第196回国会 消費者問題に関する特別委員会 第5号
平成三十年六月四日(月曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     三浦 信祐君     谷合 正明君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     石井みどり君     朝日健太郎君
     三木  亨君     藤木 眞也君
     矢田わか子君     礒崎 哲史君
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  出席者は左のとおり。
    委員長        三原じゅん子君
    理 事
                太田 房江君
                島田 三郎君
                渡邉 美樹君
                若松 謙維君
                森本 真治君
    委 員
                青木 一彦君
                朝日健太郎君
                小川 克巳君
                小野田紀美君
                尾辻 秀久君
                徳茂 雅之君
                福岡 資麿君
                藤木 眞也君
                宮島 喜文君
                熊野 正士君
                谷合 正明君
                礒崎 哲史君
                田名部匡代君
                斎藤 嘉隆君
                杉尾 秀哉君
                大門実紀史君
                山添  拓君
                片山 大介君
                福島みずほ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   参考人
       弁護士      森  大樹君
       全国消費生活相
       談員協会理事長  増田 悦子君
       弁護士      山本 健司君
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  本日の会議に付した案件
○消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(三原じゅん子君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、三浦信祐君、矢田わか子君、三木亨君及び石井みどり君が委員を辞任され、その補欠として谷合正明君、礒崎哲史君、藤木眞也君及び朝日健太郎君が選任されました。
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○委員長(三原じゅん子君) 消費者契約法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 本日は、本案の審査のため、参考人として弁護士森大樹君、全国消費生活相談員協会理事長増田悦子君及び弁護士山本健司君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、森参考人、増田参考人、山本参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、森参考人からお願いいたします。森参考人。
○参考人(森大樹君) 弁護士の森大樹と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、私のような若輩者にこのような貴重な機会をいただきましたことを、本当に心から感謝申し上げます。
 私は、日頃から、企業側に助言する立場として、消費者と企業をめぐる様々な紛争やトラブル、また契約書や利用規約の作成、改訂などについて関与させていただいております。そこで、そのような企業法務に携わる者の視点から、僣越ではございますが、若干の意見を述べさせていただきたいと考えております。
 なお、本日の私の意見は全て私見であり、私が所属しております法律事務所その他のいかなる団体の意見をも代表するものではないことをあらかじめ御承知おきくださいますよう、お願い申し上げます。
 まず、私としましては、本改正法案が真面目な企業の事業活動に悪影響を与えるものではない、特に不当な萎縮効果を及ぼすものではないという理解の下、本改正法案について賛成するものであります。
 なぜならば、本改正法案は、消費者被害の実態を踏まえて被害防止、被害救済を促進することによって、消費者契約法の目的の一つである消費者の利益の擁護を図るものであるとともに、その一方で、事業者の予測可能性を担保し、真面目な企業による事業活動が円滑に進むための一定の配慮も見られるものであり、我が国における事業活動を不当に萎縮させることにはならず、むしろ適正な方向に導くものであり、消費者契約法の究極的な目的である国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するものであると考えているからであります。
 次に、本改正法案の内容について個別的に意見を述べさせていただく前に、まだまだ経験は浅いですが、私自身がこれまで企業法務に携わってきた中で日頃から消費者立法について感じていることを、大変僣越ながら一言申し上げたいと考えております。
 御承知のとおり、我が国には、非常に真面目に事業活動に取り組んでいるすばらしい企業が多数ございます。そして、事業者に対する規制を強化した場合には、その新しいルール、規範が不明確であれば、真面目に取り組もうとする企業ほど、あれもやってはいけないのではないか、これもやってはいけないのではないかと考えてしまい、結果として不当な萎縮効果を与える恐れがございます。
 そして、そのような萎縮効果は、イノベーションを阻害して、本来であれば消費者に提供できたはずの商品、サービスの提供を妨げる、そういうことにもつながりかねません。そのようなことは本改正法案に限るものではございませんが、消費者関連法の立法においては重要な視点だと考えておりますので、個別の条文に関して意見を申し上げる前に一言述べさせていただきました。
 さて、前置きが長くなりましたが、本改正法案の内容について、条文ごとに、気になる点や賛成する理由について私見を述べさせていただきたく存じます。
 まず、第三条の改正案については、従前から存在する努力義務の内容を明確化又は敷衍したものであると理解しておりますので、今回の改正案に賛成いたします。
 第一項第一号については、商品、サービスの複雑化が著しい昨今、率直に申し上げまして、弁護士であったとしても、解釈について疑義が生じない契約条項を作ることは非常に難しくなっております。特に、契約の相手方として想定される消費者には、私たちの想像以上に様々な方がおります。また、日本に居住する外国人の方々も増えております。そのような現代の日本社会において、どのような消費者にとっても解釈について疑義が生じない契約条項を作ることは、理想的ではありますが、実際にはかなり難しいという実態も御理解いただければ有り難く存じます。
 第一項第二号についても、必要な情報を提供すべきという規定の内容については全く異論ございません。事業者としてもできる限りそのように努めるべきだろうと考えております。
 しかしながら、実際には、事業者として、大量生産、大量消費のケースなど、一人一人の消費者の個性に着目せずに販売活動を行っている場合もございます。つまり、条文で言うところの「個々の消費者の知識及び経験」を事業者として知らない事案もあるということです。この点、本改正案は、「消費者契約の目的となるものの性質に応じ、」と定められておりますので、このような企業実務をきちんと踏まえて規定されたものだというふうに理解しております。
 次に、第四条第二項の改正案において、「重大な過失」を要件として加えることについて意見を申し上げます。
 このような改正は、事業者にとっては民事ルールの規制強化に当たります。しかし、私としては、この改正についても反対するものではございません。価値判断の問題として、第四条第二項が定めるような場面において、事業者に重大な過失があるときに消費者契約が取り消されるのはやむを得ないことだと考えています。ただし、重大な過失があるか否か、その判断は人によって大きく異なる場合があります。つまり、その解釈の幅は非常に広いものと理解しております。
 私自身、消費者契約に関する事案ではございませんが、現在代理人を務めている訴訟で二件ほど重大な過失について争いになっている事案がございます。いずれの件についても、当事者間での主張は激しく対立しており、裁判所がどのような判断を下すのか、そう簡単に事前に予測できるものではございません。実務では、重大な過失と通常の過失、いわゆる軽過失の線引きは非常に難しいと感じております。
 したがって、裁判所を何ら拘束するものではございませんが、消費者契約法を所管する消費者庁が重大な過失の有無について参考例を多数示すなどして、消費生活相談等の現場の実務が混乱を来さないように十分に御配慮いただくことを望んでおります。
 次に、第四条第三項第三号、第四号及び第五号の改正については、法制上やむを得ないと考えますが、規範的な文言や開かれた文言が幾つか用いられているため、少なくとも立法当時に考えられていたその文言の意義を明らかにして、適用範囲がいたずらに拡張することのないようにしておくことが、事業者に対する不当な萎縮効果を与えないためには大切だと考えております。
 このような点には留意する必要があると考えておりますが、条文の内容面に着目すれば、例えば第五号については、「不安をあおり、」という要件が適切に設定されていることからしますと、すなわち、事業者が不安をあおるような行為をしない限り取消し権の要件を充足することはないということなどからしますと、真面目にビジネスを行っている事業者であればまず問題になることのない規定であると思われますので、私としては、この改正案の内容についても妥当な規定になっているものと考えております。
 また、第四条第三項第六号においても、いわゆる霊感商法に限定的に適用されるものであって、社会通念上、我が国の社会において広く受け入れられているような一般的な厄払いなどについては、「重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示して」という要件、又は「確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げる」という要件を充足しないものと考えておりますので、やはり規定の内容について妥当なものになっていると考えております。
 次に、第四条第三項第七号について申し上げますと、この条項において典型例として想定されているのは、悪質商法を行っているさお竹屋のような事案だと理解しております。そして、そのような事案について適用される規制を新設することは全くもって正当だと考えております。しかしながら、例えば自宅内での水道管の破裂や急病人の治療など、至急の対応が必要な場合にまで本号が適用されるようなことがあってはならないと考えております。
 結論としては、今、私が申し上げたような事例は、第四条の柱書きの「勧誘をするに際し、」という要件を充足しないため、本号が適用されることはないものと理解しておりますので、本改正案の内容はやはり妥当なものだと考えております。
 第四条第三項第八号、第八条及び第八条の二につきましては、いずれも改正案の内容について賛成であり、私から特に付け加えさせていただくことはございません。
 第八条の三の内容につきましては、後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権と規定されているところ、この「のみ」という要件が設定されていることからすると、適切な規定になっていると考えております。しかしながら、実務上は、様々な事業分野の消費者契約において、今もなお、この条文の要件を満たすような条項が用いられているケースが少なからず存在するのではないかと思われます。
 したがいまして、事業者が、今回の改正を知らずに、有効な規定と誤解をして当該規定を使い続けることのないように、改正法の施行に先立ち、なぜこのような規定が無効とされるのかという説明も含め、消費者庁におかれましては、広く事業者、特に中小零細事業者に対する情報提供、啓蒙活動を行っていただきたいと考えております。
 最後になりますが、私に与えられた時間が若干残されているようですので、もう一つだけ私見を述べさせていただきたく存じます。
 委員の皆様方にとっては釈迦に説法ではございますが、私自身、消費者関連立法においては、立法事実の慎重な検討が特に必要ではないかと考えております。目の前に被害に遭われた消費者の方がいると、その方を救済しなければならない、そう思われて立法に臨まれるということはごく自然なことだと思いますし、我々国民が国会議員の先生方に期待しているところでもあると思います。
 しかしながら、ごく一部の事例だけを見て、その事例に対処できる法律を制定すればそれで足りるというのかということを改めて考えてみますと、時として、被害者のことを思うが余りに過剰な規制の内容になっているのではないか、そういうおそれもあるのではないかということも場合によってはあり得るのではないかと考えてございます。消費者関連の立法に当たっては、立法による反射的な効果の大きさ、社会への影響力の大きさというものにつきましても是非十分に御配慮いただきたく存じます。
 ともすれば、消費者契約法が裁判規範として機能するということから、その改正を検討する場面においては、消費者と事業者が対立構造にある、そのような理解で検討されてしまうこともあるのかもしれません。しかしながら、冒頭にも申し上げさせていただいたとおり、世の中には真面目な事業者も非常にたくさんおります。消費者と事業者は必ずしも対立構造にあるものではないと考えております。
 したがいまして、消費者利益の擁護及び増進を図ることの重要性は論をまちませんが、それとともに、適正な事業活動の推進は消費者の暮らしを物心共に豊かにするという、これもまた重要な消費者利益の実現に欠かせないものではないかと考えておりますので、是非、適正な事業活動を阻害しないようにということにも御留意をいただいた上で、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のために、是非とも委員の先生方にはこれからも御尽力いただきたくお願いを申し上げます。
 そして、本日の議題となっている消費者契約法のような民事法につきましては、法律が生まれた後には消費生活相談の現場で活用されることが重要なことはもちろんですが、その運用において決定的に重要な意味を持つのは、やはり司法、裁判所の判断ではないかと思います。
 裁判所においては、法律の趣旨及び目的を踏まえて、条文の文言が拡張解釈されるケースも少なからず存在します。そのこと自体はもちろん司法権の適正な行使であり、何ら異を唱えるようなものではございませんが、この国会で生まれた、作られた法律は、生みの親である皆様の手を離れると、その意図にかかわらず拡張解釈されることも十分にあるということを御理解いただきたく存じます。
 そして、事業者が、消費者契約の内容を、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ消費者にとって平易なものになるように配慮することを努めるのと同様に、国会においても、できるだけ解釈について疑義が生じない、明確で、国民にとって平易な分かりやすいルールを定めていただければと望んでおります。
 これで私の意見陳述を終わらせていただきます。
 御清聴いただき、誠にありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、増田参考人にお願いいたします。増田参考人。
○参考人(増田悦子君) 公益社団法人全国消費生活相談員協会の増田と申します。
 今日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本協会は、自治体の消費生活相談窓口に勤務します消費生活相談員を主な構成員としております。会員は約二千名おります。本協会の事業として、週末電話相談室、団体訴訟室、そして消費者契約を三本柱といたしまして、そうした中から相談を、消費者の方からの生の声を受け付けて、そして、今日、ここで皆様の方に意見をお伝えしたいと思っております。
 まず初めに、現状の高齢者の消費生活相談の状況でございますが、高齢者に関する消費生活相談は依然として多く、中でも認知症等の高齢者の相談は依然として高水準にあります。高齢者全体では本人からの相談は約八割になりますけれども、認知症等の高齢者からの相談は二割に満たないという状況にあります。したがいまして、今後も引き続き、周りの方からの見守りというものが大変重要になっているというふうに感じております。
 スライドの四を御覧いただけますでしょうか。高齢者の消費者被害の特徴でございます。
 加齢とともに、それまで積み重ねてきた社会的経験が経験として生かせなくなるということがございます。判断力が低下している場合、契約していたことを忘れてしまったり、被害に気が付かないということもございます。家族に知られると叱られるから言わない、相談しない。また、独り暮らしの場合、被害が発覚しにくいため、次々販売となり、高額な契約につながるということもよくございます。生活に不安があるため、親切にされると頼ってしまう。また、コミュニケーションが少ないため、近寄ってくる人に疑いを持たないことが多い。被害に遭っても、自分にも落ち度があったと思い諦める傾向があり、被害回復のために積極的にならないということがございます。
 こうした状況において、消費者契約法の改正を御審議いただき、本当に感謝申し上げます。同時に、早急に成立させていただきまして、私ども消費生活相談の現場でしっかり活用をしていきたいと強く願っております。
 ただ、現実の問題として、消費生活相談において幾つかの問題がございますので、三点ほどお伝えしたいと思います。
 まず一点目でございますが、社会生活上の経験が乏しいことについて、一般的にはこの文言では中高年も対象となると解釈することが大変難しいのではないかと考えております。そのため、消費生活相談の現場で事業者に説得をするということは大変困難が予測されます。また、要件が複雑でございますので、適用範囲が狭くなる可能性が高く、活用できる事例がどれだけあるのかということも懸念されます。被害救済のためには、消費生活相談員は、聞き取る力、法律の解釈と当てはめ、事業者への交渉、説得が不可欠です。今回の改正案を活用するためには、より高い技術が必要とされると考えております。
 次に、消費生活センターにおいて相談を受け付けた場合の対応について少し御説明したいと思います。
 まず、相談が寄せられた場合、被害回復のために、特定商取引法、消費者契約法、民法などの活用を考えます。その当てはめをするために相談者から聞き取りをするわけですが、全てをしっかり話してくださる相談者というのはおりませんので、その詳細な聞き取り、要件に合うかどうかを検討するための聞き取りが非常に重要になります。その上で、法律の解釈をしっかり理解した上で検討するということになります。それを踏まえて、事業者の方に説得をするということになります。
 消費生活センターに寄せられる相談というのは、金額が少額でございます。最近はあっせん不調になるということも数多くありますけれども、実際に弁護士委任、あるいは裁判所に申入れするというようなことは非常に少ない状況でございますので、消費生活相談の現場で解決できる、そうした法律になってほしいと思っております。消費生活相談員、事業者、そして消費者の方たちに分かりやすい法律であってほしいと思っております。
 スライド七からは事例を御紹介しております。
 高齢であるがゆえに生活に不安があり、人との関係が薄くなる状況において、長きにわたって関係を築き、その間に次々と契約させるケースがございます。
 この事例は、二十年以上にわたって販売員や事業者と依存する関係が続き、次々と契約を重ねてしまったケースです。高齢になりますと楽しみも少なくなりますので、事業者が開催する食事会やイベントに参加することは大変楽しかっただろうと思います。その商品が欲しいとか、必要性があるというよりは、事業者との関係を維持しないと現状の楽しみがなくなってしまうということから契約を続けていたのではないかと考えられます。
 次の事例は、やはり二十年間、部分かつらの契約を繰り返していたという事例でございます。
 毎月、地肌とかつらのメンテナンスで店に通っていました。美容院に行くのと同じですので、販売員とのコミュニケーションは楽しかっただろうと思います。ですから、新しい形のものはどうか、下取りに出すと安くなるなどと勧められて、本当は断りたいと思っても、楽しみがなくなるとか、行かないとせっかく買ったかつらのメンテナンスができないということから通っていたものと推測されます。かつらが老後の生活を破綻させるというようなことまで必要なものだというふうには思いません。
 また、スライド九の事例は、付け込み型勧誘の類型として、高齢者等の知識、経験、判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約を勧誘するケースだと考えております。
 自作絵画の出展契約や画集作成等の契約を複数していることが分かった。判断力が不足しており、記憶が定かでない。家に来訪しての契約と電話による勧誘のようだというものです。これらは、いずれも過量販売での取消しということになりますと、現場では争いがあるという、そういう可能性がある事例でございます。
 スライド十を御覧いただけますでしょうか。
 今回の改正内容についてお願いしたいことでございます。
 社会生活上の経験不足の不当な利用、不当に利用して、不安をあおる告知、恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用をした場合に取り消し得るということを提案していただいております。本来であれば、この社会生活上の経験不足の要件は削除していただきたいと思っておりますけれども、もし削除が困難であるとしても、中高年へも適用されることを明確にしていただきたいと思います。
 加齢等による判断力の低下の不当な利用についてですが、ここに著しいという文言が入っておりますので、これについても柔軟な解釈をお願いしたいと思います。高齢者の判断力の低下にはばらつきがございます。消費生活相談においては、日常のスーパーでの買物などは可能であっても、判断力については波がある状態の方が多くいらっしゃいます。まだ要介護認定の申請をしていない方、申請をしていたとしても要支援であったり要介護一、二の方の相談が大変多いと思います。
 それから、霊感等による知見を用いた告知についてですが、せっかく追加していただきましたので、是非とも活用したいと思っております。ただ、霊感、占い以外の適用も是非検討していただきたいと思います。例えば偽科学などのケースというのもございますので、是非よろしくお願いいたします。
 最後に、お願いしたいことでございますが、消費生活相談においては消費者庁解釈や判例に基づき主張することになります。相談員が勝手な解釈で主張をするという反論があると思います。事業者を説得しやすい柔軟な解釈及びそれをしっかり広報していただくということをお願いしたいと思います。
 状況を利用した付け込み型勧誘とか平均的損害の立証責任の軽減について、今後の被害の状況を把握して、迅速な改正をしていただきたいと思います。
 消費者契約法は、本来、消費者自身が活用できるものであるべきと考えております。事業者、消費者への周知をしっかり行っていただきたいと思います。そして、今後、消費者志向経営を目指す事業者においては、年齢や状況に応じた配慮を行っていただきたいと強く思っております。
 最後に、消費生活相談員は高い技術が必要とされています。研修や消費生活相談の環境整備、地方消費者行政の強化もお願いしたいと思います。
 以上でございます。本日は誠にありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
○参考人(山本健司君) 弁護士の山本健司と申します。本日は、このような意見を述べる機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 私は、本日、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の委員として消費者被害の救済に取り組んでいる弁護士という観点及び今回の法改正に消費者契約法専門調査会の委員として関与させていただいた者としての観点から、現在御審議をいただいております消費者契約法改正法案について、七点意見を述べさせていただきたいと思います。
 お手元の意見要旨と別冊の参考配付資料を御覧ください。
 第一は、賛否の意見です。
 この法案は、我が国の消費者保護を一歩進める法案であり、今国会での成立をお願いしたいと思います。ただし、一部の要件については、専門調査会報告書の趣旨、内容に適合した解釈、適用範囲を明確にしていただきたいと思います。
 第二は、四条三項三号及び四号の「社会生活上の経験が乏しい」という要件に関する意見です。
 この要件は、専門調査会報告書には存在しなかった要件です。専門調査会報告書では、不安をあおる告知や人間関係の濫用といった方法で合理的な判断ができない心理状態の下、消費者に契約をさせる行為そのものを不当勧誘行為として取消し権の対象としております。対象者の年代による法範囲の限定などは設けておらず、高齢者や中高年など若年者以外の者に対する法適用も念頭に置いております。
 具体的には、添付の配付資料六、四枚目の表から裏になりますけれども、第三十一回専門調査会資料二抜粋のとおり、専門調査会において不安をあおる告知の具体的事例として議論されていた問題事例は、就職への不安や頭髪への不安や家族の健康への不安をあおって契約させるような行為です。これら就職への不安、頭髪への不安、家族の健康への不安といったものは若年者に固有の不安要素ではありませんし、これらの問題事例も若年者のみを対象とした事案内容ではありません。
 また、添付の配付資料五、これは三枚目裏になりますが、専門調査会報告書抜粋、及び、配付資料七、五枚目の表から裏になります、第四十四回専門調査会報告書一抜粋のとおり、専門調査会において人間関係の濫用の典型例とされていた問題事例は、婚活サイトで未婚女性に近づきマンションを買わせるといった被害事例です。そして、添付の配付資料九、これは七枚目裏からになりますが、国民生活センター報道発表資料のとおり、婚活サイト事案の被害者の多くは三十代、四十代の女性であり、被害者の平均年齢は三十五・一歳です。人間関係の濫用は、このような婚活サイト事案の被害者等を典型的な救済対象として立案されたものです。
 さらに、添付の配付資料八、これは七枚目表になります、四十四回専門調査会議事録抜粋のとおり、専門調査会における議論では、人間関係の濫用の具体的事例として、婚活サイト事案以外にも、高齢者の依存という人間関係を濫用して契約させた事例も含まれることが確認されておりました。
 このように、専門調査会における議論及び報告書では、不安をあおる告知についても、人間関係の濫用についても、高齢者や中高年など若年者以外の者に対する法適用も念頭に置いておりました。
 ところが、専門調査会終了後に、法案作成の過程で消費者庁により、「社会生活上の経験が乏しい」という要件が付加されました。もし万一、本要件が、不安をあおる告知や人間関係の濫用の規定による被害救済の範囲を若年者に限定するとか、若年者以外の消費者の被害救済を劣後させるといった意味内容なのであれば、先ほど述べましたような専門調査会報告書の取りまとめ内容を逸脱した、極めて問題のある要件の付加であると言わざるを得ません。
 もっとも、消費者庁は、この要件はそのような意味内容の要件ではないと説明をしておりました。具体的には、本年五月十一日の衆議院本会議における福井大臣の答弁のように、この要件が付加されても専門調査会で問題とされていた被害事案は基本的に全て救済される、高齢者等であっても、契約の目的と勧誘の態様との関係で本要件に該当する、霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んでいた消費者であっても、一般的に本要件に該当するという説明がなされておりました。
 確かに、「社会生活上の経験が乏しい」という要件の意味内容が、この衆議院本会議答弁のように、悪徳事業者による消費者被害の被害者は一般的に本要件に該当するという意味内容なのであれば、この要件があっても、先ほどの婚活サイト事案のような悪徳商法における三十代、四十代の女性も問題なく保護できるのかもしれません。ただ、そのような意味内容の要件であるということは、法文を一読しただけでは分かりにくいという問題点は残るように思います。
 このように、法文の意味内容が分かりにくい「社会生活上の経験が乏しい」という要件については、三号、四号の規定の適用範囲を若年者に限定しかねない、専門調査会報告書で救済対象と位置付けられていた婚活サイト事案等の被害事案を問題なく全て救済できるのかについて懸念を生じさせるという意味において、本来的に削除が最も望ましい対応であろうと考えます。この点は、衆議院の参考人意見で河上前委員長や野々山弁護士も述べておられたとおりであり、私も本来的に同意見です。
 しかし、もし諸般の事情から、「社会生活上の経験が乏しい」の削除がどうしても難しいという場合には、不安をあおる告知、人間関係の濫用による消費者被害の救済範囲を専門調査会報告書の取りまとめ内容から縮小、後退させる結果とならないよう、この要件に関する柔軟な解釈とその明確化が必要不可欠であると考えます。
 具体的には、本年五月十一日の衆議院本会議における大臣答弁のように、この要件は柔軟に解釈されるべき要件であることや、悪徳事業者による消費者被害の被害者は一般的に本要件に該当するといった解釈指針を明確化しておいていただくことが必要不可欠であると考えます。
 この点、衆議院における審議では、本要件に関する大臣答弁の内容が、五月十七日、五月二十一日の答弁で、悪徳事業者による消費者被害は、若年者であれば一般的に本要件に該当するという狭い解釈に修正されるという出来事がありました。
 五月二十一日及び二十三日の衆議院委員会審議で問題となりました、添付の配付資料一、一枚目表の「大臣本会議答弁の修正について」と題された書面では、悪徳商法の場合の本要件の一般的な該当対象を、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者から若年者に答弁修正した、これまでの柔軟な解釈よりも本要件の適用範囲が狭まったという記載があります。
 しかし、本会議での法案の内容説明にも反し、専門調査会報告書の取りまとめ内容にも反するこのような答弁修正ないし解釈変更は、手続的にも内容的にもあってはならないものであると考えます。
 また、この書面については、衆議院の参考人の意見引用が不正確、不相当であるという問題点や、もし仮に、この書面に記載されているような狭い解釈に答弁修正、解釈変更がなされたと仮定すれば、婚活サイト事案など重大事案の被害者が救済範囲から抜け落ちかねないという問題が生じてしまうように思われます。
 これらの点に関する参考資料として、添付資料四、二枚目裏の野々山参考人の意見書、配付資料二及び三、一枚目裏及び二枚目表の説明図面を、本日、委員会の皆様に配付させていただいております。時間の関係でこれらの書面に関する詳細な説明は割愛させていただきますが、御参照賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 幸いにして、このような大臣の答弁修正については、五月二十三日の委員会で大臣御自身により謝罪、撤回され、五月十一日の答弁内容が維持されました。また、その後の衆議院の委員会審議及び参議院の審議でも、五月十一日の本会議答弁を維持するという答弁が繰り返しなされており、その点は極めて重要なことであると思います。
 一方、本要件を満たすのは若年者及びこれと同視すべき者であるという答弁については、もし仮に、悪徳事業者による消費者被害の被害者は一般的に本要件に該当するという五月十一日の答弁内容との整合性のない答弁内容なのであれば、問題が残されているように思われます。
 参議院の今後の審議におかれましては、本要件の解釈問題について、本年五月十一日の衆議院本会議における大臣答弁のように柔軟に解釈されるべき要件であること、特に霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当するということを立法者である国会の意思として附帯決議で明確にしていただき、そのような解釈と運用を消費者庁に逐条解説等で周知させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 第三は、四条三項三号及び四号の「告げる」、「困惑」という要件に関する意見です。
 実務への指針という観点から、専門調査会における論議の際に確認されていた、「告げる」という行為には黙示に告げる行為も含まれること、「困惑」とは精神的に自由な判断ができない状況をいう広い概念であり、恋人商法に見られる幻惑といった表現の方がふさわしいような消費者が精神的に自由な判断ができない心理状態も包含するものであることという要件解釈について、国会質疑や逐条解説で明らかにしておいていただきますよう、お願い申し上げます。
 第四は、衆議院で新たに付加された五号、六号に対する意見です。
 これらの規定は、原案より消費者保護を一歩前進させるものであり、その立法に賛成いたします。ただ、「著しく低下」という評価を伴う要件については、高齢者等の救済範囲を不当に狭いものにしないか懸念があります。高齢者等の救済範囲を不当に狭めることがないよう、「著しく」を削除するか、削除が難しい場合には、厳格に考えるべき要件ではないということを国会の附帯決議で明確にしていただき、そのような解釈と運用を消費者庁に逐条解説等で周知させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
 第五は、いわゆる付け込み型不当勧誘取消し権等に関する意見です。
 添付の配付資料十、九枚目表になります、内閣府消費者委員会の答申書で喫緊の課題として付言された三つの事項に関しては、追加措置の可及的速やかな実現をお願いいたしたいと思います。
 特に、同答申書二の高齢者、若年成人、障害者等の知識、経験、判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における取消し権、いわゆる付け込み型不当勧誘行為に対する包括的な取消し権の創設は、高齢化の進展に伴って我が国で増加している高齢者の消費者被害への抜本的な対応策であるという観点からも、もし民法の成年年齢が引き下げられた場合に増加することが懸念される若年者の消費者被害への抜本的な対応策であるという観点からも、非常に重要な立法課題です。
 添付の配付資料十三、十四枚目から十六枚目になります、のとおり、消費者の知識、経験、又は判断力の不足に乗じて契約の締結を勧誘する行為は、既に全国の地方自治体の消費生活条例等で規制されている不当勧誘行為です。
 また、添付の配付資料十二、これは十枚目以下になります、のとおり、大阪府、京都府、東京都などの地方自治体が付け込み型不当勧誘取消し権の創設を求める意見書を採択しております。付け込み型不当勧誘行為に対する包括的な取消し権の創設について、可及的速やかな立法措置をお願いいたしたいと思います。
 第六は、九条一号、平均的損害に関する消費者の立証責任の緩和に関する意見です。
 専門調査会報告書で措置すべき事項とされながら、今回の法案に含まれていない九条一号、平均的損害に関する消費者の立証責任を緩和するための規定について、可及的速やかな立法措置をお願いいたしたいと思います。
 最後に、第七、消費者契約法専門調査会報告書で継続審議とされていた諸事項に関する意見です。
 専門調査会報告書では、実務上は重要な問題ながら、検討時間の不足等の理由によって継続検討事項とされた論点が少なくありません。それらの諸論点に関する検討の継続と、できるだけ早い追加措置の実現をお願いいたしたいと思います。
 これで私の意見陳述を終わらせていただきます。
 御清聴いただき、ありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○島田三郎君 自由民主党の島田三郎であります。
 本日は、参考人の皆様には、大変お忙しいところをお越しいただきまして、貴重な御意見をいただきましたこと、誠にありがとうございました。
 これから幾つかの御質問をさせていただきたいと思いますが、それぞれの先生方のお立場でお考えをいただければと思っております。
 まず、今回の改正による追加される困惑類型についてお伺いいたします。
 消費者契約法は、あらゆる取引分野の消費者契約について幅広く適用されるものであります。そして、消費者契約法は、民事ルールとして裁判において適用されるのみならず、消費生活相談の現場では事業者のあっせんにおいて活用されるほか、事業者が契約を締結したり勧誘を行う際の行為規範としても機能をいたしております。
 また、消費者契約法の困惑類型には、一旦成立した契約を消費者が一方的に取り消すことができるという効果が与えられております。消費者契約法の適用範囲や機能、困惑類型の効果等を踏まえますと、消費者、事業者の双方にとって、その対象となる行為は事業者の不当性の高い行為ができる限り明確に規定されることが必要であると考えております。
 こうした観点から、今回の改正法により追加される困惑類型について、企業法務に詳しい森参考人並びに消費生活相談に関わっておられる増田参考人のお考えをお伺いいたします。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 今、島田先生の方から御質問のあった、消費者契約法が裁判規範としても行為規範としても機能すること等から、本件の改正については不当性の高い行為をできるだけ明確にということについて、困惑類型の追加、すなわち第四条についてのお尋ねというふうに理解をしております。
 私としましては、冒頭で意見陳述させていただきましたとおり、まさに島田先生のおっしゃられるとおり、事業者にとっても消費者にとっても、この法律のルールが明確なものになるということは双方にとって重要なことだと考えております。もちろん、どうしても法律というものは、ある程度抽象的にならざるを得ない部分、一般的に規定しなければいけない部分がありますので、その行為類型の明確化というものには一定の限界があると考えております。
 しかしながら、結論から申し上げますと、冒頭申し上げましたとおり、今回の改正案は、様々な問題は、一定程度抽象的な文言が入っているということは否定できませんが、全体として見たときには十分に行為類型として明確化できているのではないかというふうに考えてございます。
○参考人(増田悦子君) 私、消費生活相談の現場におきましても、今回改正していただくことは大変うれしいと思っておりまして、感謝しております。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、幾つかの問題となる点というのはございますので、「社会生活上の経験が乏しい」という部分をなくしたとしても、通常の良い事業者の方たちは当てはまらない行為だというふうに思っております。ですから、ここの部分にとらわれることなく改正をしていただきたいというのが本当のところでございます。
 それがもし難しいということであれば、先ほどお伝えしたとおりの解釈の柔軟化ということをお願いしたいと思っております。
○島田三郎君 ありがとうございました。
 次に、衆議院における修正についてお伺いいたします。
 衆議院においては、取り消し得る不当な勧誘行為として、加齢等による判断力低下に付け込む類型と、いわゆる霊感商法に関する類型が追加をされました。これらの類型は喫緊の課題である高齢者の消費者被害に対応するものであり、政府原案による追加と併せて取り消し得る不当な勧誘行為が充実することになります。
 このような衆議院における修正についてどのようにお考えになるのか、増田参考人及び日弁連で消費者問題に取り組んでおられる山本参考人にお伺いいたします。
○参考人(増田悦子君) 追加していただいたことも併せて感謝しております。こういうものを使いまして現実には事業者の方たちとお話合いを進めることができますのでよかったと思いますけれども、やはり著しい判断力の低下などにつきましては、その著しいということに非常に幅がありますので、普通、本当に判断力が低下した高齢者の方たちというのは契約の場面というのは余りないと思います。そういう意味でいうと、そこの部分についての解釈は是非柔軟にしていただきたいと思っております。
○参考人(山本健司君) 御質問していただき、ありがとうございました。
 島田先生からの御指摘のとおり、新たに五号、六号が付加されたことによって、消費者被害の救済範囲は広くなったということは間違いないと思います。したがって、これらの修正を付加していただいたことは大変すばらしいことであろうというふうに考えております。
 ただ、著しく判断力が低下したという、その「著しく」の運用が厳しくなり過ぎるとその法の範囲が狭くなり過ぎますので、先ほど意見で申し上げましたとおり、この要件については、少なくとも厳格に適用されるべき要件ではないということを解釈運用上で御注意いただく必要があろうかというふうに思います。
 また、その五号と六号を併せ読みますと、著しく判断力が低下していない高齢者で、かつ悪徳商法の性格が霊感商法ではない悪徳商法の場合については、五号、六号の適用がないということになります。では、そのような悪徳商法についてどれが適用されるのかというと、やはり三号が適用されることになると思います。
 したがって、その三号によって抜け落ちたところが救済できるようにという観点からも、先ほどの「社会生活上の経験が乏しい」という意義について、悪徳商法の場合は一般的に本要件に該当するという解釈がやはり重要になってくるのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。
○島田三郎君 大分時間になりましたけれども、消費者契約法の今回の改正のように、法制度を充実させることは重要であると私は思っております。しかし、消費者被害を効果的に防止するためには、法制度を充実させるだけではなく、既存の制度を含め消費者や事業者が活用できるようにすることも重要であると思っております。
 そこで、最後に、法制度の充実を併せて取り組むべき課題についてお三方にお伺いいたします。
○参考人(森大樹君) そうですね、法制度の充実として、消費者関連法に関しては、本年の消費者契約法の改正だけでなく、近年は、景品表示法の改正等、毎年のようにいろいろな法改正が立て続けにあり、事業者側としてもきちんとそれに対応しようということで、真面目な事業者は取り組んでおります。
 当然、既存の制度について活用されているもの、たくさんあると思いますし、法執行の面でも消費者庁の方で従前と比べると活発になっている分野もございますので、行政機関からすればそういったものをきちんと併せて活用することが極めて重要だと思っておりますし、事業者側は、そういうような行政の動きにきちんとウオッチをして、昔の感覚のままでやっているのではなく、消費者をきちんと見た経営をしていかないといけないのではないかなというふうに日頃から思っております。
○参考人(増田悦子君) 消費者教育というものが非常に重要だと思っています。
 それは、消費者に対する教育とともに、事業者の社員教育というものも非常に重要だと思いますので、特に中小零細の方たちに対する事業者の法教育、消費者教育などを実施するということが非常に重要ではないかというふうに思います。
○参考人(山本健司君) 御質問いただき、ありがとうございます。
 まず、不当な勧誘行為の発生や拡散を防ぐという観点から、今御指摘ありました消費者教育という問題及び違法な不当勧誘行為を規制するという行政規制というのは、これは片方で必要かというふうに思います。実際に起こってしまった被害を救済する、損害賠償請求権を認めるというふうな観点から、この消費者契約法のような民事ルール、これの充実をその一方においてまた整備する必要があろうと。
 それらの総合的な立法施策が相まって、先ほどから御指摘がありました適正な消費者取引市場というのが形成されるのではないかと、正直者がばかを見ない、善良な消費者が保護され、かつ事業者が保護される、そういうふうな消費者取引市場が形成されるのではないかというふうに考えます。
 以上です。
○島田三郎君 ありがとうございました。
 私の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。今日は本当にありがとうございます。
 私、仕事が公認会計士でして、ちょっと弁護士じゃないんですが、商法、科目に入っております。商法科目を勉強する前にやっぱり民法を勉強しなくちゃいけないということで、当時は我妻先生の本を、契約法を何度も読んでもなかなかはっきり言って分からないと、これが実態ではないかと思っております。
 それぞれ参考人のお立場からも、例えば契約に関する問題を明確化するとか類型化する、非常に難しいというお話が出た中で、今回の改正は、いわゆる民法の成年年齢引下げ、ここからきた契約法改正、そういうふうに理解しているんですけれども、そういった流れの中で、まず最初に森参考人と増田参考人にお話を聞きたいんですが、先ほど森参考人、お話聞いていると、やはり企業側に、まあ立たれたという言い方は失礼なんですけど、弁護人というお仕事をしながらも、やはり消費者に配慮した、そうしないと、いわゆる継続というんですか、社会の仕組みもうまくはいかないという非常にいい説明をしていただいたと思うんですが、そういう何か、先ほど、第四条の第二項の、いわゆる消費者庁による解説、参考例の提示ということなんですけど、これは先ほどちょっと私も言ったように、契約を類型化したりするというのも、社会が変化しますので非常に難しいわけであります。そういう中、今後の解説なり参考例、どこまで広げればいいのか、どこまで簡潔にすればいいのか、非常にバランスというのは難しいと思うんですね。
 そういうことであれば、私は、今後の解説なり参考例、いわゆるガイドラインというんですか、これはやはり、いわゆる企業側に立たれる方々、また消費者側に立たれる方々、一緒に作成のときに参画していただくのが大事なのかなと思っているんで、そういった観点から森参考人と増田参考人にお尋ねいたします。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 私自身、ふだんは事業者側の代理人としてやっておりますが、当然のことながら、一歩私生活になれば一消費者でもございます。そういった中で、えっ、このサービス、本当にこんな条件付いていたのとか、いろいろな制限が掛かっていて、もう少しきちんと情報提供してもらえれば勘違いをせずに買物ができたんだなというふうに思うことはございます。
 そういった意味では、消費者契約法に限らずという問題かもしれませんが、きちんと相互に理解を深めていくことが重要であるということは恐らくどなたも異論がないのではないかと思っておりますので、恐らく、私自身、別に事業者側を代表するつもりで来たわけではないんですけれども、事業者としてもそういうガイドライン作りのようなところに参画させていただく機会があるのであれば、それは大変有用だと思っています。
 やはり、なかなか消費者側には伝わらない事業者の苦労というものもありますので、そういったこともお話をさせていただきながら合意形成をしていくということは重要なプロセスだと考えております。
○参考人(増田悦子君) 今回の消費者契約法の専門調査会にも参加しておりましたけれども、単なる規制だけではなく、事業者による消費者志向経営を目指す、そういう考え方に基づいて、その規制ではない部分も事業者が配慮するのであるという、そこのところで非常に私も賛成したところでございます。そういう意味でいうと、今後、年齢や状況などに配慮する事業者の在り方というものに期待するところです。
 それと同時に、裁判だけでは解決できない消費生活相談でございますので、私どもが事業者の方に説明をするに当たっては、消費者庁がこう言っていますというような文言を事業者の方にファクスをして、私が言っているのではないということを説明しなくてはいけないものですので、そこで事業者に理解していただくという場面も何回もありました。そういうようなものを提供していただきたいというふうに考えております。
○若松謙維君 今、お二人から御意見をいただきまして、これから法案審議もまたありますので、是非、消費者庁にも、まず皆様方が早い段階でそういった解説とか参考、ガイドライン作成のときに是非関わってほしい旨は主張してまいる所存でございます。
 その上で、増田参考人にお尋ねしたいんですが、どちらかというと、増田参考人の御説明は、いわゆる消費者センターですか、と高齢者の方というんですかね。今回は、御存じのように、法律改正は、要するに若年者に対するいわゆる恋愛感情とか又は就職等ですか、こういうところなんですけれども、増田参考人から見られて、今回の法律改正、いわゆるホットライン一八八ですか、こういったところもあるんですけれども、あと、衆議院の議論の過程で、本来の法案はまさしく若年者が中心だったんですけど、そこに高齢者とか霊感が入ってきたわけなんですけれども、ちょっとどういうふうに、改正というのは恐らく幾らでもあると思うんです、たくさんあると思うんですけれども、これを言ったら切りないと言いながらも、やはり今回の流れは若年者に対する流れなので、そういうふうにすると、今後、増田参考人のいわゆる消費者センター、どんな若年者に対する関わりが出てくるのか、それとも、もう既にそういうのがあって、若年者との関わりがあって、それに対してどんな課題があるのか、ちょっとまとめて整理して御説明いただけますか。
○参考人(増田悦子君) 若年層の方からの御相談自体は、なかなか御相談に至らないということがございまして、やはり相談につなげるための仕組みを今後はしっかりつくっていただきたいと思います。
 やはりインターネット上の、ネットでの情報で自分自身で解決をしてしまうということがありますが、それは必ずしも正しい解決ではないということがあります。そのような仕組みを一つつくることと、それから、現状、マルチ商法とか、それから、デート商法は少し少なくなっておりますが、やはり上下関係、職場での先輩、後輩、それからクラブ活動での先輩、後輩という、そういう恋愛感情だけではない感情からの勧誘というのも数多くありますので、そういうものについての手当てというのも十分に必要ではないかというふうに思っております。
 あと、SNS関係ですね、そちらの方の手当ても必要だと思います。
○若松謙維君 ということで、今後また、ホットライン一八八とか、また、そういった他のいろんな相談窓口というんですか、恐らくネットワークも大事になってくると思いますので、またこれは詳しく委員会等で審議していきたいと思いますので、また必要に応じてアドバイスをよろしくお願い申し上げます。
 それでは、山本参考人にお尋ねいたしますが、今回の衆議院の改正で、いわゆる、当初の若年者への消費者契約法改正だったんですけど、高齢者又は霊感ということが入ってきたわけでありますが、先ほど、契約というのはとにかくいろんなパターンが考えられますので、それを類型化するというのははっきり言って非常に難しい。だからこそ、判例とか様々な、何というんですか、事例があるわけなんですけれども、この消費者契約法の改正のちょっと在り方というものについて御意見いただければ有り難いんですが、結局、今回こういう形、例えば消費者契約法のいわゆる若年者に対する対応という形で入って、結果的には高齢者又は霊感が入ったということなんですけど、どういう形が法案改正のプロセスが一番いいかというのは非常に結論が出ない話だと思うんですけれども、いずれにしても、この消費者問題に関わっている山本参考人から、今回の法案の改正につきましてどんな御意見お持ちなのかと。
 今後、これ毎年毎年やれ、改正しろといっても大変きつい話ですので、そこの、まあベストアンサーってなかなか難しいんですけど、お答えできる範囲でアドバイスいただければと思います。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
 まずちょっと前提条件なんですけれども、専門調査会が組成された原因は、平成二十六年八月に内閣総理大臣から消費者委員会に対して諮問をいただいたということで組成されたんですが、その諮問は、情報通信技術の発達や高齢化の進展を始めとした社会経済状況の変化への対応を行うようにということで諮問がなされました。したがって、中間取りまとめや第一次報告では、高齢化社会への取組ということが、あと情報化社会への取組というのが強く意識された報告内容になっておりました。途中から成年年齢の引下げというのも入って、それの、もう途中から入ってきたと、そういう経緯だということをまず前提でお話しさせていただきたいと思います。
 御質問に対する直截な答えなんですけれども、なかなか難しい御質問を頂戴したと思うんですけれども、基本的に、抽象的な規定では、相談現場とか裁判実務とか、また企業さんも予見可能性がなかなか持てないということがあるかと思います。その一方で、具体的な行為を列挙するだけでは穴ができてしまうということになると思います。
 したがって、現在、消費者契約法の不当条項規制がそうであるように、具体的な不当条項のリスト、プラス包括的な十条という受皿、不当条項規制というのがあるように、不当勧誘行為に関しても具体的な不当勧誘の行為を類型化して可能な限り提示した上で、やっぱりバスケット条項というか、一般条項ですね、というのを設けるというのが、その予見可能性と穴をなくすということを両立させるような立法方法ではないかと思います。
○委員長(三原じゅん子君) 申し訳ございません、時間ですのでおまとめください。
○参考人(山本健司君) 以上でございます。
○委員長(三原じゅん子君) 済みません、ありがとうございます。
○若松謙維君 ありがとうございました。
○森本真治君 国民民主党・新緑風会の森本真治でございます。
 今日は、参考人の皆様から貴重な御意見を伺いました。ありがとうございました。今後の審査に生かしていきたいというふうに思います。
 それぞれの参考人の方に質問の方もちょっと考えておったんですけれども、最初に山本参考人に伺おうと思ったことがちょうど最後の今の若松委員と同じような趣旨だったんですけれども、結局、今回の改正は、特に困惑類型というか、新たなものを追加をしていこうということで、先ほどの増田参考人も相談事例ということで幾つか御紹介いただきましたけれども、恐らく今後も、この悪徳事業者というのは、もっと違うことに頭を使ってほしいんですけれども、いろんな手口で、新たなやり口でやってくるのに、これもう本当にイタチごっこというか、どんどんどんどんこれ積み重ねていっても、事例をですね、先ほどの若松委員の指摘ではないけれども、切りがないと。だから、私は、先ほど山本参考人からもお話があったように、包括的な、そもそも、これ法律でどこまでそういう細かいところについて要件を解釈してとか、今回も相当この要件の解釈をめぐってとかというところに時間を費やされているということがあるんですね。
 調査会の考え方も少し、山本参考人、お話先ほどしていただいたんですけれども、法律としてどこまでこれをやっていくのかということと、ガイドラインなりというような部分でしっかりと分けていくというようなことも大切ではないかなと思うんですけれども、ちょっと先ほどの、お話しちょっとしていただいたんですけれども、もう少し詳しくその辺りの、私の今の考えについて御所見があればお伺いしたいんですが。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 今回の三号、四号というのは、合理的な判断ができないような心理状態に付け込んで契約させたケース、特にそういう状況を作出して、若しくは増幅させて契約させたという不当勧誘行為でございます。それの一場面を具体的に法律にしていただいたということであろうかと思います。したがって、それを包括するような付け込み型不当勧誘取消しに関する包括的な規律というのを受皿的に立法していただくというのが、イタチごっこに幕引きをするような立法になるのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。
○森本真治君 森参考人にお伺いしたいんですけれども、今回、衆議院の議論、また、参議院でももう議論始まっておりますけれども、最大の今論点になっているのが、この社会生活上の経験の乏しいところをどう解釈するのかということにほとんどの時間が今費やされているということなんですね。
 それで、先ほどの、森参考人は、事業者に対する萎縮効果の排除ということで、規範の明確化であったり予測可能性というようなことを、意義について述べられたんですけれども、今回のこの「社会生活上の経験が乏しい」ということですね、当初、これ、要件を明確化することによって、そのような予測可能性の確保を図ろうというふうな提案者の思いがあったのかもしれないですけれども、今、この委員会での審議の中でも、むしろ逆にこの予測可能性を低めているのではないかと、この「社会生活上の経験が乏しい」ということで解釈もばらばらになってしまってですね。ということで、これ消費者だけではなくて、事業者の方もこの要件があることが今後大きなやはり混乱を来すんではないかと私は考えるんですけれども、森参考人にお聞きしたいと思います。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 先ほども少し申し上げたと思うんですが、この「社会生活上の経験が乏しいこと」ということが要件となっている第四条第三項第三号及び第四号については、規定の内容としては、真面目にビジネスをしている事業者にとってはほとんど適用されるようなケースはないだろうというふうに理解をしておりますので、その意味で、この文言について一定程度解釈を消費者庁の方から明らかにしておいていただければ、それほど過剰に心配する必要はないのではなかろうかというふうに考えております。
 ただ、他方で、元々この四条というものは、成り立ちとしては、民法に強迫という規定があって、その民法の強迫では拾えないものを消費者契約法の困惑類型という形で取り消せるようにしましょうというふうにできたというふうに考えておりますので、元々は監禁ですとか退去妨害とか、そういうようなことがこの困惑類型の中で取り消し得る行為というふうに規定されていたので、恐らくそれと同程度の悪質性のある行為ということでこういうような趣旨の規定になっているのかなとは思っていますが、条文としての明確性ということでいえば、この文言だけからすれば必ずしも明らかでなかったとしても、まさにこの国会での御審議、そして今後の消費者庁の逐条解説等によってその意義を明らかにすることによって、条文の明確性というものは担保されるのではないかというふうに考えております。
○森本真治君 ありがとうございます。
 ちょっと消費者庁の方にも今後の審議でこの辺り確認したいと思うんですけど、今の先生のお考えでは、事業者にとっても、この「社会生活上の経験が乏しい」というところは余り、何というか、要件として、私の、今の御説明ではなくてもいいんじゃないかというように解釈をしたので、そうすると、無用な混乱が起こるんであれば、これがなくても事業者側も予見性には何ら影響がないということで、なくてもいいんじゃないかというようなお考えでいいんですかね、これは。
○参考人(森大樹君) 済みません、言葉足らずだったかもしれませんが、恐らく多くの真面目にビジネスをやっている事業者にとっては、このようなことが問題になるようなビジネスはやっておられないのではないかという理解に立っておりますので、そうであれば、そのように真面目に事業活動をやっている事業者にとっては直接関係がないのかなというふうに考えておる次第です。
○森本真治君 ありがとうございます。
 ちょっと時間の方がもうないので、最後に増田参考人に。
 今日のお話は、高齢者のいろんな被害などのお話を伺いましたけれども、これもちょっと、先ほどの若松先生ではないですけれども、やはり若年成人への対策ということですね。今回の民法の年齢の引下げにも関わってということで、しっかりとこれをやっていかなければならないというのも今回の法改正の目的だったと思うんですね。
 増田参考人は、今回の法改正の中で十分にその辺りが担保されているのか、私の理解では、この「社会生活上の経験が乏しい」というところぐらいが今回の若年層対策というようなことと受け取ったんだけれども、逆に、この文言に対して多くの今議論がなされている部分で、これを取ったとしても若年成人対策という部分には特に影響がないというふうにお考えになられるのかということと、もう一つは、今後のその若年者対策の中で消費者教育ということは重要な課題としてあって、やはり相談員の皆さんのこれまでの知見というものをしっかりと若者の皆さんに、先ほど、若者の皆さんはなかなか相談に来てくれないんだったら、相談員の皆さんなんかがもっと啓発活動をしていく、例えば学校、文科省なんかと連携をして、学校現場の教育などにも相談員さんたちの役割をどんどん担ってもらう、そのための支援をしていくというようなことを我々は考えるべきではないかというふうに思っておるんですけれども、ちょっと時間が余りないんですが、その二点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(増田悦子君) 「社会生活上の経験が乏しいこと」以外にも、「恋愛感情その他の好意」については、相思相愛というふうに思っていなくちゃいけないとか破綻を告げるとか、そういう厳しい条件が付いておりますので、そういうものに該当するかどうかということを一つ一つ確認する必要があるというふうに思っております。
 消費者教育については、是非とも全国の消費生活相談員を活用していただきたい。私たちもそのつもりでおります。
○森本真治君 分かりました。
 ありがとうございます。
○斎藤嘉隆君 立憲民主党・民友会の斎藤嘉隆です。今日は、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 いろいろ用意をしていたんですが、もう全部やめまして、今、皆さんの御意見をお伺いをして、その上でお聞かせをいただきたいと思います。
 冒頭、山本参考人からも詳しくあったんですけれども、大臣の答弁が衆議院の方でいろいろ二転三転をして、修正をしてというくだりがありました。具体的には山本参考人から示されていますけれども、この「社会生活上の経験が乏しい」は、元々はこれ高齢者も対象だというふうに本会議などではおっしゃっていた、それが該当しないという形になり、それがまたまた修正されて該当し得るというふうに、こう変わってきているんです。
 これ、言わば対象がやっぱり最終的に当初より限定的になっているんではないかと、こういう評価があるんですけれども、山本参考人の御意見は先ほどお伺いをしましたので、森参考人と増田参考人、このことについての評価と課題のようなものをどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 私自身、若干不勉強なところがございまして、この答弁の修正等のやり取りということについて、詳細は承知しておりません。そういった意味では、どこまで私が意見を述べることが適切かという問題はあるんですけれども、最終的に、大臣として参議院の方で御答弁をされるのであれば、いろいろ紆余曲折はあったのかもしれないですが、それが最終的には大臣としての御意見ということになろうかと思いますので、それに従って行政実務は運営されていくのではないかというふうに理解をしております。
○参考人(増田悦子君) 消費者契約法専門調査会におきましても、高齢者の依存する関係ということについては私も質問させていただき、それも該当するという回答をそのときには得ておりました。
 したがいまして、今回、五月十一日に大臣が御説明された内容をそのまま維持していただきたいというふうに考えております。
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。
 今の件、参議院での議論のある意味で焦点だと思っているので、今、増田参考人からもありましたけれど、当初の大臣の答弁がどれぐらい維持されているのかというのもまた確認をしていきたいというふうに思っています。
 それから、今も冒頭御意見としてありました成年年齢の引下げについてですけれども、今の案だと、二〇二二年の四月からということですと、三年ちょっと時間差があるというか、そういう状況の中で、これ、パブコメの中身なんかを見ても、若年者の被害を防ぐために若干の周知期間を設けるべきだと、こういうものもあるんです。
 一体、この十八歳、十九歳、特にこの年齢層に対してどんな対応をしていくのが効果的であるのか、取消し権の付与という視点も含めてこの点について御意見を伺いたい。増田参考人、山本参考人、お願いできますか。
○参考人(増田悦子君) 現状の二十歳、二十一歳、二十二、三歳の相談、被害が十八歳、十九歳に下りてくるというのは当然に推測されることであり、かつ、その判断力につきましては、やはり経験が少ない分、より曖昧な判断になってしまうということがあります。
 それと、高額な契約をしやすくなりますので、やはりクレジット契約の与信であるとか消費者金融の貸付けの金額につきましては、やはり成人といっても収入が増えるわけではございませんので、そこの部分をしっかりと確認していただくということが非常に重要なポイントになるのではないかというふうに思っております。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
 成年年齢が引き下げられるということを前提としてお話をさせていただきますと、私も増田参考人と同じで、若年者の消費者被害が増えるだろうというふうに思っております。
 したがって、それを回避するためには、まず消費者教育の充実というのと、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、若年者の知識、経験の不足に乗じたような不当な勧誘方法について行政規制の対象とするというふうな取組というのが一つ考えられると思います。
 また、実際に起こってしまったときのために、取消し権の付与、損害賠償請求権、払ったお金の返還請求権を確保させてあげるための付け込み型不当勧誘取消し権の創設というのが必要になるんじゃないかというふうに思います。
 以上でございます。
○斎藤嘉隆君 今、山本参考人からもありました、また増田参考人からも先ほどありましたけれども、消費者教育の充実も非常に重要な課題だというふうに思っていますが、ただ、私は、このままいくと、条件整備も何も整わず、伴わず、ただ絵に描いた餅になって、現実的にはそれほど機能しないのではないかと、そういう危惧を持っているんです。
 繰り返しになりますけれども、条件整備の整わない何々教育の充実というのは、極めて抽象的であって、言い訳にしかならない。いろいろな形の教育というのがそういう形で活用されてきたというふうに思っていますけれども、これ、制度としてどのようにこの消費者教育を質的に充実させていくか、現行教育の中で。あるいは学校だけでないかもしれませんが、この件について御意見をお聞かせいただければと思いますが、もし御意見をお持ちでしたら御三方からいただきたいと思いますが。
○参考人(増田悦子君) 消費者庁の方から各教育委員会の方に、消費者教育については通知をしていただいていると承知しています。ただ、市町村レベルのところまで行っているのか、現場の職員のところまで、行動しなくてはいけないという認識まで行っているのかというのは非常に懸念がございますので、本協会におきましては、ある意味ローラー作戦的に、各相談員ですね、地域の教育委員会の方に訪ねていって説明をするということも考えているような次第です。
 トップダウンだけではなく、現場のレベルでの行動というのが必要ではないかというふうに思っております。
○斎藤嘉隆君 まだ時間がありますので、増田参考人に最後に。
 今、地域の教育委員会とのやり取りも含めて言及いただきました。消費者教育推進法が施行されて、今言われたような各地域地域でのこの消費者教育の充実というのは、肌感覚としていかがですか。例えば、今の地域の教育委員会とのやり取りとか、そういったものがスムーズになったとか、いろんな改善点はあるんでしょうか。
○参考人(増田悦子君) 肌感覚としては、ちょっと感じることができません。実際に訪ねていったとしても、消費者教育推進法は知っているけれどもというところで終わっているということも話としては聞いております。本協会の活動としても、消費者教育、教育委員会とか学校と連携を取るというのが非常にテクニックが必要な状況になっています。
○斎藤嘉隆君 以上で終わります。ありがとうございました。
○大門実紀史君 大門です。
 もういろいろ議論ありましたけれど、私、現場の消費者被害、マルチとかジャパンライフ、割と際どい問題やってきまして、実は今回の消費者契約法そのもの、改正そのものは、何といいますか、正直言って冷ややかに見ていたんです、これで何が解決できるのかなというふうにですね。例えばジャパンライフ問題なんかは、衆議院で若干議論がありましたけど、ほとんどこれでは救えません。救えません。
 そういう点で、何といいますか、現場的に考えると、何か議論の仕方が、非常にいろんな複雑な議論がありましたけど、最初からちょっとボタンの掛け違えといいますか、議論の仕方が消費者契約法というのは何なのかということからちょっと違う方向に来ているんではないかなと思って、その点でちょっと大本のそもそもの話を伺いたいんですけれど、消費者契約法というのは、もう御案内のとおり、包括的なルールでありますし、包括的な救済のルールを定めるものでありますから、本来でいえばもっと大きな、基本的なところで救済する仕組みを、きちっとした、現場で使えるような、そういうものを枠組みを示すというものにもかかわらず、ところが類型を示していくというふうなことになってきて、先ほど森本先生からもありましたけど、類型を示すと悪徳業者は必ずその類型から外れる手段を、手口をまた考えますよね。だから、モグラたたきですよね。こういうことばっかりやってきているわけですね。しかも、社会生活上の経験云々なんて限定付けると、更にたたかなきゃいけないモグラが増えるということになるわけですね、狭くなりますから。
 私、院内集会のときにも、今日は傍聴に来られておりますけど、消費者団体の方々にも申し上げたんですけれど、消費者団体の方々、日弁連も含めて、削除してくれとは言うんだけれど、削除しなければこうしてほしいとかですね、そういう問題なのかなと。私は、もうすっぱり削除をもっと強く何で求めないのかと思ったんで、もう結構厳しい言い方もさせてもらったんですけれど、やはり案の定、あの後、衆議院で議論が始まって、消費者庁は詰められて、それについて補足の答弁をやる、そうすると若干保守的なことを言ったりする、で、また大混乱して、結局この議論って何だったのかというふうに思うわけですよね。
 これはもう当然削除すべきと思いますけれど、このことをめぐってこういう膨大な時間を掛けてやってきていますけど、本来はもっと基本的な包括的な救済ルールをもうちょっと、消費者委員会の答申にあったように、もっと基本的なものを示すということさえやってくれれば、現場で、ジャパンライフも含めて、消費者相談員の方々も含めて、もっと使える改正になったんではないかと。
 議論の仕方がちょっと違ってきているんではないかなというふうに思うんですけれども、その点で山本先生に、皆さんの中にも付け込み型に対する取消し権入っていますけど、本当はここを中心に議論すべき、法改正もすべきだったんじゃないかと思いますけれど、山本先生、いかがお考えでしょうか。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。また、重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 御指摘のとおりで、消費者契約法というのは刑罰法規や行政規制法じゃありませんので、それによって刑罰権が発動されるとか行政処分がなされるとか、そういう法律ではございません。したがって、罪刑法定主義のような要件のぎりぎりとした詰めというのは必要なのかどうかというのは疑念があります。
 民法がそうでありますように、消費者契約法というのはもう少し包括的な定めであっていいのではないかというふうには、それは考えております。日弁連の改正試案、今回の配付資料でも最後に付けさせていただいているんですけれども、その立法提案でもそういう民法のような抽象的な法規になっております。
 しかしながら、専門調査会の議論では、なかなかその議論がコンセンサスを得られなかったと。専門調査会は、基本的に全会一致方式なんです。したがって、反対意見が出るとなかなか取りまとめの内容にならないというところがございました。その中で、他の委員の方からは適用範囲の明確化、客観性、要件の明確化といった御意見もある中で今回コンセンサスができたというのがこの報告書の内容になっているわけでございます。
 したがって、ある意味、先ほどイタチごっこという御指摘がありましたけれども、そういう状況を打破するために、個別の行為を規制するものとは別にそういう包括的な規定も要るんじゃないかという問題意識から法律を考えるというふうな取組を指示していただいたらいいんじゃないかなというふうに私も思います。
 以上でございます。
○大門実紀史君 例えば、増田さんに伺いたいんですけれど、ジャパンライフで例を申し上げますと、衆議院で川口さんが該当する例もあるみたいに言っていましたけど、ほとんど無理だと思うんですよね。ところが、答申にあった、勧誘に応じさせる目的で緊密な関係を新たに築き、その関係が維持できないと言って契約させると、これだったらジャパンライフ救える可能性があるんですけれども、今回のように、恋愛感情のところですね、「恋愛感情その他の好意の感情」云々とか勧誘で「関係が破綻」と、ここまで言われちゃうと、もうほとんどジャパンライフなんて救済できないんじゃないかと思うんですね。
 今申し上げたかったのはそういう意味なんですけど、現場の皆さんが被害者を救済する、お年寄りを救済するときに大事なのはそういうことではないかと思うんですね、こういう細かいことに入っていくんじゃなくて。その一点、いかがでしょうか。
○参考人(増田悦子君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、条文を一つ一つ突き詰めて話合いをするというよりは、その方の状況を理解していただき、そして生活状況、それから経済的な状況、それから認識の状況、そういう判断力などを含めて全て包括的に説明をして、そして理解をしていただくというような作業を実際にはしております。
○大門実紀史君 私、ちょっと気になったのが、消費者委員会と消費者庁の関係はどうなっているのかなと。この消費者庁をつくるときに、消費者委員会の役割というのは大議論があって、内閣府とはいえど独立した機関で、総理大臣にも勧告できるというようなことで、みんなの期待を担ったのが消費者委員会でありました。そういうものにしようということで私たちで議論したわけですね。
 それが、今回、その答申に入ったことが、先ほど申し上げられていたことも含めて、幾つも重要な念を押した答申が出されたんですけれども、幾つも消費者庁が法案化するときに、何といいますか、取捨選択しているとか、勝手に文言を加えていると。これは一体、消費者庁をつくるときから関わらせてもらいましたけれど、この九年ですかね、どういう関係になってしまったんだろうと。消費者庁ってそんなに偉いところなのかと。消費者委員会の答申をすごく簡単に取捨選択とか、もちろん全部やれとは言いませんけれど、こんなに前委員長から抗議を受けるぐらいの取捨選択をしていいのかというふうに思うんですけれども、山本先生、この消費者委員会と消費者庁の在り方、御意見あれば聞かせてもらいたいと思います。
○参考人(山本健司君) 今現在、両庁がどういう御関係になるのかというのは、それは私にはちょっと、済みません、分かりかねますので、能力を超えることですけれども、適正な市場の実現と消費者被害の適正な救済に向けて、本来相携えて御尽力いただくべき二つの庁であろうというふうに認識をしております。
 以上でございます。
○大門実紀史君 まあ委員会で議論すべきことかなと思いますけれども。
 森さんに伺いたいというふうに思います。
 真面目な事業者は今回の改正はオーケーですということなんですけれども、消費者委員会、調査会等の議論では、例の平均的な損害額の立証責任の問題で推定規定のことが議論されて、これは事業者の方も含めて議論して、ものなんですけど、今回、先ほど申し上げたように、消費者庁がカットしちゃったんですね。これはあれですか、真面目な事業者にとって、この平均的な損害額の推定の問題、課せられたとしても何か支障があるんでしょうか。
○参考人(森大樹君) 御質問いただき、ありがとうございます。
 平均的な損害の推定規定、平均的な損害を算出するということが多分事業者にとっていろいろな場面で難しいことというのは、私自身も弁護士の活動として直面しております。
 既に事業としてある場合はまだいいんですけれども、バックデータがあるので、これから新しい事業を始めようというときに、いろいろな事業者としては事業計画を描いて、利益がこれぐらい出る、売上げがどれぐらい出る、長期的な契約でこれぐらいやっていくというものを出すんですけれども、その中に実際にどれぐらい解約が出るのかというのは事業をやってみないと分からないような側面もございまして、自分たちとしては商品、サービスの質に自信を持って提供するんだけれども、結果的に思っていたよりも解約が多かったとか、市場の環境が変わってきて、最初は自社しかなかったのに同業他社が参入してきてどんどん変わってきてしまったとか、実はそういったことがあって平均的な損害を算出するというのが非常に難しい場面というものもございます。
 そういったことも含めて、平均的な損害について、あと、同業他社のデータを会社が持っているわけではないということもございますので、そこの在り方については、私の理解では今後も引き続き検討ということだと思いますので、事業者側からも本当に、真面目にやっている事業者がどういった点で苦労しているのか、こういうふうになってしまうとどういうふうに困るのかということをやっぱり具体的に説明をした上で、相互に理解を深めていくことが重要ではないかと考えております。
○大門実紀史君 終わります。
○片山大介君 日本維新の会の片山です。
 三人の先生方、どうもありがとうございました。私も少しかぶるところあるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
 まず、森参考人にお伺いをしたいんですが、今回焦点になっている社会生活上の経験不足のところの話、第三号、第四号のところで、やむを得ないとおっしゃられて、あと、意義を明らかにしてというふうにおっしゃられたんですけど、ここの意味がちょっと少し分からなかったので、教えていただけますか。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 お尋ねの件は、第四条第三項第三号及び第四号についてかと思っております。ここについては、私自身は、要件の設定が適切になされているので、総合的には事業者にとっても問題のない規制だというふうに考えております。
 先ほど、冒頭の意見陳述で申し上げたのは、第五号について、「不安をあおり、」というような行為要件が定められているので、それで問題ないのではないかというふうに申し上げましたが、第三号、第四号についても、「社会生活上の経験が乏しいことから、」という要件も加わっておりますが、そのほかにも様々な要件が定められておりますので、そのような規定の内容を踏まえれば特に問題はないのではないかと考えております。
○片山大介君 それで、その三号、四号なんですけれども、いろいろとぶれたところはあったんですけど、消費者庁の見解としては中高年も対象になるということなんだと思います。ただ、法解釈としてそうしたとしても、実際にこの法が施行になった後は現場でどういうふうにこれが使われていくかという、まあ皆さん、現場側のどういうふうになるかなんですけれども、現場での混乱等は起きそうか、そこの懸念はどのように考えなのか、これは三人にお伺いしたいと思いますが。
○参考人(森大樹君) 今の現場というものが消費生活相談の現場という意味であれば、私自身、必ずしも多くのケースで直接相談員の方々とお話しさせていただくことが多いわけではございませんので、私自身のお答えする能力を超えるのかなとは思いますが、裁判規範という意味で申し上げますと、裁判をしていくに当たっては、原告、被告から双方主張が尽くされ、その中では当然、逐条解説の内容についても言及されるでしょうし、場合によっては国会の議事録が出されて、それも一つの証拠として、解釈の指針として示されることがございますので、そういったものを踏まえて裁判所が適切に御判断をされるのではなかろうかというふうに考えております。
○参考人(増田悦子君) 消費生活相談の現場では、必ずしも取消しという結果につながるということではありません。やはり、幾らこの条文に当てはまるといったとしても、結局は合意解約というようなことになることが結構多くあります。したがいまして、反論を受けたとしても何とか説得をするということになるわけですけれども、やはり、不安をあおっているのかとか、それから破綻することを告知しているのかとかいう、その一つ一つに対して反論があるということは容易に推測ができます。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 「社会生活上の経験が乏しい」という要件について複数の解釈があり得るとすれば、現場はそれをどちらに基づいて解釈すればいいんだろうかということになるかと思います。いずれ裁判で片は付くのかも分かりませんけれども、それまでの間、混乱は続くと思います。
 したがいまして、そのような混乱が起こらないように、今、御答弁の中では、五月十一日の本会議答弁は維持しているんだというふうなお話になっているかと思いますので、それが維持されているのであればそれが解釈の指針になるはずであって、その点を参議院の今後の議論において明確にしておいていただきたい、附帯決議や逐条解説でこういう要件なんだよということを明らかにしておいていただきたいなと思います。それに基づいて実務は動いていくんじゃないかと思います。
 以上です。
○片山大介君 それで、今、ちょっとこれもまた森参考人になっちゃうんですが、逐条解説のお話をされましたが、それで、逐条解説でこれ全てが網羅できるのかというのが一点と、あとは、最後は裁判でとおっしゃったんですけど、やっぱり裁判まで行くケースというのもそんなに多くはないですよね。だから、裁判で白黒と言われても、そこまで行かないケースもある。この二つのことについてはどのようにお考えか、お伺いしたいんですが。
○参考人(森大樹君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 確かに、片山先生御指摘のように、逐条解説で全てが網羅できるというのは、なかなか現実としては難しいと思います。ただ、その逐条解説において、様々な解説も含め、事例も含め多数掲載していただくことで、そこに、何というか、共通の考え方というか基盤というものは見出すことができるのではないかと思っております。どこまで行っても限界はございますけれども、今の我が国の法制度からしますと、そういったようなことが一つの重要な実務指針になることは間違いがないと考えておりますので、逐条解説における充実化ということを、私自身も企業側でよく代理人をしている立場としても、そこは本当に充実していただきたいということを強く望んでおります。
 もう一つ、全てが裁判に行くわけではないというのはまさに御指摘のとおりで、そこは事業者側から相談を受ける代理人弁護士もきちんと考えなければいけないことだと思っております。事業者の利益のために、一方的にその取り得る、多少無理な解釈というか強引な解釈で突っぱねましょう、それでいけば提訴はされませんよと、そういうようなアドバイスをするのではなくて、きちんと市場で受け入れてもらうために、日本という国の中でマーケットでやっていくためにどういう在り方が正しいのかということをきちんと考えた上で、企業にとって真の利益になるような、そういうような助言をすることができたらいいのではないかというふうに私自身考えております。
○片山大介君 ありがとうございます。
 それで、あと私二つ聞きたいんですが、ちょっと時間がないので順番入れ替えて聞きたいんですが、それで、我々の野党の審議というのは実はあさってあるんですけれども、その審議での皆さんから見て求めること、それで、あと、この法案を世に出すとしたらこうしてほしいという御希望があれば、それぞれ三人からお伺いしたいんですが。
○参考人(森大樹君) 私としては、やはり事業者側に助言をする立場として、いろいろなものの基準を明確化していただきたいと。決まったものは決まったものとして最終的には受け入れることになりますので、やはりその基準の明確化ということを望んでおるところでございます。
○参考人(増田悦子君) 消費生活相談の現場で使いやすくしていただきたいと思います。事業者の方が、幾ら消費者志向経営といっても、実際にはなかなかよく理解されていないところもあるかと思います。消費者がどう考え、行動するのかというようなこと、それによってこういう事例があったということは逐条解説にも適宜反映していただき、それを理解していただくのが事業者の在り方ではないかというふうにも思いますので、そういうことも含めて御検討いただきたいというふうに思います。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 最大の争点になっているのが「社会生活上の経験が乏しい」という要件に関してかと思いますけれども、望みますことは、紆余曲折はあったけれども、衆議院本会議の五月十一日の大臣の答弁というのが今も生きていて、それがこの法律のこの要件の基準になるということを明確にしていただきたいということでございます。
 以上です。
○片山大介君 まだ時間あるので。
 それで、もう一つ聞きたいのは、修正案で追加になった五号と六号なんですけれども、これ著しい判断能力の低下というところが少しポイントにもなっているんですけれども、五号、六号についての評価、そして、これである程度きちんと救えるのかどうか、ここについての判断をそれぞれお伺いして、終わろうかと思います。
○参考人(森大樹君) 五号及び六号については、いずれも適切な規定の内容になっているのではないかと考えております。
 確かに、「判断能力が著しく低下している」ということについてどう受け止めるのかというのはいろいろあるとは思うんですが、ここは高齢者の方の自己決定がどこまで認めるかということで、非常に本来難しい問題だと思っております。もちろん、その自己決定の基盤になる部分が判断力だとは思うんですが、いろいろな、様々な考慮の上で今の五号、六号になっているのだというふうに思いますので、私自身としては、この条文は適切な内容かというふうに考えております。
○参考人(増田悦子君) 著しいという部分については、例えば銀行に行ってお金を下ろすとか、それから署名をするとか、そういうことができる方のことを著しい判断力の低下というふうにいうのかというようなことも御検討いただく必要があるというふうに考えております。
 以上です。
○参考人(山本健司君) 「著しく」というのは評価を伴う要素ですので、どういうふうに運用されるのかというのに関しては危惧はございます。元々、高齢者等の判断力の減退に乗じた不安をあおる行為であれば、既に不当性は高い行為類型ではないかというふうに思います。したがって、「著しく」という要件で保護が否定されるのは、かなり例外的な場面と考えるのが相当なのではなかろうかと思います。認知症に至らない高齢者などでも除外されず救済されるということを明らかにしておいていただきたいなというふうに思います。
 以上でございます。
○片山大介君 終わります。ありがとうございました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 この「社会生活上の経験が乏しい」というのは、削除すべきではないかと思っています。というのは、豊田商事の場合も、それから、私自身も担当したんですが、豊田商事の残党が行った抵当証券の大型詐欺事件の裁判でも、様々な消費者被害の方たちは決して社会生活上の経験が乏しいわけではない、むしろそこそこ少しお金を持っていて何かをやろうとしている人で、社会生活上経験が乏しいから詐欺に遭うというのは、私は余り、そう実は思っていないんですね。
 だまされる人は、というか、向こうは、敵はさる者というか、もうちょっと、人が何を望んでいるかで見事にやるわけで、この委員会でもかぼちゃの馬車のことを、あれは消費者被害と言うかどうかは別にしても、被害に遭っている人たちは結構ビジネスマンであったり収入がある程度あったりすると。お金が全くない人をだまそうとはしていないわけで、「社会生活上の経験が乏しい」、これは削除をするか、少なくとも、一万歩譲って、この要件は誰でも、中高年でも誰でもどこか社会生活上の経験が乏しいんだ、だからだまされるんだという認識に立つべきではないかということについて、増田参考人、山本参考人、いかがでしょうか。
○参考人(増田悦子君) まさしく福島先生のおっしゃるとおりだというふうに思っております。
 今は少なくなっておりますが、ビジネスマンに対する資格商法というのは、まさしく社会生活上の経験がきちんとあった方に対して過大な不利益を与えたものですし、それから、非常に、会社の社長とかされていた方がリタイアされてから紳士録などの契約をするようなケースもございました。そういう方たちは社会生活上の経験が不足していたからということではないというふうに考えておりますので、誰でもがそういう場合に、側面があるというふうに考えております。
○参考人(山本健司君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 私も、福島先生の御指摘はまさにそのとおりじゃないかなというふうに思っております。先ほどの意見のときにも申しましたけれども、本来的には削除が最も好ましい対応であろうというふうに思います。ただ、もし諸般の事情からこれが現状ではなかなか削除は難しいということであれば、被害救済の阻害要因にならないような解釈指針を明確にしておいていただきたいというふうに思います。
 その点、本日の別冊資料の一枚目に添付させていただきました五月十一日本会議のもとむら議員に対する大臣の答弁、悪徳商法等の、悪徳事業者による消費者被害については、勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当するという解釈というのは、これはいい御答弁、解釈指針なのではないかなというふうに評価をしております。
 もし残すのであれば、このような要件で、悪徳事業者を利するような要件にはならない、ちゃんと救済できるということについて明確化しておいていただきたいなというふうに思います。
 以上でございます。
○福島みずほ君 増田参考人にお聞きをいたします。
 元々、「社会生活上の経験が乏しい」というのがあって、一般的には若者を対象に考えているのかなと、と言っちゃいけないですね、これは広い概念ですから。もう一つ、衆議院の修正で「加齢又は心身の故障」というのが入ったので、ただ、「社会生活上の経験が乏しい」ということを万が一狭く解釈すると、若者と高齢者と障害のある人はこの救済になるけれど、間の中高年層が、ばがっと抜けてしまうんですよね。
 しかし、本当はそこが一番ターゲットになるというふうに思っておりまして、一回目の質問とちょっと重なるんですが、先ほど森参考人も、まともなところだったらちゃんとやるよというお話があって、そのとおりだと思います。でも、私がもし悪徳商法だったら、社会生活上の経験乏しくないですよ、この原告の人はって言いますよ。サラリーマンだし、例えば主婦でNGO活動やっているし、若いけれども高校卒業して頑張って働いているし、社会生活上の経験全く乏しくないですよって言いますよ。
 とすると、これ、実際の裁判例や消費者の実際の相談で救済するときに、これを狭く絶対に解しちゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(増田悦子君) 本当にそのとおりだと思います。現場ではそういう反論が簡単に予測されますので、それをどうやって押し戻すかということが大変苦労する場面だというふうに思いますので、その解釈の仕方については広くしていただく必要が絶対にあると思っております。
○福島みずほ君 それともつながるんですが、誰が客体なのかという問題と、どのような行為を消費者契約法でまさに取消しができるというふうに決めるかといったときに、今回、結構、修正もそうですし、こうこうこうこう、こういう場合と、行為を結構特定していますよね。
 そうだとすると、相談員として話を聞くときも、本当にこういう不安を抱いていましたか、その不安があおられたと思いますかと、こう言うと非常にやっぱり限定をされるというふうにも思うんですが、それにプラス社会生活上の経験だと、誰も私は社会生活上の経験が乏しいですって言う人いないと思いますよ、自分からは。相手は必ず、この人、社会生活上の経験十分ありますよ、乏しいなんてそんなことは言えませんよ、十分分かっていましたよって言うと思うので、その両者、客体の限定の問題と、それから行為の限定についての御意見を、増田参考人、教えてください。
○参考人(増田悦子君) 現場で消費生活相談員がこの条文どおりに消費者に聞き取りをするということになれば、もう本当に適用される場面というのは少ないと思います。
 その消費者が本当にどういう状態だったのかという聞き取りの技術というのが今後本当に必要な部分だと思いますので、相談員協会の立場としては、そこの質の向上ですね、そこのところがまず第一だと思いますし、問題点を消費者庁の方に随時告げていって、それを速やかに逐条解説に反映していただくというようなことが絶対に必要だというふうに思います。
○福島みずほ君 とりわけ、「容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項」だと、やっぱり化粧品とかサプリとか、「不安をあおり、」というと本当に微妙なことがあり得ると、こう思うんですが、増田参考人、そういう点はいかがでしょうか。
○参考人(増田悦子君) 常に不安に思っているわけではなく、少しでも良くなりたいというのが普通の若い人たち、それから、高齢者も最近はしわ取りとかたくさんございますので、それが常に不安を持っているという状態ではないというふうに思います。
 そういう意味でいうと、そこの条文に当てはまるかどうかというところは大変難しいというふうに思います。
○福島みずほ君 ただ、新たにせっかく消費者契約法が改正されるので、こういう消費者被害に遭う人を救済するというのも消費者契約法の重要な役割なので、是非そこは広範囲に解釈していただきたいというふうにも思います。
 今日も話が出ておりますが、加齢又は心身の故障により判断力が「著しく低下」なんですが、「著しく」というのは私も削除すべきだと思いますが、増田参考人、いかがでしょうか。
○参考人(増田悦子君) 先ほどもお伝えしましたけれども、著しい判断力の低下というのがどういうレベルのことをいうのかということを十分に考えていただきたい。やはり、自分で契約書を読むことができ、かつ署名ができ、お金を下ろすことができるという人のことを一般的に著しい判断力の低下というのか。だけれども、契約をするということは、契約をしてしまったということはそれをしてきたわけですから、そのときの判断力の低下の波があるということもきちんと考えていただきたいと思います。
○福島みずほ君 時間ですので終わります。ありがとうございます。
○委員長(三原じゅん子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十分散会