第001回国会 電気委員会 第14号
昭和二十二年十月二十二日(水曜日)
    午前十一時十分開議
 出席委員
   委員長 前田榮之助君
   理事 村上  勇君
      境  一雄君    成瀬喜五郎君
      本藤 恒松君    東  舜英君
      栗田 英男君    吉田  安君
      加藤隆太郎君    廣川 弘禪君
      本田 英作君    川越  博君
      堀江 實藏君
 出席政府委員
        商工政務次官  冨吉 榮二君
 委員外の出席者
      商 工 技 官 三ツ井新次郎君
        専門調査員   大石 主計君
        専門調査員   落合 高次君
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十月十四日
 九州地方の電力危機緊急對策實施に關する請願
 (成重光眞君外一名紹介)(第八八六號)
の審査を本委員會に付託された。
十月十一日
 九州地方の電力復興に關する陳情書(福岡縣議
 會議長稻員稔)(第四一七號)
を本委員會に送付された。
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本日の會議に付した事件
 九州地方の電力危機緊急對策實施に關する請願
 (成重光眞君外一名紹介)(第八八六號)
 九州地方の電力復興に關する陳情書(福岡縣議
 會議長稻員稔)(第四一七號)
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○前田委員長 これより會議を開きます。
 まず請願より始めます。日程第一、九州地方の危機緊急對策實施に關する請願を議題といたします。紹介議員の説明を求めます。紹介議員成重光眞君は御出席がないようでありますから、村上委員に代つて説明していただきます。村上勇君。
○村上(勇)委員 九州地方における電力危機に對しまして、速やかに緊急適切な對策を實施していただきたいと思います。九州の電力事情は水力によることは少くて、火力に對する依存度が大であります。かつ炭鑛需用量がはなはだしく大きいという特異性をもつておるのであります。火力發電は、戰時中の酷使による損耗の修理はほとんど進歩していません。それがために能力はまつたく低下を來し、從つて極度の需用制限を加えざるを得なくなつておるのであります。しかるに九州の最大需用は炭鑛である、現在傾斜生産の建前から、この炭鑛には無制限とせざるを得ないのであります。このためにさらに他の需用制限は強化されるに至りました。かかる事情によりまして、九州は電力危機の最も窮状にあるのであります。特に北九州地區におきましては、工場の操業不能が續發して、中小工場は破滅に頻し、勞働者の生活もまた重大な脅威を受けておる次第であります。かつまた全九州の農村、漁村におきましては、電燈及び動力のはなはだしい制限のために、今日取入れ時期でありまして、一日の仕事を終えて家に歸つてきまして、やみの中で夕食をとり、供出用の米俵でもつくろうと思つて庭におりましても、その俵すらできないのであります。かような状態では、今日國民が最も心配しております供出すら不圓滑になるのでないかと、私どもは非常に心配しておる次第であります。どうか政府におかれましては速やかに緊急適初なる對策を實施して、全九州における電力危機を一刻も速やかに救濟されんことを切望する次第であります。別に參考書をつけてありますが、御檢討の上よろしく御採擇をお願いする次第であります。
○前田委員長 次に政府當局の御所見を質します。
○冨吉政府委員 九州地方の電力事情の窮状につきましては、政府といたしましても、きわめて心痛いたしておるところでございます。發電設備の戰時中の補修不足によります能力の低下と、使用炭質の悪化のために、供給能力が著しく低減いたしておることは事實でございます。他面また非常に需用が急増いたしますとともに、本年は例年に見ざる渇水のために、著しい需給の不均衡を來しておるのでございます。すでに相當期間にわたつて極度の電力制度を實施せざるを得なくなりましたために、各方面には種々の支障をもたらして、勞働者の生活不安の原因ともなつておることは、まことに遺憾にたえないところでございます。九州地方はお説のごとく火力發電への依存度が非常に高いので、電力事情改善策といたしましては、まず火力發電所の補修設備に重點をおきまして、出力の囘復をはかつておる次第であります。すなわち特別の協議會を設けまして、資材、資金、食糧、勞務用物資等について特別の考慮を加えることといたして、實行に移しつつある次第でございます。火力發電による供給力は、一時は御承知の通り八萬ロキワツト程度にまで低下しておつたのでございますが、最近におきましては大體十三萬キロワツト程度にまで囘復いたしました。引續き補修計畫を遂行中でございまして、目下のところ、本年度の末までには二十萬キロ・ワツト程度までに囘復をはかる見込みがついて、關係者一同努力をいたしております。このほかまた本州からの應援電力についても最大限度までの送電を實施するとともに、發電用の上質炭の確保、さらにまた自家用發電の應援等についても極力努力中でございまして、漸次この窮状は改善されるものと信じておるのでございまするが、他面需用の面におきましても、さらにくふう改善を加えて、その消費規正方法を適正化し、電力使用の合理化をはかりまして、需用供給の兩面から電力事情の緩和處置を講ずることといたしたいと考えておる次第でございます。さようお含みを願います。
○前田委員長 本請願に對し質疑はありませんか。
○本田委員 政府委員にお尋ねいたします。九州方面に對する電力供給の悪いことはこの請願の通りであります。九州は政府次官も御承知の通りに水力電氣が非常に少い。そこでどうしても水力を九州の方に送ろうとするのには、中國もしくは遠く岐阜方面の水力電氣を送らなければならぬと思いますが、關門の送電能力は大體どれくらいでありますか。それに對して戰時中最高どれくらいの送電をなさつておりますか。また現在はどれくらいの送電をなさつておりますか。お聽きいたします。
○冨吉政府委員 大體こまかいことは專門の方から答えることにいたしますが、能力は相當あると思います。問題は電力それ自體の問題でございますが、一番多い時で大體三萬五千キロ毎日送つておるのであります。これも九州に雨が多いときには、水力が働きますから、電力をよけい送ることがないというようなことで大體二萬キロくらいから三萬四、五千キロくらいまでを上つたり、下つたりしている状態であります。實はそれがために中國地區におきましては、相當電力の需給に支障を來しておるのであります。これは御説明申し上げるまでもなく、大體中国に對しましては關西から四、五萬キロ送つておりますし、關西に對しましては關東から十萬キロ内外を送つておる。こういうような状態でリレー式に送つておるのでございまして、その需給調整はそのときそのときの雨量の状態、火力の働きぐあいといつたようなものを勘案いたしまして、調整いたしているような次第でございます。さよう御了承願います。
○本田委員 關門の送電設備は十萬キロ・ワツトということをちよつと承つたのですが、それだけの能力があるのにかかわらず、二、三キロ・ワツトしか送つていらつしやらぬ。そういうことにすれば、どうしても九州の電力飢饉は、九州における水力發電所の増設か、もしくは補修というようなことでやらなければ、火力だけではもちろん今の實際の成績から言つても、十分でないと思います。他の木土の方においては繼續して發電所、貯水池、その他やつておられるにかかわらず、九州では一切やめてしまう、そういう實際の状況になつておるのですが、これを何とかひとつ九州の水力電氣についての發電所の増設ということに對して、おやりになるお考えはないでしようか。
○冨吉政府委員 先ほど申しました通りリレー式に電力を送つておるのでございまして、大體關門のキヤパシテイーは十萬キロございましてもその電力がそれだけ中國にもございませんので、大體中國は關西から四、四萬キロを受けておつて、二、三萬キロはそれをまた九州に送つておるような状態でございまして、これはその産業の状態と電力の出力とを見合いましてやつておるのでございます。そういう状態の中におきましても、關東、關西、九州いずれも實は困つている状態でございまして、十萬キロあるからといつて、中國からただちに十萬キロ送るというわけに參らない事情であることを御了承願いたいのでございます。
 次に本州その他においては、その發電設備を急いでいるが、九州は全部やめているのはいかぬじやないかという御説でございますが、これは何かのお間違いじやなかろうかと思うのでありまして、實は全國一齊にやめておる實情でございます。
 なお最後の、今後における計畫はいかんという御意見でございますが、實は商工省といしたましても、事務當局の間でも種々考えておることでございますし、また私どもといたしましては、特に電力問題に重大な關心を初めからもつておるのでありますので、電力局長とも話合いまして、發電設備その他については、一應いろいろ考えたり、研究をいたしましたりして一つの案をもつておることは實際でございます。しかしまだ遺憾ながらこれはいろいろな關係がございますので、どうもここにおいてただちにその案を實施する時期にも到逹しておらないし、またそれを發表する時期にも到逹していないかと存じます。その點はひとつお許しを願いたいと思うのでございます。
○本田委員 今年の電力に對しての配電計畫を承りますと、東京なんか三段階でしたが、九州はそれに對して九段制でやるということが、政府委員の他の場所においてのお話の中にあつたようであります。同じ電力を拂いながら、この方面と九州とあまりに差別がひどい、こういうように思うわけであります。九州では自家用としは電力は一切今度の冬は使わせないということであります。氣候の點から言うと九州では電力を使わせないということをやつておる。この九州に對して何とかひとつ他の方法はないものか。それから火力につきましては先日來申します通りに、どうしても本土の方から送つてもらわなければならぬ。それでも電力は十分というより、何割か不足するのですが、關門海峽を經て送電せられる電力は佐賀縣までしか行かないと私は聞いておりました。先日の電力局長の話では、佐賀縣までは行くが長崎までは行かない。私の方の長崎までは、九州の水力電氣が渇水期でない場合は來ますけれども、水力電氣のほとんど思惠に浴しない長崎において、相浦發電所はまつたくその電力の實際の供給高において、それだけの效力を發揮していないということを承つておるのであります。それだけの發電をしながら、どういうわけで一般の需要者に對してそれだけの供給がないのか。そこらの點について政府次官で御調査なさつておりましたならば、承りたいと思います。
○冨吉政府委員 いろいろ九州に對する電力は著しく差別的でないかというお話でございます。そういうように見れば見えぬこともないと思いますが、特に商工省がそういうふうな立場をとつておるのではなく、私ども素人でよくわからないのでございますけれども、いろいろ技術的にめんどうな問題がありますことは了承できるのでございまして、できるだけ全國平均的にそれをやつてまいりたいということだけは方針として考えております。しかし實際のところ、關東あるいは關西、中國地區に餘剩電力あるいは餘剩がなくても、ある程度規正をしても産業に支障を來さぬという程度の電力がございますれば、これは十分送ることにやぶさかではないのでございますけれども、今皆さんの日常生活上御體驗になつておるように、現在の状態におきまして、すでに一番おひざ元であります東京地區におきまして、このような状態でございますので、現在電力があり餘つていないことはもちろんのこと、あるいはこれ以上の規正をやつて、はたしてどうかということまで言われておるくらいでございますので、さらにそれを送るということも非常に困難ではないか、こういうように考えておるのでございます。九州は御承知のごとく八月九月というのが相當ふだんは雨量があるのでございますが、本年はきわめて雨量が少く、水力發電が十分でないというために、いわゆる前も申し上げた通り、火力に對する依存度が非常に強いのであります。その火力の依存度は根本的には石炭の不足と、いま一つは戰時中の設備の補修が不足していたということから起つてきた必然の結果でございまして、このためには實は商工省といたしましては、特に關心をもちまして電力局の專門家を九州に派遣いたしまするし、局長みずからこれを指揮し、同時に日本發送電會社におきましても新井副總裁が九州に急行する等、一體どこに隘路があるかということを調査いたしたのでございます。本田さん御指摘の通り、どうも會社の方で相當の資材を食つておりながら、その出力を十分供給していないじやないかという點については、そういう聲は私どもも承つておりますし、電力局長にもその旨を含めて出張してもらつたのでございまして、その點等についてもあらゆる角度から需要者また會社、從業員という各方面からの力を結集いたした一つの協議會を開きまして、その席上討議いたしました結果に基いて補修計畫を立てまして、目下それに向つて努力中でございますが、過日會社の總務部長と電産の勞働組合の幹部とが同行いたしてまいりまして、御指示の通りの補修工事は遲滯なく行つて必ず期間通りにその目的を逹成するべく努力中であり、またその見込みも立ておるから、加配米等について特段の協力をしてもらいたいというような御陳情等もあつたくらいで、私どもといたしましては、苦しい中にも何とかそうしたものの見込みが立つて、曙光が認められるんじやないかというふうに現在考えておるのであります。
○本田委員 九州の今の電力の状況は先刻來當方から質問して、それに對する政府の御答辯の通りでありまするから、どうしても九州の電力事情をよくするには、ぜひもう少し電源について、特に九州に對しての電源の開發ということについては、他の場所も同じてありましようけれども、大分差がひどいようですから、特にこの點は各方面にも御了解を得るように御努力を願いたい。
 それから地熱で發電するというようなことが、九州大學のある教授から發表されておりますが、さいわい九州には別府もありまするし、長崎縣に雲仙もあるし、熊本の阿蘇もあるから、ああいう新しい科學によつて電源を滿たすことができましたならばと思いますので、この方面については十分研究されて、なるだけ實現のできるように御努力を願いたい。これだけの希望を申し述べまして私の質問を打切ります。
○冨吉政府委員 別に御質問ではございませんが、御要望でございまして、了承いたしました。商工省といたしましては地熱開發委員會なるものを組織いたしまして、すでに數囘の會合等をもつて學者あるいは地方の熱心なる同好の士を集めまして、著々研究いたしております。特にイタリア等においては相當な成績をあげているということでありますから、その研究の實績に待ちまして、できるだけそういう方向に向つてこの自然を利用したい、こういうふうに努力中でございます。
○成瀬委員 最近東京都初め近畿において、あるいはまた九州におきまして、ようやく電力問題がわが國の國民生活に最も深刻なる影響を與えるような段階になるし、來るべき冬季における電力事情によつては、最も優慮すべき状態が勃發するのではなかろうか。この際石炭、食糧はもとよりであるが、水力電氣の關係におきましても、同等の重要性をもつのでありまして、かかる角度からわれわれ電氣委員といたしましては、そこに十分なる對策をもたなければなりません。從つてかような意味において本日たまたま九州の問題が取上げられ、各種の方面から檢討が加えられておりまするが、この際政府委員の方々にお尋ね申し上げないのは、わが國の九州地區にわたる各地區におきまする水力電氣、水力發電及び火力發電のそれぞれの比率等はすでに私の手もとに配付されておる中ではつきりいたしておるようでありますけれども、現在問題になつておる九州におきまして自家用發電がどれだけの量に及んでおるか、また自家用發電以外の日發關係においてどれだけの量に及んでおるか、自家用發電によるものはおおむね石炭關係等の特殊關係があるのでありまして、その方面にどれだけの分を必要とするものであるかというようなことも資料として一つ承りたいのであります。過日たまたま近畿における電氣に對する委員會において話を承りましたが、昭和十八年十月において需用量は最高を示して四億六千萬キロ・ワツト時、最低が二十年の四月において一億七千萬キロ・ワツト時ということになつております。そうして二十二年の十月現在におきましては十八年の最高を上まわるような需用状態にあるという話でありまして、そうして内容におきましては、戰前における家庭用電力が一割ないし最高の月でも一割五分ということでありました。しかるに現在におきましては燃料その他の關係もあるのでありましようが、三割ないし四割を使用いたしおるということに相なつてきておるのでありまして、かようなことを考えてみますると、この危機に迫る電力をいかにして調和するかという點については、水力の發電を最高度に發揮するために、補修の方面を十分ならしめるということが一つの方法であると同時に、また一面火力の發電を十分そこに機能を發揮せしめるということも一つの行き方であります。またさらに家庭用需用の方面におけるそういつた需用量を大幅に制限するということ、この三つに關する根本的對策を立てなくては、とうていこの電力問題は解消し得ないと考えられまするが、日發關係の方々の意見におきましては、水力發電は戰災をこうむつておらない、しかも大體補修用の資材を相當量必要とするものだけれども、その方面における發電能力は相當維持されておる。また火力の發電は戰災を相當こうむつておるが、復舊は相當に進捗いたしておる。從つて賠償の對象となつておるけれども、この火力發電が從來平素におきましてどの程度のパーセントに及んでおるか、今どの程度に進んでおるかということが問題なのでありまして、それらの電氣關係の方々の言われるところによりますと、石炭のそれらの配給と言いますか、消費量が普通年間五百萬トンを要しておつた。しかしこの際において四百萬トンくらいの配炭があれば、電力問題は完全に解消するものである。こういうような話でありました。はたして四百萬トンの配炭によりまして、火力發電が十二分なる效果をそこに示すものであるか否やという點におきまして、大きな疑問をもつのでありまして、私は現在の火力發電がどの程度、いわゆる四百萬トンの石炭の配炭を消化し得るところの設備がありや否やという點において、また現在どの程度が火力發電の方に石炭が配給されておるかというような點、この二つをさらに政府の方からひとつ説明をしていただきたい。そういたしましてもしその火力發電の能力があり、かつまたそれに對する石炭の配炭が可能なりとすれば、これは何ら問題は起らないのでありますけれども、そういう點についての詳細なる知識をわれわれはもたなくてはならない。そういつたことにおきましての知識を基礎といたしまして、次に起る家庭用の問題、あるいは水力等の問題をよく檢討していかなくてもなりません。私ども四國でありますけれども、四國におきましても、聲を立てると立てないとの違いだけでありまして、ずいぶんと迷惑いたしております。二日に一囘、三日に一囘しか電氣が參らないというような點、家庭用におきましてもずいぶん非文化的なみじめな生活を今續けておるのでありますが、そういつたようなことは、まずまず不自由を耐え忍んでいくという意味におきまして、われわれはある程度忍耐をしなくてはなりませんけれども、しかし今日收穫時に向つておるところの農村の脱穀調製に大きな影響を與えるというようなことは見逃せないのでありまして、農家の作業というものは屋内におけるところの作業でありません。いわゆる屋外において、野外においてやるような作業でありまして、そう機械的に電氣を配給されましても、雨天の日等々の關係もありまして、なかなかに進捗いたしません。これは四國におけるところの現象ばかりでありません。過日も福井縣におられる人たちが來られまして、福井縣におけるところの農村電化、いわゆる脱穀調製は大體七割になつておる。しかしこの七割の脱穀調製の進捗状態も、その電力の供給は二日に一遍だけというようなことでもつて、供出にずいぶん支障を來すような結果になり、冬に向うこの際、農村に非常な恐慌を來しておるというようなことがあるのであります。こういうようなことで、今日收穫時における電氣の配給は、最も優うべきような状態に立ち至るのではなかろうかというような點等々をも併せ考えられまして、以上のような見地から、わかつておりますなれば、この際に資料をいただきたい。
○冨吉政府委員 全般の方針について私からお答え申し上げます。具體的な數字等につきましては、他の政府委員からお答えをさせることにいたします。いわゆる重點産業、傾斜生産の建前から、石炭、鐵鋼に力が注がれる、電力はややともすれば繼子扱いを受けるというような議論は、ただいま御指摘の言葉は違いますけれども、大體そういうことが世間でも相當言われておるのでありまして、その點はややそれに近いものがあると私は認めざるを得ないのです。これはよけいのことのようでございますが、大體物が足らぬということに出發いたしますことはもちろんでございますけれども、一つはわれわれの悪い習慣といたしまして、ものを總合的に考える癖が割合になくて、端的にものを考える、直觀的にものを考える日本人の習慣というものが政府の各行政の面にも相當現われておつた。たとえば戰時中におきましても、戰爭というと戰爭のことばかり考える。そうして戰爭は必ず勝つという一つの考え方ばかりの上に立つてものを考えるから、負けた場合には、どうにもならない結果に陷つたと同時に、何か一つ重點を出すと、その方ばかりに頭が向つて、他の方面は考えないといつたようなことが相當今までもあつたのではないか。この點われわれ商工行政の上についても反省をいたしておるのでございますが、ようやくその點についての認識が相當高まつてまいりまして、商工當局といたしましても、電力というものに對して從來より一層の力を入れなければならぬというような點を考えてまいつたのでございます。しかしながら御承知の通り、石炭の生産量というものが必ずしも十分な成績を得ておりませんので――大體九州の場合等におきましても、五千五百カロリー以上の炭質のものをというので一應強行いたしたのでありますが――このためにそれが非常に他の産業に對して悪影響を與えておりまして、またそれが五千カロリーに落ちたもので我慢しなければならぬというような状態等にもなりましたし、さらに量の問題からいたしましても、日本の最もたくさん使つておりした際は、六百五十萬トンも石炭を電力のために使つておつたのが、現在においては二百萬トンそこそこといつたようななさけない状態でございまして、これをできるだけこの動力源であります電力にまわさせるという方面につきましては、安本その他等とも協議いたしまして、できるだけ今後努力してまいりたい。こういうことを私から申し上げて、他の數字的な資料につきましては他の政府委員からお答えいたさせます。
○三ツ井説明員 いろいろ御質問がございましたが、資料等につきましては、なお後ほど項目別にお示し願えれば詳細なものを差上げたいと思つております。お話になりました點でおもなる點について二、三申し上げたいと思います。
 日本の水力と火力の關係でございますが、特に最近におきまする實情を申し上げますと、本州の中央部におきましては、火力設備はあるが、石炭を使つてはいかぬということになつて、現在石炭をもらつておらぬのであります。この九月ごろに多少たきましたが、それも本州中央部におきまして十五萬キロ程度たいただけであります。現在は水がそういう状況ではございませんが、わずかに大阪方面において一萬キロないし二萬キロたいておるだけであります。石炭をやれば十萬キロや二十萬キロ、もつと以上のものをたくことはできるのでございますが、全然石炭を使つていかぬ、その石炭は冬のために貯炭をしろということになつておりますので、現在はまつたく水力任せ、お天氣次第の供給をやつておるのが現状でございます。その目的は、この冬に對して何とかして――冬には連續的に渇水が起つてくるのでございまして、このための貯炭ということでやつておるのであります。その貯炭の數字も大した數字ではございませんが、できるならば年末までには三十萬トン以上のものを本州中央部において貯炭をしよう、こういう目的でやつておるのであります。できるならば三十萬トン、さらにそれ以上できればいいのでありますが、現在の状況ではなかなかむづかしいと思つておるのであります。この冬はどういうことになるかと申しますと、本州中央部におきまする話を申し上げますと、水力は最渇水期にはいりますと、二百五十萬キロ・ワツトぐらいに下るだろうと思います。これに對して火力は今年の二月におきまして、まだ復舊がよくできておらぬ時期でありますが、その時期におきまして六十萬キロ・ワット以上のものをたき得たのであります。それから今年にはいりまして火力の復舊を非常に急いでおりますので、これ以上のものを發電することはできるのでありますが、現在の石炭の配炭量から申しまして、この冬においてどれだけたけるかというと、おそらくいくらよくても、五十萬キロたくだけの石炭はもらえないと思います。非常に固いところを申しますと、三十萬キロか四十萬ロキ程度のものではないかと考えるのであります。從つて現在の状況におきましては、石炭が電氣であつて火力の設備が電氣ではないのであります。これは本州中央部の事情であります。
 九州になりますと、その事情は非常に變つてまいりまして、九州におきましては現在は水力が非常に渇水をいたしておりますが、本州方面から送つておるものをかりに水力と考えまして、水力の部分はおそらく六割ぐらい、火力の部分が四割ぐらいではないかと思うのであります。しかしこの火力が、先ほどお話がありましたように、非常に設備が悪いので、大修理をやつております。ボイラーなんかは全體をばらすぐらいにしてやつておりますので、そのために石炭が來てもたけないという状況であります。そこで大修理を年末までに順次やりまして、先ほど九州の問題でお話がありましたように、設備としましては二十五萬キロ、それから發電は二十萬キロ、二十五萬キロの設備をもつて最大二十萬キロの發電をこの一月にやろうというのであります。現在のおよそ倍くらいの火力發電ができるわけであります。そうしますと九州におきましては、最渇水期にはどういう状況になるかと申しますと、水力は二十萬キロくらいになると思います。非常に渇水いたしますとさらに下りますが、平均して最渇水のときは二十萬キロ、それに對して火力が二十萬キロで、合わせて四十萬キロくらいの供給になります。四十萬キロの供給ができれば、今やつておるようなひどい制限はやらないで濟む。但し現在やつております五段制限というような程度のもの、あるいはそれより少し輕いくらい、その程度ものはやらなければならぬと考えております。そのほかに、先ほど自家用發電の運轉をしておるかというお話がありましたが、九州におきましては、現在日本製鐵の工場におきまして火力發電をやつてもらつて、日發から供給しておる電氣を減らしております。その他炭鑛におきましても同樣に炭鑛の自家用の發電所をたいてもらつて、炭鑛への供給電力をそれだけ減らしております。それらの電力が二萬四千キロ・ワツト現在あります。それから別に日本窒素工場の水俣の方にあります火力發電所、それから延岡にあります旭化成の火力發電所、これらは電氣事業の方から石炭を提供いたしまして火力發電をさせて、配電會社の方あるいは日發の方が電氣を受取つて、一般の供給に充てているものが一萬七千キロ・ワツトありまして、合計四萬一千キロ・ワツト自家用の火力發電を運轉させております。これが九州の電源の要求に間接に寄與しているわけであります。さらになお一般の供給電力に寄與させるために、今後なお一萬四千キロ・ワツト程度のものを動員させようという計畫を立てているのであります。これらについては經費負擔の問題、特に火力發電を現在いたしますと、經費が非常に高くかかるために、この火力發電をする側の負擔をだれがするか、その當該工場が負擔したのでは、その工場の採算上特別の措置をとつてやらぬことには、工場がつぶれてしもうような状況にありますから、この點について、適當の措置をとることになつておりますが、具體的にどういう補償をするかということはきまつていないので、これは急速にきめなければならぬと思つております。九州の事情はそういうことでございます。
 それから全國的のことは、先ほど政務次官からお話がありましたから省略いたします。なお御要求がありましたら、項目を書いていただければ、それに適當した資料を差上げたいと思います。
○前田委員長 質疑がないようでありますから本請願の採決をいたします。本請願を採擇するには御異議ありませんか。
○前田委員長 それでは採擇することに決定いたします。
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○前田委員長 次は陳情であります。日程第二、九州地方の電力復興する陳情書を議題といたします。
 本陳情書は前の請願と内容を同じくいたしておりますから、本委員會において了承するに御異議ありませんか。
○前田委員長 御異議なしと認めます。さように決定をいたします。
    ―――――――――――――
○東委員 ちよつとこの機會にお伺いしたいんですが、經濟集中排除法と電氣事業の關係であります。經濟集中排除法によつて電氣事業は何らか異動を生じないかどうか、この御見解を伺いたいのであります。
○冨吉政府委員 經濟集中排除法案について、電力會社に何らかの關係があるかという御質問でございますが、私ども目下のところ大體關係ないというふうに解釋をいたしております。
○東委員 今度の經濟集中排除法の内容を、私實はまだよくわかりませんのですが、當然これはかからなければならぬと思います。もちろん私それを希望して言うのでありませんけれども、これは國家管理でありますから、國營事業に違いありませんが、しかし民間の資本がはいつているわけです。食糧營團が今度のその意味において、これは食糧公團にしなければならないというようなことまで言われておるのですが、そういう點から言うと、當然これが經濟集中排除法に觸れなければならぬと思うのであります。そういうことについて例外の規定か何か集中排除法にはあるのですか。ただ觸れないというだけの見解がよく私どもにはわからないのです。決して私はこれを希望して言とつておるのではありませんが、理窟を伺いたい。
○冨吉政府委員 その點については、きわめてデリケートな問題もありますので、この席で私から申し上げることはどうかと思いますから、お許し願いたいと思いますが、なおこれは日本の産業にとつて重大な關係もありまするので、政府においても、國會等でそれらの問題については種々討究され、また關係方面との密接な連絡によつて決定されることだと思います。私が申し上げたのは、できるだけ關係しないようになり得るだろうというような見透しと考え方を申したのでございます。さよう御了承願いたい。
○東委員 これはそう御心配なさらぬでもいい問題じやないかと私は思いますが、いずれ席を改めて伺うことにします。しかし經濟集中排除法には、平和的かつ民主的な國家を再建するために云々ということが書いてあります。電力管理法というのは何も軍國的にやつたというわけじやありませんが、しかしそのときの立法の精神には、多分にそういう點も含まれておつたような感じもするので、私はその點からも當然ここでひつかかつてきやしないかと思う。むろん國民の中には今の電力統合に反對している者がたくさんあつて、速やかにこれは解體してもらいたいという希望も非常にあり、また事實問題として、現在の日本發送電會社、配電會社が能率を上げているかどうかという點について、非常な疑問があるのですから、この機會に一つこれをばらしてもらいたいという意見がたくさんあると思う。ですからこれはこの際政府として大いに考えなければならぬ問題でないかと思いますが、これを一つ御考慮を促しておきたいと思います。
 それから電力管理のときに、地方の自治體とか、公共團體などのもつておる自家發電、これを統合されているようですが、そのときにも勅令の定めるものに限つてはこの限りにあらずということになつているのです。勅令でどの限度に除外されているか私わかりませんが、このごろ各地方で今まで自家發電をもつておつた自治體が、盛んにこれを環元してくれと要望しておる。私は石川縣であるが、隣りの富山縣も縣營の發電所をもち、私どもの方では金澤市がもつておる。これがこのごろ市の財政やなんかで非常に要望しておりますが、おそらくこれは全國的だろうと思います。必ずこの問題が起つてくるに相違ないと思います。經濟集中排除法などにも關連して、こういう地方の要望というものは必ずまた問題になるだろうと思うのです。殊に私がぜひ考えてもらいたいと思うことは、私の郷里に、金澤市のほかに鶴來という小さい町がある。戸數千四、五百戸の小さい町ですが、これが以前まで三、四百キロの小さな發電所をもつて町營でやつておつた、それから上る收益で町の財政をほとんど賄つておつたような状態であります。それがわずかに二十一萬圓か二十五萬圓くらいの株券をぶつつけられて、今や一文の收入もなく、町の財政は非常に困つております。そこでこれを何とか元にもどしてもらいたいという要望であり、また實際もどしてやつてもらわなければ、私どもは見るに見かねる問題でありますが、これに對して政府はどう考えておられるか。ここでわれわれの納得のいくようなまた喜ばれるような説明を伺いたい。
○冨吉政府委員 電力國家管理法案提案者でありました永井柳太郎元遞信大臣の秘書官をしておられ、御奪鬪なさた東君から、今當時の委員であつた私ども、その御意見を承ることは、まことに今昔の感にたえないのでありますが、問題はこの電力を復元せよ、いわゆる元の通りにせよということについては、二つの面があると思うのであります。すなわち一つはいわゆる財源からの問題と、いま一つは電力そのままを利用したいという面とあると思います。財政上の面においては、當時交付いたしまして株式の利拂い等ができないという状態に鑑みて、使用料金の値上げ等によつて、その地方の財源を賄い、御迷惑をかけないということに努力いたしておるのでございます。それで前に使用料金の三倍値上げをし、さらにまた今囘三倍の値上げをしたような次第でございます。そういう方面で財政的な方面からは、その交付株式の損失に關する面を補つていきたい。もう一つの問題でありますが、すでに御承知の通り、電力は産業の非常に重大な基礎でございますので、これがその水源池をもち、發電設備をもち地方もしくは府縣の意思によつて左右されるということになれば、全國的な非常なアン・バランスが――殊に電力の需用が多くて、供給力に少い時代には、それが起るのではないかと思うのであります。先ほど來九州のことがいろいろ問題にになつておりましたが、もしこれが各地方の電力會社である場合には、九州の産業などは、ほとんど死んでしまうような状態に陷るのではなかろうかと考えます。御承知の通り、九州は石炭の出炭量においては、大體全國産額の半分にも逹しておるのでございますが、これを特に九州の産業に使わずに、日本全國の配給計畫に基いて、全國できるだけでこぼこのない方向に向つて活用され、九州の石炭を出しておる所においては、相當不足をしておつても、がまんしなければならぬというのでわが國の現状であろうかと思うのであります。この意味において電力の問題でも、たとえば石川縣において、島根縣において、あるいはその他の府縣において元にもどせとおつしやることは、地方の御事情としては一應ごもつともであると思いますけれども、國全體の産業計畫及び日本の經濟復興の建前からすれば、この電力をにわかに各地方に復元することは、いかがなものであろうかと考えて、目下のところ商工省といたしましては、遺憾ながら東委員の御滿足になるような、また御希望に副うようなことを考慮しておらないのでございまして、その點よく御了承願います。
○東委員 私は政府委員と今議論をしようと思いませんが、御承知の通り私は多少國家管理に責任のある一員でありまして、これが成功を祈る氣持においてはむろん人後に落ちないのであります。しかし私もはたして電力の國家管理が成功であたつかなかつたかということについて、現在まだそれを批評すべき時期に來ていないのでないかと考えております。從つて國家管理の問題は別といたしまして、自治體の問題でありますが、今政府次官が全國的なバランスの點から指摘されておりますけれども、そうまで窮屈に考えなくてもいいのではないか、これは管理されない前にも事實上あつたわけなのであつて、それがために別に全國的にどういう支障があつたということもなかつたのであります。百姓は自分のとつた米を供出しても、やはり自分の食う物だけは確保する。電源地においては、その地元の者がそこの電氣を自分で多少使えるくらいのことは認めて一向差支えないのではないか。またそのくらいのことは認められるように政府が苦心されてはどうかと思うのです。私の方の小さな町などはこれがために實際弱つている。あたなの方は國家全體のためにとおつしやるが、國家全體のためから考えても、そういう困る所があるということは、よほど大きな問題だと思う。そういうことを現に考えておらぬなどとおつしやらないで、ぜひ考えてもらいたい。それから私の方のずつと山へはいると、たくさん電源地がありまして、そこの山の部落は御承知の通りみな貧弱なものです。今まで何によつて財政を賄つているかというと、ほとんど電源地の電氣の收益税からもらつて財政を賄う。ところがその配電會社が配當がないものだから一錢も收入がない。實際山村は困つている状態である。これは商工省ばかりに申してもいかぬので、内務省にも考えてもらいたいと思うのですが、これは單に商工省の役人という立場でなく、國家の役人として考えてもらいたいと思うのであります。
○冨吉政府委員 御質疑の點もありますので、いろいろ研究してみます。その程度で御了承を願います。
○前田委員長 この際九州地方の電力危機緊急對策實施に關する請願についてお諮りいたします。衆議院規則第八十六條による議長に提出する報告書の作成については、委員長に一任していただきたいと思いますが、御異議ありませんか。
○前田委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。
 本日の日程は終了いたしました。次會は公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時十時十四分散會