第196回国会 国民生活・経済に関する調査会 第3号
平成三十年二月十四日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月八日
    辞任         補欠選任
     そのだ修光君     自見はなこ君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         増子 輝彦君
    理 事
                井上 義行君
                上野 通子君
                中西 健治君
                石上 俊雄君
                横山 信一君
                岩渕  友君
                藤巻 健史君
    委 員
                朝日健太郎君
                小川 克巳君
                自見はなこ君
                進藤金日子君
                豊田 俊郎君
                中泉 松司君
                中西 祐介君
                元榮太一郎君
                山田 修路君
                難波 奨二君
                吉川 沙織君
                高瀬 弘美君
                宮崎  勝君
                川田 龍平君
               薬師寺みちよ君
                平山佐知子君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        林  浩之君
   参考人
       立教大学大学院
       特任准教授    稲葉  剛君
       社会福祉法人わ
       たげ福祉会理事
       長
       特定非営利活動
       法人わたげの会
       理事長
       仙台市ひきこも
       り地域支援セン
       ター長      秋田 敦子君
       和光大学現代人
       間学部教授    竹信三恵子君
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  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構
 築」のうち、豊かな国民生活の実現(若年者を
 めぐる格差への取組)について)
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○会長(増子輝彦君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、そのだ修光君が委員を辞任され、その補欠として自見はなこさんが選任されました。
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○会長(増子輝彦君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。
 本日は、「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」のうち、「豊かな国民生活の実現」に関し、「若年者をめぐる格差への取組」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席をいただいております参考人は、立教大学大学院特任准教授稲葉剛参考人、社会福祉法人わたげ福祉会理事長・特定非営利活動法人わたげの会理事長・仙台市ひきこもり地域支援センター長秋田敦子参考人及び和光大学現代人間学部教授竹信三恵子参考人でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 御多忙のところ、本日、本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、皆様方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず稲葉参考人、秋田参考人、竹信参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、稲葉参考人からお願いいたします。稲葉参考人。
○参考人(稲葉剛君) 本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私からは、若年層に広がる住まいの貧困というタイトルで、特に大都市部において若者が住宅の確保に困難を感じているという現状とそれへの対応策はどうあるべきかという点についてお話をさせていただきます。(資料映写)
 私自身は、一九九〇年代の半ばから、主に住まいを失った生活困窮者の相談支援活動を行ってまいりました。その中で、十代、二十代の若者のこういう生活困窮者の相談を受ける機会も多くなってきているんですけれども、こうした生活に困窮している若者の相談を受ける中で、若者が生活困窮に至る二つのパターンがあるのではないかというふうに考えております。
 一つは、貧困の世代間連鎖の問題です。
 二〇一〇年に、NPO法人ビッグイシュー基金という団体が中心となって、若者ホームレス五十人への聞き取り調査が行われました。これは若者ホームレス白書という形でまとまっているものです。この五十人の若者ホームレスの中で、実に六人が児童養護施設の出身者である、そして三人が親戚宅の出身者であるということで、五十人中九人が実の親以外に育てられているという状況があります。
 近年、子どもの貧困対策法の下で子供の貧困対策が進められ、貧困の世代間連鎖が起こっているということが大きな社会問題としてクローズアップされてきました。私自身がお会いした若者の中でも、児童養護施設を十八歳で出て、そして住み込みで働いていたけれども、その会社が倒産してしまったと、そうすると、もう帰る場所がなくてそのまま路上生活になってしまったというような方もいらっしゃいました。
 こうした問題については、貧困の世代間連鎖を止めようということで、現在、政府においても、公的な給付型奨学金の創設であるとか、あるいは児童養護施設を出た若者たちへの住宅支援等も進められているところではありますけれども、こうした対策をもっともっと進めていただきたいというふうに願っております。
 あともう一つのパターンといたしましては、実は、私たちが相談している若者の中には、大学を出て一回は正社員として就職した若者たちもいらっしゃいます。なぜ彼らが生活に困窮するのかといいますと、その就職した先の企業がいわゆるブラック企業と言われるところで、非常に過重な労働、睡眠も与えないようなオーバーワークをさせると。その結果、結果的にうつ病などの病気を発症してしまって働けなくなってしまって、一時的に親御さんに頼ったりするんですけれども、なかなか状況が改善しないまま時間が経過してしまって、最終的には親との関係も悪くなって、そして家にもいられなくなって外に出てしまうと。その結果、ネットカフェ難民になったり路上生活になったりという方もいらっしゃいます。
 この問題についても、厚生労働省の方でブラック企業に対する規制というのが始まっておりますけど、こうした点も今後強化していただきたいというふうに願っております。
 本日は、特にそうした若者の貧困の中でも住宅問題についてお話をさせていただきたいと思っているんですけれども、住まいを失った生活困窮者というと、まず思い浮かぶのはホームレスの人たちということになります。
 日本では、二〇〇二年にホームレス自立支援法が制定されまして、その下で二〇〇〇年代に入って本格的なホームレス対策が行われてきました。官民の支援が整った結果、近年ではホームレスの人たちの数というのは激減しております。厚生労働省の統計では、これまでホームレスの数が一番多かったのは二〇〇三年で約二万五千人ですけれども、現在では六千人を切っていると。
 ただ、この統計を見る際に注意していただきたいのは、この調査が昼間の目視調査であるために、夜間は夜間だけ野宿している人がカウントされないという傾向があると。民間団体の調査では夜間の実数はこの数の約二・五倍になるというような調査結果も出ておりますので、その点は留意していただきたいんですけれども、ホームレス対策という点においては着実に効果を上げているということが言えるんじゃないかなと思っております。
 ただ、問題点は、このホームレス自立支援法におけるホームレスというのが、路上とか公園とか河川敷、いわゆる屋外に暮らしている人のみがホームレスというふうに定義されているという問題があるということです。
 私は、二〇〇九年に「ハウジングプア」という書籍を発行いたしまして、この中で、国内において住まいの貧困が広がっていると、狭い意味のホームレスだけではなくて、例えばネットカフェに暮らしているとか、二十四時間営業のファストフード店にいるとか、カプセルホテルやサウナにいるとか、あるいは友人宅に居候しているとかいったような、路上一歩手前の人たちが広がっているんじゃないかという点について問題を提起してまいりました。
 例えば、二〇〇八年から二〇〇九年にかけては派遣切りの問題が起こって日比谷公園では年越し派遣村も行われましたけれども、そのときに派遣村に駆け込んできた方の多くは、住み込みで働いていた方、派遣会社が用意していたマンションやアパートに暮らしていた方ということで、この問題についてもやはり住まいの貧困の問題というふうに考えることができるんではないかなというふうに思っております。ここに逆三角形の図を出しましたけれども、現在ホームレス自立支援法が対応しているのは一番この下の三角形の部分だけであって、その一歩手前の人たちも含めて全体をきちんと調査、把握をして対策をする必要があるというふうに考えております。
 こうした問題については、私たち、本格的な実態調査の実施をずっと求めてきたんですけれども、今年に入って東京都が初の実態調査を行った結果を発表しております。東京都が今年の一月二十六日に住居喪失不安定労働者、いわゆるネットカフェ難民の調査結果を発表しておりまして、その中で、東京都内、都内だけですけど、東京都内で約四千人がネットカフェで生活をしていると見られるという調査結果を出しております。この住居喪失者のうち、三十代が三八・六%、二十代も一二・三%ということで、二十代、三十代だけで約半数に達しているという状況があります。一方で、五十代の方も多くて、五十代の方も約三割、二八・九%いらっしゃるということです。
 ネットカフェ難民というと、ともすれば好きでそういうライフスタイルを選んでいるというふうに見られがちなんですけれども、この調査結果から浮かび上がっているのは平均月収が十一万四千円しかないと、中には全く収入がないという方もいらっしゃるので、働いている方に限っても約十二万円しか収入がないという実態です。そうすると、ネットカフェに泊まるお金すら確保できないという日も出てきますので、仕事がないときなどには路上にいると、路上生活もしているという方が全体の四三・八%に上っておりまして、路上とネットカフェを往復しているような人たちが多数いるということがこの調査結果からも分かっております。一日当たりの食費も一千百円ということで、かなり苦しい生活をされている実態が明らかになっております。
 都の調査では、この人たちが住宅の確保に当たってどういう問題を抱えているかという点についても聞いております。
 その中で一番多い回答、六二・八%は、入居に必要な敷金、礼金等の初期費用を用意することができないというものです。東京や大阪などでは、月々のアパートの家賃も高いんですけれども、入居する際に敷金、礼金、あるいは不動産手数料、あと最近では家賃保証会社というのを使うケースが増えているので家賃保証会社の保証料、火災保険等、約二十万円ほどお金を用意する必要があります。そうしたお金を用意することができない、派遣労働をしたりとか日雇の仕事をしながら何とか自転車操業でネットカフェに暮らしてはいるんだけれども、そこから蓄えをつくってアパートに入るということはできないという実態が浮かび上がっております。
 ほかにも、アパートに入ったとしても家賃を払い続けられるほどの安定的な収入がないといった答えや、あるいはアパートに入る際の保証人が用意できないといったような回答もあって、住宅確保に様々なハードルがあるということが分かっております。
 ただ、こうした問題というのは、ともすればごく一部の人たちの問題というふうに見られがちなので、そうではないということを言いたいがために、もう一つ調査を紹介させていただきます。
 こちらは、二〇一四年に私も参加して行った調査です。NPO法人ビッグイシュー基金が中心となって若者の住宅問題という調査を行っています。こちらについても調査結果の冊子がまとまっておりまして、ホームページでダウンロードすることができます。こちらの調査は、首都圏と関西圏に暮らす二十代、三十代の未婚で個人の年収が二百万未満の若者千七百六十七人、ほぼ男女半々ですけれども、その人たちにインターネットを通して調査をしたものです。
 ちなみに、今の二十代、三十代で未婚で個人の年収二百万という人たち、どれぐらいのボリュームいるかというと、全体の三割、三〇%という数になります。かなり大きな割合でそういう方がいらっしゃるということです。いわゆるワーキングプアの若者ということであります。こうしたワーキングプアの若者がどこに居住しているのか、どういう住宅状況にあるのかというのをこの調査では調べました。
 その結果、七七・四%、実に八割近くの方が親と同居しているというふうに答えております。この親と同居という問題については、以前パラサイトシングルという言葉があって、そのイメージが強く残っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ただ、昔パラサイトシングルとか独身貴族とか言われたように、好きで親元にいてある程度豊かな生活をしているというイメージから懸け離れた実態がこの調査では明らかになっております。収入が非常に低いために親元から出られないということが分かってきております。
 その証拠に、この調査ではホームレス経験がありますかということも聞いています。ここで言うホームレスというのは広い意味でのホームレス、路上生活だけではなくて、ネットカフェでの生活や友人宅での居候も含めて、安定した住まいを喪失した経験はありますかという質問をしているんですけれども、その問いに対して実に六・六%の人がホームレス経験ありというふうに答えております。これは十六人に一人という割合になります。
 さらに、先ほど大体四分の三の若者が親と同居しているというふうに答えておりますけれども、逆に言うと四分の一の若者は親と別居しております。つまり、自分でアパートとかマンションを確保して暮らしているということになるんですが、この親と別居している若者たちに同じ問いをしたところ、一三・五%がホームレス経験ありというふうに答えております。
 一三・五%というと七人から八人に一人ということで、かなり高い割合でホームレス、住まいを失った経験をしているということでして、こうした数字が示しているものというのは、今の若い人たち、特に大都市部に暮らす若者たちにとって、自分で住まいを確保するということが大変リスクの高い選択になってしまっていると。住まいを借りるということが、イコールもしかすると自分がホームレス化してしまうというリスクを抱え込んでしまう。それほどまで住宅確保のハードルというのが高くなっているという実態を示しているというふうに思います。
 一方で、相談できる相手について、特に男性で四六・七%、相談相手がいないということで、かなり孤立している実態も明らかになっています。
 更に深刻なのが、同じこの若者の住宅問題の調査の中で結婚に関する意向を聞いております。その結果がここに示したものですけれども、結婚したいと思わない、三四・一%、将来結婚したいが結婚できるか分からない、二〇・三%等となっておりまして、合わせると約七割の若者が結婚に消極的あるいは悲観的な傾向を示しているということになります。結婚したいし結婚できると思うと答えた若者は僅か六・六%です。結婚の予定があるという人も二・五%しかいなくて、結婚に対して前向きな方というのが全体の一割にも満たないという実態があります。
 もちろん、私、結婚だけが人生の在り方として正しいと言うつもりはありませんけれども、こうした状況というのは、若者が今自分の住まいを確保することすら困難になっている、ましてや将来に対する見通しを持てない、自分の人生に対する見通しを持てないという実態がこうした数字によって明らかになっているんじゃないかなというふうに思います。こうした七割が結婚に対して消極的、悲観的という数字は、ある意味社会の持続可能性の危機に陥っているんじゃないかというふうに考えます。
 欧米では、こうした若者たちに対する住宅支援というのを、人生のサイクルを前に進めてもらうための支援として住宅支援を行っている国々がたくさんあります。家賃の補助を行ったり低廉な住宅を提供したりして、早めに実家から出てもらう、若者に早く自立をしてもらって、それによって、それが少子化対策にもつながるという考え方があるんですけれども、日本の現状は非常に、このままだと少子化がますます進んでしまうような実態にあるんではないかと。そうした点でもやっぱり政策の転換が求められているというふうに考えております。
 こうした住宅問題に関しては、近年、様々な対策が進んできております。
 昨年の四月、実は私も衆議院の国土交通委員会で参考人として呼んでいただいたんですけれども、改正住宅セーフティーネット法が成立して、十月から施行されております。これは、全国的に増え続ける空き家問題に着目して、現在、全国で約八百二十万戸の空き家があると、全体の一三・五%が空き家になっているという実態があるんですけれども、こうした空き家の登録制度を都道府県別につくって、大家さんに空き家を登録してもらって、こうした空き家を高齢者とか障害者とか、そして若者を含めた低額所得者、一般の賃貸住宅市場では部屋を借りにくい人たちに活用してもらおうという、非常に画期的な政策になっております。
 私も、この対策を是非、高齢者、障害者だけじゃなくて若者にも使ってほしいということで要望を出してきて、大変期待はしているんですけれども、残念ながら、現時点ではまだまだこの政策が進んでいないという状況があります。
 国土交通省がセーフティネット住宅情報提供システムというホームページを作っていて、全国の改正住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅の状況を公開しております。こちらに出した数字は一週間前のものですけど、先ほど正午の時点でホームページをチェックしたところ、現在登録されている住宅は全国で四十六件、二百六十一戸にとどまっております。東京都についてはいまだにゼロ件という状況です。
 国交省は、年間五万戸の登録住宅を整備していくと、二〇二〇年度までに十七万五千戸の住宅を整備するという大きな目標を掲げているんですけれども、四か月たった段階でまだ二百六十一戸という状況ですので、かなり目標達成が危ぶまれる状況と言ってもいいんではないかなというふうに思っております。こうした点も、もっともっと強化していただきたいというふうに願っております。
 その一方で、厚生労働省の方では、二〇一五年度より生活困窮者自立支援制度という制度が始まっております。これは、各自治体に生活保護とは別の窓口をつくると、生活保護の手前で生活困窮者を支えるという趣旨の下、相談窓口をつくって、まだ家にいるような若者も含めて支えていこうという仕組みになっております。
 ただ、その支援のメニューの中で居住支援、住宅支援が弱いのではないかというふうに私は考えておりまして、具体的には、この生活困窮者自立支援制度の中で住居確保給付金という仕組みがあります。これは、元々は、二〇〇九年に派遣切りの問題が起こった頃に厚生労働省が当初住宅手当という名前で導入した制度を恒久化したものです。ただ、この住居確保給付金の利用者が、こちらの数字にありますようにこの六年間で七分の一まで減っていると、平成二十八年度では五千九十五件しか利用されていないという実態があります。
 実際には住宅に困っている方がたくさんいるのに住宅支援の制度が使われていないというのはなぜかと申し上げますと、この制度の対象者が離職者のみであると。要するに、仕事をなくした方、失業状態にある方しかこの制度を利用できない。例えば、ネットカフェに暮らしている方というのは派遣などの仕事をしている場合が多いんですけど、仕事をしているうちはこの制度を使えないという問題がありまして、その結果、制度の利用が進んでいないということがあります。
 ですので、こうした仕組みについて対象者を拡大して、あと、アパートに入る際の敷金、礼金等についてはこの仕組みから出していないんですけれども、それについてもきちんと支給していく仕組みにしていく必要があるというふうに思っております。
 ほかにも、こうした厚生労働省が行っている生活困窮者支援の制度というのは、いろいろメニューはあるんですけど、基本的には就労支援に偏っていて、次の仕事が見付かるまでの間、家賃を補助するよとかサポートするよというものなんですけれども、やはり現在、その居住を安定させるということが一番の課題になっておりますので、安定した居住の確保ということを最優先にする政策に転換していく必要があるだろうというふうに考えております。
 これまでの日本の住宅政策というのは、これはよく指摘されることでありますけれども、中間層の持家を取得するという政策が中心でした。ある程度経済が回っている時代にはこれでよかったんですけれども、今のように日本型雇用が崩れる中では、若者たちが将来の見通しが持てないまま住宅を確保できないという状況が広がっております。ですので、発想を変えて、例えば公営住宅についても若者に門戸を開放するであるとか、生活保護の手前に家賃補助を導入するとか、住まいは基本的な人権であるという考え方に立って、これまでばらばらに行われてきた福祉政策と住宅政策を融合するような政策の転換が求められているというふうに思っております。
 最後に、昨年の住宅セーフティーネット法の改正に当たって、参議院の国土交通委員会で上げていただいた附帯決議の一部を抜粋しておきました。こうした点、特に最後に実態調査というのが入っているんですけれども、今回は東京都が実態調査を行いましたけれども、国としてもきちんと住まいの貧困実態調査を行ってほしいということを願ってこの項目を挙げさせていただいております。
 ちょっと時間が超過いたしましたけど、私からは以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 次に、秋田参考人にお願いいたします。秋田参考人。
○参考人(秋田敦子君) 秋田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私どもはちょうど一九九七年に子供、若者の支援をしてまいりました。二十年になる中で、だんだん環境も変わりました。社会の環境も変わり、でも、子供たち一人一人にすると昔と何ら変わらない子供たちですが、ただ、今不登校、引きこもりという問題がかなり大きく取り上げられています。
 彼らの一番難しい部分はなかなか御本人が登場しないという、ほとんどは御家族から相談が上がり、御本人はなかなか、自ら進んで僕は不登校です、引きこもりですと来る人たちは少ないわけですね。じゃ、それは諦めるかというと、彼らなりの原因がというか理屈があるわけですね。それは、自らが不登校を決めた、で、自らが引きこもることを自分で決めたわけです。自分で決めるということは、ちょっとやそこらで周りの人が後押ししても多分びくとも動かないだろうと思います。自分が出るときには自分で自己決断をして、自分の意思で外に出ると決めていますから、なかなか支援が行き届かないという現状でした。
 その中で、私どもも、最初は御家族からの相談です。大抵の相談支援をされる方は、親御さんの支援を数回しますと、御本人が見えないのでなかなか相談できません、また何かあったらいらしてくださいということで、相談が中断されるわけです。その結果、少し見守れば自分で動き出すのかなと親御さんは勘違いします。でも、てこでも動かない彼らはなかなか親御さんの思っているとおりにはなりませんので、私たちはまず家族支援を重視いたします。
 ちょうど十九年になります。毎週毎週親御さんたち、年代によって違うんですけれども、いらしていただいて、まず御家族を安心させること、安定させる。そして、家族という土台ですね、それをしっかりすること。地震でぐらぐらしている状態と同じようになっていますので、家族の安定を図ることによって少しずつ御本人が出てまいります。これが本当に、時間は多少掛かりますけれども、自らの意思で社会に出てくると。
 その流れを私どもは三つの段階に分けて支援してまいりました。最終的には自立、本人なりの自立と社会参加の仕方を自分で自ら選ぶ。それをプロセス化をしてストーリーを作り上げます。一人一人に合ったストーリーを描きながら支援する中で、確実に彼らが社会に出ていくということが分かりましたので、その方法をちょっとスライドでお見せしたいと思います。(資料映写)
 ちょっと見にくいんですけれども、お手元にA4の縦長のをお示ししたと思うんですが、一番下にひきこもり地域支援センターがあります。市と県の委託を受けておりますので、その中にいろんなところから相談が参ります。医療機関だったり、御家族だったり、民生委員だったり、それから保健所やら近隣の人とかですね。その相談を、まずこちらの方は一度二度で終わることなく長期に継続的に行います。その中で見えてくる御本人の特性、それから支援方法が見えてきた段階で少しずつアウトリーチをする場合もあるんですが、今は御家族支援の中だけで御本人が登場に至ります。
 そして次は、今度は御本人に合った居場所です。居場所という一つのちょっと曖昧な単語なんですが、彼らにとれば空白を埋めるリハビリテーションみたいなものですね。友人との格差を気にしております。その空白を埋めることによって格差がなくなり、自分も普通に過ごせるようになったと思える感覚をするためには、必ず居場所が必要になってくる、くるはずです。そのフリースペースがあります。これは第一段階、まず人と群れること。これまで群れてきた社会から個の、一個の人間で一人で孤立した姿ですね、それをもう一度集団の中で自信を付けてたくましく成長するためのフリースペースがあります。
 そして次は、今度はもうちょっと目的を持つことで居場所を変えていきます。関わる中で、病気があったり、発達障害だとか、いろいろ家庭環境の問題とか見え隠れしてきたときに、それから、あとは何もないちょっとグレーの人たち、多少力が少し弱いなという人たちもいらっしゃいますので、NPO法人は、障害ではなくてグレーと言われる人たちですね、そのグレーも様々なんですけれども、その人たちも社会に出る練習をします。それから、障害がある程度分かってきた段階で、福祉サービスを使える社会福祉法人わたげ福祉会と両方で同じような支援を行っています。片方はなかなかとても経済的には苦しいNPO法人と、片方は社会福祉法人で障害、自立支援の方を使っておりますので、この人たちも社会を目指して同じように歩んでまいります。で、就労体験をして、そしてまた堂々と社会に出るというシステムになっております。
 それでは、三つのステップを少し簡単に述べさせていただきます。
 まず、支援の流れとしては、最初、ステップT、ステップU、ステップVがあるんですが、どちらも家族の個別面談、これはTでもUでもVでも行います。御家族を手放さないで家族支援をしてまいります。その中で、少しずつグループワークがあります。心理教育を使いながら、御家族も力を取り戻す、エンパワーメントを高める作業をしながら、母親勉強会、父親勉強会と分けて、毎週火曜日ですが、行っております。
 そして、次の段階で、親御さんも多少元気になると、今度は自宅の中でいろんな工夫をします。個別面談も教室も継続しながら、少しずつうちの中で本人が動き出す気配を感じてきます。そろそろチャンスかなと思えばアウトリーチを開始したり、その手前のところでもうこちらを訪れる彼らも多いです。
 そして、ステップVになると、本人がもう居場所に登場してまいります。
 というように、これは具体的に書いておりますが、個々の様子と困っていること、それから具体的に家族がせねばいけないこと、そして子供の心を理解すること。年齢とそれから毎日昼夜逆転、ゲーム三昧の姿で判断ではなくて、物を言えない子供たちの心の中を理解する教室があります。目的は、本人の理解、それから余裕が出てくること、御家族に、そして本人が安心して家庭の中で過ごせるように。その結果、土台が安定してまいります。
 次の段階では、個別面談も、それも継続しながら、いろいろ御家庭の中で具体的な工夫を繰り返していただきます。そして、その作業ができたかどうか振り返りながら、また新たに違う工夫をしてみるとか、家族自身のモチベーションを高めていきます。それが、焦りだった御家族がだんだん希望が見えてまいります。そのタイミングを見てアウトリーチ、そして本人が登場します。本人にすれば、安定した家庭があるので外に行きたくなるわけですね。
 最後の段階なんですが、これも必要に応じて個別面談を行います。そして、家族教室もつながっております。長い人では、もう卒業した後も親御さんは家族教室に参加されて、また辞めたらどうしよう、仕事をしたんだけど、また辞めてもいいように親として力強く支えられるようにしたいという思いがあり、教室に参加される方もいらっしゃいます。
 そして、今度はフリースペースに彼らが登場したときですね、そこではとても大事な役割を果たします。不安を和らげます。個から多数に、二人称になり、三人称になり、グループになり、集団になる。
 元々、子供たち、私たち子供の頃は、集団の中で仲間をつくり、集団の中で冒険をして、傷ついて、力を付けながら大人へと成長していくわけなんですが、今の社会はどうしても個を重要視する社会であり、核家族であり、その結果、子供は、弱音を吐けない、誰にも言えない、相談できない、家族も孤立するという環境の中で、ますます不登校、引きこもりがちになってまいります。
 その中で、子供たちが出てきたら、外に出る安心感と仲間への興味とかつながることの喜び、そういうものを体験いたします。目的は自己肯定になります。そして、目標を見付け、覚悟を決めて、最終的には自分で決断ということですね。
 そして、これら三つのステップを家族の状況に合わせて臨機応変に繰り返しながら、回復のストーリーを描いていきます。その支援の中で、やはり居場所というのは、彼らの居場所は不可欠になってまいります。たかが居場所ではなくて、されど居場所というものがとても重要視されます。
 その後、今度は外へ向けます。彼らが望む社会への一歩の中で、地域との関わりとネットワーク、これは段階的にトレーニングをしてまいります。地域社会の中に、ボランティア活動をしながらとか、一つのわたげの社会という中から、今度は外に向いた社会へ飛び立つわけです。ボランティア活動をしたり、それから、あとはグループで仕事も引き受けます。いろんなお仕事を地域の中で引き受けながら、それを一人ではなくて数人とかグループで仕事をして代価を得て働く喜び、そしてそのお金を使ってみる、そしてまだ欲しくなるというように目的を持ってまいります。
 就労したりバイトをしたり、そして、この中にボランティア活動は数多く昔からあります。障害者施設と高齢者施設に行きながら、自分よりも少し弱い人たちの力になる。自分が一番弱いと思っていたのが、自分でも役に立てるんだなということを実感してまいります。そして、地元の商店街のお祭りでかなり活躍します。高齢者社会になってまいりましたので、地元のお手伝いをしたりですね。そうやってラジオ番組も毎週持っております、「それいけ!わたげ青年団」。という中で、地域の方々の彼らを見る目が変わってまいります。とてもいい子たちだな、ほっておけないとなってまいります。
 そして、働く練習、ここに書いてあるように、皆さんのお手持ちありますので、どうぞ御覧ください、仕事体験をたくさんして自信を付けてまいります。最終的に、今度は仕事実践トレーニングで、大手病院の中、大手の病院なんですが、その中でのカルテ整理だとか、資材とかそんなものを院内に運んだり、それからデイサービスの送迎、スタッフをしたり、寺院内での仕事をしたり、そして、そこで正社員に雇っていただけるというところまで今充実してまいりました。
 今まで就職した数多くの彼らですが、自動車一級整備士を取って、小学校四年生から不登校だった子が、私どもの学習支援の中で高認を取って、整備士の学校四年間行って一級を取り、今外車のディーラーの中で働いていたり、おすし職人になったり、それからパティシエになった子たちやら、それからデイサービスの職員になったり、たくさん様々なところに今就職をしております。
 ところが、一年に一度、私たちはNPO法人、社会福祉法人で旅行に行きます。大旅行なんですが、そこに卒業生も加わります、お土産を持ってですね。こういう一つの彼らの社会というものを、個から少し集団の中、そして一般の社会に溶け込んでいく、このプロセスを、やはり今必要なのかなと感じております。
 一番問題なのは、今、グレーゾーンと先ほど言いましたが、障害も当てはまらないグレーの人たちの就労の場所。一般就労だとどうしても続けられません。やはり遅いとかですね、動きがどうも遅いとか、早くやってとか、どうしてこんなのもできない。なかなかスムーズに動けない彼らにとっての中間就労をつくらなければいけないという問題が目の前にあるんですが、これは私たちの大きな課題でもあります。
 そして、まとめとしては、たくさんあるんですが、やはり、自分で引きこもる、それから職場を辞めるという決断した彼ら、それからがかなり苦しみを背負うわけです。もう少しやる気が出たら動けるだろう、最初はそう思うわけです。自分はやる気がないだけだ、やる気が起こったら絶対できると思って自分で判断して引きこもったり職場を辞めるんですが、ところが社会は待ってくれないわけです。止まっている間に自分の友人はどんどん成長してある程度のところまでいる、それを常に彼らは気にするわけですね。自分の友人が今どこに所属しているか、これが彼らに大きくのしかかってくるわけですね。そうやって引きこもりというのはかなり長期化してまいります。
 最近はやっぱり五十代の引きこもりの御相談もかなり多くなってまいりました。御家族が地域包括支援センターを使うようになって、自宅に引きこもっている人がいらっしゃいます、どうしたらいいんでしょう。御両親のケアもあるんですが、御本人もいるということで、大きな問題がこれから起こってくるかなと思います。
 それも含めて、例えば四十代でも、一応、私たちの窓口に来ていただければ、ある程度、人とつながる喜び、そして少し自分のお小遣いを働いてみる、手応えを感じて、そのうちに生きていきたい、そして自分らしい生き方もしたいし、幸せになるという希望も持ちたいと思ってもらえるような少し社会をつくっていきたいなというふうに感じております。これは私たちだけではできない。やっぱり地域の横の連携とか、連携、連携、つながるといっても机上の上だけのつながりではなくて、本人のきちんとした心のつながりを少し重く感じていきたいと思っております。
 本人と御家族への後期支援もあります。巣立つ子たちが大勢います。その中でもう一つおまけがあります。卒業生たちがこうやって月に一度飲み会を行います。仙台は国分町とあります。そこに一か月に一度集まるわけです。大体三十五、六名が集まり、居酒屋さんで飲み放題、食べ放題で、食べて安否確認。そして、来月はこの日ねというふうに決めながら、だんだん来なくなると、仕事場に定着しているというように安心できます。
 家族は一泊研修もあります。泊まりながら、少し御自分たちもリフレッシュしながら一年の振り返りを行い、スタッフも一年の振り返り、御本人たちも一年の振り返り、そして来年度に向けてまた目標設定をするという一つの研修を毎年行っております。
 というように、ありがとうございました、急いで映像を映しましたけれども、彼らが、一人の人が、傷ついた困った人たちが、困難さを抱えた人たちが社会に出るまでという流れを、一つのプロセスを考えながら段階的に支援することできちんと自分自身というのを見付けるという支援をしてまいりましたという御報告させていただきます。
 以上でございます。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 次に、竹信参考人にお願いいたします。竹信参考人。
○参考人(竹信三恵子君) 私は実は長く新聞記者をやっておりまして、そのときから非正規雇用がどんどん増えていくということで関心を持ってまいりました。その中で若者、女性に特にその比率が高いということで、若者の働き方にもずっと取材をしてまいりました。二〇一一年から今の大学で教員として働き始めるようになり、そこで実際に若者たちの就職とか考え方とかに触れていくようになり、かなり危機感を抱いています。
 どういうことかといいますと、ほとんど若い人たちは、自分が働く権利とか、どうやって自分の問題を解決していいのかという知識を持っていないということです。最近はキャリア教育が盛んになって、会社にちゃんと入る、仕事を見付ける、そういうような教育は随分広がってきました。ただ、そのときに、何か不当な目に遭ったり困ったことに遭ったときに、自分を助けてくれるものは何なのかと、どういうような権利があって誰に相談すればいいのかというような、言ってみたら働く人にとってはもう基本的な知識というようなものについてほとんど知らないということが、実際、授業なども通じて分かってきたということです。そのために何冊か若い人向けの働く本も書きましたけれども、ちょっと今日はその状況についてお話をしまして、何が必要なのかということを皆さんと共有していけたらいいなというふうに思っております。(資料映写)
 ということで、資料なんですけれども、まず、そんなこと言っても若い人はそんなに大変じゃないだろうとか、若い人に貧困なんかないだろうと、こういうようなのが一般的な世間の見方ではないかと思います。我慢が足りないからすぐ辞めるのだということもよく聞きます。なので、まず統計で、若い人の失業とか若い人の貧困とかということについて、やはりその世代が大変に圧迫といいますか影響を受けているということを確認しておきたいと思います。
 最初にお示ししましたこれは、年齢合計を一〇〇としたときの失業率ですね。若者の失業率なんですが、これで見ると、一番高い、上の方にあるのがこれ若者、特に十五から二十四歳の若者の失業率が他の年齢と比べて高いということが分かると思います。
 それから次に、特に低学歴といいますか余り学歴が高くない方ですね、大卒じゃない人たち、こういう方々の失業率が高いということで、学歴による格差というものがとても響いてきてしまっているということが一点。
 それから、貧困というので見ますと、二つの山ができているのがお分かりになるかと思います。一番右側が高齢の方の貧困率ですけれども、左側のちょっと、十五から二十四歳ですかね、ぴょこっと上がっている山があります。ここで見ますと、若い方の貧困率がやはり高いということが見えてくるわけです。
 こういう客観的な数字を基にしまして、何でそんなことが起こり得るのかということをちょっと考えていきたいと思います。
 一つは、若い方が働き始めたときの労働条件の悪さということなんですね。非正規比率も高いですし、それから正規でも賃金は安い、非常に実は不安定です。しかも、それを何とか補填していくはずである親世代も、一九九七年以降どんどん賃金が下がり続けていますので、貧困化が進んでおります。教育費が削減されていまして学費が高騰していますので、それに伴って奨学金を借りる学生も増えています。それを返せないということで、仕事に就いて返そうと思うのですが、そこの賃金や労働条件が非常に低いということが多く、返し切れないで破綻してしまうというケースも少なくないということです。
 しかも、破綻以前にそういうような圧迫された状況にあるので、何か声を上げてそのことを訴えていくことがもうできないんですね。辞めたらもう終わりだと思っていますから、黙っています。だから、見えてきません。そうすると、若い人は別に何も困っていないんじゃないかとか、わがままだから辞めるんだろうとか、我慢が足りないんじゃないかといった、そのような考え方がつい出てきてしまうということだと思います。
 しかし、これを実際、私の記者時代の取材から、最近の若者の状況への調査を見ますと、違うということが分かります。
 例えば、ここに製造業派遣の解禁などの規制緩和とありますが、元々男性の大卒以下の若い方のお仕事の安定職場としては製造業があったわけですけれども、この製造業の工員さんが、実は製造業派遣等々の規制緩和の中で正規の職が失われていくという事態が男性にも起きています。そういう中で、男性の賃金とかそれから雇用の不安定とかということが若い世代でも出てきているということが一つ。
 それから次に、キャバクラ調査と書いたので何でいきなりキャバクラなんだと皆さん驚かれたかもしれませんけれども、これは御存じのように、接客ですね、お酒を飲んでいろいろ人とお話をして相手をする女の人、若い女性の職場です。最近、実はちょっと、キャバクラだからと言ってはおかしいんじゃないかみたいな、そのような偏見を裏切るかのように、ごく普通の女性たちがそこに働きに行っているということをお耳にされた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
 私は実は、そこで働く人たちの労働組合、キャバクラユニオンと提携しまして、今聞き取り調査を進めているところなんですが、ここで見ると、見えてくるのは女性たちの昼間の仕事の不安定さと低賃金さなんですね。例えば、マッサージとかそれから美容師さんとか、いろんな専門職がありますけれども、そこがやはりかなり徒弟制的であったり不安定であったり賃金が安かったりするので、それだけの賃金では生活が成り立たないわけです。まして奨学金の返済などを抱えていますととても難しいということになり、そこで、手っ取り早く入職できて、しかも一見時給が高そうに見えるので大丈夫かなといってそこに入っていく、そうするとそこでいろんな人権侵害に遭うというようなことが見えてくるということなんですね。
 ここにもちょっと書きましたけれども、言ってみたら女性専門職が低賃金化している。介護や保育の低賃金化はよく言われていますけれども、美容師、エステ、申し上げました。専門学校に行けば何とか仕事がゲットできていいだろうと思って、大卒はお金が掛かるので、高校出てから一遍専門学校に行くという方は多いです。でも、専門学校で資格を取っても、全部とは言いませんが、その中には資格を取ったからといって生活できる賃金がもらえるような仕事にすぐ就けるわけではないということが出てきているわけですね。そういう方々で、女性の中で取りあえずということで接待業に行くというのが広がっているということです。
 ですから、生活が懸かっておりますからユニオンができるわけです。遊びで行っているわけではないからです、ということですね。その方たちが労働条件をちょっと良くするためにどうすればいいのか、困ったらどこに言えばいいのか。いろいろ相談しても、どうせ水商売でしょうと言われて相手にしてもらえないことが多く、それでユニオンをつくったという、そのような形になっておりますので、そこと提携して、今何ができるかを考えているところです。なので、いわゆるスキルが必ずしも貧困脱出にはつながらないという構造になっているということですね。
 そう申し上げますと、有名企業に行ってちゃんと正社員就職をすれば大丈夫なんじゃないかというふうにお思いになる方もいらっしゃると思いますが、実は、特に営業職などを中心にかなり問題が見えてきております。特に、名前は挙げませんけれども、大手の企業の中の営業職で、女性のですね、完全歩合給で働いているというケースがあります。これが分かったのが、実はキャバクラ調査の中で分かってきたわけです。どうしてキャバクラで働くようになったんですかというふうに聞きますと、それは、正社員で採ってくれると思って喜んで入っていったら完全歩合給で、下手をすると、ノルマが達成できない月には社会保険を払ってしまうと収入がゼロになってしまったときがあった、それなのでキャバクラに働きに行って何とかつないだという、そういう体験談が出てきたからです。これまで十人聞いて、うち二人がそういう事例で挙がってきております。
 ということで、ベテラン営業員の方は収入はおありになるんでしょうけれども、もう市場が限られてきてしまっていて、その方々で顧客さんは満杯になってきてしまっているので、後から入職した若い営業マン、営業員たちは大変厳しいということが出てきているということですね。そうなると、もう先が見えないという気持ちになってきて、辞めてしまう。結婚に行く人もいますし、そうではなくて、こういったお仕事で取りあえずということで命綱にするというケースも出てきているということです。
 つまり、ばくっと言いますと、非正規化が極めて進んでいることがまず若者の貧困の一つですね。それから、正社員が、今申し上げましたように非常に劣化してきているということ。これは、正社員の中で、今女性の営業職の話をしましたけれども、男性でも実はある親御さんからの聞き取りで出てきた話がございます。
 どういうことかといいますと、息子二人が正社員に入ったので、ああ、この時代に良かった良かったというふうに思って大喜びしたと。ところが、一年か二年したら契約社員に変わってしまったと言うのです。それを聞きますと、それはこらえ性がなくて正社員で頑張れなかったからではないのかとつい思ってしまうんですが、事情を聞くと違っておりました。つまり、何時間働いても、固定残業制などがあって、裁量労働制とかいろんなものがあって、働いただけの賃金がもらえない、全てサービス残業になってしまうという苦情です。ところが、契約社員は、時給は確かに高くはないかもしれないけれども、働けば働いただけ賃金がもらえるのでまだましだと言って転職されていったと、そういう親御さんのお話です。
 ですから、これは、今の労働法制の中で高度プロフェッショナル制度とか裁量労働制とか挙がっておりますが、使い方を間違えるとそういった現象の温床になりかねないということにも御注目いただきたいと思います。
 もう一つ気に掛かっているのが、バイトという名前の児童労働といいましょうか。昨年十二月に茨城県で十五歳の少女が転落、労災死に遭いました。この方は、屋根の上で太陽光パネルの清掃をしていて、屋根が破れて落ちた、十三メートル下に落ちて亡くなりました。そのときに安全帯も着けていなかったということです。バイトということになっていたので非常に軽く見られがちですが、実は、これは年齢からいっても労働の形態が過酷であるということからいっても、児童労働、悪い形の児童労働であるというふうに考えられます。
 似たようなことで、二〇一二年に栃木県の中学三年生の十四歳の男子生徒が夏休みのアルバイト中に解体工事の現場で作業中に亡くなっています。これは大きなニュースになったので、覚えていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。このときは、当時の新聞報道によるものなので裏付けを取っていないのですが、雇用主の解体会社の社長さんが、そのときに中学校や親からの強い依頼があって約二十人中学生を雇っていたということを証言しているということなんですね。
 ですから、かなり雇う側の方も、人手不足やそれからやっぱり特に中小企業の経営の悪化等々で安い労働力をどこからでも採ってきたいという気持ちになっている。それから、大手でいえば、経営がグローバル化で不安定化する中で、できる限りそのリスクを働き手に転嫁したいという気持ちになっている。そのような中で、一方で、働く側の若い方は、親御さんの支援が受けられない、それから奨学金という負担が掛かってきている、そういう中で辞められない。立場が弱いということのプッシュ、押し出し要因とプル、引っ張り要因の二つが合致してしまいまして、そこで若い方の労働の劣化が起こっているんじゃないかというふうにも考えられます。
 これはちょっと試みに労基署で摘発された児童労働なるものの件数を見てみたんですが、これで見ますと、たしか二〇一一年から、じわじわですけれども件数が増えていますね。これは摘発の事件が大きいと増えてしまうので、一概にこれが実際に児童労働がどんどん増えているという証拠として使えるかどうかは分かりませんけれども、ちょっと気になるところです。
 景気が良くなってくると風俗系又は接客系で未成年の女性を雇っていくということは当然ありますし、それから、今回のように、建設関係の労働力が逼迫している中で、一部、ちょっと呼び出して簡単に使える労働力としてアルバイトという名前で若い方を使っていく。そのときに、非常に抵抗力がないですから、そのようなことについての、安全措置についての知識がないということ、大変大きな問題になると思います。
 かつては高所の作業というのは専門職の成人男性がやっておりました。ですから、もし安全帯がないなどということが分かれば、これはおかしいじゃないかといって抗議をしたはずです。それがアルバイトという名前で使われているために言えないということになってきてしまうわけです。
 ということの問題点というのは何かというと、若い方が会社に入ること、仕事をゲットすることについては非常に熱心なんですね。だけれども、自分たちがじゃ入った後どうなるかということについての想像力が全くないです。どうしてキャリア教育として会社に入ることがそれほど発達したかというと、私たちの頭の中では終身雇用のイメージがありますから、とにかく一遍会社に入れれば何とか後はなるはずだと何となく思っているわけです。でも、それは定年まできちんと雇ってくれて、だんだん労働条件が上がっていくという時代の話です。
 よく考えてみますと、入った後、解雇はよく起きていますし、しかも、電通の件にありますように、過労自死、過労自殺ですね、自死や、それから過労死というケースが若い方にも頻発してきています。そこまで行かなくても、先ほど申し上げましたように賃金が非常に低下している、生活できないから掛け持ちをして働いているなどという事例まで出てきており、在学時代から奨学金の問題もあるし大変なのでアルバイトをするという、かなり半労働、半分の労働ですね、という形での働き方の中で、もう若い方たちは一遍会社に入れば上がりという話ではなくなってきているわけですね。
 ここにありますように、これは例の接客系で働いていらっしゃる三十代男性でしたけれども、もう雇用なんという言葉は私たちの世代の間では存在しませんよと言い放っておられました。要するに、もういろんなぐじゃぐじゃの融解状態が起きておりまして、従来型の働くということがもう頭の中にイメージができないということですね。それプラス、それをどう考えるかという枠組みを教えられていないわけです。とにかく押し込めばいいという教育が横行しているので、入った後こういう権利を使いなさい、本当はこうです、本来はこういうことが決まっていますということがほとんど出てきていないということです。
 ですから、学生たちに聞いてもこんなことを言うんですね。賃金って労使交渉で決めるのはおかしいでしょう、会社が決めるんじゃないですか。賃金は労使交渉で決めるものですよね。つまり、私たちが自分の労働力を売る、それを交渉して幾らでもって買ってもらうかで値決めが起きるというのはごく普通の話です。それを、会社の言ったとおりに働かなくちゃいけないのが当たり前だと思っている。それから、長時間労働で過労死すると先生は言いますけど、会社は長時間働いてもらわないともたないんです、慈善事業じゃないんですから、先生は甘いんですと、こういうふうに言われたことさえあります。それから、長時間労働がいけないと言いますが、ゆとり世代ですぐ会社を辞めてしまう根性のない若い社員がいけない、これは自分たちのことを言っているわけです。最低賃金なんか上げない方が、上げたら会社が潰れるから、困るからやめましょうとか。最後には、先生、労働組合って悪い人たちなんですよねとか。もうすごいですね。
 とにかく、自分たちがどっちの側にいるのかが全然分からなくなっていて、働いて、その権利を誰が守って、誰に頼めばいいのかということが全く分からなくなっている。
 こういう話を授業の中で、いや、本来はこういう権利もあって、働く側が守られないと会社だって本当困るんだよという話をしますと、あっ、そうだったんですかというふうに彼らも気付くわけですね。そして、安心しましたと言います。これまで、会社に行ったら何でも会社の言うことを聞かなくちゃいけないのかと思って暗い気持ちになっていたけれど、味方になってくれる人もいるんですねと言われて、私は率直に言って、もう泣きました、本当に。でも、明るい気持ちになれましたと彼らは言いました。味方になってくれる法律とか相談窓口があるんなら、ひどい目に遭っても何とかなるかもしれないなという気持ちになれたと言うわけです。そういう気持ちを何とか若い人たちに教えてあげていただきたいと思うわけです。
 実際、その授業をした後で、アルバイトで、調べてみたら自分のところのお店の給料が最低賃金を下回っていたということが分かって、店長に交渉したら、ああ、悪かったと言って上げてくれたという事例とか、有給休暇はバイトでも取れるんですよねといって言ったら、店長は、私も取っていないと言ったのですが、でもまあしようがないなと言って、試験の前に有給休暇をくれて勉強ができたとか、いろんなことがそれなりにはできるようになってくるわけです。
 ということで、私が申し上げたいことというのは、若い人たちに、単に会社に入ったり、働く、仕事をゲットするということ、これもとても大事なことなんですけれども、それだけではなくて、働く権利、どうすれば身を守れるのか、何が困ったら守ってくれるのか、そういう原則を知る教育が必要なんじゃないかというふうに考えているわけです。
 皆さんの、議員さんたちの御活躍でワークルール教育推進法というものも近く出るというお話になっていると伺っています。これをちゃんと早くまず出していただきたい、決めていただきたい、通していただきたい、これが非常にまず重要なことです。そうしないと、学校の方は、労働の権利とかそんなことを教えてしまうと会社に嫌われて就職が悪くなるんじゃないかとすごく心配しているんですね。なので、先生が少しやる気があって教えようかなと思って教えても、校長先生が、そんなことが知れ渡ったらうちの学校から就職が出なくなるというふうに極端に解釈をして、ちょっと引けてしまうというケースもあると地方では聞いています。なので、まず、それはそんなにとんでもないことではないのだということをきちんと法律を使って知らしめていただきたい。そうしないと、本当に学生たちはやられっ放しになってしまい、それこそ黙って死んでいく、黙って辞めていく、労働条件上げられないというふうになっていきかねません。
 ただ、それだけでは足りないのです。なぜかというと、働く権利を知っているだけでは働く権利は使えないからです。相談窓口として彼らを支えてあげるものがもっと必要です。労働組合が今一七%ぐらいまで組織率が下がってしまっていまして、そういう意味でいうと、地域の小さい労働組合とか、それから労働弁護士さんたちの相談窓口、又は行政の相談窓口、こういったものに電話で、一体自分の今のこの症状は大丈夫なのか、そうじゃないのかということを聞くということがすごく重要になってきます。ですから、こういう窓口ももっと早く整備していっていただきたいというふうに思います。
 アメリカでは、やはり雇用がかなり劣化していますし、非正規化も進んでおりますけれども、州によってはワーカーセンターといって、そういった相談に乗るようなセンターをつくっています。二百ぐらいあるそうです。州によってはそこに補助金を出しています。
 そのような形で働く人の背中を押してあげないと、結局産業がどんどん悪くなっていくと、それが全部働く人に掛かってきてしまって、働く人が良くしてくれという声が上がっていくことによって、産業ももっと食べさせられるいい産業に変えていこうというマインドが出てくるんだと思います。単に働く人の言いたい放題言わせろと言っているのではないのです。いい産業をつくるためには、働く人からも、八時間働いて帰れるぐらいの賃金水準はどうやったらつくれるのか、それから、サービス残業なくすにはどうすればいいのかという押し返しの動きが出てくることで、産業界の方もいい仕事をつくれるような産業をどうすればいいのかということを一緒に考えていけるのではないかと思います。ということで、是非その点についての御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるよう整理をしてまいりたいと存じます。
 質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願いいたします。
 質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 小川克巳君。
○小川克巳君 自由民主党、比例区の小川克巳でございます。
 本日は、三人の参考人の方々からそれぞれに大変有意義な御報告並びに貴重な御意見等を賜り、感謝申し上げます。
 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 稲葉参考人におかれては、子どもの貧困対策推進法案に向けた厚生労働委員会においても御意見を賜ったと伺っております。そこで、稲葉参考人にお伺いいたします。
 今回、稲葉参考人からは、若年者における住まいの貧困という観点から御報告と御意見を賜りました。その中で、現状を招いた原因として持家政策に基づく日本型雇用システムを挙げておられ、福祉政策と住宅政策の融合を提案されました。この辺り、それを実現するためにもう少し踏み込んで具体的な御提案、御説明なりありましたらお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょう。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。ちょっとその点詳しく述べられなかったので、御質問ありがとうございます。
 日本型雇用システムが崩壊したということが今の現状をつくっているというふうに考えております。従来は、日本の戦後の住宅政策というのは中間層に持家を取得してもらうというところに力点が置かれていたと、そこに財政的な支援も注がれてきたという面があります。
 よく住宅の分野では住宅すごろくということが言われますけれども、若いうちは賃貸住宅で小さなところで暮らしていても、会社に就職して、それで住宅ローンを組んで、それをずっと払い続けると。従来は日本型雇用があったので、終身雇用、年功序列の中で住宅ローンを払い続けて、定年の頃には住宅ローンを払い終えた持家が手に入ると、後は年金生活で悠々自適という、そういうライフコースがあったわけでありますけれども、近年、日本型雇用が崩れてしまって、しかも今の三十代を中心に、先ほどネットカフェ難民が多いのは三十代というお話ししましたけれども、非正規でずっと働き続けていらっしゃる方が増えております。非正規雇用でワーキングプアの方だとなかなか住宅ローン借りられないという状態がありまして、そうするとずっと賃貸で暮らさざるを得ないと。この人たちがどんどん今高齢化していっているというような状況にあって、これが、生活保護の世帯の今過半数が高齢者世帯になっていて、賃貸で暮らしている高齢者が多いというようなところにも既にもう現れ始めているというような状況があるというふうに思っております。
 ですので、日本型雇用が崩れてしまったという前提において、就労支援をしていれば住宅も確保できるんだという発想を転換して、まずは安定した住まいを確保するための施策が必要だと、その点において、特に賃貸住宅に暮らしている人たちへの支援を構築していくということが重要だというふうに思っております。
 具体的な施策としては、先ほどもお話しした空き家活用型の住宅セーフティーネットを拡充するというところが今一番現実的にできるところだとは思いますけれども、ただ、私としては、もうそこから更に進めていただいて、現在、生活に困ると最終的には生活保護という手段があるんですけれども、生活保護はパッケージで行われていると、全部受けるか全部受けないかというだけになっているので、そうではなくて、特に働いているワーキングプアの方が住宅費だけ補助を受けられるような仕組み、普遍的な家賃補助制度というところまで検討していただければというふうに願っております。
○小川克巳君 ありがとうございました。
 続きまして、秋田参考人にお伺いいたします。
 引きこもりに対する支援活動について御報告をいただきましたが、引きこもりに至るまでには様々な背景があるのだというふうに推察をしております。私たちの世代はまだ精神論を引きずっているようなところがありまして、支援の度合いを測りかねてしまうことがよくあります。引きこもり支援には、息の長い本人支援と家族支援を基本としつつも、社会への統合を図るという観点からは、秋田参考人御指摘のとおり、企業や地域社会におけるトレーニングと受入れ体制が不可欠であると思っています。
 そこで、特にこの部分に関して、仕組みや制度、地域づくりといった観点から御意見若しくは御提案等ありましたら、お伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 そうですね、本当に息の長い支援になりますが、地域の中でやはり生活をしていく、ですから、生活の場、それこそ住まいになるんですが、それも含めて、私たちはやはり今狭いところ、地域なんですが、そこで町内会の会議に参加をしたり、空き家があります、そこを借りながら、支援で、何かあれば私たちが全てできる体制を取りながらシェアをして住める方法、そして、お食事はみんなで寮で食べるとかですね、働きながら、一人では住めませんから、やはり何人かで一緒にお家賃を折半して住むとかですね。
 こういう、全てを生活保護のお世話になるのではなくて、働きながら、そして自分にも余裕が出るようなお金の使い方ができるためには、やはり住まいの確保は必要になってきます。そのためには、地域の空き家をかなり今お借りするように、ただし、どうしても法人で借りないと、連帯保証人の問題で、保証人が本人がなれないという、そこのデメリットもあるんですが、そこは一つとても大きな問題で、法人で借りるといっても、何かあったとき私たちも大変な目に遭うというので、もうちょっと、地域の中でもう少し彼らを緩やかに見れる仕組みを、まだ模索中ですけれども、できればいいかなと思っております。
○小川克巳君 ありがとうございます。
 大変最近の社会というのは不寛容社会だなというふうに思って、あらゆる面で非常に見る目が厳しくなったり批判が非常に強くなっているというふうなところで、ますます弱い人のところに風当たりが強くなっているというふうに感じることが非常に多いというふうに思っております。ですので、そういう意味では、先ほどグレーの子たちのお話もありましたけれども、支援する側の人の育成といいますか、教育であったり啓発であったりと、そういったこともシステムとして必要なのかなというふうに思ったりするところでございます。ありがとうございました。
 時間が僅かになってきましたが、竹信参考人にお伺いをいたします。
 竹信参考人には労働権教育の重要性について御提案をいただきました。私自身、このいわゆる労働三法に関心が向いたのは社会人になって間もなくのことだったわけですけれども、勉強すればするほど、自分が社会人としては誠に無知であるということを思い知らされたという経験がございます。その後、私も教員として学生の就職相談にも関わってきたわけですけれども、求人票と実態とが異なるということで卒業生等からの相談を受けることが多くなってまいりまして、卒業前に、就職は雇用契約を結ぶことであって、契約は諸条件を提示しての双方合意に基づく約束であるという実に基本的な考え方や仕組みについて、こういったことを指導する必要があるということで、それを取り入れた経験もあります。
 そこでお尋ねですが、竹信参考人は、相談窓口や労組が機能しなければワークルールを学んでも効果は半減というふうに御指摘いただいております。先ほど少し御説明がありましたけれども、厚労省などでも総合労働相談コーナーを各都道府県に設置するなどしてそれらに対応するようにしているところですけれども、施設であったりあるいは機関、こういった、ほかのそういったものが公的にあるいは民間ベースで必要なのかなというふうにも思ったりもしたところでございます。そういった点で、それらの機能や権限等につきましてお考えがありましたら、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○参考人(竹信三恵子君) 一番今機能しているのは、いろいろ毀誉褒貶があるにしても、ユニオンという地域関係のところの相談窓口が一番機能しています。そういうところにもっとちゃんと学生に対して利用ができるのだというようなことを言っていったり、そういった知識の教育というのが非常に必要になってくるのではないかと思います。
 以上です。
○小川克巳君 ありがとうございました。終わります。
○会長(増子輝彦君) 吉川沙織さん。
○吉川沙織君 民進党の吉川沙織です。
 今日は、三人の先生方、本当に貴重なお話ありがとうございました。
 最初に三人の先生方それぞれにお伺いしたいんですけど、参考人が考える若年層の上限って何歳でしょうか。お一人お一人に、年齢だけ、イメージを伺いたいと思います。
○参考人(稲葉剛君) これは、国の政策でも三十九歳までということで行われておりますので、二十代、三十代というふうに考えております。
○参考人(秋田敦子君) 私の中では、やはり三十九歳までというところが、年齢で見ればそうですけど、精神的にはもっと彼らは幼いので、もう少し上げてもいいかなと。中年に等しい人も子供と言える状態の人もおりますので。
○参考人(竹信三恵子君) 二十代から三十代というところですね。本当はもっと上の人というのは今おっしゃったとおりと思いますが、取りあえずその辺りぐらいまでで様々な教育とか支援をしていくということが必要ではないかと思います。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 実は、私、この参議院に議席を預けていただいたのが三十歳で、被選挙権いただいたばかりでした。元々会社員やっておったんですけど、ちょうど就職氷河期真っただ中で、そのときは、私は本当に運と縁と巡り合わせで最初から正社員として働くことができたんですけど、この世代はずっといろんな施策から放り出されたまま、見放されたままちょうど四十歳代を迎えつつありますので、少しお伺いしてみました。ですので、その観点も踏まえてお答えいただけるとうれしいです。
 最初に、竹信参考人に伺いたいと思います。
 非正規化が進んでしまったこと、これが正社員の劣化につながったという今お話ございましたけれども、最初のこの非正規化が一気に進んだのは、それこそ小泉政権辺りの派遣法の改正というか改悪といいますか、そこから一気に就職氷河期も進んでいって、そこから非正規が一気に増えたというようなこともあるんですけれども、その始まった拠点というのはその辺りで認識合いますか。
○参考人(竹信三恵子君) 女性に関して言えばもうかなり八〇年代ぐらいから始まっておりましたけれども、ただ、それは一応夫がいる人というようなパートの人とか、それがいいかどうかは別として、そういったことになっておりましたが、それが一九九〇年代半ばぐらいから急速にもう若者を中心にかなりほとんどの人に広がっていった、特に若者を中心に広がっていったということだと思います。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 ちょうど私、就職活動しましたのが平成十年、一九九八年で、その前年に、忘れもしませんけれども、山一証券、北海道拓殖銀行、次々倒産していって、内定取消しの憂き目に遭う先輩方の姿を間近に見て、本当に同世代の多くが非正規という形で社会に出ざるを得なくて、そこにいろんな施策が届いていなくて、引きこもりも今その世代が実は一番多いんじゃないかというような調査結果が出つつあります。
 ただ、国は平成二十二年と二十七年にそれぞれ調査をして、平成二十二年のときは約六十九・九万人、平成二十七年は五十四・一万人で、減っているようには見えるんです。ただ、その対象年齢が、今それぞれ三人の先生方にお伺いしたとおり十五歳から三十九歳までで、二十二年から二十七年の間に四十になっていった人は次々外れていっているわけですので、さっき秋田先生のお話の中で五十代の方の相談が増えてきたというようなことをおっしゃっていただきましたので、その実感としてやっぱりそのように感じられることはございますでしょうか。
○参考人(秋田敦子君) 団塊の世代のお子さんたちが、やはり引きこもりの数は少なくても見えなくなっている、カウントできない人たちがかなり今でもたくさん混在しているのかなと。最近になって親御さんが高齢化したためにどんどん相談が上がってくるんですが、その相談先も、お子さんも三十九じゃありませんから、もっとそれ以上なので、地域包括センターに行ったり区役所窓口というような、年代に合わせて、だから、区切るんではなくて、若年者というより困難を抱えた人たちの支援になるのかなというふうに感じます。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 実際年齢は上がっていって、数年前からずっと、それも実態を踏まえた形で、年齢で区切るのではなくて、もっと見えない人を救うためには現実把握が必要だからということでずっと提案し続けて、恐らく四月からの予算で四十歳から五十九歳までも調査はしていただけるということにはなっているんですけれども、住まいという点でいえば、最初、稲葉先生の方からお話ございましたとおり、親と同居をしている困難者が七七・四%という資料をお示しいただきました。
 今、秋田先生からもお話ございましたとおり、親御さんと、若しくは保護者と同居しているからその問題が表に出ていないだけで、例えば先ほど、去年、改正住宅セーフティーネット法、これ恐らく全会一致で通った法案なんですけれども、これも、前の平成二十七年から二十八年度であんしん事業をやっていたけれども、実質それが機能しなかったので衣替えをして、全会一致では通っていますけれども、これもさっき稲葉先生から御紹介いただいたとおり、今日現在でも東京はゼロというような状況にあります。これはうまく活用されていくのでしょうか。これはもちろん私たちにも責任がある話ですけれども、見通しについて、これまで取り組んでこられた経験、知見も踏まえてお教えいただければと思います。
○参考人(稲葉剛君) 現在、国土交通省が全国で説明会を開いて、民間の空き家を持っているオーナーさんや不動産業界に働きかけを強めていますので、徐々には登録件数が増えていくというふうに期待はしておりますけれども、まだまだ、国土交通省はいろいろ頑張って声を掛けているんですけれども、各自治体の動きが弱いというふうに聞いておりますので、是非皆さんの地域でも、それぞれの自治体でどういう対策を行っているのか、この住宅セーフティーネットについてきちんと都道府県そして市町村が動いているのかというところをチェックしていただければというふうに願っております。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 七〇四〇問題、八〇五〇問題、それこそ親御さんとその下にある子供が一緒に住んでいて、でも親が倒れて、若しくは病気で立ち行かなくなったときに、住まいも、それから生活の糧、親御さんの年金や何かで食いつないでいる子の世代の人も少なからずいらっしゃいますので、そのときに住まいも生活も、まあ住まいが駄目になったら生活も駄目、仕事も駄目になると思いますが、この辺について何かお考えあればお聞かせいただければ、稲葉先生、お願いします。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 若者の住宅問題の調査で、七七・四%が親と同居していると。親と同居しているんだったら今は困っていないからいいじゃないかという見られ方をするんですけれども、この方々が十年後、二十年後たったときに、親御さんが介護が必要になったり、あるいは親御さんが亡くなられたりとか、あと住宅自体も老朽化して住めなくなった場合に修繕費どうするのかという問題に直面することになって、今は何とかなっているけれども、この問題を放置したがゆえに十年後、二十年後、その人たちがかなりの大きな層となってホームレス化してしまうという危険性もあるわけで、今からきちんとこの人たちが自立できて住宅を確保できるための対策を打っていく必要があるというふうに考えています。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 最後に、竹信参考人に伺いたいと思います。
 先ほどのお話の中で、今回、まだ国会には提出されていませんけど、働き方改革関連法案で、これ八本束ねて見かけ上は立法府に一本で出されるようでございますけれども、その中に高プロと裁量労働制の拡大が入ります。高プロは導入で裁量労働制は拡大ですけれども、それと併せて長時間労働の上限規制、罰則付きで入ります。
 この一本の法案の中に政策の方向性が全く異なるものが入って立法府に出されてくるのは、私は立法府に身を置く議会人の一人としてはちょっとつらいんですけれども、さっき懸念をお示しになっていただきましたので、何か御感想があれば、なければ結構でございます。
○参考人(竹信三恵子君) それは確かにおっしゃるとおりだと思います。どっちをしたいのか、守りたいのか、それとも壊したいのかというのが今非常にはっきり分からない状況になってきていて、その目標をちゃんと決めてやらないと、せっかくの、変えようと、改革をしようと言っているところが、方向性が分からなくなるどころかむしろ悪くなるケースもあり得るということで、そこは慎重にお願いしたいと思っています。
○吉川沙織君 ありがとうございました。
 今日は若年層ということでしたけれども、氷河期世代の一人としてもお伺いをさせていただき、非常に勉強になりました。これからに生かしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 横山信一君。
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
 今日は、三人の参考人の先生方、大変に貴重な御意見ありがとうございました。
 お一人ずつに一問ずつお聞きをしたいので、全部まとめて御質問させていただきます。
 まず、稲葉参考人には、事前にいただいた資料で、ホームレスになりそうだった方がシェルターに入居して落ち着きを取り戻して、うつ病とPTSDの治療を受けることになったという事例が紹介されているのでありますが、精神障害などの障害を持つ人とそれから生活困窮者との関係というのは深いというふうに考えております。これに対しては住宅政策だけではなくて総合的な取組も必要だと思いますけれども、稲葉参考人の御所見を伺えればというふうに思います。
 それから、秋田参考人には、これ、引きこもりの皆さんが社会参加と社会復帰を果たすために様々、国、地方を含めて引きこもり対策が用意されているんですけれども、もちろん行政による支援だけで引きこもり解消につながるのではなくて、秋田参考人のような、こうした制度に加えて民間での御努力があって引きこもりの皆さんが社会復帰を果たしていくという現実があります。そこで、今の、現在の行政の引きこもり対策の支援メニューに足りないと感じているものは何なのか、教えていただきたいと思います。
 それから、竹信参考人には、自分の労働力を売るという、そのことについての社会的な背景ということをお聞きしたいんですが、実は、今政府が進めております人生百年時代構想会議というのがございます。ここで二月八日に議論された内容が公表されているんですけれども、その中には日米の大学教育の比較がされておりまして、アメリカは三層構造の大学があって、大学には三つの種類があって、地域のニーズに応じた実務教育の裾野が非常に広い、そういったところを教えている大学が多いわけです。一方、日本も、平成二十八年度に国公立大学が三分野に分かれてそういう枠組みもつくっているんでありますけれども、この地域のニーズに応える人材育成、研究を推進する枠組みには今五十五の大学が参加をしております。そこでアンケート調査がされているんですけれども、そこのアンケートでは、日本では企業が選考採用するに当たって重視をするものは、いわゆる大学で身に付けた専門性とかあるいは成績とかではなくて、企業が求めているのは人柄であったりあるいは自社への熱意であったりとか、そういったものが上位に来ます。
 いわゆる自分の労働力を売るという価値観が日本では企業側にも希薄なんじゃないかと、キャリア教育が重視されない要因にもなっているんじゃないかというふうにも思うわけですけれども、この点について何か御意見を聞かせていただければというふうに思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 まず、精神障害と生活困窮の関連ですけれども、狭い意味でのホームレス状態にある方は、路上生活をされている方の中で精神障害、知的障害を抱えている方が実は多いということが近年の調査によって明らかになっています。東京都内、池袋で路上生活されている方を調べた医師によると、全体の大体四割から六割ぐらいの方に何らかの精神疾患が見られると、また、全体の三分の一ぐらいの方が知的障害かそのボーダーにあるという状態にありまして、その人たち、そうした障害を持っているホームレスの人たちに対する有効な対策はまだ行われていないというふうに感じています。
 東京では七つの団体でハウジングファーストという取組を進めておりまして、ホームレスの人たちにまず住宅を提供して、そこで落ち着いていただいて治療等につなげていくという支援策を民間団体が中心となって行っていて、アパートに入ることによってメンタルな状態も落ち着くということもありますので、そうした住宅支援を国としても進めていただきたいというふうに願っております。
 あともう一点、最初に若者が生活困窮する二つのパターンというのを御指摘いたしましたけれども、やはり精神的な疾患の元々の原因が、家庭環境にある場合もあるんですけど、もう一つ、労働環境にある場合もあるんですね。やっぱり、特にブラック企業問題が若者の精神疾患を引き起こしているという側面もありますので、そこに対してきちんと規制をしていくことも重要だと思います。
○参考人(秋田敦子君) 私からは二点なんですが、中間就労という就労の部分とそれから学びという学習の部分、この二つがどうしても曖昧になってしまう。学齢期を過ぎてしまうので、引きこもっている間に。そして、でも元気になると、学びたい、もう一度勉強したいと始まったときにどこもないということですね。
 やはり、行政は適応指導教室だとか学齢期の人には学びは使えるけど、それ以外の学ぶ場所といったら、民間の、それこそある程度、まあ通信だとかそういうところ。そして、私たちがやっている学習支援というのは、やはり本人自身が元気になると、学びたくなったときに必要だからつくったものが、結局は先生というもの、指導員が必要なんですが、そこは認められないという。学齢期を過ぎているということで、学ぶより働く方に。
 じゃ、働くというと障害があるかないかで振り分けられてしまう。障害がある人は自立支援、福祉サービス。じゃ、ない人はどうするんですかというとサポステだとかハローワークに行きなさいというように、その中間のはざまがないという。はざまの、力を取り戻してリハビリをしながら学ぶところとそれからリハビリをしながら働く練習という、そこの曖昧な中間のところがどうしても体制的には整っていないというところが問題です。
○参考人(竹信三恵子君) 労働力を売る必要性があるのではないかということですよね。これはもちろん重要だと思います。もっとそういうことができるような人材をつくっていくということに私も異論は全くないのですが、それを働く条件の向上に生かすためには、車の両輪として、そういった売れる力、エンプロイアビリティーというものと、それを生かすために自分の権利をきちんと守ってもらう、守っていくという二つの車がないとちゃんとした働き方ができないという、そういうことをちょっと強調したかったということなんですね。
 バランスでいうとやっぱり後の方が大幅に立ち遅れていて、だからキャリア教育とか自分を売っていく力というのは絶対必要だというのは私も全く異論はないのですが、それを生かしていくためには働く人の権利というものもきちんと身に付けていなければいけないにもかかわらず、片方の車は不十分とはいえどんどん回っていっているのに、片方の車が遅れているために結局自分が力をちゃんと発揮できないという形になっていることを懸念しているというふうにお考えいただければいいと思います。
○横山信一君 もう少し時間ありますので、秋田参考人にもう一問お聞きしたいんですが、支援の中で、このステップTの目標であります安定した家庭を取り戻すという、そこの部分の具体的な事例を教えていただければと思います。また、そこに至るまで様々あると思うんですが、どれぐらいの時間が掛かるのかということも併せて教えていただきたいと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 御相談窓口には必ず親御さんがいらっしゃいます。そのときには、親御さんの気持ちというのは焦りだけなんです。元に戻すために抗生物質が欲しい、すぐにでも行けるようにと来るんですが、お子さんの心の中を見ると、やはり頑張り通してもう行けなくなっているという状態ですから、まず親御さんを、気持ちを焦りから少し安定させて、御本人の気持ちをきちんと理解できるようにすること。そのために個別面談を繰り返していく。そして、じゃ、今度は元気になるために何が必要か。それは、子供自身の元々の笑顔だとかおいしいものをおいしく食べられたとか、こういう一つ一つの工夫を時間を掛けて親御さんと一緒に考えていく作業をします。これがとっても大事なことなんですね。
 焦らせた結果、じゃ、どうなるかというと、取りあえず親に言われて子供がどこか親が求めるところに行ったとしても、そこできちんと落ち着くかというと、ほとんどは余り力を発揮できないまま、また、より引きこもりが強くなって暴力沙汰になってしまったりなるので、子供の味方になることというのをまずメーンにします。親が味方になる、そして兄弟もみんな君のことは守るよというような、焦りからちょっと安定するというところを一緒に考えていきながら時間を掛けるということをしております。
○横山信一君 以上で終わります。
○会長(増子輝彦君) 岩渕友さん。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
 参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
 私は、青年の要求を実現する団体の責任者として、福島の出身なんですけれども、福島で活動をしてきました。リーマン・ショックのときには派遣切りの嵐が福島でも吹き荒れていて、路上で寝泊まりする若い人たちとも出会って、県に対して対策を求めるような活動をしてきました。こうした実態は過去のものではないんだと思います。
 先ほど稲葉参考人からも話がありましたように、東京都が行った調査では、インターネットカフェなど、いわゆる調査対象の店舗にオールナイトで利用している住居喪失者が約四千人に上ると、そのうち二十代、三十代が五割に上るというような結果が出ています。
 また、朝日新聞では、国の奨学金を返すことができずに自己破産をするケースが、本人はもちろんなんだけれども、本人だけではなくて保証人となった親族にも広がっていて、過去五年間で延べ一万五千人に上っているというような報道もありました。
 低賃金や雇用破壊、長時間労働やブラック企業など雇用をめぐる問題、そして高い学費や奨学金など、若者を取り巻く状況は今も深刻だと思います。未来を担う若者たちが安心して学び働ける社会をつくるということは、一人一人の若者の権利を守るとともに、日本社会の発展につながるものだというふうに考えます。
 そこで、参考人の皆さんにお伺いをしたいんですが、初めに稲葉参考人にお聞きします。
 私は、東日本大震災と福島の原発事故を経験して、住まいは人権だということを強く実感をしてきました。原発事故によって避難区域の外から全国に避難をしている方たちの住宅無償提供が打ち切られて、今、公営住宅などから追い出されるというようなことが起きています。国の責任で必要な人に住宅を提供するということが必要だと考えているんですけれども、住まいの確保の重要性についてどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 おっしゃるように、住まいは基本的な人権であるという観点に立って私たちも活動を続けているところですけれども、住まいを喪失してしまった、ホームレス状態になってしまった生活困窮者と多数お会いしてお話をする中で感じてきたことというのをお話ししたいと思います。
 住居を喪失するということは、当然、日常的な生活の場を失うということでありますけれども、と同時に、特に働いている方にとっては、安定した仕事を見付けるのが困難になるという側面もあります。
 例えば、今、マイナンバー制度というのが始まっておりまして、仕事に就くときにもマイナンバーを求められる、企業からマイナンバーを出してくれというふうに言われる機会が増えてきておりますけれども、ただ、ネットカフェに暮らしている方の中には、長期間そういう生活をしているために住民票がなくなってしまっていて、住民票が消除されている、消されているがためにマイナンバーを受け取れていない方もいらっしゃると。そうすると、マイナンバーがなかったりとか、あるいは住所がない、住民票がないということによって、次の仕事に就くのも困難な状態にあるという方もいらっしゃいます。
 ですので、まずは安定した住まいを確保するということが重要だということを訴えたいというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。改めて住まいの確保が重要だということを確認することができたかなというふうに思います。
 次に、秋田参考人にお伺いします。
 引きこもりが今日のようにこれだけ広がった背景にある若者たちの実態がどのようなものだというふうにお考えなのかということをお聞かせいただきたいのと、あと、安定した雇用や社会保障を拡充することで誰でも安心して生きることができる社会をつくるということが必要だと思うんですけれども、その引きこもりの対策として必要だというふうに思うことがあればお聞かせください。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 引きこもるというのは、今どなたにでも、誰でもそういう可能性は持っていると思います。特殊な子というよりも、どうしても、機械化されている社会と、それから核家族だとか、それから子供たちも、仲間と共同とか集団で群れることがなくなってきた、一人で遊ぶ時代ですから、そういう中で、人との関係をうまく築けない。これを言ったらどうなるだろうとか、とても人の評価を気にする時代ですから、誰が傷ついてもおかしくないような、そのぐらい、どちらかというとたくましさが、もちろん全部ではありませんけれども、弱いんだなと思います、デリケートと言ったらいいのか。
 ですから、やはり私たちは、彼らにとったら引きこもらないように、不登校にならないためにはといえば、昔私たちが遊んだ社会だとか、人の、周りから育てられた、大人から育てられたとか、地域の方から注意を受けたとか、少なからずそういうちょっと社会をもう一度取り戻せるような活動が必要かなと思うのと、それから、安定した例えば職場、会社とか働き方というのも、これは安定というのは彼ら自身の心が安定できることが大事であって、それと安定できるようなメンタル的なものをもうちょっと育ててあげることと、企業側も、育てる企業、子育てというより、子供たちを、彼らを使い捨てではなくて少し育てていこうというような見方をしてくださる企業をいかにつくっていくかというところが、私たちも常に会社側と彼らとのマッチングをするというふうにすると辞めることがないですね。逆に、とても空白の時間が長かったけれども一旦仕事をしたら辞めないで続けるということは、多分、彼らの気持ちが安定したということと、それから会社側もこの子たちなら大丈夫というふうに、育てたいという気持ちになってくださったからかなと思います。
○岩渕友君 ありがとうございました。
 次に、竹信参考人にお聞きをいたします。
 先ほど、若い世代でも過労死が頻発しているという話もありました。そして今、秋田参考人からも、企業が使い捨てではなくてという話もありましたけれども、先ほども話にあった働き方改革が今議論されているわけなんですけれども、本当にいい方向の改革にという話もありましたけれども、そういう方向に改革するということで、どのような改革が必要だとお考えか、お聞かせください。
○参考人(竹信三恵子君) やはりもっと、ある意味同一労働同一賃金というのをきちんとやるとか、それから働く側に立った改革というものが必要になってきているのではないかと思うんですね。今の改革というのは、失礼ながら、やはり雇う側にとって非常にやりやすいという形になってきてしまっているので、それを働く人の側からやっていく必要があるというふうに思います。
○岩渕友君 ありがとうございました。
 おっしゃるとおり、本当に働く側に立った改革のために私も力を尽くしたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。
○会長(増子輝彦君) 藤巻健史君。
○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。
 まず、稲葉参考人にお聞きしたいんですけれども、今、人手不足なわけですよ。人手不足倒産も起こっているわけで、そのときに、例えば会社倒産しちゃった人、高齢者若しくは障害者の方、それから先ほど秋田参考人がおっしゃっていた引きこもりの方、この方々が仕事がなくて貧困に陥る、ブルーテントに入らざるを得ないというのは分かるんですけれども、一番体力のある若者が会社が潰れたからといってブルーテントに入るというのはこの人手不足社会において何となく腑に落ちないんですよね。
 例えば、建築労働者とか、それから皿洗いとか、それから若しくは例えば自衛隊、高い給料をもらえるし、そして労働、災害で助けてそれなりに三年間とか何か働けばそれなりの技術が得られる職場があるわけなんですけれども、そういう職場がありながらブルーテントになる。それを助けろといっても、ちょっと甘やかし過ぎかなという気もしないでもないんですけれども、その辺についてどうお考えかというのが一つの質問です。
 それから、竹信参考人にお聞きしたいんですけれども、竹信参考人の話を聞いていまして、何というか、労働権を教育しろ、それから労使交渉で賃金が変わるというようなことをおっしゃっていらっしゃいましたけど、やっぱり私、今一番の問題は終身雇用制の問題じゃないかと思っているわけですよ。終身雇用制があるがゆえに、賃金は低く抑えられ、ブラック企業はあって、長時間労働が存在する、それから同一労働同一賃金も達成できないというふうに私は考えているんですが。
 というのは、もし終身雇用制がなくなったらば、みんなそういうブラック企業だったら辞めていっちゃうわけですよ。経営者というのは何が一番怖いかというと、辞められちゃうこと。私も中西委員も外資系にいましたけれども、我々は正規ではあったけれども非正規でもあるわけで、あした首になっちゃうんですから、紙一枚で。ですけれども、そうなると、辞めたのを次の人を雇わないと会社って存在しませんから、正規社員が首になれば非正規が仕事を得られるわけです。その非正規が勤めていたところの仕事が空くから次の人が入るということで、社会全体としては雇用数というのは同じですから、正規の方はつらいかもしれないけど、非正規の方はいいかもしれない。ということで、そしてかつ全体の給料はきっと上がると思うんですよね、要するに辞められちゃ困るから。企業は、やっぱり所詮労働市場というのも物とサービスと同じように需給で決まりますから、辞められちゃ困るのであれば給料を上げるのは当たり前でね。
 ですから、法律でどうこうというよりは、まず終身雇用制を崩していく、特に非正規にとってはいいと思いますし、かつ需要を増やす、すなわち例えば対内直接投資を推奨して外国企業がどんどん日本に入ってきて仕事を増やすと、そういう根本的な経済政策をすれば、そんな法律でどうこうしなくてもいろんな貧困問題とかいうのは解決できるんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
 以上、二点です。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 正直申し上げて、ちょっと誤解されているかなというふうに感じました。最初に資料でお示ししましたけれども、ブルーテントというお話がありましたが、路上生活者の数は減っております。私は官民の対策が進んできた成果だというふうに考えております。
 今日お話ししたのは、ネットカフェにいらっしゃる方というのは仕事はあるんですね。仕事はされている、ただその仕事が不安定であったりとか、あるいは賃金が低いためになかなかネットカフェから抜け出すことができない、安定した住まいを確保することができないということですので、その人たちに対する住宅支援ですね、例えばアパートの初期費用について補助するとか、低家賃の住宅を提供するといったような住宅支援が必要だという提案を訴えたという次第であります。
 貧困問題について、リーマン・ショック、派遣切りのときの印象を持っていらっしゃる方がいまだに多いのではないかなというふうに感じるんですけれども、あのときは仕事をしていた人たちが派遣切りに遭って仕事も住まいも一気にゼロになったということなんですけれども、近年は若干ちょっと傾向が違っておりまして、仕事はしている、だからゼロにはなっていないんだけれども、〇・五ぐらいで収入が低いと。ネットカフェに暮らしている人たちの平均月収は十二万円という状況です。そういうワーキングプアの状態にあって仕事が不安定であるがゆえに、住むところもゼロにはなっていない、ブルーテントには行っていないだけでその路上一歩手前の状態にあるというふうに、ちょっと貧困の状況が変わってきておりますので、そこの今の状況に合った対策を求めていきたいと思っております。
○参考人(竹信三恵子君) 終身雇用制はもう崩壊していると思います、事実上。なので、実際、非正規の人が今三七%、四割近くで、女性でいうともっと多い、六割近くになっていますよね。
 ですから、そこよりはむしろ安全ネットをもっと強化するとか、そういった形で移っても大丈夫なような仕組みをつくりながらやっていくというならばいいと思うのですが、今はその仕組みが非常に弱いので、そこで首にしてしまう、解雇を優先すると、それはやはり難しい。そのときにやっぱり人間が人間として基本的に守られるものは何なのかということで、労働権も含めてきちんと教えていかないと、そこの部分がもう言いなりになっていって、それで結局、もう立場が弱いという前提に立っているわけですよね、私は。なので、そうなりますと、よっぽどエンプロイアビリティーがある人以外はもう生き残れないという状況になっていくんだと思うんですね。
 なので、もしそれを張り替えるということは私も賛成で、仕組みを張り替えていって安全ネットをきちんとつくって、それでもってうまく流動化が進むようにしながらそういった方向を取るならいいのですが、今のままいきなりそれを外してしまうと、それは貧困化に進んで、次の仕事に移れないということにもなりかねない人が続出すると思いますので、今のままそれを外すということは私は反対ですし、それから、いわゆる終身雇用はもうほとんど事実上はなくなっています。それを取っていると言われている会社でも途中で切られて、どんどん辞めていって、辞めさせられたりもしているというのがむしろ多い状況だと思っていますので、その前に、やはり安全ネットを全体にユニバーサルに確立するというようなことを考えながらいい労働移動をしていくという、それならば私も必要なことだと思います。
○藤巻健史君 今、立場が労働者が弱いというふうにおっしゃっていましたけれども、それは終身雇用制でというのがまだあって、辞める権利がないからじゃないかと思うんですよね。辞める権利があって辞められちゃうんであれば、経営者はもうめちゃくちゃ怖いですから。だから、辞める権利がないという、要するに、辞める権利がないということは、どちらが卵か鶏か分かりませんけれども、セカンダリーマーケットがないわけです、転職市場がね。だから、政府がやるとすれば、転職市場をきちんと整備すれば辞められるわけなんですよ。日本全体で雇用者数同じなんですから、誰かはということでね。
 要するに、先ほど言いましたように、対内直接投資を増やして、完全雇用を保って、それから労働市場の流動性を保てば、これは労働者と経営者とが対等な立場になって、後は労賃は需給で決まると、こういうことになるんではないかなと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(竹信三恵子君) それをするためにはもっといろんな措置が必要ですよね。単に解雇を自由にするというだけでは失業者が増えるだけだと思います。なので、その辞める権利というのがないんじゃなくて、辞められる状況が整備されていないとむしろ言った方が分かりやすいと思うんですね。
 その中で、一方で、そういうふうに言うと、日本のケースだとやっぱり解雇が優先してしまって、意に染まない、先に行く場所がないのに解雇だけが、しかも理由のない解雇がかなり実は優先しているという実態があるので、それはやはり辞められるような状況を先につくっていくということだと思うんですね。それをしていけば、何も解雇を急に無理やりしなくったって、自分から有利な方に移っていくというような市場は当然できる。そこをしないままむしろ強制的に今辞めさせようとしているケースが多いので、そのことはやっぱり問題なんじゃないでしょうかね。
○藤巻健史君 セカンダリーマーケット、転職市場の整備が非常に重要だということかと私も思います。
 もう一つ、あと一分だけあるので稲葉参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、今おっしゃっていたネットカフェ行ってもあれだという話ですけれども、もっとつらい仕事をすれば収入増えるんじゃないかなと。つらいの嫌だから、軽い仕事で収入が低いんではないかなというふうにも思うんですが、いかがですかね。
○参考人(稲葉剛君) ネットカフェ生活というのがともすれば何か好きでやっているというふうに見られがちなんですが、決して楽な生活ではないというのは、これは様々な経験された方から聞き取ったことから言えるかと思います。
 例えば、八年間ネットカフェで暮らしていたという方にお会いしたことありますけれども、もうリクライニングシートなので体を完全に横たえることができないということですので、腰を悪くしてしまって、その結果、最終的に働けなくなってしまった方もいらっしゃいました。あと、食事も取れたり取れなかったりということなので、そういう状態に若者たちを放置しておいてよいのかどうかということが社会の側に問われているというふうに考えております。
○藤巻健史君 終わります。
○会長(増子輝彦君) 川田龍平君。
○川田龍平君 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 今年のこの調査会のテーマというのは「豊かな国民生活の実現」ということで、昨年に比べて一応ポジティブな好事例を是非聞きたいということでやっているんですけれども、まず稲葉参考人に、一般社団法人のつくろい東京ファンドというのはどういうところか、説明いただければと思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 一般社団法人つくろい東京ファンドは、二〇一四年に設立いたしまして、先ほどのお話の中でも空き家問題について触れましたけれども、東京都内でも空き家が増えていると、こうした空き家とか空き室を私たちが団体として借り上げて、そこに住まいがなくて困っている路上生活者の方やネットカフェ難民の方の住宅支援として活用するという事業を行っております。これまで二十代から八十代の方、八十人ぐらいの方に利用していただいております。
○川田龍平君 稲葉参考人、先日も札幌での火災の事件がありましたけれども、今様々な場所で、そういった無届けであったり、そういった施設ですね、そういったところでの火災事件というのが多くて、非常にこれ連続して起きていると思うんですが、それについてどのように感じていますでしょうか。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 今日は若者の住宅問題についてお話をさせていただきましたけど、同時に、高齢者や障害者の住宅問題も非常に深刻な状況にあります。
 お話のあった札幌での自立支援住宅というのは、民間の企業が手弁当で住宅を借り上げていたところですけれども、ただ、そうした民間の事業に対する補助がないという中で、どうしても老朽化した物件を使わざるを得ないと。そうすると、火事が起こるとどうしても火が広がってしまうということでして、この問題についても厚生労働省の方で今後そうした宿泊施設への、悪い施設への規制といいサービスをしている施設への補助ということを行っていくということですけれども、高齢者、障害者がなかなかやっぱり住宅を借りられない。今、民間の大家さんの七割以上が高齢者、障害者に住宅貸したくないというふうに、孤独死の問題が怖いという理由で貸したくないと言っているような状況がありますので、そこ自体やっぱり変えていく必要があるだろう、住宅政策そのものをやっぱり見直していく必要があるだろうというふうに思っております。
○川田龍平君 ハウジングファーストという理念で行われている北米や欧州、ヨーロッパでは、医療費削減を目的の一つにやっていると、事例があるということなんですが、それについてお聞かせください。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 先ほどもお話ししたように、実はホームレスの方の中に精神障害をお持ちの方、知的障害をお持ちの方が多いと。従来の行政の支援策では、そういう人たちに生活保護を受けていただいた後に集団生活の施設に入るということを事実上前提としているようなところがありまして、そうした障害をお持ちの方が施設の中でいじめられたりとか、人間関係でうまくいかなくてまた路上に戻ってしまうと。結果的に、施設と路上を往復してしまって、社会的なコストが高く付くということが欧米の研究でも明らかになってきております。
 そのために、まずは安定した住居に入っていただいて、そこにソーシャルワーカーとか医療関係者が家庭訪問して地域での生活を支えていくという仕組みを導入したところ、その方が実は医療的なコストも安く済んで、結果的に多くの人たちが安定した暮らしに戻ることができたということが主にアメリカでのNPOの実践によって明らかになってきておりますので、こうした方式を日本でも導入してほしいということで、私たちは民間で独自の事業を進めております。
○川田龍平君 病気の重症化や緊急搬送を防ぐことで、救済した人、一人当たり計三百万円以上節約したというデータもあるということですので、是非そういった政策が非常に重要だと思います。
 次に、秋田参考人に、秋田参考人がわたげの会の活動を紹介する中で、養護施設や養護学校、作業所やグループホームなどの各施設において、障害者の人だけで共同生活するというのはどうしても違和感があったということを書かれておりまして、本当に今後、そういったいろんな人が社会の中でそういう社会性や協調性といったものを身に付けて、そして失敗というものをどう乗り越えていくかということが重要だということも秋田参考人の論文というか文章で書いてあるんですけれども、本当に今、御家族を支援することでその当事者を支援するという形で、とても気の長い関わりと諦めない支援の場というのが確保され続けることが大事であるということで書かれておられました。
 そういう意味で、今後、特に若い人たちがもう本当に小さいときから、そういう失敗したときの対処法とか身の振り方、こういったことをうまく身に付けることができれば、またそういったことが必要なくなるんではないかと。
 またさらに、今高齢化が進んでいて、その引きこもりの人の高齢化も進んでいる中で、もう本当に、家族があれば家族を支援することでそういう人たちを、また当事者を支援することができるんですけれども、家族がない場合にそういう支援をどのようにしていくのかということなども教えていただければと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 御家族がいらっしゃらないケースの場合は、ほとんど民生委員さんからだったり区役所だったり、そういうところから、御兄弟だったりですね、いらっしゃいます。だから、御家族いないから相談ができないではなくて、民生委員さんでもどなたでもいいです、最初にいらした方にある程度その方の情報とそれから理解していただきたいこととか聞いて、その後にこちらから保健師さんと一緒に訪問する場合もありますし、家族がいないから支援できないということではなくて、いない場合は、じゃ、どうしようというように、常にどんな人でも生きる権利とちゃんと働いていく、楽しむ権利がありますので、いろいろ考えております。
○川田龍平君 ありがとうございます。いろいろ聞きたいんですけど、ちょっと時間の関係で、済みません、ありがとうございます。
 竹信参考人に聞きたいんですけれども、先ほど正社員から契約社員に転換したというお話がありました。正社員の数が確かに今増えているということなんですけれども、実際その正社員の定義というのは法律的には定義されていなくて、その正社員に当たる常用労働者という定義も最近変わってきてしまって、一か月以上の労働者が常用労働者になってしまっていると。さらには、この正社員と言われている人たちも、正社員ではなくて、もうほとんど正社員としての処遇の問題だということであったりとか、本当に最近の正社員になっている人たちというのは、先ほど終身雇用制が壊れているというお話ありましたけれども、正社員が増えているから、何となくそれまでの概念というか常識からすれば正社員が増えていれば社会は安定するようなイメージがあるんですけれども、そうではないという状況の中で、正社員で就職したとしてもすぐに辞めてしまうということが多くなっている中で、不安定化している今の雇用の実態というところで、今正社員が増えているからといって、またその常用雇用という用語も変わっているということから、今就職が果たしてできたからいいということではないということだと思うんですけれども、その辺のところは今実態どうなっているんでしょうか。
○参考人(竹信三恵子君) 先ほども終身雇用の話も出ましたけれども、もう正社員の質が変わってしまっていると思います。なので、正社員を増やせば解決するかというと、もう正社員でもすぐ首になる正社員が出てきたりとか、そういう意味でいうと、見えないうちに、名前だけは正社員なんですけど、変わってきてしまっているので、若者は正社員になれればいいと思って頑張るわけですが、先ほど申し上げたように、なったらああいう先ほど申し上げたような話になってしまうということなんですね。なので、もう、何というかな、名前だけ、正規と非正規がはっきり言って知らないうちに入れ子になってきているという現状が既に出てきてしまっていて、それがいい状態で壁がなくなるならいいんですが、条件が悪い方に引っ張られて悪くなっているということなんですね。
 それはなぜかというと、正規、正社員やめて壁を崩したからいいではなくて、両方のちゃんとスタンダードを決めなきゃいけないと。本当はスタンダードを上げなきゃいけないわけですね。スタンダードがなぜ上げられないかというと、今日のテーマでいえば、労働教育とかでそのスタンダードは何なのかとか全く教えられていないので悪いのが当たり前と皆思っていますが、若者は、これでいいんだと。誰もそれが止められない。
 だから、まず労働教育であるし、それを支える相談なりなんなりの仕組みが必要であるというのが先ほどの主張だったわけです。
○川田龍平君 時間ですので終わりますが、先ほどの竹信さんの説明で、先生、労組って悪い人たちなんですよねというあの言葉ですね。労組の人たちはどう思って聞いていたのかなと思うんですが、これがやっぱり本当に今の若い人たちの常識なんだとすると、経営者側の言葉じゃなくて学生の側からこういう言葉が次々出ているということが、本当にちょっと社会認識として、やっぱり常識として変えていかなきゃいけないのかなと思いました。
 今日はありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 薬師寺みちよさん。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
 本日は本当にありがとうございました。
 まず、稲葉参考人にお伺いしたいと思います。
 私、愛知県でございまして、名古屋だけではなく、かなり農村部、山村抱えているんですね。そういう自治体の首長さんなんかにお目にかかると、どうして自分たちのところに来てくれないんだろうと。家も準備して、それで引っ越しのための費用も自分たちで持つよというふうに広報もしている、かつ仕事もある。農家の皆様方はもう本当に手を一本でも二本でも増やしたいと思っていらっしゃいますし、介護施設だって介護士さんをこれだけ求めている。一方で、東京を見てみるとこういう問題が起こっている。これミスマッチだよねという声をすごくいただくんですね。
 やはりこれ、住宅の政策というふうに考えるよりも、いわゆる人口をもう少し流動化させるような形の政策のようなものとして落とし込んだ方が、私はより理解が進み、そして若者のためにもなるのではないのかなと考えておりますが、どのようにお考えになられますか。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 農村部への就職といいますか移住というのも選択肢の一つとしてはあり得るというふうに思いますけれども、ただ、私、幾つかのそうした実践例を見てくる中で、やはり丁寧なケアが必要になってくるだろうなというふうには思っております。実際には、そうやって行ってみたけれども、なかなかやっぱりその行った先のコミュニティーでなじめなくて戻ってきている方とかもいらっしゃいますので、やっぱり伴走型の支援をして、その後もきちんとそこで住み続けられるような支援というのが同時に必要だろうというふうに思っております。
 ただ、一方で、東京の中で皆さん働いていて、仕事をして、それで住まいを確保したいというふうに思っていらっしゃる方々も多いので、その人たちに対する住宅支援も同時に進める必要があるというふうには思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 しかし、東京でやっぱり住宅を探す、これもう限界がありますよね。ですから、やはり少しずつ住宅政策というものを、この東京という地域限定ではなく、もう少し幅広に考えていただいたり、もっと若いうちにそういうような様々な地域を体験していただくような、そういう施策も私は必要だと思うんですけど、先生、どのようにお考えになられますか。
○参考人(稲葉剛君) ただ、一方で、仕事について言うとやっぱり東京に集中しているという現状もありますので、なかなか地方、まあ元々は地方の出身で、地方に仕事がないので東京に出てきたという方もいらっしゃいます。ですので、恐らく地方の方が家という意味では住宅費が低かったりとか空き家も多いという状況はあるんですけれども、やっぱり人が生活していくためには住宅と仕事が必要になってきます。そこのアンバランスをどうしていくかという問題だとは思いますね。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 秋田参考人にお伺いしたいと思います。
 私も、依存症を様々、今関わりで、団体さんとも支援をさせていただいているんですけれども、今話題になっておりますネット依存、それも引きこもりとかなり相関性があるということも分かってまいりましたんですけれども、そのような事例がございますでしょうか。私ども、やっぱりこれから、なぜ引きこもりになっていくんだと、その入口から断っていかなければならない、もしそれが断てるものであればというふうに考えておりますけれども、お願いできますか。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 まさしく引きこもっているときはネットしかないわけですね。時間潰しとそれから外部とつながっているんだということでネット依存とゲームあるんですが、一歩私どもに出てきたときには、ほとんど最初はやはりネット依存で、各部屋にネット環境がないかどうかとか聞かれるんですけれども、寮には、寮生活にはないんです。リビングにだけはあるんですが、それが壊れたら終わり。本人が気付くしかない。ネットをするよりやっぱりちゃんと顔の見える仲間がいいんだとなるまでがちょっと時間掛かるんですが、そこは絶対駄目よではなくて、縛ることではなくて、やりながら、じゃ、ネットの世界よりも現実社会の方が自分にとっては必要だと思えるような関わり方を提供すると、ほとんどやらなくなりますね。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 ネットゲーム依存というのが実は病気だというようなカテゴリーの中に今後入れられてまいりますので、是非また新しいアプローチが発見されると、また秋田参考人の団体の皆様方もそれぞれ導入していただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、竹信参考人、お願いしたいと思います。
 私も実はこのワークルール教育推進法というものを推進したいと思って議員連盟の中で頑張っているんですけれども、実は私も産業医として労働問題の最前線で今闘っております。まさに、労組の組織率が一七%ということで、代弁者になってくださる方がいらっしゃらないので私ども産業医のところに駆け込んでくるというような事例が増えてきております。我々に弁護士を紹介してくださいだとかというようなことなんですね。ですから、やはりおっしゃるように相談窓口というものも今後しっかり整備をしていく必要があるかと思います。何かいいアイデアがございましたら教えていただけますでしょうか。
 それから、ワークルール、この推進法もそうなんですけれども、このワークルールを知るということは、労働者のためではなく、やっぱり企業サイドとしても自分たちの身を守るためになると思うんですね。これからいろんな働き方が出てまいります。在宅もそうですし、会社に行ってももう机がないような企業さんもございますよね。そういう中で、自分が自分の働き方を選択する上で、やっぱり企業として自分たちがしっかり選択してくださったんですよねということを言えるためにも、更に私は推進の方向でこれは行く必要があると思っております。その辺りも、もし御意見ございましたらお願いいたします。
○参考人(竹信三恵子君) アイデアというか、先ほど少し申し上げましたように、例えばという事例でワーカーセンターみたいなものをもっとたくさんつくっていくという形だと思うんですよね。
 つまり、働くというルールは、一人だけ知っていても使うのはすごく大変なんですよね。それを支えてくれる人がある意味できた段階から労働組合というものが前提になって労働法ってできているところがあるので、そうなると、それに支えがないと何か運用が場合によっても違ってくるし、相談しながら圧力を掛けるとか、いろんなものを使いながらやっていかないと使えないものなんですね。なので、ワークルールをちゃんとみんなに知ってもらうというのはまず最低限絶対大事なんですが、プラスそれを支えるものが必要というのはさっき申し上げたことなんですね。
 なので、アメリカでもワーカーセンターをNPOがつくるとか、そこに相談機能を持たせるとかいうことをやって、そこに、お金も足りないので州によっては補助金を出してくると。こういうようなものを、日本もかつては行政の方にもっともっとたくさんあったと思うのですが、それがもう大丈夫だということでどんどん減っちゃっているということがむしろ問題なんじゃないかと思っています。
 なので、対等に話し合って、交渉して、いいものを、ルールを作って機能させていくためには、働く側にもちゃんと後押しがなければいけない。おまえ、あしたから首だからというふうになって、はい、済みませんというようなだけでは、とてもルールなんか守れるわけがありませんので、そういう形でいうと、ワーカーセンターに相当するものを、今既存のもの、いろんな労働者のありますから、そこに重ね合わせながら強化していくというような政策も必要なんだと思っています。
 それからもう一つが、企業サイドにとっても大事と、これ全く私も賛成です。結局、働き手がそのようにして何でもはいはいと言ってしまうと、会社が良くなる契機が本当になくなってしまって、好き勝手ができるようになるというのは一見いいようで会社の安全機能が外されちゃったみたいなところがあるんですね。なので、そこは会社も分かっているところは分かっていらっしゃると思います。なので、そこのところをもっとちゃんとお互いに話し合って、おかしいところはおかしいと早く従業員が言ってくれないと会社はもう壊れちゃうんですね。そうなっているケースはたくさんありますよね。
 というような形ですので、両方にとってメリットがあるんだということをきちんと認識し合って、いい職場をつくっていくためにはやっぱり働く側の後押しが必要だということを申し上げたいと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 最近は社員代表という方々が衛生委員会なんかも出られてくるんですけれども、結局、自分がそこで社員代表であるというような意識を持たずに、ただその一員として加わっているだけ。なので、それが代弁者にならないので、私どももすごくやっぱり困ってしまうんですね。ストレスチェックテストも衛生委員会を通さなければならないんですけれども、何のためにここに座っているのか、そこが私はしっかりまた教育の中でも取り入れていってほしいなと思っております。また今後とも御協力いただければと思います。
 ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 平山佐知子さん。
○平山佐知子君 国民の声の平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
 三人の参考人の皆様のお話を伺いまして、まだまだ現実に見えていない様々な問題があって、若年層の方々がこれからやっぱり年齢を重ねて高齢になっていくわけですから、そうなったときに社会でどういうふうに支えていくのか、救済していくのかというのは本当に大きな深刻な問題だなと、政治的にもしっかり考えていかなくてはいけないということをまずは感じました。
 それでは、稲葉参考人にまずお伺いをいたします。
 先ほど若年層は二十代から三十代のイメージだと言っていたんですが、ちょっとイメージを広げて未成年の方々のお話も伺ってみたいんですが、例えば未成年の方で、親から虐待を受けるなどいろんな様々な理由で家を出ざるを得ないというか、家に居場所がないという子たちもいらっしゃると思います。そんな皆さんが、例えば身分証がなければネットカフェ今もう入れないですとか、あと、ファストフード店でも、例えば夜中にいると二十四時間営業でも補導されてしまって、その子たちにとっては危険であるというその家に戻されるんじゃないかという恐怖もその人たちにはあるかと思います。
 そういうときに、例えば行政とかそういうところではなく、大人たちがしっかりと守ってあげられるような、助けてあげられるような、そんな、飛び込みで行っても、ちょっと、じゃ一日はここでいなさいよとか、そういう温かい場所があってもいいんじゃないかなとか、そういうことも考えるんですが、今、そういう中で様々お話を聞いている稲葉参考人の中で、今の現状、それからどういうことが必要になってくるのかとか、支援していかなくてはいけない部分とかありましたら御意見を頂戴したいと思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 行き場のない、居場所のない高校生含めた十代の若者たちの状況ということですけれども、私自身はもうちょっと年齢層の高い方の支援を行っているんですけれども、連携する機会の多い女子高生サポートセンター、Colaboという団体、仁藤夢乃さんという方が代表を務めていらっしゃっていて、いわゆるJKビジネスの問題などに取り組んでいらっしゃる団体の方から聞いたお話ですけれども、高校生、これ男女問わずですけれども、やっぱり家庭の中に居場所がない、学校の中にもなくて、夜の町をさまよう中でそこで搾取に遭ってしまう、いろんな、女の子の場合だとJKビジネスの絡め取られてしまうというような状況があって、日本でもいろんなNPO団体が夜回りをして声を掛けたりという相談活動を行っておりますけれども。
 例えば、韓国のソウルでは行政も協力して夜間巡回バスを巡回させて、そのバスの中でちょっとあったかいスープとかを提供して、そこに居場所のない少年少女の相談も受け付けるというような取組も始まっているというふうには伺っております。そうした、やっぱり気軽に行きやすいような相談窓口をつくっていくことが重要だと思っております。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 やはりその未成年のところの問題からもしっかりと考えていかないと、結果そのまま、居場所がないまま大人になってしまって、ずるずると行くということもある。それに、今おっしゃってくださったように犯罪にも巻き込まれかねないということで、そこら辺はしっかりと現実を見ながら考えていかなくてはいけない問題だなというふうに改めて感じました。ありがとうございます。
 では、続いて秋田参考人に伺います。
 引きこもり、それから精神障害があってなかなか出ていけないという方々も、地域で、そして家族もサポートしながら、長期にわたってしっかりとサポートをしていかなくてはいけないということ、非常によく分かりました。
 ただ、実際には、やはり家族のサポートが得られないという方も中にはいらっしゃる。その後、どういうふうに居場所をつくっていくのか、なかなか難しいところもあるかのように思います。お話にもあったようにまさに横のつながりというのが大切になってくると思うんですが、例えば保健所、医療機関、専門家など、この横の連携をつなげる言わばスペシャル集団というかパイプ役というのが必要になってくるんじゃないかなというふうに私は感じました。
 厚労省も、精神障害のある例えば患者の方を地域で受け入れるために二十四時間体制の訪問支援事業を推進しているという話も伺っているんですが、実施はやはり各自治体に任されているので、全都道府県での配置には至ってないというふうにも伺っていますし、どうしても地域間格差というのが生まれてしまうんじゃないかなというふうにも思います。
 パイプ役として、例えばどういう方とかどういう機関が今現状を見ながら必要だと思われるのか、伺わせていただきたいと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 とても件数が多くていろいろあるんですが、まず家族の問題というところもあります。それから、病気からくる、どうしても引受手がいない場合ですね、それは様々なところ、例えば児童相談所、一時保護所、そこからも来ます。家庭裁判所とか少年院だとか、いろんなところから御相談があります。
 それはまた丁寧にお話伺って、今現在は仙台の私どもがある程度拠点になっております。パイプ役としてまずこちらが窓口で訪問を受けて、どことつながればいいかとか、つなぎ方も、即ではなくて、やはり第三者もたくさん集まりながら、会議をしながら一番いいところに。それまでの間は私どもで、空いているお部屋の方に入っていただいて、その後、御本人がやっぱり一番大事ですから、その方をまずは丁寧に見ながら、その後、その方に一番合うところにつないでいく。全て私どもで関わるんではなくてつなぐということも、時間を掛けてちょっとつなぐというつなぎ方ですね、行っております。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 最後に、竹信参考人に伺いたいと思います。
 働き方、貴重なお話伺いましたけれども、私も、私事ながら、最初に正社員で大学卒業後働いたんですが、ちょっとステップアップといいますか、いろんなことをやってみたいと思ってまた違う仕事に挑戦をしました。そうすると、当然ながら正社員という道はもうなくて、契約社員という、一年契約で、一か月前にもうあなたは来年いいですよと言われたら辞めざるを得ない。そして、十六年間働いたんですけれども、退職金はゼロということで、将来何の保障もないということなんですね。自分の中では、やりたい仕事をやれるから、充実しているからいいやと言い聞かせてやらせてもらったんですけれども。
 例えば、特に女性の方はそうだと思います、子育てをしてもう一回ステップアップ、もう一回やろうとしても、一番お金が必要なときに正社員になれないとか。やはり社会的に、誰もが挑戦すればまた更に上の何かができるとか、女性も子育てをしながらももう一回チャレンジできるという社会じゃないと、私は安定した経済にもつながらないんじゃないかなというふうに考えるんですが、その辺りのことはどういう御意見をお持ちでしょうか。
○参考人(竹信三恵子君) 全く私もそういう懸念を持って、必要だと思っています。
 転職とか雇用の流動化とか、別に悪いことじゃないと思うんですが、何でそれがうまくいかないのかというと、そのインフラができていないということですよね。
 今度も、同一労働同一賃金と一応入って、それ自体は大変結構なことだと思いましたけれども、そこに注目が集まったというのは結構なことだと思いますが、ただ、その中身に、例えば雇用管理のようなものが同じであるとか、それから、そもそも賃金の決め方が正社員と非正規社員はすごく違っているのに、それを同じでなければならないといったような形になってしまったので、うまくいかないという、余り効果を発揮しないだろうというふうに考えられますよね。なので、そういうところで、もっと仕事を見るという形の評価の仕方とか、それをもっときちんとやって、移っても大丈夫という、そういうような形のインフラをもっともっとつくっていかなきゃいけないと思うんですよね。
 それプラス、そのことを支えてあげる、何度も言っていますが、バックアップする何かがないと、一対一で会社と交渉するって、一見すごくできそうに見えるんですけど、できないですよね。だから、そこにやっぱり労働相談があったり、それからそういうネットワークをつくっていったり、会社にとらわれない労働組合みたいなものとかがないといけないだろうというふうには思っています。
○平山佐知子君 時間が来たので終わりますが、しっかり窓口とかそういうやっぱりバックアップが必要だなというのはすごく共感をしましたので、またその辺り調査をしてみたいと思います。
 ありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。
 他に質疑の御希望のある方は挙手を願います。
 石上俊雄君。
○石上俊雄君 民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。
 今日は、三名の参考人の先生方、本当に貴重な話をお伺いさせていただきまして、本当にありがとうございました。
 まず、竹信参考人にお聞きしたいというふうに思います。
 今、平山先生から同一労働同一賃金の話が出ました。先ほど、進む非正規化、正社員の劣化という話もお聞きしましたし、今国会の総理の施政方針演説の中でも、これ、文章読み上げさせていただくと、「長年議論だけが繰り返されてきた同一労働同一賃金。いよいよ実現のときが来ました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。」と発言をされたわけであります。
 いろいろ考えてみますと、先ほどもちょっとくしくも言われましたが、同一労働同一賃金、やっぱりこれ、進め方だと思うんですけどね。問題は同一をどう決めるかというところではないかというふうに思うんです。納得度の高い仕組みをどうやってつくっていくか。職務を分析して、そして評価して、仕事内容を客観的に精査するという、こういうツールが必要になるというふうに思うんです。その辺のちょっとお考えをお聞きしたいと思うんですが。
 例えば労働契約法第二十条の、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を規定しているわけでありますけれども、これ、裁判になるとなかなか効果が発揮できない。さらには、ILOで定める先進的な得点要素法を厚労省が出している職務分析・職務評価実施マニュアルでは採用していないとか、さらには、二〇一六年の十二月二十日に同一労働同一賃金ガイドライン案が示されたわけなんですけれども、その内容も含めまして、どんな感じで参考人は捉えられているのか。そして、この日本というか、この国が将来どんな形になっていったらいいのかという希望とか、そういったところを含めて御意見を賜れればと思います。
○参考人(竹信三恵子君) ありがとうございます。
 二十条がうまくいかないのは、その中に雇用形態とかいろんな、実際やっているお仕事じゃないものですね、労務管理、雇用管理とか、そういうものも一緒でなければいけないとかいう条項がちょこっと入っていたりします。そうすると、例えば転勤がないからしようがない、一緒にできないなというふうに判断されるケースも出てきたりしますよね。ILO型のでいうと、今やっている仕事で見てくださいというふうに一応言っているので、今やっているお仕事で見てほぼ拮抗しているのにこんなに差があるのはおかしいというのが普通の是正の仕方でありまして、将来転勤するかどうかとかいうことが入ってしまうと、ほとんど救済が難しいということになってしまうんですね。
 なので、こういうやり方ではなくて、やっぱり今やっている仕事で取りあえず比べると。転勤とかはもっと転勤手当とかいろんなもので報いればいい話でありまして、まずやっているお仕事で比べるということが一つ。それによって差別というものを、雇用差別というのを是正するというポイントが一つだと思うんですね。
 ただ、それだけだと生活できる賃金に本当になるんですかという別の問題がやっぱりどうしても出てきてしまって、そうなると、今話題になっている最低賃金の引上げの問題と、あと、古いですけど、生活給として一体どれぐらいならいいのかという、そういう水準をこれからどうやってもう一回組み直していくのかということも検討していかないといけない時代に入ってきてしまったというふうに考えています。
 なので、そのような多角的な見方で、基本的には同じことをしているのにこんなに差があるのはおかしいよとか、ちゃんと見られるかどうかが@、それから、生活できる賃金なんですか、最低限のということがA、この二つを兼ね備えたような賃金政策ということが本当は必要なんだというふうに考えます。
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 続きまして、秋田参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど吉川先生からの質問の中で七〇四〇、八〇五〇問題というのがあるというふうに言われておりました。
 内閣府の統計では、引きこもりの定義が十五歳から三十九歳ということで年齢限定されているわけでありますけれども、要は、世の中で親御さんの収入がそれなりにあると、引きこもりをされていてもある程度生活ができているので、表には出てこない。しかし、親御さんが先ほど話があったように介護状態になると、一気にばっと出てくると。要は、本来は支援をしていかないといけないんだけれども、支援を求めているかどうかというのを、これを見付ける、ちょっと言い方は悪いかもしれないけど、見付ける、発見するというか、どういうふうにそれを見付けていくかというところが一番の問題だと思うんですけれども、その辺についてのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 こんなに五十まで引きこもるとは思わなかったんだろうなと思います、御家族もですね。やっぱり親のことを考えれば働いてくれるだろうという気持ちがあり、一年一年、来年こそはという中で、だんだん諦めムードになってしまう。親御さんが生きている間は年金で食べるだけは何とかなるわけですね。これがここまでに至ってしまったという結果で、こちらから引きこもっている人がいますよねとも行けないし、なかなか見付かるということがないわけです。
 今一番私たちが分かりやすい方法というのは、民生委員さんを通じての地区でアンケートを取ったりそれから研修会をして、地域の中にやはり引きこもっている方たち、一旦就職したけれど戻って自宅にいる、そういう人たちを含めて今どのぐらいいるだろうと数を調査しているんですが、やはりかなり今多いかなと思います。
 そして、ちょっとずれるかもしれないんですが、まず、誰でも相談に行きたいような窓口を地域のところで、公の大きな会場ではなくてコミュニティーセンターとかですね、そういうところで、お子さんのことで困っていらっしゃる方の窓口、御相談というので巡回を今私どもでも、五区あるんですが、そこで行っています。
 そうなると、高齢の方がいらっしゃる、やっと出ていらっしゃるというので、じゃ、そこからどうしようといっても、なかなか難しいわけですね。御本人が半分以上諦めています、そのぐらいの年代になると。というので、その諦めた気持ちから再度何とか生きていこうというときには、やはり家族の方に、何とかしていくためには、元気なうちに、親御さんが、寝たきりにならない間に、今後親が亡くなった後どういう生き方をするか。お子さんに財産と家を残せばいいわけじゃなくて、孤立しない生き方。やっぱり一人じゃなくて、地域の中に連携できる人がいて、そういう顔の見える人たちを付けていこう。そして、暮らし方も、一人で住むのではなくて、ある程度何人かで住めるような生き方とかですね。
 今、高齢の親御さん対象の講座を毎月開いております。子供のためを思えば、お金を残す、家を残すではなくて、やはり生まれてきたことに対して子供も生まれて良かったなと思ってもらえるようにやっていきましょうという、その気に、親御さんを動いていけるような気持ちになるように少し動いていかなければいけないかなと。
 それは、地域のやはりどこか、どこが担うかですね、地域包括支援センターが担うのか、そういうひきこもりセンターが担うのか、どこでもいいんですが、どこかで拠点みたいな相談窓口があれば、そこからちょっとずつ進展していくのかなと思います。
○石上俊雄君 ありがとうございました。
 最後に、稲葉参考人、参考人が関係されていたもやいのミッション、貧困を社会的に解決する、このことについて、その姿勢とかまなざしを伺いたいというふうに思うんですけれども。
 例えば、先ほど話がありましたが、ホームレスの概数というのは減ってきました。しかし、参考人が提唱されているようなハウジングプアというところから見ないといけないんじゃないですかということは先ほどお伺いしました。
 それで、さらには、過去に出された厚労省の人口動態統計調査で、一九九五年以降の国内の餓死者数が急増しているというのを参考人が見られて、要はこれが何で分かったかというと、二〇一二年の孤立死事件が表面化したところからがっとなったんですけど、これを見る限り、このように我々の周りにはこういうデータというか情報って均等にあるわけなんです。しかし、それをどう捉えるかが問題だというふうに思っているわけですね。
 先ほど参考人が言われたように、生活困窮者の自立は就労支援だというふうにと、もう一つ、社会的孤立への支援、両方が必要だというふうに言われていたんですが、一方で、生活困窮者自立支援法ができる過程で一方だけになってしまったということで、格差問題とか貧困問題に我々はどういう目線というか、どういう気持ちで向き合わないといけないかというところを、申し訳ないですけど、教えていただければと思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 私は、一九九〇年代の半ばからホームレスの人たちを始めとする生活困窮者の支援に取り組み始めまして、当時は、九〇年代から二〇〇〇年代の初めにかけては、日本国内には貧困問題は存在しないというふうに思われていた時代でした。そこで、二〇〇六、七年頃から貧困問題を可視化する、目に見えるようにするというキャンペーンに取り組み始めまして、その後、年越し派遣村もあって、今では、日本国内には貧困問題存在しないというふうにおっしゃる方はもうほとんどいなくなったと言っていい状況だろうというふうに思います。
 ただ、その貧困の形というものが、先ほどもお話ししたように、派遣切りによって仕事も住まいもゼロになったというような、ある意味、見えやすい貧困ではなくて、仕事はあるんだけれども低収入、これは最低賃金の問題もあって、低収入で就労が不安定で、それで住むところも不安定になりがちだと、ネットカフェなどにいるという形で、ある意味、見えにくい貧困になってきたという面があるかと思います。
 ですので、そうした見えにくい貧困問題にどう取り組んでいくのかというのが今後の課題だというふうに思っておりまして、先ほど人口動態統計の話も出されておりましたけど、そうした各種の調査ですね、行政も調査をされております、そこにやっぱり貧困、経済的な貧困と社会的な孤立という問題が隠れているんじゃないかという視点で見ていくことがやっぱり重要だというふうに思っております。
○石上俊雄君 ありがとうございました。以上で終わります。
○会長(増子輝彦君) 小川克巳君。
○小川克巳君 ありがとうございます。
 三人の先生方にお尋ねをいたします。
 前回の本調査会では子供の貧困問題についてヒアリングを行わせていただきました。この中で、これらの課題というのは世代をまたいでの課題であるということ、それから、教育支援のみならず、生活支援、就職支援、あるいは経済的支援を含む多面的かつ多層的支援体制の構築が必要との指摘があるということでございます。
 世代間をまたぐということ、そういった課題であるという性格から、対応につきましても、いわゆる今に対する支援と、それから先につながる支援、この両方の側面からの支援を考えていくことが必要なんだろうというふうに思うんですけれども、その中で、今般の幼児教育並びに高等教育の無償化、あるいは給付型の奨学金制度の創設であるとか、そういったことに対して、それぞれに取り組んでおられる課題からどのように評価をされておられるのかということをお話をいただきたいと思うんですが、これは、住まいであるとか、あるいは引きこもり、労働権教育という切り口からはなかなか一律にお答えしにくいのかなという気はするんですけれども、御所見、御見解を教えていただければと思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 先ほど、報告の中でも、若者の貧困の一つの背景としてやっぱり貧困の世代間連鎖という問題があると、やっぱり制度として給付型の奨学金というのを創設して拡充していく必要があるということをお話しいたしましたけれども、特に児童養護施設の出身者であるとか生活保護の家庭のお子さんたちがなかなかやっぱり高等教育まで進むことができない、ハードルが高いという現状がありますので、是非、今政府で検討されている給付型奨学金、私から見るとまだまだ範囲が狭いかなと、対象者が少ないかなというふうに思いますので、これを拡充していく方向で検討を進めていっていただければというふうに思っております。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 やはり高校教育無償化とか、これは本当に有り難いというか、あったらいいなと。それから、私たちのところでも、学び直し、引きこもっているんだけれど、やっぱり元気になると学びたいと、ここの部分でなかなか無償制度を使えないというのがあります。じゃ、これは独学になるしかないというので、そういうところにも多少何かお力を貸していただければというふうに思います。
 それから、大学には入ったんだけど就職でつまずいて引きこもった人たちも、奨学金が残ったまま、それを払えないまま自己破産になって、親御さんがそれを払える方と、やはり親御さんも破産してしまったというケースもございます。それは、誰でもやっぱり大学だけは出たいというので大学には何とかして入るんですが、そこでやはりなかなか人間関係がうまくいかずに止まってしまうと、残ったものに対してまた責任を問われるということがありますので、そういうところでも、どこかでこぼれてしまったところに対する支援というところはこれから少し考えていただければと思います。
○参考人(竹信三恵子君) これすごくやっぱり重要で、先ほど私、若い方の労働権の話をさせていただきましたけれども、やはり教育の有償度が非常に高いとか奨学金が給付が少ないということは、足引っ張っていますよね。それが重荷になっているから、こんな働き方はやめてくれと言おうとしても働き続けなければならないと。もう重荷になっているのは間違いないと思うんです。ですから、これ自体はもっと拡充するという方向性は本当に必要なことだというふうに思っています。
 やっぱり権利って、あれば使えるものじゃなくて、使えるような客観条件というものがないと使えない。この奨学金を返すとかお金が必要だとかそういうときに、持っている人が、じゃ、自分がこの働き方がおかしいんですけどみたいに言えるかというと、なかなか難しいという実態がありますので、それをもっと軽くしてあげて、普通に働くことについて集中して、いろいろ言えるようにしていただけるということがとても大事なことだというふうに考えております。
○小川克巳君 ありがとうございます。
 枠組みをつくることは議論の末にできるんだろうというふうに思うんですけれども、ただ、そのせっかくつくった枠組みに血を通わせるというのはなかなか難しい課題だなというふうにいつも思います。そういったところに少しでも体温を感じられる制度であったり仕組みであったりといったものを志向していきたいなというふうには思っておりますので、今後も頑張らせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。終わります。
○会長(増子輝彦君) 横山信一君。
○横山信一君 秋田参考人にもう少しお聞きをしたいと思います。
 秋田参考人は、長年、引きこもりの子を持つ御家族あるいは当事者の皆さんと関わる中で、引きこもりはなぜ起きるのかというのを冷静に見詰めてこられました。その原因をしっかり見定めた上で、自宅以外での生活の場が長期にわたって失われているというところを重視をされて、自宅以外の生活の場としての居場所づくり、先ほどもフリースペースのお話を通して紹介されましたけれども、その居場所づくりの重要性を訴えておられますが、この点をもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 自宅以外での生活の場が途絶えてしまっているという人たちがもう一度自宅以外で生き生きと暮らすためにといったら居場所が必要なんですが、その居場所というところが一番手間暇が掛かって、それから、それを支援する職員自身のスキルだとか、そんなものもとても必要になります。ところが、こちらも、障害者の方たちもいらっしゃるので、専門職の方もいます、専門性を身に付けた人たちもいますが、それは余り必要がない。
 なぜかというと、どうしても、引きこもっている彼らが出てきたときには、差がすごく気になるわけです。自分は支援を受ける側に落ちてしまった、片や支援をしてくれる人というので、これまで長年引きこもってきたこと自体が無に等しくなってしまうので、できれば素人感覚で、その辺のおじさん、おばさんかお兄さん、お姉さんの感覚、それから兄弟のように、もう一度人対人という、支援する側と支援される側ではなくて、人間対人間の関係で少し自分を認めることができるようにとか、それを育める空間が必要。それが一つの居場所であり、そのほかに、そこだけでは済まない、生活を、家から離れてみえる寮生活ということで、四十人ほどの寮がありますが、結果はとてもいい効果があります。家を離れることで、施設に入れられたという感覚ではなくて、学生が寮に入るようなイメージで、自分たちで洗濯をしたり、それから自治会も組んで、自分たちで言いたいこと、そして解決する問題が起きたら解決するとか、御自分たちが本来持っている力を発揮できるような場所の確保と。
 それから、就労に向けても考えていかなければいけない。それをずっと考えて訴えてくるんですが、なかなか難しいということがあり、今は大体、銀行が間に入って、雇用する働き手が欲しい企業さんっていっぱいいるんですね。こちらは若者がいっぱいいるというので、どんな人をどのように育てればいいかをこちらでやって、そして間で銀行に入っていただいて、企業側と働き方を少し工夫する。一人で働くと意外に辞めちゃったりするんです。怖いわけです。また傷つくのが怖いというので、大体三、四人でグループで働ける職場をこちらも探して、お互いにマッチングしたら行く。それが銀行にとってもいい効果がある、また、融資を受けることができるとかですね。
 ということで、本当に気が長い支援になるんですが、実は、目に見えて、きちんと成長段階が見えて、ちゃんとして自分で卒業できるという効果がありますので、そういうシステムがあればいいんですが、どうしても居場所、それから学び、就労と、点、点、点になっている。今は点があるから、そこに結び付けるのがとっても手間暇と、理解していただくまでに時間が掛かるんですが、今は私どもは一つのところで、必要があってつくってきました。そういうところが少しモデル的になったら、逆に手間暇掛からずに解決してくるかなというような気がいたします。
○横山信一君 制度のはざまといいますか、抜けている部分を実践の場から教えていただいて、大変に参考になります。私たちもしっかりと努力をしてまいりたいというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 川田龍平君。
○川田龍平君 ありがとうございます。
 時間がありますので、ちょっと質問させていただきます。
 稲葉参考人から結婚の話がありまして、私も結婚というのは、特に国がとか国家とか、そういったところがそういうのを促進するというよりも、やっぱり個人のライフスタイルの問題というのがあったんですが、稲葉参考人の資料によりますと社会の持続可能性の危機とはっきり書かれていて、こうなってくると本当に、結婚という形態にはかかわらずにでも、やっぱりコミュニティーというか家族というのをどのように再生していくのかということについての関心が出てきて、やっぱり結婚ということだけではなく、何というか、家族やコミュニティーやそういったものをどうやって再生していくのかということに関して、稲葉参考人からは今日、住居の問題でしたけれども、基本的にはそういう社会全体の問題であったり。竹信参考人からは、働き方、労働の方から、やっぱり今、長時間労働があって、結局出会う場所もなかったり、家族をつくるということ自体が非常に、若い人で住居もあって仕事もあっても、結局出会いの場がなくて結婚に結び付かなかったりとか。
 また、結婚については、結婚してからもやっぱり継続、持続することがすごく大変だったりとか、これはコミュニケーションの問題であったりとかいろいろな問題があって継続させることがすごく難しいという状況の中で、どのように今後、国がというよりも、やっぱり本当にどうやって結婚とか、社会の持続可能性ということから見ていくそういう家族の形態というか、そういったものが何か、どのようにすれば、そういう家、住居を確保するということだけではない観点からも、やっぱりこの結婚というものをどう考えていけるのかというので、稲葉参考人と秋田参考人と竹信参考人、それぞれお伺いしたいと思います。
○参考人(稲葉剛君) ありがとうございます。
 私は常々、生活困窮者の相談支援をする中で感じているのは、日本の社会はやっぱり家族に対して非常に過重な負担が掛かっているということを常々感じています、生活困窮に至ったときに頼れるのは家族しかないと。公的な支援がこれ若者に限らず全般的に弱い中で、家族で支え合わざるを得ないというところがあって、それが結果的にその家族の共倒れ、先ほどから八〇五〇問題とかも、介護の問題も含めて、この間、介護殺人のような家庭内での暴力、殺人事件等も増えておりますが、そうした面も含めて矛盾が噴き出しているというふうに感じています。
 ですので、この若者の住宅問題についても、ネットカフェ難民が都内に四千人というと、その四千人をどうすればいいのかというところにどうしても議論が行きがちなところはあるんですが、その裏返しの問題として、多くの若者たちが親元にいざるを得ない、親元から自立できないという状況にありますので、その人たちに、まずは親元から出られるような、出たいと思うときに出られるような支援をしていくと。具体的には私は住宅支援が重要だというふうに思っておりますが、私たちの社会全体が若者の自立を阻んでいて、親元から出られないような状況にしているんじゃないかというふうな問題意識から支援をしていく必要があるだろうというふうに思います。そして、出た先で結婚をするなり、そこで仲間を見付けるなり、コミュニティーをつくるなりという形の動きがそこからじゃないと出てこないんじゃないかなというふうには思っております。
○参考人(秋田敦子君) ありがとうございます。
 結婚の問題って、やはり結婚したいと思えるようなモデルを多く目にすればいいなと思います。家庭が崩壊しているとか困窮しているからではなくて、貧困の中でも、それから生活費が本当に微々たるものでも、その中で幸せって築いていけるわけですね。意識の問題で、その意識を気付かせてあげるような人たちにいかに出会うかということが一番大切なのかと思います。
○参考人(竹信三恵子君) やっぱり働く場が家族とかそういったことをほとんど、家事とか考えていないんですよね。なので、大変な長時間労働、特に正社員になったらそれが当たり前で、それができない人は出ていって非正規やってくださいと言わんばかりの対応が労務管理の中でも非常に実はいまだに多いんですね。そうなってくると、結婚しろと言われても、家族を運営していく時間がないのに家族持っても意味がないし、そもそも出会えないしという。そういう状況で部分的に婚活をやっても、それは、そういうような状況の中では、ちょっと婚活に行っても付き合えないじゃないですか、余りにも労働時間がふだん長いので。
 ということで、やっぱり全体的に生活時間、家族時間というか私生活と言うべきかもしれません、それをちゃんと見込んだ労働時間に立て直していくということを本気になってもう考えないと、何もかも壊れてしまうだろうという気がします。これ、結婚できるようにそうすると言っている意味ではなくて、人間が自分の私生活を保てない限りは出会えないし、まず結婚じゃなくてもいいんですけど、誰かと一緒に暮らそうということさえもなかなか難しい状態に今なってきてしまって、それどころじゃないという感じになっているんですよね。
 なので、そこのところの労働時間問題を、ちゃんと人と出会えるようなことができる労働時間、それが本当は八時間だったと思うんですけれども、そういうふうに言うと、今度は八時間をサービス残業にして、ほかの時間はなかったことにして、その賃金は同じでいいねみたいな形になるわけですね。そうではなくて、八時間で働ける産業って一体何なのということを産業政策の中にきちんと入れ込んで、一生懸命みんなで考えていくということが必要だと思います。
 これまでの産業政策は、取りあえず食べられるものというものについてはいろいろ考えてこられたかもしれませんが、生活と折り合えるというような形での産業政策はやはりちゃんとできていなかった、そもそも項目に入っていなかったような気がします。そこをもう一度考え直すということがとても必要なのではないでしょうか。
○川田龍平君 ありがとうございます。
 前回も一人親家庭の就職、就労の、貧困の問題もやりましたけれども、やっぱり今、例えばインフルエンザにかかって仕事に行けないということで数日間仕事ができないと、もうそこで貯金がないので破綻してしまうというような状況の若い人たちがたくさんいるという状況の中で、やっぱり本当にいろいろと日々そういった支援をされている参考人の皆さん方には、本当に今日ありがとうございました。ありがとうございます。
○会長(増子輝彦君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 一言御挨拶を申し上げます。
 稲葉参考人、秋田参考人及び竹信参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会