第003回国会 地方行政委員会 第5号
昭和二十三年十一月二十四日(水曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 小暮藤三郎君 理事 小枝 一雄君
      千賀 康治君    武藤 嘉一君
      石神 啓吾君    野溝  勝君
      門司  亮君    坂東幸太郎君
      大石ヨシエ君    川橋豊治郎君
      中村 寅太君    木村  榮君
 出席政府委員
        全國選挙管理委
        員会事務局長  郡  祐一君
 委員外の出席者
        法制局第一部長 三浦 義男君
        專  門  員 有松  昇君
    ―――――――――――――
十一月十八日
 地方團体中央金庫設置の請願(山本幸一君紹
 介)(第二八三号)
 市町村職員待遇費政府貸付金の元利償還額國庫
 負担の請願(山本幸一君紹介)(第二八五号)
 自治体警察並びに消防署の処弁費國庫補助の請
 願(山本幸一君紹介)(第二八六号)
 配給事務費國庫補助の請願(山本幸一君紹介)
 (第二八七号)
 古物商取締法の一部改正に関する請願(佐々木
 盛雄君紹介)(第二九四号)
 地方財政委員会委員に市議会代表を選任の請願
 (山本幸一君紹介)(第三一八号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十九日
 選挙管理委員会経費全額國庫補助の陳情書(仙
 台市長岡崎榮松外十九名)(第二六六号)
 起債の取扱に関する陳情書(仙台市長岡崎榮松
 外十九名)(第二六七号)
 公共團体に対する寄付金を営業経費に編入の陳
 情書(仙台市長岡崎榮松外十九名)(第二七四
 号)
 衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書(
 富山縣議会議長前田治吉外六名)(第二九六
 号)
 警察制度改革に関する陳情書(富山縣議会議長
 前田治吉外六名)(第二九七号)
 地方財政委員会に地方議会代表者参加に関する
 陳情書(富山縣議会議長前田治吉外六名)(第
 二九九号)
 戰災復興事業費起債認可の陳情書(全國戰災都
 市連盟会長姫路市長石見元秀外十九名)(第三
 〇一号)
 消防法の一部改正に関する陳情書(大阪府会議
 長淺野豊行)(第三〇四号)
 地方公共團体中央金庫設立に関する陳情書(富
 山縣議会議長前田治吉外六名)(第三〇七号)
 衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書(
 靜岡縣議会議長三上陽三)(第三三八号)
 蔬菜特産指定地の農業事業税免除に関する陳情
 書外三件(兵庫縣佐用郡久崎町農業協同組合長
 高見伴治外四名)(第三四二号)
 自治体の初年度消防調弁費に関する陳情書(愛
 知縣下消防長連絡協議会議長水野鐘一)(第三
 四五号)
 発電水利使用料引上に関する陳情書(岐阜縣議
 会議長水野後八)(第三四七号)
 衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書外
 一件(兵庫縣議会議長加藤秋一外一名)(第三
 五一号)
 衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書外
 二件(愛知縣議会議長大見為次外二名)(第三
 六〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法
 律等の一部を改正する法律案起草に関する件
 公務員の衆議院議員立候補についての特例に関
 する法律案起草に関する件
 年賀郵便の取扱いと選挙運動の臨時特例に関す
 る法律第十九條の適用に関する件
    ―――――――――――――
○小暮委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は委員長が所要のために委員長の指名によりまして、私が委員長の代理を勤めます。
 まず本日の議題に入ります前に、先日の司令部訪問につきまして、有松專門委員より折衝の経過を報告していただきます。
○有松專門員 それでは御報告を申し上げます。去る十一月十九日十一時から十二時までの間におきまして、衆議院からは山口委員長、門司委員及び有松專門員、参議院からは岡本委員長、上原專門員が連合軍司令部の経済科学局に参りまして、コーエン、モース、バロンの諸氏に面会をいたしまして、地方自治委員会法案についていろいろお話をいたしたのであります。
 その経過をこれより申し上げます。ちよつと速記をとめてください。
○小暮委員長代理 しばらく速記をとめます。
    〔速記中止〕
○小暮委員長代理 速記を始めて。
    ―――――――――――――
○小暮委員長代理 それではこれより衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案起草小委員長より、小委員会の報告を求めます。千賀小委員長。
○千賀委員 衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案起草小委員会は、去る十一月十六日十名の小委員の指名選任によつて成立し、私が小委員長に選任せられました。爾來、本小委員会は回を重ねること三回、法案の起草に関して愼重協議を遂げましたところ、一應の成案を得ましたので、ここに法案の内容、協議の経過並びに結果につき簡單に御報告申し上げたいと存じます。
 まず、法案の内容から申し上げますと、この法律は衆議院議員選挙法第十二條の特例に関する法律、選挙運動の文書図画等の特例に関する法律及び地方自治法の各一部を改正しようとするものでありまして、全文三箇條からなつております。
 まず第一條は、衆議院議員選挙法第十二條の特例に関する法律の有効期間を延長しようとするものであります。この法律はいわゆる臨時名簿の調製に関する法律でありまして、選挙人名簿の調製について定時名簿主義を採用いたしております現行制度の欠陷を補う目的をもつて、選挙の都度新たな有権者、脱漏者、引揚者等を登録する臨時選挙人名簿を調製するため、昨年一月制定せられたのでありますが、本年十二月二十日をもつて失効いたしますので、この際その効力を延長して、十二月二十日以後に行われる選挙についても、臨時に衆議院議員選挙人名簿を調製することにいたし、もつて國民の選挙権行使に遺憾なからしめようとするものであります。
 次に第二條は、選挙運動の文書図画等の特例に関する法律の有効期間を延長しようとするものであります。衆議院議員の選挙について、先般第二回國会を通過いたしました選挙運動等の臨時特例に関する法律が適用せられることになりました後でも、参議院議員の選挙及び地方公共團体の選挙には、選挙運動の文書図画等の特例に関する法律が適用せられるわけでありますが、本年末をもつてその効力を失うことになつておりますので、現下の用紙その他の状況にかんがみまして、当分の間その効力を延長しようとするものであります。
    〔小暮委員長代理退席、委員長着席〕
 次に第三條は、都道府縣及び市町村等の選挙管理委員会の委員の現行二年の任期を三年に改めようとするものであります。これらの選挙管理委員の任期が現在二年とされておりますのは、選挙管理委員制度を初めて設けます際には、選挙管理委員会がその在職中関係区域において被選挙権を停止せられ、かつ選挙運動を禁止される等、相当不利益を伴うことを考慮した結果でありますが、制度実施の結果に徴しますと、これらの不利益は選挙管理委員を選びます上に支障を伴つていないのでありまして、かえつて二年という任期は、選挙管理委員の職務が專門的知識を要するものであることよりしましても、短かきに過ぎると考えられますので、これを全國選挙管理委員の任期と同じく三年にしようとするものであります。
 なお現在の選挙管理委員会の任期は、すでに満了しておるものもありますが、いまだ後任者の選挙の行われていない者も多く、これらのものについては、目前に農業調整委員の選挙その他重要な選挙を控えております関係上、せつかく選挙の事務になれたこれらの者に引続き在任させるのを適当と考えられますので、附則第二項のごとき経過的規定を設け、このような委員についても、その在任期間を一年延長しようとするものであります。
 第一條及び第二條の関係はいずれも緊急を要し、必要な改正であり、また第三條も現在の事情及び選挙の実際から考え、選挙管理委員の任期を延長することが適当と考える次第であります。以上をもつて法案の概略説明といたします。
 これに対し、この種委員の任期はだんだん短かくするのが今日一般の趨勢であるのに、これに逆行して長くするのはいかがかとの説も出ましたが、それは前に述べましたような理由の方が強いので、原案のままということになりました。また第三條において、地方自治法を改正するがごときは、附則で他の法律を改正するという戰時中の一時的便法にならつているものであつて、今日なおさようなことを続けて法律の体系を乱すのは不適当であるとの意見も出ましたが、今日はとりあえずこの程度で進行するということになりました。
 なお本法案起草の協議にあたりましては、常に全國選挙管理委員会事務当局の出席を求め、連絡協調を保ちつつ成案を得たものであることを付言いたしておきます。なお一言付言をいたしますが、やはりこれらの方々の努力によりましてただいま無事通過したということを承りました。これもあわせて申し添えておきます。
 これをもつて小委員長の報告といたします。
○山口委員長 ただいまの小委員長の御報告に関しまして、何か御質疑はございませんか。
○木村(榮)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、選挙管理委員会の任務は大体わかつたのですが、たくさん脱落があるわけです。ことに教育委員選挙なんかは、全國的に見ましてずいぶん有権者が漏れておつたが、そういつた場合には、大体選挙管理委員会は法的には何らそれを処罰するとか、その他の方法はないことになつているのだと思うのですが、何かの方法をお考えになつておりませんか。
○郡政府委員 脱漏がありますことは確かに事実でございまして、從いましてこのたびお願いいたしておりまする選挙法の十二條の特例等に関する法律も、海外引揚者等を名簿に登録することが一つのねらいではありますが、もう一つのねらいは、選挙の直前に基本の名簿に脱漏いたしましたものを全部登録をいたす。しかしこれは選挙のまぎわでありますから職権調査ができませんので、脱漏者を登録いたすようにいたしております。それと基本名簿の從覽期間、十二條の特例法によりますと臨時名簿もそうでありますが、從覽期間内にぜひ見てほしいということを、このたびの五日から十九日までの名簿從覽期間には、かなりポスター等も張りまして、徹底いたしたつもりであります。御指摘の点は、実際名簿調製義務者である選挙管理委員会の粗漏等のために脱漏があつたりした場合、どういうぐあいに措置するこという点だろうと思うのであります。それは仰せのように法律上、政府なりあるいは全國選挙管理委員会が、名簿調製義務者である選挙管理委員会を処罰するというような根拠はありませんけれども、しかし地方公共團体の委員長という機関なり、あるいはその補助機関である公共團体の吏員であるという廣い意味におきまして、身分上の処分等は必要に應じてはいたしたいと存じております。前回、前々回の総選挙の場合に起りました名簿の脱漏等につきましては、当時指揮系統でありました知事に対して直接訓告をいたし、あるいは町村長等につきましては罷免その他の措置も講じたのであります。現在地方公共團体の機関というものは独立性を持ちましたので、直接これを処分いたします権限はございませんけれども、しかしさしずをいたしまして、それぞれ委員長あるいは自治体の長等の側の粗漏のため、あるいは故意のために集團脱落をいたしましたような場合には、適当な処分をいたして参ることにしたいと思つております。
○木村(榮)委員 もう一点お尋ねしますが、今度の第一條第一項中の改正で、たとえば選勧の当日の朝になつて脱漏していることがわかつた場合、午後六時なら六時までは投票の時間があるのですから、その間に認められて、投票できるようになるのですか。それともそういつたことは全然だめになるのですか。これはちようど私の町で今年教育委員の選挙をやつたときに、市営住宅の有権者が大体四百名ほど集團的に脱漏しておつた。これは市役所の非常な手落ちであつて、もともとこれは疎開しておつたのが、市営住宅ができたのでそこへみんな固めて入つたわけです。そうして代表者が市役所の方へ届けてあつたので、市役所の方で手続がしてあると思つて、市営住宅の一般の方は安心をしておつたところが、その当日になつて、ないということがわかつて、これはたいへんだというので四百何十人が申し込んだ。しかしもう時間がないというので、全部選挙権を行使することができなかつた。今度改正されればそういつた点が簡單に認められて、その当日申し出ても投票に間に合うように措置できるかどうか、伺いたいと思います。
○郡政府委員 名簿は何分にも選挙という重大なことに用いますから、確定した名簿を用います。從つてこの特例でも選挙の直前なるべく近い時期に確定いたしますように、從覽の時期等もなるべく選挙のまぎわまでいたすようにいたしますが、一旦臨時名簿が確定いたしてしまいますと、その後におきまして、今御指摘のような当日の朝氣がついたというようなものにつきましては、処置はないのでございます。しかし本人の申請で、事務の執行に支障がない限度まではなるべく救済するようにいたしておりますが、一方では、その朝脱漏がわかつたものを救済するということは、事柄としては望ましいのでありますが、ところが一方では、資格のないものが誤記で登録されておるという心配もございます。從つてある時期をとらえて名簿を確定するということは、どうしてもこれは技術上必要だと思います。從いまして可及的直前に確定いたしますような措置は講じますけれども、その朝というようなものはやむを得ぬことでありまして、私どもも努力いたしますが、どうか基本名簿の從覽の際に從覽しなかつた者は臨時名簿には必ず本人が申請いたしますように、各方面から御指導願いたいと存じます。しかしただいま御指摘のような集團脱漏がありましたのは、これはひとり有権者の責任じやないのでありまして、当該の事務の者の手落ちでありますから、当該の町村等の御指摘を得ましたならば、そういうことについては特に今後注意を與えるようにいたします。
○坂東委員 地方自治法のリコール制について、これを適用した市町村長、公安委員の数、これがわかりますれば御発表願いたいと思います。なおリコールをせんとしたが、少数でリコールできなかつたという数もありますれば、この際お知らを願います。
○郡政府委員 これは調べたものがございますが、まことに恐縮ながら、リコールについての統計を手元に持つて参つておりませんので、書面によつて参上げることにいたしたいと思います。
○坂東委員 これは非常に重要ですから、各委員全部に渡るように御準備願いたいと思います。
○山口委員長 ほかに御質疑もございませんか。――ちよつと御注意申し上げたいのは、本案はその起草を急いでおりまするので、予定は本日の委員会においてその起草を終り、できれば午後の本会議に上程をいたす予定になつております。御質疑もないようですから、この衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律案の一部を改正する法律案の起草は、これをもつて終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なければさように決定いたします。なお一應念のために本案を朗読いたします。
衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案
 第一條 衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律(昭和二十二年法律第二号)の一部を次のように改正する。
   第一條第一項中「昭和二十二年九月十五日の現在で」を削る。
 第二條 選挙運動の文書図画等の特例に関する法律(昭和二十二年法律第十六号)の一部を次のように改正する。
   第一條中「昭和二十二年及び昭和二十三年中は施行される」を削る。
  附則第二項中「衆議院議員選挙運動等取締規則、参議院議員選挙運動取締規則及び地方議会議員等選挙運動等取締規則」を「衆議院議員選挙運動取締規則、参議院議員選挙運動取締規則及び地方公共團体の選挙の選挙運動取締規則」に「この法律施行の日から、昭和二十三年十二月三十一日まで」を「この法律が効力を有する間」に改める。
 第三條 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
   第百八十三條第一項中「二年」を「三年」に改める。
    附 則
 1 この法律は、公布の日から、これを施行する。
 2 第三條の地方自治法第百八十三條第一項の改正規定は、この法律が施行される日の前日までに選任された地方公共團体の選挙貿理委員については、その選任の日に遡つてこれを適用する。但し、この法律が施行されるまでにすでにその後任者の選任に関する手続が開始されたものについては、この限りでない。
    ―――――――――――――
○山口委員長 次におはかりいたしたいと思いますが、十一月二十日の議院運営委員会より当委員会に対しまして、公務員の衆議院議員立候補についての特例に関する法律案起草及び年賀郵便の通扱と選挙運動の臨時特例に関する法律第十九條の適用に関する立法措置につきまして、審議をしてもらいたいという申入があつたのでありまするが、この点いかがとりはからいましようか。当委員会といたしましては、さきに衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律案の一部を改正する法律案起草小委員会を設置いたしまして、選挙法に関して審議をして來たのでありますが、この際当小委員会をこのまま引続き継続して、この公務員の衆議院議員立候補についての特例に関する法律案起草について審議したいと思いまするが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお公務員の衆議院議員立候補についての特例に関する法律案起案につきまして、議院運営委員会から次のような申入れがありましたので、その趣旨をここで申し上げます。当今國または地方の官公吏なかんずく知事、副知事、部長、課長などが衆議院議員の立候補を目的として、官僚統制を基盤とする官吏の地位を利用し、自己の便宜のためほしいままに許可、認可を與えまして、あるいは土木事業、厚生事業その他あらゆる面にへんぱな措処をなし、選挙直前退職して立候補せんとする者が、全國的に見ても数十名に及ぶと聞いております。もしこの弊を今矯正しなければ、善良なる民間候補者は立候補の機会を失うに至り、やがて衆議院が官僚の跳梁跋扈にゆだねられなければならないことになる。よつてわれわれ衆議院議院運営委員会有志相はかり、國または地方公共團体の公務員の衆議院議員立候補についての特例に関する法律案を立法化せんと志し、当該委員たる貴委員会にこの旨を申し入れをいたすものである。これは口頭でかように申し込みがあつたわけであります。なおこういう議案を出だしまするについての可否を同時に御審議を願いたい。こういうことが申し添えられてあります。
○坂東委員 運営委員会の要望でありますが、官公吏が地位を利用して選挙の場合に利益を得るような方法をとつておるということに対する防止の方法、それについての運営委員会の注文とか、あるいは考え方というものが言われておりますが、それはもちろん小委員会できめなければならぬけれども、なお運営委員会の要望でありますから、その要望を聞いておく必要があると思います。
○山口委員長 これは、その方法につきましては、別段に申し入れはありませんでした。ただ私もこのときの運営委員会に出席をいたしてお話を伺つておりますと、退職後一年ぐらいは立候補のできないような規定にしたらばいかがかというようなお話がありました。
○木村(榮)委員 その問題はちようど私もそのときに傍聽いたしておりましたが、公務員といいましてもなかなか範囲が廣くて、何百万人になることになる。下は学校の小使さん、あるいは役場の小使さん、官廳の小使さんから、上は大臣にまでなる。そこでこの問題をほんとうに討論する場合には、相当憲法上の――たとえば憲法四十四條のことなども相当大きな問題になるのであります。從つてここに書いてあるのは、なかんずく知事、副知事、部長、課長といつたようなことになつておるが、ただ知事、副知事、部長、課長だから選挙に立候補できないということは、さつき私が申し述べましたような憲法上のことでそういうようなことも大きな問題になる。そこで私の考えでは、選挙運動の取扱りといつた方面からこれを檢討して、事前運動というようなものの見方をうまく研究してやつて行くといつたようなことを考えて、選挙小委員会の方でも御研究を願いたい。かように考えております。公務員と一概に申しましても、何百万人の人間が選挙に出られないということになるのである。これが部長、課長というようなことになれば、たとえばこの間運営委員会でお話があつたように、一年半ないし、二年前にやめましても、これは生活に基盤がありますから何とかやつて行ける方々があるのでしようが、三級官というようなものは、やめても食つて行けない。うまく当選でもすればそれはいいかもしれないが、落選すればいよいよ失業者にならなければならぬのですから、そういつたようなものが自分の選挙区から衆議院議員とかその他にはなれないというようなこともなると、大きな基本的な人権の問題になると思います。その点は御勘案願いたいのであります。
○坂東委員 私も大体木村君の趣旨に同感であります。一年間出られぬというような話は非民主的で、それはいかぬと思う。從つてそれは公務員の立場を考えて、非常憲、非民主的にならないように小委員会はやるべきであるということを、私は望んでおきます。
○大石(ヨ)委員 ただいま木村さんのおつしやいましたことも、坂東さんのおつしやいましたことも、一應私はりくつがあると思います。しかし現に知事をしておつた人、部長をしておつた人、課長をしておつたような人が、職をやめてただちに衆議院議員に立候補すると、日々その人たちは事前運動をしておるのと同じことになる。いわゆる官吏で事前運動をする。そういう人は立候補しても非常に当選が可能であります。それでその人々は他府縣に行つて即時立候補するのであつたら、私たちはそれを認めていいと思います。その府縣におつて部長及び課長という人々がただちに立候補するということは、非常に事前運動で当選を可能ならしめます。憲法において社会的に何人もそういうことは認められますけれども、私は他府縣で、しかも一年ではその人たちは非常に事前運動をそやすいと思うから、二年ないし三年ぐらいしてからでないとそういうものに立候補できぬということにするのが当然ではないかと思う。いわゆる基本的人権を認めるという意味において、少々矛盾するところがありますけれども、選挙運動という立場から言えば、そうした者は官費でもつて事前運動ができるのでありますから、私たちはその人々が立候補することを不可能にする、そういう方面に善処することをお願いいたします。
○武藤(嘉)委員 ただいま坂東並びに木村両委員から御意見が出ましたが、私は大石女史に賛成したいと思います。私の知るある縣におきましても、副知事に就任する前にすでに衆議院議員に立候補の意思を十分持つておつた。またそれを十分知つておつたのでありますが、副知事に当選しておる実例があるのであります。從つてかような場合においては、その在職中は暗默のうちにある意味の事前工作をやる機会が非常に多いのであります。またかような候補者は地方におつて、毎日その職務のかたわら事前工作がやれるのでありますから、中央にいて議員をしておる者に比べますれば、非常に選挙の点において有利であることは免れがたいのであります。從つて選挙にフエア・プレーといいますか、公正な選挙運動をなさしめなければならないという原則に照しましても、やはりある程度監督官廳にあるところの職員は、その所属の選挙区内において、監督下にあるところの地区の選挙区内において立候補するということには、十分なる考慮を拂われたいと思うのであります。これは基本人権の問題と抵触するようでありますが、一方選挙の公正、フエア・プレーという観念から、ぜひ御支援をたまわりたいと思うのであります。
○千賀委員 坂東並びに木村両君のお説は、これを軽々に議決をすれば、基本的人権に影響があるから、その点について注意を喚起するという意味であるのか、または本案に強く反対するという意味で言われるのか、そこのところが私ははつきりいたしませんが、もちろん個人の基本的人権を尊重することも大事でありまするが、また多数の人の基本的人権を尊重することも大事である。そこで武藤委員の言われたような場合は、今は單に地方の関係を言われたのでございますが、中央におきましても、たとえば河川の関係の役人、ことに上級の役人がある地方の宿痾と言つていいような、病膏肓に入つたような大きな河川の問題を解決しておいて、選挙に行つてその地方で立候補する。しかもその人がその地方に因縁のある人であつたというようなときには、まつたくこれは当選疑いなしということになりましよう。また繊維関係におきましても、繊維で大きな仕事をして、大阪あたりで立候補するというようなことになれば、もちろんこれもやはり同じでありますが、するとそういう方は官吏として自分の職務に忠実であるべきはずであるのに、國家の費用をもつて自分の選挙をやつていく。そういうことをやつたら涜職罪であげればいいじやないか、あるいは選挙違反であげればいいじやないかというりくつは立ちましても、そういう底意があつてやつた仕事か、底意がなくてやつた仕事か、これはなかなか鑑別することができない。鑑別することができない間に事態は進んで行つて、当選してしまつて、その地方に多数の適当な候補者が立とうといたしましても、ことごとく落選となるというようなこともあり得るので、私は一應本委員会におきまして、この問題を深く掘り下げて研究をするために、小委員会が取上げるということは当然であり、また義務でもあるような感じがいたします。それと、この際委員長並びに委員各位の御了解を得たいのは、民自党におきましては齋藤長老が特に肝いりで、三十回に個人演説を限つてしまうのはやはり基本的人権に抵触する。むしろこれは憲法上から言つても無効にひとしい。だからこれはせいぜい五十回まで延ばせ。齋藤氏は無制限にしろと言うのでありますが、いろいろな説とあんばいいたしまして、五十回に延ばそうということが、大体民自党の現在のとりきめとまでは行きませんが、流れでありまするけれども、この際小委員会がこれも取上げる自由を認めていただきたい。同時に社会党の方からは、それを取上げるならば、職場の演説も認めなければならぬ。おれの方では強くこれを要求するというような御意見もございましたが、これもあわせて取上げて研究をする自由をお認めを願いたいのであります。もしも小委員会におきまして、そういうような問題をほんとうに取上げるべきだという結論に到達いたしますれば、成案にして本委員会に報告をするということにまで権限を認めておいていただきたいと思います。御了解を得たいと思います。
○坂東委員 今千賀君のお話の小委員会に付託することに私は賛成であります。從つて小委員会で愼重に各方面から掘り下げて研究すべきものである。そういう意見ですから、どうか御了承願います。
○木村(榮)委員 ただいまの坂東さんの御意見と一緒であつて、私も特定な官僚が自分の地位を利用して選挙運動をやるということに対しては、むろん反対いたします。そうなりますと、ただ衆議院議員だけの問題ではなく、たとえば縣知事の選挙の場合に部長がその地位を地用してやる。あるいは縣会議長がこれを利用して縣知事の選挙をやるというようなことも相当起つて來ると思います。だからこの問題は愼重にやらないと非常に大きな危險性があるから、特定の官僚とか、あるいはその地位を利用していろいろなことをやられる場面を持つているというものは、なかなか認定のむつかしい問題ですから、これは問題がよほどデリケートだということを申し上げたので、そういう措置に対して何も反対であるということではなしに、相当問題であろうということを申し上げたのであります。その他、あとで御発言になつた選挙演説の回数、その他街頭演説に対する御意見に対しては全面的に賛成いたします。
○門司委員 先ほども木村君並びに坂東先生から申し上げられておりますが、これは実は非常にむずかしい問題でありまして、むずかしい問題というのは、趣旨においての反対はないと思います。同時にまた事例がないわけではありませんで、要するに判檢事の弁護士開業に対する制限が法律で加えられております。それと関連して考えますときに、制限することは別にこれが初めての問題ではなくて、從つて取扱いの上には大した困難はないと思いますが、ただ制限する限度が非常に問題になると思います。どの程度までを制限することにするかということが問題でありまして、たとえば中央における官吏の身分の形から行きますと、一級官にするか、二級官にするかということが非常に大きな問題になつてまいります。中央の二級官は課長級であるが、中央の二級官に相当するものは地方では部長級が入つているというようなことが考えられる。そういう身分で制限するということに非常な考慮を拂つていただきたいということと、もう一つは先ほどのお話のように、地方議会にもやはりこれと同じような形で弊害が現われて來るのであります。たとえば警察の署長をやつておつた者が、そこの管区で市会議員に立候補する、あるいは縣会議員に立候補するということが、これが過去の事例においてたくさんあるのであります。今始まつた事例でありません。從つてそういうものまでこの際考えて行うべきであるかどうかというようなことも、一應愼重に考慮しておきませんと、片手落ちのようなことができるんじやないかというように考えられる。それをさらに深く掘り下げて行きますと、学校の先生に至るまで同様なことが言えると思います。しかしそこまで話をしておつたのでは、とても法律にも何にもならぬと思います。その点はひとつ委員会で十分御考慮が願いたいと思います。
 それから後段の千賀さんの御意見でありますが、千賀さんに御意見として一應お伺いしておきたいと思いますことは、了解の上でそういうことが小委員会でお話が出まして、小委員会でそれが取上げられるならば、この委員会の発議としてそういう案を提案することにするかどうかという点であります。その点ひとつはつきりしておいていただきたい。
○千賀委員 小委員会でまとまりましたならば、これを委員会に報告したときに、それはおれの方から付託しない議案だから、意見として承りましようという程度では、これを委員会が審議しましてもむだにもなるし、張合いもないわけで、もしも委員会がその二つの問題をにらみ合わて、適当だと思う成案ができて、もしもこの地方行政委員会の本委員会に報告ができたと仮定しましたときは、それを本委員会の意思として取上げていただく。もちろん反対があればそれを取り上げられないわけで、これは数によつてきまるのでありますから、一應そういう場合には、本委員会の議題として委員長に認めていただきたいということ、それまでの重さを認めていただけるかどうでしようかという御相談であります。
○山口委員長 それでは各委員からただいま議会運営委員会の申出に対します法案の審議について、有意義なる御意見がございましたので、これをすべてできるだけ尊重して、小委員会におきましては、愼重審議をいたすことにいたしたいと思います。
 なお千賀君の発議になります選挙運動の特例に関する法律案の中の個人の演説会三十回以内というのを、少くとも五十回くらいにふやすこと及び職場の演説会に対する改正の審議を同じ小委員会で審議することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 それでは次会の委員会は公報をもつて御通知申し上げます。本日は速記の都合によつて、これをもつて散会いたしたいと思います。
    午前十一時三十三分散会