は、憲法五十三条に基づき、森友・加計問題の疑惑の真相解明に取り組むことが不可欠と明記した臨時会召集要求書を提出いたしました。しかし、安倍内閣は、それを三か月以上無視し、この要求書を踏まえ召集すると閣議決定し、召集した九月の臨時会を冒頭解散するという暴挙に及びました。
 憲法五十三条には、「要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と明記されています。この趣旨は、安倍内閣以前より、召集のために必要な合理的な期間内に召集しなければならないとされ、内閣に許される猶予は、あくまでも召集の準備期間に限るものとされています。森友、加計疑惑に対し丁寧に説明すると表明してきた安倍内閣に、今更何の準備が必要だったんでしょうか。単に疑惑の追及による支持率の低下と、それによる解散総選挙の主導権の喪失を逃れようとした憲法五十三条違反の暴挙と断ぜざるを得ません。
 また、ようやく召集した臨時国会において、なぜ、たとえ数日でも森友、加計疑惑の審議を行うことができなかったのか。冒頭解散の必要不可欠性について、安倍内閣は何ら合理的な説明ができていません。すなわち、憲法七条による国難突破解散は、憲法五十三条をじゅうりんする私利私欲、党利党略の違憲行為であると言わざるを得ません。
 安倍総理は憲法改正を強く主張していますが、国会を無視し、国民を無視し、現行憲法を遵守しない総理が改憲を主張することは何の説得力もありません。
 また、自民党憲法改正草案五十三条は、召集要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならないとしておりますが、安倍総理自らが二十一世紀にふさわしい憲法草案と誇示してきた改憲草案にも背く行為を取ることは、究極の自己矛盾であります。安倍総理は、改憲を唱える前に、まずは憲法を守り、そして国民、国会に対する自らの言葉を守る政治家になる必要があります。
 我が国では、これまで憲法七条を根拠に内閣による自由な解散権行使がなされてきましたが、憲法六十九条以外の場合は、内閣と議会の対立が生じた場合や、前回の選挙後に重要な争点が発生した場合などに限られるべきであるとも考えられます。この点、議院内閣制の本家と言える英国は、二〇一一年、議会期固定法を制定し、内閣による自由な解散は認められなくなりました。また、ドイツでは、憲法上、首相が提出した首相信任案が否決された場合などにしか解散が認められていません。
 民進党は、憲法五十三条の臨時国会召集義務違反と憲法七条の解散権濫用について、憲法審査会において安倍内閣の暴挙を調査し、その再発を防止するための議論を行うべきと考えます。
 安倍政権による立憲主義の破壊の最たるものは安保法制です。集団的自衛権行使の解釈変更は、いわゆる昭和四十七年政府見解の恣意的な読替えという、法解釈ですらない不正な手口による絶対の憲法違反であることは既に完全に立証されています。
 そうした中、安倍総理は、本年五月に、九条一項、二項は変えずに、すなわち従来の政府解釈は維持したまま自衛隊を明記すると発言し、さきの総選挙の自民党公約でも自衛隊の明記が記載されました。
 国民の大多数は自衛隊の存在を認めており、自衛隊を憲法に書き込む程度の改正ならば、多くの国民が、まあその程度ならばいいのではと理解し、国民投票で賛成票を投じてくれるというもくろみで安倍総理は発言したのではないでしょうか。しかしながら、今の自衛隊は、これまで憲法で禁じられてきた集団的自衛権を可能にした組織を書き込むわけで、安倍総理のもくろみは、一昨年の安保法制の強行採決により、今までのとは意味の違った自衛隊を認めさせて、それによって集団的自衛権を合憲化しようとしていることにほかなりません。
 しかし、安倍総理の唱える自衛隊明記の改憲は、昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理が存在するという解釈変更の不正行為の虚偽で再度国民をだまして行われる立憲主義の破壊的行為とも言えるべきだと私は思います。これは、法的には憲法九十六条等に違反するものと解され、政治的には国民に対するうそつき改憲であり、押し付け憲法論どころではないだまされ憲法論という、克服不能な大混乱を生じる究極の暴挙と考えられ、到底許されるべきものではありません。
 民進党は、自衛隊を合憲と考えています。憲法学者の六、七割が自衛隊を違憲としている状況を改めるために九条に追加するというのであるならば、憲法学者の九割以上が違憲とする集団的自衛権の違憲性を何ら問題視していないのはなぜでしょうか。九条をめぐる安倍総理の発言は、国民を欺くまさしく悪意のミスリードなのか、若しくは安倍総理が根本的な点で理解していないミステークなのか、まさにミステリーとしか言いようがない発言です。
 また、安倍総理は、五月の改憲発言の際、二〇二〇年の改正憲法施行を目指すとしましたが、その後、スケジュールありきでないと修正しました。しかし、十一月一日の記者会見においては、一九年夏の参議院選と憲法改正国民投票との同時実施について否定せず、マスコミ等では、政府・与党は一九年の参議院選と国民投票の同時実施を考えていると盛んに報道等されています。
 与野党が政権等を争う国政選挙と、国会の三分の二以上の勢力の協調に基づき発議される国民投票を同時に行うことは、国民の混乱を招き、国民の冷静な判断を妨げるおそれがあり、絶対に許されるものでないと考えます。
 この点、国民投票法制定時の自民党保岡委員などの与党発議者においても、国民投票と国政選挙の同時実施は想定していないとの答弁がなされており、同時実施を肯定する安倍総理の見解は国民投票法違反の疑いがあると思います。
 最後に、我が民進党は、現行憲法を高く評価し、その役割は今後ますます重要度が高まると考えています。しかし、いかなる法も未来永劫に完璧ではありません。時がたつにつれて改めるべき点が生まれることは当然にあり得ます。そのように改めるべき点が生じ、我が憲法審査会において、平成二十六年附帯決議にある、立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づき、かつ立法措置によって可能とすることができるかどうかについて徹底的に審議を尽くした結果、憲法改正によって改めることしかないとの判断に至ったならば、憲法であっても改正するべきです。
 民進党は、こうした見解に立った上で、解散権の制約などほか、知る権利、国と地方の在り方について議論を行ってまいりました。
 我が憲法審査会は、良識の府参議院の存立に向けて、国民のための憲法保障機能を全うする必要があります。現行憲法を正しく評価し、その上で立憲主義と憲法を守ることが今求められています。
 民進党は、憲法前文に規定される平和主義などの基本原理は堅持されるべきであり、自由と民主主義とを基調とした立憲主義は断固として守るべきこと、そのために、憲法審査会で徹底した憲法違反の調査もまた改憲論議の前提として審議を尽くすことを述べて、終わりとさせていただきます。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 公明党の伊藤孝江さん。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。
 憲法審査会では初めて発言をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 今回のテーマは憲法の考え方です。憲法上、国会は唯一の立法機関であり、二院制が採用されております。参議院の選挙制度についての議論に関連して、参議院と衆議院の関係、参議院として重視すべき役割が何なのかを明確にすることが大切だと考えますので、その点について意見を申し上げます。
 まず、二院制の是非については、三権分立の中で、抑制と均衡を果たし、他の議院の審議を補完、再考を促す点から、二院制を維持すべきであると考えます。
 二院制を前提として、参議院が特に独自性を発揮すべき分野として、一つ、長期的、基本的な政策課題を重点的に取り上げるべきだとする考え方、二つ、行政へのチェックを行う議院として決算審査を重点的に行うべきだとする考え方、三つ、決算と並んで行政監視を更に充実させることで監視の院として権威を高めるべきだとする考え方などがあるのではないかと思います。
 中でも、衆議院が内閣総理大臣の指名について優越的な地位にあることから、言わば政権を創出する機能を持っている点を踏まえ、相対的に、参議院が政府、行政に関するチェック機能を担う必要があると考えます。すなわち、さきの考え方のうち、特に参議院の行政監視機能を充実させるべきです。今年二月に設置された参議院改革協議会でも、行政監察機能の強化、行政監視委員会の機能強化について協議が行われているものと承知をしております。
 なお、決算審査について、決算審査の目的は予算審査へのフィードバックにあります。そもそも、決算審議と予算審議は一連の議論をしなければなりませんので、参議院が決算審査、衆議院が予算審査などと簡単に切り分けることは適切ではありません。それよりも、六年の任期を生かした長期的課題、例えば社会保障問題、子供の貧困問題、人口減少問題などの課題に軸足を置いた決算審査、予算審査をなすべきではないかと考えます。
 最後に、二院制を堅持すること及び両院共に全国民の代表であることを重視すべきであると申し述べておきます。この考え方は、憲法制定時の経緯にも沿うものです。
 まず、総司令部が一院制を提示したのに対し、日本が二院制を提案し、それが採用されています。また、参議院の組織に関して、日本の案は、地域の別又は職能別により選挙せられたる議員及び内閣が両議院の議員より成る委員会の決議により任命する議員をもって組織するというものでしたが、これが明確に拒否をされ、両院とも全国民を代表する選挙された議員によって組織するものとされました。加えて、参議院を地方の府とする場合には、参議院の機能、そして憲法上及び法律上の権限に大幅な見直しが必要となる可能性が高くなります。
 二院制に関しては、かかる経緯なども踏まえた慎重な議論が望まれることを申し上げ、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 仁比聡平君。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
 日本国憲法は、今年で施行七十年を迎えました。大日本帝国憲法下、幾多の戦争により我が国とアジア諸国民の自由や平和が侵害された歴史を振り返るとき、日本国憲法と戦後七十年の歩みには計り知れない重みがあります。
 日本国憲法は、全ての価値の根源は個人の尊厳にあるという思想を基礎に、多面的で豊かな基本的人権とその永久不可侵性を保障するとともに、自由と権利、平等を国家権力の濫用から守るために国民主権を確立し、権力分立と地方自治を定め、憲法の最高規範性を厳格に定めました。
 国民の自由と権利を圧殺し、植民地支配とアジア太平洋戦争へと突き進み、本土空襲、沖縄戦、広島、長崎への原爆投下の惨禍をもたらした深い反省の上に立って、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認し、戦争の放棄、すなわち武力による威嚇又は武力の行使を永久に放棄するとともに、陸海空軍その他の戦力は保持しない、国の交戦権は認めないという世界に例を見ない徹底した恒久平和主義を定めています。
 この憲法九条は、ポツダム宣言を受諾し、戦後、国際社会に復帰しようとする日本のアジアと世界に対する国際公約であり、同時に、第一次世界大戦以降、国際社会で進む戦争の違法化を徹底した人類史的意義を持つ世界の宝です。この憲法は、戦後の焼け野原で希望を失っていた国民の圧倒的多数に歓迎されました。その国民の意思は総選挙を通じて表明され、日本国憲法制定議会となった帝国議会において極めて活発な議論を経て成立し、公布、施行されました。
 日本共産党は、憲法の前文を含む全条項を守り、平和と民主主義、基本的人権保障の基本原理を現実の政治に生かすことを掲げています。今日、最大の問題は、現実の政治と国民生活が憲法の諸原則と著しく乖離しているところにあるのであり、憲法の諸原則に立って政治を変えることこそ私たちの責任です。
 立憲主義を踏みにじり、憲法をないがしろにする安倍政権の政治について、二点述べておきたいと思います。
 一つは、二〇一五年九月、安倍政権が強行採決した戦争法、安保法制です。集団的自衛権を認め、我が国が攻撃を受けてもいないのに日本が武力を行使できるなどという法律が、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記した憲法九条に違反することは明白です。日本を攻撃していない国に対して日本から武力を行使し、その国との間に武力紛争状態をつくり出すことは、九条一項で禁止された国際紛争を解決する手段としての武力行使にほかなりません。
 他国防衛の海外派兵が憲法九条二項に反することも明らかです。そもそも、歴代政府は、自衛隊は日本の防衛のための必要最小限度の実力組織であるから合憲だと言い、海外派兵はできない、集団的自衛権の行使はできないとしてきました。昭和四十七年見解を始め国会における論戦で積み重ねられた政府見解は、一内閣で覆せるものではありません。大きく発展し続けている違憲立法反対の国民の声にこそ耳を傾け、安保法制は廃止すべきであります。
 さらに看過できないのは、安倍総理が五月三日、改憲派の集会へのビデオメッセージで、二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にしたい、憲法九条に自衛隊を明文で書き込むなどと表明したことです。これ自体が憲法九十六条に基づく国会の発議権限に介入するものであり、断じて許されません。しかも、九条一項、二項を残しつつ自衛隊を明文に書き込むという安倍総理の改憲案は、九条二項を削除し、国防軍を明記する自民党憲法改正草案が国民的な議論に値しないことを自ら認めたものにほかなりません。自衛隊を合憲と解釈してきたこれまでの政府見解が誤りであり、安保法制は当然、憲法違反になるということを認めたものでもあります。憲法九条の改正自体、諦めるべきであります。
 九条に自衛隊を書き込むことは、単なる自衛隊の現状追認にとどまりません。戦力不保持を定めた憲法九条に反して米国の再軍備要求で自衛隊が創設され、日米安保条約の下で増強を重ね、歴代自民党政権は、憲法解釈を拡大して海外派兵へと道を開いてきました。憲法と矛盾する自衛隊の現状をつくり上げてきました。沖縄を始め全土に在日米軍基地が置かれ、自衛隊との一体化が急速に進められてきました。それでも、自衛隊の活動を制約している憲法九条の意味を失わせ、際限のない武力行使に道を開こうとするものではありませんか。
 憲法九条は、二度と戦争をしないという日本社会の姿形を規定する根幹です。軍事だけではなく、経済では、軍事費の抑制と民生分野を中心とする経済成長を促し、国民生活を向上させる力となりました。学術、文化では、戦前のような軍事優先と決別し、科学と文化が我が国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献する基礎となってきました。この九条に手を加えることは、戦後日本社会の在り方を根底から変えることにほかなりません。だからこそ、国民の多数が九条を変えることに反対し、首相が国民的議論に値すると述べた自衛隊明記にも反対が多数なのであります。
 憲法審査会は、憲法改正原案、改正の発議を審査する重大な権限を持つ場です。ここでの議論は、勢い、改憲項目をすり合わせ、発議を向かうことにつながります。今や、戦後レジームからの脱却を掲げ続ける安倍総理の指示の下、自民党が憲法改定の動きを加速する下で憲法審査会を動かすことは重大な危険をはらんでいます。
 国民の多数は改憲を求めておらず、審査会は動かすべきではないことを改めて強く申し上げ、意見表明といたします。
○会長(柳本卓治君) 浅田均君。
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。我が党の憲法に対する考え方について申し述べます。
 まず、立憲主義について一言申し述べます。
 立憲主義の歴史を振り返ると、イギリスで誕生した近代立憲主義は、法の支配と議会主権が結合したものと考えられます。そして、この基盤を受け継ぎながら、現代の憲法、現代立憲主義の原型をつくったのがアメリカ独立革命とその所産である合衆国憲法であると言うことはできます。
 佐藤幸治先生によると、合衆国憲法の構成は次のようになります。すなわち、主権者である人民が憲法制定権力者として、人権の保障と権力分立ないし抑制、均衡の統治構造を定める憲法典、成文憲法を制定して政府を創設し、立法権を含む政治権力に対する憲法の優位性を確保するために、独立の裁判所に憲法適合性に関する最終的判断権、司法審査権を付与するというものであります。
 このような観点から我が国の現行憲法を概観するとき、問題になるのは、本来の憲法制定権力者である日本国民が直接憲法論議に参加できなかったことであり、また、いまだに参加できないことであります。
 現行憲法は、国民主権主義、平和主義、基本的人権の尊重という基本的な価値を国民に根付かせたという点で評価できます。しかし、後述しますように、法の支配という考え方が徹底されていないために、憲法裁判所が設置されていないことや、未来志向を欠く等の点で不備があるのもまた確かです。参議院憲法審査会での議論が約一年ぶりに再開されたことを評価したいと思います。
 ただ、戦後初めて憲法改正がリアリティーを持って語られる状況であるにもかかわらず、憲法審査会がこれまでほとんど開かれなかったのは極めて残念ですし、国会は、憲法改正に関する国民の意思表示の権利、つまり国民投票を行う権利を奪うべきではありません。
 衆参両院の憲法審査会は、調査は何年も掛けて繰り返し行ってきましたが、憲法改正原案についての審議は一度も行っておりません。私たち日本維新の会は、一昨年三月に憲法改正原案を作成し、メディア等を通じて国民に訴えかけております。さきの衆議院総選挙も、この憲法改正原案、とりわけ教育の無償化を掲げて戦い、国民の負託を一定程度得ていると考えております。
 この審査会で各会派がそれぞれの改正原案を持ち寄り、改正の是非を議論できるようになってほしいと願っております。どの条項の改正にも反対の会派は、その都度反対の立場で討論されればよいことで、審査会の開催には是非協力いただきたいと思います。
 我が党は、憲法改正は特定のイデオロギーの表現のためではなく、政策的な課題の解決のために行うべきものであると考えております。法律に立法事実が必要であるのと同様、憲法改正についても言わば憲法事実が必要です。また、憲法改正は最終的には国民投票で決することになりますが、過半数を得ることは大変難しい。憲法改正の項目として、国論を二分するような安全保障や危機管理等の問題よりも、ほとんどの国民が身近で切実に感じている問題から取り上げていくべきでしょう。
 以上のような考え方に基づき、我が党は、以下の三点について憲法改正原案をまとめて発表をしております。
 一点目は、教育の無償化です。
 子供の貧困問題に見られるとおり、教育の機会平等が十分に保障されておらず、将来世代への投資は全く不十分です。少子化、人口減少と相まって、子供や子育て世帯への一層手厚い支援が必要であることは、どの党も反対はないでしょう。こうした必要性に正面から応えるのが教育の無償化です。憲法でしっかり定めることにより、国に予算措置と立法化を義務付けていくべきです。政権が替わっても教育無償化の方針が堅持されるためにも、憲法で定めるべきです。
 二点目は、国と地方の統治機構の抜本改革についてです。
 地方における経済の衰退と人口の減少は急速に進んでおります。戦後繰り返された国主導の地方振興政策は、残念ながらことごとく失敗したと言わざるを得ません。東京一極集中を打破して地域の自立を促し、我が国を多極分散型国家にしていくべきことも、ほとんどの会派が賛成できるはずです。このため、地方の権限と財源を抜本的に強化する形で、国と地方の関係を憲法で新たに定めるべきです。
 待機児童問題は地域差が大きく、国で一律の対応をすることが特に難しい問題です。大災害からの復興も土地利用規制を被災自治体に任せる等、現場での柔軟な対応を可能にすべきです。地域のことは地域が決めることができるよう、憲法上の根拠をしっかり定めるべきだと考えます。
 三点目は、憲法裁判所の設置です。
 安保法制国会で分かったのは、安全保障法制については誰が違憲判断をするのかよく分からなくなっているということでした。元法制局長官、元最高裁判事、学者等は違憲立法審査権を持っておりません。本来は、やはり全ての憲法問題について憲法適合性に関する最終的判断権を有する憲法裁判所を設置すべきです。
 以上が、憲法に対する日本維新の会の考え方です。
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
○福島みずほ君 希望の会、社民党の福島みずほです。会派を代表して発言をします。
 今、政治に必要なことは、憲法を変えることではなく、憲法が規定していることを生かすことです。
 十代後半、二十代、三十代の死因の第一位は自殺です。憲法十三条が規定する個人の尊重、幸福追求権は、みんなに保障されているでしょうか。個人が尊重される社会を政治はつくっているでしょうか。
 憲法十四条は、法の下の平等を規定をしています。しかし、女性差別、子供に対する差別、高齢者に対する差別、部落差別、障害者に対する差別、外国人に対する差別、性的マイノリティーに対する差別、アイヌに対する差別、様々な差別は存在をしています。差別を根絶していく政治こそ必要です。
 憲法二十五条は生存権を保障していますが、現在、労働法制の規制緩和、社会保障の切捨てなどで、貧困の固定化、中間層の崩壊、没落が始まっています。地方の疲弊も深刻です。二十五条は実現をしていません。二十五条の実現こそ求められています。
 憲法前文は、平和的生存権を規定をしています。しかし、沖縄の人々に平和的生存権は保障されているでしょうか。原発と基地は、過疎地に押し付けられているという点で差別の構造であると言われることがあります。そのとおりですが、原発の稼働については、現在では原発立地自治体の同意がなければ稼働をしていません。しかし、基地については自治体の同意の存在は無視をされています。
 翁長沖縄県知事は、先日、改めて河野外務大臣に対して辺野古の新基地建設を断念するよう求めました。なぜこの声は踏みにじられるのでしょうか。地方自治は、少なくとも沖縄に対しては全く保障されていません。
 私たち国会議員は、憲法九十九条により憲法尊重擁護義務が課せられています。憲法の実現と擁護こそ必要です。憲法は最高法規であり、国務大臣や国会議員の憲法尊重擁護義務がわざわざ憲法に規定をされているのです。
 ところが、安倍内閣は、二〇一五年に違憲の戦争法、安保関連法を強行採決をしました。歴代の自民党政権は、集団的自衛権の行使は違憲であり、憲法を変えなければできないと明言をしてきました。憲法学者、法律家のほとんどが集団的自衛権の行使は憲法違反だという立場です。私も法律家ですが、集団的自衛権の行使は明白に違憲としか考えられません。
 安倍政権は、一九七二年の政府見解をねじ曲げて、解釈を変えて、集団的自衛権の行使を容認する戦争法、安保関連法を強行採決をしたのです。一九七二年当時の内閣法制局長官を始め誰も集団的自衛権の行使を合憲と言う人は存在をしていません。時の政府がかつての政府見解をすらねじ曲げて、解釈で自分たちの都合の良いように変えてしまうことは、立憲主義、法の支配の明白な否定です。憲法を踏みにじる政治のこのような暴挙を許してはなりません。
 憲法は権力者を縛るものです。表現の自由を制限したい、自分への批判者を投獄したいと思っても、それはできないのです。集団的自衛権の行使をしたい、世界でアメリカとともに戦争をしたいと思っても、それはできないのです。安倍総理は、憲法は権力者を縛るものであるということを理解していません。あるいは、そのことを踏みにじっています。
 今まさに憲法の危機が訪れています。憲法が何なのか、憲法規範を守らなければならないということを理解しない内閣によって憲法改悪が企てられようとしています。
 安倍総理は、自民党は憲法九条を変え、三項に自衛隊を明記すると言っています。この自衛隊の明記は、憲法違反の戦争法、安保関連法の合憲化です。
 私は、十一月三十日、参議院の予算委員会で安倍総理に質問をしました。九条三項に自衛隊を明記するということは、この自衛権の中に集団的自衛権の行使も含まれるのですねと質問をしました。総理の答弁は、もう既に一項、二項のある中において、集団的自衛権の行使について一部容認、三要件を満たせば一部容認をするということについて解釈を変更したわけでありますが、それはそのままということでございますというものでした。
 つまり、既に解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認をしているので、憲法九条三項に自衛隊を明記するということは集団的自衛権の行使を含むということです。戦争をしない国から世界で戦争をする国へ百八十度変えてしまうということです。九条に自衛隊を明記することは、災害救助や国土防衛のための自衛隊ではありません。集団的自衛権の行使をする自衛隊の明記です。憲法九条一項、二項の破壊です。
 そして、安倍政権が、まず解釈で憲法を踏みにじり、その後、明文改憲をし、戦争法、安保関連法を合憲化しようとしていることも強く批判をしなければなりません。憲法を踏みにじる総理の下で憲法を変えることは、憲法全体が憲法でなくなることです。立憲主義の否定、憲法の否定です。国会の否定です。緊急事態宣言は、内閣限りで基本的人権を制限、剥奪するものです。
 教育の無償化は今こそやるべきで、憲法改正の必要はありません。日本が批准している国際人権規約A規約は高等教育の無償化を規定しています。条約を批准している日本は履行する責任があります。教育の環境整備に努力をするなど、後退した憲法改正は百害あって一利なしです。
 参議院の選挙区の合区解消のための憲法改正などあり得ません。選挙制度はどうあるべきかは参議院の選挙制度改革で議論をし続けており、公職選挙法の問題です。国会議員の既得権益のために、憲法を変えるということだけのために憲法を変えることになれば、むしろ参議院の権威は地に落ちるでしょう。こんな邪道を許してはなりません。
 また、参議院の選挙区は都道府県単位とすると憲法を変えれば、国会議員は全国民の代表と憲法で規定されているにもかかわらず、参議院の選挙区は県民の代表となります。これは参議院の地位を著しく低めるものです。
 憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治をやるべきだと申し上げ、希望の会、社民党の意見表明といたします。
○会長(柳本卓治君) 松沢成文君。
○松沢成文君 希望の党の松沢成文でございます。希望の党を代表して意見を申し述べます。
 私たち希望の党は、先般の総選挙で生まれた新しい政党であります。その結党の理念の一つに、九条を含めて憲法改正については前向きに議論をしていく、これを結党の理念にしております。
 憲法というのは、不磨の大典ではありません。宗教の聖典とは違って、国家の最高法規、基本法ではありますが、その大きな時代の変革の中で、もう古くなったところ、あるいは現実と乖離しているところ、これを国会が議論をして発議し、国民の皆さんの賛同を得て変えていくことができる、そういう最高法規だというまず基本認識を持っております。
 加えて、今、立憲主義という言葉があちこちで聞かれるようになりましたが、確かに立憲主義というのは、絶対権力、権力から国民の人権を守るための権力制限規範というふうに言われておりますが、私たちは、立憲主義をこの権力の制限規範として捉えるだけではなくて、あと二つ。そのうちの一つは、権力の授権規範、つまり、立法府、行政府あるいは裁判所にこういう権限を与えて、その権限の下に統治をしていくという権力授権規範という見方もあると思います。さらに、加えて、目標規範であります。この国がどういう国にしていくべきかという国民のコンセンサスを得た目標を憲法にしっかり書き込んでいく。憲法の前文にはそういう要素が強いと思いますが、このように、立憲主義というのは、権力の制限規範、権力の授権規範、そして国家目標規範、この三つをしっかりと組み合わせて議論をしていくべきものだというふうに考えております。
 さて、現行憲法の様々な問題があるわけでありますが、私はというか、私たち希望の党は、現憲法の最大の欠陥というのは、国家の防衛と国家緊急事態に対するしっかりとした規定が欠如している、これは独立国家の憲法としては私は大きな欠陥だというふうに思っております。
 例えば、大災害やテロ、戦争のような国家緊急事態に超法規的措置をとらずに憲法の規定の中でその危機を乗り越えていける、これを憲法にしっかりと書き込んでいかなければ憲法違反になってしまうわけです。例えば、国家緊急事態を内閣総理大臣が宣言をする。その国家緊急事態の宣言の期間の間には、やはりその危機を乗り越えるために権力を、行政権を内閣総理大臣に集中して対応していく。しかし、それが長引いてはいけませんので、その延長等に対しては国会がしっかりと関与していく。このような条項が必要だと思います。
 そして二つ目には、安全保障の問題であります。九条の問題ですけれども、当然、我が国は、戦争の反省もあって、侵略戦争は絶対やらない、これをきちっと宣言していくべきだと思いますが、それと同時に、独立国家として自衛権はある、その自衛権を担保するために自衛隊を置く、そして自衛隊は実力組織なので文民統治の下に置くと、これをしっかりと書き込むことこそが私は安全保障の憲法体系としてふさわしいというふうに思っておりまして、我が党としては、単に自衛隊の存在を九条に加えるだけではなくて、自衛権の明記というのをしっかりと議論をしていくべきだというふうに思っております。
 ほかにも、希望の党として幾つか憲法改正に、具体的な条項改正を議論しているところでありますが、そのうちの一つが地方分権の在り方であります。第八章であります。やはり地方分権国家であるということをしっかりと説明していくためには、地方分権の本旨という言葉でその理念が説明されていません。この地方分権の本旨というのは何なのかということ、それから、地方の財政自主権、あるいは運営の自主権としての条例制定権の強化ということもきちっと地方自治の条項に書き加えていくべきだと考えております。
 それともう一点は、国民の権利としての知る権利です。
 昨今の行政の対応として情報隠蔽というのも問題になっておりますけれども、国家の情報は、政治家や官僚のものではなく国民のものであります。国民の知る権利をきちっと憲法に保障すること、情報公開の徹底を図ること、しかし一人一人のプライバシーを守れるような、そういう知る権利の条項を加えていくべきだというふうに考えております。
 さて、最後に、この憲法審査会、この一年間議論が行われなかったわけですが、以前ありました憲法調査会というのは、憲法の調査をしていくというのが大きな目的でありました。しかし、憲法審査会になったわけで、この審査会の大きな目的の一つに、調査、研究をした後に憲法原案を作成して発議をするというのが大きな役割になっております。
 憲法の議論がここまで進んできたからには、是非とも今後の憲法審査会においては、各党が今の憲法に対する意見を述べるだけではなくて、どの条項を具体的に変えていく、それを国民投票に付すべきか、具体的な改正条項についてしっかりと議論をし、コンセンサスを得ていく、そのような審議を積み重ねていっていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。
 次に、委員間の意見交換を行います。
 発言を希望される方は、氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 多くの委員が発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。
 それでは、発言を希望される方は氏名標を立ててください。
 足立敏之君。
○足立敏之君 自由民主党の足立敏之でございます。
 私からは、緊急事態条項と参議院の合区解消について意見を申し上げたいと思います。
 最近、激甚な自然災害が頻発しております。私は、国土交通省で、局長や技監という立場で水害・土砂災害対策あるいは大規模地震対策などを担当してまいりました。そのような経験から、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、超巨大災害が発生した場合の政府の対応の在り方について強く不安を感じております。
 我が国の災害対応の基本的枠組みは、死者、行方不明者が約五千人に上る昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に確立されました。災害対策基本法が制定されまして、災害緊急事態の布告、緊急災害対策本部の設置などの条項が定められました。その後、六千四百人を超える犠牲者の出ました阪神・淡路大震災や、約二万二千人の犠牲者の出ました東日本大震災などの大規模災害が発生しましたが、災害対策基本法に基づく災害緊急事態の布告は行われませんでした。
 さて、内閣府の推計では、首都直下地震では最大約二万三千人の死者、行方不明者が予測され、東京都の被害は約一万三千人に上ります。また、南海トラフ巨大地震では、最大約三十二万三千人、東京都でも約千五百人の犠牲者が想定されております。
 首都直下地震や南海トラフ巨大地震のような、災害対策基本法の制定以来経験したことのない超巨大災害が発生した場合に十分な対応ができるのか、不安があります。備えあれば憂いなし、我が国におきましても、海外で見られるような、あらかじめ憲法に緊急事態条項を規定しておくことが必要というふうに考えます。
 もう一点、参議院の合区の解消について意見を申し上げます。
 私は、国土交通省の四国地方整備局長としても勤務をした経験がございます。合区となりました徳島県と高知県の関係でいいますと、四国三郎と言われる大河川吉野川の上流部で、高知県ですけれども、ダムを建設すると、下流の徳島県では水量が変化するという影響があります。立場の異なる二県を一人で代表するというのはとても大変なことだというふうに考えます。
 災害対応という観点で考えても、県ごとに防災上の課題が大きく異なることから、その課題を政策につなげるためにはそれぞれの県からの代表が必要というふうに考えます。特に高知県は、皆様も御承知のとおり、津波の高さが三十四・四メートルの黒潮町を始め、まさに南海トラフ巨大地震の最前線に位置しておりまして、その対策が急務であります。
 私も、高知県に入るたびに、合区についての反対の声や合区解消を求める要望を党派を超えて伺っております。巨大地震に直面している高知県において、県を代表する参議院議員が必要であると私も強く感じております。参議院の合区の解消も急がねばならない重要な課題というふうに考えております。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 藤田幸久君。
○藤田幸久君 民進党の藤田幸久でございます。
 憲法第六十六条二項においては、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定されておりまして、その趣旨は、武人、武士の武ですが、武人による武断政治を排除するものとされております。
 一方で、自衛隊に関しましては、服務の宣誓ということがございます。二十六年の七月の予算委員会におきまして、安倍総理大臣は、自衛隊の最高指揮官である私が自衛隊の安全について責任を持つと言った上で、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって任務を遂行するように努め、もって国民の負託に応えていく、これが宣誓を行う自衛官の、公務員でありますというふうに答えております。さらに、国民の生命等が危険な中において、そこで自衛隊は、自衛官は武力を行使するわけでありますというふうに発言をしております。
 そんな中で、昨日、参議院の外交防衛委員会で、佐藤正久副大臣は次のように挨拶をいたしました。
 外務副大臣を拝命しました佐藤正久でございます。事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える決意であります。国民の安全、安心を守るため、現場主義で汗をかいてまいりますということでございます。
 つまり、これは武力行使の際の武人精神の誓いの決意である服務の宣誓そのものを、安倍総理が引用した同じこの宣誓を、佐藤副大臣は、宣誓文を副大臣として発言をしたわけでございます。
 また、外務省、防衛省の各設置法におきましては、外務省は外交政策を担い、防衛省は防衛を担うというふうにあります。これは、憲法九条にありますところの、防衛の武力行使は、外交では手段として足りない場合の究極の手段として初めて許容されるということでございます。したがいまして、武人の精神の決意を持って武力行使の対極にある外交に当たろうとする元自衛隊員である佐藤副大臣の挨拶は、外務省設置法の趣旨に照らしても不適切であります。
 また、佐藤副大臣に関するこの発言に対して河野外務大臣自身も、外務省職員も、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えるとの精神で職務に臨んでおるというふうに言っております。つまり、外務省職員も、つまり武人としての精神を発言をしたということでございまして、大変このお二人の発言は、憲法六十六条及び九条に鑑みましても極めてゆゆしい状況であるということでございますので、今後とも、憲法を守るという精神から、この二人の発言については国会の中でもしっかりと追及をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 西田実仁君。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 私は、日本の二院制におけます憲法上の権限について考えてみたいと思います。
 現行の衆参両院における権限の配分の大前提は、両院共に全国民の代表であることによります。もしそれを侵すような改正が行われれば、参議院の機能、そして憲法上また法律上の権限は、大幅に見直しが必要となる可能性が高いと言わざるを得ません。
 参議院が全国民の代表であることに疑義が生じた場合、その選挙の結果も決して全国民の直近の民意を反映するものとはならなくなるかもしれません。ゆえに、衆院に優越が認められている憲法上の権限について、すなわち、予算の議決、条約の承認、あるいは内閣総理大臣の指名についても、衆院の優越どころか、そもそもいかなる関与が認められるのかという疑念が生じる可能性があります。
 また、内閣との関係も大幅に見直しをしなければならなくなります。内閣が責任を負うべきは、全国民の民意を直接代表している衆議院だからであります。憲法の発議においても、また国会同意人事においても、また証人喚問等の国政調査権においても、衆議院と同じ権限とはならなくなる可能性が生じてまいります。
 二院制の堅持をいうものに共通する参議院における行政監視機能も、地方固有の案件を除いては参議院に付与されるいわれはなくなる可能性も出てまいります。現行では衆参対等である両院協議会も、地方固有の案件を除き、衆議院の優越を明確にする非対等になりかねません。参議院のみの権限である緊急集会は、その存在が難しくなるでしょう。
 参議院の選挙区選挙が地方代表的性格を帯びていることは全く否定するものではありませんけれども、憲法上、法律上の権限の大幅な見直しを伴うことは、全国民の代表であることに疑義を生じた場合には覚悟しなければならなくなってしまいます。憲法制定時の様々な困難を乗り越えて、全国民を代表するとされた参議院の権限の大幅な見直しをはらむ改正には極めて慎重に考えざるを得ません。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 吉良よし子さん。
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 安倍首相は、この間、積極的平和主義、平和安全法制など、事あるごとに平和という言葉を連呼しています。でも、そもそも平和とは何なのでしょう。
 私は、軍事力でつくり出すものを平和とは絶対に言わないと思います。軍事力の行使は必ず犠牲を生みます。子供や高齢者、障害者、女性など一般市民が傷つけられ、日常生活の一切が破壊されます。平和とは、争い事を力で解決しないということです。
 例えば、これまでの軍事力の行使によって破壊された日常、平和を取り戻すため大きな力を発揮しているのがNGOです。アフガニスタンなどで難民支援に当たっているペシャワール会現地代表の中村哲医師は、二〇〇八年の参議院外防委員会で、国家、民族、宗教を超えて、人々が互いに理解し合って命を尊重すること、これが平和の基礎であろうと言い、自衛隊の派遣は有害無益と断じています。中村さんは、憲法に書いてあるように、国権の発動たる戦争を一切しなかった、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないということを、実態は別として国として掲げていることが安全保障になっていたなどと語ってもおり、自衛隊派兵ではなく、九条を守ることが現地で活動する日本人の命を守る安全保障だとおっしゃっています。
 また、私が先月、国際女性会議のレセプションで出会った女性経営者の方も、アフリカや中東でJICAやNGO活動をしていた当時を振り返り、私たちは軍人じゃないから現地の人々にフレンドリーに接してもらえた、特にイラクでは日本人にフレンドリーだった、それはアメリカと違い日本は歴史上一度も彼らを攻撃していないから、でも日米同盟が強化されて日本イコールアメリカと思われてしまうと危険が高まると思う、憲法は絶対に変えてはいけないと語ってくれました。
 安倍首相が提案している九条に自衛隊を明記するという改憲は、単なる自衛隊の合憲化ではありません。安保法制の合憲化であり、日米同盟の強化につながる改憲です。それは今、世界中で平和のために活動している日本人の命を危険にさらす行為でしかありません。私たちは、平和とは何なのか、もう一度よく考えるべきです。
 私は、平和と言うなら九条を本気で守り生かす努力こそ必要だと確信します。その努力を放棄して、九条を踏みにじり、壊そうとしている安倍政権に平和を語る資格はありません。そんな政権下で改憲発議につながる憲法審査会は絶対に動かすべきではないことを私からも申し上げ、発言といたします。
○会長(柳本卓治君) 東徹君。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
 まず最初に、憲法審査会の在り方について発言をさせていただきます。
 残念ながら、この参議院での憲法審査会は、さきの通常国会ではゼロ回、そしてまた、今回はようやくこの特別国会、会期末ぎりぎりになって一回という、本当に極めて参議院の憲法審査会が機能していないというような状況になっております。是非とも憲法審査会の在り方を見直していただきたい、そして機能する憲法審査会にしていただきたいということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 そして二点目は、先ほど浅田委員の方からも三つの憲法改正案を示させていただきました。教育無償化、統治機構改革、そして憲法裁判所の設置、この三つとも我が会派としては条文まで作成をしてお示しをさせていただいております。是非議論をしていただきたいと、そういうことで、是非来年の通常国会ではスケジュール感を持って議論をしていただく、例えば毎週水曜日は定例日であるならばやっていくとか、いつまでに議論をするとか、そういったスケジュール感を持ってやっていただくことを是非お願いをしたいと思います。
 そして次に、教育無償化についてであります。自民党の今回の衆議院の公約には、憲法改正を目指しますということで、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、そして緊急事態対応、参議院の合区解消、四項目を挙げられておりました。報道とかでは、教育無償という明記が見送られるとか、そういったことが書かれておりますが、是非とも公約違反にならないようにお願いをしたいというふうに思っております。
 そして、憲法九条につきましては、我々も自衛隊の明記ということについては必要性を理解をしております。ですので、この自衛隊、憲法九条について、我々としても、是非とも議論をして早くお示しをしていきたいというふうに思っていることをお伝えをさせていただきます。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 石井正弘君。
○石井正弘君 私は、参議院の合区解消の問題、そして、これと関連いたしますけれども、地方自治の本旨の具体化、これにつきまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど磯崎議員の自民党を代表しての御見解にありましたけれども、私も自由民主党の政策審議会の中で、参議院の在り方検討チーム、その事務局の一員といたしまして磯崎議員の取りまとめを支えさせていただきまして、まとめた見解が発表になっているところであります。
 具体的には、これから条文の精査はするということにはしておりますけれども、四十三条の国会議員の全国民の代表制、このことは条文はそのままにしておいて、そして四十七条の方において、広域的な自治体である都道府県の区域から少なくとも一人は選出されるように定めなければならないと、こういう趣旨を規定をするべきである。当然、地方自治の関係する条文の中に、広域的自治体とそれから基礎的な自治体、この両自治体があるということも明記をすべきだと、このような考え方に立ってまとめたものでございます。
 御案内のとおり、全国の地方自治体の六団体がございますが、その全国知事会の方でも決議、そしてワーキングチームからの見解が発表になっているわけであります。
 初めて合区選挙が実施されました二十八年七月、この参議院選挙、これを受けまして、六団体からは次々にこれに対しましての合区解消とか、あるいは参議院の選挙制度改革に関する決議が行われてまいりました。そしてその上で、具体的には、合区問題の抜本的な解決策の結論を得て早急にこれを示すべきであるということ、さらには、国民主権の原理の下に憲法九十二条の地方自治の本旨、これにつきましてより具体的に規定をするようにと、このような決議があったわけでございます。
 これを受けて、先ほど申し上げた知事会の中におけるワーキングチーム、ここで具体的な条文も相当詰めているわけでありまして、先ほど申し上げましたとおり、憲法八章、僅か四条だけの地方自治に関する規定がございますが、これをより明確にして、基礎的な自治体、地方公共団体と、これを包括する広域的な地方公共団体、こういったもので構成をするということ、そしてそれを受けて、先ほど申し上げましたとおり、広域的な地方公共団体ごとの区域を単位とする選挙区を参議院の選挙においては含まなければいけない。これに加えまして、より具体的にということで、例えば、必要な財源の保障を国が地方公共団体に対して実施すべきであるとか、あるいは国と地方の協議の場を具体的に創設すべきであるとか、いろいろ地方自治に関係する本旨の具体化という規定も明記されているわけでございます。
 全国を代表する知事会からのせっかくの提言ということもあるわけでございますから、是非ともこういったものを念頭に置いて、当審査会におきましては、この合区の解消問題併せ地方自治の本旨の具体化、同時に議論を深めていくべきではないかと、このように考えております。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 民進党の伊藤孝恵さん。
○伊藤孝恵君 民進党・新緑風会の伊藤孝恵でございます。
 本日は論憲の場を、加憲とか護憲とか改憲とか、そういった部分の前にやはり論憲、しっかりと論議をしていく、そういった場を与えていただいたことに感謝申し上げます。こういった憲法審査会、久しく開かれていなかったこの審査会を開いていただくに当たって、御尽力いただいた先生方に感謝申し上げます。
 私、この憲法審査会の席に着くに当たり、各先生方がどういったお考えなのかを調べるというか、過去の議事録を読み返しました。というのも、やはり、論じるに当たり、先生方がどういったお考えの下に御発言をされているのか、そういったものを自分自身が知りたかったからでございますが、事の起こりを改憲の理由とされる先生方が多いということに、例えば山谷先生におかれましては、昨年の予算委員会で日本国憲法について、占領時代にGHQ二十四名による一週間ほどの議論で作られた憲法と述べられ、それを改憲の理由にされております。また、中曽根先生におかれましては、過去の代表質問で、日本国憲法、マッカーサー憲法とも言われるように、GHQの主導で作られたものとおっしゃっております。
 もちろん原案はGHQによって提案されたものというのは確かで、事実でございますし、ただ、その後の議論があった、しっかりと議論された上で制定されたということですとか、当時の国民にどのように受け入れられたかということ、それから、何よりこの七十年間、日本国民はこの憲法を大事に守ってきたわけでありますし、この憲法もまた我々の毎日を守ってきたわけでございまして、それが歴史的な事実であると。
 そういった部分を鑑みて、制定過程というのを理由に改憲が必要だという論議、それは余りに飛躍をしているんじゃないかなというところと、御党の中からもまた押し付け憲法に距離を置くような発言がるる出てきている中で、これを論点の一つとするのか否か、そういったところが、せっかくの審査会がまた始まったわけですので、その部分についても御教示をいただければというふうに思っております。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 古賀友一郎君。
○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。
 私からは、憲法九条と自衛隊の問題について意見を申し上げます。
 戦争放棄と戦力の不保持をうたった憲法九条は、さきの大戦の反省に鑑み、我が国自身が戦争を起こさないという決意を示す一方で、我が国の安全は、国際社会、具体的には国連の集団安全保障体制によって守られるという理想に期待して作られたものです。
 しかし、それから程なくして東西冷戦が始まり、そうした理想の平和維持システムは機能しないことが明らかになったため、我が国は現実に引き戻され、別の方法で国の安全を守らねばならなくなりました。それが日米安保体制と自衛隊の創設でありますけれども、このときから憲法上の葛藤が始まったわけであります。
 そして、昭和三十四年の砂川事件最高裁判決によって、日米安保条約に伴い我が国に駐留する米軍の存在は合憲であること、また、我が国が固有の自衛権を持つということについては法的に解決いたしましたけれども、自衛隊が憲法九条二項に言う戦力に当たるか否かについては、現在に至るまで、憲法解釈の最終決定権を持つ最高裁の判断は示されておりません。
 自衛隊は合憲であるという解釈は既に確立しているのだから、あえて憲法を改正する必要はないという意見もありますけれども、そうした解釈は、単に政府などがそう言い続けているにすぎないのであって、法的にオーソライズされたものではありません。実際、自衛隊は違憲と考えている学者も多いわけであります。
 自衛隊は我が国にとって不可欠な存在であると大多数の国民が認識しているにもかかわらず、法的には不安定な状態に置かれ続けている現状を放置してよいわけはありません。最高裁が判断を避けている以上、この問題は憲法改正という立法によって解決されなければならないと考えます。近年の我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を考えればなおさらであります。
 憲法を改正することも、しないことも、そのこと自体が自己目的化してしまうと建設的な議論にはなりません。あくまでも、国を守り、国民を守るためにはどうすべきかといった観点から真摯な議論を展開し、その結果を国民投票という形で国民に問うことが国会に身を置く我々に求められている使命であると思います。
 以上でございます。
○会長(柳本卓治君) 風間直樹君。
○風間直樹君 民進党・新緑風会の風間直樹です。
 憲法九条について、二点意見を述べたいと思います。
 一点目は、九条の制定過程についてです。
 米国の機密公文書が近年公開となり、その研究の結果、日本国民が認識していた制定過程とは異なる事実が次々と明らかとなっています。つまり、米国は、終戦前から九条の案文を検討していたこと、しかも日米地位協定、安保条約、九条をパッケージで構想し、戦後日本の安全保障体制の青写真を作成していたことが判明しています。
 敗戦直後の日米交渉及び現在までの日米合同委員会協議により、合意事項の大半が国民、国会あるいは時の総理にすら知らされない中で、安保法制の成立により、この青写真は今日ほぼ完成したと考えられます。
 敗戦後今日まで、国会は九条の条文をよりどころに安全保障議論を行ってきました。しかし、日米間の合意事項がつまびらかにならず、パッケージとして構想された安全保障の法体系とその条文の意味するところが必ずしも公にならない中、積み重ねられた国会論戦は主権国家の安全保障を議論する上で必要な情報と事実を得ておらず、不十分だったのではないでしょうか。
 米国が構想した戦後日本の安全保障体制の俯瞰図と意図を把握し、地位協定、安保条約、九条のパッケージで米軍が描いた安全保障法体系の全体像を捉える。国会がこれらの情報を共有し、その上で九条を議論することが必要ではないかと考えます。
 そこで、会長に提案いたします。
 本審査会で参考人質疑により九条の制定過程を調査する機会を設けることを幹事会で検討いただきたく思います。
 二点目です。
 さきの安保法制によって、自衛隊が海外で活動することが可能になりました。これは、PKO活動など、国際協力としての海外での活動とは意味が異なります。私は、安保法制を是とする立場ではありません。しかし、現実には、集団的自衛権行使が認められたことにより、自衛隊が海外で武力行使し、場合によっては戦闘状態に入る可能性が生じます。すなわち、集団的自衛権行使により、最高指揮官の指揮権限は飛躍的に拡大します。
 さて、その際、内閣総理大臣の自衛隊指揮権が自衛隊法に規定されたままでよいのでしょうか。さきに述べたとおり、私は、まず国会が九条制定過程の正確な事実調査を行うことが必要と考えます。その上で、仮に将来、自衛隊を憲法に位置付けるべきとの合意が国会でまとまるのであれば、集団的自衛権行使による指揮権限拡大を踏まえ、それは憲法に明記される必要性が生じると思います。
 ところで、その場合、内閣総理大臣の指揮権を制約、監視する仕組みが求められます。内閣総理大臣の判断の誤りで日本が戦争を行う危険を防ぐため、近代立憲国家においてその監視を行うべきは国会です。国会がいかなる方法でこれを制約、監視するか、真剣に議論する必要が将来生じると考えます。
 以上です。ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。
 高野光二郎君。
○高野光二郎君 自民党の高野光二郎でございます。
 先ほど、地方の実情、とりわけ四国の実情に非常に精通をしていただいている足立敏之議員から御紹介をいただきました高知県選出の参議院議員でございます。
 さて、御報告というか、御意見を申し上げます。
 昨年の参議院議員選挙におきまして、我が高知県は合区対象県となりました。
 高知、徳島では、高知県選出の候補者が一人も出ることができませんでした。全ての候補者が徳島県出身ということもあり、高知県の投票率は、辛うじて四五%を維持したものの、全国最低の投票率であり、過去最低の投票率、大変不名誉なものでございました。また、高知県の無効票は一万七千五百六十九票で、投票総数に占める割合は六・一%と最も高く、その中身が、合区反対と書かれた票やほかの人の氏名が書かれた票がこれだけ多く出ました。
 また、選挙投開票日においてNHKの出口調査、つまり投票に行った方にアンケートを取ると、高知県における合区に対する意識として、納得できないが七八%、納得できる人が二二%という結果が出ています。また、今年の六月に発表された高知市の選挙管理委員会が行った意識調査、これは、参議院選挙後の去年の秋から今年の春までに有権者五千人を対象にした意識調査でも、合区を良くなかったと答えた県民は七〇%以上おりました。
 また、我が高知県では選挙戦の大きな争点として合区の是非があり、選挙戦初日で高知に入られました当時の民主党枝野幹事長は公示日の第一声で、合理的な根拠がない恣意的な合区を四県だけに強いたのは自民党だと批判をされました。また、同氏は、合区自体を早く解消したいとした上で、法の下の平等を規定する憲法議論が必要として、多数党は公約に書いて党派色を出すのではなく、党派間で議論をしようと提案をする責任があるとまで述べています。これが二十県十合区の法案を出した公党の幹事長の発言です。
 昨年の第二十四回通常選挙において、自民党は、参議院の選挙制度については都道府県から少なくとも一人が選定されることを前提として、憲法改正を含め、その在り方を検討しております。参議院選挙後の十一月には、党本部に党所属の衆議院、参議院の幹部により構成をされる参議院合区解消PTを発足させ、参議院自民党の参院在り方検討プロジェクトチームにおいても合区解消の議論に着手し、十四回の会議、プラス役員だけの会議は八回にもわたり、有識者も招き、平成二十九年七月二十七日に報告書を取りまとめました。
 また、高知県議会は、全会派です、全会派一致で合区解消についての意見書を可決、そして三十四市町村も全てが合区解消の意見書を提出をしております。
 他党の皆様におかれましては、全国的な民意として醸成しつつある参議院選の合区の解消、都道府県代表の参議院議員の選出の意義を問う多数の民意をお酌み取りいただき、真摯な議論をお願いをしたいと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 有田芳生君。
○有田芳生君 民進党の有田芳生です。
 私は、今から四年前の十月になりますけれども、憲法についての非常に印象的な文章を読みました。皇后陛下お誕生日に際しての宮内記者会への質問に対する文書での御回答です。
 そこでは、憲法の議論に関わって、皇后陛下があきる野市の五日市を訪れたとき、郷土館で五日市憲法草案のことを見せていただいたことをしきりに思い出していると。つまり、明治憲法が公布される前に、当時の人たちは、地域の小学校の教員、地主、農民が寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案、そこには、皆さん御承知のように、基本的人権の尊重、教育の自由の保障、教育を受ける権利、法の下の平等、言論の自由、信教の自由など、現行憲法は百三条ですけれども、五日市憲法草案は二百四条書かれていた。こういう民間での努力というものが当時は全国各地で、四十数か所でつくられていた。このことを皇后陛下は、世界でも珍しい文化的遺産ではないかと思いますと感想を述べられております。
 そう考えたときに、今の憲法議論というのは、歴史的、思想的に捉えた場合に、本当に今憲法改正というものが必要なんだろうか、日本国民の中で憲法を変えなければいけないという声が、思いがほうはいとして立ち上がっているんだろうかということを考えれば、皇后陛下がおっしゃった五日市憲法草案の当時に比べても、日本全国で、例えば四十数か所で憲法草案が作られるというような状況にはないということをやはり立ち止まって考えてみる必要があるんではないかというふうに思いました。
 今からもう五十年ほど前なんですが、政治学者の丸山真男さんが、国家独占資本主義が深まったときには、ルール・オブ・ロー、つまり法の支配あるいは立憲的な手続がないがしろにされる、そういうときに何が必要かということを丸山さんの言葉で言えば、憲法実施闘争なんだと、つまり憲法を実現することなんだと、そういう主張でした。
 それからもう五十年がたちましたけれども、今、日本の社会を振り返ってみても、例えば憲法十三条、十四条、そして二十一条、そして例えば憲法二十五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、そういうことが五十年前に比べても今非常に厳しい状況になっているときに、もう少し歴史的、思想的に立ち止まって、今本当に憲法を変えなければいけないのかということをもう少し深めて考えていかなければいけないのではないかと、そのように思っております。
○会長(柳本卓治君) 山添拓君。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 私は、今、憲法九条を変える必要はなく、むしろ今ほど九条が必要とされているときはないと考えます。
 北朝鮮が核開発とミサイル発射実験を繰り返しています。地域と世界に重大な脅威をもたらし、国連安保理決議などにも反する暴挙であり、断じて容認できません。
 同時に、アメリカと北朝鮮とが軍事衝突、核戦争に発展すれば、日本を含め破滅的な被害が生じます。絶対に避けなければなりません。
 ところが、安倍首相は、全ての選択肢がテーブルにあるとするトランプ大統領と完全に一致したと述べ、軍事的手段を否定せず、アメリカに対し先制攻撃をやめるよう求めることすら行わない。圧力一辺倒でどう解決するというのでしょうか。米韓合同軍事演習やこれに呼応するような日米共同演習など、軍事的な圧力が緊張を一層激しくしている現実を直視すべきです。日本がミサイル防衛を強化し、イージス・アショアや敵基地攻撃能力を持つことは、この軍事的緊張を更に高めるものです。
 私は、経済制裁と一体に、危機打開のため、米朝が無条件での対話を直ちに行うべきと考えます。米朝協議を経て六か国協議の再開に持ち込む。平和協定締結と朝鮮半島の非核化に向けた道は、対話による平和的解決を掲げてこそ開かれます。この道は憲法九条に基づく武力によらない平和の政治、外交にほかなりません。そして、対話による平和的解決を求める声は、韓国、中国、ロシアを始め、ASEANやドイツ、フランスなど国際社会の圧倒的な大勢です。
 今年七月、国連では百二十二か国の賛成で核兵器禁止条約が作られました。日本政府は反対しましたが、核兵器の製造、実験、使用とともに、使用の威嚇を禁止し、核抑止力、核の傘という考えを否定する条約は、その後も多くの国に歓迎されています。被爆者の声、核廃絶を訴え続けた粘り強い運動が国際政治を動かしています。ノーベル平和賞に選ばれた国際NGO、ICANの川崎哲さんは、一万発もの核兵器を保有するアメリカで九・一一のテロが起きたことを挙げ、核兵器が抑止力にならないことは歴史が証明していると述べています。核抑止ではなく、全ての国が核を持たないと合意することによる安全保障を目指すのが世界の到達です。
 力で脅す平和から力によらない平和へ、武力によらない平和を誓う憲法九条と通ずる考えに世界が動いています。九条を持つ日本がこうした流れをリードすることこそが、国際社会に期待され、北朝鮮問題の解決にも貢献することを重ねて強調して、意見といたします。
○会長(柳本卓治君) 有村治子さん。
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
 自分の県から参議院議員を一人も出せないなんて地方創生の理念と全く逆行するではないか、地方を切り捨てるような参議院合区は一刻も早く解消してほしい、このような怒りや戸惑い、危機感を持って、全国知事会始め都道府県議会議長会、町村長会など、地方六団体全てが合区解消又は見直しに向けての決議を立て続けに出されています。
 四十七都道府県の有権者から選挙で選ばれている知事の集合体、市町村長などの首長、地域住民を代表する地方議会の集合体から民主的手続を経て次々に表明されたこの民意に、私たち国会はどう応えるのでしょうか。地方六団体全てが一つの例外もなく決議をまとめ上げて国会に要請しているという事実を私たちは重く受け止めなければならないと考えます。
 国会議員は全国民の代表であると規定する憲法四十三条を変える意図はなく、その必要もないと考えております。事実、今までもこの四十三条の下で参議院は、比例、いわゆる全国区と都道府県選挙区の二つの仕組みから成る議員選出の方法を取ってきましたし、この選挙区制度区分に違憲判決が出たこともありません。
 四十三条、全国民の代表という憲法の下で衆議院小選挙区で選出されている代議士も、議員、政治活動をしていますし、各都道府県から少なくとも一人参議院を出すという五十年以上の慣習をこの際憲法に明記したところで、全国民を代表するという四十三条と何ら矛盾することはないというふうに考えます。
 また、人口規模だけが民主主義国家を測る唯一の物差しであっていいのか、いま一度考えなければならないと思います。人口は少ないけれども、森林や水源など国土を守り、国境を成す離島や都市圏に人材やエネルギーや食料を供給している地域住民の参議院参画の機会を奪う権利は誰にもないはずでございます。相次ぐ大雪の除雪のための補正予算を重ねなければならないところ、高齢化率、限界集落が増える一方、あるいは、高い生活費を強いられながら離島を守り続けている方々の声も参議院に届くべきだと思います。
 弱い立場に置かれた人々にもしっかりと光を当てることも政治の大事な役割ではなかったか。そういう意味で、本当に票の価値の平等ということも極めて大事だということを改めて申し上げた上で、果たしてその上で、人口規模、すなわち人口の多い少ないだけが民主主義国家の政治参画を測る物差しであっていいのかどうか、いま一度誠実にこの現実を見詰めていきたいと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 大野元裕君。
○大野元裕君 民進党・新緑風会、大野元裕でございます。
 民進党は、安全保障法制に関わり、これまで集団的自衛権そのものを違憲であると断じたことはありません。しかしながら、その一方で、恣意的な、便宜的な憲法の解釈についてはこれを受け入れられないとする、その一方で、さらには、安全保障環境の変化については今後もしっかりと対応していくということを申し上げました。
 他方、一部の政党の中には、憲法の議論について、特に九条議論については、去る二十九日の北朝鮮によるミサイル発射等を取り上げて、これを典型的な例だと言っています。それならば、九月十五日に我が国の領土を通過したあのミサイル事案について、その決議を拒否し、あるいは審議すら行わなかった、我が国の国権の最高機関としての国会の意思をきちんと示さなかったこの我が国会の在り方を反省した上で、安全保障環境について議論をすることがまずは大事であるということを触れさせていただきます。
 その上で申し上げさせていただきますが、安全保障環境の変化については我々も同じ意見を共有しており、九条についても正面から議論をすることが私は必要と考え、先月には、私個人の名前ではありますけれども、九条改正論についても公表をさせていただきました。その中で、自衛隊という一行政組織を書き込むような憲法改正ではなく、やはり国際法に基づく制限された自衛権、そして国を守る責務、国民の命を守ることを正面から議論することが本来必要なものであると思っています。
 政治の世界での都合や、あるいは先ほど申し上げたようなその時々によって変わる安全保障認識ではなく、慎重に、そしてせっかくこのように審査会が再開をされたことですから、論憲の精神に基づき、さらには、平和憲法のこれまでの理念を引き継ぐ形で冷静な議論を行うことを望み、私の意見とさせていただきます。
○会長(柳本卓治君) 山谷えり子さん。
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 憲法は、国の基、最高法規です。国柄が反映され、社会の安定、人々の幸せに資するものであらねばならないと思います。
 日本国憲法は、占領下でGHQが僅か一週間ほどでまとめ、主権のなかった我が国に受入れを迫ったものです。また、施行より七十年、私たちの生活、国際環境は大きく変化しました。
 自民党は、今年十月の衆議院選挙で憲法改正を公約の柱に据え、自衛隊の明記、緊急事態条項、教育の充実、参議院合区解消の四項目を示して戦いました。
 憲法改正への国民の理解は広がりつつあります。都道府県議会で国会に憲法改正の早期実現を求める意見書決議が現在三十六都府県議会、七六%に上り、国会議員の憲法改正を前向きに考える声も八割を超えました。
 多くの国々は改正を重ねています。仕組みの異なる英国以外G7では、米国六回、フランス二十七回、ドイツ六十回、イタリア十五回、カナダ十九回。法治国家であるために、時代の変化に応えて柔軟性が必要です。
 もちろん、現憲法の平和主義、基本的人権、国民主権、基本原理は変えません。特に、平和主義は我が国の国柄そのもの、和を貴しとする日本人の生き方を守るため、合理性に基づく改正が必要です。我が国の安全保障上の懸念、防災上の不安の高まり、人生百年時代の教育、地方創生の視点、安全、安心、国民の幸福を守るため、状況は待ったなし、ゆるゆるとしていていいものではありません。
 現憲法には良い項目も多いのですが、主権国家として体を成していないところがあるのも現憲法です。国民の九割が自衛隊を認めているのに、憲法学者の六、七割が自衛隊は憲法違反だと言う。放っておいていいのでしょうか。
 緊急事態条項の重要性については、平成二十六年、衆議院憲法審査会で共産党を除く与野党七党が前向きでした。
 二年前まで私は防災担当大臣の任にありました。今後三十年間で七割の確率で起こると言われている南海トラフ巨大地震では三十二万人以上の死者、二百二十兆円を超える経済被害が予測されていますが、憲法に緊急事態条項を位置付け、何ができるかを明確にしておかなければ、大規模災害などに直面したとき、法治国家として被害を最小化し国民を守れないと感じています。
 この憲法審査会は、充実議論、具体的発議で国民のための責任を果たそうではありませんか。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 民進党の小西洋之でございます。
 私は、憲法審査会の役割は、国会法に定められている憲法問題を調査する、憲法違反を含めて憲法問題を調査し、そして改正原案の審議を行うとされているところでございます。
 こうした憲法問題を議論する前提として、日本国憲法がよって立つ根本原理である立憲主義、そして日本国憲法が採用する平和主義などの考えについて、各党の考え方をしっかりと確認をしておく必要があろうかと思います。
 昨年の衆議院の憲法審査会の自民党の代表見解表明におきましては、近代立憲主義とは、権力の分立により、基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方というふうにおっしゃられております。近代立憲主義とは権力の分立により権力を制限するという言葉をかたくなに使用されず、権力を分立するという言葉をされております。
 磯崎幹事に伺いたいんですけれども、自民党の考える立憲主義の定義とは一体何でしょうか。
 また、先ほど希望の党の松沢委員におかれましても、立憲主義について、制限規範とそして目標規範、そしてもう一つの授権規範というふうにおっしゃられましたけれども、憲法が何たるかの立憲主義の根幹は制限規範でございますので、それにほかの考え方を総合的に併せて立憲主義を捉まえるとした瞬間に、私は、制限規範の考え方が大きく後退するおそれがあります。希望の党として、立憲主義を公党としてどのように考えていらっしゃるのか、この場で明らかにしていただきたいと思います。
 また、昨年の衆議院憲法審査会におきましては、自民党の代表幹事が同じく、日本国憲法の平和主義は、憲法改正の限界を超えるとおっしゃいました。また、先ほど磯崎幹事も、平和主義を揺るぎないものとして尊重するとおっしゃいました。では、自民党が公党として定義する憲法における平和主義とは憲法の文言のどこを指すのでしょうか。
 御案内のとおり、確立した政府見解におきましては、憲法の平和主義とは九条ではなくて、その九条の法的母体である前文に書かれてある三つの文言、全世界の国民の平和的生存権を有することを確認するなどの理念というふうに言われております。自民党の考える前文の平和主義というものが一体何なのか。
 また、自民党の石破議員は、九条二項の戦力を削除するというふうにされておりますけれども、最高裁の判決におきまして、九条は前文の平和主義が具体化した規定であるというふうにされ、これは政府見解ともされております。であるならば、九条二項の戦力を削除した瞬間に、その法的母体である前文も変わらなければならない。つまり、前文の削除が必要となる。これは、自民党の言われている改憲方針の、改憲の限界を超える、あるいは平和主義を揺るぎないものとして尊重するのと矛盾すると考えられますので、公党としての根本的な見解としてお示しいただきたいというふうに思います。
 また、続いて、自衛隊明記の改憲がございましたけれども、先ほど白眞勲筆頭幹事からの見解にありましたように、四十七年見解の不正行為で再度国民をだます虚偽行為になるということでございます。
 改正は天皇が公布することになっております。国民投票の無効訴訟も行われる暴挙となるでしょう。こうした問題について憲法審査会でしっかり議論することをお願い申し上げます。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 二之湯武史君。
○二之湯武史君 自民党の二之湯武史でございます。
 憲法は国の最高法規ではございますが、一方で、永久の不磨の大典ではないと、まさにそのとおりだというふうに思います。時代の要請によって、憲法をタブー視せずに議論することこそが国民から負託を受けた国会議員の役割であるというふうに思いますし、そういうことを通じて、我が国の持続的な発展、また国民の幸福を保障するということにつながっていくんだろうというふうに思っております。
 特に、戦後、日本国憲法下における我が国の大きな変化の一つが、地方から都市部への人口の移動、それによる地方の衰退という部分だというふうに思っております。そういった中で、地方が果たす役割、これは人口という一つの指標で測れるものではないと私も思っております。
 例えば、離島部、国境離島と言われる多くは地方と言われる地域に属しております。この地域に人の営みがあることこそがまず第一の安全保障上の生存条件でありまして、そういったところが揺らぐというのは、国益に私は大きく反すると思います。また、国土の三分の二が森林であります。また、海洋面積も世界で第六位ということでいいますと、こうした自然環境、これもいわゆる地方と言われる地域に大きく依存しているところでありまして、地球環境や、また水源の涵養といった、人類、我が国国民の生存に非常に重要な役割を果たしているわけでもあります。また、食料生産という意味でも地方という地域が担う役割は大変大きい。
 こういう総合的な地方の役割というものを考えたときに、やはり我々が主張しておりますように、明治維新以来百四十年以上にもわたる都道府県という単位が国民に長らく定着し、そして、今申し上げたような様々な地域の実態を国益という観点でこの国政の場で議論をする。そういった意味で、都道府県の代表としての参議院議員という役割をしっかりと憲法に位置付けていく、そして合区を解消し、この憲法下で都道府県から代表者を国政に送っていく、こういうことを我が党は今議論をしているところでございまして、四十七条、また九十二条というところで、それぞれ都道府県代表、また都道府県を広域的な地方自治体ということで位置付けて今のような時代の大きな変化に対応する、そうした国の在り方をしっかり憲法にも書き込んでいくべきだというふうに私は考えております。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 宮沢由佳さん。
○宮沢由佳君 民進党の宮沢由佳です。
 憲法審査会での発言は初めてですので、よろしくお願いいたします。
 さて、昨年の憲法審査会で自民党の委員の中からこのような発言がございました。
 その自衛隊を、国際法上は軍隊と認識されるが、なぜか憲法上では軍隊でないという不安定な位置付けのまま放置しておくことは、主権国家として無責任だと思っておりますという発言です。自民党総裁や選挙公約によると、軍隊ではない自衛隊を憲法に明記すべきだとしており、この発言と明らかに相入れないと思います。
 そもそも憲法上戦力の保持が認められず、自衛のための必要最小限の実力に限定され、交戦権も認められない制約が課せられています。そのため、自衛隊は専守防衛のための組織とされ、軍隊とは全く性格が異なっています。自衛隊は軍隊ではありません。この御発言のとおり、自衛隊が国際的には軍隊であるなら、外国は自衛隊を戦力を持っていると認めていることになります。
 政府は、対外的な常識では戦力を持っていることを認識しながら、国民には最小限の実力と説明したことになります。もちろん、世界情勢によって最小限の実力の意味も変わります。しかし、戦力は憲法上保持できません。憲法尊重擁護義務を負っている政府が、このようなダブルスタンダードを許してはいけないと思います。御発言のとおり国際法上軍隊と認識されているとしたら、政府は、軍隊ではない、憲法九条の平和理念に基づいた組織であるということを強く主張しなければならないのではないでしょうか。
 加えて申し上げれば、私は、軍隊はもちろん、自衛隊を憲法に明記することに反対です。憲法九条があるから日本は戦後七十二年間戦争に巻き込まれなかった事実があります。世界的にも憲法九条は高い評価を受けています。憲法に自衛隊を書き込むよりも、日本が世界平和を誠実に望む国家だということをアピールすべきではないでしょうか。紛争解決には平和国家として外交努力を積み上げていく、そんな国だと世界中が認識してほしいと思います。そして、次世代を担う子供たちに平和な国を託せるように努力をすることが私たち大人の使命だと思っています。
 自衛隊には自衛隊法、PKO法などがあり、法律の規定で運用され、特に問題はありません。問題があれば、憲法に沿った法律で対処できます。国民も、自衛隊の日夜の国防業務、災害派遣や国際平和貢献などを考えると、憲法に明記せずとも自衛隊の存在を認めていると思います。したがって、今自衛隊を憲法に明記する必要はないと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 舞立昇治君。
○舞立昇治君 自民党の舞立昇治です。
 二院制と選挙制度に関し、意見を述べます。
 民主主義の日本では議院内閣制を採用しており、二元代表制ではないため、行政府たる内閣、そして内閣と常に抑制、均衡の関係にある衆議院の補完、チェック機能を果たすためにも、二院制は今後も必要と考えます。
 その上で、衆議院は総理指名の優越を有しており、政権選択を通じて民意を集約する役割を持っているのに対し、参議院は解散がなく、半数改選で任期も六年と長期間あるため、政策議論の安定性や継続性が担保されるとともに、民意の集約というよりも、多様な民意を反映する役割を持っていると思います。
 また、衆議院の場合、民意の多数派が政権担当機能を持つため、民意の多数派と議席の多数派が一致する必要があることから、投票価値の平等が厳しく求められますが、参議院の場合、むしろ良識、熟慮の府として専門的な政策を議論できる人材確保や、人口優先の衆議院ではおろそかになりがちな人口の少ない地方の声の反映などの観点がより重視されるべきと思います。
 なお、参議院も衆議院と同じ投票価値の平等が必要との考えは、結局は同じ民意の集約になる点から一院制でよいとの主張にしか見えず、全く賛成できません。
 二院制下の参議院の在り方としては、中長期的に専門的な政策議論を行う職域、職能を基盤とする代表と、人口少数地域を含め、国土全体にわたり適切に参政権が保障される地域、地方を基盤とする代表と、この二本立ての構成が改めて最も適当と思いますし、地域、地方の基盤となる単位は、百年以上の歴史ある都道府県が最もふさわしいものとして国民にも定着していると思います。しかし、現在、平等な都道府県制度の見直しもない中で合区がなされ、特定の地域で地方切捨てや参政権の侵害等に対する不平等感が高まっています。
 戦後から現在に至るまで、人口が五千四百万人増加しましたが、そのほとんどは三大都市圏に集中しました。これほど急激な人口変動なり東京一極集中、それに伴う少子化、人口減少社会への突入は、憲法制定当初、誰も想像できなかったと思います。この深刻な事態に対し、最高裁が都道府県を選挙区の単位とする憲法上の要請はないと言ってしまった以上、都道府県を選挙区の単位として人口主義に一定の歯止めを掛ける憲法改正を行わなければ、根本的な解決にはなりませんし、地方創生もできません。
 現在、合区の解消を主張する政党は自民党くらいですが、全国知事会を始め地方六団体の全てが合区解消の決議等を行っている状況を各党は重く受け止め、地方を重視するのかしないのか、真摯に御検討いただきたいと思います。
 最後に、規律密度の低い現行憲法のままでは、合区拡大に歯止めが掛からず、国政から地方の声がどんどん切り捨てられ、地方も国も将来先細りするだけですので、是非、最も緊急性が高い合区解消を憲法改正の最初のテーマの一つとして当審査会で御議論いただくようお願い申し上げまして、終わります。
○会長(柳本卓治君) 牧山ひろえさん。
○牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえです。
 参議院の合区に関する考え方を述べさせていただきたいと思います。
 参議院の選挙制度における一票の格差を是正する方策として、平成二十七年の改正により合区が導入されています。これにつきましては、平成二十八年参議院選挙後の定数訴訟に関し、今年九月の最高裁判決において合憲と判断が下されております。ですが、この合区制度に関しましては、自民党内で強く解消を求める主張がなされ、前回衆議院選挙の公約にも記載がなされました。
 一方で、参議院の選挙制度につきましては、平成二十七年に成立した合区を定める公職選挙法の改正におきまして、その附則で、平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差是正などを考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとすると規定されています。この問題に関しては、残された時間は少ないです。
 先ほども申し述べましたように、憲法改正により合区を解消すると自民党は衆議院選挙の公約に記載しています。ということは、次の参議院選挙に間に合わせるスケジュールで拙速に憲法改正を進めるという懸念がございます。それとも、憲法改正ではなくて、法律改正によってこの二十七年改正時の附則の規定に対応する方針なのかどうか、その辺りを明確にするべきではないかと思います。
 私は、憲法改正の議論は、期限が決まった窮屈なスケジュールでやるべきではなく、しっかりとコンセンサスを目指し、じっくりと議論を行うべきと考えております。この参議院選挙制度改革についての憲法改正に関する取扱いを各党は明確にするべきではないかと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 西田昌司君。
○西田昌司君 私は、憲法問題の根本はやっぱり占領中に作られたという事実ですね、そこのところが国民にまだ深く理解できていない、そこがやっぱり大事な問題だと思います。そして、笑っておられますけれども、よく聞いてくださいよ、なぜ作られたのかといえば、占領中にGHQが占領目的を完遂するためです。
 じゃ、その占領目的は何だったのかというと、当然これは日本の非武装化です、二度と武力を持たさない。それから、日本の民主化、そして日本の歴史観そのものをアメリカの、連合国の歴史観に変えていく。そして最大のものは、もう一つは膺懲ということだった、日本を懲らしめるということです。ですから、戦後の日本が戦争が終わったにもかかわらず経済的に疲弊していたのは、国家予算の大半をGHQの占領経費、これを終戦処理費という形で日本自身が負担していたという事実を忘れてはならないと思います。
 ところが、それがなぜそれじゃ自衛隊を持つようになったのかと。実は、昭和二十一年の帝国議会では、自衛隊も含め、自分たちの国を守るという自衛権すら放棄すると吉田茂は言っているわけですよ。ところが、昭和二十五年になったときに、今度は独立国なら自衛権は存するという形になり、再軍備をしたわけです。その裏にあるのは、GHQの占領目的が変わったからです。
 それはどう変わったかというと、前までは、要するに共産主義も含めてアメリカ側は連合国となっていた。ところが、その当時、いわゆる東西冷戦、朝鮮戦争の勃発というのはその典型でありますけれども、世界中が西側、東側に変わってしまったわけです。アメリカは日本を西側諸国に取り入れるために、今度は膺懲ではなくて援助をやってきた。その代わりに、もう一度再軍備をしろということになった。どちらにしましても、占領時代につくられたこの占領政策の変更、日本は占領中ですから、当然嫌と言えないわけです。その嫌と言えないものをそのまま、占領中ですから、仕方ないからのんだと。
 しかし、問題は、そのことを国民に知らせていない。これは政治家もマスコミも大きな責任があると思っています。当時はプレスコードが掛かってできなかったということですが、今はそのプレスコードが終わって、そして、その占領政策も見直すことができるのにもかかわらず、いまだにそのことが根本から議論できていない。是非、私は、憲法審査会ではそういう根本のところに立ち戻った議論をまずしていくべきだと思っております。
○会長(柳本卓治君) 白眞勲君。
○白眞勲君 民進党の白眞勲でございます。
 今までずっと憲法審査会、この約二時間程度ずっとお話を、自民党の先生方からもいろいろ話を聞きましたけれども、自民党の憲法草案について一人としてお触れになっていないんですね。これは何でだろうなと、こう私は思っているんですね。安倍総理が自ら、二十一世紀にふさわしい憲法草案だというふうに高らかに宣言したものについて、これだけ多くの自民党の先生方がいらっしゃっても、一言も誰も言わない。どういうことなんだろうかなと。
 去年、たしか、これについてどうなんですかと言ったら、バージョンアップしますということを自民党の方からお話がありました。これについて、一体、自民党憲法草案と今の皆様の御意見、あるいは今検討されていることとの整合性について、是非これ御説明願いたいなというのが一つあります。
 それともう一つは、合区の件についても多くの先生方からありました。であるならば、これは検討したんでしょうかね、要は人数増やせばいい話で、参議院の人数を増やしていって、逆に、これは衆議院の話だから、ハウスが違うから言っちゃいけないのかもしれないけど、例えば、衆議院百減らして参議院五十増やせば、国民は、別に合計で五十人減るんだからいいじゃないかみたいになるわけで、こういった検討というのはされたんですか。
 そうすれば、多くの皆さんは何か島の話とかされましたけれども、人口の少ない地方の声もしっかりと聞くことができるんじゃないんでしょうか。こういったことについても、実際にちゃんとこれは議論した上でこの憲法審査会でお話しされているのかどうか、これも併せて聞きたいと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 二之湯智君。
○二之湯智君 参議院の在り方について所見を述べたいと思います。
 GHQ草案では一院制となっていましたが、衆議院に対する抑制機関、そして慎重な法案審議を尽くすことが重要であるという日本国政府の強い意向で、貴族院に代わって参議院が創設され、二院制が維持されました。参議院議員の定数は当初二百五十人で、選挙区百五十人、そして全国区百人が三年ごとに半数が国民の直接投票で選出されることになりました。
 当初、全国区で選ばれた参議院には無所属議員が多く、多くの文化人、有識者が議席を占めておりました。しかし、選挙というハードルを越えるためには、職域の組織、政党の組織が必要となってきて、無所属で選挙を戦うことは難しくなって、参議院議員の政党化が進んでまいりました。したがって、議院内閣制を採用する我が国では、衆参両院の審議の内容、意思決定も所属政党の影響を受けることが多く、参議院は衆議院のカーボンコピーとやゆされ、参議院無用論もささやかれ、その存在が無駄であると批判されたこともありました。
 だが、参議院は、創設の目的からいっても、憲法、法律の許される範囲内で参議院の独自性を発揮しなければなりません。参議院議員生活十三年の経験から感ずることは、各委員会の審議が深められるということはよく理解できますが、衆議院と重複する内容が多く、少し無駄が多いという印象を持ちます。衆議院、参議院の機能分担、役割分担をして、与えられた分野の議論に時間を費やすべきだと考えております。
 議決に関しまして、党議拘束を外して参議院の独自性を発揮するべきだという声が多くありますが、ほとんどの議員が政党に所属しており、その上議院内閣制を採用している以上、現状を考えるとなかなか実現は難しいと思います。それよりも、衆議院と参議院の役割分担をして、六年間の任期を与えられている参議院議員は、国家の基本的問題であり重要問題である外交防衛、教育を中心に審議をしたらと思います。
 衆議院の小選挙区比例並立制の下では、衆議院議員の選挙区が非常に狭く、議員は視野が狭くならざるを得ません。参議院の選挙区議員は都道府県の有権者から選ばれる、比例区は日本全国から選出される、したがって、広い視野に立つ参議院議員の役割と責任はますます大きくなってきております。それにふさわしい権限と役割を参議院に与えるべきだと思います。
 以上です。
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 二度目の発言を恐れ入ります。
 私から、まず、憲法の制定起源について一言申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほど西田委員から、占領中に作られた憲法であり、日本を懲らしめるという目的というようなことを言われましたけれども、先生方御案内のとおり、自由選挙の下で選ばれた制定議会において、国民主権という文言、生存権、教育を受ける権利、そして男女平等のアメリカ合衆国憲法にもないような規定、人権法典の充実度に比べましてはアメリカ合衆国憲法をはるかに凌駕する、今なお世界屈指のすばらしい憲法が我が日本国憲法であると理解しております。
 また、吉田茂総理の昭和二十一年の自衛権の名の下の戦争を全て放棄した趣旨の発言ですけれども、僅か四日後に、その発言の僅か四日後にそれを訂正して、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、そうした場合においても自衛権の発動を放棄したものではない、そうした趣旨に答弁を明らかにしております。また、繰り返しそうした旨の答弁、吉田茂首相の答弁についてはそういう意味だというふうに政府は説明しているわけでございます。
 私の方で幹事会に議事録を提出させていただきますので、会長のお取り計らいで委員の全員にその議事録を配付いただくようにお願いを申し上げます。
 また、昨年のこの憲法審査会の白眞勲筆頭幹事の民進党の代表意見の中で、法解釈ではない不正の手口による解釈変更とそれに基づく安保法制を放置して、我が憲法審査会が改憲の議論を行うことは絶対に許されないとの発言をしております。その趣旨について私から触れさせていただきたいと思います。
 憲法九条において、法論理でない不正の手段で集団的自衛権を可能にした、これは絶対の違憲でございます。それを発動すれば、自衛隊員や国民は必ず死にます。そして、今それが安保法制の下で可能になっております。発動されてではもう手遅れでございます。あのとき、憲法審査会、衆参の憲法審査会は一体何をしていたのか。憲法審査会は、国会法の定めで、憲法問題、違憲問題を調査する委員会でございます。そのことが、我々、国民に対して、国民の命の責任を持っているということでございます。
 またもう一つ、安保法制については、解釈変更の際に、内閣法制局に、集団的自衛権がなぜ可能なのか、その法的な審査をした資料が一枚も残っていない。前文の平和主義との関係でも、なぜ集団的自衛権が可能なのか、後方支援が可能なのか、一枚の審査資料も残っていない。そうしたことが国会答弁で明らかになっております。また、かつての参議院の本会議決議、個別的自衛権のみを九条の解釈で許すと、そうした本会議決議とも矛盾します。
 こうした議会政治のプロセスをこれでもかと全てじゅうりんして作ったのが安保法制でございます。この議会政治の破壊、立憲主義、法の支配の破壊を放置して、憲法改正の議論、憲法改正の発議をすることが我々に許されるんでしょうか。そうしたことを是非御議論いただきたいと思います。
 最後に、会長に調査をお願いしたい、幹事会に諮っていただきたいんですけれども、昭和四十七年政府見解に作成当時から集団的自衛権を合憲とする九条解釈の基本的な論理が存在する、それが事実かどうか、しっかりとこの幹事会で議論をすることを是非お願いするとともに、先ほど申し上げました立憲主義と平和主義の見解について、各党の見解も幹事懇でしっかりと、幹事会で議論をする、そのことをお願いさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) ただいまの小西委員の件につきましても、後刻幹事会で協議いたします。
 岡田直樹君。
○岡田直樹君 ありがとうございます。
 先ほど白先生からお尋ねのありました、平成二十四年の自民党の日本国憲法改正草案というものはどういう位置付けかということでございますが、これは我が党の自由闊達な憲法論議を踏まえた上で発表いたしました党の公式文書の一つであると、直近のものということでありますけれども、我が党はこれまでも憲法論議を重ねて何度も草案や中間報告を行ってきた、その公式文書の中の直近の一つ。
 それで、情勢の変化もいろいろございますし、二十四年草案やその一部を切り取るような形でそのまま審査会に提案することは考えていないということはこれまでも申し上げてきましたし、これから憲法審査会において各党各会派において御意見を持ち寄っていただいて、丁寧な合意形成を図っていくべきものだというふうに思っております。
 それから、今、小西先生からもお話がありました平和安全法制のお話でございますけれども、憲法には自衛権の記述がなくて、自衛隊の存在も含めて憲法解釈がなされてまいりました。合憲か違憲かを確定する唯一の機関は、憲法の番人と言われる最高裁であります。自衛隊について示された唯一の最高裁判決は、御存じのとおり、砂川事件判決でありまして、最高裁は、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然という考えを示したわけであります。
 平和安全法制は、国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることが条件といたしておりまして、あくまでも砂川判決の言う自衛の措置に限られるというふうに解釈しております。大きく変化した安全保障環境に対して法的安全性にも十分留意して慎重に検討したものでありまして、最高裁判決の範囲内であることは明白であるというふうに思っております。
 また、昭和四十七年の政府見解が示した自衛のための必要最小限度の武力の行使しか認められないという憲法解釈の基本的な論理を維持しておりまして、立憲主義に反するという御指摘も当たらないと思っております。
 立憲主義というのは、やっぱりそれは権力を縛るという側面があるということはもちろんでありますし、それが近代の憲法の原則であろうと。このことを、私どもは立憲主義ということを否定するものでは全くないということを申し添えて、私の意見を述べさせていただきました。
 ありがとうございました。
○会長(柳本卓治君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、以上で意見交換を終了いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
   午後三時二分散会