第001回国会 治安及び地方制度委員会 第24号
昭和二十二年十月十六日(木曜日)
    午前十一時五十九分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 高岡 忠弘君
   理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君
      笠原 貞造君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    大澤嘉平治君
      千賀 康治君    坂口 主税君
      中垣 國男君    小暮藤三郎君
      大村 清一君    大内 一郎君
      外崎千代吉君    加藤吉太夫君
 出席国務大臣
       内 務 大 臣 木村小左衞門君
 出席政府委員
        内務事務官   林  敬三君
 委員外の出席者
        専門調査員   有松  昇君
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本日の會議に付した事件
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第七三號)
    ―――――――――――――
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。
 本日の日程は地方自治法の一部を改正する法律案であるりまするが、この室は午後一時から他の委員會ガありますから、本日は政府から提案の理由を聽くことにいたします。
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   地方自治法の一部を改正する法律案
  地方自治法の一部を次のように改正する。
  第六條第三項中「その協議が調わないときは、關係地方公共團體の議會の意見を聽き、内務大臣がこれを定める。」を削る。
  第七條第一項乃至第三項中「内務大臣」を「地方自治委員會」に改め、同條第四項後段を改める。
  第十八條第二項中「市町村に對し特別の關係のある者」を「天災事變等に因り他の市町村の區域内に住所を移した者その他の者で當該市町村に對し特別の關係のあるもの」に改める。
  第二十五條第二項乃至第四項中「第五十九條第二項」を「第五十九條第四項」に改める。
  第二十六條第二項を次のように改める。
  市町村の選擧管理委員會は、普通地方公共團體の選擧(第六十五條第一項の選擧を除く。)を行う場合において、當該市町村における衆議院議員選擧人名簿又は補充選擧人名簿に登載されていない者で普通地方公共團體の議會の議員及び長の選擧權を有するものがあるときは、申請により、これらの者を登載する補充選挙人名簿を調製し、その指定した場所においてこれを關係人の縦覧に供さなければならない。
  選擧權の要件は、補充選擧人名簿調製の期日によりこれを調査しなければならない。この場合において第十八條第一項の規定による年齢及び住所の期間は、選擧の期日によりこれを算定しなければならない。
  同條第四項を削り、同條第六項を次のように改める。
  補充選擧人名簿の調製、縦覧、異議の決定及び確定に関する期日及び期間竝びに申請の方法及び期間等は、當該選擧に關する事務を管理する選擧管理委員會がこれを定め、豫め告示しなければならない。
  前條第三項の規定により都道府縣の選擧と市町村の選擧を同時に行う場合においては、前項の期日及び期間等は、同項の規定にかかわらず、都道府縣の選擧管理委員會がこれを定め、豫め告示しなければならない。
  第二十七條第二項中「前項の申立を受けたときは、その日から二十日以内にこれを決定しなければならない。」を「前項の申立を受けた場合において、」に改め、同條第四項及び第五項を次のように改める。
  確定判決により補充選擧人名簿を修正しなければならないときは、委員會において、直ちにこれを修正し、その旨を告示しなければならない。
  委員會は、毎年十二月二十日の現在により補充選擧人名簿を整理して作製し直さなければならない。
  第三十條第一項中「選擧の期日前三日までに」を、都道府縣及び市の議會の議員又は長の選擧にあつては選擧の期日前三日まで、町村の議會の議員又は長の選擧にあつては選擧の期日前二日までに」に改め、同條第三項の次に次の三項を加える。
  同一の政黨その他の團體に屬する候補者の届出に係る者は、三人以上投票立會人となることとなつてはならない。
  第一項の規定により届出のあつた者で同一の政黨その他の團體に屬する候補者の届出に係るものが三人以上あるときは、第二項及び第三項の規定にかかわらず、届出により直ちに投票立會人となる場合にあつてはその者の中で投票管理者がくじで定めた者二人、互選により投票立會人を定める場合にあつては得票最多數の者二人(二人を定めるに當り得票數が同じであるときは、投票管理者がくじで定めた者)以外の者は、投票立會人となることができない。
  第二項、第三項又は前項の規定により投票立會人が定まつた後同一の政黨その他の團體に屬する候補者の届出に係る投票立會人が三人以上となつたときは、投票管者理がくじで定めた者二人以外の者は、その職を失う。
  同條第四項中「互選」の下に「又は第五項の規定によるくじ」を加え、同條第五項中「互選」の下に「又は第五項若しくは第六項の規定によるくじ」を加え、同條第七項に左の但書を加える。
   但し、第二項の規定による投票立會人を届け出た候補者の屬し又は投票管理者の選任した投票立會人の屬する政黨その他の團體と同一の政黨その他の團體に屬する者を當該候補者の届出に係る投票立會人又は投票管理者の選任に係る投票立會人と通じて三人以上選任することができない。
  第三十二條第三項中「できない者の投票については」を「できない選擧人は」に、「政令で特別の規定を設けることができる。」を「投票管理者に申請し、投票管理者が投票立會人の意見を聽いて選任する者をして候補者一人の氏名を記載させ、投票箱に入れさせることができる。この場合において必要な事項は、政令でこれを定める。」に改める。
  第三十四條中「その從事する職務若しくは業務又は疾病その他政令の定める」を「左に掲げる」に改め、同條に次の三號を加える。
  一 選擧人がその屬する投票區の在る都市の區域外(選擧に關係のある職務に從事する者にあつてはその屬する投票區の區域外)において職務又は業務に従事中であるべきこと。
  二 前號に掲げるものを除く外、選挙人がやむを得ない用務又は事故のためその屬する投票區の在る都市の區域外に旅行中又は滞在中であるべきこと。
  三 前號に掲げるものを除く外、選擧人が疾病、負傷、妊娠若しくは不具のため又は産褥に在るため歩行が著しく困難であるべない。
  第二百九十八條第二項の規定は、前項の協議にこれを準用する。
 附則第一條但書中「、警察署」を削り、同條に次の一項を加える。
  別に普通地区公共團體の職員に關して規定する法律は、昭和二十三年四月一日までに、これを制定しなければならない。
 附則第五條第一項中「別に法律」を「別に普通地方公共團體の職員に關して規定する法律」に改める。
 附則第七條第一項中「、警察署」を削る。
 附則第九條中「別に法律」を「別に普通地方公共團體の職員に關して規定する法律」に改める。
    附 則
 第一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、附則第四條(昭和二十二年法律第二號第三號に關する部分を除く。)は、同年十二月二十日から、これを施行する。
 第二條 衆議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
   第七十六條、第七十九條第二項及び第八十六條中「内務大臣」を地方自治委員會」に改める。
   第百條及び第百條ノ二中「内務大臣」を「内閣總理大臣」に改める。
   第百六條第一項、第百七條、第百八條第一項、第百四十三條及び第百四十四條ノ二第三項中「内務大臣」を「地方自治委員會」に改める。
 第三條 参議院議員選擧法の一部を次のように改正する。
   第十三條第二項中「内務大臣」を「内閣總理大臣」に改める。
   第六十三條、第七十一條第二項、第七十五條但書、第八十條第一項、第八十一條及び第八十二條第一項中「内務大臣」を「地方自治委員會」に改める。
   第八十三條中「内務大臣」を「内閣總理大臣」に改める。
 第四條 昭和二十二年法律第二號(衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する件)の一部を次のように改正する。
   第一條第一項中「昭和二十一年法律第三十號(衆議院議員選擧人名簿等の臨時特例に關する件)第一條の規定による」を「衆議院議員選擧法第十二條第一項の規定により昭和二十二年九月十五日の現在で調製する」に、「市區町村會議員選擧管理委員會」を「市町村の選擧管理委員會」に改め、「本人の」を削り、同條第二項中「市區町村(これに準ずるものを含む。以下これに同じ。)」を「市町村(特別區、全部事務組合及び役場事務組合を合む。以下これに同じ。)」に、「市區町村の區域」を「市町村の區域(特別區については特別區の存する區域)」に「住居」を「住所」に改め、同項の次の一項を加える。
    第一項の選擧人名簿を調製する場合においては、衆議院議員選擧法第五條第一項及び第十二條第一項の規定による年齢及び住所の期間は、選擧の期日によりこれを算定する。
   同條第四項中「東京都制第九十三條ノ十三第一項、道府縣制第七十四條の十三第一項、市制第七十三條ノ九第一項、町村制第六十一條ノ八第一項及び第百三十六條竝びに東京都制施行令第七十八條の十第一項の規定による選擧」を「地方自治法第六十五條第一項の規定による選擧(特別區竝びに全部事務組合及び役場事務組合におけるこれに相當する選擧を含む。)」に改める。
   第二條第一項中「東京都制第十六條ノ十一第一項、市制第二十條ノ二第一項及び町村制第十七條ノ二第一項」を「地方自治法第二十六條第一項及び第二項に」改める。
   第三條を削る。
 第五條 この法律の施行に關し必要な規定は、政令でこれを定める。
    ―――――――――――――
○木村國務大臣 本委員會に付託に相なりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
 地方公共團體の自主性と自律性とをさらに強化し、新憲法の精神に基き地方自治の本旨を一層徹底せしめることについては、何人も異論のないところであると存じます。申すまでもなく、地方自治法は、從來の中央集權性を改め、後見的監督の制度を改めて、地方公共の事務は、住民の創意と責任とにおいてこれを處理せしめることを根本の建前としているのでありますが、地方自治法施行の状況及びその後の情勢の推移に應じまして、この際さらに地方公共團體の自主權を強化し、その自律性を徹底して、地方自治の本旨のより一層積極的な登場をはかることが適當であると存ぜられるのであります。よつて、地方事務所及び地方公共團體の協議會の設置竝びに使用料等に關する許可權を整理するとともに、市町村合併等の際における財産處分は、すべて關係團體の自主的協議によつて定められることといたしました。一面地方公共團體に委任せる国政事務處理のための経費の財源に對する措置及び地方公共團體の長に委任した國政事務に關する手數料の徴收等に關する規定を整備するととに、いわゆる起債自由の原則を認め、ただ現下の情勢に鑑み當分の間從來の制度を存續する建前といたしまして、財政自主權をさらに強化するとともに、その保障を厚くしたのであります。
 次に國政の運營と地方自治行政との間に適切な調整をはかり、一面において、国の絶對必要とする要請を確保するとともに他面において、地自方治に對する保障を公正かつ民主的な方法によつて維持することは、國家の健全な再建と發展とをはかる上において特に必要であると存ぜられるのであります。最近特別地方行政機關設置の傾向が逐次強まり、現在都道府縣の區域内に設置されている主要なものの數は約九十に達する状況であります。もとよりこのような傾向の馴致されましたゆえんについては、現下當面しつつある經濟情勢から見てやむなき事情もあると存ずるつであります、しかしながら、これら各種機關の運用の實際を見ますとあるいは總合的地方行政の一環として廣い視野のもとに處理した方が、より一層適切であると認められるものがあるやに觀取され、國政の適切な遂行をはかる上からも、地方自治の圓滑な進展を明する上からも。今後單に局面的見地から出發した出先機關が濫立される傾向を防止することは特に必要と存ぜられるのであります。よつて、今後新たに地方行政機關を設置しようとする場合には、國會の承認を要するものとし、もつて國會によつてその間に公正かつ適切な調整が加えられることといたしたのであります。また反面におきまして、地方公共團體の長は、國の機關として各般の國政事務を處理しているのでありますが、その國政事務の處理が法令の規定もしくは主務大臣の處分に違反し、または著しくその職務を怠る等の場合におきましては、その遂行を確保する措置を講ずることは、これまた國政の運営と地方自治行政との間の調整をはかる上において特に必要があると存ぜられのるであります。よつて、地方自治法第百四十六條の知事、市町村長等の彈劾裁判の規定を改めて、新たな構想の下に、司法裁判所による公正な事実認定を基礎として、国政事務の遂行を強制し、確保する措置を規定することといたしたのであります。
 次に地方公共團體の意思機關であるにかかわらず、從來とかく閑却されがちであつた地方議會の積極的活動と圓滑な運營を期することは、新しい地方自治の健全な發展を期する上において特に必要でありますので、この點に關し、地方自治法の規定をさらに補足する必要があると存ぜられるのであります。今後地方議會の議員は、條例の制定等について、積極的活動を行うことがいよいよ多くなつてくるであろうと豫想されますので、そのための調査研究を行い議員としての識見を養うことは、議員として當然の責務であります。また議會と執行機關との關係におきまして、殊に多くの問題を捲き起すものは、豫算の議決に關する事項であります。よつて政府は、地方議會に對し、官報及び政府の刊行物を地方公共團體の議會に送付し、圖書室を必ず設置しなければならないこととしました。また知事、市町村長等の發案權を侵害しない限り、地方議會は豫算の増額修正をすることを妨げない旨の規定を設けたのであります。
 次に、選擧の民主化を徹底し、その公正な執行をはかることは、住民自治の本義に鑑特に必要であることは申すまでもないところでありますが、過般の選擧の結果等に鑑みまして、これらの點に關しさらに規定を整備する必要があると存ぜられるのであります。よつて補充選挙人名簿の調整を選擧の都度行うとともに、選擧人の年齢及び住所の期間を選挙期日により算定することとし、選擧に参加し得る選擧人の範圍を極力擴充して選擧の民主化をはかることといたしました。また地方公共團體の長の決選投票または選擧において、一旦有競争の状況になつたにかかわらず、候補者死亡、辭退のため候補者が一人となつたときは、無投票とせず、選擧の期日を延期して、第三位の得票者を候補者とし、または、あらたに補充立候補を認めることとして、極力選擧の民主化と公平とをはかることとしました。またさらに同一政黨の候補者は、二人を越えて各種立會人を出すことができないことといたす等、選擧手續の公正を期することとしたのであります。
 以上が本法律案中に規定いたしました主要な改正事項であります。なお、近く行われる内務省の解體に伴いまして、先般政府は、その後継機關として地方自治委員會を設置することとし、所要の法律案を提案いたしましたところ、その後情勢の推移により、右法律案を撤囘し、地方自治委員會の機構について再検討を加えなければならないこととなつたことは、すでに各位の御承知のことと存じます。從つて政府としては、この後継機關の機構等につき成案を得ました後に、その関係法律案とともに、本法律案を同時に提出する豫定で準備を進めて参つたのでありますが、何分にも會期も切迫し、その時期を待つていては、重要なる地方自治法の改正自體についての御審議を願う期間がいよいよ少くなると存ぜられますので、とにかく速やかに本法律案を國會に提案して御審議を願うことに方針を定め、今囘急遽提案いたした次第であります。從つて、本法律案におきましては、從來地方自治法及び衆議院議員選擧法等において内務大臣の有していた權限は、特に重要な權限を内閣總理大臣の權限といたしましたほかは、すべて一應地方自治委員會の權限に改めてあるのであります。從いましてこの點については、内務省の後継機關に關する成案の決定と相まつて、本委員會の御審議の途中において、適當なる措置を講ずることといたしたいと思います。今囘政府がこのような便法をとりましたことにつきましても、またその間の事情を篤と御了察願いたいと存ずるのであります。
 以上本法律案の提案の理由及びその内容中主要な事項を説明いたしましたが、なお本法律案に規定いたしました主要事項につきましては、林政府委員をして説明いたさせます。何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたします。
○林(敬)政府委員 ただいま内務大臣から、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げましたが、私より本改正法律案中主要な事項につきまして、さらに附加えまして御説明を申し上げたいと存じます。
 まず最初に選擧に關する事項であります。その第一は、選擧人名簿の調整に關し、有權者をできうる限り漏れなく名簿に搭載するため、從來の定時名簿主義を改めて、随時名簿主義を採用するとともに、選擧權の要件たる年齢及び住所の期間は、選擧の期日によりこれを算定するようにしたことであります。御承知のごとく現在衆議院議員の選擧人名簿につきましては、毎年九月十五日の現在により調整し、十二月二十日をもつて確定し、爾後一箇年据え置かれるところのいわゆる定時名簿主義を基礎としております。しかしこの定時名簿主義によりますと、名簿から脱漏している者、または名簿調整後選擧のときまでに新たに有權者になつた者は、選擧に参加する事ができないという不都合な缺陷があるのであります。そのため本年一月、昭和二十二年法律第二號として、衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律が制定せられまして、これによりまして、このような者及び海外引揚者を登載する名簿を選擧の都度臨時に調整することとなりましたから、定時名簿主義及びこの臨時名簿主義の併用によりまして、選擧人を正確にかつ遺漏なく捕捉することができることとなつたのであります。この原則は地方選擧にのみ用いる補充選擧人名簿についても同様に適用されているのでありますが、補充選擧人名簿に登載すべき選擧人は、現在ではいわゆる特別選擧權を與えられた者と、海外引揚者の一部とにすぎませんので、あえて定時名簿を調整せず、選擧の都度随時に名簿を調整して之に登載することといたしましても、別に選擧の施行上なんら支障なく、また衆議院議員選擧法との關係におきましても、何らの不都合も生ずる恐れもありませんので、今囘毎年九月二十五日で調製する定時名簿はこれをやめることとしまして完全な随時名簿主義を採用することとしたのであります。また選擧人をできうる限り廣く捕捉いたしますため、選擧權の要件たる二十年の年齢及び六ケ月の住所期間は、選擧の期日によりこれを算定することといたしたのであります。
 第二は、選擧の公正を確保するため、同一の政黨その他の關係に屬する候補者の届け出た者が、三人以上各種立會人となる事を禁止し、各政派の公平なる立會の下に選擧手續を執行せしめ、少數派の利益をも保護するに支障がないようにいたした點であります。
 第三は、都道府縣知事及び市町村長等、地方公共團體の長の選擧またはその決選投票におきまして、立候補の届出期間經過後、または決選投票の期日が決定してから選擧の期日の前日までに候補者が死亡し、又は候補者たることを辭したために候補者が一人となつたときは、選擧の期日を原則として五日延期し、さらに補充立候補届出をさせ、または最初決選投票の候補者となることのできなかつた第三位以下の次順位の者を候補者に加えて選擧を行うこととし、なるべく偶然の事情により無投票當選となることを避け、できるだけ選擧の投票によつて當選者を決定させることといたした點であります。
 第四は、町村の選擧につきまして、その選擧の實際から考え、立會人の届出期間及び補充立候補の届出期間を一日延長し、選擧の期日前二日までといたした點であります。
 第五に、無投票當選によつて地方公共團體の議會の議員または長となつた者についても、現行法においてはその就職後一年間は解職投票の直接請求、すなわちリコールのシステムを認めないのでありますが、選擧及び投票の民主化をさらに徹底する見地から、その期間内においても住民の直接請求による解職投票を行いうることに改めたのであります。
 第六に、以上の實質的改正のほか、特別選擧權付與の基準、代理投票の方法及び不在者投票の事由、竝びに選擧事務所の數の制限のごとく政令中に規定されております事項で、比較的重要なものを法律中にできるだけ具體的に規定し、立法權を尊重いたしますとともに、併せて一般の理解に資するように規定を整理いたしたのであります。
 次は、議決機關及び執行機關に關する事項であります。その第一は、本法律案の提案理由として大臣より説明がありました通り、地方行政機關設置の最近の傾向が、地方自治を損うことの少くない點に鑑みまして、政府が今後新たに國の地方行政機關を設けようとするときは、司法行政及び懲戒機關、鐡道現業官署、電信、電話及び郵便官署、學校、圖書館及び博物館等の文教施設、國立の病院及び療養所、燈臺その他の航行施設、氣象臺及び測候所、水路官署、港灣建設機關、營林署竝びに國の直轄工事の施行機關以前のものは、たとえ駐在機關を置く場合でも、すべて國會承認を經なければならないこととし、かくのごとき國の地方出先行政機關の設置及び運營に要する經費は、國が負擔することの原則を明らかにしたのでありまして、これにより地方自治を侵害する地方行政機關の濫設を防止することといたしたのであります。
 第二は、都道府縣知事及び市町村長のいわゆる彈劾に關する制度の改正についてであります。地方自治法第百四十六條は、單に都道府縣知事または市町村長の彈劾による罷免に關する規定であり、かつ彈劾裁判は彈劾裁判所においてこれを行うこととなつていることは御承知の通りでありますが、かような規定がおかれております理由は、地方自治との間に適當な調整をはかつて、國政事務の遂行を確保しようという點にあるのであります。從つてわざわざ彈劾裁判所のごとき特別の機關を設けて地方公共團體の長を彈劾し、罷免するという煩雑な方法をとりませんで、むしろ實質的にこれらの者が法令や上級行政廳の命令に違反し、または職務の執行を怠るような場合には、特にこれらの者に對して必要な措置を講ずべきことを命じ、なおその命令に從わないときは、司法裁判所による事實認定を基礎として、上級行政廳において代執行または罷免をすることができることとすることの方がより合理的であり、自治權の尊重と國政事務の遂行を確保し得るという兩面の要請からみまして、適當に調和をはかり得るものと考えられるのであります。このような理由から、國の機關たる地位における都道府縣知事が、法令の規定または主務大臣等の處分に違反することがあると認められる等の場合においては、主務大臣は文書をもつて當該事項を行うべきことを命じ、これに從わないときは、東京高等裁判所に當該事項を行うべき旨の裁判を請求し、その裁判に從わないときは、東京高等裁判所に對し事實の確認を求めた上、みずから代執行をし、または内閣總理大臣においてその人を罷免することができるものとしたのであります。また市町村長につきましても、都道府縣知事が右の場合と同様に、地方裁判所の裁判を基礎として、これに對して必要な事項の執行を命じ、代執行をなし、またはこれを罷免することができることといたしたのであります。なお罷免はよほどの事情のない限りこれを輕々に行うべきものでなく、これを行うには、本人に尋常ならざる瑕疵がある場合と考えられますので、罷免された都道府縣知事及び市町村長は、二年間都道府縣に屬する官吏となり、またはすべての地方公共團體の公職につくことができないものといたしたのであります。
 第三は、地方公共團體の議會が、當該地方公共團體の事務に関する調査のため、選擧人その他の關係人の證言を請求する場合につきまして、新たに偽證罪の規定を設けたことであります。現在地方公共團體の議會が、選擧人その他の關係人に證言を請求する場合、選擧人その他の關係人が、かりに虚偽の陳述をしても、刑法の偽證罪を構成しないため、調査上眞實を期することができないのであります。この事情は國會と地方議會とまつたく同様であり、國會法につきましても同一の趣旨の改正が本國會において行われる豫定でありますので、本法律案におきましても、刑法の偽證罪と同一程度の刑罰を伴う偽證罪に關する規定を設けることといたしたのであります。
 第四は、地方公共團體の議會の積極的な活動を助長するため、政府は採算の範囲内において、都道府縣の議會に對して官報及び政府の刊行物を、市町村の議會に對して官報及び市町村に關係があると認める刊行物を送付するとともに、都道府縣相互の間においては、公報及び適當と認める刊行物を他の都道府縣の議會に送付することとし、又地方議會には必ず圖書室を附置することとした點であります。
 第五は、地方議會の圓滑な運營をはかるため、地方議會は都道府縣知事及び市町村長の豫算編成權を侵害しない限度において、予算の増額修正の權限を有することを明文をもつて規定することといたした點であります。
 第六は、市町村の議會の議員の定數は、總選擧を行う場合以外においては、絶對にこれを減少することができないこととなつておりますけれども、これは一旦議員となつた者に對して、その任期開議員の地位を保障する趣旨に出るものでありますから、市町村の廢置分合または境界變更によりまして著しく人口が減少したため、本來の議員定數が減少するにかかわらず、なお從來の定數を維持して、これがため補缺選擧を行うのはいかにも不合理でありますので、このような場合に限り議員定數は減少することができるものと改めたのであります。
 その次は、財務に關する事項であります。第一に、地方公共團體に對して國の事務を、いわゆる團體委任いたします場合、これに要する經費の財源について必要な措置を講じ、もつてその財政の過重な負擔を避け、財政自主權の保障を厚からしめることとしました。また國の行政機關が地方公共團體の財産または營造物を使用するときに、當該團體の議會の同意がある場合のほかは、必ず國庫においてその使用料を負擔すべき旨を明らかにいたしたのであります。
 第二は、地方債の許可に關する事務であります。地方債を不要許可とし、自由借入の建前をとることは、地方公共團體の自主自律を重んずるゆえんであり、また地方公共團體の活動を活發ならしめるわけでありますが、現下の地方財政の實情及び金融界の状況等諸般の事情を考慮して、原則として許可は必要としないが、當分の間所轄行政廳の許可を受けなければならないことと改めたのであります。
 第三は、從來都道府縣手數料令という勅令に基きまして、都道府縣が一定の國の事務について手數料を徴收し、かつこれをその收入としていたのでありますが、この勅令は廢止になりますので、地方自治法中にこれを規定することといたしたのであります。
 最後にその他の改正事項について一括して御説明申し上げます。地方公共團體の廢置分合及び境界變更は、法律または行政處分によつて行われるのでありますが、この場合において關係地方公共團體の有する財産處分は、その性質から見て私法的な事件であり、當事者の意思を最も尊重すべき筋合いのものであります。しかして現在はこれらの場合の財産處分は、關係地方公共團體が協議してこれを定め、もしその協議が調わないときは、内務大臣または都道府縣知事がこれを定めることになつておりますが、實際問題として財産處分について協議が調わないにかかわらず、廢置分合または境界變更を關係團體の議會が議決するということはありえないと考えられますし、廢置分合及び境界變更の實際に徴しても、また地方公共團體の自主性及び財産權の處分ということからの實體から考えても、協議が調わない場合内務大臣または都道府縣知事が一方的に天降り的に處分を決定することは適當でありませんので、すべてこの種の規定を廢止することとし、廢置分合または境界變更は、必ず財産處分について協議が調つた上でこれを行うことを、明らかにいたしたのであります。
 また地方公共團體の自主性を尊重する趣旨より、支廳及び地方事務所の設置に關する條例竝びに分擔金、使用料及び手數料に關する條例は不要許可とし、地方公共團體の協議會の設置、廢止及び規約の變更等もまたこれを地方公共團體の意思にゆだね、ただ所轄行政廳に届出をさせることといたしたのであります。
 その他の改正は、内務省の廢止等に伴いまして、規定を整理したものであります。本國會に官吏に關する國家公務員法案が提案されておりますが、これに對應して地方公共團體の吏員その他の職員につきましても、その身分法を制定する必要があるわけであり、その制定はできるだけ速やかに行うことが望ましいわけであります。それで、今囘第七十二條に一項を加え、その法律は職員の職階制、試驗、任免、給與、能率、分限、懲戒、保障、服務その他身分、取扱いについて規定するものとして、その内容を明らかにするとともに、この法律は明年四月一日までに制定すべきことを本法の附則第一條中に明定することといたしました。
 最後に、この法律案の附則中に規定されておりますところの衆議院議員選擧法、参議院議員選擧法及び昭和二十二年法律第二號の一部の改正について一言附加して申し上げます。これはいずれも内務省の廢止及び地方自治法の一部改正に伴い必要な規定の整理をいたしたものにすぎません。ただ法律第二號は本年十二月十九日をもつて實質上、その效力を失うこととなりますので、明年十二月十九日までその效力を存續するようにいたし、明年一ぱい衆議院議員の選擧についても選擧の都度臨時名簿を調製することとして、補充選擧人名簿が臨時名簿のみとなつたことと對應して、選擧に支障なからしめようといたしたものであります。
 以上をもちまして本法律案の説明を終ります。
○千賀委員 木村内務大臣竝びに林地方局長、御兩氏の説明によりまして、大體は了承することができたのでございますが、この法案は選擧の關係がありましたり、これは非常に慎重を要するものでありまして、さらにまた一方の事情によりましては急速審議決議の必要もあるように伺つております。ただいまの御説明は、やがて公報になつてわれわれの手の中にはいつてくるのでありますが、急速にこれを慎重審議しようといたしますと、それを待つておつては事が足りませんので、どうか書面にしてわれわれの手もとに御配付を願いたいと思います。以上、動議と言つてはあまり大袈裟ですが、みなさまの御賛成があればぜひお取計らいを願いたいと思います。
    〔「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり〕
○林(敬)政府委員 ただいまの千賀さんのお話ごもつともでありまして、私の方も準備をいたしておりますから、今月でも御配付できると存じます。
○坂東委員長 最初申し上げました通り、この室は午後一時から他で使いますから、本日は政府の説明を聽くに止めまして、次の議會に十分御質疑を願います。
 本日はこれをもつて散會いたします。次會の日程は公報をもつてお知らせいたします。
   午後零時三十二分散會