第003回国会 本会議 第8号
昭和二十三年十一月十日(水曜日)
 議事日程 第七号
    午後一時開議
    質問
 一 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(小川半次君提出)
 二 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(河野金昇君提出)
 三 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(水野實郎君提出)
 四 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(中原健次君提出)
 五 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(大瀧亀代司君提出)
 六 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(野坂參三君提出)
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 第一 逓信省設置法案、逓信省設置法の施行に伴う法律の整理等に関する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、放送法案、賣春等処罰法案及び教育公務員の任免等に関する法律案撤回の件
 第二 両院法規委員会規程中改正案(議院運営委員長提出)
 第三 両院法規委員会の委員の選挙
 第四 檢察官適格審査委員会の委員の選挙
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 一 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(小川半次君提出)
 二 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(河野金昇君提出)
 三 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(水野實郎君提出)
 四 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(中原健次君提出)
 五 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(大瀧亀代司君提出)
 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(林百郎君提出)
 日程第一 逓信省設置法案、逓信省設置法の施行に伴う法律の整理等に関する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、放送法案、賣春等処罰法案及び教育公務員の任免等に関する法律案撤回の件
 日程第二 両院法規委員会規程中改正案(議院運営委員長提出)
 日程第三 両院法規委員会の委員の選挙
 日程第四 検察官適格審査委員会の委員の選挙
 國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明
    午後三時二十九分開議
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 昨日の吉川兼光君の緊急質問に対し答弁のため、内閣総理大臣より発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣吉田茂君。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 昨日私が、質問した諸君に対する一括答弁ということを……。
  〔「反省したか」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○國務大臣(吉田茂君)(続) 一括答弁ということを申して、諸君の意外な反抗を受けて、はなはだ議長に対しても済まぬと考えます。そこで、一括質問を撤回いたしまして私からお答えします。(「一括答弁だ」と呼び、その他発言する者多し)
 昨日吉川君の御質問は、何がゆえに施政の方針をやらないのか。
  〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○國務大臣(吉田茂君)(続) 施政の方針をいたさない限り、また吉田内閣の性格がわからない限り、議事を進めることが困難である、こういうふうに承知いたしておるのでありますが、これは私においてはなはだ不可解に思うのであります。(発言する者多し)何となれば、この國会は……。
  〔発言する者多し〕
○國務大臣(吉田茂君)(続) まあ聞きたまえ。第三國会は、前内閣、芦田内閣の趣意に同調して公務員法を議するがために召集せられた議会であつて、かつまた現在の労働問題の状況からいつてみて、一日もむなしくできない重要な法案であるので、すべての法案に先行して諸君の審議を請う次第であります。またそのために、私が施政方針の演説をし、これに対して質疑應答を重ねられるということは、本公務員法の審議にむなしく時を費すおそれがあるので、ゆえに私はこれをしないのである。しないのではない、適当な時においてするのだ、こう申したのであります。私は、私の施政の演説なるものを回避したのではないのであるということは、諸君がよく御了承願いたいと思う。
 また諸君に重ねて申しまするが、公務員法なるものは、現在の労働情勢その他から考えてみて、一日も欠くべからざる法制であるのであります。この御審議は、何とぞすべての法案に先だつて、すべての決議に先だつて、なるべくすみやかに御審議を希望いたすのであります。しかしながら、諸君がもし多数の力をもつてこの法案の審議を妨げらるるという……(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)あるいはまた、いたずらに延ばそうということであれば、政府といたしましては……。
  〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○議長(松岡駒吉君) ただいまの御答弁のうち不穏当な点がある場合には、速記録を調べた上、議院運営委員会にはかつて適当な処置をいたします。
     ――――◇―――――
 一 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(小川半次君提出)
○議長(松岡駒吉君) 総理大臣の施政方針に関する緊急質問を許可いたします。小川半次君。
  〔小川半次君登壇〕
○小川半次君 私は、民主党を代表いたしまして、総理大臣に対し、政府はこの第三國会を開くにあたり、政府所信の基本である施政方針演説を何の理由があつて行わないかをただし、あわせて議会政治の本質を明らかにしたいと存じます。
 通常國会や臨時國会を問わず、いつの國会におきましても、総理大臣の施政方針演説は、抱懐する政府の方針を総括的に鮮明する重大なものとされておるのであります。それだけ國民は、その趣旨、内容に特殊の関心を拂い、事実それに値する重要性と指導力を有するものであります。從つて施政方針演説は、議会において協賛を得んとする政策を鮮明すると同時に、國民に対してもまた協力を求めんとする議会政治必然の要訣であり、政府の当然行わなければならない責務であると思うものであります。
 わが國の憲政史上におきましては、かつて田中内閣の時代に、緊急やむを得ざる事態を收拾せんがために臨時國会が召集され、しかして問題がきわめて突発的であつたため、総理大臣の施政方針演説の行われなかつたことがあります。当時の場合は突発的なことであり、しかも事態がきわめて緊急を要した関係上、政府の施政方針演説が行われなかつたのであります。かくのごとく、やむを得ざる事態のために施政方針演説ができなかつたその際にすら、政府のとつた態度は非立憲きわまる行為であるといつて、國民のごうごうたる非難を呼び、当時の野党から猛烈な糾彈の声があがつたのであります。現在民自党の大幹部であられる齋藤隆夫氏や工藤鐵男氏らが、当時この壇上に立たれて、鋭く政府を攻撃された記録は、わが國の憲政史上に嚴として残されておるのであります。かくのごとく突発的であり、事態やむを得ざる場合においてすら、政府の施政方針演説の行われなかつたことが、議会の内外を通じて鋭く糾彈された。それほど施政方針演説の性格は議会政治の上に重要性をもつものであります。吉田総理は、世論はわが党を支持していると、しばしば語つておられるのであります。世論が政府を支持していると言われる以上、その世論の期待に沿うべく議会を通じて堂々と政府の所信を披瀝することが民主政治家の美しい態度であります。(拍手)いわんや今回の場合は、政府が在野当時から、百三十名の署名をもつてこの第三國会の召集を要請していたのであり、さらに党大会までも開いて緊急政策を発表して第三回國会に臨む氣勢を示した経緯から見ましても、吉田総理は、欣喜雀躍して開会劈頭施政方針演説を行うべきが当然な成行きであつたにもかかわらず、今回とりたる態度は、まつたく議会政治を軽視し、民主政治に逆行するものといわなければなりません。(拍手)もし吉田総理が、議会政治を尊重するという一片の良心を有しておられるならば、抱懐する政策をあまねく鮮明するに何ら躊躇するところはないはずであります。しかもなおそれを行わないとするのは、國民に眞実を聞かすこと恐れるためであると糾彈されても、弁解の余地がないと思うのであります。
 官界、財界、労働界はもとより、國民は、政府の施政によつてその向うところを定めるのであります。從つて、その方針演説を聞かんとしているのであります。政府は國民に対して言うことはない、ただ政府の行うままについて來いというがごとき態度は、まつたくこれは明らかにフアツシヨ的であります。独断的であります。(拍手)昨日の社会党代表の吉川君の質問演説に対する総理の態度を見ましても、民主政治家としての片鱗なく、まつたくフアツシヨ的なものであつたのであります。
 民主政治とは、行わんとすることをまず率直に訴えて、了解と協力を求めることでなければならぬと信じます。聞くところによりますれば、政府は、在野当時や過般の内閣組閣直後、一大政策として、さも勝ち誇つたごとく発表していた取引高税廃止案が困難となり、また料理飲食店再開等二、三の政策が実現不可能となつたため、これまで不用意に発表した政策と党の面目上自信を失い、結局施政方針演説を、そのためにとりやめることになつたというのであります。(拍手)もし、かくのごときことが事実であるとするならば、これはまつたく党利のために公約を裏切り、議会をあざむき、國民をあざむく、卑劣きわまる手段であつて、國民とともに、われわれの承服せざるところであります。
 先般泉山藏相が、取引高税は廃止すると声明したるために、多くの商店では物品を賣つても印紙を渡さないという混迷した事態が生じたのであります。その後数日を経て、廃止は困難であると発表するや、またもや商店街においては混乱が生じたのであります。これは小さい一つの現象として片づけるには、あまりにも危険であると思うのであります。今これと同様の混迷が國内至るところに起つておると思うのであります。一体政府は、取引高税を廃止する勇気があるのかどうか、國民が聞かんとしておる今日この際、総理大臣は施政方針演説によつてこれを明らかにすることが、責任ある政治家のとるべき手段であると思うのであります。(拍手)
 なお、いま一点お尋ねしたいと存じます。國家公務員法に関してでありまするが、ただいま総理大臣が、あたかも公務員法はすでに上程されておるかのごときことを発言され、この問題について多数でもつて押し切るなれば云々と申されましたが、われわれは公務員法のことを申しておるのではないのであります。この施政方針演説をなぜに行わないかを社会党代表吉川君は尋ねておるのです。
 この公務員法に附随して、当然公務員の給與の問題が起つて來るのでありますが、政府の現在の態度から見て、この給與問題を第三國会に取上げる意思がないように見えるのであります。しかも人事委員会においては、すでに六千三百七円の基準給が決定して政府に勧告しておるというのに、政府はきわめて冷淡であり、これが上程予算化に努力しない様子であります。かくのごとき状態では、全國二百六十万の官公労働者とその家族の生活を脅かすこととなり、一方には労働攻勢をますます激化することになり、その結果著しい生産の低下を促し、国民生活を極度の不安に陷れ、やがて収拾のつかない事態を生ずる不安さえ感じられるのであります。かかる際に、政府は國家公務員法とともに給與問題を決定して、全官公労働者とその家族に安心感を與えてやるという親心と熱意を示すことが、この際最も適切であると思うのであります。(拍手)
 この点、全國の勤労大衆は政府の態度を重視し、特に施政方針演説に非常な関心を寄せて、現に総理の声を聞かんとして、昨日のごときは、全官公労働組合の代表者多数が議会の内外にあふれたのであります。なおこの問題に関係して、全國二十三團体の労働組合連合会が決議をしておりまするから、御参考として申し上げておきます。
 吉田内閣は、マ書簡にもとずく公務員法改正と給與改善を目的として第三國会を召集している。しかるにも拘らず、彼等は冒頭解散を振りかざして、或は議会掛引の道具とし、或は公務員の活動を政令に縛りあげ、劣惡給與を強制しようとしているのである。それのみではない。彼等の冒頭解散の陰謀は、民間労組の間にホウハイとして捲き起つている賃銀増額の要求を歳末に引きのばして、蹂躙しおわさんとする反動攻勢の一翼たることは明らかである。いま物價の高騰に伴う賃上げを要求しつつある電産、石炭、纖維、日鉄等々の労働者大衆の生活條件と、公務員の給與水準の決定とは、正に直結している問題といわねばならぬ。それ故に、われらは全官公二百六十万の労働者大衆のために速かに急迫せる給與問題を処置し、あわせて公務員法の民主的改正のために第三國会に於ける愼重審議を要求する。われらは政府の惡辣なる冒頭解散に断乎反対し、かかる反動的行為に対しては最後まで徹底的に闘わんことを宣明するものである。
 かくのごとく、全國の勤労者は、この給與問題の成行きをきわめて愼重に注視しておりまするので、この際政府は、これを明らかにする必要があると思うのであります。
 以上のごとく、議会の内外を通じて政府の所信を聞かんとする声の熾烈なるこの事実を無視しても、なお総理は施政方針演説を行う意思がないというならば、それはもはや議会政治の否認であり、日ごろ民主政治を口にする吉田総理のとるべき態度では断じてないのであります。私は、この際民主政治確立のため、吉田総理の非民主的な態度に反省を促すとともに、施政方針演説をなさざる非立憲をただし、総理大臣の答弁を求むるものであります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 小川君の御質問に答弁いたします。小川君の質問の要旨は、ほとんど吉川君の質問と同じように考えます。私は繰返して申すが、施政方針の演説はしないとは申さないのであります。これに先行して、まず第一に國会において審議していただきたいものは、公務員法であるのである。これは内閣の性格と何ら関係するところはないといつていいのであります。これは芦田内閣以來の宿題である。いかなる内閣がその政局に立つにしたところで、この公務員法は議了しなければならない、制定しなければならない法律であるのである。問題は、諸君が公務員法をすべての議案、すべての決議に先だつてこれを議する意思ありやいなやであります。もし諸君においてその意思がないとするならば、政府としては、さらに考えなければないところがあるのであります。
 またその他私に対して、私が民主政治家であるかないか、あるいは現内閣が政策に行き詰つたかどうかということは、小川君の臆測にまかして、私はこれに答弁する責任を持たないのである。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 河野金昇君。
  〔「再質問」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 小川君、再質問ですか……(発言する者多く、聽取不能)小川半次君。
  〔小川半次君登壇〕
○小川半次君 総理大臣は公務員法のことについて答弁されましたが、公務員法は、まだこの本会議に上程されてはおらないのであります。この臨時國会は、すでに一昨日から開会されておるのであります。議会を開会したその劈頭に、なぜ総理大臣はその抱懐する所信を披瀝しないかということを、われわれは尋ねておるのであります。議会の開会劈頭に政府はその所信を披瀝することが、これが議会政治の本質であり、民主政治のあり方であるがために、われわれは民主政治の上から考えましても、この議会劈頭における総理大臣の施政方針演説を必要とするのであります。しかるに総理大臣は、なぜこの施政方針の演説を行わざるかを、われわれ質問ししているのであります。もう一度総理大臣の答弁を求めます。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 一御質問にお答えいたします。御質問の趣旨も前同様の御趣旨で、從つて答弁も前同様にいたすほか仕方がないのでありまするが、ただし公務員法は、すでに上程いたしております。(拍手)
     ――――◇―――――
 二 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(河野金昇君提出)
○議長(松岡駒吉君) 河野金昇君。
  〔河野金昇君登壇〕
○河野金昇君 私は、国民協同党を代表いたしまして、吉田総理大臣に質問をいたします。もし私の質問に対して、どうせ吉田総理はだれかに原稿を一つしか書いてもらつておらないから同じ答弁であるならば、聞きたくはありません。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○河野金昇君(続) 自由党の諸君の御憤慨になるのが正しかつたならば、吉田総理からは、私の質問に対しての御答弁を願いたいことを、前もつてお願いしておきます。
 吉田内閣は、芦田内閣の崩壊の後できた内閣であり、芦田内閣を倒したものは、自由党の諸君ではありません、政策の行きづまりではありません、昭和電工事件であるのである。從つて、次に出てくる内閣は、私たちといたしましては、昭和電工あるいは石炭國管の問題を徹底的に糾明すると日時に、國家公務員法の改正、賃金ベースあるいは災害対策等を樹立して、しかる後に……。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○河野金昇君(続) しかる後に議会の解散をすることを、われわれは要求してきたのであります。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○河野金昇君(続) われわれは、疑獄事件を片づけ、緊急問題を解決したあかつき、即時解散を要求して來ておるのであります。しかるに、芦田内閣の崩壊の後に、われわれのこの要求を吉田氏はいれなかつたから、われわれは、われわれの委員長三木武夫氏に投票をし、決選には、信頼すべき人なしとして白票を投じたわけなのであります。
 しかるに、吉田内閣成立の過程において重大なる事態が現出をしたのであります。それは、吉田総裁が総理大臣に名乘りを上げているにもかかわらず、山崎首班説が出てきたのであります。われわれは、これを邪道なりとして排撃したのであります。他党の諸君が山崎氏をかつぐのはやむを得ないとしても、その辺に騒いでいる自由党の内部に山崎氏をかついだということは、実に不可解至極のことであります。(拍手)あたかも吉田内閣は山崎猛氏の屍の上に築かれた内閣であるといわなければなりません。
 自由党の諸君は、野党時代に、料飲即時再開、取引高税の撤廃、統制の大幅撤廃、供出後の自由販賣、行政整理の断行を天下に公約して來たのであります。一体できると思つて公約して來たのかどうか。もしやるつもりであるならば、なぜこの議会の開会劈頭に、全部でなくてもいいが、その一つくらい、在野党時代の片鱗くらいを示されないのか。(拍手)自由党の諸君は、過ぐる片山、芦田の二内閣に向つて、連立内閣なるがゆえにその性格が不明確だと主張をして來たのであります。あなた方が單独内閣をつくりながらも、その政策を少しも発表しないことは、すなわちこれは自由党自体のためにも悲しむべきことといわなければならないのであります。われわれは、解散をせよと叫んでいる、その政策を知らなければ、われわれは協力するにも反対するにも、われわれの態度を保留しなければならないのであります。
 吉田総理大臣は、この議会を無規する行動がひんぴんとしてあるのであります。第一、運営委員会に出て來て会期は十日間でいいと叫ぶ、あるいは通常國会は十二月一日と決定をしてしまつたのであります。何も今すぐ決定をしなくもいいにもかかわらず、初めに十二月一日と決定するのは、今後のわれわれ議員の審議権を束縛するものであるといわなければならぬのであります。かかる吉田総理の態度こそ、実に非民主的といわなければならない。あたかも吉川君なり、あるいは小川君の質問に対しても、その質問の内容を解さないのか、答弁は依然として、同じ書いてもらつたもの以外にないのであります。(拍手)かかる議会を無視し、立法府に挑戦するがごとき吉田首相の態度が、一部の自由党の諸君を喜ばせ、あるいは反動的人氣を集めておるとするならば、それはあたかも、かつての東條軍閥が一時誤れる人気を集めたと同様(拍手)究極において國民を不幸に陥れるものであると同時に、日本の民主化に逆行するものであり、国際的信用を失墜するものであるといわなければならないのであります。絶えず口に憲政の常道を説きつつ、あたかも憲政の邪道を行いつつあるところの吉田総理の、憲政常道に対する見解をあらためて承りたいのであります。(拍手)
 おそらく民主自由党の諸君は、國家公務員法を成立させ、しかる後施政方針の演説をし、ただちに議会の解散をするつもりかもわかりません。それは石炭國管の捜査が進み、自党に被害の甚大に及ぶのをおそれて(拍手)それがための解散であつて、党利党略のために解散を利用するものであるといわなければならぬのであります。私は、昨日まで法務総裁を兼ねておつた吉田総理から、疑獄事件に対する見通しと、解散に対する総理の見解を承りたいのであります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) ただいまの質問の中に、もし不穏当な言辞がありましたならば、議長において速記録を取調べ、適当に処理いたします。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) やはり御質問の趣意は前同様と考えられますが、一つ私から重ねて申しますが、私は施政方針の演説はしないと言つておるのではないのである。まず公務員法を先決せしめ、すべての法案、すべての決議に先だつて公務員法を審議するかしないか。私は審議する必要があると思うのである。その他の項目については、この内閣においては何ら考えておらないのであります。
     ――――◇―――――
 三 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(水野實郎君提出)
○議長(松岡駒吉君) 水野實郎君。
  〔水野實郎君登壇〕
○水野實郎君 私は、社会革新党を代表いたしまして、吉田内閣総理大臣に、今議会の初頭に施政方針の演説をなされぬ点に対しまして緊急質問をいたすものでございます。先ほど來非常に重複している点もございますので、きわめて簡單に率直にお尋ねいたしたいと思うのでございます。
 民主自由党の総裁でありまする吉田総理大臣は、在野時代には、先月の初旬に行われましたる民主自由党の大会決定以來、取引高税の撤廃であるとか、料飲店の再開、主食糧の供出後の自由販賣であるとか、統制の大幅緩和等を國民に公約しておられるのであります。それがために、農民の中においては、もう米の供出後は自由販賣になるのではなかろうかと思つたり、商人の中には、取引高税が廃止になるのではなかろうか、また料飲店等におきましては、再開近しと見て準備をしておる者もたくさんあるようでございます。こういう点から考えてみましても、すみやかに施政方針の演説を議会を通じて一般國民に披瀝することが当然だと私は思います。吉田総理はどうお考えになつているかを、ひとつお尋ねいたしたいのであります。
 なお吉田総理は、組閣当初におきましては、官界、財界、政界の粛正をスローガンとして天下に声明しておられるのであります。今や昭電問題、石炭國管問題、あるいは繊維問題、兵器処理問題等の糾明が、不当財産特別委員会並びに檢察廳等において進行中でございます。これが途上において、早期國会解散のために施政方針の演説を延引するというようなことは、党略的としか見られません。組閣当時のスローガン通り、この粛正をおやりになるかどうかを明らかにすべきではないかと思うのであります。新内閣が成立して以來初めての國会に施政方針の演説もなされないなどということが、また外國の新聞などにとかくの批判を書かれる原因ともなるのではないのでしようか。吉田内閣の國際的信用を高めるためにも、日本の民主化、民主政治のためにも、ぜひ施政方針の演説を急速にやることが妥当であり、また民主的であると思うのであります。
 社会党や民主党、國協党の連立内閣、すなわち二代内閣当時も、非民主的なることは、一々指摘はいたしませんが、多少はあつたようであります。悪いことは、おまねなさらない方がいいと思います。堂々と民主的に施政方針の演説をやり、また答弁も堂々とすべきだと思います。そうすることこそが、國民に対し議会に対する礼儀であり、民主的だと信ずるのであります。吉田総理大臣のお考えを率直にお伺いいたしまして、きわめて簡單でございまするが、私の質問の要旨といたします。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 水野君にお答えいたします。御質問の趣意は前同様でありまするが、重ねて申すが、私は施政の演説をあえて回避しておるわけではないのであります。問題は、公務員法をすべての議案に先だつて審議してもらいたい、問題は、この國会において審議せらるるか、せられないかということであります。私は、これをすべての問題、すベての法案に先行して審議しなければならぬ必要を感ずるから、これを主張いたすのでありますが、もし反対党の諸君において、これをもしいかぬということならば、これは御随意であります。政府としては別に考えるところがあります。また予算その他について御質問がありましたが、政府といたしては、すでに公約をし、また発表をいたしたことは、順次にこれを実行する考えで、現に準備いたしておるのであります。
     ――――◇―――――
 四 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(中原健次君提出)
○議長(松岡駒吉君) 中原健次君。
  〔中原健次君登壇〕
○中原健次君 私はまず、吉田内閣成立の前に先だちまして、いわゆる首班指名の投票の行われました当日のことを思い起すのであります。吉田茂氏に対する信任の票とも考えらるべき百八十五票なるものは、はたして國会の多数の信任を意味するでありましようか。國会の多数に達せざる少数をもつて、一應手続的には吉田氏が多数を獲得したということによつて、首班と決定されたわけであります。従いまして、いわば國会の多数は、吉田氏に対してはこれを信任せず、という意思表示をいたしたと見ることも、また間違いではないと考えるのであります。そうであるならば、そのような特別の事情のもとに一應成立を見なければならなかつた吉田内閣なら、その吉田内閣は、組閣を完了すると同時にはたしてその吉田内閣が、この危局に瀕するわが日本の國政を担当するだけの信任をもてるものなりやいなやについて、一應その信任を問うべき手続をとるべきものではなかろうかと私は考えるのであります。(拍手)しかるにもかかわらず、吉田氏は何らその手続に出ることをなさず、ただ漫然として、このまま、いわばほおかむりのままにおいて自分の政策を行わんといたしておるのであります。従いまして、今回第三回國会の劈頭において、吉田氏はその施政方針の御演説ができないということも、またあまりにも当然であるかとも考えるのであります。
 今日、國会並びに政府に対しまして國民が向けている注意は、一体何であるか。國民が鋭く集中している問題は、いわゆる相次いで暴露されました、すなわち古今未曽有ともいうべき政界、官界、財界を通ずる疑獄事件であることを、われわれは否定することができないのであります。そうであるならば、そのような醜惡限りなき状態を続けておりまするならば、今日の政界、財界、官界等に対して、はたして吉田内閣は、これを言うがごとくに粛正し浄化するだけの確信を持つておいでになるのであるかどうか、このことについて首相の御所信を承つておきたいのであります。
 なるほど吉田氏は、第三回國会召集の場合に、この國会は各種案件を審議する資格がないとか意思表示をしておいでになられました。私もまた、その言葉を否定しようとは思わない。しかしながら、その資格なきがごとき今日の第三國会、その第三國会に、はたしてそのような認識を、ほんとうに心の底から持つておいでになるとするならば、なぜ勢頭國会解散の挙に出ずるの確信をお持ちにならないのであるか。私どもは、この間のあいまい模糊たる首相の態度に対して疑惑なきを禁じ得ないものであります。(拍手)
 私どもは、その最初、今回の指名さるべき首班は、そしてその内閣は、あくまで選挙を管理する内閣であるべきものであつて、國策を行うべき筋合いのものではないということを、その初めにおいて断じた次第でありまして、私どもの見解によれば、この吉田内閣は國策をいささかも行うべき資格がない、吉田内閣はただちに國会を解散し、その信を國民にたずねた結果として、その結果における多数党が初めて國民の信任にこたえる國策を行うの資格あるものであるということを、われわれは信じたのであります。
 しかるに吉田内閣は、このまま、場合によれば、ほおかむりのままにおいて國策に手をつけようとするの態度を持つておることを、見のがすわけにまいらぬのであります。何となれば、昨日われわれの手もとに配布されました國家公務員法一部改正に関する法律律案、それであります。吉田内閣は、國家公務員法の改惡をこの際断行して、まず吉田内閣の施策の最初の小手調べとせんといたしておるようでありますが、はたしてこの國家公務員法の改正法律案なるものが、國民のこれを了承すべきものであるかどうかについて、われわれは非常な異存をもつものであります。
 何となれば、國家公務員法の改正のその一番基本的な問題とも言うべき、いわゆるマ元帥の書簡のそれでありまするが、マ元帥の書簡によれば、國家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限があるということのその事実は、政府に対して、常に政府職員の福祉並びに利益のために十分なる保護の手段を講ずべき義務を負わしめていると、まずマ元帥は、その書簡の中に、明確にこのことを規定しておいでになるのであります。そうであるならば、吉田内閣は、この國家公務員法の一部改正の法律案を出す前に、この政府職員の福祉並びに利益のために十分なる保護手段を講ずべき義務を果すことをなぜなさらないのであるか。(拍手)
 この公務員法の改正問題に関連しましては、もとより、ひとり吉田内閣のみにその責任があるとは申しません。これはその先、芦田内閣が、いわゆるマ元帥の書簡に対する解釈といたしまして、世評その書簡を、あるいは示唆と申し、あるいは勧告と申しておるにかかわらず、芦田内閣は、これを命令なりと解釈いたしまして、いわゆる八月危機に備えるとか申し、その立場から、あわただしくも政令二百一号を公布いたしまして、しかしてこの政令二百一号によりまして、わが國民に保障いたしておるはずの基本的人権を根こそぎくつがえすかのごとき、いなむしろ、くつがえすの暴挙をあえていたしたのであります。その芦田内閣の措置をそのまま受取りまして、そのままそつくり吉田内閣がまたそのあとを踏襲せんとするの挙に出ておることを、われわれははなはだ遺憾と存ずる次第であります。ことに、このマ元帥書簡に関連いたしまする政令二百一号の問題のごときは、今後非常な関心をもつて、きわめて愼重にこのことは取扱わなければならない問題であるにかかわらず、吉田内閣は、それを何ら苦慮するところもなく、安々と國会に上程するの挙に出ておるのであります。
 本來新憲法は、國民の基本的人権に対しては、きわめて周到なる保障を約束いたしておるのでありまするが、この問題を軽々しくくつがえして何ら顧みるところなきがごとき態度は、今日民主主義國家建設のことを言われておりまする段階において、はたして許さるべきことであるかどうか。われわれは、この問題について、あくまで抗議なきを得ないものであります。しかるに、マ元帥の書簡の最も重要なる一点であるところの、國家公務員に対する生存権確保の問題にいささかも触れるところなく、ただひたすらに官業労働者の彈圧にこれ努めて、そうしてわが日本の資本主義的経済再建を意図いたしまする者どもが、その欲するがままの政策を確保せんとする意図に出ておるということは、これまさしくマ元帥の書簡に対する、まごう方なき背反行為であると、われわれは断ぜざるを得ない次第であります。(拍手)
 今日置かれておりまするわが日本の経済諸事情のもとにおきまして、きわめて大切なる一点は、いわゆる賃金問題の安定処理でなければならないと考えておりますが、この賃金問題に対するその安定への処理方策について、はたして吉田内閣は、その確信あるものをお持ちになつておいでになるかどうか。われわれは、この点はなはだ疑いなきを得ないものであります。今日置かれているきわめて重要なる問題、すなわち價格政策並びに賃金政策問題に対しては、吉田内閣の処理の基本的方針が明確に表明されなければならないものであると考えるのであります。しかるにかかわらず、吉田内閣は、この問題に対して何らの施策を持たないばかりか、きわめて重要であるべきはずのインフレーシヨン処理問題等については、その初めから、民主自由党そのものの中に、インフレーシヨンに対する基本的な処理方策を持たなかつたばかりか、吉田内閣そのものが、すでにこの問題に対して何らの施策を表明しておらないということとの関連において、私どもは、このマ元帥書簡を得たりかしこしとして、ここに労働階級彈圧の積極的態度に出ることに対して、わが日本の一千万労働階級の名において決定的に抗議をいたすものであります。(拍手)
 さきに、電産並びに石炭あるいは日立等々の各産業部門から、賃金問題の処理については、これらに対する紛爭をいろいろ余儀なくいたしている現状でありますが、今日吉田内閣は、どのような基本的な考えを持つて、この賃金安定処理問題に対して臨まんとしておいでになるのであるか。われわれは、このことについて吉田内閣の誠意を疑うものであります。
 さらに、このような諸事情のもとにおいて、今や問題として取上げられておりますものに、人事委員会の給與改訂に関する勧告書の提出問題がありますが、この人事委員会の給與問題に対する勧告書に対して、はたして吉田内内閣は、どのような御所信を持つておいでになるのであるか、もちろんわれわれは、この人事委員会の給與ベースのそれに対しまして、必ずしもこれを全幅的に承認するものではございません。もちろん、この賃金基準の数字は、いまだなおかつ、はなはだ不満足であるけれども、しかし吉田内閣は、この人事委員会の勧告に対しまして、必ずしも誠意ある態度を示しておらないというこの現実を、われわれはまた、あわせて指摘せなければならないのであります。
 吉田内閣は、この当面する諸問題に対して、はたしてどのような見解を持つてこれに当ろうとしているのであるか。しかも、施政方針の演説をすらあえてなし得ざる吉田内閣が、相次いで起るこれらの直面する重大問題に対して、これをどのようにあんばいせんとするのであるか。われわれは、この問題に対して、吉田総理の責任ある答弁を要請する次第であります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 中原君にお答えいたします。
 冒頭解散の論は、政治の常識であり、あるいは國民への世論であるかもしれませんが、再三申したごとく、國家公務員法をまづ第一に制定することの必要があるので――この必要は、しばしば申したところでありまするが、この必要上、冒頭解散はいたさないのであります。
 また政界、官界の浄化粛正に関する確信ありや。確信があるのであります。現に、この確信を持つて浄化粛正のために種々方法を講じておるのであります。
 また、國家公務員法に関する私の確信もしくは氣構え等についての御質問は、いずれ國家公務員法の議事が進みますときにお答えいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 五 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(大瀧亀代司君提出)
○議長(松岡駒吉君) 大瀧亀代司君。
  〔大瀧亀代司君登壇〕
○大瀧亀代司君 私は、新日本自由党準備会を代表いたしまして、何ゆえ施政方針演説をやらないかということについて、二、三質問を試みたいと思うのであります。
 ただいま首相は、公務員法の通過後において施政方針演説をやるということを言われたのでありますが、公務員法の審議と、この施政方針演説とは、決して並行してできないということはないのであります。日々の委員会を見ましても、ほとんど午前中であり、午後は本会議において十二分にこれの演説をやることができるのであります。でありますから、首相はもう少し親切味をもつて施政方針演説をやるということにされてはどうであるか。一方に自分たちだけが強いて、そうして自分の施政方針演説をやらぬことが当然のごとき考えを持つておられるということは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。
  〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○大瀧亀代司君(続) 私は第一番に、民主主義政治の確立をとなえられまするところの吉田首相として、何ゆえその演説をやらぬか、それからもう一つは、責任政治を強調せられまするところの吉田首相として、何ゆえこれをやらぬか。もう一つは、およそその内閣の性格並びに政治の動向は、演説によつて初めてわれわれが知ることができるのであります。しかも吉田さんは、内閣の組織の前後において、あるいは單独内閣といい、あるいは超党的内閣といい、あるいは保守連合内閣というがごとく、ほとんどわれわれとしましては、首尾一貫せざるごとくに伺つておるのであります。よつて國民も、議院内におきましても、いかなる政策のもとに、いかなる施策が実行されるかということは、当然この議場において初めて知り得ることであり、しかして、これに対する協力その他について考慮すべきものであると、私は考えておるのであります。しかるに、一切これをなさずして、ただただ公務員法を通してから、こういうようなこと一点ばりでこれを回避せられるということは、議会政治の運行にあたつて、どうしてもわれわれは承服できないのであります。
 もう一つは、吉田総理大臣は常に占領政策に協力してという言葉を使われておるのでありますが、占領政策とわが國の内政はいかなる関係を有するのであるかということをわれわれが考えますときに、占領政策は当然内政をおいてないのである、かようにわれわれは考えるのであります。こういうような観点から、首相がそれを円滑に運用しようとしまするならば、どうしても常に占領軍と密接なる了解をとつていなければならぬと思うのであります。しかるに、劈頭解散論であるとか、あるいはこの冒頭に施政方針の演説をやらぬ、しかしてかくのごとき混乱に陷らしむることに対しても、これは常に了解のもとにやらなければならぬと思うのでありますが、これはいかがであるか。かような点に関して御答弁をお伺いしたいと思うのであります。ことに、先ほど第一番目に申した通りに、公務員法の審議は施政方針演説と並行しても何ら影響するところがないとするならば、明日からでも施政方針演説をやる親切な氣持があるかどうか。こういうことを、はつきりお伺いしたいのであります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 大瀧君にお答えをいたします。何がゆえに施政方針の演説をしないかということについては、しばしば説明をいたしておる通りであります。この説明について御了承を願いたいと思う。またその他占領政策と内政との関係いかんということをおつしやつているのでありますが、占領政策に協力する以上は、内政と不可分の関係にあることを御承知を願いたいと思います。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 野坂參三君提出、総理大臣の施政方針に関する緊急質問は、撤回の申出があります。
     ――――◇―――――
 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(林百郎君提出)
○石田博英君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、林百郎君提出、総理大臣の施政方針に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて総理大臣の施政方針に関する緊急質問を許可いたします。林百郎君。
  〔林百郎君登壇〕
○林百郎君 吉田首相は、劈頭の施政演説をなさらない理由としまして、何よりも先に公務員法を議し、一般の施政演説は後ほどにしたいと、公務員法の先議を唯一の理由としておるのであります。しかるに、公務員法の審議は必然的に一般施政問題と関連をもつてくるのであります。たとえば、マ書簡にも示されておりますごとく、公務員法によつて公務員の爭議を禁止するためには、公務員の生活の確保をまず考えなければならないということが明示されておるのであります。從つて、公務員法を先議するためには、まず公務員に関する生活の問題をいかに考えるか、また一般労働者のこの公務員法に対する大きな反対をいかに処理されるかということを決定された後に、初めて公務員法の審議というものは成り立つと思うのであります。すなわち公務員法の審議は、明らかに吉田内閣の諸政策、基本的の諸政策の一環として初めて意義をなすものであります。もしこれを否定なさるならば、あえて國会に対して群盲の象を探ることをし、木を見て森を見ざるの愚をあえて國会にしいることになると思うのであります。このことは、明らかに國会の審議権を否定するものと断ぜざるを得ないのであります。
 その次の理由としまして、國会を守り、公約を守り、諸政策を実施するということについては、簡單に実地するというように言われるのでありますが、ただ実施する、実施するということでは、これはまつたく意味をなさないのであります。少くとも國会の権威を認められるならば、いかに具体的にこれをなされるかということを示すことなくしては、これもまつたく國会を軽視し、無視していることになるのであります。このことは、明らかに吉田首相の考えの中に、國会を軽視し、再び日本の國をフアシズムの昔にもどそうという考えのあることを、否定し得ないのであります。(拍手)
 現に昭和二十一年、あなたが序文を書いておられますところの「新憲法の解説」の中には――これは林副総理もまた序文を書いておられるのでありますが、この当時の内閣が発行しました「新憲法の解説」の中には、新憲法はあくまでも民主政治の本義に徹し、國会中心主義の建前から、臨時の必要が起れば、必ずその都度臨時國会を召集し、または参議院の緊急集会を求めて、立憲的に万事を処置するという方針をとるのが、あくまで民主政治の本義だといつておるのであります。しかるにもかかわらず、あなたが公務員法を先議され、あるいは一般の施政演説に対しては、單に実行するからという、單なる儀礼的な言葉だけをもつて責任を糊塗されるということは、あなたのこの「新憲法の解説」、あなたが序文を書いておるこの「新憲法の解説」の精神を、あなたみずからが否定しておると言わざるを得ないのであります。
 このことは、一共産党が言うのみではないのであります。あなたの内閣の性格については、すでに諸外國が、はつきりあなたの内閣の性格を規定しておるのであります。この問題は、われわれ日本人として軽視し得ざる問題であります。あくまでも吉田首相は、これを肝に銘じて、責任のある回答をしていただきたいと思うのであります。
 まず、中國の大公報の十月十六日号は「吉田氏が極端な右翼反動とは言わないでも、吉田氏の背後には日本のフアシスト勢力が時機の到來を待ち構えていると、はつきり言つておるのであります。(拍手)その次に、英國のロンドン・タイムスの十月十九日の吉田内閣の評には、吉田は今なお日本を昔の姿に返そうと画策している保守反動勢力の取残された最後の拠点となつておる、財閥、官僚勢力をこの上弱める改革に反対する強大な抵抗力となつておるかもしれないということを、はつきり言つておるのであります。またニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーンの十月十六日号には、吉田は太平洋戰爭前に高位高官の地位を占めた多数の日本人と同類である、民主主義の土台を日本にすえようと努力して來た米國人は吉田を喜ばない、日本民主化に米國の努力が実を結べば、吉田や保守反動勢力のその一味のごときは頭をひつ込めるだろうという極端な批評がされておるのであります。
 この諸外國の批評を冷静に考えてみるときに、吉田首相の昨日以來の言動並びに施政演説を冒頭になされないというところのあなたのこの非立憲的な態度は、内外ともに非難の的であるということを、深く肝に銘ずべきだと思うのであります。私は、日本のこの國会の名誉のために、日本の國の名誉のために、吉田首相がすみやかに施政演説をなされんことを要望して、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 林君にお答えをいたします。施政演説をなぜしないかというようなことについては、しばしば私が説明いたした通りであります。また、外國の新聞が私に対して何を言うか、これは私は弁明の責任をとることができません。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 逓信省設置法案、逓信省設置法の施行に伴う法律の整理等に関する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、放送法案、賣春等処罰法案及び教育公務員の任免等に関する法律案撤回の件
○議長(松岡駒吉君) これより日程第一に入ります。逓信省設置法案、逓信省設置法の施行に伴う法律の整理等に関する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、放送法案、賣春等処罰法案及び教育公務員の任免等に関する法律案、右八案は、去る四日内閣から撤回したいという申出がありました。これを承諾するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて撤回を承諾することに決しました。
     ――――◇―――――
 第二 両院法規委員会規程中改正案(議院運営委員長提出)
○議長(松岡駒吉君) 日程第二は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第二、両院法規委員会規程中改正案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長山口喜久一郎君。
  〔山口喜久一郎君登壇〕
○山口喜久一郎君 ただいま議題となりました両院法規委員会規程中改正案の提案理由を御説明申し上げます。
 本案は、去る六月、第二回國会において、國会法改正の際、両院法規委員会の権限及び構成に関する規定を改められたのに伴いまして、両院法規委員会規程を改めようとするものであります。今、その内容について概略を御説明申し上げます。
 第一は、両院法規委員会が國政に関し問題となるべき事案を指摘して両議院に勧告することを規定されたことに伴う改正と、新立法の提案または現行の法律及び政令に関し内閣に対し勧告する制度が廃止されましたのに伴う改正とでありまして、第十七條ないし第二十一條は、その点についての改正であります。
 第二は、両院法規委員会の委員長は、從來その委員会において互選いたしておりましたものを、各議院の委員においてそれぞれ一名ずつの委員長を互選し、その委員長が毎回交代して会長の職に当ることに改められたのに伴う改正であります。すなわち、第一條は各議院の委員長の互選手続を定め、第六條は各議員別々に理事を置くための改正、その他の各條文は、いずれも各議院別々に委員長を設けられました結果当然の改正であります。
 以上、本案の大体について説明いたしました。
 この改正案につきましては、議院運営委員会において愼重審議し、参議院とも協議して意見の一致を見た次第であります。何とぞ諸君の御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第三 両院法規委員会の委員の選挙
○議長(松岡駒吉君) 日程第三、両院法規委員会の委員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
○石田博英君 両院法規委員会の委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議長は
   樋貝 詮三君  佐瀬 昌三君
   田村 虎一君  笠原 貞造君
   原 彪之助君  松澤 兼人君
   八並 達雄君  高橋 貞一君
   酒井 俊雄君  佐竹 晴記君
以上十名を両院法規委員会の委員に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第四 検察官適格審査委員会の委員の選挙
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、檢察官適格審査委員会の委員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
○石田博英君 檢察官適格審査委員会の委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議長は
  明禮輝三郎君  古島 義英君
  鈴木 義男君  小島 徹三君
の四名を檢察官適格審査委員会の委員に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○石田博英君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、國家公務員法の一部を改正する法律案につき提案理由の説明を求められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて國家公務員法の一部を改正する法律案につき提案理由の説明を求めます。内閣総理大臣吉田茂君。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) ただいま上程になりました國家公務員法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 國家公務員法は、新憲法の精神にのつとつて、新たな基盤の上に國家公務員制度を打立つるために、昨秋第一回國会において制定され、去る七月一日から施行を見たものでありまするが、その後七月二十日付をもちまして、国家公務員制度改革に関するマツカーサー元帥の書簡に接しましたことは、御承知の通りであります。この書簡に示されたる政府における職員の関係と私企業における労働関係の区別を明らかにいたしまするとともに、人事委員会を人事院と改めて権限の強化をはかり、同書簡のいわゆる準司法的機関としての性格を明確にいたしまして、もつて國家公務員制度を同書簡の趣意に即應するようにいたすために、本日ここに本案を提出いたしました次第であります。なお本案の詳細につきましては、それぞれ責任者より説明いたすはずでありまするが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
 なお、つけ加えてさらに申し述べますが、國家公務員法は、しばしば私がここで申します通り、政府といたしましては、すべての決議、法案に先だつて議決していただきたいものと、切に希望する次第であります。なお詳細は人事委員長から説明をいたさるるはずであります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 臨時人事委員長淺井清君。
  〔政府委員淺井清君登壇〕
○政府委員(淺井清君) ただいま議題となりました國家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣より御説明申し上げたるところにつき、若干私よりも補足御説明申し上げたいと存じます。
 國家公務員法は、御承知のように新憲法の精神にのつとりまして、新たな基盤の上に國家公務員制度を打立てるために、國家公務員たる職員について適用いたしまする各般の根本基準を確立いたしまして、職員がその職務の遂行にあたりまして最大の能率を発揮し得るように、民主的方法で選択し、かつ指導すべきことを定めまして、もつて国民に対し、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的といたしまして、昨年第一回國会において制定せられたものでありまして、本法施行に必要な諸般の準備の期間を経たる後、去る七月一日から全面的施行を見るに至つたものでございますが、同法施行後わずか数箇月を経た今日に、同法の一部を改正する法律案をここに提出することになりましたので、その経緯と改正の要旨及び理由につきまして御説明申し上げることを、われわれの義務と存じます。
 この改正法律案を政府において起草いたして、このたび國会に提出いたしました重要な動機は、申すまでもなく……。
  〔「総理はどうした」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○政府委員(淺井清君)(続) 去る七月二十二日のマツカーサー元帥の書簡でございます。その書簡は「勤労を公務にささげる者と私的企業に從うものとの間には顯著な」る区別のあることを示したものでありまして、勤労を公務にささげるものは、「公共の信託に対し無條件の忠誠の義務」を負い、「國民全体に奉仕する義務が負わされて」いることを明記いたしました。また、公務員の爭議行為のような……。
  〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に
○政府委員(淺井清君)(続) 「政府を麻痺せしめんとするような行為は想像し得ないものであると同時に……。
  〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 説明が聞き取れません。靜粛に願います。
○政府委員(淺井清君)(続) 許し得ないものでありまして、すべての政府職員は、普通に知られている、いわゆる、團体交渉の手段は、公務員の場合には採用できないものであることを理解しなければならないことを指示いたしまするとともに、しかしまた一方において、「この理念は公務員たるものが、みずから、もしくは選ばれたる代表を通じ雇傭條件の改善を求めんがために、自由にその意見もしくは不満を表明する個人的もしくは團体的の妨げられることなき権利を有しない意味ではないこと」及び「國家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対し常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならない義務を負わしめている」ことが明らかにされているのであります。
 この書簡を受取りました政府は、同書簡の趣旨に基き、とりあえず、去る七月三十一日附をもつて臨時措置に関する政令を制定施行いたしまして、公務員の交渉権を制限いたし、爭議行為を禁止いたしますとともに、國家公務員法により設置せられましたる臨時人事委員会をして、爾後公務員の利益を保護する責任を有する機関とする等の臨時の措置を講じたのでございますが、それと同時に、國家公務員法につきましては、これをマツカーサー元帥の書簡の指示するところに即應せしむるよう改正をいたしますために、政府は、同書簡に基く司令部の助言によりまして、この法律案の起草を行つて來た次第でございます。從いまして、このたびの改正法案は、あくまでも書簡の精神と内容とに基いて起草せられたものでございまして、このことは、あらためて申し上げる必要もないと存じます。
 この改正法案によりますと、現行國家公務員法百二十五箇條中、全文改正三十二箇條、一部改正七十七箇條、新たに追加するもの十四箇條でございまして、現行法のほとんど全部の條文につきまして、あるいは全面的に、あるいは一部分について改正が行われることになつておりますが、その改正の眼目となります要点は、およそ三点に集約して御説明できるかと存じます。
 まず改正の第一点といたしましては、いわゆる特別職の範囲が縮小せられたことであります。マッカーサー元帥の書簡にあります通り、「國家公務員法は、本來日本における民主的諸制度を成功させるためには、日本の官僚制度の根本的改革が不可欠であるとの事実の認識のもとに考えられたもので」ございまして、そういう意図のもとに、職員がその職務の遂行にあたりまして最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で選択され、かつ指導されるべきことを定めたものでございますから、官僚制度の根本的な改革を行う上には、國家公務員法をできるだけ廣く活用いたすことが好ましいのであります。從いまして、この法案におきましては、政治的任命を特に必要とする職以外の職につきましては、これを可能なる範囲において廣くいわゆる一般職に入れた次第でございます。
 次に改正の第二点といたしましては、人事委員会の組織及び権限を強化いたした点でございます。御承知のように、國家公務員法の運営機関といたしまして、本年中には総理廳に人事委員会が設置せられることになつておるのでございますが、不偏不党、いかなる勢力の制肘も受けることなく嚴正公平なる人事行政を行いますとともに、國家公務員の福祉と利益との保護機関としての機能を果しまするためには、この委員会は、そのために必要とし、かつ十分な権限が與えられまするとともに、あとう限りの独立性が確保されることを必要欠くことのできない要件といたしますので、これに関して所要の改正を行うことにいたした次第でございます。すなわち、人事委員会を人事院と改め、從來内閣総理大臣の所轄のもとにあつて、総理廳の一外局でありましたのを、内閣に置きまして、他の行政機関に対し独立性を與えまするとともに、財政的にもある程度の独立性を與えようとするものでございます。またこれに関連いたしまして、人事院規則の制定につきましは、從來内閣総理大臣の承認を経ることとなつておりましたのを、人事院が独立にこれを制定し得ることといたしますとともに、人事院が処置する権限を與えられている行政部門におきましては、人事院の決定及び処分は人事院によつてのみ審査されることといたしたのであります。
 次に改正の第三点は、服務の規律を強化した点でございます。憲法にも明らかに規定されてあります通り、國家公務員は國民全体の奉仕者であつて、一部の者の利害の代表者であつてはならないのでございますが、この原則に徹底しますためには、現行國家公務員法の規定では、なお不十分な点がございますので、所要の改正を行つた次第でございます。すなわち、まずマツカーサー元帥書簡の趣旨に則りまして、各書簡にいわゆる「政府における職員関係と私企業における労働者関係の区別」を明確にいたしまするため、國家公務員につきましては、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、船員法等の規定の適用を排除いたしまして、政府に対する同盟罷業その他の爭議行為及び怠業的行為は、すべてこれを禁止いたしまするとともに、國家公務員に対し、いわゆるオープン・シヨツプ制の原則に基く團結権を認めまして、また限られた範囲内においてではございますが、交渉権を認められたのでございます。次に、國民全体の奉仕者である國家公務員が、在職中において、いやしくもその公平と中立性を疑われることのないように、一切の公選による公職の候補者となることを禁止いたし、また政党その他の政治的團体の役員となることを禁止いたしますとともに、選挙権の行使を除くほか、人事院規則で定める政治的行為を行うことを禁止しようとするものでございます。さらに、國家公務員の私企業からの隔離の必要性は、ひとりその企業を代表する地位につくことを制限するのみでは不十分と考えられまするからして、これを合理的な範囲に拡張する必要がございますので、退職後二年間は、営利企業の地位でその退職前五年間に在職していた國の機関と密接な関係にあるものにつくことを禁止することにいたした次第でございます。
 以上において申し述べました三つの点が、この改正法律案の眼目でございますが、このほか試驗の方法、懲戒の手続その他の事項につきましても、最少限度の改正を行うことにいたしておる次第でございます。その詳細につきましては、引続き御審議の進むに從いまして御説明申し上げる機会があろうかと存じます。(拍手)
  〔「総理はどうした」との呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
○石田博英君 國家公務員法の一部を改正する法律案の提案理由の説明に対する質疑は延期し、明十一日定刻より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
  〔「総理はどうした」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) ただいま総理大臣は医務室に行つております。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会