第002回国会 治安及び地方制度委員会 第5号
昭和二十三年二月十日(火曜日)
    午前十一時二十分開議
 出席委員
   委員長 坂東幸太郎君
   理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君
   理事 高岡 忠弘君 理事 中島 茂喜君
   理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君
      大石ヨシエ君    笠原 貞造君
      菊池 重作君    久保田鶴松君
      松澤 兼人君    松谷天光光君
      大澤嘉平治君    佐藤 通吉君
      坂口 主税君    千賀 康治君
      中垣 國男君    大内 一郎君
      小暮藤三郎君    松浦  榮君
      渡邊 良夫君    外崎千代吉君
 出席政府委員
        運輸事務官   加賀山之雄君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  酒井 吉郎君
        專門調査員   有松  昇君
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本日の会議に付した事件
 消防法案起草に関する件
 列車内の治安維持対策に関する件
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○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。
 常任委員会の本日の日程は、消防法案起草に関する件並びに列車内の治安維持対策に関する件でありますが、日程に入るに先だちまして報告いたします。それは常任委員会の開会定例日を変更の件、これは月曜日の定例日を火曜日に変更いたし、木曜日は從前通り、二、委員派遣承認申請に関する件、これは議院運営委員会において、当分の間委員派遣は一般的に保留することと相なりました。以上御報告申し上げます。
 消防法案起草に関する件を議題に供します。この件につきましては、さきに川橋小委員長から概略の説明がありましたが、本日は有松専門調査員から具体的に逐條的な御説明があります。
○有松専門調査員 今回成案を得ました消防法案は、第一回國会において衆議院を通過し、時間不足のため参議院において審議未了となりました消防法案につき、さらに検討を加え、政府の意見や実際的方面の警視廳消防部等の意向をも参考といたしてつくり上げたものであります。本日は時間節約のために、第一回國会案と今回の案との間におけるおもな相違点を申し上げ、その他特に重要とおほしき数点につき有松専門調査員から御説明を申し上げたいと存じます。なお個々の字句やかなづかいの修正、句読点の打ち方等、細目の部分につきましては、これまた時間の関係上省略させていただきまして、以下おもな点のみを順次申し上げてみたいと存じます。
 まず全体の形体についてでありますが、第一回國会案におきましては、全文五章三十二條、附則五條及び別表からでき上つておりましたが、今度は第三章として危険物、第四章として消火の設備、第五章として火災の警戒を新たに挿入いたしましたので、本文は四十七箇條に増加しております。これに反して附則において当然自明、規定の必要なしと認めましたもの二簡條を削りましたから、附則の方は三箇條に減少いたしております。
 まず第二章総則におきましては、第一條において「此の法律は、火災を予防、警戒及び鎮圧すると共に、火災時における人命及び財産を救護し」云々とありましたのを、「此の法律は火災を予防、警戒及び鎮圧し、國民の生命、身体及び財産を火災から保護すると共に、水災又は地震等の災害に因る被害を軽減し」云々と改めました。これはすでに第一回國会において可決成立を見ました消防組織法第一條に、「消防は、その施設及び人員を活用して、國民の生命、身体及び財産を火災から保護すると共に、水火災又は地震等の災害に因る被害を軽減することを以て其の任務とする」とありますのと、用字を統一いたしたのであります。
 第二條において、本法に出てくる用語につきまして定義を下したことは前と同様でありますが、本法案においては、消防執行長という字を用いなかつたのでこれを削り、また消防職員といふ用語は、消防組織法第十一條ないし、第十五條の規定だよつて明らかでありますからこれを削りました。また火災予防に関する定義は、これは常識的に考えればわかることであり、かつ殊にここで定義を下さなければ本法案の運用上疑問または支障を来すといふおそれがないので、これまた削除いたしたのであります。
 また消防対象物、関係者、関係のある場所といふ用語の定義は、前の案よりも法律的に整備した字句を用うることとし、危険物に関する定義は前の案のように列挙主義をとらないで、これを別表に譲ることといたしました。そ、の他防火対象物、消防隊、舟車といふ用語につきまして新たに定義を加うべく、それぞれ項を別にしてこれを揚げることといたしたのであります。
 次は、第二章火災の予防にまいります。第五條に「消防執行長は、前條又は第二十五條に規定する消防職員の行う事務に付、消防團員にこれを準用する」とありましたのを、「消防長又は消防署長は、前條又は第三十四條に規定する消防職員の行う事務に付、消防團員は国家消防廳、の定める資格を有する者にその補助をさせることが出來る」と改めましたのは、立入検査のように重要な仕事を置く一般の消防團員に行わせることは危険であり、また弊害を予想されますから、これを國家消防廳の定める資格を有する消防團員に限定したのでありまして、国家消防廳の定める資格とは、たとえば何年以上消防團員を勤めた者とか、何心の消防講習を受けた者とか、そういう事柄を資格として予定いたしているのであります。そして、第五條に新たに第二項を設けましたのは、これらの消防團員も、消防職員と同様、必要の場合には立入検査の権能を與え、秘密保持の義務を負わしめたのであります。
 次に第七條は新たに設けた規定でありまして、これは法の強制力を強めるために、行政執行法第五條の規定をここに引用してまいり、かつ人権の尊重という見地から、右の結果個人の権制が侵害せられた場合に、これが救済方法を明らかにしたものであります。第十條は、かまど、風呂場その他火を使用する設備等に関し、防火上必要な事項は市町村條例で定め得るため、新たに一條を挿入したものであります。
 第三章危険物という表題は、さきにも申しました通り新しく設けたものであります。そして政令で定める数量以上の危険物の取扱い、危険物の貯蔵所、給油場の設備等のために、新たに第十一條及び第十三條並びに第十四條を設け、また映写技士や映写室に関して第十五條及び第十六條の規定を新設し、さらに第十七條を新たに設けまして、これら以外の危険物の取扱いに関して、火災予防上必要な措置を規定したのであります。
 次は第四章でありますが、これも新たに「消火の設備」という題名を附與したものであります。ここでは消防の用に供する機械器具及、び設備の規格や、検定及びこれらの製造業者、輸入業者等に関する項につき、新たに第二十條及び第二十一條を設けました。それから前の案では第十二條で「消防に必要な水利の基準は、都市町村が定める」とありましたのを、今度はこれも第二十二條において「消防に必要な水利の基準は、國家消防廳が之を定める」ことといたしました。しかして國家消防廳は、どれだけ、町村には何箇の水が要るというぐあいに抽象的に準拠を定めるよう予定しておるのであります。また特に但書を附加いたしまして、水道については、当該水道の管理者がこれを設置、維持及び管理することといたしたのであります。
 第六章においては、特に火災の警戒という題を新設いたし、旧法第十四條において火災警報に関する規定が簡単に失し、実際の運用上支障を来すおそれがありましたので、今回はこれを詳細に規定し、火災の予防上危険であると認められる気象の状況の通報系統を明らかにしたのであります。
 次は第六章でありまするが、これは旧法において第三章火災鎮圧とありましたのを、第六章消火の活動と改めました。これはこの方が本章の内容を、より的確に表現し得ると認めたからであります。
 次は旧法において第四章捜査及び調査とありました部分でありますが、これはまづ第七章火災の調査を改めました。それから旧法におきましては消防職員に火災犯罪の捜査権のみならず、屍体の検視権、解剖権までを與える等非常に飛躍的な構想が見受けられたのでありますが、今日の実情においては一挙にここまで改革してしまう事までに、四囲の條件が即應しておらないという実際的方面の意見を加味いたして、旧法第二十三條の全文を削るとともに、旧法第二十二條の規定を新法第三十二條の程度に改めたのであります。
 次は第八章雑則に入りまして、旧法第二十六條第一項を削りましたのは、新法第二條でこれを規定したためであり、旧法第二十六條第二項は、引用條文を整理してこれを新法の第三十五條といたしました。
 また第三十六條を新設して、特別区に関する事項を明らかにし、第三十七條を新設して、消防署のない地方に関する規定を明らかにいたしました。
 第九章の罰則は、本文の加除によりまして、その條文の数字を整理しただけでありまして、量刑の内容に関しては変化はありません。
 以上きわめて簡単に必要点の主なものだけを御説明申し上げた次第であります。
○坂東委員長 この際、事内事局第一局消防課の事務官酒井吉郎君の発言を許します。
○酒井説明員 消防法案の立案に当りましては、政事府当局としては、消防法案小委員会に常に密接なる連絡を保ち、政府としての意見も適宜述べ、その立案に協力してまいつたことを、ここに一言申し上げておきます。
○坂東委員長 ただいま有松専門調査員の報告によりまして、過日行われました川橋小委員長の報告は完成せられたわけであります。これに対しまして、もし質向がありましたならば、お願いいたします。
○松谷委員 二十二條の水利の施設の場合でございますが、水利の基準を決定するのは國家消防廳であつて、施設の設置あるいは維持管理、こうしたものは市町村に委託されるわけですね。その場合に経費等は、この條文から拝見すると、全部地方負担になるようですが、その通りに解釈してよろしいのかどうか、その点を伺います。
○有松専門調査員 御質問の通りでございます。市町村事で経費を負担するのでございます。
○松谷委員 その場合に、いろいろ資材の配給とか割当とか、そういうものに対して特に國家消防廳が特別な便宜をはかるというお考えがあるのかどうか。せつかく國家消防廳で基準をおきめくださつても、その地方々々の今日の窮迫しておる経済状態では、なかなか理想通りの施設の設置ということも、あるいは維持ということも困難であろうと思いますが、こういう場合には当局としては、どこまでの援助をなさるお考えでありましようか、伺つておきます。
○川橋委員 資材の方も経費と同様に市町村の負担になつております。そうして單に國家消防廳で基準をきめるだけで、他の方はすべて市町村でやる、こういうことに御解釈願いたい。
○松谷委員 その場合に基準だけきめられても、それではなかなか基準まで到達できないという、そこに弊害ができてまいりませんか。
○川橋委員 そういうことも多少予想されますけれども、大体基準をきめるのですから、あまり細部にわたつてもどうかと思いますが、大体基準をきめるだけの権能を消防廳に與え、細部の運用は布町村の方でやるようになつております。
○有松専門調査員 ただいま川橋小委員長の御答弁で十分だと存じますが、なお今のお尋ねの資材の斡旋等につきましては、お説の通り、今日のような状態におきましては、なかなか思うようにまいらないという御心配、まことにごもつともでございます。そういう場合には、やはり国家消防廳として、できるだけの斡旋心配をいたす。その経路は、國家消防廳から都道府懸の消防訓練機関を通じまして市町村の方にいく、こういうように考えているのでございます。
○坂東委員長 この消防法は本委員会の提案になるのでございますが、この際もし質疑がない場合におきましては、これを小委員会の案として、英訳して関係方面に見せて、相談の上で委員会の最後の決定をして、しかして衆議院の案になるのでございますが、別に質疑はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 それではさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○坂東委員長 次の日程は列車内治安維持対策に関する一件であります。これまで列車内の強盗事件の内容は聽いておりますけれども、この対策につきましては、まだ政府側のはつきりした意見もなし、また当委員会においても対策の方法はとつておりませ。從つてこの委員会におきましては、対策につきまして十分の審議をしたい。それにつきまして政府側の意見を一つ拝聽いたします。
○加賀山政府委員 終戦後、列車と申しますよりは、送ります荷物の事故が非常に多くなりまして、これは前大戦後におけるドイツの事情なんか、非常にそういう傾向が強かつたのでありますが、わが國にも不幸にしてそういうことが現われてまいりまして、これではならぬ、われわれの輸送の責任が全うできませんので、まずこの荷物の事故の防止ということから出発いたしまして、列車内の犯罪並びに荷物事故を防止するために、警備員の制度をとつてまいつたのでございます。それからもう一つ司法当局と協議いたしまして、従來司法警察官吏というものがあつたのでございますが、これは数が少かつたのを一挙に四千五百名程度に増加いたしまして、また駅長以下地方警察官あるいは警備員なるものの範囲を拡張いたしまして、それから犯罪といたしましても單に営業法の違反ということだけでなしに、その他の一般現行犯――経済事犯は別でございますが――に拡張するという方法をとつて、検察当局との連繋によりまして、この犯罪防止にあたつてまいつたわけでございます。その結果といたしまして終戦後うなぎ上りに殖えてまいりました事故は、実はそのせいばかりではないと存じますが、ある程度殖えたままであまり殖えていかない、ようやく消極的な役割をするという結果になつてまいつたのであります。これではまだわれわれの目的とするところまでにははるかに遠いのでありまして、これは何とかしてあるいは百倍、あるいは何百倍に殖えた事故を、どうしても絶滅しなければならぬというのがわれわれの信念でございまして、これに向つていろいろの方案を講じてまいつたのでございます。
 ところが最近に至りまして特に列車内の事故が殖えてくる。單に荷物の事故のみでなくて、列車内における暴行でありますとか、あるいは犯罪が殖えてくるという不幸な状態が現われるに至りまして、今までの司法警察官吏、あるいは單なる警備係というような制度では、とうてい間に合わないということをわれわれとして考える至つたのであります。たまたま警察法の改正がありまして、国家警察並びに地方自治警察との関系があり、かたがた関係方面の意向といたしましても、列車内の治安維持は銀行等の警護と同様に、鉄道自体がやるのがいいという見解がかなり強いのでございます。そういう意向を総合いたしまして、国有鉄道の中に鉄道公安官、これは仮称でございまして、ただいまさような名前を使つておりますが、この制度を拡充いたしまして、これを整備していくという方向に進んでまいつた次第でございます。その問題につきまして從來関係当局省の内務省その他司法省等と、密接に連絡をとつて進んでまいつたのでありますが、この問題は何と申しましても、一般警察との関係が非常に大事である。列車内の犯罪を、國有鉄道の職員が、いかに組織を整備したといたしましても、これだけで防止することは困難なので、列車内も日本の祉会の一つの縮図でございますから、もともとは日本の社会そのものに犯罪がなくなつていかない限り、列車内にも当然犯罪が起きるのでございまして、これは両々相まつて進んでいかなければならぬ、そういう問題と、また技術的に申しましても、今まで警察務というものに不慣れな國有鉄道が、いかに急速に職員を養成するといたしましても、これだけの力をもつては、とうてい防止しきれるものではない。この二点からいたしまして、われわれの仕事はあくまでも一般警察の補助的役割を果すにあるということを、われわれとして考えております。但し列車内の犯罪が特異の形をもつて現われることと、また犯罪自体が一つの車の内にあること、あるいは駅の構内といつた比較的捕捉しやすいところから起ることから考えまして、専門的技能をもち経験をもつ職員から養成した公安官が、相当の効果を上げ得るのではないかという氣持をもつております。從いまして現在われわれが考えておりますのは、公安官制度の整備ということにあるのでありますが、この公安官の現状はどうなつておるかと申しますと、実は昨年から大藏省方面と折衝いたしまして、まず予算的措置を考えておりますが、本年度といたしましては、予算的には三千名余の定員をもつということに相なつておるわけであります。またこれに対する法制局方面との官制改正に関する協議はまだ整つていないのでございます。單に本年度としましては、先ほどの三千名余の公安官の予算的措置だけが考えられております。しかもこれは純増ではございませんで、現在の職員の振替りによると申しますか、現在の職員をそれに向けるというような考え方で今のところは進んでおるわけでありまして、先ほど申し上げました警備係といつたようなものを養成しましてこれに振り当てる。そうしてそれは軍に仕事のかたわら司法警察事務に携わるのではなくて、専門に警察事務に携わる制度にいたしたいと考えておるわけであります。ただいままでに養成を終えました公安官は八百六十名程度であります。ただいままだ入所中の、者もございますので、それが出てまいりますと千二百名程度に相なるのでございますが、至急に三千名の専任の公安官は充実いたしたい、第一段としてはさように考えておるわけであります。
 これから先の方針としましては、この公安官の数と質を充実することを考えなければならない。数の問題といたしましては、ほぼ九千名程度にこれを増加する意向をもつております。もちろんこれは数だけの問題ではなくて公安官の素質ということも非常に重大でございますので、新しい警察事務に相應するような教育を施すことに主眼をおきまして、体格、思想、人物等、健全な人を選びまして公安官の養成に目下努めておるような現状でございます。
 そこで申し上げなければならないことは、かような方針でやつておりますが、実は根本的にはまだ公安官の問題が片づいたというのではございませんで、一般國家警察並びに地方自治警察がいくらか手薄になつております。そうしますと先ほど申しましたような事情から、鉄道公安官がおもな役割を果さなければならぬ状態になるわけでありますが、今のところ武器等をもつことはまだ許されておりませんけれども、これは非常に重要な問題でございますので、関係方面とも十分折衝を続けておるのでございますが、ただいまのところでは、もつべきだという意向もかなりあるのでございますが、今のところとしては、まだこれに対する承認は得ておらないような状態でございます。
 もう一つ一般警察との連繋の問題、あ、るいは部内の組織化の問題等がまだ残されておるのでございますが、これは今後の問題といたしまして、先ほどから申しましたように、まだ何しろ数の問題もそういうふうに専門の公安官が少うございますので、さしあたつては数と質とを充実させるという方向に進んでいく、かような状態であります。一應ごく簡単に現状と先の考え大を申し上げた次第であります。
○坂東委員長 ただいまの説明に対しまして質疑はありませんか。
○松谷委員 ただいま御説明になられたように、荷物の事故ということも大きな問題であるには違いありませんが、殊に最近私どもが一番大きな不安を感じさせられておりますのは、國鉄などで事故のありました問題、あるいはまた國鉄内における集團強盗の場合などでありますが、こういうものに國民は相当の不安を覚えております。新聞の報ずるところによりますと、このため乗客が一時に三割減になつたというような事態さえ出しておりますが、國鉄に対するところの不安というものが助長してまいりますれば、國内一般の運営に相当大きなさしさわりを來してくるものだということはいなめない事実だと思うのであります。そういう場合にどうしたならば一体これを防げるかということが、國民の今最も大きな注目の的だと思うのでありますが、お話を伺つておりますと、鉄道公安官の設置について三千名という数字を伺つたのでありますが、具体的にこの数字を三千名と現在仮定いたしますれば、大体列車に乗込み配置できるところの人数はどのくらいの割合になるのでございましようか。
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。実は公安官は列重警衛上のみを目的として設置するのではございませんで、むしろ主たる目的は駅の内外、鉄道沿線を警備いたしまして犯罪防止に当るということでございます。三千名の人数を列車に乗せたらどうなるかというお尋ねでございましたが、全部の列車に乗せれば三千名ではとても少い数に相なるのでございます。ただいま全國に九つ鉄道局がございますが、この三千名を全国に割りつけまして、各鉄道局に分けてこれが各列車に乗込むということになりますと非常に少い数になる、かようにお考え願いたいのでありますが、実はこの列車にも非常にくせがございまして、特別にたちの悪い列車というのがあるわけでございます。また地方的に見ましても、たとえば米原附近でございますとか、あるいは裏日本の一部、あるいは東北線、あるいは復員列車といつたようなぐ勢いで、必ずくせがございまして、この列車を警備いたしますには、私は三千名を整備すれば十分警乗できると考えております。これはただ列車警乗だけを考えた場合でございますが、そのほかに実は日本銀行券の護送の問題も出ておりまして、これは最近相当の数に上つておるわけでございますが、これにも現在鉄道の公安官が当る、かようなことに相なりますし、また先ほどから申しましたように、列車内以外に、駅あるいは沿線等の警備を考えますと三千名では足りない、かような状態でございます。しかし今お尋ねの人数そのものよりは、私はまず組織力なり、その公安官の能力というものが、より問題だと思うのでございまして、ただいまのところでは、ようやくそういう目ぼしい列車には五名あるいは十名臨時に乗せておりますけれども、どうしても鉄道公安官のみでは仕事にならぬ。やはり武器を携帯した一般警察官の警乗を願うという以外にない、かようなことに相なつております。ところが一般警察官の警乗は昨年以来ずつとお願いしてやつてまいつたのでございますが、予算の関係で今年の一月から一般警察官の警乗はやらない、かようなことになりまして、現在はそのなけなしの公安官を動員いたしましておもな列車に乗せておる。ところがまだ不憤れのせいもございますが、一方において乗客が被害のあつたような場合に、時を移さず連絡なり通報していただけると、捜査なりその後の処置が非常にうまくいくのでございますが、新聞に現われておりました事件におきましては、乗客の通報が非常に遅かつた。これは一部には列車が混んでおるとか、集團でもつて妨害をされたり、あるいは後難を恐れたり、いろいろな事情があつたと思いますが、通報が遅れまして手配がつい間に合わなかつた、かような状態であります。われわれといたしましては、公安官制度の確立をやります機会に、どうしても一般乗客各位の絶大な御理解と御協力を得て、鉄道の中から悪をどうしても排除して、悪の種を絶やすという方向にもつていきたい、かように考えておるのでございまして、三千名は、先ほどのお尋ねの通り、私どもは今のところ決して十分な数字とは思つておりません。
○松谷委員 御説明で大体了解できましたが、今後だんだんとインフレはより一層高進するという観測をせねばならず、混乱は一層深みにはいつていくんじやないかという予測のもとに、この集團強盗なども楽観はできないと思います。その場合に、もちろん今お話のように組織を十分に強化する、あるいはまた人員を場合によつては増加していくという以外に、私はどうしても人的な問題を期待すると同時に、もつと科学的な面を動員しなければならないんじやないかと思います。
 こうした敗戦後における今日の状態として、どこまでそうした科学力を動員できるかということは、素人の私にははなはだ疑問で、予測もつきませんが、無電等の装置、こういうものに対しては全然見透しがないのか、あるいは御当局がそういうことをまだお考えにならなかつたのか、やればやろうとする途も、あるいは余力もあるんじやないかという見透しがあるかどうか。また御当局は、そういうお考をもつておられるかどうか。私はぜひ無電などを装置していただいて、そうした科学的な面をもつと動員するならば、人員は相当少数であつても、その効果が十二分に得られるような方向にもつていかれるのじやないかと思います。それと、先ほど武器の携帶はまだ許されていないというお話でございましたが、これはもちろん数においても、現在のところ問題はあるのだろうと思いますが、それ以外の問題があるのかどうかを、もしおつしやつていただければ伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 お答えいたします。まことに適切な御指摘を受けたのでございます。第一の科学的の方法を採用するという問題でございますが、実は今のところは至つて幼稚でございまして、そういう面から遠いということを、まことに申訳ないと思う次第でございます。ただ列車犯罪の特有性といたしまして、範囲が非常に限定された所で起る、現行犯も非常につかみやすい、かような特徴もございますので、祉会の一縮図として現われる犯罪を、列車内において捕捉するという行き方が、かえつておもしろいという考え方もできるのでございまして、そのためにはあらゆる科学的方法を講じたいいものにしていきたい、かように私どもは考えております。
 無電の点についてお尋ねがあつたのでございますが、実は国有鉄道は從來から無電は非常に幼稚でございまして使用の範囲も非常に少なかつたのでございます。かなり有線の発達があつたのでございますが、戦争中かなり被害を受けて、終戦後まだ整備ができておりません。最近になりまして無電をかなりやかましく言ろようになりまして、ただいまのところ、中央と各鉄道局相互間くらいの無電を整備しております。もちろん連絡船は全部無電の装置を持つておりますが、その程度であります。今考えておりますことは、第一段には主要な操車場等に無電を持ち、貨車や機関車の指令を操車場に向けて無電でも扱い得るようにすることが一つでございますが、この公安官制度のごときも、携帯無電といつたようなものを考えていくのは最もいいのではないか、駅間で起きたような事故は、どうしても無電によりませんと連絡がうまくまいりません。駅についてからでは時機を失してしまうということも起きますので、先に行きましては、どうしても携帯無電の制度を確立せねばならぬ。実は私どもの野心といたしましては、新しい警察制度の模範的なものを、つくり上げたいという念願をもつておるわけなのでございます。先ほどの人員の問題にいたしましても、特別会計の赤字の中で、こういつたものは実は國鉄としては、あまり生産的ではないのでございまして、非常に大きな負担になるのでございますが、この予算的措置、あるいはこれを整備していきますには、どうしても本委員会等の絶大な御援助を得て、大きな力となつていただきたい。私ども單に、自分の内だけで力んでいるのではないというように考えていただいて、この委員会に出て御了解を得ますのも、実は今後この問題を大きく取上げて、是非われわれの仕事に御援助をいただきたい、かような趣旨からでございます。武器の問題も、関係方面の考えておりますのは、講和会議でも済んだらいいのじやないかというようなことも、大分口の端に出ておるのでございまして、別にそう深い意味はないのでございます。まだ今のところは、ちよつと早いという考え方のように思います。
○門司委員 この機会にお尋ねいたします。大体了承したのでありますが、予算的の措置についてであります。この公安官制度は、もとより必要であると考えておりますが、予算の面において、これは鉄道の責任においてなす大き事業として、鉄道予算の中に含めて支出されるという形をお考えになつておるのか。あるいは一般犯罪に対する考え方から、事鉄道以外の方面に予算を求めるというようにお考えになつておりますか。その点をもう少事し明確にしてもらいたいと思います。
○加賀山政府委員 ただいまのところは、特別会計の支出として考えておるわけなのであります。一般警乗警察官も、当初は実は鉄道特別会計の方で負担いたしまして、旅費等を支弁するという形をとつたのでございますが、昨年、これは何とか一般会計から御支弁願えないかということで話をつけまして、ようやく一般会計から一般警察官を乗せていただくような措置をとつたのでございます。ところがその予算がなくなりまして、本年の一月からは予算がないために、一般警察官の警乗ができない。私どもといたしましては、公安官の手薄を助けていただくのは、どうしても一般警察官以外にはないのでありますから、これに対しては、場合によつては、特別会計で負担してでも一般警察官に乗つていただこうではないか。現に最も顕著に現われる地方あるいは列車等を限つてやれば、そう予算的にも大した負担でないのではないかという考え方をもつております。現在のところとしては、北陸線直面等において一部実施しておるだけであります。
○佐藤(通)委員 鉄道から犯罪を、いかにしてなくしていくかに対して、相当のお骨折りがなされておるということは、今の局長の御説明で大体了承いたしましたが、私はここで一言伺つておきたいことは、昭和二十二年度における鉄道犯罪の中で、財産犯罪、つまり強盗、窃盗、恐喝というような、被害客体を財産とするような犯罪が多かつたのか。あるいは生命身体に危害を及ぼすような犯罪が多かつたのか。この点を一つお聽きしたい。
 それから、鉄道公安官の乗車する以前には、一般の警察官が警乗しておつたのでありましたが、その場合における取締り、検挙の成績と、公安官が警乗するようになつてからの取締り成績と、どちらの方の成績があがつておるか。この二点についてお伺いしておきたいと思います。
○加賀山政府委員 お答え申し上げます。はつきりした数字は、実は手もとに持つておりませんが、第一の御質問に対しましては、もちろん財産犯罪が主でございます。暴行等身体に関係のあることも起きるのでございますが、これも主たる原因は、いわゆる財産に関する犯罪から起きることが主でございまして、これは至つて少いのでございます。ほとんど大部分が財産犯罪でございます。
 それから一般警察官が警乗していたときと、公安官が配置されて以後の成績いかんというお尋ねでございますが、事件自体も一般警乗警察官が乗らなくなりましてから増加を來しております。それに対する処理あるいは検挙等の実績につきましても、これはもちろん公安官だけでは手薄でございまして、落ちておるという状態でございます。現在の手持の八百数十名の公安官では、とても今のところとしてはやりきれない。そういうことで実は東北方面の列車犯罪事件につきまして、いろいろ本委員会においてもお尋ねを受けたのでありますが、これではならぬと考えまして、先ほどお話の、最も注、意すべき列車、あるいは地方には、ぜひとも一般警察官の應援を願うということで、警乗もお願いし、駅の駐在も殖やし、その他鉄道公安官の駐在、あるいは警乗も殖やした、かようなことでございます。ですからその後、ああいつた犯罪は続発はしておりません。それで非常に列車に乗るのが不安であるというようなことは、現在としてはないのでございます。
 それから先ほど松谷さんのお問いでございましたが、三割減つたと新聞に出ておりましたが、これもそういう事実はございません。依然としてやはり列車は混みすぎておる。混みすぎておるために、かえつて犯罪に都合のいい條件をつくつておるというのが現状でございます。
○佐藤(通)委員 犯罪の類別から見ると、財産罪の方が鉄道犯罪としては多いというお話でございましたが、この鉄道犯罪の件数の中で多い財産罪というものは、犯人が内部から出ておるというところに、原因するのではないかと思う。一例でありまするが、私が昨年末の議会が休会になりましたときに、郷里鹿児島の方に帰つたのですが、そのときに東京から送つたチツキが、一箇月も経過しましたが、それでも到着しない。あとで各方面に連絡をとつてもらつて、電報も打ち照会して、ようやく探し出して、私の手もとに着いた事実があります。なおこれはごく最近の参例でありますが、私の郷里の者が東京にやはりチツキで送つた。ところが先月の二十六日に出したものが、身体は先に着いておりますけれども、荷物がまだ着かない。非常な寒空にふとんもなくて困つておるという例がある。こういうようなことがどこに原因しておるかというと、財産犯罪が多いという例は、内部の方にその一つの犯罪を敢行するような習癖のある者がいるのじやないかということを、われわれ一般國民としては疑わざるを得ない。そこで今述べましたところの例から考えてみましても、なぜこういうふうに荷物が延着するのか。どこかに延着しなければならないような一つの障害と申しますか、内部的なそういう犯罪敢行の常習者でもおるのじやないかということを、われわれは疑つておるようなわけです。この点についてひとつ御答弁を願いたい。
 それから警乗警察官、公安員たるところの警乗司法警察官と申しましようか、そういう者が乗るようになつてから犯罪が殖えたというお話であります。これはどこに原因するかと言えば、鉄道出身の警察官には、列車内におけるところの、もしくは鉄道関係の附属建物内におけるところの犯罪に対しては、取締も犯罪検挙も、なおまた犯罪の防止についても、能力がないということになるのではないか。そうすれば根本的に機構なり組織なりを検討される必要があるのではないかと考えておりますが、この点についてはどうですか。
○加賀山政府委員 お答えいたします。まことに遺憾でございまするが、鉄道職員の中にも、大勢の中に不心得の者がおつたり、また現にいないとは申し上げられないのが非常に残念なのでございます。しかしながら、先ほどから申しました警備係は、当初のわれわれの着想といたしましては、警備係というものを非常に多数殖やして、これをもつて荷物の防護に当つたのでございますが、その結果といたしまして、かなり多くの犯罪者を見出しております。そしてこれが外部からの者ももちろんつかまえておりまするが、内部の職員にもかなりあつた。これも今正確に人数を覚えておりませんが、終戦後犯罪に関係した職員、これを処理した数というもめは、かなりの件数に上つております。中には操車場等で集團的に徒党を組んで、貨車内の荷物に手をつけたという不心得もかなりあつたのであります。最近はまた貨車の車票を書変えますとか、あるいは通知証を利用することがありまして、知能を利用した鉄道の犯罪もまま起きております。これに対しましては、こちらは専門的見地から、これはむしろ一般警察官よりも、鉄道の公安官の方が、かぎつけ方が早いと考えておるのでありますが、多数のそういう者を処分いたしております。しかしながら、まだこれが絶滅しているということを私から申し上げられないのは残念でございます。現に荷物の事故は殖える傾向こそ止りましたが、依然としてまだ減少の域に達していない。終戦後殖えたまま、ずつとその数字が続いておる、かような状態でございます。
 それから公安官が乗るようになつて件が殖えたということは、これは組織に欠陥があるというような問題ではなしに、結局私は手薄のためにそういうことが起るということだと考えております。この列車内の犯罪は鉄道職員には関係ないわけでありまして、むしろ一般乗客の中の犯罪件なのでございますので、これは鉄道公安官がやつてるから起きたというよりは、手薄のために起る。それからまたそういう犯罪に対しては、やはり武器をもつことによつて相当強氣の措置が必要であるのでございますが、遺憾ながら鉄道公安官にはそういうものがまだ認められていないということも、多少原因す、るかと思います。根本理由は、まず手薄に乗ずる犯罪が殖えた、かようにお聽き取わ願いたいと思います。
○川橋委員 今の質問に関連いたしておりますが、地方において荷物を積む場合の貨車の配給といいますか、そういう際などでも、相当のわいろをもつていかなければ獲得できないというようなことを聞くのです。あるいはまた積込の場合でも、そういうことをしなければ貨車がとれないということを聞きますが、あなたの方では多少、そういうことがあるということを御認識になつているかどうかをお尋ねいたします。
○加賀山政府委員 かつて国鉄にはそういうことを耳にしたことがなかつたのでございますが、実は終戰後私どもそういうことを耳にいたしております。これは根本理由は、貨車が足りない結果、なかなか貨車がまわらないというところに起因するようでございますが、一部におきましては、これを取扱わせておる日本通運が貨車の配給についていろいろのことをやる。國鉄職員についても、もちろんそういううわさはあるのでございますが、日通に関しても非常にそういううわさを聽きました。これは切符がやみに流れたりするのと同様、やはり一つのやみなのでございまして、少いものには必ずこれがつきまとうのでございますが、この貨車配給制度そのものに欠陥があるせいではないかということを考えまして、従來貨車は運送店に扱わせておりましたが、これを運送店が申込を受けて駅に貨車を請求する場合に、駅に登録簿を置いて、申込を受けたものは全部登録する。そうしてその貨車の配給順序は、登録した順序に從つて選ぶ。これはいつでも荷主がこれを見ると言われた場合には、いつでも見られるように公開しておけ、つまり貨車配給の公開制度というものを実施いたしまして、これを現場にやらせておるわけであります。從いまして建前といたしましては、今言われましたようなことは起きない道理なのでざいますが、未だにそういうことをときどき耳にいたしまして、われわれがそういうことを具体的につかみました場合には、そこを遠慮なく調査いたしまして、これを摘発いたしておるのでございますが、そういう公開制度をとりましてからは、そういうことは非常にまれになつたのではないかと実は考えておるのであります。実際問題といたしまして、荷主から言えば、少し金を出しても早く貨車をまわしてもらう方が利益だというようなお考えがある。これがあるうちは、なかなかわれわれとして眞実をつかみ得ないのでございますが、われわれはどうしても具体的事実を掴んで、そうしてそこを剔抉するというような方向に行かなければならぬと考えるのでございまして、これにはやはり根本には、貨車まわりを潤沢にするということが、もとよりでございますけれども、まだ今の情勢では、急に貨車が自由にいつでも手にはいるということまでには、日がかかると考えるのでございます。差当つては一般荷主各位に御協力を願つて、そういうことを知つた場合には、ぜひとも具体的事実をわれわれにもつてきていただく。われわれはそれに基いて調査し、その悪を根元から殺いでしまう。こういうことにいたしたいと考えております。お問いのようなことは絶対にないと、私が自信をもつて言い切れないのは、はなはだ残念でございますが、現状はさようなことであります。
○川橋委員 御方針はまことに結構でありまして、形式的にはそうきまつておるでしよが、大体にそれが多いのです。私は一々例証をあげることは今できませんが、他日機会がありましたならば、そういう例証を差上げてもいいのですが、それがやはり一般物債に相当影響をもつておりますから、こういう点はよほど御注意を願いたいと存ずるのであります。
 なお急行券の密賣と申しますか、これは現在でも盛んにやつております。われわれが駅で汽車に乗らんとすると、急行券いかがですかというようなことをよく聞くのです。この急行券の販賣は、相当制限されて旅客が非常に苦しんでおるにかかわらず、そういつたような犯罪というか、何というか、盛んに行われておる。これは旅行する者は絶えず目撃する問題なんですが、こういう点について、もつと打つ手がないだろうかということをわれわれは考えております。一般乗客からも絶えずそういうことについて意見を聞くのですが、いかがでしようか。もつとこれを厳重に取締る方法はないでしようか。これについての御方針なり御苦心があれば伺いたいと思います。
○加賀山政府委員 まことに頭を悩ましておる問題でございまして、何とかしてそういう問題を根絶いたしたいと私どもは絶えず努力し、考えてまいつておるのでございますが、こういうものは何と申しましても、実地を握つてこれこれということでやりませんと、ただわれわれの制度的な面だけでは、とてもだめだということを私どもは悟つております。先ほど形式的には云々というお言葉でございますが、その通りでございまして、やはり自由にやるということが困難でございまして、乗車券のやみ賣りがかなり行われておりましたのが、乗車券が自由販賣になつた途端にこれは全然なくなつております。急行券ももう少し需要に満つるようになればそれもなくなる、貨車もその通り、かようなことになるわけでございます。急行券なんかは、なぜそういうことが起きておるかというと、中にはブローカーといつたような者が買う。たんさんの人が並んで一枚ずつ買つてきても、これを賣れば金になるというようなことでございまして、鉄道としてはだれがブローカーであるか、これもわからないわけでございます。急行券を何か証明制度なり、実際乗る人に限つて賣れば、そういうことは起きないでございましようが、そういうことはちよつと困難でございます。従いましてそういうことが起きる、こういうわけであります。
 貨車の問題につきましては、先ほど例証をあげてもいいというお言葉でございましたが、そういうことをたくさん御存じであるならば、ぜひわれわれの方に、これこれこういう駅でこのようなことが起きておるということをお知らせ願いたい。そうでありませんと、われわれの方といたしましては、ただ制度の方面として、それができにくいようにする以外には方法はないわけであります。これは一般に物の足りない間はやみが行われておる。自由販賣にならない限りはやみが行われておる。社会に行われておるから、鉄道にも行われておるのだというような安易な考え方をもつておりません。何とかして鉄道から、そういうやみなり先ほどの犯罪なりを絶滅いたしたい、根絶いたしたいと考えておりますけれども、残念ながら鉄道もまつたく日本の社会の一縮図でございまして、社会で行われることは鉄道の中にも必ず現われてまいる、かようなことなんであります。ぜひともそういつた例証なり、具体的実例を一つでも二つでも私どもの方にお知らせ願う、私どもは早速それに対して具体的な手を打ちたい、かように考えております。
 また駅の急行券の問題といたしましても、なかなかこれ巧妙にやりまして、われわれといたしまして、これを見張りをする、監視はときどきさせるのでございますけれども、そういうところでは決してやらない。これを買つておいて、わから事ないところでそれを賣る。お客様の方では多少金を出しても、それを買つた方が有利だということでお買いになる。こういうことがあるものですから、なかなかこれがつかまらない、かような状態であります。
○門司委員 組織の点でありますが、ただいままでの説明によりますと、現在の鉄道職員の中から、そういうものの養成が行われておるということでありますが、この点は非常にむずかしいのでありまして、先ほどからいろいろお話がありますように、一般の人の犯罪も相当あると思いますが、鉄道自体の中にも相当一般に迷惑をかける犯罪が行われておるということは事実だろうと思います。そうすると、養成される人たちが同じグループの中でありますと、一般のものから見ますると、鉄道自体の中にも、同じ仲間の中にそういうものがあるのではないか。そつちの方の取締をどういう形でやつておるかというような疑念が起る。もしそういうことが起るといたしますと、取締の上に非常にむずかしい問題が起つてくると思いますが、これを將來現業員の中から養成される向きであるか、あるいは公安官というものを他から新しく補充して、さらに突込んで申し上げますと、人的の関係の何もない、現業に全然関係のない者を採用して、第三者的な立場からこれを鉄道現業員といえども、一般の乗客といえども、同じように取扱つて犯罪をなくするということもお考えになつておるか、それを明確にしていただきたい。
○加賀山政府委員 先ほど申しました部内から採用して從業員に振向けるということは、現在は実は配置轉換の一つの形態といたしまして、鉄道は人が多い多いと部外から盛んに言われております、從いまして現在は、新規採用をほとんどおさえておるというような現状でありますし、適材と認められる人物もかなりおりますので、現状としてはこれを仕向けておりますが、將來これを多数養成し、組織していくという場合には、とうてい部内だけでは間に合わない、これを部外からもちろん採用しなければならぬ、かように考えております。
 それから鉄道職員だから、内のこととして大目に見たりしやしないかというような御不審があるようでございますが、公安官にはもちろんいろいろな人がございますので、絶対にそういうことはないと言い切ることはちよつとはばかりますけれども、公安官にはその点を最も氣をつけて養成をいたしているわけであります、正義感の強い、志操の堅実な人をとる、それからこれを労働組合員にしない、公安官は今のところではまだ労働組合員でございますが、將來は労働組合員たらしめない、そういう措置をとりたい。そうして正義を振りかざして、とにかく間違つたことは放つとけないという体制にもつていかなければならない、かように考えている次第であります。
○坂東委員長 他に御質疑はございませんか。――この列車内の治安維持は、その方法においてもいろいろありましようが、これは委員会としても根本対策を研究する必要があると思いますので、七人くちいの小委員会をつくつて互いに研究したらどうでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 人数は七人くらいでよろしゆうございましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 委員を選ぶ方法はいかがいたしましようか。
    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 それでは委員の選任についてはそのように運びたいと存じます。
  それでは本日は……。
○大石(ヨ)委員 はなはだ相済みませんが、ちよつと一言……。
  目下新聞紙上を賑わしております帝銀事件は、今や迷宮に入らんとしております。われわれ治安及び地方制度の委員は、これについて警察当局から、その詳細につき説明を聽きたいと思いますので、ぜひこの次にこの委員会が開催されるときには、警察当局の人に来ていただきたい。
 それから昨年隠退藏物資の件に関して、すなわち舞鶴の備後丸事件に関して、私はこの席で発言いたしましたが、その後いかになつておるか、それを当局に聽きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○坂東委員長 ただいま大石さんの御発言の二件ですが、次の日程とすることに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 では本日はこれをもつて散会いたします。
    午後零時三十四分散会