第001回国会 文化委員会 第11号
昭和二十二年十月十日(金曜日)
    午後二時七分開議
 出席委員
   委員長 福田 繁芳君
   理事 佐藤觀次郎君 理事 最上 英子君
   理事 鈴木里一郎君
      榊原 千代君    馬場 秀夫君
      高橋 長治君    並木 芳雄君
      佐々木盛雄君    田口助太郎君
      竹尾  弌君    山名 義芳君
      川越  博君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        文部事務官   柴沼  直君
 委員外の出席者
        專門調査員   武藤 智雄君
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十月八日
 國会新聞に用紙割當の請願(並木芳雄君外一名
 紹介)(第七八一號)
 特別保護建造物安國寺の經藏修理の關する請願
 (岡村利右衞門君外一名紹介)(第八二四號)
 觀光國策樹立に關する請願(宇都宮則綱君外四
 名紹介)(第八三一號)
の審査を本委員會に付託された。
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本日の會議に付した事件
 藝術行政に關して當局より説明聽取の件
 國賓、重要美術品に關する國政調査承認要求の
 件
 委員派遣に關する承認要求の件
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○福田委員長 會議を開きます。
本日は藝術行政一般につきまして、文部當局より説明を聽き取ることになつております。まず森戸文部大臣から藝術行政一般に關する概略的のお話があれば結構と思います。森戸文部大臣。
○森戸國務大臣 藝術行政について話をせよということの、委員長からの御指名でありましたが、藝術行政は文化行政の一翼であるというところから、根本の建前を立てていくということが大きな考え方の中心となつております。御承知のように敗戰後の日本の目標といたしておりますものは文化國家の建設ということで、文化というものが新しい日本において中心的な地位を占めていかなければならぬという大きな目標を掲げておるのであります。ところがこの新しい敗戰後の日本のすぐ前にあつたものは、軍國主義の時代、戰争の時代でありまして、文化というものが非常な低い地位に置かれておつた。であるから、さしあたりこの低い文化をもとの地位に歸すということが、當面の問題であろうかと思います。しかし、ただ文化を歸すのではなくて、私どもは新しい日本を民主的、社會的、平和的な線に沿うて立てていかなければならぬと思うのであります。私どもの文化はそういう線に沿うものでなければならぬと思います。しかるに古い文化は、近代的な形を帶びつつも、なおこれとは反對な、封建的な要素も多分に含まれており、また戰前におきましては軍國主義的な色彩もきわめて強く、また社會的の面よりは、資本家的、あるいは非民主的な面の強い點もあつたのでありまして、こういうものが新しい文化の方向に副うてかえられていかなければならぬ、そういう文化が伸びていかなければならぬと、私どもは考えておるのであります。しかし文化の發展というものは、歴史傳統の上に立つものであるから、こういう新しい世界的の線に沿う日本の傳統の基盤の上につくられていかなければならぬと存じております。文化行政の中心の目標はそういう文化をこの敗戰の日本につくつていくという點に重點が置かれるべきだと考えておるのであります。ただ今日重要な問題は、御承知のように經濟的危機の状況に日本が置かれており、文化も經濟的條件によつて制約されておりますので、私どもの文化建設がその制約のためになかなか思うように進んでいかないという點にあるのであります。私どもは、こういう危機の中にも、新しい日本の國家理想の線に沿いながら、廣い意味の文化、教育、科學、そして狭い意味の文化の成長を特に重視していかなければならぬと思うのでございます。これは日本の廣い意味の文化行政の重要な眼目であるのみならず、國際的にも、すでにユネスコ運動がその線に沿うて行われておるのであります。かような形で私ども文部省の當面しておりますところの日本の教育と科學と文化というところに、新しい日本の建設の線に沿いながら、これらのものを振興發展せしめることに重きを置くべきだと存じます。その中で狭い意味の文化の面において委員長の言われた藝術というものが重要な地位を占めておるのであります。もちろん教育と科學もそれと關連はもつておりますし、また國字國語、スポーツ、レクリエーシヨン等の問題も、文化の問題として非常な重要性をもつておりますが、特に私ども狭い意味での文化と連想されるのは藝術でありまして、藝術が敗戰の日本、また窮乏の日本において、どういうふうなあり方をもつべきかということが問題である。そうして私どもは先ほど申した大きな新しい文化建設の線に沿いながらこれを伸ばしていかなければならぬと考えております。從來文部行政においては教育、殊に學校教育が非常な重點をおかれておりました。これはきわめて理由のあることであります。また新しい教育刷新という當面する重要な緊急な課題のために、この點に多くの注意が拂われておることは、無理もないことでありますが、学校教育とともに新しい日本建設においては、社會教育、またそれといろいろな關連をもつ藝術行政が非常に重要な地位を占めるということはわれわれは十分にこれを認めておるのであります。從つて今後の文部行政におきましては、藝術を含む文化の面に、從來よりも、もつと力が入れられていかなければならぬと存じておるのであります。そういう建前からみると今までの文教行政については反省されるべきものがずいぶん存在しておると存じまするので、この點はこの問題に特別の關心をもつておられます當委員會等で十分御檢討いただき、また御示唆をいただくことが必要であろうと存じておるのであります。
 大きな藝術行政の線から言いますと、戰時中の藝術行政は、統制指導という面に重點をおきまして、當時の日本の國が置かれておつた國家目標に副いながら、すべての藝術をその方向に向つて、場合によつては無理にでもひつぱつていくという傾向をもつておつたのでありますが、新しい日本におきましては、そういう傾向ではなくて、殊に平和のうちに、自由のうちに伸びる藝術が、國民の間に自發的に盛り上るものでなければならぬという意味から、統制ということよりは、芸術的な創造意欲が國民の間に特に藝術に關係をしておられる制作者の間に興つてくる。つまり藝術的創造の意欲を正しく育成助長するということに中心をおいていく。藝術の創造と竝んで、藝術にとつても、また國民にとつても、非常に重要な意義をもつておる藝術鑑賞といいますか、藝術的な理解能力が一般國民の生活の中に浸透していく。いわゆる藝術を樂しむことが少数の人々の間に限定されるというのでなく、國民の各層がこの藝術を樂しむことができる。しかもすぐれた藝術を樂しむことのできるような状況をつくるということ、こういう方向に向つていくのであります。
 その具體的の方策としては、優秀な傳統的な藝術の保存と顯彰という點でありまして、これは國賓、重要美術品に對する取扱いその他でよい藝術品が保存せられて、それが適當な形で殊にこれは衆議院の本會議でも、委員長の御質問に對してお答えいたしたように、その置かれた自然の環境のもとに、國民が、また觀光者が十分その全體的なうるわしさを鑑賞できるような形でこれを保存していきたい。同時にまた、これらのよい傳統的な藝術が國民の間に高く評價せられるように、私どもは努力しなければならぬと存じておるのであります。と同時に、これは古い傳統的な藝術に對する國民的な關心でありますが、他面においては、現在の藝術もいろいろな形で推勵振興していくことが必要である。ということも、申すまでもないことでありまして、戰時におきまして、先ほど申しましたように、藝術的なものが非常な壓迫と虐待とをこうむつたので、この新しい時代、殊に文化國家をめざす新しい日本におきましては、藝術が新しい形で伸びていくようなふうに、國家は統制指導という形ではなく、できるだけそういう惡い條件を除いて、國民の間にそういうものが伸びていくような條件をつくつていくようにしなければならない、こういうことが第二であります。
 第三は國民の間に藝術文化に對する關心を高めることでありまして、その意味で美術展覽會とか、音樂、映畫、演劇等のコンクール、あるいは藝術祭、娯樂祭などを催すことによりまして、國民の間に藝術に對する興味とまた藝術に對する高い關心をもつようにしていかなければならぬと思つております。實はよい藝術をもつことができたために、國民の間には、藝術に對するいろいろ欲望があるにかかわらず、これがきわめて卑俗な、非常に野卑な藝術が國民の間に相當な力をもつておつて、國民の藝術欲望が非常な低下をしておる現状に顧みまして、國民の求めておりまする藝術の滿足ということが、高いレベルにおいて滿足されるような事態をつくつていかなければならぬ。藝術が民主化され、そして國民大衆がこれを享受することのできるような條件をつくつていかなければならぬと思つております。
 大體こういう方面に藝術行政は向いていかなければならぬと思つております。あるいは藝術祭とか美術展觀會とか、藝術院とかいろいろなことの問題もありまするが、これは御質問がありますれば、私または事務當局からお答えすることにいたします。
○佐藤(觀)委員 文部大臣に三つの御質問したいと思うのですが、第一は藝術行政の一番大事な問題で、現在實際實在しているものに藝術院というものがあるのであります。この藝術院というものは御承知のように大體戰時中に美術院が變形いたしたものでありまして、現在藝術院は美術部と文學部とそれから藝能部と三つにわかれております。これが實際は養老院のような状況になりまして、何らの活躍をしていないというのが現状であります。これは待遇なども、現在年に百圓というような、まことにお話にならぬ待遇でありまして、こういう問題について藝術的な面を文化國家として發展させるためには、むしろ美術は美術院のようにして、さらに文學は文學、藝能は藝能と三つにして、そうして活發なる各部門の活躍をするようにされることが必要ではないか、こう思つておりますが、文部大臣は一體こういうことについてどういうお考えをもつておられますか質問したいと思います。
 それから第二は、今度の戰争によつて、日本の國民が非常に悲慘な状態になりまして、今、平和ということに對して非常に渇望しておるのであります。それだから、現に文化勲章というものがございますが、新たに平和文化勲章というものをつくつて、これは何も世界に限らず、私はノーベル章のような世界的なものでなくても、東洋の民族だけでもよろしゆうございますから、ひとつ平和文化章のようなものを日本から出して、平和のために盡す文化的な仕事とか、あるいはそういう科學的な仕事に對して日本から平和文化章を出すように、ひとつ提案したらいいと思いますが、これに對して文部大臣はどう考えられますか。これが第二の問題であります。
 第三の質問は、これはいつも問題になることであつて、現に都會においては非常にいろいろな文化がまだまだないというても、幾分か文化のにおいがありますが、農村の文化というものは、今までほとんど顧みられなかつた關係で、現在農村の青年は文化國家というようなことを言つても、何も實際は仕事はしていないのであります。どうかして農村の青年を新しく指導する意味において、農村文化ということについて何かいい案がございましたならば、これは今後の文部省の行政としても、われわれは待望しておるのでありますが、これに對して文部大臣はどういう考えをもつておられるか。以上三つを質問したいと思います。
○森戸國務大臣 藝術院に對する御質問でございますが、藝術院は文部大臣に對する藝術の振興向上に關する諮問機關として存在しております。これは佐藤委員の言われたように大分年寄りの人もおられて、割合に在來活動が不活發であつたことは、お説の通であります。これは一つは、長い間戰争の時代を經てきた關係がありまして、藝術院等が新しく十分な活動ができなかつた點も考えられますけれども、新しい日本の文化を建設していくという場合にあたりましては、藝術院もこの側面で大いに働いてもらわなければならぬと、私どもは思つておるのであります。もちろん藝術院には、わが國の藝術の部面で第一人者が選ばれておりますので、年をとつておられるから惡いというわけでは、決してないのでありますけれども、同時に若い適切な人も加わつてもらわなければならぬと思つております。それからこのわかれておるためにいわゆる美術の方面が非常に重きをなして、文學藝能の比重が割合に弱いということもその通りでありまして、これはこの院の成立ちからもそういうような形になつたのでありますが、將來はもう少し均衡のとれたものにしていかなければならぬと思います。ただこれは別々のものにしたらいいではないかという御意見については、むしろこれはやはり統一的な機關であつて、日本の藝術というものを全體的な立場から見るというような機關でありたいと思うのであります。しかし、たとえば美術と文學と藝能とは、いろいろな點で違いますので、その中で小委員會ができまして、あるいは部等ができまして、それぞれ專門の問題を取扱うということで、この問題は解決されるのではないか、むしろ各部門が別々にわかれるのではなくて、日本の藝術というものを、常に全體的の視野においてこれを向上發展させていくということが大事なのであつて、そういう意義をもつべきではないかと存じておるのであります。
 それから第二の平和文化章というものを設けたらどうかということは、至極ごもつともであると思います。殊に戰争の慘禍を受けた日本におきましては、平和主義というものに、もつと大きく關心を拂わなければならぬのではないか。新しい憲法は、民主主義と平和主義と二つを根本の原則といたしておりまして、民主主義の點では、相當に徹底したのでありますが、平和主義の點では、ある點まだ國民の覺悟も、また思想の滲透等も不十分なのではないかというような感も存在いたしておるのであります。憲法普及會は、新日本建設國民運動、あるいは民主教育政治連盟等とも關連をもちながら、十一月早々には平和週間をつくつて、平和主義を國民に徹底させることに努力しようという方向に向かつておりますが、その線に沿いながら平和文化章というものも、殊に日本が平和を特に重視するという面で行われることは、まことに適切なことであると存ずるのであります。ただこれはむしろ日本國家が先に立つべきではなくて、日本の民間の力がそういうことを指導するというか、中心になる方が、いろいろな點でよいのではないかという感じもするのであります。たとえばノーベル賞金のごときはさようでありまして、そういう日本國民が、むしろそういう方向にいくということを、民間の力で強く表示するということが、私は適切ではないかというふうな感じもするのであります。これはいずれにしろ、そういう企圖があるということは、今日の日本にとつてきわめて適切であることは、佐藤委員のおつしやられた通りであります。
 第三の農村文化の問題でありますがまことに農村においては、御説の通りに十分な文化の滲透がありません。殊にこれは戰前からでありますけれども、日本の文化が都會に集中しまして農村には滲透がきわめてゆるかつたことは、争われない事實であります。私どもはこの缺陷は補われなければならぬと存じております。もちろん最近におきましては、戰後に農村青年の間に文化に對する欲求が相當強く興つていることも認められるのでありおますけれども、これに對する文化を提供するという面で、すこぶる不十分でありましたために、いろいろな一般的教養が少いという點もありまして、この文化意欲がきわめて低俗な形で、まことに卑俗な村芝居をやる、そういうような傾向に現れておるというような事態もありますので、これはきわめて遺憾なことでありまして、殊に農村青年の間に、正しい文化、正しい藝術というものが滲透するということが、日本再建のために特に重要であることは、佐藤委員の言われた通りであります。これにつきましては、私どもは、できるだけ青年團體というようなものがこの問題の重要性を認識し、そういう線に沿う運動を興してそうして公民館等を中心にして、これが文化運動の尖端になりながら行くということが一番望ましいのであつて、從來の戰争中のように、文部省が先に立つて、眞先に徹底的な文化指導をやるということより、民主的な日本においては、そういう形が取られることが望ましいのではないかと、一般的にはかように考えております。しかし、ただそういうように放任しておくこともできない部面もありますので、最近文部省では移動圖書館というか、ブツク・モービルというような施設をつくつていこうというような考えも、もつているのでありまして、これは自動車を進駐軍からわけていただいて、一定の圖書とか、あるいは場合によれば映畫とか講演者とかを乗せて、農村の方面に新しい日本の文化的な面を滲透させていこう、こういうこともただいま計畫をいたしているのであります。そのはか、あるいは圖書館をやつていく、また適當な映畫を慘透させていく。またよい意味の藝術、講演等が村落に行われるように、こういうものが育つように、各地方でコンクール等をやつて、非常な野鄙な文化的な意欲が、もつと純情なものに進んでいくように努力いたしている次第であります。
○佐藤(觀)委員 いろいろ文部大臣の御意見を承りましたが、希望として文部省は、ややもすると、ただ學校行政だけが文部省の仕事のようになつておりましたので、今後は藝術行政が日本の文化國家の建設のために一番重要なことと思いますので、ぜひこういう方面に、さらに一段の努力をお願いいたしたいと思います。希望として一言申し上げておきます。
○鈴木(里)委員 私は文部大臣に美術專門教育の機關について、第一にお伺いしたいと思います。わが國における美術專門教育の機關といたしましては、東京美術學校、それから京都の美術工藝學校、絵畫專門學校等がおもなるものでありまして、そのほかにあるいは東京の芝浦の高等工藝學校等もありますが、これは專門的なものではないと私は考えております。そうして私立といたしましては、東京に帝國美術學校、あるいは日本美術學校のごときものがあり、また太平洋洋畫研究所というようなものもありますが、この私立はいずれも、經濟面におきまして非常に經營が困難になつておりますために、ほどんど講師あるいは教授といつたような指導者は名ばかり連ねておりまして、實際においてはその質が上つておらないというのが現状であります。また各派で、あるいは畫塾のようなもの、また日本畫にいたりましては、舊來通り師匠と弟子といつたような制度でやつておりますが、ここに最も注意しなければならないことは、この設備が完全な東京美術學校、あるいは京都の美術工藝學校、あるいは絵畫專門學校のごときは、いずれも入學資格において中學卒業程度ということになつているのであります。しかしながら美術の本質性と申しましようか、中學の課程は終わらなくとも、先天的にその素質を十分にもつている青年がたくさんあるのであります。こういつたような青年は、その設備の十分な指導機關に入學が許されない。でありますから、あるいは自分が働くかたわら、設備の不完全な今申し上げましたような私立學校、あるいは研究所等に學ばざるを得ない状況にありますので、せつかく天分に惠まれながら遂に天分を發揮することを得ず、中途にして放棄するのをやむを得ないような現況になつておるのだろうと、私は考えておるのであります。從いまして、ここに文部省におかれまして、天才教育的な、實技を本位とする簡易な美術専門學校を設ける必要があるのではないかと考えておりますが、これに對する文部大臣のお考えはいかがでありましようか。
 その次に、細部にわたつて質問いたしますが、日本美術展覽會の審査員選任の件であります。近ごろ新聞紙上で見ますると、公選すなわち投票制度になつておるようであります。從つて弊害が非常に伴つておるように考えます。實際問題といたしまして、ひとたび審査員という名前がつきますれば、その人の作品は、一躍高く、また多く賣れるというような關係上、審査員の人物によりましては、あるいは投票を買収するとか、あるいは策を用いるとかいうようなきらいが起るのは當然であります。でありますから、私の考えでは、審査員の推薦委員會を設けまして、すなわちそれは藝術院會員竝びに前年の審査員、それから無鑑査級、あるいは十囘以上入選、あるいは五囘以上入選、一囘以上といつたような單位でそれぞれ適當な推薦委員を選びまして、これが推薦母體となつて審査員を決定してはどうだろうか。比較的公平にいくのではなかろうか、また前に申し上げましたような弊害を除くことができるのではないか、こういうように考えておりますが、これに對していかなる考えをもつておられるか。
 次には展覽會の入場税の件であります。せんだつて美術館にまいりますと、十圓入場料をとつておりますけれども、そのうちに十割の税金、すなわち入場料に對する五圓の税金がはいつておるという話を聞いたのであります。映畫演劇等においても、この税金率は同じでありますけれども、私は美術に對しましては、特にこの入場税を徹廢せられんことを望むものでありまして、實際問題といたしましては、今、諸所に開かれている展覽會はその經營が非常に困難なために、各會員はおのおの分不相應な負擔をしておるやに聞いております。從つてまた出品料のごときも、多分にとらなければならないというような現状であります。つきましては、少なくともこの税金だけは免除せられるように願いたいのですが、これに對する文部大臣の御見解はいかがでありましようか。
 その次に、美術館の問題でありますが、私は本委員會で、現代美術館の建設を二囘にわたつて質問いたしました關係上、今日はその必要性はおきまして、實際問題として、ただいま都の美術館が展覽會場として上野にございますけれども、これを現代美術館に充てて、新しい展覽会場を、もつとみんなの行きやすい、見やすい、わずかな時間でもつて見ることのできる中心地にもつてきたらどうか。たとえば日比谷公園のごとき、最もよくはないかと思います。現代美術館を建設するためには、非常に經費が伴いますが、私の今申し上げましたような構想にいたしますれば、ほとんど費用がかからずして、現代美術館をもつことができるのではなかろうかというように考えておりますが、これに對して文部大臣はどのようにお考えになりますか。以上の御答辯を願いたいと思います。
○森戸國務大臣 鈴木君の御質問の第一點は、官公立の美術学校は比較的に數が少い、入學の條件がやかましい。これを補うに足る私立の美術學校、あるいは畫塾、研究所等は、いろんな點で困つておつて、十分な教育ができない。ところが、實際藝術家になるのは天才的な者で、そういう人は官立の學校に行こうと思つても、入學試驗がやかましくて行けないし、私立の塾は不十分であるから、何かそれに對する適當な施設をつくつてはどうかという御趣意であるかと拝承いたしました。まことにごもつともなことでありまして、必ずしも全面的な能力をもつていない人で、りつぱな藝術家も存在しておるので、そういう人々に對する教育施設があることは、實は望ましいのであります。これは實際には、そういう人々は學校の教育という全面的な教育はなかなかむつかしいのでありますから、學校に入學するというような形ではない方がいい、もし學校で學ぶならば、隨意科というか、選科生というか、特殊の形が考えられる。實際的には、むしろ畫塾等の形で勉強されるのが、一番適當ではないかと思つておりますが、お話のように畫塾等が今日の經濟状態でなかなか不十分である。しからば、何がそういう人々のために、特別な美術教育をつくつたらいいではないかというお話でありまして、これは至極ごもつともでありますけれども、今の經濟状態では、残念ながらそこに及ぶことが、なかなか困難なのではないかと思つておるのであります。できれば、畫塾というものが、もう少し伸びていくか、あるいは學校に選科的なものをつくつて、やかましい入學試驗なしに勉強できるようなことが望ましい。そういう點は、十分お考えを斟酌しながら善處いたしていきたい。
 それから第二の美術點覽會の審査員の問題については、事務當局からお答えいたしたいと思います。入場税の點につきましては、至極ごもつともであります。私どもも贊成であります。ただ日本の經濟状態から、なかなか財務當局がそれに對して同意をしてくれないという困難な問題が存在しておるのでありまして、これは實はもう少し廣く、一般の藝能的な方面においても、實は今日の日本の国民の文化を求める状況から考えて、高い課税はふさわしくないのでありますけれども、この點も、私どもはできるだけ緩和する、少くとも加重されることは避けてもらいたいと思つておるのでありますが、今日の財政状態等いろいろ困難な問題が當面しておることは、御承知の通りであろうと思うのであります。私どもといたしましては、少くとも美術館とか博物館とか、殊に美術展覽會等には、免税されることが望ましいと思つておるのでありまして、そういうふうに努力いたす考えであります。
 なお現代美術館の問題につきましては、私そのときの委員會には出ておりませんでしたけれども、實はこれは事務當局からもお答えいたしましたように、望ましいことであつてつくるべきである。そして畫面については、ある程度用意されておるのでありまして、ただ施設の問題が殘つておる。御示唆になつたような一つの行き方もあると思うのでありますが、この點はされに仰せられた方向を考えに入れながら、十分考慮いたしたいと存じております。
○柴沼政府委員 日本美術展覽會の審査員の問題についてお話がございましたので、本年度の事情を率直に申し上げまして將來の方向を考えてみたいと思うのでございます。本年度の審査員を選ぶのに、選擧いたしましたのは、實は昨年度展覽會を開會いたすにつきまして、美術界の世論を聽く意味におきまして各團體の代表者等の方々にお集まり願つて、いろいろ意見を伺つた結果、審査員を選擧する方法がよかろうという結論に相成りまして、昨年も選擧いたしたのであります。その昨年の審査員の選擧の方法を、さらに本年若干改善いたしまして、本年度の審査員を選出いたしたのであります。展覽會の各部のうち一部、三部、四部、につきましては、この選擧の結果について別段の異論も批評も出なかつたのでありますが、第二部の洋畫についてだけ、問題が發生したのであります。その發生しました理由は、本年の選擧の方法に、從來五囘以上展覽會に入選した經歴をもつた人々をも選擧資格をもつということにいたしましたために、俗にいわゆる舊官展系と稱せられる人々の數が目立つて多くなりまして、その結果いわゆる在野系統と俗に稱せられております諸團體の方からは、わずかに二科會から一名の審査員が當選しただけで、昨年當選しましたほかの團體からは、一名も入選しないというような事態に立至つたのであります。これは率直に申し上げますと、洋畫畫壇にいろいろな系統があり、それぞれ對立しております以上は、選擧をいたします際に、お話もありました通り、いろいろな方法によつて自分の有利とする審査員を選出するような方法を講ずることになりまして、この選擧方法を續けておりますれば、いわゆる舊官展系が數が多くなるにしても、いずれにしても、問題は解消しないものであります。從つて私といたしましては、もう少しこの問題を掘り下げて研究してみたいと思うのであります。ただいまそのための推薦委員會の御示唆があつたのでありますが、そのときお算になりました前年の審査員それから無鑑査の者、それから五囘以上入選の者を合わせますと、約二千名程度の數になります。これが實は本年の選擧資格者だつたのであります。それで結局選擧という方法を、あるいはもう一遍考え直さなければいけないのじやないか。また選擧のことだけを考えずに、もう少し日本美術展覽會の運營の方法を考え直さなければいけないのじやないかというようなことを、事務的の範圍ではございまするが目下研究をいたしております。それでわれわれとしては、この日本美術展覽會の性格が、一面には新進作家の登龍門として、優秀な美術家を世に送り出すという一つの作用をすると同時に、また美術の最高の作品を展覧して一般の鑑賞に供するという、二つの目的を併せて一つの展覽會において實施しようというところに、そういう困難があつたのではないかと考えまして、大臣の御決裁を經ておりませんが、そういうことのために、もし許されるならば、この二つの目的をそれぞれ切り離して二つの展覽會にして實施をする。また實施に當る者も、從來のように文部省の事務當局が直接當るというようなことでなしに、むしろ先ほど大臣のお話もございましたように、藝術院が相當に活動をする希望もあるのでありまするから、この藝術院を中心に一切の展覽會の經營、運營に當つてもらう。たとえば審査員の選擧等についても、藝術院に責任をもつて選んでもらうというような方法の方が、かえつて公平であり、また内容の充實したものができるのではないか、かように考えて、目下せつかく研究をいたしておる次第でございます。
○鈴木(里)委員 ただいま文部大臣竝びに政府委員の方から、私に對する御答辯がありましたが、初め文部大臣のお聲が小さいために、ちよつと聽き取れない箇所がありまして、あるいは私が聽き違いかもしれませんが、第一の私の質問に對しまして、私と見解を異にしておるように承りました。と言うのは、天才ならば放つておいても伸びるんじやないかというような御意見のように承りましたが、それはその通りではございますけれども、實際問題といたしまして、今日の研究所、あるいは畫塾、そういつたようなものは、御見學になればわかりましようけれども、ほどんどほつたらかしで有名無實でありますから、私はかような惠まれた天分のある、いわゆる天才はだの青年を収容して、實技的に專門天才教育を施す機關を設けたらどうかというようなことで、これは同じ天分をもつておる者でも、ほつたらかしておくよりも、そういつた指導機關のあつた方がいいことはわかりきつているんじやなかろうかと思います。この點について豫算がないから、現段階においては、とうていそういうような望みはないというようお話でありましたが、御贊成でありましたならば、ぜひひとつ文部大臣の政治的手腕にまちまして、實現されんことを切望いたします。
 次に觀覽税、入場税の問題でありますが、これまた至極結構ではあるけれども、財政當局において難色があるではないかというような御答辯でございましたが、これは一國の財政といたしましては、極めて微々たるものでありまして、ほとんど太平洋の水の一滴のごときものではなかろうかと思いますから、これまた文部大臣の熱意をもつて、ぜひ美術界のために徹廢せられうよう、御努力を切望してやまないのであります。
○森戸國務大臣 第一の點では、實は天才は放つておいてもいいというわけではなくて、これにも藝術家としてのある點の訓練育成というものは必要であろうということを申したのであります。ただ、今のところでは、こういう人々の教育の方法は、大體學校という、いろいろな課目をやる所よりも、畫壇というような形の方がいいのではないか。ただ、ただいま畫壇が今お話のような状態であつて、そういうものをつくればいいのであるが、これは今のところなかなか困難ではないか。そのことが適當でないのではなくて、ほかにやらなければならぬ、もつと基本的な教育に關する仕事が非常にたくさんあるので、そこまで今のところ手が及ばないのではないかということが必配される。できれば、美術學校というようなものの專科か、特科というようなことで、特殊の教育を受けられるようなことが、一番やり得る問題であつて、そういうことについて考慮をいたしたい、こういうような御返事をいたしたわけであります。
 第二の財政の問題は御説の通りでありまして、できるだけ努力をいたしたいと思います。ただ財政當局としては、そういう零細なものをたくさん集めて、何でも赤字財政を防ごうというので、なかなか零細なものでも簡單に承知をしないという事態のあることも、これは十分考えていただきたいと思うわけですが、これは大した金額にはならぬと思つております。
○榊原(千)委員 わが國の藝術行政ということでございますから、文化委員會の委員としては、非常な關心をもつて出席したわけでございます。ただいま大臣から御説明になりました、あるいは大臣がいろいろ御希望なさいました理想は、一々御もつともで、私も至極贊成でございますけれども、ぜひお伺いしたいと思うところを伺えませんでしたので、そのことをお伺いしたいと思います。大臣は創造意欲を育成助成することが必要であるということをおつしやられ、また藝術鑑賞、すなわち一般の人の藝術に對する理解をいよいよ深めて行かなければならない。その理解を浸透させていかなければならないというようなことをおつしやいましたけれども、さてそれはどうしてされるかということをお伺いいたします。そしてこれも同じようなことでございますけれども、優秀な藝術を保存して、國民の間に高く評價されるようにならなければならない。これもまことに同感でございますし、そしてさらに現在の藝術を、いろいろな形で國民の間に伸ばしていくようにしなければならないということ、また一般の野卑な藝術的な態度や、藝術觀賞の態度をだんだんに打拂つて、そしてそれが高められていくようにしなければならないとおつしやつたことも、これは私は至極贊成でございます。そういうことはどうしたら行われるかということをお伺いしたいのでございます。大臣は展覽會とか、あるいは藝術祭とか、あるいは演劇とか、そういうものによつて、こういうことを實現なさるというふうにお考えになつていらつしやると思いますが、そのようなことだけが第一に大臣がお考えになつていらつしやることでございましようかどうかお伺いしたいと思います。私は實は藝術行政ということは根本的に改革されなければならないということを信じておるものでありますから、この點をお伺いしたいと思います。
○森戸國務大臣 藝術行政について榊原委員のおつしやつたことは、至極御もつともでありますが、藝術行政が根本的に改革されなければならぬという御趣意はまことにその通りと思いまして、實は政府といたしましても、當委員會のような有力な委員の方から、その方向を十分に表明していただき、國の政治にそれを盛りたいと存じております。私どもの根本の立場は、從來のように、文部省がこういうことをやらなければならぬというので、藝術家あるいは藝術を興行しておる者、その他に命令するのではなくて、藝術的な意欲が國民の中から育つていくというところに向けていくということが、根本の態度であります。これは從來の態度と私は根本的に變つた點であろうと思うけれども、それでは放つておくということでいいかというと、それだけではならぬので、私どもは、できるだけそういうような藝術的な關心と、藝術的な意欲が國民の中に育つていくような條件をつくつていかなければならぬ。それがためには一方では學校教育におきまして、藝術に對する教養、また關心というものを、子供のうちから十分に養つていくように、社會教育上においても、そのことを十分に重點をおいていきたい。この點が私は非常に重要視されるべきものではないかと思つております。同時、他面に一般的の側面におきましては、惡い藝術を禁止していくということ、禁止とか干渉は、今日のことでは行われませんので、どういう形でか、よい藝術を推奨していつて、これがほんとうのよい藝術であるということを明らかにする。これはまた政府が獨りでやつてはいかぬので、適當な委員會等でそういうものを調べてもらうということ、これは古い藝術について、いわゆる国賓その他重要美術品について行われているところでありまして、さらにこれを徹底させて、それらのものができるだけ國民に近づけるように博物館その他の制度、あるいは幻燈等によつて、みんなにそれが近づくようにまた新しい藝術につきましては、惡いものを選ぶことはできぬけれども、よいものを推奨するという形で、そうしてそれはまた適當な專門委員會が選ぶと同時に、コンクールというような形で、民衆の間でだんだんとそれを選ぶ能力もできていくような形で、それが國民の間に浸透していくような方法で、創造の力と、そうして鑑賞の力ができるだけ民衆の間に育つといつて、そこに新しい藝術的なものが伸びていくような形になりたいと存じておるのであります。はなはだ漠然としたことでありますけれども、個々の具體的なことは、さらに事務當局からもお話申していいのでありますが、根本の立場は、そういう所にあると御了解願いたいと思うのであります。
○榊原(千)委員 大臣がおいででございますから、ぜひ根本的な藝術行政についてお伺いしなければならないと思うのですが、ただ國民の間にそのようにあるいは教科書に入れ、そうして教養を高めていき、藝術的なものを育てていくように努力なさるとおつしやるのでございますけれども、私はそれだけでは決して日本の藝術は高くならないと思うのでございます。日本のこれまでの藝術というものは全然生活と離れていたと思うのです。いわゆる展覽會の藝術であり美術學校の藝術であり、またお芝居の藝術であつたのに過ぎないので、少しも日本人の生活に結びついていなかつたということを、考えていただきたいのでございます。これについてどうお考えになりますか。
○森戸國務大臣 まことにごもつともなことでありますが、その點では私は榊原委員のおつしやられたことは一面眞理がありますとともに、他面ではそれと違つた面があると思います。日本の藝術というものは、日本の傳統から言うと、生活と結びつきながら出てきた、そうして今日もまた相當にその面が多いのであるが、最近生活から藝術が離れてきていると言われるのでありますが、私この間博物館で見たのでありますが、刀劔を見ましても、よろいを見ましても、戰争ということすらも日本の文化は藝術と結びついていると言えるかもしれぬ。たとえば、著物をとつてみても、また食事のいろいろな道具を見ても、床の間を見ても、私はこれほど生活に結びついている藝術をもつている國は、あまり多くないのではないかと思うのであります。そういうところを私は生活に結びつけながら活かしていかなければならぬと思つておりますので、最近の藝術傾向が、やや生活と離れたことになつておりますが、しかし、これはやや骨董的なものになりますが、こういう傳統的ないわゆる民藝といいますか、生きた民藝が國民の中によみがえつていくということであつて、これは私は日本の傳統が新しい時代に生きていくということで解決されるのではないかと存じておる次第であります。これはまた政府の施設というよりは、國民がそういう氣でうるわしいものを自分の周邊にもつという、生活と結んだ藝術を求めるというこころが國民に興ることが、最大の要件ではないかと存じております。
○榊原(千)委員 ただいまの文部大臣のお話、至極御もつともだと思いますけれども、日本の著物にしろ、あるいは住宅にしろ、日本人の生活と結びついて、あのような美しい床の間ができたり、あるいは美しい著物ができたということについては、私も異議はございません。しかし、今後の日本文化はどうあるべきかと申しますと、いわゆる古来の淳風美俗といつたような、わが国獨特の立場に立つべきではなくして文部大臣も先ほどもおつしやつたように、國際的、世界的に進められていかなければならないものであります。たとえば著物にいたしましても、ああいうようなものであつては、國際的にこれを利用する面が、だんだんに少くなつてくると思うのです。國際的に有無相通ずるというような面が少なくなつてまいりますし、住宅にいたしましても、今までのようなものとは變らなくてはならぬと思うのです。もちろん、ヨーロツパにおきましても、サツチド・ルーフというような言葉も英語にもございますし。フランス語にも藁屋根の家といつたようなものがございまして、昔は木造家屋であつたが、それがだんだんに變つてきておるのでありますから、住宅にしろ、衣食にしろ、もつと世界的に、國際的に、世界に通用するようになるということに眼をおいて、文化というもの、藝術というものを進めていかなくてはならないと思うのであります。そこで私は問題といたしまして、藝術院のようなところへもつと新しいセンスをもつた人をたくさんお入れくださいまして、日本の住宅は今後どうなつていくべきか。それからいたずらに文部大臣は、文化が都市に集中したとおつしやいますけれども、都市においてすらも、いかに貧弱であつたかということを思うのであります。西洋に參りますと、つじつじにりつぱな彫刻が飾られていたり、學校一つ見ましても、學校の中には、いろいろ生活と結びついた、よい藝術が學校を飾つていたというようなことがあるのですけれども、日本の學校を見ますと、いかにも殺風景であります。そこに絵一つかかつていないといつてもいいくらいのものでありまして、絵畫にしろ、彫刻にしろ、そういうものが私たちの日常生活と結びつきまして、そして私たちがそれを樂しみながら、いいものをほんとうに理解し、ほんとうに觀賞しながらいくというふうにならなければならないと思うのであります。その點藝術院などの改革についても、よくお心を用いていただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
○森戸國務大臣 第一のことで、これは誤解があつたと思うのですが、私が日本の民族は、藝術、うるわしさを身邊にもつた、この傳統がなければならぬと言つたことは、日本の古い著物をもつたり、日本の古い住宅をそのままもつということではなくして、服飾において、あるいは住宅において、その生活に即したうるわしさをもたなければならぬ、そういう傳統をもつているのが新しい時代に活かされなければならぬという意味であります。これは誤解のないようお願いいたします。
 それから藝術院については、まことに御説の通りでありまして、新しい日本のセンスをもつた人がだんだん送つていかれて、日本の古いよい藝術的な傳統と結びついて、新しいほんとうの藝術が生れてくるようにと、私どもも念じておりまするし、さような努力もいたしたいと存じております。
○山名委員 文部大臣にお尋ねいたします。さいぜん文部大臣のお話の中に、新憲法は民主主義と平和主義との二つの線でつくられておる、中にも民主主義は徹底しつつあるかのごとく、平和思想はまだ言動においても浸透いたしかねておる、こういうお話でありましたが、その點につきまして、私は、なるほど民主主義の組織や機構はりつぱにできておりますけれども、われわれ日本國民の思想としては、まだまだはるかなものである。平和思想と同様に、ほとんど浸透いたしておらない。これは那邊にその原因があるかと申しますると、私は、日本國民が宗教を尊重せないからで、民主主義の徹底にいたしましても、平和理念にいたしましても、宗教思想を抜きにし、宗教信念を抜きにしては、これは不徹底であり、とうていその實現は困難だと思います。この國會に見ましても、もつとも經濟危機に直面しておりますから、物の面にのみ、議會がほとんど全神經をあげて集中しておるような形で、わずかにこの文化委員會においてのみ、思想的に民主主義が語られ、平和が説かれつつあるのでありますけれども、それにしても、私は宗教面における雰圍氣というか、熱意というものが一向に見られぬのを遺憾に思うております。民主主義の徹底にいたしましても、平和理念が、いかに武装解除を根幹としておりましても、日本人の不心得者は、あるいに米ソ戰争を夢見て、それに便乗してわれわれの國力を囘復しよう、そういう不心得の者も相當あるやに聞いております。そうした、日本人のほとんど血にまでなつていると思われるほどの非民主主義的な軍國思想、あるいは軍國主義にかられた今日の考え方を根本的に覆えすのは、私は宗教を基盤にしなければ實現はできない。その點におきまして、クリスチヤンであられる文部大臣の宗教行政といつた一面が平和思想なり、民主主義をどうお考えになつているか。この一點と、次は農村文化でありますが、もちろん農村文化は農村の青年が中心になつて復興されねばなりません。しかし御説のごとく農村の青年はほとんど野卑な藝能あるいはから騒なスポーツ、こうしたもので、ほとんど文化というに値するような思想言動がまだ出ておりません。これに對して、文部當局は公民館を利用するなり、あるいは移動圖書館をというお説を拝聽したのでありますが、そういうお説よりも、私は一番大事なのは、人であると思うのであります。農村文化を指導する人を得なければ、いかに公民館ができましても、また移動圖書館ができましても、これは一時の線香花火に終わつてしまう。そういう人に對して、文部當局は、市町村單位でも、そういう農村文化を指導する人を養成する講習會会的なものでもお聞きになるお考えはないものでしようか。もちろんそれには相當な豫算が伴うと思うのでありますが、今、榊原委員からの藝術問題、美術問題からのお説を聽いてみましても、ただ單に下から盛り上るような達觀的なお考えでなしに、どうしても、やはり文部省がほかに降りて農村の者と一體に進むというそういう引出し役というか、これは具體的にしてもらわなければならぬと思うのでありますが。それには文部當局は逃げ腰でなしに、具體的な熱意を示す豫算を相當にお取りになつておると思うのでありますが、そういうふうな具體的な指導面、人をどうするかというようなお考えを承れば結構だと思います。以上二點をお伺いいたします。
○森戸國務大臣 宗教行政についての御質問が一點でありますが、これについては、平和主義の滲透のみならず、民主主義の思想的浸透も不十分である、その原因は宗教的な基礎がまだ國民に強くないからであるというような觀點から、宗教行政をもつと重視しなければならぬという御趣旨と存じます。この點、御同感の點もあるのでありますけれども、一面平和主義と民主主義との思想が、宗教的な基礎が國民にないからということだけに重點をおくということについては、多少疑義をもつておるのであります。もちろん、今日の日本の状態が、ただ知識の問題でなく、根本的に人間的なものがなければならぬ、そういうものに政治のすべてが基礎をおかないと、ものがほんとうに、こころの底からというか、國民の深い根底から動いていかないということは、まことに御同感であります。ただそれが既成の宗教が力を得たならばそれですぐそうなるというふうには、ただちに考えられないということは、戰争時代にも、これらの宗教があつて、その基礎の上にこの戰争も行われておつたのだから、私は、むしろ宗教自信も、また新しい時代に即して、ほんとうにその立つておる根本的な立場に歸るということがあつて、初めて欲せられたような條件を滿たすのではないかと、實は存じておるのであります。でありますから、國民がほんとうに心底から物を考え、自分の態度を決して、それに全身全霊を注いでいくという態度が、もし宗教的な態度というならば、そういうものはまことに必要であつて、それがなければ、ほんとうに新しい社會の建設もむずかしいと存じておるのであります。そういう意味で、そういうものを育てていくという條件をつくることが必要であることは、まことに御説の通りでありまして、ただそれは宗教行政という面だけよりは、もつと廣い、もつと根本的なものではないかと存じております。宗教行政については、私どもは各宗教を公平に取扱つて、しかも各宗教を公平に取扱つて、しかも各宗教を抑制するのではなく、正しい基盤の上に、それが正しい役割を果し得るような形で取扱うということが、私は妥當なことであると存じております。この意味で新しい憲法におきましては、國家と宗教というものがわかれ、教育と宗教というものが、少くとも官公立の學校においてはわかれて教えられることが適當の處置であるというように存じております。ただそれを離れた面におきまして宗教が教えられることは結構である。そして希望といたしましては、より正しい宗教が國民の間に伸びて、ほんとうに人間の心の奥底を正しく目覺ましていくという役割を演じていくことが、望ましいことではないかと存じております。これが第一點であります。
 第二の農村青年の問題につきましては、人の問題が大事であると仰せられたことは、まことにその通りでありまして、私どもも、新しい教育指導というものの面が人にかかるということは、その通りと存じます。他面もちろん制度と施設ということも、忘れてはならないのでありますが、たとえ制度と施設とがよくても、適切な人が缺けておつてはならないのでありまして、こういう人が、實は私どもの希望としては、國民の間から出てくることがきわめて望ましいと思つているのであります。從來は、政府があまり命令的にいろいろのことをやり、人間をつくることも、型にはまつた人間をつくるということが、日本のいわゆる教育行政の從來の行き方であつたので、今日はそれが轉換されなければならぬ時代に面しつつあるのであります。従つて政府は、いわゆる型にはまつた指導者をつくるのではなくて、指導者が生まれ得るような條件と基盤とをつくつていくというところに力點をおくという状態に今日はあるのであります。民主主義の行き方といたしましては、政府が型にはめた者をつくるということでなく、少くとも成人においては、政府が一定の勉強の機會、あるいは講習會その他をつくるということもその條件であります。そういうことをつくりながら、その中で正しい者が生れていき、その中からまた正しい指導者が生れていくところに、力點をおいていくのでありまして、御説の點では、社會教育でありますが、その方面に努力していく方針であるのであります。
○山名委員 ただいまの御答辯、はなはだ不滿なんです。私はやはり民主主義の徹底は、宗教によらなければならぬ、一切は宗教が根本だ。もちろんローマが一朝にして成らなかつたように、アメリカの民主主義が自由にしても博愛にしても寛容にしても、これがすべてキリスト教的信念からでき上つておりますように、日本は日本としての民主主義が、やはり一つの宗教信念から現れたものでなければ、徹底すべきものでない、これは確信を持つております。それでは既成宗教だけで、それに力を添え頼つて、また新しい宗教というふうなもの考えられるというように普遍的な完教論を申し述べられましたけれども、眞理はそう二つもあるものではないと思う。新しく生れるというふうな理想宗教はこの何千年の歴史にかけて出るものは出てしまつている。結局宗教界における組織云々は、脱皮せねばならぬでしようけれども、眞理というものは普遍性であり永遠性をもつている限り、現實にやはり日本人の民主主義は、日本の宗教でりつぱになしとげ得るこういう確信をもつているので、大臣の答辯はいささか不滿であります。
 第二の農村文化につきましても、もちろん組織あるいは物、そして人、この三者は離せられませんが、しかし何というても、型にはまつた指導者をつくれという私の意見ではないのです、いわゆる雰圍氣を助成する意味においてでも、文部省は積極的にやはり農村のこれはと思うようなものの文化的に進みたいものを取上げて、そうして一つの具體的な講習會でも開くとか、指導の方向を指し示される人を養成される具體的な御意見はないか、こうお尋ねしたのであります。決して今までのような、わくにはまつた講習會で足りるというようなことをお尋ねしているのではなくて、もつと積極的に、ほんとうに農村で文化にあこがれ、文化はこれではいかぬと思つている人がたくさんありますから、それらを導き出して、具體的にこういう方向をたどるのだというような、指導の具體的な講習會などが欲しい、そういうことに御意見はないでしようか。
○福田委員長 山名君にちよつと申し上げますが、御承知の通り、先般の委員會で、この農村文化は相當重大な問題なので、ぜひともこれは大事をとつて、わが委員會にも小委員會をつくつて十分檢討してもらおうということになつておりますので、農村文化に關連したことは、政府當局も次會まで係りの方につぶさに御檢討願う、われわれ委員も、さような心構えで大事をとるという意味合いでひとつ次會にしていただきたいと思いますが、いかがでございましよう。
○山名委員 それでは小委員會の方に讓ります。
○高橋(長)委員 特に文部大臣の御意見をお聽きしたいと思いますのは教育映畫は、御承知の通りにフイルム税も免税にしてございますが、教育映畫を上映して觀覺に供する場合においては、入場税がかかつておる。ここに私は非常に不合理が感ぜられます。もしフイルム税までも徹廢して見せたいという意思から教育映畫をつくつたとするならば、教育映畫を上映する場合には、これまた入場税をとらぬのが妥當ではないか。しかしながら、ただ普通一般の映畫のフイルムの中に教育映畫をはさんだ場合には、これまた別でありますが、教育映畫のみを見せる場合が多々あるのであります。特に最近の實例といたしましては、一般大衆娯樂としての映畫を青少年にあまり見せたくないという氣持ちから、教育映畫のみを見せる機會が多くなつてきたのであります。一つの例をあげてみまするならば、一つの映画館を中心といたしまして、その近隣の小學校あるいは新制中學、これが一つの會をつくりまして、月に一囘なり二囘なり、交互に映畫館において教育映畫のみを午前中に見せるのでありますが、こういう關係上、きわめて安く見せたいというのでありまするが、どうしても一度映畫館の門を潜れば、入場税がかかるのでありまして、まことにこれは遺憾に存ずるのであります。しからば學校に行つて映したらどうかという意見も出るのでありますが、學校にフイルムなり映寫機をもつてまいります場合には、今日非常にガソリンのないときで、自動車に非常に高い金がかかりますので、どうしてもこれは近隣の學校が各所の映畫館と特約いたしまして、教育映畫を見せているような實情なんですが、どうも税務署の方は入場税をかけるのでありまして、こういつた點について、何とかよい方法はないかと思いまするが、文部大臣としては、これについてどういうお考えをもつか、またこれに對して善處せられるかどうか、お聽きしておきたいと思います。
○森戸國務大臣 御質問は、學生のみが集まつて映畫館で教育映畫が上映される場合に、やはり興業税がとられるということは、望ましくないではないかというお考えであります。われわれも同感でありまして、そういう場合には、免税をしてもらうように努力いたしたいと存じておりまするし、またさように努力もいたしておるのであります。その一面、もちろん學校で教科の一つとして教育映畫を行います場合には、税はかからぬので、そういうような仕組で教育映畫が各學校に浸透しておるような事實もありまして、またそういう方面に努力もいたしておるのでありますが、それが及ばない所がありますので、お説のような事態にありますが、これはできるだけそういう事態をなくしていきたいと存じております。
○川越委員 本日は森戸文相の藝術行政に關する大抱負を拜聽いたして、非常に感激したのでありますが、それに關連しまして、小さな問題で一つお伺いしたいと思います。先ほど公民館の話が出ましたが、これは田中文相、高橋文相以來、議會の答辯では何回か言つておられますけれども、實際においては財政的の問題がありまして、なかなか困難に陷つておるような状況であります。それで公民館をつくるについて、現在どういつた基準でやつておられるか、また全國でどのくらいできておるか、そういつた點をこの際承つておきたいと考えます。また大體いつころまでに、どれだけつくる御意向であるか、その點もお伺いいたします。それから薬価の問題で、學校教育に關連いたしますけれども、師範が學藝大學という名前になるそうでありますが、美術學校、音樂學校、これも大學に昇格することは明らかでありますが、綜合的な藝術大學になさるつもりか、藝術大學、音樂大學、そういつたものになさるつもりか、まだ大學の基準が一般に發表されておりませんから、この際でき得る範囲において明らかにしていただきたいと思います。以上二つお願いします。
○森戸國務大臣 公民館についての御質問でありますが、私どもはできるだけ早くこれが各町村に普及されることを期待いたしておるのでありますけれども、先ほど言われたような経濟事情その他で、なかなか思うようにまいつておりません。もちろん、別に新しい獨立の館が建てられぬような所では、學校その他を利用いたしておる所もあるのでありますが、しかしまだ十分とは申すことができませんので、この點につきましては、事務當局の方で數學的な御説明を、今日あるいはまたの機會に申し上げることにいたします。
 第二には、學制改革のことについて、音樂學校、美術學校がどういうようになるか、これは總合藝術大學になるか、あるいは別々のものになるであらうかという御質問でありますが、これは大學基準委員會の方で討究されておる問題で、大體これは大學になることは確かであります。そうしておのおの自立性をもつたものになるということも、これも大體動かすことのできない方針であると存じますが、それをさらに總合するかどうかということについては、ただいま、まだ決定いたしておらぬのであります。
○榊原(千)委員 藝術行政についてでありますが、藝術を世界に紹介することについでは、どういう方策をとつておいでになられますか。私は日本にぜひ必要な、とつておかなければならないものは、これは調べまして保存いたしまして、あとはむしろ世界に流した方がよくないかと思いますが、どうお考になりましようか。
○森戸國務大臣 藝術はすべて日本によい藝術をとつておかなければならぬという理由もないのでありまして、日本のよい藝術が世界の各國民に知られ、愛せられ、尊重せられるようになることが、最も望ましいことであります。ただ私ども多くの藝術は、藝術が育つた土地、育つた環境の中において、初めてそのうるわしさが十分に觀賞されると考えておりますので、そういう意味では、私は日本の國土に育つたよい藝術は、日本の國土と結びつきながら觀賞されるような事態におかれることが、最も適切なのではないかと存じておじます。ただそれかといつて、いろいろな日本の藝術、殊に生活に即したいろいろな藝術品は――陶器であるかと漆器であるとか、そういうような新しくできる藝術品に、もちろんどんどん外國に出ていくことが望ましいことでありますし、またいろいろな藝術のりつばな副製品等が外國に出ていくことも、結構であろうと思います。しかしこの非常に重要な、そうして日本の國民と結びついた關係にある藝術は、できるだけ日本の國土にあつて觀賞されることが、望ましいのではないかと私は考えております。
○榊原(千)委員 イタリアのテイントレツトとか、ああいう人の藝術品がフランスにもつてこられたり、ドイツにもつてこられたりするように、あれはずいぶん外國において自國を紹介すると思うのでございます。そういうような政策も一面においては私は文化委員會の觀光委員をしております立場から、ぜぜそういうものがあつて、オリジナルなものとか、あるいはこれのもつといいものが日本にあるということほ日本へ觀光客を誘致する上においても、また日本の財政政策から言つてもいいのではないかということを考えるのでございます。
 それから先ほど申し上げました、生活に對して藝術がもつと作用してくるような方策を、ぜひとつていただきたいと思うのでございます。そしてそれが私どもが使う一つのコツプでも何でも、生活に必要なものが美しくなつてきますと、日本の藝術が自然高められまして、日本の輸出品へもそれが響いてくると思うのであります。世界にも通用するりつばな美術工藝、また藝術品が現われてくると思いますから、藝術と生活との結びつきを、ぜひもつと深く考えていただきたいということを最後に希望しておきます。
○福田委員長 ただいまのは榊原さんの御希望でございますから、文部大臣とくと御考慮を願いたいと思います。
 最後に委員長といたしまして、いい機會でございますから、文部大臣に一、二點伺いたいと思うのですが、今日も文部大臣のお話の中にもありましたが、文部省と憲法普及會が合作して、平和主義を國民に徹底せしめるために十一月に何らかのお催しがあるということを、今、漏れ承つたのでございますが、もうすでにそれに對する具體案ができておられましたならば、われわれ委員會の参考にお漏らし願いたい。なお、もし今それがいろいろ計畫中でありますれば、決定しますれば、それをお示し願いたい。これが第一點。
 もう一點は、ちようど文部大臣が、就任早々發表されました例の新日本建設國民運動、それに關連して文部大臣が八月十九日と八月二十六日と二囘にわたつてわが委員會に來られて、その御趣旨並びに経過のお話があつたのでございますが、八月二十六日以後今日まで、この新日本建設國民運動がいかようになつておりますか。わが委員會は、そのときに全員こぞつて文部大臣に御激勵申し上げたわけなんでございますが、その経過を、本日絶好の機會でございますから、御報告願えれば、委員として非常に幸甚に存ずるのでございます。どうぞひとつ文部大臣、お願いいたします。
○森戸國務大臣 憲法普及會が中心となりまして平和主義の徹底をはかるようにしなければならぬということになりまして、新日本建設國民運動と、そして民主政治教育連盟でありますか、これと協力いたしまして、十一月の初めの週間に平和主義を強調する運動をいたしたい、これは日本の國内の情勢から見ましても、世界の情勢から言いましても、このことが必要であるという觀點からであります。しかしその具體的な計畫につきましては、今日實は憲法普及會の常任委員會があつたのですが、私は閣議がありまして列席いたしませんで、まだ報告を聽いておりませんが、そこでいろいろ具體案ができたと思うのであります。もちろんそれはこの新日本建道國民運動並びにこの議會の民主政治教育連盟といろいろ御相談をした上で具體的な方向がきまるのではないかと存じております。文部省の關連した範囲におきまして、十一月三日には、小學校並びに中學校で憲法の精神、特に平和主義の精神を兒童に徹底させるという機會にいたしたい。そしてその兒童を通じて、さらにその親たちにも平和主義が、新しい日本建設のための、いかに大きな機軸であるかということを知らしたい、かように存じておるのであります。全體の計畫につきましては、いずれ次の機會にでも御報告いたしたいと思います。
 さらに第口の新日本建設國民運動につきましては、これは私ども提唱いたしましたが、この提唱によつて國民の間にこの運動が興つてくる機會をつくつていくことで、政府が先に立つてこの運動を自分でやるという態度はとらなかつたのであります。そこで一般の協議會を開きますに續いて、青年團體、また宗教團體、婦人團體、平和團體にお集まりを願いまして、この運動の協議を願いました。さらに阪神地方におきましても協議會を開き、また私が参りました諸地方においても協議會あるは講演會を開いたのでありますが大體の大きな經過、日にち等は、次の機會にでも申し上げますが、東京にある社會黨その他の團體が集まりまして新生活運動連盟というものができて、これが新生活運動という形で、新日本建設の線に進んでその一翼をもつた運動としていきたいというふうな大體の考えができてそういう方向に準備がされておるものと存じております。婦人團體、平和團體におきましても、そういう線に準備がされておると思います。十一月初めに、おそらく平和週間となるかもしれませんが、そういうような意味では、そういうものが積極的に働いていただくような機會になりはせぬかと存じておるのであります。それから地方におきましては、たとえば大阪府、兵庫縣、福岡縣また廣島縣等でも、新日本建設國民運動の豫算をとりまして、そうしてそういう運動を地方的に推進していこうというような傾向にありますし、そのほかの縣におきましても、この間社會課長の會議がありましたが、そこではそういうような考えがあるのであります。それから政府といたしまして、この運動が實は停頓しておる一つの理由は、殊に平和團體、婦人團體等、活動資金がないので、思うように伸びないという點もあるのであります。もう一つは、實はこれは國民にやつてもらうので、政府が特に豫算をとつてこれを補助するという形はとらぬという建前から出發したのでありまして、地方の状況等を見まして、殊に地方の豫算を地方でとつているということであれば、もし一定の豫算を政府においてもとつて運動を展開するということであれば、さらに地方の刺激になるということから、この新日本建設図民運動について豫算をも考慮いたしていこう。そういう形で中央でも物的な基礎をつくり、そうして地方でもだんだん伸びていつている運動を育てていくという形をとつているところが、今日の状況であります。
○福田委員長 諸君にお諮りいたします。本日この美術行政に關する文部當局との質疑は、この邊で一應打切りたいと思いますが、いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議ないようでありますから、さようにいたします。
    ―――――――――――――
○福田委員長 なおこの際諸君に一應お諮りいたしたいことがございます。國賽重要美術品に關する事項を取上げまして、衆議院規則第九十四條により國政調査の要求を提出いたしたいと思いますが、これに對して御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。
 なおただいま御決議を得ました事項の調査研究のために、實は佐藤觀次郎君ほか二名、都合五名の方から、奈良の正倉院へ委員を派遣すべしというところの委員長あての要求があるのであります。それに對して奈良の正倉院に調査研究に委員を派遣するということに對して御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議がないようでありますからさよういたしまして、派遣委員は四名といたしまして、派遣地は奈良市、派遣の期間は四日間、そうして議長の承認がありました後に、出發の日程をきめたい、かように考えます。よつて委員諸君の中にこれに参加いたしたいという御希望の方がありますれば委員長のもとまでお申し出を願いたい。さすれば定員四名を適當な公正な方法できめたい、かように考えます。以上衆議院規則第五十五條によつて委員派遣の申請をいたします。
 本日はこれにて散會いたします。次會は公報をもつて御通知申し上げます。
    午後三時五十七分散會