第001回国会 治安及び地方制度委員会 第9号
昭和二十二年八月十四日(木曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 高岡 忠弘君 理事 中島 茂喜君
   理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君
      大石ヨシエ君    笠原 貞造君
      松澤 兼人君    松谷天光光君
      大澤嘉平治君    佐藤 通吉君
      坂口 主税君    千賀 康治君
      中垣 國男君    松浦  榮君
      加藤吉太夫君
 出席國務大臣
               木村小左衞門君
 出席政府委員
        政 務 次 官 長野 長廣君
        内務事務官   久山 秀雄君
        内務事務官   林  敬三君
    ―――――――――――――
八月十一日
 町村の財源付與に關する請願書(神山榮一君紹
 介)(第七〇號)
 行政書士法制定に關する請願(細川八十八君紹
 介)(第八三號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 内務省解體後の警察制度に關する件
    ―――――――――――――
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
 本日の日程は、内務省解體に伴う警察及び消防等に關する政府の説明を拝聽いたします。本件に關しましては、すでに相當委員會で審議しましたが、さらに政府の説明を聽きまして、その審議を進めたいと思います。
○久山政府委員 公安廳は内閣總理大臣の管理に屬しまして、現在内務省の警保局でやつておりまする警察に關する事項及び消防に關する事項、それから調査局でやつておりまするいろいろの、連合軍から政府に返還されましたいわゆる特殊物件の處理とか、その他連合軍最高司令官の要求に基きまするいろいろの政黨、協會、その他の團體の結成の届出とか、これに對する解散等の處分に關する事項、それから外國人の登録令の施行に關する事項。要するに警保局と調査局が現在所管いたしておりまする事項を、そのまま所管いたす一つの部局が、總理大臣の管理に屬してできるというわけであります。從いまして、警保局及び調査局というものが、そのまま公安廳の組織の中にはいるのでありまするが、先般も委員諸君からも熱烈なるお話があり、私どもも前々からその必要を痛感しておりました消防に關しましては、この際警察からこれを獨立いたしまして一つの局、すなわち消防局をつくる。從つて公安廳の組織は、警保局と消防局と調査局と、この三つの局ができ、その仕事の内容は、現在内務省の警保局と調査局がやつております仕事をそのまま引繼いでやる。こういう形になるのであります。從つてその公安廳の内部の部局の組織等につきましては、消防局が獨立した以外は、大體現状のまま引繼がれることになると考えておるのであります。ただ一つの役所ができますので、官房的な會計とか、庶務をやります課が新しくできるだけでありまして、役所自體の内容といたしましては、警保と調査の兩局の仕事を、そのまま引繼いでいくという形になつておるのであります。これは一方に警察制度に關する根本的な改革の問題がありますので、そういう問題が最後的な決定をいたしました際に、さらに何らかの組織の改正が行われるかとも思うのでありますが、一應そういうことの決定のありまするまで、現状のまま公安廳において事務を掌るということになつておるのであります。そうして總理大臣がこれを直接に管理いたしまして、長官をおき、三つの局をおく、大體こういう組織になつておるのであります。
○坂東委員長 今の御説明に對しまして、もし質問がありましたならばお願いいたします。――それでは今度は警察制度の内容になりますが、この間相當説明を聽きましたが、なおまだ政府は決定しておらぬはずでありますから、進んでこの内容の經過について説明を聽きたいと思います。今「日本警察再組織案(A)(B)」を配付いたします。
○久山政府委員 速記をやめていただきます。
○坂東委員長 速記を止めて……。
    〔速記中止〕
○坂東委員長 速記を始めます。ただいまの政府の説明に對しまして質疑は自由でありますから願います。
○松浦(榮)委員 三つばかりお尋ねしたい點があります。警察法は近くつくられるのでありますが、その際には法規の第一條に警察の觀念というものを明確に定義しまして、それを掲載していただきたいものであると思います。警察という言葉は一體だれがいつごろ始めたのか。私もずいぶん長い間研究しましたが、いまだはつきりしないのであります。人によつていろいろ言つておりますが、尾佐竹さんの本を見ましても、いろいろな本を見てもないのでありますが、警羅という言葉が警察になつたくらいにいわれております。明治の初期には、立法規則の中にポリスという外國語を使つていることもあるのでありまして、いつごろから始つたかはわからないのでありますが、大體この資料の中に、明治八年にできたところの行政警察署、これが今なお有力に効力をもつておりまして、これから永年にわたつていろいろな警察に關する法規が出ておるのであります。一貫して警察の觀念に關して、警察というものが一體いかなる形體のものであつて、いかなる運營をもつておるのかというようなことについて、はつきりした明文がないのであります。從いまして消極、積極、いろいろの解釋が違うのであります。この警察はいろいろ國によつて違い、各國制度を違えておりますが、大體において日本の法規は、大概外國の模倣であります。大陸式、英米式というのは、ほかの法規でもいわれるのでありますが、警察もやはり大陸式、あるいは英米式というふうにいわれておりまして、大陸式というと、大體において警察の權限の範圍を非常に廣く、また強く解釋するのであります。國家の治安維持に必要なる權力作用はすべてこれ警察である、こういうふうに廣く強く解釈するのが大體大陸式であります。ドイツとかフランスとかいう國は、大體そんなような傾向にあるそうであります。英米引といいますと非常に狹義に解釋しまして、警察というものは犯罪の捜査、それから交通整理、このくらいの程度のものが警察である、こういうふうに解しておるのでありまして、そのいずれをとるかということにつきまして、わが國において一定した觀念が確立しておらないのであります。從いまして學者により、またときの警察の當局によつて非常に違つておるのでありまして、大體の傾向といたしまして、學者あるいは職業的當局者は、廣義に大陸式に解釋したがるのであります。一般民衆の方は、そういつた學問的な研究でなしに、ただ從來の傳統的な觀念から、警察というのは要するにお巡りさんである、お巡りさんというのは泥棒をつかまえる。日比谷の街頭等で交通整理をやつておる、あの程度のことが警察としか解しておらない。從いまして官民の間に、いつも食い違いから問題が起つておるのであります。民間側からみますと、警察というものは職權の濫用をやり、わがまま横暴をきわめるといつておりますが、官憲からいいますと、これは警察の當然の本職である。われわれは忠實に職務執行をしただけであると解釋しておるのでありまして、そこにいつも食い違いがありまして、警察はいつも民間に對して專横な振舞をしておる。わがままな振舞をしておるというように反映しておるきらいが非常にあるのであります。私は今後の日本の民主化を確立する意味におきまして、その基底となるべき權力作用の最も重要な部門を握つておる警察に對しまして明確なる觀念を植えつけておいていただきたいと思うのであります。私はもとより英米的な警察に對する一つの考え方をもつておるところの一人であります。すなわち警察というものは廣汎な權限をもつものじやない。もちろんこの内容をみますと、警察の民主化のために警察の責任を限定しなければならないとして、權限の範圍を規定してあります。權限の範圍というものだけでは觀念が明確に出て來ないのでありますが、まず觀念を明確にして權限をきめる必要がある。私は英米主義に、やはり警察官は犯罪を捜査し、逮捕し、交通を整理するというような程度が、警察の一番大事な仕事の重要な部門である。その他のことは一般民衆において自律的に、自己の政治生活、あるいは社會生活、その他經濟生活、すべての生活を自律的に律していくということが建前でなければならぬと思う。これに對しては國民の啓蒙というような、教育的啓蒙というようなことも必要でありますが、警察の立場としては、警察の建前は、あくまで消極的な立場において活動していくのであるというふうに考えておる一人でありますが、その點につきまして明確に警察法規の第一條に規定していただきたい。そうして民衆にこれを理解せしめ、また警察官も履行して、お互いに從來のように警察に對する惡感情、あるいは、警察の民に對する職權濫用などの起らないようにしていただきたいという希望をもつものであります。
 第二には、この中に、(8)として、日本警察の實體に關する世界的の誤解と、從つて日本においてなされるあらゆる改革に對して、世界が批判的態度をとるであろうこと、これは今後も本當に大事な問題でありますが、從來の警察におきましても非常なる誤解があるのであります。これは國内の誤解もあり、世界的な誤解もある。元ニユーヨーク警視總監バレンタイン氏は、日本警察に對する視察感想を發表しておりますが、日本の警察は時の政治家が野心を全うするために利用する一つの機關であつたといつておる。スターズ・アンド・ストライプス紙ではテラニータイラントであるという言葉を使つている。斬捨御免の態度をとつておるといつておる。日本に對する感想のうちで、ある點は正しい觀方であるかもしれないが、ある點は誤解しておるように見受けられる。日本の警察のある者は戰爭に便乘して大いにやつた者もありましよう。しかしまた冷靜な警察官は、常に戰爭のあるなしに拘らず、時の推移に拘らず、政黨のいかんに拘らず、いつも冷靜に時の情勢を見詰めまして自己の職務に邁進し、治安の維持、暴力、脅迫などの、社會秩序を破壞する場合、これらに矯正作用、自由制限を行うことを職責として、眞面目にやつてきた者もある。そういう一部の者が見逃されて、警察全部がテラニーとして、封建時代の武士のごとく、權力を振舞つてきた、かように見られることは非常に殘念であつて、一部の警察官のなかには正しい者があつたということで誤解を解くことが必要であると思います。もう一つ公安廳の設置について伺いましたが、これは關係方面の御了解があるのでありましようか。以上の諸點についてお伺いいたします。
○久山政府委員 第一の警察の觀念を、警察法規の中に明定するということはぜひいたしたいと存じます。根本的な考え方としては、お話のように、今までは警察を使うことが便利であつたので、本來やるべき任務でないのに拘らず、いろいろなことを警察がやらされたのでありまして、そういうことからいろいろ警察自體の弊害も起きたのでありますから、できるかぎり警察は本來の治安維持の仕事以外にはやらない。明確に警察の行うべき仕事の範圍を局限するということが、本來の警察を力強く實行する上にぜひ必要であり、またそれがいわゆる民主化のためにも必要でありますので、警察の仕事の範圍、權限の範圍を本來の治安維持の仕事に局限することが第一の條件でありまして、そのように警察を限定してまいりたいということはまつたく同感であります。ただ警察の仕事が、いくら限定するとしても、犯罪の捜査、犯人の逮捕、交通整理などのみにはとうてい局限し得ないのでありまして、犯罪が起らないように事前に豫防するという豫防警察、これが行政警察でありますか、そういうものに主力をおかなければ治安の維持は完全にまいらないといえるのでありまして、從いましてできる限り治安維持に必要のない仕事は警察がこれを擔當しない。しかし本來の使命を達成するために、どうしても必要な限りにおいては、單に犯罪の捜査、逮捕ということでなくて。それを豫防するために必要なる措置がいろいろあるわけでありまして、それは嚴格なる限定のもとに、明確なる法規に基いて、警察の權限としてこれをはつきりさせていきたい、かように考えるのであります。
 それから日本の警察の從來の實體に關する世界的の誤解ということについていろいろお話があつたのでありますが、私も先ほどお話いたしましたように、この一つの強力なる國家的な組織をもつ警察の組織そのものが惡いのではなくて、警察をして執行せしめたいろいろの法律的規制、あるいはその當時の社會的な一つの風潮と申しますか、國家的な行き方そのものに非常に反省すべき點が多くあつたのでありまして、今日以後の日本の状態におきましては、日本警察のあり方につきましても、おそらく今後世界的な誤解を受けるようなことは絶對にないということを私どもは確信いたすのであります。從來のいろいろ警察に關する内外の誤解につきましては、今後その實際の運營において、一方ではこれを民主的な憲法のもとにおける民主的な憲法のもとにおける民主的な法令の執行ということに權限の基礎をおきまする限り、警察自體がおそらく世界的な意味における誤解を受けるような實體のないことは、きわめて明瞭にされるのではないかというふうに考えておるのであります。それから公安廳の問題はもちろん各方面の了解の上ででき上つたものと思うのであります。
○坂東委員長 加藤君。
○加藤(吉)委員 ちよつとお尋ねしたいのでありますが、目下の日本の國情はインフレと統制經濟を濫用して、官吏の方々と警察と財閥とか結託して、百鬼夜行と申しますか、亂世極惡の世相を呈しておることは否むことのできない状態であると私は思います。小さいやみは摘發されまするが、大きなやみはうやむやに葬られがちであるのでございまして、現在知事さんの許可一つで何百萬、何千萬のやみ物資が動くというようなことが始終うわさされておるので、すでに二、三の縣におきまして、知事は問題を起しておるような現状であります。こういうようにうわさにうわさを生んで、全國津々浦々に至るまで疑惑と腐敗に國民は奮激しておる現状でございます。片山内閣が經濟危局を突破するために、道義を高揚してこの難局を突破しようというこの精神運動に一大障害を與えておりまして、精神運動を起しましても國民は、嘲笑をもつて迎えておるというような實情かと私は信じております。それで國民といたしまして、せめて檢察廳竝びに警察というような方々だけでも、ひとつ純正潔白な立場におられなければ、平和再建の第一歩すら踏み出すことはできない、こういうふうな心持で國民はおるのであります。こういう意味合におきまして、私は司法警察と行政警察とを完全に分離していただきたい。行政警察は生命財産の保護、治安の保持、交通の保安、その他國家警察的な任務をやつていただく。そして司法警察は純然と檢察廳に移管してしまつて、犯罪の捜査檢擧の件というようなことをやつていただく。それから縣の防犯課なども檢察廳に屬しておつて、依然として昔の特高的な性格を帶びている防犯課を司法警察の方に入れて、そうして知事や警察部長や内務大臣から完全に犯罪捜査、檢擧というような仕事を取除きまして、完全に分離いたすことによつてこの弊害が防がれるのではないかと思います。それから潔白な地位を保持するためにひとつ優遇してもらいたい。これは優遇しないから、ある地方の小さい警察署の經濟係ですら、二年ほどやつておると家一つ建られるというようなうわさが飛んでおるのであります。これはひとつ純白公平に地位を保持できるように優遇していただくということが先決だと私は思つているのでございます。こういうような行政警察と司法警察とを全然離して、知事や警察部長や内務大臣を行政警察專門にしていただきたい。こういうふうな點についてお伺いいたしたいのであります。
○久山政府委員 司法警察と行政警察を分離した方が犯罪の檢擧に都合がよいというふうな觀點から、現在の警察を二つに分けまして、犯罪の捜査のみを專門とする一つの警察官を獨立にもつという考え方は從來からございまして、それがいわゆる司法警察と行政警察の分離論ということで、多年議論が闘わされてまいつたのでありますが、もしそれを分離いたしまして、要するに今の警察の數を非常に殖やすことができまして、そういうような專門の犯罪捜査をやる相當數の人が別に置けるならば、あるいはそれである程度の能率が上るかと思いますが、それはいろいろの關係からそう多數の犯罪專門の警察官を殖やすというふうなことが、おそらく非常に困難であり、事實なかなかできないのじやないかと、日本の現状から考えるのでありまして、いつも落ちつくところは、そういつた腐敗なり堕落のないようにするためのお話のような優遇から始めまして、いろいろの監察制度なり、民主化の方向をとるといたしましても、とにかく現在の警察官に、豫防警察と犯罪檢擧という兩方の權限を一人にもたしておきませんと、事實上犯罪檢擧それ自身もうまくいかない。それが非常に多數の者を別に置ける餘裕がある場合には、また別の考えもありましようが、現在の状態においては、どうしてもこれは別箇にわけてそれぞれの能率をあげる程度に、人を殖やすというふうなことが、實際問題としてできないのではないかというふうに考えておるのでありまして、また事實そういうものが一緒になつておるところに、もちろん今おつしやるような弊害が出ることが考えられますけれども、そうかといつて、これをわけて犯罪捜査專門にした場合に、全然そういう弊害が出ないかということの保障もまたできないのでありまして、要はもちろん警察内部におきまするいろいろの、今おつしやつたような待遇の改善から始めまして、これの肅正浄化のために努力をいたすことはもちろんでありますけれども、何と申しましても、この社會全體がお話のような一つの苦しい状態に立つておりまするときに、たとえその仕事がそういう惡を摘發することにあるといたしましても、警察官のみが全然そういう一般の風潮、やり方と別箇の天地に住んでおるわけでありませんので、その間にいろいろの問題の起きますることもはなはだ遺憾ではありまするが、これを警察のみのあり方によつて肅正するということも非常に困難なのではないか。結局政治全般の問題、國民全般の方によつて初めてそういうこともできるということも考えるのでありまするが、とにかく司法警察を一般の豫防警察から分離いたしまして、それによつて犯罪の摘發をはかるという考え方は、實際上實現は困難であり、そういういき方はなかなかできないのではないかというふうに私は考えております。
○加藤(吉)委員 その行政警察と司法警察を簡單にその効果を現わすために、ぞうさなくできるのは、縣々において檢事正に、司法警察官の新級任免の權限を委讓さえすれば、差當り圓滑に運營していつて、非常に犯罪の捜査に好都合であつていいのだということを言うておりますが、私もその意見に贊成しておるので、そういうふうになさつたら非常に簡便でいいとも思われるのですが、たやすく分離できると思うのでありますが、その點いかがでありましようか。
○久山政府委員 その司法警察と申しましても、結局その全部の警察官が司法警察權も行政警察權も、つまり一人が一體として警察の權限をもつておるわけでありまして、あるいは司法係の刑事とか、純然たる犯罪捜査專門の警察官も何人かおりますけれども、これは非常に數が少いのであります。むしろそういつたような犯罪の捜査を專門にいたしまする警察官の數等につきましては、實際の問題として、これは檢事局とよく相談をして人事をやつておるのが實情でありまして、檢事局の方からも、こういう刑事は非常にいいというふうなことはたびたび言われまするし、もちろん檢事局の方も職責がそういうところにあるのでありまするから、そういう人の身分をもつておりまする警察部長にいたしましても、絶えずそういう點を考えて人事をやつておるのでありますから、それはお互いの話し合いと申しますか、協議によつてうまくいくのではないかというふうに考えておりますし、またそういうふうに實際やつておると思つております。
○門司委員 ひとつこの際お聽きしておきたいのですが、警察の制度が變りますときに、先ほどのお話もありましたように、從來の警察が往々にして警察の職務の權限を逸脱したことが多かつた。さらにそれを利用する面もまたあつたということが、日本の警察をして今日のようないろいろな非難であるとか、いろいろな誤解を招く因をつくつておると考えておるのでありますが、これに對して何か警察の、ここに書いてありますように、民主化のために警察の權限を明確にしてやるということも結構だと思いますが、運營に當つて何かお考えになつておる點かございますか。たとえば一つの例をあげて申しまするならば、警察の制度、それから警察をいかに運營するかということについて、民主團體との結びつきのようなものについてのお考えがあるかどうかということ、さらにもう一つは警察官の教養の問題でありますが、地方警察あるいは國家警察というように二つにわかれてまいりまする場合に、往々にして從來われわれの考え方からみますると、そこに教養の點、あるいは觀念の點にも開きができるようなことがありますると、せつかくの警察官が二つにわけられるようなことになると思いますが、この點についての何か特別のお考えがありまするならば、お聽かせを願いたいと思うのであります。
○久山政府委員 警察の運營の際におきまする一般民衆との接觸と申しまするか、そういう意見も入れて運用をやつていくということに關しまして、昨年の四月に各府縣及び各署ごとに民警と申しまするか、そういう懇談會を設置するように通知をいたしているのであります。そしてこの警察運營の民主化というようなことにつきまして、具體的にそこに檢討御協力を求める。そうしてその委員會を通じて一般民衆にも、警察のあり方についての啓蒙宣傳と申しますか、そういうこともやつていただき、また各警察自體の運營につきましても、委員會におきまする各委員の意見を取入れまして、運營に資するというふうな制度をとるようにということで指示をいたしているのでありまして、その後各府縣及び各署がこういう趣旨に基きまして、民警懇談會と申しまするか、名前はどうなりますか、そういう制度をとつて非常にうまくいつているところも多いのではないかというふうに考えているのであります。そういうふうに運營におきまする民主化の方策といたしまして、そういつたような制度を、もしまだ徹底してやつておりませんところがありまするならば、今後さらにそういつたような面に一層關心をもち、そういう制度をでき得る限りつくつて、誤りなく民衆警察の運營を期するという方に進みまするように、一層指示督勵をいたしたいと考えますが、やはり根本は何と申しましても、教養の問題に歸するのでありまして、一方で待遇の問題などを考慮いたしまするとともに、どうしても質のよい者を採用して、それに十分現在の警察官のあり方というものを教養いたすということより以上に、大きな民主化の方策は實はないと考えているくらいでありまして、教養の點につきましては、先般來お話を申し上げた通り、非常に力を入れているのでありまして、ただいまお話のありましたように、もしこれが地方に分散いたされた場合に、國家警察については教養の點が徹底するが、地方々々に任された警察官についてはそういうことがあまり徹底しないとか、あるいは教え方なり教養の努力の相違から、いろいろな摩擦などにつきましても、できるだけそういうことのないように、たとえば警察そのものは地方に委讓される場合がありましても、少くとも教養というような點につきましては、中央でまとめてある一定の學校に必ず定期に入れる、そうして幹部になるには一定の教養を經なければなれないというふうな、全體に通ずる基準的な警察官の教養の問題につきましては、法律の上にもそれを明確にいたし、そういう間における相違のないように、その間の調整はどうしても一應政府がとるようにいたしたい、かように考えております。
○門司委員 さらにさつきの運營の方法ですが、警察の懇談會のあることは私も存じております。私もある警察の依頼を受けておりますが、現状のままでありますならば、その懇談會のあり方というものが、ただお座なりに終るような危險性が多分にあります。さらに民主團體といいいましても、それが純然たる民主團體でない、從つてそれが警察署長の、集りを願うという通知のあつたときに集るとういう範圍であつて、現状ではほとんど警察署長の諮問機關程度、話があれば、多少警察官に對するいろいろな非難、攻撃をすることがないではありませんが、至つて微温的なものであつて、現状の懇談會程度ではなかなかそうはまいらぬと思う。ことに地方警察ができ上がりますと、そこに、あるものは從來の最も惡かつた點のみが現われる危險性が多分にあるのではないか。はつきり申し上げますと、從來惡かつたという點は、往々にして政黨に利用されたということ、さらにそのときによつてある種の權力が權限を濫用したというようなこと、こういうことだと思いますが、現状のままで地方にこれが移讓されてまいりますと、地方にはそういう傾向が非常に強い。從つてせつかくの懇談會も、われわれが考えているような方向に進みかねるようなことがありがちだと私は思いまして、さつき御質問申し上げたのであります。なお内容を申し上げますならば、その運營をする委員會の構成等に十分注意をしていただき、眞にこれが民主化されるよう、私はこの機會にお願いしておきたいと思います。
○松浦(榮)委員 昨年元ニユーヨーク警視總監のルイス・バレンタイン氏がみえまして、報告書竝びに勸告案を發表されまして、それを新聞で讀んだのでありますが、この中いろいろありましたが、日本の警察制度を改革するために、日本の警察官のたしか警部補級のものをアメリカへ留學させて、向うで實地見習をやらせて、そうして歸つて日本全體の警察官の模範にさせるというようなことが載つておりましたが、そういうことについて警保局として今までG・H・Qと交渉したことはありませんか。
○久山政府委員 その話は實は内々進めているのでありまして、向うでも非常に好意をもつて、いろいろ取計らつていただいておりますが、やはりいろいろの關係がありまして、とにかく日本人が向うへ行くということが、一般的な制限の上から、警察官について特別に考慮は願つておりますけれども、すぐ實現するというわけにはいかぬ事情がありますが、しかし非常に厚意をもつて考えていただいております。
○松澤(兼)委員 直接警察組織の問題とは關連がないのでありますが、言論、思想の自由というようなことから、新聞雜誌などで、どうもいかがわしいような方面のものが多數出版されておるようであります。また内容から考えてみて、これは純粹の犯罪的なものであるということも考えているのであります。過日もまたG・H・Qの方から、いわゆるゴロ新聞を退治すべしというような意見が發表されておつたのでありまして、われわれとしましては、どこまでも言論の自由、思想の自由を尊重するということはよくわかつておるのでありますが、どうも多少その内容においてはき違いがあると考えられるものが、多數出版されているように考えられるのであります。もちろん用紙等も割當以外の用紙を使つて出版されていると思うのでありますが、こういつたゴロ新聞的な、いわゆる地方的な小新聞、あるいはまたエロ雜誌なり、そういう方面の出版というものに對して、現在どういうような状況になつておりますか。ちようど警保局長お見えになつておりますから、その邊のところを承つてみたいと考えるのであります。
○久山政府委員 ただいまお話のような新聞、出版に關する問題につきましては、實は昭和二十年のたしか十月四日であつたと思いますが、連合軍の思想、言論その他の抑壓に關する法令の撤廢に關しまする覺書がありまして、新聞紙法なり、出版法なり、言論の檢閲なり取締りを内容としておりまする法律が、正式に廢止の手續をまだいたしておりませんけれども、事實上活用を停止されておるのでありまして、從いましていろいろの出版上の弊害に對しまして、法規に基く行政的な措置というものが現在ないのでありまして、非常に風俗を亂しますような出版物につきましても、現在刑法によりましてこれを處罰するというよりほかに方法はないのであります。しかも從來の勸念から、刑法によつてこれを處罰するという場合には、相當程度の高いと申しますか、内容の露骨なものでないと、それが處分されないような状況であり、しかもそれが五百圓以下の罰金というようなことでありまして、とうていそういつたような營利を目的として、風俗を壞亂するような出版物を出すことを營業とするようなものに對しましては、何ら方法がないような状況であるのでありまして、出版法なり、新聞紙法なりも、實は正式の廢止の手續をいたしませんで、事實上眠つておりますということは、どうもこのままただ廢止をし放しで、はたして日本の出版文化の向上の上にいいものかどうか、從來のような意味合における檢閲、取締りはもちろんいたしません場合におきましても、今言いましたような、まつたく風俗壞亂的なものにつきましても、これが行政的な措置が事前にできぬということで、はたしていいだろうかどうだろうか。また一方お話のありましたように、何と申しますか、ゴロ新聞と申しますか、恐喝を專門にしたり、あるいは廣告料をとることを目的にするようなもの、殊に個人の名譽を毀損して何らはばからない、しかもそれを救濟する方法が、現在の刑法では、裁判などをやりましてもなかなか早急に片がつかぬ。少くともそういう人の名譽の毀損に對する現在の制度をこの機會に、新聞紙法なり、出版法なりを廢止いたしますにしましても、少くともそういう點における何らかの完全な民主的な法制的措置が必要ではないかというふうに、いろいろ考えたのでありますけれども、何さまどういうことを考えましても、それが言論、出版の自由に觸れる限り、そういうような法制をつくることを容易に了解していただけなかつたような状態でありますので、おそらくこれは現在の國會、殊にこういつたような委員會で、むしろこういう問題を取上げていただきまして、委員諸君が國民の代表として、現状に對する適切なる處置をお考えいただきますと、あるいはそういうものが法律として、出版文化の健全な發達のために役立つようなことになる。またそういうことをお願いしていい時期に實はきておるのではないかというふうに考えるのでありまして、私どもの立場からいろいろそういう案を考えてみたのでありますけれども、どうもやはり考え方が取締的なことになるせいか、あるいはそういうことを裏に考えておるというふうな感じからか、容易にまとまらなかつたのであります。どうかひとつそういう問題につきまして新しい立場から、こういう委員會でそういう實態を調査され、またこれを適切に、民主的に防止するというような方策をおとりいただくことはより結構であり、またそうお願いいたしたい、かように考えます。
○坂口委員 警察というものは、その國の當時の社會状況によりまして變るべきものである。從いまして日本の從來の警察がどうであつたということは、これは從來の日本の國情によつたものでありまして、今日内務省が解體するような時勢になつたにつきましては、警察もまた非常なる轉換をしなくてはならぬじやないか。その點について現在の内務省の當局からみますれば、また警察の專門家である人たちからみますと、急激なる轉換というのは、いろいろな點に御考慮があつて困難であらう。これも十分察するわけでありますが、先ほどお話のありましたように、たとえばこの際、警察というような文字を日本から去つてしまつて、新たなる勸念、文字によつてやるということも形の上でありますが、一つの方法であらうと考えております。
 それから武力がなくなつたあとにおける國の治安というようなことについては、最も心配されるところでございますが、しかしながら整備のない警察官はいくらありましても、これは非常に強い力をもつてるものでは絶對にない。また警察官の素質のいかんによつて、この能力なり能率というものは數の問題ではないと思うのであります。それで私は、この組織制度ということについても、われわれ意見がないでもありませんが、今日最も心配されますことは、先ほどから、あるいは前々會あたりから、皆さんが言つておられるりつぱな素質の警察官を、最高度の能率のあがる警察官を、適當な數集めることであろうと思うのであります。現在警察官の待遇が、沿革的に非常に惡いということは誰も知つておることでありますが、國の費用から、あるいはまた地方の費用と合せて、いろいろ沿革的にこれを優遇するというようなことは非常に困難な事情にあります。この際はすべての事情を一擲して、警察官の名前も變え、また組織を變える機會に、私はこの警察の從事するところの人達の待遇を思い切つて國として變える。つまり從來のように警察官を募集して、それに訓練教養を與えるということでなくて、最高の國民として教育を受けた者を集めて、それに教養を加えていく。一般の人は警察官になるというようなことは、今までは待遇の點もありますけれども、多くの人は必ずしも喜んでいないというような状況になつておつた。これまで警察の費用というものについて、國と地方でいろいろ沿革的に變つてきておるようでありますが、この待遇の状況、また費用の全體というものについて、はつきりとお示しを願つておきたい。私は知りませんからお願いしたい。
 それから、この警察の改革は、一體いつごろまでの要請されておるのであるかということもお聽きしたいと思うのでありますが、それは結局におきまして、國としてもそうでありますが、地方警察にしましても、やはり費用を地方でもつということになりますと、地方團體のほんとうの改革が徹底いたしませんで、地方の財政力というものが確立しなくては十分の優遇はとうていでき得ない。私はその點を最も恐れる。たとえば、これとは多少違うかもわかりませんが、六・三制のごときも、率然としてあの制度が布かれ、そうしてあとになつてその費用負擔の上において混亂を生じて、ほとんど所期の目的が達成されるということはいつになるか、その間の混亂は非常に大きい。そういうことを考えましても、この最も大事な治安の根本であります警察の改革途上におきまして、混亂を生ずるということは最も恐るべきことであります。そういう意味におきまして、この財政的の用意というようなこともむろん十分お考えになつておると思いますが、そういう方面の、いつまでにこれを改革するか、それに對してどういう用意をしておるというようなことについてお示しを願いたいと思います。
○久山政府委員 警察官の素質と待遇の問題につきましては、ただいまお話の通りでありまして、實はそういうふうにできるだけの努力はいたしておるのでありますけれども、まだ待遇の點につきまして、やつと一般の官吏なみに認められたというところまでしかきておりませんので、一方素質の高い教養のある者を、はじめから警察官として採用するというような點に非常な難點があるのでありまして、それは給與の問題の解決に伴いまして、できるだけ努力をいたさなければならぬと思つておるのでありますが、地方に移讓いたします時期と申しますか、それはまつたくお話のありましたように、今原則として、相當な都市に移讓をするということに大體方向としてはなつておるのでありますけれども、しからばどういう都市にいつからそれをやるかということは、移讓せんとする都市自體に、ただいまお話のように十分に財政的に、素質のいい力のある多數の警察官が維持できるという見透しがつきません場合においては、たとえ原則としてそういうことを認めましても、事實上治安維持の上に非常な支障を來しますので、抽象的にはそういうことの見きわめが、はつきりついたときに順次これを移讓していくということになるのでありましようし、またそういうふうに公安課等の意見もなつておるようでありますけれども、しからばいつそういう財政的な基礎ができるかということは、はたして今地方の財政そのものが現實にどういうふうになつているのか、どのくらいの都市においてはどういうふうな状況であるかということは、實はあまりよく承知しておりませんので、ただ原則論的に警察というものをどう開放するか、地方に移讓する場合にどの程度のものにすればいいか、人口五萬というようなこともその一つになつておるのでありますが、根本的な基礎には、これが十分財政的に獨立した警察を維持する力があるという見きわめのついた都市においては、はじめて移讓ができるということになろうと思うのでありまして、いつまでにそれをするかということも、ただいま申し上げることもできませんし、また現實に現在の都市の財政がどういうふうになつておるかということも、實は私承知をいたしておらぬのでありますが、これはまた別の機會に地方局長からなり、あるいは私よくお話を承りまして、私からなりお話申し上げたいと思いますが、現在までのところはそういう状態になつておるのであります。
 それから警察官を維持するために現在どういうふうに費用がかかつておるか、またその分擔がどういうふうになつておるかということにつきましては、總括的に詳細なる數字をできるだけ早くお届けいたしたいと思います。大體はできておるうかと思います。
○坂口委員 私は地方に移讓とかなんとかいう意味でお聽きしたのではない、つまり連合軍の方からこの警察の改革というものを要請されているということですが、その時期や何かについて向うの方に希望があるのかどうか、これは非常に微妙なものであると思いますけれども、たとえば六・三制のように急激に――これは日本が自發的にやつたと、形はそうでありますけれども、急激にこれをやらなくてはならぬというような恰好になりますと、よほどこれは早くやらなくてはならぬので、ただこちらの都合によつて状況をみて改革していけばいい、そういうことになつているのか、その邊のことを聽きたい。
○久山政府委員 速記をとめて下さい。
○坂東委員長 速記をやめて……。
    〔速記中止〕
○坂東委員長 速記開始。お諮りいたしたいことがあります。それは去る九日、内務省解體に伴う内務省及び内務省の機構に關する勅令等を廢止する法律案、地方自治委員會、公安廳及び建設院設置法案、内務省官制廢止に伴う法令の整理に關する法律案の三法律案が内閣より提出いたされております。なお同法案は十二日に決算委員會に附託された次第でありますが、かねてこの委員會でも關心をもつた重要案件でありますから、決算委員會及び國土計畫委員會と本委員會とともに、衆議院規則第六十條によりまして連合審査會を行いたいと思います。さよう決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 御異議がなければさよう決定いたします。なお同連合審査會は明十五日午後一時より第十三委員室において開會することになつております。
 それではこれで休憩して、午後三時から開會いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二十三分開議
○坂東委員長 午前に引續いて、治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
○川橋委員 地方自治委員會、公安廳及び建設院設置法案の第五條に「地方自治の委員會の事務局、公安廳及び建設院には、政令の定めるところにより、所要の部局その他の機關及び職員を置くことができる。」と規定してありますが、大體これは當然法律をもつて定むべきであると考えます。このことは行政官廳法制定の當時においても、委員から論議せられた問題でありますが、この點に對する所見をお伺いいたします。
○林(敬)政府委員 地方自治委員會、建設院及び公安廳の設置に際しまして、大體法律でもつて書くことを豫定しております事項は、法律案としてお出しをすることに相なつたわけでありますが、そのほかにいろいろ詳細にわたりまして、その細目的な事項になりますところのいろいろな事項、すなわち政令が定めることを豫定しております事項を、なるべく法律の中へ入れて書いたらどうだという御意見のように拝承いたしました。これは申し上げるまでもなく、大體その他の各立法と歩調を一にいたしまして、基本的な事項は法律で書く、それから細目的な事項は政令に讓る。こういう建前に基きまして、いろいろ政府で立案をいたしますときも、法制局とも打合わせまして、また關係方面とも協議をいたしました結果、この程度が最も適切と存じまして、一應さように考えておる次第でございます。もちろん國會で御審議をなさる上において、政令に政府で豫定しておりますことでも、こういうことを法律にしたらという御意向があれば、それは法律にいたしましてもちろん差支えないのでありますが、大體のところいわゆる今申し上げましたように、基本的事項は法律で、それからやや細目的にわたる事項はすなわち政令でというふうにもつてまいりますのが、最も今後ずつと末長くこれを運用いたしていきます上に、より適切ではないかと存ずるのであります。しかしながらもちろん私どもとしても考えますのは、ただほんとうの骨になるところだけを法律できめて、あとの實際に身になるところは全部政令になつてしまう。こういうようなつくり方ではいけないと存じます。また基本的事項を審議する上においても、細目的な政令の内容はどういうものかということは、これは一緒に御審議を願わないと、ほんとうの基本的事項たる立法事項についてすら、十分の御審議をおやり得ないのではないかということをも憂えるのでございまして、建設院の官制に屬します部分、それから公安廳の官制に屬します部分、あるいは自治委員會の事務局の官制的な事項、それらの政令事項を全部一緒に提出したいと思いまして、併せてその内容についても御審議をいただきつつ、今後の法律事項についての御決定を願うというふうにもつていくのが一番いいのではないかと存じます。なお御審議の經過の中において、こういうことだけでもこれは法律に書いた方がいいのではないかというようなお話がございますれば、またそれによつていろいろ私の方も御意見をくんで考慮をいたし、いろいろお話合も進めてまいりたいと存ずるのでありますが、一應立法の建前といたしましては、現在のような法律案の程度をもつて立法事項とし、それからその他のところは政令に讓る。しかし審議は一括をしてこれをみていただいた上でもつて、基本に戻つてその立法事項をみていただく。こういうのが最も適切なのではないか。さように考えておる次第であります。
○川橋委員 大體の御方針は了承いたしましたが、御提案の上で十分審議はいたします。それからなお公安廳の長官の問題で大臣にお伺いしたいのですが、大臣がお見えになるまで留保いたします。
○坂東委員長 今地方局長の御答辯の中で、政令を出す場合でも、主なる法律を出す場合にはともに審議するということがありましたが、そうすると明日の法案の審議の場合には、政令の案が出ることになりましようか。
○林(敬)政府委員 ちよつと速記をやめて下さい。
    〔速記中止〕
○坂東委員長 私、川橋君の質問が出たところを察しますると、從來は法律の中には委任勅令がありまして、何々の點については勅令をもつてこれを定むということがあります結果、ややもすれば官僚諸君が、その委任された權利を利用して、それを國民の權利に關することまでも勅令できめたという大きな弊害があつたのであります。たとえば國家總動員法においてもしかりであります。そういう點から今後、政令をもつて勝手に官廳がこれをこしらえるならば、あるいは從來の委任勅令の弊を繰返すという點からの質問と思いますので、この點に關しまして、政府當局はどのような建前においてやるのでありますか。參考にお伺いいたします。
○林(敬)政府委員 ただいま委員長から御意見がありましたような聲を、私どもも遺憾ながら從來耳にするのでございます。これは終戰後の今日、特に立憲政治に基きまして、立派な民主政治を行う上においては、あり得べからざることであると存じます。私ども官にあります者も、もちろんその點は十分注意いたしまして、いやしくもそういう憂、そしりがないように最善の注意と努力をしてまいる覺悟でございます。今度提出になりますところの地方自治委員會、公安廳及び建設院の設置に關する法律につきましては、いずれも法案の中には、政令できめることは施行に關して必要な事項というふうになつておりまして、これを施行することについてだけの、いわゆる施行のための施行的細則、そういうものについてのことというふうに限つて書いておりますし、またこれを文字通りに解釋してまいりたいと思います。すなわち今委員長がおつしやいましたが、委任して、大きく任せてしまつて、あとは政令で何をきめられたかわからぬ、こういうようなことのないように、骨組のところはみなこれできめて、あとは施行の部分に屬する、純粹の施行に關するものだけを政令以下できめていく。これが新憲法の精神だと思うのでありまして、この精神に則つて私どもはやつてまいりたいと思います。
○坂東委員長 これに關連して御質疑がありまするならば、この際お願いします。
○松野委員 ただいまの政府委員の御答辯、私もまことに贊成でございます。往々にしてただいま御指摘の通り、私たちは非常に不安に思つておりましたが、はからずも本日政府委員から意のあるところを、まことに的確に御説明いただきまして、政令の限度がはつきりいたしましたから、今後の審議の上に非常に參考になると思います。
○坂東委員長 他に御質疑がございますならばお願いします。
○千賀委員 私は衆議院の本會議におきまして、狩獵法の獵期のことで意見を發表いたしておりますが、狩獵法は警察關係と農林關係と兩方にまたがつておるようでございます。農林委員會におかれましては、近く狩獵法の改正につきまして、殊に政令でやられる改正につきまして意見をもつている議員が集團をいたしまして、交渉會を一日開いていただくことになつておりますが、この公安關係にも危險物取締りとかいう方で關係があると思います。むしろ獵期などを決定いたしますのは、警察關係の方が主であるような氣もするのでありますが、この點は私の見解のように今運行いたしているでございましようか。または現在は、ほとんど農林に一任していられる實情でありましようか。その點を伺います。
○久山政府委員 ただいまの狩獵の關係は、具體的な話は私承知しておりませんが、おそらく府縣知事が、その獵期につきましては、決定をいたすことになつていると存じます。おそらく警察的な勸點から獵期がきまるというふうなことはありませんで、鳥に限りませんが、鳥獸の繁殖の状況、あるいはそれを保護するいろいろな立場から、從つて農林省の方の立場から、主として獵期というものがきまり、きまつたものを警察が取締る。こういうふうになろうかと思つているのでありまして、警察の立場から獵期そのものをきめるということは、おそらくなかろうというふうに承知しておりますが、具體的な現在の改正の状況とか、その他につきましては、私承知いたしておりません。
○千賀委員 過去におきましては、府縣知事は獵期の點につきましては發言權は全然なくて、中央から法律をもつて定められておつたのでありますが、將來の警察行政の機構改革について、これは全部知事に移つていくのでしようか。私はどうもそうでもないように思うのです。やはり狩獵の獵具をきめるとか、あるいは獵期をきめるとかいうようなことは、縣が單獨にやつたのでは、縣との境で常に問題が起きてくるから、やはりこれを全國的にやられるのだと思つておりますが、過去におきましては、農林省よりも警察關係の意見の方が、よけい常に働いておつたものと、實際體驗上われわれは承知しておりますが、現在及び將來、端境期になつておつて、われわれもどちらに強く陳情したり、あるいは意見を述べたり、發言したりすべきものか、はつきりわからないのですが、噂では狩獵法の獵期及び獵具に對しまして、大きな改革がただ政令をもつて行われるという噂が、世の中に擴がつている事實も、そうらしいのですが、その前に今月一ぱいに内務省が廢止せられて、機構の大改革があるのでございますが、しかし機構改革とは別に、この獵期という問題は、わが國の食糧問題確保、あるいは農業の害鳥獸驅除という點におきましても、これは非常に大きな問題でありまして、惡くすれば、わが農業生産の何分の一という大きな影響を與えてくるものでございますから、およそこの機構改革にまぎれて、この獵期の改正等につきまして、われわれ國民の代表は、萬が一にもそれにまぎれて、これに對して十分なる發言討論を遂げまして、國民の希望する政策を盛りこむことを忘れては相ならぬのであります。そこのところがまことに目まぐるしいので、專門家がおられまするので、よくこれは伺つておいて、間違いのないようにしたいと思つておるのです。そういう意味で私ども伺つておるので、どうか質問の趣旨に副うような御答辯を願います。
○久山政府委員 狩獵法の改正と申しまするか、狩獵というようなことがあるいは法律に書いてあるだろうと思いますが、そういうことは、もつぱら農林省の勸點から、かえるならかえるということになるのでありまして、警察の勸點から獵期がどうこうということは私はないと思います。であるから、どういうものをとつてはいかぬとか、とつていいとかいうことは、これは警察はまつたく關係のないことでありまして、農林省の立場からこれが決定され、その決定されたものを警察が取締りをすることになるだろうと思いまするので、私の方から積極的にこれをどうかえるということはありませんので、農林省自體に必要があつて獵期の變更をするということがありますれば、あるいは取締りの關係上、警察の方が共管をいたしておるようなことになつておるかもしれませんが、獵期そのものの關係は、まつたく農林省の立場によつて決定されるものだろう、こういうように私は考えております。なおそういうことで最近問題があるようなことは聞いておりませんので、何か具體的にそういうことがあるようでありますれば、さつそく取調べましてお答えいたしてもよろしいと思います。
○川橋委員 公安廳の長官の問題で内務大臣に私の意見を申し上げたいと思います。
 この長官につきましては、政府案では普通の官吏となつておりますが、今後日本の重大なる治安等を擔當する權限の重大なる長官としては、當然國務大臣としなければならぬと考えるのであります。現に地方自治委員會、公安廳及び建設院設置法案の第四條の末項に、「建設院の長は、國務大臣を以て、これに充てることができる」と規定されております。これの權衝上からいきましても、國務大臣になることは當然と考えておりますが、これに對する大臣の御所見をお伺いいたします。
○中島(茂)委員 ただいま川橋君から大臣に對して見解を質されたのでありまするが、私もまつたく同じ意見をもつております。これに對する御答辯をお願いいたします。
○木村國務大臣 本會議で質疑應答いたしておりますので、たいへん遅れまして相すみません。
 ただいまの御質問、まことにごもつとも至極であります。警察が國家の治安秩序に關して、非常に重大性のあることは申すまでもないことであります。これが一省から分離しまして、一つの獨立した公安廳となり、その公安廳の責任者に國務大臣があたるということ、これは御希望の御意見のようでありますが、まことに同感であります。なぜ政府の提案の原案に、そういう機構を盛りあげなかつたというと、ただいまの警察制度というものを、今囘の行政調査會の調査の今途上にありまするが、その行政機構の全般にわたる調査が完了いたしまするその一環として、警察制度もやや大幅に改正しなければならぬ必要に迫られております。そのために、これはほんの――この間も御答辯申し上げたけれども、臨時的のものであります。この法案にも臨時ということが謳つてあるはずであります。臨時的のものでありますので、その他の意向もありまして、まずとりあえずこれは、總理大臣直屬の官吏の長官をもつてこれに任ずるということになつております。國務大臣をもつてこの責任の衝に當らせるということについて、まことに私どもも異議がございませんけれども、それが取扱い上の、何と申しましようか、手續でもございませんが、まあ過渡期といたしまして、臨時の處置として、こういう案を提案いたしてありますわけであります。
○川橋委員 敗戰日本の今後は思想の混亂、これに伴つていろいろな重大な問題が起るべきことを豫想されます。殊に講和條約成立後におきましても、われわれは相當懸念を懷くものであります。現に公安廳は、戰前の軍隊に代るべき國家警察權等を掌握する立場におきましても、ぜひとも今後は、やはり國務大臣をしてこれを遂行させるということが妥當と考えております。今内務大臣の御答辯で大體了解いたしましたが、今後はなるべくそういうような方針でお進み願いたいことを、さらにお願い申し上げておきます。
○木村國務大臣 川橋君に全面的に私も同感であります。
○坂東委員長 今川橋君竝びに中島君の質問の要點は、公安廳の長官は國務大臣をもつてあてることが適當だというのでありまするが、これはかつての委員會でも要望いたしましたから、この委員會におきましても、これを滿場一致で政府に要望するということにきめても差支えないじやありませんか、いかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
○坂東委員長 それでは滿場一致をもつて、その點を政府に要望することにいたします。
○大石委員 私は警保局長にお願いをしておきたいのでありますが、私は京都なのでございます。私どもが演説會を開催するときに、去年までは五日前に警察の情報の方へ届けるようにということでありましたが、このごろになつたら、一週間前に演説會の集會をすることを届けろということでございますので、私たち歸りまして、議會の報告演説會をやりたいと思いましても、一週間前のことは、忙しいのでなかなかそれを確定することはできないのです。そうすると場所と自分の身體の都合で、開催することが非常にむずかしいのでございます。それでこちらへ來て各代議士に聽きますと、今矢尾さんに聽きましたら、自分たちは都合のよい日に演説會を開催しているとおつしやいます。四國の方の代議士さんに聽きますと、私たちは自分の都合のよい日に演説會を開催していると、こうおつしやいます。今門司先生にお聽きしますと、五日前に届けなければならないとおつしやいます。これは去年内務大臣にお聽きしましたときは、大村さんは、勅令できまつているとおつしやいましたが、日本全國みな一つだろうと思うのでございます。これは一體どういうふうになつているのでございましようか。願わくは、民主国家を建設する上におきまして、政治教育ををする上におきまして、言論の自由が、これでは許されておらぬと思うのです。特に警保局長にお願いしておきますが、これを改めていただいて、そうして言論が活發に行われますようにしていただきたいと思うのでございます。どうぞ御返答をお願いします。
○久山政府委員 ちよつと速記を止めていただきたい。
○坂東委員長 ちよつと速記を止めて。
    〔速記中止〕
○坂東委員長 速記開始。他にどなたか質疑ありませんか――それではちよつと警保局長に申し上げますが、この間大石代議士から、一警官の議員に對する無禮な事件がありました。それをこの委員會に發表いたしました結果、大體それは事實らしく考えられます、現在の日本の警官は非常に民主的になつておりまするが、まだ中には從來の頭の者もあります。それはその一例でありまするから、どうか警保局長は、日本の警官をして、ほんとうに民主的になるように、ほんとうに人間味があるように教育されんことを特に私は希望したい。御意見を伺います。
○久山政府委員 實は先日、何か交通取締の警察官が、何と申しますか、行き過ぎたと申しますか、出過ぎたと申しますか、不必要に相手を刺戟するような、適切でない處置を講じたというふうなことでお叱りを受けたという話を實は私も聽いたのでありまして、警視廳の方から、そういうことにつきまして、私も平素から注意をいたし、殊に交通の相當激しいところの交通巡査には、相當素質のよいと申しまするか、そういうおそれのない相當よい警察官を原則としては配置するように、署としても努めているようなわけでありまして、實地に交通關係その他で民衆にタツチいたします警察官には、特にそういう點について一層の教養を高め、素質を高めるということにつきましては、もちろん平素から十分注意をいたしておりますけれども、いろいろ交通の激しいとき、またいろいろ交通事故なり交通違反につきまして、疲勞と申しまするか、興奮するような状態において、たまたまそういうことがあつたのではないかと考えるのでありますけれども、お話の御趣旨も十分よく拝聽いたしまして、警視廳においても、すでに十分その點につきましては、さらに一般の注意を喚起し、また一般的に、そういうようなことを一つの事例として、そういう行きすぎた取締りのし方というものについて一層の反省を加えるように、私からもともととこの方面には十分通達をいたし、今後一層そういうことのないように努力をいたしたい、かように考えます。
○千賀委員 私もこの大石さんの問題につきまして、深刻に發言をいたしました一人でありまして、今日警保局長の釋明によりまして、大體これが大團圓を告げるということは、まことに結構でありまするので、蛇足かも知れませんが、私が發言をいたしました趣旨をいま一度ここで申し上げまして、必ずしも今警保局長が御答辯になつたような氣持で私は發言したのではないということを、また同時に、注意をしていただく線はまた別な方面にも一線あるのだということを御認識願いたいと思います。大石さんが、非常に憤慨をしてここで發言をせられましたのに對して、警視總監の答辯が、自分の方で調査をしたら、全然そんなことはないのだという返事で、頭から默殺をせられたのであります。職員が委員會におきまして、あるいは議會におきまして發言することは、すべて信念から發し、これを聽かれる政府委員の方でも、眞心をもつてそのまま事實であるとして聽いていただかなければ、われわれの討論も、または政府委員側の答辯も、何も意義のないことになるのであります。これに對しまして、あとからだんだん質問で追究いたしてまいりますると、警視總監は、部下の方から報告があつという事實はあつたのでありますが、それを自分の方の調査ではこうだつたのだ、當時の大石議員の發言とは違つておるということで默殺をせられた形になつておるのでありますが、これはまことに遺憾至極であります。どんな報告を受けておられようが、これはまた結構でありまして、われわれの窺い知るところではないのでありまするが、議員がこの席におきまして發言をしますことは、眞から心に感じましてこれを言葉にいたしているので、これは政府委員の方におきましても、率直に取上げてもらわなければ、大體討論の恰好がつかぬのであります。私はその點につきまして深刻に注意を促したわけです。警官が大石氏にどんな注意の仕方をしたか、これはまだ知らないところでありますけれども、議員だからといつて特に慇懃なことをしてもらつては絶對に相ならぬと思います。われわれでも間違えて、ぼんやりして、靜止のあるのに歩きだすかもしれません。そのときには一般大衆に對すると同じ態度をもつて、嚴正にわれわれに臨んでもらいたいことを私は希望いたしておきます。決してこのマークをつけているから手心を加えてもらいたいなどとは思つておりません。同じにやつてくれればこそ、警官の態度が國民大衆に對して妥當であるかないかということの判斷が、そこでできるもとができるのであります。これを特に議員に氣をつけろというような通牒でも、もしあなた方が出したといたしますと、またわれわれは誤まつた政治を見なければならないということになります。だからこの點につきましては、通牒を出されるにつきまして、相當にこれは手心をしていただきたいと思います。ということは、われわれに手心でなく、向うに感じすぎないような御配慮が願いたいと思います。前會におきまして、警視總監は、私の追究を是とせられまして言葉を取消されましたので、今私は警視總監に對しましても釋然たるものがあるのでございますけれども、前會の警視總監の言葉竝びにあなたの言葉を、ずつと一貫して考えてみますと、どうやらこの點は必要以上に下僚の方に、これが將來のために氣をつけろというような言葉になつていくんじやないかというようなことを、ちよつと心配されますので、その點を注意する次第であります。
○坂東委員長 この問題に對しましては、今政府の聲明なり、千賀君のお話によりまして、大體解消したと認めます。他に御質疑はございませんか。
 それでは本日はこれをもつて散會いたします。
    午後五時七分散會