第001回国会 財政及び金融委員会 第27号
昭和二十二年十月八日(水曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 塚田十一郎君 理事 吉川 久衛君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      川島 金次君    河井 榮藏君
      佐藤觀次郎君    田中織之進君
      西村 榮一君    林  大作君
      松尾 トシ君    栗田 英男君
      後藤 悦治君    中曽根康弘君
      松田 正一君    泉山 三六君
      島村 一郎君    苫米地英俊君
      青木 孝義君    宮幡  靖君
     山口喜久一郎君    内藤 友明君
      石原  登君    相馬 助治君
 出席政府委員
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   今井 一男君
 委員外の出席者
        議     員 林  百郎君
        專門調査員   圓地與四松君
        專門調査員   氏家  武君
政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案
(内閣提出)に關しその支給率について、證言のため出頭した證人
 今村  彰君 日本教職員組合中央執行委員
    ―――――――――――――
十月七日
 通貨發行審議會法案(内閣提出)(第六九號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 政府職員に對する一時手當の支給に關する法律
 案(内閣提出)(第六五號)
    ―――――――――――――
○北村委員長 會議を開きます。きのうに引續きまして、政府職員に對する一時手當の支給率に關して、本日も證人の證言を聽取することにいたしたいと思います。證言の範圍につきましては、昨日と同樣一時手當の支給率に關してであります。本日は證人として日本教職員組合中央執行委員の今村彰君が御出席になつております。これより證人の證言を聽取することにいたしたいと思います。日本教職員組合中央執行委員今村彰君。
○今村證人 私日本教職員組合執行委員のものであります。日本教職員組合を代表いたしまして、本日政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案に對する日教組の反對意見を披瀝したいと思うのであります。
 一番目に、しばしばこの問題について中心になつているところの官公吏待遇改善委員會準備委員會、略して官待と申しておりますが、この官待の權限について一言申し上げるのがいいのじやないかと考えるのであります。官待というのは、二・一闘爭に關連するあらゆる問題を解決するために、その確認の上に二月の下旬全官公廳各組合代表委員と、政府側代表委員とによつて構成されたものでありまして、從つてその任務については、五月の七日新基本給の千六百圓水準の決定によつて、大よそその主體的任務は終了いたしまして、爾後はこれが配分とその他の派生的問題の處理にあたつてきたのであります。その證據には、官待傘下の各組合は、八月の上旬新しく全官公廳勞働組合連絡協議會を構成いたしまして、急迫した賃金問題を取上げて、同月十五日政府に對して要求をいたしております。その要求内容は二つでありまして、一つは一月から六月までの生活補給金として本人二千圓、家族千圓の要求、二番目には物の裏づけのあるところの最低賃金制の確立、この二つの要求を全官公廳勞働組合連絡協議會が出しております。以上述べましたところの二・一闘爭の後始末という意味と、今囘の全官公廳勞働組合連絡協議會の要求とを勘案いたしますときに、最低賃金の要求をしている今日、全官公廳勞働組合が千八百圓水準に對しては何ら關知するところのものでなく、もとより官公吏待遇改善委員會準備委員會は、これに對して關與すべき權限と理由とをもたないということが明白になるのであります。
 第二番目に、從つて政府が今日までしばしば全官公廳勞働組合は政府の法律案に對して了解を與えておると言われておるところの、問題の官待と政府との間に九月十九日取り交しました覺書の中の第三項をここに朗讀いたします。覺書第三項には千八百圓水準は組合側として不滿であるが、生計費の不足を幾分でも補うために早急に現金を受け取る焦眉の急に迫られているので、七月ないし九月の三箇月分について、右水準による増額を、政府の責任において支拂うことに對して、組合は異議を有するものではない。すなわち覺書の要點は今申し上げましたところの内容でありまして、八月十五日の要求に對する全面的な拒否によつて、現在中央勞働委員會に提訴しておるところの現段階においては、組合員の生活状態のいたすところは、いきおい政府の申入れであるところの千八百圓水準による給與を、政府の責任においてやることに對し、組合は異議を有するものではないというところの覺書にほかならないのであります。從つて官待はこの給與水準について、配分方法については一言も觸れておりません。また觸れるべき權限もないということは冒頭御説明をした通りであります。以上が今囘の増額支給に關する今日までに至りました經緯の概況でありまするが、第三番目に私たち日本教職員組合が、何ゆえに今囘の政府の法律案の配分方法について反對するかということに關しまして、次に四項目竝びに反對理由を簡單に申し上げたいと思うのであります。
 第一は本法律案によるところの六百圓の支給方法は、さきに申し上げましたところの覺書第三項を忠實に履行していないという點であります。すなわち千八百圓水準による増額ではなくて、生活補給金を加味したところの地域給、そうして二割ないし十二割の配分率をもつて支給せんとしておるのであります。第二番目には覺書にある千八百圓水準とは、政府の物動計畫の一環として、過日給與審議會にもち込みまして決定したるところの暫定業種別平均賃金であるはずであります。しかもこれに對する安本長官の説明は、米價を初めすべての新公價格をこの水準で押え、その水準のわく内において全勞働者の最低生活を要求してきたのであります。であるとするならば當然今囘の支給は千六百圓水準から千八百圓水準のはね上り分二百圓三箇月の合計六百圓の支給とならなければならないのであります。こう解釋することが妥當であると考えられる。第三番目に、從つて生活必需物資のマル公を全國一率に決定し、そのわく内において最低生活を要求してきた政府が、その政府自體がみずからの計畫したマル公を無視するような地域差、六對一を認めることは、政府自身としては理論的に成立しないというのであります。かつやみ物價といえども六對一の比率はとうてい考えられない現況であります。第四番目には政府案が新たに超特地、丙地の地域計數を設定いたしておりますが、現行の地域給については政府自身がしばしば認めておるように、その設定の時期と、現在の經濟状態におきましては、もはや民主的方法と精密なる實態調査に基くところの改訂を加えなければならない必要に迫られております。なお今日地方賃金專門委員會の設けられておらないとき、なおかつこの地域計數というものは、給與體系に重大なる關連があります以上、たとい暫定的にもせよ政府が一方的にきめるということは妥當でないと考えられるのであります。しかもその根據は一部組合の意見と、中央内閣の總理廳の統計局の一部の、こうした中央の資料に基いて設定したということは、輕率であると考えなければならい。これは今日全官公廳の各組合が、先に申し上げました十五日の要求によつて、最低賃金制の確立をわれわれが述べております以上、各組合はこの地域給に對して積極的に政府の協議に應ずるというところの用意を示しておるのにほかならないのであります。以上四つが政府の理論的にも、數字的においても、矛盾あるいは不合理であることを、われわれ日本教職員組合は認め、ここに反對理由として申し上げたのであります。
 なおこれに對しまして全官公廳、日本教職員組合以外の官公勞働組合においては、いかなる態度をとつておるかについては、一昨日十月六日全官公廳勞働組合連絡協議會幹事會におきまして、次のようなことが決定いたしておりますので、朗讀いたします。全官公廳勞組の幹事會におけるところの決定は、第一番目は、今囘の給與にはタツチしない。第二番目には、生活補給金的支給方法には不滿であるが、意思表示をしない。第三番目、衆議院の委員會に喚問せられれば、從來の通り政府の責任において支給すべきであると答える。最後に法律案はいかように修正されようとも各組合は異議を有するものではない。以上は昨日證言せられたと思いまするが、全官公廳幹事會の決定であります。
 以上が日本教職員組合の反對理由と、全官公廳が何ゆえこれにタツチしないかということの判斷資料を提供したのでありまするが、最後に政府案の發表について、われわれの意見を申し上げます。今日、政府案が九月の二十六日われわれに提示せられており、全國各地方の組合においては異常な激論が闘わされて、今中央の各單位組合に對して強硬な意見が送られつつあります。これが全官公廳幹事會の公式の席上においても、全逓、國鐵その他の組合も、こういうような状況下にあるということは述べられておるのであります。われわれ日本教職員組合におきましては、全國四十五萬の組合員の執行面を擔當するところの中央執行委員會においてこの問題を取上げ、いち早く本財政金融委員會に陳情書を正式に提出し、なおかつ所管、森戸大臣に對しましては、これが反對の申入れと重大なる決意を披瀝してあるのであります。もし政府の法律案によるような按分方法をとるならば、その結果としてわれわれ日本教職員組合の中央執行委員においては、もはやその結果を豫測することができないのであります。なおこの法案をもつてするならば、おそらく勞働組合に好影響をもたらすことはまつたく不可能であり、不必要な勞働紛爭を招來するものとわれわれは考えられるのであります。ここにわれわれは政府とさきに締結いたしました覺書第三項、すなわち千八百圓水準によるところの増額支給を、すなおに實行せられんことを希望いたしまして、國民代表である國會の、しかも本財政金融委員會が公正妥當にして權威あるところの審議決定をせられんことを、われわれ組合といたしましては期待するものであります。以上簡單でありまするが、日本教職員組合の證言を終ります。
 なおお手もとに差上げました參考資料は、日本教職員組合執行委員會の責任において、政府案を資料にして出したものでありまして、今まで官待の專門委員が非公式につくつたものを、あるいは皆さんに御提示したかとも思いますが、誤謬がありましたのでお詑びいたしておきます。
○北村委員長 ただいまの證人の證言に對して質疑がございましたら御發言をしていただきます。
○相馬委員 昨日の官待の代表のものの證言と、ただいまの日教組の今村君の證言とには、本質的に重大な點において食違いがあります。今村君は日教組においていかなる位地にある人で、かつまた今申されたことは、もちろん日教組全體の意思として責任がもてるものだと思いますが、特に官待の一昨日の決定事項は、今囘の給與にはタツチしない。政府案は不滿であるが意思表示をしない。國會から喚問されたら政府の一方的責任だと答えてそれ以上觸れない、ということであるが、このことは確かにそうであるか、少しくどいようでありますが、このことについてお尋ねいたします。
○今村證人 私は日本教職員組合中央執行委員で、媛姫縣選出ではありますが、本日は日本教職員組合を代表いたしております。なお先ほど申し上げました全官公廳勞働組合連絡協議會の決定は、一昨日六日十時より幹事會を招集いたしまして、私も日教組を代表して幹事として出席いたしました。當時鶴岡議長からの結論としての正式の申渡しでありまして、間違いございません。
○相馬委員 わかりました。
○北村委員長 ほかに御發言はございませんか。
○中崎委員 ただいまの證言によりますと、今囘の給與には觸れない。政府の案は不滿であるが意思表示をしない。そうして國會から喚問された場合においては、どういうふうに決定されても異議を有するものでないということに意思表示するということを言われたのですが、それがこの國會において明らかに異議を言われるということになると、それに副わないのではないかと考えられますが、その點を伺いたい。
○今村證人 全官公廳勞働組合連絡協議會の性格をお述べすればわかると思います。全官公廳勞働組合連絡協議會は、連絡協議機關でありまして、この申合せあるいは決定は、すべての組合の自治性を拘束するものでは絶對にないということが、その規約の中にうたわれております。そうして日本教職員組合が今までの經緯に從つて活動することを認めております。
○中崎委員 その全官公廳勞働組合連絡協議會の性格は、かりにそういうものであるとしても、一應そういう形をとつて、しかもその申合せに參加されて、こういう結論だということには變りはないわけですか。
○今村證人 ただいま申しました日教組の今後の活動を拘束しないという點において、その申合せがなされて決定をみたのであります。
○中崎委員 先ほどの不滿であるが、これについては積極的な意思表示をしないというような意味は、日教組の代表として出席されたあなたも同意されたのですか、そのときに反對されたのですか。
○今村證人 反對であります。
○川島委員 日教組の事情に對しては一應よくわかります。これは假定の上に立つての話ですが、もしこの配分實施計畫が、政府案としてこのまま決定をみるようなことがあつた場合、日教組がその決定案に對して、すなおに生活上の實情に即してその配分を一應受取るものであるか。それともその配分に對して返上という態度に出ることになるか、その點は一應假定の上の問題ですが、お伺いいたします。
○今村證人 この問題については先ほどの陳述によつて申上げましたが、われわれとしては豫測できないのであります。しかしながら御參考までに、ただいま私が組合本部より來る途中で、おつかけて持つてまいりました本日到著の電文の一に、長野縣の教員組合から、千八百圓ベース絶對反對、覺悟あり、長野縣教員組合というのがあります。これは政府案を見ての驚きの言葉で、これは各組合からの一部のものでありますが、なお北海道、四國、九州、中國等からも、中央執行委員が上京してまいりまして、この問題については非常に反對を表明しておりますので、來る十五日、十六日、十七日、三日間にわたりますところの中央委員會でどのようになるかは、私から今判定をくだすわけにいかない。こういう状態であります。
○川島委員 昨日の國鐵その他の證言によりますと、政府の覺書に對しては大體異議がなく決定をみたというような話であつたのであります。今お話を聽きますと、日教組にはそのときから反對があつたのか、それとも後でこの反對の意見が表明されることになつたのか、覺書手交の當時の日教組の態度はどういう態度でありましたか。
○今村證人 覺書を取交しましたその條文は、先ほど申し上げましたように、まず日教組といたしまして千八百圓水準、右水準による増額支給うんぬんということが明瞭にうたわれて、その配分方法には一言も觸れておりません。大體地域給に關しましては、この問題は官待では解決できない、今後の問題に殘されておるということは、日教組の一致した意見でありまして、政府の申出であるところのこの水準による増額支給は、政府みずからの計畫に基くものであつて、その責任において支給することには何にも異議を言わない。そういう段階でありまして、もしこの支給方法について現在のような法律案をもつて、いわゆる水準引上によるところの支給方法でない――覺書をすなおに讀むときに、日教組の期待に反しておるということに對しては、この責任を追究するところの權利は、いつも保留しておくというのであります。
○相馬委員 昨日の證人に、日教組では反對しておる、反對しておるが、さればどういう案でやつたらよいのだというと、日教組には案がない。こう申しております。君が先ほどから覺書の三項をすなおに實行すればよいのだと申しておりますが、君はそうすると、すなおに實行された案は大體こういうのだとか、また日教組としてはこういうふうに支給される方がこれは妥當ではないか、今の政府案はだめだ、だめならばそれよりはこれの方がいいんだ。こういうものがおのずからなければならないと、こう思いますが、その邊についての見解はいかがですか。
○今村證人 この差額の分の配分方法につきまして、この内容に立入ることは、日本教職員組合はすでに八月十五日最低賃金制の確立の要求をいたしております。なお二、三日前には、中央勞働委員會に提訴している現状であります。この最低賃金制の確立は、千八百圓の水準とは別個であつて、むしろ千八百水準では、現在やれないという否定的立場に立つているということが言い得るのであります。從つてこの配分について立入ることができないのであります。またやるべきでないと考えております。ただここで問題になりますのは、千八百圓水準によるところの増額支給と政府は言つている以上、千八百圓水準というのは、政府が今日までわれわれ國民に對して、暫定業種別平均賃金が物動計畫の一環として設置せられたものである。しかもその千八百圓の水準というところのもつ内容ということは、おのずから規定せられていると考えるのであります。これは私にお尋ねになるよりも、かえつて政府委員に對しまして、千八百圓水準に對する政府の見解をお尋ねになりますならば、おのずからその配分方法はきまつてくるのぢやないか。千六百圓水準というものが、新基本給として五月の七日に決定しておりますので、この千六百圓水準ということから、千八百圓水準への増加支給と言つた以上、おのずから支給方法というものがきまるのじやないか。そういうふうに考えます。
○相馬委員 私の言つたことがよくわからなかつたようですが、そうすると、結局二百圓というものの三箇月分の六百圓、それは政府でくれるというからもらう。これはそうなんですね。もらうについてそのくれ方をこういうふうに政府は言うているが、それはおれ達は反對だ。どういうふうにくれればいいんだ、それは考えてないのだ、そんなことは知らぬのだというのでは、われわれ議員が物の判斷をする資料がない。それで今君の言うていることを要約すると、もらう。そのくれ方については、千六百圓ベースから千八百圓ベースのはね上りのその根本精神によつてやるのであつて、特別に今度このように一つ區別を殖やしてみたり、こういうはなはだしい區別をしたりすることはけしからぬ。こういう意味なのでありますか。
○今村證人 同じであります。そういう意味であります。
○佐藤(觀)委員 今村君にちよつとお願いしたいのですが、今のわれわれの問題は、六百圓の金をどういうふうにわけるかという具體的な問題になつているのです。そういう千八百圓のベースというような抽象論ではなく、具體的にこの原案はもうわかつているのですが、あなたのは、實際どういうような形においてしてもらいたいということを言わなければ根據がないと思う。そういう點について何かあなたの方の意見をはつきり承つておきます。
○今村證人 最もデリケートな問題でありまして、お手もとに差上げました參考資料の中に、千六百圓水準と千八百圓水準、千八百圓水準でなければならないはずの政府案の配分方式と、われわれが現行もらつている千六百圓水準の給與方式をそこに御參考までに呈示してあります。すなおに考えろということは、三百圓の三箇月分六百圓は、全部地域給――生活給金を加味するがごとき地域給にすべてをぶち込むことは、水準引上になつていない。それが一つであります。從つてその差額二百圓の中には、本俸に類するところの要素もあるはずであるということを考えられるわけであります。これに對しまして配分率をどうしろというような――先ほど私が冒頭陳述において、新しい地域計數を設定することには反對であるということを意思表示してありますので、これで大體われわれの主張がおわかりになると考えます。
○北村委員長 ちよつと私より申し上げたいですが、これは前に私が冒頭に申し上げたように、範圍は一時手當の支給率に關する問題である。その率の具體的なものは政府から出ておりますから、これず妥當であるかないか。言いかえればこれが反對であるかないか。その理由を聽くことを主として、證人もその範圍において明確にお答えを願いたいと考えます。
○川合委員 先ほどからの今村證人の證言を聽いておりますと、どこまでも千八百圓ベースを主張するという建前が貫かれておるのであつて、千六百圓ベースの上に暫定的に二百圓を加算するという政府の考えと、根本的な食い違いがあるだろうと思います。從つて千八百圓ベースでいくならば、當然與えられた政府のわくを、さらに殖やさなければならぬということになるだろうと思います。殖やさないという前提のものにいくならば、それをどういうふうにして地域別にわけるかという問題に歸著しなければならぬと思います。從つて日教組が政府の原案に反對だと言うならば、今佐藤委員からも質問のあつた通り、積極的にどういうように比率をきめることが合理的であるか、そしてこれが第三者にも理解できるかというような、積極的なデーターを提出してもらわなければ、われわれとしてはこれを納得しかねると思うのであります。もちろん常識的に考えて、現在の政府原案というものが、われわれとしても了解しがたい點があるけれども、しかしこれを否定し、他にそれに代るべき代案が積極的に提示されない以上は、それは反對せんがための反對というような結論に到達するというように思われるのでありますが、それらに對する今村證人の御感想を一つ伺いたい。
○今村證人 日本教職員組合は、千八百圓水準に對しても積極的にはむしろ反對なのであります。從つてその配分率について積極的にこうしろということは、日本教職員組合は來る議決機關をまたない以上、執行部はその考えを明らかにすることはできないのであります。
○佐藤(觀)委員 今村君ははつきりしたことは言いかねると申しますけれども、實際具體的な問題としてあなた方の方はこういう案がある。こういう案でしてもらいたいという案を出してもらわぬと、われわれがせつかく證人を呼んでもはつきりしたことが出てこないわけです。相手の方は具體案が出ておるわけですから、あなたの方で、こういう案でこういうふうにしてもらいたいということを、はつきりしてもらいたいと思います。
○今村證人 組合の根本的態度については、今まで皆樣にくどく申し上げまして失禮いたしましたが、もし私個人としまして、かりに日教組の主張は、おちつくところは千六百圓水準方式をとつて、從つて今までの地域は特殊、甲地、乙地、丙地の四段階にわけて、特地には〇・三、甲地には〇・二、乙地には〇・一、内地はなし、そういう地域計數を今までとつております。從つてもし二百圓三箇月六百圓の中に本俸に類するもの、すなわち昨年の七月案のもの、二月七日の暫定加給プラス臨時増俸プラス臨時家族手當、これに地域計數をかけたものが今までの水準であります。從つてそれらのおのおのの要素が含まれておると考えざるを得ない。從つて今までの四段階において丙地がかりにAをもらつたとするならば、おのずからそれに在來の地域計數がかけられていくのではないか。すなわち一・一A、一・二A、一・三Aというような方式が考えられるのではないか。これ以上の分配方式をやるとするならば、新しく地域を設定しなければならないであろうし、あるいは政府案のようなものになると考えざるを得ないのであります。
○苫米地(英)委員 第一に伺いたいことは、これは日組全體の決議であるか、もしくは日教組の中の一部分に――大部分であるかもしらぬが――反對があるのかということを明らかにしてもらいたい。
 第二としては、千八百圓ベースというものに反對であるということは別個の問題である。政府の責任においてしかるべく分配するがよい。こういうことを協約で認めておる。それには參加しておる。しかし今の證人の言に基くと、今の政府の原案によれば、どういう事態が起るかもわからぬ。そういう事態の起るのは政府の責任だ。こういう意味に解していいのでありますか。
○北村委員長 苫米地君に申し上げますが、今村君は日教組を代表して御出席になつておるのであります。今までの發言はそういうことを前提としての御發言であります。
○今村證人 第一番目の御質問にお答えいたします。日本教職員組合の組織數はおよそ四十五萬と稱せられておりますが、現在中央執行委員は全部常駐することになつておりまして、現在出席しておるところの中央執行委員によつて、緊急に二十八日執行委員會がもたれまして、政府案によるところの超特地はもちろん丙地に位するまでの各地區の選出の執行委員がまいつておりまして、滿場一致でもつて政府案に反對いたしております。
 第二番目の千八百圓ベースと別個であるかというのは、これは別個てあります。基本給としての千八百圓ベースは承認しない、反對であるということは明瞭であります。
○苫米地(英)委員 反對であるということは明瞭である。これは私も言つておる。しかしそれと今度の分配率というものはおのずから別個の問題である。反對は反對でよろしい。しかし他方協約において政府の責任でやるがいいという言葉と、今證人のいかなる事態が起るかもしれないということを關連させてみると、われわれは容喙しないけれども、悪い事態が起つてくるのは政府の責任だから知らぬというけんか腰の考えであるか、もしくはこの問題は問題で、緊急金が欲しいのだからして、金を貰つてひとまずおちつけて、政府の千八百圓ベースの問題は別に取扱う考えであるか、ここのところの關連性がわからない、こう申すのであります。
○今村證人 われわれとしては、正しい主張でもつて、われわれの組合員を指導することはわかります。われわれの正しいとすること以外に對しては、組合員を指導するようなことはございません。それを政府に對して今囘もし豫測しがたいところの結果を招來した場合に、政府の責任であるという心構えを今からもつておるかという質問でありますが、われわれは過般來本國會に對して陳情をいたしまして、不必要な紛爭を起させないためにこのような努力をしておる。かようにお考えを願いたいのであります。
○苫米地(英)委員 そういう考えであるならば、はつきりこの問題はこの問題で片づけるのだ、こういう態度を示された方がいいのではないか。どういう事態が起るかもしれない、そうして政府の責任でわけることは勝手におわけなさい。これは決して妥協的でもなければ、穏當でもないと自分は考えるわけであります。
○川合委員 議事進行について、今苫米地委員の質問は、苫米地委員の意見を日教組の代表である今村君に押しつけるという感じがいたします。その點は避くべきであろうと思いますので、委員長において善處せられんことを望みます。
○中崎委員 先ほどの證言によりますと、千六百圓水準において地域的にわけられた例の地域差を、大體今囘も過渡的な便法として、支給率にも延長的にこれを用いるというのが御意見のように承つておるわけであります。そもそも千六百圓水準のときに決定された例の地域差の率が、はたして妥當であるかどうかということは、かりにその當時において妥當であつても、その後の情勢においてそうでないことも考えられるわけであります。殊に昨日政府の説明を聽くと、さらに各地區において生計實態調査、あるいは勞銀調査等によつて、相當正確な資料に基いて出された案でありまして、もちろんこれは今後千八百圓ベースを根本的に解決するところの決定案であるかどうかは、まだわれわれは想像がつかぬわけでありますが、大體少くとも過渡的措置としての月二百圓給與、計六百圓給與に對する標準としては、一應比較的合理的な基礎が、その後の實情において立てられたように思つておるわけであります。證人はこの點について、その後の事態においても、何ら修正を加える必要はないものだと認められるかどうかお聽きしたい。
○今村證人 修正の必要を認めてます。認めますから最低賃金制度の確立を要求しておるのであります。その點について政府側とわれわれとの間に解決できないような、むつかしい問題が殘つておるわけなのであります。それへもつてきて暫定的に解決しない問題を、政府は一方的に取極めるということは至當ではないか。それと、大體日教組の計算によるところの案を御覽になりましても、以前の千六百圓水準におきましても、三割、二割、一割の差がついておりまして、そうしてしかもその差が妥當であるかどうかということは、今言う通り妥當でないと考えておりますから、要求いたしておりますが、その妥當でないにしろ、そのもとのものにつけ、なおこのものについては十二割、九割、六割、三割、二割の差をつけるということは、このわく内において最低生活をやれという政府自體の説明では、一般の地方、甲地、乙地、丙地の者は絶對に承服できないのではないかと考えられます。
○北村委員長 お諮りしたいのですが、どうも先ほどからの質疑應答は大體同じ線を繰返しておるような感があるので、日教組の代表者として出られた證人にこれ以上質疑をされても、結局同じことを繰返すのではないかと思います。それでこの邉で一應證人に對する質疑を打切つてはどうか。こういうふうに考えますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議ないようでありますからさようにいたしたいと考えます。それでは證人に對する質疑はこれで打切ることにいたします。今村君、どうも御苦勞さまでございました。
○相馬委員 ただいまの證人の今村君は若いので大分あがつておるような感じがするが、實は教員組合の責任をもつておる者に私が聽いたところによると、こういうことです。
○北村委員長 ちよつと待つてください。今責任ある者がみずから證言したのですから、それの補足であれば委員がなすべきではない。
○相馬委員 參考に……。
○北村委員長 參考ならば別の機會に願いたい。日教組の代表が證人としてきて説明したのですから、これを補足することを委員がなすのはいけないと思います。今言つたことを補足するという前置きにおいては、委員としてなすべきではない。
○相馬委員 私の意見です。
○北村委員長 あなたの意見ならばよろしい。
○相馬委員 これは二百圓、三箇月分六百圓、それを配分するその案として政府案は、きわめてこれは妥當ではない。これは日教組の今の證人が言つておるように、六對一というようなところはどこからも出てこない。同時に内閣の統計局からの資料も、一部の組合員の意見をもつてしたというけれども、こういう常識的にうなずけないような統計というものは、統計で數字があるのだから正しいと言われても、われわれにはどうしてもこれは腑に落ちない。そうしてこのわけ方は、千六百圓というベースがきまつたときには五つの階段でなくて、四つの階段になつていたはずでありまして、特、甲、乙、内となつていた。そのときには、特は〇・三、甲は〇・二、乙は〇・一、丙は〇・一という計數をもつてするのが千六百圓案に した者に對するわけ方であつたはずであつて、こういうような煩雜な、しかもひどい差額を設けるような政府案がどうして出たかということを私は疑うものでありますから、これは政府の方から確實な資料をいただかなければ、私は委員として絶對に承服できない。かつまた苫米地委員が昨日非常に重大な問題として、あとで紛爭等が起きたときには一體けんか腰でやるのか、どうでも好きにしろというのかと言つたところが、昨日の代表は、そういうことは言わないとはつきり苫米地委員に答えておるけれども、ただいまの日教組の證人の言うことを聞けば、官待ではそこまで決定していない。それでは昨日の證人がでたらめだと思わざるを得ない。從つてわれわれとしては大藏當局から完全な資料を出してもらわなければならぬ。それからまたその上で判斷しなければならぬ。まことに食うに困つておる人たちに氣の毒ではあるけれども、今のところでは判斷の資料がきわめて私は不十分だと思う。それで委員長を通じて、大藏省から完全な資料を出してほしい。これは私の意見です。
○山口(喜)委員 なお私は委員會として最後のはらをきめる必要もありますので、ただ一點だけ證人に聞いておきたいと思うのですが、お許しを願いたい。
○北村委員長 今證人に對する質疑は打切ると申したのですが、ただいま最後の一點についてもう一つ證人の答辯を得たい、こういう山口君の御發言であります。これはなお入念にそうした方がいいと思いますが、さつきの一應打切るということを取消して、もう一囘證人の證言を求めたいと思いますから、御了承を願いたい。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 それでは今村君、もう一度願います。山口君。
○山口(喜)委員 ただいま私が最も疑問とする點は、今村證人は日教組の觀點から強く配分率に反對の意思を表明しておられますが、その日教組を含む全官待のその會合において、かくのごときことは將來も勘案して決定される性質のものではないかしらんと思う。そこにおいて私は中途からはいりましたので、そのあやがちよつと了解しにくい點がありますのでお尋ねするのでありますが、日教組を含む會談においてお話が出て、そこで強く反對の意思を表明し、その原案が作成されるまでに、組合側としては大藏當局と十分折衝さるべき性質のものであり、將來ともさような線に沿つて、かくのごときことを決定する方が勞働組合の發達の上においてもきわめて妥當なことではないか、かように思う次第でありまして、その間のいきさつなり、あるいはその會議の性質なりについて、なおひとつ十分にわれわれに了解のいくように御説明を願いたい、かように思います。
○今村證人 簡單にお答えいたします。各組合の態度は前に申し上げましたが、千八百圓の今度の問題には關與しないという根本態度が大體とられておつたのであります。從つて官待に對しまして政府から申入れがありましたけれども、政府の期待するところの囘答がなされないという結果、あの覺書の線以外に、何らその間において公式にはないはずであります。覺書によればなお政府の配分方式について責任を追究し、民主的な意見を強硬にもつていくということは、各組合としては自由である。そういうふうに繰返されて今日まで至つておるわけであります。
○山口(喜)委員 ただ私の憂うることは、この委員會においてわれわれが決定する上において、將來とも勞働組合の發達に害を及ぼすというような禍根を殘したくないのであります。だから少くとも大藏當局としては全官待の申出を採擇する方が一番無難であるというような考えに相當傾いておられるように考えられるのであります。でありますからそれをさらに今一囘會議を開き直す、そうして皆さんのなつとくのいく線で、さらに大藏當局と折衝されるというような時間的な餘裕、あるいはその會議の含みは殘されてないのであるかどうかというような點についても、一應承つておきたいと思います。
○今村證人 ただいまの山口代議士の御意見に對しましては、われわれとしてよく了解するところであります。われわれはそういうことが望ましいとも思うし、それに關しましては大藏當局はもとより、政府も今後われわれ組合とともどもの調査機關設置というようなことも、給與局長はすでに言明せられておりますので、そういうことは望ましいと思います。本問題に關しましては、それ以上のことに關しまして私としては答辯できないのであります。
○宮幡委員 證人にお尋ねするのではありませんから、證人に對する質疑は打切つていただきたいと思います。
 昨日來の各證人の證言に基きまして政府當局に御質問いたします。特に本日の證人、日教組の代表者の證言を伺つておりますと、まずこの給與の問題の根本をなすものは流通秩序の確立という問題であります。千八百圓ベースが物動計畫の一環として出されている以上、マル公が全國に相違がある。相違がなければ給與に差別をつける必要がないではないか。さすれば從來の資料の第三號に計上されております算術的計算によつてこの臨時給與をなすべきである。かような論據であります。個人といたしましては證人の言の通りだと私は信じます。しかるところ實情は流通秩序は不確實でありまして、しかも新物價體系はいつになつて確立するものか、一向にこれに確信をもてない次第でありまして、この點につきまして政府當局が不日新物價體系を實施し得て、生活必需物資がマル公をもつて日本全國あまねく平等に給與される自信があるならば、私はまずもつて日教組の代表者の御證言に賛成したい。もしないならば政府當局の案をまた考えてみなければならぬ。特に政府の責任において支出しろというような言葉が證人によつてたびたび繰返されておりますが、現在の憲法下におきましては、政府獨斷をもちまして支出し得る財政支出は、ほとんどないと確信いたしております。政府の支出するものはすなわち國會の議決をまたなければなりません。政府の責任において支出せよということは、すなわちその責任が國會にあることになると存じますので、不安定な基礎のもと、はたして流通秩序が確立するものか、新物價體系が浸透するものか。一向にして基礎の確立しないところにおいて、この給與の割合を審議することは時期尚早だと私は考えます。さような意味において當局の秩序が確立するものか、この資料の三に基く舊來の算術的配分方法を是とするものか。あるいは新物價體系が浸透しないことによつて、やむなく一對六というような、きわめて不穏當と考えられるような率を實行しなければならないものか。御當局の説明を伺いたいと思います。
○今井政府委員 申し上げます。流通秩序の確立云々という問題は、この際私から申し上げまするよりも、いずれ適當の機會に責任大臣からお答えがあると思いますが、われわれ事務的に給與配分案を考えます際には、ともかく現實の生計費の姿というものに最も重きをおいて配分しておりますることは事實であります。のみならず今囘の千六百圓から千八百圓へ引上げました際、給與審議會において政府側の説明いたしましたところでは、私擔當でございませんので正確なことは申し上げられませんが、聞いておりますところによりますと、全部のものをマル公で残らず配給するといつたことは、政府側でも申しておらぬように承つております。ただ從來よりもマル公で配給の部分を必ず殖やす。それによつてはねつ返りの分を少くするという考え方でございますので、千八百圓になりましたならば、その二百圓は全部マル公で配給すべきもので、マル公の値上りだけを目安にして千八百圓を配分すべきものである。こういつたような考え方は、給與審議會におきましても政府側から申し上げたことはないはずであります。私はさように承つております。それで千六百圓の水準自身が現實の生計費の姿というものを基礎にいたしましたと同じような意味におきまして、私ども十八百圓水準の配分につきましても、これはもちろん時々刻々變つてまいりますものでありますが、その姿になるべく遲れないように、その姿に應じて配分することが、給與配分の衝にあたるわれわれの責任だと、かように存じております。
○宮幡委員 生活の實態に即して給與することがよろしいというような御説明でありまして、流通秩序の確立も、あらゆる生活物資に及ぶべきものでないというお答えのように考えられますが、それでは現在支給せんといたしますこの臨時給與というものは、根本的において遡及支給のものであります。およそ賃金的性質を帶びますものが遡及して給與されました場合に、職務の能率を向上したり、あるいは生産力を増大したりする效果のないことは、あえて先人の教えをまつまでもございません。ただ實にお氣の毒な立場にあります政府職員に對する給與でありまするから、われわれはその根本的な歴史を忘れまして遡及給與の問題を研究しておるのであります。しかるのにそれが不安定な――まあ實際に即してやるべきだ、あるいは流通秩序が確立するのか否かはつきりせぬ、二百圓はマル公の生活の全部の資金であるというような基礎不確實のもとで、しかもそれが各委員から證人に對する質疑の間にも起りましたように、何か日本の發展途上にあります勞働問題と政府の執行部との間に、いきさつを巻き起すところはなかろうかと想像せられるような事態まではらんで、かような不確實の案をここで審議することは一切無用であると私は考えます。よろしくもつと立派な資料と、もつと立派な理論のあるものを提案して、われわれの審議に付していただきたいと存じます。
○小坂政府委員 先ほど今井政府委員からお答え申し上げたのでありまするが、本來なら私が申し上ぐべきところもあつたと思いますので補足いたします。ただいまのお話にもございましたが、流通秩序の確立というようなことは一體自信があるのかどうか、こういうお話でございまするが、私どもはこれをぜひ確立しなければならぬと思つて努力をいたしておるわけであります。全體といたしまして、何度も本委員會で申し上げまするように、健全財政の線を堅持して、健全金融をしていこう。これがインフレに對する根本方策であります。この根本の方策を推し進め、かつ流通秩序を確立するために、先般マル公の改訂等もいたしまして、戰後において不健全な心理、不健全な經濟というものがやみ經濟に流れていたものを、できるだけマル公に追い込むという努力をいたしておるわけであります。昨日も御審議いただきました政府支拂のやみ廢除という問題も、豫算委員會でございましたがこの一環としてお考え願いたい。ただ問題はこういう經濟の運行を、われわれがこの一點で即時に食い止めるということには、これはなかなか困難が伴うのでありまして、その間にどうしても時間的なずれを考えなければならぬ。このずれはなるたけその期間を短くし、早く經濟を健全な秩序に建て直すためにわれわれは常に努力をいたしまするが、現實の問題としてはそのずれを認めなければならぬ。そこでその現實のずれのある間、今給與局長の申し上げましたように、いわゆる實情に即してということにならざるを得ないのじやないかというふうにも考えるのであります。その實情とは何かということで、できるだけ完全なる資料を整えまして、そうして數字的な根據に基いて配分を決定するという努力をいたしておるわけであります。全般的な問題といたしますと、日本における統計というものは未だ不備でありまして、ただいま統計事務局におきまして、早く日本に世界に恥かしくないような統計資料をつくるということを日夜努力いたしております。またこれはどうしてもやらなくてはならないことでもありますし、アメリカにおきましても非常な援助と好意を與えてくれておりますし、逐次統計資料を確立してきております。全般の問題としてそういう状況でございますので、私ども決して完全無缺なものだとは考えませんが、ただいまのところにおいてはこれ以上の方法はないのではないかというふうな努力をいたしておるつもりでおりますから、さような意味でひとつ御了承願いたいと思います。
○宮幡委員 今小坂政務次官からのお答えは、私にも政務次官の心持は大要くみとれます。また私の氣持も政務次官におくみとり願えたものと存じますが、ただ一點、それでは六對一という給與比率を實施することは、流通秩序の確立に見込なしということを、大藏省みずからが保證するものであるかどうかということについて御説明を願いたいと思います。
○小坂政府委員 お答え申し上げます。われわれはそうは考えておらないのであります。インフレ下の生活の現實について、お互にお氣の毒である。少しでも餘計に差し上げたい。また早くインフレを撲滅したいと思う。しかしながらそこに一應の現實の問題といたしまして、地域によりまして物價の差があることを認めざるを得ない。その物價をどういうふうに捕促するかということについて努力いたしておるわけであります。ただ將來の問題として、こういうことは救い得ないことであるというふうには考えていないのであります。過去の事實においてそういうことがあつたのは遺憾とする。しかしわれわれ政府全體の問題として、早く流通秩序を確立しなければならぬという非常な決心をもつております。もちろんこれは政府とか、大藏當局とか、そういう局部的なものがいくら努力いたしましてもだめでありまして、國民全體が早く健全な流通秩序の確立をするのだという氣持になつてくださらないと、これはとうていできない。日本國民全體の健全な意識の問題だとお考え願いたい。
○宮幡委員 要するに政府當局の御説明を伺いましても、數字的の問題に數字的資料が缺除しておるということに結論せられます。どうぞ本問題につきましては委員長に特にお願いいたしますが、給與當局と全官公組合との間にさらに御折衝を續けられまして、われわれが右なり左なり、斷定案を下し得ます資料の蒐集せられるまで、この審議を休止せられんことを切望いたします。
○小坂政府委員 お言葉を返すようで大變失禮でありますが、私どもは數字的根據に基かないということは全然考えても、言つてもおりません。この數字というものは、給與局長が全般來申し上げておりますように、官待とも大體話が、この程度の數字で政府に任すよりいたし方あるまいということになつたということは、昨日の證言でお聽きになつていらつやると思うのです。現在の數字があるとかないとかいう問題は、結局相對的に問題でありまして、日本における統計資料というものがどの程度まで完備しているかという問題と關連してくるのであります。現在の羈絆のもとにおいては、これ以上の數字はもち得ないのじやないかというほどにわれわれは努力しておるのだ、かように御了解願いたいのであります。
○河井委員 宮幡委員のお話を伺つておりますと、すでに討論の段階にはいつたような御議論が多いのであります。自由黨を代表しての宮幡君の討論的な御意見か、その點を承ります。われわれはこれを今審議の過程にあるのであつて、これを打切ろうとか、あるいはまた審議はできないとかいうような、討論的段階にはなつておりません。今政府委員に質疑しておる段階でありますから、その點委員としてよく善處せられんことを希望いたします。
○北村委員長 宮幡君にちよつと申し上げますが、今打切るようにというような御意見が出たのでありますが、これはまだ質疑の繼續中であります。それからもう一つ申し上げたいことは、ちよつと委員長の御意見を申し上げたいのでありますが、これは勞働省の給與課長を證人としてここにおいで願つて、そうしてその際、理論生計費の問題竝びに生活實態調査の問題については、かなり統計的な根據に基いて相當詳しい話を私どもは聽いて、かなり參考になつたと思つておるのであります。それから給與課長の説明もまた、日本の現在における可能的な範圍においての生活實態的なものに裏づけせられた説明も聽いたので、それで今のお話で、どうもそういう點が非常に足りないから打切ろうじやないかという御廢言は、今その時期でもないし、委員長とは見解を異にしております。私に對してのお話がありましたから一應申し上げておきます。
○宮幡委員 それではその點は撤囘いたしまして、政府委員に對する質問を續けさせていただきます。ただいま小坂政務次官からのお答えの中に勞働組合の方もこの程度で政府に任せようではないかということを言つておる、かように申されておりますが、四人の證人の方から承りましては、その點においては何ら意見がない、政府の責任において支給しろと申しております。ここは重大な齟齬でありますから、一應お答えを願いたいと思います。
○今井政府委員 この問題が官待で取扱われましてから今日に至りました經過は既に申し上げてありますが、もう一度繰返して申し上げます。政府は今囘、でこぼこ整理の資金と、二百圓の差額補給金として六百圓の金を拂おうというような意思表示をいたしましたのは、八月初めころであります。でこぼこにつきましては、日教組も含む各代表委員の方々から非常に活發な御意見がありまして、政府の提案は非常にそこで直りました。ところがこの二百圓の方の問題につきましては、きようの證人の發言にもございましたように、千八百圓水準の承認いかんと絡まる問題でありますがゆえに、組合側としてはどうしてもこれに對して配分案というものを申し述べるわけにはいかない、かような立場を堅持されました。私ども數囘にわたつて、その點非公式でもいいからひとつ協力を願いたいという申出をしたのでありますが、遂に組合のお立場上、そういつたことは伺うことができませんでした。私は現在の組合の立場から申しましてこれはやむを得ないことと了承いたしました。なおその間に事務の者がつくりました假試案――この假試案は今囘の案と大差のないものでありますが、この案は非公式に組合の方にお示しはいたしておきました。これに對しても何等の御意見も積極的に伺うことができませんでした。そのうちに、九月十九日になりまして、官待におきまして、各組合代表參列のもとに、正式に調印が覺書として交されたのであります。その際に、政府の一方的な配分案でやつてもらう、それに對して組合側として異議を述べない、こういつた趣旨の協定ができ上りました。しかしながら、組合としてもこれは非常に關心をもつておるから、覺書には明示しないが、その案が確定したらぜひ見せて欲しい、かような御要望でありました。この案ができまして、二十六日の官待の小委員會におきまして、各組合一人ずつ代表が見えておられる所でその案を示しました。非公式に大體笑つて別れるような樣子に伺いましたが、正式には組合側としてやはり意見を述べない、こういう立場をとつております。そうして翌二十七日に總會の席でこの案を報告した次第であります。今まで何囘も政府側からは、これに對する意見を述べてもらうために、一箇月以上にわたりまして努力をいたしましたけれども、それが不幸にして現在の千八百圓水準の議論と絡まつたがために、組合側の御意見を伺うことができなかつたのであります。そこでやむを得ず私どもといたしましては、いろいろの資料や、從來から組合その他各方面から伺つておる事情等を參考にいたしましてこの案をつくりました次第であります。たとえばでこぼこ整理の問題にしましても、各省々々、各組合のよつてはなはだしき利害の錯綜した問題であります。從いましてこういつた案を求めます際には、なるべく最大公約數に大體のところが收まるようなところに、われわれとしては筋を引かなければなりません。そういう意味合いにおきましてこの二百圓の案につきましても、私どもはこの目標とするところは最大公約數で收まるところで、むろんこういつた利害得失の錯綜する問題につきましては、どうしても二〇%や三〇%の不平の方ができることはこれはやむを得ません。この點がとにかく大部分の人の最も收まるところということで、具體的な數字を研究してはじきました次第でありまして、組合側からは正式に何らの御意見を伺つておりませんが、非公式には昨日の證人の一部の方が申されたように、了承しておる。また組合側としても組合内部でこういう案をつくることは、現在の組合の立場上できない。組合内部が結局分裂するおそれもある。そういうような御事情も政府に一任された一つの理由にもなつておるようであります。つけ加えておきます。
○宮幡委員 ただいま政府委員の御説明によりますと、原案の六對一を實施した場合にも、ある程度の――正式ではないが非公式には笑つて別れておるから、大體了解を得ておるので、すべての點で平靜にいくのではなからうかと考えておる、かような御趣旨承りますが、さように了承してよろしゆうございますか。
○今井政府委員 結構であります。
○宮幡委員 質問は終ります。
○北村委員長 この際ちよつとお諮りしたいのでありますが、共産黨の林百郎君から、特に發言をしたいという申し出がありまして、これを許すか否か委員會に諮りたいと思います。
    〔「別に發言を阻止することはないだろう」と呼ぶものあり〕
○北村委員長 それでは委員長において許可することにいたします。林君。
○林百郎君 私どもの黨は委員が出ておりませんから、たいへん皆さんに御迷惑をおかけするのでありますが、一點だけ聽かせていただきたいのであります。これは御承知の通りに全官公の組合の方では、この千八百圓と千六百圓の問題とは別に、生活補給金の赤字補填を要求をしておるのでありますが、このたびの法案によつてこの赤字補填の要求は一應無視されて、これだけで全官公の勞働組合の要求、いわゆる生活補給金の要求が解決されると考えていいのかどうか。これは千六百圓を千八百圓に上げたその二百圓の不足をこの際補うというだけで、生活補給金の方はまた別途に考慮するということかどうか、その點を辯明していただきたい。
○今井政府委員 申し上げます。乙地を基準として本人二千圓、家族千圓、こういう生活補給金の要求が正式に、全官公廳の組合から八月の十九日に政府にあつたのでありますが、それに對する政府の正式の囘答は、その面に關しては政府として千八百ベースの堅持の建前からお支拂いできない。遺憾ながら要求に應じがたいとかように申し上げたのであります。ただそれとは別個に、從來から政府として支拂うために用意しておつたのであるが、いろいろの關係から支拂えなかつたでこぼこ整理の金、この金が一人當り全體をつつくるみまして約千圓ありますが、その千圓ばかりの金と、それからただいま問題になつておりますこの金を支拂うかというふうにお答えをいたしましたところ、組合側の方ではこれは當然貰うべきものであるがゆえに、これは混同されては困るということをはつきり言つております。ただ政府としては片方の生活補給金の方はきつぱりお斷りしてございますが、今の六百圓と千圓の口は、別に兩方の協議で官待委員會におきまして技術的に相談してきめよう。かような話合いになつているのでございます。
○林百郎君 そうするとこういうように解釋していいですか、生活補給金とでこぼこ調整金については、後になお技術的に考慮して適冨の方法を講ずる。とりあえず千八百圓と千六百圓の差額金を支拂うという意味か、それとも生活補給金は斷つて、でこぼこ調整金もはつきり斷つて、ただ千八百圓と千六百圓の差額だけを拂うということですか、そこがどうもはつきりしなかつたのですが。
○今井政府委員 失禮いたしました。生活補給金の方は政府は正式にはつきりお斷り申し上げました。でこぼこ整理の金とこの六百圓の方は、政府の方としても拂う用意があり、組合の方としては受取る用意がある。從つてこの問題は、問題の性質がきわめて技術的であるがゆえに、官待の準備委員會の方で審議しよう。こういうふうに兩者の間に話がきまりました。でこぼこの整理につきましても九月十九日に、この六百圓の問題が政府の一方的の是認案によつて拂うという協定ができました日に、同じ覺書の中ででこぼこ整理の問題も解決されまして、すでにそのうち大部分は支拂を了しました。
○北村委員長 それでは本日はこの程度で散會いたします。
   午後零時八分散會