第002回国会 本会議 第76号
昭和二十三年七月二日(金曜日)
    午後四時八分開議
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 議事日程 第七十二号
  昭和二十三年七月二日(金曜日)
    午後一時開議
 第一 建設省設置法案(内閣提出)
 第二 漁船保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 日本学術会議法案(内閣提出)
 第四 損害保険料率算出團体に関する法律案(内閣提出)
 第五 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件
 第六 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 本日内閣より、去る六月七日提出した昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算中修正したいから承諾を得たいとの申出がありました。
 右の件について、質疑の通告があります。順次これを許します。上林山榮吉君。
    〔上林山榮吉君登壇〕
○上林山榮吉君 ただいま政府は、二十三年度予算の修正に対するところの承認を求められんとしておるのでありまするが、私は民主自由党を代表いたしまして、これに関する質疑を試みたいのであります。
 昭和二十三年度予算は、組閣以來数箇月を要して、ようやくでき上つたのであつたが、本日ここにこれが修正をなすに立ち至つたことは、議会政治のために、まことに遺憾とするところであります。(拍手)
 言うまでもなく芦田内閣は、三党政策協定を基盤にしてできたところの、歴代まれに見る脆弱なる内閣であるが、いずれにしても、不完全ながら政党内閣であることには疑いないのであります。よつて、芦田内閣の提出した予算案には、與党の政策が当然反映してできたものであると言わねばならぬのであります。(拍手)しかるに、会期を二回も延長してきたにもかかわらず、会期切迫の今日に至り、與党の要求によつて予算に修正が加えられ、ここに予算修正の承認を求めねばならぬということは、政党内閣として、まさに醜態極まるものであると言わなければならぬのであります。(拍手)かかる杜撰にして確信のない予算を提出しておいて政府は一部の修正にも應じがたいと強い発言をしていたにかかわらず、この挙に出でたということは、内閣の権威を失墜したものであると言わねばなりません。(拍手)また、予算成立を遅らして國務を澁滞せしめたということは、國会及び國民に対し、当然政党内閣として重大なる責任を負わねばならぬと思うが、これに対して芦田内閣総理大臣は、はたしていかなる見解をもつているのであるか、明確なる、責任のある答弁要求したいのであります。
 次に、財政当局者であり、責任者である大藏大臣は、自信をもつて編成したる予算であるから、與党の修正といえども、これに應じがたいと、強硬に主張していたのであるが、今回の措置に対して、いかなる政治的責任を感じているか。それとも、單にやむを得ないものとして、現内閣特有のほおかぶり戰術で、あくまでも行くつもりであるか、この点、明瞭に承りたいのであります。(拍手)
 また鉄道運賃が、國民の輿論に押され、あるいは野党軍の圧力に耐えかねて、相当修正せられたのであるが独立採算制を強調してきた運輸大臣としては、政治的責任を痛感して、すでに進退を考慮していると言われているが、はたして事実であろかどうか。私は責任のある答弁を要求したいのであります。(拍手)
 殊に、三千七百円ベースに対するわが党の質問に対して、総理大臣及び大藏大臣と加藤労働大臣との答弁には、根本的な食い違いがあるのであります。しかも、年間を通じて三千七百円ベースを維持する自信はないと労相は明瞭に答えているのであるが、自信のない予算に、何がゆえに賛成をしたのであるか。(拍手)この点をはつきりと伺いたいのであります。
 なお、この問題に関し、昨日参議院において質問を受けた大蔵大臣は、必要があれば適当なる処置を講ずると答弁し、さらに適当なる処置とはどういうことであるかという再質問に対し適当なる処置とは適当な処置であると、まことに人を食つた答弁をしておるのであるが、これに対し労働大臣は、良心的にいかなる見解をもつているのであるか。この見解に対して、私は正確な答弁を要求したいのであります。
 さらに一歩進めて具体的に言うならば、七月または八月に三千七百円のベースの賃金改訂を含む追加予算を提出せねばならぬと思つているのであるかどうか。この点も、併せて明瞭にお答え願いたいのであります。また、予算成立終了後において、本問題に対する内閣の共同責任を主張し、あるいは労働大臣として、責任政治の立場から、男らしく進退を決する覚悟はないのであるかどうか。この点を、私は併せて質しておきたいのであります。
 以上の諸点にてまず答弁を求め、しかる後、再び質疑を試みたいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
○國務大臣(芦田均君) 上林山君にお答えいたします。
 政府はしばしば予算委員会等においてお答えした通り、國会をもつて國権の最高機関であるという主義に副つて、國会多数の意向に基いて常に忠実に政策を実施しておるのであります。(拍手)また民主主義國の例をとつてお考えになれば、わが國と言わず、諸外國といわず、政府の提案した法律案並びに予算案を、國会においてこれを自由に修正することが、多年の慣例であります。この意味において、國会の多数の要望に副うて、もし修正する要望が多数であるならば、政府は何時でも喜んでこれに應ずることは、民主主義政治の原則を守るゆえんであると考えております。(拍手)
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 上林山君の御質問に対しては、ただいま総理大臣より答弁がありましたが、その通りに考えておるのであります。私どもは、國会の審議権をどこまでも尊重するという立場において、修正を可といたしたのであります。(拍手)
    〔國務大臣岡田勢一君登壇〕
○國務大臣(岡田勢一君) お答えいたします。政府から提出いたしました法案を修正するかしないかは國会に與えられました当然の権利であります。運賃値上げの倍率が修正されることによりまして、私が進退を考慮していないかというお話は、私といたしましてば 毫も進退の考慮はいたしておりません。(拍手)
    〔國務大臣加藤勘十君登壇〕
○國務大臣(加藤勘十君) 予算編成に際して、将來に向つて確信のないことになぜ承認を與えたか、こういう御質問の第一の趣旨でありましたが、この点に対しましては、しばしば委員会等においても答えておりまする通り、予算編成が行われ、閣議において審議が行われました当時においては、その給與算出の基礎において妥当性をもち、合理性あるがゆえに、これを承認したのであります。その後の情勢において、このインフレーシヨンの激動下における年間全期間を通じて確信があるかと言われるならば、確信がないということくらい、正直にして率直なる答弁はないと考えます。
 第二の、三千七百円ベースを変更して追加予算を出す意思があるかないか、こういう御質問でありまするが、この点は、昨日もお答えいたしましたる通り、目下組合側と團体交渉が進行中でありまするからして、その妥結いかんを見なければ、今日この席において、はつきり申し上げることはできないのであります。
 第三の三千七百円ベースの問題について、昨日参議院の予算総会で、大蔵大臣が、適当な措置を講ずると言つたということであるが、それを一体労働大臣は何と思うか、こういう御質問の趣旨であつたと存じまするが、この点に対しまして、私は大藏大臣がどういうことを意図されておるか知りませんが、労働大臣としては、やはり團体交渉の妥結のいかんによつては適当なる措置を講じなければならない、このように考えております(拍手)
    〔上林山榮吉君登壇〕
○上林山榮吉君 総理大臣を初め他の閣僚諸君の答弁を聽いていますと、あたかも國会の審議権を尊重する建前において修正に應じたのであると、こういうような詭弁を弄しておられるのであるが……
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
○上林山榮吉君(続) これは明らかに責任を回避せんとする政府の意図を露骨に表明したもののほか何ものでもないと言わなければなりません。(拍手)國会法は、政府側の責任によつてこれがなされなければならぬということを明らかにしておるのであります。今回の政府のとれる処置、この方針によつて、政府みずからの責任によつて提出をしたものであります。これを、あたかも與党の諸君の要望があつたから――われわれ野党が大幅修正の態度をもつて臨んできたことに対する與党側のあわて方が……
    〔発言する者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
○上林山榮吉君(続) あるいは與党間の対立が、政府をしてやむを得ず政府の責任における提出の形式によつて、この承認を求める案を出さしたということは、これは当然過ぎるほど当然であると言わなければなりません。(拍手)これに対してあたかも國会の審議権を尊重するかのごとき、偽装せるところの態度をもつて責任政治を回避せんとする態度は、いかに脆弱なるところの三党協定内閣であるといえども、これは国民のために許しがたいところの態度であると言わなければならぬと思うのであります。(拍手)
 この意味合いにおいて、私はさらに総理大臣にお伺いをいたしたい。與党が、ただいま申し上げるごとく、内輪において修正を加えた本年度の予算案は、來る七月あるいは八月ごろの賃金ベースを中心にするところの予算のずれによつて起る予算執行に対する責任を負う意味において、追加予算を出すべき必要があると考えておるかどうか。あるいは近く臨時國会を開いて、さらにこの問題に対して政府として取組まなければならぬと思つておるのであるかどうか。この点を第一にお伺いいたしたのであります。
 第二には、首相の答弁が、先ほどのごとくあいまいでありましたので、さらに私は具体的にお伺いしたいのは、片山内閣は、御承知のごとく〇・八生活補給金の財源の組替要求を議会がしたときに、これに対して應ずることなく、総辞職をしたのであります。ところが、今回の予算は、これに比べるときには、まことに厖大にして重要なる予算であるのであるが、この内輪における組替であるとはいえ、明らかにその実質的な点において、これ以上の重大なる政治責任を負わなければならぬ。(拍手)こういうふうに私どもは考えておる。見ようによつては、自分の属するところの與党からすら不信任案を意味するところの修正を要求されておる今日、なおかつこの内閣をほおかぶりで続けんとするような勇気があるのであるか。あえて勇気ということがわからないとするならば、この重大なる責任を負つて内閣を総退陣する、こういうような政治的責任を國会と國民に対して負うところの自信はないかどうか。この点を、私は重ねて要求いたしたいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
○國務大臣(芦田均君) 追加予算を出す計画かどうかというお尋ねであります。ただいまのところ、追加予算を出そうとは考えておりません。予期せざる問題が起たときには、あるいは出すようなことがあるかもしれません。内閣は辞職する勇気があるかどうかという問いでありますが、國会の多数の支持を得ておる限り、辞職する勇気はございません。
○議長(松岡駒吉君) 大神善吉君。
    〔大神善吉君登壇〕
○大神善吉君 芦田内閣は会期に会期を延長せられましたが、この会期の延長によつて、今日まで予算を愼重審議いたしてまいつたのであります。しかるに、今日突如として政府案の修正が出るに至つたことは、実に心外にたえないのであります。少くとも政府は、一旦こうときめたものを実行するくらいのことは、與党が多数で支持しておる以上、できるはずであろうと私は思うのであります。すなわち與党が多数で支持しておつたから、國管問題でも、西尾問題でも、多数決できまつたではありませんか。それを予算だけは與党の意見をもつて修正しなければならぬとは、何事でありますか。これは要するに、政治家がつくつた予算案でなくて、官僚がつくつた予算案を、そのままもつてきておるという証拠であります。(拍手)民主党も社会党も、予算を組むだけの頭のない人間が多いからである。(拍手)その証拠には……
    〔「脱線するな」と呼び、その他発言する者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
○大神善吉君(続) 予算委員長の鈴木茂三郎君が、しかも西尾君が予算は官僚に任しておけばいいということを言つたと発表せられておる。これを見ても、はつきりわかる。少とも現下の日本の政治は、いかなる人がやつてもむずがしいということは、私もよく承知しておる。であるから、芦田さんがこの内閣をとられて以來、不肖大神は、一言も反対の意見を述べたことがないのである。しかし大藏大臣は、いかなることがあつても予算の修正をしないと言つていた。しないと言つておきながら、また予算の修正をする。これでは、すべての國民がどこに信用をおいて生活をすることができるかということを考えたときに、政府そのものがふらふらしておつては、國民はふらつかざるを得ないのではありませんか。(拍手)
 大藏大臣は、少くとも五箇年計画であるから、この予算でいかなければならぬ、であるから、絶対的にこの予算はかえませんと、予算委員会で言われた。私は、その精神に感心して、実に偉い人であると思つた。しかるに何がゆえ、延期に延期をして愼重審議をされたあげく、あと三日間しかないにもかかわらず、またぞろ修正を政府案として出すということは、國民をますます迷わせることになるのであります。
 今日芦田さんの内閣は、無理に内閣をおとりになつたのでありまするから、よほど決心をして政治を行わなかつたならば、日本國民は信頼することができなくなつてしまうのであります。(拍手)少くとも、あなたが一旦こうだと実行に移さんとすることは、いかなる反対があつても実行してもらつてこそ、それでよし悪しを初めてわれわれは論ずることができるのであります。しかるに、今日のごとくふらふらしておられたのでは、われわれ國民はいかに迷うてしまうかということを考えましたときに、芦田さんは、この國民のすべての心理を考えたときに、あなたはいかに責任を痛感せられるのでありますか。もしあなたが、この國民に対する責任を痛感せられるならば、ここに速やかに辞表を提出して交代せられることが、私は正しいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
○國務大臣(芦田均君) ただいまの大神君の御質問は、大体上林山君の質問と同様の御趣意でありました。先ほど答えたところによつて御了承願います。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 大神君にお答えいたします。大神君の御議論によると、一應政府が國会に予算を提出した場合には、動かしてはならない。これは國会法から改正しなければなりません。私どもは、さように考えておりません。また私は、閣内において予算通過のために閣僚の努力を求めたことはありますけれども、予算の変更を認めないということを言つたことはございません。その点は非常に誤解があると思いますから、誤解をお解きになる方がよいと思うのであります。
    〔大神善吉君登壇〕
○大神善吉君 大藏大臣に対しまして、私は法律をお尋ねしておるのではない。あなたの精神を聽いておる。あなたが絶対にかえないという言質を與えておられたにもかかわらず、かえたではありませんか。それが私は氣に入らない。何を言つても、その場限りで、ずるずる逃げていつてしまう。こういう杜漏な精神だろうと思う。大藏大臣ともあろうものは、國民に安心の與えられる、しつかりした御回答を願いたいのである。
 また芦田さんには、私は、この現下の政治がいかにむずかしいかという点において、あなたがほんとうに國民を代表し、國民を救うという信念があるかないかを聽いておるのであります。それによつて今後の行動をとつてもらいたいということを言つておるのであります。
    〔國務大臣芦田均君登壇〕
○國務大臣(芦田均君) お國のために誠実に御奉公する熱意があるかという御質問であります。お尋ねの趣旨の通りであります。
    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
○國務大臣(北村徳太郎君) 私の答弁は、さきに申し上げた通りでありまして、ちつとも変ておりません。
○議長(松岡駒吉君) お諮りいたします。内閣申出の修正を承諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
    〔発言する者多し〕
○議案(松岡駒吉君) 採決について異議があるようでありますから、政府の要求を承認する諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
    〔「異議あり」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。
    〔議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。採決について異議がありますから、記名投票を行います。――正式な異議があれば記名投票をやるのです。むやみに騒がないでください。
 内閣申出の修正を承諾するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を御持参願います。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票の数を計算〕
○議長(松岡駒吉君) 投票の結果を事務総長より御報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百九十三
  可とする者(白票)  二百二十一
  否とする者(青票)   百七十二
    〔拍手〕
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、政府の申出の修正を承諾するに決しました。
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 内閣申出にかかる予算中修正に承諾を與えるを可とする議員の氏名
 赤松  勇君  淺沼稻次郎君
 井伊 誠一君  井上 良次君
 井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君
 伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君
 池谷 信一君  石井 繁丸君
 石神 啓吾君  石川金次郎君
 稻村 順三君  今澄  勇君
 受田 新吉君  梅野 三朗君
 大島 義晴君  大矢 省三君
 加藤 勘十君  加藤 靜雄君
 花月 純誠君  笠原 貞造君
 梶川 靜雄君  片山  哲君
 勝間田清一君  金子益太郎君
 上林與市郎君  川合 彰武君
 川島 金次君  河井 榮三君
 河合 義一君  菊川 忠雄君
 菊池 重作君  清澤 俊英君
 久保田鶴松君  金野 定一君
 佐々木更三君  佐竹 新市君
 佐藤觀次郎君  榊原 千代君
 笹口  晃君  重井 鹿治君
 島上善五郎君  庄司 彦男君
 鈴木 義男君  田中織之進君
 田中 松月君  田中 稔男君
 田淵 実夫君  高津 正道君
 竹内 克巳君  竹谷源太郎君
 辻井民之助君  土井 直作君
 戸叶 里子君  冨吉 榮二君
 中崎  敏君  永井勝次郎君
 永江 一夫君  成瀬喜五郎君
 成田 知巳君  西尾 末廣君
 西村 榮一君  野上 健次君
 野溝  勝君  馬場 秀夫君
 林  大作君  福田 昌子君
 藤原繁太郎君  細川 隆元君
 細野三千雄君  前田榮之助君
 前田 種男君  正本  清君
 松尾 トシ君  松澤 兼人君
 松永 義雄君  松原喜之次君
 松本 七郎君  松本 淳造君
 萬田 五郎君  溝淵松太郎君
 水谷長三郎君  武藤運十郎君
 村尾 薩男君  守田 道輔君
 森 三樹二君  森戸 辰男君
 師岡 榮一君  門司  亮君
 八百板 正君  矢尾喜三郎君
 矢後 嘉藏君  安平 鹿一君
 山口 靜江君  山崎 道子君
 山下 榮二君  山中日露史君
 山花 秀雄君  吉川 兼光君
 米窪 滿亮君  和田 敏明君
 安東 義良君  芦田  均君
 天野  久君  荒木萬壽夫君
 伊藤 恭一君 生悦住貞太郎君
 荊本 一久君  打出 信行君
 馬越  晃君  梅林 時雄君
 小川 半次君  小野  孝君
 大森 玉木君  岡野 繁藏君
 押川 定秋君  金光 義邦君
 川崎 秀二君  榊山 榮一君
木村小左衞門君  喜多楢治郎君
 北村徳太郎君  栗田 英男君
 小坂善太郎君  小島 徹三君
 小林 運美君  小松 勇次君
 五坪 茂雄君  後藤 悦治君
 佐伯 宗義君  坂口 主税君
 櫻内 義雄君  志賀健次郎君
 推熊 三郎君  鈴木 強平君
 関根 久藏君  園田  直君
 田島 房邦君  田中源三郎君
 田中  豊君  高岡 忠弘君
 高橋清治郎君  高橋 禎一君
 高橋 長治君  竹田 儀一君
 武田 キヨ君  橘  直治君
 圖司 安正君  佃  良一君
  寺島隆太郎君 苫米地義三君
  中垣 國男君 中島 茂喜君
  中曽根康弘君 中村 俊夫君
  中村 又一君 長野 長廣君
 長野重右ヱ門君 成島 憲子君
  西田 隆男君 西山冨佐太君
  橋本 金一君 原   彪君
  坂東幸太郎君 一松 定吉君
  福田 繁芳君 舟崎 由之君
  細川八十八君 堀川 恭平君
  三好 竹勇君 村瀬 宣親君
  最上 英子君 八並 達雄君
  矢野 政男君 安田 幹太君
  山崎 岩男君 山下 春江君
  吉田  安君 米田 吉盛君
早稻田柳右エ門君 井出一太郎君
  石田 一松君 今井  耕君
  大島 多藏君 岡田 勢一君
 唐木田藤五郎君 川越  博君
  川野 芳滿君 木下  榮君
  吉川 久衛君 黒岩 重治君
  小枝 一雄君 河野 金昇君
  酒井 俊雄君 笹森 順造君
  竹山祐太郎君 坪井 亀藏君
  豊澤 豊雄君 内藤 友明君
  野本 品吉君 萩原 壽雄君
  平川 篤雄君 船田 享二君
  松原 一彦君 松本 瀧藏君
 的場金右衞門君 谷口 武雄君
  只野直三郎君 東井三代次君
  大瀧亀代司君 川橋豊治郎君
  北浦圭太郎君 榊原  亨君
  世耕 弘一君 中野 寅吉君
  本田 英作君 宇都宮則網君
  久保 猛夫君 鈴木彌五郎君
  長谷川俊一君
 否とする議員の氏名
  青木 孝義君 青柳 高一君
  淺利 三期君 東  舜英君
  有田 二郎君 井上 知治君
  伊藤 郷一君 石田 博英君
  石原 圓吉君 石原  登君
  泉山 三六君 磯崎 貞序君
  稻田 直道君 今村 志助君
  岩本 信行君 植原悦二郎君
  内海 安吉君 江崎 真澄君
 小笠原八十美君 小川原政信君
  小澤佑重喜君 尾崎 末吉君
  生越 三郎君 大石 武一君
  大内 一郎君 大上  司君
  大澤嘉平治君 大野 伴睦君
  大村 清一君 岡井藤志郎君
 岡村利右衞門君 加藤隆太郎君
  鍛冶 良作君 角田 幸吉君
  柏原 義則君 上林山榮吉君
  川村善八郎君 神田  博君
  菊池 義郎君 工藤 鐵男君
  倉石 忠雄君 栗山長次郎君
  小暮藤三郎君 小平 久雄君
  古賀喜太郎君 近藤 鶴代君
  佐々木秀世君 佐々木盛雄君
  佐瀬 昌三君 佐藤 通吉君
  坂田 道太君 坂本  賢君
  重富  卓君 幣原喜重郎君
  澁谷雄太郎君 島村 一郎君
  庄  忠人君 庄司 一郎君
  白井 佐吉君 周東 英雄君
  鈴木里一郎君 鈴木 仙八君
  鈴木 正文君 鈴木 明良君
  關内 正一君 千賀 康治君
  田口助太郎君 田中 角榮君
  田中 萬逸君 田村 虎一君
  多田  勇君 高田 弥市君
  高橋 英吉君 竹尾  弌君
  塚田十一郎君 辻  寛一君
  綱島 正興君 圓谷 光衞君
  冨田  照君 冨永格五郎君
  中嶋 勝一君 中野 武雄君
  中山 マサ君 中村 嘉壽君
  仲内 憲治君 長尾 達生君
  夏堀源三郎君 西村 久之君
  根本龍太郎君 野原 正勝君
  花村 四郎君 林  讓治君
  原 健三郎君 原  孝吉君
  原田  憲君 樋貝 詮三君
  平井 義一君 平澤 長吉君
  平島 良一君 廣川 弘禪君
  深津玉一郎君 福永 一臣君
  淵上房太郎君 降旗 徳弥君
  古島 義英君 星島 二郎君
  本多 市郎君 本間 俊一君
  前田  郁君 前田 正男君
  益谷 秀次君 増田甲子七君
  松井 豊吉君 松浦  榮君
  松浦 東介君 松  木宏君
  松崎 朝治君 松田 正一君
  松野 頼三君 松本 一郎君
  三浦寅之助君 水田三喜男君
  水谷  昇君 宮幡  靖君
  明禮輝三郎君 武藤 喜一君
  村上  勇君 村上 清治君
  森  直次君 八木 一郎君
 梁井 淳二君 山口喜久一郎君
  山口 好一君 山口六郎次君
  山崎  猛君 山名 義芳君
  山村新治郎君 山本 猛夫君
  若松 虎雄君 渡邊 良夫君
  亘  四郎君 赤松 明勅君
  大石ヨシエ君 大原 博夫君
  大神 善吉君 叶   凸君
  佐竹 晴記君 鈴木 善幸君
  田中 健吉君 高瀬  傳君
  外崎千代吉君 成重 光眞君
  早川  崇君 平工 喜市君
  藤田  榮君 本藤 恒松君
  松澤  一君 松本 眞一君
  宮村 又八君 斎藤  昇君
  中村元治郎君 森山 武彦君
  河口 陽一君 北  二郎君
  高倉 定助君 寺崎  覺君
  中野 四郎君 中村 寅太君
  木村  榮君 徳田 球一君
  野坂 參三君 林  百郎君
    ―――――――――――――
○議長(松岡駒吉君) この際、暫時休憩いたします。
    午後五時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後八時九分開議  
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法案(内閣提出)
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、國有鉄道運賃法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 國有鉄道運賃法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長川野芳滿君。
    〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました國有鉄道運賃法案について、運輸及び交通委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本法案は、六月三日、本委員会に付託され、越えて六月五日政府から提案理由の説明を聽取して以來、委員会を開くこと十六回、財政及び金融委員会との連合審査会を開くこと四回、その間、六月十二日には公聽会を開いて、鉄道運賃値上げの可否、もし可とする場合には、その値上等について、利害関係者及び学識経験者の意見を聽取するなど、特に愼重審議をいたしたのであります。
 本法案は、物價の改訂、賃金水準の引上げに伴つて、國有鉄道財政の均衡をはかるため、国有鉄道運賃の引上げを行う必要があるので、財政法第三條の特例に関する法律に基いて、國有鉄道運賃の基本賃率等を定めんとするものであります。
 その内容のおもなる点をあぐれば、第一には、國有鉄道における運賃料金決定の原則として公正妥当なものであること、原價を償うものであること、産業の発達に資すること、賃金及び物價の安定に寄與することを定めていることであります。
 第二には、旅客運賃及び急行料金等について、現行運賃料金の約二十五割を引上げた新運賃料金を定め、鉄道の普通旅客運賃三等の賃率を、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円二十五銭、百五十キロメートルを超える部分は九十銭と定めておることであります。
 第三には、貨物運賃についても、また車扱い、小口扱いともに、現行賃率の約二十五割を引上げた新賃率を定めておることであります。
 その他、鉄道営業法第三條に規定する運賃その他の運送條件を加重する場合における一箇月の公告期間を、國有鉄道についてはこれを廃し、国鉄以外の鉄道については、これを七日に短縮したこと等が、おもなる点であります。
 次に、質疑應答の重点は、旅客運賃及び貨物運賃の値上率と、運賃引上げを必要とするに至つた国有鉄道赤字の原因、国鉄経営の合理化の問題におかれ、熱心に質疑應答が続けられたのでありますが、その詳細については会議録に讓りたいと存じます。
 続いて、本日の委員会において討論に入り、まず民主自由党前田郁君から、その党を代表して、インフレを抑制し、國民生活を破局に陷れないため、運賃引上げはなるべく低位に止めることが必要である、特に旅客運賃については、國民所得、生計費、賃金ベース等より見て、現行運賃の十割引上げに止めるとともに、遠距離逓減制を三地帶制に改めること、普通定期運賃は五割引上げ、学生定期運賃はすえおきとし、これを法律に明定すること、貨物運賃は現行運賃の二十割引上げに止めること、これに伴つて別表第一、第二及び第三に所要の修正を加えるという、民主自由党修正案の趣旨を述べられ、また輸送力の増強、予算の節約等経営の合理化の徹底を強く政府に対し要望せられたのであります。
 次いで民主党佐伯宗義君から、その党を代表して、旅客運賃については一五・五割を引上げること、これに伴つて別表第一及び第二に所要の修正を加えること、施行の期日は公布の日から七日を超えない期間内において政令でこれを定めるとあるのを、二十日を超えない期間内において、各規定につき政令でこれを定めることという社会党、民主党、國民協同党三派共同の修正案を説明せられ、國民所得と國鉄運賃との割合より見て、貨物運賃は政府原案通り二十五割引上げを適当とするも、旅客運賃については、一五・五割の引上げを最も妥当と認めると述べられまた。なお政府に対し、独立採算制堅持の建前から経営の合理化に努力すべきことを強く要望せられたのであります。
 次いで社会党川島金次君から、その党を代表して、運賃引上げの國民経済に及ぼす影響、賃金ベースとの関係等により見て、旅客運賃は十割引上げ程度に止むべきと思うが、予算案をなるべく速やかに成立させるため、その他の事情に鑑み、やむを得ず三派共同の修正案に賛成するものであると述べられ、なお政府に対し、経営の合理化、特に廓外團体の整理によつて、人員整理によらざる経営の合理化をなすべきことと、学生定期運賃の引上げは十割に止むべきこと等を要望せられたのであります。
 次いで國民協同党飯田義茂君から、わが國経済の現状より見て、三派共同修正案にやむなく賛成すると述べられ、政府に対し、輸送力の増強、サービスの向上につき公約通り実行すべきことを要請せられたのであります。
 次いで社会革新党高瀬傳君から、その党を代表して、第一條第二項の運賃決定の原則は、鉄道が國有であり、國家の官吏によつて運営されておる現状に照らし当然のことであるから、これを削除すること、インフレの高進を抑止し、国民生活の安定を期するため、旅客運賃は十割の引上げに止め、普通定期は五割引上げ、学生定期はすえおくこと、貨物運賃は二十割引上に止めること、從つて別表第一、第二及び第三を改めるという修正意見を述べられ、なお政府に対し、貨物等級表の合理的改正、サービスの改善、経営の合理化、特に労働組合の協力の問題につき善処方を強く要望すると述べられました。
 次いで第一議員倶楽部堀江實藏君から、インフレを抑制し、経済の破滅を救うため、物價の値上げには全面的に反対であり、鉄道運賃もすべて現行にすえおくべきである、從つて第三條第一号及び別表第一、第二、第三に所要の修正をするという修正意見を述べられ、なお政府に対し、経営の合理化へ特に外廓團体へ工事会社との関係等につき檢討すべきこと、從事員の待遇を向上すべきことを要望せられたのであります。
 かくて討論を終局して、ただちに採決に入り、まず第一議員倶樂部堀江實藏君提案の修正案について採決の結果、これを否決し、次いで民主自由党提案の修正案について採決の結果、これを否決し、次いで社会革新党高瀬傳君提案の修正案つき採決の結果、これを否決いたしました。次いで、社会党、民主党、國民協同党、三派共同提案による修正案につき採決の結果、可否同数となり、委員長の決するところによりこれを可決し、次いで、三派共同提案による修正部分を除く原案につき採決の結果、可否同数となり、委員長の決するところにより國有鉄道運賃法案を修正議決した次第であります。
 最後に、委員会において決定いたしました修正案の要旨を申し上げて、私の報告を終りたいと存じます。
 修正の第一点は、第三條第一号中鉄道の普通旅客運賃三等の賃率を、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円二十五銭とあるのを九十銭、百五十キロメートルを超える部分は九十銭とあるのを六十五銭としたこと。
 第二、別表第一及び第二に定める航路の普通旅客運賃及び急行、準急行料金をそれぞれ改めたこと。
 第三は、附則第十條中、この法律施行の期日は公布の日から七日を超えない期間内において政令で定めるとあるのを、二十日を超えない期間内において、各規定につき政令で定めることとしたことであります。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 本案に対しては、尾崎末吉君及び高瀬傳君より、成規の賛成を得てそれぞれ修正案が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。尾崎末吉君。
    ―――――――――――――
 國有鉄道運賃法案に対する修正案〔尾崎末吉君提出〕
  〔都合により最終号の附録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔尾崎末吉君登壇〕
○尾崎末吉君 私は、ここに民主自由党を代表いたしまして、政府提出の國有鉄道運賃法案に反対をいたし、原案に大幅の修正を加えた民主自由党議員提出修正案の趣旨を弁明するものであります。
 政府が提出した本法案に規定する運賃並びに料金の値上げ倍率は、旅客、貨物ともに現行の三倍半という驚くべき値上げであり、北村大藏大臣、その他政府委員が、国会の委員会その他において、しばしばこの値上率は変更せずと明言したものであります。(拍手)その後政府と與党間に、この倍率低下のことをめぐつて相当のいきさつがあつたようでありますが、わが党は、本案はわが國の現状においては、とうてい忍ぶことのできないものとして、これに反対し、これに大幅の修正を加えた法案を提出いたしたのであります。
 その国有鉄道運賃法案修正案の内容は、
一、学生定期運賃を現行通りすえおき。
一、普通定期運賃を現行の五割増とする。
一、一般旅客運賃、現行の二倍。
一、航路旅客運賃、現行の二倍。
一、急行及び準急行料金もそれぞれ現行の二倍。
一、貨物輸送料金、現行の三倍。
一、旅客の遠距離逓減を三段階とする。
 しかして、これを実行するとともに、
 イ、旅客並びに貨物の増送による増收計画。
 ロ、國鉄を利用する廣告、設備その他の賃料計画の合理化による増收。
 ハ、國鉄特殊財産の整理による経費捻出。
 ニ、修繕費、物件費等の適切なる節約。
 ホ、能率増進に資する行政整理。
 へ、カロリーの高い良質石炭の計画的使用による能率増進と経費の節約。
 ト、國鉄の合理的な機構改革。
 チ、修繕費中レール、まくら木、電力、通信施設等財産となるべき部分を公債にて支弁する。
 以上の具体的措置をとらんとするものであります。(拍手)
 この案によりますれば、政府の原案と比較して、旅客と貨物收入において三百一億円を減ずるものでありますが、前述の適切なる節約と増收とをはかることにより百二十五億を生み出すことに相なりますので、政府の計画のほかに、一般会計からなお百八十億足らずを繰入れてもらいますれば十分なのであります。
 今ここに、政府案に反対をいたし、わが民主自由党修正案が最も妥当なるものであることの理由を述べることといたします。原案によるがごとき大幅の値上げをいたす結果は、第一に、深刻なるインフレ激化に拍車をかけて、國民生活を極度の危殆に陷れるのであります。(拍手)第二に、わが國産業の復興を著しく阻害するに至るはきわめて明白なことであります。(拍手)第三に、わが國民生活を窮迫に陷れる結果は、さらに思想上に惡影響を及ぼし、社会不安を著しく助長することは明らかであります。
 法案の総則第一條二項に、賃金と料金決定の原則として、一、公正妥当なものであること、二、原價を償うものであること、三、産業の発達に資すること、四、賃金及び物價の安定に寄與することの四つが明記せられておるのであります。この原則とわが國の現状とを照らし、わが党においても嚴重檢討を重ね、運輸交通委員会においても十六回にわたる審議を重ねたのでありますが、不幸にして、今回の値上げ計画の内容は、この四つの原則のいずれにも適合しないのであります。(拍手)
 わが國土は狭くて長い。その狭長な国土の中心を主として占めるのが國鉄であります。すなわち栄養線であり、しかも独占官業であります。從つて、國鉄の運賃と料金とは、他の不便不利な地域にある私鉄や他の物價との水準と比例して論議すべき筋のものでないことは、もちろんあります。この点に関して、委員会における私の質問に対し、岡田運輸大臣は、まつたくその通りであるが、とかく國営というものは、親方日の丸式に陷り、コストが高くなりがちであるから、いたし方がない旨答弁しておるのであります。(拍手)しかしながら、これは鉄道営業の性質上、今日において他の物價との水準を比較する議論としては成り立たないことはもちろんであります。
 輸送力というものは経済と産業と國民活動との原動力であり、要素であることは、いうをまちません。でありますから、その運営は合理的に、能率的に、しかも簡素化され、便益を旨とし、かつ親切でなければならぬことは、もちろんであります。しかるに今日の國鉄は、はたしてこの趣旨、この目的に副うておるでありましようか。
 今日の國鉄は、最近特に非能率であり、規律は守られず、秩序は乱れ、責任感の有無すら國民に疑われ、道義はすたれ、親切なサービスをどこに求め得られるでありましようか。この点に関し岡田運輸大臣は、近來共産主義的なものが強く傳播せられ、國鉄が從來長くもつていた、すぐれた点を失つたことは、はなはだ遺憾にたえない、と答えておるのでありますが、そういう共産主義的な強い傳播のほかにも、また重大な原因のあることは申すまでもありません。機械や設備等資金・資材の不足のために改善が遅れるものは、しばらくやむを得ずとするも、お互いの努力により改善のできるものを改めずして、國民怨嗟の的となりながら、その國鉄の赤字補填のために、單に漫然運賃と料金とだけの大幅引上げをやるというのは、不合理の極致であるばかりでなく、いよいよ責任と義務観念を失わしめ、規律秩序は正されず、道義と親切とはますます頽廃し、日常目のあたりに見る独占官業国鉄の業態を、國民はそのまま標本としてまねるに至るでありましよう。また國鉄官吏を一層恨むに至るでありましよう。けだし、思想上の大問題であります。
 かく檢討してきますれば、この値上げが、法案第一條二項に示すごとく公正妥当なものでないことは、明らかであります。(拍手)この政府案の大幅引上げによりましても、また本年度から行政費は一般会計から支弁することといたしたことを加えましても、なおかつ年間百億円を一般会計から繰入れるというのでは、今回の値上げが法案第一條の二項の規定――原價を償うものでないことも、きわめて明らかであります。(拍手)機構の改革、経営の合理化、能率的計画なくして、むりに原價を償わしめようとした机上のプランが、本法案であります。その結果、國鉄がもつべき責任を國民の多大なる犠牲に轉嫁するのみならず、鉄道利用者の減少を予算計画に見積るという、國鉄の使命に背反する重大なことまで惹起せんとしておるのであります。(拍手)
 皆さん、わが國鉄は從來産業の発達に著しく貢献してきたのでありますが、大正年間初頭に起つた欧州大戰乱中及び其の前後において、物價は御承知のごとく著しく高騰いたしましたが、昭和の初めから七年まで、鉄道運賃中旅客に例をとりますと、依然として一マイル一銭六厘五毛で、その間引上げをいたさなかつたのであります。さらにまた支那事変中には貨物運賃を引下げ、去る大戰争中にも値上げをせず、その他の場合値上げいたした際といえども、他の物價に影響することと、産業の発達を阻害することを顧慮して、徐々に引上げを行つて今日に及んでおるのであります。しかるに、昨年以來二回にわたり相当大幅な運賃と料金との値上げを行つたにもかかわらず、政府は今回また過去において類例を見ないほどの大幅値上げの暴挙をあえて行わんとするのであります。(拍手)
 鉄道が産業の発達に寄與するための條件は、一、國民の活動に必要な能率的輸送と親切とを盡すこと、二、受託の貨物等を損耗せしめず、変質せしめずに届けること、三、できるだけ迅速に輸送し、しかも、できるだけ多くを輸送すること、四、賃金・料金をできるだけ安くすること等がおもなる事項であります。しかるに、政府案による今回の計画は、これらのいずれにもあてはまらないのであります。ただわずかに輸送増強の点において、二十三年度は昨年度よりも貨物約一割を増送する計画はありますが、その反面、旅客五%減を予定した予算を組んでおり、輸送増強の点においては、プラス・マイナス・ゼロの結果となつておるのであります。(拍手)
 國鉄從業員組合及び全官公廳に対し政府が最近決定した賃金三千七百九十円ベースは、鉄道運賃の値上げと物價引上げとにより、とうていこれによつて生活はできないとの理由をもつて、五千二百円ベースに引上げることの強硬な要求が労働組合から行われておることは、御承知の通りであります。鉄道運賃大幅引上げ計画が発表せられまして以來、國民生活の七〇%以上を支配するというやみ物價が著しく高騰しつつあること、これまた皆さんが御承知の通りであります。多くの実例と多くの理論とを拔きにし、ただこの二つの現実において、本法案に盛られた運賃と料金との引上げが、法案にいわゆる賃金と物價の安定に寄與するということは、断じて言えないことは明らかであります。(拍手)それとも、変態内閣と國民に非難せられる現政府は、物の見方も変態であつて、天井知らずの物價高騰と、一躍一人一千五百円の賃金値上げ要求が労働組合によつて行われておることを指して、物價と賃金との安定なりと言うのであるか、まことに奇怪千万であります。(拍手)
 かくのごとく、運賃並びに料金決定の原則に基いて本案を檢討いたしますれば、全然この値上げは不当なりとの結果だけしか出てこないのであります。独立採算制と政府が称えるのは、嚴密にこれを批判いたしますれば、一種の美名に隠れて、收支のバランスだけを合わせようとの机上プランにすぎませんが、幾らかこの美名に副おうと岡田運輸大臣が試みたことはわかるのであります。すなわち、運輸省における行政部面と企業部面とを分離し、行政部面の経費は一般会計で賄い、企業部面には多少の独立性をもたせようとした点があります。独立採算制は形式ではない。必ず合理的経営を基礎とせねばならぬのでありまして、右案は、わが党が主張するがごとく、鉄道を独占官業としてしばらく継続するならば、本省は資金と資材と企業指導だけを把握する簡素なるものとし、各鉄道局の二重監督の弊も除去して、現業を中心とする合理的経営をやろうとするような、徹底したものではないのであります。(拍手)他面、行政整理についての確固たる方針もなく、能率を高めるための配置轉換すら徹底して行う計画がないようであります。そのよつて來るところは、鉄道の組織労働者六十余万の労働攻勢を恐れてのことが主たるもののようであります。
 皆さん、われらが率直に考えねばならぬことは、鉄道を初め各界における数百万の組織労働者に恐れをなし、その他の多くの未組織労働者並びに窮乏に苦しむ國民大多数の切実なる声を尊ばぬことが、はたして責任ある政治家の選ぶべき道であるかどうかということと、さらにまた、組織労働者はわれらの敵ではなくして、親密なる味方であり、祖國再建のための有力なる友であるということであります。國民多数の切実なる声を聽き、親愛にして有力なる友である労働者に、國家財政の現状と、祖國再建の責任と、同憂同苦の至情と、生きぬく途とをただちに訴えて、その協力を求めますならば、われらの友は、翕然としてこれに應ずるに違いありません。この至誠と政治力とをもたずして何事をかなし得ましよう。
 なお、本議員の質問に対し岡田運輸大臣は、労働組合の健全なる発達のために組合專從職員に給料手当等を支給しない旨と、從業員の配置轉換に努力する旨と、労働爭議並びに怠業等を防ぐために紛爭処理機関を設けることと、労働法規の改廃に関しては研究をすることとを答弁いたし、芦田総理大臣もまた、これを裏書した答弁を行つたが、現内閣の薄弱な政治力に信頼のできないことは、もとよりであります。(拍手)
 かくのごとく、運輸省機構と人事とにおいて改革と合理化との計画が少く、それによる能率の向上と経費の節約とが不十分なるのみならず、物件費の浪費に対する制限と節約も十分に計画せられず、また國鉄の外廓團体の整理改善にも手を染めずして、これらの行き方をすることは、はなはだ遺憾とするものでありますが、ここにまた見逃すことのできないのは、船舶運営会であります。船舶運営会に対しては、國民はあたかも伏魔殿のような疑惑の感をもつ者も多いようでありますが、乘船していない者に給料を與えていることや、貨物の輸送や船体の修理等に絡まる香しからぬ世評に対し、その内容は明らかにされぬままで、赤字補填のために四十億円の巨額に上るところの費用が計上せられておるのであります。節約すべきものは、これらの面にも多いのでありますが、さらに本法案を通じて、芦田内閣の不統一と杜撰と宣傳のみが多くして、内容の伴わない事実を明らかにし、政府提出の本法案に反対の、他の一大理由を明らかにしたいと思うのであります。
 現内閣は、國鉄復興の重要性に鑑みまして、國鉄を超重点産業と同一に扱うことを決定いたしたのであります。これに基いて運輸省は、二十三年度以降増送の計画と、能率向上と、経費節約との計画を立て、貨物においては、二十二年度一億一千五百万トン輸送の実績であつたものを、二十三年度は目標一億三千万トン、最低確保一億二千六百万トンの計画を立てたのであります。右の点と、カロリーの高い良質石炭を鉄道に使うことによつて能率を上げることと、著しい経費の節約をなすことができる点とに、わが党が着目いたしまして、私が右両件に関して岡田運輸大臣と栗栖安本長官並びに水谷商工大臣とに重大質問もいたしたのであります。
 その答弁において、栗栖安本長官は、國鉄の能率を上げ、かつ経費の節約をなす計画のために、所要の物資・設備等に対して、その所管にかかる物については、國鉄にこれを割当て配給を確保する計画ある旨の答弁があつたのでありますが、水谷商工大臣は、この目的のために最も重要なる良質石炭、すなわち五千六百カロリー以上六千カロリー並びに六千九ロリー以上の石炭が、現在何ほど生産されつつあるか、また向後何ほどの増産計画をなしておるのか、現在のこれら良質石炭の配給割当先はいかなる所か、國鉄にいかほど割当配給しておるか、また國鉄の右新計画に対し、向後できるだけ多くの良質石炭を割当てるべきであるが、その計画の内容いかん、また、これら石炭の地区別生産概略数量いかんとの質問に対し、その生産数量や生産地区、生産計画等は、未だ調査しなかつたから、わからぬとの答弁をせられて、私どもを唖然として驚かしたのであります。
 一体水谷商工大臣は、前内閣以来、経済閣僚として重要ないすを占めておる人であります。しかるに、國鉄は超重点産業と決定せられている。それに基いて、岡田運輸大臣はそれぞれの計画を立てた。栗栖安本長官は、その所管に関する限り、その所要物資を確保した。しかるに、私どもの要求する、最もこれに必要なる良質石炭配給計画に関しては、水谷商工大臣は、調査しないから知らぬ、その生産数量や地区もわからぬというのであります。同じ芦田内閣の重要ないすを占める三人の大臣が、その内閣の超重点産業の計画に関し、ある者はこれが用意を確約し、ある者は、その重要條件の一つであり、みずからの所管にかかるところのものを知らぬ、用意もないというのであります。驚き入つたことではありませんか。
 現内閣が不自然に成立したことは、國民に言い盡されたことでありましようが、ここに、この重要問題に関し、栗栖安本長官の足は長く、水谷商工大臣の足は短かくて曲つており、中に運輸省という一個の荷物を載せて、跛行で動けぬことが明瞭となつたのであります。(拍手)ここに運輸省のせつかくの計画が実行に入り得ずにおるのは、國鉄のためにも、國民のためにも遺憾の至りであります。
 かくのごとく檢討をいたしてまいりますると、現政府の國鉄に関する計画は、その整理、節約すべき消極の面においても、能率をあげて増收をはかるべき積極の面においても、また國鉄そのものの機構その他を改革して、その本來の性格と使命とを全うすべき根本的な面においても、さらに申しますならば、ただちになし得べき秩序や規律やサービス改善の点においても、なすべきことをなさず、計画すべきことが計画せられておらないのであります。なすべきことを行わずして、國民絶対反対の声を軽視して、その場限りの計画による大幅値上げが本法案の内容であり、國民の納得が得られないのはもとより、これがために國民生活と産業復興とインフレと國民思想とに與える反影響は、戰慄も禁じ得ないものがあります。
 かくのごとくして、國鉄の性格に深く鑑み、その使命を全うするための、合理的にして切実なる途を選ばず、その場しのぎのために最も安易な運賃と料金との大幅値上げの暴挙という途を選ぶことの不当と、かくしてはインフレ激化をはなはだしく促進し、やがて間もなく重ねて値上げのやむなきに至ることを指摘して、政府の原案並びに與党の修正案に反対するものであることと、わが党は、冒頭に述べましたことく、これを改革改善し、合理化、能率化すベき具体的の用意があることを明らかにし、國民生活の現状より推して運賃の値上げは不本意であるが、暫定的にわが党提出の修正案をもつて、國民の苦しみを最小限度に食い止めんとするものであることを断言する次第でります。
 四百五十の議員諸氏に希うところは、本案の成り行きをまなじりを決して見守る全國民のために、また祖國再建のために、党利党略をしばらく捨てて、民主自由党のこの修正案に賛成せられるの全幅の誠を示されたいことを希望いたしておく次第であります。
○議長(松岡駒吉君) 高瀬傳君。
    ―――――――――――――
 國有鉄道運賃法案に対する修正案〔高瀬傳君提出〕
  〔都合により最終号の附録に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高瀬傳君登壇〕
○高瀬傳君 私は、社会革新党を代表いたしまして、ただいま上程になりました國有鉄道運賃法案につきまして、いささか修正の意見を述べんとするものであります。すなわち、第一條第二項を削除し、第三條第一号中、一円二十五銭とあるを七十銭に、九十銭とあるを五十銭に改める案であります。とりもなおさず、旅客二倍、貨物三倍、定期券一倍半、学生定期すえおきという案であります。
 國有鉄道運賃法案の第一條第二項に「、前項の運賃及び料金は、左の原則によつてこれを定める。」という項があります。その原則は四つありまして、一番目に公正妥当なものであること。二番目に原價を償うものであること、三番目に産業の発達に資すること、第四は賃金及び物價の安定に寄與することであります。しかしながら、今回の運賃値上げの政府提出の原案のいずこを見ても、この條項に匹敵するものはないと私は確信いたします。しかも、わが鉄道は國有によつて運営され、國家の管理によつて運営されております以上、かくのごとき原則によつて運賃を変動させ、あるいは鉄道運営をするのは当然でありまして、事新しくかくのごとき條項を四つもここに載せて法律にする必要は毛頭ないと私は確信いたします。鉄道が國家の管理によつて忠実に運営されている以上、かくのごとき蛇足を加うる條項を削除せんとするものであります。
 なお、第三條第一号中の運賃の定率でありますが、この三倍半は、旅客運賃について見ましても、貨物運賃について見ましても、私がここでその理由を一々述べる必要がないほどインフレを促進し、実質賃金の根底を破壞し、はなはだ意味のないものであることは、おそらく満場の諸君が賛成されることと存じます。(拍手)從つて、これによつて何ら運賃の増收は実質的にはかられないのみならず、また貨物運賃の三倍半の変更によつて、海陸輸送の調整のごときは何らできないと存じます。独立採算制を死守するあまりに、かくのごとき高率なる運賃の値上げによつてこの独立採算制の赤字を解決せんとするがごときは、撞着もはなはだしいと存じます。三千七百九十一円ベースもすでにあやしき今日、かくのごときインフレを高進し、國民生活を圧迫するがごとき運賃値上げには、反対せざるを得ないわけであります。
 しかも、これによる経営の合理化のごとき、経費の節約のごとき鉄道の増收対策については、われわれは委員会において、六月四日以來十数回にわたつてこれを政府に質しましたが、何ら満足すべき回答に接しておらないのであります。しかも、われわれがはなはだけげんに思いますことは、この三倍半はやつと一昨日政府が倍率を決定いたしまして、昨日われわれは熱意をもつてこの討論を行うつもりでおりましたが、いかなる理由であるか、與党各派、特に社会党の諸君はほとんど姿を見せず、民主党の諸君はやや出席いたしましたが、結局本日討論に至つたようなわけでありまして、いやしくも閣僚を送り、閣議をもつてこの倍率の方針を決定した現内閣が、昨日、一昨日に至るまでその方針の決定を見ざるがごときは、はなはだわれわれ意外とし、また國民に対して申訳ないと存ずるのであります。(拍手)從つて私どもは、六月十五日にこの三倍半の値上げを決行する政府の予定は、おそらく七月二十日過ぎになると思いますが、その間に生ずる赤字については、われわれは政府の責任において解決せんことを、ここに強く主張するものであります。
 なお、労働組合の協力もなし何もない独立採算制を死守せんとするあまり、かくのごときはなはだしき案を提出した結果、もし政府がこの案を実行せんとすれば、われわれ國民は独立採算制の犠牲にならざるを得ないのであります。國民大衆は独立採算制のモルモツトになる必要は毛頭ないことを、重ねてここに申し上げる次第であります。(拍手)
 なおわれわれは、單に反対せんがために反対しておるのではありません。今回出されました四千億の予算については、インフレの増進を阻止するために、われわれは、その総予算の二割天引を主張いたします。もちろん、必要である六・三制であるとか、災害復旧費であるとか、國債費であるとか、警察官、小学校教員の國庫負担金を削ろうというのではありません。この二割節減によつて、われわれは約七百二十億の経費の節約を主張いたします。從つて、この観点からいたしますと、鉄道の本年の総経費は、人件費が三百四十九億、物件費が五百六十億、しかもその中に、改訂炭價に上りまする二百四十六億の厖大なる経費が含まれております。その他の経費を合計いたしますると、鉄道の総経費は九百八十一億という厖大なる数字に上つております。われわれの、旅客二倍、貨物三倍、学生定期すえおき、普通定期一倍半の案によりますと、六百三十五億の收入が予定されております。從つて、この全部の赤字は三百四十六億と相なりますが、政府の百億の補助を除きまして、二百四十六億の赤字を算えるわけであります。この補填といたしまして、私は、この國有鉄道を重要産業並みにすることを、政府に考慮を求めたいと思います。特に石炭の面におきましては、特定の消費者に対しては、買上げ價格千円であります。しかしながら、一般消費者に対しましては三千一百四十七円、すなわち國有鉄道は重要産業並みに指定いたし、しかも良質の石炭を配給いたしますならば、われわれは百四十億の節約を國有鉄道に與えることができるわけであります。強くこの炭價の面において、國有鉄道に関する限りこれを重要産業に指定し、百四十億の節約を強要せんことを希望するものであります。
 なお、総経費九百八十億に対しまして、私は、行政整理その他を含めまして、経費の一割節約――一〇%節約を主張いたします。これによつて九十八億の経費の節約ができると思ひます。これは必ずできます。なお二十五億の増收は、無賃乗車証の整理、あるいは構内営業、庫告料等の料金の合理的改正、あるいは不用資材または施設、特殊物件の拂下げということによつて、約二十五億の増収を見込むことができると思います。從つてわれわれは、國有鉄道に総額二百六十三億の節約と増收を併せて期待することができます。從つて、赤字の三百四十六億のうち百億を政府が補助しまして、二百四十六億、これと比較いたしまて、なお十七億の余裕を生ずることを申し上げたいと思います。
 最後に私は、この運賃の改正にあたりまして、現在のいわゆる物價に比例しない、昭和十五年に改正されたままの貨物運賃を、同率に引上げるこの今回の改正に対しては、はなはだ不満の意を表明するものであります。從つて、今後しかるべき機会に、物價の大勢を見透して、貨物運賃の等級を急速に改正せんことを希望いたす次第であります。もちろんサービスの改善、経営の合理化は、当然これに熱意を示すべきでありますが、特に私の注意を喚起いたしたいことは、この國有鉄道を運営する六十一万の現業員諸君が、この運賃の値上げに反対し、あるいはサービスの向上による列車の増発に反対せんとする氣勢を示し、または統一ある労働組合の運動に対してすら協力せんとする熱意を示さないごとき、かくのごとき状態において從事員の協力なくしていくら予算上のつじつまを合わせましても、絶対にこの國有鉄道の再建は不可能であろうと存じます。特にこの点につきまして、私は運輸大臣並びに政府当局の注意を喚起したいと思います。
 要するに、これらの点が完全に行われなければ、野坂君ではありませんが愛される國有鉄道に再建することは絶対不可能であろうと存じます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。木村榮君。
    〔木村榮君登壇〕
○木村榮君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりますところの鉄道運賃の値上法案に対して絶対反対の意見を申し述べたいと思います。
 今回の倍率の修正で、たとえば東京から鹿兒島の間を三等車で往復いたしますと、約二千円かかる計算になつております。その原價は、かりに物價改訂を前提といたしましても、千五百五十円であると推定されておりまするが、これを逆算いたしますと鹿兒島・東京間を往復させまして、三等旅客から四百五十円政府はもうけるところの計算になつております。この四百五十円は、三等旅客でございますから、決して資本家階級ではないというのは明らかなことであつて、一般大衆のふところから取上げるということは当然の結果となると思います。参議院の運輸交通委員会において、政府側は、今度の改正運賃はいわゆる経済運賃ではなくて財政運賃だと答えて平然としておりまするが、この財政運賃だという答弁こそは、一般勤労者大衆から運賃として大衆的な方法で金を巻き上げる方法であるということを簡潔に言い表わしておると言つて差支えないと思います。
 今かりに、日本の國民が、今度の予算によつて、中央財政並びに地方財政を合わせまして、どのくらい負担がかかるかといいますと、大体國民一世帶当りが、一箇月二千円の税金負担になつておる。この一箇月二千円の税金負担というものは、三千七百円のベースといたしまして、二・五人の一世帶が一箇月大体六千三百六十四円の收入と見ますと、この税金の面だけで一箇月三割が取上げられる。こういう税体系のもとにあつて、今度は鉄道運賃値上げ、タバコの値上げ、酒の値上げ、何もかも値上げ値上げで、政府は國民大衆に臨んでおります。
 たとえば、ピース一箱を吸いますと、ピース一箱の原價は四円四十五銭と政府は発表いたしておりまするが、差引五十五円五十五銭というものが政府のもうけとなつて、國民大衆から取上げられる。酒を一升飲めば、原價を引いて八百二十五円が政府のふところへはいる。かような収奪の上に、今度は鉄道運賃の收入で一箇年七百十六億円をもうけようという、このもうけの國民の消費資金に占めますところの割合は、実に五・一%という厖大なものになつております。すなわち前記の一世帶当りでは、月々三百十八円巻き上げられるという計算になるわけでございます。そうでなくてさえも一般國民大衆は、いよいよたけのこ生活もその限界点に達して、非常に困難な生活をしている。すなわち、酒を飲まないといたしましても、タバコ代だけで一世帶当たりが月々三百六十円、運賃を合計いたしますと、一箇月二千六百八十円の割合で巻き上げられるということになつてしまう。すなわち一世帶当りでは、月々の総收入の四二・一%が徴取されるという、べらぼうな運賃改訂の基礎を今度の改正はなしているわけであります。
 しかも第二に、この運賃改訂による利益をもつてして、主として一部の独占資本家階級の利益に奉仕するようなことに使う。貨物運賃のことを見ましても、この貨物運賃によりますところの赤字が、大体約四百八十六億円ということになつておりまするが、こうしたものの利用者が一体だれであるかということを考えてみましても、三等旅客運賃の利用者の大体九二%が……
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
○木村榮君(続) 三等旅客という大衆負担の旅客運賃であつて、おおむね五〇%程度の利益を伴うように仕組まれておる。これは明らかに、大衆的な犠牲においてこの運賃改訂を行う証拠だと思います。
 ところで、この際特に申し上げたいことは、この間の本議場において、院議をもつて、農村の昭和二十二年度産米の値段の引上げのことが決議されました。ところが、その後一向――政府においては院議をほおかむりしたのか、何らその手を打たない。そうして農民に対しては、今度の新麦の供出あるいは馬鈴薯の供出を強制いたしております。運賃値上げといつたふうなことは平然とやつてのけますが、院議で決定したような米價の問題に対してはその後何ら手を打つていない。こういうことでは、一般国民大衆の犠牲において、農村や労働者の犠牲において、このべらぼうな運賃改訂をやつているのだと言われても、他の面からこれを証拠づけるところのことが、たくさんに現われてきているということを、特に強調したいと思う。こういうふうなことでは、一般の國民大衆の生活はだんだんとやつていけなくなる。
 政府は独立採算制を問題といたします。國鉄労働者の從業員の数が多いのだ、あるいは賃金の問題だとかいつたふうなことを宣傳いたしますが、決してそうではなく、政府が発表いたしておりますところの國鉄のいろいろな経費の統計を見ましても、人件費の占めますところの割合というものは、ごく少いものであつて、決して労働者の賃金、そういつたものが、國鉄運賃を値上げしなければならないという原因にはなつていないということを、この際はつきりと申し上げたいと思う。
 こまかい点にわたつては、たくさん申し上げることはございますが、今の政府は、何でもかんでも値上げ値上げということによつて、ごまかそうとしている。社会党に至つては、昨年の選挙に約束したことは一つも実行しなくて、民主党と手を組んで、この鉄道運賃さえも合理化しようとして、かの街頭のバナナ賣りがバナナを賣るように、三倍半を二倍半にしてはどうか、あるいは根拠のない二・五六だとか、あるいは五五だとか、まるで子供だましのようなことを言つておる。一%引下げさせることによつて、いかにもこれは合理的なものであるといつたようなごまかしをもつて、國民大衆をごまかそうとしている。この社会党の政策が、今日本の國民にとつては最も憎むべき敵であると私は断言いたしまして、反対の討論を終ります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず尾崎末吉君提出の修正案中、第三條の三等旅客運賃の修正及び第五條の定期旅客運賃の修正につき採決いたします。この修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて尾崎君提出の修正案中第三條及び第五條の修正部分は否決せられました。(拍手)
 次に、高瀬傳君提出の修正案中、第一條第二項の運賃及び料金を決定する原則の規定を削る部分及び第三條の三等旅客運賃の修正につき採決いたします。この修正に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて高瀬君提出の修正案中第一條第二項及び第三條の修正部分は否決せられました。(拍手)
 次に、尾崎君及び高瀬君提出の両修正案中、別表第一航空旅客運賃表、別表第二急行料金表及び別表第三車扱貨物賃率表の修正は、内容が同一でありますから、この共通部分につき採決いたします。この共通の修正部分に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立少数。よつて尾崎君並びに高瀬君提出の両修正案中同一の修正部分は否決せられました。(拍手)
 次に、本案の委員長報告につき採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 採決について異議がありますので、記名投票をもつて採決いたします。委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――靜粛に願います。
    〔参事氏名の点呼を継続〕
○議長(松岡駒吉君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票の数を計算〕
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います――靜粛に願います。――着席を願います。
 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百八十八
  可とする者(白票)  二百十六
  否とする者(青票)  百七十二
    〔拍手〕
○議長(松岡駒吉君) 右の結果、本案は委員長報告の通り修正議決いたしました。
    〔拍手〕
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   赤松  勇君  淺沼稻次郎君
   井伊 誠一君  井上 良次君
   井谷 正吉君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君
   池谷 信一君  石井 繁丸君
   石神 啓吾君  石川金次郎君
   稻村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  海野 三朗君
   大島 義晴君  大矢 省三君
   加藤 勘十君  加藤 靜雄君
   花月 純誠君  笠原 貞造君
   梶川 靜雄君  片山  哲君
   勝間田清一君  金子益太郎君
   上林與市郎君  川合 彰武君
   川島 金次君  河井 榮藏君
   河合 義一君  菊川 忠雄君
   菊池 重作君  清澤 俊英君
   久保田鶴松君  金野 定吉君
   佐々木更三君  佐竹 新市君
   佐藤觀次郎君  榊原 千代君
   笹口  晃君  重井 鹿治君
   島上善五郎君  島田 晋作君
   庄司 彦男君  鈴木茂三郎君
   鈴木 義男君  田中織之進君
   田中 松月君  田中 稔男君
   田淵 実夫君  高津 正道君
   竹内 克巳君  竹谷源太郎君
   辻井民之助君  土井 直作君
   戸叶 里子君  冨吉 榮二君
   中崎  敏君  永井勝次郎君
   永江 一夫君  成瀬喜五郎君
   成田 知巳君  西尾 末廣君
   西村 榮一君  野上 健次君
   野溝  勝君  馬場 秀夫君
   林  大作君  原 彪之助君
   福田 昌子君  藤原繁太郎君
   細川 隆元君  細野三千雄君
   前田榮之助君  前田 種男君
   正木  清君  松尾 トシ君
   松澤 兼人君  松永 義雄君
   松原喜之次君  松本 七郎君
   松本 淳造君  萬田 五郎君
   溝淵松太郎君  水谷長三郎君
   村尾 薩男君  守田 道輔君
   森 三樹二君  森戸 辰男君
   門司  亮君  八百板 正君
   矢尾喜三郎君  矢後 嘉藏君
   安平 鹿一君  山口 靜江君
   山崎 道子君  山下 榮二君
   山花 秀雄君  山本 幸一君
   吉川 兼光君  米窪 滿亮君
   安東 義良君  芦田  均君
   天野  久君  荒木萬壽夫君
   伊藤 恭一君 生悦住貞太郎君
   荊木 一久君  打出 信行君
   馬越  晃君  梅林 時雄君
   小川 半次君  小野  孝君
   岡野 繁藏君  押川 定秋君
   金光 義邦君  川崎 秀二君
   神山 榮一君 木村小左衞門君
   喜多楢治郎君  北村徳太郎君
   栗田 英男君  小坂善太郎君
   小島 徹三君  小林 運美君
   小松 勇次君  五坪 茂雄君
   五藤 悦治君  佐伯 宗義君
   坂口 主税君  櫻内 義雄君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   鈴木 強平君  関根 久藏君
   園田  直君  田島 房邦君
   田中源三郎君  田中  豊君
   高岡 忠弘君  高橋清治郎君
   高橋 禎一君  高橋 長治君
   武田 儀一君  武田 キヨ君
   橘  直治君  圖司 安正君
   佃  良一君  寺島隆太郎君
   苫米地義三君  中垣 國男君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   中村 俊夫君  長野 長廣君
  長野重右ヱ門君  成島 憲子君
   西田 隆男君  西山冨佐太君
   橋本 金一君  原   彪君
   坂東幸太郎君  一松 定吉君
   福田 繁芳君  舟崎 由之君
   細川八十八君  堀川 恭平君
   三好 竹勇君  村瀬 宣親君
   最上 英子君  八並 達雄君
   矢野 政男君  安田 幹太君
   山崎 岩男君  山下 春江君
   吉田  安君  米田 吉盛君
 早稻田柳右エ門君  井出一太郎君
   飯田 義茂君  石田 一松君
   今井  耕君  大島 多藏君
   岡田 勢一君  川越  博君
   川野 芳滿君  木下  榮君
   吉川 久衛君  黒岩 重治君
   小枝 一雄君  河野 金昇君
   酒井 俊雄君  笹森 順造君
   多賀 安郎君  竹山祐太郎君
   坪井 亀藏君  豊澤 豊雄君
   内藤 友明君  野本 品吉君
   萩原 壽雄君  平川 篤雄君
   船田 享二君  松原 一彦君
   松本 瀧藏君 的場金右衞門君
   谷口 武雄君  東井三代次君
   大瀧亀代司君  川橋豊治郎君
   北浦圭太郎君  世耕 弘一君
   中野 寅吉君  本田 英作君
   小澤專七郎君  鈴木彌五郎君
 否とする議員の氏名
   青木 孝義君  青柳 高一君
   淺利 三朝君  東  舜英君
   有田 二郎君  井上 知治君
   伊藤 郷一君  石田 博英君
   石原 圓吉君  石原  登君
   泉山 三六君  磯崎 貞序君
   稻田 直道君  今村 忠助君
   岩本 信行君  植原悦二郎君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
  小笠原八十美君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  尾崎 末吉君
   生越 三郎君  大石 武一君
   大内 一郎君  大上  司君
   大澤嘉平治君  大野 伴睦君
   大村 清一君  岡井藤志郎君
  岡村利右衞門君  加藤隆太郎君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   柏原 義則君  上林山榮吉君
   川村善八郎君  神田  博君
   菊池 義郎君  工藤 鐵男君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   小暮藤三郎君  小平 久雄君
   古賀喜太郎君  近藤 鶴代君
   佐々木秀世君  佐々木盛雄君
   佐瀬 昌三君  佐藤 通吉君
   齋藤 隆夫君  坂田 道太君
   坂本  實君  重富  卓君
   幣原喜重郎君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  庄  忠人君
   庄司 一郎君  白井 佐吉君
   周東 英雄君  鈴木里一郎君
   鈴木 仙八君  鈴木 正文君
   鈴木 明良君  關内 正一君
   千賀 康治君  田口助太郎君
   田中 角榮君  田中 萬逸君
   田村 虎一君  多田  勇君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   竹尾  弌君  塚田十一郎君
   辻  寛一君  綱島 正興君
   圓谷 光衞君  冨田  照君
   冨永格五郎君  中嶋 勝一君
   中島 守利君  中野 武雄君
   中山 マサ君  中村 嘉壽君
   仲内 憲治君  長尾 達生君
   夏堀源三郎君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   花村 四郎君  林  讓治君
   原 健三郎君  原  孝吉君
   原田  憲君  平井 義一君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   廣川 弘禪君  深津玉一郎君
   淵上房太郎君  降旗 徳弥君
   星島 二郎君  本多 市郎君
   本間 俊一君  前田  郁君
   前田 正男君  益谷 秀次君
   増田甲子七君  松井 豊吉君
   松浦  榮君  松浦 東介君
   松木  宏君  松崎 朝治君
   松田 正一君  松野 頼三君
   松本 一郎君  三浦寅之助君
   水田三喜男君  水谷  昇君
   明禮輝三郎君  武藤 嘉一君
   村上  勇君  村上 清治君
   森  直次君  八木 一郎君
   梁井 淳二君  山口喜多郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山名 義芳君
   山村新治郎君  山本 猛夫君
   吉田  茂君  若松 虎雄君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   荒畑 勝三君  赤松 明勅君
   大石ヨシ子君  大原 博夫君
   大神 善吉君  叶   凸君
   佐竹 晴記君  鈴木 善幸君
   田中 健吉君  高瀬  傳君
   成重 光眞君  早川  崇君
   平工 喜市君  藤田  榮君
   本藤 恒松君  松澤  一君
   宮村 又八君  斎藤  昇君
   只野直三郎君  中村元治郎君
   堀江 實藏君  森山 武彦君
   山口 武秀君  北  二郎君
   高倉 定助君  寺崎  覺君
   中野 四郎君  中村 寅太君
   木村  榮君  徳田 球一君
   野坂 參三君  林  百郎君
     ――――◇―――――
 第一 建設省設置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、建設省設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長松原一彦君。
    〔松原一彦君登壇〕
○松原一彦君 建設省設置法案について御報告申し上げます。本年一月総理廳の外局として発足したる建設院の運営は敗戰による大崩れのあとを承けて新日本建設のための重大なる責任をもつ建前から申しても、多忙な総理大臣の片手間仕事であつてはならぬ、一日も早く主管大臣をもつ独立の一省とすべきものであると申すことは、國会内においても、ほとんど一致したる要望でありました。その要望が、今回國家行政組織法の制定とともに実現せんとするものでありますから、委員会は國土計画委員会とも連合審査会を開いて、これを可決いたしたのでありますが、ただ、行政組織法の示すところに從つて若干の修正を行い、本年九月一日以降は出先の建築出張所を廃止して都道府縣廳に移し、所要の附属機関として研究所、地理調査所、建設工事本部を置く等の若干の修正を行いました。ただし、その規模が現在の建設院そのままであることは、建設行政―元化の建前からもすこぶる不満である、本年末までに制定せねばならぬ各省設置法を当國会に提出するまでの間に、官僚的割拠主義を清算して、次に述べるごとき一大勇断的大整理を行うべき旨を、決算、國土計画両委員会の総意をもつて申し合わせたのであります。次に、その申合せを読みます。
 現在の建設行政機構は、國道、重要河川、砂防、戰災都市の復興等は内務省以來現建設院に所属するも、港湾は運輸省、開拓荒廃林地復旧及び漁港は農林省、電力開発は商工省、上下水道と國立公園とは厚生省、学校建築は文部省等、それぞれに担当責任の分散がある。國家的総合建設の建前から、能率的かつ経済的に統制してこれが実行をはからねばならぬにもかかわらず、かくのごとき状態の継続することは、敗戰日本の破綻的経済事情と國民的福利を軽視し、國費の濫費と能率の低下、並びにその効果を減殺するものであつて、日本の復興に障害を與うる制度上の一大欠陷であると断定せねばならぬ。
 以上の観点から、われわれは單に看版の塗替をもつて一時を糊塗するがごとき貧弱不備なる建設省設置法には満足することができぬ。すべからく國家行政組織法の基準に則り建設行政一元の規模の上に各省の整理統合を断行し、建設計画とその建設力の総合的運営を促進し、もつて國家社会の復興、民生の安定、文化の興隆に貢献すべき大建設省を設定すべきである。
 なお第十二條に規定せる事務が特別調達廳に引継完了の場合は、特別建設管理を廃して、第三條第二十六号に規定する事務を行うため当然営繕局が設置せらるべきものであることを明らかにしておく。
 以上が両委員会総意の申合せでありますから、御了承を願いたい。本法案は、本月二十三日付託を受け、愼重審議の後、六月二十八日、前述の各派共同修正案を容れて、全員一致にて可決したのであります。
 以上、報告いたします。
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
    ――――◇―――――
 第二 漁船保險法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、漁船保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長馬越晃君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔馬越晃君登壇〕
○馬越晃君 ただいま議題となりました漁船保險法の一部を改正する法律案について、水産委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本委員会は、六月二十五日、本案の予備審査を付託され、二十九、三十の両日にわたり政府の提案理由の説明を求め、政府委員に質疑をなし、審議にはいつたのであります。次いで本案は、参議院において一部修正議決され、六月三十日、本委員会に正式付託されましたので、七月一日、本委員会は政府委員より本案一部修正箇所の説明を聽取いたしました。
 本案は、漁船保險法に家畜保險法中の規定を準用していましたが、家畜保險法が農業災害補償法の施行によつて廃止されましたため、家畜保險法を準用している規定の事項を漁船保險法中に新たに規定する必要が生じたので、本法を改正するものでありまして、改正の趣旨及びその内容がきわめて簡單明瞭でありますので、同日は質疑もなく、討論を省略いたしまして、ただちに採決の結果、本法案は全会一致をもつて原案通り可決いたしました次第であります。詳細は会議録に讓ることにいたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第三 日本学術会議法案(内閣提出)
○副議長(田中萬逸君) 日程第三、日本学術会議法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長松本淳造君。
    〔松本淳造君登壇〕
○松本淳造君 ただいま議題と相なりました日本学術会議法案につきまして、その内容の概略及び委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本法案は、科学技術に関する從來の諸機関を統合して、その研究と應用との促進並びに連絡を効果的ならしめる目的をもつて立案されたものであります。この法案の成立につきましては、昭和二十一年以來、日本学士院、学術研究会議、日本学術振興会、文部省科学教育局等の当事者が、関係方面とも協議しまして学術体制刷新委員会をつくり、本年一月、総理大臣からの委託に應じて、わが國の新学術体制を立案答申したものに基いて、日本学術会議を創設するための法案となつたものであります。
 この法案の内容といたしましては、日本学術会議は、各地方、民間の科学者を含めて、相当な経歴、業績をもつている学者を選考登録して、その予想人員約八万名の中から各專門別及び七地区別に互選した二百十名の会員をもつて構成する仕組であります。そしてこの会議は、総理大臣の所轄に属し、国費をもつて科学技術の研究を促進し、内外の研究上の連絡をはかると同時に、科学行政に関して政府に勧告し、またその諮問に答える使命をもつているのであります。
 以上が本案の概要でございますが、この法案は、去る六月十日國会に提出、文教委員会に付託、爾來文教委員会は、今日まで愼重審議を重ねてまいりました。
 この間、委員会において質疑の焦点となりましたおもなる点は、法案の第一條、第四條、第十條、第十七條及び別表に関連して、日本学術会議の組織における七部門の区分の当否、会員の選挙が現実適正な結果をあげ得るかどうか、会議自体とその事務局の経費のほかに、研究や実験の助成と科学研究者の養成等に対して十分な経費が見込まれているか等でありました。そして、これらに対する政府当局の答弁に対して、各委員は大体これを了承したのでありましたが、同時に、この法案を有効に運用してその目的を達成するため、政府に対して最善の努力を希望するとの意見が強力でございました。
 特に本法案第二十四條の、日本学士院を学者を優遇する栄誉機関として日本学術会議に附置するという件につきましては、その科学アカデミーとしての性格を保持するため、その会員の選定にあたつては、学士院からも同数の選考委員を出し、その独自の意見を尊重するよう、学術会議において取計らうべきだという強い希望が、各党各派から同じように表明せられました。從つて、討論におきましても、これらの希望や意見を附して、この立法の精神を一層強く活かすべしという意見が多数でございました、よつて採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決いたしました次第であります。
 以上、簡單でございますが、ここに御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(田中萬逸君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第四 損害保險料率算出團体に関する法律案(内閣提出)
○副議長(田中萬逸君) 日程第四、損害保險料率算出團体に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました損害保險料率算出團体に関する法律案について御報告申し上げます。
 本案は、損害保險事業の特殊性に鑑み公正な保險料率を算出するため設けられたる損害保險料率算出團体につき、適正な業務の運営をなさしめ、かつ独占禁止法の適用を除外するためのものであります。
 本案については、去る六月三十日、政府よりの説明を聽取し、ただちに審議に入りました。種々質疑應答はありましたが、翌七月一日、討論を省略し、採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決いたした次第であります。
 簡單でございますが、右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第五 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件
○副議長(田中萬逸君) 日程第五、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました財務局等の増設に関し承認を求めるの件について御報告申し上げます。
 政府は、本年度二千六百三十余億円に達する租税收入を確保するため各般の施策を講じつつあるのでありますが、なかんずく徴税機構の整備強化をはかるため、財務局については、現在の東京財務局の管轄区域から新潟、長野、群馬、埼玉、栃木及び茨城の六縣を分離して、第二東京財務局を東京都に設置し、名古屋財務局の管轄に属する富山、石川及び大阪財務局の管轄に属する福井のいわゆる北陸三縣をもつて金沢市に金沢財務局を設置し、また熊本財務局の管轄区域がら福岡、佐賀及び長崎の三縣を分離して、福岡市に福岡財務局を設置することにいたし、また税務署については、税額、納税者数、区域の廣狹、將來の発展性、職員数等を総合勘案して、蒲田税務署ほか四十六税務署を増設することにいたしたいというのでありますが、増設税務署の名称は省略いたします。
 本件については、去る十五日政府よりの説明を聽取し、爾來愼重に檢討中のところ、政府案はいずれも適切妥当と認め、全会一致をもつてこれを承認することに決定いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第六 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○副議長(田中萬逸君) 日程第六、弁理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。鉱工業委員長伊藤卯四郎君。
    〔伊藤卯四郎君登壇〕
○伊藤卯四郎君 ただいま議題となりました、内閣提出、参議院送付にかかる、弁理士法の一部を改正する法律案について、鉱工業委員会における審査の経過及び結果の概要を御報告申し上げます。
 本案は、さきに参議院に提出された内閣提出案に対し、参議院において一部修正を加え、参議院送付案として、去る六月二十三日に本委員会に付託されたものでありまして、本改正案の要点その他は、これをすべて会議録に讓ることといたします。
  〔本号の末尾参照〕
 続いて、討論を省略して採決いたしましたるところ、本参議院送付案は全会一致をもつて可決いたした次第でございます。
 以上、簡單ながら御報告を申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 國立光明寮設置法案(内閣提出)
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、恩給法の一部を改正する法律案及び國立光明寮設置法案の両案を一括して議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 内閣提出、恩給法の一部を改正する法律案、國立光明寮設置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長山崎岩男君。
    〔山崎岩男君登壇〕
○山崎岩男君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を申し上げます。
 新民法の施行その他諸法令の改廃等に伴つて諸般の改正を行わんとするのが、政府の本法律案提案の理由であります。
 次に、そのおもな点を申し上げますれば、第一は、民法の改正に伴う遺族に関する規定の整備であります。すなわち、從來の家の廃止に伴い、扶助料または一時扶助料を給される遺族の範囲は、公務員の租父母、父母、配偶者子または兄弟姉妹であつて、公務員の死亡当時、これにより生計を維持し、またはこれと生計をともにしていた者としておるのであります。なお、祖父母または子の間におきましては男女または長幼の区別なく、等分の権利をもつて扶助料または一時扶助料を受けることができることといたしておるのであります。
 第二は、刑法の改正に伴うものであります。すなわち執行猶予の言渡しをなし得る懲役または禁錮の刑期二年以下が三年以下に改められましたので恩給の失権または停止の区分となる刑期につきましても、これと歩調を合わせて、三年を超える場合には失権することとし、三年以下の場合には停止することといたしておるのであります。
 第三は、警察法及び消防組織法の制定に伴う警察監獄職員に関する規定の整備でありまして、國家地方警察に属する警察官として新たに設けられました警部補、巡査部長または巡査たる警察官を、恩給法上の公務員たる警察監獄職員として指定することとしておるのであります。
 第四は、いわゆる若年者及び多額所得者に対する普通恩給の一部支給停止に関するものでありますが、恩給金額が現状のごとき少額である間は、実効に比し、いたずらに事務負担が過重でありますので、暫定的にこの制度の運営を中止せんとするものであります。
 第五は、保健所制度の改正に伴うものであります。その機関に勤務する職員のうち、移管の際まで恩給法上の公務員としての取扱いを受けていた者は、当分の間、市吏員としての在職年を恩給法上の公務員として、引続いて在職するものとして取扱うことといたしております。
 第六は、立法の趨勢に伴い、命令に規定せられておつた実体的規定を法律に規定することといたした次第であります。
 次に、國立光明寮設置法案について申し上げます。
 現在の経済情勢下においては、疾病、戰傷、災害等で、中年で失明した人々は、その生活環境の激変に伴い、経済的にも、はたまた精神的にも非常なる障害を受け、生活の実態は眞に悲惨なるものがありますので、傷痍者保護対策の一環として、國立をもつて光明寮、すなわち失明者の保護施設を設けて保護を加え、生活訓練とともに、自立に最も必要な職業であり、かつ最も適当するあん摩、はり、きゆう等の職業を與え、もつて自立させようとするのが、政府の本法律案提案の理由であります。
 右二法律案のうち、前者は六月十九日、後者は本月二日、本委員会に付託せられ、本日審議に入つたのでありますが、政府との間に簡單なる質疑應答の後、討論を省略して採決に入りましたところ、全員一致原案の通り可決すべきものと決した次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 警察官等職務執行法案(内閣提出)
○笹口晃君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、警察官等職務執行法案を議題となし、委員長の報告を求めその審議を進められんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 警察官等職務執行法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長坂東幸太郎君。
    〔坂東幸太郎君登壇〕
○坂東幸太郎君 ただいま議題となりました警察官等職務執行法案に関し、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果の概要を報告いたします。
 まず順序といたしまして、本法案の提案理由並びに内容につき、その概略を御説明申し上げます。
 御承知の通り警察法は、主として警察の組織に関する事項を規定いたしたものでありまして、警察官等の職務執行上の権限や責任に関する規定は、まつたくこれを包含していないのであります。そもそも警察官の職務執行の心得や権限責任等は、從來は行政執行法及び行政警察規則の中に規定せられていたのでありますが、これらの規定は、多少新憲法の精神にふさわしくないものがありますので、先般行政執行法は廃止せられたのであります。このために、警察官等の行う保護や、犯罪防止のための立入や、緊急の場合におけるやむを得ない措置に関しては、至急新たに法的根拠を設ける必要に直面いたしておるのであります。その他警察官等による緊急避難の処置や、犯罪の予防、制止の権能や、武器使用の権限等につきましても、從來必ずしも明確な規定がなかつたのでありまして、この際人権を尊重する新しい見地から、必要な最小限度の事項を具体的に規定した方が、新憲法の精神に副い、また民衆や警察にとつても好ましいと考え、これらの事項を一括してこの法律案が起草せられたのであります。
 この法律案は、本文八箇條及び附則から成つておりまして、第一條はこの法律の目的、第二條は質問、第三條は保護、第四條は避難等の措置、第五條は犯罪の予防及び制止、第六條は立入、第七條は武器の使用、第八條は他の法令による職権職務を規定いたしたものであります。以上が本法案の内容の概略であります。
 本委員会におきましては、去る六月十日、本法案の付託を受け、六月十五日、齋藤國家地方警察本部長官から提案理由の説明を聽取した後質疑に入つたのでありまして、その間委員会を開くこと二回、愼重に審議をいたしたのでありまして、詳細は委員会議録によつてごらんを願いたいのであります。
 そのうち最も問題となりました点は、この法律案は、質問、保護、立入、武器使用を初めとして、警察官等が職務を執行するにあたつて必要な具体的措置を規定したものであるから、もしこの法律を濫用するときは、せつかく憲法で尊重している人権を蹂躙することになる、そこで、その運用には細心の注意を拂うようにいたさねばならぬというのであります。まことにその通りでありまして、さればこそ、殊に本法律案第二條においては、この法律に規定する手段は、前項の目的のため、必要な最小限度において用いるべきものであるとしてありまして、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならないと規定して、明文をもつて嚴にその濫用を戒めているのであります。一方、この点を政府に質しましたところ、政府としては、人権尊重を顧慮したればこそ、殊に本法案の中に、警察官等が職務を執行するにあたつて必要な方法を具体的に掲げ、極力その濫用を防止するよう心がけるものである旨の答弁があつたのであります。
 また、職権を濫用した警察官等に対しては何らか懲戒手続を規定しておく方が濫用を防ぐ上において効果的であると思うがいかんとの質疑がありましたが、これに対し政府の答弁は、各都道府縣に懲戒委員会を設け、これに対して関係者から申告する途を開き、それによつて処断させるような手続に関して、目下具体的に準備中であるとの答弁でありました。
 本委員会における質疑應答の最もおもなるものは、大体以上のごときものでありますが、本委員会においては、本法案の重要性に鑑みまして、さらに詳細審査を盡すべく、これを警察制度改革小委員会に付託したのであります。しかるところ、右小委員会におきましては、六月二十六日その審査を終え、小暮小委員長から、本案は警察官等が職務を執行するにあたつて欠くべからざる最小限度の事項を規定したものであるが、これを濫用するときは人権に多大の損傷を與うべきものであるから、その運用には細心の注意を拂つて当るべしという強い希望を附して、本法案を可決すべきものと議決した旨の報告があつたのであります。
 そこで本委員会といたしましては、もはや別段の質疑もありませんでしたので、同日質疑の打切りを宣し、討論に入つたのであります。しかるところ、司法委員会から合同審査の申入れがありましたので、その処置に関し理事会を開いて協議いたしました結果、質疑打切りを宣告した後ではあるが、せつかくの申越しであるから、特に意見の開陳のみを認めることとし、六月二十九日、委員外の猪俣、石井両君及び林百郎君から意見を聽取いたしました。
 その後七月一日に至り、各派共同提案として、次のような修正案が提出せられました。すなわち、
  第二條第二項中「又は交通の妨害となり、善良の風俗を破壞しその他公の秩序をみだす虞があると認められる場合」を「又は交通の妨害になると認められる場合」に改める。
  第三項中「又はこの法律第三條」を削る。
  第三條第一項第二号中「相当の事由を述べて」を削る。
  第四項の末尾に「この許可状には巳むを得ないと認められる事情を明記しなければならない。」を加える。
  第七條第一項第一号中「禁こにあたる罪」を「禁こにあたる凶惡な罪」に改める。
以上が修正案の大体であります。
 本委員会におきましては、本法案を施行するためには、この程度の修正はやむを得ないものと認めまして、七月二日、満場一致をもつて提案の通り修正するに決し、ここに警察官等職務執行法案は修正議決せられたのであります。
 右、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(田中萬逸君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り議決いたしました。
 暫時休憩いたします。
   午後十時七分休憩
   ――――◇―――――
   午後十一時五十一分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
   ―――――――――――――
○笹口晃君 明日午前零時十分より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 笹口君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 明日の議事日程は参事をして報告いたさせます。
  〔「異議あり」と呼び、その他発言する者あり〕
  〔参事朗読〕
 衆議院議事日程 第七十三号
  昭和二十三年七月三日(土曜日)
   午前零時十分開議
 第一 昭和二十三年度一般会計予算
 第二 昭和二十三年度特別会計予算
○議長(松岡駒吉君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後十一時五十二分散会