第198回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号
平成三十一年二月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     小川 克巳君     丸川 珠代君
     自見はなこ君     松下 新平君
     徳茂 雅之君     有村 治子君
     中西  哲君     野村 哲郎君
     浜口  誠君     石上 俊雄君
     斎藤 嘉隆君     小川 敏夫君
     岩渕  友君     井上 哲士君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     石井 準一君     今井絵理子君
     石上 俊雄君     矢田わか子君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     丸川 珠代君     こやり隆史君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         松山 政司君
    理 事
                宇都 隆史君
                大野 泰正君
                松下 新平君
                古賀 之士君
                相原久美子君
                里見 隆治君
    委 員
                朝日健太郎君
                有村 治子君
                井原  巧君
                今井絵理子君
                岩井 茂樹君
                大家 敏志君
                木村 義雄君
                こやり隆史君
                中西 祐介君
                野村 哲郎君
                丸川 珠代君
                三宅 伸吾君
                元榮太一郎君
                青木  愛君
                矢田わか子君
                小川 敏夫君
                又市 征治君
                矢倉 克夫君
                山本 香苗君
                藤巻 健史君
                松沢 成文君
                井上 哲士君
                辰巳孝太郎君
                糸数 慶子君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   参考人
       明治大学特任教
       授・アセアンセ
       ンター長     小沼 廣幸君
       日東建設株式会
       社技術開発部取
       締役部長     久保 元樹君
       一般社団法人S
       DGs市民社会
       ネットワーク業
       務執行理事    稲場 雅紀君
       北九州市副市長  梅本 和秀君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (我が国のODAをめぐる諸課題と今後の取組
 の在り方に関する件)
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○委員長(松山政司君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、自見はなこ君、徳茂雅之君、中西哲君、小川克巳君、斎藤嘉隆君、岩渕友君、浜口誠君及び石井準一君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君、有村治子君、野村哲郎君、丸川珠代君、小川敏夫君、井上哲士君、矢田わか子君及び今井絵理子君が選任されました。
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○委員長(松山政司君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松山政司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に松下新平君を指名いたします。
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○委員長(松山政司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に明治大学特任教授・アセアンセンター長小沼廣幸君、日東建設株式会社技術開発部取締役部長久保元樹君、一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク業務執行理事稲場雅紀君及び北九州市副市長梅本和秀君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(松山政司君) 政府開発援助等に関する調査のうち、我が国のODAをめぐる諸課題と今後の取組の在り方に関する件を議題とし、参考人の方々から御意見を頂戴します。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日の委員会に大変御多忙のところに御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 皆様方から忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、今後の調査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず、小沼参考人、久保参考人、稲場参考人及び梅本参考人からお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。
 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず小沼参考人にお願いいたします。小沼参考人。
○参考人(小沼廣幸君) 今御指名にあずかりました明治大学の小沼廣幸と申します。本日は、参考人として意見陳述をする機会を与えていただきまして、非常に光栄に思います。
 二十四歳のときに二年間シリアで青年海外協力隊員として初めてODAに従事しまして、その後、外務省派遣の国連FAO準専門家、アソシエートエキスパートとして南イエメンで二年、国連難民高等弁務官事務所のジャララクシ難民キャンプ所長として二年間ソマリアで勤務し、ガーナのFAOアフリカ地域事務局に四年、イタリア・ローマのFAO本部に約七年、FAOバングラデシュ事務所長として四年間、そしてタイ・バンコクのFAOアジア太平洋事務局に十六年勤務し、二〇一〇年より約五年間FAOのアジア太平洋局長として従事しました。二〇一五年に足掛け三十五年間勤めました国連を定年退官しまして、現在、明治大学特任教授兼アセアンセンター長としてバンコクに駐在し、新しい世代の育成に従事しております。
 本日の意見陳述は、この間に得た知識と経験に基づくものであります。
 御存じのように、世界の持続可能な開発目標、SDGは、二〇一五年九月にニューヨークで開催された国連総会におきまして加盟百九十三か国の全会の一致により採択され、十七の共通目標を二〇三〇年までに達成することを目指して二〇一六年に開始されました。このSDGは、二〇〇〇年から二〇一五年までに実施されましたミレニアム開発目標、MDGに比べまして格段に違う重要性を持っております。
 その理由の一つは、MDGが国連の主導で作成されたものに対して、SDGは国連の加盟国が主体になり、それぞれの国の政府や民間、NGOなどの意見を反映させて、二年以上に及ぶ長い論議やディベートの末に、全ての参加国の合意により、自分たちによる自分たちの開発目標であるというオーナーシップを持って作成されたものであることです。日本がこのプロセスに重要な役割を果たしたことは周知のとおりです。また、MDGが開発途上国に主眼を置いたのに対し、SDGは日本や他の先進国を含む全ての国の開発目標です。
 したがいまして、SDGの国レベルでの行動計画の作成や目標の実現に向けて、我々一人一人が地球市民としてみんなで責任を持って行動を共にする責務を保有すると言って過言ではないと思います。言い方を変えれば、我々一人一人の努力や貢献なくしてSDGの目標の達成は難しいと思われます。例えば、地球温暖化ガスの排出削減や食品ロスや棄却の削減は、我々一人一人の日常生活の努力なしには達成できないでしょう。
 私は教員としまして、職業柄、日本やタイの学生たちに対してSDGのことを授業で話しますが、国際分野に関連した学部の学生たちを除きまして、驚くことにSDGを知る大学生は通常二割から三割ぐらいしかいないのが事実です。SDGに対する教育は、中学、高校生のうちからレギュラー科目の一つとして週に一、二時間程度の頻度で導入し、大学においては必修科目の一つとしてはいかがでしょうか。日本が真の国際化を目指すためには、中学、高校生たちに対してSDGを中心とする地球市民教育の導入が必要不可欠と思われます。
 さて、SDGの全体について述べましたが、十七ある目標のうち特に重要だと思われる幾つかの目標に絞り、話を進めたいと思います。
 SDGの第一の目標は、貧困の撲滅です。SDGの採択文書にも明記してあるように、貧困問題は世界で最も重要な共通課題です。
 一人一日一・九ドル以下での生活を基準とする世界の貧困人口は一九九九年から二〇一三年にかけて半分以下に減少し、世界全人口に対する比率は同じ期間に約三〇%から一〇%程度まで下がっていますが、国連ESCAPの資料から分かりますように、アジア太平洋地域の後進国では、一日一人当たり一・九ドル以下で生活している人の割合は一六・七%まで下がったものの、一日一人当たり三・一ドル以下で生活している人の割合は五二・六%にも達しております。
 これは何を意味するかというと、表向きは貧困人口は大きく減少し、我々はほっとしているけれども、表に現れない一日一人当たり一・九ドルから三・一ドルの間で生活している、言わば貧困のボーダーラインよりも少しだけ上でひしめいている人たちが驚くことに全人口の半分以上いるわけで、この人々は、家族の病気や失業などの内的要因、あるいは自然災害や人的災害、経済不況、食料価格の高騰などの外的要因により、すぐにまた貧困に逆戻りする高いリスクを持つ人たちであります。後進国に対する自立、自活のための足が地に付いた支援や充実した社会保護制度や、弱者を救済する社会福祉構築のための支援なくして持続可能な貧困撲滅は達成できないと思われます。
 外務省の資料によりますと、日本のODAの支出総額は二〇一三年のピーク時に比べますと二〇一六年には約二五%減少し、アメリカ、ドイツ、イギリスに次ぎ四番目で、同年の日本のODA支出総額の国民総所得比では、OECD、DAC諸国の平均の〇・三二%に比べまして〇・二%と低く、加盟二十九か国中二十位でありました。
 世界の貧困削減に向けた努力は近年大きな成果を上げてきたものの、まだまだです。表向きの数値に満足することなく、SDGの中心課題である持続可能な貧困撲滅達成に向けた、世界第三位の経済大国である日本のODAの今後のより一層の貢献と増額を期待したいと思います。
 もう一つの問題は、貧困人口比率は全体では減少したものの、地域により極端な差が生じていることです。二〇一三年のサハラ砂漠以南のアフリカの場合、その地域全体に占める貧困人口の割合が四二%、中央・南アジアの場合は一四%、そして東アジア、東南アジアだと三%と、地域による大きな違いがあります。
 日本のODAは、外務省の資料によりますと、二〇一六年時点で総支出額の五二%がアジアに、一四%が中東、北アフリカに、一一%がサハラ砂漠以南のアフリカに配分されています。日本とつながりが一番強いアジア地域の支援に日本が力を入れることは重要だと思います。それと同時に、地域の総人口の四〇%を超える極めて高い貧困人口割合や、世界全体の三〇%近い飢餓人口を有し、それが現在も悪化している現状というものを総合的に考慮しますと、サハラ砂漠以南のアフリカに対してより一層の支援の目を向ける必要があるように思います。TICADを通じて浸透したアフリカ支援に対する日本のリーダーシップが、サハラ砂漠以南のアフリカに対するODAの実質的な配分増加に反映されることを期待したいと思います。
 さて、SDGの第二の目標は飢餓の撲滅です。
 国連FAOの統計によりますと、二〇一五年まで過去十年間以上減少傾向にあった世界の飢餓人口は、皮肉なことにSDGが開始された二〇一六年を契機に増加に転じ、二〇一七年度に更に増加しています。二〇三〇年までに飢餓人口をゼロに減らすのがSDGの目標なのに、それどころか反対に増加しているわけです。
 その主な原因は、世界各地で発生している国内外の紛争による食料不足や避難民の増加や、自然災害などの多発による被災民の発生や食料生産、流通への悪影響などが挙げられています。これでは、幾ら食料の増産や栄養の改善に努力しても、それだけではSDGの第二番目のゴールである飢餓撲滅を達成することは難しいと思われます。紛争や気候変動の悪い影響が増加している今日、緊急援助や食料援助の重要性はここにあります。
 外務省の資料によると、二〇一六年度の日本のODA全体の中の分野別配分で、緊急援助、食料援助の比率は僅かに四・八%で、アメリカの二五・四%、イギリスの一四・一%、ドイツの一一・九%、カナダの二九・一%に比べて極めて低いことが分かります。この点、現実の問題とそしてニーズに照らして、我が国のODAの中の緊急援助の役割と重要性を再度検証し、増額を考慮していただければと切に思います。
 私が二〇三〇年までに飢餓撲滅、食料安全保障の達成という第二番目のSDGのゴールに強い関心を持つのは、上記以外に大きな理由があります。これは、現在約七十六億人の世界人口が二〇五〇年には九十七億人に達すると推測され、それに見合う食料の増産を二〇五〇年までに世界は達成できているだろうかという疑問であります。これは、日本のような食料自給率がカロリーベースで三八%という食料輸入依存国にとり大変大きな死活問題です。
 現在、世界は地球の人口の必要量に見合う量の食料を全体として生産しているので、自分の国で十分に生産できなくとも海外から輸入をすれば問題はありませんが、もし世界の食料の生産が増加する需要に追い付かなくなり、需給のバランスが崩れ、食料が不足し食料価格が高騰したら、そのしわ寄せは貧しい食料輸入依存国を襲い、栄養失調や餓死者の発生、スーパーなどの焼き討ち、内乱や治安の悪化、ひいては食料をめぐる紛争や国際テロなどが発生するおそれがあります。
 国連FAOは、増加する食料の需要を満たすために、二〇一三年を基準にして二〇五〇年までに食料を世界全体で四九%増産する必要があると警告しています。とはいえ、世界の耕地面積はごく僅か、現在の五%ぐらいしか増加が期待できないため、食料増産の約九〇%は現存する耕地において単位面積当たりの収量の増加に頼らざるを得ないだろうとFAOは予測しています。
 しかしながら、近年、穀類の単位面積当たりの生産性の増加は伸び悩み、水問題が深刻化し、土地や水の利用をめぐり食料作物とバイオ燃料作物との間に競合が生じております。また、せっかく生産されても、世界の食料の約三〇%が生産、加工、貯蔵、消費などの異なる工程でロスされたり棄却されています。特に深刻なのは、気候変動の影響による自然災害の多発と、それによる農業や生活環境への悪影響、そして地球温暖化による農産物の生産性の低下や農地の水没、病虫害の発生など、将来の食料増産に対する不確定要因が多く存在します。
 資料にあるように、IPCCの二〇一四年に公表された試算では、もし人類が地球温暖化ガスを更なる規制なしに排出し続けると、その影響で二〇五〇年頃には約半数の作物の生産性が一〇%から五〇%減少するだろうと警告しています。もしこれが現実に起きたら、世界は食料不足に陥り、地球の平和や秩序を保つことが難しくなるかもしれません。特に、日本のような食料輸入依存国にとっては深刻です。FAOが試算するように、二〇五〇年までに食料を四九%増産できるかどうかという、それどころの問題ではなくなります。
 結論から言いますと、将来の世界の食料安全保障を達成するには不確定要因がたくさんあり、それを乗り越えるには足並みのそろった強い国際協調を構築することが不可欠です。
 外務省の二〇一六年の資料によると、日本のODA全体で農林水産分野に占める割合は僅か三・三%と、ごく僅かなことが分かります。世界の食料問題が人類の平和や秩序の構築に及ぼす影響の重さ、稲作やバイオテクノロジーなどを中心とした日本の持つ高度な先端技術、食料輸入依存国である日本が途上国の食料生産に貢献することの重要性などを考えると、日本のODAの農業分野へのシェアがもっと高くなることを期待したいと思います。
 さて、三つ目の重要なゴールとして特に注目したいのは、SDG十番目のゴールの格差の軽減です。
 国連の統計では、世界の上部一〇%の富裕層が世界の収入の四〇%を得ていると言われ、地域差はあるものの、世界的に貧富の差の広がりが大きな問題になっています。資料にあるように、アジアでは中国、インド、タイ、インドネシアなど、貧富の差が顕著で、それぞれの国の上部二〇%の最貧富層がその国の富の七〇%から八〇%を所有していると言われています。
 情報やマスメディアの発達は、貧富の差を問わず人々の消費意欲を駆り立て、欲しいものに手の届かない貧しい人たちは欲求不満を募らせていく現状があります。格差問題は、将来人類が克服しなければならない重要課題として貧困問題よりも重要性を持つと言われています。なぜなら、人間と人間との間に広がる格差は心に隙間をつくり、妬みや不必要な競争心や逃げ場のない絶望感をあおり、それが犯罪や社会不安の元凶になる危険をはらんでいるからです。
 こうした格差の是正には、国家予算を弱者救済のための社会福祉政策に十分に充当すればいいのですが、多くの後進国では経済発展を重視し、年七%のGDP成長率を達成して、早く中進国の仲間入りをすることに力を入れている現状があります。特に東南アジアではこの傾向が顕著で、二〇一七年度の国連のSDG経過報告によると、東南アジアでは格差が全く是正されておらず、SDGが開始された二〇一六年よりも逆に悪化していると報告されています。
 また、東南アジアでは、都市化と高齢化が物すごいスピードで進んでいます。国連の統計では、ミャンマーの都市人口の四一%がスラムに住み、ベトナムでは二七%、カンボジアでは更に悪く五五%がスラムに住んでいると言われています。年老いて年金をもらえる老人たちはごく僅かで、急速な経済発展のゆがみが至る所に現れています。
 外務省資料の二〇一六年度の日本のODAの分野別配分を見ると、経済インフラが五一%なのに対し社会インフラが一七%と、三分の一の配分になっています。社会インフラに対する他国のODAの配分は、アメリカが五一%、イギリスが四六%、フランスが三八%、ドイツが二四%、カナダが三七%と、どの国も社会分野の支援に力を入れていることが分かります。
 急速な経済発展のゆがみを是正し、貧富格差のより少ない調和の取れた社会を築く支援をするために、日本のODAがソフトの部分を含めた社会福祉分野により多く使われることを願いたいと思います。
 最後に、青年海外協力隊とNGOについて少し触れたいと思います。
 私が協力隊の隊員であった経験から、協力隊のすばらしさを自分の体験をもって感じてきました。振り返ると、協力隊の経験なくして国連三十五年間の勤務したキャリアはなかったと思っております。一人でも多くの若者に協力隊の貴重な経験を積んでほしいと願っていますが、JICAの資料にありますように、協力隊員の派遣数は二〇〇八年をピークにして二〇一八年には三〇%以上も落ち込んでいます。いろいろな原因があると思いますが、協力隊予算を増加し、広報や宣伝に十分な投資を行うことが重要だと思われます。
 また、NGOに関してですが、事務を統括する専従の職員のポストがなかったり、職員がいても給料が安くて定着しなかったりという話をよく耳にします。それゆえ、組織が不安定で消えてしまいそうなNGOが幾つもあります。NGOといえども、しっかりとした事務母体とそれを動かす経費が必要です。多くの国連機関では、プロジェクト予算の一〇%から一五%程度がサポートコストとして事務経費や関連する人件費等に充てることを認められており、NGOにも似たような配慮がなされることを期待したいと思います。
 最後の最後になりますが、東南アジアでは中国が留学生の確保に多大な予算や労力を費やしていることを紹介します。将来の親中国派の若者を育てるための大きな国策と理解します。日本はこれに負けていてはいけないと思います。将来の日本の大学の無料化が、海外の選ばれた日本に来る留学生たちに対しても適用されることをお願いして、最後としたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(松山政司君) ありがとうございました。
 次に、久保参考人にお願いいたします。久保参考人。
○参考人(久保元樹君) ただいま御紹介いただきました日東建設の久保と申します。
 私からお話しさせていただく内容は、意見というよりかは、民間企業としての目線から、JICAさんの事業を活用しまして海外展開に至った理由ですとか経緯、その内容、感想などについて率直なお話をさせていただこうというふうに思っております。
 中小企業といっても、その定義はかなり広くて、規模の大きな会社さんというのもいらっしゃいますが、弊社は北海道の地方にある非常に小さい企業でございます。先ほど民間企業の目線からお話しさせていただくと申し上げましたが、小企業の目線からの話題提供であるということを先に御了承いただければというふうに存じます。
 スライドを用意しておりますので、皆様のお手元にもお配りはしておりますが、これに沿ってお話をさせていただきたいというふうに思います。(資料映写)
 まずは、弊社の会社の概要となっております。弊社は、北海道、オホーツク海に面した雄武町というところに本社を置く小さな建設会社でございます。資本金は二千万円、従業員数は五十七名というふうになっております。
 雄武町は、人口が約四千五百人ほどの小さな町でございまして、漁業ですとか酪農が盛んな町となっております。弊社は、この町で道路建設を始めとしました土木構造物の建設をなりわいとする建設会社でございまして、皆様の安心と安全を守るべく日々の業務を行っておるといった会社でございます。このほかに、二〇〇〇年頃からコンクリート構造物の健全性診断の調査業務というものに進出をいたしまして、二〇〇三年から非破壊検査機器、非破壊検査技術の研究開発ということに取組を開始をいたしまして、現在では各種測定機器のメーカーという立場でもあります。
 弊社の主力装置というのをちょっと御紹介するんですが、スライドの右上に映っているコンクリートテスターという機械になります。商標としては、クボハンマーという商標が付いております。この装置は、加速度計、ハンマーの中に加速度計というものが内蔵されておりまして、このハンマーでコンクリートをたたくことによって得られる打撃力の波形というものを採取するんですが、これを分析することで、コンクリートの強さですとか、表面の近くにある浮きですとか剥離など、そういった検出が可能な測定装置というふうになっております。これらの装置の海外展開の一環といたしまして、ODAに関わる制度を用いて活動させていただいております。
 弊社が測定器開発に至った経緯とそれから海外展開に至った経緯について軽くお話をさせていただきたいと思います。
 弊社が土木工事から測定器ですとか測定技術の研究開発を始めたというそのきっかけは、日本における公共投資の減少ということと、それからインフラの老朽化という喫緊の課題、こちらが背景にございます。要は、雄武町のような小さな町に関しましては、雇用機会が非常に少なくて、建設業が担っているその役割というのは相対的に大きなものになっております。工事、公共投資の減少によって事業縮小を余儀なくされ、余剰人員の解雇ということを恐れた弊社の社長が、異業種分野へ進出することによって地域の雇用を守ろうというふうに考えました。
 異業種分野の進出に関しましてはいろいろな方向があったんですが、インフラの老朽化による事故というのが測定機器、測定技術開発への大きな契機というふうになりました。具体的に言うと、一九九九年、新幹線のトンネルでコンクリート片が落下したという事故がございましたが、これがそれに当たります。そういう背景がありまして、二〇〇三年に北海道経済産業局様の補助金を受けて測定器開発を行いました。
 開発当初は国内展開のみを対象としておりまして、海外展開というのは頭にはございませんでした。ところが、ある機会から、二〇一〇年にアメリカに販売代理店というものを設置をいたしまして英語版のホームページを立ち上げたところ、世界各国から問合せが入るようになったという経緯がございます。これによって、日本国内だけではなく、全世界的にこういった測定装置の需要があるということを知りました。ただ、弊社は海外展開の経験も知識もないという状態でございましたので、二〇一一年ですかね、ジェトロさんの事業に採択をされまして、これをきっかけに本格的に海外展開へ進むといったことになりました。
 この中で、二〇一二年にイギリス・エジンバラで開催された国際学会で弊社の技術を発表したところ、このときにナイジェリア人の技術者とのつながりが生まれました。また、ちょうどこの頃、JICAさんで民間提案型の普及・実証事業というものが始まっておりました、今はちょっと名前が変わっておるんですけれども。弊社は、これを新たな海外展開の一環といたしまして、イギリスで出会ったナイジェリア人技術者とのつながりということを基に、対象国をナイジェリアとして応募をさせていただきまして活動させていただきました。
 その後もいろいろ新しい測定技術、測定装置の開発を手掛けながら海外展開を図っております。現在では、タジキスタンということを対象にJICAの案件化調査というものをさせていただいております。
 こちらのスライドは、コンクリートテスター、弊社の装置の販売実績となります。海外には五か国に販売店がございます。拠点としては六拠点となるんですけれども、まだまだ少ない数量ではございますが、現在までに六十八台の売上げとなっております。ちなみに、日本国内だけでいくと約七百台という売上げになっております。市場規模からするとまだまだ発展途上かなと思っておりますので、これからますます頑張っていきたいと思っております。
 弊社の海外展開の目的と海外展開に対する基本的な姿勢について御説明をいたしたいと思います。
 海外展開の目的に関しましては、さきにも御説明させていただきましたが、地域の雇用を守るというのが最大の目的でございます。北海道は道路インフラの整備というのが本州と比較して遅れておりましたが、整備スケジュールというのが具体化いたしまして、今後十年から二十年である程度整備されることとなります。当然のことながら、その時期には公共投資は減少するとともに、新しく物を造るという時代から維持管理をするという時代へ移り変わっていきます。弊社では、測定技術や測定器の開発、製造、販売ということを早い時期から行うことでシェアを確立いたしまして、地域の雇用を創出するということを目標としておりまして、この海外展開というのはこの目標を達成するための事業の一環というふうにして位置付けております。
 海外展開の手法といたしましては、先進国とそれから発展途上国、開発途上国と言ったらいいんでしょうか、考えております。先進国につきましては、ある程度自由に民間企業がその国に行って活動できる、国としての仕組みですとかルールというのがしっかり確立されておりますので、この辺に関しては弊社自らにより販路を開拓していくという姿勢を持っております。ただ、発展途上国におきましては、このような国としてのルールですとかシステムというのが未発達であったり矛盾があったり、いろんな難しい問題があると、それから元々の情報量も少ないというところから、ちょっとリスクが我々にとっては大きいというところがございましたので、JICAですとかジェトロといったような公的機関の事業を活用しつつ足掛かりをつくるということを基本的な姿勢としております。
 こちらからは、JICAさんで行った普及・実証事業の概要について御説明をさせていただきます。
 事業の対象国としてはナイジェリアを選択しているのですが、これは、ナイジェリアの人口が当時で約一億七千万人ほどおりまして、また経済規模が大きいと、アフリカの中でも今は一番ですかね、になっています。なので、潜在的な需要が非常に大きいというのが理由でございます。本心を言うと、ジェトロの事業の一環で出会いましたナイジェリア人技術者とのつながりというのがあった、信頼できるネットワークがあったというのが本音のところでもございます。
 また、ナイジェリアでは現在幹線道路の整備拡充が行われているんですが、予算ですとか技術力、資材不足などにより、舗装されている道路、それから舗装されていない道路共に良好に管理されている状況とは言えないと、こういうのも背景にあります。実際に事業で現地の高速道路等を走りましたが、舗装に大きな穴ですとかが空いておりまして、その穴に落ちそうになったことも何度かはありました。
 また、橋の防護柵というところですが、車の衝突がしたんでしょうか、破損しているところがあって、それもそのままの状態になっているという危険な状況でした。その橋の下には幹線道路が走っていて、交通量も多いんですけれども、そのコンクリート製の防護柵が落下すると大惨事につながるというような危険な状況もございました。
 このような中、橋梁点検に関する実習プログラムというのを構成し、その中で弊社の測定器を活用するといった方策で普及を図ったのがこの事業でございます。弊社の測定器というのは、コンクリートの情報を得るためのハードウエアでありまして、橋梁点検を行って管理するというソフトウエアがあって初めて有効に活用されると考えております。
 また、ナイジェリアでは、急ピッチでインフラが整備される中、近い将来、必ず日本と同じく構造物の老朽化という問題に直面することになります。今のうちから維持管理に力を入れる重要性を現地技術者に分かってもらうということが、ナイジェリアのインフラが抱える問題の解決、ひいては弊社製品の普及につながるというふうに考えております。
 この事業をやらせていただいて、現地企業との販売店契約を結びまして弊社製品の普及の足掛かりを得られたということがこの事業での成果というふうになっております。
 普及・実証事業を実施した後のその後の展開についてなんですけれども、弊社製品というのは測定器という側面を持っておりまして、食材ですとかそういう一般消費財とは異なって、測定原理ですとかそういう専門的な説明が必要な商品となります。このため、現地企業の人材育成が欠かせないというふうに考えておりました。この実証事業の成果で現地企業と販売店契約を結んだんですけれども、この販売店契約を結んだ先の現地の技術者から日本で勉強したいというふうな相談を受けました。これは人材育成のチャンスと捉え、この相談を受けることにしたんですが、実際に受けるに当たってどのような方策がいいかと探していたところ、JICAからABEイニシアティブをやっているという情報をもらいました。この制度を使って人材育成が可能だと判断いたしまして、現在では二名の若手技術者が徳島大学の大学院の修士課程に入りまして、非破壊検査に関する研究を行っております。
 弊社は、この二名の若手技術者をインターンシップで受け入れまして、点検ですとか調査業務の知識や、弊社製品を始めとした非破壊検査装置の製造、測定原理の習得、アフリカにおける弊社製品の販売戦略ですとか建設現場の品質管理など、土木に関わる内容について学習をしてもらっています。日本で様々な技術を勉強してもらうということで、将来的に弊社技術のみならず日本の技術をアフリカで普及させるための大きな力になるということを確信をしております。
 こちらのスライドは、ABEイニシアティブの経緯ですね。時系列になっております。二〇一六年と二〇一七年にそれぞれ一名ずつ徳島大学の修士課程へ入っております。今年の三月に一名が修士課程を修了する予定でおります。
 現在の弊社の活動なんですが、タジキスタンというものを対象にJICAの案件化調査をさせていただいております。ナイジェリアでの経験から人材育成が非常に重要だということを教訓として得ておりましたので、ここでは、タジキスタン工科大学の学生も含めて、何か効果的な事業が展開できないかというところを模索しているところでございます。
 最後になりますけれども、弊社の製品は一つのツールでありまして、それ単体で目的を達成できるものではございません。このため、国が進める政策の中にスペックインさせるということが途上国での普及の一番の近道ということになります。ただ、途上国に関しましては、新しく造るということには非常に意欲的ではございますが、これに対しまして維持管理については、現地技術者は非常に重要性を認識しながらも実際にはきちんと行われていないといったような現状があります。この意識を改革していくといった活動が非常に重要と感じています。そのためには、時間が掛かりますが、人材を育て、橋梁点検などのシステムを途上国に定着させていくといったような活動が必要であるというふうに感じております。
 また、弊社のような田舎の小さい企業というのは、こういう海外展開に関しまして人材的にも資金的にもかなりぎりぎりの状況で活動を行っています。こういう目標を達成させるには弊社の力だけでは困難なところもございます。今後も、JICAさんですとか、そういった日本が実施する支援策というものを上手に活用しながら海外展開を図っていきたいと考えております。
 私からは以上となります。ありがとうございます。
○委員長(松山政司君) ありがとうございました。
 次に、稲場参考人にお願いいたします。稲場参考人。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。どうも、貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。(資料映写)
 私の方は、今、こちらのプレゼンの方も使わせていただきつつ、お手元の方に、SDGs・ソサエティー五・〇時代のODAはいかにあるべきか、NGOからの提言というこちらの紙がございますので、こちらとあの画面の方を御覧いただきながら聞いていただければというふうに思います。
 SDGs市民社会ネットワークに関しまして簡単に御説明をいたしますと、日本の国際協力のNGO及び国内のNPO、さらに企業や協同組合等、合計百五団体が参加をしておりますネットワークということになっておりまして、SDGsの基本的に啓発、推進、あと政府に対する政策提言、さらに国連等の場における日本の市民社会の存在の確保というようなところを取り組ませていただいておるところでございます。
 まず、簡単にこのSDGsについて御説明をさせていただきたいと思います。
 なぜSDGsができたのかということなんですが、これ、残念ながら希望に満ちた話ではないということ。大体、SDGsというのは、これからの将来どうしていこうかということで、希望に満ちた話ということで語られることが多いわけですけれども、実際にはそういうわけではないというところをまず説明していきたいと思います。
 SDGsの日本語の正式名称というのは、持続可能な開発目標ということになっております。持続可能というのは、続く、続けられるということなんです。続くことをわざわざ国際目標にしなければならないというような過酷な状況に現代世界はあるのだということを、これは逆説的に証明しているということが言えるのではないかと。私たちとしては、例えば今日と同じようなあした、そして今年と同じような来年というようなものが続いていくというのがこれまでの常識だったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、わざわざ国際目標で続くことを目標にしなきゃいけない、このような状況にあるということなんですね。そういう意味において、希望に満ちた話ではないということを申し上げているわけでございます。
 その理由としましては、気候変動に象徴されるような地球の限界。次に、格差。こちらは、今、写真はちょっと分かりにくいかもしれませんが、左側は豪邸が並んでいて全部プールが付いております。ところが、道路を隔てて、一本の道路を隔てて右側はトタン屋根の家が細かく散らばっている、このような格差と。これは南アフリカ共和国の写真なんですけれども、こういった風景が実は途上国においても先進国においても普通になってきているということですね、こういった格差と。なおかつ、この格差というものが、機会の平等の上で格差が生じているのであればまだしも、様々な不公正によってこういった格差が生じている。こういうようなことにおいて、私たちの世界はこのままいくと続かないと。だから、持続可能な開発目標というものを作っていかなければならないということになっておるわけでございます。
 特に続かない理由といたしましては、私たち人類社会は地球が再生可能な資源量の一・七倍を使って今の人類社会をやっておるわけでございます。これ、左側のグラフは、WWFが作った、地球一個分の再生能力はるかに超えた形で今の人類社会が消費をしていると、そういったことでこの社会をやっているということが分かるかと思います。
 地球一・七個分使ってやっていたらそのうちなくなると。なくなったらこれは大変なことになるということなんですが、じゃ、いつ大変なことになるのかというのが右側のグラフになるわけですけれども、これを見ますと、これ一九七〇年にもうこういうグラフできているわけなんですね。このグラフを見ますと、実際に大変になるのは二〇三〇年から四〇年の間であるというふうに言われているわけでございます。
 実際、一九七〇年にこれができて、そして様々な努力を積み重ねて、実際どういうふうな形でということを様々な努力を積み重ねて、この破局というものを回避するためにいろいろな、例えば会議を延々とやったりとかしておったわけですけれども、残念ながら、じゃ、七〇年から二〇〇〇年までの状況を見てみると、実はこのグラフと余り変わらない状況になっているということなんですね。
 これ見ていただきますと、やはり人類社会というのは、このままやっていくと本当に大変なことになるということかなというふうに思っております。だからこそ、持続可能な開発目標というものをやっていかなきゃいけないということかと思います。
 さらに、次のところをめくっていただければと思いますが、この持続可能な開発目標の難しいポイントというのは、世界の土俵が大きく変わり始めていると。世界の土俵が大きく変わり始めているところにおいて、更にSDGsをやらなければならないということなんですね。
 すなわち、科学技術革命、そして例えば経団連が推進をしておりますところのソサエティー五・〇と。つまり、科学技術革命によって全く新しい社会をつくっていくということが言われているわけですね。全く新しい社会をつくるわけですから、そういう意味でいうと、このデジタル経済の発展の中で社会の在り方の基層自体が変わっていく、労働の在り方、生産、消費、サービスの在り方、お金の在り方、果ては民主主義の在り方に関わるまで大きく変わっていくということですね。
 また、新興国の経済成長と世界の地政学的変動ということがございます。これは、これまでの国際協力のアジェンダを大きく変貌させるものでございます。
 こういうような二つの非常に大きな世界の土俵の変化というものがございます。こういう中でもSDGsを達成し、そして続く社会にしていかなきゃいけないという非常に難しい局面に私たちはあるということが言えるかと思います。
 さらに、暗い話ばかりで申し訳ないんですが、更に申し上げますと、今のデジタル経済発展による現代の最大の矛盾というものはここにあるのではないかというふうに私は思います。すなわち、収益構造はグローバルに展開をされている。こちらの絵の方にも付けましたけれども、GAFAと呼ばれる巨大なデジタルのプラットフォームがどおんとあるわけですね。ここがグローバルな形で国境に関係なく収益を上げていくということです。ところが、再分配の方はどうかというと、再分配の方は全部国民国家に丸投げになっているわけですね。収益がどんどんグローバルに蓄積されて、もうかったお金がその国に還元されないという状況の中で、再分配に関しては国民国家に全部集約されているわけですから、税制や社会保障といったものはどんどん痩せ細っていくということがこれからあり得るわけですね。
 ここのところをどういうふうにするのか。まさにこの問題というのは、現代の主要な生産諸力の拡大と既存の生産・所有関係の矛盾ということだと思います。巨大な格差が形成され、これを放置しておくと地球規模の危機につながるということでございます。
 実際に、例えばこのファーウェイの問題という、今あるかと思いますけれども、まさに中国とアメリカがいわゆる科学技術イノベーションの文脈の中で経済的な掃討戦を演じているわけですね。これこそが実はソサエティー五・〇のいわゆる幕開けなわけです。
 そういった意味で考えたときに、私たちは非常に大きなこの変化というようなものを感じざるを得ない。こういう中でどのように続く世界、そして続く日本をつくっていくのかというのがこのSDGsの大きな私たちが直面している課題であるというふうに思っておるわけでございます。
 SDGsとは何かということなんですが、二〇一五年の九月に国連サミットで採択されたものなんですが、これ、二言で申し上げることができます。一言では難しいんです、二言で申し上げることができる。一つは世界から貧困をなくすということです。二つ目に続かない世界を続く世界に変えるということです。
 更に二つ付け足すと何かと申しますと、日本を含む先進国も本気で取り組む必要があるということです。これ、先ほど、世界は、今の人類社会は地球の再生産能力の一・七倍でやっているというふうに申し上げましたが、これ一・七倍でやっているのは誰かと。例えばミャンマーの零細な漁民が一・七倍使っているか、別にそういうわけではありません。サハラ砂漠に生きる遊牧民が一・七倍使っているのか、そうじゃないですね。誰が使っているかといえば、先進国の人々が使っておるわけでございます。ですから、そういった意味合いで考えたときに、日本を含む先進国も本気で取り組む必要があるということです。
 四つ目、ここが大事なんですが、誰も取り残さず、いつも最後に来る人を最初にという形で、そういう気合でやっていかないといけないというのが四つ目でございます。この四つ目が非常に大事です。
 実は、ミレニアム開発目標、これは世界の貧困を半減するという目標でした。実際に半減されたことになっているわけです。これ、小沼先生がおっしゃったとおりかと思います。
 しかし、このMDGsはどのように半減をするのかということについてはきちんと決めなかったんですね。結果として何が起こったか。どんなふうに半減してもいいからとにかく半減してくださいという話になれば、当然のことながら、皆さん、やりやすいところ、やりたいところから始めるわけですね。やりやすいところ、やりたいところからどんどん始めて、半減しました。残りはどういうところかというと、やりにくいところ、そしてやりたくないこと、そういったことばかりがあとの半分残るということになってしまうわけですね。
 これを繰り返すと、結局のところ、同じことがずっと蓄積されて、最終的に一番厳しいところだけが残るということになります。そのような形ではいつまでたっても世界から貧困をなくすことはできないんですね。ですので、誰も取り残さない、いつも最後に来る人を最初にという話になったわけですね。そういう気合でやるんだということになったのがSDGsでございます。
 ですので、この誰も取り残さないというのは、単に口で言っているわけではなくて、そうしないと本当に世界から貧困がなくならないからこういう形でやるのだという、そういうMDGsの反省からきたそういったやり方ということになるわけでございます。
 こういったところを踏まえまして、我が国のODAがどのようにあるべきかということを申し上げますと、時代の変化に応じてODAも変わらなければならないということなんですが、これからのODAの最大の優先順位は、一つはSDGsの達成、すなわち貧困のない、そして続く世界の実現というのが最大の優先順位、一丁目一番地かと思います。
 一丁目二番地は何かと申しますと、先ほど申し上げた科学技術イノベーションによって生じる法的、倫理的、社会的課題の克服と。これ、私たちだけが克服すればいいのではなくて、途上国もこの問題に直面しているわけですね。途上国の方が急激ないわゆるデジタルイノベーションに直面して、様々な形で社会を整えていかなければならない、そういったニーズがあるわけです。ですので、そういった意味で、ODAに関しましてもこの問題に注目する必要があるというのが私の考えでございます。
 そういった意味合いで、ODAの最大の優先順位は、これからはこの二つをしっかりやっていくことが大事かなというふうに思います。
 そこで、私の考えるアイデアといたしましては、SDGs時代のODAの変革に関しては四つの軸を立てて再編すべきだというふうに考えております。一つは誰一人取り残さない世界をつくるODA、二つ目が紛争、災害から人々の安全を守るODA、三つ目が貧困、格差をなくす、能力の高い政府機関を育てるODA、四つ目が持続可能な強い経済をつくるODAと。この四つの軸を立てて今のODAを再編する必要があるというふうに私は考えているところでございます。
 少し詳しく見ていただきますと、誰一人取り残さない世界をつくるODAというところなんですけれども、これ、まさに我が国が人間の安全保障ということで言ってきたこと、それをすなわちしっかりやるということが大事かなというふうに思っております。そして、この領域に関しましては、大胆にNGOに開放することが大事かなというふうに思っているところです。
 現状ではNGO連携無償というものがありますけれども、これは大体六十億円ぐらいなんですね。日本のODAの年間予算というのは、大体外務省予算で五千億円というのが通常でございます。その中でそれほど大きな割合ではないということになるわけですね。ですので、このNGO連携無償を再編し、そして二百億円規模の誰も取り残さない官民基金というものを設置して、そして日本と途上国のNGOがしっかり事業を実施していくと。そういう中で、誰一人取り残さない世界をつくるODAというものを、NGOだけではないです、もちろんJICAも含めて様々なセクターがしっかりタッグを組んで、誰一人取り残さない世界をつくるODAを我が国からということをお願いしたいというふうに思っております。
 二つ目が、紛争、災害から人々の安全を守るODAということなんですが、これは非常に大事な課題でございます。現状、戦後最大の難民というものが存在している。そしてさらに、気候変動の問題でいえば、これ今後ますます災害が多発すると、まさに災害がニューノーマルになるというふうに言われておるところでございます。そういった意味合いにおいて、紛争、災害から人々の安全を守るというのはODAの最大の眼目になるかと思います。
 三つ目が……
○委員長(松山政司君) 時間が過ぎておりますので、簡潔におまとめ、お願いします。
○参考人(稲場雅紀君) あっ、ごめんなさい。もうすぐ終わりにします。
 三つ目が、貧困をなくす、能力の高い政府機関を育てるODAということなんですが、これに関しましては先ほどの再分配の問題がございます。途上国では再分配の課題が非常に深刻でございます。これに関しまして、税と社会保障、財政政策に関してJICAの専門的能力を強化し、そして途上国のNGOに関しては政策提言をしっかりやらせるというようなところで、こういったところをやるのが大事かと思います。
 四つ目ですが、持続可能な力強い経済をつくるODAということでございます。
 この四つを軸にODAの改革をしていく必要があるというふうに思います。
 最後に、短く三十秒ほどで、これからのODAに必要な三つの視点ということで、一つはグローバルな政策形成に積極的参加をと。現状では国際保健では日本は世界をリードしております。しかし、より多くの資金を出しているインフラ、水、農業分野では世界の援助政策をリードできていない現状がございます。そういった意味合いにおいて、グローバルな政策形成への積極的な参加が必要。二つ目が普遍的、公益的視点を重視するということでございます。三つ目がビジネスと人権の視点を大きく取り込むということでございます。この三つをG20やTICADに向けてしっかり打ち出していくことが大事かなというふうに思っているところでございます。
 時間の超過、大変申し訳ございませんでした。
 こういった形でODAの改革というものをしっかり進めていくことで、我が国が人間の安全保障という精神をしっかり実現していくことでSDGsが達成できるものというふうに信じているところでございます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(松山政司君) ありがとうございました。
 次に、梅本参考人にお願いいたします。梅本参考人。
○参考人(梅本和秀君) 御紹介をいただきました北九州市副市長の梅本でございます。
 まずもって、今日、こういう機会をいただきましてありがとうございます。感謝申し上げます。
 本日は、政府開発援助による北九州市の国際協力の取組について、自治体の立場で地域の活性化にどう結び付けていくのかという視点から、具体的な事例を交えて御報告を申し上げます。皆様の方にパワポの資料があると思いますので、これを基に説明をしてまいります。なお、下の方にページを打っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 二ページでございますが、まず、本日はこの三点についてお話を申し上げます。北九州市の概要、環境国際協力・ビジネス、今後の取組と施策への期待という三点でございます。
 まず、本市の概要でございます。四ページになりますが、北九州市は東京と上海の中間に位置をしましてアジアに近いことから、一八九〇年頃から港、貿易港あるいは鉄道が非常に発達をしました。一九〇一年に日本初の官営八幡製鉄所が建設されたことを契機としまして、日本の四大工業地帯の一つとして高度経済成長を牽引してまいりました。現在も我が国を代表する物づくりの産業が多く立地をしているところでございます。
 次、五ページでございますが、工業の発展の当初、いわゆる煙突から吐き出される煙、あるいは工場の騒音、これは市民にとって実は繁栄の象徴ということで受け止められておりました。そこにいろいろな学校の校歌書いていますけれども、至る所に煙ですとか煙突ですとかいうのが入っていると思いますが。
 ところが、六ページになりますが、昭和三十年代になりますと公害が激しくなりました。降下ばいじんが日本一を記録し、溶存酸素がゼロとなったいわゆる洞海湾でございますが、死の海というふうに言われました。そこのパワポの資料にありますように、これが本当に現実の写真でございます。
 それが、七ページになりますが、その公害に対しまして地域で初めて声を上げたのは、家族の健康を心配する実は婦人会の皆さんでありました。婦人会の皆さんが、どうすればいいのか、どういうふうな活動をすればいいのかというのを大学の教授に学び、そして調査結果を持って工場や行政に改善を訴えてまいりました。この活動をきっかけとしまして、企業は公害防止設備を導入し、行政は環境監視や環境インフラの整備を行いました。
 八ページでございます。これが結果でございます。これが一番分かりやすい、私どももいろんな地域あるいは海外に行ったときにこれを見せると、なるほどというふうに言われます。一九六〇年頃のいわゆる空、海が左側にあります。一九八〇年代後半から現在にかけて、同じところの空と海であります。市民、企業、行政が懸命に公害対策に取り組んだ結果、この写真のように青い空と青い海を取り戻すことができました。
 九ページでございます。当時、公害対策は経済発展を阻害するという意見が多くありました。一九六八年をピークとして、経済成長とは逆に大気汚染が改善をされています。つまり、経済と環境は両立するんだということを身をもってこの北九州市で実現できたわけです。この表は、左に環境汚染、硫黄酸化物、右に、右というか下の軸ですね、下側に経済発展、製造品出荷額を連動させたものでありますが、一時期環境汚染が進行するんですけれども、それから先は経済の成長とともに環境汚染がなくなっていくといいましょうか、改善していくという数字を表しております。
 十ページでございます。公害を克服する取組の中で、経済と環境の両立を図る様々な技術や知識が地域に蓄積されることとなりました。そこに書いていますように、生産工程、資源投入、生産、製品等のいろんな技術がクリーナープロダクションとしてまとめられ、かつ最終の処理として、終末処理としてまとめられ、それが汚染物質の削減、省エネルギー、プラス資源回収という形で我々のノウハウとして蓄積をすることになります。
 十一ページでございます。次に、現在、本市が積極的に取り組んできた環境国際協力・ビジネスについてお話を申し上げます。
 十二ページでございます。本市では、一九八〇年代から、公害克服で地域に蓄積した技術あるいはノウハウを生かして、アジアを中心に環境改善のための国際協力に取り組んでおります。これまでに、環境や上下水道分野を始めとした幅広い分野で専門家派遣、研修生の受入れなどを行っております。そこの資料にもございます、上下水道分野は受入れ研修百五十五か国約六千人、環境分野は受入れ研修百六十五か国約九千人、合わせて一万五千人を超える研修生を受け入れております。専門家も併せて派遣をしております。
 十三ページでございます。一つの事例、これから少し事例を御紹介申し上げますが、まず、北九州市と友好都市になっております中国の大連市への協力について御説明をします。一九九六年から日本の自治体として初めてODAを活用しまして都市間協力を行い、大気汚染の状況が劇的に改善をしました。そこに、写真にありますが、一九九四年頃の大連、それが二〇〇〇年の大連ということで、このように青い空がまた北九州市と同じようによみがえったということを示しております。
 次に、インドネシアの例でございます。十四ページでございますが、インドネシア第二の都市でありますスラバヤ市でございますが、最終処分場の不足や公衆衛生の悪化が非常に課題となってまいりました。北九州市では、二〇〇二年から家庭ごみのコンポスト化の普及を支援し、埋立処分量の削減や処分場の環境改善に成功いたしました。さらに、本市に立地する企業がごみに含まれる有価物などを回収する実証事業を行い、資源循環型社会の実現に力を尽くしております。これについても、その資料の上の方にあります外務省さん、JICAさんあるいは環境省さん、ODA関連の事業を活用させていただきました。
 続いて、フィリピンでございます。フィリピンのダバオ市でありますが、人口や経済活動の拡大に伴う廃棄物の増大に対応するため、廃棄物発電施設の導入を含めた効率的な廃棄物管理体制の確立などの支援を行っております。この結果でございますが、二〇一八年三月にはダバオ市への廃棄物発電施設の導入に向けた無償資金協力が合意をされました。これにつきましても、上に書いていますように、JICAさん、環境省さんのこういう事業を活用させていただいております。右に写真がありますが、ダバオ市の市長さんはサラ・ドゥテルテ市長といいまして、ドゥテルテ大統領の長女に当たります。
 次に、カンボジアでございます。上下水道分野の話になりますが、一九九九年からカンボジアの首都プノンペンへの協力を行った結果、飲用可能、いわゆる飲める水道水の供給、あるいは経済環境が飛躍的に改善をしました。この成果はプノンペンの奇跡というふうに呼ばれております。この実績から、二〇一五年七月にはフン・セン首相が本市を訪れまして、二〇一六年三月にプノンペンの方と、国の首都でございますが、姉妹都市の締結を行ったところであります。ここの資料に御覧のように、一九九六年から二〇〇六年の間で水道普及率が二五%から九〇%、給水時間が十時間から二十四時間、無収水量率七二%から八%、いわゆる漏水のことでございますが、このぐらいに劇的に改善をいたしました。
 続きまして、十七ページでございます。本市の姉妹都市であるベトナムのハイフォン市でございますが、水道水源であります河川が生活排水で汚染をされ、水道供給に支障が生じてまいりました。これに対して、本市が開発したU―BCFという技術を提供した結果、劇的に改善をいたしました。U―BCFというのは微生物を利用する技術で、他の高度処理に比べまして建設コストが二分の一、ランニングコストが二十分の一という非常に安価にできるシステムでございます。ハイフォン市での本格導入を皮切りに、ホーチミン市などのベトナムの六都市でも実証事業を今進めております。今後、東南アジア諸国への展開も期待をしているところであります。
 続きまして、十八ページでございます。本市では、国際協力からビジネスに展開する際に、研修やモデル事業、フィージビリティースタディー、実証などを段階的に進めることで、各都市の課題や解決策を探り、信頼関係を構築しながら進めております。各段階において、JICAさん、外務省さん、環境省さんを始め各省庁との連携が必要であります。今後とも御支援をお願いを申し上げます。
 次のページでございますが、また、本市では、環境国際ビジネスの展開に当たり、政府支援に加え国際機関とも連携をしております。そこに書いているICLEI、国際協力銀行、UNIDO、世界銀行等々であります。
 二十ページであります。このような環境分野や水道分野での国際協力、ビジネスを進めていくために、私ども北九州市では二〇一〇年にアジア低炭素化センターを設立をいたしました。組織構成は、市内の産官学の三つの組織が連携しているものでありまして、開設以降、アジアの十五か国の七十五都市で百七十七のプロジェクトを実施しております。このプロジェクトの総額は約百十三億円に達しております。
 二十一ページ、今度は水の方でございますが、国際水ビジネスの分野でも官民連携組織として二〇一〇年に海外水ビジネス推進協議会を設立をいたしました。市内外を含め百五十一の企業と国の機関も参加をしており、設立以降、五十六件のビジネス案件を受注しております。このように、本市では、公害克服の経験や優れた水道技術などの地域資源を生かして地域の活性化に結び付けているところでございます。
 二十二ページでございますが、外務省さん、JICAさんからの支援の結果、本市では環境、上下水道分野を中心にこのような実績を上げることができました。この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。
 二十三ページでございますが、本市の公害克服や国際協力等の取組は国際的にも高い評価をいただいているところであります。
 最後になりますが、本市の今後の取組とODA施策への期待を述べさせていただきます。
 北九州市では、市民やNPO、企業とともに、二年間にわたる検討の結果、環境首都グランド・デザイン、実はこれ、二〇〇四年でございますが、二〇〇四年に策定をしております。持続可能な発展を目指しており、二〇一五年のSDGs合意を先取りしている内容とも言えるというふうに私ども思っております。左の方にありますが、環境首都グランド・デザインの基本的な考え方といいましょうかテーマでございます、人と地球、そして未来の世代への北九州市民からの約束ということをこの二〇〇四年の段階で打ち出しております。一昨年には、全国の自治体に先駆けて、市の環境基本計画にSDGsの達成を盛り込みました。このような取組が評価をされ、SDGsアワードあるいはSDGs未来都市の選定を受けております。
 二十六ページでございますが、本市の国際協力は、環境や水道のみならず、消防やジェンダーの分野でも取り組んでおります。住民と直接向き合う基礎的自治体の経験はSDGsが示す十七の分野をカバーするものでありまして、この経験を生かして国際協力を進めることにより、SDGsの達成に貢献できるというふうに考えております。
 二十七ページ、今後の施策への期待でございます。日本の経験と先進的な設備、技術というのは、発展途上国の環境改善に有効であります。これは私どもが常日頃感じているところでございます。そこで、国に対しましては、被援助国との緊密な関係構築を進め、必要な情報の収集や施策の充実などを是非お願いをしたいと思います。具体的には、ODA事業メニューの充実、あるいは人材育成事業の拡充、国際協力に関わる、私ども自治体でございますが、職員の人件費の補助といいましょうか支援でございます。国際協力事例が増えますれば、環境保全に貢献できるほか、ジャパン・ブランドの浸透や国際的な評価の向上が期待できます。
 二十八ページ、最後でございますが、途上国では急速な経済発展に伴いまして様々な課題が生じております。この対策といたしまして、都市のインフラの充実が必要となってまいります。この課題解決には日本の都市の経験や技術などが大変有効だと考えております。国際環境協力・ビジネスを展開することを通じまして、SDGsの世界的な達成につながるものと考えております。
 今後とも努力してまいります。是非、御支援よろしくお願いを申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(松山政司君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
    ─────────────
○委員長(松山政司君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠としてこやり隆史君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(松山政司君) これより参考人に対する質疑を行います。
 参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言をお願いいたします。
 参考人の方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。
 また、各委員の発言時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○朝日健太郎君 自由民主党、朝日健太郎です。
 四名の参考人の方、御意見、貴重な御説明ありがとうございました。
 まず、小沼参考人に御質問させていただきます。
 御自身の青年海外協力隊の経験が非常に生きたと、それ以降、国際社会における御活躍というのがあったというお話を伺いまして、それを基に今大学の方で指導に、若手の育成に当たられているということで、お聞きしたかった点は、日本の学生と、そして今、タイでしたっけ、タイの学生、両方見られていると思うんですけれども、ここの日本の学生そして海外の学生、この違いであるとか、小沼参考人御自身がそういった若者に向けた指導方針であるとか、こういったところをお話をいただきたいなというふうに思います。
○参考人(小沼廣幸君) ありがとうございます。
 一時期、日本の学生たちは、海外に出たがらない、日本に閉じこもっていると言われていましたけれども、私の見る限りでは、タイに来てくれる学生たち見ていますと、非常に、海外、特にタイに日本から来る学生たちは、海外を見るというそれだけじゃなくて、開発途上国の持っているその遅れた部分、それから中進国から脱皮しようとしている部分、そして、中進国から先進国に行きたいんだけれどもなかなかそこで足踏みしている、そういったジレンマ、そういったものを感じ取ってくれています。
 特にタイなんかの場合ですと、バンコク市内に二千ぐらいのスラムがあります。ですから、タイの進んだ部分だけを見るんじゃなくて、そういった取り残された、遅れたギャップ、格差の問題、そういうようなものを見ることに非常に興味を持って、短期で来る学生でも、二週間いただけでも人が変わるぐらい人間が変わります。ですから、そういった上において、学生たちが学生でいる間に海外に出るということは非常に重要なことだと思います。
 タイの学生たちですけれども、やはり、タイの学生と日本の学生を比べますと、タイそのものが海外の人たちに対して非常に寛容な国民性を持っています。ですので、タイ人が外国人に対して非常に親しく、なおかつ外国の文化なりあるいは知識なりを寛容的に受け入れる、そういった気質を持っています。びっくりするぐらいですけれども、タイのテレビを見ていますと、日本の情報がすごい勢いで入っています。AKB48なんていうともう学生たちは喜んで、タイにもタイのAKBができた、48のとかができたぐらいでして、ですから、日本の影響というのは、若い人たちはすごい影響されています。
 これでいいでしょうか。済みません。
○朝日健太郎君 ありがとうございました。
 小沼参考人のこのSDGsのメニューの中での幾つか課題を挙げられている中で、特に御専門かと思いますけれども、食料問題、日本の今後の食料安全保障についてお聞きをしていきたいと思います。
 数字も出ておりましたけれども、日本のODAの中でも、農業支援の分野に関しては三・三%、非常に小さいと、そういった御指摘もありました。これから本当、日本はこの食料問題真剣に取り組まなければいけない、その中で、世界的なこのSDGsの目標、こういったものも連携していかなければならないと思いますけれども、この食料安全保障について御意見があればお聞きしたいと思います。
○参考人(小沼廣幸君) ありがとうございます。
 日本の持つ、日本のカロリーベースの自給率というのは、昔に比べますともう半分以下に下がっている、三八%ですから、今。ただ、どんなに頑張っても自給率一〇〇%達することは難しいというのは現実だと思います。ですから、いかにして日本が海外から食料を輸入する、それも確実に輸入できる、そういった輸出国との関係をこれから持っていくかということが非常に重要なことになると思います。
 もし食料難が起きたら、今までの経験を見ましても、どんないい計画、すばらしい計画があっても一方的に破棄されてしまう、そうなると日本は路頭に迷うことになる。そのためにもまず、日本の農業をできるだけ自給率を高めるようにすることも重要ですけれども、それと同時に、日本の農業そのものが海外の市場に対して影響を持つ、要するに、日本から農産物を輸出する。例えば、日本の和牛は肉を輸出されたり、日本の果物が輸出されたりされておりますけれども、そういった日本の農業の輸出を強化することによって海外との間で持ちつ持たれつの相互の関係をつくるということが一つ重要だと思います。
 それからもう一つ、一番重要だと思いますのは、先ほど青年海外協力隊のことを言いましたけれども、海外の食料輸出国との間で血の通った非常に親密な関係をつくる。日本は兄弟だから見捨てられないんだというような、そういった血の通った信頼関係をつくるということが重要だと思う。特に東南アジアの食料輸出国に対しては、そういった非常に重要な取組がこれから求められると思います。
 ありがとうございます。
○朝日健太郎君 ありがとうございました。
 続きまして、久保参考人に御質問していきたいと思います。
 ビジネスの中で海外展開の重要性を考える中でいろいろ取組をされていく御説明をいただきました。今後更に海外でシェアを獲得していくと考えたときに、人材育成というお話がありましたけれども、海外に出ていく段階において、ジェトロ若しくはJICA、こういったサポートを受けながら展開をしていったというふうなお話がありましたけれども、これから更に海外でシェアを獲得していく上で日本政府若しくはジェトロ、JICAがサポートできるようなものがあれば、御期待するところがあればお聞きをしていきたいと思うんですけれども。
○参考人(久保元樹君) 御質問ありがとうございます。
 説明の中にございましたが、弊社の製品というのは一般消費財とは異なって説明が必要な説明商品であるという側面を持っているので、現地にシェアを獲得していくためには営業活動というのが十分必要なんでございますが、弊社のような小さい企業では、そういった人的な資源ですとか資金的なもの、それからネットワークですね、こういうのを、現地で営業所を持っているわけではございませんので、そういうのがちょっと足りないというのがございます。
 そういうことに関して、JICAさんのネットワークを利用できるですとか、ジェトロさんのネットワークを活用すると。それからまた、現地で販売店契約を結んだ企業さんを例えば日本に呼ぶだとか向こうに行くなりして、こういう教育というか、も行っていくというのが非常に重要なものだというふうに考えております。なので、シェアを広げていくという観点からはそういった活動が重要かなというふうに思っております。
○朝日健太郎君 ありがとうございます。
 私も昨年、ODAの委員派遣でケニアとルワンダに行かせていただきまして、ナイロビの現地でABEイニシアティブの修了生に何名かとお話をする機会をいただきまして、大変親日でもありましたし、日本で学んだ技術を非常に現地のビジネスに展開をされていたという印象がありました。
 久保参考人のところで、今、ナイジェリアのインターンを受け入れている最中でよろしかったでしょうか。そうしましたときに、そのインターン若しくはこのABEイニシアティブで日本に学びに来ている人材に対する今後の期待というものをもしあればお聞きをしたいと思います。
○参考人(久保元樹君) ナイジェリアの現地の技術者が今インターンとして来て、ABEイニシアティブで修士を取ってはいるんですけれども、販売戦略の中で、今ナイジェリアでは非破壊検査だとかそういうインフラの維持管理についての権威となる者がいないという情報がございました。これについて日本で勉強したということが非常に大きなステータスになりまして、この状態で祖国に帰るとその道のプロと、要は権威として活動できるということがございます。こういうものをうまく活用していきたいというふうに思っております。
 また、ちょっとこれ一つ、御提案とはあれなんですけれども、できることであれば、修士課程で終わらずに博士課程までの道もちょっと開けるとよりいいのかなというふうには思っております。
○朝日健太郎君 ありがとうございました。以上、質問を終わります。
○古賀之士君 国民民主党・新緑風会の古賀之士でございます。
 参考人の皆様方、本日は御多用の中、本当に貴重な、そしてお話をありがとうございました。
 早速質問に移らせていただきます。小沼参考人と稲場参考人に同じような質問を一問させていただきます。
 小沼参考人からは、縮まらない貧困の格差、そして地域の格差、それから気候変動や人口増による食料危機への懸念、こういったお話をいただきました。そこで、各国での御経験や、それから実際にODAで海外青年協力隊で派遣された経験もお持ちの小沼参考人に対しまして、御専門の各国の中でも結構ですが、人口の政策について少し伺わせていただきます。もしかすると専門外かもしれませんが、これまで様々な御経験の中でほかの国の人口政策で私たちがまだまだ知られていないものがありましたら、幾つか教えていただけないでしょうか。また、SDGsを達成するにおいて、その人口政策がもしある程度必要なものなのか、あるいは必要でないものなのか、そういった面の私見もいただければ幸いでございます。
 それから、稲場参考人にも、先ほどお話の中に戦後最大の難民という現実があるというお話をいただきました。この課題についても人口政策というものは恐らく密接に関わりがあるのではないかと思われますので、併せてその人口政策に関して私見を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
○参考人(小沼廣幸君) どうもありがとうございます。
 例えば、例に挙げますと、今人口問題のことをお聞きになりましたけれども、タイを例に取りますと、タイの場合はすごい勢いで高齢化が進んでいます。少子化も進んでいます。特に東南アジアではだんだんその傾向が強くなりつつありますけれども、世界全体的には人口が増えています。先ほども発表しましたけれども、二〇五〇年には約九十七億人ぐらいまで人口が増えるというふうに言われていますけれども、特にその人口の増加は南アジアとサハラ以南のアフリカで起こります。恐らく九〇%以上の人口増加がその二つの地域で起こるというふうに思われています。
 その反面、例えば東南アジアのタイのような国ですと、少子化それから人口の高齢化がどんどん進んでいます。この中で私が一番、今回ちょっとタイに関して話しますけれども、一番気になっていますのは、こういった高齢化それから少子化が進んで、日本は年金制度ですとかあるいは社会福祉制度が非常に整っています。ですから、額はどうとしても、高齢化になっても年金が支給されたり、ほとんどの人たちがほとんど問題なくそういった支援を国から受けられます。
 ところが、タイのような国では、タイであっても年金を受けられる人はほんの一%もいないぐらい、恐らく公務員の人たちが年金を受けられる、それ以外の人たちはどうなるかというと、ほとんど年金も受けられない。それに、同時に高齢化がどんどん進んでいるという事態があります。
 ですから、そういった今まで日本が持ってきたこういった社会福祉制度、そういうもののノウハウがこれからこういった国に対して非常に役に立つ時期が来ているんだと私は思います。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
 基本、人口増というものは貧困と非常に関係しているわけですね。つまり、子供をたくさん産んで、その子供たちを働かせて、そして何とか食っていくという、そういった戦略で貧困層がたくさん子供を産むということになるわけです。さらに、そのうちの例えば一人、二人が公務員にでもなってくれれば大変有り難いという話になるわけですね。
 ですから、そういった意味合いで考えたときに、やはりその人口増というものをどのように抑制するのかといったときに、これは、貧困をなくしていく、そしてサステーナブルに生活ができるような環境というものをつくっていくというのが非常に大事かなというふうに思っております。そういった意味で、貧困をなくす、そして児童労働をなくしていくこと、さらに女性の地位を上げていくと、こういったところがいわゆる人口増というところに関しましては大きな処方箋になるのかなというふうに思っておるところでございます。
 どうもありがとうございます。
○古賀之士君 ありがとうございました。
 それこそ、今お話を伺っていまして、この中では三宅委員と一緒にさせていただきましたけれども、ODAの派遣でミャンマーに伺ったときに、そのミャンマーで初めての老健施設といいますか、老人ホームが国立ででき上がったと、そこを訪れたことを思い出しました。ありがとうございました。
 続きまして、梅本参考人にお尋ねをいたします。
 それこそ、北九州市で様々な取組を今やっていらっしゃいますが、今後の取組といたしまして大気の改善というのが資料の中にもございました。その大気の改善の中で今注目を集めていますのが、御存じのようにPM二・五でございます。これは、九州のみならず、ここ数年は関東や東北、こういった東日本まで影響を及ぼしている状況です。天気予報では晴れなのに、快晴の空なのに、まるで太陽がおぼろ月のように見えてしまうという経験をされた方は、特に中国や東南アジアへ行かれた方ではいらっしゃるかもしれませんが、まさにその状況が今国内でもう普通に起こっている状況でございます。
 今後の取組の中で、北九州市がこの大気の改善に向けてどのような取組をされていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
○参考人(梅本和秀君) ありがとうございます。
 大気の関係、特に先生がおっしゃったように、PM二・五の関係というのは実は北九州、九州でも結構重要な問題でありまして、やはり光化学スモッグあるいはいろんな注意報等を最近結構な頻度で、頻度とは言いませんけれども、まではいかないですけれども、出ている状況があります。例えば、福岡の場合、NHKさんの放送で今日のPM二・五の予測値というのが出るようにしています。それは福岡市さんと私どもの方で予測と結果というのを出しながら。
 それは、一つの理由としてはやはり中国からの影響の大気の汚染というのがあるんだろうということで、実は私どもも、日本政府の方からの要請もありまして、日本の自治体が中国の各都市において大気汚染の改善をするということで、今、私どもも去年まで六都市に対しての技術協力等をやっていますし、これからも日本政府、中国政府の要請に基づいて対応はしていこうと思っております。
 以上でございます。
○古賀之士君 ありがとうございました。
 韓国との今外交上いろいろな問題は抱えておりますけれども、実は日韓議連で韓国の議員と意見交換をした際にも、朝鮮半島でも非常に大気汚染の問題が深刻な問題となっているというお話をいただきました。
 北九州市は地理的にも非常に韓国とも近い間柄でございますし、直接フェリーで行き来をしたり、船の便もあります。当然、空港もあるわけですので、引き続きこういった北九州市が是非リーダーシップをまた取っていただいて、この大気汚染、ひいては様々な環境問題でSDGsに対して目標達成できますようにどうか御活躍を、そしてまたそのサポートも、お手伝いもさせていただこうと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫でございます。
 稲場参考人にお尋ねいたします。
 先ほど梅本参考人の方からも、カンボジアで水道の事業の成功のお話をお伺いしました。確かに日本はいつでも水道の水が飲めるという大変にすばらしい技術を持っていると思うんですが、稲場参考人のお話ですと、この水の分野、インフラ、農業分野もそうですけれども、世界の援助政策をリードできていないという御指摘をいただきました。
 そこで、その現状、そしてこれからそういう援助政策をリードするという面においてはどういうふうにしていったらいいのか、そこら辺について稲場参考人のお考えをお聞かせいただければと思いますが。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
 このいわゆる世界の援助政策をリードできていないというのは、いわゆるグッドプラクティスがないということを言っているわけではないんですね。先ほどの北九州のお話もありますように、様々なグッドプラクティスはたくさんあるわけでございます。それも、例えば地方自治体やあるいはNGO、NPOが関わって適正技術というものを例えば浄水技術なんかでインドネシアに支援をしたりとか、いろんな取組があってグッドプラクティスはあるんですね。
 ところが、このグッドプラクティスというものがしっかり世界の中でどのように、いわゆるグローバルに例えばインフラ、水というようなものを展開していくのかといったところの理屈付けの部分が欠けているがゆえに、結局のところ、いわゆる世界の援助戦略においてヨーロッパやアメリカの後塵を拝しているというのが現状でございます。
 これに関しましては、いわゆる国際保健の分野に関してはこれが実はできているわけなんですね。と申しますのは、国際保健に関しましては様々な形で分かれている。例えば、厚生労働省、財務省、そして外務省と。こういったところが政治主導の文脈の中でしっかりこれが一体になりまして、そして、どのような形でやっていくのかといったところに関して、国際機関、例えばWHOであるとか様々な国際機関をしっかり取り込んで、日本としては人間の安全保障の文脈の中でユニバーサル・ヘルス・カバレッジというものをしっかり打ち出していくんだというような明確なビジョンというものを政策につくっているわけでございます。
 そういった意味合いで考えたときに、このインフラや水、農業というのは、グッドプラクティスがあるにもかかわらず、それを具体的な政策にいわゆる高めていくというようなところにおいて非常に現状課題があるのかなというふうに思っています。
 ですので、そういった意味では、一つは政治主導、そしてもう一つは、様々な関係機関が集まって、そして国際機関に対してしっかり影響を与えていく、さらには、どのようなコンセプトでこれをやっていくのかということに関して国際社会に通用するような理屈付けというものをしっかりしていくということが非常に大事だというふうに考えております。
 どうもありがとうございます。
○小川敏夫君 引き続いて、稲場参考人にお尋ねします。
 お尋ねするというか、先ほどの稲場参考人のお話の中での言わば結論部分、少し時間がなくなってしまって是非聞きたいところを聞けなかったんですが、このビジネスと人権の視点の取り込みをということでございました。これについて少し、私の時間まだ五分ぐらいありますので、詳しく御説明いただければと思います。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。済みません、言われた後で発言する気でした。
 ビジネスと人権というのは今非常に大きなトレンドになっているかと思います。これは、やはり非常に大事なところといたしましては、一つ、現状で、特にSDGsと関係しましてESG投資というようなことが強調されております。つまり、環境、社会、ガバナンス、こういったことがしっかりできている企業に投資家が投資をするというトレンドがかなり始まりまして、その結果として多くの企業がSDGsというものを非常に強く意識するようになったということですね。そういった意味合いにおいて、このビジネスと人権というのは現状非常に重要な、SDGsとの関係で非常に重要なポイントになっているのかなというふうに思っています。
 さらには、国際的にもこのビジネスと人権の潮流が非常に強くなっていると。例えば、イギリスは現代奴隷法という法律を作って、実際に一つの企業のサプライチェーンの文脈の中に、実際にいわゆる現代奴隷、強制労働というようなものが入っているのか入っていないのか、そこをアカウンタビリティーを持って明らかにせよということを法律化したわけですね。これが結構欧米においてはトレンドになってきているということがございます。残念ながら、我が国においてはそういった法制化の方向性というものがまだできておらないわけですけれども、例えば児童労働をどのようになくしていくのかとか、そういった課題。
 あと、もう一つは、これからの科学技術革命の文脈で申し上げますと、例えば電気自動車というようなところ、あるいはAIというところでいきますと、希少金属のニーズというものは非常に高まっていくわけですね。ところが、この希少金属というのは、例えばコンゴ民主共和国のような紛争国家に集中的に存在をしており、これがどんどんニーズが高まっていくにつれて、いわゆるその国々における紛争というものを強化してしまうと、そういったこともあるかと思います。
 そういった意味合いにおいて、この科学技術革命の時代においてどのようにいわゆる採掘産業における人権というものを確保していくのかというのは、これからどんどん大きな課題になっていくわけですね。そういった意味合いで考えたときに、やはりいわゆるビジネスをどんどんやっていくということだけではなくて、どのように人権を尊重したビジネスというものをやるのか。そこに、逆に言うと政治や行政がリーダーシップを持っていくということが非常に大事なのかなと思います。
 残念ながら、例えばTICADの文脈においてはビジネス振興ということは言われているんですけれども、どのようにこのビジネスと人権を両立させるのかという議論は、そこにかなり欠けておるわけですね。そういった意味合いで考えたときに、例えばアフリカビジネス振興においてビジネスと人権の視点というのをどうやって入れていくのかということについてもひとつ具体的に議論していくということがないと、諸外国に後れを取るということになってしまいます。
 そういった意味合いにおいて、ODAにおいてもこのビジネスと人権というものをしっかり位置付けて、そして実際に私たちがSDGsを達成するような形でのビジネス連携というようなものを実現するということが非常に大事かなと思っております。
○小川敏夫君 ありがとうございます。
 久保参考人と梅本参考人に、時間もないので非常に簡単に質問させていただきますけれども、これまで実際に事業に取り組んできて、国としてあるいは政府としてこういう取組をしてくれたら更にやりやすい、更にもっと展開できるなというようなところの御意見がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(久保元樹君) 御質問ありがとうございます。
 私どもは、アフリカで活動を、アフリカというかナイジェリアで活動をさせていただいて、その後の展開として人材育成に進んだんですけれども、ちょうどABEイニシアティブという政策が重なったという偶然がございまして今後につながってきているというのがあります。
 ただ、JICAさんで行っている普及・実証事業に関しては、全世界の規模でやっているものでございますから、必ずしもこういったABEイニシアティブにつながるだとかといったような制度が充実してあるわけではございません。なので、例えばこういう普及・実証事業のような支援活動と同じくして人材を受け入れるというような政策みたいなものが強化されていくと、人材の育成と企業の進出とということを並行に進めていけるのかなというふうに思っております。
○参考人(梅本和秀君) 例えば、ODAを活用してという場合に、実はいろんな案件をつくり上げていく前に、その前の、事前のいわゆる技術的アドバイスあるいは事前の計画策定という作業がどうしても必要になります。そういう部分では、実はODAのメニューとしては支援がそこまでは行っていない、要するに案件ができてから以降の話になってまいりますので。そこの部分で少し新たな支援というのができれば、私ども北九州市だけでなく、いろんな自治体がもう少しモチベーションを上げて参画するということができるんではないかというのが一つ。
 それと、ODAの関係でいきますと、無償と有償ございますけれども、無償の場合は上限額というのがありますので、例えば無償の分と有償を組み合わせた新しいメニューを作ったりとか、そうすると日本の企業がもっともっと一つの、ある程度の規模での事業に参画できる可能性ができるんではないかというふうには思っております。
 以上でございます。
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、四人の参考人の先生方には、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
 私自身も、一昨年になりますけれども、パプアニューギニア独立国そしてソロモン諸島にこのODA派遣の一団として訪問させていただき、視察をいたしました。また、昨年のこの時期には本委員会において報告もさせていただきました。非常に、現場を見て、そして日本のODAの重要性というものを認識したわけでございますが、私は、このODAについて今日は二つの視点から質問させていただきたいと思います。
 私自身のODAについての思いからしますと、まずは政府主導で始めると、しかしずっと政府主導というわけにはいかない、これが民間に定着をしていく、そのことが国内にあっても海外にあっても重要だなというのが一点感じていることでございます。そしてもう一点が、これも諸先生方お話をいただいているとおり、ハード面のみならずソフト面、特に人づくり、人を育てていくという点につなげていくということが非常に重要だなというふうに感じております。
 その観点で、まず稲場参考人にお伺いをしたいと思います。
 実は、稲場参考人には、私ども公明党の中に持続可能な開発目標推進委員会という委員会ございまして、先週も会合を開きましたところ、様々御協力をいただいておりまして、感謝を申し上げたいと思います。
 実は、私が質問するより、実は矢倉克夫議員がその事務局長を務めておりますので、本来、矢倉事務局長に質問をいただきたかったんですけれども、その先週の私どもの公明党のSDGs推進委員会では、第二回SDGsアワード受賞団体の紹介という議題で、このSDGsアワード受賞団体から様々な事例を御紹介いただきました。これ、政府がSDGsの取組について先進的な、また推奨すべき団体について表彰しているものでありまして、今回は内閣総理大臣賞が株式会社日本フードエコロジーセンター、こちらが食品ロスについて取組をされているというものでございました。
 ここで質問をさせていただきたいのは、これ欧米ですと、むしろ政府主導というよりは民間でお互いに表彰し合っていく、ピアでそれぞれが称揚し合っていく、そしてそれを民間の中で広めていくと、そうした動きも非常に多いように見られます。日本も、そうした意味では、この表彰制度のみならず、政府主導がいつかは民間の中で行われていく、それを政府としても後押ししていくと、そういった形に変えていくべきだというふうに考えております。この点、稲場参考人にお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(稲場雅紀君) どうもありがとうございます。
 SDGsアワードというのは、非常に私どもも、私、SDGsに関して推進円卓会議という、政府のSDGs推進に関しましてどのように進めるのかということについてマルチセクターで意見を聞くような、そういった会議がございます。こちらのSDGs推進円卓会議の委員が審査に当たるというような形になっておるわけでございます。
 私もSDGs推進円卓会議に関してNGOの立場で実際関わっておるわけなんですけれども、実際に現状では、SDGsに関して言いますと、やはり一つは、先ほど申し上げたようなESG投資の文脈を中心に企業の関心が非常に高い、これは非常にいいことだというふうに思うわけですね。やはり仕事で触れるということで、SDGsに実際に触れるということでSDGsに関わりを持っていく、非常に大事なことだと思います。
 もう一つは、いわゆる官邸を中心にSDGsに関しては非常に政府主導で実際に行われていると。だから、そういう意味では政府と企業が中心になっていると。ただ、現状では、残念ながらSDGsに関する認知度は国民全体でいうと一五%程度ということで、結構低い状況なんですね。その結果として、いまだに、例えばSDGsアワードに関しましても、こういったものはほかにも幾つかは出てきておるんですけれども、やはりこのSDGsアワードが中心ということになっております。
 この辺りに関しましては、やはり一つは、SDGsに関して国民の関心がもっと高まるということが大事かなというふうに思っておるわけなんですね。この国民の関心がなかなか高まらないとなりますと、やはり政府が一生懸命SDGs、SDGsと言って頑張れという話になって、それ以外に動きが余り出てこないということになってしまうかと思います。ですので、どのように国民の関心を高めるのかというところに関していろいろな展開が必要なのかなというふうに思っておるわけなんですね。
 そういった意味合いで考えたときに、やはり国会がSDGsについてもう少し、例えばSDGsをどのように進めるのかと、国内、国際それぞれにおいてどのように進めるのかについてしっかり論戦をするとか、それが例えばテレビで取り上げられるとか、そういったような形でしっかり国民にメディアを通じて情報が還元されるということが大事なのかなというふうに思っております。
 そういった中で、じゃ、どうやってSDGsを推進するのか、こっちの方で推進してみよう、あっちの方で推進してみようというところでいろいろなアワードなどが出てくると、そういうのが理想的なのかなというふうに思っておりますので、やはり国民全体の関心を高める、その上で国会の役割も大きいのかなというふうに思っているところでございます。
 ありがとうございます。
○里見隆治君 ありがとうございます。
 私も、国会また政府、これももちろん主導し、また国民の皆さんにも理解をいただく、そういったことを進めながらの民間での活動の推進と、そういう意味でございました。貴重な意見ありがとうございました。
 次に、梅本参考人にお伺いをしたいと思いますが、実は事前に稲場参考人の方からいただいていた資料の中で、これも政府の取組として、モデル自治体を使ってこのSDGsの地方自治体の取組を横展開していこうというSDGs未来都市、これを指定をして、まさにそのモデル中のモデルが北九州市さんでいらっしゃいますけれども、実は、稲場参考人、ちょっと辛口コメントで、いただいた資料によりますと、このSDGs未来都市というのは元々取り組んでいた優等生のモデル自治体への支援に特化していないかという投げかけをいただいております。
 先ほどのアワードもそうですけれども、あながちこういったことを始めると、ついつい、一番頑張っているところを更に引き上げることはできるんだけれども、裾野を広げていくあるいは横展開していくという点ではなかなか広がりが、これはスピード感を持ってやっていかないといけないわけですけれども、そういった意味で、なかなか北九州市さんのお立場で言いにくいかもしれません。ほかのところがなぜできないのかというのをできているところがコメントするというのはしづらいかもしれませんけれども、北九州市さんも元はといえば、先ほど御紹介いただいたとおり、非常に環境問題に苦しまれて、それを乗り越えられてきたというその歴史からすれば、ほかの自治体に、まだまだ取り組めていない自治体の皆様に何かアドバイスといいますか、こういった観点で取り組めば北九州市さんのような事業を今後展開していけるという、ちょっとそこは御謙遜なさらずに、他の自治体へのアドバイスということで御意見をいただければと思います。
○参考人(梅本和秀君) 非常に評価をいただきまして、ありがとうございます。
 一つは、SDGsの場合、例えば今までの環境未来都市ですとか、いろんなそういう仕組み、システムってあったと思うんですが、やっぱり決定的に違うのは、世界の標準だということ、それと、十七のゴールと百六十九のターゲット、それぞれ目標が決まっているということなんですね。
 そうしますと何ができるかというと、決して都市のランキングになってはいけないんですけれども、それぞれの分野でそれぞれの都市がどの程度の状況にあるのかというのが、実はこれ定量的に出るはずなんです。それを研究されているもう大学さんもあります。それぞれのマスコミさんも、自分のところなりの指標で持続可能な都市のランキングというのを出せるようになりました。そういうことを出していくことによって、それぞれの都市の首長さん、あるいは職員さんが、あるいは市民の団体、市民の皆さんが、自分のところで、これはここまで行っているけどこれはここのレベルしか行っていないねというのが分かるようになると思うんですね。
 繰り返しになりますけど、これが都市のランキングとか都市の差別につながってはいけないんですけれども、そういう通知表といいましょうか、そういうものを例えば政府の方でお出しになる、多分検討されていると思いますけれども、そういうふうなものをお出しになっていくことによって、またそれが一つの刺激になって、あるいはインセンティブ、モチベーションになって、それぞれが切磋琢磨をしていくということにつながるのではなかろうかというふうに思います。
 以上でございます。
○里見隆治君 もう時間になりましたので終わりますけれども、本来、小沼先生、また久保先生にも人づくりという点でお伺いをしたかったわけですけれども、その点はまた私自身が勉強させていただいて、また政策面でしっかり貢献していくと、そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○松沢成文君 維新・希望の松沢成文と申します。
 今日は、四人の参考人の先生方、お忙しい中ありがとうございました。
 まず、稲場参考人にお伺いしたいんですけれども、SDGsについて非常に分かりやすく説明していただいて、なるほどなと思う部分が多々ありました。その中で、キーワードとしていろいろ、食料とか貧困、格差、あるいは気候変動、災害とか紛争とか、こういうキーワード出てきまして、こういうものを乗り越えて持続可能な社会をつくらなければいけないということだと思うんですけれども、これ難しいですね。食料はそれこそ貧困にも格差にも関係しますし、全てがつながっているので、どれか一つ解決しようと思って政策打っても、それで解決できないところがこの問題の難しさだと思うんですが。
 先ほど古賀理事さんからも質問ありましたけど、私は素人ですが、今日この話を聞いていて、今挙げたキーワードのその背景にある最大の問題は、私は人口爆発じゃないかと思うんです。これをしっかりとコントロールできないと、食料も貧困も格差も、あるいは災害も紛争も解決できないというふうに思うんですよね。ただ、SDGsのこの説明の中で人口政策、人口爆発をいかに抑えるかというところが、私は素人ですけど、弱いんじゃないかと思えてならないんです。
 ただ、この人口問題というのは主権国家にしてみるとそれこそ国力の問題ですから、その国の経済力を富ますにも軍事力のためにも、その国力のためには人口は必要なわけですよね。ですから、国際社会にあるべきあなたの国の人口モデルはこういうのがいいでしょうなんと言われても、ふざけるなと、うちの国の人口政策はうちで決めるよと、それは主権国家の問題だとなって、非常に難しいところだというふうに思います。
 ただ、やはりSDGsを本当に実現させるためには、この人口の問題を避けて通っていたら、私は、避けて通っていたらというか、この人口の問題の取組が弱かったら私は全てが解決できないんじゃないかという問題意識を持っているんです。間違っていたら是非とも正していただきたいと思うんですが。
 今、そこで、国連なんかで人口問題様々研究されていると思います。そういうところをもっと強化して、各国が受け入れるかどうかは分かりません、主権国家の立場がありますから。ただ、あなたの地域、あなたの国では、持続可能な社会をつくっていくにはこれぐらいの人口を、将来、三十年後、五十年後まで予測しながら政策を進めるのが一番妥当だと思いますよというようなやはり何かアドバイスを出す。それを受けてその国がどう反応するかを判断する。そして、例えば日本の援助はそこに焦点を当てようと。例えばバースコントロールや公衆衛生について、その地域で人口爆発が起きないようにするためにどういう援助ができるのか、そこにODAのプランが組めるのかと、私はこういう方向が是非とも必要ではないかというふうに今日話を聞いていて思ったんですが、いかがでしょうか。
○参考人(稲場雅紀君) どうもありがとうございます。
 この人口問題に関しましては、先ほど若干御説明もしましたが、これ非常に難しい問題でございます。と申しますのも、やはりこの人口問題と貧困の問題というのはいわゆる卵と鶏の関係にございまして、貧困であるからこそ、子供を頼る形で子供をたくさん産んでしまうということがあるわけですね。いわゆる自分の人生どうなるか分からないというような文脈の中で、なおかつその子供というものに頼らなきゃいけないというような、そういった形で、社会保障がないこと、そして貧困がこのまま続いてどうなるか分からないこと、そういう中で人口増というものが起こっておるわけですね。
 なおかつ、一つ、これ小沼先生もおっしゃっておったことかと思いますが、現状において人口爆発のフェーズに直面しているのは、どちらかというとやはりサハラ以南アフリカということになります。例えば東南アジアであるとか東アジア、さらには例えばインドというような国々においても、いわゆる人口爆発フェーズが終わって、今後は逆に言うと人口オーナスというか、ボーナスではない時代が来るということで、世の中、かなりそういう意味では、二十年、三十年たつ中で、いわゆる人口問題のこのディメンションというのが相当多様になってきているわけですね。
 例えば、日本では高齢化、そして東南アジアではこれから二十年、三十年後に高齢化を迎えるのにどうするのか。アフリカでは人口爆発、二〇五〇年には世界の若者の半分はアフリカということになると。そういう中でどのようにこれを人口ボーナスにしていくのか。こういった議論が非常に、実際にはかなり、世界銀行であるとかあるいは国連人口基金なんかでもなされてはおるわけなんですね。
 やはりこの中で考えなきゃいけないのは、一つは貧困をなくす、そしてそれぞれの人たちの人生というものがライフサイクルである程度見えるようにする、ここがないと結局みんな刹那的に子供を産んでしまうということがありますので、ここの部分をどうバランスを取るのか。
 あともう一つは、やはり先ほどおっしゃられたように、一つは宗教の問題もこれは絡んでいるわけですね。例えば、避妊というのは絶対駄目だというような宗教や、あるいはそういうような形の政治的なイデオロギーみたいなものもあるわけでございます。そういうようなところに関して、いかに科学的な人口政策というものをしっかり各国が取れるようにしていくのか、政治のバイアスや思想、宗教のバイアスというものをどのようにある程度抑え込んでいけるかということが一つ大きな課題かなと。
 ここについては、実は日本は相当優れた政策を持っていると思います。そういった意味合いにおいて、やはりこの人口政策において人口と保健というようなところをしっかり組み合わせて政策をリードしていくことが日本の非常に重要な立場かなというふうに思っているところです。
 どうもありがとうございます。
○松沢成文君 なかなか難しいですね。
 次に、小沼参考人に伺いたいんですが、日本のODAの中でも非常に高く評価されている人的支援ですよね、技術供与とか。その主役を担っているのが青年海外協力隊であり、小沼委員もそこからこのキャリアをスタートさせたというお話がありました。
 ただ、私も知事を務めていたときに、毎年二回、たしか春と秋ですかね、青年海外協力隊の皆さんあるいはシニア協力隊の皆さんを激励して送り出して、また神奈川からのメッセージも伝えていただいたりしていたんですけれども、そういう皆さんから聞くと、やっぱりなかなかこの決断が難しかったと。それは、海外協力隊に行っても、じゃ、帰ってきて日本で就職が見付かるのと。これが例えば企業に高く評価されて、このキャリアが、あなたは日本を代表して途上国に行って技術支援までしてきた、このすばらしい経験や志を我が会社は是非とも欲しいから、海外協力隊優先枠じゃないけれども、そうやって採ってくれるような企業が多ければ行きやすいんだけれども、その保証が全くないのに、二年間行ってきて、帰ってきて職も見付からないというのじゃ困るといって反対もされたんですよという意見も聞いたんですね。でも、頑張って決断して行ったと、こういう人たちもいるわけなんですが。
 今後、日本が誇る青年海外協力隊をもっともっと質の面でも量の面でも私は増やしていくことが日本にとっては重要だというふうに思っています。それはどういう方法があるのか、御経験の中からお聞かせいただきたいことと、もう一つはセキュリティーですよね。これからやっぱり最貧国、途上国に行くと、テロがあったり、あるいは公衆衛生もひどいものでもう病気になったり、そういう怖さがあるわけです。そういうことに対する保障、もちろん保険には入っていくと思いますが、もっともっと充実させるということも必要かもしれません。その辺りいかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(小沼廣幸君) ありがとうございます。
 私も非常に協力隊の派遣人数が減っているということに対して危機感を持っておりまして、一つ思うのは、例えば、実際に仕事をしている人たちが協力隊に出るときに、休職して行ける人たちはまだいいんですけれども、退職して行かなければならない。そこで自分のキャリアを放棄して、それで協力隊に行って帰ってきたらどうなるかという、そういうふうな危惧を持っている人たちはかなりいます。ですから、そういう意味合いにおいて、例えば、今実際にあります会社に対する補填制度、休職制度みたいなものをもっと充実していただいて、そういうものをもっと啓蒙していただいて、それで、協力隊事業に賛同してくれる、民間でも公的機関でもそうですけれども、そういった輪をどんどん広めていくことは非常に重要な一つだと思います。
 それから、私が一つ思ったのは、協力隊の隊員になる資格そのものがちょっと、例えば社会経験二年ぐらいなきゃいけないとか、まだ厳しい部分があって、学生で卒業して協力隊にすぐに入りたいという学生、かなりいるんですよね。ただ、社会経験がないと入れないからというので一旦勤める、勤めて二年ぐらい勤めるとまたそこで辞めてしまうというような、そういったジレンマがあります。ですから……
○委員長(松山政司君) 時間が参りましたので、おまとめください。
○参考人(小沼廣幸君) 済みません。
 学生でも協力隊に行けるような、そういう制度があってもいいんじゃないかと私は思うんです。
 それから、セキュリティーの件ですけれども、派遣される前にセキュリティーに関するそういった充実したオリエンテーションなり講義なり、そういうものをもっと充実させる余地はあると思います。
○松沢成文君 ありがとうございました。
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
 四人の参考人の方々、貴重な御意見、本当にありがとうございました。
 まず、稲場参考人にお聞きをしたいんですが、MDGsからSDGsということで、今日の参考文献の中にも書かれていることなんですけれども、一つは、元々MDGsにあった先進国の責任ということで、共通だが差異のある責任という概念があったんだけれども、今回SDGsになった過程でそれが非常に一部に押し込められて、そういう概念が前面には出ずに、むしろ、先進国の責任というものが一つ後退をして、全体の共有された責任という概念に取り仕切られたということがあるというお話をされておりますが、このことの影響ですね、このことのSDGsに与えた影響というのは具体的にはどのようなものなのかということをまずお聞きしたいと思います。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
 私の申し上げた、特にこのCBDR、いわゆる共通だが差異ある責任という概念は、これは基本的には気候変動を中心とした概念でございまして、たくさんCO2を出してきた国はたくさん責任を取るべきだと。逆に、ちょっとしか出していない例えばアフリカのような国々は、いわゆる責任の取り方は共通だけれども、たくさん責任を取る必要はない。こういう形で、いわゆる歴史的な責任を果たすという文脈で責任というのを使っていたわけですね。
 ところが、SDGsの交渉の文脈の中では、特に先進国がこのCBDRの持込みには断固反対だということで、前向きのいわゆるシェアードレスポンシビリティー、これはどちらかというと責任というよりは善意とかやる気みたいなものなんですけれども、いわゆるSDGs達成のためのやる気みたいな話になっていったわけですね。
 ここで一つありますのは、一つは、これまで先進国はGDPの〇・七%をODAに出さなきゃいけないという、そういった目標があったわけですけれども、これはまだあるんですが、非常にもう今これ言う人はほとんど少なくなっています。一方で、途上国の方が経済成長をしていくことによってどんどんいわゆる援助から自立をせよということで、自立というのが一つのキーワードになっておるわけなんですね。
 この中で一番大事なのは、この自立をしていく中で、一番貧しい層だとか少数民族であるとか、あるいは社会的な厳しい状況にある例えばLGBTだとか、こういう人たちに対して今まで援助でやったところがどんどんなくなっていって彼らが取り残されてしまう、こういったことが本当に各地で起こっているということなんですね。この辺りどうするのか。
 さらには、私が申し上げたように、現状ではグローバルな収益構造に対して再分配は国内、全て、何というんでしょう、国民国家に回収されるという形になっています。お金がどんどんそちらで痩せ細る。こういう中で、いわゆる自立という言葉も、本当にそれは自立ということだけでいいのかということはあると思うんですね。
 ですので、私どもとしまして、私の提言の中では、貧困をなくす、能力の高い政府機関を育てるODAということで、ちゃんと再分配ができる政府というものをきちんとつくる、これが途上国において一番優先されることだということを申し上げておるわけでございます。
 そういった意味合いにおいて、一つは、この再分配機能が痩せ細るというグローバルな状況に対してどう立ち向かうのかということが、SDGs時代において援助に一番求められることかなというふうに思っておるところです。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。
 今、再分配という話があったわけなんですが、ソサエティー五・〇、AI社会とか、そういう科学技術イノベーションというものが不可避な状況の下で、一部のプラットフォーマー、一部のグローバルな企業というものがいろんなところで利益を上げるんだけれども、租税回避という点でどこにも配分がされない、収益はグローバルで分配はローカルであると。この課題というのが一つあるわけですよね。日本も国際的なBEPSどうするのかというところでいろんな議論はしているんですけれども、なかなか目に見えた前進ということにはなっていない。これ、非常に大きな課題だと思っているんです。
 そこで、じゃ、収益はグローバル、分配はローカル、税金を取るのはもちろん国ごとですけれども、文献拝見しておりますと、国際連帯税というものも実はこのSDGsの中には非常に後退をしてしまっているんじゃないかということなんですが、この国際連帯税についての構想ですね、これについて稲場参考人の御意見とかあれば是非教えてください。
○参考人(稲場雅紀君) 簡潔に進めさせていただきます。
 一つは、先ほどおっしゃったBEPSですね、やはりこれはG20、そしてOECDで検討されている。いわゆるグローバルに収益を上げて、それをもうかった国に還元しないというこの在り方をどのように規制するのかということに関しましては、これは実際OECDでしっかり議論がだんだんされてはいるんですね。これを具体的にどういうふうにやっていくのかということが非常に大事だというふうに思います。そういう形でいわゆる国内の公的資金を充実させていくという方向性が一つ。
 あともう一つは、グローバル化に対応してグローバルに公的資金をどうつくっていくのかというのが国際連帯税の発想であります。例えば、現状では、逆に言うと、フィンテックというような形でいわゆるお金の移動をトレースする技術というのはどんどん発達しているわけですね。それを考えますと、実は国際連帯税というのはより実現可能になってきているというふうに言えると思います。
 ですから、そういった意味において、このグローバル化の文脈、デジタル経済の文脈の中で、どのように新しい技術を用いて国際的に公的資金をつくり出していくのかということが国際連帯税の非常に大きな課題だと思うんですね。
 そういった意味合いに関しましては、現状、実際、今の外務大臣、河野外務大臣も国際連帯税推進すべきということをおっしゃっておりますが、これを更に進めて、どのような形で、航空券連帯税にとどまらず、どういう形で国際連帯税をより大きな形で国際的に公的資金をつくっていく、システムとしてつくっていくのかということに関しては、実は新しい技術というものをどんどん使うべきだなというふうに私自身は思っているところでございます。
○辰巳孝太郎君 もう一点だけ最後にお聞かせください。
 日本政府がアクションプラン二〇一八ということで三つほど掲げているんですけれども、そのうちの三つ目に、SDGの担い手として次世代、女性のエンパワーメントというのが掲げられております。これは全体のSDGsということではなくて、この今、日本の課題として、日本社会の課題として、LGBTやあるいはマイノリティー問題、このエンパワーメントとか権利の状況とか、是非、稲場さんの、今、日本の社会の状況、抱えている問題とか課題とか、もしあれば教えてください。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
 一つ申し上げますと、一番大事なのは、民主主義の徹底ということが大事なのかなと。参加型民主主義の徹底、例えば女性、若者、こういった人たちが政策決定の場にしっかり表現ができるということが大事なのかなというふうに思います。
 というのも、先ほど梅本先生がおっしゃられた、北九州の公害を克服する上で一番最初に声を上げたのは婦人会であったというようなお話があったと思うんですね。これ、婦人会が声を上げられないようなシステムであれば、そもそも公害を克服する話にならなくて、その結果、PM二・五がどんどん流出するというあの特定の国のような話になっていくわけですね。そういう意味で考えると、いかに人々がちゃんと声を上げ、そして民主主義の形で政策にしっかり自分たちの意見をインプットできるのかと。この民主主義が辛うじてあり、三権分立が辛うじてあったがゆえに、我が国はあの公害を克服できたというふうに思っておるわけですね。
 そういう意味合いにおいては、これからも実際に参加型民主主義というものを、しっかり若者そして女性というようなところにしっかり焦点を当てて、そこを保障するということがSDGs時代において取り残さない社会をつくっていく上では非常に大事だというふうに思っています。そういった意味において、民主主義の徹底ということを是非、これはゴール十六に書いてあるんですね、そのことが。ですので、その点を是非お願いしたいなというふうに思っておるところです。
○辰巳孝太郎君 時間が来たので終わりますが、ほかの先生方も、時間の都合で聞けませんでしたが、今日は本当にありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、参考人の先生方、本当に貴重な御意見ありがとうございました。
 まず、小沼参考人にお伺いしたいと思います。
 先日の委員会で、今年度の参議院のODA調査派遣団から報告を聴取いたしました。各班から、我が国のODAについて、支援した施設の耐用性の高さに対する被援助国からの高い評価や、被援助国からの伝統文化を尊重する姿勢、さらに現地雇用への貢献、それから中東における日本の信用力などを伺いました。関係者の御尽力に大変感銘を受けました。
 しかし、我が国のこの財政事情に鑑みれば、規模の拡大はなかなか容易ではありません。このような状況において、日本のODAの強みあるいは今後追求すべき優位性について、是非、小沼参考人のお考えをお聞かせください。
○参考人(小沼廣幸君) ありがとうございます。
 協力隊の隊員のごく僅かなODAの出資が非常に大きなインパクトを呼んでいるという事実があります。FAOの国連の活動でも、大きなプロジェクトがインパクトを上げるかというとそうではなく、ちっちゃな、グラスルーツレベルのちっちゃなプロジェクトがすごいインパクトが起きる。これは、その人たちに対してソフトな部分でインパクトを上げることが往々にしてあるからです。
 ですから、私が思うのは、ODAの部分が、その資金、例えばインフラですとかそういった資金の部分ももちろん大切ですけれども、それと同時にソフトの部分、人と人とを介するそういった援助に、資金がなければもっとそこに力を入れて、そういった部分でインパクトを上げるという、そういった方法があると思います。
 ありがとうございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、久保参考人にお伺いいたします。
 ナイジェリアは約二億人の人口を有するのに対し、在留邦人が約百四十人と少なく、進出企業も約四十社にとどまっていますが、現地の在留邦人間や日系企業間との交流、どのような状況でしょうか。また、JICAの支援事業は東南アジア地域への集中が続いていますが、日系企業のアフリカ進出がなかなか進まない理由について御所見をお伺いいたします。
○参考人(久保元樹君) 御質問ありがとうございます。
 現地ナイジェリアに実際行ったんですけれども、現地で活動されている企業さんはほとんどいないという状況でございまして、コミュニティーも非常にちっちゃなコミュニティーが形成されているといった状況でございました。
 何というんでしょう、アフリカですね、特にナイジェリアなんかはそうなんだと思うんですけれども、企業が進出するに当たっては、やはり治安ですとか感染症だとか、そういった安全面でのリスクが今非常に高いというのがあると思います。
 私ども、例えば社員をナイジェリアに派遣をして事業を行うわけですけれども、テロだとかそういうのがセンセーショナルに報道されておりますので、やっぱり構えてしまうと。それから、距離的に遠い、ただ行くだけでも非常に負担が掛かるというようなのがあると思います。市場としては非常に魅力だというのは認識されているとは思うんですけれども。
 そういったことから、でも、ただ、私たちが実際に活動した限りにおいては、基本的なルールというものを守っていれば、特に日本で報道されるほど危険な地域だとか、そんなことはないんですね。なので、こういうルール、そういう、何ですかね、啓蒙活動ではないですけれども、そういうことをしっかり行っていくというのがまず第一歩目なのかなというふうに思っております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、稲場参考人にお伺いいたします。
 現在、国際協力活動に取り組んでいる日本のNGOの数は四百団体以上あるものの、規模が小さく、財政基盤が脆弱な組織が多いというふうに聞いております。そこで、日本のNGOの現状と、有識者懇談会の提言を受けて政府がNGOへの助成金を引き上げる方針であることは聞いておりますけれども、その辺りの評価についてお伺いいたします。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
 諸外国といいましても、例えばアメリカ、イギリス、フランスなどに比較して、日本のNGOセクターは小さいということが言えるかと思います。ただ、例えば、じゃ、ドイツとかイタリアというようなところと比較したときにどうなのかというと、必ずしもそういう意味合いでは、日本のNGO、引けを取らない部分もあるのかなというふうに思っておるところなんですね。
 ただ、やはりイギリス、特にイギリスのNGOの大きさと、例えばセーブ・ザ・チルドレンあるいはプラン、こういったところと比較しまして、日本のNGOの規模というのは必ずしも大きくはないのかなというふうに思っておるところですね。
 この辺りに関しまして言いますと、一つはやはり、非常に大きな政府資金がこういったイギリスのNGOに入っているということが、実は幾つかのスキャンダルがあって明らかになったんですね。例えば、オックスファムにはイギリスの政府資金が四十八億円もコア資金として投入されているということが、実はオックスファムのスキャンダルの中で分かったわけでございます。
 そういう意味合いに関して言いますと、実は、イギリスはある種国策として大きなNGOをしっかり育てていて、今の政府に賛成する、反対するを問わずにいわゆるそういった形でお金を入れて、まさにイギリスの外交、援助政策の柱を担う存在としての大きなNGOということを展開をしているわけですね。そういった意味合いで考えたときに、やはり政府とNGOの様々な連携ということは非常に大事かなと逆説的に考えるところなんでありますね。
 そういったところで、もちろん、現状ではこちらの有識者会合では、実施の面に関してより多くの一般管理費を出すというようなところをかなりプッシュされておるわけなんですけれども、それ以外に、例えば国際会議への出席であるとか、あるいはNGOの中、いわゆるグローバルなNGOの中でのリーダーシップの確保であるとか、こういったところに関しましてもやはり政府との緊密な連携ということが大事なのかなというふうに思っているところです。
 どうもありがとうございます。
○糸数慶子君 梅本参考人にお伺いいたします。
 水道は公衆衛生の向上や生活環境の改善に欠くことのできない社会基盤ですが、世界では二十一億人が安全な水を自宅で入手できない状況にあります。政府は水道分野の国際協力を施策として推進し、私の地元であります沖縄の自治体でも水道事業の海外支援に取り組んでおります。
 北九州市では高い水道技術を生かして海外支援を展開されていらっしゃいますが、中国など新興ドナーとの競合はどのような状況でしょうか。そして、日本のその支援のブランド力についてお伺いいたします。
○参考人(梅本和秀君) まず、ブランド力というか、日本の技術力というのは、私ども、東南アジアが中心になりますけれども、非常に高いもの、これはあります、間違いないと思います。ただ、どうしてもコンペティションという中で価格の問題等でなかなかうまくいかないとか、それはもう競争ですからしようがない部分があるんですけれども、そういう状況にはあります。
 ただ、私どもが一つ幸いだったのは、先ほど申し上げたようにU―BCFという技術を持っておりまして、日本の各都市の水道事業ではなかなかもう使っていないんですね、そういう微生物を使うというのは。私どもがそれをまだ残しておりまして、それが例えばランニングコスト二十分の一とかイニシャルコスト二分の一というふうに、当然価格競争力を持っているということが含めて優位に展開しているというのはありますけれども、全体としてはやっぱりコストの問題、競争というのは非常に厳しい状況だというふうに認識しております。
 以上でございます。
○糸数慶子君 最後に、梅本参考人にもう一問お伺いいたします。
 今、日本の国民の理解、支援を得た上で進めることがこのODA、大事だというふうに思うのですが、世論調査を見ますと関係協力を少なくすべきとの回答があるような状況ですが、北九州市において長年国際協力に取り組まれ、官民一体となった活動を展開しておりますが、市民の意識も高いというふうに感じますが、どのように市民の理解や協力を得ておられるのか、お伺いしたいと思います。
○委員長(松山政司君) 時間が来ておりますので、簡潔におまとめいただきたいと思います。
○参考人(梅本和秀君) 先ほど来申し上げているように、例えば公害克服を婦人会主導で行ってきたという、それが始まってきたということも含めて、そういうことに対する誇りと理解というのが元々市民のベースにあるというのがあります。
 もう一つあえて言いますと、そういう国際協力ができやすいような環境を更にこれからつくっていくことというのも重要かなというふうに思います。
 以上でございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。
○委員長(松山政司君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表して心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時十八分散会