第002回国会 運輸及び交通委員会 第13号
昭和二十三年六月十日(木曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 佐伯 宗義君 理事 高瀬  傳君
      大澤嘉平治君   岡村利右衞門君
      尾崎 末吉君    中野 武雄君
      増田甲子七君    松本 一郎君
      井谷 正吉君    川島 金次君
      佐々木更三君    重井 鹿治君
      館  俊三君    原   彪君
      矢野 政男君    飯田 義茂君
      堀江 實藏君
 出席政府委員
        運輸政務次官  木下  榮君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   藪谷 虎芳君
 委員外の出席者
        專門調査員   岩村  勝君
        專門調査員   堤  正威君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國有鉄道運賃法案(内閣提出)(第七七号)
公聽会公述人選定に関する件
    ―――――――――――――
○川野委員長 会議を開きます。
 これより前会に引続き國有鉄道運賃法案を議題として質疑を続行いたします。高瀬傳君。
○高瀬委員 だれも來ないようですから、ひとつ私が総合的に二、三伺いたいと思います。まず私が伺いたいのは、独立採算制ということに非常にやかましく言われておるのでありますが、独立採算制ということは一体どういうものなのか。一向独立採算制になつても予算の立て方から、またいろいろ政府の総予算との関連性から言いましても、変つておらない。どうも世間では鉄道が独立採算制だから運賃を値上げするのだというようなことを盛んに言つて、鉄道側もそういうふうに言つておるようにも受取れるのですが、私は今までやつておつた鉄道のやり方と、独立採算制がとられてからと、ちよつと、違わないと思う。そこで本質的に独立採算制というものはどういう性格のものであるか、どういうことをやるのは、それをまず本質的に伺つておかぬといけないと思いますので、この点をひとつ納得のいくように政府委員の御説明を願いたい。
○加賀山政府委員 非常にむずかしい御質問を受けたわけでありますが、この独立採算制と普通に言われておりますのは、結局企業の中で收支の均衡を合わせるという意味に言われておるようでありますけれども、もう一つ眞の独立採算制と言いますのは、たとえばソビエト等でやつておりますところの、各業務機関におきまして、仕事なり、業務の運営についての基準を定めて、そうしてその業務機関内でいわゆるコストがどうなつておるかということをよく檢討するということのようであります。この非常に顯著なる例といたしましては、たとえばアメリカのT・V・Aですか、開発会社がいろいろの事業を行いながら、みずからのそういつた事業の計画を定めて、そうしてその中でいわゆる收支の均弁をはかつていくということが行われているようでありますが、今わが國で言われております独立採算制は、どうもわれわれが伺いますところでは、結局最も簡單な、收支のバランスをとるという意味に言われておることが一番多いように思うわけであります。國有鉄道といたしましては、御承知のようにずつと修前から、いわゆる原價計算なるものをやつてまいつておるのでありますが、この原價計算につきましても、実はただいままでのところ、非常に完全なものが行われているとは言えないのでありまして、さらに原價計算制度を徹底し、これを科学的に立てていくという必要があるように考えております。もう一つの問題といたしまして、会計制度自体が、政府の予算として立てられておりますので、いわゆる企業としての收支をしつかり合わせるという性質を離れてきておる点があるのであります。結局たとえば一般官廳のように、租税という強制收入でもつて支出を賄うというものと、國有鉄道の政別会計は、いわゆる收入を見てそれで支出をはかつていくという特殊の性質があるわけでありますが、しかしながら現行の予算制度では、やはり一般官廳の予算制度とあまり異なつていない。従つて予算があれば、多少冗費でもその年度内に予算を使つてしまうというような不経済が行われやすい。また、こうすれば明らかに收入が殖えるのだ、一方において経営はかかるけれどもその経費をかけた以上に、收入が増すのだというようなことがありましても、それは收入と支出との関係においては考えられないで、收入予算は收入予算で別、支出予算は支出予算で別というようなことになつておりまして、結局会計制度自体の中にも欠陷があるように思われるわけであります。從いましてこの会計制度自体につきましても、昨年度御承知のようにまず第一次の改正をいたしまして、第一歩を踏み出したわけでありますが、まだ從來の会計制度の弊害を徹底的に脱したということは言えないのでありまして、さらにただいまも会計制度の根本につきまして改正の研究をし、計画を進めているという次第であります。もつともプリシティヴな意味における独立採算制につきましては、結局收支のバランスをとるということに相なるのでありますが、この点に関しましてはただいまのところこれを徹底的に行うという域には達していないように思うのであります。一つは日本の経済がまだこういつた非常な変調期にある。それから國有鉄道のいろいろの施設といたしましても、戰後の酷使、それから戰爭中の酷使、頭るいは戰爭中の荒廃した設備がそのまままだ残つているというようなことで、急にいわゆる独立採算制を強調いたしまして、ただちにバランスをとるということは非常に困難な時期にあるように思うのでありまして、その点からいたしまして極力独立採算制に近づく、いわゆる收支の均衡をみずからの会計の中でとつていくということに近づいていく意思はあるわけでありますが、たとえば今回の運賃におきましても、できるだけいわゆるコストに近い運賃を立ててまいりまして、そうして内部の経営合理化によつて、ぜひとも必要な経費はこの旅客、貨物、それぞれの運賃コストに近い運賃を定めて、それによつて賄つていくという方向に進みたいと考えているわけでありますけれども、これを徹底しきれない憾みがあるわけであります。御承知のように從來ともいわゆる政策運賃と申しますか、そういう域を脱していないのでありまして、純粹の経済運賃をなかなか実施し得ない憾みがあるのであります。御承知のような状態で急に独立採算がとれないといたしますならば、これを一般会計からの補給によつて賄うというよりいたし方がない。從いましてその方向には進んでありますけれども、ただいまの段階といたしましては、できるだけ旅客貨物の運賃によつて收支を合わせるとともに、それでもなお足りないもの、政策によつて足りなくなつてきた分は、一般会計からの繰入れにまつていく、こういう方針をとつておるわけでありますが、五箇年計画の要後の進行によりまして、そういつた問題が起りませんように、たとえば昭和二十五年度には、今のままのベースでまいりますならば、大体收支が合うところまでもつていきたいというふうに、計画を立てている次第でありまして、ここのところまだ一、二年は急速に收支のバランスをとるということは、現行の運賃をもつてしては困難である。お問いに対して非常に明確でないかもしれませんが、以上お答えをいたす次第であります。
○高瀬委員 この鉄道の「運賃値上の必要性」の中の「赤字の原因の第二は」云々というところで、「國鉄の運営方式自体に内部的な矛盾と欠陥とが存在」しているということを言つております。「それは國有國営であるために、当然にあらゆる國策遂行の手段に供されて、低運賃を強いられる一方、その企業性につ算て最近とみに独立採算制が論議せられてきたことである。」こういうことを運輸省の「赤字の原因と運賃値上の必要性」という中に書いておりますが、運輸省としてはこの独立採算制ということを積極的に御採用になつて、しかもこの趣旨に從つて徹底的にやりたいという御意思なのか。それともこんなものは実際は迷惑なのだ、運輸省にとつては現段階では非常に迷惑だというのか。一体その点はどういうふうなお考えをもつておられるか。
○加賀山政府委員 これは結局國有鉄道が、國有國営でありますことからいたしまして、これは國としての方針の問題になつてくるだろうと思うのでありまして、迷惑であるとか迷惑でないとかいう問題ではなかろうと考えるのであります。一方におきまして、いわゆる國営の機関といたしまして十分國策的に貫いていく、國の交通政策なり、あるいは産業、社会政策なり、こういうものを、いわゆる國家の直営機関といたしまして、そのうちに強く出していくということは、これは私は一つの長所でなければならないと思います。そうした場合には当然そこにいわゆる経済――先ほど申しました意味の独立採算性に反する面が現われてくるということは当然でありますので、その面は國家として当然考えなければならないのではないかというように考えます。一方においてこれを純粹の企業体として――これの純粹の形は民営でございましようが、そういつた國策的見地から離れて、純粹の経済機関として、企業体として活動していく、そこにおのずから收支の均衡を得、利益も見込まれ、そうしてかたがた公益的な性質を貫く。これは現に鉄道におきましても、私設鉄道等が行つておることでございまして、これにもまた私は長時があるべきだ、かように考えるのでございまして、私どもの見解といたしましては、そのいずれか一方をやはり貫き、それに應ずる施策を國として行うということでなければならないのではないかと考えるのでございます。私どもといたしましていずれが迷惑である、そういうようには考えませんが、一方をそのままにしておいて、一方だけを責める、これは國有鉄道としては非常に迷惑と申しますか、矛盾を感ずる点が起きる、こういうことだと考えるのであります。
○高瀬委員 そうしますと、この独立採算制というものは日本の國家から強いられたものか、それとも國有鉄道が自発的に鉄道の運営という立場から、独立採算制を積極的にとることにして、それを政府の施策に反映させたのか、そういう点が私はこれを見てもはつきりわからない。その点はひとつはつきりのみこめるように――一体運輸省自体が独立採算制を積極的にとつたのか、とらされたのか、この点ひとつはつきり私は伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 最近の傾向と申しますか、方針といたしまして、いわゆる運賃改正の機会には、特に強く独立採算制が要望されておることは事実でありまして、最近の政府の方向も、独立採算性の確立ということに向つておるように、私どもとしては考えておる次第であります。一方において行政と運営の分離という言葉が使われておりますが、これなども結局從來の國有鉄道は、一方において運営をしつつ行政をしていくという方針をとつてきたわけでありまして、これはまた行政監督自体が單なる監理行政に止まらない。自分で運営いたしておりますために、監理行政が、足が地面についてしつかりした監督ができるというような長内もあつたと私は考えるのでありますが、最近におきましては、みずから運営しつつ行政をしていくということは非常に矛盾があり、かたがたこれが今の独立採算云々の問題と結びつきまして、行政と運営とを分離していくべきであるという説が非常に強いのでありまして、これは特に関係方面でも強い意向になつておりますし、政府部内におきましても、非常に強い意向でその方針に向つておるということを申し上げたいと存ずるのであります。從いまして今高瀬さんのお問いに対しましては、國有鉄道と申しますよりは、政府の方針といたしましては行政と運営との分離、また独立採算性の方向に向う方針で立つておるということでございまして、先ほど申し上げましたように、これは一つの政府の方針に基いて決せらるべきものでございまして、事務的に國有鉄道の部内自体で、これを迷惑だとか迷惑でないとかいう問題どは違うのではないかといふうに考えます。
○高瀬委員 それでは伺いますが、独立採算性になつたときと、ならない前と、どうも世間に與える感じがちつとも違つていない、いつでも赤字が出れば運賃値上げでいこう、こういうことになつておつて、独立採算制の本質であるところの、たとえば運営の伸縮性をはかるとか、あるいは企業の合理化をはかるとか、あるいはできるだけ政府の一般予算との関連性を断ち切るとか、そういう点から見まして、一向運輸省のやつておる施策が、あるいは内部の運営が変つていないように思うのです。独立採算制ということを盛んに言われる運輸省としては、一体独立採算制になつてから何をなし、何を行わんとしておるか、そういう点について今までどういうことをされたか、今後独立採算制の建前でどういうことをしたいのか、それをひとつ伺つておきたいと思うのであります。
○加賀山政府委員 ただいままでの段階といたしましては、先ほど申しました行政と運営の分離ということで、機構面において、鉄道総局関係に國営自動車を直接運営しておるものとしてもつてくる。それから逆に行政面である陸運関係の機関であるところの道路運送監理事務所等に、地方鉄道、軌道、自動車等の監督事務を分離してもたせる。從いまして、機構面においては、そういつた行政と運営の分離の方向に進んでおりますし、昨日もお答え申し上げたと思いますが、会計面においてそういう人件費、物件費を合わせて、今年度十四億余の予算をもちまして、これを一般会計の支弁とする、といつた措置をとつておるわけであります。そのほかに國有鉄道としてやつてまいりましたことは、先ほど申しました会計制度を建て直して経営費を明確にいたしますとともに、その中で、できるだけ正格にその経費面からする経営の状態がわかるようにいたしました点、それから原價計算制度をさらに徹底いたしまして、この面からも経営コストの問題を明確につかむという点、こういう点が最近われわれが力を入れておる点でございますが、一方機構等を離れて内部の経営を合理化する面としては、委員会をもちまして事務の流れを調査して、まだこれを実地に應用はいたしておりませんが、この調査によつて経営を合理化して仕事の能率化をはかつていくというような面、それから経営の合理化に対しては、お手もとに差上げました刷り物に、わずかではございますが、われわれが努力いたしてまいりました経過を書きつづつてございますので、これはすでにお読みいただいたことと存じまして省畧さしていただきますが、ただいままでのところとしては、以上申し上げたような筋で、今後における五箇年間の機構なり会計制度の改革の問題とも関連いたしまして、今後の國有鉄道が、どういう形態でどういう運営をしていくか。その中でどういう仕事をし、どういう資材を必要とし、どういう資金を必要とするかというような点について、われわれはこの五箇年計画で予見をいたしておるような次第であります。ただいままでのところは、高瀬さんが言われますように、根本的に変つたという点はございませんが、以上のような経過で進んでまいつておるということをお答えいたしておきます。
○高瀬委員 どうもわれわれの受けておる感じでは、独立採算性を採用してもしないでも、大した運営上の相違は今までのところ本質的にはないように思う。もちろん独立採算制を採用してから日もなお浅いと思いますから、無理でございましようけれども、國有鉄道としては大した施策もやつていない。たとえば経営合理化に対して何をやつたか。あるいは会計制度の建て方についてどういうことをやつたか。こういうことを承りましても、結局われわれ同僚の委員が質問されたのに対して大した満足な答えは実は得ていないわけであります。そういう点について一々ここで議論してもしかたがないと思うのですが、独立採算制の建前は、赤字というものは絶対にいかぬのかどうかという点について、運輸当局の御見解を伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 先ほど申し上げましたように、独立採算制という言葉には、違つた意味の独立採算制もあるのでありまして、独立採算制だから赤字があつてはいかぬのかと言われましても、一方の意味から言えば、赤字云々はむしろ別の問題になるのではないかと思うのであります。今通俗に言われております独立採算制は、私はやはり赤字をなくするという意味が一番強いのではないかというように考えるのでありまして、一般に最近言われてまいりました独立採算制については、國有鉄道自体の中で收支の均衡を得るという意味が最も強いのではないかと私は解釈いたしておる次第であります。
○高瀬委員 実は独立採算制になつてから、たとえば減價償却をやらなければならぬというのですが、鉄道では今まで減價償却をずつとやつておられましたか。
○加賀山政府委員 昨年度の会計制度の改正以來、減價償却費を見ることに定まつたのでありまして、從來は減價償却はいたしておりません。ただ御承知のように昭和十九年までは國有鉄道はわずかながらも益金を出しておつたのでありまして、この收益勘定の收納益金をもつていわゆる建設改良費に充て、資本勘定にこれを繰入れまして、あるいは新設もやる、あるいは改良、取替等の費用に充てておつたということでございまして、これは減價償却とは申しませんが、性質といたしましては、いわゆる減價償却的な意味をもつてやつてきていたが、そのために減價償却費としては特にあげなかつたということになると思います。
○高瀬委員 本年の鉄道の予算の中で減價償却費が六億かあがつているように思うのです。鉄道が赤字を出して運営が非常に困るときに、わざわざ減價償却を六億も出して、收支のバランスの点で一つの赤字に近いようなものを残すということは、私は減價償却の本旨に反すると思うのですが、この六億を載せているということはどういうわけですか。
○加賀山政府委員 先ほど申しました会計法の改正によりまして、減價償却を載せなければならぬということで載せているにすぎないのであります。本來から申しますと、鉄道の資本といたしましては、時價に換算して概数で約五千億と推定しておる。その中で取替財産に相應するものは約三千億というふうに推定し得るのでありますが、たとえば総体を三十年間に償却するといたしますと、約百億という億却費を必要とするわけであります。從いまして本年度といたしましては、そういう取替費に相應するもの百三億を計上しておつたのであります。民間における償却は、御承知の通りこれは帳簿價額によつて行われておるということでございますが、これを急に時價において、再調達價格によつて償却することは無理があるということからいたしまして、結局合計上いたしておりますものは、帳簿價額二百億余に相應する償却費六億を計上しておるにすぎないのでありまして、單に形式的なものであり、そこに実質的意味は何もないというように御承知を願いたいと思います。
○高瀬委員 そういう御趣旨でありますならば、わざわざ鉄道が赤字で苦しんでおるときに、その赤字をよけいに増すような減價償却費を突如として今回計上するということは、私はたとえ六億でも非常にどうかと思うのです。だからそういう六億という減價償却費を計上することはその時期ではないと私は思うのですが、單に形式的に載せておるという御趣旨でしたらなおさらでありますから、こういうようなものはぜひ予算面から抹殺していただきたい、かように思うのですが、この点に対する政府側の意見を求めます。
○加賀山政府委員 私どもの考え方といたしましてはまつたく逆でありまして、國有鉄道の健全な維持をはかりますには、本來から言えば再調達價格に基いた減價償却費を計上して、その中でいわゆる取替財産に相当するものの償却をしていくと申しますか、たとえば年齢の來た車輌をとりかえるということが健全な姿であるというふうに考えるのでありまして、六億ではとうてい問題にならない。先ほど申しました現在の價格をベースといたしまして、百億余のものが当然に必要になつてまいるというふうに考えるのでありますが、それをここに計上いたしますと、それだけ運賃の倍率が急に高くなる。從つてここでは健全なる維持をある程度犠牲にいたしまして、これらは一部分公債を財源に仰ぐという方針によつて落した次落であります。ただこの六億余はわずかではありますが、ただいまの法律に基いて、ぜひともこれは計上しなければならない最小限の数字であるというふうに御解釈を願いたいと思います。
○高瀬委員 私といたしましては、そういう形式的な理由で独立採算制をとつていつては、いつまでも切りがない、健全な独立採算制ができない。しかも企業が非常に赤字に苦しんでおるときに、強いて減價償却をやるということは私には了解できないのでありますが、その点についてはここで議論しても始まりませんから、私はこの六億を計上するのはまつたく意味がないという一方的見解を披瀝して、この点はやめますけれども、実はこの前の鉄道会議のときに、中山伊知郎君が一種の企業公債を募集すると言いましたが、建設改良に対しては、これが鉄道の財産に残るからというので、今回も鉄道は百何十億かの公債を募集することになつておるようでありますが、企業の運営自体について、その企業の危險と負担について、第一公債式のもの、いわゆるインヴニストメント・フアンドを募集して廣く民間の遊資を吸收して、鉄道をほんとうに國民のものにするという意味で、この建設改良に使われるものばかりでなしに、鉄道の運営自体に使われる経費を民間から吸收するということは、独立採算制の趣旨に合うのか合わないのか、そういうことは絶対に鉄道がやる意思がないのかどうか。私はその点についてはつきりした御意見を伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 経営自体についてそういつた公債を発行する意思はないかどうか、経営費を賄うための公債を募集する意思はないかどうかというように伺つたのでございますが、ただいまのところといたしましては、経営費自体を賄うために公債を募集するという考えはございません。
○高瀬委員 そうなると、結局國民が納得しないような状態で、いきおいこれは運賃値上げに訴えるほかないという結論になるわけですが、それでよろしいのですか。
○加賀山政府委員 経営の合理化によりまして極力切り詰めまして、経営費そのものにつきましては、この利用者である旅客、荷主に御負担を願うのが妥当であるというふうに考えるものであります。
○高瀬委員 それではその点については、鉄道側は当然この公債を募集する意思はない。それからその際は運賃値上げに訴えることが妥当であるという結論を拝聽しましたから、その点については質疑を打切ります。
 なお私は非常に疑問に思つておるのでありますが、この間重井君から質問があつたと思うのでありますけれども、石炭の費用であります。石炭の問題についてこの間ある新聞記事を見ましたところが、私はどうしても了解できない。石炭の重要産業に対する價格の引上げは、新しい價格は二千円程度であります。しかるに鉄道の用炭については三千六百七十円というようなことになつておるようであります。もしその値上りを認めるとすれば、二百数十億の金が必要だと思うのであります。そうすると石炭の企業の赤字を鉄道が全部ひつかぶつているようなものであり、今度はさらにそれを一般会計が背負うというようなことで、この点は意味がないと思うのであります。これはぜひ鉄道大臣のはつきりした意見を聽きたいのですが、昨日重井君の質問に対して、何だかやつてほしいような、やつてほしくないような御意見でありましたが、とにかく鉄道が重要産業並に扱われるか、あるいは石炭の値上りに対して補給金をとるか。鉄道の赤字の原因として石炭の單價の値上りというものが非改に重大な理由になつておる以上、鉄道としてはこれでいいのかどうか。あるいはそれに対して積極的に手を打つ意思があるのかどうか。この点をひとつ伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 石炭につきましては、昨年の物價改訂までは一トン当り百八十五円の價格差補給を受けておつたことは、御承知の通りであります。昨年の七月の改訂以來、價格差補給を受けなくなつたわけであります。從いまして急に千四百二十四円ベースの石炭を使う。今回の予想されましたこの改訂によれば、さらにそれがただいま高瀬委員の言われましたような高い額に相なるというようなことが予想されております。從いましてただいまの石炭費が大体百億、今回値上げを一應二・六というように予想いたしまして、平年度において二百六十億の石炭費が必要になる。結局その百六十億を一般会計から補給を受ける氣がないかどうかというお問いのように伺つたのであります。先ほども申し上げましたように、現下の情勢から見て独立採算制をただちに実現することは非常にむずかしいのでありまして、もし一般会計から補給を受けるといたしますならば、石炭補給金のごときは私は名目として最も成り立ちやすいものではないかと考える次第でありますが今回の予算面におきましては、石炭補給金としての補給を受けることには相なつておらないのであります。ただ結局帳じりにおいて出ました百億の赤字は、石炭補給金と銘を打つてはおりませんけれども、一般会計からの繰入れによることになつておるのでありまして、その名目は別に何のために補給というようにはつきりしてはおりませんが、全般の物件費等の値上りの影響が非常に強いために、結局予想しております旅客運價値上げのベースでは、どうしても赤字が出る、それを補給を受ける、こういうかつこうになつたわけであります。これは一に一般会計の財源の問題になつてまいりはしないかと私どもとしては考えるわけでありまして、予算を組みます場合に、政府といたしましては非常にここは苦心をしたところでございますが、一方において運賃をできるだけ低い水準に抑える、そのために特別会計に赤字が出る、その赤字をどうしようかということになりまして、結局百億というものを、一般会計からの繰入れによるところに決定した次第であります。
○高瀬委員 私はこの石炭の問題については、鉄道省としては当然みずから任ずることは厚く、重要産業の一つだと考えて差支えないと思う。從つて石炭の價格差補給金は、運輸大臣としても、あくまでこの点を大いに主張されるのが当然であると考えるから、この價格差補給金なり、あるいは炭價の値下げなりを國家に要求すべきであつて、その点について、運輸省はそういう意思があるのかないのか、それだけひとつ伺つておきたい。
○加賀山政府委員 石炭の價格につきましては、当然石炭生産の能率を上げて、それによつてコストを下げてもらいたい、石炭費をできるだけ安くしてもらいたいということがわれわれの念願であります。それと同時に、石炭につきましては質の問題があるのでありまして、極力良質の石炭を國鉄に入れてもらうことによりまして、石炭の値段が下つたのと同じ効果をもつのであります。その点につきましてわれわれは從來も絶えず強く呼び続けておるのでありまして、石炭関係者の御協力を願つておるわけでありますが、この問題に関しましても、なかなか一朝一夕に急速に質が改善されるということはできないのでありまして、未だに戰前の水準から見まして、はるかにカロリーの低い石炭を使つておりますことは御承知の通りでありまして、われわれの経営面から見ましては、非常に大きな重圧を受けておるわけであります。從いましてこれらの石炭費を何とか質でカバーしてもらうか、あるいはこれを金額でカバーしてもらうかということは、われわれとして当然考える筋でございますが、われわれといたしましてはまず石炭の價格差を補給するという方向に向けますよりも、むしろ良質炭の確保に努める、あるいは一般的に炭質の向上を願う。それからまたとりました石炭を極力合理的に、能率的に使うという方向に向つて、まず一應内を攻めているという実情でございます。質の問題にもなるのでございますが、戰前から見まして粉炭と塊炭の比率がちようど逆になつて、非常に粉炭が殖えておる。七割も粉炭を含んでおるのでありまして、この粉炭処理の問題等につきましても、われわれといたしましては極力努力を拂つてまいつておる次第であります。先ほどのお問いに関しましては、一般財源が許すならば、われわれ特別会計として石炭補給金を申し受けたいという氣持は十分にあるわけであります。
○高瀬委員 どうもはつきり焦点が私にはわからないのでありますが、良質炭をもらつて、そして補給金ももらいたい、この両方なんですか。私は鉄道が三千六百七十円もの、一般の産業と同じような石炭を買つている以上は、鉄道の特質から見て、当然良質炭をもらうのが鉄道の権利だと思うのです。だからてんで初めから問題にならないので、問題はそういつたような高い金で買う必要があるかどうか、安ければ惡い石炭しか來ないのか、これは石炭が國営になつている夏紙において非常におかしな議論になつてきます。どうしてもこの炭價の問題は、私は現在の國有鉄道の財政の危機を解決するところの重大な問題だと思いますので、この点はつきりとしておきたいと思うのであります。
○加賀山政府委員 われわれといたしましては、最初から努力もしないで、ただ補給を受けたいということは、言い得ないのでありまして、まず内部的に極力石炭の節約をはかつてみる、それから力の及ぶ限り炭質の向上なり利用の方法を考えてみる、こういうことがわれわれのまず第一の使命であるということを申し上げたのでありまして、それをいたしましても、なおかつ現在の炭質といたしましては――先ほで良い石炭をとる権利があると言われましたが、鉄道としては、まさしく輸送の責任を果すために、石炭を確保する義務と権利があるということを、私どもとしては確信しておりますので、量と質の確保には努力努めております。從つて國鉄に参つております石炭は、決して他のレベルと比べて低いものではないのでありまして、炭價から見ましても、一般の水準よりも、國鉄の使つております炭價の平均は高くなつております。これはつまり一般の水準に比べて、國鉄の使つております石炭が、まだレベルが高いということを意味するのであります。しかしながら現下の國家生産力のものでは、遺憾ながら現在程度以上の石炭がなかなか得られないという難関があるわけでありまして、この難関にぶつかる場合には、どうしてもこれを財政的につじつまを合わそうといたしますためには、ここに無理があるわけでありますから、その面は補給を受けることはわれわれとして望んでいることである、こう申し上げたのであります。
○高瀬委員 炭價の問題については、あくまでも運輸省としても、われわれとしても、指定重要産業並の炭價であるか、あるいは裏から言えば、補給金を受けるのが当然である、その権利が運輸省にはあると私は解釈いたします。この点については、そういうふうな私の一方的な解釈で質疑を打切ります。
 次に、鉄道が経費の節約のために、いろいろなことをこれからやろうとしているということは、るる説明されております。一体眞劍にやるとすれば私は約四、五十億ぐらいの節約ができると思うが、その点についてのお考えはどうでありましようか、その点を伺つておきたい。四、五十億の経費の節約は現在の國有鉄道にとつて絶対に不可能であるか。そんなばかなことはない、その十分の一もできないのだというお見透しであるか。その点一應御意見を伺つておきたい。
○加賀山政府委員 四十億というのはどこから四十億の節約と言われるのか、はつきり理解できないのでございますが、一應今回予定されております経常費の予算面から、四十億の節減ができるかどうか、こういうお問いとしてお答えいたしたいと思います。二十三年度の本予算におきまして、人件費におきまして――実はこの一億三千万トンの輸送を達成いたしますため、あるいは労働基準法を実施いたしますために、二十二年度末の定員に対しまして、これは六十一万二千人程度でございますが、どうしても六、七万程度の増員を要するというのが、当初のわれわれの希望であつたわけであります。從いまして当初大藏省ともこの線で折衝いたしたのでありますが、その後十分協議を遂げました結果、とにかく運賃を上げることが必至だ、その運賃の倍率が非常に高いものになる。そこで二十三年度は非常につらいが、ひとつ何とかして経営費を節約してどれくらい抑えられるか、予算で抑えてやつてみようということで、いろいろの見地から檢討いたしまして、人員を落しております。これが大臣の提案理由に説明されましたように、人員の節減に伴いまして、物件費におきましても、物價改訂によります改訂が、七割ないし八割が予想されるわけでありますが、物件費面におきましては、石炭を除きまして大体五割程度の値上率より見ておらないというわけでありまして、結局そういつた人件費なり、物件費の減少は、惡くいけばそれだけ仕事量を落さなければならぬということになるわけでありますが、われわれといたしましては極力能率を上げることと、物の節減をはかりまして、人件、物件ともに能率を上げることによりまして、何とかしのいでいきたいという建前をとつております。これは先ほど申しましたように、少しでも運賃の倍率を少くしたいということから來ておるのでありまして、この上さらに四十億の節約ができるかどうかというお問いに対しましては、われわれといたしましては、現在のところまつたく自信がないというふうに申し上げる以外にないと思います。
○高瀬委員 その点はこれだけで止めます。ところで鉄道は今まで戰爭中に非常に災害をこうむつて、補修費に非常に金がかかると思います。このかかる金が、やはり修繕とかその他について、現在の赤字の原因にもなり、それが赤字になつているから、運賃も値を上げるという影響を受けているわけでありますが、こういう戰爭中非常に災害をこうむつた國有鉄道の補修、改良について、鉄道は独立採算制だから、鉄道だけでほとんど賄え、國家はこれを別に顧みない、かような建前になつて予算ができておるのかどうか。その点をひとつ伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 御指摘のように補修、修繕等には相当の額を予定しておるわけであります。また人員面におきましても、いわゆる補修度が低下しておりますために、何とかしてこれを復旧しなければならぬので、その要員も盛つております。また修繕費といたしましても、本年度といたしまして約百五十億を計上して相当量を見込んでおります。これらの費用は、平常のいわゆる戰前の経営面から見れば、比較的膨脹いたしておりますことは確実なことでありますが、しからばこれを急に運賃にかけることはいけないとなつた場合には、先ほどの石炭と同じく、結局一般会計に財源を仰がなければならぬということになるのでありまして、これについては先ほど公債論が高瀬さんから出たわけでありますが、結局は租税財源による以外に私は方策はないのではないかと思います。つまり旅客にこれの負担を願うか。あるいは一般の國民に御負担を願うかという問題に帰すると考えております。
○高瀬委員 私先ほど公債論を言いましたが、これは決して一般会計だけに負担をかけようというのではなくて、民間にある遊資を吸收しようというのでありまして、國家の財政とは関係がない、私はこう考えております。戰爭中に非常に損耗を受けた鉄道を復旧するのに、國家がこれを負担すべきであるということについては、私はそれがあたりまえだと思つておりますが、その点がはつきりしていないために、ますます運賃値上げの傾向を助長している。こういう点は私は非常に遺憾に思います。私が公債を募集するというのは、國家の赤字公債という意味ばかりでなく、純然たる民間の遊資を吸收する意味で、鉄道の企業公債を募集しろと言うので、これは建設改良のいわゆる公債とは目的を異にしているという見解をもつております。
 ところで、なおこの旅客、貨物の今回の値上げの率でありますが、一率に三倍半にしたのは一体どういうわけでありますか、その点も一應伺つておきたいと思うのであります。
○加賀山政府委員 結局三倍半という数字は、この前の引上げによりまして、旅客、貨物とも二十一倍から二十二倍という戰前の水準に対する比率になつておりますので、大体同率ということも考えられるわけでありますが、今回の三倍半はむしろ貨物運賃の方は、物價体系と一緒に考案されてまいりまして、貨物運賃を三倍半ということで物價体系を計算してみて、一應物價体系がここででき上つた場合に、一部の旅客運賃をどれくらいにしたらば、國鉄の收入はどうであるかという計算をいたしてみますると、結局旅客運賃を三倍半くらいにしなければ、非常に赤字が多いというかつこうが出てまいる。つまり結論的に申しますと、貨物運賃をできるだけ低からしめるために、そういう数字が出たというふうにも言えますし、その出た数字は結局現行の水準から見まして、戰前の水準にいずれも合致するといつた点がありますので、この三倍半を採用することになつたと、御承知を願いたいと思います。
○高瀬委員 この点はお互いに議論してもなかなか盡きないと思いますから、あまりくどく言うのはやめますが、とにかく旅客を三倍半にしたときに、五%減收を見ているようであります。はたしてそれくらいの減收ですむかどうか、これはやつてみなければわからない。ですから政府委員の加賀山君に伺つても、これはただそういう見込みだというだけで、いかんともしがたいと私は思うのでありますが、私はとうていそんなものではない、鹿兒島まで往復するのに一万円も金がかかるようでは、親の死に目にも会えないというようなことになつて、とてもこれは殺人的な旅客運賃であります。ですから旅客運賃が一般物價体系に占める地位がどうあろうと、こうあろうと、現在のたとえば三千七百円ベース、あるいは全官公廳の言つている五千何百円ベースにしても、とうていこれは負担しきれない。旅客運賃が上る、また遠距離を動く人には禁止的なもので、やみ價格が一挙に上つてしまう。いろいろ旅客運賃についてはむずかしい点がある。ですから運輸省の考えているように五%減くらいに見たところで、とうていそんなものでは納まるまい。これは旅行禁止的な運賃値上げであると私は考えておりますが、旅客運賃の三倍半というのは了解できない。これはどういうふうにお考えになりますか。
○加賀山政府委員 今御指摘の点は、確かに私はごもつともな御議論であると拜聽するのであります。大事をとりますれば、もう少し利用減を見込むのが原則ではないかと考えております。しかしながらこの利用減を見込めば見込むほど、当然に赤字が殖えるわけでございます。從つて倍率をもつと上げなければならないという非常に苦しいはめに陷る。五分を見たということは、そこに意味があるようでありますが、一にいくらかでも倍率を低めたいという氣持から、やむを得ずこういう数字を想定しているというふうにおとり願いたいと思います。ただこの五分の減は定期券も含めておりますので、それぞれの性質によつて減少率は違う。定期のごときは絶対やむを得ないものでありますので、減少はほとんどあるまい。先ほど言われました鹿兒島まで一万円は二等旅客運賃でございます。二等においては旅客運賃の減少は相当大きな影響があります。それはそれぞれの普通旅客運賃、あるいはその等級によつて減少率が違う。今後における國民生活、社会生活の推移ともにらみ合わせて考えなければならないと思うのでございます。昨年度においては食糧事情等が、この旅客交通に坪常に影響していることは事実であります。これらの事情がいろいろ複合して影響してまいるので、單に運賃面ばかりからの推定も非常にむずかしい点がございます。從いましてわれわれとしては、多少少な目ではございますが、この五分の收入減を見込んだというわけでございます。
○高瀬委員 そうすると、運輸省としては、旅客の三倍半というのは必ずしも合理的なものではなく、そんなに上げなくてもよいというお考えをおもちになつておられるように結論してよろしゆうございますか。
○加賀山政府委員 さように簡單に結論をしていただいとは、われわれは非常につらいのでございますが、われわれとしては、もちろん國民の負担力を超えてはならぬ。これはもう絶対の問題だろうと思います。いろいろの観点からしてかなり大幅の引上げではございますが、いろいろの水準から見て、この程度のものであれば、まだ何とか御負担が願えるのではないかというような氣持で、この倍率を考えておる次第であります。
○高瀬委員 ただいまの御答弁で、大体運輸省のお考えのほどは十分こちらでも推察いたしましたから、われわれとしてはその線に從つて今後意見を開陳していくつもりであります
 なお貨物の運賃の値上げでありますが、貨物の運賃三倍半、これはある人によれば安過ぎるとか、高過ぎるといういろいろ意見はありましようが、貨物運賃の物價体系に占める地位というものは二・七%だというふうに言われております。これは鉄道が直接扱う場合であつて、その鉄道の窓口に來るまでにいろいろな輸送の実費がかかつておると思います。ですから貨物運賃というものは、そんなに簡單なものではなかろうと思うのです。だからむやみに貨物運賃を安過ぎるという理由で上げれば、その前提として私は前から鉄道会議時代から申し上げておるのでありますが、貨物運賃体系というものを一つもいじつていない。これは三年前からも主張しておるのでありますが、一向その点に触れていないで、ただ三倍半に一律に値上げするだけで、貨物の運賃の是正ができる、こういうふうにお考えになつているのは、私は了解できないのであります。この点が一つ。もう一つは貨物運賃を上げることによつて海陸輸送の調整をやるのだとここに書いてありますが、そんな簡單なことで海陸輸送の調整ができるかどうか。この海陸輸送の調整は、私の考えでは單に運賃面だけではできないと思う。つまり貨物を三倍半に上げようが、四倍半に上げようが、現在船舶の足らない海運の情勢では、海陸輸送の調整はできない、海運自体の改善にまつほかはないので、運賃をいじつて海陸輸送の調整をやるというのはとんでもない話である。こう考えておるのですから、この貨物運賃について、三倍半が妥当であるかどうか。そういう観点から運輸省の見解を承つておきたい。
○加賀山政府委員 貨物運賃に関しましては、今までしばしばお尋ねを受けておる次第でありまして、物價中に占める運賃の地位、比率が問題になるようであります。私どもの見解といたしましては、國有鉄道の貨物運賃といたしましては、非常に物價中の比率で低いということを、これは数字をもつてお示ししておるわけであります。しかしながらその中には、原資材、あるいは荷づくり資材、あるいは消費者の手にはいるまでのいろいろの運賃が複合的にはいつたきてでき上るので、そのものの中に運賃だけを拔き出して、こんなに低いといつても始まらぬではないか、そういう見方は非常に杜撰であるというような意見を伺うのでありますが、なるほど物のでき上りますまでには、いろいろその原資材、あるいはその原資材の運賃が、それぞれかかつておることは事実であります。それと同樣に、その原資材の労銀でありますとか、その原資材の價格がはいつておるわけでありまして、その原資材そのものに占めておる運賃の割合は同じように低いわけであります。従つていかにそれをさかのぼつて考えましても、結局は消費者に渡ります物に含まれておる貨物の運賃が、運賃の比率ということに相なつておると私どもは解釈いたしておるわけであります。その比率はお手もとに差上げました資料にありますように、決して高い比率ではないというように考える。第二の運賃体系をいじるべきで、フラット・インクリーズしておるのは能がないじやないかというお叱りを受けたのでありますが、最近の運賃の改訂はいつでも水準を上げるということに終始いたしておりまして、その中に等級でございますとか、あるいは遠距離の逓減率をどうするか、そういう点には触れておりませんのであります。ただいま使用しておりますところの等級なり、あるいはその他の運賃計算の基礎は、大体において戰時中につくりましたものでございまして、從來の複雜なものを、かなり簡素化した形において使用いたしております。從いまして現在の貨物の負担力等をにらみ合わせました場合に、非常に合理的といつておるかどうかということになりますると、私はその後の價格の変動、あるいは物資の生産事情の変革等によりまして、かなりそこにひずみができておるというように解釈いたしておるのでございまして、これはある機会に、必ずもす少し精密な合理的な運賃体系にきめていくべきであということを考えておりますが、それを現下の経済事情のもとに、今卒然として行うことがいいか惡いかという問題でございますので、しばらく現行の体系をそのまま利用しておるという現状でございます。時期を見て必ずこれは修正をいたすべきものと考えておるのでございまして、ただいまそれについての研究は進めておる次第でございます。
 最後に海陸調整の問題について、船腰が足りな四のであるから、國有鉄道の運賃を上げても、海運には轉移しないではないかというお問いでございます。時期並びに場所、あるいは貨物によりましては、そういうことは確かに言えるのでありますが、全般的に見まして、かなり船腰の余裕が出ていることは事実であります。從いまして陸の運賃を海の運賃よりも引上げまして、うまい調整をとります場合には、海運への轉移がはかり得るものばかなりあると思うのであります。たとえば石炭にいたしましても、木材にいたしましても、そういつたものはなおまだ海陸への轉移の途もあると思いますし、鑛石類等につきましても、船腰の事情からいたしまして、まだ海運へもつていく余地は確かにあるように考えます。ただ港湾の能力でございますかと、あるいはそこにおけるチャージが相当かかるといつたような問題がやりは関連して出てまいりますので、單に陸上運賃と木船の運賃と、両方の調整だけではもちろんいけないのでありますが、そういつた点を考慮すれば、現在におきましても、海陸輸送の調整がもう少しできるものがあるというふうに、私どもといたしましては考えております。
○高瀬委員 ただいまの御意見は、お互いの意見の違いでありまして、ここで議論を鬪わすと時間をとるだけでありますからやめますが、とにかく十分時間があつたにもかかわらず、運輸省の貨物運賃の体系も整備をしないで、單に海陸運送の調整という運輸省だけの一方的な考えでやつていることは、私はどうしても賛意を表しかねる一人であります。ところで、もし運輸省が言うように、旅客も貨物も三倍半に値上げするといたしまして、はたしてこれがインフレの高進を助長することにならないかどうか。この点運輸省は、旅客、貨物の運賃の物價体系に占める地位が低いから、そんなことはないと言つておられます。しかしながら私の見るところでは、今まで運輸省は、昭和二十一年の三月に旅客を十五割、貨物を二十割、それから昭和二十二年の三月に旅客二割五分貨物十割、同年の七月に旅客、貨物二十五割の運賃値上げしておるように思います。そういう過去の運賃値上げの際にどう言つたかというと、物價体系などをにらみ合わせる必要はないのだ、鉄道運賃が物價体系において占める地位というものは非常に低いから、物價体系は確立されなくても、鉄道は鉄道自体で値上げするということでやつてきたのであります。ところがその結果を見ますと、いずれもその後インフレが増進されて、やみ物價も上る、あるいは一般物價も高騰する。それは日本経済の立場がそうさせたのかもわかりませんけれども、少くとも鉄道がその素因をつくつたということは、私はいなめないと思うのであります。しよせん今回も、こういう官業自体がインフレを刺激するようなことをやつて、一体今後の日本の見透しは、鉄道の考えているような財政計画でいけるかどうか、私は非常に疑問をもつているのでありますが、この点ひとつ政府委員の所見を伺つておきたいと思います。
○加賀山政府委員 鉄道運賃が物價体系に関係ないなどということは、私どもといたしましては絶対に考えておらないのでございまして、もちろん貨物運賃にいたしましても、これは直接に物價構成の明らかな基礎的要素であることは事実であります。いかにその比率は少いにいたしましてもその要素になつておることは事実であります。また旅客運賃におきましても、直接物價構成上の数字には現われないにいたしましても、関係がないということは絶対に言えないのではないかと考えております。但し運賃を上げることによつて、インフレがさらに高進するいうような御説のように伺つたのでございますが、私どもといたしましては、考え方はまつたく逆でございまして、インフレの高進によつて、運賃がどうしても考えられなければならなくなつたというのが実情ではあるまいか、その都度われわれといたしましては、後れながら、また率も最小限度に遠慮をいたしながら、運賃の改正をいたしてまいつたというのが、明らかな事実ではなかろうかと考えるわけであります。昨年の改訂におきましても、一般物價水準が戰前の六十五倍ということでございますのにかかわらず、旅客運賃、貨物運賃ともに二十一倍ないし二倍というところに押えておる次第でございまして、これは率だけでございますが、時期といたしましても、從來はいつでも改訂に後れて上げてまいつたのであります。昨年はたまたま大体物價改訂と時期を同じくし、今回もまた物價改訂と時期を同じくして改訂するということになつておりますが、これは時期だけでも一緒にやるということは、私どもといたしましては運賃面から見て、少くとも時期的には一緒にやつてもらうことが必須の條件ではないかと考えております。率におきましても、もちろん他の水準とのバランスを保つということは、私どもといたしましても願わしいのでありますが、先ほど申しましたような事情によりまして、できるだけそれより下目々々ということに考えてまいつておるということは、おわかり願えるのではないかというふうに考えるのであります。
○高瀬委員 いろいろ御意見もありましようが、私の考えでは、とにかくある程度までインフレが高進すれば、それに從つたような運賃率をきめることは納得できると思うのでありますけれども、鉄道旅客、貨物ひつくるめて三倍半は非常に高い、これはとうてい國民も納得しないし、私もそれによつて確かにいろいろなやみ物價、その他の物價が上つて、インフレを高進させる一助をなすと思うのであります。しかも國有鉄道という國家企業が、経営がうまくいかなかつた、あるいは國民が納得しないような状態で運賃を値上げするとすれば、なおさらこの点は非常に重大だと思うのであります。特に、いくら國有鉄道が、計算上のバランスを運賃の値上げによつて合わせましても、本質的に、これを運営する労働組合などの協力が、全然ないとは言えませんが、非常に不完全だ、たとえば電氣機関車に避雷針がなければ運轉しないとか、あるいはトンネルの防煙裝置が惡いから休むんだとか、この間のごときは、どういう理由か私は知りませんが、運輸省に行つてみたところが、今日はいつてはいけない、とにかく一日サボだというようなこともあつて、とにかくいくら数字を合わしてみたところで、これを運営する本質的な労働組合の協力が、何もないとは言えませんが、非常な不完全な状態で、一体独立採算制という建前はうまくいくか、鉄道企業の合理化はうまくいくか。これは私は本質的に重大な問題だと思います。そういう意味で、今日伺つたことは全部運輸大臣に聽いて、その所見を質そうと思つておつたのですが、私は大臣であろうが、政府委員であろうが、そういう点は一向構いません。しかしああいう状態を放置しておいて、ただ運賃を値上げして、これでつじつまを合わせるのだということでは國民は納得しないと思う。こういう点について運輸当局としては考えを新たにされないと、また運賃値上げをする。――敗戰直後の議会で平塚運輸大臣は、この運賃値上げは今後國有鉄道のある限り、これが最後だから賛成してくれと言つたことがあります。そういう状態であつたのが、未だに何回も、何回もやるというようなことは、とうてい了解できないのでありまして、労働組合の協力なきに近い國有鉄道の現状を見ると、非常に寒心にたえないと私は思うのであります。ですから今回の値上げは、物價が上つたからやむを得ない、かりに百歩を讓つてそういうことを言い得るにしても、とにかく内部の態勢が全然ゼロだ。しかも國民がこれを納得し、國民の鉄道にするにはほど遠い運賃値上げだ、私はこう結論いたします。しかも最近政府は鉄道審議会を運輸大臣主管のもとにつくると言つておりますが、あんなものを設置しても、前の鉄道会議の燒き直しになつてしまつて、百年河清を待つがごとく、鉄道はいつでも赤字、そうなるとまた運賃値上げということになる。もし運輸省がほんとうに熱願をもつて鉄道再建をはかろうとするならば、不当財産取引特別委員会のごとく、帝國議会直属の國有鉄道の業務改善委員会なり、あるいは國有鉄道再建に関する特別委員会なりを常置的に設けるべきであろうと思います。これについて運輸省はどういうふうに考えておられますか。これは運輸大臣に聽きたいと思つておつたのですが、本日その点も披瀝いたしまして政府の所見を伺つておきたい。
○木下政府委員 大臣が留守でありますから、私が代つてお答えいたします。私どもの考えは高瀬委員のお考えとは大分違うのであります。國会の中に一つの特別委員会として置けというお話もありますけれども、これの審議事項は、能率の増進あるいは機械化、そういうような多分に行政に関することがはいつております。また運輸大臣の管轄下と言われますが、運輸大臣はたが会長としてその会の事務を処理するだけでありまして、決して運輸大臣の監督のもとにこれを審議していこうという考えはないのであります。もちろん学識経驗者と申しますれば、両院の議員の方にもお願いをいたしたい。お考えのような今までの鉄道会議とか、運賃を審議するとか、監督機関をどうするとかいう考えではなく、もう少し大きく、外廊團体、その他の問題を取上げて徹底的に調査しまして、よいものは助成し、惡いものは改善して、もう少し力強いものにしたいというように考えております。でありますから、高瀬委員なども大いに將來御協力を願いたい。こう思つております。
○高瀬委員 その点は見解の相違でありますから、ここで議論しようとは思いませんが、私は議会の方がより適当であろうと考えております。たいへん時間にとつて失礼いたしましたが、いずれ今後も適当な機会に質問することを保留いたしまして、これで私は質疑を終ります。
○川野委員長 この際お諮りいたしますが、午前の会議はこの程度にいたしまして一應休憩して、午後は一時より開会いたしたいと思いますが、いかがでしようか。
○松本(一)委員 議事進行について――昨日といい、本日といい、私ども苦労しておりますのは運輸大臣、大藏大臣、安本長官、また都合によりましては総理大臣に御出没を願つて、そして愼重にただいま提案になつております運約法案を審議したいと思つていることであります。申すまでもなく、わが國の國鉄は八十年近い歴史をもつておる。この間に三倍判というような運賃値上げの原案を政府が出したというのはころが初めてであります。これはわが國経済産業の復興に、また國民生活に、思想に重大な影響を與えるものでありまして、この案が議会を通過するかしないかということは、一歩誤らんか、國民生活を非常に破局に追いこむものである、かように考えます。ゆえにこの法案を本議会が通すか、通さんか、いかように修正するかということは、國民が注視をもつてながめておることと思います。ゆえに議会人といたしましては、当然その責任上、愼重にこれは審議して、國民の輿論をよく聽かなければなりませんが、輿論の反対強きことはもう御承知の通りであります。しかし輿論が強い、反対があるからというので、われわれはこれを阻止し、あるいは大修正をするとか、輿論に反対がないから、これを通過さすとか、あるいはまた政畧的に、個人的感情でこの重大問題を審議しようというような考えは念頭にもつておりません。いかなる観点からながめましても、事は非常に重大である。ゆえに予算委員会がいかように審議を急ぎましても、本委員会がこの根本問題の審議を進めない限り、予算委員会も進行はおそらく不可能であると考えます。よつてこれからはできることなら、総理大臣、また大藏大臣、安本長官、運輸大臣はもとより、御出席を願いまして、そして審議を進めるという方向をとつていただかない限り、先ほども高瀬委員からお話がありました、いわゆる独立採算制とかいうような根本問題も、私ども十分つきとめたいのでありますから、そういうことに委員長からお取計らいを願いたいと思いますが、委員長のお考えを伺います。
○川野委員長 実は岡田運輸大臣はきようは参議院の本会議に御出席に相なることになりまして、まことに残念でございますが、当委員会に御出席が午前中はできなかつたのであります。また大藏大臣及び安本長官は関係方面に呼ばれまして、これまた当委員会に出席せざることを遺憾と存じております。総理大臣は御要求がございませんでしたので、出席がなかつたわけであります。しかし松本君の御要望の点は政府にも強く傳達することにいたします。さよう御了承願いたいと存じます。
○尾崎(末)委員 松本委員の御発言に関連するのでありまして、これは私は最大の好意をもつて申し上げるのでありますが、前にお話があつたように、所管大臣その他の方がお見えにならないままに、散発的の質問をだらだらやつておりましては、かえつた重複したり、あるいはまとまりが困難になつてくる、こういうように思うのであります。でありますから、本会議その他の問題がありますならば、それらのことをにらみ合わせまして、そうして所管大臣その他が出てこられるきちつとした計画を立てて、そこで筋の通つた質問をやつてまいりますと、かえつてその方が早く片ぢくかと思うのであります。開きますと、予算の方でも、財政金融の方でも、未だこれを関するとこちの審議すべき資料等も十分出ていないというので、今朝まで資料を請求しようということを言つております議員たちの話を聞いたのでありますが、さようなことで、だらだらやつておつたのでは、かえつてまずくなるかと思うのでありますから、さような計画をよくお立てくださいまして、われわれの審議のしやすいように希望いたしたいのであります。これは自分たちの都合でなく、政府の御都合も考えて、かような進言をいたしておきます。
○川野委員長 尾崎君の御要望の点は強く政府に傳達することにいたしますが、なお委員諸君もできるだけ定刻に御出席願いたいと存じます。委員諸君が御出席ないぬめに、実は予算の審議ができないという事実もございますので、ぜひひとつ定時刻に御出席意いたいと思います。
○堀江委員 いろいろ資材を請求してあるわけなのですが、資料がこないと審議上非常に差支えるのです。鉄道の予算の大綱、そういうものがまず必要であるし、それから自分から請求しておりました食糧増産のいろいろな資料についても、まだ頂載しておりませんから、そうしたものを政府においては至急委員会に出していただくように委員長からお取計らい願いたいと思います。それは審議を進める上に非常に大事なことだと思います。
○川野委員長 食糧増産の資料はここにできておるそうでありますから、ただちに配付させますが、あとの資料はできるだけ早い機会内に配付させることにいたします。さよう御了承願います。
○増田委員 議事進行について。――ただいま同僚松本君及び尾崎君から発言がありましたが、殊に尾崎君の発言についてはよく御注意を願いたい。というのは、やはり運賃問題が今の時局における最大の問題になつておることは御承知の通りであります。それで私も差繰りまして出席しておる次第でございまして、どうか尾崎君が先ほど要望されたことく、特に御復意願いたいのでありまして、関係各大臣はもとより、少くとも運輸大臣が出席するという前提のもとに、委員会を開くようにしていただきちいのであります。もし運輸大臣が御出席ないならば、その時刻はしばらく延期してでも出席される機会を待つて――一日はやはり二十四時間あるのでありますから、そのときに委員会を開く。荏苒委員会を開いても意義が乏しいと思いますから、どうかひとつ少くとも運輸大臣だけは出席する、その前捉において委員会に開く、そうでないならば、しばらく議場内で待機しておる、こういうふうにいたしたいということを尾崎同僚委員も言われたわけでありますから、必ずそういうようにお取計らい願いたいのであります。
○川野委員長 できるだけ御要望に近い点で議事を進行させたいと存じます。
 それでは午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十七分開議
○川野委員長 再開いたします。
 これより來る十二日に開かれる公聽会に対する公述人の選定の件につき、各位にお諮りいたします。
 去る五日委員会開了後、各位にお諮りいたしまして、組合、團体の関係者を学術経驗者七名を選定いたしまして、それぞれ出頭方を通知いたしておりますが、念のためにその氏名を申し上げます。國鉄労組より加藤閲男君、労働総同盟、日本新聞協会、経済團体連合会、私鉄経営者連盟、全國農業会よりはそれぞれその推薦した者、それに中山伊知郎君であります。その他一般からの公述人として昨九日申込期限までに申し出た者が総計三十一名であります。しかし公聽会はわずか一日でありますので、先ほど申しました七名の考慮いたしますれば、一般からは大体六名くらいが適当かと思われますが、いかがでしようか、六名とすることに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 それでは六名とすることに決定いたします。
 その人選は委員長において決定することに御異議ございませんか。
    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 それではその人選は委員長において決定いたします。
    ―――――――――――――
○川野委員長 本日は御要求の各大臣が都合によりお見えになりませんが、いかがいたしましようか。
○高瀬委員 先ほどから大臣に出ろとか、いろいろな御意見がありましたが、いろいろな委員会が一緒に開かれており、そうして答弁は大臣がやらなければ権威がないというふうに考えることは、根本的に委員会として間違いだと思う。大臣がおろうが、おるまいが、鉄道運営について疑いを質すべきところは、政務次官初め政府委員がおられるのであるから、どんどん委員会で質疑を続行されまして、早く討論なら討論に行くという方が、委員会としての職責を果すゆえんじやないかと考えておる一人でありますが、この点大臣が見えなければいつでも委員会を散会いたしておりますと、いろいろな予備的な知識をわれわれが獲得することはなかなかむづかしかろうと思う。この点は私はけさほどの委員諸君とはちよつと見解を異にしておりますが、大臣がおられないからといつて、しよつちゆう委員会を散会いたしておりますと、なかなか開けないのじやないかと思うのであります。この点に関する委員長の所見はいかがですか。
○川野委員長 高瀬君の御意見ごもつともと考えます。実は午前中の会議において大臣の出席方の要求があつたわけであります。委員長としても盡すべきは盡して、そうして大臣の出頭の要求をしたのでありますが、御承知のように参議院も本会議の開催がありますし、かつまた衆参議院とも委員会が開かれておりますという現状でございますので、大臣の定時より定時までの出頭ということは、ほとんど不可能でありますから、大臣がお見えにならない場合は政務次官、あるいは政府委員によつて議事の進行をはかつてもらいたい、こういうことが私といたしましても適当であると考えます。ただいま高瀬委員からも切なる希望がございましたので、ぜひそういうような議事の運行方をさせてもらいたいと、委員長としても切に望む次第であります。
○高瀬委員 但し大臣がいなければ質問をしないというのは、委員の権利になつていますから、委員の随意だと思いますが、そう言つていると、成り立たない場合が多くなつてくると思うのですけれども、その点はどういうふうに……。
○川野委員長 そういう場合にはやむを得ないと存じます。
○高瀬委員 それからもう一つ特に私は委員長に御考慮を促したいのは、與党の出席がほとんどないのであります。與党側がこれだけ重大な法案を出しておいて、けさから見ていると出席がほとんどありません。社会党のごときは川島君がちよつと見えましたが、川島君は財政委員と兼務しておりますので、ちよつと顔を出しただけで引下つてしまつた。ごらんの通り與党の議員は一人もいない。そうするとわれわれがこの案の審議にやや反対的な立場にあるから來ておるというような、妙なことになつてしまつて、はなはだ面白くないから、與党の議員に、三倍半値上げしたいならしたいように、熱意を示すべく出てもらわなければ困ると思うのです。こういう状態で絶えず審議を継続することは、國民生活に重大なる関係のある運賃の審議について、まつたく意味がないので、私はこの点を委員長において何とか取計らつていただきたい。
○川野委員長 委員長としましては、與党、野党というような考えで実は委員会の運営はいたしておりませんが、出席の惡い委員に対しましては、嚴重に警告を発しまして、出席方を促すことにいたします。
 なお本日は迫つて本会議も開かれることでございますので、この程度にいたしまして、次会は明日午前十時開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後二時四分散会