第198回国会 国土交通委員会 第8号
平成三十一年四月十八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     松下 新平君     吉田 博美君
     伊藤 孝恵君     増子 輝彦君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     吉田 博美君     三木  亨君
     山添  拓君     紙  智子君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     紙  智子君     山添  拓君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         羽田雄一郎君
    理 事
                井上 義行君
                酒井 庸行君
                中泉 松司君
                青木  愛君
                三浦 信祐君
    委 員
                足立 敏之君
                阿達 雅志君
                朝日健太郎君
                金子原二郎君
                こやり隆史君
                末松 信介君
                高橋 克法君
                中野 正志君
                牧野たかお君
                三木  亨君
                野田 国義君
                舟山 康江君
                増子 輝彦君
                魚住裕一郎君
                矢倉 克夫君
                行田 邦子君
                室井 邦彦君
                紙  智子君
                山添  拓君
                平山佐知子君
   国務大臣
       国土交通大臣
       国務大臣     石井 啓一君
   副大臣
       国土交通副大臣  牧野たかお君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       阿達 雅志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  浩之君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       諸戸 修二君
       内閣官房アイヌ
       総合政策室長   橋本 元秀君
       法務大臣官房審
       議官       山内 由光君
       文部科学大臣官
       房審議官     丸山 洋司君
       文部科学大臣官
       房審議官     森  晃憲君
       文部科学大臣官
       房審議官     増子  宏君
       文化庁審議官   内藤 敏也君
       水産庁資源管理
       部長       神谷  崇君
       国土交通省北海
       道局長      和泉 晶裕君
       観光庁観光地域
       振興部長     平岡 成哲君
       環境省自然環境
       局長       正田  寛君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現す
 るための施策の推進に関する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
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○委員長(羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、伊藤孝恵君、松下新平君及び山添拓君が委員を辞任され、その補欠として増子輝彦君、紙智子君及び三木亨君が選任されました。
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○委員長(羽田雄一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房アイヌ総合政策室長橋本元秀君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(羽田雄一郎君) アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○朝日健太郎君 おはようございます。自由民主党の朝日健太郎であります。
 ただいま議題となりましたいわゆるアイヌ新法について質問させていただきます。本日は、石井大臣を始め政府参考人の皆様、よろしくお願いいたします。
 一昨日、東京駅の近くにありますアイヌ文化交流センターへ委員の皆様と一緒に視察をさせていただきました。センター内を見学をいたしまして、関係者の方々と意見交換をしてまいりました。その中で多くのことを学ばせていただきました。センターでは、アイヌ固有の模様をあしらった伝統工芸品の展示や、また次世代へ向けたモダンにアレンジをされたアイヌデザインを用いた創作工芸品などは大変すばらしく、新鮮さを覚えた次第でもあります。
 北海道に目を移すと、今でも道内には多くのアイヌ語を由来とする地名がたくさん残っております。とても難解な呼び名が多いことは皆さん御承知のとおりかと思います。地名だけ見ましても、北海道がどれだけこのアイヌ民族の影響を受け、共生してきたことかを示すものであり、本法案を通じて、これまでのアイヌの人々が歩んできた歴史的事実と真摯に向き合い、アイヌ人を先住民族として認め、アイヌ文化を守り、継承していくことは、我が国の文化の多様さを表す意味でも大変重要だと考えております。
 その上で、アイヌの人々と新しい時代に即した法案となることを期待して、質問に入らせていただきます。
 我が国におけるこれまでのアイヌ政策では、平成九年、アイヌ文化の振興等を図るための施策を推進することを目的としたアイヌ文化振興法が制定をされました。また、平成十九年には、国際社会において先住民の権利に関する国連宣言が採択をされました。それに続き、平成二十年、衆参両院においてアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議等を経て、今回、本法案の提出に至っていると私は認識をしています。
 これまでのアイヌ政策の取組とそれらの経緯を踏まえ、本法案の意義について、まず大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(石井啓一君) 政府におきましては、従来から、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌ文化を継承する基盤が失われつつある状況を踏まえまして、平成九年に制定されましたアイヌ文化振興法に基づく文化振興等の施策に取り組んでまいりました。その後、平成十九年、国連総会におきまして先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択をされ、法的拘束力はないものの、我が国も先住民族に係る政策の在り方の一般的な国際指針として認識をしていること、平成二十年、衆参両院のアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議等を踏まえ、アイヌの人々を先住民族と認識した上で施策を展開していくことが求められていること、さらに、アイヌの人々からは、アイヌ文化伝承が担い手のなりわいとなるような施策、あるいはアイヌ伝統工芸品の原材料を確保するための施策など、アイヌ文化振興のための環境整備が求められていることなど、新たなアイヌ政策を総合的に推進していくことが求められております。
 そのため、本法案では、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示すとともに、アイヌの人々の誇りが尊重される社会の実現に向けて、従来の福祉施策や文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含む支援を行う新たな交付金制度を創設するなど、アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るために必要な各種措置を講ずることとしております。
 本法案は、これらの措置によりまして、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とするものであります。
○朝日健太郎君 ありがとうございました。
 一昨日のアイヌ文化交流センターでの関係者の皆様との意見交換の中で、今回の法案はアイヌ民族への理解と共生への前進に大変寄与するものだと御期待をいただいている言葉もいただいた一方で、アイヌの言語や伝統文化の継承が立ち消えつつあると、そういった不安の声もいただきました。
 この我が国におけるアイヌ民族の象徴でもあるアイヌ文化への認識は、大臣どのようにお持ちでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの人々は、独自の言語であるアイヌ語を持ち、ユーカラを始めとする口承文芸やイオマンテなどの儀礼、あるいはアイヌ文様やムックリ等の楽器などの豊かな文化を発展させてきており、このようなアイヌ文化はアイヌの人々の誇りの源泉であると認識をしております。
 政府におきましては、従来より、アイヌ文化を継承する基盤が失われつつある状況を踏まえ、現行のアイヌ文化振興法に基づく文化振興等の施策に取り組み、アイヌ語学習への若い世代の参画や文化伝承の裾野の広がりが見られるなど一定の成果が得られてきたと承知をしております。
 しかしながら、アイヌの人々からは、アイヌ文化伝承が担い手のなりわいとなるような施策、あるいはアイヌ伝統工芸品の原材料を確保するための施策など、アイヌ文化振興のための環境整備が求められております。
 このため、本法案におきましては、従来のアイヌ文化振興等に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含む支援を行う新たな交付金制度を創設するなど、アイヌ施策の効果的な推進を図るために必要な各種措置を講ずることとしておりまして、これらによりアイヌの文化振興のための環境整備を進め、アイヌ文化の継承、発展に取り組んでまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 我が国には、本当に我が国特有の歴史的、伝統的な文様であるとか技術とか存在していますけれども、このアイヌに関しましても非常に特徴的な文様が先日の視察でも私も感じました。
 そういったものから、現在では、このアイヌに関して漫画やアニメ、教科書にも取り上げられるなど、一部で機運の盛り上がりが見て取れます。ただ、全国的に見た場合、このアイヌとはどういった方々なのか、まだまだ十分に認知されていないのではないかと考えております。
 本法案においても、アイヌの人々という言葉はたくさん出てくるんですけれども、このアイヌの人々とは誰を指す言葉なのか、お示しをいただきたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) お答えいたします。
 アイヌの人々を説明する場合には様々な言い方が可能だと存じますが、一つには、古くから北海道に居住し、自然と共生する生活の中でアイヌ語、ユーカラ等様々な固有の文化を発展させてきた人々と言うことができると存じます。
 また、政府といたしましては、アイヌの人々につきまして、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であり、今日においても独自の言語、文化や民族への帰属意識などの面から民族としての独自性を有しているものと認識している次第でございます。
 なお、本法案におきましては、アイヌの人々自体について特定して特別な権利を付与するというようなことは行っておりませんので、アイヌの人々に関する定義は特に置いていないところでございます。
○朝日健太郎君 理解いたしました。ありがとうございます。
 本法案の大きな柱にアイヌ文化の振興というものが掲げられていますけれども、このアイヌに関する歴史や文化、アイヌ語や、先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、自然を大切にする考え方などを広く国民に知っていただくことが重要だと考えております。本法案の中にも、「国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、アイヌに関し、国民の理解を深めるよう努めなければならない。」とされております。この規定に基づき、しっかりと取組を進めることが重要であると思います。
 こうしたアイヌに関する知識等について、とりわけ学校教育においてしっかりと取り上げることが効果的だと私は考えますけれども、現在どのように取り組まれているのか、お聞かせください。
○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。
 学校教育においては、小中高等学校を通じて、社会科や地理歴史科などでアイヌに関する内容が使われております。平成二十九年及び三十年に改訂をしました新学習指導要領では、例えば中学校社会科歴史的分野において、北方との交易をしていたアイヌについて扱うことに加え、新たにアイヌの文化についても触れることを明記し、先住民族として言語や宗教などで独自性を有するアイヌの人々の文化についても触れるようにするなど、その内容の充実を図ったところであります。
 また、現在使われている国語科、社会科、音楽科等の教科書においては、例えば昔から伝わる物語、民話や民謡、言い伝えなどとしてアイヌの神謡集やアイヌ古式舞踊を扱ったり、アイヌ語に由来する地名やその意味を考えたりするなどしながら、自然との関わりが深いアイヌの文化の特色やその継承について調べたり考えたりすることなどを取り上げている例も見られます。
 さらに、北海道や他の地域におきましても、公益財団法人アイヌ民族文化財団が作成、配付をする小中学生向けの副読本を活用した取組や、総合的な学習の時間等で郷土に関する学習としてアイヌ文化を学ぶ取組など、各学校において特色ある取組がなされているものと承知をしております。
 文部科学省といたしましては、引き続き、関係府省や関係自治体と連携をしつつ、アイヌに関する教育の推進にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 先日の視察でも、委員の質問の中に、教える側の理解も非常に重要だということもありましたので、双方向、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 今般の法案に基づき、市町村がアイヌ施策推進に関する計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けた場合には交付金が交付されることとなっております。これにより、この計画に基づき地域において行われるアイヌ施策が推進されるものと理解をしております。
 ただ、この施策の中に、アイヌの人々の要望に即した実効性のある施策へしっかりと交付金が活用されることが重要だというふうに考えておりますけれども、その取組についてお聞かせください。
○政府参考人(橋本元秀君) 交付金について御指摘をいただきました。
 本法案に基づき新たに創設する交付金制度は、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行うものでございます。
 交付金制度を含むアイヌ施策の推進に当たりましてはアイヌの人々の意見を尊重することが重要であると認識しており、本法案の基本理念のところにおきましても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行われなければならないものとしております。
 また、当該交付金は市町村が作成したアイヌ施策を推進するための計画に基づき交付されるものでございますが、計画を作成する際、事業の実施主体の意見を聴くことについて定めております。事業の実施主体はアイヌの人々が中心となるということが想定されますことから、アイヌの人々の要望や意見が適切に反映され、実効性のある交付金となるものと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 次の質問に移ります。
 本法案では、アイヌ語で大勢で歌うことを意味するウポポイと称する施設を建設中であり、いよいよ来年オープンを迎えるというふうに聞いております。この施設は、アイヌ文化の復興、民族の共生を目的としたナショナルセンターとして、民族共生象徴空間というふうに位置付けられております。
 この象徴空間の中には、国立民族共生公園、国立アイヌ民族博物館、慰霊施設から成るウポポイ、ウポポイでありますが、まだちょっと口が滑らかじゃありませんけれども、初年度より目標来場者数を年間百万人と非常に高めの設定をされております。その実現のために政府一丸となって精力的に取り組んでいただきたいと思います。
 この目標について、非常に、初年度から百万人という中で、そのためには北海道外、特に東京都を始めとした人口の多い首都圏においてもこのウポポイを含めたアイヌ文化の更なる認知度向上につながるような情報発信に取り組むことが重要かと考えますけれども、政府においてどのような取組を行われているのか、牧野副大臣にお伺いをいたします。
○副大臣(牧野たかお君) 委員御指摘のとおり、民族共生象徴空間、ウポポイを含めたアイヌ文化の更なる認知度の向上のための取組は大変重要だと考えております。
 政府ではこれまでも、新聞や鉄道などの交通機関を活用した広告とか、羽田空港でのアイヌ舞踊の披露などのイベントの開催、また特に子供のアイヌ文化への理解促進を目的とした教育関係者へのPR活動などの情報発信を行ってきております。
 今後、さらに、G20観光大臣会合などの国際イベントや、毎年各国で開かれている旅行博との連携、そしてウエブサイトを活用したPR動画の配信の拡充などによる情報発信についても行ってまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。是非、年間百万人来場を目指して強力に進めていただきたいと思います。
 今ほど御説明をいただいたとおり、ウポポイの魅力発信と併せて、このウポポイ施設への国内外からの観光アクセスの改善を図ることが重要だと考えます。このため、北海道の玄関口でもあります新千歳空港のエプロン拡張や、また隆盛を見ておりますクルーズ船の受入れ環境整備を始めとした社会資本整備、また併せて観光振興などにより一層取り組む必要があると考えますけれども、国土交通省ではどのようにお取り組みになられるのか、もう一問、牧野副大臣にお聞きをいたします。
○副大臣(牧野たかお君) お答えいたします。
 ウポポイへの年間来場者百万人の達成に向けては、認知度の向上をすることが非常に重要だと考えております。そのために、国内外からの来訪者がウポポイまでスムーズに移動できるようアクセスを向上させることも極めて重要だと認識しております。
 国土交通省といたしましては、新千歳空港のエプロン拡張による受入れ機能の強化とか国道三十六号の拡幅事業を実施するとともに、北海道や白老町が実施する白老駅の自由通路の設置やウポポイ周辺の道路整備を行ったり、室蘭市が実施する室蘭港の岸壁改良によるクルーズ船の受入れ機能の強化を支援しております。
 また、観光振興につきましては、バス運行への支援や、観光地や交通機関の多言語対応や、無料WiFiの受入れ環境の整備、さらにはDMOを中心とした多様な関係者の広域的な連携の促進などに取り組んでまいります。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 このウポポイも北海道の観光資源としてしっかりと御活用いただきたいと思います。
 先日の委員視察におきまして、意見交換に参加をしていただきましたアイヌの方から、関東を始め北海道以外の地域にも大勢のアイヌの方々が暮らしていることのほか、過去から今日まで、アイヌの方々の生活環境や教育の面など、厳しい状況についてのお話をいただきました。
 本法案においても、基本理念として、「アイヌ施策の推進は、」「アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて全国的な視点に立って行われなければならない。」と規定をされております。そのような北海道以外の、特に東京には多くのアイヌの方々がお住まいだというふうに認識をしておりますけれども、そういった方々へ、例えば文化伝承の支援や生活相談を始め、教育水準の向上、職業訓練といった取組に対して、今回の法律が成立することによってきめ細やかな支援の手が届くようになるのか、確認をさせてください。
○政府参考人(橋本元秀君) お答えいたします。
 北海道外のアイヌの人々への施策といたしましては、御視察いただきましたアイヌ民族文化財団アイヌ文化交流センター、都内に設置しておりますアイヌ文化交流センターでの情報発信、文化伝承事業、また厚生労働省の電話相談事業などが実施されているところでございます。
 加えまして、本法案に基づき新たに創設する交付金制度につきましては、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行うものであるため、特定の市町村に偏ることがないようできるだけ多くの市町村に活用いただきたいと、そのように考えているところでございます。
 このため、既に二、三の北海道外の市町村から新交付金についての御意見、御要望をお伺いしているところでございますし、東京二十三区の区長会におきましても新交付金を紹介するなど、その活用について働きかけを行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、北海道内に限らず、東京など北海道以外の地域におきましても、当該交付金制度について広く周知徹底して、文化伝承などの取組に対して支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 次の質問に移ります。
 このアイヌ文化の継承又は理解を深めるためには様々な手段を講じる必要があり、中でもアイヌ文化が根差す地を実際に訪れてじかに体験する観光が重要な役割を果たすものと考えております。
 ちょっとこれ質問を前後させていただいて、釧路市の事例について質問をさせていただきたいと思います。
 先日の意見交換では、釧路市長がお越しになりまして、市の取組として阿寒湖温泉におけるアイヌブランド化とまちづくりの計画について御説明もいただきました。釧路市は観光立国ショーケースにも認定されていて、観光立国を体現する観光地域づくり、訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースを形成するものとして頑張られております。
 こうした取組を更に推し進めるべきで、この釧路市の観光立国ショーケース、現在の取組状況と今後の展望についてお聞きをいたします。
○政府参考人(平岡成哲君) お答えをいたします。
 観光立国ショーケースは、訪日外国人旅行者を地方へ誘客するモデルケースを確立する取組で、釧路市を含む三市が平成二十八年に選定され、各市において観光資源の磨き上げなどの取組を推進しているところです。
 釧路市につきましては、先生御指摘のとおり、釧路湿原や阿寒湖等の豊かな自然や自然との共生で育まれたアイヌ文化等を生かし、欧米豪などの富裕層をターゲットとする取組が評価され、観光立国ショーケースに選定されました。
 これまで、釧路市におきましては、大自然を体感できるトレッキングなどのアクティビティー、天然記念物マリモの生息地ツアーやデジタルアートを活用したアイヌ古式舞踊プログラムの開発など、独自の文化と豊かな自然を生かした観光資源の磨き上げなどの取組が行われてきております。
 今後、釧路市においては、自然やアイヌ文化に関連した着地型旅行商品の造成や地域資源を生かした夜間の観光コンテンツの開発を重点項目として取り組むと伺っております。
 観光庁といたしましては、引き続き、関係省庁と連携しながら、釧路市が多くの訪日外国人旅行者に選ばれる観光地域のモデルケースとなるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 もう一問、観光資源について御質問をいたします。北海道のこの大自然が強みでもありますけれども、阿寒摩周国立公園満喫プロジェクトについて伺います。
 この国立公園は、北海道で最も歴史のある国立公園の一つで、公園区域内の大部分が亜寒帯性の針葉樹林を中心とする天然林に覆われ、国立公園の中でも原始的な姿を有していると言われております。
 阿寒摩周国立公園が国立公園満喫プロジェクトの対象に選定され、日本の国立公園を世界水準のナショナルパークとしてのブランド化を図ることを目標に、地域関係者が連携、そして協力をして、訪日外国人を引き付けるような、そんな取組を計画的、また集中的に取り組まれていると認識をしています。
 これまでの取組ですけれども、来年度でいよいよ五か年を迎えるわけですが、このプロジェクト、今後どのように運用されていくのか、お聞かせください。
○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。
 阿寒摩周国立公園の取組につきましてお尋ねがございました。
 国立公園満喫プロジェクトの二〇二〇年訪日外国人利用者一千万人という目標の達成に向けまして、阿寒摩周国立公園におきましては、平成二十八年十二月に地域協議会において策定されましたステップアッププログラム二〇二〇に基づきまして、ビジターセンターにおけるアイヌ関連展示の新設や多言語化等による情報提供機能の強化、多様な宿泊体験の提供に向けたグランピングの試行的な実施、民間事業者と連携した二次交通の充実等の取組を推進してまいりました。
 さらに、阿寒湖温泉におきまして、アイヌ文化を生かした景観形成を推進するため、アイヌ文化を活かした景観デザインの手引きを策定したところでございまして、これに沿いまして、地域の店舗等の外観にアイヌ文様等を活用するといった取組が進められているところでございます。
 今後は、利用拠点におきます廃屋撤去と跡地の民間活用による景観再生、アイヌ文化を体感できる夜間イベントを始めとする体験型コンテンツの充実等を地域と一体となって推進することにより、引き続き阿寒摩周国立公園の魅力向上を図り、観光を通じた地域活性化につなげてまいる所存でございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 文化振興のために、体験を通した、観光資源による体験による文化振興を今お聞きをしましたけれども、最後の質問に移りたいと思います。
 このアイヌ文化を含め、日本の多様な文化の魅力を総合的に発信することで、我が国の文化、歴史についてより深く知っていただくことができると思います。本年はラグビーワールドカップがございますし、来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催をされるような、世界から注目される絶好の機会でもあります。このような機会を捉えて、強力にこの情報発信に取り組む必要があると考えます。
 文化庁においては、日本博を始めとする文化プログラムによりこうした取組を進めていると承知をしておりますけれども、その中でどのようにこのアイヌ文化に係る発信を行っていくのか、お聞かせください。
○政府参考人(内藤敏也君) お答え申し上げます。
 来年に迫りました東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、スポーツだけでなく文化の祭典でもございまして、御指摘のように、魅力ある我が国の文化を世界に発信するとともに、地域の文化資源を掘り起こし、地方創生や観光振興の実現にもつなげる絶好の機会となるところでございます。
 そうした中で、政府では、先ほども御指摘がございましたけれども、この東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕に先駆けまして、アイヌ文化復興のナショナルセンターとして、北海道白老町に国立アイヌ民族博物館を中核施設の一つとする民族共生象徴空間、ウポポイの整備を進めており、これには国内外から多くの人々が来場されることが見込まれるところでございます。
 文化庁では、この機会を捉えまして、この民族共生象徴空間、ウポポイの効果的な活用も含めまして、日本博を始めとする文化プログラムを通じまして、独創性あふれるアイヌ文化を国内外に積極的に発信し、アイヌの歴史や文化の幅広い理解の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。いろいろな取組において、アイヌ文化の振興、そして理解を深めていただきたいと思います。
 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、私、国土交通に所属しているわけではないんですけれども、こうして質問の機会をいただいたこと、そして質問の時間帯も御配慮いただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 それで、早速質問いたします。
 アイヌ新法案が国会に提出されたのが二月十五日です。衆参で一度の視察と関係者からの意見聴取を行って、法案の質疑、僅か三時間、参考人質疑は行われておりません、それで採決までということなんですけれども。国連宣言と〇八年の国会決議に基づいて、あれから十年たって初めてアイヌ新法という形で審議をされるわけです。アイヌ民族の皆さん自身は、法案の中身もまだ分からないままで決めてしまうのかと言っています。国会議員の中でも、十分中身を知らないまま採決をしようとしているんじゃないかと。私、率直に言って、そもそもこういう扱いでいいのかなということを強く感じております。
 政府は、二年前から、現地を訪問してアイヌの方々に説明をし、意見交換したということです。しかし、そこで出された意見がどのように扱われて、どういう理由で反映されたのか不透明です。一昨日の視察で、アイヌ新法として初めて議論されるのに、アイヌの当事者の意見を広く拾い上げる点では不十分であるという意見も、指摘もありました。しかも、アイヌ新法に対して撤回を求める意見が、例えば少数民族懇談会ですとか紋別アイヌ協会、アイヌ政策検討市民会議、アイヌ民族の権利を取り戻すウコチャランケの会などから上がっています。
 そこで、国土交通大臣、この撤回を求める意見が次々出ているということはなぜだと思われますか。
○国務大臣(石井啓一君) 本法案につきましては、国会提出後も衆参の国土交通委員会で現地視察や関係者からの意見聴取を行うなど、丁寧な議論がなされてきたものと承知をしております。また、本法案に対しまして、多くのアイヌの方々から早期成立を求める意見もあると承知をしております。他方、先住民族の権利に関する国際連合宣言に従って権利を保障していない、過去についての国の謝罪がないことなどの意見もあると承知をしております。
 国連宣言につきましては、先住民族に係る政策の在り方の一般的な国際指針と認識をしており、その採択に当たり、我が国は一定の留保条件を付けましたが、賛成票を投じたところであります。
 この国連宣言は、検討の過程で各国の様々な先住民族の意見を取り入れたことから、前文において、地域ごと及び国ごとに先住民族の状況が異なること、国及び地域の特殊性、多様な歴史的及び文化的な背景の重要性が考慮されるべき旨が明記をされ、また法的拘束は有しない性格のものでございます。したがいまして、宣言の内容を全て実施すべきものではないと考えております。
 本法案におきましては、国会決議におきまして国連宣言の関連条項を参照しつつとされていることを踏まえまして、先住民族の文化に関する権利、差別を受けない権利、国民の理解の促進、土地資源に関する権利の規定を参照いたしまして、この趣旨に対応する措置を盛り込んだところでございます。
 このため、国連宣言に示されている国の果たすべき責務につきまして、憲法との課題整理を図る必要があるものを除きまして、本法と関連法令によりおおむね措置されているものと考えているところでございます。
○紙智子君 質問したことに余り答えられていないというように思うんですけれども。
 それで、やはり、先住民族のアイヌの声実現の実行委員会という、ここにいっぱいいろんなアイヌの方たちがいるんですけれども、この間、政府と合計七回のチャランケ、意見陳述というか、意見を出してきたと。声は伝えてきたけれども、法案に意見が反映されていない、疲れたという話がありました。そういう中で撤回を求めるということが出ているのはある意味当然ではないかと思うんです。
 それで、その撤回を求めている理由が何かというと、法案でアイヌは先住民族と認めながら、国連先住民の権利宣言及び国際人権規約の趣旨に従って自己決定権や自決権並びに土地権など先住民族の古来持っていた権利など、アイヌが求めている具体的権利については触れていないと。明治政府の、一八六九年以来、北海道百五十年と言われているんですけれども、歴代の政府は、アイヌモシリ全土を持ち主なき土地として取り上げて、開拓移民に土地を与えてしまったと。土地、生活、自然など、全てを破壊したことを反省して謝罪すべきであるという意見なんですね。
 それで、一昨日の八重洲の視察で、二人の先生からも、アイヌに対する過去の歴史的不正義を謝罪すべきだということ、あるいは、民族共生ということを進めるためにも、まず必要なことはアイヌ民族への謝罪だと述べられました。私も同感なんです。
 政府のこの厳粛に受け止めるという答弁ではやっぱり納得しないということで、やっぱり謝罪すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実につきましては、政府として厳粛に受け止めております。
 その上で、平成二十年の衆参両議院による決議におきましては、アイヌの人々が先住民族であるとの認識の下に、総合的な施策の確立に取り組むことを政府に求めております。
 そのような決議の指摘を踏まえ、本法律案におきまして、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示し、またアイヌ施策については、従来の生活向上策や文化施策に加え、産業振興、観光振興、地域振興など、総合的な施策の確立に取り組むこととしております。
 今回の法律によりまして、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指してまいる考えであります。
○紙智子君 政府の答弁が厳粛に受け止めるという話なんだけれども、やっぱり厳粛に受け止めるでなくて、謝罪すべきではないかというふうに聞いているわけですよね。
 明治以降、日本政府は、戸籍法を制定してアイヌ民族の独自の風習を禁じたんです。日本語を強制したと。そのため、アイヌ民族は言語や文化を奪われて、さらに、アイヌ民族の食べ物であるアキサケも、一本捕っても逮捕されるという事態になったわけです。そればかりか、アイヌの遺骨の盗掘や放置、アイヌのサケ漁への不当介入など、重大な人権宣言に対して謝罪も反省もしていないんですね。
 諸外国はどうかというふうに見ると、例えばオーストラリアでは、アボリジニの子供たちを集落から引き離して収容した過去の同化政策、日本も同化政策を取ったんですけれども、これを謝罪したと。カナダやアメリカも謝罪をしました。これらの国は国連宣言に反対したんですよ、あの当時ね、反対したと。しかしながら、その後、その態度を反省して、謝罪をして、先住民族の権利を認める取組を進めているわけです。
 なぜ日本は謝罪をしないんでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 我が国といたしまして、その近代化の過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別され貧窮を余儀なくされたアイヌの方々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として厳粛に受け止めております。
 なお、本法案を作成する過程におきましては、私どももアイヌの方々と多数意見交換を開催、実施しております。その中で、いろいろな意見、御要望をいただいたところでございます。確かにその中で、謝罪を求める、そういった意見もございましたけれども、民族の共生に向けて、国民の理解を深め、未来志向で物事をしっかりと進めるべきであるという意見が強かったと、そのように承知しております。
 政府といたしましては、今回の法律によりまして、未来志向の下、アイヌの人々に寄り添い、アイヌの人々の要望にできる限り対応しながら、共生社会の実現に向けてアイヌ政策を総合的に推進してまいりたいと、そのように考えている次第でございます。
○紙智子君 やはり過去のことではないんですよね。いまだにアイヌであるということを言えないまま生活している人たちがいるわけです。そういう歴史的な政府の政策に反省も謝罪もないと。政府としてのその真剣な謝罪がないということは、やっぱり国際社会の中で日本が先住民族の権利問題で後れを取っている根本だというふうに思います。
 法案の中身についてもお聞きします。法案に先住民族の権利に関する国連宣言が生かされていないと思うんです。国際情勢に鑑みという表現ではなくて、国連宣言を踏まえと明記すべきだという意見も出されました。
 二〇〇八年の国会決議は、先住民族の権利に関する国際連合宣言が我が国も賛成する中で採択をされた。これはアイヌ民族の長年の悲願を映したものであり、同時に、その趣旨を体して具体的な行動を取ることが国連人権条約監視機関から我が国に求められているというふうに書いているわけですよ、決議に。国際情勢に鑑みてということではなくて、国会決議にも書いてあるこの国連宣言の趣旨を体して、あるいは踏まえてとなぜ法案に書けないんでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) お答えいたします。
 本法案の目的規定でございます第一条において、近年の先住民族をめぐる国際情勢に鑑みと、そのように規定しております。これは、本法案が、先住民族の権利に関する国際連合宣言の採択のほか、各国の先住民間の交流が活発化するなど、幅広い内容の先住民族に関する国際動向に鑑みて立案されたということによるものでございます。
 なお、本法案の提案理由説明におきましては、国際連合において先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択されるなど、国内外において先住民族への配慮を求める要請が高まっていると、そのように申し上げているところでございまして、先住民族をめぐる国際情勢について国際宣言の採択が含まれることを明確化していると承知しております。
○紙智子君 なかなかちょっと理解し難いんですよね。やっぱり一般的なそういう、まあいろいろな情勢ということはあるんだけれども、鑑みてと書いたとしても、やっぱり国連宣言の趣旨を体してということを入れるべきだというふうに思うんですよね。
 それで、国会決議という言葉も入っていないということなんでありまして、衆議院の議論で、その国連宣言の条項で本法案に取り込まれているのは何かという質問がされて、それに対して政府として三つ答えています。一つは差別を受けない権利、二つ目は国民の理解促進、三つ目は先住民族の文化に関する権利というふうに三つだけ答えているんですけれども、国連宣言、そんなの四十六条あるわけですよね。その中で三つが答えられているということなんだけれども、ちょっとやっぱりそれ自体もあるわけだけれども、自己決定権については入っているんでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 先住民族の権利に関する国際連合宣言に記載されている自決権や自治の権利、こういった内容につきましては様々な見解があり、共通理解が図られているものではないと承知しております。
 これらの権利につきましては、国の在り方の根幹に関わるものであるという見解に立てば、我が国の憲法との課題整理を図る必要があり、法律に規定することは慎重であるべきと、そのように考えております。
 他方、政府といたしましては、アイヌの人々の意見を尊重しつつ施策を推進することについては重要であると考えており、本法案の基本理念におきまして、「アイヌ施策の推進は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ、行われなければならない。」と、そのように規定しているところでございます。
○紙智子君 宣言の三条の中で、自決の権利に基づき、政治的地位を自由に決定し、並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求するというのがあります。尊重という言い方でいうとやっぱり弱いというように思うんですね。アイヌ民族が誇りを持って生活できるという源泉は何かという議論もありました。
 それで、政府は、文化振興法に焦点を当てて、今回の法律で文化振興に資する環境の整備ということが入ったんだというふうに言います。文化継承すること自体がなりわいにつながるというようにおっしゃっているんですけれども、例えば農業とか漁業とかですね、なりわいというのは、これは文化を継承するものなんでしょうか、そのためのものなんでしょうか。生活のためではないかというように思うんですけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの方々からは、アイヌ文化の伝承が担い手のなりわいとなるような施策など、自立的、安定的なアイヌ文化の振興等を可能とするための環境整備も求められておりまして、このため、本法案におきましては、アイヌ施策の定義に、アイヌ文化の振興等に加えて、アイヌ文化の振興等に資する環境整備が含まれることを明記をした上で、アイヌの人々の民族の誇りや尊厳の保持のため、本法律案により新たに創設する交付金制度により、各地域の創意工夫に基づく地域振興、産業振興、観光振興の取組を国として支援をしようとするところであります。
 この新交付金によりまして、アイヌの人々のなりわいに資する施策について、例えばアイヌ文化のブランド化やアイヌ文化に関連した観光プロモーションなどに対する支援を行うことによりまして、アイヌ文化の伝承に携わる人々のなりわいにつながるような取組を支援をしてまいりたいと考えています。
○紙智子君 私は、ちょっと発想が逆転しているんじゃないかなというように思うんです。文化を継承するためになりわいがあるんじゃなくて、なりわいがあって文化が生まれるんじゃないかと。私が直接聞いたアイヌの方の意見は、サケの採捕は、儀式のためではなく、なりわいとなるように認めてほしいという声なんですね。つまり、元々あった権利の回復ということでもあり、国連宣言の十一条にも原状回復を含む救済が書かれています。
 それから、もう一つ、アイヌの参加権についても、国連宣言の二十三条で、自らに影響を及ぼす問題、経済的、社会的計画を展開し決定することに積極的に関わる権利をうたっているんですけれども、国の指針を作る段階からアイヌの参加権というのはうたわれていないというように思うんです、言っていないと思うんですね。衆議院の質疑の中で我が党の塩川議員が、生活支援や生活向上を法案に盛り込む考えはないのかというように質問したら、それは地方公共団体がやることだというように言われているわけです。アイヌに寄り添うということであれば、やっぱりアイヌの施策そのものを国のその施策策定段階から参加を検討すべきだということを、これは指摘にとどめますけれども、求めておきたいと思います。
 次に、アイヌ民族の遺骨問題についてもちょっとお聞きします。
 この問題を、私、初めて聞いたときはもう物すごく驚いたんですね。つまり、自分のうちの墓が掘り起こされて勝手に遺骨を持っていかれたらどう思うかと。これ、びっくりする話なんですけれども、これ、大臣、もし大臣のところがそうだったらどう思いますか。
○国務大臣(石井啓一君) 一般に、先祖の慰霊を行う上で遺骨は大変重要なものであります。仮に先祖の遺骨を墓から勝手に持っていかれたとすれば、これは大変遺憾なことと思います。
○紙智子君 そうなんですよね。あり得ないというように思うんですけれども、ところが、アイヌの遺骨は研究のためだということで持ち去られたんですね。
 オーストラリア国立大学名誉教授のテッサ・モーリス・スズキさんという方は、遺骨の収集というのは、帝国時代、植民地主義的な負の遺産であるということから、返還運動というのは必然的に歴史認識を問うことにつながる、だから、遺骨を取り戻すための運動というのは、先住民族の権利、先住権のうちで中核を成す問題だというように言っているんですね。アボリジニとされるマンゴ人の遺骨は、一九七〇年代に発掘されて大学に持ち込まれたんですが、アボリジニの返還運動によって、二〇一七年です、やっと、ふるさとに返還されたと。返還までの長い間に変化したことは、奪った学者が自らのその行為を反省したということです。日本ではどうかというと、裁判が行われて、裁判で判決が出されるまで、アイヌ民族が訴えても大学は動かなかったと。
 国連宣言の十二条は遺骨の返還に対する権利を有すると書いてあって、なぜこれを法案に入れていないんでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 大学等に保管されておりますアイヌの方々の遺骨などを返還することにつきましては、アイヌの方々の尊厳や精神文化の尊重に関わる重要なことと、そのように認識しております。
 政府といたしましては、遺骨等の一日も早い返還を希望するアイヌの方々の御希望を踏まえまして、迅速かつ柔軟に対応できるよう、順次遺骨の返還についてのガイドラインを策定し、手続を進めてきているところでございます。
○紙智子君 ガイドラインというのは拘束力がないんですよね。遺骨問題はアイヌ新法にやっぱり入れるべきだし、この点も日本は遅れていると、立ち遅れているというふうに思います。
 それで、先日視察をやったときに、東北学院大学の名誉教授の榎森進先生が、本法案は、まあ決まるんだろうけれども、国際的に見ると恥ずかしいと、追って国連宣言でうたっている先住民族の諸権利を法制化する旨の文章を加筆することを是非やるべきだというふうに言われたんです。
 本当に、真にアイヌの人たち、民族が誇りを持って生きられる社会を実現するためにも、附則の見直しの規定がありますから、是非、五年を待たずアイヌの皆さんの声を反映させた見直しをしていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江でございます。
 今日のこの委員会での審議でありますけれども、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案ということでありまして、今日は、石井大臣は国土交通大臣としてではなくアイヌ政策に関する制度整備の担当大臣として御出席されていると理解しておりますけど、その理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) そういうことでございます。
○舟山康江君 昨年十二月の閣議の中にもそのように書かれており、そのように発言をされております。アイヌ政策を総合的に推進する制度の整備を進める事務について石井大臣に担当をお願いしたとありますので、このアイヌ政策に関する担当大臣ということでありますけれども、若干これ不思議なのが、例えば、同じ日に国際博覧会担当は世耕経済産業大臣にお願いをしているということで、その後の官邸のホームページにも、世耕大臣のところには国際博覧会担当として書かれているんですけれども、石井大臣のところにはアイヌに対する担当大臣という記述がないんですけれども、これ、どうしてなんでしょう。事務方で結構ですけれども、どうして書かれていないのかなというのが非常に不思議ですし、今委員長も国務大臣としてしか指名をしていないのはなぜかというところなんですけれども、どういうことなんでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 今回、石井大臣につきましては、アイヌ政策の整備の担当の大臣ということで、総理大臣の方から御指名いただいているところでございます。
 その後のちょっと手続につきましては、恐縮でございますが、私は今存じかねるところでございます。
○舟山康江君 本当に載っていないんですよね。是非、これ確認をいただいて、しっかりとこのアイヌ政策に関する制度整備担当大臣ということで位置付けていただくべきではないかと思います。今回の法律をもって終わりではなくて、今後法律ができて初めて具体的に政策も進んでいくわけですから、やはり、石井大臣、しっかりとアイヌに対しての担当であるということを公に位置付けていただくべきだと思いますので、是非御確認いただいて、また後ほど御報告いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 その上で、私は、いろいろ議論があると思いますけれども、やはり今回画期的なのは、法的に初めてアイヌの人々を先住民族であると認めたということは相当大きな前進なのかなと思っております。その上で、まだまだ議論はあると思いますけれども、是非、そこは大きな前進ということで私は歓迎したいなと思っております。
 その上で、今回の法律の目的、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及び誇りが尊重される社会とありますけれども、具体的にどのような社会なのか、大臣からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 明治以降の長きにわたりまして、アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるアイヌ文化につきましては、その価値が必ずしも十分に理解されてこなかったものと認識をしております。
 こうしたアイヌ文化の置かれてきた状況に鑑み、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を目指すため、アイヌ文化に関する国民一人一人の理解を深めることなどによりまして、アイヌの人々の民族としての名誉と尊厳が保持され、多様な価値観が共生する社会の実現を図ってまいりたいと考えております。
 このため、今後、本法律によりまして、平成九年に制定されたアイヌ文化振興法に基づいて行ってきた政策に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた総合的な政策を着実に推進してまいりたいと考えております。
○舟山康江君 今回初めて先住民族であると法的に位置付けられるわけでありますけれども、その前段としては、これ十年も掛かってしまいましたが、平成二十年にアイヌ民族を先住民族とすることを求める衆参の決議、そしてそれを受けた官房長官談話、そしてまた翌年、平成二十一年のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告書、こういったことが非常に大きな契機となったのかなと思っています。
 この報告書にも、法的にはひとしく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人が多数に上ったという歴史的事実について政府として改めて厳粛に受け止めたいと、こんな談話もありますけれども、やはり、つまりはこの過去の同化政策がアイヌ民族の生活や文化に深刻な打撃を与えたということを、私は、先ほど紙委員からもありましたけれども、謝罪ということももちろんですけれども、せめてこういった反省も踏まえながら前に進めるべきではないのかなと思いますし、やはりその思いをしっかりと表明する、若しくは、できれば法案に書き込むべきだというふうに思っておりますけれども、この辺、過去の事実がやはり大きな打撃を与えたことに対する国としての反省の思いというものはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 平成二十年の衆参両院による決議におきましては、我が国が近代化する過程において、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実については厳粛に受け止めた上で、アイヌの人々が先住民族であるとの認識の下に、総合的な施策の確立に取り組むことを政府に求めているところであります。
 この決議を受けまして、政府といたしましても、アイヌの人々に対する歴史的事実につきましては厳粛に受け止めているところでございます。決議の指摘を踏まえまして、本法律において、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示し、また、アイヌ施策については、従来の生活向上策や文化施策に加え、産業振興、観光振興、地域振興など総合的な施策の確立に取り組むこととしております。
 今回の法律により、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
○舟山康江君 厳粛に受け止める中で、国としては、大変つらい、申し訳ない思いをさせてしまったという、そういった思いはそこに含まれているんでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 明治以降の過程において、差別をされ、あるいは貧窮を余儀なくされたと、こういった歴史的事実については厳粛に受け止めているところでございます。
○舟山康江君 厳粛に受け止めた上で、気持ちとして、いや、本当に申し訳なかった、つらい思いをさせてしまったという、そういう思いがあるかどうかということなんですけれども。
○国務大臣(石井啓一君) 厳粛に受け止めているという言葉の中にそういったものも含まれているかと思っております。
○舟山康江君 ありがとうございます。
 私も、先ほど紙委員から質問があったとおり、せっかくこの提案理由説明の中には先住民族の権利に関する国連宣言の採択というものも入っている中で、やはり法案の本体の目的にも、国際情勢に鑑みとくくるのではなくて、この国連宣言を踏まえたということを明記すべきではないのかなと思うわけでありますけれども、その点、多分同じ答えですので、時間がありませんので先に進みますけれども。
 もう一つ、これまでの歴史的経緯を踏まえてということの中で、これも懇談会報告書に、今後のアイヌ政策は、国には先住民族であるアイヌの文化の復興に配慮すべき強い責任があるということから導き出されるべきであると、このようにありますので、やはり国の責任として、アイヌ民族の生活や文化に対して最善の利益を図る義務若しくは責任ということを明記すべきだったと思いますけれども、その責任についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの人々の民族の誇りや尊厳の保持のため、生活向上や文化振興を図ることは重要な政策であると承知をしております。
 このため、本法案に基づく交付金制度によりまして、従来の文化振興や福祉施策に加えまして、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた総合的な施策を推進する中で、例えば、アイヌの人々の生活向上を図るため、地域住民の交流の場となる多機能な生活館の整備、コミュニティー活動を支えるバスの運営、アイヌ文化の振興を図るため、アイヌ文化のブランド化の推進等を積極的に推進をしてまいります。こうした措置を講ずることによりまして、より一層アイヌの人々の生活向上やアイヌ文化振興を図ってまいります。
○舟山康江君 それらのことは国の責任としてしっかりやると、このような理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 法案の第三条第一項には、「アイヌ施策の推進は、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重されるよう、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統等並びに我が国を含む国際社会において重要な課題である多様な民族の共生及び多様な文化の発展についての国民の理解を深めることを旨として、行われなければならない。」とされています。同じく、第三条第二項には、「アイヌ施策の推進は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ、行われなければならない。」とされております。これを受けまして、第五条第一項では、国及び地方公共団体は、前二条に定める基本理念にのっとり、アイヌ施策を決定し、及び実施する責務を有するとされているところでございます。
○舟山康江君 ありがとうございます。
 先ほど触れた国連宣言を、これ官房長官談話でも、関連条項を参照にしつつということになりましたけれども、この宣言の趣旨をどの程度今回の法律案には反映したと考えておられるでしょうか。この国連宣言には、例えば土地や資源の所有権、自決権、言語権、教育権、いろんな先住民族としての権利全般とその保護が書き込まれておりますけれども、この参照という中でどの程度具体的に充足、反映したと考えておられるでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 先住民族の権利に関する国際連合宣言につきましては、法的拘束力はないものの、先住民族に係る政策の在り方の一般的な国際指針として認識をしております。
 平成二十年六月に衆参両院の本会議で決議されましたアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議におきましては、先住民族の権利に関する国際連合宣言を参照しつつ、総合的な施策を確立すべきとされております。
 本法案におきましては、国連宣言が土地、資源に関する権利、差別を受けない権利や国民の理解の促進、先住民族の文化に関する権利などについて規定していることから、国有林野における林産物の採取やサケの採捕に関する配慮に係る特別の措置、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念、国、地方公共団体による教育活動、広報活動等の責務等を規定をしておりまして、新たに創設される交付金制度等の措置とともにアイヌ文化の振興や国民の理解の促進を図ることとしております。
 本法の制定及び現行の関係法令によりまして、先住民族の権利に関する国連宣言に示されております国の果たすべき責務につきましては、憲法等との課題整理を図る必要があるものを除きまして、おおむね措置できるものと考えております。
○舟山康江君 是非、やはり法的拘束力がないとはいいながらも、我が国も賛成して宣言が採択されているということですから、今後もこの趣旨をできるだけ盛り込めるように不断の取組をお願いしたいなと思っております。
 そして、今回の法律案では国、都道府県、市町村が様々なアイヌの施策推進地域計画等を策定するとなっておりますけれども、その際にやはり重要なのは、アイヌの方々の意見がきちっと反映されるということではないのかなと思っています。
 この当事者であるアイヌの方々の意見が反映されるような体制をどのようにつくっていくのか、その必要性をどのようにお考えなのか。本来は条文で明記してはどうかと思いますけれども、その点についてのお考えをお願いします。
○副大臣(牧野たかお君) お答えをさせていただきます。
 本法案の十条では、市町村がアイヌ施策推進地域計画を作成する際に「事業を実施する者の意見を聴かなければならない。」としておりまして、この事業を実施する者についてはアイヌの人々が中心になると想定しております。このことから、アイヌの人々の要望や意見が適切に反映されることになると考えております。さらに、法案成立後の市町村向けの説明会や問合せにおきましても、計画にアイヌの人々の要望や意見を十分反映するよう周知いたします。
 なお、国においては、構成員の半分近くがアイヌの方であるアイヌ政策推進会議を開催しておりまして、このような場も活用しながらアイヌの人々の意見を伺ってまいります。
○舟山康江君 是非よろしくお願いいたしたいと思います。
 続きまして、やはり現状、アイヌの方々はなかなか厳しい現状にあるということをお聞きしておりますけれども、そのアイヌの方々が置かれている現状、例えば生活、教育、就労、こういったことに対する政府の認識をお聞きしたいと思います。
○副大臣(牧野たかお君) アイヌの方々の意見や希望を反映する本法案の検討におきましては、アイヌの方々が構成員となっている、先ほど説明しましたが、アイヌ政策推進会議を通じて意見を伺ったほか、北海道の内外で延べ三十六回、五百名を超えるアイヌの方々と意見交換を実施し、より多くのアイヌの方々の意見を伺うよう努めてまいりました。今後とも、アイヌ政策推進会議などを通じまして……(発言する者あり)済みません。
 これまで、アイヌの人々の生活向上についての政策については、各地域におきましてアイヌの方々とそれ以外の地域住民の方々との間の格差を是正をするために、地域の状況に応じて北海道の自治体が取り組み、国が財政支援を行ってまいりました。
 北海道庁におきましておおむね七年置きに北海道アイヌ生活実態調査を行っておりますが、直近の平成二十九年に行われた調査によりますと、長期にわたる取組の結果、生活保護率などの格差は縮小の方向に向かっておりますが、大学進学率については依然として一〇%以上の格差があると認識しております。
○舟山康江君 若干生活保護率は下がってきたとはいえ、やはりまだまだ高いというのが現状であって、やはりこれまでの歴史的経緯の中でまだ厳しい生活を余儀なくされていると、こういった現状は紛れもなくまだ存在していると思っております。
 そして、やはりこのことを一つの背景として、今少し触れていただきましたけれども、特に教育に関して、これは高校卒業者の進学率は、アイヌの方の三三・三%、アイヌ居住者がおられる市町村全体の四五・八%と比べても非常に低いですし、全国平均と比べるともう格段の差があると、こういった状況ですから、やはりこれは生活の安定とその就労、進学支援等、絶対必要だと思っておりますけれども、進学率の格差の要因と解消に向けた具体的な対応策について、これは文科省でしょうか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(森晃憲君) アイヌの方々につきましては、厳しい環境の中、経済的な理由等により高等教育機関への進学が困難な方が多くおられると考えられ、御指摘の北海道アイヌ生活実態調査では、前回の平成二十五年度調査と比べ、平成二十九年度では大学進学率は七・五%の改善が図られるものの、アイヌ居住者がいる市町村全体の進学率と比べると、なお一二・五%の差がある状況、御指摘のとおりでございます。
 文部科学省におきましては、日本学生支援機構による学生一般を対象とする奨学事業に加えまして、道内に居住するアイヌの子弟に対しては、大学等に進学する意欲等あるものの経済的理由により修学困難な方を対象に、北海道が行っている修学資金の貸与事業への補助を行ってきたところでございます。
 さらに、二〇二〇年度からは、真に支援が必要な低所得世帯の学生に対しまして、確実に授業料等が減免されるとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するため今国会に関連法案を提出しているところでございまして、アイヌの方々を含め、学生に対する修学支援を更に充実してまいりたいと考えております。
○舟山康江君 もちろんそういう財政的な支援もそうですけれども、全般に、やっぱり支援の枠組みというんですかね、支援の体制整備というものも必要ではないのかなと思うんです。生活、それから教育だけではなくて、就労、こういった意味で何か孤立無援になって相談もできない、こういった現状に対してやっぱり相談窓口なり、その体制、生活全般に対する支援の必要性を私は感じているんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) これまで、アイヌの人々の生活支援につきましては、各地域におけるアイヌの人々とそれ以外の地域住民の間の格差是正を目的といたしまして、地域の状況に応じて地方公共団体が取り組み、国が財政支援を行ってまいりました。
 アイヌの人々の民族の誇りや尊厳の保持のため、こうした従来の取組を引き続き推進することに加えまして、本法律案によりまして新たに創設する交付金制度によって、各地域の創意工夫に基づく生活支援の取組を国として支援してまいりたいと考えております。
 すなわち、従来の文化振興、福祉施策に加えまして、新交付金によります総合的な施策を推進する中で、アイヌの生活向上に資する施策、例えばアイヌの文化の伝承に携わる方々のなりわい、生業を支援するほか、地域住民の交流の場となる多機能な生活館の整備、コミュニティー活動や観光振興を支えるバスの運営、また学校外教育による教育支援などを進めてまいりたいと考えている次第でございます。
○舟山康江君 ありがとうございます。
 新たな交付金制度によって、直接個人の支援という形ではないと思いますし、本来はそこにも踏み込んでいただきたかったなと思いますけれども、是非そういった全般的な支援につながるような運用をお願いしたいと思っております。
 続きまして、アイヌの方々に対する差別の現状について政府がどのように認識されているのか、まずお答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(阿達雅志君) アイヌの人々に対する差別の現状については、平成二十九年に北海道庁が実施した北海道アイヌ生活実態調査において、結婚、職場、学校など様々な場面においてアイヌの方々に対するいわれのない差別が残っていることが示唆されていると認識しているところです。
 具体的には、同調査において、差別を受けたことがあると回答したアイヌの方々が二三・二%、自分に対してはないが、ほかの人が受けたことを知っていると回答したアイヌの方々が一三・一%いらっしゃったものと認識しています。
 政府としては、こうしたアイヌの人々に対する差別については、共生社会の実現を目指す本法案の趣旨に反するものであると考えております。これを踏まえ、法案の具体的な内容として、第四条においてアイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念を定めており、これに基づき、アイヌ文化に関する国民理解の促進や人権教育の推進など、差別の解消に資する施策を推進してまいります。
○舟山康江君 この法四条の差別には差別的言動も含まれると考えておりますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(阿達雅志君) アイヌの人々に対する差別は政府としても重要な課題と考えており、本法案においてアイヌの人々に対する差別をしてはならないことを基本理念と明記しております。したがって、明確にアイヌの人々を差別することを目的としたヘイトスピーチは本条に反するものと承知しています。
 また、第四条においては、アイヌの人々に対してと規定しており、必ずしも個人を対象としない差別的言動も本条に反すると考えております。
○舟山康江君 ありがとうございます。
 差別的言動、ヘイトスピーチ、しかも、それは個人じゃなくて不特定多数に対しても差別だということ、明確に規定いただいたというのは、これをなくす方向に非常に大きな一歩かなと思っております。
 そういう中で、四条では明確に差別は禁止と定めておりますけれども、罰則規定を設けなかったのはなぜでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 本法案におきましては、差別の禁止に関する規定を基本理念として設けることによりまして、アイヌの人々がいわれのない差別を受けない社会の実現を目指しております。
 一方、罰則につきましては、差別には様々な形態のものがありまして、罰則の構成要件とするほど厳密に定義することは困難であること、刑法において既に名誉毀損罪、侮辱罪等の罰則規定が整備されていることなどから、本法案においては規定をしておりません。
 政府といたしましては、アイヌの人々に対する差別の解消のためには、アイヌの歴史や文化の魅力について国民の理解を深めることが重要と考えておりまして、そのための施策を関係機関と連携をしつつ実施をしてまいりたいと考えています。
○舟山康江君 そのような理解の促進によって差別がなくなると本当にこれは非常に理想的なんですけれども、現実にまだまだ差別がある、差別的な発言もあるという中で、やはりこれは具体的に防止をする手だてを国として打っていただくべきではないのかなと思っております。
 衆議院側での答弁の中で、法務省と連携した人権相談窓口などでも対応するというお答えがありましたけれども、それだけでは不十分ではないかと思いますので、是非具体的に防止策を取っていただきたいと、その検討を進めていただきたいと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
○大臣政務官(阿達雅志君) アイヌの人々に対する差別は重要な課題と考えていることから、法務省との連携を深めることに加え、人権教育やアイヌという民族、アイヌ文化が存在することについての国民の理解を一層深めることが重要と考えております。
 このため、民族共生象徴空間、ウポポイにおいても、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園などを整備することとしており、実際に来場した方にアイヌの衣食住、舞踊、工芸等、様々なアイヌ文化に触れ、体験していただき、アイヌに関する理解を大勢の方に深めていただきたいと考えております。このほか、アイヌの歴史や文化を紹介するパンフレットなどの作成、配布や教科書等の記載内容の充実に取り組んでまいります。
 こうした取組によって差別の改善を図ってまいります。
○舟山康江君 是非実効性のある防止策、そして体制を整えていただきたいと思っております。
 続きまして、アイヌの儀式等の継承についてお聞きしたいと思いますけれども、今回、国有林野における林産物の採取に関する特例とか、サケの採捕への配慮等が特例措置として盛り込まれておりますが、市町村が作成し、内閣総理大臣が認定した計画に関するものに対象が限定されております。本来、やはり様々な生活の中でいろんな、結果的にこういった儀式とか様々な生活様式が継承されていくわけですから、特例措置にとどまるのではなくて、土地や資源に関する権利を回復するという観点に立って対象を拡大すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの人々のみを対象といたしまして土地、資源に関する権利を一般的な権利として措置を講ずることにつきましては、他の権利を侵害するおそれがあること、国民の理解が得られず新たな差別につながるおそれがあることなどの問題があり、適切ではないと考えております。
 本法案におきましては、アイヌの方々の御要望などを踏まえまして、伝統的儀式に用いるサケの採捕や国有林野における林産物の採取に関する特例措置を規定をしており、これらを活用することによりまして、アイヌ文化の振興等に活用するためのサケの採捕や林産物を、近隣の森林に限らず広く国有林野から採取することが可能となります。
 政府といたしましては、当該特例措置や本法案に基づく交付金も活用しながらアイヌの方々の御要望に応えることができるよう支援をしてまいりたいと考えております。
○舟山康江君 ありがとうございます。
 先ほども御答弁いただきましたけれども、市町村のこのアイヌ施策推進地域計画を策定するに当たって、アイヌの方々が参画できるようにということで十分な御配慮をいただけるということでしたので、是非その計画の中で幅広く様々な要求が実現できるように、これも引き続き対応いただきたいなと思っております。
 最後になりますけれども、交付金事業の採択についてお聞きしたいと思います。
 様々な今回交付金制度ができました。今後は市町村及び国という二段階で、事業をきちんと理解した上で交付金の交付が行われることになりますけれども、一歩間違えば、地元自治体がその事業化に消極的であったりとか、地元自治体の思いと違う要求に対しては採択されにくいというような、場合によっては恣意的というか少し偏った運用がなされてしまうおそれもありますけれども、その行政側の姿勢が事業化若しくは採択の足かせ等、少し不公平感を出すことにならないのかと思いますけれども、その辺の懸念に対してはどのように対応されますでしょうか。
○副大臣(牧野たかお君) お答えいたします。
 本法案に基づき新たに創設する交付金制度は、アイヌ文化の振興やアイヌの方々が抱える課題の解決のため、できるだけ多くの市町村に活用していただきたいと考えております。このため、政府としては、この交付金制度について市町村に広く周知を図った上で、市町村からの相談には丁寧に対応してまいる所存でございます。
 また、計画について認定を受けた市町村に対し、その実施状況について報告を求めることなどによって計画の適正な実施を確保してまいる所存でございます。
○舟山康江君 是非、市町村の姿勢によって何か事業に偏りがあったりとかのないようにお願いしたいと思いますし、やはり一つ、今後しっかりと調査をし、また前に向けて進めていただかなければいけないのは、北海道以外に居住をされるアイヌの方々の全体像をしっかりと把握すること、そして、そこに居住する方々の思いをしっかりと酌み取りながら、北海道以外でもきちんといろんな権利の行使できたりとか事業ができたりという、その体制というのは実は非常に大事ではないのかなと思っております。
 まだまだこの北海道以外に居住する方々の生活実態については、本当に僅かな聞き取り調査しかできていないと思いますので、ここについても是非前向きに進めていただきたいと思いますけれども、最後にその決意をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(阿達雅志君) 今御指摘ありました北海道以外に居住するアイヌの人々の生活実態については、過去にアンケート調査を行ったことがあり、この際にはアイヌの方々のネットワークをたどる形で調査対象者に協力を依頼いたしましたが、個人情報保護の制約もあり、調査対象者の正確な把握が困難なため、少ない回答数にとどまったなどの課題があったと承知しております。このアンケートの中には、北海道と比べ行政機関にアイヌに関して相談することができない、関東においてはアイヌの文化の伝承等に取り組んでいるので支援が必要などの意見がございました。
 現在、北海道外のアイヌの人々への施策としては、アイヌ民族文化財団が都内に設置したアイヌ文化交流センターでの情報発信、文化伝承事業、厚生労働省の電話相談事業等が実施されております。
 本法案においては、アイヌの文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の取組に対して支援を行う新たな交付金制度を創設することとしておりますが、この交付金の対象となる市町村は北海道に限っておらず、道外の市町村からも申請がされるよう、しっかり働きかけをしてまいります。
○舟山康江君 ありがとうございました。
 やはり、アイヌの方々が誇りを持って私はアイヌですと言えるような、そういった社会、そして共生社会を目指すために、この法律がしっかりと機能するように心から願いまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
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○委員長(羽田雄一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、紙智子君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君が選任されました。
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○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 共生社会の実現という視点を中心に質問をさせていただきます。
 本法案の作成に当たり、アイヌの人々の意見を聞く場が設けられたと伺っております。どのような意見があり、また、それが本法案の内容にどのように反映をされているのでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) お答えいたします。
 今般の法案の検討に際しましては、アイヌの方々に寄り添った政策を構築するため、北海道アイヌ協会を始めとするアイヌ関係団体の方たちと意見交換することに加えまして、平成二十九年十二月以降、北海道内外で延べ三十六回、約五百三十人のアイヌの方々と直接意見交換を実施し、より多くのアイヌの方々の御意見を伺うように努めてきたところでございます。
 アイヌの人々との意見交換におきましては、例えば、法律でアイヌを先住民族と位置付けてほしい、生活館は重要な拠点で老朽化対策が必要だ、また、儀式等に必要な材料を国有林野で取れるようにしてほしい、手続が煩雑なサケの特別採捕制度を改善してほしいなどの御意見をいただいたところでございます。
 こういった御意見に対しまして、本法案におきまして、アイヌの人々が先住民族であると目的に位置付け、地域振興、産業振興、観光振興、また生活館機能の整備を含む総合的な施策を実施する新交付金の創設や、国有林野における林産物の採取に係る特別措置や内水面におけるサケの採捕に必要な許可に関する配慮などを行うことで反映させていただいたところでございます。
 以上でございます。
○三浦信祐君 まず、アイヌの方を先住民族と目的に位置付けたということは極めて重要なことだと思います。具体的な施策、これからしっかりとまた伺わせていただきたいと思います。
 平成二十九年、北海道アイヌ生活実態調査が実施をされ、その結果がまとめられております。先ほどもありましたけれども、本調査によれば、アイヌの人々の要望に、子弟教育の充実、生活と雇用の安定、文化の保存、伝承の割合が高くなっております。この要望に対し、本法律案に反映をされている具体的な施策は何でしょうか。
 また、教育負担の軽減や職業の安定性確保、雇用安定等への明確な対応がアイヌの皆様の希望につながります。また、共生社会の実現となります。いかがでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) お答えいたします。
 これまでアイヌの人々に対する教育支援や生活支援につきましては、各地域におけるアイヌの人々とそれ以外の地域住民の間の格差の是正を目的として、地域の状況に応じて地方公共団体が取り組み、国が財政支援を行ってまいりました。長期にわたる取組の結果、生活保護率などにつきましては格差が縮小の方向に向かっていると承知しております。
 アイヌの人々の民族の誇りや尊厳の保持のため、こうした従来の取組を引き続き推進したいと考えております。さらに、本法案によりまして新たに創設する交付金制度によって、各地域の創意工夫に基づく生活支援や文化振興の取組を国として支援してまいります。
 具体的な支援策といたしましては、従来の文化振興に加え、新交付金により総合的な政策を推進する中で、例えばアイヌ文化の伝承に携わる人々の生業、なりわいを支援する、特にアイヌの文化のブランド化の促進、推進であるとか、原材料の確保、こういったことを念頭に置いております。そのほか、地域住民の交流の場となる多機能な生活館の整備、コミュニティー活動や観光振興を支えるバスの運営、さらには学校外教育による教育支援など、アイヌの人々の生活向上に資する施策を十分に進めてまいりたいと考えております。
 また、交付金制度を含むアイヌ施策の推進に当たりましては、アイヌの人々の意見を尊重する、これが重要であると認識しており、本法案の基本理念におきまして、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行われなければならないものとしております。
 政府といたしましては、今後とも、アイヌの人々の要望を尊重しつつ、生活支援、文化振興にも資する取組を支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○三浦信祐君 是非、配慮措置の部分、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 差別経験についての質問があります。その回答結果はショッキングなものであります。差別を受けたことがあると答えられた方が何と、先ほどもありましたけれども、二三・二%もおられます。また、他人が受けたのを知っているとの回答が一三・一%。この現実は何としても変えて、根絶をしていかなければならないと強く思います。
 まずもって、いわれなき差別の解消なくしてアイヌの伝承はありません。この事実について、どう認識をされているのでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 平成二十九年の北海道生活実態調査におきまして委員御指摘のような調査結果が報告されていることについては承知しております。現状におきましても、結婚、職場、学校など様々な場面におきましてアイヌの方々に対するいわれのない差別が残っていると認識している次第でございます。政府といたしましては、こうしたアイヌの人々に対する差別については共生社会の実現を目指す本法案の趣旨に反するものであると、そのように承知しております。
 また、法案の具体的な内容といたしまして、第四条におきまして、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念を定めており、これにのっとり、差別の解消に資する施策を推進してまいります。
 具体的には、アイヌの歴史や文化の魅力について国民の理解を深めることが重要であり、アイヌの歴史や文化を紹介するパンフレットなどの作成、配布や、改訂した学習指導要領によるアイヌに関する教育活動の推進等に取り組んでまいりたいと思いますし、さらには、民族共生象徴空間、ウポポイにおきましても、そのアイヌの文化のすばらしさを体験していただきアイヌに関する理解を深めていただきたいと、そのように承知している次第でございます。
○三浦信祐君 もう少し深い理解が必要なんじゃないかなという気は正直します。
 アイヌであることによって自身の家族が学校にていじめを受けてきた、輪を掛けて教員の無理解がいじめを加速した、味方であるはずの教員こそが最大の理解者にならない限りアイヌの差別はなくならない、差別を受けることがない社会をつくってほしいと、私は現地で切実な若者の声を聞いてまいりました。
 アイヌであることの誇りをつくり上げるためには、差別解消が欠かせません。教育現場において、教育者側の理解なくして本法律の指針の達成は難しいと思います。教育を行う側、教育について指導する立場の方々について、アイヌに関する知見はどのように教授していくのでしょうか。しっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、教職員自身が学校において子供の人権を侵害するような行為を行うということは、断じてあってはならないことであるというふうに考えます。
 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律に基づきまして閣議決定された人権教育・啓発に関する基本計画におきましては、学校教育の担い手である教職員の資質向上を図り、人権尊重の理念について十分な認識を持った人材を確保していくこととするとともに、個別人権課題としてアイヌの人々を取り上げ、基本的人権の尊重の観点に立った教育を推進するため、教職員の研修を推進するとされているところであります。
 本計画を踏まえまして、独立行政法人教職員支援機構におきまして、全国の人権教育指導者を集めた研修を実施をするとともに、文部科学省におきましても、都道府県の人権教育担当者を集めた会議を開催をするなど、各教育委員会における研修を促進をしているところでございます。
 今後とも、こうした取組を通じまして、アイヌの方々への差別が生じないよう、教職員の人権意識と指導力の向上に努めてまいりたいと考えております。
○三浦信祐君 是非これしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 アイヌについて、国民的理解の醸成には子供の段階から理解促進が大切であり、教育に反映をされることが求められます。
 教育現場での学習に当たり、学習指導要領、教員養成課程において、アイヌに関する取扱い、対応はどのようになっているのでしょうか、また、今後どのようにしていくのでしょうか。
○政府参考人(丸山洋司君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の学校におけるアイヌに関する教育についてでございますが、例えば中学校社会科では、鎖国下の対外関係を指導する際に北方との交易をしていたアイヌについての学習が行われるなど、小中高等学校において社会科や地理歴史科などでアイヌに関する内容が扱われているところでございます。
 また、平成二十九年及び三十年に告示をしました新しい学習指導要領の中学校社会科や高等学校地理歴史科の歴史総合におきましては、新たにアイヌの文化についても触れることを明記し、先住民族としての言語や宗教などで独自性を有するアイヌの人々の文化についても触れるようにするなど、その内容の充実を図ったところでございます。
 また、教員養成課程における各教科の指導法の履修に当たっては、学習指導要領に掲げる事項に即し、包括的な内容を含むものとされておりまして、各大学においては、今般の学習指導要領の改訂におけるアイヌ文化の記述の充実を踏まえ、学生が適切な指導法を身に付けることができるよう、教員養成における科目が設定されることとなります。
 こうした取組を通じまして、学校におけるアイヌに関する教育の一層の推進に努めていきたいと考えております。
○三浦信祐君 ありがとうございます。
 本法案の第四条では、「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」と定めております。
 アイヌの方々の表面化していない差別、扱い等が根絶をされなければなりません。本法律が成立することで差別解消へ向かっていくことになるのでしょうか。何がどのように変わっていくのか、明確にすべきです。御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) 例えばでございますけれども、平成三十年八月におきましたアイヌに関する世論調査におきましては、アイヌの人々がいるということにつきましては九四%の認知度をいただいておりますが、一方で、独自の伝統的な文化があるということについては六六%程度、また独自のアイヌ語というものがあるということについても六割強、伝統的工芸品があることについては四割弱の認知度でございました。
 我々の様々な取組によりまして、こうした認知度が上昇し、アイヌの伝統文化のすばらしさについての認識、またアイヌの人々に対する理解が深まることを期待しております。こうした結果、アイヌの人々がいわれのない差別を受けない社会が実現することを期待しております。
○三浦信祐君 アイヌ民族に対するヘイトスピーチは本法案第四条に反するものと、衆議院の国土交通委員会にて大臣は答弁をしておられます。差別事案が発生した際、国として是正、原因究明、防止策など具体的な取組を行うこと、その実効性が担保される必要があります。
 まず、法務省に伺います。
 法務省は、差別解消のため、また発生事案対処のため率先して対応すること、そのためにも、各自治体、地方法務局など相談窓口をしっかりと設け、強化をすべきだと私は考えております。
 加えて、差別的言動などアイヌの人に対してどのようなことが差別になるのでしょうか。どのような事例が相談の対象となるのか、具体的な事例を伺いたいと思います。
 その上で、本法律が成立し、施行することになった暁に、万が一にも知見不足による不適切対応、たらい回し、人員不足が生じるようなことは避けなければなりません。相談窓口などをしっかり整えていただけるとした上で、アイヌの方々に人権上の心配がある場合には相談ができますよということをお伝えいただく、制度について周知徹底をしっかり行うべきであります。いずれも重要です。確実に取り組んでいただけませんでしょうか。
○政府参考人(山内由光君) 法務省の人権擁護機関では主な人権課題といたしまして十七の課題を掲げまして各種の取組を行っておりますが、アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそうといったこともその課題の一つとされております。従来からも、アイヌの人々への理解や認識を深めるとともに、偏見や差別の解消を目指して活動しているところでございます。
 そして、法務省では、全国に合計三百十一か所、法務局、地方法務局及びその支局がございますが、そこにおいてアイヌの人々に対する差別問題などを含むあらゆる人権相談に応じているところでございます。また、市区町村役場などにおきましても、特設の相談窓口を設ける取組を行っているところです。
 こうした人権相談におきましては、その内容に応じて解決に向けた助言を行うほか、人権侵犯の疑いのある事案を認知したような場合には、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講ずることとしております。
 アイヌの人々に対する差別などに関する相談件数、これは必ずしも多くはございませんが、具体的な相談事例といたしましては、例えばアイヌの人々に対する雇用差別、あるいは商品、サービスなどの提供の拒否、あるいは差別表現などといった被害を受けたとするものが人権相談では登場しております。
 委員御指摘の相談窓口についてですが、このような相談窓口が設置されているということ、気軽に相談することができること、これは当事者の方々に知っていただくということは極めて重要であろうと思っておりまして、さらに、関係機関と連携いたしまして、法務省の人権擁護機関における相談窓口、この周知に取り組んでまいりたいと思います。
○三浦信祐君 従前から法務省には人権擁護の観点から窓口はあった、しかしアイヌの方が活用することは余りなかったと。本法律の理念を国民の皆様が理解し、差別をなくすために相談できる体制というのは極めて重要です。
 内閣官房は個別の相談体制を持ち得ておりません。内閣官房として、法務省と連携して、アイヌの方々が相談できることなど周知徹底を確実に行っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 先ほども申し上げましたとおり、アイヌの人々に対する差別につきましては、共生社会の実現を目指す本法案の趣旨及び理念の第四条に反するものであり、解消すべきものと承知しております。
 このため、内閣官房といたしましても、先ほど法務省から御説明がありました相談窓口につきまして、市町村などの関係機関を通じてしっかりと広報してまいりたいと、そのように考えております。
○三浦信祐君 是非お願いします。
 地方公共団体の責務について伺います。
 第二の基本方針等において都道府県方針として第八条に、知事にアイヌ施策を推進するための方針、都道府県指針を定めることを努力規定としております。
 これまでアイヌの方々との関わりが余りないような地方公共団体等はどのように指針策定、体制整備をしていくことになるのでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) 地域におけますアイヌ施策を効果的に推進するためには、市町村、また都道府県が連携して取り組むことが重要であり、都道府県におきましても本法に則した施策が展開することが望ましいと考えております。御指摘のように、こうした都道府県による取組は、これまでアイヌの方々と余り関わりがなかった都府県を含めて広く取り組むことが重要であると、そのように認識しております。
 今後、本法案に係る都道府県、市町村向けの説明会の開催、国の基本方針において都道府県の役割を明確化するなど、都道府県を支援してまいりたいと思います。
 また、北海道外におきましてアイヌ文化の認知度向上のための普及啓発活動等を行うことを通じまして、北海道外の都府県による方針の策定の環境整備、こういった面につきましても推進してまいりたいと考えております。
○三浦信祐君 もうこれしっかりやっていただきたいと思います。これから人権擁護の観点で相談があったときに、今まで声を上げられなかった方が声を上げられるようになった、さあ対応しようと思ったときの自治体の体制が整っていない、こういうことがあってはならないと思いますので、しっかりと協力体制をつくっていただきたいと思います。
 続いて、アイヌ研究について伺います。
 アイヌの歴史、文化、芸術等、後世に伝承していくためには継続的研究が必要であると考えます。的確な教育への基となる国民理解へ正しく情報が伝わることにも寄与すると思います。
 現在、大学等においてどのような研究がされているのでしょうか。また、本法律が制定された場合、引き続き幅広く研究を支えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。
 大学等におけますアイヌに関する研究につきましては、それぞれ研究者の自発的な発想に基づくものでございますが、例えば、アイヌ文化の歴史研究、アイヌ語の継承や言語学的な研究、さらにはアイヌ文化と他の民族文化との比較研究、そのようなアイヌの歴史、文化、芸術に関する多様な研究が実施されていると承知しているところでございます。
 こうした大学などにおけます研究活動につきましては、大学の基盤的経費でございます運営費交付金、あるいは科学研究費助成事業、このようなものにより支えられてきたものでございまして、文部科学省としましてもその経費の確保に努めてきたところでございます。
 今般御審議いただいてございます本法案をお認めいただいた場合も、文部科学省といたしましては、引き続き、大学等におけます研究活動に資する経費の確保を通じまして、アイヌの歴史、文化、芸術に関する学術研究を始めとします幅広い研究の支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○三浦信祐君 基礎研究、極めて重要ですので、しっかり応援させていただきたいと思います。
 アイヌの歴史、文化を学び伝えるナショナルセンターである民族共生象徴空間、ウポポイについて、年間来場者百万人を目指していくことが閣議決定をされております。どのように来場者数を確保していくのでしょうか。
 また、当然、来場者について、初年度のみならず、持続性、継続性が必要です。リピーターの醸成も必要です。その上で、北海道の面的観光にウポポイを組み入れていくためには、旅行会社、観光業界の皆様の協力が欠かせません。人気がある観光地、北海道でのゴールデンルートである小樽、札幌、旭川、ニセコ、トマム、富良野の中に、これまでにはなかった白老訪問が旅行プログラムに組み入れられるようにする取組が必要だと私は思います。旅行観光業界に対して具体的な働きかけを行っていただきたいと思います。
 いずれにせよ、百万人をどのように達成し、継続的に確保し続けるための具体的な取組、これをしっかりやっていただかなければいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(和泉晶裕君) お答え申し上げます。
 アイヌ文化の復興を図り、多くの人々のアイヌの歴史、文化等に関する理解を促進する上で、継続的に国内外の方々に民族共生空間、ウポポイと申しておりますけれども、来場いただきたいと考えており、年間目標来場者数を百万人としているところでございます。そして、その実現のためには幅広い取組が必要であると考えております。
 まずは、開業後も安定的に来場者を確保していくためには魅力的な施設運営が必要だと考えております。アイヌ古式舞踊や伝統工芸の魅力を伝えるプログラムや、食文化に触れる機会の提供に取り組むことはもちろん、リピーター客の確保を目指し、最新の映像音響技術を用いた芸能プログラムの高度化や、各地の多様なアイヌ文化、舞踊や工芸、食等に触れることができる機会の充実など、魅力的かつ新鮮味のある施設運営を促進してまいる所存でございます。
 また、ウポポイ周辺の登別や洞爺、また全道のアイヌ関連施設などとの相乗効果を得るべく取り組んでいくことが重要と考えているところでございます。このため、既に旅行会社等に向けた説明会も実施しているところでございますが、今後も引き続き旅行会社と連携してまいる所存でございます。
 さらに、一人でも多くの訪日外国人の方々にウポポイまでお越しいただけるよう、北海道庁が海外で取り組みます道産品フェアなどのプロモーションと連携するなど、海外でのPRにも取り組んでまいります。
 あわせて、多言語による音声ガイドアプリケーションの提供やWiFi環境の整備等の訪日外国人の利便性向上にも取り組んでまいります。
 以上のような取組を通じまして、年間百万人の来場者数を官民挙げて目指してまいる所存でございます。
○三浦信祐君 是非、アイヌの方も見ていただきたいという思いもあるでしょうから、しっかり皆さんで支えていかなければいけないと思います。取組、加速をしていただければと思います。
 子供のうちに、実際に学びつつ実体験ができる、アイヌ理解促進に大きな効果があるこのウポポイ、是非、教育旅行にウポポイを組み入れる取組を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(丸山洋司君) 委員御指摘の教育旅行につきましては、学校の教育活動の一環として、各学校がそれぞれの実情に応じて具体の行き先等を決定をしているところでございます。児童生徒がアイヌの伝統及びアイヌ文化に触れ正しく理解することは非常に有意義なものであるというふうに考えております。
 文部科学省といたしましては、教育活動を通じてアイヌに関する理解を深めることの重要性に鑑み、アイヌ文化の振興等の拠点となる民族共生象徴空間、ウポポイについて、本法案成立後に、内閣官房等の関係府省や関係自治体としっかりと連携を図りつつ、各種会議等を通じて教育委員会等に対し周知を図ってまいりたいと考えております。
○三浦信祐君 是非お願いしたいと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックで、開会式、閉会式でアイヌの皆様が参画でき、文化、芸術を披露する機会を与えていただきたいと思います。これについて、いかがでしょうか。
 また、スポーツの祭典と並列して文化プログラムが開催をされます。アイヌ文化の世界発信の貴重な機会であり、大いに活用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(諸戸修二君) お答えを申し上げます。
 二〇二〇年東京大会は、スポーツだけではなく文化の祭典でもございます。大会を契機とした文化プログラムを実施をしておるところでございます。
 これまでも、アイヌ文化の発信につきましては、多様性、国際性に配慮をして、日本文化の魅力を発信する取組を認証いたしますビヨンド二〇二〇プログラムということを活用いただいております。また、文化プログラムの中核的な事業として検討が進められております日本博、ここでは、今後具体化していく案の一つとして、自然とともに生きるアイヌ文化をテーマとした企画が挙げられているところでございます。
 委員からございました二〇二〇年東京大会の開会式、閉会式、こちらは、大会組織委員会が野村萬斎さんを中心に、オリンピック、パラリンピックの開会式と閉会式で、四式典全体の総合的な演出企画を行う東京二〇二〇総合チームにおいて現在検討を進めていると承知をいたしております。委員のお伺いにつきましては、大会組織委員会に伝えてまいりたいと思います。
 今後とも、様々な機会を捉えまして、アイヌ文化の発信に関係の皆様と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○三浦信祐君 最後に、アイヌの人々が民族としての誇りを持ち、またその尊厳が尊重され、差別のない多様で豊かな文化を持つ共生社会の実現に向けた石井大臣の決意を伺います。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していくことは大変重要と考えております。
 この認識の下、本法律によりまして、従来の福祉施策や文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興を含む多岐にわたる施策を総合的に推進することとしております。具体的には、アイヌの人々の生活の支援や差別の解消、ウポポイを始めとするアイヌ文化の振興などに取り組んでまいります。
 アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことによりまして、多様な価値観が共生をし活力ある共生社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
○三浦信祐君 終わります。
○室井邦彦君 日本維新の会・希望の党の室井でございます。
 この現行のアイヌ政策、これは、福祉、文化の政策を二本柱として、存立の危機にありましたアイヌ語やアイヌ伝統文化の保存、振興を内容とする平成九年に制定されましたアイヌ文化振興法に基づき諸施策が進められてきたわけであります。
 今後の更なる新たなアイヌ政策については、アイヌの人々が先住民族であるということを法律上明記し、産業振興、観光振興、地域振興、国際交流、環境保全など幅広く施策を推進をしていくということになります。こうした目的や基本理念については、すばらしいものであり、決して反対するものではないことをまずもって申し上げておきたいと思います。
 そこで、今回のこのアイヌの人々の意見を尊重したアイヌ施策について、この点についてお尋ねをしたいと思いますが、まず、この新たな法案の基本理念として、アイヌ施策の推進、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならないものとすることとあります。アイヌの人々が引き続き民族としての独自性を保つという意味において、アイヌの人々の意見を尊重し、アイヌの施策を推進しなければならないということでありますが、平成二十九年十一月の北海道アイヌ生活実態調査の実施結果において、このアイヌが必要としている対策は、教育の充実が七〇・三%と最も高いということであります。
 さらに、アイヌ文化の保存、伝承は、平成二十五年の前回の調査の三八・六%、この数字から二・四ポイント下がっておりまして三六・二%となっておるわけでありますが、これまで進めてきた文化の保存、伝承を掲げるアイヌ政策に対して、アイヌの人々の国との認識に隔たりがあるように思えるわけでありますが、国が進めてきたアイヌ施策はアイヌの人々の意見を尊重する政策であったのか、これまでのアイヌ施策をどう評価しているのか、まずお聞きをいたします。
○政府参考人(橋本元秀君) ただいまアイヌの人々の意見の尊重、また国との隔たりという御指摘をいただきましたが、今回、アイヌ政策を進めるに当たりましての基本的な考え方の一つは、アイヌの人々に寄り添った政策を構築するということでございます。
 アイヌ政策につきましては、平成二十一年より内閣官房長官を座長といたしますアイヌ政策推進会議を開催いたしまして、アイヌの人々の代表者を含む有識者をメンバーとし、総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するための議論を行ってきていただきました。
 今般の法案の検討に際しましては、アイヌの方々に寄り添った政策を構築するため、北海道アイヌ協会を始めとするアイヌ関係団体の方たちと意見交換することに加えまして、平成二十九年十二月以降、北海道内外で延べ三十六回、約五百三十名のアイヌの方々と直接意見交換を実施し、より多くのアイヌの方々の御意見を伺うように努めてきたところでございます。
 今後も、アイヌの人々に寄り添いながら、未来志向のアイヌ政策という観点から、アイヌの人々が抱えている課題の解決に向けた取組を一層着実に推進してまいりたいと考えております。
○室井邦彦君 ありがとうございます。
 この五百三十名の方々と意見交換したということが、実際五百三十名でよかったのかどうか、私はその辺よく理解はしておりませんけれども、きめ細かくしっかりとアイヌの方々の御意見を尊重しながらまた続けていただきたいと、このように願っております。
 続いて、アイヌ文化の振興についてお伺いをしたいと思います。
 このアイヌの人々の民族としての帰属意識は脈々と受け継がれているわけでありますが、そのアイデンティティーの基盤というべき言語、伝統文化、歴史的経緯の中で失われたものも非常に多いということを聞いております。十分な保存、伝承が図られているとは言い難い現状ではあるのではないか、私はそのように理解をしておるわけでありますが、存立の危機にあるアイヌ語を含むアイヌ文化の振興、失われたアイヌの伝統技術の復興や再生を中心とした技術の保存に関し、アイヌの政策継続に進化させていく必要があるわけでありますが、これまでの取組状況と今後の展開についてお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(内藤敏也君) お答え申し上げます。
 文部科学省では、アイヌ語を含むアイヌ文化の振興を図るため、アイヌ語に関しましては、伝統的なアイヌ語が記録されましたアナログ音声データ、これをデジタル化をしたりアーカイブ作成を行っているほか、公益財団法人アイヌ民族文化財団を通じまして、アイヌ語の指導者や話者の育成を始め、木彫や刺しゅうなどのアイヌの伝統文化を担う伝承者の育成、アイヌ文化の普及事業に取り組んでいるところでございます。
 これらの施策により、アイヌ文化の関心の高まりや文化伝承の裾野の広がりが見られるところでございますが、一方で、アイヌ語を使用できる話者はいまだ多くないほか、アイヌ文化の伝承者の高齢化等によりアイヌ文化の担い手が減少していることから、アイヌ文化の復興に向けたより一層の取組が必要となると認識しているところでございます。
 特にアイヌ語に関しましては、存立の基盤が失われつつ、状況を踏まえまして、現在整備を進めております国立アイヌ民族博物館におきましては、館内の案内表示、展示解説、音声ガイダンスなどにアイヌ語を使用するほか、この民族博物館を中心にアイヌ語に関する各種資料の収集や分析、研究成果の幅広い活用を図ることとしてございます。
 文部科学省といたしましては、国立アイヌ民族博物館における調査研究等の取組をアイヌ文化の担い手育成と技術の伝承に最大限活用いたしますとともに、公益財団法人アイヌ民族文化財団を通じた事業の充実に努めるなど、アイヌ文化復興に向けた取組を関係府省等と連携をしながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
○室井邦彦君 よろしくお願いしたいと思います。
 この間、アイヌ文化交流センターでいろいろと意見交換をし、お聞きしたことの中で、伝統文化の技術の中で、大型の技術を伝える人というか、非常に少なくなって危機感を感じているということを聞きました。よくその点は理解していただきまして、御指導お願いを申し上げたいと思います。
 続いて、アイヌの人々に対しての理解を深める、いわゆる受ける側の国民の努力について、この観点からお聞きをしたいと思います。
 新たな法案では、国民の努力規定が設けられていることとなっております。国民がアイヌの人々を理解しようと積極的に行動を起こし、国民的コンセンサスにまで高めていくために、アイヌ文化を含めアイヌに関する知識や教育の普及、充実を図ることが極めて重要だと思っております。
 国民がアイヌの人々に対して理解を深めるため、これまでどのような取組をしてこられたのか、国は推進してきたのか、そしてアイヌへの理解を深める取組を今後国民にどのように訴え、実効性を確保していこうと考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) 国民の理解について御指摘をいただきました。
 アイヌの文化の振興を図るためには、国民一人一人においてアイヌ文化について理解を深めることが重要と認識しております。このため、本法案におきましても、まず、第五条で、国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、アイヌに関し、国民の理解を深めるよう努めることとするとともに、言及いただきました努力規定、第六条、国民の努力規定でございますが、第六条では、国民においても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現に寄与するよう努めるといった旨の規定を置いているところでございます。
 具体的には、民族共生象徴空間、ウポポイにおきましても、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園などを整備することとしており、実際に来場した方に、アイヌの衣食住、舞踊、工芸等、様々なアイヌ文化に触れ、また体験していただき、アイヌに関する理解を大勢の方に深めていただきたいと、そのように考えております。このほか、アイヌの歴史や文化を紹介するパンフレットなどの作成、配布や、教科書等の記載内容の充実にも取り組んでまいりたいと考えております。
 こうした取組を着実に進めることによりまして、アイヌの民族の文化に関する国民の理解を深めるよう努めてまいります。
○室井邦彦君 言葉どおり、着実に進めていただくように更にお願いをしておきます。
 続いて、国と地方公共団体の密接な連携が非常に大切だと思っております。
 そこで、質問させていただきますけれども、この新たな法案では、国は基本方針を定める、都道府県はアイヌ施策を推進するための方針を定める、市町村は地域計画を作成をする、内閣総理大臣の認定を受けるという流れで諸施策を推進することとなっていると、こういうことでありますが、そして、認定を受けた地域、産業、観光振興等の事業の実施に対し交付金を交付するという順序になっているようでありますが、この交付金事業を実施する上で、国や県が保持する情報を共有化をしっかりとして、アイヌの人々の求める効果的な対策を打っていくことが非常に大切なところだと思います。
 そのためには、国は都道府県、市町村との密接な連携による対応が不可欠であります。少しの行き違い、ミスがあってはならないというふうに思っております。そうしたこの体制を、どのようになっているのか、どのような仕組みになっているのか、お聞かせください。
○政府参考人(橋本元秀君) 本法案に基づきまして新たに創設する交付金制度は、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備及びアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行うものでございます。
 御指摘のとおり、交付金事業を実施するに当たりましては、国、都道府県、市町村が密接な連携を図ることはアイヌ政策を推進する上で重要であると認識しております。
 本法案におきましては、都道府県はアイヌ施策を推進するための方針を定めるよう努めるものとしておりますけれども、市町村はアイヌ施策推進地域計画を作成する際に都道府県が策定するその都道府県方針を勘案することと、そういう仕組みになっておりますし、また、国は計画を認定しようとするときは都道府県に通知するとともに、その都道府県が方針、都道府県方針を定めている場合はその意見を都道府県は述べることができると、そういうような仕組みを制度上設けているところでございます。
 新交付金につきましては、昨年秋以降、四十弱の北海道内の市町村、また二、三の北海道外の市町村から意見、要望をお伺いしております。また、東京二十三区の区長会におきましても新交付金を紹介するなど、その活用について働きかけを行ってきているところでございます。
 今後も引き続き、市町村、都道府県、関係省庁と密に意思疎通を図り、情報を共有しながら交付金事業を推進してまいりたいと考えております。
○室井邦彦君 一言申し上げておきたいんですが、やっぱりお役所仕事というのは、なかなか手間暇も掛かり時間が掛かると、国民からしてみればそういうお声が非常に高いわけでありますけれども、その点はしっかりとスムーズに連携を取っていただくように更にお願いをしておきます。
 次の質問は、民族共生象徴空間の整備、また管理の在り方についてお伺いをしたいと思います。
 この新たな法案では、アイヌ文化の復興と民族の共生を民族共生象徴空間の意義、目的として、その施設はアイヌの人々の心のよりどころであるとともに、国民全体が互いに尊重し共生する社会のシンボルとなるような空間とするということでありますが、この民族共生象徴空間の整備及び管理に当たっては、アイヌの人々の自主性を尊重し、その意向を十分に反映しつつ整備を進めることが大切であると、このように理解をしておりますが、どのように整備が進められてきたのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(和泉晶裕君) 民族共生象徴空間、ウポポイの具体化に係る検討は、アイヌの方の参画を得て取りまとめました平成二十一年七月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書における民族共生の象徴となる空間整備の提言を受けてスタートしたところでございます。以降、官房長官を座長とするアイヌ政策推進会議の下に設置されました民族共生の象徴となる空間作業部会等に北海道アイヌ協会役員を始めとするアイヌの方々にも御参画いただき、具体化を検討したところでございます。
 この作業部会報告書、平成二十三年六月でございますが、におきまして示された象徴空間の機能等を受け、政府は平成二十四年七月に象徴空間基本構想を取りまとめ、現在、当該構想に基づき、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園等の整備を進めています。
 以上のように、民族共生象徴空間、ウポポイは、整備に至る各段階におきまして、アイヌの方々の参画をいただきながらその具体化を図ってきており、今後とも、アイヌの人々に寄り添いつつ整備、管理を推進してまいる所存でございます。
○室井邦彦君 二〇二〇年東京オリパラ競技大会に先立ち、二〇二〇年四月にこの一般公開をするということであります。年間来場者数百万人の達成を目標にしておられますが、目指しておられますが、来場者数を目標設定するということは施設運営で大切なことであると私も認識をしております。
 しかしながら、民族共生象徴空間の本来の意義、目的にそぐわないというような思いがあるわけであります。その目的達成には非常に無理があるような感がしてなりません。いろんな面を老婆心ながら考えるわけでありますけれども、この点の御所見を大臣がしていただけるということでありますから、お聞きをいたします。
○国務大臣(石井啓一君) 民族共生象徴空間、ウポポイは、アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターといたしまして、アイヌの歴史、文化等に関する国民各層の幅広い理解の促進の拠点、そして、将来へ向けてアイヌ文化の継承及び新たなアイヌ文化の創造、発展につなげるための拠点となるよう、整備を進めているものであります。
 このため、より多くの方々に御来場いただくことは、アイヌの歴史、文化等に関する国民各層の幅広い理解促進のために重要であります。関係者が思いを一つにして取り組んでいくためにも、来場者数の目標設定には意義があるものと認識をしております。
 また、百万人という目標来場者数につきましては、政府といたしまして、訪日外国人旅行者数が飛躍的に伸びている中で、二〇二〇年の東京オリンピックの開催効果も見込みまして百万人を超える来場者数としたところでありまして、是非実現をしたいと考えております。また、開業年のみならず将来にわたり多くの来場者数を確保できるよう、国、地方、民間等の関係者の力を結集しまして魅力的な施設運営に取り組んでまいりたいと考えております。
 政府といたしましては、この民族共生象徴空間に一人でも多くの方々にお越しをいただき、アイヌの歴史、文化等に触れていただくことを通じまして国民の幅広い理解を図ってまいる考えであります。
○室井邦彦君 大臣の御決意は理解をいたしました。
 ただ、やはり心配なことは、こういうことで、アイヌ関係の箱物で過去二十万人、三十万人程度だということはちょっと耳にしたことがございまして、百万人と大きく出たなということは、確かに派手でいいことでありますけれども、もし達成できなかった場合、これ逆効果にならないのかなと。強制的に行け、そんなことはないでしょうけれども、せっかくアイヌのために頑張ったことが逆に出てこないかなという、非常に私は不安な思いがあります。自然体で百万人を超えれば、これはもうすばらしいことであります。このことを一言不安を申し上げて、次の質問に移ります。
 次は、認定業務に係る質問でありますが、これは非常に難しいことでありますが、このアイヌの人々、一人一人は様々な生活の道を選択しているという状況であります。本人の意思にかかわらず一律に対策の対象とすることは避けるべきであると思っておりますが、また、戸籍その他の行政分野、個人を対象とする施策において、アイヌの人々を個々に認定する手続を設けたり、そのための認定基準や定義を設けることは困難であります。その事実に伴うデメリットを考えれば、個人認定を要する施策の導入は慎重に考えるべきだとする考え方が政府にも共有されているようであります。
 アイヌの人々を対象とする対策には個人認定を必要とするものがあり、例えば高等教育機関への進学支援を受けるための認定手続が実施されていると承知をしております。認定手続の実施に際し、個人認定の実施に伴うデメリットをどのように解消し、適切な手続として担保されているのか、お聞きをします。これは最後の質問です。
○政府参考人(橋本元秀君) 御指摘のとおり、個人認定を必要とする施策といたしましては、現在、北海道庁が実施しているアイヌの子弟に対する修学資金の貸付け等がございますが、アイヌである旨の確認にはアイヌ協会理事長等の推薦書の提出を求めているところでございます。推薦におきましては、戸籍を遡り、アイヌ語名があることなど、客観的な資料を基にしながらアイヌであることを確認していると承知しております。
 個人認定の実施に伴うデメリットという御指摘がございましたが、本法案におきましては、アイヌであるかどうかという個人認定を必要とする施策は盛り込んでいないところでございます。
○室井邦彦君 終わります。
○野田国義君 立憲民主党の野田国義です。
 今回こうやってアイヌの法案審議ができるということでございまして、私も出身は九州でございまして、北海道から遠い地域ということで、この歴史あるいは文化などなかなか知らなかったわけでありますけれども、少しでも理解できたのかなと、そういう思いもしているところでございますので、しっかり生かしていかなくてはいけないと思っております。
 まず、驚きましたのは、やっぱり先住民族ということを認めていない、明記されていなかったということ。本当これ遅かったんじゃなかろうかなと、世界的な流れからしてもそのように思っているところでございますし、この間からお伺いいたしましたアイヌ文化交流館ですか、ここも本当に、第一印象として狭いなと、もっと充実したものが首都圏にもあってもいいんじゃなかろうかと、そういうことを感じたということをまず申し上げたいと思うところでございます。
 まず、ちょっと順番が逆になりますけれども、大臣にちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書には、国による土地政策や同化政策などの結果、自然とのつながりが分断されて生活の糧を得る場を狭められて貧窮していくとともに、独自の文化の伝承が困難となり、その伝統と文化に深刻な打撃を受けたとあります。
 すなわち、懇談会では、国による土地政策や同化政策がアイヌの生活を貧窮させ、独自の伝統や文化に深刻な打撃を与えたことを認めているということでございますけれども、やはり政府はしっかりとこれまでの政策に対して反省、これをすることが必要なことではなかろうかなと、そして謝罪を行う、損害賠償金を出すとかそういうことじゃなくて、やはり謝罪、ここまではすべきではなかろうかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 我が国が近代化する過程におきまして、法的にはひとしく国民でありながらも差別をされ、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実については、政府として厳粛に受け止めているところであります。
 その上で、平成二十年の衆参両院による決議におきましては、アイヌの人々が先住民族であるとの認識の下に、総合的な施策の確立に取り組むことを政府に求めております。
 このような決議の指摘を踏まえまして、本法律におきまして、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示し、またアイヌ施策については、従来の生活向上策や文化施策に加え、産業振興、観光振興、地域振興など総合的な施策の確立に取り組むこととしております。
 今回の法律によりまして、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、もちまして、国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指してまいる考えであります。
○野田国義君 やはり、ちゃんと反省をし、謝罪をしていく、このことがやっぱり行政にとっても必要なことではなかろうかなと、そのように思うということを再度付け加えさせていただきたいと思います。
 まず、基本理念についてから質問をさせていただきたいと思いますけれども、本法案には具体的にアイヌの人々の意見を聞く条文が見当たらないのですが、国の基本方針の策定や都道府県の都道府県方針、またアイヌ施策推進地域計画を策定する市町村のいずれも、どうやってアイヌの人々の自発的な意思を聴取し、尊重するのかについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) まず、基本的な考え方でございますけれども、アイヌ施策の推進に当たりましては、アイヌの人々の意見を尊重することが重要であると認識しております。
 本法案の基本理念におきましても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならないと、そのように基本理念で定めているところでございます。
 国、地方公共団体におきましては、その基本理念にのっとり、アイヌ施策を策定し実施する責務ということを法で定めているところでございますが、例えば、国が基本方針を策定するに当たりましては、パブリックコメント等の際にアイヌ関係団体等にその旨を周知するなど、アイヌの人々の意見をしっかりと聞く必要があると考えております。
 また、市町村がアイヌ施策推進地域計画を策定する際には、事業の実施主体の意見を聴かなければならないと、そのように法律で定めております。事業の実施主体はアイヌの人々が中心になるということが想定されておりますので、アイヌの人々の要望や意見が適切に反映されるものと、そのように考えております。
 さらに、法案成立後の市町村向けの説明会であるとか市町村からの問合せ、そういったものがあった場合には、市町村が作成する計画にアイヌの人々の要望や意見を反映するよう市町村に対して周知していくことを予定しているところでございます。
○野田国義君 今、局長、国及び地方公共団体の責務についても触れていただいたようでもございますし、また、多くの委員の皆さんも質問されましたので割愛させていただきたいと思います。
 三番目といたしまして、差別の禁止についてお尋ねしたいと思います。
 国は、アイヌの人々に対する差別の実態をどのように把握し、認識をしているのか、具体的にはどのような措置を講じているか。例えば、教育現場においてはどうなされているのか。
 そして、これも非常に大きな問題でございますが、国はアイヌの人々に対するヘイトスピーチの状況をどのように把握しているか。例えば、ヘイトスピーチ解消法においては、アイヌの人々が適用範囲に含まれていないということでございますけれども、現状はどのように対処しているのか、また、どのように今後対処していくのかということをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) 私の方から、まず、差別の実態をどう認識しているのかということと、あと、ヘイトスピーチの関係について併せて御説明させていただきます。
 アイヌの人々に対する差別の現状につきましては、平成二十九年に北海道庁が実施いたしました北海道アイヌ生活実態調査におきまして、結婚、職場、学校など様々な場面においてアイヌの方々に対するいわれのない差別が残っているということが示唆されていると認識しております。具体的には、同調査におきまして、差別を受けたことがあると回答したアイヌの方々が二三・二%おられた、また、自分に対してじゃないが、他の人が受けたことを知っていると回答したアイヌの方々が一三・一%おられたところでございます。
 アイヌの人々に対する差別は重要な課題だと考えていることから、法務省との連携を深めることに加え、人権教育や、アイヌという民族、アイヌ文化が存在することについての国民の理解を一層深めることが重要であると考えております。
 このため、民族共生象徴空間、ウポポイにおきましても、国立アイヌ民族博物館や国立民族共生公園などを整備することとしており、実際に来場した方に、アイヌの衣食住、舞踊、工芸等、様々なアイヌ文化に触れ、また体験していただき、アイヌに関する理解を大勢の方に深めていただきたいと思っております。
 このほか、アイヌの歴史や文化を紹介するパンフレットなどの作成、配布や、教科書等の記載内容の充実にも取り組んでまいります。
 こういった取組によりまして、差別の改善を図ってまいりたいと承知しております。
 引き続きまして、ヘイトスピーチの関係でございます。
 これにつきましては、国会周辺であるとかでアイヌの人々に対する示威的な運動が行われたことであるとか、また、SNS上等におきまして明確に差別することを目的とした言動が行われていることにつきましては、私自身見聞きしているところでございます。中には、民族としてのアイヌなんてもういないといったような発言があるようでございますが、政府といたしましては、アイヌの人々については、現在では日常生活において他の日本の人々と変わらない生活を営んでいるものの、今日においてもアイヌの方々は、独自の言語、文化、伝統や民族への帰属意識など、民族としての独自性を有しているものと、このように認識しているところでございます。
 政府といたしましては、我が国にアイヌという民族、またアイヌ文化が存在することについての国民の一層の認識を深めるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
 先ほども申し上げましたように、ウポポイ等の活用も含めまして、また教育活動、広報活動を通じまして、アイヌ文化等の情報発信を国内外に向けて取り組んでまいりたいと思っております。こういう取組によりまして、アイヌの民族、文化の国民の理解に努めてまいりたいと存じます。
○野田国義君 しっかりと差別を認識をし、そして、この法律が成立した後もしっかり対策をまた講じていくということが大切だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それから、アイヌ政策推進本部についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 内閣官房長官を本部長とするアイヌ政策推進本部が設置をされるわけでありますが、実際に本部はアイヌの人々の意見をどのように集約して生かして施策へと反映をしていくのかが私ちょっと分からないわけでありますけれども、御答弁お願いしたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) 本法案におきましては、アイヌの方々の誇りが尊重される社会を実現するため、官房長官を本部長、関係閣僚を本部員とするアイヌ政策推進本部を内閣に設置し、政府一体となって総合的なアイヌ政策を着実に推進することとしております。
 この本部におきます具体的な議事といたしましては、アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、基本方針の案の作成に関すること、基本方針の実施を推進するため、各省庁によるアイヌ施策の取組や省庁横断的な施策に関すること、アイヌの方々のニーズに対応した新たなアイヌ施策の企画立案に関することなどを想定しているところでございます。
 また、本部の事務局は、法律三十九条にあるように内閣官房において務めることとしております。これまでも、内閣本部におきましては、アイヌの方々の御意見をお伺いしてきたことにつきましてこの場におきましても御説明してきたところでございますが、今後とも、アイヌの人々の御意見を聴取、集約した上で、基本方針の策定の際に本部に諮ってまいりたいと、そのように考えております。
○野田国義君 それから、アイヌ文化振興法廃止に伴う施策等について御質問をさせていただきます。
 本法案の成立によりまして、アイヌ文化振興法、平成九年、は廃止されるわけでありますが、例えば、公益財団法人アイヌ民族文化財団が行ってきた助成事業の申請窓口などに変更はあるのかどうか、またアイヌ施策推進地域計画を策定する市町村が受けられる交流金を利用して当該市町村は更なる助成事業を行うことができるのかということで、具体的にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(橋本元秀君) 御指摘のとおり、本法案の成立に伴いましてアイヌ文化振興法は廃止となりますが、アイヌの人々の民族としての誇りや尊厳の保持のためには、従来から行ってまいりました文化振興や福祉施策は引き続き重要な施策であると、そのように認識しております。したがいまして、本法案成立後におきましても、これらの施策につきましては国として引き続き支援してまいりたいと考えておりまして、その際には、委員御指摘の公益財団法人アイヌ民族文化財団が行ってきた助成事業の申請窓口など、制度的な枠組みは変更することなく実施してまいりたいと、そのように考えております。
 また、新交付金は、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備、またアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興や福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等含めた市町村の事業に対して支援を行うものでございます。委員御指摘の交付金を利用した更なる助成事業の実施についてでございますが、これは内容をやはり個別に検討する必要はあるとは存じますけれども、当該事業が市町村が民間事業を御支援するといったようなことでありますと交付金事業の対象になる可能性があると、そのように承知しております。
 いずれにいたしましても、交付金事業の実施により、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○野田国義君 終わります。
○平山佐知子君 無所属クラブの平山佐知子です。
 私も、先日、アイヌ文化交流センターにて関係者の皆様のお話を伺わせてもらいました。アイヌ民族であるがゆえに差別を受けて、そして教育を受ける機会さえも失ってしまうこともあったということで、そのことについて当事者の皆様は、周りもそうだったから特におかしいと真剣に訴えることなく、半ば仕方ないというふうに諦めてしまって、受け入れてしまっている事実があったということも伺いました。また、最近では、SNSなどを使った差別など、以前とはまた違った形での苦しみ、これがアイヌの人たち更に苦しめているという。これは大人の方はもちろんなんですけれども、子供たちは本当に怖いだろうというふうに容易に想像ができます。
 生まれた環境によって将来が決まってしまう、やれることが狭まってしまうということは決してあってはならないことだというふうに思いますし、国としても、今回の法案をスタートとして、アイヌの方々が誇りを持って生きていけるようにしっかりと前に進めなければいけないというふうに私も思っています。そういうことを考えながら、幾つか、重なるところもありますけれども、質問をさせていただきます。
 総理が施政方針演説の中でおっしゃいました「アイヌの皆さんが先住民族として」という言葉は、これ、アイヌの民族の復権を目指してこの問題に取り組んできた方々にとっては大変大きな意味を持つ言葉であったということとともに、ようやくスタートラインに立った、そんな思いもあるのではないかなというふうに思います。
 我が国は実に六千八百五十二もの島々の集まりで成り立っている国であり、島国というのは防衛上では大変有効ではあるものの、一方で、陸続きでないため他民族が移住してくるといったことがほとんどなくて、多民族共生といった面では大変遅れた考えの国であったかのようにも思います。
 本法律案で、政府として、内閣官房長官を本部長とし関係閣僚を本部員とするアイヌ政策推進本部が内閣に設置されるということですけれども、具体的にどのようなことが話し合われる予定なのか教えてください。
○国務大臣(石井啓一君) 本法律案におきましては、アイヌの方々の誇りが尊重される社会を実現するため、官房長官を本部長、国土交通大臣を含む関係閣僚を本部員とするアイヌ政策推進本部を内閣に設置をいたしまして、政府一体となって総合的なアイヌ政策を着実に推進することとしております。
 この本部におけます具体的な議事といたしましては、アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、基本方針の案の作成に関すること、基本方針の実施を推進するため、各省庁によるアイヌ施策の取組や省庁横断的な施策に関すること、アイヌの方々のニーズに対応いたしました新たなアイヌ施策の企画立案に関することなどを想定しているところであります。
 今後、アイヌ政策推進本部を中心といたしまして、政府一丸となって、アイヌの方々の声を踏まえてアイヌ施策を総合的かつ効果的に推進してまいりたいと考えております。
○平山佐知子君 このアイヌの民族の歴史を振り返りますと、特に明治時代以降、多くのアイヌの人たちが非常に貧しく、独自の文化を制限した形で生活せざるを得なかったというふうに伺っております。
 本法律案が制定されるに当たっては、アイヌを先住民族と定めるだけの理念法になりかねないという懸念もあった中で、地域振興や産業振興が盛り込まれることによって実体を伴ったアイヌ政策につながるとか、法律の後押しで今まで以上に多くの施策が展開できるといった評価の声も聞かれています。
 そこで伺います。本法律案によって実施される予算措置の概要を教えてください。
○政府参考人(橋本元秀君) 本法律案におきましては、アイヌ文化の振興等に資する環境の整備やアイヌの人々が抱える課題の解決のため、従来の文化振興、福祉施策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた市町村の事業に対して支援を行う新たな交付金制度を創設することとしております。
 そのスキームでございますが、政府が策定する基本方針に基づきまして、市町村がアイヌ施策を推進するための計画、地域計画を作成いたします。これについて、内閣総理大臣の認定を申請いたします。内閣総理大臣が認定いたしました計画に基づく市町村の事業に対しまして交付金を交付するというものでございます。三十一年度予算といたしましては、十億円を計上しているところでございます。
 新交付金につきましては、市町村提案型により地域のアイヌの方々のニーズに対応した事業を幅広く対象とすることを考えており、アイヌの人々と地域住民交流の場の整備であるとか、アイヌの高齢者のコミュニティー活動への支援であるとか、伝統的なアイヌ文化、生活の場の再生支援、アイヌ文化のブランド化推進、アイヌ文化関連の観光プロモーションの実施、アイヌの観光振興、コミュニティー活動のためのバス運営などを対象とするものと想定しているところでございます。
 以上でございます。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 内閣総理大臣の認定を受けた計画に記載された地域、産業、観光振興などの事業の実施に対して交付金を交付するということですけれども、当然、これらは、様々な苦難を乗り越えてこられましたアイヌの人々が本当に必要とするものでなければなりません。
 本法律案第三条第二項におきまして、アイヌ施策の推進は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならないと定められています。
 市町村作成のアイヌ施策推進地域計画についても、アイヌの人々の意見をきちんと聞きながら、その意思を尊重しながら作成、実施していくことが求められるというふうに思いますけれども、国としてどのように市町村に働きかけていくのか、伺います。
○政府参考人(橋本元秀君) 今御指摘いただきましたように、アイヌ施策の推進に当たってアイヌの人々の意見を尊重することについて、基本理念にあるとおりでございます。その基本理念にのっとり、市町村は、国もそうですが、アイヌ施策を策定し実施する責務を有すると、そのように認識しております。
 市町村がアイヌ施策推進地域計画を作成する際には事業の実施主体の意見を聴かなければならないという、そのような規定もございます。事業の実施主体はアイヌの人々が中心になると想定されることから、アイヌの人々の要望や意見が適切に反映されるものと考えております。
 さらに、法案成立後の市町村向けの説明会であるとか市町村から問合せがあった際には、市町村が作成する計画にアイヌの人々の要望や意見を反映するように周知してまいりたいと、そのように考えております。
○平山佐知子君 二〇一七年の北海道アイヌ生活実態調査によりますと、北海道内で把握できたアイヌの総数、これは六十三市町村の一万三千百十八人ということです。しかし、これは北海道内に居住するアイヌの全数ではなくて、アイヌの血を受け継いでいると思われる方であってもアイヌであることを否定している場合は調査の対象とはしていないということでした。
 そこで、基本的なことを伺いますけれども、政府としてどういった基準でこのアイヌの人々を定義されているのか、改めて教えてください。
○政府参考人(橋本元秀君) まず、本法案の骨組みから、恐縮でございますが説明させていただきますと、本法案では、アイヌの人々が先住民族であるとの認識を示すとともに、アイヌの人々が尊重される社会の実現に向けて、従来の福祉施策や文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含む支援を行う新たな交付金制度を創設するなど、アイヌ施策の効果的な推進を図るための各種措置を講ずることとしているところでございます。
 委員からは、アイヌの人々の認定基準に関する御質問をいただきましたけれども、本法案におきます各種措置につきましては、アイヌであるかどうかの個人認定を必要とするような施策は盛り込んでございません。したがいまして、本法案に新たに創設される交付金につきましても、アイヌ文化の振興や地域振興、産業振興等の総合的な施策を推進するためのものであり、交付金は市町村が策定したアイヌ施策を推進するための計画に基づき市町村に対して交付することとなっており、やはり個人認定を必要とするものではございません。
○平山佐知子君 分かりました。
 なぜこういうふうなことを聞くのかというふうにいいますと、本法律案による各種のアイヌ施策、これは当然ながらアイヌの人々がひとしく享受されなければならないというふうに思っています。アイヌであることが明らかなのにアイヌであることを否定している方々の中には、恐らく、過去にアイヌであることによって様々な差別を受けた方もいらっしゃるのではないかというふうに想像します。つまり、そうした方々がアイヌ民族であることを誇りに思えるように国は支援をすべきであるというふうに思っていますし、まして、声の大きな一部の人であったり、アイヌを利用して和人がもうけるといったことになってしまっては本末転倒だというふうに思います。
 今回の予算措置十億円も、どこに、どのように使われて、またどのような効果が出たのか、これをきちんと検証していただいて、冒頭のアイヌ政策推進本部に報告すべきだというふうにも考えますが、どのような監査、検証をしていくおつもりなのか、お答えください。
○政府参考人(橋本元秀君) 御指摘のように、新交付金による事業がアイヌの人々の要望等を踏まえ適切に実施されているかについて検証することは、アイヌ施策を推進していく上で重要であると認識しております。このため、本法案の中におきましては、国は市町村に対してアイヌ施策推進地域計画の実施状況について報告を求める、また計画が認定どおり行われるように、必要があれば是正措置を求めるといったような規定が規定されているところでございます。
 したがいまして、交付金事業がアイヌの人々の要望にかなった適切なものとなるよう、日頃から認定市町村、都道府県、関係省庁と密に意思疎通を図るとともに、毎年交付金事業の実施状況について報告を求めることとし、情報公開等によって透明性を確保しながら、アイヌ施策の効果的な推進を図ってまいりたいと、そのように考えております。
 アイヌ政策推進本部への報告につきましても、委員の御指摘も踏まえ、今後検討してまいりたいと思います。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 もちろん私はアイヌの人々を支援することに反対の立場でこういうふうなことを言っているのではなくて、国民から集めた税金をしっかりと使うという意味で、その使われ方をきちんとチェックしていくのも国の責任だというふうに思います。予算を付けて終わりということではなくて、真にアイヌの人々のためになっているかどうか、その後の行く末に対しても気配り、心配りをまたお願いをしたいというふうに思います。
 次に、アイヌの人たちに対する差別について私も伺いたいと思います。
 アイヌの人々の進学や就職、そして結婚にまでこの差別が足かせになっていたり、自分がアイヌであることを嫌だと感じさせたりしているとしたら、これはアイヌの人々への差別をなくしていくことこそ国が早急に手だてをすべきものであるというふうに思います。多くの人はアイヌという人々がいることは認識はしているんですが、一方で、どういった伝統を持っているのかであるとか和人とどのように関わってきたのかといった歴史的背景はほとんど知られていないんじゃないかというふうに思います。
 やはり、広く国民への理解を深めるためには、特に学校教育の中でアイヌ民族に対する理解を深める取組をすべきだと私も考えていますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(丸山洋司君) お答えをいたします。
 委員御指摘の学校におけるアイヌに関する教育についてでございますが、例えば中学校の社会科では、鎖国下の対外関係を指導する際、北方との交易をしていたアイヌについて学習が行われるなど、小中高等学校において社会科や地理歴史科などでアイヌに関する内容が扱われているところでございます。
 また、平成二十九年及び三十年に告示をしました新しい学習指導要領の中学校社会科や高等学校地理歴史科の歴史総合におきまして、新たにアイヌの文化についても触れることを明記し、先住民族として言語や宗教などで独自性を有するアイヌの人々の文化についても触れるようにするなど、その内容について充実を図ったところでございます。
 さらに、国立アイヌ民族博物館では、修学旅行等で博物館を訪れる学校に対し、アイヌ関係資料等をパッケージとした教材の事前貸出しや団体受入れに係る効果的なプログラムについて検討するなど、児童生徒がアイヌの歴史や文化を分かりやすく興味を持って学習できるような取組について準備を進めているところであります。
 文部科学省では、引き続き、関係府省や関係自治体と連携をしながら、アイヌに関する教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 本当に教育は重要だと思いますので、引き続き一層の取組をお願いいたします。
 一方で、学習指導要領というのは十年に一度の改訂というふうになっておりまして、小中学校においては平成二十九年の三月、高等学校については昨年の三月に改訂されたばかりで、次の改訂まで十年近くあります。十年といいますと小学校高学年の方は成人しているということもありまして、学校教育の場でのこの啓発も、教育、さることながら、一般社会でもこの法律制定を契機にアイヌの人々に対する理解を深めていくということが重要だというふうに思っております。
 政府として、現在までアイヌの人々やその生活に対する理解を深めるためどのような活動をされてきたのか、また、本法律案の制定を契機にどのような取組強化を図っていくつもりなのか、教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(橋本元秀君) これまで政府としてアイヌ文化やアイヌの伝統に関する知識の普及啓発を図るために、先ほど文科省からもお話のありました学習指導要領の改訂のほか、アイヌ民族文化財団が実施するパンフレットの作成やアイヌ文化の体験交流事業などに対する支援を行ってきているところでございます。その結果、アイヌ文化やアイヌの伝統に関する認知度が向上するなど、一定の成果が得られたと認識しております。
 今後は、こうした取組に加え、アイヌ文化の振興等のナショナルセンターとして整備いたします民族共生象徴空間、ウポポイを最大限活用することにより、国内外の方々に対してアイヌ文化やアイヌの伝統のすばらしさを伝え、これらに関する理解を深めるよう努めてまいりたいと存じます。
 さらに、本法案に基づく交付金によりますアイヌ文化に関連した例えば観光プロモーションなどに対する支援を通じまして、アイヌ文化やアイヌの伝統の理解促進に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○平山佐知子君 ありがとうございます。
 アイヌの人々が本当に欲しているこの支援を丁寧に国には行っていただきたいというふうに重ねて申し上げるとともに、また、周知徹底等も含めて真剣に前に進めていただきたいというふうなことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○委員長(羽田雄一郎君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(羽田雄一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木愛君。
○青木愛君 私は、ただいま可決されましたアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党、日本維新の会・希望の党及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
 一 過去の国会決議や本法等に基づくアイヌ施策を推進するに当たっては、我が国が近代化する過程において多くのアイヌの人々が苦難を受けたという歴史的事実を厳粛に受け止め、アイヌの人々の自主性を尊重し、その意向が十分反映されるよう努めること。
 二 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の趣旨を踏まえるとともに、我が国のアイヌ政策に係る国連人権条約監視機関による勧告や、諸外国における先住民族政策の状況にも留意し、アイヌの人々に関する施策の更なる検討に努めること。
 三 アイヌ文化の振興等に資する環境の整備に関する施策の推進に当たっては、アイヌの人々の実態等の把握に努めるとともに、国、地方公共団体等の連携の強化を図ること。
 四 アイヌの人々に対する差別を根絶し、アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と共生社会の実現を図るため、アイヌに関する教育並びにアイヌへの理解を深めるための啓発及び広報活動の充実に向けた取組を推進すること。あわせて、本法第四条の規定を踏まえ、不当な差別的言動の解消に向けた実効性のある具体的措置を講ずること。
 五 アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と我が国の多様な生活文化の発展を図るため、アイヌの人々の生活支援及び教育支援に資する事業や、存続の危機にあるアイヌ語の復興に向けた取組、アイヌ文化の振興等の充実に今後とも一層努めるとともに、アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて、北海道外に居住するアイヌの人々を対象とする施策の充実に努めること。
 六 本法に基づく措置、とりわけ交付金制度については、本法の目的に沿ってアイヌ施策を適正かつ効率的に推進するため、制度の適切な運用を図ること。あわせて、市町村によるアイヌ施策推進地域計画の作成に当たり、アイヌの人々の要望等が十分に反映されるよう、適切な指導を行うこと。
 七 本法において特例措置が設けられる認定アイヌ施策推進地域計画に係る地域団体商標の取得を契機に、アイヌ文化のブランド化の確立や販路拡大などの産業振興を図るため、交付金制度の活用や国等からのノウハウの提供等により、アイヌの人々の自立を最大限支援すること。
 八 内水面におけるさけの採捕や国有林野における林産物の採取といった本法の特例措置に関し、アイヌにおいて継承されてきた儀式の保存又は継承等を事業の目的とする趣旨に鑑み、関係機関との緊密な連携の下、アイヌの人々の視点に立ち、制度の円滑な運用に努めること。
 九 国内外においてアイヌの伝統等に関する理解が一層深まるよう、民族共生象徴空間への誘客促進に向けた広報活動やアクセスの改善等を図ること。また、民族共生象徴空間に関し、適切な運営が図られるよう、指定法人に対する指導監督に努めること。
 十 本法の施行後、本法の施行状況について適時適切に検討を行い、その結果に基づき得られた課題に関し、必要な措置を講ずること。なお、その際にはアイヌの人々の意見を十分踏まえること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(羽田雄一郎君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、石井国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石井国務大臣。
○国務大臣(石井啓一君) アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
 誠にありがとうございました。
○委員長(羽田雄一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会