第002回国会 本会議 第40号
昭和二十三年四月六日(火曜日)
    午後四時二十一分開議
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 議事日程 第三十七号
  昭和二十三年四月六日(火曜日)
    午後一時開議
 第一 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 海上保安廳法案(内閣提出)
 第三 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
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○議長(松岡駒吉君) 日程第一、復興金融金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳石エ門君 ただいま議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案について、財政及び金融委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のように復興金融金庫の資本金は、去る二月上旬七百億円に増額いたしたのでありまするが、この資本金は本年度末までに必要とする資金の最少限度の金額で、その後当初の計画に從いまして貸出額は逐次増加し、現在すでに資本金の限度一ぱいに近く達しておるのであります。今回さらに來年度第一・四半期までの所要資金を勘案いたし、この際資本金を二百億円増加して、これを九百億円にいたさんとするのが本案なのであります。
 本案は、去る三月二十六日委員会に付託になつたものでありまして、二十九日提案理由の説明を聽取いたしましたが、現在復金は巷間問題に相なつておる関係上、審議はきわめて愼重に行われました。特に社会党の河井榮藏委員並びに川合彰武委員及び佐藤觀次郎委員、民主党の梅林、中曽根両委員、民主自由党の石原登君、塚田十一郎君の両君、國民協同党の吉川、内藤両委員等より、実に熱心にして詳細なる質疑並びに強い希望意見等が述べられ、この間五回にわたつて審議を重ねたのであります。政府側よりは、政府としては常に健全財政の方針を堅持し、かつ金庫の民主的運営を期するため所要の措置を講ずるとともに、資金貸出を抑制し、爾後の管理を適切ならしめるようにしたいと思つている。機構並びに運営の方法については、國会初め各方面において種々の御意見あるいは御要望をいだいておるので、今後とも関係方面の御協力を得て、愼重檢討の上、途次実行に移したい所存である、なお復興金融委員会の改組、金庫の人的内容の充実等も、金融界及び経済界の格段の御援助を得て急速に進めていく決意である旨の御答弁があつたのであります。
 かくて、五日午後大体の質疑を結了いたしましたが、本委員会の委員各位の総意により、政府に対して委員長より次のような諸点に関し強い要望をいたしたのであります。すなわちその第一は、農山漁村の復興のために現在の復金融資計画の中にそのわくをつくり、かつ可及的迅速円滑に長期低利の資金が融通せらるるように施策を講ぜられたい。その第二は、復興金融金庫の融資の監察については、法律をもつて國会議員を中心とする特別の監察委員会を設置し、嚴重にこれを行うことにせられたい。第三は、復金融資計画の決定に際し國会の、意向を十分反映せしむるがごとく措置することとせられたい。これがため政府は、財政及び金融委員会の復興金融金庫小委員会と常時緊密なる連繋をとり、詳細な資料を提出するはもとより、たとえば復興金融委員会あるいは同幹事会に付議する議案等は、すべて財政金融委員会の復興金融金庫小委員会に随時配付することとせられたい。第四は、復金融資の回收については、現在の計画はきわめて不満足であるから、このためには特別の部門を設けて、大幅かつ徹底的にこれを行うよう努力をせられたい。なお政府支援の促進、補給金の交付、公價改訂等財政または物價による是正措置も併せて講じ、財政の負担において処理すべきものを金融面に轉嫁することは今後絶対に愼んでもらいたい。以上のような四点をあげて強い要望をしたのであります。
 次いで、討論を省略し採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。塚田十一郎君。
    〔塚田十一郎君登壇〕
○塚田十一郎君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつております復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき、賛成の意見を申し述べんとするものであります。
 本法案の改正につきまいては、結論において賛成でありますることは、ただいま委員長報告の通りでありますが、私どもが本法案について賛成をいたしますところの氣持を、ごく平たい言葉で申し上げますならば、非常に浪費をする癖のある息子が、事業をやりかけて資金に詰まつてしまつた、今この資金を追加して出さなければ、せつかくやりかけた事業を続けていかれない、結局元も子もなくしてしまうということで、親がやむを得ず財布のひもを解いて若干の追加支出をしよう、こういうように決意をいたした氣持であります。御承知のように、復興金融金庫は昨年二月に発足いたしたのでありますが、過去大体一箇年間におきます運営の状態を見ますときに、幾多の点において今後大いに留意しなければならない点があるということを今痛感いたしておる次第であります。
 その第一の点は、復興金融金庫なる制度が、今日では一種の金融の変態的な國家管理のような形になつて、これのためにわが國の金融政策が非常にゆがめられておるということを感ぜざるを得ないのであります。御承知のように、復興金融金庫は今まで七百億の資本であつたのであります。そうして、ただいま委員長報告の通り、三月一ぱいで七百億は貸出してしまつた。ところが、全國の銀行勘定のしりにおいて見られる全國銀行の貸出がどれくらいあるかということを考えますときに、私の手もとに最近の資料がないのでありますが、昨年十一月現在では、大体千三、四百億のところにある。しかも、その十一月を基準とする、さかのぼる一箇年間においての同勘定の増加は、わずかに百五、六十億程度に止つておるということなのであります。しかるに、復興金融金庫がただ一つで、一箇年間に零から出発して七百億までの融資をいたし、さらに本年度、このたび増資になりました二百億のほかに、現在政府が予想しておりますものは大体なお八、九百億ということが考えられておるようであります。從つて、日本の今日の金融政策というものは、復興金融金庫ただ一行によつていたしますものと、全國銀行がいたしますものが、ほとんど同じ程度にまでくるというように考えられるのであります。そうして、このような巨額の金を動かします復興金融金庫の機構というものは、御承知のようにこれは寄り集りの機構でありまして、その機構は質及び量の点において、やはり脆弱であるということを申さなければならない。そういうような脆弱な機関に、これだけ巨額の金を一年間に扱わせるということは、これは日本の金融政策の將來にどうしても考え直さなければならない第一点であると考えております。
 次に第二の点は、復興金融金庫がいたしております融資は、その名前は金庫でありながら、過去一年間の実際の運用状態を見ておりますと、これには一種の國家の予算支出、そういうような性質が多分にあることを否定することができないのであります。つまり偽装的な予算支出が、復興金融金庫の手を通して、金融という形において行われておるということは、爭うことのできない事実であります。
 御承知のように、復興金融金庫の金融いたします資本金は、最初には復興金融金庫の増資という形で出てまいります。そうして、それが財政金融委員会を通過して、結局貸し出されるわけで、貸し出されますときには、その資金は復興金融債券というものによつて調達せられます。この復興金融債券の市中消化が非常に困難で、その七〇%以上も日銀引受けによつておることにも非常に問題があるのでありますが、さらにそれ以上に問題になる点は、この復興金融債券の償還期限は一年でありまして、一年後におきましては、今日の状態では、財政支出によつて必ずこれを償還しなければならない。つまり借替では償還ができないという実情になつておるのであります。現に世上にすでに傳えられております。復興金融金庫の債券の償還計画の二十三年度予算に、五百六十八億というものが載つておる。
 どうしてそういうような事態が出てくるかと申し上げますと、絶えず新しい増加資金を必要といたしますから、新しい復興金融債券を募集するために、古いものはどうしても政府支出によつて償還されなければ新しい債券の信用が維持できないということが根本の原因になつておるのでありまして、これは完全なる偽装的な予算支出であるということを申し上げ得ると存ずるのであります。
 第三の点は、復興金融資金の放出にあたつて、遺憾ながら政党色、官僚色、こういうものが非常に濃厚であるということを指摘せざるを得ないのであります。私どもの耳にいろいろうわさがはいつてまいります。そうして、それらのものを調査いたしますために、ただいま財政金融委員会におきまして、小委員会を設けて調査に当つておることは、申し上げるまでもなく御承知の通りでありまするが、私どもは必ずしもそれらのうわさを信ずるものではありません。またそれは信じたくないのであります。しかし、それらのうわさが非常に強く置く拡がつておるというし事実を考えますときに、火のない所には煙が出ないという、わが國の昔からあることわざに思い比べて、今後大いに注意しなければならない点があるのじやないか、こういうように考えておる次第であります。
 そこで次に、復興金融金庫の資本金、從つて復興金融金庫を通して行われる融資が、何ゆえにこのように一箇年間に厖大な額に上つたか。御承知のように、当初百億の資本金をもつて出発いたしましたときには、この百億の資本金が非常に大きなものであるということは、当時これの事務の衝に当つた大藏事務当局も、非常に厖大な金融機関ができたというように感じたというのであります。まさにその通りであつたと考えられるのでありますが、それがわずか一年の間に七百億円になり、そうして今後一千億円もさらに追加しなければならないという現象が出しきた理由はどこにあるか。
 その第一に考えられますものは、現在の金融政策の基本になつております市中銀行に行わせる金融を非常に抑えしおるという、このことが大きな原因になつておると申さざるを得ないのであります。御承知のように、復興金融金庫は日本再建のために必要であり、しかも市中の金融機関が融資し得ないもりを扱うことになつておる。ところが、この融資し得ないということがそもそも問題なのでありまして、市中金融機関に與えられておるわくがあまりに小さいがゆえに、ある事業を行わんとする者が、市中金融機関へ行つても金か借りられない。金を借りられないかり、今度は復興金融金庫へ來る。こういう結果になつておるものが非常に多くあり、本來の復興金融金庫設立の趣旨を、この点において逸脱しておるものがあるということを指摘せざるを得ません。
 次に、政府が当然財政政策もしくは物價政策として解決すべきもの、もしくは財政の運営の上において解決すべさものを、その解決をゆるがせにされておるために、そのしりをこの復興金融金庫にもつていつて、みんなぬぐわしておる。こういう状態が、復興金融金庫がこのように短期間に厖大な資金を必要とするに至つた原因の一つであります。
 御承知のように、政府は今非常に政府支拂というものを抑制いたしております。政府が政府支拂を抑制されますのには、いろいろな理由があるのでありましよう。しかし、政府が政府支拂を抑制されておりますために、市中に非常な金詰りがある。その金詰りのために、過去の七百億の金融の中からその金詰りのしりをぬぐつておるものが相当多量にあるということを申し上げざるを得ない。さらに物價政策が十分によく行われないために、御承知のように赤字金融というものがある。石炭業におきましては、先般委員会に提出を受けました資料によりますと、すでに五十六億の赤字金融がある。今度二百億の増資によつて石炭企業に融資される予定になつておるものから、さらに三十三億に上る赤字金融というものがまた出ていくということが、先般政府委員の説明によつて明らかになつたのであります。これらは、すベて先ほど申し上げましたように、政府の措置よろしきを得なかつたもののしりを復興金融金庫においてぬぐつておるということの実証であります。
 次に、復興金融金庫の資金貸出は非情に回收が不活発であるという点であります。このたび二百億の増資をいたします場合に、回收をどれだけ新しい資金として見込んでおるかと申し上げますと、わずかに四億五千万程度の回收しか見込んでおりません。しかも公團資金を除きまして、復興金融金庫の金がいわゆる流動資金として出ておりますものは、百七十億を超えるほどあるのであります。百七十億も超えるほどの流動資金がありながら、來るべき三箇月間に、たつた四億五千万程度しか回收ができないというのは、いかにしてもわれわれのふに落ちない点であります。(拍手)
 このように回收が非常に緩慢である、がゆえに、借りた側からは、どういうような考え方を復興金融資金に対してもつか、復興金融金庫の金は、借りたらもらつたも同然だということが、世間一般の問に廣く拡がつておる考え方であります。これは回收をもつと徹底的にやるということでなければ、そういうようなうわさを打消すことはとうていできないのであります。これらの点につきまして、政府に十分なる今後の御注意を望みたいと考えるのであります。
 以上申し上げましたようないろいろな点が、委員長代表質問の形で委員会において行われ、それに対して政府から一應誠意ある御答弁がありましたからして、私からはここに繰返して申し上げませんが、なおその中に表現せられておらない二、三の点につきまして、補足的に申し述べたいと存じます。
 回收に全力を盡していただきたいという点につきましては、特にこういう点に御留意願いたいと存じます。復興金融金庫の融資の実際の運用のしかたは、当初よりも最近は確かに嚴格になつておるのであります。從つて、貸出される業種におきましても変化を見ておるのであります。当初貸出されました業種で、今日貸出さないことになつておる幾多の業種があるのであります。このような業種に貸出されておる資金は、ぜひともこの際相当峻烈に回收に努力願いたい。さらに現在貸出になつておるもので、当初貸出のときに、いかなる計画によつて回收されるかという計画があつたはずである。その計画の時期が來ておりながら、そうして返還予定の資金が当該事業にはいつておりながら、回收のできておらないものがあるのであります。これはぜひとも、この際相当徹底的に御回收を願いたい。さらに回收のための機関として、復興金融金庫内に十分強力な機関を設けていただきたいということ。
 最後に、今度の二百億の増資は、ただいま申し上げましたように、新しい必要に対して、一應全部必要だけを認めたものであります。從つて、今後政府の努力によりまして回收せられたものは、先般計画に載つておる四億五千万円、それを除きまして、新たに回收せられたものは、少くとも來るべき三箇月、つまり第一・四半期の復興金融金庫の貸出資金として流用せられることを、われわれは希望いたさないのであります。なぜならば、二百億の計画は、政府が必要なものを全部認めたものでありますから、新たに努力によつて回收されたものは、第二・四半期以後、新たに増資さるる際に、これを新たなる資金として計画の中に入れられんことを切に希望いたします。
 以上を申し述べまして、簡單に賛成の討論といたしたいと思います。
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、海上保安廰法案、日程第三、警察法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
    〔坂東幸太郎君事登壇〕
○坂東幸太郎君 ただいま上程せられました海上保安廰法案に関し、治安及び地方制度委員会における審議経過の概要をこれより御説明申し上げたいと存じます。
 まず、本法案の提案理由を要約して申し述べますと、今日のわが國の海上における航海の安全と治安の維持とは、終戰後の諸般の事情から、はなはだしい不安と危險とにさらされているのでありまして、これに対処し得る制度組織が存在しておりませんので、散在せる船舶、通信設備その他厖大な物的施設を一元化し、一元的責任のもとに、包括的総合的の権限を行使せしめるために、一個の行政官廰を設置する必要があるのであります。もつとも、今日まで関係方面の了解のもとに、臨時的の措置としてやつていなのでありますが、今回最も進歩せる他國の例をも参考として、画期的の制度を立てんとするものであります。
 海上保安廰法案は、かような観点から立案されたものでありまして、まずこれを運輸省の外局とする。全文四章四十三條より成り、第一章には組織、第二章には海上保安委員会、第三章には共助に関する事項を規定し、第四章は補則となつており、これに附則が添えられてあります。この法律施行の期日は、政令でこれを定めることになつておりますが、その期日は、本年五月一日以降であつてはならないのであります。
 まず組織といたしましては、海上保安廳は中央機構と地方機構とにわかれ、中央機構は、長官官房、保安局、水路局及び燈台局からなつております。地方機構としては、全國を九管区にわかち、これを北から申しますと、小樽、塩釜、横浜、新潟、名古屋、舞鶴、神戸、廣島及び門司に、それぞれ北海、東北、関東、新潟、東海、舞鶴、近畿、中國及び九州各海上保安本部を置くものであります。
 海上保安廳の職員の総数は一万人以内に限定せられ、その所有船舶は、港内艇を除いて百二十五隻、総トン数五万トン、各船千五百トン以下、速力は十五ノツト以下ということになつております。
 海上保安廰に海上保安局を置き、船舶の安全に関する法令の海上における励行並びに船舶職員の資格及び定員に関する事項、船舶交通の障害除去に関する事項、海難の際の人命、積荷及び船舶の救助並びに天災事変その他救済を要する場合における必要な援助に関する事項、海難の調査に関する事項、海上保安廰以外の者で海上において人命、積荷及び船舶の救助を行うもの並びに船舶交通に対する障害を除去するものの監督に関する事項、旅客または貨物の海上運送に從事する者に対する海上における保安のため必要な監督に関する事項、水先人及び水先業務の監督に関する事項、沿岸水域における巡視警戒に関する事項、海上における密貿易、不法入國その他の犯罪の予防及び鎮圧に関する事項、海上における犯人の搜査及び逮捕に関する事項、海上における暴動及び騒乱の予防及び鎮圧に関する事項に関する職務、水路の測量、海象の観測、燈台その他の航路標識の保守及び運用並びに氣象の観測の業務を行うことができるものとし、また協力要求、書類閲読、立入檢査、尋問の権限を初め、そのほか船舶の進行停止、出発差止、航路変更、指定港への回航、下船命令、下船制限または禁止、積荷の陸揚制限禁止等の権限をもち、その職務を行うためには、武器の携帶を許されます。また海上保安廰の職員の中に、港長、海難審判理事官を置き、海上保安官と同様、ともに運輸大臣の任命するところとし、いずれも海上保安廰長官の指揮監督を受け、港長は港則法に規定する事務、海難審判理事官は海難審判所に対する審判の請求及び海難審判所の裁決の執行に関する事項を掌ることになつております。
 海上保安廰またほその職員は、以上のような強大な権限を與えられておりますので、殊にこの法律のいかなる規定も、これらの者が軍隊として組織せられ、訓練せられ、または軍隊の機能を営むことを認めるものと解釈してはならない旨の一條が挿入せられてあるのであります。
 第二章は海上保安委員会に関する事項を規定したものでありまして、すなわち海上保安委員会は、海上保安制度の運用及び改善に関する事項を審議するために海上保安廰に設置せられるものでありまして、これは中央海上保安委員会及び地方海上保安委員会にわかれ、ともに海上保安廰長官の諮問に應ずるほか、海上保安制度の運用及び改善に関し海上保安廰長官に建議することができるものとしてあります。
 第三章は共助に関する規定でありまして、すなわち海上保安廰及び警察行政廰、税関その他の関係行政廰は、常に連絡を保つべく、また犯罪の予防鎮圧または犯人の搜査及び逮捕のため必要があると認めるときは、相互に協議し、かつ関係職員の派遣その他必要な協力を求めることができる旨を規定いたしたものであります。
 第四章は補則でありまして、前章までに掲げました事項のほか必要な規定を設けたものでありますが、海上保安廰の職員の種類及び所管事項、海上保安委員会の組織、委員の資格及び任期その他海上保安廰の職員及び海上保安委員会に関し必要な事項は、政令でこれを定めることになつております。
 補則の次には附則が掲げられており、主として此の法律の施行及び経過的な事項を規定しております。
 本法案は、去る四月二日治安及び地方制度委員会に付託せられて審議を始めたものでありますが、先刻も申し述べましたように、施行期日が五月一日以前ということになつておりますので、審議は特に至急を要するので、四月二日及び五日の二回にわたつて檢討いたしたのでありまして、両回とも、きわめて長時間にわたつて審議をいたしたのであります。
 四月二日、まず岡田運輸大臣から大体にわたつた提案理由の説明があり、続いて同省不法入國船舶監視本部長大久保武雄君から、法案の内容について詳細なる説明があり、各委員より各観点からの質疑應答が行われたのであります。本法案は他の省にも関係がありますので、國家地方警察本部及び大藏省からもそれぞれ政府委員の出席を求めて殊に愼重を期し、その意見並びに答弁を徴したのであります。それからさらに四十三箇條の全文にわたつて逐條的に愼重審議をいたしました。
 質疑のうち主なものは、一、水上警察の仕事と海上保安廰の仕事との分界いかん。二、警察長は公安委員によつて任命せられるのに、海上保安官は運輸大臣によつて任命せられるのは民主主義に反すると思うがいかん。三、從來は一個の経験ある長官が権限をもつておつたのに、本法案によれば、個々の海上保安官が絶大の権限を與えられているのは危險であると思うがいかん。四、機構を一元化するなら防疫事務をも包括せしめてはいかん。五、この法案は五月一日から施行するといふのであるが、それまでに人的、物的の準備が間に合うか等でありました。
 これに対して政府の答弁は、一、水上警察の権限の及ぶ範囲は、陸上に接続しかつ陸上の勢力範囲と認められる点までであつて、そこから先は海上保安廰の権限区域である。二、海上保安官の任命に関しては、これは警察長と異なり、單に治安の維持のみならず航海の安全という面もあり、かつ此の制度は全國的に統制せられておるものであるから、警察長のように公安委員の任命によらず、運輸大臣の任命にしたものである。三、海上保安官は、実際問題としては、個々單独に権限を行使することはまれであつて、多くの場合においては、老練な船長のもとに、一つの船に乘つて集團的に職務を行うものであるから、個々別々に職権を濫用することはない。四、防疫事務の一元化に関しては、コレラ船の曳航等はやつているが、医師を一々すべての船に配属せしめることは困難であるから、これは一元化から除いた。五、人的方面は現在の不法入國船舶監視本部の職員を振り向け、物的には現在もつている船舶二十八隻を中軸にやつていくから十分間に合うというのであります。
 その他数点にわたつて熱心な質疑應答が行はれたのであります。本委員会においては、戰後の情勢に鑑み、海上の安全を保持し、法律の違反を予防し、搜査し及び鎮圧するためには、海上保安制度を確立する必要があることを認め、四月五日、次のような希望事項を附して、満場一致をもつて本案は政府原案通り可決すべきものと議決いたしたのであります。
 すなわち希望事項
 一、法案第三十一條の「海上における犯罪につきて」及び「海上の犯罪につき」とあるのは、「海上における犯罪の搜査については」の意味と了解すること。
 二、海陸の境界における治安の維持は、きわめて重要であるので、海陸の警察機関は常時緊密に連繋を保ち、遺憾なきを期すること。
 三、港長が職務を執行するに当つては、地方の利益を尊重し港湾の保安行政の民主化に努むること。
 詳細は速記録について御承知を願います。以上、御報告を申し上げます。
 続いて、ただいま上程せられました警察法の一部を改正する法律案に関し、治安及び地方制度委員会における審議経過の概要をこれより御説明申し上げたいと存じます。
 まず、本法案の提案理由を要約して申し述べますと、警察法は昨年十二月八日成立し、本年三月七日から実施せられたのでありますが、爾來約一箇月の間貴重な体驗を重ね、各方面からいろいろ建設的な意見も開陳せられたのであります。この貴重な体驗と各方面よりの建設的意見に基いて、ここに本法案の提出を見るに至つたのであります。
 申すまでもなく、新警察制度におきましては、日本國憲法の精神に則り、民主的権威のもとに、民主的警察を確立せんとするものでありまして、中央においては國家公安委員会、地方においては市町村公安委員会がそれぞれ最高機関となつて、國家地方警察及び運営に当つておるのでありますが、すなわち改正の第一点は、國家公安委員会の地位に鑑み、現行法には檢事総長に準ずる報酬を受けることになつているのを改めて、法務総裁に準ずる報酬を受けることにするものであります。第二は、同第四十八條によりまして、市町村公安委員会は一定の基準を設けておいて、それに基いて警察長が警察職員を任命することになつているのを、そうではなく、すなわち基準を設けずに、公安委員会の承認を得て任命することに改正せんとするのであります。すなわち、全國の公安委員会が思い思いの基準を設けることは考えものであるから、そのときにおける公安委員会の見解によつて承認を與えるか與えぬかを決することが公安委員会の重要性を尊重することにもなるという意味であります。同時に、かくすることが公安委員会に最終の責任を負わしめるゆえんともなるからであります。
 以上、簡單でありますが、これは満場一致をもつて原案通り可決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、財政法第三條の特例に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 財政法第三條の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました財政法第三條の特例に関する法律案は、問題の法案でありました関係上、委員会ではきわめて愼重に審議されましたが、詳細は議事録に譲りまして、ごく簡單に御報告を申し上げ、御了承をいただきたいと存じます。
 御承知のごとく、この第三條は、「國が國権に其いて收納する課徴金及び法律上又は事業上國の独占に属する事業における專賣價格若しくは事業料金については、すべて法律又は國会の議決に基いて定めなければならない。」と規定してあるのでありますが、現在のごとく経済緊急事態の存続する期間に限つて特例を設けるのが適当であるとして、政府は本案を提出したのであります。すなわち、タバコの價格であるとか、あるいは通信料金であるとか、國有鉄道における旅客及び貨物運賃等に関しては國会の議決を経るが、残余のものに関しては、政府が政令によつてこれを発令する、かように相なつておるのであります。
 ただいま申し上げましたように、いろいろ論議を重ねられましたが、結局妥当と認めまして、本案については討論を省略して採決の結果、満場一致をもつて可決確定した次第であります。
 以上、簡單でありますが、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り、決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました、。
     ――――◇―――――
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、中小企業廰設置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 中小企業廰設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商業委員長喜多楢治郎君。
    〔喜多楢治郎君登壇〕
○喜多楢治郎君 ただいま議題となりました中小企業廰設置法案につきまして、商業委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず、本案提出の概略を御説明申し上げます。現下わが國の産業構成上、中小企業の健全なる発達をはかりますことは経済再建の基盤でありまして、中小企業対策は、ただに経済問題たるのみならず、実に深刻な社会問題でもあるのであります。今わが國のとるべき経済政策の原則は、國際交流経済を理想とする自由公正な競爭に基くものでなければなりません。御承知のごとく、疲弊のどん底にあるわが國中小企業を育成して、これを速やかに独立せしめ、公正なる競爭場裡に自立せしめるに足る実力をもたせますることは、喫緊の急務であろうかと存じます。かつ中小企業の技術経営の進歩向上こそは、日本経済自立に必要不可欠の要件であります。
 翻つて、わが國の現状を考えまするに、中小企業の実態は、大企業偏重に災いされ、発言のよりどころも得られず、事実問題といたしまして資金資材の欠乏に悩んでおることは、今さら喋喋するに及ばないのであります。以上の理由をもちまして、この困難なる中小企業問題を早急に解決し、技術経営の進歩改善をはかりますために、どうしても中小企業の專任機関を設置する必要があるのであります。
 從來のごとく、大企業としからざるものとの二つの性格的に違つた問題を一つの部局において取扱うということは、不自然かつ不合理でありまして、また中小企業者の忠実なる代弁者として、中小企業の公正なる利益を擁護し、さらに進んでは中小企業者自体の本質的な向上改善に專念し、その指導育成に万全を期するためには、どうしても中小企業廳を設置いたさねばなりません。ここに本法案を提出いたしましたわけであります。
 次に、委員会における審議の経過及び質疑の大要を御報告申し上げます。
 本法案は、去る三月十五日内閣より提出せられ、翌十六日商業委員会に付託せられたのであります。三月二十九日、水谷商工大臣より提案理由を聽取いたしましたが、本法案は、問題の性質上、鉱工業委員会にも多大の関連を有しまするので、三月二十九日、三十日の両日にわたり連合審査会を開催し、熾烈なる質疑應答を重ね、引続き四月一日、二日、五日と、連日商業委員会單独審査におきましても活溌なる論議を展開いたした次第であります。
 以下、連合審査会、商業委員会における論議の中心となりました問題を二、三御紹介申し上げます。なお他に重要な質問も数多く見受けられたのでありますが、時間の都合上省略させていただきまして、後日速記録を十分参照していただきたいと存ずるのであります。
 まず質問の第一は、中小企業の定義及び範囲を明確に定めよとのことでありました。これに対しまして商工大臣は、形式的に中小企業の限界を定めることは困難で、常識的に解釈をして、彈力性ある、幅をもたせる運用で解決することが、実際問題としてむしろ有効適切である、從來員数の多寡にかかわらず、経営者みずからがその責任と創意によつて経営に專念し、概して所有、運営ともに單独で、かつ産業水準から見て、投資額、生産額、販賣高、取扱数量等が比較的少く、その活動も狹小なる分野に止まるとともに、他の企業との間に投資関係なく、一方能率が不十分なため、経営・技術・金融方面について他より強力なる指導育成が必要であるものを対象とし、これを法律上明示して一線を画することは、かえつて適切でないとの答弁でありました。
 次に各委員より、中小企業廳において、原案のままでは非常に外部に対して弱体であるからして、資材の発券権及び資金割当に関する権限をもたしめてはどうかという質問に対しましては、産業行政全体の観点よりして、中小企業用としての資材・資金・動力等の一括掌握は、行政的一貫性と総合性を障害する結果となり、かくては、その波及するところ既存の各行政官廳の機構にまで影響するをもつて、軽々に取扱われない、中小企業の振興という問題は、むしろ個々の企業体に対し資金・資材等を割り当てるよりも、産業総体的に、中小企業と大企業とに対しての資材割当の均衡を監視し、中小企業全般に資材を適正に確保せしめることがその大眼目である、從つて、今後各原局に設けられまする資材割当諮問委員会に中小企業廳より代表者を送り、資材割当に関し有力な発言をいたし、また一方経済安定本部及び関係各省、各原局に対しましても、中小企業廳は資材割当に関し強力に要請し、この点万全を期する考えである、なお資金については、資材同様、各金融機関に対し極力融資を懇請するとともに、將來は中小企業專門の金融機関の設置についても十分考慮いたしておるとの答弁でありました。
 第三に、各委員より繰返し、中小企業廳にもつと強い権限を附與し、中小企業に関する行政の一元化をはかるべきではないかとの質問に対しまして、中小企業廰はあくまで指導育成機関であつて、直接物資・金融についての仕事は行わず、業者の強力なる代弁者となつて、他の関係官廰、各種團体に対して協力を求め、中小企業の特性を発揮して産業復興に貢献せんとするものであつて、これ以上の権限を附與することは、各種産業計画が業種別に縦断的に立てられておる関係上、各省または各原局との有機的連繋を断たれ、廣い意味でのわが國産業復興上に多大の支障を來し、一考を要する重大問題と考える、政府は各委員の趣旨を了とし、資材・資金等の配分については特に責任をもつて当る決意である、從つて、中小企業廳はあくまでも中小企業者の技術・経営面の強力なる推進機関としての活動に止めたいとの答弁でありました。
 以上をもちまして、本四月六日質疑を終了いたし、討論に移り、民主自由党を代表いたしまして多田勇君、社会党を代表いたしまして松原喜之次君、民主党を代表いたしまして岡野繁藏君、國民協同党を代表いたしまして谷口武雄君より、こもごも、原案のままにおいてはきわめて消極的で、かくのごとき脆弱なる機構をもつてしては、とうてい現在の中小商業者及び工業者の苦悩を打開し得るものでなく、眞に迫力ある中小商工業者に対する助力者としての立場を強調し、併せて行政的措置により具体的解決の根拠を與えるため、最小限度の修正を必要とする。すなわち、第三條第三項「中小企業廳は、中小企業に関係ある事項については、他の行政職の協力を求めることができる。」を「中小企業廳は、中小企業に関係ある事項については、中央及び地方の行政廳の協力を求め、総合的に処理することができる。」に修正して原案に賛成する意見を述べられました。なお、修正箇所のうち地方の行政廰とは、地方自治團体を含むものであります。
 以上をもちまして討論を打切り、採決に入り、全員一致をもつて修正案を可決いたし、修正案を除いた原案に対しても、全員一致をもつて可決いたした次第であります。
 以上簡單ながら、商業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げた次第であります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) これより自由討議に入ります。
 笹口晃君、発言者を指名願います。
○笹口晃君 日本社会党は、本日の自由討議の発言を棄権いたします。
○議長(松岡駒吉君) これにて本日の自由討議は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十八分散会