第002回国会 本会議 第15号
昭和二十三年二月四日(水曜日)
    午後一時五十七分開議
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 議事日程 第十二号
  昭和二十三年二月四日(水曜日)
    午後一時開議
 第一 國立國会図書館法案(図書館運営委員長提出)
 第二 國立國会図書館建築委員会法案(図書館運営委員長提出)
 第三 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 自由討議(前回の続)
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○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
○議長(松岡駒吉君) 日程第一及び第二は委員長提出の法案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、國立國会図書館法案、日程第二、國立國会図書館建築委員会法案、右両案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。図書館運営委員長中村喜壽君。
    〔中村嘉壽君登壇〕
○中村嘉壽君 図書館運営運営委員長といたしまして、過去久しい間にわたつて審議いたしましたこの法案の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 お手もとに法案は差上げてございますが、まず、そのうちに少し訂正を要するところがありますから、これをひとつ訂正しておきます。すなわち、第十七條第一号中「國家公務員法の適用のない者につき」とあるのを削りまして、但書を次のように改めます。「但し国家公務員法の適用を受ける者については、同法の規定に從い、且つ、当該部門の長官の同意を得なければならない。」これだけ改めることにいたします。
 本法案は、わが日本におきまして文化國家を創立する、非常に重要なる法律案でございます。すなわち、そのねらいとするところは、知識の泉であること、立法のブレーンであること、整理の元締、すなわち能率の増進をはかること、かようなところがねらいなのであります。昨年四月二十八日に公布されました國会図書館法によりまして、りつぱな図書館をつくろうという計画だつたのでありますが、この図書館はきわめて有効なものにし、そうして少し違つたものにせなければならぬというわれわれの考え方からいたしまして、先進国、すなわち欧米各國におきまして、図書館がいかに運営されておるかということをよく檢討してみますと、わが國の一般が考えておるような図書館とは、すこぶる趣きを異にしておるのであります。從來、われわれの観念におきまして図書館と申しますと、書物が集まつておる、これを読みに行くということがわれわれの通念でありますけれども、欧米各國におきましては、実は國会図書館というものは、先ほど申し上げましたような知識の泉であり、立法のブレーンであり、ものを整理するところの元締であるのであります。
 かようなものが、わが國におきましては最も必要であるところから、私ども、過去第一回國会から今國会にわたりまして、九回の委員会と二十二回の懇談会を開き、また十一回の参議院図書館運営委員会との合同会を開いたのであります。法規委員会並びにこの議会の運営委員会ともしばしば懇談をいたしまして、この法案を産み出すことに相なつたのでありますが、かような計画をすることにつきましては、先進國を範にとるというようなことから、わが衆議院におきまして、まずこれに経験の深いところのアメリカから専門家のミツシヨンをお願いをして、これに指導していただきたいということを提議いたしましたところが、さいわいに参議院の方々もこれに賛成をしてくださいまして、ただちに両議院の議長並びに両院の委員長が連署して、マツカーサー元帥にこの使節の派遣方を懇請いたしましたところが、元帥はこれを受諾してくださつて、ただちに本國にその人選方を求められた結果、ようやく、アメリカにおける最も図書館について堪能な方々、すなわちアメリカ國会図書館の次長であるところのヴアーナー・クラツプという人と、それからアメリカにおきましては図書館界のデイーンともいわれるような、非常な堪能なチヤールス・ブラウンという人を選定せれまして、この御両名が、去る十二月十七日にわが國に來られました。両氏は、その即日からこれが計画に参画をしてくだされ、われわれは、ほとんど日参をいたしまして、いろいろ相談をいたしました結果、かような法律案を遂にでつち上げるごとに相なつた次第でございます。この間に処しまして、司令部のチヤスチン・ウイリアムス博士が特に盡力をされ、C・I・Eのネルソン並びにバーネットという人々の斡旋よろしきを得まして、今日の結果を得ましたことを、非常に感謝いたしますと同時に、皆様方にこれを記憶していただきたいと思うのであります。(拍手)
 この法案の一々につきまして説明いたしますことは省略いたしまして、個個のおもなる筋をお話してみますならば、この國会図書館の館長というものにつきまして、特にわれわれは力を盡しておる次第であります。アメリカにおきましては、図書館の館長は、人によりましては大統領になるよりも名誉とする人があるのであります。また大学の総長になるよりも、もちろんこの方が適任であるならば、さようなものをやめて、これになるというようなことなのであります。現にブラウン氏のごときは、自分にある大学の総長を求められたけれども、これを断つてライブラリアンでおるんだというようなことを言つております。館長の地位は、特に政治と離れた、厳正で、人格のりつぱな人であつて、政治的に、あるいは情実によつてこの人を動かすことがないように、きわめて公平な人を選ばなければならぬということが、非常な力を入れられておるところであります。しかして、この館長は、両院議長の任命によるのでありますが、これにつきましては、両院の委員会が推薦をいたし、これらの人々と相談をして議長がこれを任命し、同時に、任命するについては議会の承認を得ることに相なつております。その待遇は大臣とひとしいことにするのでありますが、年限は、その人が職務上の何かの失策のない限りは、これを罷免せないというような、特別の取扱いが行われておるのであります。副館長は次官の待遇をするということであり、副館長の任命は館長によつてなされますが、これまた議会の承認を得るということに相なつております。その他部局長というようなものも非常によく待遇をして、これらの部局におる人々は、きわめてよく訓練をされた人でなければならぬということであります。わが日本におきましては、今ただちにりつぱな人々を、すなわち訓練をされた人々を採用するいうことはできないから、一時的にこの二箇年の間はやむを得ないとして、その間に適任者があつたならば、そういう人々は更迭して、さらに一時的の任命をせないというようなことに相なつております。
 そのほかに、連絡調整委員会というのが置かれてあります。連絡調整委員会というのは、両院の委員長と、それから最高裁判所長官が任命する裁判官が一人、総理大臣が任命をするところの閣僚が一人、これだけ加わつて、この人々が館長と相談をしまして、いろいろ図書館の運営について、そのサービスについて注意を與えるというような役目を果すことに相なつておるのであります。
 図書館の最も主なところは、リフアレンス・ライブラリーの機能を発揮するにあります。リフアレンスという言葉は、相談をすることがあり、あるいはまた何か材料を提供してもらうということがあり、いろいろな複雑な意味をもつておる、日本語に翻訳のできない言葉でありまするが、この立法のリフアレンスというのが、國会図書館の一番の眼目であります。それはすなわち、國会図書館のうちに、世界各國の、單に法律だけのことではない、科学のこと、社会のこと、工業のこと、あらゆる材料をここに集めておつて、それを研究をし、これを材料といたしまして、文化の促進をはかり、産業の高揚をはかるというような仕組なのであります。この國会図書館に期待するところが非常に多いのであります。
 皆さん方も、おそらく私と意見を一にしてくださることだろうと思つておりますが、わが國の役所に参りましても、あるいは、事業所に行きましても、事務所に行きましても、物の整頓がよくついていない。あるいは資料をただちに出すというようなことが容易にできないのであります。アメリカの國会図書館のみならず、その他の國会図書館なり、あるいは私立の図書館に参りましても、何かの材料を得ようと思えば、五分か十分の間に、ただちにその材料が提供されるということに相なつておりまするが、さような整理がついておるから事務が進捗していくのであります。殊にわれわれが非常に遺憾と思いますことは、役所に行つて、きのう出した書類を探してもらおうといたしましても、これを探すのに半日かかつたり、よくそれがなくなつているというようなことがあるので、はなはだ遺憾と存ずる次第でありますが、各國の整理の整つたところに行きますると、さようなことがないのであります。それのみならず、いろいろなことにおいて整理がついておりますから、從つて仕事の能率が上るのであります。たとえば家庭におきましても、台所のすみから、掃除をするところから、あらゆるものが機械化されておりまして、いながらにして用事が済むようになつており、整頓ができるようになつておるのであります。從つて能率が上つておる。まことに私どもは、これをうらやましく思つておるのであります。
 日本におきましても、これをやろうとするならば、できないことはないのであります。ただ今日まで、これをやらなかつたのである。わが過去の日本におきましては、予算のほとんど五割、六割というものが軍備のために使われておりました。すなわち破壊のために使われておりましたが、敗戰の今日以後は、その予算は使わないでもよいのであるし、憲法によつて戰争を廃せられたのであるから、この日本再建には、一に文化的の施設あるいは産業の高揚、社会の革新ということによつて、過去の失つたところ、停滞したところをば取返さなければならぬ状態に相なつたのであります。これを取返すということは、一にかかつて、かような國会図書館みたような設備に依存することができると思うのであります。
 この國会図書館が議会のそばにあるというだけでなしに、各省におきましても、國会図書館の支部をつくりましで、各省のいろいろな書類を、そこにまとめて、先ほど私が申し上げましたように、能率の上るように――しかも今日までは、調査書類というものは、多くは調査した人が独占するようなことになつてみたり、それがたなざらしになつておつて、だれかが見に行きましても、その材料が無為になつておることがある。私のアメリカ生活のうちに、しばしば日本の役人たちが、たとえば橋を研究に來る。シカゴに有名な橋があつて、それを研究に來るのがある。東京の都からも来る、内務省からも来る、鉄道省からも来る、あるいは大阪府からも来るというようなことで、一つのことを何人も來て、彼らがうるさく思つて、もう後には日本人には見せないという時代があつたのでありますが、こういうように重複することなしに、もしりつぱな調査書があつたならば、この調査に派遣した役所にこれを整えておつて、ガラス張りの中に入れて、だれでも見ることができるようにしたならば、さような手数を省き、節約ができるのであります。そういうようなことを、わが各省におきましても行うようにいたしましたならば、ひとり各省の人々が便利であるのみならず、われわれ國民全体が知識を得ることができ、これを普及することができるであろうと思うのであります。そういうようなことに対してこの國会図書館が非常に役立つのであるいうことを御了承願いたいのであります。
 それから、この審議の間におきましていろいろ論ぜられたことの中に、先ほど申し上げました言葉の問題、たとえばリフアレンスとか、リストとか、カタログとか、あるいはそうしたようないろいろ西洋式の名前があるものでありますから、これにいろいろな議論があつたのであります。われわれは長い間研究しまして、どうしてもぴつたりした言葉がないのであるから、原語のまま残したらという議論もありましたけれども、法律の文面におきましては、あまりおもしろくないというようなことで、そういうような文面は、日本の言葉に直したのであります。日本の言葉があるいはぴつたり來ないかもしれませんけれども、その意味は、新しい意味において、リフアレンスはリフアレンスという意味をもたせることが必要であると私どもは考えている次第であります。
 そういうようなことで、一体どういう國会図書館ができるのであるかというようなお考えがありましようが、この図書館の面積は、およそ四万二千坪くらいのものにする。それから書籍は一千万部を収容することができる。読書をする人の数が三千五百人、それから、ここに使用するところの人々が千五百人を程度とするというのでありますが、非常に厖大なもののように見えます。ちようどアメリカの國会図書館が、これと同じような規模のものでありますが、わが日本の財政において、ただちにこれを一時につくるということは、とうていできないことであるのであります。その点、皆さん方が御心配なさるかと思つておりますが、それは日本の財政の状態とにらみ合わせまして、およそ二十五年の間にかようなものが完成すればいいじやないかというような見地から、かような案が立てられてあるのであります。
 それから、もう一つお話申し上げておきたいと思いますことは、上野の図書館が、これは今國立図書館でありますが、國立図書館が二つの流れにあつてはいけないということから、これを國立國会図書館に取入れまして、來年の四月一日には國立國会図書館の支部ということになり、そうして後日は、なるべく早い機会におきまして、何か混乱の起らない範囲におきまして、これを都営に移管し、國会図書館は一本にするという行き方なのであります。かくのごとくにして、國会の一筋の図書館ができましたならば、カタログをつくるとか、リストをつくるとか、そうした整理の方法を、單に國会図書館にこれを行うのみならず、支部にも行う。かつまた別の公共の図書館が文部省管下につくられるでありましようから、そういうような所にも國会図書館が指導をして、統一したものをつくろうというのであります。こういうような整理が行われてきましたならば、今わが日本における役所で五人使つている仕事が、おそらく一人で済むのではないかと思われるのであります。そうしたことに眼目をおくのであります。
 いま一つ非常に問題になりましたことは、立法リフアレンス局というので、法律をつくるについて、いろいろな材料をここが集めてくれる。從來われわれ議員が非難を受けますのは、立法能力がないとか、知識がないとかいうようなことであり、また官僚が跋扈するということが多く唱えられておりましたが、よく考えてみますと、官僚が跋扈するということは、必ずしも官僚が跋扈するのでなしに、立法をしなければならぬ議員の人々が、彼らの知識に及ばなかつたからということであり、また議員がさような知識をもち得なかつたということは、設備が足らなかつた、さようなふうに企ててなかつたということにあるのであります。(拍手)しかるに、議会もそれに目ざめまして、今は補助員というようなものを置くようになつて、この補助員が立法の材料を集める役もむろんいたしましようし、それからまた常任委員会の方には専門委員がありまして、材料を集めておるのでありますが、これを完璧にするためには、國会図書館が非常に役立つのであります。
 こうしたことをねらつておるのでありますが、おそらくこの國会図書館というものが、今までの考えのように静的でなく、動的であり、すなわち、光の根源であると同時に動力の蓄積所であつて、これが日本の再建に最も貢献するところが多かろうという希望をもつておるのであります。從來われわれが軍備のために使つておつた金の一割でもよろしい。この方面に使つていきましたならば、わが日本の再建は決して不可能のことではないと思うのであります。願わくは皆さん、これを用いることによつてわが日本の再建ができるかということを試みていただきたいのであります。
 今存在しておる図書館におきましても、もしわれわれがかような意味に用いるといたしましたならば、十分に用いることができるのであります。たとえば石炭國管という問題につきましても、個々の今の図書館に行つて専門調査員に材料をおもらいになりますれば、これが増産になるか減産になるかということは、ただちにわかる。また政党法をどうするかという問題について、世界の各國のどこに政党法があるか、その利害がどこにあるかということを、今現存しておる図書館に行つて専門委員から調べておもらいになりますれば、ただちにこれがわかることに相なつておるのでありますから、これをどうか十分に利用していただきたい。今のうちでも利用していただきたい。これから自身で経験を得られましたならば、今後できるところの図書館に対して、十分な御利用が願いたいと思うのであります。この利用がよく行きましたならば、おそらく皆さん方は、五十年かかるよりも二十年、二十年よりも十年の間に、莫大な金を注ぎこんでも、この國会図書館というものをものにしなければならぬというお考えになることを、私は少しも疑わないのであります。(拍手)
 私はさらにここで御報告申し上げたいと思いますことは、この國会図書館をつくる途上におきまして、さいわいに東洋で非常に有名な図書館があるのであります。たとえば岩崎家のもつておつた静嘉堂文庫というものは、二十万冊の世界に類例のない漢書をもつております。この図書館は、もし現時の相場にいたしましたならば、何十億の金を出しても買えないものであります。いま一方に、同じく岩崎家の関係であつたところの東洋文庫というものがあります。これはロンドン・タイムスのモリソン氏がこしらえたモリソン文庫というものを根拠といたしまして、一つの財團法人ができて、今東洋文庫というりつぱなものになつておりますが、これが八十万冊の蔵書をもつております。これも、数十億をもつても購うことができないのでありますが、さいわいに幣原喜重郎先生の御盡力によりまして、この二つの図書館は、わが國会図書館に移管されるという了解を得まして、今その手続中であります。これらの図書は、中華民國において、あるいはまたイギリスにおいて、オーストラリアにおきまして、何とかして手に入れたいというような希望をもつておるのでありますが、ほんとうに二つとほかにないようなものであります。かのようなものが手にはいつたということにつきましては、われわれ非常に喜ばしく考えるのでありますが、これをこのついでに御報告し、かつ感謝しておく次第であります。(拍手)
 重ねて感謝いたしますことは、これに手傳うために、はるばるアメリカから來てくださつたクラツプ氏と、ブラウン氏、並びにこれに盡力してくださつたウイリアムス、ネルソンあるいはバーネツト氏に対して深き感謝の意を表すると同時に、私どもこの國会図書館の委員会は、昨年の暮から一日も休むことなく、クリスマスといえども、日曜日といえども、あるいはまた元日といえども、これに努力をいたしてきたのでありますが、われわれは別にいたしまして、特にこの事務当局が非常な努力をされたことに対しまして、感謝しておかない次第であります。(拍手)
 かような経過でございますから、日本に光をもち來さしめ、日本の再建をするについて最も有力な法案だということをお考えになりまして、何とぞ御審議を願いたいのであります。
 これに関連いたしまして、もう一つの法案、すなわち國立國会図書館建築委員会法というのがありますが、これも併せて御審議、お考えくださらんことを切にお願いいたします。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 右両案を一括して採決いたします。両案とも可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案とも可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第三、復興金融金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右ェ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 復興金融金庫は、当初百億円の資本金をもつて発足し、昨年四月これを二百五十億円に、さらに九月に至り、これを五百五十億円に増額して今日に至つているのであります。もとより金庫の行う貸出は、日本経済再建のために必要な資金であつて、他の金融機関から融資することを困難とする資金の供給に限られているのであります。石炭、鉄鋼、肥料、電気等、今日その再建を喫緊とする基礎産業に対し、重点的に融資されてまいつたのでありますが、これらとともに、中小工業の育成振興についても、常に積極的な努力を拂つているのでありまして、昨年末の融資実績によりましても、いわゆる中小工業と目すべき三百万円未満の貸出件数は、二千三百二十件、十七億余万円に達し、公園及び石炭関係を除く一般産業融資に対しては、件数において六六%、金額において一〇%を占める現状であります。一方、所要資金の調達、特に復興金融財源の関係については、市中消化にその全力をあげており、昨年十二月より好轉の傾向をみせておる次第であります。
 このたびの改正案は、以上の諸種の事情を十分勘案の上、さしあたり本年度末までに必要とする最小限度の資金を見込み、資本金の増額を実行いたさんとするものであります。すなわち昨年末において現在の資本金五百五十億円は、おおむね当初の予算の通り九十億円程度の余裕を残すのみとなりましたので、本年度末までの貸出増加額を見込み、愼重檢討の上、この際百五十億円を増加して、七百億円に資本金を増加することを適当と考えたのであります。
 なお、この増資所要額の見込みをたてた際には、新たに設立を見た食糧公團ほか四公團の所要資金は、一應市中金融機関によつて調達することとして除外いたしてあります。なお、今回の増資に伴う政府出資の拂込みについては、最近の債券消化状況及び今後の消化向上の見透しも考慮して、この際増資分につき新たに政府拂込みをとらないこととしております。
 本案は、去る一月二十七日本委員会に付託せられ、翌二十八日政府の説明を聽き、さらに二十九日より三回にわたつて愼重審議を重ねましたが、特に社会党の川島、田中、川合、佐藤の諸委員、自由党の塚田、青木両委員、民主党の梅林、中曽根、細川、大上、栗田の各委員諸君、國民協同党の内藤委員及び第一議員倶樂部の石原委員等より、復金の融資状況について終始熱心なる質疑があり、政府よりは、融資分野の適正なる配分と國民貯蓄の増強により努めて市中金融難関の活用をはかり、もつて復興金融金庫依存の傾向を極力抑止するとともに、必要資金の貸出も必要最低限に止め、他方復金債権消化のためには、さらに万全の処置を講じたい旨の答弁があつたのであります。復興金融金庫融資の問題については、とかくの批評もありますので、さらに慎重審議する必要があるというので、その業務内容を調査することに決定をいたしました。
 なお昨日懇談会を開き、復金当局と忌憚なき意見の交換等もいたしましたが、かくして論議はほとんど盡され、続いて討論に入り、社会党を代表して島田晋作委員より、國政調査に並行して復金の機構及び運営方法等については巖正な檢討を加える必要があるので、小委員会を設けよという強い希望があり、これに対して民主党梅林時雄君、自由党淺利三朗君からそれぞれ、本案には賛成する、またただいまの島田君の希望に対しては同調したい旨の御説があり、さらに國民協同党の内藤委員よりは、農業復興に要する資金、特に長期固定資金は一般金融機関よりの融資がきわめて困難である現状に鑑み、政府は速やかにこれの打開方策を立てて、これを國会に提案すべきであるとの、これも強い希望意見があつたのでございます。かくして採決の結果、全会一致をもつて可決いたしたのであります。
 以上、簡單ではありますが、委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○議長(松岡駒吉君) これより前会に引続き自由討議を行います。
 佐々木秀世君、発言者の指名を願います。
○佐々木秀世君 同志クラブは、庄忠人君を指名いたします。
    〔庄忠人君登壇〕
○庄忠人君 私は同志クラブを代表いたしまして、行政機構、人員に関する問題に触れて、簡單に討議を行わんとするものでありますが、その前に、政治の全般に対して一言述べたいのであります、
 今日の政治において、国民生活の安定ということが最も重要であるということは、論をまたないのであります。実情を見ますと、一部の官辺ややみ商賣の関係者には、この経済混乱期に乗じて、不当な利得によりぜいたくな生活をしておる者があるかもしれませんが、大部分の國民大衆の生活は不安困窮の極に達しておりまして、不平不満が天下に充満しておるのであります。実に今日の世相世態は不愉快と不安に満ちておる状態であるということは、申すまでもないことであります。これ、ひとえに政治の貧困によることでありまして、このままの状態が進んでまいりますと、前途には生活恐怖と民族の滅亡が迫るのみでありまして、まさに今日の政治のやり方は、あらゆる面から見て、総合点は落第であると断じて差支えないのであります。(拍手)政府は責任上、速やかに退陣せられてしかるべきであると考えるものであります。(拍手)片山首相は、この点十分御認識の上、用意をせられておることとは思いますが、なるべくお急ぎになつたがよろしい、こういうことを、國民の名においてここに要請しておく次第であります
 さて、政府施策のよろしからざるために、インフレはますます高進しつつあるのでありますが、このインフレの重大なる要素であるところの厖大なる官廳事務に対し、一大整理を断行しなければならないということは、國民の輿論であつて、最も要望せられておる事柄であります。われわれは、先般齋藤國務大臣が本議場でなされたところの行政整理に関する御答弁によるのみでは、決して納得し満足することができないのであります。この問題は、なかなか大きな問題でありますから、事例をあげればたくさんあるのでありますが、煩を避けることといたしまして、私はここに、官吏の数を減らさなければならないということが現在の一般常識であるということだけについて考えてみることといたします。しからば、これに逆行して、かえつて増員するというようなことがあつたといたしますならば、まことに遺憾千万と申さなければなりませんから、私はこの点に関し、関係当局、特に水谷商工大臣に対しまして、念のために一言いたしたいと思うのであります。
 御承知の通り、臨時石炭鉱業管理法が來る四月一日より実施せられることになりました。私の郷里宇部市にも、石炭局ができることになつているのであります。去る休会中帰郷の際に聞くところによりますと、同石炭局には、約三百人の局員が來られるということであります。ところが、これまで同地方においては、鉱業会の事務員約五十人によつて、山口縣下五十余りの炭鉱の総合事務を運営しているのでありますから、この三百人という員数は、実に多過ぎるという感じがするのであります。もつとも同石炭局は、大阪以西の数縣を管轄するのでありますから、相当の人数を要することは当然でありますが、われわれの常識をもつてするならば、よほど甘く見たところで、せいぜい鉱業会の倍数の百人ないしは百五十人程度の人員で、十分機能の発揮ができると考えるのでありまして、この点、はなはだ了解に苦しむところであります。このことは、官僚行政の通弊を如実に現わしているものであると痛感いたしますがゆえに、大臣並びに当局の猛省を促しておきたいのであります。
 なお、石炭局員に対する給與の問題について考えてみたいのでありますが、同局は、かねて政府言明の通り、局員の半数以上を民間から起用することになるはずであります。しかし、千八百円ないし二千七百円ベースでは、われわれの地方で優秀な民間人を起用することは、とうてい望み得ないということを申し上げておきます。何となれば、現在鉱業会事務員の給與が四千四百円ベースでありまして、大体似通つた仕事である関係上、優秀な技術をもつておつて、現在の官吏のごとき低額な給與で甘んじてその官吏になろうというような篤志家は、まずあるまい、と考えなければならないのであります。また、炭鉱における給與は相当高額でありまして、重労働でないところの老人や女といたしましても、二千円や三千円になるのでありますから、石炭局が、それ以下の低額で優秀な人物を採用するということは、とてもできない相談であるということが明白であります。從つて、いたずらに人員を多くするということは、非能率な形式主義に流れる、旧態依然たる官僚独善の弊を繰返すばかりで、民主的運営は期し得られないのであります。石炭の増産を助長するどころか、かえつて阻害する結果を招來するおそれがあります。
 かるがゆえに、どうすればよいかと申しますと、思い切つて人員を減らすとともに、待遇をうんとよくすることによりまして、眞に國民の公僕としてはずかしからぬ、熱と誠と技能のある優秀な民間人を起用すべきであると思うのであります。(拍手)現に石炭廳の仕事についても、若手官吏の中には、今の半分の人員で十分やつていけるということを申しておる者もある状態でありまして、私は、それがほんとうであると信ずるものであります。私は、なお進んで全官吏の人員を三分の一に減してもやつていけるような機構をつくらなければ、われわれ國民はとうてい救われないということを思うのであります。その代り、待遇はうんとよくする必要があります。
 歴史を顧みるとき、およそ亡國の原因として、官吏の腐敗と増加が取上げられるのであります。戰前フランスの官吏は、國民二十人に対して一人の割合であつたのでありまして、非常に弱い國となりましたが、わが國は、現在七人に対して一人となつております、この上各種の公團法が実施され、石炭の國家管理等によりまして、なお増加するといたしまするならば、國民四人ないし五人に対して官吏が一人おるというようなことになるのであります。われわれ國民は、四、五人で一人の官吏を養うために苦しまなければならぬというようなことになりますと、まさに亡國そのものであるといわなければならぬのであります。(拍手)
 政府は、かくのごとき状況をいかにして打開するか、所信を問いたいと思うのでありますが、現弱体内閣に大きな期待をすることができないのを、はなはだ残念とするものであります。(拍手)しかし、私はこの際、政府がいたずらに官僚に引ずられて、機構や人員を殖やすというようなことがあつては、それは日本再建に対して逆轉そのものでありますから、この点を十分銘記せられんことを強調いたしまして、私の討議を終ります。(拍手)
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○安平鹿一君 本日の自由討議はこの程度に止め、次会にこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 安平君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時四十七分散会