第198回国会 本会議 第13号
平成三十一年四月十九日(金曜日)
   午前十時三十一分開議
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○議事日程 第十三号
  平成三十一年四月十九日
   午前十時開議
 第一 平成三十七年に開催される国際博覧会の
  準備及び運営のために必要な特別措置に関す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 裁判所職員定員法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 農業用ため池の管理及び保全に関する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を
  実現するための施策の推進に関する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、大学等における修学の支援に関する法律案
  (趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
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○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 大学等における修学の支援に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊達忠一君) 御異議ないと認めます。文部科学大臣柴山昌彦君。
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) この度、政府から提出いたしました大学等における修学の支援に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては急速に少子化が進展しており、これに対処していくことが喫緊の課題となっております。このような状況において、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を図っていくことが極めて重要なこととなっております。
 この法律案は、このような観点から、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学の支援を行い、その修学に係る経済的負担を軽減するための所要の措置を講ずるものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、大学等における修学の支援は、学資支給及び授業料等減免により行うこととします。これらの支援は、文部科学大臣等の確認を受けた大学、高等専門学校及び専門学校に在学する学生等に対して行うこととしております。
 第二に、学資支給は、独立行政法人日本学生支援機構法の定めるところにより、独立行政法人日本学生支援機構が学生等に対して行う学資支給金の支給とし、これに要する費用は、政府が補助することとしております。
 第三に、授業料等減免は、この法律に定めるところにより、大学等の設置者が学生等に対して行う授業料及び入学金の減免とし、授業料等減免に要する費用は、国及び地方公共団体が支弁することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。斎藤嘉隆君。
   〔斎藤嘉隆君登壇、拍手〕
○斎藤嘉隆君 立憲民主党・民友会・希望の会の斎藤嘉隆です。
 ただいま議題となりました大学等における修学の支援に関する法律案について、会派を代表して質問します。
 法案の質疑に入る前に、一言申し上げます。
 自公による歳費削減法案の委員会付託等をめぐって、昨日から議運理事会が紛糾をしています。党利党略、自己都合で我々の反対を押し切り参議院議員定数六増法案を無理やり成立させておきながら、増える経費を賄うために参院のみ議員歳費を削減するなどという勝手極まりない法案です。定数増への批判を恐れて、連休前に強引に採決し、連休でほとぼりを冷ますおつもりなのか、こそくとしか言いようがありません。憲法上の疑義も拭い去れていません。丁寧に協議をしていただきたい。強く抗議をいたします。
 また、野党各会派は、先週、参議院規則三十八条に基づき、予算委員長に対して委員会の開会を要求しました。回答期限であった十六日、自民党からは開会されても所属議員は出席しないという信じられない表明があり、委員長からは引き続き与野党間で協議するようにと話がありました。これは自民党による明らかな審議拒否です。委員長に参議院規則違反を強要するのですか。かたくなに審議拒否の姿勢を貫くのは、連休前に長期の外遊を計画している安倍総理へのそんたくですか。早急に予算委員会開会に応じるよう、責任ある立法府の一員として強く求めます。
 さて、修学支援法案が参議院の審議を経て成立すれば、一年後の二〇年四月から実施となります。法案では、施行期日について、消費税の税率を一〇%に引き上げる改正消費税法が施行された年の翌年の四月一日までの間という旨の微妙な言い回しになっています。現在の高校三年生を中心に、対象者は、修学支援を受けることを前提に大学進学などの進路選定を行うことになります。若者の生涯が懸かっています。法成立後にやっぱりやめたとはいきません。与党幹部も言及しているようですが、消費増税を延期した場合、修学支援も延期などという選択肢はあり得ない、こういう認識でいいですね。文科大臣、若者たちのために明確にお答えください。
 今回の支援対象は、住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯となっています。本法案の大学生等に対しては低所得世帯に限る措置ですが、三から五歳児の幼児教育の無償化は所得に制限なく全世帯対象です。民主党政権時代にスタートした全ての高校生への授業料無償化は、自民党議員のばらまき批判が相次ぎ、現政権下で所得制限が設けられました。このように公的な教育支援の在り方に対する考えが、幼児、高校生、大学生等でそれぞればらばらで整合性なく、基本的なスタンスが全く理解できません。大臣、それぞれの施策について年収要件が違うことの理由を論理的に御説明ください。
 支援対象者が最終的には七十五万人程度、所要額は最大七千六百億円とされています。しかし、大学等の進学率は、進学時の授業料や奨学金のみによって変わるものではなく、幼児、義務教育段階も含め、日常の家庭での学習環境や大学進学に対する保護者の考え、進学した高校の状況などによっても大きく変わります。今回の措置によって、非課税世帯等の子供の進学率が全世帯平均並みの八〇%に上がることを前提に所要額が示されています。そんなに単純なものではないでしょう。進学率が全世帯平均並みになるという想定の根拠は何ですか、お示しをください。
 また、在校生に対する授業料減免や奨学金の支援はあるものの、二〇一九年度以前に既に進学している二年生以上の低所得世帯の大学生等の数が新規で増えるわけではありません。低所得者世帯の学生の進学率は、制度設計上、一年目は一年生、二年目は一、二年生というように年々上がっていくことになります。つまり、必要な予算も施行後四年を経て七千六百億円になるという試算であると理解しています。単純に消費増税分のうちの七千六百億円を活用するとの説明では言葉が足らず、不誠実です。二〇年度以降の所要額は年度ごとに一体幾らを見込んでいるのか、年度ごとの対象人数と必要額をお示しください。
 本法で実施される授業料減免には大きな問題点があります。現在、各大学等では既に世帯所得に応じた授業料減免措置がなされています。新たな減免措置によって、旧来の減免が実施されなくなる可能性があるとの危惧があります。
 この場合、大学によって若干の差異はありますが、例えば、年収三百八十万円から八百五十万円程度までの世帯で国立大学授業料の全額から三分の一の減免などの措置を受けていた者が支援を受けられなくなるケースが生じます。現在、大学に子供を通わせている世帯の収入は四百万円から六百万円が約八割です。こうした中間層にとって、高等教育の無償化どころか、むしろ負担増となってきます。これは大問題です。従来の予算措置による減免制度は維持すると、大臣、明言ください。いかがでしょうか。
 次に、支援対象となる大学等の要件について伺います。
 経営状況や、理事に産業界等の外部人材を複数任命していることなど、本法案で定める確認要件を満たさない大学等に通う学生は支援の対象とはなりません。今回の支援は個人を対象としたものではないのですか。確認大学等にならなかった学校に通う現在の在校生も支援されないんです。これは学生たちの責任なのでしょうか。学生たちへの支援と大学等の教育の質確保などは別問題であり、認可や助成の在り方によって改善するべきものではないんですか、答弁を求めます。
 過度な学習状況要件についても伺います。
 具体化に向けた方針では、平均成績が連続で下位四分の一の場合など認定を取り消すとされています。平均成績が下位四分の一、それも各大学各学部での相対的評価であり、大学ごとのレベルは無視されています。
 授業料減免と給付型奨学金が打切りとなれば、それは即座に退学を意味し、相対的評価である以上、毎年一定数の中退者を生むことになりかねません。相対的評価など、今では小中学校でも実施をしていません。省令制定に当たっては方針を見直すべきです。見解を伺います。
 支援を受ける個人の要件に、高校等卒業後二年の間までに大学等に進学した者とあります。なぜ二浪までの学生のみ対象なんですか。大学入学への道筋は様々です。そもそも、学び直しやリカレント教育の重要性をあれだけ強調していたのは文科省ではないですか。この考え方とも矛盾します。答弁を求めます。
 授業料減免に予算を投じるならば、まず授業料そのものを減じるべきと考えます。国立大学の授業料は年額五十三万五千八百円が標準額となっており、この標準額のプラス二〇%の範囲内で各大学法人が授業料を設定できることになっています。これを受け、本年度から、東京工業大学が六十三万五千四百円に、東京芸術大学が六十四万二千九百六十円にと、それぞれ十万円ほどの大幅な値上げに踏み切っています。この大学授業料値上げは中間所得層の多くの学生に困難をもたらします。文科省としてこの状況を看過するのですか。見解を伺います。
 授業料減免や学資支給がされても、授業料が大幅に上がれば効果がありません。今後、私立大学も含めて便乗的な値上げがなされることはないのか、それを防ぐためにどのような対策をするのかについても伺います。
 今回の法案には、貸与型奨学金の改善につながる内容が含まれていません。今回の奨学金給付はごく一部の限られた低所得者層へのものであり、貸与型奨学金の多くの利用者や返済者への支援とはなっていません。
 そこで、現在、貸与型奨学金に対して、返還猶予期間の十五年などへの延長、延滞金賦課率を現行の五%から大幅に引き下げること、返済順序を元本返済からを基本とすること、人的保証の廃止などの具体的な対策を打つべきです。見解を求めます。
 全学生の二割程度を対象と想定した今回の施策には七千六百億円の予算が必要とされる一方、現在の有利子奨学金を無利子に転換するための予算は、試算では三百五十億円程度とされています。当面は七千六百億円の支出は必要ありません。それならば、こうした財源を活用して、この有利子から無利子への完全な転換を早期に実行してはどうですか。大臣の答弁を求めます。
 以上述べてきたように、本法案は、高等教育の無償化と言うには余りにも対象者が少なく、日本が留保を撤回した国際人権規約十三条二項に沿うものとは言えません。中間層直撃法案、大学管理強化法案とも言うべき内容を含んでおり、多くの点で改善が必要です。
 我々の提案にも真摯に向き合うよう強く訴え、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) 斎藤議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、消費増税が延期された場合についてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げについては、政府としては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、法律で定められたとおり、今年の十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であります。文部科学省としては、これを前提として、来年四月からの高等教育の無償化の実施に向けて着実に準備を進めていく方針でございます。
 次に、公的な教育費支援施策の年収要件が異なる理由についてのお尋ねでありますが、幼児教育、保育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性などに鑑み、所得制限を設けることなく実施するものです。
 高校の授業料支援については、負担が大きかった低所得世帯の生徒に対する支援や公私間の教育費格差の是正のための支援を充実するため、所得制限を設けて実施するものです。
 高等教育については、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要な低所得世帯に限って新たな支援措置を実施するものであります。
 このように、それぞれ適切に判断しているものでございまして、所得制限に関して整合性がないとの御指摘は当たらないものと考えます。
 次に、進学率上昇の根拠についてのお尋ねでありますが、高等教育機関への進学率は、全世帯では約八割であるのに対して、住民税非課税世帯では現状四割程度にとどまると推計されております。こうした状況を踏まえて、真に支援が必要な低所得世帯に限って、今回、大幅に支援を拡充することとしております。
 このため、今回の支援措置によって学生数が増加した場合にも、要件を満たす学生が支援を確実に受けるために必要な財源を確保する観点から、最大の見積りをする上で、進学率が八割まで上昇すると仮定をしているものです。
 次に、年度ごとの対象人数と所要額についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置の対象者数や所要額の試算に当たっては、議員御指摘のとおり、低所得世帯の進学率が、新入生から順次上昇して全体の進学率に達成する等の仮定を置いています。
 しかしながら、各年度の対象者数や所要額については、各年度の予算編成においてその時点での最新の状況を踏まえて見積もることとしており、現時点でお示しすることは困難です。
 続きまして、現行の授業料減免の維持についてお尋ねでありますが、国公私を通じ、全国で統一的な基準となるため、新制度においては対象とならない学生等も生じ得ると考えてはおりますが、今後、各大学において、新制度を踏まえてどのように対応するかをそれぞれ検討することが必要となります。
 文部科学省としては、各大学における減免基準の考え方等の状況を把握し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、現に支援を受けている学生につきましては、減免の事由や家計基準の実態等を踏まえつつ、何らかの配慮が必要かどうか検討してまいります。
 次に、機関要件と在学生への支援の関係についてのお尋ねでありますが、機関要件は、支援を受けた学生が社会で自立し活躍できるよう、学問追求と実践的教育のバランスの取れた質の高い教育を実施する大学等を対象とするために設けるものであります。
 機関要件は、大学等が現在の取組を適切に充実されることで満たせる内容と考えておりまして、多くの大学等が要件を満たせるよう、今後とも制度の周知や説明に努めてまいります。
 次に、学習要件についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置は、支援を受けた学生が大学等への進学後にしっかりと学んだ上で、社会で自立し活躍できることになることを目的としていることから、在籍する学部等ごとに客観的な基準により学習成績で判断することとしております。
 なお、連続して受けた場合に打切りとなる警告の要件の一つである平均成績等が下位四分の一の場合に関しましては、しんしゃくすべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討することとしております。
 次に、支援対象を卒業後二年の学生までとする理由についてのお尋ねでありますが、高等学校等を卒業し短期大学や二年制の専門学校に進学した者は二十歳以上で就労し一定の稼得能力があることを踏まえれば、こうした者とのバランスを考える必要もあり、現行の給付型奨学金と同様、高等学校等卒業後二年以内の進学者を対象とすることとしております。
 文部科学省としては、社会人も対象としている貸与型奨学金を着実に実施するとともに、関係省庁と連携しながら、御指摘のあったリカレント教育の推進にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、国立大学の授業料値上げについてお尋ねがありました。
 文部科学省としては、国立大学が標準額を超える授業料を設定する場合には、その授業料によって学生に対する教育が充実することになること、また、授業料の値上げによって真に支援が必要な学生が学ぶ機会を逸することがないよう支援することが重要と考えておりまして、今後とも、各大学において、こうした観点を踏まえ適切な対応を行うことが重要と考えております。
 次に、授業料の便乗値上げのお尋ねでありますが、大学の学費は、基本的には、各大学がそれぞれの教育研究環境を勘案しながら適切に定めるべきものと認識しております。
 学費の値上げについては、合理的な範囲を超えたものとならないよう、各大学において説明責任を果たしていただくことが重要と考えておりますが、今回の支援措置の趣旨に反するような学費の値上げが行われることのないよう、制度の趣旨の周知に私どもとして努めてまいりたいと考えております。
 次に、貸与型奨学金の制度の改善のお尋ねでありますが、返還期限猶予制度については、既に猶予期間を五年から十年としている経緯があり、猶予期間の更なる延長については、事業の健全性を確保する観点からも難しいと考えております。延滞金に係る賦課率の取扱いについては、民法における法定利率なども考慮しながら検討を進めてまいります。返還金の充当順位については、民法の規定にのっとって行っております。人的保証を廃止することについては、機関保証における保証機関の健全性などの課題を踏まえた上で検討を進めております。
 次に、有利子奨学金から無利子奨学金への転換についてのお尋ねでありますが、無利子奨学金の貸与基準を満たす者全員への貸与の実現など、無利子への流れを加速するほか、返還者へのきめ細かな救済措置を各種これまで講じてきたところであります。
 今回の支援措置は、それでもなお真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って重点的に支援するものでありまして、有利子奨学金の無利子奨学金への転換は考えておりません。
 なお、現行の消費税法において、税収はいわゆる社会保障四経費に充てることとされておりまして、今回の支援措置の財源を無利子化には活用できないものと承知をしております。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 伊藤孝恵君。
   〔伊藤孝恵君登壇、拍手〕
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました大学等における修学の支援に関する法律案について質問させていただきます。なお、答弁が不十分だった場合は再質問させていただくことをあらかじめ申し上げます。
 質疑に入る前に、与党の横暴に対し、強く抗議をいたします。
 皆さんの都合により勝手に増やした参議院定数六のコストを賄うため、参議院議員の歳費を削減する法案を与党の数の力で押し切ろうとするなど、余りにも道理がありません。国民民主党は、自民党が法案を提出した二月八日、同じ日に対案を出しています。昨日は更なる対案を出し、複数の選択肢を示しています。これらに聞く耳も持たず、強引に成立に向けてひた走る与党の姿勢に強く抗議をいたします。
 また、副大臣、大臣の辞任も相次いでいます。
 一人は、国交副大臣の肩書をちらつかせながら、自分がそんたくをすると国の直轄調査にできちゃうと浅はかな自慢をして辞任。もう一人は、大臣クラスの自分が復興以上に議員が大事と言えばさぞや彼女の支援者たちは盛り上がるだろうと、非道極まりない比較をして辞任。自分たちが持つ肩書という権力についての認識はしっかりできているのに、その権力は誰のため、何のために使うべきかを忘れている、残念な権力者たちの情けない辞任劇でした。
 総理の任命責任は余りにも重い。参議院規則第三十八条二項による予算委員会の開会を強く求めます。
 さて、本法案は、衆議院においては、学校教育法、国立大学法人法、私立学校法、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案との一括審議がなされました。本来一つにできるはずもない、審議のポイントが全く違う法案を束ねるのは、やはり間違っています。本院では切り分けて審議することになったことこそ、その証左です。ぎりぎりのところで立法府のあるべき姿に立ち戻っていただいたのは、熟議の府である参議院の矜持とも言える裁定だと感じております。
 熟議とは、熟慮し議論することです。自らの意見を述べるとともに、他者の異なる意見を聞き、納得したり、自分の誤りに気付いたりしながら意見を修正していくことです。
 この十分間が熟議に資する内容となるよう努め、以下、柴山文部科学大臣に質問させていただきます。
 まず初めに、日本における公的学生支援の根拠である憲法二十六条と教育基本法四条の教育の機会均等に基づき政府が負う学生支援義務と公的負担による家計の教育費負担軽減の必要性について、大臣の御所見をお聞かせください。
 次に、本法案の目的は進学格差の是正でありますが、一方で、これらの施策が非進学者から進学者への所得の逆進的再分配という側面を持つことから、不公平感の拡大が指摘されています。制度が始まるとされる二〇二〇年の十八歳人口はおよそ百十七万人。うち百万人弱が大学や短大、専門学校に進学しますが、二十万人強は就職するため、何のメリットもないばかりか、消費税増税によって負担は増えることになります。大臣は、この不公平感の是正についていかなる考えをお持ちか、お聞かせください。
 日本政府は、二〇一二年九月に、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約における無償教育の漸進的な導入に対する留保を撤回しました。そのため、本来であれば速やかに高等教育無償化に向けた具体的な施策を実施する責務があったにもかかわらず、五年以上もの長きにわたって放置された理由は何だったのか、教えてください。
 加えて、本法案による支援措置の対象範囲は住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の者に限られており、不十分と言わざるを得ません。対象範囲の拡大を検討すべきと考えますが、大臣の御所見をお聞かせください。
 また、漸進的無償化の今後の見通し、いつ、どのようなスケジュールで、幾らの予算を要求し、何を財源として更に進めていくのか、具体的にお示しください。
 そもそも、支援措置の財源は、本年十月一日に予定されている消費税増税に係る増収分が充てられることになっておりますが、政府は、予定どおり消費税率を引き上げるかどうか、リーマン・ショック級の出来事がない限りとの留保を付し、いまだはっきりお答えになりません。にもかかわらず、自民党の幹事長代行は、インターネットテレビ番組では、六月の日銀短観次第では増税延期もあり得ると放言しています。では、この法案は一体どうなるんですか。
 教育に関わる大事な施策は、不安定な財源ではなく、安定した財源の下で継続して行われるべきです。安倍総理の新しい判断で増税が見送られてもきちんと財源を確保できるよう、附則第四条、消費税の収入のくだりに「等」、「など」を追加して、消費税以外の財源も活用できるよう一部修正を加えるのが適当だと考えますが、大臣の意見をお聞かせください。
 附則の第一条には、増税が行われなかった場合は支援措置を先送りできると書いてあります。であれば、本法案はなぜ日切れ扱いなのでしょうか。消費税をどうするかを決めてから、変更のない情報を学生に届けた方が混乱はないと思うのですが、大臣の御見解をお聞かせください。
 また、増税を見込んで学費を便乗値上げする大学が出てきた場合、それに対して文科省はどう対応するか、計画をお聞かせください。高過ぎる入学金や授業料の更なる高騰をまさか黙認されることはなかろうとは思いますが、念のため確認させてください。
 最大の懸念は、本法案の施行による国立大学の授業料減免制度の縮小、制度の後退の可能性です。現在、各大学が様々な工夫を凝らして実施している授業料減免においては、中間所得層の学生もその対象となり得ています。しかし、新たな制度に統一された場合、授業料減免の対象範囲が狭まり、これまで支援を受けてきた学生は、今後は支援を受けられなくなります。したがって、各大学の主体的な取組を阻害することのないよう配慮する規定を盛り込むべきと考えますが、大臣の見解をお示しください。
 例えば、両親と子供二人の家族四人世帯の場合、現行では、世帯年収四百六十四万円まで全額免除、六百八十万円まで半額免除の対象だったにもかかわらず、新制度では、世帯年収二百七十万円までが全額免除、三百八十万円までの支援にとどまります。中間所得層である多くの御家庭で教育費の負担が増え、今減免対象になっている在校生も途中で支援を打ち切られる事態が濃厚です。
 大臣、制度の後退を引き起こさないためには、各大学がこれまでどおりの基準で減免が行えるよう、運営費交付金等で財政措置をしていくしかありません。
 適切な金額を算出するには、在校生の保護者の課税証明書を取り寄せ、世帯年収を確認し、新制度からはじき飛ばされる生徒を認定した上で、手当てに必要な金額を算出、概算要求に間に合わせなければなりません。八月三十一日まで残された時間は僅かです。
 必要な調査を迅速に実施し、概算要求していくおつもりがあるのかないのか、明確に御答弁をお願いいたします。
 そもそも、本法案が提出されるに至ったきっかけは、二〇一七年五月三日に安倍総理が憲法改正案に高等教育の無償化を盛り込むと宣言し、その後、九月に、衆議院の解散理由を述べた記者会見において、突如、社会保障と税の一体改革で決まっていた消費税増税分の使い道を幼児教育や高等教育の無償化等に充てると言い出したことに始まります。
 所轄官庁での具体的な議論をしないまま大枠を政治的に決めたために、これまでの高等教育や奨学金制度の効果について検証もせず、高等教育の到達点とはどこか、大学教育が卒業後の人生においてどんな意味があるのかという素朴な疑問にも、誰も答えることができません。
 総理には、無償化に対する哲学を感じません。政策の重み、思想の重みもありません。多くのメディアで大学卒業後のローン返済に苦しむ学生の姿が度々取り上げられ、大学進学の費用負担が、同じく顕在化していた待機児童問題とともに、子育て世帯の不安を形成していました。そこに懸案の消費税増税と憲法改正を結び付け、これ幸いとばかりに選挙に利用しただけです。
 柴山大臣、政治的に生まれたものは政治的に変質します。哲学なき政策は必ず綻びます。子供たちに投資する意味、無償化に対する哲学が総理にあるなら、制度の後退が起こり得る深刻な事態であるのに無償化を実現するなどと軽々しく言えないはずです。
 本来の無償化とは、家計の所得にかかわらず全ての学生を対象に授業料を免除したり、給付型奨学金を支給したりすることです。子供の学びや育ちに線引きは必要ない、そう思われませんか。
 柴山大臣、今日は、どこかからコピーしてきたような、家庭の経済事情により教育の格差を是正し、貧困の連鎖を断ち切らねばなりません的な耳触りのいい答弁は要りません。本法案に魂を吹き込むため、本法案をより良くするための修正に御尽力いただきたい、制度が後退しないよう、運営費交付金の措置を御検討いただきたい、ただひたすらそのことをお願いし、私の質問を一旦終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) 伊藤議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、政府が負う学生支援義務と公的負担による家計の教育費負担軽減の必要性についてお尋ねがございました。
 教育基本法第四条第三項は、憲法第二十六条第一項の精神を具体化したものであり、能力がありながら経済的理由によって修学が困難な者に対しては、国や地方公共団体が積極的に奨学の措置を講じることを定めております。このため、これまでも日本学生支援機構による奨学金事業など公的負担による家計の教育費負担軽減に努めてまいりましたが、今回の新たな修学支援措置により、一層の負担軽減を図ってまいります。
 次に、非進学者の不公平感についてのお尋ねでありますが、高校卒業後に進学せずに働く者との公平性に留意しながらも、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることを踏まえ、今回の支援措置は、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って経済的負担の軽減を図るものであります。
 本措置は、進学を希望しても家庭の経済事情で諦めていた子供たちに、大学、短期大学、そして高等専門学校、専門学校への進学の道を開くものと考えており、支援を受けた学生が多様な分野で学び、活躍できるようになることを期待しております。
 次に、高等教育の無償化が五年以上もの長きにわたって放置されてきた理由でありますが、国際人権A規約では、無償教育の漸進的な導入について、その範囲や方法を含め、具体的にどのような方法を取るかは加盟国に委ねられております。
 平成二十四年に高等教育の漸進的無償化を留保撤回して以降、文部科学省においては、給付型奨学金を平成二十九年度から実施するとともに、希望者全員への貸与の実現など、無利子奨学金の更なる充実等、高等教育への進学支援の充実を図ってきたところであります。
 次に、支援措置の対象範囲拡大の検討のお尋ねでありますが、新たな支援措置は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要な低所得世帯に限って実施するものです。
 一方、この対象範囲にかかわらず、これまでも奨学金制度の充実を図ってきたところであり、支援対象の拡大は、必要な安定的財源の確保に加え、低所得世帯以外はこの奨学金の拡充により進学機会が開かれていることや、先ほど議員自らが御指摘のような、進学せずに働く者との公平性を十分に踏まえて慎重に議論する必要があると考えております。
 文部科学省としては、財政や進学率など、その時々の状況を総合的に判断しながら我が国における無償教育の漸進的導入に努めているところでありまして、その具体的なスケジュールや予算、財源について今お示しすることは困難です。
 次に、消費税以外の財源活用についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置は、消費税収を社会保障四経費に充てる消費税法の下、制度として確立された少子化に対処するための施策として、本年十月の消費税率引上げによる増収分を活用し、安定財源を確保して実施することとしており、御指摘のような法案修正は考えておりません。
 いずれにせよ、消費税率の引上げについては、政府としては、反動減等の十二分な対策を講じた上で、法律で定められたとおり本年十月に一〇%に引き上げる予定であります。
 次に、本法律案を日切れ扱いとした理由についてのお尋ねでありますが、高校生の早期の進路選択に資するよう、機関要件を満たす大学等のリストの公表、日本学生支援機構への奨学金の予約申込みなどの必要な準備行為を、法案の成立後、夏頃までに行う必要があることから、法案の日切れ扱いをお願いしたところであります。
 なお、文部科学省としては、消費税率の引上げが本年十月に行われる予定であることを前提に、来年四月からの新制度の実施に向けて着実に準備を進めていく方針です。
 次に、増税を見込んだ学費の便乗値上げのお尋ねでありますが、大学の学費は、基本的には、各大学がそれぞれの教育研究環境を勘案しながら適切に定めるべきものと認識しております。
 消費増税を理由とした学費の値上げについては、合理的な範囲を超えたものとならないよう、各大学において説明責任を果たしていただくことが重要と考えておりますが、今回の支援措置の趣旨に反するような学費の値上げが行われることのないように、制度の趣旨の周知にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
 次に、各大学の主体的な取組を阻害しない配慮規定のお尋ねでありますが、今後、各国立大学において、新制度を踏まえてどのように対応するかをそれぞれ検討することが必要となりますが、新制度においては対象とならない学生等も生じ得るところであり、当該学生の学びの継続を支援する観点から、減免の事由や家計基準の実態や国立大学における減免基準の考え方等を見極めつつ、何らかの配慮が必要かどうか検討を試みたいと考えております。
 配慮する規定を法案に盛り込むべきとのお尋ねでありますが、各大学が新制度の支援措置に加えてどのような対応を行うかについては、各大学それぞれが検討、判断し、新しい基準を策定していくことになると考えており、法案に配慮規定を盛り込むことは必要ないと考えております。
 次に、授業料減免について、制度の後退を引き起こさないための財政措置についてのお尋ねでございますが、文部科学省としては、各国立大学に対して調査するなどして、より詳細な状況を把握した上で、新たな制度の趣旨を踏まえ、しっかりと対応してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) 新妻秀規君。
   〔新妻秀規君登壇、拍手〕
○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。
 ただいま議題となりました法律案につきまして、自民・公明を代表して、柴山文部科学大臣に質問いたします。
 一昨年の九月二十五日、総理は、衆議院解散を表明した会見において、成長戦略の柱として人づくり革命を位置付け、幼児教育の無償化と高等教育の負担軽減を実現するために、消費税率一〇%への引上げに伴う税収増の使い道の見直しによる二兆円規模の新たな政策を実現する旨を表明されました。言わば、政権与党の公約として、教育負担の軽減を柱とする全世代型社会保障の政策を掲げたとも言えるかと考えます。
 我が党としても、それに先立ち、教育負担の軽減を公約に掲げ、独自に私立高校授業料の実質無償化を訴えました。そして、総選挙でこの政策に民意の後押しを得て、政府・与党で協議を重ね、教育負担軽減の政策を練り上げてきました。
 総理は、この通常国会冒頭の施政方針演説で、二年前に創設された給付型奨学金などにより、一人親家庭の大学進学率が二四%から四二%まで上昇してきたことを評価した上で、「子供を産みたい、育てたい。そう願う皆さんの希望をかなえることができれば、出生率は一・八まで押し上がります。しかし、子供たちの教育に係る負担がその大きな制約となってきました。これを社会全体で分かち合うことで、子供たちを産み育てやすい日本へと大きく転換していく。」と宣言し、幼児教育無償化、私立高校授業料実質無償化、そして高等教育一部無償化を実現する決意を述べられました。
 本法律案は、高等教育一部無償化を給付型奨学金と授業料免除の大幅な拡充により更に推進する、この通常国会の最重要法案の一つです。これにより、家庭の経済状況による教育格差が是正され、格差の固定化や貧困の連鎖を断ち切れると期待でき、一日も早い成立を望みます。ここで、本法律案の意義と成立に向けての決意を伺います。
 本法律案の支援対象者は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生となっております。ここで、そのような世帯ではない中間所得世帯であっても、子供が多い多子世帯では教育費の負担がとても厳しい状況です。私自身、つい先週末、石川県において四人のお子さんを育てている婦人との懇談で、教育費の負担が本当に大変だ、ママ友の中にも、子育てにお金が掛かり過ぎるから、本当はもう一人子供が欲しいんだけれども諦めたという子もいるとの声を現に伺ってきたところです。
 去る三月十四日、衆議院本会議にて、多子世帯を含む中間所得世帯への支援を実施する必要性についての質疑において、大臣から、中間所得層における大学等へのアクセスの機会確保について検討を継続する、中間所得層への大学進学機会について引き続き注視するとの答弁がありましたが、検討状況と施策として実施される時期のめどについて伺います。
 昨年十二月二十八日に関係閣僚で合意された幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針には、「大学改革、アクセスの機会均等、教育研究の質の向上を一体的に推進し、高等教育の充実を進める必要がある。」と示され、この方針を更に詳細に示した高等教育・研究改革イニシアティブには、国の責任において、意欲ある若者の高等教育機関への進学機会を確保するとともに、高等教育・教育機関の取組、成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底することにより、教育、研究、ガバナンス改革を加速すると明記されています。
 この考え方の下、本法律案において、支援を受ける学生には成績などの個人要件が課せられ、同様に、支援を受ける大学等には、大学改革、ガバナンス改革、教育の質の向上が求められるため、教育の実施体制や経営基盤についての機関要件が課せられています。
 ここで、個人要件は支援額も大きいので厳格になっているのは理解できます。しかし、支援対象者はそもそも経済的に厳しく、支援額が大きい分、支援が打ち切られたら学業の継続が著しく困難になると考えます。そこで、大学等に対して、支援をこれから受ける生徒、学生にはこの個人要件をきちんと徹底するように求めることはもとより、成績面で警告を受けた学生などに対しては丁寧な指導を促すべきと考えますが、どのように取り組むのか。
 また、さきの具体化に向けた方針には、支援対象者の成績が振るわない場合につき、しんしゃくすべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討するとありますが、どのような中身を想定しているのか、併せて答弁を求めます。
 機関要件につき、条文に、社会で自立、活躍する人材育成のための教育とあります。教育の目的をこのように定義したのはなぜなのか、そして、どのようにしてその教育の質を保つのか。また、職業に直ちに結び付かないような学問分野を支援対象から外すべきではないと考えますが、併せて答弁を求めます。
 また、機関要件には、教育を継続的、安定的に実施できることとあり、大学等に対し健全な経営を保つよう求めています。経営を含む大学改革、ガバナンス改革は喫緊の課題です。多くの留学生が行方不明になったり、入学試験で不正が行われたりなど、大学等の社会的信頼を揺るがす不祥事が相次ぎ、意思決定やガバナンスの在り方に対し国民から厳しい視線が注がれています。どのようにして大学等に対し、健全な経営、そしてガバナンス改革を促していくのか、伺います。
 さきの高等教育・研究改革イニシアティブでは、高等教育改革の重要な要素として研究力向上を挙げています。しかし、文科省が先週十二日に発表した調査によれば、日本の科学研究の状況がこの三年間で悪化したと考える研究者が多い結果となりました。この三年間で評価を上げた回答者の数と下げた回答者の数の差を取ると、国際的に突出した成果が出ているかではマイナス二九ポイント、基礎研究の多様性が確保されているかではマイナス二二ポイントなど、基礎研究に関連する項目で大きく評価が下がっています。この結果をどう受け止め、今後、研究力向上にどう取り組んでいくのか、伺います。
 この法律が施行となれば、国や地方自治体が、授業料減免に係る費用の交付や、支援対象となる大学等の要件の確認などの事務を担うことになります。制度開始まであと一年を切り、高校三年生の進路決定に影響しないよう、具体的な手続を早急に進める必要があります。とりわけ、数が多い私立専門学校の所轄は都道府県であり、多くの学校を所轄する場合、事務負担は膨大です。
 政府においては、速やかに事務処理に関する具体的な指針を策定し、特に都道府県の事務処理体制の確立に向けた支援を行うべきと考えますが、どのように取り組むのか、答弁を求めます。
 結びに、未来を担う世代のために教育環境を更に充実させていくことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) 新妻議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、本法律案の意義と成立への決意についてお尋ねがありました。
 本法律案は、低所得者世帯であっても、社会で自立し活躍できる人材を育成する大学等に修学できるよう、真に支援を必要とする者に対し授業料減免と給付型奨学金の支給を行い、経済的負担の軽減を図り、少子化の進展へ対処することを目的としております。また、本法律案は、国際人権規約の高等教育の漸進的無償化の趣旨にもかなうものと考えております。
 今回の支援措置を二〇二〇年四月から確実に実施し、低所得者世帯であっても、自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会の実現を目指してまいります。
 次に、中間所得世帯に対する教育費の負担軽減策の検討状況や施策の実施時期のお尋ねでありますが、文部科学省においては、これまでも奨学金制度の充実を通じて高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところです。
 中間所得層について更なる支援を行うことについては、貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていることや、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえて議論する必要があります。
 こうした点を踏まえ、今回の支援措置、大学教育の質の向上と併せて、中間所得層の大学への進学機会について貸与状況等の丁寧な分析を進めているところでありまして、今後の方針についてお答えができる段階ではありませんけれども、引き続き注視してまいります。
 次に、個人要件についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置では、大学等への進学後は、学修成果に一定の要件を課し、修得単位数や学業成績が一定以下の場合には警告を行い、これを連続して受けた場合には支援を打ち切る仕組みとしております。
 文部科学省としては、制度の運用前から大学等や学生に対して、これらの仕組みの意義や運用について理解し、きちんと対応していただくよう周知、趣旨の徹底に努めてまいります。
 次に、しんしゃくすべきやむを得ない事情がある場合の特例措置についてのお尋ねでありますが、この特例措置につきましては、制度の検討の過程において、例えば、国家資格の取得を目的とする専門学校などで、成績が下位四分の一であっても資格を取得できている場合があるとの意見があったことを踏まえて検討しているものであり、現場や専門家の意見を踏まえながら更に検討をしてまいります。
 次に、機関要件における教育の目的や質の確保などについてのお尋ねでありますが、今回の措置による支援を受けた学生が、卒業後に希望する職業に就くことなどを通じて様々な形で社会の一員として活躍していくことを期待し、対象機関を、社会で自立し活躍できる人材の育成を行う大学等としたところであります。
 また、要件の確認後も、各大学等に機関要件に係る取組状況を公表させるとともに、要件の充足について毎年確認することにより、その質の確保に努めてまいります。
 なお、機関要件は、実務経験のある教員による授業科目の配置に特例を設けるなど、学問分野の特性に配慮したものとしております。
 次に、経営の要件及び健全な経営とガバナンス改革についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置では、教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学などについて実質的に救済がなされることがないよう、対象となる大学等に一定の経営要件を設けることとしております。支援を受ける学生が安心して勉学を修めることができるよう対応してまいります。
 また、文部科学省としては、学校法人に対する経営指導を強化するとともに、今国会に学校法人の管理運営制度の改善等に向けた法案を提出し御審議をいただいているところでありまして、これらの施策を一体的に推進することで学校法人の健全な経営確保とガバナンスの強化を促してまいります。
 次に、我が国の研究力向上についてお尋ねがありました。
 先般発表された科学技術の状況に係る総合的意識調査において、基礎研究における成果の創出状況や多様性の確保などの状況が悪化しているなど、我が国の研究力低下を懸念する回答が多かったことは承知をしております。
 我が国の研究力が相対的に低下している現状を打破するためには、ソサエティー五・〇に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学改革と一体的に進めることが重要です。
 このため、御紹介いただいた、先般取りまとめた高等教育・研究改革イニシアティブ、柴山イニシアティブに基づき、世界をリードする質の高い研究人材と流動性の確保、研究者の継続的な挑戦を支援する研究資金の改革、研究生産性を向上させる研究環境の実現に向けて、大学改革と一体的に検討し、科学技術イノベーションシステムの改革を加速させてまいります。
 次に、事務処理指針の策定と地方の事務処理体制の確立に向けた支援についてのお尋ねでありますが、文部科学省では、地方における事務の実施に必要な準備期間を確保できるように、機関要件の確認に関する資料を、自治体、学校向け説明会や文部科学省ホームページでの情報発信に努めてきました。また、私立専門学校に係る事務処理体制の構築に要する費用を全額国費で二〇二〇年までの二年間措置いたします。
 地方においても新制度の円滑な導入、定着が図られ、高校生の進路選択に支障のないよう、引き続き情報発信や支援に努め、具体的な指針も早急にお示ししてまいります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
○高木かおり君 日本維新の会・希望の党の高木かおりです。
 会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案について質問いたします。
 大学進学への学費は親が負担するのが当たり前という時代が長くありました。昭和の経済成長期に大学に在学していた方は、今でもそのような考えを持っていらっしゃるかもしれません。しかし、平成に入ってバブルが崩壊し、一九九八年以降二十年以上続くデフレーションを経て、子育て世帯の可処分所得が下がり続けました。その一方で、学費は上がり続けたため、現在では子供の大学進学費用を捻出できない世帯が増えています。
 独立行政法人日本学生支援機構によれば、平成二十九年度に同機構の奨学金の貸与を受けた学生は約百二十九万人、我が国の高等教育機関の学生の三七%、二・七人に一人です。多くの学生が頼る貸与型奨学金は、返還しなければならない借金です。経済的に余裕のない世帯の学生は、自分で借金を背負わなければ大学等の高等教育で学ぶことができない社会になっています。
 日本維新の会は、国民の教育を受ける権利に関し、経済的理由によって教育を受ける機会を奪われてはならないと考えており、憲法改正項目の一つとして教育無償化を提案しています。教育は公の性質を有するものであり、教育の充実によって国が責任を持って人材を育てていくことは国家としてプラスであることは言うまでもありません。ですから、幼児教育から高等教育に至るまで、全ての教育は無償であるべきです。そして、そのことを日本の国是とするために、教育無償化を憲法に明記すべきであると主張します。
 この立場を明確にした上で、質問に入ります。
 私たちが高等教育を含めた教育の無償化を主張すると、高等教育の費用は親が出すべきだという反発を受けることがしばしばあります。自分たちは子育ては既に終わってしまったので、今更教育を無償化しても得るところはないですとか、自分には子供がいないのに、他人の子供が教育を受けるための費用を負担しなければならないのは不公平ではないかというように、公的負担に対する国民の理解はまだまだ不十分なものです。
 しかしながら、大学で学ぶ学生たちが、将来、国や地方、企業、その他あらゆる社会において必要とされる人材として育成されていくことは、今後の日本にとって大きな資産となります。しっかりと高等教育を受けることで、しっかりと社会に出て働くことができ、しっかりと税金を納めていただくことができる。高等教育の無償化を進めていくことは、今まさに子育てをしている方、これから子供を持とうとする方のみならず、子育てが終わった方にも、子供を持たない方にもメリットがあることだと考えます。
 文部科学大臣に質問します。本政府案では高等教育の無償化を拡充することになりますが、高等教育への公的負担に対する国民の皆さんの理解を得るためのプロセスはどのように進めていくのでしょうか。見解を伺います。
 本政府案が修学支援の対象としている学生は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生のうちの特に優れた者としています。住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯に対しては、これまでにも国、自治体による学用品や修学旅行費などに対する就学支援制度があります。また、本国会においても住民税非課税世帯に対するゼロから二歳児への幼児教育の無償化が議論されています。
 文部科学大臣、様々な支援措置が実施されていますが、それらが重なることにより、支援対象者と非対象者との差が拡大してきています。それにより国民の間に不公平感が生じることが考えられますが、それに対してはどのように受け止めておられるのでしょうか、そしてどのように不公平感を解消していくのでしょうか。御見解を伺います。
 本政府案は、今後、拡充して、支援の範囲を広げていくというようにお聞きしています。大学教育が万人に開かれる、大学で学びたい人が将来の借金の不安なく学ぶことができるということは、未来への投資でもあります。それには、大学自体も投資し得る対象でなければなりません。今求められている大学の役割をもっと明確化し、大学の存在意義を国民の皆様に知っていただくことが肝要です。
 ところが、今、大学が自らその存在意義を放棄したかのような事件が発生しました。東京福祉大学では、外国人留学生約一千四百人が行方不明になり、悪質な大学経営が行われてきたことが指摘されています。これは氷山の一角でしかなく、ほかにも、大学の延命策として留学生を使っているという事例もあります。このような高等教育機関に対しては、文部科学省による適切な指導を行う必要があります。
 文部科学大臣、学校法人としての制度を悪用し不適切な経営を行う大学に対して、経営ガバナンスを高めさせるためにはどのようにすべきとお考えでしょうか。御見解を伺います。
 さらに、昨年には、東京医科大学の入学試験において、女子や二浪以上の受験者に対し点数をマイナスに操作して不利に扱っているという問題が発覚しました。また、その一方で、文部科学省の前局長の子弟などに対しては個別に加点していたことが明るみに出て、入学試験に対する公平性、公正性に関わる大きな問題となりました。
 当事者である文部科学省の前科学技術・学術政策局長が受託収賄容疑で逮捕されるに至りましたが、私立大学に対して指導する役割を果たすべき文部科学省の局長が自分の子弟を合格させるように働きかけることは前代未聞のことです。文部科学省職員の公務員としての意識について大きな疑問を持たざるを得ない事件と捉えています。
 文部科学大臣、昨年の事件を受けて、再発の防止と文部科学省職員の全体の奉仕者としての意識改革をどのように進めるのでしょうか。
 また、私立大学に対する指導が収賄に絡みやすいことについてはどのような対策を取るのでしょうか。お答え願います。
 最後に、本法案の財源について伺います。
 本法案は、本年十月に消費税を一〇%に引き上げることを前提とし、増税により財源を確保することとしています。本当に消費増税を財源とすることでいいのでしょうか。
 柴山大臣は、衆議院本会議において、消費税率の引上げによる増収分により安定財源を確保して実施する、増収額は国、地方税合わせて約一・四兆円、今回の支援措置により、支援対象者は七十五万人程度、支援額は最大七千六百億円程度、また、幼児教育、保育の無償化の所要額が七千八百億円と試算されています。この試算を基に消費税率の引上げによる増収分から必要な財源を確保しているとのことですが、それでは、本法案による支援は、これ以上対象者を広げるつもりはない、すなわち、高等教育の無償化はこれ以上進めるつもりはないということになってしまうのでしょうか。安倍総理が喧伝する高等教育の無償化はこれで終わりなのでしょうか。
 本法案では、対象は住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯と限定しており、中間所得層は置き去りにされています。国家が責任を持って人材を育てるという理想は中途半端に終わってしまうのでしょうか。文部科学大臣、お答えください。
 高等教育の無償化は、将来の日本を築いていく上で必須の課題です。教育は個人や個性と深く関わっておりますが、社会全体から見れば、より良い社会は教育の成果によって築かれるものであり、教育は、犯罪率を下げ、貧困をなくし、生きがいややりがいのある仕事に就くことによって国民全体を幸せへと導くものです。国家の繁栄と国民の幸せの鍵は教育にあります。
 以上の理由から、教育無償化を憲法に明記すべきであるということを改めて主張いたしまして、私からの質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) 高木議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、高等教育費の公的負担に対する国民理解の醸成についてお尋ねがありました。
 まさしく、議員の御指摘のとおり、社会で自立し活躍できる人材を育成することは、国にとっても大きな資産と考えます。真に支援が必要な低所得者世帯の者を対象とした今回の支援措置を通じて、高等教育へのアクセスの機会均等とともに、高等教育の質の向上を一体的に推進することで、そうした人材を育成していくことを丁寧に説明をさせていただきたいと思います。
 次に、支援対象者とそうでない者との不公平感についてのお尋ねでありますが、高校卒業後に進学せずに働く者との公平性に留意しながらも、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることを踏まえ、今回の支援措置は、先ほど来申し上げているとおり、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って対象としております。
 本措置は、家庭の経済事情で進学を諦めていた子供たちに大学等への進学の道を開くものと考えており、支援を受けた学生がしっかり学んだ上で、社会で自立し活躍できるようになることを通じて、公費を投じる本施策の効果が社会に還元されることを目指してまいります。
 次に、学校法人のガバナンス改革のお尋ねでありますが、これも、おっしゃるとおり、私立大学が社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるためには、自律的で意欲的なガバナンスの強化や経営力の強化が必要であります。
 このため、役員の責任の明確化や監事の牽制機能の強化などを内容とする私立学校法改正案により、ガバナンスの強化を図ることとしております。
 これに加え、経営指導の強化や、管理運営が不適正である学校法人の私立大学等経常費補助金の減額などを通じて、法人運営の改善、適正化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、昨年の事件を受けた、再発防止と文部科学省職員の意識改革についてお尋ねがありました。
 一連の不祥事の再発防止策を含めた文部科学省の在り方とその実行方策に関しましては、私を長とした文部科学省創生実行計画を取りまとめたところであり、本計画に基づいて、第三者的視点も取り入れたコンプライアンスの確保を含む内部統制環境をしっかりと整備してまいります。
 また、職員の意識改革については、例えば、全体の奉仕者であることを自覚し、公正を貫くなどの職員の行動指針を定め、人材育成、研修等に反映させることにより、その実質化を図ってまいります。
 次に、私立大学に対する指導に関するお尋ねでありますが、私立大学に対する指導に限らず、文部科学省職員は、国民全体の奉仕者として、利害関係者から収賄を受けることは決してあってはならないことだと考えております。私立学校行政においても、先ほど答弁したように、コンプライアンスを確保しながら綱紀粛正を徹底してまいります。
 次に、高等教育無償化の更なる拡大についてのお尋ねでありますが、対象者の拡大については十分に慎重に議論する必要のあることだと考えております。教育施策推進の財源確保に当たっては、いかなる税目であれ、その財源は国民の負担を伴うものでありますので、広く国民の間でその効果や必要性についての理解の醸成が不可欠です。
 文部科学省といたしましては、真に必要な教育投資を確保していくため、引き続き国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) 吉良よし子君。
   〔吉良よし子君登壇、拍手〕
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、大学等修学支援法案について文部科学大臣に質問いたします。
 進路を考えるのに、お金のことを真っ先に考えなければならない、お金がないから大学は無理だねって親から言われた、高い学費を下げてほしい、これらは、現役学生中心の団体、高等教育無償化プロジェクト、FREEの皆さんの集めた実態調査に寄せられた生の声です。現在、国立大学の初年度納入金は約八十一万円、私立大学は平均で約百三十三万円。高過ぎる日本の学費は若者の夢や希望を阻む大きな壁になっています。
 ここで、文部科学大臣に伺います。今回の法律案で、高い学費は少しでも値下げされるのでしょうか、お答えください。
 総理は、この間、全ての世代において、理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金が掛かり過ぎることが最大の理由とされていると答弁をされています。文科省の調査では、幼稚園三歳から高校三年までの十五年間で掛かる費用は、公立に通い続けた場合で五百四十万円です。さらに、大学入学から卒業時までに掛かる費用は、日本政策金融公庫の調査によると、平均で七百十六万円。一番お金が掛かるのが大学の学費です。それなのに、この高過ぎる学費は一向に値下げされません。むしろ、上がり続けているのが実態です。私立大学の学費は五年連続値上がりです。国立大学でもついに学費を値上げする大学が出てきました。
 文部科学大臣に伺います。子育てや教育にお金が掛かり過ぎることが少子化の原因であり、少子化対策が本法案の目的だというならば、大学授業料のこれ以上の値上げを許さないと、今ここではっきり明言すべきではありませんか。
 二〇一二年九月、学生たちや父母、教員の皆さんの運動や国会での度重なる論戦により、国際人権規約の無償教育の漸進的な導入についての留保が撤回されました。今こそ、国際的な約束であるこの人権規約の精神に立ち、学費の負担そのものを軽減し、将来的な無償化を目指すべきです。大臣の答弁を求めます。
 本法案には、どこにも学費を値下げするとは書いていません。真に支援が必要な低所得者世帯、つまり、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生への支援を行うとして、対象の学生に対し、学費の減免と給付型奨学金の支給を行うといいます。
 その対象者の数は、現状の進学率が維持されるならば約四十二万人にとどまるという推計値が、先日の予算委員会の大臣答弁で明らかになりました。現在、大学、短大、高専、専門学校に通う全ての学生数は約三百五十万人です。四十二万人とはその一二%程度、全体の一割にすぎません。もちろん、低所得者世帯への修学支援を大いに進め、その進学率を引き上げることは重要です。一方で、九割の学生は支援が受けられず、今のままの高い学費の負担が続いてしまうということは見過ごせません。
 大臣、あなたは、現在の高い学費が、一部の学生だけではなく、全ての学生や保護者の重い負担となっているという認識はないのでしょうか。この支援の対象者、今後増やすおつもりはありますか。残された九割の学生への支援をどう拡充するおつもりか、お聞かせください。
 本法案で学生に課されるのは、経済的な条件だけではありません。特に優れた者という成績要件も課されるため、対象は更に限定されます。加えて、本法案では機関要件まで設定され、修学支援の対象となる大学も限定していることも見過ごせません。
 大臣、こうした様々な要件を課すことにより支援が受けられる対象をどんどん絞っていくならば、結局、非課税世帯の子供たちの進学率は伸びないのではありませんか。特に、機関要件については、学生の進学先の選択を事実上奪うことになりませんか。
 文科省は、機関要件を設ける理由について、社会で自立し活躍するには大学等での勉学が職業等に結び付くことが必要であるためなどとしています。しかし、大学には職業に直結しない学問もたくさんあります。そういう学問は必要ないということですか、大臣、お答えください。
 機関要件の具体例として、収容定員割れしている大学等を支援対象から外すことも挙げられています。しかし、経営が厳しい私立大学などの多くが地方の中小規模の大学です。それらの大学を修学支援の対象から外したら、学生が集まらず、定員割れがますます進んでしまう懸念があります。そうなれば、地域社会で奮闘している地方の中小規模大学を苦境に立たせ、今以上に大都市圏と地方の教育格差が拡大するかもしれません。
 大臣、この要件は、地方に暮らす若者の進学環境をより一段と悪化させてしまうと思いませんか。こうした大学を対象から外すのではなく、地方の中小大学にこそ手厚い支援をすべきなのではありませんか。
 仮に大学運営そのものに問題があったとしても、その大学を受験した学生には何の責任もありません。修学支援を人質に、大学運営の問題の責任を学生に負わせるべきではありません。この機関要件の削除を強く求めます。
 今回の支援の財源について、消費税一〇%への増税分を充てると法案で明記をしていることは重大な問題です。この財源を前提にするならば、その支援対象者を拡大するときに、また更なる消費税増税が押し付けられる懸念だって生まれます。何よりも、消費税は、支援の対象となる学生にも、対象とならない学生にも重い負担となってしまいます。
 東京私大教連が先日発表した二〇一八年の私立大学新入生の家計負担調査によれば、東京を始め首都圏で学ぶ私立大学生の家庭からの仕送り額は月八万三千百円で、一九八五年の調査開始以来、過去最低となりました。家賃を除いた一日当たりの生活費は僅か六百七十七円です。ここに消費税増税を押し付けるなんてとんでもない暴挙です。消費税増税を理由にして学費を更に値上げする大学だって出てくるかもしれません。
 大臣に伺います。学生の支援のための財源を、なぜ学生の重い負担となる消費税増税に限定するのですか。見かけ倒しの高等教育無償化を口実に、消費税増税という重い負担を国民に押し付けることはやめるべきではありませんか。
 今も多くの学生が利用するローン型の奨学金は、将来の重い負担になっています。奨学金は借りたら怖いと、少なくない学生が、本当は必要なのに奨学金を借り控え、代わりにアルバイトを増やしています。冒頭紹介した学生団体、FREEの調査では、九一%の学生がアルバイトに従事しており、そのうちの六三%の学生がその収入を生活費に充てていると答えています。ほとんどの学生たちは、生活のために、睡眠時間や学習時間を削り、講義を休んでまでバイトに入っているんです。
 この学生たちの生活苦を解消するためには、全ての学生の学費そのものを値下げすることは欠かせません。また、給付奨学金の拡充とともに、将来の重い負担となってしまうローン型の奨学金をせめて無利子のみにすること、今、奨学金返済に苦しんでいる皆さんの救済策の拡充だって必要です。こうした政策を進め、国民の教育費負担をこれ以上増やさないためには、国の高等教育予算の抜本的な拡充こそが必要です。
 このことを文科大臣に強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柴山昌彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(柴山昌彦君) 吉良議員からのお尋ねにお答えいたします。
 最初に、今回の法律案で学費が値下げされるのかとのお尋ねがありました。
 今回の新たな制度においては、授業料の値下げを行うのではなく、真に支援が必要な学生を対象に授業料の負担を軽減させるため、授業料の減免を行うこととしているものであります。
 次に、大学等の授業料の値上げを許すべきではないとのお尋ねでありますが、大学の学費は、大学における充実した教育研究環境を整える観点から、教職員や施設整備といった学校運営などに要する経費に充てられると考えます。
 この学費の設定について、近年、国立大学は国において授業料の標準額を据え置いているものの、基本的には、各国公私立大学がそれぞれの教育研究環境を勘案しながら適切に定めるべきものと認識しております。各大学において説明責任をしっかりと果たしていくことが重要だと考えております。
 次に、将来的な無償化を目指すべきとのお尋ねでありますが、新制度は、真に支援が必要な学生に対し、確実に授業料等が減免されるよう大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するものであり、全体として規模や金額が大幅に拡大することで支援が広がっていくものと考えており、御指摘の高等教育の漸進的無償化の趣旨にもかなうものと認識しております。
 次に、支援対象者の更なる拡充についてのお尋ねでありますが、これまでも奨学金制度の充実による負担軽減を図ってきたところです。それでもなお経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえて、真に支援が必要な低所得世帯に限って新たな支援措置を実施するものです。
 給付型の支援措置の更なる対象範囲の拡充については、必要な財源の確保に加え、低所得世帯以外は進学機会が奨学金等により開かれていること、高校卒業後、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることなどを十分に踏まえ、慎重に議論する必要があると考えております。
 次に、成績要件、機関要件による支援対象の絞り込みと進学率上昇との関係についてのお尋ねでありますが、新たな支援措置は、高校在学時の成績だけで判断せず、本人の学習意欲や進学目的を確認して対象とすることとしており、今回の大幅な支援拡充により、支援対象世帯の進学率が大幅に上昇する可能性は十分にあると考えています。
 機関要件については、支援を受けた学生が社会で自立し活躍できるよう、学問追求と実践的教育のバランスの取れた質の高い教育を実施する大学等を支援の対象とするために設けたものです。多くの大学等が現在の取組を適切に充実させることで、この要件を満たしていただくことを期待しております。
 次に、職業に直結しない学問と機関要件の関係についてのお尋ねでありますが、機関要件を設けた趣旨はさきに述べたとおりでありまして、特定の学問分野を対象から外すというものではありません。
 次に、定員割れ大学を対象から除外する機関要件についてのお尋ねでありますが、今回の支援措置では、教育の質が確保されておらず、大幅な定員割れとなり、経営に問題がある大学などについて、実質的に救済がなされることがないように、対象となる大学等に一定の経営要件を設けることとしております。
 都市部であるか地方であるかを問わず、支援を受ける学生が安心して勉学を修めることができるように、今後とも学校法人の経営力の強化に努めてまいります。
 次に、学生の支援のための財源を消費税増税に限定することのお尋ねでありますが、政府としては、今回の支援措置を着実に進めていくため、消費税率の引上げによる増収分により安定財源を確保して実施することとしております。
 また、今般の消費税率の引上げの増収分は、社会保障の安定化と、医療や介護、子育てなどの様々な充実に充てられることとなります。このため、高等教育の無償化の部分だけを取り出すのでなく、受益全体を考慮するとともに、社会保障制度の持続可能性の確保といった観点も含めて考える必要があると考えております。
 次に、教育費負担をこれ以上増やさないための高等教育予算の抜本的な拡充のお尋ねでありますが、新たな支援措置は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要な低所得世帯に限って実施するものです。
 一方、この対象範囲にかかわらず、これまでも奨学金制度の充実を図ってきたところであり、更なる経済的負担の軽減とそのための予算措置については、安定的財源の確保の困難さに加え、低所得世帯以外は奨学金の拡充により進学機会が開かれていることや、進学せずに働く者との公平性を十分に踏まえ、慎重に議論する必要があると考えます。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(伊達忠一君) 日程第一 平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長浜野喜史君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔浜野喜史君登壇、拍手〕
○浜野喜史君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、平成三十七年に開催される国際博覧会の円滑な準備及び運営に資するため、国際博覧会推進本部の設置及び基本方針の策定並びに博覧会協会の指定等について定めるとともに、国の補助等の特別の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、大阪・関西万博開催の意義とその費用負担の見通し、専任の国務大臣が担う役割、SDGs達成に向けた取組方針、万博とIR誘致との関係等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して辰巳委員より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成            二百十一  
  反対              十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(伊達忠一君) 日程第二 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長横山信一君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔横山信一君登壇、拍手〕
○横山信一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を四十人増加し、判事補の員数を二十五人減少するとともに、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十三人減少しようとするものであります。
 委員会におきましては、審理期間や事件動向等を踏まえた体制整備の在り方、家庭裁判所の充実強化の必要性、裁判手続等のIT化の検討状況等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十一  
  賛成            百八十七  
  反対             四十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(伊達忠一君) 日程第三 農業用ため池の管理及び保全に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長堂故茂君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔堂故茂君登壇、拍手〕
○堂故茂君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、農業用水の確保を図るとともに、農業用ため池の決壊による水害その他の災害から国民の生命及び財産を保護するため、防災上重要な農業用ため池を指定し、必要な防災工事の施行を命ずることができることとする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、ため池の届出制度を設けた趣旨、地方自治体に対する支援の内容、ため池の防災工事を迅速に実施する必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十一  
  賛成           二百三十一  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(伊達忠一君) 日程第四 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
○羽田雄一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するため、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発並びにこれらに資する環境の整備に関する施策の推進に関し、基本理念、国等の責務、政府による基本方針の策定、民族共生象徴空間構成施設の管理に関する措置、市町村によるアイヌ施策推進地域計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けた計画に基づく事業に対する特別の措置、アイヌ政策推進本部の設置等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、アイヌ語を始めとするアイヌ文化の振興に向けた取組、アイヌ施策推進地域計画等においてアイヌの人々の意見を反映させる必要性、先住民族の権利に関する国際連合宣言の趣旨を踏まえた施策の在り方、アイヌの人々に対する差別の解消に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(伊達忠一君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(伊達忠一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百三十  
  賛成            二百十六  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(伊達忠一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会