第002回国会 本会議 第63号
昭和二十三年六月十四日(月曜日)
    午後四時五分開議
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 議事日程 第五十九号
  昭和二十三年六月十四日(月曜日)
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
 第一 たばこ專賣法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
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○副議長(田中萬逸君) 大藏大臣の財政演説に対する質疑を継続いたしまする東井三代次君。
    〔東井三代次君登壇〕
○東井三代次君 私は、第一議員倶樂部を代表いたしまして質疑を行いたいのでありまするが、同僚諸君からすでに質疑が重ねられましたので、ごく簡單に、重要な二、三の点につきまして質疑をいたしたいと存じます。
 本予算を一見いたしまして、痛感されますることは、本予算は、吉田内閣の石橋財政、片山内閣の栗栖財政、さらに現芦田内閣の北村財政と、この三者の財政が、その性格と実質的内容におきまして全然変つていないということであります。石橋財政から栗栖財政へ、さらに北村財政へと、それはただ單に予算の計算を膨張せしめたのにすぎないのでありまして、率直に申し上げまして、全然新し味がない、そこには、その基本的性格を変更せしむるところの新しい発展が認められないのであります。敗戰國の財政は、しかも連合國管理下におきまする財政は、まさにかくのごときが宿命であるというならば、また何をか言わんやでありまするが、われわれは敗戰國のこの悲惨な現状から一日も速やかに起ち上らなければならないのであります。敗戰経済を再建しなければならない、この経済再建の基盤をなす一國の財政政策には、常に革新的な創意と前進とが要請されて、経済復興に対する大経綸が不断に策定されてあつてしかるべきだと存ずるのであります。この点につきまして栗栖安定本部長官は、はたして明日への構想をおもちになつておられまするかどうか、この機会に、國会を通じて國民に御明示願いたいと存ずるのであります。
 次に、政府は昭和二十三年度の予算の説明におきまして、財政はインフレーシヨンの高進を左右するゆえに、インフレーシヨンの阻止の最善の方策は均衡予算を確立するにあり、均衡予算こそ当面の経済安定に対する総合的施策の太宗をなすものである、と述べておられるのであります。わが國インフレーシヨンの基本的性格が、物資の欠乏に起因するものでありますることは、今さら申し上げるまでもないのであります。しかもそのインフレーシヨンの高進は、その原動力が一に財政の赤字にあるという点に思いをいたしまするときに、この政府の言は当然過ぎるほど当然であり、まことに至言であると存ずるのであります。さればこそ本予算は、実に健全財政の大前提の上に立つて、一般会計と特別会計との調整、中央財政と地方財政との調整、さらに三党協定を具体化せんとして――またこれを内容的に見ますれば、新しい物價水準と新しい賃金水準によりまする直接間接の影響などを顧慮いたしまして、その編成には相当の努力が拂われ、また相当困難な事情にあつたことは、これを認めるにやぶさかでないのでありまするが、しかしながら、本予算提出までの経緯とその経過をつぶさに顧みまするときに、はたしてそこに確固たる、不動一貫した方針があつたかどうか、殊に、計数の上では收支の均衡は保たれておりますが、しかし、これがはたしてその意図するがごとく、またしばしば大藏大臣が御答弁されておりまするごとく、実質的な均衡予算であるかどうか、その善意の意図にもかかわりませず、この点、はなはだ疑問なきを得ないのであります。否、むしろ本予算を嚴正に批判し、つぶさにその内容を檢討いたしまするときに、この予算それ自体の中に、現在のインフレーシヨンをますます高進せしめるがごとき自己矛盾的要因が包藏されておりまして、本予算実施後数箇月にして、早くも本予算の恐るべき不健全性を暴露するのではないかということが憂慮されるのであります。
 國際的にも、また國内的にも最も重大な轉機に立つております今日のわが國の実情に鑑みまして、昭和二十三年度予算のもつ意義はきわめて重大であると申さねばならないのであります。経済復興五箇年計画をその第一年度において挫折せしめ、また本年十月ごろから始まると構想されておりますいわゆる経済中間安定への推進をも阻害するものが、ほかならぬこの予算案自体であるとするならば、政府は一体どうされるおつもりでありますか。私は本予算案は、インフレーシヨンを激成し、社会不安、労働不安を助成する予算であると考えますが、この点におきましては、同僚議員各位から、しばしば議論が重ねられましたので、私は、かく申し上げる理由を簡單に、二点から指摘してみたいと存ずるのであります。
 第一点は、賃金と物價の惡循環を断ち、健全財政を貫かんがために採用せられた今度の新價格体系は、毫も企業の赤字を解消する方向に向つていないということであります。企業の赤字を解消する方法として、大体四つの場合が想定されるのであります。先ヂノ第一は、企業がその生産品をやみ價格で横流しすること、第二は、政府が價格調整費や復金融資によつて赤字を埋めてやること、第三は、公定價格の引上げによつて赤字をなくすこと、第四は、価格調整費、復金融資、さらに公定價格の引上げ、この三者を共に用いる方法であります。政府は、かねてこの第二、第三、第四の三案について研究を進め、遂に今回五百十五億円の價格調整費と、消費財の七割値上げ、石炭價格の二・六倍の値上げをすることの折衷案を決定いたして、本予算を編成したことは、周知の通りであります。
 思うに、今度のこの企業の赤字解消策は、まことに消極的な、一時の彌縫策にすぎよいものでありまして、最も安易な方法による糊塗策であると申さねばならばいのであります。そして、この場合重大な問題となりますのは、企業の赤字と言うが、政府は一体、業種例の企業の赤字を、はたしていくらと押えていおかということであります。よもや政府は、企業家が陳情する赤字額をそのままに御承認になつているのではないと思うのであります。政府の査定されました企業の赤字額は、眞に合理的根拠を有するものと信ずるのでありますが、この点、大藏大臣から具体的な御説明を願いたい。
 大体、企業の赤字の最大原因の一つは、昨年秋ごろからの生産能率が低下したということであります。もし、この生産能率が今後一段と上昇しない限り、いかに補給金を支出しましても、公定價格を引上げましても、赤字がしかく簡單に解消するものとは考えられないのであります。現に石炭業者は、トン当り最終消費者價格を五千円以上と主張しております。政府の石炭公定價格案との間には、なほ二千円近くの開きがあるのであります。的炭を二・六倍の倍率に決定されましても、おそらく石炭業の赤字の解消は困難であると考えられます。
 基礎産業としての石炭がすでにさようでありとすれば、それは当然に第二次、第三次企業ないし生産品にその影響の及ぶことは申すまでもない。またこの場合、この第二次、第三次生産品の新しい價格を再び決定しなければならぬというはめに陷つてくるのであります。この價格決定にあたりまして、もしもこの前のごとく、三箇月以上もその決定にかかるというならば、これらの業者は、原料高の製品安に見舞われて、ここに採算割れとなり、完全な赤字企業に陷つてしまうことは自明のことであります。
 さらにまた一方において、公定價格の引上げが一齊に行われるときは、その高騰した商品を流通せしめるための運轉資金の需要が増大して、そうでなくてさえ現在非常な資金の逼迫に見舞われている各企業は、さらに一段と資金難に陷ることは必至であります。ここにおいて政府は、この資金難を救済するために復金融資を増大し、あるいは日銀の貸出を増額し、さらにまた政府資金の散布増加を行うことを余儀なくされ、インフレーシヨンは、ここに赤字救済インフレの形をとつて、急速に進行し始めるものと予想されるのであります。すなわち通貨は膨張し、再び通貨膨張指数を上まわる物價指数の上昇が開始するものと思うのであります。かくして、過日の経済実況報告書においても政府が説明せられておるところの、一時の安定を見ている通貨と物價とは、本予算実施とともに再び一齊に高進するものと信ずるのでありますが、大藏大臣はこの点についてどのような見透しをおもちであるか、明確なる答弁を承りたいと思うのであります。
 さらに大藏大臣は、本予算実行にあたつては財政收支の均衡をとるために十分の努力を拂うと言われておりますが、例年上半期は税收入の成績が十分あがらない慣例から考えまして、この上半期、特に米の端境期に際しまして、いかなる收支政策と金融政策とを具体的に考慮になつておられるか、この点も併せてお伺ひ申し上げたいのであります。
 本予算が不健全財政であると申し上げる第二の点は、健全財政の基礎をなす企業の健全化についての方策が、基本的に、さらに積極的に進行されていないという点にあるのであります。すなわち、企業そのものの構造が健全化しなければ、企業の赤字は解消すべくもない。この意味において、企業の赤字が解消されない以上、財政の健全化があり得ないことは、ただいま申し上げた通りであります。ここにお伺いいたしたいのは、今日企業の再建整備はどの程度に進捗しておりますか。整備の完了は一体いつまでに実現できるのか。十月までか、あるいは一箇年もかかるのか、その見透しについて、できるだけ具体的に承りたいのであります。
 政府は、さき証券保有制限令による株式処分の規則を施行し、從業員または居住民にこれを販賣する方策を採用されたのであります。物價騰貴と実質賃金の低下に悩んでいる会社從業員が、大口に有價証券を消化することは、最も困難であると考えられます。さらに、有價証券処理調整協議会の賣出すべき証券が二百億円に達するのでありますが、今日まで、賣却されたものは、わずかにその中の三億円にすぎない。しかも、この三億に達するまでには実に一箇年半の日子を要しているのであります。かくて、二百億円の証券の処分完了には優に三十箇年を要する計算となるのであります。
 次に、再建整備法によつて企業の存続を希望する会社は、その資本構造を健全化するためには、半額以上の自己資本を有さなければならぬ実情であり、これだけにでも約七百億円の増資を必要とするといわれるのであります。証券市場が狹くなり、他面また國の財政資金が資金計画の柱となつている現在、民間資本の証券による調達のごときは、およそ夢物語りにすぎないと考へるのであつて、かような現状に、よつて、大部分の企業は今半身不随状態にあります。この状態にあつて企業を再建整備せよと要求するのは、要求する方が無理であります。
 他面また、企業それ自体が再建に対する自発的な熱意を欠いているのも、むしろ当然といわねばならないのであります。從つてまた、経営の合理化に対してもすこぶる眞劍味を欠き、かくてもち來されるところのこの経営能率の低下こそは、ひいては生産能率低下の重大な要因となつていることは、見逃し得ないのであります。今多くの重要企業は、すでに巨額の新勘定赤字を擁しておりまして、わが國産業の復興、経済の再建に最も重大な関係を有する石炭業のごとき、その第二会社の設立は全然不可能であるといわれているのであります。かくて結局は、各企業は赤字の解消を政府に依存して、いたずらにまた國の財政を増大せしめるにすぎないのであります。かかる企業の実情において財政支出の健全性を保持することは、またすこぶる困難であり、それはほとんど不可能に近いと申さねばならないと思うのであります。
 これを要するに、今年度予算は企業との関連のみにおいて考慮いたしましても、財政インフレをいよいよ激成し、本予算実行直後において早くもその不健全性を暴露すること必定なりと申しあげなければならぬのであります。そこで私は、健全財政を積極的に維持するために、この際大藏大臣に、企業は企業みずからの力によつて起ち上り得るように、何らかの具体的施策を早急に実施される御意図はないかとお尋ね申し上げたい。
 今や健全財政は、わが國経済復興に対する至上命令であることは、いまさら申し上げるまでもないのであります。企業は政府に頼らしめてはならない。企業はまた官僚に依存せしめてはならない。低能率企業と結託する官憲がもしありとすれば、かかる官僚は断固一掃しなければならないことは申すまでもありませんが、要するに企業は、企業みずからの力で起ち上らしめて、健全財政の前提條件を完成しなければ、経済の安定は断じて招來し得ないと確信するものであります。これがため、各企業が有する固定資産を時價に評價替えすることを許して、自己資本の基盤の上に自立せしめてはどうかと申し上げるのであります。承れば政府は、経済中間安定のある時期には、かかる固定資産の評價替えを構想しておられるとのことであるが、これは遅れれば遅れるほど経済の安定を遅らせることになるのでありまして、むしろこれは、政府にしてもし健全財政を積極的に維持するの熱意があつたならば、本予算編成にあたつてこれを織りこむべきであつたと思うのでありますが、次善の策として早急にこの方策を実施されることが何よりも必要であると確信するのであります。この点について大藏大臣は、中間安定期まで待たずに、この措置を早急におとりになるの意思はないかどうか、御所見を承りたいのでありますも
 さらにもう一つこの際お尋ねいたしたいのは、昨年來続けられ、本年にはいつて一段と強化された企業に対する融資抑制は、失般の徴税の徹底と政府支拂いの延期とによりまして、今日までのところでは、過渡的な形であるにせよ、ある程度の成功を收めたと見られるのでありますが、この産業融資の抑制方針は、今日までのままでは一應の限界点に達したのではないかと考えられるのであります。大藏大臣は、この際この融資抑制方針を緩和なさるお考えはないかどうか。またもし万一この金融引締めの方針を持続すべきであると言われるならば、産業の梗塞を來さないように、眞に資金を必要とする部間に供給が行われるよう、最善の留意と勢力が拂われなければならないと思うのでありますが、この御用意がおありになるかどうか承つておきたいのであります。
 最後に私は、本予算では、均衡予算実現の根本問題の一つとして、不要歳出の削減が忘れられていることを、指摘したいのであります。すなわち、歳出の節減としての行政整理を問題といたしたいのであります。この行政整理に関しても、またすでに同僚議員諸君から御質疑もあつたのでありますが、事すこぶる重大でありますがゆえに、重ねて簡單に質問申し上げたいのでございます。
 今日行政整理の断行は、すでに輿論となつているのであります。歴代内閣は、これを國民に対して公約をしてきたのであります。しかるにもかかわらず、今回もまた一般会計において、その予算定員の一割五分の整理を掲げて、單なる財政的措置を講じたにすぎないのであります。これでは、はたして行政整理と言い得るかどうか。われわれは、この点すこぶる不満に感ずるのであります。最近政府は、行政機構の民主化、能率化と称して、かえつて逆に官廰の昇格や、その機構の拡大強化をはかろうとして、歳出の緊縮どころか、その膨張の途を開きつつあるように見受けるのであります。特に地方財政に至つては、その赤字の最大原因が行政費にあることが明白であるにもかかわらず、この面には少しも檢討を加えず、いたずらに独立財源を云々し、不足分を中央財政からの分與金に求めようとしているのであります。
 さらにまた、ここで問題といたしたいのは、政府は今回鉄道運賃を三・五倍に、通信料金を四倍に大幅に値上げを行つて、しかもなお不足分は、これを財源難に苦しんでおる一般会計から赤字補填して、独立採算制の眼目である官業の経営合理化、能率化をあとまわしにしたことであります。率先して範を示すべき政府が、かかる不合理な事実を放置して、しかも逆にかかる安易な途を選び、困難を將來に見送るにおいては、一般会計と特別会計との調整、中央財政と地方財政の調整をはかろうとするがごときは、実に百年河清を待つにひとしいと申し上げなければならないのであります。
 大藏大臣は、政府は行政事務の整理再編成と機構の簡素化、合理化を行うこととし、目下着々具体案を檢討中であるが、この際予算上においても、とりあえず一般会計の人件費の一割五分に相当する額を節約したと言つておられるが、一体この具体案を檢討作成中とあるのは、いかなることを指して言つおられるのか。行政整理の具体案檢討作成が現在どの程度に進捗しておりますか。さらにそれは、一般会計面において、また特別会計面において、さらに地方財政面において、どこまで進められておるか。財政に関連して、その具体的な構想と、現段階における具体的な結論について、船田國務大臣から御説明を承りたいと存ずるのであります。
 次に、機構の簡素化、合理化ということは、現在政府が目途としておる行政組織法案との関連におきまして、どのようにこれを御説明なさるつもりでありましようか。役所の名称において、府、省、院、廰等、また大臣、総裁、長官、総長などの呼称、さらにはその内部機構にしても、大臣のもとに次官、総務長官、総局長、局長、部長、課長、班長、係長、こういうように立体化がなされておるのでありますが、はたしてこれが機構の簡素化であり、合理化であり、また民主化であると言い得るかどうか。
 次に私は、合理化必ずしも人員の整理を意味するものとは考えないのでありますが、合理化は少くとも能率化でなければならぬと存ずるのであります。この意味において、簡素合理化を建前とする以上、実人員の整理ということも具体的に檢討せられ、取上げられてしかるべきものと信ずるのであります。
 政府は從來、行政整理ということを機構の合理化、人員の配置轉換ないしは適正配置なりとして、繰返し説明をしておられますが、まだ人員整理ということにつきましては明言されたことがないのであります。これは明言を避けておられるのか。また人員整理はその必要なしと言われるのか。さらにまた、人員整理は必要であつても、これを遂行する意思なしと言われるのか。さらにまた、その必要は認めておつても、これを断行する時期にあらずと言われるのか。そのいずれでありましようか、これを承りたいのであります。
 今回の鉄道運賃及び通信料金の値上につきましても、すでにこの点は、理論的には檢討が盡されております。種種の不合理な点も含まれておるように思いますが、少くともそれが國民生活に非常な重圧を加えるものでありますことは、爭えない事成であります。一般國民は、この両特別会計に属する両企業体がはたして合理的に運営されているかどうかということを、今嚴粛に、しかも囂々として批判をなしつつあることは、岡田、冨吉両大臣も、つとに御明察のことと存ずるのであります。端的に申し上げて、今日のちまたの声は、人員整理はできないのか、あるいは物價費の削減はできないのかというのであります。一般國民は、何かここに割り切れぬものがある。そういう点に対する不満の感情を爆発せしめているやに見受けられるのであります。國民感情は尊重されねばならない。また政治は、國民を納得せしめるものでなければならないのであります。はなはだ非科学的な申し分ではありますが、このことは、一國の政治を担当しているわれわれ政治家の深甚な考慮と反省とを促すものがあることを痛感するのであります。
 しかしながら私は、もちろん、この、人員整理によつて生じます犠牲者に対する対策は、当然に講じなければならないと申し上げるのであります。整理による失業者を、一体たれがこれを救済すべきか。政府が公共事業等によつてこれを救済すべきものであるか、また企業自体がこれを包容して養うべきものであるか、このことは論点のわかれるところであろうと思うのでありますが、私は、行政及び企業の合理化を徹底完遂するために、まず行政及び企業それ自体において合理化を完成して、かくて、それによつて生じた犠牲者は、別途これを社会政策的に、國の、財政において救済の方途を講ずべきであると信ずるのであります。また、民間企業の場合を考えてみましても、今日のわが國の経済の危機を現実的に把握いたしますとき、一日も速やかにこれを復興せしめなければならないということを痛感するのであります。
 この観点から考えまして、経済界に重い負担をかけておりますことは、断じてその策を得たものではないと思います。当然に國の財政において負担すべき失業救済費が実事、上民間企業に轉嫁せられ、企業は過大な人員を自己の負担において抱えておる。この現実は、断じて見逃してはならないと思うのであります。この人員整理の問題について船田國務大臣の御所見を伺い、併せて、官業の重要なる責任者であられる園田運輸大臣並びに冨吉逓信大臣に、それぞれ御所管の、職務に関連して、この人員整理に対しましていかなる御所見と御決心をおもちになつておられるか、承つておきたいと存ずるのであります。
 私の質疑は、これをもつて終りまする(拍手)
    〔国務大臣栗栖赳夫君登壇〕
○國務大臣(栗栖赳夫君) 第一の点は、石橋財政及び栗栖財政、北村財政は、性格、実質の内容においては変りないけれども、計数とを膨張しておる、何か新しい構想に基くところはないか、こういう御質問であつたと思うのであります。
 私は、この終戰以來日本の経済を再建するにあたりましては、單に経済のみならず、社会その他万般におきまして、戰爭遂行のためにゆがめられたこの機構を脱皮いたしまして、そうして新しい平和日本の機構へもつていくということが大きな事業であると思うのでありまして、東井議員よりも触れられた長期計画その他の作用は、そこに大きな意味があるということを申し上げなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、経済から申しますと、戰爭遂行のために寄せられた経済というものが、今度は國民全体の平和、國民の繁栄その他のために向けられるところの、新しい経済機構に移行されていかなければならぬのでありまして、そういたしますと、経済の部分における財政という大きな地位を占めるものも、また同然であるのであります。すなわち、戰爭遂行のための財政が、新しい平和日本の繁栄のための財政にならなければならぬと思うのであります。
 そういう観点からしまして、過去二つの内閣及び現内閣とを比較いたしますと、その間には、明らかに時の推移と、その情勢に應じた財政の性格及び推移が認められるのでありますけれども、しかし一方においては、窮迫せる危機を切り抜けることに重点をおいた財政であつたと思うのであります。しかし今回は、それと同時に大きな切替えをし、轉換をするところの長期復興計画、中間安定、そういうような施策のもとに基礎づけられ、その上に築かるるところの財政であると申し上げなければならぬのでありまして、しかも、政府の試案によりますと、五年の計画を要するのであります。今年は第一年度でありまして、諸般の事情からしまして、未だ十分この構想の上に立つということもできない点もあるのであります。しかしながら今年は、日本の経済が新しい世界経済への一部分として参画する一歩を踏み出した時期でもありますので、この新しい構想は、長期計画の進むに從いまして、年一年と強く現われてくると思うのであります。五箇年の計画を経過すれば、ここに國民のたゆまざる努力というものによりまして、また外國の好意ある援助と相まちまして、新しい機構に基く健全な財政が眞の意味において築かれてくると思うのであります。そういうような構想のもとに芦田内閣における財政が第一歩を踏み出したということを申し上げ、將來において、革新的ないろいろな意向がこの長期計画の線に沿うて盛られてくるということを、御了承願いたいと思うのであります。
 それからなお企業の赤字克服の点については、大藏大臣から御答弁があると思いますが、國の財政も、企業も、家計も、みな赤字でございまして、やはり企業から言いましても、戰時企業から平和日本の新しい繁栄を築くべき企業へと轉換しなければならぬのでありまして、この轉換は、やはり長期計画の一環として組まれるわけであり、またすでに進みつつあります。集中排除とか、企業再建整備の線に沿うて、速やかにこれが完了されなければならぬのでありまして、すでに集中排除、企業再建整備も、その手続中にはいつております。
 なお金融機関については、相当進んだところへ参つておるのであります。まず金融機関が再建整備され、さらに新しい資本などが導入されたときには、これによつて企業再建整備もさらに進展を見て、ここに企業の脱皮が行われると思うのであります。こういうことがきわめて大事でありまして、こういうことによつて、企業の健全、赤字を克服するということも初めて目的を達成すると思うておるのであります。
 東井議員の御説の中には、所感を同じうする点が多々あるのでございますが、その地の点につきましては、これを省略することにいたします。、
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 東井議員の御質問について、私に関する部分についてお答えを申し上げたいのであります。
 初めにお話がございました点については、ただいま栗栖長官から答弁がございましたが、とにかく戰爭から敗戰の間における非常な混乱期にあたつて、ずいぶん苦労しながら対処せられた内閣があり、その次には、戰爭経済から平和経済への切替え、これに伴う非常にドラステイツクな軍事補償打切り等の問題に対処せられて、相当苦労せられた内閣もある。いろいろその間に、はなはだしい窮乏感が國民の間にみなぎりまして、危機が襲うたというようなうちから、今に至つてようやく、その危機はやがて安定するという希望のもてる状態になつてきたというような客観的な状勢、今日までの終戰後の諸情勢というものが、財政の上に反映しておると思うのであります。かような観点から見て、特に取立てて言うような特徴がないとおつしやるのは、ごもつともでございますけれども、これは占領下におかれておるという事実、また敗戰後の動揺が今日完全に終止したわけでもございません。かようなうちにおいて、まず何を努めたかと申しますと、第一にインフレーシヨンに今日まで悩まされてきた。これは國民が総力をあげてインフレーシヨンを防止しなればなならぬ、この一点に努力を集中しなければならぬと思うのでございまして、もし何が一貫されて行われたかというお尋ねを受けますれば、均衡財政、すなわち健全財政主義を一貫することによつてインフレーシヨンの速度を緩め、インフーシヨンの強い力を殺ぐという点に全力を盡したと申すことができると思います。また、ようやく客間情勢が変化して、だんだん世界経済への参加が近づいてきた、あるいは一部手を延べてきたというような点に顧みて、受入態勢を整備するということが、ただいまおかれておる私どもの大きな務めである。さような観点から、税法を大幅に改正いたしまして、勤労者の勤労意欲を一層増していただくような、勤労者もまた國の現状に顧みて、惜しみなくて協力していただけるような体制を講じなければならぬというような点、また企業自体が再生産活動に影響するようなことがあつては相ならぬと思つて、この点によつて法人税等を引下げて、できればこの受入態勢というものの方向をひとつつけて、漸次そういう方向に進みたいという点が、今回の財政に盛り上げられておるところの一つの特徴であると言えば申し得ると思うのであります。かような点につきまして、なおいろいろお説がございましたが、あとは具体的の数字をあげての回答ということでございましたので、以下申し上げたいと思うのであります。
 第一に、企業の赤字について、これが根本的な欠陷を有しておるゆえに、今年度のこの予算の実行はかえつてインフレーシヨンの高進を進めるのでないかという御意見でございました。企業の赤字は、これはこのままに放出いたしましたのでは、毎月百億円くらいの赤字を見ることになりまして、この状態で放置しておいたのでは、どうしても健全財政あるいは健全企業ということは望み得がたいのである。と申しまして、一千二百億の負担をするということはとうていできませんので、結局われわれは、五百十五億の現在の財政をもつて、物價騰貴の波及を最小限度に止めることのできる一つの点であると認めまして、五百十五億の財政支出をもつて物價を調節して、にわかなる高騰、幅の廣い高騰を防ぎ、物價騰貴による経済的の波及をその限度に止めようとしたという点は、御了解を願いたいと思うのであります。
 從いまして、本年度の予算は、いろいろな観点から考えまして、物價・賃金等の惡循環を断つというような点に力を入れたつもりでおります。しかしながら、ただいまもお話に出ておりましたが、三千七百円ベースを維持できるかどうかという問題は、三千七百円という数字がそのままでよいかというよりも、むしろ問題は、これに対する裏づけが可能であるかどうかということになると思うのでございまして、この点が今までは割合うまく行つていなかつた。これは私は客観的の諸情勢等も、これを保持するにだんだん都合のよい形勢にあるという望みをもつておりますので、從つて実質賃金の内容を向上させるという点に全努力を傾注いたしまして、そのことによつて物價・賃金の惡循環を断つ方向にもつていきたい、かようなことを願つておりますので、また、さようなことを考慮いたしまして予算を編成いたしておりますから、本年度の予算は、きわめて突発的な、不測の事件が起らぬ限りは、追加予算を出す必要がない、かように考えておるのであります。
 それからもう一点、上半期における税收の成績に関して、これは金融を圧迫して、いろいろ金融との間に問題があつたのではないかという御趣旨であつたと思うのであります。これは御承知の通り、税收と歳出との時期的な調節がうまくとれていなかつたというので、昨年末のごときは、非常に國家の歳出が増したにかかわりませず、税收が思わしくいかぬという点から、それだけの時期的のずれが金融を、圧迫して、産業の活動にも若干の影響をいたしたと思うのであります。この点は率直に認めなければなりません点でございまして、私どもは、かようなことを繰返しては相なりませんので、この歳入歳出の時期的ずれをなくするために時期的な調節をはかり、世界的の面においても、國家の歳出の面においても、両面から時期的の調節を行いまして、昨年度あつたようなことは再び繰返さないということに十分の努力をして、適時適切なる方法を行い、税收をはかるということと、歳出とのバランスという点において十分の努力をいたし、またそのことが可能であるということも、ただいま十分に信じておるのであります。なお本年度の税收は、四月、五月も順調にまいつております。暫定予算による歳出抑制と相まつて、大藏省証券の発行高も、五月分三十億円に止まつておるのであります。通貨もまた、二千二百億程度で横ばいの状態に相なつておりますことは、今までやつてまいりました施策が必ずしも見当を誤つたものではなかつたというふうに考えてよろしいと存じております。
 なお、金融政策全般についていろいろ御質問がございまして、その中に伺つた御意見の中には、私ども傾聽すべき点を多分にもつておるのでございますが、最近における税徴收の成績が著しく向上いたしましたことと、政府支拂の引締め等によりまして、一部産業の面において資金の逼迫が傳えられておる。これも事実でございます。これは、近く行われます物値改訂等と考え合わせまして、現在の通貨量をもつてよいかということに相なりますと、これは必要なる通貨量というものについて再檢討を要することはもちろんでございまして、通貨発行審議会等において、この点は十分な審議をしてもらうことにいたしておるのであります。しかしながら、インフレ抑止のためには、どうしても健全財政と相並んで健全金融の原則をどこまでも堅持しなければならぬのでございますから、その原則はどこまでも維持する。しかしながらそのために生産が阻害せられるというようなことがあつたのでは、これは明らかに行過ぎでございますから、さようなことがないように、資金の流し方においては、最も効果的な、最も効率的な最重点主主義をとりたい、今まで以上にこの点については注意を拂いたいと考えておるのであります。
 すなわち供給面においては、資金融通準則の運用に改善をはかりまして、資金が本來の目的以外に流れないように――從來ややもすれば、さような傾向があつたのでありますが、その本來の目的以外に流れないように、むしろ、融資の面においては、さような点において徹底的にこれを強化するということの必要を感じておるのであります。なお農業金融等につきましても、これはすでに申し上げました通り、農業手形の運用によつて金融の途は相当に開かれておりますし、また製茶あるいは繭の資金につみましても、信用制度が一層回復し、発展するように、手形取引向上をはかつておりますので、それぞれの貿易手形、認証手形、農業手形等の方法によつて金融の措置を十分にはかつておりますが、將來もなおこれを一層はかりたい、かように考えております。
 特にまた必要な方面に対しては、復興金融金庫をして融資させるわけでございますが、これにつきましても、運轉資金等において、本來の目的と違つた方向に流れる点については、十分事前の審査を嚴重にいたしますし、なお事後の監査につきましても、今後十分の監査を加えたいと存じております。なお近く、四百五十億円の増資のことにつきまして御審議を願うことになつておるのでございます。これらのことができれば、現下の金融の梗塞を傳えられる面は、合理的な、効率的な方法によつて十分開張させることができると考えておるのであります。
 なお、政府の支拂が遅れておる点についても御指摘がございましたが、これは支拂の確定したものについては急いでやるように決定しておりまして、ただいまでは、さような点はないのでございます。なお、以上のまうな金融諸問題は、要するに資金の吸收が可能であるかどうかということに重大な関係をもつのでございますが、この点に関しましては、新円を再封鎖するとか、あるいは急激に通貨改革をやるというようなことは、一切そういう措置はいたしませんし、通貨に対する信頼感を維持するために今後なお努力いたしたい。なおまた、一昨年來再建整備に努めてまいりましたが、金融機関の整備は三月末をもつて一應最終処理を終りまして、新旧勘定の切替えをいたしまして、いわゆる戰時補償の打切りに伴つて生じました不良資産の整理というものは一段落を告げましたので、この機会に金融組織を整備いたしまして、今のような事態における金融機関の使命を十分果すようにいたしたいと思つておりますので、新しい金融機関を通じて日本の金融制度が新しく再出発することと期待いたしておるのであります。本年度の貯蓄目標三千億といたしまして、從來の貯蓄運動を一層活発に展開いたしまして、貯蓄組合の結成等にも十分努力いたしたいと存じておるのであります。
 なお、予算の件についてのいろいろ御説がございましたが、以上申し上げた中に大体お答え申し上げておるかと思いますので、これは省略したいと思うのであります。
 企業の再建整備についてのお話がございましたが、これはむしろ商工大臣の所管かと思いますけれども、再建整備の計画はだんだん進捗いたしまして、もはや大半が最終の整備に対する当局の認可を與えておるのであります。ただ、経済力の過度の集中排除に関する指定が未だ決定いたしませんので、その部分が残つておりますけれども、おそらくこれも、この秋までの間には大体見当がつくと考えておるのであります。
 なお、企業の自主性について御強調になりましたが、これは同感であります。企業がいたずらに政府の施策にのみ依存することがあつてはならない、企業の自主的な整備、企業の自主的な活動は、これは仰せになつた通りでありまして、從つて自主採算に向つて、今後企業がそういう方向に行くように努力したければなりませんので、仰せのごとく、健全財政の前提としての企業については、やはり自主的な進展ということに十分な努力をしていただくような方向に向けたいと思つております。
 固定資産の評価替えについてお話がございましたが、これは税の問題あるいはその他の影響するところが非常に重大でありますので、問題として今研究はいたしておりますけれども、未だ結論には達しておらぬのであります。
 以上、簡單でありますが、お答え申し上げます。
    〔國務大臣船田享二君登壇)
○國務大臣(船田享二君) 東井議員の御質問のうち、國家行政組織法案につきましては、その法案が、行政の能率化を求めますために、行政組織の簡素化という方面に進んでおりますことは、申し上げるまでもないところであります。法案は、國の行政事務の能率的な遂行のために必要な國家行政組織を整えることを目的とするという規定を設けまして、そうした目的のために系統的に整えられなければならないという原則を明かにいたしておるのであります。そうして、これによりまして國の行政機関が行政事務の合理的な配分を受け、おのおのの行政機関相互の間に所掌事務や権限等の重複が生じないようにする趣旨をもつてしますいろいろな規定、あるいはまた行政機関及びその内部部局、またその長の種類、名称等を統一整頓いたしまして、形式的にもまた行政組織を整備いたしまして、行政の能率化を求める趣旨の規定を含んでおるのでありまして、決して行政機構の複雜化に向うような趣旨の規定をもつておるものではないのであります。
 行政整理の問題につきましては、行政費の節約ということが行政整理の大きな目的であることは申し上げるまでもないところでありますが、それとともに行動整理は、さらに公務員の給與を改善して生活を安定せしめることによりまして行政の能率化を促すものでなければなりませんとともに、あまりにも急激な整理によつて社会不安を起すというようなことは避けなければなりませんので、整理はできるだけ合理的に、かつまた失業対策あるいは配置轉換策その他の施策の具体化と相まつて実行すべきものと考えるのでありまして、大体の方針はすでに決定いたしまして、目下その具体化に努めておる次第であります。
    〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
○國務大臣(岡田勢一君) 東井君の御質問のうち、私の所管についてお答え申し上げます。
 國鉄の運賃の値上げが一般の物價並びに國民大衆の生活に多大の影響があるという御意見は、まつたく同感であります。一面において政府は、予算編成にあたりまして、人員の整理等に可及的の努力を盡してまいつたのでありまして、本年度計画をいたしております國鉄一億三千万トン、すなわち、昨年度に比較いたしまして約二割弱の増送に要します人員の増加その他を含めまして、本年度の所要人員は六十二万七千五百人程度に掲上をいたしておるのであります。しかしながら、この中には特殊要員といたしまして、捗外関係約三万九千人、交通保安関係が一万三千人、保守復元関係としまして一万一千人、労働基準法実施による増員一万五千名、その他で合計八万六千五百人の特殊要員を含んでおるのでありまして、基礎人員といたしましては約五十四万人に節減をいたしておるのでございます。
 なお政府といたしましては、今後におきましても、行政と現業の分離、技術の向上、設備の機械化、経営の合理化等を具体的に速やかに檢討を加えまして、できるだけ人員の整理、経費の節減に積極的の努力をいたしまして、今後の実行に移していきたい所存でございます。(拍手)
    〔國務大臣冨吉榮二君登壇〕
○國務大臣(冨吉榮二君) お答え申し上げます。通信会計におきましては、昭和二十年度から年々赤字に苦しんでおりまするので、昨年におきましては、成立予算の中から自発的に六万人というものを落しまして、予算を組み直したのでございます。また本年に至りまして、一般会計をもつて賄う分におきましては一割五分の削減をいたしたことは、御承知の通りであります。しからば、現在の、本年度の予算の組み方は何を基準においたかと申しますと、昭和九年から十一年の基準年度の労働量から割り出して人員を定めたのでございまして、特段の機械の設備あるいは能率の増進というようなことが急激に期待されない限り、人員に過剰は來さないと考えておるのでございます。
 そもそも昭和九年、十一年は、わが國における安定の時代でございましたので、この時代におきまする能率を基準といたしますることがよいか惡いかという議論になりますと、相当の議論があることで、まだこれでも人員が足りないという結論が出ぬとも限りませんが、國家非常のときでもあり、通信会計の苦しさの中から、この程度のがまんは願わなければならぬと考えておりますので、当分人員の整理は不可能とする状態でございます。從いまして、人員にもし過剰ができるような情勢になりますれば、今のようなサービスをもつとよくして、眞に國民の、文化國家の機関としての通信機関に向上せしめたい、このように考えておる次第であります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 北二郎君。―北君、登壇を願います。
    〔「登壇々々」「棄権々々」と呼び、その他発言する者あり〕
○副議長(田中萬逸君) このままで暫時休憩いたします。
    午後五時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時十六分開議
○副議長(田中萬逸君) 休憩前に引続き会議を開きます。北二郎君。
    〔北二郎君登壇〕
○北二郎君 私は、日本農民党を代表いたしまして‥‥
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に。
○北二郎君(続) 今回政府が提出されました予算一般に関し、首相、大藏大臣、並びに関係閣僚に質疑を試みるものであります。わが党といたしましては、すでに各党より質問されました重複の分はなるべく避け、單刀直入に政府の率直なる所信を質すものであります。
 芦田首相にまずお伺いしたいことは‥‥
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。
○北二郎君(続) 最近、不当財産取引調査特別委員会におきまして続々暴露されつつある、大政党の資金に絡まる醜態は、國会、政党ないし議員に対する國民の信頼をはなはだしく失墜したのであります。首相は常に、解散する理由はどこにもないと述べておられますが、この不当財産取引による莫大なる資金が大半選挙に使われたことは、あまりにも明らかであります。やはり旧態依然たる金銭政治である。眞に民意を代表するものとは思えないのであります。民主政治の本旨にまつたく反するものである。さればこの際、次の國会成立までの期間に必要な事務的法案だけを至急に成立させた上で議会を解散し、新しい民意に立脚して予算その他の重要法案を審議決定することこそ、民主政治の本旨であると信ずるが、総理大臣の所見いかん。
 次に、今回提出されました予算案に対し、野党の反対はこれまた了承せられますが、與党内に反対のあることはわれわれとしても、國民一般におきましても、まつたく納得のいかないところであります。一体本予算案はだれがつくつたのか。官僚が勝手につくつたものを押しつけられておるような感を深くするものであります。首相は、この点どう感ずるか、明白なる答弁を願いたいのであります。
 次に、首相は三月二十日の施政方針演説におきまして。水力電氣の開発は政府がその資金を供給することを考慮しなければならぬと力説しましたが、今回の予算面に現れましたる数字は五十五億、昨年の三十億余円に比べますと二十億の増加であります。たつた二十億の増加で、國会の劈頭において公約された電力の開発はいかなる方法でやるのか、その内容を承りたいのであります。わが党といたしましては、片山内閣当時にも主張したのでありますが、この水力電氣の開発にはしごく同感で、この仕事は、單に日本産業再建の見地からのみでなく、水害の防止、失業の対策、また一番大切な文化國家の建設と婦人解放の面から見ましても、急速にかつ大々的に着手しなければならぬ。また、特にこの際強調しておきたいことは、わが國は山國である見地より、二、三十キロないし二、三百キロの小水力発電所の設置が急務中の急務であると思うのであります。しかしてこの設置は、中小産業や農村の発展に著効であるばかりでなく、絶対に必要でありまして、その実行には、政府の言うごとき方法が必要であると思うが、予算にはそのことが繰入れられてないように思います。一体、これに対する予算はどういうぐあいに入れられてあるか。また、この電氣事業の見透しをお伺いする次第であります。
 次に、インフレ問題について政府にお伺いしたいことは、インフレの進行は昨年八月以來やや鈍化し、本年にはいつてから、一層その速度が鈍つてきた。それはまことに喜ばしい現象でありますが、その裏に國民の惨澹たる苦悩の潜在していることを政府は御承知であるかどうか。本年にはいつてインフレが一層鈍化したのは、通貨不増加のためであります。この通貨の不増加は政府の施策によるものであり、政府は本年にはいつて自己の支拂を延期し、併せて税金の取立を強行したのである。そのため、一月より五月までに、インフレ下には珍しい通貨の不増加を來し、それが物價の騰貴を抑えて、インフレの高進が鈍化したのであります。
 政府の税金取立の強行は暴挙に近いものがあり、納税者の実態も調査せず高額の税金をかけ、半ば強制的に徴税したのであります。税務署においては、まつたく驚くべき暴挙をあえてしておるのであります。人民の方は、税をいくらかでも緩和しようとして、陳情あるいは買收を行い、それはまことに醜い行いではありますが、いわゆる税務官吏が、昔の警察官のような態度をもつて臨むゆえに、納税者も、自己防衞上やむを得ず買收などを行うのであつて、この実情は、実に同情にたえないものがあるのであります。芦田内閣は、成立早々税務官吏の暴挙を戒め、税の取立を適正にすると声明をいたしました。これはまことに結構なことであるが、これが実際によく行われていないのであります。法外の値を吹きかけることは、俗に言う縁日商人の商法であり、現在の税務官吏はそれよりも惡い。正義と平和、自由を標榜する芦田内閣においてはあるまじき暴挙であると信ずるが、芦田内閣は、これを徹底的に是正する考えありや。
 また今回の予算におきまして、昨年度の二倍以上の税の徴收が盛りこまれ、それには新税が設定されておる。しかし、その税收にいつては、われわれは意見を異にする点が多々ありますが、細目の議論は委員会に述べることといたしまして、徴税の態度につき府府の所見を伺う次第であります。
 予算に盛りこまれましたこの多額の税に対して、また昨年度と同じような取立をするのか。古來苛酷の税の取立に際しては、一揆騒動の起つたことは珍しくないのであります。今回の暴挙に対しても、國内に不満の分子がみなぎり、その情勢は憂慮にたえないものがあるのであります。われわれは、かかる税務当局の態度は断固として改むべきであると思うが、政府の所見いかん。
 先ほども述べた通り、政府は支拂うものを支拂わず、苛酷な税金の取立によつて、一時的に日銀券発行高は鈍化を來しておるが、インフレ抑制の根本策たる生産面を見るならば、戰前の四割にすぎない。しかも、政府は通貨圧縮策をとり、いわゆる金詰りを生じて、農民その他は塗炭の苦しみをなめておるのであります。北村藏相は、四日の財政方針演説で、まず外貨の援助を支柱とする一應の中間安定を実現したいと述べ、越えて八日の紙上に、そ、のいわゆる中間安定試案なるものが発表された。そのねらいは、本年の十月ごろから九箇月間ないし一年を期限とする第一期において、賃金と物價の惡循環を断ち切り、國民からインフレの心理的要素を消滅させ、インフレ経済の混乱的要素を除く点にある。さきに五月十七日発表された経済復興五箇年計画案を実施するための四大前提の一つとして、インフレは五箇年計画第一年目の前半にほぼ解決せられることが要請されております。
 本年度予算の價値判断の基準は、それがインフレ防止予算であるか否かによつて決定しますが、私の見るところによりますれば、本予算案は人件費が大部分で、生産事業費はきわめて少い。頭でつかち尻つぼみの福助予算で、これではインフレ防止どころか、インフレ助長の危險が多分にあると思うのであります。全國民は、大藏大臣の財政演説において、インフレをこれ以上に高進させないという政府の断固たる信念を聽きたいと期待しておつたが、北村藏相は、この点について一言も触れていないように思われます。藏相は、この予算でインフレが防止できると信ずるか、國民を納得させる信念をもつて、インフレの見通しを率直に披瀝されたい。
 続いて米價についてである。まず第一番に農林大臣にお伺いしたいことは、農産物の正当なる價格の決定は、ひとり政府官僚の力のみをもつては容易に行われがたく、その決定をして十分眞実ならしめんがためには、それはどうしても生産者たるものの團結により、その團体の共同の働きとして、生産者の内部より行われなければならぬ。しかして、その決定に関しては、生産者の間に十分なる道徳上の力と、またこれを統制実行する有効なる組織の力とが備わることを必要な條件としなければならぬ。しかるに、現今行われておる農産物價格決定方式は、まつたく官僚独善の、しかも物價廰の一室できめられておるパリテイ方式である。何ゆえに生産者代表も、消費者代表も加え、基準物資を定め、正しいパリテイ計算で價格を決定しないのか。今年度の農産物、米價の價格決定の会議には、正式な、権威ある発言権をもつた生産者の代表を加える意思ありや否や、率直に答えていただきたい。
 次に安本長官にお伺いしたいことは、近く改訂される薪物價は、昭和九年ないし十一年の百十倍と押えられておる。米價にいたしましては、昭和九年ないし十一年の百十倍とも言い得るが、しかしこの基準年度は、農作物を除く諾物資においては、大体生産と消費のバランスがとれておるように思われるのであります。しかし、当時主食、米においては、その量がだぶつき、政府はその價格維持に困り、十億以上の補助金を出しておるのであります。決して他物資と比べてバランスのとれた價格とは言い得ないのであります。わが党の調べたところによりますと、大体昭十二年七月が、公正なる生産、消費のバランスのとれた價格である。ゆえに、昭和九年、十年、十一年の平均を基準年度の基礎にもつてくることは、農産物のみには非常に不利益であり、政府がいかにして農民より米を安く取上げるかという手段である。そこでお伺いいたしたいのであるが、この基準年度を昭和十二年に変更する意思なきや否や。
 次にお伺いいたしたいことは、諸物價の騰貴率、運賃、賃金、すべて大体の目標がきめられた予算であるが、一体、本年度の新米價はいくらくらいにするつもりか。最後的な決定は未だしとするも、その合理性を強調することは、一日十二時間ないし十三時間も働きつつある農民の増産意欲に重大な影響があると思うから、逃げ腰でない答弁をお願いしたい。もし、およその見積りさえも答えることができなければ、その答えられぬ理由を、この議場を通じ、全國農民の納得のいくように説明していただきたい。さらにまた、過般國会で決議された、農民に対する二十二年度の物價改訂による米價追加支拂いは、本予算案には一銭も盛られていないが、これは一体いかなる方法で、何ほど農民に支拂われるか。率直にして明らかなる答弁を求むる次第である。
 次に、畜産に対する費用である。芦田首相は、過般もこの壇上において有畜農業を力説された。いかにも少額である。畜産は日本農業の基礎であるにかかわらず、まつたくこれは軽視したものである。しかも、畜産局を廃止するやに聞くが、もつてのほかである。一体いかなる理由をもつて廃止されるのであるか。この理由を明らかにせられたい。
 次に、追加予算についてである。インフレ対策の根本策は、生産の増強、特に食糧の増産でなければならぬと信ずるが、本予算案には、この点に関し、ただ申訳的な土地改良費だとか、開拓費その他修繕費が見られるにすぎない。すなわち政府は、通貨対策に重点を置いて、インフレ高進を一時的に阻止しているにすぎないのであります。北村藏相は、過日小坂議員の質問に対し、追加予算は出さなくても、大体においてこの予算でやつていけると思うと答えられましたが、これはインフレが今日以上高進せずということを前提としてのみ言い得ることである。しかるにインフレの現状は、通貨対策のみでは阻止できないということは、あまりにも明らかであります。当然、内輪に見ても約五割くらいの物價騰貴を予想されるのであります。その場合、情勢が変り、見透しが違つたのだからやむを得ないと、ほおかむりで済ますことは、あまりにも無責任である。もし追加予算を出さなければならないような事態に立ち至れば、潔く自己の不明を謝して政治的責任をとるくらいの信念をもつてインフレの高進による追加予算は出さないと確信することができるか否かをお伺いする次第であります。
 次に、鉄道運賃の三倍半値上げについてお伺いしたいと思うのでありますが、鉄道運賃三倍半値上げに対して、世間ではその反対が非常に多いのであります。國民全体が物價騰貴に苦しんでおるのに、その上三・五倍の値上げをされては、交通費の負担が多く、なり、これは物價騰貴に影響する。ゆえに、これに対して反対するのは当然であります。しかしながら、もし値上げしなければ、その收入の不足は國民の租税でもつて負担しなければならないのであります。この両者を見比べれば、いずれが正当であるかという点について考えさせられるのであります。もし鉄道経費を節約して、運賃の値上げもせずに、國民の租税負担も行わずに済むとしたならば、何人もこれに賛成することは明らかである。この見地より日本の鉄道を見ると、(「どうしたらいいのだ」と呼ぶ者あり)これから言う。―著しく人員の増加になつておる。しかも、鉄道の運轉車輌数は以前より減つておる。さらにまた、一キロ当りの人員を調べると、欧米のそれは一キロに六人、日本は一キロに四十八人。鉄道部内に多数の過剰人員のあることは明らかである。この過剰人員を整理したならば鉄道の收支はどうなるか、主管大臣の御説明をお伺いいたしたい次第であります。
 今日の鉄道は、赤字が実におびただしく、しかも三・五倍の前例無比の値上げに驚いている。かかる破天荒の値上げをしても、なおかつ鉄道の收支が償わない。一般会計より百億円余りの繰入れをし、特別会計においては約百五十億円の赤字公債をもつて賄おうとしておるのであります。一言にしてこれを言えば、三・五倍の値上げをして、かつ二百五十億円の赤字が出るのであります。かかるふしだらな國営事業が、一体いかなる國に存在するか。われわれは、そのよつて來るところの禍の根深いことを思わざるを得ないのであります。政府は断固たる態度をもつて鉄道改革を行う必要があると思う。そして、かかるふしだらな予算を要求する禍を根底よりとり除く必要があると思うが、政府の所見いかん。
 次に、外資導入について労働大臣にお伺いしたい。外資導入の前提といたしましては、國家経済の確立が絶対に必要である。しかるに、労働者は眞劍に働かず、思想は混乱し、資金は一方に偏して活用されず、到るところに矛盾と混乱と対立あるのみ。この場合、政府はかかる薄弱な方法で、なお官僚主義の牙城を守ろうとしても、これはあたかも木によつて魚を求むるの類で、断じて効果のあがるものではない。すなわち、根本的に無理があり、矛盾がある仕事は、古來成功したためしを聞かないのであります。政府は、この急テンポ時代に、ただすがりついていこうとする、否、むしろそのあとを追うているのでは、一日が十年にも匹敵するこの時代の速度にとり残されて、不幸を見るのはひとり労働者のみである。すなわち、今や日本の労働者の行くべき途はもちろん、今の日本の労働基準法を嚴守しなければならないという労働大臣のお説には、われわれは賛意を表するものであります。現在行われておりますところの労働爭議によつて、國内経済は破壊されつつあるが、これは政府の政策に欠点があると思う。すなわち、唯物的、階級闘爭的な社会主義にもあらず、利潤追求搾取の資本主義にもあらず、これとまつたく別ものの、相互扶助を基準とした協同主義、すなわち協同組合原理による、何人にも加入の自由を認め、資本の多少にかかわらず一人一票の表決権で、資本力による支配権と利潤の独占を排したところの、眞の経済民主化をはかり、経済上の平等権を確立することによつて、一切の対立抗争の原因をとり除き、その仕事を自分のものという考えにもちかえさせて働く氣持を起させ、おのおのその責任と喜びとで仕事をさせることが、最も賢明であると思う。さしあたつて労働大臣は、炭鉱労働者が官吏によつて縛られるごとき石炭國管を改められる意思なきや否や。
 最後に、昨年行われた税について大藏大臣にお伺いいたしたいのであります。政治のよしあしというものは、端的に税金のとり方で決定するのであります。租のとり方は、あくまでも應能課税の原則を嚴守し、担税力の限度内において公平平等にとらねばならぬ。しかるに昨年度の徴税は、その所得査定の標準がまつたくでたらめで、申告制とは名ばかりで、第三者の情報や聽込みや投書に基いて、ほとんど正氣のさたとは思われぬような、むちやな査定を無理押しつけにした実例は、枚挙にいとまないのであります。民主政治とは名ばかりで、まつたく官僚独善の、虎よりも恐ろしい苛政が強行されたのであります。特にこの傾向は、官尊民卑の封建思想が未だまつたく拂拭されない農山漁民の所得査定の場合に、最も惡埒に発揮されたのであります。今や、農民の不満はその極に達し、生産意欲は根本的になくされ、それは危險状態にまでいつておるのであります。
 一例をあげれば、愛知縣知多郡鬼崎村で、田を一町五反八畝、畑を三反二畝、合計一町九反を耕作しておる相武喜久四郎という百姓は、所得総額六万六千六百四十四円、税額二万二千一百二十円の申告に対し、所得総額三百十六万円の税制、更正決定を受け、茫然自失し、もし納税不能のために差押えでもされるようなら、先祖に申訳がないから、首をくくつて死ぬよりほかはないと言つて嘆いておつたそうであります。ちなみに、同縣農業会が同人の所得について調査した結果の数字は、所得総額六万八千七百五十八円、税額二万三千二百二十円で、大体本人の申告額と一致を見ているのである。それにいたしましても、本人の申告がでたらめであるというよりは、第三者の情報を根拠にした税務署の査定がでたらめであることが想像されるのであります。
 日本農民党においては、党の性格上、こうした農山漁民の不平憤懣の訴えが山積しておるのであります。必要とあれば、なお無数の実例を例挙することができるのでありますが、そうしないでも、おそらく政府自身も、かかる農山漁民の不平の陳情を満喫して、この間の事情はよくおわかりだろうと思うのであります。われわれは、全國農民の増産意欲を高揚するためにも、昨年度のとり過ぎた税金をとり返し、今年度において再びかかる苛斂誅求が行われないよう、断乎として政府に忠言をいたすものであります。大体、農民所得の課税にあたり、たとえば稻わら。桑葉のような中間生産物を二重に計算して收入に繰込ましたり、くわ一挺買えぬような農具費や、配給肥料の代金にも足らぬ少額の肥料代しか認めず、建物、農具、動物などの減價償却費を一切算入しないような生計費の算出を改めねば、農家経済は立ちいかぬが、政府の所見いかん。
 また、今年からの農民の基礎控除額は一万五千円に引上げるようだが、こんなことではまだ足らぬ。大藏大臣は、本予算の歳出は、人件費三千七百円、ベース、物件費は公債が大体七割に値上りすると前提して積算したと演説した。この積算法から類推すれば、農家の基礎控除額も最低三万円程度に引上げ、扶養家族の控除額も、一人当りの額を三千円程度に引上げるべきだと思うが、政府の所見いかん。
 ここに最も大切なることは、所得査定の公正を期することである。各人の申告を全面的に信用しがたいという税務署の言分も一理ありとせねばならないが、今日申告制の精神を活かすとともに、下級官吏の專制や、第三者の情報による査定の惡弊を一掃するため、選挙による所得審査委員会のごとき組織をつくることが絶対に必要だと信ずるが、政府の所見いかん。
 なおわれわれは、農業事業税、農業協同組合に対する課税並びに地租の引上げには絶対に反対であるが、これはいずれ委員会で徹底的に議論をすることにいたして、本日はこれで終ります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
○國務大臣(芦田均君) お答えいたします。
 第一に、不当財産取引調査委員会で政党資金の問題がいろいろ論ぜられておりますが、ここらあたりでひとつ解散したら、どうかという御意見のようでありました。かような事態において解散しようとは考えておりません。
 第二に、今度の予算は一体だれがつくつたかというお尋ねであります。憲法第八十六條の規定に基いて、内閣がこれをつくりました。御了承願います。
 第三に、水力開発のためには、はなはだ予算は不十分である。これはごもつともな御意見であります。現在のところ、既設の水力発電がまだ修繕ができておりません。その方に資材と予算を注ぎこむことが、一層有効に電力を増産することになります結果、その方面に力を盡しておるのであります。
 次に、有畜農業に対して予算が非常に少いという御意見でありました。これもごもつともであります。國家財政の現状に鑑みて、なるべく金を使わないで有効にやろうというのが政府の方針であります。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 北議員の御質問は多岐にわたつておりましたが、主要な点だけ簡單にお答え申し上げまして、あとは委員会等に讓りたいと思います。
 第一点は、今年度の予算は大部分が人件費である、非常に福助予算であるというようなお話がございましたが、総予算額に対しまして、今年度の人件費は九%であります。昨年度は一一%でございましたから、この点においては、若干がら圧縮をしたということが認められるのでありまして、それだけ生産部門にまわつたものと御理解を願つてよろしいと思うのであります。なお公共事業費等につきましても、昨年度の七%が、今年は一〇%になつておる。かような点等を十分にごらんを願いたいと存ずるのであります。
 それからなおインフレについていろいろお話がございましたが、これは先ほど東井議員にお答え申し上げましたので、重複を避けて、この点は省略いたしたいと思うのであります。
 なお、インフレーシヨンを防止するために、われわれ政府はもちろん、全國民の協力を得て防止をしなければならぬ。このためには、一應通貨の安定が重大問題であると考えておるのでありますが、先ほどのお話では、どうも通貨が少いからインフレが増大するのではないかというような御意見でありました。全然これは逆に考えております。
 それから、徴税のことについて詳しいお話でありましたが、このことは、むしろ予算委員会等で申し上げた方がよろしいと思いますので、さようにいたしたいと存じます。
    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
○國務大臣(栗栖赳夫君) 物價の補正について、農作物については基準年度を昭和十二年度に変更する意思がないか、こういうお尋ねであつたと思うのであります。これはないと申し上げたいと思います。たびたび変更することは経済復興に非常な支障を來す、こういう理由からであります。
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
○國務大臣(永江一夫君) 米價の点につきましては、先般もお答えいたしましたように、本議場におきまして御決議になりました際に、芦田総理から内閣を代表して答弁をいたしております。その情神に基きまして、農林省としては関係方面と目下折衝中でありますから、御了承願いたいと思います。
 さらに、農産物の價格決定の際に、生産者並びに消費者の代表を加えて決定をせよという御趣旨であります。政府としては、できるだけ生産者並びに消費者の公正なる御意見は十分取容れるつもりでおりますが、正式な機関をもちましてこれを決定する意思は、ただいまのところはございません。
    〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
○國務大臣(岡田勢一君) 北君にお答え申し上げます。
 運貸の値上げをしなかつたら、鉄道経営の赤字は一般國民の租税負担に帰せなければならないとの御見解は、まさにその通りでございます。値上げで全部賄うか、あるいは租税負担による赤字補填にいたすか、その限界の調整につきましては、政府といたしましても苦心檢討を加えました次第でありまして、その結果、ただいま予算案で御審議を願つておりますように、百億円を一般会計から繰入れまして、今回の倍率が適当であるということが決定いたした次第であります。
 人員の整理につきましては、先ほど東井君にお答え申し上げました通りでありまして、なお詳しくは委員会等でお答え申し上げたいと存じます。
    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
○國務大臣(加藤勘十君) ただいま外資導入について御質問になりましたが、御趣旨は外資の導入の点にあらずして、外資導入を前にして、現在の労働者の状態に対する対策はどうか、こういう点にあつたと思うのであります。御趣旨によりますれば、外費導入を前にして、労働者の思想が混乱し、労働爭議か頻発し 労働者が日本経済の破壊に向つてきつつあるが、こういう状態でどうするか、こういう点にあつたと存じます。私どもは、もとより外資導入に対しては、日本経済の再建の具体的方策の上に労働者諸君の心からなる積極的な協力を得なければならないことは、言うまでもないのでありまして、こういう観点から、今日の労働組合の運動が、諸般の事情、殊に経済的苦しさのあまり、若干の爭議現象を見てはおりますが、今日の労働組合の運動が順次健全なる方向に発展を示しつつありまして、日本経済の破壊を導くというような方向には向つていない、このように考えております。(拍手)
○北二郎君 簡單でありますから、自席からお願いいたします。
○副議長(田中萬逸君) 許します。
○北二郎君 本年度の米價に対する見透しについて答弁がありません。それから、畜産局を廃止するやに聞くのでありますが、これに対しても答弁がありませんので、お願いいたします。以上をもちまして私の質問を終ります。
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
○國務大臣(永江一夫君) お答えいたします。本年度の産米の價格の決定に收穫期前にこれを行いたい、かように考えております。なお畜産局の廃止につきましては、いろいろ農林省全般の機構の改革に伴いまして考慮しておりますが、まだ決定には至つておりません。
○副議長(田中萬逸君) 野坂參三君。
    〔野坂參三君登壇〕
○野坂參三君 私は、五つの点について、詳細に総理大臣、大藏大臣その他の閣僚諸公に質問したいのでありますが、時間も相当経つておりますので、できるだけ簡單にやりますが、しかし皆様方の方でも、どうぞ静粛にお聽き願いたいと思います。
 第一にお聽きしたいのは、主として総理大臣及び外務大臣について、外資導入政策と対外政策に関するものであります。当内閣が外資導入を根本的な基礎にして、ほどんど全政策の基礎がここにおかれておるということは、大体われわれ了解しておるところであります。但し、大藏大臣の先日の演説の中に、わが國民自身の努力について語つております。われわれ國民の力によつてやはり再建しなければならないというふうな口吻を漏らされておりますが、しかし、われわれが全政策を見ますとき、やはり外資の導入を根本的に基礎にしておる。この点はまた大藏大臣がしばしばここで述べられた答弁の中にも、やはりわれわれうかがうことができると思うのであります。
 まず当内閣ができるときに、三党協定の第一番目に掲げたのも、すなわちこの問題、それから復興計画、第一次試案五箇年計画、これの基礎もまた外資の導入においておるということ。一般には、この間に十六億ドルの外資が大体においてこの五箇年計画の基礎になつておるということがいわれておる。また大藏大臣の演説の中でも、こう申されております。外資の援助を支柱とする一應の中間安定、外資の援助を五箇計画の柱にしておる、こういうことを大藏大臣はここで申されております。また予算説明書の中でも、こう書いてある。中間安定、これとても、わが國経済の独力をもつてしてはこれを達成することは困難であつて、外國の援助にまつて、この間の支えを得なければなりません、こう書いてあります。
 以上のごとく、全財政政策の根本がすなわち外資の援助におかれておる。この点については、すでに私がこの壇上でも、また徳田君がこの壇上でも、われわれのこれに対する態度を申し上げておりますが、一言で言えば、四つの條條がそろうなら、われわれは外資の導入を歓迎する。この四つの條件とは、第一に、わが國の独立が確保されること。言いかえれば、政治的な條件がはいらないこと。第二には、この外資の導入が眞にわが國の再建に役立ち、また國民生活の安定に役立つこと。これがやみに流れる、あるいはただ一部少数の大金持だけがこれによつて利益する、こういうやり方には、われわれ反対せざるを得ない。第三には、この外資の導入について、ただ一、二の國だけに偏する、これについてもわれわれは反対する。われわれは、やはりすべての諸外國と平等に経済関係、貿易関係を結ばねばならない。第四は、以上のような三つの條件を容れるためには、今日までのような官僚と少数の資本家だけがこれを管理するのではなくて、民主的な方法によつて、人民の代表がこれを管理する、こういう方法をとるべきであるということを、われわれは主張するのであります。
 さて、私のここで申し上げたいことは、芦田内閣は、その経済政策の根本を外資の導入、言いかえれば、対外依存政策をその根本にしているという点であるが、しかしながら、外國は常に変化し、変動している。たとえば、ここの壇上からもすでに問題になりましたが、一億五千万ドルの復興資金が、最近アメリカの下院において否決されたということもあるし、あるいは回轉基金が、下院の委員会は通過したが、國会の通過はどうであるかということも報ぜられております。あるいはこの基金というものが、さようあすのうちに上院の委員会を通貨するかもしれませんが、しかし私の申し上げたいのは、このように外資の援助というものは変化するということである。
 さらに、これは五月二十日の日本経済の社説に載つておりましたが、いわゆるジヨンストン報告について、こう書いている。ジヨンストン報告の勧告がどの程度に実現するか、なお不明であるばかりでなく、米國政府内部でも意見の一致していない点があり、さらに極東委員会諸国の中にも反対の意向が強いと報ぜられているということを無視してはならない。また、アメリカからスクラツプの輸入が困難になつたということも報ぜられているし、逆に日本のスクラツプを向うに送つてもらいたいというような報道も出ている。またオーストラリアとか、あるいはフイリピンからの鉄鉱石を日本に輸入することが今困難になつたというようなことも報ぜられております。
 芦田総理も、いわゆる復興資金というものがアメリカの下院によつて否決されたについて、ここでお答えになつたときに、これもアメリカ國内における事情によつてこいうふうになつた、こういう意味のことを申されておる。私が申し上げたいのは、つまり資金が日本にはいるとかはいらないとか、こういう問題ではなくて、われわれの力によつて、日本人の力によつて支配することができない。外國の事情によつてわが國の経済政策の根本を立てるというところである。これが私は、根本的な誤謬であり、これは非常に危險なことであると思う。これがすでに――たとえば、あのフアンドが否決されたとか、するかされないか、これだけによつて、日本のこの内閣自体、日本の財界自体が青くなつたり赤くなつたりしている。私は、ここに大きな基本的な誤りがあり、危險があるということを、ここで強調したいのであります。
 しかも國際情勢は、最近どんどん変化しております。今日の國際情勢は、戰後における一つの新しい方向にいく兆しを示してきたのではないか、こういうふうに私たちは考えます。たとえば、あのパレスチナのアラビアとの戰爭状態、これに対してアメリカ、ソ連、東ヨーロツパ諸國は、パレスチナを独立國として承認したが、しかし、イギリスはまだ承認をしていない。こういう変化は、かつてなかつた変化である。また、西欧十六箇國が一つの連盟をつくるというようなこともありましたが、これも大体できなくて、今わずかに六箇國が連盟をつくるということになつておる。また、マーシヤル・プランの今後におきましても、いろいろのニユースがあります。
 また、私たちの強調したいのは、対日政策、日本の政策についても、最近若干の変化が現われてきている。これは、私は詳しくここでは申し上げることはできませんが、二、三の新聞に現われた実例を見ましても、四月二十八日の対日理事会で、海上保安廰設置に関する議案が提出されましたが、このときには、過去の理事会の会議においてなかつたような新しい空氣が醸し出されております。この保安廳の設置に対して、オーストラリア、中國、ソ連、この三つの國の代表者は、鋭い批判的な、あるいは反対的な態度をとつておる。アメリカ代表者がこれを支持する。こういう形がとられたと思うのです。こういうことは、かつてなかりた事実です。また対日講話会議につきましても、最近連合國側の内部において新しい動きが出てきておる。
 以上のような変化する外國の事情に依存することができるかどうかということを、私は総理大臣にお聽きしたい。このように不安であり、われわれの手にどうも負えないような、こういうような外國の事情に、今日の日本の経済の再建や、あるいは目前の予算の基礎をおくというところに、私は非常な危險があると思う。これについて総理大臣並びに大藏大臣の所見をお伺いしたいと思うのであります。
 もう一つ、この問題について申し上げなければならないことは、今外資の導入ということが、あらゆる宣傳機関を動員して行われておりますが、なるほど、われわれ外資の導入もよろしい。たとえば、昨日私はラジオを聽いておりますと、ラジオでこう申しております。外國からの援助が來る。それがためには、皆さん貯蓄してください。すなわち外國から援助がくるから、そのために貯蓄せよ。今すべて政府の政策を見ますと、何でもすベて外資の導入だから、労働爭議をやめろ、労働組合もおとなしくなれ、だからお前たちも貧乏せよということになる。こういうやり方は、結局日本の國民が自力で起ち上ろうという意氣をくじくことになる。ただ外國に頼れという、この卑屈な、ただ奴隷的な、こういう感情を植える以外に何がありましようか。こういう宣傳をやつておる。この点について私は、芦田総理大臣に十分の反省をしていただきたいと思う。われわれは、自力更生ができると確信しております。
 この点については、今年初頭、この壇上で、私は共産党のこれに対する政策を述べておる。もしわれわれが、今日日本に所在するすべての経済的な力、技術的な力、労働力、これを動員してやるならば、われわれは自力によつて更生ができる。ただ、これに対して足らないものがある。これはわれわれが正常な貿易関係によつて輸入したらよろしい。それではなくて、逆にすべて外國に頼つておつて、これに適合するように國内態勢を整える。こういう根本的な逆なやり方にわれわれは反撃しておる。(発言する者あり)もしお好みならば、これから詳しく申し上げます。共産党は‥‥(発言する者あり)よろしいか。
 それからもう一つ、芦田総理に、あるいは外務大臣といつてもよろしゆうございますが、お聽きしたいことは、今日の府府の対外政策において――あるいは今日は対外政策はないと言われるかもしれませんが、しかし実質上の対外政策において、この内閣は一、二の國の偏向するような政策をとられておるようにも見えますが、この点についてお聽きしたいと思う。もし、こういうふうな政策をとるならば、私は、これは非常に危險な政策ではないかと思う。
 まず第一に、経済的に見て、日本が円滑な、円満な外國との交際をやるということに対して、これは大きな妨害になる。たとえば経済面一つ見ましても、綿花をアメリカから輸入する。これでメリヤスのシヤツをつくつて南洋に賣る。ところが賣れない。ここで水谷商工大臣が昨年報告されましたように、一千八百万着のメリヤスのシヤツが倉庫の中で腐つておる。これは何か。結局一つの國に偏向する、この経済政策の結果であると思います。
 さらに政治面におきましても、われわれがもし一方の國に偏り、他方に対してあまり親しくないような、こういう態度をとるならば、日本は國際的に孤立する、そうして多数の國を味方にすることができないような、こういう状態をつくり上げはしないか。
 またその次には、こうした偏るというこの國際政策の結果、かりに將來戰爭があるという場合におきましても、日本がこれに巻きこまれる、こういう危險が生れてきておる。御承知のように、日本が太平洋上における戰略的な重要な地点――もし、この日本がいずれかの國に偏るならば、その結果戰爭を促進させる。客観的に日本が促進するということになりはしないか。同時に、かりに戰爭が起る場合においては、日本が必ず巻きこまれる。われわれは、あくまで中立を守らなければならぬ。その意味におきまして、偏るこの政策に対してわれわれは反対しておる。
 次にわれわれは、こうした結果日本の独立自身も危くなる、こういうことを強調したい。(「共産党が偏つているじやないか」と呼ぶ者あり)共産党は、絶対一つの國に偏つていない。われわれは、いずれの國に対しても、アメリカに対しても、中國に対しても、イギリスに対しても、またソ連に対しても、平等にわれわれは交際することを主張しておる。そういう点が共産党の政策のどこにありますか、言つてください。具体的に何ら証明することはできないでしよう。この問題は、日本の將來にとつて非常に重要な問題です。あまり軽率な言葉は吐かない方がよい。もしお望みならば、いくらでも詳しくやります。
 最後にこの問題について、芦田総理にまとめて私の質問を申し上げて、御回答がしやすいようにしたいと思います。第一の点は、外資導入を基本とする全政策を、これを変更して自力更生に重点をおく、これにかえる意思があるかどうか。第二は、一、二の國に偏るという政策をやめて、すべての國と平等に親善関係を結ぶ、これについて政府としてはいかなる努力を今日まで、また現在やられておるか。それから、これに附随してひとつお聽きしたいことは、たとえば日新化学の和歌山工場とか、日本軽金属とか、アルギン酸工場とか、こういう所に、今外資がはいつてくる。これに対して、大体資本の五〇%以上を外國資本に提供する、こういうふうなニユースもありますが、はたしてそうであるかどうか。もしそうであつた場合においては、一体経営権というものはどうなるのか。もう一つこれに関連して、外資の導入の場合における担保というものについて政府はどういうことを考えておられるか、これを私はお聽きしたいと思います。もし総理大臣の方で材料がなければ、他の閣僚諸君でよろしゆうございます。以上が第一の問題であります。
 第二の問題としましては、私はこの予算の性格について、できるだけ簡單に、申し上げたいと思います。この予算を見まして、まず歳出の面を見ますと、不生産的な、また警察的な支出が非常に大きい。たとえば終戰処理費の問題とか、警察、裁判所とか、行政の擁護と見られるような價格調整費とか、公園交付金とか、政府出資金、國債費、金融機関再建補償費、船舶運営会補助費、その他これに類するもの、これを総計しますと、やはり歳出の四三・二%、以上二つのものを合計しますと七七・四%、すなわち七七%以上が不生産的、警察的、大資本擁護の費用となつております。これに対して、社会的ないろいろの施設とか、あるいは労働者・農民教育とか、文化、保健、衞生、こうした文化的な、教育的な、社会政策的な費用は、わずかに九・九%、約一〇%。これを見ますと、歳出の方面の七七%が、大体において不生産的な、あるいは大資本擁護のために使われており、わずかに國民生活に関係あるものは一〇%しかない。これが一つ。
 その次には、歳入の方面を見ますと、租税收入の中、大衆課税と見られるものが約六五・五%あります。さらに、大衆の負担に轉嫁されるような專賣益金、病院手数料、その他こういうものを合計しますと約七〇%。これがすなわち、歳入の面において大衆の負担になる面であります。このようにして、歳入の方面においては七〇%を大衆のふところから收奪する。一方税制の方面を見ますと、資本家に対する課税のようなものは、今度の税制率を見ますと減つております。たとえば法人税のごとき、あるいは價格差益金のごときは、わずかに百八十九億しか算定していない。これは普通一般には、数百億あるに違いないといわれている。また所得税率を見ましても、高額所得に対する税率は昨年よりも軽減している。たとえば百万円、二百万円、五百万円以上の所得者に対して、昨年は八五%課せられておつたものが、本年は一五%、一〇%、五%を軽減している。減つているのです。
 これらを見まして、今度の予算の性格がわれわれにははつきりしてきている。歳出の方面において七七%を不生産的、大資本家の援助のために使いながら、歳入の方面においては七〇%の大衆的な收奪をやる。すなわち、こういう階級的な予算が組まれていることが今度ははつきりしてきている。、
 そこで私は大藏大臣にお聽きしたいのは、こうした事実について、大藏大臣はいかなる理解をもたれているか。大衆課税的なものをもう少し減らして、大資本に課せられるような税をもつと重くするという面において、政府はいかなる努力をされたか、あるいはされていないのか、將來どうされるつもりか、これについてお聽きしたいと思います。
 それから第三には、加藤労働大臣にだけお聽きしましよう。農林大臣にお聽きするはずでありましたが、これは簡單でありますからあとで‥‥。
 加藤労働大臣は、この壇上でも、また予算委員会でも、二千九百二十円ベースが論議されたとき、これでは労働者として食つていけないということを認められております。そこで今度三千七百円ベースが出ましたが、これについては、いろいろ計算の方法もありましようが、われわれの計算によれば、千八百円ベースの二六%低減であるということをわれわれは認めておりますが、社会党の政調会自身でも、これではあまりに低過ぎる、これをさらに四千二百円ベースに上げるとか、最近では四千五百円に上げる、こういうことを言つております。すなわち、今日の三千七百円ベースは、二千九百二十円ベースにおいて加藤労働大臣は食えないと認められた、それよりも低い額である。これについて、いかなる所感をもたれるか。これではたして食つていけると思われているかどうか。
 その次には、一昨日國鉄及び官公労組合の諸君の代表が來まして、三千二百円ベースを政府に要求してきております。これについて、加藤労働大臣はいかなる対策をもつていられるか。これを認められますか。あるいは認められないのか。さらにこの問題から將來いろいろ労働紛議が起つた場合において、加藤労働大臣あるいは内閣において、いかなる責任をもたれるか、こういう問題についてお聽きしたいのであります。
 それから農林大臣について。先ほどここで北君の質問に対して、本年度の米の價格について何もお答えなかつたのでありますが、この点、私は農林大臣からはつきりお聽きしたいのであります。と申しますのは、もうすでに、われわれの目の前には予算案が提出されております。しかもここには、給與の三千七百円ベースというものがはつきりきまつている。これらは、すべて米價が決定しない限りはできないはずのものです。米價がきまつて、初めてまた賃金のべースはきまるはずである。さらに、これから全物價がまたきまらなければならぬ。從つてこの米價というものは、もうすでに当然きまつていなければならぬはずである。ですから私は、ここで農林大臣にお答え願いたいと思うのであります。
 さて第四の点につきまして、私は今度のこの予算を見た場合に、これはインフレ予算であるということを痛切に感ぜざるを得ない。これは具体的に申しますと、たとえば予算面から見てみますと、一般会計の中で、金融再建補償その他の予算外の交付公債が二百三十四億あります。これは流動性をもつから、將來インフレの原因となることは、大体認めて差支えないじやないか。その次に特別会計を見ますと、公債及び証券、それから借入金、これを合計しますと千四百六十七億円あります。昨年度の実績によると、特別会計の公債借入金の八八%は日銀引受となつております。從つて、これは通貨増発になつている。そこで、今の八八%、すなわち千二百九十億円が、これが大体において日本銀行の紙幣に轉嫁されるもの。さらに地方財政を見ますと、この赤字が百八十億ないし二百四十六億、大体こういう予想を立て得る。さらに復金、これを見ますと、やはり九百億ないし一千億円の復金貸出しがあり、これがまた紙幣に変る。但し、この復金の中の八〇%が大体紙幣に変るものと見て差支えないと思います。そこで、先ほど申しました数字から、交付公債がとりあえず流動化して日本銀行券に変らないで、また地方財政の赤字が全部預金部または市中銀行から賄われたとしても、日銀の引受分は二千十一億ないし二千九十一億円となり、これだけ日本銀行券の増発になりはしないか、こういうことを私は大藏大臣にお聽きしたい。
 さらに、國家資力のバランスの方面から見ましても同じような結論が出てくると思います。政府の統計によりますと、生産國民所得が一兆九千六十億になつております。さて、これがいかに分配されるかと申しますと、第一に國民消費基金、これが三千七百円べースによりますと一兆四千億になる。その次の民間投資、いわゆる産業資金、これが二千七百億、この二つを合計して、これを國民所得全体から引きますと、残つたものが二千三百六十億、これがすなわち、財政資金として使われるものとして残つておる。ところが財政資金の方は、これは國家財政、地方財政、この二つを合計して見ますと、五千九百三十五億円、そうしますと、先ほど申し上げた二千三百六十億という、この國民所得から残つていて、これを財政資金に割当てられる額が不足して來る。いくら不足するかと申しますと、三千五百六十五億円不足する。これがすなわち、インフレの要因として重要なる役割を演ぜざるを得ない。
 政府は、こう申しますと必ず調整項目、これを持出されて、これでバランスがとれる。こういうことを申されておりますが、しかし現実の事実は、おそらくそうはならない。たとえば昨年の十一月七日、私はこの演壇から追加予算の討論の場合に、二十二年度においては、おそらく一千億円の赤字が出る、これがすなわちインフレになるということを申し上げた。ところが、当時の安本長官は、調整項目という例の数字のトリツクを持出されて、そういうはずはない、必ずバランスがとられる、こういう意味のことを申されましたが、しかし、過去の事実はどうであるか。私の申しましたように、最近政府の発表された第二の経済白書によりますと、すなわちこのときにおいて、同じ期間に一千三十億円の通貨の膨張が行われておる。
 こういうことを見ましても、私は、今度のこの予算から政府が先ほど繰返し繰返しインフレの危險がないような口吻を漏らされておりますが、必ず二千億を越す、あるいは二千億内外の通貨膨脹にならざるを得ないということを言い得ると思います。これについて大藏大臣の所見を伺いたいと思います。大藏大臣は、これについては、おそらく万全の策を講ずると言われる。しかし、いかなる具体的な万全の策を講ぜられるか。これをお聽きしたい。
 さて私は、最後に一言申し上げます。林代議士がここで過日質問しましたときに、これは例の一億五千万ドルの資金の問題でありますが、これが否決されたとき、芦田総理は、ここでこう答えられた。これは何も日本だけの問題ではなくして、アメリカの世界全体に対する復興資金が全体として削減されるわけだ、こういうふうに申された。いかにもこの内閣が信頼されておるような口吻を漏らされた。今、日本國内において、國民がこの内閣についていかなる感じをもつておるかということは、ここで申し上げるまでもなく、賢明なる皆さんはよく御存じのはずです。國民一般だけではありません。この政府を支持しておる與党内部において、今どういう状態にあるのか、これは皆さん方が私よりもよく御存じのはずです。また、今労働組合がどういう要求を芦田内閣にもつてきておるか。一昨日、官公労の代表が、芦田内閣に村して即時辞職を要求しておる。(「共産党の宣傳だよ」と呼ぶ者あり)そう思つておればおめでたいです。もうじきに内閣はつぶれるのだから――そうすれば、共産党がつぶしたことになる。
 さらに、日本國内ではありません、外國はどういうふうに考えておるか、これは芦田内閣ができて間もないことでありますが、おそらく御承知でありましよう。「ニユース・ウイーク」――あのアメリカの雜誌の中で、日本の新聞の書いたものを引用して、この内閣が
    ―――――――――――――
だと言つている。(「けしからぬことを言うな」と呼ぶ者あり)しかしながら、こう書いてあるのだからしかたがない。(「下劣だよ、取消せ」と呼ぶ者あり)また、五月十一日の中國の新聞の大公報には‥‥(発言する者あり)中國の大公報という、あの新聞に、芦田内閣の批評をして、こう書いてある。「取消せ」と呼び、その他発言する者多し)さらに中國の大公報が、五月十一日の社説に、芦田内閣に対してこう書いております。(「不穏当な言葉を取消せ」と呼び、その他発言する者多し)新聞に書いてある。
    〔「書いてあることでもだめだ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) ‥‥(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)
    〔「議長、取消させろ」「議長は命じました、と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 取消し願います。
○野坂參三君(続) それでは、今議長が――椎熊君ではありません。議長が取消せと申しましたから、もし不穏当ならば、私は取消します。
 今度は取消しませんが、中國の大公報が、五月十一日に、芦田内閣に対してこういう批判をしております。この内閣は公然と軍國主義への道をたどつてはばからない、こういつております。さらに英國のエコノミスト誌、あれがどう書いてあるかというと、日本を極東の工場にするという、あの政策についてこう書いている。
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。
○野坂參三君(続) 日本の侵略戰爭によつて打撃を受け、苦しみを味わつたオーストラリアや中國の人たちが、この政策をめぐつて懸念を抱いている、こう書いている。(発言する者多し)かつて対日理事会である國の代表が、芦田均という人に対して公職追放該当者ということを指摘したということは、皆さんまだ記憶にあるはずです。
 どうしてこのように日本の内閣に対して――今日の芦田内閣のみならず、他の内閣もそうですが、外國は全面的な信頼を與えないかということを見た場合に、経済的に見た場合に、今までの内閣が、ほとんど日本の経済的な安定あるいは再建に役立つような政策をとつていない。ただやみとインフレが増長しただけです。
 さらにもう一つ重要なことは、最近芦田内閣の発展された五箇年計画、あれを見ますと、日本の経済の基礎が、また昔のような軍國主義的な、あるいは対外発展的な、こういう基礎に変り始めているということ、これははつきりとこの書物に書いてあります。五箇年計画によれば、昭和二十七年度の目標は、二十二年度に比べて輸入は三倍であるが、輸出は九倍になる。すなわち輸入は三倍であるが、輸出だけが九倍になる。これは何かといえば、日本國内における市場、これを狹くしておいて、ただ國外にだけ発展しようとする。言いかえれば戰前に行われたような、日本におけるきわめて低い労働賃金において労働者をこき使つて、安い商品をただ外國に賣るためにつくる、こういう政策がここに現われてきておるのではないか。
 われわれは反対に、日本國内におけるこの市場の開発は重点が置かるベきである。労働者その他の勤労者の生活を低めて安い物をつくるのではなくて、彼ら自身日本國民自身に購買力を與えるために彼らの生活をよくすること、こういう方面にわれわれはいかなければならぬ。ただ金持がもうからないだけのことです。これは諸君の代表している‥‥
○副議長(田中萬逸君) 野坂君‥‥。
    〔発言する若多く、議場騒然、聽取不能〕
○野坂參三君(続) さらに、内閣が絶対的な信頼を外國から受けてないという理由についてもう一言申し上げたいことは、これは民主主義が徹底されていないこともこれについて私は詳しくは申しませんが、ただここに、つい今はいつた号外があります。これによりますと、大阪で産別の大会が開かれて、これに二百名の武装警官が侵入して、この大会をぶつつぶした、こういうニユースが今はいつております。できれば、あそこに法務総裁がおられますが、これについてどういうニユースを得られ、どういう対策を政府はもつておられるか、お聽きしたいと思います。これ自身がすなわち、日本にいかに非民主的なことが行われているかということを示すものじやないかと思う。
 もう一つ、私はここで詳しくは申し上げませんが、なぜ一体外國が日本の政治家を信頼しないかということは、今日の不正財産取引、あの特別委員会、あれを見たらよくわかる。何が行われておる。醜惡目をおおうものがある。(「共産党の賃金はどこから來ておる」と呼び、その他発言する者多し)公然と共産党の資金については‥‥
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。
○野坂參三君(続) 私は、この問題については、ここでは詳しくは申し上げません。もうすでに特別委員会において、徹底的に今後調査されると思いますが、これは單に――今西尾君が大きな問題になつておりますが、彼一人の問題ではない。各政党において‥‥(発言する者多し)皆さん方のところに、どういう問題が將來発展するか、これを日本の國民はじつと見ていると思う。(発言する者多し)
 私は最後に一言申し上げたいことは、これは一昨日全官公労の代表が芦田総理に手渡したところの辞職勧告、これを私はやはり支持したいと思う。今日のこの危機の状態を切り抜けるのには、もうすでに、いわゆる既成政党は全部が落第しております。國民は今何を求めておるか。あの不正財産で行つたところの、あの腐つたところの政治家には、彼らは求めていない。これらには絶望している。すべての政党、あるいはこの國会に対しても絶望するような氣分を起すかもしれない。これに対して、もつときれいな政治、新しい、ほんとうに人民の利益を代表するような、こういう内閣を國民は要求している。(発言する者多し)これは何かといえば、結局共産党、社会党、労農團体、あるいはまじめな民主主義者、これによる、ほんとうに人民のためになるような政府、これを日本國民は要求している。(発言する者多し)これについて芦田総理はどうお考えになつているか。
○副議長(田中萬逸君) 内閣総理大臣はやむを得ない用務のため退席されましたから、次の機会に答弁を願うことといたします。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) ただいま野坂君より各般の御質問がございましたが、根本的な問題は思想的基盤を異にいたしておりますので、從つて物の見方が違つてくる。たとえば、價格調整費五百十五億はこれは金持のためである。万事そういうふうな見方をされまして、さような主観に從つて統計的に数字を出すならば、かようなことになると問題は違つてきますから、さような主観的数字に基くものには、私はまじめにお答えしにくい。根本的な問題が違つているのであります。それで数字をあげて御質問がありましたが、今数字の用意がありませんけれども、私どもの見るところは全然違いますから、違つた数字をもつてしかるべき機会にお答え申し上げたい。
    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
○國務大臣(加藤勘十君) ただいまの野坂君の私に対する御質問の第一点は、先回の二千九百二十円べースの問題が論議されたときに、私が、二千九百三十円では労働者が食えないが、今度の三千七百円ベースは、共産党の諸君の計算によれば、二六%ほど二千九百二十円水準より下つている、はたしてこれで食えるかどうか、こういう御質問の要旨でありましたが、なるほど二千九百二十円をもつてしては、労働者諸君の生活が非常に苦しい。苦しいけれどもが、今日の日本のすべての経済、諸般の條件を総合した上に、この苦しいのをがまんしていただかなければならぬということを当時申し上げたのであります。(拍手)今度の三千七百円ベースの問題につきましては、これまたしばしば私が申し上げておりまする通り、政府のもつておりまする資料に基きまして、第一が財政的見地から、第二が昨年一月以來の全國工業平均賃金を――今日三月までの統計が現われておりますから、それから推定して、六月の全國工業平均賃金に合致せしむるという点と、いま一つは、物價改訂によつてどのように生計費に影響を來すかという点を考慮いたしまして、この三つの点から計算をいたしまして、三千七百円ベースというものが生まれて來たのであります。從つて日千七百円のベースは、今日の政府がもつておる数字に関する限りにおいて妥当性がある‥‥
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。
○國務大臣(加藤勘十君)(続) このように考えております。
 第二の点に、一昨日全官公廰の諸君から五千二百円水準の要求が出たが、これに対してどうするか、こういう御質問でありましたが、私は、理論生計費を根拠とする二千四百カロリー基準の上に立つ五千二百円要求に対しては、結局は名目賃金を規定するにすぎないものであつて、これこそ最も恐るべき惡性インフレーシヨンに拍車をかける以外の何物でもない。(拍手)從つてわれわれに、三千七百円ベースは実質的に維持できるように、物資の裏づけに極力努力するという方向にもつていくことに、今考えている次第であります。なお、五千二百円要求の根拠につきましては、政府としては、しさいに組合側の諸君からその事情をお伺いいたしまして、政府の三千七百円を生み出した根拠についてもまたよく説明して、両者の間の話合が円満に進んでいくように努めたいと考えております。(拍手)
    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
○國務大臣(永江一夫君) 米價につきまして重ねてお尋ねでありますが、先ほどお答えをいたしましたのは、米價すなわち生産者價格と存じましてお答えをしたのであります。今野坂君の御質問では、消費者價格をどうするかというお話でございます。この消費者價格の点は、御承知のように食管の特別会計において適当なプールを行いまして、新たに規定されますところの賃金ベースに惡い影響を與えない限界において適当に消費者價格を上げたい、こう考えております。
○野坂參三君 簡單ですから、ここからやります。――先ほど‥‥。
    〔「登壇々々」と呼ぶ者あり〕
○野坂參三君 ただいま大藏大臣が、私と大藏大臣との間に数字の内容の見方について二つの違つた立場があると言われた。その通りだと思うのであります。それで結構です。すなわち、今この國会の中においても、國会外の社会においても、二つの違つた立場があるこの立場と、一方では勤労大衆の立場、この二つが違つているだけのことであります。これは大藏大臣がここで言われたことは、はつきりわかつたのであります。
 それから労働大臣のお答えは、われわれは非常に不満足でありますが、大藏大臣が今五千二百円の問題について、これをもし容れればインフレになる、こう申されましたが、この要求の中には、やはりインフレを防止する手を含めて要求しておると思う。ただこのインフレを増長するというだけによつて、これを労働大臣が拒絶されれば、これは社会党出身の大臣としてどうであろうかということをわれわれは考えざるを得ない、そうなれば、民主党の大臣と一体どう違うのか。
 そのほか、こまかい点もありますが、これは予算委員会において私は質問したいと思います。
○副議長(田中萬逸君) これにて大藏大臣の財政演説に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○山下榮二君 残余の日程を延期し、明十五日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 山下君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十八分散会