第198回国会 国土交通委員会 第14号
令和元年五月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     青山 繁晴君     吉田 博美君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     佐藤  啓君     足立 敏之君
     堀井  巌君     末松 信介君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     吉田 博美君     北村 経夫君
     山添  拓君     山下 芳生君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         羽田雄一郎君
    理 事
                井上 義行君
                酒井 庸行君
                中泉 松司君
                青木  愛君
                三浦 信祐君
    委 員
                足立 敏之君
                阿達 雅志君
                朝日健太郎君
                金子原二郎君
                北村 経夫君
                こやり隆史君
                末松 信介君
                高橋 克法君
                中野 正志君
                牧野たかお君
                野田 国義君
                舟山 康江君
                増子 輝彦君
                魚住裕一郎君
                矢倉 克夫君
                行田 邦子君
                室井 邦彦君
                山下 芳生君
                山添  拓君
                平山佐知子君
   国務大臣
       国土交通大臣   石井 啓一君
   副大臣
       国土交通副大臣  牧野たかお君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       阿達 雅志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  浩之君
   政府参考人
       法務大臣官房審
       議官       筒井 健夫君
       外務大臣官房審
       議官       松浦 博司君
       国土交通省海事
       局長       水嶋  智君
       国土交通省港湾
       局長       下司 弘之君
       海上保安庁長官  岩並 秀一君
       環境大臣官房審
       議官       上田 康治君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(羽田雄一郎君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、青山繁晴君、佐藤啓君及び堀井巌君が委員を辞任され、その補欠として吉田博美君、足立敏之君及び末松信介君が選任されました。
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○委員長(羽田雄一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省海事局長水嶋智君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
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○委員長(羽田雄一郎君) 船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○朝日健太郎君 おはようございます。自由民主党の朝日健太郎でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま議題となりました船舶油濁損害賠償保障法、いわゆる油賠法の一部を改正する法律案について本日はお伺いをしてまいります。
 まず、前提といたしまして、本法案は二つの条約締結に向けた国内の整備に関わるものだと認識をしております。これまでの本法案に関わる経緯を見ていくと、国際海事機関、いわゆるIMOにおいて二〇〇一年に採択をされた燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約、いわゆるバンカー条約、そしてもう一つは、二〇〇七年にIMOにおいて採択をされました難破物の除去に関するナイロビ国際条約がありますが、それらの締結へ向けた国内での整備が必要になるわけですが、その前にお聞きしたいのは、この二つの条約は、既に締約国の発効要件を満たし、二〇〇八年、そして二〇一五年にそれぞれ発効をされております。
 そこでお伺いをいたしますが、現在既に多くの国がこの二条約に締結済みでもあるにもかかわらず、我が国の締結が今回この時期になったのはなぜでしょうか、理由をお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の両条約、燃料油汚染損害の民事責任条約、また難破物除去ナイロビ条約を国内法制化するためには、内航船舶にも保険加入を義務付ける必要がございます。我が国は、二〇〇四年に油賠法を改正いたしまして、一定の外国船舶に対する保険加入の義務付けなど、事実上、両条約の内容の一部を実施してきたところでございます。
 一方、当時の調査では、内航船舶の保険加入率は七割にも満たず、中小企業が大半を占める内航事業者に大きな経済的影響をもたらす可能性があると考えられた次第でございます。
 加えて、条約の加盟国数が少ない段階では、裁判所判決の相互承認などの条約締結によるメリットが内航事業者への影響を必ずしも上回るとは思えなかったことから、両条約の締結を見送ってきたところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。理解をいたしました。
 この改正案ですけれども、海難事故等の発生による船舶の燃料油流出による損害や難破物の除去、いわゆる座礁した船の撤去といった損害から被害者の保護を主な目的としているわけですけれども、本法律案に関わる実際の地域社会においてこれまで問題となった事例等をお示しいただきたいと思います。
 また、その際に事故を受けた地域がどの程度の被害、また負担をしたのか、その支援措置として国はどのような対応をしたのか、その後の経過等も併せてお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 船舶の燃料油による汚染損害や難破物除去等の費用による損害に関する最近の海難事例といたしましては、二〇一三年に青森県で発生いたしましたアンファン八号の座礁及び燃料油汚染事故及び二〇一六年に兵庫県淡路島において発生したネプチューン号の座礁事故がございます。
 いずれの事案も保険には加入しておりましたものの、保険会社が船舶所有者の保険契約違反による免責を主張いたしましたことから保険金が支払われず、また、船舶所有者も船体等を放置し続けていたことから、地方自治体が船舶所有者に代わって油の防除措置や座礁船の撤去を行ったという事例でございます。青森県が油防除や座礁船撤去に要した費用は約三億六千万円、兵庫県が座礁船撤去に要した費用は約一億七千万円と承知をしております。
 また、燃料油による汚染損害や難破物除去等の費用による損害に対しましては、被害の発生場所、被害額等に応じまして関係機関により補助金等の支援策が講じられておるところでございます。御紹介申し上げました青森県及び兵庫県の事例に対しましては、いずれも社会資本整備総合交付金における防災・安全交付金事業及び特別交付税により、合計で損害の約六割程度が措置されたものと承知をしております。これにより青森県及び兵庫県の負担の軽減が図られておりますが、加えて、青森県は加害者である船舶所有者に対する損害賠償の請求の手続を進めておりまして、また、兵庫県においても損害賠償の請求を行う方針であると承知しておるところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。加害者がいる中で、こういう無責任な対応のないようにしっかりと進めていただきたいと思います。
 続いて、本法案ですけれども、船舶の燃料油、先ほども御紹介ありました、座礁した船の撤去、こういったことに対する措置を講じるとされておりますけれども、船舶による大きな事故、被害で思い出されるのは、ロシア船籍のタンカー、ナホトカ号があります。平成九年の出来事なんですけれども、日本海沿岸各地に大量の重油が漂着をし、漁業や海域環境へ大きな影響を及ぼしました。その後も巨大タンカーの事故が相次いだとの記録も私は目にいたしました。
 大きな被害が想定をされますタンカーが積荷として運ぶ油についての対策はどのように取られているのか、お聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、タンカーは大量の油を輸送しておりまして、一たび海難事故が発生いたしますと油の流出により甚大な被害をもたらす可能性がございます。このようなタンカーから流出した油による汚染損害への対策として、一九六九年に、国際海事機関、IMOの前身の機関におきまして、油汚染損害の民事責任条約が採択をされております。この条約は、一定のタンカーに対し保険加入を義務付けることや、被害者が船舶所有者ではなく保険会社に対して直接請求できること、また、締約国の裁判判決が他の締約国において承認されること等、今般国内実施をしようとしております燃料油汚染損害の民事責任条約と同趣旨の内容を含んでいるところでございます。
 我が国は既にこの条約を締結済みでございまして、また、条約を国内法制化するため一九七五年に油賠法が制定をされたところでございまして、こうしたことから、タンカーから流出した油による汚染損害につきましては既に現行法において被害者保護のための対策が講じられているところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 今回の法案の資料も拝見させていただくと、船舶による海難事故数は毎年二千隻前後発生しているというデータを拝見いたしました。ナホトカ号等の大規模事故以降、国土交通省の油回収において、この事故の教訓を生かし、体制の強化は不断の努力が必要だと思っております。
 以前、私は、名古屋港に配備、そこで稼働しておりますしゅんせつ兼油回収船の清龍丸を視察をいたしました。平時は航路のしゅんせつ工事を担っているわけですけれども、大規模油流出事故が発生した場合、国土交通省港湾局が所管をする大型油回収船による油防除体制はどのようになっているのか、お聞かせください。
○政府参考人(下司弘之君) お答え申し上げます。
 平成九年一月に、島根県隠岐島沖で、先ほど委員の御指摘もございましたが、ナホトカ号による油流出事故が発生をいたしました。その際、当時名古屋港に配備されておりました唯一のしゅんせつ兼油回収船清龍丸が出動し、油の回収に当たりましたが、名古屋港から現地まで回航するのに四日以上を要しました。
 当該事故を契機といたしまして、平成九年十二月十九日に閣議決定されました油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急計画に基づきまして、大型しゅんせつ兼油回収船を建造いたしました。これにより、名古屋港に加え、新潟港に白山、北九州港に海翔丸を配備するなど、体制の強化を図りました。この三隻により、大規模油流出事故が発生した場合、海上保安庁からの出動要請に基づき、出動からおおむね四十八時間以内に我が国周辺海域の現場へ到達できるよう体制を構築しております。これに加え、閉鎖性海域である東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海、八代海に現在十二隻の小型の清掃兼油回収船を配備し、油の流出の際にはその回収を行ってございます。
 今後も、しゅんせつ兼油回収船三隻及び清掃兼油回収船十二隻により、油流出事故発生時における迅速な汚染防除に取り組んでまいります。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 所管をされる作業船は昨年の自然災害時も大変有効に機能していただきましたので、作業船の整備並びに有事のときに適切な事故対応が行えるよう訓練等、常時から不断の取組をお願いをしたいと思います。
 続きまして、保険会社への直接請求権についてお尋ねをいたします。
 今回の大きな改正点では、本来は被害者が損害賠償を求めるのは船舶の所有者だったわけですけれども、今回の改正で被害者は保険者等へ直接請求が可能となります。保険者にとっては、保障契約の免責事由に該当したとしても損害賠償の支払を求められることとなり、リスク、また負担が高まるかと思います。
 このような負担を強いることによって保険会社の事業運営を圧迫することにならないか、その見解をお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、今般改正によりまして、燃料油による汚染損害や難破物除去等の費用による損害について被害者が保険会社に保険金の支払を直接請求できることとなります。この場合、保険会社が直接請求に応じた場合であっても、保険会社と船舶所有者との間では保険契約違反等による支払免責は引き続き有効でございまして、保険会社は船舶所有者に対し、被害者に支払った保険金と同額を事後的に求償するといった対応を取ることが可能と考えられます。
 また、そもそも本法案の基となります二つの条約につきましては、国際海事機関において、各国代表と共に保険業界の国際的な団体も参加しつつ、十分な議論を経て策定をされたと承知をしておるところでございます。
 さらに、両条約の国内法制化に当たりましては、国土交通省としても、保険業界を構成員に含む検討会などを通じまして御理解を得るよう努めてきたところでございます。その議論に際しまして、保険業界にも御意見などを聴取いたしましたところ、条約に基づく直接請求に対応して保険金の支払をした場合の影響は限定的であり、現時点において当該措置に伴う保険料の引上げも想定していないとのことでございました。
 このようなことから、保険会社の事業運営を圧迫することにはならないのではないかと考えておるところでございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 続きまして、保険契約締結の義務化についてお尋ねをいたします。
 我が国は、これまで独自の措置として、総トン数百トン以上の外航船舶にのみ保険締結の義務化を課し、入港を認めてきたと認識をしております。
 でも、本改正案では、その保険締結の義務化が外航船だけではなく内航船舶にも新たに課せられます。国内の内航海運事業者にとって過度な負担にならないのでしょうか。国内の内航海運事業者の大半は、御説明にあったとおり、中小企業が占めているわけですから、その経営を圧迫することにならないのでしょうか、お答えをください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 この二つの条約上、内航船舶も保険加入の義務付け対象から除外されておりませんところ、両条約を国内実施するためには、我が国でも内航船舶に保険の加入を義務付ける必要がございます。
 また、被害者保護の観点から申し上げれば、内航船舶でございましても、船舶所有者の倒産などにより賠償が十分に果たせないことなどもあり得ることから、保険の加入を義務付けることは望ましいことではないかなと考えておる次第でございます。
 これらの内航船舶が加入する保険の保険料の負担でございますけれども、総トン数のほか輸送する貨物や船齢、事故の履歴なども踏まえて決定されることが一般的でございまして、その額について一概に申し上げることはできないのではありますが、例として、総トン数三百トンの内航貨物船では約百二十万円となるものと承知をしております。
 また、両条約の締結の検討に際しまして、内航海運業界への影響について改めて調査検討を行いましたところ、現在では、総トン数三百トン以上の内航船舶の保険加入率は九割以上まで高まっているということを確認いたしました。このため、本法による保険への加入義務付けによる経済的な影響は限定的ではないかというふうに考えているところでございます。
 関係業界を構成員とする検討会などを通じまして条約の国内実施について議論を行ってきたところでございますけれども、その結果、内航業界からも御理解を得た上で今回の国内法制化を進めさせていただいておるということでございます。
○朝日健太郎君 保険関連でもう一問お願いをします。
 外国船舶が保険に入っていない場合、先ほど申したとおり、我が国の港には入港できないことになっております。しかし、このため、我が国の港に寄港せず、つまり港に入港せず、我が国の領海を無害通航、他国船籍でありましても沿岸国の領海は通航できる権利を有しているわけですけれども、外国船籍は、改正前でも同様ではありましたけれども、保険締結の義務は課せられておらず、こうした船舶が無保険の状態で我が国の領海で仮に座礁若しくは沈没したような場合に、我が国が被害を受ける危険性は依然として残っていると考えております。その上で、国交省の見解をお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、締約国に寄港せず、締約国の領海を通航するだけの非締約国籍の船舶については保険加入を義務付けることはできませんけれども、一つには、両条約が求める保険に加入していない船舶は締約国の港に寄港できなくなるということでございます。また、船舶が寄港する主要国の多くが両条約を締結しておりますので、保険に加入しない場合には、その結果、実質的に国際航海に従事できない状況が生じているということでございますので、非締約国籍の船舶であっても条約上の強制保険を締結するというインセンティブが働くのではないかというふうに考えております。
 したがいまして、無保険船舶によって我が国が被害を受けるおそれは低いものと考えておる次第でございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。理解いたしました。
 ここで一つ確認をさせていただきたいのですが、私はよく海辺でスポーツなどの活動を積極的に行うんですけれども、実際起こってほしくないですけれども、海難事故による燃料油の流出や船舶の座礁等により、沿岸部、また海岸へ被害が及び、海辺の活動や例えば海水浴、その他イベント等へ支障が及んだ場合にも本法に基づく被害者保護の対象になるのでしょうか、お聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 一般論といたしましては、まず、燃料油による汚染が生じたことで海辺の活動により本来得られたであろう利益が失われてしまった場合、本法による被害者保護の措置の対象となるか否かにつきましては、客観的に損害額の算定が可能であるかどうか、また汚染と損害との間に相当な因果関係があるかどうかについて、個々の事案ごとに判断されることになるのであろうと考えております。
 他方で、難破物でございますけれども、この法案におきまして対象としております損害は難破物の除去等の費用による損害でございますため、船舶の座礁が原因となってビーチバレーなど例えばスポーツなどの海辺の活動に被害が及んだ場合であっても、それによる損害自体については本法に基づく保護の対象とはならないと考えております。
 ただ、スポーツなどを行う海岸等におきまして、海域管理のための法律などに基づきまして除去命令が発出された場合に、当該除去などの費用が発生した場合には本法に基づく保護の対象になるんだろうと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。理解をいたしました。
 続きまして、SOx規制について質問をさせていただきたいと思います。
 二〇二〇年一月から、船舶燃料の硫黄分の上限が三・五%から〇・五%へ引き下げられる国際ルールが発効されます。船会社はその対応策を取る必要があるわけですけれども、幾つかあるその対応プランですけれども、硫黄分の少ない燃料、いわゆる規制適合油を使用し、排出規制に適応することが想定をされます。
 しかし、発効まで半年強しか時間のない中で、安全上問題のない従来の燃料ではなく、新たな燃料となる規制適合油の供給が十分に確保されておらず、新燃料によるテスト航行等も十分に実施できていない、そういった心配をする声が海運業界の方からお聞きをいたしました。また、燃料の価格においてもまだ見通しが立っておらず、価格が高騰することによる経営への影響を懸念する声も伺いました。
 国交省としましては、国際社会の責任を果たし、かつ民間活力を減退させることなく支援をする必要があると考えますけれども、SOx規制への認識と現在の取組をお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員から、船舶の燃料油におけるSOx、すなわち硫黄酸化物に関する規制についての御質問をいただきました。
 委員御指摘のとおり、二〇〇八年の海洋汚染防止条約の改正によりまして、来年一月から全世界的に船舶用燃料油中の硫黄分濃度を三・五%以下から〇・五%以下へと規制強化するSOx規制が開始されるということでございます。
 このSOx規制に適合するためには幾つかの対応方法がございますが、LNG燃料船の建造、あるいは排ガス洗浄装置、これはスクラバーと呼んでおりますけれども、そのスクラバーの搭載、あるいは規制適合油の使用による対応が予定をされておるところでございまして、特に、この新しい数値基準に適合する規制適合油に関する課題の解決が極めて重要であるというふうに認識をしております。
 この規制適合油でございますが、動粘度や流動点、少し技術的なお話でございますけれども、こういった油の性状が従来の燃料とは大きく異なることが想定されておりますことから、国土交通省では、船舶の安全運航が可能な性状の規制適合油が安定的に供給できるように、船舶のエンジン、燃料ポンプ、燃料タンクの加熱設備などに関する詳細調査を実施してきたところでございます。その調査結果を受けまして、船舶の安全や運航への影響を最小化しつつ石油業界が安定的に供給できる規制適合油の性状に関しまして、二月に、海運界、石油業界双方の共通認識が得られたところでございます。
 また、海運事業者の皆さんが規制適合油を使用する際に必要となります対策や留意点につきまして、国土交通省でまとめた手引書をこの四月三日に公表するとともに、業界へも周知をさせていただいたところでございます。
 今後、国内で供給予定の規制適合油を用いた実践でのトライアルを早急に実施し、海運事業者が準備に万全を期すことができるよう、現在、関係省庁と準備を進めているところでございます。
 また、こういった技術的な問題に比べまして、コストの問題もあることを認識しております。
 海運事業者におきましては、燃料費がコストに占める割合が極めて大きいために、仮に規制適合油の価格が現在の燃料油よりも大きく上昇した場合に、海運事業者だけでそのコストを負担することは困難だろうと考えられる次第でございます。今回のSOx規制は、そもそも全世界において大気環境を改善し健康被害を低減するためのものでございまして、このような社会全体に貢献する環境規制は、社会全体でコストを負担することが重要であろうと考えております。
 そのため、国土交通省では、今回の規制対策に伴って生じる環境コストの適切な配分のため、内航海運事業における燃料サーチャージ等ガイドラインというものを作成をいたしまして、四月四日に公表したところでございます。
 また、SOx規制強化とそれに伴う影響につきまして、荷主さんも含め広く社会の理解を得る必要があると考えておりまして、このため、四月二十三日には、経団連、関係業界との共催でシンポジウムを開催するなど情報の発信に努めているところでございます。
 技術的な検証に加えまして、こうした荷主企業を始めとする国民の皆様への環境規制の理解の醸成などを通じまして、二〇二〇年からのSOx規制に円滑に対応できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 御説明ありがとうございます。一日も早く環境を整備して、規制発効への万全の備えをお願いをしたいと思います。
 先ほど、SOx規制の対応策の中でLNG燃料への代替策の御説明をいただきました。LNGに関しましては、我が国は世界でも最大の輸入国でもあります。そういった背景もあり、重油を使用する従来の船舶と比較をして環境負荷の小さい船舶でありますLNG燃料への切替えは重要だと考えております。
 海洋立国であります我が国において、海運、造船、港湾、こういった国際競争力強化の観点でも重要だと思っておりますけれども、実際のLNG燃料船の導入状況、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 LNG燃料には硫黄分が含まれておりませんので、SOx、硫黄酸化物や、PM、粒子状物質がほとんど排出されないということでございまして、SOx規制に適合するための有効な対策の一つとなります。また同時に、LNG燃料は、化石燃料の中でCO2排出原単位が最も少ない環境に優しい燃料であるとも言われております。
 LNG燃料船の導入に当たりましては、既に技術的な課題はなくなっているものと考えておりますが、実際の導入に際しましては、その船価に加えまして、委員御指摘のとおり、LNG燃料の市場価格によって民間の投資判断が左右されると承知をしております。
 LNG燃料船は、諸外国では、二〇一八年九月の時点の調査でございますが、北欧を中心に約百五十隻が建造されていると承知をしております。また、日本では、二〇一五年に建造されましたLNG燃料のタグボート、「魁」という船でございますが、この船を皮切りに、今年二月には二隻目のLNG燃料タグボート「いしん」が竣工しております。
 加えて、昨年度より、環境省と連携をいたしまして、先進的なLNG燃料船によるCO2排出量の大幅削減を図るモデル事業を実施しておりまして、大型貨物船を含む三隻が本事業で実証を行う予定としております。
 SOx規制や、二〇一八年の四月に国際海事機関、IMOで採択されましたGHG、グリーンハウスガス削減戦略に適切に対応するためには、LNG燃料船の普及促進が重要であると考えておりまして、国土交通省といたしましても、こうした施策を通じて普及拡大に努めてまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 LNG燃料船の普及を促進するためには、世界的にLNG燃料を供給する体制、いわゆるLNGバンカリングの体制が整備されることが重要だと考えております。このような中で、我が国国内においては各地にLNG基地が立地をしているなど、LNG燃料を供給する体制を整備する上で大きなポテンシャルを有していると考えております。
 こうした我が国の優位性を生かしてLNG燃料の供給拠点の形成を世界的にリードしていくことが国際競争力の強化につながると考えておりますけれども、我が国の港湾においてLNGのバンカリング体制の整備に向けた取組をお聞かせください。
○政府参考人(下司弘之君) お答え申し上げます。
 環境負荷の少ないLNGを燃料とする船舶の普及促進のためには、委員御指摘のとおり、船舶へのLNG燃料の供給、すなわちLNGバンカリングの体制の世界的な構築が重要と考えてございます。また、我が国港湾においていち早くLNGバンカリング拠点を形成することで、LNGを燃料とする船舶の寄港が促進され、国際競争力の強化にもつながると認識してございます。
 このため、国土交通省では、LNGバンカリングに必要な施設整備に対する補助制度を創設し、これにより、現在、伊勢湾、三河湾及び東京湾において、二〇二〇年度中の供給開始を目指してLNGバンカリング船の建造及び運航準備が進められております。
 また、LNG燃料船の普及促進のためには、御指摘のとおり、LNGバンカリング拠点の国際的なネットワーク構築が重要であるとの認識の下、各国港湾当局間での国際連携を推進しております。
 国土交通省といたしましては、引き続き、LNGバンカリング拠点の形成促進により、LNG燃料船の普及促進とともに港湾の国際競争力強化を図ってまいりたいと考えております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 引き続き、整備をお願いしたいと思います。
 牧野副大臣、済みません、時間となりましたので、申し訳ございません、通告をしていたにもかかわらず。
 以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
 本法案は、海難等で発生した燃料油による汚染や難破物除去の費用による損害について、被害者が保険会社に直接請求できるようにすることを中心とするものであります。国際条約の国内法化により賠償が確実にされることを目的とするものであり、我が党も賛成をいたします。
 保険会社への直接請求が可能になることによって、被害者は因果関係のある損害全てについて賠償を受けることができるようになるんでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、本法案におきましては、船舶から流出等した燃料油による汚染損害及び難破物の除去等の費用による損害について、船舶所有者にその賠償責任が発生した際、被害者が直接保険会社に対して損害賠償額の支払を請求することができることとしております。
 条約におきましては、被害者から直接請求を受けた保険会社が船舶所有者による保険契約違反を理由として被害者に対する支払を拒むことができないよう、保険会社の抗弁内容を制限しております。
 一方、直接請求によって、被害者があらゆる原因によって生じた損害に係る賠償を受けることができるわけではございません。
 具体的には、条約に基づきます今回の油賠法第三十九条などにおきまして保険会社が免責される場合が規定をされておりまして、例えば戦争や異常な天変地異等により損害が生じた場合には、保険会社は被害者に対し賠償を免責することができるとなっている次第でございます。
○山添拓君 必ずしも全額が賠償されるとは限らないということで、これはいろんなケースがあり得るかと思います。
 そこで、海難等による損害が全額賠償されない事態が生じ得るということが現に問題になっているケースについて御紹介をしたいと思います。
 昨年十月二十二日未明、山口県周防大島と本州を結ぶ大島大橋にドイツの海運会社が所有する大型貨物船が衝突をし、送水管が切断され、町内全域が四十日にわたって断水となり、交通規制も行われ、一万五千人余りの町民の日常生活が大混乱に陥りました。
 断水で食器を洗うために河原の洗い場まで何度も往復をしたとか、ミカン狩りのシーズンでしたが宿泊客のキャンセルが相次いだとか、道の駅や土産物屋で収入が八割も減ったと。あるいは、水運びが大変で、それが続いて、腰痛によってコルセットを付けたと、こういう健康への被害まで生じたと伺っております。
 海事局においてどのような被害を承知しておりますでしょうか。被害内容や被害額について御説明ください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 この事案でございますけれども、委員御指摘のとおり、二〇一八年十月にマルタ籍の貨物船、エルナ・オルデンドルフ号が山口県の周防大橋と本州を結ぶ大島大橋に接触をいたしまして、橋を通る水道管、光ファイバーケーブルを損傷させ、自治体や住民の皆様に損害が発生した事案であると承知をしております。
 今回の事故によって、大島大橋の通行規制が行われ、車、人、物の移動が大幅に制限されますとともに、町全域に及ぶ断水が四十日間にも及び、町民の皆様の日常生活に大きな影響が生じたと。これは周防大島町議会からの意見書に記載されておりましたので、そういった内容を私どもとして承知している次第でございます。
 また、被害額について、当該意見書によりますと橋や送水管の復旧費が約二十八億円とされておりまして、さらに、町内の民間事業者が被られた被害、町民が受けられた被害を合わせますと、その総額は相当な規模に上るとこの意見書には記載されておると承知をしております。
○山添拓君 この橋の復旧工事、今ボルトの不足で遅れておりまして、現在も夜間の片側交互通行が続いているそうであります。
 橋桁までの高さが三十メートルの海域ですが、四十二メートルの船が通過しようとしてぶつかって事故が起きたと、こうしたケース自体かなり珍しいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(水嶋智君) 珍しいと思います。
○山添拓君 事故について、船会社は船主責任制限法に基づく賠償額の制限を裁判所に申し立てまして、今年二月、広島地裁は、上限額を二十四億五千万円と決定をいたしました。住民や事業者は六月十四日までに裁判所に手続への参加を届け出る必要がありまして、届け出た後は上限である二十四億五千万円余りの範囲の中で損害額に応じて案分をされていくということになるんだと、こう伺っております。今御紹介ありましたように、橋と送水管の復旧費用だけで二十八億円と言われており、断水で休業したホテルやお店あるいは個人が賠償を求めますと、更に足りなくなることが懸念をされております。
 法務省に伺います。
 船主責任制限法三条において船主の責任を一定限度に制限している趣旨は何でしょうか。また、この責任制限には例外や制限が及ばない損害というものがあるんでしょうか。
○政府参考人(筒井健夫君) お答えいたします。
 船主責任制限法は、船舶の運航等に直接関連して生ずる人的損害や物的損害に基づく債権などにつきまして、船舶所有者などの責任を制限することができることを定めております。この法律の趣旨は、海運業が多額の資本の投下を必要とし、かつ船舶の運航という危険性の高い産業であることに鑑み、海難事故が起きた際に船舶所有者等の責任を制限することにより海運業の適正な運営と発展を図るという点にございます。
 また、このような船主責任制限制度は古くから各国において採用されてきたものでありまして、海運業は国際的な性格が強いことから、我が国のみがこの制度を採用しないことは実際上困難であるという面もございます。
 もっとも、船主責任制限法は責任制限の例外を設けておりまして、例えば故意によって生じた損害に関する債権でありますとか、損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為によって生じた損害に関する債権につきましてはその船舶所有者等の責任を制限することができないこととしております。
 また、船主責任制限法は、人的損害及び物的損害に関する債権のいずれについても責任を制限することができることとしておりますが、物的損害に関する債権のみについて責任を制限することもでき、この場合にはその責任の制限は人的損害に関する債権には及ばないことになります。
○山添拓君 県は、地裁の決定を不服として即時抗告をしております。無謀な行為ではないのかと、こういう問題も問われているんだと思います。
 人の損害、身体的な損害も甚大で、町によりますと、昨年の十二月までに三つの町立病院を七十四人が受診し、十五人が入院をされていると。骨折二十四件、関節痛五十件だったといいます。
 広島地裁からの通知文書によりますと、本件では物の損害に関する債権のみを対象として、人の生命、身体の損害に基づく債権は別だとされているといいます。これは、医療費や慰謝料というのは限度額の範囲とは別に認められる可能性もあるということになるんでしょうか。
○政府参考人(筒井健夫君) そのように理解しております。
○山添拓君 そういうことで、本件について責任制限が確定したというわけではありませんけれども、船主責任制限法によって船主の損害賠償責任が制限される、これは国際的な問題もあり背景としては理解をいたしますが、その一方で、これを超える損害が生じ得る、この場合に上限額を超える損害についての救済を国交省としてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 先ほど来法務省の方で御答弁をいただいておりますとおり、船舶が原因となって生じた損害に対する船舶所有者の責任につきましては、船舶の総トン数に応じて一定の責任限度額まで制限することができる船主責任制度というものがございます。この法律に基づきまして、船舶所有者等が責任制限を裁判所に申し立て、裁判所が責任制限を相当と認める場合には被害者が受けた損害全額の賠償を得られないこともあるとも承知をしておるところでございます。
 しかしながら、本件のような船舶事故が発生した際の損害賠償請求につきましては、民事上の問題として被害者と加害者の間の当事者間で行われるということでございますので、即座に国による直接的な支援などは難しいと考えておるところでございます。
○山添拓君 国による救済は難しいということで先におっしゃっているんですけれども、先ほども御紹介のあった周防大島町議会の意見書、二〇一八年十二月十七日付けで、大島大橋損傷事故によって発生した被害・損失に係る損害賠償請求及び被害者の救済支援に関する意見書を決議して、衆参議長、内閣総理大臣、国交大臣などに提出をされております。ここでは、仮に船主責任制限法が適用され賠償額に制約が掛かった場合には、責任限度額を超える被害や損害に対して国による財政的な支援措置を検討するよう配慮することや、今後こうした事態が生じた場合の国内での救援法の整備など、被害者が不当な負担を強いられることのないような措置を求めております。
 これは大臣に伺いますが、国としてどのようにお応えになりますか。
○国務大臣(石井啓一君) 意見書の中では、本事故により町民の方々の日常生活に大きな被害を及ぼすとともに町の観光業、農業、漁業、商工業に対し経済的な悪影響を与えたとされております。
 本件に関する損害賠償につきましては、海事局長の答弁で述べましたように、民事上の問題といたしまして被害者と加害者の当事者間で議論が行われるべき問題であり、国による直接的な支援等は難しいと考えております。まずは、加害者側が被害者に対し誠意ある対応をすることが重要と考えております。
 また、損害賠償に関しましては、現在、裁判所において船主責任制限に関する手続が進捗していると承知をしておりまして、いずれにいたしましても、今後とも、必要な情報の提供など、可能な限り被害者へのサポートを行ってまいりたいと考えております。
○山添拓君 加害者が責任を負う、これは当然なんですね。しかし、それが法律によって制限される可能性がある、そういうケースでその救済をどうするのかが問われていると思います。
 高齢化が進む中で、水を運ぶというのは本当に重労働です。給水場所も限られていたということで、地域では助け合いが広がったと伺います。町の職員や消防団や、あるいは民生委員の皆さんやボランティア、近隣の自治体からの支援で何とか困難を乗り越えてきたのだと伺いました。何の責任も住民にとってはない、それなのに加害者から謝罪もない、割り切れない気持ちだと、このまま泣き寝入りはしたくない、こういう思いが多くの町民の皆さんに共通してあり、誠意ある謝罪と賠償を求めて諦めずに請求しようと立ち上がっている方々がおられます。それでも法律で賠償が制限されることがあり得るのだと、こういう問題であります。
 この事故は船による衝突に起因しておりますけれども、この法案に戻りまして、座礁などによって燃料油が排出された場合には補助金の制度があると伺っております。地方自治体が油の防除作業を行う費用についてその二分の一を国が補助するというものです。その補助要件は、油防除作業の費用を船舶所有者から徴収するのが困難であると大臣が認めるときとされております。
 この困難なとき、ここには作業費用が船主責任制限法による限度額を超えるような場合も含まれているんでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、外国船舶油等防除対策費補助金という補助金がございます。この補助金は、外国船舶の座礁等により燃料油が排出された際、外国船舶の所有者が地方自治体に対し汚染損害等の賠償を行わなかった場合に、油防除費用の二分の一までを予算の範囲内で補助するものでございます。この場合、船主責任法による限度額を超えるか否かにかかわらず、防除作業に要した費用は全て補助の対象となるということでございます。
 なお、二〇〇八年の三月に明石海峡航路におきまして多重衝突事故が発生し、ゴールドリーダー号という船が沈没をいたしまして燃料油の流出による被害が発生した事案がございましたが、その際には約七億円がこの補助金から支払われたということでございます。
○山添拓君 御紹介いただきました油による汚染損害については、限度額を超えるか否かによらず使える補助金があるということです。これ総務省によりますと、残りの二分の一の自治体負担分については、地方交付税交付金が使えるということでもありました。
 周防大島のような衝突事故による被害の拡大というのはまれなケースであると思いますが、甚大な被害がある一方で、国際ルールのために被害の救済が徹底されない可能性もあるのだと、こういうケースについては、燃料油の場合も参考に被害救済の仕組みを検討いただきたいと、このことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○青木愛君 国民民主党の青木愛です。
 早速質問に入ります。
 日本は四方が海に囲まれた海洋国家でありまして、貿易量の九九・六%を外航海運が担っております。船舶による海洋事故、また海洋汚染はまず軽減に努めるべきですが、同時に、万が一の事故への対処として、被害者及び海洋環境を保護する仕組みをしっかりと構築しておかなければなりません。
 燃料油汚染損害の民事責任条約は二〇〇八年十一月に、また難破物除去ナイロビ条約は二〇一五年四月にそれぞれ発効しておりますが、我が国がこの両条約に締結するのは今回ということになります。
 この両条約に関します国内法制化が遅れた理由については先ほど御答弁ありました。加盟国がまだ少ないこと、内航船舶への配慮など御答弁がありましたが、加えて、更に理由があれば教えていただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 繰り返しの内容が含まれているかもしれませんけれども、改めて整理をしてお答えをさせていただきます。
 我が国は、まず両条約が発効する以前の二〇〇四年に油賠法を改正いたしまして、一定の外航船舶に対する保険加入の義務付けなど、事実上、両条約の内容の一部を実施してきたところでございます。この結果といたしまして、日本近海での放置座礁船事案が大幅に減少したということもございまして、両条約の発効時点では、その国内法制化に際して新たに保険加入を義務付ける必要のある内航船舶の所有者への経済的影響の可能性や、条約締結のメリットを総合的に考慮して、両条約の締結の判断には至らなかったということでございます。
 しかしながら、近年、船舶所有者が保険に加入しているにもかかわらず、保険契約違反を理由に船舶所有者に保険金が支払われず、結果として被害者に補償されない事例が発生をしておりまして、被害者保護のために更なる対応が求められる状況になってきているところでございます。
 この法案によりまして両条約を国内法制化いたしますと、被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を直接請求することができるということでございまして、被害者の手厚い保護が図られるということになります。
 また、先ほども申し上げましたが、内航船舶の保険加入率は二〇〇四年の時点では七割未満でございましたが、現在では九割以上まで高まっているということでございまして、現時点での保険加入義務付けによる経済的影響は限定的と考えられますので、内航事業者の皆さんからも条約への加入と国内法制化について御理解を得ることができたということでございまして、今般この法案を国会にお諮りする次第でございます。
○青木愛君 ありがとうございます。
 今御答弁にありましたように、両条約の対象になります内航船舶について、この条約に基づく保険金額を満たしている保険加入率が既に九〇%に及んでいるというふうに伺っています。本法律案の施行に伴いまして、あとの残りの一〇%もこれ強制加入ということになろうかと思います。その実施方法について伺いたいと思いますのと、また、既に保険に加入をしている船主についてもまた新たな申請が必要になると伺っておりますが、その際の書類の作成ですとか手続など負担にならないのかというところを心配しておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 私どもが二〇一七年に実施をいたしましたアンケート調査では、内航船舶の九割弱が改正後の油賠法で求められる金額を満たす保険に加入をしているということでございました。また、保険金額自体は条約が求める額を下回る場合であっても、保険に加入している船舶全てということであれば、既に九割を超える船舶が保険に加入している状況にございまして、これは荷主さんからの要請によるところも大きいというふうに聞いております。
 今般の油賠法の改正によりまして、適切な保険金額の保険に加入をしなければ内航船舶は運航が認められないということでございますので、内航船舶の所有者の方々におかれましては自主的に当然保険に加入していただくということが期待されるわけでございますけれども、法の施行まで十分な余裕を持って、この法律案の趣旨及び内容について引き続き関係者の皆様に周知を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 また、委員御指摘の証書の件でございますけれども、本法案では保険に加入していることを証する証明書を国土交通省が交付をすることとしておりまして、この証明書が備え置かれていなければ内航船舶を含む日本籍船舶は航海に従事することができません。したがいまして、既に保険に加入していらっしゃいます船舶所有者におかれましても、国土交通省に対して証明書の交付申請を行っていただく必要が生じることとなります。
 この具体的な手続などにつきましては、今後、政省令の整備において詳細を決定していくということでございますけれども、その際には、関係業界の皆さんの御意見も伺いながら、過度な負担が生じぬよう準備を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○青木愛君 今後、毎年の申請になるというふうに伺っておりますので、今おっしゃったように、過度な負担にならないようによろしくお願いしたいと思います。
 次の質問ですが、燃料油汚染損害の民事責任条約、これについて、条約締約国の裁判所が下す判決の締約国間の相互承認が規定されるわけですけれども、日本の裁判所が下した判決がほかの締約国においても承認をされるということになりまして、日本の被害者にとっては外国で再度裁判するという負担がなくなりますので、賠償の確保が図られます。
 この改正は被害者保護というところに重点を置いているということで、これは大変良いことだというふうに思うんですが、他方で、外国で下された判決が日本にも効力を及ぼすことにもなります。他国での判決を受け入れるということにおいて、裁判制度の違いですとかあるいは国情の違いなどによって日本にとって不利な判決が下される心配はないのかなというところを懸念いたしますが、万が一の場合、どのような対処ができるのかというところをお伺いしておきたいと思うのと、それから、この燃料油の汚染損害についてはこの相互承認、適用されるんですけれども、難破物除去に関しては適用されないこととなっておりまして、この難破物除去、難破物被害に関しての裁判の場合、これはどうなるのか、その二点、併せてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(松浦博司君) お答え申し上げます。
 初めに、燃料油汚染被害の方でございますけれども、この条約上、どのような汚染損害であれば賠償請求が可能かということについては条約の上で明確に定義されておりまして、極めて範囲が限定されておるところでございます。それから、同じく、船舶所有者や保険者がどのような場合に責任を免れるかという免責事由、こちらの方も条約上明確に規定されているところでございまして、締約国は、条約に規定する免責事由以外を免責の理由として認めてはいけない、また逆に、これらの事由に該当する場合には必ず免責しなければいけないということが条約上の義務として定められているところでございます。
 これらの条約の規定に従いまして、各締約国としては、それに則した国内法を整備するということになってございます。この整備が進んでいるということが考えられますために、統一的な国際ルールが適用される結果、問題のある判決が下されるリスクというのは低いというふうに考えてございます。
 さらに、それに加えてでございますが、燃料油汚染被害に関わる賠償の債権につきましては、船舶所有者等の責任を一定額まで制限するという制度が国際的に認められているところでございます。この制限を超えるような賠償が請求されるということは非常に考えにくいところでございまして、したがいまして、法外な賠償額が請求されるというリスクは低いというふうに考えています。
 万一、政治的事情とか制度の違いに基づいて条約とそごのある判断が下されるといった場合があるとすれば、その場合には、その判断を下す、判決を下した国の側が条約違反を行っているということでございまして、そのような訴訟はこの条約に基づく損害賠償請求訴訟には該当しないという整理ができると思いますので、日本は、したがって、そのような判決を承認したり執行したりする義務を負うものではないというふうに考えてございます。
 次に、難破物の除去でございますけれども、これは委員御指摘のとおりでございまして、ナイロビ条約上、締約国の判決を承認するという義務が課されているものではございません。したがいまして、通常の外国判決と同様に、各国の国内法に従って個々の事例ごとに判断するということで、必ず承認されることが確保されるわけではございません。
 しかし、このナイロビ条約も油汚染の条約と同様に、保険者に対して被害者が直接請求するという制度がございまして、この規定は条約上の義務として置かれているところです。実際に、国際航海に従事する船舶の多くは、条約に則した対応を保険約款等にあらかじめ規定している、言わばひな形でございますが、そういうひな形を採用している国際保険団体に加盟している保険会社と契約しているというのが趨勢、実態でございまして、そのような現実を踏まえますと、保険者に直接請求する道が確保されてございますので、この結果、費用の支払が確保されないようなリスクは現実には低いというふうに考えてございます。
○青木愛君 ありがとうございます。
 やはり日本は四方を海に囲まれておりますので、近隣諸国とのいろいろなトラブルが可能性としてあるかなと思ったので、国際的なルールにのっとって公平な判断が下されるということを今確認させていただいたので、よかったかなというふうには思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 難破船や難破物、この所有者を特定できない場合なんですが、この難破物を処分をして得た費用、これを撤去費用の一部に充てることも考えられるということでありまして、その場合の手続について、細かい点ですが、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 海域の管理に関する法体系では、それぞれの区域における座礁船等に対しまして、各管理者等が必要な撤去命令を発出することができることとなっております。
 当該船舶の所有者が自ら撤去を行わない場合、管理者が座礁船等を撤去することとなりますが、所有者が特定できない等の理由から撤去費用の回収ができないときにつきましては、関係法令の規定に基づきまして、一定の条件を満たせばこれを売却して撤去費用に充てることができるようになっております。
○青木愛君 その場合の手続についてもお聞かせいただいてよろしいですか、どのくらい保管しておかなくちゃいけないかとか。お願いします。
○政府参考人(水嶋智君) 手続でございますけれども、先ほど申し上げましたように、海域の管理に関する法体系がそれぞれございます。例えば、港湾区域でございますと港湾法でございますとか、あるいは海岸区域でございますと海岸法でございますとか、それぞれの海域を管理する法令がございます。
 それぞれの法令に基づきまして処分権者が除去の命令を出すような法体系になっておる次第でございますけれども、この法律の中に詳細なそれぞれ手続が規定をされておりまして、内容が相当細かくなってしまうんですが、一定の期間等を経過した場合にはその売却等ができ、その売却については、売却した代金については売却に要した費用その他に充てることができるという具体的な規定が各法体系の中で規定されているところでございます。
○青木愛君 承知しました。
 今回の改正によりまして、損害を受けた被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を直接請求できるということになります。また、保険会社は船舶所有者の契約違反を理由に被害者からの請求を拒めないということになります。
 被害者救済の観点からは評価すべき改正ではありますが、その分、保険会社のより多くのリスクを背負うということにもつながります。保険会社は、経営上、保険料を値上げするのではないかという心配の向きもございます。また、保険加入の審査が厳しくなるのではないかということも考えられます。そのことがひいては船舶所有者のまた負担増にもつながってくるということになりますけれども、その点についてお伺いをさせてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 今般の改正によりまして、燃料油による汚染損害や難破物除去等の費用による損害について、被害者が保険会社に保険金の支払を直接請求できるようになるということでございまして、その際、保険会社は船舶所有者との間の保険契約に基づく免責を主張した支払拒否ができなくなるというのは委員御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、保険業界に聴取をいたしましたところ、両条約を既に締結済みの国へ入港する船舶への保険付保の実績などから勘案して、我が国で条約に基づく直接請求を措置した場合の影響は限定的であり、現時点において、当該措置に伴う保険料の引上げも想定していないということでございました。したがいまして、保険料の値上がりによる船舶所有者への負担増も生じないものと考えておるところでございます。
 また、この条約の国内実施につきましては、関係業界を構成員とする検討会などを通じまして保険業界や内航海運業界の皆様からも御理解を得ながら、この国内法制化を進めているところでございます。
○青木愛君 この日本に寄港します外国船舶、加入する保険会社は様々と思いますけれども、いずれも信頼に足る会社なのかどうかというそもそものところでありますけれども、直接損害賠償請求をしても支払われない可能性もあるのではないかというふうに懸念をするわけなんですが、この保険会社の選定については何か取決めなどがあるのでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 この法律上の義務を満たすためには、有効な保険に加入していることを示す証明書を保持していただく必要がございますが、現行法上、我が国が船舶所有者への保障契約証明書の交付を判断するに当たって、保障契約を締結する保険会社に要件を設けているところでございます。具体的には、日本船主責任相互保険組合や日本漁船保険組合のほか、保険業法で認められている損害保険会社を要件を満たす保険会社として定めているところでございます。
 また、このほか外国の保険会社につきましては、保険の付保実績や事故時の支払における問題の有無等について確認の上、保障契約に係る業務を的確に遂行できると認められる保険会社についてのみ証明書を交付しているところでございます。
 これらの対応によりまして、適切な保険会社を選定していただくことができるものと考えております。
○青木愛君 分かりました。ありがとうございます。
 保険者等への直接請求についてなんですが、先ほども質問にございました、第三十九条二の中で免責事項がございます。その中で、異常な天災地変、あるいは悪意、この点について具体的に御説明をいただきたいのと、またテロはこの免責条項に含まれるのかどうか、確認をします。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の事項につきましては、条約の規定を受けまして、改正後の法第三十九条等におきまして、異常な天災地変や、専ら当該船舶所有者及びその使用する者以外の者の悪意などによって生じた損害の場合、船舶所有者は免責となる旨を定めておるところでございます。
 この異常な天災地変でございますけれども、どういう場合を想定しているかということでございますが、例外的で不可避的かつ不可抗力的な性質を有する自然現象を意味しているということでございまして、具体的な事例といたしましては、突然の海底火山の噴火などが該当すると考えられるということでございます。一方で、例えば台風などのように予測できるものにつきましては、ここに言う異常な天災地変には該当しないと考えておるところでございます。
 また、次に、第三者の悪意でございますけれども、これは害意という意味であると理解をしておるところでございまして、具体的には、船舶所有者のコントロールの及ばない者が積極的に損害をもたらすことを意図した行為として船舶の燃料油を故意に流出させるような事例が該当するというふうに考えます。
 また、委員御指摘のテロということでございますが、これ、実際にどのような行為が行われたのかということが分かりませんと、あくまで仮定の議論というふうになりますのでお答えしにくいところでございますけれども、先ほど申し上げましたような第三者の悪意により生じた損害として免責事項に該当する可能性が一般論としては高いのではないかなと考えるところでございますけれども、最終的には、いずれにいたしましても、個別具体の事案として裁判所が判断を行うものであろうと承知しているところでございます。
○青木愛君 ありがとうございます。
 続きまして、こういう場合はどうなのかなというところをお伺いしておきたいと思いますが、船舶と船舶の衝突事故などで破損した難破物被害あるいは燃料油の流出被害が発生した場合に損害賠償はどこに請求するのかというところなんですが、例えばその被害を与えた船舶にはその衝突の主たる責任がない場合、相手の船舶に衝突の責任があるというふうな場合はどうなるのでしょうか。その点についてお聞かせください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 本法案では、複数の船舶が衝突した場合において、委員御指摘のような、その衝突については非のない船舶が座礁、沈没などをいたしまして、又は燃料油汚染損害などを生じさせたような場合、こういった場合につきましてもその当該船舶の所有者が除去等の費用や損害の賠償について責任を負うこととなりまして、陸側の被害者が請求する相手方はこの当該船舶の所有者ということになるということでございます。
 他方、この法案におきましては船舶所有者が第三者に対して求償する権利を否定しておりませんので、被害者に損害賠償を支払った船舶の所有者は、衝突について相手側の船舶に非がある場合には、当該船舶所有者等に対しまして除去等に要した費用や燃料油による汚染損害について損害賠償を請求することになると考えられます。
○青木愛君 分かりました。あくまでも、まず第一義的には被害者保護ということが優先されるということだと思います。
 次に、海上保安庁の船舶について伺いたいと思いますけれども、海上保安庁の船舶が過失が認められて沿岸ですとか漁業者に対して被害を与えた場合はどうなるのか、また、それが異常気象であったり、例えば万が一第三国からの攻撃などで海上保安庁の船舶が破損し沿岸に被害を与えた場合などを想定したときの損害賠償というのはどうなるのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(岩並秀一君) お答えいたします。
 海上保安庁の船舶が損害を与えた場合の損害賠償としましては、国家賠償法に基づき損害賠償を行うことが考えられるところでございます。国に国家賠償法上の責任が生ずるか否かにつきましては、個別具体的な事案に応じて裁判所が判断すべきことでございますので、一概に申し上げることは困難でございますが、一般論としましては、国の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつきまして故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には国家賠償法の責任が生ずると考えられるところでございます。
○青木愛君 分かりました。海上保安庁に過失がない場合、異常気象であったり、あるいは万が一攻撃に遭ったりといった場合に、例えばそれで被害を受けた自治体ですとか、あと漁業者というのは損害を請求する先がないということになろうかと思うんですが、それでいいのでしょうかというところなんですけれども、国としては何らかの救済策も併せて考えておくべきではないかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(岩並秀一君) いずれにいたしましても、海上保安庁の船舶が損害を与えた場合に国家賠償法に基づく責任が生ずるか否かにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、国の公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うにつきまして故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には国家賠償法上の責任が生ずるということでございます。
○青木愛君 過失がある場合は国家賠償法の適用が考えられるということなんですが、過失がない場合の状況についても今後検討していく必要があるのではないかということで申し上げました。
 次に、日本海側の海岸に北朝鮮籍と思われる木造の漁船が漂流、漂着する映像をよく見るわけですけれども、こうした漁船が我が国に漂着、漂流した最近の件数をまずお聞かせをいただきたいと思いますのと、そうした小型の木造船あるいは木片等の漂着物についてはどのように処理をするのか、また撤去費用は誰が負担をするのか、あるいは、北朝鮮もこの条約に批准はしておりますけれども、大きな船舶、百トン以上、持っているとは思うんですけれども、そもそも日本とは国交がないわけでありますけれども、こうしたケースについてもどのように考えておられるのか、併せてお聞かせいただければ有り難いなと思います。
○政府参考人(岩並秀一君) 件数につきましてお答えさせていただきます。
 北朝鮮からのものと思料されます漂流・漂着木造船などは、昨年一年間で二百二十五件確認されております。また、今年に入りましてから五月二十二日正午までに五十九件確認されております。
○政府参考人(水嶋智君) この処理の問題についてお答えを申し上げます。
 漂着した北朝鮮からのものと見られます漂着木造船などが所有者不明のごみとして扱われる場合には、海岸管理者である市町村や道府県がその処理を行っているものと認識をしております。そうした処理に係る費用の負担につきましては関係する地方自治体が負担することとなりますが、環境省の補助制度によりまして、実質的に地方自治体の財政負担が生じないような措置が行われているものと承知をしております。
 また、一般論でございますけれども、我が国の行政機関が、関連する国内法令に基づきまして、小型木造船等の漂着物の処理に係る行政代執行を行い、その費用の支払命令をその所有者に対して発出するということは可能でございますけれども、その支払命令の効力はあくまで国内において法的な効力を有するということでございますので、北朝鮮を含め国外においてその命令に基づいて費用を徴収することは困難ではないかと考えておるところでございます。
○青木愛君 今、環境省の海ごみ補助金の一部として、補助金で対応しているというふうに伺っております。今後、海洋国家日本として、様々なケースを勘案しながらまた検討していくべき点もあろうかなというふうに思っております。
 時間となりまして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
 既に外国船舶に対しましては、いわゆるポートステートコントロールにおきまして、保障契約証明書の備置きの確認が行われているものと承知をしております。この度の改正に伴いまして、また負担も増えるのではないかなというふうに推察いたしますけれども、外国船舶監督官の人数が、平成三十年と平成三十一年で比較しますと、関東運輸局は二十六名から二十五名に、また中部運輸局は十五名から十四名に、中国運輸局は十七名から十六名に、それぞれ一名ではありますけれども減少の状況になっております。
 このような定数減でよいのかどうか、また、内航船舶に対しましても、今後、保障契約の締結義務やまた証明書の船内の備置き義務が加わることになりますので、どのようにこの義務付けの実効性を確保するのかという点におきまして、この職員増員などの体制強化の必要もあるのではないかと思いますが、その点について最後お伺いをさせてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 ポートステートコントロールの実施に当たりましては、従来より必要な人員の確保に努めてきているところでございます。
 現在、地方運輸局等に配置されておりますポートステートコントロールを実施する外国船舶監督官、この数でございますけれども、現在は百三十六名ということでございまして、その人員により適切に執行する体制を整えておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、本法律の施行に伴いまして、ポートステートコントロールを行う際に確認すべき事項が増加するということでございますけれども、現在行っておりますポートステートコントロールの業務量の全体から見ればその影響は限定的なものではないかと考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、ポートステートコントロールの執行に当たりましては、この外国船舶監督官の研修、訓練によりまして、その技術の向上を図るとともに、効率的な体制の確立を進め、今後とも適切なポートステートコントロールの執行に努めてまいります。
 また、今回の法案で導入される措置の実効性をどうやって上げていくのかという御質問をいただきました。
 内航船舶に対する保障契約締結義務や保障契約証明書の船内備置き義務の実効性確保のための措置といたしましては、まず国土交通省による船舶の立入検査により証明書の確認をすることが可能ということでございますし、違反が確認されましたら保険への加入等の是正措置命令や航行停止命令の発出をするということになります。
 また、内航船舶につきましては、国土交通省が保険に加入していることを証する証明書の交付を行うこととなりますため、証明書交付の記録から我が国として保険加入状況の確認を容易に行うことが可能となると考えております。こういった枠組みによりまして、改正油賠法の規定の遵守を確保してまいりたいと考えております。
 最後に、保険加入事務の実効性確保や円滑な証明書交付事務を行うための必要な人員の確保等についても努めていることをお答え申し上げます。
 以上でございます。
○青木愛君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。質問を終わります。
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○委員長(羽田雄一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山添拓君が委員を辞任され、その補欠として山下芳生君が選任されました。
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○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
 船舶の海難事故等により海洋汚染損害から被害者を守るために体制整備をすることは極めて重要であります。今回の船舶油濁損害賠償保障法はその体制整備をするために必要な法改正であるとの上で質問をさせていただきます。
 平成三十一年二月に、内閣から、二千一年の燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び二千七年の難破物の除去に関するナイロビ国際条約の締結について承認を求めるの件が提出をされていると承知をいたしております。
 重なりますけれども、これら二条約に日本はなぜこれまで締結をしてこなかったのか、その理由について伺いたいと思います。そして、今般締結を目指すことになったのはどのような目的からでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 我が国は二〇〇四年に油賠法を改正いたしまして、一定の外航船舶に対して保険加入を義務付けるなど、事実上、両条約の内容の一部を実施してまいりましたところでございます。
 一方で、両条約を国内法制化するためには、内航船舶にも保険加入を義務付ける必要がございましたが、当時は内航船舶の保険加入率は七割に満たず、中小企業が大半を占める内航事業者に大きな経済的影響をもたらす可能性があると考えられたところでございます。また、条約の締約国数が少ない段階では、裁判判決の相互承認などの条約締結のメリットが内航事業者への影響を必ずしも上回るとは言えないと思われましたことから、両条約の締結を見送ってきたところでございます。
 しかしながら、近年、船舶所有者の保険契約違反を理由に保険金が支払われず、結果として被害者に対する賠償がなされない事例が発生してきておりまして、被害者保護のために更なる対応が求められる状況となってきております。
 本法案により両条約を国内法制化することで、被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を直接請求することなどが可能となりまして、被害者の保護が図られることとなります。
 また、現在におきましては内航船舶の保険加入率は九割以上まで高まっておりまして、現時点での保険加入義務付けによる経済的影響は限定的と考えられます。内航事業者からも条約への加入と国内法制化についての御理解を得られましたことから、今般、国会にお諮りすることとなった次第でございます。
○三浦信祐君 事業者の声もしっかり聞いていただきながら現状に合わせて対応していただいたということで理解をしました。
 今の今も日本の領海内では多数の船舶が航行している中、万が一に対応するための被害者保護を主たる目的としている条約と、これに対応する国内法整備である本法律案については早急に整えた上で社会に実装する体制を確立することが必要であります。二条約の締結、加入には、IMOに寄託した日より三か月で効力が生ずると承知をいたしております。
 これに関連して、政省令の整備の内容、またスケジュール、手続はどのように進めていかれる予定でしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 三浦委員御指摘のとおり、燃料油汚染損害の民事責任条約及び難破物除去ナイロビ条約でございますが、いずれも我が国が条約の加入書を国際海事機関、IMOに寄託した日から三か月後に我が国に効力が発生することとなります。また、この法案は両条約の国内法制化を図るものでございますことから、改正法の施行日につきましては、両条約が我が国に効力を生ずる日としておるところでございます。
 この法の施行日以降、両条約の対象である船舶は国土交通大臣が交付する保険加入を証明する証明書の船舶への備置きなどが必要となってまいりますが、この法案を今国会でお認めいただきましたならば、おおむね年度内を目途に施行することを目標に証明書の交付手続などを定めた政省令の整備を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 また、円滑に法の施行を行うために配慮しなければいけない事柄もあると考えておるところでございまして、法施行日の直前に証明書の交付申請が集中するといったようなことで交付手続に混乱が生じないよう、あらかじめ十分な猶予を持って船舶所有者へ証明書の交付ができるように措置をしたいと考えておるところでございます。
 こういった円滑な証明書交付事務を行うため、必要な人員の確保等にも努めてまいりたいと考えておるところでございまして、いずれにいたしましても、本法案の円滑な施行に向けてしっかりと準備をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○三浦信祐君 是非、業界の皆さんとよくコミュニケーションを取っていただいて、また準備もしていただき、円滑に進めていただければというふうに思います。
 日本近海で生じた事故二例、すなわち、先ほどもありましたけれども、青森県のアンファン八号の座礁、燃料油汚染の保険金の不払、そして兵庫県でのネプチューン号座礁事故での保険不払、この事実から得られた教訓というのは、被害者への確実な賠償の実施であることが一つであります。この事故では、いずれも県が負担して対応していたというのが事実であります。県民の税金がそういう形で使われるというのは正直不本意な部分もあると思います。実効性を担保できる再発防止策が必要であります。
 事業者は、第一義に、保険に加入をして、保険が支払われる条件での経営、運営をすることが何よりも基本だと考えます。その上で、まず、日本船籍が責任限度額以上の保険加入というのがこの法律の実効性を担保する上でも必要であります。一〇〇%を達成するために具体的に取り組んでいただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 三浦委員御指摘のとおり、保険の加入義務に関する規定の実効性を確保するということが大変重要であろうというふうに認識をしております。
 油賠法におきましては、保険に加入していることを証する証明書等の備置きを義務付けておりまして、証明書等が備え置かれていなければ我が国の港への入出港などができないというふうに規定をされているところでございます。
 この証明書につきましては、国土交通大臣による船舶への立入検査により確認が可能となっておりまして、違反が確認されれば是正措置命令や航行停止命令の発出が可能となっております。こうした措置は、今般の改正により新たに保険加入が義務付けられる内航船舶なども対象とすることとしております。
 なお、日本籍船舶につきましては、国土交通省が証明書の交付を行うことになりますので、証明書交付の記録からも我が国として保険加入状況の確認を容易に行うことが可能になると考えておるところでございます。
 こうした枠組みによりまして、保険加入の義務付けの実効性を確保してまいりたいと考えております。
○三浦信祐君 これまでその証明をもらうという段取りを取ったことがないというケースもあると思いますので、是非丁寧にアドバイスもしていただければと思います。
 若干繰り返しになりますけれども、今般のこの燃料油の条約では、締約国において保障契約が有効であることの証明書を発給すること、この証明書の船舶内への備置きなどが規定をされております。
 今御答弁いただきましたけれども、この発給については、本法律案では第四十四条において、日本国籍を有している場合は、国土交通大臣が書面、保障契約証明書を交付することにしてあります。外国籍では、締約国当局がその権利を持っているような当局が発給したもの、これがそれに該当すると承知をいたしております。
 保障契約証明書について、備置きがない場合には航海への従事が禁止されるなど、重大な結果を招くこととしてあります。これは極めて重要なことだと思います。
 その上で、世界的に、保障契約証明は書面から電子化への移行が進んでおります。日本も、今後この電子化の流れに対してどのように対処をしていくのでしょうか。これは早急に、具体的に国交省としても電子化を進めるなど、今後、業界の皆さんにとっても必要な投資であると御理解もいただきながら、この証明書をすることによって、実はいろんな通報の仕方も体制としては円滑化が進まれるんではないか、確たる証明もその電子化によって円滑に進むのではないかなというふうに、私も考えております。これに対しての対応、いかがでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の海事分野における電子証書の導入につきましては、近年、船上における通信環境やIT機器が高度化してきていることなどを踏まえまして、海運事業者の手続や負担を抜本的に改善するために国際的な議論が進められているところでございます。
 国際海事機関、IMOにおきましては、二〇一四年に電子証書使用に関するガイドラインというものが策定されておりまして、実際に一部の国では電子証書の導入が進められているところでございます。
 国土交通省におきましても、昨年六月に新たな船舶検査・測度制度の構築に向けた検討会というものを設置をいたしまして、電子証書の導入に向けて不正アクセスや改ざんを防止する仕組みなどの技術的な課題を整理しているところでございます。円滑な海上物流の促進のためにも、可能な限り早期に電子証書を我が国においても導入できるよう検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○三浦信祐君 是非応援させていただきたいと思います。
 次に、被害に遭われた者が保険会社に対して直接請求を可能とし、契約違反を理由として請求拒否ができないと本法案では規定をいたしております。
 保険会社に対して、具体的にどのようにして請求ができるのか。経験がない方がこれはいいことではありますけれども、万が一のときに被害者が請求を行わなければいけない事案が生じた場合に、国交省としては、民民の関係だと言っておきながら、でもしっかりと支援する必要が私はあると思います。どのように支援をしていくのでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 この法案におきましては、委員御指摘のとおり、燃料油による汚染損害や難破物除去等の費用による損害が発生した場合、被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を直接請求することが可能とするなど、被害者保護の充実を図ることとしておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、被害者の方々にこの新たな制度を活用していただくためには、制度の周知がまず重要であろうというふうに考えておりまして、今回の制度改正を行うに当たりましては、関係業界への説明会の開催のほか、ホームページによる情報の発信あるいはプレスへの広報等を積極的に行ってきたところでございます。
 また、実際の過去の事例を鑑みますと、地方自治体が被害者となるケース、あるいは地方自治体が漁業者等の相談を受けて損害の請求に係る対応を行うケースも多いことから、特に沿岸部の地方自治体の皆様に対して本法案の制度の周知などを図ってまいりたいというふうに考えております。
 また、私ども国土交通省といたしましても、制度の知見がない被害者の方が制度の知見がないがゆえに損害の請求が滞るといったようなことがないよう、積極的な情報提供や適切な助言に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○三浦信祐君 是非、小さな自治体の場合に、海洋国家としてだけではなくて、その地域の経済がそのまま海と関連をしていると、これによって大打撃を受けるケースもありますので、ないことは本当に願いたいところでありますけれども、事前に想定できることは全て整えておいて、スピード感を持ってそのときには対応できるように体制整備をお願いしたいと思います。
 船舶所有者の責務の強化がなければ、保険料の上昇であったり、そもそもリスクヘッジだということで保険会社が保険締結をしない、うちの社としてはやりませんよということで、場合によってはたらい回しをしてしまうということも生じないとは限りません。
 船舶所有者への指導は国交省として行うというふうになっていると思います。これらの船舶所有者に対してのアドバイス機能、また実効性担保へのどういう取組をされるのかということを御答弁いただければと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 実効性の担保、周知についてでございますけれども、まず外国船舶につきましては、現行の油賠法におきまして、総トン数百トン以上の船舶に対して既に保険加入の義務付けを行ってきているところでございます。この場合、保険加入義務の実効性を確保するため、保険加入に係る証明書等の備置きを義務付け、証明書等が備え置かれていなければ我が国の港への入出港等ができないというふうになっておるということでございます。あわせて、国土交通大臣による報告徴収及び立入検査、義務違反に対する是正措置命令について規定をしておりまして、これらの措置により実効性をしっかりと確保してきたところでございます。
 一方、内航船舶につきましては、我が国が条約に加入するためには総トン数三百トン以上の船舶に対して保険加入の義務付けを行うことが必要でありますことから、内航海運事業者の皆さんと調整を行ってきたところでございます。
 その過程におきまして、内航海運業界の皆様からも国内法制化の必要性について御理解をいただいてきたところであり、新たな制度への対応のため、きっちりと保険に加入していただけることを期待しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、関係者へ本法律案の内容が十分に周知されるよう、今後も引き続き内航業界等の関係団体に対して丁寧に説明を行ってまいる所存でございます。
○三浦信祐君 一つ飛ばさせていただきます。
 難破物の除去は一義的には船主の責任で行うことではありますけれども、自治体として、迅速な撤去がなされないことや作業が難航することも想定しなければなりません。難破物除去条約上は、除去を円滑にするための措置として、難破物除去の合理的な期限を定めることや除去の条件を定めることができることなどが定められております。
 我が国では、円滑な除去が行われるようどのように取り組んでいくのでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 難破物除去ナイロビ条約におきましては、各締約国内における除去のための制度につきましては各締約国に任されておるということでございまして、各締約国において個別の除去の必要性などを判断することとされておるところでございます。
 では、我が国でございますけれども、我が国では、海洋汚染防止法や港湾法などの法律に基づきまして、各法律の保護法益に鑑みて除去が必要となる難破物に対しまして、その必要性を適切に判断し得る主体が除去命令を発出するという仕組みになっておるということでございます。
 例えば、海洋汚染防止法によりますと、海洋環境の保護の観点から海上保安庁長官が、また港湾法では、港湾の適切な管理の観点から港湾管理者が、それぞれ命令発出の責任の主体となっているということでございます。
 また、こうした除去命令に対して船舶所有者が応じない場合には、行政代執行により命令発出主体が船舶所有者に代わって難破物の除去を行うことが可能となっておるということでございます。
 このように、我が国におきましては、各法律に基づきまして、除去が必要となる場合において適切に難破物の除去を図っていくという制度が取られているものと考えておるところでございます。
○三浦信祐君 関連しまして、本法案では総トン数三百トン以上の内航、外航船舶等にも難破物除去等の費用に係る損害について義務付けをしているところであります。一方で、総トン数三百トン未満の船舶が座礁、放置していた場合、対象ではないことにより、対応根拠がないためにこの法案から見ると対策が取れないというのが理解をできます。
 現状の認識とこれまでの対応についてお伺いさせていただくとともに、今後どのように、例えばプレジャーボートのようなもの、各地域において、自動車とは違いまして、放置されているのかそれとも保管をされているのか分からないようなものというものも時々あると伺っております。これらについての対応、対策はどのようにしていかれるのでしょうか。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 我が国は、二〇〇四年に油賠法を改正いたしまして、外航船舶であれば総トン数百トン以上の船舶に対して保険加入の義務付けを行うという措置を実施してきたところでございます。その二〇〇四年以前は放置される難破物が毎年二、三件程度発生しておったところでございますけれども、この油賠法の改正以降は毎年一件以下程度にまで減少しておりまして、これまでの対策は一定の効果があったものと認識をしております。
 また、今般の法改正では、先ほど来御議論させていただいておりますとおり、総トン数三百トン以上の内航船に対しても保険義務付け範囲を拡大するということでございまして、難破物の放置事案の発生は相当程度抑制可能と考えております。
 また、総トン数三百トン未満の内航船舶につきましてでございますが、今般、このサイズの船につきましては条約の対象範囲を超えた義務付けは課さないこととしておりますけれども、こうした船舶の事故が万一発生したといたしましても、比較的船が小さいことから損害の規模も小さくなるものと想定をされ、また、内航船舶であれば所有者の特定も比較的容易であると思われますことから、港湾法や海洋汚染防止法などの法令の規定に基づき港湾管理者や国などが撤去命令を発出した場合には適切な対応が行われることが期待されるのではないかというふうに考えております。
 また、更にもっと小さなプレジャーボート等の小型船舶でございますけれども、こういったプレジャーボート等の小型船舶につきましては、総トン数三百トン未満でございますことから、難破物除去ナイロビ条約における保険加入の義務付け対象にはなっておりませんので、本法案においても保険加入を義務付けていないところでございます。
 その一方で、プレジャーボートなどの放置艇問題に関しましては、これまでより問題になってきておるところでございまして、関係機関でプレジャーボートの適正管理に関する推進計画というものを二〇一三年に策定しておりまして、現在、この計画に基づきまして関係省庁で総合的な対策を推進しているところでございます。
 こうした計画も踏まえまして、所有者に対する海岸法等に基づく監督処分や管理者が撤去した場合における費用の補助等によりまして、関係機関が連携協力して対応することにより放置艇対策を推進しているところでございます。
 また、プレジャーボートの主たる材質が繊維強化プラスチックでございますところ、その廃棄処理の困難性により結果として不法投棄を招く要因ともなっておったと指摘をされているところでございます。このため、私どもとしては、業界団体と連携をいたしまして、廃船処理技術を確立するなど、適正なリサイクルに基づいた観点からも放置艇対策の取組を推進しているところでございます。
○三浦信祐君 地元の住民の方にとってみれば、河川の河口に近いところのプレジャーボートなんかが放置をされているということは、景観の問題もあったり、またその後の犯罪の温床になったりするという不安もありますので、これに関連してではありますけれども、是非その推進をしていただきたいと思います。
 最後に、今後、日本において、SOx規制の対応のためにLNG船の増加、導入促進を図っていく必要があります。そのインフラとしてLNGバンカリングの体制整備を強く推進すべきだと私たちは公明党としても訴えをさせていただいており、横浜で、先ほどもありましたけれども、このバンカリング船の入口が徐々に整備をされていると承知をしております。国としても、今後も大臣の下でしっかり進めていただきたいというふうに思います。
 その上で、今般の法案では、定義として燃料油等とされております。LNGへの解釈はどのようになるのでしょうか。油との定義は狭い概念であり、定義付けの整理はどのようにするのでしょうか。細かい点ではありますけれども、今後の発展のためにここで整理をしておいていただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 燃料油汚染損害の民事責任条約上、燃料油は一定の油が対象とされておりまして、油ではない液化天然ガス、LNGはこの条約の対象には含まれておりません。
 同様に、この法案におけます燃料油等も一定の油を対象としておりますので、油ではないLNGは含まれていないということでございます。
○三浦信祐君 そういう面においては、環境に優しいだけではなくて、海洋汚染のリスクも低いということがこのLNG船については言えるかなというふうに思います。
 今後とも、国民生活の中で事故がないことを祈るだけではなくて、万が一のときにも対応できるように、この法律が成立した後、国土交通省としてもしっかりと準備をしていただいて、国民の生命と財産を守るという観点からも、是非準備怠りなくやっていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○行田邦子君 日本維新の会・希望の党の行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案ということで質問させていただきますが、少し質問が重複する部分があるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。
 まず初めに、燃料油汚染損害について伺います。
 先ほどからの質問の、議論の中にもありましたけれども、二〇〇八年に起きたゴールドリーダー号事故について。
 ゴールドリーダー号の事故が起きましたけれども、これ、二〇〇八年の三月五日、明石海峡におきまして三隻の船舶が衝突をして、そしてゴールドリーダー号が沈没をして、破損したタンクから燃料油が流出したという事故であります。大規模な事故でありました。これによりまして約四十億円の漁業被害が発生したということであります。しかしながら、船主責任制限法におきまして責任限度額がありましたので、このときの責任限度額が一・七億円ということであったということであります。
 そしてまた、先ほどの議論というか、質問、答弁の中でありましたけれども、このときには七億円の国からの補助金が地方自治体に対して支払われたということでありますけれども、船舶の大型化が進んでいる中で、今後も責任限度額を超える燃料油汚染損害事案が起こり得るというふうに考えた方がよいかと思いますけれども、責任限度額を超える事故に対応する地方自治体の負担をどのように支援していくのか、国からの補助金以外にもどういったことが考えられるのか、用意をしているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、また、先ほど来、法務省の方からも御答弁がございましたとおり、船舶が原因となって生じた損害に対する船舶所有者の責任につきましては、船舶の総トン数に応じて一定の責任限度額まで制限することができる船主責任制限制度というものがございます。この制度は、海運業が多額の資本を投下した船舶の運航という危険性の大きい産業であることに鑑み、その適正な運営と発展のため、古くから国際的に認められてきたものだということでございます。そのため、燃料油による汚染損害が生じました場合に、その損害額が責任限度額を超える場合には、当該責任限度額内での賠償の支払となることがあるということでございます。
 一方で、国土交通省では、燃料油による汚染損害につきまして、責任制限の適用の有無にかかわらず、地方自治体の負担となった費用が一定以上の額であるなどの場合に、その額の二分の一までを予算の範囲内で補助する制度を設けているところでございます。
 なお、当該補助事業に伴う地方負担分につきましては、特別交付税措置が講じられているものと承知をしておるところでございます。
 委員御指摘のゴールドリーダー号による燃料油汚染損害事案につきましては、二〇〇八年三月に明石海峡付近で発生したものでございますけれども、油の防除作業による関係の地方自治体の負担額は約十五億円であったのに対し、ゴールドリーダー号の責任限度額は約一・七億円であったというふうに承知をしております。
 本事案における地方自治体への支援といたしましては、国土交通省の補助制度により約七億円を支援したところであり、また特別交付税についても約五億円が交付されたと承知をしているところでございます。
 今後も、関係省庁と連携をしながら、支援措置の適切な運用に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○行田邦子君 このような大きな事故が起きてほしくはありませんけれども、起きた場合には、国土交通省からの補助金だけではなくて、特別交付税措置など、地方自治体にとっては大きな損害になりますので、負担になりますので、適宜考えていただきたいと思っております。
 それでは、大臣に伺いたいと思います。
 平成三十年の海洋汚染の現状について、今年の二月二十日に海上保安庁が公表された資料を見ておりますが、この中でなんですけれども、船舶からの油排出による汚染についてというところで、これ排出の原因別に見ますと、取扱不注意が四一%と最も多いというような結果にもなっております。
 そこで大臣に伺いたいと思いますが、一般の船舶など油濁損害を発生させない取組が重要かと思いますけれども、油流出を防止するために国土交通省また海上保安庁としてどのような取組を行っているのでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 座礁や衝突による船舶の貨物艙や燃料油タンクからの大量の油流出を防止をするため、海洋汚染防止条約におきましては、一定規模以上のタンカーにつきまして船体を二重構造化することや、他の船舶につきましても一定規模以上の燃料油タンクを二重構造化することなどの義務付けを行っているところでございます。国土交通省では、同条約の定めた内容を国内の規定に取り入れまして油流出に係る対策を講じているところであります。
 また、船舶からの油の流出原因といたしましては取扱不注意や海難事故によるものが多いことから、海上保安庁では、海事関係者に対する訪船指導等によりまして、油の流出防止のための技術的指導や海難防止指導を実施をしております。
 さらに、事故が発生をし、船舶から大量の油の流出があった場合には速やかに被害の拡大防止が図られるよう、海上保安庁では原因者に対して適切な防除措置を講ずるよう指導や命令を行っております。また、必要に応じまして関係機関と協力の上、海上保安庁自らも防除を行うことで被害の拡大防止に万全を期しております。
 このように、油の流出防止、被害の拡大防止に最大限の対策を講じているところでありますが、それでもなお防ぐことができず損害が生じた場合の被害者保護を充実するため、今般、この法律案を国会にお諮りさせていただいているものでございます。
○行田邦子君 海上保安庁の対応、対策もとても重要かと思います。
 それでは、難破物除去、損害について何点か伺いたいと思います。
 難破物除去条約上は、日本の水域に来た難破物が危険をもたらすものかどうか、その危険の存在有無の判断をするのは、これは日本の水域で起きたものについては日本が判断するということになっておりますけれども、日本の国内法上におきましては、船舶等の除去等を命令する主体が様々であります。
 例えば、区域によって命令主体が異なるということですけれども、港湾管理者であったり、漁港管理者であったり、海岸管理者であったり、国土交通大臣であったりと、様々でありますけれども、条約上の危険の存在有無は適切に判断されるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 難破物除去ナイロビ条約におきましては、難破物の除去の必要性につきまして一律の判断基準を定めてはおりませんで、各締約国において除去の必要性を判断することとされておるということでございます。
 我が国では、海洋汚染防止法や港湾法などの法律に基づきまして、各法律の保護法益に鑑みて除去が必要となる難破物に対して、その必要性を適切に判断し得る主体が除去命令を発出することとなります。
 例えば、海洋汚染防止法では、海洋環境の保護の観点から海上保安庁長官が、また、港湾法では港湾の適切な管理の観点から港湾管理者が、それぞれ命令発出の主体となっているということでございます。
 このように、命令発出の主体は法律ごとに異なっておりますが、各主体が各法律に基づいて、我が国として除去が必要となる場合において適切に除去命令を発出することができる仕組みになっているものと考えております。
○行田邦子君 それぞれの区域によって法律によっての規制がなされていって、そしてまた、船舶等の撤去等の命令につきましては命令主体が異なるということでありますけれども。
 それでは伺いたいんですけれども、港湾区域でも海岸保全区域でもない海岸で座礁船が放置された場合について、撤去命令や行政代執行ができないというふうに考えますけれども、放置座礁船について撤去等の命令ができない海岸などは存在し得るのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
 そしてまた、そのような場所があると、地元住民が撤去してほしいと考えていても放置されたままとなってしまうのではないのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 港湾法や海岸法などの海域の管理に関する法体系では、各法律の保護法益に応じて区域を定め、当該区域における座礁船に対して必要な撤去命令を発出することができることとなっております。
 さらに、海洋汚染防止法では、海洋汚染が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすおそれがある場合には、座礁船が海岸も含め領海内のいずれの区域に所在するかにかかわらず、当該座礁船に対して必要な撤去命令を発出することができることとなっております。
 このように、座礁船に対して各法律に基づき必要な撤去を命ずることができることとなっておりますので、問題がないのではないかと考えている次第でございます。
○行田邦子君 それでは次の質問ですけれども、難破物の除去に関して撤去等の命令を行う主体は先ほどのとおり様々でありますけれども、自治体などが相談する窓口はどのようになっているのかということです。
 また、被害を受けるのは自治体であり、また住民でもありますけれども、海上保安庁や水産庁など、またあるいは総務省も関係するかと思いますが、関係機関が様々でありますけれども、現状において、こうした一元的な相談窓口を設けているのかどうか、関係機関とどのような密接な連携を取っているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 難破物の除去につきましては、一義的には当該難破物が生じている海域の管理者などが対処することになりますので、海域管理に関する法体系の下で関係機関が明らかになるケースが多く、この場合、自治体等の被害者からの相談が当該機関に直接行われることになるというふうに認識をしております。
 こうしたことから、現状において一元的な窓口を国に設けて対応を集約化するといったようなことを行っているわけではございませんが、一方で、難破物除去に係る被害者保護については、今般の難破物除去ナイロビ条約の国内法制化に向けた検討における連絡調整など、国土交通省海事局におきまして関係省庁との連携調整を積極的に行ってきたところでございます。
 このため、今後も引き続き、国土交通省海事局におきまして、関係機関との連携を密に行いながら、行政の縦割りによる被害者のたらい回しなどが生じないよう、相談先が分からないなどの場合における被害者に対する積極的な情報提供や適切な助言に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○行田邦子君 よろしくお願いします。
 それでは、環境省にお越しいただいているので伺いたいと思いますが、先ほども議論がありましたけれども、一昨年の十一月に北朝鮮籍の船が北海道の松前小島に漂着するという事件が起きました。このときに、私もこの国土交通委員会で状況について確認の質問をさせていただきました。
 北朝鮮のこうした船は小型のものなので難破物除去条約の対象船舶にはなりませんけれども、漂着船の除去について国は地方自治体に対してどのような財政支援を行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
 漂着した北朝鮮からのものと見られる漂着木造船等が所有者不明のごみとして扱われる場合、海岸管理者である市町村や道府県がその処理を行っております。
 こうした漂着木造船等の処理に関し、関係自治体から財政支援の拡充の御要望があったことから、地方自治体が財政不安を伴うことなく漂着木造船等を迅速かつ円滑に処理できるよう、平成二十九年十二月に海岸漂着物等地域対策推進事業による補助制度を拡充いたしました。
 具体的には、補助率の引上げとともに、残りの地方負担分に対する特別交付税措置を拡充することにより、実質的に地方自治体の財政負担が生じないようにしたところでございます。
 環境省といたしましては、本補助制度を活用いただくことにより、地方自治体による漂着木造船等の処理が迅速かつ円滑に進むよう支援してまいる所存でございます。
○行田邦子君 北朝鮮籍の船の漂着という事件を受けての対応ということだと理解をしておりますけれども。
 それでは、最後の質問ですけれども、外務省にお越しいただいていますので伺いたいと思います。
 現在、国際海事機関、IMOでは、危険有害物質、例えば石油や化学物質、LNG、LPGなどですけれども、こうした危険有害物質によって発生した損害について被害者補償の枠組み等を定める二〇一〇年HNS条約、危険物質等に関する民事責任条約の発効促進に向けた取組が進められていると承知をしております。
 こうした中で、EUでは、EU加盟国の締結目標期限を二〇二一年、来年の五月六日に定めたというふうにされています。将来的には発効も見込まれるのではないかと思われますけれども、我が国、日本における検討状況について伺いたいと思います。
○政府参考人(松浦博司君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘いただきました危険物質及び有害物質の海上運送に関する損害に対する責任及び賠償及び補償に関する国際条約の二〇一〇年議定書、我々HNS条約と略称しておりますけれども、このHNS条約の発効促進に向けまして様々な取組が議論されておるところでございます。
 まさに委員から御指摘のあったとおり、欧州理事会におきましては、二〇一七年の四月二十五日、EU加盟国に対し、可能であれば二〇二一年の五月六日までにHNS条約を締結するため必要な手続を取るようにと求める決定が行われました。
 このHNS条約でございますが、先ほど委員から御指摘もありましたように、極めて多種多様な物質を措置の対象としておるものでございますので、日本における関係業界も多岐にわたってございます。
 また、加えまして、この点が非常に大きな要因となっていますが、国際基金への拠出ということが条約上の義務として求められておりますので、この拠出を含めた国内実施についての調整、それから国内事業者への影響に関わる分析など、慎重な検討を要しているところでございます。この目的のために関係業界を構成員とする検討会も実施してきてまいっております。
 このHNS条約は、危険物質及び有害物質による損害が発生した場合に被害者保護を充実させるという観点から重要な条約であるということを考えておりますが、他方、今申し上げましたように、関係業界への影響も多いということから分析、検討に時間が掛かっておりまして、政府としましても今後の締結の可能性について引き続き関係業界を含めて検討を進めていきたいというふうに考えてございます。
○行田邦子君 終わります。ありがとうございます。
○野田国義君 立憲民主党の野田国義です。
 最初に、海関連ということで、モーターボートのことでお聞きをさせていただきたいと思います。
 モーターボート競走法によりますと、海事関係事業、公益事業の振興と地方財政の改善を図ることを目的に行われていると国交省のホームページには書かれております。
 海事関係事業、公益事業の振興という目的を達成するため、施行者は、売上金の一部を船舶等振興機関として指定を受けた公益財団法人日本財団に交付し、交付を受けた公益財団法人日本財団は、船舶関係等の海事関係事業、社会福祉関係などの公益事業に対して助成金を交付をしているということでございます。
 そこで、実を言うと、福岡の方ですね、私の地元の方も、やまと競艇、これ柳川市でございますけれども、有明海にやまと競艇学校が養成機関としてあるわけでございます。そしてまた、競艇場は全国で二十四か所あるそうでございますけれども、福岡におきましては福岡、芦屋、若松と三か所の競艇場があるということでございます。
 そこで、この売上げを見てみますと、二〇一八年が何と一兆三千七百二十七億円ですか、他の公営ギャンブルと比べても本当に断トツで大きいというようなことで、そしてまた、最近この売上げも伸びつつあるというような状況にあると認識をしているところでございます。
 そこで、いろいろと競艇場に行きまして話を聞いてみますと、正規雇用と非正規雇用の間に不合理な格差が存在をしていることについて何とか改善をしてほしいということでございまして、国交省におかれましては実情を御存じいただいておられるのかどうかということで、例えば非正規雇用者のレスキュー職ですか、では低賃金による人手不足に陥り、採用に至っては消防OBや自衛隊OBといった高齢者雇用に頼らざるを得ないこと、ひいては定年までの期間が短く十分な経験が積めず技術の伝承が困難なことが挙げられております。
 これらの問題を改善しなければ、今後、公正、安全な競技運営が困難になるとも考えられるわけでありますけれども、これらの実情に対する国交省の見解をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 モーターボート競走における競技運営に関する事務につきましては、主催者であります施行者から委託を受けた一般財団法人日本モーターボート競走会が行っているということでございます。
 委員御指摘のレスキュー職員でございますけれども、これは、ボートレース中に選手が落水、水面に落ちた場合などに救助艇で速やかに選手を救出する役割を担う職員の方々ということでございまして、競走会で雇用をされている方々であるというふうに承知をしておるところでございます。
 国土交通省は、モーターボート競走法に基づきまして、モーターボート競走会が競走実施機関として公正かつ円滑に業務を実施できる体制であるかどうかという観点からこの法人を監督しておるところでございます。具体的には、事業計画や予算の認可に加えまして、定期的に、また必要に応じまして競走会本部や各支部の業務実施状況を調査しているところでございますけれども、現在のところ、競走会が行う公正、安全な競技運営に特段の問題が生じておるとは考えていないところでございます。
 この競走会の職員の採用形態でございますとか年齢構成、処遇などを含めた人事管理につきましては、これは一般財団法人でございますこの競走会が使用者として自主的に行っておられるものでありまして、国土交通省が直接関与する立場にはないと考えておるところでございます。
 また、委員御指摘の、こういったレスキュー職でちゃんと技術の伝承が行われないのであれば心配があるんじゃないかという御指摘でございますけれども、こういったレスキュー職員の訓練につきましては、各競走場におきましてレース開催中は毎朝救助訓練を行っておられるということでございまして、また地区別にも講習会を行っておられるということで、技術の向上や伝承を図るための取組が行われているのではないかというふうに認識をしておるところでございます。
○野田国義君 私の聞いたところによりますと、開催日が二百三十日程度であるということでございまして、そして、これ国交省は正職としてみなしておられるか分かりませんが、いわゆる勤務日数掛け日給額なんですね。ですから、そういうことになりますと、結局二百数十万円しか年収がない、二百万ちょっとですね。ですから、とてもじゃないけれども家族を養っていけないというような状況なんですね。ですから、ここをどうか改善をしないと、今、働き方改革ということが大きくここ数年間叫ばれているわけでございますけれども、そういういわゆる年収ではなかなか生活していくのが厳しいということでございますので、是非ともそういった非常に大きな働き方改革の一環ということでございますので、所管官庁として指導をしていただければ大変有り難いと思うところでございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、質問の方に改めて入らさせていただきたいと思いますが、それで、この法律案、二〇〇一年三月の燃料油条約や二〇〇七年五月の難破物除去条約といった国際条約を我が国においても締結をし、条約では認められている保険者に対する損害賠償額の直接請求などの措置のため整備をされるものであると私は承知をしているところでございます。
 そこで、現在の油賠法でも百トン以上の外航一般船は保険が義務付けられているが、保険に加入しておらず油賠法違反となったケースは実際にどの程度あったのか、その中で我が国の外航船舶の違反事例はあるのか、また違反の主な内容はどういったものがあるのかということで、まずお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。
 現在の油賠法におきましては、総トン数百トン以上の外航の一般船舶には保険が義務付けられておるところでございます。国土交通大臣は、油賠法に基づく強制保険の締結義務等への違反を認めた場合には、同法の規定によりまして、船長や船舶所有者に対して、強制保険の締結、その他是正のために必要な措置をとることを命ずることができることとされております。また、必要に応じて、是正措置がとられるまでの間、船舶の航行停止を命令することもできるようになっております。
 二〇一四年から二〇一八年の直近五年間におけるこれらの命令の件数は合計六十一件となっておりますが、その内訳は、保障契約の締結を命じたものが十六件、保障契約証明書の備置きを命じたものが四十五件というふうになっております。なお、これらの命令の対象となった船舶のうち、我が国の船籍を有する船舶は含まれておりません。
○野田国義君 ありがとうございます。
 それから、本法の改正の周知の対応状況についてお伺いしたいと思いますが、まず改正の周知ですね、今回の。どのような形で行われるのか、また現在までの状況はいかがであるのかお伺いをし、さらに、特に内航船舶の船主、中でも保険に未加入の船主への周知はどのように行われているのかということでお伺いさせていただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 国土交通省といたしましては、この法案の基になりました二つの条約の国内法制化に向けまして、内航事業者や保険会社などの業界団体を構成員に含む検討会などを開催してきたところでございます。
 そういった検討会などを通じまして、関係事業者の皆様に対し、一定の規模の内航船舶に対しても保険への加入が義務付けられること、あるいは燃料による汚染や座礁船等の撤去費用による損害の被害者から保険会社に対して直接請求が行われるようになることなどの条約の内容について御説明を行いまして、国内法制化についての御理解をいただいてきたところでございます。また、こういった検討会の開催に加えまして、関係業界ごとの説明会の開催やホームページによる情報発信、あるいはプレスへの広報など、様々な機会を捉えて周知を図ってきたところでございます。
 このように、これまでも周知には努めてきたところでございますけれども、本法案が成立をいたしました場合には、引き続き、今申し上げましたような様々な機会を活用して関係事業者に対する丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。
 また、委員から、特に未加入の船主への周知はどのようにするのかという御質問を頂戴いたしました。
 まず、内航の保険への加入率でございますが、条約が求める保険金額を満たす保険への加入率は約九割ということでございまして、金額を問わないということであれば、内航船舶の船主責任保険への加入率につきましては既に九八%に達しているということでございます。
 未加入の船主様にもしっかりと保険に入っていただく必要があるわけでございますけれども、これまでより、関係業界ごとの説明会、ホームページによる情報発信、プレスへの広報などの様々な機会で本法律案の内容の周知には努めてきたところでございますけれども、本法案が成立いたしました暁には、この法案の施行に向けて、更に様々な機会を活用して皆様に対する周知と説明を行ってまいりたいと考えている次第でございます。
○野田国義君 ありがとうございます。
 それでは、ちょっと時間もありませんけれども、ちょっと一問だけさせていただきます。
 保障契約関係でございます。先ほども質問あっておったようでございますけれども、今回の法改正施行に伴い、内航、外航船舶で、新たな保険契約の対象となり、証明書を取得する必要がある船舶はそれぞれどのくらいになるのかということでお伺いをさせていただきます。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 本法案に基づき、新たに保険への加入の対象となり、証明書を取得する必要のある内航船舶は約三千八百隻と認識をしております。なお、実態的には、この三千八百隻のうち、九割以上は既に保険には加入しておられるということでございます。
 他方、現在の油賠法に基づき、一定の外航船舶については保険への加入が義務付けられているところでございますが、これらも含め、総トン数三百トン以上の船舶につきましては、本法案に基づき、その基となった二つの条約が定める様式の証明書を新たに取得する必要がございます。こういった外航船舶は約三百六十隻と認識をしておるところでございます。
○野田国義君 時間でございますので、終わります。
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○委員長(羽田雄一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉田博美君が委員を辞任され、その補欠として北村経夫君が選任されました。
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○平山佐知子君 無所属クラブの平山佐知子です。
 今回の改正案では、座礁船等の撤去費、燃料油による汚染被害を受けた側が保険会社に対して損害賠償の支払を直接請求できるという内容が含まれていますけれども、大事なことは、やはり被害を受けた側が満足のいく補償金額を受けることができるのかということですとか、請求をするまでの過程において分かりやすくスムーズに請求を行えるのか、こういった点にあるかというふうに考えています。特に、被害が広範囲にわたる事故の場合ですと、被害金額が膨大で、十分な補償がされないケースも多いということも聞いています。
 そこで伺いたいんですが、過去に発生した燃料油による汚染損害で責任限度額を超過した事故の事例についての説明をまずはお願いいたします。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 燃料油による汚染損害で責任限度額を超過した事故の代表的な事例といたしましては、二〇〇八年三月に、明石海峡航路において多重衝突事故が発生したことによりベリーズ籍の貨物船ゴールドリーダー号が沈没し、燃料油の流出による被害が発生した事案がございます。
 流出した燃料油は、最大で東西に五十キロ、南北に十キロの範囲に拡大をいたしまして、付近の海域の養殖ノリが全滅をいたしましたほか、イカナゴ漁などへの影響が生じるなど、漁業者の皆さんが主張されます漁業被害額は約四十億円に上ったということでございます。
 一方で、船主責任制度の適用によりまして漁業者に支払われた賠償金は、漁業者の皆さんが主張される被害額の一部であります約四億円であったというふうに承知をしております。
○平山佐知子君 御答弁いただいたようなその事故に関しては、やはり被害者が満足のいく補償金額を受けられないものというふうに認識をいたしました。
 その上で、幾つか懸念しているところがありますので、伺ってまいりたいと思います。
 一つ目は、被害者の請求権についてです。
 一九九七年に発生したナホトカ号重油流出事故では、四百五十八件、およそ三百六十億円もの請求が保険会社に寄せられて、請求権が消滅しないように被害を受けた側が訴訟を提起したというふうに承知しています。
 近年の船舶の大型化によって、燃料油等の流出量がタンカー事故と同レベルの量となることも懸念されていますから、その場合は、被害がより長期化しまして、請求金額の計算に関しても時間が掛かってしまう、これも考えられます。
 今回の改正案では、被害を受けた側が損害賠償額の支払を保険会社に直接請求できるようになりますけれども、請求権が消滅する前に裁判上の請求を行うことができなければ、これは保険会社に対して支払請求ができるようになったとしても意味がないというふうに考えています。
 今回の法案では、船舶所有者などへの賠償請求権、それから保険会社への直接請求権の消滅についてはどのように改正されているのか、伺います。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 現行の油賠法におきましては、燃料油による汚染損害及び難破物除去等の費用による損害の賠償請求権の消滅に係る特例は特段定められておりませんので、民法上の一般原則に従うということになります。具体的には、民法七百二十四条の規定によりまして、損害及び加害者を知ったときから三年又は不法行為時から二十年を経過した後は消滅するという定めに従うということになります。
 一方、今回の改正案におきましては、条約の規定を踏まえまして、その賠償請求権が、損害が生じた日から三年又は事故発生日から六年を経過した後は消滅する旨を定めておるということでございまして、また保険会社に対する直接請求についても同様の期間としておるところでございます。
 このように、国際条約の国内法制化により権利が消滅する期間というのは短くなるということでございますが、これらの国際条約は、無過失責任や保険会社への直接請求といった被害者保護に係る特別な法制度を規定しておりますことから、特別に権利の消滅を定めるという考えに基づき規定されているものと理解をしておりまして、先ほど委員御指摘ございました、タンカーの積荷の油による損害に対する救済についても同じような制度になっているというふうに理解をしております。
○平山佐知子君 消滅まで時間が短くなるということと認識しましたけれども、そうなりますと、やはりその分スムーズに手続等をしなければならなくなるかと思いますので、併せて関係者の方々に周知などもお願いをしたいというふうに思います。
 次に、損害賠償の受取の方法、タイミングについて伺ってまいります。
 先ほどからも申し上げていますけれども、被害を受けた側が損害賠償額の支払を保険会社に対して直接請求できる旨が規定されたことはすばらしいというふうに思っております。
 一方で、汚染された場所の環境が元に戻るまで休業しなければならない漁業者などですと、収入がなくて日々の生活の金銭面での状況が厳しくなるということも考えられます。船舶事故においては、全体の損害賠償額が確定してからの支払とされていますけれども、被害者の生活を守るため、これを考えますと、もう少し柔軟な支払方法も必要なのではないかというふうに思っています。
 大規模な燃料油流出事故であれば暫定的な支払もあるかというふうに思うんですけれども、実務的にはどのような対応がなされているのか、教えてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、被害者保護の政策的必要性というのは極めて高いというふうに認識をしておりまして、本法案によりまして、保険会社は天災地変等の一部の免責事項を除いて被害者からの直接請求に応じることとなりまして、船舶所有者の契約違反を理由に支払を拒むことはできない、そういった形での被害者保護が図られることとなっておりまして、迅速な事案解決が期待されているところでございます。
 また、実際の賠償額の支払の実務について御質問がございました。
 保険会社による賠償額の支払につきましては賠償額の確定を待って行われることが一般的でございまして、賠償額の決定よりも前に保険会社から暫定的な支払が行われる事例というのは、存在はしているということでございますが、これは非常に例外的な場合のみというふうになっておるというふうに聞いております。他方、通常、賠償額の決定に要するのは半年程度が通例ということでございまして、極端に長い期間を要しているわけでもないのではないかと承知をしているところでございます。
 なお、船舶による大規模な燃料油流出事故による漁業被害が発生したような場合には、船舶所有者による損害賠償が当然基本的な対応になるわけでございますが、例えば漁業共済に加入している場合、被害を受けた漁業者へ暫定的な共済金の支払が行われるような事例もあるということでございまして、先ほど申し上げました二〇〇八年のゴールドリーダー号の事件などにおきましては、この漁業共済制度により暫定的な共済金の支払などが行われているということでございます。
○平山佐知子君 それでは、手続と補償金額について伺ってまいります。
 被害を受けた個人が保険会社に対して直接請求を行う場合、被害金額の算出やその請求を保険会社に対して行わなければなりませんし、書類整備などの不慣れな作業もしなければならないということで、これはなかなか大変なことじゃないかなというふうに思います。
 さらに、ナホトカ号の事例を挙げますと、漁業被害の請求としておよそ五十億円の補償請求を求めていたものの、実際の支払額、これは十七億円と、およそ六五%の開きがありました。
 民事上の手続ではありますけれども、被害を受けた方の請求が円滑に、また十分な補償が行われるよう、政府としてどのようなサポートを行う用意があるのか、教えてください。
○政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。
 被害を受けた方々が必要な手続を円滑に進められるようにするということにつきましては、御指摘のとおり、大変重要な問題であるというふうに認識をしております。
 まず、この法案によりまして、燃料油による汚染損害及び難破物除去等の費用による損害につきましては、新たに被害者から保険会社に対して賠償額の支払を直接請求することができるようになるということでございますし、また、条約の規定により、燃料油による汚染損害につきましては、我が国における裁判判決が他の締約国においても有効となりますため、被害者の方がわざわざ他の締約国に行って裁判を起こす必要がなくなると、こういった形で被害者の方が賠償を求めていくための手続について負担の軽減が図られているところでございます。
 こういった措置によりまして、被害者による賠償請求が円滑に行われることとなりまして、また十分な賠償が行われる可能性が高まるというふうに認識をしておりますが、こういった制度が被害者の方々に浸透して十分に活用されますように、国土交通省といたしましても、必要な周知活動と適切な助言によるサポートに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○平山佐知子君 本改正案より直接請求権が付与されますけれども、そもそもこういった事故が起こらないことが望ましいというふうに考えています。
 現在も行っていると思いますけれども、政府はポートステートコントロールを通じて外国船舶が安全に運航されているのかしっかりと監督しなければならないというふうに考えていますが、本改正も踏まえてどのように監督を実施していくのか、大臣に決意を伺わせていただきます。
○国務大臣(石井啓一君) 国際航海に従事する船舶につきましては、基本的に、その船舶が籍を置く国、いわゆる旗国の政府がその船舶の安全性の確保について責任を有しており、自国船舶を条約等の基準を遵守させること等により安全な運航等を確保しております。
 さらに、旗国の役割に加えまして、船舶が寄港した国の政府においても、ポートステートコントロール、いわゆるPSCと呼ばれる立入検査等を実施することが国際条約により認められておりまして、これにより、当該国に寄港する船舶の安全な運航等を確保しております。
 我が国では、地方運輸局等に配置されておる外国船舶監督官が我が国に寄港した外国船舶に立ち入り、条約に基づく証明書等の確認を行うこととなります。油賠法の規定によりまして、一定の大きさの外国船舶につきましては、我が国に寄港する前に国土交通省への保険加入の有無について通報の義務が課されることによりまして、保険に加入していない船舶は実質的に入港ができないこととなります。
 このような監督や確認手続を通じまして、今後とも外国船舶の安全運航の確保に努めてまいりたいと考えております。
○平山佐知子君 最後に、去年、にっぽん丸がグアムで桟橋での接触事故を起こし、これがアルコール検出事案だったというふうに伺っております。この事故では乗客、乗員にけがもなく、油漏れもありませんでしたけれども、油濁被害を与えてしまう危険ももちろんあったというふうに思っております。安全面を考えると、当然アルコール検査を行うべきだというふうに考えます。
 船舶の運航の際には、いつ、どのタイミングで検査を行うかを含めて、しっかりと対策をしてもらいたいというふうに思いますが、今後の対策と対応の方向性をお願いいたします。
○国務大臣(石井啓一君) 昨年末、グアムで発生をいたしました商船三井客船の運航するにっぽん丸の桟橋への接触事故におきまして、船長による不適切な操船のほか、乗員が酒気を帯びた状態で操船等の業務に就いていたことが確認をされております。
 国土交通省では、本事案を重く受け止めまして、本年一月、全ての海運事業者に対しまして、酒気を帯びた状態での業務禁止の周知徹底及びアルコール検知器を備えている船舶におけるアルコール検査の実施を要請するとともに、商船三井客船に対しましては、三月に海上運送法に基づく行政処分を行ったところであります。
 さらに、海運分野の飲酒対策に関する検討会を設置をいたしまして、一定の船舶に対するアルコール検査の導入に向けまして、検査の記録や保存など検査の具体的な実施方法のほか、事業者の適切な飲酒管理体制の在り方について検討を行っているところであります。
 国土交通省といたしましては、できるだけ早期にこの検討会の結論を得て、海運分野におけます具体的な飲酒対策を策定をいたしまして、導入を図ってまいりたいと考えております。
○平山佐知子君 終わります。ありがとうございます。
○委員長(羽田雄一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 船舶油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(羽田雄一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(羽田雄一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会